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特表2024-501529車両コンポーネントの状態を捕捉するためのシステム
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  • 特表-車両コンポーネントの状態を捕捉するためのシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-12
(54)【発明の名称】車両コンポーネントの状態を捕捉するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/40 20240101AFI20240104BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20240104BHJP
【FI】
G06Q50/30
G08G1/00 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538991
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(85)【翻訳文提出日】2023-06-23
(86)【国際出願番号】 DE2022200011
(87)【国際公開番号】W WO2022167044
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】102021201041.5
(32)【優先日】2021-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522296653
【氏名又は名称】コンチネンタル・オートモーティヴ・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ドライザイテル・シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】シュレーダー・ティーモ
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181FF10
5H181FF13
5H181MB03
5L049CC42
(57)【要約】
車両コンポーネントの状態を捕捉するためのシステム
車両コンポーネント(210)の状態を捕捉するためのシステム(1)は、サーバ・コンピュータ(100)と、車両コンポーネント(210)を備えた車両(200)を包含している。該車両(200)は、車両コンポーネント(210)を制御し、且つ、該車両コンポーネント(210)の状態が記載されている車両データ(FD)を捕捉するための制御ユニット220を包含している。更に概車両(200)は、車両データ(FD)を、サーバ・コンピュータ(100)へ伝達するためのデータ伝達手段(230)も有している。該サーバ・コンピュータ(100)は、車両データ(FD)を受信し、該車両データ(FD)を評価できるように構成されている。特に、該サーバ・コンピュータ(100)は、車両データ(FD)の評価により、車両コンポーネント(210)の状態を割出すことができる様に構成されている。
代表図: 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を包含することを特徴とする車両コンポーネントの状態を捕捉するためのシステム:
- サーバ・コンピュータ(100)、並びに、車両コンポーネント(210)を備えた車両(200)、
- 但し、該車両(200)は、車両コンポーネント(210)を制御し、該車両コンポーネント(210)の状態を記述する車両データ(FD)を捕捉するための制御コンピュータ(220)、並びに、車両データ(FD)をサーバ・コンピュータ(100)に伝達するためのデータ伝達手段(230)を有しており、
- 但し、該サーバ・コンピュータ(100)は、車両データ(FD)を受信し、該車両データ(FD)を評価できるように構成されており、
- 但し、該サーバ・コンピュータ(100)は、車両データ(FD)の評価により、車両コンポーネント(210)の状態を割出すことができる様に構成されている。
【請求項2】
- 該サーバ・コンピュータ(100)が、車両データ(FD)の評価により、車両(200)の認証を実施できる様に構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
- 該車両データが車両コンポーネント(210)とは別の更なる車両コンポーネント(210‘)も記述する様に、該制御コンピュータ(220)が、該車両データ(FD)を捕捉する様に構成され、
- 該サーバ・コンピュータ(100)が、車両データ(FD)の評価により、車両(200)の及び/或いは車両コンポーネント(210)並びに他の車両コンポーネント(210‘)から構成されているアセンブリ(240)の状態を割出すことができる様に構成されている
