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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(54)【発明の名称】閉鎖システムおよびキット
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/05 20060101AFI20231219BHJP
   B65D 49/12 20060101ALI20231219BHJP
   B65D 51/20 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
A61J1/05 315B
B65D49/12
B65D51/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023536366
(86)(22)【出願日】2021-12-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 EP2021086611
(87)【国際公開番号】W WO2022129585
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】20215176.7
(32)【優先日】2020-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514099673
【氏名又は名称】エフ・ホフマン-ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チャヴシュオール アタマン, ナリエ サリブヤム
(72)【発明者】
【氏名】デ バルディ, モニカ
(72)【発明者】
【氏名】ドレース, グイド
(72)【発明者】
【氏名】エンターリオス, キンタナ マリア
(72)【発明者】
【氏名】マーティン, ジョセフ アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ロエル, ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】ステューデリ, トーマス ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ヴォロス, エステル
(72)【発明者】
【氏名】カミッシュ, ニール ベントレー
(72)【発明者】
【氏名】シグリスト, マルセル
【テーマコード(参考)】
3E084
4C047
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AA24
3E084AA32
3E084AB05
3E084BA03
3E084BA05
3E084CA01
3E084CB01
3E084DA01
3E084FA09
3E084FC01
3E084GA08
3E084GB08
3E084GB12
3E084HD01
3E084HD04
3E084KB01
3E084LA01
3E084LA15
3E084LA17
4C047AA05
4C047BB01
4C047BB17
4C047CC04
4C047DD02
4C047DD03
4C047DD04
4C047GG22
(57)【要約】
容器(2)の開口部(25)を閉じるための閉鎖システム(3)が、ストッパ部材(31)と、ケージ部材(32)と、カバー部材(33)と、完全性視覚化部材(35)とを備える。ストッパ部材(31)は、弾性材料で作られ、容器(2)の開口部(25)にはまり込むように構成されたプラグ部分(311)と、容器(2)の開口部(25)に隣接する境界面(24)に当接するように構成されたカバー部分(312)とを有する。ケージ部材(32)は、容器(2)に取り付けられるように構成される。カバー部材(33)は、ケージ部材(32)に可逆的に取り付け可能である。閉鎖システム(3)は、ストッパ部材(31)のプラグ部分(311)が容器(2)の開口部(25)にはまり込み、ケージ部材(32)が容器(2)に取り付けられた組み立て状態となるように構成される。ケージ部材(32)は、閉鎖システム(3)が組み立て状態にあるとき、ストッパ部材(31)のカバー部分(312)へと力を加えて、ストッパ部材(31)のカバー部分(312)を容器(2)の開口部(25)の境界面(24)に押し付けるように構成される。ケージ部材(32)は、閉鎖システム(3)が組み立て状態にあるとき、ストッパ部材(31)のカバー部分(312)にアクセスするための開口(324)を有する。カバー部材(33)は、ケージ部材(32)に取り付けられたとき、ケージ部材(32)の開口を覆う。完全性視覚化部材(35)は、閉鎖システム(3)の完全性を表示し、かつ、閉鎖システム(3)が組み立て状態にあるとき、ストッパ部材(31)のカバー部分(312)とケージ部材(32)との間に位置するように構成される。閉鎖システム(3)は、完全性視覚化部材(35)によって表示される完全性が認識可能であるように構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(2;20)の開口部(25;250)を閉じるための閉鎖システム(3;30)であって、
弾性材料で作られるストッパ部材であって、前記容器(2;20)の前記開口部(25;250)にはまり込むように構成されたプラグ部分(311;3110)と、前記容器(2;20)の前記開口部(25;250)に隣接する境界面(24;240)に当接するように構成されたカバー部分(312;3120)とを有しているストッパ部材(31;310)と、
前記容器(2;20)に取り付けられるように構成されたケージ部材(32;320)と、
前記ケージ部材(32;320)に可逆的に取り付けることができるカバー部材(33;330)と
を備えており、
前記閉鎖システム(3;30)は、前記ストッパ部材(31;310)の前記プラグ部分(311;3110)が前記容器(2;20)の前記開口部(25;250)にはまり込み、前記ケージ部材(32;320)が前記容器(2;20)に取り付けられた組み立て状態となるように構成され、
前記ケージ部材(32;320)は、前記閉鎖システム(3;30)が前記組み立て状態にあるとき、前記ストッパ部材(31;310)の前記カバー部分(312;3120)へと力を加えて、前記ストッパ部材(31;310)の前記カバー部分(312;3120)を前記容器(2;20)の前記開口部(25;250)の前記境界面(24;240)に押し付けるように構成され、
前記ケージ部材(32;320)は、前記閉鎖システム(3;30)が前記組み立て状態にあるとき、前記ストッパ部材(31;310)の前記カバー部分(312;3120)にアクセスするための開口(324;3240)を有し、
前記カバー部材(33;330)は、前記ケージ部材(32;320)に取り付けられたとき、前記ケージ部材(32;320)の前記開口を覆う、閉鎖システム(3;30)において、
