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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-15
(54)【発明の名称】荷電粒子光学デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/244 20060101AFI20240105BHJP
   H01J 37/12 20060101ALI20240105BHJP
   H01J 37/248 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
H01J37/244
H01J37/12
H01J37/248 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023537430
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(85)【翻訳文提出日】2023-08-04
(86)【国際出願番号】 EP2021085984
(87)【国際公開番号】W WO2022136064
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】20216927.2
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21174518.7
(32)【優先日】2021-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21191729.9
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ウィーラント,マルコ,ジャン-ジャコ
(72)【発明者】
【氏名】マングナス,アルベルタス,ヴィクター,ゲラルドス
【テーマコード(参考)】
5C101
【Fターム(参考)】
5C101AA03
5C101EE03
5C101EE13
5C101EE14
5C101EE17
5C101EE27
5C101EE34
5C101EE51
5C101EE57
5C101EE59
5C101EE65
5C101EE66
5C101EE68
5C101FF02
5C101GG05
(57)【要約】
本発明は、荷電粒子サブビームをサブビーム経路に沿ってサンプルまで加速させることと、二次荷電粒子を検出器アレイからはじくことと、主に荷電粒子を検出するためのモード及び主に二次粒子を検出するためのモード間で切り替わり得るデバイス及び検出器を提供することとを含む、後方散乱荷電粒子を検出するための様々な技術を提供する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子評価ツールのための荷電粒子光学デバイスであって、荷電粒子のマルチビームをサブビーム経路に沿ってサンプルに向かって投影し、前記マルチビームは、サブビームを含み、前記デバイスは、
荷電粒子サブビームのアレイを前記サンプル上に投影する対物レンズアレイであって、前記荷電粒子サブビームのアレイの前記サブビーム経路にわたって配置される対物レンズアレイ、
前記対物レンズアレイのアップビームに位置付けられた制御レンズアレイであって、各制御レンズは、それぞれの対物レンズに関連付けられる、制御レンズアレイ、及び
前記サンプルに近接し、及び前記サンプルから放出された荷電粒子を捕捉する検出器アレイ
を含み、前記荷電粒子光学デバイスは、前記サンプルから放出された二次荷電粒子を前記検出器から離れるようにはじく、荷電粒子光学デバイス。
【請求項2】
前記対物レンズは、前記荷電粒子サブビームを前記サブビーム経路に沿って加速させる、請求項1に記載の荷電粒子光学デバイス。
【請求項3】
前記検出器アレイは、使用時に電位を有し、及び前記サンプルは、使用時に電位を有し、前記サンプル電位は、前記検出器アレイ電位よりも正である、請求項1又は2に記載の荷電粒子光学デバイス。
【請求項4】
前記サンプル電位と前記検出器アレイ電位との間の電位差は、二次電子閾値より大きい、請求項3に記載の荷電粒子光学デバイス。
【請求項5】
前記対物レンズアレイは、アパーチャアレイが画定される少なくとも2つの電極を含み、前記少なくとも2つの電極内の対応するアパーチャは、サブビーム経路と位置合わせされ、及びそれに沿って配置され、望ましくは、前記検出器アレイは、前記少なくとも2つの電極の1つの上に若しくはそれに隣接して提供されるか、又はそれに一体化され得る、請求項1~4のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【請求項6】
前記少なくとも2つの電極の第1の電極は、前記少なくとも2つの電極の第2の電極のアップビームにあり、前記第1の電極は、使用時に第1の電極電位を有し、及び前記第2の電極は、使用時に第2の電極電位を有し、前記第2の電極電位は、前記第1の電極電位よりも正であり、望ましくは、前記検出器アレイは、前記第2の電極、望ましくは前記少なくとも2つの電極の最もダウンビームの電極上若しくはその中に位置付けられるか、又はそれと一体的である、請求項5に記載の荷電粒子光学デバイス。
【請求項7】
前記サンプルは、使用時にある電位にあり、前記サンプル電位は、前記第2の電極電位よりも正である、請求項6に記載の荷電粒子光学デバイス。
【請求項8】
隣接する電極を分離する絶縁構造をさらに含み、前記絶縁構造は、本体及び前記本体の半径方向内向きの突起を含み、前記本体は、第1の側及び第2の側を有し、前記第2の側は、前記第1の側に対向し、前記電極の1つは、前記絶縁構造の前記第1の側で前記本体及び前記突起に接触し、及び前記本体は、前記絶縁構造の前記第2の側で前記電極の別のものに接触し、ギャップは、前記突起と前記電極の前記別のものとの間に画定される、請求項5~7のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【請求項9】
前記制御レンズアレイは、それぞれの制御レンズと、対応する対物レンズとの間に中間焦点を提供する、請求項1~8のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【請求項10】
前記制御レンズアレイは、前記荷電粒子サブビームを前記サブビーム経路に沿って減速させる、請求項1~9のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【請求項11】
前記検出器アレイは、二次荷電粒子より多くの後方散乱荷電粒子を検出する、請求項1~10のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【請求項12】
前記検出器アレイは、前記サンプルの約10μm~50μmに位置付けられる、請求項1~11のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【請求項13】
使用時に前記対物レンズアレイの前記少なくとも1つの電極及び/又は前記サンプルに電位を印加する電源をさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【請求項14】
後方散乱荷電粒子を検出するための荷電粒子評価ツールを動作させる方法であって、
a)荷電粒子のマルチビームを、制御レンズアレイ及び次に対物レンズアレイを通して、前記対物レンズアレイにわたる荷電粒子サブビームのアレイでサンプル表面に向かって投影すること、
b)閾値未満のエネルギーを有する前記マルチビームに応答して前記サンプルから発散する荷電粒子をはじくこと、及び
c)前記サンプルから放出され、及び少なくとも前記閾値のエネルギーを有する荷電粒子を、前記サンプルに近接して位置付けられた検出器アレイを使用して検出すること
を含む方法。
【請求項15】
前記はじくことは、少なくとも前記検出器アレイを使用する、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、参照によりその全体が本明細書に援用される、2020年12月23日に出願された欧州特許出願公開第20216927.2号、2021年5月18日に出願された欧州特許出願公開第21174518.7号及び2021年8月17日に出願された欧州特許出願公開第21191729.9号の優先権を主張する。
【0002】
[0002] 本明細書で提供される実施形態は、概して、対物レンズアセンブリ、荷電粒子光学デバイス、検出器、検出器アレイ及び方法に関し、具体的には、荷電粒子の複数のビーム(例えば、サブビーム)を使用する対物レンズアセンブリ、荷電粒子光学デバイス、検出器、検出器アレイ及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 半導体集積回路(IC)チップを製造する際、例えば光学効果及び偶発的粒子の結果として、望ましくないパターン欠陥が製作プロセス中に基板(即ちウェーハ)又はマスク上で不可避的に生じ、それにより歩留まりが低下する。従って、望ましくないパターン欠陥の程度をモニタリングすることは、ICチップの製造において重要なプロセスである。より一般的には、基板又は他の物体/材料の表面の検査及び/又は測定は、その製造中及び/又は製造後において重要なプロセスである。
【0004】
[0004] 荷電粒子ビームを用いたパターン検査ツールは、物体を検査するため、例えばパターン欠陥を検出するために使用されてきた。これらのツールは、一般的に、走査電子顕微鏡(SEM)などの電子顕微鏡法技術を使用する。SEMでは、比較的高いエネルギーの電子の一次電子ビームが、比較的低い着地エネルギーでサンプル上に着地するために、最終減速ステップでターゲットにされる。電子ビームは、サンプル上にプロービングスポットとして集束される。プロービングスポットにおける材料構造と、電子ビームからの着地電子との相互作用により、二次電子、後方散乱電子又はオージェ電子などの電子が表面から放出される。発生した二次電子は、サンプルの材料構造から放出され得る。サンプル表面にわたり、プロービングスポットとして一次電子ビームを走査することにより、サンプルの表面にわたって二次電子を放出させることができる。サンプル表面からのこれらの放出二次電子を収集することにより、パターン検査ツールは、画像と呼ばれ得、また画像内に描画され得るデータを取得し得る。この画像は、サンプルの表面の材料構造の特徴を表す。
【0005】
[0005] このように取得された画像は、有用であり得るが、このような既知の電子顕微鏡検査法技術からサンプルに関して取得される情報には制限がある。一般的に、追加的又は代替的な情報、例えばサンプルの表面下の構造に関係する情報及びオーバーレイターゲットに関係する情報を取得する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本開示の目的は、荷電粒子を使用して、例えば後方散乱荷電粒子を使用してサンプルから情報を取得することを支援する実施形態を提供することである。
【0007】
[0007] 本発明の第1の態様によると、荷電粒子評価ツールのための荷電粒子光学デバイスが提供され、このデバイスは、荷電粒子のマルチビームをサブビーム経路に沿ってサンプルに向かって投影するように構成され、マルチビームは、サブビームを含み、デバイスは、荷電粒子サブビームのアレイをサンプル上に投影するように構成された対物レンズアレイであって、荷電粒子サブビームのアレイのサブビーム経路にわたって配置される対物レンズアレイと、対物レンズアレイのアップビームに位置付けられた制御レンズアレイであって、各制御レンズは、それぞれの対物レンズに関連付けられる、制御レンズアレイと、サンプルに近接するように構成され、及びサンプルから放出された荷電粒子を捕捉するように構成された検出器アレイとを含み、荷電粒子光学デバイスは、サンプルから放出された二次荷電粒子を検出器から離れるようにはじくように構成される。
【0008】
[0008] 本発明の第2の態様によると、後方散乱荷電粒子を検出するための荷電粒子評価ツールを動作させる方法が提供され、この方法は、a)荷電粒子のマルチビームを、制御レンズアレイ及び次に対物レンズアレイを通して、対物レンズアレイにわたる荷電粒子サブビームのアレイでサンプル表面に向かって投影すること、b)閾値未満のエネルギーを有するマルチビームに応答してサンプルから発散する荷電粒子をはじくこと、及びc)サンプルから放出され、及び少なくとも閾値のエネルギーを有する荷電粒子を、サンプルに近接して位置付けられた検出器アレイを使用して検出することを含む。
【0009】
[0009] 本開示の上記及び他の態様は、添付の図面と併せた例示的な実施形態の説明からより明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】[0010]例示的な荷電粒子ビーム検査装置を示す概略図である。
図2】[0011]図1の例示的な荷電粒子ビーム検査装置の一部である例示的なマルチビーム装置を示す概略図である。
図3】[0012]一実施形態による例示的なマルチビーム装置の概略図である。
図4】[0013]一実施形態による例示的な荷電粒子光学デバイスの概要図である。
図5】[0014]一実施形態による検査装置の対物レンズの概略断面図である。
図6】[0015]代替実施形態による検査装置の対物レンズの概略断面図である。
図7】[0016]図5又は図6の対物レンズの底面図である。
図8】[0017]図5又は図6の対物レンズの変更形態の底面図である。
図9】[0018]図5又は図6の対物レンズに組み込まれた検出器の拡大概略断面図である。
図10】[0019]一実施形態で使用される絶縁構造の概略断面図である。
図11】[0019]一実施形態で使用される絶縁構造の概略断面図である。
図12】[0019]一実施形態で使用される絶縁構造の概略断面図である。
図13A】[0020]修正された検出器の底面図である。
図13B】[0020]修正された検出器の底面図である。
図14】[0021]図13の修正された検出器を使用する、図5又は図6の対物レンズの底面図である。
図15】[0022]図13の修正された検出器を使用する、図5又は図6の対物レンズ内に組み込まれた検出器の拡大概略断面図である。
図16】[0023]マクロコリメータ及びマクロ走査偏向器を含む例示的な電子光学システムの概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0024] これらの概略図は、以下で説明されるコンポーネントを示す。しかし、図に描写されるコンポーネントは、原寸に比例していない。
【0012】
[0025] ここで、例示的な実施形態を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。以下の説明は、添付の図面を参照し、別段の表示がない限り、異なる図面における同一の番号は、同一又は類似の要素を表す。例示的な実施形態の以下の説明に記載される実装形態は、本発明と一致するすべての実装形態を表すわけではない。代替的に、それらの実装形態は、添付の請求項において記述されるように、本発明に関連する態様と一致する装置及び方法の単なる例である。
【0013】
[0026] デバイスの物理的サイズを減少させる、電子デバイスの計算能力の向上は、ICチップ上のトランジスタ、キャパシタ、ダイオードなどの回路コンポーネントの実装密度を大幅に増加させることによって達成することができる。これは、さらに小さい構造の作製を可能にする分解能の向上によって可能にされてきた。例えば、親指の爪の大きさであり、2019年以前に利用可能なスマートフォンのICチップは、20億を超えるトランジスタを含むことができ、各トランジスタのサイズは、人間の毛髪の1/1000未満である。従って、半導体IC製造が、数百の個々のステップを有する、複雑で時間のかかるプロセスであることは、驚くべきことではない。1つのステップのエラーであっても、最終製品の機能に劇的に影響を与え得る。1つのみの「致命的欠陥」がデバイスの故障を生じさせ得る。製造プロセスの目標は、プロセスの全体的な歩留まりを向上させることである。例えば、50のステップを有するプロセス(ここで、ステップは、ウェーハ上に形成される層の数を示し得る)に関して75%の歩留まりを得るために、個々のステップは、99.4%を超える歩留まりを有しなければならない。個々のそれぞれのステップが95%の歩留まりを有した場合、全体的なプロセス歩留まりは、7%と低い。
【0014】
[0027] ICチップ製造設備において、高いプロセス歩留まりが望ましい一方、1時間当たりに処理される基板の数と定義される高い基板(即ちウェーハ)スループットを維持することも必須である。高いプロセス歩留まり及び高い基板スループットは、欠陥の存在による影響を受け得る。これは、欠陥を調査するためにオペレータの介入が必要な場合に特に当てはまる。従って、検査ツール(走査電子顕微鏡(「SEM」)など)によるマイクロスケール及びナノスケール欠陥の高スループット検出及び識別は、高い歩留まり及び低いコストを維持するために必須である。
【0015】
[0028] SEMは、走査デバイス及び検出器装置を含む。走査デバイスは、一次電子を発生させるための電子源を含む照明装置と、一次電子の1つ又は複数の集束ビームで基板などのサンプルを走査するための投影装置とを含む。共に、少なくとも照明装置又は照明システム及び投影装置又は投影システムは、合わせて電子光学系又は装置と呼ばれ得る。一次電子は、サンプルと相互作用し、二次電子を発生させる。検出装置は、SEMがサンプルの走査エリアの画像を生成できるように、サンプルが走査されるとき、サンプルからの二次電子を捕捉する。高スループットの検査のために、検査装置の一部は、一次電子の複数の集束ビーム、即ちマルチビームを使用する。マルチビームの成分ビームは、サブビーム又はビームレットと呼ばれ得る。マルチビームは、サンプルの異なる部分を同時に走査することができる。従って、マルチビーム検査装置は、単一ビーム検査装置よりもはるかに高速でサンプルを検査することができる。
【0016】
[0029] 既知のマルチビーム検査装置の実装形態を以下に説明する。
【0017】
[0030] 図は、概略図である。従って、図面では、コンポーネントの相対寸法は、明瞭にするために拡大される。以下の図面の説明では、同じ又は同様の参照番号は、同じ又は同様のコンポーネント又はエンティティを指し、個々の実施形態に対する違いのみを説明する。説明及び図面は、電子光学システムを対象とするが、実施形態は、本開示を特定の荷電粒子に限定するために使用されないことが理解される。従って、本明細書全体を通して、電子への言及は、より一般的に荷電粒子への言及であると見なすことができ、荷電粒子は、必ずしも電子ではない。
【0018】
[0031] ここで、図1を参照すると、図1は、例示的な荷電粒子ビーム検査装置100を示す概略図である。図1の荷電粒子ビーム検査装置100は、メインチャンバ10、装填ロックチャンバ20、電子ビームツール40、機器フロントエンドモジュール(EFEM)30及びコントローラ50を含む。電子ビームツール40は、メインチャンバ10内に位置する。
【0019】
[0032] EFEM30は、第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bを含む。EFEM30は、追加的な1つ又は複数の装填ポートを含み得る。第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bは、例えば、基板(例えば、半導体基板若しくは他の材料でできている基板)又は検査対象のサンプル(以降では、基板、ウェーハ及びサンプルは、まとめて「サンプル」と呼ばれる)を収容する基板前面開口式一体型ポッド(FOUP)を受け取り得る。EFEM30内の1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)は、サンプルを装填ロックチャンバ20に運ぶ。
【0020】
[0033] 装填ロックチャンバ20は、サンプルの周囲の気体を取り除くために使用される。これは、周囲環境の圧力より低い局所気体圧力である真空を生じさせる。装填ロックチャンバ20は、装填ロック真空ポンプシステム(図示せず)に接続され得、装填ロック真空ポンプシステムは、装填ロックチャンバ20内の気体粒子を取り除く。装填ロック真空ポンプシステムの動作により、装填ロックチャンバが、大気圧を下回る第1の圧力に達することが可能になる。第1の圧力に達した後、1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)が装填ロックチャンバ20からメインチャンバ10にサンプルを運ぶ。メインチャンバ10は、メインチャンバ真空ポンプシステム(図示せず)に接続される。メインチャンバ真空ポンプシステムは、サンプルの周囲の圧力が、第1の圧力を下回る第2の圧力に達するように、メインチャンバ10内の気体粒子を取り除く。第2の圧力に達した後、サンプルは、電子ビームツール40に運ばれ、サンプルは、電子ビームツール40によって検査され得る。電子ビームツール40は、マルチビーム電子光学装置を含み得る。
【0021】
[0034] コントローラ50は、電子ビームツール40に電子的に接続される。コントローラ50は、荷電粒子ビーム検査装置100を制御するように構成されたプロセッサ(コンピュータなど)であり得る。コントローラ50は、様々な信号及び画像処理機能を実行するように構成された処理回路も含み得る。図1では、コントローラ50は、メインチャンバ10、装填ロックチャンバ20及びEFEM30を含む構造の外部のものとして示されているが、コントローラ50は、構造の一部であり得ることが理解される。コントローラ50は、荷電粒子ビーム検査装置のコンポーネント要素の1つの内部に位置し得るか、又はコントローラ50は、コンポーネント要素の少なくとも2つに分散され得る。本開示は、電子ビーム検査ツールを収納するメインチャンバ10の例を提供するが、本開示の態様は、広い意味において、電子ビーム検査ツールを収納するチャンバに限定されないことに留意すべきである。むしろ、前述の原理は、第2の圧力下で動作する装置の他のツール及び他の配置にも適用できることが理解される。
【0022】
[0035] ここで、図2を参照すると、図2は、図1の例示的な荷電粒子ビーム検査装置100の一部であるマルチビーム検査ツールを含む例示的な電子ビームツール40を示す概略図である。マルチビーム電子ビームツール40(本明細書では装置40とも呼ばれる)は、電子源201、投影装置230、電動ステージ209及びサンプルホルダ207を含む。電子源201及び投影装置230は、まとめて照明装置と呼ばれ得る。サンプルホルダ207は、検査のためにサンプル208(例えば、基板又はマスク)を保持するように電動ステージ209によって支持される。マルチビーム電子ビームツール40は、検出器アレイ240(例えば、電子検出デバイス)をさらに含む。
【0023】
[0036] 電子源201は、カソード(図示せず)及び抽出器又はアノード(図示せず)を含み得る。動作中、電子源201は、一次電子として電子をカソードから放出するように構成される。一次電子は、抽出器及び/又はアノードによって抽出又は加速されて、一次電子ビーム202を形成する。
【0024】
[0037] 投影装置230は、一次電子ビーム202を複数のサブビーム211、212、213に変換し、及び各サブビームをサンプル208上に誘導するように構成される。簡潔にするために3つのサブビームが示されているが、何十、何百又は何千ものサブビームが存在し得る。サブビームは、ビームレットと呼ばれ得る。
【0025】
[0038] コントローラ50は、電子放射源201、検出器アレイ240、投影装置230及び電動ステージ209など、図1の荷電粒子ビーム検査装置100の様々な部分に接続され得る。コントローラ50は、様々な画像及び信号処理機能を行い得る。コントローラ50は、荷電粒子マルチビーム装置を含む荷電粒子ビーム検査装置の動作を制御するための様々な制御信号を生成することもできる。
【0026】
[0039] 投影装置230は、検査のためにサブビーム211、212及び213をサンプル208上に集束させるように構成され得、サンプル208の表面に3つのプローブスポット221、222及び223を形成し得る。投影装置230は、サンプル208の表面の一セクション内の個々の走査エリアにわたってプローブスポット221、222及び223を走査するために、一次サブビーム211、212及び213を偏向させるように構成され得る。サンプル208上のプローブスポット221、222及び223への一次サブビーム211、212及び213の入射に応答して、二次電子及び後方散乱電子を含む電子がサンプル208から発生する。
【0027】
[0040] 二次電子は、通常、50eV以下の電子エネルギーを有する。実際の二次電子は、5eV未満のエネルギーを有し得るが、50eV未満の任意のエネルギーは、通常、二次電子で取り扱われる。後方散乱電子は、通常、0eVと、一次サブビーム211、212、213の着地エネルギーとの間の電子エネルギーを有する。50eV未満のエネルギーを有する検出された電子は、通常、二次電子として取り扱われるため、実際の後方散乱電子の一定割合が二次電子として計数される。二次電子は、より一般的には、二次荷電粒子と呼ばれ得、それと交換可能に使用される。後方散乱電子は、より一般的には、後方散乱荷電粒子と呼ばれ得、それと交換可能に使用される。後方散乱荷電粒子は、より一般的には、二次荷電粒子として記述され得ることを当業者は理解するであろう。しかし、本開示の目的のために、後方散乱荷電粒子は、二次荷電粒子と異なり、例えばより高いエネルギーを有すると考えられる。換言すれば、二次荷電粒子は、50eV以下の運動エネルギーを有する粒子であると理解され、後方散乱荷電粒子は、50eVより高い運動エネルギーを有する粒子であると理解される。二次荷電粒子及び後方散乱荷電粒子は、サンプルから放出される。サンプルから放出された荷電粒子、例えば二次電子及び後方散乱電子は、他に信号粒子、例えば二次信号粒子及び後方散乱信号粒子と呼ばれ得る。
【0028】
[0041] 検出器アレイ240は、二次電子及び/又は後方散乱電子を検出し、対応する信号を生成するように構成され、これらの信号は、例えば、サンプル208の対応する走査エリアの画像を構築するために、信号処理システム280に送られる。検出器アレイ240は、投影装置230に組み込まれ得る。
【0029】
