(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-28
(54)【発明の名称】マルチチャンバ基板処理プラットフォーム
(51)【国際特許分類】
G03F 1/24 20120101AFI20231221BHJP
C23C 14/50 20060101ALI20231221BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
G03F1/24
C23C14/50 K
C23C16/44 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537480
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-08-17
(86)【国際出願番号】 US2021063754
(87)【国際公開番号】W WO2022140147
(87)【国際公開日】2022-06-30
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ガウタム, リブー
(72)【発明者】
【氏名】ジンダル, ビブー
(72)【発明者】
【氏名】バート, サンジェイ
(72)【発明者】
【氏名】チョーラグディ, プラヴィーン クマール
(72)【発明者】
【氏名】ラマチャンドラン, ビノド
(72)【発明者】
【氏名】レンガラジ, アルン
【テーマコード(参考)】
2H195
4K029
4K030
【Fターム(参考)】
2H195BA10
2H195BB25
2H195CA01
2H195CA16
2H195CA23
4K029CA05
4K029DC39
4K029KA01
4K030GA12
(57)【要約】
極紫外線(EUV)マスクブランクを含む基板を処理するように構成された基板処理システム又はプラットフォーム及び方法が開示されている。システム又はプラットフォームは、小さい設置面積、高い基板のスループットを提供し、欠陥の発生を最小限に抑える。基板処理システムプラットフォームは、単一の中央移送チャンバ、単一の移送ロボット、基板反転治具、及び単一の中央移送チャンバの周囲に配置された処理チャンバを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理プラットフォームであって、
中央ロボットハブを含む単一の中央移送チャンバであって、前記中央移送チャンバを取り囲む5つの基板処理チャンバを有し、前記中央移送チャンバ及び前記5つの基板処理チャンバは真空条件下にあり、前記5つの基板処理チャンバは、少なくとも2つのマルチカソード物理的気相堆積(PVD)チャンバ及び少なくとも1つの基板アニールチャンバと、少なくとも第1のシングルカソードPVDチャンバとを含む、単一の中央移送チャンバと、
前記単一の中央移送チャンバに配置された中央ロボットであって、前記5つの基板処理チャンバから基板をロード及びアンロードするように構成された中央ロボットと、
前記基板処理チャンバと周囲工場環境との間に配置されたファクトリインターフェースと、
前記ファクトリインターフェース内に配置され、前記5つの基板処理チャンバのうちの1つにおいて前記基板の表側及び裏側の両方に材料を堆積させることができるように、表側及び裏側を有する前記基板を180度回転させるように構成された基板反転治具と、
前記周囲工場環境から前記ファクトリインターフェース内に及び前記基板反転治具上に基板をロードするように構成されたファクトリインターフェースロボットと
を備える、基板処理プラットフォーム。
【請求項2】
第1のロードロックチャンバ及び第2のロードロックチャンバを更に備え、前記ファクトリインターフェースロボットは、前記ファクトリインターフェースと前記第1のロードロックチャンバとの間、及び前記ファクトリインターフェースと前記第2のロードロックチャンバとの間で前記基板を移送するように構成される、請求項1に記載の基板処理プラットフォーム。
【請求項3】
前記基板処理プラットフォームに、前記ファクトリインターフェースから第1のロードロックチャンバに及び第1のマルチカソードPVDチャンバに基板をロードさせ、前記基板の表側に層を堆積させ、前記第1のマルチカソードPVDチャンバから前記基板を取り出し、前記第1のロードロックチャンバ及び前記第2のロードロックチャンバのうちの一方に前記基板をロードし、次に前記ファクトリインターフェースに前記基板を移送して戻し、前記基板を180度回転させて回転した基板を提供し、前記第1のロードロックチャンバ及び前記第2のロードロックチャンバのうちの一方に前記回転した基板を移送し、第2のマルチカソードPVDチャンバに前記回転した基板をロードし、前記回転した基板の裏側に層を堆積させる命令を、実行するように構成されたコントローラを更に備える、請求項2に記載の基板処理プラットフォーム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの基板アニールチャンバの各々及び前記少なくとも1つのマルチカソードPVDチャンバの各々は、垂直開口部及びドアを有する垂直スリットバルブを含み、前記ドアは、前記垂直スリットと直交する方向に移動するように構成される、請求項2に記載の基板処理プラットフォーム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの基板アニールチャンバは、1又は複数の基板をアニールするように構成された複数基板アニールチャンバである、請求項2に記載の基板処理プラットフォーム。
【請求項6】
異なる材料層を堆積させるように構成された第2のマルチカソードPVDチャンバを更に備える、請求項2に記載の基板処理プラットフォーム。
【請求項7】
異なる材料層を堆積させるように構成された第3のマルチカソードPVDチャンバを更に備える、請求項2に記載の基板処理プラットフォーム。
【請求項8】
第2のマルチカソードPVDチャンバに隣接する第2の基板アニールチャンバを更に備え、前記第2の基板アニールチャンバは、前記中央移送チャンバと連絡している、請求項6に記載の基板処理プラットフォーム。
【請求項9】
前記基板反転治具は、基板反転プロセス中に基板を支持する可動支持治具を含む、請求項2に記載の基板処理プラットフォーム。
【請求項10】
前記基板反転治具は、表側と裏側との間の前記基板のエッジを把持するように構成された一対の把持要素を更に含み、前記把持要素は、180度回転して、表側が上方を向く第1の位置から表側が下方を向く第2の位置まで前記基板の表側を回転させるように構成される、請求項9に記載の基板処理プラットフォーム。
【請求項11】
前記基板反転治具に隣接して取り付けられたビルドモジュール治具を更に備え、前記ビルドモジュール治具は、EUVマスクブランクキャリアアセンブリを支持するように構成されており、前記EUVマスクブランクキャリアアセンブリは、キャリアベースと、EUVマスクブランクを受け入れるサイズ及び形状の開口部をその中に有するトップシールドとを含む、請求項10に記載の基板処理プラットフォーム。
【請求項12】
前記ビルドモジュール治具は、前記キャリアベースから前記トップシールドを分離させるように構成されたリフトピンを更に含む、請求項11に記載の基板処理プラットフォーム。
【請求項13】
基板処理プラットフォームにおけるEUVマスクブランク基板の処理方法であって、
ファクトリインターフェースから前記EUVマスクブランク基板を取り出して、第1のロードロックチャンバに前記EUVマスクブランク基板を移送するために、ファクトリインターフェースロボットを使用することと、
前記第1のロードロックチャンバから単一の中央移送チャンバを通して第1のマルチカソードPVDチャンバに前記EUVマスクブランクを移送するために、中央ロボットを使用することと、
前記第1のマルチカソードPVDチャンバにおいて前記EUVマスクブランク基板の表側に、複数の二層対を含む反射多層スタックを堆積させることと、
第2のマルチカソードPVDチャンバ及びシングルカソードPVDチャンバのうちの一方に前記EUVマスクブランク基板を移送するために、前記中央ロボットを用いることと、
前記第2のマルチカソードPVDチャンバ及び前記シングルカソードPVDチャンバのうちの一方において、前記反射多層スタックを堆積させた後の前記第1の基板の表側に、吸収体層を堆積させることと、
第1の基板アニールチャンバにおいて前記EUVマスクブランク基板をアニールすることと、
前記第1のロードロックチャンバ又は第2のロードロックチャンバに前記EUVマスクブランク基板を移送するために、前記中央ロボットを用いることと、
前記第1のロードロックチャンバ又は前記第2のロードロックチャンバから前記ファクトリインターフェースに、アニール後の前記EUVマスクブランク基板を移送して戻すために、前記ファクトリインターフェースロボットを用いることと、
表側が下方に向くように前記基板を180度回転させるために、前記ファクトリインターフェース内に配置された基板反転治具を用いることと、
前記第1のロードロックチャンバ又は前記第2のロードロックチャンバに前記EUVマスクブランクを移送するために、前記ファクトリインターフェースロボットを用いることと、
前記第1のロードロックチャンバ又は前記第2のロードロックチャンバから、前記単一の中央移送チャンバを通して、前記シングルカソードPVDチャンバ、前記第2のマルチカソードPVDチャンバ、及び第3のマルチカソードPVDチャンバのうちの1つに、表側が下方に向いており裏側が上方に向いている状態の前記EUVマスクブランクを移送するために、前記中央ロボットを用いることと、
前記EUVマスクブランク基板の裏側に裏側層を堆積させることと
を含む方法。
【請求項14】
前記複数の二層対はSi及びMoを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
