(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-10
(54)【発明の名称】メモリデバイスをプログラムする方法、メモリデバイス、及びメモリシステム
(51)【国際特許分類】
G11C 16/10 20060101AFI20231227BHJP
G11C 16/04 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
G11C16/10 140
G11C16/04 170
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538725
(86)(22)【出願日】2021-08-31
(85)【翻訳文提出日】2023-06-22
(86)【国際出願番号】 CN2021115848
(87)【国際公開番号】W WO2023028898
(87)【国際公開日】2023-03-09
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519237948
【氏名又は名称】長江存儲科技有限責任公司
【氏名又は名称原語表記】Yangtze Memory Technologies Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.88 Weilai 3rd Road,East Lake High-tech Development Zone,Wuhan,Hubei,China
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】チアン・コー
(72)【発明者】
【氏名】メイ・シァオドン
(72)【発明者】
【氏名】クオ・シァオジァン
【テーマコード(参考)】
5B225
【Fターム(参考)】
5B225BA19
5B225DB08
5B225DB22
5B225DB30
5B225DB31
5B225DE06
5B225EA05
5B225FA01
5B225FA02
(57)【要約】
メモリデバイスをプログラムする方法が開示される。メモリデバイスは、プレーンを含む。方法は、第1のステップサイズでインクリメントされるプログラミング電圧を使用することによってプレーンのうちの少なくとも2つをプログラムすることと、少なくとも2つのプレーンを検証することと、少なくとも2つのプレーンが検証例外を有する少なくとも1つのプレーンを含むと判定したことに応答して、検証例外を有する少なくとも1つのプレーンを無効にすることと、少なくとも2つのプレーンのうちの少なくとも1つのプレーンが無効にされていることに応答して、第2のステップサイズでインクリメントされる別のプログラミング電圧を使用することによって、無効にされていない少なくとも2つのプレーンのうちの少なくとも1つをプログラムすることと、を含み、第2のステップサイズは第1のステップサイズより小さい、メモリデバイスをプログラムする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレーンを備えるメモリデバイスをプログラムする方法であって、前記方法は、第1のステップサイズでインクリメントされるプログラミング電圧を使用することによって前記プレーンのうちの少なくとも2つをプログラムすることと、
前記少なくとも2つのプレーンを検証することと、前記少なくとも2つのプレーンが検証例外を有する少なくとも1つのプレーンを含むと判定したことに応答して、前記検証例外を有する前記少なくとも1つのプレーンを無効にすることと、
前記少なくとも2つのプレーンのうちの前記少なくとも1つのプレーンが無効にされていることに応答して、第2のステップサイズでインクリメントされる別のプログラミング電圧を使用することによって、無効にされていない前記少なくとも2つのプレーンのうちの少なくとも1つをプログラムすることと、を含み、
前記第2のステップサイズは前記第1のステップサイズより小さい、メモリデバイスをプログラムする方法。
【請求項2】
前記第2のステップサイズは、前記少なくとも1つの無効にされたプレーンの数に従って決定される、請求項1に記載のメモリデバイスをプログラムする方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの無効にされたプレーンの数が第1の値である場合、前記第2のステップサイズは第2の値であり、前記少なくとも1つの無効にされたプレーンの数が第3の値である場合、前記第2のステップサイズは第4の値であり、前記第3の値は前記第1の値よりも大きく、それに対応して、前記第4の値は前記第3の値よりも小さい、請求項1に記載のメモリデバイスをプログラムする方法。
【請求項4】
前記少なくとも2つのプレーンの各々は、行及び列に配置された複数のメモリセルを含み、前記第1のステップサイズでインクリメントされる前記プログラミング電圧を使用して前記プレーンのうちの前記少なくとも2つを前記プログラムすることは、
前記第1のステップサイズでインクリメントされる前記プログラミング電圧を使用して前記プレーンのうちの前記少なくとも2つ内の複数の選択されたメモリセルをプログラムすることを含む、請求項1に記載のメモリデバイスをプログラムする方法。
【請求項5】
前記第1のステップサイズでインクリメントされる前記プログラミング電圧を使用して前記複数のプレーンのうちの前記少なくとも2つをプログラムする場合、前記複数のプレーンのうちの前記少なくとも2つ内の複数の選択されていないメモリセルに、第3のステップサイズでインクリメントされるパス電圧を印加することを更に含む、請求項4に記載のメモリデバイスをプログラムする方法。
【請求項6】
前記第2のステップサイズでインクリメントされる前記プログラミング電圧を用いて無効にされていない前記少なくとも2つのプレーンのうちの前記少なくとも1つをプログラムする場合、第4のステップサイズでインクリメントされるパス電圧を、無効にされていない前記少なくとも2つのプレーンのうちの前記少なくとも1つ内の選択されていないメモリセルに印加することを更に含み、
前記第4のステップサイズは、前記第3のステップサイズよりも小さい、請求項5に記載のメモリデバイスをプログラムする方法。
【請求項7】
前記第1のステップサイズは、0.15ボルト~0.5ボルトの範囲内であり、前記第2のステップサイズは、0.1ボルト~0.45ボルトの範囲内である、請求項1に記載のメモリデバイスをプログラムする方法。
【請求項8】
前記少なくとも2つのプレーンを前記検証し、前記少なくとも2つのプレーンが検証例外を有する少なくとも1つのプレーンを含むと前記判定することは、
前記少なくとも2つのプレーンの各々が所定のプログラミング状態に達するかどうかを検証することと、
前記プレーンが所定回数検証され、前記所定のプログラミング状態に達していない場合に、前記少なくとも2つのプレーンが前記検証例外を有するプレーンを含むと判定することと、を含む、請求項1に記載のメモリデバイスをプログラムする方法。
【請求項9】
前記少なくとも2つのプレーンが無効にされている場合に、前記少なくとも2つのプレーンのプログラミングを終了することを更に含む、請求項1に記載のメモリデバイスをプログラムする方法。
