(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-22
(54)【発明の名称】グリッパおよびグリッパを備えるリソグラフィ装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20240115BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G03F7/20 501
H01L21/68 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526970
(86)(22)【出願日】2021-12-13
(85)【翻訳文提出日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 EP2021085443
(87)【国際公開番号】W WO2022148607
(87)【国際公開日】2022-07-14
(32)【優先日】2021-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】ファン ドンゲン、パウル
(72)【発明者】
【氏名】ファン ボイツェコム、アールト、アドリアヌス
【テーマコード(参考)】
2H197
5F131
【Fターム(参考)】
2H197AA05
2H197CD22
2H197CD29
5F131AA02
5F131BA11
5F131BB03
5F131CA12
5F131DA22
5F131DA33
5F131DA42
5F131DB02
5F131DB22
5F131DB23
5F131DB27
5F131DB32
5F131DB52
(57)【要約】
【解決手段】ここで開示されるのは、リソグラフィ装置において基板を移送するように構成されるグリッパである。グリッパは、基板の表面に作用するための一または複数の作用部を有する本体を備える。一または複数の作用部が基板に作用する時に当該基板の領域と重複する本体の一部は、基板の表面に実質的に垂直な方向に本体を通って延びる複数の開口を備える。
【選択図】
図9A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ装置において基板を移送するように構成されるグリッパであって、
前記基板の表面に作用するための一または複数の作用部を有する本体を備え、
前記一または複数の作用部が前記基板に作用する時に当該基板の領域と重複する前記本体の一部は、前記基板の表面に実質的に垂直な方向に前記本体を通って延びる複数の開口を備える、
グリッパ。
【請求項2】
前記本体の一部は、前記一または複数の作用部が前記基板に作用する時に当該基板のエッジ領域と重複する、および/または、前記基板の領域と重複する前記本体の一部は複数のリブを備え、前記複数の開口は前記リブの間に設けられる、請求項1に記載のグリッパ。
【請求項3】
前記リブはスケルトンタイプ構造で設けられる、および/または、前記リブの一または複数は少なくとも部分的にコーティングされた外表面を備える、および/または、前記リブの一または複数は曲がった外表面を備える、および/または、前記リブの一または複数は外表面の間に丸まったエッジを備える、請求項2に記載のグリッパ。
【請求項4】
前記コーティングは疎液性または親液性である、請求項3に記載のグリッパ。
【請求項5】
前記作用部は渦型または静電型クランプパッド等のクランプパッドを備える、および/または、前記一または複数の作用部が前記基板に作用する時に前記基板は前記グリッパの上方に位置する、および/または、前記一または複数の作用部が前記基板に作用する時に当該基板のエッジ領域と重複するグリッパ本体の一部および当該基板の間にギャップがある、請求項1から4のいずれかに記載のグリッパ。
【請求項6】
前記一または複数の作用部のそれぞれによる前記基板のグリップおよび/またはリリースを行うために、前記本体において前記各作用部からの流体の流れおよび/または前記各作用部への流体の流れを提供するための一または複数の導管を更に備える、請求項1から5のいずれかに記載のグリッパ。
【請求項7】
前記一または複数の導管は真空導管を備える、および/または、前記一または複数の導管を通じた前記流体の流れは空気流である、および/または、前記一または複数の導管を通じた前記流体の流れは空気流である、請求項6に記載のグリッパ。
【請求項8】
前記基板の領域と重複する前記本体の一部に前記作用部への実質的な流体の流れを提供するための主導管がある、および/または、複数のリブは前記流体のための導管である、および/または、複数のリブは前記流体のための導管である、請求項2に従属する場合の請求項6または7に記載のグリッパ。
【請求項9】
前記主導管の幅/直径は前記リブの幅/直径より大きい、請求項8に記載のグリッパ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載のグリッパと、
吸引モジュールと、
を備え、
前記吸引モジュールは、前記グリッパの一部の表面から流体を取り出すように構成される流体取出導管を備える、
グリッパシステム。
【請求項11】
前記グリッパの一部は、当該グリッパが前記基板に作用する時に当該基板のエッジ領域と重複する、請求項10に記載のグリッパシステム。
【請求項12】
前記グリッパが前記基板に作用する時、前記吸引モジュールは前記基板に対して前記グリッパの反対側に設けられる、請求項10または11に記載のグリッパシステム。
【請求項13】
前記吸引モジュールは、第1位置および第2位置の間を移動するように設けられ、
前記第1位置において、前記吸引モジュールの前記流体取出導管の端は前記グリッパの近くにあり、前記グリッパの表面から流体を取り出すように設けられ、
前記第2位置において、前記吸引モジュールの前記流体取出導管の端は、前記第1位置にある場合より前記グリッパから遠くに位置する、
請求項10から12のいずれかに記載のグリッパシステム。
【請求項14】
請求項10から13のいずれかに記載のグリッパシステムを備える基板ハンドラ。
【請求項15】
請求項14に記載の基板ハンドラを備えるリソグラフィ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願へのクロスリファレンス]
本出願は、2021年1月11日に出願された欧州出願21150851.0の優先権を主張し、その全体が参照によって本書に援用される。
【0002】
[技術分野]
本発明は、グリッパおよびグリッパを備えるリソグラフィ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上に適用するように構成される装置である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用されうる。リソグラフィ装置は、例えば、基板(例えば、ウェーハ)上に提供される放射感応性材料(レジスト)の層上に、パターニングデバイス(例えば、マスク)のパターン(しばしば「デザインレイアウト」または「デザイン」とも表される)を投影してもよい。