[0042] 信号処理システム280は、画像を形成するために検出器アレイ240からの信号を処理するように構成された回路(図示せず)を含み得る。信号処理システム280は、他に画像処理システムと呼ばれ得る。信号処理システムは、マルチビーム電子ビームツール40のコンポーネント、例えば検出器アレイ240内に組み込まれ得る(図2に示すように)。しかし、信号処理システム280は、検査装置100又はマルチビーム電子ビームツール40の任意のコンポーネント内に例えば投影装置230又はコントローラ50の一部として組み込まれ得る。信号処理システム280は、画像取得器(図示せず)及びストレージデバイス(図示せず)を含み得る。例えば、信号処理システムは、プロセッサ、コンピュータ、サーバ、メインフレームホスト、端末、パーソナルコンピュータ、任意の種類のモバイルコンピューティングデバイスなど、又はそれらの組み合わせを含み得る。画像取得器は、コントローラの処理機能の少なくとも一部を含み得る。従って、画像取得器は、少なくとも1つ又は複数のプロセッサを含み得る。画像取得器は、数ある中でも特に、導電体、光ファイバケーブル、ポータブル記憶媒体、IR、Bluetooth、インターネット、ワイヤレスネットワーク、ワイヤレス無線機又はこれらの組み合わせなど、信号通信を可能にする検出器アレイ240に通信可能に結合され得る。画像取得器は、検出器アレイ240から信号を受信し、信号に含まれるデータを処理し、そこから画像を構築することができる。従って、画像取得器は、サンプル208の画像を取得することができる。画像取得器は、輪郭の生成及び取得画像へのインジケータの重畳などの様々な後処理機能を行うこともできる。画像取得器は、取得画像の明度及びコントラストなどの調整を行うように構成され得る。ストレージは、ハードディスク、フラッシュドライブ、クラウドストレージ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、他のタイプのコンピュータ可読メモリなどの記憶媒体であり得る。ストレージは、画像取得器と結合され得、走査された生の画像データをオリジナルの画像として保存するか、又は後処理された画像を保存するために使用され得る。
【0030】
[0043] 信号処理システム280は、検出された二次電子の分布を得るために、測定回路(例えば、アナログ-デジタル変換器)を含み得る。検出時間窓の間に収集された電子分布データは、サンプル表面に入射した一次サブビーム211、212及び213の各々の対応する走査パスデータと組み合わせて、検査中のサンプル構造の画像を再構築するために使用することができる。再構築された画像は、サンプル208の内部又は外部の構造の様々なフィーチャを明らかにするために使用することができる。従って、再構築された画像は、サンプルに存在し得るいかなる欠陥も明らかにするために使用することができる。
【0031】
[0044] コントローラ50は、サンプル208の検査中にサンプル208を移動させるように電動ステージ209を制御することができる。コントローラ50は、電動ステージ209が、少なくともサンプルの検査中、好ましくは継続的に例えば一定の速度である方向にサンプル208を移動させることを可能にし得る。コントローラ50は、電動ステージ209が、様々なパラメータに依存するサンプル208の移動の速度を変えるように、電動ステージ209の移動を制御することができる。例えば、コントローラ50は、走査プロセスの検査ステップの特性に応じて、ステージ速度(その方向を含む)を制御することができる。
【0032】
[0045] 上述の電子ビームツール40及び荷電粒子ビーム検査装置100などの既知のマルチビームシステムは、参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2020118784号、米国特許出願公開第20200203116号及び米国特許出願公開第2019/0259564号に開示されている。
【0033】
[0046] 既知の単一ビームシステムでは、理論上、様々な信号(例えば、二次電子からの信号及び/又は後方散乱電子からの信号)が検出され得る。マルチビームシステムが知られており、そのスループットは、単一ビームシステムを使用するときよりはるかに高くなり得、例えば、マルチビーム検査システムのスループットは、単一ビーム検査システムにおけるスループットより100倍高くなり得るために有益である。
【0034】
[0047] 既知のマルチビームシステムでは、比較的高いエネルギーにおける電子の一次電子ビームのアレイは、上述のように、二次荷電粒子の検出のための比較的低い着地エネルギーでサンプルに着地するために最終減速ステップでターゲットにされる。しかし、実際には、後方散乱検出と組み合わせて又は少なくとも直接後方散乱検出によりマルチビーム検査を使用することは、可能ではなかった。即ち、現在知られているマルチビームシステムは、主に二次電子の検出に依存する。
【0035】
[0048] 後方散乱電子は、大きい範囲のエネルギー、典型的には0eV~着地エネルギーを有する。後方散乱電子は、放出された後方散乱荷電粒子の大きい範囲のエネルギー(例えば、最大で一次電子ビームの着地エネルギー)及び広角度を有する。二次電子は、通常、より制限されたエネルギー範囲を有し、エネルギー値を中心に分散される傾向がある。放出された後方散乱荷電粒子の大きいエネルギー範囲及び広角度は、マルチビームシステムでクロストークを生じる。クロストークは、1つの一次サブビームから生じた後方散乱荷電粒子が、異なるサブビームに割り当てられた検出器で検出されると発生する。クロストークは、通常、サンプルの非常に近く、即ち一次ビームが投影されるサンプルに近接して発生する。クロストークに起因して、既知のマルチビーム評価ツールは、後方散乱信号を効果的に撮像することができなかった。結果として、マルチビームシステムを使用することにより後方散乱検出のスループットを増加させることが可能ではなかった。
【0036】
[0049] 上述のように、二次電子から取得され得る情報には幾つかの制限がある。後方散乱ビームに基づく撮像は、表面下の構造、例えば埋め込み欠陥に関する情報を提供する。追加的に、後方散乱信号は、オーバーレイターゲットを測定するために使用され得る。
【0037】
[0050] 様々な技術を通して、後方散乱荷電粒子の検出は、幾つかの機構を制御することによりマルチビームシステムに関して可能であることが分かった。従って、本発明では、後方散乱荷電粒子を検出することができる荷電粒子光学デバイスが提供される。後方散乱電子は、検出器アレイ240がサンプル208に近接して配置されることに起因して、本発明におけるマルチビームアレイを使用して検出され得る。サンプル208に近接している場合、検出器アレイ240は、サンプル208に面すると考えられ得る。本デバイスは、二次荷電粒子を検出器からはじくために使用され得、それは、後方散乱荷電粒子を撮像しようとする際に検出される二次荷電粒子を低減することが分かった。追加的又は代替的に、本デバイスは、高い着地エネルギーを有するアレイサブビームを生成するように電子をサンプル上に加速させるために使用され得ることが分かった。これは、より高い着地エネルギーが、埋め込み欠陥を検査し、オーバーレイターゲットを測定するためにサブビームが基板内のより深くに到達することを可能にするために有益である。
【0038】
[0051] 本発明で使用され得る評価ツール40のコンポーネントは、評価ツール40の概要図である図3に関連して以下に説明される。図3の荷電粒子評価ツール40は、マルチビーム電子ビームツール(本明細書では装置40とも呼ぶ)に対応し得る。
【0039】
[0052] 電子源201は、電子を、投影システム230の一部を形成する集光レンズ231のアレイ(他に集光レンズアレイと呼ばれる)に向かって誘導する。電子源201は、望ましくは、輝度と全放出電流との間の良好な妥協点を有する高輝度の熱電界放出器である。何十、何百又は何千もの集光レンズ231が存在し得る。集光レンズ231は、多電極レンズを含み得、欧州特許出願公開第1602121A1号に基づく構造を有し得、この文献は、特に電子ビームを複数のサブビームに分割するためのレンズアレイ(このアレイは、サブビーム毎に1つのレンズを提供する)の開示に関して参照により本明細書に組み込まれる。集光レンズ231のアレイは、電極として機能する少なくとも2つのプレートの形態を取り得、各プレートのアパーチャは、互いに位置合わせされ、サブビームの位置に対応する。プレートの少なくとも2つは、所望のレンズ効果を実現するために、動作中に異なる電位に維持される。
【0040】
[0053] ある構成では、集光レンズ231のアレイは、3つのプレートアレイから形成され、これらのプレートアレイでは、荷電粒子は、各レンズに入るときと、各レンズを出るときとで同じエネルギーを有し、この構成は、アインツェルレンズと呼ばれ得る。従って、分散は、アインツェルレンズ自体の内部(レンズの入口電極と出口電極との間)でのみ生じ、それによりオフアクシス色収差が制限される。集光レンズの厚さが薄い場合、例えば数mmである場合、そのような収差の影響は、小さいか又は無視できる。より一般的には、集光レンズアレイ231は、それぞれ位置合わせされたアパーチャアレイを有する2つ以上のプレート電極を有し得る。各プレート電極アレイは、絶縁素子、例えばセラミック又はガラスを含み得るスペーサにより、隣接するプレート電極アレイに機械的に接続され、及びそれから電気的に絶縁される。集光レンズアレイは、本明細書の他のいずれかの箇所で説明されるスペーサなどの絶縁素子により、隣接する電子光学素子、好ましくは静電電子光学素子に接続され得、及び/又はそれから離間され得る。
【0041】
[0054] 集光レンズは、対物レンズ(本明細書の他のいずれかの箇所で論述される対物レンズアレイアセンブリなど)を含むモジュールから分離される。集光レンズの底面に印可される電位が、対物レンズを含むモジュールの上面に印可される電位と異なる場合、絶縁スペーサは、集光レンズと、対物レンズを含むモジュールとを離間するために使用される。電位が等しい場合、集光レンズと、対物レンズを含むモジュールとを離間するために導電素子が使用され得る。
【0042】
[0055] アレイ内の各集光レンズ231は、電子を、集光レンズアレイのダウンビームのそれぞれの中間焦点に集束されるそれぞれのサブビーム211、212、213内に誘導する。それぞれのサブビームは、それぞれのサブビーム経路220に沿って投影される。サブビームは、互いに対して発散する。サブビーム経路220は、集光レンズ231のダウンビームで発散する。一実施形態では、偏向器235が中間焦点に設けられる。偏向器235は、サブビーム経路内で対応する中間焦点233の位置若しくはフォーカスポイント(即ち集束点)又は少なくともその周囲に配置される。偏向器は、関連付けられたサブビームの中間像面において、サブビーム経路内又はサブビーム経路の近くに配置される。偏向器235は、それぞれのサブビーム211、212、213に対して作用するように構成される。偏向器235は、主光線(ビーム軸とも呼ばれ得る)がサンプル208に実質的に垂直に(即ちサンプルの公称表面に対して実質的に90°で)入射することを確実にするのに有効な量だけそれぞれのサブビーム211、212、213を曲げるように構成される。偏向器235は、コリメータ又はコリメータ偏向器とも呼ばれ得る。偏向器235は、事実上、偏向器の手前では、サブビーム経路が互いに対して発散するようにサブビームの経路をコリメートする。偏向器のダウンビームでは、サブビーム経路は、実質的に互いに平行であり、即ち実質的にコリメートされる。好適なコリメータは、2020年2月7日に出願された欧州特許出願公開第20156253.5号に開示される偏向器であり、この文献は、マルチビームアレイへの偏向器の適用に関して参照により本明細書に組み込まれる。コリメータは、偏向器235の代わりに又はそれに加えて、マクロコリメータ270を含み得る。従って、図16に関連して以下に説明されるマクロコリメータ270は、図3又は図4の機構を備え得る。これは、通常、コリメータアレイを偏向器235として提供することに比べてあまり好ましくない。
【0043】
[0056] 偏向器235の下(即ち電子源201のダウンビーム又は電子源201からより遠く)に制御レンズアレイ250が存在する。偏向器235を通過したサブビーム211、212、213は、制御レンズアレイ250への入力時にほぼ平行である。制御レンズは、サブビームを事前に集束させる(例えば、サブビームが対物レンズアレイ241に達する前に集束作用をサブビームに適用する)。事前集束は、サブビームの発散を低減し、即ちサブビームの集束率を増加させ得る。制御レンズアレイ250及び対物レンズアレイ241は、一緒に動作して合成焦点距離を提供する。中間焦点のない合成動作により、収差のリスクが低減され得る
【0044】
[0057] さらに詳細には、着地エネルギーを判断するために制御レンズアレイ250を使用することが望ましい。しかし、着地エネルギーを制御するために対物レンズアレイ240を追加的に使用することが可能である。このような場合、対物レンズ全体にわたる電位差は、異なる着地エネルギーが選択される場合に変更される。対物レンズ全体にわたる電位差を変更することにより、着地エネルギーを部分的に変更することが望ましい状況の一例は、サブビームの焦点が対物レンズに近づきすぎることを防止するためのものである。このような状況では、対物レンズアレイ241のコンポーネントが、製造可能であるにはあまりに薄くなる必要があるというリスクがある。同じことは、この場所における検出器について言うことができる。この状況は、例えば、着地エネルギーが下げられる場合に発生し得る。これは、対物レンズの焦点長が、使用される着地エネルギーにほぼ対応するためである。対物レンズ全体にわたり電位差を低減し、それにより対物レンズの内部の電界を低減することにより、対物レンズの焦点長が再び大きくされ、対物レンズのさらに下に焦点位置を生じる。対物レンズのみの使用は、倍率の制御を制限するであろうことに留意されたい。このような配置は、縮小率及び/又は開角度を制御しない可能性がある。さらに、着地エネルギーを制御するために対物レンズを使用することは、対物レンズがその最適電界強度から離れて動作するであろうことを意味し得る。これは、例えば、対物レンズを交換することにより、対物レンズの機械的パラメータ(その電極間の間隔など)が調節され得ない限り当てはまる。
【0045】
[0058] 制御レンズアレイ250は、複数の制御レンズを含む。各制御レンズは、それぞれの電位源に接続された少なくとも2つの電極(例えば、2つ又は3つの電極)を含む。制御レンズアレイ250は、それぞれの電位源に接続された2つ以上(例えば、3つ)のプレート電極アレイを含み得る。各プレート電極アレイは、絶縁素子、例えばセラミック又はガラスを含み得るスペーサにより、隣接するプレート電極アレイに機械的に接続され、及びそれから電気的に分離される。制御レンズアレイ250は、対物レンズアレイ241に関連付けられる(例えば、2つのアレイは、互いに近くに配置され、及び/又は互いに機械的に接続され、及び/又はユニットとして併せて制御される)。各制御レンズは、それぞれの対物レンズに関連付けられ得る。制御レンズアレイ250は、対物レンズアレイ241のアップビームに配置される。
【0046】
[0059] 制御レンズアレイ250は、サブビーム211、212、213毎に制御レンズを含む。制御レンズアレイ250の機能は、ビームの縮小率に関してビーム開角度を最適化すること及び/又は対物レンズ234に送達されるビームエネルギーを制御することであり、対物レンズ234の各々は、それぞれのサブビーム211、212、213をサンプル208上に誘導する。対物レンズは、電子光学システムの基部又はその近くに位置され得る。具体的には、対物レンズアレイは、投影システム230の基部又はその近くに配置され得る。制御レンズアレイ250は、任意選択的であるが、対物レンズアレイのアップビームのサブビームを最適化するために好ましい。
【0047】
[0060] 制御レンズアレイ250は、例えば、対物レンズアレイアセンブリ(又は対物レンズ配置)の一部としての対物レンズアレイ241の電極への追加である電極を提供するものと考えられ得る。制御レンズアレイ250の追加的な電極は、サブビームの電子光学パラメータを制御するためのさらなる自由度を許容する。一実施形態では、制御レンズアレイ250は、対物レンズアレイ241のそれぞれの対物レンズの追加的な機能を可能にする、対物レンズアレイ241の追加的な電極であると考えられ得る。一配置では、このような電極は、対物レンズアレイ241の対物レンズに追加的な機能を提供する対物レンズアレイの一部と考えられ得る。このような配置では、制御レンズは、さらに制御レンズのみが対物レンズの一部であると呼ばれる限り、対応する対物レンズの一部であると考えられる。
【0048】
[0061] 例示を容易にするために、本明細書では、レンズアレイは、(図3に示すように)楕円形のアレイによって概略的に示されている。各楕円形は、レンズアレイ内の複数のレンズの1つを表す。楕円形は、光学レンズで採用されることが多い両凸形状の類推から、レンズを表すために慣例的に使用される。しかしながら、本明細書で考察するような荷電粒子機構に関連して、レンズアレイは、通常、静電的に動作するため、両凸形状を採用した物理的素子を必要としない場合があることを理解されたい。代替的に、レンズアレイは、アパーチャを有する複数のプレートを含み得る。
【0049】
[0062] 任意選択的に、走査偏向器260のアレイが制御レンズアレイ250と対物レンズ234のアレイとの間に設けられる。走査偏向器260のアレイは、各サブビーム211、212、213に対して1つの走査偏向器を含む。各走査偏向器は、それぞれのサブビーム211、212、213をサンプル208全体にわたり一方向又は二方向に走査するように、サブビームを一方向又は二方向に偏向させるように構成される。
【0050】
[0063] 対物レンズアレイ241は、アパーチャアレイが画定される少なくとも2つの電極を含み得る。換言すれば、対物レンズアレイは、複数の穴又はアパーチャを有する少なくとも2つの電極を含む。図5及び図6は、それぞれのアパーチャアレイ245、246、247を有する例示的な対物レンズアレイ241の一部である電極232、243、244を示す。電極内の各アパーチャの位置は、別の電極内の対応するアパーチャの位置に対応する。対応するアパーチャは、使用時、マルチビーム内の同じビーム、サブビーム又は一群のビーム対して作用する。換言すれば、少なくとも2つの電極内の対応するアパーチャは、サブビーム経路、即ちサブビーム経路220の1つと位置合わせされ、及びそれに沿って配置される。各電極内には、複数のアパーチャがある。電極内のアパーチャは、他の電極のすべての電極又は各電極内の対応するアパーチャと位置合わせされる。電極内のアパーチャを通るサブビーム経路は、他の電極内のすべての対応するアパーチャ電極を貫通する。電極内のこのようなアパーチャは、他の電極内の対応するアパーチャと位置合わせされる。従って、電極内のアパーチャアレイのアパーチャのすべては、他の電極内のアパーチャアレイの対応するアパーチャと位置合わせされる。従って、複数の電極内のアパーチャアレイが位置合わせされる。従って、電極は、それぞれのサブビーム211、212、213がその中を伝播するアパーチャをそれぞれ備える。
【0051】
[0064] 対物レンズアレイ241は、図5及び図6にそれぞれ示すように、2つ若しくは3つの電極を含み得るか又はより多くの電極(図示せず)を有し得る。2つの電極のみを有する対物レンズアレイ241では、より多くの電極を有する対物レンズアレイ241よりも収差が小さくてよい。3電極対物レンズでは、電極間の電位差をより大きくすることができるため、より強力なレンズが可能になる。追加的な電極(即ち3つ以上の電極)により、例えば入射ビームに加えて二次電子も集束させるために、電子の軌道を制御する際のさらなる自由度がもたらされる。アインツェルレンズにわたる2電極レンズの利点は、入ってくるビームのエネルギーが、出ていくビームと必ずしも同じではないことである。そのような2電極レンズアレイに関する電位差は、それが加速又は減速レンズアレイのいずれかとして機能することを有利に可能にする。
【0052】
[0065] 対物レンズアレイ241の隣接する電極は、サブビーム経路に沿って互いに離間される。絶縁構造が以下に述べるように配置され得る、隣接する電極間の距離は、対物レンズより大きい。
【0053】
[0066] 好ましくは、対物レンズアレイ241内に設けられる電極のそれぞれは、プレートである。電極は、他に平坦シートとして記述され得る。好ましくは、電極のそれぞれは、平坦である。換言すれば、電極のそれぞれは、好ましくは、プレートの形態の薄い平坦プレートとして提供される。当然のことながら、電極は、平坦である必要はない。例えば、電極は、高静電界に起因する力に起因して撓み得る。既知の製作方法が使用され得るため、平坦電極は、電極の製造をより容易にすることから、平坦電極を提供することが好ましい。平坦電極はまた、様々な電極間のアパーチャのより正確なアライメントを提供し得るため、好ましい場合がある。
【0054】
[0067] 対物レンズアレイ241は、10を超える倍率、望ましくは50~100以上の範囲の倍率だけ荷電粒子ビームを縮小するように構成され得る。
【0055】
[0068] 検出器アレイ240は、サンプル208から放出された二次荷電粒子及び/又は後方散乱荷電粒子を検出するために設けられる。検出器アレイ240は、対物レンズ234とサンプル208との間に配置される。検出器アレイは、他にセンサアレイと呼ばれ得、用語「検出器」及び「センサ」は、本出願全体にわたって交換可能に使用される。
【0056】
[0069] 本発明の第1の態様では、荷電粒子光学デバイスが提供される。荷電粒子光学デバイスは、後方散乱荷電粒子を検出するように構成される。荷電粒子光学デバイスは、任意の荷電粒子システム、例えば図3に示す荷電粒子評価ツールに好適である。荷電粒子評価ツールは、荷電粒子システムの一例であり得、荷電粒子評価ツールへのいかなる参照も荷電粒子システムと交換可能であり得る。従って、荷電粒子光学デバイスは、このような荷電粒子評価ツールの一部として使用され得る。荷電粒子光学デバイスは、荷電粒子評価ツール40の特徴の少なくとも1つ、幾つか又はすべてを含み得る。荷電粒子光学デバイスの一実施形態が図4に示される。描写されるように、荷電粒子デバイスは、コントローラアレイ250、対物レンズアレイ241及び検出器アレイ240を含み得る。図4では、各アレイの複数のレンズは、例えば、示されたレンズを通過するサブビーム211、212、213の任意のサブビームと共に描写される。図4は、5つのレンズを描写するが、任意の適切な数のレンズが提供され得る。例えば、レンズの面内には、100個、1000個又は10,000個程度のレンズが存在し得る。上に説明した特徴と同じ特徴には、同じ参照符号が付されている。簡潔さのために、上に提供されたこれらの特徴の説明は、図4に示す特徴に適用される。荷電粒子光学デバイスは、図4に示すコンポーネントの1つ、幾つか又はすべてを含み得る。この図は、概略的であり、従って原寸に比例しない場合があることに留意されたい。例えば、非限定的なリストでは、サブビームは、対物レンズアレイ241よりもコントローラアレイ250でより狭くてよく、検出器アレイ240は、対物レンズアレイ241の電極が互いにある距離より対物レンズアレイ241の電極により近くてよく、コントローラレンズアレイ250間の各サブビームの焦点は、描写された距離より対物レンズアレイ241により近くてよい。
【0057】
[0070] 図4は、対物レンズアレイ241の複数の対物レンズ及び制御レンズアレイ250の複数の制御レンズの拡大概略図である。以下でさらに詳細に説明されるように、レンズアレイは、電極に印可される選択電位を電極により提供され得る。制御レンズアレイ250の電極間の間隔は、図4に示すように、対物レンズアレイ241の電極間の間隔より大きくてよいが、これは、必須ではない。電圧源V3、V2(個々の電源により供給され得るか、又は電源290によりすべて供給され得る)は、電位を対物レンズアレイ241の上側電極及び下側電極にそれぞれ印加するように構成される。電圧源V5、V6、V7(個々の電源により供給され得るか、又は電源290によりすべて供給され得る)は、電位を制御レンズアレイ250の第1の電極、第2の電極及び第3の電極のそれぞれに印加するように構成される。別の電圧源V4は、サンプル電位をサンプルに印加するように接続される。別の電圧源V8は、検出器アレイ電位を検出器アレイに印加するように接続される。制御レンズアレイ250は、3つの電極を備えて示されるが、制御レンズアレイ250は、2つの電極(又は4つ以上の電極)を備え得る。対物レンズアレイ240は、2つの電極を備えて示されるが、対物レンズアレイ240は、3つの電極(又は4つ以上の電極)を備え得る。例えば、中央電極は、対応する電圧源と共に図4に示す電極間の対物レンズアレイ241内に設けられ得る。
【0058】
[0071] 図4に示すように、サブビームは、図3に示すように、制御レンズアレイ250内への入力時に平行であり得る。しかし、図4の同じコンポーネントは、図16に示すような構成で使用され得、この場合、サブビームは、図16に示すように、制御レンズアレイ250内への入力時に分離され得る。
【0059】
[0072] 制御レンズアレイ電極は、数ミリメートル(例えば、3mm)だけ離間され得る。制御レンズアレイ241と対物レンズアレイ250との間隔(即ち制御レンズアレイ250の下側電極と、対物レンズ241の上側電極とのギャップ)は、広い範囲、例えば2mm~200mm以上から選択され得る。小さい離間距離は、アライメントをより容易にする一方、より大きい離間距離は、より弱いレンズが使用されることを可能にし、収差を低減する。
【0060】
[0073] 望ましくは、制御レンズアレイ250の最上段電極の電位V5は、制御レンズ(例えば、偏向器235)の次の電子光学素子アップビームの電位と同じに維持される。制御レンズアレイ250の下側電極に印可される電位V7は、ビームエネルギーを判断するために変動され得る。制御レンズアレイ250の中央電極に印可される電位V6は、制御レンズのレンズ強度を判断するために、従ってビームの開角度及び縮小率を制御するために変動され得る。着地エネルギーが変更される必要がなくても又は他の手段により変更されても、制御レンズは、ビーム開角度を制御するために使用され得ることに留意されたい。サブビームの焦点の位置は、それぞれの制御レンズアレイ250の作用と、それぞれの対物レンズ240の作用との組み合わせにより判断される。
【0061】
[0074] 第1の態様では、荷電粒子評価ツール40の荷電粒子光学デバイス又はより一般的には荷電粒子システムのための荷電粒子光学デバイスが提供される。荷電粒子光学デバイスは、以下ではデバイスと呼ばれる。デバイスは、荷電粒子のマルチビームをサブビーム経路220に沿ってサンプル208に向かって投影するように構成される。マルチビームは、サブビーム211、212、213などのサブビームを含む。サブビームは、他にビーム、例えば一次ビームのアレイと呼ばれ得る。換言すれば、デバイスは、荷電粒子のアレイビームをサンプルに向かって投影するように構成される。デバイスは、対物レンズアレイ241を含み、対物レンズアレイ241は、複数の対物レンズ234を含み、他に対物レンズのアレイと呼ばれ得る。対物レンズアレイ241は、荷電粒子サブビームのアレイ211、212、213をサンプル208上に投影するように構成される。対物レンズのアレイ(即ち対物レンズアレイ241)は、検出器のアレイ(即ち検出器アレイ)に対応し得、及び/又はサブビームの任意のものに対応し得る。対物レンズアレイ240内の各素子は、マルチビーム内の異なるビーム又は一群のビームを操作するマイクロレンズであり得る。対物レンズアレイ241は、荷電粒子をサンプル208に向かって加速させるように構成され得る。換言すれば、対物レンズ234は、荷電粒子サブビーム211、212、213をサブビーム経路220に沿って加速させるように構成され得る。
