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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-24
(54)【発明の名称】抗菌組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 33/12 20060101AFI20240117BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
A01N33/12 101
A01P3/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518277
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(85)【翻訳文提出日】2023-03-20
(86)【国際出願番号】 KR2022009358
(87)【国際公開番号】W WO2023287071
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】10-2021-0093569
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジ・ソク・イ
(72)【発明者】
【氏名】スンヒ・カン
(72)【発明者】
【氏名】サンゴン・キム
(72)【発明者】
【氏名】イヒョン・ペク
(72)【発明者】
【氏名】ヘスン・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ファンヒ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ダ・ソル・チュン
(72)【発明者】
【氏名】ソンジュン・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ヒュンサム・チェ
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AA02
4H011BB04
(57)【要約】
本明細書は、アクリレート基又はメタクリレート基を有する4級アンモニウム構造を含む化合物を1種以上含み、グラム陽性菌及びグラム陰性菌のうち少なくとも一つの菌株に対して方法1によって測定した抗菌力Aが90%以上であり、急性経口毒性濃度LD50が300mg/Kg以上である抗菌組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリレート基又はメタクリレート基を有する4級アンモニウム構造を含む化合物を1種以上含み、グラム陽性菌及びグラム陰性菌のうち少なくとも一つの菌株に対して下記方法1によって測定した抗菌力Aが90%以上であり、急性経口毒性濃度LD50が300mg/Kg以上である抗菌組成物:
[方法1]
3,000CFU/mlの菌を接種させたブロス(broth)類型の培地(Nutrient broth, BD DIFCO., 8g/L)25mlを50mLの円錐型チューブ(Conical tube)に入れた後、前記抗菌組成物0.015gを添加して懸濁させ(Vortexing)、十分に混合された溶液を35℃が維持される振とう水槽(shaking water bath)内で16時間培養させる。
培養が完了した溶液を1X PBS緩衝液を用いて1/5に希釈した後、紫外可視分光光度計(UV/Vis spectrophotometer)を用いて吸光度(λ=600nm)を測定し、測定された吸光度を前記抗菌組成物を添加せずに培養した溶液と比較して、静菌減少率である抗菌力を下記の数式で計算する。
【数1】
【請求項2】
前記方法1は、Proteus mirabilis, E.coli, S.aureus, E.Cloaceae及び E.faecalisの少なくとも一つの菌株に対して測定したものである、請求項1に記載の抗菌組成物。
【請求項3】
前記方法1は、Proteus mirabilis, E.coli, S.aureus, E.Cloaceae及び E.faecalisの菌株のそれぞれに対して測定したものである、請求項1に記載の抗菌組成物。
【請求項4】
前記抗菌組成物の抗菌力Aが発現する時間は、1時間以内である、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項5】
下記方法2によって測定した抗菌力Bに対する下記方法3によって測定した抗菌力Cの比(C/B)が、1以上2未満である、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗菌組成物:
[方法2]
抗菌組成物0.015gの代わりに0.005gを添加したこと以外には、方法1と同一、
[方法3]
抗菌組成物0.015gの代わりに0.02gを添加したこと以外には、方法1と同一。
【請求項6】
前記抗菌力Aが99%以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項7】
下記方法4によって測定した抗菌力Dが65%以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗菌組成物:
[方法4]
抗菌組成物0.015gの代わりに0.01gを添加したこと以外には、方法1と同一。
