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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】廃水精製方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/04 20230101AFI20231220BHJP
【FI】
C02F1/04 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501253
(86)(22)【出願日】2022-07-01
(85)【翻訳文提出日】2023-01-06
(86)【国際出願番号】 KR2022009529
(87)【国際公開番号】W WO2023090563
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】10-2021-0158785
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】オ、ソク-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ヨン-ホン
(72)【発明者】
【氏名】ハン、チョン-ス
(72)【発明者】
【氏名】コ、チュン-ソク
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ナム-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソン-ファン
【テーマコード(参考)】
4D034
【Fターム(参考)】
4D034AA26
4D034CA12
(57)【要約】
本発明は、廃水精製方法に関するものであり、水、ニトリル系単量体及びアンモニアを含む廃水と酸成分とを混合した第1混合ストリームを第1カラムに供給するステップと、前記第1カラムの上部排出ストリームからニトリル系単量体を回収するステップと、前記第1カラムの下部排出ストリームと塩基成分とを混合した第2混合ストリームを第2カラムに供給するステップと、前記第2カラムの上部排出ストリームからアンモニアを回収し、精製廃水を分離するステップとを含む、廃水精製方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水、ニトリル系単量体及びアンモニアを含む廃水と酸成分とを混合した第1混合ストリームを第1カラムに供給するステップと、
前記第1カラムの上部排出ストリームからニトリル系単量体を回収するステップと、
前記第1カラムの下部排出ストリームと塩基成分とを混合した第2混合ストリームを第2カラムに供給するステップと、
前記第2カラムの上部排出ストリームからアンモニアを回収し、精製廃水を分離するステップとを含む、廃水精製方法。
【請求項2】
前記第1混合ストリームのpHは、1.5~5.5である、請求項1に記載の廃水精製方法。
【請求項3】
前記酸成分は、酢酸、硝酸、硫酸、リン酸、ギ酸及びシアン酸からなる群から選択される1種以上を含む、請求項1に記載の廃水精製方法。
【請求項4】
前記第2混合ストリームのpHは、8~13.5である、請求項1に記載の廃水精製方法。
【請求項5】
前記塩基成分は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム及び水酸化バリウムからなる群から選択される1種以上を含む、請求項1に記載の廃水精製方法。
【請求項6】
前記第1カラムの下部排出ストリームと塩基成分とを混合して第2混合ストリームを形成する領域に備えられたラインミキサーを含む、請求項1に記載の廃水精製方法。
【請求項7】
前記第2カラムは、下部に備えられたスチーム供給部を含む、請求項1に記載の廃水精製方法。
【請求項8】
前記スチーム供給部は、前記第2カラムにスチームを移送するスチーム移送配管と、前記スチーム移送配管に備えられてスチームを第2カラムの内部に噴射する1つ以上の噴射ノズルとを含み、
前記噴射ノズルは、下方にスチームを噴射するように形成されている、請求項7に記載の廃水精製方法。
【請求項9】
前記第2カラムに供給される第2混合ストリームの流量に対する前記スチーム供給部に投入されるスチームの流量の比は、0.01~10である、請求項7に記載の廃水精製方法。
【請求項10】
前記第1カラムの運転温度は、80℃~130℃であり、運転圧力は、0.5bar~3barである、請求項1に記載の廃水精製方法。
【請求項11】
前記第2カラムの運転温度は、80℃~130℃であり、運転圧力は、0.5bar~3barである、請求項1に記載の廃水精製方法。
【請求項12】
