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特表2024-500356スーパーコンフォーマルな酸化ゲルマニウム膜
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  • 特表-スーパーコンフォーマルな酸化ゲルマニウム膜 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】スーパーコンフォーマルな酸化ゲルマニウム膜
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20231226BHJP
   C23C 16/40 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
H01L21/316 X
C23C16/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023535426
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 US2021062877
(87)【国際公開番号】W WO2022125944
(87)【国際公開日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】17/119,655
(32)【優先日】2020-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ホイユアン
(72)【発明者】
【氏名】ロイ, サスミット シンハー
(72)【発明者】
【氏名】越澤 武仁
(72)【発明者】
【氏名】チー, ポー
(72)【発明者】
【氏名】マリック, アブヒジット バス
【テーマコード(参考)】
4K030
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA05
4K030AA14
4K030AA17
4K030BA09
4K030BA42
4K030FA10
4K030JA03
4K030JA06
4K030JA09
4K030JA10
4K030LA12
5F058BA09
5F058BB01
5F058BB04
5F058BB06
5F058BC02
5F058BD04
5F058BF04
5F058BF22
5F058BF29
5F058BF37
5F058BJ06
5F058BJ07
(57)【要約】
酸化ゲルマニウムを含むコーティング膜を形成するための方法が開示される。幾つかの実施形態では、膜が基板の表面のフィーチャに対してスーパーコンフォーマルである。膜は、基板表面をゲルマニウム前駆体と酸化剤とに同時に曝露することによって堆積される。ゲルマニウム前駆体は、間欠的に流されてよい。基板はまた、スーパーコンフォーマルな膜内の酸素の相対的な濃度を高めるために、第2の酸化剤にも曝露されてよい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スーパーコンフォーマルな膜を堆積させるための方法であって、酸化ゲルマニウムを含むスーパーコンフォーマルな膜を堆積させるために、少なくとも1つのフィーチャを含む基板表面を、ゲルマニウム前駆体及び第1の酸化剤に曝露することを含み、前記少なくとも1つのフィーチャは、側壁によって規定される開口幅を有し、前記基板の中にある深さ延在し、前記スーパーコンフォーマルな膜は、前記フィーチャの外側の前記基板表面上の第2の厚さよりも大きい前記側壁上の第1の厚さを有する、方法。
【請求項2】
前記開口幅は、50nmから200nmの範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記深さと前記開口幅との間の比が、2から10の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ゲルマニウム前駆体は、ゲルマン(GeH4)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ゲルマニウム前駆体は、水素を更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ゲルマンに対する前記水素の比が、5から20の範囲である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の