【請求項8】
前記抗菌力Dが99%以上である、請求項7に記載の抗菌組成物。
【請求項9】
下記方法2によって測定した抗菌力Bが55%以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗菌組成物:
[方法2]
抗菌組成物0.015gの代わりに0.005gを添加したこと以外には、方法1と同一。
【請求項10】
前記抗菌力Bが99%以上である、請求項9に記載の抗菌組成物。
【請求項11】
前記急性経口毒性濃度LD50が、800mg/Kg以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項12】
前記急性経口毒性濃度LD50が、1,000mg/Kg以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項13】
前記アクリレート基又はメタクリレート基を有する4級アンモニウム構造を含む化合物は、下記化学式1で表される化合物の中から選択されるものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗菌組成物:
【化1】
前記化学式1において、
L1は、炭素数2~4のアルキレン基であり、
R1、R2及びR3は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ炭素数1~20のアルキル基であり、
R4は、水素又はメチル基である。
【請求項14】
前記化学式1のR1、R2及びR3のうち少なくとも一つは、炭素数8以上のアルキル基であり、R1、R2及びR3に含まれるアルキル基の炭素数の合計が12~24である、請求項13に記載の抗菌組成物。
【請求項15】
前記アクリレート基又はメタクリレート基を有する4級アンモニウム構造を含む化合物は、下記モノマー1~10の中から選択されるものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗菌組成物:
【化2】
【化3】
【請求項16】
前記抗菌組成物の急性経皮毒性濃度LD50が、1,000mg/Kg以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項17】
前記抗菌組成物の急性経皮毒性濃度LD50が、2,000mg/Kg以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗菌組成物。
【請求項18】
請求項1~3のいずれか一項に記載の抗菌組成物を含むか、これから製造された製品。
【請求項19】
下記モノマー1~10の中から選択されるものである化合物:
【化4】
【化5】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年7月16日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2021-0093569号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては、本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、抗菌組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、生活用品や衛生用品など多様な製品に抗菌性が求められている。
【0004】
抗菌性が求められる製品の材料や最終使用される状態に応じて、求められる抗菌性の程度や、抗菌性を付与するための材料の要件が変わる。例えば、製品に適用される抗菌性材料の使用量や一緒に使用される材料に応じて、抗菌性を付与するための材料の性質や抗菌性の程度が異なる。
【0005】
そこで、多様な製品のそれぞれに適用するのに適した抗菌性材料の開発が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、親水性及び疎水性を有して抗菌性の付与に有利であり、アクリル系樹脂などとの共重合体を形成して抗菌性を付与できるのみならず、抗菌物質の流出による安全性問題を解決することができる抗菌材料を含む抗菌組成物を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施態様は、アクリレート基又はメタクリレート基を有する4級アンモニウム構造を含む化合物を1種以上含み、グラム陽性菌及びグラム陰性菌のうち少なくとも一つの菌株に対して下記方法1によって測定した抗菌力Aが90%以上であり、急性経口毒性濃度LD50が300mg/Kg以上である抗菌組成物を提供する:
【0008】
[方法1]
3,000CFU/mlの菌を接種させたブロス(broth)類型の培地(Nutrient broth, BD DIFCO., 8g/L)25mlを50mLの円錐型チューブ(Conical tube)に入れた後、上記抗菌組成物0.015gを添加して懸濁させ(Vortexing)、十分に混合された溶液を35℃が維持される振とう水槽(shaking water bath)内で16時間培養させる。
【0009】
培養が完了した溶液を1X PBS緩衝液を用いて1/5に希釈した後、紫外可視分光光度計(UV/Vis spectrophotometer)を用いて吸光度(λ=600nm)を測定し、測定された吸光度を上記抗菌組成物を添加せずに培養した溶液と比較して、静菌減少率である抗菌力を下記の数式で計算する。
