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特表2024-502333人工的UV-C光によって引き起こされる劣化に対する成形ポリマー物品の安定化
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-18
(54)【発明の名称】人工的UV-C光によって引き起こされる劣化に対する成形ポリマー物品の安定化
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20240111BHJP
   C08K 5/13 20060101ALI20240111BHJP
   C08K 5/16 20060101ALI20240111BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K5/13
C08K5/16
C08K3/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540684
(86)(22)【出願日】2022-01-03
(85)【翻訳文提出日】2023-07-03
(86)【国際出願番号】 EP2022050031
(87)【国際公開番号】W WO2022148727
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】21150245.5
(32)【優先日】2021-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フーバー,グレゴール
(72)【発明者】
【氏名】ヘルブスト,ハインツ
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AA001
4J002BB031
4J002BB121
4J002BC031
4J002BC061
4J002CF001
4J002CG001
4J002CL001
4J002DE106
4J002DE136
4J002EJ026
4J002EJ036
4J002EP026
4J002ER006
4J002EU056
4J002EU176
4J002EU186
4J002EU236
4J002FD046
(57)【要約】
本発明は、人工的UV-C光によって引き起こされる劣化に対して成形ポリマー物品を安定化するために、化合物(1)~(23)又は微粉末の金属酸化物塩から選択される安定剤の使用と;人工的UV-C光によって引き起こされる劣化に対して成形ポリマー物品を安定化する方法であって、成形ポリマー物品に数種の安定剤から選択される1種の安定剤を組み込むことを備える方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定剤の使用であって、前記安定剤が、人工的UV-C光によって引き起こされる劣化に対して成形ポリマー物品を安定化するために、
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
又は
微粉末の金属酸化物塩から選択される安定剤の使用。
【請求項2】
前記安定剤が、
化合物(6)、
化合物(7)、
化合物(10)、
化合物(11)、
化合物(12)、
化合物(16)、
化合物(12)と化合物(4)との混合物、
化合物(11)と化合物(9)との混合物、及び
化合物(11)と化合物(10)との混合物から選択される請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記成形ポリマー物品が、合成ポリマー、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド又はポリエチレンテレフタレートから作製される請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記安定剤が前記化合物(4)である場合において、前記成形ポリマー物品が、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド又はポリエチレンテレフタレートから作製される請求項1~3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
前記安定剤が、化合物(12)、化合物(4)、化合物(6)、化合物(7)、化合物(16)、又は化合物(12)と化合物(4)との混合物から選択され、及び前記成形ポリマー物品が、ポリエチレン又はポリプロピレンから作製される請求項1~4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
前記安定剤が、化合物(4)、化合物(10)、化合物(11)、化合物(11)と化合物(9)との混合物又は化合物(11)と化合物(10)との混合物から選択され、及び前記成形ポリマー物品が、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマーから作製される請求項1~5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
前記安定剤が、化合物(4)又は化合物(10)から選択され、前記成形ポリマー物品が、ポリカーボネート及びアクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマーから作製される請求項1~6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
UV-C光による前記劣化が、前記成形ポリマー物品の微生物に対するUV-C殺菌により引き起こされる請求項1~7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
UV-C光による前記劣化が、頻繁に、好ましくは少なくとも1週間に1度引き起こされる請求項1~8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
24時間以内に少なくとも100μW・s/cmの線量を前記成形ポリマー物品の表面で受ける請求項1~9のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
UV-C光による前記劣化が、屋内で、好ましくは公共の建物、産業用オフィス、工業生産施設、民間の施設、又は輸送車両で引き起こされる請求項1~10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
前記UV-C光が、200~275nmの波長を有する請求項1~11のいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
前記成形ポリマー物品が、0.01~1重量%、好ましくは0.1~0.5重量%の前記安定剤を含む請求項1~12のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
前記安定剤が、前記成形ポリマー物品の内部に存在する請求項1~13のいずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
前記成形ポリマー物品の非多孔質表面が、前記劣化に対して安定している請求項1~14のいずれか1項に記載の使用。
【請求項16】
前記成形ポリマー物品の不透明表面が、前記劣化に対して安定している請求項1~15のいずれか1項に記載の使用。
【請求項17】
人工的UV-C光によって引き起こされる劣化に対して成形ポリマー物品を安定化する方法であって、前記成形ポリマー物品に請求項1~16のいずれか1項に記載の安定剤から選択される安定剤を組み込むことを備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工的UV-C光によって引き起こされる劣化に対して成形ポリマー物品を安定化するために、化合物(1)~(23)又は微粉末の金属酸化物塩から選択される安定剤の使用と;人工的UV-C光によって引き起こされる劣化に対して成形ポリマー物品を安定化する方法であって、成形ポリマー物品に数種の安定剤から選択される1種の安定剤を組み込むことを備える方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
人工的UV-C光は、ポリマー物品を殺菌するためにますます使用されている。その結果として、上述のポリマー物品では、黄変、微小亀裂、又はブルーミングの増加が観察された。したがって、適用量が少なく、他のプラスチック添加剤と相容性があり、且つ黄変、微小亀裂、又はブルーミングを低減する好適なプラスチック添加剤の開発に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
その目的は、人工的UV-C光によって引き起こされる劣化に対して成形ポリマー物品を安定化するために、
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
又は
微粉末の金属酸化物塩から選択される安定剤の使用により達成された。
【0004】
その目的は又、人工的UV-C光によって引き起こされる劣化に対して成形ポリマー物品を安定化する方法により達成され、その方法は、成形ポリマー物品に、化合物(1)~(23)又は微粉末の金属酸化物塩から選択される安定剤を組み込むことを備える。
【発明を実施するための形態】
【0005】
