(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-16
(54)【発明の名称】拡大鏡を含む注射デバイスのハウジング部品
(51)【国際特許分類】
A61M 5/31 20060101AFI20240109BHJP
A61M 5/20 20060101ALI20240109BHJP
A61M 5/24 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
A61M5/31 520
A61M5/20
A61M5/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540679
(86)(22)【出願日】2022-01-03
(85)【翻訳文提出日】2023-08-04
(86)【国際出願番号】 EP2022050002
(87)【国際公開番号】W WO2022144454
(87)【国際公開日】2022-07-07
(32)【優先日】2021-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ヘルマー
(72)【発明者】
【氏名】マーティン・ヴィット
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD12
4C066EE06
4C066EE14
4C066FF05
4C066GG17
4C066HH02
4C066HH13
4C066HH17
4C066LL30
4C066QQ77
4C066QQ79
4C066QQ82
(57)【要約】
注射デバイス(1)の細長いハウジング部品(100)であって、細長いハウジング部品(100)は: - 第1の長手方向端部(102)と、中間セクション(103)と、第1の長手方向端部(102)とは反対側の第2の長手方向端部(104)とを含む本体(101)であって、ここで、中間セクション(103)は、第1の長手方向端部(102)と第2の長手方向端部(104)との間に長手方向に位置し、 - 本体(101)は、第1の長手方向端部(102)から第2の長手方向端部(104)まで延び、薬剤容器(6)を収容するようにサイズ決めされる中空内部空間(105)の境界を画す側壁(106)を含む、本体(101)と、 - 中空内部空間(105)内に配置されたときに、薬剤容器(6)の少なくとも一部分の視覚的外観を大きくすることができるように側壁(106)を通って延びる、または側壁(106)に組み込まれる拡大鏡(120)とを含む、細長いハウジング部品。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射デバイス(1)の細長いハウジング部品(100)であって:
第1の長手方向端部(102)と、中間セクション(103)と、第1の長手方向端部(102)とは反対側の第2の長手方向端部(104)とを含む本体(101)を含み、ここで、中間セクション(103)は、第1の長手方向端部(102)と第2の長手方向端部(104)との間に長手方向に位置し、
本体(101)は、第1の長手方向端部(102)から第2の長手方向端部(104)まで延び、薬剤容器(6)を収容するようにサイズ決めされる中空内部空間(105)の境界を画す側壁(106)を含み、
該細長いハウジング部品はさらに、
中空内部空間(105)内に配置されたときに、薬剤容器(6)の少なくとも一部分の視覚的外観を大きくすることができるように側壁(106)を通って延びる、または側壁(106)に組み込まれる拡大鏡(120)を含む、
前記細長いハウジング部品。
【請求項2】
拡大鏡(120)は、側壁(106)から外側に延びる隆起セクション(122)を含む、請求項1に記載の細長いハウジング部品(100)。
【請求項3】
拡大鏡(120)は細長い形状であり、本体(101)の長手方向軸に平行に延びている、請求項1または2に記載の細長いハウジング部品(100)。
【請求項4】
拡大鏡(120)は本体(101)の中間セクション(103)に配置される、請求項1~3のいずれか1項に記載の細長いハウジング部品(100)。
【請求項5】
拡大鏡(120)は本体(101)の中間セクション(103)に沿って延びる、請求項1~4のいずれか1項に記載の細長いハウジング部品(100)。
【請求項6】
中間セクション(103)は第1の外径(D1)を含み、第2の長手方向端部(104)は第2の外径(D2)を含み、第1の外径(D1)は第2の外径(D2)よりも小さい、請求項1~5のいずれか1項に記載の細長いハウジング部品(100)。
【請求項7】
中間セクション(103)は、少なくとも第1の側壁セクション(114)、第2の側壁セクション(116)および第3の側壁セクション(118)が接線方向に沿って相互に隣り合う多角形断面を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の細長いハウジング部品(100)。
【請求項8】
第1の側壁セクション(114)は、第1のリッジ部分(115)に沿って、第1の接線方向に第2の側壁セクション(116)に隣接し、第2の側壁セクション(116)は、第2のリッジ部分(117)に沿って、第1の接線方向に沿って第3の側壁セクション(118)に隣接し、第1の側壁セクション(114)は、第1の接線方向とは反対の第2の接線方向に、第3のリッジ部分(119)に沿って、第3の側壁セクション(118)に隣接している、請求項7に記載の細長いハウジング部品(100)。
【請求項9】
拡大鏡(120)は、第1のリッジ部分(115)と第3のリッジ部分(119)との間の第1の側壁セクション(140)に配置されている、請求項8に記載の細長いハウジング部品(100)。
【請求項10】
少なくとも第1の側壁セクション(114)は、接線方向に沿って見て凸形状を含む、請求項7~9のいずれか1項に記載の細長いハウジング部品(100)。
【請求項11】
本体(101)は、内部空間(105)へのアクセスを提供するために側壁(106)を通って延びる少なくとも1つの貫通口(130、132)を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の細長いハウジング部品(100)。
【請求項12】
本体(101)は、第1の貫通口(130)および第2の貫通口(130’)を含み、第1の貫通口(130)および第2の貫通口(130’)は側壁(106)を通って延び、第1の貫通口(130)は第2の貫通口(130’)と正反対に位置する、請求項11に記載の細長いハウジング部品(100)。
【請求項13】
第2の長手方向端部(104)は、注射デバイス(1)のさらなるハウジング部品(10)の対応するカウンタコネクタ(55)と機械的に連結するように動作可能なコネクタ(150)を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の細長いハウジング部品(100)。
【請求項14】
液体薬剤の用量を注射するための注射デバイス(1)であって:
請求項1~13のいずれか1項に記載の細長いハウジング部品(100)と、該細長いハウジング部品(100)に連結可能なまたは連結されたさらなるハウジング部品(10)とを含むハウジング(50)を含み、該細長いハウジング部品(100)は、少なくとも部分的に液体薬剤が充填された薬剤容器(6)を収容するように構成されており、
第2のハウジング部品(10)は、薬剤容器(6)と係合して、薬剤容器(6)から液体薬剤の用量を排出する、または引き出すように構成された駆動機構(8)を収容するようにサイズ決めまたは構成されている、前記注射デバイス。
【請求項15】
液体薬剤が充填され、ハウジング(50)内に配置されている薬剤容器(6)をさらに含む、請求項14に記載の注射デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、注射デバイスの分野に関し、特に、手持ち式ペン型注射器のような注射デバイスの細長いハウジング部品に関する。さらなる態様において、本開示は、拡大鏡を備えたハウジング部品を含む注射デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
液体薬剤の単回用量または複数回用量を設定し投薬するための薬物送達デバイスは、それ自体が当該技術分野において周知である。一般に、このようなデバイスは、通常のシリンジと実質的に同様の目的を有する。
【0003】
ペン型注射器のような薬物送達デバイスは、複数の使用者固有の要件を満たさなければならない。たとえば、糖尿病のような慢性疾患を患っている患者について、患者は身体が虚弱で、視力が低下していることもある。そのため、特に自宅用医薬品を対象とした適切な薬物送達デバイスは、頑丈な構造である必要があり、使いやすいものでなければならない。さらに、デバイスおよびその部品の操作および一般的な取り扱いは、分かりやすく、容易に理解できるものでなければならない。このような注射デバイスは、可変サイズの薬剤の用量の設定および後の投薬を提供すべきである。さらに、用量設定だけでなく、用量投薬手順も操作しやすく、明確でなければならない。
【0004】
典型的には、このようなデバイスは、投薬される薬剤で少なくとも部分的に充填された、たとえばカートリッジの形態の薬剤容器を受けるように適用されたハウジングまたは特定のカートリッジホルダを含む。このようなデバイスは、駆動機構をさらに含み、通常、カートリッジの栓またはピストンと作動可能に係合する変位可能なピストンロッドを有する。典型的には、駆動機構は、カートリッジの栓またはピストンに投薬圧を加え、それによってピストンまたは栓を遠位方向または投薬方向に変位させて、たとえば注射針を含む穿孔アセンブリを介して、所定の量の薬剤、すなわち用量を排出するように操作可能なピストンロッドを含む。注射針は、たとえば、薬物送達デバイスのハウジングの遠位端に解放可能に連結可能な針ハブの部材であるが、典型的には、カートリッジの内部と流体連通している。
