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特表2024-501969集積回路を製造するための方法とシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】集積回路を製造するための方法とシステム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20240110BHJP
   G03F 9/00 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H01L21/66 J
G03F9/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539066
(86)(22)【出願日】2021-04-19
(85)【翻訳文提出日】2023-06-23
(86)【国際出願番号】 US2021027860
(87)【国際公開番号】W WO2022146471
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】202011612883.3
(32)【優先日】2020-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】17/168,632
(32)【優先日】2021-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プ ハイフェン
(72)【発明者】
【氏名】ズ ニンチー
(72)【発明者】
【氏名】ツォン シェングアン
【テーマコード(参考)】
2H197
4M106
【Fターム(参考)】
2H197AB02
2H197CA09
2H197DA02
2H197EA03
2H197EB23
2H197JA23
4M106AA01
4M106BA02
4M106BA04
4M106CA39
4M106DB01
4M106DB20
4M106DJ07
(57)【要約】
集積回路を製造するための方法は、測定データを第1のウェハ上の第1のグループのオーバレイマークに従って取得することであって、ここで、第1のグループのオーバレイマークが第1のウェハ上の第1の領域に配置されることと、第1のパラメータセットを第1のモデル及び測定データに従って取得することと、第1のパラメータセットを第2のウェハ上の第2の領域に投影して模擬補償データを取得することであって、ここで第2の領域が第1のグループのオーバレイマークの数よりも多い第2のグループのオーバレイマークを含むことと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路を製造するための方法であって、
測定データを、第1のウェハ上の第1のグループのオーバレイマークであって、前記第1のウェハ上の第1の領域に配置される第1のグループのオーバレイマークに従って取得することと、
第1のパラメータセットを第1のモデル及び前記測定データに従って取得することと、 プロセッサを用いて、前記第1のパラメータセットを第2のウェハ上の第2の領域に投影して、模擬補償データを取得することであって、前記第2の領域が前記第1のグループのオーバレイマークの数よりも多い第2のグループのオーバレイマークを含むことと、
を含む、集積回路を製造するための方法。
【請求項2】
前記第1のウェハ上の前記第1の領域を、第1のサブ領域及び第2のサブ領域に分割することと、
前記模擬補償データと第2のモデルに従って、前記第1のサブ領域に関連付けられた第2のパラメータセットを取得することと、
前記模擬補償データと前記第2のモデルに従って、前記第2のサブ領域に関連付けられた第3のパラメータセットを取得することと、
前記第1のサブ領域と前記第2のサブ領域との間のステッチングエラーを、前記第2のパラメータセットと前記第3のパラメータセットに従って較正することと、
前記第1のウェハ上の前記第1の領域のオーバレイエラーを、前記第2のパラメータセットと前記第3のパラメータセットに従って較正することと、
を更に含む、請求項1に記載の集積回路を製造するための方法。
【請求項3】
複数の座標を選択して前記第2のウェハ上の前記第2のグループのオーバレイマークを取得することを更に含む、請求項1に記載の集積回路を製造するための方法。
【請求項4】
前記第1のモデルは、ウェハレベルモデル又は領域レベルモデルの一方である、請求項1に記載の集積回路を製造するための方法。
【請求項5】
前記測定データは、前記第1のグループのオーバレイマークに関連付けられたオフセット量を示す、請求項1に記載の集積回路を製造するための方法。
【請求項6】
前記第1のウェハ上の前記第1の領域と前記第2のウェハ上の前記第2の領域は同じ大きさである、請求項1に記載の集積回路を製造するための方法。
【請求項7】
前記第1のパラメータセットを前記第2のウェハ上の前記第2の領域に投影して、前記模擬補償データを取得することは、
前記第1のウェハ上の前記第1のサブ領域を前記第2のウェハ上の第3のサブ領域に投影することと、
前記第1のウェハ上の前記第2のサブ領域を前記第2のウェハ上の第4のサブ領域に投影することと、
を含む、請求項2に記載の集積回路を製造するための方法。
【請求項8】
前記第1のウェハ上の前記第1のサブ領域と前記第2のウェハ上の前記第3のサブ領域は同じサイズであり、前記第1のウェハ上の前記第2のサブ領域と前記第2のウェハ上の前記第4のサブ領域は同じサイズである、請求項7に記載の集積回路を製造するための方法。
【請求項9】
前記第2のモデルと前記第1のモデルは互換性があり、前記第1のモデルに従って取得されかつ前記第1のサブ領域に関連付けられる第1のグループの補償データと、前記第2のモデルに従って取得されかつ前記第3のサブ領域に関連付けられる第2のグループの補償データとの間の残差は、ゼロである、請求項7に記載の集積回路を製造するための方法。
【請求項10】
前記第2のモデルは、領域内モデルである、請求項1に記載の集積回路を製造するための方法。
【請求項11】
前記第2のウェハは仮想ウェハであり、
前記第2のグループのオーバレイマークは、前記第2のウェハ上の前記第3のサブ領域に配置された第1のオーバレイマークと、前記第2のウェハ上の前記第4のサブ領域に配置された第2のオーバレイマークとを含む、
請求項8に記載の集積回路を製造するための方法。
【請求項12】
集積回路を製造するための方法であって、
第1のサブ領域及び第2のサブ領域を第1のウェハ上の第1の領域内に画定することであって、第1のグループのオーバレイマークが前記第1の領域内に配置されることと、
