(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-12
(54)【発明の名称】注射デバイスが動作温度に遷移する閾値時間を決定するためのユーザデバイス、システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G16H 40/40 20180101AFI20240104BHJP
A61M 5/00 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
G16H40/40
A61M5/00 518
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533621
(86)(22)【出願日】2021-12-01
(85)【翻訳文提出日】2023-07-11
(86)【国際出願番号】 EP2021083677
(87)【国際公開番号】W WO2022117601
(87)【国際公開日】2022-06-09
(32)【優先日】2020-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ハーディ・キーツマン
(72)【発明者】
【氏名】パブロ・プラドス
【テーマコード(参考)】
4C066
5L099
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066LL21
4C066QQ76
4C066QQ77
4C066QQ78
4C066QQ82
5L099AA25
(57)【要約】
注射デバイスが収納温度から動作温度まで遷移する閾値時間を決定するように構成されたユーザデバイス。ユーザデバイスは、スキャンデバイスを含むことができ、ユーザデバイスは、スキャンデバイスを使用して注射デバイスをスキャンし、局所的温度を決定し、閾値時間を決定し、閾値に達したことをユーザに警告するように構成することができる。閾値時間は、局所的温度、動作温度、および注射デバイスに含まれる薬物の容量に基づくことができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射デバイスが収納温度から動作温度に遷移する閾値時間を決定するように構成されたユーザデバイスであって、スキャンデバイスを含み:
該スキャンデバイスを使用して注射デバイスをスキャンし;
局所的温度を決定し;
閾値時間を決定し、ここで、該閾値時間は、局所的温度、動作温度、および注射デバイスに含まれる薬物の量に基づくものであり;
閾値時間に達したことをユーザに警告する、
ように構成される、前記ユーザデバイス。
【請求項2】
温度を含む動作情報を受信するように更に構成される、請求項1に記載のユーザデバイス。
【請求項3】
注射デバイス;注射デバイスを収納するように構成された収納デバイス;インターネット、のうちの少なくとも1つから動作情報を受信するように構成される、請求項2に記載のユーザデバイス。
【請求項4】
ユーザから入力を受信し;
ユーザから受信した入力に基づいて、注射デバイスが超えるべきでない上側閾値および/または下側閾値温度を設定し;
上側閾値および/または下側閾値を超えた場合、警報を出力する、
ように更に構成される、請求項1~3のいずれか1項に記載のユーザデバイス。
【請求項5】
上側閾値および/または下側閾値を所定の期間にわたって超えた場合、警報を出力するように更に構成される、請求項4に記載のユーザデバイス。
【請求項6】
注射デバイスのタイプ、注射デバイス内の薬物のタイプおよび容量、室温、または注射デバイスの場所の予測温度、のうちの1つまたは複数に少なくとも部分的に基づいて閾値時間を計算するように構成される、請求項1~5のいずれか1項に記載のユーザデバイス。
【請求項7】
注射デバイスを収納デバイス内に置く前に注射デバイスをスキャンし、および/または注射デバイスが収納デバイスから持ち出される際に注射デバイスをスキャンするように構成され、注射デバイスのスキャンに基づいて動作情報を得るように更に構成される、請求項2または3に記載のユーザデバイス。
【請求項8】
注射デバイスが収納温度から動作温度まで遷移する閾値時間を決定するためのシステムであって:
ユーザデバイス無線トランシーバとスキャンデバイスとを有するユーザデバイス(400)と;
各開口部が或る期間にわたって未使用注射デバイスを収納するように構成された複数の開口部を有する収納デバイス(100)であって、収納デバイス無線トランシーバを更に含む、収納デバイスと、
を含み、
該収納デバイスは、注射デバイスが収納デバイスから持ち出されるときにユーザデバイスに信号を送信するように構成され、
ユーザデバイスは、
収納デバイスから信号を受信し、それに応答して警報を出力し;
スキャンデバイスを使用して注射デバイスをスキャンし;
局所的温度を決定し;
閾値時間を決定し、ここで、該閾値時間は、局所的温度、動作温度、および注射デバイスに含まれる薬物の量に基づくものであり;
閾値時間に達したことをユーザに警告する、
ように構成される、前記システム。
【請求項9】
局所的温度を決定するために、ユーザデバイス(400)は、収納デバイス(100)によって送信される環境情報を受信するように構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
環境情報は、収納デバイス(100)の温度センサによって提供される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載のユーザデバイスを含む、請求項8~10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
注射デバイスが収納温度から動作温度に遷移する時間を決定する方法であって:
ユーザデバイス(400)または収納デバイス(100)を使用して注射デバイスをスキャンすることと;
ユーザデバイス(400)を使用して局所的温度を決定することと;
ユーザデバイス(400)により時間を決定することであって、ここで、時間は、局所的温度、動作温度、および注射デバイスに含まれる薬物の量に基づくことと;
ユーザデバイス(400)により、閾値時間に達したことをユーザに警告することと、
を含む、前記方法。
【請求項13】
ユーザデバイスによって、ユーザから入力を受信することと;
ユーザから受信した入力に基づいて、ユーザデバイスによって、注射デバイスが超えるべきでない上側閾値および/または下側閾値温度を設定することと;
上側閾値および/または下側閾値を超えた場合、ユーザデバイスによって警報を出力することと、
を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ユーザデバイスを使用して、注射デバイスを収納デバイスに入れる前に、もしくは注射デバイスが収納デバイスから持ち出される際に、またはその両方において、注射デバイスをスキャンすることと、
ユーザデバイスによって、注射デバイスのスキャンに基づいて、閾値時間および/または動作温度情報を得ることと、
を更に含む、請求項12~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
注射デバイスによって、注射デバイスが閾値期間にわたって動作温度に達するために放置されなくてはならないことのリマインダをユーザに出力することを更に含む、請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、注射デバイスが収納温度から動作温度まで遷移する閾値時間を決定するためのユーザデバイスおよび注射デバイスを含むシステム、ならびに方法に関する。
【背景技術】
【0002】
慢性疾患に罹患した患者は、多くの場合、たとえば所定のスケジュールに基づいて、薬剤による定期的治療を必要とする。特定の薬剤は、冷蔵収納を必要とし、多くの場合、家庭用冷蔵室または冷蔵庫に長期にわたって収納される。在宅治療環境において、患者は、薬剤を冷蔵庫に収納し、必要に応じて所定の用量を自己投与する。したがって、薬剤は、家庭用冷蔵庫内の便利な配置および収納のために、典型的には二次包装で提供される。
【0003】
薬剤は、比較的長い間隔で、たとえば2週または4週ごとに用量の投与を必要とする所定の投薬スケジュールを有することができる。薬剤は、たとえば1~6カ月にわたって冷蔵庫に収納することができるいくつかの用量を含む二次包装において提供することができる。患者がスケジューリングされた各投薬時間を追跡することは困難である可能性があり、これが処方された投薬計画の不十分な遵守につながる可能性がある。更に、いくらかの作用が長い薬剤の場合、ユーザは、処方された次の注射の時点において概ね症状がない場合があり、これは処方された投薬計画に遵守しない更なるリスクにつながる可能性がある。加えて、そのような治療の経過中、スケジューリングされた投薬は、医療専門家(HCP)との相談後に調整を必要とする場合がある。
【0004】
患者は、或る特定のタイプの注射デバイスを使用するためのトレーニングを必要とする場合もある。異なるタイプの注射デバイスは、異なる用量の薬剤を含む場合がある。そして、治療は2つ以上のタイプの注射デバイスの使用を必要とする場合がある。たとえば、より高い「初期用量」、それに続く、より低い頻繁な「維持用量」が必要とされる場合がある。或る特定の薬剤は、特定の温度のまたは特定の温度範囲内の注射を必要とする場合がある。或る特定の薬剤が或る特定の時刻に、食前もしくは食後に、または他の治療を伴ってもしくは伴わずに摂取されることも重要である場合がある。
【0005】
したがって、特定の注射デバイスの使用を正確に追跡して、患者がこれを適切に用いたことを確認することが有用でありうる。これらのおよび他の利点が、現在開示されているシステムおよびツールにおいて説明される。
【0006】
いくつかの注射デバイスは、室温よりも低い温度で収納されることを要する。そのようなデバイスは、使用前にウォームアップされる必要がある場合がある。ユーザは、注射デバイスを動作温度にもたらすためにどれだけの時間を要するか不確実である場合があり;また、ユーザはウォーミングアップデバイスに関して忘れる傾向にある場合がある。本明細書に記載のシステム、デバイスおよび方法はこの問題を軽減する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様によれば、ユーザデバイスが提供される。ユーザデバイスは、注射デバイスが収納温度から動作温度まで遷移する閾値時間を決定するように構成され、ユーザデバイスはスキャンデバイスを含み、ユーザデバイスは;スキャンデバイスを使用して注射デバイスをスキャンし;局所的温度を決定し;閾値時間を決定し、ここで、閾値時間は、局所的温度、動作温度、および注射デバイスに含まれる薬物の量に基づくものであり;閾値時間に達したことをユーザに警告するように構成される。
【0008】
第1の態様の実施形態において、以下の構成のうちの1つまたは複数を使用することができる:
- ユーザデバイスは、温度を含む動作情報を受信するように更に構成され;
- 注射デバイス;注射デバイスを収納するように構成された収納デバイス;インターネット、のうちの少なくとも1つから動作情報を受信するように構成され;
- ユーザデバイスは、注射デバイスが閾値期間にわたって動作温度に達するために放置されなくてはならないことのリマインダをユーザに出力するように更に構成され;
- ユーザデバイスは、注射デバイスの現在の温度、および/または注射デバイスを収納するように構成された収納デバイスの現在の温度を表示するように更に構成され;
- ユーザデバイスは:ユーザから入力を受信し;ユーザから受信した入力に基づいて、注射デバイスが超えるべきでない上側閾値および/または下側閾値温度を設定し;上側閾値および/または下側閾値を超えた場合、警報を出力するように更に構成され;
- 上側閾値および/または下側閾値を所定の期間にわたって超えた場合、ユーザデバイスは、警報を出力するように更に構成され;
- 注射デバイスのタイプ、注射デバイス内の薬物のタイプおよび容量、室温、または注射デバイスの場所の予測温度、のうちの1つまたは複数に少なくとも部分的に基づいて閾値時間を計算するように構成され;
- スキャンデバイスは、注射デバイス上に設けられたRFIDタグを読み取り、注射デバイスRFIDタグから、動作温度および/または閾値時間に関する情報を得るように構成されたRFIDセンサを含み;
- ユーザデバイスは、注射デバイスを収納デバイス内に置く前に注射デバイスをスキャンし、および/または注射デバイスが収納デバイスから持ち出される際に注射デバイスをスキャンするように構成され、ユーザデバイスは、注射デバイスのスキャンに基づいて動作情報を得るように更に構成される。
【0009】
第2の態様において、注射デバイスが収納温度から動作温度まで遷移する閾値時間を決定するためのシステムが提供される。システムは、ユーザデバイス無線トランシーバとスキャンデバイスとを有するユーザデバイスと;各開口部が或る期間にわたって未使用注射デバイスを収納するように構成された複数の開口部を有する収納デバイスであって、収納デバイス無線トランシーバを更に含む、収納デバイスとを含み;収納デバイスは、注射デバイスが収納デバイスから持ち出されるときにユーザデバイスに信号を送信するように構成され、ユーザデバイスは、収納デバイスから信号を受信し、それに応答して警報を出力し;スキャンデバイスを使用して注射デバイスをスキャンし;局所的温度を決定し;閾値時間を決定し、ここで、閾値時間は、局所的温度、動作温度、および注射デバイスに含まれる薬物の量に基づくものであり;閾値時間に達したことをユーザに警告するように構成される。
【0010】
第2の態様の実施形態において、以下の構成のうちの1つまたは複数を使用することができる:
- 局所的温度を決定するために、ユーザデバイスは、収納デバイスによって送信される環境情報を受信するように構成され;
- 環境情報は、収納デバイスの温度センサによって提供され;
- 収納デバイスは、内部に収納された注射デバイスから環境情報を受信するように構成され;
- ユーザデバイスは、収納デバイスの現在の温度を表示するように更に構成され;
- 収納デバイスは、注射デバイス上に設けられたRFIDタグを読み取り、注射デバイスRFIDタグから、動作温度および/または閾値時間に関する情報を得るように構成されたRFIDセンサを含み;
- システムは、第1の態様の実施形態のうちの任意のもののユーザデバイスを含む。
【0011】
第3の態様において、注射デバイスが収納温度から動作温度に遷移する時間を決定する方法が提供され、この方法は:ユーザデバイスまたは収納デバイスを使用して注射デバイスをスキャンすることと;ユーザデバイスを使用して局所的温度を決定することと;ユーザデバイスにより時間を決定することであって、ここで、時間は、局所的温度、動作温度、および注射デバイスに含まれる薬物の量に基づくことと;ユーザデバイスにより、閾値時間に達したことをユーザに警告することとを含む。
【0012】
第3の態様の実施形態において、以下の構成のうちの1つまたは複数を使用することができる:
- 方法は、複数の注射デバイスを収納するように構成された収納デバイスから注射デバイスを持ち出すことを更に含み;
- 方法は、注射が予定されていることをユーザにリマインドすることを更に含み;
- 局所的温度を決定することは、ユーザデバイスによって:注射デバイス;収納デバイス;インターネット;のうちの少なくとも1つからの情報を受信することを含み;
- 方法は、ユーザデバイスによって、注射デバイスが閾値期間にわたって動作温度に達するために放置されなくてはならないことのリマインダをユーザに出力することを更に含み;
- 方法は:ユーザデバイスによって、ユーザから入力を受信することと;ユーザから受信した入力に基づいて、ユーザデバイスによって、注射デバイスが超えるべきでない上側閾値および/または下側閾値温度を設定することと;ユーザデバイスによって、上側閾値および/または下側閾値を超えた場合、警報を出力することとを更に含み;
- 時間を決定することは:注射デバイスのタイプ、注射デバイス内の薬物のタイプおよび容量、室温、または注射デバイスの場所の予測温度、のうちの1つまたは複数に少なくとも部分的に基づくものであり;
- 方法は:注射デバイスを収納デバイス内に置く前に、ユーザデバイスを使用して注射デバイスをスキャンすることと、ユーザデバイスによって、注射デバイスのスキャンに基づいて、閾値時間および/または動作温度情報を得ることとを更に含み;
