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特表2024-500630ランタニド及びランタニド様遷移金属錯体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】ランタニド及びランタニド様遷移金属錯体
(51)【国際特許分類】
   C07F 5/00 20060101AFI20231227BHJP
   C23C 16/40 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
C07F5/00 D CSP
C23C16/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023530747
(86)(22)【出願日】2021-11-18
(85)【翻訳文提出日】2023-06-01
(86)【国際出願番号】 EP2021082084
(87)【国際公開番号】W WO2022106508
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】63/116,487
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(71)【出願人】
【識別番号】523186634
【氏名又は名称】ヴェルサム・マテリアルズ・ユーエス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ヴェッツェル・クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ハイル・ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】クロムピエツ・ミハウ
(72)【発明者】
【氏名】リーツァウ・ラルス
(72)【発明者】
【氏名】ブルーゲ・ダーフィト
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ミン
(72)【発明者】
【氏名】イワノフ・セルゲイ・ヴェー
【テーマコード(参考)】
4H048
4K030
【Fターム(参考)】
4H048AA01
4H048AA02
4H048AA03
4H048AB84
4H048AB91
4H048VA20
4H048VA30
4H048VA71
4H048VB10
4H048VB40
4K030AA01
4K030BA42
4K030CA04
4K030CA05
4K030JA05
4K030JA09
4K030JA10
(57)【要約】
開示及び特許請求される発明は、一般式(i)(Cp配位子)-M-(Ad配位子)または(ii)(Cp配位子)-M-(Ad配位子)の、少なくとも一つの繋留されたシクロペンタジエニル配位子(“Cp配位子”)、少なくとも一つのアミジネート配位子(“Ad配位子”)、及びランタニド及び/またはランタニド様遷移金属(“M”)を有する前駆体を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(シクロペンタジエニル配位子)-M-(アミジネート配位子)で表され、但し、Mは、La、Sc、Y、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuのうちの一つである、前駆体。
【請求項2】
式(シクロペンタジエニル配位子)-M-(アミジネート配位子)で表され、但し、Mは、La、Sc、Y、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuのうちの一つである、前駆体。
【請求項3】
MがLaである、請求項1または2に記載の前駆体。
【請求項4】
各々のシクロペンタジエニル配位子が、独立して、表1または表2に示すシクロペンタジエニル配位子から選択される、請求項1~3のいずれか一つに記載の前駆体。
【表1】
【表2】
【請求項5】
アミジネート配位子が、表3に示されるアミジネート配位子から選択される、請求項1~3のいずれか一つに記載の前駆体。
【表3】
【請求項6】
次式Iを有する前駆体。
【化1】
式中、
i.Mは、La、Sc、Y、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuのうちの一つであり;
ii.R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、H、D、置換されていない線状C-Cアルキル基、ハロゲンで置換された線状C-Cアルキル基、アミノ基で置換された線状C-Cアルキル基、置換されていない分岐状C-Cアルキル基、ハロゲンで置換された分岐状C-Cアルキル基、アミノ基で置換された分岐状C-Cアルキル基及び-Si(CHから選択され;
iii.Rは、線状または分岐状C-Cアルキレンであり;
iv.Rは、H、Dまたは置換されていない線状C-Cアルキル基であり;そして
v.nは1または2である。
【請求項7】
次式IIを有する前駆体。
【化2】
式中、
i.Mは、La、Sc、Y、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuのうちの一つであり;
ii.R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、H、D、置換されていない線状C-Cアルキル基、ハロゲンで置換された線状C-Cアルキル基、アミノ基で置換された線状C-Cアルキル基、置換されていない分岐状C-Cアルキル基、ハロゲンで置換された分岐状C-Cアルキル基、アミノ基で置換された分岐状C-Cアルキル基及び-Si(CHから選択され;
iii.Rは線状または分岐状C-Cアルキレンであり;
iv.R及びRは、それぞれ独立して、H、D及び置換されていない線状C-Cアルキル基から選択され;そして
v.nは1または2である。
【請求項8】
MがLaである、請求項6または7に記載の前駆体。
【請求項9】
、R、R、R、R、R及びRが全て同一である、請求項6または7に記載の前駆体。
【請求項10】
、R、R、Rが、それぞれ独立して、H、Dから選択され、そしてR、R及びRが、それぞれ独立して、H、D、置換されていない線状C-Cアルキル基、置換されていない分岐状C-Cアルキル基及び-Si(Me)から選択される、請求項6または7に記載の前駆体。
【請求項11】
、R、R、R、R、R、及びRのうちの少なくとも一つが、R、R、R、R、R、R及びRのうちの他のものと異なる、請求項6または7に記載の前駆体。
【請求項12】
、R、R、R、R、R及びRが、それぞれ独立して、H、D、置換されていない線状C-C線状アルキル基、置換されていない分岐状C-Cアルキル基及び-Si(Me)から選択される、請求項6または7に記載の前駆体。
【請求項13】
、R及びRの一つ以上がイソプロピル基である、請求項6または7に記載の前駆体。
【請求項14】
、R及びRの二つ以上がイソプロピル基である、請求項6または7に記載の前駆体。
【請求項15】
、R及びRがそれぞれイソプロピル基である、請求項6または7に記載の前駆体。
【請求項16】
がHまたはDであり、そしてR、Rが、独立して、置換されていない線状C-Cアルキル基、置換されていない分岐状C-Cアルキル基及び-Si(Me)である、請求項6または7に記載の前駆体。
【請求項17】
nが1である、請求項6または7に記載の前駆体。
【請求項18】
nが2である、請求項6または7に記載の前駆体。
【請求項19】
Rが-(CH)-である、請求項6または7に記載の前駆体。
【請求項20】
Rが-(CH-である、請求項6または7に記載の前駆体。
【請求項21】
Rが-(CH-である、請求項6または7に記載の前駆体。
【請求項22】
Rが-(CH-である、請求項6または7に記載の前駆体。
【請求項23】
Rが-C(CH-である、請求項6または7に記載の前駆体。
【請求項24】
Rが-CH(CH)-である、請求項6または7に記載の前駆体。
【請求項25】
Rが-C(CHCH-である、請求項6または7に記載の前駆体。
【請求項26】
Rが-CH(CH)CH-である、請求項6または7に記載の前駆体。
【請求項27】
Rが-C(CH(CH-である、請求項6または7に記載の前駆体。
【請求項28】
Rが-CH(CH)(CH-である、請求項6または7に記載の前駆体。
【請求項29】
が-Hである、請求項6または7に記載の前駆体。
【請求項30】
が-Dである、請求項6または7に記載の前駆体。
【請求項31】
が-CHである、請求項6または7に記載の前駆体。
【請求項32】
が-CHCHである、請求項6または7に記載の前駆体。
【請求項33】
が-CHCHCHである、請求項6または7に記載の前駆体。
【請求項34】
及びRの少なくとも一つが-Hである、請求項7に記載の前駆体。
【請求項35】
及びRの少なくとも一つが-Dである、請求項7に記載の前駆体。
【請求項36】
及びRの少なくとも一つが-CHである、請求項7に記載の前駆体。
【請求項37】
及びRの少なくとも一つが-CHCHである、請求項7に記載の前駆体。
【請求項38】
及びRの少なくとも一つが-CHCHCHである、請求項7に記載の前駆体。
【請求項39】
及びRがそれぞれ-Hである、請求項7に記載の前駆体。
【請求項40】
及びRがそれぞれ-Dである、請求項7に記載の前駆体。
【請求項41】
及びRがそれぞれ-CHである、請求項7に記載の前駆体。
【請求項42】
及びRがそれぞれ-CHCHである、請求項7に記載の前駆体。
【請求項43】
及びRがそれぞれ-CHCHCHである、請求項7に記載の前駆体。
【請求項44】
表4に示す構造を有する、請求項6に記載の前駆体。
【請求項45】
表5に示す構造を有する、請求項6に記載の前駆体。
【請求項46】
表6に示す構造を有する、請求項7に記載の前駆体。
【請求項47】
以下の構造を有する前駆体。
【化3】
【請求項48】
以下の構造を有する前駆体。
【化4】
【請求項49】
以下の構造を有する前駆体。
【化5】
【請求項50】
以下の構造を有する前駆体。
【化6】
【請求項51】
以下の構造を有する前駆体。
【化7】
【請求項52】
式La[Cp(CHOCHの化合物。
【請求項53】
式La[CpCHN(CHの化合物。
【請求項54】
式Iの化合物の合成において式La[Cp(CHOCHの化合物を使用することを含む、式Iの化合物を合成する方法。
【請求項55】
式IIの化合物の合成において式La[CpCHN(CHの化合物を使用することを含む、式IIの化合物を合成する方法。
【請求項56】
基材の少なくとも一つの表面上に遷移金属含有膜を形成する方法であって、
a.基材の前記少なくとも一つの表面を反応容器中に用意するステップ;
b.化学蒸着(CVD)プロセス及び原子層堆積(ALD)プロセスから選択される堆積プロセスによって、この堆積プロセスのための金属源化合物として請求項1~50のいずれか一つに記載の前駆体を用いて、前記少なくとも一つの表面上に遷移金属含有膜を形成するステップ;
を含む、方法。
【請求項57】
少なくとも一つの反応体を反応容器中に導入することを更に含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
水、二原子酸素、酸素プラズマ、オゾン、NO、NO、NO、一酸化炭素、二酸化炭素及びこれらの組み合わせの群から選択される少なくとも一つの反応体を、反応容器中に導入することを更に含む、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
アンモニア、ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン、ジアルキルヒドラジン、窒素、窒素/水素、アンモニアプラズマ、窒素プラズマ、窒素/水素プラズマ、及びこれらの組み合わせの群から選択される少なくとも一つの反応体を、反応容器中に導入することを更に含む、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
水素、水素プラズマ、水素とヘリウムとの混合物、水素とアルゴンとの混合物、水素/ヘリウムプラズマ、水素/アルゴンプラズマ、ホウ素含有化合物、ケイ素含有化合物及びこれらの組み合わせの群から選択される少なくとも一つの反応体を、反応容器中に導入することを更に含む、請求項56に記載の方法。
【請求項61】
原子層堆積(ALD)プロセスまたはALD様プロセスを介して遷移金属含有膜を形成する方法であって、次のステップ:
a.反応容器中に基材を用意するステップ;
b.請求項1~50のいずれか一つに記載の前駆体を反応容器中に導入するステップ;
c.反応容器を第一のパージガスでパージするステップ;
d.反応容器中に原料ガスを導入するステップ;
e.反応容器を第二のパージガスでパージするステップ;
f.遷移金属含有膜が所望の厚さで得られるまで、ステップbからeを連続的に繰り返すステップ;
を含む、方法。
【請求項62】
原料ガスが、水、二原子酸素、酸素プラズマ、オゾン、NO、NO、NO、一酸化炭素、二酸化炭素及びこれらの組み合わせから選択される酸素含有原料ガスの一種以上である、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
原料ガスが、アンモニア、ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン、ジアルキルヒドラジン、窒素、窒素/水素、アンモニアプラズマ、窒素プラズマ、窒素/水素プラズマ、及びこれらの混合物から選択される窒素含有原料ガスの一種以上である、請求項60に記載の方法。
【請求項64】
第一及び第二のパージガスが、それぞれ独立して、アルゴン、窒素、ヘリウム、ネオン、及びこれらの組み合わせの一種以上から選択される、請求項60に記載の方法。
【請求項65】
前駆体、原料ガス、基材及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも一つにエネルギーを加えることを更に含み、ここで、このエネルギーが、熱、プラズマ、パルスプラズマ、ヘリコンプラズマ、高密度プラズマ、誘導結合プラズマ、X線、電子ビーム、フォトン、リモートプラズマ法及びこれらの組み合わせの一つ以上である、請求項60に記載の方法。