第1のモデルを前記第1のグループのオーバレイマークに関連付けられた測定データに適用して、第1のパラメータセットを取得することと、
プロセッサを用いて、前記第1のパラメータセットを、第2のウェハ上に在る第2の領域であって、前記第1の領域と同じレイアウトを有する第2の領域に投影して、模擬補償データを取得することと、
を含む、集積回路を製造するための方法。
【請求項13】
前記模擬補償データと第2のモデルに従って、前記第1のサブ領域に関連付けられた第2のパラメータセットを取得することと、
前記模擬補償データと前記第2のモデルに従って、前記第2のサブ領域に関連付けられた第3のパラメータセットを取得することと、
前記第1のサブ領域と前記第2のサブ領域との間のステッチングエラーと、前記第1のウェハ上の前記第1の領域のオーバレイエラーとを、前記第2のパラメータセットと前記第3のパラメータセットに従って較正することと、
を更に含む、請求項12に記載の集積回路を製造するための方法。
【請求項14】
前記第2の領域は第2のグループのオーバレイマークを含み、前記第2のグループのオーバレイマークの数は、前記第1のグループのオーバレイマークの数よりも多い、請求項12に記載の集積回路を製造するための方法。
【請求項15】
前記第1のモデルは、ウェハレベルモデル又は領域レベルモデルの一方である、請求項12に記載の集積回路を製造するための方法。
【請求項16】
前記同じレイアウトは、前記第2のウェハ上の前記第2の領域が、前記第1のウェハ上の前記第1のサブ領域及び前記第2のサブ領域にそれぞれ対応する第3のサブ領域及び第4のサブ領域を含むことを示し、前記第2のモデルと前記第1のモデルは互換性があり、その結果、
前記第1のモデルに従って取得され、かつ前記第1のサブ領域に関連付けられる第1のグループの補償データと、前記第2のモデルに従って取得され、かつ前記第3のサブ領域に関連付けられる第2のグループの補償データとの間の残差はゼロであり、
前記第1のモデルに従って取得され、かつ前記第2のサブ領域に関連付けられる第3のグループの補償データと、前記第2のモデルに従って取得され、かつ前記第4のサブ領域に関連付けられる第4のグループの補償データとの間の残差はゼロである、
請求項12に記載の集積回路を製造するための方法。
【請求項17】
前記第1のサブ領域と前記第3のサブ領域は同じ大きさであり、
前記第2のサブ領域と前記第4のサブ領域は同じ大きさである、
請求項16に記載の集積回路を製造するための方法。
【請求項18】
前記第2のグループのオーバレイマークは、前記第2のウェハ上の前記第3のサブ領域に配置された第1のオーバレイマークと、前記第2のウェハ上の前記第4のサブ領域に配置された第2のオーバレイマークとを含む。
請求項17に記載の集積回路を製造するための方法。
【請求項19】
請求項12に記載の方法を実行するように構成された集積回路を製造するためのシステムであって、前記プロセッサ、前記プロセッサに結合されたコンピュータ実行可能命令を格納する非一時的コンピュータ可読媒体、及び前記第1のウェハを支持するように構成されるハンドラを含む、システム。
【請求項20】
集積回路を製造するためのシステムであって、
プロセッサ、
コンピュータ実行可能命令を格納し、前記プロセッサに結合された、非一時的コンピュータ可読媒体、及び、
第1のウェハを支持するように構成されるハンドラ、を含み、
ここで、前記プロセッサは前記コンピュータ実行可能命令を実行して、
測定データを、前記第1のウェハ上の第1のグループのオーバレイマークであって、前記第1のウェハ上の第1の領域に配置される第1のグループのオーバレイマーク、に従って取得し、
第1のパラメータセットを第1のモデル及び前記測定データに従って取得し、
前記第1のパラメータセットを、模擬補償データを取得するために、第2のウェハ上の第2の領域であって、前記第1のグループのオーバレイマークの数よりも多い第2のグループのオーバレイマークを含む第2の領域に投影すること、が可能である、
集積回路を製造するためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、半導体技術の分野に関し、特に、集積回路を製造するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年12月30日に出願された中国特許出願第202011612883.3号に対する優先権を主張し、その開示は参照により本明細書に援用される。
【0003】
フォトリソグラフィは、集積回路製造の分野において重要なプロセスである。フォトリソグラフィのプロセス品質は、集積回路の歩留まり、信頼性、チップ性能、耐用年数などの指標に直接影響する。フォトリソグラフィのプロセス品質における向上は、これらの指標の安定性と密接に関連付けられる。
【0004】
フォトリソグラフィの1つの種類は、フォトリソグラフィ法と呼ばれる。この方法では、フォトマスクを紫外光などの光で照明し、フォトマスク上のパターンを露光によってウェハ上のフォトレジストに転写する。フォトレジストには、紫外線暴露中に化学的変化を受ける1つ以上の成分が含まれる。したがって、フォトレジストに生じる特性変化により、フォトレジストの露光部分又は未露光部分を選択的に除去することができる。このようにして、フォトリソグラフィを介して、フォトマスクからのパターンをフォトレジストに転写し得て、次いでフォトレジストを選択的に除去してパターンを露光する。更に、前述のステップを繰り返して、複数のパターン層を重畳するフォトリソグラフィを実施し得る。
【0005】
半導体プロセス技術の継続的な革新により、複数のパターン層間のオーバレイオフセットをどのように制御するかは、すでに集積回路の歩留まりの重要な要素となっている。オーバレイオフセットを減少する方法は、すでに半導体業界の主要な課題の1つとなっている。別の側面では、フォトマスクサイズの制限のため、ステッチング技術は、電荷結合素子(CCD)及び相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサ(CIS)の製造に広く採用される。ステッチングオフセットを制御する方法は、別の課題である。
【0006】
