(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-18
(54)【発明の名称】改善されたパターンプロファイル及び焦点深度(DOF)を有するポジ作動型フォトレジスト組成物
(51)【国際特許分類】
G03F 7/023 20060101AFI20240111BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20240111BHJP
【FI】
G03F7/023 511
G03F7/004 501
G03F7/023 501
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541312
(86)(22)【出願日】2022-01-05
(85)【翻訳文提出日】2023-08-17
(86)【国際出願番号】 EP2022050108
(87)【国際公開番号】W WO2022148759
(87)【国際公開日】2022-07-14
(32)【優先日】2021-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】チェン・ハンヤン
(72)【発明者】
【氏名】スー・クン
(72)【発明者】
【氏名】チェン・チュンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】リー・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ウー・ヘンペン
【テーマコード(参考)】
2H225
【Fターム(参考)】
2H225AF05P
2H225AM79P
2H225AN25P
2H225AN39P
2H225AN72P
2H225AN82P
2H225AN86P
2H225BA28P
2H225BA33P
2H225CA12
2H225CB02
2H225CB06
2H225CC03
2H225CC21
(57)【要約】
開示された発明は、以下の成分を含むレジスト組成物に関する。成分a)構造(I)及び(II)を有する二種のノボラックポリマーのブレンド;成分b)構造(III)をも持つ一般式を有するまたは一般式(III-1)を有する単一の材料または複数種の材料の混合物である、ジアゾ-ナフトキノンスルホネート(DNQ-PAC)成分;成分c)オリゴマー性の分画されたノボラック、一般構造式(VI)を有する化合物、及び一般構造式(VII)を有する化合物からなる群から選択される単一の化合物または少なくとも二種の化合物の混合物であるポリフェノール系化合物を含む溶解促進剤成分、但し、Rde1、Rde2、Rde3、Rde4及びRde5は個々にC1~C4アルキルから選択される;成分d)界面活性剤;及び成分e)有機スピンキャスト溶剤、及び任意に成分f)ヘテロ環状チオール。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分a)、b)、c)、d)及びe)から本質的になるかまたは次の成分a)、b)、c)、d)、e)及びf)から本質的になる組成物:
a)構造(I)及び(II)を有する二種のノボラックポリマーのブレンド;但し、R
1~R
9は、個々に、C1~C4アルキルから選択され、そしてx、y及びzは、構造(I)のポリマー中の繰り返し単位の全モル数を基準したモル%を表し;k、l及びmは、構造(II)のポリマー中の繰り返し単位の全モル数を基準としたモル%を表し、ここで更に、xは約10から約20モル%までの範囲であり、yは約50から約60モル%までの範囲であり、zは約30から約40モル%までの範囲であり、kは約10から約20モル%までの範囲であり、lは約40から約50モル%までの範囲であり、mは約30から約40モル%までの範囲であり、そしてここで更に、構造(I)に関して、x、y及びzの合計は100モル%であり、そして構造(II)において、k、l及びmの合計は100モル%である、
b)構造(III)を持つ一般式を有するかまたは一般式(III-1)を有する単一の材料かまたは複数種の材料の混合物である、ジアゾ-ナフトキノンスルホネート(DNQ-PAC)成分;但し、D
1c、D
2c、D
3c、D
4c及びD
5cは、個々に、Hまたは構造(IV)もしくは(V)を有する部分から選択され、ここで更に、構造(III)において、D
1c、D
2c、D
3cまたはD
4cのうちの少なくとも一つは、構造(IV)または(V)を有する部分であり、そして構造(III-1)において、D
1c、D
2c、D
3c、D
4c、D
5cのうちの少なくとも一つは、構造(IV)または(V)を有する部分である、
c)オリゴマー性の分画されたノボラック、一般構造式(VI)を有する化合物及び一般構造式(VII)を有する化合物からなる群から選択される単一の化合物または少なくとも二種の化合物の混合物であるポリフェノール系化合物を含む溶解促進剤成分;但し、R
de1、R
de2、R
de3、R
de4及びR
de5は個々にC1~C4アルキルから選択される、
d)界面活性剤、
e)有機スピンキャスト溶剤、
但し、合計すると和が100重量%固形物含有率となる成分a)、b)、c)及びd)の全重量から計算した重量%固形物含有率を用いた場合に、成分a)、b)、c)及びd)の重量%固形物含有率範囲は次の通りであり;
成分a)は、構造(I)及び(II)の前記ノボラックポリマーの重量%固形物含有率は、それぞれ独立して約23重量%から約70重量%までの範囲であるものであり、
成分b)は、約9重量%から約15重量%までの範囲であり、
成分c)は、約4重量%から約15重量%までの範囲であり、そして
成分d)は、約0重量%から約0.2重量%までの範囲であり、更に、
該組成物は、ヘキサメチルメラミン架橋剤及び光酸発生剤を含まない、
f)任意に、ヘテロ環状チオール成分。
【化1】
【請求項2】
成分a)、b)、c)、d)及びe)から本質的になる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
成分a)、b)、c)、d)、e)及びf)から本質的になる、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
成分a)、b)、c)、d)及びe)からなる、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
成分a)、b)、c)、d)、e)及びf)からなる、請求項1または3に記載の組成物。
【請求項6】
R
1~R
9がメチルである、請求項1~5のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項7】
構造(I)のポリマーにおいて、
xが、約15から約20モル%までの範囲であり、
yが、約50から約55モル%までの範囲であり、及び
zが、約30から約35モル%までの範囲である、
請求項1~6のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項8】
構造(I)のポリマーにおいて、xのモル%が約10から約25モル%までの範囲である構造(Ia)の繰り返し単位が、構造(Ia)の繰り返し単位の全量を基準にしてx1、x2、x3、x4、x5及びx6のモル%値をそれぞれ有する構造(Iax1)、(Iax2)、(Iax3)、(Iax4)、(Iax5)及び(Iax6)を有する異性体繰り返し単位の混合物を含み、ここで、
構造(Iax1)の繰り返し単位のモル%値であるx1は、0から約5モル%までの範囲であり、
構造(Iax2)の繰り返し単位のモル%値であるx2は、0から約5モル%までの範囲であり、
構造(Iax3)の繰り返し単位のモル%値であるx3は、約20から約25モル%までの範囲であり、
構造(Iax4)の繰り返し単位のモル%値であるx4は、約20から約25モル%までの範囲であり、
構造(Iax5)の繰り返し単位のモル%値であるx5は、約20から約25モル%までの範囲であり、
構造(Iax6)の繰り返し単位のモル%値であるx6は、約20から約25モル%までの範囲であり、そして更に、
x1、x2、x3、x4、x5及びx6の合計は、構造(I)のノボラックポリマーを基準にして和が約10モル%から約25モル%までの範囲あり、及びx1、x2、x3、x4、x5、x6、y及びzの合計は、構造(I)のノボラックポリマーを基準にして100モル%に等しい、
請求項1~7のいずれか一つに記載の組成物。
【化2】
【請求項9】
構造(II)のポリマーにおいて、kのモル%が約10モル%から約20モル%までの範囲である構造(IIa)の繰り返し単位が、k1、k2、k3、k4、k5及びk6のモル%値をそれぞれ有する構造(IIax1)、(IIax2)、(IIax3)、(IIax4)、(IIax5)及び(IIax6)を有する異性体繰り返し単位の混合物を含み、これらのモル%値の合計は約10モル%から約20モル%までの範囲であり、ここで
構造(IIak1)の繰り返し単位のモル%値であるk1は、約10から約20モル%までの範囲であり、
構造(IIak2)の繰り返し単位のモル%値であるk2は、0から約5モル%までの範囲であり、
構造(IIak3)の繰り返し単位のモル%値であるk3は、0から約5モル%までの範囲であり、
構造(IIak4)の繰り返し単位のモル%値であるk4は、0から約5モル%までの範囲であり、
構造(IIak5)の繰り返し単位のモル%値であるk5は、0から約5モル%までの範囲であり、
構造(IIak6)の繰り返し単位のモル%値であるk6は、0から約5モル%までの範囲であり、更にここでk1、k2、k3、k4、k5、k6、及びl及びmの合計は100モ%に等しい、
請求項1~8のいずれか一つに記載の組成物。
【化3】
【請求項10】
構造(II)の前記ポリマーが、より具体的な構造(II-1)を有し、ここでk1は約10から約20モル%までの範囲であり、lは約40から約50モル%までの範囲であり、mは約30から約40モル%までの範囲であり、更にここで構造(II-1)に関して、k1、l及びmの合計は100モル%である、請求項1~9のいずれか一つに記載の組成物。
【化4】
【請求項11】
構造(II)のポリマーにおいて、
kは、約15から約20モル%までの範囲であり、
lは、約40から約50モル%までの範囲であり、及び
mは、約35から約40モル%までの範囲である、
請求項1~10のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項12】
成分b)の前記DNQ PACは、D
1c、D
2c、D
3c及びD
4cが個々にHまたは構造(IV)を有する部分から選択され、及び更に、D
1c、D
2c、D
3cまたはD
4cのうちの少なくとも一つが構造(IV)を有する部分であるものである、請求項1~11のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項13】
成分b)の前記DNQ PACは、D
1c、D
2c、D
3c及びD
4cが個々にHまたは構造(V)を有する部分から選択され、及び更に、D
1c、D
2c、D
3cまたはD
4cのうちの少なくとも一つが構造(V)を有する部分であるものである、請求項1~12のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項14】
成分c)の前記スピードエンハンサーがオリゴマー性の分画されたノボラックである、請求項1~13のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項15】
成分c)の前記スピードエンハンサーが、構造(VI)の化合物、構造(VII)の化合物、またはこれらの混合物である、請求項1~13のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項16】
成分c)の前記スピードエンハンサーが構造(VI)を有する、請求項1~13のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項17】
成分c)の前記スピードエンハンサーが構造(VI)を有し、及び更にR
de1、R
de2、及びR
de3が全て、同じC1~C4アルキルから選択される、請求項1~13のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項18】
成分c)の前記スピードエンハンサーが構造(VII)を有する、請求項1~13のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項19】