【請求項66】
ステップbが、前駆体の蒸気を反応容器に供給するためにキャリアガスの流れを用いて、前駆体を反応容器中に導入することを更に含む、請求項60に記載の方法。
【請求項67】
ステップbが、トルエン、メシチレン、イソプロピルベンゼン、4-イソプロピルトルエン、1,3-ジイソプロピルベンゼン、オクタン、ドデカン、1,2,4-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチルシクロヘキサン、及びデカヒドロナフタレン、及びこれらの組み合わせの一つ以上を含む溶媒の使用を更に含む、請求項60に記載の方法。
【請求項68】
基材の少なくとも一つの表面上に遷移金属含有膜を形成する方法であって、
a.基材の前記少なくとも一つの表面を反応容器中に用意するステップ;
b.化学蒸着(CVD)プロセス及び原子層堆積(ALD)プロセスから選択される堆積プロセスによって、この堆積プロセスのために金属源化合物として前駆体を用いて、前記少なくとも一つの表面上に遷移金属含有膜を形成するステップ;及び
c.請求項1~50のいずれか一つに記載の前駆体をドーパント材料として使用するステップ;
を含む、方法。
【請求項69】
容器と、請求項1~50のいずれか一つに記載の前駆体とを含み、前記容器が、前駆体を含みかつ分配するように適合されている、前駆体供給パッケージ。
【請求項70】
基材の少なくとも一つの表面上に遷移金属含有膜を形成するための方法における、請求項1~50のいずれか一つに記載の前駆体の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示及び特許請求される発明は、ランタニド及び/またはランタニド様遷移金属を含む有機金属化合物、前記化合物を含む組成物、及び金属含有膜の堆積のための前駆体として前記化合物を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
遷移金属含有膜は、半導体及びエレクトロニクス用途に使用されている。化学蒸着法(CVD)及び原子層堆積法(ALD)は、半導体デバイス用の薄膜を形成するための主たる堆積技術として使用されてきた。これらの方法は、金属含有化合物(前駆体)の化学反応を介して共形膜(金属、金属酸化物、窒化金属、ケイ化金属及び類似物)を達成することを可能にする。前記の化学反応は、金属、酸化金属、窒化金属、ケイ化金属を含み得る表面または他の表面上で起こる。CVD及びALDでは、前駆体分子は、高い共形性を有しかつ不純物の少ない高品質の膜を達成するために重要な役割を果たす。CVD及びALDプロセスにおける基材の温度は、前駆体分子を選択する際の重要な事柄である。150~500℃の範囲の比較的高い基材温度は、より速い膜成長速度を促進する。好ましい前駆体分子は、この温度範囲で安定している必要がある。好ましい前駆体は、液相で反応容器に供給されることができる。前駆体の液相供給は、一般的に、固相前駆体と比べて、反応容器への前駆体のより均一な供給を供する。
【0003】
米国特許第8,283,201号(特許文献1)は、置換基としての少なくとも一つの脂肪族基を有するシクロペンタジエニル配位子と、アミジン配位子とを有する前駆体化合物を開示している。特に、開示された構造は、式Ln(RCp)(R-N-C(R)=N-Rのランタニド含有前駆体を含み、ここで、(i)Lnは、おおよそ0.75Åからおおよそ0.94Åのイオン半径、3+電荷、及び6の配位数を有するランタニド金属であり、(ii)Rは、H及びC~Cアルキル鎖からなる群から選択され、(iii)Rは、H及びC~Cアルキル鎖からなる群から選択され、(iv)RはH及びMeからなる群から選択され、そして(vi)前記前駆体は、おおよそ105℃未満の融点を有する。中でも、開示された前駆体は、Cp環上にヘテロ原子置換基を(すなわち、いずれのR基としても)含まない。
【0004】
米国特許出願公開第2019/0152996号(米国特許出願第16/251,236号)(特許文献2)は、次式のランタン含有化合物を開示している。
【0005】
【化1】
式中、Rは水素原子またはC1~C4線状もしくは分岐状アルキル基であり、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子またはC1~C5線状もしくは分岐状アルキル基であり、R及びRのうちの少なくとも一つはC3~C5分岐状アルキル基であり、そしてRは水素原子またはC1~C4線状もしくは分岐状アルキル基である。米国特許第8,283,201号(特許文献1)に開示される化合物の場合と同じように、開示された化合物は、金属との更なる配位を供し得る、ヘテロ原子置換基を(すなわち、いずれのR基としても)含まない。これに関して、この出願の手続き中に、米国特許商標庁は、米国特許第8,283,201号(特許文献1)は、R及びRが互いに異なる非対称的なアミジネートを教示または示唆していないことを認めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第8,283,201号
【特許文献2】米国特許出願公開第2019/0152996号(米国特許出願第16/251,236号)
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Gordon et al.,Inorg.Chem.,42,7951-7958(2003)
【非特許文献2】Evans et al.,Inorg.Chem.,44,3993-4000(2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
好ましくは液相で供給でき、不純物が少なくかつ高い共形性を有する高品質の膜を形成できる、CVD及びALD前駆体として適した熱的に安定したランタニド及び/またはランタニド様有機金属化合物への要望が当技術分野において存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
開示及び特許請求される発明は、一般式(i)(Cp配位子)-M-(Ad配位子)または(ii)(Cp配位子)-M-(Ad配位子)の、少なくとも一つの繋留されたシクロペンタジエニル配位子(「Cp配位子」)、少なくとも一つのアミジネート配位子(「Ad配位子」)、及びランタニド及び/またはランタニド様遷移金属(「M」)を有する前駆体を提供する。開示及び特許請求される発明は、更に、前記化合物を含む組成物、金属含有膜の堆積のための前駆体として前記化合物を使用する方法、及び前記前駆体から誘導される膜も含む。
【0010】
幾つかの態様では、少なくとも一つの繋留されたシクロペンタジエニル配位子及び少なくとも一つのアミジネート配位子を有する前記前駆体は、次式Iを有する:
【0011】
【化2】
式中、(i)Mは、La、Sc、Y、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuのうちの一つであり、(ii)R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、H、D、置換されていない線状C-Cアルキル基、ハロゲンで置換された線状C-Cアルキル基、アミノ基で置換された線状C-Cアルキル基、置換されていない分岐状C-Cアルキル基、及びハロゲンで置換された分岐状C-Cアルキル基、アミノ基で置換された分岐状C-Cアルキル基及び-Si(CHから選択され、(iii)Rは、線状もしくは分岐状C-Cアルキレンであり、(iv)Rは、H、D、置換されていない線状C-C線状アルキル基または置換されていない分岐状C-Cアルキル基であり、(v)nは1または2である。式Iの前駆体は、式(i)(Cp配位子)-M-(Ad配位子)及び(ii)(Cp配位子)-M-(Ad配位子)の化合物を包含し、ここでCp配位子は、酸素含有側鎖を含む。
【0012】
他の態様では、少なくとも一つの繋留されたシクロペンタジエニル配位子及び少なくとも一つのアミジネート配位子を有する前記前駆体は次式IIを有する:
【0013】
【化3】
式中、(i)Mは、La、Sc、Y、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuのうちの一つであり、(ii)R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、H、D、置換されていない線状C-Cアルキル基、ハロゲンで置換された線状C-Cアルキル基、アミノ基で置換された線状C-Cアルキル基、及び置換されていない分岐状C-Cアルキル基、ハロゲンで置換された分岐状C-Cアルキル基、及びアミノ基で置換された分岐状C-Cアルキル基及び-Si(CHから選択され、(iii)Rは、線状もしくは分岐状C-Cアルキレンであり、(iv)R及びRは、それぞれ独立して、H、D、置換されていない線状C-C線状アルキル基または置換されていない分岐状C-Cアルキル基から選択され、(v)nは1または2である。式IIの前駆体は、一般式(i)(Cp配位子)-M-(Ad配位子)及び(ii)(Cp配位子)-M-(Ad配位子)の化合物を包含し、ここでCp配位子は、窒素含有側鎖を含む。
【0014】
それぞれ一般式(i)(Cp配位子)-M-(Ad配位子)及び(ii)(Cp配位子)-M-(Ad配位子)、式I及び式IIの前駆体のより具体的な観点及び態様は、以下に詳述する。
【0015】
開示及び特許請求される発明は、更に、(i)開示及び特許請求される前駆体を含む組成物及び処方、(ii)堆積プロセスでの、開示及び特許請求される前駆体の使用方法、及び(iii)堆積プロセスで製造される、開示及び特許請求される前駆体から誘導される金属含有膜を包含する。
【0016】
添付の図面は、開示された発明の更なる理解をもたらし、そして本明細書中に取り入れられ、それの一部を構成するものであるが、これらは、開示された発明の態様を例示し、そして発明の詳細な説明と共に、開示された発明の原理を説明するのに役立つものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、例1のLa[Cp(CHOCH][(C)NC(H)N(C)](“(1B)-La-(3C)”)の熱重量分析(TGA)を示す。
図2図2は、例1のLa[Cp(CHOCH][(C)NC(H)N(C)](“(1B)-La-(3C)”)の熱重量分析/DSCを示す。
図3図3は、例2のLa[Cp(CHOCH][(C)NC(CH)N(C)](“(1B)-La-(3G)”)の熱重量分析(TGA)を示す。
図4図4は、例3のLa[CpCHN(CH][(C)NC(H)N(C)](“(1B)-La-(3G)”)の熱重量分析(TGA)を示す。
図5図5は、例4のLa[CpCHN(CH][(C)NC(CH)N(C)](“(2D)-La-(3G)”)の熱重量分析(TGA)を示す。
図6図6は、例5のLa[Cp(CHOCH][(C)NC(H)N(C)](“(1C)-La-(3C)”)の熱重量分析/DSCを示す。
図7図7は、Si及びSiOウェハ上のLa[Cp(CHOCH][(C)NC(H)N(C)](“(1B)-La-(3C)”)前駆体の熱分解を示す。
図8図8は、原子層堆積プロセスにおけるLa[Cp(CHOCH][(C)NC(H)N(C)](“(1B)-La-(3C)”)前駆体のパルス時間に対する、SiOウェハ上での酸化ランタン膜厚の依存性を示す。
図9図9は、La[Cp(CHOCH][(C)NC(H)N(C)](“(1B)-La-(3C)”)前駆体を用いた原子層堆積プロセスにおける、ALDサイクル数に対する、SiOウェハ上での酸化ランタン膜厚の依存性を示す。
図10図10は、La[Cp(CHOCH][(C)NC(H)N(C)](“(1B)-La-(3C)”)前駆体及び次のプロセス条件、すなわち前駆体パルス 2秒間;Arパージ 20秒間;オゾンパルス 5秒間;Arパージ 20秒間;100パルス;ウェハ温度200℃を用いてSiO基材上に堆積した酸化ランタン膜の断面SEM画像を示す。
図11図11は、La[Cp(CHOCH][(C)NC(H)N(C)](“(1B)-La-(3C)”)前駆体及び次のプロセス条件、すなわち前駆体パルス 2秒間;Arパージ 10秒間;オゾンパルス 1秒間;Arパージ 30秒間;300パルス;ウェハ温度 200℃を用いてSiO基材上に堆積した酸化ランタン膜の断面SEM画像を示す。
図12図12は、La[Cp(CHOCH][(C)NC(H)N(C)](“(1B)-La-(3C)”)前駆体及び次のプロセス条件、すなわち前駆体パルス 2秒間;Arパージ 20秒間;オゾンパルス 5秒間;Arパージ 20秒間;100パルス;ウェハ温度 200℃を用いてSi基材上に堆積した酸化ランタン膜のトップダウンSEM画像を示す。
図13図13は、La[Cp(CHOCH][(C)NC(H)N(C)](“(1B)-La-(3C)”)前駆体及び次のプロセス条件、すなわち前駆体パルス 2秒間;Arパージ 10秒間;オゾンパルス 1秒間;Arパージ 30秒間;300パルス;ウェハ温度 200℃を用いてSi基材上に堆積した酸化ランタン膜のトップダウンSEM画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
米国特許第8,283,201号(特許文献1)及び米国特許出願公開第2019/0152996号(特許文献2)を含めて、刊行物、特許出願及び特許を始めとしたここに引用する文献の全ては、各々の文献が、個々に及び具体的に参照により掲載されるように示されそしてそれの全体が記載されたが如く、参照によりここ掲載されたものとする。
【0019】
