(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-16
(54)【発明の名称】フィーチャ内でのモリブデン堆積
(51)【国際特許分類】
C23C 16/14 20060101AFI20240109BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
C23C16/14
H01L21/28 301R
H01L21/28 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539751
(86)(22)【出願日】2022-01-03
(85)【翻訳文提出日】2023-08-24
(86)【国際出願番号】 US2022011053
(87)【国際公開番号】W WO2022150270
(87)【国際公開日】2022-07-14
(32)【優先日】2021-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナ・ジョン-ソク
(72)【発明者】
【氏名】ソンベール・シュルティ・ヴィヴェク
(72)【発明者】
【氏名】シェ・ヤオ-ツン
(72)【発明者】
【氏名】マンディア・デヴィッド・ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ライ・チウキン・スティーヴン
【テーマコード(参考)】
4K030
4M104
【Fターム(参考)】
4K030AA02
4K030AA03
4K030AA16
4K030AA17
4K030BA12
4K030CA04
4K030CA12
4K030DA03
4K030EA01
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4K030FA01
4K030FA10
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4K030HA01
4K030JA01
4K030JA09
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4K030JA16
4K030JA18
4K030LA15
4M104AA01
4M104AA03
4M104AA05
4M104BB14
4M104BB16
4M104BB29
4M104BB30
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4M104DD23
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4M104EE02
4M104EE14
4M104EE16
4M104EE17
4M104FF17
4M104FF18
4M104FF21
4M104FF22
4M104HH15
(57)【要約】
塩化モリブデン(MoCl
x)前駆体を使用する薄い保護Mo層の堆積を含む堆積プロセスが提供される。これに続いて、オキシハロゲン化モリブデン(MoO
yX
z)前駆体を使用してフィーチャを充填するためにMo堆積が行われることがある。保護Mo層により、下層の表面を酸化することなくMoO
yX
z前駆体を使用してMoを充填することができる。また、堆積前に、MoCl
x前駆体を使用して下層の表面から酸化を除去するインサイチュ洗浄プロセスも提供される。MoCl
x前駆体を使用した後続の堆積は、初期層を堆積する、および/またはフィーチャを充填することができる。
【選択図】
図7E
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
フィーチャ底部およびフィーチャ側壁を有するフィーチャを備える基板を提供することと、
ハロゲン化モリブデン前駆体および還元剤を使用して前記フィーチャ内に初期モリブデン被膜を堆積することと、
前記初期モリブデン被膜を堆積した後、オキシハロゲン化モリブデン前駆体を使用して前記フィーチャにモリブデンを少なくとも部分的に充填することと、
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記フィーチャ底部が酸化金属シリサイド表面を含み、前記フィーチャ側壁が酸化金属表面を含み、前記方法が、少なくとも前記フィーチャ底部の前記酸化金属シリサイド表面から酸化物を除去して、金属シリサイド表面を残し、前記初期モリブデン被膜が前記金属シリサイド表面に直接堆積されるようにすることをさらに含む、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記金属シリサイド表面が、チタンシリサイド(TiSi
x)、ニッケルシリサイド(NiSi
x)、モリブデンシリサイド(MoSi
x)、コバルトシリサイド(CoSi
x)、プラチナシリサイド(PtSi
x)、ルテニウムシリサイド(RuSi
x)、およびニッケルプラチナシリサイド(NiPt
ySi
x)のうちの1つである、方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、前記フィーチャ底部の前記酸化金属シリサイド表面から酸化物を除去することが、Clベースのプラズマによる洗浄、HF蒸気洗浄、またはフッ化アンモニウム洗浄を含む、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記フィーチャ底部が酸化半導体表面を備える、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、前記半導体表面がシリコン(Si)である、方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法であって、前記半導体表面がシリコンゲルマニウム(SiGe)である、方法。
【請求項8】
請求項5に記載の方法であって、前記フィーチャ底部の前記酸化半導体表面から酸化物を除去することが、Clベースのプラズマによる洗浄、HF蒸気洗浄、またはフッ化アンモニウム洗浄を含む、方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法であって、前記初期モリブデン被膜が、5ナノメートル以下の厚さである、方法。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法であって、前記初期モリブデン被膜が、2ナノメートル以下の厚さである、方法。
【請求項11】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法であって、前記ハロゲン化モリブデン前駆体が塩化モリブデン前駆体である、方法。
【請求項12】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法であって、前記ハロゲン化モリブデン前駆体が五塩化モリブデン(MoCl
5)である、方法。
【請求項13】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法であって、前記ハロゲン化モリブデン前駆体が六塩化モリブデン(MoCl
6)である、方法。
【請求項14】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法であって、前記初期モリブデン被膜が、少なくとも300℃であり500℃以下の基板温度で堆積される、方法。
【請求項15】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法であって、前記初期モリブデン被膜が、少なくとも350℃であり450℃以下の基板温度で堆積される、方法。
【請求項16】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法であって、前記初期モリブデン被膜が、少なくとも30Torrの圧力を有するチャンバ内で堆積される、方法。
【請求項17】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法であって、前記オキシハロゲン化モリブデン前駆体がオキシ塩化モリブデン(MoO
xCl
y)である、方法。
【請求項18】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法であって、前記オキシハロゲン化モリブデン前駆体がオキシフッ化モリブデン(MoO
xF
y)である、方法。
【請求項19】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法であって、前記初期モリブデン被膜を堆積することが、マルチステーションチャンバの第1のステーションで実施され、前記フィーチャを少なくとも部分的に充填することが、少なくとも前記マルチステーションチャンバの第2のステーションで実施される、方法。
【請求項20】
方法であって、
フィーチャ底部およびフィーチャ側壁を有するフィーチャを備える基板を提供することであって、前記フィーチャ底部が酸化表面を含む、基板の提供と、
前記フィーチャをハロゲン化モリブデン前駆体に浸漬して、前記酸化表面から酸化物を除去し、非酸化表面を残すことと、
前記ハロゲン化モリブデン前駆体および還元剤を使用して、前記非酸化表面に直接堆積することを含め、前記フィーチャ内にモリブデンを堆積することと、
を含む方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、前記フィーチャ内にモリブデンを堆積することが、前記フィーチャ内に非選択的なモリブデン層を堆積することを含む、方法。
【請求項22】
請求項20に記載の方法であって、前記フィーチャ内にモリブデンを堆積することが、前記フィーチャ側壁に比べて前記非酸化表面にモリブデン層を選択的に堆積することを含む、方法。
【請求項23】
請求項21または22に記載の方法であって、前記フィーチャ内に前記モリブデンを堆積した後、オキシハロゲン化モリブデン前駆体を使用して前記フィーチャ内にバルクモリブデン層を堆積することをさらに含む、方法。
【請求項24】
請求項20に記載の方法であって、
前記フィーチャ底部が金属含有表面を備え、
前記フィーチャ側壁が誘電体表面を備え、
モリブデンを堆積することが、前記誘電体表面に対して前記金属含有表面にモリブデンを選択的に堆積することをさらに含む、
方法。
【請求項25】
請求項20に記載の方法であって、前記フィーチャ内にモリブデンを堆積することが、前記ハロゲン化モリブデン前駆体を使用して前記フィーチャ内にバルクモリブデン層を堆積することを含む、方法。
【請求項26】
請求項20に記載の方法であって、前記酸化表面が酸化窒化チタン表面である、方法。
【請求項27】
請求項20から22のいずれか一項に記載の方法であって、前記フィーチャを前記ハロゲン化モリブデン前駆体に浸漬することが第1のチャンバで実施され、前記フィーチャ内にモリブデンを堆積することが第2のチャンバで実施され、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとが異なるチャンバである、方法。
【請求項28】
請求項20から22のいずれか一項に記載の方法であって、前記フィーチャを前記ハロゲン化モリブデン前駆体に浸漬することと、前記フィーチャ内に前記モリブデンを堆積することとが同じチャンバ内で実施される、方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法であって、前記チャンバがマルチステーションチャンバであり、前記フィーチャを前記ハロゲン化モリブデン前駆体に浸漬することが、前記マルチステーションチャンバの第1のステーションで実施され、前記フィーチャ内に前記モリブデンを堆積することが、少なくとも前記マルチステーションチャンバの第2のステーションで実施される、方法。
【請求項30】
請求項20から22のいずれか一項に記載の方法であって、前記フィーチャを前記ハロゲン化モリブデン前駆体に浸漬することが、少なくとも10秒間持続する、方法。
【請求項31】
請求項20から22のいずれか一項に記載の方法であって、前記フィーチャを前記ハロゲン化モリブデン前駆体に浸漬することが、少なくとも60秒間持続する、方法。
【請求項32】
請求項21または22に記載の方法であって、前記モリブデン層が、5ナノメートル以下の厚さである、方法。
【請求項33】
請求項21または22に記載の方法であって、前記モリブデン層が、2ナノメートル以下の厚さである、方法。
【請求項34】
請求項20から22のいずれか一項に記載の方法であって、前記ハロゲン化モリブデン前駆体が塩化モリブデン前駆体である、方法。
【請求項35】
請求項20から22のいずれか一項に記載の方法であって、前記フィーチャ内にモリブデンを堆積することが、少なくとも300℃であり500℃以下の基板温度で堆積される、方法。
【請求項36】
請求項20から22のいずれか一項に記載の方法であって、前記フィーチャ内にモリブデンを堆積することが、少なくとも350℃であり450℃以下の基板温度で堆積される、方法。
【請求項37】
請求項20から22のいずれか一項に記載の方法であって、前記フィーチャ内にモリブデンを堆積することが、少なくとも10Torrの圧力を有するチャンバ内で堆積される、方法。
【請求項38】
請求項20から22のいずれか一項に記載の方法であって、前記フィーチャ内にモリブデンを堆積することが、少なくとも30Torrの圧力を有するチャンバ内で堆積される、方法。
【請求項39】
請求項20から22のいずれか一項に記載の方法であって、前記フィーチャを浸漬する前に、前記フィーチャを酸素含有化学物質に露出して、前記酸化表面を形成することをさらに含む、方法。
