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特表2024-5025033D-NAND用の酸化物表面上へのモリブデン膜の堆積
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-19
(54)【発明の名称】3D-NAND用の酸化物表面上へのモリブデン膜の堆積
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/06 20060101AFI20240112BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
C23C16/06
C23C16/455
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547183
(86)(22)【出願日】2022-02-18
(85)【翻訳文提出日】2023-08-03
(86)【国際出願番号】 US2022017005
(87)【国際公開番号】W WO2022182590
(87)【国際公開日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】63/200,237
(32)【優先日】2021-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュロス・ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ・ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】ケネディ・グリフィン・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】バムノルカー・ハンナ
(72)【発明者】
【氏名】リー・サン-ヒョブ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン・クリーンプト・パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ゴピナス・サンジェイ
【テーマコード(参考)】
4K030
【Fターム(参考)】
4K030AA03
4K030AA04
4K030AA07
4K030AA13
4K030AA17
4K030AA18
4K030BA12
4K030BA20
4K030BA26
4K030BA42
4K030BB03
4K030HA01
4K030JA05
4K030JA10
4K030LA15
(57)【要約】
【解決手段】本明細書においては、三次元NAND用途用の低抵抗メタライゼーションスタック構造および関連する製造方法が提供される。いくつかの実施形態では、薄い金属オキシ窒化物核生成層を誘電体材料上に堆積させ、その後にオキシ窒化物-誘電体界面における非モリブデン成分元素含有量を増加させるプロセス条件を用いて純金属導体を堆積させる。後述する方法の特定の実施形態では、金属オキシ窒化物核生成層をすべてよりも少なく純金属層に変換し、抵抗率をさらに低下させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理するための方法であって、
酸化物材料を上部に有する基板を提供し、
第1のセットのプロセス条件を使用して第1の酸素含有モリブデン前駆体および第1の還元剤の交互のパルスに前記酸化物材料を曝すことにより、第1の原子層堆積(ALD)プロセスを使用して、前記酸化物材料を覆って元素モリブデン層の少なくとも一部を堆積させ、
前記元素モリブデン層の一部を堆積させるときに、非モリブデン含有量を増加させるように前記第1のセットのプロセス条件を調整すること
を備える、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記第1のセットのプロセス条件は、前記第1のALDプロセス中に、少なくとも約1000sccmの流量の前記第1の還元剤を使用することを含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記第1のセットのプロセス条件は、前記基板を前記第1のALDプロセスの1サイクルの間に前記第1の還元剤に少なくとも1秒間曝すことを含む、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記元素モリブデン層の一部を堆積させる前に、
前記酸化物材料を、ホウ素含有ガス、タングステン含有ガス、フッ素含有ガス、酸素含有ガス、塩素含有ガス、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるソークガスに曝すこと、または
前記酸化物材料を、ホウ素含有ガスおよびタングステン含有ガスの交互のパルスに曝すこと、または
第2の酸素含有モリブデン前駆体および第2の還元剤を使用した前記酸化物材料上の第1の層を、第2のALDプロセスを使用して前記酸化物材料上に第2のセットのプロセス条件下で堆積させること、
のうちの操作の1つを実施することをさらに備える、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、少なくとも前記第2の還元剤は、窒素含有ガス、水素、またはそれらの組み合わせであり、あるいは前記第1の酸素含有モリブデン前駆体および前記第2の酸素含有モリブデン前駆体のうちの少なくとも1つは、オキシハロゲン化モリブデンであり、あるいは前記第2のセットのプロセス条件は、前記第2のALDプロセスの間に窒素含有ガスの流れを増加させることを含み、あるいは前記第1の層の半分未満は、前記第1のALDプロセスの間に、または前記第1のALDプロセスの前に、変換された元素モリブデン層に変換される、方法。
【請求項6】
請求項4に記載の方法であって、前記第1の層の堆積中に窒素を流すこと、前記第1の層を堆積させる前に上部に前記酸化物材料を有する前記基板をソークガスでソークすること、または、前記第1の層を堆積させた後に上部に前記酸化物材料を有する前記基板をソークガスでソークすること、
のうちの操作の1つをさらに備える、方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法であって、前記第1の層は結晶層または非晶質層である、方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法であって、前記第1の層は前記元素モリブデン層における金属粒子成長のためのテンプレートである、方法。
【請求項9】
基板を処理するための装置であって、
基板を収容するようにそれぞれ構成され、任意選択的にマルチチャンバ装置内のチャンバである第1のプロセスチャンバおよび第2のプロセスチャンバと、
前記第1のプロセスチャンバおよび前記第2のプロセスチャンバそれぞれにおける基板支持体と、
前記第1のプロセスチャンバおよび前記第2のプロセスチャンバのそれぞれに、1つまたは複数のシングルプレナムまたはデュアルプレナムのシャワーヘッドを介してガスを導くように構成されているガス入口と、
前記各プロセスチャンバ内の基板支持体を加熱するように構成されているヒータと、
コントローラと、を備え、
前記コントローラは、
(a)基板が前記第1のプロセスチャンバに収容されている間に、酸素含有モリブデン前駆体および窒素含有ガスを前記第1のプロセスチャンバ内に順次注入させ、
(b)(a)の後に、前記基板を前記第2のプロセスチャンバへ搬送させ、
(c)(b)の後に、前記基板が前記第2のプロセスチャンバに収容されている間に、酸素含有モリブデン前駆体および水素を前記第2のプロセスチャンバ内に順次注入させ、
(d)1つまたは複数のプログラム命令を実行させるためのプログラム命令を備え、
前記1つまたは複数のプログラム命令は、
前記基板が前記第1のプロセスチャンバに収容されるときに、前記第1のプロセスチャンバ内に窒素を注入させること、
前記基板が前記第2のプロセスチャンバに収容されている間に、前記第2のプロセスチャンバ内の前記基板支持体の温度を2つの異なる温度にすること、
前記酸素含有モリブデン前駆体および前記窒素含有ガスを前記第1のプロセスチャンバ内に順次注入する前または後に、前記第1のプロセスチャンバへソークガスを送らせること、
前記基板が前記第2のプロセスチャンバに収容されている間に、前記第2のプロセスチャンバ内への水素の流れを減少させること、
からなる群から選択される、
装置。
【請求項10】
基板を処理するための装置であって、
基板を収容するように構成され、任意選択的にマルチチャンバ装置内のチャンバであるプロセスチャンバと、
前記プロセスチャンバ内の基板支持体と、
水素ガスを収容するためのガス源を備える第1のガスボックスと、
モリブデン含有ガスを収容するためのガス源を備える第2のガスボックスと、
ホウ素含有ガスまたはタングステン含有ガスを収容するためのガス源を備える第3のガスボックスと、
前記第1のガスボックス、前記第2のガスボックス、および前記第3のガスボックスのそれぞれから、1つまたは複数のシングルプレナムまたはデュアルプレナムのシャワーヘッドを介して前記プロセスチャンバに内にガスを導くように構成されているガス入口と、
前記各プロセスチャンバ内の基板支持体を加熱するように構成されているヒータと、
を備える装置。
【発明の詳細な説明】
【参照による援用】
【0001】
PCT出願願書が、本願の一部として本明細書と同時に提出される。同時に提出されたPCT出願願書で特定され、本願が利益または優先権を主張する各出願は、参照によりその全体があらゆる目的で本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
化学気相堆積(CVD)技術を用いたタングステン(W)膜の堆積は、半導体製造プロセスに不可欠な部分である。例えば、W膜は、水平相互接続、隣接金属層間のビア、および第1の金属層とシリコン基板上のデバイス間の接触の形で、低抵抗電気接続として使用され得る。タングステン膜は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)用の埋め込み型ワード線(bWL)アーキテクチャの形成、3次元NAND用のワード線、およびロジックアプリケーション等の様々なメモリアプリケーションにおいても使用され得る。しかし、フィーチャサイズと膜厚が減少の一途をたどることにより、さらなる薄膜化のための高い抵抗率等の様々な課題が生じている。モリブデン(Mo)等の他の金属が、低抵抗のW代替物として評価されている。
【0003】
ここでなされる背景の説明は、本開示の背景を大まかに提示することを目的とする。ここに名前を挙げられている発明者らによる研究は、この背景技術の欄で説明される範囲内において、出願時に先行技術としてみなされ得ない説明の態様と同様に、明示的にも黙示的にも本開示に対抗する先行技術として認められない。
【発明の概要】
【0004】
本明細書では、基板を処理するための方法および装置が提供される。一態様は、基板を処理するための方法を含み、この方法は、酸化物材料を上部に有する基板を提供し、第1のセットのプロセス条件を使用して第1の酸素含有モリブデン前駆体および第1の還元剤の交互のパルスに酸化物材料を曝すことにより、第1の原子層堆積(ALD)プロセスを使用して、元素モリブデン層の少なくとも一部を、酸化物材料を覆って堆積させ、元素モリブデン層の一部を堆積させるときに、非モリブデン含有量を増加させるように第1のセットのプロセス条件を調整することを含む。
【0005】
様々な実施形態において、第1のセットのプロセス条件は、第1のALDプロセス中に、少なくとも約1000sccmの流量の第1の還元剤を使用することを含む。
【0006】
様々な実施形態において、第1のセットのプロセス条件は、基板を第1のALDプロセスの1サイクルの間に第1の還元剤に少なくとも1秒間曝すことを含む。
【0007】
様々な実施形態において、方法はまた、元素モリブデン層の一部を堆積させる前に、酸化物材料を、ホウ素含有ガス、タングステン含有ガス、フッ素含有ガス、酸素含有ガス、塩素含有ガス、およびそれらの組み合わせ等のソークガスに曝すことも含む。
【0008】
様々な実施形態において、方法はまた、元素モリブデン層の一部を堆積させる前に、酸化物材料を、ホウ素含有ガスとタングステン含有ガスとの交互のパルスに曝すことも含む。いくつかの実施形態では、ホウ素含有ガスはジボランを含み、タングステン含有ガスは六フッ化タングステンを含む。
【0009】
様々な実施形態において、方法はまた、元素モリブデン層の一部を堆積させる前に、第2の酸素含有モリブデン前駆体および第2の還元剤を使用した酸化物材料上の第1の層を、第2のALDプロセスを使用して酸化物材料上に第2のセットのプロセス条件下で堆積させることも含む。いくつかの実施形態では、第2の還元剤は、窒素含有ガス、水素、またはそれらの組み合わせである。
【0010】
いくつかの実施形態において、第2のセットのプロセス条件は、約400℃未満の基板温度で元素モリブデン層の少なくとも一部を堆積させることを含む。いくつかの実施形態では、第1の酸素含有モリブデン前駆体および第2の酸素含有モリブデン前駆体の少なくとも一方が、オキシハロゲン化モリブデンである。いくつかの実施形態において、第1の酸素含有モリブデン前駆体はオキシハロゲン化モリブデンであり、第1のセットのプロセス条件が、約100:1から約10,000:1の間の水素対オキシハロゲン化モリブデン前駆体比を使用することを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、第2のセットのプロセス条件は、第2のALDプロセスの間に窒素含有ガスの流れを増加させることを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、方法はまた、第1の層の堆積中に窒素を流すことも含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、方法はまた、第1の層を堆積させる前に、上部に酸化物材料を有する基板をソークガスでソークすることも含む。ソークガスは、酸素、アンモニア、または窒素のいずれか1つまたは複数であってもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、方法はまた、第1の層を堆積させた後に、上部に酸化物材料を有する基板をソークガスでソークすることも含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、第1の層の半分未満が、第1のALDプロセスの間に、または第1のALDプロセスの前に、変換された元素モリブデン層に変換される。変換された元素モリブデン層は、1(原子)%超の不純物を含んでもよい。不純物は、酸素、塩素、窒素、およびそれらの組み合わせのいずれでもよい。
【0016】
様々な実施形態において、第1の層は結晶層である。
【0017】
様々な実施形態において、第1の層は非晶質層である。
【0018】
様々な実施形態において、第1のALDプロセスと第2のALDプロセスは、同じチャンバ内で、空気に曝されることなく実施される。
【0019】
様々な実施形態において、第1の層は、元素モリブデン層における金属粒子成長のためのテンプレートである。
【0020】
様々な実施形態において、第2のALDプロセスは400℃未満の温度で実施される。いくつかの実施形態では、第1のALDプロセスは、第2のALDプロセスと同じ温度で実施される。いくつかの実施形態では、第1のALDプロセスのサイクルの少なくとも最初のセットが約400℃未満の温度で実施され、第1のALDプロセスのサイクルの少なくとも最後のセットが400℃を超える温度で実施されように、元素モリブデン層が傾斜膜である。
【0021】
様々な実施形態では、第1の層の堆積と元素モリブデン層の堆積が同じチャンバ内で実施される。いくつかの実施形態では、第1の層の堆積と元素モリブデン層の堆積が同じチャンバの別々のステーション内で実施される。
【0022】
様々な実施形態において、第1の層の堆積が第1のチャンバ内で実施され、元素モリブデン層の堆積が第2のチャンバ内で実施される。
【0023】
様々な実施形態において、方法はまた、元素モリブデン層の堆積の前に、第1の層を空気に曝すことも含む。
【0024】
様々な実施形態において、元素モリブデン層は結晶性を有する。
【0025】
様々な実施形態において、元素モリブデン層は1(原子)%未満の不純物を含む。
【0026】
様々な実施形態において、元素モリブデン層は元素モリブデンである。
【0027】
別の態様は、基板を処理する装置であって、基板を収容するようにそれぞれ構成されている第1のプロセスチャンバおよび第2のプロセスチャンバと、第1のプロセスチャンバおよび第2のプロセスチャンバのそれぞれにおける基板支持体と、第1のプロセスチャンバおよび第2のプロセスチャンバのそれぞれに、1つまたは複数のシャワーヘッドを介してガスを導くように構成されているガス入口と、各プロセスチャンバ内の基板支持体を加熱するように構成されているヒータと、コントローラとを含み、コントローラは、(a)基板が第1のプロセスチャンバに収容されている間に、酸素含有モリブデン前駆体および窒素含有ガスを第1のプロセスチャンバ内に順次注入させ、(b)(a)の後に、基板を第2のプロセスチャンバへ搬送させ、(c)(b)の後に、基板が第2のプロセスチャンバに収容されている間に、酸素含有モリブデン前駆体および水素を第2のプロセスチャンバ内に順次注入させ、(d)1つまたは複数のプログラム命令を実行させるためのプログラム命令を含み、1つまたは複数のプログラム命令は、基板が第1のプロセスチャンバに収容されるときに、第1のプロセスチャンバ内に窒素を注入させ、基板が第2のプロセスチャンバに収容されている間に、第2のプロセスチャンバ内の基板支持体の温度を2つの異なる温度にし、酸素含有モリブデン前駆体および窒素含有ガスを第1のプロセスチャンバ内に順次注入する前または後に、第1のプロセスチャンバへソークガスを送らせ、基板が第2のプロセスチャンバに収容されている間に、第2のプロセスチャンバ内への水素の流れを減少させること、からなる群から選択される。
【0028】
様々な実施形態において、1つまたは複数のシャワーヘッドの少なくとも1つは、シングルプレナムのシャワーヘッドである。
【0029】
様々な実施形態において、1つまたは複数のシャワーヘッドの少なくとも1つは、デュアルプレナムのシャワーヘッドである。
