(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-24
(54)【発明の名称】硬化性組成物およびこれを含む光学部材
(51)【国際特許分類】
C08G 75/06 20060101AFI20240117BHJP
C08G 75/02 20160101ALI20240117BHJP
C08G 79/14 20060101ALI20240117BHJP
G02B 1/04 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
C08G75/06
C08G75/02
C08G79/14
G02B1/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023541119
(86)(22)【出願日】2022-03-08
(85)【翻訳文提出日】2023-07-05
(86)【国際出願番号】 KR2022003257
(87)【国際公開番号】W WO2022191574
(87)【国際公開日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0031499
(32)【優先日】2021-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0026941
(32)【優先日】2022-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】スンファ・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ジウ・イム
(72)【発明者】
【氏名】ヨンレ・チャン
(72)【発明者】
【氏名】ジスン・チェ
【テーマコード(参考)】
4J030
【Fターム(参考)】
4J030BA04
4J030BA05
4J030BA26
4J030BB03
4J030BB18
4J030BB28
4J030BC02
4J030BC36
4J030BC37
4J030BF19
4J030BG08
4J030BG25
4J030CA01
4J030CB15
4J030CC25
4J030CD02
4J030CE11
4J030CG06
(57)【要約】
本発明は、高屈折率光学部材形成用硬化性組成物およびこれを含む光学部材に関するものであって、より具体的には、エピスルフィド化合物および硫黄含有高分子化合物を含む高屈折率光学部材形成用硬化性組成物およびこれを含む光学部材に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エピスルフィド化合物および硫黄含有高分子化合物を含み、
前記硫黄含有高分子化合物は、S
n+1(nは、1ないし20の整数)を含む繰り返し単位およびセレニウムと硫黄とを含む繰り返し単位からなる群より選択された一つ以上の繰り返し単位を含む、高屈折率光学部材形成用硬化性組成物。
【請求項2】
前記硫黄含有高分子化合物は、下記化学式1または2で表される繰り返し単位を含む、請求項1に記載の高屈折率光学部材形成用硬化性組成物:
【化1】
前記化学式1において、
R
1は置換または非置換された炭素数1ないし20のアルキレン;置換または非置換された炭素数3ないし40のシクロアルキレン;置換または非置換された炭素数5ないし30のアリーレン;置換または非置換された酸素(O)、窒素(N)および硫黄(S)原子のうち一つ以上を含む炭素数2ないし30のヘテロアリーレン;-R
aOR
b-;-R
cCOOR
d-;-R
eSO
2R
f-または-R
gSOR
h-であり、R
aないしR
hは、それぞれ独立して、単一結合、置換または非置換された炭素数1ないし20のアルキレン、置換または非置換された炭素数3ないし40のシクロアルキレン、または置換または非置換された炭素数5ないし30のアリーレンであり、
nは、1ないし20の整数であり、
【化2】
前記化学式2において、
R
2は、置換または非置換された炭素数1ないし20のアルキレン;置換または非置換された炭素数3ないし40のシクロアルキレン;置換または非置換された炭素数5ないし30のアリーレン;置換または非置換された酸素(O)、窒素(N)および硫黄(S)原子のうち一つ以上を含む炭素数2ないし30のヘテロアリーレン;-R
aOR
b-;-R
cCOOR
d-;-R
eSO
2R
f-または-R
gSOR
h-であり、R
aないしR
hは、それぞれ独立して、単一結合、置換または非置換された炭素数1ないし20のアルキレン、置換または非置換された炭素数3ないし40のシクロアルキレン、または置換または非置換された炭素数5ないし30のアリーレンであり、
aおよびbは、それぞれ独立して、0以上10以下の整数であり、
a+bは、1以上20以下の整数である。
【請求項3】
R
1およびR
2は、それぞれ独立して、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、シクロへキシレン、シクロヘプチレン、フェニレン、メチルフェニレン、エチルフェニレン、メトキシフェニレンまたはエトキシフェニレンである、請求項2に記載の高屈折率光学部材形成用硬化性組成物。
【請求項4】
前記硫黄含有高分子化合物は、下記繰り返し単位で構成される群より選択されるいずれか一つを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の高屈折率光学部材形成用硬化性組成物:
【化3】
。
【請求項5】
前記硫黄含有高分子化合物およびエピスルフィド化合物は、重量比が1:2ないし1:30である、請求項1から4のいずれか一項に記載の高屈折率光学部材形成用硬化性組成物。
【請求項6】
前記高屈折率光学部材形成用硬化性組成物は、硫黄(S
8)粒子、セレニウムジスルフィド(SeS
2)粒子またはこれらの混合物をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の高屈折率光学部材形成用硬化性組成物。
【請求項7】
前記硫黄(S
8)粒子は、粒径が1ないし200μmであり、
前記セレニウムジスルフィド(SeS
2)粒子は、粒径が1ないし200μmである、請求項6に記載の高屈折率光学部材形成用硬化性組成物。
【請求項8】
