(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20240118BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20240118BHJP
H01M 50/227 20210101ALI20240118BHJP
H01M 50/229 20210101ALI20240118BHJP
H01M 10/6554 20140101ALI20240118BHJP
H01M 10/613 20140101ALN20240118BHJP
H01M 10/625 20140101ALN20240118BHJP
H01M 10/623 20140101ALN20240118BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K3/013
H01M50/227
H01M50/229
H01M10/6554
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/623
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542609
(86)(22)【出願日】2022-10-07
(85)【翻訳文提出日】2023-07-12
(86)【国際出願番号】 KR2022015199
(87)【国際公開番号】W WO2023059156
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】10-2021-0133570
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ベティ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・シク・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】サン・ヒュク・ソ
(72)【発明者】
【氏名】スン・ブム・ホン
(72)【発明者】
【氏名】ソル・イ・イ
【テーマコード(参考)】
4J002
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
4J002AA031
4J002BG071
4J002DA078
4J002DA088
4J002DA098
4J002DC008
4J002DE068
4J002DE078
4J002DE079
4J002DE138
4J002DE148
4J002DF019
4J002DJ008
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4J002EH077
4J002EH159
4J002EK046
4J002EK056
4J002EK066
4J002EK086
4J002EQ016
4J002EU239
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4J002EW149
4J002FD018
4J002FD156
4J002FD157
4J002FD159
5H031EE03
5H031EE04
5H031KK01
5H040AA03
5H040AS07
5H040AS13
5H040AS14
5H040AS15
5H040LL04
5H040LL06
5H040NN00
(57)【要約】
本出願は、比較的低温でも優れた硬化特性を有する厚膜を形成することができ、速硬化特性を有し、目的とするレベルの適切な接着力はもちろん、優れたレベルの熱伝導度を確保することができる硬化性組成物、前記硬化性組成物を適用したバッテリーパックと前記バッテリーパックを備えた装置を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成分および熱開始剤を含み、
前記熱開始剤は、10時間半減期温度が60℃以上であり、
50℃で50分以下に維持されて、70以上のショアA硬度を示す硬化性組成物。
【請求項2】
樹脂成分は、硬化性官能基を有する化合物に由来する単位を含有する重合体成分を含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
硬化性官能基は、アルケニル基、アルキニル基、(メタ)アクリレート基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、シアノ基、酸無水物基、メルカプト基、シラノール基、アルコキシシラン基、ヒドロキシ基およびオキサゾリン基からなる群から選択された1つ以上の官能基を含む、請求項2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
重合体成分は、アクリル重合体成分を含み、
前記アクリル重合体成分は、アルキル基を含有する(メタ)アクリレート由来単位およびヒドロキシ基を含有する(メタ)アクリレート由来単位を含む、請求項2に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
アクリル重合体成分は、重量平均分子量(M
w)が30,000~200,000g/molの範囲内であり、多分散指数(PDI)が1~4の範囲内である、請求項4に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
樹脂成分は、硬化性官能基を有する化合物を含む単量体成分を含み、
前記単量体成分は、アクリル単量体成分を含み、
前記アクリル単量体成分は、アルキル基を含有する(メタ)アクリレートおよびヒドロキシ基を含有する(メタ)アクリレートを含む、請求項2に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
樹脂成分は、-50℃~0℃の範囲内のガラス転移温度(Tg)を有する、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
フィラー成分をさらに含み、
熱伝導度が2W/mK以上の硬化物を形成する、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項9】
フィラー成分を全重量に対して60重量%~98重量%の範囲内に含む、請求項8に記載の硬化性組成物。
【請求項10】
光開始剤をさらに含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項11】
熱開始剤(I
H)と光開始剤(I
U)の重量比(I
H/I
U)は、0.01~5の範囲内である、請求項10に記載の硬化性組成物。
【請求項12】
光開始剤は、ラジカル開始剤およびカチオン開始剤を含む、請求項10に記載の硬化性組成物。
【請求項13】
ラジカル開始剤(I
R)とカチオン開始剤(I
P)の重量比(I
R/I
P)は、0.01~2の範囲内である、請求項12に記載の硬化性組成物。
【請求項14】
ラジカル硬化性成分およびカチオン開始剤を含み、
カチオン硬化性成分が全重量に対して1重量%以下であり、
ショアA硬度が70以上である硬化物を形成する硬化性組成物。
【請求項15】
ラジカル硬化性成分は、アクリル重合体成分およびアクリル単量体成分を含み、
前記アクリル重合体成分は、アルキル基を含有する(メタ)アクリレート由来単位およびヒドロキシ基を含有する(メタ)アクリレート由来単位を含み、
前記アクリル単量体成分は、アルキル基を含有する(メタ)アクリレートおよびヒドロキシ基を含有する(メタ)アクリレートを含む、請求項14に記載の硬化性組成物。
【請求項16】
光開始剤としてラジカル開始剤をさらに含む、請求項14に記載の硬化性組成物。
【請求項17】
熱開始剤をさらに含む、請求項14に記載の硬化性組成物。
【請求項18】
内部空間を形成する下部板と側壁を有するモジュールケース;前記モジュールケースの内部空間に存在する複数のバッテリーセル;および前記モジュールケースの内部空間に存在する樹脂層を含み、
前記樹脂層は、前記複数のバッテリーセルと接触しており、また、前記モジュールケースの下部板または側壁と接触しており、
前記樹脂層は、請求項1に記載の硬化性組成物または請求項13に記載の硬化性組成物の硬化物を含むバッテリーモジュール。
【請求項19】
請求項18に記載のバッテリーモジュールを2個以上含み、
前記少なくとも2個以上のバッテリーモジュールは、互いに電気的に連結されているバッテリーパック。
【請求項20】
請求項18に記載のバッテリーモジュールまたは 請求項19に記載のバッテリーパックを備えた装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は、2021年10月8日付けの韓国特許出願第10-2021-0133570号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
技術分野
本出願は、硬化性組成物、前記硬化性組成物の硬化物を含むバッテリーパックおよびこれらの応用に関する。
【背景技術】
【0003】
電気製品、電子製品または二次電池などのバッテリーで発生する熱の処理が重要なイシューとなるに伴い、様々な放熱対策が提案されている。放熱対策に用いられる熱伝導性材料の中には、樹脂に熱伝導性のフィラーを配合した樹脂組成物が知られている。
【0004】
発熱体から放出される熱を放熱しながらも、発熱体と冷却部位が熱的接触し発熱体を固定するために、前記樹脂組成物を用いることができる。特許文献1(韓国特許公開第10-2016-0105354号公報)には、前記樹脂組成物を適用したバッテリーモジュールを開示している。
【0005】
公知の樹脂のうち、耐熱性に優れた代表的な樹脂としてシリコーン樹脂があり、前記放熱対策として前記シリコーン樹脂が頻繁に用いられている。しかしながら、シリコーン樹脂は、接着力が劣るので、適用が制限されるという問題点がある。
【0006】
接着力を確保するためには、ポリウレタンを適用した熱伝導性樹脂組成物も知られている。ただし、ポリウレタンは、自体熱伝導度が低いという問題点がある。
【0007】
優れた熱伝導度と優れた接着力を確保するために、アクリル樹脂を適用した熱伝導性樹脂組成物が知られている。しかしながら、アクリル樹脂を適用した熱伝導性樹脂組成物をバッテリーモジュールに注入した後、速硬化のために熱硬化方式で硬化させようとする場合、約100℃以上の高温を維持する必要がある。この場合、バッテリーモジュールを構成する要素の熱損傷が発生することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国特許公開第10-2016-0105354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本出願は、従来の問題点を改善したものであって、従来に比べて相対的に低い温度で速硬化が可能な硬化性組成物を提供することを目的とする。
また、本出願は、放熱効果に優れ、適切な接着性能を有し、優れた硬度を有する硬化物を形成できる硬化性組成物を提供することを目的とする。
また、本出願は、前記硬化性組成物を適用したバッテリーパックと前記バッテリーパックを備えた装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本出願において言及する物性のうちで測定温度が物性に影響を及ぼす場合には、特段の定めがない限り、当該物性は、常温で測定した物性である。
本出願において使用する用語である常温は、加熱または冷却しない自然そのままの温度であり、例えば、10℃~30℃の範囲内のいずれか1つの温度、例えば、約15℃以上、約18℃以上、約20℃以上、約23℃以上、約27℃以下であるか、または25℃である温度を意味し得る。本出願において特段の定めがない限り、温度の単位は、摂氏(℃)である。
【0011】
本出願において言及する物性のうちで測定圧力が物性に影響を及ぼす場合には、特段の定めがない限り、当該物性は、常圧で測定した物性である。
本出願において使用する用語である常圧は、加圧および減圧されない自然そのままの圧力であり、通常約700mmHg~800mmHgの範囲内の気圧を常圧と称する。
【0012】
本出願において使用する用語であるa~bは、aおよびbを含み、aとbの間の範囲内を意味する。例えば、a~b重量部で含むというのは、a~b重量部の範囲内に含むという意味と同一である。
【0013】
本出願において言及する物性のうちで測定湿度が物性に影響を及ぼす場合には、特段の定めがない限り、当該物性は、相対湿度が約30~70%程度の環境で測定した物性である。
【0014】
本出願において使用する用語である相対湿度(relative humidity)は、単位体積の空気が最大で含有できる飽和水蒸気圧に対して単位体積の現在空気が含有する水蒸気量の割合を百分率(%)で表示したものであり、RH%で表記することができる。
【0015】
本出願において使用される用語である重量平均分子量(Mw)は、GPC(Gel permeation chromatography)を用いて測定することができ、具体的には、下記の物性測定方法によって測定することができる。また、本出願において使用される用語である多分散指数(PDI、polydispersity index)は、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で割った値(Mw/Mn)であり、重合体の分子量の分布を意味する。前記数平均分子量(Mn)も、必要に応じてGPC(Gel permeation chromatography)を用いて測定することができる。
【0016】
本出願において使用する用語である優れた熱伝導性というのは、硬化性組成物が、直径が2cm以上および厚さが2mmの硬化物(サンプル)で製作された状態で、前記サンプルの厚さ方向に沿ってASTM D5470規格またはISO22007-2規格によって測定したとき、測定された熱伝導度が約2.0W/mK以上、2.1W/mK以上、2.2W/mK以上、2.3W/mK以上、2.4W/mK以上、2.5W/mK以上、2.6W/mK以上、2.7W/mK以上、2.8W/mK以上、2.9W/mK以上または3.0W/mK以上程度である場合を意味し得る。
【0017】
本出願において使用する用語である特定物質を実質的に含まないという意味は、意図的に前記特定物質を含ませないという意味である。ただし、自然的に前記特定物質を含んでいる場合、特に規定されない限り、全重量に対して1重量%以下、0.5重量%以下、0.1重量%以下、0.05重量%以下または0.01重量%以下で含むと、実質的に含まないといえる。
【0018】
本出願において使用する用語である粘度は、25℃および60rpmで測定した値であってもよく、具体的には、下記粘度測定方法によって測定することができる。
[粘度測定方法]
硬化性組成物の粘度は、粘度計(製造社:Brookfield社、モデル名:Brookfield LV)とスピンドル(spindle)63または64を用いて(粘度の測定範囲によって選択する)測定することができ、前記粘度計の零点調節を行った後に、スピンドル(spindle)63または64を前記粘度計のスピンドル連結部に装着した。プレート(plate)を前記粘度計のプレート連結部に装着し、調節レバーを用いて前記スピンドルとプレート間の一定の離隔空間(gap)が生じるように調節した。前記プレートを分離し、分離したプレートの中央に硬化性組成物を0.5mL程度塗布した。硬化性組成物が塗布されたプレートをさらに前記粘度計のプレート連結部に装着し、トルク(torque)値が0となるまで待機した後に、約25℃および60rpmの回転速度で粘度を測定した。
【0019】
本出願において使用する用語である置換は、化合物の炭素原子に結合した水素原子が他の置換基に変わることを意味し、置換される位置は、水素原子が置換される位置、すなわち置換基が置換可能な位置であれば、特に限定されず、2個以上置換される場合には、前記置換基が互いに同じでも異なっていてもよい。
【0020】
本出願において使用する用語である置換基(substituent)は、炭化水素の親鎖上の1個以上の水素原子を代替する原子または原子団を意味する。また、置換基は、下記で説明するが、これに限定されるものではなく、前記置換基は、本出願において特段の記載がない限り、下記で説明する置換基でさらに置換されてもよく、または、いかなる置換基でも置換されなくてもよい。
【0021】
本出願において使用する用語であるアルキル基またはアルキレン基は、他の記載がない限り、炭素数1~20、または炭素数1~16、または炭素数1~12、または炭素数1~8、または炭素数1~6の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルキレン基であってもよく、炭素数3~20、または炭素数3~16、または炭素数3~12、または炭素数3~8、または炭素数3~6の環状アルキル基またはアルキレン基であってもよい。ここで、環状アルキル基またはアルキレン基は、環構造のみからなるアルキル基またはアルキレン基および環構造を含むアルキル基またはアルキレン基をも含む。例えば、シクロヘキシル基とメチルシクロヘキシル基は、いずれも、環状アルキル基に該当する。また、例えば、 アルキル基またはアルキレン基は、具体的には、メチル(レン)、エチル(レン)、n-プロピル(レン)、イソプロピル(レン)、n-ブチル(レン)、イソブチル(レン)、tert-ブチル(レン)、sec-ブチル(レン)、1-メチル-ブチル(レン)、1-エチル-ブチル(レン)、n-ペンチル(レン)、イソペンチル(レン)、ネオペンチル(レン)、tert-ペンチル(レン)、n-ヘキシル(レン)、1-メチルペンチル(レン)、2-メチルペンチル(レン)、4-メチル-2-ペンチル(レン)、3、3-ジメチルブチル(レン)、2-エチルブチル(レン)、n-ヘプチル(レン)、1-メチルヘキシル(レン)、n-オクチル(レン)、tert-オクチル(レン)、1-メチルヘプチル(レン)、2-エチルヘキシル(レン)、2-プロピルペンチル(レン)、n-ノニル(レン)、2,2-ジメチルヘプチル(レン)、1-エチルプロピル(レン)、1,1-ジメチルプロピル(レン)、イソヘキシル(レン)、2-メチルペンチル(レン)、4-メチルヘキシル(レン)、5-メチルヘキシル(レン)などが例示できるが、これらに限定されない。また、シクロアルキル基またはシクロアルキレン基は、具体的には、シクロプロピル(レン)、シクロブチル(レン)、シクロペンチル(レン)、3-メチルシクロペンチル(レン)、2、3-ジメチルシクロペンチル(レン)、シクロヘキシル(レン)、3-メチルシクロヘキシル(レン)、4-メチルシクロヘキシル(レン)、2,3-ジメチルシクロヘキシル(レン)、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル(レン)、4-tert-ブチルシクロヘキシル(レン)、シクロヘプチル(レン)、シクロオクチル(レン)などが例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
本出願において使用する用語であるアルケニル基またはアルケニレン基は、他の記載がない限り、炭素数2~20、または炭素数2~16、または炭素数2~12、または炭素数2~8、または炭素数2~6の直鎖または分岐鎖の非環状アルケニル基またはアルケニレン基;炭素数3~20、または炭素数3~16、または炭素数3~12、または炭素数3~8、または炭素数3~6の環状アルケニル基またはアルケニレン基であってもよい。ここで、環構造のアルケニル基またはアルケニレン基を含むと、環状アルケニル基またはアルケニレン基に該当する。また、例えば、エテニル(レン)、n-プロペニル(レン)、イソプロペニル(レン)、n-ブテニル(レン)、イソブテニル(レン)、tert-ブテニル(レン)、sec-ブテニル(レン)、1-メチル-ブテニル(レン)、1-エチル-ブテニル(レン)、n-ペンテニル(レン)、イソペンテニル(レン)、ネオペンテニル(レン)、tert-ペンテニル(レン)、n-ヘキセニル(レン)、1-メチルペンテニル(レン)、2-メチルペンテニル(レン)、4-メチル-2-ペンテニル(レン)、3,3-ジメチルブテニル(レン)、2-エチルブテニル(レン)、n-ヘプテニル(レン)、1-メチルヘキセニル(レン)、n-オクテニル(レン)、tert-オクテニル(レン)、1-メチルヘプテニル(レン)、2-エチルヘキセニル(レン)、2-プロピルペンテニル(レン)、n-ノニレニル(レン)、2,2-ジメチルヘプテニル(レン)、1-エチルプロペニル(レン)、1,1-ジメチルプロペニル(レン)、イソヘキセニル(レン)、2-メチルペンテニル(レン)、4-メチルヘキセニル(レン)、5-メチルヘキセニル(レン)などが例示できるが、これらに限定されない。また、シクロアルケニル基またはシクロアルケニレン基は、具体的には、シクロプロペニル(レン)、シクロブテニル(レン)、シクロペンテニル(レン)、3-メチルシクロペンテニル(レン)、2,3-ジメチルシクロペンテニル(レン)、シクロヘキセニル(レン)、3-メチルシクロヘキセニル(レン)、4-メチルシクロヘキセニル(レン)、2,3-ジメチルシクロヘキセニル(レン)、3,4,5-トリメチルシクロヘキセニル(レン)、4-tert-ブチルシクロヘキセニル(レン)、シクロヘプテニル(レン)、シクロオクテニル(レン)などが例示できるが、これらに限定されない。
【0023】
本出願において使用する用語であるアルキニル基またはアルキニレン基は、他の記載がない限り、炭素数2~20、または炭素数2~16、または炭素数2~12、または炭素数2~8、または炭素数2~6の直鎖または分岐鎖の非環状のアルキニル基またはアルキニレン基であってもよく、炭素数3~20、または炭素数3~16、または炭素数3~12、または炭素数3~8、または炭素数3~6の環状のアルキニル基またはアルキニレン基であってもよい。ここで、環構造のアルキニル基またはアルキニレン基を含むと、環状アルキニル基またはアルキニレン基に該当する。また、例えば、エチニル(レン)、n-プロピニル(レン)、イソプロピニル(レン)、n-ブチニル(レン)、イソブチニル(レン)、tert-ブチニル(レン)、sec-ブチニル(レン)、1-メチル-ブチニル(レン)、1-エチル-ブチニル(レン)、n-ペンチニル(レン)、イソペンチニル(レン)、ネオペンチニル(レン)、tert-ペンチニル(レン)、n-ヘクシニル(レン)、1-メチルペンチニル(レン)、2-メチルペンチニル(レン)、4-メチル-2-ペンチニル(レン)、3、3-ジメチルブチニル(レン)、2-エチルブチニル(レン)、n-ヘプチニル(レン)、1-メチルヘキシニル(レン)、n-オクチニル(レン)、tert-オクチニル(レン)、1-メチルヘプチニル(レン)、2-エチルヘキチニル(レン)、2-プロピルペンチニル(レン)、n-ノニニル(レン)、2,2-ジメチルヘプチニル(レン)、1-エチルプロピニル(レン)、1,1-ジメチルプロピニル(レン)、イソヘキシニル(レン)、2-メチルペンチニル(レン)、4-メチルヘキシニル(レン)、5-メチルヘキシニル(レン)などが例示できるが、これらに限定されない。また、シクロアルキニル基またはシクロアルキニレン基は、具体的には、シクロプロピニル(レン)、シクロブチニル(レン)、シクロペンチニル(レン)、3-メチルシクロペンチニル(レン)、2,3-ジメチルシクロペンチニル(レン)、シクロヘキシニル(レン)、3-メチルシクロヘキシニル(レン)、4-メチルシクロヘキシニル(レン)、2,3-ジメチルシクロヘキシニル(レン)、3,4,5-トリメチルシクロヘキシニル(レン)、4-tert-ブチルシクロヘキシニル(レン)、シクロヘプチニル(レン)、シクロオクチニル(レン)などが例示できるが、これらに限定されない。