前記第2カラムのパッキングの高さは、2m~25mである、請求項1に記載の廃水精製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は、2021年11月17日付けの韓国特許出願第10-2021-0158785号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容が本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、廃水精製方法に関し、より詳細には、ニトリル系単量体を用いた重合反応後段の精製ステップで廃水から再使用な可能成分を回収し、廃水処理場に移送される廃水中の総窒素含有量を低減する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、ニトリル系ゴムは、ニトリル系単量体を用いてニトリル系単量体由来の単位を含む単独重合体又は共重合体ラテックスを製造することにより得られる。前記ニトリル系ゴムの一例としては、アクリロニトリルと1,3-ブタジエンを共重合させて製造したアクリロニトリル-ブタジエン共重合体ラテックスが挙げられる。
【0004】
前記ニトリル系ゴムは、乳化重合により製造することができ、前記乳化重合は、媒質を用いて単量体を溶液状態で重合する方法であってもよい。前記ニトリル系ゴムの乳化重合は、例えば、水を媒質として用い、ニトリル系単量体単独で又はニトリル系単量体と共重合させるための追加単量体を投入して重合させ、これにより、前記ニトリル系単量体由来の単位を含む単独重合体又は共重合体ラテックスが製造される。
【0005】
前記重合が完了した前記ニトリル系単量体由来の単位を含む単独重合体又は共重合体ラテックスは、ブローダウン(blowdown)タンクに移送し、前記ブローダウンタンクで未反応物及び水を上部に気化させて廃水槽に移送するようにしてもよい。
【0006】
一方、前記ブローダウンタンクでは、ラテックスのpH調節のためにアンモニアが投入され、その一部は水と共に上部に気化して廃水槽に流入する。この場合、前記廃水槽で未反応のニトリル系単量体2モルとアンモニア1モルとが反応して三量体が生成され、これにより、ニトリル系単量体の損失が発生するという問題があった。
【0007】
また、前記廃水からニトリル系単量体を回収した残りの廃水は廃水処理場に移送される。このとき、前記廃水処理場に移送される廃水中の総窒素含有量(total nitrogen,TN)が非常に高いことから、これを処理するための廃水処理場に高い費用を投資しなければならず、環境規制が厳しくなる中、ラテックス製品の価格競争力において大きな損失が発生している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、上記発明の背景となる技術で述べた問題を解決するために、ニトリル系単量体由来の単位を含む単独重合体又は共重合体ラテックス製造工程で未反応のニトリル系単量体の回収時の損失を防止し、廃水処理場に移送される廃水中の総窒素含有量を最小限に抑える方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の一実施形態によれば、本発明は、水、ニトリル系単量体及びアンモニアを含む廃水と酸成分とを混合した第1混合ストリームを第1カラムに供給するステップと、前記第1カラムの上部排出ストリームからニトリル系単量体を回収するステップと、前記第1カラムの下部排出ストリームと塩基成分とを混合した第2混合ストリームを第2カラムに供給するステップと、前記第2カラムの上部排出ストリームからアンモニアを回収し、精製廃水を分離するステップとを含む、廃水精製方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の廃水精製方法によれば、ニトリル系単量体由来の単位を含む単独重合体又は共重合体ラテックス製造工程で未反応のニトリル系単量体の損失を最小限に抑えて回収及び再使用することによりコスト競争力を高めることができる。
【0011】
また、前記廃水から未反応のニトリル系単量体を回収した廃水からアンモニアを回収して再使用することができ、廃水処理場に移送される精製廃水中の総窒素含有量を効果的に低減し、廃水処理のための廃水処理場に投資しなければならない費用を削減することができ、環境規制が厳しくなる中、ラテックス製品の価格競争力を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態における廃水精製方法による工程フロー図である。
図2】本発明の一実施形態における廃水精製方法による工程フロー図である。
図3】比較例における廃水精製方法による工程フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の説明及び請求の範囲に用いられた用語や単語は、通常的又は辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自らの発明を最も最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に立脚して、本発明の技術的思想に合致する意味と概念に解釈されるべきである。
【0014】
本発明において、用語「ストリーム(stream)」は、工程における流体(fluid)の流れを意味することもあり、また、配管内を流れる流体自体を意味することもある。具体的には、前記ストリームは、各装置を連結する配管内を流れる流体自体及び流体の流れを同時に意味するものであり得る。なお、前記流体は、気体(gas)、液体(liquid)及び固体(solid)のいずれか1つ以上の成分を含んでもよい。