【請求項10】
メモリデバイスであって、
プレーンを備えるメモリアレイと、
第1のステップサイズでインクリメントされるプログラミング電圧を前記プレーンのうちの少なくとも2つに印加するように構成される行ドライバと、
制御論理回路であって、前記少なくとも2つのプレーンを検証し、前記少なくとも2つのプレーンが検証例外を有する少なくとも1つのプレーンを含むと判定したことに応答して、前記検証例外を有する前記少なくとも1つのプレーンを無効にするように構成される、制御論理回路と、を備え、
前記行ドライバは、前記少なくとも2つのプレーンのうちの前記少なくとも1つのプレーンが無効にされていることに応答して、第2のステップサイズでインクリメントされる別のプログラミング電圧を使用することによって、無効にされていない前記少なくとも2つのプレーンのうちの少なくとも1つをプログラムするように更に構成されており、
前記第2のステップサイズは前記第1のステップサイズより小さい、メモリデバイス。
【請求項11】
前記第2のステップサイズは、前記少なくとも1つの無効にされたプレーンの数に従って決定される、請求項10に記載のメモリデバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1つの無効にされたプレーンの数が第1の値である場合、前記第2のステップサイズは第2の値であり、前記少なくとも1つの無効にされたプレーンの数が第3の値である場合、前記第2のステップサイズは第4の値であり、前記第3の値は前記第1の値よりも大きく、それに対応して、前記第4の値は前記第3の値よりも小さい、請求項10に記載のメモリデバイス。
【請求項13】
前記少なくとも2つのプレーンの各々は、行及び列に配置されたメモリセルを備え、前記行ドライバは、前記第1のステップサイズでインクリメントされる前記プログラミング電圧を前記プレーンのうちの前記少なくとも2つにおける選択されたメモリセルに印加するように特に構成されている、請求項10に記載のメモリデバイス。
【請求項14】
前記行ドライバは、第3のステップサイズでインクリメントされたパス電圧を、前記プレーンのうちの前記少なくとも2つのプレーン内の選択されていないメモリセルに印加するように更に構成されている、請求項13に記載のメモリデバイス。
【請求項15】
前記行ドライバは、第4のステップサイズでインクリメントされるパス電圧を、無効にされていない前記少なくとも2つのプレーンのうちの前記少なくとも1つ内の選択されていないメモリセルに印加するように更に構成されており、
前記第4のステップサイズは、前記第3のステップサイズよりも小さい、請求項14に記載のメモリデバイス。
【請求項16】
前記第1のステップサイズは、0.15ボルト~1ボルトの範囲内であり、前記第2のステップサイズは、0.1ボルト~0.45ボルトの範囲内である、請求項10に記載のメモリデバイス。
【請求項17】
前記制御論理回路は、前記少なくとも2つのプレーンの各々が所定のプログラミング状態に達するかどうかを検証し、前記プレーンが所定回数検証され、前記所定のプログラミング状態に達していない場合に、前記少なくとも2つのプレーンが前記検証例外を有するプレーンを含むと判定するように特に構成されている、請求項10に記載のメモリデバイス。
【請求項18】
前記制御論理回路は、前記少なくとも2つのプレーンが無効にされている場合に、前記少なくとも2つのプレーンのプログラミングを終了するように更に構成されている、請求項10に記載のメモリデバイス
【請求項19】
メモリシステムであって、
請求項10から18のいずれか一項に記載の1つ以上のメモリデバイスと、
前記メモリデバイスに結合されたメモリコントローラと、
を備える、メモリシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体の技術分野に関し、特に、メモリデバイスをプログラムする方法、メモリデバイス、及びメモリシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
不揮発性メモリは、パーソナルコンピュータ、電気通信、家電などの分野で広く使用されている。電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)及びフラッシュメモリは、最も広く使用されている不揮発性メモリの1つである。
【0003】
メモリアレイの構造構成に応じて、メモリデバイスは、シングルプレーンタイプとマルチプレーンタイプとに分類され得る。シングルプレーンタイプのメモリデバイスは、単一のプレーンに配置されたメモリアレイを備え、マルチプレーンタイプのメモリデバイスは、複数のプレーンに配置されたメモリアレイを備える。マルチプレーンタイプのメモリデバイスのプログラミング中、プログラミング効率を高めるために、2つ以上のプレーンが同時にプログラムされてもよい。2つ以上のプレーンを同時にプログラムするこのプログラミングモードは、マルチプレーンプログラミングと呼ばれる。
【発明の概要】
【0004】
第1の態様によれば、本開示の一実施形態は、プレーンを含むメモリデバイスをプログラムする方法を提供し、本方法は、第1のステップサイズでインクリメントされるプログラミング電圧を使用することによってプレーンのうちの少なくとも2つをプログラムすることと、
少なくとも2つのプレーンを検証することと、少なくとも2つのプレーンが検証例外を有する少なくとも1つのプレーンを含むと判定したことに応答して、検証例外を有する少なくとも1つのプレーンを無効にすることと、
少なくとも2つのプレーンのうちの少なくとも1つのプレーンが無効にされていることに応答して、第2のステップサイズでインクリメントされる別のプログラミング電圧を使用することによって、無効にされていない少なくとも2つのプレーンのうちの少なくとも1つをプログラムすることと、を含み、
第2のステップサイズは第1のステップサイズより小さい。
【0005】
代替的な実装形態では、第2のステップサイズは、少なくとも1つの無効にされたプレーンの数に従って決定される。
【0006】
代替的な実装形態では、少なくとも2つのプレーンの各々は、行及び列に配置された複数のメモリセルを含み、第1のステップサイズでインクリメントされるプログラミング電圧を使用して複数のプレーンのうちの少なくとも2つをプログラムすることは、
第1のステップサイズでインクリメントされるプログラミング電圧を使用して、複数のプレーンのうちの少なくとも2つ内の複数の選択されたメモリセルをプログラムすることを含む。
【0007】
代替的な実装形態では、方法は、
第1のステップサイズでインクリメントされるプログラミング電圧を使用して複数のプレーンのうちの少なくとも2つをプログラムする場合、複数のプレーンのうちの少なくとも2つ内の複数の選択されていないメモリセルに、第3のステップサイズでインクリメントされるパス電圧を印加することを更に含む。
【0008】
代替的な実装形態では、方法は、