【請求項40】
請求項34に記載の方法であって、前記塩化モリブデン前駆体が、五塩化モリブデン(MoCl
5)または六塩化モリブデン(MoCl
6)である、方法。
【請求項41】
請求項40に記載の方法であって、前記酸化表面が酸化されたシリコンであり、前記塩化モリブデン前駆体が五塩化モリブデンであり、前記フィーチャを前記ハロゲン化モリブデン前駆体に浸漬することが、前記酸化されたシリコンから酸化物を除去してシリコンを残す、方法。
【請求項42】
請求項40に記載の方法であって、前記酸化表面が酸化されたシリコンゲルマニウムであり、前記塩化モリブデン前駆体が五塩化モリブデンであり、前記フィーチャをハロゲン化モリブデン前駆体に浸漬することが、前記シリコンゲルマニウムから酸化物を除去してシリコンゲルマニウムを残す、方法。
【請求項43】
請求項40に記載の方法であって、前記フィーチャが窒化チタン層を有し、前記塩化モリブデン前駆体が五塩化モリブデンであり、前記フィーチャをハロゲン化モリブデン前駆体に浸漬することが、前記窒化チタン層をエッチングする、方法。
【請求項44】
請求項43に記載の方法であって、前記窒化チタン層の前記エッチングを制御して、前記窒化チタン層を所望の厚さで残すことができる、方法。
【請求項45】
請求項43に記載の方法であって、前記窒化チタン層が完全に除去される、方法。
【請求項46】
請求項23に記載の方法であって、前記フィーチャを前記ハロゲン化モリブデン前駆体に浸漬することと、前記フィーチャ内に前記モリブデンを堆積することとが、マルチステーションチャンバの第1のステーションで実施され、前記方法が、前記フィーチャ内にバルクモリブデン層を堆積することをさらに含み、前記バルクモリブデン層を堆積することが、少なくとも前記マルチステーションチャンバの第2のステーションで実施される、方法。
【請求項47】
請求項20から22のいずれか一項に記載の方法であって、前記フィーチャを浸漬することが、前記フィーチャを前記ハロゲン化モリブデン前駆体に連続的に露出することを含む、方法。
【請求項48】
請求項20から22のいずれか一項に記載の方法であって、前記フィーチャを浸漬することが、前記フィーチャを、前記ハロゲン化モリブデン前駆体と不活性ガスとの交互の用量に露出することを含む、方法。
【請求項49】
方法であって、
フィーチャ底部およびフィーチャ側壁を有するフィーチャを備える基板を提供することであって、前記フィーチャ底部が金属窒化物表面を含む、基板の提供と、
ハロゲン化モリブデン前駆体および還元剤を使用して、前記フィーチャ側壁、および前記フィーチャ底部の前記金属窒化物表面に初期モリブデン被膜を堆積することと、
前記フィーチャ側壁からモリブデン被膜を除去し、前記金属窒化物表面フィーチャ底部にモリブデン被膜を残すことと、
前記フィーチャにモリブデンを少なくとも部分的に充填することと、
を含む方法。
【請求項50】
請求項49に記載の方法であって、前記金属窒化物が窒化チタン(TiN)である、方法。
【請求項51】
請求項49に記載の方法であって、前記金属窒化物が窒化チタンシリサイド(TiSiN)である、方法。
【請求項52】
請求項49に記載の方法であって、前記フィーチャ底部の前記金属窒化物が、半導体表面およびチタンシリサイド(TiSi)層を含むスタックに重なる、方法。
【請求項53】
請求項52に記載の方法であって、前記半導体表面がシリコン(Si)である、方法。
【請求項54】
請求項52に記載の方法であって、前記半導体表面がシリコンゲルマニウム(SiGe)である、方法。
【請求項55】
請求項49に記載の方法であって、前記側壁および前記フィーチャ底部の前記金属窒化物表面に初期モリブデン被膜を堆積する前に、前記フィーチャ側壁から少なくとも一部の金属窒化物を除去することをさらに含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
参照による組込み
PCT願書が、本出願の一部として本明細書と同時に提出される。同時に提出されたPCT願書で特定される、本出願が利益または優先権を主張する各出願は、その全体をあらゆる目的のために参照により本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0002】
半導体製造では、ラインやビアなどのフィーチャが、タングステン(W)、銅(Cu)、およびコバルト(Co)などの導電性材料で充填されることがある。半導体デバイスが10nmノード以下にスケールダウンすると、金属相互接続においてラインおよびビアの接触抵抗が急速に増加する。これは、電流搬送断面積の減少と、電子散乱の増加と、細いフィーチャでの現在のCuまたはWプロセススキームによる細いフィーチャへの充填の問題の増加と、に起因する。
本明細書で提供される背景の説明は、本開示の文脈を全般的に提示する目的のものである。この背景のセクションに記載されている範囲での本発明者らの業績、および出願時に先行技術とみなされていないことがある記載の態様は、本開示に対する先行技術として明示的にも暗示的にも認められない。
【発明の概要】
【0003】
塩化モリブデン(MoClx)前駆体を使用する薄い保護Mo層の堆積を含む堆積プロセスが提供される。これに続いて、オキシハロゲン化モリブデン(MoOyXz)前駆体を使用してフィーチャを充填するためにMo堆積が行われることがある。保護Mo層により、下層の表面を酸化することなくMoOyXz前駆体を使用してMoを充填することができる。また、堆積前に、MoClx前駆体を使用して下層の表面から酸化を除去するインサイチュ洗浄プロセスも提供される。MoClx前駆体を使用した後続の堆積は、初期層を堆積する、および/またはフィーチャを充填することができる。
【0004】
本開示の一態様は、フィーチャ底部およびフィーチャ側壁を有するフィーチャを含む基板を提供することと、ハロゲン化モリブデン前駆体および還元剤を使用してフィーチャ内に初期モリブデン被膜を堆積することと、初期モリブデン被膜を堆積した後、オキシハロゲン化モリブデン前駆体を使用してフィーチャにモリブデンを少なくとも部分的に充填することと、を含む方法に関する。
【0005】
いくつかの実施形態では、フィーチャ底部が酸化金属シリサイド表面を含み、フィーチャ側壁が酸化金属表面を含み、方法が、少なくともフィーチャ底部の酸化金属シリサイド表面から酸化物を除去して、金属シリサイド表面を残し、初期モリブデン被膜が金属シリサイド表面に直接堆積されるようにすることをさらに含む。
【0006】
いくつかのそのような実施形態では、金属シリサイド表面が、チタンシリサイド(TiSix)、ニッケルシリサイド(NiSix)、モリブデンシリサイド(MoSix)、コバルトシリサイド(CoSix)、プラチナシリサイド(PtSix)、ルテニウムシリサイド(RuSix)、およびニッケルプラチナシリサイド(NiPtySix)のうちの1つである。
【0007】
いくつかの実施形態では、フィーチャ底部の酸化金属シリサイド表面から酸化物を除去することが、Clベースのプラズマによる洗浄、HF蒸気洗浄、またはフッ化アンモニウム洗浄を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、フィーチャ底部が酸化半導体表面を含む。
【0009】
いくつかのそのような実施形態では、半導体表面がシリコン(Si)である。
【0010】
いくつかのそのような実施形態では、半導体表面がシリコンゲルマニウム(SiGe)である。
【0011】
いくつかのそのような実施形態では、フィーチャ底部の酸化半導体表面から酸化物を除去することが、Clベースのプラズマによる洗浄、HF蒸気洗浄、またはフッ化アンモニウム洗浄を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、初期モリブデン被膜が、5ナノメートル以下の厚さである。
【0013】
いくつかの実施形態では、初期モリブデン被膜が、2ナノメートル以下の厚さである。
【0014】
いくつかの実施形態では、ハロゲン化モリブデン前駆体が塩化モリブデン前駆体である。
【0015】
いくつかの実施形態では、ハロゲン化モリブデン前駆体が五塩化モリブデン(MoCl5)である。
【0016】
いくつかの実施形態では、ハロゲン化モリブデン前駆体が六塩化モリブデン(MoCl6)である。
【0017】
いくつかの実施形態では、初期モリブデン被膜が、少なくとも300℃であり500℃以下の基板温度で堆積される。
【0018】
いくつかの実施形態では、初期モリブデン被膜が、少なくとも350℃であり450℃以下の基板温度で堆積される。
【0019】
いくつかの実施形態では、初期モリブデン被膜が、少なくとも30Torrの圧力を有するチャンバ内で堆積される。
【0020】
いくつかの実施形態では、オキシハロゲン化モリブデン前駆体がオキシ塩化モリブデン前駆体(MoOxCly)である。
【0021】
いくつかの実施形態では、オキシハロゲン化モリブデン前駆体がオキシフッ化モリブデン(MoOxFy)である。
【0022】
いくつかの実施形態では、初期モリブデン被膜を堆積することが、マルチステーションチャンバの第1のステーションで実施され、フィーチャを少なくとも部分的に充填することが、少なくともマルチステーションチャンバの第2のステーションで実施される。
【0023】
本開示の別の態様は、フィーチャ底部およびフィーチャ側壁を有するフィーチャを含む基板を提供することであって、フィーチャ底部が酸化表面を含む、基板の提供と、フィーチャをハロゲン化モリブデン前駆体に浸漬して、酸化表面から酸化物を除去し、非酸化表面を残すことと、ハロゲン化モリブデン前駆体および還元剤を使用して、非酸化表面に直接堆積することを含め、フィーチャ内にモリブデンを堆積することと、を含む方法に関する。
【0024】
いくつかの実施形態では、フィーチャ内にモリブデンを堆積することが、フィーチャ内に非選択的なモリブデン層を堆積することを含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、フィーチャ内にモリブデンを堆積することが、フィーチャ側壁に比べて非酸化表面にモリブデン層を選択的に堆積することを含む。
【0026】
いくつかのそのような実施形態では、フィーチャ内にモリブデンを堆積した後、オキシハロゲン化モリブデン前駆体を使用してフィーチャ内にバルクモリブデン層を堆積することをさらに含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、フィーチャ底部が金属含有表面を含み、フィーチャ側壁が誘電体表面を含み、モリブデンを堆積することが、誘電体表面に対して金属含有表面にモリブデンを選択的に堆積することをさらに含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、フィーチャ内にモリブデンを堆積することが、ハロゲン化モリブデン前駆体を使用してフィーチャ内にバルクモリブデン層を堆積することを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、酸化表面が酸化窒化チタン表面である。
【0030】
いくつかの実施形態では、フィーチャをハロゲン化モリブデン前駆体に浸漬することが第1のチャンバで実施され、フィーチャ内にモリブデンを堆積することが第2のチャンバで実施され、第1のチャンバと第2のチャンバとが異なるチャンバである。
【0031】
いくつかの実施形態では、フィーチャをハロゲン化モリブデン前駆体に浸漬することと、フィーチャ内にモリブデンを堆積することとが同じチャンバ内で実施される。いくつかのそのような実施形態では、チャンバがマルチステーションチャンバであり、フィーチャをハロゲン化モリブデン前駆体に浸漬することが、マルチステーションチャンバの第1のステーションで実施され、フィーチャ内にモリブデンを堆積することが、少なくともマルチステーションチャンバの第2のステーションで実施される。
【0032】
いくつかの実施形態では、フィーチャをハロゲン化モリブデン前駆体に浸漬することが、少なくとも10秒間持続する。
【0033】
いくつかの実施形態では、フィーチャをハロゲン化モリブデン前駆体に浸漬することが、少なくとも60秒間持続する。
【0034】
いくつかの実施形態では、モリブデン層が、5ナノメートル以下の厚さである。
【0035】
いくつかの実施形態では、モリブデン層が、2ナノメートル以下の厚さである。
【0036】
いくつかの実施形態では、ハロゲン化モリブデン前駆体が塩化モリブデン前駆体である。
【0037】
いくつかの実施形態では、フィーチャ内にモリブデンを堆積することが、少なくとも300℃であり500℃以下の基板温度で堆積される。
【0038】
いくつかの実施形態では、フィーチャ内にモリブデンを堆積することが、少なくとも350℃であり450℃以下の基板温度で堆積される。
【0039】
いくつかの実施形態では、フィーチャ内にモリブデンを堆積することが、少なくとも10Torrの圧力を有するチャンバ内で堆積される。
【0040】
いくつかの実施形態では、フィーチャ内にモリブデンを堆積することが、少なくとも30Torrの圧力を有するチャンバ内で堆積される。
【0041】
いくつかの実施形態では、この方法は、フィーチャを浸漬する前に、フィーチャを酸素含有化学物質に露出して、酸化表面を形成することをさらに含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、塩化モリブデン前駆体が、五塩化モリブデン(MoCl5)または六塩化モリブデン(MoCl6)である。