開示及び特許請求される発明の記載に関連して(特に後に記載の請求項に関連して)単数形の使用は、ここに他に指示があるかまたは文脈上明らかに矛盾が生じる場合は除いて、単数形及び複数形の両方を含むものと理解されるべきである。「含む」、「有する」、「包含する」及び「含有する」という表現は、他に注釈がない場合には、非限定的な表現(すなわち、「含むが、それに限定されない」)として解釈されるべきである。数値範囲の記載は、ここに他に指示がない場合には、単に、その範囲内に入る別個の各値の一つ一つに言及する代わりの簡便な方法として役立つように意図したものであり、そして別個の各値は、それらが一つ一つここに記載されたが如く明細書中に掲載されたものとする。ここに記載の全ての方法は、ここに他に指示がない限りまたは文脈上明らかに矛盾がない場合には、任意の適当な状態で行うことができる。ここに記載のいずれの及び全ての例示、または例示を示す表現(例えば、「など」)の使用は、単に、開示及び特許請求される発明をより良く説明することを意図したものであり、他に特許請求されない限り、開示及び特許請求された発明の範囲を限定するものではない。本明細書中のどの言葉も、特許請求の範囲に記載のない事項を開示及び特許請求される発明の実施に本質的なものと示すものとは解釈するべきではない。本明細書及び特許請求の範囲における「含む」または「包含する」という表現の使用は、「・・・から本質的になる」及び「・・・からなる」というより狭い表現を包含する。
【0020】
開示及び特許請求される発明の態様は、開示及び特許請求される発明を実施するために本発明者らが知るベストモードも含めて、ここに記載される。これらの態様のバリエーションは、以下の説明を読めば、当業者には明らかになるであろう。本発明者らは、当業者が、このようなバリエーションを必要に応じて使用することを予期し、そして本発明者らは、開示及び特許請求された発明が、ここに具体的に記載されたものとは異なるように実施されることを想定している。それ故、開示及び特許請求された発明は、本願に添付の特許請求の範囲に記載の発明の全ての変更及び均等形を、適用可能な法律によって許される範囲で全て包含する。更に、それの全ての可能なバリエーションにおける上記の事項の任意の組み合わせは、他に指示がない限りまたは文脈上明らかに矛盾しない限り、開示及び特許請求される発明に含まれる。
【0021】
「アルキレン」という用語は、(i)シクロペンタジエニル(“Cp”)基中の一つの炭素原子と(ii)OまたはN原子との間のアルキレン連結、好ましくはエチレンブリッジなどのC1-4アルキレン連結を指す。アルキレン連結の具体的な例は、メチレン(-CH-)、エチレン(-CHCH-)、置換されたエチレン(例えば、-CH(CH)CH-;-CH(CH)CH(CH)-;-C(CHCH-)、プロピレン(-CHCHCH-)及び置換されたプロピレンなどを包含する。
【0022】
「ケイ素」という用語は、微細電子デバイス上の材料として堆積される場合には、ポリシリコンも包含すると理解される。
【0023】
簡単に参照できるように、「微細電子デバイス」または「半導体デバイス」は、マイクロエレクトロニクス、集積回路もしくはコンピュータチップ用途に使用するために製造される、集積回路及びメモリを有する半導体ウェハ並びに他の電子構造体が上面に作製された半導体ウェハ、及びフラットパネルディスプレイ、相変化メモリデバイス、ソーラーパネル、及びソーラー基板を含む他の製品、太陽光発電装置、及び微小電気機械システム(MEMS)に相当する。ソーラー基板は、限定はされないが、ケイ素、アモルファスケイ素、多結晶性ケイ素、単結晶性ケイ素、CdTe、セレン化銅インジウム、硫化銅インジウム、及びヒ化ガリウム・オン・ガリウムなどを包含する。ソーラー基板はドープされていても、ドープされていなくともよい。「微細電子デバイス」または「半導体デバイス」という用語は、如何様にも限定的であることを意味せず、そして最終的に微細電子デバイスまたは微細電子アセンブリとなる如何なる基材も包含する。
【0024】
ここに定義されるように、「バリア材料」という用語は、金属ライン、例えば銅インターコネクタをシールして、前記の金属、例えば銅が誘電性材料中に拡散するのを最小化するために当技術分野で使用される如何なる材料にも相当する。好ましいバリア層材料には、タンタル、チタン、ルテニウム、ハフニウム、及び他の耐熱性金属、及びそれらの窒化物及びケイ化物などを包含する。
【0025】
「実質的に含まない」とは、0.001重量%未満と定義される。「実質的に含まない」とは、0.000重量%も包含する。「含まない」という表現は、0.000重量%を意味する。ここで使用する場合、「約」または「おおよそ」とは、記載の値の±5%内に相当することを意図している。
【0026】
組成物の特定の成分が、下限値ゼロを含めて重量パーセンテージ(または「重量%」)範囲に言及して記載される全てのこのような組成物においては、このような成分は、該組成物の様々な特定の態様中に存在する場合も存在しない場合もあること、及びこのような成分が存在する場合には、これらは、このような成分が使用された組成物の全重量を基準にして、0.001重量%もの低い濃度で存在し得る。これらの成分の全ての百分率は、重量パーセンテージであり、該組成物の全重量、すなわち100%をベースとするものである点に注意されたい。「一つ以上」もしくは「一種以上」または「少なくとも一つ」もしくは「少なくとも一種」と言及するときは、これは、いずれの場合も、「二つ以上」もしくは「二種以上」または「三つ以上」もしくは「三種以上」等々を包含する。
【0027】
当てはまる場合は、他に指示がない限りは全ての重量パーセントは、「正味(neat)」であり、すなわち、組成物に添加される時、それらが存在する水溶液は含まないことを意味する。例えば、「正味」は、希釈されていない酸または他の材料の重量%の量を指す(すなわち、85%のリン酸の100gの含有は、85gの酸及び15gの希釈剤を構成する)。
【0028】
更に、ここに記載の組成物に重量%の観点で言及する時は、いかなる場合も、不純物などの本質的ではない成分を含む全ての成分の重量%は合計して100重量%超にはならないと理解されたい。記載の成分から「本質的になる」組成物においては、このような成分は、合計してその組成物の100重量%となり得るか、または合計して100重量%未満となり得る。成分の合計が100重量%未満である場合は、このような組成物は、何らかの少量の本質的ではない汚染物または不純物を含み得る。例えば、一つのこのような態様では、処方は、2重量%以下の不純物を含むことができる。他の態様の一つでは、処方は、1重量%以下の不純物を含むことができる。更に別の態様の一つでは、処方は、0.05重量%以下の不純物を含むことができる。他のこのような態様では、構成分は、少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%、より好ましくは少なくとも99.5重量%、最も好ましくは少なくとも99.9重量%を形成でき、そして湿式エッチング液の性能に重大な影響を与えない他の成分を含み得る。それ以外の場合に、顕著な非本質的不純物成分が存在しない場合には、全ての本質的構成分の組成は、合計すると本質的に100重量%になると理解されたい。
【0029】
ここで使用される表題は、限定的であることを意図したものではなく、むしろ、文書構成の目的でのみ含まれるものである。
【0030】
例示的態様
開示及び特許請求される発明の一つの観点は、一般式(i)(Cp配位子)-M-(Ad配位子)または(ii)(Cp配位子)-M-(Ad配位子)の、少なくとも一つの繋留されたシクロペンタジエニル配位子(「Cp配位子」)、少なくとも一つのアミジネート配位子(「Ad配位子」)、及びランダニド及び/もしくはランダニド様遷移金属(「M」)を有する前駆体に関する。
【0031】
開示及び特許請求された発明の一つの観点は、一般式(Cp配位子)-M-(Ad配位子)(式中、Mは、La、Sc、Y、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuのうちの一つである)の、少なくとも一つの繋留されたシクロペンタジエニル配位子(「Cp配位子」)、少なくとも一つのアミジネート配位子(「Ad配位子」)を有する前駆体に関する。この態様の一つの観点では、MはLaである。
【0032】
開示及び特許請求される発明の一つの観点は、一般式(Cp配位子)-M-(Ad配位子)(Mは、La、Sc、Y、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuのうちの一つである)の、少なくとも一つの繋留されたシクロペンタジエニル配位子(「Cp配位子」)、少なくとも一つのアミジネート配位子(「Ad配位子」)及びランダニド及び/もしくはランダニド様遷移金属(「M」)を有する前駆体に関する。この態様の一つの観点では、MはLaである。
【0033】
幾つかの態様では、繋留されたCp配位子は、以下の表1(Cp配位子が、酸素含有側鎖を有する)または表2(Cp配位子が窒素含有側鎖を有する)に示す構造及び/または表3に示すAd配位子を有する。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
表1~3に記載の配位子を含有する一般式(i)(Cp配位子)-M-(Ad配位子)及び(ii)(Cp配位子)-M-(Ad配位子)の好ましい態様を表4~6に記載する:
【0037】
【表4】
【0038】
【表5】
【0039】
【表6】
【0040】
開示及び特許請求される前駆体は、表4~6に例示されるものには限定されない。加えて、Cp配位子及びAd配位子は、表1~3に例示されるものに限定されない。開示及び特許請求される前駆体の追加的な態様を、式I及び式IIを参照して以下に記載する。
【0041】
式1の態様
少なくとも一つの繋留されたシクロペンタジエニル配位子及び少なくとも一つのアミジネート配位子を有する、式Iを有する前駆体の態様及びそれの観点を以下に例示する。先に記載した通り、式Iの前駆体は、一般式(i)(Cp配位子)-M-(Ad配位子)及び(ii)(Cp配位子)-M-(Ad配位子)の化合物を包含し、ここでCp配位子は、酸素含有側鎖を含む。
【0042】
一つの態様では、少なくとも一つの繋留されたシクロペンタジエニル配位子及び少なくとも一つのアミジネート配位子を有する前駆体は式Iを有する:
【0043】
【化4】
式中、(i)Mは、La、Sc、Y、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuのうちの一つであり、(ii)R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、H、D、置換されていない線状C-Cアルキル基、ハロゲンで置換された線状C-Cアルキル基、アミノ基で置換された線状C-Cアルキル基、置換されていない分岐状C-Cアルキル基、ハロゲンで置換された分岐状C-Cアルキル基、アミノ基で置換された分岐状C-Cアルキル基及び-Si(CHから選択され、(iii)Rは、線状もしくは分岐状C-Cアルキレンであり、(iv)Rは、H、Dまたは置換されていない線状C-C線状アルキル基であり、(v)は1または2である。
【0044】
この態様の一つの観点では、MはLaである。この態様の他の観点の一つでは、MはScである。この態様の他の観点の一つでは、MはYである。この態様の他の観点の一つでは、MはCeである。この態様の他の観点の一つでは、MはPrである。この態様の他の観点の一つでは、MはNdである。この態様の他の観点の一つでは、MはPmである。この態様の他の観点の一つでは、MはSmである。この態様の他の観点の一つでは、MはEuである。この態様の他の観点の一つでは、MはGdである。この態様の他の観点の一つでは、MはTbである。この態様の他の観点の一つでは、MはDyである。この態様の他の観点の一つでは、MはHoである。この態様の他の観点の一つでは、MはErである。この態様の他の観点の一つでは、MはTmである。この態様の他の観点の一つでは、MはYbである。この態様の他の観点の一つでは、MはLuである。好ましくは、MはLaである。
【0045】
この態様の一つの観点では、R、R、R、R、R、R及びRは全て同じである。
【0046】
この態様の一つの観点では、R、R、R、R、R、R、及びRのうちの少なくとも一つは、R、R、R、R、R、R及びRの他のものとは異なっている。
【0047】
この態様の一つの観点では、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、H、D、置換されていない線状C-C線状アルキル基、置換されていない分岐状C-Cアルキル基及び-Si(Me)から選択される。この態様の一つの観点では、R、R、R、Rは、それぞれ独立して、H、Dから選択され、及びR、R及びRは、それぞれ独立して、H、D、置換されていない線状C-Cアルキル基、置換されていない分岐状C-Cアルキル基及び-Si(Me)から選択される。この態様の一つの観点では、RはHまたはDであり、及びR、Rは、独立して、置換されていない線状C-Cアルキル基、置換されていない分岐状C-Cアルキル基及び-Si(Me)である。
【0048】
この態様の一つの観点では、R、R及びRのうちの一つ以上は、イソプロピル基である。この態様の他の観点の一つでは、R、R及びRのうちの二つ以上は、イソプロピル基である。この態様の他の観点の一つでは、R、R及びRは、それぞれイソプロピル基である。
【0049】
この態様の一つの観点では、nは1である。この態様の他の観点の一つでは、nは2である。
【0050】
この態様の一つの観点では、Rは-(CH)-である。
【0051】
この態様の一つの観点では、Rは-(CH-である。
【0052】
この態様の一つの観点では、Rは-(CH-である。
【0053】
この態様の一つの観点では、Rは-(CH-である。
【0054】
この態様の一つの観点では、Rは-C(CH-である。
【0055】
この態様の一つの観点では、Rは-CH(CH)-である。
【0056】
この態様の一つの観点では、Rは-C(CHCH-である。
【0057】
この態様の一つの観点では、Rは-CH(CH)CH-である。
【0058】
この態様の一つの観点では、Rは-C(CH(CH-である。
【0059】
この態様の一つの観点では、Rは-CH(CH)(CH-である。
【0060】
この態様の一つの観点では、Rは-Dである。この態様の一つの観点では、Rは-Hである。
【0061】
この態様の一つの観点では、Rは-CHである。
【0062】
この態様の一つの観点では、Rは-CHCHである。
【0063】
この態様の一つの観点では、Rは-CHCHCHである。