【0062】
[0075] デバイスは、他にアレイ検出器と呼ばれる検出器アレイ240を含む。検出器アレイ240は、サンプル208から放出された荷電粒子を捕捉するように構成される。検出器アレイは、サンプル208からの後方散乱粒子を検出するように構成される。検出器アレイ240は、主に後方散乱荷電粒子を検出するように構成され得る。換言すれば、検出器アレイ240は、主に後方散乱荷電粒子を検出するように構成され得る。検出器アレイ240は、二次荷電粒子より多くの後方散乱荷電粒子を検出するように構成され得る。以下でさらに説明するように、デバイスは、サンプル208から放出された直接後方散乱荷電粒子を検出するために使用され得るマルチビームツールを提供する点で有益である。従って、後方散乱荷電粒子は、サンプル208の表面から直接検出され得る。後方散乱荷電粒子は、例えば、別のタイプの信号粒子、例えば検出がより容易であり得る二次荷電粒子に変換される必要なく検出され得る。従って、後方散乱荷電粒子は、サンプル208と検出器アレイ241との間のいかなる他のコンポーネント又は表面に遭遇する、例えば当たることもなく、検出器アレイ241により検出され得る。
【0063】
[0076] 検出器アレイ240は、複数の検出器を含む。各検出器は、対応するサブビーム(他にビーム又は一次ビームと呼ばれ得る)に関連付けられる。換言すれば、検出器のアレイ(即ち検出器アレイ240)とサブビームとは、対応する。各検出器は、サブビームに割り当てられ得る。検出器のアレイは、対物レンズのアレイに対応し得る。換言すれば、検出器のアレイは、対物レンズの対応するアレイに関連付けられ得る。本発明は、サブビームのアレイの異なるサブビームに関連付けられた検出器アレイの検出器により検出されたサブビームから導出される後方散乱荷電粒子の検出のクロストークのリスクが、回避されなかったとしても、低減されることを可能にする。検出器アレイ240は、以下に説明される。しかし、検出器アレイ240へのいかなる参照も、単一検出器(即ち少なくとも1つの検出器)又は必要に応じて複数の検出器により置換され得る。検出器は、他に検出器素子405(例えば、捕捉電極などのセンサ素子)と呼ばれ得る。検出器は、任意の適切なタイプの検出器であり得る。例えば、電子電荷を例えば直接検出するための捕捉用電極、シンチレータ又はPIN素子が使用され得る。検出器は、直流検出器又は非直流検出器であり得る。検出器は、図7図8図9図13図14図15との関係で以下に説明されるような検出器であり得る。
【0064】
[0077] シンチレータ及びPIN素子は、通常、エネルギー閾値の上の信号粒子を検出することに留意されたい。二次電子は、0eV、例えば50eVに近い低エネルギーを有するため、このようなシンチレータ及びPIN素子は、このようなエネルギーの二次電子を検出する可能性がないことが当業者により理解されるであろう。このような電子を検出するためのこれらのタイプの検出器素子に関して、このような検出器素子は、このような二次電子がその検出のための十分なエネルギーを有する電子光学コラム内の場所、例えば減速用対物レンズ内の最も遠いダウンビーム又は減速用対物レンズ配置を画定する電極の少なくとも最も遠いダウンビームの電極の上に配置されるべきである。例えば、少なくともレンズセンサユニット及び検出器における開示に関する限り、参照により本明細書に援用される欧州特許出願公開第20198201.4号を参照されたい。
【0065】
[0078] 検出器アレイ240は、制御レンズアレイ250とサンプル208との間に配置される。検出器アレイは、対物レンズアレイ241とサンプル208との間に配置される。検出器アレイ240は、サンプルに近接するように構成される。検出器アレイ240は、サンプル208からの後方散乱粒子を検出するようにサンプルに近接し得る。サンプルに近接した検出器は、検出器アレイ内の別の検出器に対応するサブビームにより生成された後方散乱荷電粒子の検出におけるクロストークのリスクが、たとえ回避されなくても、低減されることを可能にする。換言すれば、検出器アレイ240は、サンプル208の非常に近くにある。検出器アレイ240は、以下に説明されるように、サンプル208の一定距離内にあり得る。検出器アレイ240は、サンプル208に隣接し得る。少なくとも1つの検出器は、サンプルに面するようにデバイス内に配置され得る。即ち、検出器は、基部をデバイスに提供し得る。基部の一部としての検出器は、サンプルの表面に面し得る。これは、少なくとも1つの検出器を、少なくとも1つの検出器が二次粒子より後方散乱粒子を検出する可能性が高い場所に配置する際に有益であり得る。例えば、少なくとも1つの検出器アレイは、対物レンズアレイ241の出力側に設けられ得る。対物レンズアレイ241の出力側は、サブビームが対物レンズアレイ241から出力される側、即ち図4図5及び図6に示す構成の対物レンズアレイの底部側又はダウンビーム側である。換言すれば、検出器アレイ240は、対物レンズアレイ241のダウンビームに設けられ得る。検出器アレイは、対物レンズアレイ上又はそれに隣接して配置され得る。検出器アレイ241は、対物レンズアレイ241の一体的なコンポーネントであり得る。検出器及び対物レンズは、同じ構造の一部であり得る。検出器は、絶縁素子により対物レンズに接続され得るか又は対物レンズの電極に直接接続され得る。従って、少なくとも1つの検出器は、少なくとも対物レンズアレイ及び検出器アレイを含む対物レンズアセンブリの一部であり得る。検出器アレイが対物レンズアレイ241の一体化的なコンポーネントである場合、検出器アレイ240は、対物レンズアレイ241の基部に設けられ得る。一配置では、検出器アレイ240は、対物レンズアレイ241の最もダウンビームに配置された電極に一体化され得る。
【0066】
[0079] 検出器アレイは、サンプルに可能な限り近いことが理想的である。検出器アレイ240は、後方散乱荷電粒子の近接焦点が検出器アレイにあるようにサンプル208に非常に近いことが好ましい。先に説明したように、後方散乱荷電粒子のエネルギー及び角度広がりは、通常、非常に大きいため、近隣ビームからの信号を分離状態に保つことは、困難である(又は既知の従来技術システムでは不可能である)。しかし、近接焦点は、後方散乱荷電粒子が、第1の態様では、クロストーク(即ち近隣ビームからの干渉)なしに検出器の1つの関連する検出器で検出され得ることを意味する。当然のことながら、サンプル208と検出器アレイ240との間の最小距離が存在する。しかし、この距離を可能な限り低減することが好ましい。幾つかの構成は、距離を他の構成よりさらに大きく低減することから恩恵を受け得る。
【0067】
[0080] 好ましくは、検出器アレイ240とサンプル208との間の図3に示す距離「L」は、約50μm以下であり、即ち、検出器アレイ240は、サンプル208から約50μm内に配置される。距離Lは、検出器アレイ240に面するサンプル208の表面から、サンプル208に面する検出器アレイ241の表面までの距離と判断される。好ましくは、検出器アレイ240は、サンプル208の約40μm内に配置され、即ち、検出器アレイ240とサンプル208との間の距離Lは、約40μm以下である。好ましくは、検出器アレイ240は、サンプル208の約30μm内に配置され、即ち、検出器アレイ240とサンプル208との間の距離Lは、約30μm以下である。好ましくは、検出器アレイ240は、サンプル208の約20μm内に配置され、即ち、検出器アレイ240とサンプル208との間の距離Lは、約20μm以下である。好ましくは、検出器アレイ240は、サンプル208の約10μm内に配置され、即ち、検出器アレイ240とサンプル208との間の距離Lは、約10μm以下である。
【0068】
[0081] 約50μm以下の距離を設けることは、後方散乱電子間のクロストークが回避又は最小化され得る点で有益である。従って、距離Lは、短く、即ち約50μm以下に保持されることが好ましい。理論上、サンプル208及び検出器アレイ240が互いに対して移動することを可能にする一方、どの程度近くにあり得るかの下限が存在し得、これは、距離Lが約5μm又は10μmより大きい可能性があることを意味し得る。
【0069】
[0082] 例えば、図3のツールの一部として示されるデバイスの比較的信頼できる制御を依然として可能にする一方、約50μm以下の距離Lが使用され得る。約30μm以下の距離Lが、以下の図16に関連して示され、説明される他の構成に関して好ましい場合がある。
【0070】
[0083] 検出器アレイ240とサンプル208との間の距離Lの好ましい範囲は、約5μm~50μm、又は好ましくは約10μm~50μm、又は好ましくは約30μm~50μmであり得る。一配置では、検出器アレイ240は、即ち、例えばサンプルと検出器アレイとの間の距離Lをほぼ維持するために距離Lを変動させるように、対物レンズアレイ241に対して作動可能であり得る。
【0071】
[0084] 検出器アレイ240は、対物レンズアセンブリの一部であり得る。対物レンズアレイ内に一体化された検出器アレイ240の例示的な実施形態は、対物レンズアレイ240の一部を概略断面で示す図5に示される。この実施形態では、検出器アレイ240は、複数の検出器素子405(例えば、捕捉用電極などのセンサ素子)を含む。上に論述されたように、デバイスは、サンプル208から放出された二次荷電粒子を検出器アレイ240に向かってはじくように構成され得る。具体的には、検出器アレイ240は、サンプル208から放出された二次荷電粒子をはじくように構成され得る。検出器アレイ240は、検出器アレイ240の電位を制御することにより、荷電粒子をはじくように構成され得る。これは、検出器アレイ240に向かって戻る、サンプル208から放出された二次荷電粒子の数を低減するために有益である。
【0072】
[0085] 検出器アレイ240は、使用時、本明細書で検出器アレイ電位と呼ばれる電位を有するように構成され得る。サンプル208は、使用時、本明細書でサンプル電位と呼ばれる電位を有するように構成され得る。サンプル電位は、検出器アレイ電位よりも正であり得る。検出器アレイ240とサンプル208との電位の差は、サンプル208から放出され、及び検出器アレイ240に向かう荷電粒子をはじく。好ましくは、検出器アレイ電位は、第2の電極電位(即ち対物レンズアレイのダウンビーム電極の電位)と同じであり得る。
【0073】
[0086] サンプル電位と検出器アレイ電位との間の電位差は、荷電粒子サブビームが著しく影響を受けることなく、検出器アレイ240を通してサンプル208に投影されるように比較的小さいことが好ましい。サンプル電位と検出器アレイ電位との間の電位差は、好ましくは、二次電子閾値より大きい。二次電子閾値は、サンプル208から発散する二次電子のあり得る電子エネルギーと均等な電位差である。即ち、サンプル電位と検出器アレイ電位との比較的小さい電位差は、二次電子を検出器アレイからはじくのに十分である。例えば、サンプル電位と検出器アレイ電位との間の電位差は、約20V、50V、100V、150V又は200Vであり得る。
【0074】
[0087] 好ましくは、検出器アレイ電位とサンプル電位との間の電位差は、小さい。これは、有利には、この電位差が後方散乱荷電粒子(通常、最大着地エネルギーまでのより大きいエネルギーを有する)の経路に対して無視できる影響を有することを意味し、これは、二次荷電粒子の検出を低減又は回避する一方、後方散乱電子が依然として検出され得ることを意味する。従って、検出器アレイ電位とサンプル電位との小さい差は、実質的に、後方散乱荷電粒子が検出されることを可能にする一方、二次荷電粒子の検出が低減又は回避されることを確実にするエネルギー障壁である。
【0075】
[0088] 例えば、検出器アレイ電位は、約+10kV~最大約+100kVより大きくてよいか、又は好ましくは荷電粒子ビーム源に対して約+20kV~+100kVであり得る。好ましくは、検出器アレイ電位は、荷電粒子ビーム源に対して約+20kV~+70kVである。
【0076】
[0089] デバイスの一部が二次荷電粒子をはじくように構成され得ることが他のいずれかの箇所で説明されるが、これは、通常、検出器アレイ240により行われる。検出器アレイ及び対物レンズアレイ241の最下段電極の両方は、理論上、サンプルから放出され、及び検出器アレイ240の方に戻る二次荷電粒子に対する反発効果を有する。しかし、検出器アレイ240は、対物レンズアレイ241よりサンプル208に近いため、二次荷電粒子上に反発力を通常提供するのは、検出器アレイ240である。
【0077】
[0090] 対物レンズアレイ241のアパーチャアレイ245、246、247は、好ましくは、ほぼ一様な径dを有する複数のアパーチャから構成され得る。しかし、アパーチャ径を変更することにより達成される補正に少なくとも関する、参照により本明細書に援用される、2020年11月12日に出願された欧州特許出願公開第20207178.3号に記載のような収差補正を最適化するための幾つかの変形形態があり得る。少なくとも1つの電極内のアパーチャの径dは、約400μmより小さくてよい。好ましくは、少なくとも1つの電極におけるアパーチャの径dは、約30~300μmである。より小さいアパーチャ径は、所与のアパーチャピッチに関してより大きい検出器を提供し得、後方散乱荷電粒子を捕捉する可能性を改善する。従って、後方散乱荷電粒子の信号が改善し得る。しかし、あまりに小さいアパーチャを有することは、収差を一次サブビームに導入する危険性がある。
【0078】
[0091] 電極内の複数のアパーチャは、ピッチpだけ互いに離間され得る。ピッチは、1つのアパーチャの中央から、隣接するアパーチャの中央までの距離として定義される。少なくとも1つの電極内の隣接するアパーチャ間のピッチは、約600μmより小さくてよい。好ましくは、少なくとも1つの電極内の隣接するアパーチャ間のピッチは、約50μm~500μmである。好ましくは、各電極上の隣接するアパーチャ間のピッチは、ほぼ一様である。
【0079】
[0092] 後方散乱電子は、非常に大きいエネルギーの広がり、通常、余弦分散に従う角度広がりでサンプル208から放出される。サンプル208から検出器アレイ240までの距離が遠いほど、放出されるビームの円錐がより大きくなる。非常に大きいエネルギーの広がりのため、様々なビームから到来する後方散乱荷電粒子を、検出器上に著しいクロストークを導入することなく撮像することが可能でない場合がある。解決策は、検出器を基板のごく近傍に置き、近隣ビームの後方散乱荷電粒子信号が重ならないようにビームのピッチを選択することである。
【0080】
[0093] 従って、ピッチ寸法は、検出器アレイ240とサンプル208との間の距離に依存して選択され得る(逆も同様)。単に一例として、サンプル208と検出器アレイ240との間の約50マイクロメートルの距離Lに関して、ビームピッチpは、約300マイクロメートル以上であり得る。単に一例として、サンプル208と検出器アレイ240との間の約10マイクロメートルの距離Lに関して、ビームピッチpは、約60マイクロメートル以上であり得る。より密な検出器アレイを提供することは、より小さいビームピッチpの使用を可能にする。これは、ビームピッチが有益により小さい幾つかの構成、例えば以下の図16に関連して説明され示される構成を使用する際に有益であり得る。
【0081】
[0094] 上述の径及び/又はピッチの値は、対物レンズアレイ内の少なくとも1つの電極、複数の電極又はすべての電極で提供され得る。好ましくは、参照及び説明された寸法は、対物レンズのアレイ内に設けられるすべての電極に適用される。
【0082】
[0095] 対物レンズアレイ241は、第1のアパーチャアレイ245を有する第1の電極242及び第2のアパーチャアレイ246を有する第2の電極243を含み得る。第1の電極242は、図5及び6に示すように、第2の電極243のアップビームにあり得る。アップビームは、電子源201により近いこととして定義され得る。アップビームは、他にサンプル208からさらに遠いこととして定義され得る。第1の電極242は、上側電極と呼ばれ得る。第2の電極243は、下側電極と呼ばれ得る。
【0083】
[0096] 追加的な電極が対物レンズアレイの一部として含まれ得る。追加的な電極は、第1の電極と第2の電極との間に配置され得る。換言すれば、第1の電極242及び第2の電極243は、外側電極であり得る。第1の電極242は、対物レンズアレイ241内に含まれる任意の他の電極のアップビームに配置され得る。第2の電極243は、対物レンズアレイ241内に含まれる任意の他の電極のダウンビームに配置され得る。図5に示すように、第3の電極244は、第3のアパーチャアレイ247を備え得る。第3の電極244は、中央電極であり得る。
【0084】
[0097] 上述のように、電極がそれぞれ電位を有するように電圧源が対物レンズアレイの電極に提供され得る。第1の電極242は、使用時に第1の電極電位を有するように構成され得、及び/又は第2の電極243は、使用時に第2の電極電位を有するように構成され得る。追加的又は代替的に、サンプル208は、使用時にサンプル電位を有するように構成され得る。
【0085】
[0098] 上述のように、サンプル208上に投影されるサブビーム211、212、213を加速させることは、高い着地エネルギーを有するアレイサブビームを生成するために使用される点で有益である。対物レンズアレイの電極の電位は、対物レンズアレイ241を介して加速度を提供するように選択され得る。
【0086】
[0099] 本明細書で定義される電位及び電位の値は、電源に対して定義され、従って、サンプルの表面における荷電粒子の電位は、荷電粒子のエネルギーが荷電粒子の電位と相関があり、サンプルにおける荷電粒子の電位が電源に対して定義されるため、着地エネルギーと呼ばれ得る。しかし、電位は、相対値であるため、電位は、サンプルなどの他のコンポーネントに対して定義され得る。この事例では、様々なコンポーネントに印可される電位の差は、好ましくは、電源について以下で論述されるであろう。電位は、使用中、即ちデバイスが動作されているとき、電極及びサンプルなどの関連するコンポーネントに印可される。
【0087】
[0100] 好ましくは、第2の電極243の電位(即ち第2の電極電位)は、第1の電極242の電位(即ち第1の電極電位)よりも正である。これは、荷電粒子を第1の電極242から第2の電極243に向かって加速させる際に有益である。換言すれば、電極の電位の差は、対物レンズアレイ241内の荷電粒子を加速させるために使用され得る。
【0088】
[0101] 好ましくは、第2の電極電位は、検出器アレイ電位とほぼ同じである。
【0089】
[0102] これは、荷電粒子を第1の電極242からサンプル208に向かって加速させる際に有益である。
【0090】
[0103] 好ましくは、サンプル電位は、第2の電極の電位(即ち第2の電極電位)よりも正である。これは、荷電粒子を第2の電極からサンプルに向かって加速させる際に有益である。加えて、これは、荷電粒子が対物レンズアレイ241の第2の電極243よりサンプル208に大きく引きつけられる点で有益である。これは、サンプル208から放出された荷電粒子を経路から離れて第2の電極243に向かって、即ち上述のように検出器アレイ240に向かってはじく効果がある。
【0091】
[0104] デバイスは、二次荷電粒子を対物レンズアレイ241のダウンビーム電極からはじくように構成され得る。対物レンズアレイ241のダウンビーム電極は、ビームに沿った最も遠くに、即ち使用時に電源201のダウンビーム/電源201から最も遠くに配置される対物レンズアレイ241の一部であり得る。この事例では、デバイスは、即ち、検出される二次荷電粒子を低減又は防止することにより、検出器アレイ240が二次電子より後方散乱荷電粒子を効果的に検出し得るように、(対物レンズアレイ240を使用して)二次電子を検出器アレイ241からはじくように構成され得る。
【0092】
[0105] 上に論述されたように、少なくとも第2の電極電位は、対物レンズアセンブリ241内に投影される荷電粒子を加速させるため、第1の電極電位よりも正であることが好ましい。第1の電極電位がより低いと、電位のより大きい差が第1の電極と第2の電極との間に提供され得る。第1の電極電位と第2の電極電位とのより大きい差は、より大きい加速度を生じる。従って、第1の電極電位は、比較的低いことが好ましい。しかし、第1の電極電位があまりに低い、例えば+2kV未満又は+3kV未満である場合、荷電粒子サブビームの焦点は、対物レンズアレイ241の内部に形成され得ることが分かった。従って、第1の電極の値は、対物レンズアレイ内に焦点の形成を生じることなく小さくなるように選択される。例えば、第1の電極の電位は、荷電粒子ビーム源に対して約+1kV~+10kVであり得る。例えば、第1の電極の電位は、荷電粒子ビーム源に対して約+3kV~+8kVであり得る。好ましくは、第1の電極の電位は、荷電粒子ビーム源に対して約+5kVである。
【0093】
[0106] 第2の電極の電位は、荷電粒子を加速させるために第1の電極電位よりも正であり得る。従って、第2の電極電位値は、比較的高いことが好ましい。第2の電極電位値は、荷電粒子ビーム源に対して約+10kV~最大約+100kV又は好ましくは約+20kV~+100kVであり得る。好ましくは、第2の電極の電位は、荷電粒子ビーム源に対して約+20kV~+70kVである。
【0094】
[0107] 上述のように、サンプル電位は、二次荷電粒子を対物レンズアレイ241からはじくため、第2の電極電位よりも正であることが好ましい。しかし、二次荷電粒子は、第1の電極から第2の電極を介してサンプルまで加速されるため、荷電粒子がサンプル208の表面まで加速されるように、サンプル電位の値を第2の電極電位の値と同様の値に保持することが有益である。即ち、第2の電位とサンプル電位との差は、比較的小さいが、荷電粒子がサンプルに向かって加速されるには十分である。サンプル電位は、約+10kV~最大約+100kVより大きくてよいか、又は好ましくは荷電粒子ビーム源に対して約+20kV~+100kVであり得る。好ましくは、サンプルの電位は、荷電粒子ビーム源に対して約+20kV~+70kVである。好ましくは、サンプル電位は、第2の電極電位より約10V、20V、50V、100V、150V又は200Vよりも正である。
【0095】
[0108] サンプル電位と第2の電極電位との間の電位差は、好ましくは、二次電子閾値より大きい。二次電子閾値は、サンプルから発散する二次電子のあり得る電子エネルギーと均等な電位差である。即ち、サンプル電位と第2の電極電位との比較的小さい電位差は、二次電子を検出器アレイからはじくのに十分である。例えば、サンプル電位と最下部電極電位との間の電位差は、約10V、20V、50V、100V、150V又は200Vであり得る。
【0096】
[0109] 例えば、上述のように荷電粒子サブビームを加速させ、及び二次荷電粒子をはじくように構成されたデバイスは、以下の表1の値を有する、図4に関連して示すような電位を有し得る。上述のように、図4に示す対物レンズアレイは、追加的な電極、例えば図4に示すような対物レンズアレイ241の上側電極(第1の電極)と下側電極(第2の電極)との間に配置された中央電極を含み得る。電圧源V1(図示せず)は、電位を中央電極に印加するように構成され得る。この中央電極は、任意選択的であり、表1に列挙された他の電位を有する電極と共に含まれない場合がある。対物レンズアレイの中央電極は、対物レンズアレイの上側電極と同じ電位(即ちV3)を有し得る。
【0097】
[0110] 例示的な範囲が上述の表1の左側列に示される。中央列及び右側列は、例示的な範囲内のV1~V8の各値のより具体的例を示す。右側列より小さい分解能の中央列が提供され得る。分解能がより大きければ(右側列と同様に)、サブビーム当たりの電流がより大きくなり、従ってビームの数がより少なくてもよい。より大きい分解能を使用する利点は、「連続エリア」を走査するために必要とされる時間がより短くなることである(これは、実用上の制約であり得る)。従って、全体スループットは、より低くてよいが、ビームエリアを走査するために必要とされる時間は、より短い(ビームエリアがより小さいため)。
【0098】
【表1】
【0099】
[0111] デバイスは、上述のような制御レンズアレイ250を含み得る。制御レンズアレイ250は、荷電粒子サブビームをサブビーム経路に沿って減速させるように構成され得る。これは、制御レンズアレイ250内の電極の電位を制御することによって行われ得る。荷電粒子サブビームを減速させるために制御レンズを使用する主な理由は、対物レンズアレイ241の性能を改善することである。対物レンズアレイは、互いに部分的に相殺する正の基本レンズと負の基本レンズとを含むが、収差は、合算される。通常、2つの電極間のビームエネルギーの差が大きいほど、収差係数がより低くなる。本発明の荷電粒子光学デバイスは、使用時、それぞれの電位を制御レンズアレイ250の制御レンズの少なくとも1つの電極及び/又は対物レンズアレイ241の対物レンズの少なくとも1つの電極に印加するように構成された電源290を含み得る。具体的には、電源は、電位を第1の電極242及び/又は第2の電極243に提供するように構成され得る。電源290は、対物レンズのアレイの一部として設けられる任意の他の追加的な電極(存在する場合、上述の第3の電極244を含む)に任意の電位を印加するように構成され得る。電源は、追加的又は代替的に、使用時に電位をサンプル208に印加するように構成され得る。電源は、追加的又は代替的に、使用時に電位を検出器アレイ240に印加するように構成され得る。電源は、それぞれ電位を上述のコンポーネントの任意のものに提供するように構成された複数の電源を含み得る。
【0100】
[0112] 図7は、検出器アレイ240の底面図であり、この検出器アレイ240は、基板404を含み、基板404上には、ビームアパーチャ(又はアパーチャ)406をそれぞれ取り囲む複数の検出器素子405が設けられる。ビームアパーチャ406は、基板404をエッチングすることにより形成され得る。図7に示される構成では、ビームアパーチャ406は、矩形のアレイで示されている。ビームアパーチャ406は、これと異なるように、例えば図8に示されるような最密六角形アレイ状に配置することもできる。図8の六角形配置のビーム構成は、図7に示されるような正方形ビーム構成よりも密に実装され得る。描写されるように、検出器素子405は、矩形アレイ又は六角形アレイで配置され得る。
【0101】
[0113] 図9は、検出器アレイ240の一部の断面図をより大きい縮尺で示す。検出器素子405は、検出器アレイ240の最下部表面、即ちサンプル208に最も近い表面を形成する。検出器素子405と基板404のメインボディとの間にロジック層407が設けられ得る。信号処理システムの少なくとも一部がロジック層407に組み込まれ得る。
