(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】メタン改質用触媒及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B01J 23/63 20060101AFI20240118BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20240118BHJP
B01J 23/78 20060101ALI20240118BHJP
B01J 23/89 20060101ALI20240118BHJP
B01J 23/83 20060101ALI20240118BHJP
B01J 23/58 20060101ALI20240118BHJP
B01J 37/02 20060101ALI20240118BHJP
C01B 3/38 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
B01J23/63 M
B01J37/08 ZAB
B01J23/78 M
B01J23/89 M
B01J23/83 M
B01J23/58 M
B01J37/02 301M
C01B3/38
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542769
(86)(22)【出願日】2022-07-27
(85)【翻訳文提出日】2023-07-13
(86)【国際出願番号】 KR2022011076
(87)【国際公開番号】W WO2023090583
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】10-2021-0158414
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ソジン・キム
(72)【発明者】
【氏名】サンジン・キム
(72)【発明者】
【氏名】スジ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ヨン・チョ
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・スン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ソン・チェ
【テーマコード(参考)】
4G140
4G169
【Fターム(参考)】
4G140EA03
4G140EA05
4G140EA06
4G140EA07
4G140EC01
4G140EC02
4G140EC03
4G140EC04
4G140EC05
4G169AA02
4G169AA08
4G169AA09
4G169BA17
4G169BA18
4G169BB06A
4G169BB06B
4G169BB15A
4G169BC12A
4G169BC12B
4G169BC13A
4G169BC40A
4G169BC40B
4G169BC42A
4G169BC50A
4G169BC50B
4G169BC58A
4G169BC59A
4G169BC62A
4G169BC66A
4G169BC67A
4G169BC68A
4G169BC68B
4G169BC70A
4G169BC70B
4G169BC71A
4G169BD05A
4G169CB81
4G169CC17
4G169CC21
4G169DA06
4G169EA01X
4G169EA01Y
4G169EA02X
4G169EA02Y
4G169EB01
4G169EB17Y
4G169EB18Y
4G169EC23
4G169FA01
4G169FA04
4G169FB05
4G169FB08
4G169FB23
4G169FB30
4G169FC05
4G169FC08
(57)【要約】
本出願の一実施態様に係るメタン改質用触媒は、多孔性金属支持体;上記多孔性金属支持体に担持されたペロブスカイト系触媒粒子;及び上記多孔性金属支持体に担持されたペロブスカイト系バインダーを含み、上記ペロブスカイト系触媒粒子及びペロブスカイト系バインダーは、それぞれ独立して、上記化学式1で表される化合物を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔性金属支持体;
前記多孔性金属支持体に担持されたペロブスカイト系触媒粒子;及び
前記多孔性金属支持体に担持されたペロブスカイト系バインダーを含み、
前記ペロブスカイト系触媒粒子及びペロブスカイト系バインダーは、それぞれ独立して、下記化学式1で表される化合物を含むものである、メタン改質用触媒:
[化学式1]
Sr
1-xA
xTi
1-yB
yO
3-δ
前記化学式1において、
Aは、Y、La又はBaであり、
Bは、Ni、Co、Fe、Mn、Cr、Mo、Ru又はRhであり、
xは、0以上1未満の実数であり、
yは、0以上0.5未満の実数であり、
δは、0超過1未満の実数であり、
x+y>0を満たす。
【請求項2】
前記化学式1は、下記化学式2~4のうちのいずれか一つで表されるものである、請求項1に記載のメタン改質用触媒:
[化学式2]
SrTi
1-yB
yO
3-δ
[化学式3]
Sr
1-xY
xTiO
3-δ
[化学式4]
Sr
1-xY
xTi
1-yB