【0015】
以下、本発明の理解を助けるために、図1及び図2を参照して本発明をより詳細に説明する。
【0016】
本発明によれば、廃水精製方法が提供される。より具体的には、水、ニトリル系単量体及びアンモニアを含む廃水と酸成分とを混合した第1混合ストリームを第1カラム20に供給するステップと、前記第1カラム20の上部排出ストリームからニトリル系単量体を回収するステップと、前記第1カラム20の下部排出ストリームと塩基成分とを混合した第2混合ストリームを第2カラム30に供給するステップと、前記第2カラム30の上部排出ストリームからアンモニアを回収し、精製廃水を分離するステップとを含んでもよい。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、前記廃水は、ニトリル系単量体由来の単位を含む単独重合体又は共重合体ラテックス製造工程で発生するものであってもよい。具体的には、前記ニトリル系単量体由来の単位を含む単独重合体又は共重合体ラテックス製造工程は、重合ステップと、精製ステップとを含んでもよい。
【0018】
前記重合ステップは、乳化重合により製造を行うようにしてもよい。前記乳化重合は、媒質として水を用い、ニトリル系単量体単独で又はニトリル系単量体と共重合させるための追加単量体を投入して重合することにより行うようにしてもよい。例えば、前記追加単量体は、共役ジエン系単量体を含んでもよい。
【0019】
前記ニトリル系単量体は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、α-クロロニトリル及びα-シアノエチルアクリロニトリルからなる群から選択される1種以上を含んでもよい。具体的な例として、前記ニトリル系単量体は、アクリロニトリルであってもよい。
【0020】
前記共役ジエン系単量体は、1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-エチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン及びイソプレンからなる群から選択される1種以上を含んでもよい。具体的な例として、前記共役ジエン系単量体は、1,3-ブタジエンであってもよい。
【0021】
前記精製ステップは、前記重合が完了したニトリル系単量体由来の単位を含む単独重合体又は共重合体ラテックスから未反応物と水を分離するステップであってもよい。具体的には、前記重合が完了したニトリル系単量体由来の単位を含む単独重合体又は共重合体ラテックスをブローダウン(blowdown)タンクに移送し、前記ブローダウンタンクで未反応物及び水を上部に気化させて廃水槽10に移送するようにしてもよい。
【0022】
前記ブローダウンタンクでは、ラテックスのpH調節のためにアンモニアを投入しなければならない。しかし、前記ブローダウンタンクで未反応物及び水を気化させて廃水槽10に移送する過程で、前記アンモニアの一部が水と共に気化して廃水槽10に流入し、これにより、前記廃水槽10で未反応のニトリル系単量体2モルとアンモニア1モルとが反応して3,3-イミノジプロピオニトリル(3,3-iminodipropionitrile)という三量体(trimer)が生成され、これにより、ニトリル系単量体の損失が発生するという問題があった。
【0023】
また、前記廃水からニトリル系単量体を回収した残りの廃水は廃水処理場に移送されるが、前記廃水処理場に移送される廃水中の総窒素含有量が非常に高いことから、これを処理するための廃水処理場に高い費用を投資しなければならず、環境規制が厳しくなる中、ラテックス製品の価格競争力が劣るという問題があった。
【0024】
これに対して、本発明においては、未反応のニトリル系単量体の損失と廃水中の総窒素含有量を最小限に抑えて廃水処理のための費用を削減し、ラテックス製品の価格競争力を高めるための方法を提供する。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、前記廃水槽10には、廃水移送ライン11を介して、水、ニトリル系単量体及びアンモニアを含む廃水が供給されるようにしてもよい。また、前記廃水槽10には、酸成分移送ライン12を介して、酸成分が投入されるようにしてもよい。前記酸成分は、特に限定されず、例えば、酢酸、硝酸、硫酸、リン酸、ギ酸及びシアン酸からなる群から選択される1種以上を含んでもよい。具体的な例として、前記酸成分は、酢酸であってもよい。
【0026】
前記廃水槽10からは前記水、ニトリル系単量体及びアンモニアを含む廃水と酸成分とを混合した第1混合ストリームが排出され、前記第1混合ストリームは第1カラム20に供給されるようにしてもよい。
【0027】
前記第1混合ストリームは、廃水に酸成分が混合されて廃水のpHが低くなった状態であり得る。例えば、前記第1混合ストリームのpHは、1.5以上、2.5以上又は3.5以上及び4.5以下、5以下又は5.5以下であり得る。前記第1混合ストリームのpHを上記範囲内に調節することにより、前記第1混合ストリーム中のアンモニア(NH3)をアンモニウム塩(NH4 +)に転換し、ニトリル系単量体とアンモニアとが副反応により三量体を形成することを防止することができ、これにより、ニトリル系単量体の損失を減少させることができる。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、前記第1混合ストリームは、第1カラム20に供給され、前記第1カラム20において、前記第1混合ストリーム中に含まれるニトリル系単量体を回収し、残りの成分は第2カラム30に供給するようにしてもよい。