- 方法は:注射デバイスが収納デバイスから持ち出される際に、ユーザデバイスを使用して注射デバイスをスキャンすることと、ユーザデバイスによって、注射デバイスのスキャンに基づいて、閾値時間および/または動作温度情報を得ることとを更に含み;
- 方法は:注射デバイスによって、注射デバイスが閾値期間にわたって動作温度に達するために放置されなくてはならないことのリマインダをユーザに出力することを更に含む。
【0013】
加えて、第1、第2または第3の態様の実施形態において、以下の構成のうちの1つまたは複数を使用することができる。構成は、デバイスおよび/またはシステム構成として提供されるが、第3の態様の方法が対応する単数または複数のステップを含むことができることを理解されたい:
- ユーザデバイス、収納デバイスまたはシステムは、警報に応答しない場合、ユーザにリマインダを提供するように構成することができ;
- ユーザデバイス、収納デバイスまたはシステムは、「スヌーズ」オプション(たとえば、1日、2日、3日等、最大7日)を提供することができ;
- システムは、ユーザが使用後に注射デバイスを置くことを可能にする鋭利物集積容器を更に含むことができ;
- ユーザデバイスは、ユーザが、注射デバイスの使用後および廃棄前、または鋭利物集積容器内に注射デバイスを置く前に注射デバイスをスキャンすることを可能にすることができ;
- ユーザデバイス、収納デバイスおよび/または他のデバイスは、適宜互いに無線で通信することができ;
- 無線通信は、Wi-Fi、Bluetooth、ZigBee、IrDA、NFC等を使用することができ;
- 局所温度を決定することは、以下のうちの1つまたは複数を含むことができ:第三者からの局所的天候情報にアクセスすること;
インターネットから気温情報を受信すること;
ユーザデバイスによって温度を検知すること;
- ユーザデバイスは、注射に関する患者フィードバックを要求するように構成することができ、場合により、フィードバックは、痛みのレベル、刺激、漏れ等を含むことができる。
【0014】
第4の態様において、機械可読命令を含むコンピュータプログラムが提供される。機械可読命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに:
注射デバイスをスキャンするようにユーザデバイスのスキャンデバイスを制御させ;
局所的温度を決定させ;
閾値時間を決定させ、ここで、閾値時間は、局所的温度、動作温度、および注射デバイスに含まれる薬物の量に基づくものであり;
閾値時間に達したことをユーザに警告するようにユーザデバイスを制御させる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】いくつかの実施形態による、ユーザデバイスと、注射デバイスと、廃棄デバイスと、収納デバイスとを含むデジタルシステム概略図である。
【
図2】
図3のユーザデバイスと、収納デバイスとを含むシステムを示す。
【
図3】いくつかの実施形態によるユーザデバイスの概略図である。
【
図4】概観スクリーンショットを表示するユーザデバイスを示す。
【
図5】
図3のユーザデバイス上に表示可能な身体部分のスクリーンショットを示す。
【
図6】いくつかの実施形態による、
図3のユーザデバイス上で実行されるアプリケーションの例示的な動作を示すフローチャートである。
【
図8A】蓋が開位置にある、正面からの収納デバイスを示す。
【
図9】ユーザによる自動注射器の例示的な使用を示すフローチャートである。
【
図10】
図3のユーザデバイス上に表示可能な第2の身体部分のスクリーンショットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
全体デジタルシステムの説明
図1を参照すると、デバイスおよびデジタルシステム600が概略的に示されている。システム600は、様々なデバイスおよびデジタルサブシステムを含むことができる。様々なデバイスは、1つ以上の注射デバイス10と、1つ以上の注射デバイス10を収納するように構成された収納デバイス100と、1つまたはそれ以上の使用された注射デバイス10を受けるように構成された鋭利物集積容器3とを含むことができる。システム600は、注射デバイス10、収納デバイス100および鋭利物集積容器3のうちの1つまたはそれ以上とインタラクトするように構成されたユーザデバイス400も含むことができる。たとえば、ユーザデバイス400は、1つ以上の注射デバイス10、収納デバイス100および鋭利物集積容器3と無線で通信することができる。ユーザデバイス400と注射デバイス10との間の通信は、患者がユーザデバイス400を使用して注射デバイス10のラベル(図示せず)をスキャンすることを含むことができる。
【0017】
ユーザデバイス400は、1つまたはそれ以上のデジタルサブシステムと更に通信して、1つ以上の注射デバイス10、収納デバイス100および鋭利物集積容器3に関係する情報を受信または送信することができる。これは、たとえば、患者が注射デバイス10を受け取り、注射デバイス10内に含まれる薬物の投与に成功してから、注射デバイス10の廃棄に至るまでの1つまたはそれ以上のステップを追跡することを含むことができる。
【0018】
患者は、注射デバイス10を受け取ると、デバイスを収納デバイス100内に配置することができる。以下に説明するように、収納デバイス100は、1つまたはそれ以上の未使用注射デバイス10を受け、収納するように構成することができる。慢性疾患の治療のための多くの薬剤は、室温未満での収納を必要とする。結果として、収納デバイス100は、多くの場合、患者の冷蔵室に据えられる。
【0019】
慢性症状の効果的な治療のために、医師またはHCPは、注射デバイス10が患者によって使用されるときに、注射デバイス10の使用の進行を監視する必要がある場合がある。これは、注射デバイス10がいつ冷蔵庫から持ち出され、室温(または注射デバイス10の動作温度とみなされる可能性がある任意の他の温度)になることを許可され、患者により操作され、注射の成功が確認され、安全に廃棄されたかを判定することを含むことができる。
【0020】
患者は、自己注射する必要があるため、収納デバイス100から特定の注射デバイス10を取得することができる。収納デバイス100および/または注射デバイス10は、ユーザデバイス400と通信して、患者が収納デバイス100から注射デバイス10を持ち出したときの1つまたはそれ以上のタイムスタンプまたは他のインジケーションを提供することができる。
【0021】
単一の患者の場合、複数のソースから受信した複数のデータが、医師またはHCPに、より正確で一貫した情報を提供することができる。同様に、ユーザデバイス400、収納デバイス100および/または鋭利物集積容器3からの複数のデータ入力は、特定の注射デバイス10が適切に使用され、廃棄されたことを確認することができる。
【0022】
システム600のこれらのおよび他の利点が以下に説明される。いくつかの実施形態では、注射デバイス10は、アトピー性皮膚炎の長期的治療のための薬剤を含むことができる。
図1のシステム図は、情報のフローと、システム600の異なる要素間のインタラクションとを示す。
【0023】
トレーニングキット
インタラクションのコンテキストが
図1の左側に示される。たとえば、医師または医療専門家(HCP)は、注射トレーニングキット1を患者に提供することができる。トレーニングキットは、トレーニング注射デバイスと、注射デバイスをどのように操作するかに関する命令とを含むことができる。医師/HCPは、更なる情報およびトレーニングのためにHCPを対象としたウェブサイトにアクセスし、患者固有の情報を入力することもできる。
【0024】
HCPを対象としたウェブサイトにおいてHCPによって入力された任意の患者固有の情報を患者ウェブサイトに通信することができ、患者はこの情報に自身の個人プロフィールを介してアクセスすることができる。患者ウェブサイトは、トレーニングビデオを含む、注射デバイス10および収納デバイス100を安全に使用する際にユーザを支援するためのリソースを含むことができる。
【0025】
患者は、患者サポートプログラム(PSP)の形態で継続的サポートを受けることができる。処方された注射計画の遵守の欠如は、特に、注射間の間隔が長い(たとえば、1週、2週、4週、6週または8週以上等)場合に、有効な治療を患者に提供するための主要な課題である。患者サポートプログラムの1つの例において、患者は、第1の注射デバイス10または注射デバイスのセットを受け取る前にまたはそれと同時に、導入のための電話を受ける。導入のための電話の目的は、プログラムを説明し、予測を論じ、患者および/または介護者がプログラムの構成要素を選択し、質問表および患者の参加度測定(非遵守のリスクの推定)を完成させ、患者および/または介護者の任意の当面の関心事または懸念に対処し、初回のフォローアップ電話の日付および時間を確認し、患者および/または介護者と共に、患者および/または介護者が受けることになるサポートのレベルを確認することである。
【0026】
次に、患者は、看護師の訪問および注射トレーニングを受けることができる。これは、看護師による単一の訪問、または最大3回の訪問を含むことができる。患者サポートプログラムのいくつかの例において、看護師訪問は、導入の電話の前に行われる場合がある。患者の参加度測定(PAM)は、処方された投薬計画の非遵守の異なるリスクレベルの、4つの異なるレベルインジケーションのうちの1つを有することができる。全てのレベルは、患者との年4回の見直しのための電話を含むことができる。最低非遵守リスク(PAMレベル4)を有する患者の場合、電話は、所定の時間にわたって、たとえば最初の4週間、毎回の注射の後に行い、その後は打ち切ることができる。低非遵守リスク(PAMレベル3)を有する患者の場合、所定の時間にわたって毎回の注射の後に電話を行った後、患者は、8週ごとにサポート電話を受けることができる。高非遵守リスク(PAMレベル2)を有する患者の場合、毎回の注射の後のサポート電話をより長期、たとえば8週にわたって継続することができ、その後毎月提供することができる。PAMレベル2は、毎年2回の動機付けのための面接も含むことができる。超高非遵守リスク(PAMベル1)を有する患者の場合、サポート電話は、毎回の注射の後、たとえば、各注射の5日後に提供することができる。毎年、たとえば毎年3回または4回、複数の動機付けのための電話を提供することができる。
【0027】
患者サポートプログラム、トレーニングキット、および本明細書に記載のシステムの他の構成の利点のうちの1つは、これらが、処方された薬剤計画の患者の遵守を増大させることである。3633人の患者の1つの試験において、90%が在宅医療サポートプログラムに登録され、70%が注射デバイスの宅配を含む在宅医療サポートプログラムに登録された。この患者グループの全体遵守率は91%であり、サポートプログラムなしの場合と比較して、著しい遵守の増大を示した。
【0028】
スタータキット
患者に、注射デバイス10と、スタータキット2とを提供することができる。印刷物と共に、スタータキット2は、注射デバイス10および収納デバイス100の動作に関するキー情報を含むマイクロサイトと、収納デバイス100に付随するアプリケーションをダウンロードするためのリンクとを含むことができる。スタータキットは、収納デバイス100のみを含む場合があるが、注射デバイス10は別個に提供される。代替的に、スタータキット2は、収納デバイス100に加えて注射デバイス10の供給を含む場合がある。
【0029】
患者は、自身のユーザデバイス400(スマートフォン、タブレットまたは類似のデバイスとすることができる)を使用して、たとえばQRコードをスキャンすることによってマイクロサイトにアクセスすることができる。マイクロサイトは、ユーザにどのように注射デバイス10を使用して自己注射するかを教示するビデオと、ユーザが動作中の注射デバイス10のバーチャルバージョンを示されることを可能にすることができるバーチャルリアリティプログラムと、デジタルFAQおよび回答と、患者ウェブサイトへのリンクと、アプリケーションをダウンロードするためのリンクとを含むことができる。マイクロサイトは、患者に電子メールアドレス等の或る特定の個人情報を入力するように要求することができる。次に、1つまたはそれ以上のユーザデバイス400にアプリケーションをダウンロードするためのリンクを有する電子メールを患者の電子メールアドレスに送信することができる。
【0030】
スタータキットと共に、畳んで電話ホルダに入れることができる一枚のカードを提供することができる。ユーザはマイクロサイトからバーチャルリアリティプログラムを選択し、自身の電話を、提供された電話ホルダに置くことができる。バーチャルリアリティプログラムは、看護師および/または相談役とのバーチャル相談、或る特定の皮膚症状の原因および生物学の役割を実証するための皮膚のアニメーション、シリンジの3Dモデルを含む3D注射技術アニメーション、維持を支援するための一連のインフォグラフィックスおよびバーチャルオブジェクト、FAQおよび更なるリソースを含むことができる。
【0031】
示されるように、患者は、患者ウェブサイトを介して、コールセンタ、テキストリマインダを介して、および/または在宅医療を通じてサポートを得ることができる。
【0032】
ユーザデバイス
いくつかの実施形態では、ユーザデバイス400はスマートフォンまたはタブレットである。しかしながら、ユーザデバイス400は、ラップトップ、Nest Hub等のスマートディスプレイ、スマートスピーカ(たとえば、AmazonEchoまたは類似の音声起動デバイス)、スマートTV、スマートウォッチ、もしくはヘッドセットもしくは眼鏡等の他のウェアラブルデバイス、または接続された冷蔵庫として具現化することができる。ユーザデバイス400は、デジタルストアからアプリケーションをダウンロードすることができるか、またはアプリケーションを使用して予めプログラムすることができる。上述した様々なデバイスと共に使用するためにアプリケーションの様々なバージョンが存在する場合がある。ユーザは、アプリケーションを複数のユーザデバイスにダウンロードすることができ、単一のデジタルプロフィールは、1つのデバイスにおいて入力または更新された情報が他のデバイスと同期されることを確実にすることができる。
【0033】
以下でより詳細に説明されるように、アプリケーションをダウンロードした後、ユーザは、収納デバイス100上で或る特定の情報を設定または上書きすることができる。収納デバイス100に収納された注射デバイス10の数、次の注射が予定されるまでの残り日数、温度(たとえば、局所的温度であり、文脈に応じて、収納デバイス100、注射デバイス10、薬剤、またはそれらの任意の組合せの温度を意味する場合がある)、湿度およびバッテリレベル等の動作情報を、収納デバイス100によってユーザデバイス400に通信することができる。ユーザが更なる注射デバイス10を注文する必要があるとき、これは、アプリケーションを使用して達成することができ、注射デバイス10の新たな供給品が患者の自宅に配達される。このとき、アプリケーションは、注射デバイス10がいつ発送されたか、およびいつ配達される予定であるかの通知を提供することができる。そのような通知は、注射デバイス10に含まれる薬剤が、或る特定の温度未満に保持されなくてはならない、たとえば冷蔵されなくてはならない場合に特に有益である。
【0034】
ユーザデバイス400は、1つ以上の収納デバイス100および/またはデジタル鋭利物集積容器3に接続することもできる。ユーザデバイス400は、無線通信プロトコルを使用して無線で通信するように構成される。たとえば、第1の外部デバイスは、Wi-Fi、Bluetooth、ZigBee、IrDA等を使用して無線で通信することができる。ユーザデバイス400は、システム1000の他の接続された部分の各々と様々な方式で通信することができる。たとえば、ユーザデバイス400は、Bluetoothを使用して収納デバイス100と直接(ピアツーピア)通信することができる。代替的に、または加えて、ユーザデバイス400は、WiFiを使用して、無線アクセスポイントを介して収納デバイス100と通信することができる。ユーザデバイス400は、NFCを使用して注射デバイス10と通信することができる。たとえば、ユーザデバイス400はリーダとして作用し、注射デバイス10はターゲットとして作用することができる。代替的に、注射デバイス10は、ユーザデバイス400によって、赤外線を使用して光学的に、または磁気的に読み取ることができる。
【0035】
ユーザデバイス400は、たとえばBluetoothを使用して、デジタル鋭利物集積容器3と直接通信することができる。代替的に、または加えて、ユーザデバイス400は、WiFiを使用して、無線アクセスポイントを介してデジタル鋭利物集積容器3と通信することができる。