【0064】
この態様の一つの観点では、(i)R、及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(ii)RはHである。
【0065】
この態様の一つの観点では、(i)nは1であり、(ii)R、及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(iii)RはHである。
【0066】
この態様の一つの観点では、(i)nは2であり、(ii)R、及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(iii)RはHである。
【0067】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(iv)RはHである。
【0068】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(iv)RはHである。
【0069】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(vii)RはHである。
【0070】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(vii)RはHである。
【0071】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(vii)RはHである。
【0072】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(vii)RはHである。
【0073】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHCHであり、そして(vii)RはHである。
【0074】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHCHであり、そして(vii)RはHである。
【0075】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHCHであり、そして(vii)RはHである。
【0076】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHCHであり、そして(vii)RはHである。
【0077】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHであり、そして(vii)RはHである。
【0078】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHであり、そして(vii)RはHである。
【0079】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHであり、そして(vii)RはHである。
【0080】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHであり、そして(vii)RはHである。
【0081】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-C(CHであり、そして(vii)RはHである。
【0082】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-C(CHであり、そして(vii)RはHである。
【0083】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-C(CHであり、そして(vii)RはHである。
【0084】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-C(CHであり、そして(vii)RはHである。
【0085】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(vii)Rは-CHである。
【0086】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(vii)Rは-CHである。
【0087】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(vii)Rは-CHである。
【0088】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(vii)Rは-CHである。
【0089】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHCHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0090】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHCHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0091】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHCHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0092】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHCHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0093】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0094】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0095】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0096】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0097】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-C(CHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0098】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-C(CHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0099】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-C(CHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0100】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-C(CHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0101】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(vii)RはHである。
【0102】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(vii)RはHである。
【0103】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(vii)RはHである。
【0104】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(vii)RはHである。
【0105】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHCHであり、そして(vii)RはHである。
【0106】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHCHであり、そして(vii)RはHである。
【0107】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHCHであり、そして(vii)RはHである。
【0108】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHCHであり、そして(vii)RはHである。
【0109】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHであり、そして(vii)RはHである。
【0110】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHであり、そして(vii)RはHである。
【0111】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHであり、そして(vii)RはHである。
【0112】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHであり、そして(vii)RはHである。
【0113】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-C(CHであり、そして(vii)RはHである。
【0114】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-C(CHであり、そして(vii)RはHである。
【0115】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-C(CHであり、そして(vii)RはHである。
【0116】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-C(CHであり、そして(vii)RはHである。
【0117】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(vii)Rは-CHである。
【0118】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(vii)Rは-CHである。
【0119】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(vii)Rは-CHである。
【0120】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(vii)Rは-CHである。
【0121】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHCHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0122】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHCHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0123】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHCHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0124】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHCHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0125】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0126】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0127】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0128】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0129】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-C(CHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0130】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-C(CHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0131】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-C(CHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0132】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-CH-であり、(v)Rは-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-C(CHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0133】
式IIの態様
少なくとも一つの繋留されたシクロペンタジエニル配位子及び少なくとも一つのアミジネート配位子を有する、式IIを有する前駆体の態様及びそれの観点を以下に例示する。先に記載の通り、式IIの前駆体は、一般式(i)(Cp配位子)-M-(Ad配位子)及び(ii)(Cp配位子)-M-(Ad配位子)の化合物を包含し、ここでCp配位子は窒素含有側鎖を含む。
【0134】
他の態様の一つでは、少なくとも一つの繋留されたシクロペンタジエニル配位子及び少なくとも一つのアミジネート配位子を有する前駆体は式IIを有する:
【0135】
【化5】