【0004】
半導体製造プロセスが継続的に進歩するにつれて、一般的に「ムーアの法則」と表されるトレンドに従って、過去数十年に亘ってデバイス毎のトランジスタ等の機能要素の量が着実に増加しながら、回路要素の寸法は継続的に低減されている。半導体産業は、ムーアの法則に遅れないように、ますます小さいフィーチャを生成することを可能にする技術を求めている。パターンを基板上に投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を使用してもよい。この放射の波長は、基板上にパターン形成されるフィーチャの最小サイズを決定する。現在使用されている典型的な波長は、365nm(i線)、248nm、193nmおよび13.5nmである。
【0005】
液浸技術が、より小さいフィーチャの解像度の向上を可能にするために、リソグラフィシステムに導入されている。液浸リソグラフィ装置では、比較的高い屈折率を有する液浸液の液体層が、装置の投影システム(これを通じてパターン形成されたビームが基板に向かって投影される)と基板の間の空間に介在する。液浸液は、投影システムの最終要素の下で、基板の少なくとも一部を覆う。このように、露光中の基板の少なくとも一部が液体に浸る。液浸液の効果は、液浸液中の露光放射が気体中より短い波長を有するため、より小さいフィーチャの結像を可能にすることである(液体の効果は、システムの実効的な開口数(NA)を増加させ、焦点深度も増加させることと捉えられてもよい)。
【0006】
商用化されている液浸リソグラフィでは、液浸液は水である。水は、典型的には、半導体製造プラントにおいて一般的に使用される超純水(UPW)等の高純度の蒸留水である。液浸システムでは、UPWが頻繁に浄化され、空間への液浸液としての供給の前に、追加的な処理ステップを経なければならない場合もある。フッ化炭化水素等の炭化水素および/または水溶液等の、高い屈折率を有する水以外の他の液体も液浸液として使用されうる。更に、液体以外の他の流体も、液浸リソグラフィにおける使用が見込まれている。本明細書では、最終要素と最終要素に対向する表面の間の空間に使用中の液浸液が制限される局所化された液浸についての記述において参照がなされる。対向する表面は、基板の表面または基板の表面と同一面上の支持テーブル(または、基板サポート)の表面である(なお、以下のテキストにおける基板の表面への参照は、特に断らない限り、加えてまたは代えて基板サポートの表面も表し、逆も同様である)。投影システムとステージの間に存在する流体ハンドリング構造は、液浸を空間に制限するために使用される。液浸液によって満たされた空間は平面視で基板の最表面より小さく、下方で基板および基板ステージが移動する間、空間は投影システムに対して実質的に静止したままである。
【0007】
液浸リソグラフィ装置では、基板の表面の少なくとも一部が液体に浸る。液浸プロセスが完了した後、基板表面上に残る液体の量を実質的に最小化することが重要である。残った液滴は、例えば、基板および/または液体が移送されうる他の基板の熱特性に影響を及ぼす恐れがある。
【0008】
基板をリソグラフィ装置内で移動させるために、例えばロボットアームによって駆動されるグリッパが提供されてもよい。例えば、露光のために熱調節テーブルから基板テーブルへ基板を移動させるために、グリッパが使用されてもよい。露光プロセスが実行された後、基板テーブルから他の場所へ基板を移動させ、更に他の基板を移動させるために同じグリッパが使用されてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
公知のリソグラフィ装置では、グリッパが基板を移動させる時に、基板上に残った液体がグリッパに移るという問題がある。そして、グリッパは、他の基板を移動させる時に、液体の一部を他の基板に移す恐れがある。このように、グリッパは、元々は乾いていた基板上に液体を移す恐れがある。このような液体移動は、元々は乾いていた基板からの歩留まりの低下をもたらしうる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の第1態様によれば、リソグラフィ装置において基板を移送するように構成されるグリッパが提供される。グリッパは、基板の表面に作用するための一または複数の作用部を有する本体を備える。一または複数の作用部が基板に作用する時に当該基板の領域と重複する本体の一部は、基板の表面に実質的に垂直な方向に本体を通って延びる複数の開口を備える。
【0011】
発明の第2態様によれば、グリッパシステムが提供される。グリッパシステムは、第1態様に係るグリッパと、吸引モジュールと、を備える。吸引モジュールは、グリッパの一部の表面から流体を取り出すように構成される流体取出導管を備える。
【0012】
発明の第3態様によれば、第2態様に係るグリッパシステムを備える基板ハンドラが提供される。
【0013】
発明の第4態様によれば、第3態様に係る基板ハンドラを備えるリソグラフィ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以下では、対応する参照符号が対応する部分を表す以下の付随的な模式図を参照して、例示のみを目的として発明の実施形態が記述される。
【0015】
図1は、発明の実施形態に係るリソグラフィ装置を示す。
【0016】
図2は、発明の実施形態に係るリソグラフィ装置を示す。
【0017】
【0018】
図4は、
図2および
図3の装置のソースコレクタ装置SOのより詳細な図である。
【0019】
図5は、熱調節テーブル上の基板との作用位置に向かって移動する従来技術のグリッパを示す。
【0020】
図6は、
図5の従来技術のグリッパを使用して、露光のために熱調節テーブルから基板テーブルへ移送される基板を示す。
【0021】
図7は、露光のための基板の基板テーブル上へのリリース後に遠ざかる
図6の従来技術のグリッパを示す。
【0022】
図8は、グリッパに取り付けられる基板を平面視で示す。
【0023】
図9Aおよび
図9Bは、第1実施形態の実装に係るグリッパ1301の一部を平面視で示す。
【0024】
【0025】
図11Aおよび
図11Bは、第2実施形態に係るグリッパシステムを側面視で模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本文書では、「放射」および「ビーム」の用語が、紫外放射(例えば、365、248、193、157または126nmの波長を有するもの)を含む全てのタイプの電磁放射を包含するために使用される。
【0027】
このテキストで使用される「レチクル」、「マスク」または「パターニングデバイス」の用語は、入射する放射ビームに、基板のターゲット部分に生成されるパターンに対応するパターン形成された断面を付与するために使用されうる一般的なパターニングデバイスを表すものと広義に解釈されてもよい。用語「ライトバルブ」も、この文脈で使用されうる。古典的なマスク(透過型または反射型、バイナリ型、位相シフト型、ハイブリッド型等)の他に、他のこのようなパターニングデバイスの例は、プログラマブルミラーアレイおよびプログラマブルLCDアレイを含む。