【0005】
薬物送達デバイスによって投薬される薬剤は、複数回用量カートリッジ内に提供され、含まれる。このようなカートリッジは、典型的には、穿孔可能なシールによって遠位方向が封止され、さらに栓またはピストンによって近位方向が封止されたガラス製バレルを含む。再利用可能な薬物送達デバイスでは、空のカートリッジは新しいものと交換可能である。これとは対照的に、使い捨てタイプの薬物送達デバイスは、カートリッジ内の薬剤が投薬されるか、または使い切られると丸ごと廃棄される。
【0006】
カートリッジなどの薬剤容器を収容する形状および大きさの細長いハウジング部品は、ハウジングの外側から薬剤容器の内容物を視覚的に検査することができる透明または半透明のセクションを含んでいてもよい。薬剤容器は、典型的には、たとえば薬剤の名称、種類、濃度および/または消費期限などの薬剤関連情報を示すラベルなどの視覚情報が付与される。特に、10ml、5ml、3ml、1.5mlまたはそれ未満のような比較的小さな充填容積を有する薬剤容器では、薬剤容器の外面は、それぞれの情報を視覚的に表示するために限られた空間しか提供していない。したがって、視覚情報の大きさはかなり小さく、読みにくいことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような観点から、本開示の目的は、薬剤容器に付与される情報の見やすさを改善することである。見やすさは、少なくとも、薬剤容器がそれぞれの注射デバイスのハウジング内に配置される場合に改善されるべきである。見やすさに関する改善は、既存の注射デバイスの最小限の変更のみを伴うべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様によれば、本開示は、注射デバイスの細長いハウジング部品に関する。細長いハウジング部品は、本体を含む。本体は、第1の長手方向端部と、中間セクションと、第2の長手方向端部とを含む。したがって、本体は細長い本体であり、第1の長手方向端部は遠位端であり、第2の長手方向端部は近位端である。第2の長手方向端部は、第1の長手方向端部の反対側に位置する。中間セクションは、第1の長手方向端部と第2の長手方向端部との間に長手方向に位置する。
【0009】
本体は、第1の長手方向端部から第2の長手方向端部まで延びる側壁を含む。側壁は、本体の中空内部空間の境界を画す。中空内部空間は、たとえば液体薬剤が充填された管状バレルなどの薬剤容器を収容できるようにサイズ決めされる。
【0010】
細長いハウジング部品は、側壁を通って延びているか、または側壁に一体化された拡大鏡をさらに含む。拡大鏡は、本体の中空内部空間内に配置されたときに、薬剤容器の少なくとも一部分の視覚的外観を大きくすることができるように動作可能である。拡大鏡は、本体内部に配置されたとき、および細長いハウジング部品の外側から見たときに、薬剤容器の一部分の視覚的外観を大きくするように構成および成形されている。その限りにおいて、拡大鏡は、可視スペクトル範囲の電磁放射線を透過させる。側壁も透過性であってもよい。
【0011】
拡大鏡および側壁は同じ材料から作ることができる。いくつかの例では、拡大鏡および側壁は一体成形されている。拡大鏡および側壁は一体形成することができる。その限りにおいて、拡大鏡は側壁に一体化することができ、したがって細長いハウジング部品の本体に一体化することができる。拡大鏡は、本体に不動であるように固定されるか、または本体に一体化される。拡大鏡は、細長いハウジング部品の本体の側壁の一部分を形成または構成することができる。他の例では、拡大鏡および側壁は同じ、または異なる材料から作られ、一緒に組み立てられる別個の部材または部品を形成してもよい。ここで、拡大鏡は、側壁の相補的な形状の凹部または貫通口に挿入されるように成形および構成された挿入部を含むか、または構成することができる。拡大鏡は、側壁の内部、側壁上、または側壁に交換可能であるように、または互換性があるように配置される。
【0012】
いくつかの例では、細長いハウジング部品は射出成形可能なプラスチック材料で作られている。典型的には、プラスチック材料は透明なプラスチック材料である。射出成形可能なプラスチック材料は、拡大鏡を細長いハウジング部品の側壁に容易に組み込むのに有益である。拡大鏡および側壁は一体形成することができる。
【0013】
いくつかの例では、拡大鏡は、側壁から半径方向に突出している。拡大鏡は、側壁から半径方向外側に突出していてもよい。他の例では、拡大鏡の外面および側壁の外面は、細長い本体の長手方向、接線方向、または円周方向から見て、相互に位置合わせする、または面一である。
【0014】
側壁の領域に拡大鏡を設けることにより、細長いハウジング部品の内部に配置されたときに、たとえば、薬剤容器の外面または内面に設けられたラベルの見やすさを向上させることができる。典型的には、ラベルは、薬剤容器内に配置された薬剤に関連する情報を備えることができる。したがって、ラベルは、数字、記号またはテキストなどの印刷情報を含んでいてもよい。
【0015】
他の例では、薬剤容器の外面または内面は、たとえば、薬剤容器が細長いハウジング部品内に配置されたときに長手方向に沿って延びる目盛りを備えていてもよい。目盛りは、薬剤容器内に含まれる液体薬剤の充填レベルを視覚的に調べることができる数字または記号を備えることができる。いずれにせよ、細長いハウジング部品の拡大鏡を通して見たとき、薬剤容器、またはその内部に設けられたラベルおよび/または目盛りのいずれかが、外から容易に識別可能および/または視認可能になる。このようにして、注射デバイスを使用する最終使用者の患者安全性を高めることができる。また、薬剤容器に示される情報の見やすさを向上させることができる。
【0016】
典型的には、拡大鏡は光学拡大鏡である。拡大鏡は、拡大レンズのような光学的な拡大効果を提供するように成形および構成されている。その限りにおいて、拡大鏡は凸形状であってもよく、かつ/または凸状断面を含んでいてもよい。
【0017】
いくつかの例では、細長いハウジング部品は、ペン型注射デバイスのカートリッジホルダである。注射デバイスは、手持ち式注射デバイスとして実現される。細長いハウジング部品は、たとえば、注射デバイスの本体と表記される注射デバイスの近位ハウジング部品に連結可能、たとえば、解放不能または解放可能に連結可能である。典型的には、細長いハウジング部品の第2の長手方向端部は、注射デバイスのさらなるハウジング部品、たとえば近位ハウジング部品に連結可能であるが、細長いハウジング部品は遠位ハウジング部品を形成または構成する。いくつかの例では、細長いハウジング部品の本体の第1の長手方向端部は、細長いハウジング部品の遠位端を形成または構成するだけでなく、注射デバイスの遠位端を形成または構成する。
【0018】
したがって、細長いハウジング部品は、注射デバイスの遠位ハウジング部品として実現される。細長いハウジング部品は、本体の近位長手方向端部に設けられた近位連結端部を含んでいてもよい。注射デバイスのさらなるハウジング部品は、近位ハウジング部品して実現される。さらなるハウジング部品は、遠位長手方向端部に設けられた遠位連結端部を含んでいてもよい。典型的には、細長いハウジング部品は、その近位連結端部を、さらなるハウジング部品の遠位連結端部に連結可能である。その限りにおいて、相互に組み立てられたとき、第1のハウジング部品は、さらなるハウジング部品から遠位方向に突出する長手方向の延長部または伸長部を形成または構成することができる。
【0019】
本体の第1の長手方向端部は、注射針と係合するように構成および成形されている。典型的には、注射針は、細長いハウジング部品の本体の第1の長手方向端部に解放可能に連結するための針ハブを含む。典型的には、本体の第1の長手方向端部は、針アセンブリの注射針の近位方向に延びる先端を受けるように構成および成形された遠位端面の貫通口を含む。本体内部に配置された薬剤容器は、針アセンブリが本体の第1の長手方向端部に取り付けられたときに、針アセンブリの両頭針の近位端によって穿孔および/または貫通される遠位端において、穿孔可能なシールを含むことができる。
【0020】
さらなる例によれば、拡大鏡は、側壁から外側に延びる隆起セクションを含む。拡大鏡の外側に延びる隆起セクションは、中空内部空間内に位置する物品、たとえば薬剤容器の視覚的または光学的拡大度を向上させる。
【0021】
さらなる例によれば、拡大鏡は細長い形状であり、本体の長手方向軸に平行に延びている。拡大鏡は、長手方向から見て一定の、したがって変化しない断面を含むことができる。拡大鏡の細長い形状は、中空内部空間内に配置されたとき、薬剤容器の細長いセクションを視覚的に拡大させる。このことは、たとえば、薬剤容器の長手方向に形成されたバレルまたはラベルに、薬剤の名称または何らかの他の種類の情報が長手方向に沿って印刷される場合に、特に有益である。このようにして、薬剤容器が細長いハウジング部品の本体の中空内部空間内に配置されたときに、薬剤容器に沿って延びている少なくとも細長い縞が、細長い拡大鏡によってやや均一に視覚的に拡大される。
【0022】
さらなる例によれば、拡大鏡は本体の中間セクションに配置される。拡大鏡は、第1の長手方向端部と第2の長手方向端部との間の所定の長手方向位置に配置される。他の例では、拡大鏡は第1の長手方向端部および第2の長手方向端部のうちの一方に配置される。さらなる例では、細長いハウジング部品の本体の側壁に互いから距離を置いて配置された少なくとも第1の拡大鏡および第2の拡大鏡が提供される。第1の拡大鏡および第2の拡大鏡は、互いから長手方向にオフセットして、かつ/または円周方向にオフセットして配置される。このようにして、薬剤容器が中空内部空間内に配置されたときに、薬剤容器の様々なセクションが視覚的に拡大される。
【0023】
