(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-16
(54)【発明の名称】半導体ウエハリアクタ中の輻射熱キャップのためのシステムと方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/205 20060101AFI20240109BHJP
C23C 16/458 20060101ALI20240109BHJP
C23C 16/46 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
H01L21/205
C23C16/458
C23C16/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540114
(86)(22)【出願日】2021-12-30
(85)【翻訳文提出日】2023-08-28
(86)【国際出願番号】 US2021065665
(87)【国際公開番号】W WO2022147235
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518112516
【氏名又は名称】グローバルウェーハズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GlobalWafers Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】ホゥ,チエー
(72)【発明者】
【氏名】トゥ,チュン-チン
(72)【発明者】
【氏名】シュー,ルンシン
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA03
4K030AA06
4K030AA17
4K030BA29
4K030BB02
4K030CA04
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4K030KA22
5F045AA03
5F045AB02
5F045AC01
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5F045EK12
5F045EK14
5F045EK21
5F045EK30
(57)【要約】
反応装置は、ウエハ製造プロセス中に半導体ウエハ上にプロセスガスを接触させる。半導体ウエハは中央領域を規定する。反応装置は、上部ドーム、下部ドーム、シャフト、およびキャップを含む。下部ドームは上部ドームに取り付けられ、上部ドームと下部ドームとは反応チャンバを規定する。キャップは、半導体ウエハの中央領域によって吸収される熱を低減するために、反応チャンバ内のシャフト上に配置される。キャップはシャフトの第1端部に取り付けられる。キャップは管とディスクを含む。管は、シャフトのシャフト径よりも大きな管直径を有する。管はシャフトの第1端部を取り囲む。ディスクは管に取り付けられ、半導体ウエハの中央領域を加熱する輻射熱を遮断するように配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハプロセス中に半導体ウエハ上にプロセスガスを接触させるための反応装置であって、半導体ウエハは中央領域を規定し、この反応装置は:
上部ドーム;
上部ドームに取り付けられた下部ドームであって、上部ドームと下部ドームが反応チャンバを規定している下部ドーム;
反応チャンバ内で半導体ウエハを支持するためのシャフト;および、
半導体ウエハの中央領域によって吸収される熱を減少させるために、反応チャンバ内でシャフト上に配置され、シャフトの第1端部に取り付けられたキャップ、を含み、
さらにこのキャップは:
シャフトのシャフト直径よりも大きな管直径を有する管であって、管がシャフトの第1端部を取り囲む管;および、
管に取り付けられたディスクであって、ディスクは半導体ウエハの中央領域を加熱する輻射熱を遮断するように配置されているディスク;
を含む反応装置。
【請求項2】
半導体ウエハを加熱するために反応チャンバ内でキャップの下方に配置された下部高輝度ランプをさらに含み、ディスクは、半導体ウエハの中央領域を加熱することから、下部高輝度ランプからの輻射熱を遮断する請求項1に記載の反応装置。
【請求項3】
ディスクは、管直径よりも大きな外径を有する請求項1に記載の反応装置。