ことを特徴とする請求項1或いは2に記載のシステム。
【請求項4】
- 該車両コンポーネント(210)が、車両データ(FD)を制御コンピュータ(220)による捕捉のために提供する様に、該車両コンポーネント(210)が構成されており、
- 少なくとも一つの更なる車両コンポーネント(210‘)が、受動的部品として構成されており、該更なる車両コンポーネントは、車両データを提供せず、
- 該サーバ・コンピュータ(100)が、車両データ(FD)の評価により、該更なる車両コンポーネント(210‘)の状態を割り出す様に構成されている
ことを特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
- 該サーバ・コンピュータ(100)が、車両コンポーネント(210)の及び/或いはアセンブリ(240)の及び/或いは車両(200)の割り出された状態に応じて、コマンドシグナル(KS)を作成し、該コマンドシグナル(KS)を車両(200)へ伝達できる様に構成されている
ことを特徴とする請求項3或いは4に記載のシステム。
【請求項6】
- 該データ伝達手段(230)が、コマンドシグナル(KS)を受信できるように構成されており、
- 該制御コンピュータ(220)が、コマンドシグナル(KS)に応じて、車両コンポーネント(210)及び/或いはアセンブリ(240)の状態を変化させる様に構成されている
ことを特徴とする請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
該サーバ・コンピュータ(100)が、車両コンポーネント(210)の及び/或いはアセンブリ(240)の及び/或いは車両(200)の割り出された状態に応じて、両コンポーネント(210)の及び/或いはアセンブリ(240)の及び/或いは車両(200)の状態の記述を包含する状態説明シグナル(ZS)を作成する様に構成されている
ことを特徴とする請求項3から6のうち何れか一項に記載のシステム。
【請求項8】
- 該サーバ・コンピュータ(100)が、状態説明シグナル(ZS)を車両(200)に伝達する様に構成されており、
- 該データ伝達手段(230)が、状態説明シグナル(ZS)を受信できるように構成されており、
- 該車両(200)が、表示手段(250)を有しており、
- 該制御コンピュータ(200)が、状態説明シグナル(ZS)に応じて、メッセージを表示手段(250)に表示できるように構成されている
ことを特徴とする請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
以下を包含することを特徴とする請求項7或いは8に記載のシステム:
サーバ・コンピュータ(100)外、且つ、車両(200)外に配置されているデータ処理手段(300)、
- 但し、該データ処理手段(300)は、状態説明シグナル(ZS)を受信し、該状態説明シグナルに応じて、情報を提供するように構成されている。
【請求項10】
- 該サーバ・コンピュータ(100)が、車両データ(FD)の評価により、車両コンポーネント(210)及び/或いはアセンブリ(240)の及び/或いは車両(200)の状態を、交通適正、及び/或いは、適正要求事項、及び/或いは、メンテナンス状態、及び/或いは、完全性、及び/或いは、安全要求に関して割出すことができる様に構成されている
ことを特徴とする請求項1から9のうち何れか一項に記載のシステム。
【請求項11】
該サーバ・コンピュータ(100)が、伝達された車両データを、一定期間、保存できるように構成されている
ことを特徴とする請求項1から10のうち何れか一項に記載のシステム。
【請求項12】
該サーバ・コンピュータ(100)が、一定期間保存された車両データ(FD)の評価により、車両(200)の車両プロファイルを特徴付けるデータを作成するように構成されている、
但し、該車両プロファイルを特徴付けるデータが、車両コンフィグレーション固有のデータ、及び/或いは、ユーザ固有のデータ、及び/或いは、摩耗固有のデータ、及び/或いは、車両コンポーネント及び/或いはアセンブリ(240)の動的挙動を記述するデータを包含している
ことを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
該サーバ・コンピュータ(100)が、伝達された車両データ(FD)を、一定期間保存された車両データ及び/或いは車両プロファイルを特徴付けるデータと比較し、該比較から、車両コンポーネント(210)及び/或いはアセンブリ(240)及び/或いは車両(200)の状態を割り出す様に構成されている
ことを特徴とする請求項11或いは12に記載のシステム。
【請求項14】
- 該サーバ・コンピュータ(100)が、車両コンポーネント(210)及び/或いはアセンブリ(240)の予測される挙動を特徴付けるデータを算出するように構成されており、