別の例によれば、拡大鏡は本体の中間セクションに沿って延びている。拡大鏡は全体的に中間セクションに沿って延びていてもよい。拡大鏡は、本体の第1の長手方向端部と第2の長手方向端部との間で途切れずに延びていてもよい。典型的には、拡大鏡は、本体の円筒形状の中間セクションに沿って延びており、この中間セクションは、中空内部空間に挿入されるように構成された薬剤容器のバレルの円筒形または管状の部分を収容するように構成および成形されている。このような細長い長手方向に延びる拡大鏡により、薬剤容器のそれぞれの細長い部分またはセクションは、細長いハウジング部品の外側から拡大して視覚的に検査することができる。
【0024】
第1の長手方向端部および/もしくは第2の長手方向端部において、またはその近傍において、本体は、中間セクションの直径または断面とは異なる直径または断面を含むことができる。典型的には、中間セクションは、長手方向に見て一定の直径の本体の部分である。第1の長手方向端部に向かって、中間セクションは、本体の半径方向内側に延びる肩部分に隣接していてもよい。第2の近位端に向かって、中間セクションは、本体の近位コネクタまたは連結部分に隣接していてもよく、この近位コネクタまたは連結部分は、注射デバイスのさらなるハウジング部品の対応する形状のコネクタと機械的に係合するように成形および構成されている。
【0025】
さらなる例によれば、中間セクションは第1の外径を含み、第2の長手方向端部は第2の外径を含む。第1の外径は第2の外径より小さい。いくつかの例では、第1の外径は第3の外径より大きくてもよい。第3の外径は、本体の第1の長手方向端部に設けられる。
【0026】
換言すれば、中間セクションの半径方向の広がり、半径方向の範囲または半径方向の寸法は、本体の第2の長手方向端部の半径方向の範囲または半径方向の広がりと比較して幾分小さい。いくつかの例では、本体の中間セクションは、第2の長手方向端部と比較して半径方向に逓減してもよい。
【0027】
いくつかの例では、第2の長手方向端部は、注射デバイスのさらなるハウジング部品、たとえば近位ハウジング部品の遠位端と係合または連結するように構成された本体の近位端である。ここで、半径方向の直径に関する言及は、半径方向の横断面における断面にも同様に当てはまることに留意すべきである。
【0028】
本体の第2の長手方向端部と比較して中間セクションの直径または横断面を小さくすることにより、特にデバイスが使用されていないときに、側壁の中間セクションの外面と、細長いハウジング部品の少なくとも一部分を覆うように構成された注射デバイスの保護キャップの内面との間に自由空間が与えられる。このようにして、保護キャップの内径と比較して中間セクションの半径方向の範囲または半径方向の断面を縮小することによって、拡大鏡が中間セクションの側壁から半径方向外側に、たとえば隆起セクションの形で延びるのに十分な空間が与えられる。
【0029】
少なくとも拡大鏡が配置される領域において中間セクションの直径または半径方向断面を縮小することによって、細長いハウジング部品のそれぞれの部分をペンキャップなどの保護キャップで覆うことが可能になり、そのような利点が得られる。典型的には、少なくとも1つの拡大鏡を備える本体の側壁の中間セクションまたは任意の他のセクションの半径方向のサイズ縮小は、細長いハウジング部品の本体のそれぞれの側壁または側壁セクションから外側に延びる拡大鏡の隆起セクションの半径方向の範囲以上である。
【0030】
このようにして、注射デバイス、たとえば保護キャップの既存の外観デザインを維持することができ、細長いハウジング部品を覆う、かつ/または受けるように構成された既存の保護キャップを、拡大鏡を特徴とする本明細書中に開示されている細長いハウジング部品とともに使用することもできる。
【0031】
さらなる例によれば、中間セクションは、少なくとも第1の側壁セクション、第2の側壁セクションおよび第3の側壁セクションが接線方向に沿って相互に隣り合う多角形断面を含む。第1の側壁セクション、第2の側壁セクションおよび第3の側壁セクションは、それぞれやや平面状の側壁セクションを含んでいてもよい。他の例では、第1の側壁セクション、第2側壁セクションおよび/または第3の側壁セクションはそれぞれ、細長いハウジング部品の円周方向または接線方向で見たときに、わずかに曲がった、またはアーチ状の構造を含んでいてもよい。
【0032】
第1の側壁セクション、第2の側壁セクションおよび第3の側壁セクションは、少なくとも本体の外部から見て、細長いハウジング部品のやや三角形の断面に一致してもよい。その限りにおいて、第1の側壁セクション、第2の側壁セクションおよび第3の側壁セクションのそれぞれの厚さは、接線方向で見て変化してもよい。典型的には、長手方向から見て、第1の側壁セクション、第2の側壁セクションおよび第3の側壁セクションは、不変の厚さを含む。
【0033】
中間セクションが少なくとも第1の側壁セクション、第2の側壁セクションおよび第3の側壁セクションから構成されることにより、中間セクションの外周寸法、特に外径寸法は、管状の中間セクションと比較して縮小することができる。これにより、第1の側壁セクション、第2の側壁セクションおよび第3の側壁セクションのうちの少なくとも1つから半径方向外側に延びる拡大鏡に十分な構成用スペースが与えられる。
【0034】
原則的には、第1の側壁セクション、第2の側壁セクションおよび第3の側壁セクションの各々が、たとえば、本体の中間セクションの第1の側壁セクション、第2の側壁セクションおよび第3の側壁セクションの長手方向の範囲全体に沿って延びる、それ自身の拡大鏡を備えることが可能である。いくつかの例では、第1の側壁セクション、第2の側壁セクションおよび第3の側壁セクションのうちの1つだけが拡大鏡を備えていれば十分であろう。
【0035】
別の例によれば、第1の側壁セクションは、第1のリッジ部分に沿って、または第1のリッジ部分を挟んで、第1の接線方向に第2の側壁セクションに隣接している。第2の側壁セクションは、第2のリッジ部分に沿って、または第2のリッジ部分を挟んで、第1の接線方向に沿って第3の側壁セクションに隣接している。さらに、第1の側壁セクションは、第1の接線方向とは反対の第2の接線方向に、第3のリッジ部分に沿って、または第3のリッジ部分を挟んで第3の側壁セクションに隣接している。換言すれば、第3の側壁セクションは、第3のリッジ部分に沿って第1の側壁セクションに対して第1の接線方向に沿って隣接している。
【0036】
側壁セクションは、それぞれのリッジ部分によって接線方向に境界を画されている。側壁セクションおよびリッジ部分は、長手方向に連続的かつ一貫して延びることができる。このようにして、第1の側壁セクション、第2の側壁セクションおよび第3の側壁セクションならびに第1のリッジ部分、第2のリッジ部分および第3のリッジ部分を有する中間セクションは、長手方向で見て、連続した一定の断面形状を含む。
【0037】
典型的には、中間セクションの隣接して位置する側壁セクション間に延びるリッジ部分は、リッジ部分から接線方向にオフセットされた部分において、それぞれの側壁セクションの半径方向の壁厚よりも大きい半径方向の壁厚を含むか、または構成する。このようにして、第1のリッジ部分、第2のリッジ部分および第3のリッジ部分は、側壁セクションに剛化効果を与える。第1の側壁セクション、第2の側壁セクションおよび/または第3の側壁セクションは、リッジ部分から最も離れた領域、たとえば円周方向に隣接するリッジ部分の中間において、最小の半径方向の厚さを含む。
【0038】
このようにして、第1の側壁部分、第2の側壁部分および第3の側壁部分によって半径方向および接線方向または円周方向に境界を画された中空内部空間は、管状形状の内面を有するやや管状形状を含むことができる。このようにして、やや管状形状の薬剤容器、たとえば管状形状のバレルを有する薬剤容器は、細長いハウジング部品内に容易かつ円滑に挿入することができる。
【0039】
さらなる例によれば、拡大鏡または少なくとも1つの拡大鏡は、第1のリッジ部分と第3のリッジ部分との間の第1の側壁セクションに配置される。典型的には、拡大鏡は、第1の側壁セクションの第1のリッジ部分と第3のリッジ部分との接線方向中間に配置される。上述したように、拡大鏡は第1の側壁セクションと一体形成される。これは、第1の側壁セクションの残りの部分から半径方向外側に延びる隆起セクションを含んでいてもよい。
【0040】
拡大鏡を第1のリッジ部分および第3のリッジ部分から距離を置いて、第1のリッジ部分と第3のリッジ部分との間に設けることによって、拡大鏡の隆起セクションの外面が、第1のリッジ部分、第2のリッジ部分および第3のリッジ部分の半径方向位置と一致する仮想上の管状形状のシェルの半径方向内側になお位置するように、拡大鏡の半径方向外側に隆起した部分を設けることができる。
【0041】
事実上、第1のリッジ部分、第2のリッジ部分および第3のリッジ部分は、仮想の三角形の角に配置され、これらの角は、細長いハウジング部品を覆うように構成された注射デバイスの保護キャップの内径に対応する仮想の円、楕円またはリムに位置する。
【0042】
別の例によれば、少なくとも第1の側壁セクションは、本体の接線方向または円周方向に沿って見て凸形状を含む。このようにして、側壁セクション自体が、少なくともある程度の視覚的または光学的な拡大を既に提供していてもよい。第1の側壁セクションに設けられた、または第1の側壁セクションを通って延びる拡大鏡は、視覚的にさらに拡大を増加させることができる。第1の側壁セクションの凸形状は、細長いハウジング部品の魅力的な美的デザインを提供することができる。
【0043】
いくつかの例でも、第2の側壁セクションおよび/または第3の側壁セクションは、接線方向に沿って見たときに凸形状を含む。さらに、第1の側壁セクション、第2の側壁セクションおよび第3の側壁セクションの間に延びるそれぞれのリッジ部分は、接線方向で見て、やや丸みを帯びた形状を含み、したがって、細長いハウジング部品の魅力的な外観デザインを提供することができる。