yO
3-δ
前記化学式2~4において、
Bは、Ni又はRuであり、
xは、0超過1未満の実数であり、
yは、0超過0.5未満の実数であり、
δは、0超過1未満の実数である。
【請求項3】
前記ペロブスカイト系触媒粒子及びペロブスカイト系バインダーは、互いに異なる化合物を含むものである、請求項1に記載のメタン改質用触媒。
【請求項4】
前記ペロブスカイト系触媒粒子及びペロブスカイト系バインダーは、互いに同一の化合物を含むものである、請求項1に記載のメタン改質用触媒。
【請求項5】
前記多孔性金属支持体は、NiFeCrAl、NiCrAl、SiC、Al、ステンレス鋼(stainless steel)及びインコネル(inconel)の中から選択される1種以上で構成されるものである、請求項1に記載のメタン改質用触媒。
【請求項6】
前記メタン改質用触媒の総重量を基準に、前記ペロブスカイト系触媒粒子及びペロブスカイト系バインダーの総含量は、3重量%~40重量%である、請求項1に記載のメタン改質用触媒。
【請求項7】
前記ペロブスカイト系触媒粒子の表面の少なくとも一部分は、突起形状を含むものである、請求項1に記載のメタン改質用触媒。
【請求項8】
水蒸気改質工程(steam reforming)、二酸化炭素改質工程(CO
2 reforming)、触媒部分酸化工程(catalytic partial oxidation)、自己熱改質工程(autothermal reforming)、三重改質工程(tri-reforming)又は混合改質工程(mixed reforming)に適用されるものである、請求項1に記載のメタン改質用触媒。
【請求項9】
ペロブスカイト系触媒粒子及びペロブスカイト系触媒ゾルを混合してスラリーを製造するステップ;
多孔性金属支持体を前記スラリーに含浸するステップ;並びに
乾燥及び焼成するステップを含み、
前記ペロブスカイト系触媒粒子及びペロブスカイト系触媒ゾルは、それぞれ独立して、下記化学式1で表される化合物を含むものである、メタン改質用触媒の製造方法:
[化学式1]
Sr
1-xA
xTi
1-yB
yO
3-δ
前記化学式1において、
Aは、Y、La又はBaであり、
Bは、Ni、Co、Fe、Mn、Cr、Mo、Ru又はRhであり、
xは、0以上1未満の実数であり、
yは、0以上0.5未満の実数であり、
δは、0超過1未満の実数であり、
x+y>0を満たす。
【請求項10】
前記化学式1は、下記化学式2~4のうちのいずれか一つで表されるものである、請求項9に記載のメタン改質用触媒の製造方法:
[化学式2]
SrTi
1-yB
yO
3-δ
[化学式3]
Sr
1-xY
xTiO
3-δ
[化学式4]
Sr
1-xY
xTi
1-yB
yO
3-δ
前記化学式2~4において、
Bは、Ni又はRuであり、
xは、0超過1未満の実数であり、
yは、0超過0.5未満の実数であり、
δは、0超過1未満の実数である。
【請求項11】
前記多孔性金属支持体は、NiFeCrAl、NiCrAl、SiC、Al、ステンレス鋼(stainless steel)及びインコネル(inconel)の中から選択される1種以上で構成されるものである、請求項9に記載のメタン改質用触媒の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年11月17日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2021-0158414号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては、本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、メタン改質用触媒及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
地球温暖化による温室効果ガス削減活動の一部として、二酸化炭素転換技術に関する研究が多く進行中にある。二酸化炭素転換技術の一つである二酸化炭素改質反応は、メタンと二酸化炭素とを反応させて水素と一酸化炭素からなる合成ガスを得る技術である。
【0004】
合成ガスは、多様なダウンストリームの原料として開発価値の高い物質である。合成ガス(H2/CO)を工業的に得ることができる方法として、天然ガスの改質反応は、大きく下記反応式1~5のような水蒸気改質工程(steam reforming)、二酸化炭素改質工程(CO2 reforming)、触媒部分酸化工程(catalytic partial oxidation)、自己熱改質工程(autothermal reforming)、三重改質工程(tri-reforming)などに分類することができる。
[反応式1]
CH4+H2O → 3H2+CO △H=226kJ/mol
[反応式2]
CH4+CO2 → 2H2+2CO △H=261kJ/mol
[反応式3]
CH4+0.5O2 → 2H2+CO △H=-44kJ/mol
[反応式4]
自己熱改質工程(autothermal reforming):反応式1+反応式3
[反応式5]
三重改質工程(tri-reforming):反応式1+反応式2+反応式3
【0005】