【請求項4】
ディスクは、高輝度ランプで形成される輻射加熱光を吸収するために大体不透明である請求項1に記載の反応装置。
【請求項5】
ウエハ作製プロセスは、エピタキシャル化学気相成長である請求項1に記載の反応装置。
【請求項6】
ディスクは、ディスク孔を規定する環状ディスクを含み、ディスク孔は内径を有し、環状ディスクは内径より大きい外径を規定する請求項1に記載の反応装置。
【請求項7】
管は、管直径を規定する円筒壁を含み、円筒壁がディスク穴と実質的に同一平面になるように、管直径は内径と実質的に等しい請求項6に記載の反応装置。
【請求項8】
ディスクは、半導体ウエハの中央領域の下方に距離を置いて配置され、その距離は約5ミリメートル未満である請求項1に記載の反応装置。
【請求項9】
ウエハ製造プロセス中に、半導体ウエハの中央領域によって吸収される熱を減少するために、反応装置のシャフト上に配置されるキャップであって、
シャフトのシャフト径よりも大きな管直径を規定する管であって、シャフトの第1端部を取り囲む管;および、
管に取り付けられたディスクであって、半導体ウエハの中央領域を加熱する輻射熱を遮断するディスク、を含むキャップ。
【請求項10】
ディスクは、半導体ウエハの中央領域を加熱する下部高輝度ランプからの輻射熱を遮断する請求項9に記載のキャップ。
【請求項11】
ディスクは、管の直径よりも大きな外径を規定する請求項9に記載のキャップ。
【請求項12】
ディスクは、高輝度ランプで形成される輻射加熱光を吸収するために、大体不透明である請求項9に記載のキャップ。
【請求項13】
ウエハ製造プロセスは、エピタキシャル化学気相成長である請求項9に記載のキャップ。
【請求項14】
ディスクは、ディスク孔を規定する環状ディスクを含み、ディスク孔は内径を有し、環状ディスクは内径より大きい外径を規定する請求項9に記載のキャップ。
【請求項15】
管は、管直径を規定する円筒壁を含み、円筒壁がディスク穴と実質的に同一平面になるように、管直径は内径と実質的に等しい請求項14に記載のキャップ。
【請求項16】
ディスクは、半導体ウエハの中央領域の下方に距離を置いて配置され、その距離は約5ミリメートル未満である請求項9に記載のキャップ。
【請求項17】
反応装置内で半導体ウエハを製造する方法であって、反応装置は、反応チャンバを規定する上部ドームおよび下部ドームと、半導体ウエハを支持するためのシャフトとを含み、反応装置は、半導体ウエハの中央領域によって吸収される熱を低減するために、反応チャンバ内でシャフト上に配置されたキャップをさらに含み、キャップは、管と、管に取り付けられたディスクとを含み、本方法は、以下の工程:
反応チャンバ内にプロセスガスを流す工程;
反応チャンバ内に配置された高輝度ランプで半導体ウエハを加熱する工程;
高輝度ランプからの輻射熱が半導体ウエハの中央領域を加熱するのをディスクで遮断する工程であって、ディスクは半導体ウエハ上に均一な温度分布を形成するする工程;および、
プロセスガスを用いて半導体ウエハ上に層を堆積させる工程であって、均一な温度分布が半導体ウエハ上に均一な厚さの層を形成する工程、を含む方法。
【請求項18】
堆積させる工程は、エピタキシャル化学気相成長によって行われる請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ディスクは、高輝度ランプによって形成される輻射加熱光を吸収するために、大体不透明である請求項17に記載の方法。
【請求項20】
反応装置に対して半導体ウエハを回転させる工程をさらに含む請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2020年12月31日に出願された米国特許出願第17/139,387号の優先権を主張するものであり、その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
この分野は、一般に、ウエハ処理のための装置および方法に関し、特に、半導体ウエハエッチングプロセスまたは半導体ウエハ化学気相成長プロセスのための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