【0028】
図1は、リソグラフィ装置を模式的に示す。リソグラフィ装置は、放射ビームB(例えば、UV放射またはDUV放射)を調整するように構成される照明システム(イルミネータとも表される)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構成され、特定のパラメータに応じてパターニングデバイスMAを正確に配置するように構成される第1ポジショナPMに接続されるマスクサポート(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストでコーティングされたウェーハ)Wを保持するように構成され、特定のパラメータに応じて基板サポートWTを正確に配置するように構成される第2ポジショナPWに接続される基板サポート(例えば、基板テーブル)WTと、基板Wのターゲット部分C(例えば、一または複数のダイを含む)上に、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに形成されたパターンを投影するように構成される投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSと、を含む。コントローラ500は、装置の全体動作を制御する。コントローラ500は、中央制御システムまたはリソグラフィ装置の各種のサブシステム内における複数の別のサブコントローラのシステムでもよい。
【0029】
稼働中、照明システムILは、例えばビームデリバリシステムBDを介して、ソースSOまたは放射からの放射ビームを受ける。照明システムILは、放射の方向付け、形成および/または制御のための、屈折型、反射型、磁気型、電磁気型、静電型および/または他のタイプの光学コンポーネント等の各種のタイプの光学コンポーネント、またはそれらの任意の組合せを含んでもよい。イルミネータILは、パターニングデバイスMAの面で、その断面において所望の空間および角度強度分布を有するように、放射ビームBを調整するために使用されてもよい。
【0030】
ここで使用される用語「投影システム」PSは、使用中の露光放射、および/または、液浸液の使用等の他の要素にとって適切な、屈折型、反射型、反射屈折型、アナモルフィック型、磁気型、電磁気型および/または静電型の光学システム、またはそれらの任意の組合せを含む各種のタイプの投影システムを包含するものと広義に解釈されるべきである。用語「投影レンズ」のここでの使用は、より一般的な用語「投影システム」と同義に解釈されてもよい。
【0031】
リソグラフィ装置は、投影システムPSと基板Wの間の液浸空間を満たすために、基板Wの少なくとも一部が比較的高い屈折率を有する水等の液浸液によって覆われてもよいタイプでもよい(液浸リソグラフィとも表される)。液浸技術に関するより多くの情報は、参照によって本書に援用されるUS6,952,253において与えられている。
【0032】
リソグラフィ装置は、二つ以上の基板テーブルWTを有するタイプ(「デュアルステージ」とも呼ばれる)でもよい。このような「マルチステージ」装置では、基板テーブルWTが並行的に使用されてもよい、および/または、他の基板W上にパターンを露光するために他方の基板テーブルWT上の他方の基板Wが使用されている間に、基板Wの後続の露光の準備ステップが一方の基板テーブルWT上に位置する基板W上で実行されてもよい。
【0033】
基板テーブルWTに加えて、リソグラフィ装置は測定ステージ(
図1では不図示)を備えてもよい。測定ステージは、センサおよび/またはクリーニングデバイスを保持するように設けられる。センサは、投影システムPSの特性または放射ビームBの特性を測定するように設けられてもよい。測定ステージは、複数のセンサを保持してもよい。クリーニングデバイスは、リソグラフィ装置の部分、例えば投影システムPSの部分または液浸液を提供するシステムの部分をクリーニングするように設けられてもよい。測定ステージは、基板テーブルWTが投影システムPSから離れている時に、投影システムPSの下を移動してもよい。
【0034】
稼働中、放射ビームBは、マスクサポートMT上に保持されているマスクMA等のパターニングデバイス上に入射し、パターニングデバイスMA上に存在するパターン(デザインレイアウト)によってパターン形成される。マスクMAを経た放射ビームBは、基板Wのターゲット部分C上にビームを集光する投影システムPSを通過する。第2ポジショナPWおよび位置測定システムIF(例えば、干渉デバイス、リニアエンコーダ、二次元エンコーダまたは静電容量センサ)によって、例えば、放射ビームBの経路中の集光および整列位置に異なるターゲット部分Cを配置するために、基板テーブルWTが正確に駆動されうる。同様に、パターニングデバイスMAを放射ビームBの経路に対して正確に配置するために、第1ポジショナPMおよび適切な他の位置センサ(
図1では明示的に示されない)が使用されてもよい。パターニングデバイスMAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2および基板アライメントマークP1、P2を使用して整列されてもよい。図示される基板アライメントマークP1、P2は専用のターゲット部分を占めるが、これらはターゲット部分の間の空間に配置されてもよい。ターゲット部分Cの間に配置される基板アライメントマークP1、P2は、スクライブラインアライメントマークとして知られている。
【0035】
本明細書では、デカルト座標系が使用される。デカルト座標系は、三つの軸、すなわち、x軸、y軸およびz軸を有する。三つの軸のそれぞれは、他の二つの軸に直交する。x軸周りの回転は、Rx回転と表される。y軸周りの回転は、Ry回転と表される。z軸周りの回転は、Rz回転と表される。x軸およびy軸は水平面を定め、z軸は鉛直方向を定める。デカルト座標系は発明を限定するものではなく、説明のためだけに使用される。代わりに、円筒座標系等の他の座標系が発明を明らかにするために使用されてもよい。例えば、z軸が水平面に沿う成分を有するように、デカルト座標系の方向は異なるものでもよい。
【0036】
局所液体供給システムまたは流体ハンドリングシステムが投影システムPSおよび基板Wの間に提供される。液体供給システムには、投影システムPSの最終要素および支持テーブルWTまたは基板Wの間の空間の境界の少なくとも一部に沿って延びる流体ハンドリング構造IH(または液体制限構造)が提供される。流体ハンドリング構造IHは、XY平面において投影システムPSに対して実質的に静止している(なお、Z方向(光軸の方向)における相対移動があってもよい)。一例では、ガスシール(ガスシールを有するこのようなシステムは、EP1,420,298において開示されている)または液体シール等の非接触シールでもよいシールが、流体ハンドリング構造IHおよび基板Wの表面の間に形成される。
【0037】