前記エピスルフィド化合物は、下記化学式3で表される、請求項1から7のいずれか一項に記載の高屈折率光学部材形成用硬化性組成物:
【化4】
前記化学式3において、
R
3およびR
4は、それぞれ独立して、水素または炭素数1ないし10のアルキルであり、
R
5およびR
6は、それぞれ独立して、単一結合または炭素数1ないし10のアルキレンであり、
aは、0ないし4の整数であり、
bは、0ないし6の整数である。
【請求項9】
前記エピスルフィド化合物は、ビス(β-エピチオプロピル)スルフィド、ビス(β-エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(β-エピチオプロピルチオ)メタン、1,2-ビス(β-エピチオプロピルチオ)エタン、1,3-ビス(β-エピチオプロピルチオ)プロパンおよび1,4-ビス(β-エピチオプロピルチオ)ブタンからなる群より選択された少なくとも一つを含む、請求項8に記載の高屈折率光学部材形成用硬化性組成物。
【請求項10】
エピスルフィド化合物および硫黄含有高分子化合物を含み、
前記硫黄含有高分子化合物は、S
n+1(nは、1ないし20の整数)を含む繰り返し単位およびセレニウムと硫黄とを含む繰り返し単位からなる群より選択された一つ以上の繰り返し単位を含む、光学部材。
【請求項11】
ガラス転移温度が65℃以上である、請求項10に記載の光学部材。
【請求項12】
500nm以上750nm以下の波長で測定された屈折率が1.710以上である、請求項10または11に記載の光学部材。
【請求項13】
イエローインデックス(YI)が0.1ないし50である、請求項10から12のいずれか一項に記載の光学部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願(等)との相互引用
本出願は、2021年3月10日付の韓国特許出願第10-2021-0031499号および2022年3月2日付の韓国特許出願第10-2022-0026941号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、高屈折率光学部材形成用硬化性組成物およびこれを含む光学部材に関するものである。
【背景技術】
【0003】
高屈折高分子(High Refractive Index Polymer:HRIP)は、一般に1.50以上の屈折率を有した高分子素材と定義され、発光ダイオード(LED)などの光抽出効率の増大のためのコーティング/封止用材料やイメージセンサ用マイクロレンズ素材に応用されている。
【0004】
一般のガラスレンズは、破損時に使用者の眼球に致命的な損傷を加えることがあり、密度が高く重量が重いため長時間の着用に不便さが存在するが、高屈折高分子を用いたレンズは、ガラスレンズに比べて軽いため着用しやすく、破損し難く破損してもガラスレンズに比べて相対的に安全で、多様な色の具現が可能である。
【0005】
しかし、高屈折高分子において、一般に屈折率と色収差(アッベ数)とはトレードオフ関係であるため、このような高屈折高分子を用いたレンズなどは比較的低いアッベ数を有する問題点があり、ガラス転移温度が低いためレンズをデバイス装置などに使用する場合、発熱などによる変形が発生する問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、既存のレンズなどに使用されるガラスあるいは強化ガラスに比べて軽く、強度および硬度に優れていながらも、多様な色の具現が可能であり、高屈折率の具現が可能でかつ低いイエローインデックス値を有して光学特性に優れ、ガラス転移温度が高く変形が少ない高屈折率光学部材形成用硬化性組成物、これを含む光学部材を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書では、エピスルフィド化合物および硫黄含有高分子化合物を含む高屈折率光学部材形成用硬化性組成物を提供する。
【0008】
また、本明細書では、エピスルフィド化合物および硫黄含有高分子化合物を含む光学部材を提供する。
【0009】
以下、発明の具体的な具現例に係る硬化性組成物およびこれを含む光学部材に関してより詳細に説明することにする。
【0010】
本明細書で使用される用語は、単に例示的な実施例を説明するために使用されたもので、本発明を限定しようとする意図ではなく、単数の表現は文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。
【0011】
本明細書で使用される「含む」の意味は、特定の特性、領域、整数、ステップ、動作、要素および/または成分を具体化し、他の特定の特性、領域、整数、ステップ、動作、要素、成分および/または群れの存在や付加を除外するものではない。
【0012】
本明細書で使用される「エピスルフィド化合物」の定義は、一つ以上のエピスルフィドを含む化合物を意味することで、このとき、エピスルフィドはエポキシドの酸素(O)原子が硫黄(S)原子に置換された化合物を意味する。
【0013】
本明細書で使用される「硫黄含有高分子化合物」の定義は、硫黄原子が必須的に含むポリマーを意味する。
【0014】
本明細書で「硬化」は、熱硬化および光硬化の両方をいずれも含む意味であり、「硬化性組成物」は、熱硬化および/または光硬化可能な組成物を意味する。
【0015】
本明細書で、高屈折は350ないし800nmの波長領域または632.8nm波長で約1.600以上を意味する。
【0016】
本明細書で「置換または非置換された」という用語は、重水素;ハロゲン基;ニトリル基;ニトロ基;ヒドロキシ基;カルボニル基;エステル基;イミド基;アミノ基;ホスフィンオキシド基;アルコキシ基;アリールオキシ基;アルキルチオキシ基;アリールチオキシ基;アルキルスルホキシ基;アリールスルホキシ基;シリル基;ホウ素基;アルキル基;シクロアルキル基;アルケニル基;アリール基;アラルキル基;アラルケニル基;アルキルアリール基;アルキルアミン基;アラルキルアミン基;ヘテロアリールアミン基;アリールアミン基;アリールホスフィン基;またはN、OおよびS原子のうち一つ以上を含むヘテロ環基からなる群より選択された一つ以上の置換基に置換または非置換されるか、前記例示した置換基のうち2以上の置換基が連結された置換基に置換または非置換されたことを意味する。例えば、『2以上の置換基が連結された置換基』は、ビフェニル基であってもよい。つまり、ビフェニル基はアリール基であってもよく、2つのフェニル基が連結された置換基と解釈できる。