- 該サーバ・コンピュータ(100)が、予測される挙動を特徴付けるデータと伝達された車両データ(FD)と比較することにより、車両コンポーネント(210)の及び/或いはアセンブリ(240)の及び/或いは車両(200)の状態を割り出す様に、該サーバ・コンピュータ(100)が構成されている
ことを特徴とする請求項1から13のうち何れか一項に記載のシステム。
【請求項15】
該サーバ・コンピュータ(100)が、予測される挙動を特徴付けるデータを、数学的モデルを用いて割り出す
ことを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ある車両の完全性と交通安全性を監視し、判定するための該車両の車両コンポーネントの状態を捕捉するためのシステムに関する。
【0002】
現行、完全性、安全性、並びに、走行適性、特に車両が所定の規制および基準に適合しているかどうかについては、本質的に車両のドライバーが、責任を負っている。即ち、該ドライバーは、走行前及び走行中、車両並びにシステムが、正常に機能しており、且つ、曝されている条件下において、交通安全性が確保されているか否かを、自ら判断しなければならない。
【0003】
車両及びそのシステムの交通安全性に関する要求事項は、一般的に立法機関によって、規制と基準によって定められている。該規制を遵守しているか否かは、通常、ドイツの場合は、TUEVやDEKRAなど、公的検査機関に所属する認定検査官による検査の一環として監視されている。車両とそのシステムの検査は、通常、認証を受けた検車場内において実施される。よって、該車両は、定期的に検査官に提示される必要がある。
【0004】
しかし今日の車両及び車両コンポーネントは、非常に煩雑であり、故障したシステムの挙動やその故障によってドライバーにもたらされる結果を割り出すことや予測することは非常に困難である。例えば、ハンドル、ブレーキペダル、アクセルペダル、並びに、ワイヤを介して接続されている他のシステムなど、機械的に接続されているヒューマン・マシーン・インタフェースが減ってきていることから、ドライバーにとっては、システムの摩耗状態のみならず、システムの故障ですら、認識することが困難になってきている。将来的な自律走行/高自動化走行に至る開発、及び/或いは、様々なドライバーによる一台の車両の共同使用は、この問題を更に加速するであろう。
【0005】
ドライバー或いは車両オーナーが、既存の車両システム及び特に将来的なシステムにおいては、摩耗、故障、或いは、他の事象、例えば、改竄、事故、ハッキングなどよる車両状態の変化を、認識することは困難である、或いは、少なくともその推測は、非常に曖昧なものである。
【0006】
車両コンポーネントの状態、並びに、それらの相互作用を判定するには、公的検査官による車両メンテナンスや交通適正判断の範疇においても、特別な知識、特別な工具、並びに、より詳しい検査が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的の一つは、車両コンポーネントの完全性のみならず、車両全体の交通安全性を信頼性高く評価するために、それを用いることにより、車両コンポーネントの状態を、確実に捕捉し、信頼性高く判断できる車両コンポーネントの状態を捕捉するためのシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この様な車両コンポーネントの状態を捕捉するためのシステムは、請求項1に記載されている。
【0009】
該システムは、サーバ・コンピュータ、及び、車両コンポーネントを備えた車両を包含している。該車両は、車両コンポーネントを制御し、且つ、該車両コンポーネントの状態が記載されている車両データを捕捉するための制御ユニットを有している。更に概車両は、車両データを、サーバ・コンピュータへ伝達するためのデータ伝達手段も有している。該サーバ・コンピュータは、車両データを受信し、該車両データを評価できるように構成されている。更に該サーバ・コンピュータは、車両データの評価により、車両コンポーネントの状態を割出すことができる様にも構成されている。
【0010】
制御コンピュータによって捕捉された車両データは、他の車両コンポーネントの状態も記述できることが好ましい。また、他の車両コンポーネントの車両データも、制御コンピュータから、分析する目的で、サーバ・コンピュータへ伝達されることができる。該サーバ・コンピュータは、収集された車両データを評価することにより、個々の車両コンポーネントの状態のみならず、様々な車両コンポーネントからなるアセンブリの状態、最終的には、車両全体の状態を割出し、評価することができる。
【0011】