好適な微粉末の金属酸化物塩は、二酸化チタン、酸化亜鉛、鉄酸化物、ジルコニウム酸化物、シリコーン酸化物、マンガン酸化物、アルミニウム酸化物又はセリウム酸化物である。好ましい微粉末の金属酸化物塩は、二酸化チタン及び酸化亜鉛である。微粉末の金属酸化物塩は、コーティングされても又はされなくてもよい。微粉末の金属酸化物塩の粒子は、100nm未満、好ましくは5~50nm、殊に15~30nmの平均直径を有し得る。それらは、球状形状を有することもあるが、楕円形状又は何らかの他の方法で球状配置から逸脱した形状を有するこれらの粒子を使用することも可能である。
【0006】
安定剤が、
化合物(4)、
化合物(15)、
化合物(16)、及び
二酸化チタン及び酸化亜鉛などの微粉末の金属酸化物塩から選択されるのが好ましい。
【0007】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(1)、化合物(2)、化合物(3)、化合物(4)、化合物(5)、化合物(6)、化合物(7)、化合物(8)、化合物(9)、化合物(10)、化合物(11)、化合物(12)、化合物(13)、化合物(14)、化合物(15)、化合物(16)、化合物(17)、化合物(18)、化合物(19)、化合物(20)、化合物(21)、化合物(22)、化合物(23)、及びそれらの混合物から選択される。
【0008】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(1)、化合物(2)、化合物(3)、化合物(4)、化合物(5)、化合物(6)、化合物(7)、化合物(8)、化合物(9)、化合物(10)、化合物(11)、化合物(12)、化合物(13)、化合物(14)、化合物(15)、化合物(16)、化合物(17)、化合物(18)、化合物(19)、化合物(20)、化合物(21)、化合物(22)、化合物(23)、化合物(12)と化合物(4)との混合物、化合物(11)と化合物(9)との混合物、及び化合物(11)と化合物(10)との混合物から選択される。
【0009】
別の好ましい形態においては、安定剤は、
化合物(6)、
化合物(7)、
化合物(10)、
化合物(11)、
化合物(12)、
化合物(16)、
化合物(12)と化合物(4)との混合物、
化合物(11)と化合物(9)との混合物、及び
化合物(11)と化合物(10)との混合物から選択される。
【0010】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(1)から選択される。
【0011】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(2)から選択される。
【0012】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(3)から選択される。
【0013】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(4)から選択される。
【0014】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(5)から選択される。
【0015】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(6)から選択される。
【0016】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(7)から選択される。
【0017】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(8)から選択される。
【0018】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(9)から選択される。
【0019】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(10)から選択される。
【0020】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(11)から選択される。
【0021】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(12)から選択される。
【0022】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(13)から選択される。
【0023】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(14)から選択される。
【0024】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(15)から選択される。
【0025】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(16)から選択される。
【0026】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(17)から選択される。
【0027】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(18)から選択される。
【0028】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(19)から選択される。
【0029】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(21)から選択される。
【0030】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(22)から選択される。
【0031】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(23)から選択される。
【0032】
別の好ましい形態においては、安定剤は、二酸化チタン及び酸化亜鉛などの微粉末の金属酸化物塩から選択される。
【0033】
安定剤の混合物も可能である。通例、安定剤の混合物は、2種の安定剤を含む。2種の安定剤の混合物は、10:1~1:10、好ましくは7:1~1:7の重量比で2種の安定剤を含んでよい。
【0034】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(12)と化合物(4)との混合物、化合物(11)と化合物(9)との混合物、及び化合物(11)と化合物(10)との混合物から選択される。
【0035】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(12)と化合物(4)との混合物から選択され、その重量比は、10:1~1:10、好ましくは7:1~1:7であってよい。
【0036】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(11)と化合物(9)との混合物から選択され、その重量比は、10:1~1:10、好ましくは7:1~1:7であってよい。
【0037】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(11)と化合物(10)との混合物から選択され、その重量比は、10:1~1:10、好ましくは7:1~1:7であってよい。
【0038】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(1)の混合物から選択され、且つ更なる安定剤は、化合物(2)~(23)から選択され、その重量比は、10:1~1:10、好ましくは7:1~1:7であってよい。
【0039】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(2)の混合物から選択され、且つ更なる安定剤は、化合物(1)~(23)から選択され、その重量比は、10:1~1:10、好ましくは7:1~1:7であってよい。
【0040】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(3)の混合物から選択され、且つ更なる安定剤は、化合物(1)~(23)から選択され、その重量比は、10:1~1:10、好ましくは7:1~1:7であってよい。
【0041】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(4)の混合物から選択され、且つ更なる安定剤は、化合物(1)~(23)から選択され、その重量比は、10:1~1:10、好ましくは7:1~1:7であってよい。
【0042】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(5)の混合物から選択され、且つ更なる安定剤は、化合物(1)~(23)から選択され、その重量比は、10:1~1:10、好ましくは7:1~1:7であってよい。
【0043】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(6)の混合物から選択され、且つ更なる安定剤は、化合物(1)~(23)から選択され、その重量比は、10:1~1:10、好ましくは7:1~1:7であってよい。
【0044】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(7)の混合物から選択され、且つ更なる安定剤は、化合物(1)~(23)から選択され、その重量比は、10:1~1:10、好ましくは7:1~1:7であってよい。