【0043】
いくつかのそのような実施形態では、酸化表面が酸化されたシリコンであり、塩化モリブデン前駆体が五塩化モリブデンであり、フィーチャをハロゲン化モリブデン前駆体に浸漬することが、酸化されたシリコンから酸化物を除去してシリコンを残す。
【0044】
いくつかのそのような実施形態では、酸化表面が酸化されたシリコンゲルマニウムであり、塩化モリブデン前駆体が五塩化モリブデンであり、フィーチャをハロゲン化モリブデン前駆体に浸漬することが、シリコンゲルマニウムから酸化物を除去してシリコンゲルマニウムを残す。
【0045】
いくつかのそのような実施形態では、フィーチャが窒化チタン層を有し、塩化モリブデン前駆体が五塩化モリブデンであり、フィーチャをハロゲン化モリブデン前駆体に浸漬することが、窒化チタン層をエッチングする。
【0046】
いくつかのそのような実施形態では、窒化チタン層のエッチングを制御して、窒化チタン層を所望の厚さで残すことができる。
【0047】
いくつかのそのような実施形態では、窒化チタン層が完全に除去される。
【0048】
いくつかの実施形態では、フィーチャをハロゲン化モリブデン前駆体に浸漬することと、フィーチャ内にモリブデンを堆積することとが、マルチステーションチャンバの第1のステーションで実施され、方法が、フィーチャ内にバルクモリブデン層を堆積することをさらに含み、バルクモリブデン層を堆積することが、少なくともマルチステーションチャンバの第2のステーションで実施される。
【0049】
いくつかの実施形態では、フィーチャを浸漬することが、フィーチャをハロゲン化モリブデン前駆体に連続的に露出することを含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、フィーチャを浸漬することが、フィーチャを、ハロゲン化モリブデン前駆体と不活性ガスとの交互の用量に露出することを含む。
【0051】
本開示の別の態様は、フィーチャ底部およびフィーチャ側壁を有するフィーチャを備える基板を提供することであって、フィーチャ底部が金属窒化物表面を含む、基板の提供と、ハロゲン化モリブデン前駆体および還元剤を使用して、フィーチャ側壁、およびフィーチャ底部の金属窒化物表面に初期モリブデン被膜を堆積することと、フィーチャ側壁からモリブデン被膜を除去し、金属窒化物表面フィーチャ底部にモリブデン被膜を残すことと、フィーチャにモリブデンを少なくとも部分的に充填することと、を含む方法に関する。
【0052】
いくつかの実施形態では、金属窒化物が窒化チタン(TiN)である。
【0053】
いくつかの実施形態では、金属窒化物が窒化チタンシリサイド(TiSiN)である。
【0054】
いくつかの実施形態では、フィーチャ底部の金属窒化物が、半導体表面およびチタンシリサイド(TiSi)層を含むスタックに重なる。
【0055】
いくつかの実施形態では、半導体表面がシリコン(Si)である。
【0056】
いくつかの実施形態では、半導体表面がシリコンゲルマニウム(SiGe)である。
【0057】
いくつかの実施形態では、方法が、側壁およびフィーチャ底部の金属窒化物表面に初期モリブデン被膜を堆積する前に、フィーチャ側壁から少なくとも一部の金属窒化物を除去することをさらに含む。
【0058】
これらおよび他の態様について、図面を参照して以下でさらに論じる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1】様々な実施形態による方法での特定の操作を示す流れ図である。
【
図2】様々な実施形態による方法での特定の操作を示す流れ図である。
【0060】
【
図3A】様々な実施形態による充填プロセス中のフィーチャの断面図を示す概略図である。
【
図3B】様々な実施形態による充填プロセス中のフィーチャの断面図を示す概略図である。
【
図3C】様々な実施形態による充填プロセス中のフィーチャの断面図を示す概略図である。
【
図3D】様々な実施形態による充填プロセス中のフィーチャの断面図を示す概略図である。
【
図3E】様々な実施形態による充填プロセス中のフィーチャの断面図を示す概略図である。
【
図3F】様々な実施形態による充填プロセス中のフィーチャの断面図を示す概略図である。
【
図3G】様々な実施形態による充填プロセス中のフィーチャの断面図を示す概略図である。
【
図3H】様々な実施形態による充填プロセス中のフィーチャの断面図を示す概略図である。
【
図4A】様々な実施形態による充填プロセス中のフィーチャの断面図を示す概略図である。
【
図4B】様々な実施形態による充填プロセス中のフィーチャの断面図を示す概略図である。
【
図4C】様々な実施形態による充填プロセス中のフィーチャの断面図を示す概略図である。
【
図4D】様々な実施形態による充填プロセス中のフィーチャの断面図を示す概略図である。
【
図5A】様々な実施形態による充填プロセス中のフィーチャの断面図を示す概略図である。
【
図5B】様々な実施形態による充填プロセス中のフィーチャの断面図を示す概略図である。
【
図5C】様々な実施形態による充填プロセス中のフィーチャの断面図を示す概略図である。
【
図5D】様々な実施形態による充填プロセス中のフィーチャの断面図を示す概略図である。
【0061】
【
図6】保護窒化物層を有するフィーチャを充填するための方法を示す流れ図である。
【0062】
【
図7A】充填中の保護窒化物層を有するフィーチャの断面図を示す概略図である。
【
図7B】充填中の保護窒化物層を有するフィーチャの断面図を示す概略図である。
【
図7C】充填中の保護窒化物層を有するフィーチャの断面図を示す概略図である。
【
図7D】充填中の保護窒化物層を有するフィーチャの断面図を示す概略図である。
【
図7E】充填中の保護窒化物層を有するフィーチャの断面図を示す概略図である。
【0063】
【
図8】本明細書で述べる方法を実施するために使用することができる装置の例を示す図である。
【
図9A】本明細書で述べる方法を実施するために使用することができる装置の例を示す図である。
【
図9B】本明細書で述べる方法を実施するために使用することができる装置の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
フィーチャにモリブデン(Mo)被膜を充填する方法が提供される。Mo被膜は、ビアおよびトレンチなどの半導体基板フィーチャ内にライナ層およびフィーチャ充填物として堆積されることがある。用途には、サブ10nmノードのミドルオブライン(MOL)およびバックエンドオブライン(BEOL)ロジック相互接続が含まれる。一例では、これらの方法は、ソース/ドレインコンタクト充填に使用され得る。
【0065】
Moは、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、タングステン(W)などの他の金属に勝るいくつかの利益を提供する:(i)バリアなしおよびライナなしのMo被膜堆積は、Co、Ru、およびWに比べて酸化物および窒化物上での実現可能性が高い;(ii)Mo抵抗率スケーリングは、Wよりも良好である;(iii)450℃未満で、RuとCoとの混合に比べて、Moと下層のCoとの混合は予想されない;および(iv)CoおよびRuに比べて、Moは、現在のWスキームに比較的容易に組み込むことができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、プロセスは、塩化モリブデン(MoClx)前駆体を使用する薄い保護Mo層の堆積を含む。これに続いて、オキシハロゲン化モリブデン(MoOyXz)前駆体を使用してフィーチャを充填するためにMo堆積が行われることがある。保護Mo層により、下層の表面を酸化することなくMoOyXz前駆体を使用してMoを充填することができる。これは、シリコン(Si)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、チタンシリサイド(TiSi2)などの酸素感受性表面に有用であり得る。また、堆積前に、MoClx前駆体を使用して下層の表面から酸化物を除去する洗浄およびエッチングプロセスも提供される。MoClx前駆体を使用した後続の堆積が、ライナ層を生成する、および/またはフィーチャを充填することができる。保護Mo層は、フィーチャの底面を保護する。いくつかの実施形態では、保護Mo層は、フィーチャ側壁にはほとんどまたは全く堆積せずに、底面に選択的に堆積される。いくつかの実施形態では、保護Mo層は、底面および側壁面に非選択的に堆積される。
【0067】
塩化モリブデン前駆体は、式MoClxで与えられ、ここで、xは2、3、4、5、または6であり、二塩化モリブデン(MoCl2)、三塩化モリブデン(MoCl3)、四塩化モリブデン(MoCl4)、五塩化モリブデン(MoCl5)、および六塩化モリブデン(MoCl6)を含む。いくつかの実施形態では、MoCl5またはMoCl6が使用される。この説明では主にMoClx前駆体に言及するが、他の実施形態では、他のハロゲン化モリブデン前駆体が使用されることもある。ハロゲン化モリブデン前駆体は、式MoXzで与えられ、ここで、Xは、ハロゲン(フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、またはヨウ素(I))であり、zは、2、3、4、5、または6である。MoXz前駆体の例には、フッ化モリブデン(MoF6)が含まれる。いくつかの実施形態では、フッ素によるエッチングまたはフッ素の取り込みを防止するために、フッ素を含有しないMoXz前駆体が使用される。いくつかの実施形態では、エッチングまたは臭素またはヨウ素の取り込みを防止するために、臭素を含有しないおよび/またはヨウ素を含有しないMoXz前駆体が使用される。
【0068】
オキシハロゲン化モリブデン前駆体は、式MoOyXzで与えられ、ここで、Xは、ハロゲン(フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、またはヨウ素(I))であり、yおよびzは、MoOyXzが安定な化合物を生成するように0よりも大きい数である。オキシハロゲン化モリブデンの例には、二塩化二酸化モリブデン(MoO2Cl2)、四塩化酸化モリブデン(MoOCl4)、四フッ化酸化モリブデン(MoOF4)、二臭化二酸化モリブデン(MoO2Br2)、ならびにヨウ化モリブデンMoO2IおよびMo4O11Iが含まれる。
【0069】
様々な実施形態によれば、本明細書で述べる方法によって、以下の利点のうちの1つまたは複数を実現することができる。いくつかの実施形態では、フィーチャの洗浄とその後のフィーチャ内への堆積との両方に単一のモジュールを使用することができ、別個の洗浄モジュールの必要をなくす。いくつかの実施形態では、Moは、Moと下層との界面に酸化物層または酸化表面を有さずに堆積される。これは、接触抵抗を低下させる。いくつかの実施形態では、窒化チタン(TiN)バリア層などのライナ層が、よく制御されたプロセスでエッチングされて、その厚さを減少させる。様々な実施形態によれば、ライナ層は部分的にまたは完全に除去されることがある。ライナ層のこの薄層化は、製造される半導体回路のラインおよびビアの抵抗を低下させることがある。
【0070】
図1は、フィーチャをモリブデン(Mo)被膜で充填するための方法を示すプロセスフロー図である。用途の例には、ミドルオブライン(MOL)またはバックエンドオブライン(BEOL)相互接続が含まれる。一例では、これらの方法は、ソース/ドレインコンタクト充填に使用することができる。方法100は、操作101で、Moを堆積すべきフィーチャを含む基板を提供することから始まる。基板は、半導体処理ツールに提供されることがある。
【0071】
フィーチャは、誘電体層に形成されたトレンチまたはビアであり得る。誘電体材料の例には、酸化ケイ素(SiO2)や酸化アルミニウム(Al2O3)などの酸化物;窒化ケイ素(SiN)などの窒化物;窒素ドープ炭化ケイ素(NDC)や酸素ドープ炭化ケイ素(ODC)などの炭化物;および炭素ドープSiO2などの低k誘電体が含まれる。Moをフィーチャ内に堆積させて、下層との電気接触を形成することができる。下層の例には、金属、金属シリサイド、および半導体が含まれる。金属の例には、Co、Ru、銅(Cu)、W、Mo、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、タンタル(Ta)、およびTiが含まれる。金属シリサイドの例には、TiSix、ニッケルシリサイド(NiSix)、モリブデンシリサイド(MoSix)、コバルトシリサイド(CoSix)、プラチナシリサイド(PtSix)、ルテニウムシリサイド(RuSix)、およびニッケルプラチナシリサイド(NiPtySix)が含まれる。半導体の例には、シリコン(Si)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、およびガリウムヒ素(GaAs)が含まれ、炭素(C)、ヒ素(As)、ホウ素(B)、リン(P)、スズ(Sn)、およびアンチモン(Sb)などの半導体ドーパントを含むまたは含まない。
【0072】
フィーチャは、一般に、側壁面を有する側壁と、底面を有する底部とを有する。側壁は、1つまたは複数の層で形成されることがある。側壁は、フィールドから底部まで延在する。フィーチャ底部は、フィーチャの第1の側壁からフィーチャの第2の側壁まで延在することがあり、1つまたは複数の層で形成されることがある。側壁面は、側壁の露出領域であり、ウェハ処理中に変わることがあり、例えば、第2の材料が側壁に堆積された後、側壁面は第1の材料から第2の材料に変わることがある。同様に、底面は、底部の露出領域であり、ウェハ処理中に変わることがある。いくつかの実施形態では、側壁面は、底面と同じ材料でよい。例えば、いくつかの実施形態では、側壁面および底面はTiNである。いくつかの実施形態では、側壁面は、底面の材料とは異なる材料でもよい。例えば、底面は金属シリサイドでよく、側壁面はSiO2などの酸化ケイ素でよい。