第2のステップサイズでインクリメントされるプログラミング電圧を用いて無効にされていない少なくとも2つのプレーンのうちの少なくとも1つをプログラムする場合、第4のステップサイズでインクリメントされるパス電圧を、無効にされていない少なくとも2つのプレーンのうちの少なくとも1つにおける複数の選択されていないメモリセルに印加することを更に含み、
第4のステップサイズは第3のステップサイズより小さい。
【0009】
代替的な実装形態では、第1のステップサイズは、0.15ボルト~0.5ボルトの範囲内であり、第2のステップサイズは、0.1ボルト~0.45ボルトの範囲内である。
【0010】
代替的な実装形態では、少なくとも1つの無効にされたプレーンの数が第1の値である場合、第2のステップサイズは第2の値であり、少なくとも1つの無効にされたプレーンの数が第3の値である場合、第2のステップサイズは第4の値であり、第3の値は第1の値よりも大きく、それに対応して、第4の値は第3の値よりも小さい。
【0011】
代替的な実装形態では、少なくとも2つのプレーンを検証し、少なくとも2つのプレーンが検証例外を有する少なくとも1つのプレーンを含むと判定することは、
プレーンが所定のプログラミング状態に達したかどうかを検証するために少なくとも2つのプレーンの各々を検証することと、プレーンが所定回数検証され、所定のプログラミング状態に達していない場合に、少なくとも2つのプレーンが検証例外を有するプレーンを含むと判定することと、を含む。
【0012】
代替的な実装形態では、方法は、
少なくとも2つのプレーンの両方が無効にされている場合に、少なくとも2つのプレーンのプログラミングを終了させることを更に含む。
【0013】
第2の態様によれば、本開示の一実施形態は、メモリデバイスであって、プレーンを備えるメモリアレイと、第1のステップサイズでインクリメントされるプログラミング電圧をプレーンのうちの少なくとも2つに印加するように構成される行ドライバと、制御論理回路であって、少なくとも2つのプレーンを検証し、少なくとも2つのプレーンが検証例外を有する少なくとも1つのプレーンを含むと判定したことに応答して、検証例外を有する少なくとも1つのプレーンを無効にするように構成される、制御論理回路と、を備え、行ドライバは、少なくとも2つのプレーンのうちの少なくとも1つのプレーンが無効にされていることに応答して、第2のステップサイズでインクリメントされる別のプログラミング電圧を使用することによって、無効にされていない少なくとも2つのプレーンのうちの少なくとも1つをプログラムするように更に構成されており、第2のステップサイズは第1のステップサイズより小さい、メモリデバイスを提供する。
【0014】
代替的な実装形態では、第2のステップサイズは、少なくとも1つの無効にされたプレーンの数に従って決定される。
【0015】
代替的な実装形態では、少なくとも2つのプレーンの各々は、行及び列に配置された複数のメモリセルを備え、行ドライバは、第1のステップサイズでインクリメントされるプログラミング電圧を複数のプレーンのうちの少なくとも2つにおける複数の選択されたメモリセルに印加するように特に構成されている。
【0016】
代替的な実装形態では、行ドライバは、第3のステップサイズでインクリメントされたパス電圧を、複数のプレーンのうちの少なくとも2つにおける複数の選択されていないメモリセルに印加するように更に構成されている。
【0017】
代替的な実装形態では、行ドライバは、第4のステップサイズでインクリメントされるパス電圧を、無効にされていない少なくとも2つのプレーンのうちの少なくとも1つにおける複数の選択されていないメモリセルに印加するように更に構成されている。
【0018】
第4のステップサイズは第3のステップサイズより小さい。
【0019】
代替的な実装形態では、第1のステップサイズは、0.15ボルト~1ボルトの範囲内であり、第2のステップサイズは、0.1ボルト~0.45ボルトの範囲内である。
【0020】
代替的な実装形態では、少なくとも1つの無効にされたプレーンの数が第1の値である場合、第2のステップサイズは第2の値であり、少なくとも1つの無効にされたプレーンの数が第3の値である場合、第2のステップサイズは第4の値であり、第3の値は第1の値よりも大きく、それに対応して、第4の値は第3の値よりも小さい。
【0021】
代替的な実装形態では、制御論理回路は、少なくとも2つのプレーンの各々を検証して、プレーンが所定のプログラミング状態に達するかどうかを検証し、プレーンが所定回数検証され、所定のプログラミング状態に達していない場合に、少なくとも2つのプレーンが検証例外を有するプレーンを含むと判定するように特に構成されている。
【0022】
代替的な実装形態では、制御論理回路は、少なくとも2つのプレーンの両方が無効にされている場合に、少なくとも2つのプレーンのプログラミングを終了するように更に構成されている。
【0023】
第3の態様によれば、本開示の一実施形態は、第2の態様のいずれか1つによる1つ以上のメモリデバイスと、メモリデバイスに結合されたメモリコントローラと、を含むメモリシステムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図面において、同じ参照番号は、特に明記しない限り、複数の図面を通して同じ又は類似の構成要素又は要素を指す。これらの図面は必ずしも縮尺通りに描かれていない。これらの図面は、本開示に従って開示された幾つかの実装形態を示すにすぎず、本開示の範囲を限定するものと見なされるべきではないことを理解されたい。
【
図1】本開示の一実施形態によるマルチプレーンプログラミングの概略タイミング図である。
【
図2】本開示の一実施形態によるメモリデバイスをプログラムする方法の第1の概略フローチャートである。
【
図3】本開示の一実施形態による、シングルプレーンプログラミング及びマルチプレーンプログラミングのプログラミング電圧タイミング図である。
【
図4】本開示の一実施形態によるメモリデバイスをプログラムする方法の第2の概略フローチャートである。
【
図5】本開示の一実施形態によるメモリデバイスの概略構造図である。
【
図6】本開示の一実施形態によるメモリセルアレイの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書で開示される典型的な実装形態は、図面を参照して以下により詳細に説明される。本開示の典型的な実装形態が図面に示されているが、本開示は、本明細書に記載の特定の実装形態によって限定されることなく様々な形態で実施され得ることを理解されたい。対照的に、これらの実装形態は、本開示のより完全な理解を有効にし、本開示における開示の全範囲が当業者に伝達されることを有効にするために提供される。
【0026】
以下の説明では、本開示のより完全な理解を提供するためにいくつかの具体的な詳細が与えられる。しかしながら、本開示がこれらの詳細の1つ以上がなくても実施され得ることは、当業者には明らかであろう。他の例では、当技術分野で知られているいくつかの技術的特徴は、本開示との混同を避けるために記載されていない。すなわち、実際の実施形態の全ての特徴はここでは説明されず、周知の機能及び構造は詳細には説明されない。
【0027】