前記閉鎖システム(3;30)の完全性を表示するように構成され、かつ、前記閉鎖システム(3;30)が前記組み立て状態にあるとき、前記カバー部材(33;330)と前記ケージ部材(32;320)との間に位置するように構成された完全性視覚化部材(35;350)を備えることを特徴とし、
前記閉鎖システム(3;30)は、前記完全性視覚化部材(35;350)によって表示される完全性が認識可能であるように構成されている、閉鎖システム(3;30)。
【請求項2】
前記カバー部材(33;330)は、剛体材料で作られる、請求項1に記載の閉鎖システム(3;30)。
【請求項3】
前記カバー部材(33;330)は、透明な窓部分を有し、前記窓部分は、前記閉鎖システム(3;30)が前記組み立て状態にあるとき、前記完全性視覚化部材(35;350)が前記カバー部材(33;330)の前記窓部分を通して視認可能であるように構成される、請求項1または2に記載の閉鎖システム(3;30)。
【請求項4】
前記完全性視覚化部材(35;350)は、前記ケージ部材(32;320)の前記開口(324;3240)を覆うように前記ケージ部材(32;320)に貼り付けられるように構成された完全性マスキング部材(35)である、請求項1~3のいずれか一項に記載の閉鎖システム(3;30)。
【請求項5】
前記閉鎖システム(3;30)の前記組み立て状態において、前記完全性マスキングが前記ケージ部材(32;320)に貼り付けられているとき、前記完全性マスキング部材(35)が前記カバー部材(33;330)の前記窓部分を通して視認可能であり、前記完全性マスキング部材(35)が前記ケージ部材(32;320)から剥がされたとき、前記ストッパ部材(31;310)が前記カバー部材(33;330)の前記窓部分を通して視認可能であるように構成される、請求項3および4に記載の閉鎖システム(3;30)。
【請求項6】
前記ケージ部材(32;320)の前記開口(324;3240)を通して視認可能である前記ストッパ部材(31;310)の前記カバー部分(312;3120)の少なくとも一部分が、ストッパ色を有し、
前記完全性マスキング部材(35)が前記ケージ部材(32;320)に貼り付けられたとき、前記ケージ部材(32;320)の前記開口(324;3240)から遠ざかる方を向く前記完全性マスキング部材(35)の一部分が、マスキング色を有し、
前記ストッパ色は前記マスキング色と異なる、請求項5に記載の閉鎖システム(3;30)。
【請求項7】
前記完全性マスキング部材(35)は、前記完全性マスキング部材(35)が前記ケージ部材(32;320)に貼り付けられたとき、前記ケージ部材(32;320)の前記開口(324;3240)をシールするように構成される、請求項4~6のいずれか一項に記載の閉鎖システム(3;30)。
【請求項8】
前記完全性マスキング部材(35)は、前記完全性マスキング部材(35)が前記ケージ部材(32;320)に貼り付けられたとき、前記完全性マスキング部材(35)を前記ケージ部材(32;320)から剥がすために保持されるように構成された把持用ラグ(352)を有する、請求項4~7のいずれか一項に記載の閉鎖システム(3;30)。
【請求項9】
前記完全性マスキング部材(35)は、前記ケージ部材(32;320)の全体を覆うように寸法付けられている、請求項4~8のいずれか一項に記載の閉鎖システム(3;30)。
【請求項10】
前記完全性視覚化部材(35;350)は、前記閉鎖システム(3;30)の前記組み立て状態において、前記カバー部材(33;330)が前記ケージ部材(32;320)から取り外されるとき、形状が変化するように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の閉鎖システム(3;30)。
【請求項11】
前記完全性視覚化部材(35;350)は、前記カバー部材(33;330)が前記ケージ部材(32;320)から取り外されるとき、少なくとも部分的に裂けるように構成された破れ構造(3510、3520)を備える、請求項10に記載の閉鎖システム(3;30)。
【請求項12】
前記完全性視覚化部材(35;350)は、前記カバー部材(33;330)に取り付けられる、請求項10または11に記載の閉鎖システム(3;30)。
【請求項13】
前記完全性視覚化部材(35;350)は、ホイル(351、352;3510)を備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の閉鎖システム(3;30)。
【請求項14】
容器(2;20)と、請求項1~13のいずれか一項に記載の閉鎖システム(3;30)とを含むキットであって、前記容器(2;20)は、前記容器(2;20)の内部にアクセスするための開口部(25;250)と、前記開口部(25;250)に隣接した境界面(24;240)とを備える、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、独立請求項1のプリアンブルに記載の閉鎖システムに関し、より詳細には、容器と、そのような閉鎖システムとを有するキットに関する。
【0002】
そのような閉鎖システムは、弾性ストッパ部材を備え、弾性ストッパ部材は、容器の開口部にはまり込むように構成されたプラグ部分と、容器の開口部に隣接する境界面に当接するように構成されたカバー部分とを有し、そのような閉鎖システムは、とくには液体および気体、より具体的には医薬的または化学的な液体あるいは他の流体物質に関して容器の開口部をぴったりと確実に閉鎖するために使用することが可能である。
【背景技術】
【0003】
背景技術
化学または医薬の多数の用途において、原薬、化学物質、臨床試験の物質、などの液体物質が、バイアルまたはカートリッジなどの特定の容器にて用意される。これらの容器は、典型的には、中空の内部と、内部へのアクセスを可能する開口部とを有する。開口部は、典型的には、境界面によって囲まれている。物質が容器の内部に充てんされ、その後に開口部がぴったりと閉じられる。
【0004】
容器を閉じるために、弾性ストッパを使用することが知られている。そのようなストッパは、開口部をぴったりと封じ、あるいは気密に封じることさえ可能にするとともに、ストッパに針を突き刺して、針を物質へと導入することによって、容器からの物質の取り出しも可能にすることができる。典型的には、ストッパは、プラグ部分およびカバー部分を有し、プラグ部分は、開口部にぴったりとはまり込むような寸法とされ、カバー部分は、開口部の境界面に当接するような形状とされる。より具体的には、ストッパは、カバー部分が或る程度圧縮されて充分な密着を生じるように、開口部へと押し込まれる。多くの用途において必要とされるとおり、この種のストッパおよび容器は、容器の効率的かつ無菌の充てんおよび閉鎖を可能にする。さらに、工業規模において、とくにはバイアルなどの容器、およびストッパが、多くの場合に、所定のサイズに寸法付けられている。このように、標準的な設備による自動処理を効率的に可能にすることができる。