【0073】
Mo堆積の前に、ライナ層が、未充填のフィーチャをライニングし、側壁面および/または底面を形成することができる。いくつかの実施形態では、ライナ層は、フィーチャ全体をライニングし、側壁面および底面を形成する。いくつかの他の実施形態では、ライナ層は、フィーチャの一部分のみをライニングする。例えば、TiN層が、底面をライニングせずに側壁をライニングすることがある。ライナ層に関する材料の例には、金属窒化物(例えばTiNまたは窒化タンタル(TaN)バリア層)および金属(例えばTi接着層)が含まれる。
【0074】
いくつかの実施形態では、底面および側壁面が酸化される。酸化は、フィーチャの表面を空気または他の酸化条件にさらすことによって引き起こされることがある。例えば、金属シリサイド(MSix、ここでMは金属)表面は、空気への露出時に酸化されて酸化金属シリサイド(MSixOy)になり得る。酸化表面の他の例には、酸化金属窒化物(MNxOy)、酸化ケイ素(SiOx)、および酸化シリコンゲルマニウム(SiGeOx)が含まれる(ここでの説明では、式中、下付き文字xとyは非ゼロの数を示すために使用される)。
【0075】
いくつかの実施形態では、基板処理または移送操作の過程で酸化条件が発生する。いくつかの実施形態では、
図2を参照して以下でさらに述べるように、意図的な酸化が行われる。
【0076】
Moを堆積すべきフィーチャを含む基板を提供した後、任意選択の洗浄操作102を実施することができる。任意選択の洗浄は、フィーチャの表面の酸化物を除去するために使用することができる。いくつかの実施形態では、フィーチャ底部での金属基板上の酸化された金属を還元するために、水素プラズマ処理、熱水素処理、または還元処理が使用される。いくつかの実施形態では、Clベースのプラズマを用いた原子層洗浄、フッ化水素(HF)蒸気洗浄、フッ化アンモニウム(NH
4F)洗浄、または他の還元剤を用いた処理を使用して、フィーチャ底部での基板上のSiまたはSiGeの酸化物を還元することができる。いくつかの実施形態では、塩化モリブデン(MoCl
x)などのハロゲン化モリブデン化合物を使用するインサイチュ洗浄を使用することができる。インサイチュ洗浄プロセスについては、
図2に関して以下でさらに述べる。
【0077】
基板が提供されると、操作103で、フィーチャに初期Mo層が堆積される。初期Mo層は、原子層堆積(ALD)法によって堆積されることがある。ALDは、前駆体と反応物質との複数の用量が堆積チャンバに順次に導入される表面修飾堆積技法である。初期Mo層は、Mo前駆体および還元剤を堆積チャンバに順次に導入することによって堆積される。Mo前駆体とおよび還元剤との連続する用量の1つまたは複数のサイクルを使用して、初期Mo層を堆積することができる。いくつかの実施形態では、初期Mo層は、フィーチャにコンフォーマルに堆積されることがある。いくつかの実施形態では、コンフォーマルMo層は1~5nmでよい。いくつかの実施形態では、コンフォーマルMo層は、厚さ2nm以下である。いくつかの実施形態では、Moは、側壁に比べてフィーチャの底部に選択的に堆積されるように、非コンフォーマルに堆積されることもある。
【0078】
初期Mo層の堆積に関して、Mo前駆体は、MoClx前駆体である。上でも論じたように、他の実施形態では他のMoXz前駆体を使用することもできる。還元剤の例には、水素(H2)、シラン(SiH4)、ジボラン(B2H6)、ゲルマン(GeH4)、NH3、およびヒドラジン(N2H4)が含まれる。酸素を含有しないMo前駆体を使用して初期Mo層を堆積することで、フィーチャの表面の酸化が防止される。これは、酸素が初期Mo層に取り込まれることも防止する。酸化は、接触抵抗を高める。酸化および酸素の取り込みがないことで、接触抵抗が低いままであることが保証される。
【0079】
ALDでは、基板の温度およびチャンバの圧力を制御することができる。いくつかの実施形態では、基板は、300℃~500℃の間、例えば350℃~450℃の間に加熱されることがある。いくつかの実施形態では、チャンバは、少なくとも10Torr、例えば少なくとも30Torr、または少なくとも50Torrに加圧されることがある。
【0080】
いくつかの実施形態では、温度などのプロセスパラメータを使用して、選択性を制御することができる。例えば、Moは、コンフォーマル堆積の場合よりも低い温度を使用することによって、酸化ケイ素側壁面に比べて金属シリサイド表面または金属窒化物表面に選択的に堆積することができる。例えば、いくつかの実施形態では、400℃よりも低い温度が使用される。
【0081】
初期Mo層が堆積された後、操作105で、オキシハロゲン化モリブデン(MoOyXz)前駆体を使用して、フィーチャにMoが充填される。上で示したように、MoOyXz前駆体の例には、MoO2Cl2、MoOCl4、MoOF4、MoO2Br2、MoO2I、およびMo4O11Iが含まれる。フィーチャは、ALD、プラズマALD、化学気相成長(CVD)、またはプラズマCVDを使用して充填することができる。CVDプロセスでは、MoOyXz前駆体と還元剤とは、堆積チャンバ内で共に気相である。ALDまたはCVDでは、H2が還元剤であり得る。オキシハロゲン化モリブデン前駆体を使用すると、初期Mo層を形成するために使用されるMoClx前駆体よりも迅速にMoが堆積する。例えば、MoOyXz前駆体は、非プラズマプロセスの場合、MoClx前駆体の少なくとも2倍の堆積速度でMoを堆積することができる。プラズマ支援プロセスを使用して、より低い温度でフィーチャを充填する、および/または堆積速度を高めることができる。
【0082】
図2は、酸化されたフィーチャを洗浄するためのインサイチュ洗浄法を示すプロセスフロー図である。方法200は、操作201で、1つまたは複数の酸化表面を有するフィーチャを含む基板を提供することから始まる。基板は、半導体処理ツールに提供されることがある。
【0083】
図1の操作101で言及したフィーチャと同様に、フィーチャは、一般に底面および側壁面を有する。フィーチャは、トレンチまたはビアとして誘電体層内に形成されることがあり、下層に接続する。ライナ層を含む底面および側壁面を形成する材料の例は、
図1の操作101を参照して上で挙げた。
【0084】
フィーチャは、少なくとも1つの酸化表面を有する。いくつかの実施形態では、底面と側壁面との両方が酸化される。他のいくつかの実施形態では、一部の表面のみ(例えば底面のみ)が酸化される。
図1を参照して上述したように、酸化表面は、表面を酸化条件にさらすことによって生じることがある。酸化条件の例には、表面を空気に露出させること、および酸素ベースの熱処理またはプラズマ処理で表面を処理することが含まれる。いくつかの実施形態では、基板処理または移送操作の過程で酸化条件が発生する。いくつかの実施形態では、以下でさらに述べるように、意図的な酸化が行われる。酸化表面の例は、
図1を参照して上で挙げた。
【0085】
基板を提供した後、表面の任意選択の意図的な酸化を行うことができる。意図的な酸化は、表面を空気に露出させること、酸素ベースの熱処理または酸素プラズマ処理で表面を処理することによって生じ得る。表面の意図的な酸化を使用して、ライナ層、例えばTiNバリア層の酸化を高めることができる。これは、インサイチュ洗浄中に除去されるライナ層の量を増加する。このようにしてライナ層を薄くすると、フィーチャ内の抵抗が低下する。
【0086】
Moを堆積すべきフィーチャを含む基板を提供した後、任意選択の洗浄操作202を実施することができる。任意選択の洗浄は、フィーチャの表面の酸化物を除去するために使用することができる。いくつかの実施形態では、フィーチャ底部での金属基板上の酸化金属を還元するために、水素プラズマ処理、熱水素処理、または還元処理が使用される。いくつかの実施形態では、Clベースのプラズマを用いた原子層洗浄、フッ化水素(HF)蒸気洗浄、フッ化アンモニウム(NH4F)洗浄、または他の還元剤を用いた処理を使用して、フィーチャ底部での基板上のSiまたはSiGeの酸化物を還元することができる。
【0087】
次に、操作203で、フィーチャは浸漬を施される。フィーチャの表面から酸化を除去するために、フィーチャは、塩化モリブデン(MoClx)前駆体に浸漬される。いくつかの実施形態では、浸漬は連続的に行われることがある。いくつかの実施形態では、浸漬はパルス化されることがあり、MoClx、およびアルゴン(Ar)などのパージガスを循環させる。前駆体は、フィーチャの表面から酸化を除去することができる、酸素を含有しないCl含有Mo化合物である。MoClx化合物の例は、上に挙げた。Cl含有前駆体は、酸化表面が表面材料上で安定している場合など、熱またはプラズマH2による従来の洗浄が機能しない場合に使用することができる。Cl含有前駆体は、F含有化合物よりもフィーチャのライナ層をオーバーエッチングする、またはフィーチャの表面を腐食する可能性が低い。
【0088】
一例では、フィーチャは、そのライナ層としてTiNバリア層を有することがある。ライナ層を酸化して、TiN
xO
y表面層を形成することができる。TiN
xO
yは安定しているので、H
2プロセスは、TiN層からTiN
xO
yを効率的に除去することができないことがある。MoCl
5などのMoCl
x前駆体にフィーチャを浸漬すると、TiNライナ層から酸化物が効果的に除去される。比較的薄いライナの場合、フッ化タングステン(WF
6)などのFベースの前駆体により、ライナのオーバーエッチングが生じ得る。Fベースの前駆体は、フィーチャの底面など、下にある表面を腐食し得る。
図2のインサイチュ洗浄プロセスは、TiNライナのオーバーエッチングおよび下にある表面の腐食を防止する。TiNバリア層の例では、Fベースの前駆体が、TiNバリア層および/または下にある任意の金属シリサイドを腐食し得る。
【0089】
インサイチュ洗浄の場合、基板の温度、半導体処理ツール内のチャンバの圧力、およびフィーチャへの前駆体の露出時間を制御することができる。いくつかの実施形態では、基板は、300℃~500℃の間、例えば350℃~450℃の間に加熱されることがある。いくつかの実施形態では、チャンバは、少なくとも10Torr、例えば少なくとも30Torr、または少なくとも50Torrに加圧されることがある。フィーチャへの前駆体の総露出時間は、少なくとも10秒、例えば少なくとも60秒でよい。上に示したように、浸漬は、連続的でもパルス化されてもよい。
【0090】
フィーチャが浸漬を受け、酸化がフィーチャの表面から除去された後、操作205で、フィーチャにMoを充填することができる。操作205は、操作203でフィーチャを浸漬するために使用されたのと同じ前駆体であるMoClxを使用した、初期Mo層および/または充填物の堆積を含むことがある。いくつかの他の実施形態では、フィーチャは、オキシハロゲン化モリブデン前駆体MoClyXzを使用して充填されることがある。Moオキシハロゲン化物前駆体の例は、上に挙げた。フィーチャは、熱およびプラズマALDおよびCVDプロセスを含む、ALDまたはCVDを使用して充填されることがある。
【0091】
フィーチャ充填は、様々な実施形態に従って非選択的でも選択的でもよい。いくつかの実施形態では、フィーチャ充填は選択的であり、フィーチャを部分的に充填することができ、その後、よりコンフォーマルな充填を行ってフィーチャ充填を完了することができる。非選択的な堆積は、堆積された層が下にあるフィーチャの輪郭に一致するという点で、本明細書ではコンフォーマル堆積と呼ばれることがある。そのような堆積された層は、ある程度の厚さ不均一性を有することがある。
【0092】
いくつかの実施形態では、フィーチャは、ALDによって充填することができ、まずMoCl
x前駆体を使用して、フィーチャの表面に初期Mo層を堆積する。初期Mo層が堆積された後、Moバルク充填用のMoオキシハロゲン化物前駆体を使用したALDで充填を継続することができる。いくつかの実施形態では、フィーチャは、単一の充填操作でMoCl
x前駆体を使用して充填されることがある。他の実施形態では、
図1で述べた操作103および105が実施されることがある。
【0093】
操作205での充填プロセスに関して、基板の温度およびチャンバの圧力が制御されることがあり、反応物質の露出時間が制御されることがある。203での操作と同様に、基板は、300℃~500℃の間、例えば350℃~450℃の間に加熱されることがある。チャンバは、少なくとも10Torr、例えば少なくとも30Torr、または少なくとも50Torrに加圧されることがある。反応物の露出時間は、少なくとも5秒、例えば少なくとも15秒でよい。
【0094】
いくつかの実施形態では、温度などのプロセスパラメータを使用して、選択性を制御することができる。例えば、コンフォーマル堆積の場合よりも低い温度を使用することによって、酸化ケイ素側壁面に比べて金属シリサイド表面または金属窒化物表面に選択的にMoを堆積することができる。
【0095】
図3A~5Dは、
図1および/または
図2のプロセスの概略的な例を示す。
図3Aには、TiNライナ層315を有するフィーチャ301が示されている。フィーチャ301は、誘電体材料313内に形成され、下にある金属シリサイド(MSi