式中、(i)Mは、La、Sc、Y、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuのうちの一つであり、(ii)R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、H、D、置換されていない線状C-Cアルキル基、ハロゲンで置換された線状C-Cアルキル基、アミノ基で置換された線状C-Cアルキル基、置換されていない分岐状C-Cアルキル基、ハロゲンで置換された分岐状C-Cアルキル基、アミノ基で置換された分岐状C-Cアルキル基及び-Si(CHから選択され、(iii)Rは、線状もしくは分岐状C-Cアルキレンであり、(iv)R及びRは、それぞれ独立して、H、D及び置換されていない線状C-Cアルキル基から選択され、(v)nは1または2である。
【0136】
この態様の一つの観点では、MはLaである。この態様の他の観点の一つでは、MはScである。この態様の他の観点の一つでは、MはYである。この態様の他の観点の一つでは、MはCeである。この態様の他の観点の一つでは、MはPrである。この態様の他の観点の一つでは、MはNdである。この態様の他の観点の一つでは、MはPmである。この態様の他の観点の一つでは、MはSmである。この態様の他の観点の一つでは、MはEuである。この態様の他の観点の一つでは、MはGdである。この態様の他の観点の一つでは、MはTbである。この態様の他の観点の一つでは、MはDyである。この態様の他の観点の一つでは、MはHoである。この態様の他の観点の一つでは、MはErである。この態様の他の観点の一つでは、MはTmである。この態様の他の観点の一つでは、MはYbである。この態様の他の観点の一つでは、MはLuである。好ましくは、MはLaである。
【0137】
この態様の一つの観点では、R、R、R、R、R、R及びRは全て同じである。
【0138】
この態様の一つの観点では、R、R、R、R、R、R、及びRのうちの少なくとも一つは、R、R、R、R、R、R及びRの他のものとは異なっている。
【0139】
この態様の一つの観点では、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、H、D、置換されていない線状C-C線状アルキル基、置換されていない分岐状C-Cアルキル基及び-Si(Me)から選択される。この態様の一つの観点では、R、R、R、Rは、それぞれ独立して、H、Dから選択され、及びR、R及びRは、それぞれ独立して、H、D、置換されていない線状C-Cアルキル基、置換されていない分岐状C-Cアルキル基及び-Si(Me)から選択される。この態様の一つの観点では、RはHまたはDであり、及びR、Rは、独立して、置換されていない線状C-Cアルキル基、置換されていない分岐状C-Cアルキル基及び-Si(Me)である。
【0140】
この態様の一つの観点では、R、R及びRの一つ以上はイソプロピル基である。この態様の他の観点の一つでは、R、R及びRのうちの二つ以上は、イソプロピル基である。この態様の他の観点の一つでは、R、R及びRは、それぞれイソプロピル基である。
【0141】
この態様の一つの観点では、nは1である。この態様の他の観点の一つでは、nは2である。
【0142】
この態様の一つの観点では、Rは-(CH)-である。
【0143】
この態様の一つの観点では、Rは-(CH-である。
【0144】
この態様の一つの観点では、Rは-(CH-である。
【0145】
この態様の一つの観点では、Rは-(CH-である。
【0146】
この態様の一つの観点では、Rは-C(CH-である。
【0147】
この態様の一つの観点では、Rは-CH(CH)-である。
【0148】
この態様の一つの観点では、Rは-C(CHCH-である。
【0149】
この態様の一つの観点では、Rは-CH(CH)CH-である。
【0150】
この態様の一つの観点では、Rは-C(CH(CH-である。
【0151】
この態様の一つの観点では、Rは-CH(CH)(CH-である。
【0152】
この態様の一つの観点では、R及びRの少なくとも一つは-Hである。この態様の他の観点の一つでは、R及びRはそれぞれ-Hである。
【0153】
この態様の一つの観点では、R及びRの少なくとも一つは-Dである。この態様の他の観点の一つでは、R及びRはそれぞれ-Dである。
【0154】
この態様の一つの観点では、R及びRの少なくとも一つは-CHである。この態様の他の観点の一つでは、R及びRはそれぞれ-CHである。
【0155】
この態様の一つの観点では、R及びRの少なくとも一つは-CHCHである。この態様の他の観点の一つでは、R及びRはそれぞれ-CHCHである。
【0156】
この態様の一つの観点では、R及びRの少なくとも一つは-CHCHCHである。この態様の他の観点の一つでは、R及びRはそれぞれ-CHCHCHである。
【0157】
この態様の一つの観点では、(i)R、及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(ii)RはHである。
【0158】
この態様の一つの観点では、(i)nは1であり、(ii)R、及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(iii)RはHである。
【0159】
この態様の一つの観点では、(i)nは2であり、(ii)R、及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(iii)RはHである。
【0160】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(iv)RはHである。
【0161】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(iv)RはHである。
【0162】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(vii)RはHである。
【0163】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(vii)RはHである。
【0164】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(vii)RはHである。
【0165】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(vii)RはHである。
【0166】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHCHであり、そして(vii)RはHである。
【0167】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHCHであり、そして(vii)RはHである。
【0168】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHCHであり、そして(vii)RはHである。
【0169】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHCHであり、そして(vii)RはHである。
【0170】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHであり、そして(vii)RはHである。
【0171】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHであり、そして(vii)RはHである。
【0172】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHであり、そして(vii)RはHである。
【0173】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHであり、そして(vii)RはHである。
【0174】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-C(CHであり、そして(vii)RはHである。
【0175】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-C(CHであり、そして(vii)RはHである。
【0176】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-C(CHであり、そして(vii)RはHである。
【0177】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-C(CHであり、そして(vii)RはHである。
【0178】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(vii)Rは-CHである。
【0179】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(vii)Rは-CHである。
【0180】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(vii)Rは-CHである。
【0181】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(vii)Rは-CHである。
【0182】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHCHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0183】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHCHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0184】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHCHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0185】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHCHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0186】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0187】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0188】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0189】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0190】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-C(CHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0191】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-C(CHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0192】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-C(CHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0193】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは1であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-C(CHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0194】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(vii)RはHである。
【0195】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(vii)RはHである。
【0196】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(vii)RはHである。
【0197】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(vii)RはHである。
【0198】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHCHであり、そして(vii)RはHである。
【0199】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHCHであり、そして(vii)RはHである。
【0200】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHCHであり、そして(vii)RはHである。
【0201】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHCHであり、そして(vii)RはHである。
【0202】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHであり、そして(vii)RはHである。
【0203】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHであり、そして(vii)RはHである。
【0204】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHであり、そして(vii)RはHである。
【0205】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHであり、そして(vii)RはHである。