【0005】
充てんおよび閉鎖後の容器について充分な密着を達成するために、ストッパは、容器内に押し込まれ、かつ/または容器の表面に押し付けられなければならない。ストッパをそのような押し付けられた状態に保持するために、典型的には、ストッパおよび開口部の上および周囲に配置されるキャップまたはケージが使用される。例えば、ストッパで閉鎖されたバイアルのヘッドの周囲に剛体プラスチックキャップを配置することが知られている。これにより、ヘッドおよびバイアルのネック部分の少なくとも一部分が、典型的には、ストッパを押し付けられた状態に保持するプラスチックキャップによって完全に覆われる。あるいは、途中まで形成された金属キャップを容器のヘッドおよびストッパのカバー部分の周りにかしめ、ストッパを容器へと固定して押し付けることが知られている(かしめキャップ)。
【0006】
ストッパおよびキャップの今日の解決策によって閉鎖された容器において生じ得る問題は、閉鎖された容器、より具体的には容器内に配置された物質の完全性を、効率的に検証または観察することができないことである。例えば、或る容器のキャップを取り外し、例えばストッパを刺し通すシリンジによって容器の内部にアクセスし、キャップを再び閉じることが可能である。しかしながら、容器の閉鎖の完全性は、容器および容器内に充てんされた物質が医療の用途などにとって適切な状態にあることを保証するために、きわめて重要であり得る。また、完全性の保証は、改ざんおよび/または偽造を防止または検出するためにも重要であり得る。
【0007】
したがって、容器の閉鎖の完全性の保証を可能にする装置またはシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
発明の開示
本発明によれば、この必要性は、独立請求項1の特徴によって定義される閉鎖システム、および独立請求項14の特徴によって定義されるキットによって解決される。好ましい実施形態が、従属請求項の主題である。
【0009】
一態様において、本発明は、容器の開口部を閉じるための閉鎖システムである。容器は、カートリッジなど、医薬または化学の研究、開発、または製造に使用される容器であってよい。とくには、バイアルであってよい。
【0010】
本明細書において使用されるとき、「バイアル」という用語は、文言どおりの意味でのバイアル、すなわち液体、粉末状、またはカプセル化された形態の医薬品あるいは薬剤または薬物を貯蔵するためにしばしば使用される比較的小型の容器または瓶に関することができる。バイアルは、ガラス、あるいは例えばポリプロピレン、環状オレフィンコポリマー、または環状オレフィンポリマーなどのプラスチック、などの滅菌可能な材料で作られてよい。
【0011】
閉鎖システムは、ストッパ部材と、ケージ部材と、ケージ部材に可逆的に取り付けることができるカバー部材と、完全性視覚化部材とを備える。この関連および以下の説明の文脈にいて、「部材」という用語は、単一部品ユニットに関することができる。そのような単一部品ユニットは、例えば透明な基材を覆って不透明なポリマーを成形することや、あるいはその逆など、例えば異なる材料で作られた複数の部品または部分を互いに固定あるいは単一の材料で作られたモノリシックな要素または製造プロセスにおいて化学的もしくは物理的に結合させた1つ以上の材料で作られたモノリシックな要素に固定することによって、具現化可能である。
【0012】
ストッパ部材は、弾性材料で作られ、容器の開口部にはまり込み、とくにはぴったりとはまり込むように構成されたプラグ部分と、容器の開口部に隣接する境界面に当接するように構成されたカバー部分とを有する。
【0013】
ストッパ部材に関連する「弾性」という用語は、ストッパ部材を構成する材料の特性に関することができる。より具体的には、そのような材料特性は、弾塑性であってよく、とくには圧縮性であってよい。好都合には、ストッパ部材の材料は、滅菌および無菌状態の維持を可能にする。ストッパ部材は、1つの部品として、すなわちモノリシックな要素として具現化することができる。プラグ部分は、開口部の幾何学的形状に一致するように基本的にシリンダ状であってよい。カバー部分を境界面に当接させることができるように、カバー部分は、典型的には、プラグ部分の上方で横方向または半径方向に突出する。カバー部分は、おおむね円盤状であってよい。
【0014】
閉鎖システムは、ストッパ部材のプラグ部分が容器の開口部にはまり込み、ケージ部材が容器に取り付けられた組み立て状態となるように構成される。
【0015】
ケージ部材は、閉鎖システムが組み立て状態にあるとき、容器に取り付けられ、ストッパ部材のカバー部分へと力を加えて、ストッパ部材のカバー部分を容器の開口部の境界面に押し付けるように構成される。またさらに、ケージ部材は、閉鎖システムが組み立て状態にあるとき、ストッパ部材のカバー部分にアクセスするための開口を有する。
【0016】
ケージ部材によってストッパ部材のカバー部分へと加えられる力は、ストッパ部材の材料特性および幾何学的形状に応じて、約10ニュートン(N)~約100Nの範囲内であってよい。例えば、約15Nであってよい。このようにして、ストッパ部材と容器との間の適切な密着を達成および維持することができるように、ストッパ部材をケージ部材と容器の境界面との間で圧縮することができる。
【0017】
カバー部材は、ケージ部材に取り付けられたとき、ケージ部材の開口を覆う。完全性視覚化部材は、閉鎖システムの完全性を表示するように構成され、かつ、閉鎖システムが組み立て状態にあるとき、カバー部材とケージ部材との間に位置するように構成されている。
【0018】
閉鎖システムは、完全性視覚化部材によって表示される完全性が認識可能であるように構成されている。
【0019】
本明細書において使用されるとき、「完全性」という用語は、容器の閉鎖の元の状態または初期状態に関することができる。これにより、閉鎖の元の状態または初期状態が与えられたとき、完全性を達成することができる。とくに、完全性を有する容器は、容器がこれまでに開かれていないこと、あるいは例えばストッパ部材を貫く針による容器の内部へのアクセスがこれまでに行われていないことを、保証することに関連することができる。
【0020】
完全性視覚化部材に関連して使用される「認識可能」という用語は、とくには、組み立て状態の閉鎖システムの外部から完全性視覚化部材またはその状態を視認できることに関連することができる。より具体的には、ユーザまたはオペレータが、好都合には、容器を開くことなく、あるいは他のかたちで容器の閉鎖の密着を危うくすることなく、完全性視覚化部材を目視することができる。
【0021】
完全性視覚化部材によって、本発明の閉鎖システムは、容器の閉鎖の完全性が存在するか否かを効率的に認識することを可能にすることを、達成することができる。容器、とくには容器内に配置された物質の品質または適用性を最終的には損なうことになる閉鎖された容器の不適切な操作を、防止することができる。また、例えば容器の内容物を複製する目的で閉鎖が操作される場合に、そのような操作を防止または検出することができる。このように、閉鎖された容器に不正防止性を持たせることができる。