【0017】
発明の一具現例によると、エピスルフィド化合物および硫黄含有高分子化合物を含み、前記硫黄含有高分子化合物は、Sn+1(nは、1ないし20の整数)を含む繰り返し単位およびセレニウムと硫黄とを含む繰り返し単位からなる群より選択された一つ以上の繰り返し単位を含む高屈折率光学部材形成用硬化性組成物が提供される。
【0018】
本発明者らは、エピスルフィド化合物および硫黄含有高分子化合物を含む組成物およびこれを含む光学部材は、既存のレンズなどに使用されるガラスあるいは強化ガラスに比べて軽く、強度および硬度などの物理的な特性に優れ、かつ透過率が高くイエローインデックス(Y.I.)が低いため光学特性に優れ、ガラス転移温度が高く熱に対する変形が少なく、既存に使用されていたガラスやプラスチック素材を代替できる光学材料を提供することができるという事実を発見し、本発明に至ることになった。
【0019】
これにより、前記硬化性組成物およびこれを含む光学部材は、既存のガラスまたは光学ガラスを代替して製品や商業分野、例えば、ディスプレイ用基盤、ディスプレイ用保護フィルム、タッチパネル、ウェアラブルデバイスなどのイメージセンサのレンズ、発光ダイオード(LED)などの光抽出効率の増大のためのコーティング/封止用材料などに適用することができる。
【0020】
前記硬化性組成物に含まれる硫黄含有高分子化合物は、Sn+1(nは、1ないし20の整数)を含む繰り返し単位およびセレニウムと硫黄とを含む繰り返し単位からなる群より選択された一つ以上の繰り返し単位を含んでもよい。
【0021】
前記硫黄含有高分子化合物は、エピスルフィド化合物を含む硬化性組成物を硬化する硬化剤に用いることができ、これによって前記硬化性組成物の硬化物である光学部材の透過率、ヘイズおよび黄色度に関する光学特性を向上させながらも、ガラス転移温度を65℃以上に高めることができ、1.710以上の高屈折率を示すことができる。
【0022】
例えば、前記硫黄含有高分子化合物は、下記化学式1または2で表される繰り返し単位を含んでもよい。
【化1】
前記化学式1において、
R
1は、置換または非置換された炭素数1ないし20のアルキレン;置換または非置換された炭素数3ないし40のシクロアルキレン;置換または非置換された炭素数5ないし30のアリーレン;置換または非置換された酸素(O)、窒素(N)および硫黄(S)原子のうち一つ以上を含む炭素数2ないし30のヘテロアリーレン;-R
aOR
b-;-R
cCOOR
d-;-R
eSO
2R
f-または-R
gSOR
h-であり、R
aないしR
hは、それぞれ独立して、単一結合、置換または非置換された炭素数1ないし20のアルキレン、置換または非置換された炭素数3ないし40のシクロアルキレン、または置換または非置換された炭素数5ないし30のアリーレンであり、
nは、1ないし20の整数であり、
【化2】
前記化学式2において、
R
2は、置換または非置換された炭素数1ないし20のアルキレン;置換または非置換された炭素数3ないし40のシクロアルキレン;置換または非置換された炭素数5ないし30のアリーレン;置換または非置換された酸素(O)、窒素(N)および硫黄(S)原子のうち一つ以上を含む炭素数2ないし30のヘテロアリーレン;-R
aOR
b-;-R
cCOOR
d-;-R
eSO
2R
f-または-R
gSOR
h-であり、R
aないしR
hは、それぞれ独立して、単一結合、置換または非置換された炭素数1ないし20のアルキレン、置換または非置換された炭素数3ないし40のシクロアルキレン、または置換または非置換された炭素数5ないし30のアリーレンであり、
aおよびbは、それぞれ独立して、0以上10以下の整数であり、
a+bは、1以上20以下の整数である。
【0023】
例えば、aおよびbは、それぞれ独立して、0以上7以下、0以上5以下、または1以上3以下であってもよく、a+bは、1以上10以下、2以上7以下、または3以上5以下、であってもよい。
【0024】
前記化学式1において、nは、1ないし20、1ないし18、5ないし15または8ないし13であってもよい。例えば、下記化学式1は、下記化学式1-1または化学式1-2で表される繰り返し単位であってもよい。
【化3】
【化4】
前記化学式1-1および1-2において、R
1は、前記に定義されたことと同じである。
【0025】
また、前記化学式2は、下記化学式2-1ないし2-4で表される繰り返し単位で選択された一つであってもよい。
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
前記化学式2-1ないし2-4において、R
2は、前記に定義されたことと同じである。
【0026】
前記R1およびR2の定義で、置換または非置換された炭素数1ないし20のアルキレンは、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、tert-ブチレン、ペンチレン、イソペンチレン、ネオペンチレン、tert-ペンチレン、へキシレン、2-メチルペンチレン、ヘプチレン、1-エチルペンチレン、オクチレン、2-エチルへキシレン、イソオクチレン、ノニレン、イソノニレン、デシレン、イソデシレン、ウンデシレンまたはドデシレンであってもよい。
【0027】
また、炭素数1ないし20のアルキレンはハロゲン基に置換されてもよく、例えば、前記ハロゲン基はフルオロ基、ブロモ基またはクロロ基であってもよい。
【0028】
