(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-17
(54)【発明の名称】高吸水性樹脂用ロール粉砕機およびこれを利用した高吸水性樹脂の製造方法
(51)【国際特許分類】
B02C 4/08 20060101AFI20240110BHJP
C08J 3/12 20060101ALI20240110BHJP
B02C 4/30 20060101ALI20240110BHJP
B01J 20/26 20060101ALI20240110BHJP
B01J 20/30 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B02C4/08
C08J3/12 A
B02C4/30
B01J20/26 D
B01J20/30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539358
(86)(22)【出願日】2022-07-08
(85)【翻訳文提出日】2023-06-27
(86)【国際出願番号】 KR2022009900
(87)【国際公開番号】W WO2023287115
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】10-2021-0091027
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0083939
(32)【優先日】2022-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ソクヒョン・ベク
(72)【発明者】
【氏名】ギチュル・キム
(72)【発明者】
【氏名】ユン・ジェ・ミン
【テーマコード(参考)】
4D063
4F070
4G066
【Fターム(参考)】
4D063CC01
4D063CC08
4D063GA10
4D063GD02
4F070AA29
4F070AB13
4F070DA48
4F070DC06
4F070DC07
4G066AC17B
4G066BA09
4G066CA43
4G066DA13
4G066EA05
4G066EA13
4G066FA25
(57)【要約】
高吸水性樹脂用ロール粉砕機が開示される。前記高吸水性樹脂用ロール粉砕機は、投入される高吸水性樹脂の粒子を粉砕して排出する。前記高吸水性樹脂用ロール粉砕機は、それぞれの外周面に複数のシワが形成され、互いにロールギャップだけ離隔して平行に配置される一対のローラを含み、前記ローラは、その外周面に複数のシワが形成され、前記ローラの単位円周長さ当たりのシワの個数は0.89個/mm~1.15個/mmであり得る。
また、前記ロール粉砕機を利用した高吸水性樹脂の製造方法がさらに開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入される高吸水性樹脂の粒子を粉砕して排出する高吸水性樹脂用ロール粉砕機において、
それぞれの外周面に複数のシワが形成され、互いにロールギャップだけ離隔して平行に配置される一対のローラを含み、
前記ローラはその外周面に複数のシワが形成され、
前記ローラの単位円周長さ当たりのシワの個数は0.89個/mm~1.15個/mmである、高吸水性樹脂用ロール粉砕機。
【請求項2】
前記シワの高さは276μm~354μmであり、シワのピッチは0.87mm~1.12mmである、請求項1に記載の高吸水性樹脂用ロール粉砕機
【請求項3】
前記ロールギャップは0.10mm~0.25mmである、請求項1に記載の高吸水性樹脂用ロール粉砕機。
【請求項4】
前記ロールギャップは0.10mm~0.20mmである、請求項1に記載の高吸水性樹脂用ロール粉砕機。
【請求項5】
投入される高吸水性樹脂の粒子のサイズにより前記一対のローラの上流に配置される他の一対のローラをさらに含む、請求項1に記載の高吸水性樹脂用ロール粉砕機。
【請求項6】
前記他の一対のローラはそれぞれの外周面に複数の他のシワが形成され、互いに他のロールギャップだけ離隔して平行に配置され、
前記他の一対のローラそれぞれの単位円周長さ当たりの他のシワの個数は0.25個/mm~0.38個/mmである、請求項5に記載の高吸水性樹脂用ロール粉砕機。
【請求項7】
前記他のシワの高さは950μm~1400μmであり、他のシワのピッチは2.62mm~3.93mmである、請求項6に記載の高吸水性樹脂用ロール粉砕機。
【請求項8】
前記他のロールギャップは0.20mm~0.30mmである、請求項6に記載の高吸水性樹脂用ロール粉砕機。
【請求項9】
少なくとも一部が中和された酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体、内部架橋剤、および重合開始剤を含む単量体組成物を重合して含水ゲル重合体を製造する段階と;
前記含水ゲル重合体をチョッピングまたは微粒化する微粒化段階と;
微粒化された前記含水ゲル重合体を乾燥して乾燥高吸水性樹脂粒子を準備する乾燥段階と;
前記乾燥高吸水性樹脂粒子を粉砕する粉砕段階と;
を含み、
前記粉砕段階は請求項1~8のいずれか一項に記載のロール粉砕機を使用して行われる、高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項10】
酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体、内部架橋剤、および重合開始剤を含む単量体組成物を重合して含水ゲル重合体を製造する段階と;
前記含水ゲル重合体の少なくとも一部の酸性基を中和させる段階と;
界面活性剤の存在下で前記含水ゲル重合体を微粒化して含水高吸水性樹脂粒子を製造する段階と;