アナモルフィックレンズは、高開口数の極端紫外光(EUV)フォトリソグラフィ技術に導入され、より高解像度のパターン層を提供する。この技術では、フォトマスク上のパターンを一方向(例えば、X方向)に引き伸ばして変形する必要があり、フォトマスク上の変形されたパターンは繰り返し露光を要し、ステッチング技術を使用してウェハ上にパターン層を形成する。ステッチングオフセットの制御は、更に高開口数のEUVフォトリソグラフィ技術において不可欠である。オーバレイオフセットとステッチングオフセットのキャリブレーションは、フォトリソグラフィにおいて重要な役割を果たす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/0212817号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の実施形態の目的の1つは、ステッチングオフセット及びオーバレイオフセットを較正し、それによってステッチングオフセット及びオーバレイオフセットを効果的に低減するための、集積回路を製造する方法及びシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態は、集積回路を製造するための方法を提供し、測定データを第1のウェハ上の第1のグループのオーバレイマークに従って取得することであって、ここで、第1のグループのオーバレイマークが第1のウェハ上の第1の領域に配置されることと、第1のパラメータセットを第1のモデル及び測定データに従って取得することと、第1のパラメータセットを第2のウェハ上の第2の領域に投影して模擬補償データを取得することであって、ここで第2の領域が第1のグループのオーバレイマークの数よりも多い第2のグループのオーバレイマークを含むことと、を含む。
【0010】
本発明の別の実施形態は、集積回路を製造するための方法を提供し、第1のサブ領域及び第2のサブ領域を第1のウェハ上の第1の領域内に画定することであって、第1のグループのオーバレイマークが第1の領域内に配置されることと、第1のモデルを第1のグループのオーバレイマークに関連付けられた測定データに適用して、第1のパラメータセットを取得することと、第1のパラメータセットを、第2のウェハ上に在る第2の領域であって、第1の領域と同じレイアウトを有する第2の領域に投影して、模擬補償データを取得することと、を含む。
【0011】
本発明の更に別の実施形態は、集積回路を製造するためのシステムを更に提供し、プロセッサ、コンピュータ実行可能命令を格納する不揮発性コンピュータ可読媒体、及びハンドラを含む。コンピュータ実行可能命令を格納する不揮発性コンピュータ可読媒体は、プロセッサに結合される。ハンドラは、ウェハを支持するように構成される。プロセッサは、コンピュータ実行可能命令を実行して、前述の実施形態による集積回路をウェハ上に製造するための方法を実施する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態によるウェハの概略図である。
図2(a)】本発明の一実施形態による第1のウェハ上の領域の概略図である。
図2(b)】本発明の別の実施形態による第1のウェハ上の領域の概略図である。
図3】本発明の一実施形態による、集積回路を製造するための方法のフローチャートである。
図4(a)】本発明の一実施形態による投影動作の概略図である。
図4(b)】本発明の一実施形態による投影動作の概略図である。
図5】本発明の一実施形態による、第1のウェハ上の領域におけるオーバレイオフセットのベクトル図である。
図6図3の動作S10が実行された後に得られる、図5に示すオーバレイオフセットのベクトル図の補償ベクトルの図である。
図7】投影動作S20が実行された後の、図6の補償ベクトルの図の補償ベクトルの図である。
図8(a)】図3に示す方法が実行された後に得られる、オーバレイマークのオフセットベクトルの図である。
図8(b)】図3に示す方法が実行された後に得られる、ステッチングマークのオフセットベクトルの図である。
図9(a)】本発明の比較実施形態による集積回路の製造のための方法のフローチャートである。
図9(b)】図9(a)に示す方法が実行された後に得られる、オーバレイマークのオフセットベクトルの図である。
図9(c)】図9(a)に示す方法が実行された後に得られる、ステッチングマークのオフセットベクトルの図である。
図10】本発明の比較実施形態による、集積回路の製造のための方法のフローチャートである。
図11】本開示による例示的なシステムである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の趣旨をよりよく理解するために、本発明は、本発明のいくつかの好ましい実施形態を参照して以下に更に説明される。
【0014】
以下、本発明の多様な実施形態について詳細に説明する。特定の実装について説明されるが、これらの実装は説明のために使用されることが理解されるべきである。当業者には、他の部材及び構成は、本発明の趣旨及び保護範囲から逸脱することなく使用され得ることが明らかである。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態によるウェハの概略図である。
【0016】
図1は、ウェハW1の概略図である。ウェハW1は、複数の領域10を含み得る。各領域10は、1つの完全な半導体デバイス、例えばチップを含み得る。
【0017】
デバイスは、ウェハW1上の各領域10において、ウェハの基板上に複数の作業手順(限定するものではないが、堆積、エッチング、露光、及び現像を含む)を実行する半導体マシンによって製造され得る。半導体マシンによって実行される各作業手順は、基板上に複数の微細構造層を形成し、最終的に製造が必要なデバイスを形成し得る。
【0018】
製造される半導体デバイスの面積は異なるため、領域10は、半導体マシンによって実行される各作業手順のサイズ制限を超過する場合がある。したがって、いくつかの実施形態では、半導体マシンは、領域10内に複数のサブ領域を画定し得る。作業手順は、領域10内のサブ領域で個別に実行され、最終的に領域10で製造する必要があるデバイスを完成する。
【0019】
いくつかの実施形態では、領域10は、サブ領域10a、10b、10c、10d、10e、10f、10g、10h、及び10iを含み得る。本発明の別のいくつかの実施形態では、サブ領域の数は、実際の必要数に従って決定され得る。例えば、サブ領域の数は9個より多くても、9個より少なくてもよい。
【0020】
図2(a)は、本発明の一実施形態による第1のウェハ上の領域の概略図である。図2(a)に示すように、領域100は、中央領域102と、中央領域102の外側に位置する周縁領域104とに分割される。
【0021】
領域100は、第1のサブ領域106a及び第2のサブ領域106bを含む。第1のサブ領域106a及び第2のサブ領域106bは、中央領域102に位置する。第2のサブ領域106bは、第1のサブ領域106aに隣接する。図2(a)では、第1のサブ領域106aと第2のサブ領域106bは異なるサイズを有する。しかしながら、本発明のいくつかの別の実施形態では、第1のサブ領域106aと第2のサブ領域106bは同じサイズであり得る。