吸収体層が前記反射多層スタック上に堆積される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記裏側層はCrNを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記基板を180度回転させる前に、前記EUVマスクブランク基板を可動支持治具で支持することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記基板反転治具は一対の把持要素を更に含み、前記一対の把持要素を使用して、表側と裏側との間の前記基板のエッジを把持し、前記可動支持治具を前記把持要素から離すように移動させ、把持アームを180度回転させて、前記基板の表側を、表側が上方を向く第1の位置から表側が下方を向く第2の位置まで回転させる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記基板反転治具に隣接して取り付けられたビルドモジュール治具上でEUVマスクブランク基板を支持することを更に含み、前記ビルドモジュール治具は、EUVマスクブランクキャリアアセンブリを支持するように構成されており、前記EUVマスクブランクキャリアアセンブリは、キャリアベースと、EUVマスクブランクを受け入れるサイズ及び形状の開口部をその中に有するトップシールドとを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ビルドモジュール治具は、前記キャリアベースから前記トップシールドを分離させるように構成されたリフトピンを更に含み、前記リフトピンを使用して前記キャリアベースから前記トップシールドを分離させて、前記EUVマスクブランク基板を露出させる、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、概して、マルチチャンバ基板処理プラットフォームに関する。特に、本開示の特定の実施形態は、低欠陥及び高スループットで、EUVマスクブランク及び300mmウエハ等の様々な基板を処理するように構成された複数の基板処理チャンバ及び2つのロードロックチャンバを含み、設置面積の小さい単一の基板処理プラットフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]軟X線投影リソグラフィとしても知られる極紫外線(EUV)リソグラフィは、0.0135ミクロン以下の最小特徴サイズの半導体デバイスの製造に使用される。一般に5~100ナノメートルの波長域にある極紫外線は、ほとんどすべての材料に強く吸収される。そのため、極紫外線システムは光の透過ではなく反射によって機能する。一連のミラー又はレンズ素子と、非反射吸収マスクパターンでコーティングされた反射素子又はマスクブランクを使用することにより、パターニングされた活性光線がレジストでコーティングされた半導体基板上に反射される。
【0003】
[0003]極紫外線リソグラフィシステムのレンズ素子及びマスクブランクは、例えば、超低熱膨張ガラス(例えば、コーニング社から入手可能なULE(登録商標)ガラス又はZerodur(登録商標)低膨張リチウムアルミノシリケートガラス)等の非常に低い熱膨張性を有する基板上に、モリブデン及びシリコン等の材料の反射多層コーティングがコーティングされる。例えば、13.5ナノメートルの紫外線に対して12.5~14.5ナノメートルのバンドパス等、非常に狭い紫外線バンドパス内の光を強く反射する多層コーティングがコーティングされた基板を使用することで、レンズ素子又はマスクブランク当たり約65%の反射値が得られている。マスクブランクには、基板の表側に少なくとも平坦化層、反射多層対、キャッピング層、吸収体層、裏側に窒化クロム等の材料層を含む複数の異なる層が異なる処理チャンバで堆積される。層の堆積には一般に、複数のチャンバが使用される。
【0004】
[0004]EUVマスクブランクは、マスクブランクの作業面積上の欠陥に対する許容度が低い。欠陥のない極紫外線マスクブランクの製造には、基板(例えば、超低熱膨張ガラス)の平坦で滑らかで欠陥のない表面が必要である。現在の基板処理システム又はプラットフォームにおける従来のEUVマスクブランク製造では、マスクブランクを基板処理システム又はプラットフォームの様々なチャンバの内外へ移動させ、様々な層を堆積させるために、複数のロボットハンドラと基板の手動ハンドオフが必要であり、その結果、欠陥が多くなり、歩留まりが低下する。また、堆積とアニール(反射多層対、キャッピング層、吸収体層、裏側コーティング等)を完了するために複数のチャンバ(又はツール)が必要になるため、基板処理システム又はプラットフォームの設置面積が大きくなり、運用コストが高くなる。300mm基板用に設計された既存の中央ロボットをEUVマスクブランク等のはるかに重いEUV基板の処理に使用すると、欠陥数が上がる原因となる。更に、基板が基板処理チャンバ又はシステム内に導入される際に開閉する現在のスリットバルブは、EUVマスクブランクの製造において許容できないほど多くの欠陥を発生させる。
【0005】
[0005]従って、欠陥を低減するために、より小さいプロファイルを有し、マスクブランクのロボットハンドラ及び手動ハンドオフがより少ないシステム又はプラットフォームであるEUVマスクブランクを処理するように構成されたマルチチャンバ基板処理システム又はプラットフォームが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本開示の1又は複数の実施形態は、基板処理プラットフォームを対象とし、基板処理プラットフォームは、中央ロボットハブを含む単一の中央移送チャンバであって、中央移送チャンバを取り囲む5つの基板処理チャンバを有し、中央移送チャンバ及び5つの基板処理チャンバは真空条件下にあり、5つの基板処理チャンバは、少なくとも2つのマルチカソード物理的気相堆積(PVD)チャンバ及び少なくとも1つの基板アニールチャンバと、少なくとも第1のシングルカソードPVDチャンバとを含む、単一の中央移送チャンバと、単一の中央移送チャンバに配置された中央ロボットであって、5つの基板処理チャンバから基板をロード及びアンロードするように構成された中央ロボットと、基板処理チャンバと周囲工場環境との間に配置されたファクトリインターフェースと、ファクトリインターフェース内に配置され、5つの基板処理チャンバのうちの1つにおいて基板の表側と裏側の両方に材料を堆積させることができるように、表側及び裏側を有する基板を180度回転させるように構成された基板反転治具と、周囲工場環境からファクトリインターフェース内に及び基板反転治具上に基板をロードするように構成されたファクトリインターフェースロボットとを備える。
【0007】
[0007]本開示の別の態様は、基板処理プラットフォームにおけるEUVマスクブランク基板の処理方法に関し、本方法は、ファクトリインターフェースからEUVマスクブランク基板を取り出して、第1のロードロックチャンバにEUVマスクブランク基板を移送するために、ファクトリインターフェースロボットを使用することと、第1のロードロックチャンバから単一の中央移送チャンバを通して第1のマルチカソードPVDチャンバにEUVマスクブランクを移送するために、中央ロボットを使用することと、第1のマルチカソードPVDチャンバにおいてEUVマスクブランク基板の表側に、複数の二層対を含む反射多層スタックを堆積させることと、第2のマルチカソードPVDチャンバ及びシングルカソードPVDチャンバのうちの一方にEUVマスクブランク基板を移送するために、中央ロボットを用いることと、第2のマルチカソードPVDチャンバ及びシングルカソードPVDチャンバのうちの一方において、反射多層スタックを堆積させた後の第1の基板の表側に、吸収体層を堆積させることと、第1の基板アニールチャンバにおいてEUVマスクブランク基板をアニールすることと、第1のロードロックチャンバ又は第2のロードロックチャンバにEUVマスクブランク基板を移送するために、中央ロボットを用いることと、第1のロードロックチャンバ又は第2のロードロックチャンバからファクトリインターフェースに、アニール後のEUVマスクブランク基板を移送して戻すために、ファクトリインターフェースロボットを用いることと、表側が下方に向くように基板を180度回転させるために、ファクトリインターフェース内に配置された基板反転治具を用いることと、第1のロードロックチャンバ又は第2のロードロックチャンバにEUVマスクブランクを移送するために、ファクトリインターフェースロボットを用いることと、第1のロードロックチャンバ又は第2のロードロックチャンバから、単一の中央移送チャンバを通して、シングルカソードPVDチャンバ、第2のマルチカソードPVDチャンバ、及び第3のマルチカソードPVDチャンバのうちの1つに、表側が下方に向いており裏側が上方に向いている状態のEUVマスクブランクを移送するために、中央ロボットを用いることと、EUVマスクブランク基板の裏側に裏側層を堆積させることとを含む。
【0008】
[0008]上述した本開示の特徴を詳細に理解できるように、一部が添付の図面に例示されている実施形態を参照しながら、上記に要約した本開示をより具体的に説明する。しかし、添付の図面は本開示の典型的な実施形態を単に示すものであり、従って、本開示の範囲を限定するものと見なすべきではなく、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】極紫外線リソグラフィ装置の実施形態を示す概略図である。
【
図2】従来のEUVマスクブランク処理プラットフォームを示す概略上面図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る基板処理プラットフォームの実施形態を示す上面図である。
【
図4】本開示の実施形態に係る基板処理プラットフォームの垂直スリットバルブを示す斜視図である。
【
図5】本開示の実施形態に係る基板処理プラットフォームの垂直スリットバルブを示す断面図である。
【
図6】本開示の実施形態に係る基板処理プラットフォームと共に使用される基板反転治具を示す斜視図である。
【