前記含水高吸水性樹脂粒子を乾燥して、乾燥高吸水性樹脂粒子を製造する段階と;
前記乾燥高吸水性樹脂粒子を粉砕する粉砕段階と;
を含み、
前記粉砕段階は請求項1~8のいずれか一項に記載のロール粉砕機を使用して行われる、高吸水性樹脂の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願らとの相互引用
本出願は、2021年7月12日付韓国特許出願第10-2021-0091027号、および2022年7月7日付韓国特許出願第10-2022-0083939号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、高吸水性樹脂用ロール粉砕機およびこれを利用した高吸水性樹脂の製造方法に関し、より詳しくは、ロールギャップとロールのシワの仕様を調節することによって、微粉発生量を増加させることなく粒子のサイズを減らし、狭い粒度分布を実現することができる高吸水性樹脂用ロール粉砕機およびこれを利用した高吸水性樹脂の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
高吸水性樹脂(super absorbent polymer;SAP)は、アクリル酸と苛性ソーダを反応させて製造する白色粉末形態の高分子物質であり、SAPの自重の5百乃至1千倍程度の水分を吸収することができる。高吸水性樹脂は、水を吸収すればゼリーに類似する形態に変形され、外部から或る程度の圧力が加わっても水を排出せずに貯蔵することができる機能を有する合成高分子物質である。
【0004】
高吸水性樹脂分子は、網目模様の網状構造を有しており、分子間の多くの孔により水を良好に吸収することができる。水と高吸水性樹脂の内部とのイオン濃度差により水は高吸水性樹脂の内部に移動(浸透圧現象により)する。水分子が高吸水性樹脂内部に流入すれば内部に固定された陰イオンが反発力により一定の空間を占めようとし、高分子鎖の空間が膨張するようになって水をより多く吸収(静電気的反発力)できるようになる。
【0005】
このような高吸水性樹脂は、生理用品として実用化し始め、現在は乳幼児用紙おむつなど衛生用品以外に、園芸用土壌保水材、土木・建築用止水材、育苗用シート、食品流通分野における新鮮度保持剤、および湿布用などの材料として広く用いられている。
【0006】
最近、おむつなどの性能を向上させるために高吸水性樹脂の速い吸水速度に対する要求が持続的に増加している。吸水速度を速くするために発泡を通じた多孔性粒子を製造する方法、チョッピング時に剪断を増加させる方法、またはロールギャップ(Roll gap)調節を通じた小粒径化など粒子の表面積を増加させる方法が主に使用されている。
【0007】
小さいサイズの粒子を製造するためにロールギャップを減らせば粒度の分布が広くなって製品間の物性の不均衡および表面処理(例えば、表面架橋など)の困難を招くことがある。また、粒子サイズが150μm未満である微粉の比率が増加する。前記微粉は水を添加して再造粒した後に乾燥/粉砕/分級工程で再循環されるため、微粉発生量が増加するほど工程負荷が増加して生産性が低下することがある。
【0008】
この背景技術の部分に記載された事項は、発明の背景に対する理解を増進させるために作成されたものであって、当該技術が属する分野における通常の知識を有する者に既に知られた従来の技術でない事項を含むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の実施例の目的は、ロールギャップとロールのシワの仕様を調節することによって、微粉発生量を増加させることなく粒子のサイズを減らし、狭い粒度分布を実現することができる高吸水性樹脂用ロール粉砕機およびこれを利用した高吸水性樹脂の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施例による高吸水性樹脂用ロール粉砕機は、投入される高吸水性樹脂の粒子を粉砕して排出する。前記高吸水性樹脂用ロール粉砕機は、それぞれの外周面に複数のシワが形成され、互いにロールギャップだけ離隔して平行に配置される一対のローラを含み、前記ローラはその外周面に複数のシワが形成され、前記ローラの単位円周長さ当たりのシワの個数は0.89個/mm~1.15個/mmであり得る。
【0011】
前記シワの高さは276μm~354μmであり、シワのピッチは0.87mm~1.12mmであり得る。
【0012】
一態様で、前記ロールギャップは0.10mm~0.25mmであり得る。
【0013】
他の一態様で、前記ロールギャップは0.10mm~0.20mmであり得る。
【0014】
高吸水性樹脂用ロール粉砕機は、投入される高吸水性樹脂の粒子のサイズにより前記一対のローラの上流に配置される他の一対のローラをさらに含むことができる。
【0015】
前記他の一対のローラはそれぞれの外周面に複数の他のシワが形成され、互いに他のロールギャップだけ離隔して平行に配置され、前記他の一対のローラそれぞれの単位円周長さ当たりの他のシワの個数は0.25個/mm~0.38個/mmであり得る。
【0016】
前記他のシワの高さは950μm~1400μmであり、他のシワのピッチは2.62mm~3.93mmであり得る。
【0017】
前記他のロールギャップは0.20mm~0.30mmであり得る。
【0018】
本発明の実施例による高吸水性樹脂の製造方法は、少なくとも一部が中和された酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体、内部架橋剤、および重合開始剤を含む単量体組成物を重合して含水ゲル重合体を製造する段階と;前記含水ゲル重合体をチョッピングまたは微粒化する微粒化段階と;微粒化された前記含水ゲル重合体を乾燥して乾燥高吸水性樹脂粒子を準備する乾燥段階と;前記乾燥高吸水性樹脂粒子を粉砕する粉砕段階と;を含み、前記粉砕段階は本発明の実施例によるロール粉砕機を使用して行われ得る。
