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特表2024-501988高吸水性樹脂の製造方法および高吸水性樹脂
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  • 特表-高吸水性樹脂の製造方法および高吸水性樹脂 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】高吸水性樹脂の製造方法および高吸水性樹脂
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/12 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
C08J3/12 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539357
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2023-06-27
(86)【国際出願番号】 KR2022008651
(87)【国際公開番号】W WO2022265459
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0079644
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0074251
(32)【優先日】2022-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ユン・ジェ・ミン
(72)【発明者】
【氏名】ギチュル・キム
(72)【発明者】
【氏名】テ・ウ・ナム
(72)【発明者】
【氏名】チョン・クグ・チョ
(72)【発明者】
【氏名】セ・ヨル・パク
(72)【発明者】
【氏名】スル・ア・イ
(72)【発明者】
【氏名】ウイ・ソク・チュン
【テーマコード(参考)】
4F070
【Fターム(参考)】
4F070AA29
4F070AB13
4F070DA42
4F070DA48
4F070DB06
4F070DB09
4F070DC06
(57)【要約】
本発明は、高吸水性樹脂の製造方法に関する。より具体的には、水可溶成分および微粉発生量が顕著に減少し、優れた吸水物性を示す高吸水性樹脂の製造方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体、内部架橋剤、および重合開始剤を含む単量体組成物に対して重合を行って、前記酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体および内部架橋剤が架橋重合された重合体を形成する段階(段階1);
前記重合体の少なくとも一部の酸性基を中和させる段階(段階2);
界面活性剤の存在下で前記重合体を細粒化する段階(段階3);
前記中和および細粒化された重合体を乾燥して、乾燥高吸水性樹脂粒子を製造する段階(段階4);および
前記乾燥高吸水性樹脂粒子を粉砕して高吸水性樹脂粒子を製造する段階(段階5)を含む、
高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項2】
前記重合体を形成する段階は、バッチ式反応器(batch type reactor)で行われる、
請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項3】
前記段階2および段階3は、順次的、交互的、または同時に行われる、
請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項4】
前記細粒化段階は、細粒化装置によって行われ、前記細粒化装置は、
内部に重合体が移送される移送空間を含むボディ部と、
前記移送空間の内部に回転可能に設けられて、重合体を移動させるスクリュー部材と、
前記スクリュー部材に回転駆動力を提供する駆動モータと、
前記ボディ部に設けられて、前記重合体を粉砕するカッター部材と、
前記カッター部材によって粉砕された前記重合体を前記ボディ部の外部に排出し、多数のホール(hole)が形成された多孔板とを含む、
請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項5】
前記中和および細粒化された重合体を乾燥する段階は、流動式(moving type)で行われる、
請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項6】
前記流動式乾燥は、横型ミキサ(Horizontal-type Mixer)、ロータリーキルン(Rotary kiln)、パドルドライヤ(Paddle Dryer)、またはスチームチューブドライヤ(Steam tube dryer)を用いて行われる、
請求項5に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項7】
前記中和および細粒化された重合体を乾燥する段階は、150℃以下の温度で行われる、
請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項8】
前記段階4を行って得られる乾燥高吸水性樹脂粒子の含水率は、10~20重量%である、
請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項9】
前記界面活性剤の少なくとも一部は、前記重合体の表面に存在する、
請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項10】
前記界面活性剤は、下記の化学式2で表される化合物またはその塩を含む、請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法:
【化1】
前記化学式2において、
、AおよびAは、それぞれ独立して、単結合、カルボニル、
【化2】
であり、ただし、これらの1つ以上は、カルボニルまたは
【化3】
であり、ここで、m1、m2およびm3は、それぞれ独立して、1~8の整数であり、
【化4】
は、それぞれ隣接した酸素原子と連結され、
【化5】
は、隣接したR、RおよびRとそれぞれ連結され、
、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、炭素数6~18の直鎖もしくは分枝鎖のアルキルまたは炭素数6~18の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルであり、
nは、1~9の整数である。
【請求項11】
前記高吸水性樹脂粒子は、前記高吸水性樹脂粒子の総重量に対して150μm未満の粒径を有する高吸水性樹脂粒子を20重量%以下で含む、
請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項12】
前記高吸水性樹脂粒子を粒径により分級する段階をさらに含む、
請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項13】
前記高吸水性樹脂粒子の表面の少なくとも一部に表面架橋層を形成する段階をさらに含む、
請求項1または12に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項14】
酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体および内部架橋剤が架橋重合された重合体を含み、前記重合体の酸性基の少なくとも一部は中和されており、表面架橋剤を介在させて前記重合体が追加架橋されて前記重合体上に形成された表面架橋層を含み、
吸水速度(vortex time)が30秒以下であり、
EDANA法WSP270.3の方法により1時間膨潤後に測定した水可溶成分が5重量%以下である、
高吸水性樹脂。
【請求項15】
EDANA法WSP241.3により測定した保水能(CRC)が30g/g~50g/gである、請求項14に記載の高吸水性樹脂。
【請求項16】
EDANA法WSP242.3により測定した0.3psiの加圧吸水能(AUP)が25g/g~40g/gである、
請求項14に記載の高吸水性樹脂。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2021年6月18日付の韓国特許出願第10-2021-0079644号、および2022年6月17日付の韓国特許出願第10-2022-0074251号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、高吸水性樹脂の製造方法および高吸水性樹脂に関する。より具体的には、水可溶成分および微粉発生量が顕著に減少し、優れた吸水物性を示す高吸水性樹脂の製造方法および高吸水性樹脂に関する。
【背景技術】
【0003】
高吸水性樹脂(Super Absorbent Polymer、SAP)とは、自重の5百から1千倍程度の水分を吸収できる機能を有する合成高分子物質であって、開発企業ごとにSAM(Super Absorbency Material)、AGM(Absorbent Gel Material)などそれぞれ異なる名前で名付けている。このような高吸水性樹脂は生理用品として実用化され始め、現在は、園芸用土壌保水剤、土木、建築用止水剤、育苗用シート、食品流通分野での鮮度保持剤、およびシップ用などの材料に幅広く使用されている。
【0004】
このような高吸水性樹脂は主におむつや生理用ナプキンなどの衛生材分野で幅広く使用されている。前記衛生材内で、前記高吸水性樹脂はパルプ内に拡散した状態で含まれることが一般的である。しかし、最近では、より薄い厚さのおむつなどの衛生材を提供するための努力が続いており、その一環としてパルプの含有量が減少したり、一歩進んでパルプが全く使用されない、いわゆるパルプレス(pulpless)おむつなどの開発が積極的に進められている。
【0005】
このように、パルプの含有量が減少したり、パルプが使用されない衛生材の場合、相対的に高吸水性樹脂が高い比率で含まれて、高吸水性樹脂粒子が衛生材内に不可避に多層で含まれる。このように多層で含まれる全体的な高吸水性樹脂粒子がより効率的に多量の尿などの液体を吸収するためには、前記高吸水性樹脂が基本的に高い吸水性能だけでなく速い吸水速度を示す必要がある。
【0006】
一方、このような高吸水性樹脂は一般に、単量体を重合して多量の水分を含有した含水ゲル重合体を製造する段階と、このような含水ゲル重合体の乾燥後に所望の粒径を有する樹脂粒子に粉砕する段階とを経て製造される。しかし、前記のように含水ゲル重合体の乾燥後に粉砕する工程を経る場合に多量の微粉が発生して、最終的に製造される高吸水性樹脂の物性を低下させる問題があった。
【0007】