図7】本開示の実施形態に係る基板を反転させるための基板反転治具を示す斜視図である。
【
図8】本開示の実施形態に係る基板を反転させるためのロボットブレード及び基板反転治具を示す斜視図である。
【
図9】上昇位置にある、本開示の実施形態に係る基板を反転させるための基板反転治具を示す斜視図である。
【
図10】本開示の実施形態に係る基板処理プラットフォームと共に使用される中央ロボットを示す斜視図である。
【
図11】本開示の実施形態に係る基板処理プラットフォームと共に使用される中央ロボットを示す上面図である。
【
図12】本開示の実施形態に係る基板処理プラットフォームと共に使用される中央ロボットのロボットアームアセンブリを示す斜視図である。
【
図13】A及びBは、本開示の実施形態に係る基板処理プラットフォームと共に使用される中央ロボットを示す上面図である。
【
図14】本開示の実施形態に係る中央ロボットのロボットブレードを示す斜視図である。
【
図15】本開示の実施形態に係る中央移送チャンバの複数のポートのうちの1つに部分的に挿入された
図11のロボットブレードを示す断面図である。
【
図16】本開示の実施形態に係るEUVマスクブランクを示す側面図である。
【
図17】本開示の実施形態に係る方法を示すフロー図である。
【
図18】本開示の実施形態に係る方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0027]本開示の幾つかの例示的な実施形態を説明する前に、本開示は、以下の説明で示す構造又はプロセスステップの詳細に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施又は実行されることが可能である。
【0011】
[0028]本明細書で使用する「水平」という用語は、その配向にかかわらず、マスクブランクの平面又は表面に平行な面として定義される。用語「垂直」は、先ほど定義した水平と直交する方向を指す。「上方(above)」、「下方(below)」、「底部(bottom)」、「上部(top)」、「側面(side)」(「側壁」のように)、「上の(higher)」、「下の(lower)」、「上方の(upper)」、「上の(over)」、「下方の(under)」等の用語は、図に示すように、水平面に対して定義される。
【0012】
[0029]用語「上に(on)」は、要素間に直接的な接触があることを示す。用語「直接上に(directly on)」は、介在する要素がなく、要素間に直接接触があることを示す。
【0013】
[0030]本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、「前駆体」、「反応物」、「反応性ガス」等の用語は、基板表面と反応する任意のガス種を指すために互換的に使用される。
【0014】
[0031]当業者は、プロセス領域を説明するための「第1」及び「第2」等の序数の使用が、処理チャンバ内の特定の位置、又は処理チャンバ内の露出の順序を意味するものではないことを理解されよう。
【0015】
[0032]本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する用語「基板」は、プロセスが作用する表面、又は表面の一部を指す。また、基板への言及は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、基板の一部のみを指す場合があることが当業者には理解されよう。更に、幾つかの実施形態では、基板への堆積への言及は、ベア基板と、その上に1又は複数の膜又は特徴が堆積又は形成された基板の両方への堆積を含む。特定の実施形態では、基板は、EUVマスクブランク又はEUVレチクルブランクである。従って、「EUVマスクブランク」及び「EUVレチクルブランク」という語句は、プロセスが作用するEUVマスクブランク又はEUVレチクルブランクの表面、又は表面の一部を指す場合がある。幾つかの実施形態では、EUVマスクブランク又はEUVレチクルブランクへの堆積への言及は、ベアUVマスクブランク又はEUVレチクルブランクと、その上に1又は複数の膜又は特徴が堆積又は形成されたUVマスクブランク又はEUVレチクルブランクとの両方への堆積を含む。
【0016】
[0033]ここで、極紫外線リソグラフィシステム100の例示的な実施形態を示す
図1を参照する。極紫外線リソグラフィシステム100は、極紫外線光112を生成するための極紫外線光源102と、一組の反射素子と、ターゲット基板110とを含む。反射素子には、集光器104、EUV反射マスク106、光学縮小アセンブリ108、マスクブランク、ミラー、又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0017】
[0034]極紫外線光源102は、極紫外線光112を生成する。極紫外線光112は、5~50ナノメートル(nm)の範囲の波長を有する電磁放射線である。例えば、極紫外線光源102は、レーザ、レーザ生成プラズマ、放電生成プラズマ、自由電子レーザ、放射光、又はそれらの組み合わせを含む。
【0018】
[0035]極紫外線光源102は、様々な特性を有する極紫外線光112を生成する。極紫外線光源102は、波長の範囲にわたって広帯域の極紫外線放射を生成する。例えば、極紫外線光源102は、5から50nm、10から25nm、12.5nmから14.5nmの範囲、例えば13.5nmの波長を有する極紫外線光112を生成する。
【0019】
[0036]1又は複数の実施形態では、極紫外線光源102は、狭い帯域幅を有する極紫外線光112を生成する。例えば、極紫外線光源102は、13.5nmの極紫外線光112を生成する。波長ピークの中心は13.5nmである。
【0020】
[0037]集光器104は、極紫外線光112を反射及び集光するための光学ユニットである。集光器104は、EUV反射マスク106を照射するために、極紫外線光源102からの極紫外線光112を反射及び集光する。
【0021】
[0038]集光器104を単一要素として示したが、幾つかの実施形態の集光器104は、極紫外線光112を反射及び集光するために、凹面鏡、凸面鏡、平面鏡、又はそれらの組み合わせ等の1又は複数の反射素子を含むことを理解されたい。例えば、幾つかの実施形態の集光器104は、単一の凹面鏡、又は凸面、凹面、及び平坦な光学素子を有する光学アセンブリである。
【0022】
[0039]EUV反射マスク106は、マスクパターン114を有する極紫外線反射素子である。EUV反射マスク106は、ターゲット基板110上に形成すべき回路レイアウトを形成するためのリソグラフィパターンを形成する。EUV反射マスク106は、極紫外線光112を反射する。マスクパターン114は、回路レイアウトの一部を画定する。
【0023】
[0040]光学縮小アセンブリ108は、マスクパターン114の像を縮小するための光学ユニットである。EUV反射マスク106からの極紫外線光112の反射は、光学縮小アセンブリ108によって縮小され、ターゲット基板110上に反射される。幾つかの実施形態の光学縮小アセンブリ108は、マスクパターン114の像のサイズを縮小するためのミラー及び他の光学素子を含む。例えば、幾つかの実施形態の光学縮小アセンブリ108は、極紫外線光112を反射及び集光するための凹面鏡を含む。
【0024】
[0041]光学縮小アセンブリ108は、ターゲット基板110上のマスクパターン114の像のサイズを縮小する。例えば、幾つかの実施形態のマスクパターン114は、光学縮小アセンブリ108によってターゲット基板110上に4:1の比率で結像され、マスクパターン114によって表される回路をターゲット基板110上に形成する。幾つかの実施形態の極紫外線光112は、反射マスク106をターゲット基板110と同期して走査し、ターゲット基板110上にマスクパターン114を形成する。
【0025】
[0042]ここで、従来の基板処理プラットフォーム200の実施形態を示す
図2を参照する。従来の基板又はEUVマスクブランク処理プラットフォーム200は、ソース基板203、205がロードされ、EUVマスクブランク処理プラットフォーム200で処理された基板が取り出されるファクトリインターフェース202を含む。ファクトリインターフェース202に隣接して、基板処理プラットフォーム200の外側の周囲工場環境から基板処理プラットフォーム200内部の真空に基板を移送するための基板輸送ボックス204及びその他の構成要素がある。ファクトリインターフェースは、ファクトリインターフェースを制御された環境に保つために、わずかな真空圧下のエンクロージャ内にある。周囲工場環境はファクトリインターフェースの外側である。
【0026】
[0043]基板ハンドリング真空チャンバ208は、2つの真空チャンバ、第1の真空チャンバ210及び第2の真空チャンバ212を含む。第1の真空チャンバ210は第1の基板ハンドリングシステム214を含み、第2の真空チャンバ212は第2の基板ハンドリングシステム216を含む。
【0027】
[0044]基板ハンドリング真空チャンバ208は、他の様々なシステムを取り付けるための複数のポートをその周辺部に有する。第1の真空チャンバ210は、ガス抜きシステム218、第1の物理的気相堆積システム220、第2の物理的気相堆積システム222、及び前洗浄システム224を有する。ガス抜きシステム218は、基板から水分を熱的に脱離させるためのものである。前洗浄システム224は、基板、マスクブランク、ミラー、又はその他の光学部品の表面を洗浄するためのものである。
【0028】
[0045]第1の物理的気相堆積システム220及び第2の物理的気相堆積システム222等の物理的気相堆積システムは、ソース基板203上に導電性材料の薄膜を形成するために使用される。例えば、物理的気相堆積システムには、マグネトロンスパッタリングシステム、イオンスパッタリングシステム、パルスレーザ堆積、カソードアーク堆積等の真空堆積システム、又はそれらの組み合わせが含まれる。マグネトロンスパッタリングシステム等の物理的気相堆積システムは、シリコン、金属、合金、化合物、又はそれらの組み合わせの層を含む薄い層をソース基板203上に形成する。