【0019】
本発明の他の実施例による高吸水性樹脂の製造方法は、酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体、内部架橋剤、および重合開始剤を含む単量体組成物を重合して含水ゲル重合体を製造する段階と;前記含水ゲル重合体の少なくとも一部の酸性基を中和させる段階と;界面活性剤の存在下で前記含水ゲル重合体を微粒化して含水高吸水性樹脂粒子を製造する段階と;前記含水高吸水性樹脂粒子を乾燥して、乾燥高吸水性樹脂粒子を製造する段階と;前記乾燥高吸水性樹脂粒子を粉砕する粉砕段階と;を含み、前記粉砕段階は本発明の実施例によるロール粉砕機を使用して行われ得る。
【発明の効果】
【0020】
本発明の実施例によれば、シワの個数が増えたローラを使用することによって、微粉発生量を増加させることなく粒子のサイズを減らし、狭い粒度分布を実現することができる。
【0021】
また、同一の粒度を実現しながらもロールギャップを増加させることができる。そのために、一対のローラが互いにぶつかることが減少することができる。
【0022】
それ以外に本発明の実施例により得ることができるか予測される効果については、本発明の実施例に関する詳細な説明で直接的または暗示的に開示する。つまり、本発明の実施例により予測される多様な効果については、後述する詳細な説明内で開示される。
【0023】
本明細書の実施例は、類似の参照符号が同じであるかまたは機能的に類似する要素を称する添付図面と連携した以下の説明を参照してよりよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施例による高吸水性樹脂用ロール粉砕機の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
前記で参照した図面は、必ずしも縮尺に合わせて図示されたものではなく、本発明の基本原理を例示する多様な好まれる特徴の多少簡略な表現を提示するものと理解されなければならない。例えば、特定の寸法、方向、位置、および形状を含む本発明の特定の設計特徴が特定の意図された応用と使用環境により一部決定される。
【0026】
ここで使用される用語は、特定の実施例を説明するための目的であり、本発明を制限するものと意図されない。ここで使用されるように、単数の形態は、文脈上明示的に異に表示されない限り、複数の形態も含むものと意図される。「含む」、「含んでいる」、「含有する」および/または「含有している」という用語は、本明細書で使用される場合、言及された特徴、整数、段階、作動、構成要素および/またはコンポーネントの存在を特定するが、他の特徴、整数、段階、作動、構成要素、コンポーネントおよび/またはこれらのグループのうちの一つ以上の存在または追加を排除しないことも理解され得る。ここで使用されるように、用語「および/または」は、関連して羅列された項目のうちの任意の一つまたは全ての組み合わせを含む。
【0027】
本発明の明細書に使用される用語「重合体」、または「高分子」は、水溶性エチレン系不飽和単量体が重合された状態であることを意味し、全ての水分含有量範囲または粒径範囲を包括することができる。前記重合体のうち、重合後、乾燥前状態のものであって、含水率(水分含有量)が約40重量%以上の重合体を含水ゲル状重合体と称することができる。
【0028】
また、「高吸水性樹脂」は、文脈により前記重合体またはベース樹脂自体を意味したり、または前記重合体や前記ベース樹脂に対して追加の工程、例えば表面架橋、微粉再造粒、乾燥、粉砕、分級などを経て製品化に適した状態にしたものを全て包括するものとして使用される。
【0029】
本発明の実施例による高吸水性樹脂用ロール粉砕機は、シワの個数が増えたローラを使用することによって、微粉発生量を増加させることなく粒子のサイズを減らし、狭い粒度分布を実現することができる。また、ローラのシワの個数が増加したため、ロールギャップを増加させても同一の粒度実現が可能である。
【0030】
以下、本発明の実施例による高吸水性樹脂用ロール粉砕機を添付図面を参照して詳しく説明する。
【0031】
本発明の実施例によるロール粉砕機は、高吸水性樹脂の製造方法に含まれている粉砕段階に使用される。
【0032】
一つの例による高吸水性樹脂の製造方法(製造方法1)は、少なくとも一部が中和された酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体、内部架橋剤および重合開始剤を含む単量体組成物を重合して含水ゲル重合体を製造する段階と;前記含水ゲル重合体をチョッピングまたは微粒化する微粒化段階と;微粒化された前記含水ゲル重合体を乾燥して乾燥高吸水性樹脂粒子を準備する乾燥段階と;前記乾燥高吸水性樹脂粒子を粉砕する粉砕段階とを含むことができる。
【0033】
他の一つの例による高吸水性樹脂の製造方法(製造方法2)は、酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体、内部架橋剤、および重合開始剤を含む単量体組成物を重合して含水ゲル重合体を製造する段階と;前記含水ゲル重合体の少なくとも一部の酸性基を中和させる段階と;界面活性剤の存在下で前記含水ゲル重合体を微粒化して含水高吸水性樹脂粒子を製造する段階と;前記含水高吸水性樹脂粒子を乾燥して、乾燥高吸水性樹脂粒子を製造する段階と;前記乾燥高吸水性樹脂粒子を粉砕する粉砕段階とを含むことができる。
【0034】
製造方法2で、前記単量体組成物に対して重合を行って重合体を形成する段階は、バッチ式反応器(batch type reactor)で行われ得る。
【0035】