【0024】
前記アルキル基、アルキレン基、アルケニル基、アルケニレン基、アルキニル基またはアルキニレン基は、任意に1つ以上の置換基により置換されていてもよい。この場合、置換基としては、ハロゲン(塩素(Cl)、ヨウ素(I)、臭素(Br)、フッ素(F))、アリール基、ヘテロアリール基、エポキシ基、アルコキシ基、シアノ基、カルボキシル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、カルボニル基およびヒドロキシ基からなる群から選択される1つ以上であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0025】
本出願において使用する用語であるアリール基は、芳香族炭化水素環から1つの水素が除去された芳香族環を意味し、前記芳香族炭化水素環は、単環式または多環式環を含んでもよい。前記アリール基は、炭素数を特に限定しないが、他の記載がない限り、炭素数6~30、または炭素数6~26、または炭素数6~22、または炭素数6~20、または炭素数6~18、または炭素数6~15のアリール基であってもよい。また、本出願において使用される用語であるアリレン基は、アリール基に結合位置が2個あるもの、すなわち2価の基を意味する。これらは、それぞれ2価の基であることを除いて、前述したアリール基の説明を適用することができる。前記アリール基は、例えば、フェニル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基(xylyl group)またはナフチル基などが例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
本出願において使用する用語であるヘテロアリール基は、炭素でない異種原子を1個以上含む芳香族環であり、具体的には、前記異種原子は、窒素(N)、酸素(O)、硫黄(S)、セレニウム(Se)およびテルル(Te)よりなる群から選択される原子を1個以上含んでもよい。この際、ヘテロアリール基の環構造を構成する原子を環原子といえる。また、ヘテロアリール基は、単環式または多環式環を含んでもよい。前記ヘテロアリール基は、炭素数を特に限定しないが、他の記載がない限り、炭素数2~30、または炭素数2~26、または炭素数2~22、または炭素数2~20、または炭素数2~18、または炭素数2~15のヘテロアリール基であってもよい。他の例示において、ヘテロアリール基は、環原子数を特に限定しないが、環原子数が5~30、5~25、5~20、5~15、5~10または5~8のヘテロアリール基であってもよい。前記ヘテロアリール基は、例えば、チオフェン基、フラン基、ピロール基、イミダゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、ピリジル基、ビピリジル基、ピリミジル基、トリアジニル基、アクリジル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、キノリニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、ピリドピリミジニル基、ピリドピラジニル基、ピラジノピラジニル基、イソキノリニル基、インドール基、カルバゾリル基、ベンズオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、べンゾカルバゾリル基、ジべンゾカルバゾリル基、ベンゾチオフェン基、ジべンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、ジべンゾフラン基、ベンゾシロール基、ジベンゾシロール基、フェナントロリニル基(phenanthrolinyl group)、イソオキサゾリル基、チアジアゾリル基、フェノチアジニル基、フェノキサジン基およびこれらの縮合構造などが例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
また、本出願において使用する用語であるヘテロアリレン基は、ヘテロアリール基に結合位置が2個あるもの、すなわち2価の基を意味する。これらは、それぞれ2価の基であることを除いて、前述したヘテロアリール基の説明を適用することができる。
【0028】
前記アリール基またはヘテロアリール基は、任意に1つ以上の置換基により置換されていてもよい。この場合、置換基としては、ハロゲン(塩素(Cl)、ヨウ素(I)、臭素(Br)、フッ素(F))、アリール基、ヘテロアリール基、エポキシ基、アルコキシ基、シアノ基、カルボキシル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、カルボニル基およびヒドロキシ基からなる群から選択される1つ以上であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0029】
本出願において使用する用語である(メタ)アクリレートは、アクリレートおよびメタクリレートを総称することができる。また、アクリレートは、アクリル基(acryl group)を含有する化合物を総称することができ、メタクリレートは、メタクリル基(methacryl group)を含有する化合物を総称することができる。
【0030】
本出願は、硬化性組成物に関する。本出願において使用する用語である硬化性組成物は、硬化反応により硬化する組成物を意味する。本出願において前記硬化反応により硬化が適切に完了したか否かは、FT-IR(Fourier Transform Infrared)、DSC(Differential Thermal Analysis)およびDMA(Dynamic Mechanical Analysis)測定によって確認することができる。例えば、硬化性組成物にアクリル樹脂が含まれている場合、FT-IR分析により確認される1640cm-1付近の炭素二重結合(C=C)ピーク基準転換率(conversion)が80%以上であることから確認することができる。
本出願において硬化させるというのは、硬化反応が行われるように試みるだけでなく、上記のように硬化を適切に完了させたという意味と同一である。
【0031】
本出願の一例による硬化性組成物は、樹脂組成物であってもよい。本出願において使用する用語である樹脂組成物は、当業界で樹脂と知られた成分を含む組成物または樹脂を含んでいないが、硬化反応などにより樹脂を形成できる成分を含む組成物を意味する。したがって、本出願において用語樹脂または樹脂成分の範囲には、一般的に樹脂と知られた成分はもちろん、硬化および/または重合反応を経て樹脂を形成できる成分も含まれる。また、前記樹脂成分は、後述する重合体成分を含むか、重合体成分および単量体成分を同時に含むことを意味し得る。また、前記樹脂成分は、単量体成分として部分重合した部分重合物を含むことを意味し得、他の例示においては、前記部分重合物と希釈のためのさらなる単量体成分をさらに含むことを意味し得る。
【0032】
本出願の一例による硬化性組成物は、1液型または2液型組成物であってもよい。本出願において使用する用語である1液型組成物は、硬化に参加する成分が物理的に互いに接触している状態で含まれている硬化性組成物を意味する。また、本出願において使用する用語である2液型組成物は、硬化に参加する成分のうち少なくとも一部が物理的に分離して分けられて含まれている硬化性組成物を意味し得る。前記硬化性組成物は、管理の容易性を考慮するとき、1液型組成物であることがさらに好ましい。
【0033】
本出願の一例による硬化性組成物は、常温硬化型、加熱硬化型、エネルギー線硬化型および/または湿気硬化型であってもよい。本出願において使用する用語である常温硬化型は、硬化反応が常温で開始および/または進行され得る硬化性組成物を称する。また、本出願において使用する用語である加熱硬化型は、硬化反応が熱の付加により開始および/または進行され得る硬化性組成物を称する。また、本出願において使用する用語であるエネルギー線硬化型は、硬化反応がエネルギー線(例えば、紫外線や電子線など)の照射により開始および/または進行され得る硬化性組成物を称する。また、本出願において使用する用語である湿気硬化型は、硬化反応が水分の存在下で開始および/または進行され得る硬化性組成物を称する。
【0034】
本出願の一例による硬化性組成物は、前記硬化性組成物は、速硬化特性を確保しつつ、熱による損傷を防止するために、エネルギー線硬化型および加熱硬化型の複合型であってもよい。
【0035】
本出願の一例による硬化性組成物は、エネルギー線により1次硬化を行った後、加熱により二次硬化を行うことができる。また、前記硬化性組成物は、加熱により1次硬化を行い、その後、エネルギー線により二次硬化を行うことができる。
【0036】
本出願の一例による硬化性組成物は、加熱により硬化を行う(すなわち、熱硬化)とき、比較的低い硬化温度を有してもよい。本出願において使用する用語である比較的低い硬化温度は、熱開始剤を含んでいるとき、硬化温度が約60℃未満、59℃以下、58℃以下、57℃以下、56℃以下、55℃以下、54℃以下、53℃以下、52℃以下、51℃以下または50℃以下である場合を意味し得る。前記硬化温度の下限は、特に制限されるものではないが、速硬化特性の確保を考慮すると、約10℃以上、15℃以上、20℃以上、25℃以上、30℃以上、35℃以上、40℃以上または45℃以上であってもよい。本出願の一例による硬化性組成物は、樹脂成分と開始剤の適切な組み合わせを通じて熱損傷を防止できるレベルの硬化温度で速硬化特性を確保することができる。
【0037】
他の例示において、前記比較的低い硬化温度は、熱開始剤の10時間半減期温度に対して90%以下、89%以下、88%以下、87%以下、86%以下、85%以下、84%以下、83%以下、82%以下、81%以下、80%以下、79%以下、78%以下、77%以下、76%以下、75%以下または74%以下であるか、下限は、特に制限されるものではないが、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上または60%以上であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内にありえる。本出願の一例による硬化性組成物は、樹脂成分と開始剤の適切な組み合わせを通じて熱損傷を防止できるレベルの硬化温度で速硬化特性を確保することができる。
【0038】
本出願の一例による硬化性組成物は、溶剤型あるいは無溶剤型であってもよい。適用効率の観点や環境への負荷などを考慮するとき、無溶剤型であることが適切である。
本出願の一例による硬化性組成物は、硬化して硬化物を形成することができ、下記のような物性のうち少なくとも1つ以上の物性を有してもよい。下記の各物性は、独立したものであり、いずれか1つの物性が他の物性を優先せず、硬化性組成物の硬化物は、下記の物性のうち少なくとも1つまたは2つ以上を満たすことができる。下記の物性を少なくとも1つまたは2つ以上を満たす硬化性組成物の硬化物は、前記硬化性組成物に含まれた各構成要素の組み合わせに起因する。前記硬化性組成物は、エネルギー線により1次硬化を行った後、加熱により二次硬化を行うことができる。また、前記硬化性組成物は、加熱により1次硬化を行い、その後、エネルギー線により二次硬化を行うことができる。下記物性は、前述したように、複合硬化を通じて現れることができる。
【0039】
本出願の一例による硬化性組成物は、50℃で比較的短時間維持されて、ショア(shore)A硬度が70以上、72以上、74以上、76以上、78以上、80以上、82以上、84以上、86以上、88以上または90以上であるか、100以下、99以下、98以下または97以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内にありえる。前記硬化性組成物は、熱開始剤を含み、50℃で30分間維持されて、ショア(shore)A硬度が70以上、72以上、74以上、76以上、78以上、80以上、82以上、84以上、86以上、88以上または90以上であるか、100以下、99以下、98以下または97以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内にありえる。
【0040】
上記において、比較的短時間は、50分以下、49分以下、48分以下、47分以下、46分以下、45分以下、44分以下、43分以下、42分以下、41分以下、40分以下、39分以下、38分以下、37分以下、36分以下、35分以下、34分以下、33分以下、32分以下、31分以下または30分以下であるか、下限は、特に制限されるものではないが、5分以上、6分以上、7分以上、8分以上、9分以上、10分以上、11分以上、12分以上、13分以上、14分以上、15分以上、16分以上、17分以上、18分以上、19分以上、20分以上、21分以上、22分以上、23分以上、24分以上、25分以上、26分以上、27分以上、28分以上、29分以上または30分以上であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内であってもよい。上記において、比較的短時間の意味は、後述する開始剤の組み合わせ方式を採択しない場合に比べて、硬化が完了するまでにかかる時間が短いという点を意味する。前記硬化性組成物は、後述する開始剤の組み合わせを通じて比較的低温でも優れた硬化特性を迅速に(速硬化)確保することができる。
【0041】
前記熱開始剤は、10時間半減期温度が60℃以上、61℃以上、62℃以上、63℃以上、64℃以上または65℃以上であるか、上限は、特に制限されるものではないが、200℃以下、180℃以下、160℃以下、140℃以下、120℃以下、100℃以下または80℃以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内にありえる。前記硬化性組成物は、前述した10時間半減期温度を有する熱開始剤を含んでも、後述する本出願の組み合わせ方式を通じて比較的低温でも優れた硬化特性を迅速に(速硬化)確保することができる。
【0042】
本出願において使用する用語である半減期温度は、特定物質の分解速度を示すものであり、特定時間で初期特定物質の50%が分解するのに要する温度を意味するものであってもよい。例えば、前記開始剤の半減期温度は、前記開始剤が10時間(hr)の間50%が分解するのに要する温度を示すものであってもよく、この際の半減期温度は、10時間半減期温度といえる。また、前記開始剤の半減期温度は、特定溶媒で測定したものであってもよく、前記特定溶媒は、水(water)、アセトン(acetone)、ベンゼン(benzene)またはトルエン(toluene)などであってもよい。一例示において、前記開始剤の半減期温度は、トルエン(toluene)内での前記開始剤に対して、10時間(hr)の間50%が分解するのに要する温度を意味し得る。また、前記半減期温度は、kd=A×e-Ea/RT(kd:開始剤分解に対する反応速度定数、A:アレニウス頻度因子、Ea:開始剤の分解活性化エネルギー、R:気体定数(8.3142J/mol・K)、T:絶対温度(K))で表されるアレニウスの式(Arrhenius equation)で計算することができ、具体的には、前記半減期温度(t1/2)は、t1/2=ln2/kdで計算することができる。ここで、前記kdは、“Polymer Handbook”,Eds.Brandrup,J;Immergut,E.H.;Grulke、E.A.,4th Edition,John Wiley,New York、1999、II/2-69を参照することができる。
【0043】
本出願の一例による硬化性組成物は、カチオン硬化性成分を実質的に含まずにカチオン開始剤を含み、ショア(shore)A硬度が70以上、72以上、74以上、76以上、78以上、80以上、82以上、84以上、86以上、88以上または90以上であるか、100以下、99以下、98以下または97以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内である硬化物を形成することができる。前記カチオン硬化性成分は、少なくとも1つ以上のカチオン硬化性官能基を有していてもよく、前記カチオン硬化性官能基は、例えばエポキシド基、オキセタン基、サイクリックエーテル基、スルフィド基、アセタール基またはラクトン基がある。前記硬化性組成物は、エネルギー線により1次硬化を行った後、加熱により二次硬化を行うことができる。また、前記硬化性組成物は、加熱により1次硬化を行い、その後、エネルギー線により二次硬化を行うことができる。前記ショアA硬度は、前述したように、複合硬化を通じて現れることができる。
【0044】
本出願の一例による硬化性組成物は、25℃および60rpmのせん断速度(shear rate)で測定した粘度が100,000cPs以上、110,000cPs以上、120,000cPs以上、130,000cPs以上、140,000cPs以上または150,000cPs以上であるか、300,000cPs以下、290,000cPs以下、280,000cPs以下、270,000cPs以下、260,000cPs以下または250,000cPs以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内にありえる。前記硬化性組成物が前記範囲内の粘度を有する場合、塗布作業時に広がりが減少して作業性が向上し、部分分離現象を減少させることができる。
【0045】
本出願の一例による硬化性組成物の硬化物は、PET(polyethylene terephthalate)に対する0.3mm/minの剥離速度および180度の剥離角度で25℃にて測定した接着力(または剥離力)が150gf/10mm以上、160gf/10mm以上、170gf/10mm以上、180gf/10mm以上、190gf/10mm以上または200gf/10mm以上であるか、800gf/10mm以下、750gf/10mm以下、700gf/10mm以下、650gf/10mm以下、600gf/10mm以下、550gf/10mm以下、500gf/10mm以下または450gf/10mm以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内にありえる。前記接着力(または剥離力)は、具体的には、下記の物性測定方法によって測定することができる。前記硬化性組成物の硬化物が前述した範囲の接着力を有することによって、バッテリーモジュールへの適用時にバッテリーセルの効果的な固定、耐衝撃性および耐振動性を確保することができる。
【0046】
また、前記接着力は、硬化性組成物の硬化物が接触している任意の基板やモジュールケースに対する接着力であってもよい。上記のような接着力を確保できると、様々な素材、例えばバッテリーモジュールに含まれるケースやバッテリーセルなどに対して適正な接着力が現れることができる。また、このような範囲の接着力が確保されると、バッテリーモジュールにおいてバッテリーセルの充放電時に体積変化、バッテリーモジュールの使用温度の変化または硬化収縮などによる剥離などを防止し、優れた耐久性を確保することができる。
【0047】
本出願の一例による硬化性組成物の硬化物は、適切な硬度を示すのに有利である。例えば、前記硬化性組成物の硬化物の硬度が高すぎると、前記硬化物がブリトル(brittle)になって、信頼性に悪い影響を与えることができる。また、前記硬化性組成物の硬度の調節を通じて耐衝撃性および耐振動性を確保し、製品の耐久性をも確保することができる。前記硬化性組成物の硬化物は、例えばショア(shore)A硬度が70以上、72以上、74以上、76以上、78以上、80以上、82以上、84以上、86以上、88以上または90以上であるか、100以下、99以下、98以下または97以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内にありえる。前記硬化性組成物の硬化物の硬度は、通常前記硬化物に含有されたフィラー成分の種類や含有量の割合によって左右され、過量のフィラー成分を含む場合、一般的に硬度が高まる。ただし、前記硬化物に含有された樹脂成分も硬度に影響を与えることができる。前記ショアA硬度は、具体的には、下記の物性測定方法によって測定することができる。
【0048】
本出願の一例による硬化性組成物の硬化物は、熱伝導度が2W/mK以上であってもよい。前記熱伝導度は、硬化性組成物が、直径が2cm以上および厚さが2mmの硬化物(サンプル)で製作された状態で、前記サンプルの厚さ方向に沿ってASTM D5470規格またはISO22007-2規格によって測定された値であってもよい。熱伝導度は、具体的には、下記の物性測定方法によって測定することができる。他の例示において、前記硬化性組成物の硬化物は、下記測定方式によって測定された熱伝導度が2.1W/mK以上、2.2W/mK以上、2.3W/mK以上、2.4W/mK以上、2.5W/mK以上、2.6W/mK以上、2.7W/mK以上、2.8W/mK以上、2.9W/mK以上または3.0W/mK以上であってもよい。前記熱伝導度は、高い数値であるほど高い熱導電性を意味するので、その上限が特に制限されるものではない。例えば、前記熱伝導度は、50W/mK以下、45W/mK以下、40W/mK以下、35W/mK以下、30W/mK以下、25W/mK以下、20W/mK以下、18W/mK以下、16W/mK以下、14W/mK以下、12W/mK以下、10W/mK以下、8W/mK以下、6W/mK以下または4W/mK以下であってもよい。
【0049】
本出願の一例による硬化性組成物の硬化物は、熱抵抗が約5K/W以下、約4.5K/W以下、約4K/W以下、約3.5K/W以下、約3K/W以下または約2.8K/W以下であってもよい。このような範囲の熱抵抗が現れるように調節する場合には、優れた冷却効率や放熱効率を確保することができる。前記熱抵抗は、ASTM D5470規格またはISO22007-2規格によって測定された数値であってもよく、測定する方式は、特に制限されるものではない。
【0050】
本出願の一例による硬化性組成物の硬化物は、自動車などのように長い保証期間(自動車の場合、約15年以上)が要求される製品に適用するために耐久性を確保することができる。耐久性は、約-40℃の低温で30分間維持した後、さらに温度を80℃に上げて30分間維持することを1つのサイクルとして、前記サイクルを100回繰り返す熱衝撃試験後にバッテリーモジュールのモジュールケースまたはバッテリーセルから脱離したり剥離したりあるいはクラックが発生したりしないことを意味し得る。
【0051】
本出願の一例による硬化性組成物の硬化物は、電気絶縁性が約3kV/mm以上、約5kV/mm以上、約7kV/mm以上、10kV/mm以上、15kV/mm以上または20kV/mm以上であってもよい。前記絶縁破壊電圧は、その数値が高いほど硬化性組成物の硬化物が優れた絶縁性を示し、約50kV/mm以下、45kV/mm以下、40kV/mm以下、35kV/mm以下、30kV/mm以下であってもよいが、特に制限されるものではない。上記のような絶縁破壊電圧を達成するために、前記硬化性組成物に絶縁性フィラー粒子を適用することもできる。一般的に熱伝導性フィラー粒子のうちセラミックフィラー粒子は、絶縁性を確保することができる成分と知られている。前記電気絶縁性は、ASTM D149規格によって測定した絶縁破壊電圧で測定することができる。また、前記硬化性組成物の硬化物が上記のような電気絶縁性を確保できると、様々な素材、例えばバッテリーモジュールに含まれるケースやバッテリーセルなどに対して性能を維持しつつ安定性を確保することができる。