【0036】
注射デバイス
本明細書に記載の注射デバイス10は、患者に薬剤を注射するように構成することができる。たとえば、送達は、皮下、筋肉内、または静脈内でありうる。そのようなデバイスは、患者、または看護師もしくは医師等の介護者が操作することができ、様々なタイプのプレフィルドシリンジ、安全システム、ペン型注射器、または自動注射器を含むことができる。デバイスは、使用前に封止されたアンプルを穿孔することを必要とするカートリッジベースのシステムを含むことができる。これらの様々なデバイスにより送達される薬剤の量は、約0.5ml~約2mlの範囲をとることができる。更に別のデバイスは、「大」容量の薬剤(典型的には、約2ml~約5ml以上)を送達するために或る期間(たとえば、約5、15、30、60または120分)患者の皮膚に粘着するように構成された、大容量デバイス(「LVD」)またはパッチポンプを含むことができる。
【0037】
特定の薬剤と組み合わせることで、先述のデバイスは、必要な仕様内で動作するためにカスタマイズすることもできる。たとえば、デバイスは、或る特定の期間内(たとえば、自動注射器では約3~約20秒、LVDでは約10分~約60分)に薬剤を注射するようにカスタマイズすることができる。他の仕様は、低レベルもしくは最小レベルの不快感、または人的要因に関連するいくつかの条件に対し、保存寿命、使用期限、生体適合性、環境的考慮事項等を含むことができる。このような違いは、たとえば、粘性が約3cP~約50cPの薬物等、様々な要因により生じる可能性がある。その結果、注射デバイスは、サイズが約25~約31ゲージの中空針を含むことが多い。一般的なサイズは27および29ゲージである。
【0038】
本明細書において説明した注射デバイス10も、1つまたはそれ以上の自動化機能を含むことができる。たとえば、針挿入、薬剤注射、および針引き込みのうちの1つまたはそれ以上を自動化することができる。1つまたはそれ以上の自動化ステップのためのエネルギーは、1つまたはそれ以上のエネルギー源によって供給することができる。エネルギー源は、たとえば、機械エネルギー、空気エネルギー、化学エネルギーまたは電気エネルギーを含むことができる。たとえば、機械エネルギー源は、エネルギーを保存または解放するためのばね、てこ、エラストマー、または他の機械機構を含むことができる。1つまたはそれ以上のエネルギー源を単一のデバイスの中に組み合わせることができる。デバイスは更に、エネルギーをデバイスの1つまたはそれ以上の構成要素の動きに変換するための歯車、弁、または他の機構を含むことができる。
【0039】
自動注射器の1つまたはそれ以上の自動化機能はそれぞれ、起動機構を介して起動することができる。このような起動機構は、1つまたはそれ以上のボタン、レバー、ニードルスリーブ、または他の起動構成要素を含むことができる。自動化機能の起動は、ワンステップまたはマルチステップのプロセスとすることができる。すなわち、ユーザが、自動化機能を行わせるために1つまたはそれ以上の起動構成要素を起動する必要がある場合がある。たとえば、ユーザが、薬剤の注射をするためにニードルスリーブをユーザの体に当てて押し下げることができる。他のデバイスでは、ユーザが、注射をするためにボタンを押し下げ、ニードルシールドを引き込む必要がある場合がある。
【0040】
加えて、そのような起動が1つまたはそれ以上の機能を起動する場合がある。たとえば、起動シーケンスが、針挿入、薬剤注射および針引き込みのうちの少なくとも2つを起動する場合がある。いくつかのデバイスはまた、1つまたはそれ以上の自動化機能を行わせるための特定の順序のステップを必要とする場合がある。他のデバイスは、順序に依存しないステップによって動作する場合がある。
【0041】
いくつかの注射デバイス10は、安全システム、ペン注射器、または自動注射器の1つまたはそれ以上の機能を含むことができる。たとえば、注射デバイス10は、薬剤を自動的に注射するように構成された機械エネルギー源(自動注射器で通常見られる)と、用量設定機構(ペン注射器で通常見られる)とを含みうる。
【0042】
いくつかの実施形態によれば、注射デバイス10は、通常、注射されることになる薬剤を含む貯蔵器(たとえば、シリンジ)と、送達プロセスの1つまたはそれ以上のステップを容易にするために必要な構成要素とを含むハウジングを含む。注射デバイス10は、ハウジングに取り外し可能に取り付けることができるキャップ組立体も含むことができる。通常、ユーザは、デバイス10を動作させる前に、ハウジングからキャップを取り外さなくてはならない。
【0043】
注射デバイス10のハウジングは、遠位領域および近位領域を有する。「遠位」という用語は、針または注射部位に比較的近い位置を表し、「近位」という用語は、針または注射部位から比較的遠い位置を表す。
【0044】
デバイス10は、スリーブがハウジングに対して動くことができるようにハウジングに連結されたニードルスリーブも含むことができる。たとえば、スリーブは、長手方向軸に平行な長手方向に動くことができる。特に、近位方向におけるスリーブの動きにより、針がハウジングの遠位領域から延びることを可能にすることができる。
【0045】
注射デバイス10は、別のデバイスによって読み取ることができるラベルを含むことができ、符号化された情報を含むことができる。ラベルは、注射デバイス10上に外部的にまたは内部的に設けることができる。たとえば、注射デバイス10のラベルは、ユーザデバイス400によってNFCを使用して読み取ることができる。ラベルは、ユーザデバイス400によって光学的に読み取られる、バーコード、QRコードまたは他の光学的に符号化された情報を含むことができる。代替的に、または加えて、注射デバイス10は、磁気的に符号化された情報を有することができる。注射デバイス10は注射が行われる前、注射が行われた後、または各注射デバイス10が収納デバイス100内に配置される前にユーザデバイス400によってスキャンするかまたは他の形で読み取ることができる。注射デバイス10を情報でタグ付けするこれらのおよび様々な他の方法が検討される。様々なタイプの情報をラベルに含めることができる。これらは、薬剤または注射デバイスのタイプ、製造元、使用期限、用量、原産国等を含むことができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、注射デバイス10は無線通信モジュールを含むことができる。これにより、注射デバイス10が、ユーザデバイス400と接続し、直接通信することを可能にすることができる。注射デバイスは、収納デバイス100および/またはデジタル鋭利物集積容器3とも直接通信することができる。
【0047】
デジタル鋭利物集積容器
デジタルシステム600は、使用済み注射デバイス10が内部に置かれたときを判定することができるデジタル鋭利物集積容器3も含むことができる。デジタル鋭利物集積容器3は、開口部の周りまたは開口部付近に位置する1つまたはそれ以上のセンサを含むことができ、開口部を通って使用済み注射デバイス10が置かれる。センサは、ビン内に置かれるとき、各注射デバイスのタグ上に設けられた情報を読み取るように構成することができる。デジタル鋭利物集積容器3は、注射デバイス10の廃棄の時点および注射デバイスの内容物を示すタイムスタンプを作成することができる。デジタル鋭利物集積容器3は、この情報をユーザデバイス400に迅速にまたは定期的に送信することができる。デジタル鋭利物集積容器3は、ユーザのための注射計画を記憶することができる。この計画は、ユーザデバイス400上のアプリケーションを使用して更新することができる。デジタル鋭利物集積容器3は、計画に従って注射がスケジューリングされていない日または時間に注射デバイス10がビン内に置かれたと判定する場合、ユーザデバイス400に警報を送信することができる。ユーザデバイス400上のアプリケーションは、ユーザの注射履歴の一次レコードまたはダブルチェックとして作用するたに、デジタル鋭利物集積容器3との接続性も提供することができる。デジタル鋭利物集積容器3は、次の注射が予定されているときにユーザデバイス400上のアプリケーションを介してリマインダを送信し、注射スケジュールのユーザの遵守に関するデータをローカルで記憶するように構成することもできる。
【0048】
デジタル鋭利物集積容器は、LCDおよび/または1つまたはそれ以上のLED等のディスプレイも含むことができる。LCDは、タッチ感応型ディスプレイとすることができる。デジタル鋭利物集積容器3は、タッチ感応型ディスプレイに加えて、スピーカおよび1つまたはそれ以上のユーザ入力も含むことができる。ディスプレイは、注射デバイスがデジタル鋭利物集積容器3内に置かれるときはいつでも起動することができる。ディスプレイは、患者の最近の注射履歴および/または未来の注射計画を示すことができる。デジタル鋭利物集積容器3は、収納デバイス100内に残っている注射デバイス10の数に関する情報を、収納デバイス100から直接、またはユーザデバイス400上のアプリケーションを介して受信することができる。この情報、および適切な場合、より多くの注射デバイスを注文することのリマインダも表示することができる。注射デバイスが予期されずに置かれることに関する任意の警報もディスプレイ上に表示し、および/またはスピーカを使用して可聴式に通信することもできる。
【0049】
収納デバイス
収納デバイス100は、注射デバイス10が挿入されるかまたは持ち出されるとき、注射デバイス10上に設けられたラベルを介して検出するように構成することができる。収納デバイス100は、この情報を、ユーザデバイス400上のアプリケーションと同期させるように構成することができる。
【0050】
図7を参照すると、例示的な実施形態による収納デバイス100が示されている。収納デバイス100は、蓋120を有するケース110を含む。ケース110は、下面131、上面141および2つの側壁142を含むことができる。下面131は、デバイスの後部において上面141に合わさるように湾曲している。ケース110の前端において、下面131、上面141および2つの側壁142間に開口部が形成される。
【0051】
蓋120は、閉位置において蓋120を保持するためのラッチング機構を含むことができる。蓋120は、蓋120が開位置に動くことを防ぐように構成されたロッキング機構を更に含むことができる。ロッキング機構は、電子的に制御することができる。ケース110は、複数の注射デバイス10を保持および収納するように構成される。ケースの後部と蓋120との間で測定されるケース110の長さは、注射デバイス10の各々の長さを収容するのに十分である。他の蓋構成も検討される。蓋120の一部分は、蓋120を通じた観察窓121を形成するように、透明で透過性とすることができる。
【0052】
ケース110は、開口部内に配置されたパネル150を更に含む。パネル150は複数の開口部151を含む。開口部151は、対応する複数の注射デバイス10を保持するように構成される。パネル150内の開口部151は円形の形状である。開口部151は、注射デバイス10の他のサイズを収容するように、正方形形状または矩形形状にすることができる。各開口部の幅は、各注射デバイス10の幅を収容するのに十分である。パネル150は、ケース110の幅に沿って列に配置された6つの注射デバイス10を保持するように、6つの開口部の列を含む。
【0053】
収納デバイス100は、6つより多くのまたは6つ未満の注射デバイス10をケース110内に保持するように構成される場合がある。維持機構は、開口部151内の適所に複数の注射デバイス10を保管することができる。維持機構は、各注射デバイス10、たとえば、ばね付きプッシュキャッチプッシュリリース機構と係合するように構成された機械的キャッチを含むことができる。
【0054】
ユーザは、収納デバイス100を空の状態で受け取ることができる。ユーザが複数の注射デバイス10を供給されると、これらを収納デバイス100に装填することができる。蓋120は開位置に動かされ、注射デバイス10の各々は、開口部151のうちの対応する1つに挿入される。蓋120は、閉位置内に動かされる。収納デバイス100は、第1のスケジューリングされた投与時間が予定されるまで、冷蔵庫内に配置される。収納デバイス100は、注射デバイス10の初期挿入前後に冷蔵庫内に配置することができる。
【0055】
たとえば、1つのタイプの注射デバイス10の投薬時間は、注射デバイス10に提供された薬剤の処方および/または製品の患者リーフレットに従って、14日ごとまたは28日ごとにスケジューリングすることができる。いくつかの注射デバイス10の場合、スケジューリングされた投薬時間間の期間は、薬剤の要件に従って、2日~60日とすることができる。収納デバイス100は、複数のタイプの注射デバイス10を、同時にまたは異なる時点で含み、収納するように構成することができる。収納デバイス100は、1つまたはそれ以上の異なる投薬間隔を有する1つまたはそれ以上の異なる薬剤を提供する複数の注射デバイス10を含むことができる。
【0056】
収納デバイスは、無線通信モジュール(図示せず)に動作可能に結合したプロセッサ配置(図示せず)を含むことができる。無線通信モジュールは、冷蔵庫のドアが開かれたと判定したとき、接続要求信号をブロードキャストするように構成することができる。応答信号がユーザデバイス400から受信される場合、無線通信モジュールは、ユーザデバイス400と通信を確立するように構成される。プロセッサ配置は、ユーザデバイス400との通信を制御する。
【0057】
プロセッサ配置は、収納デバイス100および複数の注射デバイス10に関する情報をユーザデバイス400に送信するように無線通信モジュールを制御することができる。無線通信モジュールは、注射デバイス10のステータスを送信することができ、たとえば、無線通信モジュールは、次のスケジューリングされた投薬時間が予定されるまでの残り時間を送信することができる。無線通信モジュールは、センサアレイ240から受信したデバイス情報を送信することができ、たとえば、無線通信モジュールは、収納デバイス100に収納された注射デバイス10の数およびタイプを送信することができる。注射デバイス10のうちの1つが期限切れの場合、無線通信モジュールは、ユーザデバイス400に警報を送信することができる。
【0058】
無線通信モジュールは、収納デバイス100のステータス情報をユーザデバイス400に送信することができる。たとえば、無線通信モジュールは、温度センサまたは湿度センサによって提供される環境情報を送信することができる。
【0059】
ユーザデバイス400は、冷蔵庫のドアが開いていない場合であっても、収納デバイス100との通信を開始することもできる。これにより、ユーザデバイス400上で実行されているアプリケーションが、収納デバイス100上の情報を任意の時点で上書きおよび更新することが可能になる。アプリケーションは、或る特定の情報が任意の時点で収納デバイス100によって送信または再送信されることを要求することもできる。
【0060】
収納デバイス100は、1つまたはそれ以上のユーザデバイス400および無線端末300との通信を確立するように構成される。いくつかの実施形態では、収納デバイス100は、冷蔵庫のドアが開いているか否かを判定し、冷蔵庫のドアが開いていることを条件として通信を確立するように構成される。収納デバイス100は、複数の注射デバイス10に関する情報を無線端末300に送信するように更に構成される。収納デバイス100は、無線端末300に、複数の注射デバイスに関する情報を要求するように構成することができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、収納デバイス100は、スケジューリングされた投薬時間が予定されているとき、視覚および/またはオーディオリマインダをユーザに提供するように更に構成される。収納デバイス100は、冷蔵庫のドアが開いていることを条件としてリマインダを提供するように更に構成することができる。収納デバイス100は、蓋120が開位置にあるかまたは閉位置にあるかを判定し、蓋120が開位置に動かされたことを検出すると、オーディオリマインダを非活性化するように更に構成することができる。
【0062】
図8Aは、蓋120が開位置にある、正面からの収納デバイス100を示す。パネル150および開口部151は可視である。示される収納デバイス100は複数の注射デバイス10を含み、その各々を、異なるデバイスタイプのものとすることができる。異なるタイプの注射デバイス10は、異なる薬剤を提供することができる。代替的に、異なるタイプの注射デバイス10は、同じ薬剤の異なる用量もしくは濃度、または異なる薬剤送達方法を有することができる。異なるタイプの注射デバイス10は、異なる投薬間隔を有することができる。
