(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-27
(54)【発明の名称】ハイブリッド非線形磁性材料を用いたパルスパワー回路及びハイブリッド非線形磁性材料を組み込んだインダクタ
(51)【国際特許分類】
H01S 3/0975 20060101AFI20231220BHJP
H01S 3/104 20060101ALI20231220BHJP
H01S 3/00 20060101ALN20231220BHJP
【FI】
H01S3/0975
H01S3/104
H01S3/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535071
(86)(22)【出願日】2021-12-09
(85)【翻訳文提出日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 US2021062694
(87)【国際公開番号】W WO2022140071
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513192029
【氏名又は名称】サイマー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ユダ
(72)【発明者】
【氏名】メルチャー,ポール,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ユ,チャンチー
【テーマコード(参考)】
5F071
5F172
【Fターム(参考)】
5F071AA06
5F071GG03
5F071GG05
5F172AD06
5F172AD07
5F172EE22
5F172XX01
5F172ZA03
5F172ZZ01
(57)【要約】
パルスパワー回路(30、31、32)は、ハイブリッドコアを有するインダクタ(55)を含む。ハイブリッドコアは、磁気スイッチとして機能するように配置及び選択されたスイッチ磁性材料と、磁気スイッチとしてのスイッチ磁性材料の機能と干渉することなくエネルギ反射を減衰させるように配置及び選択された減衰磁性材料と、を含むので、この回路は、可飽和リアクトルインダクタの一部としてのスイッチング機能の著しい劣化なしに、反射エネルギが引き起こす共鳴を軽減することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザチャンバにパルスを供給するためのパルスパワー回路であって、前記パルスパワー回路はハイブリッド可飽和磁気コアを有するインダクタを含み、前記可飽和磁気コアは、
磁気スイッチとして機能するように配置及び選択されたスイッチ磁性材料と、
磁気スイッチとしての前記スイッチ磁性材料の機能と干渉することなく前記レーザチャンバからの反射を減衰させるように配置及び選択された減衰磁性材料と、
を備える、パルスパワー回路。
【請求項2】
前記インダクタがバイアスポイントにバイアスされた場合、前記バイアスポイントにおける前記減衰磁性材料のヒステリシスの大きさは前記バイアスポイントにおける前記スイッチ磁性材料のヒステリシスの大きさよりも大きい、請求項1に記載のパルスパワー回路。
【請求項3】
前記スイッチ磁性材料は、主に前記スイッチ磁性材料の-H
Cと+H
Cとの間の磁場強度のスイッチング範囲でスイッチとして動作し、前記スイッチ磁性材料は前記スイッチング範囲内に最小透磁率μ
SWITCHを有し、前記減衰磁性材料は前記スイッチング範囲内に最大透磁率μ
DAMPERを有し、μ
DAMPERはμ
SWITCHよりも小さい、請求項1に記載のパルスパワー回路。
【請求項4】
前記スイッチ磁性材料は、主に前記スイッチ磁性材料の-H
Cと+H
Cとの間の磁場強度のスイッチング範囲でスイッチとして動作し、前記スイッチ磁性材料は前記スイッチング範囲内に最小透磁率μ
SWITCHを有し、前記減衰磁性材料は前記スイッチング範囲内に最大透磁率μ
DAMPERを有し、μ
DAMPERはμ
SWITCHよりも小さい、請求項2に記載のパルスパワー回路。
【請求項5】
前記スイッチ磁性材料は第1の磁気直角度比を有し、前記減衰磁性材料は前記第1の磁気直角度比よりも小さい第2の磁気直角度比を有する、請求項1に記載のパルスパワー回路。
【請求項6】
前記スイッチ磁性材料は0.80よりも大きい磁気直角度比を有する、請求項1に記載のパルスパワー回路。
【請求項7】
前記減衰磁性材料は0.80よりも小さい磁気直角度比を有する、請求項6に記載のパルスパワー回路。
【請求項8】
前記減衰磁性材料は、前記可飽和磁気コアのうち0.50%~10%の範囲内の重量パーセントを含む、請求項1に記載のパルスパワー回路。
【請求項9】
前記減衰磁性材料は、前記可飽和磁気コアのうち約1%の重量パーセントを含む、請求項1に記載のパルスパワー回路。
【請求項10】
ハイブリッド可飽和磁気コアを有するインダクタであって、前記ハイブリッド可飽和磁気コアは、
磁気スイッチとして機能するように配置及び選択されたスイッチ磁性材料と、
磁気スイッチとしての前記第1の磁性材料の機能と干渉することなく前記レーザチャンバからの反射を減衰させるように配置及び選択された減衰磁性材料と、
を備える、インダクタ。
【請求項11】
前記インダクタがバイアスポイントにバイアスされた場合、前記バイアスポイントにおける前記減衰磁性材料のヒステリシスの大きさは前記バイアスポイントにおける前記スイッチ磁性材料のヒステリシスの大きさよりも大きい、請求項10に記載のインダクタ。
【請求項12】
前記スイッチ磁性材料は、主に前記スイッチ磁性材料の-H
Cと+H
Cとの間の磁場強度のスイッチング範囲でスイッチとして動作し、前記スイッチ磁性材料は前記スイッチング範囲内に最小透磁率μ
SWITCHを有し、前記減衰磁性材料は前記スイッチング範囲内に最大透磁率μ
DAMPERを有し、μ
DAMPERはμ
SWITCHよりも小さい、請求項10に記載のインダクタ。
【請求項13】
前記スイッチ磁性材料は、主に前記スイッチ磁性材料の-H
Cと+H
Cとの間の磁場強度のスイッチング範囲でスイッチとして動作し、前記スイッチ磁性材料は前記スイッチング範囲内に最小透磁率μ