【0022】
複数のオーバレイマーク108は、領域100の周縁領域104に配置されてもよい。オーバレイマーク108を用いて、第1のウェハの現在の層上の特定の領域の位置を、1つ又は2つ前の層上の特定の領域に対して較正し得る。
【0023】
図2(a)では、オーバレイマーク108の数は6個である。しかしながら、本発明のいくつかの別の実施形態では、オーバレイマーク108の数は、実際の必要数に従って決定され得る。例えば、オーバレイマーク108の数は、6個より多くても、6個より少なくてもよい。本発明のいくつかの別の実施形態では、オーバレイマーク108は、周縁領域104の別の位置に配置されてもよい。更に、オーバレイマーク108は、周縁領域104に配置されることに限定されない。本発明のいくつかの別の実施形態では、オーバレイマーク108は領域100内の任意の位置に配置され得る。
【0024】
第1のサブ領域106aのサイズは、半導体マシン(例えば、アライナ)の露光サイズ以下であり得る。第2のサブ領域106bのサイズは、半導体マシン(例えば、アライナ)の露光サイズ以下であり得る。領域100のサイズは、半導体マシン(例えば、アライナ)の露光サイズより大きい場合がある。製造する必要がある電子部品のサイズが半導体マシン(例えば、アライナ)の露光サイズよりも大きい場合、電子部品はステッチング方式で製造されてもよい。すなわち、電子部品の異なる領域は、独立した露光手順を使用して個別に製造され、最終的に完全な電子部品を形成し得る。
【0025】
電子部品の異なる領域が独立した露光手順を使用して製造される場合、ステッチングマークは、異なる領域間の較正のためにウェハ上に配置され得る。
【0026】
例えば、複数のステッチングマーク110は、第1のサブ領域106aと第2のサブ領域106bとの間の周縁領域104に配置され得る。ステッチングマーク110を用いて、現在のサブ領域の位置を、隣接するサブ領域に対して較正し得る。図2(a)では、ステッチングマーク110の数は2個である。しかし、本発明のいくつかの別の実施形態では、ステッチングマーク110の数は実際の必要数に従って決定され得る。例えば、ステッチングマーク110の数は、2個より多くても、2個より少なくてもよい。更に、図2(a)では、ステッチングマーク110は、第1のサブ領域106aと第2のサブ領域106bとの間の周縁領域104に配置される。しかしながら、本発明のいくつかの別の実施形態では、ステッチングマーク110は、第1のサブ領域106aと第2のサブ領域106bとの間の中央領域102に配置されてもよい。
【0027】
図2(b)は、本発明の別の実施形態による第1のウェハ上の領域の概略図である。図2(b)に示すように、領域200は、中央領域202と、中央領域202の外側に位置する周縁領域204とに分割される。
【0028】
領域200は、第1のサブ領域206a、第2のサブ領域206b、第3のサブ領域206c、及び第4のサブ領域206dを含む。第1のサブ領域206a、第2のサブ領域206b、第3のサブ領域206c、及び第4のサブ領域206dは、中央領域202に位置する。第2のサブ領域206bは、第1のサブ領域206aと第3のサブ領域206cとの間に位置し、第3のサブ領域206cは、第2のサブ領域206bと第4のサブ領域206dとの間に位置する。
【0029】
複数のオーバレイマーク208は、領域200の周縁領域204に配置される。オーバレイマーク208を用いて、第1のウェハの現在の層上の特定の領域の位置を、1つ又は2つ前の層上の特定の領域に対して較正し得る。図2(b)では、オーバレイマーク208の数は8個である。しかしながら、本発明のいくつかの別の実施形態では、オーバレイマーク208の数は、実際の必要数に従って決定され得る。例えば、オーバレイマーク208の数は、8個より多くても、8個より少なくてもよい。本発明のいくつかの別の実施形態では、オーバレイマーク208は、周縁領域204の別の位置に配置されてもよい。更に、オーバレイマーク208は、周縁領域204に配置されることに限定されない。本発明のいくつかの別の実施形態では、オーバレイマーク208は領域200内の任意の位置に配置され得る。
【0030】
複数のステッチングマーク210は、第1のサブ領域206aと第2のサブ領域206bとの間の周縁領域204、第2のサブ領域206bと第3のサブ領域206cとの間の周縁領域204、及び第3のサブ領域206cと第4のサブ領域206dとの間の周縁領域204に別々に配置され得る。ステッチングマーク210を用いて、現在のサブ領域の位置を、隣接するサブ領域に対して較正し得る。図2(b)では、ステッチングマーク210の数は6個である。しかし、本発明のいくつかの別の実施形態では、ステッチングマーク210の数は実際の必要数に従って決定され得る。例えば、ステッチングマーク210の数は、6個より多くても、6個より少なくてもよい。更に、図2(b)では、ステッチングマーク210は、第1のサブ領域206aと第2のサブ領域206bとの間、第2のサブ領域206bと第3のサブ領域206cとの間、及び第3のサブ領域206cと第4のサブ領域206dとの間の別の位置に配置される。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態では、領域100又は領域200は、異なる数のサブ領域、例えば3個又は5個を超えるサブ領域を含んでもよいことが理解される。例えば、本発明の特定の実施形態では、領域100又は領域200は、図1に示される領域10であってもよい。複数のオーバレイマークは、領域100又は領域200の周縁領域に配置される。複数のステッチングマークは、サブ領域間の周縁領域に配置される。
【0032】
図3は、本発明の一実施形態による、集積回路の製造のための方法のフローチャートである。特に、本発明の一実施形態では、図3は、図2(a)に示す領域100を含む集積回路を製造するための方法のフローチャートである。いくつかの実施形態では、図3に示される方法は、半導体製造マシンによって動作され得る。いくつかの実施形態では、図3に示される方法は、アライナによって動作されてもよい。
【0033】
図3に示すように、動作S10において、第1のモデルM1が、領域100内のオーバレイマーク108の測定データに適用されて、第1のパラメータセットDs1を取得する。
【0034】