また、前記R1およびR2の定義で、置換または非置換された炭素数3ないし40のシクロアルキレンは、1,3-シクロペンチレン、1,3-(2-メチル)シクロペンチレン、1,4-(2-メチル)シクロペンチレン、1,5-(2-メチル)シクロペンチレン、1,3-(2-エチル)シクロペンチレン、1,4-(2-エチル)シクロペンチレンおよび1,5-(2-エチル)シクロペンチレン、1,2-シクロへキシレン、1,3-シクロへキシレン、1,4-シクロへキシレン、1,3-(2-メチル)シクロへキシレン、1,4-(2-メチル)シクロへキシレン、1,5-(2-メチル)シクロへキシレンおよび1,6-(2-メチル)シクロへキシレン、1,3-(2-エチル)シクロへキシレン、1,4-(2-エチル)シクロへキシレン、1,5-(2-エチル)シクロへキシレン、1,6-(2-エチル)シクロへキシレン、1,3-(2-プロピル)シクロへキシレン、1,4-(2-プロピル)シクロへキシレン、1,5-(2-プロピル)シクロへキシレン、1,6-(2-プロピル)シクロへキシレン、1,3-(2-イソプロピル)シクロへキシレン、1,4-(2-イソプロピル)シクロへキシレン、1,5-(2-イソプロピル)シクロへキシレン、1,6-(2-イソプロピル)シクロへキシレン、1,3-(2-ブチル)シクロへキシレン、1,4-(2-ブチル)シクロへキシレン、1,5-(2-ブチル)シクロへキシレンおよび1,6-(2-ブチル)シクロへキシレン、1,3-(2-sec-ブチル)シクロへキシレン、1,4-(2-sec-ブチル)シクロへキシレン、1,5-(2-sec-ブチル)シクロヘキシレン、1,6-(2-sec-ブチル)シクロへキシレン、1,3-(2-tert-ブチル)シクロへキシレン、1,4-(2-tert-ブチル)シクロへキシレン、1,5-(2-tert-ブチル)シクロへキシレン、1,6-(2-tert-ブチル)シクロへキシレン、1,2-シクロヘプチレン、1,3-シクロヘプチレン、1,4-シクロヘプチレン、1,3-(2-メチル)シクロヘプチレン、1,4-(2-メチル)シクロヘプチレン、1,5-(2-メチル)シクロヘプチレン、1,6-(2-メチル)シクロヘプチレンおよび1,7-(2-メチル)シクロヘプチレン、1,3-(2-エチル)シクロヘプチレン、1,4-(2-エチル)シクロヘプチレン、1,5-(2-エチル)シクロヘプチレン、1,6-(2-エチル)シクロヘプチレンおよび1,7-(2-エチル)シクロヘプチレン、1,3-(2-プロピル)シクロヘプチレン、1,4-(2-プロピル)シクロヘプチレン、1,5-(2-プロピル)シクロヘプチレン、1,6-(2-プロピル)シクロヘプチレン、1,7-(2-プロピル)シクロヘプチレン、1,3-(2-イソプロピル)シクロヘプチレン、1,4-(2-イソプロピル)シクロヘプチレン、1,5-(2-イソプロピル)シクロヘプチレン、1,6-(2-イソプロピル)シクロヘプチレン、1,7-(2-イソプロピル)シクロヘプチレン、1,3-(2-ブチル)シクロヘプチレン、1,4-(2-ブチル)シクロヘプチレン、1,5-(2-ブチル)シクロヘプチレン、1,6-(2-ブチル)シクロヘプチレンおよび1,7-(2-ブチル)シクロヘプチレン、1,3-(2-sec-ブチル)シクロヘプチレン、1,4-(2-sec-ブチル)シクロヘプチレン、1,5-(2-sec-ブチル)シクロヘプチレン、1,6-(2-sec-ブチル)シクロヘプチレン、1,7-(2-sec-ブチル)シクロヘプチレン、1,3-(2-tert-ブチル)シクロヘプチレン、1,4-(2-tert-ブチル)シクロヘプチレン、1,5-(2-tert-ブチル)シクロヘプチレン、1,6-(2-tert-ブチル)シクロヘプチレン、1,7-(2-tert-ブチル)シクロヘプチレン、1,2-シクロオクチレン、1,3-シクロオクチレン、1,4-シクロオクチレンおよび1,5-シクロオクチレン、1,3-(2-メチル)シクロオクチレン、1,4-(2-メチル)シクロオクチレン、1,5-(2-メチル)シクロオクチレン、1,6-(2-メチル)シクロオクチレン、1,7-(2-メチル)シクロオクチレン、1,8-(2-メチル)シクロオクチレン、1,3-(2-エチル)シクロオクチレン、1,4-(2-エチル)シクロオクチレン、1,5-(2-エチル)シクロオクチレン、1,6-(2-エチル)シクロオクチレン、1,7-(2-エチル)シクロオクチレン、1,8-(2-エチル)シクロオクチレン、1,3-(2-プロピル)シクロオクチレン、1,4-(2-プロピル)シクロオクチレン、1,5-(2-プロピル)シクロオクチレン、1,6-(2-プロピル)シクロオクチレン、1,7-(2-プロピル)シクロオクチレン、1,8-(2-プロピル)シクロオクチレン、2,3-(1,4-ジオキサニレン)、2,5-(1,4-ジオキサニレン)および2,6-(1,4-ジオキサニレン)、2,4-モルフォリニレン、3,4-モルフォリニレン、2,5-テトラヒドロフリレン、3,4-テトラヒドロフリレン、1,2-ピロリジニレン、1,3-ピロリジニレン、2,5-ピロリジニレンおよび3,4-ピロリジニレン、および1,2-ピペリジレン、1,3-ピペリジレン、1,4-ピペリジレン、2,3-ピペリジレンまたは2,6-ピペリジレンであってもよい。
【0029】
また、前記R1およびR2の定義で、置換または非置換された炭素数5ないし30のアリーレンは、1,2-フェニレン、1,3-フェニレン、1,4-フェニレン、1,2-ナプチレン、2,3-ナプチレン、1,4-ナプチレン、1,5-ナプチレン、2,6-ナプチレン、1,8-ナプチレン、2,5-ピリレンおよび3,4-ピリレン、2,3-ピリジレン、2,4-ピリジレン、2,5-ピリジレン、2,6-ピリジレン、3,5-ピリジレン、2,4-ピリミジレン、2,5-ピリミジレン、2,3-ピラジレン、2,5-ピラジレンおよび2,6-ピラジレン、3,5-ピラゾリレン、1,2-イミダゾリレン、1,4-イミダゾリレン、1,5-イミダゾリレン、2,4-イミダゾリレン、2,5-イミダゾリレン、2,4-ジアゾリレンおよび2,5-ジアゾリレン、3,5-(1,2,4-トリアジレン)、3,6-(1,2,4-トリアジレン)、2,4-(1,3,5-トリアジレン)、3,5-キナルジレン、3,6-キナルジレン、3,8-キナルジレン、5,8-キナルジレン、3,5-キノリニレン、3,6-キノリニレン、3,8-キノリニレン、5,8-キノリニレン、2,4-べンズイミダゾリレン、2,5-べンズイミダゾリレンおよび1,3-イソキノリレン、1,4-イソキノリレン、1,5-イソキノリレン、1,6-イソキノリレン、2-メチル-1,3-フェニレン、2-メチル-1,4-フェニレン、2-メチル-1,5-フェニレン、2-メチル-1,6-フェニレン、2,3-ジメチル-1,4-フェニレン、2,3-ジメチル-1,5-フェニレン、2,3-ジメチル-1,6-フェニレン、2,4-ジメチル-1,3-フェニレン、2,4-ジメチル-1,5-フェニル、2,4-ジメチル-1,6-フェニレン、2,5-ジメチル-1,3-フェニレン