また、このような微粉の再使用のために、微粉を水と混合して凝集させて微粉再造粒体を製造した後、乾燥/粉砕/分級などの工程で製造された微粉再造粒体を投入することが通常である。しかし、この時使用された水によって、乾燥工程時のエネルギー使用量が増加し、装置に負荷が大きくなるなどの問題が発生して、高吸水性樹脂の製造の生産性が低下しうる。
【0008】
これによって、このような問題を根本的に解決できるように高吸水性樹脂を微粉の発生なく製造できる技術の開発が要請され続けている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、微細粒子が凝集された形状の粒子を製造して表面積を増加させることによって吸水速度が顕著に向上し、工程中の微粉発生量を顕著に減少させながら優れた吸水物性を示すことができる高吸水性樹脂の製造方法および高吸水性樹脂を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の一実施形態によれば、
酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体、内部架橋剤、および重合開始剤を含む単量体組成物に対して重合を行って、前記酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体および内部架橋剤が架橋重合された重合体を形成する段階(段階1);
前記重合体の少なくとも一部の酸性基を中和させる段階(段階2);
界面活性剤の存在下で前記重合体を細粒化する段階(段階3);
前記中和および細粒化された重合体を乾燥して、乾燥高吸水性樹脂粒子を製造する段階(段階4);および
前記乾燥高吸水性樹脂粒子を粉砕して高吸水性樹脂粒子を製造する段階(段階5)を含む、
高吸水性樹脂の製造方法を提供する。
【0011】
また、本発明の他の実施形態によれば、
酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体および内部架橋剤が架橋重合された重合体を含み、前記重合体の酸性基の少なくとも一部は中和されており、表面架橋剤を介在させて前記重合体が追加架橋されて前記重合体上に形成された表面架橋層を含み、
吸水速度(vortex time)が30秒以下であり、
EDANA法WSP270.3の方法により1時間膨潤後に測定した水可溶成分が5重量%以下である高吸水性樹脂を製造する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の高吸水性樹脂の製造方法によれば、微細粒子が凝集された形状の粒子を実現して表面積が増加することによって吸水速度が顕著に向上し、優れた吸水物性を示すことができる高吸水性樹脂の製造が可能である。
【0013】
また、重合体を流動乾燥方式を用いて均一に乾燥した後に粉砕することによって、高吸水性樹脂製造時の微粉発生量が顕著に減少できる。
【0014】
さらに、高分子量の重合体、均一な粒径分布、および低い水可溶成分(EC)の含有量を有することによって、保水能、加圧吸水能などの諸吸水物性、通液性、リウェット(rewet)特性、および吸水速度などがすべて優れた高吸水性樹脂を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】従来の高吸水性樹脂の製造方法に関するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書で使用される用語は単に例示的な実施例を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」、「備える」または「有する」などの用語は、実施された特徴、段階、構成要素、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴や、段階、構成要素、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないことが理解されなければならない。
【0017】
本発明は、多様な変更が加えられて様々な形態を有することができるが、特定の実施例を例示して下記に詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むことが理解されなければならない。
【0018】
本発明は多様な変更が加えられて様々な形態を有することができるが、特定の実施例を例示して下記に詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むことが理解されなければならない。
【0019】
以下、発明の具体的な実施形態による高吸水性樹脂の製造方法および高吸水性樹脂についてより詳細に説明する。
【0020】
それに先立ち、本明細書に使用される専門用語は単に特定の実施形態を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。そして、ここで使用される単数形態は文言がこれと明確に反対の意味を示さない限り、複数形態も含む。
【0021】
発明の一実施形態によれば、
酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体、内部架橋剤、および重合開始剤を含む単量体組成物に対して重合を行って、前記酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体および内部架橋剤が架橋重合された重合体を形成する段階(段階1);
前記重合体の少なくとも一部の酸性基を中和させる段階(段階2);
界面活性剤の存在下で前記重合体を細粒化する段階(段階3);
前記中和および細粒化された重合体を乾燥して、乾燥高吸水性樹脂粒子を製造する段階(段階4);および
前記乾燥高吸水性樹脂粒子を粉砕して高吸水性樹脂粒子を製造する段階(段階5)を含む、
高吸水性樹脂の製造方法が提供される。
【0022】
本発明の明細書に使用される用語「重合体」、または「高分子」は、水溶性エチレン系不飽和単量体が重合された状態のものを意味し、すべての水分含有量範囲または粒径範囲を包括することができる。
【0023】
また、用語「高吸水性樹脂」は、文脈により架橋重合体、または前記架橋重合体が粉砕された高吸水性樹脂粒子からなる粉末(powder)形態のベース樹脂を意味したり、または前記架橋重合体や前記ベース樹脂に対して追加の工程、例えば、乾燥、粉砕、分級、表面架橋などを経て製品化に適した状態にしたものをすべて包括するものとして使用される。
【0024】
さらに、用語「微粉」は、高吸水性樹脂粒子のうち、150μm未満の粒径を有する粒子を意味する。このような樹脂粒子の粒径は、欧州不織布産業協会(European Disposables and Nonwovens Association、EDANA)規格EDANA WSP220.3方法により測定できる。
【0025】
また、用語「チョッピング(chopping)」は、乾燥効率を高めるために含水ゲル重合体をミリメートル単位の小片に切断することで、マイクロメートルまたは正常粒子レベルまで粉砕することとは区別されて使用される。
【0026】
さらに、用語「細粒化(micronizing、micronization)」は、含水ゲル重合体を数十から数百マイクロメートルの粒径に粉砕することで、「チョッピング」とは区別されて使用される。
【0027】
アクリル酸系単量体の重合反応によって得られる含水ゲル状重合体は、乾燥、粉砕、分級、表面架橋などの工程を経て、粉末形態の製品である高吸水性樹脂として市販される。最近では、より向上した吸水速度を示す高吸水性樹脂を提供しようとする試みが行われ続けている。
【0028】
吸水速度を高めるための最も一般的な方法としては、高吸水性樹脂の内部に多孔性構造を形成して高吸水性樹脂の表面積を広げる方法が挙げられるが、高吸水性樹脂の表面積を広げるために、単量体組成物に発泡剤を含んで架橋重合を進行させることによって、ベース樹脂粉末内に多孔性構造を形成する方法が一般に採用されている。
【0029】
しかし、発泡剤の使用により高吸水性樹脂の諸物性、例えば、表面張力、通液性または体積密度などが低下し、微粉発生量が増加するというデメリットが伴い、これによって発泡剤の使用なしに高吸水性樹脂の吸水速度を向上させることができる技術の開発が要請され続けている。
【0030】
一方、従来の高吸水性樹脂は、内部架橋剤および重合開始剤の存在下で、少なくとも一部が中和された酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を架橋重合して含水ゲル重合体を形成し、このように形成された含水ゲル重合体を乾燥した後、所望の粒度まで粉砕して製造されるが、この時、通常、含水ゲル重合体の乾燥を容易にし、粉砕工程の効率性を高めるために、乾燥工程前に含水ゲル重合体を数ミリメートルサイズの粒子に切断するチョッピング(chopping)工程が行われる。しかし、このようなチョッピング工程で含水ゲル重合体の粘着性によって、含水ゲル重合体は、マイクロサイズの粒子レベルまで粉砕できずに凝集されたゲル状となる。このような凝集されたゲル状の含水ゲル重合体を乾燥すれば板状の乾燥体が形成され、これをマイクロサイズの粒子レベルまで粉砕するためには、多段の重合体の粘着性を低下させる役割をする粉砕工程を経なければならないので、この過程で多くの微粉が発生するという問題があった。
【0031】
具体的には、図1には、従来の高吸水性樹脂の製造方法に関するフローチャートが示されている。図1を参照すれば、従来の高吸水性樹脂は、下記のような段階を含んで製造されてきた。
【0032】
(中和)水溶性エチレン系不飽和単量体の酸性基の少なくとも一部を中和させる段階;
(重合)内部架橋剤および重合開始剤の存在下で、少なくとも一部が中和された酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を架橋重合して含水ゲル重合体を形成する段階;
(チョッピング)前記含水ゲル重合体をチョッピング(chopping)する段階;
(乾燥)チョッピングされた含水ゲル重合体を乾燥する段階;および
(粉砕/分級)前記乾燥した重合体を粉砕後に正常粒子および微粉に分級する段階;
【0033】
前述のように、前記チョッピングされた含水ゲル重合体は、約1cm~10cmの大きさの凝集されたゲル状を有し、このようなチョッピングされた含水ゲル重合体は、底が多孔板からなるベルト上に積層され、下部または上部から供給された熱風によって乾燥される。前記乾燥方式で乾燥した重合体は、粒子状ではない板状を示すので、粉砕後に分級する段階は、製造される粒子が正常粒子となるように、つまり150μm~850μmの粒径を有する粒子となるように粗粉砕後に分級した後、再び微粉砕後に分級する段階で行われてきた。このような製造方法によって最終分級段階で分離される微粉の量は、最終的に製造された高吸水性樹脂の総重量に対して約20重量%~約30重量%程度と多量であるため、分離された微粉を適当量の水と混合して微粉再造粒後にチョッピング段階または乾燥前の段階に投入する方法で再使用した。
