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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-09
(54)【発明の名称】フォトレジスト除去剤組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/42 20060101AFI20231226BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20231226BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20231226BHJP
   C11D 1/00 20060101ALI20231226BHJP
   C11D 3/34 20060101ALI20231226BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
G03F7/42
H01L21/30 572B
H01L21/304 647A
C11D1/00
C11D3/34
C11D3/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023535670
(86)(22)【出願日】2021-12-13
(85)【翻訳文提出日】2023-07-05
(86)【国際出願番号】 EP2021085370
(87)【国際公開番号】W WO2022128844
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】63/125,666
(32)【優先日】2020-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ウー・ヘンペン
(72)【発明者】
【氏名】レニー・デイヴィッド
【テーマコード(参考)】
2H196
4H003
5F146
5F157
【Fターム(参考)】
2H196AA25
2H196BA01
2H196BA10
2H196BA11
2H196CA05
2H196LA03
4H003AA01
4H003DA09
4H003DA12
4H003DA15
4H003DB01
4H003DC02
4H003EB06
4H003EB22
4H003ED30
4H003FA04
5F146MA02
5F157AA64
5F157AA93
5F157BC04
5F157BC12
5F157BC54
5F157BD02
5F157BE12
5F157BF22
5F157BF32
5F157BF33
5F157BF34
5F157BF48
5F157BF52
5F157BF53
5F157BF54
5F157BF58
5F157BF59
5F157BF63
5F157CB02
5F157DB03
(57)【要約】
構造(I)を有する少なくとも一種のスルホサリチル酸類、またはそれの水和物、または構造(I)を有するスルホサリチル酸類とそれの水和物との混合物、
アセトン、及びメチルエチルケトン、またはこれらの溶剤の混合物から選択される主溶剤;
任意に、グリコール酸誘導体または少なくとも二種のグリコール酸誘導体の混合物である副溶剤、及び
任意に、界面活性剤;
を含む組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造(I)を有する少なくとも一種のスルホサリチル酸類、それの水和物、またはこのスルホサリチル酸類とその水和物との混合物のうちの一つ;
アセトン、及びメチルエチルケトン、またはこれらの溶剤の混合物から選択される主溶剤;
任意に、グリコール酸誘導体または少なくとも二種のグリコール酸誘導体の混合物である副溶剤、及び
任意に、界面活性剤;
から本質的になる組成物。
【化1】
【請求項2】
構造(I)を有する少なくとも一種のスルホサリチル酸類、それの水和物、またはこのスルホサリチル酸類とその水和物との混合物のうちの一つ;
アセトン、及びメチルエチルケトン、またはこれらの溶剤の混合物から選択される主溶剤;
任意に、グリコール酸誘導体または少なくとも二種のグリコール酸誘導体の混合物である副溶剤、及び
任意に、界面活性剤;
からなる、請求項1に記載の組成物。
【化2】
【請求項3】
構造(I)を有する少なくとも一種のスルホサリチル酸類、それの水和物、またはこのスルホサリチル酸類とその水和物との混合物のうちの一つ;
アセトン、及びメチルエチルケトン、またはこれらの溶剤の混合物から選択される主溶剤;及び
グリコール酸誘導体、または少なくとも二種のグリコール酸誘導体の混合物である副溶剤、
から本質的になる、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
構造(I)を有する少なくとも一種のスルホサリチル酸類、それの水和物、またはこのスルホサリチル酸類とその水和物との混合物のうちの一つ;
アセトン、及びメチルエチルケトン、またはこれらの溶剤の混合物から選択される主溶剤;及び
グリコール酸誘導体、または少なくとも二種のグリコール酸誘導体の混合物である副溶剤、
からなる、請求項1~3のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項5】
構造(I)を有する少なくとも一種のスルホサリチル酸類、それの水和物、またはこのスルホサリチル酸類とその水和物との混合物のうちの一つ;
アセトン、及びメチルエチルケトン、またはこれらの溶剤の混合物から選択される主溶剤;及び
グリコール酸誘導体、または少なくとも二種のグリコール酸誘導体の混合物である副溶剤;及び
界面活性剤;
から本質的になる、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
構造(I)を有する少なくとも一種のスルホサリチル酸類、それの水和物、またはこのスルホサリチル酸類とその水和物との混合物のうちの一つ;
アセトン、及びメチルエチルケトン、またはこれらの溶剤の混合物から選択される主溶剤;及び
グリコール酸誘導体、または少なくとも二種のグリコール酸誘導体の混合物である副溶剤;及び
界面活性剤;
からなる、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項7】
構造(I)を有する少なくとも一種のスルホサリチル酸類、それの水和物、またはこのスルホサリチル酸類とその水和物との混合物のうちの一つ;
アセトン、及びメチルエチルケトン、またはこれらの溶剤の混合物から選択される主溶剤;及び
界面活性剤、
から本質的になる、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
構造(I)を有する少なくとも一種のスルホサリチル酸類、それの水和物、またはこのスルホサリチル酸類とその水和物との混合物のうちの一つ;
アセトン、及びメチルエチルケトン、またはこれらの溶剤の混合物から選択される主溶剤;及び
界面活性剤;
からなる、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項9】
構造(I)を有する少なくとも一種のスルホサリチル酸類、それの水和物、またはこのスルホサリチル酸類とその水和物との混合物のうちの一つ;及び
アセトン、及びメチルエチルケトン、またはこれらの溶剤の混合物から選択される主溶剤;
から本質的になる、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
構造(I)を有する少なくとも一種のスルホサリチル酸類、それの水和物、またはこのスルホサリチル酸類とその水和物との混合物のうちの一つ;及び
アセトン、及びメチルエチルケトン、またはこれらの溶剤の混合物から選択される主溶剤;
からなる、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項11】
前記スルホサリチル酸類が、構造(Ia)を有するものまたはそれの水和物である、請求項1~10のいずれか一つに記載の組成物。
【化3】
【請求項12】
前記スルホサリチル酸類が、構造(Ib)を有するものまたはそれの水和物である、請求項1~10のいずれか一つに記載の組成物。
【化4】
【請求項13】
前記スルホサリチル酸類が、構造(Ic)を有するものまたはそれの水和物である、請求項1~10のいずれか一つに記載の組成物。
【化5】
【請求項14】
前記スルホサリチル酸類が、構造(Id)を有するものまたはそれの水和物である、請求項1~10のいずれか一つに記載の組成物。
【化6】
【請求項15】
前記主溶剤がアセトンである、請求項1~14のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項16】
前記主溶剤がメチルエチルケトンである、請求項1~14のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項17】
前記主溶剤がアセトンとメチルエチルケトンとの混合物である、請求項1~14のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項18】
前記副溶剤が、アルキレンジオール、オリゴ(アルキレンオキシアルキレン)ジオール[HO-(アルキレン-O-アルキレン-O)n-H](n=1~4)、アルキレンジオールのモノアルキルエーテル、オリゴ(アルキレンオキシアルキレン)ジオールのモノアルキルエーテル、アルキレンジオールのジアルキルエーテル、オリゴ(アルキレンオキシアルキレン)ジオールのジアルキルエーテル、ヒドロキシ基のうちの一つがアルキルカルボキシレートとして官能化されておりかつ他方がエーテルとして官能化されているアルキレンジオール、ヒドロキシ基のうちの一つがアルキルカルボキシレートとして官能化されておりかつ他方がエーテルとして官能化されているオリゴ(アルキレンオキシアルキレン)ジオール、ヒドロキシ基のうちの一つがアルキルカルボキシレートとして官能化されているアルキレンジオール、ヒドロキシ基のうちの一つがアルキルカルボキシレートとして官能化されているオリゴ(アルキレンオキシアルキレン)ジオール、両ヒドロキシ基がアルキルカルボキシレートして官能化されているアルキレンジオール、両ヒドロキシ基がアルキルカルボキシレートとして官能化されているオリゴ(アルキレンオキシアルキレン)ジオールからなる群から選択される、請求項1~3及び11~16のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項19】
前記副溶剤がアルカンジオールである、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記副溶剤がオリゴ(アルキレンオキシアルキレン)ジオール[HO-(アルキレン-O-アルキレン-O)n-H](n=1~4)である、請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