【0063】
収納デバイス100は、電子システム200を含む。電子システム200は、以下に説明する機能の特定のセットを提供するように共に接続された複数の構成要素を含む。電子システム200の構成要素は、プリント回路基板(PCB)に装着されるが、代わりに、何らかの他の媒体を通じて相互接続されてもよい。
【0064】
電子システム200の電子構成要素のうちのいくつかは、ユーザインタフェースハードウェア構成要素であり、共に、収納デバイス100のためのユーザインタフェース210を提供する。
【0065】
電子システム200はディスプレイ211を含む。ディスプレイ211は、光トランスデューサの一例である。ディスプレイ211は、2つの7セグメント発光ダイオード(LED)アレイを含む。ディスプレイ211は、蓋20が閉位置にあるとき、蓋120における透過性の観察窓121を通じてユーザに可視である。電子システム200は、発光ダイオード(LED)アレイ220を含む。LEDアレイ220は、光トランスデューサの一例である。電子システム200はリセットボタン164を含む。リセットボタン164は、入力デバイスの一例である。リセットボタン164は、ユーザによって押下することができるばね付きプランジャボタンである。電子システム200はスピーカを含む。スピーカは、オーディオトランスデューサの一例である。
【0066】
LEDアレイ220は、18個の発光ダイオード(LED)のアレイを含む。LEDアレイ220のLEDは、開口部151に近接してパネル150上に配置される。LEDアレイ220は、6つの開口部151の各々について、3つのLED221、222、223を含む。3つのLED221、222、223の各々は、異なる色で照明することができる。たとえば、LEDアレイ220は、開口部151ごとに、青色LED221、白色LED222および赤色LED223を含むことができる。
【0067】
図8Bは、正面からの収納デバイス100の内面図を示す。PCB201の後面が示されている。
【0068】
電子システム200はセンサアレイ240を含む。センサアレイ240は、PCB201の後面に装着される。センサアレイ240は複数のデバイスセンサ241を含む。デバイスセンサ241の数は、収納デバイス100によって収納することができる注射デバイス10の数に対応する。各デバイスセンサ241は、複数の開口部151のうちの1つに近接して装着される。
【0069】
デバイスセンサ241は、注射デバイス10が開口部内に位置するとき、または開口部151への挿入中に、信号を出力するように構成される。デバイスセンサ241は、無線周波数アンテナを含む無線周波数識別(RFID)リーダである。各デバイスセンサ241は、開口部151の各々に対応するループの形態をとる。デバイスセンサ241は、注射デバイス10上に配置されたデバイスタグを検出するように配置される。デバイスタグは、無線周波数アンテナを含むパッシブRFIDタグである。デバイスセンサ241は、デバイスタグを活性化する電磁場を生成し、デバイスタグによって送信される応答信号を検出する。デバイスセンサ241は、デバイスタグ上に記憶されたデバイス情報を読み取るように構成することができる。プロセッサ配置230は、注射デバイス10から受信したデバイス情報を記憶することができる。
【0070】
センサアレイ240は、デバイスセンサ241と別個であるが、センサアレイ240自体の一部を形成する電子構成要素を含むことができる。デバイスセンサ241は、デバイスタグによって送信される信号を提供することができ、電子構成要素は、信号の分析およびプロセッサ配置230への通信を実行する。代替的に、各デバイスセンサ241は、検出された信号の分析を行うための電子構成要素を含む場合がある。更に代替的に、到来する信号の分析は、プロセッサ配置230によって行われる場合がある。
【0071】
システムの説明
図2を参照すると、様々な実施形態によるシステム1000が示されている。システム1は収納デバイス100を含む。収納デバイス100は、例示的な動作モードに従って、冷蔵室内に配置されるように示されている。収納デバイス100は、ユーザによって冷蔵室内に配置することができ、複数の注射デバイス10は、収納デバイス100内に配置することができる。
【0072】
システムは、上記のようなユーザデバイス400と、上記のような1つ以上の注射デバイス10と、デジタル鋭利物集積容器3と、無線端末300とを含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、ユーザデバイス400はモバイルフォンとすることができる。ユーザデバイス400は、無線通信デバイスの一例である。ユーザデバイスは、代替的に、通信デバイス、コンピューティングデバイスまたはモバイルデバイスと称される場合があり、必ずしも単一のユーザに関連付けられない。ユーザデバイス400は、無線通信プロトコルを使用して無線で通信するように構成される。たとえば、第1の外部デバイスは、Wi-Fi、Bluetooth、ZigBee、IrDA等を使用して無線で通信することができる。
【0074】
ユーザデバイス400は、たとえば患者によって操作することができる。例示的な動作モードによれば、ユーザデバイス400は、収納デバイス100と近接することができる。たとえば、ユーザデバイス400は、患者によって携行または保持することができる。
【0075】
無線端末300は、無線ルータ等の無線アクセスポイントとすることができる。無線端末300は、Wi-Fi信号をブロードキャストするように構成される。代替的に、無線端末300は、Li-Fiまたは任意の代替的な無線プロトコルを使用して信号をブロードキャストするように構成することができる。無線端末300は、範囲内の互換性のあるデバイスに無線LANへのアクセスを提供する。無線端末300は、無線LANを通じてインターネットへのアクセスを提供するように更に構成することができる。無線端末300は、イーサネット接続、PLC接続を通じて、またはWi-Fi、Li-Fi、またはGSM、CDMA、EDGE、GPRS、HSPA、WiMAX、LTE等のようなモバイル通信プロトコルを使用して無線で、インターネットに接続される。
【0076】
示されるように、ユーザデバイス400は、Bluetooth、Zigbee、または別の適切なピアツーピアプロトコルを使用して、収納デバイス100、注射デバイス10およびデジタル鋭利物集積容器3と直接通信することができる。代替的に、ユーザデバイス400は収納デバイス100のみと通信する場合がある。注射デバイス10は、収納デバイス100と情報を交換することができ、次にこの情報は、プッシュされるか、またはユーザデバイス400上のアプリケーションと他の形で同期される。いくつかの他の実施形態において、ユーザデバイス400は、無線端末300のみを介して収納デバイス100と通信する。デジタル鋭利物集積容器3は、無線端末300のみを介して通信することができ、それによって、注射デバイス10を読み取ることにより受信する情報を交換することができる。
【0077】
いくつかの他の実施形態において、注射デバイス10は、収納デバイス100と類似のレベルの機能を有することができる。たとえば、各注射デバイス10は、注射のために使用される前の残り日数を示すカウントダウンでプログラムすることができる。各注射デバイス10は、その温度を監視し、ユーザデバイス400に報告することもできる。注射デバイス10は、いつ使用されたかを報告するように構成することもできる。
【0078】
上述したように、ユーザデバイス400は、収納デバイス100、デジタル鋭利物集積容器3および注射デバイス10から情報を読み出し、これらと情報を交換することを可能にするアプリケーションを実行することができる。たとえば、ユーザデバイス400は、収納デバイスとの間で、収納デバイスに収納された(または収納されることになる)特定の注射デバイスに関連付けられたデータを表す信号の第1のセットを送信および受信することができ、デジタル鋭利物集積容器との間で、鋭利物集積容器において廃棄される特定の注射デバイスに関連付けられたデータを表す信号の第2のセットを送信および受信することができる。上記で説明した収納デバイス100の較正の多くは、ユーザデバイスがシステム600のための一次制御および警報手段として機能するようにユーザデバイス400上のアプリケーションによって実施することができる。
【0079】
たとえば、収納デバイス100は、注射デバイスが開口部の各々に存在するか否かを判定するセンサを有する場合があるが、注射デバイス10に関する更なる情報を一切有しない場合がある。代わりに、ユーザデバイス400を使用して、各注射デバイス10が収納デバイス内に配置される前に、各注射デバイス10をスキャンする。これは、注射デバイス10の本体上に設けられたラベルをスキャンまたは写真撮影することによって行うことができる。いくつかの他の実施形態において、情報はRFIDタグ等に記憶され、これがユーザデバイス400によって問い合わせされる。ユーザデバイス400は、少なくとも、注射デバイス10内の薬剤のタイプおよび量、ならびに任意の使用期限を決定する。ラベルまたはRFIDタグに含まれる情報は、注射デバイス10のデバイスID、デバイスタイプ、投薬期間およびウォームアップ期間も含むことができる。
【0080】
このように注射デバイス10から情報を得ると、次に、ユーザデバイス400は、次の注射が予定されるまでの時間を監視する。次の注射が予定されるまでの特定のカスタマイズ可能な時間において、ユーザデバイス400は、視覚および/または可聴警報を使用してユーザにリマインドすることができる。注射デバイス10が使用期限に達した場合、これもユーザデバイス400を介してユーザに通信することができる。
【0081】
ユーザデバイス400を使用して、各注射デバイス10を、使用のために収納デバイス100から持ち出されるときにスキャンすることもできる。これにより、ユーザデバイス400がユーザに、注射デバイス10が使用前に最小時間にわたってウォームアップのために室温で放置されなくてはならない場合にリマインドし、その時間が経過したとき、ユーザに警報することが可能になる。最小時間は、たとえば、局所的温度(たとえば、収納デバイス100温度または注射デバイス10温度)と、注射デバイス10または薬剤の動作温度(たとえば、室温)に基づくことができる。注射デバイス10が収納デバイス100から持ち出されるときに注射デバイス10をスキャンすることは、注射デバイス10が使用されたという判定として機能することもでき、ユーザデバイス400がユーザの投薬履歴を追跡し、投薬計画遵守を監視することを可能にする。ユーザデバイス400は、ユーザにスキャンされた注射デバイス10が使用されたことを確認するように要求するインタフェースを表示することができる。
【0082】
収納デバイス100は、複数の注射デバイス10のための開口部を有する。ユーザデバイス400を使用して、各注射デバイスが収納される前および使用時に各注射デバイスをスキャンする場合、ユーザデバイスを使用して、収納される注射デバイスの数およびタイプ、したがってユーザの現在の注射デバイス供給量を追跡することもできる。ユーザデバイス400は、ユーザがより多くの注射デバイス10を必要とするとき、たとえば注射デバイスが1つしか残っていないとき、または最後の注射デバイスが使用される予定になる或る時間前にリマインダを表示することができる。
【0083】
いくつかの他の実施形態において、収納デバイス100は、少なくとも、各開口部において注射デバイス10のIDを決定することが可能である。これにより、ユーザデバイス400は、収納された注射デバイス10のいずれが任意の時点で使用されるべきかを収納デバイス100に通信することが可能になる。たとえば、収納デバイス100がいくつかの同一の注射デバイス10を収納している場合、注射の時点において、ユーザデバイス400は、最も近い使用期限を有する注射デバイス10が使用されるべきであることを示すことができる。適切に装備されている場合、収納デバイス100は、注射デバイス10を含む開口部を照明することによって、ユーザが使用するべき注射デバイス10を示すことができる。代替的に、または加えて、ユーザデバイス400は、いずれの開口部が使用されることになる注射デバイス10を含むかを、テキストもしくはオーディオキューを使用して、または収納デバイス100の表現を使用して視覚的に示すことができる。いくつかの状況において、ユーザは、たとえば治療プログラムの開始時に、投薬のために2つの注射デバイス10を使用しなくてはならない。他の場合、収納デバイス100を使用して、ユーザが接種する2つの異なるタイプの薬剤を収納することができる。これらの場合、収納された注射デバイス10を区別し、ユーザデバイス400および/または収納デバイス100によってユーザに個々に示すことができることが重要である。
【0084】
いくつかの実施形態では、ユーザデバイス400は、注射デバイス10が収納デバイス100内でどこに配置されるべきかを決定し、この情報をユーザに示すように構成される。ユーザデバイス400は、カメラ、RFIDリーダまたは他の適切なハードウェアを使用して第1の注射デバイス10をスキャンし、注射デバイス内に含まれる薬物用量、および注射デバイスのデバイス使用期限のうちの少なくとも1つを決定するように構成される。次に、ユーザデバイス400は、収納デバイス100の開口部のうちのいずれがこの注射デバイスを収納するために使用されるべきかを決定する。デフォルトで、ユーザデバイスは、最も左の空の開口部を選択することができるが、たとえば、ユーザが2つの異なる薬剤、または同じ薬剤の2つの異なる用量を処方されるいくつかの状況において、ユーザデバイスは、最も右の空の開口部が使用されるべきであると決定する場合がある。ユーザデバイス400は、使用期限の順序で左から右に収納された注射デバイスを有するように試行することもできる。次にこのプロセスは、ユーザが受け取った全ての注射デバイスを収納するまで繰り返すことができる。
【0085】
ユーザデバイスは、収納デバイス、特に収納デバイスの開口部の表現を表示することができる。注射デバイスをスキャンした後、ユーザデバイスは、この表現を表示し、その上に、注射デバイスをいずれの開口部に収納すべきかを示すことができる。これは、表現上のそれぞれの開口部を照明すること、適切な命令、それぞれの開口部を指し示す矢印と共にテキストを表示すること、またはこれらの組合せによって行うことができる。ユーザデバイスは、注射デバイスの配置に関する可聴トーンまたは可聴命令も発することができる。注射デバイスが正しい開口部(すなわち、特定の注射デバイスが位置すべき開口部)に配置されると、ユーザデバイスは確認メッセージを表示することができる。注射デバイスが誤った開口部に配置される場合、ユーザデバイスはこれを示すメッセージを表示することができ、注射デバイスを正しい開口部に動かすようにユーザを促すことができる。しかしながら、全ての開口部が同一である場合、およびユーザが正しい配置のためにこのプロンプトに従わない場合、ユーザデバイスは、それに応じて、各注射デバイスが収納される場所に関し保持する情報を更新することができる。
【0086】
次に、注射が予定される時点において、ユーザデバイス400は、ここでもまた、いずれの開口部が使用されるべき注射デバイス10を含むかを、これを収納デバイスの表現上におよび/または可聴命令を使用して示すことによってユーザに示すことができる。収納デバイスが、そのようなコマンドを受信し解釈するように構成されている場合、ユーザデバイスは、収納デバイスに、たとえば開口部を照明することによって、注射デバイスをいずれの開口部から持ち出すべきかを示させるように信号を送信することもできる。
【0087】