更に、図面は、本開示の概略図にすぎず、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。図面において同一の符号は同一又は類似の部分を示し、したがって、重複する説明は省略する。図面に示されるブロック図のいくつかは、必ずしも物理的又は論理的に独立したエンティティに対応しない機能エンティティである。機能エンティティは、ソフトウェア形態で、又は1つ以上のハードウェアモジュール若しくは集積回路で、又は異なるネットワーク及び/若しくはプロセッサデバイス及び/若しくはマイクロコントローラデバイスで実装されてもよい。
【0028】
なお、各図に示すフローチャートは一例であり、必ずしも全ての動作を含むものではない。例えば、動作の一部が分解されてもよく、一部が組み合わされてもよく、又は部分的に組み合わされてもよく、その結果、実際の実行の順序は実際の状況に応じて異なり得る。
【0029】
本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明することを意図しており、本開示を限定することを意図していない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the/said」はまた、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数形を含むことが意図される。「組成」及び/又は「含む」という用語は、本明細書で使用される場合、特徴、整数、ステップ、動作、要素及び/又は構成要素の存在が決定されるが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素及び/又はグループの存在又は追加は除外されないことも理解されたい。本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語は、関連する列挙された項目のありとあらゆる組み合わせを含む。
【0030】
プログラムされたメモリセルの閾値電圧分布をより正確に制御するために、増加型ステップパルスプログラミング(ISPP)モードがしばしば使用される。ISPPモードでは、ワード線に印加されるプログラミング電圧は、プログラミングサイクルの間に徐々に上昇する。プログラミング電圧は、「上昇率」とも呼ばれる所定のステップサイズ(ΔV)でインクリメントされる。プログラムシーケンスでは、プログラムされたメモリセルのセル閾値電圧は、プログラミングサイクルごとに予め定められた割合で上昇する。不揮発性メモリデバイスはプログラムされ、各プログラミングサイクルは通常、プログラミング期間及びプログラミング検証期間を含む。プログラミング期間中、選択されたメモリセルは所与のバイアス条件下でプログラムされ、プログラミング電圧が選択されたメモリセルの対応するワード線に印加される。プログラミング検証期間中、プログラムされたメモリセルは、プログラムされたメモリセルが目標閾値電圧の条件に達するかどうかを確認するために検証される。プログラミング検証動作は、読み出しデータをデバイスの外部に出力しない点を除いて、読み出し動作と同様である。
【0031】
本開示の一実施形態では、ISPPプログラミング処理中、プログラミング電圧の各印加後、いくつかのメモリセルの閾値電圧Vthは検証電圧Vverifyよりも大きいが、他のメモリセルの閾値電圧Vthは依然として検証電圧Vverifyよりも小さい。プログラミング電圧を複数回上昇させてプログラミングを行った後、設定内の全てのメモリセルの閾値電圧Vthが最終的に検証電圧Vverifyより大きくなることで、プログラミング処理が完了する。
【0032】
検証動作では、プログラムされたメモリセルが目標閾値電圧に到達したか否かを検証するために、プログラムされたメモリセルに対応するワード線に検証電圧Vverifyが印加される。到達していない場合、選択されたメモリセルは失敗であると検証することができ、到達している場合、選択されたメモリセルは成功であると検証することができる。
【0033】
図1は、本開示の一実施形態によるマルチプレーンプログラミングの概略タイミング図である。
図1に示すように、マルチプレーンプログラミングが行われる場合、プログラミング速度は最も遅いプレーンによって決定される。したがって、最も遅いプレーンのプログラミング速度が他のプレーンのプログラミング速度よりもはるかに低いとき、他のプレーンは、隣接プレーンディスターブ(NPD)の影響を受けやすい。
【0034】
したがって、本開示は、以下の実施形態を提案する。本開示の一実施形態は、メモリデバイスをプログラムする方法を提供する。
図2は、本開示の一実施形態によるメモリデバイスをプログラムする方法の第1の概略フローチャートである。メモリデバイスは、複数のプレーンを含む。
図2に示すように、方法は以下の動作を含む。
【0035】
210において、複数のプレーンのうちの少なくとも2つは、第1のステップサイズでインクリメントされるプログラミング電圧を使用することによってプログラムされる。
【0036】
220において、少なくとも2つのプレーンが検証され、少なくとも2つのプレーンが検証例外を有するプレーンを含むと判定したことに応答して、検証例外を有するプレーンは無効にされる。
【0037】
230で、少なくとも2つのプレーンのうちの少なくとも1つのプレーンが無効にされていることに応答して、第2のステップサイズでインクリメントされる別のプログラミング電圧を使用することによって、無効にされていない少なくとも2つのプレーンのうちのあるプレーンがプログラムされ、第2のステップサイズは第1のステップサイズより小さい。
【0038】
本開示の一実施形態では、メモリセルは、シングルレベルセル(SLC)タイプ、マルチレベルセル(MLC)タイプ、トリナリーレベルセル(TLC)タイプ、クワッドレベルセル(QLC)タイプ、ペンタレベルセル(PLC)タイプ、又は上位レベルタイプのものであってもよい。各SLCは1ビットデータを記憶することができ、各MLCは2ビットデータを記憶することができ、各TLCは3ビットデータを記憶することができ、各QLCは4ビットデータを記憶することができ、各PLCは5ビットデータを記憶することができる。各メモリセルは、Q個の可能なデータ状態のうちの1つを維持することができ、Qは2以上の正の整数である。例えば、SLCの場合、Q=2であり、MLCの場合、Q=4であり、TLCの場合、Q=8であり、QLCの場合、Q=16であり、PLCの場合、Q=32である。Q個の可能なデータ状態は、消去状態S(0)及びプログラミング状態S(1)~S(Q-1)を含むことができ、プログラミング状態S(1)は最低のプログラミング状態であり、プログラミング状態S(Q-1)は最高のプログラミング状態である。一例では、TLCは、8つの可能なデータ状態のうちの1つにプログラムされてもよく、プログラミング状態S(1)は最低のプログラミング状態であり、プログラミング状態S(7)は最高のプログラミング状態である。
【0039】