【0102】
[0114] 配線層408は、基板404の背面又は内部に設けられ、基板貫通ビア409によってロジック層407に接続される。基板貫通ビア409の数は、ビームアパーチャ406の数と同じである必要はない。特に、電極信号がロジック層407内でデジタル化される場合、データバスを提供するために少数のシリコン貫通ビアのみが必要になり得る。配線層408には、制御線、データ線及び電力線が含まれ得る。ビームアパーチャ406があるにも関わらず、すべての必要な接続のための十分な空間があることに留意されたい。検出モジュール402は、バイポーラ又は他の製造技術を使用して製造することもできる。プリント回路基板及び/又は他の半導体チップは、検出器アレイ240の背面に設けられ得る。
【0103】
[0115] 上記の集積検出器アレイは、二次電子捕捉が着地エネルギーの範囲に対して最適化され得るため、調整可能な着地エネルギーを有するツールと共に使用される場合に特に有利である。
【0104】
[0116] 検出器アレイ240は、CMOSチップ検出器を対物レンズアレイの最下部電極に一体化することにより実装され得る。荷電粒子光学デバイスの対物レンズアレイ241又は他のコンポーネントへの検出器アレイ240の一体化は、複数のそれぞれのサブビームに関連して放出された荷電粒子の検出を可能にする。CMOSチップは、サンプルに面するように配向されることが好ましい(サンプルと、荷電粒子光学デバイス及び/又は電子光学システムの底部との間の小さい距離(例えば、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下又は10μm)のために)。一実施形態では、二次荷電粒子を捕捉する検出器素子405は、CMOSデバイスの表面金属層内に形成される。検出器素子405は、他の層内に形成され得る。CMOSの電力信号及び制御信号は、シリコン貫通ビアによってCMOSに接続され得る。堅固にするために、穴を有する受動シリコン基板がCMOSチップを高電場から遮蔽することが好ましい。
【0105】
[0117] 検出効率を最大にするために、対物レンズアレイ240のほぼすべてのエリア(アパーチャを除く)が検出器素子405により占められるように、検出器素子405の表面をできる限り大きくすることが望ましい。追加的又は代替的に、各検出器素子405は、アレイピッチ(即ち対物レンズアセンブリ241の電極との関連で上に述べたアパーチャアレイピッチ)にほぼ等しい径を有する。従って、各検出器素子の径は、約600μm未満であり、好ましくは約50μm~500μmであり得る。上述のように、ピッチは、サンプルと検出器アレイ240との間の意図された距離Lに依存して選択され得る。一実施形態では、検出器素子405の外形は、円形であるが、これは、検出エリアを最大にするために正方形にされ得る。基板貫通ビア409の直径も最小化され得る。電子ビームの一般的なサイズは、約5~15ミクロンメートルである。
【0106】
[0118] 一実施形態では、単一検出器素子405が各ビームギャップ406を取り囲む。別の実施形態では、複数の検出器素子405が各ビームアパーチャ406の周りに設けられる。1つのビームアパーチャ406を取り囲む検出器素子405によって捕捉される電子は、単一信号に合成され得るか、又は独立信号を生成するために使用され得る。検出器素子405は、半径方向に分割され得る。検出器素子405は、複数の同心円環又はリングを形成し得る。検出器素子405は、角度的に分割され得る。検出器素子405は、複数の扇形部分又はセグメントを形成し得る。セグメントは、同様の角度サイズ及び/又は同様の面積のものであり得る。電極素子は、半径方向及び角度的の両方で又は任意の他の好都合な方法で分離され得る。
【0107】
[0119] しかしながら、検出器素子405の表面の拡大は、寄生容量の増大、従って帯域幅の低下をもたらす。このため、検出器素子405の外径を制限することが望ましい場合がある。特に、検出器素子405の拡大がわずかな検出効率の向上を与えるにすぎず、しかし、キャパシタンスの大幅な増加を与える場合である。円形(環状)検出器素子405は、収集効率と寄生容量との間の良好な妥協点を提供し得る。
【0108】
[0120] 検出器素子405の外径の増大はまた、クロストーク(隣接した穴の信号に対する感度)の増加をもたらし得る。これは、検出器素子405の外径をより小さくする理由にもなり得る。特に、検出器素子405の拡大がわずかな検出効率の向上を与えるにすぎず、しかし、クロストークの大幅な増加を与える場合である。
【0109】
[0121] 検出器素子405によって収集された荷電粒子の電流は、例えば、TIAなどの増幅器によって増幅される。
【0110】
[0122] 荷電粒子光学デバイスの検出器アレイ内で使用される検出器は、任意選択的に、図10図11図12に関連して以下に説明される検出器であり得る。
【0111】
[0123] 荷電粒子光学デバイスは、上述の制御レンズアレイ250を含み得る。説明したように、制御レンズアレイは、対物レンズアレイ241のアップビームに配置され得、各制御レンズは、それぞれの対物レンズ234に関連付けられ得る。荷電粒子光学デバイスは、制御レンズアレイ250と対物レンズアレイ241との間に中間焦点を形成するように構成され得る。具体的には、制御レンズアレイ230は、それぞれの制御レンズと、対応する対物レンズとの間に中間焦点を提供するように構成され得る。上述のように、電子光学デバイスは、制御レンズの焦点長を制御して、制御レンズアレイ250と対物レンズアレイ241との間に中間焦点を形成するように対物レンズアセンブリを(例えば、制御レンズアレイ250の電極に印可される電位を制御することにより)制御するように構成され得る。
【0112】
[0124] 先に述べたように、対物レンズアレイ241に加えて制御レンズアレイ250を設けることで、サブビームの特性を制御するための追加的な自由度を提供する。追加的な自由度は、例えば、中間焦点が制御レンズアレイ250と対物レンズアレイ241との間に形成されないように、制御レンズアレイ250と対物レンズアレイ241とが一緒に比較的近くに設けられる場合でも提供される。制御レンズアレイ250は、ビームの縮小率に関してビーム開角度を最適化し、及び/又は対物レンズアレイ241に送達されるビームエネルギーを制御するために使用され得る。制御レンズは、2つ又は3つ以上の電極を含み得る。2つの電極がある場合、縮小率及び着地エネルギーは、一緒に制御される。3つ以上の電極がある場合、縮小率及び着地エネルギーは、個別に制御され得る。従って、制御レンズは、それぞれのサブビームの縮小率及び/又はビーム開角度を調節する(例えば、適切なそれぞれの電位を制御レンズ及び対物レンズの電極に印加するために電源を使用して)ように構成され得る。この最適化は、対物レンズの数に過度に負の影響を与えることなく、及び対物レンズの収差を過度に悪化させることなく(例えば、対物レンズの強度を増加させることなく)達成され得る。
【0113】
[0125] 制御レンズアレイ250は、低ビームエネルギーを対物レンズアレイ241に送達するために使用され得る。これは、上に論述したように、対物レンズアレイ241の第1の電極に印可される電位、即ち約+3kV~+8kV又は好ましくは約+5kVと同様であり得る。対物レンズの入力ビームエネルギーが低いほど、対物レンズの焦点長がより短くなる。従って、上述のように、5kV未満の入射ビームエネルギーは、通常、対物レンズアレイ241の内側の焦点に至る。一般的に、関連するエネルギーでレンズアレイ241内に荷電粒子ビームを提供するために、制御レンズアレイ250が荷電粒子ビームを例えば約+30kVから+5kVに減速させるために使用される。これは、大きいビームエネルギー差のためにクロスオーバを生成する。
【0114】
[0126] 好ましくは、それぞれの制御レンズと、対応する対物レンズとの間の中間焦点236(中間焦点と交換可能に呼ばれる)は、図3に描写するように共通面内にある。従って、好ましくは、中間焦点236は、面、具体的には制御レンズアレイと対物レンズアレイとの間の面内に配置される。好ましくは、中間焦点の面は、制御レンズアレイ及び/又は対物レンズアレイと平行な面内に配置される。好ましくは、中間焦点236は、アレイ中間焦点内にある。
【0115】
[0127] 荷電粒子光学デバイスは、他にスペーサと呼ばれ得る絶縁構造を含み得る。絶縁構造は、対物レンズアレイ内に設けられ得る。絶縁構造は、隣接する電極を分離、即ち離間するために設けられる。絶縁構造の形状は、特に対物レンズアレイ及び対物レンズアレイが使用される方法のために選択され得る。絶縁構造は、対物レンズアレイ240、集光レンズアレイ(図3に描写するような)及び/又は制御レンズアレイ250内などに設けられる任意の隣接する電極を分離するように提供される。
【0116】
[0128] 絶縁構造は、対物レンズアレイ内の任意の隣接する電極間に設けられ得る。例えば、絶縁構造は、例えば、2つの電極が設けられる場合(図5に示すように)、第1の電極と第2の電極との間に配置され得る。例えば、絶縁構造は、3つの電極が設けられる場合(図6に示すように)、第2の電極と第3の電極との間及び/又は第1の電極と第3の電極との間に配置され得る。
【0117】
[0129] 絶縁構造500の例示的な形状が図10図11図12に断面で示される。絶縁構造500は、本体501及び本体501の半径方向内向きの突起を含み得る。本体501及び突起は、一体化され得、即ち1つの単一ピースで形成され得る。突起は、段差面を提供し得る。絶縁構造500、より具体的には本体は、第1の側502及び第2の側503を含み得る。第2の側503は、第1の側502に対向し得る。例えば、第1の側502は、絶縁構造500の底面であり得、第2の側503は、絶縁構造500の上面であり得る。本体は、マルチビーム経路を取り囲み得る。本体は、リングであり得る。リングの内面は、突起及び段差面を提供し得る。
【0118】
[0130] 絶縁構造500は、レンズアレイ、例えば対物レンズアレイを通した荷電粒子ビームの投影を最適化するように構成され得る。具体的には、絶縁構造500の形状は、対物レンズが加速方向などの高静電界に耐え、放電のリスクを低減することを促進する際に有益であり得る。絶縁構造は、図10図11に示すように、断面で見ると非対称であり得る。即ち、断面では、ビーム経路に面する絶縁構造の表面は、階段状であり得る。段差面は、経路長を絶縁構造の表面全体にわたり延伸し得る。段差面全体にわたる最短経路長は、クリープ長を超え得る。絶縁構造の第1の側の電極と第2の側の電極との間の意図された動作電位差のクリープ長以下では、電極間の放電のリスクが高まる。この形状及び/又は幾何学形状、特に段差面及び突起は、絶縁構造の半径方向内向き電界及び電極間の放電のリスクを低減し得る。具体的には、スペーサのギャップ及び幾何学形状は、スペーサのいずれかの側の電極のより負側の三重点(真空、電極、スペーサ)における電界を低減するように選択される。図11に示す絶縁構造の使用は、説明された絶縁構造の幾何学形状及びその機能に少なくとも関する限り、その全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2011/0216299号に説明される。
【0119】
[0131] 荷電粒子が対物レンズのアレイ241によってサンプル208に向かって加速される実施形態では、絶縁構造500は、対物レンズアレイを介して荷電粒子の加速度を最適化するために、対物レンズアレイ241の隣接する電極間に配置され得る。
【0120】
[0132] 対物レンズアレイの隣接する電極間の適所において、電極の1つは、本体と、絶縁構造の第1の側の突起とに接触し、本体は、絶縁構造の第2の側の別の電極に接触し、ギャップは、突起と、電極の他の電極との間に画定される。換言すれば、本体及び突起は、電極の1つに接触するが、本体のみが他の電極に接触する。従って、絶縁構造は、突起と、電極の少なくとも1つとの間のギャップを提供する。
【0121】
[0133] このような絶縁構造500が図11に示され、ここでは、第1の電極242は、絶縁構造500の第1の側503の本体及び突起506に接触する。本体501は、絶縁構造500の第2の側の第2の電極243に接触する。ギャップ507は、突起506と第2の電極243との間(第1の電極242のダウンビーム)に設けられる。
【0122】
[0134] 一実施形態では、対物レンズアレイ241は、それ自体又は制御レンズアレイ及び/又は検出器アレイなどの他の素子と組み合わせてのいずれかで交換可能モジュールである。交換可能モジュールは、フィールド交換可能であり得、即ち、モジュールは、フィールドエンジニアにより新しいモジュールに交換され得る。一実施形態では、複数の交換可能モジュールがツール内に含まれ、ツールを開くことなく動作可能位置と動作不能位置との間で交換され得る。
【0123】
[0135] 一実施形態では、交換可能モジュールは、電子光学コンポーネントを含み、具体的にはコンポーネントの配置のための作動を許容するステージ上にある荷電粒子光学デバイスであり得る。一実施形態では、交換可能モジュールは、ステージを含む。ある構成では、ステージ及び交換可能モジュールは、電子光学ツール40の一体化部分であり得る。ある構成では、交換可能モジュールは、ステージ及びステージが支持するデバイス、例えば荷電粒子光学デバイスに限定される。ある構成では、ステージは、取り外し可能である。一代替設計では、ステージを含む交換可能モジュールは、取り外し可能である。交換可能モジュールの電子光学ツール40の一部分は、分離可能であり、即ち、電子光学ツール40のこの部分は、交換可能モジュールのアップビームの弁及びダウンビームの弁により画定される。弁は、弁間の環境を、交換可能モジュールに関連付けられた電子光学ツール40の一部分のアップビーム及びダウンビームの真空を維持しながら、交換可能モジュールが電子光学ツール40から取り外されることをそれぞれ可能にする弁のアップビーム及びダウンビームの真空から分離するように操作され得る。一実施形態では、交換可能モジュールは、ステージを含む。ステージは、ビーム経路に対してデバイス、例えば荷電粒子光学デバイスを支持するように構成される。一実施形態では、モジュールは、1つ又は複数のアクチュエータを含む。アクチュエータは、ステージに関連付けられる。アクチュエータは、ビーム経路に対してデバイスを移動させるように構成される。このような作動は、デバイス及びビーム経路を互いに対して位置合わせするために使用され得る。
【0124】
[0136] 一実施形態では、交換可能モジュールは、微小電子機械システム(MEMS)モジュールである。MEMSは、微細加工技術を使用して作られた小型機械及び電子機械素子である。一実施形態では、交換可能モジュールは、電子光学ツール40内で交換可能であるように構成される。一実施形態では、交換可能モジュールは、フィールド交換可能であるように構成される。フィールド交換可能とは、その中に電子光学ツール40が位置する真空を維持しながらモジュールが取り外され、同じ又は異なるモジュールと交換され得ることを意味するように意図される。モジュールが排出されることに対応して、電子光学ツール40の一セクションのみが、モジュールを取り外し及び戻す又は交換するために排出される。
【0125】
[0137] 制御レンズアレイ250は、対物レンズアレイ241と同じモジュール内にあり得る(即ち対物レンズアレイアセンブリ又は対物レンズ配置を形成し得る)か、又は別個のモジュール内にあり得る。
【0126】
[0138] 幾つかの実施形態では、サブビーム内の1つ又は複数の収差を低減する1つ又は複数の収差補正器が提供される。1つ又は複数の収差補正器は、実施形態の任意のものでは、例えば荷電粒子光学デバイスの一部として、及び/又は光学レンズアレイアセンブリの一部として、及び/又は評価ツールの一部として提供され得る。一実施形態では、収差補正器の少なくともサブセットのそれぞれは、中間焦点のそれぞれ1つに配置されるか、又はそれと直接隣接する(例えば、中間像面に配置されるか又はそれと隣接する)。サブビームは、中間平面などの焦点面又はその近傍で最小の断面積を有する。これは、他の場所、即ち中間平面のアップビーム又はダウンビームで利用可能な空間(又は中間像面を有しない代替構成で利用可能となる空間)よりも多くの空間を収差補正器に提供する。
【0127】
[0139] 一実施形態では、中間焦点(若しくは中間像面)に又はそれに直接隣接して配置された収差補正器は、異なるビームにとって異なる位置にあるように見える放射源201を補正するための偏向器を含む。補正器は、各サブビームと、対応する対物レンズとの間の良好なアライメントを阻む、放射源に起因する巨視的収差を補正するために使用され得る。
【0128】
[0140] 収差補正器は、適切なコラムアライメントを阻む収差を補正することができる。そのような収差は、サブビームと補正器との間のミスアライメントにもつながり得る。このため、追加的又は代替的に、収差補正器を集光レンズ231又はその近くに配置することが望ましい場合がある(例えば、そのような収差補正器の各々は、集光レンズ231の1つ又は複数と一体化されるか、又はそれらと直接隣接する)。これは、集光レンズがビームアパーチャと垂直方向に近いか、又はビームアパーチャと一致するため、集光レンズ231又はその近傍では、収差が、対応するサブビームのシフトを依然として引き起こしていないために望ましい。しかしながら、集光レンズ又はその近傍に補正器を配置することの課題は、さらに下流(又はダウンビーム)の場所と比べて、この場所では各サブビームの断面積が比較的大きくなり、ピッチが比較的小さくなることである。集光レンズ及び収差補正器は、同じ構造の一部であり得る。例えば、集光レンズ及び収差補正器は、例えば、電気的絶縁素子により互いに接続され得る。収差補正器は、欧州特許出願公開第2702595A1号に開示されるようなCMOSベースの個々のプログラム可能偏向器又は欧州特許出願公開第2715768A2号に開示されるような多極偏向器のアレイであり得、両方の文献におけるビームレットマニピュレータの記載は、参照により本明細書に援用される。
【0129】
[0141] 幾つかの実施形態では、収差補正器の少なくともサブセットのそれぞれは、対物レンズ234の1つ若しくは複数と一体化されるか又はそれらに直接隣接する。一実施形態では、これらの収差補正器は、像面湾曲、集束誤差及び非点収差の1つ又は複数を低減する。対物レンズ及び/又は制御レンズ並びに補正器は、同じ構造の一部であり得る。例えば、対物レンズ及び/又は制御レンズ並びに補正器は、例えば、電気的絶縁素子により互いに接続され得る。追加的又は代替的に、1つ又は複数の走査偏向器(図示せず)は、サンプル208全体にわたりサブビーム211、212、213を走査するための対物レンズ234の1つ若しくは複数と一体化され得るか又はそれに直接隣接し得る。一実施形態では、その全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2010/0276606号に記載の走査偏向器が使用され得る。
【0130】
[0142] 上述の荷電粒子光学デバイスは、少なくとも対物レンズアレイ241を含み得る。従って、幾つかの実施形態では、荷電粒子光学デバイスは、対物レンズアレイアセンブリであり得、対物レンズアレイアセンブリに関連して上に述べたコンポーネントを有し得る。
【0131】
[0143] 第2の態様では、例えば、対物レンズアセンブリは、荷電粒子のマルチビームをサンプル表面に向かって投影するためのものである。対物レンズアセンブリは、対物レンズアレイ241及び検出器アレイ240を含む。対物レンズアレイ241は、上記の対物レンズアレイ241に関連して述べた特徴のいずれか又はすべてを含み得る。検出器アレイ240は、上記の検出器アレイ240に関連して述べた特徴のいずれか又はすべてを含み得る。対物レンズアセンブリは、後方散乱荷電粒子を検出するように構成される。
【0132】
[0144] 対物レンズアレイ241は、マルチビームの経路に沿って配置された少なくとも2つの電極を含み、その間に複数のアパーチャが画定される。例えば、対物レンズアレイ241は、少なくとも第1の電極242及び第2の電極243を含む。検出器アレイ240は、マルチビームに応答してサンプルから発散する荷電粒子を検出するように構成される。検出器アレイ240は、対物レンズアレイ241のダウンビームに配置される。
【0133】
[0145] 検出器アレイ240は、サンプル208に近接して配置可能であるように構成され、第1の態様で説明されたようなサンプル208と検出器アレイとの間の距離Lを有し得る。
【0134】
[0146] 検出器アレイ電位、サンプル電位、第1の電極電位及び/又は第2の電極電位は、第1の態様に関連して上に述べたように設定され得る。
【0135】
[0147] 第2の態様の対物レンズアセンブリは、例えば、上述の荷電粒子光学デバイスのいずれか又はすべての特徴を有し得る。特に、対物レンズアレイアセンブリは、制御レンズアレイ250及び/又は走査偏向器アレイ260を含み得る。
【0136】
[0148] 本発明の第3の態様では、例えば、荷電粒子光学デバイスが2つの動作状態間で切り替わるように構成された荷電粒子光学デバイスが提供される。2つの動作状態は、後方散乱荷電粒子を主に検出することと、二次荷電粒子を主に検出することとの間で変化する。第3の態様の荷電粒子光学デバイスは、例えば、上記の態様及び実施形態に関連して述べた特徴のいずれか又はすべてを含み得る。上述の特徴と同じ特徴には、同じ参照符号が付される。簡潔さのために、このような特徴は、以下では詳細に説明されない。
【0137】
[0149] 説明したように、二次荷電粒子及び後方散乱荷電粒子の検出は、両方とも有用であるが、二次荷電粒子及び後方散乱荷電粒子の検出を通して様々な情報が取得され得る。従って、二次荷電粒子及び後方散乱荷電粒子の両方の検出を支援するデバイスを提供することには、明確な利点がある。特に、二次荷電粒子の検出と後方散乱荷電粒子の検出との切り替え(逆も同様)を容易に支援し得るデバイスを提供する利点がある。
【0138】
[0150] 上述のように、荷電粒子光学デバイスは、任意の荷電粒子システム、例えば荷電粒子評価ツール、即ち評価ツール40に好適である。荷電粒子光学デバイスは、荷電粒子のビームのアレイをサンプルに向かって投影するように構成され、即ち、荷電粒子光学デバイスは、荷電粒子のマルチビームをサブビーム経路に沿ってサンプル208に向かって投影するように構成される。マルチビームは、サブビームを含む。荷電粒子光学デバイスは、荷電粒子サブビームのアレイをサンプル208上に投影するように構成された対物レンズアレイ241を含む。換言すれば、荷電粒子光学デバイスは、ビームをサンプル208上に投影するように構成された対物レンズアレイ241を含む。荷電粒子光学デバイスは、サンプル208から放出された荷電粒子を捕捉するように構成された検出器アレイをさらに含む。換言すれば、荷電粒子光学デバイスは、サンプルからの後方散乱粒子を検出するように構成された検出器のアレイ(即ち検出器アレイ240)を含む。上述のように、検出器アレイ240は、サンプル208に面するように配置され得る。好ましくは、対物レンズアレイ241は、検出器アレイ240を含み、及び/又は検出器アレイ240は、上述のように、対物レンズアレイ241上又はそれに隣接して配置される。
【0139】
[0151] 荷電粒子光学デバイスは、2つの動作状態間で切り替わるように構成される。第1の動作状態では、検出器は、後方散乱荷電粒子より多くの二次荷電粒子を検出するように構成される。換言すれば、第1の動作状態では、検出器は、主に二次荷電粒子を検出するように構成される。第2の動作状態では、検出器は、二次荷電粒子より多くの後方散乱荷電粒子を検出するように構成される。換言すれば、第2の動作状態では、検出器は、主に後方散乱荷電粒子を検出するように構成される。
【0140】
[0152] 荷電粒子光学デバイスの様々な異なる特徴は、第1の動作状態と第2の動作状態との間で切り替えられ得る。第1の動作状態では、荷電粒子光学デバイスは、二次荷電粒子の検出を最適化するように構成され、及び第2の動作状態では、荷電粒子光学デバイスは、後方散乱荷電粒子の検出を最適化するように構成されることが理解される。従って、第1の動作状態では、主に二次荷電粒子が検出され得る。第2の動作状態では、主に後方散乱荷電粒子が検出され得る。
【0141】
[0153] 第2の動作状態では、荷電粒子光学デバイスは、荷電粒子ビームをサンプル208上に加速させるように構成され、好ましくは、対物レンズは、荷電粒子ビームをサンプル208上に加速させるように構成される。従って、第2の動作状態では、荷電粒子光学デバイス及びより具体的には対物レンズアレイ241は、荷電粒子ビームをサンプル208上に加速させるために上述のように動作し得る。第2の動作状態では、対物レンズアレイ241は、上述のように二次荷電粒子をはじくように構成され得る。
【0142】
[0154] 第1の動作状態では、対物レンズは、荷電粒子ビームをサンプル208上に減速させるように構成される。荷電粒子ビームをサンプル上に減速させるように操作される電子ビームツール40及び荷電粒子ビーム検査装置100などのマルチビームシステムが知られており、従って第1の動作状態で使用され得る。論述されたように、これらの既知システムは、二次荷電粒子を検出するために有用である。従って、荷電粒子光学デバイスは、二次荷電粒子から情報を取得する際にこのようなシステムと連動して操作され得る。
【0143】
[0155] 例えば、減速は、いずれの電位が対物レンズアレイ240の電極に印可されるかを選択することにより行われ得る。図4は、どのように電位が制御レンズアレイ250、対物レンズアレイ240及びサンプル280に印可されるかを示すためにシステムとの関連で上に説明された。加速レンズのために提供される電位の値は、減速を提供するために交換又は調節され得る。
【0144】
[0156] 単に一例として、電子は、対物レンズ内で30kVから2.5kVに減速され得る。一例では、5kV~1.5kVの範囲内の着地エネルギーを取得するために、V2、V3、V4、V5、V6及びV7などの図4に示す電位は、以下の表2に示されるように設定され得る。この表内の電位は、ビーム源201の陰極に対する電極電位と均等であるkeVのビームエネルギーの値として与えられる。電子光学システムを設計する際にシステム内のいずれの点が接地電位に設定されるかに関する著しい設計自由度があり、システムの動作は、絶対電位よりむしろ電位差によって判断されることが理解される。
【0145】
【表2】
【0146】
[0157] 上述のように、図4に示す対物レンズアレイは、追加的な電極、例えば図4に示すような対物レンズアレイの上側電極と下側電極との間に配置された中央電極を含み得る。電圧源V1は、電位を中央電極に印加するように構成され得る。この中央電極は、任意選択的であり、従って表2に列挙された他の電位を有する電極と共に含まれない場合がある。
【0147】