【0022】
好ましくは、カバー部材は剛体材料で作られる。さらに、カバー部材は、本質的に円盤状の要素であってよく、ケージ部材の対応する接続構造と係合するための接続構造を備えることができる。例えば、そのような接続構造は、ねじ接続、バヨネット閉鎖、クリップ、などであってよい。接続は、溶接、ならびに/あるいは力、熱、および/または超音波振動の印加によってもよい。このようなカバー部材によって、ケージ部材、とりわけその開口を、確実に閉じて保護することができる。
【0023】
カバー部材は、好ましくは、透明な窓部分を有し、窓部分は、閉鎖システムが組み立て状態にあるとき、完全性視覚化部材がカバー部材の窓部分を通して視認可能であるように構成される。そのような窓部分は、組み立てられて完全に閉鎖された状態であっても、閉鎖システムの完全性を効率的に認識することを可能にする。
【0024】
好ましい実施形態において、完全性視覚化部材は、ケージ部材の開口を覆うようにケージ部材に貼り付けられるように構成された完全性マスキング部材である。完全性マスキング部材であることにより、完全性視覚化部材は、閉鎖の完全性が解除されるまでケージ部材の開口を閉鎖またはシールすることができる。換言すると、そのような実施形態は、ケージ部材の開口およびストッパ部材を通って容器の内部にアクセスすることができるように完全性マスキング部材が取り除かれるまで、閉鎖システムの完全性を保証することを可能にする。完全性マスキング部材を取り除くと、閉鎖システムの完全性ももはや表示されない。
【0025】
好ましくは、閉鎖システムは、閉鎖システムの組み立て状態において、完全性マスキングがケージ部材に貼り付けられているとき、完全性マスキング部材がカバー部材の窓部分を通して視認可能であり、完全性マスキング部材がケージ部材から剥がされ、あるいは他のやり方で取り除かれたとき、ストッパ部材がカバー部材の窓部分を通して視認可能であるように構成される。閉鎖システムのそのような構成を、例えば、窓部分をケージ部材の開口に隣接して配置することによって達成することができる。例えば、そのような配置を、中央の例えば円形の窓部分によって具現化することができる。
【0026】
これにより、ケージ部材の開口を介して視認可能なストッパ部材のカバー部分の少なくとも一部分が、ストッパ色を有し、完全性マスキング部材がケージ部材に貼り付けられたとき、ケージ部材の開口とは反対側を向く完全性マスキング部材の一部分が、マスキング色を有し、ストッパ色はマスキング色とは異なる。このような着色を含むことにより、閉鎖システムの完全性を、閉鎖部材の窓部分において視認可能な色によって効率的に認識することができる。
【0027】
完全性マスキング部材は、好ましくは、完全性マスキング部材がケージ部材に貼り付けられたとき、ケージ部材の開口をシールするように構成される。このようなシールにより、ケージ部材の開口を介してアクセス可能なストッパ部材を、清浄な状態または無菌の状態に保持することができる。これにより、完全性マスキング部材がケージ部材から取り除かれると、ストッパ部材を介して容器の内部に確実にアクセスすることが可能になる。
【0028】
完全性マスキング部材は、好ましくは、完全性マスキング部材がケージ部材に貼り付けられたとき、完全性マスキング部材をケージ部材から剥がすために保持されるように構成された把持用ラグを有する。そのような把持用ラグは、とくにはオペレータまたは他のユーザの手による完全性マスキング部材の便利な剥離を可能にする。
【0029】
完全性マスキング部材は、好ましくは、ケージ部材の全体を覆うように寸法付けられている。そのような寸法設定は、開口の効率的な閉鎖および完全性マスキング部材の効率的な剥離を可能にする。
【0030】
別の好ましい実施形態において、完全性視覚化部材は、閉鎖システムの組み立て状態において、カバー部材がケージ部材から取り外されるとき、形状が変化するように構成される。完全性視覚化部材のそのような構成は、カバーの取り外しおよび再取り付けについて、そのような行為が検出または認識されることなく行われることを防止できるようにする。
【0031】
これに関し、完全性視覚化部材は、好ましくは、カバー部材がケージ部材から取り外されるとき、少なくとも部分的に裂けるように構成された破れ構造を備える。このような破れ構造は、カバー部材を取り外すときの効率的かつ不可逆な形状変化を可能にする。
【0032】
完全性視覚化部材は、好ましくは、カバー部材に取り付けられる。とくには、破れ構造にて具現化される場合に、そのような構成は、効率的かつ安全な実施を可能にする。
【0033】
すべての実施形態において、完全性視覚化部材は、好ましくは、ホイルを備える。ホイルは、閉鎖システムのさまざまな実施形態において、比較的簡単かつ効率的な構造を可能にすることができる。
【0034】
ケージ部材は、形状保持材料で作ることができる。ケージ部材は、ストッパ接触部と、クリップ構造と、ストッパ接触部とクリップ構造との間の中間部分とをさらに有することができる。この文脈において使用されるとき、「形状保持」という用語は、力が加えられていないとき、それ自体の形態を維持することができる材料または構造に関する。とくには、形状保持材料は、寸法的に安定であることができる。典型的には、形状保持材料は、比較的堅固である。とくに、ケージ部材の材料は、ストッパ部材の材料よりも堅固であってよい。さらに、形状保持材料は、好都合には、後述のとおりのクリップ係止を可能にするために充分に弾性的である。形状保持材料は、鋼などの金属であってよく、とくにはステンレス鋼であってよい。ケージ部材のストッパ接触部、クリップ構造、および中間部分は、好都合には、1つの部品、すなわちモノリシックな要素として具現化される。
【0035】
ストッパ接触部は、ストッパ部材のカバー部分の少なくとも一部分に平面的または平坦に当接するように具現化されてよい。例えば、ストッパ部材が容器の開口部にはまり込んだときに容器の境界面上に位置するストッパ部材の一部分を覆うように寸法付けられた円盤または平坦リングの形状を有することができる。とくには、取り付けられるとき、ストッパ部材のカバー部分を、軸方向において境界面とケージ部材との間に位置させることができ、ストッパ接触部は、好都合には、容器の境界面に接触する表面とは反対側のストッパ部材のカバー部分の表面の全体に当接するように設計される。このようにして、後述されるように、ストッパ接触部がカバー部分に押し付けられたとき、ストッパ部材を比較的大きな部分で均等に圧縮することが達成できる。
【0036】