【0206】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-C(CHであり、そして(vii)RはHである。
【0207】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-C(CHであり、そして(vii)RはHである。
【0208】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-C(CHであり、そして(vii)RはHである。
【0209】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-C(CHであり、そして(vii)RはHである。
【0210】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(vii)Rは-CHである。
【0211】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(vii)Rは-CHである。
【0212】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(vii)Rは-CHである。
【0213】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれイソプロピル基であり、そして(vii)Rは-CHである。
【0214】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHCHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0215】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHCHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0216】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHCHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0217】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHCHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0218】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0219】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0220】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0221】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-CHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0222】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-C(CHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0223】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-C(CHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0224】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-(CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-C(CHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0225】
この態様の一つの観点では、(i)MはLaであり、(ii)nは2であり、(iii)R、R、R及びRはそれぞれHであり、(iv)Rは-CH-であり、(v)R及びRはそれぞれ-CHであり、(vi)R及びRはそれぞれ-C(CHであり、そして(vii)Rは-CHである。
【0226】
使用方法
開示された前駆体は、当業者には既知の任意の化学蒸着プロセスを用いて堆積してランタニド含有膜を形成することができる。ここで使用する場合、「化学蒸着プロセス」という用語は、基材が一種以上の揮発性前駆体に曝され、この前駆体が、基材表面上で反応及び/または分解して目的の堆積を生成する任意のプロセスのことである。ここで使用する場合、「原子層堆積プロセス」という用語は、材料の膜を様々な組成の基材上に堆積する、自己制御性の(例えば、各々の反応サイクルで堆積される膜材料の量が一定である)連続的な表面化学反応のことである。ここで使用される前駆体、試薬及び源は時折「ガス状」と記載されることもあるが、前駆体は、不活性ガスと共にまたは不活性ガスは無しで、直接的な蒸発、バブリングまたは昇華を介して反応器中に輸送される液状または固形であることができると理解される。幾つかの場合では、蒸発した前駆体は、プラズマ発生器を通過することができる。ここで使用される場合、「反応器」という用語には、限定はされないが、反応チャンバ、反応容器または堆積チャンバなどが包含される。
【0227】
開示及び特許請求される前駆体を利用できる化学蒸着プロセスには、限定はされないが、ALD、CVD、パルスCVD、プラズマALD(PEALD)及び/またはプラズマCVD(PECVD)などの、半導体タイプの微細電子デバイスの製造に使用されるプロセスが包含される。ここに記載の方法のための適当な堆積プロセスの例には、限定はされないが、サイクリックCVD(CCVD)、MOCVD(有機金属CVD)、熱化学蒸着、プラズマ化学蒸着(「PECVD」)、高密度PECVD、フォトンアシストCVD、プラズマ-フォトンアシスト(「PPECVD」)、極低温化学蒸着、ケミカルアシスト蒸着、ホットフィラメント化学蒸着、液状ポリマー前駆体のCVD、超臨界流体からの堆積、及び低エネルギーCVD(LECVD)などが包含される。或る態様では、金属含有膜は、原子層堆積(ALD)、プラズマALD(PEALD)またはプラズマサイクリックCVD(PECCVD)プロセスにより堆積される。
【0228】
一つの態様では、例えば、金属含有膜はALDプロセスを用いて堆積される。他の態様の一つでは、金属含有膜は、CCVDプロセスを用いて堆積される。更に別の態様の一つでは、金属含有膜は、熱CVDプロセスを用いて堆積される。
【0229】
開示及び特許請求される前駆体を堆積できる適当な基材は特に限定されず、意図される最終用途に依存して様々である。例えば、基材は、HfOベースの材料、TiOベースの材料、ZrOベースの材料、希土類酸化物ベースの材料、三元酸化物ベースの材料などの酸化物から、または窒化物ベースの膜から選択してよい。他の基材には、金属製基材(例えば、Au、Pd、Rh、Ru、W、Al、Ni、Ti、Co、Pt)及びケイ化金属(例えば、TiSi、CoSi、及びNiSi);窒化金属含有基材(例えば、TaN、TiN、WN、TaCN、TiCN、TaSiN、及びTiSiN);半導体材料(例えば、Si、SiGe、GaAs、InP、ダイヤモンド、GaN、及びSiC);絶縁体(例えば、SiO、Si、SiON、HfO、Ta、ZrO、TiO、Al、及びチタン酸ストロンチウムバリウム);これらの組み合わせなどの固形の基材も包含され得る。好ましい基材には、TiN、Ru及びSiタイプの基材が包含される。
【0230】
このような堆積方法及びプロセスでは、酸化剤を利用することができる。この酸化剤は、典型的には、ガスの形で導入される。適当な酸化剤の例には、限定はされないが、酸素ガス、水蒸気、オゾン、酸素プラズマ、またはこれらの混合物が包含される。
【0231】
該堆積法及びプロセスは、一種以上のパージガスも要する場合がある。未消費の反応体及び/または反応副生成物をバージして除去するために使用されるパージガスは、該前駆体と反応しない不活性ガスである。例示的なパージガスには、限定はされないが、アルゴン(Ar)、窒素(N)、ヘリウム(He)、ネオン、及びこれらの混合物などが包含される。例えば、Arなどのパージガスは、約10から約2000sccmの範囲の流速で、約0.1から10000秒間までの期間で反応器中に供給され、そうして、反応器中に残り得る未反応材料及び任意の副生成物をパージする。
【0232】
該堆積法及びプロセスは、前駆体、酸化剤、他の前駆体またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも一つにエネルギーを加えて反応を誘発しそして基材上に金属含有膜もしくはコーティングを形成することを必要とする。このようなエネルギーは、限定はされないが、熱、プラズマ、パルスプラズマ、ヘリコンプラズマ、高密度プラズマ、誘導結合プラズマ、X線、電子ビーム、フォトン、リモートプラズマ法、及びこれらの組み合わせによって供することができる。幾つかのプロセスでは、基材表面でのプラズマ特性を改変するために二次RF周波数源を使用することができる。プラズマを利用する際、プラズマ発生プロセスには、プラズマを直接反応器中で発生させる直接プラズマ発生プロセスや、またはその代わりにプラズマを反応器の外側で発生させそして反応器中に供給するリモートプラズマ発生プロセスなどが包含される。
【0233】
このような堆積方法及びプロセスに利用する場合には、本願により開示及び特許されるもののなどの適当な前駆体を、様々な方法で、CVDまたはALD反応器などの反応チャンバに供給することができる。幾つかの場合には、液体供給機構を利用し得る。他の場合には、液体供給とフラッシュ蒸発プロセスとの複合ユニット、例えば、ミネソタ州、ショアビュー在のMSPコーポレーションによって製造されるターボ気化器を使用して、低揮発性材料を定量供給できるようにすることができ、これは、前駆体の熱分解無しに、再現可能な輸送及び堆積をもたらす。ここに記載の前駆体組成物は、金属前駆体の蒸気流をALDまたはCVD反応器中に提供するために、直接液体注入(DLI)により、原材料として効果的に使用することができる。
【0234】
これらの堆積方法及びプロセスで使用する場合、開示及び特許請求される前駆体には、炭化水素溶剤などが包含され、これらは、ppm未満の含水率にまで乾燥できる点で特に望ましい。前駆体に使用できる例示的な炭化水素溶剤には、限定はされないが、トルエン、メシチレン、クメン(イソプロピルベンゼン)、p-クメン(4-イソプロピルトルエン)、1,3-ジイソプロピルベンゼン、オクタン、ドデカン、1,2,4-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチルシクロヘキサン、及びデカヒドロナフタレン(デカン)などが包含される。開示及び特許請求される前駆体は、ステンレススチール容器中に貯蔵及び使用することもできる。或る態様では、炭化水素溶剤は、高沸点溶剤である、または100℃以上の沸点を有する。開示及び特許請求される前駆体は、他の適当な金属前駆体と混合することもでき、そしてこの混合物を、二元金属含有膜の成長のために両金属を同時に供給するために使用できる。
【0235】
開示及び特許請求される前駆体の少なくとも一つを含む蒸気を、前駆体パルスの間に反応チャンバに供給するのを助けるために、アルゴン及び/または他のガスの流れをキャリアガスとして使用してもよい。前駆体を供給する際は、反応チャンバプロセス圧は1torrと50torrの間、好ましくは5torrと20torrとの間である。
【0236】
基材温度は、高品質の金属含有膜の堆積において重要なプロセス可変値の一つであり得る。典型的な基材温度は約150℃から約550℃までの範囲である。温度が高いほど、これは、より速い膜成長速度を促進できる。
【0237】
以上により、当業者は、開示及び特許請求される発明は更に、以下のように化学蒸着プロセスにおける、開示及び特許請求される前駆体の使用も包含することを認識する。
【0238】
一つの態様では、開示及び特許請求される発明は、基材の少なくとも一つの表面上に、遷移金属含有膜を形成する方法であって、次のステップ:
a.基材の前記少なくとも一つの表面を反応容器中に用意するステップ;
b.開示及び特許請求される前駆体の一種以上を堆積プロセスのための金属源化合物として使用して、化学蒸着(CVD)プロセス及び原子層堆積(ALD)プロセスから選択される堆積プロセスにより、前記少なくとも一つの表面上に遷移金属含有膜を形成するステップ;
を含む方法を包含する。
【0239】
この態様の更に別の観点では、該方法は、少なくとも一つの反応体を反応容器中に導入することを含む。この態様の更に別の観点の一つでは、該方法は、少なくとも一つの反応体を反応容器中に導入することを含み、この少なくとも一つの反応体が、水、二原子酸素、酸素プラズマ、オゾン、NO、NO、NO、一酸化炭素、二酸化炭素及びこれらの組み合わせの群から選択される。この態様の他の観点の一つでは、該方法は、少なくとも一つの反応体を反応容器中に導入することを含み、この少なくとも一つの反応体が、アンモニア、ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン、ジアルキルヒドラジン、窒素、窒素/水素、アンモニアプラズマ、窒素プラズマ、窒素/水素プラズマ、及びこれらの組み合わせの群から選択される。この態様の他の観点の一つでは、該方法は、少なくとも一つの反応体を反応容器中に導入することを含み、この少なくとも一つの反応体が、水素、水素プラズマ、水素とヘリウムとの混合物、水素とアルゴンとの混合物、水素/ヘリウムプラズマ、水素/アルゴンプラズマ、ホウ素含有化合物、ケイ素含有化合物及びこれらの組み合わせの群から選択される。
【0240】
一つの態様では、開示及び特許請求される発明は、原子層堆積(ALD)プロセスまたはALD様プロセスを介した遷移金属含有膜を形成する方法であって、次のステップ
a.反応容器中に基材を用意するステップ;