また、重合段階で重合開始剤とレドックス(Redox)カップルをなす還元剤と共に投入して重合を開始することができる。
【0036】
また、前記含水ゲル重合体の少なくとも一部の酸性基を中和させる段階と、界面活性剤の存在下で前記含水ゲル重合体を微粒化して含水高吸水性樹脂粒子を製造する段階とは、順次にまたは同時に行われ得る。
【0037】
また、前記含水高吸水性樹脂粒子を乾燥する段階は、流動式(moving type)で行われ得る。
【0038】
前述したとおり、重合段階、微粒化段階および乾燥段階を通じて製造された乾燥高吸水性樹脂粒子は、本発明の実施例による高吸水性樹脂用粉砕装置を利用した粉砕段階を通じて粉砕される。
【0039】
以下、
図1および
図2を参照して、本発明の実施例による高吸水性樹脂用粉砕装置をより詳しく説明する。本発明の実施例では、前記粉砕装置としてその外周面に複数のシワが形成されたロール粉砕機を使用する。
【0040】
図1は本発明の実施例による高吸水性樹脂用ロール粉砕機の斜視図である。
【0041】
図1および
図2に示されているように、本発明の実施例による高吸水性樹脂用ロール粉砕機は、投入される高吸水性樹脂の粒子を粉砕して排出する。前記ロール粉砕機は、一対または二対のローラ10、20を含む。
図1には前記ロール粉砕機が一対の第1ローラ10と一対の第2ローラ20を含むものを図示するが、一対の第1ローラ10だけを含むこともできる。一対のローラ10を含むロール粉砕機を使用するか、あるいは二対のローラ10、20を含むロール粉砕機を使用するかは、ロール粉砕機に投入される高吸水性樹脂の粒子の平均サイズにより決定される。例えば、ロール粉砕機に投入される高吸水性樹脂の粒子の平均サイズが相対的に大きいと(例えば約1850μm以上)、二対のローラ10、20を含むロール粉砕機を使用し、ロール粉砕機に投入される高吸水性樹脂の粒子の平均サイズが相対的に小さいと(例えば約1850μm未満)、一対のローラ10を含むロール粉砕機を使用することができる。
【0042】
前記一対のローラ10、20それぞれは、回転軸12、22を中心に回転するように配置され、その外周面には複数のシワ14、24が形成される。前記第1ローラ10は第1回転軸12を中心に回転可能であり、前記第2ローラ20は第2回転軸22を中心に回転可能である。前記一対のローラ10、20それぞれは、設定された直径と設定された長さを有する円筒形状であり得る。また、前記複数のシワ14、24の形状と個数は予め設定され得る。例えば、前記シワ14、24は尖っている頂点を有することができるが、これに限定されない。
【0043】
第1ローラ10の直径と長さは第2ローラ10の直径と長さと同じでもよい。また、第1ローラ10の外周面に形成された第1シワ14の個数は第2ローラ20の外周面に形成された第2シワ24の個数と同じでも、異なっていてもよい。
図1に示されているように、第1ローラ10の外周面に形成された第1シワ14の個数は第2ローラ20の外周面に形成された第2シワ24の個数と異なっており、第2シワ24の個数より少なくてもよい。
【0044】
前記一対のローラ10、20それぞれは、ロールギャップG1、G2だけ離隔して平行に配置される。ここでロールギャップG1、G2は、一対のローラ10、20の間の距離の最小値、例えば一つのローラ10のシワ14の頂点と、平行に配置された他の一つのローラ10のシワ14の頂点との間の距離のうち最小値である。一対の第1ローラ10は第1ロールギャップG1だけ離隔して互いに平行に配置され、一対の第2ローラ20は第2ロールギャップG2だけ離隔して互いに平行に配置される。前記第1ロールギャップG1は前記第2ロールギャップG2と同じでも、異なっていてもよい。
【0045】
前記一対の第2ローラ20は前記一対の第1ローラ10の下流(例えば、一対の第1ローラ10の下)に配置され得る。したがって、乾燥された高吸水性樹脂粒子30は一対の第1ローラ10の間に供給されて一次粉砕され、1次粉砕された高吸水性樹脂粒子30は再び一対の第2ローラ20の間に供給されて2次粉砕され得る。
【0046】
【0047】
前記で言及したとおり、第1ローラ10の直径D1は第2ローラ20の直径D2と同一であり、第1シワ14の個数は第2シワ24の個数と異なるため、第1シワ14の仕様は第2シワ24の仕様と異なる。具体的に、第1シワ14は第1高さH1と第1ピッチP1を有し、第2シワ24は第2高さH2と第2ピッチP2を有する。ここで、シワの高さはシワの基底を連結した仮想の円からシワの頂点までの距離を示し、シワのピッチはシワの頂点と頂点との間の距離を示す。
【0048】
本発明の実施例によれば、ロール粉砕機を通じた粒子のサイズおよび微粉発生量はシワの仕様を調節することによって調節される。ロール粉砕機に使用される第1、2ローラ10、20の直径D1、D2は同じであるため、シワの仕様はシワの個数を調節することによって調節される。しかし、本発明の実施例は、第1、2ローラ10、20の直径D1、D2が同じものに限定されない。そのために、シワの仕様は単位円周長さ当たりのシワの個数を調節することによって調節され得る。
【0049】
一つの例で、直径D1、D2が250mmであるローラ10、20に250個のシワ14、24を形成することができる。この例で、単位円周長さ当たりのシワの個数は約0.32個/mmであり、シワ14、24の高さH1、H2は1190μmであり、シワ14、24のピッチP1、P2は3.14mmである。
【0050】
他の一つの例で、直径D1、D2が250mmであるローラ10、20に500個のシワ14、24を形成することができる。この例で、単位円周長さ当たりのシワの個数は約0.64個/mmであり、シワ14、24の高さH1、H2は530μmであり、シワ14、24のピッチP1、P2は1.57mmである。
【0051】