【0030】
様々な実施形態において、プロセスチャンバはマルチチャンバ装置内のチャンバである。
【0031】
別の態様は、基板を処理するための装置を含み、この装置は、基板を収容するように構成されているプロセスチャンバと、プロセスチャンバ内の基板支持体と、水素ガスを収容するためのガス源を含む第1のガスボックスと、モリブデン含有ガスを収容するためのガス源を含む第2のガスボックスと、ホウ素含有ガスまたはタングステン含有ガスを収容するためのガス源を含む第3のガスボックスと、第1のガスボックス、第2のガスボックス、および第3のガスボックスのそれぞれから、1つまたは複数のシャワーヘッドを介してプロセスチャンバ内にガスを導くように構成されているガス入口と、各プロセスチャンバ内の基板支持体を加熱するように構成されているヒータと、を含む。
【0032】
様々な実施形態において、1つまたは複数のシャワーヘッドの少なくとも1つは、シングルプレナムシャワーヘッドである。
【0033】
様々な実施形態において、1つまたは複数のシャワーヘッドの少なくとも1つは、デュアルプレナムシャワーヘッドである。
【0034】
様々な実施形態において、プロセスチャンバはマルチチャンバ装置内のチャンバである。
【0035】
これらおよびその他の側面については、図面を参照して後述する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1A図1Aは、金属成長のテンプレートとしての核生成層を含む材料スタックの概略例である。
図1B図1Bは、金属成長のテンプレートとしての核生成層を含む材料スタックの概略例である。
【0037】
図2A図2Aは、様々な実施形態に従って材料スタックが採用され得る構造の例を示す。
図2B図2Bは、様々な実施形態に従って材料スタックが採用され得る構造の例を示す。
【0038】
図3A図3Aは、様々な実施形態に従った導電性材料の堆積方法における操作を示すプロセスフロー図である。
図3B図3Bは、様々な実施形態に従った導電性材料の堆積方法における操作を示すプロセスフロー図である。
図3C図3Cは、様々な実施形態に従った導電性材料の堆積方法における操作を示すプロセスフロー図である。
【0039】
図4図4は、様々な実施形態に従った、核生成層内に傾斜組成を有する材料スタックの例である。
【0040】
図5図5は、開示された実施形態を実施するための例示的なプロセスチャンバの概略図である。
【0041】
図6図6は、特定の開示された実施形態を実施するために使用され得る装置のための例示的なガスフロー図の概略図である。
図7A図7Aは、特定の開示された実施形態を実施するために使用され得る装置のための例示的なガスフロー図の概略図である。
図7B図7Bは、特定の開示された実施形態を実施するために使用され得る装置のための例示的なガスフロー図の概略図である。
図7C図7Cは、特定の開示された実施形態を実施するために使用され得る装置のための例示的なガスフロー図の概略図である。
【0042】
図8図8は、本明細書に記載の実施形態に従って堆積プロセスを実行するのに適した処理システムのブロック図である。
【0043】
図9図9は、特定の開示された実施形態に従って堆積されたスタック中の様々な元素の原子含有量のグラフである。
【発明の詳細な説明】
【0044】
以下の説明では、提示された各実施形態を完全に理解できるように、多数の具体的な詳細が記載されている。開示された実施形態は、これらの具体的な詳細の一部またはすべてが欠けている場合も実施し得る。他の例では、開示された実施形態を不必要に曖昧にしないように、公知のプロセス操作を詳細には説明していない。開示された実施形態は具体的な実施形態とともに説明されるが、開示された実施形態を限定する意図はないと理解されるであろう。
【0045】
半導体製造プロセスは、3次元NANDデバイスの形成を伴う。3次元NANDトランジスタのゲートコンタクトのメタライゼーションは、導電性が高く抵抗率の低い金属の、特に小さなフィーチャでの堆積を伴う。タングステン(W)は、3次元NANDデバイスのメタライゼーションに使用されており、ゲートコンタクト用のWの堆積は、窒化チタン(TiN)ライナー層の形成を伴い、次にW核生成層、最後にWバルク層が形成される。TiN層は、W核生成層の効率的な核生成を促進するためのバリア層と接着層の両方として使用され、高品質なバルクWの形成を促進するために使用される。核生成層は、核生成層の堆積に使用されるホウ素含有反応剤由来のホウ素を含むことが多く、バルクWよりも高い抵抗率を有する。多数の層が堆積されるため、特にデバイスが縮小化の一途をたどるにつれて、高品質で低抵抗のバルクWの堆積に利用可能なスペースが少なくなる。
【0046】
モリブデン(Mo)メタライゼーションは、代替的なメタライゼーションの選択肢である。Moのメタライゼーション中、ライナー層が堆積され、続いてバルクMo層が堆積される。バルクMo層の堆積中に、ライナー層をほぼ完全に元素Moに変換するようにプロセス条件を制御することができ、これにより、変換されていないライナー層とバルクMoの組み合わせよりも抵抗率の低い元素Moでフィーチャ内のスペースをより多く埋めることが可能である。全体として、これにより元素Moはゲート酸化物と接触状態となる。
【0047】
3次元NANDデバイスの機能の1つは、デバイス内にデータを保持する能力である。3次元NANDデバイスを使用する利点の1つは、その不揮発性である。データを3次元NANDデバイス内のトランジスタに書き込んだ後、一定期間電源を入れずに放置してもよい。その後3次元NANDデバイスの電源を入れたときにデータが依然としてトランジスタに書き込まれており、これにより有効な3次元NANDデバイスとして機能することが期待される。トランジスタが一定期間経過後にそのデータを保持する能力は、データ保持(例えば、データがデバイス内に有効に保持可能か否か)と呼ばれる場合がある。
【0048】
メモリセルトランジスタのゲート金属にMoを用いた3次元NANDデバイスにおけるデータ保持は、ライナー層を完全に元素Moに変換した場合のWベースの3次元NANDデバイスほど効果的ではなかった。スタックの全体的な抵抗率は低くなり得るが、データ保持はそれほど効果的ではなくなる場合がある。
【0049】
特定の理論に縛られるわけではないが、酸素および、他の非モリブデン成分元素(アルミニウム等)は、ゲート金属の堆積中にゲート酸化物スタックから剥がれ落ち、これにより空孔欠陥が生じ、不揮発性トラップ電荷のリークが増加すると考えられている。このトラップ電荷のリークによりデータ保持の低下が起こる。つまり、データがより早く失われる。特定の理論に縛られるわけではないが、誘電体-金属界面のゲート酸化物スタック内の誘電体膜の欠陥によって生じる量子トンネル現象が、データ損失の増加に寄与していると考えられている。例えば、誘電体膜の欠陥が電子の近くにあると、電子はエネルギー障壁を乗り越えて誘電体から離れることが可能である。誘電体膜に欠陥が多いほど、元々は誘電体のトラップ層に捕捉されていた電子が誘電体から離れやすくなり、データ損失の速度が速くなる。スタック内の酸素がスタックから除去され、量子トンネル現象を生じさせる欠陥が形成され、これによってデータ損失の増加に寄与すると考えられている。
【0050】
酸素および非モリブデン成分元素の損失を低減する可能性のある1つの方法は、初期のゲート金属膜に酸素および非モリブデン成分元素を過剰に供給すること、または金属-誘電体界面を、ゲート酸化物スタックで使用されたTiN・W組み込みスキームと類似した組成になるように製造することである。これにより、ゲート酸化物スタックから酸素およびその他の非モリブデン成分元素を失わせる原動力が減少し得る。また、核生成層に酸素または他の元素を保持することにより、誘電体から酸素および他の元素が除去されるのを防ぐことが可能だと考えられている。例えば、核生成層上に金属層を堆積させる場合、金属層を堆積させるプロセス条件により、核生成層と誘電体層との相互作用が生じ、誘電体層から酸素が除去されると考えられているが、核生成層に酸素または他の非モリブデン成分元素の不純物が保持されている場合、データ損失の速度は大幅に減少する。
【0051】
メモリデバイスの電気的特性も、ワード線金属のWからMoへの変更により変化した。従来、タングステンの組み込みには、TiN、窒化タングステン(WN)、炭窒化タングステン(WCN)等のバリア金属を要した。TiNバリア層の堆積では、アンモニア(NH3)、塩素(Cl2)、および塩酸(HCl)等の様々な化学物質に高温で曝されたが、全体的なプロセススキームは、これらの曝露に対して、微量のこれらの元素がコントロールゲートまたはコンデンサの誘電体に本質的な害を与えないように適応した。タングステン層の堆積では、コントロールゲートやコンデンサの誘電体が、ジボラン(B26)、シラン(SiH4)、水素(H2)、六フッ化タングステン(WF6)、およびフッ素(F2)、ならびにフッ化水素酸(HF)、三フッ化ホウ素(BF3)、四フッ化ケイ素(SiF4)等を含むがこれらに限定されない反応副生成物等の様々な化学物質に曝された。しかし、これらの曝露がコントロールゲートまたはコンデンサの誘電体に本質的な害を与えないようなプロセススキームが開発された。
【0052】
半導体製造プロセスは、以前より、TiNバリア層の使用および/またはタングステン含有膜の堆積、特にWF6ガスおよびB26ガスを用いた堆積を考慮して行われてきた。バリア金属層は、NH3等の窒素含有反応剤、四塩化チタン(TiCl4)等のチタン含有反応剤、およびH2を使用して堆積されたTiN層であってもよい。このような堆積により、微量のフッ素、ホウ素、その他の非モリブデン成分元素がデバイスに取り込まれる可能性がある。デバイスによっては、メタライゼーションがWではなくMoの堆積を伴う場合であっても、これらの微量がデバイスに残存している方が最適に動作し得る。ただし、Mo堆積によってはバリア層が含まれてもよいが、組み込みスキームによってはバリア層なしで組み込まれてもよい。
【0053】
特定の理論に縛られるわけではないが、メタライゼーションスタックの誘電体-金属界面における微量の非モリブデン成分元素の存在は、メタライゼーションに使用される金属がMoである場合のデバイス性能の向上に貢献し得ると考えられている。Mo堆積にはNH3、H2、およびHClへの曝露を伴い得るが、W堆積でのプロセススキームもそのような曝露を伴ったため、これらのガスは必ずしも誘電体に本質的に有害であるとは限らない。しかし、Moの堆積はまた、Mo含有前駆体、水(H2O)および一酸化窒素(NO)等の反応副生成物、Moの酸化物および亜酸化物、ならびに酸窒化モリブデン(MoOxy)への曝露も含む。W堆積でのプロセススキームは、典型的には、Mo堆積で使用されるこれらのガスへの曝露は伴わない。このような曝露による潜在的な有害作用を軽減するために、W堆積中に誘電体が曝された化合物を使用して、誘電体-Mo界面を調整し、Moゲート酸化物スタックの電気的性能を向上させることが可能である。
【0054】
特定の開示された実施形態は、バリア金属を有するワード線の3次元NAND製造、バリア金属を有しないワード線の3次元NAND製造、バリア金属を有するDRAM埋め込み型ワード線、バリア金属を有しないDRAM埋め込み型ワード線、および金属-酸化物-半導体コンデンサ(MOSCAP)デバイスを含むがこれらに限定されない、様々な用途におけるこれらの問題に対処する。
【0055】
本明細書では誘電体-Mo界面が例として説明されるが、開示された様々な実施形態は他の誘電体-金属界面の調整にも適していることが理解されるであろう。金属-誘電体界面の非限定的な例としては、酸化アルミニウム-モリブデン(Al23-Mo)界面、酸化ケイ素-モリブデン(SiO2-Mo)界面、酸化ジルコニウム-モリブデン(ZrO2-Mo)界面、およびMo等の金属と界面する他の制御ゲート誘電体が挙げられる。
【0056】
本明細書において提供されるのは、メタライゼーションスタックの形成中に微量の非モリブデン成分元素を取り込んだMoのメタライゼーションスタックを形成する方法である。このような方法は、特に誘電体-金属界面の修正を対象とする。方法は、任意の金属の堆積前、金属オキシ窒化物等の金属核生成層の堆積前、一部の金属(金属オキシ窒化物およびバルク金属を含む)の堆積後、金属核生成層の一部の堆積後、金属核生成層全体の堆積後およびバルク金属の堆積前、金属核生成層の堆積の初めから終わりまで、または堆積中、バルク金属の堆積の初めから終わりまで、または堆積中、あるいはバルク金属の堆積後を含むがこれらに限定されない、金属を堆積させる任意の操作中に実施されてもよい。実施形態が、誘電体上にバリア層を有する基板を含む場合、本明細書に記載の方法は、バリア層の堆積前、バリア層の堆積後、またはバリア層の堆積中に誘電体上で実施されてもよい。本明細書に記載の方法は、酸素、窒素、フッ素、ホウ素、塩素、およびタングステンのうちの1つまたは複数の元素を取り込んでよい。様々な実施形態において、3次元NANDゲートトランジスタは、開示された特定の実施形態を用いて製造される。様々な開示された実施形態は、プラズマフリー堆積またはプラズマレス堆積を伴う。様々な開示された実施形態は、熱的プロセスである。
【0057】
特定の開示された実施形態は、元素の種類ごとに約1原子%未満から約50原子%の範囲であってもよいホウ素、フッ素、酸素、窒素、塩素、および他の非モリブデン成分元素の不純物含有量を保持する。様々な実施形態において、誘電体-金属界面付近の不純物含有量がバルク金属中よりも多い傾斜組成を形成してもよい。高不純物含有量は、誘電体-Mo界面におけるMo含有材料の約1Å未満から30Åの範囲において、約1原子%未満から約50原子%であってもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、方法は、特定のガスを用いた基板(誘電体、部分的または全面的なバリア層、部分的または全面的な金属核生成層、または部分的または全面的な金属層を含む)の温度および/またはガス加工と、および初期Mo層の堆積、ライナー層とバルクMo層間の界面の加工、およびバルクMo層の堆積のうちの少なくとも1つが、ライナー層中の酸素および他の元素の含有量を増加または保持するように修正される堆積、との操作のうちの1つまたは複数を含む。例えば、ライナー層の堆積は、金属膜中に酸素を保持するためにMo前駆体を弱く反応させることを含んでもよい。本明細書に記載の方法は、カリフォルニア州フレモントのLam Research Corporationから入手可能なクアッドステーションモジュール等、半導体デバイスを製造するためのマルチステーション装置での実装に特に有利である。クアッドステーションモジュールは4つのステーションを含み、開示された特定の実施形態に従って、少なくとも1つのステーションがモリブデンの堆積に使用されてもよい。1つの例では、1つのステーションはライナーを堆積させるため、別のステーションは任意選択の開始層を堆積させるため、さらに別のステーションはバルクを堆積させるため、また別のステーションはオーバーバーデンを堆積させてフィーチャを確実に完全充填するためのものとすることが可能である。いくつかの実施形態では、クアッドステーションモジュールにより、ライナーの堆積とバルクの堆積を2つの別個のステーションで行うことが可能となる。ライナーおよび/またはバルクを堆積させるためのステーションを調整して、堆積温度を下げる(または、特定の開示された実施形態について本明細書に記載された任意の他のプロセス条件を調整または実施する)ことができ、一方で、他のステーションでは、より高い堆積温度または反応速度を向上させる他のプロセス条件で堆積させて、より高いモジュールスループットを可能にする。
【0059】
図1Aおよび図1Bは、金属成長のテンプレートとしての核生成層を含む材料スタックの概略例である。図1Aおよび図1Bは、特定のスタックにおける材料の順序を示し、図3図4に関して後述するように、任意の適切なアーキテクチャおよび用途とともに用いられ得る。図1Aの例では、スタック100は、シリコンまたは他の半導体ウエハ(例えば200mmウエハ、300mmウエハ、または450mmウエハ)であってもよい基板102を含み、その上に堆積された材料(誘電体、導電体、または半導電体材料等)の1つまたは複数の層を有するウエハを含む。本方法はまた、ガラスおよびプラスチック等の他の基板上にメタライゼーションスタック構造を形成するために適用されてもよい。いくつかの実施形態では、基板102はケイ素を含む。
【0060】
誘電体層104は基板102上にある。誘電体層104は基板102の半導体表面に直接堆積されてもよいし、任意の数の介在層が存在してもよい。誘電体層の例としては、ドープおよび非ドープ酸化ケイ素(SiO2)、ドープおよび非ドープ炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(SiN)、および酸化アルミニウム(Al23)の層が挙げられ、具体例としては、酸化ケイ素(SiO2)およびAl23のドープまたは非ドープ層が挙げられる。また、別の実施形態では、図1Bにおいて、スタック100が核生成層108と誘電体層104との間に堆積されたバリア層106を含む。バリア層106は、拡散バリア、接着バリア、またはその両方であってもよい。バリア層の例としては、TiN、Ti/TiN、WN、およびWCNが挙げられる。様々な実施形態において、バリア層106の厚さは約10Åから約40Åの間、または約10Åから約20Åの間である。図1Aでは、誘電体層104上に核生成層108が堆積され、核生成層108上に金属層110が堆積されている。図1Bでは、核生成層108がバリア層106上に堆積され、金属層110が核生成層108上に堆積されている。図1Aおよび1Bは、誘電体-金属界面、すなわち112aおよび112bを示している。特定の開示された実施形態は、核生成層108を堆積させる前に加工操作を行うこと、核生成層108の少なくとも一部を堆積させた後に加工操作を行うこと、核生成層108のすべてを堆積させた後に加工操作を行うこと、核生成層108の堆積条件を調整すること、金属層110を堆積させる前に加工操作を行うこと、金属層110の堆積中に加工を行うこと、金属層110の少なくとも一部を堆積させるときに堆積条件を調整すること、金属層110のすべてを堆積させるときに堆積条件を調整すること、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。金属層110は、誘電体-金属界面112において核生成層108と接触するように形成可能である。