【0052】
本出願の一例による硬化性組成物の硬化物は、比重が5以下であってもよい。前記比重は、他の例示において4.5以下、4以下、3.5以下または3以下であってもよい。前記硬化性組成物の硬化物の比重は、その数値が低いほど応用製品の軽量化に有利になるので、その下限は、特に制限されない。例えば、前記比重は、約1.5以上または2以上であってもよい。前記硬化性組成物の硬化物が上記のような範囲の比重を示すために、例えば、熱伝導性フィラーの添加時にできるだけ低い比重でも目的とする熱伝導性を確保することができるフィラー、すなわちその自体の比重が低いフィラーを適用したり、表面処理が施されたフィラーを適用する方式などが使用できる。
【0053】
本出願の一例による硬化性組成物の硬化物は、できるだけ揮発性物質を含まないことが適切である。例えば、前記硬化性組成物の硬化物は、非揮発性成分の割合が90重量%以上、95重量%以上または98重量%以上であってもよい。上記において非揮発性成分との割合は、次の方式で規定することができる。すなわち、前記非揮発分は、硬化性組成物の硬化物を100℃で1時間程度維持した後に残存する部分を非揮発分と定義することができ、したがって、前記割合は、前記硬化性組成物の硬化物の初期重量と前記100℃で1時間程度維持した後の割合を基準として測定することができる。
【0054】
本出願の一例による硬化性組成物の硬化物は、必要に応じて劣化に対して優れた抵抗性を有し、可能な限り化学的に反応しない安定性が要求される。
本出願の一例による硬化性組成物の硬化物は、硬化過程または硬化した後に低い収縮率を有することが有利である。これを通じて、様々な素材、例えばバッテリーモジュールに含まれるケースやバッテリーセルなどの製造または使用過程で発生しうる剥離や空隙の発生などを防止することができる。前記収縮率は、前述した効果を示すことができる範囲で適切に調節することができ、例えば5%未満、3%未満または約1%未満であってもよい。前記収縮率は、その数値が低いほど有利になるので、その下限は、特に制限されない。
【0055】
本出願の一例による硬化性組成物の硬化物は、低い熱膨張係数(CTE)を有することが有利である。これを通じて、様々な素材、例えばバッテリーモジュールに含まれるケースやバッテリーセルなどの製造または使用過程で発生しうる剥離や空隙の発生などを防止することができる。前記熱膨張係数は、前述した効果を示すことができる範囲で適切に調節することができ、例えば、300ppm/K未満、250ppm/K未満、200ppm/K未満、150ppm/K未満または100ppm/K未満であってもよい。前記熱膨張係数は、その数値が低いほど有利になるので、その下限は、特に制限されない。
【0056】
本出願の一例による硬化性組成物の硬化物は、引張強度(tensile strength)を適切に調節することができ、これを通じて、優れた耐衝撃性などを確保することができる。引張強度は、例えば、約1.0MPa以上の範囲で調節することができる。
【0057】
本出願の一例による硬化性組成物の硬化物は、熱重量分析(TGA)における5%重量減少(weight loss)温度が400℃以上であってもよく、800℃残量が70重量%以上であってもよい。このような特性によって、様々な素材、例えばバッテリーモジュールに含まれるケースやバッテリーセルなどに対して高温安定性をさらに改善することができる。前記800℃残量は、他の例示において約75重量%以上、約80重量%以上、約85重量%以上または約90重量%以上であってもよい。前記800℃残量は、他の例示において約99重量%以下であってもよい。前記熱重量分析(TGA)は、60cm3/分の窒素(N2)雰囲気下で20℃/分の昇温速度で25℃~800℃の範囲内で測定することができる。前記熱重量分析(TGA)の結果も、硬化性組成物の硬化物の組成の調節を通じて達成することができる。例えば、800℃残量は、硬化性組成物の硬化物に含まれる熱伝導性フィラー成分の種類や割合によって左右され、過量の熱伝導性フィラー成分を含むと、前記残量が増加する。ただし、硬化性組成物に使用される重合体および/または単量体が他の重合体および/または単量体に比べて一般的に耐熱性が高い場合には、前記残量がさらに高く、このように硬化性組成物の硬化物に含まれる重合体および/または単量体成分も、その硬度に影響を与える。
【0058】
本出願の一例による硬化性組成物は、樹脂成分を含んでもよい。前記樹脂成分は、前述したように、一般的に樹脂と知られた成分はもちろん、硬化および/または重合反応を経て樹脂を形成できる成分も含まれる。
【0059】
本出願の一例による硬化性組成物は、樹脂成分を後述するフィラー成分の100重量部に対して1重量部以上、1.5重量部以上、2重量部以上、2.5重量部以上、3重量部以上、3.5重量部以上、4重量部以上、4.5重量部以上、5重量部以上、5.5重量部以上、6重量部以上、6.5重量部以上、7重量部以上、7.5重量部以上または8重量部以上であるか、50重量部以下、45重量部以下、40重量部以下、35重量部以下、30重量部以下、25重量部以下、20重量部以下、15重量部以下または10重量部以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記硬化性組成物は、樹脂成分を前記範囲内に制御することによって、比較的低温でも優れた硬化特性を有する厚膜を形成することができ、目的とするレベルの適切な接着力はもちろん、優れたレベルの熱伝導度を確保することができる。
【0060】
本出願の一例による硬化性組成物において、樹脂成分は、ガラス転移温度が-50℃以上、-49.5℃以上または-49℃以上であるか、0℃以下、-1℃以下、-2℃以下、-3℃以下、-4℃以下、-5℃以下、-6℃以下、-7℃以下、-8℃以下、-9℃以下、-10℃以下、-11℃以下、-12℃以下または-13℃以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内にありえる。前記樹脂成分が前述した範囲内のガラス転移温度を有する場合、適切な流動性を有して工程に有利であり、高い硬度を確保しながらも適切なレベルの接着力を確保することができる。ガラス転移温度は、示差走査熱量計(Differential Sacnning Calorimetery;DSC)を用いて測定することができ、具体的には、下記の物性測定方法によって測定することができる。
【0061】
本出願の一例による硬化性組成物において、樹脂成分は、重合体成分を含んでもよい。また、前記樹脂成分は、単量体成分を含んでもよい。また、前記樹脂成分は、重合体成分および単量体成分を含んでもよい。
【0062】
本出願の一例による硬化性組成物において、樹脂成分に含まれる重合体成分は、硬化性官能基を有する化合物に由来する単位を含有することができる。本出願において使用する用語である特定化合物に由来する単位は、前記特定化合物を重合反応させて得られた重合体において、前記特定化合物により形成された反復単位で説明することができる。また、本出願において使用する用語である硬化性官能基は、熱、エネルギー線および/または湿気などにより硬化反応を誘導する官能基を意味し得る。前記硬化性官能基は、例えば、アルケニル基、アルキニル基、(メタ)アクリレート基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、シアノ基、酸無水物基、メルカプト基、シラノール基、アルコキシシラン基、ヒドロキシ基およびオキサゾリン基からなる群から選択された1つ以上の官能基を含んでもよいし、好ましくは、(メタ)アクリレート基、エポキシ基、イソシアネート基およびメルカプト基から選択されものであってもよく、より好ましくは、(メタ)アクリレート基であってもよい。また、前記硬化性官能基は、重合性官能基と架橋性官能基に区分され得る。前記重合性官能基は、アルケニル基およびアルキニル基、(メタ)アクリル基などを例に挙げることができ、前記架橋性官能基は、カルボキシル基およびヒドロキシ基などを例に挙げることができる。
【0063】
本出願の一例による硬化性組成物において、樹脂成分は、重合体成分を前記樹脂成分の全重量に対して10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上または40重量%以上であるか、70重量%以下、65重量%以下、60重量%以下、55重量%以下または50重量%以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記硬化性組成物で樹脂成分が重合体成分を前述した範囲内に含む場合、適切な接着性能を有し、優れた硬度を確保することができる。
【0064】
本出願の一例による硬化性組成物において、樹脂成分は、単量体成分のみを含み、前記単量体成分を前記樹脂成分の全重量に対して20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上または45重量%以上であるか、75重量%以下、70重量%以下、65重量%以下、60重量%以下または55重量%以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記硬化性組成物において樹脂成分が単量体成分のみを前述した範囲内に含む場合、適切な接着性能を有し、優れた硬度を確保することができる。
【0065】
本出願の一例による硬化性組成物において、樹脂成分は、重合体成分および単量体成分を含み、前記単量体成分を前記重合体成分100重量部に対して50重量部以上、55重量部以上、60重量部以上、65重量部以上、70重量部以上、75重量部以上、80重量部以上、85重量部以上、90重量部以上、95重量部以上または100重量部以上であるか、500重量部以下、450重量部以下、400重量部以下、350重量部以下、300重量部以下、250重量部以下、200重量部以下または150重量部以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記硬化性組成物において樹脂成分が重合体成分と単量体成分を前述した範囲内に組み合わせて含む場合、適切な接着性能を有し、優れた硬度を確保することができる。
【0066】
本出願の一例による硬化性組成物において、樹脂成分の重合体成分は、アクリル重合体成分を含んでもよい。本出願において使用する用語であるアクリル重合体成分は、(メタ)アクリレートに由来する単位が全重量に対して55重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、90重量%以上または100重量%で含むことを意味し得る。
【0067】
本出願の一例による硬化性組成物において、前記アクリル重合体成分は、アルキル基を含有する(メタ)アクリレート由来単位およびヒドロキシ基を含有する(メタ)アクリレート由来単位を含んでもよい。前記アクリル重合体成分は、前記単位を同時に含むことによって、目的とするレベルの接着力はもちろん、優れた硬度を確保することができる。
【0068】
本出願の一例による硬化性組成物において、前記アクリル重合体成分は、アルキル基を含有する(メタ)アクリレート由来単位を前記アクリル重合体成分の全重量に対して40重量%以上、42重量%以上、44重量%以上、46重量%以上、48重量%以上、50重量%以上、52重量%以上、54重量%以上、56重量%以上、58重量%以上または60重量%以上であるか、95重量%以下、92.5重量%以下、90重量%以下または87.5重量%以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記アクリル重合体成分がアルキル基を含有する(メタ)アクリレート由来単位を前記範囲内に含む場合、本出願において目的とする硬度はもちろん、優れた熱伝導度を確保することができる。
【0069】
前記アクリル重合体成分が含むアルキル基を含有する(メタ)アクリレート由来単位において、前記アルキル基は、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基および環状アルキル基からなる群から選択された1つ以上を含んでもよい。
【0070】
前記アクリル重合体成分は、直鎖または分岐鎖アルキル基を含有する(メタ)アクリレート由来単位を含んでもよい。また、前記アクリル重合体成分は、直鎖または分岐鎖アルキル基を含有する(メタ)アクリレート由来単位を全重量に対して50重量%以上、55重量%以上または60重量%以上であるか、100重量%以下または95重量%以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記アクリル重合体成分が直鎖または分岐鎖アルキル基を含有する(メタ)アクリレート由来単位を前記範囲内に含む場合、本出願において目的とする硬度はもちろん、優れた熱伝導度を確保することができる。
【0071】
前記アクリル重合体成分は、i)直鎖または分岐鎖アルキル基を含有する(メタ)アクリレート由来単位およびii)環状アルキル基を含有する(メタ)アクリレート由来単位を含んでもよい。この際、前記アクリル重合体成分は、環状アルキル基を含有する(メタ)アクリレート由来単位を前記直鎖または分岐鎖アルキル基を含有する(メタ)アクリレート由来単位の100重量部に対して10重量部以上、15重量部以上、20重量部以上、25重量部以上、30重量部以上、35重量部以上または40重量部以上であるか、80重量部以下、75重量部以下、70重量部以下、65重量部以下、60重量部以下、55重量部以下、50重量部以下または45重量部以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記アクリル重合体成分が直鎖または分岐鎖アルキル基を含有する(メタ)アクリレート由来単位と環状アルキル基を含有する(メタ)アクリレート由来単位を前記範囲内のように適切に組み合わせる場合、本出願において目的とする硬度はもちろん、優れた熱伝導度を確保することができる。
【0072】
本出願の一例による硬化性組成物において、前記アクリル重合体成分は、ヒドロキシ基を含有する(メタ)アクリレート由来単位を前述したアルキル基を含有する(メタ)アクリレート由来単位の100重量部に対して1重量部以上、3重量部以上、5重量部以上、7重量部以上、9重量部以上、11重量部以上、13重量部以上、15重量部以上または17重量部以上であるか、100重量部以下、95重量部以下、90重量部以下、85重量部以下、80重量部以下、75重量部以下または70重量部以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記アクリル重合体成分がヒドロキシ基を含有する(メタ)アクリレート由来単位とアルキル基を含有する(メタ)アクリレート由来単位を前記範囲内のように組み合わせることによって、被着面に対するウエッティング(wetting)特性を確保して、目的とするレベルの接着力はもちろん、優れた硬度と熱伝導度を確保することができる。
【0073】
本出願の一例による硬化性組成物において、前記アクリル重合体成分は、ヒドロキシ基を含有するメタクリレート由来単位を含んでもよい。前記アクリル重合体成分は、ヒドロキシ基を含有するメタクリレート由来単位を前述したアルキル基を含有する(メタ)アクリレート由来単位の100重量部に対して1重量部以上、3重量部以上、5重量部以上、7重量部以上、9重量部以上、11重量部以上、13重量部以上、15重量部以上または17重量部以上であるか、100重量部以下、95重量部以下、90重量部以下、85重量部以下、80重量部以下、75重量部以下、70重量部以下、65重量部以下、60重量部以下、55重量部以下、50重量部以下、45重量部以下、40重量部以下、35重量部以下または30重量部以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記アクリル重合体成分がヒドロキシ基を含有するメタクリレート由来単位とアルキル基を含有する(メタ)アクリレート由来単位を前記範囲内のように組み合わせることによって、被着面に対するウエッティング(wetting)特性を確保し、目的とするレベルの接着力はもちろん、ガラス転移温度を制御して、さらに優れた硬度と熱伝導度を確保することができる。
【0074】
本出願の一例による硬化性組成物において、前記アクリル重合体成分は、i)ヒドロキシ基を含有するメタクリレート由来単位およびii)ヒドロキシ基を含有するアクリレート由来単位を含んでもよい。前記アクリル重合体成分は、ヒドロキシ基を含有するアクリレート由来単位を、前記ヒドロキシ基を含有するメタクリレート由来単位の100重量部に対して100重量部以上、110重量部以上、120重量部以上、130重量部以上、140重量部以上、150重量部以上または160重量部以上であるか、200重量部以下、190重量部以下、180重量部以下または170重量部以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記アクリル重合体成分は、ヒドロキシ基を含有するメタクリレート由来単位およびヒドロキシ基を含有するアクリレート由来単位を前記範囲内のように組み合わせることによって、被着面に対するウエッティング(wetting)特性を確保して、目的とするレベルの接着力はもちろん、より優れた硬度と熱伝導度を確保することができる。
【0075】
本出願の一例による硬化性組成物において、前記アクリル重合体成分は、下記化学式1で表される化合物に由来する単位を含んでもよい。
【0076】
【0077】
化学式1中、R1は、水素またはメチル基である。
また、化学式1中、R2は、水素;炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12または炭素数1~8のアルキル基;下記化学式2で表される官能基;および下記化学式3で表される官能基からなる群から選択された1つであってもよい。
【0078】
【0079】
化学式2中、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素;または炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8、炭素数1~4、炭素数1~3のアルキル基である。
【0080】
【0081】
化学式3中、R5は、水素;または炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8、炭素数1~4、炭素数1~3のアルキル基である。
また、化学式1中、L1は、単一結合;炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~8または炭素数1~4のアルキレン基;および下記化学式4で表される結合基からなる群から選択された1つであってもよい。
【0082】
【0083】
化学式4中、L2は、炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8または炭素数1~4のアルキレン基である。また、nは、1~100、1~50、1~25、1~10または1~5の範囲内の整数である。
【0084】
本出願において化学式2、化学式3および化学式4に表示された*は、結合手であり、主鎖と化学結合される部分を意味する。例えば、前記化学式2および化学式3に表示された*は、化学式1のL1と化学結合が形成される部分を意味するものであり、前記化学式4に表示された*のうち1つは、化学式1中、L1と結合した酸素(O)原子と化学結合が形成される部分を意味し、他の1つは、化学式1中、R2と化学結合が形成される部分を意味する。
【0085】
本出願の一例による硬化性組成物において、前記アクリル重合体成分は、前記化学式1で表される化合物に由来する単位を前述したアルキル基を含有する(メタ)アクリレート由来単位の100重量部に対して10重量部以上、12.5重量部以上、15重量部以上、17.5重量部以上、20重量部以上、22.5重量部以上、25重量部以上、27.5重量部以上、30重量部以上、32.5重量部以上、35重量部以上、37.5重量部以上または40重量部以上であるか、100重量部以下、95重量部以下、90重量部以下、85重量部以下、80重量部以下、75重量部以下、70重量部以下、65重量部以下、60重量部以下、55重量部以下、50重量部以下または45重量部以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記アクリル重合体成分は、前記化学式1で表される化合物に由来する単位を前記含有量の割合内に制御されて含むことによって、目的とするレベルの接着力はもちろん、優れた硬度を確保することができる。
【0086】
本出願の一例による硬化性組成物において、前記アクリル重合体成分は、重量平均分子量(Mw)が30,000g/mol以上、32,500g/mol以上、35,000g/mol以上、37,500g/mol以上、40,000g/mol以上、42,500g/mol以上、45,000g/mol以上、47,500g/mol以上、50,000g/mol以上、52,500g/mol以上、55,000g/mol以上、57,500g/mol以上または60,000g/mol以上であるか、200,000g/mol以下、180,000g/mol以下、160,000g/mol以下、140,000g/mol以下、120,000g/mol以下、100,000g/mol以下または80,000g/mol以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内であってもよい。また、前記硬化性組成物において前記アクリル重合体成分は、多分散指数(PDI)が1~4、1~3.75、1~3.5、1~3.25、1~3、1~2.75、1~2.5、1~2.25、1~2、1~1.95、1~1.9または1~1.85の範囲内であってもよい。前記アクリル重合体成分が前述した重量平均分子量(Mw)はもちろん、多分散指数を前記範囲で満たす場合、適切な硬度と接着力を有し、優れた体積抵抗を有し、ブリトル(brittle)にならない硬化物を確保することができ、優れた硬化特性を確保することができる。
【0087】
本出願の一例による硬化性組成物において、樹脂成分に含まれる単量体成分は、硬化性官能基を有する化合物を含んでもよい。前記硬化性官能基は、前述したように、熱、エネルギー線および/または湿気などにより硬化反応を誘導する官能基を意味し、例えばアルケニル基、アルキニル基、(メタ)アクリレート基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、シアノ基、酸無水物基、メルカプト基、シラノール基、アルコキシシラン基、ヒドロキシ基およびオキサゾリン基からなる群から選択された1つ以上の官能基を含んでもよい。また、前記硬化性官能基は、好ましくは、(メタ)アクリレート基、エポキシ基、イソシアネート基およびメルカプト基から選択されるものであってもよく、より好ましくは、(メタ)アクリレート基であってもよい。また、前記単量体成分は、前記樹脂成分内で、いわゆる1種またはそれ以上の種で混合された単量体(monomer)の集合を意味し得る。
【0088】
本出願の一例による硬化性組成物において、樹脂成分の単量体成分は、アクリル単量体成分を含んでもよい。本出願において使用する用語であるアクリル単量体成分は、(メタ)アクリレートが全重量に対して55重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、90重量%以上または100重量%で含むものを意味し得る。
【0089】