SWITCHを有し、前記減衰磁性材料は前記スイッチング範囲内に最大透磁率μ
DAMPERを有し、μ
DAMPERはμ
SWITCHよりも小さい、請求項11に記載のインダクタ。
【請求項14】
前記スイッチ磁性材料は第1の磁気直角度比を有し、前記減衰磁性材料は前記第1の磁気直角度比よりも小さい第2の磁気直角度比を有する、請求項10に記載のインダクタ。
【請求項15】
前記スイッチ磁性材料は0.8よりも大きい磁気直角度比を有する、請求項10に記載のインダクタ。
【請求項16】
前記減衰磁性材料は0.8よりも小さい磁気直角度比を有する、請求項10に記載のインダクタ。
【請求項17】
前記減衰磁性材料は、前記可飽和磁気コアのうち0.5%~10%の範囲内の重量パーセントを含む、請求項10に記載のインダクタ。
【請求項18】
前記減衰磁性材料は、前記可飽和磁気コアのうち約1%の重量パーセントを含む、請求項10に記載のインダクタ。
【請求項19】
積層物に配置された複数の第1のトロイダル要素であって、磁気スイッチとして機能するように配置及び選択されたスイッチ磁性材料を含む複数の第1のトロイダル要素と、
前記積層物内に配置された少なくとも1つの第2のトロイダル要素であって、磁気スイッチとしての前記スイッチ磁性材料の機能と干渉することなくパルスエネルギ反射を減衰させるように配置及び選択された減衰磁性材料を含む少なくとも1つの第2のトロイダル要素と、
を備えるインダクタ。
【請求項20】
1巻き以上巻かれたテープで形成されたトロイドを備え、前記テープは巻かれた場合に半径方向断面を有し、前記半径方向断面は、磁気スイッチとして機能するように選択されたスイッチ材料で作製された少なくとも1つの第1の層と、磁気スイッチとしての前記スイッチ磁性材料の機能と干渉することなくパルスエネルギ反射を減衰させるように選択された減衰材料で作製された少なくとも1つの第2の層と、を含む、インダクタ。
【請求項21】
1対の電極を含むレーザチャンバと、
前記電極にパルスを供給するように配置されたパルスパワー供給システムと、を備え、前記パルスパワーシステムはハイブリッド可飽和コアリアクトルを含み、前記ハイブリッド可飽和コアリアクトルは、磁気スイッチとして機能するように配置及び選択されたスイッチ磁性材料と、磁気スイッチとしての前記スイッチ磁性材料の機能と干渉することなく前記レーザチャンバからの反射を減衰させるように配置及び選択された減衰磁性材料と、を備える、レーザシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
[0001] 本出願は、2020年12月22日に出願された「PULSED POWER CIRCUITS USING HYBRID NON-LINEAR MAGNETIC MATERIALS AND INDUCTORS INCORPORATING THE SAME」と題する米国出願第63/129,188号に対する優先権を主張する。これは援用により全体が本願に含まれる。
【0002】
[0002] 本開示は、例えばリソグラフィ装置の照明源として機能するレーザにおいて用いられる電気パルスを生成するための回路に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを半導体材料のウェーハ等の基板に、通常は基板のターゲット部分に適用する。代替的にマスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを使用して、ウェーハの個々の層上に形成すべき回路パターンを生成することができる。パターンの転写は通常、基板上に設けた放射感応性材料(レジスト)の層への結像により行われる。一般に、1枚の基板は、順次パターンが付与される隣接したターゲット部分を含んでいる。
【0004】
[0004] リソグラフィ装置は、パターン全体をターゲット部分に1回で露光することによって各ターゲット部分が照射される、いわゆるステッパと、基板を所与の方向と平行にあるいは反対方向に同期的にスキャンしながらパターンをこの所与の方向に放射ビームでスキャンすることにより各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナとを含む。また、パターンを基板にインプリントすることによっても、パターニングデバイスから基板へパターンを転写することが可能である。
【0005】
[0005] パターンを照明し、これを基板上に投影するために用いられる光源は、多数の構成のうちいずれか1つとすることができる。リソグラフィシステムで一般的に用いられる深紫外線エキシマレーザには、248nm波長のフッ化クリプトン(KrF)レーザと、193nm波長のフッ化アルゴン(ArF)レーザが含まれる。
【0006】
[0006] 上記のようなレーザは電気エネルギのパルスを使用する。電気パルスを生成するために用いられる回路は通常、磁気スイッチング要素を含む。これらのスイッチング要素はパルスを再現可能に、かつ信頼性高く生成することができなければならない。
【0007】
[0007] この状況で、本発明に対する必要性が生じる。
【発明の概要】
【0008】
[0008] 以下は、1つ以上の実施形態の基本的な理解を得るため、これらの実施形態の簡潔な要約を与える。この要約は、想定される全ての実施形態の広範な概要でなく、全ての実施形態の重要な又は不可欠な要素を識別することを意図しておらず、任意の又は全ての実施形態の範囲を画定することも意図していない。その唯一の目的は、後に提示される更に詳細な説明に対する準備として、1つ以上の実施形態のいくつかの概念を簡略化された形態で提示することである。
【0009】