特に、第1のサブ領域106a及び第2のサブ領域106bを含む領域100は全体として扱われ、測定データが領域100内のオーバレイマーク108に従って取得され、第1のパラメータセットDs1が、第1のモデルM1と測定データに従って取得される。
【0035】
オーバレイマーク108は、領域100内に配置される。測定データは、オーバレイマーク108に関連するオフセット量を示す。本発明のいくつかの実施形態では、測定データは、領域100の現在の層上のオーバレイマーク108と、領域100内の第1のウェハの1つ又は2つ前の層上のオーバレイマークとの間の実際のオフセットを示す。これらの実際のオフセットは、領域100の現在の層と、領域100内の第1のウェハの1つ又は2つ前の層との間で必要とされる補償量を示す。
【0036】
第1のモデルM1は、従来のオーバレイモデル、例えば、ウェハレベルモデル又は領域レベルモデルであり得る。第1のパラメータセットDs1は、パラメータのグループであって、アライナがウェハの領域内でステッチングキャリブレーション又はオーバレイキャリブレーションを実行可能にし得る。
【0037】
動作S15では、仮想オーバレイマークが第2のウェハ上の第2の領域に配置される。いくつかの実施形態では、仮想オーバレイマークは、第2の領域内に均等に分散されてもよい。ユーザは、アレイ座標を設定/選択し得て、複数の仮想オーバレイマークが第2のウェハ上に配置される。ユーザは、実際の要望に従って、仮想オーバレイマークの数と位置を、第2のウェハ上の第2の領域内に設定し得る。第2の領域内の仮想オーバレイマークの数は、領域100内のオーバレイマーク108の数よりも多くてもよい。
【0038】
動作S20では、第1のパラメータセットDs1は、第2のウェハ上の第2の領域に投影され、模擬補償データを取得する。特に、動作S10からの第1のパラメータセットDs1は、第2のウェハ上に在る第2の領域であって第1のウェハ上の領域100と同じレイアウトを有する第2の領域に投影され、模擬補償データを取得する。
【0039】
本発明における投影動作は、第1のパラメータセットDs1を第2のウェハ上の複数のオーバレイマークに適用して、第2のウェハ上のこれらのオーバレイマークに関連する模擬オフセットを取得することを含む。この出願における投影動作は、図4(a)及び図4(b)に従って後続の段落で説明される。
【0040】
模擬補償データは、第2のウェハの現在の層上の第2の領域内の第2のグループのオーバレイマークと、第2のウェハの1つ又は2つ前の層上の第2の領域内のオーバレイマークとの間の模擬オフセットを示す。これらの模擬オフセットは、第2のウェハの現在の層上の第2の領域と、第2のウェハ上の第2の領域の1つ又は2つ前の層との間で必要な補償量を示す。同じレイアウトは、第2のウェハ上の第2の領域と第1のウェハ上の領域100が同じサイズを有し、同じ数とサイズのサブ領域を有することを示す。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態では、第2のウェハ上の第2の領域は、第3のサブ領域及び第4のサブ領域を含み得る。同じレイアウトは、第1のウェハ上の第1のサブ領域106aと、第2のウェハ上の第3のサブ領域が同じサイズを有し、第1のウェハ上の第2のサブ領域106bと第2のウェハ上の第4のサブ領域が同じサイズを有することを更に示す。
【0042】
更に、本発明のいくつかの実施形態では、第1のウェハ上の第1のサブ領域106aは、第2のウェハ上の第3のサブ領域に投影され、第1のウェハ上の第2のサブ領域106bは、第2のウェハ上の第4のサブ領域に投影される。本発明のいくつかの別の実施形態では、オーバレイマーク108の数よりも多い第2のグループのオーバレイマークが、第2のウェハ上の第2の領域に配置される。例えば、第2のウェハ上の第2の領域については、オーバレイマークは、第2の領域の周縁領域に配置され得て、またオーバレイマークは更に、第3のサブ領域と第4のサブ領域に配置され得る。したがって、模擬補償データは、更に、第2の領域の周縁領域におけるオーバレイマークに対する補償データと、第3のサブ領域及び第4のサブ領域のオーバレイマークに対する補償データを示す。
【0043】
本発明のいくつかの別の実施形態では、第2のウェハは仮想ウェハである。第2のグループのオーバレイマークは、第2のウェハ上の第3のサブ領域(例えば、図4(b)のサブ領域306a)に配置された第1のオーバレイマークと、第2のウェハ上の第4のサブ領域(例えば、図4(b)のサブ領域306b)に配置された第2のオーバレイマークとを含む。第2のウェハは、半導体マシン(例えば、アライナ)内で定義された仮想ウェハであってもよい。ユーザは、実際の要望に従って、第3のサブ領域及び第4のサブ領域内の仮想オーバレイマークの数及び位置を設定し得る。
【0044】
動作S30では、第2のパラメータセットDs2と第3のパラメータセットDs3は、模擬補償データと第2のモデルM2に従って取得される。特に、第2のウェハ上の第3のサブ領域と第4のサブ領域は、2つの独立したサブ領域として処理され、第3のサブ領域に関連する第2のパラメータセットDs2と第4のサブ領域に関連する第3のパラメータセットDs3は、動作S20からの模擬補償データと第2のモデルM2に従って取得される。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態では、第2のモデルM2は領域内モデルである。第2のモデルM2は、第1のモデルM1と互換性があり、第1のモデルM1に従って取得され、かつ第1のサブ領域106aに関連付けられる第1のグループの補償データと、第2のモデルM2に従って取得されかつ第3のサブ領域に関連付けられる第2のグループの補償データとの間の残差を、ゼロにすることができる。
【0046】
例えば、領域100に関連付けられた第1のパラメータセットDs1が、動作S10において第1のモデルM1に従って取得された後、領域100に関連付けられた補償データは、第1のパラメータセットDs1から取得され得る。補償データは、第1のサブ領域106aに関連付けられた第1のグループの補償データを含む。補償データを使用して、ウェハ上の領域100の現在の層と領域100の1つ又は2つ前の層との間のオフセットを補償し得る。第3のサブ領域に関連付けられた第2のグループの補償データは、動作S30において第2のモデルM2に従って取得される。第1のグループの補償データと第2のグループと補償データとの間の残差はゼロである。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態では、第2のパラメータセットDs2及び第3のパラメータセットDs3は、それぞれ、補償量を示し、補償量は、第2の領域の第3のサブ領域及び第4のサブ領域にマッピングされ、第1のウェハ上の領域100がシミュレートされて第2のウェハ上の第2の領域に重ねられる場合に、第2のグループのオーバレイマークに関連付けられる。