【0029】
[0046]物理的気相堆積システムは、反射層、キャッピング層、及び吸収体層を形成する。例えば、物理的気相堆積システムは、シリコン、モリブデン、酸化チタン、二酸化チタン、酸化ルテニウム、酸化ニオブ、ルテニウムタングステン、ルテニウムモリブデン、ルテニウムニオブ、クロム、タンタル、窒化物、化合物、又はそれらの組み合わせの層を形成する。一部の化合物を酸化物として記載したが、化合物には、酸化物、二酸化物、酸素原子を有する原子混合物、又はそれらの組み合わせが含まれることを理解されたい。
【0030】
[0047]第2の真空チャンバ212には、第1のマルチカソード源226、化学気相堆積システム228、硬化チャンバ230、及び超平滑堆積チャンバ232が接続されている。例えば、化学気相堆積システム228は、流動性化学気相堆積システム(FCVD)、プラズマ化学気相堆積システム(CVD)、エアロゾルCVD、熱フィラメントCVDシステム、又は同様のシステムを含む。別の実施例では、化学気相堆積システム228、硬化チャンバ230、及び超平滑堆積チャンバ232は、従来のEUVマスクブランク処理プラットフォーム200とは別のシステムにある。
【0031】
[0048]化学気相堆積システム228は、ソース基板203上に材料の薄膜を形成する。例えば、化学気相堆積システム228は、単結晶層、多結晶層、アモルファス層、エピタキシャル層、又はそれらの組み合わせを含む材料の層をソース基板203上に形成するために使用される。幾つかの実施形態の化学気相堆積システム228は、シリコン、酸化ケイ素、酸炭化ケイ素、炭素、タングステン、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化チタン、金属、合金、及び化学気相堆積に適した他の材料の層を形成する。例えば、化学気相堆積システムは平坦化層を形成する。
【0032】
[0049]第1の基板ハンドリングシステム214は、ソース基板203を、大気ハンドリングシステムと第1の真空チャンバ210の周辺部の様々なシステムとの間で継続的に真空中を移動させることができる。第2の基板ハンドリングシステム216は、ソース基板203を継続的に真空中に維持しながら、第2の真空チャンバ212の周囲でソース基板203を移動させることができる。従来のEUVマスクブランク処理プラットフォーム200は、第1の基板ハンドリングシステム214と第2の基板ハンドリングシステム216との間で、ソース基板203を継続的に真空中を移送する。
【0033】
[0050]マルチチャンバ基板処理プラットフォームにおいて、例えばEUVマスクブランク等の両面に堆積された材料層が存在するような方法で処理される基板の製造における課題は、最小の微粒子欠陥で複数の層の堆積及びアニールを達成することである。本開示の1又は複数の実施形態は、EUVマスクブランク等の基板の両面にインシトゥで堆積させることを可能にするために、最小限のロボットによる移送、高ペイロードロボット、欠陥を低減するためのスリットバルブ設計、及びファクトリインターフェースにおける基板反転治具を備えた1つの包含システムにおいて、EUVマスクブランク等の基板の全層を堆積させるマルチチャンバ基板処理プラットフォーム又はシステムを提供する。
【0034】
[0051]1又は複数の実施形態に係る本明細書に記載のマルチチャンバ基板処理プラットフォーム及び方法は、例えば、交互二層、吸収体層(単数又は複数)、キャッピング層、及び裏側層を含む反射多層スタック等の多様な数の層の形成に対応する。更に、1又は複数の実施形態に係る本明細書に記載のマルチチャンバ基板処理プラットフォーム及び方法は、EUVマスクブランク及び従来の半導体ウエハの両方に対する高度な吸収体の形成のためのアニールチャンバ(複数可)及びPVDチャンバを収容する。1又は複数の実施形態は、欠陥の低減、高歩留まり、及び低コストでEUVマスクブランクを製造するように構成されたマルチチャンバ基板処理プラットフォームを提供する。マルチチャンバ基板処理プラットフォームは、わずか2つのロボットによる移送と1つの基板反転治具でEUVマスクブランクを製造することができ、基板の表側と裏側のアニールとコーティングを必要とする基板プロセスのすべての堆積とアニールの要件を満たすことができる。更に、マルチチャンバ基板処理プラットフォームは、材料の種類、重量、形状寸法が異なる様々な基板(例えば、300mmウエハ及びEUVマスクブランク用の152mm×152mmのULE基板)を処理することができ、次ノードの先端吸収体開発に必要なチャンバを組み込むことができる。
【0035】
[0052]EUVマスクブランクは、ミラー層(40Si/Mo二層)、キャッピング層(例えば、Ru)、基板の表側の吸収体層(複数可)(例えば、TaN)、及び基板の裏側の層(例えば、CrN)を堆積させた高品質の長方形基板(例えば、超低膨張ガラス)を含む。現在のプロセスでは、これらの層を形成するステップと基板をアニールするステップを実行するために異なるツールが必要であり、これは欠陥数を増加させ、歩留まりを低下させる。更に、より大きい設置面積を必要とする複数の異なるシステムは、運用面で不利となる。本明細書に記載のマルチチャンバ基板処理プラットフォームは、設置面積が小さく、欠陥発生が少なく、歩留まりが高い単一システムを提供する。
【0036】
[0053]本開示の1又は複数の実施形態は、欠陥が低減したEUVマスクブランク及びEUVレチクルブランクを含む様々な基板を製造するように構成されたシステム又はプラットフォームを有利に提供する。幾つかの実施形態では、EUVマスクブランクは、従来のEUVマスクブランク処理プラットフォームにおける製造と比較して、より高い歩留まり及びより低いコストで製造される。これらの利点の1又は複数は、すべての堆積及びアニール要件を満たすために、2つのロボットによる移送及び1つの基板反転治具を含むEUVマスクブランク処理システムプラットフォーム等の基板処理システム又はプラットフォームによって達成される。具体的な実施形態では、基板処理プラットフォーム又はシステム又はEUVマスクブランク処理システム又はプラットフォームは、2つ以上の中央ロボットを利用せず、具体的な実施形態では、ロボットによる移送を行うために単一の中央ロボットを利用する。1又は複数の実施形態では、本明細書に記載のプラットフォーム又はシステムは、処理システム又はプラットフォームでの処理中にEUVマスクブランク基板等の基板を回転させるための1つを超えない基板反転治具を備える。更に、基板処理システム又はプラットフォームの1又は複数の実施形態は、材料の種類、重量、及び形状寸法が異なる様々な基板(例えば、300mmウエハ、超低膨張基板を含む152mm×152mmのEUVマスクブランク)を処理するように構成することが可能であり、次ノードの先端EUV吸収体開発に必要なチャンバを組み込むことができる。
【0037】
[0054]更に、本開示の1又は複数の実施形態は、EUVマスク又はEUVレチクル開発のための全ての堆積及びアニールステップを1つのシステムで実行するように構成された基板処理システム又はプラットフォームを有利に提供し、複数のロボットによる移送又は手動移送(例えば、ツール間(又はチャンバ間))によって引き起こされるEUVマスク又はEUVレチクル上の欠陥発生を低減する。幾つかの実施形態では、高ペイロード真空移送設計及び垂直スリットバルブ設計は、欠陥の発生を低減させ、その結果、EUVマスク及びEUVレチクルを高い歩留まりで製造する。幾つかの実施形態では、基板処理システム又はプラットフォームは、例えば、従来の300mmウエハ、EUVマスクブランク基板及びEUVレチクルブランク等、1又は複数の種類の基板用に構成される。
【0038】
[0055]
図3に示すように、基板処理システム又はプラットフォーム300の実施形態は、中央移送チャンバ310を含み、この中央移送チャンバ310は幾つかの実施形態では、基板処理システム又はプラットフォーム300における唯一又は単独又は単一の中央移送チャンバ310である。言い換えれば、1つを超える中央移送チャンバ310は存在せず、単一の中央移送チャンバ310は、中央ロボットハブ312に取り付けられた単一の中央ロボット500(
図10~
図14に詳細に示す)を含む。単一の中央移送チャンバ310に配置された中央ロボット500は、基板処理チャンバ362、364、366、368、及び370から基板をロード及びアンロードするように構成される。図示の実施形態では、5つの基板処理チャンバがあるが、本明細書でより詳細に説明するように、基板処理システム又はプラットフォーム300は、5つ以下の基板処理チャンバを含む。
【0039】
[0056]基板処理システム又はプラットフォーム300は更に、基板処理チャンバと、そこから基板がロードされる周囲工場環境303との間に配置されたファクトリインターフェース302を備える。1又は複数の実施形態では、ファクトリインターフェース302は、基板反転治具400を備えたデュアルファクトリインターフェースとして構成され、これは、以下に更に説明するように、基板処理プラットフォーム又はシステムが任意の基板(例えば、直径300mmのウエハ及びEUVマスクブランク(例えば、152mm×152mmのマスクブランク))の両側に堆積させることを可能にするように構成される。幾つかの実施形態では、以下に更に詳細に説明するように、単一の中央ロボット500は、1kgのペイロードを支持するように構成され、キャリアベース及びトップシールドを含むEUVマスクブランクキャリアアセンブリを使用して処理されるEUVマスクブランク基板を支持して移送するのに適している。基板反転治具400(以下に更に詳細に説明する)は、ファクトリインターフェース302内に配置され、基板処理チャンバの1つにおいて基板の表側及び裏側の両方に層を堆積させることができるように、表側及び裏側を有する基板を180度回転させるように構成される。ファクトリインターフェース302は更に、複数のロードポート304を備え、ロードポートのうちの一方は、300mmウエハ等の1つの種類の基板をロードするように構成されていてよく、ロードポートのうちの他方は、EUVマスクブランクキャリアアセンブリと共にEUVマスクブランク等の別の種類の基板をロードするように構成され得る。