【0010】
【数1】
【0011】
本発明の他の実施態様によれば、上記方法1は、Proteus mirabilis, E.coli, S.aureus, E.Cloaceae及びE.faecalisのうち少なくとも一つの菌株に対して測定したものである。
【0012】
本発明の他の実施態様によれば、上記方法1は、Proteus mirabilis, E.coli, S.aureus, E.Cloaceae及びE.faecalisの菌株のそれぞれに対して測定したものである。
【0013】
本発明の他の実施態様によれば、上記抗菌組成物の抗菌力Aが発現する時間が、1時間以内である。
【0014】
本発明の他の実施態様によれば、上記抗菌組成物の下記方法2によって測定した抗菌力Bに対する下記方法3によって測定した抗菌力Cの比(C/B)が、1以上2未満である:
【0015】
[方法2]
抗菌組成物0.015gの代わりに0.005gを添加したこと以外には、方法1と同一、
【0016】
[方法3]
抗菌組成物0.015gの代わりに0.02gを添加したこと以外には、方法1と同一。
【0017】
本発明の他の実施態様によれば、上記抗菌組成物を含むか、これから製造された製品を提供する。
【0018】
本発明の他の実施態様によれば、下記モノマー1~10の中から選択されるものである化合物を提供する。
【0019】
【化1】
【化2】
【発明の効果】
【0020】
本発明のいくつかの実施態様に係る抗菌組成物は、親水性及び疎水性を有して抗菌性の付与に有利であり、アクリル系樹脂などとの共重合体を形成して抗菌性を付与できるのみならず、抗菌物質の流出による安全性問題を解決することができる抗菌材料を含む抗菌組成物であって、抗菌性及び急性経口毒性濃度が特定の範囲内に制御されたものであって、安全性に優れた抗菌性を付与することができる材料として有用である。
【0021】
本発明のいくつかの実施態様に係る抗菌組成物は、短時間で抗菌性を発揮することができる。
【0022】
本発明のいくつかの実施態様に係る抗菌組成物は、抗菌材料の使用量による抗菌力の変化が少ないので、製品に適用時に非意図的に濃度のばらつきが発生する場合にも、予測した範囲内の抗菌性を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施態様として、合成したモノマー1のH-NMRスペクトル((CDSO)を示す図である。
図2】本発明の一実施態様として、合成したモノマー2のH-NMRスペクトル((CDSO)を示す図である。
図3】本発明の一実施態様として、合成したモノマー3のH-NMRスペクトル((CDSO)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の一実施態様は、アクリレート基又はメタクリレート基を有する4級アンモニウム構造を含む化合物を1種以上含み、グラム陽性菌及びグラム陰性菌のうち少なくとも一つの菌株に対して下記方法1によって測定した抗菌力Aが90%以上であり、急性経口毒性濃度LD50が300mg/Kg以上である抗菌組成物を提供する:
【0025】
[方法1]
3,000CFU/mlの菌を接種させたブロス(broth)類型の培地(Nutrient broth, BD DIFCO., 8g/L)25mlを50mLの円錐型チューブ(Conical tube)に入れた後、上記抗菌組成物0.015gを添加して懸濁させ(Vortexing)、十分に混合された溶液を35℃が維持される振とう水槽(shaking water bath)内で16時間培養させる。
【0026】
培養が完了した溶液を1X PBS緩衝液を用いて1/5に希釈した後、紫外可視分光光度計(UV/Vis spectrophotometer)を用いて吸光度(λ=600nm)を測定し、測定された吸光度を上記抗菌組成物を添加せずに培養した溶液と比較して、静菌減少率である抗菌力を下記の数式で計算する。
【0027】
【数2】
【0028】
上記抗菌組成物に含まれるアクリレート基又はメタクリレート基を有する4級アンモニウム構造を含む化合物は、4級アンモニウム系のアンモニウム分子の陽イオンが細菌又は微生物の細胞表面の陰イオン部位に静電気的に吸着し、4級アンモニウム構造に結合した置換基が疎水性である場合、疎水性の相互作用によって細胞表層構造を物理化学的に破壊して死滅させることができる。また、上記アクリレート基又はメタクリレート基によってアクリル系樹脂などとの共重合を通じて抗菌機能を取り入れることができ、この場合、抗菌物質が流出することを防止することで安全性を改善することができる。本発明の上記実施態様によれば、上記のような4級アンモニウム構造を有する化合物を含むと共に、抗菌組成物の抗菌力と急性経口毒性濃度を特定の範囲内に限定することで、高い抗菌性を安全に付与することができる。
【0029】