b.開示及び特許請求される前駆体の一種以上を反応容器中に導入するステップ;
c.反応容器を第一のパージガスでパージするステップ;
d.反応容器中に原料ガスを導入するステップ;
e.反応容器を第二のパージガスでパージするステップ;
f.遷移金属含有膜が所望の厚さで得られるまで、ステップbからeを連続的に繰り返すステップ、
を含む、方法を包含する。
【0241】
この態様の更に別の観点の一つでは、原料ガスは、水、二原子酸素、酸素プラズマ、オゾン、NO、NO、NO、一酸化炭素、二酸化炭素及びこれらの組み合わせから選択される酸素含有原料ガスの一種以上である。この態様の他の観点の一つでは、原料ガスは、アンモニア、ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン、ジアルキルヒドラジン、窒素、窒素/水素、アンモニアプラズマ、窒素プラズマ、窒素/水素プラズマ、及びこれらの混合物から選択される窒素含有原料ガスの一種以上である。この態様の更に別の観点の一つでは、前記第一及び第二のパージガスは、それぞれ独立して、アルゴン、窒素、ヘリウム、ネオン、及びこれらの組み合わせの一つ以上から選択される。この態様の更に別の観点の一つでは、該方法は、前駆体、原料ガス、基材及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも一つにエネルギーを加えることを更に含み、ここで、このエネルギーが、熱、プラズマ、パルスプラズマ、ヘリコンプラズマ、高密度プラズマ、誘導結合プラズマ、X線、電子ビーム、フォトン、リモートプラズマ法及びこれらの組み合わせの一つ以上である。この態様の更に別の観点の一つでは、該方法のステップbは、前駆体の蒸気を反応容器に供給するためにキャリアガスの流れを用いて、前駆体を反応容器中に導入することを更に含む。この態様の更に別の観点の一つでは、該方法のステップbは、トルエン、メシチレン、イソプロピルベンゼン、4-イソプロピルトルエン、1,3-ジイソプロピルベンゼン、オクタン、ドデカン、1,2,4-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチルシクロヘキサン、及びデカヒドロナフタレン、及びこれらの組み合わせの一つ以上を含む溶媒の使用を包含する。
【0242】
他の態様の一つでは、少なくとも一つの繋留されたシクロペンタジエニル配位子及び少なくとも一つのアミジネート配位子を有する、式I及びIIの前駆体は、限定はされないが酸化金属膜または窒化金属膜などの金属含有膜のためのドーパントとして使用することができる。これらの態様では、金属含有膜は、金属アルコキシド、金属アミド、または揮発性有機金属前駆体を使用して、ここに記載のプロセスなどのALD、ALD様またはCVDプロセスを用いて堆積される。ここに記載の方法と使用することができる適当な金属アルコキシド前駆体の例には、限定はされないが、第3族から第13族金属アルコキシド、アルコキシ及びアルキル置換シクロペンタジエニル配位子の両方を有する第3族から第13族金属錯体、アルコキシ及びアルキル置換ピロリル配位子の両方を有する第3族から第6族金属錯体、アルコキシ及びジケトネート配位子の両方を有する第3族から第13族金属錯体;アルキル配位子を有する第3族から第13族金属錯体などが包含される。ここで例示的な第3族から第13族金属には、限定はされないが、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Er、Yb、Lu、Ti、Hf、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Co、Ru、Alなどが包含される。
【0243】
ここに記載の方法と使用することができる適当な金属アミド前駆体の例には、限定はされないが、テトラキス(ジメチルアミノ)ジルコニウム(TDMAZ)、テトラキス(ジエチルアミノ)ジルコニウム(TDEAZ)、テトラキス(エチルメチルアミノ)ジルコニウム(TEMAZ)、トリス(ジメチルアミノ)(シクロペンタジエニル)ジルコニウム、テトラキス(ジメチルアミノ)ハフニウム(TDMAH)、テトラキス(ジエチルアミノ)ハフニウム(TDEAH)、及びテトラキス(エチルメチルアミノ)ハフニウム(TEMAH)、トリス(ジメチルアミノ)(シクロペンタジエニル)ハフニウム、テトラキス(ジメチルアミノ)チタン(TDMAT)、テトラキス(ジエチルアミノ)チタン(TDEAT)、テトラキス(エチルメチルアミノ)チタン(TEMAT)、tert-ブチルイミノトリ(ジエチルアミノ)タンタル(TBTDET)、tert-ブチルイミノトリ(ジメチルアミノ)タンタル(TBTDMT)、tert-ブチルイミノトリ(エチルメチルアミノ)タンタル(TBTEMT)、エチルイミノトリ(ジエチルアミノ)タンタル(EITDET)、エチルイミノトリ(ジメチルアミノ)タンタル(EITDMT)、エチルイミノトリ(エチルメチルアミノ)タンタル(EITEMT)、tert-アミルイミノトリ(ジメチルアミノ)タンタル(TAIMAT)、tert-アミルイミノトリ(ジエチルアミノ)タンタル、ペンタキス(ジメチルアミノ)タンタル、tert-アミルイミノトリ(エチルメチルアミノ)タンタル、ビス(tert-ブチルイミノ)ビス(ジメチルアミノ)タングステン(BTBMW)、ビス(tert-ブチルイミノ)ビス(ジエチルアミノ)タングステン、ビス(tert-ブチルイミノ)ビス(エチルメチルアミノ)タングステン、及びこれらの組み合わせなどが包含される。ここに開示される方法と使用することができる適当な有機金属前駆体の例には、限定はされないが、第3族金属シクロペンタジエニルまたはアルキルシクロペンタジエニルなどが包含される。
【0244】
ここに開示される方法と使用することができるアルキル配位子を有する適当な金属錯体の例には、限定はされないが、トリ-tert-ブチルアルミニウム(TTBA)、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリエチルアルミニウム(TEA)、ジメチルアルミニウム水素化物(DMAH)、ジメチルエチルアミンアラン(DMEAA)、トリメチルアミンアラン(TEAA)、N-メチルピロリジン-アラン(MPA)、トリ-イソブチルアルミニウム(TIBA)などが包含される。
【0245】
一つの態様では、開示及び特許請求される発明は、基材の少なくとも一つの表面上に、遷移金属含有膜を形成する方法であって、
a.基材の前記少なくとも一つの表面を反応容器中に用意するステップ;
b.化学蒸着(CVD)プロセス及び原子層堆積(ALD)プロセスから選択される堆積プロセスによって、この堆積プロセスのために金属源化合物として前駆体を用いて、前記少なくとも一つの表面上に遷移金属含有膜を形成するステップ;及び
c.開示及び特許請求される前駆体の一種以上をドーパント材料として使用するステップ、
を含む方法を包含する。
【0246】
一つの態様では、開示及び特許請求される発明は、容器と、開示及び特許請求される前駆体の一種以上とを含む前駆体供給パッケージであって、前記容器が、前駆体を含みかつ分配するように適合されている、前記前駆体供給パッケージを包含する。
【0247】
一つの態様では、開示及び特許請求される発明は、式La[Cp(CHOCHの化合物、及び式Iの化合物の合成において式La[Cp(CHOCHの化合物を使用することを含む式Iの化合物の合成方法を包含する。他の態様の一つでは、開示及び特許請求される発明は、式La[CpCHN(CHの化合物、及び式IIの化合物の合成において式La[CpCHN(CHの化合物を使用することを含む式IIの化合物の合成方法を包含する。
【0248】
一つの態様では、開示及び特許請求される発明は、基材の少なくとも一つの表面上に遷移金属含有膜を形成するための方法における、開示及び特許請求される前駆体の一種以上の使用を包含する。
【実施例
【0249】
以下、本開示のより具体的な態様と、このような態様を裏付ける実験結果について説明する。これらの例は、開示された発明をより十分に説明するために以下に記載したものであり、どのような形でも開示された発明を限定するものと解釈するべきではない。
【0250】
様々な改良及び変更を、開示された発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、開示された発明及びここに提供される具体例に対して行うことができることは当業者には明らである。それ故、以下の例によって提供される記載を含めた開示された発明は、いずれの請求項及びそれらと等価のものの範囲内に入る、開示された発明の改良及び変更を包含することが意図される。
【0251】
材料及び方法:
全ての溶剤及び原料は、他に記載がない限り、Sigma-Aldrich社から購入した。La(FAMD)はStrem Chemicals社から購入した。La(iPr-AMD)は、Gordon et al.,Inorg.Chem.,42,7951-7958(2003)(非特許文献1)に報告された方法に従い合成した。KCpCHCHCHOCH及びKCpCHN(CHは、Evans et al.,Inorg.Chem.,44,3993-4000(2005)(非特許文献2)によって報告された方法に従い、トルエン中でKN(TMS)及び対応するCpから製造した。
【0252】
配位子合成
A.Cp配位子1A(表1)
【0253】
【化6】
ナトリウムシクロペンタジエニド(290mL、0.70mol、THF中2M)を、-65℃で、THF(310mL)中の1-クロロ-4-メトキシブタン(85.32g、0.70mol)の溶液に滴下した。生じた混合物を、一晩放置して室温まで加温した。生じた固形物を濾別し、そして溶剤を減圧下20℃で注意深く除去した。蒸留(45℃、0.03mbar)により最終的に精製すると、1-(4-メトキシブチル)シクロペンタ-1,3-ジエンと2-(4-メトキシブチル)シクロペンタ-1,3-ジエンとの混合物(21.2g、0.14mol)が20%の収率で無色の液体として生じた。
H-NMR(CDCl,500MHz):δ=6.45-5.98(m,3H),3.41-3.36(m,2H),3.32(s,3H),2.95-2.80(m,2H),2.47-2.36(m,2H),1.64-1.45(m,4H)。
EI-MS:m/z:152.1。
【0254】
ナトリウムシクロペンタジエニド(THF中2M)及び1-クロロ-4-メトキシブタンは、Sigma-Aldrich社から購入し、そしてそのまま使用した。
【0255】
B.Cp配位子1B(表1)
【0256】
【化7】
ナトリウムシクロペンタジエニド(200mL、0.48mol、THF中2M)を、-65℃で、THF(200mL)中の1-クロロ-3-メトキシプロパン(51.11g、0.48mol)の溶液に滴下した。生じた混合物を、一晩放置して室温まで加温した。生じた固形物を濾別し、そして溶剤を減圧下20℃で注意深く除去した。蒸留(40℃、0.11mbar)により最終的に精製すると、1-(3-メトキシプロピル)シクロペンタ-1,3-ジエンと2-(3-メトキシプロピル)シクロペンタ-1,3-ジエンとの混合物(25.2g、0.18mol)が37%の収率で無色の液体として生じた。
H-NMR(CDCl,500MHz):δ=6.45-6.00(m,3H),3.41-3.37(m,2H),3.33(s,3H),2.95-2.80(m,2H),2.49-2.40(m,2H),1.86-1.79(m,2H)。
EI-MS:m/z:138。
【0257】
ナトリウムシクロペンタジエニド(THF中2M)及び1-クロロ-3-メトキシプロパンは、Sigma-Aldrich社から購入し、そしてそのまま使用した。
【0258】
C.Cp配位子1D(表1)
【0259】
【化8】
n-ペンタン(150mL)中のクロロメチルメチルエーテル(16.82mL、0.22mol)の溶液を、-65℃で、n-ペンタン(350mL)中のナトリウムシクロペンタジエニド(19.50g、0.22mol)の攪拌された混合物に滴下した。生じた混合物を一晩放置して、室温まで加温した。生じた固形物を濾別し、そして溶剤を減圧下20℃で注意深く除去した。カラムクロマトグラフィ(シリカゲル;n-ペンタン/メチル-tert-ブチルエーテル 9:1)により最終的に精製すると、1-(メトキシメチル)シクロペンタ-1,3-ジエンと2-(メトキシメチル)シクロペンタ-1,3-ジエンとの混合物(12.10g、0.09mol;GC:85%)が41%の収率で無色の液体として生じた。
H-NMR(CDCl,500MHz):δ=6.51-6.21(m,3H),4.19-4.17(m,2H),3.25-3.22(m,3H),2.99-2.94(m,2H)。
EI-MS:m/z:110。
【0260】
ナトリウムシクロペンタジエニド及びクロロメチルメチルエーテルは、Sigma-Aldrich社から購入し、そしてそのまま使用した。
【0261】
D.Cp配位子2D(表2)
【0262】
【化9】
ジエチルエーテル(700mL)中のジメチルアミノフルベン(20.00g、0.17mol)の懸濁液を、-15℃で、ジエチルエーテル(100mL)中のLiAlH(7.52g、0.20mol)の懸濁液に滴下し、そしてこの反応混合物をこの温度で更に150分間攪拌した。水(30mL)及びNaOH(10mL、10重量%)の水溶液を-35℃で前記混合物に注意深く加えた。硫酸マグネシウムを加え、そしてこの反応混合物を放置して室温まで加温した。この混合物を濾過し、そして溶剤を除去した。蒸留より最終的に精製すると、[シクロペンタ-2,4-ジエン-1-イル)メチル]ジメチルアミン及び[シクロペンタ-1,3-ジエン-1-イル)メチル]ジメチルアミン(7.10g、0.06mol)が35%の収率で無色の液体として得られた。
H-NMR(CDCl,500MHz):δ=6.54-6.11(m,3H),3.25-3.22(m,2H),3.01-3.00(m,2H),2.25-2.23(m,6H)。
EI-MS:m/z:123.1。
【0263】
ジメチルアミノフルベンは、Sigma-Aldrich社から購入し、そしてそのまま使用した。
【0264】
中間前駆体合成
A1.La[Cp(CHOCHの合成