前記副溶剤がアルカンジオールのモノアルキルエーテルである、請求項18に記載の組成物。
【請求項22】
前記副溶剤がオリゴ(アルキレンオキシアルキレン)ジオール[HO-(アルキレン-O-アルキレン-O)n-H](n=1~4)のモノアルキルエーテルである、請求項18に記載の組成物。
【請求項23】
前記副溶剤がアルカンジオールのジアルキルエーテルである、請求項18に記載の組成物。
【請求項24】
前記副溶剤がオリゴ(アルキレンオキシアルキレン)ジオール[HO-(アルキレン-O-アルキレン-O)n-H](n=1~4)のジアルキルエーテルである、請求項18に記載の組成物。
【請求項25】
前記副溶剤が、一つのヒドロキシ基がアルキルエーテルとして官能化されておりかつ他方のヒドロキシ基がアルキルカルボキシレートとして官能化されているアルカンジオールである、請求項18に記載の組成物。
【請求項26】
前記副溶剤が、一つのヒドロキシがアルキルエーテルとして官能化されておりかつ他方のヒドロキシがアルキルカルボキシレートとして官能化されているオリゴ(アルキレンオキシアルキレン)ジオール[HO-(アルキレン-O-アルキレン-O)n-H](n=1~4)である、請求項18に記載の組成物。
【請求項27】
前記副溶剤が、ヒドロキシ基のうちの一つがアルキルカルボキシレートとして官能化されているアルキレンジオールである、請求項18に記載の組成物。
【請求項28】
前記副溶剤が、ヒドロキシ基のうちの一つがアルキルカルボキシレートとして官能化されているオリゴ(アルキレンオキシアルキレン)ジオール[HO-(アルキレン-O-アルキレン-O)n-H](n=1~4)である、請求項18に記載の組成物。
【請求項29】
前記副溶剤が、両ヒドロキシ基がアルキルカルボキシレートとして官能化されているアルキレンジオールである、請求項18に記載の組成物。
【請求項30】
前記副溶剤が、両ヒドロキシ基がアルキルカルボキシレートとして官能化されているオリゴ(アルキレンオキシアルキレン)ジオール[HO-(アルキレン-O-アルキレン-O)n-H](n=1~4)である、請求項18に記載の組成物。
【請求項31】
前記副溶剤が、PGME、PGMEA、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール(IV)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(II)、ジプロピレンモノメチルエーテル(III)、またはこれらの溶剤の少なくとも二つの混合物からなる群から選択される溶剤である、請求項1~5及び6~13のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項32】
次のステップ:
i)請求項1~31のいずれか一つに記載の組成物を、約15℃から約80℃までの温度に熱調節して、熱調節された組成物とするステップ、
ii)フォトレジスト膜でコーティングされた基材を、前記の熱調節された組成物で、約1分間から約60分間までの時間、フォトレジスト膜が除去された基材が得られるまで処理するステップ、
iii)ステップii)の後、フォトレジスト膜が除去された前記基材を、イソプロピルアルコール、イソプロピルアルコールと水との混合物、または水のうちの一つで洗浄し、ステップii)からの残留組成物を除去して、クリーンな基材とするステップ;
iv)前記クリーンな基材を乾燥するステップ;
を含む方法。
【請求項33】
ステップi)において、前記組成物が約20℃から約60℃までになるように熱調節される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
ステップi)において、前記組成物が約20℃から約40℃までになるように熱調節される、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
ステップii)において、前記基材が金属である、請求項32~34のいずれか一つに記載の方法。
【請求項36】
ステップii)において、前記基材が銅である、請求項32~35のいずれか一つに記載の方法。
【請求項37】
ステップii)において、前記基材が錫である、請求項32~36のいずれか一つに記載の方法。
【請求項38】
ステップii)において、前記基材が銀である、請求項19~23のいずれか一つに記載の方法。
【請求項39】
ステップii)において、前記基材が約1分間から約20分間処理される、請求項19~23のいずれか一つに記載の方法。
【請求項40】
ステップiii)において、前記洗浄を、約5重量%から約95重量%までの水組成を有する水とイソプロパノールとの混合物を用いて行う、請求項19~27のいずれか一つに記載の方法。
【請求項41】
基材からフォトレジスト膜を除去するための、請求項1~31のいずれか一つに記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造(I)を有するスルホサリチル酸類から選択されるスルホン酸類、アセトン及びメチルエチルケトンのいずれかから選択される主溶剤、またはこの主溶剤と、グリコール酸誘導体である任意選択の副溶剤との混合物からなる低pK除去剤溶液の組成物に関する。
【0002】
本発明は、金属製基材の腐食を促進しないが、驚くべきことに、著しい腐食を防ぐために、金属保護キレート化合物または電荷錯化特性のポリマーの存在も必要としない本発明の除去剤組成物を用いて、架橋されたポリマーコーティングを除去する、化学的剥離剤組成物に関する。
【0003】
これらの本発明による調合物によって除去される材料には、ポジトーン及びネガトーンの化学増幅(例えばエポキシ)及び酸触媒光画像形成性コーティングなどが挙げられる。微細電子コーティング用の多くの商品化された剥離剤は、最小の製造上の要件を満たすようには十分に機能しない。本発明は、銅または錫などの金属を含むが、同時に、除去/剥離プロセスの間に粒状物を有害に形成する虞のある金属キレート化合物は含まないデバイス上で共通して観察される有害なエッチング及びダメージング効果を伴うことなく酸性媒体中で応答する架橋系のための除去用製品のための商業的なフレームワークを提供する。
【0004】
ハードベークまでの及びそれを含むか、または他には完全硬化(full-cure)と称される様々な加工された条件用に、該組成物は、高められた温度下に慣用の液浸条件を用いて、銅または錫などの敏感な金属に対しダメージング効果を及ぼすことなく、数分内で化学増幅反応した化合物を除去及び溶解する。このような完全硬化コーティングは、米国特許第6,551,973号明細書に例示されるようなアルカリ性成分を共通して含む慣用の有機剥離剤に対して耐性があることが見出された。これらの慣用の剥離剤を用いた場合、溶解は起こらない。その代わりに、これらの慣用のアルカリ性剥離剤は、リフティングまたは小片への解体という機序によってコーティングを除去することが観察される。このリフトオフ機序は、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)デバイスで通常見られるような複雑な三次元トポグラフィからの不完全な除去を招く。未溶解の材料は、浴中を循環する粒状物を生成し、デバイスの他の領域上への未溶解小片の再堆積を引き起こす。これらの小さく、コンピュータ制御されたギア、センサ、スプリング、ポンプ及び関連するマイクロもしくはナノスケール装備品に起こるこのような汚染の結果、汚染とデバイスの故障が生じる。本発明の課題の一つは、所与の剥離及び除去期間の間に無用のポリマー材料の完全な溶解を達成することである。
【背景技術】
【0005】
架橋されたコーティングを除去する一部の低pK系は、リフトオフではなく完全な除去によってそれを行う。しかし、これらの材料は、金属腐食防止剤を含み、これらは、除去プロセスの間に防止剤成分が析出してしまうために、予期できないことに粒状物の問題を引き起こす。これらの腐食防止剤は、低pK除去剤により、除去プロセスの間に金属製基材と錯化することによって金属製基材の腐食を防止するために加えられる金属錯化添加剤である。このような腐食防止剤の例は、エノール種の部分、例えばアルコール官能基に隣接する不飽和炭素鎖を含む小分子、オリゴマーまたはポリマーである。代表的なエノール型防止剤には、フマル酸、マレイン酸及びフタル酸などが挙げられる。防止剤のより具体的な例は、ロジン種のものであり;これらは例えばフマル酸化ロジンである。低pK除去剤中の金属腐食防止剤によって形成される粒子は、デバイスの他の領域上に堆積する虞があり、最終のデバイスの性能に有害に作用する。このような金属腐食防止剤を含むこの低pK除去剤系の非限定な例は、WO2016/142507(特許文献1)に記載されている。
【0006】
これらの超小型回路または超小型デバイスの製造の間、様々な無機系基材、例えば単及び多結晶性ケイ素、ハイブリッド半導体、例えばヒ化ガリウム、及び金属を有機コーティング(「フォトレジスト」または「レジスト」)でコーティングし、この有機コーティングは、永続的なまたは一次的な設計の耐性フレームワークを形成し、そしてフォトリソグラフィプロセスを経た後にパターンを示す。このフォトレジストは、導体を絶縁するか、または基材表面、例えばケイ素、二酸化ケイ素またはアルミニウムの選択された領域を、湿式(化学的)及び乾式(プラズマ)形態両方での化学品の作用から保護するために利用し得る。この材料がフォトレジストとして利用される場合は、基材の暴露された領域は、所望のエッチング(除去)または堆積(付加)プロセスを行う場合がある。この操作の完了に次いで及びその後の洗浄または状態調節の後、本質的な仕上げ操作を可能とするためにレジスト及びアプリケーションポストエッチング残渣が除去されている必要がある。フォトレジストを除去すると、特定の微細なエッチングまたは堆積パターンが後に残る。マスク化及びパターン化プロセスは、最終のデバイスの技術を含む層状配列を製造するために何度か繰り返される。各々のステップは、最終形状のデバイスが比較的高い収量で製造され、かつ粒子形成はなく及びフォトレジスト膜が単に剥がれるのではなく完全に溶解されて満足に機能することを保障するために、完全なレジストの剥離及び溶解を必要とする。使用されるフォトレジストのタイプに依存して、これらの材料は、光活性化合物(例えばDNQ)、光酸発生剤(PAG)、及び光ラジカル発生剤などの、粒子を形成させがちな添加剤を含み得る。活性領域中へのこのプロセスの間の粒状物の堆積は、デバイスの収率及び性能の両方に悪影響を及ぼす。また、解決すべき他の問題は、金属リフトオフ用途に使用したフォトレジスト中での完全な溶解を伴って非常に高速なフォトレジスト除去を可能にすることである。これは、除去剤ケミストリーのための少数の浸透点を有する幾つかの領域を持つフォトレジストパターン全体を金属が覆っているからである。そのため、高速な金属リフトオフを可能にするためにフォトレジストを迅速に溶解する除去剤溶液への要望がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2016/142507