本出願の一例による硬化性組成物において、前記アクリル単量体成分は、アルキル基を含有する(メタ)アクリレートおよびヒドロキシ基を含有する(メタ)アクリレートを含んでもよい。前記アクリル単量体成分は、前記(メタ)アクリレートを同時に含むことによって、目的とするレベルの接着力はもちろん、優れた硬度を確保することができる。
【0090】
本出願の一例による硬化性組成物において、前記アクリル単量体成分は、アルキル基を含有する(メタ)アクリレートを40重量%以上、42重量%以上、44重量%以上、46重量%以上、48重量%以上、50重量%以上、52重量%以上、54重量%以上、56重量%以上または58重量%以上であるか、80重量%以下、78重量%以下、76重量%以下、74重量%以下または72重量%以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記アクリル単量体成分がアルキル基を含有する(メタ)アクリレートを前記範囲内に含む場合、本出願において目的とする硬度はもちろん、優れた熱伝導度を確保することができる。
【0091】
前記アクリル単量体成分が含むアルキル基を含有する(メタ)アクリレートにおいて、前記アルキル基は、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基および環状アルキル基からなる群から選択された1つ以上を含んでもよい。
【0092】
前記アクリル単量体成分は、直鎖または分岐鎖アルキル基を含有する(メタ)アクリレートを含んでもよい。また、前記アクリル単量体成分は、直鎖または分岐鎖アルキル基を含有する(メタ)アクリレートを全重量に対して50重量%以上、55重量%以上または60重量%以上であるか、100重量%以下または95重量%以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記アクリル単量体成分が直鎖または分岐鎖アルキル基を含有する(メタ)アクリレートを前記範囲内に含む場合、本出願において目的とする硬度はもちろん、優れた熱伝導度を確保することができる。
【0093】
前記アクリル単量体成分は、i)直鎖または分岐鎖アルキル基を含有する(メタ)アクリレートおよびii)環状アルキル基を含有する(メタ)アクリレートを含んでもよい。この際、前記アクリル単量体成分は、環状アルキル基を含有する(メタ)アクリレートを前記直鎖または分岐鎖アルキル基を含有する(メタ)アクリレートの100重量部に対して10重量部以上、15重量部以上、20重量部以上、25重量部以上、30重量部以上、35重量部以上または40重量部以上であるか、80重量部以下、75重量部以下、70重量部以下、65重量部以下、60重量部以下、55重量部以下、50重量部以下または45重量部以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記アクリル単量体成分が直鎖または分岐鎖アルキル基を含有する(メタ)アクリレートと環状アルキル基を含有する(メタ)アクリレートを前記範囲内のように適切に組み合わせる場合、本出願において目的とする硬度はもちろん、優れた熱伝導度を確保することができる。
【0094】
本出願の一例による硬化性組成物において、前記アクリル単量体成分は、ヒドロキシ基を含有する(メタ)アクリレートを前述したアルキル基を含有する(メタ)アクリレートの100重量部に対して50重量部以上、60重量部以上、70重量部以上、80重量部以上、90重量部以上、100重量部以上、110重量部以上、120重量部以上または130重量部以上であるか、500重量部以下、450重量部以下、400重量部以下、350重量部以下、300重量部以下または250重量部以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記アクリル単量体成分がヒドロキシ基を含有する(メタ)アクリレートとアルキル基を含有する(メタ)アクリレートを前記範囲内のように組み合わせることによって、被着面に対するウエッティング(wetting)特性を確保して、目的とするレベルの接着力はもちろん、優れた硬度と熱伝導度を確保することができる。また、前記硬化性組成物は、無溶剤型であることが好ましいが、一般的に用いられる溶剤の代わりに、単量体としてヒドロキシ基を含有する(メタ)アクリレートを希釈用途に用いることができる。前記ヒドロキシ基を含有する(メタ)アクリレートを希釈用途に用いることによって、被着面に対するウエッティング(wetting)特性を確保して、目的とするレベルの接着力を確保することができる。
本出願の一例による硬化性組成物において、前記アクリル単量体成分は、ヒドロキシ基を含有するメタクリレートを含んでもよい。前記アクリル単量体成分は、ヒドロキシ基を含有するメタクリレートを前述したアルキル基を含有する(メタ)アクリレートの100重量部に対して1重量部以上、3重量部以上、5重量部以上、7重量部以上、9重量部以上、11重量部以上、13重量部以上、15重量部以上または17重量部以上であるか、100重量部以下、95重量部以下、90重量部以下、85重量部以下、80重量部以下、75重量部以下、70重量部以下、65重量部以下、60重量部以下、55重量部以下、50重量部以下、45重量部以下、40重量部以下、35重量部以下または30重量部以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記アクリル単量体成分がヒドロキシ基を含有するメタクリレートとアルキル基を含有する(メタ)アクリレートを前記範囲内のように組み合わせることによって、被着面に対するウエッティング(wetting)特性を確保して、目的とするレベルの接着力はもちろん、ガラス転移温度を制御してみて優れた硬度と熱伝導度を確保することができる。
【0095】
本出願の一例による硬化性組成物において、前記アクリル単量体成分は、i)ヒドロキシ基を含有するメタクリレートおよびii)ヒドロキシ基を含有するアクリレートを含んでもよい。前記アクリル単量体成分は、ヒドロキシ基を含有するアクリレートを、前記ヒドロキシ基を含有するメタクリレートの100重量部に対して100重量部以上、150重量部以上、200重量部以上、250重量部以上、300重量部以上、350重量部以上、400重量部以上、450重量部以上、500重量部以上、550重量部以上、600重量部以上または650重量部以上であるか、2,000重量部以下、1,800重量部以下、1,600重量部以下、1,400重量部以下、1,200重量部以下、1,000重量部以下または800重量部以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記アクリル単量体成分は、ヒドロキシ基を含有するメタクリレートおよびヒドロキシ基を含有するアクリレートを前記範囲内のように組み合わせることによって、被着面に対するウエッティング(wetting)特性を確保して、目的とするレベルの接着力はもちろん、さらに優れた硬度と熱伝導度を確保することができる。
【0096】
本出願の一例による硬化性組成物において、前記アクリル単量体成分は、下記化学式1で表される化合物を含んでもよい。
【0097】
【0098】
化学式1中、R1は、水素またはメチル基である。
また、化学式1中、R2は、水素;炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12または炭素数1~8のアルキル基;下記化学式2で表される官能基;および下記化学式3で表される官能基からなる群から選択された1つであってもよい。
【0099】
【0100】
化学式2中、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素;または炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8、炭素数1~4、炭素数1~3のアルキル基である。
【0101】
【0102】
化学式3中、R5は、水素;または炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8、炭素数1~4、炭素数1~3のアルキル基である。
また、化学式1中、L1は、単一結合;炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~8または炭素数1~4のアルキレン基;および下記化学式4で表される結合基からなる群から選択された1つであってもよい。
【0103】
【0104】
化学式4中、L2は、炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8または炭素数1~4のアルキレン基である。また、nは、1~100、1~50、1~25、1~10または1~5の範囲内の整数である。
【0105】
本出願において化学式2、化学式3および化学式4に表示された*は、結合手であり、主鎖と化学結合される部分を意味する。例えば、前記化学式2および化学式3に表示された*は、化学式1のL1と化学結合が形成される部分を意味するものであり、前記化学式4に表示された*のうち1つは、化学式1中、L1と結合した酸素(O)原子と化学結合が形成される部分を意味し、他の1つは、化学式1中、R2と化学結合が形成される部分を意味する。
【0106】
本出願の一例による硬化性組成物において、前記アクリル単量体成分は、前記化学式1で表される化合物を前述したアルキル基を含有する(メタ)アクリレートの100重量部に対して10重量部以上、12.5重量部以上、15重量部以上、17.5重量部以上、20重量部以上、22.5重量部以上、25重量部以上、27.5重量部以上、30重量部以上、32.5重量部以上、35重量部以上、37.5重量部以上または40重量部以上であるか、100重量部以下、95重量部以下、90重量部以下、85重量部以下、80重量部以下、75重量部以下、70重量部以下、65重量部以下、60重量部以下、55重量部以下、50重量部以下または45重量部以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記アクリル単量体成分は、前記化学式1で表される化合物を前記含有量の割合内に制御されて含むことによって、目的とするレベルの接着力はもちろん、優れた硬度を確保することができる。
【0107】
本出願の一例による硬化性組成物は、フィラー成分を含んでもよい。前記硬化性組成物は、樹脂成分とフィラー成分の適切な組み合わせを通じて本出願の目的を達成することができる。
【0108】
本出願の一例による硬化性組成物において、フィラー成分は、その種類、形態およびサイズなどは、当業界で使用されるものであれば、特に制限されるものではない。また、前記フィラー成分は、1種または2種以上のフィラー粒子を含んでもよい。また、前記フィラー成分は、同一種類のフィラー粒子を使用しても、形態が異なるものが混合されたものであってもよく、粒子平均粒径が異なるものが混合されたものであってもよい。例えば、前記フィラー成分は、水酸化アルミニウムおよび酸化アルミニウム(アルミナ)が混合されたものであってもよく、前記水酸化アルミニウムと酸化アルミニウム形態と平均粒径は、互いに異なっていてもよい。
【0109】
本出願の一例による硬化性組成物は、フィラー成分を過量含んでもよい。前記硬化性組成物は、フィラー成分を過量含むことによって、優れた熱伝導度を確保することができる。前記硬化性組成物は、フィラー成分を全重量に対して60重量%以上、62重量%以上、64重量%以上、66重量%以上、68重量%以上、70重量%以上、72重量%以上、74重量%以上、76重量%以上、78重量%以上、80重量%以上、82重量%以上、84重量%以上、86重量%以上または88重量%以上であるか、98重量%以下、97重量%以下、96重量%以下または95重量%以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記硬化性組成物がフィラー成分を前述した範囲で含む場合を過量含んでいるといえ、これを通じて、優れた熱伝導度を確保することができる。
【0110】
本出願の一例による硬化性組成物において、フィラー成分は、粒子平均粒径が0.01μm以上または1,000μm以下のフィラーを含んでもよい。前記フィラー成分は、70μm以上のフィラーを含んでもよい。他の例示においてフィラーの粒子平均粒径は、75μm以上、80μm以上、85μm以上、90μm以上、95μm以上、100μm以上、105μm以上、110μm以上、115μm以上または120μm以上であるか、1,000μm以下または500μm以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内であってもよい。前記範囲の粒子平均粒径を有するフィラーは、本出願においてAフィラーと言え、前記Aフィラーは、粒子平均粒径が70μm以上であれば、種類と個数に対して特に制限されるものではない。
【0111】
本出願において使用する用語である粒子平均粒径は、フィラーのD50粒径であり、これは、ISO-13320規格に準拠してMarvern社のMASTERSIZER3000装備で測定した粒径である。測定時に溶媒としては、蒸留水を用いた。溶媒内分散したフィラーにより入射したレーザーが散乱し、前記散乱するレーザーの強度と方向性の値は、フィラーのサイズによって変わり、これを、Mie理論を利用して分析することによってD50粒径を求めることができる。前記分析を通じて、分散したフィラーと同じ体積を有する球の直径への換算を通じて分布を求め、これを通じて、分布の中間値であるD50値を求めて粒径を評価することができる。
【0112】
前記Aフィラー粒子の形態は、球形および/または非球形(例えば、針状形および板状形など)を必要に応じて適切に選択して使用することができ、これらに制限されるものではない。
【0113】
本出願において使用する用語である、フィラー粒子の形態が球形というのは、球形度が約0.9以上であることを意味し得、非球形というのは、球形度が約0.9未満であることを意味し得る。
【0114】
前記球形度は、フィラー粒子の粒子径分析を通じて確認することができる。具体的には、3次元粒子であるフィラーの球形度(sphericity)は、粒子の表面積(S)とその粒子の同じ体積を有する球の表面積(S′)の割合(S′/S)と定義することができる。実際粒子に対しては、一般的に円形度(circularity)を用いる。前記円形度は、実際粒子の二次元画像を求めて、イメージの境界(P)と同一のイメージと同じ面積(A)を有する円の境界の比で示し、下記数式で求める。
【0115】
<円形度の数式>
円形度=4πA/P2
前記円形度は、0から1までの値で示し、完ぺきな円は、1の値を有し、不規則な形態の粒子であるほど1より低い値を有する。本出願における球形度の値は、Marvern社の粒子径分析装備(FPIA-3000)で測定された円形度の平均値で測定することができる。
【0116】
本出願の一例による硬化性組成物において、フィラー成分は、前記Aフィラー粒子をフィラー成分の全重量に対して10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上または40重量%以上であるか、100重量%以下、99.5重量%以下、90重量%以下、80重量%以下、70重量%以下、60重量%以下、50重量%以下、40重量%以下または30重量%以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記フィラー成分は、前記Aフィラー粒子を前述した範囲内に含むことによって、適切な粘度と揺変性を有し、優れた熱伝導度を確保することができる。
【0117】
本出願の一例による硬化性組成物において、フィラー成分は、粒子平均粒径が20μm超過、25μm以上、30μm以上、35μm以上、40μm以上、45μm以上または50μm以上であるか、70μm未満、65μm以下、60μm以下、55μm以下または50μm以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内であるフィラーを含んでもよい。前記範囲の粒子平均粒径を有するフィラー粒子は、本出願でBフィラー粒子といえる。前記Bフィラー粒子は、粒子平均粒径が前記範囲を満たすと、種類と個数に対して特に制限されるものではない。
【0118】
前記Bフィラー粒子の形態は、球形および/または非球形(例えば、針状形および板状形など)を必要に応じて適切に選択して使用することができ、これらに制限されるものではない。
【0119】
本出願の一例による硬化性組成物において、フィラー成分は、前記Bフィラー粒子をフィラー成分の全重量に対して5重量%以上、7.5重量%以上、10重量%以上、12.5重量%以上、15重量%以上、17.5重量%以上または20重量%以上であるか、100重量%以下、90重量%以下、80重量%以下、70重量%以下、60重量%以下、50重量%以下、40重量%以下または30重量%以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記フィラー成分は、前記Bフィラー粒子を前述した範囲内に含むことによって、適切な粘度と揺変性を有し、優れた熱伝導度を確保することができる。
【0120】
また、本出願の一例による硬化性組成物において、フィラー成分は、Aフィラー粒子およびBフィラー粒子を含んでもよい。
【0121】
本出願の一例による硬化性組成物において、フィラー成分がAフィラー粒子およびBフィラー粒子を含む場合、前記硬化性組成物は、Bフィラー粒子をAフィラー粒子100重量部に対して10重量部以上、15重量部以上、20重量部以上、25重量部以上、30重量部以上、35重量部以上、40重量部以上または45重量部以上であるか、200重量部以下、180重量部以下、160重量部以下、140重量部以下、120重量部以下、100重量部以下、80重量部以下または60重量部以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記フィラー成分がAフィラーおよびBフィラー粒子の含有量の割合を前記範囲のように調節すると、適切な粘度を有する硬化性組成物を形成することができ、熱伝導度に優れた硬化物を形成することができる。
【0122】
本出願の一例による硬化性組成物において、フィラー成分がAフィラー粒子およびBフィラー粒子を含む場合、前記Aフィラー粒子の直径(DA)とBフィラー粒子の直径(DB)の割合(DA/DB)は、1.05以上、1.1以上、1.15以上、1.2以上、1.25以上、1.3以上、1.35以上または1.4以上であるか、2.3以下、2.25以下、2.2以下、2.15以下、2.1以下、2.0以下、1.9以下、1.8以下、1.7以下、1.6以下、1.5以下または1.4以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内であってもよい。前記Aフィラー粒子の直径(DA)とBフィラー粒子の直径(DB)の割合(DA/DB)が前記範囲を満たす場合には、硬化性組成物の速硬化性を確保することができる。
【0123】
本出願の一例による硬化性組成物において、フィラー成分は、粒子平均粒径が20μm以下、18μm以下、16μm以下、14μm以下、12μm以下、10μm以下または8μm以下であるか、0.01μm以上、0.05μm以上、0.1μm以上、0.2μm以上、0.4μm以上、0.8μm以上、1μm以上、2μm以上、3μm以上、4μm以上または5μm以上であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内であるフィラーを含んでもよい。前記範囲の粒子平均粒径を有するフィラー粒子は、本出願でCフィラー粒子といえる。前記Cフィラー粒子は、粒子平均粒径が前記範囲を満たすと、種類と個数に対して特に制限されるものではない。
【0124】
前記Cフィラー粒子の形態は、球形および/または非球形(例えば、針状形および板状形など)を必要に応じて適切に選択して使用することができ、これらに制限されるものではない。
【0125】
本出願の一例による硬化性組成物において、フィラー成分は、前記Cフィラー粒子をフィラー成分の全重量に対して10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上または40重量%以上であるか、100重量%以下、99.5重量%以下、90重量%以下、80重量%以下、70重量%以下、60重量%以下、50重量%以下、40重量%以下または30重量%以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記フィラー成分は、前記Cフィラー粒子を前述した範囲内に含むことによって、適切な粘度と揺変性を有し、優れた熱伝導度を確保することができる。
【0126】
本出願の一例による硬化性組成物において、フィラー成分は、Aフィラー粒子、Bフィラー粒子およびCフィラー粒子からなる群において1つ以上を選択して含んでもよい。また、本出願の一例による硬化性組成物において、フィラー成分は、Aフィラー粒子およびBフィラー粒子からなる群から選択された1つ以上とCフィラー粒子を含んでもよい。
また、本出願の一例による硬化性組成物において、フィラー成分は、Aフィラー粒子およびCフィラー粒子を含んでもよい。
【0127】
本出願の一例による硬化性組成物において、フィラー成分がAフィラー粒子およびCフィラー粒子を含む場合、前記硬化性組成物は、Cフィラー粒子をAフィラー粒子100重量部に対して50重量部以上、60重量部以上、70重量部以上、80重量部以上、90重量部以上、100重量部以上であるか、300重量部以下、280重量部以下、260重量部以下、240重量部以下、220重量部以下、200重量部以下、180重量部以下、160重量部以下、140重量部以下または120重量部以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記フィラー成分がAフィラーおよびCフィラー粒子の含有量の割合を前記範囲のように調節すると、適切な粘度を有する硬化性組成物を形成することができ、熱伝導度に優れた硬化物を形成することができる。
【0128】
本出願の一例による硬化性組成物において、フィラー成分は、Aフィラーを含まずにBフィラー粒子およびCフィラー粒子を含んでもよい。
【0129】
本出願の一例による硬化性組成物において、フィラー成分がAフィラーを含まずにBフィラー粒子およびCフィラー粒子を含む場合、前記硬化性組成物は、Cフィラー粒子をBフィラー粒子100重量部に対して100重量部以上、120重量部以上、140重量部以上、160重量部以上、180重量部以上または200重量部以上であるか、500重量部以下、475重量部以下、450重量部以下、425重量部以下、400重量部以下、375重量部以下、350重量部以下、325重量部以下、300重量部以下、275重量部以下または250重量部以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記フィラー成分がBフィラーおよびCフィラー粒子の含有量の割合を前記範囲のように調節すると、適切な粘度を有する硬化性組成物を形成することができ、熱伝導度に優れた硬化物を形成することができる。
【0130】