酸化剤は、亜酸化窒素(N2O)、酸素ガス(O2)、オゾン(O3)、又は水(H2O)のうちの1以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ゲルマニウム前駆体に対する前記第1の酸化剤の比が、100から500の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、プラズマの使用なしに実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、100Torrから500Torrの範囲の圧力で実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記基板は、400℃から600℃の範囲の温度で維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記スーパーコンフォーマルな膜は、0.5から1の範囲の酸素に対するゲルマニウムの原子比率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記基板表面は、前記第1の酸化剤に絶え間なく曝露され、前記ゲルマニウム前駆体に間欠的に曝露される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ゲルマニウム前駆体は、33%以下のデューティーサイクルを有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ゲルマニウム前駆体を流していない間、前記基板表面を第2の酸化剤に曝露することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の酸化剤は、N2Oから本質的に成り、前記第2の酸化剤は、O2から本質的に成る、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記スーパーコンフォーマルな膜は、0.2から1の範囲の酸素に対するゲルマニウムの原子比率を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記スーパーコンフォーマルな膜は、前記フィーチャの外側の前記基板表面上の前記スーパーコンフォーマルな膜の厚さの3倍以上の大きさの前記側壁上の厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
スーパーコンフォーマルな膜を堆積させるための方法であって、酸化ゲルマニウムを含むスーパーコンフォーマルな膜を堆積させるために、少なくとも1つのフィーチャを含む基板表面を、第1の酸化剤の絶え間のない流れと、ゲルマニウム前駆体と第2の酸化剤の交互の流れとに曝露することを含み、前記少なくとも1つのフィーチャは、側壁によって規定される開口幅を有し、前記基板の中へある深さ延在し、前記ゲルマニウム前駆体と前記第2の酸化剤は、各々、25%以下のデューティーサイクルを有し、前記スーパーコンフォーマルな膜は、前記フィーチャの外側の前記基板表面上の第2の厚さよりも大きい前記側壁上の第1の厚さを有する、方法。
【請求項20】
前記第1の酸化剤は、N2Oから本質的に成り、前記第2の酸化剤は、O2から本質的に成る、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示の実施形態は、広くは、酸化ゲルマニウム材料を形成するための方法に関する。特に、本開示の実施形態は、酸化ゲルマニウムを含むスーパーコンフォーマル(super-conformal)な膜を形成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 酸化ゲルマニウムは、半導体製造においてますます重要な材料になっている。ゲルマニウムは、シリコンのように14族元素であるため、ゲルマニウム含有材料は、しばしば、それらのシリコンベースの類似物と同様な特性を有する。半導体製造における酸化ケイ素の普及に伴い、酸化ゲルマニウム、その特性、及び様々な処理スキームで酸化ゲルマニウム材料を形成するための方法に関心が集まっている。
【0003】
[0003] 関心がある1つのスキームは、基板フィーチャ(例えば、ビアやトレンチなど)のライナーや他のコーティングを堆積させることである。これらの材料は、パターニング用途においてスペーサとして有用であってよい。酸化ゲルマニウム用のほとんどの堆積方法は、比較的平坦な基板表面にブランケット膜を提供する。しかし、今後の半導体製造では、構造物や既存のフィーチャ内に膜を形成することが求められる。