【0029】
前記第1カラム20は、蒸留により第1混合ストリームの成分を分離するものであって、前記第1カラム20の上部排出ストリームからニトリル系単量体を回収するようにしてもよい。具体的には、前記第1カラム20において、上部排出ストリームは、凝縮器21で凝縮された後にデカンタ22に供給されるようにしてもよい。前記デカンタ22は、フレアガスを排出し、凝縮された第1カラム20の上部排出ストリームを水層と有機層に分離するようにしてもよい。前記デカンタ22において、分離された水層成分は、前記廃水槽10に移送し、ニトリル系単量体を含む前記有機層成分は、回収してニトリル系単量体由来の単位を含む単独重合体又は共重合体ラテックス製造工程の重合ステップで再使用するようにしてもよい。
【0030】
前記第1カラム20の下部排出ストリームの一部は、通常の再沸器23で加熱された後に前記第1カラム20に還流されるようにしてもよい。
【0031】
前記第1カラム20において廃水中のニトリル系単量体が回収されることにより、前記廃水中の総窒素含有量が減少する。例えば、前記廃水中の総窒素含有量に対する前記第1カラム20の下部排出ストリーム中の総窒素含有量の比は、0.25以上、0.3以上又は0.35以上及び0.5以下又は0.55以下であってもよい。
【0032】
前記第1カラム20の運転温度は、80℃以上、90℃以上又は95℃以上及び100℃以下、110℃以下又は130℃以下であってもよい。前記第1カラムの運転温度が130℃を超える場合は、カラム内のアクリロニトリルの自己重合反応によるポリマーの生成が加速化され、これによる装置内のファウリングが誘発され、工程運転が不可能になることがある。
【0033】
また、前記第1カラム20の運転圧力は、0.5bar以上、0.7bar以上又は0.9bar以上及び1.5bar以下、2bar以下又は3bar以下であってもよい。第1カラム20の運転条件を上記範囲内に制御することにより、ニトリル系単量体を上部に効果的に分離することができる。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、前記第1カラム20において、下部排出ストリームは、第2カラム30に供給されるようにしてもよい。具体的には、前記第1カラム20の下部排出ストリームは、廃水からニトリル系単量体が回収された残りの成分、例えば、水及びアンモニウム塩を含んでもよい。
【0035】
前記第1カラム20の下部排出ストリームは、第2カラム30に供給される前に塩基成分と混合されて第2混合ストリームを形成し、前記第2混合ストリームは、第2カラム30に供給されるようにしてもよい。
【0036】
前記第1カラム20の下部排出ストリームと塩基成分とを混合して第2混合ストリームを形成する領域には、ラインミキサー50を備えてもよい。具体的には、前記第1カラム20の下部排出ストリームは、前記第1カラム20から第2カラム30に連結されるラインを介して移送され、塩基成分を移送する塩基成分移送ライン40は、前記第1カラム20から第2カラム30に連結されるラインの任意の地点で合流するようにしてもよい。ここで、前記第1カラム20から第2カラム30に連結されるラインと塩基成分移送ライン40とが合流して第2混合ストリームを形成する領域にラインミキサー50を備え、渦流の形成により前記第1カラム20の下部排出ストリームと塩基成分とを短時間で効果的に混合することができ、別の作業空間を占める混合装置が要求されない。また、前記第1カラム20の下部排出ストリームと塩基成分とを前記ラインミキサー50により効果的に混合することにより、前記第2混合ストリームが第2カラム30に供給される前にアンモニウム塩の大部分をアンモニアに転換することができる。
【0037】
前記塩基成分は、特に限定されず、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム及び水酸化バリウムからなる群から選択される1種以上を含んでもよい。具体的な例として、前記塩基成分は、水酸化ナトリウムであってもよい。
【0038】
前記第2混合ストリームは、第1カラム20の下部排出ストリームに塩基成分が混合されてpHが高くなった状態であり得る。例えば、前記第2混合ストリームのpHは、8以上、8.5以上又は9以上及び12以下、12.5以下、13以下又は13.5以下であり得る。前記第2混合ストリームのpHを上記範囲内に調節することにより、前記第2混合ストリーム中のアンモニウム塩(NH4 +)をアンモニア(NH3)に転換し、第2カラム30においてアンモニアを回収して再使用可能にすることができる。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、前記第2混合ストリームは、第2カラム30の上部に設置された分配器に供給されるようにしてもよい。前記第2カラム30は、蒸留により前記第2混合ストリーム中のアンモニアと水を分離するようにしてもよい。具体的には、前記第2カラム30の上部排出ストリームからアンモニアを回収し、下部排出ストリームに精製廃水を分離するようにしてもよい。