【特許文献2】US6,576,394
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Diazonaphthoquinone-based Resists,Chapter 2,Basic Chemistry of DNQ/Novolak resists,SPIE Optional Engineering Press volume TT11,p.9,1993
【非特許文献2】H.Ito,Adv Polym Sci、2005、p37
【発明の概要】
【0009】
本発明は、異なるタイプのネガ型及びポジ型レジスト系の両方から形成されるものなどを含む、幅広い範囲の様々なパターン化フォトレジスト膜を除去し、そして厚手のフォトレジスト膜を、これらが金属膜の下にある場合でも、2分間以内で除去することができる、改善された剥離用組成物である。これらの異なるタイプのうち、例としては、可視光線、ブロードバンドi線、g線、h線、UV、248nm、193nm、193nm液浸、ディープUV、EUV、電子またはe-ビームによって画像形成可能なレジストが挙げられる。具体的には、改善された本剥離用組成物は、厚手のフォトレジスト膜中の全ての成分の二分間以内の高速で完全な溶解を供する。更に、基材からのこのフォトレジストの除去は、下にある暴露された銀、銅及び/または錫並びに他の金属への攻撃を伴うことなく、また、金属腐食防止剤添加剤は、レジストパターンの除去中に粒子の形成も促進しがちであるために、このような金属腐食防止剤添加剤は使用せずに、行われる。
【0010】
本発明による当該除去剤組成物は、厚さ、パターンのタイプ及びフォトレジストのタイプに依存して、約10μm~約100μmの厚さを有するフォトレジスト膜に関して、数多くの様々なタイプのレジストから形成されるパターンから、通常は30~20秒間以内で、フォトレジストパターンを非常に迅速にかつ完全に溶解することによって、これらの有利な特性を付与する。この除去は、リフトオフされたレジスト膜をまたは除去剤中の樹脂または添加剤から生じる粒子を形成することなく、かつフォトレジスト膜がコーティングされている金属製基材を腐食することなく、行われる。このようなフォトレジスト膜が、除去剤がフォトレジスト膜に接近するのを防止する金属層の下に置かれている場合には、本発明の調合物は、バイメタル構造ジオメトリーに依存して、他の除去剤よりも約2から約10倍速く、僅か2分間以内で、このような膜を除去することができる。また同時に、驚くべきことに、この除去剤組成物は、腐食を抑制するための防止剤添加剤の存在を必要とせず(顕著な腐食は起こらない)、そして銀、銅、錫などの金属製基材の腐食を起こさず、そしてこれらの本発明の除去剤組成物を使用した除去プロセスの間に金属腐食防止剤の析出の問題を生じない。これらの本発明の除去剤組成物及びそれの使用方法が、半導体ウェハ、MEMSデバイス及びディスプレーの製造に特に有用であることが見出された。まとめると、これらの本発明による除去剤組成物は、以下の利点、すなわち(1)腐食防止剤の必要がない;(2)フォトレジスト膜をただ剥離するだけでなく、溶解する;(3)金属層の下にある場合でも溶解速度が非常に高速である、という利点を有する。それ故、本発明による除去剤組成物は、金属リフトオフ用途に使用されるフォトレジストにおいて高速なフォトレジスト除去を可能にする。このようなフォトレジストの非限定的な例は、ノボラック樹脂を含むネガ型i線及びブロードバンドフォトレジストである。
【0011】
それの観点の一つでは、本発明は、構造(I)を有する少なくとも一種のスルホサリチル酸類、それの水和物、またはこのスルホサリチル酸類とその無水物との混合物のいずれか;アセトン、及びメチルエチルケトン、またはこれらの溶剤の混合物から選択される主溶剤、及び任意に、グリコール酸誘導体または少なくとも二種のグリコール酸誘導体の混合物である副溶剤、及び任意に界面活性剤から本質的になる組成物に関する。
【0012】
【化1】
他の観点の一つでは、本発明は、基材からフォトレジスト膜を除去するための上記の組成物の使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
前記の一般的な説明及び以下の詳細な説明は双方とも例示、説明のためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明に関してそれを限定するものではないと理解するべきである。本願において、他に具体的に記載がなければ、単数形の使用は複数を包含し、単数形は「少なくとも一つ」を意味し、そして「または」の使用は「及び/または」を意味する。更に、「含む」という記載、並びに「含まれる」などの他の動詞形の使用は限定的ではない。また、「要素」または「成分」などの記載は、他に具体的に記載がなければ、一つの構成単位を含む要素及び成分、並びに1つ超の構成単位を含む要素または成分を包含する。ここで使用する場合、「及び」という接続詞は、他に指示がなければ両立的であることを意図しており、そして「または」という接続詞は排他的であることを意図していない。例えば、「またはその代わりに」というフレーズは、排他的であることを意図している。ここで使用する「及び/または」という記載は、単一要素の使用も含む、前述される要素の任意の組み合わせを指す。
【0014】
(メタ)アクリレートという用語は、アクリレート及びメタクリレートの両方を一つの用語に統合する用語である。
【0015】
「剥離剤」及び「除去剤」という用語は同義語である。
【0016】
「・・・から本質的になる」という表現は、構成分が、組成物の少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは少なくとも99重量%を構成することを意味する。
【0017】
「本質的に」という用語は、記載の成分に類似する他の成分が組成中に存在しないという意味を意図したものである。
【0018】
本発明の態様の一つによれば、「・・・から本質的になる」という記載は、「・・・からなる」に置き換えて、組成中の他の成分の存在を排除することができる。
【0019】
ここで使用する各章の表題は、文書構成を目的としたものであって、記載の主題を限定するものと解釈するべきではない。限定はされないが特許、特許出願、論文、書籍及び専門書を始めとした本願で引用する全ての文献または文献の一部は、全ての目的に関してそれらの内容の全てが本明細書中に掲載されたものとする。ここに掲載されたものとする文献引用及び類似の資料の一つ以上における用語の定義が、本願明細書におけるものと矛盾する場合は、本願の定義が優先する。
【0020】
アルキルという用語は、C1~C8線状アルキル、C2~C9分岐状アルキル及びC5~C8環状アルキルを指す。
【0021】
アルキルカルボキシレートという用語は、アルキル-(C=O)-O-[アルキルCO-]部分を指す。
【0022】
重量%の表現で組成を言うときは、いずれの場合も、不純物などの非本質的な成分も含んだ全ての成分の重量%は合計して100重量%を超えることはないと理解される。全ての本質的成分の組成は、この組成が、何らかの少量の非本質的汚染物または不純物を含む場合には、合計して100重量%未満である場合もある。他の場合は、相当量の非本質的不純物成分が存在しない場合には、全ての本質的成分の組成は本質的に合計して100重量%となると理解される。
【0023】
ここで使用するグリコール酸誘導体という用語は、アルキレンジオール、オリゴ(アルキレンオキシアルキレン)ジオール[HO-(アルキレン-O-アルキレン-O)-H](n=1~4)、アルキレンジオールのモノアルキル及びジアルキルエーテル、オリゴ(アルキレンオキシアルキレン)ジオール[HO-(アルキレン-O-アルキレン-O)-H](n=1~4)、アルキレンジオールのモノ及びジアルキルカルボキシレート、オリゴ(アルキレンオキシアルキレン)ジオール[HO-(アルキレン-O-アルキレン-O)-H](n=1~4)、一つのヒドロキシがアルキルエーテルとして官能化されておりそして他方のヒドロキシがアルキルカルボキシレートによって官能化されているオリゴ(アルキレンオキシアルキレン)ジオール[HO-(アルキレン-O-アルキレン-O)-H](n=1~4)を指す。
【0024】
それの観点の一つでは、本発明は、
a)構造(I)を有するスルホサリチル酸類、それの水和物、またはこのスルホサリチル酸類とその水和物との混合物のうちの一つ、
b)アセトン、及びメチルエチルケトン、またはこれらの溶剤の混合物から選択される主溶剤、
c)任意に、グリコール酸誘導体または少なくとも二種のグリコール酸誘導体の混合物である副溶剤、及び
d)任意に、様々な濃度のここにそれぞれ記載される界面活性剤、
から本質的になる組成物に関する。
【0025】
この態様では、上記の成分の合計量は、100重量%になる必要はなく(例えば、上記構成分は、少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%、より好ましくは少なくとも99.5重量%、最も好ましくは少なくとも99.9重量を構成し得る)、そして該除去剤の性能に実質的な影響を及ぼさない他の成分を含み得る。この態様の他の観点の一つでは、該組成物は、成分a)、b)、c)及びd)からなる。
【0026】
【化2】
本発明の組成物の一部の態様は、
a)構造(I)を有する少なくとも一種のスルホサリチル酸類、それの水和物、またはこのスルホサリチル酸類とその水和物との混合物のうちの一つ;
b)アセトン、及びメチルエチルケトン、またはこれらの溶剤の混合物から選択される主溶剤;及び
c)様々な濃度の、ここに記載されるグリコール酸誘導体、または少なくとの二種のグリコール酸誘導体の混合物である、副溶剤、
から本質的になる。
【0027】
この態様では、上記の成分の合計量は100重量%を超えることはできず、100重量%に等しい必要はなく(例えば、前記構成分は、該組成物の少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%、より好ましくは少なくとも99.5重量%、最も好ましくは少なくとも99.9重量を構成することができる)、そして該除去剤の性能に実質的な影響を及ぼさない他の成分を含むことができる。この態様の他の観点の一つでは、本発明の組成物は、上記の成分a)、b)及びc)からなる。
【0028】
それの観点の一つでは、本発明は、
a)構造(I)を有する少なくとも一種のスルホサリチル酸類、それの水和物、またはこのスルホサリチル酸類とその水和物との混合物のうちの一つ;