x)307に接続する。下にあるMSi
xは、シリコン(Si)またはシリコンゲルマニウム(SiGe)などの半導体層306に接続されている。このスタックは、トランジスタ接合構造で使用することができる。
図3Aの例では、誘電体材料313は、大部分が酸化物であり、窒化物層314を含む。MSi
x層の一例は、チタンシリサイド(TiSi
x)である。
【0096】
TiNライナ層315は、フィーチャ301をライニングする。TiNライナ層315は、ソース/ドレイン用途のためにトレンチコンタクト内のTiSixなどの金属シリサイドの上で使用されるバリア層である。TiN層の1つの目的は、MSixが、上にある金属と反応する可能性を防ぐことである。別の目的は、MSixまたはMo拡散バリアをフッ素の腐食から保護することである。さらに別の目的は、空気中で、または後続の処理中にMSixが酸化されるのを防止することである。しかし、TiN層が空気に露出されると、TiN表面酸化物(すなわち、TiNxOy)が形成される。熱またはプラズマH2前洗浄プロセスによってTiNxOyを還元するのは容易ではない。また、TiNxOyが前洗浄プロセスによって完全に還元されたとしても、TiN表面は、後続のMo堆積で再び酸化されやすい。再酸化は、接触抵抗を高める。本明細書で述べる方法は、接触抵抗のこの上昇を伴わずにMoの堆積を可能にする。さらに、本明細書で述べる方法は、TiNの厚さを薄くすることができ、抵抗をさらに低下させる。
【0097】
TiNライナ層315の少なくとも上面は酸化される。酸化されたTiNは、TiN
xO
y317であり、底面305および側壁面311を形成する。
図3Bは、
図2で上述したように、インサイチュ洗浄を受けているフィーチャ301を示す。フィーチャを浸漬するMoCl
x前駆体319が示されている。いくつかの実施形態では、浸漬は連続的である。いくつかの実施形態では、浸漬は、MoCl
x前駆体とパージガスとの交互の用量の複数サイクルでよい。MoCl
x前駆体浸漬は、表面から酸化物を効果的に除去する。TiN
xO
y317層はエッチングされ、TiNが残る。インサイチュ洗浄が完了すると、酸化されていないTiNライナ層315が、フィーチャ301の底面305および側壁面311を形成する。いくつかの実施形態では、酸化されていないTiNライナ層315は、約1~10オングストロームの厚さでよい。
【0098】
図3Cは、初期Mo層321が堆積された後のフィーチャ301を示す。
図1で述べたように、初期Mo層321は、ALDプロセスを使用して堆積される。
図3Cの例では、ALDプロセスはMoCl
x前駆体を使用し、このMoCl
x前駆体は、
図3Bに示されるインサイチュ洗浄で使用されるのと同じ前駆体である。その結果、薄い初期Mo層321が、TiNライナ層315上に非選択的に堆積される。初期Mo層321は、いくつかの実施形態では、5nm未満の厚さ、または2nm未満の厚さでよい。前駆体は、酸素を含有しないモリブデン前駆体である。したがって、
図3Cに示されるように、フィーチャ301の再酸化はない。初期Mo層321も酸化されない。フィーチャは、酸化されていないTiNライナ層315が酸化されていない初期Mo層321によって覆われた状態で残される。
【0099】
図3Dには、Moギャップ充填後のフィーチャ301が示されている。フィーチャは、Mo323で充填されている。フィーチャは、ALDまたはCVDプロセスを使用して充填することができる。Moギャップ充填物は、フィーチャの上部まで初期Mo層321に堆積される。
図1で述べたように、ギャップ充填は、Moオキシハロゲン化物前駆体を使用する。Moオキシハロゲン化物前駆体は酸素を含むが、初期Mo層321が、TiNライナ層315の酸化を防止する。TiN層315が完全に除去される場合、初期Mo層321は、MSi
x層の酸化を防止する。いくつかの実施形態では、ギャップ充填は、MoCl
x前駆体を使用し続けることができる。
【0100】
上で論じたように、いくつかの実施形態では、TiN層315が完全に除去され、したがって側壁SiO
2313およびMSi
x層307を露出するとき、フィーチャ内のMoの堆積は、底面に対して選択的であり得る。これにより、コンフォーマルな充填ではなくボトムアップの充填が行われ、継ぎ目や空隙の形成を防止するのに有用となり得る。選択的堆積の例を、
図3E~3Hに関して以下で述べる。
【0101】
図3Eは、TiNライナ層315を有するフィーチャ301を示す。フィーチャ301は、誘電体材料313内に形成され、下にあるMSi
x307に接続する。下にあるMSi
xは、SiまたはSiGeなどの半導体層306に接続されている。誘電体材料313は、大部分が酸化物であり、窒化物層314を含む。TiNライナ層315は、フィーチャを覆う。TiNライナ層の少なくとも上層は酸化され、TiN
xO
y317層を形成する。TiN
xO
y層は、底面305および側壁面311を形成する。
【0102】
図3Fは、インサイチュ洗浄を受けているフィーチャ301を示す。フィーチャを浸漬するMoCl
x前駆体319が示されている。MoCl
x前駆体浸漬は、底面305と側壁面311との両方から酸化物およびTiNライナ層317を効果的に除去する。TiN
xO
y317層とTiNライナ層315との両方がエッチング除去される。インサイチュ洗浄は、誘電体材料313を側壁面311として露出し、下にあるMSi
x307を底面305として露出する。
【0103】
図3Gは、Mo323が選択的に堆積された後のフィーチャ301を示す。Mo323は、ALDプロセスまたはCVDプロセスを使用して堆積されることがある。いくつかの実施形態では、ALDプロセスはMoCl
x前駆体を使用し、このMoCl
x前駆体は、
図3Fに示されるインサイチュ洗浄で使用されるのと同じ前駆体である。その結果、Mo323は、下にあるMSi
x307に選択的に堆積される。選択的堆積とは、誘電体材料313の表面に対して金属含有表面MSi
xにMo323をより多く堆積することを表す。いくつかの実施形態では、Moが誘電材料表面上に堆積されない、または不連続なMo被膜しか堆積されない。
図3Cに関して述べたように、前駆体は、酸素を含有しないMo前駆体であり、したがってフィーチャ301の再酸化はなく、Mo323も酸化されない。フィーチャは、Moが底面305に堆積された状態で残される。
【0104】
図3Hは、Moギャップ充填後のフィーチャ323を示す。フィーチャは、初期Mo堆積からフィーチャの上部までMo323で充填される。フィーチャは、ALDまたはCVDプロセスを使用して充填することができる。いくつかの実施形態では、充填は、一段階の堆積で実施されることがあり、
図3Fでの初期充填と同じパラメータ、例えば温度および圧力を使用して充填が継続される。いくつかの他の実施形態では、充填は、多段階のMo堆積で行われることがある。多段階の堆積では、堆積は、堆積中にパラメータを変えることがある。例えば、第1の段階で行われる選択的堆積は、第1の温度を有することがある。第1の段階での選択的堆積の後、堆積は第2の段階で継続することができ、第1の温度よりも高い第2の温度を有することがある。温度の上昇を使用してMoバルク充填率を高め、処理時間を短縮することができる。選択的なMo堆積は、多段階構成で他のプロセスパラメータを変えることによっても実現することができる。例えば、いくつかの実施形態では、Mo前駆体および反応物濃度が、異なる段階で変えられる。いくつかの実施形態では、欠乏状態のMo前駆体領域での動作により、特定の実施形態ではより高い選択性がもたらされることがある。いくつかの実施形態では、特定の条件での堆積は、最初は選択的であり、露出時間が増加し、核生成遅延が克服されるにつれて非選択的堆積に移行することがある。したがって、選択的堆積は、露出時間を制限することを含むことがある。
【0105】
図4Aには、フィーチャ401が示されている。フィーチャ401は、誘電体材料413内に形成されて、下にあるチタンシリサイド(TiSi
x)407に接続する。下にあるTiSi
xは、シリコン(Si)またはシリコンゲルマニウム(SiGe)などの半導体層406に接続されている。このスタックは、トランジスタ接合構造で使用することができる。誘電体材料413は、大部分が酸化物であり、窒化物層414を含み、側壁面411を形成する。いくつかの実施形態では、側壁面411は、Tiライナ層(図示せず)でコーティングされることがある。下にあるTiSi
x407の少なくとも上面は酸化される。酸化されたTiSi
xは、酸化チタンシリサイドTiSi
xO
y408であり、底面405を形成する。
【0106】
図4Bは、前洗浄プロセスを受けるフィーチャ401を示す。前洗浄プロセスは、Clベースのプラズマを用いた原子層洗浄、フッ化水素(HF)蒸気洗浄、フッ化アンモニウム(NH
4F)洗浄、または他の還元剤を用いた処理でよい。前洗浄は、表面から酸化物を除去する一体化プロセス(真空破壊なし)である。TiSi
xO
y408層が除去され、下にあるTiSi
x407を底面405として露出する。
【0107】
図4Cは、初期Mo層421が堆積された後のフィーチャ401を示す。初期Mo層421は、MoCl
x前駆体を使用するALDプロセスを使用して堆積される。その結果、誘電体材料413および下にあるTiSi
x407に直接堆積することを含めて、初期Mo層421が非選択的に堆積される。初期Mo層421は、5nm未満の厚さの層でよい。前駆体は、酸素を含有しない。したがって、
図4Cに示されるように、フィーチャ401の再酸化はない。初期Mo層421も酸化されない。フィーチャは、下にあるTiSi
xが酸化されていない状態で残される。初期Mo層421は、フィーチャ側壁の誘電体材料413およびフィーチャ底部のTiSi
x407をコンフォーマルに覆う。
【0108】
図4Dは、Moギャップ充填後のフィーチャ401を示す。フィーチャにはMo423が充填されている。フィーチャは、ALD、プラズマALD、CVD、またはプラズマCVDを使用して充填することができる。Moギャップ充填物は、フィーチャの上部まで初期Mo層421に堆積される。ギャップ充填は、Moオキシハロゲン化物前駆体を使用する。Moオキシハロゲン化物前駆体は酸素を含むが、初期Mo層421が、Tiライナ層および下にあるTiSi
xの酸化を防止する。
図4Cの例は、初期Mo層421をコンフォーマル層として示しているが、他の実施形態では、初期Mo層421は、
図3Gの場合のように選択的に堆積されることもある。そのような場合、Moギャップ充填は、
図3Hの場合のようにボトムアップ充填である。
【0109】
図5Aは、ライナ層を有さないフィーチャ501を示す。フィーチャは、誘電体材料513内に形成されて、SiまたはSiGeなどの下にある半導体507に接続する。半導体表面の少なくとも上面が酸化されて、底面505を形成する。例えば、半導体表面Siは、酸化されて酸化ケイ素(SiO
x)508を形成する。誘電体材料513は、側壁面511を形成する。誘電体材料513は、大部分が酸化物であり、窒化物層514を含む。
【0110】
図5Bは、前洗浄プロセスを受けるフィーチャ501を示す。任意選択の前洗浄プロセスとして
図1および2で述べたように、前洗浄プロセスは、Clベースのプラズマによる原子層洗浄、HF蒸気洗浄、フッ化アンモニウム洗浄、または他の還元剤を使用した処理でよい。前洗浄プロセスは、半導体表面から酸化物を除去し、半導体表面は、底面505を形成する。例えば、SiO
x508層はSiに変換され、これが底面505を形成する。別の実施形態では、前洗浄プロセスは、MoCl
x浸漬プロセスでもよい。また、
図5Bは、フィーチャを浸漬するMoCl
x前駆体を示すことができる。いくつかの実施形態では、浸漬は連続的である。いくつかの実施形態では、浸漬は、MoCl
x前駆体とパージガスとの交互の用量の複数サイクルでよい。MoCl
x前駆体浸漬は、Si(およびSiGe)表面508から酸化物508を効果的に除去する。
【0111】
図5Cは、初期Mo層521が堆積された後のフィーチャ501を示す。初期Mo層521は、ALDプロセスを使用して堆積される。
図5Cの例では、ALDプロセスは、MoCl
x前駆体を使用する。その結果、誘電体材料513および下にある半導体507に直接堆積することを含めて、薄い初期Mo層521がフィーチャ501にコンフォーマルに堆積される。初期Mo層は、5nm未満の厚さでよい。前駆体は、酸素を含有しないモリブデン前駆体である。したがって、
図5Cに示されるように、フィーチャ501の再酸化はない。初期Mo層521も酸化されない。フィーチャは、酸化されていない下にある半導体507、および誘電体材料513が、酸化されていない初期Mo層521によってコンフォーマルに覆われた状態で残される。
【0112】
図5Dは、Moギャップ充填後のフィーチャ501を示す。フィーチャにはMo523が充填されている。フィーチャは、ALD、プラズマALD、CVD、またはプラズマCVDを使用して充填することができる。Moギャップ充填物は、フィーチャの上部まで初期Mo層521に堆積される。ギャップ充填は、Moオキシハロゲン化物前駆体を使用する。Moオキシハロゲン化物前駆体は酸素を含有するが、初期Mo層521が、誘電体材料および下にある半導体表面の酸化を防止する。
【0113】
図5Cの例は、初期Mo層521をコンフォーマル層として示しているが、他の実施形態では、初期Mo層521は、
図3Gの場合のように選択的に堆積されることもある。そのような場合、Moギャップ充填は、
図3Hの場合のようにボトムアップ充填である。
【0114】
図1および/または2の方法を使用してMoを有利に充填することができるフィーチャは、