一方、上記改質工程には、改質活性のために種々の触媒が使用されることができる。 この中で、改質工程に貴金属触媒を使用する場合、バイオガスから水素転換効率が高いという長所があるが、貴金属触媒が高価であることから、経済性が低下するという問題がある。
【0006】
これによって、改質工程において、水素転換効率が高く比較的に安価なニッケル触媒が主に使用されている。しかしながら、このような場合には、ニッケル触媒の表面に必然的に生成される炭素によってニッケル触媒が非活性化されるという問題がある。
【0007】
したがって、当該技術分野では、炭素沈積に抵抗性を有し、メタンの改質工程に効果的に適用することができる触媒の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本出願は、メタン改質用触媒及びその製造方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願の一実施態様は、
多孔性金属支持体;
上記多孔性金属支持体に担持されたペロブスカイト系触媒粒子;及び
上記多孔性金属支持体に担持されたペロブスカイト系バインダーを含み、
上記ペロブスカイト系触媒粒子及びペロブスカイト系バインダーは、それぞれ独立して、下記化学式1で表される化合物を含むものである、メタン改質用触媒を提供する。
[化学式1]
Sr1-xAxTi1-yByO3-δ
上記化学式1において、
Aは、Y、La又はBaであり、
Bは、Ni、Co、Fe、Mn、Cr、Mo、Ru又はRhであり、
xは、0以上1未満の実数であり、
yは、0以上0.5未満の実数であり、
δは、0超過1未満の実数であり、
x+y>0を満たす。
【0010】
また、本出願の他の実施態様は、
ペロブスカイト系触媒粒子及びペロブスカイト系触媒ゾルを混合してスラリーを製造するステップ;
多孔性金属支持体を上記スラリーに含浸するステップ;及び
乾燥及び焼成するステップを含み、
上記ペロブスカイト系触媒粒子及びペロブスカイト系触媒ゾルは、それぞれ独立して、上記化学式1で表される化合物を含むものである、メタン改質用触媒の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本出願の一実施態様に係るメタン改質用触媒は、触媒粒子と同一又は類似の系列の触媒ゾルを無機バインダーとして混合したスラリーを製造して、熱伝導度の高い金属支持体上にコーティングして製造することで、一度に担持される触媒含量を増加させることができ、バインダーによる副反応を抑制することができるという特徴がある。
【0012】
また、本出願の一実施態様に係るメタン改質用触媒は、熱伝導度の高い多孔性金属支持体に触媒粒子及びバインダーを担持させるので、従来のペレット状又は粉末状の触媒に比べて反応熱の制御が容易であるという特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本出願の実施例1に係るメタン改質用触媒の表面の電子顕微鏡写真を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
【0015】
本明細書において、ある部材が他の部材「上に」位置しているというとき、これはある部材が他の部材に接している場合だけでなく、両部材の間にまた別の部材が存在する場合も含む。
【0016】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」というとき、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含むことができるのを意味する。
【0017】
現在、改質器分野で多く使用されている触媒の場合、一般的に、粉末状(powder) 触媒とペレット状(pellet)支持体触媒が主になっている。上記粉末状触媒の場合には、触媒の分散度に優れて性能に優れるが、これを直接的に産業に使用するのは困難である。例えば、上記粉末状触媒を使用して改質器を駆動させる場合には、触媒が反応後に生成される物質と共に出るようになるが、このとき出口部分の流管に粉末形態の触媒が次第に累積して、最終的には管全体が詰まってしまう現象が発生し得る。よって、産業に使用される商用化された改質器には粉末状触媒を使用することができないという短所がある。
【0018】
また、上記ペレット状支持体触媒の場合には、現在産業用改質器に多く使用されている。物質伝達速度の限界のため、触媒性能だけからすると、粉末状触媒よりも性能は劣るが、支持体を使用したので、長期間使用が可能であるという長所が存在する。しかしながら、上記ペレット状支持体触媒として多く使用されるγ-Al2O3ペレットの場合には、構造的強度が弱くてよく砕けることがあり、これによって反応器内に差圧を発生させるという短所がある。また、上記ペレット状支持体触媒の特性上、体積が大きくて高容量の改質器に使用する場合には、その体積がかなり大きくなる。また、すべての改質反応は反応温度に敏感になるが、既存のペレット状触媒の場合には、熱伝導度が大きく低下して反応器全般にまんべんなく熱が分布されないという短所がある。
【0019】
そこで、本出願では、熱及び物質伝達速度が高い多孔性金属支持体に触媒をコーティングする方法を通じて、粉末状の短所である流管詰まりの現象のみならず、粉末状とペレット状の共通的な短所である熱及び物質伝達速度を改善しようとした。