本明細書で言及された抗菌力は、Proteus mirabilis, E.coli, S.aureus, E.Cloaceae及びE.faecalisのうち少なくとも一つの菌株に対して測定されることができる。好ましくは、本明細書で言及された抗菌力は、Proteus mirabilis, E.coli, S.aureus, E.Cloaceae及びE.faecalisのそれぞれに対して測定されることができる。 本発明の実施態様に係る抗菌組成物は、グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して一定以上の抗菌力を有することができる。Proteus mirabilisは、ATCC29906、CCUG4637、E.Cloaceaeは、ATCC13047、ATCC13048、CCUG71839、E.faecalisは、ATCC29212、CCUG9997が使用されることができる。
【0030】
本発明の他の実施態様によれば、上記抗菌組成物の抗菌力Aが発現する時間が、1時間以内である。これによって、抗菌組成物を目的とする用途又は製品に適用した直後から所望の抗菌力を示すことができる。
【0031】
本発明の他の実施態様によれば、上記抗菌組成物の下記方法2によって測定した抗菌力Bに対する下記方法3によって測定した抗菌力Cの比(C/B)が、1以上2未満である:
【0032】
[方法2]
抗菌組成物0.015gの代わりに0.005gを添加したこと以外には、方法1と同一、
【0033】
[方法3]
抗菌組成物0.015gの代わりに0.02gを添加したこと以外には、方法1と同一。
【0034】
抗菌組成物を目的とする用途又は製品に適用するとき、抗菌材料が非意図的に濃度の高い領域と濃度の低い領域とが発生し得、濃度が低い領域では、所望の抗菌性を示すことができない場合もある。しかしながら、上記実施態様によれば、抗菌材料の使用量による抗菌力の変化が少ないので、目的とする用途又は製品に適用時に非意図的に濃度のばらつきが発生する場合にも、予測した範囲内の抗菌性を示すことができる。
【0035】
本発明の他の実施態様によれば、上記抗菌力Aが99%以上であり、好ましくは99.3%以上、より好ましくは99.5%以上、より好ましくは99.7%以上、より好ましくは99.9%以上である。
【0036】
本発明の他の実施態様によれば、下記方法4によって測定した抗菌力Dが、65%以上である:
【0037】
[方法4]
抗菌組成物0.015gの代わりに0.01gを添加したこと以外には、方法1と同一。
【0038】
上記実施態様によれば、上記抗菌組成物を0.01gの量で添加する場合にも、優れた抗菌性を提供することができる。
【0039】
本発明の他の実施態様によれば、上記抗菌力Dが65%以上、68%以上、68.2%以上、70%以上であってよい。また、上記抗菌力Dが99%以上であり、好ましくは99.3%以上、より好ましくは99.5%以上、より好ましくは99.7%以上、より好ましくは99.9%以上であってよい。
【0040】
本発明の他の実施態様によれば、下記方法2によって測定した抗菌力Bが、55%以上である:
【0041】
[方法2]
抗菌組成物0.015gの代わりに0.005gを添加したこと以外には、方法1と同一。
【0042】
上記実施態様によれば、上記抗菌組成物を0.005gの量で添加する場合にも、優れた抗菌性を提供することができる。
【0043】
本発明の他の実施態様によれば、上記抗菌力Bが55%以上、59%以上、59.3%以上、60%以上、61.2%以上であってよい。また、上記抗菌力Bが99%以上であり、好ましくは99.3%以上、より好ましくは99.5%以上、より好ましくは99.7%以上、より好ましくは99.9%以上であってよい。
【0044】
本発明の他の実施態様によれば、上述した実施態様に係る抗菌組成物の急性経口毒性濃度LD50が、300mg/Kg以上、300mg/Kg超過、500mg/Kg以上、好ましくは800mg/Kg以上、より好ましくは1,000mg/Kg以上である。具体的な例によれば、上述した実施態様に係る抗菌組成物の急性経口毒性濃度LD50が、800mg/Kg以上、843mg/Kg以上、869mg/Kg以上、900mg/Kg以上、又は998mg/Kg以上であってよい。上述した実施態様に係る抗菌組成物の急性経口毒性濃度LD50が、1,000mg/Kg以上、1,050mg/Kg以上、1,078mg/Kg以上、1,100mg/Kg以上、1,111mg/Kg以上、1,200mg/Kg以上、1,242mg/Kg以上、1,300mg/Kg以上、1,369mg/Kg以上、1,400mg/Kg以上、1,442mg/Kg以上、1,498mg/Kg以上、1,500mg/Kg以上、1,600mg/Kg以上、1,700mg/Kg以上、1,708mg/Kg以上であってよい。具体例によれば、上述した実施態様に係る抗菌組成物の急性経口毒性濃度LD50が、843mg/Kg、869mg/Kg、998mg/Kg、1,078mg/Kg、1,111mg/Kg、1,242mg/Kg、1,369mg/Kg、1,442mg/Kg、1,498mg/Kg、又は1,708mg/Kgであってよい。
【0045】
上述した実施態様に係る抗菌組成物の急性経口毒性濃度LD50が高いほど毒性が低いので、有利である。但し、上述した抗菌力も共に満足する観点で、LD50の値が定められることができる。例えば、上述した実施態様に係る抗菌組成物の急性経口毒性濃度LD50は、50,000mg/Kg以下であってよく、例えば10,000mg/Kg以下、5,000mg/Kg以下、又は2,000mg/Kg以下であってよい。一例によれば、上述した実施態様に係る抗菌組成物の急性経口毒性濃度LD50は、1,708mg/Kg以下であってよい。