エピタキシャル化学気相成長(CVD)は、格子構造がウエハと同一になるように半導体ウエハ上に材料の薄層を成長させるプロセスである。エピタキシャルCVDは、エピタキシャル層上にデバイスが直接作製できるようなエピタキシャル層を形成するために、半導体ウエハ製造において広く使用されている。エピタキシャル成長プロセスは、水素または水素と塩化水素との混合ガスなどのクリーニングガスをウエハの表面(すなわち、サセプタに背を向けた面)に導入し、ウエハの表面を予熱およびクリーニングすることから始まる。洗浄ガスは、表面から酸化物を除去し、エピタキシャルシリコン層が、その後の成膜プロセスにおいて、表面上で連続的かつ均一に成長することを可能にする。エピタキシャル成長工程は、シランや塩素化シランなどの気化性シリコン源ガスをウエハの表面に導入して、表面にシリコンのエピタキシャル層を堆積成長させることによって継続される。サセプタの表面と反対側の裏面には、同時に水素ガスが供給される。エピタキシャル成長中に半導体ウエハを成膜チャンバ内で支持するサセプタは、エピタキシャル層が均一に成長するようにプロセス中に回転する。
【0004】
しかしながら、エピタキシャルCVD成長速度は、半導体ウエハの温度プロファイルが一様でないため、一般に各ウエハの表面全体で一様ではない。均一性の欠如は、ウエハの平坦性の低下を引き起こし、高輝度ランプによる半導体ウエハの不均一な加熱によって引き起こされる、半導体ウエハ内のばらつきまたは局所的な温度偏差の結果である可能性がある。従って、エピタキシャルCVD成長速度の均一性を向上させるために、局所的な温度偏差を改善する実用的で費用対効果の高い装置が必要性とされる。
【0005】
この背景技術のセクションは、以下に説明および/または特許請求される本開示の様々な態様に関連し得る技術の様々な態様を読者に紹介することを意図している。この考察は、本開示の様々な態様の理解を促進するための背景情報を読者に提供する上で有用であると考えられる。従って、これらの記載は、このような観点から読まれるべきであり、先行技術を認めるものではないと理解されるべきである。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、ウエハ製造プロセス(wafering process)中に半導体ウエハ上にプロセスガスを接触させるための反応装置が提供される。半導体ウエハは中央領域を規定する。反応装置は、上部ドーム、下部ドーム、シャフト、およびキャップを含む。下部ドームは上部ドームに取り付けられ、上部ドームと下部ドームは反応チャンバを規定する。シャフトは反応室内で半導体ウエハを支持する。キャップは、半導体ウエハの中央領域によって吸収される熱を低減するために、反応チャンバ内でシャフト上に配置される。キャップはシャフトの第1端部に取り付けられている。キャップは管とディスクを含む。管は、シャフトのシャフト径よりも大きな管直径を有する。管はシャフトの第1端部を取り囲む。ディスクは管に取り付けられ、半導体ウエハの中央領域を加熱する輻射熱を遮断するように配置される。
【0007】
他の態様では、ウエハ製造プロセス中に半導体ウエハの中央領域によって吸収される熱を低減するための、反応装置のシャフト上に配置されるキャップが提供される。キャップは、管とディスクとを含む。管は、シャフトのシャフト径よりも大きな管直径を規定する。管は、シャフトの第1端部を取り囲む。ディスクは管に取り付けられ、半導体ウエハの中央領域を加熱する輻射熱を遮断する。
【0008】
さらに他の態様では、反応装置内で半導体ウエハを製造する方法が提供される。反応装置は、反応チャンバを規定する上部ドームおよび下部ドームと、半導体ウエハを支持するためのシャフトとを含む。反応装置はさらに、半導体ウエハの中央領域によって吸収される熱を低減するために、反応チャンバ内のシャフト上に配置されたキャップを含む。キャップは、管と、管に取り付けられたディスクとを含む。本方法は、反応チャンバ内にプロセスガスを流すことを含む。本方法はまた、反応チャンバ内に配置された高輝度ランプで半導体ウエハを加熱することを含む。本方法はさらに、高輝度ランプからの輻射熱がディスクで半導体ウエハの中央領域を加熱するのを遮断することを含む。ディスクは、半導体ウエハ上に均一な温度分布を形成する。本方法はまた、プロセスガスを用いて半導体ウエハ上に層を堆積させることを含む。均一な温度分布は、半導体ウエハ上に均一な厚さの層を形成する。
【0009】