流体ハンドリング構造IHは、投影システムPSの最終要素および基板Wの間の空間に液浸液を少なくとも部分的に制限する。空間は、投影システムPSの最終要素の下方に位置して囲む流体ハンドリング構造IHによって少なくとも部分的に形成される。液浸液は、投影システムPSの下方および流体ハンドリング構造IH内の空間内に、液体開口の一つによって提供される。液浸液は、他の液体開口によって除去されてもよい。
【0038】
使用中に流体ハンドリング構造IHの底面および基板Wの表面の間に形成されるガスによって形成されるガスシール等の非接触シールによって、液浸液が空間内に制限されてもよい。ガスシールにおけるガスは、流体ハンドリング構造IHおよび基板Wの間のギャップに、インレットを介して加圧されて提供される。ガスはアウトレットを介して取り出される。ガスインレットでの加圧、アウトレットでの真空レベル、およびギャップの幾何学的配置は、液浸液を内側に制限する高速のガス流が生成されるように調整される。このようなシステムは、その全体が参照によって本書に援用されるUS2004/0207824において開示されている。一例では、流体ハンドリング構造IHがガスシールを有しない。
【0039】
液体供給システムの他の例は、その全体が参照によって本書に援用されるUS2010/0045949A1において開示されている。
【0040】
図2は、ソースコレクタ装置SOを含むEUVリソグラフィ装置4100を模式的に示す。装置は以下を備える。
・放射ビームB(例えばEUV放射)を調整するように構成される照明システム(イルミネータ)EIL
・パターニングデバイス(例えばマスクまたはレチクル)MAを支持するように構成され、パターニングデバイスを正確に配置するように構成される第1ポジショナPMに接続される支持構造(例えばマスクテーブル)MT
・基板(例えば、レジストによってコーティングされたウェーハ)Wを保持するように構成され、基板を正確に配置するように構成される第2ポジショナPWに接続される基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WT
・基板Wのターゲット部分C(例えば、一または複数のダイを含む)上に、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに形成されたパターンを投影するように構成される投影システム(例えば、反射型投影システム)PS
【0041】
これらのEUVリソグラフィ装置の基本的なコンポーネントは、
図1のリソグラフィ装置の対応するコンポーネントと機能的には同様である。以下の記述は、主に異なる部分をカバーし、同じコンポーネントの側面の重複する記述は省略される。
【0042】
EUVリソグラフィ装置では、気体が放射を過剰に吸収してしまうため、真空または低圧環境を使用するのが望ましい。そこで、真空壁および一または複数の真空ポンプによって、真空環境がビーム経路全体に提供されうる。
【0043】
図2において、EUVイルミネータEILは、ソースコレクタ装置SOから極端紫外放射ビームを受け取る。EUV放射を生成する方法は、キセノン、リチウムまたはスズ等のEUV範囲における一または複数の輝線を有する少なくとも一つの元素を有する材料をプラズマ状態に変えることを含むが、必ずしもそれに限定されない。
【0044】
放射ビームEBは、支持構造(例えば、マスクテーブル)MT上に保持されるパターニングデバイス(例えば、マスク)MA上に入射し、パターニングデバイスによってパターン形成される。パターニングデバイス(例えばマスク)MAから反射した放射ビームEBは、基板Wのターゲット部分C上にビームを集める投影システムPSを通過する。第2ポジショナPWおよび位置センサPS2(例えば、干渉デバイス、リニアエンコーダまたは静電容量センサ)によって、例えば、異なるターゲット部分Cを放射ビームEBの経路上に配置するために、基板テーブルWTが正確に駆動されうる。同様に、第1ポジショナPMおよび他の位置センサPS1が、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを放射ビームEBの経路に対して正確に配置するために使用されうる。パターニングデバイス(例えばマスク)MAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2および基板アライメントマークP1、P2を使用して整列されてもよい。
【0045】
示される装置は、
図1の装置と同じ態様で使用されうる。
【0046】
図3は、ソースコレクタ装置SO、EUV照明システムEIL、および投影システムPSを含むEUV装置4100をより詳細に示す。ソースコレクタ装置SOは、真空環境がソースコレクタ装置SOの包囲構造4220内で維持されうるように構成されるおよび設けられる。EUV放射放出プラズマ4210は、放電生成プラズマソースによって生成されてもよい。EUV放射は、電磁スペクトルのEUV範囲における放射を放出するためのプラズマ4210が生成される、キセノンガス、リチウム蒸気またはスズ蒸気等のガスまたは蒸気によって生成されてもよい。
【0047】
プラズマ4210によって放出された放射は、ソースチャンバ4211における開口の内部または後方に配置されるオプションの気体バリアおよび/または汚染物質トラップ4230(いくつかの場合では、汚染物質バリアまたはフォイルトラップとも表される)を介して、ソースチャンバ4211からコレクタチャンバ4212内に渡される。
【0048】
コレクタチャンバ4212は、いわゆる斜入射型コレクタでもよい放射コレクタCOを含んでもよい。放射コレクタCOは、上流放射コレクタ側4251および下流放射コレクタ側4252を有する。コレクタCOを通過した放射は、格子スペクトルフィルタ4240によって反射され、仮想ソース点IFに集められる。仮想ソース点IFは一般的に中間焦点と表され、包囲構造4220における開口4221またはその近傍に中間焦点IFが位置するようにソースコレクタ装置が設けられる。仮想ソース点IFは、放射放出プラズマ4210の像である。
【0049】
続いて、放射は、パターニングデバイスMAでの放射ビーム421の所望の角分布およびパターニングデバイスMAでの放射強度の所望の均一度を提供するように設けられるファセットフィールドミラーデバイス422およびファセット瞳ミラーデバイス424を含んでもよい照明システムILを通過する。支持構造MTによって保持されているパターニングデバイスMAでの放射421のビームの反射の際にパターン形成されたビーム426が形成され、投影システムPSによって反射要素428、430を介して基板ステージまたは基板テーブルWTによって保持されている基板W上に結像される。
【0050】
図3に例示されるようなコレクタ光学要素COは、コレクタ(または、コレクタミラー)の例のように、斜入射型リフレクタ4253、4254および4255を有するネスト型コレクタとして示される。斜入射型リフレクタ4253、4254および4255は、光軸Oの周りに軸対称に配置され、このタイプのコレクタ光学要素COは、しばしばDPPソースと呼ばれる放電生成プラズマソースとの組合せで使用されるのが好ましい。