また他の一つの例で、直径D1、D2が250mmであるローラ10、20に800個のシワ14、24を形成することができる。この例で、単位円周長さ当たりのシワの個数は約1.02個/mmであり、シワ14、24の高さH1、H2は310μmであり、シワ14、24のピッチP1、P2は0.98mmである。
【0052】
このように、高吸水性樹脂用ロール粉砕機に使用されるローラの直径は同じであるため、シワの個数が決定されればシワの仕様も決定される。
【0053】
前述したとおり、ロール粉砕機に投入される高吸水性樹脂の粒子の平均サイズが相対的に大きいと(例えば約1850μm以上)、二対の第1、2ローラ10、20を含むロール粉砕機を使用して粒子のサイズを順次に減らす。したがって、第1ローラ10の第1シワ14の個数は第2ローラ20の第2シワ24の個数より少ない。一つの例で、第1ローラ10の第1シワ14の個数は250個(単位円周長さ当たりのシワの個数は約0.32個/mmである)であり得、第2ローラ20の第2シワ24の個数は800個(単位円周長さ当たりのシワの個数は約1.02個/mmである)であり得る。この例で、第1シワ14の第1高さH1は1190μmであり、第1シワ14の第1ピッチP1は3.14mmであり、第2シワ24の第2高さH2は310μmであり、第2シワ24の第2ピッチP2は0.98mmである。他の一つの例で、第1ローラ10の第1シワ14の個数は約200個~約300個(単位円周長さ当たりのシワの個数は約0.25個/mm~約0.38個/mmである)であり得、第2ローラ20の第2シワ24の個数は約700個~約900個(単位円周長さ当たりのシワの個数は約0.89個/mm~約1.15個/mmである)であり得る。この例で、第1シワ14の第1高さH1は約950μm~約1400μmであり、第1シワ14の第1ピッチP1は約2.62mm~約3.93mmであり、第2シワ24の第2高さH2は約276μm~約354μmであり、第2シワ24の第2ピッチP2は約0.87mm~約1.12mmである。
【0054】
また、粒子のサイズを順次に減らすために、一対の第1ローラ10の間の第1ロールギャップG1は相対的に大きく、一対の第2ローラ20の間の第2ロールギャップG2は相対的に小さくてもよい。一つの例で、一対の第1ローラ10の間の第1ロールギャップG1は約0.20mm~約0.30mmであり得る。ただし、本発明の実施例では第2ローラ20の第2シワ24の個数が800個(単位円周長さ当たりのシワの個数は約1.02個/mmである)と多く、小さいサイズの粒子を生成するに十分であるため、一対の第2ローラ20の間の第2ロールギャップG2を相対的に広い範囲に設定することができる。例えば、一対の第2ローラ20の間の第2ロールギャップG2は約0.10mm~約0.25mmであり得る。
【0055】
ロール粉砕機に投入される高吸水性樹脂の粒子の平均サイズが相対的に小さいと(例えば約1850μm未満)、一対の第1ローラ10を含むロール粉砕機を使用することができる。一つの例で、第1ローラ10の第1シワ14の個数は800個(単位円周長さ当たりのシワの個数は約1.02個/mmである)であり得る。この例で、第1シワ14の第1高さH1は310μmであり、第1シワ14の第1ピッチP1は0.98mmである。他の一つの例で、第1ローラ10の第1シワ14の個数は約700個~約900個(単位円周長さ当たりのシワの個数は約0.89個/mm~約1.15個/mmである)であり得る。この例で、第1シワ14の第1高さH1は約276μm~約354μmであり、第1シワ14の第1ピッチP1は約0.87mm~約1.12mmである。また、一対の第1ローラ10の間の第1ロールギャップG1は約0.15mm~約0.25mmであり得る。
【0056】
本発明の実施例によれば、ロール粉砕機に含まれている少なくとも一対のローラのシワの個数を増加させることによって、微粉発生量を増加させることなく粒子のサイズを減らすことができ、狭い粒度分布を実現することができる。
【0057】
そこで、本発明の実施例により製造された高吸水性樹脂は、ERT420.2-02により測定した重量平均粒径(D50)が300μm以上、または320μm以上、または330μm以上、または340μm以上、または350μm以上であり、440μm以下、または420μm以下、または410μm以下、または400μm以下、または380μm以下、または370μm以下、または360μm以下であって、小さい重量平均粒径を有することができる。
【0058】
また、本発明の実施例により製造された高吸水性樹脂は、全体高吸水性樹脂の重量に対して粒径が300μm以上400μm未満である粒子が16重量%以上、または17重量%以上、または20重量%以上、または22重量%以上、または24重量%以上、または25重量%以上であり、40重量%以下、または38重量%以下、または36重量%以下、または35重量%以下であって、中間粒径を有する粒子の選択度が増加して狭い粒度分布を有することができる。
【0059】
また、全体高吸水性樹脂の重量に対して粒径が600μm以上800μm未満である粒子が12重量%以下、または11重量%以下、または10重量%以下、または8重量%以下、または6重量%以下、または5重量%以下、または4重量%以下であり、0.5重量%以上、または1.0重量%以上、または1.5重量%以上であり、粒径が800μm以上である粒子が1.0重量%以下、または0.9重量%以下、または0.8重量%以下、または0.7重量%以下、または0.6重量%以下、または0.5重量%以下、または0.4重量%以下であり、0重量%以上、または0.1重量%以上、または0.2重量%以上であって、大きい粒径を有する粒子が顕著に減った粒度分布を有することができる。
【0060】