【0040】
[0057]ファクトリインターフェース302と基板処理チャンバ362、364、366、368、及び370との間には、真空条件下にある第1のロードロックチャンバ332と第2のロードロックチャンバ334とがある。ファクトリインターフェースは、エンクロージャ348によって周囲工場環境から隔離される。第1のロードロックチャンバ332と第2のロードロックチャンバ334は、ファクトリインターフェース302と中央移送チャンバ310との間に配置され、ファクトリインターフェース302から基板処理チャンバ362、364、366、368、及び370への中間移送空間となるように構成される。以下に更に詳細に説明するように、基板反転治具400は、基板を180度反転又は回転させるように構成される。周囲工場環境303からファクトリインターフェース302内に、また基板反転治具400上に基板をロードするように構成されたファクトリインターフェースロボット352がある。
【0041】
[0058]幾つかの実施形態では、ファクトリインターフェースロボット352は、ファクトリインターフェース302と第1のロードロックチャンバ332との間で、及びファクトリインターフェース302と第2のロードロックチャンバ334との間で基板を移送するように構成される。ファクトリインターフェースロボット352は、幾つかの実施形態では更に、
図7に関して更に説明するように、EUVマスクブランク基板及びEUVマスクブランクキャリアアセンブリの処理に利用される第1のビルドモジュール治具450及び第2のビルドモジュール治具451の内外へ基板をロード及びアンロードするように構成される。
【0042】
[0059]中央移送チャンバ310は、処理チャンバ362、364、366、368、及び370間の全ての移送が行われる基板ハンドリング真空チャンバとして構成され、全て真空条件下にある、中央移送チャンバ310を取り囲む基板処理チャンバ362、364、366、368、及び370間の全ての移送のために単一の中央ロボット500を有することによって、小さい設置面積を有し、ロボットによる移送を低減させたプラットフォームを提供する。中央移送チャンバ310は、中央ロボットハブ312上に配置された中央に位置する中央ロボット500(
図10~
図14に関して更に説明)を含む。以下に更に詳細に説明するように、中央ロボット500は、所定の経路に沿って基板をロード及び移送するように構成される。幾つかの実施形態では、中央ロボット500は、時計回りの経路で基板をロード及び移送するように構成される。幾つかの実施形態では、中央ロボットは、反時計回りの経路で基板をロード及び移送するように構成される。幾つかの実施形態では、中央ロボット500は、2つ以上の処理チャンバ362、364、366、368、及び370の間で基板をロード及び移送するように構成される。
【0043】
[0060]中央移送チャンバ310は、2つ以上の処理チャンバ362、364、366、368及び370の各々又は他の様々なシステムの構成要素と連絡する複数のポート380(
図12参照)をその周辺部に有する。幾つかの実施形態では、処理チャンバ362、364、366、368及び370は、マルチカソード物理的気相堆積(PVD)チャンバ、基板アニールチャンバ、ガス抜きチャンバ及び前洗浄チャンバを含む。ガス抜きチャンバは、基板から熱的に水分を脱離させるためのものであり、前洗浄チャンバは、基板の表面を洗浄するためのものである。2つ以上の処理チャンバ362、364、366、368、及び370が、中央移送チャンバ310の周辺部に配置される。
【0044】
[0061]
図3に示すように、第1のマルチカソードPVDチャンバ362は、中央移送チャンバ310と連絡し、第1のロードロックチャンバ332に隣接している。第1の基板アニールチャンバ364は、中央移送チャンバと連絡し、第1のマルチカソードPVDチャンバ362に隣接している。幾つかの実施形態では、第2のマルチカソードPVDチャンバ366が第1の基板アニールチャンバ364に隣接して配置され、第2の基板アニールチャンバ368が第2のマルチカソードPVDチャンバ366に隣接して配置される。第2のマルチカソードPVDチャンバ366及び第2の基板アニールチャンバ368は各々、ポート380を通して中央移送チャンバ310と連絡している。幾つかの実施形態では、第2の基板アニールチャンバ368は第2のロードロックチャンバ334に隣接している。幾つかの実施形態では、第2の基板アニールチャンバ368は第3のマルチカソードPVDチャンバ370に隣接しており、第3のマルチカソードPVDチャンバは中央移送チャンバ310と連絡し、第2のロードロックチャンバ334に隣接して配置されている。
【0045】
[0062]幾つかの実施形態では、1又は複数のアニールチャンバ(364、368)は、1又は複数の基板をアニールするように構成された複数基板アニールチャンバである。幾つかの実施形態では、マルチカソードPVDチャンバ(362、366、370)のうちの1又は複数は、1又は複数の基板に1又は複数の異なる層を堆積させるように構成されたマルチカソードPVDチャンバである。幾つかの実施形態では、アニールチャンバ(364、368)のうちの1又は複数及びマルチカソードPVDチャンバ(362、366、370)のうちの1又は複数が、中央ロボット500から1又は複数の基板を受け入れるように構成された基板支持面を有する1又は複数の領域を含む。幾つかの実施形態では、5つの基板処理チャンバ362、364、366、368、370は、少なくとも2つのマルチカソード物理的気相堆積(PVD)チャンバ、シングルカソードPVDチャンバ、及び少なくとも1つの基板アニールチャンバ、並びに異なる層を堆積させるように構成された少なくとも第1のマルチカソードPVDチャンバを含む。
【0046】
[0063]幾つかの実施形態では、処理チャンバ362、364、366、368は、吸収体(TaN)、裏側(CrN)及びアニールチャンバを含む。幾つかの実施形態では、マルチカソードPVDチャンバ(362、366、370)のうちの1又は複数は、高機能吸収体マルチカソード堆積チャンバを含む。
【0047】
[0064]幾つかの実施形態では、マルチカソードPVDチャンバ(362、366、370)のうちの1又は複数は、複数のカソードアセンブリを含むPVDチャンバとして構成される。複数のカソードアセンブリは、上部シールドのシールド孔の上方に配置される。複数のカソードアセンブリの各々は、1又は複数のターゲットを含み、1又は複数のターゲットからレチクル又は基板上に材料を堆積させるように構成される。幾つかの実施形態では、PVDチャンバには回転ぺデスタルも配設されている。このような実施形態では、PVDチャンバは、上部シールドを回転させることなく、1又は複数のターゲットから交互に材料をスパッタするように構成される。
【0048】
[0065]幾つかの実施形態では、1又は複数のターゲットは、モリブデンターゲット及びシリコンターゲットを含む。プラズマスパッタリングは、PVDチャンバにおいてDCスパッタリング又はRFスパッタリングのいずれかを使用して達成することができる。幾つかの実施形態では、プロセスチャンバは、RF及びDCエネルギーを各カソードアセンブリに関連するターゲットに結合させるための供給構造を含む。
【0049】
[0066]
図4及び
図5は、中央移送チャンバ310と基板処理チャンバ362、364、366、368及び370の各々との間のインターフェースを提供するポート380の例示的な実施形態であり、図示の実施形態では、基板処理チャンバの各々に対してポート380が存在する。図示の実施形態では、ポート380は垂直スリットバルブ381として構成されている。
図4は、垂直スリットバルブ381を示す斜視図であり、
図5は、垂直スリットバルブ381を示す断面図である。
図4及び
図5に示すように、中央移送チャンバ310のチャンバ壁311には、基板が通過する垂直開口部382が形成されている。矢印で示すように、ドア384は垂直開口部382と直交する方向に移動する。別の言い方をすれば、ドア384は中央移送チャンバ310のチャンバ壁311に対して平行に移動する。従来のポートに比べドア384の移動距離が短いため、ドア384が完全に閉じたときに生じる衝撃が少なく、従って粒子の発生が最小限に抑えられる。
【0050】
[0067]
図6は、ファクトリインターフェース302のエンクロージャ348内に配置された基板反転治具400を示す斜視図である。前述したように、材料の層が、基板処理チャンバ362、364、366、368、370のうちの1つにおいてEUVマスクブランク基板等の基板の第1の側(例えば、表側)に堆積され、次いで、基板が中央ロボット500によって、中央移送チャンバ310に、次いでファクトリインターフェース302に取り出され、ここで基板は、表側が下方を向き、底側が上方を向くように180度反転又は回転される。
【0051】
[0068]移送及び処理中の移送のすべてが粒子発生の潜在的な原因であるため、ファクトリインターフェース302内に基板反転治具400を統合することにより、不必要な追加のハンドリング及び別のシステムへの基板の移送が減り、粒子の低減に役立つ。幾つかの実施形態では、基板反転治具400は、ファクトリインターフェース302内に位置するビルドモジュール治具の上方に取り付けられる。
【0052】