【0048】
動作S40では、ステッチングオフセット及びオーバレイオフセットは、第2のパラメータセットDs2及び第3のパラメータセットDs3に従って較正される。特に、第1のウェハ上の第1のサブ領域106aと第2のサブ領域106bとの間のステッチングオフセットは、動作S30からの第2のパラメータセットDs2及び第3のパラメータセットDs3に従って較正され、そして、第1のウェハ上の領域100内のオーバレイオフセットは、第2のパラメータセットDs2及び第3のパラメータセットDs3に従って較正される。
【0049】
図4(a)及び図4(b)は、本発明の一実施形態による投影動作の概略図である。
【0050】
図4(a)は、第1のウェハ上の領域100を示す。図4(a)に示すように、オーバレイマーク108_1、108_2、108_3、108_4、108_5、及び108_6のグループは、領域100の周縁領域104に配置される。オーバレイマーク108_1に関連付けられた測定データは、ベクトルe1によって表される。オーバレイマーク108_2に関連付けられた測定データは、ベクトルe2によって表される。オーバレイマーク108_3に関連付けられた測定データは、ベクトルe3によって表される。オーバレイマーク108_4に関連付けられた測定データは、ベクトルe4によって表される。オーバレイマーク108_5に関連付けられた測定データは、ベクトルe5によって表される。オーバレイマーク108_6に関連付けられた測定データは、ベクトルe6によって表される。
【0051】
ベクトルe1は、オーバレイマーク108_1における現在の層とウェハの1つ又は2つ前の層との間のオフセットを表し得る。ベクトルe2は、オーバレイマーク108_2における現在の層とウェハの1つ又は2つ前の層との間のオフセットを表し得る。同様に、ベクトルe3、e4、e5、及びe6はそれぞれ、オーバレイマーク108_3、108_4、108_5、及び108_6における現在の層とウェハの1つ又は2つ前の層との間のオフセットを表し得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、ベクトルe1、e2、e3、e4、e5、及びe6は、同じ大きさ又は異なる大きさを有してもよい。いくつかの実施形態では、ベクトルe1、e2、e3、e4、e5、及びe6は、同じ方向又は異なる方向を有してもよい。
【0053】
ベクトルe1、e2、e3、e4、e5、及びe6は、図3の動作S10における測定データに対応し得る。いくつかの実施形態では、ベクトルe1、e2、e3、e4、e5、及びe6は、動作S10において第1のモデルM1に適用されてもよく、その結果、半導体製造マシン(例えば、アライナ)によって読み取られる第1のパラメータセットDs1が、取得され得る。オーバレイマーク108_1、108_2、108_3、108_4、108_5、及び108_6における補償ベクトルは、ベクトルe1、e2、e3、e4、e5、及びe6に従って取得される第1のパラメータセットDs1によって決定され得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、選択された異なる第1のモデルM1に従って、オーバレイマーク108_1、108_2、108_3、108_4、108_5、及び108_6に対して得られる補償ベクトルもまた、異なり得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、サブ領域106aの周囲のオーバレイマーク108_1、108_2、及び108_3は、同じ大きさと同じ方向を有してもよい。いくつかの実施形態では、サブ領域106aの周囲のオーバレイマーク108_1、108_2、及び108_3は、異なる大きさ又は方向を有してもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、サブ領域106bの周囲のオーバレイマーク108_4、108_5、及び108_6は、同じ大きさと同じ方向を有してもよい。いくつかの実施形態では、サブ領域106bの周囲のオーバレイマーク108_4、108_5、及び108_6は、異なる大きさ又は方向を有してもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、サブ領域106aの周囲のオーバレイマークとサブ領域106bの周囲のオーバレイマークは、同じ大きさと同じ方向を有し得る。いくつかの実施形態では、サブ領域106aの周囲のオーバレイマークとサブ領域106bの周囲のオーバレイマークは、異なる大きさ又は方向を有し得る。
【0058】
図4(b)は、仮想ウェハ上の領域300を示す。領域300は、サブ領域306a及びサブ領域306bを含む。領域300は、領域100と同じレイアウトを有し得る。領域300は、領域100と同じサイズを有し得る。サブ領域306aは、サブ領域106aと同じレイアウトを有し得る。サブ領域306aは、サブ領域106aと同じサイズを有し得る。サブ領域306bは、サブ領域106bと同じレイアウトを有し得る。サブ領域306bは、サブ領域106bと同じサイズを有し得る。
【0059】
サブ領域306aは、複数の仮想オーバレイマーク(例えば、308_1及び308_2)を含み得る。いくつかの実施形態では、仮想オーバレイマークは、サブ領域306a内に均等に分散されてもよい。同様に、サブ領域306bは、複数の仮想オーバレイマーク(例えば、308_3及び308_4)を含み得る。いくつかの実施形態では、仮想オーバレイマークは、サブ領域306b内に均等に分散されてもよい。ユーザは、アレイ座標を設定/選択し得て、その結果、複数の仮想オーバレイマークが仮想ウェハ上に配置される。ユーザは、実際の要望に従って、サブ領域306a及びサブ領域306b内の仮想オーバレイマークの数及び位置を設定し得る。
【0060】
各仮想オーバレイマークに関連付けられた模擬補償データは、図3の動作S10で取得された第1のパラメータセットDs1を、サブ領域306a及びサブ領域306b内の仮想オーバレイマークと組み合わせて利用することによって取得され得る。
【0061】