【0004】
[0004] したがって、基板のフィーチャにコンフォーマル又はスーパーコンフォーマルな酸化ゲルマニウム材料を堆積させる新規な方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 本開示の1以上の実施形態は、スーパーコンフォーマルな膜を堆積させるための方法を対象とする。該方法は、酸化ゲルマニウムを含むスーパーコンフォーマルな膜を堆積させるために、少なくとも1つのフィーチャを含くむ基板表面を、ゲルマニウム前駆体及び第1の酸化剤に曝露することを含む。少なくとも1つのフィーチャは、側壁によって規定される開口幅を有し、基板の中へある深さ延在する。スーパーコンフォーマルな膜は、フィーチャの外側の基板表面上の第2の厚さよりも大きい側壁上の第1の厚さを有する。
【0006】
[0006] 本開示の更なる実施形態は、スーパーコンフォーマルな膜を堆積させるための方法を対象とする。該方法は、酸化ゲルマニウムを含むスーパーコンフォーマルな膜を堆積させるために、少なくとも1つのフィーチャを含む基板表面を、第1の酸化剤の絶え間のない流れと、ゲルマニウム前駆体と第2の酸化剤の交互の流れとに曝露することを含む。少なくとも1つのフィーチャは、側壁によって規定される開口幅を有し、基板の中へある深さ延在する。ゲルマニウム前駆体と第2の酸化剤は、各々、25%以下のデューティーサイクルを有する。スーパーコンフォーマルな膜は、フィーチャの外側の基板表面上の第2の厚さよりも大きい側壁上の第1の厚さを有する。
【0007】
[0007] 上述した本開示の特徴を詳細に理解できるように、一部が添付の図面に例示されている実施形態を参照しながら、上記に短く要約した本開示をより具体的に説明する。しかし、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを例示しており、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容し得るので、添付の図面は、本開示の範囲を限定すると見なすべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の1以上の実施形態による、処理前のフィーチャを有する例示的な基板を示す。
図2】本開示の1以上の実施形態による、間隙充填材を形成するための処理後の例示的な基板を示す。
図3】本開示の1以上の実施形態による、スーパーコンフォーマルな膜を形成するための処理後の例示的な基板を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0011] 本開示の幾つかの例示的な実施形態を説明する前に、本開示が以下の説明で提示される構造又はプロセスステップの詳細に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態も可能であり、様々な方法で実施又は実行することができる。
【0010】
[0012] 本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される「基板」という用語は、処理が作用する表面又は表面の一部分を表している。これも当業者には当然のことであるが、基板に対して言及がなされるとき、文脈上他のことが明示されない限り、基板の一部分のみを指す場合がある。更に、基板上への堆積に対して言及がなされるとき、それは、ベア基板と、1以上の膜又は特徴が堆積又は形成された基板と、の両方を意味し得る。
【0011】
[0013] 本明細書で使用する「基板」とは、製造プロセス中にフィルム処理が実行される任意の基板又は基板上に形成された材料表面のことを指す。例えば、処理が実施され得る基板表面には、用途に応じて、シリコン、酸化ケイ素、ストレインドシリコン、シリコン・オン・インシュレータ(SOI:silicon on insulator)、炭素がドープされた酸化ケイ素、アモルファスシリコン、ドープされたシリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイアといった材料、並びに、金属、金属窒化物、金属合金、及びその他の導電性材料といった任意の他の材料が含まれる。基板は、半導体ウエハを含むが、それに限定されるものではない。基板は、基板表面を、研磨、エッチング、還元、酸化、ヒドロキシル化、アニール、UV硬化、電子ビーム(eビーム)硬化、及び/又はベークするために、前処理プロセスを受けてよい。基板の表面自体に直接膜処理を行うことに加えて、本開示では、開示されている膜処理ステップのうちの任意のものが、より詳細に後述されるように、基板上に形成された下層に対して実行されることもあり、「基板表面(substrate surface)」という用語は、文脈が示すように、そのような下層を含むことを意図している。したがって、例えば基板表面上に膜/層又は部分的な膜/層が堆積している場合には、新たに堆積した膜/層の露出面が基板表面になる。