本出願の一例による硬化性組成物において、フィラー成分は、バッテリーなどで発生する熱を処理するための熱伝導性フィラー成分であってもよく、少なくとも1つ以上の熱伝導性フィラー粒子を含んでもよい。前記熱伝導性フィラー粒子は、自体熱伝導度が約1W/mK以上、5W/mK以上、10W/mK以上または15W/mK以上であってもよく、他の例示においては、約400W/mK以下、約350W/mK以下または約300W/mK以下であることを意味し得る。前記フィラー成分に含まれてもよい熱伝導性フィラー粒子の熱伝導度は、特に制限されるものではないが、ASTM E1461によって測定した値であってもよい。また、前記熱伝導性フィラー成分は、熱伝導度が約1W/mK以上、5W/mK以上、10W/mK以上または15W/mK以上であってもよく、他の例示においては、約400W/mK以下、約350W/mK以下または約300W/mK以下であってもよく、ASTM E1461によって測定した値であってもよい。
【0131】
本出願の一例による硬化性組成物において、フィラー成分に含まれる熱伝導性フィラー粒子は、前述した自体熱伝導度が前記範囲を満たすと、その種類が特に制限されるものではないが、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、酸化ベリリウムまたは酸化チタンなどの酸化物類;窒化ホウ素、窒化ケイ素または窒化アルミニウムなどの窒化物類;炭化ケイ素などの炭化物類;水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウムなどの水和金属類;銅、銀、鉄、アルミニウムまたはニッケルなどの金属充填材;チタンなどの金属合金充填材;またはこれらの混合物などであってもよい。
【0132】
本出願の一例による硬化性組成物において、フィラー成分は、モース硬度が6以上、6.5以上、7以上、7.5以上、8以上または8.5以上のフィラー粒子を含んでもよい。本出願において使用する用語であるモース硬度は、モース硬度計を利用して測定することができる。また、前記範囲のモース硬度を有するフィラー粒子は、本出願において第1フィラー粒子といえる。
【0133】
本出願の一例による硬化性組成物において、フィラー成分は、前記第1フィラー粒子を前記フィラー成分の全重量に対して30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、45重量%以上、50重量%以上、55重量%または60重量%以上であるか、100重量%以下、97.5重量%以下、95重量%以下または92.5重量%以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記フィラー成分が第1フィラー粒子を前記範囲に満足させて含む場合、優れた硬度を確保することができる。
【0134】
本出願の一例による硬化性組成物において、フィラー成分の粒子平均粒径が70μm以上のフィラー粒子(すなわち、前述したAフィラー粒子)は、モース硬度が6以上、6.5以上、7以上、7.5以上、8以上または8.5以上のフィラー粒子(すなわち、前述した第1フィラー粒子)を含んでもよい。この際、前記Aフィラー粒子は、第1フィラー粒子をAフィラー粒子の全重量に対して55重量%以上、75重量%以上または95重量%以上で含んでもよい。
【0135】
本出願の一例による硬化性組成物において、フィラー成分の粒子平均粒径が20μm超過~70μm未満のフィラー粒子(すなわち、前述したBフィラー粒子)は、モース硬度が6以上、6.5以上、7以上、7.5以上、8以上または8.5以上のフィラー粒子(すなわち、前述した第1フィラー粒子)を含んでもよい。この際、前記Bフィラー粒子は、第1フィラー粒子をBフィラー粒子の全重量に対して55重量%以上、75重量%以上または95重量%以上で含んでもよい。
【0136】
本出願の一例による硬化性組成物において、フィラー成分は、前記硬化性組成物の粘度、工程性(processibility)および硬化後の硬度を調節するために、モース硬度が6未満、5.5以下、5以下、4.5以下、4以下、3.5以下または3以下のフィラー粒子をさらに含んでもよい。前記範囲のモース硬度を有するフィラー粒子は、本出願において第2フィラー粒子といえる。
【0137】
本出願の一例による硬化性組成物において、フィラー成分は、第2フィラー粒子を前記第1フィラー粒子100重量部に対して100重量部以下、90重量部以下、80重量部以下、70重量部以下または60重量部以下であるか、10重量部以上、20重量部以上、30重量部以上、40重量部以上または50重量部以上であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。
【0138】
本出願の一例による硬化性組成物において、フィラー成分の粒子平均粒径が0.01μm以上~20μm以下のフィラー粒子(すなわち、前述したCフィラー粒子)は、モース硬度が6未満、5.5以下、5以下、4.5以下、4以下、3.5以下または3以下のフィラー粒子(すなわち、前述した第2フィラー粒子)を含んでもよい。この際、前記Cフィラー粒子は、第2フィラー粒子をCフィラー粒子の全重量に対して55重量%以上、75重量%以上または95重量%以上で含んでもよい。
【0139】
本出願の一例による硬化性組成物は、熱開始剤を含んでもよい。すなわち、前記硬化性組成物は、熱開始剤の存在下で加熱硬化方式によって硬化反応が行われ得る。前記熱開始剤は、熱によりラジカルを発生させ、前記ラジカルにより硬化反応を進行させることができる。
【0140】
本出願の一例による硬化性組成物において、熱開始剤は、当業界で使用するものであれば、特に制限されるものではないが、例えば、2,2′-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)(V-70、Wako社製)、2,2-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル(V-65、Wako社製)、2,2-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN、V-60、Wako社製)または2,2-アゾビス-2-メチルブチロニトリル(V-59、Wako社製)のようなアゾ系開始剤;ジプロピルペルオキシジカーボネート(Peroyl NPP、NOF社製)、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート(Peroyl IPP、NOF社製)、ビス-4-ブチルシクロヘキシルペルオキシジカーボネート(Peroyl TCP、NOF社製)、ジエトキシエチルペルオキシジカーボネート(Peroyl EEP、NOF社製)、ジエトキシヘキシルペルオキシジカーボネート(Peroyl OPP、NOF社製)、ヘキシルペルオキシジカーボネート(Perhexyl ND、NOF社製)、ジメトキシブチルペルオキシジカーボネート(Peroyl MBP、NOF社製)、ビス(3-メトキシ-3-メトキシブチル)ペルオキシジカーボネート(Peroyl SOP、NOF社製)、ヘキシルペルオキシピバレート(Perhexyl PV、NOF社製)、アミルペルオキシピバレート(Luperox 546M75、Atofina社製)、ブチルペルオキシピバレート(Perbutyl、NOF社製)またはトリメチルへキサノイルペルオキシド(Peroyl 355、NOF社製)のようなペルオキシエステル化合物;ジメチルヒドロキシブチルペルオキサネオデカノエート(Luperox 610M75、Atofina社製)、アミルペルオキシネオデカノエート(Luperox 546M75、Atofina社製)またはブチルペルオキシネオデカノエート(Luperox 10M75、Atofina社製)のようなペルオキシジカーボネート化合物;3,5,5-トリメチルへキサノイルペルオキシド、ラウリルペルオキシドまたはジベンゾイルペルオキシドのようなアシルペルオキシド;ケトンペルオキシド;ジアルキルペルオキシド;ペルオキシケタール;またはヒドロペルオキシドなどのようなペルオキシド開始剤などの1種または2種以上が使用できる。本出願において目的とする適切な物性を確保する観点から、上記においてアゾ系開始剤を適用することが適切である。
【0141】
本出願の一例による硬化性組成物において、熱開始剤は、10時間半減期温度が60℃以上、61℃以上、62℃以上、63℃以上、64℃以上、65℃以上、66℃以上、67℃以上または68℃以上であるか、上限は、特に制限されるものではないが、200℃以下、180℃以下、160℃以下、140℃以下、120℃以下、100℃以下または80℃以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内にありえる。
【0142】
本出願の一例による硬化性組成物は、前記範囲内の10時間半減期温度を有する熱開始剤を含んでいても、50℃で比較的短時間維持されて、ショア(shore)A硬度が70以上、72以上、74以上、76以上、78以上、80以上、82以上、84以上、86以上、88以上または90以上であるか、100以下、99以下、98以下または97以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内にありえる。前記硬化性組成物は、適切な開始剤の組み合わせを通じて前記特性を達成することができる。前記硬化性組成物は、エネルギー線により1次硬化を行った後、加熱により二次硬化を行うことができる。また、前記硬化性組成物は、加熱により1次硬化を行い、その後エネルギー線により二次硬化を行うことができる。前記ショアA硬度は、次のように複合硬化を通じて現れることができる。
【0143】
上記において、比較的短時間は、50分以下、49分以下、48分以下、47分以下、46分以下、45分以下、44分以下、43分以下、42分以下、41分以下、40分以下、39分以下、38分以下、37分以下、36分以下、35分以下、34分以下、33分以下、32分以下、31分以下または30分以下であるか、下限は、特に制限されるものではないが、5分以上、6分以上、7分以上、8分以上、9分以上、10分以上、11分以上、12分以上、13分以上、14分以上、15分以上、16分以上、17分以上、18分以上、19分以上、20分以上、21分以上、22分以上、23分以上、24分以上、25分以上、26分以上、27分以上、28分以上、29分以上または30分以上であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内であってもよい。上記において、比較的短時間の意味は、後述する開始剤の組み合わせ方式を採択しない場合に比べて、硬化が完了するまでにかかる時間が短いという点を意味する。前記硬化性組成物は、後述する開始剤の組み合わせを通じて比較的低温でも優れた硬化特性を迅速に(速硬化)確保することができる。
【0144】
本出願の一例による硬化性組成物は、熱開始剤を全重量に対して0.1重量%以上、0.2重量%以上、0.3重量%以上、0.4重量%以上、0.5重量%以上、0.6重量%以上、0.7重量%以上、0.8重量%以上、0.9重量%以上または1重量%以上であるか、3重量%以下、2.9重量%以下、2.8重量%以下、2.7重量%以下、2.6重量%以下、2.5重量%以下、2.4重量%以下、2.3重量%以下、2.2重量%以下、2.1重量%以下、2重量%以下、1.9重量%以下、1.8重量%以下、1.7重量%以下、1.6重量%以下、1.5重量%以下、1.4重量%以下、1.3重量%以下または1.2重量%以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記硬化性組成物は、前記熱開始剤を前述した範囲内に含むことによって、速硬化特性と優れた硬化性を確保することができる。
【0145】
本出願の一例による硬化性組成物は、光開始剤を含んでもよい。すなわち、前記硬化性組成物は、光開始剤の存在下でエネルギー線硬化方式によって硬化反応が行われ得る。
【0146】
本出願の一例による硬化性組成物は、光開始剤を全重量に対して0.1重量%以上、0.2重量%以上、0.3重量%以上、0.4重量%以上、0.5重量%以上、0.6重量%以上、0.7重量%以上、0.8重量%以上、0.9重量%以上、1重量%以上、1.1重量%以上、1.2重量%以上、1.3重量%以上、1.4重量%以上、1.5重量%以上、1.6重量%以上または1.7重量%以上であるか、3重量%以下、2.9重量%以下、2.8重量%以下、2.7重量%以下、2.6重量%以下、2.5重量%以下、2.4重量%以下、2.3重量%以下、2.2重量%以下、2.1重量%以下または2重量%以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記硬化性組成物は、前記光開始剤を前述した範囲内に含むことによって、速硬化特性と優れた硬化性を確保することができる。
【0147】
また、本出願の一例による硬化性組成物は、光開始剤と熱開始剤を共に含んでもよい。すなわち、硬化性組成物は、熱開始剤および光開始剤の存在下で加熱硬化方式およびエネルギー線硬化方式によって硬化反応が行われ得る。
【0148】
本出願の一例による硬化性組成物は、熱開始剤(IH)と光開始剤(IU)の重量比(IH/IU)が0.01以上、0.02以上、0.03以上、0.04以上、0.05以上、0.06以上、0.07以上、0.08以上、0.09以上、0.1以上、0.2以上、0.3以上、0.4以上、0.5以上、0.6以上、0.7以上、0.8以上、0.9以上、1以上、1.1以上、1.2以上、1.3以上、1.4以上または1.5以上であるか、5以下、4.5以下、4以下、3.5以下、3以下、2.5以下または2以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記硬化性組成物は、前記熱開始剤と光開始剤の含有量の割合を前述した範囲内に制御することによって、比較的低温でも優れた硬化特性を有する厚膜を形成することができ、目的とするレベルの適切な接着力はもちろん、優れたレベルの熱伝導度を確保することができる。
【0149】
本出願の一例による硬化性組成物は、光開始剤を熱開始剤より重量基準でさらに多く含んでいてもよい。
【0150】
本出願の一例による硬化性組成物において、光開始剤は、ラジカル開始剤およびカチオン開始剤からなる群から選択された1つ以上を含んでもよい。他の例示において、前記硬化性組成物で光開始剤は、ラジカル開始剤およびカチオン開始剤を同時に含んでもよい。前記硬化性組成物は、このような開始剤の組み合わせを通じて比較的低温でも優れた硬化特性を有する厚膜を形成することができ、目的とするレベルの適切な接着力はもちろん、優れたレベルの熱伝導度を確保することができる。
【0151】
本出願の一例による硬化性組成物において、光開始剤に使用されるラジカル開始剤は、エネルギー線を受けてラジカルを発生させるものであり、前記ラジカル開始剤としては、当該技術分野において一般的に使用されるラジカル開始剤が制限なしで使用されてもよい。具体的な例としては、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(1-Hydroxy-cyclohexyl-phenyl-ketone)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン(2-Hydroxy-2-methyl-1-phenyl-1-propanone)、2-ヒドロキシ-1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチル-1-プロパノン(2-Hydroxy-1-[4-(2-hydroxyethoxy)phenyl]-2-methyl-1-propanone)、メチルベンゾイルホルメート(Methylbenzoylformate)、オキシ-フェニル-酢酸-2-[2-オキソ-2-フェニル-アセトクシ-エトキシ]-エチルエステル(oxy-phenyl-acetic acid-2-[2 oxo-2phenyl-acetoxy-ethoxy]-ethyl ester)、オキシ-フェニル-酢酸-2-[2-ヒドロキシ-エトキシ]-エチルエステル(oxy-phenyl-acetic acid-2-[2-hydroxy-ethoxy]-ethyl ester)、アルファ-ジメトキシ-アルファ-フェニルアセトフェノン(alpha-dimethoxy-alpha-phenylacetophenone)、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン(2-Benzyl-2-(dimethylamino)-1-[4-(4-morpholinyl)phenyl]-1-butanone)、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-(4-モルホリニル)-1-プロパノン(2-Methyl-1-[4-(methylthio)phenyl]-2-(4-morpholinyl)-1-propanone)、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド(Diphenyl(2,4,6-trimethylbenzoyl)-phosphine oxide)、ホスフィンオキシド(Phosphine oxide)、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド(phenylbis(2,4,6-trimethylbenzoyl)-phosphineoxide)からなるグループから選択された1種以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0152】
また、前記光開始剤に使用されるカチオン開始剤は、エネルギー線により酸(H+)を発生させる化合物であり、本発明において使用可能なカチオン開始剤は、例えば、スルホニウム塩(Sulfonium salt)またはヨードニウム塩(Iodonium salt)が含まれたものが好ましい。具体的な例として、ジフェニル(4-フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(Diphenyl(4-phenylthio)phenylsulfonium hexafluoroantimonate)、ジフェニル(4-フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート(Diphenyl(4-phenylthio)phenylsulfonium hexafluorophosphate)、(4-メチルフェニル)[4-(2-メチルプロピル)フェニル]-ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート((4-methylphenyl)[4-(2-methylpropyl)phenyl]-Iodonium hexafluorophosphate)、(フェニル)[4-(2-メチルプロピル)フェニル]-ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート((phenyl)[4-(2-methylpropyl)phenyl]-Iodonium hexafluorophosphate)、(チオジ-4,1-フェニレン)ビス(ジフェニルスルホニウム)ジヘキサフルオロアンチモネート((Thiodi-4,1-phenylene)bis(diphenylsulfonium)dihexafluoroantimonate)および(チオジ-4,1-フェニレン)ビス(ジフェニルスルホニウム)ジヘキサフルオロホスフェート((Thiodi-4,1-phenylene)bis(diphenylsulfonium)dihexafluorophosphate)からなるグループから選択された1種以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0153】
本出願の一例による硬化性組成物において、光開始剤は、ラジカル開始剤を前記光開始剤の全重量に対して10重量%以上、12重量%以上、14重量%以上、16重量%以上、18重量%以上、20重量%以上、22重量%以上、24重量%以上、26重量%以上、28重量%以上、30重量%以上または32重量%以上であるか、95重量%以下、90重量%以下、85重量%以下、80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下、65重量%以下、60重量%以下、55重量%以下、50重量%以下、45重量%以下、40重量%以下または35重量%以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記硬化性組成物は、前記熱開始剤と光開始剤を同時に適用し、前記光開始剤においてラジカル開始剤の含有量を前述した範囲内に制御することによって、比較的低温でも優れた硬化特性を有する厚膜を形成することができ、目的とするレベルの適切な接着力はもちろん、優れたレベルの熱伝導度を確保することができる。
【0154】
本出願の一例による硬化性組成物において、光開始剤は、ラジカル開始剤(IR)とカチオン開始剤(IP)の重量比(IR/IP)が0.01以上、0.02以上、0.03以上、0.04以上、0.05以上、0.06以上、0.07以上、0.08以上、0.09以上、0.1以上、0.15以上、0.2以上、0.25以上、0.3以上、0.35以上、0.4以上、0.45以上または0.5以上であるか、2以下、1.9以下、1.8以下、1.7以下、1.6以下、1.5以下、1.4以下、1.3以下、1.2以下、1.1以下、1以下、0.9以下、0.8以下、0.7以下または0.6以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に制御することができる。前記硬化性組成物は、前記熱開始剤と光開始剤を同時に適用し、前記光開始剤においてカチオン開始剤とラジカル開始剤の含有量の割合を前述した範囲内に制御することによって、比較的低温でも優れた硬化特性を有する厚膜を形成することができ、目的とするレベルの適切な接着力はもちろん、優れたレベルの熱伝導度を確保することができる。
【0155】
本出願の一例による硬化性組成物において、光開始剤は、カチオン開始剤をラジカル開始剤より重量基準でさらに多く含んでいてもよい。
【0156】
本出願の一例による硬化性組成物は、ラジカル硬化性成分を含んでもよい。本出願において使用する用語であるラジカル硬化性成分は、エネルギー線照射によりラジカル重合により硬化することができる成分を意味し得る。前記ラジカル硬化性成分は、少なくとも1つ以上のラジカル硬化性官能基を有していてもよく、前記エネルギー線は、マイクロ波(microwaves)、赤外線(IR、infra red)、紫外線(UV、ultra violet)、X線またはガンマ線のような電磁気波はもちろん、アルファ-粒子線(alpha-particle beam)、プロトンビーム(proton beam)、中性子ビーム(neutron beam)および電子線(electron beam)のような粒子ビームの照射により行われ得る。
【0157】
本出願の一例による硬化性組成物において、前記ラジカル硬化性成分は、前述したアクリル重合体成分およびアクリル単量体成分を含んでもよい。前記アクリル重合体成分とアクリル単量体成分は、上記の内容を参照することができる。
【0158】
本出願の一例による硬化性組成物は、カチオン硬化性成分を実質的に含まなくてもよい。すなわち、前記硬化性組成物は、カチオン硬化性成分を全重量に対して1重量%以下、0.5重量%以下、0.1重量%以下、0.05重量%以下または0.01重量%以下で含んでもよいし、好ましくは、全く含まなくてもよい(0重量%)。本出願において使用する用語であるカチオン硬化性成分は、エネルギー線照射によりカチオン重合により硬化することができる成分を意味し得る。前記カチオン硬化性成分は、少なくとも1つ以上のカチオン硬化性官能基を有していてもよく、前記カチオン硬化性官能基は、例えばエポキシド基、オキセタン基、サイクリックエーテル基、スルフィド基、アセタール基またはラクトン基がある。前記硬化性組成物は、カチオン硬化性成分を実質的に含まないにも関わらず、適切な開始剤の組み合わせを通じて比較的低温でも優れた硬化特性を有する厚膜を形成することができ、目的とするレベルの適切な接着力はもちろん、優れたレベルの熱伝導度を確保することができる。