ケージ部材のクリップ構造を、容器の対応する構造にクリップ係止されるように構成することができる。これに関連して使用されるとき、「クリップ係止」という用語は、対応する構造またはその背後へのスナップ嵌合、あるいは同様の機構に関する。一般に、そのようなクリップ係止は、典型的には、ケージ部材および容器などの2つの要素を移動させて近付けるとき、ケージ部材などの一方の要素が弾性変形し、あるいはずれ、その後に2つの要素が適切に位置すると、一方の要素が再び第2の要素の構造の背後に弾性変形することを含む。より具体的には、このようなクリップ係止を可能にするために、ケージ部材のクリップ構造を、ケージ部材の他の部分に対して弾性的に変形させ、あるいは曲げることが可能である。クリップ構造は、ケージ部材と容器との間にスナップ嵌合接続を提供することを可能にする。容器にクリップ係止され、あるいはスナップ嵌合すると、ケージ要素は、容器との形状嵌合接続の状態である。好都合には、ケージ要素は、容器にクリップ係止されると、破壊または損傷を伴わずに容器から取り外すことができない。
【0037】
ケージ部材を、ストッパ部材のプラグ部分が容器の開口部にはまり込み、かつケージ部材のクリップ構造が容器の対応する構造にクリップ係止されるとき、ケージ部材のストッパ接触部がストッパ部材のカバー部分に力を加えて、ストッパ部材のカバー部分を容器の開口部に隣接する境界面に押し付けるように構成することができる。
【0038】
ケージ部材の中間部分を、開口部に隣接する境界面に隣接する容器の一部分を取り囲むように設計することができる。容器がバイアルまたは同様の容器である場合、中間部分を、開口部と境界面とを少なくとも部分的に含むバイアルのヘッドを取り囲むように構成することができる。したがって、ケージ部材の中間部分は、好ましくは、容器のヘッド部分を取り囲むように構成される。
【0039】
ケージ部材の中間部分は、シリンダ状であってよい。このようにして、中間部分を、容器のヘッド部分を取り囲むため、またはバイアル搬送装置などのインターフェースする接続システムの非対称性などの他の理由に合わせ、効率的に設計することができる。とくには、中間部分は、小型のシリンダまたはリングの形状を有することができる。シリンダに関連する「小型」という用語は、高さまたは軸方向長さが直径よりも小さいシリンダに関することができる。シリンダは、とくには円形の断面を有することができる。
【0040】
ケージ部材のクリップ構造は、複数の舌部を備えることができる。例えば、複数の舌部の数は、約4~12、約4~8、または約6の範囲内であってよい。このような舌部は、容器に対するケージ部材の効率的かつ安全なクリップ係止の提供を可能にする。とくに、クリップ構造の剛性および弾性を、そのような舌部によって適切に設定することが可能である。さらに、舌部を、ケージ部材が容器にクリップ係止された場合に、容器からのケージ部材の脱落を防止するように構成することができる。
【0041】
これにより、ケージ部材のクリップ構造の舌部の各々を、ケージ部材の中間部分に対して弾性的に移動可能にすることができる。とくには、ケージ部材を、容器にクリップ係止されたとき、中間部分は基本的に変形せず、舌部が弾性的に移動するように構成することができる。舌部の弾性移動を、例えば、舌部が外側に曲げること、および/または舌部が接合部を中心にして傾くことによってもたらすことができる。とくには、舌部は、弾性的な様相で、すなわち元の形状および/または位置に戻る傾向で、少なくとも部分的に変形することによって、弾性的に移動可能であってよい。舌部は、材料特性に起因する或る程度の正常な弛緩を許容することができる。
【0042】
さらに、ケージ部材のクリップ構造の舌部の各々を、ケージ部材の中間部分に対して弾性的に移動可能にすることができる。とくには、舌部は、半径方向または外方向に弾性的に移動可能であってよい。
【0043】
開口を、ケージ部材のストッパ接触部に設けることができる。開口は、とくには、ストッパ部材が開口部にはまり込み、かつケージ部材が容器にクリップ係止されたとき、容器の開口部に対応するストッパ部材のカバー部分の表面に隣接して位置することができる。これにより、開口は、ストッパ部材のカバー部分の表面に当接するストッパ接触部のうち、容器の境界面に接触する面とは反対側の部分を避けることができる。このようにして、ストッパ部材のアクセス可能部分に容易にアクセスし、例えばアルコール拭き取りによって洗浄することができる。例えば、ストッパ接触部の開口は、平坦なリングであるストッパ接触部の円形の中央開口であってよい。
【0044】
ストッパ部材のカバー部分は、ストッパ部材のプラグ部分が容器の開口部にはまり込むときに開口部に隣接する境界面から遠ざかる方を向く環状のケージノッチを有することができる。ケージノッチに関連する「遠ざかる方を向く」という用語は、とくには、容器の開口部に隣接する境界面へと向かう方向とは反対の方向に関することができる。例えば、カバー部分は、おおむね円盤状であって、上面および上面とは反対の下面を有することができる。これにより、ケージノッチをカバー部分の上側に位置させることができる。ケージノッチは、ストッパ部材がケージ部材によって押されたときに潰れることを可能にする。とくに、ケージ部材のストッパ接触部がストッパ部材に力を加える部分で、ケージノッチが加えられた力に応じて潰れることができる。このようにして、ストッパ部材の明確に定められた圧縮を達成することができ、圧縮時にストッパ部材を損傷させる危険性を低減することができる。
【0045】
ストッパ部材のカバー部分は、ストッパ部材のプラグ部分が容器の開口部にはまり込むときに開口部に隣接する境界面の方を向く環状の容器ノッチを有することができる。容器ノッチは、ストッパ部材が容器の境界面に押し付けられるときに潰れることを可能にする。とくには、境界面において、あるいは境界面に隣接して、容器ノッチは、ストッパ部材に加えられた力に応じて潰れることができる。このようにして、ストッパ部材の明確に定められた圧縮を達成することができ、圧縮時にストッパ部材を損傷させる危険性を低減することができる。
【0046】
ストッパ部材は、ケージノッチおよび容器ノッチを備えることができる。したがって、ストッパ部材のカバー部分のケージノッチを、ストッパ部材のカバー部分の容器ノッチに対して半径方向にずらすことができる。このようにして、ストッパ部材の安定性が本質的に低下することを防止することができる。さらに、このようなずらした配置は、カバー部分が両面において精巧に潰れることを可能にし、ストッパの全体的な圧縮率を低減する。このようにして、ストッパを、同じ印加力において中実のストッパよりも大きく圧縮することができる。これは、剛体である構成要素の公差を補償するためのより厚いストッパを可能にするがゆえに、有益である。
【0047】
ストッパ部材のカバー部分は、容器の開口部に隣接する境界面に当接するように構成された前面と、前面の反対側にありかつ前面に対応する後面と、を含む縁部分を有することができ、ケージ部材のストッパ接触部は、ストッパ部材のプラグ部分が容器の開口部にはまり込み、かつケージ部材のクリップ構造が容器の対応する構造にクリップ係止されるとき、ストッパ部材の縁部分の後面の全体に当接するように構成される。そのような全体への当接は、ストッパ部材の効率的かつ均一な圧縮を可能にする。