図3A~3Hでの例に限定されない。他の底面および/または側壁面を有するフィーチャも、インサイチュで洗浄する、および/またはMoCl
x前駆体を使用して充填することができる。一例では、底面は、酸化されたMo、W、Co、Cu、またはTi表面などの酸化金属表面でよい。酸化を除去するためにインサイチュ洗浄が行われ、酸化されていない金属表面を残すことができる。
【0115】
図6は、保護窒化物層を有するフィーチャにモリブデン(Mo)被膜を充填するための方法を示すプロセスフロー図である。保護窒化物層を使用して、フィーチャの底部、およびフィーチャの底面の下にある下層材料を保護することができる。方法600は、操作601で、金属窒化物層を有する基板を提供することから始まる。基板は、半導体処理ツールに提供されることがある。
【0116】
図1の操作101で言及したフィーチャと同様に、フィーチャは、一般に、底面を有する底部と、側壁面を有する側面とを有する。フィーチャは、トレンチまたはビアとして誘電体層内に形成されることがあり、下層に接続する。底部および側壁を形成する材料の例は、
図1の操作101を参照して上で挙げた。
【0117】
提供されるフィーチャでは、底面は金属窒化物層である。金属窒化物の例は、TiNおよびTiSiNである。いくつかの実施形態では、金属窒化物層は、側壁面および底面が金属窒化物層となるように、フィーチャをコンフォーマルにライニングすることがある。いくつかの実施形態では、側壁面は、底面の材料とは異なる材料でよい。例えば、底面は金属窒化物層でよく、側壁面は誘電体材料でよい。
【0118】
いくつかの実施形態では、底面および側壁面は酸化される。酸化は、フィーチャの表面を空気または他の酸化条件にさらすことによって引き起こされることがある。いくつかの実施形態では、基板処理または移送操作の過程で酸化条件が発生する。いくつかの実施形態では、
図2を参照して上述したように、意図的な酸化が行われる。
【0119】
基板に金属窒化物層を設けた後、操作602で、任意選択の洗浄および/または任意選択のエッチングを行うことができる。洗浄を使用して、フィーチャのフィールド、側壁面、および底面から酸化物を除去することができ、任意選択のエッチングを使用して、基板の側壁またはフィールド上の金属窒化物層の一部を除去することができる。洗浄処理の例は、
図2の操作202で上述した。
【0120】
実施される場合、操作602は、フィーチャをMo前駆体に浸漬して、酸化を除去し、および/または金属窒化物層をフィーチャから除去するもしくは還元することを含むことがある。いくつかの実施形態では、浸漬は連続的に行われることがある。いくつかの実施形態では、パルス化された浸漬を使用することができ、パージガスを流しながら前駆体ガスを循環させる。いくつかの実施形態では、前駆体ガスをパージガスと交互に循環させることができる。いくつかの実施形態では、前駆体ガスはMoClxであり、例えば前駆体ガスはMoCl5である。他のMoClx前駆体の例は、上に挙げた。
【0121】
602での洗浄/エッチング操作に関して、基板の温度、半導体処理ツール内のチャンバの圧力、およびフィーチャへの前駆体露出時間を制御することができる。いくつかの実施形態では、基板は、300℃~500℃の間、例えば350℃~450℃の間に加熱されることがある。いくつかの実施形態では、チャンバは、少なくとも10Torr、例えば少なくとも30Torr、または少なくとも50Torrに加圧されることがある。フィーチャへの前駆体の総露出時間は、少なくとも10秒、例えば少なくとも60秒でよい。上に示したように、浸漬は、連続的でもパルス化されてもよい。
【0122】
操作603で、初期Mo層がフィーチャ内に堆積される。初期Mo層は、ALDによって堆積されることがある。初期Mo層は、Mo前駆体と還元剤との1回または複数回の連続する用量を堆積チャンバ内に堆積することによって形成される。Mo前駆体は、酸素を含有しないMo前駆体でよい。酸素を含有しない前駆体は、フィーチャの表面の酸化を防止し、接触抵抗が低いままであることを保証する助けとなる。酸素を含有しない前駆体の例は、上述したMoCl
x前駆体である。還元剤の例は、
図1の操作103で上述した。初期Mo層は、金属窒化物層上でフィーチャ内に選択的に堆積されることがある。Moは、Mo層がフィーチャの底面になるように堆積される。いくつかの実施形態では、コンフォーマルMo層は、1~5nmでよい。いくつかの実施形態では、コンフォーマルMo層は、厚さ2nm以下である。
【0123】
ALDの場合、基板の温度およびチャンバの圧力を制御することができる。いくつかの実施形態では、基板は、300℃~500℃の間、例えば350℃~450℃の間に加熱されることがある。いくつかの実施形態では、チャンバは、少なくとも10Torr、例えば少なくとも30Torr、または少なくとも50Torrに加圧されることがある。
【0124】
Mo層が堆積された後、Mo層および下にある金属窒化物層が、フィーチャの側壁の少なくとも一部分から除去される。操作605は、操作602に関して上述したものと同様のエッチング操作を実施することを含むことがある。エッチングは、底面上の金属窒化物層およびMo層がフィーチャ内に残るように行われる。フィーチャ底部表面上の金属窒化物層およびMo層を使用して、フィーチャ底部上の活性接合を保護することができる。エッチングは、操作602で上述したエッチング操作で述べたのと同じ前駆体および同じ方法を使用することができる。操作605でのエッチングは、操作602で行われる洗浄および/またはエッチングよりも「強力」であり得る。操作605でのより強力なエッチングは、操作602でのエッチングよりも高い温度、高い圧力、長い前駆体露出時間、またはそれらの組合せで行われることがある。
【0125】
操作605でフィーチャの側壁から金属窒化物層およびMo層が除去された後、操作607でフィーチャにMoが充填される。フィーチャは、熱およびプラズマALDおよびCVDプロセスを含む、ALDまたはCVDを使用することによって充填されることがある。充填操作のための前駆体として、Moハロゲン化物またはMoオキシハロゲン化物が使用されることがある。いくつかの実施形態では、フィーチャを充填するために複数の前駆体が使用されることがある。そのような一実施形態では、Moハロゲン化物前駆体を使用してフィーチャ内にMoを堆積し、その後、Moオキシハロゲン化物前駆体を使用してバルクMo充填を行うことができる。例えば、フィーチャは、最初に前駆体としてMoCl5を使用して充填され、その後、MoO2Cl2を使用して充填されることがある。Moハロゲン化物前駆体およびMoオキシハロゲン化物前駆体の例は上述した。様々な実施形態によれば、フィーチャ充填は、非選択的でも選択的でもよい。いくつかの実施形態では、フィーチャ充填は選択的であり、フィーチャを部分的に充填することができ、その後、よりコンフォーマルな充填を行ってフィーチャ充填を完了することができる。
【0126】
充填プロセスは、
図2で上述したのと同じパラメータを使用することができる。203での操作と同様に、基板は、300℃~500℃の間、例えば350℃~450℃の間に加熱されることがある。チャンバは、少なくとも10Torr、例えば少なくとも30Torr、または少なくとも50Torrに加圧されることがある。反応物の露出時間は、少なくとも5秒、例えば少なくとも15秒でよい。いくつかの実施形態では、温度などのプロセスパラメータを使用して、選択性を制御することができる。
【0127】
図7A~7Fは、
図6のプロセスの概略的な例を示す。
図7Aには、TiNライナ層715を有するフィーチャ701が示されている。フィーチャ701は、底面705および側壁面711を有する。
図7Aでは、TiNライナは、底面705および側壁面711である。いくつかの実施形態では、ライナ層は、窒化チタンシリコン(TiSi
xN)ライナ層でよい。いくつかの実施形態では、TiN層715は、層の上面で酸化されることがある。フィーチャ701は、誘電体材料713内に形成される。下層スタック710は、フィーチャ底面705の下にある。図示される例では、下層スタック710は、シリコン(Si)またはシリコンゲルマニウム(SiGe)などの半導体層706に接続された、金属シリサイド窒化物(MSi
xN
y)層708および金属シリサイド層(MSi
x)707を有する。このスタック710は、トランジスタ接合構造で使用することができる。MSi
x層の一例は、チタンシリサイド(TiSi
x)であり、金属シリサイド窒化物(MSi
xN
y)は、窒化チタンシリサイド(TiSi
xN
y)である。底面705上のTiNライナ層715は、フィーチャ底面の下にある下層スタック710を保護するために使用される。
図3Aに関して上述したように、TiNライナ層は、拡散バリアとして作用し、下層材料のエッチングを防止し、下層材料の酸化を防止することができる。
【0128】
図7Bは、
図6の602の操作で上述したように、洗浄およびエッチングプロセスを受けるフィーチャ701を示す。フィーチャを浸漬するMoCl
x前駆体719が示されている。MoCl
x前駆体719の浸漬は、表面の酸化物を効果的に除去する。例えば、TiN
xO
yを洗浄することができ、TiN層715を残すことができる。エッチングは、フィールド上のTiN層を除去し、基板側壁上のTiN層の一部または全てを除去することができる。図示される実施形態では、TiN層715の一部は側壁に残り、TiN層は、上部に比べて側壁の底部で厚い。TiN層は、底面705として残り、フィーチャ701内の残りのTiN層の最も厚い部分となり得る。TiN層は、底面705として残り、後続の処理中に下層スタック710を保護する。
【0129】
図7Cは、初期Mo層721が堆積された後のフィーチャ701を示す。Mo層721は、MoCl
5などのMoハロゲン化物前駆体を還元剤と共に使用するALDプロセスを使用して堆積される。図示されるように、初期Mo層721は、フィーチャ内のTiN層715に選択的に堆積され、側壁およびフィーチャ底部を覆う。Mo層721は、誘電体表面ではなく、TiN層715に直接堆積される。
【0130】
図7Dは、
図6の動作605での第2のエッチングプロセス後のフィーチャ702を示す。エッチングプロセスは、
図7Bで使用された洗浄およびエッチングプロセスと同様でよい。フィーチャ701は、MoCl
x前駆体719による浸漬プロセスを受けることがある。いくつかの実施形態では、浸漬は連続的でよい。さらにいくつかの他の実施形態では、浸漬は、MoCl
x前駆体とパージガスとの交互の用量の複数サイクルでよい。
図6の操作605で上述したように、7Dでのエッチングは、7Bに示されるエッチングよりも強力なエッチングでよい。エッチングは、フィーチャの側壁でのMo層およびTiN層を除去する。図示されるように、誘電体材料713は、エッチング後に側壁面711を形成する。エッチングは、TiN層715およびMo層721をフィーチャ701の底部に残し、したがって、それらの層が底面704を形成し、下層スタック710を保護する。洗浄は、表面の酸化物または汚染物質を除去する。
【0131】
図7Eは、フィーチャのMoギャップ充填後のフィーチャ701を示す。フィーチャ701にMo充填物723が充填される。TiN層715は、Mo充填物723と下層スタック710との間に残る。フィーチャ701は、ALDまたはCVDプロセスを使用して充填することができる。充填は、酸素を含有するMoオキシハロゲン化物前駆体、酸素を含有しないMoハロゲン化物前駆体、またはそれらの組合せを用いて行うことができる。いくつかの実施形態では、充填は、
図3Cおよび3Dに関して上で論じたように、コンフォーマル充填およびそれに続くギャップ充填でよい。いくつかの実施形態では、充填は、
図3Gおよび3Hに関して上で論じたように、ボトムアップ充填でよい。いくつかの実施形態では、充填は、一段階の堆積で実施されることがあり、初期充填と同じパラメータ、例えば温度および圧力を使用して充填が継続される。いくつかの他の実施形態では、充填は、多段階Mo堆積で行われることがあり、堆積中にパラメータが変更されることがある。例えば、第1の段階での堆積は、第1の温度を有することがある。第1の段階の後、堆積は第2の段階で継続することができ、第1の温度よりも高い第2の温度を有することがある。温度の上昇を使用してMoバルク充填率を高め、処理時間を短縮することができる。多段階堆積の別の例では、Mo前駆体および反応物濃度を、異なる段階で変えることができる。
【0132】
図8は、低圧環境を維持するためのプロセスチャンバ802を有するALDプロセスステーション800の一実施形態の概略図を示す。いくつかの実施形態では、複数のALDプロセスステーションが、共通の低圧プロセスツール環境に含まれることがある。例えば、
図9は、マルチステーション処理ツール900の一実施形態を示す。いくつかの実施形態では、以下で詳細に論じるパラメータを含む、ALDプロセスステーション800の1つまたは複数のハードウェアパラメータが、1つまたは複数のコンピュータコントローラ850によってプログラムにより調節されることがある。いくつかの他の実施形態では、プロセスチャンバは、単一のステーションチャンバでよい。
【0133】
ALDプロセスステーション800は、プロセスガスを分配シャワーヘッド806に送達するための反応物送達システム801aと流体連通する。反応物送達システム801aは、シャワーヘッド806への送達のために、Mo前駆体含有ガス、水素含有ガス、アルゴンもしくは他のキャリアガス、または他の反応物含有ガスなどのプロセスガスを混合および/または調整するための混合容器804を含む。1つまたは複数の混合容器入口バルブ820が、混合容器804へのプロセスガスの導入を制御することができる。様々な実施形態において、初期Mo層の堆積はプロセスステーション800で行われ、いくつかの実施形態では、