【0034】
しかし、このような微粉の再使用のために水と混合した微粉再造粒体を粉砕または乾燥工程に再投入時、装置負荷および/またはエネルギー使用量の増加を生じるなどの問題が発生してきており、分級できずに残っている微粉によって高吸水性樹脂の物性の低下が生じた。
【0035】
そこで、本発明者らは、従来の製造方法において微粉の発生量は粉砕工程での影響が大きいという点を把握し、重合体の粉砕工程で界面活性剤および中和剤を投入して重合体を後中和させ、従来より微細に粉砕、つまり、細粒化しながら、同時に凝集を制御して微細粒子が凝集された形態の粒子を製造することによって、製造工程中の微粉発生量を顕著に低減させられることに着目した。
【0036】
一方、チョッピング工程で含水ゲル重合体の粘着性を低下させるために界面活性剤を投入する方法が提示された。ところが、チョッピング工程で界面活性剤を投入する場合、含水ゲル重合体の高い含水性によって、界面活性剤が含水ゲル重合体の界面に存在するよりは、含水ゲル重合体の内部に浸透して界面活性剤がその役割をまともに果たせない問題がある。
【0037】
これは、チョッピングされた粒子は、チョッピング前の重合体に比べて数mmまたは数cmレベルの粒子が形成されるので、表面積がある程度増加できるが、吸水速度を有効に向上させることができる程度の効果は期待しにくい。そこで、吸水速度向上のために、チョッピング段階で機械的力をより増加して混練させることによって表面積を増加させる方法が考えられるが、この場合、重合体特有のべたつきにより凝集が過度に発生して、チョッピング、乾燥および粉砕後に粒子の表面のみデコボコな無定形単一粒子が形成され、過度の混練またはすりつぶしによってむしろ水可溶成分が増加しうる。
【0038】
これを解決するために研究を繰り返した結果、通常の高吸水性樹脂の製造方法のように水溶性エチレン系不飽和単量体の酸性基を中和した状態で重合を行わず、酸性基が中和されていない状態で重合を先に行って重合体を形成し、界面活性剤の存在下で前記含水ゲル重合体を細粒化した後、前記重合体の酸性基を中和させるか、または前記重合体の酸性基を中和させて含水ゲル重合体を形成した後、界面活性剤の存在下で前記含水ゲル重合体を細粒化するか、または細粒化と同時に前記重合体に存在する酸性基を中和させると、界面活性剤が前記重合体の表面に多量存在し、重合体の高い粘着性を低下させて重合体が過度に凝集しないことを防止し、所望のレベルに凝集状態を調節できる役割を十分に果たせることを確認した。
【0039】
これによって、重合体を1次粒子が凝集された形態の2次粒子に製造して、後よりマイルドな条件で粉砕および乾燥工程が行われることによって、工程中に発生する微粉発生量が顕著に減少できる。
【0040】
また、重合体を前記界面活性剤の存在下で細粒化する場合、界面活性剤に含まれている疎水性官能基部分が粉砕された高吸水性樹脂粒子の表面に疎水性を付与して粒子間摩擦力を緩和させて高吸水性樹脂の見かけ密度を増加させながらも、界面活性剤に含まれている親水性官能基部分も高吸水性樹脂粒子に結合して樹脂の表面張力が低下しないようにできる。これによって、上述した製造方法により製造された高吸水性樹脂は、界面活性剤を使用しない樹脂に比べて、同等レベルの表面張力を示しながらも見かけ密度値は高い。
【0041】
また、未中和状態で重合を先に行って重合体を形成した後、前記重合体に存在する酸性基を中和させると、より長い鎖の重合体の形成が可能で架橋化が不完全で架橋化されていない状態で存在する水可溶成分の含有量が減少する効果を達成することができる。
【0042】
前記水可溶成分は、高吸水性樹脂が液体と接触時に溶出しやすい性質があるので、水可溶成分の含有量が高い場合、溶出した水可溶成分が大部分高吸水性樹脂の表面に残留し、高吸水性樹脂をべたべたにして通液性が減少する原因になる。したがって、通液性の面から、水可溶成分の含有量を低く維持することが重要である。
【0043】
本発明の一実施形態によれば、未中和状態で重合を行うことによって水可溶成分の含有量が低くなり、これによって高吸水性樹脂の通液性が向上できる。
【0044】
また、本発明の一実施形態により製造された高吸水性樹脂は、均一な粒径分布を有することができ、これによって保水能、加圧吸水能などの諸吸水物性、リウェット(rewet)特性、および吸水速度などに優れた高吸水性樹脂を提供することができる。
【0045】
以下、一実施形態の高吸水性樹脂の製造方法について各段階別により具体的に説明する。
【0046】
段階1:重合段階
まず、酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体、内部架橋剤、および重合開始剤を含む単量体組成物に対して重合を行って、前記酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体および内部架橋剤が架橋重合された重合体を形成する。
【0047】
前記段階は、前記酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体、内部架橋剤、および重合開始剤を混合して単量体組成物を用意する段階と、前記単量体組成物を重合して重合体を形成する段階とからなる。
【0048】
前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、高吸水性樹脂の製造に通常使用される任意の単量体であってもよい。非制限的な例として、前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、下記の化学式1で表される化合物であってもよい:
【0049】
[化学式1]
R-COOM’
【0050】
前記化学式1において、
Rは、不飽和結合を含む炭素数2~5のアルキル基であり、
M’は、水素原子、1価または2価金属、アンモニウム基または有機アミン塩である。
【0051】
好ましくは、前記単量体は、(メタ)アクリル酸、およびこれらの酸の1価(アルカリ)金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩および有機アミン塩からなる群より選択された1種以上であってもよい。
【0052】
このように、水溶性エチレン系不飽和単量体として(メタ)アクリル酸および/またはその塩を使用する場合、吸水性が向上した高吸水性樹脂を得ることができて有利である。その他にも、前記単量体としては、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、2-アクリロイルエタンスルホン酸、2-メタクリロイルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸または2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミド、N-置換(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(N,N)-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(N,N)-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどが使用できる。
【0053】
ここで、前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、酸性基を有する。先に説明したように、従来の高吸水性樹脂の製造においては、前記酸性基の少なくとも一部が中和剤によって中和された単量体を架橋重合して含水ゲル重合体を形成した。具体的には、前記酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体、内部架橋剤、重合開始剤および中和剤を混合する段階において、前記水溶性エチレン系不飽和単量体の酸性基の少なくとも一部が中和された。
【0054】
しかし、本発明の一実施形態によれば、前記水溶性エチレン系不飽和単量体の酸性基が中和されていない状態で重合を先に行って重合体を形成する。
【0055】
酸性基が中和されていない状態の水溶性エチレン系不飽和単量体(例、アクリル酸)は、常温で液体状態であり、溶媒(水)と混和性(miscibility)が高くて単量体組成物で混合溶液の状態で存在する。しかし、酸性基が中和された水溶性エチレン系不飽和単量体は、常温で固体状態であり、溶媒(水)の温度により異なる溶解度を有し、低温であるほど溶解度が低くなる。
【0056】
このように酸性基が中和されていない状態の水溶性エチレン系不飽和単量体は、酸性基が中和された単量体より溶媒(水)に対する溶解度または混和度が高くて低い温度でも析出せず、したがって、低温で長時間重合をするのに有利である。これによって、前記酸性基が中和されていない状態の水溶性エチレン系不飽和単量体を用いて長時間重合を行って、より高分子量を有し、分子量分布が均一な重合体を安定的に形成することができる。
【0057】
また、より長い鎖の重合体の形成が可能で、重合や架橋化が不完全で架橋化されていない状態で存在する水可溶成分の含有量が減少する効果を達成することができる。
【0058】
さらに、このように単量体の酸性基が中和されていない状態で重合を先に行って重合体を形成し、中和後、界面活性剤の存在下で細粒化するか、または界面活性剤の存在下で細粒化後に中和するか、または細粒化と同時に前記重合体に存在する酸性基を中和させると、界面活性剤が前記重合体の表面に多量に存在して重合体の粘着性を低下させる役割を十分に果たすことができる。
【0059】
前記単量体組成物中の前記水溶性エチレン系不飽和単量体の濃度は、重合時間および反応条件などを考慮して適切に調節可能であり、約20~約60重量%、または約20~約40重量%にすればよい。
【0060】
本明細書で使用する用語「内部架橋剤」は、後述する高吸水性樹脂粒子の表面を架橋させるための表面架橋剤と区別するために使用する用語で、上述した水溶性エチレン系不飽和単量体の不飽和結合の間に架橋結合を導入して、架橋構造を含む重合体を形成する役割を果たす。
【0061】
前記段階における架橋は、表面または内部の区別なしに行われるが、後述する高吸水性樹脂粒子の表面架橋工程が行われる場合、最終的に製造された高吸水性樹脂粒子の表面は、表面架橋剤によって新たに架橋された構造を含むことができ、高吸水性樹脂粒子の内部は、前記内部架橋剤によって架橋された構造がそのまま維持できる。
【0062】
本発明の一実施形態によれば、前記内部架橋剤として、多官能アクリレート系化合物、多官能アリル系化合物、または多官能ビニル系化合物のいずれか1つ以上を含むことができる。
【0063】
多官能アクリレート系化合物の非制限的な例として、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、およびグリセリントリ(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらを単独あるいは2種以上混合して使用することができる。