【0048】
ケージ部材を、ストッパ部材のプラグ部分が容器の開口部にはまり込み、かつケージ部材のクリップ構造が容器の対応する構造にクリップ係止されるとき、クリップ構造に基本的に隣接して終わるように構成することができる。容器が、ネック部分へと移行する開口部に隣接する境界面を有しているヘッド部分を備える場合、ケージ部材を、基本的に容器のネック部分を覆って延びることがないように構成することができ、あるいは容器のネック部分の始まりにおいて終わるように構成することができる。このようにして、ネック部分を妨げがないようにしておくことができ、したがって閉鎖された容器の効率的な取り扱い、ならびに搬送キットなどの標準的な設備または従来からの設備への取り付け、および容器内容物の搬送の前、最中、および後のネックを含む容器の内部全体の適切な光学検査が可能になる。
【0049】
別の態様において、本発明は、容器と、上述のとおりの閉鎖システムとを含むキットであって、容器が、容器の内部にアクセスするための開口部と、開口部に隣接した境界面とを備える、キットである。
【0050】
本発明によるキットによれば、本発明による閉鎖システムおよびその好ましい実施形態に関連する上述の効果および利益を、効率的に達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
本発明による閉鎖システムおよびキットを、例示的な実施形態によって、添付の図面を参照して、本明細書において以下でさらに詳細に説明する。
図1】本発明による閉鎖システムの第1の実施形態を備える本発明によるキットの第1の実施形態の側面図を示している。
図2図1のキットおよび閉鎖システムの分解側面図を示している。
図3図1のキットおよび閉鎖システムの分解斜視図を示している。
図4】内部構造が見えるように一部を切断した図1のキットおよび閉鎖システムの断面の斜視図を示している。
図5】本発明による閉鎖システムの第2の実施形態を備える本発明によるキットの第2の実施形態の側面図を示している。
図6図5のキットおよび閉鎖システムの分解斜視図を示している。
図7】内部構造が見えるように一部を切断した図5のキットおよび閉鎖システムの断面の斜視図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0052】
実施形態の説明
以下の説明において、特定の用語は、便宜上使用され、本発明を限定することを意図していない。「右(right)」、「左(left)」、「上(up)」、「下(down)」、「下方(under)」、および「上方(above)」という用語は、図における方向を指す。用語の使用は、明示的に言及された用語と、それらの派生語および同様の意味を有する用語を含む。また、「下(beneath)」、「下方(below)」、「下側(lower)」、「上方(above)」、「上側(upper)」、「近位(proximal)」、「遠位(distal)」、などの空間的に相対的な用語が、図中に示されているとおりの或る要素または特徴の別の要素または特徴に対する関係を説明するために使用されることがある。これらの空間的に相対的な用語は、図中に示されている位置および向きに加えて、使用中または動作中の装置のさまざまな位置および向きを包含するように意図される。例えば、図中の装置が逆さまにされる場合、他の要素または特徴の「下」または「下方」として説明されている要素は、他の要素または特徴の「上」または「上方」になると考えられる。したがって、「下方」という例示的な用語は、上方および下方の両方の位置および向きを包含することができる。装置は、他の向きであってもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子は、それに応じて解釈される。同様に、種々の軸に沿った動き、および種々の軸を中心とする動きの説明は、種々の特別な装置の位置および向きを含む。
【0053】
種々の態様および例示的な実施形態の図および説明において繰り返しを回避するために、多くの特徴が多くの態様および実施形態に共通であることを理解されたい。或る態様が説明または図から省略されていても、その態様がその態様を組み込んだ実施形態から欠落していることを意味するものではない。むしろ、その態様は、明確にするため、および冗長な説明を回避するために、省略されているかもしれない。この文脈において、以下が本明細書の残りの部分に当てはまる。図面を明確にするために、或る図が明細書の直接の関連部分では説明されていない参照符号を含む場合、先行または後続の説明部分が参照される。さらに、明確にするために、図面において部品のすべての特徴には参照符号が付されていない場合、同じ部品を示す他の図面が参照される。2つの図または3つ以上の図における同様の数字は、同一または類似の要素を表す。
【0054】
図1が、容器としてのガラスまたはプラスチックのバイアル2と、本発明による閉鎖システム3の第1の実施形態とを備える本発明によるキット1の第1の実施形態を示している。図1において、キット1および閉鎖システム3は、閉鎖システム3がバイアル2に取り付けられた組み立て状態で示されている。
【0055】
バイアル2は、中空の内部231を有する本体23と、頭部としてのヘッド21へと移行するネック22とを有する。閉鎖システム3は、バイアル2のヘッド21に、ヘッド21を覆うように取り付けられる。閉鎖システム3は、ケージ部材としてのプラスチックケージ32と、カバー部材としての蓋状カバー33とを備える。ケージ32は、基本的にシリンダ状の中間部分323と、下方へと延びる舌部322を備えるクリップ構造とを有し、舌部322は、中間部分323の周りに規則的に分布している。さらに、閉鎖システム3は、閉鎖システム3が組み立て状態にあるときにバイアル2の回転の中心軸と一列になる中心軸線34を定める。カバー33は、フレーム部分331と、透明な本体部分332とを備える。
【0056】
図2に見られるように、閉鎖システム3は、ストッパ部材としての弾性ストッパ31をさらに備える。ストッパ31は、プラグ部分311と、おおむね円盤状のカバー部分312とを有する。カバー部分312は、プラグ部分311の上方を半径方向に広がることにより、下向きの前面と、前面に対応する反対側の上向きの後面とを有する基本的にリング状の縁部分3121を形成する。
【0057】
バイアル2のヘッド21は、バイアル2のネック22の上方で半径方向に広がる。カバー33の本体部分332とケージ32との間に、完全性視覚化部材の一実施形態として、完全性マスキング部材35が配置される。完全性マスキング部材35は、シール部351と把持用ラグ352とを形成するホイルからなる。
【0058】
さらに、図3において最もよく見て取ることができるように、バイアル2は、ヘッド21に、本体23の内部231へのアクセスを可能にする円形またはシリンダ状の開口部25を有する。開口部25に隣接する境界面24が、平坦な上向きの表面として設計されている。