収納デバイス100は、注射デバイスがいつ開口部内に配置されるか、またはいつ開口部から持ち出されるかを検出する。収納デバイス100は、無線トランシーバを有し、複数の開口部のうちのいずれに注射デバイスが設置され、いずれから持ち出されたかを示す信号をユーザデバイス400に送信するように構成することもできる。収納デバイスのセンサが特定のタイプの注射デバイスを決定することができる場合、この情報は信号でも送信される。ユーザデバイスはこの信号を受信し、注射デバイスが正しい開口部に配置されたか、またはそこから持ち出されたかをチェックする。注射デバイスが正しい開口部から持ち出された場合、ユーザデバイスは確認メッセージを出力することができる。注射デバイスが誤った開口部から持ち出された場合、ユーザデバイスは警報を出力することができる。たとえば、全ての収納された注射デバイスが同じ用量の薬剤を含むいくつかの場合、いずれの注射デバイスが使用されるかは重要でない場合がある。そのような状況において、ユーザデバイスは、警報を出力することができるが、警報が無視される場合、更なるアクションは行われない。ユーザが注射デバイスを、その注射デバイスが持ち出された開口部に再配置し、次に注射デバイスを正しい開口部から取り去る場合、警報がキャンセルされる。ユーザが誤った注射デバイスを交換しない場合、ユーザデバイスは、たとえばディスプレイ上にまたは可聴式で警報の出力を継続することができる。ユーザが警報を無視し続ける場合、ユーザデバイスは、誤った薬剤または誤った用量が投与されたと判定することができ、ユーザの医療専門家またはユーザの患者サポートプログラムに警報メッセージを送信することができる。このようにして、誤投与のリスクを低減することができる。
【0088】
収納デバイスが、同じ用量の同じ薬剤を含むという点で同一のいくつかの注射デバイスを含む場合、ユーザデバイスは、最も早い使用期限を有する注射デバイスを選択し、この注射デバイスを含む開口部を、収納デバイスの表現上に、および/または収納デバイスにインジケーションを送信することによって示すように構成することができる。このようにして、薬剤が使用期限を過ぎ、無駄になる可能性が低減する。
【0089】
いくつかの状況において、たとえば、ユーザが第1の用量の処方された薬剤を投与しているとき、または異なる用量の薬剤が投与されなくてはならない場合、ユーザは、2つ以上の注射デバイスを使用することを要求される場合がある。この状況において、ユーザは手順に精通していない場合があるため、ユーザを案内することが重要である場合がある。ユーザデバイスは、異なる注射デバイスを含む収納デバイスの2つ以上の開口部を示すように構成することができる。ユーザデバイスは、収納デバイスの表現を使用しておよび/または収納デバイスにシグナリングすることによって、2つ以上の開口部間を区別することができる。次に、収納デバイスは、それに応じて、たとえば、使用されるべき第1の注射デバイスを含む開口部のみを照明することによって、または2つ以上の開口部を異なる色で照明することによっておよび/または使用されるべき第1の注射デバイスの開口部を点滅させることによって、開口部を照明することができる。説明テキストおよび/または可聴命令を使用して、ユーザデバイス上に表示される表現上で類似の照明を使用することができる。
【0090】
加えて、ユーザデバイス400は、ユーザに、適切な注射デバイス10が1つまたはそれ以上の開口部から選択されたことを確認するようにリマインドするかまたは促すことができる。たとえば、ユーザデバイス400は、ユーザに、使用期限、用量、薬剤タイプ等を確認するようにリマインドすることができる。たとえば、治療は、薬剤の高いプライミング用量に、定期的なより低い維持用量が後続することを必要とする場合がある。そのような治療は、プライミング用量用のデバイス、および維持用量用のより少ない注射デバイスの、2つ以上の注射デバイスを使用して達成することができる。特に、維持用量の2倍のプライミング用量のために2つの注射デバイスを使用することができ、これによって、維持用量は、単一の注射デバイスにより達成される。代替的に、単一の注射デバイスは、維持用量に必要な薬剤の2倍の用量を含むことができる。ここで、ユーザデバイス400は、プライミング用量のためにこの単一の注射デバイスを使用するようにユーザに命令し、次に、他のより低用量の注射デバイスを、定期的維持用量のために使用することができる。上記で説明したように、異なる用量の薬剤を含む注射デバイスを収納するか使用することは、ユーザが適切な注射デバイスを使用していることを確実にするための追加の確認ステップを必要とする場合がある。そのような情報は、特定の投薬スケジュールの患者のコンプライアンスを改善するために、記憶しおよび/または第三者に送信することもできる。
【0091】
いくつかの実施形態では、ユーザデバイス400は、ユーザに、注射デバイス10が使用された後に注射デバイス10をスキャンするように要求することができる。これにより、改善したユーザ遵守監視および投薬計画追跡が可能になる。ユーザデバイス400は、デジタル鋭利物集積容器3と通信することもできる。いくつかの実施形態において、デジタル鋭利物集積容器3は、注射デバイス10がいつ内部に置かれるかを検出するが、注射デバイスの更なる詳細は検出しないように構成することができる。デジタル鋭利物集積容器3は、検出をユーザデバイス400に通信することができる。次に、ユーザデバイス400は、任意の注射デバイスが収納デバイスから持ち出された後に近時にスキャンされたか否かをチェックし、デジタル鋭利物集積容器3における廃棄をスキャンされた注射デバイスとリンク付けることができる。代替的に、ユーザデバイス400は、ユーザに、デジタル鋭利物集積容器3において廃棄されたばかりの注射デバイスが、近時にスキャンされた注射デバイス10であることを確認するようにユーザに要求することができる。
【0092】
いくつかの他の実施形態において、デジタル鋭利物集積容器3は、置かれた注射デバイス10をスキャンして、少なくともそのIDを決定し、このIDをユーザデバイス400に通信することが可能である。デジタル鋭利物集積容器3は、注射デバイス上のRFIDタグに問い合わせることによって、または注射デバイス上のラベルの画像を取得することによって、置かれた注射デバイスをスキャンすることができる。これにより、ユーザデバイス400は、デジタル鋭利物集積容器3における廃棄を、ユーザの確認の必要なしで、スキャンされた注射デバイス10とリンク付けすることが可能になる。ユーザデバイス400は、注射デバイス10が使用後ではなく収納デバイス100から持ち出された後にのみスキャンされた場合であっても、スキャンされた注射10が使用されたことを示すように構成することができる。
【0093】
ユーザデバイス400は、注射デバイス10のスキャン、および/またはデジタル鋭利物集積容器3から受信したデータに基づいて、ユーザの個人の遵守スコアを計算するように更に構成することもできる。この個人の遵守スコアは、定期的にまたは需要に応じてユーザに表示することができる。ユーザデバイス400は、ユーザが医薬品に関して予定通りであるか否かを表示することもできる。ユーザが予定通りでない場合、ユーザデバイスは警報を表示することができる。ユーザデバイスは、ユーザデバイスと収納デバイスとの間で交換された信号、および/またはユーザデバイスとデジタル鋭利物集積容器との間で交換された信号に基づいて、注射デバイス使用レポートを生成するように構成することもできる。注射デバイス使用レポートは、各注射デバイスがいつ使用され、廃棄されたか、および場合によりどのように使用され、廃棄されたかに関する情報、ならびに場合により、上述した個人の遵守スコアも含むことができる。
【0094】
本明細書において使用されるとき、「ユーザデバイス400が特定(判定)する」という用語は、ユーザデバイスが注射デバイス10から情報をスキャンおよび記録すること、または収納デバイス100、デジタル鋭利物集積容器3もしくは他のシステム構成要素から情報を受信することを包含する。ユーザデバイス400がいくつかの情報またはステートメント(注射デバイス10が収納デバイス100における収納に適しているか否か等)を「確認する」と記載される場合、これは、ユーザが関連情報が正しいことの何らかの確認をユーザデバイス400に提供することを包含する。たとえば、ユーザデバイス400は、スキャンまたは他の形で受信した情報を表示し、ユーザに、これをユーザが知得していることまたは見ることができるものに対しチェックするように要求することができる。ユーザが肯定で応答する場合、ユーザデバイス400は情報の正確性を「確認する」。いくつかの他の状況において、ユーザデバイス400は、スキャンまたは受信する情報の正確性を、これを既に保持する情報に対しチェックすることによって「検証する」ことができる。たとえば、ユーザに、特定の注射デバイスを使用するようにリマインドした後、ユーザデバイスを使用して注射デバイスをスキャンすることができる。次に、ユーザデバイスは、少なくとも、記憶された情報(この場合、ユーザに使用することをリマインドした注射デバイスのアイデンティティ)に対しスキャンされた注射デバイスのIDをチェックし、これが正しい注射デバイスであることを検証することができる。
【0095】
ユーザデバイスの構成および機能
図3は、いくつかの実施形態によるユーザデバイス400を概略的に示している。ユーザデバイス400はモバイルフォンとすることができる。ユーザデバイス400は、無線通信デバイスの一例である。ユーザデバイスは、代替的に、通信デバイス、コンピューティングデバイスまたはモバイルデバイスと称される場合があり、必ずしも単一のユーザに関連付けられない。ユーザデバイス400は、無線通信プロトコルを使用して無線で通信するように構成される。たとえば、第1の外部デバイスは、Wi-Fi、Bluetooth、ZigBee、IrDA等を使用して無線で通信することができる。
【0096】
ユーザデバイス400は、たとえば患者によって操作することができる。例示的な動作モードによれば、ユーザデバイス400は、収納デバイス100と近接することができる。たとえば、ユーザデバイス400は、患者によって携行または保持することができる。
【0097】
ユーザデバイス400は、プロセッサ402と、メモリ404と、無線トランシーバ406と、ユーザ入力408と、ディスプレイ412と、カメラ410と、マイクロフォン416と、RFIDリーダ418と、スピーカ414とを含む。いくつかの実施形態において、ユーザデバイス400はスマートフォンまたはタブレットコンピュータである。プロセッサ402は、たとえば、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等とすることができる。ディスプレイはタッチ感応型ディスプレイとすることができ、用量性または抵抗性感応型技術に基づくことができる。
【0098】
メモリ404は、プログラムコード(たとえば、ソフトウェアまたはファームウェア)を記憶するプログラムメモリおよびデータを記憶するメインメモリの両方を含むことができる。プロセッサ402は、プログラムメモリに記憶されたプログラムコードを実行し、メインメモリからデータを読み出し、書き込みおよび削除するように構成される。いくつかの実施形態では、プログラムコードは、ユーザデバイス400上にダウンロードおよびインストールすることができるアプリケーションとすることができる。アプリケーションは、収納デバイス100との接続性を提供する。アプリケーションは、加えて、患者が使用するための疾病管理および追跡ツールとすることができる。プログラムメモリは、たとえばリードオンリーメモリ(ROM)とすることができ、メインメモリは、たとえばランダムアクセスメモリ(RAM)とすることができる。
【0099】
ユーザデバイス400はWLANを介して、Bluetoothを使用することによって、または任意の他の適切な無線プロトコルを使用することによって、無線トランシーバ406を介して通信することができる。ユーザデバイス400は、複数のネットワークインタフェースを含むことができ、これらのうちの任意のものを使用して、データを収納デバイス100、注射デバイス10、デジタル鋭利物集積容器3またはそれらの任意の組合せと交換することができる。
【0100】
ユーザデバイス400は、1つ以上のユーザ入力408、たとえばタッチスクリーン、キーパッドまたはキーボード、加速器またはジャイロスコープ、マウス、または音声コマンドを受けるためのマイクロフォン416を含む。ユーザデバイス400は、ユーザの画像、注射デバイス10上で可視のラベル、コード等の画像を取り込むように構成されたカメラ410も含むことができる。ユーザデバイスは、スキャンデバイスを使用して注射デバイスをスキャンするように構成することができる。スキャンデバイスは、カメラ410またはRFIDリーダ418を指すことができる。「スキャン」という用語は、ユーザデバイス400との関連で使用されるとき、注射デバイス10に提供される情報を読み取るこれらの構成要素のいずれかの使用を指すことができる。
【0101】
動作時に、ユーザデバイス400は、無線トランシーバ406を使用して収納デバイス100、注射デバイス10、デジタル鋭利物集積容器3またはそれらの任意の組合せと、収納デバイスの無線通信モジュール260を介して接続する。いくつかの実施形態において、この接続は、Bluetoothプロトコルを使用して、2つのデバイス間の直接ペアリングを形成する。ペアリングは、ユーザデバイス400によって任意の時点で開始することができる。加えて、収納デバイス100は、冷蔵庫のドアが開いていることを検出するとき、または収納デバイス100上の専用のボタンが押下されているとき、Bluetoothペアリングの開始を試行することができる。いくつかの他の実施形態において、ユーザデバイス400と、収納デバイス100、注射デバイス10、デジタル鋭利物集積容器3またはその任意の組合せとの間の接続は、無線端末300を介したWiFi接続を使用する。
【0102】
ユーザデバイス400と収納デバイス100との間の接続は、動作情報が、収納デバイス100上で、またはユーザデバイス400上のアプリケーションを介して設定され、2つのデバイス間で同期されることを可能にする。
【0103】
接続されると、収納デバイス100は、情報をユーザデバイス400に定期的に送信するように構成することができ、ユーザデバイスは、或る特定の情報を収納デバイス100にプッシュすることができる。収納デバイス100は、次の注射が予定されるまでの残り日数を示すカウントダウン情報を送信する。収納デバイス100は、温度情報およびバッテリレベル情報も送信する。適切なセンサが装備されている場合、収納デバイス100は、収納デバイス100内に残っている薬物注射デバイスの数を示す情報も送信することができる。ユーザデバイス400は、この情報を受信し、メモリ404に記憶する。ユーザデバイス400は、現在の時刻および日付、次の注射が予定されるまでの残り日数、注射間隔および収納デバイス100に記憶される薬物注射デバイスの数等の、収納デバイス100に記憶された情報を上書きするための或る特定の情報を送信することができる。上記で説明した動作情報は、有効にされた場合、注射デバイス10および/またはデジタル鋭利物集積容器3にプッシュするかまたはそこからプッシュされ、全ての接続されたデバイスが最新情報を有するようにすることができる。
【0104】
ユーザがユーザデバイス400上のアプリケーションを開くと、ディスプレイ412上にホームページが表示される。ホームページは、次の注射が予定されるまでの残り日数を表示することができる。ユーザは、次の注射が予定されるまでの表示された残り日数が不正確であると判定する場合、ユーザ入力408を使用してカウントダウンリセットコマンドを入力することができる。次の注射が予定されるまでの表示された残り日数が正しい場合であっても、ユーザは、リセットスイッチ215ではなく、アプリケーションを使用して収納デバイス上のカウンタをリセットすることができる。カウントダウンリセットコマンドの受信に応答して、ユーザデバイス400は、カウントダウンリセットコマンドを収納デバイス100に送信する。カウントダウンリセットコマンドを受信すると、収納デバイス100は、次の注射が予定されるまでの残り日数を示す、収納デバイス100が記憶する情報を上書きし、値を所定の初期値にリセットする。
【0105】
ユーザデバイスは、ユーザがリセットスイッチを押下するとき、収納デバイス100からリセット通知を受信することもできる。これに応答して、ユーザデバイス400は、次の注射が予定されるまでの残り日数を、ユーザデバイスにおける所定の初期値にリセットする。このようにして、ユーザは、望ましい場合、収納デバイス100上のリセットスイッチ215の使用を継続することができるが、ユーザデバイス上のアプリケーションが、収納デバイス100上の情報が誤りであると判定した場合、これを上書きすることができる。ユーザデバイス400が収納デバイス100からリセット通知を受信するか、カウントダウンリセットコマンドがユーザ入力408を介して受信されるときはいつでも、リセットタイムスタンプが作成され、メモリ404に記憶される。タイムスタンプは、リセットが行われた正確な日付および時刻を含む。
【0106】