車両コンポーネントは、先ずは、自らその状態を捕捉することができ、車両データとして制御コンピュータに伝達することができるアクティブ/能動的な構成部品であることができる。該制御コンピュータは、該能動的構成部品によって捕捉された車両データを問い合わせ、サーバ・コンピュータへ伝達することができる。一方、該車両コンポーネントは、自らは状態を捕捉できない受動的な構成部品としてデザインされていることも可能である。その例としては、シャフトやアームなどの構成部品を挙げることができる。サーバ・コンピュータにおける能動的構成部品の車両データの評価により、ある好ましい実施形態によれば、受動的構成部品の状態も推定できる。
【0012】
車両の各車両データが、各車両の特徴的且つ個別な挙動を描写することから、サーバ・コンピュータを用いた車両データの評価により、更には、車両の認証も可能である。尚、システムを騙すためには、データを、サーバ・コンピュータ上だけでなく、車両内自体においても改竄されていなければならないため、車両データの改竄や偽造は、困難である。これにより、該システムは、車両データや車両コンポーネントの偽造を略不可能にする、一義的且つ信頼性の高い車両認証を可能にする。
【0013】
該システムのある可能な実施形態では、サーバ・コンピュータは、車両データの分析後、車両コンポーネントの及び/或いは様々な車両コンポーネントからなるアセンブリの及び/或いは車両の割り出された状態に応じて、コマンドシグナルを作成し、これを車両に伝達できる様に構成されている。そのため、該制御コンピュータは、コマンドシグナルに応じて、車両コンポーネント及び/或いはアセンブリを制御する様に構成されている。即ち、車両の特定の機能を、意図的に変更、或いは、停止することができる。特に、該サーバ・コンピュータにより、一つの車両コンポーネントの及び/或いは複数の車両コンポーネントからなるアセンブリの及び/或いは車両の割り出された状態に応じて、必要な場合には対策を講じることが可能である。
【0014】
該システムの更なる実施形態によれば、該サーバ・コンピュータは、一つの車両コンポーネントの及び/或いは複数の車両コンポーネントからなるアセンブリの及び/或いは車両全体の割り出された状態に応じて、状態説明シグナルを作成し、これを車両に伝達できる様に構成されている。よって車内では、車両コンポーネントの及び/或いはアセンブリの及び/或いは車両のサーバ・コンピュータによって割り出された状態が、ドライバーに対して、表示手段上に、例えば、マルチメディアシステム上に表示されることができる。
【0015】
更なる実施形態によれば、該システムは、サーバ・コンピュータ外、且つ、車両外に配置されているデータ処理手段を包含している。該サーバ・コンピュータは、状態説明シグナルを、車両自体のみならず、データ処理手段へも伝達できる。状態説明シグナルに応じて、該データ処理手段は、車両コンポーネントの及び/或いはアセンブリの及び/或いは車両を描写する情報を提供する。加えて、必要なメンテナンスの推奨やあり得るエラー原因に関するヒントも提供されることができる。これらの情報は、ドライバー又は車両オーナーのみならず整備工場又は検査場のサービス人員に提供されることができる。これらの情報は、例えば、PC、タブレット、或いは、スマートフォンに表示することができる。
【0016】
本発明に係るシステムがあれば、車両コンポーネントの及び/或いは車両コンポーネントのアセンブリの及び/或いは車両全体の状態を割り出すために必要な計算キャパシティは、システムのバックエンド側のサーバ・コンピュータに委託することができる。バックエンド内で用いられるサーバ・コンピュータは、個々の車両が、車両コンポーネントの状態の評価を自ら実施するよりも、より高度、且つ、通常、より安価な計算能力を提供することができる。
【0017】
車両データの捕捉のみが、システムのクライアント側において車両内にある車両の制御コンピュータによって自ら実施される。捕捉された車両データは、車両内のクライアント側、乃至、システムのバックエンド側のサーバ・コンピュータによって、該サーバ・コンピュータによってそれを評価でき、それを分析することによって区別できる車両システム状態を、割り出すことができる様に統合される。
【0018】
該システムは、車両及び内部システムの賢い監視を可能にしている、言い換えれば、個々の車両コンポーネント/構成部品、乃至、複雑なアセンブリが、交通安全性を満たし、且つ、定められている法規に適合しているか否かを監視することを可能にしている。加えて該システムは、個々の車両構成部品の状態のみならず、アセンブリの状態を、オンライン評価することを可能にしている。この様に、該システムは、車両の状態を判定する手助けを提供し、更には、エラーを解決することにより、或いは、車両システムをオフにする/非活性化させるなど、講じられた対策によって、交通安全性の向上も提供している。
【0019】