【0045】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(8)の混合物から選択され、且つ更なる安定剤は、化合物(1)~(23)から選択され、その重量比は、10:1~1:10、好ましくは7:1~1:7であってよい。
【0046】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(9)の混合物から選択され、且つ更なる安定剤は、化合物(1)~(23)から選択され、その重量比は、10:1~1:10、好ましくは7:1~1:7であってよい。
【0047】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(10)の混合物から選択され、且つ更なる安定剤は、化合物(1)~(23)から選択され、その重量比は、10:1~1:10、好ましくは7:1~1:7であってよい。
【0048】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(11)の混合物から選択され、且つ更なる安定剤は、化合物(1)~(23)から選択され、その重量比は、10:1~1:10、好ましくは7:1~1:7であってよい。
【0049】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(12)の混合物から選択され、且つ更なる安定剤は、化合物(1)~(23)から選択され、その重量比は、10:1~1:10、好ましくは7:1~1:7であってよい。
【0050】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(13)の混合物から選択され、且つ更なる安定剤は、化合物(1)~(23)から選択され、その重量比は、10:1~1:10、好ましくは7:1~1:7であってよい。
【0051】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(14)の混合物から選択され、且つ更なる安定剤は、化合物(1)~(23)から選択され、その重量比は、10:1~1:10、好ましくは7:1~1:7であってよい。
【0052】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(15)の混合物から選択され、且つ更なる安定剤は、化合物(1)~(23)から選択され、その重量比は、10:1~1:10、好ましくは7:1~1:7であってよい。
【0053】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(16)の混合物から選択され、且つ更なる安定剤は、化合物(1)~(23)から選択され、その重量比は、10:1~1:10、好ましくは7:1~1:7であってよい。
【0054】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(17)の混合物から選択され、且つ更なる安定剤は、化合物(1)~(23)から選択され、その重量比は、10:1~1:10、好ましくは7:1~1:7であってよい。
【0055】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(18)の混合物から選択され、且つ更なる安定剤は、化合物(1)~(23)から選択され、その重量比は、10:1~1:10、好ましくは7:1~1:7であってよい。
【0056】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(19)の混合物から選択され、且つ更なる安定剤は、化合物(1)~(23)から選択され、その重量比は、10:1~1:10、好ましくは7:1~1:7であってよい。
【0057】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(20)の混合物から選択され、且つ更なる安定剤は、化合物(1)~(23)から選択され、その重量比は、10:1~1:10、好ましくは7:1~1:7であってよい。
【0058】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(21)の混合物から選択され、且つ更なる安定剤は、化合物(1)~(23)から選択され、その重量比は、10:1~1:10、好ましくは7:1~1:7であってよい。
【0059】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(22)の混合物から選択され、且つ更なる安定剤は、化合物(1)~(23)から選択され、その重量比は、10:1~1:10、好ましくは7:1~1:7であってよい。
【0060】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(23)の混合物から選択され、且つ更なる安定剤は、化合物(1)~(22)から選択され、その重量比は、10:1~1:10、好ましくは7:1~1:7であってよい。
【0061】
成形ポリマー物品は、通例0.01~1重量%、好ましくは0.1~0.5重量%の安定剤を含む。
【0062】
安定剤は、通例、成形ポリマー物品の内部に存在し、例えば成形ポリマー物品の内部に均一に分配している。
【0063】
人工的UV-C光は、100~290nm、好ましくは200~275nmの波長を有することができる。例えば、UV-C光は、250~260nm、又は220~230nm、又は210~220nm、又は260~270nm、又は200~220nmの波長を有する。
【0064】
UV-C光は、人工的なものであり、通例、水銀灯、エキシマランプ、パルスキセノンランプ、又は発光ダイオード(LED)などのランプによって生成されることを意味する。
【0065】
劣化は、通例、成形ポリマー物品の微生物に対するUV-C殺菌によって引き起こされる。UV-C殺菌は、表面に人工的UV-C光を照射することにより表面を殺菌する方法である。
【0066】
UV-C殺菌は、通常、古細菌、細菌、真菌、原生動物、又はウイルスなどの微生物の減少をもたらす。微生物がUV-C光に曝される場合、光劣化プロセスにより細胞核が変性することがある。結果として、細胞分裂、ひいては生殖を阻止することができる。
【0067】
細菌の例は、以下の属である:クラミジア(Chlamydia)、クロストリジウム(Clostridium)、エシェリヒア(Escherichia)、ヘリコバクテリウム(Helicobacterium)、ラクトバチルス(Lactobacillus)、レジオネラ(Legionella)、ロイコノストック(Leuconostoc)、リステリア(Listeria)、ペディオコッカス(Pediococcus)、サルモネラ(Salmonella)、赤痢菌(Shigella)、ブドウ球菌(Staphylococcus)、ビブリオ(Vibrio)、及びエルシニア(Yersinia)。
【0068】
真菌の例は、以下の属である:アスペルギルス(Aspergillus)、ペニシリウム(Penicillium)、サッカロミセス(Saccharomyches)、及びカンジダ(Candida)。
【0069】
ウイルスの例は、以下の属及び群である:コロナウイルス(Coronavirus)(例:SARS-CoV-1(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス)、MERS-CoV(中東呼吸器症候群コロナウイルス)、SARS-CoV-2)、ロタウイルス(Rotavirus)、ノロウイルス(Norovirus)、ヒト乳頭腫ウイルス(Human papilloma virus)、ヘルペスウイルス(Herpes virus)、肝炎ウイルス(Hepatitis virus)、インフルエンザウイルス(Influenza virus)及びHIV。
【0070】
表面のUV-C殺菌は、通例、高強度のUV-C光を必要とし、ランプは、通常、微生物がない状態に保たれる表面に近接している。
【0071】
通例、UV-C光の線量により、UV-C殺菌の有効性が決まる。
【0072】
線量は、UV強度(単位表面積当たりのエネルギーで表され、例えば1cm2当たりのマイクロワット)と露光時間(例えば秒)との積である。線量は、一般的に1mJ/cm2=1000マイクロワット秒/cm2で表される。
【0073】
ほとんどの細菌及びウイルスを90%死滅させる線量は、文献によると通常2,000~8,000μW・s/cm2の範囲である。一部の微生物を制御するための典型的な線量(mJ/cm2)は、文献において見つけることができる:
枯草菌(Bacillus subtilis)(胞子) 12.0
破傷風菌(Clostridium tetani) 4.9
レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella Pneumophilla) 2.04
緑膿菌(Pseudonomas aeruginosa) 5.5
ストレプトコッカス・フェカリス(Streptococcus feacalis) 4.5
A型肝炎ウイルス(Hepatitis A virus) 11.0
肝炎ポリオウイルス(Hepatitis Poliovirus) 12.0
サッカロミセス・セルヴィシエ(Saccharomyces cervisiae) 6.0
感染性膵臓壊死(Infectious pancreatic necrosis) 60.0。
【0074】
一般に、24時間以内に少なくとも100、500、1000、1500、2000、3000、又は5000μW・s/cm2のUV-C光の線量を、成形ポリマー物品の表面で受ける。例えば、表面は毎日少なくとも500μW・s/cm2の線量を受けており、例えば地下鉄の表面は、毎早朝UV-C光で殺菌されており、又はタクシーの表面は、1日に乗客の乗車後ごとにUV-C光を照射して殺菌されている。