いくつかの他の実施形態では、ユーザは、次の注射が予定されるまでの残り日数を調整することができる。次に、更新された値をユーザデバイス400上に記憶し、収納デバイス100に通信することができる。ユーザが、次の注射が予定されるまでの残り日数を調整することができる範囲は、注射間隔、たとえば±14日によって制限することができる。
【0107】
アプリケーションのホームページは、場合により、収納デバイス100内に残っている薬物注射デバイスの数も表示することができる。ユーザ入力408を使用して、ユーザは、収納デバイス100内に残っている薬物注射デバイスの数を手動で入力することができる。この情報は、場合により、収納デバイス100に送信される。アプリケーションは、収納デバイス100内に残っている薬物注射デバイスの記録された数を1だけ減少させることもできる。
【0108】
アプリケーションのホームページは、収納デバイスによって送信された温度情報に基づいて、局所的温度、たとえば、収納デバイス100の現在の温度を表示することができる。ユーザは、アプリケーションを使用して、収納デバイス100が超えるべきでない上側および/または下側閾値温度を設定することができる。収納デバイス100によってユーザデバイスに報告される温度が閾値を超える場合、アプリケーションは警報を発するように構成される。警報は、ディスプレイ412上に視覚的に表示し、および/またはスピーカ414を介して可聴式で発することができる。
【0109】
注射間隔(注射間のスケジューリングされた時間)は、14日として所定とすることができる。収納デバイス100は、この間隔で予めプログラムすることができる。しかしながら、ユーザは、21日、または28日等の異なる間隔を処方される場合がある。アプリケーションは、ユーザによる注射間隔の手動調整を可能にする。注射間隔の手動調整を受信すると、ユーザデバイス400は、更新された注射間隔を収納デバイス100にプッシュし、次にこれが新たな所定の初期値として記憶される。アプリケーションが、次のスケジューリングされた注射まで1日しか残されていないと判定したとき、ディスプレイ412上にリマインダが表示される。注射の予定日に、更なるリマインダが表示され、可聴警報もスピーカ414によって発することができる。ユーザは、リマインダ/警報が活性化される日付を設定することができる。
【0110】
アプリケーションが、カウントダウンリセット後に収納デバイス100内に1つの薬物注射デバイスしか残っていないと判定したとき、アプリケーションは、ディスプレイ412上に再注文リマインダを表示する。リマインダは、2つの薬物注射デバイスしか残っていないときにも表示することができる。収納デバイス100によってユーザデバイス400に報告される収納デバイス100のバッテリレベルが所定の閾値未満に降下すると、アプリケーションは、視覚および/または可聴警報がユーザデバイス400によって発せられるようにする。
【0111】
接続性および収納デバイス100とのデータ交換に加えて、アプリケーションは、疾病管理および追跡ツールとして機能することもできる。アプリケーションは、ユーザがアトピー性皮膚炎等の皮膚状態の進行および症状を追跡することを可能にすることができる。アプリケーションは、ユーザが、皮膚のフレアアップ、かゆみ、不眠およびストレス等の症状の発生および深刻度を記録することを可能にすることができる。ユーザは、アプリケーションを使用して、症状のフレアアップに関する情報を入力することができ、および/または症状の深刻度を定期的に、たとえば週に1回記録することができる。アプリケーションは、匿名化された利用情報をフィードバックし、アプリケーションの主要性能インジケータ(KPI)が評価されることを可能にする。アプリケーションを実行している複数のユーザデバイスからの情報を照合することによって、アプリケーションの開発者またはプロバイダは、ダウンロード数、開始した登録数、完了した登録数、平均セッション長、平均セッション周波数、平均セッション間隔、セッションあたりのスクリーン/ジャーニー数、最も使用される機能、週ごとにアクティブなユーザの数、月ごとにアクティブなユーザの数、およびベースラインレベルと比較した遵守改善の尺度のうちの1つまたはそれ以上を決定することを可能とすることができる。
【0112】
収納デバイス100との接続性を提供することに加えて、ユーザデバイス400上のアプリケーションは、ユーザが
図3に関してより詳細に説明されるように自身の疾病の進行を監視することを可能にする。アプリケーションは、患者サマリーレポートの生成が患者のHCPと共有されることを可能にする。
【0113】
ここで
図4を参照すると、概観スクリーンショット500を表示するユーザデバイス400が示される。概観ページ500は、アプリケーションのホームページからソフトボタンを介してアクセスすることができる。概観500は、複数のクイックリンクソフトボタン502を含む。これらのボタンのうちの任意のものを選択することにより、ウェブブラウザを開き、情報を含むウェブページにナビゲートすることができるか、ユーザデバイス400上で電話番号を予め埋められた電話アプリケーションを開くことができる。
【0114】
概観ページ500は、近時の期間にわたるアトピー性皮膚炎(または類似の皮膚状態)の症状の報告されたレベルをユーザに示す活性グラフ504も含む。活性グラフは、深刻度、かゆみ、および不眠間で切り替えることができる。概観ページ500は、記録されたエントリの総数、報告されたフレアアップ数、報告されたフレア深刻度の中央レベル、報告された不眠の中央レベルおよび報告されたかゆみの中央レベル等の、ユーザによって報告される症状に関する或る特定の統計情報506も表示する。
【0115】
概観ページ500は、アプリケーションの様々なページにナビゲートするように選択可能な複数のアイコン508も表示する。これらは、概観ページアイコン、注射履歴ページアイコン、写真ページアイコン、新規エントリページアイコン(
図3における中央のアイコン)およびリソースアイコンを含むことができる。現在見ているページに対応するアイコンは強調することができる。
【0116】
履歴アイコンの選択は、活性グラフ504に示すグラフのより詳細なバージョンを示すことができる。期間は、たとえば、先週、先月または去年のエントリを示すように調整することができる。履歴は、深刻度、かゆみ、不眠もしくはストレス間で表示をトグル切り替えすることができるか、またはこれらの変数のうちの2つ以上のトレースを示すことができる。
【0117】
新たなエントリアイコンの選択により、フレアアップに関する短い質問票を開くことができる。たとえば、ユーザに、フレアアップの可能性のあるトリガ(湿度または熱等)、ならびにかゆみ、不眠およびストレス等の症状のレベルを選択するように要求することができる。各症状は、低、中または高として記録することができる。次に、フレアアップの写真を撮るようにユーザを促すことができる。代替的に、アプリケーションは、ユーザが画像をフレアアップの記録における第1のステップとして加えることを可能にする場合がある。次に、アプリケーションは、フレアアップに関する他の情報を入力するようにユーザに要求することができるが、この情報の入力は任意選択とすることができる。
【0118】
ユーザがアプリケーションに画像を記録するように命令するとき、アプリケーションはユーザデバイス400のカメラ410にアクセスする。ユーザが写真を撮影すると、アプリケーションは、
図5に示すような身体部分画面800を提示する。身体部分画面は、身体エリアの境界が定められた人物を示す。次に、ユーザは、撮影したばかりの写真に対応する身体エリアを選択することができる。ユーザは新たなエントリを保存する。アプリケーションは、画像およびユーザによって入力された他の情報から、患者のフォトジャーナルを作成する。各画像は関連付けられたタイムスタンプ、関連付けられた身体部分、ならびに入力された任意のトリガ、症状および深刻度情報と共に記憶される。
【0119】
写真アイコンの選択は、アプリケーションを使用してユーザが撮影した全ての写真のアルバムを示すことができる。ユーザは、身体エリアによって、または関連付けられた症状および/もしくは深刻度によってこれらの写真をフィルタリングおよびソートすることができる。たとえば、ユーザは、左手の掌の写真のみを示すことによって、患者のフォトジャーナルにおける写真をフィルタリングすることができる。次に、アプリケーションは、これらの画像と、場合により、画像が取り込まれたときを示すタイムラインおよび/またはユーザがトリガ、症状および/または深刻度データを入力したことを示すチャートのみを表示することができる。代替的に、患者のフォトジャーナルは、身体部分に従って自動的にグループ化することができる。患者のフォトジャーナルは、
図5に示すものと同様に、マネキンを介して見ることもできる。写真を関連付けられた各身体エリアは強調または色付けすることができる。次に、ユーザは、マネキン上の身体部分エリアのうちの1つを選択し、関連付けられたフォトアルバムを開くことができる。
【0120】
別の実施形態では、
図5に示す身体部分画面800または完全なもしくは部分的な身体の類似の表現を使用して、注射部位の場所または関連画像を記録することができる。たとえば、患者は、身体のどこにいつ注射が行われたかを記録することができる。そのような注射の場所および日付情報は、ユーザデバイス400によって記憶することができる。このため、注射部位情報の履歴を記録することができる。
【0121】
注射部位の場所に加えて、ユーザデバイス400は、注射体験に関係する情報について患者に要求し、そのような情報を記憶するように構成することができる。これは、たとえば、患者のその日の気分、注射が痛かったか、注射デバイスが適切に動作したか、薬剤の全体用量が送達されたか等を含むことができる。
【0122】
ユーザデバイス400は、注射の前後に注射の画像の関連画像を取得および記憶するように更に構成することができる。そのような画像データは、注射が行われた場所、または注射部位における任意の不利な反応を追跡するように記録することができる。注射部位のそのような追跡は、所望の注射場所における既存の皮膚病変の場所が、部位を注射に適したものにしない場合があるため、皮膚疾患を有する患者に必要である場合がある。
【0123】
更に、患者が身体に注射する場所を追跡することにより、患者の遵守を改善することができる。たとえば、或る身体部分が注射に過度に使用されている場合、ユーザデバイス400は、異なる身体部分が使用されることを推奨することができる。逆に、或る身体部分が注射のためにあまり使用されていない場合、ユーザデバイス400は、その身体部分を注射のために使用することを患者に推奨することができる。そのような推奨は、注射が稀である場合に患者が適切な注射部位を選択することを支援することができる。患者は、注射が1週、2週または4週ごとに1回である場合、単純に注射をどこに行ったかを忘れる場合がある。これに関して、アプリケーションは、
図10に示すように、第2の身体部分画面1010を提示することができる。第2の身体部分画面1010は、表示された身体上の異なる潜在的注射エリアを示す。たとえば上腕のこれらのエリアのうちのいくつかは、介護者による注射についてのみ示すことができる。自己注射の最も一般的なエリアは上腿および腹部である。アプリケーションは、これらのエリアのうちのいずれが次の注射について使用されるべきかの推奨を、たとえば、エリアを強調させること、エリアを点滅させること、エリアを使用することができることが記載されたインジケーションと共に現れる矢印もしくは引き出し線、または示唆される身体エリアに注意を引き付ける任意の他の適切な方法によって示すことができる。
【0124】
注射部位もしくは注射部位の関連画像(ビデオを含み、オーディオを伴うかまたは伴わない)、またはいずれの身体部分が注射されたかに関係する任意のデータも、ユーザデバイス400を介して医療提供者または第三者に提供することができる。そのような情報は、医療提供者が患者により良好な助言を提供することを可能にすることができる。たとえば、低い体格指数(「BMI」)を有する患者は、脚ではなく腹部に注射する場合、受ける痛みがより少ない場合がある。しかしながら、高いBMIを有する患者は、注射デバイスを脚の上で操作する方が容易であると感じる場合がある。更に、腹部に皮膚病変のフレアアップを受けている患者は、注射デバイスを脚上で操作するように助言されるか、または介護者に患者の腕に薬剤を注射させる場合がある。ユーザデバイス400の支援により、そのようなカスタマイズされた注射プロトコルを患者ごとに展開し、患者の体験を改善することができる。
【0125】
アプリケーションは、或る特定の疾患活動、および生活の質に対する影響の評価を完成させるようにユーザを促すこともできる。プロンプトは、評価のタイプに応じて、各新たなエントリが記録されるとき、または定期的に、たとえば毎週1回現れることができる。これらの評価は任意選択とすることができる。たとえば、アプリケーションは、疾患活性を評価するためにPO-SCORADおよび/またはPOEM質問票を完成させ、生活の質に対する影響を評価するためにDLQI質問票を完成させるようにユーザを促すことができる。これらの評価の各々は、出力としてスコアを生成することができる。
【0126】
アプリケーションは、レポートを作成するのにも使用することができる。「レポート生成」ボタンを概観画面上にまたは患者フォトジャーナル画面上に設けることができる。レポートは、ユーザによって見ることができ、ユーザの医師に示すかまたは送信することができる。ユーザがレポート生成ボタンを選択すると、ユーザが、何のデータがレポートに含まれるかを選択することを可能にする画面を示すことができる。アプリケーションは、症状(深刻度、かゆみ、不眠等)の履歴グラフを生成するように構成することができ、ユーザはこれらのうちの1つまたはそれ以上を選択することができる。デフォルトで、レポートは、現在の月の時間範囲を有することができるが、これは要求に応じて調整することができる。レポートに含めることができる他のデータは、記録されたエントリ数、報告されたフレアアップ数、最も報告された炎症深刻度、最も報告された不眠レベル、最も報告されたストレスレベル、最も報告されたトリガおよび患者フォトジャーナルからの写真を含む。
【0127】
疾患の活性および/または生活の質に対する影響の評価がユーザによって完了した場合、レポートは、これらの結果も含むことができる。たとえばPO-SCORADまたはPOEMスコアを、全体として選択された期間について、レポートに表される週ごとに、またはレポート内のエントリごとにレポートに示すことができる。スコアがレポート内に表される週またはレポート内のエントリごとに計算される場合、スコアは、時間に対する評価スコアのグラフとして示すことができる。レポート期間について記憶された任意のDLQIスコアを、疾患活性スコアについてと同様に表示することができる。
【0128】
リソースアイコンの選択は、アトピー性皮膚炎に関する更なる情報を含むページおよびトレーニングモジュールを示すことができる。中でも、アトピー性皮膚炎の理解、アトピー性皮膚炎の管理、およびユーザの医療提供者との通信に関するモジュールをこのセクションにおいて提供することができる。これらのモジュールの各々は、いくつかの項目からなることができる。追加の教育コンテンツを、概観画面上に表示される短いヒントおよび/または定期的に提供されるクイズの形態でアプリケーションを介して送達することができる。アプリケーションは、ユーザが自身の疾患の進行をより良好に追跡し、そのフレアアップの可能性のあるトリガをより容易に決定することを可能にする。フレアアップのタイミング、深刻度および症状に関してアプリケーション内に収集された情報の組合せは、HCPが見たとき、より良好な臨床結果も可能にすることができる。なぜなら、これは患者との会話から通例得られるよりもはるかにより完成した表現を提供するためである。
【0129】
図6は、いくつかの実施形態による、ユーザデバイス上で実行されるアプリケーションの例示的な動作を示すフローチャートである。ユーザデバイス400が収納デバイス100からカウントダウン情報を受信すると、プロセスがステップ50において開始する。カウントダウン情報は、次の注射が予定されるまでの残り日数を示す。この情報は、2つのデバイスが最初に接続されたとき、および/または定期的に、収納デバイス100によってユーザデバイス400に自動的にプッシュすることができる。カウントダウン情報はアプリケーションに記憶される。
【0130】