成分c)の前記スピードエンハンサーが、構造(VI)を有する異なる化合物の混合物である、請求項1~13のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項20】
成分c)の前記スピードエンハンサーが、構造(VII)を有する異なる化合物の混合物である、請求項1~13のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項21】
成分c)の前記スピードエンハンサーが構造(VI)及び(VII)のスピードエンハンサーの混合物である、請求項1~13のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項22】
成分c)の前記スピードエンハンサーが、構造(VIa)または構造(VIIa)を有するものから選択されるか、または構造(VIa)及び(VIIa)のスピードエンハンサーの混合物である、請求項1~13のいずれか一つに記載の組成物。
【化5】
【請求項23】
成分c)の前記スピードエンハンサーが構造(VIa)を有する、請求項1~13のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項24】
成分c)の前記スピードエンハンサーが構造(VIIa)を有する、請求項1~13のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項25】
成分c)の前記スピードエンハンサーが構造(VIa)及び(VIIa)のスピードエンハンサーの混合物である、請求項1~13のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項26】
成分e)である前記有機スピンキャスト溶剤と組み合わせた時に、前記有機スピンキャスト溶剤中で約30%から約40%までの範囲の固形物含有率重量%を与える、固形成分a)、b)、c)及びd)から本質的になる、請求項1~25のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項27】
成分e)である前記有機スピン溶剤と組み合わせた時に、前記有機スピンキャスト溶剤中で約30%から約40%までの範囲の固形物含有率重量%を与える、固形成分a)、b)、c)、d)、及びf)から本質的になる、請求項1~25のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項28】
任意選択の成分f)が、一般構造式(H1)、(H2)もしくは(H3)またはこれらの互変異性体から選択される環構造を含む少なくとも一種のヘテロ環状チオール化合物であり;そして前記環構造が、4~8個の原子を有する単一の環構造、または5~20個の原子を有する多環構造であり;そしてここで、前記の単一の環構造または多環構造は、芳香族、非芳香族またはヘテロ芳香族環を含み、前記構造式(H1)において、Xtは、N(Rt3)、C(Rt
1)(Rt
2)、O、S、Se、及びTeからなる群から選択され、前記構造式(H2)において、Yは、C(Rt
3)及びNからなる群から選択され、前記構造式(H3)において、Zは、C(Rt
3)及びNからなる群から選択され、これらの構造式において、Rt
1、Rt
2、及びRt
3は、独立して、H、炭素原子数1~8の置換されたアルキル基、炭素原子数1~8の置換されていないアルキル基、炭素原子数が2~8の置換されたアルケニル基、炭素原子数が2~8の置換されていないアルケニル基、炭素原子数が2~8の置換されたアルキニル基、炭素原子数が2~8の置換されていないアルキニル基、炭素原子数が6~20の置換された芳香族基、炭素原子数が3~20の置換されたヘテロ芳香族基、炭素原子数が6~20の置換されていない芳香族基、及び炭素原子数が3~20の置換されていないヘテロ芳香族基からなる群から選択される、
請求項1~25のいずれか一つに記載の組成物。
【化6】
【請求項29】
前記ヘテロ環状チオール化合物が、全固形物の約0.5重量%から約1.5重量%までで存在する、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
請求項1~29のいずれか一つに記載の組成物を基材上に施用することを含む、基材をコーティングする方法。
【請求項31】
レジストに画像形成する方法であって、次のステップ:
i)請求項1~29のいずれか一つに記載の組成物を基材上にコーティングして、レジスト膜を形成するステップ;
ii)マスクを用いて前記レジスト膜をUV光に選択露光して、選択露光されたレジスト膜を形成するステップ;
iii)前記選択露光された膜を現像して、ポジに画像形成されたレジスト膜を前記基材上に形成するステップ;
を含む前記方法。
【請求項32】
レジストに画像形成する方法であって、次のステップ:
ia)請求項1~29のいずれか一つに記載の組成物を基材上にコーティングして、レジスト膜を形成するステップ;
iia)マスクを用いて前記レジスト膜をUV光に選択露光して、選択露光されたレジスト膜を形成するステップ;
iiia)前記選択露光されたレジスト膜をベークして、選択露光及びベークされたレジスト膜を形成するステップ;
iva)前記選択露光及びベークされたレジスト膜を現像して、ポジに画像形成されたレジスト膜を前記基材上に形成するステップ;
を含む前記方法。
【請求項33】
基材をコーティングするためのまたは画像形成されたレジスト膜を基材上に製造するための、請求項1~29のいずれか一つに記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される発明は、集積回路(IC)、発光ダイオード(LED)デバイス、及びディスプレーデバイスを製造するために使用されるポジ型感放射線性水性塩基可溶性フォトレジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトレジスト組成物は、コンピュータチップ、集積回路、発光ダイオード(LED)デバイス及びディスプレーの製造など、微細化された電子部品の製造のためのマイクロリソグラフィプロセスに使用されている。これらのプロセスでは、一般的に、先ずフォトレジスト組成物の膜を、集積回路の製造に使用されるケイ素ウェハなどの基材に施す。次いで、コーティングされた基材をベークして、フォトレジスト組成物中の溶媒を蒸発させ、基材上にコーティングを定着させる。基材のコーティング及びベークされた表面は次に像様暴露に付される。
【0003】
この放射線暴露は、コーティングされた表面の暴露された領域において化学的な変化を引き起こす。可視光線、紫外線(UV)、電子線及びX線放射エネルギーが、現在マイクロリソグラフィプロセスにおいて常用されている画像形成用の放射線種である。この像様暴露の後、コーティングされた基材を現像剤溶液で処理して、基材のコーティングされた表面の放射線暴露された領域または未暴露の領域のいずれかを溶解、除去する。
【0004】
フォトレジスト組成物には、ネガ作動型とポジ作動型の二つのタイプのものがある。ポジ作動型フォトレジスト組成物を放射線に像様暴露すると、放射線に暴露された領域のレジスト組成物が、現像剤溶液に対して溶け易くなり(例えば、塩基可能性基の放出または溶解防止剤の光分解)、他方で、暴露されていない領域のフォトレジストコーティングはこのような溶液に対して比較的不溶性のまま残る。それ故、暴露されたポジ作動型レジストを現像剤で処理すると、暴露された領域のフォトレジストコーティングが除去されてコーティングにポジ型の画像が形成され、それによって、元はフォトレジスト組成物が堆積していた下にある基材の表面の所望の部分が裸出される。
【0005】
水性塩基で現像可能なポジ作動型感光性フォトレジスト組成物の使用は既知である。これらの組成物の殆どは、フェノール系または(メタ)アクリレート系樹脂をベースとする化学増幅フォトレジスト、またはノボラック/ジアゾナフトキノン(DNQ)をベースとする非化学増幅フォトレジストのいずれかである。ノボラック/DNQフォトレジストでは、暴露されたレジスト領域において水性塩基中でのノボラック樹脂のより高速な溶解を招くジアゾナフトキノン化合物(PAC)の光分解を介してポジ型の画像が形成され、これらのタイプのフォトレジストは、より長いUV波長、例えばi線(365nm)を有するUV波長で使用され、そして集積回路(IC)の製造において長年にわたって主力のフォトレジストであった。
【0006】
半導体アセンブリプロセスは、大量生産におけるウェハレベルパッケージング(WLP)の導入によって改善された。銅(Cu)再配線層(RDL)微細化は、小型で、薄くかつ軽量のチップの製造のためのキープロセスの一つである。ファインピッチ再配線層(RDL)は、半導体のための高密度ウェハレベルファンアウト(HDWLFO)パッケージングのマーケットトレンドである。トポグラフィ基材上でのこの技術の実現には、高解像度及び透過率を有するフォトレジストの開発が必要である。化学増幅(CA)型フォトレジストは、i線(365nm)露光でのそれの高い透過性の故に、様々な厚さで安定した感度及び高解像度を示した。しかし、価格が高く及び環境安定性に劣ることから、外部委託半導体アセンブリ及び試験(OSAT)企業のためのRDLファブリケーションではその用途が制限される。CAタイプのフォトレジストと比べると、DNQ系フォトレジストは、価格が安い、環境安定性がより良好である、及びポスト露光ベーク(PEB)が不要である点で有利であり、これらは、OSAT企業にとって好都合である。しかし、ファインピッチ図形を解像する時、DNQ系フォトレジストは、ジアゾナフトキノン(DNQ)光活性化合物(PAC)によるi線(365nm)露光のブリーチのために、顕著なトップロス(丸み付け)及びフッティングを示す。電気メッキによるCu-RDLファブリケーションでは、トップロス/フッティングフォトレジストプロファイルから製造される銅ラインのプロファイルは不安定であるため(幅広のトップ/細いボトム)、フォトレジストトップロスは許容されない。
【0007】
フォトレジストパターンのプロファイルの向上方法のためには、プロセスの改変が通常使用される方策であり、例えば(現像後の)フォトレジストラインを、それのガラス転移温度(Tg)を超える温度でハードベークすることにより、フォトレジスト構造を熱リフローさせて所望のプロファイルを達成する方策がある。しかし、この方法は、追加のプロセスステップの故にウェハスループットを低下させる。
【発明の概要】
【0008】
プロファイルをハードベークする必要なく、半導体パッケージングにおけるプロファイル改善のための要求を満たすため、かつウェハスループットの低下という問題を解消するために、高解像度及び垂直なパターンプロファイルを目的として、新しいノボラック/DNQベースのフォトレジスト調合物が開発された。これらの新規ノボラック/DNQベースのフォトレジスト調合物は、一つはDNQ PACであり、一つはスピードエンハンサー(溶解促進剤)である二種のノボラック樹脂を含み、これらは、図らずしも、5.0μm膜厚において0.9μmライン/スペースに至るまで高い解像度及び垂直なプロファイルを示す。新規ノボラック/DNQベースフォトレジスト調合物は、図らずしも、更なるプロセス改変を行わずとも、かなり少ないトップロスも有し、また、大幅に改善された焦点深度(DOF)も有する。これらの新規ノボラック/DNQベースフォトレジスト調合物は、ポスト露光ベーク(PEB)またはポスト露光ハードベークを要することなく、トップロスの少ない垂直なプロファイルを与え、高解像度及び高速なフォトスピードを有し、そして慣用のノボラック/DNQベースフォトレジスト調合物と比べて、より大きなプロセスウインドウ(より幅の広いDOF)を示す。これらの新規ノボラック/DNQベースフォトレジスト調合物は、良好な貯蔵寿命を持って環境安定性であり、低コストな成分を使用し、また調製が簡単な処方も持つ。
【0009】
一つの観点では、これらの新規組成物は、以下の成分a)、b)、c)、d)及びe)から本質的になるものであるか、または以下の成分a)、b)、c)、d)、e)及びf)から本質的になるものである。
【0010】
成分a)は、構造(I)及び(II)を有する二種のノボラックポリマーのブレンドであり;式中、R1~R9は、個々に、C1~C4アルキルから選択され、そしてx、y及びzは、構造(I)のポリマー中の繰り返し単位の全モル数を基準にしたモル%を表し;k、l及びmは、構造(II)のポリマー中の繰り返し単位の全モル数を基準にしたモル%を表し、更に、xは約10から約20モル%までの範囲であり、yは約50から約60モル%までの範囲であり、zは約30から約40モル%までの範囲であり、kは約10から約20モル%までの範囲であり、lは約40から約50モル%までの範囲であり、mは約30から約40モル%までの範囲であり、更に、構造(I)では、x、y及びzの合計は100モル%であり、そして構造(II)では、k、l及びmの合計は100モル%であり;構造(I)及び(II)の前記ノボラックポリマーの固形物含有率(重量%)は、好ましくはそれぞれ独立して、約25重量%から約60重量%固形物の範囲である。