、2,5-ジメチル-1,4-フェニレン、2,5-ジメチル-1,6-フェニレン、2,4,5-トリメチル-1,3-フェニレン、2,4,5-トリメチル-1,6-フェニレン、2,4,6-トリメチル-1,3-フェニレン、2-エチル-1,3-フェニレン、2-エチル-1,4-フェニレン、2-エチル-1,5-フェニレン、2-エチル-1,6-フェニレン、2,3-ジエチル-1,4-フェニレン、2,3-ジエチル-1,5-フェニレン、2,3-ジエチル-1,6-フェニレン、2,4-ジエチル-1,3-フェニレン、2,4-ジエチル-1,5-フェニレン、2,4-ジエチル-1,6-フェニレン、2,5-ジエチル-1,3-フェニレン、2,5-ジエチル-1,4-フェニレン、2-メトキシ-1,3-フェニレン、2-メトキシ-1,4-フェニレン、2-メトキシ-1,5-フェニレン、2-メトキシ-1,6-フェニレン、2,3-ジメトキシ-1,4-フェニレン、2,3-ジメトキシ-1,5-フェニレン、2,3-ジメトキシ-1,6-フェニレン、2,4-ジメトキシ-1,3-フェニレン、2,4-ジメトキシ-1,5-フェニレン、2,4-ジメトキシ-1,6-フェニレン、2,5-ジメトキシ-1,3-フェニレン、2,5-ジメトキシ-1,4-フェニレン、2,5-ジメトキシ-1,6-フェニレン、2,4,5-トリメトキシ-1,3-フェニレン、2,4,5-トリメトキシ-1,6-フェニレン、2,4,6-トリメトキシ-1,3-フェニレン、2-エトキシ-1,3-フェニレン、2-エトキシ-1,4-フェニレン、2-エトキシ-1,5-フェニレン、2-エトキシ-1,6-フェニレン、2,3-ジエトキシ-1,4-フェニレン、2,3-ジエトキシ-1,5-フェニレン、2,3-ジエトキシ-1,6-フェニレン、2,4-ジエトキシ-1,3-フェニレン、2,4-ジエトキシ-1,5-フェニレン、2,4-ジエトキシ-1,6-フェニレン、2-クロロ-1,3-フェニレン、2-クロロ-1,4-フェニレン、2-クロロ-1,5-フェニレン、2-クロロ-1,6-フェニレン、2,3-ジクロロ-1,4-フェニレン、2,3-ジクロロ-1,5-フェニレン、2,3-ジクロロ-1,6-フェニレン、2,4-ジクロロ-1,3-フェニレン、2,4-ジクロロ-1,5-フェニレン、2-ヒドロキシ-1,3-フェニレン、2-ヒドロキシ-1,4-フェニレン、2-ヒドロキシ-1,5-フェニレン、2-ヒドロキシ-1,6-フェニレン、2,3-ジヒドロキシ-1,4-フェニレン、2-シアノ-1,3-フェニレン、2-シアノ-1,4-フェニレン、2-シアノ-1,5-フェニレン、2-シアノ-1,6-フェニレン、2,3-ジシアノ-1,4-フェニレンまたは2,3-ジシアノ-1,5-フェニレンであってもよい。
【0030】
例えば、前記R1およびR2は、それぞれ独立して、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、シクロへキシレン、シクロヘプチレン、フェニレン、メチルフェニレン、エチルフェニレン、メトキシフェニレンまたはエトキシフェニレンであってもよい。
【0031】
前記硫黄含有高分子化合物は、下記繰り返し単位で構成される群より選択されるいずれか一つを含んでもよい。
【化9】
【0032】
前記硫黄含有高分子化合物は、前述した繰り返し単位を含むことによって常温で長時間保管しても屈折率が減少するなどの問題点が発生しないが、前述した繰り返し単位を含まない硫黄含有高分子化合物の場合、長時間、例えば200時間以上、240時間以上、または300時間以上常温で保管する場合、屈折率が減少する問題点が発生することもある。
【0033】
前記硫黄含有高分子化合物は、前記化学式1または化学式2の繰り返し単位を1ないし1000、2ないし800、5ないし500、または10ないし200個を含んでもよい。
【0034】
また、前記硫黄含有高分子化合物の重量平均分子量は、250ないし50,000、500ないし40,000、または1,000ないし30,000であってもよい。前記硫黄含有高分子化合物の重量平均分子量が過度に大きい場合、エピスルフィド化合物に対する溶解度が低くなり、光学部材製造時に均一な屈折率偏差、透明度偏差などの均一な物性を得ることが難しい問題点があり、重量平均分子量が過度に小さい場合、硬化後に形成された光学部材の屈折率が低いこともある
【0035】
前記重量平均分子量(Mw)は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)法によって測定したポリスチレン換算の分子量を意味する。前記GPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を測定する過程では、通常知られた分析装置と示差屈折検出器(Refractive Index Detector)などの検出器および分析用カラムを使用することができ、通常適用される温度条件、溶媒、流量(flow rate)を適用することができる。前記測定条件の具体的な例として、30℃の温度、クロロホルム溶媒(Chloroform)および1mL/minの流量(flow rate)が挙げられる。前記測定条件の具体的な例を挙げると、Polymer Laboratories PLgel MIX-B 300mmの長さカラムを用いて、Waters PL-GPC220機器を用いて、評価温度は160℃であり、1,2,4-トリクロロベンゼンを溶媒として使用しており、流速は1mL/minの速度で、サンプルは10mg/10mLの濃度に調製した後、200μLの量で供給し、ポリスチレン標準を用いて形成された検定曲線を用いてMw値をそれぞれ求めることができる。ポリスチレン標準品の分子量は、2,000/10,000/30,000/70,000/200,000/700,000/2,000,000/4,000,000/10,000,000の9種を使用した。
【0036】
一方、前記硫黄含有高分子化合物の含有量は、全硬化性組成物100重量%に対して、1ないし30重量%、2ないし25重量%、または5ないし20重量%であってもよい。前記硫黄含有高分子化合物の含有量が過度に多いと、硬化後に形成された光学部材のヘイズ(Haze)が高くなり、黄色度(Yellowness)も高くなる問題点があり、硫黄含有高分子化合物の含有量が過度に少ないと、硬化後に形成された光学部材の屈折率が低くなる問題点がある。