【0046】
本発明の他の実施態様によれば、上述した実施態様に係る抗菌組成物の急性経皮毒性濃度LD50が、1,000mg/Kg以上、1,000mg/Kg超過、好ましくは1,500mg/Kg以上、より好ましくは2,000mg/Kg以上である。上述した実施態様に係る抗菌組成物の急性経皮毒性濃度LD50が高いほど毒性が低いので、有利である。
【0047】
本発明の一実施態様によれば、上記アクリレート基又はメタクリレート基を有する4級アンモニウム構造を含む化合物は、下記化学式1で表される化合物のうち上述した抗菌力及び急性経口毒性濃度LD50を示すことができるものを選択することができる:
【0048】
【化3】
【0049】
上記化学式1において、
L1は、炭素数2~4のアルキレン基であり、
R1、R2及びR3は、互いに同一であるか異なっており、それぞれ炭素数1~20のアルキル基であり、
R4は、水素又はメチル基である。
【0050】
一実施態様によれば、上記化学式1のR1、R2及びR3のうち少なくとも一つは、炭素数8以上のアルキル基であり、好ましくは炭素数8~14のアルキル基であり、より好ましくは炭素数8~12のアルキル基である。
【0051】
一実施態様によれば、上記化学式1のR1、R2及びR3に含まれるアルキル基の炭素数の合計が、12~24である。
【0052】
一実施態様によれば、上記化学式1のR1、R2及びR3のうち炭素数が多い2個の炭素数の合計が、2~24であり、好ましくは8~20、より好ましくは8~16である。一例によれば、上記化学式1のR1、R2及びR3のうち炭素数が多い2個の炭素数の合計が、9~15であってよい。
【0053】
一実施態様によれば、上記化学式1のR1、R2及びR3のうち炭素数が最も多いものの炭素数が12以下、好ましくは11以下である。
【0054】
一実施態様によれば、上記化学式1のR1、R2及びR3のうち炭素数が最も多い2個のうちいずれか一つが炭素数が10以上の場合、残りの一つは炭素数が8未満である。
【0055】
ここで、炭素数が最も多い基を選択するとき、炭素数が同じ基がある場合、いずれか一つを選択する。
【0056】
上記の実施態様に係る炭素数を有する場合、急性経口毒性及び急性経皮毒性を制御することができる。急性経口毒性及び/又は急性経皮毒性が高過ぎる場合、使用用途、特におむつなどの乳児用品への使用に制約がある。
【0057】
一実施態様によれば、上記化学式1中、L1は、エチレン又はブチレンである。
【0058】
一実施態様によれば、上記化学式1中、R4は、水素である。
【0059】
一実施態様によれば、上記化学式1中、R4は、メチルである。
【0060】
上記抗菌組成物は、上記アクリレート基又はメタクリレート基を有する4級アンモニウム構造を含む化合物のみからなることができ、必要によって、添加剤又は溶剤がさらに添加されることができる。
【0061】
本発明の他の実施態様によれば、上記アクリレート基又はメタクリレート基を有する4級アンモニウム構造を含む化合物は、水に対する溶解度が50%以上、好ましくは60%以上である。上記溶解度は、常温で測定されることができる。
【0062】
本発明の他の実施態様によれば、上記アクリレート基又はメタクリレート基を有する4級アンモニウム構造を含む化合物は、エタノールに対する溶解度が50%以上、好ましくは60%以上である。上記溶解度は、常温で測定されることができる。
【0063】
本発明の他の実施態様によれば、上記アクリレート基又はメタクリレート基を有する4級アンモニウム構造を含む化合物は、メタノール、アセトン、ジクロロメタン、DMSO、THF、及びクロロホルムのうち少なくとも一つ、好ましくはこれら全部に溶解されることができる。
【0064】
本発明の他の実施態様によれば、上記アクリレート基又はメタクリレート基を有する4級アンモニウム構造を含む化合物は、下記モノマー1~10の中から選択されることができる:
【0065】
【化4】
【化5】
【0066】
上述した実施態様に係る抗菌組成物又はこれに含まれるアクリレート基又はメタクリレート基を有する4級アンモニウム構造を含む化合物は、パウダー状又はオイル状で存在することができる。
【0067】
上記アクリレート基又はメタクリレート基を有する4級アンモニウム構造を含む化合物は、陽イオン性を示すので、陰イオン性を示す基と共に塩をなす形態で存在することができる。このとき、陰イオン性を示す基は、特に限定されず、抗菌組成物の目的を損なわない限り、当該技術分野に知られている材料が使用されることができる。例えば、上記陰イオン性を示す基は、ハロゲン陰イオンであってよく、具体的にBrであってよい。
【0068】
本発明の他の実施態様によれば、上述した実施態様に係る抗菌組成物を含むかこれから製造された製品を提供する。上記製品は、抗菌性が求められるものであれば、特に制限されない。一例によれば、上記製品は、上記抗菌組成物は、(メタ)アクリル系樹脂との共重合体、ポリ塩化ビニルとの共重合体、ポリ乳酸(PLA)との共重合体、ウレタンとの共重合体などの共重合体の状態で使用されることができ、又は上記共重合体のうち少なくとも一つを含む製品、例えば衛生用品、抗菌性フィルム、おむつなどであってよい。上記共重合体としては、アクリレート又はメタクリレート系列との共重合体であることが好ましい。共重合方法は、公知の共重合方法が適用されることができる。
【0069】