【0011】
【化1】
成分b)は、ジアゾ-ナフトキノンスルホネート(DNQ-PAC)成分であり、これは、構造(III)を有する一般式を有するまたは一般式(III-1)を有する単独の材料であるまたは複数の材料の混合物であり;ただし、D
1c、D
2c、D
3c、D
4c及びD
5cは、個々に、Hまたは構造(IV)もしくは(V)を有する部分から選択され、そして更に、構造(III)において、D
1c、D
2c、D
3cまたはD
4cの少なくとも一つは、構造(IV)または(V)を有する部分であり、そして構造(III-1)において、D
1c、D
2c、D
3c、D
4c、D
5cの少なくとも一つは、構造(IV)または(V)を有する部分であり;ここで前記DNQ-PACは、好ましくは全固形物の約10重量%から約15重量%までの範囲である。
【0012】
【化2】
成分c)は、ポリフェノール系化合物を含む溶解促進剤成分であり、前記ポリフェノール系化合物は、オリゴマー性の分画したノボラック、一般構造式(VI)を有する化合物及び一般構造式(VII)を有する化合物からなる群から選択される、単一の化合物または少なくとも二種の化合物の混合物であり、ここで、R
de1、R
de2、R
de3、R
de4及びR
de5は、個々に、C1~C4アルキルから選択される。
【0013】
【化3】
成分d)は界面活性剤であり、そして固形物の約0重量%から約0.2重量%までの範囲である。
【0014】
成分e)は、有機スピンキャスト溶剤である。
【0015】
成分f)は、ヘテロ環状チオールである。
【0016】
更に、合計して和が100重量%固形物含有率となる成分a)、b)、c)及びd)または成分a)、b)、c)、d)及びf)の全重量から計算した重量%固形物含有率を用いた、成分a)、b)、c)及びd)、または成分a)、b)、c)、d)及びf)の重量%固形物含有率範囲は次の通りである:
成分a)は、構造(I)及び(II)の前記ノボラックポリマーの重量%固形物含有率は、それぞれ独立して、約23重量%から約70重量%までの範囲であるものであり、
成分b)は、約9重量%から約15重量%までの範囲であり、
成分c)は、約4重量%から約15重量%までの範囲であり、そして
成分d)は、約0重量%から約0.2重量%までの範囲であり、更に、
この組成物は、ヘキサメチルメラミン架橋剤及び光酸発生剤は含まない。
【0017】
開示された発明は、リソグラフィプロセスの一部として基材上に前記レジスト組成物をコーティングする方法にも関する。
【0018】
添付の図面は、開示された発明の更なる理解をもたらし、そして本明細書中に取り入れられ、それの一部を構成するものであるが、これらは、開示された発明の態様を例示し、そして発明の詳細な説明と共に、開示された発明の原理を説明するのに役立つものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
[
図1]例2及び比較例1の焦点深度(DOF)曲線。
[
図2]膜厚(FT)5μmでの例2の焦点深度(DOF)のSEM検証
[
図3]5μmFTでの例2についての直線性
【発明を実施するための形態】
【0020】
上記の一般的な説明及び以下の詳細な説明はどちらも、説明と例示のためのものであり、特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではないと理解されるべきである。本願において、単数形の使用は複数も包含し、他に具体的に記載がなければ、単数形は「少なくとも一つ(もしくは少なくとも一種)」を意味し、「または」の使用は「及び/または」を意味する。更に、「含む」という記載、並びに「含まれる」などの他の動詞形の使用は限定的ではない。また、「要素」または「成分」などの記載は、他に具体的に記載がなければ、一つの構成単位を含む要素及び成分、並びに1つ超の構成単位を含む要素または成分の両方を包含する。ここで使用される場合、他に指定がなければ、「及び」という接続詞は、両立的であることが意図され、そして「または」という接続詞は、排他的であることを意図しない。例えば、「またはその代わりに」というフレーズは排他的であることを意図する。ここで使用する「及び/または」という記載は、単一要素の使用も含む、前述される要素の任意の組み合わせを指す。
【0021】
ここで使用する各章の表題は、文書構成を目的としたものであって、記載の主題を限定するものと解釈するべきではない。限定はされないが特許、特許出願、論文、書籍及び専門書を始めとした本願で引用する全ての文献または文献の一部は、全ての目的に関してそれらの内容の全てが本明細書中に掲載されたものとする。ここに掲載されたものとする文献及び類似の資料の一つ以上における用語の定義が、本願明細書におけるものと矛盾する場合は、本願の定義が優先する。
【0022】
「連結点」という用語は、本発明のポリマーについて言及する時はいずれの場合も、他のポリマー鎖への分岐点及び/または他のポリマー鎖への架橋点を指し、ただし、分岐及び/または架橋は、生じた分岐及び/または架橋したポリマーが、ポリマーが、スピンキャスト溶剤などの溶剤中に不溶性となるゲル点への到達の回避のために十分に小さい分子量をなおも有する程度である。
【0023】
他に指示がない場合は、「アルキル」は、線状、分岐状(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert-ブチルなど)、環状(例えば、シクロヘキシル、シクロプロピル、シクロペンチルなど)、または多環式(例えば、ノルボルニル、アダマンチルなど)であることができる炭化水素基を指す。これらのアルキル部分は、以下に記載のように置換されていてもまたは置換されていなくともよい。「アルキル」という用語は、C1~C20炭素を持つこのような部分を指す。構造上の理由から、線状アルキルはC1から始まり、他方で、分岐状アルキル及び環状アルキルはC3から始まり、そして多環式アルキルはC5から始まると理解される。更に、以下に記載のアルキルから誘導される部分、例えばアルキルオキシ及びハロアルキルオキシは、他に指示がなければ、同じ炭素数範囲を有すると理解される。上記とは異なるアルキル基の長さが特定される場合は、アルキル基の上記の定義は、これが、上記の全てのタイプのアルキル部分を包含する点ではなおも通用し、及び所定のタイプのアルキル基についての炭素原子数に関する構造的事情はなおも該当する。
【0024】
アルキルオキシ(別称ではアルコキシ)は、オキシ(-O-)部分を介して結合したアルキル基を指す(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、1,2-イソプロポキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシなど)。これらのアルキルオキシ部分は、以下に記載のように置換されていてもまたは置換されていなくともよい。
【0025】
ハロまたはハライドは、一つの結合手によって有機部分に結合するハロゲン、F、Cl、BrまたはIを指す。
【0026】
ハロアルキルは、水素のうちの少なくとも一つが、F、Cl、Br、I、または1超のハロ部分が存在する場合にはこれらの混合物の群から選択されるハライドによって置き換えられている、上述したものなどの、線状、環状または分岐状の飽和アルキル基を指す。フルオロアルキルは、これらの部分の特定のサブグループである。
【0027】
フルオロアルキルは、水素が部分的にもしくは完全にフッ素に置き換えられた先に定義した線状、環状または分岐状飽和アルキル基を指す(例えば、トリフルオロメチル、パーフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、パーフルオロイソプロピル、パーフルオロシクロヘキシルなど)。これらのフルオロアルキル部分は、完全にフッ素化されていない場合には、以下に記載のように置換されていても、置換されていなくともよい。
【0028】
フルオロアルキルオキシは、オキシ(-O-)部分を介して結合した上記のフルオロアルキル基を指し、これは、完全にフッ素化されていてもよいし(別称では、パーフッ素化)、またはその代わりに、部分的にフッ素化されていてもよい(例えば、トリフルオロメチルオキシ、パーフルオロエチルオキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、パーフルオロシクロヘキシルオキシなど)。これらのフルオロアルキル部分は、完全にフッ素化されていない場合には、以下に記載のように置換されていても、置換されていなくともよい。
【0029】
ここで、C1から始まる炭素原子数の可能な範囲を有するアルキル、アルキルオキシ、フルオロアルキル、フルオロアルキルオキシ部分、例えば非限定的な例として「C1~C20アルキル」または「C1~C20フルオロアルキル」に言及する時は、この範囲は、C1から始まる線状アルキル、アルキルオキシ、フルオロアルキル及びフルオロアルキルオキシを包含するが、C3から始まる分岐状アルキル、分岐状アルキルオキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、分岐状フルオロアルキル及び環状フルオロアルキルのみを指定する。
【0030】
「アルキレン」という用語は、線状、分岐状または環状であることができ、かつ二つ以上の結合手を有する炭化水素基を指す(例えば、二つの結合手を有するものとしては、メチレン、エチレン、1,2-イソプロピレン、1,4-シクロヘキシレンなど;三つの結合手を有するものとしては、1,1,1-置換メタン、1,1,2-置換エタン、1,2,4-置換シクロヘキサンなど)。この場合もまた、可能な炭素数範囲、例えば非限定的な例としてC1~C20を指定する時は、この範囲は、C1から始まる線状アルキレンを包含するが、C3から始まる分岐状アルキレンまたはシクロアルキレンのみを指定する。これらのアルキレン部分は、以下に記載のように、置換されていてもまたは置換されていなくともよい。
【0031】
ここで使用する固形成分という用語は、溶剤成分e)ではない成分、すなわち一つの態様では、成分a)、b)、c)及びd)、及び任意選択のヘテロ環状成分f)を含む他の態様の一つでは、成分a)、b)、c)、d)及びf)を指す。
【0032】
「モノ及びオリゴマー性アルキレンオキシアルキレン」という用語は、単純なアルキレンオキシアルキレン部分、例えばエチレンオキシエチレン(-CH2-CH2-O-CH2-CH2-)、プロピレンオキシプロピレン(-CH2-CH2-CH2-O-CH2-CH2-CH2-)など、並びにオリゴマー材料、例えばトリ(エチレンオキシエチレン)(-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CH2-)、トリ(プロピレンオキシプロピレン)(-CH2-CH2-CH2-O-CH2-CH2-CH2-O-CH2-CH2-CH2-)などの両方を包含する。
【0033】
「アリール」または「芳香族基」という用語は、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル、アントラシル、ビフェニル類、ビス-フェニル類、トリス-フェニル類などを始めとした、6~24個の炭素原子を含むこのような基を指す。これらのアリール基は、更に、上記の適切な置換基、例えば上記のアルキル、アルコキシ、アシルまたはアリール基のいずれでも置換されていてもよい。
【0034】
「ノボラック」という用語は、ここで使用する場合、構造の他の修飾がない場合には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどの水性塩基中に可溶性のノボラック樹脂を指す。
【0035】
「アリーレン」という用語は、二つ以上の結合手(例えば2~5)を有する芳香族炭化水素部分を指し、この部分は、単一のベンゼン部分(例えば、二つの結合手を有するものとしては、1,4-フェニレン、1,3-フェニレン、及び1,2-フェニレン;三つの結合手を有するものとしては、1,2,4-置換ベンゼン、1,3,5-置換ベンゼンなど)、二つの結合手を有する多環式芳香族部分、例えばナフタレン、アントラセン、ピレンなどから誘導されるもの、または二つの結合手を有する連鎖した複数のベンゼン環(例えば、ビフェニレン)であることができる。芳香族部分が縮合芳香族環である例では、これらは、縮合環アリーレンと称し得、より具体的には、例えばナフタレニレン、アントラセニレン、ピレニレンなどと命名される。縮合環アリーレンは、以下に記載するように置換されていてもまたは置換されていなくともよく、追加的にこれらの縮合環アリーレンは、二つの結合サイトを有する炭化水素置換基を縮合環上に含んでいてもよく、そうして、追加的な脂肪族または不飽和環を形成し、縮合環への結合によって5~10個の炭素原子を有する環を形成してよい。