【0020】
上記多孔性金属支持体触媒は、触媒前駆体又は触媒粉末とバインダー、添加剤などが混合製造されたスラリーを多孔性金属支持体の表面にコーティングして製造することができる。触媒粒子を多孔性金属支持体の表面に導入するために、上記スラリーの製造時に有機バインダー及び/又は無機バインダーを添加して使用することができる。上記有機バインダーは、乾燥及び焼成過程の前までスラリー内に残留するようになり、表面張力の減少及びスラリーの安定化に寄与することができる。上記無機バインダーは、焼成過程後に触媒粒子間、又は触媒粒子と多孔性金属支持体との間に残留して、触媒粒子を多孔性金属支持体上に固定する役割をし、主にシリカ、アルミナゾルやコロイド形態を添加して使用することができる。上記無機バインダーを多く使用する場合、触媒粒子と多孔性金属支持体間の結合が強くなるという長所があるが、一方、触媒粒子の表面にバインダーが多く存在することで反応サイトが減少し、バインダーが触媒上に影響を与えることもあり、同時に反応に参加して所望しない副反応を誘導することもある。そこで、バインダーなしに多孔性金属支持体に触媒を直接導入する目的から、触媒前駆体を直接使用する場合もあるが、一度に担持される触媒量が少ないという短所がある。
【0021】
そこで、本出願では、一度に担持される触媒量も多く、かつ、バインダーによる副反応も抑制することができるメタン改質用触媒を提供しようとする。
【0022】
本出願の一実施態様に係るメタン改質用触媒は、多孔性金属支持体;上記多孔性金属支持体に担持されたペロブスカイト系触媒粒子;及び上記多孔性金属支持体に担持されたペロブスカイト系バインダーを含む。
【0023】
本出願の一実施態様において、上記ペロブスカイト系触媒粒子及びペロブスカイト系バインダーは、それぞれ独立して、下記化学式1で表される化合物を含むことができる。
[化学式1]
Sr1-xAxTi1-yByO3-δ
上記化学式1において、
Aは、Y、La又はBaであり、
Bは、Ni、Co、Fe、Mn、Cr、Mo、Ru又はRhであり、
xは、0以上1未満の実数であり、
yは、0以上0.5未満の実数であり、
δは、0超過1未満の実数であり、
x+y>0を満足する。
【0024】
本出願の一実施態様において、上記ペロブスカイト系触媒粒子及びペロブスカイト系バインダーは、互いに同一の化合物を含んでいてもよく、互いに異なる化合物を含んでいてもよい。よって、本出願の一実施態様において、上記メタン改質用触媒は、互いに異なる2種のペロブスカイト系化合物を含むことができる。
【0025】
本出願の一実施態様において、上記化学式1は、下記化学式2~4のうちのいずれか一つで表されることができる。
[化学式2]
SrTi1-yByO3-δ
[化学式3]
Sr1-xYxTiO3-δ
[化学式4]
Sr1-xYxTi1-yByO3-δ
上記化学式2~4において、
Bは、Ni又はRuであり、
xは、0超過1未満の実数であり、
yは、0超過0.5未満の実数であり、
δは、0超過1未満の実数である。
【0026】
本出願の一実施態様において,上記多孔性金属支持体は、800℃以上の高温で熱的安定性を維持することができる材料で構成されることができる。
【0027】
本出願の一実施態様において、上記多孔性金属支持体は、NiFeCrAl、NiCrAl、SiC、Al、ステンレス鋼(stainless steel)及びインコネル(inconel)の中から選択される1種以上で構成されることができる。
【0028】
上記多孔性金属支持体は、多様な形状を有する支持体であって、熱容量が小さく熱伝達能力に優れて、所望の形状に成形して使用することができる。上記多孔性金属支持体の形態、大きさなどは特に制限されず、上記多孔性金属支持体の気孔率は、10%~99%であってもよく、好ましくは50%~99%であってもよい。また、上記多孔性金属支持体の平均気孔サイズは、150μm~4,000μmであってもよく、200μm~3,500μmであってもよく、400μm~3,000μmであってもよい。上記多孔性金属支持体は、上述した多孔性金属支持体の材料、気孔サイズ、気孔率などを考慮して、当該技術分野に知られている方法を用いて当業者が適宜製造することができる。本出願の一実施態様によれば、後述する実施例のように多様な材料、気孔サイズなどを有する多孔性金属支持体を適用することができる。
【0029】
本出願の一実施態様において、上記メタン改質用触媒の総重量を基準に、上記ペロブスカイト系触媒粒子及びペロブスカイト系バインダーの総含量は、3重量%~40重量%であってもよく、6重量%~35重量%であってもよく、7重量%~30重量%であってもよい。上記メタン改質用触媒の総重量を基準に、上記ペロブスカイト系触媒粒子及びペロブスカイト系バインダーの総含量が3重量%未満の場合には、触媒表面に活性点が相対的に少ないという理由で反応性が低下し、所望の触媒性能を実現することができない。また、上記ペロブスカイト系触媒粒子及びペロブスカイト系バインダーの総含量が40重量%を超過する場合には、上記多孔性金属支持体に比べて相対的に多量の触媒成分を含有するようになって、気孔が詰まり差圧を発生させるおそれがあり、これによってメタン改質反応の実益が少なくなるおそれがある。
【0030】