【0051】
あるいは、ソースコレクタ装置SOは、
図4に示されるようなLPP放射システムの一部でもよい。レーザLAは、キセノン(Xe)、スズ(Sn)またはリチウム(Li)等の燃料にレーザエネルギーを供給するように設けられ、数十eVの電子温度を有する高度にイオン化されたプラズマ4210を生成する。これらのイオンの脱励起および再結合中に生成されるエネルギー放射は、プラズマから放出され、近法線入射コレクタ光学要素COによって収集され、包囲構造4220における開口4221上に集められる。
【0052】
本発明の実施形態は、任意のタイプのリソグラフィ装置に適用されうる。
【0053】
図5~
図7は、露光22のために基板を熱調節テーブル20から基板テーブルへ移送するための従来技術の基板移送デバイス30の使用を示す。基板移送デバイス30は、グリッパ24、ロボットアーム26、およびロボットアームモータ28を備える。
図5は、ロボットアーム26によって熱調節テーブル20上の基板Wに向かって動かされているグリッパ24を示す。
図6は、グリップされた基板Wを露光22のために基板テーブルに向って移送するグリッパ24を示す。
図7は、露光22のための基板Wの基板テーブル上へのリリース後に基板Wから遠ざかるグリッパ24を示す。
【0054】
示される配置では、グリッパ24が、熱調節テーブル20の鉛直上方で基板を支持するために使用される支持ピンを避けて、グリッパ24が基板Wの下方をスライドすることを可能にする切欠部25を有する。グリッパ24が基板Wの下方の位置にある状態で、グリッパ24は熱調節テーブル20から基板Wを取り外すために上昇される。そして、基板Wは露光22のために基板テーブルに向かって移送され、露光22のために基板テーブルに関連する支持要素(例えば、不図示の支持ピン)上に置かれるまで基板Wが下降され、グリッパ24から基板Wをリリースする。そして、
図7に示されるようにグリッパ24は除去される。
【0055】
記述の導入部において記述されたように、液浸リソグラフィ装置では、基板Wの表面の少なくとも一部が液体に浸る。液浸プロセスが完了した後、基板W表面上に残る液体の量を最小化することが重要である。残った液滴は、例えば、基板Wの熱特性に影響を及ぼし、歩留まりを低下させる恐れがある。
【0056】
前述されたように、基板移送デバイス30のグリッパ24は、リソグラフィ装置内で基板Wを移送する。例えば、露光のために熱調節テーブルから基板テーブルへ基板Wを移動させるために、グリッパ24が使用されてもよい。露光プロセスが実行された後、基板テーブルから他の場所へ基板Wを移動させるために、同じグリッパ24が使用されてもよい。
【0057】
図8は、グリッパ1201に取り付けられている基板Wを平面視で示す。基板Wは、三つの作用部1202によってグリッパ1201に取り付けられてもよい。作用部1202は、基板Wおよびグリッパ1201の間の唯一の接触点でもよい。基板Wは、作用部1202が基板Wの下表面に接触するように、グリッパ1201の上方に位置してもよい。基板W上で実行された液浸プロセスの結果として、水滴等の残った液体が基板Wの領域に存在する可能性がある。特に、残った液体は、基板Wのエッジ/周辺領域1203に存在する可能性がある。
【0058】
基板W上に残った液体がグリッパ1201に移るという問題が発生しうる。例えば、基板Wのエッジ/周辺領域1203およびグリッパ1201の間には直接的な接触はないかもしれないが、エッジ/周辺 領域1203における液体が基板Wからグリッパ1201上に落下する可能性もある。グリッパ1201に移った液体は、グリッパ1201に取り付けられる他の基板W上に移る可能性がある。このように、グリッパ1201は、出ていく濡れた基板Wから元々は乾いていた入ってくる基板Wに液体を移してしまう恐れがある。このような液体移動は、入ってくる基板Wからの歩留まりの低下をもたらしうる。
【0059】
実施形態は、上述された異なる基板Wの間の液体移動の問題を低減する、または実質的に防止するための技術を提供する。実施形態は、基板移送デバイスのグリッパの新しいデザインを提供する。液体が基板Wからグリッパに移る時、グリッパ上に残る液体の量は公知の技術より少なくなる。これは、グリッパが液体を他の基板Wに移すことを低減する、または実質的に防止する。
【0060】
図9Aおよび
図9Bは、第1実施形態の実装に係るグリッパ1301の一部を平面視で示す。
【0061】
実施形態に係るグリッパ1301は、基板Wの表面に作用するように構成される一または複数の作用部1302を有する本体を備えてもよい。グリッパ1301は、
図8におけるグリッパ1201について示されるように、三つの作用部を備えてもよい。作用部1302は、基板Wおよびグリッパ1301の間の唯一の接触点でもよい。基板Wは、作用部1302が基板Wの下表面に接触するように、グリッパ1301の上方に位置してもよい。グリッパ1301の上表面の一部は、実質的に平らで基板Wの下表面と平行でもよい。
図11Aおよび
図11Bを参照して後述されるように、グリッパ1301の上表面は、基板Wの下表面からギャップ1501によって隔てられてもよい。
【0062】
図9Aおよび9Bに示されるように、グリッパ1301の本体の少なくとも一部を通る開口が設けられてもよい。グリッパ1301の本体の少なくとも一部は、リブ構造に設けられる複数のリブ1303、1304を備えてもよい。開口は、リブ1303、1304の間のギャップでもよい。開口は、基板Wの表面に平行な方向に、グリッパ1301を通って延びてもよい。
【0063】
液体が基板Wから実施形態に係るグリッパ1301のリブ構造上に落下した場合、液体の一部または全部は、グリッパ1301における開口を通じて落下し、グリッパ1301上に落下しない。リブ1303、1304上に落下する液体は、リブ上を流れてグリッパ1301から落下する。有利なことには、グリッパ1301の外表面上に集められる液体の量が、開口を備えない公知のグリッパ24、1201より少なくなる。
【0064】
図8に示されるように、残った液体はほとんど基板Wのエッジ領域1203に存在する。実施形態は、リブ構造である基板Wのエッジ領域1203と重複するグリッパ1301の一部を含む。
図9Aおよび9Bに示されるように、グリッパ1301の本体の残りは、グリッパの公知のデザインと実質的に同じでもよい。つまり、基板Wがグリッパ1301に取り付けられた時に基板Wのエッジ領域1203と重複するグリッパ1301の一部のみが開口を備えてもよい。
【0065】
リブ1303、1304は、スケルトンまたはメッシュタイプ構造で設けられてもよい。
図9Aおよび
図9Bは、実施形態に係るリブ1303、1304の異なる配置を示す。実施形態は、リブ1303、1304の任意の配置を含む。例えば、リブ1303、1304は、複数の互いに交差しない平行な構造または互いに交差する構造でもよい。リブ1303、1304は、単一の層に設けられてもよい。あるいは、リブ1301、1304は、複数の層に設けられてもよい。例えば、