【0040】
前記第2カラム30の下部には、スチーム供給部33が備えられてもよい。具体的には、前記第2カラム30に熱を供給するための手段として通常の再沸器を設置するのではなく、第2カラム30の下部に備えられたスチーム供給部33によりスチームを供給するようにしてもよい。よって、前記第2カラム30の下部には再沸器を設置する必要がなく、前記再沸器の設置時に前記再沸器の管内又は管外に塩が部分的に析出されて発生するファウリングを防止することができる。
【0041】
前記スチーム供給部33は、前記第2カラム30にスチームを移送するスチーム移送配管と、前記スチーム移送配管に備えられてスチームを第2カラム30の内部に噴射する1つ以上の噴射ノズルとを含んでもよい。
【0042】
前記噴射ノズルは、下方にスチームを噴射するように形成されてもよい。具体的には、前記噴射ノズルは、前記スチーム移送配管の下部に設置されて下方にスチームを噴射するようにしてもよい。前記第2カラム30の内部でスチームを下方に直接噴射することにより、スチームが前記第2カラム30の内部の廃水に均一に分散及び混合され、前記第2カラム30においてアンモニアの分離効率が向上して精製廃水中の総窒素含有量を低減することができる。
【0043】
前記第2カラム30に供給される第2混合ストリームの流量に対する前記スチーム供給部33に投入されるスチームの流量の比は、例えば、0.01以上、0.05以上又は0.1以上及び0.3以下、1以下、2以下、5以下又は10以下であってもよい。アンモニアの揮発の程度を上記範囲内に調節して分離効率を向上させることにより、精製廃水中の総窒素含有量を低減することができる。
【0044】
前記第2カラム30の運転温度は、80℃以上、90℃以上、95℃以上又は99℃以上及び100℃以下、105℃以下、110℃以下又は130℃以下であってもよい。前記第2カラム30の運転温度が130℃を超える場合、第2カラム30の下部排出ストリームを廃水処理場に移送するために必要な熱交換器の容量が増加し、設備投資費又は運転費の面で不利な面がある。
【0045】
また、前記第2カラム30の運転圧力は、0.5bar以上、0.7bar以上又は0.9bar以上及び1.5bar以下、2bar以下又は3bar以下であってもよい。第2カラム30の運転条件を上記範囲内に制御することにより、アンモニアの分離効率を向上させて精製廃水中の総窒素含有量を低減することができる。
【0046】
前記第2カラムのパッキングの高さ(Packing Height)は、前記第2カラム30内で気液接触が発生するパッキング材料群集体の高さを意味するものであってもよく、前記パッキングの高さは、例えば、2m以上、4m以上、6m又は10m以上及び15m以下、20m以下又は25m以下であってもよい。
【0047】
前記パッキングの高さが少なくとも2m以上の場合、廃水中の総窒素含有量の低減効果が得られる。前記パッキングの高さが25mを超える場合、前記パッキングの高さが25m以下の場合と比較して、総窒素含有量の低減量の差が大きくないのに対して、そのためのカラム及びカラム構造物のための設備費が増加するという問題がある。
【0048】
前記スチーム供給部33によるスチーム噴射により、前記カラムの内部ではアンモニアが上部に揮発する。揮発したアンモニアは、前記第2カラム30の上部排出ストリームとして排出され、前記第2カラム30の上部排出ストリームは、凝縮器31で凝縮された後に還流タンク32に供給されるようにしてもよい。
【0049】
前記還流タンク32において、上部にフレアガスを排出し、アンモニアを含む下部排出ストリームの一部は前記第2カラム30に還流させ、残りは回収してラテックスのpH調節のために再使用するようにしてもよい。このとき、前記還流タンク32の下部排出ストリームの一部を還流させることにより、回収されるアンモニア中のアンモニアの濃度を高めることができ、これにより、再使用時の工程条件(recipe)の管理が容易になる。
【0050】
前記第2カラム30の下部排出ストリームにはニトリル系単量体及びアンモニアが分離された残りの精製廃水が排出され、それは廃水処理場に移送されるようにしてもよい。ここで、前記廃水中の総窒素含有量に対する前記第2カラム30の下部排出ストリーム中の総窒素含有量の比は、0.01以上、0.05以上又は0.08以上及び0.11以下、0.13以下又は0.15以下であってもよい。具体的には、前記ニトリル系単量体由来の単位を含む単独重合体又は共重合体ラテックス製造工程で発生する廃水を本発明による廃水精製方法で精製すると、廃水中のニトリル系単量体の損失を減らしながら回収して再使用することができ、アンモニアの回収及び再使用が可能であり、廃水処理場に移送される時点で廃水中の総窒素含有量を効果的に減少させることができる。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、前記廃水精製方法においては、必要に応じて、蒸留塔、凝縮器、再沸器、バルブ、ポンプ、分離器及び混合器などの装置を追加的にさらに設置してもよい。