本開示の上述の態様に関連して指摘された特徴の様々な改良が存在する。さらなる特徴もまた、同様に本開示の上述の態様に組み込まれ得る。これらの改良および追加の特徴は、個々に、または任意の組み合わせで存在し得る。例えば、本開示の図示された実施形態のいずれかに関連して後述される様々な特徴は、単独でまたは任意の組み合わせで、本開示の上述の態様のいずれかに組み込まれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】半導体ウエハのような基板を処理するための装置の正面図である。
【
図5】
図3に示すシャフト上に配置されたキャップの斜視図である。
【
図11】
図1に示す反応装置における半導体ウエハの製造方法のフロー図である。
【
図12】実施例1にかかるウエハの半径方向の距離を関数とした、エピタキシャルウエハの輻射温度のグラフである。
【0011】
対応する参照符号は、図面全体を通して対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで
図1を参照すると、本開示の実施形態にかかる半導体ウエハをエッチングするための、または半導体基板上にエピタキシャル層を堆積するための装置が、全体が100で示されている。図示された装置は、単一ウエハリアクタであるが、より均一なエピタキシャル層を提供するための本明細書に開示された装置および方法は、例えば、複数ウエハリアクタを含む他のリアクタ設計での使用に適している。装置100は、上部ドーム104、下部ドーム106、上部ライナー108、および下部ライナー110を含む反応チャンバ102を含む。集合的に、上部ドーム104、下部ドーム106、上部ライナー108、および下部ライナー110は、プロセスガスが半導体ウエハ114に接触する反応チャンバ102の内部空間112を規定する。ガスマニホールド116は、プロセスガスを反応チャンバ102に導くために使用される。反応チャンバ102とガスマニホールド116の斜視図を
図2に示す。
【0013】
装置100は、エピタキシャルCVDまたは多結晶CVDなどの化学気相成長(CVD)プロセスによって実行されるウエハ上の任意のタイプの材料の堆積を含むが、これらに限定されることなく、ウエハプロセスでウエハを処理するために使用することができる。この点に関して、本明細書におけるエピタキシおよび/またはCVDプロセスへの言及は、装置100が、ウエハ上でエッチングまたは平滑化プロセスを実行するなどの他の目的にも使用され得るので、限定的であると考えられるべきではない。また、本明細書で示すウエハは一般に円形であるが、他の形状のウエハも本開示の範囲内で想定される。
【0014】
図3に装置100の断面に示されている。反応チャンバ102の内部空間112内には、半導体ウエハ114と接触する前にプロセスガスを加熱するための予熱リング118がある。予熱リング118の外周は下部ライナー110の内周に取り付けられている。例えば、予熱リング118は、下部ライナー110の環状レッジ(図示せず)によって支持されてもよい。予熱リング118の内部の空間を横断するサセプタ120(本明細書では「サセプタ本体」とも呼ばれる)は、半導体ウエハ114を支持する。
【0015】
プロセスガスは、半導体ウエハ114に接触する前に加熱されてもよい。予熱リング118とサセプタ120の両方は、半導体ウエハ114を加熱するために反応チャンバ102の上下に配置され得る高輝度ランプ122、124によって形成される輻射加熱光を吸収するために、大体不透明である。予熱リング118およびサセプタ120を周囲温度より高い温度に維持することにより、プロセスガスが予熱リングおよびサセプタ上を通過する際に、予熱リング118およびサセプタ120がプロセスガスに熱を伝達することができる。典型的には、半導体ウエハ114の直径は、サセプタ120の直径よりも小さく、ウエハに接触する前にサセプタがプロセスガスを加熱できるようにする。
【0016】
予熱リング118とサセプタ120は、好適には炭化ケイ素でコーティングされた不透明グラファイトで構成することができるが、他の材料も考えられる。上部ドーム104と下部ドーム106は、典型的には、輻射加熱光が反応チャンバ102内へ、そして予熱リング118とサセプタ120上へ通過することを可能にするために、透明材料で作られる。上部ドーム104と下部ドーム106は透明な石英で構成してもよい。石英は一般に赤外光および可視光に対して透明であり、蒸着反応の反応条件下で化学的に安定である。高輝度ランプ122、124以外の装置を使用して、例えば抵抗ヒータや誘導ヒータなどの熱を反応チャンバに供給してもよい。パイロメータのような赤外線温度センサ(図示せず)を反応チャンバ102に取り付けて、サセプタ、予熱リング、またはウエハによって放射される赤外線を受信することによって、サセプタ120、予熱リング118、または半導体ウエハ114の温度を監視してもよい。