[0069]基板反転治具400は、垂直スライド404を支持するベース402と、垂直スライド404の上方に配置されたモータ406とを含む。一対の把持要素408、409が、基板の表側616fと裏側616bとの間で基板616(例えば、EUVマスクブランク)のエッジ616eを把持するように構成される。把持要素408、409は、図示のように、離間したアームの形態であってよく、基板616を把持又は保持するために互いに接近して閉じ、基板616を解放するために更に離間して開くことができる。把持要素408、409は、ゴム又はプラスチック等の材料のブロックを含む把持特徴を含み得る。把持要素408、409は、モータ406によって駆動されて矢印410、412の方向に180度回転し、基板616の表側616fを、表側616fが上方を向く第1の位置から、表側616fが下方を向き、裏側616bが上方を向く第2の位置まで回転させるように構成される。
【0053】
[0070]基板反転治具400は更に、離間され、基板反転又は回転プロセス中に基板616を支持するように構成された2つの支持アーム420を含む可動支持治具422を含む。可動支持治具422は、垂直スライド404に沿って上下方向に移動し、幾つかの実施形態では、モータ406によって動力を供給される。基板反転治具の動作サイクルは、基板反転治具400が基板616を受け入れたときに開始し、基板616は、図示の実施形態では、以下に更に説明するように、ファクトリインターフェースロボット352からのEUVマスクブランク基板である。
【0054】
[0071]ここで、基板反転又は回転プロセスの様々な段階を示す
図7~
図9を参照する。
図7は、ファクトリインターフェース302における第1のビルドモジュール治具450に隣接して配置された基板反転治具400を示す斜視図である。
図7において、第1のビルドモジュール治具450は、キャリアベース462と、その中に、
図15に示すEUVマスクブランク基板465(例えば、152mm×152mmの長さ×幅寸法を有するEUVマスクブランク)を受け入れるように構成された開口部466を有するトップシールド464とを含むマスクブランクキャリアアセンブリ460の構成要素がより良く見えるような位置に示されていることが理解されよう。ビルドモジュール治具450は、主支持本体470と、複数のリフトピン468(
図7では1本のみ見える)とを含む。ビルドモジュール治具450は、ビルドモジュール治具450が可動支持治具422の下方の位置に取り付けられるように、ファクトリインターフェース内のフレーム又はその他の適切な構造に取り付けることができる。リフトピン468は、空気圧、油圧又はモータ(例えば、サーボモータ)アクチュエータによって作動させることができ、これにより、トップシールド464がキャリアベース462から持ち上げられ、EUVマスクブランクキャリアアセンブリによって支持され、開口部内に収容された基板616が露出する。カバートップシールド464を持ち上げると基板616が露出するので、反転又は回転プロセス中に基板を可動支持治具422に移動させるロボットブレードによって基板にアクセスすることができる。
【0055】
[0072]
図8は、(
図3の)ファクトリインターフェースロボット352に取り付けられたファクトリインターフェースロボットブレード353を示す斜視図である。ファクトリインターフェースロボットブレード353は、ファクトリインターフェースロボット352が基板反転治具400の様々な構成要素、すなわち可動支持治具422及び一対の把持要素408、409に対して基板616を持ち上げたり下げたりできるように、矢印692によって示すように、また矢印690によって示す方向に上下に移動可能である。
図8に示すように、基板616の表側616fは上向きであり、裏側616bは下向きである。
【0056】
[0073]
図9は、
図8に示す基板を180度回転させた後に、一対の把持要素408、409が可動支持治具422の上方の上昇した位置に基板616を保持した状態の基板反転治具400を示す図である。このとき、裏側616bは上向きとなり、表側616fは下向きとなっている。ここで、可動支持治具422を一対の把持要素408、409の近くに移動させることができ、スタンドオフ412a、412b、412c、及び412dが基板616に接触すると、把持要素408、409が離間する。次に、ファクトリインターフェースロボットブレード353を使用して基板を取り出し、基板をロードロックチャンバ332、334の一方に載置して戻す。次に、基板の裏側616bに材料層を堆積させることができるように、中央ロボット500が基板処理チャンバに基板を移動させる。
【0057】
[0074]工程において、ファクトリインターフェースロボット352は、
図8に示すように、可動支持治具422の支持アーム420上のスタンドオフ412a、412b、412c及び412d上にEUVマスクブランクの形態の基板616を配置する。次に、可動支持治具422を上方に移動させ、一対の把持要素408、409が基板のエッジ616eを把持する位置に来るようにする。一対の把持要素408、409は、可動支持治具が一対の把持要素408、409に近づくように移動する工程の間は離間するように移動していてよく、それから一対の把持要素408、409は、基板616をエッジ616eで把持するために互いに近づくように移動し得る。
【0058】
[0075]各把持要素408、409は、モータ406と通信して、モータが基板を把持及び解放することを可能にする把持要素センサ432a、432bを有していてよい。把持要素センサ432a、432bは、コントローラ351と通信しており、このコントローラは、中央ロボット500及びファクトリインターフェースロボット352を含む基板処理システム又はプラットフォーム300の動作を制御する命令を実行するように構成される。支持アームセンサ432c、432dも、可動支持治具422の上方及び下方への移動を制御するために、コントローラと通信している。
【0059】
[0076]
図10から
図15は、中央ロボット500の例示的な実施形態を示す図である。半導体基板処理チャンバにおいて300mmウエハをハンドリングするために使用される従来のロボットアームは、1又は複数の個別の移送作業用に構成される。更に、従来のロボットアームは、アームの重量ペイロード及びアームのリーチによって制限される。特定の用途において、より大きいペイロードとアームのリーチが要求される場合、ロボットの早期摩耗、粒子の発生、垂れ下がりが起きる可能性がある。記載の中央ロボット500は、有利なことに、39.5インチのリーチで1kgの荷重を支持する一方で、垂れ下がりを減らし、粒子及び汚染物質の発生を少なくする。
【0060】
[0077]前述したように、(
図3の)中央移送チャンバ310は、中央ロボットハブ312上に配置された中央に位置する中央ロボット500を含む。
図10は、中央ロボット500を示す斜視図であり、
図11は、中央ロボット500を示す上面図である。
図10及び
図11に示すように、中央ロボット500は、中央ロボットハブ312、ロボットアームアセンブリ510、ベースエンドエフェクタ550及びロボットブレード570を含む。ロボットアームアセンブリは、x-y平面で伸縮し、x-y平面はz平面を横切る。
【0061】
[0078]中央ロボットハブ312は、実質的に円筒形の本体502と、上面504と、上面504をZ平面で横切る中心軸501とを有する。ロボットアームアセンブリ510は、第1のアーム512、第2のアーム522、第1のリンケージ532及び第2のリンケージ542を備える。幾つかの実施形態では、中央ロボットハブ312は、第1の回転ディスク506及び第2の回転ディスク508を更に備える。第1の回転ディスク506は上面504に隣接し、第2の回転ディスク508は第1の回転ディスク506に隣接する。第1及び第2の回転ディスク(506、508)は、反対方向に回転するように構成される。第1の回転ディスク506は厚みと外面を有し、第2の回転ディスク508は厚みと外面を有する。中央ロボットハブ312、第1の回転ディスク506及び第2の回転ディスク508は、共通の中心軸501を有する。
【0062】
[0079]
図12に示すように、第1のアーム512は近位端部514及び遠位端部516を有し、近位端部514はロボットハブ(図示せず)に取り付けられる。本明細書で使用する近位方向はロボットハブに最も近い位置として定義され、遠位方向はロボットハブから最も遠い位置として定義される。同様に、第2のアーム522は、近位端部524及び遠位端部526を有し、近位端部524は、ロボットハブ(図示せず)に取り付けられる。第1のリンケージ532は、近位端部534及び遠位端部536を有し、近位端部534は、第1のアーム512の遠位端部516に接続される。第2のリンケージ542は、近位端部544及び遠位端部546を有し、近位端部544は、第2のアーム522の遠位端部526に接続される。幾つかの実施形態では、第1のアーム512の近位端部514は、第1の回転ディスク506の外面に取り付けられ、第2のアーム522の近位端部524は、第2の回転ディスク508の外面に取り付けられる。
【0063】
[0080]ベースエンドエフェクタアセンブリ550は、中間端部552及び側方端部554を有する。中間端部552は、第1のリンケージ532の遠位端部536に接続され、側方端部554は、第2のリンケージ542の遠位端部546に接続される。遠位部分576は、レチクル又はEUVマスクブランク基板を支持するように構成される。幾つかの実施形態では、ベースエンドエフェクタ550は、屈曲プレート556及びカバー558を備え、屈曲プレート及びカバーは、ロボットブレードを固定するように構成される。
【0064】
[0081]
図11及び
図14に最もよく示すように、ロボットブレード570はエンドエフェクタアセンブリから延在ずる。ロボットブレード570は、厚さを画定する上面580及び底面(図示せず)を有する。ロボットブレード570は、エンドエフェクタアセンブリに取り付けられた近位端部574を有する近位部分572と、遠位端部578を有する遠位部分576とを含む。遠位部分576は、レチクル又は基板616が着座する領域を画定する。幾つかの実施形態では、遠位部分576は、遠位部分576に沿って延在する複数のリブ582を含む。幾つかの実施形態では、遠位部分576は、ノッチ584を有する。