アプリケーションは、ユーザが収納デバイス100から受信したカウントダウン情報を上書きすることを可能にする機能を提供する。ステップ52において、アプリケーションは、ユーザデバイス400の1つまたはそれ以上のユーザ入力を介してカウントダウンリセットコマンドを受信する。ステップ54において、次の注射が予定されるまでの残り日数が、アプリケーションにおいて所定の初期値にリセットされる。所定の値は14日とすることができるが、これ自体をアプリケーションを介して変更することができる。アプリケーションは、リセットの正確な日付および時間を示すリセットタイムスタンプも作成する。この情報は、リセット履歴に記憶され、アプリケーションからチャートにおいて見ることができる。
【0131】
ステップ56において、アプリケーションは、カウントダウンリセットコマンド、またはコマンドから導出された情報を、収納デバイス100に送信する。アプリケーションは、カウントダウンリセットコマンドの受信に応答して、この情報を自動的に送信するように構成することができる。
【0132】
ステップ58において、収納デバイス100は、カウントダウンリセットコマンドを受信し、メモリ内の次の注射が予定されるまでの残り日数を所定の初期値に更新する。
【産業上の利用可能性】
【0133】
図9は、ユーザによる自動注射器の例示的な使用を示すフローチャートである。上記で説明した機能および構成に加えて、システム600の様々な態様が、患者による注射デバイス10の以下の使用を可能にすることができる。
図9に示される例は自動注射器(AI)を指すが、1つのタイプの注射デバイス10を使用することができることが理解される。自動注射器は、「プレフィルドペン」と呼ぶこともできる。
【0134】
最初に、ステップ900において、患者は注射デバイス10を受け取ることができる。注射デバイス10は自動注射器(AI)を含むことができる。注射デバイス10(たとえば、自動注射器)は、通信販売、配達サービス、または薬局からのピックアップにより受け取ることができる。患者が受け取るパッケージは、1つまたはそれ以上の自動注射器/注射デバイス10を含むことができる。たとえば、パッケージは、3または6カ月分の供給を表す6つの注射デバイス10を含むことができる。注射デバイス10の単一のパッケージは、異なる用量の薬剤を含む1つまたはそれ以上の自動注射器も含むことができる。
【0135】
受け取ると、患者は、ステップ901において、1つまたはそれ以上の自動注射器/注射デバイス10をユーザデバイス400を使用してスキャンすることができる。収納デバイス100が類似の機能を有しうることも検討される(ステップ902)。たとえば、患者は、自動注射器を収納デバイス100内に装填する前に自動注射器ラベルをスキャンすることができる。上記で説明したように、注射デバイス10は、QRコード、NFC、または様々な薬剤、デバイスもしくは他の情報を含む類似のラベルを含むことができる。注射デバイスが可視コード、バーコード、QRコード等である場合、これをユーザデバイス400のカメラ410によって取り込むことができる。可視コードの代わりにまたはそれに加えて、注射デバイスは、ユーザデバイス400のRFIDリーダ418によって読み取ることができるRFIDタグを含むことができる。
【0136】
ユーザデバイス400(ステップ901)または収納デバイス100(ステップ902)のいずれかによってスキャンすることにより、正しい注射デバイス10が受け取られ、長期の宅内収納のために正しく配置されたことの確認を提供することができる。ユーザデバイス400または収納デバイス100は、正しく受け取り、収納されたことを確認するために第三者に送信される確認を提供することができる。2つの別個のソースからのそのようなシグナリングは、適切な受け取りおよび収納の命令に患者が遵守していることの更なる保証を提供することができる。
【0137】
ステップ903において、ユーザデバイス400および/または収納デバイス100は、自動注射器が収納「OK」であるか、または適しているか否かを判定することができる。自動注射器が収納OKである場合、ステップ904において、次にユーザデバイス400または収納デバイス100は、この情報をデータベースに通信し、自動注射器が収納okであることを確認することができる。これは、たとえば、患者がこの特定の患者に対し適切に処方された薬剤を含む自動注射器を受け取ったこと、自動注射器が正しい用量の薬剤を含んでいること、薬剤の使用期限が切れていないこと(または患者が自動注射器を使用する時点まで使用期限切れにならないこと)、薬剤もしくは自動注射器がリコールされていないこと、患者が自動注射器内に含まれる薬剤に対し不利に反応する場合がある別の薬剤を処方されていないこと、患者の医師が患者の治療を変更していないこと、または他の理由を確認することを含むことができる。ステップ903において、自動注射器が収納okであると判定される場合、患者に、自動注射器を収納デバイス100内に配置するように命令することができる。ステップ903において、自動注射器が収納okでないと判定される場合、ステップ905において、患者に、自動注射器を鋭利物集積容器3内に廃棄するように命令することができる。ステップ906において、鋭利物集積容器は、拒絶された自動注射器を受けたことを検出する。
【0138】
ステップ906aにおいて、ユーザデバイス400および/または鋭利物集積容器3は、1つまたはそれ以上の信号を個々にまたは累積的に通信し、自動注射器が適切に廃棄されたことを確認および/または再確認することができる。このステップにおいて、鋭利物集積容器3から、自動注射器が適切に廃棄されたことの確認を受信すると、ユーザデバイス400は、自身が記憶する情報を、拒絶された自動注射器が適切に廃棄されたことを反映するように更新することができる。加えて、ユーザデバイス400は、確認メッセージを鋭利物集積容器3、収納デバイス100、または双方に送信することができる。次に、収納デバイス100における情報を、拒絶された自動注射器が適切に廃棄されたことを反映するように更新することができる。
【0139】
続いて、システム600は、患者に交換用の自動注射器を注文することができる。次に、ユーザデバイス400は、特定の患者に確認を提供することができる。医師またはHCPは、注射デバイス10に関連付けられた特定の詳細に基づいて特定の患者に更なる情報を提供することもできる。
【0140】
自動注射器を収納デバイス100内に配置した後(ステップ904)、患者は、別の自動注射器を収納デバイス100内に配置する必要がある場合がある。たとえば、パッケージ内の複数の注射デバイス10が全て収納を必要とする場合、ユーザは、ユーザデバイス400(ステップ901)または収納デバイス100(ステップ902)のいずれかを使用して別の注射デバイス10をスキャンすることができる。
【0141】
1つまたはそれ以上の自動注射器を収納デバイス100内に配置した後(ステップ904)、患者は、長期間待機した後、自身で注射を行う必要がある場合がある。通常、慢性疾患のための投与は毎週、2週間ごと、または月に1回行うことができる。いくつかは、より頻繁でない場合も、より頻繁な場合もあり、いくつかの投薬スケジュールは変動する場合がある。たとえば、最初に、患者は2週間ごとに投薬しなくてはならない。次に、或る時間後、同じ患者が4週間ごとに投薬する可能性がある。
【0142】
長期的治療における患者は、高度に定期的なスケジュールで投薬する必要がない場合があることも検討される。或る特定の慢性疾患では、患者が不利な結果を伴うことなく1つまたはそれ以上の日数だけ投薬を前後に動かすことが可能である場合がある。たとえば、患者は、後続の週の間ではなく週末にわたって自身で投薬を行うことを望む場合がある。投薬を1つまたはそれ以上の日数前倒しすることは、患者の治療に大きな影響を有しない場合がある。投薬スケジュールに対するそのような変更は、患者の医師による事前承認を必要とする可能性がある。
【0143】
ユーザデバイス400は、ステップ907において、患者に自動注射器/注射デバイス10を使用することのリマインダを提供することができる。たとえば、通知は、リマインダ時間が生じるとき、ユーザデバイス400のディスプレイ412上に自動的に現れることができる。代替的に、または加えて、収納デバイス100は、ステップ908において、患者に自動注射器/注射デバイス10を使用するリマインダを提供することができる。このリマインダは、収納デバイスによって発せられる可聴警報の形態をとることができる。これは、ディスプレイ211のセグメントのうちのいくつかもしくは全て等の視覚警報またはLEDアレイ220のいくつかもしくは全ての点滅を伴うことができる。いくつかの実施形態では、自動注射器/注射デバイス10を使用することのリマインダ(またはリマインダを表示するための命令)は、収納デバイス100によって生成され、次にユーザデバイス400に送信される。上記で説明したように、リマインダは、一方または双方のデバイスからの可聴または視覚インジケータを含むことができる。複数のソースからの複数のリマインダを提供することは、特に、長期間の後の投与を必要とする慢性疾患の遵守を支援することができる。
【0144】
注射デバイス10が収納デバイス100内に収納されている間、ユーザデバイス400と収納デバイス100との間で他の情報を送信することができる。一方または双方のデバイス400、100は、注射デバイス10に関連付けられた情報を更新することができる。たとえば、収納デバイス100は、局所的温度を監視するように構成することができる。局所的温度が長期間にわたって範囲から外れる場合、収納デバイス100はユーザデバイス400に警報を提供することができる。ユーザデバイス400は、注射デバイス10のコールドチェーンが短期間にわたって故障した場合、注射デバイス10が依然として使用に適切であることを判定することができる。しかしながら、コールドチェーンが長期にわたって故障した場合、ユーザデバイス400は、上記で説明したように、注射デバイス10の廃棄をユーザにシグナリングすることができる。ステップ903のイベントに関連付けられたこれらのおよび他の信号は、注射デバイス10が収納デバイス100内に収納されている間に行うこともできる。
【0145】
ステップ907および/または908によって提供されるそのようなリマインダの後、ステップ909において、患者は、収納デバイス100から自動注射器を取り出すことができる。ステップ910において、次に、患者は、上記で説明したように、ユーザデバイス400を使用して自動注射器をスキャンすることができる。代替的に、ステップ911において、収納デバイス100は、自動注射器が冷蔵室から持ち出されるときにこの自動注射器をスキャンする場合がある。ステップ912において、ユーザデバイス400および/または収納デバイス100は、自動注射器が使用OKであるか否かを判定することができる。これらは、ステップ903について上記で説明したイベントを含むことができる。注射デバイスが使用OKである場合、ステップ913において、デバイス100、400の双方またはいずれかが、持ち出された自動注射器が使用に適していることを確認するための信号をリモートサーバまたはデータベースに提供することができる。上記で説明した同じ理由で、患者が自動注射器を使用することが適切でない場合がある。適切でない場合(ステップ914)、次に患者は、上記で説明したように、ステップ906および906aにおいて、拒絶された自動注射器を鋭利物集積容器3において廃棄することができる。通常、ユーザデバイスと収納デバイスとの間で特定の注射デバイスについて交換される信号は、信号の第1のセットと称することができ、ユーザデバイスとデジタル鋭利物集積容器との間で特定の注射デバイスについて交換される信号は、信号の第2のセットと称することができる。
【0146】
特定の自動注射器/注射デバイス10が使用に適していると判定される場合、ステップ915において、ユーザデバイス400は、自動注射器の温度が受容可能なレベルまで上昇するまで、自動注射器が冷蔵室の外にどれだけ長く維持されるべきかを判定することができる。ユーザデバイス400は、自動注射器/注射デバイス10のタイプ、自動注射器内の薬剤のタイプおよび容積、室温、自動注射器の場所の予想温度、または他の要因に少なくとも部分的に基づいて時間を計算することができる。ステップ915の一部として、時間をタイミングインタフェースを通じて患者に提供することができる。タイミングインタフェースは、時間が満了するとき、可聴信号を提供することができる。ユーザデバイス400は、自動注射器をどのように使用および/または廃棄するかに関する命令を患者に提供することもできる。これは、必要な場合、キャップをどのように取り外すか、プライミングショットをどのように実行するか、針をどのように取り付けるか、どのように注射するか、完全な用量が注射されたことをどのように確認するか、および自動注射器をどのように安全に廃棄するかを含むことができる。
【0147】
いくつかの状況において、患者が、自動注射器が冷蔵室から持ち出された後、その日用量を投与することを望まないと判断することも可能である場合がある。様々な理由から、患者は1日以上待機すると判断する場合がある。自動注射器を収納デバイス100に戻す代わりに、患者は自動注射器を室温に放置することができる。そのような投薬は、患者の医師の事前承認により許可することができ、医師は、その前後に通知を受けることができる。
【0148】
患者が注射を遅延させることを望むと判断する場合、ステップ916において、ユーザデバイス400は、患者が別のタイマを設定することを可能にすることができる。第2のタイマは、患者が投薬を遅延させうる日数を制限する、1つまたはそれ以上の日数の制限を有することができる。所望の時間遅延、医師の承認、自動注射器の場所および他の情報を、ユーザデバイス400を介して入力または受信することができる。場合により、ステップ917において、所望の注射遅延時間を承認のために医師に通信することができる。
【0149】
ステップ918において、患者は、使用のために自動注射器を準備する。患者は、自身で投薬すると判断した後、ユーザデバイス400を使用して1つまたはそれ以上のアクション(図示せず)を行うことができる。患者は、たとえばユーザデバイス400を使用して、1つまたはそれ以上のイベントを示すように自動注射器をスキャンすることができる。これは、概算の注射開始時点を含むことができる。
【0150】
上記で説明したように、ステップ921において、患者は、自動注射器/注射デバイス10を使用して、薬剤の用量を自己注射することができる。自動注射器の場合、これは、自動注射器からキャップを取り外すこと、自動注射器の正しい端部を特定の場所(たとえば、多くの場合、腹または上腿)において患者の皮膚に対し配置すること、薬剤の用量を投与すること、次に注射プロセスが完了すると、自動注射器を取り外すことを含むことができる。
【0151】
注射が完了すると(ステップ922)、患者は自動注射器に再度キャップを被せる場合も被せない場合もある。患者は、ユーザデバイス400を使用して別のステップを実行することもできる。たとえば、自動注射器をスキャンする。
【0152】
ステップ922における注射に続いて、患者またはプロセスについて患者を支援する人物は、様々な情報をユーザデバイス400に入力することができる。たとえば、注射部位の画像を取得することができ、注射プロセスのインジケーション、痛みの格付け等を記録することができる。そのような情報は、後の分析のためにタイムスタンプに関連付けることができる。
【0153】
ステップ923において、次に患者は、自動注射器/注射デバイス10を廃棄することができる。そのような廃棄は、ステップ925において、使用済み自動注射器を鋭利物集積容器3内に配置することを含むことができ、鋭利物集積容器3は、使用済み自動注射器を受けたことを検出することができる。ステップ925aにおいて、鋭利物集積容器3から、自動注射器が適切に廃棄されたことの確認を受信すると、ユーザデバイス400は、自身が記憶する情報を、使用済み自動注射器が適切に廃棄されたことを反映するように更新することができる。加えて、ユーザデバイス400は、システム600内の1つまたはそれ以上のソースに確認信号を送信することができる。代替的に、ステップ924において、ユーザは、ユーザデバイス400を使用して使用済みAIをスキャンすることができる。次に、この情報は、ユーザデバイス400によって、鋭利物集積容器3の使用を伴うことなく、システム600内の他のソースに提供することができる。
【0154】
システム600の様々な部分は、注射デバイス10の廃棄に成功すると通知を受けることができる。上記で説明したように、複数のデバイスによって提供される複数のデータを有することにより、遵守が改善し、自動注射器/注射デバイス10の安全な廃棄が改善する。加えて、ステップ906aおよび925aにおいて提供されるように、ユーザデバイス400は、注射デバイス10の廃棄に成功したことの確認を提供することができる。