[0158] V1、V3、V7におけるビームエネルギーは、同じであることが分かる。幾つかの実施形態では、これらの点におけるビームエネルギーは、10keV~50keVであり得る。低電位が選択される場合、特に対物レンズ内の電極間隔は、電界の低下を制限するために低減され得る。
【0148】
[0159] 制御レンズアレイ250及び対物レンズアレイ240は、3つの電極を有して図4に示されるが、制御レンズアレイ250及び/又は対物レンズアレイ240は、2つのレンズを備え得る。
【0149】
[0160] 上述のように、対物レンズアレイは、少なくとも第1の電極電位を有するように構成された第1の電極242及び第2の電極電位を有するように構成された第2の電極243を含む。第1の電極242は、第2の電極243のアップビームにある。上述のような電位を提供するための電源290が提供され得る。従って、電源290は、第1の電極電位を第1の電極242に、及び第2の電極電位を第2の電極243に印加するように構成される。電源290は、動作状態に依存した電位を必要に応じて印加するように構成される。従って、第1の電極及び第2の電極に印可される電位は、荷電粒子光学デバイスの関連する動作状態に依存して変更され得る。
【0150】
[0161] 第1の動作状態では、第1の電極電位は、第2の電極電位よりも正であり得る。追加的又は代替的に、第2の動作状態では、第2の電極電位は、第1の電極電位よりも正であり得る。電位を制御し、第1の動作状態と第2の動作状態との間でそれらを変更することは、どのように荷電粒子ビームが対物レンズアレイを介して伝搬するかを変更し、従って荷電粒子が加速又は減速するか否かに影響を与える。電極をこのように変更することは、荷電粒子サブビームの着地エネルギーに影響を与える。従って、荷電粒子光学デバイスは、荷電粒子サブビームを第1の動作状態ではより低い着地エネルギーで、及び第2の動作状態ではより高い着地エネルギーでサンプル上に投影するように構成され得る。
【0151】
[0162] 第1及び第2の電極に印可される電位は、上述のような電位であり得るが、交換され得る。加えて、サンプルは、二次荷電粒子が対物レンズアレイからはじかれるように、上述のようなサンプル電位にあり得る。
【0152】
[0163] 追加的又は代替的な調節は、第1の動作状態と第2の動作状態とを切り替える際にも行われ得る。
【0153】
[0164] 例えば、荷電粒子光学デバイスは、第1及び第2の動作状態で荷電粒子サブビームの焦点をサンプル上に維持するように構成され得る。具体的には、対物レンズアレイ241は、第1及び第2の動作状態で荷電粒子サブビームの焦点をサンプル上に維持するように構成され得る。例えば、第1の動作状態と第2の動作状態とを切り替える際(逆も同様)、対物レンズアレイ241の第1の電極電位(即ち上側電極の電位)は、第1及び第2の動作状態で一次ビームの焦点をサンプル208上に維持するために調節され得る。第1の電極電位が荷電粒子サブビームの焦点をサンプル208上に維持するように調節される場合、対物レンズアレイ241とサンプル208との間の距離が維持され得る。
【0154】
[0165] 例えば、第1の動作状態と第2の動作状態とを切り替える際(逆も同様)、荷電粒子光学デバイスは、対物レンズアレイ241とサンプル208との間の距離を変更するように構成され得る。対物レンズアレイ241とサンプル208との間の距離は、第1の動作状態と第2の動作状態との間の着地エネルギーの差を考慮するように調節され得る。距離は、数ミリメートルの程度、又は1ミリメートル未満、又は数百マイクロメートルの程度だけ変更され得る。
【0155】
[0166] 例えば、荷電粒子光学デバイスは、第1の動作状態から第2の動作状態に切り替わるように対物レンズアレイ241とサンプル208との間の距離を低減するように構成され得る。追加的又は代替的に、荷電粒子光学デバイスは、第2の動作状態から第1の動作状態に切り替わるように、対物レンズアレイ241とサンプル208との間の距離を増加させるように構成され得る。
【0156】
[0167] 好ましくは、検出器アレイ240とサンプル208との間の距離は、上記の例において、即ち第1の電極電位及び/又は対物レンズアレイ241とサンプル208との間の距離が変更される場合に有益に維持される。検出器アレイ240は、検出器アレイ240とサンプル208との間の距離を維持するために対物レンズアレイ241に対して移動され得る。検出器アレイ240の移動は、対物レンズアレイ241がサンプル208に対して移動される間又はビーム経路に沿った対物レンズアレイ241に対するサンプルの位置を変更する間(即ち次に検出器アレイ240がサンプルをビーム経路に沿って追跡する間)のいずれかで行われ得る。
【0157】
[0168] 代替的に、サンプル208から放出された荷電粒子を検出器アレイ240上に集束するために、検出器アレイ240とサンプル208との間の距離を変更することが有益であり得る。特に、検出器アレイ240とサンプル208との間の距離は、第1の動作状態にあるときに二次荷電粒子が検出器アレイ240上に集束され、及び第2の動作状態にあるときに後方散乱荷電粒子が検出器アレイ240上に集束されるように、第1の動作状態と第2の動作状態との間で変更され得る。
【0158】
[0169] 検出器アレイ240がサンプル208に対して移動される場合、これは、対物レンズアレイ241に対する検出器アレイ240の位置を制御するか、又はサンプル208に対する検出器アレイ240の位置を制御することによって行われ得る。任意の適切なアクチュエータは、即ち、対物レンズアレイ241及び/又はサンプル208に対して検出器アレイ240を移動させるために使用され得る。
【0159】
[0170] 荷電粒子光学デバイスが第1の動作状態と第2の動作状態との間で切り替わり得る1つの方法は、切り替え可能モジュールを含むか又は切り替え可能モジュールの形態で提供される荷電粒子光学デバイスを提供することを伴う。切り替え可能モジュールは、対物レンズアレイ及び検出器アレイ並びに任意選択的に制御レンズアレイを含み得る。従って、切り替え可能モジュールは、切り替え可能対物レンズアレイアセンブリであり得る。切り替え可能モジュールは、動作状態毎に提供され得る。従って、様々な絶縁構造は、いずれの動作状態に使用されるかに依存して、様々な切り替え可能モジュールのために提供され得る。切り替え可能モジュールは、対物レンズアレイがサンプル208に対して異なる位置に提供されるように対物レンズアレイ241を異なる位置に提供し得る。換言すれば、様々な切り替え可能モジュールは、サブビーム経路220に沿ったサンプルからの様々な距離に検出器アレイを有し得る。検出器アレイ内で使用される検出器は、いずれの動作状態に使用されるかに依存して、様々な切り替え可能モジュールに関して異なり得る。様々なモジュール内の検出器アレイ240は、サンプル208に対して同じ距離に維持され得るか、又は検出器とサンプルとの間の距離は、検出器アレイ241によって検出される、サンプル208から放出された荷電粒子を考慮するためにモジュール間で異なり得る。
【0160】
[0171] 荷電粒子光学デバイス内において、絶縁構造は、上述のように隣接する電極間に設けられ得る。絶縁構造は、いずれの動作状態が好ましいかに依存して異なり得る。例えば、第2の動作状態に関して、絶縁構造は、図11との関係で説明され得る。第1の動作状態に関して、絶縁構造は、図10に示すように設けられ得る。これは、ギャップ505がアップビーム電極(即ち第1の電極242)と半径方向内向き突起504との間に設けられることを除いて、図11の絶縁構造と同様である。この絶縁構造は、ビームが、例えば、ここに記載する理由のために減速されている場合、対物レンズアレイ241を通る荷電粒子ビームの通路を最適化するために特に有益であり得る。図11に示す構成では、第1の電極242は、第2の電極243ほど正でない電位を有する。この配置では、突起は、第1の電極242と接触する。一方、図10の配置では、第1の電極242は、第2の電極243よりも正の電位を有するため、電極間の電位差の方向は、図11に描写される配置と異なり、即ち反対である。これは、この実施形態で突起が第2の電極243と接触する理由である。突起の場所、即ち第1又は第2の電極と接触する場所を選択することにより、望ましくない放電のリスクが低減され得る。
【0161】
[0172] 切り替え可能モジュールは、第1の態様に関連して上に述べたように制御及び適応され得る。
【0162】
[0173] 荷電粒子光学デバイスが第1の動作状態と第2の動作状態との間で切り替わり得る別の方法は、両方の動作状態で動作するように調節され得る荷電粒子光学デバイス、即ち第1の動作状態及び第2の動作状態の両方で使用され得るハイブリッド荷電粒子光学デバイス(ハイブリッドデバイスと呼ばれる)を提供することを伴う。この事例では、対物レンズアレイ241とサンプル208との間の距離は、状態を切り替える際に適応され得る。この事例では、電極に印可される電位は、状態を切り替える際に適応され得る。この事例では、両方の動作状態に好適である絶縁構造が提供され得る。この事例では、両方の動作モードに好適である検出器のアレイが提供され得る(第4の態様で以下に説明されるように)。
【0163】
[0174] ハイブリッドデバイスでは、隣接する電極は、第1の動作及び第2の動作おける使用のために構成された絶縁構造によって分離され、好ましくは、対物レンズアレイは、絶縁構造を含む。このような絶縁構造は、図12に示すように提供され、ハイブリッド絶縁構造と呼ばれ得る。ハイブリッド絶縁構造は、ギャップ509、510が半径方向内向き突起508のいずれかの側に設けられることを除いて、図10及び図11に示す絶縁構造と同様である。従って、ハイブリッド絶縁構造のいずれかの側の電極は、本体501と接触する。しかし、半径方向内向き突起508は、第1の電極242又は第2の電極243のいずれとも接触しない。
【0164】
[0175] さらに詳細には、絶縁構造500は、本体501と、本体501の半径方向内向きの突起508とで形成される。本体501は、第1の側503及び第2の側502を特徴とし、第1の側は、第2の側に対向する。絶縁構造の第1の側503では、本体501は、電極の一方(例えば、第1の電極242)に接触し、第1のギャップ509は、突起508と電極242の一方との間に形成される。絶縁構造の第2の側502では、本体501は、電極の他方(例えば、第2の電極243)に接触し、第2のギャップは、突起508と電極の他方(例えば、第2の電極243)との間に形成される。
【0165】
[0176] ハイブリッドデバイスは、第1の動作状態と第2の動作状態との間で切り替わるように、対物レンズアレイ及び/又はサンプルをサブビーム経路220に沿って互いに対して移動させるように構成され得る。例えば、ハイブリッドデバイスは、対物レンズアレイとサンプルとの間の距離を変更するために対物レンズアレイを移動させるように構成されたアクチュエータ248を含み得る。アクチュエータ248は、対物レンズアレイアセンブリの一部であり得る。マルチビーム経路に沿って検出器を移動するためのアクチュエータを特徴とするデバイスの開示は、検出器アレイを対物レンズアレイに対して作動させるためのアクチュエータの設計及び使用に関して参照により本明細書に援用される、2020年9月24に出願された欧州特許出願公開第20198201.4号である。
【0166】
[0177] 追加的又は代替的に、ハイブリッドデバイスは、対物レンズアレイ241とサンプル208との間の距離を変更するためにサンプルを移動させるように構成される。例えば、ハイブリッドデバイスは、サンプルの位置を変更するために使用され得る電動ステージ209(及び任意選択的にサンプルホルダ207)を含み得る。
【0167】
[0178] 上述のように、ハイブリッドデバイスは、様々な動作状態又はモード間で切り替わり得る。上記の例の任意のものでは、動作状態間の切り替えは、様々な動作状態における様々なタイプの荷電粒子を検出するために使用され得る。例えば、ハイブリッドデバイスは、1つのタイプの信号粒子(例えば、二次荷電粒子)をより多く検出するために第1の動作状態で動作し、次に異なるタイプの信号粒子(例えば、後方散乱荷電粒子)をより多く検出するために第2の動作状態で動作する。ハイブリッドデバイスは、いずれの粒子により関心があるかに依存して、所定期間の間第1の動作状態又は第2の動作状態で動作するように構成され得る。ハイブリッドデバイスは、任意の数の追加的な状態又はモード間で切り替わるように構成され得る。
【0168】
[0179] 先に説明したように、サンプル208に関係する様々な情報は、様々なタイプの荷電粒子を測定することにより取得され得る。例えば、二次荷電粒子の測定は、例えば、上面を撮像するために、上面に関する情報を取得するために使用され得、後方散乱荷電粒子は、例えば、表面下の撮像のために、サンプルの表面下の特徴に関するデータを取得するために使用され得る。様々なタイプの荷電粒子からデータを取得することは、サンプルの表面とサンプルの表面下の特徴とを比較するために使用され得る。これは、例えば、サンプルの様々な層内の特徴の配置を判断するために使用され得る、サンプル内に既に定義された特徴に関係する情報を識別する際に有益であり得る。様々な層に関係するこのようなデータは、重畳位置における様々な層内の特徴の信号電子(例えば、様々なタイプの信号電子)を使用することにより、例えばオーバーレイ誤差を識別するために使用され得る。従って、様々な動作状態間のデバイスの切り替えは、このようなオーバーレイ測定のために特に有用であり得る様々なタイプの信号粒子を検出するために上述のように使用され得る。一般的に、モードを切り替える際、サンプルと検出器との間の静電界は、一方のモードでは二次信号粒子が検出器アレイ241からはじかれ、他方のモードでは二次荷電粒子が検出器アレイ241に向かって加速されるように反転される。上述の実施形態では、着地エネルギーは、通常、様々な動作状態間で変更される。例えば、着地エネルギーは、第1の動作状態(後方散乱荷電粒子より多くの二次荷電粒子が検出される場合)では約2.5kVであり得、第2の動作状態では約30kV以上であり得る。しかし、様々なモード(即ち動作状態)間で切り替える間、オーバーレイ測定誤差を生じ得るシステムドリフト(即ちサンプル位置又はビーム位置の移動)のリスクがある。
【0169】
[0180] 第3の態様の一実施形態では、例えば、デバイスは、以下に述べるように第1の動作状態と第2の動作状態との間で連続的に切り替わる、即ち二次荷電粒子及び後方散乱荷電粒子の継続的又はほぼ継続的検出を可能にするように構成され得る。換言すれば、検出は、後方散乱荷電粒子、次に二次荷電粒子(逆も同様)の検出を可能にするために動作状態間で交互に切り替わり得る。デバイスの動作は、様々な動作モードにより好まれる信号粒子の検出をインターリーブする。
【0170】
[0181] 好ましくは、切り替えは、以下に詳細に説明されるように急速に発生する。一般的に、第1の動作状態と第2の動作状態との連続切り替えは、後方散乱荷電粒子及び二次荷電粒子のほぼ同時の検出を実質的に又は少なくとも提供し得る。切り替えは、以下に説明されるようにコントローラにより制御され得る。
【0171】
[0182] 切り替えは、第1の電位と第2の電位との間のデバイス切り替えを含む。換言すれば、デバイスは、反発がオンの場合に検出器アレイ240が二次荷電粒子をはじくように構成されるように、反発電位をオン及びオフにし得る。一般的に、検出器アレイ240は、対物レンズアレイ240よりサンプル208に近い傾向があるため、二次荷電粒子をはじくための反発電位を提供されるのは、検出器アレイ240である。しかし、反発電位を検出器アレイ241に供給する代わりに、反発電位は、対物レンズアレイ240にも同様に供給され得る。
【0172】
[0183] 二次荷電粒子は、低エネルギー(例えば、後方散乱荷電粒子と比較して)を有する傾向があるため、比較的低い反発電位により効果的にはじかれ得る。これは、反発電位が迅速にオン及びオフされ得る点で有益である。
【0173】
[0184] 単に一例として、一配置では、+5Vの電位が加速のために検出器アレイ240に印可され得、-25Vの電位が反発のために検出器アレイ240に印可され得る。この電位は、検出器アレイ240の代わりに対物レンズアレイ241の少なくとも一部にも同様に印可され得る。後方散乱荷電粒子モード中に検出される幾つかの二次荷電粒子が依然として存在し得る(逆も同様)。しかし、第1の動作状態では(検出器が後方散乱荷電粒子より多くの二次荷電粒子を検出する場合)、後方散乱荷電粒子の割合は、約20%であり得る。追加的又は代替的に、第2の動作状態では(検出器が後方散乱荷電粒子より多くの後方散乱荷電粒子を検出する場合)、二次荷電粒子の割合は、約35%であり得る。
【0174】
[0185] 一般的に、第1の動作状態と第2の動作状態との間の電圧差は、数十ボルト、例えば上述のように30Vであり得る。この大きさの電圧差を有することは、切り替えが非常に速く、例えばミリ秒程度で行われ得る点で有益であるため、切り替えは、(例えば、それから画像が描画され得る)データの取得中に何度も行われ得る。加えて、これは、電圧変化の影響が一次サブビームに対して無視できる影響を有するために有益である。
【0175】
[0186] デバイスは、動作状態間の切り替えを制御するように構成されるコントローラを含み得る。例えば、コントローラは、検出器アレイ240及び/又は対物レンズアレイ241に印可される反発電位を制御するように構成され得る。コントローラは、上述のコントローラ50と同じであり得る。
【0176】
[0187] 第1の動作状態及び第2の動作状態における着地エネルギーは、ほぼ同じであり得、及び/又はほぼ維持される。換言すれば、着地エネルギーは、第1の動作状態と第2の動作状態との間の高速切り替えに伴ってほぼ一定であり得る。特に同じ着地エネルギーが使用される場合、信号は、二次荷電粒子検出から生成され得、信号は、後方散乱荷電粒子検出から生成され得る。一般的に、後方散乱荷電粒子は、十分な信号を取得するために二次荷電粒子より高い着地エネルギーを必要とする。従って、着地エネルギーは、後方散乱荷電粒子信号を提供するために十分に高いことが好ましい。例えば、一配置では、着地エネルギーは、10kV以上、約10~15kV、約15kV以上又は約30kV以上であり得る。このような着地エネルギーでは、有用な二次荷電粒子信号が同様に生成され得る。着地エネルギーがほぼ一定に保持される場合、電圧変化のみが反発電位に関連し得る。
【0177】
[0188] 好ましくは、デバイスが第1の動作状態と第2の動作状態との間で(逆も同様)切り替わる速度は、約10ms~1s、好ましくは約10ms~100ms又は好ましくは約20ms~50msである。上述のように、デバイスは、測定間でドリフトし得る。従って、デバイスが第1の動作モードと第2の動作モードとの間(逆も同様)で十分に速く切り替わる場合、これは、ドリフトの影響を低減又は回避し得る。これは、どの程度のドリフトがあるか及びどの程度迅速にデバイスがモード間で切り替わるかに依存する。通常、ドリフトは、ミリ秒程度で小さい傾向があるため、切り替えは、10ms毎であるか、又はドリフトを回避するために十分に速いべきである。この切り替え速度では、デバイスは、50ms、又は30ms、又は約20ms内でサンプル表面の同じ部分の上で2つの異なる動作モードで動作し得る。従って、第1の動作状態と第2の動作状態との間の連続切り替えは、後方散乱荷電粒子及び二次荷電粒子の実質的に同時又は少なくともほぼ同時の検出を提供し得る。電位は、この時間スケールで切り替えられ得ることに留意されたい。好ましくは、デバイスは、数秒毎に少なくとも一回、又は毎秒少なくとも一回、又は100ms毎に少なくとも一回、又は10ms毎に少なくとも一回、第1の動作状態と第2の動作状態とで(逆も同様)切り替わる。より短い時間スケールは、デバイスが両方のモードでサンプルの同じ部分に作用し得るように、ビーム経路とサンプルとの互いに対する大幅な再配置を回避する。より一般的には、動作状態間の切り替えの速度が速いほど、ドリフトの補償がより良好になる。しかし、動作状態間のより速い切り替えは、動作状態間の切り替えのために必要とされるオーバヘッド時間に関してより困難になり得、スループットを低減する。従って、この速度は、オーバヘッド時間のための「ドリフト」対「スループットの損失」の結果としての精度の損失を最適化するために、好ましくは上記の範囲及び値に基づいて選択され得る。
【0178】
[0189] 例えば、後方散乱画像を作成するための後方散乱信号粒子を検出するためのモードでデバイスを操作する際にデータを取得することは、例えば、二次荷電粒子を使用して、画像を作成するための二次信号粒子を検出するためのモードでデバイスを操作する際、データを取得するのにより長い時間がかかり得ることに留意されたい。従って、デバイスは、デバイスが後方散乱荷電粒子を検出するための表面の一部を処理するために10ms~100ms毎に切り替わり得る。サンプル表面の同じ部分の二次荷電粒子の検出データを取得することは、約10倍速い場合がある。一配置では、デバイスは、順次に様々な動作モードで同じ表面部分に作用し得る。別の配置では、デバイスは、部分的データセットを生成するために様々なモードでサンプル表面の連続的部分全体にわたって使用され得る。例えば、デバイスは、第1の動作モードで1つのセクションを走査し、次に第2の動作モードで次のセクションを走査するように使用され得る。部分的画像のみが切り替えの前に1つのモードで走査され得る。
【0179】
[0190] 本実施形態は、検出の他のモード(例えば、以下に説明される同時検出)より高い後方散乱荷電粒子検出効率を有し得、これは、スループットのために有利である。その理由が以下に説明される。
【0180】
[0191] 本発明の第3の態様に関連して上に述べたように、例えば、二次荷電粒子の検出と、後方散乱荷電粒子の検出とを切り替え得るデバイスを提供することが有益である。本発明の第4の態様は、2つの動作状態で動作し得る検出器を提供する。検出器は、前述の態様及び実施形態の任意のものの荷電粒子光学デバイスの一部として提供され得、上記の態様及び実施形態の検出器及び/又は検出器アレイに関連して述べた特徴のいずれか又はすべてを含み得る。上述の特徴と同じ特徴には、同じ参照符号が付される。簡潔さのために、このような特徴は、以下では詳細に説明されない。
【0181】
[0192] 第4の態様では、荷電粒子評価ツールのための検出器が提供され、検出器は、サンプルから放出された荷電粒子を捕捉するように構成される。換言すれば、検出器は、サンプルから放出された荷電粒子を検出するように構成される。
【0182】
[0193] 検出器は、2つの動作状態間で切り替えるように構成される。第1の動作状態では、少なくとも1つの検出器は、後方散乱荷電粒子より多くの二次荷電粒子を検出するように構成され、及び第2の動作状態では、少なくとも1つの検出器は、二次荷電粒子より多くの後方散乱荷電粒子を検出するように構成される。
【0183】
[0194] 検出器は、2つの動作状態間で切り替わるように構成される。検出器は、アパーチャを取り囲む内側検出部分と、内側検出部分の半径方向外向きの外側検出部分とを含み得る(図13Aに関連して示し、説明するように)。検出部分は、以下にさらに詳細に説明される。2つの状態は、検出器の異なる構成(即ち異なる構成の検出部分)を使用し得る。
【0184】
[0195] 二次荷電粒子と後方散乱荷電粒子との間のエネルギーの差は、上に論述された電位により異なる量だけ影響を受ける荷電粒子を生じる。後方散乱荷電粒子は、検出器の全エリアにわたって検出される可能性が高い場合がある。しかし、二次荷電粒子は、検出器の中央に向かってより多く検出される傾向がある。以下にさらに詳細に説明されるように、これは、二次荷電粒子が、通常、小さい(即ち後方散乱荷電粒子より小さく、典型的には0Vに近い)平均エネルギーを有するためである。従って、二次荷電粒子の軌道は、電界により、例えば平均でより大きいエネルギーを有する後方散乱荷電粒子と比較してより著しく変更される(即ちコリメートされる)。二次荷電粒子がより加速されるほど、それらの角度は、光軸(即ちサブビーム経路)に対してより平行になる。その結果、二次荷電粒子は、それほど分散せず、即ち、二次荷電粒子の軌道は、後方散乱荷電粒子の軌道よりサブビーム経路とより平行にされる傾向がある。互いに分離された二次荷電粒子及び後方散乱荷電粒子の検出を支援し得る検出器を提供することが有益である。特に、荷電粒子は、様々な情報を判断するために使用され得るため、二次荷電粒子又は後方散乱荷電粒子のいずれかを検出するように検出を制御することが有益である。
【0185】
[0196] 従って、第4の態様の検出器は、2つの異なる検出状態間の切り替えを可能にし得る点で特に有用である。従って、検出器は、ある状態で主に後方散乱荷電粒子を検出し、及び別の状態で主に二次荷電粒子を検出するように操作されるように構成される。以下にさらに詳細に説明されるように、検出器は、半径方向に分割される(即ち複数の同心円環を形成するように)。
【0186】
[0197] 第4の態様の検出器は、2つの動作状態間で切り替わることに関連して上に説明されたが、検出器は、本明細書で説明されるようにより一般的に提供され得る。本明細書で説明される検出器は、連続検出又はほぼ連続検出のために使用される。
【0187】
[0198] 第4の態様では、荷電粒子評価ツールのための検出器が提供され、検出器は、複数の部分を含む。従って、検出器は複数の部分、具体的には複数の検出部分を備え得る。様々な部分は、様々なゾーンと呼ばれ得る。従って、検出器は、複数のゾーン又は検出ゾーンを有するように説明され得る。このような検出器は、ゾーン検出器と呼ばれ得る。
【0188】
[0199] ゾーン検出器は、サブビーム211、212、213の1つに関連付けられ得る。従って、1つの検出器の複数の部分は、サブビーム211、212、213の1つに関係してサンプル208から放出された信号粒子を検出するように構成され得る。複数の部分を含む検出器は、対物レンズアセンブリの電極の少なくとも1つの電極内のアパーチャの1つに関連付けられ得る。具体的には、複数の部分を含む検出器405は、このような検出器の一例を提供する、図13A、13Bに示す単一アパーチャ406の周囲に配置され得る。
【0189】
[0200] ゾーン検出器の複数の部分は、例えば、半径方向に、環状に又は任意の他の適切な方法において、多様な方法で分離され得る。好ましくは、複数の部分は、ほぼ同じサイズ及び/又は形状である。分離された部分は、複数のセグメント、複数の環状部分(例えば、複数の同心環状部分)、複数の扇形部分(即ち放射状部分又は扇形部分)として提供され得る。例えば、少なくとも1つの検出器405は、2つの部分、3つの部分、4つの部分又はそれを超える部分を含む環状部分として提供され得る。具体的には、図13Aに示すように、検出器405は、アパーチャ406を取り囲む内側環状部分405Aと、内側環状部分405Aの半径方向外向きの外側環状部分405Bとを含み得る。代替的に、検出器は、2つの部分、3つの部分、4つの部分又はそれを超える部分を含む扇形部分として提供され得る。検出器が2つの扇形部分として提供される場合、各扇形部分は、半円であり得る。検出器が4つの扇形部分として提供される場合、各扇形部分は、四分円であり得る。これは、検出器405が以下に述べるように四分円に分割される図13Bに示され、即ち4つの扇形部分が図13Bに示される。代替的に、検出器は、少なくとも1つのセグメント部分を備え得る。