個々の車両コンポーネント及び/或いは複数の車両コンポーネントからなるアセンブリ及び/或いは車両全体の状態に関するメッセージ乃至情報、或いは、指摘や助言は、車両外部のシステムのユーザから使用されるシステムのフロントエンド側に出力されることができる。これには、例えば、スマートフォン、タブレット、或いは、卓上PCなどが含まれる。ユーザ・フロントエンドは、例えば、車載・マルチメディアシステムに内蔵されていることも可能である。この様なケースでは、一つの車両コンポーネントの及び/或いは一つのアセンブリの及び/或いは車両全体の状態を示す情報、或いは、その他の指摘や助言は、車両内のマルチメディアシステムのディスプレイ上に表示される。
【0020】
サーバ・コンピュータから伝達された状態情報は、システムのフロントエンド側に、遠隔検査や公的検査官による車両の検査用の基本事項としても使用可能である。システムのバックエンド側のサーバ・コンピュータによるデータ分析をベースに、デジタル化されたエキスパート知識、並びに、車両システムの全ライフサイクルに渡る遠隔監視や遠隔評価の継続的改善により、摩耗や起こり得るエラーに関する予測を高い信頼性を持って実施することが可能である。
【0021】
バックエンド側においてサーバ・コンピュータによって割り出された評価結果は、数多くのサービスにおいて使用可能である。これには、例えば、「優良な車両メンテナンス」のための保険ボーナスシステムも含まれる。加えて、該システムを、フリートマネージメントシステム及びリース・システムにおいて、車両の価値を、必要なメンテナンスの予測によって評価するために、並びに、車両システムの状態を、車両の継続的なフィールド監視によって評価し改善するために、用いることもできる。
【0022】
以下本発明を、システムの実施例に基づいて詳しく説明する。図の説明:
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、車両コンポーネントの状態を捕捉するためのシステムの実施形態を、
図2図2は、機能や起こり得るエラーを基にしたアセンブリ乃至個々の車両コンポーネントの状態評価の分類を、
図3図3は、車両システムのアセンブリと個々の車両コンポーネントへの分類例を、
図4図4は、システムの様々な用途の車両コンポーネントの状態の分級を示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
車両コンポーネントの状態を捕捉するためのシステム1のアーキテクチャは、図1に示されている。システムは、システムのバックエンド側にサーバ・コンピュータ100を、システムのクライアント側に、車両コンポーネント210を備えた車両200を包含している。車両200は、例えば、道路用の或いは線路用の車両、例えば、自動車や列車、或いは、その他の車両であることができる。該車両200は、車両コンポーネント210を制御し、且つ、該車両コンポーネント210の状態が記載されている車両データFDを捕捉するための制御ユニット220を包含している。車両は、車両データFDを、システムのバックエンド側のサーバ・コンピュータ100へ伝達するためのデータ伝達手段230を包含している。
【0025】
該サーバ・コンピュータ100は、車両データFDを受信し、該車両データを評価できるように構成されている。特に、該サーバ・コンピュータ100は、車両データFDの評価により、車両コンポーネント210の状態を割出すことができる様に構成されている。
【0026】
システム1の更なる実施形態によれば、サーバ・コンピュータ100は、車両データFDの評価によって車両の認証を実施できる様に構成されている。これは、各々の車両用の車両データは、各々異なっており、車両の「指紋」であることにより実現している。この様に車両の認証が可能になったことにより、好ましいことに、車両データのみならず、例えば、他の車両に対してライセンスが与えられている機能の認可されていない使用など車両システムに対する偽造や改竄を発見することもできる様になる。
【0027】
システム1のクライアント側の制御コンピュータ220は、車両データが、車両コンポーネント210とは別の更なる車両コンポーネント210‘の状態も記述する様に、該車両データFDを捕捉する様に構成されている。即ち、システムのバックエンド側のサーバ・コンピュータ100は、車両データFDを評価することにより、車両コンポーネント210の状態のみならず、数多くの他の車両コンポーネント210‘の状態をも割り出すことができる様に構成されている。
【0028】
加えて、サーバ・コンピュータ100は、車両コンポーネント210並びに更なる車両コンポーネント210‘からなるアセンブリ240の状態、乃至、車両200全体の状態を割出すことができる様にも構成されている。サーバ・コンピュータ100は、個々の車両コンポーネントの車両データを個別に考慮するだけではない。実際は、車両コンポーネントの、或いは、多数の車両コンポーネントからなるアセンブリの緊急挙動を得ることができる様に複数の車両コンポーネント210、210‘を総合的に考慮している。