【0159】
本出願の一例による硬化性組成物は、ラジカル硬化性成分と同時に光開始剤を含み、前記光開始剤は、カチオン開始剤を含み、前記硬化性組成物は、カチオン硬化性成分を実質的に含まなくてもよい。ここで、前記硬化性組成物は、ショア(shore)A硬度が70以上、72以上、74以上、76以上、78以上、80以上、82以上、84以上、86以上、88以上または90以上であるか、100以下、99以下、98以下または97以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内である硬化物を形成することができる。前記硬化性組成物は、前述した開始剤の組み合わせを通じて比較的低温でも優れた硬化特性を有する厚膜を形成することができ、目的とするレベルの適切な接着力はもちろん、優れたレベルの熱伝導度を確保することができる。
【0160】
本出願の一例による硬化性組成物は、カチオン硬化性成分を実質的に含まずに光開始剤でカチオン開始剤を含む場合、増感剤を含んでもよい。前記増感剤は、長波長の光エネルギーを受けて前記硬化性組成物内にあるカチオン開始剤を活性化させることができる。本出願において使用する用語である長波長の光エネルギーは、略300~410nmの波長領域の光が有するエネルギーを意味する。
【0161】
前記増感剤の種類は、特に制限されるものではないが、増感剤は、例えば、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾおよびジアゾ化合物、アントラセン系化合物、ハロゲン化合物、光還元性色素などが挙げられる。より具体的には、前記増感剤は、2,4-ジエチル-9H-チオキサンテン-9-オン(2,4-Diethyl-9H-thioxanthen-9-one、DETX)またはイソプロピルチオキサントン(isopropylthioxanthone、ITX)など当業界で一般的に使用するものを採択することができる。
【0162】
本出願の一例による硬化性組成物は、増感剤をフィラー成分100重量部に対して0.01重量部以上、0.02重量部以上、0.03重量部以上、0.04重量部以上、0.05重量部以上、0.06重量部以上、0.07重量部以上または0.08重量部以上であるか、1重量部以下、0.75重量部以下、0.5重量部以下または0.1重量部以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記増感剤の含有量の割合が前記範囲を満たす場合には、前記硬化性組成物がカチオン硬化性成分を実質的に含まずに光開始剤としてカチオン開始剤を含んでいても、カチオン開始剤を適切に活性化させて硬化反応を誘導させることができる。
【0163】
本出願の一例による硬化性組成物は、さらなる物性を確保するために、下記に例示された1種または2種以上の添加剤をさらに含んでもよい。ただし、前記添加剤は、当業界で一般的に使用できるものであればよく、必ず下記例示された添加剤に制限されるものではない。
【0164】
本出願の一例による硬化性組成物は、可塑剤をさらに含んでもよい。前記可塑剤の種類は、特に制限されるものではないが、例えばフタル酸化合物、リン酸化合物、アジピン酸化合物、セバシン酸化合物、クエン酸化合物、グリコール酸化合物、トリメリット酸化合物、ポリエステル化合物、エポキシ化大豆油、塩素化パラフィン、塩素化脂肪酸エステル、脂肪酸化合物、フェニル基が結合したスルホン酸基で置換された飽和脂肪族鎖を有する化合物(例えば、LANXESS社のmesamoll)および植物油のうちから1つ以上を選択して使用することができる。
【0165】
前記フタル酸化合物は、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジ-n-オクチルフタレート、ジ-2-エチルヘキシルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジノニルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジベンジルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、オクチルデシルフタレート、ブチルオクチルフタレート、オクチルベンジルフタレート、n-ヘキシルn-デシルフタレート、n-オクチルフタレートおよびn-デシルフタレートのうちから1つ以上が使用できる。前記リン酸化合物は、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェートおよびトリクロロエチルホスフェートのうちから1つ以上が使用できる。前記アジピン酸化合物は、ジブトキシエトキシエチルアジペート(DBEEA)、ジオクチルアジペート、ジイソオクチルアジペート、ジ-n-オクチルアジペート、ジデシルアジペート、ジイソノニルアジペート(DINA)、ジイソデシルアジペート(DIDP)、n-オクチルn-デシルアジペート、n-ヘプチルアジペートおよびn-ノニルアジペートのうちから1つ以上が使用できる。前記セバシン酸化合物は、ジブチルセバケート、ジオクチルセバケート、ジイソオクチルセバケートおよびブチルベンジルのうちから1つ以上が使用できる。前記クエン酸化合物は、トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリブチルシトレートおよびアセチルトリオクチルシトレートのうちから1つ以上が使用できる。前記グリコール酸化合物は、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレートおよびブチルフタリルエチルグリコレートのうちから1つ以上が使用できる。前記トリメリット酸化合物は、トリオクチルトリメリテートおよびトリ-n-オクチルn-デシルトリメリテートのうちから1つ以上が使用できる。前記ポリエステル化合物は、ブタンジオール、エチレングリコール、プロパン1,2-ジオール、プロパン1,3ジオール、ポリエチレングリコール、グリセロール、二酸(diacid)(アジピン酸、コハク酸、無水コハク酸のうちから選択される)およびヒドロキシ酸(例えば、ヒドロキシステアリン酸)のうちから選択されたジオールの反応生成物であってもよい。
【0166】
本出願の一例による硬化性組成物は、可塑剤をフィラー成分100重量部に対して0.1重量部以上、0.2重量部以上、0.3重量部以上、0.4重量部以上、0.5重量部以上または0.6重量部以上であるか、5重量部以下、4.5重量部以下、4重量部以下、3.5重量部以下、3重量部以下、2.5重量部以下または2重量部以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記可塑剤の含有量の割合が前記範囲を満たす場合には、硬化性組成物の相溶性を向上させることができる。
【0167】
本出願の一例による硬化性組成物は、可塑剤は、本出願において適用される樹脂成分またはラジカル硬化性成分とフィラー成分間の相溶性を考慮すると、アジピン酸化合物であることが好ましい。
【0168】
本出願の一例による硬化性組成物は、分散剤をさらに含んでもよい。前記分散剤は、例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンおよび顔料誘導体などが使用できるが、当業界で公知になった分散剤であれば、制限なしで使用することができる。好ましくは、前記分散剤は、変性ポリエステル分散剤を含んでもよいし、例えばDisperbyk-111(BYK社)およびソルスパース41000(ルーブリゾール社)などを使用することができる。
【0169】
本出願の一例による硬化性組成物は、分散剤をフィラー成分100重量部に対して0.1重量部以上、0.2重量部以上、0.3重量部以上、0.4重量部以上、0.5重量部以上または0.6重量部以上であるか、5重量部以下、4.5重量部以下、4重量部以下、3.5重量部以下、3重量部以下、2.5重量部以下または2重量部以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記分散剤の含有量の割合が前記範囲を満たす場合には、硬化性組成物内のフィラー成分が過量に含まれていても優れた分散性を確保することができる。
【0170】
本出願の一例による硬化性組成物は、難燃剤または難燃補助剤などをさらに含んでもよい。難燃剤または難燃補助剤などをさらに含む硬化性組成物は、硬化することによって難燃性硬化物を形成することができる。難燃剤としては、特別な制限なしで公知の様々な難燃剤が適用され得、例えば、固状のフィラー形態の難燃剤や液状難燃剤などを適用することができる。難燃剤としては、例えば、メラミンシアヌレート(melamine cynaurate)などのような有機系難燃剤や水酸化マグネシウムなどのような無機系難燃剤などがあるが、これらに制限されるものではない。硬化性組成物に含まれる熱伝導性フィラー粒子の量が多い場合、液状タイプの難燃材料(TEP、Triethyl phosphateまたはTCPP、tris(1、3-chloro-2-propyl)phosphateなど)を使用してもよい。また、難燃上昇剤の作用をすることができるシランカップリング剤を追加してもよい。
【0171】
本出願の一例による硬化性組成物は、難燃剤をフィラー成分100重量部に対して0.5重量部以上、1重量部以上、1.5重量部以上、2重量部以上、2.5重量部以上または3重量部以上であるか、10重量部以下、9重量部以下、8重量部以下、7重量部以下、6重量部以下、5重量部以下または4重量部以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記難燃剤の含有量の割合が前記範囲を満たす場合には、優れた熱伝導性を確保し、優れた難燃性能を具現することができる。
【0172】
本出願の一例による硬化性組成物は、反応促進剤をさらに含んでもよい。前記反応促進剤は、前記硬化性組成物の重合反応を促進させる機能を行うことができる。前記反応促進剤の種類は、特に制限されるものではないが、例えばジメチル-p-トルイジン(N,N-Dimethyl-p-toluidine;DMPT)などを使用することができる。
【0173】
本出願の一例による硬化性組成物は、反応促進剤をフィラー成分100重量部に対して0.01重量部以上、0.02重量部以上、0.03重量部以上、0.04重量部以上、0.05重量部以上、0.06重量部以上、0.07重量部以上または0.08重量部以上であるか、1重量部以下、0.75重量部以下、0.5重量部以下または0.1重量部以下であるか、または前記上限および下限を適切に選択して形成された範囲内に含んでもよい。前記反応促進剤の含有量の割合が前記範囲を満たす場合には、適切に重合反応を促進させることができる。
【0174】
本出願の一例による硬化性組成物は、必要に応じて金属触媒をさらに含んでもよい。前記金属触媒としてアルミニウム、ビスマス、鉛、水銀、スズ、亜鉛およびジルコニウムからなる群から選択された1つ以上を中心金属元素として含んでもよい。また、前記金属触媒は、前記中心金属元素にエステル基、エーテル基またはカルボキシ基が結合していてもよい。前記金属触媒は、例えばジブチルスズジラウレートまたはジメチルスズジアセテートなどがあるが、これらに特に制限されるものではなく、当業界で一般的に使用できるものであれば、制限なしで使用することができる。また、金属触媒は、1種または2種以上が使用できる。
【0175】
本出願の一例による硬化性組成物は、必要に応じて架橋剤をさらに含んでもよい。前記架橋剤は、硬化性組成物内に含まれる構成と架橋構造を具現することによって、適切な接着力と硬度を有する硬化物を形成することができる。
【0176】
前記架橋剤は、例えば、ウレタン系アクリレート架橋剤、脂肪族イソシアネート架橋剤、エポキシ架橋剤、アジリジン架橋剤および金属キレート架橋剤が使用でき、これらに制限されるものではない。また、架橋剤は、1種または2種以上が使用できる。前記ウレタン系アクリレート架橋剤は、分子鎖の中に多数のウレタン結合(-NHCOO-)を有しており、分子末端に紫外線に反応しうるアクリル基を有している化合物であり、商業的にPU330(ミウォン商社)、PU256(ミウォン商社)、PU610(ミウォン商社)およびPU340(ミウォン商社)などを使用することができる。前記脂肪族イソシアネート架橋剤は、例えば、イソホロンジイソシアネート(isophorone diisocyanate)またはメチレンジシクロヘキシルジイソシアネート(methylene dicyclohexyl diisocyanate)またはシクロヘキサンジイソシアネート(cyclohexane diisocyanate)などのようなイソシアネート化合物や、そのダイマー(dimer)またはトリマー(trimer)などのような誘導体を使用することができる。前記エポキシ架橋剤は、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N,N,N′,N′-テトラグリシジルエチレンジアミンまたはグリセリンジグリシジルエーテルなどを使用することができる。前記アジリジン架橋剤は、例えば、N,N′-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキサミド)、N,N′-ジフェニルメタン-4,4′-ビス(1-アジリジンカルボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソフタロイル-1-(2-メチルアジリジン)またはトリ-1-アジリジニルホスフィンオキシドなどを使用することができる。前記金属キレート架橋剤は、例えば、アルミニウム、鉄、亜鉛、スズ、チタン、アンチモン、マグネシウムおよび/またはバナジウムのような多価金属がアセチルアセトンまたはアセト酢酸エチルなどに配位している化合物である金属キレート成分などを使用することができる。
【0177】
本出願の一例による硬化性組成物は、必要に応じてペルオキシド(peroxide)化合物をさらに含んでもよい。前記ペルオキシド化合物は、前記硬化性組成物が、重合反応が起こるように助けになる物質であってもよい。
【0178】
前記ペルオキシド化合物は、例えば、メチルエチルケトンペルオキシド(methyl ethyl ketone peroxide、MEKP)、シクロヘキサノンペルオキシド、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノンペルオキシド、メチルシクロヘキサノンペルオキシド、メチルアセトアセテートペルオキシドおよびアセチルアセトンペルオキシドなどのようなケトンペルオキシド化合物;tert-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロオキシド、パラメンタンヒドロペルオキシド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジヒドロペルオキシド、および1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロペルオキシドなどのようなヒドロペルオキシド化合物;アセチルペルオキシド、イソブチルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ラウリノイルペルオキシド、3,3,5-トリメチルへキサノイルペルオキシド、コハク酸ペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシドおよびメタ-トルオイルペルオキシドなどのようなジアシルペルオキシド化合物;ベンゾイルペルオキシド(benzoyl peroxide、BPO)などのようなアシルペルオキシド化合物;であってもよく、これらに制限されるものではない。また、ペルオキシド化合物は、1種または2種以上が使用できる。
【0179】
本出願の一例による硬化性組成物は、必要に応じて粘度の調節、例えば粘度を高めたり、あるいは、低減するために、またはせん断力による粘度調節のために、粘度調節剤、例えば、揺変性付与剤、希釈剤、表面処理剤またはカップリング剤などをさらに含んでもよい。揺変性付与剤は、硬化性組成物のせん断力による粘度を調節することができる。使用できる揺変性付与剤としては、フュームドシリカなどが例示できる。希釈剤は、通常硬化性組成物の粘度を低減するために使用されるものであり、上記のような作用を示すことができるものであれば、当業界で公知になった様々な種類のものを制限なしで使用することができる。表面処理剤は、硬化性組成物の硬化物に導入されているフィラー成分の表面処理のためのものであり、上記のような作用を示すことができるものであれば、当業界で公知になった様々な種類のものを制限なしで使用することができる。カップリング剤の場合は、例えば、熱伝導性フィラー粒子(例えば、アルミナなど)の分散性を改善するために使用されることができ、上記のような作用を示すことができるものであれば、当業界で公知になった様々な種類のものを制限なしで使用することができる。
【0180】
本出願の一例による硬化性組成物は、前記列挙した各構成要素を混合して形成することができる。また、前記硬化性組成物は、必要な成分が全部含まれ得ると、混合順序に対しては特に制限されるものではない。
【0181】
本出願の一例による硬化性組成物は、合成された重合体成分が含まれた樹脂成分にフィラー成分など他の構成要素を添加し混合することによって製造することができる。前記重合体成分が含まれた樹脂成分は、加熱硬化方式を通じて固形分が約50~70%程度以内であるとき、重合を中断させて製造された重合体シロップ(syrup)であってもよい。また、前記硬化性組成物は、前記製造された重合体シロップに単量体成分を追加して希釈した後、フィラー成分など他の構成要素を添加して混合することによって製造することができる。
【0182】
本出願の一例による装置は、発熱性素子および冷却部位を含み、前記発熱性素子および冷却部位の間に前記両方を熱的接触させている本出願の一例による硬化性組成物または前記硬化性組成物の硬化物を含むものであってもよい。
【0183】
本出願の一例による装置は、例えばアイロン、洗濯機、乾燥機、衣類管理機、電気シェーバー、電子レンジ、電気オーブン、電気炊飯器、冷蔵庫、食洗機、エアコン、扇風機、加湿器、空気清浄機、携帯電話、無線機、テレビ、ラジオ、コンピュータ、ノートパソコンなど様々な電気製品および電子製品または二次電池などのバッテリーなどがあり、前記硬化性組成物の硬化物は、前記装置で発生する熱を放熱させることができる。特に、バッテリーセルが集まって1つのバッテリーモジュールを形成し、複数のバッテリーモジュールが集まって1つのバッテリーパックを形成して製造する電気自動車のバッテリーにおいて、バッテリーモジュールを連結する素材として本出願の硬化性組成物を用いることができる。バッテリーモジュールを連結する素材として本出願の硬化性組成物が用いられる場合、バッテリーセルで発生する熱を放熱し、外部衝撃と振動からバッテリーセルを固定させる役割をすることができる。
【0184】
本出願の硬化性組成物の硬化物は、発熱性素子で発生する熱を冷却部位に伝達することができる。すなわち、前記硬化性組成物の硬化物は、前記発熱性素子で発生する熱を放熱することができる。
【0185】
前記硬化性組成物の硬化物は、発熱性素子および冷却部位の間に位置し、これらを熱的接触させることができる。熱的接触というのは、前記硬化性組成物の硬化物が発熱性素子および冷却部位と物理的に直接接触して前記発熱性素子で発生した熱を前記冷却部位に放熱したり、前記硬化性組成物の硬化物が発熱性素子および/または冷却部位と直接接触しなくても(すなわち、硬化性組成物の硬化物と発熱性素子および/または冷却部位の間に別途層が存在)、前記発熱性素子で発生した熱を前記冷却部位に放熱することを意味する。
【0186】
本出願は、バッテリーモジュールを提供することができる。本出願の一例によるバッテリーモジュールは、内部空間を形成する下部板と側壁を有するモジュールケース;前記モジュールケースの内部空間に存在する複数のバッテリーセル;および前記モジュールケースの内部空間に存在する樹脂層を含み、前記樹脂層は、前記複数のバッテリーセルと接触しており、また、前記モジュールケースの下部板または側壁と接触していてもよい。ここで、前記樹脂層は、本出願の一例による硬化性組成物または前記硬化性組成物の硬化物を含んでもよい。
【0187】
本出願のバッテリーモジュールは、モジュールケースおよびバッテリーセルを含む。バッテリーセルは、前記モジュールケース内に収納されていてもよい。バッテリーセルは、モジュールケース内に1つ以上存在してよく、複数のバッテリーセルがモジュールケース内に収納されていてもよい。モジュールケース内に収納されるバッテリーセルの数は、用途などによって調節されるものであり、特に制限されない。モジュールケースに収納されているバッテリーセルは、互いに電気的に連結されていてもよい。
【0188】
モジュールケースは、バッテリーセルが収納され得る内部空間を形成する側壁と下部板を少なくとも含んでもよい。モジュールケースは、前記内部空間を密閉する上部板をさらに含んでもよい。前記側壁、下部板および上部板は、互いに一体型で形成されていたり、あるいは、それぞれ分離した側壁、下部板および/または上部板が組み立てられて前記モジュールケースが形成されていてもよい。このようなモジュールケースの形態およびサイズは、特に制限されず、用途、前記内部空間に収納されるバッテリーセルの形態および個数などによって適切に選択することができる。
【0189】
図1は、例示的なモジュールケース10を示す図であり、1つの下部板10aと4個の側壁10bを含む箱状のケース10の例示である。モジュールケース10は、内部空間を密閉する上部板10cをさらに含んでもよい。
【0190】
図2は、バッテリーセル20が収納されている
図1のモジュールケース10を上部より観察した模式図である。
【0191】
モジュールケースの前記下部板、側壁および/または上部板(以下、下部板などと呼ぶことがある)には、ホールが形成されていてもよい。このようなホールは、後述する樹脂層と接触している下部板などに形成されていてもよく、後述するように前記樹脂層と80%以上の接触面積で接触している下部板などに形成されていてもよい。前記ホールは、後述するように樹脂層を注入工程によって形成する場合に、前記樹脂層の形成材料(樹脂組成物)を注入する注入ホールであってもよい。この際、前記ホールの形態、個数および位置は、前記樹脂層の形成材料の注入効率を考慮して調整することができる。1つの例示において前記ホールは、少なくとも前記下部板に形成されていてもよい。
【0192】
1つの例示において前記ホールは、前記側壁、下部板または上部板の全体長さの約1/4~3/4の地点または約3/8~7/8の地点または略中間部に形成されていてもよい。この地点に形成された注入ホールを通じて樹脂組成物を注入することによって、樹脂層を広い接触面積を有するように注入することができる。前記の1/4、3/4、3/8または7/8の地点は、例えば、