b)アセトン、及びメチルエチルケトン、またはこれらの溶剤の混合物から選択される主溶剤;及び
c)界面活性剤;
から本質的になる組成物に関する。
【0029】
この態様では、成分a)、b)及びc)の合計量は100重量%を超えることはできないが、100重量%に等しい必要はない。この除去剤材料の性能に影響を及ぼさない他の材料は、これらの材料が、該除去剤調合物の性能に影響を及ぼさない限り、存在することができる。一つの態様では、成分a)、b)及びc)は、該組成物の少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%、より好ましくは少なくとも99.5重量%、最も好ましくは少なくとも99.9重量%を構成する。
【0030】
その観点の一つでは、本発明は、
a)構造(I)を有する少なくとも一種のスルホサリチル酸類、それの水和物、またはこのスルホサリチル酸類とその水和物との混合物のうちの一つ;
b)アセトン、及びメチルエチルケトン、またはこれらの溶剤の混合物から選択される主溶剤;及び
c)界面活性剤;
からなる組成物に関する。
【0031】
この態様では、上記の成分の合計量は100重量%であり、他の材料は有意には存在しない。
【0032】
それの観点の一つでは、本発明は、
a)構造(I)を有する少なくとも一種のスルホサリチル酸類、それの水和物、またはこのスルホサリチル酸類とその水和物との混合物のうちの一つ;
b)アセトン、及びメチルエチルケトン、またはこれらの溶剤の混合物から選択される主溶剤;
からなる組成物に関する。
【0033】
この態様では、上記の成分の合計量は100重量%であり、他の材料は有意には存在しない。
【0034】
それの観点の一つでは、本発明は、
a)構造(I)を有する少なくとも一種のスルホサリチル酸類、それの水和物、またはこのスルホサリチル酸類とその水和物との混合物のうちの一つ;
b)アセトン、及びメチルエチルケトン、またはこれらの溶剤の混合物から選択される主溶剤;
から本質的になる組成物に関する。
【0035】
この態様では、成分a)及びb)の合計量は100重量を超えることはできないが、100重量%に等しい必要はない。この除去剤材料の性能に影響を及ぼさない他の材料は、これらの材料が、該除去剤調合物の性能に影響を及ぼさない限り、存在することができる。一つの態様では、成分a)及びb)は、該組成物の少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%、より好ましくは少なくとも99.5重量%、最も好ましくは少なくとも99.9重量%を構成する。
【0036】
その成分の一つとして構造(I)のスルホサリチル酸類(またはそれの水和物)を有するここに記載の組成物の一部の態様では、これらのより具体的な態様は、構造(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)を有するもの(またはそれの水和物)及びこれらの混合物から選択される。
【0037】
【化3】
一部の態様では、構造(I)のスルホサリチル酸類(またはそれの水和物)は、構造(Ia)を有する化合物(またはそれの水和物)である。
【0038】
一部の態様では、構造(I)のスルホサリチル酸類(またはそれの水和物)は、構造(Ib)を有する化合物(またはそれの水和物)である。
【0039】
一部の態様では、構造(I)のスルホサリチル酸類(またはそれの水和物)は、構造(Ic)を有する化合物(またはそれの水和物)である。
【0040】
一部の態様では、構造(I)のスルホサリチル酸類(またはそれの水和物)は、構造(Id)を有する化合物(またはそれの水和物)である。
【0041】
この組成物の前記観点のいずれにおいても、他の態様の一つでは、前記スルホサリチル酸成分は、構造(I)を有するもの(またはそれの水和物)であり、溶液の全重量中の重量%含有率が、約0.5重量%から約10重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、この酸の重量%含有率は約0.75重量%から約7.00重量%までである。この態様の他の観点の一つでは、この酸の重量%含有率は約1.00重量%から約6.00重量%までである。この態様の他の観点の一つでは、重量%は、約1.50重量%から約5.00重量%までである。この態様の他の観点の一つでは、重量%は、約1.50重量%から約4.00重量%までである。この態様の他の観点の一つでは、重量%は、約1.75重量%から約3.00重量%までである。この態様の他の観点の一つでは、重量%は、約1.80重量%から約2.75重量%までである。この態様の他の観点の一つでは、重量%は、約1.90重量%から約2.50重量%までである。この態様の他の観点の一つでは、重量%は、約1.90重量%から約2.30重量%までである。この態様の他の観点の一つでは、重量%は、約1.90重量%から約2.20重量%までである。この態様の他の観点の一つでは、この重量%は約2重量%である。この態様の他の観点の一つでは、スルホサリチル酸類は、構造(Ib)を有するもの(またはそれの水和物)であってよい。この態様の他の観点の一つでは、スルホサリチル酸類は、構造(Ic)を有するもの(またはそれの水和物)であってよい。この態様の他の観点の一つでは、スルホサリチル酸類は、構造(Id)を有するもの(またはそれの水和物)であってよい。
【0042】
ここに記載の組成物の一つの態様では、前記主溶剤はアセトンである。
【0043】
ここに記載の組成物の一つの態様では、前記主溶剤はメチルエチルケトンである。
【0044】
ここに記載の組成物の一つの態様では、前記主溶剤は、アセトンとメチルエチルケトンとの混合物である。この態様の一つの観点では、前記主溶剤混合物中のアセトンの重量%は約1重量%から約99.5重量%までの範囲である。この態様の一つの観点では、グリコール酸誘導体副溶剤成分は、該組成物中には存在しない。この態様の他の観点の一つでは、グリコール酸誘導体副溶剤成分も存在する。この主溶剤混合物の他の観点の一つでは、これは、約95重量%のアセトンを含む。この主溶剤混合物の他の観点の一つでは、これは約90重量%のアセトンを含む。この主溶剤混合物の更に別の観点の一つでは、これは約85重量%のアセトンを含む。この主溶剤混合物の更に別の観点の一つでは、これは約80重量%のアセトンを含む。この態様の更に別の観点の一つでは、この主溶剤混合物は約75重量%のアセトンを含む。この主溶剤混合物の更に別の観点の一つでは、これは約65重量%のアセトンを含む。この主溶剤混合物の更に別の観点の一つでは、これは約60重量%のアセトンを含む。この主溶剤混合物の更に別の観点の一つでは、これは約55重量%のアセトンを含む。この主溶剤混合物の更に別の観点の一つでは、これは約50重量%のアセトンを含む。この主溶剤混合物の更に別の観点の一つでは、これは約45重量%のアセトンを含む。この主溶剤混合物の更に別の観点の一つでは、これは約40重量%のアセトンを含む。この主溶剤混合物の更に別の観点の一つでは、これは約35重量%のアセトンを含む。この主溶剤混合物の更に別の観点の一つでは、これは約30重量%のアセトンを含む。この主溶剤混合物の更に別の観点の一つでは、これは約25重量%のアセトンを含む。この主溶剤混合物の更に別の観点の一つでは、これは約20重量%のアセトンを含む。この主溶剤混合物の更に別の観点の一つでは、これは約15重量%のアセトンを含む。この主溶剤混合物の更に別の観点の一つでは、これは約10重量%のアセトンを含む。この主溶剤混合物の更に別の観点の一つでは、これは約5重量%のアセトンを含む。
【0045】
グリコール酸誘導体副溶剤成分を含むここに記載の組成物の態様では、このグリコール酸誘導体副溶剤成分は、単一のグリコール酸誘導体副溶剤であるか、またはこれらのタイプの溶剤の少なくとも二つの混合物からである。このグリコール酸誘導体副溶剤成分は、組み合わせた主溶剤とグリコール酸誘導体副溶剤成分の約1重量%から約30重量%までで存在する。一つの態様では、これは、組み合わせた溶剤成分の約1重量%である。他の態様の一つでは、これは、組み合わせた溶剤成分の約2重量%である。他の態様の一つでは、これは、組み合わせた溶剤成分の約3重量%である。他の態様の一つでは、これは、組み合わせた溶剤成分の約4重量%である。他の態様の一つでは、これは、組み合わせた溶剤成分の約5重量%である。他の態様の一つでは、これは、組み合わせた溶剤成分の約6重量%である。他の態様の一つでは、これは、組み合わせた溶剤成分の約7重量%である。他の態様の一つでは、これは、組み合わせた溶剤成分の約8重量%である。他の態様の一つでは、これは、組み合わせた溶剤成分の約9重量%である。他の態様の一つでは、これは、組み合わせた溶剤成分の約10重量%である。他の態様の一つでは、これは、組み合わせた溶剤成分の約11重量%である。他の態様の一つでは、これは、組み合わせた溶剤成分の約12重量%である。他の態様の一つでは、これは、組み合わせた溶剤成分の約13重量%である。他の態様の一つでは、これは、組み合わせた溶剤成分の約14重量%である。他の態様の一つでは、これは、組み合わせた溶剤成分の約15重量%である。他の態様の一つでは、これは、組み合わせた溶剤成分の約16重量%である。他の態様の一つでは、これは、組み合わせた溶剤成分の約17重量%である。他の態様の一つでは、これは、組み合わせた溶剤成分の約18重量%である。他の態様の一つでは、これは、組み合わせた溶剤成分の約19重量%である。他の態様の一つでは、これは、組み合わせた溶剤成分の約20重量%である。他の態様の一つでは、これは、組み合わせた溶剤成分の約21重量%である。他の態様の一つでは、これは、組み合わせた溶剤成分の約23重量%である。他の態様の一つでは、これは、組み合わせた溶剤成分の約23重量%である。他の態様の一つでは、これは、組み合わせた溶剤成分の約24重量%である。他の態様の一つでは、これは、組み合わせた溶剤成分の約25重量%である。他の態様の一つでは、これは、組み合わせた溶剤成分の約26重量%である。他の態様の一つでは、これは、組み合わせた溶剤成分の約27重量%である。他の態様の一つでは、これは、組み合わせた溶剤成分の約28重量%である。他の態様の一つでは、これは、組み合わせた溶剤成分の約29重量%である。他の態様の一つでは、これは、組み合わせた溶剤成分の約30重量%である。
【0046】