図14に最もよく示すように、ノッチ584は、遠位端部578から距離D1に位置するピーク586を有する。幾つかの実施形態では、ピーク586の距離D1は、12インチより大きい。
【0065】
[0082]
図11は、完全に引き込まれた位置にある中央ロボット500を図示する。
図13Aは、完全に伸長した位置にある中央ロボットを図示し、中央ロボット500は、ロボットブレード570のノッチ584のピーク586に着座したレチクル又は基板616を有する。
図13Bは、完全に伸長した位置にある中央ロボットを図示する。中央ロボット500のリーチRは、中央ロボットハブ312の共通中心軸501とノッチ584のピーク586との間の距離によって定義され、リーチはx-y平面に延在する。レチクル又は基板616がピーク586に着座する場合、レチクル又は基板616の中心軸91はピーク586の上に位置決めされる。
【0066】
[0083]幾つかの実施形態では、完全に伸長した位置における中央ロボット500の最大リーチRは39インチより大きい。幾つかの実施形態では、完全に引き込まれた位置における中央ロボット500の最小リーチRは12インチである。
【0067】
[0084]中央ロボット500の掃引直径は、中央ロボット500が完全に引き込まれた位置にあるときに、中央ロボットハブ312の共通中心軸501から中央ロボット500の最も遠い点までとして定義される。
図11に示すように、本実施形態では、ロボットブレード570の長さにより、最も遠い点は、中央ロボットハブ312の共通中心軸501からロボットブレード570の遠位端部578までである。本実施形態では、掃引直径は、37.4インチ未満である。より短いロボットブレード570を有する幾つかの実施形態では、最も遠い点は、共通中心軸501から第1及び第2のアーム512、522の遠位端部526、516までである。
【0068】
[0085]
図15は、ロボットブレード570上に着座したレチクル又は基板616を有するロボットブレード570を示す断面図であり、ロボットブレード570は、中央移送チャンバ310の複数のポート380のうちの1つに部分的に挿入されている。レチクル又は基板616の重量が1kgであり、完全に伸長した位置における中央ロボット500の最大リーチが39インチより大きいため、z-x平面における中央ロボット500の垂れ下がりは、中央移送チャンバ310の複数のポート380のうちの1つに挿入されたロボットブレード570の通過に影響を及ぼし得る。
【0069】
[0086]幾つかの実施形態では、ロボットブレード570の遠位端部578は、中央ロボット500が1kgの荷重下にある間、完全に伸長した中央ロボット500の最大リーチにわたって、中央ロボットハブ312の共通中心軸501に対してz方向に0.1975インチ未満だけ撓む。中央ロボット500の垂下比は、中央ロボット500が1kgの荷重下にある状態で、完全に伸長した中央ロボット500の最大リーチにわたる、中央ロボットハブ312の共通中心軸501に対するz方向の遠位端部578の撓みとして定義される。幾つかの実施形態では、垂下比は0.005である。
【0070】
[0087]幾つかの実施形態では、ベースエンドエフェクタ(図示せず)は、完全に伸長した中央ロボット500の最大リーチにわたって、中央ロボットハブ312の共通中心軸501に対して0.0165インチ未満だけ撓み、中央ロボット500は1kgの荷重下にある。
【0071】
[0088]1又は複数の実施形態によれば、中央ロボット500は、最小の撓み及びより長いリーチのために設計されたロボットアーム及びブレードを備える。ロボットアームのリンケージは、約1キログラムの荷重を担持するブレードを支持するように設計されている。新しいロボットアームのリンケージは、使用中に発生する粒子が少なく、垂れ下がりが少なくなるように設計されている。動作プロファイル、特にロボットの加速と減速は、アセンブリの動作の振動が少なく、粒子の発生が少なくなるように調整されている。
【0072】
[0089]新しいリンケージの設計及び新しい動作プロファイルによる調整により、改良されたロボットは、最小の粒子発生及び垂れ下がりで、より高いペイロード及びより長いリーチをハンドリングすることができる。EUVマスクブランク基板の移送中に粒子の発生を抑えながら、より重いEUVマスクブランク基板とキャリアアセンブリをハンドリングすることは、EUVマスクブランクの製造にとって有益である。
【0073】
[0090]幾つかの実施形態では、コントローラ351は、基板処理プラットフォームに、ファクトリインターフェースから第1のロードロックチャンバ及び第1のマルチカソードPVDチャンバに基板をロードさせ、基板の表側に層を堆積させ、第1のマルチカソードPVDチャンバから基板を取り出させ、第1のロードロックチャンバ及び第2のロードロックチャンバのうちの1つに基板をロードさせ、その後、ファクトリインターフェースに基板を移送させて戻し、基板を180度回転させて回転した基板を提供させ、第1のロードロックチャンバ及び第2のロードロックチャンバのうちの1つに回転した基板を移送させ、第1のマルチカソードPVDチャンバ、第2のマルチカソードPVDチャンバ、及びシングルカソードPVDチャンバのうちの1つに回転した基板をロードさせて回転した基板の裏側に層を堆積させる命令を実行するように構成される。
【0074】
[0091]図示のように単一のコントローラ351が存在していてよい、又は複数のコントローラが存在していてよい。複数のコントローラがある場合、各コントローラは、基板処理システム又はプラットフォーム300の全体的な機能を制御するために、他の各コントローラと通信する。例えば、複数のコントローラが利用される場合、一次制御プロセッサが、システムを制御するために、他のコントローラの各々に結合され、通信する。コントローラは、様々なチャンバ及びサブプロセッサを制御するために産業環境で使用され得る、汎用コンピュータプロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ等の任意の形態の1つである。本明細書で使用する「通信する、通信している」とは、コントローラが有線通信ラインを介して又は無線で信号を送受信できることを意味する。
【0075】
[0092]各コントローラは、プロセッサと、プロセッサに結合されたメモリと、プロセッサに結合された入出力デバイスと、異なる電子部品間の通信を提供するための支援回路とを含み得る。メモリは、一過性メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ)及び非一過性メモリ(例えば、ストレージ)のうちの1又は複数を含み、プロセッサのメモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、又はローカルもしくはリモートの任意の他の形態のデジタルストレージ等の容易に入手可能なメモリのうちの1又は複数であり得る。メモリ394は、システムのパラメータ及び構成要素を制御するためにプロセッサ392によって操作可能な命令セットを保持することができる。支援回路は、従来の方法でプロセッサをサポートするためにプロセッサに結合される。回路は、例えば、キャッシュ、電源、クロック回路、入出力回路、サブシステム等を含み得る。
【0076】
[0093]本明細書に記載の方法は、概して、プロセッサによって実行されると、プロセスチャンバに本開示のプロセスを実行させるソフトウェアルーチンとしてメモリに記憶され得る。ソフトウェアルーチンはまた、プロセッサによって制御されたハードウェアから遠隔に位置する第2のプロセッサによって記憶及び/又は実行され得る。1又は複数の実施形態では、本開示の方法の一部又は全ては、制御されたハードウェアである。このように、幾つかの実施形態では、プロセスは、ソフトウェアによって実装され、コンピュータシステムを使用して、例えば、特定用途向け集積回路又は他のタイプのハードウェア実装態様としてのハードウェアにおいて、又はソフトウェア及びハードウェアの組み合わせとして実行される。ソフトウェアルーチンは、プロセッサによって実行されると、汎用コンピュータを、プロセスが実行されるようにチャンバの動作を制御する特定目的のコンピュータ(コントローラ)に変換する。
【0077】
[0094]幾つかの実施形態では、コントローラ351は、ファクトリインターフェース302、処理チャンバ362、364、366、368、370、及び中央移送チャンバ310内に配置された中央ロボット500の回転を制御するように構成される。
【0078】
[0095]極紫外線反射素子602の実施形態を示す
図16を参照する。1又は複数の実施形態では、極紫外線反射素子602は、EUVマスクブランク又はEUVミラーである。EUVマスクブランク及びEUVミラーは、
図1の極紫外線光112を反射するための構造である。
【0079】
[0096]極紫外線反射素子602は、基板604、反射層の反射多層スタック606、及びキャッピング層608を含む。反射多層スタック606は、例えば波長13.5nmのEUV放射を反射する。1又は複数の実施形態では、
図1の集光器104又は
図1の光学縮小アセンブリ108で使用するための反射構造を形成するために、極紫外線ミラーが使用される。
【0080】
[0097]幾つかの実施形態ではEUVマスクブランクである極紫外線反射素子602は、基板604、シリコン及びモリブデンの交互層を含む反射層の反射多層スタック606、及びオプションのキャッピング層608を含む。幾つかの実施形態における極紫外線反射素子602は、EUVマスクブランクであり、これは、パターニングによって
図1の反射マスク106を形成するために使用される。以下のセクションにおいて、EUVマスクブランクの用語は、簡略化のために極紫外線ミラーの用語と互換的に使用される。
【0081】
[0098]EUVマスクブランクは、マスクパターン114を有する反射マスク106を形成するために使用される光学的に平坦な構造である。1又は複数の実施形態では、EUVマスクブランクの反射面は、
図1の極紫外線光112等の入射光を反射するための平坦な焦点面を形成する。