【0064】
多官能アリル系化合物の非制限的な例として、エチレングリコールジアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジアリルエーテル、テトラエチレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、プロピレングリコールジアリルエーテル、トリプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリプロピレングリコールジアリルエーテル、ブタンジオールジアリルエーテル、ブチレングリコールジアリルエーテル、ヘキサンジオールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ジペンタエリスリトールジアリルエーテル、ジペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ジペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、およびグリセリントリアリルエーテルなどが挙げられ、単独あるいは2種以上混合して使用することができる。
【0065】
多官能ビニル系化合物の非制限的な例として、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル、ポリプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールジビニルエーテル、ジペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ジペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、グリセリンジビニルエーテル、およびグリセリントリビニルエーテルなどが挙げられ、これらを単独あるいは2種以上混合して使用することができる。好ましくは、ペンタエリスリトールトリアリルエーテルを使用することができる。
【0066】
前述した多官能アリル系化合物、または多官能ビニル系化合物は、分子内に含まれる2以上の不飽和基が水溶性エチレン系不飽和単量体の不飽和結合、あるいは他の内部架橋剤の不飽和結合とそれぞれ結合して、重合過程で架橋構造を形成することができ、分子内にエステル結合(-(C=O)O-)を含むアクリレート系化合物とは異なり、前述した重合反応後の中和過程でも架橋結合をより安定的に維持することができる。
【0067】
これによって、製造される高吸水性樹脂のゲル強度が高まり、重合後の吐出過程で工程安定性が高まり、水可溶分の量を最小化することができる。
【0068】
このような内部架橋剤の存在下での前記水溶性エチレン系不飽和単量体の架橋重合は、重合開始剤、必要に応じて、増粘剤(thickener)、可塑剤、保存安定剤、酸化防止剤などの存在下で行われる。
【0069】
前記単量体組成物において、このような内部架橋剤は、前記水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して0.01~5重量部で使用できる。例えば、前記内部架橋剤は、水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して0.01重量部以上、または0.05重量部以上、または0.1重量部以上かつ、5重量部以下、または3重量部以下、または2重量部以下、または1重量部以下、または0.7重量部以下で使用できる。前記内部架橋剤の含有量が過度に低い場合、架橋が十分に起こらず適正レベル以上の強度の実現が難しく、前記内部架橋剤の含有量が過度に高い場合、内部架橋密度が高くなって所望の保水能の実現が難しいことがある。
【0070】
このような内部架橋剤を用いて形成された重合体は、前記水溶性エチレン系不飽和単量体が重合されて形成された主鎖が前記内部架橋剤によって架橋される形態の3次元網状構造を有する。このように、重合体が3次元網状構造を有する場合、内部架橋剤によって追加的に架橋されない2次元線状構造を有する場合に比べて、高吸水性樹脂の諸物性である保水能および加圧吸水能が顕著に向上できる。
【0071】
本発明の一実施形態によれば、前記単量体組成物に対して重合を行って重合体を形成する段階は、バッチ式反応器(batch type reactor)で行われる。
【0072】
通常の高吸水性樹脂の製造方法において、重合方法は、重合エネルギー源により大きく熱重合および光重合に分けられ、通常、熱重合を進行させる場合、ニーダー(kneader)などの撹拌軸を有する反応器で行われ、光重合を進行させる場合、移動可能なコンベヤベルトを備えた反応器で行われるか、底の平らな容器で行われる。
【0073】
一方、このような重合方法は、概ね短い重合反応時間(例えば、1時間以下)により重合体の分子量が大きくなく広い分子量分布を有する重合体が形成される。
【0074】
一方、移動可能なコンベヤベルトを備えた反応器または底の平らな容器で光重合を進行させる場合、通常得られる含水ゲル重合体の形態は、ベルトの幅を有するシート状の含水ゲル状の重合体が得られ、重合体シートの厚さは、注入される単量体組成物の濃度および注入速度または注入量により異なるが、通常約0.5~約5cmの厚さで得られる。
【0075】
しかし、シート状の重合体の厚さが過度に薄い程度に単量体組成物を供給する場合、生産効率が低くて好ましくなく、生産性のためにシート状の重合体の厚さを厚くする場合には、重合反応が全厚にわたって均一に起こらず高品質の重合体の形成が難しくなる。
【0076】
また、前記コンベヤベルトを備えた反応器の撹拌軸を有する反応器での重合は、重合結果物が移動しながら新しい単量体組成物が反応器に供給されて連続式で重合が行われるので、重合率が互いに異なる重合体が混合され、これによって単量体組成物全体で均一な重合が行われにくくて全体的な物性の低下が起こりうる。
【0077】
しかし、本発明の一実施形態によれば、バッチ式反応器で定置式で重合を進行させることによって、重合率が異なる重合体が混ざる恐れが少なく、これによって均一な品質を有する重合体が得られる。
【0078】
また、前記重合段階は、所定の体積を有するバッチ式反応器で行われ、コンベヤベルトを備えた反応器で連続式で重合を行う場合より長時間、例えば、3時間以上の時間重合反応を行う。このような長時間の重合反応時間にもかかわらず、未中和状態の水溶性エチレン系不飽和単量体に対して重合を行うため、長時間重合を行っても単量体がよく析出せず、したがって、長時間重合をするのに有利である。
【0079】
一方、本発明のバッチ式反応器での重合は熱重合方法を用いることによって、前記重合開始剤は、熱重合開始剤を使用する。
【0080】
前記熱重合開始剤としては、過硫酸塩系開始剤、アゾ系開始剤、過酸化水素およびアスコルビン酸からなる開始剤の群より選択される1つ以上を使用することができる。具体的には、過硫酸塩系開始剤の例には、過硫酸ナトリウム(Sodium persulfate;Na)、過硫酸カリウム(Potassium persulfate;K)、過硫酸アンモニウム(Ammonium persulfate;(NH)などがあり、アゾ(Azo)系開始剤の例には、2,2-アゾビス-(2-アミジノプロパン)二塩酸塩(2,2-azobis(2-amidinopropane)dihydrochloride)、2,2-アゾビス-(N,N-ジメチレン)イソブチラミジンジヒドロクロライド(2,2-azobis-(N,N-dimethylene)isobutyramidine dihydrochloride)、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル(2-(carbamoylazo)isobutylonitrile)、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド(2,2-azobis[2-(2-imidazolin-2-yl)propane]dihydrochloride)、4,4-アゾビス-(4-シアノバレリン酸)(4,4-azobis-(4-cyanovaleric acid))などがある。より多様な熱重合開始剤については、Odian著の「Principle of Polymerization(Wiley,1981)」、p203によく明示されており、上述した例に限定されない。
【0081】
このような重合開始剤は、前記水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して2重量部以下で使用できる。つまり、前記重合開始剤の濃度が過度に低い場合、重合速度が遅くなり、最終製品に残存モノマーが多量抽出されうるので、好ましくない。逆に、前記重合開始剤の濃度が前記範囲より高い場合、ネットワークをなす高分子鎖が短くなって水可溶成分の含有量が高くなり、加圧吸水能が低くなるなど樹脂の物性が低下しうるので、好ましくない。
【0082】
一方、本発明の一実施形態では、前記開始剤とレドックス(Redox)カップルをなす還元剤を共に投入して重合を開始することができる。
【0083】
具体的には、前記開始剤と還元剤は、重合体溶液に投入された時、互いに反応してラジカルを形成する。
【0084】
形成されたラジカルは単量体と反応し、前記開始剤と還元剤との間の酸化-還元反応は反応性が非常に高いので、微量の開始剤および還元剤だけが投入されても重合が開始されて、工程温度を高める必要がなく低温重合が可能であり、重合体溶液の物性変化を最小化させることができる。
【0085】
前記酸化-還元反応を利用した重合反応は、常温(25℃)付近またはそれ以下の温度でも円滑に起こることができる。一例として、前記重合反応は、5℃以上25℃以下、または5℃以上20℃以下の温度で行われる。
【0086】
本発明の一実施形態において、前記開始剤として過硫酸塩系開始剤を使用する場合、還元剤は、メタ重亜硫酸ナトリウム(Na);テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA);硫酸鉄(II)とEDTAとの混合物(FeSO/EDTA);ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(Sodium formaldehyde sulfoxylate);およびジナトリウム2-ヒドロキシ-2-スルフィノアセテート(Disodium2-hydroxy-2-sulfinoacteate)からなる群より選択された1種以上が使用できる。
【0087】