【0075】
UV-C光による劣化、好ましくはUV-C殺菌によって引き起こされる劣化は、通例、頻繁に、例えば、1秒、1分、1時間、1日、又は1週間に少なくとも1回誘発される。
【0076】
UV-C光による劣化は、通例、公共の建物(例えば、学校、病院、図書館)、産業用オフィス(オープンプランのオフィス、小部屋)、工業生産施設(倉庫、集会所)、民間の建物(戸建て住宅、高層住宅、超高層ビル)、又は輸送車両(自動車、タクシー、バス、路面電車、地下鉄、電車、飛行機、船舶)などの屋内で引き起こされる。
【0077】
成形ポリマー物品は、通例、公共の建物(例えば、学校、病院、図書館)、産業用オフィス(オープンプランのオフィス、小部屋)、工業生産施設(倉庫、集会所)、民間の建物(戸建て住宅、高層住宅、超高層ビル)、又は輸送車両(自動車、タクシー、バス、路面電車、地下鉄、電車、飛行機、船舶)のような屋内に存在する物品である。
【0078】
好適な成形ポリマー物品は:
- 輸送車両の物品、例えば、ダッシュボード、ハットシェルフ、シート、トランクライニング、内装ライニング、ダッシュボード用パネル、インストルメントパネル、椅子張り、ドアパネル、シートバック、ピラーカバー、ファスナー、コンソール、インストルメントパネル、シート、フレーム、スキン;
- 家電製品、例えば、ケース及びカバー類全般、電子機器(パソコン、電話、携帯電話、プリンター、テレビ、オーディオ及びビデオ機器)、又は電化製品(例えば、洗濯機、タンブラー、オーブン(電子レンジ)、食洗機、ミキサー、及びアイロン);
- 衛生用品、例えば、移動式トイレ、シャワー室、便座、カバー、シンク、シャワーカーテン、ブラシ、マット、浴槽、移動式トイレ、歯ブラシ、及びベッドパン;
- 布地、例えば、カーペット、カーテン、シェード、ネット、ロープ、ケーブル、紐、コード、糸、衣類、下着、手袋、靴、スポーツウェア、傘、テント、エアベッド、バッグ;
- 箱(クレート)、荷物、ボトル、チェスト、家庭用ボックス、パレット、コンテナ、棚、トラック、スクリューボックス、パック、缶などの保管システム。
- ピストン、プラスチック注射器、眼科用品、診断用デバイス、及び医薬品の包装用ブリスターなどの医療機器。
- 家具、例えば発泡品(クッション、衝撃吸収材)、布巾、マット、椅子、テーブル、ソファ;
- 事務用品、例えばボールペン、インクパッド、マウス、棚、トラック。
【0079】
成形ポリマー物品は、通例、不透明の物品である。
【0080】
成形ポリマー物品は、通例少なくとも一部に非多孔質表面を有する。
【0081】
一般的に、成形ポリマー物品の非多孔質表面は、劣化に対して安定している。
【0082】
通常、成形ポリマー物品の不透明表面は、劣化に対して安定している。
【0083】
劣化に対する安定化は、通例、
成形品の黄変の低減、又は
成形品の表面上の微小亀裂の低減、又は
成形品のブルーミングの低減を含む。
【0084】
その低減は、安定剤を含まない成形ポリマー物品と比較して決定することができる。安定剤は、UV-C光に曝された成形品の領域を安定化させることができる。
【0085】
成形ポリマー物品は、通例、合成ポリマーから作製される。合成ポリマーの例は、以下である:
1. モノオレフィン及びジオレフィンのポリマー、例えば、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタ-1-エン、ポリ-4-メチルペンタ-1-エン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリイソプレン又はポリ-ブタジエン、ポリヘキセン、ポリオクテン、そしてシクロオレフィンのポリマー、例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン又はノル-ボルネンのポリマー、ポリエチレン(場合により架橋できる)、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、高密度及び高分子量ポリエチレン(HDPE-HMW)、高密度及び超高分子量ポリエチレン(HDPE-UHMW)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、(VLDPE)及び(ULDPE)。
【0086】
ポリオレフィン、即ち、前述の段落に例示したモノオレフィンのポリマー、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンは、別個の方法により、殊に以下の方法により調製できる:
a)ラジカル重合(通常、高圧下、上昇温度で)。
b)通常、周期表のIVb、Vb、VIb若しくはVIII族の1種若しくは複数の金属を含有する触媒を用いる触媒重合。これらの金属は、通例、π-配位若しくはσ-配位のどちらかであり得る、1つ又は複数の配位子、典型的には酸化物、ハロゲン化物、アルコレート、エステル、エーテル、アミン、アルキル、アルケニル、及び/又はアリールを有する。これらの金属錯体は、遊離形態であっても、又は基材上に、通常は活性化した塩化マグネシウム、塩化チタン(III)、アルミナ又は酸化ケイ素上に固定されもよい。これらの触媒は、重合媒体に可溶でも又は不溶であってもよい。触媒は、重合においてそれ自体使用することができ、又は更なる活性化剤、典型的には金属アルキル、金属水素化物、金属アルキルハライド、金属アルキルオキシド又は金属アルキルオキサンを使用してもよく、前記金属は、周期表のIa、IIa及び/又はIIIa族の元素である。活性化剤は、更なるエステル、エーテル、アミン又はシリルエーテル基で簡便に変性されることがある。これらの触媒系は、通例、Phillips,Standard Oil Indiana、チーグラー(-ナッタ)、TNZ(DuPont)、メタロセン又はシングルサイト触媒(SSC)と呼ばれる。
【0087】
2. 1)で記載したポリマーの混合物、例えば、ポリプロピレンとポリイソブチレンとの混合物、ポリプロピレンとポリエチレンとの混合物(例えばPP/HDPE、PP/LDPE)、及び異なる型のポリエチレンの混合物(例えばLDPE/HDPE)。
【0088】
3. モノオレフィン及びジオレフィンの互いのコポリマー又は他のビニルモノマーとのコポリマー、例えば、エチレン/プロピレンコポリマー、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及びそれらと低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレンとの混合物、プロピレン/ブタ-1-エンコポリマー、プロピレン/イソブチレンコポリマー、エチレン/ブタ-1-エンコポリマー、エチレン/ヘキセンコポリマー、エチレン/メチルペンテンコポリマー、エチレン/ヘプテンコポリマー、エチレン/オクテンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキサンコポリマー、エチレン/シクロオレフィンコポリマー(例えばCOCのようなエチレン/ノルボルネン)、エチレン/1-オレフィンコポリマー(1-オレフィンはin-situで生成される);プロピレン/ブタジエンコポリマー、イソブチレン/イソプレンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキセンコポリマー、エチレン/アクリル酸アルキルコポリマー、エチレン/メタクリル酸アルキルコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー又はエチレン/アクリル酸コポリマー及びそれらの塩(イオノマー)、そしてエチレンとプロピレンと、例えばヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、又はエチリデン-ノルボルネンなどのジエンとのターポリマー;並びに上述のコポリマーの互いとの混合物及び上述の1)のポリマーとの混合物、例えば、ポリプロピレン/エチレン-プロピレンコポリマー、LDPE/エチレン-酢酸ビニルコポリマー(EVA)、LDPE/エチレン-アクリル酸コポリマー(EAA)、LLDPE/EVA、LLDPE/EAA及び交互又はランダムポリアルキレン/一酸化炭素コポリマー、並びにそれらの他のポリマー、例えばポリアミドとの混合物。
【0089】
4. 炭化水素樹脂(例えば、C5~C9)、それらの水素化変性剤(例えば粘着性付与剤)及びポリアルキレンとデンプンの混合物を含む。
【0090】
1.)~4.)のホモポリマー及びコポリマーは、シンジオタクチック、イソタクチック、ヘミイソタクチック又はアタクチックを含む任意の立体構造を有することができる;ここで、アタクチックポリマーが好ましい。ステレオブロックポリマーも含まれる。1.)~4.)のコポリマーは、ランダムコポリマーでもブロックコポリマーでもよく、単相でも異相でもよく、又は高結晶性ホモポリマーであってもよい。
【0091】
5. ポリスチレン、ポリ(p-メチルスチレン)、ポリ(α-メチルスチレン)。
【0092】
6. スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエンの全ての異性体、殊にp-ビニルトルエン、エチルスチレン、プロピルスチレン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン、及びビニルアントラセンの全ての異性体、並びにそれらの混合物を含むビニル芳香族モノマーから誘導される芳香族ホモポリマー及びコポリマー。ホモポリマー及びコポリマーは、シンジオタクチック、イソタクチック、ヘミイソタクチック又はアタクチックを含む任意の立体構造を有することができる;ここで、アタクチックポリマーが好ましい。ステレオブロックポリマーも含まれる。