【0082】
[0099]基板604は、極紫外線反射素子602に構造的支持を提供するための要素である。1又は複数の実施形態では、基板604は、温度変化中の安定性を提供するために、低い熱膨張係数(CTE)を有する材料から作られる。1又は複数の実施形態では、基板504は、機械的サイクル、熱サイクル、結晶形成、又はそれらの組み合わせに対する安定性等の特性を有する。1又は複数の実施形態による基板604は、シリコン、ガラス、酸化物、セラミック、ガラスセラミック、又はそれらの組み合わせ等の材料から形成される。
【0083】
[00100]反射多層スタック606は、極紫外線光112に対して反射性を有する構造である。反射多層スタック606は、第1の反射層612及び第2の反射層614の交互の反射層を含む。第1の反射層612及び第2の反射層614は反射対618を形成する。非限定的な実施形態では、多層スタック606は、20から60の範囲の反射対618、つまり合計最大120の反射層を含む。
【0084】
[00101]1又は複数の実施形態に係る第1の反射層612及び第2の反射層614は、様々な材料から形成される。実施形態では、第1の反射層612及び第2の反射層614は、それぞれシリコン及びモリブデンから形成される。幾つかの実施形態の第1の反射層612及び第2の反射層614は、様々な構造を有する。実施形態では、第1の反射層612及び第2の反射層614の両方が、単層、多層、分割層構造、不均一構造、又はそれらの組み合わせで形成される。ほとんどの材料は極紫外線波長で光を吸収するため、使用される光学素子は、他のリソグラフィシステムで使用されるような透過性ではなく反射性である。反射多層スタック606は、異なる光学特性を持つ材料の薄層を交互に重ねて反射構造を形成し、ブラッグリフレクタ又はミラーを作成する。
【0085】
[00102]1又は複数の実施形態に係る反射多層スタック606は、様々な方法で形成される。実施形態では、第1の反射層612及び第2の反射層614は、マグネトロンスパッタリング、イオンスパッタリングシステム、パルスレーザ堆積、カソードアーク堆積、又はそれらの組み合わせで形成される。
【0086】
[00103]例示的な実施形態では、反射多層スタック606は、マグネトロンスパッタリング等の物理的気相堆積技法を用いて形成される。実施形態では、反射多層スタック606の第1の反射層612及び第2の反射層614は、正確な厚さ、低い粗さ、及び層間のきれいな接合面を含むマグネトロンスパッタリング技法によって形成される特性を有する。実施形態では、反射多層スタック606の第1の反射層612及び第2の反射層614は、正確な厚さ、低い粗さ、及び層間のきれいな接合面を含む物理的気相堆積によって形成される特性を有する。
【0087】
[00104]物理的気相堆積技法を用いて形成された反射多層スタック606の層の物理的寸法は、反射率を高めるために正確に制御される。実施形態では、シリコンの層等の第1の反射層612は、4.1nmの厚さを有する。モリブデンの層等の第2の反射層614は、2.8nmの厚さを有する。層の厚さは、極紫外線反射素子の反射率のピーク波長を決定する。層の厚さが正しくない場合、幾つかの実施形態の所望の波長13.5nmにおける反射率が低下する。
【0088】
[00105]1又は複数の実施形態では、キャッピング層608は、極紫外線光112の透過を可能にする保護層である。実施形態では、キャッピング層608は、反射多層スタック606上に直接形成される。1又は複数の実施形態では、キャッピング層608は、反射多層スタック606を汚染物質及び機械的損傷から保護する。一実施形態では、反射多層スタック606は、酸素、炭素、炭化水素、又はそれらの組み合わせによる汚染に敏感である。実施形態に係るキャッピング層608は、汚染物質と相互作用してそれらを中和する。
【0089】
[00106]ここで、方法700を示す
図17を参照する。1又は複数の実施形態では、基板処理プラットフォームにおけるEUVマスクブランク基板の処理方法700は、710において、EUVマスクブランク基板の表側に反射多層スタックを堆積させることを含む。720において、EUVマスクブランクをアニールする。730において、反射多層スタック上に吸収体層を堆積させる。オプションとして、吸収体層を堆積させる前に、反射多層スタック上にキャッピング層を堆積させることができる。740において、EUVマスクブランクを180度回転又は反転させる。基板を反転させた後、750において、EUVマスクブランクの裏側にCrN等の裏側層を堆積させる。760において、EUVマスクブランクをアニールすることができる。
【0090】
[00107]
図18は、方法800の別の実施形態を開示する。802において、本方法は、ファクトリインターフェースからEUVマスクブランク基板を取り出して、第1のロードロックチャンバにEUVマスクブランク基板を移送するために、ファクトリインターフェースロボットを使用することを含む。803において、本方法は、第1のロードロックチャンバから単一の中央移送チャンバを通して第1のマルチカソードPVDチャンバにEUVマスクブランクを移送するために、中央ロボットを使用することを含む。804において、本方法は、第1のマルチカソードPVDチャンバにおいてEUVマスクブランク基板の表側に、複数の二層対を含む反射多層スタックを堆積させることを含む。806において、第2のマルチカソードPVDチャンバにEUVマスクブランク基板を移送するために、中央ロボットを使用する。808において、第2のマルチカソードPVDチャンバにおいて反射多層スタックを堆積させた後に、第1の基板の表側に吸収体層を堆積させ、808において、第1の基板アニールチャンバにおいてEUVマスクブランク基板をアニールする。
【0091】
[00108]810において、本方法は、第1のロードロックチャンバ又は第2のロードロックチャンバにEUVマスクブランク基板を移送するために、中央ロボットを用いることを含む。812において、本方法は、アニール後に、第1のロードロックチャンバ又は第2のロードロックチャンバからファクトリインターフェースにEUVマスクブランク基板を移送して戻すために、ファクトリインターフェースロボットを用いることを含む。814において、本方法は、表側が下方に向くように基板を180度回転させるために、ファクトリインターフェースに配置された基板反転治具を用いることを含む。工程816において、本方法は、第1のロードロックチャンバ又は第2のロードロックチャンバにEUVマスクブランクを移送するために、ファクトリインターフェースロボットを用いることを含む。818において、本方法は、第1のロードロックチャンバ又は第2のロードロックチャンバから単一の中央移送チャンバを通して第1のマルチカソードPVDチャンバ、第2のマルチカソードPVDチャンバ、及びシングルカソードPVDチャンバのうちの1つに、表側が下方に向いており、裏側が上方に向いているEUVマスクブランクを移送するために、中央ロボットを用いること、そしてその後、EUVマスクブランク基板の裏側に裏側層を堆積させることを含む。
【0092】
[00109]本方法の1又は複数の実施形態では、複数の二層対は、Si及びMoを含む。1又は複数の実施形態では、吸収体層は反射多層スタック上に堆積される。1又は複数の実施形態では、裏側層はCrNを含む。幾つかの実施形態における方法は、基板を180度回転させる前に、EUVマスクブランク基板を可動支持治具で支持することを含む。本方法の幾つかの実施形態では、基板反転治具は、一対の把持要素を更に含み、本方法は、一対の把持要素を使用して、表側と裏側との間の基板のエッジを把持し、可動支持治具を把持要素から離すように移動させ、把持アームを180度回転させて、基板の表側を、表側が上方を向く第1の位置から表側が下方を向く第2の位置まで回転させることを含む。
【0093】
[00110]本方法の実施形態は、基板反転治具に隣接して取り付けられたビルドモジュール治具上のEUVマスクブランク治具を含んでいてよく、ビルドモジュール治具は、キャリアベースと、EUVマスクブランクを受け入れるサイズ及び形状を有する開口部をその中に有するトップシールドとを含むEUVマスクブランクキャリアアセンブリを支持するように構成される。1又は複数の実施形態では、本方法は、ビルドモジュール治具が、キャリアベースからトップシールドを分離させるように構成されたリフトピンを更に含み、リフトピンを使用してキャリアベースからトップシールドを分離させて、EUVマスクブランク基板を露出させることを含む。
【0094】
[00111]本明細書全体で言及する、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1又は複数の実施形態」、又は「実施形態」は、その実施形態に関連して記載する特定の特徴、構造、材料、又は特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書中の様々な箇所における「1又は複数の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「1つの実施形態では」、又は「実施形態では」等の句の出現は、必ずしも本開示の同じ実施形態を指すとは限らない。更に、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、1又は複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることが可能である。
【0095】
[00112]本明細書の開示を、特定の実施形態を参照しながら説明してきたが、これらの実施形態は、本開示の原理及び適用の単なる例示であることを理解されたい。本開示の主旨及び範囲から逸脱することなく、本開示の方法及び装置に様々な修正及び変更を加えることができることが、当業者には明らかであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内にある修正及び変更を含むことが意図されている。
【国際調査報告】