[0009] 実施形態の一態様によれば、レーザチャンバにパルスを供給するためのパルスパワー回路が開示される。このパルスパワー回路は、ハイブリッド可飽和磁気コア(magnetic core)を有するインダクタを含む。このハイブリッド可飽和磁気コアは、磁気スイッチとして機能するように配置及び選択されたスイッチ磁性材料を主に含み、更に、磁気スイッチとしてのスイッチ磁性材料の機能と過度に干渉することなくレーザチャンバからの反射を減衰させるように配置及び選択された減衰磁性材料(damping magnetic material)を二次的に含む。これらの材料は、インダクタがバイアスポイントにバイアスされた場合、バイアスポイントにおける減衰磁性材料のヒステリシス透磁率の大きさがバイアスポイントにおけるスイッチ磁性材料のヒステリシスの大きさよりも大きいようにすることができる。スイッチ磁性材料は、主にスイッチ磁性材料のスイッチング範囲でスイッチとして動作し得る。このスイッチング範囲は、スイッチ磁性材料の-HCと+HCとの間の磁場強度を含む。スイッチ磁性材料はスイッチング範囲内に最大透磁率μSWITCHを有することができ、これは、減衰磁性材料のスイッチング範囲内の最大透磁率μDAMPERよりも著しく大きい(例えば10xより大きい)。スイッチ磁性材料は第1の磁気直角度比(magnetic squareness ratio)を有することができ、減衰磁性材料は第1の磁気直角度比よりも小さい第2の磁気直角度比を有する。スイッチ磁性材料は、0.80よりも大きい磁気直角度比を有し得る。減衰磁性材料は、0.80よりも小さい磁気直角度比を有する。減衰磁性材料は、可飽和磁気コアのうち0.50%~10%の範囲内の重量パーセントを含み得る。減衰磁性材料は、可飽和磁気コアのうち約1%の重量パーセントを含み得る。
【0010】
[0010] 実施形態の別の態様によれば、ハイブリッド可飽和磁気コアを有するインダクタが開示される。ハイブリッド可飽和磁気コアは、磁気スイッチとして機能するように配置及び選択されたスイッチ磁性材料と、磁気スイッチとしての第1の磁性材料の機能と干渉することなくレーザチャンバからの反射を減衰させるように配置及び選択された減衰磁性材料と、を備える。これらの材料は、インダクタがバイアスポイントにバイアスされた場合、バイアスポイントにおける減衰磁性材料のヒステリシスの大きさがバイアスポイントにおけるスイッチ磁性材料のヒステリシスの大きさよりも大きいようにすることができる。スイッチ磁性材料は、主にスイッチ磁性材料の-HCと+HCとの間の磁場強度を含むスイッチング範囲でスイッチとして動作する。スイッチ磁性材料はスイッチング範囲内に最小透磁率μSWITCHを有し、これは、スイッチング範囲内の減衰磁性材料の最大透磁率μDAMPERよりも大きい。スイッチ磁性材料は、0.80よりも大きい磁気直角度比を有し得る。減衰磁性材料は、0.80よりも小さい磁気直角度比を有し得る。減衰磁性材料は、可飽和磁気コアのうち0.5%~10%の範囲内の重量パーセントを含み得る。減衰磁性材料は、可飽和磁気コアのうち約1%の重量パーセントを含み得る。
【0011】
[0011] 実施形態の別の態様によれば、インダクタが開示される。このインダクタは、積層物に配置された複数の第1のトロイダル要素であって、磁気スイッチとして機能するように配置及び選択されたスイッチ磁性材料を含む複数の第1のトロイダル要素と、積層物内に配置された少なくとも1つの第2のトロイダル要素であって、磁気スイッチとしてのスイッチ磁性材料の機能と干渉することなくパルスエネルギ反射を減衰させるように配置及び選択された減衰磁性材料を含む少なくとも1つの第2のトロイダル要素と、を備える。
【0012】
[0012] 実施形態の別の態様によれば、インダクタが開示される。このインダクタは、1巻き以上巻かれたテープで形成されたトロイドを備え、テープは巻かれた場合に半径方向断面を有する。半径方向断面は、磁気スイッチとして機能するように選択されたスイッチ材料で作製された少なくとも1つの第1の層と、磁気スイッチとしてのスイッチ磁性材料の機能と干渉することなくパルスエネルギ反射を減衰させるように選択された減衰材料で作製された少なくとも1つの第2の層と、を含む。
【0013】
[0013] 実施形態の別の態様によれば、レーザシステムが開示される。このレーザシステムは、1対の電極を含むレーザチャンバと、これらの電極にパルスを供給するように配置されたパルスパワー供給システムと、を備える。パルスパワーシステムはハイブリッド可飽和コアリアクトルを含む。ハイブリッド可飽和コアリアクトルは、磁気スイッチとして機能するように配置及び選択されたスイッチ磁性材料と、磁気スイッチとしてのスイッチ磁性材料の機能と干渉することなくレーザチャンバからの反射を減衰させるように配置及び選択された減衰磁性材料と、を備える。
【0014】
[0014] 本発明の別の特徴及び利点並びに本発明の様々な実施形態の構造及び作用は、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。本発明は、本明細書に記載する特定の実施形態に限定されないことに留意されたい。このような実施形態は、例示のみを目的として本明細書に記載されている。本明細書に含まれる教示に基づいて当業者はさらなる実施形態を容易に思いつくであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
[0015] 本明細書に組み込まれ、その一部を形成する添付の図面は、本発明を図示し説明とともに、更に本発明の原理を説明し、当業者が本発明を作成して使用できるようにする働きをする。
【0016】
【
図1】[0016] 実施形態の一態様に従ったパルスパワー回路の機能ブロック図である。
【
図2】[0017] 実施形態の一態様に従った、
図1のパルスパワー回路において使用され得る整流器モジュールの回路図である。
【
図3A】[0018] 巻かれたトロイダルコアの斜視図である。
【
図3B】[0019] ラインBBで切り取った
図3Aのコアの切り取り斜視図である。
【
図3C】[0020] トロイダルコア要素の円筒形積層物で構成されたコアの斜視図である。
【
図4A】[0021] 実施形態の一態様に従った、2つの材料の磁化曲線の図である。
【
図4B】[0022] 実施形態の一態様に従った、2つの材料の磁化曲線の別の図である。
【
図5A】[0023] 実施形態の一態様に従ったハイブリッドコアの斜視図である。
【
図5B】[0023] 実施形態の一態様に従ったハイブリッドコアの斜視図である。