【0093】
6a. 前述のビニル芳香族モノマーと、エチレン、プロピレン、ジエン、ニトリル、酸、無水マレイン酸、マレイミド、酢酸ビニル及び塩化ビニル又はアクリル誘導体及びそれらの混合物から選択されるコモノマー、例えば、スチレン/ブタジエン、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/エチレン(共重合体)、スチレン/メタクリル酸アルキル、スチレン/ブタジエン/アクリル酸アルキル、スチレン/ブタジエン/メタクリル酸アルキル、スチレン/無水マレイン酸、スチレン/アクリロニトリル/アクリル酸メチルを含むコポリマー;耐衝撃性のスチレンコポリマーと別のポリマー、例えばポリアクリレート、ジエンポリマー又はエチレン/プロピレン/ジエンターポリマーとの混合物;及びスチレンのブロックコポリマー、例えば、スチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレン、スチレン/イソプレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン又はスチレン/エチレン/プロピレン/スチレン、HIPS、ABS、ASA、AES。
【0094】
6b. 6.)で記載したポリマーの水素化から誘導される水素化芳香族ポリマー、殊にアタクチックポリスチレンを水素化することにより調製されるポリシクロヘキシルエチレン(PCHE)を含み、ポリビニルシクロヘキサン(PVCH)と称される事が多い。
【0095】
6c. 6a.)で記載したポリマーの水素化から誘導される水素化芳香族ポリマー。
【0096】
ホモポリマー及びコポリマーは、シンジオタクチック、イソタクチック、ヘミイソタクチック又はアタクチックを含む任意の立体構造を有することができる;ここで、アタクチックポリマーが好ましい。ステレオブロックポリマーも含まれる。
【0097】
7. スチレン又はα-メチルスチレンなどのビニル芳香族モノマーのグラフトコポリマー、例えば、ポリブタジエンにスチレン、ポリブタジエン-スチレン又はポリブタジエン-アクリロニトリルコポリマーにスチレン;ポリブタジエンにスチレン及びアクリロニトリル(又はメタクリロニトリル);ポリブタジエンにスチレン、アクリロニトリル及びメタクリル酸メチル;ポリブタジエンにスチレン及び無水マレイン酸;ポリブタジエンにスチレン、アクリロニトリル及び無水マレイン酸又はマレイミド;ポリブタジエンにスチレン及びマレイミド;ポリブタジエンにスチレン及びアクリル酸アルキル又はメタクリル酸アルキル;エチレン/プロピレン/ジエンターポリマーにスチレン及びアクリロニトリル;ポリアクリル酸アルキル又はポリメタクリル酸アルキルにスチレン及びアクリロニトリル、アクリレート/ブタジエンコポリマーにスチレン及びアクリロニトリルをグラフトコポリマー、そして6)に列挙したコポリマーとのそれらの混合物、例えば、ABS、MBS、ASA又はAESポリマーとして既知のコポリマー混合物にスチレン及びアクリロニトリルをグラフトしたコポリマー。
【0098】
8. ポリクロロプレン、塩化ゴム、イソブチレン-イソプレンの塩化及び臭化コポリマー(ハロブチルゴム)、塩素化又はスルホ塩素化ポリエチレン、エチレンと塩化エチレンのコポリマー、エピクロロヒドリンホモポリマー及びコポリマー、殊にハロゲン含有ビニル化合物のポリマー、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、そして塩化ビニル/塩化ビニリデン、塩化ビニル/酢酸ビニル又は塩化ビニリデン/酢酸ビニルコポリマーなどのハロゲン含有ポリマー。ポリ塩化ビニルは、硬質でも又は軟質(可塑化)でもよい。
【0099】
9. α,β-不飽和酸から誘導されたポリマー並びにポリアクリレート及びポリメタクリレートなどのそれらの誘導体;アクリル酸ブチルで衝撃変性したポリメタクリル酸メチル、ポリアクリルアミド及びポリアクリロニトリル。
【0100】
10. 9)で記載したモノマーの互いとのコポリマー又は他の不飽和モノマーとのコポリマー、例えば、アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル/アクリル酸アルキルコポリマー、アクリロニトリル/アクリル酸アルコキシアルキル又はアクリロニトリル/ビニルハライドコポリマー又はアクリロニトリル/メタクリル酸アルキル/ブタジエンターポリマー。
【0101】
11. 不飽和アルコールと、アミン又はそれらのアシル誘導体若しくはアセタールとから誘導したポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル、ポリ安息香酸ビニル、ポリマレイン酸ビニル、ポリビニルブチラール、フタル酸ポリアリル又はポリアリルメラミン;そして上の1)で記載したオレフィンとのそれらのコポリマー。
【0102】
12. ポリアルキレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなどの環状エーテルのホモポリマー及びコポリマー、又はそれらのビスグリシジルエーテルとのコポリマー。
【0103】
13. ポリオキシメチレンなどのポリアセタール及びコモノマーとしてエチレンオキシドを含有するポリオキシメチレン;熱可塑性ポリウレタン、アクリレート又はMBSで変性したポリアセタール。
【0104】
14. ポリフェニレンオキシド及びスルフィド、並びにポリフェニレンオキシドとスチレンポリマー又はポリアミドとの混合物。
【0105】
15. 一方はヒドロキシル末端ポリエーテル、ポリエステル又はポリ-ブタジエンから誘導され、他方は脂肪族又は芳香族ポリイソシアネートから誘導されるポリウレタン、そしてそれらの前駆体。以下:(1)ジイソシアネートと短鎖ジオール(連鎖延長剤)及び(2)ジイソシアネートと長鎖ジオール(熱可塑性ポリウレタン、TPU)の反応によって生成されるポリウレタン。
【0106】
16. ジアミシとジカルボン酸から及び/又はアミノカルボン酸又は対応するラクタムから誘導されるポリアミド及びコポリアミド、例えばポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド6/6、6/10、6/9、6/12、4/6、12/12、ポリアミド11、ポリアミド12、m-キシレンジアミン及びアジピン酸から開始した芳香族ポリアミド;へキサメチレンジアミン及びイソフタル酸又は/及びテレフタル酸から及び変性剤としてのエラストマーを使用して又は使用しないで調製したポリアミド、例えばポリ-2,4,4-トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド又はポリ-m-フェニレンイソフタルアミド:そして又、前述のポリアミドと、ポリオレフィン、オレフィンコポリマー、イオノマー又は化学結合した又はグラフトしたエラストマーとのブロックコポリマー;或いはポリエーテルとの、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラメチレングリコールとのブロックコポリマー;そして、EPDM又はABSで変性したポリアミド又はコポリアミド;並びに加工の間に縮合したポリアミド(RIMポリアミド系)。ポリアミドは非晶質であってもよい。
【0107】
17. ポリ尿素、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリヒダントイン及びポリベンズイミダゾール。
【0108】
18. ジカルボン酸とジオールから及び/又はヒドロキシカルボン酸又は対応するラクトン若しくはラクチドから誘導されるポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリ-1,4-ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレート及びポリヒドロキシベンゾエート、そしてヒドロキシル末端ポリエーテルから誘導されるコポリエーテルエステル、並びに又ポリカーボネート又はMBSで変性したポリエステル。コポリエステルは、例えば、ポリブチレンサクシネート/テレフタレート、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、ポリテトラメチレンアジペート/テレフタレート、ポリブチレンサクシネート/アジペート、ポリブチレンサクシネート/カーボネート、ポリ-3-ヒドロキシブチレート/オクタノエートコポリマー、ポリ-3-ヒドロキシブチレート/ヘキサノエート/デカノエートターポリマーを含んでもよいがこれらに限定されない。更に、脂肪族ポリエステルは、例えば、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)のクラス、特にポリ(プロピオラクトン)、ポリ(ブチロラクトン)、ポリ(ピバロラクトン)、ポリ(バレロラクトン)及びポリ(カプロラクトン)、ポリエチレンサクシネート、ポリプロピレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリエチレンオキサレート、ポリプロピレンオキサレート、ポリブチレンオキサレート、ポリヘキサメチレンオキサレート、ポリエチレンセバケート、ポリプロピレンセバケート、ポリブチレンセバケート、ポリエチレンフラノエート及びポリ乳酸(PLA)、そしてポリカーボネート又はMBSで変性した対応するポリエステルを含んでもよいが、これらに限定されない。用語「ポリ乳酸(PLA)」は、好ましくはポリ-L-ラクチドのホモポリマー、及び他のポリマーとのそのブレンド又は合金のいずれかを指す;乳酸又はラクチドと、例えばグリコール酸、3-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシ吉草酸、5-ヒドロキシ吉草酸、6-ヒドロキシカプロン酸及びそれらの環状形態のようなヒドロキシカルボン酸などの他のモノマーとのコポリマー;用語「乳酸」又は「ラクチド」は、L-乳酸、D-乳酸、それらの混合物及び二量体、すなわちL-ラクチド、D-ラクチド、メソラクチド及びそれらの任意の混合物を含む。好ましいポリエステルは、PET、PET-G、PBTである。