【0061】
核生成層108上に堆積された金属層110は、核生成層108が金属成長のためのテンプレートを提供する構造の主導体(バルク導体またはバルク層とも呼ばれる)である。
【0062】
後述するように、核生成層108は非晶質膜として堆積させてもよい。非晶質膜は粒状構造を有しないため、金属成長のテンプレートとして、粒状構造および/または(小粒子に対立するものとして)大粒子を有しない低抵抗率の金属を形成可能である。金属層の例としては、Mo層が挙げられる。
【0063】
図1Aおよび図1Bの例では、堆積された核生成層108は、MoOxy層等の金属オキシ窒化物層である。
【0064】
特定の開示された実施形態では、後続の処理中に、特定の実施形態において、核生成層108の一部が純金属に変換される一方で、核生成層108と誘電体層104との界面における領域等の核生成層108の一部が、ホウ素、フッ素、タングステン、酸素、窒素、塩素等の非モリブデン成分元素の不純物を保持し、核生成層108の一部が純金属に変換されなくてもよい。純金属とは、約1%未満の非モリブデン成分元素を有することとして定義され得る。
【0065】
非モリブデン成分元素の不純物を、誘電体-金属界面における、またはその付近の核生成層108内に意図的に維持し、データ損失を引き起こす可能性がある誘電体からの酸化物拡散の機会を低減させることが可能である。したがって、様々な実施形態によれば、核生成層108は金属層110と同じ組成であってもよいし、同じ組成でなくてもよい。いくつかの実施形態では、核生成層108は、複数の層を含むか、または傾斜膜であるか、または各サイクルにおいて同じ前駆体および反応剤の流れを用いて少なくとも1つのALDサイクルを繰り返すことによって堆積された1つの層であり、金属層110を堆積させるとき、核生成層108は修正され、その結果、傾斜、複数の層、形態の変化、または核生成層の不純物組成の変化がもたらされる。いくつかの実施形態では、複数のプレーヤーの1つまたは複数が傾斜膜である。いくつかの実施形態では、核生成層108は非晶質性を特徴とし、金属層110は粒子境界がないことを特徴とする。
【0066】
いくつかの実施形態では、金属オキシ窒化物層の金属は、純金属導体の金属と同じであり、例えば、MoOxy層は、Mo層の堆積の前に核生成層として堆積されてもよい。他の実施形態では、金属オキシ窒化物層は、純粋な導体の金属とは異なる金属を有していてもよく、例えば、Mo含有核生成層上にW層が堆積されていてもよいし、W含有核生成層上にMo層が堆積されていてもよい。
【0067】
図1Aおよび図1Bはメタライゼーションスタックの例を示すが、方法および得られたスタックはこれに限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、核生成層は、金属成長用のテンプレートとしてSiO2、ケイ素、または他の半導体基板上に直接堆積されてもよい。さらに、核生成層上でのWまたはMoの成長について上述したが、核生成層は、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、ニッケル(Ni)、およびこれらの金属を含むMoW等の合金等、他の金属の低抵抗成長のためのテンプレートとして機能してもよい。さらに、核生成層は、MoOxy、Mo窒化物、タングステンオキシ窒化物、WN、ニッケル窒化物等、適切な金属オキシ窒化物または金属窒化物層であってもよい。
【0068】
上記およびさらに下記で説明する材料スタックは、各種の構造において実装されてもよい。図2Aおよび図2Bは、スタックが採用され得る構造の例を示す。図2Aは、二次元NAND構造223のワード線210の概略例を示す。ワード線210は、基板200上にギャップ235を有する柱として酸化物層211によって隔てられている。図2Bは、Al23層204と核生成層208を含むワード線210と酸化物層211との間の界面の詳細を示す。いくつかの実施形態では、核生成層208は、酸化物層211上に直接堆積されてもよいし、本明細書に記載のTiN204または他のバリア層上に堆積されてもよい。核生成層は、例えば、厚さ約10nmから100nmの間、または厚さ約5nm以下のワード線210の堆積のために、約10Åから100Åの間、または10Åから50Åの間であってもよい。
【0069】
図3Aは、特定の開示された実施形態に従った導電性材料の堆積方法における操作を示すプロセスフロー図である。操作301では、酸化物表面および/またはバリア層表面(酸化物表面上にあってもよい)を有する基板が提供される。操作301のプロセス条件およびフィーチャの例は、図3Bに関して後述される。操作360では、酸化物の欠陥を防ぐために酸化物-金属界面が調整される。操作360を実施するための例示的な方法が、図3Bおよび3Cに関して後述される。操作370では、基板を覆って金属層を形成し、これにより金属を酸化物表面またはバリア層表面に接触させる。操作370を実施するための例示的な実施形態が、図3Bおよび3Cに関して後述される。
【0070】
図3Aでは、操作360と370が同時に実施されてもよく、操作360が最初でその後に操作370の順番でもよく、操作370が最初でその後に操作360でもよく、操作360と370の組み合わせが一緒に(例えば交互に)実施されてもよく、操作360の一部の操作が操作370の間に実施されてもよく、あるいは操作370の一部の操作が操作360の間に実施されてもよい。操作301、360、370はそれぞれ、同じチャンバ、単一のチャンバ、同じチャンバの1つまたは複数のステーション、または別々のチャンバの1つまたは複数のステーションにおいて実施されてもよい。
【0071】
図3Bは、導電性材料の堆積方法における操作を示すプロセスフロー図である。操作301、303a、305、307、および309はそれぞれ、図3Bの他の操作の1つを実施するときと同じチャンバにおいて実施してもよく、別個のチャンバにおいて実施してもよく、あるいは同じチャンバと別々のチャンバの組み合わせを用いて実施してもよいこと、ならびに操作301、303a、305、307、および309はそれぞれ、図3Bの他の操作の1つを実施するときと同じマルチステーションチャンバ内の同じステーションにおいて実施してもよく、別個のステーションにおいて実施してもよく、あるいは同じステーションと別々のステーションの組み合わせを用いて実施してもよいことが理解されるであろう。
【0072】
図3Bにおいて任意選択操作とされている操作の少なくとも1つが実施される。各任意選択操作は、図3Bの他の任意選択操作と組み合わせて用いられてもよい。例えば、操作303aにおける加工は、操作305および309におけるプロセス条件の調整を省略し、操作307における加工を省略して実施してもよい。
【0073】
操作301では、酸化物表面を有する基板が提供される。これは図3Aの操作301と同じてあってもよい。様々な実施形態において、基板は酸化物表面を上部に含む誘電体層を有する。様々な実施形態において、基板はマルチステーションチャンバの第1のプロセスステーションに設けられる。基板は、シリコンウエハ(例えば、200mmウエハ、300mmウエハ、または450mmウエハ)であってもよく、その上に堆積された材料(誘電体、導電体、または半導電体材料等)の1つまたは複数の層を有するウエハを含む。アンダー層の非限定的な例としては、誘電体層および導電層、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、および金属層等が挙げられる。いくつかの実施形態では、基板は図1Aまたは1Bの基板102と同じである。
【0074】
基板は酸化物表面を含む。いくつかの実施形態では、酸化物表面は、図1Aの誘電体層104等の誘電体層の一部である。いくつかの実施形態では、酸化物表面は、図1Bのバリア層106等のバリア層の一部である。いくつかの実施形態では、酸化物表面は酸化ケイ素を含む。いくつかの実施形態では、酸化物表面は酸化アルミニウムを含む。
【0075】
図3に戻ると、操作303aでは、任意選択のソーク加工が実施される。任意選択のソーク加工は、操作305の前に基板上に酸化物表面を用意するために実施されてもよい。ソークにより、操作305における材料の堆積が異なる方法の堆積となるか、あるいは酸化物の表面に異なる組成が形成され得る。
【0076】
様々な実施形態において、操作303aは、ジボラン(B26)等のホウ素含有ガスの導入を伴う。ホウ素含有ガスへの曝露により、誘電プロセス履歴を、タングステンを組み込んだTiNを含んだ以前のプロセス履歴に、より類似させることが可能である。
【0077】
様々な実施形態において、操作303aは、六塩化タングステン、五塩化タングステン、五フッ化タングステン、および六フッ化タングステン(WF6)を含むがこれらに限定されないハロゲン化タングステン等のタングステン含有またはフッ素含有ガスの導入を伴う。フッ素の曝露により、誘電プロセス履歴を、タングステンを組み込んだTiNのプロセス履歴に、より類似させることが可能である。ただし、デバイス性能に悪影響を及ぼす可能性があるあまりに多量のフッ素に誘電体を曝さないように、曝露を制限してもよいが、微量の曝露が、Wを組み込んだTiNのデバイス性能への適合に有利となる可能性がある。
【0078】
様々な実施形態において、操作303aは、ガス加工の2つ以上の時間的に隔てられたパルスで実施される。例えば、いくつかの実施形態においては、原子層堆積によってW核生成層の堆積を実施する際に行うように、B26とWF6を交互にして曝露を行ってもよい。この操作は、Wを組み込んだTiNのプロセス履歴に誘電プロセス履歴をより類似させるために実施されてもよい。操作303aを実施することによって堆積され得るW核生成層は、Moまたは後続の金属導体層の抵抗率へのマイナスの影響を避けるために、最小限にされる(例えば、1~5サイクルまたは1~10サイクル等の非常に少ないサイクルが用いられる)。Mo堆積の前にALDによって堆積された極薄W核生成層により、様々な実施形態において、大粒または非晶質のMo成長のためのテンプレートを提供する際にMo抵抗率が低下し得る。様々な実施形態において、化学気相堆積(CVD)方式のプロセスと同じように、ホウ素含有ガスとW含有ガスまたはフッ素有ガスの曝露が同時に実施される。ALDとCVDのプロセスの組み合わせを用いてもよい。
【0079】
操作303aは、操作305の前に別個の操作として実施されてもよく、あるいはいくつかの核生成層が堆積された後等の操作305の間に実施されてもよく、これにより操作303aと操作305が時間的に交互になった操作において実施されてもよい。いくつかの実施形態では、操作303aは、図3で実施される他の操作を通して周期的に実施される。
【0080】
いくつかの実施形態では、ソーク加工は、酸化物表面を、酸素含有ガス、窒素含有ガス、または酸化物表面と後に堆積させる材料との間の界面を変化させ、基板内の酸化物から酸化物への電子のトンネル現象を減少させることが可能な他の適切なガス、およびそれらの組み合わせ等の、1つまたは複数のガスへの曝露を含む。酸素含有ガスの例としては、酸素ガスが挙げられる。窒素含有ガスの例としては、NH3ガスおよび窒素が挙げられる。
【0081】
操作303aは、任意の適切な温度で実施されてよい。温度の非限定的な例としては、最高約650℃、または約350℃未満、または約250℃から約350℃が挙げられる。チャンバ圧力の非限定的な例としては、最高約90Torr、または約5Torrから約50Torr、または約5Torrから約15Torr、または約10Torrが挙げられる。
【0082】
曝露時間は流量によって異なってよい。曝露時間の非限定的な例としては、ガスごとに、約0.1秒から約10秒、または約0.1秒から約20秒の範囲である。交互の加工パルスでは、各パルスは上記の曝露時間のいずれでもよい。操作303aの全体的な持続時間は、約0.1秒から約20秒、または約0.1秒から約15秒、または約0.1秒から約10秒の範囲であってもよい。
【0083】
26および水素ガスの曝露時間は、約0.1秒から約10秒の間であってよい。例えば、いくつかの実施形態では、B26と水素を約0.1秒から約10秒間、同時に基板に流してもよい。
【0084】
WF6ガスの曝露時間は、約0.1秒から約1秒の間であってよい。例えば、いくつかの実施形態では、WF6を約0.1秒から約1秒間、基板に流してもよい。
【0085】
交互パルスが実施される場合、パージ操作は交互パルスの合間に実施されてもよい。パージは、アルゴンガスまたは他の不活性ガスを、約0.1秒から約1秒の間等の特定の持続時間流すことを含んでもよい。
【0086】
交互パルスが操作303aで実施される実施形態の一例では、パルスの1サイクルが以下を含んでもよい:(1)B26および水素の0.1秒から10秒間の投与;(2)アルゴンガスを用いた0.1秒から1秒間のパージ;(3)WF6の0.1秒から1秒の間の投与;および(4)アルゴンガスを用いた0.1秒から1秒間のパージ。
【0087】
1つまたは複数のガスの流量は、選択された1つまたは複数のガスの化学的性質、酸化物表面材料、曝露の持続時間、複数のガスが流される場合のガスの混合物、および所与の基板に望まれるソーク効果の程度に依存する。ガス曝露の持続時間は、ガス流量、ガスの種類、望まれるソーク効果の程度に依存する。
【0088】
酸素ガスを流すためのガス流量の非限定的な例は、約100sccmから約10,000sccmの間で変化する。酸素ガス流の持続時間の例としては、約0.1秒から約30秒の間が挙げられる。
【0089】
NH3ガスを流すためのガス流量の非限定的な例は、約100sccmから約10,0000sccmの間で変化する。NH3ガス流の持続時間の例としては、約0.1秒から約30秒の間が挙げられる。
【0090】
窒素ガスを流すための非限定的な例としてのガス流量は、約100sccmから約10,000sccmの間で変化する。窒素ガス流の持続時間の例としては、約0.1秒から約30秒の間が挙げられる。
【0091】
操作305では、原子層堆積(ALD)によって基板上にコンフォーマルな核生成層が形成される。様々な実施形態において、コンフォーマルな核生成層は、操作301において提供される基板の酸化物表面上に堆積される。いくつかの実施形態では、操作303aと操作305は、同じチャンバにおいて、または別個のチャンバの同じツールにおいて、または真空を破壊することなく実施される。いくつかの実施形態では、操作303aの後、操作305の前にエアブレイクが発生するが、これは、操作303aの後に、曝露させたホウ素またはフッ素原子が表面に存在し得、これらの原子が酸化して操作305の前に酸素をデバイスに取り込む可能性があり、これにより取り込まれた非モリブデン成分元素が、酸化物の損失や拡散の可能性を低減できるため、全体の膜スタックの抵抗率の低減および/またはデータ損失の低減が可能になるため、有利である。
【0092】
操作305の間、コンフォーマルな核生成層の組成を修正するためにプロセス条件を調整してもよい。例えば、酸素、塩素、および/または窒素の含有量等の、コンフォーマルな核生成層の非モリブデン成分元素含有量を増加させるようにプロセス条件を調整してもよい。いくつかの実施形態では、任意選択のソーク加工が操作303aまたは307において実施される場合、および/またはプロセス条件が操作309において調整される場合はプロセス条件が操作305において調整されなくてもよいことが理解されるであろう。同様に、操作303aおよび307のソーク加工の少なくとも1つも実施しながら、操作305においてプロセス条件を調整すること、および操作309においてプロセス条件を調整すること、または本明細書内のいずれかの組み合わせも可能である。
【0093】
ALDプロセスでは、まず基板を適切な金属含有前駆体のパルスに曝し、次に前駆体を任意選択でパージし、次に基板を還元剤のパルスに曝し、次に還元剤を任意選択でパージするようなサイクルで基板を曝露させてもよく、このようなサイクルを所望の厚さの核生成層が基板上に形成されるまで繰り返してもよい。前駆体と還元剤の順序を逆にして、還元剤の投与によってシーケンスが開始され、その後に金属含有前駆体の投与を行うようにしてもよいことが理解されるであろう。パージは、アルゴン等の不活性ガスを流すことにより実施してもよい。いくつかの実施形態では、不活性ガスはまた、ソークガス、前駆体ガス、および反応剤ガスを含むがこれらに限定されない1つまたは複数のガスを基板に送るためのキャリアガスとして使用されてもよい。
【0094】
ALDは、連続した自己限定反応を用いて材料の薄層を堆積させる技術である。典型的には、ALDサイクルには、少なくとも1つの反応剤を基板表面に送って吸着させてから、吸着させた反応剤を1つまたは複数の反応剤と反応させて膜の部分的な層を形成する操作を含む。一例として、MoOxy堆積サイクルは以下の操作を含んでもよい:(i)Mo含有前駆体の送出/吸着;(ii)チャンバからのMo前駆体のパージ;(iii)窒素含有反応剤または窒素含有ガスの送出;および(iv)チャンバからの窒素含有反応剤のパージ。
【0095】
化学気相堆積(CVD)技術とは異なり、ALDプロセスでは、表面を介在させた堆積反応を用いて層ごとに膜を堆積させる。ALDプロセスの一例では、表面活性サイトの集団を含む基板表面は、基板を収容するチャンバに提供される投与量の第1の前駆体(Mo含有前駆体等)の気相分布に曝される。この第1の前駆体の分子は、第1の前駆体の化学吸着種および/または物理吸着分子を含む基板表面に吸着される。本明細書に記載されているように、化合物が基材表面に吸着される場合、吸着層は化合物に加え、化合物の誘導体を含んでもよいことを理解すべきである。例えば、Mo含有前駆体の吸着層は、Mo含有前駆体に加えてMo含有前駆体の誘導体を含んでもよい。第1の前駆体の投与後に、気相に残存する第1の前駆体の大部分またはすべてを除去するためにチャンバを排気して、吸着種の大部分または吸着種のみを残存させる。いくつかの実装形態では、チャンバを完全に排気しなくてもよい。例えば、気相中の第1の前駆体の部分圧が反応を緩和させるのに十分なほど低くなるように、チャンバを排気してもよい。窒素含有反応剤等、第2の反応剤をチャンバに導入し、これらの分子の一部を表面に吸着した第1の前駆体と反応させる。いくつかのプロセスでは、第2の反応剤は吸着した第1の前駆体と直ちに反応する。チャンバを次に再び排気して、結合していない第2の反応剤分子を除去してもよい。上述したように、いくつかの実施形態では、チャンバを完全に排気しなくてもよい。追加のALDサイクルを用いて膜厚を厚くしてもよい。