【0036】
「PAG」という用語は、他に記載がなければ、ディープUVまたはUV放射線、例えば200~300nm、i線、h線、g線及び/または広帯域放射線下に酸(別称では光酸)を発生し得る光酸発生剤を指す。前記の酸は、スルホン酸類、HCl、HBr、HAsF6などであってよい。これは、非限定的な例として、強酸、例えば、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、HAsF6”、HSbF6”、HBF4”、HPF6”、CF3SO3H、HC(SO2CF3)2”、HC(SO2CF3)3、HN(SO2CF3)2”、HB(C6H5)4、HB(C6F5)4,、ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート酸、p-トルエンスルホン酸、HB(CF3)4トリハロメチルを光化学的に発生できる当技術分野で既知のオニウム塩及び他の感光性化合物、並びにHBrまたはHClなどのハロゲン化水素を発生できるトリハロメチルヘテロ環状化合物の感光性誘導体を包含する。
【0037】
「アレーン」という用語は、1つの環または互いに縮合した2~8個の炭素ベース芳香族環を含む芳香族炭化水素部分を包含する。
【0038】
「ヘテロアレーン」という用語は、それの芳香族性が維持される程度に限りそれぞれ1つ以上の三価または四価のヘテロ原子を含むアレーンを指す。このようなヘテロ原子の例は、N、O、P及びSである。非限定的な例としては、このようなヘテロアレーンは、1~3個のこのようなヘテロ原子を含んでいてよい。
【0039】
本明細書に他に指示がなければ、「置換された」という用語は、アリール、アルキル、アルキルオキシ、フルオロアルキル、フルオロアルキルオキシ、縮合芳香族環、アレーン、ヘテロアレーンについて言及する時は、置換されていないアルキル、置換されたアルキル、置換されていないアリール、アルキルオキシアリール(アルキル-O-アリール-)、ジアルキルオキシアリール((アルキル-O-)2-アリール)、ハロアリール、アルキルオキシ、アルキルアリール、ハロアルキル、ハライド、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アセチル、アルキルカルボニル、ホルミル、エテニル(CH2=CH-)、フェニルエテニル(Ph-CH=CH-)、アリールエテニル(アリール-CH=CH)、及びエテニレンアリーレン部分を含む置換基(例えば、Ar(-CH=CH-Ar-)z(zは1~3である))の群から選択される、一つ以上の置換基も含むこれらの部分の一つを指す。置換されたアリール及び置換されたアリールエテニル置換基の具体的な非限定的な例は、次の通りであり、ここで
【0040】
【0041】
【化5】
置換されたアリール、及び置換されたエテニル類という用語は、置換基がここに記載の置換基のいずれかから選択されるこれらの部分を指す。同様に、「置換されていない」という記載は、水素以外の置換基が存在しないこれらの同部分を指す。
【0042】
この観点の一つでは、本発明は、成分a)、b)、c)、d)及びe)から本質的になるかまたは成分a)、b)、c)、d)、e)及びf)からなる組成物に関し、ここで
成分a)は、構造(I)及び(II)を有する二種のノボラックポリマーのブレンドであり;ただしR1~R9は個々にC1~C4アルキルから選択され、そしてx、y及びzは、構造(I)のポリマー中の繰り返し単位の全モル数を基準としたモル%を表し;k、l及びmは、構造(II)のポリマー中の繰り返し単位の全モル数を基準としたモル%を表し、更に、xは、約10から約20モル%までの範囲であり、yは約50から約60モル%までの範囲であり、zは約30から約40モル%までの範囲であり、kは約10から約20モル%までの範囲であり、lは約40から約50モル%までの範囲であり、mは約30から約40モル%までの範囲であり、そして更に、構造(I)では、x、y及びzの合計は100モル%であり、そして構造(II)では、k、l及びmの合計は100モル%である。更に、構造(I)及び(II)の前記ノボラックポリマーの重量%固形物含有率は、それぞれ独立して、成分a)、b)、c)及びd)の固形成分の全重量を基準にして、約23重量%から約70重量%まで、好ましくは約25重量%から約60重量%固形物までの範囲であり、ここで、これらの成分の個々の重量%固形物含有率の合計は100%である。
【0043】
【化6】
成分b)はジアゾ-ナフトキノンスルホネート(DNQ-PAC)成分であり、これは、構造(III)を有する一般式または一般式(III-1)を有する単一の材料または複数の材料の混合物であり;ここでD
1c、D
2c、D
3c、D
4c及びD
5cは、個々に、Hまたは構造(IV)もしくは(V)を有する部分から選択され、ここで更に、構造(III)においては、D
1c、D
2c、D
3cまたはD
4cの少なくとも一つは、構造(IV)または(V)を有する部分であり、そして構造(III-1)では、D
1c、D
2c、D
3c、D
4c、D
5cの少なくとも一つは、構造(IV)または(V)を有する部分である。更にここで、この成分は、固形物の約9重量%から約15重量%まで、好ましくは約10重量%から約15重量%までの範囲である。
【0044】
【化7】
成分c)は、ポリフェノール系化合物を含む溶解促進剤成分であり、前記ポリフェノール系化合物は、オリゴマー性の分画したノボラック、一般構造式(VI)を有する化合物及び一般構造式(VII)を有する化合物からなる群から選択される、単一の化合物または少なくとも二種の化合物の混合物であり、ここで、R
de1、R
de2、R
de3、R
de4及びR
de5は個々にC1~C4アルキルから選択され;そして更にこの成分は、固形物の約4重量%から約15重量%までの範囲である。
【0045】
【化8】
成分d)は界面活性剤であり、これは、固形物の約0重量%から約0.2重量%の範囲である。
【0046】
成分e)は、有機スピンキャスト溶剤である。
【0047】
成分f)は、ヘテロ環状チオールである。
【0048】
更に、成分a)、b)、c)、d)及びe)からまたは成分a)、b)、c)、d)、e)及びf)から本質的になるこの組成物は、ヘキサメチルメラミン系架橋剤及び光酸発生剤を含まないものである。
【0049】
一つの態様では、前記組成物は、成分a)、b)、c)、d)及びe)から本質的になるものである。
【0050】
一つの態様では、前記組成物は、成分a)、b)、c)、d)、e)及びf)から本質的になるものである。
【0051】
一つの態様では、前記組成物は、成分a)、b)、c)、d)及びe)からなるものである。
【0052】
一つの態様では、前記組成物は、成分a)、b)、c)、d)、e)及びf)からなるものである。
【0053】
本発明による組成物の一つの態様では、成分a)は、R1~R9がメチルであるものである。
【0054】
ここに記載の本発明による組成物の他の態様の一つでは、構造(I)のポリマーに関して、xは約15から約20モル%までの範囲であり、yは約50から約55モル%までの範囲であり、そしてzは約30から約35モル%までの範囲である。
【0055】
ここに記載の本発明の組成物の他の態様の一つでは、構造(I)のポリマーに関して、xのモル%が約10から約25モル%までの範囲である構造(Ia)の繰り返し単位は、構造(Iax1)、(Iax2)、(Iax3)、(Iax4)、(Iax5)及び(Iax6)を有する異性体繰り返し単位の混合物を含み、これらの繰り返し単位は、構造(Ia)の繰り返し単位の全量を基準にしてx1、x2、x3、x4、x5及びx6のモル%値を有し、ここで、
構造(Iax1)の繰り返し単位のモル%値であるx1は、0から約5モル%までの範囲であり、
構造(Iax2)の繰り返し単位のモル%値であるx2は、0から約5モル%までの範囲であり、
構造(Iax3)の繰り返し単位のモル%値であるx3は、約20から約25モル%までの範囲であり、
構造(Iax4)の繰り返し単位のモル%値であるx4は、約20から約25モル%までの範囲であり、
構造(Iax5)の繰り返し単位のモル%値であるx5は、約20から約25モル%までの範囲であり、
構造(Iax6)の繰り返し単位のモル%値であるx6は、約20から約25モル%までの範囲であり、x1、x2、x3、x4、x5及びx6の合計は、構造(I)のノボラックポリマーを基準にして、和が約10モル%から約25モル%までであり、そしてx1、x2、x3、x4、x5、x6、y及びzの合計は、構造(I)のノボラックポリマーを基準にして100モル%に等しい。
【0056】
【化9】
ここに記載の本発明の組成物の他の態様の一つでは、構造(II)のポリマーに関して、kのモル%が約10モル%から約20モル%までの範囲である構造(IIa)の繰り返し単位は、構造(IIax1)、(IIax2)、(IIax3)、(IIax4)、(IIax5)及び(IIax6)を有する異性体繰り返し単位の混合物を含み、これらの繰り返し単位は、それぞれ、k1、k2、k3、k4、k5及びk6のモル%値を有し、ここで、これらのモル%値の合計は約10モル%から約20モル%までの範囲であり、ここで
構造(IIak1)の繰り返し単位のモル%値であるk1は、約10から約20モル%までの範囲であり、
構造(IIak2)の繰り返し単位のモル%値であるk2は、0から約5モル%までの範囲であり、
構造(IIak3)の繰り返し単位のモル%値であるk3は、0から約5モル%までの範囲であり、
構造(IIak4)の繰り返し単位のモル%値であるk4は、0から約5モル%までの範囲であり、
構造(IIak5)の繰り返し単位のモル%値であるk5は、0から約5モル%までの範囲であり、
構造(IIak6)の繰り返し単位のモル%値であるk6は、0から約5モル%までの範囲であり、更にここでk1、k2、k3、k4、k5、k6、l及びmの合計は100モル%に等しい。
【0057】
【化10】
記載の本発明の組成物の他の態様の一つでは、構造(II)の前記ポリマーは、より具体的な構造(II-1)を有し、ここでk1は約10から約20モル%までの範囲であり、lは約40から約50モル%までの範囲であり、mは約30から約40モル%までの範囲であり、更にここで構造(II-1)に関して、k1、l及びmの合計は100モル%である。
【0058】
【化11】
ここに記載の本発明による組成物の他の態様の一つでは、これは、構造(II)のポリマーに関して、kが約15から約20モル%までの範囲であり、lが約40から約50モル%までの範囲であり、そしてmが約35から約40モル%までの範囲であるものである。
【0059】
本発明の成分a)の他の態様の一つでは、構造(I)の前記ノボラックコポリマーの重量%固形物含有率は、約23重量%から約55重量%全固形物までの範囲であり、そして構造(II)のノボラックポリマーは、全固形物の約25重量%から約56重量%までの範囲であり、ここで、これらの二つのポリマー成分の合計重量%固形物含有率の全固形物含有率の重量%は、約75重量%から約85重量%までの範囲である。他の観点の一つでは、これらは、独立して、固形物の約35重量%から約50重量%までの範囲である。この態様の更に別の観点の一つでは、構造(I)の前記ノボラックポリマーは、約23.5重量%から約52重量%全固形物までの範囲であり、そして構造(II)の前記ノボラックポリマーは、約28重量%から約55.5重量%全固形物までの範囲である。
【0060】
ここに記載の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分b)に関して、前記DNQ PACは、D1c、D2c、D3c及びD4cが、個々に、Hまたは構造(IV)を有する部分から選択され、及び更に、D1c、D2c、D3cまたはD4cのうちの少なくとも一つは構造(IV)を有する部分であるものである。
【0061】
ここに記載の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分b)の前記DNQ PACは、D1c、D2c、D3c及びD4cが個々にHまたは構造(V)を有する部分から選択され、及び更に、D1c、D2c、D3cまたはD4cのうちの少なくとも一つが構造(V)を有する部分であるものである。