【
図5C】[0023] 実施形態の一態様に従ったハイブリッドコアの斜視図である。
【
図5D】[0023] 実施形態の一態様に従ったハイブリッドコアの斜視図である。
【
図5E】[0023] 実施形態の一態様に従ったハイブリッドコアの斜視図である。
【0017】
[0024] 本発明の特徴及び利点は、同様の参照符号は全体を通して対応する要素を識別する図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことで更に明白になるであろう。図面では、一般に、同様の参照番号が同一の、機能が類似した、及び/又は構造が類似する要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[0025] 本明細書は、本発明の特徴を組み込んだ1つ以上の実施形態を開示する。開示される1つ又は複数の実施形態は本発明を例示するにすぎない。本発明の範囲は開示される1つ又は複数の実施形態に限定されない。本発明は、本明細書に添付される特許請求の範囲によって定義される。
【0019】
[0026] 記載された1つ又は複数の実施形態、及び本明細書で「一実施形態」、「ある実施形態」、「例示的実施形態」などに言及した場合、それは記載された1つ又は複数の実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含むことができるが、それぞれの実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、又は特性を含まないことがあることを示す。更に、このようなフレーズは、必ずしも同じ実施形態に言及するものではない。更に、ある実施形態に関連して特定の特徴、構造、又は特性について記載している場合、明示的に記載されているか、記載されていないかにかかわらず、このような特徴、構造、又は特性を他の実施形態との関連で実行することが当業者の知識の範囲内にあることが理解される。
【0020】
[0027]
図1に移ると、高電圧電力供給モジュール30、共振充電器モジュール31、整流器モジュール32、圧縮ヘッドモジュール34、及びレーザチャンバモジュール36を含むパルスパワー回路の一例が示されている。レーザチャンバモジュール36以外のこれらのコンポーネントは、固体パルスパワーモジュール(SSPPM:solid state pulsed power module)を構成する。高電圧電力供給モジュール30は、通常の三相の発電所電力を高DC電圧に変換する。共振充電器モジュール31は、整流器モジュール32内のコンデンサバンクを充電してパルス電圧を増大させると共に、より短い電気パルスを形成する。圧縮ヘッドモジュール34は、整流器モジュールからの電気パルスを更に時間的に圧縮し、対応して電流を増大させて、レーザチャンバモジュール36の電極間に所望の放電電圧を有するパルスを生成する。このようなレーザシステムの構成及び動作に関する更なる詳細は、例えば、2006年7月18日に発行された「Control System for a Two Chamber Gas Discharge Laser」と題する米国特許第7,079,564号で見ることができる。その全体的な内容は援用により本願に含まれる。この回路の動作に関する更なる詳細は、例えば、2006年2月21日に発行された「Method and Apparatus for Cooling Magnetic Circuit Elements」と題する米国特許第7,002,443号で見ることができる。その全体的な内容は援用により本願に含まれる。
【0021】
[0028]
図2は、実施形態の一態様に従った、
図1のパルスパワー回路において使用され得る整流器モジュール32の簡略化回路図である。破線AとBとの間の要素が、整流器モジュール32を実施する回路を構成する。高電圧電力供給モジュール30は、既知のように動作する共振充電器モジュール31に電力を供給する。共振充電器モジュール31からのパルスは整流器モジュール32に供給され、コンデンサ50を充電する。通常、コンデンサ50はC
0と称され、コンデンサ50上の電圧はV
C0と称される。トリガ信号が検知されると、整流器固体スイッチ68が閉じて、充電インダクタンス54を介してコンデンサ50をコンデンサ60へ放電する。通常、コンデンサ60はC
1と称され、コンデンサ60上の電圧はV
C1と称される。磁気スイッチとして機能する可飽和リアクトル55が飽和し、変圧器70を介して圧縮ヘッドモジュール34内のコンデンサバンクへコンデンサ60を放電するまで、コンデンサ60で電圧が保持される。
【0022】
[0029] 可飽和リアクトル55は、最初はコンデンサ60からの電流に耐える。より具体的に述べると、通常、パルスが発射される前、可飽和リアクトル55は負の飽和にバイアスされている。(可飽和リアクトル55はバイアス電流なしでも入来電流に対抗できるが、バイアス電流を用いることで、磁束の揺れの(最大までの)増大と安定を得る。)次のパルスエネルギがコンデンサ50からコンデンサ60へ流入すると、電流は可飽和リアクトル55のコアに逆起電力を誘導して、コアが順方向に飽和するまで入来電流に対抗する。飽和すると、逆起電力が消失し、コンデンサ60上に蓄積された電荷は、回路スイッチが突然閉じたかのように移動する。
【0023】
[0030] 従って、可飽和リアクトル55はパルスレーザのための磁気スイッチとして機能する。可飽和磁気コアは、インダクタに2つの状態を与える。一方の状態では、磁気コアが高い透磁率を有するので可飽和リアクトルのインダクタンスは高い。他方の状態では、磁気コアが飽和するように駆動され、これは低い透磁率に対応するのでインダクタンスは低い。
【0024】
[0031] 可飽和リアクトルの磁気コアは、圧粉コア、フェライトコア、及びテープ巻きコアを含むいくつかの形態のうちいずれか1つとすることができる。
図3Aにテープ巻きコア100の一例が示されている。
図3Bは
図3AのラインBBで切り取った切り取り図であり、アルミニウムで作製され得る追加のケース、又はコアを機械的に安定化させる同様の構造もしくはコーティングが設けられている。これらのテープ巻きコア100は個別に用いることができ、又は