【0109】
19. ポリカーボネート及びポリエステルカーボネート。ポリカーボネートは、好ましくは、ビスフェノール化合物と炭酸化合物、特にホスゲンとの反応によって、又は溶融エステル交換法においては、ジフェニルカーボネート若しくはジメチルカーボネートとの反応によって調製される。ビスフェノールAに基づくホモポリカーボネート及びモノマービスフェノールA及び1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノールTMC)に基づくコポリカーボネートが、特に好ましい。ポリカーボネート合成に使用できるこれら及び更なるビスフェノール及びジオール化合物は、とりわけ、国際公開第08037364号パンフレット(7頁21行~10頁5行)、欧州特許第1582549号明細書([0018]~[0034])、国際公開第02026862号パンフレット(2頁23行~5頁15行)、国際公開第05113639号パンフレット(2頁1行~7頁20行)に開示されている。ポリカーボネーは、鎖状でも又は分岐されていてもよい。分岐のポリカーボネートと非分岐のポリカーボネートの混合物も同様に使用できる。ポリカーボネートに好適な分岐剤は、文献から知られており、例えば、米国特許第4185009号明細書及び独国特許第2500092号明細書(本発明による3,3-ビス-(4-ヒドロキシアリル-オキシンドール、それぞれの場合に文書全体を参照)、独国特許第4240313号明細書(3頁33行~55行参照)、独国特許第19943642号明細書(5頁25行~34行参照)及び米国特許第5367044号明細書、そしてそこで引用した文献に記載されている。使用されるポリカーボネートは、元来分岐していることも更にあり、ポリカーボネートの調製に関してここで分岐剤を添加することはない。固有の分岐の例としては、欧州特許第1506249号明細書に溶融ポリカーボネートに関して開示されている、所謂Fries構造である。連鎖停止剤は、ポリカーボネートの調製において、追加的に使用することができる。フェノールなどのフェノール類、クレゾール及び4-tert-ブチルフェノールなどのアルキルフェノール類、クロロフェノール、ブロモフェノール、クミルフェノール又はそれらの混合物を連鎖停止剤として使用するのが好ましい。ポリエステルカーボネートは、前述のビスフェノール、少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸、及び場合により炭酸の同等物の反応により、得られる。好適な芳香族ジカルボン酸は、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、3,3’-又は4,4’-ジフェニルジカルボン酸及びベンゾフェノン-ジカルボン酸である。ポリカーボネート中のカーボネート基の80モル%まで、好ましくは20~50モル%の部分を芳香族ジカルボン酸エステル基で置換することができる。
【0110】
20. ポリケトン。
【0111】
21. ポリスルホン、ポリエーテルスルホン及びポリエーテルケトン。
【0112】
22. フェノール/ホルムアルデヒド樹脂、尿素/ホルムアルデヒド樹脂及びメラミン/ホルムアルデヒド樹脂などの、一方でアルデヒドから、他方でフェノール、尿素及びメラミンから誘導された架橋ポリマー。
【0113】
23. 乾性及び非乾性アルキド樹脂。
【0114】
24. 飽和及び不飽和ジカルボン酸と、架橋剤としての多価アルコール及びビニル化合物とのコポリエステルから誘導される不飽和ポリエステル樹脂、並びに又、低易燃性のそれらのハロゲン含有変性体。
【0115】
25. 置換アクリレートから誘導した架橋性アクリル樹脂、例えばエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート又はポリエステルアクリレート。
【0116】
26. メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート、ポリイソシアネート又はエポキシ樹脂で架橋したアルキド樹脂、ポリエステル樹脂及びアクリレート樹脂。
【0117】
27. 脂肪族、脂環式、複素環式又は芳香族グリシジル化合物、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールE、及びビスフェノールFのジグリシジルエーテル生成物から誘導される架橋エポキシ樹脂であって、促進剤の有無にかかわらず、無水物又はアミンなどの慣用の硬化剤で架橋したエポキシ樹脂。
【0118】
28. セルロース、ゴム、ゼラチンなどの天然ポリマー及び化学変性したそれらの同族誘導体、例えば、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース及び酪酸セルロース、又はメチルセルロースなどのセルロースエーテル;そしてロジン及びそれらの誘導体。
【0119】
29. 前述のポリマーのブレンド(ポリブレンド)、例えばPP/EPDM、ポリアミド/EPDM又はABS、PVC/EVA、PVC/ABS、PVC/MBS、PC/ABS、PBTP/ABS、PC/ASA、PC/PBT、PVC/CPE、PVC/アクリレート、POM/熱可塑性PUR、PC/熱可塑性PUR、POM/アクリレート、POM/MBS、PPO/HIPS、PPO/PA6.6及びコポリマー、PA/HDPE、PA/PP、PA/PPO、PBT/PC/ABS又はPBT/PET/PC。
【0120】
30. 純粋なモノマー化合物又はそのような化合物の混合物である天然及び合成の有機材料、例えば、鉱油、動植物脂肪、オイル及びワックス、又は合成エステル(例えばフタレート、アジペート、ホスフェート又はトリメリテート)系のオイル、脂肪及びワックス、並びに合成エステルと鉱油との任意の重量比の混合物、通常に紡糸組成物として使用されるもの、そしてそのような材料の水性エマルジョン。
【0121】
31. 天然又は合成ゴムの水性エマルジョン、例えば天然ラテックス又はカルボキシル化スチレン/ブタジエンコポリマーのラテックス。
【0122】
32. 接着剤、例えば、SIS、SBS、SEBS、SEPS(Sはスチレン、Iはイソプレン、Bはポリブタジエン、EBはエチレン/ブチレンブロック、EPはポリエチレン/ポリプロピレンブロックを表す)などのブロックコポリマー。
【0123】
33. ゴム、例えばポリブタジエン又はポリイソプレンなどの共役ジエンのポリマー、モノオレフィン及びジオレフィンと互いに又は他のビニルモノマーとのコポリマー、スチレン又はα-メチルスチレンとジエン又はアクリル誘導体とのコポリマー、塩素系ゴム、天然ゴム。
【0124】
34. エラストマー、例えば、天然のポリイソプレン(シス-1,4-ポリイソプレン天然ゴム(NR)及びトランス-1,4-ポリイソプレングッタペルカ)、合成ポリイソプレン(イソプレンゴムに対してIR)、ポリブタジエン(ブタジエンゴムに対してBR)、クロロプレンゴム(CR)、ポリクロロプレン、ネオプレン、バイプレンなど、ブチルゴム(イソブチレンとイソプレンのコポリマー、IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(クロロブチルゴム:CIIR;ブロモブチルゴム:BIIR)、スチレン-ブタジエンゴム(スチレンとブタジエンのコポリマー、SBR)、ニトリルゴム(ブタジエンとアクリロニトリルのコポリマー、NBR)、ブナNゴムとも呼ばれる水素化ニトリルゴム(HNBR)Therban及びZetpol、EPM(エチレンプロピレンゴム、エチレンとプロピレンのコポリマー)並びにEPDMゴム(エチレンプロピレンジエンゴム、エチレン、プロピレン及びジエン成分のターポリマー)、エピクロロヒドリンゴム(ECO)、ポリアクリルゴム(ACM、ABR)、シリコーンゴム(SI、Q、VMQ)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)、フルオロエラストマー(FKM、及びFEPM)バイトン(Viton)、テクノフロン(Tecnoflon)、フルオレル(Fluorel)、アフラス(Aflas)及びダイエル(Dai-El)、パーフルオロエラストマー(FFKM)テクノフロン(Tecnoflon)PFR、カルレッツ(Kalrez)、ケムラズ(Chemraz)、パーラスト(Perlast)、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、(ハイパロン)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、熱可塑性エラストマー(TPE)、タンパク質レジリン及びエラスチン、多硫化ゴム、エラストレフィン、生地の生産に用いられる弾性線維。