メモリセルは、最初に消去状態S(0)に設定されてもよく、次いで、メモリセルに対して一連のプログラミング及び検証動作を実行して、メモリセルを対応する目標プログラミング状態にプログラムすることができる。一連のプログラミング及び検証動作は、最低のプログラミング状態S(1)から始まり、次いで、選択されたメモリセルの閾値電圧Vthが対応する目標プログラミング状態の対応する検証電圧レベルに達するまで、より高いプログラミング状態に進むことができる。いくつかの実施形態では、プログラミング状態S(1)~S(Q-1)の閾値電圧分布曲線の最小閾値電圧を、それぞれプログラミング状態S(1)~S(Q-1)の検証電圧として使用することができる。各プログラミングサイクルは、プログラミング動作及び後続の検証動作を含むことができる。プログラミング動作において、メモリセルのいくつかは、第1の行から第Nの行まで、又は第Nの行から第1の行まで、行ごとに選択されてプログラミング状態にプログラムされてもよい。後続の検証動作では、選択されたメモリセルが第1の行から第Nの行まで、又は第Nの行から第1の行まで、行ごとにプログラミング状態に達したかどうかが検証されてもよい。このようにして、メモリセルを対応する目標プログラミング状態にプログラムすることができる。
【0040】
本開示の一実施形態では、一例として4つのプレーンのマルチプレーンプログラミングが使用される。なお、メモリデバイスに含まれるプレーンの数は4以上であってもよい。
【0041】
本開示の一実施形態では、第2のステップサイズΔV2は、無効にされたプレーンの数に従って決定されてもよい。具体的には、4つのプレーンは、第1のステップサイズΔV1でインクリメントされるプログラミング電圧を使用することによってプログラムされる。プログラミング後に各プレーンに対してプログラミング検証動作が実行され、4つのプレーンが検証例外を有するプレーンを含むと判定したことに応答して、検証例外を有するプレーンは無効にされる。このとき、第2のステップサイズΔV2は、無効にされたプレーンの数に応じて決定されてもよい。いくつかの実施形態では、無効にされたプレーンの数が第1の値である場合、第2のステップサイズは第2の値であり、無効にされたプレーンの数が第3の値である場合、第2のステップサイズは第4の値である。第3の値が第1の値よりも大きく、それに対応して、第4の値は第3の値よりも小さい。例えば、無効にされたプレーンの数が1である場合、第2のステップサイズΔV2は、0.15ボルト(V)であってもよく、無効にされたプレーンの数が2である場合、第2のステップサイズΔV2は、0.1Vであってもよく、無効にされたプレーンの数が3である場合、第2ステップサイズΔV2は0.05Vであってもよい。ここで、第2のステップサイズΔV2は、無効にされたプレーンの数が多いほど小さくてもよい。
【0042】
ここで、第1のステップサイズΔV1でインクリメントされるプログラミング電圧を使用して4つのプレーンをプログラムする具体的なプロセスは、4つのプレーンが初期プログラミング電圧を使用してプログラムされ、その後、初期プログラミング電圧が第1のステップサイズΔV1でインクリメントされる、すなわち、4つのプレーン内の選択されたメモリセルが所定のプログラミング状態又は目標プログラミング状態に達するまで、4つのプレーンが初期プログラミング電圧+ΔV1などを使用して連続的にプログラムされることである。なお、第1のステップサイズΔV1でインクリメントされたプログラミング電圧を用いて4つのプレーンをプログラムする処理において、各プログラミング電圧の印加後に検証動作を行ってもよいし、Z回ごとにプログラミング電圧を印加した後に検証動作を行ってもよい。Zは2以上である。
【0043】
本開示の一実施形態では、プレーンが所定のプログラミング状態に達したかどうかを検証するために、少なくとも2つのプレーンの各々が検証され、プレーンが所定回数検証され、所定のプログラミング状態に達していない場合に、少なくとも2つのプレーンが検証例外を有するプレーンを含むと判定される。ここで、所定回数は、所定のプログラミング状態に対応する最大失敗カウントである。失敗カウントは、失敗したプレーン検証の数のカウントである。
【0044】
本開示の一実施形態では、各プレーンについて、プレーンが所定回数検証されず、所定のプログラミング状態に達しない場合、検証回数がインクリメントされる。
【0045】
本開示の一実施形態では、各プレーンは、行及び列に配置された複数のメモリセルを含む。第1のステップサイズΔV1でインクリメントされるプログラミング電圧を用いて4つのプレーン内の複数の選択されたメモリセルをプログラムする場合に、複数のプレーンのうちの少なくとも2つにおける複数の選択されていないメモリセルに、第3のステップサイズΔV3でインクリメントされたパス電圧が印加される。例えば、所定のプログラミング状態S(q)へのプログラミング中に、4つのプレーン内の複数の選択されたメモリセルに初期プログラミング電圧Vpgm1が印加され、4つのプレーン内の複数の選択されていないメモリセルに初期パス電圧Vpass1が印加される。検証動作が実行された後、検証に失敗した(所定のプログラミング状態S(q)に達していない)メモリセルに対しては、プログラミング動作が継続して行われる。4つのプレーン内の複数の選択されたメモリセルが所定のプログラミング状態S(q)に達するか、又は4つのプレーンが検証例外を有するプレーンを含むまで、4つのプレーンにおける所定のプログラミング状態S(q)に達していない複数のメモリセルには、第2のプログラミング電圧Vpgm2=Vpgm1+ΔV1が印加され、4つのプレーン内の複数の選択されていないメモリセルには、第2のパス電圧Vpass2=Vpass1+ΔV3が印加される。ここで、初期プログラミング電圧Vpgm1及び初期パス電圧Vpass1は、それぞれ、所定のプログラミング状態S(q)に対応する初期プログラミング電圧及び初期パス電圧である。
【0046】
本開示の一実施形態では、4つのプレーンが無効にされたプレーンを含む場合、第2のステップサイズΔV2でインクリメントされたプログラミング電圧を使用して、無効にされていないプレーンをプログラムするときに、第4のステップサイズΔV4でインクリメントされたパス電圧が、無効にされていないプレーン内の複数の選択されていないメモリセルに印加される。第4のステップサイズΔV4は、第3のステップサイズΔV3よりも小さい。ここで、無効にされていないプレーンは、所定のプログラミング状態S(q)に達したプレーンである。このとき、所定のプログラミング状態S(q)が目標のプログラミング状態でなければ、所定のプログラミング状態S(q)を次のプログラミング状態S(q+1)とする。例えば、所定のプログラミング状態S(q+1)へのプログラミング中、無効にされていないプレーン内の複数の選択されたメモリセルには初期プログラミング電圧Vpgm1が印加され、無効にされていないプレーン内の複数の選択されていないメモリセルには初期パス電圧Vpass1が印加される。検証動作が実行された後、検証に失敗した(所定のプログラミング状態に達していない)メモリセルに対しては、プログラミング動作が継続して行われる。無効にされていないプレーン内の複数の選択されたメモリセルが所定のプログラミング状態S(q+1)に達するか、又は検証例外を有するプレーンが無効にされていないプレーンにおいて発生するまで、4つのプレーンにおける所定のプログラミング状態S(q+1)に達していない複数のメモリセルには、第2のプログラミング電圧Vpgm2=Vpgm1+ΔV2が印加され、4つのプレーン内の複数の選択されていないメモリセルには、第2のパス電圧Vpass2=Vpass1+ΔV4が印加される。ここで、初期プログラミング電圧Vpgm1及び初期パス電圧Vpass1は、それぞれ、所定のプログラミング状態S(q+1)に対応する初期プログラミング電圧及び初期パス電圧である。