【0044】
さらなる例によれば、本体は、内部空間へのアクセスを提供するために、側壁を通って延びる少なくとも1つの貫通口を含む。貫通口は、典型的には、使用者の少なくとも指先を受けるようにサイズ決めされる。このようにして、使用者は、薬剤容器が中空内部空間内に配置されているとき、薬剤容器に少なくともわずかに接触することができる。拡大鏡は典型的には、細長いハウジング部品の本体の明確な、または所定の接線位置に設けられるため、本体の拡大鏡と薬剤容器の拡大される部分とが半径方向に重なるように、中空内部空間内でたとえば管状形状の薬剤容器を回転させることが必要な場合がある。
【0045】
典型的な例では、薬剤容器は、薬剤容器の特定の接線部分に視覚情報を特徴とするラベルを備えた細長い、たとえば管状形状のバレルを含む。しかし、薬剤容器は、その主軸または中心軸に関して円対称であってもよい。したがって、薬剤容器に設けられたラベルまたはそれぞれの情報を、細長いハウジング部品の拡大鏡と重なる構成にするために、ハウジング部品に対して薬剤容器をその長手方向軸に対して回転させる必要があることがある。
【0046】
本体の側壁を通って延びる少なくとも1つの貫通口を設けることによって、たとえば、使用者の指先が薬剤容器の外面にそれぞれのトルクまたは運動量を誘導するためのそれぞれのアクセスが提供され、それにより、細長いハウジング部品の本体に対する薬剤容器のそれぞれの回転が誘発される。
【0047】
さらなる例によれば、本体は第1の貫通口および第2の貫通口を含む。第1の貫通口および第2の貫通口は両方とも側壁を通って延びている。典型的には、第1の貫通口は第2の貫通口と反対側、たとえば正反対に位置する。第1の貫通口および第2の貫通口を側壁の対向するセクションに設けることによって、使用者がたとえば親指および人差し指または中指を用いて、本体の中空内部空間内に位置する薬剤容器にトルクまたは角運動量を誘導できるという利点が得られる。
【0048】
一般に、本体の側壁を貫通して延びる少なくとも1つの貫通口を設けることにより、本体の内側に配置された薬剤容器を本体の外側から回転させるように、本体の外側から本体の内部に角運動量またはトルクを伝達することができる。
【0049】
別の例によれば、本体の第2の長手方向端部は、注射デバイスの別の、またはさらなるハウジング部品の対応するカウンタコネクタと機械的に連結するように動作可能なコネクタを含む。典型的には、注射デバイスのさらなるハウジング部品は、たとえば、本明細書中に記載する細長いハウジング部品内に配置された薬剤容器と動作可能に係合する駆動機構を受けるか、または収容するように構成された、注射デバイスの本体を含む、または本体に一致する。
【0050】
いくつかの例では、細長いハウジング部品は、薬剤容器を形成または構成するカートリッジを受けるように構成されたカートリッジホルダを含む、または形成している。カートリッジは、典型的には、液体薬剤が充填された管状形状のバレルを含む。バレルは、バレル内に変位可能に配置された栓または止め具によって近位方向に封止することができる。バレルの遠位端は、穿孔可能なシール、たとえばセプタムによって封止することができる。典型的には、本体の第1の長手方向端部は、針アセンブリまたは針ハブなどの穿孔アセンブリに連結可能、たとえば解放可能に連結可能である。
【0051】
第2の長手方向端部、たとえば細長いハウジングのコネクタは、さらなるハウジング部品に解放不能に連結するように構成することができる。すると、細長いハウジング部品は、たとえば、薬剤容器内に提供された薬剤を使い切ったときに、丸ごと廃棄されるように構成または意図されている、使い捨て注射デバイスのハウジング部品として設計および構成されている。
【0052】
他の例では、細長いハウジング部品は、再利用可能な注射デバイスのハウジング部品である。ここで、細長いハウジング部品の第2の長手方向端部に設けられたコネクタは、注射デバイスのさらなるハウジング部品に解放可能に連結するように構成されている。このようにして、薬剤容器の内容物が投薬されるか、または使い切られると、細長いハウジング部品は、さらなるハウジング部品から外すことができ、したがって、薬剤容器を交換することができる。
【0053】
新たな、すなわち充填済みの薬剤容器を細長いハウジング部品に挿入した後、または挿入するときに、薬剤容器は、薬剤容器に設けられたラベルまたは何らかの他のタイプの視覚情報を、細長いハウジング部品の拡大鏡と重なる構成にするように、その長手方向軸を回転軸として回転される。
【0054】
別の態様では、本開示は、液体薬剤の用量を注射するための注射デバイスに関する。注射デバイスは、上述した細長いハウジング部品と、細長いハウジング部品に連結可能な、または連結される別の、またはさらなるハウジング部品とを含むハウジングを含む。細長いハウジング部品は、少なくとも部分的に液体薬剤が充填された薬剤容器を収容するように構成されている。さらなるハウジング部品は、駆動機構を収容するようにサイズ決めおよび/または構成されている。駆動機構は、薬剤容器と係合して、薬剤容器から液体薬剤の用量を排出し、または引き出すように構成されるか、または作動可能でありうる。
【0055】
いくつかの例では、駆動機構は、薬剤容器の栓またはピストンに遠位方向への圧力を印加するように作動可能なピストンロッドを含み、それによって、遠位側に位置する出口から薬剤の用量を排出するために、薬剤容器内の内圧を上昇させる。
【0056】
別の例によれば、注射デバイスは、液体薬剤が充填されている薬剤容器をさらに含む。薬剤容器はハウジング内に配置されている。典型的には、薬剤容器は細長いハウジング部品の内部、たとえばカートリッジホルダの内部に配置されている。いくつかの例では、薬剤容器は、たとえば、バレル内に可動であるように配置されたピストンによって近位長手方向が封止された管状形状のバレルを含むカートリッジである。
【0057】
一般に、本開示の範囲は、特許請求の範囲の内容によって定義される。注射デバイスは、特定の実施形態または実施例に限定されるものではなく、異なる実施形態または実施例の要素の任意の組合せを包含する。その限りにおいて、本開示は、請求項の任意の組合せ、および異なる実施例または実施形態に関連して開示された構成の技術的に実現可能な任意の組合せを網羅している。
【0058】
本明細書において、「遠位」または「遠位端」という用語は、ヒトまたは動物の注射部位の方を向いている注射デバイスの端部に関する。「近位」または「近位端」という用語は、ヒトまたは動物の注射部位から最も離れている注射デバイスの反対側の端部に関する。
【0059】
「薬物」または「薬剤」という用語は、本明細書では同義的に用いられ、1つもしくはそれ以上の活性医薬成分またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物と、場合により薬学的に許容可能な担体と、を含む医薬製剤を記述する。活性医薬成分(「API」)とは、最広義には、ヒトまたは動物に対して生物学的効果を有する化学構造体のことである。薬理学では、薬剤または医薬は、疾患の治療、治癒、予防、または診断に使用されるか、さもなければ身体的または精神的なウェルビーイングを向上させるために使用される。薬物または薬剤は、限定された継続期間で、または慢性障害では定期的に使用可能である。
【0060】
以下に記載されるように、薬物または薬剤は、1つもしくはそれ以上の疾患の治療のために各種タイプの製剤中に少なくとも1つのAPIまたはその組合せを含みうる。APIの例としては、500Da以下の分子量を有する低分子、ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(たとえば、ホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素)、炭水化物および多糖、ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(ネイキッドおよびcDNAを含む)、RNA、アンチセンス核酸たとえばアンチセンスDNAおよびRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドが挙げられうる。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに取り込み可能である。1つまたはそれ以上の薬物の混合物も企図される。
【0061】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスでの使用に適合化された一次パッケージまたは「薬物容器」に包含可能である。薬物容器は、たとえば、1つもしくはそれ以上の薬物の収納(たとえば、短期または長期の収納)に好適なチャンバを提供するように構成されたカートリッジ、シリンジ、リザーバ、または他の硬性もしくは可撓性のベッセルでありうる。たとえば、いくつかの場合には、チャンバは、少なくとも1日間(たとえば、1日間~少なくとも30日間)にわたり薬物を収納するように設計可能である。いくつかの場合には、チャンバは、約1カ月~約2年間にわたり薬物を収納するように設計可能である。収納は、室温(たとえば、約20℃)または冷蔵温度(たとえば、約-4℃~約4℃)で行うことが可能である。いくつかの場合には、薬物容器は、投与される医薬製剤の2つ以上の成分(たとえば、APIと希釈剤、または2つの異なる薬物)を各チャンバに1つずつ個別に収納するように構成されたデュアルチャンバカートリッジでありうるか、またはそれを含みうる。かかる場合には、デュアルチャンバカートリッジの2つのチャンバは、人体もしくは動物体への投薬前および/または投薬中に2つ以上の成分間の混合が可能になるように構成可能である。たとえば、2つのチャンバは、互いに流体連通するように(たとえば、2つのチャンバ間の導管を介して)かつ所望により投薬前にユーザによる2つの成分の混合が可能になるように構成可能である。代替的または追加的に、2つのチャンバは、人体または動物体への成分の投薬時に混合が可能になるように構成可能である。