図9Aに示されるように、一方の配置が他方の配置の上方に配置される、リブ1303、1304の二つの配置が設けられてもよい。
【0066】
リブ1303、1304のそれぞれは、少なくとも部分的にコーティングされた外表面を備えてもよい。実施形態は、外表面の全てがコーティングされたリブ1303、1304を含む。コーティングは、例えば、疎液性でもよい。あるいは、コーティングは、親液性でもよい。
【0067】
リブ1304のいくつかは、流体導管でもよい。つまり、リブ1304は、リブ1304を通じて流体の流れをサポートするためのチャネルタイプ構造を備える。グリッパ1301の本体は、一または複数の他の流体導管1305を備えてもよい。各流体導管1305は、一または複数の作用部1302との間で流体が流通可能でもよい。リブ構造における流体導管である各リブ1304は、リブ構造の一部ではない流体導管1305との間で流体が流通可能でもよい。リブ構造は、流体導管ではなく構造サポートのみを提供する一または複数のリブ1303を備えてもよい。
図9Aおよび
図9Bに示される実施形態では、中間リブ1304がリブ構造を通る主な流体導管である。中間リブ1304はリブ構造における唯一の流体導管でもよく、他のリブ1303は構造サポートのみを提供してもよい。中間リブ1304の幅/直径は、他のリブ1303より大きくてもよい。実施形態は、全てが流体導管である複数のリブ1304を備えるグリッパ1301も含む。リブ1304の全てが流体導管である場合、リブの全ては実質的に同じサイズおよび形状を有してもよい。
【0068】
図10Aおよび
図10Bは、実施形態に係るリブ1303、1304を通る断面を模式的に示す。
図10Aに示されるように、実施形態は、実質的に三角形状断面を有する一または複数のリブ1303、1304を含む。
図10Bに示されるように、実施形態は、実質的に台形状断面を有する一または複数のリブ1303、1304も含む。リブ1303、1304の各外表面の間のコーナー/エッジは、丸まっていてもよい。リブ1303、1304の各外表面は、曲がっていてもよい。
【0069】
前述されたように、グリッパ1301は、一または複数の作用部1302を備えてもよい。グリッパ1301は、
図8に示される配置の三つの作用部1302を備えてもよい。各作用部1302は、クランプパッドまたは表面クランプパッド等のクランプデバイスを備えてもよい。表面クランプパッドは、例えば、空圧または他の媒体によって生成される圧力によって基板Wを引くまたは押すことを可能にする渦型パッドでもよい。クランプパッドに使用される空気または他の媒体は、グリッパ1301の本体における多数の流体導管を通じて供給または排出されてもよい。各流体導管は、真空導管でもよい。各作用部1302による基板Wのグリップおよび/またはリリースは、作用部1302からの流体の流れおよび/または作用部1302への流体の流れを制御することによって実行されてもよい。
【0070】
実施形態は、ベルヌーイクランプパッドまたは静電型クランプパッド等の他のタイプの表面クランプパッドの使用も含む。少なくとも静電型クランプパッドが使用される場合、グリッパ1301の本体における作用部1302には流体導管が設けられなくてもよい。但し、リブ1303、1304のいくつかは、静電型クランプパッドに電力を提供するための一または複数の電気ケーブルを備えてもよい。
【0071】
クランプパッドは、非接触表面クランプパッド、すなわち、表面クランプパッドおよび基板Wの間の機械的接触を伴わずに基板Wをクランプできるものでもよいし、接触表面クランプパッド、すなわち、表面クランプパッドおよび基板Wの間の機械的接触を伴って基板Wをクランプできるものでもよい。渦型パッドは、非接触タイプでもよい。
【0072】
図11Aおよび
図11Bは、第2実施形態に係るグリッパシステム1300を側面視で模式的に示す。
【0073】
第2実施形態に係るグリッパシステム1300は、第1実施形態に係るグリッパ1301の任意の構成を備えてもよい。第2実施形態に係るグリッパシステム1300は、吸引モジュール1503を備えてもよい。吸引モジュール1503は、基板ハンドラフレーム1502に位置してもよい。吸引モジュール1503は、基板Wに対してグリッパ1301の反対側に位置してもよい。
【0074】
図11Aに示されるように、作用部1302が基板Wの下表面に接触できるように、基板Wはグリッパ1301の上方に位置してもよい。グリッパ1301の上表面の一部は、実質的に平らで基板Wの下表面と平行でもよい。作用部1302は基板Wおよびグリッパ1301の間の唯一の接触点を提供し、グリッパ1301の上表面の他の部分が基板Wの下表面からギャップ1501によって隔てられてもよい。
【0075】
吸引モジュール1503は、流体取出導管1505を備えてもよい。流体取出導管1505の端1504は、グリッパ1301の少なくとも一部の表面から流体を取り出すように構成されてもよい。
【0076】
吸引モジュール1503は、
図11Bに示されるような第1位置および
図11Aに示されるような第2位置の間で移動可能でもよい。第1位置では、吸引モジュール1503の流体取出導管1505の端1504がグリッパ1301の下表面の近くにある。流体取出導管1505の端1504は、リブ1303、1304を備えるグリッパ1301の一部の近くに来るように設けられてもよい。流体取出導管1505の端1504は、グリッパ1301の下表面に接触してもよいようにゴム部等の柔軟部を備えてもよい。流体取出導管1505の端1504は、リブ1303、1304の表面上にある流体を取り出すように設けられてもよい。流体取出導管1505の端1504は、基板Wの下表面上にある流体を取り出すように設けられてもよい。第1実施形態について前述されたように、リブ1303、1304を備えるグリッパ1301の一部は、グリッパ1301が基板Wに作用する時に基板Wのエッジ領域1203と重複してもよい。基板Wのエッジ領域1203は、残った液体のほとんどが存在する場所でもよく、液滴が最も落下しやすい基板Wの一部でもよい。
【0077】
第2位置では、吸引モジュール1503の流体取出導管1505の端1504が、第1位置にある場合よりグリッパ1301から遠くに位置する。第2位置では、吸引モジュール1503が、基板ハンドラフレーム1502内に実質的に引っ込んでいてもよい。このように、第2位置にある場合、吸引モジュール1503は、グリッパ1301の移動またはリソグラフィ装置のオペレーションの任意の他の側面に干渉しない。
【0078】
液体が残っている基板Wがグリッパ1301に取り付けられた後、またはグリッパ1301から除去された後、吸引モジュール1503は第2位置から第1位置へ移動してもよい。そして、吸引モジュール1503は、リブ1303、1304の表面および/または基板Wの下表面上の液体を取り出してもよい。その後、吸引モジュール1503は、第1位置から第2位置に戻されてもよい。
【0079】