【0029】
車両コンポーネント210は、車両コンポーネントが、制御コンピュータによって捕捉するための、車両データを提供する様に、能動的な部品として構成されていることができる。この様に能動的な部品は、その状態を自ら捕捉し、該状態を表す車両データを制御コンピュータ220に伝達することができる。少なくとも一つの更なる車両コンポーネント210‘は、受動的部品として構成されていることができ、該更なる車両コンポーネントは、車両データを提供しない。よって、受動的部品は、その状態を示す車両データを制御コンピュータ220に提供しない。該システムのある可能な実施形態によれば、サーバ・コンピュータ100は、伝達されて来た車両データFDの評価により、他の(受動的な)車両コンポーネント210‘の状態を割り出すことができる様に構成されている。これにより、車両内において能動的な車両コンポーネントによって捕捉される状態データは、サーバ・コンピュータ100によって、受動的な部品の状態を、間接的に捕捉し、評価するために用いられる。
【0030】
システム1の可能な実施形態によれば、該サーバ・コンピュータ100は、特に好ましくは、車両データFDの評価により、交通適正、及び/或いは、例えば、法的に定められている交通安全に関わる要求事項などの適合要求事項に関する車両コンポーネント210の及び/或いは様々な車両コンポーネントのアセンブリ240の及び/或いは車両200全体の状態、及び/或いは、メンテナンス状態、及び/或いは、完全性、及び/或いは、安全性要求を満たしているか否かを割り出す、乃至、評価することができる様に構成されている。これは、サーバ・コンピュータ100が、システムのバックエンド側の高性能コンピュータとして構成されていることによって実現されている。
【0031】
システムのクライアント側の制御コンピュータ220は、車両200内に配置される一つ乃至複数の計算プロセッサを有していることができる。制御コンピュータ220は、システムのバックエンド側のサーバ・コンピュータにより、車両の交通適正、メンテナンス状態、完全性、そして、総合的安全性を評価するために必要な多数の車両コンポーネントの全ての車両データを捕捉することができる様に構成されている。
【0032】
車両データは、システムのクライアント側において、測定システムの、乃至、例えば、加速センサ、ジャイロスコープ、車輪回転数センサ、圧力センサ、温度センサ、トルクセンサなどのセンサシステムの同期されたシグナルとして、車両内部で得られる。サーバ・コンピュータ100用に車両データを同期して提供することは、捕捉された車両データにタイムスタンプを与えることによって実現され、これにより、バックエンド側のサーバ・コンピュータ100は、伝達されて来た車両データを経時的に正しく整理することができる。
【0033】
該車両データは、フィルターをかけない生データとしてのみならず、例えば、フィルターや他の方法によって前処理され変更された、或いは、バンド幅を削減するために圧縮された形で、サーバ・コンピュータ100に伝達されることができる。該車両データは、制御コンピュータ220から、例えば、定まったスタンダード(LTE、G5など)の無線などのデータ伝達手段230を用いて、システムのバックエンド側のサーバ・コンピュータ100へ伝達されることができる。その際、該車両データは、継続的に、或いは、サーバ・コンピュータ100による前もった要求の後に、制御コンピュータ220からシステムのバックエンド側へ伝達されることができる。
【0034】
システムのある可能な実施形態によれば、サーバ・コンピュータ100は、車両コンポーネント210の及び/或いは様々な車両コンポーネントのアセンブリ240の割り出された状態に応じて、及び/或いは、車両200の割り出された状態に応じて、コマンドシグナルKSを作成し、該コマンドシグナルKSを車両200へ伝達できる様に構成されている。クライアント側のデータ伝達手段230は、コマンドシグナルKSを受信できるように構成されている。そのため、該制御コンピュータ220は、コマンドシグナルKSに応じて、車両コンポーネント210及び/或いはアセンブリ240の状態を変化させる様に構成されている。
【0035】
そのために、車両コンポーネントの及び/或いは複数の車両コンポーネントからなるアセンブリの及び/或いは車両全体の状態の評価に応じて、サーバ・コンピュータ100から、車両200の交通安全性を確保するために、システムのクライアント側において対策を講じることができる。講じられる対策には、例えば、車両コンポーネントのエラー解除を実施するための対抗策の実施、特定の車両機能、例えば、自動化された走行機能などの制御下における停止、ソフトウェア更新の実施、ある特定のモータのオン/オフなどが、含まれている。
【0036】