図9に関して以下でさらに述べるように、インサイチュ洗浄またはMoギャップ充填などの他の操作は、マルチステーション処理ツール800の同じステーションまたは別のステーションで行われることがある。
【0134】
一例として、
図8の実施形態は、混合容器804に供給すべき液体反応物を蒸発させるための蒸発点803を含む。いくつかの実施形態では、蒸発点803は、加熱式の蒸発器でよい。いくつかの実施形態では、液体前駆体または液体反応物は、液体インジェクタ(図示せず)で蒸発させることができる。例えば、液体インジェクタは、混合容器804の上流で、キャリアガス流に液体反応物のパルスを注入することがある。一実施形態では、液体インジェクタは、液体を高圧から低圧に流すことによって反応物を蒸発させることがある。別の例では、液体インジェクタは、液体を分散微小液滴に霧化することがあり、その後、これらの液滴が、加熱された送達パイプ内で蒸発される。より小さい液滴は、より大きい液滴よりも速く蒸発することができ、液体注入と完全な蒸発との間の遅延を減少させる。より速い蒸発により、蒸発点803から下流の配管の長さを減少させることができる。1つのシナリオでは、液体インジェクタが混合容器804に直接取り付けられることがある。別のシナリオでは、液体インジェクタがシャワーヘッド806に直接取り付けられることがある。
【0135】
いくつかの実施形態では、蒸発点803の上流に液体フローコントローラ(LFC)を設けて、蒸発およびプロセスチャンバ802への送達のために液体の質量流量を制御することができる。例えば、LFCは、LFCの下流に位置する熱式マスフローメータ(MFM)を含むことがある。ここで、LFCのプランジャバルブは、MFMと電気通信する比例積分微分(PID)コントローラによって提供されるフィードバック制御信号に応答して調整されることがある。しかし、フィードバック制御を使用して液体の流れを安定させるには1秒以上かかることがある。これは、液体反応物を投与するための時間を延ばすことがある。したがって、いくつかの実施形態では、LFCは、フィードバック制御モードと直接制御モードとの間で動的に切り替えることができる。いくつかの実施形態では、これは、LFCおよびPIDコントローラの感知管を使用不可にすることによって行われることがある。
【0136】
シャワーヘッド806は、プロセスガスを基板812に向けて分配する。
図8に示される実施形態では、基板812は、シャワーヘッド806の下に位置され、ペデスタル808に乗った状態で示されている。シャワーヘッド806は、任意の適切な形状を有することがあり、プロセスガスを基板812に分配するための任意の適切な数および配置のポートを有することがある。
【0137】
いくつかの実施形態では、ペデスタル808は、基板812とシャワーヘッド806との間の体積に基板812を露出させるために上昇または下降させることができる。いくつかの実施形態では、ペデスタル808は、ヒータ810によって温度制御されることがある。ペデスタル808は、開示される様々な実施形態を実施するための動作中に、約300℃~約500℃の間などの任意の適切な温度に設定することができる。いくつかの実施形態では、ペデスタルの高さは、適切なコンピュータコントローラ850によってプログラムにより調整することができることを理解されたい。プロセス段階の終了時、別の基板移送段階中にペデスタル808を下げて、ペデスタル808からの基板812の取外しを可能にすることができる。
【0138】
いくつかの実施形態では、シャワーヘッド806の位置をペデスタル808に対して調節して、基板812とシャワーヘッド806との間の体積を変化させることができる。さらに、本開示の範囲内の任意の適切な機構によって、ペデスタル808および/またはシャワーヘッド806の垂直位置を変更することができることを理解されたい。いくつかの実施形態では、ペデスタル808は、基板812の向きを回転させるための回転軸を含むことがある。いくつかの実施形態では、これらの例示的な調節のうちの1つまたは複数は、1つまたは複数の適切なコンピュータコントローラ850によってプログラムにより実施することができることを理解されたい。コンピュータコントローラ850は、
図8のコントローラ850に関して以下で述べる特徴の任意のものを含むことができる。
【0139】
上述したようにプラズマが使用されることがあるいくつかの実施形態では、シャワーヘッド806およびペデスタル808は、プラズマに電力供給するための無線周波数(RF)電源814および整合ネットワーク816と電気的に通信する。いくつかの実施形態では、プラズマエネルギーは、プロセスステーション圧力、ガス濃度、RF電源電力、RF電源周波数、およびプラズマ電力パルスタイミングのうちの1つまたは複数を制御することによって制御されることがある。例えば、RF電源814および整合ネットワーク816は、所望の組成のラジカル種を有するプラズマを生成するために、任意の適切な電力で動作させることができる。同様に、RF電源814は、任意の適切な周波数のRF電力を供給することができる。いくつかの実施形態では、RF電源814は、高周波RF電源と低周波RF電源とを互いに独立して制御するように構成されることがある。例示的な低周波RF周波数は、限定はしないが、0kHz~900kHzの間の周波数を含むことがある。例示的な高周波RF周波数は、限定はしないが、1.8MHz~2.45GHzの間の周波数、または約13.56MHzを超える周波数、または27MHzを超える周波数、または80MHzを超える周波数、または60MHzを超える周波数を含むことがある。表面反応のためのプラズマエネルギーを提供するために、任意の適切なパラメータを離散的または連続的に変調することができることを理解されたい。
【0140】
いくつかの実施形態では、プラズマは、1つまたは複数のプラズマモニタによってインサイチュで監視されることがある。1つのシナリオでは、プラズマ電力は、1つまたは複数の電圧、電流センサ(例えば、VIプローブ)によって監視されることがある。別のシナリオでは、プラズマ密度および/またはプロセスガス濃度は、1つまたは複数の発光分光センサ(OES)によって測定されることがある。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のプラズマパラメータは、そのようなインサイチュプラズマモニタからの測定に基づいてプログラムにより調整されることがある。例えば、プラズマ電力のプログラムによる制御を提供するためのフィードバックループで、OESセンサを使用することができる。いくつかの実施形態では、プラズマおよび他のプロセス特性を監視するために他のモニタを使用することもできることを理解されたい。そのようなモニタには、限定はしないが、赤外線(IR)モニタ、音響モニタ、および圧力トランスデューサなどが含まれることがある。
【0141】
いくつかの実施形態では、コントローラ850に対する命令は、入出力制御(IOC)シーケンス命令によって提供されることがある。一例では、プロセス段階に関する条件を設定するための命令は、プロセスレシピの対応するレシピ段階に含まれることがある。いくつかの場合には、プロセスレシピ段階が順次に配置されることがあり、1つのプロセス段階に関する全ての命令が、そのプロセス段階で同時に実行される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のリアクタパラメータを設定するための命令がレシピ段階に含まれることがある。例えば、第1のレシピ段階は、不活性ガスおよび/または反応ガス(例えば、Mo前駆体)の流量を設定するための命令と、キャリアガス(アルゴンなど)の流量を設定するための命令と、第1のレシピ段階の時間遅延命令と、を含むことがある。第2の後続のレシピ段階は、不活性ガスおよび/または反応ガスの流量を変調または停止するための命令と、キャリアガスまたはパージガスの流量を変調するための命令と、第2のレシピ段階のための時間遅延命令と、を含むことがある。第3のレシピ段階は、H2などの第2の反応ガスの流量を変調するための命令と、キャリアガスまたはパージガスの流量を変調するための命令と、プラズマを点火するための命令と、第3のレシピ段階のための時間遅延命令と、を含むことがある。第4の後続のレシピ段階は、不活性ガスおよび/または反応ガスの流量を変調または停止するための命令と、キャリアガスまたはパージガスの流量を変調するための命令と、第4のレシピ段階のための時間遅延命令と、を含むことがある。これらのレシピ段階は、本開示の範囲内で任意の適切な方法でさらに細分化および/または反復することができることを理解されたい。
【0142】
さらに、いくつかの実施形態では、プロセスステーション800の圧力制御は、バタフライバルブ818によって提供されることがある。
図8の実施形態に示されるように、バタフライバルブ818は、下流の真空ポンプ(図示せず)によって提供される真空を絞る。しかし、いくつかの実施形態では、プロセスステーション800の圧力制御は、プロセスステーション800に導入される1つまたは複数のガスの流量を変化させることによって調節されることもある。
【0143】
図9Aおよび
図9Bは、処理システムの例を示す。
図9Aは、複数のチャンバを含む処理システムの例を示す。システム900は、移送モジュール903を含む。移送モジュール903は、処理される基板が様々なモジュール間を移動されるときに基板の汚染のリスクを最小限に抑えるために、清浄な真空環境を提供する。移送モジュール903には、上述したインサイチュ洗浄および/またはALDプロセスを実施することができるマルチステーションチャンバ909が取り付けられている。初期Mo層の堆積は、後続のMoギャップ充填と同じまたは異なるステーションまたはチャンバで実施することができる。
【0144】
チャンバ909は、開示される実施形態に従って操作を順次に実施することができる複数のステーション911、913、915、および917を含むことがある。例えば、チャンバ909は、
図2で述べたように、ステーション911が、MoCl
x前駆体を使用して基板のインサイチュ洗浄を実施し、さらにMoCl
x前駆体およびH
2を使用して初期Mo層の後続の堆積を実施し、ステーション913、915、および917が、オキシハロゲン化モリブデン前駆体およびH
2を使用してバルクMoのALDを実施するように構成されることがある。別の例では、チャンバ909は、ステーション911がインサイチュ洗浄を実施し、ステーション913が初期Mo層のALDを実施し、ステーション913および914がバルクMoの堆積を実施するように構成されることがある。別の例では、チャンバ909は、基板の並列処理を行うように構成されることがあり、各ステーションが複数のプロセスを順次に実施する。
【0145】
2つ以上のステーションがマルチステーションチャンバ(例えば2個~6個)に含まれることがあり、操作が適切に分散される。例えば、2ステーションチャンバは、第1のステーションで初期Mo層のALDを実施し、続いて第2のステーションでバルクMoのALDを実施するように構成されることがある。ステーションは、加熱式のペデスタルまたは基板支持体、1つまたは複数のガス入口、またはシャワーヘッド、または分散プレートを含むことがある。
【0146】
また、移送モジュール903には、1つまたは複数のシングルまたはマルチステーションモジュール907が取り付けられることがある。いくつかの実施形態では、上述した前洗浄は、モジュール907内で実施されることがあり、その後、基板は、ALDのために真空下で別のモジュール(例えば、別のモジュール907またはチャンバ909)に移送される。
【0147】
システム900は、1つまたは複数のウェハソースモジュール901も含み、ウェハは、処理の前後に保管される。大気移送チャンバ919内の大気ロボット(図示せず)は、まず、ソースモジュール901からロードロック921にウェハを取り出すことがある。移送モジュール903内のウェハ移送デバイス(一般にロボットアームユニット)は、ロードロック921から移送モジュール903に取り付けられたモジュールに、およびモジュール間でウェハを移動させる。
【0148】
いくつかの実施形態では、MoのALDは、システム900のようなシステムの一部であり得る第1のチャンバ内で実施され、オーバーバーデン層として堆積されるWまたはMoまたは他の導電性材料のCVDまたはPVDが別のチャンバ内で実施され、このチャンバは、共通の移送モジュールに結合されていなくてもよく、別のシステムの一部でもよい。
【0149】
図9Bは、9Aで述べたシステム900の一実施形態である。
図9Bのシステム900は、
図9Aを参照して上述したように、ウェハソースモジュール901、移送モジュール903、大気移送チャンバ919、およびロードロック921を有する。
図Bのシステムは、3つの単一のステーションモジュール957を有する。システム900は、開示される実施形態に従って操作を順次に実施するように構成されることがある。例えば、単一のステーションモジュール957は、第1のモジュール957aが洗浄操作を実施し、第2のモジュール957bが、MoCl
x前駆体を使用した初期Mo層のALDを実施し、第3のモジュール957cが、オキシハロゲン化モリブデン前駆体を使用したバルクMoのALDを実施するように構成されることがある。この例では、第1のモジュール957aでの前洗浄の代わりに、またはそれに加えて、任意選択で第2のモジュール957bでインサイチュ洗浄を実施することができる。ステーションは、