【0017】
次に、装置をより良く説明するために装置100のいくつかの構成要素が取り除かれている
図3~5を参照すると、装置100は、サセプタ120を支持し得るシャフト126を含む。シャフト126は、中心柱128を通って延びている。シャフト126は、中心柱128に取り付けられた第1端部130と、半導体ウエハ114の中央領域134に近接して配置された第2端部132とを含む。シャフト126は、約5ミリmm~約20mmのシャフト直径136を有する。
【0018】
シャフト126は、シャフト126、サセプタ120、および半導体ウエハ114を装置100に対して長手方向軸Xを中心に回転させるための、適当な回転機構(図示せず)に接続されている。サセプタ120の外縁と予熱リング118の内縁(
図3に示す)は、サセプタの回転を可能にするために隙間138によって隔てられている。半導体ウエハ114を回転させることにより、ウエハ前縁に過剰な材料が堆積するのを防止し、より均一なエピタキシャル層を提供することができる。
【0019】
装置100はまた、半導体ウエハ114の中央領域134によって吸収される熱を低減するために、反応チャンバ102内のシャフト126上に配置されたキャップ140を含む。キャップ140は、半導体ウエハ114の中央領域134に近接するシャフト126の第1端部130に取り付けられ、半導体ウエハの中央領域の加熱から、下部高輝度ランプ124からの輻射熱を遮断する。半導体ウエハ114の中央領域134への輻射熱を低減することにより、半導体ウエハ114の半径方向外側領域142の温度を維持しながら中央領域の温度を低下させ、半導体ウエハの均一な温度プロファイルを形成する。
【0020】
キャップ140は、管144と、管に取り付けられたディスク146とを含む。図示の実施形態では、管144とディスク146は、キャップ140が一体構造を有するように一体的に形成されている。代替の実施形態では、管144とディスク146は、別々に形成され、互いに取り付けられてもよい。管144は、第1端部150、第2端部152、および管長さ154を有し、管導管156および管直径158を規定する円筒壁148を含む。第1端部150は第1端部開口部160を規定し、第2端部152は第2端部開口部162を規定する。管直径158は、シャフト126の第1端部130が第1端部開口部160に挿入され、第1端部150がシャフトの第1端部を取り囲むように、シャフトの直径136よりも大きい。第2端部152はディスク146に取り付けられる。
【0021】
ディスク146は、ディスク孔166、内径168、外径170、およびディスク厚さ172を規定する環状ディスク164を含む。管直径158と内径168は、円筒壁148がディスク孔166と実質的に同一平面であり、管導管156とディスク孔がキャップ140を通って延びるキャップ導管174を規定するように、同一であるか、実質的に等しい。代替の実施形態では、管直径158は内径168より大きく、管導管156とディスク孔166はキャップ導管174を規定する。
【0022】
環状ディスク164は、第1側面176および第2側面178を有し、環状ディスクの第1側面は、管144の第2端部152に取り付けられる。環状ディスク164の第1側面176は下部高輝度ランプ124の方を向いており、第2側面178は半導体ウエハ114の中央領域134の方を向いている。環状ディスク164は、任意の適切な方法で管144に取り付けることができる。さらに、環状ディスク164は、他の形状、その中に形成された1つ以上の凹部、および/またはその中に形成された複数の開口を有してもよい。
【0023】
環状ディスク164が下部高輝度ランプ124からの輻射熱が半導体ウエハの中央領域を加熱するのを遮断するように、外径170は、管直径158および内径168よりも大きい。環状ディスク164は、ディスク孔166および円筒壁148から、環状ディスクが円筒壁およびディスク孔から遮断距離180だけ延びるように、延びる。遮断距離180は、半導体ウエハ114の均一な温度プロファイルを形成するために所定量の輻射熱を遮断するように構成される。