本出願の一実施態様において、上記触媒粒子の表面の少なくとも一部分は、突起形状を含むことができる。上記突起形状は、球形、楕円形、これらの組み合わせの形態であってもよいが、これにのみ限定されるものではない。上記突起のそれぞれの平均直径は、20nm~1μmであってもよい。上記突起は、触媒粒子の表面全体を覆っていてもよく、触媒粒子の表面の一部分のみ覆っていてもよい。
【0031】
本出願の一実施態様において、上記ペロブスカイト系バインダーは、無機バインダーであって、上記ペロブスカイト系触媒粒子を多孔性金属支持体上に固定する役割を果たすことができる。また、上記ペロブスカイト系バインダーは、ペロブスカイト系触媒粒子上に突起形状で存在することができ、これによって触媒の反応表面積を増大させてメタン改質反応の性能を向上することができる。
【0032】
また、本出願の一実施態様によれば、上記ペロブスカイト系触媒粒子以外にペロブスカイト系バインダーを追加で適用することで、触媒粒子を単独で適用する場合に比べて、多孔性金属支持体に1回コーティング時に担持される触媒の含量を増加させることができる。また、本出願の一実施態様に係るペロブスカイト系バインダーを適用することで、シリカや他のコロイド無機バインダーを適用する場合に発生し得る副反応や触媒相変化を防止することができるので、メタン改質反応の性能を向上させることができる。
【0033】
本出願の一実施態様において、上記メタン改質用触媒は、水蒸気改質工程(steam reforming)、二酸化炭素改質工程(CO2 reforming)、触媒部分酸化工程(catalytic partial oxidation)、自己熱改質工程(autothermal reforming)、三重改質工程(tri-reforming)又は混合改質工程(mixed reforming)に適用されることができ、 メタン改質工程が特に限定されるものではない。
【0034】
本出願の一実施態様に係るメタン改質用触媒の製造方法は、ペロブスカイト系触媒粒子及びペロブスカイト系触媒ゾルを混合してスラリーを製造するステップ;多孔性金属支持体を上記スラリーに含浸するステップ;並びに乾燥及び焼成するステップを含み、上記ペロブスカイト系触媒粒子及びペロブスカイト系触媒ゾルは、それぞれ独立して、上記化学式1で表される化合物を含む。
【0035】
本出願の一実施態様に係るメタン改質用触媒の製造方法において、多孔性金属支持体、ペロブスカイト系触媒粒子などに関する内容は上述した通りである。
【0036】
特に、上記メタン改質用触媒のペロブスカイト系バインダーは、上記ペロブスカイト系触媒ゾルから形成されることができる。
【0037】
上記ペロブスカイト系触媒ゾルは、ペロブスカイト系化合物の前駆体及び溶媒を含む溶液から形成されることができる。上記ペロブスカイト系化合物の前駆体は、ペロブスカイト系化合物を構成する金属の前駆体であって、その含量を調節してペロブスカイト系化合物の金属モル比を調節することができる。また、上記金属の前駆体としては特に制限がなく、上記金属元素のアンモニウム塩、硝酸塩、炭酸塩、塩化物、乳酸塩、水酸化物、有機酸塩、酸化物、又はこれらの混合物を組み合わせて適用することができる。上記溶媒は、特に制限されるものではなく、当該技術分野に知られている溶媒を用いることができる。例えば、上記溶媒は、水、アルコール系溶媒などを適用することができるが、これにのみ限定されるものではない。
【0038】
本出願の一実施態様に係るメタン改質用触媒の製造方法は、ペロブスカイト系触媒粒子及びペロブスカイト系触媒ゾルを混合してスラリーを製造するステップを含む。このとき、上記スラリーの濃度を調節するために、上記溶媒を追加で投入することができる。
【0039】
本出願の一実施態様に係るメタン改質用触媒の製造方法は、多孔性金属支持体を上記スラリーに含浸するステップを含む。このとき、上記多孔性金属支持体に余分のスラリーを除去するステップをさらに含むことができる。
【0040】
本出願の一実施態様に係るメタン改質用触媒の製造方法は、上記多孔性金属支持体を上記スラリーに含浸するステップ後に、乾燥及び焼成するステップを含む。上記乾燥は、50℃~100℃の温度で20分~2時間の間行われることができ、60℃~90℃の温度で30分~1.5時間の間行われることができるが、これにのみ限定されるものではない。また、上記焼成は、空気雰囲気下で350℃~1,100℃の温度で1時間~15時間の間行われることができ、空気雰囲気下で500℃~1,000℃の温度で3時間~10時間の間行われることができるが、これにのみ限定されるものではない。上記焼成が、1時間未満で行われる場合には、バインダーとして適用したペロブスカイト系ゾルが結晶相をなすのに適切ではなく、焼成が15時間超過で行われる場合には、エネルギー消費の面で好ましくない。
【0041】
本出願の一実施態様において、上記乾燥及び焼成するステップ後に、多孔性金属支持体に担持された触媒の重さを測定するステップをさらに含むことができる。また、上記多孔性金属支持体に担持された触媒の重さを測定することで、所望の触媒の量が多孔性金属支持体に担持されるまで上述した多孔性金属支持体を上記スラリーに含浸するステップ;並びに乾燥及び焼成するステップを1回~20回繰り返し行うことができる。
【0042】