例えば、仮想オーバレイマーク308_1に関連付けられた模擬オフセットse1は、第1のパラメータセットDs1及び仮想オーバレイマーク308_1を使用することによって取得され得る。仮想オーバレイマーク308_2に関連付けられた模擬オフセットse2は、第1のパラメータセットDs1及び仮想オーバレイマーク308_2を使用することによって取得され得る。残りは類推によって推定される。サブ領域306a及びサブ領域306b内において各仮想オーバレイマークに関連付けられた模擬オフセットは、第1のパラメータセットDs1を使用することによって取得され得る。
【0062】
仮想ウェハ上の領域300において、第1のパラメータセットDs1及び複数の仮想オーバレイマークを使用して模擬オフセットを取得する動作は、本出願では投影動作と呼ばれる。
【0063】
図5は、本発明の一実施形態による、第1のウェハ上の領域におけるオーバレイオフセットのベクトル図である。本発明の一実施形態では、図2(a)に示す領域100は、図5に示す領域の1つであり得る。領域100は一例として使用される。第1のウェハの現在の層上の領域100内のオーバレイマーク108と、第1のウェハの1つ又は2つ前の層上の対応する領域内のオーバレイマークとの間のオフセット値、例えば、水平オフセット値X及び垂直オフセット値Yと、水平オフセット値X及び垂直オフセット値Yのオフセット方向とが比較され、その結果、水平オフセット値X、垂直オフセット値Y、及びオフセット方向に基づくオフセットベクトルの図が取得され得る。これらのオフセットベクトルは、第1のウェハの現在の層上の領域100において、1つ又は2つ前の層上の対応する領域に対する補償を必要とする、オフセット値及び方向を示す。
【0064】
図6は、第1のパラメータセットDs1に基づいて取得された補償ベクトルを示す図であり、取得前に、図3に示す動作S10が図5に示すオーバレイオフセットのベクトル図に対して実行される。補償ベクトルは、図5に示すオフセットベクトルに対して補償する量を示し、これは、ウェハの現在の層上の領域100と、ウェハの1つ又は2つ前の層上の対応する領域との間の位置合わせを達成する。
【0065】
特に、オーバレイマーク108と、ウェハの1つ又は2つ前の層上の対応するオーバレイマークとの間のオフセット値(すなわち、測定データ)は、領域100上のオーバレイマーク108に従って取得される。次に、第1のモデルM1を測定データに適用して、アライナにより認識され実行され得る第1のパラメータセットDs1を取得する。続いて、アライナは、第1のパラメータセットDs1に従って、領域100上のオーバレイマーク108のオフセットに対して必要な補償ベクトルの図を取得して表示し得る。測定エラー又はマシンエラーが存在すると、図6の補償ベクトルの図、及び図5のオフセットベクトルの図が完全に同一ではないことを理解すべきである。
【0066】
図7は、投影動作S20が実行された後の、図6の補償ベクトルの図の補償ベクトルの図である。図7では、データ強化が図6の補償ベクトルに対して実行される。特に、第1のパラメータセットDs1は、第2のウェハ上の第2の領域(例えば、図4(b)の領域300)に投影され、第2の領域は第2のグループのオーバレイマークを含み、その数はオーバレイマーク108の数よりも多い。このようにして、第2のグループのオーバレイマークに対応する補償ベクトルの図が取得され得る。第2のグループのオーバレイマークの数がオーバレイマーク108の数よりも多いため、図7に示される補償ベクトルの図は、より多くの補償ベクトルデータを含み、それによってデータ強化が実行される。
【0067】
図8(a)は、図3に示す方法が実行された後に得られる、オーバレイマークのオフセットベクトルを示す図である。特に、図8(a)は、図7に示す補償ベクトルの図を用いて図5に示すオフセットベクトルの図を補償した後に補償を必要とする残りのオフセットベクトルの図である。図8(a)から分かるように、領域100内のオーバレイマーク108のオフセットベクトル値は、すでに非常に小さい。つまり補償後は、ウェハの現在の層上の領域100内のオーバレイマーク108と、1つ又は2つ前の層上のオーバレイマークとの間のオフセット値は、すでに大幅に減少され、それによって領域100内のオーバレイオフセットは大幅に減少される。
【0068】
図8(b)は、図3に示す方法が実行された後に取得される、ステッチングマークのオフセットベクトルの図である。図8(b)から分かるように、補償後、ウェハ上のサブ領域間のステッチングオフセットの値は非常に小さく、ほぼ省略可能となり得る。つまり、補償後のサブ領域間のステッチングオフセットもまた、大幅に減少される。
【0069】
図9(a)は、本発明の比較実施形態による、集積回路を製造するための方法のフローチャートである。図9(a)は、図2(a)に示す集積回路を製造するための方法のフローチャートであり、これは、オーバレイマークのオフセットを補償することのみを考慮する。
【0070】
動作S20では、第1のモデルM1は、第1のサブ領域106a及び第2のサブ領域106bのオーバレイマーク108の測定データに適用されて、第1のパラメータセットDs1’を取得する。特に、第1のサブ領域106aと第2のサブ領域106bは、2つの独立したサブ領域とみなされ、ウェハの現在の層上のオーバレイマーク108と、ウェハの1つ又は2つ前の層上の対応するオーバレイマークとの間のオフセット値(すなわち、測定データ)は、第1のサブ領域106aと第2のサブ領域106bとのオーバレイマーク108に従って取得され、そして、第1のモデルM1が測定データに適用されて、アライナによって認識され実行され得る第1のパラメータセットDs1’が取得される。
【0071】
動作S22では、オーバレイマーク108のオフセットは、第1のパラメータセットDs1’に従って補償される。特に、アライナは、第1のサブ領域106a及び第2のサブ領域106bにおけるウェハの現在の層上のオーバレイマーク108のオフセットを、第1のパラメータセットDs1’に従って補償する。
【0072】
図9(b)は、図9(a)に示す方法が使用された後に得られる、オーバレイマークのオフセットベクトルの図である。特に、図9(b)は、図9(a)に示す方法を用いて、第1のサブ領域106a及び第2のサブ領域106bにおけるオーバレイマーク108のオフセットを補償した後に、補償を必要とする残りのオフセットベクトルの概略図である。図8(a)のオフセットベクトルの図と比較すると、図9(b)に示すオフセットベクトルの図におけるオフセットベクトル値は、依然として比較的大きい。
【0073】
図9(c)は、図9(a)に示す方法が使用された後に得られる、ステッチングマークのオフセットベクトルの図である。特に、図9(c)は、図9(a)に示す動作S20後に取得された第1のパラメータセットDs1’を用いてステッチングオフセット値を補償した後に、依然として補償を必要とする残りのオフセット値ベクトルの概略図である。図8(b)に示すステッチングマークのオフセットベクトルの図と比較すると、図9(c)に示すオフセットベクトル値は、依然として非常に大きく、また図5に示す第1のウェハ上の領域のステッチング補償のないオフセットベクトル値よりも更に大きい。