図3に示されたように、下部板などのいずれか1つの末端面Eを基準として測定した全体長さLに対して前記ホールの形成位置までの距離Aの割合である。また、上記において長さLおよび距離Aが形成される末端Eは、前記長さLと距離Aを同じ末端Eから測定する1つの任意の末端Eであってもよい。
図3で注入ホール50aは、下部板10aの略中間部に位置する形態である。
【0193】
注入ホールのサイズおよび形状は、特に制限されず、後述する樹脂層材料の注入効率を考慮して形成することができる。例えば、前記ホールは、円形、楕円形、三角形や四角形などの多角形または無定形であってもよい。注入ホールの個数およびその間隔も、大きく制限されるものではなく、前述したように、樹脂層が下部板などと広い接触面積を有することができるように調節することができる。
【0194】
前記注入ホールが形成されている下部板などの末端には、観察ホール(例えば、
図3の50b)が形成されていてもよい。このような観察ホールは、例えば、前記注入ホールを通じて樹脂層材料を注入するとき、注入された材料が当該側壁、下部板または上部板の末端まで十分に注入されるか否かを観察するためのものであってもよい。前記観察ホールの位置、形態、サイズおよび個数は、前記注入される材料が適切に注入されたかを確認できるように形成される限り、制限されない。
【0195】
モジュールケースは、熱伝導性ケースであってもよい。用語熱伝導性ケースは、ケース全体の熱伝導度が10W/mk以上であるか、あるいは、少なくとも上記のような熱伝導度を有する部位が含まれているケースを意味する。例えば、前述した側壁、下部板および上部板のうち少なくとも1つは、上述した熱伝導度を有してもよい。他の例示において前記側壁、下部板および上部板のうち少なくとも1つが前記熱伝導度を有する部位を含んでもよい。上記において熱伝導度は、他の例示において20W/mk以上、30W/mk以上、40W/mk以上、50W/mk以上、60W/mk以上、70W/mk以上、80W/mk以上、90W/mk以上、100W/mk以上、110W/mk以上、120W/mk以上、130W/mk以上、140W/mk以上、150W/mk以上、160W/mk以上、170W/mk以上、180W/mk以上、190W/mk以上または195W/mk以上であってもよい。前記熱伝導度は、その数値が高いほどモジュールの放熱性などの観点から有利になるので、その上限は、特に制限されない。一例示において前記熱伝導度は、約1,000W/mK以下、900W/mk以下、800W/mk以下、700W/mk以下、600W/mk以下、500W/mk以下、400W/mk以下、300W/mkまたは250W/mK以下であってもよいが、これらに制限されるものではない。上記のような熱伝導度を示す材料の種類は、特に制限されず、例えば、アルミニウム、金、純銀、タングステン、銅、ニッケルまたは白金などの金属素材などがある。モジュールケースは、全体が上記のような熱伝導性材料からなってもよく、少なくとも一部の部位が前記熱伝導性材料からなる部位であってもよい。これによって、前記モジュールケースは、前記言及された範囲の熱伝導度を有したり、あるいは、前記言及された熱伝導度を有する部位を少なくとも含んでもよい。
【0196】
モジュールケースにおいて前記範囲の熱伝導度を有する部位は、後述する樹脂層および/または絶縁層と接触する部位であってもよい。また、前記熱伝導度を有する部位は、冷却水のような冷却媒体と接する部位であってもよい。このような構造によれば、バッテリーセルから発生した熱を効果的に外部に放出できる構造を具現することができる。
【0197】
モジュールケース内に収納されるバッテリーセルの種類も、特に制限されず、公知の様々なバッテリーセルを全て適用することができる。1つの例示において前記バッテリーセルは、ポーチ型であってもよい。
図4を参照して説明すると、ポーチ型バッテリーセル100は、通常電極組立体、電解質およびポーチ外装材を含んでもよい。
【0198】
図4は、例示的なポーチ型セルの構成を概略的に示す分離斜視図であり、
図5は、
図4の構成の結合斜視図である。
【0199】
ポーチ型セル100に含まれる電極組立体110は、1つ以上の正極板および1つ以上の負極板との間にセパレータを介在して配置された形態であってもよい。電極組立体110は、1つの正極板と1つの負極板がセパレーターと共に巻き取られた巻き取り型であるか、多数の正極板と多数の負極板との間にセパレータを介在して交互に積層されたスタック型などに区分されることができる。
【0200】
ポーチ外装材120は、例えば、外部絶縁層、金属層および内部接着層を具備する形態で構成されてもよい。このような外装材120は、電極組立体110と電解液など内部要素を保護し、電極組立体110と電解液による電気化学的性質に対する補完および放熱性などを勘案してアルミニウムなどの金属薄膜を含んでもよい。このような金属薄膜は、電極組立体110および電解液などの要素や電池100外部の他の要素との電気的絶縁性を確保するために、絶縁物質で形成された絶縁層の間に介在していてもよい。
【0201】
1つの例示において外装材120は、上部ポーチ121と下部ポーチ122を含んでもよいし、上部ポーチ121と下部ポーチ122のうち少なくとも1つには、ぼこぼこした形態の内部空間Iが形成されていてもよい。このようなポーチの内部空間Iには、電極組立体110が収納されていてもよい。上部ポーチ121と下部ポーチ122の外周面には、シール部Sが設けられ、このようなシール部Sが互いに接着して、電極組立体110が収容された内部空間を密閉することができる。
【0202】
電極組立体110の各電極板には、電極タップが設けられ、1つ以上の電極タップが電極リードと連結されていてもよい。電極リードは、上部ポーチ121と下部ポーチ122のシール部Sの間に介在し、外装材120の外部に露出することによって、二次電池100の電極端子として機能することができる。
【0203】
ポーチ型セルの形態は、1つの例示であり、本出願において適用されるバッテリーセルが上記のような種類に制限されるものではない。本出願では、公知の様々な形態のポーチ型セルまたはその他他の形態の電池が全てバッテリーセルとして適用され得る。
【0204】
本出願のバッテリーモジュールは、樹脂層を含んでもよい。本出願において用語樹脂層は、樹脂成分を含む層であり、1つの例示において前記樹脂層は、接着剤層であってもよい。1つの例示において前記バッテリーモジュールは、前記ケースおよびバッテリーセルを含み、前記ケースの側壁、下部板または上部板のうちいずれか1つと接触していてもよい。ここで、前記樹脂層は、本出願の一例による硬化性組成物または前記硬化性組成物の硬化物を含んでもよい。
【0205】
この際、前記樹脂層と接触している側壁、下部板または上部板は、前述した熱伝導性の側壁、下部板または上部板であってもよい。なお、上記において接触は、熱的接触を意味し、前記接触には、前記樹脂層が前記下部板などと直接接触していたり、あるいは、前記樹脂層と前記下部板などの間に他の要素、例えば、後述する絶縁層などが存在するが、その他の要素が前記樹脂層から前記下部板などへの熱の伝達を妨害していない状態を意味し得る。上記において熱の伝達を妨害しないというのは、前記樹脂層と前記下部板などの間に他の要素(ex.絶縁層または後述するガイド部)が存在する場合にも、当該他の要素と前記樹脂層の全体熱伝導度が約2W/mK以上、2.5W/mK以上、3W/mK以上、3.5W/mK以上または4W/mK以上になるか、あるいは、前記樹脂層およびそれと接触している下部板などの全体熱伝導度が、前記他の要素がある場合にも、前記範囲内に含まれる場合を意味する。前記熱的接触の熱伝導度は、50W/mK以下、45W/mk以下、40W/mk以下、35W/mk以下、30W/mk以下、25W/mk以下、20W/mk以下、15W/mk以下、10W/mK以下、5W/mK以下、4.5W/mK以下または約4.0W/mK以下であってもよい。このような熱的接触は、前記他の要素が存在する場合に、当該他の要素の熱伝導度および/または厚さを制御して達成することができる。
【0206】
樹脂層は、前記下部板などと接触しており、また、前記バッテリーセルとも接触していてもよい。前記バッテリーセルと樹脂層の接触も、前述した熱的接触である。本出願では、上記のような構造の採用を通じて一般的なバッテリーモジュールまたはそのようなモジュールの集合体であるバッテリーパックの構成時に既に要求された様々な締結部品やモジュールの冷却装備などを大幅に減少させながらも、放熱性を確保しつつ、単位体積当たりさらに多くのバッテリーセルが収納されるモジュールを具現することができる。これによって、本出願では、より小型であり、軽いながらも、高出力のバッテリーモジュールを提供することができる。
【0207】
図6および
図7は、前記バッテリーモジュールの例示的な断面図であり、例えば、前記モジュールは、
図6および
図7のように側壁10bと下部板10aを含むケース10;前記ケースの内部に収納されている複数のバッテリーセル20および前記バッテリーセル20とケース10全てと接触(熱的接触)している樹脂層30を含む形態であってもよい。
【0208】
前記構造において前記樹脂層30と接触している下部板などは、前述したように熱伝導性の下部板などであってもよい。
【0209】
前記樹脂層と下部板などの接触面積は、前記下部板などの全体面積に対して約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上または約95%以上であってもよい。前記接触面積の上限は、特に制限されず、例えば、100%以下または約100%未満であってもよい。前記接触面積は、下部板などが熱伝導性部位を含む場合には、前記熱伝導性部位に対する接触面積、すなわち前記熱伝導性部位の全体面積に対する割合であってもよい。
【0210】
前述したように、前記熱伝導性部位または熱伝導性下部板などは、冷却水のような冷却媒体と接する部位であってもよい。すなわち、
図6に模式的に示されたように、上記のような構造によって熱Hが下部板などに容易に排出され、このような下部板などを冷却媒体CWと接触させることで、より簡素化された構造でも熱の放出が容易に行われ得る。
【0211】
樹脂層30は、
図6のように、相対的に薄い層の形態であるか、あるいは、
図7のようにケース10の内部空間を充填していてもよい。前記の場合、前記バッテリーセル20は、樹脂層内に挿入されている状態で存在してもよい。
図6のような構造である場合に、樹脂層の厚さは、例えば、約100μm~5mmの範囲内または約200μm~5mmの範囲内であってもよい。本出願の構造では、前記樹脂層が薄ければ、放熱性において有利であり、厚ければ、後述する絶縁特性において有利になるので、このような点を考慮して適正の厚さを設定することができる。前記厚さは、樹脂層の最も薄い部位の厚さ、最も厚い部位の厚さまたは平均厚さであってもよい。
【0212】
図6または
図7に示されたように、前記モジュールケース10の内部の少なくとも一面、例えば、樹脂層30と接触する面10aには、収納されるバッテリーセル20をガイドすることができるガイド部10dが存在することもできる。この際、ガイド部10dの形状は、特に制限されず、適用されるバッテリーセルの形態などを考慮して適正な形状を採用することができ、前記ガイド部10dは、前記下部板などと一体に形成されているものであってもよく、あるいは、別に付着したものであってもよい。前記ガイド部10dは、前述した熱的接触を考慮して、熱伝導性素材、例えば、アルミニウム、金、純銀、タングステン、銅、ニッケルまたは白金などの金属素材を使用して形成することができる。また、図示してはいないが、収納されるバッテリーセル20の間には、間紙または接着剤層が存在することもできる。上記において間紙は、バッテリーセルの充放電時にバッファー役割をすることができる。
【0213】
前記樹脂層または該樹脂層が適用されたバッテリーモジュールは、前述した本出願の硬化性組成物および前記硬化性組成物の硬化物に対する物性による特性を有してもよい。特に、前記バッテリーモジュールの樹脂層は、本出願の硬化性組成物および前記硬化性組成物の硬化物に対する物性と同一であってもよい。
【0214】
1つの例示において前記バッテリーモジュールは、前記モジュールケースと前記バッテリーセルの間または前記樹脂層と前記モジュールケースの間に絶縁層をさらに含んでもよい。
図8は、樹脂層30とケースの下部板10c上に形成されたガイド部10dとの間に絶縁層40が形成されている場合の例示である。絶縁層を追加することによって、使用過程で発生しうる衝撃によるセルとケースの接触による電気的短絡現象や火災発生などの問題を防止することができる。前記絶縁層は、高い絶縁性と熱伝導性を有する絶縁シートを使用して形成したり、あるいは、絶縁性を示す物質の塗布や注入によって形成することができる。例えば、後述するバッテリーモジュールの製造方法において樹脂組成物の注入前に絶縁層を形成する過程が行われ得る。絶縁層の形成には、いわゆるTIM(Thermal Interface Material)などを適用することもできる。他の方式において絶縁層は、接着性物質で形成することができ、例えば、熱伝導性フィラーなどのフィラーの含有量が少ないかまたはない樹脂層を使用して絶縁層を形成することもできる。絶縁層の形成に使用できる樹脂成分としては、アクリル樹脂、PVC(poly(vinyl chloride))、PE(polyethylene)などのオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーンや、EPDMゴム((ethylene propylene diene monomer rubber)などのゴム成分などが例示できるが、これらに制限されるものではない。前記絶縁層は、ASTM D149に準拠して測定した絶縁破壊電圧が約5kV/mm以上、約10kV/mm以上、約15kV/mm以上、20kV/mm以上、25kV/mm以上または30kV/mm以上であってもよい。前記絶縁破壊電圧は、その数値が高いほど優れた絶縁性を示すものであり、特に制限されるものではない。例えば、前記絶縁層の絶縁破壊電圧は、約100kV/mm以下、90kV/mm以下、80kV/mm以下、70kV/mm以下または60kV/mm以下であってもよい。前記絶縁層の厚さは、その絶縁層の絶縁性や熱伝導性などを考慮して適正範囲に設定することができ、例えば、約5μm以上、約10μm以上、20μm以上、30μm以上、40μm以上、50μm以上、60μm以上、70μm以上、80μm以上または90μm以上以上程度であってもよい。また、厚さの上限も、特に制限されず、例えば、約1mm以下、約200μm以下、190μm以下、180μm以下、170μm以下、160μm以下または150μm以下であってもよい。
【0215】
本出願は、また、バッテリーモジュール、例えば、前記言及されたバッテリーモジュールの製造方法に関する。
【0216】
本出願の製造方法は、前述したモジュールケース内樹脂組成物を注入する段階;前記モジュールケース内にバッテリーセルを収納する段階および前記樹脂組成物を硬化させて前記樹脂層を形成する段階を含んでもよい。ここで、前記樹脂組成物は、前記バッテリーモジュールの樹脂層を形成する組成物を意味し、本出願の一例による硬化性組成物であってもよい。
【0217】
モジュールケースの内部に樹脂組成物を注入する段階とモジュールケース内にバッテリーセルを収納する段階の順序は、特に制限されない。例えば、モジュールケース内に樹脂組成物を先に注入し、その状態でバッテリーセルを収納したり、あるいは、バッテリーセルを先にモジュールケース内部に収納した後に、樹脂組成物を注入することができる。
【0218】
モジュールケース内に樹脂組成物を注入する方式は、特に制限されず、公知の方式を適用することができる。例えば、モジュールケースの開口部に樹脂組成物を注いで樹脂組成物を注入したり、モジュールケースに形成されている前述した注入口により樹脂組成物を注射(injection)する方式、バッテリーセルとバッテリーモジュールの両方に樹脂組成物を塗布する方式などを適用することができる。適切な固定のために、前記注入工程は、バッテリーモジュールまたはバッテリーセルを一定に振動させながら行われることもできる。
【0219】
樹脂組成物が注入されたモジュールケースまたは前記組成物が注入される前のモジュールケースにバッテリーセルを収納する方式は、特に制限されない。
【0220】
バッテリーセルの収納は、目的とする配置などを勘案してバッテリーセルをモジュールケース内の適合した位置に配置することによって行われ得る。また、カートリッジ構造体が存在する場合、前記カートリッジ構造体の適正位置にバッテリーセルを配置したり、バッテリーセルが位置するカートリッジ構造体をモジュールケース内に挿入して前記段階を行うことができる。
【0221】
バッテリーセルを収納した後に、バッテリーセル間の接着またはバッテリーセルとモジュールケース間の接着は、注入された樹脂組成物を硬化させて形成することができる。
樹脂組成物を硬化させる方式は、特に制限されないが、本出願の一例による硬化性組成物の硬化方式に従うことができる。
【0222】
本出願は、また、バッテリーパック、例えば、前述したバッテリーモジュールを2個以上含むバッテリーパックに関する。バッテリーパックにおいて前記バッテリーモジュールは、互いに電気的に連結されていてもよい。2個以上のバッテリーモジュールを電気的に連結してバッテリーパックを構成する方式は、特に制限されず、公知の方式を全て適用することができる。
【0223】
本出願は、また、前記バッテリーモジュールまたは前記バッテリーパックを備えた装置に関する。前記装置の例としては、電気自動車のような自動車が挙げられるが、これに制限されず、二次電池を出力で要求するすべての用途が含まれてもよい。例えば、前記バッテリーモジュールまたはバッテリーパックを使用して前記自動車を構成する方式は、特に制限されず、一般的な方式を適用することができる。
【発明の効果】
【0224】
本出願は、従来の問題点を改善したものであり、従来に比べて相対的に低い温度で速硬化が可能な硬化性組成物を提供することができる。
また、本出願は、放熱効果に優れ、適切な接着性能を有し、優れた硬度を有する硬化物を形成できる硬化性組成物を提供することができる。
また、本出願は、前記硬化性組成物を適用したバッテリーパックと前記バッテリーパックを備えた装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0225】
【
図1】
図1は、本出願において適用可能な例示的なモジュールケースを示す図である。
【
図2】
図2は、モジュールケース内にバッテリーセルが収納されている形態を示す図である。
【
図3】
図3は、注入ホールと観察ホールが形成された例示的な下部板を示す図である。
【
図4】
図4は、バッテリーセルに使用できる例示的なバッテリーポーチを示す図である。
【
図5】
図5は、バッテリーセルに使用できる例示的なバッテリーポーチを示す図である。
【
図6】
図6は、例示的なバッテリーモジュールの構造を示す図である。
【
図7】
図7は、例示的なバッテリーモジュールの構造を示す図である。
【
図8】
図8は、例示的なバッテリーモジュールの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0226】
以下、実施例および比較例に基づいて本発明を説明するが、本発明の範囲が下記提示された内容により限定されるものではない。
【0227】
実施例1.
機械式撹拌機が装着されたフラスコに2-エチルヘキシルアクリレート(2-ethylhexyl acrylate、2-EHA)、イソボルニルアクリレート(isobornyl acrylate、IBoA)および2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-hydroxyethyl methacrylate、2-HEMA)を60:25:15(2-EHA:IBoA:2-HEMA)の重量比で添加した。前記フラスコに添加した化合物の総重量に対して0.03重量%程度の2,2-アゾビスイソブチロニトリル(2,2-Azobisisobutyronitrile、AIBN)を前記フラスコにさらに添加した後、常圧条件下、約80℃で昇温させた後、80℃に維持した状態で約4時間撹拌して部分重合させて、アクリル重合体成分(AP)が含まれた部分重合反応物(R1)を収得した(固形分:約61重量%)。この際、製造された前記アクリル重合体成分(AP)は、重量平均分子量(Mw)が約62,500g/molであり、多分散指数(PDI)が約1.42程度であった。
【0228】
前記部分重合反応物(R1)に2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-hydroxyethyl acrylate、2-HEA)を入れて希釈させて、希釈物(Di)を製造した。この際、前記2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)は、前記反応物(R1)の100重量部に対して約40重量部となるように添加された。
【0229】
その後、前記製造された希釈物(Di)、フィラー成分(F)、分散剤(D)、可塑剤(P)、難燃剤(N)、光開始剤(IU)、熱開始剤(IH)、増感剤(Se)および促進剤(Ac)を14:158.7:1:1:5:0.38:0.25:0.13:0.13(Di:F:D:P:N:IU:IH:Se:Ac)の重量比でペーストミキサー(paste mixer)に添加し撹拌して、25℃および60rpmで測定した粘度が約150,000~200,000cPs程度の硬化性組成物を製造した。
【0230】
ここで、フィラー成分(F)は、粒子平均のサイズが70μmの球状アルミナ(F11)、粒子平均のサイズが50μmの板状アルミナ(F12)および粒子平均のサイズが8μmの水酸化アルミニウム(F13)を4:2:4(F11:F12:F13)の重量比で混合したものを使用した。
【0231】
また、前記光開始剤(IU)は、カチオン開始剤(IP)およびラジカル開始剤(IR)を1:0.52(IP:IR)の重量比で混合したものを使用した。前記カチオン開始剤(IP)は、BASF社で商業的に入手できるIrgacure-250(I-250)を使用し、前記ラジカル開始剤(IR)は、BASF社から商業的に入手できるIrgacure-819(I-819)を使用した。具体的には、前記I-250は、(4-メチルフェニル)[4-(2-メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートであり、前記I-819は、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシドである。
【0232】
前記熱開始剤(IH)は、2,2-アゾビスイソブチロニトリル(2,2-Azobisisobutyronitrile、AIBN)を使用した。使用した熱開始剤は、10時間半減期温度(溶媒:トルエン)が約65℃程度であった。
【0233】
前記分散剤(D)は、BYK社から商業的に入手できる変性ポリエステル分散剤であるDisperbyk-111製品を使用した。前記可塑剤(P)は、哀慶化学社から商業的に入手できるジイソノニルアジペート(DINA)を使用した。前記難燃剤(N)は、CHEMPIA社から商業的に入手できるリン系難燃剤であるFR-119L製品を使用した。前記増感剤(Se)は、2,4-ジエチル-9H-チオキサンテン-9-オン(2,4-Diethyl-9H-thioxanthen-9-one、DETX)を使用した。前記促進剤(Ac)は、N,N-ジメチル-p-トルイジン(dimethyl-p-toluidine、DMPT)を使用した。
【0234】
実施例2.