【0047】
本開示の一実施形態では、プレーンごとに、複数の選択されたメモリセルが所定のプログラミング状態に達したか否かが検証される。所定のプログラミング状態に達しない複数の選択されたメモリセルが予め設定された数よりも多い場合、プレーン検証は失敗する。所定のプログラミング状態に達しない複数の選択されたメモリセルが予め設定された数よりも少ない場合、プレーン検証は成功する。
【0048】
本開示の一実施形態では、第1のステップサイズは0.15V~0.5Vの範囲内であり、第2のステップサイズは0.1V~0.45Vの範囲内である。本開示の一実施形態では、第1のステップサイズは、第2のステップサイズよりも約0.1V大きい。別の実施形態では、第1のステップサイズと第2のステップサイズとの差は0.07Vである。更に別の実施形態では、第1のステップサイズと第2のステップサイズとの差は、0.13V、0.15V、又は0.18Vである。
【0049】
本開示の一実施形態では、少なくとも2つのプレーンのプログラミングは、少なくとも2つのプレーンの両方が無効にされたときに終了する。例えば、4つのプレーンが全て無効にされると、4つのプレーンのマルチプレーンプログラミングが終了される。
【0050】
図3は、本開示の一実施形態による、シングルプレーンプログラミング及びマルチプレーンプログラミングのプログラミング電圧タイミング図である。横軸は時間、縦軸は電圧である。
図3のプログラミング処理の解析から分かるように、シングルプレーンプログラミングモードでのプログラミング電圧Vpgmの変化速度は速く、すなわち、シングルプレーンプログラミングモードでのプログラミング電圧Vpgmの充電時間は、マルチプレーンプログラミングモードでのプログラミング電圧Vpgmの充電時間よりも短い。したがって、同じプログラミング電圧Vpgmであれば、マルチプレーンプログラミングモード内のプログラミング電圧Vpgmの保持時間は、シングルプレーンプログラミングモード内のプログラミング電圧Vpgmの保持時間よりも短い。言い換えれば、マルチプレーンプログラミングは、シングルプレーンプログラムよりも長い充電時間を必要とする。このことから、マルチプレーンプログラミングモードでは、プレーンが無効にされている場合(すなわち、プログラムされるプレーンの数が減少する)、その後プログラムされ続けるプレーンのプログラミング電圧Vpgmの充電時間が短縮され、その保持時間が増大され、それによってプログラミング時間が増大される。そのため、このときプログラミング電圧のステップサイズを小さく(プログラミング電圧を小さく)して、プレーンのプログラミング電圧Vpgmの充電時間と保持時間とのバランスをとることで、全体のプログラミング時間を制御し、プログラミング効率を向上させる。
【0051】
図4は、本開示の一実施形態によるメモリデバイスをプログラムするための方法の第2の概略フローチャートである。
図4に示すように、方法は以下の動作を含む。
【0052】
410において、プログラミング準備が実行される。
【0053】
420において、プログラミング電圧が複数のプレーン内の選択されたメモリセルに印加され、パス電圧が複数のプレーン内の選択されていないメモリセルに印加される。
【0054】
430において、複数のプレーンが検証され、検証例外のプレーンが存在するかどうかが判定され、そうである場合、ステップ440が実行され、そうでない場合、ステップ420が実行される。
【0055】
440において、全てのプレーンが検証例外を有するかどうかが判定され、そうである場合、ステップ490が実行され、そうでない場合、ステップ450が実行される。
【0056】
450において、検証例外を有するプレーンは無効にされ、プログラミング電圧及びパス電圧のステップサイズが低減される。
【0057】
460において、プログラミング状態が目標プログラミング状態であるかどうかが判定され、そうでない場合、ステップ470が実行され、そうである場合、ステップ480が実行される。
【0058】
470で、プログラミング状態がインクリメントされ、無効にされていないプレーンに対してステップ420が実行される。
【0059】
480において、マルチプレーンプログラミングが成功する。
【0060】
490において、マルチプレーンプログラミングが失敗する。
【0061】
本開示の一実施形態では、例えば、マルチプレーンプログラミングは4つのプレーンで実行され、メモリセルはTLCメモリセルである。マルチプレーンプログラミングでは、メモリデバイス内の4つのプレーンがプログラムされる。4つのプレーン内の複数の選択されたメモリセルにはプログラミング電圧が印加され、4つのプレーン内の複数の選択されていないメモリセルにはパス電圧が印加される。
【0062】
4つのプレーン内の選択されたメモリセルは、4つのプレーン内の選択されたメモリセルが所定のプログラミング状態S(1)に達するかどうかを検証するために検証される。所定のプログラミング状態S(1)に達していないメモリセルが所定数より多い場合、プレーン検証は失敗する。所定のプログラミング状態S(1)に達していないメモリセルが所定数より少ない場合、プレーン検証は成功する。
【0063】
プレーンの検証に失敗した場合、次に、検証失敗カウントがプログラミング状態S(1)の最大失敗カウント(所定回数)未満であるかどうかが判定される。いくつかの実施形態では、最大失敗カウントは4であり得る。検証失敗カウントが最大失敗カウント未満である場合、検証失敗カウントは1だけインクリメントされる。検証失敗カウントが最大失敗カウント以上である場合、4つのプレーンは検証例外のプレーンを含むと判定され、このとき、検証例外のプレーンは無効にされ、プログラミング電圧及びパス電圧のステップサイズが減少される。
【0064】
無効にされていないプレーンについては、そのプログラミング状態が目標プログラミング状態であるか否かが判定される。プログラミング状態が目標プログラミング状態でない場合、プログラミング状態はインクリメントされる、すなわち、プログラミング状態はS(2)にインクリメントされる。無効にされていないプレーンは、低減されたプログラミング電圧及びパス電圧のステップサイズで、プログラミング状態S(2)においてプログラムされる。ここで、プログラミング状態S(1)のプログラミング処理におけるプログラミング電圧及びパス電圧のステップサイズがそれぞれ第1のステップサイズ及び第3のステップサイズであり、プログラミング状態S(2)のプログラミング処理におけるプログラミング電圧及びパス電圧のステップサイズがそれぞれ第2のステップサイズ及び第4のステップサイズである場合、第2のステップサイズは第1のステップサイズよりも小さく、第4のステップサイズは第3のステップサイズよりも小さい。
【0065】