一例として、開始剤として過硫酸カリウムを使用し、還元剤としてジナトリウム2-ヒドロキシ-2-スルフィノアセテートを使用するか;開始剤として過硫酸アンモニウムを使用し、還元剤としてテトラメチルエチレンジアミンを使用するか;開始剤として過硫酸ナトリウムを使用し、還元剤としてナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートを使用することができる。
【0088】
本発明の他の実施形態において、前記開始剤として過酸化水素系開始剤を使用する場合、還元剤は、アスコルビン酸(Ascorbic acid);スクロース(Sucrose);亜硫酸ナトリウム(NaSO)メタ重亜硫酸ナトリウム(Na);テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA);硫酸鉄(II)とEDTAとの混合物(FeSO/EDTA);ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(Sodium formaldehyde sulfoxylate);ジナトリウム2-ヒドロキシ-2-スルフィノアセテート(Disodium2-hydroxy-2-sulfinoacteate);およびジナトリウム2-ヒドロキシ-2-スルホアセテート(Disodium2-hydroxy-2-sulfoacteate)からなる群より選択された1種以上であってもよい。
【0089】
前記単量体組成物は、必要に応じて、増粘剤(thickener)、可塑剤、保存安定剤、酸化防止剤などの添加剤をさらに含むことができる。
【0090】
そして、前記単量体を含む単量体組成物は、例えば、水などの溶媒に溶解した溶液状態であってもよく、このような溶液状態の単量体組成物中の固形分含有量、つまり、単量体、内部架橋剤、および重合開始剤の濃度は、重合時間および反応条件などを考慮して適切に調節可能である。例えば、前記単量体組成物中の固形分含有量は、10~80重量%、または15~60重量%、または30~50重量%であってもよい。
【0091】
この時使用可能な溶媒は、上述した成分を溶解できればその構成の限定なく使用可能であり、例えば、水、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トルエン、キシレン、ブチロラクトン、カルビトール、メチルセロソルブアセテートおよびN,N-ジメチルアセトアミドなどから選択された1種以上を組み合わせて使用することができる。
【0092】
このような方法で得られた重合体は、未中和状態のエチレン系不飽和単量体を用いて重合することによって、先に説明したように、高分子量を有し、分子量分布が均一な重合体を形成することができ、水可溶成分の含有量が減少できる。
【0093】
このような方法で得られた重合体は、含水ゲル重合体状態で、含水率が30~80重量%であってもよい。例えば、前記重合体の含水率は、30重量%以上、または45重量%以上、または50重量%以上かつ、80重量%以下、または70重量%以下、または60重量%以下であってもよい。
【0094】
前記重合体の含水率が過度に低い場合、後の粉砕段階で適切な表面積を確保しにくくて効果的に粉砕されないことがあり、前記重合体の含水率が過度に高い場合、後の粉砕段階で受ける圧力が増加して所望の粒度まで粉砕させにくいことがある。
【0095】
一方、本明細書全体において、「含水率」は、重合体の全体重量に対して占める水分の含有量で、重合体の重量から乾燥状態の重合体の重量を引いた値を意味する。具体的には、赤外線加熱によりクラム状態の重合体の温度を上げて乾燥する過程で重合体中の水分の蒸発による重量減少分を測定して計算された値で定義する。この時、乾燥条件は、常温から約180℃まで温度を上昇させた後、180℃で維持する方式で、総乾燥時間は、温度上昇段階の5分を含む40分に設定して、含水率を測定する。
【0096】
段階2:中和段階および段階3:細粒化段階
次に、前記重合体の少なくとも一部の酸性基を中和させる段階(段階2)が行われる。
【0097】
この時、中和剤としては、酸性基を中和させることができる水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどの塩基性物質が使用できる。
【0098】
また、前記重合体に含まれている酸性基中の、前記中和剤によって中和された程度を称する中和度は、50~90モル%、または、60~85モル%、または65~85モル%、または65~75モル%であってもよい。前記中和度の範囲は、最終物性により異なるが、中和度が過度に高ければ、高吸水性樹脂の吸水能が減少し、粒子表面のカルボキシル基の濃度が過度に低く後続工程での表面架橋がまともに行われにくくて、加圧下吸水特性または通液性が減少しうる。逆に、中和度が過度に低ければ、高分子の吸水力が大きく低下するだけでなく、取扱が困難な弾性ゴムのような性質を示すことがある。
【0099】
前記段階2と同時に、または前記段階2の実行前にまたは実行後に、界面活性剤の存在下で、前記重合体を細粒化する段階が行われる(段階3)。
【0100】
前記段階は、界面活性剤の存在下で前記重合体を細粒化する段階で、前記重合体をミリメートルサイズにチョッピングするのではない、数十から数百マイクロメートルサイズへの細切と凝集が同時に行われる段階である。つまり、重合体に適切な粘着性を付与することによって、数十から数百マイクロメートルサイズに細切された1次粒子が凝集された形状の2次凝集粒子を製造する段階である。このような段階で製造された2次凝集粒子の含水高吸水性樹脂粒子は、正常な粒度分布を有しかつ表面積が大きく増加して、吸水速度が顕著に改善できる。
【0101】
このように前記重合体と界面活性剤とを混合した後に、前記界面活性剤の存在下で前記重合体を細粒化して高吸水性樹脂粒子および界面活性剤が混合された状態で細切および凝集された2次凝集粒子形態である含水高吸水性樹脂粒子を製造することができる。
【0102】
ここで、「含水高吸水性樹脂粒子」は、水分含有量(含水率)が約30重量%以上の粒子で、重合体が乾燥工程なしに粒子形態に細切および凝集されたものであるので、前記重合体と同様に、30~80重量%の含水率を有することができる。
【0103】
本発明の一実施形態によれば、前記界面活性剤は、下記の化学式2で表される化合物またはその塩を使用することができるが、本発明がこれに限定されるものではない:
【0104】
【化1】
【0105】
前記化学式2において、
、AおよびAは、それぞれ独立して、単結合、カルボニル、
【0106】
【化2】
【0107】
であり、ただし、これらの1つ以上は、カルボニルまたは
【0108】
【化3】
【0109】
であり、ここで、m1、m2およびm3は、それぞれ独立して、1~8の整数であり、
【0110】
【化4】
【0111】
は、それぞれ隣接した酸素原子と連結され、
【0112】
【化5】
【0113】
は、隣接したR、RおよびRとそれぞれ連結され、
、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、炭素数6~18の直鎖もしくは分枝鎖のアルキルまたは炭素数6~18の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルであり、
nは、1~9の整数である。
【0114】
前記界面活性剤は、重合体と混合されて細粒化段階が凝集現象なしに容易に行われるように添加される。
【0115】
前記化学式2で表される界面活性剤は、非イオン性の界面活性剤で未中和重合体とも水素結合力による表面吸着性能に優れ、これによって目的とする凝集制御効果を実現するのに適合する。これに対し、非イオン性界面活性剤ではない陰イオン性界面活性剤の場合、NaOH、NaSOなどの中和剤で中和された重合体と混合される場合、重合体のカルボキシル基置換基にイオン化されているNaイオンを介在させて吸着され、未中和重合体に混合される場合、重合体のカルボキシル基置換基の陰イオンとの競争により重合体に対する吸着効率が相対的に低下する問題がある。
【0116】
具体的には、前記化学式2で表される界面活性剤において疎水性官能基は、末端官能基であるR、R、R部分(水素でない場合)であり、親水性官能基は、鎖内のグリセロール由来の部分と、末端の水酸基(Aが単結合であり、同時にRが水素である場合、n=1~3)をさらに含むが、前記グリセロール由来の部分と、末端の水酸基は、親水性官能基で重合体の表面に対する吸着性能を向上させる役割を果たす。これによって、高吸水性樹脂粒子の凝集を効果的に抑制することができる。
【0117】
前記化学式2において、疎水性官能基であるR、R、R部分(水素でない場合)は、それぞれ独立して、炭素数6~18の直鎖もしくは分枝鎖のアルキルまたは炭素数6~18の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルである。この時、R、R、R部分(水素でない場合)が炭素数6未満のアルキルまたはアルケニルの場合、鎖長が短くて粉砕された粒子の凝集制御が効果的に行われないという問題があり、R、R、R部分(水素でない場合)が炭素数18超過のアルキルまたはアルケニルの場合、前記界面活性剤の移動性(mobility)が減少して重合体と効果的に混合されないことがあり、界面活性剤の費用上昇によって組成物の単価が高くなる問題がありうる。
【0118】
好ましくは、R、R、Rは、水素であるか、または炭素数6~18の直鎖もしくは分枝鎖のアルキルの場合、2-メチルヘキシル、n-ヘプチル、2-メチルヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デカニル、n-ウンデカニル、n-ドデカニル、n-トリデカニル、n-テトラデカニル、n-ペンタデカニル、n-ヘキサデカニル、n-ヘプタデカニル、またはn-オクタデカニルであってもよく、または炭素数6~18の直鎖もしくは分枝鎖のアルケニルの場合、2-ヘキセニル、2-ヘプテニル、2-オクテニル、2-ノネニル、n-デケニル、2-ウンデケニル、2-ドデケニル、2-トリデケニル、2-テトラデケニル、2-ペンタデケニル、2-ヘキサデケニル、2-ヘプタデケニル、または2-オクタデケニルであってもよい。
【0119】
前記界面活性剤は、下記の化学式2-1~化学式2-14で表される化合物から選択される:
【化6】
【化7】
【化8】
【0120】
一方、前記界面活性剤は、前記重合体100重量部に対して0.01~10重量部で使用できる。前記界面活性剤が過度に少なく使用される場合、前記重合体の表面に均一に吸着されず、粉砕後に粒子の再凝集現象が発生し、前記界面活性剤が過度に多く使用される場合、最終的に製造された高吸水性樹脂の諸物性が低下しうる。例えば、前記界面活性剤は、前記重合体100重量部に対して0.01重量部以上、0.015重量部以上、または0.1重量部以上かつ、5重量部以下、3重量部以下、2重量部以下、または1重量部以下で使用できる。
【0121】
このような界面活性剤を重合体に混合する方法は、前記重合体にこれらを均一に混合できる方法であれば特に限定されず、適切に採用して使用可能である。具体的には、前記界面活性剤を乾式で混合するか、溶媒に溶解した後に溶液状態で混合するか、または前記界面活性剤を溶融させた後に混合することができる。