機械式撹拌機が装着されたフラスコに2-エチルヘキシルアクリレート(2-ethylhexyl acrylate、2-EHA)、エトキシジエチレングリコールアクリレート(ethoxyethylene glycolacrylate、EOEOEA)および2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-hydroxyethyl methacrylate、2-HEMA)を60:25:15(2-EHA:EOEOEA:2-HEMA)の重量比で添加した。前記フラスコに添加した化合物の総重量に対して0.03重量%程度の2,2-アゾビスイソブチロニトリル(2,2-Azobisisobutyronitrile、AIBN)を前記フラスコにさらに添加した後、常圧条件下、約80℃で昇温させた後、80℃に維持した状態で約4時間撹拌して部分重合させて、アクリル重合体成分(AP)が含まれた部分重合反応物(R1)を収得した(固形分:約65重量%)。この際、製造された前記アクリル重合体成分(AP)は、重量平均分子量(Mw)が約60,500g/molであり、多分散指数(PDI)が約1.32程度であった。
【0235】
前記部分重合反応物(R1)に2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-hydroxyethyl acrylate、2-HEA)を入れて希釈させて、希釈物(Di)を製造した。この際、前記2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)は、前記反応物(R1)の100重量部に対して約40重量部となるように添加された。
【0236】
その後、前記製造された希釈物(Di)、フィラー成分(F)、分散剤(D)、可塑剤(P)、難燃剤(N)、光開始剤(IU)、熱開始剤(IH)、増感剤(Se)および促進剤(Ac)を14:158.7:1:1:5:0.38:0.25:0.13:0.13(Di:F:D:P:N:IU:IH:Se:Ac)の重量比でペーストミキサー(paste mixer)に添加し撹拌して、25℃および60rpmで測定した粘度が約150,000~200,000cPs程度の硬化性組成物を製造した。ここで、前記フィラー成分(F)、分散剤(D)、可塑剤(P)、難燃剤(N)、光開始剤(IU)、熱開始剤(IH)、増感剤(Se)および促進剤(Ac)は、前記実施例1と同じものを使用した。
【0237】
実施例3.
機械式撹拌機が装着されたフラスコに2-エチルヘキシルアクリレート(2-ethylhexyl acrylate、2-EHA)、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-hydroxyethyl acrylate、2-HEA)および2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-hydroxyethyl methacrylate、2-HEMA)を60:25:15(2-EHA:2-HEA:2-HEMA)の重量比で添加した。前記フラスコに添加した化合物の総重量に対して0.03重量%程度の2,2-アゾビスイソブチロニトリル(2,2-Azobisisobutyronitrile、AIBN)を前記フラスコにさらに添加した後、常圧条件下、約80℃で昇温させた後、80℃に維持した状態で約4時間撹拌して部分重合させて、アクリル重合体成分(AP)が含まれた部分重合反応物(R1)を収得した(固形分:約63重量%)。この際、製造された前記アクリル重合体成分(AP)は、重量平均分子量(Mw)が約71,500g/molであり、多分散指数(PDI)が約1.54程度であった。
【0238】
前記部分重合反応物(R1)に2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-hydroxyethyl acrylate、2-HEA)を入れて希釈させて、希釈物(Di)を製造した。この際、前記2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)は、前記反応物(R1)の100重量部に対して約40重量部となるように添加された。
【0239】
その後、前記製造された希釈物(Di)、フィラー成分(F)、分散剤(D)、可塑剤(P)、難燃剤(N)、光開始剤(IU)、熱開始剤(IH)、増感剤(Se)および促進剤(Ac)を14:158.7:1:1:5:0.38:0.25:0.13:0.13(Di:F:D:P:N:IU:IH:Se:Ac)の重量比でペーストミキサー(paste mixer)に添加し撹拌して、25℃および60rpmで測定した粘度が約150,000~200,000cPs程度の硬化性組成物を製造した。ここで、前記フィラー成分(F)、分散剤(D)、可塑剤(P)、難燃剤(N)、光開始剤(IU)、熱開始剤(IH)、増感剤(Se)および促進剤(Ac)は、前記実施例1と同じものを使用した。
【0240】
実施例4.
機械式撹拌機が装着されたフラスコに2-エチルヘキシルアクリレート(2-ethylhexyl acrylate、2-EHA)、アクリルアミド(acrylamide、AAM)および2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-hydroxyethyl methacrylate、2-HEMA)を60:25:15(2-EHA:AAM:2-HEMA)の重量比で添加した。前記フラスコに添加した化合物の総重量に対して0.03重量%程度の2,2-アゾビスイソブチロニトリル(2,2-Azobisisobutyronitrile、AIBN)を前記フラスコにさらに添加した後、常圧条件下、約80℃で昇温させた後、80℃に維持した状態で約4時間撹拌して部分重合させて、アクリル重合体成分(AP)が含まれた部分重合反応物(R1)を収得した(固形分:約63重量%)。この際、製造された前記アクリル重合体成分(AP)は、重量平均分子量(Mw)が約75,200g/molであり、多分散指数(PDI)が約1.21程度であった。
【0241】
前記部分重合反応物(R1)に2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-hydroxyethyl acrylate、2-HEA)を入れて希釈させて、希釈物(Di)を製造した。この際、前記2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)は、前記反応物(R1)の100重量部に対して約40重量部となるように添加された。
【0242】
その後、前記製造された希釈物(Di)、フィラー成分(F)、分散剤(D)、可塑剤(P)、難燃剤(N)、光開始剤(IU)、熱開始剤(IH)、増感剤(Se)および促進剤(Ac)を14:158.7:1:1:5:0.38:0.25:0.13:0.13(Di:F:D:P:N:IU:IH:Se:Ac)の重量比でペーストミキサー(paste mixer)に添加し撹拌して、25℃および60rpmで測定した粘度が約150,000~200,000cPs程度の硬化性組成物を製造した。ここで、前記フィラー成分(F)、分散剤(D)、可塑剤(P)、難燃剤(N)、光開始剤(IU)、熱開始剤(IH)、増感剤(Se)および促進剤(Ac)は、前記実施例1と同じものを使用した。
【0243】
実施例5.
機械式撹拌機が装着されたフラスコに2-エチルヘキシルアクリレート(2-ethylhexyl acrylate、2-EHA)、アクリル酸(acrylic acid、AA)および2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-hydroxyethyl methacrylate、2-HEMA)を60:25:15(2-EHA:AA:2-HEMA)の重量比で添加した。前記フラスコに添加した化合物の総重量に対して0.03重量%程度の2,2-アゾビスイソブチロニトリル(2,2-Azobisisobutyronitrile、AIBN)を前記フラスコにさらに添加した後、常圧条件下、約80℃で昇温させた後、80℃に維持した状態で約4時間撹拌して部分重合させて、アクリル重合体成分(AP)が含まれた部分重合反応物(R1)を収得した(固形分:約69重量%)。この際、製造された前記アクリル重合体成分(AP)は、重量平均分子量(Mw)が約69,000g/molであり、多分散指数(PDI)が約1.85程度であった。
【0244】
前記部分重合反応物(R1)に2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-hydroxyethyl acrylate、2-HEA)を入れて希釈させて、希釈物(Di)を製造した。この際、前記2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)は、前記反応物(R1)の100重量部に対して約40重量部となるように添加された。
【0245】
その後、前記製造された希釈物(Di)、フィラー成分(F)、分散剤(D)、可塑剤(P)、難燃剤(N)、光開始剤(IU)、熱開始剤(IH)、増感剤(Se)および促進剤(Ac)を14:158.7:1:1:5:0.38:0.25:0.13:0.13(Di:F:D:P:N:IU:IH:Se:Ac)の重量比でペーストミキサー(paste mixer)に添加し撹拌して、25℃および60rpmで測定した粘度が約150,000~200,000cPs程度の硬化性組成物を製造した。ここで、前記フィラー成分(F)、分散剤(D)、可塑剤(P)、難燃剤(N)、光開始剤(IU)、熱開始剤(IH)、増感剤(Se)および促進剤(Ac)は、前記実施例1と同じものを使用した。
【0246】
比較例1.
機械式撹拌機が装着されたフラスコに2-エチルヘキシルアクリレート(2-ethylhexyl acrylate、2-EHA)、イソボルニルアクリレート(isobornyl acrylate、IBoA)および2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-hydroxyethyl methacrylate、2-HEMA)を60:25:15(2-EHA:IBoA:2-HEMA)の重量比で添加した。前記フラスコに添加した化合物の総重量に対して0.03重量%程度の2,2-アゾビスイソブチロニトリル(2,2-Azobisisobutyronitrile、AIBN)を前記フラスコにさらに添加した後、常圧条件下、約80℃で昇温させた後、80℃に維持した状態で約4時間撹拌して部分重合させて、アクリル重合体成分(AP)が含まれた部分重合反応物(R1)を収得した(固形分:約61重量%)。この際、製造された前記アクリル重合体成分(AP)は、重量平均分子量(Mw)が約65,500g/molであり、多分散指数(PDI)が約1.51程度であった。
【0247】
前記部分重合反応物(R1)に2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-hydroxyethyl acrylate、2-HEA)を入れて希釈させて、希釈物(Di)を製造した。この際、前記2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)は、前記反応物(R1)の100重量部に対して約40重量部となるように添加された。
【0248】
その後、前記製造された希釈物(Di)、フィラー成分(F)、分散剤(D)、可塑剤(P)、難燃剤(N)、光開始剤(IU)、熱開始剤(IH)、増感剤(Se)および促進剤(Ac)を14:21.64:1:1:5:0.38:0.25:0.13:0.13(Di:F:D:P:N:IU:IH:Se:Ac)の重量比でペーストミキサー(paste mixer)に添加し撹拌して、25℃および60rpmで測定した粘度が約70,000cPs程度の硬化性組成物を製造した。ここで、前記フィラー成分(F)、分散剤(D)、可塑剤(P)、難燃剤(N)、光開始剤(IU)、熱開始剤(IH)、増感剤(Se)および促進剤(Ac)は、前記実施例1と同じものを使用した。
【0249】
比較例2.
前記実施例1で製造された反応物(R1)に2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-hydroxyethyl acrylate、2-HEA)を入れて希釈させて、希釈物(Di)を製造した。この際、前記2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)は、前記反応物(R1)の100重量部に対して約40重量部となるように添加された。
【0250】
その後、前記製造された希釈物(Di)、フィラー成分(F)、分散剤(D)、可塑剤(P)、難燃剤(N)、光開始剤(IU)、増感剤(Se)および促進剤(Ac)を14:158.7:1:1:5:0.38:0.13:0.13(Di:F:D:P:N:IU:Se:Ac)の重量比でペーストミキサー(paste mixer)に添加し撹拌して、組成物を製造した。ここで、前記フィラー成分(F)、分散剤(D)、可塑剤(P)、難燃剤(N)、増感剤(Se)および促進剤(Ac)は、前記実施例1と同じものを使用した。また、前記光開始剤(IU)は、カチオン開始剤(IP)のみを適用し、前記カチオン開始剤(IP)としては、BASF社から商業的に入手できるIrgacure-250(I-250)を使用した。前記I-250は、(4-メチルフェニル)[4-(2-メチルプロピル)フェニル]ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートである。
【0251】
比較例3.
前記実施例1で製造された反応物(R1)に2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-hydroxyethyl acrylate、2-HEA)を入れて希釈させて、希釈物(Di)を製造した。この際、前記2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)は、前記反応物(R1)の100重量部に対して約40重量部となるように添加された。
【0252】
その後、前記製造された希釈物(Di)、フィラー成分(F)、分散剤(D)、可塑剤(P)、難燃剤(N)、光開始剤(IU)、増感剤(Se)および促進剤(Ac)を14:158.7:1:1:5:0.38:0.13:0.13(Di:F:D:P:N:IU:Se:Ac)の重量比でペーストミキサー(paste mixer)に添加し撹拌して、組成物を製造した。ここで、前記フィラー成分(F)、分散剤(D)、可塑剤(P)、難燃剤(N)、増感剤(Se)および促進剤(Ac)は、前記実施例1と同じものを使用した。また、前記光開始剤(IU)は、ラジカル開始剤(IR)のみを適用し、前記ラジカル開始剤(IR)としては、BASF社から商業的に入手できるIrgacure-819(I-819)を使用した。前記I-819は、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシドである。
【0253】
比較例4.
前記実施例1で製造された反応物(R1)に2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-hydroxyethyl acrylate、2-HEA)を入れて希釈させて、希釈物(Di)を製造した。この際、前記2-ヒドロキシエチルアクリレート(2-HEA)は、前記反応物(R1)の100重量部に対して約40重量部となるように添加された。
【0254】
その後、前記製造された希釈物(Di)、フィラー成分(F)、分散剤(D)、可塑剤(P)、難燃剤(N)、熱開始剤(IH)、増感剤(Se)および促進剤(Ac)を14:158.7:1:1:5:0.25:0.13:0.13(Di:F:D:P:N:IH:Se:Ac)の重量比でペーストミキサー(paste mixer)に添加し撹拌して、組成物を製造した。ここで、前記フィラー成分(F)、分散剤(D)、可塑剤(P)、難燃剤(N)、増感剤(Se)および促進剤(Ac)は、前記実施例1と同じものを使用した。また、前記熱開始剤(IH)は、2,2-アゾビスイソブチロニトリル(2,2-Azobisisobutyronitrile、AIBN)を使用した。使用した熱開始剤は、10時間半減期温度(溶媒:トルエン)が約65℃程度であった。
【0255】
本明細書において提示される物性は、具体的には、下記の方式で測定または評価することができる。また、下記物性に関するデータは、下記の方式で測定または評価したものである。
【0256】
<物性測定方法>
1.ショア(Shore)A硬度
硬化性組成物をガラス面上に厚さが約2mmとなるように塗布した後、UV硬化機(Black light、1.5J/cm2)を用いて前記塗布した硬化性組成物に紫外線を約3分間程度照射した後、約50℃で30分間放置して、硬化物を形成した。
【0257】
前記硬化物の表面の硬度を、硬度測定機を用いてASTM D2240規格によってショア(Shore)A硬度を25℃で測定した。具体的には、平たい状態の前記硬化物表面を前記硬度測定機(製造社:TQC Sheen社、製品名:LD0550)のショアA硬度を測定できるインデンターで押し込み、押し込んだ力を維持したとき、前記硬度測定機に示される硬度値を測定した。
【0258】
2.接着力
ガラス板上に横が約5cmおよび縦が約10cmおよび厚さが約2mm程度となるように硬化性組成物を塗布した後、その上に横1cm、縦20cmおよび厚さ150μm程度のPET(poly(ethylene terephthalate))界面を有するアルミニウムポーチを付着した。前記アルミニウムポーチは、バッテリーセルの製作時に使用するものであり、前記PET界面と前記塗布された硬化性組成物が接触するように付着した。その後、UV硬化機(Black light、1.5J/cm2)で前記塗布された硬化性組成物に紫外線を約3分間程度照射した後、約50℃で30分間放置して硬化させた後、物性試験機(製造社:stable micro systems社、Taxture analyzer)で約0.3mm/sの剥離速度および180度の剥離角度で25℃にて前記アルミニウムポーチを剥離して、接着力を測定した。
【0259】
3.熱伝導度
熱伝導度は、ホットディスク(Hot disk)方式を利用して測定した。具体的には、熱伝導度は、硬化性組成物を直径2cmおよび厚さが2mmのディスク(disk)型モールドに装入し、UV硬化機(Black light、1.5J/cm2)で前記硬化性組成物に紫外線を約3分間程度照射した後、約50℃で30分間放置して、ディスク(disk)形態の硬化物を形成した後、前記硬化物の厚さ方向に沿ってISO22007-2規格によって熱分析装置(thermal constant analyzer)で測定した。
【0260】
4.ガラス転移温度
ガラス転移温度(Tg)は、ISO1135762により示差走査熱量計(Differential Sacnning Calorimetery;DSC)を利用して測定した。具体的には、示差走査熱量計で試料の温度を徐々に一定の速度で上昇させて、前記試料の温度と供給される熱流量(heat flow)の関係に関するグラフを得、グラフの傾きが急激に変わる部分で変わる前と後のグラフに延長線を繋いだ後、2つの延長線を連結するときにグラフと会う部分を通じてガラス転移温度を求めることができる。ここで、前記試料は、反応物(R1)である。
【0261】
5.粒子平均粒径
フィラー成分に含まれる各フィラーの粒子平均粒径は、フィラーのD50粒径であり、これは、ISO-13320規格に準拠してMarvern社のMASTERSIZER3000装備で測定した粒径である。測定時に溶媒としては、蒸留水を使用した。溶媒内分散したフィラーにより入射したレーザーが散乱し、前記散乱するレーザーの強度と方向性の値は、フィラーのサイズによって変わり、これを、Mie理論を利用して分析することによってD50粒径を求めることができる。前記分析を通じて、分散したフィラーと同じ体積を有する球の直径への換算を通じて分布を求め、これを通じて、分布の中間値であるD50値を求めて粒径を評価することができる。
【0262】
6.重量平均分子量および多分散指数(PDI)
重量平均分子量(Mw)は、GPC(Gel permeation chromatography)を使用して測定した。具体的には、重量平均分子量(Mw)は、20mLのバイアル(vial)に分析対象試料を入れ、約20mg/mLの濃度となるようにTHF(tetrahydrofuran)溶剤で希釈した後、Calibration用標準試料と分析試料をsyringe filter(pore size:0.2μm)を通じてろ過させ、測定した。分析プログラムとしては、Agilent technologies社のChemStationを用い、試料のelution timeをcalibration curveと比較して重量平均分子量(Mw)を求めることができる。数平均分子量(Mn)も、前記重量平均分子量(Mw)と同じ方式で求めることができ、多分散指数(PDI)は、測定された重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で割った値で求めることができる。
【0263】
<GPC測定条件>
機器:Agilent technologies社の1200series
カラム:Agilent technologies社のTL Mix.A&B使用
溶剤:THF
カラム温度:40℃
サンプル濃度:20mg/mL、10μl注入
標準試料としてMP:364000、91450、17970、4910、1300使用
測定した試験データの結果は、下記表1に整理した。
【0264】
【0265】
前記表1を参照すると、実施例1~5は、光開始剤と熱開始剤を適切に組み合わせて、前記光開始剤としてカチオン開始剤およびラジカル開始剤を同時に適用することによって、比較的低温でも迅速に硬化して(速硬化)、優れた硬化特性を有する厚膜を形成することができる。また、前記表1を参照すると、実施例1~5は、適切なガラス転移温度を有するアクリル重合体成分が含まれたアクリル成分を含むことによって、目的とするレベルの接着力と硬度を確保していることが分かる。
【0266】
また、前記表1を参照すると、実施例1~5は、アクリル成分とフィラー成分の含有量の割合を適切に制御することによって、優れたレベルの熱伝導度を確保し、比較的低温でも迅速に硬化して(速硬化)、優れた硬化特性を確保し、同時に目的とするレベルの優れた接着力を確保していることが分かる。
【0267】
一方、前記表1を参照すると、比較例1は、アクリル成分の含有量の割合が高くて、硬化が不完全であった。これによって、比較的低い硬度を有し、接着力が実施例に比べて低くなり、アクリル成分とフィラー成分の含有量の割合が適切に制御されないため、優れたレベルの熱伝導度を確保しないことが分かる。
【0268】
また、前記表1を参照すると、光開始剤と熱開始剤を適切に組み合わせなかった比較例2~4は、実施例と同じ条件で硬化反応を誘導させたが、硬化が完了しなかった。具体的には、実施例と同じ条件というのは、前記物性測定方法に記載されたように、UV(Ultra violet)光線を照射した後、約50℃で30分間放置させる条件を意味する。
【0269】
前記表1には示されていないが、比較例4によって製造された組成物を、UV光線を照射しないまま、約50℃で30分間放置させたが、硬化が完了しなかった。
前記表1には示されていないが、比較例4によって製造された組成物を、UV光線を照射しないまま、約50℃で60分間放置したところ、はじめて硬化が完了した。前記硬化物に対して、前記物性測定方法における接着力測定方式を参照して測定した接着力は、約180gf/10mmであった。また、前記硬化物に対して、前記物性測定方法における熱伝導度測定方式を参照して測定した熱伝導度は、約3.050W/mKであった。
【0270】
比較例4の場合、硬化が完了するまでに多少時間を要することが分かる。すなわち、本出願の開始剤組み合わせ方式を適用しない場合には、比較的低温で迅速に硬化して(速硬化)、優れた硬化特性を確保しにくいという点が分かる。
【符号の説明】
【0271】
10 モジュールケース
10a 下部板
10b 側壁
10c 上部板
10d ガイド部
20 バッテリーセル
30 樹脂層
50a 注入ホール
50b 観察ホール
40 絶縁層
100 ポーチ型セル
110 電極組立体
120 外装材
121 上部ポーチ
122 下部ポーチ
S シール部
【国際調査報告】