ここで、プログラミング状態S(2)のプログラミング処理は、プログラミング状態S(1)のプログラミング処理と同様であるため、再度の説明は省略する。プログラミング状態S(2)のプログラミング中に検証例外のプレーンが含まれる場合、検証例外のプレーンは無効にされ続け、プログラミング電圧及びパス電圧のステップサイズは低減され続ける。プログラミング状態はS(3)にインクリメントされる。無効にされていないプレーンは、再び低減されたプログラミング電圧及びパス電圧のステップサイズで、プログラミング状態S(3)にプログラムされる。ここで、プログラミング状態S(2)のプログラミング処理におけるプログラミング電圧及びパス電圧のステップサイズがそれぞれ第2のステップサイズ及び第4のステップサイズであり、プログラミング状態S(3)のプログラミング処理におけるプログラミング電圧及びパス電圧のステップサイズがそれぞれ第5のステップサイズ及び第6のステップサイズである場合、第5のステップサイズは第2のステップサイズよりも小さく、第6のステップサイズは第4のステップサイズよりも小さい。
【0066】
プログラミング状態S(3)が目標プログラミング状態である場合、マルチプレーンプログラミングは成功し、マルチプレーンプログラミングを終了する。マルチプレーンプログラミングのプロセス中、検証例外のない(無効にされていない)プレーンのみがプログラムされたことに留意されたい。
【0067】
上記のプロセスでは、全てのプレーンが検証例外を有する場合、マルチプレーンプログラミングは失敗し、マルチプレーンプログラミングは終了することに留意されたい。
【0068】
いくつかの実施形態では、制御論理回路は、プログラミングサイクルを終了したときにプログラミングの結果を示すための状態報告を生成することができる。マルチプレーンのうちの少なくとも1つが最高状態のプログラミングを完了すると、状態報告は、プログラミングが成功であることを示してもよい。状態報告は、最高状態のプログラミングが完了する前に複数のプレーンが全て無効にされたときにプログラミングが失敗であることを示してもよい。状態報告は、ホスト又はメモリコントローラに送信されてもよい。
【0069】
本開示で提供される技術的解決策では、メモリデバイスをプログラムする方法であって、複数のプレーンが第1のステップサイズでインクリメントされるプログラミング電圧でプログラムされるとき、プレーンが所定回数検証された場合、その後のプレーンのプログラムが禁止される、方法が提供される。その後のプログラミングでは、プログラミング電圧のステップサイズが低減され、無効にされていないプレーンは、第2のステップサイズでインクリメントされたプログラミング電圧でプログラムされる。本開示の実施形態では、検証に失敗したプレーンを無効にすることによって、マルチプレーンプログラミング処理におけるプログラミング干渉を低減することができ、無効にされたプレーンが複数のプレーンにある場合、プログラミング電圧のステップサイズを小さくすることによって、プログラミング電圧の充電時間と保持時間とのバランスがとられる。
【0070】
メモリデバイスをプログラムする前述の方法と同じ技術概念に基づいて、本開示の一実施形態はメモリデバイスを提供する。
図5は、本開示の一実施形態によるメモリデバイスの概略構造図である。
図5に示すように、メモリデバイス500は、
複数のプレーン510を含むメモリアレイと、
複数のプレーンのうちの少なくとも2つに第1のステップサイズでインクリメントされたプログラミング電圧を印加するように構成された行ドライバ520と、
少なくとも2つのプレーンを検証し、少なくとも2つのプレーンが検証例外を有するプレーンを含むと判定したことに応答して、検証例外を有するプレーンを無効にするように構成された制御論理回路530と、を含み、
行ドライバ520は、少なくとも2つのプレーンのうちのプレーンが無効にされていることに応答して、第2のステップサイズでインクリメントされる別のプログラミング電圧を使用することによって、無効にされていないプレーンをプログラムするように更に構成され、
第2のステップサイズは第1のステップサイズより小さい。
【0071】
図5は、説明のためにデュアルプレーン構造を有するメモリデバイス500を例に取ることに留意されたい。メモリデバイス500は、周辺回路を含んでもよい。周辺回路は、制御論理回路530、電圧生成回路540、行ドライバ520、及び列ドライバ550を含むことができる。本実施形態ではデュアルプレーン構造が使用されているが、本開示の範囲内で他の数のプレーンが使用されてもよいことを理解されたい。マルチプレーンプログラミングモードが使用される場合、プレーン510は同時にプログラムされ得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、メモリデバイス500は、周辺回路と、複数のプレーン510を含むメモリアレイとを含む。周辺回路は、第1のステップサイズでインクリメントされるプログラミング電圧を複数のプレーンのうちの少なくとも2つに印加し、少なくとも2つのプレーンを検証し、少なくとも2つのプレーンが検証例外を有するプレーンを含むと判定したことに応答して、検証例外を有するプレーンを無効にし、少なくとも2つのプレーンのうちのプレーンが無効にされていることに応答して、第2のステップサイズでインクリメントされる別のプログラミング電圧を使用することによって、無効にされていないプレーンをプログラムするように構成され、第2のステップサイズは第1のステップサイズより小さい。
【0073】
実際の用途では、制御論理回路530は、電圧生成回路540、行ドライバ520、及び列ドライバ550に結合されてもよい。電圧生成回路540は、行ドライバ520に結合されてもよい。行ドライバ520は、ドレイン選択線DSL1、ワード線WL(1)~WL(N)、及びストリング選択線SSL1を介してプレーン510に結合することができる。Nは正の整数であり、例えば、N=128である。行ドライバ12は、ドレイン選択線DSL2、ワード線WL2(1)~WL2(N)、及びストリング選択線SSL2を介して別のプレーン510に結合することができる。列ドライバ550は、ビット線BL1(1)~BL1(M)を介してプレーン510に結合され得る。Mは正の整数であり、例えば、M=131072である。列ドライバ550は、ビット線BL2(1)~BL2(M)を介して別のプレーン510に結合され得る。プレーン510の各々は複数のブロックを含んでもよく、各ブロックは複数のページを含んでもよく、各ページは複数のメモリセルを含んでもよい。プレーン510内のメモリセルは、ワード線WL1(1)~WL1(N)及びビット線BL1(1)~BL1(M)によってアドレス指定されてもよく、別のプレーン510内のメモリセルは、ワード線WL2(1)~WL2(N)及びビット線BL2(1)~BL2(M)によってアドレス指定されてもよい。
【0074】