本出願の一実施態様に係るメタン改質用触媒は、触媒粒子と同一又は類似の系列の触媒ゾルを無機バインダーとして混合したスラリーを製造して、熱伝導度の高い金属支持体上にコーティングして製造することで、一度に担持される触媒含量を増加させることができ、バインダーによる副反応を抑制することができるという特徴がある。
【0043】
また、本出願の一実施態様に係るメタン改質用触媒は、熱伝導度の高い多孔性金属支持体に触媒粒子及びバインダーを担持させるので、従来のペレット状又は粉末状の触媒に比べて反応熱の制御が容易であるという特徴がある。
【実施例】
【0044】
以下、本出願を具体的に説明するために、実施例を挙げて詳細に説明する。ところが、本出願に係る実施例は、種々の異なる形態に変形されることができ、本出願の範囲が、以下に詳述する実施例に限定されるものとは解釈されない。本出願の実施例は、当業界における平均的な知識を有する者に本出願をより完全に説明するために提供されるものである。
【0045】
<実施例>
<比較例1>
1)ペロブスカイト触媒(SrTiO3)ゾル(sol)の製造
ペロブスカイト触媒(SrTiO3)ゾルをクエン酸法を通じて製造した。硝酸ストロンチウム(Sr(NO3)3H2O)をクエン酸、エチレングリコールとともに蒸留水に溶解させた。チタンイソプロポキシド(Ti(OCH(CH3)2)4)をエタノールに溶解させた後、両溶液を70℃で混合した。その後、3時間撹拌後、常温に冷却して保管した。
【0046】
2)ペロブスカイト触媒粒子(SrTi0.995Ni0.005O3-δ、0<δ<1)の製造
硝酸ニッケル(Ni(NO3)2)をチタンに対し0.5mol%追加して使用したこと以外には、上記1)と同様に行った。
【0047】
このように製造された溶液を坩堝に入れて、150℃で24時間乾燥し、900℃で焼成して、ペロブスカイト触媒粒子を製造した。
【0048】
3)メタン改質用触媒の製造
上記製造したペロブスカイト触媒粒子及びペロブスカイト触媒ゾルを混合してスラリーを製造した。このとき、ペロブスカイト触媒粒子の含量は5重量%であり、ペロブスカイト触媒ゾルの濃度は0.1Mであり、溶媒は水を用いた。
【0049】
上記スラリーに多孔性金属支持体(NiFeCrAl、平均気孔サイズ:800μm)を1分間含浸し、ブロワー(blower)を通じて余分のスラリーを多孔性金属支持体から除去した。その後70℃で1時間の間乾燥した後、空気雰囲気下で900℃の温度で5時間の間熱処理をして、多孔性金属支持体にペロブスカイト触媒粒子及びペロブスカイトバインダーがコーティングされたメタン改質用触媒を製造した。この過程を数回繰り返して最終的にメタン改質用触媒を製造した。
【0050】
<実施例1>
1)ペロブスカイト触媒(Sr0.95Y0.05Ti0.97Ru0.03O3-δ、0<δ<1)ゾル(sol)の製造
ルテニウムクロリド(RuCl3)をチタンに対し3mol%追加し、硝酸イットリウム(Y(NO3)2)をストロンチウムに対し5mol%追加して使用したこと以外には、上記比較例1の1)と同様に行った。
【0051】
2)ペロブスカイト触媒粒子(Sr0.85Y0.15Ti0.95Ru0.05O3-δ、0<δ<1)の製造
ルテニウムクロリド(RuCl3)をチタンに対し5mol%追加し、硝酸イットリウム(Y(NO3)2)をストロンチウムに対し15mol%追加して使用したこと以外には、上記比較例1の1)と同様に行った。
【0052】
このように製造された溶液を坩堝に入れて、150℃で24時間乾燥し、900℃で焼成して、ペロブスカイト触媒粒子を製造した。
【0053】
3)メタン改質用触媒の製造
上記実施例1で製造したペロブスカイト触媒粒子及びペロブスカイト触媒ゾルを混合してスラリーを製造し、多孔性金属支持体としてNiFeCrAl(平均気孔サイズ:400μm)を適用したこと以外には、上記比較例1の3)と同様に行った。
【0054】
<実施例2>
1)ペロブスカイト触媒(SrTi0.97Ni0.03O3-δ、0<δ<1)ゾル(sol)の製造
硝酸ニッケル(Ni(NO3)2)をチタンに対し3mol%追加して使用したこと以外には、上記比較例1の1)と同様に行った。
【0055】
2)ペロブスカイト触媒粒子(SrTi0.95Ni0.05O3-δ、0<δ<1)の製造
硝酸ニッケル(Ni(NO3)2)をチタンに対し5mol%追加して使用したこと以外には、上記比較例1の1)と同様に行った。
【0056】
このように製造された溶液を坩堝に入れて、150℃で24時間乾燥し、900℃で焼成して、ペロブスカイト触媒粒子を製造した。
【0057】
3)メタン改質用触媒の製造
上記実施例2で製造したペロブスカイト触媒粒子及びペロブスカイト触媒ゾルを混合してスラリーを製造したこと以外には、上記比較例1の3)と同様に行った。
【0058】
<実施例3>
1)ペロブスカイト触媒(Sr0.95Y0.05Ti0.97Ru0.03O3-δ、0<δ<1)ゾル(sol)の製造
ルテニウムクロリド(RuCl3)をチタンに対し3mol%追加し、硝酸イットリウム(Y(NO3)2)をストロンチウムに対し5mol%追加して使用したこと以外には、上記比較例1の1)と同様に行った。
【0059】
2)ペロブスカイト触媒粒子(Sr0.95Y0.05Ti0.90Ni0.10O3-δ、0<δ<1)の製造