【0062】
本明細書に記載の薬物送達デバイスに含まれる薬物または薬剤は、多くの異なるタイプの医学的障害の治療および/または予防のために使用可能である。障害の例としては、たとえば、糖尿病または糖尿病に伴う合併症たとえば糖尿病性網膜症、血栓塞栓障害たとえば深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症が挙げられる。障害のさらなる例は、急性冠症候群(ACS)、アンギナ、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、枯草熱、アテローム硬化症および/または関節リウマチである。APIおよび薬物の例は、ローテリステ2014年(Rote Liste 2014)(たとえば、限定されるものではないがメイングループ12(抗糖尿病薬剤)または86(オンコロジー薬剤))やメルク・インデックス第15版(Merck Index,15th edition)などのハンドブックに記載されているものである。
【0063】
1型もしくは2型糖尿病または1型もしくは2型糖尿病に伴う合併症の治療および/または予防のためのAPIの例としては、インスリン、たとえば、ヒトインスリン、もしくはヒトインスリンアナログもしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1アナログもしくはGLP-1レセプターアゴニスト、はそのアナログもしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、またはそれらのいずれかの混合物が挙げられる。本明細書で用いられる場合、「アナログ」および「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドに存在する少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失および/または交換によりおよび/または少なくとも1つのアミノ酸残基の付加により天然に存在するペプチドの構造たとえばヒトインスリンの構造から形式的に誘導可能な分子構造を有するポリペプチドを指す。付加および/または交換アミノ酸残基は、コード可能アミノ酸残基または他の天然に存在する残基または純合成アミノ酸残基のどれかでありうる。インスリンアナログは、「インスリンレセプターリガンド」とも呼ばれる。特に、「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドの構造から形式的に誘導可能な分子構造、たとえば、1つまたはそれ以上の有機置換基(たとえば脂肪酸)がアミノ酸の1つまたはそれ以上に結合したヒトインスリンの分子構造を有するポリペプチドを指す。場合により、天然に存在するペプチドに存在する1つまたはそれ以上のアミノ酸が、欠失し、および/または非コード可能アミノ酸を含めて他のアミノ酸によって置き換えられ、または天然に存在するペプチドに非コード可能なものを含めてアミノ酸が付加される。
【0064】
インスリンアナログの例は、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン(インスリングルリジン);Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン(インスリンリスプロ);Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト);位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaに置き換えられたうえに位置B29のLysがProに置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28~B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0065】
インスリン誘導体の例は、たとえば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン、Lys(B29)(N-テトラデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、レベミル(Levemir)(登録商標));B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン、B29-N-オメガ-カルボキシペンタデカノイル-ガンマ-L-グルタミル-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、トレシーバ(Tresiba)(登録商標));B29-N-(N-リトコリル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリンおよびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0066】
GLP-1、GLP-1アナログおよびGLP-1レセプターアゴニストの例は、たとえば、リキシセナチド(リキスミア(Lyxumia)(登録商標))、エキセナチド(エキセンジン-4、バイエッタ(Byetta)(登録商標)、ビデュリオン(Bydureon)(登録商標)、ヒラモンスターの唾液腺により産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(ビクトーザ(Victoza)(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド(シンクリア(Syncria)(登録商標))、デュラグルチド(トルリシティ(Trulicity)(登録商標))、rエキセンジン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド/HM-11260C(エフペグレナチド)、HM-15211、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9423、NN-9709、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン、ビアドール-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、ZP-DI-70、TT-401(ペガパモドチド(Pegapamodtide))、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、チルゼパチド(LY3298176)、バマドゥチド(Bamadutide)(SAR425899)、エキセナチド-XTENおよびグルカゴン-Xtenである。
【0067】
オリゴヌクレオチドの例は、たとえば、家族性高コレステロール血症の治療のためのコレステロール低下アンチセンス治療剤ミポメルセンナトリウム(キナムロ(Kynamro)(登録商標))、またはアルポート症候群の治療のためのRG012である。
【0068】
DPP4阻害剤の例は、リナグリプチン、ビダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンである。
【0069】
ホルモンの例としては、脳下垂体ホルモンもしくは視床下部ホルモンまたはレギュラトリー活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニスト、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine)(ソマトロピン(Somatropin))、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンが挙げられる。
【0070】
多糖の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンもしくはそれらの誘導体、もしくは硫酸化多糖たとえばポリ硫酸化形の上述した多糖、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例は、エノキサパリンナトリウムである。ヒアルロン酸誘導体の例は、ハイランG-F20(シンビスク(Synvisc)(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムである。
【0071】
本明細書で用いられる「抗体」という用語は、イムノグロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。イムノグロブリン分子の抗原結合部分の例としては、抗原への結合能を保持するF(ab)およびF(ab’)2フラグメントが挙げられる。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、脱免疫化もしくはヒト化抗体、完全ヒト抗体、非ヒト(たとえばネズミ)抗体、または一本鎖抗体でありうる。いくつかの実施形態では、抗体は、エフェクター機能を有するとともに補体を固定可能である。いくつかの実施形態では、抗体は、Fcレセプターへの結合能が低減されているか、または結合能がない。たとえば、抗体は、Fcレセプターへの結合を支援しない、たとえば、Fcレセプター結合領域の突然変異もしくは欠失を有するアイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは突然変異体でありうる。抗体という用語は、4価二重特異的タンデムイムノグロブリン(TBTI)および/またはクロスオーバー結合領域配向を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質(CODV)に基づく抗原結合分子も含む。
【0072】