【0062】
ここに記載の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分c)である前記スピードエンハンサーは、約5重量%から約15重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約6重量%から約14重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約6.5重量%から約13重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約6.5重量%から約12重量%までの範囲である。
【0063】
ここに記載の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分c)である前記スピードエンハンサーは、オリゴマー性の分画されたノボラックである。この態様の一つの観点では、前記スピードエンハンサーは、約5重量%から約14重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約5重量%から約13重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約6.0重量%から約12重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約6.5重量%から約11重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約6.5重量%から約10重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約6.5重量%から約10重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約6.5重量%から約9重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約6.5重量%から約8重量%までの範囲である。この態様の一つの観点では、これは約7重量%である。
【0064】
ここに記載の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分c)である前記スピードエンハンサーは、構造(VI)の化合物、構造(VII)の化合物、またはこれらの混合物である。この態様の一つの観点では、構造(VI)の前記化合物において、Rde1、Rde2、及びRde3は、全て、同じC1~C4アルキルから選択される。
【0065】
ここに記載の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分c)である前記スピードエンハンサーは、構造(VI)を有する。この態様の他の一つの観点では、前記スピードエンハンサーは、約5重量%から約14重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約5重量%から約13重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約6.0重量%から約12重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約6.5重量%から約11重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約6.5重量%から約10重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約6.5重量%から約10重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約6.5重量%から約9重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約6.5重量%から約8重量%までの範囲である。この態様の一つの観点では、これは約7重量%である。
【0066】
ここに記載の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分c)である前記スピードエンハンサーは、構造(VI)を有する異なる化合物の混合物である。この態様の他の観点の一つでは、前記スピードエンハンサーは、約5重量%から約14重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約5重量%から約13重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約6.0重量%から約12重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約6.5重量%から約11重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約6.5重量%から約10重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約6.5重量%から約10重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約6.5重量%から約9重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約6.5重量%から約8重量%までの範囲である。この態様の一つの観点では、これは約7重量%である。
【0067】
ここに記載の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分c)である前記スピードエンハンサーは構造(VII)を有する。この態様の他の観点の一つでは、前記スピードエンハンサーは、約5重量%から約15重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約6重量%から約14重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約7重量%から約13重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約8重量%から約12.5重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約8重量%から約12.5重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約9重量%から約12.5重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約10重量%から約12.5重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約11重量%から約12.5重量%までの範囲である。この態様の一つの観点では、これは約12重量%である。
【0068】
ここに記載の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分c)である前記スピードエンハンサーは、構造(VII)を有する異なる化合物の混合物である。この態様の他の観点の一つでは、これは約6重量%から約14重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約7重量%から約13重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約8重量%から約12.5重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約8重量%から約12.5重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約9重量%から約12.5重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約10重量%から約12.5重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約11重量%から約12.5重量%までの範囲である。この態様の一つの観点では、これは約12重量%である。
【0069】
ここに記載の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分c)である前記スピードエンハンサーは、構造(VI)及び(VII)のスピードエンハンサーの混合物である。
【0070】
ここに記載の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分c)である前記スピードエンハンサーは、構造(VIa)または構造(VIIa)を有するものから選択されるか、または構造(VIa)及び(VIIa)のスピードエンハンサーの混合物である。この態様の一つの観点では、これは構造(VIa)を有する。この態様の他の観点の一つでは、上記スピードエンハンサーは構造(VIIa)を有する。この態様の他の観点の一つでは、上記スピードエンハンサーは、構造(VIa)及び(VIIa)の混合物である。
【0071】
ここに記載の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分c)である前記スピードエンハンサーは構造(VIa)を有し、これは、約5重量%から約14重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約5重量%から約13重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約6.0重量%から約12重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約6.5重量%から約11重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約6.5重量%から約10重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約6.5重量%から約10重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約6.5重量%から約9重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約6.5重量%から約8重量%までの範囲である。この態様の一つの観点では、これは約7重量%である。
【0072】
ここに記載の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分c)である前記スピードエンハンサーは構造(VIIa)を有し、これは、約6重量%から約14重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約7重量%から約13重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約8重量%から約12.5重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約8重量%から約12.5重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約9重量%から約12.5重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約10重量%から約12.5重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、これは約11重量%から約12.5重量%までの範囲である。この態様の一つの観点では、これは約12重量%である。
【0073】
【化12】
成分d)界面活性剤