図8を参照して上述したように、加熱式のペデスタルもしくは基板支持体、1つまたは複数のガス入口もしくはシャワーヘッド、または分散プレートを含むことがある。
【0150】
様々な実施形態において、システムコントローラ929は、堆積中のプロセス条件を制御するために採用される。コントローラ929は、典型的には、1つまたは複数のメモリデバイスおよび1つまたは複数のプロセッサを含む。プロセッサは、CPUまたはコンピュータ、アナログおよび/またはデジタル入出力接続、ステッピングモータコントローラボードなどを含むことがある。
【0151】
コントローラ929は、装置の全ての活動を制御することができる。システムコントローラ929は、システム制御ソフトウェアを実行し、このソフトウェアは、タイミング、ガスの混合、チャンバ圧力、チャンバ温度、ウェハ温度、高周波(RF)電力レベル、ウェハチャックまたはペデスタル位置、および特定のプロセスの他のパラメータを制御するための命令セットを含む。いくつかの実施形態では、コントローラ929に関連付けられたメモリデバイスに格納された他のコンピュータプログラムを採用することができる。
【0152】
典型的には、コントローラ929に関連付けられたユーザインターフェースが存在する。ユーザインターフェースは、表示画面、装置および/またはプロセス条件のグラフィカルソフトウェア表示、ならびにユーザ入力デバイス、例えばポインティングデバイス、キーボード、タッチスクリーン、マイクロフォンなどを含むことがある。
【0153】
システム制御ロジックは、任意の適切な形で構成することができる。一般に、ロジックは、ハードウェアおよび/またはソフトウェアで設計または構成することができる。駆動回路を制御するための命令は、ハードコード化されても、ソフトウェアとして提供されてもよい。命令は、「プログラミング」によって提供されることがある。そのようなプログラミングは、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路、およびハードウェアとして実装された特定のアルゴリズムを有する他のデバイスにおけるハードコード化されたロジックを含む、任意の形式のロジックを含むものと理解される。また、プログラミングは、汎用プロセッサ上で実行されることがあるソフトウェアまたはファームウェア命令も含むものと理解される。システム制御ソフトウェアは、任意の適切なコンピュータ可読プログラミング言語でコード化することができる。
【0154】
Mo前駆体パルス、水素パルス、およびアルゴン流、ならびにプロセスシーケンスにおける他のプロセスを制御するためのコンピュータプログラムコードは、任意の従来のコンピュータ可読プログラミング言語、例えばアセンブリ言語、C、C++、Pascal、Fortranなどで書くことができる。コンパイルされたオブジェクトコードまたはスクリプトは、プロセッサによって実行されて、プログラム内で特定されたタスクを実施する。また、上述したように、プログラムコードはハードコード化されることもある。
【0155】
コントローラパラメータは、例えば、プロセスガスの組成および流量、温度、圧力、冷却ガス圧力、基板温度、およびチャンバ壁温度などのプロセス条件に関連する。これらのパラメータは、レシピの形式でユーザに提供され、ユーザインターフェースを利用して入力することができる。
【0156】
プロセスを監視するための信号は、システムコントローラ929のアナログおよび/またはデジタル入力接続によって提供されることがある。プロセスを制御するための信号は、堆積装置のアナログおよびデジタル出力接続に出力される。
【0157】
システムソフトウェアは、多くの形で設計または構成することができる。例えば、開示される実施形態に従って堆積プロセスを実施するために必要なチャンバ構成要素の動作を制御するために、様々なチャンバ構成要素サブルーチンまたは制御オブジェクトを記述することができる。この目的のためのプログラムまたはプログラムのセクションの例には、基板位置決めコード、プロセスガス制御コード、圧力制御コード、およびヒータ制御コードが含まれる。
【0158】
いくつかの実装形態では、コントローラ929はシステムの一部であり、システムは、上述した例の一部でよい。そのようなシステムは、処理ツール、チャンバ、処理用のプラットフォーム、および/または特定の処理コンポーネント(ウェハペデスタル、ガスフローシステムなど)を含む半導体処理機器を含むことができる。これらのシステムは、半導体ウェハまたは基板の処理前、処理中、および処理後の操作を制御するための電子機器と統合することができる。電子機器は、「コントローラ」と呼ばれることがあり、システムの様々な構成要素または下位要素を制御することができる。コントローラ929は、処理要件および/またはシステムのタイプに応じて、処理ガスの送達、温度設定(例えば加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、いくつかのシステムにおける無線周波(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体送達設定、位置および動作設定、ツール、ならびに特定のシステムに接続またはインターフェースされた他の移送ツールおよび/またはロードロック内外へのウェハの移送を含む、本明細書に開示されるプロセスの任意のものを制御するようにプログラムされることがある。
【0159】
概して、コントローラは、例えば、命令を受信し、命令を発出し、動作を制御し、洗浄操作を可能にし、終点測定を可能にする様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/またはソフトウェアを有する電子機器として定義することができる。集積回路は、プログラム命令を格納するファームウェアの形態でのチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されたチップ、および/または1つもしくは複数のマイクロプロセッサ、もしくはプログラム命令(例えばソフトウェア)を実行するマイクロコントローラを含むことがある。プログラム命令は、様々な個別の設定(またはプログラムファイル)の形でコントローラに通信される命令でよく、半導体ウェハ上でもしくは半導体ウェハに対して、またはシステムに対して特定のプロセスを実施するための操作パラメータを定義する。いくつかの実施形態では、操作パラメータは、ウェハの1つまたは複数の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化ケイ素、表面、回路、および/またはダイの製造中に1つまたは複数の処理ステップを達成するためにプロセスエンジニアによって定義されたレシピの一部でよい。
【0160】
いくつかの実装形態では、コントローラ929は、システムに統合された、システムに結合された、もしくはシステムにネットワーク接続された、またはそれらの組合せでのコンピュータの一部である、またはそれに結合されることがある。例えば、コントローラ929は、「クラウド」にあってよく、または工場ホストコンピュータシステムの全てまたは一部でもよく、これは、ウェハ処理のリモートアクセスを可能にし得る。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能にして、製造操作の現在の進行状況を監視する、過去の製造操作の履歴を検査する、複数の製造操作からの傾向もしくは性能指標を検査する、現在の処理のパラメータを変更する、現在の処理に従うように処理ステップを設定する、または新たなプロセスを開始することができる。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えばサーバ)は、ローカルネットワークまたはインターネットを含むことがあるネットワークを介してシステムにプロセスレシピを提供することができる。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定の入力またはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを含むことがあり、次いで、パラメータおよび/または設定は、リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例では、コントローラは、命令をデータの形式で受信し、命令は、1つまたは複数の操作中に実施される各処理ステップに関するパラメータを指定する。パラメータは、実施すべきプロセスのタイプ、およびコントローラがインターフェースするまたは制御するように構成されているツールのタイプに特有であり得る。したがって、上述したように、互いにネットワーク接続され、本明細書で述べるプロセスおよび制御などの共通の目的に向けて動作する1つまたは複数のディスクリートコントローラを含むことなどによって、コントローラを分散させることができる。そのような目的のための分散型コントローラの一例は、組み合わさってチャンバでのプロセスを制御する遠隔に位置された(例えば、プラットフォームレベルでまたはリモートコンピュータの一部として)1つまたは複数の集積回路と通信する、チャンバにある1つまたは複数の集積回路である。
【0161】
限定はしないが、例示的なシステムには、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、堆積チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属めっきチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、PVDチャンバまたはモジュール、CVDチャンバまたはモジュール、ALDチャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、トラックチャンバまたはモジュール、ならびに、半導体ウェハの作製および/または製造に関連付けられるまたは使用されることがある任意の他の半導体処理システムが含まれることがある。
【0162】
上述したように、ツールによって実施されるプロセスステップに応じて、コントローラは、他のツール回路またはモジュール、他のツールコンポーネント、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、隣り合うツール、工場全体に配置されたツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または半導体製造工場内のツール位置および/またはロードポート内外にウェハのコンテナを導く材料輸送に使用されるツールのうちの1つまたは複数と通信することができる。
【0163】
コントローラ929は、様々なプログラムを含むことができる。基板位置決めプログラムは、基板をペデスタルまたはチャックに装填し、基板と、ガス入口および/またはターゲットなどのチャンバの他の部分との間隔を制御するために使用されるチャンバ構成要素を制御するためのプログラムコードを含むことがある。プロセスガス制御プログラムは、ガス組成、流量、パルス時間を制御するためのコード、および任意選択で、チャンバ内の圧力を安定させるために堆積前にチャンバにガスを流すためのコードを含むことがある。圧力制御プログラムは、例えばチャンバの排気システムのスロットルバルブを調整することによってチャンバ内の圧力を制御するためのコードを含むことがある。ヒータ制御プログラムは、基板を加熱するために使用される加熱ユニットへの電流を制御するためのコードを含むことがある。代替として、ヒータ制御プログラムは、ウェハチャックへのヘリウムなどの熱伝達ガスの送達を制御することもある。
【0164】
堆積中に監視することができるチャンバセンサの例には、マスフローコントローラ、圧力計などの圧力センサ、およびペデスタルまたはチャックに配置された熱電対が含まれる。適切にプログラムされたフィードバックおよび制御アルゴリズムを、これらのセンサからのデータと共に使用して、望ましいプロセス条件を維持することができる。
【0165】
以上、シングルまたはマルチチャンバ半導体処理ツールにおける開示される実施形態の実装を述べた。本明細書で述べる装置およびプロセスは、例えば、半導体デバイス、ディスプレイ、LED、太陽光発電パネルなどの作製または製造のためのリソグラフィパターン形成ツールまたはプロセスと併せて使用することができる。必須ではないが、典型的には、そのようなツール/プロセスは共通の製造施設で一緒に使用または実行される。被膜のリソグラフィパターン形成は、典型的には、以下のステップのいくつかまたは全てを含み、各ステップに、いくつかの使用可能なツールが提供される:(1)スピンオンまたはスプレーオンツールを使用して、ワークピース、すなわち基板にフォトレジストを塗布するステップ;(2)ホットプレート、炉、またはUV硬化ツールを使用してフォトレジストを硬化するステップ;(3)ウェハステッパなどのツールを用いて、可視光、UV光、またはX線光にフォトレジストを露光するステップ;(4)ウェットベンチなどのツールを使用して、レジストを現像してレジストを選択的に除去し、それによりパターン形成するステップ;(5)ドライまたはプラズマ支援エッチングツールを使用することによって、レジストパターンを下にある被膜またはワークピースに転写するステップ;(6)RFまたはマイクロ波プラズマレジストストリッパなどのツールを使用してレジストを除去するステップ。
【国際調査報告】