制御論理回路530は、ホスト又はメモリコントローラと通信して、プレーン510内に記憶するためのデータを受信し、プレーン510から取得されたデータを送信することができる。制御論理回路530は、ホスト又はメモリコントローラからコマンド、アドレス、又はデータを受信し、列アドレス信号Scadr1、Scadr2、行アドレス信号Sradr、及び電圧制御信号Svcを生成することができる。制御論理回路530からの電圧制御信号Svcに応答して、電圧生成回路540は、読み出し、プログラミング、消去、及び検証動作のための電圧を生成することができる。電圧生成回路540が生成する電圧は、メモリデバイスに供給される電源電圧を超えてもよい。行ドライバ520は、制御論理回路530からの行アドレス信号Sradrに応答して動作して、読み出し、プログラミング、消去、及び検証動作のためのワード線を選択することができる。列ドライバ550は、制御論理回路530からの列アドレス信号Scadr1、Scadr2に応答して動作して、読み出し、プログラミング、消去、及び検証動作のためにビット線を選択するためのビット線信号を生成することができる。
【0075】
本開示の一実施形態では、行ドライバ520及び列ドライバ550は、全ての複数のプレーン510に結合され、制御論理回路530によって制御される。行ドライバは、マルチプレーンプログラミングモードにおいて同時にプログラミング動作が実行される少なくとも2つのプレーンにワード線駆動電圧を印加するように構成される。
【0076】
実際の用途では、制御論理回路530は、電圧生成回路を制御して初期プログラミング電圧/初期パス電圧をより低いレベルで出力させ、かつ行ドライバを制御して、プレーン内の選択されたワード線に初期プログラミング電圧を印加させ、選択されていないワード線に初期パス電圧を印加させる。
【0077】
本開示の一実施形態では、第2のステップサイズは、無効にされたプレーンの数に従って決定される。
【0078】
本開示の一実施形態では、各プレーン510は、行及び列に配置された複数のメモリセルを含む。行ドライバ520は、具体的には、複数のプレーンのうちの少なくとも2つにおける複数の選択されたメモリセルに、第1のステップサイズでインクリメントされたプログラミング電圧を印加するように構成されている。
【0079】
本開示の一実施形態では、行ドライバ520は、第3のステップサイズでインクリメントされたパス電圧を、複数のプレーンのうちの少なくとも2つにおける複数の選択されていないメモリセルに印加するように更に構成されている。
【0080】
本開示の一実施形態では、行ドライバ520は、無効にされていないプレーン内の複数の選択されていないメモリセルに第4のステップサイズでインクリメントされるパス電圧を印加するように更に構成され、第4のステップサイズは第3のステップサイズよりも小さい。
【0081】
本開示の一実施形態では、第1のステップサイズは0.15V~0.5Vの範囲内であり、第2のステップサイズは0.1V~0.45Vの範囲内である。
【0082】
本開示の一実施形態では、制御論理回路530は、少なくとも2つのプレーンの各々を検証して、プレーンが所定のプログラミング状態に達するかどうかを検証し、プレーンが所定回数検証され、所定のプログラミング状態に達していない場合に、少なくとも2つのプレーンが検証例外を有するプレーンを含むと判定するように特に構成されている。
【0083】
本開示の一実施形態では、制御論理回路530は、少なくとも2つのプレーンが無効にされている場合に、少なくとも2つのプレーンのプログラミングを終了するように更に構成されている。
【0084】
メモリデバイスの前述の説明は、メモリデバイスをプログラムするための上述の方法実施形態の説明と同様であり、メモリデバイスをプログラムするための方法実施形態の説明と同様の有利な効果を有することに留意されたい。したがって、詳細は説明しない。本開示の実施形態のメモリデバイスに開示されていない技術的詳細については、本開示の実施形態のメモリデバイスをプログラムする方法の説明を参照されたい。
【0085】
図6は、本開示の一実施形態によるメモリセルアレイの概略図である。各プレーンは、複数のブロックを含み得る。メモリセルアレイ内のメモリセルは、ワード線WL及びビット線BLによってアドレス指定されてもよい。
図6に示すように、メモリセルアレイは、複数のメモリセル310と、ストリング選択ユニット320と、グランド選択ユニット330とを備えてもよい。メモリセル310は、フローティングゲートトランジスタ又は電荷トラップトランジスタであってもよく、メモリセル310、ストリング選択ユニット320、及びグランド選択ユニット330の各々は、制御端子、第1の端子、及び第2の端子を含んでもよい。ドレイン選択線DSLはストリング選択ユニット320の制御端子に結合されてもよく、ビット線BLはそれぞれストリング選択ユニット320の第1の端子に結合されてもよい。メモリセル310は、それぞれのワード線WLに結合されたメモリセルの行に配置されてもよい。ワード線WLは、第1の行のメモリセルの制御端子、第Nの行のメモリセルの制御端子にそれぞれ結合されてもよく、メモリセル310の第1の端子は、ストリング選択ユニット320の第2の端子にそれぞれ結合されてもよい。ストリング選択線SSLは、グランド選択ユニット330の制御端子に結合されてもよく、グランド選択ユニット330の第1の端子は、メモリセル310の第2の端子にそれぞれ結合されてもよく、グランド選択ユニット330の第2の端子は、共通ソース線CSLに結合されてもよい。共通ソース線CSLは、グランド電圧を提供することができる。
【0086】
本開示の一実施形態は、前述のメモリデバイスと、メモリデバイスに結合されたメモリコントローラとを含むメモリシステムを更に提供する。
【0087】
いくつかの実施形態では、メモリデバイスは、具体的には、3D NANDメモリであってもよい。
【0088】
具体的には、メモリシステムは、電子コンピュータ、スマートフォン、スマートテレビ、スマートセットトップボックス、スマートルータ、電子デジタルカメラ、又はSSDなどのメモリデバイスを有するデバイスであってもよい。本開示のメモリシステムは、一般に、コントローラ、入出力デバイス、ディスプレイデバイスなどを更に備える。メモリデバイスは、ファイル又はデータを記憶し、コントローラによって呼び出されるように構成される。具体的には、メモリコントローラは、本開示において提供されるメモリデバイスにデータを書き込んでもよいし、本開示において提供されるメモリデバイスからデータを読み出してもよい。入出力デバイスは、命令を入力又は信号を出力するように構成され、ディスプレイデバイスは、信号を視覚化し、メモリシステムの様々な機能を実施する。
【0089】
本明細書で提供されるいくつかの方法実施形態で開示される方法は、新しい方法実施形態を得るために矛盾することなく任意に組み合わせることができる。
【0090】
本明細書で提供されるいくつかのデバイス実施形態に開示された特徴は、新しいデバイス実施形態を得るために矛盾することなく任意に組み合わせることができる。
【0091】
前述の説明は、本開示の特定の実装形態にすぎないが、本開示の保護の範囲はこれに限定されない。本開示に開示された技術的範囲内で当業者によって容易に企図される変更又は置換は、本開示の保護範囲内に入るものとする。したがって、本開示の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
【国際調査報告】