また、全体高吸水性樹脂の重量に対して粒径が150μm未満である粒子が15重量%以下、または14重量%以下、または13重量%以下、または12重量%以下であり、1重量%以上、または5重量%以上、または6重量%以上、または7重量%以上であって、狭い粒度分布にも拘らず少ない微粉発生量を示すことができる。
【0061】
本発明の実施例による高吸水性樹脂の製造方法は、前記高吸水性樹脂粒子を粉砕する粉砕段階以降、前記粉砕された高吸水性樹脂粒子を粒径により分級する段階をさらに含むことができる。
【0062】
また、本発明の実施例による高吸水性樹脂の製造方法は、前記高吸水性樹脂粒子を粉砕および/または分級した以降、表面架橋剤の存在下で、前記高吸水性樹脂粒子の表面のうちの少なくとも一部に表面架橋層を形成する表面架橋段階をさらに含むことができる。前記表面架橋段階により、前記高吸水性樹脂粒子に含まれている架橋重合体が表面架橋剤を介して追加架橋されることで、前記高吸水性樹脂粒子の表面のうちの少なくとも一部に表面架橋層が形成され得る。
【0063】
以下、複数の実施例と比較例を通じて本発明の実施例の効果を説明する。
【0064】
実施例1乃至5および比較例1乃至4
(高吸水性樹脂の第1製造方法)
アクリル酸100gを基準に、内部架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート10ppmと、光開始剤としてイルガキュア(IRGACURE)819 80ppmを入れて混合して単量体溶液を製造した。次に、前記単量体溶液を31.5%の水酸化ナトリウム水溶液123gにポンプを通じて連続的に混合して単量体中和液を製造した。この時、中和熱により前記単量体中和液の温度が約72℃以上に上昇したことを確認した後、温度が40℃に冷却されることを待った。温度が40℃に冷却された時、前記単量体中和液に発泡剤である固体状のカプセル型発泡剤F-36D 1000ppmおよび28%のラウリル硫酸ナトリウム水溶液56ppmを添加し、同時に熱開始剤である過硫酸ナトリウム1250ppmおよび内部架橋剤であるエチレングリコールジグリシジルエーテル2400ppmを添加した。前記溶液を光照射装置が装着され内部が80℃に予熱された重合器に注ぎ、光照射を行って光開始した。1分間光照射後、2分間追加的に反応させてシート形態の含水ゲル重合体を得た。
【0065】
含水ゲル重合体1600gを横3cm、縦3cm程度の大きさで切断した後、水63gを混合した後、ホールサイズが16mmであるチョッパに入れて含水ゲル重合体シートを細切りした。細切りされたゲルは、対流型乾燥機内で180℃で34分間定置乾燥された。その後、乾燥チップをカッターミルを通じて粗粉砕した。この時、平均粒子サイズは2393μmであった。
【0066】
(比較例1)
第1製造方法を通じて得られた高吸水性樹脂を第1シワ14の個数が250個(単位円周長さ当たりのシワの個数は約0.32個/mm、H1=1190μm、P1=3.14mm)であり、第1ロールギャップG1が0.3mmである一対の第1ローラ10と、第2シワ24の個数が500個(単位円周長さ当たりのシワの個数は約0.64個/mm、H2=530μm、P2=1.57mm)であり、第2ロールギャップG2が0.2mmである一対の第2ローラ20を使用して粉砕した。その後、メッシュ型分級ふるいを使用して粒子サイズ分布を分析した。
【0067】
(比較例2)
第2ロールギャップG2が0.15mmであることを除き、比較例1と同様に行った。
【0068】
(比較例3)
第2ロールギャップG2が0.10mmであることを除き、比較例1と同様に行った。
【0069】
(実施例1)
第2シワ24の個数が800個(単位円周長さ当たりのシワの個数は約1.02個/mm、H2=310μm、P2=0.98mm)であり、第2ロールギャップG2が0.25mmである一対の第2ローラ20を使用したことを除き、比較例1と同様に行った。
【0070】
(比較例4)
第2ロールギャップG2が0.30mmであることを除き、実施例1と同様に行った。
【0071】
(実施例2)
第2ロールギャップG2が0.20mmであることを除き、実施例1と同様に行った。
【0072】
(実施例3)
第2ロールギャップG2が0.15mmであることを除き、実施例1と同様に行った。
【0073】
(実施例4)
第2ロールギャップG2が0.10mmであることを除き、実施例1と同様に行った。
【0074】
(実施例5)
第1シワ14の個数が250個(単位円周長さ当たりのシワの個数は約0.32個/mm、H1=1190μm、P1=3.14mm)であり、第1ロールギャップG1が0.2mmである一対の第1ローラ10を使用したことを除き、実施例4と同様に行った。
【0075】
<実験例>
前記実施例および比較例で得られた高吸水性樹脂に対して、下記方法で各物性を測定した。
【0076】
下記で保水能、ボルテックス法による吸水速度、1分吸水能物性評価は300μm~425μmの粒径を有する高吸水性樹脂に対して行った。
【0077】
(1)保水能(CRC)
各樹脂の無荷重下の吸水倍率による保水能をEDANA WSP 241.3により測定した。
【0078】
具体的に、高吸水性樹脂W0(g)(約0.2g)を不織布製の封筒に均一に入れて密封(seal)した後、常温で生理食塩水(0.9重量%)に浸水させた。30分経過後、遠心分離機を利用して250Gの条件下で前記封筒から3分間水気を抜き、封筒の質量W2(g)を測定した。また、高吸水性樹脂を利用せずに同一の操作をした後、その時の質量W1(g)を測定した。得られた各質量を利用して次のような式によりCRC(g/g)を算出した。
【0079】
[計算式1]
CRC(g/g)={[W2(g)-W1(g)]/W0(g)}-1
【0080】
(2)ボルテックス法(Vortex)による吸水速度