【0122】
このうち、例えば、前記界面活性剤は、溶媒に溶解した溶液状態で混合できる。この時、溶媒としては、無機溶媒または有機溶媒に制限なくすべての種類を用いることができるが、乾燥過程の容易性と溶媒回収システムの費用を考えた時、水が最も適切である。また、前記溶液は、前記界面活性剤と重合体を反応槽に入れて混合するか、ミキサに重合体を入れて溶液を噴射する方法、連続的に運転されるミキサに重合体と溶液を連続的に供給して混合する方法などを使用することができる。
【0123】
一方、本発明の一実施形態によれば、前記重合体の少なくとも一部の酸性基を中和させる段階(段階2)と、界面活性剤の存在下で、前記重合体を細粒化する段階(段階3)は、順次に、または交互に、または同時に行われる。
【0124】
つまり、重合体に中和剤を投入して酸性基を先に中和させた後、中和された重合体に界面活性剤を投入して界面活性剤が混合された重合体を細粒化するか、重合体に中和剤と界面活性剤を同時に投入して重合体に対して中和および細粒化を行ってもよい。あるいは、界面活性剤を先に投入し、中和剤を後に投入してもよい。あるいは、中和剤と界面活性剤を交差して交互に投入してもよい。あるいは、界面活性剤を先に投入して細粒化した後、中和剤を投入して中和し、中和された含水ゲル重合体に追加的に界面活性剤をさらに投入して細粒化工程を追加的に行ってもよい。
【0125】
一方、重合体全体に対する均一な中和のために、中和剤の投入と細粒化工程の間には一定の時間差をおくことが好ましい。
【0126】
前記界面活性剤の少なくとも一部乃至相当量は、前記含水高吸水性樹脂粒子の表面に存在しうる。
【0127】
ここで、前記界面活性剤が含水高吸水性樹脂粒子の表面に存在するという意味は、前記界面活性剤の少なくとも一部または相当量が前記含水高吸水性樹脂粒子の表面に吸着または結合していることを意味する。具体的には、前記界面活性剤は、前記高吸水性樹脂の表面に物理的にまたは化学的に吸着されていてもよい。より具体的には、前記界面活性剤の親水性官能基は、前記高吸水性樹脂の表面の親水性部分に双極子-双極子引力(Dipole-dipole interaction)などの分子間力によって物理的に吸着されていてもよい。このように、前記界面活性剤の親水性部分は、前記高吸水性樹脂粒子の表面に物理的に吸着されて表面を囲み、界面活性剤の疎水性部分は、樹脂粒子の表面に吸着されず、樹脂粒子は、一種のミセル(micelle)構造の形態として界面活性剤がコーティングされていてもよい。これは前記界面活性剤が前記水溶性エチレン系不飽和単量体の重合工程中に投入されるのではなく、重合体形成後の細粒化段階で投入されるためであり、前記界面活性剤が重合工程中に投入されて重合体の内部に前記界面活性剤が存在する場合に比べて、界面活性剤としての役割を忠実に果たすことができ、粉砕と凝集が同時に起きて微細粒子が凝集された形態で表面積の大きい粒子が得られる。
【0128】
本発明の一実施形態によれば、前記重合体を細粒化して含水高吸水性樹脂粒子を製造する段階は、2回以上行われる。
【0129】
本発明の一実施形態によれば、前記細粒化段階は、細粒化装置によって行われ、前記細粒化装置は、内部に重合体が移送される移送空間を含むボディ部と、前記移送空間の内部に回転可能に設けられて、重合体を移動させるスクリュー部材と、前記スクリュー部材に回転駆動力を提供する駆動モータと、前記ボディ部に設けられて、前記重合体を粉砕するカッター部材と、前記カッター部材によって粉砕された前記重合体を前記ボディ部の外部に排出し、多数のホール(hole)が形成された多孔板とを含むことができる。この時、前記細粒化装置の多孔板に備えられたホールサイズは、1mm~20mm、または5mm~15mm、または5mm~12mmであってもよい。
【0130】
このように、前記界面活性剤と混合された重合体を細粒化装置を用いて凝集を制御しながら細粒化を進行させる場合、より小さい粒度分布が実現されて、後の乾燥および粉砕工程をよりマイルドな条件で行うことができ、これによって微粉発生を防止しながら高吸水性樹脂の物性を向上させることができる。
【0131】
段階4:乾燥段階
次に、前記含水高吸水性樹脂粒子を乾燥して、乾燥高吸水性樹脂粒子を製造する段階(段階4)が行われる。
【0132】
前記段階は、重合体の少なくとも一部の酸性基が中和され、界面活性剤の存在下で前記重合体を細粒化して得られた重合体である含水高吸水性樹脂粒子の水分を乾燥させる段階である。
【0133】
通常の高吸水性樹脂の製造方法において、前記乾燥段階は、高吸水性樹脂の含水率が10重量%未満になるまで行うことが一般的であるが、本発明の一実施形態によれば、高吸水性樹脂の含水率が10重量%以上、例えば、約10~約20重量%、または約10~約15重量%となるように乾燥する。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。
【0134】
このために、前記乾燥段階で用いられる乾燥機内の温度は、約150℃以下、例えば、約80℃~約150℃で、比較的低温で行うことができる。乾燥機内の温度が過度に低い場合、乾燥時間が過度に長くなり、前記乾燥温度が過度に高い場合、前記所望の含水率より低い含水率を有する高吸水性樹脂が得られる。
【0135】
この時、乾燥は、流動式(moving type)で行われる。このような流動式(moving type)乾燥は、乾燥する間の物質の流動の有/無により定置式乾燥とは区別される。
【0136】
前記流動式(moving type)乾燥は、乾燥体を機械的に撹拌しながら乾燥させる方式をいう。この時、熱風が物質を通過する方向は、物質の循環方向と同一であってもよく、異なっていてもよい。あるいは、物質は、乾燥機の内部で循環し、乾燥機の外部の別途のパイプ管に熱媒介流体(熱媒流)を通過させて物質を乾燥させてもよい。
【0137】
これに対し、定置式乾燥は、空気が通る多孔鉄板のような底に乾燥させようとする物質を停止させた状態で、下から上へ熱風が物質を通過して乾燥させる方式をいう。
【0138】
したがって、前記段階で乾燥させようとする速い時間内に均一な乾燥を完了できるという面から、流動式乾燥方式で含水高吸水性樹脂を乾燥することが好ましい。
【0139】
このような流動式乾燥方式によって乾燥可能な装置としては、横型ミキサ(Horizontal-type Mixer)、ロータリーキルン(Rotary kiln)、パドルドライヤ(Paddle Dryer)、スチームチューブドライヤ(Steam tube dryer)、または一般に用いる流動式乾燥機などが用いられる。
【0140】
段階5:粉砕段階
次に、前記乾燥高吸水性樹脂粒子を粉砕して高吸水性樹脂粒子を製造する段階を行う。
【0141】
具体的には、前記粉砕段階は、乾燥高吸水性樹脂粒子を粉砕して正常粒子レベルの粒度、つまり、150μm~850μmの粒径を有するように行われる。
【0142】
このために用いられる粉砕機は、具体的には、垂直型切断機(Vertical pulverizer)、ターボカッター(Turbo cutter)、ターボグラインダー(Turbo grinder)、回転切断式粉砕機(Rotary cutter mill)、切断式粉砕機(Cutter mill)、円板粉砕機(Disc mill)、シュレッド破砕機(Shred crusher)、破砕機(Crusher)、細切機(chopper)または円板式切断機(Disc cutter)などであってもよいし、上述した例に限定されない。
【0143】
あるいは粉砕機として、ピンミル(pin mill)、ハンマーミル(hammer mill)、スクリューミル(screw mill)、ロールミル(roll mill)、ディスクミル(disc mill)またはジョグミル(jog mill)などを用いてもよいが、上述した例に限定されるものではない。
【0144】
一方、本発明の製造方法では、細粒化段階において、従来のチョッピング段階でより小さい粒度分布の高吸水性樹脂粒子を実現することができ、流動式(moving type)乾燥を行う場合、乾燥後の含水率が10重量%以上と比較的高く維持されるため、より少ない粉砕力でマイルドな条件で粉砕を行っても150μm~850μmの正常粒度の含有量が非常に高い高吸水性樹脂を形成することができ、微粉の生成比率が大きく減少できる。
【0145】
前記のように製造された高吸水性樹脂粒子は、総重量に対して150μm~850μmの粒径を有する高吸水性樹脂粒子、つまり、正常粒子を80重量%以上、85重量%以上、89重量%以上、90重量%以上、92重量%以上、93重量%以上、94重量%以上、または95重量%以上含むことができる。このような樹脂粒子の粒径は、欧州不織布産業協会(European Disposables and Nonwovens Association、EDANA)規格EDANA WSP220.3方法により測定できる。
【0146】
また、前記高吸水性樹脂粒子は、総重量に対して150μm未満の粒径を有する微粉を約20重量%以下、または約18重量%以下、または約15重量%以下、または約13重量%以下、または約12重量%以下、または約11重量%以下、または約10重量%以下、または約9重量%以下、または約8重量%以下、または約5重量%以下で含むことができる。これは、従来の製造方法により高吸水性樹脂を製造する場合、約20重量%超過~約30重量%の微粉を有するのとは対照的である。
【0147】
追加段階
前記高吸水性樹脂粒子を粉砕する段階の後に、前記粉砕された高吸水性樹脂粒子を粒径により分級する段階をさらに含むことができる。
【0148】
また、前記高吸水性樹脂粒子を粉砕および/または分級した後に、表面架橋剤の存在下で、前記高吸水性樹脂粒子の表面の少なくとも一部に表面架橋層を形成する段階をさらに含むことができる。前記段階によって、前記高吸水性樹脂粒子に含まれている架橋重合体が表面架橋剤を介在させて追加架橋されて、前記高吸水性樹脂粒子の表面の少なくとも一部に表面架橋層が形成される。
【0149】
前記表面架橋剤としては、従来から高吸水性樹脂の製造に使用されていた表面架橋剤を特別な制限なくすべて使用可能である。例えば、前記表面架橋剤は、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、トリプロピレングリコールおよびグリセロールからなる群より選択された1種以上のポリオール;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートおよびグリセロールカーボネートからなる群より選択された1種以上のカーボネート系化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのエポキシ化合物;オキサゾリジノンなどのオキサゾリン化合物;ポリアミン化合物;モノ-、ジ-またはポリオキサゾリジノン化合物;または環状ウレア化合物;などを含むことができる。