【0059】
ケージ32は、堅固であるが或る程度弾性的なプラスチック材料で作られる。ケージ32は、中央開口324を備えるおおむね円盤状のストッパ接触部321を有する。中間部分323が、ストッパ接触部321と、舌部322を備えるクリップ構造との間に延在する。ストッパ31のカバー部分312は、上面にケージセンタリング構造3121を備える。
【0060】
カバー33のフレーム部分331は、基本的にリング形状であり、本体部分332は、基本的に円盤状である。より具体的には、フレーム部分331および本体部分332は、本体部分332がフレーム部分331内に嵌合して、単一部品としてのカバー33を形成するように形作られる。これにより、本体部分332は、カバー33の中央に透明な円形の窓部分を提供する。
【0061】
完全性マスキング部材35のシール部351は、円形であり、ケージ32のストッパ接触部321の上面に貼り付けられる。これにより、完全性マスキング部材35は、ケージ32の開口324をシールする。さらに、完全性マスキング部材35は、ストッパ31の色とは明らかに異なる色を有する。
【0062】
図4に、閉鎖システム3が、組み立て状態で、閉鎖システム3の個々の構成要素がどのように相互作用するかを見て取ることができるように部分的に切断されて示されている。これにより、ストッパ31のプラグ部分311がバイアル2の開口部25にぴったりとはまり込むように構成されていることを見て取ることができる。とくには、プラグ部分311が、開口部25へと押し込まれたときに圧縮されるように寸法付けられている。カバー部分312は、バイアル2の開口部25に隣接する境界面24に当接する。プラグ部分311は、下方へと開口するドーム状の空洞を有する。
【0063】
舌部322は、バイアル2のヘッド21の下方にネック22へとクリップ係止される。より具体的には、舌部322は、ネック22内かつヘッド21の下方に配置される内側へと延びる歯を有する。取り付けられるとき、舌部322は、一時的に中間部分322に対して半径方向に外側へと曲げられ、あるいはずらされ、プラスチック材料の弾性ゆえに、ケージ32がバイアル2へと充分に移動するとすぐにヘッド21の下方にはまり込む。これにより、ケージ32とバイアル2との間の形状嵌合接続が確立され、ケージ32の取り外しが防止される。
【0064】
ケージ部材32の中間部分323は、ストッパ接触部321がストッパ31のカバー部分312に力を加えるような寸法とされる。より具体的には、ストッパ接触部321は、ストッパ31のカバー部分312の縁部分3121を、バイアル2の開口部25に隣接する境界面24に押し付ける。これにより、縁部分3121の後面がストッパ接触部321に当接し、縁部分3121の前面が境界面24に当接する。ケージ32によってストッパ31に加えられる力は、ストッパ32のカバー部分321の縁部分3121を変形させる。このようにして、カバー部分321と境界面24との間の確実かつ緊密な接続が達成される。ストッパ31のカバー部分312のセンタリング構造3124は、ケージ32のストッパ接触部321の開口324内へと延びる。
【0065】
カバー33のフレーム部分331は、本体部分332がフレーム部分331に固定されるように配置される径方向の環状溝を有する。これにより、カバー33の中央窓部分が、ケージ32に貼り付けられた完全性マスキング部材35のシール部351の上方に隣接して位置する。このようにして、完全性マスキング部材35を、窓部分または本体部分351を通して視認することができる。
【0066】
キット1の動作において、バイアル2の内部231にアクセスするために、カバー33が、完全性マスキング部材35にアクセスできるようにケージ32から取り外される。次いで、完全性マスキング部材35が、把持用ラグ352を裂くことによってケージ32から剥がされる。これにより、開口324が露出し、開口324を通ってストッパ31にアクセスすることができる。ここで、シリンジの針をバイアル2へとストッパ31を貫いて穿刺することができ、バイアル2の内部231に配置された物質を取り出すことができる。カバー33をケージ32に再び取り付けた後、ストッパ31は、カバー33の窓部分を通して視認可能である。また、ストッパ31は完全性マスキング部材35の色とは明らかに異なる色を有するため、閉鎖システムの完全性が与えられていないこと、すなわちバイアル2の内部231へのアクセスが行われた可能性があることを、外部から直ちに認識することができる。
【0067】
図5が、本発明によるキット10の第2の実施形態を示している。キット10は、バイアル20と、組み立て状態の本発明による閉鎖システム30の第2の実施形態とを含む。
【0068】
バイアル20は、ガラス製またはプラスチック製の13mm(頭部の呼び径)バイアルである。バイアル20は、中空の内部2310を有する本体230と、頭部としてのヘッド210に移行するネック220とを有する。閉鎖システム30は、バイアル20のヘッド210に取り付けられる。閉鎖システム30は、ケージ部材としての金属ケージ320と、カバー部材としての蓋状カバー330とを備える。ケージ320は、基本的にシリンダ状の中間部分3230と、上方へと延びる舌部3220を備えるクリップ構造とを有し、舌部3220は、ケージ320の周りに規則的に分布している。さらに、閉鎖システム30は、閉鎖システム30が組み立て状態にあるときにバイアル20の回転の中心軸と一列になる中心軸線340を定める。カバー330は、フレーム部分3310を備える。
【0069】
図6に、キット10が分解図にて示されている。これにより、バイアル20のヘッド210が、ネック220の上方を半径方向に広がり、その外周に半径方向のくぼみ2110を備えていることを見て取ることができる。バイアル20は、ヘッド210に、本体230の内部2310へのアクセスを可能にする開口部250をさらに有する。開口部250に隣接する境界面240が、平坦な上向きの面を有する。
【0070】
閉鎖システム30は、プラグ部分3110と、おおむね円盤状のカバー部分3120を有するストッパ部材としての弾性ストッパ310をさらに備える。カバー部分3120は、プラグ部分3110の上方を半径方向に広がることにより、下向きの前面と、前面に対応する反対側の上向きの後面とを有する基本的にリング状の縁部分を形成する。ストッパ310のカバー部分3120は、上面にケージセンタリング構造31210を備える。
【0071】
ケージ320は、ステンレス鋼で作られる。ケージ320は、第1の嵌合構造3250によって囲まれた中央開口3240を備えるおおむね円盤状のストッパ接触部3210を有する。中間部分3230が、ストッパ接触部3210と、舌部3220を備えるクリップ構造との間に延在する。
【0072】