吸水速度は、日本工業規格(JIS K 7224)により測定した。
【0081】
具体的に、25℃の50mLの生理食塩水に高吸水性樹脂2gを入れ、マグネチックバー(直径8mm、長さ31.8mm)を600rpmで攪拌して渦流(vortex)が無くなる時までの時間を秒単位で測定して算出した。
【0082】
(3)1分吸水能
高吸水性樹脂1.0g(W3)を不織布封筒(15cm×15cm)に入れて24℃の蒸溜水500mLに1分間浸水させた。1分後、封筒を蒸溜水から取り出した後、吊り下げて1分間放置した。その後、封筒の質量(W4)を測定した。また、高吸水性樹脂を使用せずに同一の操作をした後、その時の質量W5(g)を測定した。
【0083】
このように得られた各質量を利用して下記計算式2により1分吸水能(g/g)を算出した。
【0084】
[計算式2]
1分吸水能(蒸溜水)={[W4(g)-W5(g)-W3(g)]/W3(g)}
【0085】
(4)重量平均粒径(D50)
ERT420.2-02により重量平均粒径(D50)を測定した。
【0086】
(5)粒度分布
分級装置を利用して粒度により分級した高吸水性樹脂重量を測定した。
【0087】
実施例1乃至5および比較例1乃至4で粒度分布および物性(保水能、ボルテックス、1分吸水能)は[表1]および[表2]のとおりである。
【0088】
【0089】
【0090】
[表1]および[表2]を参照すれば、第2シワ24の個数が500個(単位円周長さ当たりのシワの個数は約0.64個/mmである)である比較例1乃至比較例3では、その大きさが300μm~800μmである粒子が主に生成されるが、第2シワ24の個数が800個(単位円周長さ当たりのシワの個数は約1.02個/mmである)である実施例1乃至実施例5では、その大きさが300μm~500μmである粒子が主に生成される。つまり、第2シワ24の個数が500個から800個に増加すると(つまり、単位円周長さ当たりのシワの個数が約0.64個/mmから1.02個/mmに増加すると)粒子サイズが小さくなり、粒度分布が狭くなるため、製品間の物性が均一で、表面処理が容易になる。特に、保水能に差がないながら、50秒未満のボルテックスと115g/g以上の1分吸水能を得ることができる。
【0091】
一方、比較例4の場合、第2シワ24の個数が800個(単位円周長さ当たりのシワの個数は約1.02個/mmである)であるが、第2ロールギャップG2が0.30mmと相対的に大きい。そのために、比較例4では、その大きさが300μm~800μmである粒子が主に生成され、ボルテックスが約54秒と相対的に遅く、1分吸水能が約106g/gと相対的に小さい。したがって、単位円周長さ当たりの第2シワ24の個数を増加させても第2ロールギャップG2を0.25mm以下、好ましくは0.20mm以下に設定しなければならないことが分かる。
【0092】
また、実施例5の場合、第1ロールギャップG1の間の距離が0.20mmであり、第2ロールギャップG2の間の距離が0.10mmと最小であるが、その大きさが150μm未満である微粉が14.1%発生する。実施例5で微粉発生量は、微粉発生量が最小である比較例4に比べて単に3%だけが増加する。これに反し、実施例5の平均粒子サイズは、比較例4の平均粒子サイズに比べて約25%減少し、そのためにボルテックスは約28%減少し、1分吸水能は約30%増加する。つまり、本発明の実施例によれば、微粉発生量に大差がないながら、ボルテックスを減少させ、1分吸水能を増加させることができる。
【0093】
また、微粉発生量が類似する比較例2(微粉発生量は11.5%)と実施例2(微粉発生量11.4%)を比較すると、大きさが600μm以上である粒子が比較例2では19.9%発生し、実施例2では4.4%発生する。つまり、本発明の実施例によれば、類似する微粉発生量で粒子の平均サイズを減らし、狭い粒度分布を実現することができる。
【0094】
整理すれば、ロール粉砕機に投入される粒子のサイズが相対的に大きいと(例えば、1850μm以上)、第1ローラ10の第1シワ14の個数は約200個~約300個(単位円周長さ当たりのシワの個数は約0.25個/mm~約0.38個/mmである)であり、第2ローラ20の第2シワ24の個数は約700個~約900個(単位円周長さ当たりのシワの個数は約0.89個/mm~約1.15個/mmである)であることが好ましい。つまり、第1シワ14の第1高さH1は約950μm~約1400μmであり、第1シワ14の第1ピッチP1は約2.62mm~約3.93mmであり、第2シワ24の第2高さH2は約276μm~約354μmであり、第2シワ24の第2ピッチP2は約0.87mm~約1.12mmであることが好ましい。
【0095】
また、第1ロールギャップG1は約0.20mm~約0.30mmであることが好ましく、第2ロールギャップG2は約0.10mm~約0.25mmことが好ましく、0.10mm~約0.20mmであることがより好ましい。
【0096】
比較例5乃至7および実施例6
(高吸水性樹脂の第2製造方法)
アクリル酸100gを基準に、内部架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート6000ppm、AMA 60ppmと、光開始剤としてイルガキュア(IRGACURE)819 80ppm、安定剤としてS-570 80ppmを入れて混合して単量体溶液を製造した。次に、前記単量体溶液を22.4%の水酸化ナトリウム水溶液167.5gにポンプを通じて連続的に混合して単量体中和液を製造した。この時、中和熱により前記単量体中和液の温度が約72℃以上に上昇したことを確認した後、温度が40℃に冷却されることを待った。温度が40℃に冷却された時、前記単量体中和液に発泡剤である炭酸水素ナトリウム2000ppmおよび熱開始剤である過硫酸ナトリウム2500ppmを添加した。前記溶液を光照射装置が装着され内部が80℃に予熱された重合器に注ぎ、光照射を行って光開始した。1分間光照射後、2分間追加的に反応させてシート形態の含水ゲル重合体を得た。