【0012】
[0014] 図1は、フィーチャ110を有する基板100の断面図を示している。本開示は、少なくとも1つのフィーチャを含む基板及び基板表面に関する。図1は、例示目的で単一のフィーチャ110を有する基板100を示しているが、2つ以上のフィーチャが存在し得ることを当業者は理解するだろう。フィーチャ110の形状は、トレンチ、円筒形状のビア、又は矩形状のビアを含む、任意の適切な形状であり得るが、それらに限定されるものではない。
【0013】
[0015] これに関して使用されるときに、「フィーチャ」という用語は、任意の意図的な表面の不規則性を意味する。フィーチャの適切な実施例は、非限定的に、上部、2つの側壁、及び下部を有するトレンチ、並びに、下部なしに上部及び2つの側壁を有するピークを含む。以下で説明されるように、フィーチャは、任意の適切なアスペクト比(フィーチャの幅に対するフィーチャの深さの比)を有し得る。
【0014】
[0016] 基板100は、基板表面120を有する。少なくとも1つのフィーチャ110は、基板表面120内に開口部を形成する。フィーチャ110は、基板表面120(上面とも呼ばれる)から下面112へ深さD延在する。フィーチャ110は、第1の側壁114及び第2の側壁116を有する。図1で示されているフィーチャは、平行な側壁114、116を有するが、フィーチャの幅は、フィーチャ110の上部開口におけるフィーチャの幅Wによって規定されることが最も多い。この測定値は、開口幅とも呼ばれてよい。側壁114、116及び下部112によって形成されるオープンエリアは、間隙とも呼ばれる。
【0015】
[0017] 本開示の1以上の実施形態は、欠陥を実質的に有さない間隙充填材を堆積させるための方法を対象とする。本開示の幾つかの実施形態は、(1以上の)継ぎ目を実質的に有さない間隙充填材を堆積させる。本開示の幾つかの実施形態は、(1以上の)ボイドを実質的に有さない間隙充填材を堆積させる。本開示の幾つかの実施形態は、有利なことに、プラズマなしに間隙充填材を堆積させる。本開示の幾つかの実施形態は、有利なことに、別の高密度化ステップを使用することなしに間隙充填材を堆積させる。
【0016】
[0018] 本開示の1以上の実施形態は、スーパーコンフォーマルな膜を堆積させるための方法を対象とする。本開示の幾つかの実施形態は、上面よりも側壁及び/又は下部により大きな厚さを有するスーパーコンフォーマルな膜を堆積させる。本開示の幾つかの実施形態は、有利なことに、プラズマなしにスーパーコンフォーマルな膜を堆積させる。本開示の幾つかの実施形態は、有利なことに、別のエッチングプロセスを使用することなしにスーパーコンフォーマルな膜を堆積させる。
【0017】
[0019] 図2を参照すると、本開示の幾つかの実施形態は、基板100のフィーチャ110内に間隙充填材210を堆積させるための方法に関する。幾つかの実施形態では、間隙充填材210が、非限定的に継ぎ目やボイドを含む欠陥を実質的に有さない。幾つかの実施形態では、間隙充填材210が、継ぎ目を実質的に有さない。幾つかの実施形態では、間隙充填材210が、ボイドを実質的に有さない。
【0018】
[0020] 本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるときに、継ぎ目は、フィーチャ110の側壁の間でフィーチャ内に形成される間隙又は亀裂であるが、必ずしも2つの側壁間の中央にあるわけではない。理論に束縛されることなしに、フィーチャの側壁から成長した膜の格子構造が、フィーチャの中心付近で出会うときに調和しない場合、継ぎ目が形成されることがある。
【0019】