【0052】
以上、本発明による廃水精製方法を記載及び図示したが、上記記載及び図示は本発明を理解するための中核構成のみを記載及び図示したものであり、上記記載及び図示の工程及び装置以外に、別に記載及び図示していない工程及び装置は本発明による廃水精製方法を実施するために適宜応用することができる。
【0053】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。しかし、下記実施例は本発明を例示するためのものであり、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で様々な変更及び修正が可能であることは通常の技術者にとって明らかであり、本発明の範囲がこれらのみに限定されるものではない。
【実施例
【0054】
実施例
実施例1
図1に示す工程フロー図に従って、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体ラテックス製造工程で排出される廃水を精製した。
【0055】
具体的には、水、アクリロニトリル単量体及びアンモニアを含んでpHが8である廃水を廃水移送ライン11を介して廃水槽10に供給し、酢酸を酸成分移送ライン12を介して廃水槽10に投入し、前記廃水槽10から排出される第1混合ストリームを第1カラム20に供給した。ここで、前記廃水の総窒素含有量は6,000ppmであり、第1混合ストリームのpHは5.5であることを確認し、総窒素含有量は商用化されたTN(total nitrogen)測定器を用いて測定した。
【0056】
前記第1カラム20において、上部排出ストリームは、凝縮器21で凝縮した後にデカンタ22に供給し、前記デカンタ22において、フレアガスを排出し、水層と有機層に分離した後、前記有機層成分からアクリロニトリル単量体を回収して再使用し、水層成分は廃水槽10に移送した。また、第1カラム20の下部排出ストリームの一部は、再沸器23を用いて加熱した後に還流させ、残りは、塩基成分移送ライン40を介して移送される水酸化ナトリウムと混合して第2混合ストリームを形成した後に第2カラム30に供給した。ここで、前記第1カラム20の運転温度は95℃であり、運転圧力は1barに調節した。さらに、前記第1カラム20の下部排出ストリームの総窒素含有量は3,000ppmであり、第2混合ストリームのpHは10であることを確認した。
【0057】
前記第2カラム30においては、上方にスチームを噴射するように形成されたスチーム供給部33により、前記第2カラム30に供給される第2混合ストリームの流量に対する供給されるスチームの流量の比を0.1に調節しながら、第2混合ストリームの成分を分離した。前記第2カラム30において、上部排出ストリームは、凝縮器31で凝縮した後に還流タンク32に供給し、前記還流タンク32において、フレアガスを排出し、下部排出ストリームの一部は還流させ、残りからアンモニアを回収して再使用した。また、前記第2カラム30の下部排出ストリームは、精製廃水として廃水処理場に移送した。ここで、前記第2カラム30の運転温度は99℃であり、運転圧力は1barに調節し、パッキングの高さは10mに調節した。さらに、前記廃水処理場に移送される精製廃水中の総窒素含有量は500ppmであることを確認した。さらに、前記廃水槽10に供給される廃水に含まれるアクリロニトリル単量体の含有量に対する第1カラム20において回収されるアクリロニトリル単量体の含有量の比で計算されるアクリロニトリルの回収率は99.9%であることを確認した。
【0058】
実施例2
図2に示す工程フロー図に従って、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体ラテックス製造工程で排出される廃水を精製した。
【0059】
具体的には、上記実施例1において、前記第1カラム20の下部排出ストリームと水酸化ナトリウムとの混合時にラインミキサー50を用いたことを除き、上記実施例1と同様の方法で行った。この場合、前記廃水処理場に移送される精製廃水中の総窒素含有量は300ppmであることを確認した。また、前記アクリロニトリルの回収率は99.9%であることを確認した。
【0060】
よって、前記第1カラム20の下部排出ストリームと苛性ソーダとの混合時、ラインミキサー50を設置することにより、前記第1カラム20の下部排出ストリーム中のアンモニウム塩のアンモニアへの転換効率が高くなり、第2カラム30において回収されるアンモニアの量が増加し、これにより、廃水処理場に移送される精製廃水中の総窒素含有量が実施例1に比べて減少したことを確認することができる。
【0061】
実施例3
上記実施例1において、前記第2カラム30において下方にスチームを噴射するようにスチーム供給部33を形成したことを除き、上記実施例1と同様の方法で行った。この場合、前記廃水処理場に移送される精製廃水中の総窒素含有量は300ppmであることを確認した。また、前記アクリロニトリルの回収率は99.9%であることを確認した。
【0062】