【0074】
図10は、本発明の比較実施形態による、集積回路を製造するための方法のフローチャートである。図10は、図2(a)に示す集積回路を製造するための方法のフローチャートであり、これは、ステッチングマークのオフセットを補償することのみが考慮される。
【0075】
動作S30では、第2のモデルM2を、第1のサブ領域106aと第2のサブ領域106bとの間のステッチングマーク110の測定データに適用して、第3のパラメータセットDs3’を取得する。特に、第1のサブ領域106aと第2のサブ領域106bは、2つの独立したサブ領域とみなされ、現在のサブ領域と隣接するサブ領域との間のオフセット値(すなわち、測定データ)は、領域100内のステッチングマーク110に従って取得され、そして、第2のモデルM2が測定データに適用されて、アライナによって認識され実行され得る第3のパラメータセットDs3’を取得する。
【0076】
動作S22では、ステッチングマーク110のオフセットは、第3のパラメータセットDs3’に従って補償される。特に、アライナは、領域100内のステッチングマーク110のオフセット値を、第3のパラメータセットDs3’に従って補償する。
【0077】
この出願は、図10の方法を使用することによるテストを通じて得られたオフセットベクトルの図を提供していないが、図9(b)及び図9(c)において取得される結果と同様に、図10の方法を用いて補償を行った後、ステッチングマークとオーバレイマークの補正を必要とする残りのオフセットベクトル値が、比較的大きいままである。
【0078】
計算は、図8(a)、図8(b)、図9(b)及び図9(c)のオフセットベクトルの図において別々に実行され、補償後に補償を必要とする残りのオフセット値を取得する。
【表1】
【0079】
表1から分かるように、図9(b)と比較すると、図8(a)の補償後、残りのオーバレイオフセットの値は、30%及び53%(水平方向に30%、垂直方向に53%)減少される。すなわち、図9(a)に示す方法と比較して、図3に示す方法は、ウェハ上のオーバレイオフセットを著しく減少する。
【0080】
更に、図9(c)と比較すると、図8(b)の補償後、残りのステッチングオフセットの値は、93%及び86%(水平方向に93%、垂直方向に86%)減少される。すなわち、図10に示す方法と比較して、図3に示す方法は、ウェハ上のステッチングオフセットを著しく減少する。
【0081】
したがって、オーバレイオフセット及びステッチングオフセットを図3に示す方法を使用して補償することの効率は、図9(a)及び図10に示す方法の効率よりもはるかに高い。
【0082】
加えて、本発明のいくつかの別の実施形態は、図11に示されるような集積回路を製造するためのシステムを更に提供する。このシステムは、プロセッサ、コンピュータ実行可能命令を格納する不揮発性コンピュータ可読媒体、及びハンドラを含む。コンピュータ実行可能命令を格納する不揮発性コンピュータ可読媒体は、プロセッサに結合され得る。ハンドラは、ウェハを支持するように構成され得る。プロセッサは、コンピュータ実行可能命令を実行して、図3図9(a)、及び図10に示す集積回路をウェハ上に製造するための方法を実行する。
【0083】
プロセッサは、当技術分野で周知の任意の適切なプロセッサ、例えば並列プロセッサであってもよく、パーソナルコンピュータシステム、画像コンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、ネットワークアプライアンス、インターネットアプライアンス、又は他のデバイスの一部であってもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるシステム及びその中のサブシステム、ならびに方法の様々なステップ、機能、及び/又は動作は、電子回路、論理ゲート、マルチプレクサ、プログラマブル論理デバイス、ASIC、アナログ又はデジタルのコントロール/スイッチ、マイクロコントローラ、あるいはコンピューティングシステムのうちの1つ以上によって実行される。例えば、本開示を通じて説明される様々なステップは、単一のプロセッサ(又はコンピュータシステム)によって実行されてもよく、あるいは、複数のプロセス(又は複数のコンピュータシステム)によって実行されてもよい。したがって、上記の説明は、本開示に対する限定として解釈されるべきではなく、単なる例示として解釈されるべきである。
【0084】
このシステムは、検出器を含み得て、それは光ビーム又は電子ビームを使用して、ウェハ上の特徴を画像化又は測定し得る。
【0085】
本発明において、ステッチとオーバレイとの関係が見出される。つまり、ステッチは主にオーバレイキャリブレーションによって決定される。オーバレイキャリブレーションを取得する方法が提案され、方法は同時にステッチを減らすことを可能にする。本発明で提案される集積回路を製造するための方法を用いて、オーバレイオフセットとステッチングオフセットの両方を著しく減少させ得る。
【0086】
本明細書全体にわたり、「本発明の一実施形態」という文言、又は類似の用語は、その目的に関して、別の実施形態とともに説明される特定の特徴、構造、又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれ、必ずしもすべての実施形態に提示されるわけではない、ということを指摘する意図である、ということに留意されたい。したがって、本明細書全体を通じて「本発明の一実施形態」という文言、又は同様の用語が対応して現れる場合、それは必ずしも同じ実施形態を表すものではない。更に、任意の特定の実施形態における特定の特徴、構造、又は特性は、任意の適切な方法で1つ以上の別の実施形態と組み合わせられてもよい。
【0087】
本発明の技術内容及び技術的特徴は、上記に開示される。しかしながら、当業者は、置換及び修正を、本発明の趣旨から逸脱することなく、本発明の教示及び開示に基づいて行い得る。したがって、本発明の保護範囲は、実施形態に開示された内容に限定されるべきではなく、本発明を逸脱しない範囲での様々な置換及び修正を含むべきであり、本特許請求の範囲によって保護される。
図1
図2(a)】
図2(b)】
図3
図4(a)】
図4(b)】
図5
図6
図7
図8(a)】
図8(b)】
図9(a)】
図9(b)】
図9(c)】
図10
図11
【国際調査報告】