[0021] 本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるときに、ボイドは、間隙充填材210がフィーチャ110内で堆積しなかった空きエリアである。理論に束縛されることなしに、間隙充填材がフィーチャを完全に充填し得る前に、フィーチャの上部付近で材料がより速く堆積し、フィーチャの開口部を塞ぐと、ボイドがしばしば形成される。残っている充填されないスペースがボイドである。
【0020】
[0022] これに関して使用されるときに、「継ぎ目を実質的に有さない」又は「ボイドを実質的に有さない」という用語は、フィーチャの側壁間のスペース内で形成される材料が存在しない、任意の結晶性の不規則又は閉じたスペースが、フィーチャの断面積の約1%未満であることを意味する。
【0021】
[0023] 図3を参照すると、本開示の幾つかの実施形態は、基板100のフィーチャ110内にスーパーコンフォーマルな膜310を堆積させることに関する。スーパーコンフォーマルな膜310は、フィーチャ110の外側の基板表面120上の上部厚さTTよりも大きい、側壁114、116上の側壁厚さT及び/又は下面112上の下部厚さTを有する。幾つかの実施形態では、TとTとの間の比が、1.2以上、1.5以上、2以上、3以上、又は4以上である。幾つか実施形態では、TとTとの間の比が、1.2以上、1.5以上、2以上、3以上、又は4以上である。
【0022】
[0024] 間隙充填材210を堆積させるための方法は、フィーチャ110内に間隙充填材210を堆積させるために、少なくとも1つのフィーチャ110を含む基板100及び基板表面120を、ゲルマニウム前駆体及び第1の酸化剤に曝露することを含む。間隙充填材210は、酸化ゲルマニウムを含む。
【0023】
[0025] スーパーコンフォーマルな膜310を堆積させるための方法は、フィーチャ110内にスーパーコンフォーマルな膜310を堆積させるために、少なくとも1つのフィーチャ110を含む基板100及び基板表面120を、ゲルマニウム前駆体及び第1の酸化剤に曝露することを含む。スーパーコンフォーマルな膜310は、酸化ゲルマニウムを含む。
【0024】
[0026] 間隙充填材210を堆積させるための方法及びスーパーコンフォーマルな膜310を堆積させる方法は、幾つかの点で同様である。本開示の残りの部分は、これらのプロセスについての更なる詳細を提供する。明確に特定される場合を除き、提供される詳細は、間隙充填材210とスーパーコンフォーマルな膜310の堆積の両方に関する。
【0025】
[0027] 間隙充填材210の堆積では、幾つかの実施形態で、フィーチャ110が、10nmから30nm、10nmから20nm、15nmから30nm、20nmから30nm、又は25nmから30nmの範囲の開口幅を有する。幾つかの実施形態では、フィーチャ110が、2から10、2から5、又は5から10の範囲のアスペクト比(開口幅で割った深さ)を有する。幾つかの実施形態では、アスペクト比が、2.5から3.5の範囲又は7.5から8.5の範囲である。
【0026】
[0028] 理論に束縛されることなしに、間隙充填材210は、より狭い開口幅を有するフィーチャ上に堆積されたときに、わずかに流動可能であり、毛細管力の影響を受け易いと考えられている。より狭い開口部によって、継ぎ目又はボイドを実質的に有さない間隙充填材210を形成するために、間隙充填材210がフィーチャ110の中に引き込まれることになる可能性が高くなる。
【0027】
[0029] スーパーコンフォーマルな膜310の堆積では、幾つかの実施形態で、フィーチャ110が、50nmから200nm、80nmから120nm、50nmから100nm、又は100nmから200nmの範囲の開口幅を有する。幾つかの実施形態では、フィーチャ110が、2から10、2から5、又は5から10の範囲のアスペクト比(開口幅で割った深さ)を有する。幾つかの実施形態では、アスペクト比が、4.5から5.5の範囲である。
【0028】
[0030] 間隙充填材210とは対照的に、スーパーコンフォーマルな膜310は、典型的には、比較的広い開口幅を有するフィーチャ上に堆積される。このより広い幅は、スーパーコンフォーマルな膜310によって経験される毛細管効果を低減させ、スーパーコンフォーマルな膜310が、フィーチャ110の下部に流れることなしに、フィーチャ表面の各々に留まることを可能にする。
【0029】
[0031] 基板100又は基板表面120は、ゲルマニウム前駆体と第1の酸化剤に同時に曝露される。これに関して、間隙充填材210及び/又はスーパーコンフォーマルな膜310を堆積させるために、ゲルマニウム前駆体と第1の酸化剤が気相で反応することになることを、当業者は理解するだろう。