よって、前記第2カラム30内でスチーム供給部33によりスチームが下方に噴射される場合、前記第2カラム30内の廃水の分散及び混合効率が向上し、実施例1に比べて精製廃水中の総窒素含有量が減少する効果を発揮することを確認することができた。
【0063】
実施例4
図2に示す工程フロー図に従って、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体ラテックス製造工程で排出される廃水を精製した。
【0064】
具体的には、上記実施例1において、前記第1カラム20の下部排出ストリームと水酸化ナトリウムとの混合時にラインミキサー50を用い、前記第2カラム30において下方にスチームを噴射するようにスチーム供給部33を形成したことを除き、上記実施例1と同様の方法で行った。この場合、前記廃水処理場に移送される精製廃水中の総窒素含有量は100ppmであることを確認した。また、前記アクリロニトリルの回収率は99.9%であることを確認した。
【0065】
よって、前記ラインミキサー50の設置により精製廃水中の総窒素含有量を減少させると共に、スチーム供給部33によりスチームを下方に噴射することにより、前記第2カラム30内の廃水の分離分散及び混合効率を向上させ、ラインミキサー50により第2混合ストリームのpHを均一にし、アンモニウム塩のアンモニアへの転換効率を高め、精製廃水中に残存する窒素の含有量をより効果的に減少させることができる。
【0066】
実施例5
上記実施例4において、第1混合ストリームのpHを5.5に制御したことを除き、上記実施例4と同様の方法で行った。この場合、前記アクリロニトリルの回収率は99.9%であることを確認した。
【0067】
実施例6
上記実施例4において、第1混合ストリームのpHを6に制御したことを除き、上記実施例4と同様の方法で行った。この場合、前記アクリロニトリルの回収率は90%であることを確認した。
【0068】
実施例7
上記実施例4において、第1混合ストリームのpHを6.5に制御したことを除き、上記実施例4と同様の方法で行った。この場合、前記アクリロニトリルの回収率は60%であることを確認した。
【0069】
実施例8
上記実施例4において、第1混合ストリームのpHを7に制御したことを除き、上記実施例4と同様の方法で行った。この場合、前記アクリロニトリルの回収率は30%であることを確認した。
【0070】
上記実施例4~8を参照すると、前記第1カラム20に供給される第1混合ストリームのpHが5.5を超える場合に比べて、前記第1混合ストリームのpHを5.5以下に制御する場合、アクリロニトリルの回収率が高いことを確認することができた。
【0071】
実施例9
上記実施例4において、前記ラインミキサーの後段の第2混合ストリームのpHを8に制御したことを除き、上記実施例4と同様の方法で行った。この場合、前記精製廃水中の総窒素含有量は200ppmであることを確認した。
【0072】
実施例10
上記実施例4において、前記ラインミキサーの後段の第2混合ストリームのpHを9に制御したことを除き、上記実施例4と同様の方法で行った。この場合、前記精製廃水中の総窒素含有量は150ppmであることを確認した。
【0073】
実施例11
上記実施例4において、前記ラインミキサーの後段の第2混合ストリームのpHを11に制御したことを除き、上記実施例4と同様の方法で行った。この場合、前記精製廃水中の総窒素含有量は100ppmであることを確認した。
【0074】
実施例12
上記実施例4において、前記ラインミキサーの後段の第2混合ストリームのpHを12に制御したことを除き、上記実施例4と同様の方法で行った。この場合、前記精製廃水中の総窒素含有量は100ppmであることを確認した。
【0075】
上記実施例4及び実施例9~実施例12を参照すると、前記ラインミキサーの後段の第2混合ストリームのpHが10以上の場合、廃水中の窒素の除去効率が高いことを確認することができた。
【0076】
実施例13
上記実施例4において、前記第2カラム30のパッキングの高さを3mに制御したことを除き、上記実施例4と同様の方法で行った。この場合、前記精製廃水中の総窒素含有量は500ppmであることを確認した。
【0077】
実施例14
上記実施例4において、前記第2カラム30のパッキングの高さを5mに制御したことを除き、上記実施例4と同様の方法で行った。この場合、前記精製廃水中の総窒素含有量は200ppmであることを確認した。
【0078】
実施例15
上記実施例4において、前記第2カラム30のパッキングの高さを15mに制御したことを除き、上記実施例4と同様の方法で行った。この場合、前記精製廃水中の総窒素含有量は100ppmであることを確認した。
【0079】
実施例16
上記実施例4において、前記第2カラム30のパッキングの高さを20mに制御したことを除き、上記実施例4と同様の方法で行った。この場合、前記精製廃水中の総窒素含有量は100ppmであることを確認した。
【0080】
上記実施例4及び実施例13~実施例16を参照すると、前記第2カラム30のパッキングの高さを10m~20mに制御した場合、廃水中の窒素の除去効率が高いことを確認することができた。
【0081】
実施例17