硝酸ニッケル(Ni(NO3)2)をチタンに対し10mol%追加し、硝酸イットリウム(Y(NO3)2)をストロンチウムに対し5mol%追加して使用したこと以外には、上記比較例1の1)と同様に行った。
【0060】
このように製造された溶液を坩堝に入れて、150℃で24時間乾燥し、900℃で焼成して、ペロブスカイト触媒粒子を製造した。
【0061】
3)メタン改質用触媒の製造
上記実施例3で製造したペロブスカイト触媒粒子及びペロブスカイト触媒ゾルを混合してスラリーを製造したこと以外には、上記比較例1の3)と同様に行った。
【0062】
<実施例4>
1)ペロブスカイト触媒(SrTi0.97Ru0.03O3-δ、0<δ<1)ゾル(sol)の製造
ルテニウムクロリド(RuCl3)をチタンに対し3mol%追加して使用したこと以外には、上記比較例1の1)と同様に行った。
【0063】
2)ペロブスカイト触媒粒子(SrTi0.93Ni0.07O3-δ、0<δ<1)の製造
硝酸ニッケル(Ni(NO3)2)をチタンに対し7mol%追加して使用したこと以外には、上記比較例1の1)と同様に行った。
【0064】
このように製造された溶液を坩堝に入れて、150℃で24時間乾燥し、900℃で焼成して、ペロブスカイト触媒粒子を製造した。
【0065】
3)メタン改質用触媒の製造
上記実施例4で製造したペロブスカイト触媒粒子及びペロブスカイト触媒ゾルを混合してスラリーを製造し、多孔性金属支持体としてNiFeCrAl(平均気孔サイズ:1,200μm)を適用したこと以外には、上記比較例1の3)と同様に行った。
【0066】
<実施例5>
1)ペロブスカイト触媒(Sr0.95Y0.05Ti0.93Ni0.07O3-δ、0<δ<1)ゾル(sol)の製造
硝酸ニッケル(Ni(NO3)2)をチタンに対し7mol%追加し、硝酸イットリウム(Y(NO3)2)をストロンチウムに対し5mol%追加して使用したこと以外には、上記比較例1の1)と同様に行った。
【0067】
2)ペロブスカイト触媒粒子(Sr0.95Y0.05Ti0.93Ni0.07O3-δ、0<δ<1)の製造
硝酸ニッケル(Ni(NO3)2)をチタンに対し7mol%追加し、硝酸イットリウム(Y(NO3)2)をストロンチウムに対し5mol%追加して使用したこと以外には、上記比較例1の1)と同様に行った。
【0068】
このように製造された溶液を坩堝に入れて、150℃で24時間乾燥し、900℃で焼成して、ペロブスカイト触媒粒子を製造した。
【0069】
3)メタン改質用触媒の製造
上記実施例5で製造したペロブスカイト触媒粒子及びペロブスカイト触媒ゾルを混合してスラリーを製造し、多孔性金属支持体としてNiFeCrAl(平均気孔サイズ:1,200μm)を適用したこと以外には、上記比較例1の3)と同様に行った。
【0070】
<実施例6>
1)ペロブスカイト触媒(Sr0.95Y0.05Ti0.85Ru0.15O3-δ、0<δ<1)ゾル(sol)の製造
ルテニウムクロリド(RuCl3)をチタンに対し15mol%追加し、硝酸イットリウム(Y(NO3)2)をストロンチウムに対し5mol%追加して使用したこと以外には、上記比較例1の1)と同様に行った。
【0071】
2)ペロブスカイト触媒粒子(Sr0.95Y0.05Ti0.80Ni0.20O3-δ、0<δ<1)の製造
硝酸ニッケル(Ni(NO3)2)をチタンに対し20mol%追加し、硝酸イットリウム(Y(NO3)2)をストロンチウムに対し5mol%追加して使用したこと以外には、上記比較例1の1)と同様に行った。
【0072】
このように製造された溶液を坩堝に入れて、150℃で24時間乾燥し、900℃で焼成して、ペロブスカイト触媒粒子を製造した。
【0073】
3)メタン改質用触媒の製造
上記実施例6で製造したペロブスカイト触媒粒子及びペロブスカイト触媒ゾルを混合してスラリーを製造し、多孔性金属支持体としてNiFeCrAl(平均気孔サイズ:3,000μm)を適用したこと以外には、上記比較例1の3)と同様に行った。
【0074】
<実施例7>
1)ペロブスカイト触媒(Sr0.95Y0.05Ti0.90Ru0.10O3-δ、0<δ<1)ゾル(sol)の製造
ルテニウムクロリド(RuCl3)をチタンに対し10mol%追加し、硝酸イットリウム(Y(NO3)2)をストロンチウムに対し5mol%追加して使用したこと以外には、上記比較例1の1)と同様に行った。
【0075】
2)ペロブスカイト触媒粒子(Sr0.95Y0.05Ti0.80Ni0.20O3-δ、0<δ<1)の製造
硝酸ニッケル(Ni(NO3)2)をチタンに対し20mol%追加し、硝酸イットリウム(Y(NO3)2)をストロンチウムに対し5mol%追加して使用したこと以外には、上記比較例1の1)と同様に行った。
【0076】
このように製造された溶液を坩堝に入れて、150℃で24時間乾燥し、900℃で焼成して、ペロブスカイト触媒粒子を製造した。
【0077】
3)メタン改質用触媒の製造
上記実施例7で製造したペロブスカイト触媒粒子及びペロブスカイト触媒ゾルを混合してスラリーを製造し、多孔性金属支持体としてNiFeCrAl(平均気孔サイズ:3,000μm)を適用したこと以外には、上記比較例1の3)と同様に行った。
【0078】
<実施例8>
1)ペロブスカイト触媒(SrTi0.97Ni0.03O3-δ、0<δ<1)ゾル(sol)の製造