「フラグメント」または「抗体フラグメント」という用語は、完全長抗体ポリペプチドを含まないが依然として抗原に結合可能な完全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を含む抗体ポリペプチド分子由来のポリペプチド(たとえば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)を指す。抗体フラグメントは、完全長抗体ポリペプチドの切断部分を含みうるが、この用語は、かかる切断フラグメントに限定されるものではない。本発明に有用な抗体フラグメントとしては、たとえば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、線状抗体、単一特異的または多重特異的な抗体フラグメント、たとえば、二重特異的、三重特異的、四重特異的および多重特異的抗体(たとえば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、1価または多価抗体フラグメント、たとえば、2価、3価、4価および多価の抗体、ミニボディ、キレート化組換え抗体、トリボディまたはビボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュール免疫医薬(SMIP)、結合ドメインイムノグロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体が挙げられる。抗原結合抗体フラグメントの追加の例は当技術分野で公知である。
【0073】
「相補性決定領域」または「CDR」という用語は、特異的抗原認識を媒介する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。「フレームワーク領域」という用語は、CDR配列でないかつ抗原結合が可能になるようにCDR配列の適正配置を維持する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、典型的には抗原結合に直接関与しないが、当技術分野で公知のように、ある特定の抗体のフレームワーク領域内のある特定の残基は、抗原結合に直接関与しうるか、またはCDR内の1つもしくはそれ以上のアミノ酸と抗原との相互作用能に影響を及ぼしうる。
【0074】
抗体の例は、抗PCSK-9 mAb(たとえば、アリロクマブ)、抗IL-6 mAb(たとえば、サリルマブ)、および抗IL-4 mAb(たとえば、デュピルマブ)である。
【0075】
本明細書に記載のいずれのAPIの薬学的に許容可能な塩も、薬物送達デバイスで薬物または薬剤に使用することが企図される。薬学的に許容可能な塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。
【0076】
当業者であれば、本明細書に記載されるAPI、処方、装置、方法、システム、および実施形態の種々の構成要素の改変(追加および/または除去)を、そのような改変およびそのあらゆる均等物を包含する本発明の全範囲および趣旨から逸脱することなくなすことができることを理解するであろう。
【0077】
本開示の範囲から逸脱することなく、本開示に対して様々な修正および変形を行うことができることが当業者にとってさらに明らかになるであろう。さらに、添付の特許請求の範囲において使用される任意の参照数字は、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるものではないことに留意されたい。
【0078】
以下、細長いハウジング部品および注射デバイスの多数の例が、図面を参照することによってより詳細に説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【
図1】注射デバイスとして実現される薬物送達デバイスの一例を模式的に示す図である。
【
図2】
図1の薬物送達デバイスの多数の部品を模式的に示す図である。
【
図3】注射デバイスのカートリッジホルダの斜視図を示す図である。
【
図4】遠位端から見た
図3のカートリッジホルダの正面図を示す図である。
【
図5】近位端から見た
図3のカートリッジホルダの正面図を示す図である。
【
図6】
図3のカートリッジホルダの側面図を示す図である。
【
図7】
図3のカートリッジホルダの別の側面図を示す図である。
【
図8】カートリッジ挿入前のカートリッジホルダの別の例を示す図である。
【
図9】カートリッジが中に挿入されている、
図8のカートリッジホルダを示す図である。
【
図10】カートリッジホルダのさらなる例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0080】
薬剤27の用量を投与するための薬物送達デバイス1の一例を
図1および
図2に示す。薬物送達デバイス1は、注射デバイスとして実現される。注射デバイス1は、手持ち式ペン型注射器である。注射デバイス1は、使い捨て注射デバイスとして実現することができる。注射デバイス1は、細長いハウジング部品100の内部に配置された予め充填された薬剤容器6を含んでもよい。
【0081】
注射デバイス1はハウジング50を含む。ハウジング50は、遠位ハウジング部品100および近位ハウジング部品10を含む。図示されているように、両ハウジング部品100、10は、長手方向に沿って延びる細長いハウジング部品として実現されている。ハウジング50が組み立てられると、遠位ハウジング部品100の近位端が近位ハウジング部品10の遠位端に連結される。
【0082】
ここで図示されている例では、細長いハウジング部品100は、カートリッジとして実現された薬剤容器6を受ける、または収容するように構成されたカートリッジホルダ14である。使い捨て注射デバイス1では、カートリッジホルダ14は、さらなるハウジング部品10に取り外し不能に連結される。
【0083】
他の例では、注射デバイス1は再利用可能な注射デバイスであり、カートリッジホルダ14は、空の薬剤容器6を交換するために本体10に取り外し可能に連結される。ハウジング50の遠位端またはその近傍、したがって細長いハウジング部品100またはカートリッジホルダ14の遠位端には、注射針15を取り付けるか、または注射針15と係合するように構成されたソケット28が設けられている。ソケット28は、ねじ山付きソケットとして実現され、注射針15は、ソケット28とねじ係合するように対応するようにねじが切られた針ハブを含むことができる。
【0084】
典型的には、注射針15は、内側針キャップ16によって、また外側針キャップ17および/または注射デバイス1のハウジング50の遠位セクションを囲んで保護するように構成された保護キャップ18によって保護される。典型的には、保護キャップ18は、細長いハウジング部品100を中に受けるように構成されている。近位ハウジング部品10は、
図2に示すように、駆動機構8を収容するように構成された本体または主要ハウジング部材を含み、形成することができる。カートリッジホルダ14は、本体または主要ハウジングに恒久的にまたは解放可能に連結される。
【0085】
薬剤容器6は、バレル25の内側に位置する栓7によって近位方向3が封止されている円筒形または管状形状のバレル25を含む。薬剤容器6には、液体薬剤27が予め充填されている。栓7は、駆動機構8のピストンロッド20を介して、薬剤容器6のバレル25に対して遠位方向2に変位可能である。カートリッジ6の遠位端は、セプタムとして構成され、注射針15の近位方向に向けられた先端によって穿孔可能な穿孔可能シール26によって封止されている。注射針15をカートリッジホルダ14の遠位端に取り付けることにより、カートリッジ6のシール26を貫通し、それによってカートリッジ6の内部への流体移送アクセスが確立される。
【0086】
注射デバイス1が、たとえばヒトインスリンを投与するように構成されている場合、注射デバイス1の近位端にある用量ダイヤル12によって設定された投与量は、いわゆる国際単位(IU)で表示することができ、ここで、1IUは、純粋な結晶インスリンの約45.5μg(1/22mg)の生物学的同等製剤である。用量ダイヤル12は、注射デバイス1のハウジング50の近位端にあるスリーブ形状のノブを構成しうる。
【0087】
図1および
図2にさらに示されるように、ハウジング部品10は、ハウジング部品10の側壁のアパーチャを含みうる投与量窓13を含む。投与量窓13は、使用者が、用量ダイヤル12が回されたときに動くように構成された数字スリーブ80の限られた部分を見ることを可能にする。数字スリーブ80および投与量窓13は、現在設定されている用量の視覚的インジケーションを提供する。用量ダイヤル12は、用量の設定および/または投薬もしくは排出の間に回されるとき、ハウジング部品10に対して螺旋経路を回転しうる。
【0088】
何らかの他のタイプの注射デバイスでは、用量ダイヤル12は、本体10に対して長手方向にロックされる。その場合、用量ダイヤル12は用量を設定するための本体10に対する回転運動に制限される。
【0089】
注射デバイス1は、投与量ノブ12を回すと機械的なクリック音が生じ、使用者に音響フィードバックを与えるように構成される。数字スリーブ80は、インスリンカートリッジ6内のピストンと機械的に相互作用する。針15が患者の皮膚部分に刺さり、トリガ11または注射ボタンが押されると、投与量窓13に表示されたインスリン用量が注射デバイス1から排出される。
【0090】
図示されている実施形態では、インスリン用量の送達中、用量ダイヤル12は、軸方向運動で、すなわち回転することなく、その初期位置まで回されるが、数字スリーブ80は、その初期位置に戻るように、たとえば、ゼロ単位の用量を表示するように回転される。
【0091】
注射デバイス1は、カートリッジ6が空になるか、または注射デバイス1内の薬剤の有効期限(たとえば、初回の使用から28日後)に達するまで、数回の注射プロセスに使用することができる。
【0092】