【0190】
[0201] 各部分は、別個の信号読み出し部を有し得る。幾つかの部分、例えば環状部分又は扇形部分に分離される検出器は、より多くの情報が、検出された信号粒子に関連して取得されることを可能にする点で有益である。従って、複数の部分を有する検出器405を提供することは、検出された信号粒子に関係する追加的な情報を取得する点で有益であり得る。これは、検出された信号粒子の信号対雑音比を改善するために使用され得る。しかし、検出器の複雑性の観点で追加的な費用がある。
【0191】
[0202] 一例では、検出器は、例えば、図13Aに描写するように2つ(以上)の同心リングに分割され得る。
【0192】
[0203] 図13Aに示すように、アパーチャ406が荷電粒子ビームの貫通通路のために画定及び構成された検出器は、内側検出部分405A及び外側検出部分405Bを含む。内側検出部分405Aは、検出器のアパーチャ406を取り囲む。外側検出部分405Bは、内側検出部分405Aの半径方向外向きである。検出器の形状は、概して、円状であり得る。従って、内側検出部分及び外側検出部分は、同心リングであり得る。このような検出器は、検出が様々な動作状態又はモード(例えば、上述のように)間で切り替わる構成及び/又は同時検出構成(例えば、以下に述べる)のために使用され得る。
【0193】
[0204] 検出器の動作状態を切り替えることがなくても、複数の部分を同心的に又は他の方法で提供することは、有益であり得る。具体的には、検出器の様々な部分は、より小さい角度信号粒子及び/又はより大きい角度信号粒子或いは二次荷電粒子及び/又は後方散乱荷電粒子であり得る。様々な信号粒子を検出するために使用され得る様々な信号粒子のこのような構成は、同心ゾーン検出器に適し得る。
【0194】
[0205] この場合、より小さい角度(例えば、小さい角度の後方散乱荷電粒子)を有する信号粒子は、内側環状部分405Aに主に寄与し得、より大きい角度(例えば、大きい角度の後方散乱荷電粒子)を有する信号粒子は、外側環状部分405Bに主に寄与し得る。換言すれば、内側リングは、小さい角度の後方散乱荷電粒子の検出のために使用され得、外側リングは、大きい角度の後方散乱荷電粒子の検出のために使用され得る。検出器の両方の部分は、別個の信号を生じ得るため、これは、小さい角度の荷電粒子及び大きい角度の荷電粒子が別々に検出され得ることを意味する。様々な角度後方散乱荷電粒子は、様々な情報を提供する際に有益であり得る。例えば、深い穴から放出された信号電子に関して、小さい角度の後方散乱荷電粒子は、穴底部からより多く到来する可能性が高く、大きい角度の後方散乱荷電粒子は、穴の周囲の表面及び物質から到来する可能性が高い。代替例では、小さい角度の後方散乱荷電粒子は、より深い埋め込み特徴からより多く到来する可能性が高く、大きい角度の後方散乱荷電粒子は、サンプル表面又は埋め込み特徴の上の物質からより多く到来する可能性が高い。
【0195】
[0206] 第1の検出部分の幅(例えば、径)は、約2μm~100μmであり得る。第1の検出部分の幅(例えば、径)は、約100μm以下であり得る。第1の検出部分の幅(例えば、径)は、約2μm以上であり得る。第2の検出部分の幅(例えば、径)は、約250μm以下であり得る。第2の検出部分の幅(例えば、径)は、約150μm以下であり得る。第2の検出部分の幅(例えば、径)は、約10μm以上であり得る。第2の検出部分の幅(例えば、径)は、約10μm~250μmであり得る。好ましくは、第2の検出部分の幅は、約10μm~150μmであり得る。対応する部分のサイズ(例えば、内側環状部分405A及び/又は外側環状部分405Bの幅/径)は、検出器の部分のそれぞれにおける関心のある特定の荷電粒子を検出するように設計又は選択され得る。
【0196】
[0207] ゾーンが交互に使用される同心ゾーン検出器を有するデバイスの構成を切り替えるために、図13Aに描写するように、このような配置における第1の検出部分の径は、好ましくは、約40~60μm、好ましくは約30~50μmである。このような配置における第2の検出部分の径は、好ましくは、約150~250μm、好ましくは約200μmである。このような配置における検出器のアパーチャの径は、約5~30μm、好ましくは約10μmであり得る。
【0197】
[0208] 第1の動作状態では、検出器406は、外側検出部分405Bではなく、内側検出部分405Aを使用する。これは、二次荷電粒子の検出中の後方散乱荷電粒子の検出を制限するために有益である。二次荷電粒子のほとんどが内側検出部分により検出されるため、これは、未検出二次荷電粒子からあまりに大きい情報が失われることを生じない。
【0198】
[0209] 第2の動作状態では、検出器406は、少なくとも外側検出部分405Bを使用する。後方散乱荷電粒子が検出される際、デバイスは、二次荷電粒子をはじくように設定され得、検出される二次荷電粒子の数を低減する。従って、後方散乱荷電粒子を検出するとき、二次電子の検出を低減又は回避するために他の機構が適所に置かれ得るため、利用可能な検出器全体が後方散乱荷電粒子の検出のために使用され得、後方散乱荷電粒子のより多くに関係する情報を捕捉する際に有益である。
【0199】
[0210] 検出器がサンプル208に対して設けられる距離及び/又はピッチpは、後方散乱荷電粒子及び/又は二次荷電粒子を検出するために外側検出部分及び/又は内側検出部分のいずれが使用されるかに影響を与え得る。例えば、内側検出部分は、二次荷電粒子を検出するために使用され、外側検出部分(及びまた任意選択的に内側検出部分)は、後方散乱荷電粒子を検出するために使用されることが上記で一般的に説明された。これは、例えば、検出器が約300マイクロメートルのピッチでサンプルから約50マイクロメートルに設けられる場合に限り正しい。しかし、検出器とサンプルとの間の距離が約10マイクロメートルであり、ピッチpが約70マイクロメートルである場合、検出器は、後方散乱荷電粒子のみ(二次荷電粒子は、アパーチャ内で恐らく寿命を終えるため)を検出するために使用され得、内側検出部分は、後方散乱荷電粒子を検出するために使用され得る。いずれにしろ、分離された内側部分及び外側部分は、主に後方散乱荷電粒子を検出すること及び/又は主に二次荷電粒子を検出することを有益に切り替えるために使用され得ることが理解される。
【0200】
[0211] 複数の検出器が提供され得る。複数の検出器は、図14に示すように検出器アレイとして設けられ得る。検出器アレイは、好ましくは、後方散乱荷電粒子を検出するために後方散乱動作状態(即ち第2の状態)で、及び好ましくは二次荷電粒子を検出するために二次荷電粒子状態(即ち第1の状態)で動作するように構成された荷電粒子評価ツールのためのものである。検出器アレイの検出器は、第4の態様の変形形態の任意のものにより説明されるようなものであり得る。
【0201】
[0212] 検出器は、第1の態様の検出器/検出器アレイとの関係で説明された特徴を有し得る。例えば、検出器の外側形状は、円であると示されたが、これは、検出エリアを最大化するために四角にされ得る。例えば、図14は、矩形アレイのビームアパーチャ406を描写するが、ビームアパーチャ406は、異なって、例えば図8に描写するような最密六角形アレイでも配置され得る。例えば、図15の断面は、検出部分が内側部分405A及び外側部分405Bとして設けられることを除いて、図9の断面に対応し、従って、検出器は、上記の図9との関係で説明されたものと同じ特徴を含み得る。
【0202】
[0213] 説明したように、例えば、第4の態様の検出器は、上記の態様及び実施形態の任意のものにおいて使用され得る。特に、マルチビーム荷電粒子評価ツールのための荷電粒子光学デバイスが提供され得る。荷電粒子光学デバイスは、対物レンズアレイ及び検出器アレイを含み、検出器アレイは、第4の態様との関係で説明された検出器のアレイを含む。対物レンズアレイ及び検出器アレイの電極内のアパーチャは、荷電粒子マルチビームのサブビーム経路上に配置される。さらに、第3の態様の荷電粒子光学デバイスが例えば第4の態様の検出器と共に使用される場合、検出器は、いずれかの変形形態と共に使用され得る。しかし、第4の態様の検出器は、検出器がハイブリッドデバイスに従って第1の動作状態と第2の動作状態との間で切り替えられ得るため、ハイブリッドデバイスにとって特に有用であろう。例えば、第3の態様では、第4の態様の検出器を使用して、デバイスは、検出器を適切な動作状態で使用するように構成され得る。
【0203】
[0214] 様々なタイプの信号粒子、例えば後方散乱荷電粒子及び二次荷電粒子の両方を同時に検出するために使用され得るデバイスを提供することが有益であり得る。しかし、様々なタイプの信号粒子、例えば後方散乱荷電粒子及び二次荷電粒子の両方を同時に検出するために使用されるデバイスは、様々なタイプの信号粒子、即ち提供される例では二次荷電粒子及び後方散乱荷電粒子を効果的に区別しない場合がある。これは、例えば、検出器が、例えば、それに(即ち電荷検出器に)到着する実効電荷を検出することにより、様々なタイプの信号粒子を区別することなく検出する場合、又は検出器がカウンタとしての役割を果たす場合、又は検出器が積算検出器(即ち一定時間中に降り注ぐ粒子により堆積されたエネルギーを合算する検出器)である場合に当てはまり得る。結果的な検出信号及び任意の関連する画像が様々な信号粒子、例えば二次荷電粒子及び後方散乱荷電粒子の混合から構築される。二次荷電粒子及び後方散乱荷電粒子は、異なる検出コントラスト、例えば画像を描画することに関する画像コントラスを有し得るため、これは、二次荷電粒子と後方散乱荷電粒子とのコントラストに関係する情報が検出されない場合があることを意味する。
【0204】
[0215] 以下に説明される実施形態は、様々な信号粒子の同時検出、例えば、二次荷電粒子及び後方散乱荷電粒子の検出のための幾つかの追加的/代替的な構成を提供する。これらの実施形態は、例えば、同時に検出され得る様々な信号粒子、例えば二次荷電粒子及び後方散乱荷電粒子の検出信号をより容易に区別することにより、様々な信号粒子(例えば、二次荷電粒子及び後方散乱荷電粒子)の検出を改善する際に有益であり得る。デバイスの動作がより単純になり得るため、切り替えることなく、様々なタイプの信号粒子(例えば、後方散乱荷電粒子及び二次荷電粒子)を検出するために使用され得る検出器及び/又はデバイスを提供することが有益であり得る。以下に説明される実施形態は、上述のあらゆる変形形態、態様及び実施形態と組み合わされ得る。
【0205】
[0216] 一実施形態では、デバイスは、上述の変形形態、態様及び実施形態の任意のものにおいて説明されたように提供される。デバイスは、上述のような対物レンズアレイを含む。デバイスは、対物レンズアレイ241に関連付けられた検出器アレイ240を含む。検出器アレイ240は、サンプル208に近接し得る。各検出器素子は、サンプルからの荷電粒子を検出するように構成された少なくとも2つの検出部分を含む。換言すれば、各検出器は、2つの検出部分(例えば、第1の検出部分及び第2の検出部分)を含み得る。各検出器は、他に検出器素子405と呼ばれ得る。検出部分は、互いに分離されている。検出部分は、荷電粒子を互いに独立に検出し得る。換言すれば、各検出部分は、互いに独立に操作され得る。
【0206】
[0217] 様々な検出素子405は、異なるタイプの信号電子を優先的に検出するように構成され得る。例えば、検出器素子は、2つ以上の検出部分を有し得る。一配置では、検出器素子は、異なる方法で構成された以下の2つの検出部分を有する:二次荷電粒子より多くの後方散乱荷電粒子を検出するように構成された検出部分及び後方散乱荷電粒子より多くの二次荷電粒子を検出するように構成された検出部分。2つの検出部分は、同時に使用され得る。これは、少なくとも2つの検出部分を有する検出器を使用する一方、着地エネルギーが一定に保たれ得る点で有益であり得る。上述のような少なくとも2つの検出部分を含む検出器素子は、上記の実施形態、態様及び変形形態の任意のものと組み合わせて提供され得る。
【0207】
[0218] 検出部分の1つは、外側検出部分であり得、他の検出部分は、内側検出部分であり得る。検出部分は、荷電粒子ビームの貫通通路のための例えば検出器アレイ内に画定された)アパーチャ(又はビームアパーチャ)を取り囲む。内側検出部分405Aは、アパーチャに近接し得、外側検出部分よりアパーチャにより近接している。内側検出部分405Aは、外側検出部分405Bの半径方向内向きである。検出器は、2つの環状検出部分が設けられた、例えば図13Aに示すように(検出器アレイは、図14に示すように配置され得る)、又は図13Aに描写するような検出器素子を有する図8に示すように上述のように構成され得る。検出器のそれぞれは、後方散乱荷電粒子より多くの二次荷電粒子を検出するように構成された内側検出部分405Aと、二次荷電粒子より多くの後方散乱荷電粒子を検出するように構成された外側検出部分405Bとを含む。好ましくは、内側検出部分405A及び外側検出部分405Bは、リングとして成形される。この場合、検出器は、他にマルチ、例えば二重リング検出器と呼ばれ得る。
【0208】
[0219] マルチリング検出器を有するような検出器アレイは、サンプルからのそれらの軌道に基づいて様々なタイプの信号粒子を区別するために使用され得る。マルチリング検出器のこのような応用は、二次荷電粒子と後方散乱荷電粒子との区別のために有益であり得る。検出器アレイのこの応用は、サンプルからの二次荷電粒子の角軌道が、二次荷電粒子を後方散乱荷電粒子より一次サブビームにはるかに近い検出器表面のエリア内の対応する検出器素子で寿命を終えさせる傾向があるという事実を利用する。
【0209】
[0220] 特に、サンプルと検出器(例えば、一次サブビームを減速させるために使用される)との間の電界の印加は、二次荷電粒子及び後方散乱荷電粒子を加速し得る。電界は、信号粒子が電界に対して反対方向に誘導されるため、一次サブビームと異なる方法で信号粒子に作用する。電界は、通常、後方散乱荷電粒子よりはるかに二次荷電粒子に影響を与え、半径方向内側への(即ち一次サブビームの経路に向かう)二次荷電粒子の軌道を引き起こす。サンプルと検出器との間の電界が大きいほど、この効果は、より強くなる。これは、他のいずれかの箇所で述べたように、二次荷電粒子が平均でより小さいエネルギー(即ち通常、0Vに近いエネルギー、例えば10keVを超える電位に対して実質的に0Vである約50eV)を有するためである。従って、二次荷電粒子の軌道は、電界により、例えば平均でより大きいエネルギーを有する後方散乱荷電粒子と比較してより著しく変更される(即ちコリメートされる)。二次荷電粒子が加速されるほど、それらの角度は、光軸(即ちサブビーム経路)に対してより平行になる。その結果、二次荷電粒子は、それほど分散せず、即ち、二次荷電粒子の軌道は、後方散乱荷電粒子の軌道よりサブビーム経路とより平行にされる傾向がある。二次荷電粒子の軌道は、内側検出部分に向かうコリメーションが改善する。しかし、後方散乱荷電粒子の経路は、ほとんど影響されず、即ち、後方散乱荷電粒子の経路は、二次荷電粒子の経路と比較して電界の変化により比較的影響を受けないままである。従って、二次荷電粒子は、内側検出部分405Aにより検出され得るか又は少なくとも優先的に検出され得、後方散乱荷電粒子は、外側検出部分405B(即ち内側部分の半径方向外向きの)により検出され得るか又は少なくとも優先的に検出され得る。換言すれば、二次荷電粒子と後方散乱荷電粒子との分離は、検出器の初期設計を上回って改善され得る。検出器の性能は、様々な検出部分により二次荷電粒子及び後方散乱荷電粒子などの様々なタイプの信号粒子のほぼ別個の検出に向かって改善される。このような検出は、同時であることが好ましい。様々な検出位置を使用する際のこれらの改善は、検出器素子の様々な検出部分に対する二次荷電粒子軌道と後方散乱荷電粒子軌道との差を使用することにより達成され得る。
【0210】
[0221] 各検出部分は、別個の信号読み出し部を有し得る。絶縁部分は、信号が検出部分間を通過することを防止するために検出部分間に設けられ得る。絶縁部分は、信号が検出部分間を通過することを止める任意の適切な材料であり得る。絶縁部分は、信号が検出部分間を通過することを防止する一方、実用的である限り小さいことが好ましい。絶縁部分は、約0.5μm~2μm、例えば1μmであり得る。
【0211】
[0222] 内側検出部分405Aは、外側検出部分405B内にあるため、内側検出部分405Aの外径は、外側部分405Bの内径と同様であり得る。最適化され得るパラメータは、内側検出部分405A及び外側検出部分405Bのサイズである。
【0212】
[0223] 単に一例として、一配置では、二次荷電粒子率は、1であり、後方散乱荷電粒子率は、20%であると仮定される。二次荷電粒子率は、サンプルに衝突する入力一次荷電粒子(即ちサブビームの)当たりの放出される二次荷電粒子の平均数である。後方散乱荷電粒子率は、サンプルに衝突する入力一次荷電粒子(即ちサブビームの)当たりの放出される後方散乱荷電粒子の平均数である。サンプルと検出器との間の距離は、約10マイクロメートルであり、ビームピッチ(隣接するサブビーム間の距離)は、約70マイクロメートルであり、検出器のアパーチャは、約10マイクロメートルの径であり、検出器の外径は、約50マイクロメートルであると仮定される。サンプルと検出器アレイとの間の電位差は、約+27V(2.7kV/mmのHMIツール内で想定される最大電界)であると仮定される。内側検出部分405A及び外側検出部分405Bの検出効率は、第1の検出部分405の径を選択することによって最適化され得ることに留意されたい。一般的に、内側検出部分405Aが小さいほど(即ち外側検出部分405Bが大きいほど)、外側検出部分405B上の後方散乱信号がより大きくなることが分かった。しかし、内側検出部分405A上の二次信号粒子の検出に関して、検出の改善は、内側検出部分405Aがあるサイズに到達すると次第に収まることが分かった。二次信号検出は、内側検出部分405Aの径が20~30のマイクロメートルである場合に最大検出に近づくことが分かった(また内側検出部分405Aのサイズが増加されると著しく改善しなかった)。
【0213】
[0224] さらに詳細には、上述のように、二次信号粒子は、サブビームに極めて近い軌道を有し、これは、幾つかの二次信号粒子が検出器内のアパーチャを通過する可能性が高いことを意味する。サブビームが検出器を通過することを可能にするために検出器内に最小アパーチャが存在する。これは、アパーチャが、信号粒子の一定割合がアパーチャを通過し(サンプルから離れて進み)、検出されないようにサブビームが通過する(サンプルに向かって)ために十分に大きくなければならないことを意味する。二次荷電粒子の軌道は、一次ビームに極めて近い傾向があるため、内側検出部分405Aのサイズを、径を超えるまで増加させることは、著しくより多い二次信号粒子の検出に到る可能性が高い(二次荷電粒子は、軌道を有しない傾向があり、従って検出器上のさらに外方に着地することに到るため)。従って、内側検出部分のサイズは、内側検出部分405A上の二次信号粒子の検出及び外側検出部分405B上の後方散乱信号粒子の検出を考慮して、検出器の両方の部分を使用して検出を最適化するため選択され得る。この配置で提供される値は、バックグラウンド情報のみのためものであることが理解される。
【0214】
[0225] 一般的に、一タイプの信号粒子に関係するデータを取得するには、他のタイプのものと比較してより長い時間がかかり得る。例えば、通常、後方散乱信号粒子に関係するデータを取得するには、二次信号粒子より長い時間がかかる。従って、内側検出部分及び外側検出部分の最適サイズを考慮する際、後方散乱信号粒子の検出効率を改善することは、(例えば、内側検出部分405Aをより小さくすることにより)二次信号粒子検出効率が低減されたとしても検出効率全体を改善し得る。
【0215】
[0226] いかなる動作モード又は状態も切り替えることなく、内側検出部分405A及び外側検出部分405Bと共に説明されたような検出器を使用することは、切り替えのための追加的な制御が必要とされないため、システムがより単純になり得る点で有益である。追加的に、異なるタイプの信号粒子が同時に検出され得る(及び互いに区別可能である)。しかし、各タイプの信号粒子を検出するための検出効率は、一般的には、より低くてよい。これは、信号粒子を検出するために使用される検出器の面積が異なるタイプの信号粒子毎に低減されることに少なくとも部分的に起因する。
【0216】
[0227] 第1の検出部分405Aの幅(例えば、径)は、約2μm~100μmであり得る。好ましくは、第1の検出部分405Aの幅(例えば、径)は、約10μm~50μmであり得る。好ましくは、第1の検出部分405Aの幅(例えば、径)は、約20μm~30μmであり得る。第1の検出部分405Aの幅(例えば、径)は、約100μm以下であり得る。第1の検出部分405Aの幅(例えば、径)は、約50μm以下であり得る。第1の検出部分405Aの幅(例えば、径)は、約30μm以下であり得る。第1の検出部分405Aの幅(例えば、径)は、約2μm以上であり得る。第1の検出部分405Aの幅(例えば、径)は、約10μm以上であり得る。第1の検出部分405Aの幅(例えば、径)は、約20μm以上であり得る。
【0217】
[0228] 第2の検出部分405Bの幅(例えば、径)は、約10μm~250μmであり得る。好ましくは、第2の検出部分405Bの幅は、約10μm~150μmであり得る。第2の検出部分405Bの幅(例えば、径)は、約250μm以下であり得る。第2の検出部分405Bの幅(例えば、径)は、約150μm以下であり得る。第2の検出部分405Bの幅(例えば、径)は、約10μm以上であり得る。対応する部分のサイズ(例えば、内側環状部分405A及び/又は外側環状部分405Bの幅/径)は、検出器の部分のそれぞれで関心のある特定の荷電粒子を検出するように設計又は選択され得る。
【0218】
[0229] 上記の実施形態(上述の変形形態の任意の変形形態/すべての変形形態を含む)は、二次荷電粒子の検出のために使用されるが、同じ二重リング検出器は、様々な後方散乱荷電粒子を荷電粒子の軌道に基づいて区別するために使用され得る。
【0219】
[0230] 後方散乱荷電粒子を検出するために使用される検出器は、一次サブビームの光軸に対する角度範囲、例えば大きい角度範囲内の後方散乱荷電粒子を主に検出する際に制限され得る。様々な軌道範囲を有する後方散乱荷電粒子は、サンプル内の構造に関する様々な情報を提供する。例えば、小さい軌道角度を有する(即ち光軸に関して小さい角度を有する)後方散乱荷電粒子は、サンプル内の深さにおける特徴に関係する情報を有し得る。より大きい角度軌道を有する後方散乱荷電粒子は、サンプルのこのようなトポロジーなどの情報を有する。しかし、検出された荷電粒子から導出される検出信号は、大きいバックグラウンドを提供するより大きい角度の後方散乱荷電粒子からの成分を有し得る。結果的に、小さい角度の後方散乱荷電粒子からの検出信号の成分は、より大きい角度の後方散乱荷電粒子からの成分により消されるか又は溢れ得る。小さい角度の後方散乱荷電粒子からの検出信号の成分は、正味検出信号内でほぼ区別不能であり得る。検出された荷電粒子の情報は、コントラストが知覚され得る画像として与えられ得るため、深さにおける埋め込み特徴のコントラストは、大きい角度の後方散乱荷電から導出されるトポロジーコントラストにより消されるか又は溢れ得る。
【0220】
[0231] この例では、検出信号は、後方散乱荷電粒子である。二次荷電粒子は、濾過される。この目的を達成するために、二次荷電粒子は、上記の実施形態の任意の実施形態で説明されたようにはじかれる。従って、上記の実施形態(二次荷電粒子及び後方散乱荷電粒子が検出される)との差異は、荷電粒子に印可される電界であり得る。特に、この事例では、サンプル208と検出器アレイ241との間の電界(例えば、一次サブビームを加速させるために使用される)が二次荷電粒子及び後方散乱荷電粒子を減速させる。電界は、通常、後方散乱荷電粒子より大きく二次荷電粒子に影響を与え、二次荷電粒子をはじく(即ちサンプル208に向かって戻す)。サンプル208と検出器アレイ241との間の電界が大きいほど、この効果がより強くなる。その結果、検出器アレイ241は、後方散乱荷電粒子を主に検出するために使用され得、小さい角度の荷電粒子は、内側検出部分405Aにより検出され得、後方散乱荷電粒子は、外側検出部分405Bにより(即ち内側部分の半径方向外向きに)検出され得る。換言すれば、小さい角度及び大きい角度の後方散乱荷電粒子は、後方散乱荷電粒子軌道の差を使用することにより、ほぼ別々に及び好ましくは同時に検出され得る。内側検出部分及び外側検出部分のサイズは、後方散乱荷電粒子の検出に依存して最適化又は選択され得る(例えば、上述の寸法を使用して)。
【0221】
[0232] 上述のような(例えば、図13A及び/又は図13Bとの関係で示すような)複数の部分を含む検出器は、本明細書で説明された実施形態又は変形形態の任意のもので提供され得る。さらに、上述のような(例えば、図13A及び/又は図13Bとの関係で示すような)複数の部分を含む検出器は、追加的な検出器アレイと組み合わせて提供され得る。例えば、図13A及び/又は図13Bに示す検出器は、対物レンズアレイの電極の任意のものの上又は下に配置された別の検出器アレイと組み合わせて提供され得る。任意の追加的な検出器アレイは、図15に示すようにサンプルに向かって面するか、又は一次サブビームのアップビームに面する、即ちサンプルから離れる方に面することができる。
【0222】
[0233] 荷電粒子光学デバイスが上記の態様で説明され、荷電粒子システム若しくは評価ツール又はその一部として提供される。このような大きいシステム又はツールの特徴をすべて含む必要はないが、任意選択的に荷電粒子光学デバイスの一部として含まれ得る。
【0223】
[0234] 図16は、上述の選択肢又は態様の任意のものにおけるような荷電粒子デバイスを有する例示的な電子光学システムの概要図である。荷電粒子デバイスは、対物レンズアレイアセンブリとして提供され得る。荷電粒子デバイスは、対物レンズアレイ241を含む。対物レンズアレイ241は、複数の対物レンズを含む。上記の態様又は実施形態(例えば、上記の少なくとも第1及び第2の態様並びに任意の適切な変形形態)の任意のものにおいて説明された対物レンズアレイ241を少なくとも有する荷電粒子光学デバイスは、図16に示す電子光学システムで使用され得る。対物レンズアレイ241は、上述のように交換可能モジュールであり得る。簡潔さのために、上に既に説明された対物レンズアレイ241の特徴は、ここでは繰り返されない場合がある。
【0224】
[0235] 上述の荷電粒子光学デバイスは、(上記の)図16のシステムにおける後方散乱荷電粒子の検出のために使用され得る。
【0225】