本発明の他の実施態様によれば、下記モノマー1~10の中から選択されるものである化合物を提供する。下記モノマー1~10は、上述したアクリレート基又はメタクリレート基を有する4級アンモニウム構造を含む化合物に関する説明が同様に適用されることができる。
【0070】
【化6】
【化7】
【0071】
上記モノマー1~10の中から選択される化合物は、抗菌組成物の構成成分として適用されることができる。また、上記モノマー1~10の中から選択される化合物は陽イオン性を示すので、陰イオン性を示す基と共に塩をなした形態で存在することができる。このとき、陰イオン性を示す基は、特に限定されず、抗菌組成物の目的を損なわない限り、当該技術分野に知られている材料が使用されることができる。例えば、上記陰イオン性を示す基は、ハロゲン陰イオンであってよく、具体的にBrであってよい。
【実施例
【0072】
以下では、実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。但し、以下の実施例は、本発明を例示するためのものに過ぎず、これによって本発明の範囲が限定されるものではない。
【0073】
[4級アンモニウム構造を含む化合物の合成]
モノマー1、モノマー2、モノマー3の合成
【0074】
【化8】
【0075】
Step 1
1.100mLのTHF(溶媒)に0.1molの2-(ジブチルアミノ)エタノール(DBAE, 2-(dibutylamino)ethanol)、0.1molのトリメチルアミン及び0.001molのヒドロキノンを投入した。
2.上記材料を撹拌しながら反応溶液の上に0.1molのアクリロイルクロリド(acryloyl chloride)を滴下した(常温)。
3.2時間の間撹拌した。
4.濾過してトリエチルアミン塩を除去した後、回転蒸発器(rotary evaporator)で溶媒を除去した。
5.83~87℃で真空乾燥した。
【0076】
Step 2
1.上記Step 1の生成物と1-ブロモオクタン(1-boromooctane、モノマー1の製造)、1-ブロモデカン(1-boromodecane、モノマー2の製造)、又は1-ブロモドデカン(1-boromododecane、モノマー3の製造)を1:1の比率でアクリロニトリル(溶媒)に50wt%で溶解した。
2.次いで、重合抑制剤であるp-メトキシフェノール(p-methoxyphenol)を投入した(反応物との比率 1:0.001eq)。
3.50℃で20時間反応させた。
4.メチルt-ブチルエーテル(MTBE, methyl t-butyl ether)に正沈殿(MTBE:反応溶液=15:1)した後、濾過した。ここで、反応物を非溶媒(nonsolvent)に投入する正沈殿方式を用いたが、非溶媒を反応物に投入する逆沈殿方式を用いることもできる。また、MTBEと反応溶液との比率は15:1以外に他の比率が使用されることもでき、例えば、12:1、26:1で使用されることができる。
5.45℃で真空乾燥した。
【0077】
上記合成したモノマー1のH-NMRスペクトル((CDSO)を下記図1に示し、上記合成したモノマー2のH-NMRスペクトル((CDSO)を下記図2に示し、上記合成したモノマー3のH-NMRスペクトル((CDSO)を下記図3に示した。
【0078】
モノマー4の合成
【0079】
【化9】
【0080】
Step 1
1.100mLのTHF(溶媒)に0.1molの2-(ジオクチルアミノ)エタノール(DOAE, 2-(Dioctylamino)ethanol)、0.1molのトリメチルアミン及び0.001molのヒドロキノンを投入した。
2.上記材料を撹拌しながら反応溶液の上に0.1molのアクリロイルクロリド(acryloyl chloride)を滴下した(常温)。
3.2時間の間撹拌した。
4.濾過してトリエチルアミン塩を除去した後、回転蒸発器(rotary evaporator)で溶媒を除去した。
5.83~87℃で真空乾燥した。
【0081】
Step 2
1.Step 1の生成物と1-ブロモオクタン(1-boromooctane)を1:1の比率でアクリロニトリル(溶媒)に50wt%で溶解した。
2.次いで、重合抑制剤であるp-メトキシフェノール(p-methoxyphenol)を投入した(反応物との比率 1:0.001eq)。
3.50℃で20時間反応させた。
4.メチルt-ブチルエーテル(MTBE, methyl t-butyl ether)に正沈殿(MTBE:反応溶液=15:1)した後、濾過した。
5.45℃で真空乾燥した。
【0082】
上記モノマー4は、上述したモノマー1~3と同様にH-NMRスペクトル((CDSO)で合成を確認した。
【0083】
モノマー5の合成
【0084】
【化10】
【0085】
Step 1
1.100mLのTHF(溶媒)に0.1molの2-(ジヘキシルアミノ)エタノール(DHAE, 2-(Dihexylamino)ethanol)、0.1molのトリメチルアミン及び0.001molのヒドロキノンを投入した。
2.上記材料を撹拌しながら反応溶液の上に0.1molのメタクリロイルクロリド(methacryloyl chloride)を滴下した(常温)。
3.2時間の間撹拌した。
4.濾過してトリエチルアミン塩を除去した後、回転蒸発器(rotary evaporator)で溶媒を除去した。