ここに記載の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分d)である前記界面活性剤には特に制限はなく、そしてそれの例には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、及びポリオキシエチレンオレインエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、例えばポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル及びポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー;ソルビタン脂肪酸エステル、例えばソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノバルミテート、及びソルビタンモノステアレート;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのノニオン界面活性剤、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレンソルビタントリオレエート、及びポリオキシエチレンソルビタントリステアレート;フッ素化界面活性剤、例えばF-Top EF301、EF303及びEF352(ジェムコ社製)、Megafac F171、F172、F173、R08、R30、R90及びR94(大日本インキ化学工業社製)、Florad FC-430、FC-431、FC-4430及びFC-4432(住友3M社製)、Asahi Guard AG710、Surflon S-381、S-382、S-386、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106、Surfinol E1004、KH-10、KH-20、KH-30及びKH-40(旭硝子社製);有機シロキサンポリマー、例えばKP-341、X-70-092及びX-70-093(信越化学工業社製);及びアクリル酸もしくはメタクリル酸ポリマー、例えばPolyflow No.75及びNo.95(共栄社化学社製)などが挙げられる。
【0074】
ここに記載の本発明の組成物の他の態様の一つでは、成分a)、b)、c)及びd)、またはa)、b)、c)、d)及びf)の全重量は、溶剤成分e)と組み合わせた時に、約30%から約40%までの範囲の溶剤中のこれらの固形成分の全ての重量%となる。
【0075】
上記組成物の他の態様の一つでは、成分e)である有機スピン溶剤は、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸シクロヘキシル、酢酸3-メトキシブチル、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、エチル-3-エトキシプロパノエート、メチル-3-エトキシプロパノエート、メチル-3-メトキシプロパノエート、メチルアセトアセテート、エチルアセトアセテート、ジアセトンアルコール、ピバル酸メチル、ピバル酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロパノエート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロパノエート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、3-メチル-3-メトキシブタノール、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ガンマ-ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、テトラメチレンスルホン、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジメチルエーテル、及びガンマブチロラクトンの一種以上を含む。この態様の一つの観点では、該溶剤成分は、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)を含む。この態様の一つの観点では、該溶剤成分は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を含む。
【0076】
成分f)ヘテロ環状チオール
上記の本発明の組成物の一つの態様では、これは更に、少なくとも一種の任意選択のヘテロ環状チオール成分を含む。この態様の一つの観点では、前記ヘテロ環状チオール成分は、一般構造式(H1)、(H2)もしくは(H3)またはこれらの互変異性体から選択される環構造を含む少なくとも一種のヘテロ環状チオール化合物であり;そして前記環構造は、4~8個の原子を有する単一の環構造、または5~20個の原子を有する多環構造であり;そしてここで、前記の単一の環構造または多環構造は、芳香族、非芳香族またはヘテロ芳香族環を含む。前記構造(H1)において、Xtは、N(Rt3)、C(Rt1)(Rt2)、O、S、Se、及びTeからなる群から選択される。前記構造(H2)において、Yは、C(Rt3)及びNからなる群から選択される。前記構造(H3)において、Zは、C(Rt3)及びNからなる群から選択される。これらの構造において、Rt1、Rt2、及びRt3は、独立して、H、炭素原子数1~8の置換されたアルキル基、炭素原子数1~8の置換されていないアルキル基、炭素原子数が2~8の置換されたアルケニル基、炭素原子数が2~8の置換されていないアルケニル基、炭素原子数が2~8の置換されたアルキニル基、炭素原子数が2~8の置換されていないアルキニル基、炭素原子数が6~20の置換された芳香族基、炭素原子数が3~20の置換されたヘテロ芳香族基、炭素原子数が6~20の置換されていない芳香族基、及び炭素原子数が3~20の置換されていないヘテロ芳香族基からなる群から独立して選択される。一つの態様では、前記ヘテロ環状チオール化合物は、約0.5重量%から約1.5重量%全固形物までで存在する。
【0077】
【化13】
前記の本発明の組成物が、前記一般構造式(H1)、(H2)もしくは(H3)またはこれらの互変異性体から選択される少なくとも一種のヘテロ環状チオールを含む他の態様の一つでは、これらは、限定はされないが、置換されたまたは置換されていないトリアゾールチオール、置換されたまたは置換されていないイミダゾールチオール、置換されたまたは置換されていないトリアジンチオール、置換されたまたは置換されていないメルカプトピリミジン、置換されたまたは置換されていないチアチアゾールチオール、置換されたまたは置換されていないインダゾールチオール、これらの互変異性体またはこれらの組み合わせから選択してよい。置換基には、限定はされないが、飽和もしくは不飽和炭化水素基、置換されたもしくは置換されていない芳香族環、脂肪族、芳香族もしくはヘテロ芳香族アルコール、アミン、アミド、イミド、カルボン酸、エステル、エーテル、ハライド及び類似物などが挙げられ得る。このような置換基は、溶解性の向上、基材との相互作用の改良、露光の増強またはハレーション防止染料としての機能のために、ヘテロ環状チオールと協調して使用し得る。
【0078】
前記の本発明の組成物が、前記の一般構造式(H1)、(H2)もしくは(H3)またはこれらの互変異性体から選択される少なくとも一種のヘテロ環状チオールを含む他の態様の一つでは、このようなヘテロ環状チオールは、限定はされないが、置換されていないまたは置換された形態の以下の化合物(H4)~(H23)から選択してよい:
【0079】
【0080】
前記の本発明の組成物が、一般構造式(H1)、(H2)もしくは(H3)またはこれらの互変異性体を有する少なくとも一種のヘテロ環状チオールを含む態様の他の観点の一つでは、このようなヘテロ環状チオールは、2-チオウラシルなどのチオウラシル誘導体から選択してよい。これらには、限定はされないが、5-メチル-2-チオウラシル、5,6-ジメチル-2-チオウラシル、6-エチル-5-メチル-2-チオウラシル、6-メチル-5-n-プロピル-2-チオウラシル、5-エチル-2-チオラシル、5-n-プロピル-2-チオウラシル、5-n-ブチル-2-チオウラシル、5-n-ヘキシル-2-チオウラシル、5-n-ブチル-6-エチル-2-チオウラシル、5-ヒドロキシ-2-チオウラシル、5,6-ジヒドロキシ-2-チオウラシル、5-ヒドロキシ-6-n-プロピル-2-チオウラシル、5-メトキシ-2-チオウラシル、5-n-ブトキシ-2-チオウラシル、5-メトキシ-6-n-プロピル-2-チオウラシル、5-ブロモ-2-チオウラシル、5-クロロ-2-チオウラシル、5-フルオロ-2-チオウラシル、5-アミノ-2-チオウラシル、5-アミノ-6-メチル-2-チオウラシル、5-アミノ-6-フェニル-2-チオウラシル、5,6-ジアミノ-2-チオウラシル、5-アリル-2-チオウラシル、5-アリル-3-エチル-2-チオウラシル、5-アリル-6-フェニル-2-チオウラシル、5-ベンジル-2-チオウラシル、5-ベンジル-6-メチル-2-チオウラシル、5-アセトアミド-2-チオウラシル、6-メチル-5-ニトロ-2-チオウラシル、6-アミノ-2-チオウラシル、6-アミノ-5-メチル-2-チオウラシル、6-アミノ-5-n-プロピル-2-チオウラシル、6-ブロモ-2-チオウラシル、6-クロロ-2-チオウラシル、6-フルオロ-2-チオウラシル、6-ブロモ-5-メチル-2-チオウラシル、6-ヒドロキシ-2-チオウラシル、6-アセトアミド-2-チオウラシル、6-n-オクチル-2-チオウラシル、6-ドデシル-2-チオウラシル、6-テトラドデシル-2-チオウラシル、6-ヘキサデシル-2-チオウラシル、6-(2-ヒドロキシエチル)-2-チオウラシル、6-(3-イソプロピルオクチル)-5-メチル-2-チオウラシル、6-(m-ニトロフェニル)-2-チオウラシル、6-(m-ニトロフェニル)-5-n-プロピル-2-チオウラシル、6-α-ナフチル-2-チオウラシル、6-α-ナフチル-5-tert-ブチル-2-チオウラシル、6-(p-クロロフェニル)-2-チオウラシル、6-(p-クロロフェニル)-2-エチル-2-チオウラシル、5-エチル-6-エイコシル-2-チオウラシル、6-アセトアミド-5-エチル-2-チオウラシル、6-エイコシル-5-アリル-2-チオウラシル、5-アミノ-6-フェニル-2-チオウラシル、5-アミノ-6-(p-クロロフェニル)-2-チオウラシル、5-メトキシ-6-フェニル-2-チオウラシル、5-エチル-6-(3,3-ジメチルオクチル)-2-チオウラシル、6-(2-ブロモエチル)-2-チオウラシル、1-フェニル-1H-テトラゾール-5-チオール、4-(5-メルカプト-1H-テトラゾール-1-イル)フェノール、これらの互変異性体及びこれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0081】
前記の本発明の組成物が、前記一般構造式(H1)、(H2)または(H3)またはこれらの互変異性体から選択される少なくとも一種のヘテロ環状チオールを含む他の態様の一つでは、このようなヘテロ環状チオールは、置換されていないトリアゾールチオール、置換されたトリアゾールチオール、置換されていないイミダゾールチオール、置換されたイミダゾールチオール、置換されたトリアジンチオール、置換されていないトリアジンチオール、置換されたメルカプトピリミジン、置換されていないメルカプトピリミジン、置換されたチアジアゾールチオール、置換されていないチアジアゾールチオール、置換されたインダゾールチオール、置換されていないインダゾールチオール、これらの互変異性体及びこれらの組み合わせからなる群から選択してよい。
【0082】
前記の本発明の組成物が成分g)を含む他の態様の一つでは、前記ヘテロ環状チオールは、前記の一般構造式(H1)、(H2)もしくは(H3)またはこれらの互変異性体から選択される少なくとも一種のヘテロ環状チオールであり、このようなヘテロ環状チオールは、1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリチオール、2-メルカプト-6-メチルピリミジン-4-オール、3-メルカプト-6-メチル-1,2,4-トリアジン-5-オール、2-メルカプトピリミジン-4,6-ジオール、1H-1,2,4-トリアゾール-3-チオール、1H-1,2,4-トリアゾール-5-チオール、1H-イミダゾール-2-チオール、1H-イミダゾール-5-チオール、1H-イミダゾール-4-チオール、2-アザビシクロ[3.2.1]オクタ-2-エン-3-チオール、2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン-3-チオール、1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-チオール、2-メルカプト-6-メチルピリミジン-4-オール、2-メルカプトピリミジン-4-オール、1-メチル-1H-イミダゾール-2-チオール、1,3,4-チアジアゾール-2,5-ジチオール、1H-インダゾール-3-チオール、1-フェニル-1H-テトラゾール-5-チオール、4-(5-メルカプト-1H-テトラゾール-1-イル)フェノール、これらの互変異性体及びこれらの組み合わせからなる群から選択してよい。
【0083】