【0096】
特定の実施形態では、ALDの第1の前駆体の投与は、基板表面を部分的に飽和させる。いくつかの実施形態では、ALDサイクルの投与段階は、前駆体が基板に接触して表面を均一に飽和させる前に終了する。典型的には、この時点で前駆体流が止められるか迂回され、パージガスのみが流れる。このサブ飽和レジームで操作することにより、ALDプロセスはサイクルタイムを短縮し、スループットを増大させる。しかし、前駆体の吸着は飽和に制限されないため、吸着された前駆体の濃度が基板表面全体にわたってわずかに変化し得る。サブ飽和レジームにおけるALDプロセス操作の例が、「サブ飽和原子層堆積およびコンフォーマル膜堆積」と題された2013年10月23日に出願された米国特許出願第14/061,587号(現在は米国特許第9,355,839号)において提供されており、その全体が参照により本明細書に援用されている。本明細書ではALDを例として記載するが、本明細書ではALDによって堆積させた膜をCVDまたはその他の技術で堆積させてもよいことが理解されるであろう。
【0097】
核生成層堆積のための基板温度は、例えば、250℃から約600℃、または300℃から600℃、または250℃から約550℃の範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、より低い温度を使用してもよい。そのような温度は、500℃未満、550℃未満、450℃未満、400℃未満、または350℃未満であってもよい。ステップカバレッジを向上させるために低温を使用してもよい。さらに、低温により、核生成層中の不純物の量が増加し、非晶質性が上昇し、その結果、その後に堆積する導体の粒子サイズが大きくなり得る。様々な実施形態において、核生成層を低温で堆積させることが有利となり得る。チャンバ圧力は、約5Torrから約90Torrの間、または約5Torrから約50Torrの間、または約20Torrから約40Torrの間、または約30Torrであってもよい。
【0098】
核生成層が堆積される表面は、特定の用途に依存する。いくつかの実施形態では、核生成層は誘電体(例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ケイ素等)表面上に直接堆積される。いくつかの実施形態では、核生成層はバリア層上に堆積される。いくつかの実施形態では、核生成層は表面上に任意の他の金属を堆積させる前に堆積される。いくつかの実施形態では、核生成層は加工済の誘電体上に堆積される。いくつかの実施形態では、核生成層はタングステン核生成層上に堆積される。いくつかの実施形態では、核生成層は未加工の誘電体上に堆積される。いくつかの実施形態では、核生成層は加工済のバリア層上に堆積される。いくつかの実施形態では、核生成層は未加工のバリア層上に堆積される。いくつかの実施形態では、核生成層はTiNまたは他の表面上に直接堆積される。いくつかの実施形態では、後続の元素金属堆積を任意の表面上で実施してよい。
【0099】
様々な実施形態において、操作305におけるALDプロセスは、酸素含有Mo前駆体と還元剤を、連続した交互のパルスまたは投与で流すことを伴う。いくつかの実施形態では、還元剤は、アンモニア(NH3)またはその他の窒素含有ガス、またはヒドラジン(N24)等の窒素含有還元剤である。誘電体へのアンモニアの化学吸着は、核生成層への水素(H2)の化学吸着よりも好ましい。いくつかの実施形態では、還元剤および前駆体は、還元剤が解離することなく反応するように選択される。アンモニアは、解離することなく金属オキシ塩化物および金属塩化物と反応する。これは、例えば水素を還元剤として使用する金属オキシ塩化物からのALDとは対照的である。水素は表面で解離して、吸着した原子状水素を形成し、その結果、誘電体表面上での金属の初期核形成中に反応種の濃度が非常に低くなり、表面被覆率が低くなる。NH3および金属オキシ塩化物または金属塩化物前駆体を使用することにより、同じ金属前駆体の水素還元で使用されるよりも最大で数百度低い堆積温度で核形成遅延が低減または解消される。
【0100】
いくつかの実施形態では、還元剤は、B26またはSiH4等のホウ素含有あるいはケイ素含有還元剤であってもよい。これらの還元剤は、金属塩化物前駆体、金属オキシ塩化物とともに使用してもよい。しかし、B26およびSiH4は、ALDプロセス中に副生成物として形成される水と反応し、固体のB23およびSiO2を形成するが、これらは絶縁性を有するため膜中に残り、抵抗率を上昇させる。また、NH3の使用は、Al23を含む特定の表面上におけるB26およびSiH4のALDプロセスよりも接着性が高い。
【0101】
金属オキシ塩化物および金属塩化物前駆体の例としては、五塩化モリブデン(MoCl5)、二塩化ジオキシモリブデン(MoO2Cl2)およびオキシ四塩化モリブデン(MoOCl4)等のモリブデンオキシ塩化物、五塩化タングステン(WCl5)、六塩化タングステン(WCl6)、四塩化タングステン(WCl4)、二塩化タングステン(WCl2)、およびオキシ四塩化タングステン(WOCl4)等のオキシ塩化タングステン(WOxCly)が挙げられる。
【0102】
金属塩化物および金属オキシ塩化物は、フッ素の取り込みが懸念される実施形態において有用となり得る。しかし、いくつかの実施形態では、三フッ化窒素(NF3)等のフッ素含有前駆体を使用してもよい。これらは、WF6、六フッ化モリブデン(MoF6)、および五フッ化モリブデン(MoF5)等の金属フッ化物を含む。
【0103】
得られた核生成層は、一般的に純粋な元素膜ではなく、金属窒化物または金属オキシ窒化物膜である。いくつかの実施形態では、特に堆積が低温で実施される場合、堆積由来の残留塩素またはフッ素が存在し得る。いくつかの実施形態では、微量の残留塩素またはフッ素が存在するに過ぎない。いくつかの実施形態では、核生成層は非晶質層である。膜中の不純物(例えば、酸素、NH3、塩素、またはその他のハロゲン)は、非晶質微細構造の成長を促す。いくつかの実施形態では、堆積された核生成層は非晶質金属オキシ窒化物層または非晶質金属窒化物層である。非晶質性は、後に堆積させる導体における大粒子の成長のテンプレートとなる。酸化物表面に対する窒化物またはオキシ窒化物の表面エネルギーは、酸化物表面上の金属の表面エネルギーよりもはるかに好適であり、誘電体上に連続的で平滑な膜を形成しやすくなる。これにより、薄く連続した層が形成可能となる。核生成層の例示的な厚さは、堆積時に5Åから30Åの範囲である。温度によって、これは例えば5から50回のALDサイクルであってもよい。
【0104】
操作305の間、堆積プロセス条件を任意選択で調整して、膜中の非モリブデン成分元素または「不純物」の量を増加または調整する。1つの技術は、堆積プロセス中に曝露時間および/または曝露フローを変化させることである。例えば、ALD法では、基板をまず適切な金属含有前駆体のパルスに曝し、次に還元剤のパルスに曝す。様々な実施形態において、還元剤の流れは、得られた金属オキシ窒化物膜において金属含有前駆体由来の不純物をより多く保持するように修正される。還元剤の流量の例としては、約100sccmから約40,000sccmが挙げられる。流量は還元剤パルス中に用いられる。
【0105】
いくつかの実施形態では、前駆体への曝露および還元剤への曝露のうちの少なくとも一方の間に、1つまたは複数の添加剤ガスを流す。添加剤ガスは、酸素含有ガス、窒素含有ガス、またはそれらの組み合わせを含んでよい。酸素含有ガスの例としては、酸素が挙げられる。窒素含有ガスの例としては、窒素とNH3が挙げられる。添加剤ガスは、連続的に流してもよく、Mo前駆体のみと一緒に流してもよく、還元剤のみと一緒に流してもよく、パージガスのみと一緒に流してもよく、または前駆体投与、還元剤投与、またはパージガス操作のいずれにも同期させずに周期的に流してもよい。
【0106】
単独で、あるいは上記の技術と組み合わせて実施され得る別の技術は、プロセス条件を変更することである。例えば、温度または圧力を調整して、酸素、窒素、およびその他の成分元素を金属オキシ窒化物層内に保持してもよい。様々な実施形態において、操作305は、膜中に不純物を保持するために、最高約650℃、または約350℃未満、または約200℃から約550℃の間、または約250℃から約350℃の間の温度で実施されてもよい。いくつかの実施形態では、チャンバ圧力を約5から約90の間とすることが可能である。
【0107】
核生成層において不純物含有量を保持するもう一つの技術は、膜の形態を変化させることである。非晶質膜は、膜からの不純物の拡散を低減させることにより誘電体から酸素または他の元素が拡散する可能性を低減し、これにより、捕捉された電荷が誘電体から抜け出し、データ損失を引き起こす機会を低減する。形態は、膜堆積中およびバルクモリブデン堆積中に基板の温度を下げることによって調整してよい。
【0108】
特定の開示された実施形態は、操作305のALDの最初の数サイクルを調整することを含んでよいが、いくつかの実施形態では、操作305のALDのほとんどまたはすべてのサイクルを調整してもよい。数サイクルの低温ALDの後に数サイクルの高温ALDを実施し、これを連続的に繰り返す等、調整サイクルと非調整サイクルを交互に行うことを含む、調整されたALDサイクルの任意の組み合わせを実施してスループットを向上させてもよい。
【0109】
核生成層の堆積に使用するガスの曝露時間は、流量によって異なってよい。曝露時間の非限定的な例は、ガスごとに、約0.1秒から約10秒の間、または約0.1秒から約20秒の間の範囲である。交互の加工パルスでは、各パルスは上記の曝露時間のいずれでもよい。
【0110】
NH3および水素ガスの曝露時間は、特定の用途に依存し、広範囲であり得る。いくつかの実施形態では、水素ガス曝露は少なくとも約30秒以上であってよい。曝露時間の非限定的な例としては、約0.1秒から約60秒の間、約0.1秒から約50秒の間、および少なくとも約30秒が挙げられる。例えば、いくつかの実施形態では、NH3および水素が、少なくとも約30秒間、または約0.1秒から約50秒間、同時に基板に流されてもよい。
【0111】
酸素含有Mo前駆体(式MoOxClyを有するもの等)のガス曝露の場合の曝露時間は、約0.1秒から約10秒の間であってよい。例えば、いくつかの実施形態では、酸素含有Mo前駆体を約0.1秒から約10秒間基板に流してもよい。
【0112】
交互パルスが実施される場合、パージ操作は交互パルスの合間に実施されてもよい。パージは、アルゴンガスまたは他の不活性ガスを、約0.1秒から約5秒の間等の特定の持続時間流すことを含んでもよい。
【0113】
交互パルスが操作305において実施される実施形態の一例では、パルスの1サイクルが以下を含んでもよい:(1)NH3および水素の0.1秒から10秒間の投与;(2)アルゴンガスを用いた0.1秒から5秒間のパージ;(3)MoOxClyの0.1秒から10秒の間の投与;および(4)アルゴンガスを用いた0.1秒から5秒間のパージ。
【0114】
図3Bに戻ると、操作307では、ソーク加工が任意選択で実施される。いくつかの実施形態では、このソークは、操作305においてプロセス条件を調整することなしに、または操作305でプロセス条件を調整して、操作303に追加して、または操作303の代わりに実施される。様々な実施形態において、実施されるソーク加工は、操作303aに関して上述した技術のいずれか1つまたは複数を用いることが可能である。
【0115】
操作307は、操作305の後に別個の操作として実施されてもよいし、いくつかの核生成層が堆積された後等の操作305の間に実施されてもよく、これにより操作307と操作305が時間的に交互になった操作において実施されてもよい。いくつかの実施形態では、操作307は、図3Bで実施される他の操作を通して周期的に実施される。操作307は、操作309においていくつかの主導体層材料を堆積させた後に実施してもよいし、操作309においていずれかの主導体層材料を堆積させる前に実施してもよい。
【0116】
操作309では、主導体層が形成される。様々な実施形態において、主導体層はプロセス条件を調整しながらALDによって形成される。様々な実施形態において、堆積は核生成層を覆って、核生成層の上に、または上に直接実施される。主導体層を、バルク層または金属層と呼んでもよい。様々な実施形態において、主導体層はMo層である。様々な実施形態において、主導体層は元素Mo層である。様々な実施形態において、主導体層中の不純物の量は約1%未満である。
【0117】
主導体層は、酸素含有金属前駆体(金属オキシハロゲン化物等)と還元剤の交互パルスを用いるALDによって堆積される。いくつかの実施形態では、主導体層は、酸素含有Mo前駆体および還元剤としての水素を使用するALDによって堆積される。いくつかの実施形態では、パージガスを使用してもよく、操作305に関して上述したいずれかのパージガスを操作309で使用してもよい。
【0118】
操作309では、操作305に関して上述したいずれかのMo前駆体を使用してもよい。Mo前駆体は、オキシハロゲン化モリブデンであってもよい。いくつかの実施形態では、オキシハロゲン化モリブデンは、オキシ塩化モリブデン(MoOxCly)である。操作305および309において採用され得る金属オキシ塩化物および金属塩化物前駆体の例としては、五塩化モリブデン(MoCl5)および六塩化モリブデン(MoCl6)、二塩化ジオキシドモリブデン(MoO2Cl2)およびオキシ四塩化モリブデン(MoOCl4)等のオキシ塩化モリブデン、五塩化タングステン(WCl5)、六塩化タングステン(WCl6)、四塩化タングステン(WCl4)、二塩化タングステン(WCl2)、オキシ四塩化タングステン(WOCl4)等のオキシ塩化タングステン(WOxCly)が挙げられる。
【0119】
特定の理論に縛られるものではないが、主導体層の堆積中に核生成層からの不純物が除去されると考えられている。核生成層が酸素含有および塩素含有金属前駆体と窒素含有反応剤とを用いて堆積される実施形態では、存在する不純物は酸素、塩素、および窒素を含み得る。より高い温度を堆積に用いる場合等、主導体層の堆積中に核生成層から塩素がまず除去されやすいと考えられている。塩素に続いて、酸素および/または窒素が除去され得る。特定の理論に縛られるものではないが、主導体層の堆積の速度を低下させることにより、核生成層を離れる不純物の量が減少すると考えられている。
【0120】
操作309においてプロセス条件を調整することは、操作309中に核生成層が金属に完全にまたは大部分変換されることがないように、操作307において堆積させた核生成層の不純物含有量を保持する助けとなる。操作309は、操作309の後に得られた核生成層組成が、約100:1から約1:4の間の金属対不純物原子比、または約100:1から約1:4の間のMo対酸素原子比となるようなプロセス条件下で操作309の後に実施される。
【0121】
プロセス条件の調整は、様々な方法で実施してよい。1つの方法は、2つ以上の異なるセットのALDサイクルを実施し、最初の数サイクルの堆積で導体層の組成を変化させないようにすることで、操作307における核生成層の堆積中に取り込まれた不純物を保持することである。最初の数サイクルとは、操作309におけるALDの1番目のサイクルから10番目のサイクルまで、あるいは1番目のサイクルから20番目のサイクルまでを指してよい。最初の数サイクルは、主導体層材料でフィーチャの30%まで堆積させるのに十分なサイクルを指す。これら最初の数サイクルの間の条件を、不純物が核生成層から抜け出すのを防ぐために調整してもよい。最初のALDサイクルのセットでは、核生成層から除去される不純物の量を減らすためにより低い温度で堆積を実施する。例示的な温度は、500℃未満、550℃未満、450℃未満、400℃未満、または350℃未満であってよい。より低い温度を、核生成層内の不純物または非モリブデン成分元素の量が維持されるか、または約1%より多いか、または少なくとも0%より多くなるように、元素膜に変換された核生成層の量を低減するために用いてもよい。この操作では、還元剤は水素(H2)であってもよい。温度は、いくつかの実施形態では、操作305において用いられるのと同じ温度であってもよい。また、金属前駆体は、操作305において採用されたものと同じ前駆体であってもよいし、異なる前駆体であってもよい。いくつかの実施形態では、同じ前駆体を使用し、還元剤のみを変更する。様々な実施形態によると、操作309は、主導体の膜をかなりの量堆積させてもよいし、堆積させなくてもよい。最初の数サイクルの後、後続のALDサイクルのセットを、約350℃から約700℃の間等のより高い温度で実施してもよい。一部のMo前駆体はより高い温度でより効率的かつより反応的になり得るため、より高い温度により主導体層、特にMoの堆積速度を上昇させることが可能である。
【0122】
別の技術は、前駆体および還元剤の流れを調整して、主導体層の堆積の速度を変化させることである。吸着した前駆体を変換するには不十分となるように、前駆体流を還元剤流に対して増加させてもよいし、吸着した前駆体を金属に変換するには不十分な還元剤が存在するように、前駆体流を一定に保ちながら還元剤流を減少させてもよい。前駆体流が増加する場合、前駆体流と還元剤流の比率の例は、約1:1000から約1:10,000の間であってよい。水素還元剤流を減少させる際、還元剤流と前駆体流の比率の例は、約1:10から約1:1000の間であってよい。
【0123】
いくつかの実施形態では、誘電体層またはバリア層付近の金属含有膜の不純物レベルが高くなる一方で、誘電体層からの距離が長くなるにつれて金属含有膜の不純物レベルが低下し、主導体層に堆積した金属の最後の数サイクルにおいて不純物が少なくなるか、または不純物がまったくなくなる特定の開示された実施形態を用いて傾斜膜を形成してもよい。傾斜膜は、堆積中に各種の異なるセットのALDサイクルを使用することにより堆積させてもよい。
【0124】
いくつかの実施形態では、ALDサイクルは、温度および/または前駆体流および/または反応剤流を変化させる代わりに、またはそれに加えて、チャンバ圧力を変化させることによって調整される。例えば、主導体層の堆積速度を遅くするためにチャンバ圧力を低下させて、核生成層の元素金属への変換を低減してもよい。低下された圧力の例としては、約5から約20Torrの間であってよく、または核生成層の堆積に使用される圧力よりも少なくとも約30から80%低くてもよい。
【0125】