【0037】
前記硫黄含有高分子化合物は、下記反応式1または反応式2を通じて製造されてよいが、これによって限定されるものではない。
【化10】
【0038】
前記硫黄含有高分子化合物は、硫黄(nS)またはセレニウムジスルフィド(SeS2)をNa2S水溶液に溶解した後、2官能性有機ハロゲン化合物と重合して製造することができる。このとき、前記反応式1および2において、R1、R2およびnの定義は前述したことと同じであり、Na2S水溶液は、LI2S水溶液またはK2S水溶液であってもよく、2官能性有機ハロゲン化合物は、3官能以上の多官能性有機ハロゲン化合物、2官能または多官能有機トシレート化合物、2官能または多官能の有機メシラート化合物などであってもよい。
【0039】
前記反応式2で形成された
【化11】
は一例のものであり、
【化12】
であってもよいが、これによって限定されるものではない。
【0040】
従来は、高屈折率光学部材形成用硬化性組成物にチオール基(-SH)を含むチオール化合物を含めていたが、チオール化合物を用いた組成物の場合、混合直後に硬化反応が進行されて粘度が急激に増加し、また急速な硬化によって脈理現像が発生して、このような組成物で形成された光学部材は、光学特性および物理的物性などが劣る問題点があった。
【0041】
しかし、前記一具現例に係る高屈折率光学部材形成用硬化性組成物は、前記硫黄含有高分子化合物を含むことによって混合直後に急速な硬化反応が起きないため長期保管が可能であり、急速な硬化による脈理現像も発生しないことがある。
【0042】
前記硬化性組成物に含まれるエピスルフィド化合物は、下記化学式3で表される。
【化13】
前記化学式3において、
R
3およびR
4は、それぞれ独立して、水素または炭素数1ないし10のアルキルであり、
R
5およびR
6は、それぞれ独立して、単一結合、または炭素数1ないし10のアルキレンであり、
aは、0ないし4の整数であり、
bは、0ないし6の整数である。
【0043】
前記エピスルフィド化合物は、前述した特定化学構造によって分子内に原子屈折が大きい硫黄(S)原子を高い含有量で含んでもよいが、このような高い硫黄原子含有量によって硬化物の屈折率を高めることができる。
【0044】
また、前記エピスルフィド化合物は、開環重合によって硬化が可能であるが、エピスルフィド基の開環重合によって形成されるアルキレンスルフィドグループは、硬化物の高屈折率をさらに高めることができる。
【0045】
一方、前記化学式3において、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素またはメチル基であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0046】
また、R5およびR6は、それぞれ独立して、単一結合、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、またはイソブチレンであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0047】
また、aおよびbは、それぞれ独立して、0または1であってもよい。
【0048】
化学式3のaは、チオエテール繰り返し単位に含まれたアルキレングループの炭素数に関するものであって、aが過度に大きい場合、分子内に炭素鎖の長さが長くなることになり、硬化時に硬化物のガラス転移温度が低くなることになり、これにより硬化物の耐熱性が低下する問題点が発生することもあり、また、相対的な硫黄の含有量が低くなることになり硬化物の屈折率が低くなる問題点が発生することもある。
【0049】
化学式3のbは、アルキレングループが硫黄(S)原子によって連結するチオエテール(thioether)繰り返し単位の繰り返し数であり、bが過度に大きい場合、分子の鎖長さが長くなることになり硬化時に硬化物のガラス転移温度が低くなることになり、これにより硬化物の耐熱性が低下する問題点が発生することがある。
【0050】
また、前記化学式3で表される化合物を単独で使用するか、あるいは2種以上混合して使用してもよい。
【0051】
前記エピスルフィド化合物は、例えば、ビス(β-エピチオプロピル)スルフィド、ビス(β-エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(β-エピチオプロピルチオ)メタン、1,2-ビス(β-エピチオプロピルチオ)エタン、1,3-ビス(β-エピチオプロピルチオ)プロパン、1,4-ビス(β-エピチオプロピルチオ)ブタンなどからなる群より選択された少なくとも一つを含んでもよいが、必ずこれに限定されるものではない。
【0052】
前記エピスルフィド化合物の含有量は、全硬化性組成物100重量%に対して、50ないし99重量%、60ないし95重量%または65ないし85重量%であってもよい。前記エピスルフィド化合物の含有量が過度に多いと、屈折率が低くなるか、最終製造された光学部材の物理的および光学的特性が低下することがあり、前記エピスルフィド化合物の含有量が過度に少ないと、最終製造された光学部材の黄色度が増加することがある。
【0053】
また、前記硫黄含有高分子化合物およびエピスルフィド化合物は、重量比が1:2ないし1:30、1:3ないし1:25、1:4ないし1:20、1:4ないし1:15、または1:4ないし1:13であってもよい。前記硫黄含有高分子化合物に比べてエピスルフィド化合物の含有量が過度に少ないと、黄色度が増加することがあり、前記高分子化合物を全て溶解できない問題点が発生することもあり、硫黄含有高分子化合物に比べてエピスルフィド化合物の含有量が過度に多いと、形成された光学部材の屈折率が低いか、物理的または光学的物性が低下することもある。
【0054】
前記高屈折率光学部材形成用硬化性組成物は、硫黄(S8)粒子、セレニウムジスルフィド(SeS2)粒子またはこれらの混合物を含んでもよい。前記硬化性組成物は、硫黄粒子および/またはセレニウムジスルフィド粒子を含んで屈折率をより向上させることができ、ヘイズおよびイエローインデックスを下げることができる。
【0055】
前記硫黄(S8)粒子は、粒径が1ないし200μm、2ないし180μmまたは3ないし170μmであってもよい。前記硫黄粒子の粒径が過度に小さいと、粒子の形状を維持できないこともあり、粒径が過度に大きいと、高屈折プラスチック基材の透過度を下げ、ヘイズが増加することもある。