該システムの更なる実施形態によれば、サーバ・コンピュータ100は、車両コンポーネント210の及び/或いはアセンブリ240の及び/或いは車両200の割り出された状態に応じて、車両コンポーネントの及び/或いはアセンブリの及び/或いは車両全体の状態の記述を包含する状態説明シグナルZSを作成する様に構成されていることができる。
【0037】
サーバ・コンピュータ100は、状態説明シグナルZSを、車両200へ伝達する様に構成されていることができる。加えて、車両内のデータ伝達手段230は、状態説明シグナルZSを受信する様に構成されていることができる。
【0038】
システム1のフロントエンド側には、表示手段250が、車両200内に配置されていることができる。そのため、該制御コンピュータ200は、状態説明シグナルZSに応じて、メッセージを表示手段250に表示できるように構成されている。これにより例えば、車両200内部のオン・ボード・システムに、サーバ・コンピュータ100による車両データの分析及び評価に係るメッセージを表示することができる。
【0039】
ある実施形態によれば、該サーバ・コンピュータ100は、伝達された車両データを、一定の(長い)期間、保存できるように構成されていることができる。該サーバ・コンピュータ100は、特に好ましくは、その期間中に保存された車両データFDを評価することにより、車両のプロファイルを特徴付けるデータを作成する様に構成さていることができる。該車両プロファイルを特徴付けるデータは、車両コンフィグレーション固有のデータ、及び/或いは、ユーザ固有のデータ、及び/或いは、摩耗固有のデータ、及び/或いは、車両コンポーネント及び/或いはアセンブリの動的な挙動を記述するデータを包含していることができる。
【0040】
即ち、該サーバ・コンピュータ100によって、車両200から継続的に伝達される車両ヒストリーを反映しそれを基に車両プロファイルを割り出すことができる車両データが、収集される。多数の車両200の記録された車両データと車両プロファイルを特徴付けるデータは、サーバ・コンピュータ100から、システムのバックエンド側に保存され、更新されることができる。
【0041】
サーバ・コンピュータ100は、伝達された車両データFDを、ある一定の(長い)期間保存された車両データ及び/或いは車両プロファイルを特徴付けるデータと比較し、この比較から、車両コンポーネント210及び/或いはアセンブリ240及び/或いは車両200の状態を割り出す様に構成されている。最も新しく受信された車両データの評価すること、並びに、該最新のデータと、バックエンド側に保存されている記録されたヒストリー的且つ車両固有のデータを比較することにより、サーバ・コンピュータ100は、個々の車両コンポーネント、乃至、アセンブリの完全性を評価することができる。更には、コンポーネントが不具合を起こす確率、車両コンポーネントのクリティカルな摩耗状態、或いは、車両コンポーネントに対する不要な改竄を、サーバ・コンピュータ100が割り出すことができる。
【0042】
車両コンポーネント乃至アセンブリのクリティカルな事象、例えば、摩耗、改竄、或いは、不具合が割り出された場合、対応するコマンドシグナルKS、乃至、状態説明シグナルZSを、システムのクライアント側の制御コンピュータ220へ伝達することができる。
【0043】
ある可能な実施形態によれば、システムのフロントエンド側のシステム1は、サーバ・コンピュータ100外、且つ、車両200外に配置されているデータ処理手段300を有している。該データ処理手段300は、状態説明シグナルZSを受信し、該状態説明シグナルに応じて、情報を提供するように構成されている。状態説明シグナルZSを用いれば、サーバ・コンピュータ100によって、用途に応じてシステム1のフロントエンド側へ伝達される情報を構造化し、準備することが可能になる。
【0044】
システムのフロントエンド側の該データ処理手段300は、例えば、ユーザのスマートフォン、タブレット、或いは、PCであることができる。状態説明シグナルZSに依存して、この様な装置上に、一つの車両コンポーネントの及び/或いは一つのモジュールの及び/或いは車両全体の状態に関する情報を表示することができる。加えて、それら以上の、車両メンテナンスや不具合を直すための可能な対策に関する情報、或いは、推奨される車両サービスなどに関する情報を表示することも可能である。
【0045】
該情報は、システムのフロントエンド側において、データ処理手段300を介して、ドライバー或いは車両オーナー、或いは、整備工場のサービス担当者、或いは、認証を受けた検査機関の公的な検査官に対して表示されることができる、或いは、提供されることができる。即ち、システムのフロントエンド側のデータ処理手段300は、車両検査、特に、収集された車両データを基にした車両の遠隔検査、及び、公的な検査機関によるそれらの分析に用いられることが可能である。この様な車両検査を実施するために、サーバ・コンピュータ100からは、全ての安全に関与する車両コンポーネントの状態変化が監視される。