主導体層の堆積に使用するガスの曝露時間は、流量によって異なってよい。曝露時間の非限定的な例としては、ガスごとに、約0.1秒から約10秒の間、または約0.1秒から約20秒の間の範囲である。交互の加工パルスでは、各パルスは上記の曝露時間のいずれでもよい。
【0126】
水素ガスの曝露時間は、約0.1秒から約10秒の間であってよい。例えば、いくつかの実施形態では、約0.1秒から約10秒間、水素を基板に流してもよい。
【0127】
酸素含有Mo前駆体(式MoOxClyを有するもの等)のガス曝露の場合の曝露時間は、約0.1秒から約2秒の間であってよい。例えば、いくつかの実施形態では、酸素含有Mo前駆体を約0.1秒から約2秒間基板に流してもよい。
【0128】
交互パルスが実施される場合、パージ操作は交互パルスの合間に実施されてもよい。パージは、アルゴンガスまたは他の不活性ガスを、約0.1秒から約5秒の間等の特定の持続時間流すことを含んでもよい。
【0129】
交互パルスが操作309において実施される実施形態の一例では、パルスの1サイクルが以下を含んでもよい:(1)水素の0.1秒から10秒間の投与;(2)アルゴンガスを用いた0.1秒から5秒間のパージ;(3)MoOxClyの0.1秒から2秒の間の投与;および(4)アルゴンガスを用いた0.1秒から5秒間のパージ。
【0130】
図3Cは、特定の開示された実施形態を実施するための例示的なプロセスフロー図である。操作301は、図3Aおよび図3Bの操作301と同じであってもよい。操作303bは、半導体基板の酸化物表面に加工を施すことを伴う。この酸化物表面は、いくつかの実施形態では、酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素であってもよく、操作303aに関して上述した技術のいずれかを使用して実施されてもよい。いくつかの実施形態では、操作303bは、酸化物表面をB26およびWF6に曝すことを含む。操作305では、Moのコンフォーマル核生成層が、加工された酸化物表面上にALDによって堆積される。これは、図3Bに関して説明した技術のいずれかを使用して実施されてもよい。いくつかの実施形態では、操作305は、B26およびWF6加工された酸化物表面上にALDによってMoOxy膜を堆積させることを伴う。操作319aでは、ALDによって部分的な主導体層を低温で堆積させる。ここでの低温は、操作305において堆積させたMoOxyがMo金属に完全に変換されるのを防ぐ。低温は、約500℃未満の間であってもよい。操作319bでは、主導体層の残りがALDによって高温で堆積される。いくつかの実施形態では、操作319bは、酸素含有Mo前駆体および水素を使用して、540℃を超える温度でバルクMo金属を堆積させることを伴う。本明細書において実施される曝露では、ホウ素含有ガスの投与が、ホウ素の約1E16atoms/cm2から約1E21atoms/cm2の間のホウ素の曝露をもたらし得る。本明細書において実施される曝露では、フッ素含有ガスの投与が、約1E16atoms/cm2から約1E21atoms/cm2の間のフッ素の曝露をもたらし得る。本明細書において実施される曝露では、Wおよび/またはMo含有ガスの投与が、約1E16atoms/cm2から約1E21atoms/cm2の間のWまたはMoの曝露をそれぞれもたらし得る。
【0131】
図4は、金属層110の堆積後の誘電体層104とMo核生成層108との間の誘電体-金属界面112の場合の基板102(図1Aの基板102と同じであってもよい)を有するスタック400の拡大概略図の一例を示す。誘電体-金属界面112は、図1Aの誘電体-金属界面112と同じであり、誘電体層104は、図1Aおよび図1Bの誘電体層104と同じであってもよく、Mo核生成層108は、図1Aおよび図1Bの核生成層108と同じであってもよく、金属層110は、図1Aおよび図1Bの金属層110と同じであってもよい。この例では、Mo核生成層108は、Mo核生成層108の領域450が、増量した「不純物」またはホウ素、タングステン、フッ素、酸素、窒素、または塩素等の非モリブデン成分元素を有するような傾斜を含み、一方、Mo核生成層108の残りは、金属層110が堆積される際にMo金属に変換される。特定の理論に縛られるものではないが、この領域450を持つことにより、Moベースのゲート構造において量子トンネル現象またはデータ損失を引き起こす可能性がある欠陥が誘電体層104に形成されるのを防ぐことができると考えられている。
装置
【0132】
開示された実施形態を実現するために、任意の適切なチャンバを使用してよい。堆積装置の例としては、カリフォルニア州フレモントのLam Research Corporationから入手可能なALTUS(登録商標)およびALTUS(登録商標)Max等の各種システム、またはその他の各種の市販の処理システムが挙げられる。このプロセスは、複数の堆積ステーション上で並行して実施可能である。
【0133】
いくつかの実施形態では、核生成層堆積プロセスは、単一の堆積チャンバ内に位置する2つ、5つ、またはそれ以上の堆積ステーションのうちの1つである第1のステーションにおいて実施される。例えば、核生成層堆積を第1のステーションで実施し、次に第2のステーションにおいて金属前駆体の低温水素還元を行い、次に第3のステーションにおいて金属前駆体の高温水素還元を行ってもよい。各ステーションは独立した温度制御を有してよい。いくつかの実施形態では、プロセスのための様々なステップが、堆積チャンバの2つの異なるステーションにおいて実施される。例えば、基板表面に局所的な雰囲気を形成する個別のガス供給システムを使用して、基板を第1ステーションにおいてNH3に曝し、次に基板を第2のステーションに搬送して、金属ハロゲン化物、金属オキシハロゲン化物、金属塩化物、金属フッ化物、または金属オキシ塩化物の前駆体に曝して核生成層を堆積させる。いくつかの実施形態では、基板を次に、NH3の2回目の曝露のために第1のステーションに戻してもよい。その後、金属前駆体への曝露のために基板を第2ステーションに搬送してもよい。基板は、金属塩化物または金属オキシ塩化物の最初の堆積の後に別のステーションにおいてNH3に曝されてもよい。核生成層の堆積を完了するまで必要に応じてこれを繰り返し、同じまたは別々のステーションにおけるバルク層の堆積に進んでもよい。
【0134】
別の例では、核生成層堆積プロセスが第1のステーションにおいて実施され、より高い温度での加工が第2のステーションにおいて実施されるため、NH3が加工のために第2のステーションに配管される。第3のステーションをバルクの堆積に使用してもよい。
【0135】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法を実施するために複数のチャンバが使用される。例えば、核生成層の堆積を第1のチャンバにおいて実施し、バルク金属層の堆積を第2のチャンバにおいて実施する。2つのチャンバを共通の真空チャンバに接続して、基板が露出することなく両チャンバ間を移送できるようにしてもよい。代わりの実施形態では、チャンバが真空下で接続されず、基板が搬送中に空気に曝される。酸化は、上述したように、後続の処理において低減可能である。
【0136】
図5は、プロセスチャンバ本体502を有する原子層堆積(ALD)プロセスステーション500の一実施形態の概略図である。複数のプロセスステーション500がツール環境に含まれてもよい。例えば、図6はシステム600の一実施形態を示す。いくつかの実施形態において、以下で詳細に論じられるものを含むプロセスステーション500の1つまたは複数のハードウェアパラメータを1つまたは複数のコンピュータコントローラ550によってプログラム的に調節してもよい。
【0137】
プロセスステーション500は、プロセスガスを分配シャワーヘッド506へ送るための反応剤送出システム501と流体連通する。反応剤送出システム501は、分配シャワーヘッド506への送出のために、酸素含有Mo前駆体ガス、またはNH3および/または窒素ガス等のプロセスガスをブレンディングおよび/またはコンディショニングするための混合容器504を含む。1つまたは複数の混合容器入口弁520により、混合容器504へのプロセスガスの導入を制御してもよい。ガスはプロセスチャンバ本体502に送られ、処理領域507内で反応する。
【0138】
一例として、図5の実施形態は、混合容器504からプロセスチャンバ本体502に反応剤を導く弁505を有する混合容器504に供給される液体反応剤を気化させるための気化ポイント503を含む。いくつかの実施形態では、気化ポイント503が加熱された気化器であってもよい。そのような気化器から生成された飽和反応剤蒸気が、下流の送出配管において凝縮される場合がある。凝縮された反応剤に、親和性のないガスが曝されることにより、小粒子が生成される場合がある。これらの小粒子には、配管を詰まらせ、弁の動作を妨げ、基板を汚染する等の可能性がある。これらの問題に対処するためのいくつかの方法は、残留反応剤を除去するための送出配管のパージおよび/または排気を伴う。しかし、送出配管のパージにより、プロセスステーションのサイクルタイムが増加し、プロセスステーションのスループットが低下する場合がある。したがって、いくつかの実施形態では、気化ポイント503の下流の送出配管がヒートトレースされてもよい。いくつかの例では、混合容器504もヒートトレースされてよい。1つの非限定的な例において、気化ポイント503の下流の配管は、混合容器504において約100℃から約150℃までの範囲の増加する温度プロファイルを有する。
【0139】
いくつかの実施形態では、液体前駆体または液体反応剤が液体インジェクタにおいて気化されてもよい。例えば、液体インジェクタは、液体反応剤のパルスを混合容器の上流のキャリアガス流に注入してもよい。一実施形態では、液体インジェクタは、液体をより高い圧力からより低い圧力に勢いよく流すことによって反応剤を気化させてもよい。別の例では、液体インジェクタが、液体を霧化して分散した微小液滴にし、その後で、加熱された送出パイプ内で気化させてもよい。より小さな液滴は、より大きな液滴よりも速く気化し、液体の注入と完全な気化の間の遅延を減少させる。より速い気化は、気化ポイント503から下流の配管の長さを短くし得る。あるシナリオでは、液体インジェクタは、混合容器504に直接取り付けられてもよい。別のシナリオでは、液体インジェクタが、分配シャワーヘッド506に直接取り付けられてもよい。
【0140】
いくつかの実施形態では、気化ポイント503の上流にある液体流コントローラ(LFC)が、気化およびプロセスステーション500への送出のための液体の質量流量を制御するために設けられてもよい。例えば、LFCは、LFCの下流に位置する熱式質量流量計(MFM)を含んでもよい。LFCのプランジャー弁が次に、MFMと電気的に連通している比例・積分・微分(PID)コントローラが提供するフィードバック制御信号に応答して調節されてもよい。しかし、フィードバック制御によって液体の流れを安定させるには、1秒以上かかり得る。これにより、液体反応剤を投与する時間が長くなり得る。したがって、いくつかの実施形態では、LFCは、フィードバック制御モードと直接制御モードとの間で動的に切り替えられてもよい。いくつかの実施形態では、これはLFCおよびPIDコントローラのセンスチューブを無効化にすることによって実施され得る。
【0141】
分配シャワーヘッド506は、基板512に向かってプロセスガスを分配する。図5に示す実施形態では、基板512は、分配シャワーヘッド506の下に位置し、台座508の上に載置された状態で図示されている。分配シャワーヘッド506は、任意の適切な形状を有してよく、基板512にプロセスガスを分配するための、任意の適切な数および配置のポートを有してよい。
【0142】
いくつかの実施形態において、台座508を上昇または下降させて、基板512と分配シャワーヘッド506の間の容積部分に基板512を露出させてもよい。台座の高さは、いくつかの実施形態では、適切なコンピュータコントローラ550によってプログラム的に調節されてもよいことが理解されるだろう。
【0143】
いくつかの実施形態において、台座508は、ヒータ510を介して温度制御されてもよい。いくつかの実施形態では、台座508は、チャンバおよび堆積プロセス全体におけるその機能に応じて、50℃から700℃の間の温度に加熱されてもよい。例えば、いくつかのチャンバは、核生成層の堆積または主導体層の初期ALDサイクル等のために、250℃から約400℃の間の温度に設定された台座508を有してもよく、いくつかのチャンバは、主導体層、特にMoO2Cl2等の酸素含有Mo前駆体を使用して堆積される主導体層の一部の堆積のために、約350℃から約700℃の間の温度または約400℃超の温度に設定された台座508を有していてもよい。
【0144】
さらに、いくつかの実施形態において、プロセスステーション500の圧力制御は、バタフライ弁518によって提供されてもよい。図5の実施形態に示すように、バタフライ弁518は、下流真空ポンプ(不図示)により提供される真空をスロットルで調整する。しかしながら、いくつかの実施形態では、プロセスステーション500の圧力制御を、プロセスステーション500に導入される1つまたは複数のガスの流量を変化させることによって調節してもよい。
【0145】
いくつかの実施形態では、分配シャワーヘッド506の位置を台座508に対して調節して、基板512と分配シャワーヘッド506との間の容積を変化させてもよい。さらに、台座508および/または分配シャワーヘッド506の垂直位置を、本開示の範囲内の任意の適切な機構によって変化させてもよいことが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、台座508は、基板512の向きを回転させるための回転軸を含んでもよい。いくつかの実施形態において、これらの調節例のうちの1つまたは複数を、1つまたは複数の適切なコンピュータコントローラ550によってプログラム的に実施してもよいことが理解されるだろう。
【0146】
いくつかの実施形態では、コントローラ550への命令は、入力/出力制御(IOC)シーケンス命令を通じて提供されてもよい。一例では、プロセス段階の条件を設定するための命令は、プロセスレシピの対応するレシピ段階に含まれてもよい。いくつかのケースでは、プロセスレシピ段階を連続して配置して、プロセス段階のためのすべての命令がそのプロセス段階と同時に実行されるようにしてもよい。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のリアクタパラメータを設定するための命令がレシピ段階に含まれてもよい。例えば、第1のレシピ段階は、不活性ガスおよび/またはNH3および/または窒素反応剤ガスの流量を設定するための命令と、キャリアガス(アルゴン等)の流量を設定するための命令と、プラズマを点火するための命令と、第1のレシピ段階のための時間遅延命令とを含んでもよい。第2のレシピ段階は、不活性ガスおよび/または金属ハロゲン化物あるいは金属オキシハロゲン化物前駆体ガスの流量を設定するための命令と、キャリアガス(アルゴン等)の流量を設定するための命令と、第2のレシピ段階のための時間遅延命令とを含んでもよい。続く第3のレシピ段階は、不活性ガスおよび/または反応剤ガスの流量を調整または停止するための命令と、キャリアガスまたはパージガスの流量を調整するための命令と、第3のレシピ段階のための時間遅延命令とを含んでもよい。第4のレシピ段階は、還元剤ガスの流量を調整するための命令と、キャリアガスまたはパージガスの流量を調整するための命令と、第4のレシピ段階のための時間遅延命令とを含んでもよい。続く第5のレシピ段階は、不活性ガスおよび/または第2の金属ハロゲン化物または金属オキシハロゲン化物反応剤ガスの流量を調整または停止するための命令と、キャリアガスまたはパージガスの流量を調整するための命令と、第5のレシピ段階のための時間遅延命令とを含んでもよい。これらのレシピ段階は、開示された実施形態の範囲内の任意の適切な方法においてさらに細分化および/または反復されてもよいことが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、コントローラ550は、後述する図8のシステムコントローラ829に関する特徴のいずれかを含んでもよい。
【0147】
図6は、特定の開示された実施形態を実施するのに適した装置の単一ステーションのガス源およびライン構成の線図を示す概略図である。1つのステーションのみが示されているが、装置は、基板を処理するための同一の、類似した、または異なるこれらのモジュールのうちの1つまたは複数を含んでもよいことが理解されるであろう。単一のステーションチャンバは、チャンバごとに一度に1枚の基板のみを処理するための単一のステーションとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、単一のステーションは、4つのステーション等の2つ以上のステーションを有するマルチステーションチャンバ内のステーションである。単一のステーションが図示されているが、いくつかの実施形態では複数のステーションが使用されてもよく、この場合ガス源は特定のガスを一部のステーションには入れ、他のステーションに入れないように構成される。
【0148】
図6に示されたステーションでは、プロセスチャンバ602は、シャワーヘッド606および、基板612を保持するための可動台座608を含む。プロセスチャンバ602の圧力制御をバタフライ弁618によって提供してプロセスを真空下に維持してもよい。シャワーヘッド606と可動台座608との間に生成される微小容積部分607は、可動台座608を垂直に移動させてシャワーヘッド606と可動台座608との間の空間を狭めたり広げたりすることによって調整されてもよく、これによって微小容積部分607内の様々なガスの分圧を変化させてもよい。
【0149】
シャワーヘッド606は、2つの矢印で示されているようにデュアルプレナムシャワーヘッドであってもよく、2つの矢印は、ガス流が異なるラインを使用してシャワーヘッドに入り、また異なるラインを使用してシャワーヘッドから出てもよいことを示し、これは、ライン内でガスが互いに相互作用する可能性を低減するために実施されてもよい。すなわち、いくつかの実施形態では、同じラインに導入されるように選択されたガスは、互いに相互作用せず、したがって基板612上の欠陥の形成に寄与し得る過剰な副生成物または堆積材料がライン内に形成されないように選択されてもよい。いくつかの実施形態では、シャワーヘッド606が加熱されてもよい。いくつかの実施形態では、シャワーヘッド606は、加熱されるとともにデュアルプレナムシャワーヘッドでもある。