【0030】
[0032] ゲルマニウム前駆体は、酸化ゲルマニウムの間隙充填材を堆積させるために任意の適切な化合物を含んでよい。幾つかの実施形態では、ゲルマニウム前駆体が、ゲルマン(GeH4)及び/又はジゲルマン(Ge2H6)のうちの1以上を含む。
【0031】
[0033] 幾つかの実施形態では、ゲルマニウム前駆体が、水素ガス(H2)を更に含む。幾つかの実施形態では、ゲルマンに対する水素ガスの比が、5から20、7から15、又は8から12の範囲である。幾つかの実施形態では、ゲルマニウム前駆体が、水素ガス内の10%のゲルマンから本質的に成る。これに関して使用されるときに、述べられたガス又はガスの混合物「から本質的に成る」プロセスガスは、任意の不活性キャリア又は希釈ガスを除き、モルベースで95%よりも上、98%よりも上、99%よりも上、又は99.5%よりも上の述べられたガス若しくはガスの混合物を含む。
【0032】
[0034] 第1の酸化剤は、酸化ゲルマニウムの間隙充填材に酸素原子を供給することができる任意の酸素供給化合物であってよい。幾つかの実施形態では、第1の酸化剤が、亜酸化窒素(N2O)、酸素ガス(O2)、オゾン(O3)、又は水(H2O)のうちの1以上を含む。幾つかの実施形態では、第1の酸化剤が、亜酸化窒素(N2O)から本質的に成る。
【0033】
[0035] 幾つかの実施形態では、ゲルマニウム前駆体と第1の酸化剤との比が制御される。幾つかの実施形態では、間隙充填材210を堆積させるときに、ゲルマニウム前駆体に対する第1の酸化剤の比が、5から200、10から100、10から50、又は30から50の範囲である。幾つかの実施形態では、スーパーコンフォーマルな膜310を堆積させるときに、ゲルマニウム前駆体に対する第1の酸化剤の比は、50から2000、100から1000、100から500、又は300から500の範囲である。
【0034】
[0036] 幾つかの実施形態では、基板100又は基板表面120が、第1の酸化剤に絶え間なく曝露され、ゲルマニウム前駆体に間欠的に曝露される。異なる言い方をすると、幾つかの実施形態では、方法が、パルス状にされたCVDタイプの方法である。その場合、チャンバの中に、一方の反応物を絶え間なく流し、他方の反応物を規則的な間隔でパルス状にして流す。幾つかの実施形態では、基板100又は基板表面120が、第1の酸化剤とゲルマニウム前駆体に同時に曝露される前のある期間にわたり、第1の酸化剤に曝露される。
【0035】
[0037] ゲルマニウム前駆体が間欠的に又はパルス状に流される場合、ゲルマニウム前駆体の流れがアクティブである時間の割合は、デューティーサイクルとして説明されてよい。幾つかの実施形態では、ゲルマニウム前駆体のデューティーサイクルが、50%以下、33%以下、25%以下、又は10%以下である。
【0036】
[0038] 堆積サイクルの長さは、任意の適切な長さであってよい。幾つかの実施形態では、サイクル長さが、10秒から60秒の範囲、又は15秒から50秒の範囲である。したがって、ゲルマニウム前駆体のパルスの長さは、1秒から30秒の範囲である。
【0037】
[0039] 幾つかの実施形態では、ゲルマニウム前駆体が流れていないときに、基板100又は基板表面120が第2の酸化剤に曝露される。幾つかの実施形態では、第1の酸化剤と第2の酸化剤は、組成が異なる。幾つかの実施形態では、第2の酸化剤が、亜酸化窒素(N2O)、酸素ガス(O2)、オゾン(O3)、又は水(H2O)のうちの1以上を含む。幾つかの実施形態では、第1の酸化剤が、亜酸化窒素(N2O)から本質的に成り、第2の酸化剤が、酸素ガス(O2)から本質的に成る。
【0038】
[0040] 幾つかの実施形態では、ゲルマニウム前駆体と第2の酸化剤に対する曝露時間が略等しい。幾つかの実施形態では、ゲルマニウム前駆体と第2の酸化剤が、略同じ長さの期間によって分離される。幾つかの実施形態では、基板が、第1の酸化剤の絶え間のない流れ、25%の堆積サイクルにわたるゲルマニウム前駆体パルス、25%の堆積サイクルにわたる第1の休止、25%の堆積サイクルにわたる第2の酸化剤パルス、及び25%の堆積サイクルにわたる第2の休止を含む、堆積サイクルに曝露される。
【0039】
[0041] 幾つかの実施形態では、間隙充填材210を堆積させる方法が、プラズマの使用なしに実行される。幾つかの実施形態では、スーパーコンフォーマルな膜310を堆積させる方法が、プラズマの使用なしに実行される。別の言い方をすれば、本開示の方法は、プラズマベースの反応物が存在しない熱プロセスである。