【0150】
具体的には、前記表面架橋剤として、上述した表面架橋剤のうちの1種以上、または2種以上、または3種以上が使用できるが、例えば、エチレンカーボネート-プロピレンカーボネート(ECPC)、プロピレングリコールおよび/またはグリセロールカーボネートが使用できる。
【0151】
このような表面架橋剤は、前記高吸水性樹脂粒子100重量部に対して約0.001~約5重量部で使用できる。例えば、前記表面架橋剤は、高吸水性樹脂粒子100重量部に対して0.005重量部以上、または0.01重量部以上、または0.05重量部以上かつ、または5重量部以下、または4重量部以下、または3重量部以下の含有量で使用できる。表面架橋剤の含有量範囲を上述した範囲に調節して、優れた吸水諸物性を示す高吸水性樹脂を製造することができる。
【0152】
また、前記表面架橋層を形成する段階は、前記表面架橋剤に無機物質を追加して行われる。つまり、前記表面架橋剤および無機物質の存在下で、前記高吸水性樹脂粒子の表面を追加架橋して表面架橋層を形成する段階を行うことができる。
【0153】
このような無機物質として、シリカ(silica)、クレー(clay)、アルミナ、シリカ-アルミナ複合材、チタニア、亜鉛酸化物およびアルミニウムスルフェートからなる群より選択された1種以上の無機物質を使用することができる。前記無機物質は、粉末形態または液状形態で使用することができ、特に、アルミナ粉末、シリカ-アルミナ粉末、チタニア粉末、またはナノシリカ溶液で使用することができる。また、前記無機物質は、高吸水性樹脂粒子100重量部に対して約0.001~約1重量部の含有量で使用できる。
【0154】
また、前記表面架橋剤を高吸水性樹脂組成物に混合する方法については、その構成の限定はない。例えば、表面架橋剤と高吸水性樹脂組成物を反応槽に入れて混合するか、高吸水性樹脂組成物に表面架橋剤を噴射する方法、連続的に運転されるミキサに高吸水性樹脂組成物と表面架橋剤を連続的に供給して混合する方法などを使用することができる。
【0155】
前記表面架橋剤と高吸水性樹脂組成物とを混合する時、追加的に水およびメタノールを共に混合して添加することができる。水およびメタノールを添加する場合、表面架橋剤が高吸水性樹脂組成物に均一に分散できるという利点がある。この時、追加される水およびメタノールの含有量は、表面架橋剤の均一な分散を誘導し、高吸水性樹脂組成物のかたまり現象を防止すると同時に、架橋剤の表面浸透深さを最適化するために適切に調節可能である。
【0156】
前記表面架橋工程は、約80℃~約250℃の温度で行われる。より具体的には、前記表面架橋工程は、約100℃~約220℃、または約120℃~約200℃の温度で、約20分~約2時間、または約40分~約80分間行われる。上述した表面架橋工程条件を満たす時、高吸水性樹脂粒子の表面が十分に架橋されて加圧吸水能が増加できる。
【0157】
前記表面架橋反応のための昇温手段は特に限定されない。熱媒体を供給するか、熱源を直接供給して加熱することができる。この時、使用可能な熱媒体の種類としては、スチーム、熱風、熱い油などの昇温した流体などを使用することができるが、これに限定されるものではなく、また、供給される熱媒体の温度は、熱媒体の手段、昇温速度および昇温目標温度を考慮して適切に選択することができる。一方、直接供給される熱源としては、電気による加熱、ガスによる加熱方法が挙げられるが、上述した例に限定されるものではない。
【0158】
本発明の一実施形態によれば、前記高吸水性樹脂粒子の表面の少なくとも一部に表面架橋層を形成する段階の後に、前記表面架橋層が形成された高吸水性樹脂粒子を冷却する冷却段階、前記表面架橋層が形成された高吸水性樹脂粒子に水を投入する加水段階、および前記表面架橋層が形成された高吸水性樹脂粒子に添加剤を投入する後処理段階のいずれか1つ以上の段階をさらに含んで行われる。この時、前記冷却段階、加水段階、および後処理段階は、順次に行われるか、または同時に行われる。
【0159】
前記後処理段階で投入する添加剤は、通液性向上剤、アンチ-ケーキング(anti-caking)剤、流動性向上剤、および酸化防止剤などであってもよいが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0160】
前記冷却段階、加水段階、および後処理段階を選択的に行うことによって、最終高吸水性樹脂の含水率を向上させ、より高品質の高吸水性樹脂製品を製造することができる。
【0161】
前記製造方法で製造された高吸水性樹脂は、吸水速度が速くて微粉含有量が低く、従来の方法で製造した高吸水性樹脂に比べて、諸吸水物性である保水能(CRC)と加圧吸水能(AUP)が同等レベル以上になる。
【0162】
また、粒径分布が狭くなって均一な粒径分布を有することができ、水可溶成分(EC)の含有量が低くなることによって、通液性、およびリウェット(rewet)特性に優れた高吸水性樹脂を提供することができる。
【0163】
一実施形態による高吸水性樹脂は、
酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体および内部架橋剤が架橋重合された重合体を含み、前記重合体の酸性基の少なくとも一部は中和されており、表面架橋剤を介在させて前記重合体が追加架橋されて前記重合体上に形成された表面架橋層を含み、
吸水速度(vortex time)が30秒以下であり、
EDANA法WSP270.3の方法により1時間膨潤後に測定した水可溶成分が5重量%以下である。
【0164】
一例として、本発明の前記高吸水性樹脂は、EDANA法WSP241.3により測定した保水能(CRC)が約30g/g以上、または約32g/g以上、または約34g/g以上、または約35g/g以上、または約36g/g以上、または約37g/g以上かつ、約50g/g以下、または約45g/g以下、または約40g/g以下の範囲を有することができる。
【0165】
また、本発明の前記高吸水性樹脂は、EDANA法WSP242.3により測定した0.3psiの加圧吸水能(AUP)が約25g/g以上、または約27g/g以上、または約28g/g以上、または約29g/g以上、または約30g/g以上、または約31g/g以上かつ、約40g/g以下、または約35g/g以下、または約33g/g以下の範囲を有することができる。
【0166】
さらに、本発明の前記高吸水性樹脂は、吸水速度(vortex time)が30秒以下、または28秒以下、または27秒以下、または26秒以下、または25秒以下、または24秒以下、または23秒以下、または22秒以下、または21秒以下、または20秒以下、または19秒以下、または18秒以下であってもよい。前記吸水速度は、その値が小さいほど優れていて、前記吸水速度の下限は理論上0秒であるが、一例として、約5秒以上、または約10秒以上、または約12秒以上であってもよい。
【0167】
前記吸水速度は、生理食塩水に高吸水性樹脂を加えて撹拌させた時、速い吸水によって液体の渦流(vortex)がなくなる時間(time、単位:秒)を意味するものであって、前記時間が短いほど高吸水性樹脂が速い初期吸水速度を有すると見られる。
【0168】
また、本発明の前記高吸水性樹脂は、EDANA法WSP270.3の方法により1時間膨潤後に測定した水可溶成分が5重量%以下、または4.8重量%以下、または4.5重量%以下、または4.3重量%以下、または4重量%以下、または3.9重量%以下であってもよい。前記水可溶成分の含有量はその値が小さいほど優れていて、下限は理論上0重量%であるが、一例として、0.1重量%以上、または1重量%以上であってもよい。
【0169】
<実施例>
実施例1
(重合体製造段階)
撹拌機、温度計を装着した10Lガラス容器に、アクリル酸1500g、内部架橋剤としてペンタエリスリトールトリアリルエーテル6.3g、水3387gを撹拌・混合し、5℃に維持しながら撹拌した。前記混合物が含まれているガラス容器に窒素1000cc/minを1時間流入して窒素条件に置換した。次に、重合開始剤として0.3%過酸化水素水溶液20.1g、1%アスコルビン酸水溶液22.5g、2%の2,2’-アゾビス-(2-アミジノプロパン)二塩酸水溶液45.0gを投入し、同時に還元剤として0.01%の硫酸鉄水溶液22.3gを添加して重合を開始した。前記混合物の温度が85℃に到達した後、90±2℃で約3時間重合することによって重合体を得た。
【0170】
(中和および細粒化段階)
ホールサイズ(hole size)が10mmの多数のホールを含む多孔板が備えられたマイクロナイザー(Micronizer)(F200、Karl Schnell)を1500rpmで回転させながら、得られた重合体5000gを投入して数十から数百マイクロメートルの粒径を有する1次粒子に細粒化した。この時、過度の凝集を防止すべく、グリセロールモノラウレート(Glycerol Monolaurate)(GML)1.5w%水溶液90gを投入した。
【0171】
以後、ホールサイズ(hole size)が6mmの多数のホールを含む多孔板が備えられたスクリュー型細切機であるミートチョッパ(meat chopper)を500rpmで回転させながら、細粒化された重合体を投入して2次凝集粒子に製造する過程を3回繰り返した。この時、1回通過時、50%NaOH水溶液を1,904g投入して重合体の酸性基の一部を中和した。2回通過段階では、15%のNaSO水溶液を18.8g投入して重合体の酸性基の一部を中和した。3回通過段階では、添加剤を投入せずに通過させて含水高吸水性樹脂粒子を製造した。
【0172】
(乾燥段階)
前記含水高吸水性樹脂粒子1,000gを、120rpmで回転するロータリーキルン(Rotary kiln)流動式乾燥機に投入した。前記乾燥機の内部温度は105℃に維持しながら60分間乾燥を行って樹脂粉末を得た。得られた粉末を2段ロールミル(roll mill)に通過してベース樹脂(BR)粉末を得た。
【0173】
(表面架橋段階)
次に、得られたベース樹脂粉末100gに対して、水4g、メタノール6g、エチレングリコールジグリシジルエーテル(EJ-1030S)0.30g、プロピレングリコール0.1gおよびアルミニウムスルフェート0.2gを投入して製造した表面架橋液を1分間混合し、これを140℃で50分間表面架橋反応を進行させて表面架橋された高吸水性樹脂を得た。
【0174】
実施例2
実施例1の乾燥段階において、含水高吸水性樹脂粒子1,000gを、ロータリーキルン乾燥機の代わりに多孔板が含まれている通気型乾燥機に投入し、前記乾燥機の内部温度は140℃に維持しながら40分間乾燥を行った以外は実施例1と同様の方法で製造した。
【0175】
実施例3