充填グローブボックス内部で、THF(100mL)を、LaBr(4.29g,11.3mmol)とK[Cp(CHOCH](6.0g,34.0mmol)との固形混合物並びにスターラーバーを含む250mL容積シュレンク丸底フラスコに加えた。生じたスラリーを、N下に室温で16時間攪拌した。次いで、揮発物を真空下に除去して、粘着性の橙色の固形物をもたらした。更に、この粗製材料を、トルエン抽出及びミディアムフリットを通した濾過により精製した。真空下にトルエンを除去して、橙色の油状物として最終生成物をもたらした。(3.1g、49%収率)。
1H-NMR(C,400MHz):δ=6.04(m,6H),5.90(m,6H),3.17(m,6H),3.07(s,9H),2.59(t,6H),1.75(m,6H)。
【0265】
A2.La[Cp(CHOCHの合成
充填グローブボックス内部で、THF(100mL)を、LaBr(2.39g,6.3mmol)とK[Cp(CHOCH](3.10g,19.1mmol)との固形混合物並びにスターラーバーを含むフラスコに加えた。生じたスラリーを、N下に室温で18時間攪拌した。次いで、揮発物を真空下に除去した。更に、この粗製材料を、トルエン抽出及び真空下でのトルエン除去により精製して、油状物として最終生成物をもたらした。(1.9g、59%収率)。
1H-NMR(C,400MHz):δ=2.66(t,J=6.5Hz;6H,-CH-);3.09(s,9H,-OCH);3.36(t,J=6.5Hz,6H,-CH-Cp);5.89(s,12H,CpH)。
【0266】
B.La[CpCHN(CHの合成
充填グローブボックス内部で、THF(100mL)を、LaBr(1.95g,5.2mmol)とK[CpCHN(CH](2.50g,15.5mmol)との固形混合物並びにスターラーバーを含む250mL容積シュレンク丸底フラスコに加えた。生じたスラリーを、N下に室温で16時間攪拌した。次いで、揮発物を真空下に除去して、黄色の固形物をもたらした。更に、この粗製材料を、EO抽出及びミディアムフリットを通した濾過により精製した。真空下にEOを除去して、黄色の固形物として最終生成物をもたらした。(1.33g、51%収率)。
1H-NMR(C,400MHz):δ=5.99(m,6H),5.93(m,6H),3.32(s,6H),2.16(s,18H)。
【0267】
最終前駆体合成
例1:La[Cp(CHOCH][(C)NC(H)N(C)](“(1B)-La-(3C)”)
【0268】
【化10】
充填グローブボックス内部で、La[Cp(CHOCH(0.40g、0.72mmol)のトルエン溶液を、La(FAMD)(0.748g、1.44mmol)を充填した重壁圧力容器に加えた。この溶液をN下に4時間、100℃に加熱した。揮発物を真空下に除去して、黄色の固形物をもたらした。更に、この粗製材料を、120℃及び130mTorrで昇華させて精製して、最終の生成物を白色の固形物としてもたらした(0.45g、37%収率)。
【0269】
前駆体(1B)-La-(3C)の特徴付け:1H-NMR(C,400MHz):δ=8.20(s,2H),6.56(m,2H),6.31(m,2H),3.18-3.08(m,6H),3.07(s,3H),2.65(m,2H),1.66(m,2H),1.21(d,24H)。この前駆体のTGAを図1に示す。TGAは、非揮発性残渣の少ないクリーンな蒸発を示す。この前駆体のTGA/DSC分析を図2に示す(スキャン速度10K/分)。
【0270】
例2:La[Cp(CHOCH][(C)NC(CH)N(C)](“(1B)-La-(3G)”)
【0271】
【化11】
充填グローブボックス内部で、La[Cp(CHOCH(0.25g、0.45mmol)のトルエン溶液を、La(iPr-AMD)(0.50g、0.89mmol)を充填した重壁圧力容器に加えた。この溶液をN下に4時間、100℃に加熱した。揮発物を真空下に除去して、黄色の固形物をもたらした。更に、この粗製材料を、130℃及び130mTorrで昇華させて精製して、最終の生成物を白色の固形物としてもたらした(0.38g、51%収率)。
【0272】
前駆体(1B)-La-(3G)の特徴付け:1H-NMR(C6D6,400MHz):δ=6.56(m,2H),6.39(m,2H),3.49(m,4H),3.14-3.18(m,5H),2.69(m,2H),1.70(s,6H),1.68(m,2H),1.20(d,24H)。この前駆体のTGAを図3に示す。TGAは、非揮発性残渣の少ないクリーンな蒸発を示す。
【0273】
例3:La[CpCHN(CH][(C)NC(H)N(C)](“(2D)-La-(3C)”)
【0274】
【化12】
充填グローブボックス内部で、La[CpCHN(CH(0.50g、1.0mmol)のトルエン溶液を、La(FAMD)(1.03g、2.00mmol)を充填した重壁圧力容器に加えた。この溶液をN下に4時間、100℃に加熱した。揮発物を真空下に除去してたオフホワイトの固形物をもたらした。更に、この粗製材料を、130℃及び130mTorrで昇華させて精製して、最終の生成物を白色の固形物としてもたらした(0.85g、55%収率)。
【0275】
前駆体(2D)-La-(3C)の特徴付け:1H-NMR(C6D6,400MHz):δ=8.18(s,2H),6.51(m,2H),6.43(m,2H),3.42(s,2H),3.05(m,4H),2.06(s,6H),1.17(d,24H)。この前駆体のTGAを図4に示す。TGAは、非揮発性残渣の少ないクリーンな蒸発を示す。
【0276】
例4:La[CpCHN(CH][(C)NC(CH)N(C)](“(2D)-La-(3G)”)
【0277】
【化13】
充填グローブボックス内部で、La[CpCHN(CH(0.27g、0.53mmol)のトルエン溶液を、La(iPr-AMD)(0.60g、1.1mmol)を充填した重壁圧力容器に加えた。この溶液をN下に4時間、100℃に加熱した。揮発物を真空下に除去して、黄色の固形物をもたらした。更に、この粗製材料を、150℃及び130mTorrで昇華させて精製して、最終の生成物を白色の固形物としてもたらした(0.49g、56%収率)。
【0278】
前駆体(2D)-La-(3G)の特徴付け:1H-NMR(C6D6,400MHz):δ=6.51(m,2H),6.47(m,2H),3.45(m,4H),3.41(s,2H),2.10(s,6H),1.67(s,6H),1.18(d,24H)。この前駆体のTGAを図5に示す。TGAは、非揮発性残渣の少ないクリーンな蒸発を示す。
【0279】
例5:La[Cp(CHOCH][(C)NC(H)N(C)](“(1C)-La-(3C)”)
【0280】
【化14】
充填グローブボックス内部で、La[Cp(CHOCH(0.36g、0.72mmol)のトルエン溶液を、La(FAMD)(0.748g、1.44mmol)に加えた。この溶液をN下に4時間、100℃に加熱した。揮発物を真空下に除去して、褐色の固形物をもたらした。更に、この粗製材料を、170℃及び28mTorrで昇華させて精製して、最終の生成物を白色の固形物としてもたらした(0.50g、45%収率)。
【0281】
前駆体(1C)-La-(3C)の特徴付け:1H-NMR(C,400MHz):δ=1.18(d,J=6.6Hz,24H,8-CH);2.58(t,J=5.8Hz,2H-CH-);3.10(qq,J=6.5Hz,4H,-CHMe);3.11(s;3H,-OMe);3.47(t,J=5.8Hz,2H;-CH-Cp);6.36(t,J=2.6Hz,2H,CpH);6.47(t,J=2.6Hz,2H,CpH)。この前駆体のTGA/DSC分析を図6に示す(スキャン速度10K/分)。
【0282】
La[Cp(CHOCH][(C)NC(H)N(C)](“(1B)-La-(3C)”)を用いた酸化ランタン膜の原子層堆積
本発明の前駆体を用いた酸化ランタン膜の原子層堆積を実行するためにアトミック・プレミニウムCN-1 200mm反応器を使用した。前駆体としての(1B)-La-(3C)を、160℃(アンプル壁温度)に維持したSS316アンプル(コンテナ)から供給した。前駆体蒸気を反応器チャンバに供給するために50sccmのアルゴンキャリアガス流れを使用した。反応器チャンバ圧は1torrであった。酸化ランタン膜を堆積するためにSi及びSiO基材を使用した。酸化ランタン膜厚は、堆積された酸化ランタン膜の断面SEM画像を用いてキャリブレートして、エリプソメトリ及び蛍光X線分析(XRF)によって測定した。
【0283】
例6:Siウェハ上での前駆体熱分解試験
この実験では、前駆体蒸気を、アルゴンパージで区切ったパルスモードで堆積チャンバに供給した。パルス順序は次の通りであった:5秒間の前駆体パルス及び20秒間のアルゴンパージ。前駆体/Arパージサイクルの総数は100であった。酸化剤の不在下での該前駆体の良好な熱安定性を実証するために、この実験では酸化剤パルスは使用しなかった。良好な熱安定性(酸化剤の不在下での堆積の欠如)は、原子層堆積プロセスにとって重要な前駆体特性である。ウェハ温度は200℃から450℃まで変化させた。この実験後、表面上のランタン層密度を蛍光X線分析により測定した。それを図7に示す。少なくとも350℃までは酸化剤の不在下ではランタン膜は堆積されなかった。これは、この前駆体を、少なくともこのウェハ温度まで、原子層堆積に使用できることを示唆する。
【0284】
例7:堆積プロセスの間の前駆体飽和挙動
この実験では、次のステップを含む原子層堆積法により、酸化ランタン膜を堆積した。
a.反応容器中にSiまたはSiO基材を用意するステップ;
b.(1B)-La-(3C)前駆体を反応容器に導入するステップ;
c.反応容器をアルゴンでパージするステップ;
d.反応容器中にオゾンを導入するステップ;
e.反応容器をアルゴンでパージするステップ;
f.遷移金属含有膜が所望の厚さで得られるまで、ステップbからeを連続的に繰り返すステップ。
【0285】
パルス時間を長くした場合の飽和挙動を実証するために、ランタン前駆体パルスは1秒間から3秒間まで変化させた。前駆体パルス後のArパージは10秒間、オゾンパルスは1秒間、そして前駆体パルス後のArパージは30秒間であった。ALDサイクル数は100であった。図8は、200及び250℃での非常に良好な飽和挙動、及び275℃のウェハ温度でのソフトな飽和を示す。飽和挙動は、原子層堆積プロセスの鍵となる特徴の一つである。
【0286】
例8:膜厚vs.ALDサイクル数
この実験では、次のステップを含む原子層堆積法により、酸化ランタン膜を堆積した。
a.反応容器中にSiまたはSiO基材を用意するステップ;
b.(1B)-La-(3C)前駆体を反応容器に導入するステップ;
c.反応容器をアルゴンでパージするステップ;
d.反応容器中にオゾンを導入するステップ;
e.反応容器をアルゴンでパージするステップ;
f.遷移金属含有膜が所望の厚さで得られるまで、ステップbからeを連続的に繰り返すステップ。
【0287】
ランタン前駆体パルスは1秒間であった。前駆体パルス後のArパージは10秒間、オゾンパルス時間は1秒間、そして前駆体パルス後のArパージは30秒間であった。ALDサイクル数は、サイクル数に対する酸化ランタン膜の線形成長を実証するために100及び300であった。ウェハ温度は、200℃、250℃、275℃、300℃及び325℃であった。図9は、サイクル数に対する酸化ランタン膜の線形成長を示す。サイクル数が増した時の線形成長は、原子層堆積プロセスの他の特徴の一つである。以下の表は、250℃と325℃との間ではALD堆積速度に大きな変化はないことを示しており、これは、本発明の前駆体の場合の比較的広いALD熱ウィンドウを示唆する。
【0288】
【表7】
【0289】
例9:酸化ランタン膜の堆積
この実験では、次のステップを含む原子層堆積法により、酸化ランタン膜を堆積した。
a.反応容器中にSiまたはSiO基材を用意するステップ;
b.(1B)-La-(3C)前駆体を反応容器に導入するステップ;
c.反応容器をアルゴンでパージするステップ;
d.反応容器中にオゾンを導入するステップ;
e.反応容器をアルゴンでパージするステップ;
f.遷移金属含有膜が所望の厚さで得られるまで、ステップbからeを連続的に繰り返すステップ。
【0290】
ランタン前駆体パルスは2秒間であった。前駆体パルス後のArパージは20秒間、オゾンパルスは5秒間、そして前駆体パルス後のArパージは20秒間であった。ALDサイクル数は100であった。ウェハ温度は200℃であった。図10は、SiO基材上に堆積した酸化ランタン膜の断面SEM画像を示す。図12は、Si基材上に堆積した酸化ランタン膜のトップダウンSEM画像を示す。
【0291】
例10:酸化ランタン膜の堆積
この実験では、次のステップを含む原子層堆積法により、酸化ランタン膜を堆積した。
a.反応容器中にSiまたはSiO基材を用意するステップ;
b.(1B)-La-(3C)前駆体を反応容器に導入するステップ;
c.反応容器をアルゴンでパージするステップ;
d.反応容器中にオゾンを導入するステップ;
e.反応容器をアルゴンでパージするステップ;
f.遷移金属含有膜が所望の厚さで得られるまで、ステップbからeを連続的に繰り返すステップ。
【0292】
ランタン前駆体パルスは2秒間であった。前駆体パルス後のArパージは10秒間、オゾンパルスは1秒間、そして前駆体パルス後のArパージは30秒間であった。ALDサイクル数は300であった。ウェハ温度は200℃であった。図11は、SiO基材上に堆積した酸化ランタン膜の断面SEM画像を示す。図13は、Si基材上に堆積した酸化ランタン膜のトップダウンSEM画像を示す。
【0293】
以上の記載は、主として説明の目的のために意図される。開示及び特許請求される発明を、それの例示的態様に関して説明及び記載したが、それの形態及び細部における先の様々な他の変更、省略及び付加を、開示及び特許請求される発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく為し得る点は当業者によって理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】