【0024】
キャップ140は、好適には、可視光および赤外光が半導体ウエハ114の中央領域134に透過するのを遮断するように不透明な材料で作られる。他の実施形態では、キャップ140は、不透明であるよりもむしろ透光性材料で作られて、半導体ウエハ114に局所的な冷却を提供し、局所的または全体的な最大エピタキシャル層厚さを減少させて、エピタキシャル層および/または半導体ウエハ114の均一な厚さプロファイルを形成しても良い。
【0025】
一般に、キャップ140は、不均一性を緩和するために、エピタキシャル堆積などの処理中に、半導体ウエハ114の半径方向の温度プロファイルを修正および/または影響を与える。キャップ140は、キャップの上方の半導体ウエハ114の中央領域134の温度を(キャップが使用されないときと比較して)低下させ、それにより、エピタキシャルCVDプロセス中に半導体ウエハの中央領域に堆積する材料(例えば、シリコン)の量を減少させることができる。従って、キャップ140は、好適には、局所的または全体的な最大層厚が生じる半導体ウエハ114の中央領域134の下方に距離を置いて配置され、中央領域での堆積を減少させ、より均一な半径方向堆積プロファイルを作製する。この最大層厚は、局所的または全体的な最大であってもよく、一般には不均一性と呼ばれる。
【0026】
厚さプロファイルは、例えば、フーリエ変換赤外(FTIR)分光計の使用またはウエハ平坦度ツール(例えば、KLA-Tencor WafersightまたはWaferSight2;Milpitas、California)の使用を含む、当業者に利用可能な任意の適切な方法の使用によって決定することができる。一部の実施形態では、材料の堆積前(例えば、エピタキシャル層の堆積前)に基板の半径方向の厚さプロファイルを決定し、その後、層構造の厚さプロファイルを測定することができる。堆積された層の厚さプロファイルは、層構造の厚さから基板の厚さを差し引くことによって決定することができる。
【0027】
具体的には、図示の実施形態では、管長さ154は約10mm~約30mmであり、管直径158は約5mm~約20mmであり、内径168は約5mm~約20mmであり、外径170は約10mm~約40mmであり、ディスク厚さ172は約3mm~約10mmであり、遮断距離180は約5mm~約35mmである。代替の実施形態では、シャフト直径136、管長さ154、管直径158、内径168、外径170、ディスク厚さ172、および遮断距離180は、キャップ140が本明細書に記載されるように動作することを可能にする任意の距離であってよい。より具体的には、シャフト直径136、管長さ154、管直径158、内径168、外径170、ディスク厚さ172、および遮断距離180は、局所的または全体的なエピタキシャル層厚さの最小値または最大値の位置およびサイズに応じて好適に選択される。
【0028】
キャップ140とサセプタ120との間の距離182は、約40mm未満、約20mm未満、またはさらに約1mm未満である。キャップ140とサセプタ120との間の距離182を減少させると、一般に、リングの上方のウエハの部分においてウエハ上により多くの材料の堆積が生じ、距離を増加させると、一般に、堆積が少なくなる。従って、キャップ140の上方のウエハの部分に堆積される材料の量は、この距離を変化させることによって調整され得る。
【0029】
シャフトの直径136、管の長さ154、管の直径158、内径168、外径170、ディスクの厚さ172、遮断距離180、距離182等に関して、上述の範囲は例示的なものであり、記載した範囲外の値を制限なく使用することができる。
図8に示すように、ディスク146は、実質的に均一な円形形状を有する。他の実施形態では、ディスク146は、様々な突起、および/または切り欠きまたは凹部を含む形状であってもよい。ディスク146はまた、面取りまたは丸みを帯びていてもよい。このような不均一な形状は、ディスク146が、半導体ウエハ114の中央領域134の外側の領域を加熱することから、下部高輝度ランプ124からの輻射熱を遮断することを可能にし得る。例えば、半導体ウエハ114の温度プロファイルの分析により、中央領域134の外側にも、それらの領域における材料の堆積が不均一になるように温度が上昇した領域が特定される場合がある。ディスク146の形状は、それらの領域内の材料堆積を減少させるために、それらの領域を加熱することから下部高輝度ランプ124からの輻射熱を遮断するように調整され得る。