【0056】
また、前記セレニウムジスルフィド(SeS2)粒子は、粒径が1ないし200μm、5ないし180μmまたは10ないし170μmであってもよい。前記セレニウムジスルフィド粒子の粒径が過度に小さいと、粒子の形状を維持できないこともあり、粒径が過度に大きいと、高屈折プラスチック基材の透過度を下げ、ヘイズが増加することもある。
【0057】
前記粒径は、例えば動的光散乱法、レーザ回折法、遠心沈降法、FFF(Field Flow Fractionation)法、細孔電気抵抗法、走査電子顕微鏡(scanning electron microscopy、SEM)分析、透過電子顕微鏡(transmission electron microscopy、TEM)分析などによって測定することができる。
【0058】
前記硬化性組成物が硫黄粒子および/またはセレニウムジスルフィド粒子をさらに含む場合、前記硬化性組成物100重量%に対する前記硫黄粒子の含有量は0.1ないし30重量%、1ないし20重量%、2ないし15重量%、または3ないし10重量%であってもよい。また、前記硬化性組成物100重量%に対するセレニウムジスルフィド粒子の含有量は0.1ないし30重量%、0.5ないし20重量%、または0.8ないし15重量%であってもよい。
【0059】
前記硬化性組成物は触媒を含んでもよい。前記触媒は一般の高屈折率光学部材形成用硬化性組成物に使用される触媒であれば特に限定しないが、例えば、アミンまたはホスフィンを含む求核体触媒であってもよい。
【0060】
例えば、前記触媒は、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾールなどのイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジシクロヘキシルメチルアミン、N-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン、N,N-ジメチルサイクロヘキサンアミンなどのアミン化合物;アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジドなどのヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィンなどのリン化合物;2-ブロモピリジンなどのピリジン化合物などが挙げられる。また、市販されているものとしては、例えば、四国化成工業社製造の2MZ-A、2MZ-OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(いずれも、イミダゾール系化合物の商品名)、サンアプロ社製造のU-CAT3503N、UCAT3502T(いずれも、ジメチルアミンのブロックイソシアネート化合物の商品名)、DBU、DBN、U-CATSA102、U-CAT5002(いずれも、二環式アミジン化合物およびその塩)などが挙げられる。
【0061】
前記触媒の含有量は、全硬化性組成物100重量%に対して、0.001ないし10重量%、0.01ないし5重量%、または0.1ないし1重量%であってもよい。前記触媒の含有量が過度に多いと、硬化速度が増加して組成物の貯蔵安定性が低くなる問題点があり、過度に少ないと、硬化速度が遅く熱硬化工程が長くなる問題点がある。
【0062】
また、前記硬化性組成物は、その他にも、紫外線吸収剤、ブルーイング剤、顔料など、本発明の属している技術分野において、ディスプレイ用基板に特定の機能を付与するために使用されるその他添加剤をさらに含んでもよい。
【0063】
発明の他の具現例によると、前記エピスルフィド化合物および前記硫黄含有高分子化合物を含む光学部材を提供する。
【0064】
その他、前記光学部材に含まれた前記エピスルフィド化合物、前記硫黄含有高分子化合物、また追加的に含まれる硫黄粒子、セレニウムジスルフィド、触媒、その他添加剤などについては、前述した光硬化組成物で説明したものに代える。
【0065】
このような光学部材は、前述した硬化性組成物を硬化する方法によって製造することができる。具体的に、前述した硬化性組成物または前記硬化性組成物に各種添加剤を含む均一な組成物を製造し、前記組成物を、ガラス、金属、または高分子樹脂などの成分で製造されたモールドと樹脂性のガスケットとを組み合わせた型枠内部に注入し、加熱して硬化することができる。このとき、成形後に最終製造された樹脂の取出しを容易にするために予めモールドを離型処理するか、前述した組成物に離型剤をさらに添加して使用してもよい。
【0066】
硬化反応の温度は、使用する化合物の種類および含有量などによって異なることがあるが、一般に約50ないし約120℃、または約60ないし約100℃で進行することができ、硬化時間は約0.1ないし約72時間、または約0.5ないし約24時間の間進行することができる。
【0067】
硬化反応は、前述した所定の重合温度を一定時間の間維持する工程、昇温工程、および降温工程などを組み合わせて進行することができ、反応終了後、約50ないし約150℃、または約80ないし約120℃の温度条件で、約10分ないし約3時間の間後処理して、変形を防止することができる。
【0068】
重合後に離型された光学部材は、以降、染色、コージングなどの工程を通じて、多様な機能性を備えることもできる。
【0069】
前記他の具現例に係る光学部材は、500nm以上750nm以下、550nm以上700nm以下、600nm以上650nm以下、または632.8nm波長で測定された屈折率が1.710以上、1.715ないし1.850、または1.720ないし1.800であってもよい。
【0070】
また、前記光学部材は、透過率、具体的には、厚さが1mmであるとき、JIS K 7361により測定された透過率値が75%以上、77%以上、80ないし99%、または85ないし99%と非常に高い透過率を有することがある。
【0071】
また、前記光学部材は、ヘイズ、具体的に厚さが1mmであるとき、JIS K 7136により測定されたヘイズ値が35%以下、33%以下、31%以下、25%以下、20%以下、10ないし1%と非常に低いヘイズ値を有することがある。
【0072】