図3Cで示されているように積層物110として構成することができる。テープ巻きコアは、結晶粒配向(grain-oriented)50%ニッケル鉄合金、非配向(non-oriented)80%ニッケル鉄合金、及び結晶粒配向3%シリコン鉄合金を含む高透磁率の細長いニッケル鉄合金片で作製される。これらは材料のいくつかの例である。このリストが網羅的でないことと、他の多くの材料が使用され得ることは明らかである。
【0025】
[0032] このような用途で用いられる可飽和リアクトルのコアは、従来、特定のヒステリシス直角度すなわちBr/Bsatの比を示すことが必要である。これは、スイッチとしての理想的な動作では、コア材料が以下で詳述されるほぼ方形のヒステリシス曲線を示すはずだからである。方形曲線の1つの特徴は、磁場強度Hの低下(負方向)と共に磁化Bが低下し始める曲線の屈曲(knee)が鋭いことである。
【0026】
[0033] 電力供給の設計における1つの技術的な問題は、レーザチャンバモジュール36内電極によるパルスの反射である。これらの反射はリンギングを発生させ、パルス回路が次のパルスの送出準備をする能力と干渉する可能性がある。この反射エネルギを制御するため、様々な対策が採用されている。これに関しては、1998年3月17日に発行された「Pulse Power Generating Circuit with Energy Recovery」と題する米国特許第5,729,562号を参照のこと。この明細書全体は援用により本願に含まれる。
【0027】
[0034] 実施形態の一態様によれば、可飽和リアクトルコアを変更して、スイッチング挙動を支配する「スイッチ」磁性材料に加えて「減衰」磁性材料を含ませることにより、反射エネルギを更に制御する。減衰磁性材料は反射エネルギを減衰させる特徴を有する。しかしながら、減衰磁性材料は、パルス生成中にスイッチ磁性材料のスイッチング動作と干渉しないように選択される。この結果、パルス生成におけるスイッチング機能及びパルス生成後の減衰機能の双方を実行するハイブリッドコアが得られる。ここでも他の箇所でも、「干渉する」という用語は、各磁性材料が他の動作ドメインにある程度の効果を有しながら(スイッチング対減衰)、ドメイン外の効果は充分に小さいのでそのドメインにおける他の材料の機能を過度に妨げないことを意味するため用いられる。従って、減衰磁性材料はスイッチング中にスイッチ磁性材料のスイッチング機能と干渉せず、スイッチ磁性材料は反射減衰中に減衰磁性材料の減衰機能と干渉しない。
【0028】
[0035] スイッチングを損なうことなく反射低減という所望の目的を果たすように減衰磁性材料を特徴付けて選択するいくつかの手法がある。
図4Aは、スイッチ磁性材料の理想的なヒステリシス方形曲線(実線)を示す。図のB
SAT(スイッチ)はスイッチ磁性材料の飽和磁性であり、これ以降のポイントでは、印加磁場の強度Hを増大しても磁化は増大しない。B
r(スイッチ)はスイッチのB残留磁気、すなわち、印加磁場の強度Hの強度がゼロに低下した場合のスイッチ磁性材料の残留磁化である。完璧な直角度では、B
r(スイッチ)=B
SAT(スイッチ)であり、それらの比は1である。H
Cは、以下で更に詳しく説明するように保持力に関連する。バイアスポイントは、コアがバイアスされる減衰材料曲線(破線)上のポイントである。
【0029】
[0036] 実施形態の一態様によれば、スイッチ磁性材料では、高い直角度の材料を用いる利点が維持される。しかしながら、反射チャンバエネルギによって生じる振動は、低い直角度の減衰磁性材料の一部をコアに加えてハイブリッドコアを生成することによって制御される。本明細書で用いる場合、「ハイブリッド」は、それぞれが離散的かつ別個であると共に個別の磁気特性を有する材料が複数組み合わされたものを暗示することが意図される。
【0030】
[0037]
図4Aの破線は、実施形態の一態様に従った減衰磁性材料のいくつかの可能な特徴を示す。図のB
SAT(減衰器(damper))は減衰磁性材料の飽和磁性であり、これ以降のポイントでは、印加磁場の強度Hを増大しても磁化は増大しない。B
r(減衰器)は減衰器のB残留磁気、すなわち、印加磁場の強度Hの強度がゼロに低下した場合の減衰磁性材料の残留磁化である。図から分かるように、B
r(減衰器)はB
SAT(減衰器)に等しくない。実施形態の一態様によれば、低い直角度の材料は、破線で示される楕円内で、磁場強度Hの低下(負方向)と共に磁化Bが低下し始める曲線の屈曲が丸い。
【0031】
[0038] 実施形態の一態様によれば、減衰磁性材料は、Br(減衰器)/BSAT(減衰器)=Br(スイッチ)/BSAT(スイッチ)であるように選択される。
ここで、Br(減衰器)は減衰磁性材料の残留磁気であり、
BSAT(減衰器)は減衰磁性材料の飽和又は最大磁気強度であり、
Br(スイッチ)はスイッチ磁性材料の残留磁気であり、
BSAT(スイッチ)はスイッチ磁性材料の飽和又は最大磁気強度である。
【0032】
[0039] 一態様によれば、減衰磁性材料は、H
C(減衰器)>H
C(スイッチ)であるように選択される。ここで、H
C(減衰器)は減衰磁性材料の保持力であり、H
C(スイッチ)は減衰磁性材料の保持力である。別の態様によれば、たとえH
C(減衰器)が小さいとしても、
図4Aの破線の楕円で示されているように屈曲点の周りの曲線が比較的丸い場合、減衰材料はチャンバから戻ってくるエネルギを減衰させることができる。
【0033】
[0040]
図4Aで見られるように、減衰器材料の曲線では、バイアスポイントにおけるヒステリシスは、バイアスポイントでスイッチ磁性材料が示すヒステリシスよりも大きく、支配的である。従って、減衰磁性材料はレーザチャンバからの反射又は残留エネルギを減衰させることができる。しかしながら、減衰磁性材料は、スイッチ磁性材料のスイッチ動作範囲(スイッチ磁性材料の+H
Cと-H
Cとの間を含む)では飽和に近い。この範囲内では、スイッチ磁性材料の透磁率μ
Sは減衰磁性材料の透磁率μ