これらの態様の他の観点の一つでは、前記グリコール酸誘導体副溶剤成分は、アルキレンジオール、オリゴ(アルキレンオキシアルキレン)ジオール[HO-(アルキレン-O-アルキレン-O)n-H](n=1~4)、アルキレンジオールのモノアルキルエーテル、オリゴ(アルキレンオキシアルキレン)ジオールのモノアルキルエーテル、アルキレンジオールのジアルキルエーテル、オリゴ(アルキレンオキシアルキレン)ジオールのジアルキルエーテル;ヒドロキシ基のうちの一つがアルキルカルボキシレートとして官能化されておりそして他方がエーテルとして官能化されているアルキレンジオール;ヒドロキシ基のうちの一つがアルキルカルボキシレートとして官能化されておりそして他方がエーテルとして官能化されているオリゴ(アルキレンオキシアルキレン)ジオール;ヒドロキシ基のうちの一つがアルキルカルボキシレートとして官能化されているアルキレンジオール;ヒドロキシ基のうちの一つがアルキルカルボキシレートとして官能化されているオリゴ(アルキレンオキシアルキレン)ジオール;両ヒドロキシ基がアルキルカルボキシレートとして官能化されているアルキレンジオール、両ヒドロキシ基がアルキルカルボキシレートとして官能化されているオリゴ(アルキレンオキシアルキレン)ジオールから選択されるか、またはこれらのタイプの溶剤の少なくとも二つの混合物から選択される。
【0047】
これらの態様の他の観点の一つでは、前記グリコール酸誘導体副溶剤成分はアルカンジオールである。
【0048】
これらの態様の他の観点の一つでは、前記グリコール酸誘導体副成分は、オリゴ(アルキレンオキシアルキレン)ジオール[HO-(アルキレン-O-アルキレン-O)n-H](n=1~4)である。
【0049】
これらの態様の他の観点の一つでは、前記グリコール酸誘導体副成分は、アルカンジオールのモノアルキルエーテルである。
【0050】
これらの態様の他の観点の一つでは、前記グリコール酸誘導体副成分は、オリゴ(アルキレンオキシアルキレン)ジオール[HO-(アルキレン-O-アルキレン-O)n-H](n=1~4)のモノアルキルエーテルである。
【0051】
これらの態様の他の観点の一つでは、前記グリコール酸誘導体副溶剤成分は、アルカンジオールのジアルキルエーテルである。
【0052】
これらの態様の他の観点の一つでは、グリコール酸誘導体副溶剤成分は、オリゴ(アルキレンオキシアルキレン)ジオール[HO-(アルキレン-O-アルキレン-O)n-H](n=1~4)のジアルキルエーテルである。
【0053】
これらの態様の他の観点の一つでは、前記グリコール酸誘導体副溶剤成分は、一つのヒドロキシ基がアルキルエーテルとして官能化されておりそして他方のヒドロキシ基がアルキルカルボキシレートとして官能化されている、アルカンジオールである。
【0054】
これらの態様の他の観点の一つでは、前記グリコール酸誘導体副溶剤成分は、一つのヒドロキシがアルキルエーテルとして官能化されておりそして他方のヒドロキシがアルキルカルボキシレートとして官能化されている、オリゴ(アルキレンオキシアルキレン)ジオール[HO-(アルキレン-O-アルキレン-O)n-H](n=1~4)である。
【0055】
これらの態様の他の観点の一つでは、前記グリコール酸誘導体副溶剤成分は、ヒドロキシ基のうちの一つがアルキルカルボキシレートとして官能化されている、アルキレンジオールである。
【0056】
これらの態様の他の観点の一つでは、前記グリコール酸誘導体副溶剤成分は、ヒドロキシ基のうちの一つがアルキルカルボキシレートとして官能化されている、オリゴ(アルキレンオキシアルキレン)ジオール[HO-(アルキレン-O-アルキレン-O)n-H](n=1~4)である。
【0057】
これらの態様の他の観点の一つでは、前記グリコール酸誘導体副溶剤は、両ヒドロキシ基がアルキルカルボキシレートとして官能化されている、アルカンジオールである。
【0058】
これらの態様の他の観点の一つでは、前記グリコール酸誘導体副溶剤成分は、両ヒドロキシル基がアルキルカルボキシレートとして官能化されたオリゴ(アルキレンオキシアルキレンジオール[HO-(アルキレン-O-アルキレン-O)n-H](n=1~4)である。
【0059】
これらの態様の他の観点の一つでは、前記グリコール酸誘導体副溶剤成分は、オリゴ(アルキレンオキシアルキレン)ジオール[HO-(アルキレン-O-アルキレン-O)n-H](n=1~4)である。
【0060】
前記グリコール酸誘導体副溶剤成分のより具体的な態様の一つでは、アルキレン部分は、C2~C6線状アルキレン、またはC3~C7分岐状アルキレン、またはオリゴ(アルキレンオキシアルキレン)ジオールの場合は、これらの混合物から選択される。より具体的な態様の一つでは、アルキレン部分は、C3アルキレンである。
【0061】
ヒドロキシ基がモノアルキルエーテルまたはジアルキルエーテルのいずれかとしてのアルキルエーテルとして官能化されている前記副グリコール酸誘導体のより具体的な態様の一つでは、アルキル基は、個別にメチルエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert-ブチル、イソブチルから選択される。
【0062】
アルキルカルボキシレートによって官能化されたヒドロキシ基を有する前記副グリコール酸誘導体のより具体的な態様の一つでは、これらのアルキルカルボキシレートは、アセテート、プロピオネート、イソブチレート、及びブチレートから選択される。
【0063】
グリコール酸誘導体溶剤のこの観点の他の具体的な態様の一つでは、これは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1-メトキシ-2-プロパノールアセテート(PGMEA)、1-メトキシ-2-プロパノール(PGME)、式(CHO)COC(OH)を有するジプロピレングリコールモノメチルエーテル(II)(CAS#34590-94-8.)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(III)(DPGDME)(CAS#111109-77-4)、及びジプロピレングリコール(IV)(CAS#25265-71-8 25265-71)またはこれらの溶剤の少なくとも二つの混合物から選択される。この態様のより具体的な観点の一つでは、前記グリコール酸誘導体副溶剤はエチレングリコールである。この態様のより具体的な観点の一つでは、前記グリコール酸誘導体副溶剤は、プロピレングリコールである。この態様のより具体的な観点の一つでは、前記グリコール酸誘導体副溶剤は、1-メトキシ-2-プロパノールアセテートである。この態様のより具体的な観点の一つでは、前記グリコール酸誘導体副溶剤は1-メトキシ-2-プロパノールである。この態様のより具体的な観点の一つでは、前記グリコール酸誘導体副溶剤はジプロピレングリコールモノメチルエーテルである。この態様のより具体的な観点の一つでは、前記グリコール酸誘導体副溶剤はジプロピレングリコールジメチルエーテル(III)である。
【0064】
前記ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(II)のグリコール酸誘導体副溶剤は、以下の異性体化合物を含む複雑な混合物である:1-(2-メトキシプロポキシ)-2-プロパノール(CAS13429-07-7)(IIa);1-(2-メトキシ-1-メチルエトキシ)-2-プロパノール(CAS20324-32-7)(IIb)、2-(2-メトキシプロポキシ)-1-プロパノール(CAS13588-28-8)(IIc);2-(2-(2-メトキシプロポキシ)-1-プロパノール(CAS55956-21-3)(IId)、及びこれらの光学異性体。グリコール酸誘導体副溶剤を含むここに記載の本発明の組成物の他の態様の一つでは、IIa~IId(及びこれらの光学異性体)のこれらの個々の溶剤またはこれらのうちの少なくとも二つの混合物が、グリコール酸誘導体副溶剤である。
【0065】
【化4】
上記のジプロピレングリコールジメチルエーテル(III)のグリコール酸誘導体副溶剤は、以下の異性体化合物を含む複雑な混合物である:以下の一般構造式IIIa、IIIb、及びIIIcを有する、2-メトキシ-1-(2-メトキシプロポキシ)プロパン(CAS#63019-84-1)(IIIa);2-メトキシ-1-((1-メトキシプロパン-2-イル)オキシ)プロパン(CAS89399-28-0)(IIIb)、2-メトキシ-1-((1-メトキシプロパン-2-イル)オキシ)プロパン(CAS#189354-80-1)(IIIc)、並びにそれらの光学異性体。グリコール酸誘導体副溶剤を含むここに記載の本発明による組成物の他の態様の一つでは、IIIa~IIIc(及びこれらの光学異性体)のこれらの個々の溶剤またはこれらのうちの少なくとも二つの混合物が、グリコール酸誘導体副溶剤である。
【0066】
【化5】
前記ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(IV)のグリコール酸誘導体副溶剤は、以下の異性体化合物を含む複雑な混合物である:以下の一般構造式IVa、IVb及びIVcを有する、ビス(2-ヒドロキシプロピル)エーテル(CAS#110-98-5)(IVa);2-(2-ヒドロキシプロピル)-1-プロパノール(CAS#106-62-7)(IVb)、2,2’-オキシビス[1-プロパノール](CAS#189354-80-1)(IVc)、及びこれらの光学異性体。グリコール酸誘導体副溶剤を含むここに記載の本発明による組成物の他の態様の一つでは、IVa~IVc(及びこれらの光学異性体)のこれらの個々の溶剤またはこれらのうちの少なくとも二つの混合物が、グリコール酸誘導体副溶剤である。
【0067】
【化6】
界面活性剤を含むここに記載の本発明による組成物の態様では、界面活性剤は特に限定されず、そしてそれの例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、デカエチレングリコールモノドデシルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、及びポリオキシエチレンオレインエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、例えばポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル及びポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー;ソルビタン脂肪酸エステル、例えばソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノバルミテート、及びソルビタンモノステアレート;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系ノニオン界面活性剤、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレンソルビタントリオレエート、及びポリオキシエチレンソルビタントリステアレート;フッ素化界面活性剤、例えばF-Top EF301、EF303、及びEF352(ジェムコ社製)、Megafac F171、F172、F173、R08、R30、R90、及びR94(DIC社製)、Florad(登録商標)FC-430、FC-431、FC-4430、及びFC-4432(住友スリーエム社製)、Asahi Guard AG710、Surflon S-381、S-382、S-386、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106、Surfinol(登録商標)E1004、KH-10、KH-20、KH-30、及びKH-40(AGC社製);有機シロキサンポリマー、例えばKP-341、X-70-092、及びX-70-093(信越化学工業社製);及びアクリル酸もしくはメタクリル酸ポリマー、例えばPolyflowTMNo.75及びNo.95(共栄社油脂化学工業社製)などが挙げられる。