【0097】
含水ゲル重合体1600gを横3cm、縦3cm程度の大きさで切断した後、ステアロイル乳酸ナトリウム(Sodium stearoyl lactylate)3000ppmが含まれている水63gを混合した後、ホールサイズが3mmであるチョッパに入れて含水ゲル重合体シートを2回細切した。細切されたゲルはパドル型乾燥機内で205℃で流動乾燥された。この時、平均粒子サイズは1319μmであった。
【0098】
(比較例5)
第2製造方法を通じて得られた高吸水性樹脂を第1シワ14の個数が250個(単位円周長さ当たりのシワの個数は約0.32個/mm、H1=1190μm、P1=3.14mm)であり、第1ロールギャップG1が0.3mmである一対の第1ローラ10を使用して粉砕した。その後、メッシュ型分級ふるいを使用して粒子サイズ分布を分析した。
【0099】
(比較例6)
第2製造方法を通じて得られた高吸水性樹脂を第1シワ14の個数が250個(単位円周長さ当たりのシワの個数は約0.32個/mm、H1=1190μm、P1=3.14mm)であり、第1ロールギャップG1が0.3mmである一対の第1ローラ10と、第2シワ24の個数が500個(単位円周長さ当たりのシワの個数は約0.64個/mm、H2=530μm、P2=1.57mm)であり、第2ロールギャップG2が0.2mmである一対の第2ローラ20を使用して粉砕した。その後、メッシュ型分級ふるいを使用して粒子サイズ分布を分析した。
【0100】
(比較例7)
第1シワ14の個数が500個(単位円周長さ当たりのシワの個数は約0.64個/mm、H1=530μm、P1=1.57mm)であり、第1ロールギャップG1が0.2mmであることを除き、比較例5と同様に行った。
【0101】
(実施例6)
第1シワ14の個数が800個(単位円周長さ当たりのシワの個数は約1.02個/mm、H1=310μm、P1=0.98mm)であり、第1ロールギャップG1が0.2mmであることを除き、比較例5と同様に行った。
【0102】
比較例5乃至7および実施例6で粒度分布は[表3]のとおりである。
【0103】
【0104】
[表3]を参照すれば、第1シワ14の個数が250個(単位円周長さ当たりのシワの個数は約0.32個/mmである)であり、第1ロールギャップG1が0.3mmである比較例5と、第1シワ14の個数が500個(単位円周長さ当たりのシワの個数は約0.64個/mmである)であり、第1ロールギャップG1が0.2mmである比較例7では、大きさが600μm以上である粒子がそれぞれ71%、27%発生し、平均粒子サイズも810μm、494μmと相対的に大きいことが分かる。
【0105】
これに反し、第1シワ14の個数が800個(単位円周長さ当たりのシワの個数は約1.02個/mm)であり、第1ロールギャップG1が0.2mmである実施例6では、大きさが600μm以上である粒子が5%発生し、平均粒子サイズも431μmと相対的に小さいことが分かる。したがって、一対のローラを使用しても第1シワ14の個数(つまり、単位円周長さ当たりの第1シワ14の個数)を増加させ、第1ロールギャップG1を0.2mmに維持することによって平均粒子サイズを減らすことができる。通常、平均粒子が小さいと保水能には大差がないが、ボルテックスが相当速くなり、1分吸水能は相当増加する。
【0106】
一方、第1シワ14の個数が250個(単位円周長さ当たりのシワの個数は約0.32個/mmである)であり、第1ロールギャップG1が0.3mmであり、第2シワ24の個数が500個(単位円周長さ当たりのシワの個数は約0.64個/mmである)であり、第2ロールギャップG2が0.2mmである比較例6では、大きさが600μm以上である粒子が19%発生し、平均粒子サイズも448μmである。つまり、シワの個数が500個(単位円周長さ当たりのシワの個数は約0.64個/mm)以下である二対の第1、2ローラ10、20を使用する場合に比べて、シワの個数が800個(単位円周長さ当たりのシワの個数は約1.02個/mm)である一対の第1ローラ10を使用することが大きい粒子の発生量を減らすことができ(つまり、粒度分布が均一化され)、平均粒子サイズを減らすことができる。
【0107】
整理すれば、ロール粉砕機に投入される粒子のサイズが相対的に小さいと(例えば、1850μm未満)、一対の第1ローラ10だけを含むロール粉砕機を使用することができる。ただし、第1ローラ10の第1シワ14の個数は約700個~約900個(単位円周長さ当たりのシワの個数は約0.89個/mm~約1.15個/mmである)であることが好ましい。第1シワ14の第1高さH1は約276μm~約354μmであり、第1シワ14の第1ピッチP1は約0.87mm~約1.12mmであることが好ましい。また、第1ロールギャップG1は約0.10mm~約0.25mmであることが好ましく、0.10mm~約0.20mmであることがより好ましい。
【0108】
以上で本発明の好適な実施例を説明したが、本発明は前記実施例に限定されず、本発明の実施例から当該発明が属する技術分野における通常の知識を有する者により容易に変更されて均等であると認められる範囲の全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0109】
10、20:第1、2ローラ
12、22:第1、2回転軸
14、24:第1、2シワ
30:粒子
G1、G2:第1、2ロールギャップ
D1、D2:第1、2直径
H1、H2:第1、2高さ
P1、P2:第1、2ピッチ
【国際調査報告】