Dよりも支配的である。これは特に、実施形態の一態様に従って、スイッチ磁性材料の量が減衰磁性材料の量よりも支配的であるので減衰磁性材料の存在がこの範囲内のスイッチ磁性材料の動作と干渉しない場合に当てはまる。
【0034】
[0041] 言い換えると、実施形態の一態様によれば、バイアスポイントでは減衰磁性材料ヒステリシスがスイッチ磁性材料ヒステリシスよりも支配的であるが、スイッチ動作範囲ではスイッチ磁性材料の透磁率が減衰磁性材料の透磁率よりも支配的である。従って、各材料はそれ自身の動作レジーム(operational regime)において有効であり、他の材料のレジームにおける他の材料の有効性と干渉しない。
【0035】
[0042] 別の例として、
図4Bの破線は別の減衰磁性材料の可能なヒステリシス曲線を示す。減衰磁性材料は、B
r(減衰器)/B
SAT(減衰器)<B
r(スイッチ)/B
SAT(スイッチ)であるように選択される。また、減衰磁性材料は、H
C(減衰器)=H
C(スイッチ)であるように選択される。これらの特徴を有する減衰磁性材料は、
図4Bの破線ヒステリシス曲線を示す。図から分かるように、この場合も、減衰材料の曲線がバイアスポイントで示すヒステリシスは、バイアスポイントでスイッチ磁性材料が示すヒステリシスよりも著しく大きい。従って、減衰磁性材料はレーザチャンバからの反射又は残留エネルギを減衰させることができる。スイッチ磁性材料の透磁率μ
Sは、スイッチ動作範囲において減衰磁性材料の透磁率μ
Dよりも支配的である。これは特に、実施形態の一態様に従って、スイッチ磁性材料の量が減衰磁性材料の量よりも支配的であるので減衰磁性材料の存在がこの範囲内のスイッチ磁性材料の動作と干渉しない場合に当てはまる。
【0036】
[0043] 材料の数は2又は3以上とすることができる。2つの材料がハイブリッドコア材料を構成する例では、スイッチ磁性材料は比較的高い直角度を示し得るのに対し、減衰磁性材料は比較的低い直角度を示し得る。いくつかの実施形態では、スイッチ磁性材料は0.8~1の範囲内の直角度を有し得る。また、いくつかの実施形態では、減衰磁性材料は比較的直角度を有し、0.8未満の直角度を有し得る。
【0037】
[0044] 実施形態の別の態様によれば、スイッチング材料の透磁率比μmax/μsat及び減衰材料の同様に規定された透磁率比を仮定すると、スイッチング材料の比較的大きい透磁率比及び減衰材料の比較的小さい透磁率比を有することが有利である。ここで、μmaxは、スイッチング領域におけるBH曲線の勾配であると考えられる。
【0038】
[0045] 磁気コアの物理的構造に関して、上述のように、コアはトロイダル要素の円筒形積層物として構成することができる。
図5にこの構成の例が示されている。図から分かるように、この例では、コアは5つのトロイダル要素の積層物110として構成されているが、これよりも少数又は多数の要素を用いてもよい。積層物において、薄い色のトロイドはスイッチ磁性材料で作製されている。そのうち1つが番号100で示されている。これらのトロイド100は一緒に、積層物110の5つのトロイドのうち4つを構成する。積層物110内に、減衰磁性材料で作製された別のトロイド120が挿入されている。トロイド120は積層物110内の任意の位置に配置され得る。
【0039】
[0046]
図5Bで示されているように、スイッチ磁性材料100及び減衰磁性材料120の複数のトロイドが存在してもよい。この場合も、トロイド120は積層物110内の任意の位置に配置され得る。
【0040】
[0047]
図5Cから
図5Eは、トロイドを作製するために巻かれるテープの断面を示す。
図5Cで示されているように、テープ130は、減衰磁性材料の層137と共にスイッチ磁性材料の層135を有し得る。層135及び137は図示のように位置決めするか、又は、層137を層135の下方に置くか、もしくは2つの層135の間に挟むことができる。
図5Dで示されているように、テープ140は、それぞれスイッチ磁性材料及び減衰磁性材料である層145及び147を交互に複数配置することができる。
図5Eで示されているように、テープ150において、高直角度材料155のマトリクス内に線形要素157のアレイとして低直角度材料を配置することができる。このアレイは、要素の位置決め及び間隔に関して、図示のように規則的とするか又は不規則的とすることができる。
【0041】
[0048] 減衰磁性材料量対減衰磁性材料の重量比は様々に変動し得る。例えば、ハイブリッドコア内の減衰磁性材料量の重量は、ハイブリッドコアの重量の0.5~10パーセントを構成し得る。別の例として、ハイブリッドコアは減衰磁性材料の重量の1%を構成し得る。
【0042】
[0049] これまで述べたもの等のハイブリッド可飽和磁気コアは、上述したパルスパワー回路における可飽和コアリアクトルとしてインダクタに組み込むことができる。
【0043】
[0050] 前述の記載は、より良い理解を促進する具体例を与えるために主としてテープ巻きコアに関連付けたが、当業者には、本明細書に記載されている原理が他のタイプのコアにも適用され得ることは明らかであろう。
【0044】
[0051] 特許請求の範囲を解釈するには、「発明の概要」及び「要約書」の項ではなく「発明を実施するための形態」の項を使用するよう意図されていることは認められよう。「発明の概要」及び「要約書」の項は、本発明者が想定するような本発明の例示的な実施形態のうち1つ以上を記載し得るが、それらの例示的な実施形態の全てを記載することはできないので、本発明及び添付の特許請求の範囲をいかなる意味でも限定することは意図されていない。
【0045】
[0052] 本発明について、指定された機能及びそれらの関係の実施例を示す機能構築ブロックを用いて上述した。これらの機能構築ブロックの境界は、本明細書では説明の便宜を図って任意に規定されている。指定された機能及びそれらの関係が適切に実行される限り、代替的な境界を規定することも可能である。
【0046】