【0030】
図11は、反応装置において半導体ウエハを製造する方法200のフロー図である。方法200は、反応チャンバ内にプロセスガスを流す工程202を含む。方法200はまた、反応チャンバ内に配置された高輝度ランプで半導体ウエハを加熱する工程204を含む。方法200はさらに、高輝度ランプからの輻射熱が半導体ウエハの中央領域を加熱するのをディスクで遮断する工程を含む。ディスクは、半導体ウエハ上に均一な温度分布を形成する。方法200はまた、プロセスガスを用いて半導体ウエハ上に層を堆積させる工程208を含む。均一な温度分布は、半導体ウエハ上に層の均一な厚さを形成する。
【0031】
実施例
本開示のプロセスは、以下の実施例によってさらに説明される。この実施例は、限定的な意味で捉えられるべきではない。
【0032】
実施例1.半導体ウエハの半径方向温度プロファイルに対するキャップ使用の効果の決定
本明細書に記載の不透明キャップを枚葉式エピタキシャルリアクタで試験して、エピタキシャルウエハの温度プロファイルに対するその効果を決定した。エピタキシャルウエハは、チョクラルスキ法により製造された単結晶シリコンウエハを、1050℃から1150℃の間のウエハ温度でプロセスガスにさらすことにより調製した。キャップのディスクの外径は10mmであった。
【0033】
キャップを使用しないコントロールランを行った。
図12は、ウエハ半径方向の距離を関数とした、エピタキシャルウエハの半径方向温度のグラフ300である。
図12から分かるように、コントロールでは不均一なエピタキシャルウエハの半径方向温度プロファイル302が得られ、キャップでは均一なエピタキシャルウエハ半径方向の温度プロファイル304が得られた。均一なエピタキシャルウエハの半径方向温度プロファイル304は、プロファイルの両端における局所的な温度の最大値が、不均一なエピタキシャルウエハの半径方向温度プロファイル302の両端における局所的な温度の最大値よりも小さいため、より均一である。従って、キャップは、エピタキシャルウエハの均一な温度プロファイルを形成した。
【0034】
シリコンウエハを製造するための従来の方法と比較して、本開示のシステムおよび方法はいくつかの利点を有する。例えば、記載したようなキャップを含むリアクタは、堆積中に均一な温度プロファイルを有する半導体ウエハの費用対効果の良い製造を容易にする。均一な温度プロファイルは、より均一な堆積厚さプロファイルを形成する。従って、キャップは、均一な厚さプロファイルを有する半導体ウエハの製造を可能にする。キャップの一例は、ウエハの中央領域またはその周囲にディスクを有し、ウエハの中央領域を加熱する輻射熱を遮断する。これにより、中央領域の温度が低下し、均一な温度プロファイルと均一な厚みプロファイルが形成される。従って、本実施例のキャップは、従来技術と比較して局所的な温度偏差を排除または低減し、ウエハ上のエピタキシャルCVD成長の均一性を向上させる。さらに、上述の実施例の使用により、エピタキシャルCVD装置の生産速度を向上させることができ、廃棄物の削減により操作コストを低減することができる。
【0035】
本発明の要素またはその実施形態を紹介する場合、冠詞「1つ(a)」、「1つ(an)」、「その(the)」および「該(said)」は、要素が1つ以上あることを意味することを意図している。用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」、および「有する(having)」は、包括的であることを意図しており、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。特定の方向を示す用語(例えば、「上部」、「下部」、「側部」など)の使用は、説明の便宜のためであり、記載される項目の特定の方向を必要とするものではない。
【0036】
本開示の範囲から逸脱することなく、上述の構成および方法において様々な変更がなされ得るので、上記説明に含まれ、添付の図面に示される全ての事項は、例示的なものとして解釈され、限定的な意味において解釈されないことが意図される。
【国際調査報告】