【0155】
いくつかの実施形態では、収納デバイス100、ユーザデバイス400および/または鋭利物集積容器3は、別の自動注射器/注射デバイス10が患者に送達されるべきであることを示す信号を提供することができる。そのようなシグナリングまたは注文は、注射デバイス10が廃棄される度にその後に行うことができるか、または所定の数のデバイスが廃棄された後に行うことができる。たとえば、2つ、4つまたは6つの注射デバイス10のパッケージが利用可能である場合、システム600は、2つ、4つまたは6つの注射デバイス10が廃棄された後、その数のデバイスのみ再注文することができる。1つまたはそれ以上のパッケージ内で注射デバイス10の様々な数が可能である。
【0156】
「薬物」または「薬剤」という用語は、本明細書では同義的に用いられ、1つもしくはそれ以上の活性医薬成分またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物と、場合により薬学的に許容可能な担体と、を含む医薬製剤を記述する。活性医薬成分(「API」)とは、最広義には、ヒトまたは動物に対して生物学的効果を有する化学構造体のことである。薬理学では、薬剤または医薬は、疾患の治療、治癒、予防、または診断に使用されるか、さもなければ身体的または精神的なウェルビーイングを向上させるために使用される。薬物または薬剤は、限定された継続期間で、または慢性障害では定期的に使用可能である。
【0157】
以下に記載されるように、薬物または薬剤は、1つもしくはそれ以上の疾患の治療のために各種タイプの製剤中に少なくとも1つのAPIまたはその組合せを含みうる。APIの例としては、500Da以下の分子量を有する低分子、ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(たとえば、ホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素)、炭水化物および多糖、ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(ネイキッドおよびcDNAを含む)、RNA、アンチセンス核酸たとえばアンチセンスDNAおよびRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドが挙げられうる。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに取り込み可能である。1つまたはそれ以上の薬物の混合物も企図される。
【0158】
薬物または薬剤は、注射デバイス10での使用に適合化された一次パッケージまたは「薬物容器」に包含可能である。薬物容器は、たとえば、1つもしくはそれ以上の薬物の収納(たとえば、短期または長期の収納)に好適なチャンバを提供するように構成されたカートリッジ、シリンジ、リザーバ、または他の硬性もしくは可撓性のベッセルでありうる。たとえば、いくつかの場合には、チャンバは、少なくとも1日間(たとえば、1日間~少なくとも30日間)にわたり薬物を収納するように設計可能である。いくつかの場合には、チャンバは、約1カ月~約2年間にわたり薬物を収納するように設計可能である。収納は、室温(たとえば、約20℃)または冷蔵温度(たとえば、約-4℃~約4℃)で行うことが可能である。いくつかの場合には、薬物容器は、投与される医薬製剤の2つ以上の成分(たとえば、APIと希釈剤、または2つの異なる薬物)を各チャンバに1つずつ個別に収納するように構成されたデュアルチャンバカートリッジでありうるか、またはそれを含みうる。かかる場合には、デュアルチャンバカートリッジの2つのチャンバは、人体もしくは動物体への投薬前および/または投薬中に2つ以上の成分間の混合が可能になるように構成可能である。たとえば、2つのチャンバは、互いに流体連通するように(たとえば、2つのチャンバ間の導管を介して)かつ所望により投薬前にユーザによる2つの成分の混合が可能になるように構成可能である。代替的または追加的に、2つのチャンバは、人体または動物体への成分の投薬時に混合が可能になるように構成可能である。
【0159】
本明細書に記載の注射デバイス10に含まれる薬物または薬剤は、多くの異なるタイプの医学的障害の治療および/または予防のために使用可能である。障害の例としては、たとえば、糖尿病または糖尿病に伴う合併症たとえば糖尿病性網膜症、血栓塞栓障害たとえば深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症が挙げられる。障害の更なる例は、急性冠症候群(ACS)、アンギナ、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、枯草熱、アテローム硬化症および/または関節リウマチである。APIおよび薬物の例は、ローテリステ2014年(Rote Liste 2014)(たとえば、限定されるものではないがメイングループ12(抗糖尿病薬剤)または86(オンコロジー薬剤))やメルク・インデックス第15版(Merck Index,15th edition)などのハンドブックに記載されているものである。
【0160】
1型もしくは2型糖尿病または1型もしくは2型糖尿病に伴う合併症の治療および/または予防のためのAPIの例としては、インスリン、たとえば、ヒトインスリン、もしくはヒトインスリンアナログもしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1アナログもしくはGLP-1レセプターアゴニスト、はそのアナログもしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、またはそれらのいずれかの混合物が挙げられる。本明細書で用いられる場合、「アナログ」および「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドに存在する少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失および/または交換によりおよび/または少なくとも1つのアミノ酸残基の付加により天然に存在するペプチドの構造たとえばヒトインスリンの構造から形式的に誘導可能な分子構造を有するポリペプチドを指す。付加および/または交換アミノ酸残基は、コード可能アミノ酸残基または他の天然に存在する残基または純合成アミノ酸残基のどれかでありうる。インスリンアナログは、「インスリンレセプターリガンド」とも呼ばれる。特に、「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドの構造から形式的に誘導可能な分子構造、たとえば、1つまたはそれ以上の有機置換基(たとえば脂肪酸)がアミノ酸の1つまたはそれ以上に結合したヒトインスリンの分子構造を有するポリペプチドを指す。場合により、天然に存在するペプチドに存在する1つまたはそれ以上のアミノ酸が、欠失し、および/または非コード可能アミノ酸を含めて他のアミノ酸によって置き換えられ、または天然に存在するペプチドに非コード可能なものを含めてアミノ酸が付加される。
【0161】
インスリンアナログの例は、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン(インスリングルリジン);Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン(インスリンリスプロ);Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト);位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaに置き換えられたうえに位置B29のLysがProに置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28~B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0162】
インスリン誘導体の例は、たとえば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン、Lys(B29)(N-テトラデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、レベミル(Levemir)(登録商標));B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン、B29-N-オメガ-カルボキシペンタデカノイル-ガンマ-L-グルタミル-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、トレシーバ(Tresiba)(登録商標));B29-N-(N-リトコリル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリンおよびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0163】
GLP-1、GLP-1アナログおよびGLP-1レセプターアゴニストの例は、たとえば、リキシセナチド(リキスミア(Lyxumia)(登録商標))、エキセナチド(エキセンジン-4、バイエッタ(Byetta)(登録商標)、ビデュリオン(Bydureon)(登録商標)、ヒラモンスターの唾液腺により産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(ビクトーザ(Victoza)(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド(シンクリア(Syncria)(登録商標))、デュラグルチド(トルリシティ(Trulicity)(登録商標))、rエキセンジン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド/HM-11260C、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン、ビアドール-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、TT-401、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、エキセナチド-XTENおよびグルカゴン-Xtenである。
【0164】
オリゴヌクレオチドの例は、たとえば、家族性高コレステロール血症の治療のためのコレステロール低下アンチセンス治療剤ミポメルセンナトリウム(キナムロ(Kynamro)(登録商標))である。
【0165】
DPP4阻害剤の例は、ビダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンである。
【0166】
ホルモンの例としては、脳下垂体ホルモンもしくは視床下部ホルモンまたはレギュラトリー活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニスト、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine)(ソマトロピン(Somatropin))、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンが挙げられる。
【0167】
多糖の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンもしくはそれらの誘導体、もしくは硫酸化多糖たとえばポリ硫酸化形の上述した多糖、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例は、エノキサパリンナトリウムである。ヒアルロン酸誘導体の例は、ハイランG-F20(シンビスク(Synvisc)(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムである。
【0168】
本明細書で用いられる「抗体」という用語は、イムノグロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。イムノグロブリン分子の抗原結合部分の例としては、抗原への結合能を保持するF(ab)およびF(ab’)2フラグメントが挙げられる。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、脱免疫化もしくはヒト化抗体、完全ヒト抗体、非ヒト(たとえばネズミ)抗体、または一本鎖抗体でありうる。いくつかの実施形態では、抗体は、エフェクター機能を有するとともに補体を固定可能である。いくつかの実施形態では、抗体は、Fcレセプターへの結合能が低減されているか、または結合能がない。たとえば、抗体は、Fcレセプターへの結合を支援しない、たとえば、Fcレセプター結合領域の突然変異もしくは欠失を有するアイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは突然変異体でありうる。抗体という用語は、4価二重特異的タンデムイムノグロブリン(TBTI)および/またはクロスオーバー結合領域配向を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質(CODV)に基づく抗原結合分子も含む。
【0169】
「フラグメント」または「抗体フラグメント」という用語は、完全長抗体ポリペプチドを含まないが依然として抗原に結合可能な完全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を含む抗体ポリペプチド分子由来のポリペプチド(たとえば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)を指す。抗体フラグメントは、完全長抗体ポリペプチドの切断部分を含みうるが、この用語は、かかる切断フラグメントに限定されるものではない。本発明に有用な抗体フラグメントとしては、たとえば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、線状抗体、単一特異的または多重特異的な抗体フラグメント、たとえば、二重特異的、三重特異的、四重特異的および多重特異的抗体(たとえば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、1価または多価抗体フラグメント、たとえば、2価、3価、4価および多価の抗体、ミニボディ、キレート化組換え抗体、トリボディまたはビボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュール免疫医薬(SMIP)、結合ドメインイムノグロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体が挙げられる。抗原結合抗体フラグメントの追加の例は当技術分野で公知である。
【0170】
「相補性決定領域」または「CDR」という用語は、特異的抗原認識を媒介する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。「フレームワーク領域」という用語は、CDR配列でないかつ抗原結合が可能になるようにCDR配列の適正配置を維持する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、典型的には抗原結合に直接関与しないが、当技術分野で公知のように、或る特定の抗体のフレームワーク領域内の或る特定の残基は、抗原結合に直接関与しうるか、またはCDR内の1つもしくはそれ以上のアミノ酸と抗原との相互作用能に影響を及ぼしうる。
【0171】
抗体の例は、抗PCSK-9 mAb(たとえば、アリロクマブ)、抗IL-6 mAb(たとえば、サリルマブ)、および抗IL-4 mAb(たとえば、デュピルマブ)である。
【0172】
本明細書に記載のいずれのAPIの薬学的に許容可能な塩も、注射デバイス10で薬物または薬剤に使用することが企図される。薬学的に許容可能な塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。
【0173】
当業者には、本明細書に記載のAPI、処方、装置、方法、システムおよび実施形態の様々な構成要素の修正(追加および/または除去)が、このような修正、およびありとあらゆるその等価物を包含する本発明の全範囲および趣旨から逸脱せずに加えられることが理解されよう。
【国際調査報告】