5.83~87℃で真空乾燥した。
【0086】
Step 2
1.Step 1の生成物と1-ブロモデカン(1-boromodecane)を1:1の比率でアクリロニトリル(溶媒)に50wt%で溶解した。
2.次いで、重合抑制剤であるp-メトキシフェノール(p-methoxyphenol)を投入した(反応物との比率 1:0.001eq)。
3.50℃で20時間反応させた。
4.メチルt-ブチルエーテル(MTBE, methyl t-butyl ether)に正沈殿(MTBE:反応溶液=15:1)した後、濾過した。
5.45℃で真空乾燥した。
【0087】
上記モノマー5は、上述したモノマー1~3と同様にH-NMRスペクトル((CDSO)で合成を確認した。
【0088】
モノマー6の合成
【0089】
【化11】
【0090】
Step 1
1.100mLのTHF(溶媒)に0.1molの2-(ブチルヘキシルアミノ)エタノール(BHAE, 2-(butylhexylamino)ethanol))、0.1molのトリメチルアミン及び0.001molのヒドロキノンを投入した。
2.上記材料を撹拌しながら反応溶液の上に0.1molのメタクリロイルクロリド(methacryloyl chloride)を滴下した(常温)。
3.2時間の間撹拌した。
4.濾過してトリエチルアミン塩を除去した後、回転蒸発器(rotary evaporator)で溶媒を除去した。
5.83~87℃で真空乾燥した。
【0091】
Step 2
1.Step 1の生成物と1-ブロモデカン(1-boromodecane)を1:1の比率でアクリロニトリル(溶媒)に50wt%で溶解した。
2.次いで、重合抑制剤であるp-メトキシフェノール(p-methoxyphenol)を投入した(反応物との比率 1:0.001eq)。
3.50℃で20時間反応させた。
4.メチルt-ブチルエーテル(MTBE, methyl t-butyl ether)に正沈殿(MTBE:反応溶液=15:1)した後、濾過した。
5.45℃で真空乾燥した。
【0092】
上記モノマー6は、上述したモノマー1~3と同様にH-NMRスペクトル((CDSO)で合成を確認した。
【0093】
モノマー7の合成
【0094】
【化12】
【0095】
Step 1
1.100mLのTHF(溶媒)に0.1molの2-(ブチルオクチルアミノ)エタノール(BOAE, 2-(butyloctylamino)ethanol)、0.1molのトリメチルアミン及び0.001molのヒドロキノンを投入した。
2.上記材料を撹拌しながら反応溶液の上に0.1molのメタクリロイルクロリド(methacryloyl chloride)を滴下した(常温)。
3.2時間の間撹拌した。
4.濾過してトリエチルアミン塩を除去した後、回転蒸発器(rotary evaporator)で溶媒を除去した。
5.83~87℃で真空乾燥した。
【0096】
Step 2
1.Step 1の生成物と1-ブロモデカン(1-boromodecane)を1:1の比率でアクリロニトリル(溶媒)に50wt%で溶解した。
2.次いで、重合抑制剤であるp-メトキシフェノール(p-methoxyphenol)を投入した(反応物との比率 1:0.001eq)。
3.50℃で20時間反応させた。
4.メチルt-ブチルエーテル(MTBE, methyl t-butyl ether)に正沈殿(MTBE:反応溶液=15:1)した後、濾過した。
5.45℃で真空乾燥した。
【0097】
上記モノマー7は、上述したモノマー1~3と同様にH-NMRスペクトル((CDSO)で合成を確認した。
【0098】
モノマー8の合成
【0099】
【化13】
【0100】
Step 1
1.100mLのTHF(溶媒)に0.1molの2-(ブチルデシルアミノ)エタノール(BOAE, 2-(butyldecylamino)ethanol)、0.1molのトリメチルアミン及び0.001molのヒドロキノンを投入した。
2.上記材料を撹拌しながら反応溶液の上に0.1molのメタクリロイルクロリド(methacryloyl chloride)を滴下した(常温)。
3.2時間の間撹拌した。
4.濾過してトリエチルアミン塩を除去した後、回転蒸発器(rotary evaporator)で溶媒を除去した。
5.83~87℃で真空乾燥した。
【0101】
Step 2
1.Step 1の生成物と1-ブロモデカン(1-boromodecane)を1:1の比率でアクリロニトリル(溶媒)に50wt%で溶解した。
2.次いで、重合抑制剤であるp-メトキシフェノール(p-methoxyphenol)を投入した(反応物との比率 1:0.001eq)。
3.50℃で20時間反応させた。
4.メチルt-ブチルエーテル(MTBE, methyl t-butyl ether)に正沈殿(MTBE:反応溶液=15:1)した後、濾過した。
5.45℃で真空乾燥した。
【0102】
上記モノマー8は、上述したモノマー1~3と同様にH-NMRスペクトル((CDSO)で合成を確認した。
【0103】
モノマー9の合成
【0104】
【化14】
【0105】
Step 1
1.100mLのTHF(溶媒)に0.1molの2-(ジブチルアミノ)ブタノール(DBAB, 2-(Dibutylamino)butanol)、0.1molのトリメチルアミン及び0.001molのヒドロキノンを投入した。