【0125】
35. 熱可塑性エラストマー、例えば、スチレン系ブロックコポリマー(TPE-s)、熱可塑性オレフィン(TPE-o)、エラストマーアロイ(TPE-v又はTPV)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性コポリエステル、熱可塑性ポリアミド、リアクター(Reactor)TPO’s(R-TPO’s)、ポリオレフィンプラストマー(POP’s)、ポリオレフィンエラストマー(POE’s)。
【0126】
好ましい合成ポリマーは、上述のクラス1、5、6、6a、6b、6c、7、8、16、18及び19のポリマーである。
【0127】
別の好ましい形態においては、合成ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー(ABS)、又はポリカーボネートである。
【0128】
別の好ましい形態においては、合成ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド又はポリエチレンテレフタレートである。
【0129】
別の好ましい形態においては、合成ポリマーは、ポリエチレンである。
【0130】
別の好ましい形態においては、合成ポリマーは、ポリプロピレンである。
【0131】
別の好ましい形態においては、合成ポリマーは、ポリスチレンである。
【0132】
別の好ましい形態においては、合成ポリマーは、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマーである。
【0133】
別の好ましい形態においては、合成ポリマーは、ポリカーボネートである。
【0134】
別の好ましい形態においては、合成ポリマーは、ポリ塩化ビニルである。
【0135】
別の好ましい形態においては、合成ポリマーは、ポリアミドである。
【0136】
別の好ましい形態においては、合成ポリマーは、ポリエチレンテレフタレートである。
【0137】
好ましい形態においては、安定剤が化合物(4)である場合には、成形ポリマー物品は、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド又はポリエチレンテレフタレートから作製される。
【0138】
別の好ましい形態においては、安定剤が化合物(4)である場合には、成形ポリマー物品は、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド又はポリエチレンテレフタレートから作製される。
【0139】
好ましい形態においては、安定剤は、化合物(12)、化合物(4)、化合物(6)、化合物(7)、化合物(16)、又は化合物(12)と化合物(4)との(例えば、重量比10:1~1:10、好ましくは7:1~1:7における)混合物から選択され、及び成形ポリマー物品は、ポリエチレン又はポリプロピレンから作製される。
【0140】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(12)から選択され、及び成形ポリマー物品は、ポリエチレン又はポリプロピレンから作製される。
【0141】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(4)から選択され、及び成形ポリマー物品は、ポリエチレン又はポリプロピレンから作製される。
【0142】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(6)から選択され、及び成形ポリマー物品は、ポリエチレン又はポリプロピレンから作製される。
【0143】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(7)から選択され、及び成形ポリマー物品は、ポリエチレン又はポリプロピレンから作製される。
【0144】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(16)から選択され、及び成形ポリマー物品は、ポリエチレン又はポリプロピレンから作製される。
【0145】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(12)と化合物(4)との(例えば、重量比10:1~1:10、好ましくは7:1~1:7における)混合物から選択され、及び成形ポリマー物品は、ポリエチレン又はポリプロピレンから作製される。
【0146】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(4)、化合物(10)、化合物(11)、化合物(11)と化合物(9)との(例えば、重量比10:1~1:10、好ましくは7:1~1:7における)混合物、又は化合物(11)と化合物(10)との(例えば、重量比10:1~1:10、好ましくは7:1~1:7における)混合物から選択され、及び成形ポリマー物品は、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマーから作製される。
【0147】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(4)から選択され、及び成形ポリマー物品は、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマーから作製される。
【0148】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(10)から選択され、及び成形ポリマー物品は、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマーから作製される。
【0149】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(11)から選択され、及び成形ポリマー物品は、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマーから作製される。
【0150】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(11)と化合物(9)との(例えば、重量比10:1~1:10、好ましくは7:1~1:7における)混合物から選択され、及び成形ポリマー物品は、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマーから作製される。
【0151】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(11)と化合物(10)との(例えば、重量比10:1~1:10、好ましくは7:1~1:7における)混合物から選択され、及び成形ポリマー物品は、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマーから作製される。
【0152】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(4)又は化合物(10)から選択され、並びに成形ポリマー物品は、ポリカーボネート及びアクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマーから作製される。
【0153】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(4)から選択され、並びに成形ポリマー物品は、ポリカーボネート及びアクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマーから作製される。
【0154】
別の好ましい形態においては、安定剤は、化合物(10)から選択され、並びに成形ポリマー物品は、ポリカーボネート及びアクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマーから作製される。
【0155】
成形ポリマー物品は、例えば、以下の加工ステップの1つにより、調製される又は成形される:
射出ブロー成形、押出成形、ブロー成形、回転成形、インモールド加飾(バックインジェクション)、スラッシュ成形、射出成形、共射出成形、ブロー成形、成形、圧縮成形、樹脂トランスファー成形、プレス、フィルム押出(キャストフィルム;インフレーションフィルム)、繊維紡績(織物、不織布)、延伸(一軸、二軸)、アニーリング、深絞り、カレンダー加工、機械的変形、焼結、共押出、ラミネート、架橋(放射線、過酸化物、シラン)、蒸着、溶接、接着、加硫、熱成形、パイプ押出、プロファイル押出、シート押出;シートキャスティング、ストラップ、発泡、リサイクル/リワーク、ビスブレーキング(過酸化物、熱)、繊維メルトブロー、スパンボンド、表面処理(コロナ放電、火炎、プラズマ)、滅菌(ガンマ線、電子ビームによる)、テープ押出、引抜成形(pulltrusion)、SMCプロセス又はプラスチゾル。
【0156】
成形ポリマー物品は、押出、成形又はカレンダー加工した成形ポリマー物品であり得る。
【0157】
成形ポリマー物品は、フィルム、ホイル、繊維、布帛、プレート、デバイスなどの任意の形状を有することができる。
【実施例
【0158】
実施例1-LDPEキャストフィルム
直鎖状低密度ポリエチレン(密度0.917g/cmのDowlex(登録商標)SC 2107GC(ASTM D792)、及びメルトインデックス2.3g/190℃で10分/2.16kg(ASTM D1238))を200ppmのオリゴマーヒンダードアミン光安定剤(ブタン二酸、ジメチルエステル、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールを有するポリマー、CAS 65447-77-0)及び表1に列挙する添加剤と配合した。