駆動機構8の一例の少なくともいくつかの部品が、
図2にさらに詳細に示されている。駆動機構8は、機械的に相互作用する多数の部品を含む。ハウジング部品10のフランジ状支持部は、ピストンロッド20のねじ山22とねじ係合するねじ山付き軸方向貫通口を含む。ピストンロッド20の遠位端は支承部21を含み、この支承部21では、押さえ23がピストンロッド20の長手方向軸を回転軸として回転自在である。押さえ23は、カートリッジ6の栓7の近位を向いたスラスト受け面に対して軸方向に当接するように構成されている。投薬動作の間、ピストンロッド20はハウジング50に対して回転し、それによって、ハウジング50に対して、したがってカートリッジ6のバレル25に対して遠位方向に向けられた前進運動が行われる。その結果、カートリッジ6の栓7は、ピストンロッド20とハウジング部品10とのねじ係合により、遠位方向2に明確な距離だけ変位する。
【0093】
ピストンロッド20は、その近位端に第2のねじ山24をさらに備える。遠位ねじ山22および近位ねじ山24は反対側にある。
【0094】
ピストンロッド20を受ける中空内部を有する駆動スリーブ30がさらに提供される。駆動スリーブ30は、ピストンロッド20の近位ねじ山24とねじ係合する雌ねじ山を含む。さらに、駆動スリーブ30は、その遠位端に雄ねじ山セクション31を含む。ねじ山セクション31は、遠位フランジ部分32と、遠位フランジ部分32から所定の軸方向距離に位置する別のフランジ部分33との間に軸方向に境界を画されている。2つのフランジ部分32、33の間には、駆動スリーブ30のねじ山付きセクション31に嵌合する雌ねじ山を有する半円形のナットの形の最終用量リミッタ35が設けられる。
【0095】
最終用量リミッタ35は、ハウジング10の側壁の内側にある相補的な形状の凹部または突起と係合するように、その外周に半径方向凹部または突起をさらに含む。このようにして、最終用量リミッタ35は、ハウジング10にスプライン連結される。連続的な用量設定手順の間、用量増分方向4または時計回り方向への駆動スリーブ30の回転は、駆動スリーブ30に対する最終用量リミッタ35の累積的な軸方向変位をもたらす。フランジ部分33の近位に面する表面と軸方向に当接する環状ばね40がさらに提供される。さらに、管状形状のクラッチ60が設けられている。クラッチ60の第1の端部には、一連の円周方向に向けられた鋸歯が設けられている。クラッチ60の第2の反対側の端部に向かって、半径方向内向きのフランジが配置されている。
【0096】
さらに、用量ダイヤルスリーブまたは数字スリーブ80が提供される。数字スリーブ80は、ハウジング10の半径方向内側に配置される。螺旋状の溝81が数字スリーブ80の外面に設けられている。投与量窓13を通して、数字スリーブ80の外面の一部を見ることができる。本体10は、挿入片62の内側の側壁部分に螺旋状のリブをさらに備えており、この螺旋状のリブは、数字スリーブ80の螺旋状の溝81に着座するようになっている。管状形状の挿入片62は、さらなるハウジング部品10、たとえば本体の近位端に挿入される。あるいは、このような螺旋状のリブは、ハウジング部品10の側壁の内側に直接設けることもできる。挿入片62だけでなく螺旋状のリブは、本体10に回転不能および軸方向に固定されている。数字スリーブ80がハウジング部品10に対して螺旋運動で回転する間の用量設定手順を制限するために、ハウジング部品10に第1の止め具および第2の止め具が設けられる。
【0097】
用量ダイヤルグリップの形態の用量ダイヤル12は、数字スリーブ80の近位端の外面の周りに配置される。用量ダイヤル12の外径は、典型的には、ハウジング部品10の近位端の外径に対応し、一致する。用量ダイヤル12は、その間の相対運動を防止するために、数字スリーブ80に固定される。
【0098】
用量ボタンとも示されるトリガ11は、略T字形である。トリガ11は、注射デバイス10の近位端に設けられる。トリガ11のステム64は、用量ダイヤル12内に延びている。ステム64、ひいてはトリガ11は、数字スリーブ80に対して限定された軸方向運動のために保持される。トリガ11の頭部は、概ね円形である。トリガ側壁またはスカートは、頭部の周辺から延び、さらに、用量ダイヤル12の近位にアクセス可能な環状凹部に着座するように適用されている。
【0099】
用量をダイヤル設定するために、使用者は用量ダイヤル12を回転させる。ばね40がクリッカとしても機能し、クラッチ60が係合している状態で、駆動スリーブ30、ばねまたはクリッカ40、クラッチ60および数字スリーブ80は、用量ダイヤル12とともに回転する。ダイヤル設定される用量の音響および触覚フィードバックは、ばね40およびクラッチ60によって提供される。トルクは、ばね40とクラッチ60との間の鋸歯を通して伝達される。数字スリーブ80の螺旋状の溝81および駆動スリーブ30の螺旋状の溝は同じリードを有する。これにより、数字スリーブ80はハウジング10から延び、駆動スリーブ30は同じ速度でピストンロッド20を進む。移動の限界において、数字スリーブ80の半径方向の止め具は、ハウジング10に設けられた第1の止め具または第2の止め具のいずれかと係合し、第1の意味での回転、たとえば用量増分方向4へのさらなる動きを防止する。ピストンロッド20の回転は、ピストンロッド20における全体の駆動されるねじ山が反対方向であることにより防止される。
【0100】
ハウジング10にキー止めされた最終用量リミッタ35は、駆動スリーブ30の回転によってねじ山セクション31に沿って前進する。最終用量投薬位置に達すると、最終用量リミッタ35の表面に形成された半径方向止め具が、駆動スリーブ30のフランジ部分33の半径方向止め具に当接し、最終用量リミッタ35および駆動スリーブ30の両方がさらに回転するのを防止する。
【0101】
管状形状のクラッチ60の側壁にある可撓性アームなど、少なくとも1つのラチェット機能91を含むラチェット機構90がさらに設けられている。少なくとも1つのラチェット機能91は、たとえば可撓性アームの自由端に設けられた半径方向外向きに延びる突起を含みうる。この突起は、数字スリーブ80の内側の対応する形状のカウンタラチェット構造と係合するように構成されている。数字スリーブ80の内側は、鋸歯形状を特徴とする長手方向に成形された溝または突起を含むことができる。用量のダイヤル設定または設定中、ラチェット機構90は、第2の意味での回転5に沿ってクラッチ60に対する数字スリーブ80の回転を許容および支持し、この回転は、クラッチ60の可撓性アームの規則的なクリックを伴う。第1の意味での回転4に沿って数字スリーブ80に加えられる角運動量は、クラッチ60に不変的に伝達される。ここで、ラチェット機構90の相互に対応するラチェット機能は、数字スリーブ80からクラッチ60へのトルク伝達を提供する。
【0102】
数字スリーブ80、用量ダイヤル12、およびトリガは、ダイヤル延長部材、したがって、用量がダイヤル設定されるときに本体10の近位端から延び始めるか、または変位し始める駆動機構8の部品のアセンブリの一部を形成しうる。用量を投薬する間、したがって、使用者がトリガ11を遠位方向2に押し下げるとき、ダイヤル延長部は、本体10に対して遠位方向に向けられた、したがって、遠位方向2に沿った動きを受ける。このような投薬動作の間、数字スリーブ80は、用量減分方向5、たとえば反時計回りに沿って回転される。上記のような駆動機構は、たとえば、国際公開第2004/078239A1号、国際公開第2004/078240A1号または国際公開第2004/078241A1号においてより詳細に説明されており、これらの全文が参照により本明細書に組み入れられる。
【0103】
上述した排出機構または駆動機構8は、使い捨てまたは再利用可能なペン型注射器に一般的に実装可能な複数の異なる構成の駆動機構のうちの1つの例示に過ぎない。
【0104】
図3~
図7には、細長いハウジング部品100の一例がより詳細に図示されている。細長いハウジング部品100、たとえばカートリッジホルダ14は、細長い本体101を含む。本体101は、第1の長手方向端部102と、中間セクション103と、第2の長手方向端部104とを含む。
【0105】
第1の長手方向端部102は、カートリッジホルダ14の遠位端であり、第2の長手方向端部104は、カートリッジホルダ14の近位端である。本体101は、第1の長手方向端部102から第2の長手方向端部104まで延びる側壁106を含む。側壁106は、中空内部空間105を形成する、またはその境界を画す。中空内部空間105は、薬剤容器6を収容するようにサイズ決めされる。
【0106】
図3~
図7に示されるように、本体101は拡大鏡120を含む。拡大鏡120は側壁106と一体形成されている。他の例では、拡大鏡120は側壁106のそれぞれのアパーチャを通って延びている。拡大鏡120は、本体101の外側から中空内部空間105の視覚的検査を可能にし、かつ/または有効にする。拡大鏡120は隆起セクション122を含む。隆起セクション122、したがって拡大鏡120は、拡大光学レンズを形成する。隆起セクション122は、本体101の側壁106から半径方向外側に隆起している。このようにして、拡大鏡120が半透明または透明な材料、たとえばプラスチック材料で作られているため、たとえば
図8に示されるような視覚情報139を備えた薬剤容器6のラベル138は、中空内部105内に位置しているときに本体101の外側から見えるようになる。
【0107】
ラベル138、ひいては視覚情報139が拡大鏡120と重なると、
図8と
図9との比較から明らかになるように、視覚情報139、ひいてはラベル138の外観139’が拡大され拡張される。
【0108】
図3~
図7に示す実施形態に反して、
図8~
図10に示す細長いハウジング部品100の例は、管状形状の中間セクション103を有する本体101を含む。
図3および