【0068】
前記の本発明の組成物の他の態様の一つでは、前記界面活性剤は、該組成物の全重量の1重量%未満の量で存在する。他の態様の一つでは、界面活性剤は約0.1重量%未満の量で存在する。
【0069】
上記の組成物のいずれにおいても他の態様の一つでは、前記界面活性剤は、構造(III)を有するポリマー型界面活性剤であり、式中、n’’’は、ポリマー中の繰り返し単位の数であり、そしてnaは、CHスペーサ部分の数であり、これは8~14の整数である。該組成物のこの観点の他の態様の一つでは、前記ポリマー型界面活性剤は構造(IIIa)を有する。
【0070】
【化7】
該組成物が界面活性剤を含む本発明の態様では、構造(III)または(IIIa)を有する界面活性剤は、それぞれ独立して、約0.005重量%から約0.100重量%で該組成物中に存在し得る。他の態様の一つでは、約0.010重量%~約0.050重量%で存在し得る。更に別の態様の一つでは、約0.015重量%~約0.040重量%で存在し得る。更に別の態様の一つでは、約0.020重量%~約0.035重量%で存在し得る。更に別の態様の一つでは、約0.022重量%~約0.030重量%で存在し得る。更に別の態様の一つでは、約0.023重量%~約0.028重量%で存在し得る。更に別の態様の一つでは、約0.024重量%~約0.026重量%で存在し得る。更に別の態様の一つでは、約0.025重量%で存在し得る。界面活性剤が存在する時のこれらの態様の一部では、界面活性剤は、構造(III)または(IIIa)に相当する界面活性剤として定義され、好ましくは、これらの構造とは異なる更に別の界面活性剤は該組成物中には存在しない。
【0071】
本発明の一つの観点では、粒子の堆積が原因で除去剤の効果を実質的に変化させ得る一つの部類の材料は、ここに記載の本発明による組成物から具体的に排除される。これらの排除される材料の例は、粒状物、顔料、染料、酸化防止剤、及びロジン種の防止剤;例えばフマル酸化ロジン、及びストリッピングの間に粒状物を形成し、基材上に堆積し得る他の材料である。
【0072】
本発明の他の観点の一つでは、金属基材上で腐食を引き起こすことによって、該除去剤の効果に実質的な変化を及ぼし得る他の一つの部類の材料は、5未満のpKを有する他の酸性材料であり、これらは、ここに記載の本発明による組成物から具体的に排除される。これらの例は、構造(I)(及び副構造(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id))を有するここに記載の本発明による組成物中に存在するもの以外のスルホン酸類であり、このような他のタイプのスルホン酸類の非限定的な例は、アリールスルホン酸類(例えば、ベンゼンスルホン酸類、ナフタレンスルホン酸類、アルキルベンゼンスルホン酸類(例えば、トス酸、ドデシルベンゼンスルホン酸)、アルキルスルホン酸類(例えば、メタンスルホン酸、ブタンスルホン酸)、トリフル酸、パーフルオロアルキルスルホン酸(例えば、パーフルオロブタンスルホン酸)、部分フッ素化アルキルスルホン酸(例えば、2,2,2-トリフルオロエタンスルホン酸)、他のアリールスルホン酸類(置換されたもしくは置換されていない、例えばベンゼンスルホン酸、フルオロベンゼンスルホン酸類、ジフルオロベンゼンスルホン酸、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸、プロピルベンゼンスルホン酸)、ニトロベンゼンスルホン酸類、ジニトロベンゼンスルホン酸類、ベンゼンジスルホン酸類、及び類似物である。また、スルファミン酸類、例えば非限定的な例としてのスルファミン酸、シクラミン酸、及びメチルスルファミン酸も排除される。また、強無機酸(pKが0未満)、例えば非限定的な例としては、フルオロスルホン酸、硝酸、硫酸、塩酸及び類似の酸も排除される。0超のpKを有する無機酸であるフッ化水素酸、酸化状態が+1であるPを含むリンオキソ酸[例えば、HPO(もしくはHPO(OH))、次亜リン酸またはホスフィン酸、一塩基酸];酸化状態が+3であるPを含むリンオキソ酸[例えば、(HPO(もしくはHPO(OH))、亜リン酸またはホスホン酸、二塩基酸]、酸化状態が+5のPを含むリンオキソ酸(例えば、リン酸:HPO(もしくはPO(OH))、リン酸、三塩基酸リン酸)。また、カルボン酸類、例えば非限定的な例としては、ギ酸、アルキルカルボン酸(例えば、酢酸、プロパン酸及び類似物)、パーフルオロアルキルカルボン酸(例えば、トリフルオロ酢酸及び類似物)、アリールカルボン酸(例えば、安息香酸及び類似物)、アルキルベンゼンカルボン酸(例えば、トルイル酸及び類似物)、アリールアルキレンカルボン酸(例えば、フェニル酢酸、フェニルプロパン酸及び類似物)、ジカルボン酸(例えばシュウ酸、マレイン酸、マロン酸及び類似物)、トリカルボン酸(例えば、クエン酸、イソクエン酸、アコニット酸、プロパン-1,2,3-トリカルボン酸、トリメシン酸、及び類似物)も排除される。この態様の他の観点の一つでは、先に記載したpKaが0未満の他の材料は、該剥離剤組成物から排除される。この態様の一つの観点では、pKaが0未満の他のスルホン酸類は、該調合物から排除される。
【0073】
本発明の他の観点の一つでは、粒子堆積を引き起こすかまたは金属腐食を引き起こすことによって、該除去剤組成物の効果に実質的に変化を及ぼし得る、異なる観点においてここに個別に記載した両部類の材料は、成分として排除される。
【0074】
この発明の他の態様の一つは、次のステップ:
i)上記のいずれかの本発明による組成物の温度を熱調節して、約15℃から約80℃までの温度にし、熱調節された組成物とするステップ、
ii)フォトレジスト膜でコーティングされた基材を、前記の熱調節された組成物で、約1分間から約60分間までの時間、フォトレジスト膜が除去された基材が得られるまで処理するステップ、
iii)ステップii)の後、前記基材を、イソプロピルアルコール、イソプロピルアルコールと水との混合物、または水で洗浄して、ステップii)からの残留組成物を除去して、クリーンな基材とするステップ、
iv)前記クリーンな基材を乾燥するステップ、
を含む方法である。
【0075】
この方法のより具体的な態様の一つでは、ステップi)において、該組成物は、約20℃から約60℃までの温度に熱調節される。この方法の他の具体的な態様の一つでは、ステップi)において、該組成物は、約20℃から約40℃までの温度に熱調節される。更に別の具体的な態様の一つでは、ステップii)において、基材は金属である。更に別の他の具体的な態様の一つでは、ステップii)において、基材は銅である。更に別の他の具体的な態様の一つでは、ステップii)において、基材は錫である。更に別の他の具体的な態様の一つでは、ステップii)において、基材は銀である。更に別の他の具体的な態様の一つでは、ステップii)において、基材は、約1分間から約20分間、処理される。更に別の他の具体的な態様の一つでは、ステップiii)において、洗浄は、約5重量%から約95重量%までの範囲の水組成を有する、水とイソプロパノールとの混合物を用いて行われる。
【0076】
上記の本発明による方法の一つの態様では、前記ステップii)において除去される前記フォトレジスト膜の処理は、パターン化されたフォトレジスト膜、パターンを持たない全面暴露されたフォトレジスト膜、及び未暴露のフォトレジスト膜からなる群から選択されるものである。一つの態様では、これはパターン化されたフォトレジスト膜である。他の態様の一つでは、これは、未暴露のフォトレジスト膜である。他の態様の一つでは、これは、全面暴露されたフォトレジスト膜である。
【0077】
前記の本発明による方法の一つの態様では、ステップii)において、前記処理は、それを前記の本発明の組成物中に浸漬するか、前記熱調節された本発明の組成物を噴霧するか、または前記熱調節された組成物を前記フォトレジスト膜にパドルすることによって行われる。この態様の一つの観点では、浸漬が使用される。この態様の他の観点の一つでは、噴霧が使用される。この態様の他の観点の一つでは、パドルが使用される。
【0078】
前記の本発明の方法の他の態様の一つでは、ステップi)において、組成物を約30℃から約65℃までの温度に熱調節する。
【0079】
前記の本発明の他の態様の一つでは、ステップiv)において、前記のクリーンな基材は、空気中でのスピン乾燥によって、窒素、空気または何らかの他の不活性ガスなどのガスの流れを用いることによって、イソプロピルアルコール(IPA)乾燥によって、またはマランゴニ乾燥によって乾燥する。一つの観点では、前記乾燥は、スピン乾燥によって行われる。他の観点の一つでは、前記乾燥は、前記のガス流を用いて行われる。他の観点の一つでは、前記乾燥はIPA乾燥を用いて行われる。他の観点の一つでは、前記乾燥はマランゴニ乾燥によって行われる。
【0080】
前記の本発明の方法の一つの観点では、前記フォトレジスト膜は、ネガ型フォトレジスト膜である。
【0081】
前記の本発明の方法の一つの観点では、前記フォトレジスト膜は、ポジ型フォトレジスト膜である。
【0082】
前記の本発明の方法の一つの観点では、前記フォトレジスト膜は、化学増幅型フォトレジスト膜である。
【0083】
前記の態様のいずれにおいても他の観点の一つでは、前記フォトレジスト膜は、パターン化されたネガ型フォトレジスト膜または全面暴露されたネガ型フォトレジスト膜である。一つの観点では、これはパターン化されたネガ型フォトレジスト膜である。他の観点の一つでは、これは、全面暴露されたネガ型フォトレジスト膜である。これらの態様の一つの観点では、前記ネガ型フォトレジストは化学増幅型フォトレジストである。
【0084】
ここに記載のパターン化されたフォトレジスト膜は、暴露され、そして水性塩基現像剤または溶剤系現像剤を用いて現像して、前記のパターン化フォトレジスト膜としたものを指し、前記現像は、膜の形成に使用されるフォトレジストのタイプに依存して、ポスト暴露ベークの後に行ってもよい。
【0085】
全面暴露されたフォトレジスト膜とは、放射線(例えばi線、g線、UV、ディープUV、ブロードバンド、EUV、電子線及び類似の放射線)に暴露されているが、現像されるとパターン化されたフォトレジスト膜を生成する暴露されたパターンを生成するためのマスクが暴露の間に使用されていないものを指す。