また、前記光学部材は、ガラス転移温度が65℃以上、67℃以上、68℃以上、70℃ないし99℃、または72℃ないし99℃であってもよい。
【0073】
また、前記光学部材は、イエローインデックス(YI)が0.1ないし50、1ないし40または1ないし35、1ないし20、1ないし15、または1ないし10であってもよい。
【0074】
前記他の具現例に係る光学部材は、ウェアラブルデバイスに含まれることができ、具体的に、ウェアラブルデバイスのレンズ用にガラスまたは強化ガラスを代替して用いることができる。
【0075】
つまり、前記光学部材は、ガラスに匹敵する高屈折特性を有しながらも、ガラスあるいは強化ガラスに比べて軽く、強度および硬度などの機械的物性に加えて、前述のように光学的物性に優れているだけでなく、ガラス転移温度も高く発熱する可能性のある増強現実デバイスまたは仮想現実デバイスなどのようなウェアラブルデバイスのレンズにも使用することができる。
【発明の効果】
【0076】
本発明によると、既存のレンズなどに使用されるガラスあるいは強化ガラスに比べて軽く、強度および硬度に優れていながらも、多様な色の具現が可能であり、高屈折率の具現が可能でかつ低いヘイズおよびイエローインデックス値を有して光学特性に優れ、ガラス転移温度が高く変形が少ない高屈折率光学部材形成用硬化性組成物およびその硬化物を含む光学部材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0077】
以下、発明の具体的な実施例を通じて、発明の作用および効果をより詳述することにする。ただし、このような実施例は、発明の例示として提示されたものに過ぎず、これによって、発明の権利範囲が決められるものではない。
【0078】
実施例1
硫黄含有高分子化合物である下記50A(nは、10、重量平均分子量:2,500)60mg、エピスルフィド化合物(下記70A)948mg、セレニウムスルフィド粒子(SeS
2、粒径:50μm)48mg、硫黄粒子(S
8、粒径:50μm)144mg、下記触媒(下記C1)4mgを混合した後、気孔大きさが0.45μmのガラスフィルター(glass filter)を用いてろ過を進行した。以降、横縦10cmである、LCD Glassの両側面に1mm厚さのスライドガラスを置き、LCD Glassの中央に前述した混合液約1gを塗布した後、他のLCD Glassに覆って、鋳型を準備した。これをオーブンに入れ、約60℃で約12時間の間硬化反応を進行した。オーブンから取り出した後、LCDglassを除去して平坦な光学部材であるプラスチック試片を得た。プラスチック試片の厚さは約1mmであり、このような厚さはミツトヨ社の厚さ測定器(Model:ID-C112XBS)を用いて測定した。
【化14】
【0079】
実施例2ないし7
前記硫黄含有化合物、エピスルフィド化合物、セレニウムスルフィド粒子、硫黄粒子および触媒を下記表1に記載された化合物含有量で用いたという点を除いては、前記実施例1と同一の方法で硬化性組成物およびその硬化物の光学部材を製造した。
【0080】
比較例1
5mlバイアールに硫黄粒子1,000mgを添加し、完全に溶けるまで130℃温度で撹拌した。硫黄がすべて溶けた以後、ジビニルベンゼン(DVB;divinylbenzene)538mgを投入し、130℃温度で150分間撹拌した。以降、混合液を簡易モールドに落とし、130℃温度で12時間硬化し、常温で1時間冷まして約1mmの厚さのプラスチック試片を製造した。
【0081】
比較例2ないし4
前記エピスルフィド化合物、セレニウムスルフィド粒子、硫黄粒子および触媒を下記表1に記載された化合物含有量で用いたという点を除いては、前記実施例1と同一の方法で硬化性組成物およびその硬化物の光学部材を製造した。一方、比較例2ないし4で用いられた70Bは、次の通りである。
【化15】
【0082】
【0083】
物性評価
1.透過率、ヘイズおよび黄色度評価
実施例および比較例の光学部材に対して、1mm基準厚さに硬化した硬化物の厚さ方向に、日本電色工業株式会社のNDH-5000を用いて、透過率(JIS K 7361)、ヘイズ(JIS K 7136)を測定し、その結果を下記表2に示した。
【0084】
また、試片に対して、色度計(Colorimeter)を用いて、黄色度(Yellow Index)を測定し、その結果を下記表2に示した。
【0085】
2.ガラス転移温度(Tg)測定
実施例および比較例の光学部材に対して、TA Instrument社の示差走査熱量体(DSC)を用いてガラス転移温度を測定し、その結果を下記表2に示した。
【0086】
3.屈折率測定
実施例および比較例の光学部材に対して、Sairon Technology社のSPA-4000 プリズムカプラーを用いて、632.8nm波長での屈折率値を測定し、その結果を下記表2に示した。
【0087】
【0088】
前記表2を参照すれば、本発明の実施例に係る組成を含む試片は、ガラス転移温度(Tg)が高く屈折率が1.7261以上と高い特性を示しながらも、透過率が79.2%以上と高く、ヘイズが30.7%以下と低いながらもイエローインデックスが14.5以下と低いという点を確認した。
【0089】
一方、本願の硫黄含有高分子化合物を使用しない比較例1は、実施例に比べて透過率が顕著に低く、かつイエローインデックスおよびヘイズが顕著に高いため光学特性が劣るという点を確認した。
【0090】
また、本発明の硫黄含有高分子化合物の代わりにチオール基を含む化合物(70B)を使用する比較例2ないし4は実施例に比べて屈折率が低く、ガラス転移温度も顕著に低いという点を確認した。
【0091】
4.屈折率変化量評価
前記実施例4、8および比較例1の光学部材に対して、プリズムカプラー(prismcoupler)を用いて精密屈折率を測定した。
【0092】
具体的に、光学部材を常温条件で、時間による屈折率を測定し、その結果を下記表3に示した。また、最大屈折率と最小屈折率との差値をΔRIで示し、平均屈折率値をRIaveで示した。
【0093】
【0094】
前記表3によると、実施例4および8は平均屈折率が1.7309以上と高く、かつ時間による屈折率変化が殆どないという点を確認した。これに対し、比較例1は、時間によって屈折率が大きく変わるという点を確認した。
【国際調査報告】