上記実施例4において、前記第2カラム30に供給される第2混合ストリームの流量に対する供給されるスチームの流量の比を0.03に調節したことを除き、上記実施例4と同様の方法で行った。この場合、前記精製廃水中の総窒素含有量は1000ppmであることを確認した。
【0082】
実施例18
上記実施例4において、前記第2カラム30に供給される第2混合ストリームの流量に対する供給されるスチームの流量の比を0.05に調節したことを除き、上記実施例4と同様の方法で行った。この場合、前記精製廃水中の総窒素含有量は300ppmであることを確認した。
【0083】
実施例19
上記実施例4において、前記第2カラム30に供給される第2混合ストリームの流量に対する供給されるスチームの流量の比を0.2に調節したことを除き、上記実施例4と同様の方法で行った。この場合、前記精製廃水中の総窒素含有量は100ppmであることを確認した。
【0084】
実施例20
上記実施例4において、前記第2カラム30に供給される第2混合ストリームの流量に対する供給されるスチームの流量の比を0.3に調節したことを除き、上記実施例4と同様の方法で行った。この場合、前記精製廃水中の総窒素含有量は100ppmであることを確認した。
【0085】
上記実施例4及び実施例17~実施例20を参照すると、前記第2カラム30に供給される第2混合ストリームの流量に対する供給されるスチームの流量の比を0.1~0.3に制御した場合、廃水中の窒素の除去効率が高いことを確認することができた。
【0086】
実施例21
上記実施例4において、前記第1カラム20の運転温度を80℃に調節したことを除き、上記実施例4と同様の方法で行った。この場合、前記アクリロニトリルの回収率は70%であることを確認した。
【0087】
実施例22
上記実施例4において、前記第1カラム20の運転温度を85℃に調節したことを除き、上記実施例4と同様の方法で行った。この場合、前記アクリロニトリルの回収率は90%であることを確認した。
【0088】
実施例23
上記実施例4において、前記第1カラム20の運転温度を90℃に調節したことを除き、上記実施例4と同様の方法で行った。この場合、前記アクリロニトリルの回収率は98%であることを確認した。
【0089】
実施例24
上記実施例4において、前記第1カラム20の運転温度を100℃に調節したことを除き、上記実施例4と同様の方法で行った。この場合、前記アクリロニトリルの回収率は99.9%であることを確認した。
【0090】
上記実施例4及び実施例21~実施例24を参照すると、前記第1カラム20の運転温度が90℃以上の場合、アクリロニトリルの回収率が高いことを確認することができた。
【0091】
実施例25
上記実施例4において、前記第2カラム30の運転温度を80℃に調節したことを除き、上記実施例4と同様の方法で行った。この場合、前記精製廃水中の総窒素含有量は1000ppmであることを確認した。
【0092】
実施例26
上記実施例4において、前記第2カラム30の運転温度を85℃に調節したことを除き、上記実施例4と同様の方法で行った。この場合、前記精製廃水中の総窒素含有量は500ppmであることを確認した。
【0093】
実施例27
上記実施例4において、前記第2カラム30の運転温度を90℃に調節したことを除き、上記実施例4と同様の方法で行った。この場合、前記精製廃水中の総窒素含有量は300ppmであることを確認した。
【0094】
実施例28
上記実施例4において、前記第2カラム30の運転温度を105℃に調節したことを除き、上記実施例4と同様の方法で行った。この場合、前記精製廃水中の総窒素含有量は100ppmであることを確認した。
【0095】
上記実施例4及び実施例25~実施例28を参照すると、前記第2カラム30の運転温度を95℃以上に制御した場合、廃水中の窒素の除去効率が高いことを確認することができた。
【0096】
比較例
比較例1
図3に示す工程フロー図に従って、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体ラテックス製造工程で排出される廃水を精製した。
【0097】
具体的には、水、アクリロニトリル単量体及びアンモニアを含んでpHが8である廃水を廃水移送ライン11を介して廃水槽10に供給し、前記廃水槽10から廃水を排出して第1カラム20に供給した。ここで、前記廃水の総窒素含有量は6,000ppmであることを確認した。
【0098】
前記第1カラム20において、上部排出ストリームは、凝縮器21で凝縮した後にデカンタ22に供給し、前記デカンタ22において、フレアガスを排出し、水層と有機層に分離した後、前記有機層成分からアクリロニトリル単量体を回収して再使用し、水層成分は廃水槽10に移送した。また、第1カラム20の下部排出ストリームの一部は、再沸器23を用いて加熱した後に還流させ、残りは、精製廃水として廃水処理場に移送した。ここで、前記第1カラム20の運転温度は95℃であり、運転圧力は1barに調節した。さらに、前記廃水処理場に移送される精製廃水中の総窒素含有量は3000ppmであることを確認した。さらに、前記アクリロニトリルの回収率は30%であることを確認した。
図1
図2
図3
【国際調査報告】