カバー330のフレーム部分3310は、外側リング部および中央ディスク部を有し、外側リング部とディスク部との間に環状のすき間が位置する。カバーは、透明本体3320をさらに有し、透明本体3320は、本体部分3320がフレーム部分3310内に嵌合して、単一部品としてのカバー330を形成するように形作られる。これにより、本体部分3320は、フレーム部分3310のリング部とディスク部との間に透明な環状の窓部分を提供する。
【0073】
カバー330の下側に、完全性視覚化部材350が取り付けられる。完全性視覚化部材350は、カバー330の窓部分を覆うように寸法付けられたリング状または環状の形状を有するホイル3510で作られる。ホイル3510には、破れ構造として、内側端および外側端から延びる交互の半径方向の切り込み3520が設けられる。ホイル3510は、特有の色を有する。
【0074】
図7が、組み立て状態の閉鎖システム30を示しており、閉鎖システム30の個々の構成要素がどのように相互作用するかを見て取ることができるように部分的に切断されている。これにより、ストッパ310のプラグ部分3110がバイアル20の開口部250にぴったりとはまり込むように構成されていることを見て取ることができる。とくには、プラグ部分3110が、開口部250へと押し込まれたときに圧縮されるように寸法付けられている。カバー部分3120は、バイアル20の開口部250に隣接する境界面240に当接する。プラグ部分3110は、下方へと開口するドーム状の空洞を有する。
【0075】
上述のように、ケージ320の中間部分3230は、ストッパ接触部3210と舌部3220を備えるクリップ構造との間に延在する。舌部3220は、バイアル20のヘッド210のくぼみ2110内にクリップ係止される。より具体的には、舌部3220は、上方へと延び、軸線340に向かって内側に湾曲している。取り付けられるとき、舌部3220は、一時的に中間部分3230に対して半径方向に外側へと曲げられ、あるいはずらされ、ステンレス鋼の弾性ゆえに、ケージ320がバイアル20のヘッド210へと充分に移動するとすぐにくぼみ2110にはまり込む。これにより、ケージ320とバイアル20との間の形状嵌合接続が確立され、バイアル20からのケージ320の取り外しが防止される。
【0076】
ケージ部材320の中間部分3230は、ストッパ接触部3210がストッパ310のカバー部分3120に力を加えるような寸法とされる。より具体的には、ストッパ接触部3210は、ストッパ310のカバー部分3120の縁部分を、バイアル20の開口部250に隣接する境界面240に押し付ける。これにより、縁部分の後面がストッパ接触部3210に当接し、縁部の前面が境界面240に当接する。ケージ320によってストッパ310に加えられる力は、ストッパ320のカバー部分3210の縁部分を変形させる。このようにして、カバー部分3210と境界面240との間の確実かつ緊密な接続が達成される。
【0077】
カバー330の本体3310は、ケージ320の第1の嵌合構造3250に対応する下向きの第2の嵌合構造3330を備える。第1の嵌合構造3330は、カバー330がケージ320に確実かつ可逆的に取り付けられて、ケージ320の開口3240を閉じるように、第2の嵌合構造3250を受け入れて、カバー330をケージ320に対して適切に整列させて方向付けるように設計されている。完全性視覚化部材350は、ケージ320とカバー330との間に配置される。
【0078】
キット10の動作において、バイアル20の内部2310にアクセスするために、カバー330がケージ320から取り外される。より具体的には、カバー330を取り外すために、カバー330は、ケージ320に対して変形させられる。この変形により、ホイル3510に設けられた切り込み3520ゆえに、ホイル3510の形状が変化する。とくには、ホイル3510は、切り込み3520において裂け、あるいはずれる。
【0079】
カバー330を取り外した後に、ケージ320の開口3240が露出し、開口3240を通ってストッパ310にアクセスすることができる。ここで、シリンジの針をバイアル20へとストッパ310を貫いて穿刺することができ、バイアル20の内部2310に配置された物質を取り出すことができる。カバー330をケージ320に再び取り付けた後、形が変わり、あるいは裂けたホイル3510を、カバー330の窓部分を通して視認することができる。このようにして、閉鎖システム30の完全性が与えられていないこと、すなわちバイアル20の内部2310へのアクセスが行われた可能性があることを、外部から効率的に認識することができる。
【0080】
本発明の態様および実施形態を説明する本明細書および添付の図面を、保護される発明を定義する特許請求の範囲を限定するものと解釈すべきではない。換言すると、本発明を図面および以上の説明において詳細に例示および説明してきたが、そのような例示および説明は、限定ではなく、例示または典型であると考えられるべきである。本明細書および特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、さまざまな機械的、組成的、構造的、電気的、および動作的変更を行うことが可能である。いくつかの場合に、本発明を不明瞭にしてしまわないように、周知の回路、構造、および技術は詳細には示されていない。したがって、以下の特許請求の範囲の範囲および趣旨の範囲内で、当業者であれば変更および修正を行うことができることが理解されよう。とくに、本発明は、上述および後述の異なる実施形態からの特徴の任意の組み合わせを有するさらなる実施形態を包含する。
【0081】
さらに、本開示は、以上の説明または以下の説明において説明されていないかもしれないが、個別に図中に示されたすべてのさらなる特徴を包含する。また、図面および明細書に記載された実施形態の単一の代替形態およびそれらの特徴の単一の代替形態を、本発明の主題または開示された主題から放棄することができる。本開示は、特許請求の範囲または例示的な実施形態において定義された特徴からなる主題、ならびにそれらの特徴を含む主題を含む。
【0082】
さらに、特許請求の範囲において、「・・・を備える(comprising)」という語は、他の要素または工程を除外せず、不定冠詞「a」または「an」は、複数を除外しない。単一のユニットまたは工程が、特許請求の範囲に記載のいくつかの特徴の機能を果たしてもよい。たとえ特定の手段が互いに異なる従属請求項に記載されていても、これらの手段の組み合わせを好都合に使用することができないという意味ではない。属性または値に関連する「基本的に」、「約」、「およそ」、などの用語は、それぞれまさにその属性または正確にその値もとくに定義する。所与の数値または範囲の文脈における「約」という用語は、例えば、所与の値または範囲の20%以内、10%以内、5%以内、または2%以内である値または範囲を指す。結合し、あるいは接続されると記載された構成要素は、電気的または機械的に直接結合していても、1つ以上の中間の構成要素を介して間接的に結合していてもよい。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】