【0159】
添加量は、ポリマーの重量に基づいて、重量でppm(100万分の1)で表示する。添加剤を高速ミキサーで粉砕されたポリマー粉末とブレンドした。十分にブレンドした製剤を二軸押出機で、窒素下、最大200℃で溶融配合した。ペレット化したサンプルをダイ設定温度220℃のラボ用キャストフィルムラインで180ミクロン厚のフィルムに加工する。
【0160】
フィルムサンプルを、Signify GmbH,Hamburg,GermanyからのUVC 253.7nm発光ランプTUV T8 F17 1SL/25を5つ保持する2つのステンレス鋼ランプラックを備えた気候室内でUV-C放射に曝した。サンプル保持ラックをランプラックの13cm下に配置し、サンプルをサンプルラック(30x40cm)の中央にのみ配置した。チャンバー内の条件を、温度65±3℃且つ相対湿度20±10%r.h.に維持した。サンプルラックの高さで測定した250~260nmの範囲の放射照度は28W/mであった。
【0161】
IRスペクトルでのC=O吸収(カルボニル吸収)の強度の変化を使用して、ポリエチレンフィルムサンプルの酸化損傷を測定した。FT-IR分光光度計を用いて1721cm-1でスペクトルを測定した。カルボニル値が0.1に到達するまでの時間を表1に報告した。
【0162】
【表1】
【0163】
データは、サンプルB~Eにおいて使用した添加剤が人工的UV-C光により引き起こされる劣化に対してフィルムを安定化させたことを示した。
【0164】
実施例2-HDPE射出成形板
高密度ポリエチレンHDPE(Borealis MG 9641、99.65重量%の量)を、ブロックオリゴマーヒンダードアミン光安定剤(1,6-ヘキサンジアミン、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)-ポリマーと2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジン、N-ブチル-1-ブタンアミンとN-ブチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンアミンとの反応生成物、CAS 192268-64-7;サンプルAでは0.15重量%、その他では0.1重量%の量)、ステアリン酸カルシウム0.05重量%、及びトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトとペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸)とのブレンド0.15重量%、並びに表2記載の添加剤と配合した。
【0165】
製剤成分を高速ミキサーにおいて予備混合した。十分にブレンドした製剤を二軸押出機で、窒素下、230℃の設定温度で溶融配合した。ペレット化したサンプルを240℃でのEngel HL 60射出成形機で2mm厚の板(44x68mm)に射出成形した。
【0166】
成形板を実施例1で記載のUVCエージング装置に曝露した。サンプル保持ラックをランプラックの57cm下に配置し、サンプルをサンプルラック(30x40cm)の中央にのみ配置する。チャンバー内の条件を、温度65±3℃且つ相対湿度20±10%r.h.に維持した。サンプルラックの高さで測定した250~260nmの範囲の放射照度は7.7W/mである。
【0167】
DIN EN ISO/CIE 11664-4に従って、Datacolor 800分光光度計(口径20mm)を用いて、曝露時間の増加に伴う色の変化(デルタE)に関して成形板を試験した。曝露12時間及び18時間後のデルタE値を表2に要約した。
【0168】
【表2】
【0169】
データは、サンプルB~Dで使用した添加剤が人工的UV-C光によって引き起こされる劣化に対して成形板を安定化したことを示した。
【0170】
実施例3-PP成形したフィルム
PP/TPO(Borealis Daplen EE013AE)に、80%のトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイトと20%のオクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネートとのブレンド0.1重量%、ステアリン酸カルシウム0.05重量%、及び表3に記載の添加剤を配合する。
【0171】
列挙の製剤成分を高速ミキサーにおいて予備混合した。十分にブレンドした製剤を二軸押出機で、窒素下、230℃の設定温度で溶融配合した。ペレット化したサンプルを230℃で3分の加圧で170ミクロン厚のフィルムに圧縮成形した。
【0172】
フィルムを実施例1で記載のUVCエージング装置に曝露した。サンプル保持ラックをランプラックの57cm下に配置し、サンプルをサンプルラック(30x40cm)の中央にのみ配置した。チャンバー内の条件を、温度65±3℃且つ相対湿度20±10%r.h.に維持する。サンプルラックの高さで測定した250~260nmの範囲の放射照度は7.7W/mであった。
【0173】
測定したパラメーターは、FT-IR分光光度計Thermo Fisher Scientific IncのNicolet iN10MXを用いて1721cm-1で測定したC=O吸収(カルボニル吸収)の強度の変化であった。カルボニル値0.1に到達する時間を表3に報告した。
【0174】
【表3】
【0175】
データは、サンプルB~Dにおいて使用した添加剤が人工的UV-C光により引き起こされる劣化に対してフィルムを安定化させたことを示した。
【0176】
実施例4-ABS圧縮成形板
ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー、INEOS StyrolutionからのTerluran GP-22、100重量%)を、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト80%とオクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート20%とのブレンド0.1重量%、ヒンダードアミン光安定剤(N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)-N,N’-ジホルミルヘキサメチレンジアミン、CAS 124172-53-8)0.03重量%、及び表4に列挙の添加剤と配合した。列挙の製剤成分を高速ミキサーにおいて予備混合した。十分にブレンドした製剤を二軸押出機内で窒素下、220℃の設定温度で溶融配合する前に、真空オーブン内で80℃で3時間乾燥させた。ペレット化したサンプルを80℃で3時間乾燥させて、220℃で3分間加圧して2mm厚の成形板(50x75mm)に圧縮成形した。
【0177】
成形板を実施例1で記載のUVCエージング装置に曝露した。サンプル保持ラックをランプラックの57cm下に配置し、サンプルをサンプルラック(30x40cm)の中央にのみ配置する。チャンバー内の条件を、温度65±3℃且つ相対湿度20±10%r.h.に維持した。サンプルラックの高さで測定した250~260nmの範囲の放射照度は7.7W/mであった。
【0178】
DIN EN ISO/CIE 11664-4に従って、Datacolor 800分光光度計(口径20mm)を用いて、曝露時間の増加に伴う色の変化(デルタE)に関して成形板を試験した。曝露12時間及び18時間後のデルタE値を表4に要約する。
【0179】
【表4】
【0180】
データは、表4のサンプルB~Oにおいて使用した添加剤が人工的UV-C光により引き起こされる劣化に対して成形板を安定化させたことを示した。
【0181】
実施例5-ポリカーボネート/ABS圧縮成形板
PC/ABS(CovestroからのBayblend T65XF、100重量%)を、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト80%とオクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート20%とのブレンド0.1重量%、及び下の表5に列挙の添加剤と配合した。製剤成分を高速ミキサーにおいて予備混合した。十分にブレンドした製剤を二軸押出機内で窒素下、250℃の設定温度で溶融配合する前に、真空オーブン内で80℃で3時間乾燥させた。ペレット化したサンプルを120℃で4時間乾燥させて、250℃で3分加圧して2mm厚の成形板(50x75mm)に圧縮成形した。
【0182】
成形板を実施例1で記載のUVCエージング装置に曝露した。サンプル保持ラックをランプラックの57cm下に配置し、サンプルをサンプルラック(30x40cm)の中央にのみ配置する。チャンバー内の条件を、温度65±3℃且つ相対湿度20±10%r.h.に維持した。サンプルラックの高さで測定した250~260nmの範囲の放射照度は7.7W/mであった。
【0183】
DIN EN ISO/CIE 11664-4に従って、Datacolor 800分光光度計(口径20mm)を用いて、曝露時間の増加に伴う色の変化(デルタE)に関して成形板を試験した。曝露12時間及び18時間後のデルタE値を表5に要約する。
【0184】
【表5】
【0185】
データは、表5のサンプルB~Eにおいて使用した添加剤が人工的UV-C光により引き起こされる劣化に対して成形板を安定化させたことを示した。
【国際調査報告】