[0236] 図16のセットアップに固有の幾つかの考慮点が存在する。本実施形態では、スループットに負の影響を与えることを回避するように小さいピッチを維持することが好ましい。しかし、ピッチが小さすぎると、これは、クロストークに至り得る。従って、ピッチ寸法は、効果的後方散乱荷電粒子検出と効果的スループットとのバランスである。従って、他に二次荷電粒子を検出する際、図16の実施形態の4~5倍大きくてよいピッチは、約300μmであることが好ましい。検出器とサンプル208との間の距離が低減されると、ピッチ寸法もクロストークに悪影響を与えることなく低減され得る。従って、サンプルに可能な限り近い検出器(即ち可能な限り小さい距離L、好ましくは約50μm以下、又は約40μm以下、又は約30μm以下、又は約20μm以下、又は約10μmに等しい距離を有する検出器)を提供することは、ピッチが可能な限り大きいことを可能にする点で有益であり、スループットを改善する。
【0226】
[0237] 図16に示すように、電子光学システムは、放射源201を含む。放射源201は、荷電粒子(例えば、電子)のビームを提供する。サンプル208上に集束されるマルチビームは、放射源201によって提供されるビームから導出される。サブビーム211、212、213は、例えば、ビーム制限アパーチャのアレイを画定するビーム制限器を使用して、ビームから導出され得る。ビームは、制御レンズアレイ250に当たると、サブビーム211、212、213に分離し得る。サブビーム211、212、213は、制御レンズアレイ250への入力時にほぼ平行である。放射源201は、輝度と全放出電流との間の良好な妥協点を有する高輝度の熱電界放出器であることが望ましい。図示した例では、コリメータは、対物レンズアレイアセンブリのアップビームに設けられる。コリメータは、マクロコリメータ270を含み得る。マクロコリメータ270は、ビームがマルチビームに分割される前に放射源201からのビームに対して作用する。マクロコリメータ270は、ビームから導出されたサブビームのそれぞれのビーム軸がサンプル208に実質的に垂直に(即ちサンプル208の公称表面に対して実質的に90°で)入射することを確実にするのに効果的な量だけビームのそれぞれの部分を曲げる。マクロコリメータ270は、巨視的なコリメーションをビームに適用する。従って、マクロコリメータ270は、ビームの個々の異なる部分に対して作用するようにそれぞれ構成された複数のコリメータ素子のアレイを含むのではなく、ビーム全体に対して作用し得る。マクロコリメータ270は、磁気レンズ又は複数の磁気レンズサブユニット(例えば、多極構成を形成する複数の電磁石)を含む磁気レンズ構成を含み得る。代替的又は追加的に、マクロコリメータは、少なくとも部分的に静電的に実装され得る。マクロコリメータは、静電レンズ又は複数の静電レンズサブユニットを含む静電レンズ構成を含み得る。マクロコリメータ270は、磁気レンズと静電レンズとの組み合わせを使用し得る。
【0227】
[0238] 別の配置(図示せず)では、マクロコリメータは、アッパビーム制限器のダウンビームに提供されるコリメータ素子アレイにより部分的に又は完全に置換され得る。各コリメータ素子は、それぞれのサブビームをコリメートする。コリメータ素子アレイは、空間的にコンパクトになるようにMEMS製造技術を使用して形成され得る。コリメータ素子アレイは、放射源201のダウンビームのビーム経路内の第1の偏向又は集束電子光学アレイ素子であり得る。コリメータ素子アレイは、制御レンズアレイ250のアップビームにあり得る。コリメータ素子アレイは、制御レンズアレイ250と同じモジュール内にあり得る。
【0228】
[0239] 図16の実施形態では、マクロ走査偏向器265を設けて、サブビームをサンプル208にわたって走査させる。マクロ走査偏向器265は、ビームのそれぞれの部分を偏向させて、サブビームをサンプル208にわたって走査させる。一実施形態では、マクロ走査偏向器265は、例えば、8極以上を有する巨視的多極偏向器を含む。偏向は、ビームから導出されたサブビームを一方向(例えば、X軸などの単一の軸と平行に)又は二方向(例えば、X軸及びY軸など、平行ではない2つの軸を基準にして)にサンプル208全体にわたって走査させるようなものである。マクロ走査偏向器265は、ビームの個々の異なる部分に対して作用するようにそれぞれ構成された偏向器素子のアレイを含むのではなく、ビーム全体に対して巨視的に作用する。図示した実施形態では、マクロ走査偏向器265は、マクロコリメータ270と制御レンズアレイ250との間に設けられる。
【0229】
[0240] 別の構成(図示せず)では、マクロ走査偏向器265は、走査偏向器アレイによって部分的又は全体的に置き換えられ得る。走査偏向器アレイ260は、複数の走査偏向器を含む。走査偏向器アレイ260は、MEMS製造技術を使用して形成され得る。各走査偏向器は、それぞれのサブビームをサンプル208にわたって走査させる。従って、走査偏向器アレイ260は、サブビーム毎に走査偏向器を含み得る。各走査偏向器は、サブビームを一方向(例えば、X軸などの単一の軸と平行に)又は二方向(例えば、X軸及びY軸など、平行ではない2つの軸を基準にして)に偏向させ得る。偏向は、サブビームを一方向又は二方向(即ち1次元的又は2次元的)にサンプル208全体にわたって走査させるようなものである。走査偏向器アレイは、対物レンズアレイ241のアップビームにあり得る。走査偏向器アレイは、制御レンズアレイ250のダウンビームにあり得る。走査偏向器に関連付けられた単一のサブビームに言及したが、サブビームの複数のグループが1つの走査偏向器に関連付けられ得る。一実施形態では、欧州特許第2425444号に記載される走査偏向器(この文献は、特に走査偏向器に関してその全体が参照により本明細書に組み込まれる)は、走査偏向器アレイを実装するために使用され得る。(例えば、上述のようにMEMS製造技術を使用して形成された)走査偏向器アレイは、マクロ走査偏向器よりも空間的にコンパクトであり得る。走査偏向器アレイは、対物レンズアレイ241と同じモジュール内にあり得る。
【0230】
[0241] 他の実施形態では、マクロ走査偏向器265と走査偏向器アレイとの両方が設けられ得る。そのような構成では、サンプル表面上でのサブビームの走査は、マクロ走査偏向器と走査偏向器アレイ260とを一緒に好ましくは同期して制御することにより達成され得る。
【0231】
[0242] 対物レンズアレイアセンブリは、コリメータアレイ及び/又は走査偏向器アレイをさらに含み得る。
【0232】
[0243] 本発明は、様々な異なるツールアーキテクチャに適用され得る。例えば、電子ビームツール40は、単一ビームツールであり得るか、又は複数の単一ビームコラムを含み得るか、又は複数のマルチビームのコラムを含み得る。コラムは、上記の実施形態又は態様の任意のものにおいて説明された荷電粒子光学デバイスを含み得る。複数のコラム(又はマルチコラムツール)として、デバイスは、2~100コラム以上を有するアレイで配置され得る。荷電粒子デバイスは、図3に関して説明され、図3に描写されるか、又は図16に関して説明され、図16に描写される実施形態の形式を採用し得るが、静電走査偏向器アレイ及び静電コリメータアレイを有することが好ましい。荷電粒子光学デバイスは、荷電粒子光学コラムであり得る。荷電粒子コラムは、放射源を任意選択的に含み得る。
【0233】
[0244] 本発明の一実施形態による評価ツールは、サンプルの定性的評価(例えば、合格/不合格)を行うツール、又はサンプルの定量的測定(例えば、フィーチャのサイズ)を行うツール、又はサンプルのマップの画像を生成するツールであり得る。評価ツールの例は、(例えば、欠陥を特定するための)検査ツール、(例えば、欠陥を分類するための)レビューツール及び計測ツール又は検査ツール、レビューツール若しくは計測ツールに関連した評価機能の任意の組み合わせを実施することができるツール(例えば、計測検査ツール)である。電子光学コラム40は、評価ツールのコンポーネント、例えば検査ツール若しくは計測検査ツール又は電子ビームリソグラフィツールの一部であり得る。連結されても又はされなくてもよく、及びさらに別個の部屋内に配置され得る様々なコンポーネントを含む、本明細書におけるツールへのいかなる参照も、デバイス、装置又はシステム、特に例えばデータ処理素子を包含するように意図される。
【0234】
[0245] 特定の方法で荷電粒子ビームを操作するために制御可能なコンポーネント又はコンポーネント若しくは素子のシステムへの参照は、説明された方法で荷電粒子ビームを操作するためにコンポーネントを制御するコントローラ、又は制御システム、又は制御ユニットを構成することと、任意選択的に、このような方法で荷電粒子ビームを操作するためにコンポーネントを制御するために他のコントローラ又はデバイス(例えば、電源及び/又は電流供給器)を使用することとを含む。例えば、電源は、電位をコンポーネントに印加するために、コントローラ、又は制御システム、又は制御ユニットの制御下において、1つ又は複数のコンポーネント、例えば制御レンズアレイ250、対物レンズアレイ241、集光レンズ231、補正器、コリメータ素子アレイ271及び走査偏向器アレイ260を含む非限定的なリスト内におけるものなどに電気的に接続され得る。ステージなどの作動可能コンポーネントは、コンポーネントの作動を制御するために1つ又は複数のコントローラ、制御システム又は制御ユニットを使用してビーム経路などの別のコンポーネントを作動させ、従ってそれに対して移動するように制御可能であり得る。
【0235】
[0246] 本明細書で説明される実施形態は、ビーム経路又はマルチビーム経路に沿ってアレイ内に配置された一連のアパーチャアレイ又は電子光学素子の形態を取り得る。このような電子光学素子は、静電的であり得る。一実施形態では、例えば、ビーム制限アパーチャアレイからサンプルの前のサブビーム経路内の最終電子光学素子までのすべての電子光学素子は、静電的であり得、及び/又はアパーチャアレイ又はプレートアレイの形態であり得る。幾つかの構成では、電子光学素子の1つ又は複数は、微小電子機械システム(MEMS)として製造される(即ちMEMS製造技術を使用して)。
【0236】
[0247] 少なくとも図3及び16に描写され、上に説明されたこのようなアーキテクチャのシステム又はデバイスは、上側ビーム制限器252、コリメータ素子アレイ271、制御レンズアレイ250、走査偏向器アレイ260、対物レンズアレイ241、ビーム成形制限器242及び/又は検出器アレイ240などのコンポーネントを含み得、存在するこれらの素子の1つ又は複数は、セラミック又はガラススペーサなどの絶縁素子により、1つ又は複数の隣接する素子に接続され得る。
【0237】
[0248] 本発明は、コンピュータプログラムとして具現化され得る。例えば、コンピュータプログラムは、コントローラ50に以下のステップを行うように指示する命令を含み得る。コントローラ50は、電子ビームをサンプル208に向かって投影するように電子ビーム装置を制御する。一実施形態では、コントローラ50は、電子ビーム経路内の電子ビームに作用するように少なくとも1つの電子光学素子(例えば、複数の偏向器又は走査偏向器260、265のアレイ)を制御する。追加的又は代替的に、一実施形態では、コントローラ50は、電子ビームに応答してサンプル208から放出された電子ビームに作用するように少なくとも1つの電子光学素子(例えば、検出器アレイ240)を制御する。
【0238】
[0249] 「上側」及び「下側」、「アップ」及び「ダウン」、「上」及び「下」への参照は、サンプル208に衝突する電子ビーム又はマルチビームの(常にではないが、通常、垂直の)アップビーム及びダウンビーム方向に対して平行な方向を指すものとして理解されるべきである。従って、アップビーム及びダウンビームへの参照は、いかなる現在の重力場とも無関係に、ビーム経路に対する方向を指すように意図される。アップビームは、電源に向かい、ダウンビームは、サンプルに向かう。
【0239】
[0250] 一実施形態では、サンプル208から放出された荷電粒子内の後方散乱荷電粒子のより大きい割合を生成するように複数の荷電粒子ビーム(例えば、サブビーム)をサンプル208上に投影する方法が提供される。上述のように、これは、後方散乱信号のみから入手可能な情報を取得する際に有益である。
【0240】
[0251] 本方法は、荷電粒子ビームを対物レンズアレイ241内で加速させることを含む、荷電粒子ビームをサンプル208の表面上に投影することを含む。上述のように、加速は、その中を荷電粒子ビームが進み、荷電粒子ビームを加速させるために使用される電位を有する電極(例えば、第1の電極242及び第2の電極243)を提供することによって行われ得る。好ましくは、本方法は、複数の対物レンズ(対物レンズアレイ241など)を提供すること、荷電粒子ビームをサンプル208の表面上に投影するために複数の対物レンズを使用すること、荷電粒子ビームをサンプル208上に加速させるために複数の対物レンズを使用すること及びサンプルから放出された荷電粒子を検出することを含む。
【0241】
[0252] 追加的又は代替的に、本方法は、サンプルから放出された二次荷電粒子をはじくことを含む。好ましくは、本方法は、複数の対物レンズ(対物レンズアレイ241など)を提供すること、荷電粒子ビームをサンプル208の表面上に投影するために複数の対物レンズを使用すること、サンプル208から放出された二次荷電粒子をはじくデバイスを使用すること及びサンプルから放出された荷電粒子を検出することを含む。
【0242】
[0253] 一実施形態では、荷電粒子のビームのアレイをサンプル表面に誘導すること及びその表面から到来する後方散乱荷電粒子を直接検出することを含む方法が提供される。本方法は、サンプル表面からの二次荷電粒子をはじくことをさらに含み得る。
【0243】
[0254] 一実施形態では、サンプル208から放出された二次荷電粒子及び後方散乱荷電粒子を選択的に検出する方法が提供される。本方法は、検出器の動作のモードを、二次荷電粒子より多くの後方散乱荷電粒子を検出するための後方散乱モードと、後方散乱荷電粒子より多くの二次荷電粒子を検出するための二次モードとの間で選択することを含む。後方散乱荷電粒子の検出は、後方散乱モードで最適化され得、二次荷電粒子の検出は、二次モードで最適化され得る。本方法は、複数の荷電粒子ビーム(例えば、サブビーム211、212、213)をサンプル208の表面上に投影すること及びサンプル208から放出された荷電粒子を選択された動作モードで検出することをさらに含む。好ましくは、本方法は、複数の対物レンズ(対物レンズアレイ241など)及び少なくとも1つのセンサを提供することと、荷電粒子ビームをサンプル208の表面上に投影するために複数の対物レンズを使用することとを含む。第1の動作状態では、本方法は、後方散乱荷電粒子より多くの二次荷電粒子を検出することを含み、及び第2の動作状態では、本方法は、二次荷電粒子より多くの後方散乱荷電粒子を検出することを含む。任意選択的に、本方法は、後方散乱モードで対物レンズアレイ内の荷電粒子ビームを加速させること及び/又は二次モードで対物レンズアレイ内の荷電粒子ビームを減速させることをさらに含む。
【0244】
[0255] 一実施形態では、サンプルから放出された二次荷電粒子及び後方散乱荷電粒子を同時に検出する方法が提供される。本方法は、サンプルからの信号粒子を同時に検出するように構成された少なくとも2つの検出部分を含む検出器アレイを提供することを含み、検出部分の1つは、二次荷電粒子より多くの後方散乱荷電粒子を検出するように構成され、他の検出部分は、後方散乱荷電粒子より多くの二次荷電粒子を検出するように構成される。本方法は、荷電粒子ビームをサンプルに向かって投影することを含む。本方法は、サンプルから放出された荷電粒子を、1つの検出部分で主に二次荷電粒子を、及び他の検出部分で主に後方散乱荷電粒子を検出するように捕捉することをさらに含む。
【0245】
[0256] 一実施形態では、サンプル208から放出された二次荷電粒子及び後方散乱荷電粒子を検出する方法が提供される。本方法は、検出器の動作のモードを、二次荷電粒子より多くの後方散乱荷電粒子を検出するための後方散乱モードと、後方散乱荷電粒子より多くの二次荷電粒子を検出するための二次モードとの間で選択することを含む。本方法は、選択されたモードで荷電粒子を検出するように、サンプル208から放出された荷電粒子を捕捉することを含む。好ましくは、本方法は、サンプル208から放出された荷電粒子を捕捉するように構成された少なくとも1つのセンサを提供することを含む。本方法は、第1の動作状態で後方散乱荷電粒子より多くの二次荷電粒子を検出すること及び第2の動作状態で二次荷電粒子より多くの後方散乱荷電粒子を検出することを含む。
【0246】
[0257] 好ましくは、上記の方法は、サンプル208から放出された二次荷電粒子をはじくことをさらに含む。上述のように、はじくことは、対物レンズアレイ241の電極の電位及びサンプルの電位を制御することによって行われ得る。
【0247】
[0258] 一実施形態では、後方散乱荷電粒子を検出するための荷電粒子評価ツールを動作させる方法が提供され、本方法は、荷電粒子のマルチビームをサンプル表面に向かって投影すること及び閾値未満のエネルギーを有するマルチビームに応答してサンプルから放出された(即ち発散した)荷電粒子をはじくことを含む。本方法は、サンプルから発散し、少なくとも閾値のエネルギーを有する荷電粒子を、サンプル208に近接して配置された検出器アレイ240を使用して検出することを含む。好ましくは、閾値は、サンプルから放出された二次荷電粒子のエネルギーを超える。好ましくは、投影することは、荷電粒子のマルチビームを好ましくは対物レンズアレイ241内でサンプル208に向かって加速させることを含む。好ましくは、はじくことは、対物レンズの電極を使用する。
【0248】
[0259] 好ましくは、本明細書で説明された方法は、それぞれの制御レンズと、対応する対物レンズとの間に中間焦点236を提供することをさらに含む。
【0249】
[0260] 上記の方法の任意のものでは、検出時、二次荷電粒子より多くの後方散乱荷電粒子が検出され得る。従って、本方法は、上述のように、主に後方散乱荷電粒子を検出するために使用され得る。
【0250】
[0261] 「サブビーム」及び「ビームレット」という用語は、本明細書では互換的に使用され、両方とも、親の放射ビームを分割又は分離することにより親の放射ビームから導出された任意の放射ビームを包含するものと理解される。「マニピュレータ」という用語は、レンズ又は偏向器など、サブビーム又はビームレットの経路に影響を与える任意の素子を包含するように使用される。素子がビーム経路又はサブビーム経路に沿って位置合わせされることへの言及は、それぞれの素子がビーム経路又はサブビーム経路に沿って配置されることを意味すると理解されるものである。光学系への言及は、電子光学系を意味すると理解されるものである。
【0251】
[0262] 荷電粒子光学デバイスは、負荷電粒子デバイスであり得る。荷電粒子光学デバイスは、他に電子光学デバイスと呼ばれ得る。電子は、特定の荷電粒子であり、必要に応じて本出願全体にわたって参照される荷電粒子のすべてのインスタンスを置換し得ることが理解される。例えば、電源は、電子を特に提供し得る。本明細書の全体にわたって参照される荷電粒子は、具体的には、負荷電粒子であり得る。
【0252】
[0263] 荷電粒子光学デバイスは、より具体的には、荷電粒子光学コラムとして定義され得る。換言すれば、デバイスは、コラムとして提供され得る。従って、コラムは、上述のように、対物レンズアレイアセンブリを含み得る。従って、コラムは、例えば、対物レンズアレイ並びに任意選択的に検出器アレイ及び/又は任意選択的に集光レンズアレイを含む、上述のような荷電粒子光学システムを含み得る。
【0253】
[0264] 上述の荷電粒子光学デバイスは、少なくとも対物レンズアレイ240を含む。荷電粒子光学デバイスは、検出器アレイ241を含み得る。荷電粒子光学デバイスは、制御レンズアレイ250を含み得る。従って、対物レンズアレイ及び検出器アレイを含む荷電粒子光学デバイスは、任意選択的に制御レンズアレイ250を含み得る対物レンズアレイアセンブリと交換可能であり得、そのように呼ばれ得る。荷電粒子光学デバイスは、図3及び/又は図16のいずれかに関連して述べた追加的なコンポーネントを含み得る。従って、荷電粒子光学デバイスは、荷電粒子評価ツール40と交換可能であり、そのように呼ばれ得、及び/又はこれらの図内の追加的なコンポーネントを含む場合に電子光学システムと交換可能であり、そのように呼ばれ得る。
【0254】
[0265] 本発明を様々な実施形態に関連付けて説明してきたが、本明細書で開示される本発明の仕様及び実施を考慮することで本発明の他の実施形態が当業者に明らかになるであろう。
【0255】
[0266] 絶縁構造は、上記の隣接する電極に関連して説明される。幾つかの事例では、絶縁構造は、具体的には、第1及び/又は第2の電極に関連して説明される。絶縁構造は、任意の隣接する電極に適用され得、第1及び第2の電極への参照は、他の電極により置換され得る。3つ以上の電極が提供される場合、複数の絶縁構造が提供され得る。例えば、一連の絶縁構造が存在し得る。
【0256】
[0267] 任意の要素又は要素の集合は、電子ビームツール40内で交換可能であり得るか、又は現場で交換可能であり得る。電子ビームツール40内の1つ又は複数の電子光学コンポーネント、特にアパーチャアレイ及びマニピュレータアレイなどのサブビームに作用するもの又はサブビームを生成するものは、1つ又は複数のMEMSを含み得る。
【0257】
[0268] 本明細書及び例は、例示的なものにすぎないと考えられるように意図され、本発明の真の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲及び条項により示される。
【0258】
[0269] ある構成では、以下が提供される:条項1:荷電粒子評価ツールのための荷電粒子光学デバイスであって、荷電粒子のマルチビームをサブビーム経路に沿ってサンプルに向かって投影するように構成され、マルチビームは、サブビームを含み、デバイスは、荷電粒子サブビームのアレイをサンプル上に投影するように構成された対物レンズアレイであって、望ましくは荷電粒子サブビームのアレイのサブビーム経路にわたって配置され、望ましくは荷電粒子サブビームのアレイのサブビーム経路に対応するように配置され、望ましくは、各対物レンズは、荷電粒子サブビームのアレイのサブビームに対応する、対物レンズアレイと、サンプルに近接するように構成され、及びサンプルから放出された荷電粒子を捕捉するように構成された検出器アレイであって、望ましくは荷電粒子サブビームのアレイのサブビーム経路にわたって配置され、望ましくは荷電粒子サブビームのアレイのサブビーム経路に対応するように配置され、望ましくは、検出器アレイの各検出器は、荷電粒子サブビームのアレイのサブビームに対応し、望ましくは、検出器アレイは、望ましくは、動作中にサンプルに面するように構成され、望ましくは、検出器アレイは、デバイスの最もダウンビームのコンポーネントである、検出器アレイとを含み、荷電粒子光学デバイスは、サンプルから放出された二次荷電粒子を検出器から離れるようにはじくように構成される、荷電粒子光学デバイス。
【0259】
[0270] 条項2:荷電粒子システムのための荷電粒子光学デバイスであって、荷電粒子のビームのアレイをサンプルに向かって投影するように構成され、ビームをサンプル上に投影し、及びサンプルから放出された二次荷電粒子をはじくように構成された対物レンズアレイと、サンプルからの後方散乱粒子を検出するようにサンプルに近接した検出器のアレイとを含む、荷電粒子光学デバイス。
【0260】
[0271] 条項3:対物レンズは、荷電粒子サブビームをサブビーム経路に沿って加速させるように構成される、条項1又は2に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0261】
[0272] 条項4:荷電粒子評価ツールのための荷電粒子光学デバイスであって、荷電粒子のマルチビームをサブビーム経路に沿ってサンプルに向かって投影するように構成され、マルチビームは、サブビームを含み、デバイスは、荷電粒子サブビームのアレイをサンプル上に投影するように構成された対物レンズアレイであって、望ましくはアパーチャアレイが画定される少なくとも2つの電極を含み、望ましくは、少なくとも2つの電極内のアパーチャアレイの対応するアパーチャは、それぞれ荷電粒子サブビームのアレイのサブビーム経路に位置合わせされ、及びそれに沿って配置される、対物レンズアレイと、サンプルに近接するように構成され、及びサンプルから放出された荷電粒子を捕捉するように構成された検出器アレイとを含み、対物レンズは、荷電粒子サブビームをサブビーム経路に沿って加速させるように構成される、荷電粒子光学デバイス。
【0262】
[0273] 条項5:荷電粒子システムのための荷電粒子光学デバイスであって、荷電粒子のビームのアレイをサンプルに向かって投影するように構成され、ビームをサンプル上に投影し、及び荷電粒子をサンプルに向かって加速させるように構成された対物レンズアレイと、サンプルからの後方散乱粒子を検出するようにサンプルに近接した検出器のアレイとを含む、荷電粒子光学デバイス。
【0263】
[0274] 条項6:サンプルから放出された二次荷電粒子を検出器から離れるようにはじくように構成される、条項4又は5に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0264】
[0275] 条項7:検出器アレイは、使用時に電位を有するように構成され、及びサンプルは、使用時に電位を有するように構成され、サンプル電位は、検出器アレイ電位よりも正である、条項1~6のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0265】
[0276] 条項8:サンプル電位と検出器アレイ電位との間の電位差は、二次電子閾値より大きい、条項7に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0266】
[0277] 条項9:対物レンズアレイは、アパーチャアレイが画定される少なくとも2つの電極を含み、少なくとも2つの電極内の対応するアパーチャは、サブビーム経路と位置合わせされ、及び経路に沿って配置され、望ましくは、検出器アレイは、少なくとも2つの電極の1つの上に若しくはそれに隣接して提供されるか、又はそれに一体化され得る、条項1~8のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0267】
[0278] 条項10:少なくとも2つの電極の第1の電極は、少なくとも2つの電極の第2の電極のアップビームにあり、第1の電極は、使用時に第1の電極電位を有するように構成され、及び第2の電極は、使用時に第2の電極電位を有するように構成され、第2の電極電位は、第1の電極電位よりも正であり、望ましくは、検出器アレイは、第2の電極、望ましくは少なくとも2つの電極の最もダウンビームの電極上若しくはその中に位置付けられるか、又はそれと一体的である、条項9に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0268】