【0046】
システム1のある可能な実施形態によれば、該サーバ・コンピュータ100は、車両コンポーネント210及び/或いはアセンブリ240の予測される挙動を特徴付けるデータを算出する様に構成されている。サーバ・コンピュータ100は、車両コンポーネント210の及び/或いはアセンブリ240の及び/或いは車両200の状態を、サーバ・コンピュータ100が、予測される挙動を特徴付けるデータと伝達された車両データFDと比較することによって割り出す様に構成されている。
【0047】
様々な車両コンポーネントの実際に起こって計測された挙動は、サーバ・コンピュータ100によって、車両200から伝達された車両データFDから割り出されることができる。予測される挙動も同様に、伝達された車両データFDから、サーバ・コンピュータ100によって、数学的なモデルを用いて割り出される。該数学的なモデルは、個々の車両コンポーネントの過渡応答、及び、それら互いのカップリングを記述するものであることが特に好ましい。
【0048】
この様な数学的モデルは、車両コンポーネントの物理的特性及びそれらの相互作用から作成されることができる。数学的モデルを抽出するための更なる方法では、基準車両システムの測定された車両データが、機械学習技術の助けを借りて評価される。加えて、車両コンポーネントの過渡応答における不具合の既知の物理的効果に基づいたモデルを、個々の車両コンポーネント、乃至、アセンブリ全体のエラーを検出し、分級するために用いることも可能である。
【0049】
図2は、交通安全性に対するアセンブリ全体の機能の評価、乃至、アセンブリの個別のコンポーネントの機能の場合によっては必要となるメンテナンスに関する評価の、システムのサーバ側のサーバ・コンピュータ100を用いた評価方法を明示している。伝達された車両データのサーバ側における更なる評価により、先ずは、特定の車両コンポーネントの具体的なエラーを割り出すことができる。
【0050】
図3は、車両の個々の車両アセンブリ及び車両コンポーネントへの区分を明示している。
【0051】
あるコンポーネントの検出されたエラーに依存して、サーバ・コンピュータから、検出されたエラーを解除するための対策を開始するためのコマンドシグナル、或いは、メンテナンスアドバイスを、システムのクライアント側の制御コンピュータ220へ伝達する。特に、連鎖的な数学的モデルを使用する場合、サーバ・コンピュータから、アセンブリ乃至それのコンポーネントの状態、並びに、予想されるエラー原因を割出し、評価することが可能になる。
【0052】
特定の車両コンポーネント乃至アセンブリが取り得る挙動の評価と、対応する車両コンポーネント乃至アセンブリの測定された挙動及びエラーパターンの具体的な検出との比較は、有利なことに、次に予定されている定期的な車両検査を遅らせることが可能か、或いは、どの様なメンテナンスが必要であるか、或いは、検出された状態では、車両の走行を早急な制限乃至停止が必要であるか否かに関する情報を与える。
【0053】
車両データを分析する際の車両コンポーネント或いは測定システムの公差を、システムのバックエンド側において考慮するためには、車両のライフサイクルの開始時点において、或いは、コンフィグレーションを変更した後に、システムのトレーニングが必要である。これにより、個々の車両から供給される車両データの分析と評価の際に、車両コンポーネントの挙動に関する公差を個別に考慮できる。加えて、該システムを、車両の製造プロセスの最終段階において、車両コンポーネントの定められている機能を証明するためにも用いることができる。
【0054】
システムから提供された車両コンポーネント及び/或いは複数の車両コンポーネントからなるアセンブリの状態、状態変化、或いは、エラー状態に関する情報は、様々な用途に用いることが可能である。図4は、システムから提供された情報を、メーカ、立法機関、或いは、ドライバーの側において、どの様に使用できるかを例示している。
【0055】
車両コンポーネント及び/或いはアセンブリの割り出された状態変化を、車両メーカは、例えば、推奨される車両のモードを定めるために用いることができる。立法機関は、システムから提供された故障の分級(例えば、KM = 不具合無し、GM = 軽微な不具合、EM = 重大な不具合、VM = 危険な不具合、VU = 交通安全を損なう状態など)に応じて、道路交通において車両を運転するための認可認証を与える、乃至、取り消すことができる。エラーは、システムによって割り出された車両コンポーネント及び/或いはアセンブリのエラー状態に応じて、許可できる車両の走行モードを定めることができる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】