2.上記材料を撹拌しながら反応溶液の上に0.1molのアクリロイルクロリド(acryloyl chloride)を滴下した(常温)。
3.2時間の間撹拌した。
4.濾過してトリエチルアミン塩を除去した後、回転蒸発器(rotary evaporator)で溶媒を除去した。
5.83~87℃で真空乾燥した。
【0106】
Step 2
1.Step 1の生成物と1-ブロモオクタン(1-boromooctane)を1:1の比率でアクリロニトリル(溶媒)に50wt%で溶解した。
2.次いで、重合抑制剤であるp-メトキシフェノール(p-methoxyphenol)を投入した(反応物との比率 1:0.001eq)。
3.50℃で20時間反応させた。
4.メチルt-ブチルエーテル(MTBE, methyl t-butyl ether)に正沈殿(MTBE:反応溶液=15:1)した後、濾過した。
5.45℃で真空乾燥した。
【0107】
上記モノマー9は、上述したモノマー1~3と同様にH-NMRスペクトル((CDSO)で合成を確認した。
【0108】
モノマー10の合成
【0109】
【化15】
【0110】
Step 1
1.100mLのTHF(溶媒)に0.1molの2-(ジオクチルアミノ)ブタノール(DOAB, 2-(Dioctylamino)butanol)、0.1molのトリメチルアミン及び0.001molのヒドロキノンを投入した。
2.上記材料を撹拌しながら反応溶液の上に0.1molのアクリロイルクロリド(acryloyl chloride)を滴下した(常温)。
3.2時間の間撹拌した。
4.濾過してトリエチルアミン塩を除去した後、回転蒸発器(rotary evaporator)で溶媒を除去した。
5.83~87℃で真空乾燥した。
【0111】
Step 2
1.Step 1の生成物と1-ブロモオクタン(1-boromooctane)を1:1の比率でアクリロニトリル(溶媒)に50wt%で溶解した。
2.次いで、重合抑制剤であるp-メトキシフェノール(p-methoxyphenol)を投入した(反応物との比率 1:0.001eq)。
3.50℃で20時間反応させた。
4.メチルt-ブチルエーテル(MTBE, methyl t-butyl ether)に正沈殿(MTBE:反応溶液=15:1)した後、濾過した。
5.45℃で真空乾燥した。
【0112】
上記モノマー10は、上述したモノマー1~3と同様にH-NMRスペクトル((CDSO)で合成を確認した。
【0113】
比較モノマー1の合成
モノマー1の合成工程で、Step 2の1-ブロモオクタン(1-bromooctane)の代わりにブロモヘキサン(bromohexane)を使用したこと以外には、モノマー1の合成工程と同様に行った。
【0114】
上記比較モノマー1は、上述したモノマー1~3と同様にH-NMRスペクトル((CDSO)で合成を確認した。
【0115】
【化16】
【0116】
比較モノマー2の合成
モノマー10の合成工程で、Step 1の2-(ジオクチルアミノ)ブタノールの代わりに2-(ジテトラデシルアミノ)ブタノールを使用し、Step 2の1-ブロモオクタン(1-bromooctane)の代わりにブロモテトラデカン(bromotetradecane)を使用したこと以外には、モノマー10の合成工程と同様に行った。
【0117】
上記比較モノマー2は、上述したモノマー1~3と同様にH-NMRスペクトル((CDSO)で合成を確認した。
【0118】
【化17】
【0119】
上記モノマー1~10及び比較モノマー1及び2の方法1~4に係る抗菌力を測定して、下記表1に示す。このとき、P.mirabilis(ATCC29906)菌を使用した。
【0120】
【表1】
【0121】
表1によれば、モノマー1~10は、いずれも方法1によって測定された抗菌力Aが99.9%であった。
【0122】
上記モノマー1~10及び比較モノマー1及び2の抗菌力99.9%が確認される時間を、下記表2に示す。
【0123】
【表2】
【0124】
表2によれば、モノマー1~10は、いずれも方法1によって測定された抗菌力A 99.9%が確認される時間が、1時間以内であった。
【0125】
上記モノマー1~10及び比較モノマー1及び2の急性経口毒性濃度LD50を、下記表3に示す。
【0126】
【表3】
【0127】
表3によれば、モノマー1~10は、いずれも急性経口毒性濃度LD50が、300mg/Kg以上、特に800mg/Kg以上であった。また、実施例1、2、4、5、6、9及び10は、急性経口毒性濃度LD50が、1,000mg/Kg以上であった。
【0128】
上記モノマー1~10の急性経皮毒性濃度LD50を下記表4に示す。
【0129】
【表4】
【0130】
表4によれば、モノマー1~10は、いずれも急性経皮毒性濃度LD50が1,000mg/Kg以上、特に2,000mg/Kg以上であった。
【0131】
上記急性経口毒性濃度LD50及び急性経皮毒性濃度LD50は、3T3 Neutral Red Uptake (NRU) assay (OECD Guidance Document No 129)によって測定した。具体的に、急性経口毒性濃度LD50及び急性経皮毒性濃度LD50は、下記のような方法で算出されることができる。
【0132】
【表5】
図1
図2
図3
【国際調査報告】