[0053] 特定の実施形態の前述の記載は、本発明の全体的な性質を充分に明らかにするので、当技術分野内の知識を適用することにより、過度の実験を行わずに、本発明の全体的な概念から逸脱することなく、そのような特定の実施形態を様々な用途向けに容易に変更及び/又は適合することができる。従って、本明細書に提示された教示及び案内に基づき、そのような適合及び変更は、開示されている実施形態の均等物の意味及び範囲内にあることが意図されている。本明細書における表現又は用語は、限定でなく説明のためのものであるので、本明細書の表現又は用語が当業者によって教示及び案内に照らして解釈されるべきであることは理解されよう。
【0047】
[0054] 以下の条項を用いて更に実施形態を記載することができる。
1.レーザチャンバにパルスを供給するためのパルスパワー回路であって、パルスパワー回路はハイブリッド可飽和磁気コアを有するインダクタを含み、可飽和磁気コアは、
磁気スイッチとして機能するように配置及び選択されたスイッチ磁性材料と、
磁気スイッチとしてのスイッチ磁性材料の機能と干渉することなくレーザチャンバからの反射を減衰させるように配置及び選択された減衰磁性材料と、
を備える、パルスパワー回路。
2.インダクタがバイアスポイントにバイアスされた場合、バイアスポイントにおける減衰磁性材料のヒステリシスの大きさはバイアスポイントにおけるスイッチ磁性材料のヒステリシスの大きさよりも大きい、条項1に記載のパルスパワー回路。
3.スイッチ磁性材料は、主にスイッチ磁性材料の-HCと+HCとの間の磁場強度のスイッチング範囲でスイッチとして動作し、スイッチ磁性材料はスイッチング範囲内に最小透磁率μSWITCHを有し、減衰磁性材料はスイッチング範囲内に最大透磁率μDAMPERを有し、μDAMPERはμSWITCHよりも小さい、条項1に記載のパルスパワー回路。
4.スイッチ磁性材料は、主にスイッチ磁性材料の-HCと+HCとの間の磁場強度のスイッチング範囲でスイッチとして動作し、スイッチ磁性材料はスイッチング範囲内に最小透磁率μSWITCHを有し、減衰磁性材料はスイッチング範囲内に最大透磁率μDAMPERを有し、μDAMPERはμSWITCHよりも小さい、条項2に記載のパルスパワー回路。
5.スイッチ磁性材料は第1の磁気直角度比を有し、減衰磁性材料は第1の磁気直角度比よりも小さい第2の磁気直角度比を有する、条項1に記載のパルスパワー回路。
6.スイッチ磁性材料は0.80よりも大きい磁気直角度比を有する、条項1に記載のパルスパワー回路。
7.減衰磁性材料は0.80よりも小さい磁気直角度比を有する、条項6に記載のパルスパワー回路。
8.減衰磁性材料は、可飽和磁気コアのうち0.50%~10%の範囲内の重量パーセントを含む、条項1に記載のパルスパワー回路。
9.減衰磁性材料は、可飽和磁気コアのうち約1%の重量パーセントを含む、条項1に記載のパルスパワー回路。
10.ハイブリッド可飽和磁気コアを有するインダクタであって、ハイブリッド可飽和磁気コアは、
磁気スイッチとして機能するように配置及び選択されたスイッチ磁性材料と、
磁気スイッチとしての第1の磁性材料の機能と干渉することなくレーザチャンバからの反射を減衰させるように配置及び選択された減衰磁性材料と、
を備える、インダクタ。
11.インダクタがバイアスポイントにバイアスされた場合、バイアスポイントにおける減衰磁性材料のヒステリシスの大きさはバイアスポイントにおけるスイッチ磁性材料のヒステリシスの大きさよりも大きい、条項10に記載のインダクタ。
12.スイッチ磁性材料は、主にスイッチ磁性材料の-HCと+HCとの間の磁場強度のスイッチング範囲でスイッチとして動作し、スイッチ磁性材料はスイッチング範囲内に最小透磁率μSWITCHを有し、減衰磁性材料はスイッチング範囲内に最大透磁率μDAMPERを有し、μDAMPERはμSWITCHよりも小さい、条項10に記載のインダクタ。
13.スイッチ磁性材料は、主にスイッチ磁性材料の-HCと+HCとの間の磁場強度のスイッチング範囲でスイッチとして動作し、スイッチ磁性材料はスイッチング範囲内に最小透磁率μSWITCHを有し、減衰磁性材料はスイッチング範囲内に最大透磁率μDAMPERを有し、μDAMPERはμSWITCHよりも小さい、条項11に記載のインダクタ。
14.スイッチ磁性材料は第1の磁気直角度比を有し、減衰磁性材料は第1の磁気直角度比よりも小さい第2の磁気直角度比を有する、条項10に記載のインダクタ。
15.スイッチ磁性材料は0.8よりも大きい磁気直角度比を有する、条項10に記載のインダクタ。
16.減衰磁性材料は0.8よりも小さい磁気直角度比を有する、条項10に記載のインダクタ。
17.減衰磁性材料は、可飽和磁気コアのうち0.5%~10%の範囲内の重量パーセントを含む、条項10に記載のインダクタ。
18.減衰磁性材料は、可飽和磁気コアのうち約1%の重量パーセントを含む、条項10に記載のインダクタ。
19.積層物に配置された複数の第1のトロイダル要素であって、磁気スイッチとして機能するように配置及び選択されたスイッチ磁性材料を含む複数の第1のトロイダル要素と、
積層物内に配置された少なくとも1つの第2のトロイダル要素であって、磁気スイッチとしてのスイッチ磁性材料の機能と干渉することなくパルスエネルギ反射を減衰させるように配置及び選択された減衰磁性材料を含む少なくとも1つの第2のトロイダル要素と、
を備えるインダクタ。
20.1巻き以上巻かれたテープで形成されたトロイドを備え、テープは巻かれた場合に半径方向断面を有し、半径方向断面は、磁気スイッチとして機能するように選択されたスイッチ材料で作製された少なくとも1つの第1の層と、磁気スイッチとしてのスイッチ磁性材料の機能と干渉することなくパルスエネルギ反射を減衰させるように選択された減衰材料で作製された少なくとも1つの第2の層と、を含む、インダクタ。
21.1対の電極を含むレーザチャンバと、
電極にパルスを供給するように配置されたパルスパワー供給システムと、を備え、パルスパワーシステムはハイブリッド可飽和コアリアクトルを含み、ハイブリッド可飽和コアリアクトルは、磁気スイッチとして機能するように配置及び選択されたスイッチ磁性材料と、磁気スイッチとしてのスイッチ磁性材料の機能と干渉することなくレーザチャンバからの反射を減衰させるように配置及び選択された減衰磁性材料と、を備える、レーザシステム。
【0048】