【0150】
シャワーヘッド606の上流にあるのは、シャワーヘッドにガスを送る前にガスを集めるために使用され得るマニホールド686である。いくつかの実施形態では、マニホールドは、異なるラインからのガスが互いに相互作用しないが、シャワーヘッド606に個別に送られるとともに上流および下流弁(不図示)を用いて制御できるように構成される。シャワーヘッド606は、シングルプレナムまたはマルチプレナムのシャワーヘッドであってもよい。マルチプレナムシャワーヘッドは、デュアルプレナムシャワーヘッドまたはトリプルプレナムシャワーヘッドであってもよい。デュアルプレナムシャワーヘッドでは、一方のプレナムでWおよび/またはフッ素含有ガス、Mo含有前駆体、および水素を流し、2つ目のプレナムでホウ素含有ガス、水素、NH3、およびアルゴンを流し得る。このような実施形態を、MoまたはW含有前駆体とNH3およびホウ素含有ガスとの上流での反応を回避するために用いてもよい。マニホールド686は、高圧ガスを微小容積部分607に送るために弁が解放される前に高圧容量のガスを蓄積できるように、シャワーヘッド606との距離が近くなるように構成されてもよい。
【0151】
図6に示す構成には複数のガス源が含まれ、この例の目的では特定のガスに関連するものとして言及される。しかし、ガス源は、特定の開示された実施形態を実施するための前駆体または反応剤として使用される任意の適切なガスを含んでもよく、構成は、一方のラインへのガスの送出が、他方のラインに送られるガス源と混合される場合およびその逆の場合よりも、互いに相互作用するか、または膜の堆積を引き起こす可能性が低くなるように選択されてもよいことが理解されるであろう。また、3つのガス源が単一のラインに送られるように図示され、2つの別個のラインのみ示されているが、1つまたは複数のガス源が単一のラインに送られてもよく、2つ以上の別個のラインがシャワーヘッド606に導入される前にすべてマニホールド686に送られてもよいことが理解されるであろう。
【0152】
アルゴンガス源621a、WF6ガス源631a、およびMo含有前駆体ガス源641aは、天板684とは別個のガスボックス682に含まれる。アルゴンガス源621a、WF6ガス源631a、およびMo含有前駆体ガス源641aはそれぞれ、対応するラインを介してライン690に送られ、マニホールド686に送られる。
【0153】
また、ジボラン(B26)ガス源651a、NH3ガス源661a、およびアルゴンガス源671aもガスボックス682内に設けられる。B26ガス源651a、NH3ガス源661a、およびアルゴンガス源671aはそれぞれ、対応するラインを介してライン695に送られ、マニホールド686に送られる。
【0154】
アルゴンガス源621aからのアルゴンの流れは、シャワーヘッド606に送られる前にアルゴンがアルゴンチャージ容積部621bに蓄積されるように、アルゴンチャージ容積部621bに送られる前にアルゴン制御弁620aによって制御される。すなわち、ガスボックス682はプロセスチャンバ602から物理的に遠くにあってもよいが、シャワーヘッド606により近いアルゴンチャージ容積部621bを有し、アルゴンチャージ容積部621bからのアルゴンの流れを制御するためのアルゴン出口弁620bを有することで、シャワーヘッド606に送ることが可能なアルゴンをより上手く制御し、圧力を上昇させることができるため、基板612に送ることができる。
【0155】
同様に、WF6ガス源631aからのWF6の流れは、シャワーヘッド606に送られる前にタングステンがWF6チャージ容積部631bに蓄積されるように、WF6チャージ容積部631bに送られる前にWF6制御弁630aによって制御される。すなわち、ガスボックス682はプロセスチャンバ602から物理的に遠くにあってもよいが、シャワーヘッド606により近いWF6チャージ容積部631bを有し、WF6チャージ容積部631bからのWF6の流れを制御するためのWF6出口弁630bを有することで、シャワーヘッド606に送ることが可能なWF6をより上手く制御し、圧力を上昇させることができるため、基板612に送ることができる。
【0156】
Mo含有前駆体ガス源641aからのMo含有前駆体の流れは、送出前にMo含有前駆体制御弁640aによって制御される。いくつかの実施形態では、Mo含有前駆体は、プロセスチャンバ602に送られる前に生成されたプラズマを通過可能である。いくつかの実施形態では、Mo含有前駆体は遠隔の供給源から送られる。Mo含有前駆体がラインを通ってシャワーヘッドに向かって流れた後の流れを制御するためにモリブデン含有前駆体出口弁640bを使用して、シャワーヘッド606に導入されるMo含有前駆体の流れを調整し圧力を上昇させてもよい。
【0157】
アルゴンガス、WF6、およびMo含有前駆体の流れは、ライン690を介してマニホールド686に蓄積され、ここで、ライン695を介して送られるガスとは別にシャワーヘッド606に送られて、ライン内でタングステンを形成する可能性がある、例えば、WF6とB26との間の相互作用を防止してもよい。
【0158】
26ガス源651aからのB26の流れは、B26がシャワーヘッド606に送られる前にB26チャージ容積部651bに蓄積されるように、B26チャージ容積部651bへのB26の送出の前にB26制御弁650aによって制御される。ガスボックス682は、プロセスチャンバ602からマニホールド686よりも物理的に遠くにあってもよいが、シャワーヘッド606により近いB26チャージ容積部651bを有し、B26チャージ容積部651bからのB26の流れを制御するためのB26出口弁650bを有することで、マニホールド686を介してシャワーヘッド606に送ることが可能なB26をより上手く制御し、圧力を上昇させることができる。
【0159】
NH3ガス源661aからのNH3の流れは、NH3をシャワーヘッド606への送出の前にNH3チャージ容積部661bに蓄積できるように、NH3チャージ容積部661bへのNH3の供給の前にNH3制御弁660aによって制御される。ガスボックス682はプロセスチャンバ602からマニホールド686よりも物理的に遠くにあってもよいが、シャワーヘッド606により近いNH3チャージ容積部661bを有し、NH3チャージ容積部661bからのNH3の流れを制御するためのNH3出口弁660bを有することで、マニホールド686を介してシャワーヘッド606に送ることが可能なNH3をより上手く制御し、圧力を上昇させることができる。
【0160】
アルゴンガス源671aからのアルゴンの流れは、シャワーヘッド606に送られる前にアルゴンがアルゴンチャージ容積部671bに蓄積されるように、アルゴンチャージ容積部671bに送られる前にアルゴン制御弁670aによって制御される。すなわち、ガスボックス682はプロセスチャンバ602から物理的に遠くにあってもよいが、シャワーヘッド606により近いアルゴンチャージ容積部671bを有し、アルゴンチャージ容積部671bからのアルゴンの流れを制御するためのアルゴン出口弁670bを有することで、シャワーヘッド606に送ることが可能なアルゴンをより上手く制御し、圧力を上昇させることができるため、基板612に送ることができる。
【0161】
ガスがチャージ容積部内でいったん蓄積され加圧され、出口弁を介して制御可能になると、マニホールド686へのガスの流れは増加し得、これにより微小容積部分607に導入されるガスの体積と圧力が増加する。このような実施形態は、3次元NAND構造を形成するための基板処理に特に適し得る。
【0162】
本明細書に開示された装置は、基板を真空下に保つために、約760Torr未満または約600Torr未満等、低大気圧に設定されてもよい。300mmウエハの場合、一部のガスの分圧が最大で約1500Torrで基板に送られ得る。
【0163】
チャージ容積部、ライン、およびマニホールド構成と組み合わせた可動台座により、約1Torr未満から約90Torr超の分圧を有する微小容積部分へのガスの導入を一括して引き起こすことが可能である。例えば、分圧は、希釈流を有する3Torrのチャンバでは1Torr未満の間であってよく、または純粋流(キャリアガスなし)を有する90Torrのチャンバでは90Torrを超えてよい。
【0164】
図7Aは、特定の開示された実施形態を実施するのに適した装置の単一ステーションのガス源およびライン構成の線図の概略図である。本明細書の図面において使用されている「CV」は、チャージ容積部を指す。1つのステーションのみが示されているが、装置は、基板を処理するための同一の、類似した、または異なるこれらのモジュールのうちの1つまたは複数を含んでもよいことが理解されるであろう。単一のステーションチャンバは、チャンバごとに一度に1枚の基板のみを処理するための単一のステーションとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、単一のステーションは、4つのステーション等の2つ以上のステーションを有するマルチステーションチャンバ内のステーションである。単一のステーションが図示されているが、いくつかの実施形態では複数のステーションが使用されてもよく、この場合ガス源は特定のガスを一部のステーションには入れ、他のステーションに入れないように構成される。
【0165】
図7Aに示されたステーションでは、プロセスチャンバ702は、シャワーヘッド706および、基板712を保持するための可動台座708を含む。プロセスチャンバ702の圧力制御をバタフライ弁718によって提供してプロセスを真空下に維持してもよい。シャワーヘッド706と可動台座708との間に生成される微小容積部分707は、可動台座708を垂直に移動させてシャワーヘッド706と可動台座708との間の空間を狭めたり広げたりすることによって調整されてもよく、これによって微小容積部分707内の様々なガスの分圧を変化させてもよい。
【0166】
シャワーヘッド706は、2つの矢印で示されているようにデュアルプレナムシャワーヘッドであってもよく、2つの矢印は、ガス流が異なるラインを使用してシャワーヘッドに入り、また異なるラインを使用してシャワーヘッドから出てもよいことを示し、これは、ライン内でガスが互いに相互作用する可能性を低減するために実施されてもよい。すなわち、いくつかの実施形態では、同じラインに導入されるように選択されたガスは、互いに相互作用せず、したがって基板712上の欠陥の形成に寄与し得る過剰な副生成物または堆積材料がライン内に形成されないように選択されてもよい。いくつかの実施形態では、シャワーヘッド706が加熱されてもよい。いくつかの実施形態では、シャワーヘッド706は、加熱されるとともにデュアルプレナムシャワーヘッドでもある。
【0167】
シャワーヘッド706の上流にあるのは、シャワーヘッドにガスを送る前にガスを集めるために使用され得るマニホールド786である。いくつかの実施形態では、マニホールドは、異なるラインからのガスが互いに相互作用しないが、シャワーヘッド706に個別に送られるとともに上流および下流弁(不図示)を用いて制御できるように構成される。シャワーヘッド706は、シングルプレナムまたはマルチプレナムのシャワーヘッドであってもよい。マルチプレナムシャワーヘッドは、デュアルプレナムシャワーヘッドまたはトリプルプレナムシャワーヘッドであってもよい。デュアルプレナムシャワーヘッドは、一方のプレナムにおいてWおよび/またはフッ素含有ガス、Mo含有前駆体、および水素を流す一方、2つ目のプレナムを使用してホウ素含有ガス、水素、NH3、およびアルゴンを流す。このような実施形態を、MoまたはW含有前駆体とNH3およびホウ素含有ガスとの上流での反応を回避するために用いてもよい。マニホールド786は、高圧ガスを微小容積部分707に送るために弁が解放される前に高圧容量のガスを蓄積できるように、シャワーヘッド706との距離が近くなるように構成されてもよい。
【0168】
図7に示す構成には複数のガス源が含まれ、この例の目的では特定のガスに関連するものとして言及される。しかし、ガス源は、特定の開示された実施形態を実施するための前駆体または反応剤として使用される任意の適切なガスを含んでもよく、構成は、一方のラインへのガスの送出が、他方のラインに送られるガス源と混合される場合およびその逆の場合よりも、互いに相互作用するか、または膜の堆積を引き起こす可能性が低くなるように選択されてもよいことが理解されるであろう。また、3つのガス源が単一のラインに送られるように図示され、2つの別個のラインのみ示されているが、1つまたは複数のガス源が単一のラインに送られてもよく、2つ以上の別個のラインがシャワーヘッド706に導入される前にすべてマニホールド786に送られてもよいことが理解されるであろう。
【0169】
アルゴンガス源および任意選択で水素ガス源がガスボックス782aに含まれる。アルゴンガス源および任意選択で水素ガス源が、対応するラインを経由してマニホールド786にアルゴンガスと任意選択で水素をそれぞれ送る。
【0170】
モリブデン前駆体ガス源はガスボックス782bに含まれる。Mo含有前駆体ガスは、対応するラインを経由して送られてマニホールド786に送られる。
【0171】
アンモニアおよびアルゴンのガス源は、ガスボックス782aおよび782bとは別個のガスボックス782cに含まれる。アンモニアとアルゴンは、これらのガス源から対応するラインを経由して流されてマニホールド786に送られる。
【0172】
いくつかの実施形態では、図7Bに示すようにチャンバパージ天板を使用することにより、アルゴンガス源を使用してもよい。
【0173】
アルゴンガス、または任意選択で水素、Mo含有前駆体、およびNH3の流れは、ライン内でMoを形成する可能性がある、例えばMo含有前駆体と水素との相互作用を低減するために隔てられる。
【0174】
ガスがチャージ容積部内でいったん蓄積され加圧され、出口弁を介して制御可能になると、マニホールド786へのガスの流れは増加し得、これにより微小容積部分707に導入されるガスの体積と圧力が増加する。このような実施形態は、3次元NAND構造を形成するための基板処理に特に適し得る。
【0175】
本明細書に開示された装置は、基板を真空下に保つために、約760Torr未満または約600Torr未満等、低大気圧に設定されてもよい。300mmウエハの場合、一部のガスの分圧が最大で約1500Torrで基板に送られ得る。
【0176】
チャージ容積部、ライン、およびマニホールド構成と組み合わせた可動台座により、約1Torr未満から約90Torr超の分圧を有する微小容積部分へのガスの導入を一括して引き起こすことが可能である。例えば、分圧は、希釈流を有する3Torrのチャンバでは1Torr未満の間であってよく、または純粋流(キャリアガスなし)を有する90Torrのチャンバでは90Torrを超えてよい。
【0177】
図7Cは、特定の開示された実施形態を実施するのに適した装置の単一ステーションのガス源およびライン構成の線図の例示的な概略図である。「Stn2」、「Stn3」、および「Stn4」は、図5のプロセスチャンバ本体502、図6のプロセスチャンバ602、および図7Aのプロセスチャンバ702等のステーションで有り得るステーションを指す。ガスボックス792aはアルゴンおよび水素のガス源を含み、ガスボックス792bはMo含有ガス源を含み、これらはそれぞれ対応するステーションの異なるチャージ容積部とマニホールドに送られ、異なるプロセス条件下でそれぞれ設定された異なるステーションの異なる操作の実施を可能にする。
【0178】
上述したようなハードウェアは、MoOxy等の核生成層および/または元素Moの主導体層の堆積の前に、ホウ素、フッ素、タングステン含有種、および他の非モリブデン成分元素源に対するメモリデバイスのワード線誘電体表面の加工を実現するために使用可能である。これらの例示的なチャンバおよびシステムは、B26、水素、およびアルゴンをALDまたはCVDモードで半導体基板に送るために使用可能である。いくつかの実施形態では、ALDモードで半導体ウエハにB26、水素、アルゴン、窒素、およびそれらの組み合わせを有するガス混合物のパルスを送るために、ガスチャージ容積部(1つまたは複数)が使用される。これにより、ウエハ表面をB26、水素、および窒素に曝してもよく、ウエハ表面に水素化ホウ素(BHx)が吸着し得る。吸着したBHxは、基板内に直接拡散することも、さらに反応することもできる。
【0179】
様々な実施形態では、上述したようなハードウェアを使用して、ALDまたはCVDモードでWF6-アルゴン(WF6-Ar)を半導体基板に送ることができる。いくつかの実施形態では、ガスチャージ容積部(1つまたは複数)を使用してALDモード(WおよびF曝露)で半導体ウエハにWF6-Arガス混合物のパルスを送る。六フッ化タングステンの曝露により、フッ化タングステン(WFx)がウエハ表面へ吸着し得る。吸着したWFxは、直接基板に拡散することも、さらに反応することもできる。
【0180】
様々な実施形態において、ハードウェアは、(B26-H2-Ar-N2)ガス混合物の1つまたは複数のALDパルスを、(WF6-Ar)のパルスと交互に送るように構成される。いくつかの実施形態では、これはW金属、ホウ化タングステン(WBx)、WFx次フッ化物および吸着F、HF、ならびに吸着水素の形成をもたらすことが可能なH2、B26、またはBHxとのWF6反応を引き起こす。B26/H2とのWF6反応の後、W金属、WBx、WFx、F、およびHFが半導体表面で使用可能であり、基板内に拡散可能である。
【0181】
上述したように、本明細書ではマルチステーションチャンバについて記載しているが、特定の開示された実施形態はシングルチャンバ装置において実現可能である。例えば、シングルチャンバ装置では、ガス送出ハードウェアを使用して、半導体表面をWF6/ArおよびB26/H2/NH3のパルスに、ウエハの上方のシャワーヘッドに供給する独立したWF6-Arガスチャージ容積部、B26/H2/N2/Arガスチャージ容積部、およびNH3/H2/Arガスチャージ容積部を通じて曝すことが可能である。様々な実施形態では、シングルプレナムシャワーヘッドが使用される。様々な実施形態では、デュアルプレナムシャワーヘッドが使用される。例えば、デュアルプレナムシャワーヘッドは、一方のプレナムにWF6/Ar+MoOxCly+H2を含み、他方のプレナムにB26/H2/NH3/Arを含んでよく、MoまたはW前駆体とNH3およびB26との上流での反応を回避するために使用されてもよい。様々な実施形態では、ガスチャージ容積部は、連続トリクルパージ清掃制御弁出口とともに使用可能である。