【0086】
前記の本発明の方法の他の態様の一つでは、ステップii)において、基材は金属である。この態様の一つの観点では、前記金属は、銅、アルミニウム、アルミニウム/銅合金、銅、銀、錫、チタン、タングステン及びニッケルから選択される。該方法のこの態様の他の観点の一つでは、前記金属は、アルミニウム、アルミニウム/銅合金、及び銅から選択される。前記の本発明の方法の他の態様の一つでは、ステップii)において、前記基材は銅である。前記の本発明の方法の他の態様の一つでは、ステップii)において、前記基材は錫である。
【0087】
前記の本発明の方法の更に別の態様の一つでは、ステップii)において、前記基材は、アルミニウム、アルミニウム/銅合金、錫、銀及び銅から選択される二つの異なる金属から構成されるバイメタルパターンを含む基材である。一つの観点では、前記バイメタルパターンは、銅と錫とから構成されるものである。他の観点の一つでは、前記バイメタルは銀及びアルミニウムである。更に別の態様の一つでは、前記バイメタルパターンは、銀とアルミニウム/銅合金とから構成されるものである。更に別の態様の一つでは、前記バイメタルパターンは、銀と錫とから構成されるものである。更に別の態様の一つでは、前記バイメタルパターンは、銀と銅とから構成されるものである。更に別の態様の一つでは、前記バイメタルパターンは、銀とチタンとから構成されるものである。更に別の観点の一つでは、前記バイメタルパターンは、銀とタングステンとから構成されるものである。更に別の態様の一つでは、前記バイメタルパターンは、銀とニッケルとから構成されるものである。
上記の本発明の方法の他の態様の一つでは、ステップii)において、前記基材は、約1分間から約20分間処理される。この態様の他の観点の一つでは、ステップii)において、前記基材は、約5分間から約20分間処理される。
【0088】
前記の本発明の方法の他の態様の一つでは、ステップiii)において、洗浄は水を用いて行われる。
【0089】
本発明による除去剤組成物は、次の通り、前記の本発明の方法において、多くの異なるタイプのフォトレジストパターンからパターンを除去するために使用し得る。
【0090】
本発明による除去剤は、適用法、ICデバイス、ICデバイスインターコネクト、回路基板、はんだ基板適用、MEM、ディスプレーなどに依存して様々な厚さを有するパターン化レジスト膜を除去するために使用し得る。典型的には、厚さは、従来技術のICでの約数10ナノメータから始まって、より大きなICデバイスでは数マイクロメータ範囲、MEMなどの非常に大きなデバイスでは10~500マイクロメータの製造されるデバイスのサイズに応じて決まる。
【0091】
本開示の除去剤は、様々なタイプの放射線を用いてパターンを形成し得るものから選択し得る、パターンを形成することができるネガ型及びポジ型フォトレジスト材料から生じたレジストパターンに使用することができる。例えば、非限定的な例としては、除去されるレジストパターンは、i線フォトレジスト、g線フォトレジスト、248nmフォトレジスト、193nmフォトレジスト、極端紫外線フォトレジスト、電子線フォトレジスト及び粒子線フォトレジストから形成し得る。本開示の除去剤は、パターンを得るために使用されるケミストリーのタイプによって以下のように更に分類し得るフォトレジストから生じ得るフォトレジストパターンに使用することができる。
【0092】
例えば、本発明の組成物の除去剤は、ノボラック樹脂及びジアゾナフトキノン型(DNQ)感光剤材料をベースとするフォトレジストの可視光、i線、h線及びg線への暴露及び水性塩基使用による現像の結果生じるポジ型パターンを除去するために使用でき、ここで、これらのタイプの樹脂系は、トーンリバースプロセスを介してネガ型画像も生成することもできる。ジアゾナフトキノンノボラックベースのレジストは、(Diazonaphthoquinone-based Resists,Chapter 2,Basic Chemistry of DNQ/Novolak resists,SPIE Optional Engineering Press volume TT11,p.9,1993(非特許文献1))に記載されている。この文献の内容は、全て本明細書中に掲載されたものとする。
【0093】
また、本発明の組成の除去剤は、水性塩基でまたは溶剤で現像可能なネガ型またはポジ型フォトレジストの両方から生じるレジスト膜及びパターンを除去するために使用することができる。
【0094】
また、本発明の組成の除去剤は、化学増幅型で水性塩基で現像可能なレジストを除去するためも使用できる。典型的には、レジストパターンは、より高い解像度パターンを可能するために248nm、193nm、EUVで形成されるが、レジストパターンは、より長い波長、例えば可視光、ブロードバンドUV、i線、g線及びh線を用いて生成することもできる。
【0095】
本開示の除去剤は、ポジトーン化学増幅化型レジスト、すなわち潜在的に水性塩基可溶性であり、水性塩基可溶化部分をマスクする酸開裂性基を脱保護することによって水性塩基可溶性にされる樹脂、例えば(メタ)アクリレートコポリマー、スチレン系コポリマー、ノボラック、フェノール系樹脂から生じるレジストパターンを除去するために使用できる。塩基可溶化部分は、カルボン酸類、フェノール類、または典型的には11未満のpKを有して、水性塩基が殆どそれらをイオン化する他の部分であり得る。酸は、光酸発生化合物によりフォトレジスト膜の露光領域中に生成する。この酸は、アシドリシスまたはヒドロリシスのプロセスを介して酸開裂性基を脱保護して、フリーの塩基可溶化部分を放出し、露光された領域においてフォトレジスト膜が水性塩基可溶性になることを可能にする。
【0096】
本開示の除去剤は、本質的な水性塩基可溶性が保護基によってマスクされていないネガトーン化学増幅レジストから生じるレジストパターンを除去するために使用し得る。この方策ではむしろ、本質的に塩基可溶性の樹脂(バインダー樹脂)、例えば水性塩基可溶性の(メタ)アクリレートコポリマー、スチレン系コポリマー、ノボラック及び類似物をベースとするものは、酸架橋性部分を介して光酸による触媒作用により架橋される。これらの部分は、バインダー樹脂自体に懸垂すること、架橋性添加剤(架橋剤)上に存在すること、または樹脂及び添加剤の両方上に存在することができる。露光された領域における酸触媒架橋は、PAGによって生成した光酸を介して起きて、その結果、水性塩基現像の後にネガトーン画像となる。典型的には、架橋性添加剤が使用される場合は、これは、光酸と相互作用した時にカルボニウムイオンを形成することができる部分、例えばアミノプラストであるか、または酸架橋可能基を含む添加剤、例えばエポキシ化合物である。同様に、架橋性部分が樹脂上に存在する場合は、これは、酸とカルボニウムイオンを形成できる部分、または酸と架橋できる部分、例えばエポキシ部分のいずれかであることができる。以下の文献は、化学増幅型レジストの論評である:(H.Ito,Adv Polym Sci、2005、172,p37(非特許文献2))。
【0097】
本開示の除去剤は、ネガ型化学増幅レジストから生じ得るレジストパターンを除去するために使用でき、ここで、バインダー樹脂は、ノボラック、例えば、ホルムアルデヒドなどのアルデヒド類と縮合された、置換されたフェノール類、例えばオルト-クレゾール;メタ-クレゾール;パラ-クレゾール;2,4-キシレノール;2,5-キシレノール;3,4-キシレノール、3,5-キシレノール、チモール及びこれらの混合物から誘導されるノボラックを含むことができる。他の方策では、バインダー樹脂は、ポリ(ビニルフェノール)、例えばポリ(パラ-ヒドロキシスチレン);ポリ(パラ-ヒドロキシ-アルファ-メチルスチレン);パラ-ヒドロキシスチレンまたはパラ-ヒドロキシ-アルファ-メチルスチレンとスチレン、アセトキシスチレンまたはアクリル酸及び/もしくはメタクリル酸とのコポリマー;ヒドロキシフェニルアルキルカルビノールホモポリマー;またはノボラック/ポリ(ビニルフェノール)コポリマーを含んでよい。このようなネガ型化学増幅レジストのための架橋性添加剤は、小化合物、有機オリゴマーまたはポリマー内に架橋性官能基を含むエーテル化されたアミノプラストであることができる。このようなアミノプラスは、酸開裂時にカルボニウムイオンを供し、そして放射線、好ましくは画像形成性放射線によって生成された酸の存在下にバインダー樹脂を架橋するのに役立つ。この架橋は、バインダー樹脂を、露光された領域においてアルカリ性媒体中に不溶性のものとする。このような架橋剤は、複数のヒドロキシル、カルボキシル、アミドまたはイミド基を含む化合物または低分子量ポリマーと組み合わせて様々なアミノプラスとから製造し得る。アミノオリゴマーまたはポリマーの一部の例は、アミン、例えば尿素、メラミンまたはグリコールユリアとアルデヒド、例えばホルムアルデヒドとの反応によって得られるアミノプラストである。適当なアミノプラストには、尿素-ホルムアルデヒド、メラミン-ホルムアルデヒド、ベンゾグアナミン-ホルムアルデヒド、及びグリコールウリル-ホルムアルデヒド樹脂、及びこれらの任意のものの組み合わせなどが含まれ得る。一部の用途では、アミノプラストはヘキサ(メトキシメチル)メラミンオリゴマーである。このような材料の非限定的な例はUS6,576,394(特許文献2)に記載されている。
【実施例
【0098】
以下、本開示のより具体的な態様と、このような態様を裏付ける実験結果について説明する。しかし、以下の開示は、例示のみを目的としたものであり、それ故、請求項に記載の発明の範囲を如何様にも限定することを意図したものではない点を指摘しておく。
【0099】
化学品
これらの例で使用されるフォトレジスト製品、すなわちAZ(登録商標)nLOF2070、AZ(登録商標)3DT、AZ(登録商標)4620、AZ(登録商標)15nXTは、全てEMD Performance Materials社(Branchburg,NJ08876)から入手した。他の全ての化学品は、Millipore Sigma社(3050 Spruce St.,St.Louis,MO 63103)から購入した。
【0100】
加工
フォトレジスト剥離試験では、無機基材としてケイ素ウェハを使用し、それに、化学増幅型フォトレジストであるAZ(登録商標)nLOF2070(EMD Performance Materials社(Branchburg,NJ 08876)の製品)を塗布し、そして加工した。加工は、所望の厚さへのレジストのスピンコート、及び110℃下、90秒間のホットプレート上でのソフトベークの適用からなり、10μm厚の膜を形成した。次いで、このレジストを、コンタクトホールパターン化マスクを通して220mJ/cmの光に暴露した。レジストを現像する前に、110℃、90秒間でホットプレート上でポスト露光ベークを完了した。現像は、60秒間の二つのパドルでAZ300MIF現像剤を使用し、それぞれの場合に後でDI水で洗浄した。