有利なことには、吸引モジュール1503は、リブ1303、1304の表面および/または基板Wの下表面上の液体を実質的に除去できる。基板Wからグリッパ1301のリブ1303、1304の表面上に移った液体を除去することで、グリッパ1301に取り付けられる他の基板W上に液体が移らない。
【0080】
実施形態は、前述された技術に対する多くの変更および変形を含む。
【0081】
特に、グリッパ1301を通る開口は、基板Wがグリッパ1301に取り付けられた時に基板Wのエッジ領域1203と重複するグリッパ1301の一部を通るものに限定されない。実施形態は、基板Wの任意の一部と重複するグリッパ1301の実質的に全ての部分が開口を備えるものを含む。開口は、基板Wの面に実質的に垂直な方向にグリッパ1301を通って延びてもよい。基板Wの任意の一部と重複するグリッパ1301の構造の実質的に全てが、スケルトンまたはメッシュタイプ構造で設けられるリブ1303、1304を備えてもよい。基板Wの面に垂直な方向において、リブ1303、1304は単一の層または複数の層に設けられてもよい。
【0082】
実施形態は、基板Wと重複しないグリッパ1301の部分を含む実質的にグリッパ1301全体が開口を備えるものも含む。開口は、基板Wの面に実質的に垂直な方向にグリッパ1301を通って延びてもよい。グリッパ1301の構造の実質的に全てが、スケルトンまたはメッシュタイプ構造で設けられるリブ1303、1304を備えてもよい。基板Wの面に垂直な方向において、前述されたように、リブ1303、1304は単一の層または複数の層に設けられてもよい。
【0083】
第1実施形態に係るグリッパ1301および/または第2実施形態に係るグリッパシステム1300は、基板ハンドラ(不図示)の一部を構成してもよい。基板ハンドラは、第2実施形態の基板ハンドラフレーム1502を含んでもよい。
【0084】
実施形態は、リソグラフィ装置も含む。リソグラフィ装置は、前述されたようなリソグラフィ装置の一部または全部の他の特徴またはコンポーネントを有してもよい。例えば、リソグラフィ装置は、オプションで、ソースSO、照明システムIL、投影システムPS、基板テーブルWT等の少なくとも一または複数を備えてもよい。具体的には、リソグラフィ装置は、基板Wの表面の領域に対して放射ビームBを投影するように構成される投影システムPSを備えてもよい。リソグラフィ装置は、以上の実施形態および変形例のいずれかにおいて記述されたグリッパ1301および/またはグリッパシステム1300を更に備えてもよい。
【0085】
リソグラフィ装置は、基板Wを流体ハンドリングシステムに対して駆動するように構成されるアクチュエータを備えてもよい。このように、アクチュエータは、基板Wの位置(あるいは、流体ハンドリングシステムの位置)を制御するために使用されてもよい。アクチュエータは、基板テーブルWTおよび/または基板Wを保持するように構成された基板ホルダおよび/または基板テーブルWTを正確に配置するように構成される第2ポジショナPWでもよい、または、を備えてもよい。
【0086】
本テキストにおいて、リソグラフィ装置の文脈における発明の実施形態についての具体的な参照がなされたかもしれないが、発明の実施形態は他の装置で使用されてもよい。発明の実施形態は、マスク検査装置、計測装置、またはウェーハ(または他の基板W)またはマスク(または他のパターニングデバイス)等のオブジェクトを測定または処理する任意の装置の一部を構成してもよい。これらの装置は、一般的にリソグラフィツールと表されてもよい。このようなリソグラフィツールは、大気(非真空)条件を使用してもよい。
【0087】
以上において、光学リソグラフィの文脈における発明の実施形態の使用についての具体的な参照がなされたかもしれないが、発明は、文脈が許す限り、光学リソグラフィに限定されないと理解される。
【0088】
理解されるように、前述されたいずれの特徴も任意の他の特徴と共に使用されうるため、本出願のカバー範囲は明示的に記述された組合せに限られない。
【0089】
本テキストにおいて、ICの製造におけるリソグラフィ装置の使用についての具体的な参照がなされたかもしれないが、ここで記述されるリソグラフィ装置は、集積光学システム、磁気ドメインメモリのためのガイダンスおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造等の、マイクロスケール更にはナノスケールのフィーチャを有するコンポーネントの製造における他の用途を有してもよいと理解されるべきである。
【0090】
文脈が許す限り、発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはこれらの任意の組合せで実装されてもよい。発明の実施形態は、一または複数のプロセッサによって読み出されて実行されてもよい機械読取可能媒体上に格納された命令として実装されてもよい。機械読取可能媒体は、機械(例えば、演算デバイス)によって読み取り可能な形態で、情報を格納または送信するための任意のメカニズムを含んでもよい。例えば、機械読取可能媒体は、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光、音響または他の形態の伝送信号(例えば 搬送波、赤外線信号、デジタル信号等)、その他を含んでもよい。更に、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令は、特定のアクションを実行するものとして記述されてもよい。但し、このような記述は単に便宜的なものであり、このようなアクションは実際には、演算デバイス、プロセッサ、コントローラ、またはファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令等を実行する他のデバイスによってもたらされ、アクチュエータまたは他のデバイスに物理的な世界と相互作用させてもよいと理解されるべきである。
【0091】
実施形態は、以下の番号が付された項目を含む:
1.リソグラフィ装置において基板を移送するように構成されるグリッパであって、
前記基板の表面に作用するための一または複数の作用部を有する本体を備え、
前記一または複数の作用部が前記基板に作用する時に当該基板の領域と重複する前記本体の一部は、前記基板の表面に実質的に垂直な方向に前記本体を通って延びる複数の開口を備える、
グリッパ。
2.前記本体の一部は、前記一または複数の作用部が前記基板に作用する時に当該基板のエッジ領域と重複する、項目1に記載のグリッパ。
3.前記基板の領域と重複する前記本体の一部は複数のリブを備え、前記複数の開口は前記リブの間に設けられる、項目1または2に記載のグリッパ。
4.前記リブはスケルトンタイプ構造で設けられる、項目3に記載のグリッパ。
5.前記リブの一または複数は少なくとも部分的にコーティングされた外表面を備える、項目3または4に記載のグリッパ。
6.前記コーティングは疎液性または親液性である、項目5に記載のグリッパ。