[0279] 条項11:サンプルは、使用時にある電位にあるように構成され、サンプル電位は、第2の電極電位よりも正である、条項10に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0269】
[0280] 条項12:サンプル電位は、荷電粒子ビーム源に対して約+20kV~+100kVであり、好ましくは、サンプル電位は、約+20kV~+70kVである、条項11に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0270】
[0281] 条項13:第1の電極電位は、荷電粒子ビーム源に対して約+3kV~+8kVであり、好ましくは、第1の電極電位は、約+5kVである、条項10~12のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0271】
[0282] 条項14:第2の電極電位は、荷電粒子ビーム源に対して約+20kV~+100kVであり、好ましくは、第2の電極電位は、約+20kV~+70kVである、条項10~13のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0272】
[0283] 条項15:少なくとも1つの電極内のアパーチャの径は、約30~300μmである、条項9~14のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0273】
[0284] 条項16:少なくとも1つの電極内の隣接するアパーチャ間のピッチは、約50μm~500μmである、条項9~15のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0274】
[0285] 条項17:隣接する電極を分離する絶縁構造をさらに含み、絶縁構造は、本体及び本体の半径方向内向きの突起を含み、本体は、第1の側及び第2の側を有し、第2の側は、第1の側に対向し、電極の1つは、絶縁構造の第1の側で本体及び突起に接触し、及び本体は、絶縁構造の第2の側で電極の別のものに接触し、ギャップは、突起と電極の別のものとの間に画定される、条項9~16のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0275】
[0286] 条項18:対物レンズアレイのアップビームに位置付けられた制御レンズアレイをさらに含み、各制御レンズは、望ましくは、制御レンズアレイが対物レンズアレイに対応するように配置され、望ましくは、制御レンズアレイは、荷電粒子サブビームのアレイのサブビーム経路にわたって配置され、望ましくは、制御レンズアレイは、荷電粒子サブビームのアレイのサブビーム経路のアレイに対応するようにそれぞれの対物レンズに関連付けられ、望ましくは、各制御レンズは、荷電粒子サブビームのアレイのそれぞれのサブビーム経路に関連付けられる、条項1~17のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0276】
[0287] 条項19:制御レンズアレイは、それぞれの制御レンズと、対応する対物レンズとの間に中間焦点を提供するように構成される、条項18に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0277】
[0288] 条項20:制御レンズアレイは、荷電粒子サブビームをサブビーム経路に沿って減速させるように構成される、条項18又は19のいずれかに記載の荷電粒子光学デバイス。
【0278】
[0289] 条項21:検出器アレイは、二次荷電粒子より多くの後方散乱荷電粒子を検出するように構成される、条項1~20のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0279】
[0290] 条項22:検出器アレイは、サンプルの約10μm~50μmに配置される、条項1~21のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0280】
[0291] 条項23:使用時に対物レンズアレイ及び/又はサンプルの少なくとも1つの電極に電位を印加するように構成された電源をさらに含む、条項1~22のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0281】
[0292] 条項24:荷電粒子のマルチビームをサンプル表面に向かって投影するための対物レンズアセンブリであって、マルチビームの経路に沿って配置された少なくとも2つの電極を含む対物レンズアレイを含み、その中に複数のアパーチャが画定され、望ましくは、少なくとも2つの電極のそれぞれの電極の複数のアパーチャの対応するアパーチャは、マルチビームの経路のサブビーム経路と位置合わせ及び配置され、対物レンズアセンブリは、マルチビームに応答してサンプルから発散する荷電粒子を検出するように構成された検出器アレイをさらに含み、検出器アレイは、サンプルに近接して配置可能であるように構成され、及びサンプルから発散する二次電子を検出器から離れるようにはじくように構成される、対物レンズアセンブリ。
【0282】
[0293] 条項25:サンプルは、サンプル電位に設定され、及び検出器アレイは、検出器アレイ電位に設定され、サンプル電位と検出器アレイ電位との間の電位差は、二次電子閾値より大きい、条項24に記載の対物レンズアセンブリ。
【0283】
[0294] 条項26:二次電子閾値は、サンプルから発散する二次電子の可能性が高い電子エネルギーと均等な電位差である、条項25に記載の対物レンズアセンブリ。
【0284】
[0295] 条項27:検出器アレイは、二次電子より多くの後方散乱電子を検出するように構成される、条項24~26のいずれか一項に記載の対物レンズアセンブリ。
【0285】
[0296] 条項28:マルチビーム荷電粒子評価ツールのための荷電粒子光学デバイスであって、荷電粒子のマルチビームをサブビーム経路に沿ってサンプルに向かって投影するように構成され、マルチビームは、サブビームを含み、デバイスは、荷電粒子サブビームのアレイをサンプル上に投影するように構成された対物レンズアレイと、サンプルから放出された荷電粒子を捕捉するように構成された検出器アレイとを含み、荷電粒子光学デバイスは、2つの動作状態を切り替えるように構成され、第1の動作状態では、検出器アレイは、後方散乱荷電粒子より多くの二次荷電粒子を検出するように構成され、及び第2の動作状態では、検出器アレイは、二次荷電粒子より多くの後方散乱荷電粒子を検出するように構成される、荷電粒子光学デバイス。
【0286】
[0297] 条項29:荷電粒子システムのための荷電粒子光学デバイスであって、荷電粒子のビームのアレイをサンプルに向かって投影するように構成され、ビームをサンプル上に投影するように構成された対物レンズアレイと、サンプルからの後方散乱粒子を検出するように構成された検出器のアレイとを含み、2つの動作状態を切り替えるように構成され、第1の動作状態では、検出器アレイは、後方散乱荷電粒子より多くの二次荷電粒子を検出するように構成され、及び第2の動作状態では、検出器アレイは、二次荷電粒子より多くの後方散乱荷電粒子を検出するように構成される、荷電粒子光学デバイス。
【0287】
[0298] 条項30:第1の動作状態では、対物レンズは、荷電粒子ビームをサンプル上に減速させるように構成され、及び第2の動作状態では、対物レンズは、荷電粒子ビームをサンプル上に加速させるように構成される、条項28又は29に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0288】
[0299] 条項31:対物レンズアレイは、第1の動作状態及び第2の動作状態で荷電粒子サブビームの焦点をサンプル上に維持するように構成される、条項24、29又は30のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0289】
[0300] 条項32:対物レンズアレイは、第1の電極電位を有するように構成された第1の電極及び第2の電極電位を有するように構成された第2の電極を含み、第1の電極は、第2の電極のアップビームにある、条項28~31のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0290】
[0301] 条項33:第1の動作状態では、第1の電極電位は、第2の電極電位よりも正である、条項32に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0291】
[0302] 条項34:第2の動作状態では、第2の電極電位は、第1の電極電位よりも正である、条項32又は33のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0292】
[0303] 条項35:少なくとも第1の電極電位は、第1の動作状態及び第2の動作状態で一次ビームの焦点をサンプル上に維持するために、第1の動作状態と第2の動作状態との間で調節される、条項32~34のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0293】
[0304] 条項36:隣接する電極は、第1の動作状態及び第2の動作状態おける使用のために構成される絶縁構造によって分離され、好ましくは、対物レンズアレイは、絶縁構造を含む、条項32~35のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0294】
[0305] 条項37:絶縁構造は、本体及び本体の半径方向内向き突起で形成され、本体は、第1の側及び第2の側を特徴とし、第1の側は、第2の側に対向し、絶縁構造の第1の側では、本体は、電極の1つに接触し、第1のギャップは、突起と電極の1つとの間に形成され、絶縁構造の第2の側では、本体は、電極の他のものに接触し、第2のギャップは、突起と電極の他の電極との間に形成される、条項36に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0295】
[0306] 条項38:第1の電極電位を第1の電極に、及び/又は第2の電極電位を第2の電極に印加するように構成された電源をさらに含む、条項32~31のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0296】
[0307] 条項39:検出器アレイは、サンプルに近接するように構成される、条項28~38のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0297】
[0308] 条項40:検出器アレイとサンプルとの間の距離を第1の動作状態と第2の動作状態との間で維持し、逆も同様であるように構成される、条項28~39のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0298】
[0309] 条項41:第1の動作状態にある場合に二次荷電粒子が検出器アレイ240上に集束され、及び第2の動作状態にある場合に後方散乱荷電粒子が検出器アレイ240上に集束されるように、検出器アレイ240とサンプル208との間の距離を変更するように構成される、条項28~40のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0299】
[0310] 条項42:第1の動作状態と第2の動作状態との間で切り替わるとき、対物レンズアレイとサンプルとの間の距離を使用時に変更し、逆も同様であるように構成される、条項28~41のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0300】
[0311] 条項43:第2の動作状態に切り替わるとき、対物レンズアレイとサンプルとの間の距離を低減するように構成される、条項42に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0301】
[0312] 条項44:第1の動作状態に切り替わるとき、対物レンズアレイとサンプルとの間の距離を増加させるように構成される、条項42又は条項43のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0302】
[0313] 条項45:第1の動作状態と第2の動作状態との間で切り替わるようにサブビーム経路に沿って対物レンズアレイ及び/又はサンプルを互いに対して移動させるように構成される、条項42~44のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0303】
[0314] 条項46:対物レンズアレイとサンプルとの間の距離を変更するために対物レンズアレイを移動させるように構成されたアクチュエータをさらに含む、条項42~45のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0304】
[0315] 条項47:対物レンズアレイとサンプルとの間の距離を変更するためにサンプルを移動させるように構成される、条項42~46のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0305】
[0316] 条項48:対物レンズアレイは、切り替え可能モジュールの一部であるように構成され、異なるモジュールは、サブビーム経路に沿ってサンプルから異なる距離に対物レンズアレイを有する、条項42~47のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0306】
[0317] 条項49:第1の動作状態と第2の動作状態との間で荷電粒子光学デバイスを連続的に切り替えるように構成される、条項28~48のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0307】
[0318] 条項50:切り替えは、反発電位がオンであるとき、それが二次荷電粒子をはじくように構成されるように、反発電位をオン及びオフにすることを含む、条項49に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0308】
[0319] 条項51:第1の動作状態と第2の動作状態との間で連続的に切り替えることは、後方散乱荷電粒子及び二次荷電粒子のほぼ同時の検出を提供する、条項49又は50のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0309】
[0320] 条項52:第1の動作状態と第2の動作状態との間又はその逆において、数秒毎に少なくとも一回、又は毎秒少なくとも一回、又は100ms毎に少なくとも一回、又は10ms毎に少なくとも一回切り替わる、条項49~51のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0310】
[0321] 条項53:第1の動作状態及び第2の動作状態の着地エネルギーは、ほぼ同じであり、及び/又はほぼ維持される、条項49~52のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0311】
[0322] 条項54:荷電粒子評価ツールのための検出器であって、サンプルから放出された荷電粒子を捕捉するように構成され、2つの動作状態間で切り替わるように構成され、第1の動作状態では、少なくとも1つの検出器は、後方散乱荷電粒子より多くの二次荷電粒子を検出するように構成され、及び第2の動作状態では、少なくとも1つの検出器は、二次荷電粒子より多くの後方散乱荷電粒子を検出するように構成される、検出器。
【0312】
[0323] 条項55:荷電粒子評価ツールのための検出器であって、サンプルから放出された荷電粒子を捕捉するように構成され、及びアパーチャを取り囲む内側検出部分及び内側検出部分の半径方向外向きの外側検出部分を含み、2つの動作状態間で切り替わるように構成され、2つの状態は、検出部分の異なる構成をそれぞれ使用する、検出器。
【0313】
[0324] 条項56:アパーチャは、荷電粒子ビームの貫通通路として画定され、及びそのように構成され、検出器は、アパーチャを取り囲む内側検出部分と、内側検出部分の半径方向外向きの外側検出部分とを含む、条項54又は55に記載の検出器。
【0314】
[0325] 条項57:第1の動作状態では、外側検出部分ではなく、内側検出部分を使用する、条項56に記載の検出器。
【0315】
[0326] 条項58:第2の動作状態では、少なくとも外側検出部分を使用する、条項56又は57のいずれか一項に記載の検出器。
【0316】
[0327] 条項59:第1の検出部分の径は、約40~60μmであり、第2の検出部分の径は、約150~250μmである、条項54~58のいずれか一項に記載の検出器。
【0317】
[0328] 条項60:好ましくは後方散乱荷電粒子を検出するために後方散乱動作状態で、及び好ましくは二次荷電粒子を検出するために二次荷電粒子状態で動作するように構成される、荷電粒子評価ツールのための検出器アレイであって、条項54~59のいずれか一項に記載の検出器のアレイを含む、検出器アレイ。
【0318】
[0329] 条項61:マルチビーム荷電粒子評価ツールのための荷電粒子光学デバイスであって、対物レンズアレイ及び条項54~59のいずれか一項に記載の検出器のアレイを含む検出器アレイを含み、対物レンズアレイ及び検出器アレイの電極内のアパーチャは、荷電粒子マルチビームのサブビーム経路上に配置される、荷電粒子光学デバイス。
【0319】
[0330] 条項62:マルチ荷電粒子ビーム評価ツールのための荷電粒子光学デバイスであって、荷電粒子ビームを一次ビーム経路に沿ってサンプルに向かって投影するように構成され、荷電粒子サブビームのアレイをサンプル上に投影するように構成された対物レンズアレイと、対物レンズアレイに関連付けられた検出器アレイであって、サンプルからの荷電粒子を同時に検出するように構成された少なくとも2つの検出部分を含む検出器アレイとを含み、検出部分の1つは、二次荷電粒子より多くの後方散乱荷電粒子を検出するように構成され、及び他の検出部分は、後方散乱荷電粒子より多くの二次荷電粒子を検出するように構成される、荷電粒子光学デバイス。
【0320】
[0331] 条項63:検出部分の1つは、外側検出部分であり、及び他の検出部分は、荷電粒子ビームの貫通通路のためのアパーチャを取り囲む内側検出部分であり、内側検出部分は、外側検出部分の半径方向内向きであり、好ましくは、内側部分及び外側部分は、リング状である、条項62に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0321】
[0332] 条項64:内側部分の径は、約10マイクロメートル~50マイクロメートルである、条項62又は63に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0322】
[0333] 条項65:絶縁部分は、信号が絶縁部分と検出部分との間を通過することを防止するために検出部分間に設けられる、条項62~64のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0323】
[0334] 条項66:マルチ荷電粒子ビーム評価ツールのための荷電粒子光学デバイスであって、荷電粒子ビームを一次ビーム経路に沿ってサンプルに向かって投影するように構成され、荷電粒子サブビームのアレイをサンプル上に投影するように構成された対物レンズアレイと、対物レンズアレイに関連付けられた検出器アレイとを含み、検出器アレイの少なくとも1つの検出器は、サンプルからの信号粒子を同時に検出するように構成された少なくとも2つの検出部分を含み、異なる検出部分は、主に異なるタイプの信号粒子を互いに検出するように構成される、荷電粒子光学デバイス。
【0324】
[0335] 条項67:検出器アレイは、条項54~59のいずれか一項に記載の検出器を含む、条項1~23又は条項28~53のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス。
【0325】
[0336] 条項68:検出器アレイは、条項54~59のいずれか一項に記載の検出器を含む、条項24~27のいずれか一項に記載の対物レンズアセンブリ。
【0326】
[0337] 条項69:サンプルから放出された荷電粒子内のより大きい割合の後方散乱荷電粒子を検出するために、複数の荷電粒子ビームをサンプル上に投影する方法であって、a)荷電粒子ビームをサンプルの表面上に投影すること、及びb)サンプルから放出された二次荷電粒子をはじくことを含む方法。
【0327】
[0338] 条項70:サンプルから放出された荷電粒子内のより大きい割合の後方散乱荷電粒子を検出するために、複数の荷電粒子ビームをサンプル上に投影する方法であって、a)荷電粒子ビームをサンプルの表面上に投影することであって、対物レンズアレイ内の荷電粒子ビームを加速させることを含む、投影することを含む方法。
【0328】
[0339] 条項71:荷電粒子のビームのアレイをサンプル表面に誘導すること及びその表面から到来する後方散乱荷電粒子を直接検出することを含む方法。
【0329】
[0340] 条項72:サンプル表面からの二次荷電粒子をはじくことをさらに含む、条項71に記載の方法。
【0330】
[0341] 条項73:サンプルから放出された二次荷電粒子及び後方散乱荷電粒子を選択的に検出する方法であって、a)二次荷電粒子より多くの後方散乱荷電粒子を検出するための後方散乱モードと、後方散乱荷電粒子より多くの二次荷電粒子を検出するための二次モードとの間で検出器の動作モードを選択すること、b)複数の荷電粒子ビームをサンプルの表面上に投影すること、及びc)選択された動作モードにおいて、サンプルから放出された荷電粒子を検出することを含む方法。
【0331】
[0342] 条項74:後方散乱モードで対物レンズアレイ内の荷電粒子ビームを加速させること及び/又は二次モードで対物レンズアレイ内の荷電粒子ビームを減速させることをさらに含む、条項73に記載の方法。
【0332】
[0343] 条項75:サンプルから放出された二次荷電粒子及び後方散乱荷電粒子を検出する方法であって、a)二次荷電粒子より多くの後方散乱荷電粒子を検出するための後方散乱モードと、後方散乱荷電粒子より多くの二次荷電粒子を検出するための二次モードとの間で検出器の動作モードを選択すること、及びb)選択されたモードにおいて荷電粒子を検出するために、サンプルから放出された荷電粒子を捕捉することを含む方法。
【0333】
[0344] 条項76:サンプルから放出された二次荷電粒子及び後方散乱荷電粒子を同時に検出する方法であって、a)検出器のアレイを提供することであって、アレイの少なくとも1つの検出器は、サンプルからの荷電粒子を同時に検出するように構成された少なくとも2つの検出部分を含み、検出部分の1つは、二次荷電粒子より多くの後方散乱荷電粒子を検出するように構成され、及び他の検出部分は、後方散乱荷電粒子より多くの二次荷電粒子を検出するように構成される、提供すること、b)荷電粒子ビームをサンプルに向かって投影すること、及びc)1つの検出部分で主に二次荷電粒子を、及び他の検出部分で主に後方散乱荷電粒子を検出するために、サンプルから放出された荷電粒子を捕捉することを含む方法。
【0334】
[0345] 条項77:検出器アレイを使用して、サンプルから放出された異なるタイプの信号粒子を同時に検出する方法であって、検出器アレイの少なくとも1つの検出器は、サンプルからの信号粒子を同時に検出するように構成された少なくとも2つの検出部分を含み、異なる検出部分は、異なるタイプの信号粒子を優先的に検出するように構成され、方法は、a)荷電粒子ビームをサンプルに向かって投影すること、b)サンプルから放出された信号粒子を検出器アレイによって捕捉することであって、異なる信号粒子を異なる検出部分によって優先的に検出することを含む、捕捉することを含む、方法。
【0335】
[0346] 条項78:異なる信号粒子は、後方散乱荷電粒子及び二次荷電粒子を含む、条項77に記載の方法。
【0336】
[0347] 条項79:サンプルから放出された二次荷電粒子をはじくことをさらに含む、条項70~76及び条項78のいずれか一項に記載の方法。
【0337】
[0348] 条項80:後方散乱荷電粒子を検出するための荷電粒子評価ツールを動作させる方法であって、a)荷電粒子のマルチビームをサンプル表面に向かって投影することであって、望ましくは、対物レンズアレイの画定されたアパーチャアレイがその中にある少なくとも2つの電極を通して又は望ましくは対物レンズアレイにわたってサブビーム経路に沿った荷電粒子サブビームのアレイにおける対物レンズアレイを通して、望ましくは制御レンズアレイ及び次に対物レンズアレイを通して荷電粒子サブビームのアレイで投影することであって、望ましくは、対物レンズアレイは、アパーチャアレイが画定される少なくとも2つの電極を含み、望ましくは、少なくとも2つの電極内のアパーチャアレイの対応するアパーチャは、荷電粒子サブビームのアレイのサブビームと位置合わせされ、望ましくは、このような下位ビームは、少なくとも2つの電極の異なる電極内のアパーチャアレイの対応するアパーチャを通過する、投影すること、b)閾値未満のエネルギーを有するマルチビームに応答してサンプルから発散する荷電粒子をはじくこと、及びc)サンプルから放出され、及び少なくとも閾値のエネルギーを有する荷電粒子を、サンプルに近接して位置付けられた検出器アレイを使用して検出することを含む方法。
【0338】
[0349] 条項81:閾値は、サンプルから発散する二次荷電粒子のエネルギーを超える、条項80に記載の方法。
【0339】
[0350] 条項82:投影することは、荷電粒子のマルチビームをサンプルに向かって加速させることを含み、加速させることは、好ましくは、対物レンズアレイ内である、条項80又は81のいずれか一項に記載の方法。
【0340】
[0351] 条項83:はじくことは、少なくとも検出器アレイを使用する、条項80~82のいずれか一項に記載の方法。
【0341】
[0352] 条項84:それぞれの制御レンズと、対応する対物レンズとの間に中間焦点を提供することをさらに含む、条項69~83のいずれか一項に記載の方法。
【0342】
[0353] 条項85:検出時、二次荷電粒子より多くの後方散乱荷電粒子が検出される、条項69~84のいずれか一項に記載の方法。
【0343】
[0354] 条項86:後方散乱荷電粒子を検出する方法であって、条項1~23、条項28~53及び条項61~67のいずれか一項に記載の荷電粒子光学デバイス又は条項24~27及び条項68のいずれか一項に記載の対物レンズアセンブリを含むマルチビーム荷電粒子評価ツールを使用することを含む方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16
【国際調査報告】