【0182】
様々な実施形態において、WF6/Ar、B26/H2/Ar/N2、およびNH3/H2/Arガス送出ハードウェアは、シングルウエハまたはマルチステーション体積チャンバにおいて使用可能である。様々な実施形態において、WF6/Ar、B26/H2/Ar/N2、およびNH3/H2/Arガス送出ハードウェアは、マルチステーション堆積チャンバ内の第1の堆積ステーションにおいて使用可能である。
【0183】
開示された様々な実施形態は、マルチチャンバ装置において実現されてもよい。例えば、1つまたは複数のチャンバを、半導体基板上でW-F-B曝露を引き起こすように構成可能である。1つまたは複数のチャンバは、半導体基板上に核生成層、MoOxy、またはMoOxy堆積を引き起こすように構成されてもよい。1つまたは複数のチャンバは、半導体基板上に金属Mo堆積を引き起こすように構成されてもよい。1つまたは複数のチャンバは、MoOxyおよび金属Moの堆積を引き起こすように構成されてもよい。
【0184】
図8は、本明細書に記載の実施形態に従って堆積プロセスを実行するのに適した処理システムのブロック図である。システム800は搬送モジュール803を含む。搬送モジュール803は、クリーンな加圧環境を提供し、様々なリアクタモジュール間を移動する際に処理される基板の汚染のリスクを最小限にする。搬送モジュール803に搭載されているのは、本明細書で説明するALD堆積を実施可能なマルチステーションリアクタ809である。マルチステーションリアクタ809は、これらの操作を順次実施する複数のステーション811、813、815、および817を含んでもよい。例えば、マルチステーションリアクタ809は、ステーション811および813が核生成層堆積を実施し、ステーション813および815がバルク層堆積を実施するように構成され得る。各堆積ステーションは、加熱されたウエハ台座およびシャワーヘッド、分散プレート、または他のガス入口を含んでもよい。
【0185】
また、搬送モジュール803には、プラズマまたは化学(非プラズマ)前洗浄を実施可能な1つまたは複数のシングルまたはマルチステーションモジュール807が搭載されてもよい。このモジュールを、例えば還元剤のソーク等、他の様々な加工に使用してもよい。システム800はまた、処理の前後にウエハが保管される1つまたは複数(この場合は2つ)のウエハソースモジュール801を含む。大気搬送チャンバ819内の大気ロボット(不図示)が、まずウエハをソースモジュール801からロードロック821に取り出す。搬送モジュール803内のウエハ搬送装置(通常はロボットアームユニット)が、ロードロック821から搬送モジュール803に搭載されたモジュール間へウエハを移動させる。
【0186】
いくつかの実施形態では、高温シャワーヘッドが採用される。
【0187】
これにより、デュアルではなくシングルプレナムのシャワーヘッドを使用可能になる。シャワーヘッド内部の接液面を150℃超または200℃に維持することにより、NH3と金属オキシ塩化物または金属塩化物前駆体を、塩化アンモニウム(NH4Cl)を凝縮させることなく、シングルプレナムシャワーヘッドにおいて使用できる。あるいは、NH3が一方のプレナムから送られ、金属塩化物またはオキシ塩化物前駆体が他方のプレナムから送られ得るデュアルプレナムシャワーヘッドを使用してもよい。
【0188】
上述したように、いくつかの実施形態では、金属(窒化物)核生成と純金属の両方を単一のプロセスチャンバ内で堆積させることにより、H2、金属(オキシ塩化物)、およびそれらの副生成物(HCl、OClx、金属-Clx等)との高温反応によって、堆積した金属+Ox+NHx+Clx核生成膜を純金属に変換することが容易になる。これは、上記のように、マルチステーションリアクタにおいて、最初の堆積ステーションで低温、後続の堆積ステーションで低温またはより高い温度で行ってもよい。いくつかの実施形態では、マルチステーション堆積リアクタ内の各堆積ステーションは、台座上昇プロセス位置において、2つのアセンブリがウエハ上方に小さなプロセス容積部を形成し、プロセス容積部をメインチャンバから隔離するための非常に狭いギャップを形成するように、シャワーヘッドと台座を成形することによって、互いに隔離可能である。プロセス容積部の縁の狭いギャップを不活性ガスパージバリアで増強して、メインチャンバからプロセス容積部へのガスの拡散を困難にすることが可能である。プロセス容積部の縁の狭いギャップに、プロセスガスがメインチャンバに入るのを防ぐための局所的なポンピングプレナムを取り込むことができる。これにより、メインチャンバ内での堆積または粒子発生のリスクを排除できる。狭い縁ギャップは、それ自体でメインチャンバからのガスがウエハ処理容積部内に拡散して戻るリスクを排除できるため、ステーション間のクロストークがなくなる。
【0189】
上述のように、特定の実施形態では、システムは2つの異なる堆積チャンバを含む。例えば、図8を参照すると、2つの堆積チャンバが搬送モジュール803に搭載されてもよい。このような実施形態では、各堆積チャンバがシングルまたはマルチステーションチャンバであってもよい。さらに、共通の真空下にない2つの堆積チャンバを採用してもよい。
【0190】
特定の実施形態では、堆積中のプロセス条件を制御するために、システムコントローラ829が採用される。コントローラは、典型的には、1つまたは複数のメモリデバイスと1つまたは複数のプロセッサを含むことになる。プロセッサは、中央処理装置(CPU)またはコンピュータ、アナログおよび/またはデジタル入力/出力接続部、ステッパモータコントローラボード等を含んでもよい。
【0191】
コントローラは、堆積装置のすべての活動を制御してもよい。システムコントローラは、タイミング、ガスの混合、チャンバ圧力、チャンバ温度、ウエハ温度、無線周波数(RF)電力レベル(使用する場合)、ウエハチャックまたは台座位置、および特定のプロセスの他のパラメータを制御するための命令のセットを含むシステム制御ソフトウェアを実行する。コントローラに関連付けられたメモリデバイスに格納された他のコンピュータプログラムをいくつかの実施形態で採用してもよい。
【0192】
典型的には、コントローラに関連付けられたユーザインターフェイスが存在することになる。ユーザインターフェイスは、ディスプレイスクリーン、装置および/またはプロセス条件のグラフィックソフトウェアディスプレイ、ならびにポインティングデバイス、キーボード、タッチスクリーン、マイク等のユーザ入力デバイスを含んでもよい。
【0193】
システム制御ロジックは、任意の適切な方法で構成してよい。一般的に、ロジックはハードウェアおよび/またはソフトウェアにおいて設計または構成できる。駆動回路を制御するための命令は、ハードコードされていても、ソフトウェアとして提供されてもよい。命令は「プログラミング」によって提供されてもよい。このようなプログラミングは、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路、および特定のアルゴリズムがハードウェアとして実装されたその他のデバイスにおいてハードコードされたロジックを含む、任意の形式のロジックを含むものと理解される。また、プログラミングは、汎用プロセッサ上で実行され得るソフトウェアまたはファームウェア命令を含むものと理解される。システム制御ソフトウェアは、任意の適切なコンピュータ可読プログラミング言語でコード化されてもよい。あるいは、制御ロジックはコントローラにハードコードされてもよい。これらの目的のために、特定用途向け集積回路、プログラマブルロジックデバイス(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ、またはFPGA)等が使用されてもよい。以下の議論において、「ソフトウェア」または「コード」が使用される場合、機能的に比較可能なハードコードされたロジックがその代わりに使用されてもよい。
【0194】
プロセスシーケンスにおける堆積および他のプロセスを制御するためのコンピュータプログラムコードは、任意の従来のコンピュータ可読プログラミング言語、例えば、アセンブリ言語、C、C++、Pascal、Fortran等で記述可能である。コンパイルされたオブジェクトコードまたはスクリプトは、プロセッサによって実行され、プログラム内で特定されたタスクを実行する。
【0195】
コントローラパラメータは、例えば、プロセスガス組成および流量、温度、圧力、冷却ガス圧、ならびにチャンバ壁面温度等のプロセス条件に関する。これらのパラメータはレシピの形でユーザに提供され、ユーザインターフェイスを利用して入力されてもよい。
【0196】
プロセスを監視するための信号が、システムコントローラのアナログおよび/またはデジタル入力接続部によって提供されてもよい。プロセスを制御するための信号は、堆積装置のアナログおよびデジタル出力接続部に出力される。
【0197】
システムソフトウェアは、様々な方法で設計または構成されてもよい。例えば、様々なチャンバ構成要素サブルーチンまたは制御オブジェクトを記述して、本明細書に記載の堆積プロセスを実行するのに必要なチャンバ構成要素の動作を制御してもよい。この目的のためのプログラムまたはプログラムの一部の例として、基板位置決めコード、プロセスガス制御コード、圧力制御コード、およびヒータ制御コードが挙げられる。
【0198】
いくつかの実装形態では、コントローラ829は、上述の例の一部であってもよいシステムの一部である。このようなシステムは、1つもしくは複数の処理ツール、1つもしくは複数のチャンバ、1つもしくは複数の処理用プラットフォーム、および/または特定の処理部品(ウエハ台座、ガスフローシステム等)等の半導体処理機器を含み得る。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および処理後のシステムの操作を制御するための電子機器と一体化されていてもよい。この電子機器を、1つまたは複数のシステムの各種部品または副部品を制御し得る「コントローラ」と呼んでもよい。コントローラ829は、処理要件および/またはシステムの種類に応じて、本明細書に開示された、処理ガスの送出、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、一部のシステムにおける無線周波数(RF)ジェネレータの設定、RF整合回路の設定、周波数設定、流量設定、流体送出設定、位置および操作設定、ツールへのウエハの搬入出、ならびに、特定のシステムに接続またはインターフェース接続する他の搬送ツールおよび/またはロードロックへのウエハの搬入出等のいずれかのプロセスを制御するようにプログラムされていてもよい。
【0199】
大まかに言えば、コントローラは、例えば、命令を受信し、命令を出し、操作を制御し、清掃動作を可能とし、エンドポイント計測を可能にする各種集積回路、ロジック、メモリ、および/またはソフトウェアを有する電子機器として定義されてよい。集積回路は、プログラム命令を格納するファームウェアの形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されたチップ、および/またはプログラム命令を実行する1つもしくは複数のマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラ(例えばソフトウェア)を含んでよい。プログラム命令は、様々な個別設定(またはプログラムファイル)の形でコントローラに伝達される命令であって、半導体ウエハ上もしくは半導体ウエハ用に、またはシステムに対して特定のプロセスを実行する操作パラメータを定めるものであってよい。操作パラメータは、いくつかの実施形態において、1つまたは複数の層、材料、金属、酸化物、ケイ素、二酸化ケイ素、面、回路、および/またはウエハ型の製造の際の1つまたは複数の処理工程を達成するためにプロセスエンジニアによって定められるレシピの一部であってよい。
【0200】
コントローラ829は、いくつかの実装形態において、システムに統合されているか、結合されているか、そうでなければシステムにネットワーク接続されているか、それらの組み合わせであるコンピュータの一部であるか、コンピュータに結合されていてもよい。例えば、コントローラ829は、「クラウド」内、または、ウエハ処理のリモートアクセスを可能とする製造工場のホストコンピュータシステムのすべてもしくは一部であってもよい。このコンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能とすることで、製造操作の現在の進行を監視し、過去の製造操作の履歴を検証し、複数の製造操作からトレンドまたはパフォーマンスメトリクスを検証することで、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に続く処理工程を設定し、または新しいプロセスを開始できる。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えばサーバ)が、ローカルネットワークやインターネットを含み得るネットワークを通じてシステムにプロセスレシピを提供できる。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定の入力またはプログラミングを可能とするユーザインターフェイスを含んでもよく、パラメータおよび/または設定は次にリモートコンピュータからシステムに伝達される。いくつかの例では、コントローラは、1つまたは複数の操作中に行われる各処理工程のパラメータを定めたデータの形式で命令を受信する。なお、このパラメータは行われるプロセスの種類や、コントローラがインターフェース接続または制御するように構成されているツールの種類に特有のものであってもよいことを理解されたい。したがって、上述の通り、コントローラは、互いにネットワーク接続されて、本明細書に記載のプロセスや制御等の共通の目的に向かって働く1つまたは複数の別個のコントローラを含めること等により、分配されてもよい。そのような目的のために分配されたコントローラの例としては、チャンバ上のプロセスを制御するために組み合わされて、リモート配置(例えばプラットフォームレベルで、またはリモートコンピュータの一部として)された1つまたは複数の集積回路と通信する、チャンバ上の1つまたは複数の集積回路が挙げられる。
【0201】
限定されないが、例示的なシステムは、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、堆積チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属めっきチャンバまたはモジュール、クリーンチャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理気相堆積(PVD)チャンバまたはモジュール、CVDチャンバまたはモジュール、ALDチャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、トラックチャンバまたはモジュール、および半導体ウエハの製造および/または生産に関連付けられるかまたは使用され得る他の任意の半導体処理システムを含んでもよい。
【0202】
上述のように、ツールによって実施される1つまたは複数のプロセス工程に応じて、コントローラは、他のツール回路またはモジュール、他のツール部品、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接ツール、近隣ツール、工場全体に配置されたツール、メインコンピュータ、他のコントローラ、またはウエハのコンテナをツール位置および/または半導体生産工場内のロードポート内外に運ぶ材料移送に使用されるツールのうちの1つまたは複数と通信してもよい。
【0203】
コントローラ829は、様々なプログラムを含んでもよい。基板位置決めプログラムは、基板を台座またはチャック上に搭載させ、基板とガス入口および/または対象物等の他のチャンバ部品との間の間隔を制御するために用いられるチャンバ部品制御用のプログラムコードを含んでもよい。プロセスガス制御プログラムは、ガス組成および流量を制御するための、また任意選択で、チャンバ内の圧力を安定させるため堆積前にチャンバ内にガスを流すための、コードを含んでもよい。圧力制御プログラムは、例えばチャンバの排気システムのスロットル弁を調節することによってチャンバ内の圧力を制御するためのコードを含んでもよい。ヒータ制御プログラムは、基板を加熱するために使用される加熱ユニットへの電流を制御するためのコードを含んでもよい。あるいは、ヒータ制御プログラムは、ウエハチャックへのヘリウム等の熱伝達ガスの送出を制御してもよい。
【0204】
堆積中に監視され得るチャンバセンサの例としては、台座またはチャック内に設置されたマスフローコントローラ、圧力センサ(圧力計等)、および熱電対等が挙げられる。適切にプログラムされたフィードバックおよび制御アルゴリズムをこれらのセンサからのデータとともに使用して、所望のプロセス条件を維持してもよい。
【0205】
以上は、シングルまたはマルチチャンバの半導体処理ツールにおける本開示の実施形態の実装についての説明である。
【0206】
以上は、シングルまたはマルチチャンバの半導体処理ツールにおける開示された実施形態の実装についての説明である。本明細書に記載された装置およびプロセスは、例えば、半導体デバイス、ディスプレイ、LED、光起電パネル等の製造または生産のために、リソグラフィパターニングツールまたはプロセスと組み合わせて使用してもよい。典型的には、と言っても必ずしもとは限らないが、このような装置/プロセスは、共通の製造設備で一緒に使用されたり、実施されたりする。膜のリソグラフィーパターニングは、典型的には、以下のいくつかの工程、またはすべての工程を含み、各工程はいくつかの可能なツールを備える:(1)スピン・オンまたはスプレー・オンツールを用いた、ワークピース(すなわち、基板)上へのフォトレジストの塗布;(2)ホットプレート、または炉、またはUV硬化ツールを用いたフォトレジストの硬化;(3)ウエハステッパ等のツールを用いた可視光、または紫外線、またはX線へのフォトレジストの露光;(4)レジストを選択的に除去するように成長させることによる、ウェットベンチ等のツールを用いたレジストのパターニング;(5)ドライエッチングツールまたはプラズマアシストエッチングツールを用いた、レジストパターンの下層の膜またはワークピースへの転写;および(6)RFまたはマイクロ波プラズマレジストストリッパ等のツールを用いたレジストの除去。