7.前記リブの一または複数は曲がった外表面を備える、項目3から6のいずれかに記載のグリッパ。
8.前記リブの一または複数は外表面の間に丸まったエッジを備える、項目3から7のいずれかに記載のグリッパ。
9.前記作用部は渦型または静電型クランプパッド等のクランプパッドを備える、項目1から8のいずれかに記載のグリッパ。
10.前記一または複数の作用部のそれぞれによる前記基板のグリップおよび/またはリリースを行うために、前記本体において前記各作用部からの流体の流れおよび/または前記各作用部への流体の流れを提供するための一または複数の導管を更に備える、項目1から9のいずれかに記載のグリッパ。
11.前記一または複数の導管は真空導管を備える、項目10に記載のグリッパ。
12.前記一または複数の導管を通じた前記流体の流れは空気流である、項目10または11に記載のグリッパ。
13.前記基板の領域と重複する前記本体の一部に前記作用部への実質的な流体の流れを提供するための主導管がある、項目3に従属する場合の項目10から12のいずれかに記載のグリッパ。
14.前記主導管の幅/直径は前記リブの幅/直径より大きい、項目13に記載のグリッパ。
15.複数の前記リブは前記流体のための導管である、項目3に従属する場合の項目10から14のいずれかに記載のグリッパ。
16.前記一または複数の作用部が前記基板に作用する時に前記基板は前記グリッパの上方に位置する、項目1から15のいずれかに記載のグリッパ。
17.前記一または複数の作用部が前記基板に作用する時に当該基板のエッジ領域と重複する前記グリッパ本体の一部および当該基板の間にギャップがある、項目1から16のいずれかに記載のグリッパ。
18.項目1から17のいずれかに記載のグリッパと、
吸引モジュールと、
を備え、
前記吸引モジュールは、前記グリッパの一部の表面から流体を取り出すように構成される流体取出導管を備える、
グリッパシステム。
19.前記グリッパの一部は、当該グリッパが前記基板に作用する時に当該基板のエッジ領域と重複する、項目18に記載のグリッパシステム。
20.前記グリッパが前記基板に作用する時、前記吸引モジュールは前記基板に対して前記グリッパの反対側に設けられる、項目18または19に記載のグリッパシステム。
21.前記吸引モジュールは、第1位置および第2位置の間を移動するように設けられ、
前記第1位置において、前記吸引モジュールの前記流体取出導管の端は前記グリッパの近くにあり、前記グリッパの表面から流体を取り出すように設けられ、
前記第2位置において、前記吸引モジュールの前記流体取出導管の端は、前記第1位置にある場合より前記グリッパから遠くに位置する、
項目18から20のいずれかに記載のグリッパシステム。
22.項目18から21のいずれかに記載のグリッパシステムを備える基板ハンドラ。
23.項目22に記載の基板ハンドラを備えるリソグラフィ装置。
【0092】
発明の具体的な実施形態が前述されたが、発明は記述されたものと異なる態様で実施されてもよいと理解される。以上の記述は例示を目的としており、発明を限定する趣旨ではない。従って、記述された発明に対して以下の請求項の範囲から逸脱することなく変更が加えられてもよいことは当業者にとって明らかである。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィ装置において基板を移送するように構成されるグリッパであって、
前記基板の表面に作用するための一または複数の作用部を有する本体を備え、
前記一または複数の作用部が前記基板に作用する時に当該基板の
エッジ領域と重複する前記本体の一部は、
当該基板のエッジ領域から落下する液体が少なくとも一つの開口を通じて落下するように、前記基板の表面に実質的に垂直な方向に前記本体を通って延びる複数の開口を備える、
グリッパ。
【請求項2】
前記基板の
エッジ領域と重複する前記本体の一部は複数のリブを備え、前記複数の開口は前記リブの間に設けられる、請求項1に記載のグリッパ。
【請求項3】
前記リブはスケルトンタイプ構造で設けられる、および/または、前記リブの一または複数は少なくとも部分的にコーティングされた外表面を備える、および/または、前記リブの一または複数は曲がった外表面を備える、および/または、前記リブの一または複数は外表面の間に丸まったエッジを備える、請求項2に記載のグリッパ。
【請求項4】
前記コーティングは疎液性または親液性である、請求項3に記載のグリッパ。
【請求項5】
前記作用部は渦型または静電型クランプパッド等のクランプパッドを備える、および/または、前記一または複数の作用部が前記基板に作用する時に前記基板は前記グリッパの上方に位置する、および/または、前記一または複数の作用部が前記基板に作用する時に当該基板のエッジ領域と重複するグリッパ本体の一部および当該基板の間にギャップがある、請求項1から4のいずれかに記載のグリッパ。
【請求項6】
前記一または複数の作用部のそれぞれによる前記基板のグリップおよび/またはリリースを行うために、前記本体において前記各作用部からの流体の流れおよび/または前記各作用部への流体の流れを提供するための一または複数の導管を更に備える、請求項1から5のいずれかに記載のグリッパ。
【請求項7】
前記一または複数の導管は真空導管を備える、および/または、前記一または複数の導管を通じた前記流体の流れは空気流である、請求項6に記載のグリッパ。
【請求項8】
前記基板の領域と重複する前記本体の一部に前記作用部への実質的な流体の流れを提供するための主導管がある、および/または、複数のリブは前記流体のための導管である、請求項2に従属する場合の請求項6または7に記載のグリッパ。
【請求項9】
前記主導管の幅/直径は前記リブの幅/直径より大きい、請求項8に記載のグリッパ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載のグリッパと、
吸引モジュールと、
を備え、
前記吸引モジュールは、前記グリッパの一部の表面から流体を取り出すように構成される流体取出導管を備える、
グリッパシステム。
【請求項11】
前記グリッパの一部は、当該グリッパが前記基板に作用する時に当該基板のエッジ領域と重複する、請求項10に記載のグリッパシステム。
【請求項12】
前記グリッパが前記基板に作用する時、前記吸引モジュールは前記基板に対して前記グリッパの反対側に設けられる、請求項10または11に記載のグリッパシステム。
【請求項13】
前記吸引モジュールは、第1位置および第2位置の間を移動するように設けられ、
前記第1位置において、前記吸引モジュールの前記流体取出導管の端は前記グリッパの近くにあり、前記グリッパの表面から流体を取り出すように設けられ、
前記第2位置において、前記吸引モジュールの前記流体取出導管の端は、前記第1位置にある場合より前記グリッパから遠くに位置する、
請求項10から12のいずれかに記載のグリッパシステム。
【請求項14】
請求項10から13のいずれかに記載のグリッパシステムを備える基板ハンドラ。
【請求項15】
請求項14に記載の基板ハンドラを備えるリソグラフィ装置。
【国際調査報告】