ここに記載の前記一般構造式(H1)、(H2)または(H3)から選択される少なくとも一種のヘテロ環状チオールを含む該組成物の他の観点の一つでは、前記ヘテロ環状チオールは、全固形物の約0.001重量%から約1.5重量%までの範囲の含有率で存在する。この態様の他の観点の一つでは、このヘテロ環状チオールは、全固形物の約0.010重量%から約1.5重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、このヘテロ環状チオールは、全固形物の約0.1重量%から約1.5重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、このヘテロ環状チオールは、全固形物の約0.2重量%から約1.5重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、このヘテロ環状チオールは、全固形物の約0.3重量%から約1.5重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、このヘテロ環状チオール化合物は、全固形物の約0.4重量%から約1.5重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、このヘテロ環状チオールは、全固形物の約0.6重量%から約1.4重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、このヘテロ環状チオールは、全固形物の約0.7重量%から約1.3重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、前記ヘテロ環状チオール化合物は、全固形物の約0.8重量%から約1.2重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、前記ヘテロ環状チオール化合物は、全固形物の約0.9重量%から約1.1重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、前記ヘテロ環状チオール化合物は、全固形物の約1重量%である。
【0084】
ここに記載の前記一般構造式(H1)、(H2)または(H3)から選択される少なくとも一種のヘテロ環状チオールを含む該組成物の他の観点の一つでは、ここに記載のこのヘテロ環状チオール化合物は、全固形物の約0.01重量%から約0.49重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、このヘテロ環状チオール化合物は、全固形物の約0.04重量%から約0.49重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、このヘテロ環状チオール化合物は、全固形物の約0.08重量%から約0.49重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、このヘテロ環状チオール化合物は、全固形物の約0.09重量%から約0.49重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、このヘテロ環状チオール化合物は、全固形物の約0.10重量%から約0.49重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、このヘテロ環状チオール化合物は、全固形物の約0.15重量%から約0.49重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、このヘテロ環状チオール化合物は、全固形物の0.20重量%から約0.49重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、このヘテロ環状チオール化合物は、全固形物の0.25重量%から約0.48重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、このヘテロ環状チオール化合物は、全固形物の0.30重量%から約0.47重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、このヘテロ環状チオール化合物は、全固形物の0.30重量%から約0.47重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、このヘテロ環状チオール化合物は、全固形物の0.30重量%から約0.49重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、このヘテロ環状チオール化合物は、全固形物の0.30重量%から約0.45重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、このヘテロ環状チオール化合物は、全固形物の0.30重量%から約0.45重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、このヘテロ環状チオール化合物は、全固形物の0.30重量%から約0.45重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、このヘテロ環状チオール化合物は、全固形物の0.30重量%から約0.44重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、このヘテロ環状チオール化合物は、全固形物の0.30重量%から約0.43重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、このヘテロ環状チオール化合物は、全固形物の0.30重量%から約0.42重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、このヘテロ環状チオール化合物は、全固形物の0.30重量%から約0.41重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、このヘテロ環状チオール化合物は、全固形物の0.30重量%から約0.40重量%までの範囲である。この態様の他の観点の一つでは、このヘテロ環状チオール化合物は、全固形物の約0.35重量%である。
【0085】
成分e)有機スピンキャスト溶剤
ここに開示の感光性組成物は、有機溶剤中に溶解してよい。適当な有機溶剤の例には、限定はされないが、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸シクロヘキシル、酢酸3-メトキシブチル、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、エチル-3-エトキシプロパノエート、メチル-3-エトキシプロパノエート、メチル-3-メトキシプロパノエート、メチルアセトアセテート、エチルアセトアセテート、ジアセトンアルコール、ピバル酸メチル、ピバル酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロパノエート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロパノエート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、3-メチル-3-メトキシブタノール、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ガンマ-ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、テトラメチレンスルホン、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジメチルエーテル、ガンマブチロラクトンなどが挙げられる。これらの溶剤は、単独でまたは二種以上のものの混合物として使用し得る。
【0086】
他の任意選択成分
上記の本発明の組成物の一つの態様では、これは更に、少なくとも一種の任意選択の表面レベリング剤を含み、界面活性剤などを挙げ得る。この態様において、界面活性剤には特に制限はなく、そしてそれの例には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、及びポリオキシエチレンオレインエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、例えばポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル及びポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー;ソルビタン脂肪酸エステル、例えばソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノバルミテート、及びソルビタンモノステアレート;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルのノニオン界面活性剤、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレンソルビタントリオレエート、及びポリオキシエチレンソルビタントリステアレート;フッ素化界面活性剤、例えばF-Top EF301、EF303及びEF352(ジェムコ社製)、Megafac F171、F172、F173、R08、R30、R90及びR94(大日本インキ化学工業社製)、Florad FC-430、FC-431、FC-4430及びFC-4432(住友3M社製)、Asahi Guard AG710、Surflon S-381、S-382、S-386、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106、Surfinol E1004、KH-10、KH-20、KH-30及びKH-40(旭硝子社製);有機シロキサンポリマー、例えばKP-341、X-70-092及びX-70-093(信越化学工業社製);及びアクリル酸もしくはメタクリル酸ポリマー、例えばPolyflow No.75及びNo.95(共栄社化学社製)などが挙げられる。界面活性剤が存在する場合は、一つの態様では、これは全固形物の約0.01重量%から約0.3重量%までの範囲である。
【0087】
加工
本発明の他の観点の一つは、ここに記載の組成物のいずれか一つを基材上にコーティングする方法である。
【0088】
本発明の他の観点の一つは、次のステップを含むレジストの画像形成方法である:
i)ここに記載の組成物のいずれか一つを基材上にコーティングしてレジスト膜を形成するステップ;
ii)マスクを用いて前記レジスト膜をUV光に選択露光して、選択露光されたレジスト膜を形成するステップ;
iii)前記選択露光された膜を現像して、ポジに画像形成されたレジスト膜を前記基材上に形成するステップ。
【0089】
本発明の他の観点の一つは、次のステップを含むレジストの画像形成方法である:
ia)ここに記載の組成物のいずれか一つを基材上にコーティングしてレジスト膜を形成するステップ;
iia)マスクを用いて前記レジスト膜をUV光に選択露光して、選択露光されたレジスト膜を形成するステップ;
iiia)前記選択露光されたレジスト膜をベークして、選択露光及びベークされたレジスト膜を形成するステップ;
iva)前記選択露光及びベークされたレジスト膜を現像して、ポジに画像形成されたレジスト膜を前記基材上に形成するステップ。
【0090】
本発明の他の観点の一つは、基材をコーティングするためのまたは画像形成されたレジスト膜を基材上に製造するための、ここに記載の組成物の使用である。
【実施例】
【0091】
以下、本開示のより具体的な態様と、このような態様を裏付ける実験結果について説明する。これらの例は、開示された発明をより十分に説明するために以下に記載したものであり、どのような形でも開示された発明を限定するものと解釈するべきではない。
【0092】
様々な改良及び変更を、開示された発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、開示された発明及びここに提供される具体例に対して行うことができることは当業者には明らである。それ故、以下の例によって提供される記載を含めた開示された発明は、いずれの請求項及びそれらと等価のものの範囲内に入る、開示された発明の改良及び変更を包含することが意図される。
【0093】
調合物のコーティング:
全ての調合物は、6または8インチ径のSi及びCuウェハ上で試験した。Siウェハは再水和ベーク(rehydration baked)し、そしてヘキサメチルジシラザン(HMDS)で蒸気下地処理した。Cuウェハは、5,000オングストロームの二酸化ケイ素、250オングストロームの窒化タンタル、及び3,500オングストロームのCu(PVD蒸着)でコーティングしたケイ素ウェハであった。
【0094】
レジストコーティングは、レジストサンプルをスピンコートし、そしてコンタクトモードの標準的なウェハトラックホットプレート上で、110℃で120秒間のソフトベークを適用することによって用意した。スピン速度は、5乃至10ミクロン厚のレジスト膜が得られるように調整した。全ての膜厚測定は、光学的測定法を用いてSiウェハ上で行った。
【0095】
画像形成:
これらのウェハは、SUSS MA200CCマスクアライナーまたはASML 250i線ステッパで露光した。レジストは、ポスト露光ベークはせずに10~60分間待機させ、次いでAZ300MIF(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド=TMAHの0.26N水溶液)中で23℃で120乃至360秒間パドル現像した。現像されたレジスト画像は、Hitachi S4700またはAMRAY 4200L電子顕微鏡を用いて検査した。
【0096】
材料
SPN400 Slowは、Allnex USA Inc.社によって供給される、Alnovol SPN400 44%PGMEAの名称で販売されているm-クレゾール/p-クレゾール/ジメチルフェノール/ホルムアルデヒドノボラックポリマーである。このノボラックの平均分子量はMW=18,282である。このノボラックの溶解速度は、0.26N水性TMAH現像剤中で63Å/Sである。MIPHOTO NOVOL T106Sは、Miwon Commercial Co.,Ltd.によって供給される、MIPHOTO NOVOL T106Sの名称で販売されているm-クレゾール/p-クレゾール/ジメチルフェノール/ホルムアルデヒドノボラックポリマーである。このノボラックの平均分子量はMW=8,136であり、PDI=6.51である。このノボラックの溶解速度は、0.26N水性TMAH現像剤中で309Å/Sである。MIPHOTO PAC BP524は、Miwon Commercial Co.,Ltd.によってこの名称で販売されているDNQ PACである。これは、D1c、D2c、D3c及びD4cが個々にHまたは構造(IV)を有する部分から選択されるが、但し、D1c、D2c、D3cまたはD4cのうちの少なくとも一つが構造(IV)を有する部分である一般式(III)を有する材料の混合物である。
【0097】
【化14】
BI26X-SAは、旭有機材社によってこの名称で販売されている溶解促進剤である、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタンである。
【0098】
TPPA Merck KGaA(独国、ダルムシュタット)の子会社であるMillipore Sigma USA社から販売されている、(4,4’-(1-(4-(2-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン-2-イル)フェニル)エタン-1,1-ジイル)ジフェノール)。
【0099】
APS-437(別称ではKF-353A)は、信越化学工業社(日本国、東京)の界面活性剤である。
【0100】
PGMEA(1-メトキシ-2-プロパニルアセテート);フォトレジスト調合物例のために使用した溶剤は、Merck KGaA(独国、ダルムシュタット)の子会社であるSigma-Aldrich社から入手した。
【0101】
AZ300MIF現像剤は、EMD Performance Materials Corp.(Merck KGaA(独国、ダルムシュタット)の子会社)から入手した(別称では、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH))。
【0102】
全ての他の化学品は、特に記載がなければ、Merck KGaA(独国、ダルムシュタット)の子会社であるMillipore Sigma USA社から入手した。
【0103】
ポリマーの分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって測定した。
【0104】
ノボラック/DNQフォトレジスト組成物は、二種のノボラック樹脂、一種のDNQ光活性化合物、一種の溶解促進剤、一種の界面活性剤、及び一種の溶剤を含む。フォトレジスト組成物中に使用される前記の二種のノボラック樹脂は、異なるモノマー及び組成比からなる。フォトレジストは、ケイ素ウェハ上にスピンコートし、そしてホットプレート上でソフトベークし、次いでgh線もしくはi線ステッパで露光した。次いで、これらの露光されたウェハを、AZ(登録商標)300MIF現像剤を用いて現像して、露光された領域を除去した。最後に、これらのウェハをDI水で洗浄し、次いでスピン乾燥して、フォトレジストパターンを得た。
【0105】
比較例1(H476-SPN400 Slow、BP524、BI26X-SA、APS437、PGMEA):
ノボラック/DNQフォトレジスト組成物は、ノボラック樹脂SPN400 Slow(64.54グラム)の42.7%PGMEA溶液、4.69グラムのMIPHOTO PAC BP524、2.76グラムの溶解促進剤BI26X-SA、界面活性剤APS-437(KF-353Aとも称する。0.42グラム)の10.0%PGMEA溶液を、28.02グラムのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)中に溶解することによって調製した。それにより、固形物含有率が35.0重量%であるポジ型フォトレジスト組成物が調製された。該フォトレジスト組成物を、ケイ素ウェハ基材上にスピンコートし、110℃/120秒間でソフトベークして、5.0μm厚の膜を得た。次に、解像度を測定するためのパターンマスクを通して、コーティングされた膜を、ASML i線ステッパ(NA=0.48、シグマ=0.55)によって露光し、その後、100℃/60秒間のポスト露光ベーク(PEB)し、次いで、60秒間の三回のパドル(3×60秒間)で、AZ(登録商標)300MIF現像剤(2.38%TMAH、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)を用いて現像した。1.0μmL/S(ライン/スペース)が360mJ/cm2で解像し、0.551μmのトップCD及び1.151μmのボトムCDを示した。
【0106】
原料の固形物含有率%-
ノボラック樹脂PN400 Slow:78.6458%
MIPHOTO PAC BP524:13.3698%
スピードエンハンサーBI26X-SA:7.8646%
界面活性剤APS437(KF353A):0.1199%
固形物含有率:35.04%
【0107】
比較例2(H457-T106S,BP524,BI26X-SA,APS437,PGMEA):
ノボラック/DNQフォトレジスト組成物は、ノボラック樹脂MIPHOTO NOVOL T106S(94.61グラム)の30.0%PGMEA溶液、3.97グラムのMIPHOTO PAC BP524、1.42グラムの溶解促進剤 BI26X-SA、界面活性剤APS-437(KF-353Aとも称する。0.41グラム)の10.0%PGMEA溶液を混合することによって調製した。それにより、固形物含有率が33.82重量%であるポジ型フォトレジスト組成物が調製された。この組成物を、比較例1と同じ方法で評価した。1.0μmL/S(ライン/スペース)が100mJ/cm2で解像し、0.832μmのトップCD及び0.716μmのボトムCDを示した。
【0108】
原料の固形物含有率%-
MIPHOTO NOVOL T106S:83.9329%
MIPHOTO PAC BP524:11.7506%
スピードエンハンサーBI26X-SA:4.1967%
界面活性剤APS437(KF353A):0.1199%
固形物含有率:33.8153%
【0109】
例1(比較例1/比較例2=66/34、固形物含有率比)
ノボラック/DNQフォトレジスト組成物は、比較例1(32.53グラム)及び比較例2(17.37グラム)を混合することによって調製した。それにより、固形物含有率が34.50重量%であるポジ型フォトレジスト組成物が調製された。この組成物を、比較例1と同じ方法で評価した。1.0μmL/S(ライン/スペース)が240mJ/cm2で解像し、0.725μmのトップCD及び1.180μmのボトムCDを示した。
【0110】
原料の固形物含有率%-
ノボラック樹脂SPN400 Slow:51.9063%
ノボラック樹脂MIPHOTO NOVOL T106S:28.5371%
MIPHOTO PAC BP524:12.8191%
スピードエンハンサーBI26X-SA:6.6176%
界面活性剤APS437(KF353A):0.1198%
固形物含有率:34.50%
【0111】
例2(比較例1/比較例2=50/50、固形物含有率比)
ノボラック/DNQフォトレジスト組成物は、比較例1(24.55グラム)及び比較例2(25.45グラム)を混合することによって調製した。それにより、固形物含有率が34.38重量%であるポジ型フォトレジスト組成物が調製された。この組成物を、比較例1と同じ方法で評価した。1.0μmL/S(ライン/スペース)が200mJ/cm2で解像し、0.764μmのトップCD及び1.112μmのボトムCDを示した。
【0112】
原料の固形物含有率%-
ノボラック樹脂SPN400 Slow:39.323%
ノボラック樹脂MIPHOTO NOVOL T106S:41.966%
MIPHOTO PAC BP524:12.56%
スピードエンハンサーBI26X-SA:6.031%
界面活性剤APS437(KF353A):0.119%
固形物含有率:34.38%
【0113】
例3(比較例1/比較例2=34/66、固形物含有率比)
ノボラック/DNQフォトレジスト組成物は、比較例1(16.60グラム)及び比較例2(33.40グラム)を混合することによって調製した。それにより、固形物含有率が34.18重量%であるポジ型フォトレジスト組成物が調製された。この組成物を、比較例1と同じ方法で評価した。1.0μmL/S(ライン/スペース)が140mJ/cm2で解像し、0.861μmのトップCD及び1.151μmのボトムCDを示した。
【0114】
原料の固形物含有率%-
ノボラック樹脂SPN400 Slow:26.7396%
ノボラック樹脂MIPHOTO NOVOL T106S:55.3955%
MIPHOTO PAC BP524:12.3012%
スピードエンハンサーBI26X-SA:5.4438%
界面活性剤APS437(KF353A):0.1199%
固形物含有率:34.18%
【0115】
例4
ノボラック/DNQフォトレジスト組成物は、ノボラック樹脂SPN400 Slow(21.15グラム)の42.7%PGMEA溶液、ノボラック樹脂MIPHOTO NOVOL T106S(66.21グラム)の30.01%PGMEA溶液、3.71グラムのMIPHOTO PAC BP524、4.47グラムの溶解促進剤TPPA、0.375グラムの接着添加剤PMT、界面活性剤APS-437(KF-353Aとも称する。0.446グラム)の10.0%PGMEA溶液、及び3.636グラムのPGMEAを混合することによって調製した。それにより、固形物含有率が37.5重量%であるポジ型フォトレジスト組成物が調製された。
【0116】
原料の固形物含有率%-
ノボラック樹脂SPN400 Slow:24.088%
ノボラック樹脂MIPHOTO NOVOL T106S:52.987%
MIPHOTO PAC BP524:9.899%
スピードエンハンサーTPPA:11.907%
接着添加剤PMT:1.00%
界面活性剤APS437(KF353A):0.119%
固形物含有率:37.5%
【0117】
図1は、グラフ中に並置した例2及び比較例1の焦点深度(DOF)曲線を比較し、ここに記載の本発明の新規調合物の予期できない改善を強調している。
【0118】
図2は、5μm膜厚としてコーティングしそして画像形成した時の例2の良好な焦点深度(DOF)を実証する走査電子顕微鏡(SEM)検証を示す。
【0119】
図3は、5μm膜厚としてコーティングしそして画像形成した時の例2の良好な線形性を実証する走査電子顕微鏡(SEM)検証を示す。
【0120】
図4は、比較例1と比較した例1、2及び3のリソグラフィ性能の概要を与える表1を示し、この場合も、ここに記載の本発明の新規調合物の予期できない改善を強調している。
【国際調査報告】