【0207】
上記の説明および特許請求の範囲において、数値範囲にはその範囲の端点が含まれる。例えば、「1から5nmの間の厚さ」には1nmと5nmが含まれる。同様に、ダッシュで表される範囲には、その範囲の端点が含まれる。
実験
【0208】
異なるMoおよびMoOxyスタックを有する3つの異なる基板の原子組成を評価した。図9は、MoOxyと誘電体層との間のMo-酸化物界面における評価の結果を示す。910、920、930のそれぞれにおいて、縦の点線は左側のMoOxy核生成層と右側の誘電体酸化物との間の界面の接近を示す。
【0209】
910では、酸素含有Mo前駆体と還元した水素の投与により、主導体層MoをMoOxy核生成層上に堆積させた。その結果、Mo-酸化物界面の酸素含有量が低くなった。
【0210】
920では、酸素含有Mo前駆体と、さらに還元した(910より13%少ない)水素の投与により、主導体層MoをMoOxy核生成層上に堆積した。矢印922は、界面における酸化物の含有量が910よりも多いことを示す。
【0211】
930では、酸素含有Mo前駆体と、さらに還元した(910より26%少ない)水素の投与により、主導体層MoをMoOxy核生成層上に堆積した。矢印931は、主導体層Mo中の酸素含有量が910または920よりもさらに多いことを示す。同様に、矢印932も界面での塩素が多い(まだ少ない量ではあるが)ことを示す。
【0212】
これらの結果は、水素投与(例えば、流量および/または曝露持続時間)がMo酸化物界面における膜の組成に影響を与える可能性があることを示す。
結論
【0213】
前述の実施形態は、理解を明確にするためにある程度詳細に説明されているが、添付の請求項の範囲内で特定の変更および修正が実施され得ることは明らかであろう。本実施形態のプロセス、システム、および装置を実現する多くの代替方法が存在することに留意すべきである。したがって、本実施形態は例示であって制限的なものではないと考えられ、本実施形態は本明細書に示された詳細に限定されるものではない。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-08-04
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜堆積方法であって、
酸化物材料上部に形成されている基板を提供し、
前記酸化物材料上にライナー層および核形成層の少なくとも一方を形成し、
前記ライナー層または前記核形成層にモリブデン膜を形成するために、前記ライナー層または前記核形成層が上部に形成されている前記基板にモリブデン含有ガスおよび還元性ガスを供給すること、を備え、
前記ライナー層または前記核形成層を形成することは、六フッ化タングステン含有ガスおよびホウ素含有ガスから選択される少なくとも1つのガスに前記基板を曝す、膜堆積方法。
【請求項2】
請求項1に記載の膜堆積方法であって、
前記モリブデン膜は、第1のセットのプロセス条件を使用して第1の酸素含有モリブデン前駆体および第1の還元剤の交互のパルスに前記酸化物材料を曝すことにより、第1の原子層堆積(ALD)プロセスを使用して形成され
記モリブデンを堆積させるときに、非モリブデン含有量を増加させるように前記第1のセットのプロセス条件を調整すること
を備える、膜堆積方法。
【請求項3】
請求項1に記載の膜堆積方法であって、ソーク加工は、前記ライナー層および前記核形成層の前記少なくとも一方を形成する前に実施され、前記ソーク加工は、六フッ化タングステン含有ガスおよびホウ素含有ガスから選択される少なくとも1つのガスに前記基板を曝すことを含む、膜堆積方法。
【請求項4】
請求項1に記載の膜堆積方法であって、前記ライナー層および前記核形成層の前記少なくとも一方は、前記モリブデン膜を形成するために用いられる堆積温度よりも低い温度で堆積される、膜堆積方法。
【請求項5】
請求項1に記載の膜堆積方法であって、前記モリブデン膜は、第1の層および第2の層からなり、前記第1の層は、前記第2の層の温度よりも低い温度で堆積される、膜堆積方法。
【請求項6】
酸化物材料上に膜を堆積させる方法であって、
前記酸化物材料上にライナー層および核形成層の少なくとも一方を形成し、
前記ライナー層および前記核形成層の前記少なくとも一方にモリブデン膜を形成するために、前記ライナー層および前記核形成層の前記少なくとも一方が上部に形成されている基板にモリブデン含有ガスおよび還元性ガスを供給すること、を備え、
前記ライナー層および前記核形成層の前記少なくとも一方を形成することは、六フッ化タングステン含有ガスおよびホウ素含有ガスから選択される少なくとも1つのガスに前記ライナー層および前記核形成層の前記少なくとも一方を曝す、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記モリブデン膜は、第1のセットのプロセス条件を使用して第1の酸素含有モリブデン前駆体および第1の還元剤の交互のパルスに前記酸化物材料を曝すことにより、第1の原子層堆積(ALD)プロセスを使用して形成され、
前記モリブデン膜を堆積させるときに、非モリブデン含有量を増加させるように前記第1のセットのプロセス条件を調整することを備える、方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法であって、ソーク加工は、前記ライナー層を形成する前に実施され、前記ソーク加工は、六フッ化タングステン含有ガスおよびホウ素含有ガスから選択される少なくとも1つのガスに前記酸化物材料を曝すことを含む、方法。
【請求項9】
請求項6に記載の方法であって、前記ライナー層および前記核形成層の前記少なくとも一方は、前記モリブデン膜を形成するために用いられる堆積温度よりも低い堆積温度で堆積される、方法。
【請求項10】
請求項6に記載の方法であって、前記モリブデン膜は、第1の層および第2の層からなり、前記第1の層は、前記第2の層の温度よりも低い温度で堆積される、方法。
【請求項11】
請求項2または請求項7に記載の方法であって、前記第1のセットのプロセス条件は、前記第1のALDプロセス中に、少なくとも約1000sccmの流量の前記第1の還元剤を使用することを含む、方法。
【請求項12】
請求項2または請求項7に記載の方法であって、前記第1のセットのプロセス条件は、前記基板を前記第1のALDプロセスの1サイクルの間に前記第1の還元剤少なくとも1秒間導入することを含む、方法。
【請求項13】
請求項5または請求項10に記載の方法であって、前記第2の層は、第2の酸素含有モリブデン前駆体および第2の還元剤を使用し、第2のALDプロセスを使用して前記酸化物材料上に第2のセットのプロセス条件下で堆積される、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、前記第2のセットのプロセス条件は、前記第2のALDプロセスの間に窒素含有ガスの流れを増加させることを含む、方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法であって、前記第2の還元剤は、窒素含有ガス、水素、またはそれらの組み合わせである、方法。
【請求項16】
請求項1から10のいずれか一項に記載の方法であって、前記モリブデン膜は結晶性を有する、方法。
【請求項17】
請求項1から10のいずれか一項に記載の方法であって、前記モリブデン膜は、1(原子)%未満の不純物を含む、方法。
【請求項18】
請求項1から10のいずれか一項に記載の方法であって、前記モリブデン膜は、元素モリブデンである、方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
図1Aおよび図1Bは、金属成長のテンプレートとしての核生成層を含む材料スタックの概略例である。図1Aおよび図1Bは、特定のスタックにおける材料の順序を示し、図3A~3C図4に関して後述するように、任意の適切なアーキテクチャおよび用途とともに用いられ得る。図1Aの例では、スタック100は、シリコンまたは他の半導体ウエハ(例えば200mmウエハ、300mmウエハ、または450mmウエハ)であってもよい基板102を含み、その上に堆積された材料(誘電体、導電体、または半導電体材料等)の1つまたは複数の層を有するウエハを含む。本方法はまた、ガラスおよびプラスチック等の他の基板上にメタライゼーションスタック構造を形成するために適用されてもよい。いくつかの実施形態では、基板102はケイ素を含む。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
非モリブデン成分元素の不純物を、誘電体-金属界面における、またはその付近の核生成層108内に意図的に維持し、データ損失を引き起こす可能性がある誘電体からの酸化物拡散の機会を低減させることが可能である。したがって、様々な実施形態によれば、核生成層108は金属層110と同じ組成であってもよいし、同じ組成でなくてもよい。いくつかの実施形態では、核生成層108は、複数の層を含むか、または傾斜膜であるか、または各サイクルにおいて同じ前駆体および反応剤の流れを用いて少なくとも1つのALDサイクルを繰り返すことによって堆積された1つの層であり、金属層110を堆積させるとき、核生成層108は修正され、その結果、傾斜、複数の層、形態の変化、または核生成層の不純物組成の変化がもたらされる。いくつかの実施形態では、複数のの1つまたは複数が傾斜膜である。いくつかの実施形態では、核生成層108は非晶質性を特徴とし、金属層110は粒子境界がないことを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0068】
上記およびさらに下記で説明する材料スタックは、各種の構造において実装されてもよい。図2Aおよび図2Bは、スタックが採用され得る構造の例を示す。図2Aは、二次元NAND構造223のワード線210の概略例を示す。ワード線210は、基板200上にギャップ235を有する柱として酸化物層211によって隔てられている。図2Bは、Al23層204と核生成層208を含むワード線210と酸化物層211との間の界面の詳細を示す。いくつかの実施形態では、核生成層208は、酸化物層211上に直接堆積されてもよいし、本明細書に記載のAl 2 3 204または他のバリア層上に堆積されてもよい。核生成層は、例えば、厚さ約10nmから100nmの間、または厚さ約5nm以下のワード線210の堆積のために、約10Åから100Åの間、または10Åから50Åの間であってもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0075】
図3に戻ると、操作303aでは、任意選択のソーク加工が実施される。任意選択のソーク加工は、操作305の前に基板上に酸化物表面を用意するために実施されてもよい。ソークにより、操作305における材料の堆積が異なる方法の堆積となるか、あるいは酸化物の表面に異なる組成が形成され得る。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0079
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0079】
操作303aは、操作305の前に別個の操作として実施されてもよく、あるいはいくつかの核生成層が堆積された後等の操作305の間に実施されてもよく、これにより操作303aと操作305が時間的に交互になった操作において実施されてもよい。いくつかの実施形態では、操作303aは、図3で実施される他の操作を通して周期的に実施される。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0089
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0089】
NH3ガスを流すためのガス流量の非限定的な例は、約100sccmから約10,000sccmの間で変化する。NH3ガス流の持続時間の例としては、約0.1秒から約30秒の間が挙げられる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0106
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0106】
単独で、あるいは上記の技術と組み合わせて実施され得る別の技術は、プロセス条件を変更することである。例えば、温度または圧力を調整して、酸素、窒素、およびその他の成分元素を金属オキシ窒化物層内に保持してもよい。様々な実施形態において、操作305は、膜中に不純物を保持するために、最高約650℃、または約350℃未満、または約200℃から約550℃の間、または約250℃から約350℃の間の温度で実施されてもよい。いくつかの実施形態では、チャンバ圧力を約5Torrから約90Torrの間とすることが可能である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0120
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0120】
操作309においてプロセス条件を調整することは、操作309中に核生成層が金属に完全にまたは大部分変換されることがないように、操作307において堆積させた核生成層の不純物含有量を保持する助けとなる。操作309は、得られた核生成層組成が、約100:1から約1:4の間の金属対不純物原子比、または約100:1から約1:4の間のMo対酸素原子比となるようなプロセス条件下で操作309の後に実施される。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0130
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0130】
図3Cは、特定の開示された実施形態を実施するための例示的なプロセスフロー図である。操作301は、図3Aおよび図3Bの操作301と同じであってもよい。操作303bは、半導体基板の酸化物表面に加工を施すことを伴う。この酸化物表面は、いくつかの実施形態では、酸化アルミニウムまたは酸化ケイ素であってもよく、操作303aに関して上述した技術のいずれかを使用して実施されてもよい。いくつかの実施形態では、操作303bは、酸化物表面をB26およびWF6に曝すことを含む。操作305では、Moのコンフォーマル核生成層が、加工された酸化物表面上にALDによって堆積される。これは、図3Bに関して説明した技術のいずれかを使用して実施されてもよい。いくつかの実施形態では、操作305は、B26およびWF6加工された酸化物表面上にALDによってMoOxy膜を堆積させることを伴う。操作319aでは、ALDによって部分的な主導体層を低温で堆積させる。ここでの低温は、操作305において堆積させたMoOxyがMo金属に完全に変換されるのを防ぐ。低温は、約500℃未満であってもよい。操作319bでは、主導体層の残りがALDによって高温で堆積される。いくつかの実施形態では、操作319bは、酸素含有Mo前駆体および水素を使用して、540℃を超える温度でバルクMo金属を堆積させることを伴う。本明細書において実施される曝露では、ホウ素含有ガスの投与が、ホウ素の約1E16atoms/cm2から約1E21atoms/cm2の間のホウ素の曝露をもたらし得る。本明細書において実施される曝露では、フッ素含有ガスの投与が、約1E16atoms/cm2から約1E21atoms/cm2の間のフッ素の曝露をもたらし得る。本明細書において実施される曝露では、Wおよび/またはMo含有ガスの投与が、約1E16atoms/cm2から約1E21atoms/cm2の間のWまたはMoの曝露をそれぞれもたらし得る。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0136
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0136】
図5は、プロセスチャンバ本体502を有する原子層堆積(ALD)プロセスステーション500の一実施形態の概略図である。複数のプロセスステーション500がツール環境に含まれてもよい。例えば、図6はシステムの一実施形態を示す。いくつかの実施形態において、以下で詳細に論じられるものを含むプロセスステーション500の1つまたは複数のハードウェアパラメータを1つまたは複数のコンピュータコントローラ550によってプログラム的に調節してもよい。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0163
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0163】
チャージ容積部、ライン、およびマニホールド構成と組み合わせた可動台座により、約1Torr未満から約90Torr超の分圧を有する微小容積部分へのガスの導入を一括して引き起こすことが可能である。例えば、分圧は、希釈流を有する3Torrのチャンバでは1Torr未満であってよく、または純粋流(キャリアガスなし)を有する90Torrのチャンバでは90Torrを超えてよい。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0170
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0170】
モリブデン前駆体ガス源はガスボックス782bに含まれる。Mo含有前駆体ガスは、対応するラインを経由してマニホールド786に送られる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0176
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0176】
チャージ容積部、ライン、およびマニホールド構成と組み合わせた可動台座により、約1Torr未満から約90Torr超の分圧を有する微小容積部分へのガスの導入を一括して引き起こすことが可能である。例えば、分圧は、希釈流を有する3Torrのチャンバでは1Torr未満であってよく、または純粋流(キャリアガスなし)を有する90Torrのチャンバでは90Torrを超えてよい。
【国際調査報告】