図8の例では、拡大鏡120、特にその半径方向外側に延びる隆起セクション122は、中間セクション103全体に沿って延びている。ここで、拡大鏡120は細長い形状であり、本体101の長手方向軸に平行に延びている。
【0109】
図10に示すさらなる例では、中間セクション103も管状形状である。しかし、そこでは、拡大鏡122は、本体101の第2の長手方向端部104の近傍またはそれに隣接して配置されている。
図10の拡大鏡120の長手方向の範囲は、
図3または
図8の例の拡大鏡120と比較して短い。
図10の例では、薬剤容器6の選択された部分、たとえば近位端セクションのみが拡大される。ここで、それぞれの薬剤容器6のバレル25は、特定の長手方向部分、たとえば細長い、または管状形状の薬剤容器6の所定の長手方向位置において、可視情報139を備えている。
【0110】
薬剤容器6が細長いハウジング部品100の中空内部105内の最終位置に達したとき、ラベル138および/またはその視覚情報139は長手方向に拡大鏡120の位置または長手方向の範囲と重なる。
【0111】
図3~
図10に示すように、本体101は、側壁106を通って延びる少なくとも1つの貫通口130を含む。そこでは、貫通口130は、本体101の逓減するねじ山付きソケット28に設けられている。貫通口130は、注射デバイス1の使用者の少なくとも指先を受けるようにサイズ決めされている。このようにして、少なくとも1つの貫通口130は、内部空間105へのアクセスを提供する。薬剤容器6が本体101内に組み立てられた状態で、使用者は少なくとも薬剤容器6の側壁の外面にアクセスできるようになり、本体101に対して本体101の外側から薬剤容器6に角運動量またはトルクを誘発することが可能になる。
【0112】
このようにして、使用者は、細長いハウジング部品100の近位端104が近位ハウジング部品10に取り付けられているときでも、中空内部空間105内の薬剤容器6の角度位置または角度方向を変更できるようになる。本体101に対して薬剤容器6を回転させることにより、ラベル138および/または視覚情報139は、拡大鏡120と半径方向に重なる構成をとることができる。
【0113】
図7の側面図から明らかになるように、本体101の側壁106は、第1の貫通口130および第2の貫通口130’を含む。第1の貫通口130、および第2の貫通口130’は、半径方向に、したがって正反対の位置に配置されている。これにより、半径方向の反対側の位置から内部空間105にアクセスすることができる。このようにして、使用者は、本体101の内部に組み立てられたときに薬剤容器6に、親指と、人差し指または中指の少なくとも一方とを用いて角運動量またはトルクを与えることができる。
【0114】
図6にさらに示すように、貫通口132は、他の場所、たとえば側壁106の任意の長手方向位置、たとえば中間セクション103またはその中に設けられる。
【0115】
図3~
図7に示す例では、細長いハウジング部品100は、近位ハウジング部品10との解放可能な連結が意図されている。ここで、第2の長手方向端部104は、
図2に示すように、注射デバイス1の近位ハウジング部品10の対応するカウンタコネクタ55と機械的に連結するように動作可能または構成されたコネクタ150を含む。コネクタ150およびカウンタコネクタ55のうちの少なくとも一方は、コネクタ150およびカウンタコネクタ55の他方の相補的な形状のレセプタクル52に受けられるように構成された挿入セクション152を含む。したがって、細長いハウジング部品100および近位ハウジング部品10のうちの一方は、細長いハウジング部品100および近位ハウジング部品10のうちの他方の相補的な形状のレセプタクル内に長手方向に挿入されるように成形および構成された挿入セクション152を含む。
【0116】
図示されているように、近位ハウジング部品10のカウンタコネクタ55は、細長いハウジング部品104の近位端104を形成する挿入セクション152を受けるように構成されたレセプタクル52を含む。挿入セクション152の外面には、たとえば、挿入セクション152の側壁から半径方向外側に突出する半径方向突起として実現された多数の締結機能114が設けられている。近位ハウジング部品10の側壁56のレセプタクル52の内側には、たとえばスナップ嵌めを形成するため、または締結機能114とねじ係合するための、対応する形状の凹部が設けられている。挿入セクション152およびレセプタクル52は、バヨネット継手によって係合することができる。
【0117】
レセプタクル52への挿入セクション152の挿入動作は、本体101の半径方向外側に突出したフランジ110によって区切られる。フランジ110は、挿入セクション152の遠位端で半径方向外側に突出している。フランジ110は、挿入セクション152の長手方向の範囲の境界を画す。フランジ110は、近位ハウジング部品10の側壁56の対応する形状の遠位を向いている当接面51と長手方向に当接するための、近位を向いている当接面111を含む。
【0118】
フランジ110は、遠位を向く当接面19をさらに含む。遠位を向く当接面19は、ハウジング50に組み立てられたときに保護キャップ18の近位端面と当接するように構成され、それによって、細長いハウジング部品100またはカートリッジホルダ14の少なくとも一部を覆う。
【0119】
フランジ110の軸方向または長手方向に隣接して、本体101は、管状形状の環状リム134を含む。環状リム134は、保護キャップ18の近位端の内面との形状嵌め、または摩擦嵌め合いによる係合を提供することができる。リム134には、少なくとも1つの突起112が設けられている。突起112は、たとえば、保護キャップ18の内面に対応する形状の凹部構造とのスナップ嵌め係合を形成することができる。
【0120】
図6に示すように、正反対に配置された突起112が設けられ、これにより、遠位ハウジング部品100と保護キャップ18との間の機械的係合をさらに改善することができる。
【0121】
図3に示す例では、本体101の側壁106の中間セクション103は多角形状である。中間セクション103は、第1の側壁セクション114、第2の側壁セクション116および第3の側壁セクション118を含む。円周方向または接線方向で見て、第1の側壁セクション114は、第1のリッジ部分115を介して、または第1のリッジ部分115を挟んで、第2の側壁セクション116に隣接している。第2の側壁セクションは、それぞれの接線方向に沿って、第2のリッジ部分117を挟んで、または第2のリッジ部分117を介して、第3の側壁セクション118に隣接している。最後に、第3の側壁セクションは、第3のリッジ部分119に沿って、第3のリッジ部分119を挟んで、または第3のリッジ部分119を介して、第1の側壁セクション114と接線方向に隣接している。
【0122】
リッジ部分115、117、119の頂部、およびそれぞれのリッジ部分115、117、119の頂部のそれぞれの外面は、リム134の半径方向外側の位置と一致しうる。したがって、長手方向で見て、リッジ部分115、117、119の半径方向外側は、リム134の外面と位置合わせしうる。このようにして、カートリッジホルダ14を保護キャップ18のカップ状レセプタクル内に挿入するとき、保護キャップ18の近位部分がリム134と滑らかに係合するまで、保護キャップ18の内面がリッジ部分115、117、119上を摺動することができる。
【0123】
リッジ部分115、117、119の間に円周方向に位置する側壁セクション114、116、118は、リム138の仮想円周から幾分半径方向に凹んでいる。このようにして、半径方向外側に隆起したセクション122は、
図3および
図4に示すように、第1の側壁セクション114から半径方向外側に突出することが可能になる。半径方向外側に隆起したセクション122の外面は、依然として、リム134の仮想の管状形状の長手方向延長部の半径方向内側に位置している。このようにして、拡大鏡120の半径方向外側に隆起したセクション122は、遠位ハウジング部品100への保護キャップ18の組み付けを妨げない。
【0124】
図5にさらに示すように、中間セクション103は、第1の外径D1、すなわち、それぞれの第1の外周または断面を含む。第2の長手方向端部104またはリム134は、第2の外径D2、すなわちそれぞれの第2の断面外周を含む。第1の外径D1は第2の外径D2よりも小さい。このようにして、中間セクションには、拡大鏡120の半径方向外側に隆起するセクションのための十分な空間が与えられる。
【符号の説明】
【0125】
1 注射デバイス
2 遠位方向
3 近位方向
4 用量増分方向
5 用量減分方向
6 薬剤容器
7 栓
8 駆動機構
10 ハウジング
11 トリガ
12 用量ダイヤル
13 投与量窓
14 カートリッジホルダ
15 注射針
16 内側針キャップ
17 外側針キャップ
18 保護キャップ
19 当接面
20 ピストンロッド
21 支承部
22 第1のねじ山
23 押さえ
24 第2のねじ山
25 バレル
26 シール
27 薬剤
28 ねじ山付きソケット
30 駆動スリーブ
31 ねじ山付きセクション
32 フランジ
33 フランジ
35 最終用量リミッタ
40 ばね
50 ハウジング
51 当接面
52 レセプタクル
55 カウンタコネクタ
56 側壁
60 クラッチ
62 挿入片
64 ステム
80 数字スリーブ
81 溝
90 ラチェット機構
91 ラチェット機能
100 ハウジング部品
101 本体
102 長手方向端部
103 中間セクション
104 長手方向端部
105 内部空間
106 側壁
110 フランジ
111 当接面
112 突起
114 締結機能
115 リッジ部分
116 側壁セクション
117 リッジ部分
118 側壁セクション
119 リッジ部分
120 拡大鏡
122 隆起セクション
130 貫通口
132 貫通口
134 リム
138 ラベル
139 視覚的情報
150 コネクタ
152 挿入セクション
【国際調査報告】