[0055] 以下の特許請求の範囲の範囲内で他の実施形態及び実施例が見出される。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザチャンバにパルスを供給するためのパルスパワー回路であって、前記パルスパワー回路はハイブリッド可飽和磁気コアを有するインダクタを含み、前記可飽和磁気コアは、
磁気スイッチとして機能するように配置及び選択されたスイッチ磁性材料と、
磁気スイッチとしての前記スイッチ磁性材料の機能と干渉することなく前記レーザチャンバからの反射を減衰させるように配置及び選択された減衰磁性材料と、
を備える、パルスパワー回路。
【請求項2】
前記インダクタがバイアスポイントにバイアスされた場合、前記バイアスポイントにおける前記減衰磁性材料のヒステリシスの大きさは前記バイアスポイントにおける前記スイッチ磁性材料のヒステリシスの大きさよりも大きい、請求項1に記載のパルスパワー回路。
【請求項3】
前記スイッチ磁性材料は、主に前記スイッチ磁性材料の-H
Cと+H
Cとの間の磁場強度のスイッチング範囲でスイッチとして動作し、前記スイッチ磁性材料は前記スイッチング範囲内に最小透磁率μ
SWITCHを有し、前記減衰磁性材料は前記スイッチング範囲内に最大透磁率μ
DAMPERを有し、μ
DAMPERはμ
SWITCHよりも小さい、請求項1に記載のパルスパワー回路。
【請求項4】
前記スイッチ磁性材料は、主に前記スイッチ磁性材料の-H
Cと+H
Cとの間の磁場強度のスイッチング範囲でスイッチとして動作し、前記スイッチ磁性材料は前記スイッチング範囲内に最小透磁率μ
SWITCHを有し、前記減衰磁性材料は前記スイッチング範囲内に最大透磁率μ
DAMPERを有し、μ
DAMPERはμ
SWITCHよりも小さい、請求項2に記載のパルスパワー回路。
【請求項5】
前記スイッチ磁性材料は第1の磁気直角度比を有し、前記減衰磁性材料は前記第1の磁気直角度比よりも小さい第2の磁気直角度比を有する、請求項1に記載のパルスパワー回路。
【請求項6】
前記スイッチ磁性材料は0.80よりも大きい磁気直角度比を有する、請求項1に記載のパルスパワー回路。
【請求項7】
前記減衰磁性材料は0.80よりも小さい磁気直角度比を有する、請求項6に記載のパルスパワー回路。
【請求項8】
前記減衰磁性材料は、前記可飽和磁気コアのうち0.50%~10%の範囲内の重量パーセントを含む、請求項1に記載のパルスパワー回路。
【請求項9】
ハイブリッド可飽和磁気コアを有するインダクタであって、前記ハイブリッド可飽和磁気コアは、
磁気スイッチとして機能するように配置及び選択されたスイッチ磁性材料と、
磁気スイッチとしての前記第1の磁性材料の機能と干渉することなく前記レーザチャンバからの反射を減衰させるように配置及び選択された減衰磁性材料と、
を備える、インダクタ。
【請求項10】
前記インダクタがバイアスポイントにバイアスされた場合、前記バイアスポイントにおける前記減衰磁性材料のヒステリシスの大きさは前記バイアスポイントにおける前記スイッチ磁性材料のヒステリシスの大きさよりも大きい、請求項
9に記載のインダクタ。
【請求項11】
前記スイッチ磁性材料は、主に前記スイッチ磁性材料の-H
Cと+H
Cとの間の磁場強度のスイッチング範囲でスイッチとして動作し、前記スイッチ磁性材料は前記スイッチング範囲内に最小透磁率μ
SWITCHを有し、前記減衰磁性材料は前記スイッチング範囲内に最大透磁率μ
DAMPERを有し、μ
DAMPERはμ
SWITCHよりも小さい、請求項
9に記載のインダクタ。
【請求項12】
前記スイッチ磁性材料は、主に前記スイッチ磁性材料の-H
Cと+H
Cとの間の磁場強度のスイッチング範囲でスイッチとして動作し、前記スイッチ磁性材料は前記スイッチング範囲内に最小透磁率μ
SWITCHを有し、前記減衰磁性材料は前記スイッチング範囲内に最大透磁率μ
DAMPERを有し、μ
DAMPERはμ
SWITCHよりも小さい、請求項
10に記載のインダクタ。
【請求項13】
前記スイッチ磁性材料は第1の磁気直角度比を有し、前記減衰磁性材料は前記第1の磁気直角度比よりも小さい第2の磁気直角度比を有する、請求項
9に記載のインダクタ。
【請求項14】
前記スイッチ磁性材料は0.8よりも大きい磁気直角度比を有する、請求項
9に記載のインダクタ。
【請求項15】
前記減衰磁性材料は0.8よりも小さい磁気直角度比を有する、請求項
9に記載のインダクタ。
【請求項16】
前記減衰磁性材料は、前記可飽和磁気コアのうち0.5%~10%の範囲内の重量パーセントを含む、請求項
9に記載のインダクタ。
【請求項17】
積層物に配置された複数の第1のトロイダル要素であって、磁気スイッチとして機能するように配置及び選択されたスイッチ磁性材料を含む複数の第1のトロイダル要素と、
前記積層物内に配置された少なくとも1つの第2のトロイダル要素であって、磁気スイッチとしての前記スイッチ磁性材料の機能と干渉することなくパルスエネルギ反射を減衰させるように配置及び選択された減衰磁性材料を含む少なくとも1つの第2のトロイダル要素と、
を備えるインダクタ。
【請求項18】
1巻き以上巻かれたテープで形成されたトロイドを備え、前記テープは巻かれた場合に半径方向断面を有し、前記半径方向断面は、磁気スイッチとして機能するように選択されたスイッチ材料で作製された少なくとも1つの第1の層と、磁気スイッチとしての前記スイッチ磁性材料の機能と干渉することなくパルスエネルギ反射を減衰させるように選択された減衰材料で作製された少なくとも1つの第2の層と、を含む、インダクタ。
【請求項19】
1対の電極を含むレーザチャンバと、
前記電極にパルスを供給するように配置されたパルスパワー供給システムと、を備え、前記パルスパワーシステムはハイブリッド可飽和コアリアクトルを含み、前記ハイブリッド可飽和コアリアクトルは、磁気スイッチとして機能するように配置及び選択されたスイッチ磁性材料と、磁気スイッチとしての前記スイッチ磁性材料の機能と干渉することなく前記レーザチャンバからの反射を減衰させるように配置及び選択された減衰磁性材料と、を備える、レーザシステム。
【国際調査報告】