実施例1の中和および細粒化段階において、ホールサイズ(hole size)が10mmの多数のホールを含む多孔板が備えられたマイクロナイザー(Micronizer)(F200、Karl Schnell)を1500rpmで回転させながら、得られた重合体5000gを投入して数十から数百マイクロメートルの粒径を有する1次粒子に細粒化した。この時、50%NaOH水溶液を1,904g投入して重合体の酸性基の一部を中和した。以後、ホールサイズ(hole size)が10mmの多数のホールを含む多孔板が備えられたマイクロナイザー(Micronizer)(F200、Karl Schnell)を1500rpmで回転させながら、中和および細粒化された重合体を投入して2次凝集粒子に製造した。この時、過度の凝集を防止すべく、グリセロールモノラウレート(Glycerol Monolaurate)(GML)1.5w%水溶液180gを投入し、15%のNaSO水溶液を18.8g投入して重合体の酸性基の一部を中和した。それ以外は実施例1と同様の方法で製造した。
【0176】
比較例
(重合体製造段階)
ガラス反応器に、アクリル酸100g、31.5重量%苛性ソーダ(NaOH)130g、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.15g、熱重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.2g、光重合開始剤としてジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド0.01g、発泡剤としてカプセル型発泡剤F-36D5g、発泡安定剤としてナトリウムドデシルスルフェート5gおよび水45gを混合して単量体組成物を製造した。
【0177】
前記単量体組成物を横30cm、縦30cmの大きさの四角反応容器に入れて、10mW/cmの強度を有する紫外線を照射して60秒間重合反応を進行させて含水ゲル重合体を得た(含水率=44.3重量%)。
【0178】
(粉砕段階)
前記段階1で製造した含水ゲル重合体を横5cm、縦5cmの大きさに切断し、スクリュー型細切機のミートチョッパ(meat chopper)を用いて含水ゲル粉砕した。この時、スクリュー型細切機にはホールサイズが16mmの多数の細切孔を備えた多孔板を用いた。
【0179】
(乾燥段階)
以後、前記高吸水性樹脂含水ゲル粉砕物1,000gを、多孔板が含まれている通気型乾燥機に投入した。前記乾燥機の内部温度は180℃に維持しながら40分間乾燥を行って樹脂粉末を得た。得られた粉末を2段ロールミル(roll mill)に通過してベース樹脂(BR)粉末を得た。
【0180】
(粉砕および分級段階)
前記ベース樹脂を2段ロールミル(GRAN-U-LIZERTM、MPE)を用いて150μm~850μmの粒径を有する粒子となるように粉砕した。
【0181】
前記粉砕物を分級体を用いて150μm~850μmの粒径を有する高吸水性樹脂粒子のみ選択的に回収した。
【0182】
(表面架橋段階)
前記で得られた高吸水性樹脂粒子100gに対して、水5g、プロピレングリコール5.3g、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.1gおよび23%の硫酸アルミニウム水溶液0.87gを混合して製造した表面架橋液を投入し、2分間混合し、これを130℃で50分間表面架橋反応を進行させて最終高吸水性樹脂を製造した。
【0183】
<実験例>
前記実施例および比較例で製造したベース樹脂(略語:BR)または表面架橋された最終高吸水性樹脂(略語:PD)に対して、下記のような方法で物性を評価して、下記表1に記載した。
【0184】
異なって表記しない限り、下記の物性評価はすべて恒温恒湿(23±1℃、相対湿度50±10%)で進行させ、生理食塩水または塩水は0.9重量%塩化ナトリウム(NaCl)水溶液を意味する。
【0185】
また、再湿潤物性評価で使用した水道水はOrion Star A222(会社:Thermo Scientific)を用いて測定した時、電気伝導度が170~180μS/cmのものを使用した。
【0186】
さらに、異なって表記しない限り、ベース樹脂の物性評価はASTM規格の篩で分級した300μm~400μmの粒径を有する樹脂に対して行い、表面架橋された最終高吸水性樹脂に対する物性評価はASTM規格の篩で分級した150μm~850μmの粒径を有する樹脂に対して行った。
【0187】
(1)遠心分離保水能(CRC、Centrifuge Retention Capacity)
前記実施例および比較例の高吸水性樹脂の無荷重下吸水倍率による保水能を欧州不織布産業協会(European Disposables and Nonwovens Association、EDANA)規格EDANA WSP241.3により測定した。
【0188】
具体的には、実施例および比較例によりそれぞれ得られた高吸水性樹脂W(g)(約0.2g)を不織布製の封筒に均一に入れて密封(seal)した後、常温で生理食塩水(0.9重量%)に浸した。30分経過後、遠心分離機を用いて250Gの条件下で前記封筒から3分間水気を切り、封筒の質量W(g)を測定した。また、樹脂を用いずに同一の操作をした後に、その時の質量W(g)を測定した。
【0189】
得られた各質量を用いて、下記数式1によりCRC(g/g)を算出した。
【0190】
[数式1]
CRC(g/g)={[W(g)-W(g)]/W(g)}-1
【0191】
(2)加圧吸水能(AUP:Absorbency under Pressure)
前記実施例、および比較例の高吸水性樹脂の0.3psiの加圧吸水能をEDANA法WSP242.3により測定した。
【0192】
具体的には、内径25mmのプラスチックの円筒底にステンレス製400meshの金網を装着させた。常温および湿度50%の条件下で金網上に高吸水性樹脂W(g)(0.9g)を均一に散布し、その上に0.3psiの荷重を均一にさらに付与できるピストンは外径25mmより若干小さく、円筒の内壁と隙間がなく、上下の動きが妨げられないようにした。この時、前記装置の重量W(g)を測定した。
【0193】
直径150mmのペトリ皿の内側に直径90mmおよび厚さ5mmのガラスフィルタを置き、0.9重量%塩化ナトリウムからなる生理食塩水をガラスフィルタの上面と同一レベルとなるようにした。その上に直径90mmのろ過紙1枚を載せた。ろ過紙上に前記測定装置を載せ、液を荷重下で1時間吸収させた。1時間後に測定装置を持ち上げて、その重量W(g)を測定した。
【0194】
得られた各質量を用いて、下記数式2により加圧吸水能(g/g)を算出した。
【0195】
[数式2]
AUP(g/g)=[W(g)-W(g)]/W(g)
【0196】
前記測定を5回繰り返し、その平均値および標準偏差を求めた。
【0197】
(3)含水率
含水率は高吸水性樹脂の総重量に対して占める水分の含有量で、下記数式3により計算した。
【0198】
具体的には、赤外線加熱により高吸水性樹脂の温度を上げて乾燥する過程で高吸水性樹脂中の水分の蒸発による重量減少分を測定して計算した。この時、乾燥条件は常温から180℃まで温度を上昇させた後、180℃で維持する方式で、総乾燥時間は温度上昇段階の5分を含む40分に設定した。乾燥前/後の高吸水性樹脂の重量をそれぞれ測定し、下記数式3により計算した。
【0199】
[数式3]
含水率(重量%)=[(Ao-At)/Ao]×100
【0200】
上記式中、Atは、乾燥後の高吸水性樹脂の重量であり、Aoは、乾燥前の高吸水性樹脂の重量である。
【0201】
(4)吸水速度(Vortex time)
吸水速度(vortex time)は、国際公開第1987/003208号に記載の方法に準じて秒単位で測定した。
【0202】
具体的には、23℃~24℃の50mLの生理食塩水に2gの高吸水性樹脂を入れて、マグネチックバー(直径8mm、長さ30mm)を600rpmで撹拌して渦流(vortex)がなくなるまでの時間を秒単位で測定して算出された。
【0203】
(5)水可溶成分(EC、Extractable Contents)
2gの高吸水性樹脂に対して、EDANA法WSP270.3の方法により1時間膨潤後の水可溶成分を測定した。
【0204】
(6)微粉含有量
前記実施例、および比較例のベース樹脂(BR)粉末をASTM規格の850μm(#20)、600μm(#30)、300μm(#50)、および150μm(#100)の大きさの目盛を有する標準篩(sieve)を用いて分級し、150μm未満の粒径を有する微粉(fine particle)の重量を測定した後、前記ベース樹脂粉末の総重量を基準とする百分率で表した。
【0205】
(7)加圧水道水の長期再湿潤(6hr Rewet)
(i)直径13cmのペトリ皿(petri dish)に高吸水性樹脂4gを均一に散布し、スパチュラ(spatula)を用いて均一に分布させ、水道水200gを注いだ後に膨潤させた。
(ii)6時間膨潤させた高吸水性樹脂を直径11cmのろ過紙(製造会社whatman、catalog No.1004-110、pore size20-25μm、直径11cm)20枚を敷いて、直径11cmに5kgの錘(0.75psi)で1分間加圧した。
(iii)1分間加圧後のろ過紙についた水道水の量(単位:g)を測定した。
【0206】
(8)TWFA(Tap Water Free Absorbency、1分吸水能)
実施例および比較例の高吸水性樹脂1.0g(W)を不織布封筒(15cm×15cm)に入れて、24℃の水道水 500mLに1分間浸した。1分後、封筒を水道水から取り出した後、吊り下げて1分間放置した。以後、封筒の質量(W)を測定した。また、高吸水性樹脂を使用せずに同一の操作をした後に、その時の質量W(g)を測定した。
【0207】
このように得られた各質量を用いて、下記数式5によりTWFAを算出した。
【0208】
[数式5]
TWFA={[W(g)-W(g)-W(g)]/W(g)}
【0209】
【表1】
【0210】
(表1中、BRは、乾燥段階後表面架橋段階前のベース樹脂(base resin)を意味し、PDは、表面架橋段階後の最終高吸水性樹脂製品(product)を意味する。)
【0211】
実施例1~3は、本発明の一実施形態により水溶性エチレン系不飽和単量体を未中和状態でバッチ重合方式で重合した後、後の段階で界面活性剤および中和剤を投入して重合体を後中和させ、細粒化する段階で製造した。
【0212】
表1を参照すれば、酸性基の一部を先に中和させた単量体を重合した後、チョッピングおよび乾燥段階を行った従来の比較例工程に比べて、実施例1~3は、ベース樹脂の微粉含有量が顕著に減少し、表面架橋後の高吸水性樹脂の水可溶成分も顕著に減少した。
【0213】
実施例1と2を比較すれば、後中和および細粒化工程で低い微粉含有量を有するベース樹脂を得ることができるが、高いボルテックス吸水速度を達成するためには、実施例2の定置乾燥よりは、実施例1のロータリー型乾燥機を用いた流動乾燥がより有利であることが確認された。
図1
【国際調査報告】