【0040】
[0042] 処理環境の圧力もまた、制御されてよい。幾つかの実施形態では、方法が、100Torrから500Torrの範囲、200Torrから500Torrの範囲、250Torrから400Torrの範囲、又は280Torrから350Torrの範囲の圧力で実行される。
【0041】
[0043] 基板100の温度もまた、制御されてよい。幾つかの実施形態では、基板100が、400℃から600℃の範囲、450℃から550℃の範囲、400℃から500℃の範囲、又は500℃から600℃の範囲の温度で維持される。
【0042】
[0044] 間隙充填材210とスーパーコンフォーマルな膜310は、幾つかの同様な材料特性を共有する。幾つかの実施形態では、酸素に対するゲルマニウムの原子比率が、0.2から1の範囲、0.2から0.5の範囲、0.5から1の範囲、0.7から1の範囲、又は0.7から0.9の範囲である。
【0043】
[0045] 理論に束縛されることなしに、上述されたような第2の酸化剤の使用は、酸化ゲルマニウム材料の相対的な酸素含有量を増加させると考えられている。したがって、開示される方法によって堆積された間隙充填材210又はスーパーコンフォーマルな膜310は、第2の酸化剤が使用されるときに、酸素に対するゲルマニウムの比較的低い原子比率を有することになる。
【0044】
[0046] 本開示の1以上の実施形態は、酸化ゲルマニウムを除去又はエッチングする方法を対象とする。幾つかの実施形態では、酸化ゲルマニウムが選択的に除去される。これに関して使用されるときに、選択的な除去プロセスは、ターゲット材料(例えば、酸化ゲルマニウム)が、周囲の材料よりも迅速に除去されるものである。幾つかの実施形態では、酸化ゲルマニウムを除去するための方法が、酸化ケイ素又は窒化ケイ素のうちの1以上に対して選択的である。幾つか実施形態では、選択性(GeOxのエッチング速度/SiO又はSiNのエッチング速度)が、10以上、20以上、50以上、又は100以上である。
【0045】
[0047] 幾つかの実施形態では、酸化ゲルマニウムを除去するための方法が、酸化ゲルマニウムを水溶液に曝露することを含む。幾つかの実施形態では、水溶液が過酸化水素(H2O2)を更に含む。
【0046】
[0048] 幾つかの実施形態では、水溶液が酸性である。幾つかの実施形態では、水溶液が硫酸(H2SO4)を含む。幾つかの実施形態では、水溶液が塩基性である。幾つかの実施形態では、水溶液が、NaOH又はNH4OHのうちの1以上を含む。幾つかの実施形態では、水溶液が0.05MのNaOHから本質的に成る。
【0047】
[0049] 幾つかの実施形態では、水溶液が、酸化ゲルマニウムの除去を促進するために加熱される。幾つかの実施形態では、水溶液が、60℃から100℃の範囲、70℃から90℃の範囲、65℃から75℃の範囲、又は85℃から95℃の範囲の温度に加熱される。
【0048】
[0050] この明細書全体を通じて、「一実施形態(one embodiment)」、「特定の実施形態(certain embodiments)」、「1以上の実施形態(one or more embodiments)」、又は「実施形態(an embodiment)」に対する言及は、実施形態に関連して説明されている特定のフィーチャ、構造、材料、又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。故に、この明細書全体の様々な箇所での「1以上の実施形態で」、「特定の実施形態で」、「一実施形態で」、又は「実施形態で」などの表現は、必ずしも、本開示の同一の実施形態に言及するものではない。更に、特定の特徴、構造、材料、又は特質は、1以上の実施形態において、任意の適切なやり方で組み合わされ得る。
【0049】
[0051] 本明細書の開示は特定の実施形態を参照して説明されているが、これらの実施形態は、本開示の原理及び用途の例示にすぎないことを理解されたい。本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、本開示の方法及び装置に対して様々な改変及び変形を行い得ることが、当業者には明らかになろう。ゆえに、本発明は、付随する特許請求の範囲及びその均等物に含まれる改変例及び変形例を含むことが意図されている。
図1
図2
図3
【国際調査報告】