【0101】
150nmの銀スパッタコーティングを有するケイ素200mm(8’’)ウェハを、銀腐食試験に使用した。銀コートケイ素ウェハクーポンを、フォトレジス除去剤溶液中に、フォトレジストを剥離するのに十分以上の期間、浸漬した。標準的な検査を行って、腐食の兆候としての表面曇りの存在の目視及び顕微鏡検査によって金属表面の状態を調査した。表面曇りは、重量分析よりもより高いレベルの感度で確認、確定できる(<10Å/分)。
【0102】
銀腐食及びフォトレジスト剥離試験1
2重量%の5-スルホサリチル酸二水和物(CAS:5965-83-3)をアセトン(CAS:67-64-1)中に溶解することによってフォトレジスト除去剤溶液を調製した。この室温の溶液を、磁気攪拌棒(300rpm)を備えた150ml容積のビーカーに入れた。AZ(登録商標)nLOF2070フォトレジストパターンを有するケイ素ウェハクーポンをこの溶液中に浸漬した。このフォトレジストは、20秒間内で溶解した。同じ溶液及びセットアップを、銀腐食試験に使用した。銀ウェハクーポンをこの溶液中に60分間浸漬した。その銀表面は曇りがなく、そして目視及び顕微鏡検査において本質的に元のままであり、そして粒子堆積もなかった。
【0103】
銀腐食及びフォトレジスト剥離試験2
2重量%の5-スルホサリチル酸二水和物(CAS:5965-83-3)をメチルエチルケトン(CAS:78-93-3)中に溶解することによってフォトレジスト除去剤溶液を調製した。この室温の溶液を、磁気攪拌棒(300rpm)を備えた150ml容積のビーカーに入れた。AZ(登録商標)nLOF2070フォトレジストパターンを有するケイ素ウェハクーポンをこの溶液中に浸漬した。このフォトレジストは、20秒間内で溶解した。同じ溶液及びセットアップを、銀腐食試験に使用した。銀ウェハクーポンをこの溶液中に60分間浸漬した。その銀表面は曇りがなく、そして目視及び顕微鏡検査において本質的に元のままであり、そして粒子堆積もなかった。
【0104】
銀腐食及びフォトレジスト剥離試験3
2重量%の5-スルホサリチル酸二水和物(CAS:5965-83-3)を、アセトン(CAS:67-64-1)とジ(プロピレングリコール)メチルエーテル(CAS:34590-94-8)との混合物(重量比:80:20)中に溶解することによってフォトレジスト除去剤溶液を調製した。この室温の溶液を、磁気攪拌棒(300rpm)を備えた150ml容積のビーカーに入れた。AZ(登録商標)nLOF2070フォトレジストパターンを有するケイ素ウェハクーポンをこの溶液中に浸漬した。このフォトレジストは、20秒間内で溶解した。同じ溶液及びセットアップを、銀腐食試験に使用した。銀ウェハクーポンをこの溶液中に60分間浸漬した。その銀表面は曇りがなく、そして目視及び顕微鏡検査において本質的に元のままであり、そして粒子堆積もなかった。
【0105】
銀腐食及びフォトレジスト試験4
10重量%の5-スルホサリチル酸二水和物(CAS:5965-83-3)を、アセトン(CAS:67-64-1)とジ(プロピレングリコール)メチルエーテル(CAS:34590-94-8)との混合物(重量比:80:20)中に溶解することによってフォトレジスト除去剤溶液を調製した。この室温の溶液を、磁気攪拌棒(300rpm)を備えた150ml容積のビーカーに入れた。AZ(登録商標)nLOF2070フォトレジストパターンを有するケイ素ウェハクーポンをこの溶液中に浸漬した。このフォトレジストは、20秒間内で溶解した。同じ溶液及びセットアップを、銀腐食試験に使用した。銀ウェハクーポンをこの溶液中に60分間浸漬した。その銀表面は曇りがなくそして目視及び顕微鏡検査において本質的に元のままであり、そして粒子堆積もなかった。
【0106】
銀腐食及びフォトレジスト試験5
2重量%の5-スルホサリチル酸二水和物(CAS:5965-83-3)を、アセトン(CAS:67-64-1)とPGMEAとの混合物(重量比:80:20)中に溶解することによってフォトレジスト除去剤溶液を調製した。この室温の溶液を、磁気攪拌棒(300rpm)を備えた150ml容積のビーカーに入れた。AZ(登録商標)nLOF2070フォトレジストパターンを有するケイ素ウェハクーポンをこの溶液中に浸漬した。このフォトレジストは、20秒間内で溶解した。同じ溶液及びセットアップを、銀腐食試験に使用した。銀ウェハクーポンをこの溶液中に60分間浸漬した。その銀表面は曇りがなくそして目視及び顕微鏡検査において本質的に元のままであり、そして粒子堆積もなかった。
【0107】
銀腐食及びフォトレジスト試験6
2重量%の5-スルホサリチル酸二水和物(CAS:5965-83-3)を、アセトン(CAS:67-64-1)とPGMEとの混合物(重量比:80:20)中に溶解することによってフォトレジスト除去剤溶液を調製した。この室温の溶液を、磁気攪拌棒(300rpm)を備えた150mL容積のビーカー中に入れた。AZ(登録商標)nLOF2070フォトレジストパターンを有するケイ素ウェハクーポンをこの溶液中に浸漬した。このフォトレジストは、20秒間内で溶解した。同じ溶液及びセットアップを、銀腐食試験に使用した。銀ウェハクーポンをこの溶液中に60分間浸漬した。その銀表面は曇りがなくそして目視及び顕微鏡検査において本質的に元のままであり、そして粒子堆積もなかった。
【0108】
銀腐食及びフォトレジスト試験7
2重量%の5-スルホサリチル酸二水和物(CAS:5965-83-3)を、アセトン(CAS:67-64-1)とプロピレングリコール(CAS番号:57-55-6)との混合物(重量比:80:20)中に溶解することによってフォトレジスト除去剤溶液を調製した。この室温の溶液を、磁気攪拌棒(300rpm)を備えた150ml容積のビーカーに入れた。AZ(登録商標)nLOF2070フォトレジストパターンを有するケイ素ウェハクーポンをこの溶液中に浸漬した。このフォトレジストは、20秒間内で溶解した。同じ溶液及びセットアップを、銀腐食試験に使用した。銀ウェハクーポンをこの溶液中に60分間浸漬した。その銀表面は曇りがなくそして目視及び顕微鏡検査において本質的に元のままであり、そして粒子堆積もなかった。
【0109】
銀腐食及びフォトレジスト試験8
2重量%の5-スルホサリチル酸二水和物(CAS:5965-83-3)を、アセトン(CAS:67-64-1)とジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテル(CAS:111109-77-4)との混合物(重量比:80:20)中に溶解することによってフォトレジスト除去剤溶液を調製した。この室温の溶液を、磁気攪拌棒(300rpm)を備えた150ml容積のビーカーに入れた。AZ(登録商標)nLOF2070フォトレジストパターンを有するケイ素ウェハクーポンをこの溶液中に浸漬した。このフォトレジストは、20秒間内で溶解した。同じ溶液及びセットアップを、銀腐食試験に使用した。銀ウェハクーポンをこの溶液中に60分間浸漬した。その銀表面は曇りがなくそして目視及び顕微鏡検査において本質的に元のままであり、そして粒子堆積もなかった。
【0110】
銀腐食及びフォトレジスト試験9
10重量%の5-スルホサリチル酸二水和物(CAS:5965-83-3)を、アセトン(CAS:67-64-1)とプロピレングリコール(CAS:57-55-6)との混合物(重量比:80:20)中に溶解することによってフォトレジスト除去剤溶液を調製した。この室温の溶液を、磁気攪拌棒(300rpm)を備えた150ml容積のビーカーに入れた。AZ(登録商標)nLOF2070フォトレジストパターンを有するケイ素ウェハクーポンをこの溶液中に浸漬した。このフォトレジストは、20秒間内で溶解した。同じ溶液及びセットアップを、銀腐食試験に使用した。銀ウェハクーポンをこの溶液中に60分間浸漬した。その銀表面は曇りがなく、そして目視及び顕微鏡検査において本質的に元のままであり、そして粒子堆積もなかった。
【0111】
他のタイプのフォトレジストの剥離
銀腐食及びフォトレジスト剥離試験1を、他のタイプのフォトレジスついて行ったが、これらは全て、表1に纏めたように、銀または銅などの金属の腐食も、粒子の堆積も伴わずに、厚手のフォトレジスト膜の迅速な除去(20秒間以下)を示した。
【0112】
【表1】
【0113】
比較フォトレジスト剥離試験1
2重量%の5-スルホサリチル酸二水和物(CAS:5965-83-3)をジ(プロピレングリコール)メチルエーテル(CAS:34590-94-8)中に溶解することによってフォトレジスト除去剤溶液を調製した。この室温の溶液を、磁気攪拌棒(300rpm)を備えた150ml容積のビーカーに入れた。AZ(登録商標)nLOF2070フォトレジストパターンを有するケイ素ウェハクーポンをこの溶液中に浸漬した。フォトレジストの溶解は少なくとも20分間を要した。
【0114】
比較フォトレジスト剥離試験2
2重量%の5-スルホサリチル酸二水和物(CAS:5965-83-3)を2-ヘプタノン(CAS:110-43-0)中に溶解することによってフォトレジスト除去剤溶液を調製した。この室温の溶液を、磁気攪拌棒(300rpm)を備えた150ml容積のビーカーに入れた。AZ(登録商標)nLOF2070フォトレジストパターンを有するケイ素ウェハクーポンをこの溶液中に浸漬した。フォトレジストの溶解は少なくとも20分間を要した。
【0115】
比較フォトレジスト剥離試験3
2重量%の5-スルホサリチル酸二水和物(CAS:5965-83-3)をシクロヘキサノン(CAS:108-94-1)中に溶解することによってフォトレジスト除去剤溶液を調製した。この室温の溶液を、磁気攪拌棒(300rpm)を備えた150ml容積のビーカーに入れた。AZ(登録商標)nLOF2070フォトレジストパターンを有するケイ素ウェハパターンをこの溶液中に浸漬した。フォトレジストの溶解は少なくとも20分間を要した。
【0116】
比較フォトレジスト剥離試験4
2重量%の5-スルホサリチル酸二水和物(CAS:5965-83-3)をジ(プロピレングリコール)ジメチルエーテル(CAS:111109-77-4)中に溶解することによってフォトレジスト除去剤溶液を調製した。この室温の溶液を、磁気攪拌棒(300rpm)を備えた150ml容積のビーカーに入れた。AZ(登録商標)nLOF2070フォトレジストパターンを有するケイ素ウェハクーポンをこの溶液中に浸漬した。フォトレジストの溶解は少なくとも20分間を要した。
【0117】
比較金属腐食試験1
2重量%のドデシルベンゼンスルホン酸(CAS:68584-22-5)をアセトン中に溶解することによってフォトレジスト除去剤溶液を調製した。この溶液を、磁気攪拌棒(300rpm)を備えた150ml容積のビーカーに入れた。銀ウェハクーポンをこの溶液中に浸漬した。5分後、ケイ素ウェハ上の銀は曇りを示し、これは腐食を示唆する。
【国際調査報告】