硝酸ニッケル(Ni(NO3)2)をチタンに対し3mol%追加して使用したこと以外には、上記比較例1の1)と同様に行った。
【0079】
2)ペロブスカイト触媒粒子(SrTi0.97Ni0.03O3-δ、0<δ<1)の製造
硝酸ニッケル(Ni(NO3)2)をチタンに対し3mol%追加して使用したこと以外には、上記比較例1の1)と同様に行った。
【0080】
このように製造された溶液を坩堝に入れて、150℃で24時間乾燥し、900℃で焼成して、ペロブスカイト触媒粒子を製造した。
【0081】
3)メタン改質用触媒の製造
上記実施例8で製造したペロブスカイト触媒粒子及びペロブスカイト触媒ゾルを混合してスラリーを製造し、多孔性金属支持体としてNiCrAl(平均気孔サイズ:400μm)を適用したこと以外には、上記比較例1の3)と同様に行った。
【0082】
<実施例9>
1)ペロブスカイト触媒(Sr0.95Y0.05Ti0.97Ni0.03O3-δ、0<δ<1)ゾル(sol)の製造
硝酸ニッケル(Ni(NO3)2)をチタンに対し3mol%追加し、硝酸イットリウム(Y(NO3)2)をストロンチウムに対し5mol%追加して使用したこと以外には、上記比較例1の1)と同様に行った。
【0083】
2)ペロブスカイト触媒粒子(Sr0.95Y0.05Ti0.97Ni0.03O3-δ、0<δ<1)の製造
硝酸ニッケル(Ni(NO3)2)をチタンに対し3mol%追加し、硝酸イットリウム(Y(NO3)2)をストロンチウムに対し5mol%追加して使用したこと以外には、上記比較例1の1)と同様に行った。
【0084】
このように製造された溶液を坩堝に入れて、150℃で24時間乾燥し、900℃で焼成して、ペロブスカイト触媒粒子を製造した。
【0085】
3)メタン改質用触媒の製造
上記実施例9で製造したペロブスカイト触媒粒子及びペロブスカイト触媒ゾルを混合してスラリーを製造し、多孔性金属支持体としてNiCrAl(平均気孔サイズ:800μm)を適用したこと以外には、上記比較例1の3)と同様に行った。
【0086】
<実施例10>
1)ペロブスカイト触媒(Sr0.95Y0.05Ti0.97Ru0.03O3-δ、0<δ<1)ゾル(sol)の製造
ルテニウムクロリド(RuCl3)をチタンに対し3mol%追加し、硝酸イットリウム(Y(NO3)2)をストロンチウムに対し5mol%追加して使用したこと以外には、上記比較例1の1)と同様に行った。
【0087】
2)ペロブスカイト触媒粒子(SrTi0.90Ni0.10O3-δ、0<δ<1)の製造
硝酸ニッケル(Ni(NO3)2)をチタンに対し10mol%追加して使用したこと以外には、上記比較例1の1)と同様に行った。
【0088】
このように製造された溶液を坩堝に入れて、150℃で24時間乾燥し、900℃で焼成して、ペロブスカイト触媒粒子を製造した。
【0089】
3)メタン改質用触媒の製造
上記実施例10で製造したペロブスカイト触媒粒子及びペロブスカイト触媒ゾルを混合してスラリーを製造し、多孔性金属支持体としてNiCrAl(平均気孔サイズ:1,200μm)を適用したこと以外には、上記比較例1の3)と同様に行った。
【0090】
<実施例11>
1)ペロブスカイト触媒(Sr0.95Y0.05Ti0.90Ru0.10O3-δ、0<δ<1)ゾル(sol)の製造
ルテニウムクロリド(RuCl3)をチタンに対し10mol%追加し、硝酸イットリウム(Y(NO3)2)をストロンチウムに対し5mol%追加して使用したこと以外には、上記比較例1の1)と同様に行った。
【0091】
2)ペロブスカイト触媒粒子(Sr0.95Y0.05Ti0.80Ni0.20O3-δ、 0<δ<1)の製造
硝酸ニッケル(Ni(NO3)2)をチタンに対し20mol%追加し、硝酸イットリウム(Y(NO3)2)をストロンチウムに対し5mol%追加して使用したこと以外には、上記比較例1の1)と同様に行った。
【0092】
このように製造された溶液を坩堝に入れて、150℃で24時間乾燥し、900℃で焼成して、ペロブスカイト触媒粒子を製造した。
【0093】
3)メタン改質用触媒の製造
上記実施例11で製造したペロブスカイト触媒粒子及びペロブスカイト触媒ゾルを混合してスラリーを製造し、多孔性金属支持体としてNiCrAl(平均気孔サイズ:1,500μm)を適用したこと以外には、上記比較例1の3)と同様に行った。
【0094】
<実施例12>
1)ペロブスカイト触媒(Sr0.85Y0.15Ti0.97Ni0.03O3-δ、0<δ<1)ゾル(sol)の製造
硝酸ニッケル(Ni(NO3)2)をチタンに対し3mol%追加し、硝酸イットリウム(Y(NO3)2)をストロンチウムに対し15mol%追加して使用したこと以外には、上記比較例1の1)と同様に行った。
【0095】
2)ペロブスカイト触媒粒子(Sr0.85Y0.15Ti0.97Ru0.03O3-δ、0<δ<1)の製造
ルテニウムクロリド(RuCl3)をチタンに対し3mol%追加し、硝酸イットリウム(Y(NO3)2)をストロンチウムに対し15mol%追加して使用したこと以外には、上記比較例1の1)と同様に行った。
【0096】
このように製造された溶液を坩堝に入れて、150℃で24時間乾燥し、900℃で焼成して、ペロブスカイト触媒粒子を製造した。
【0097】
3)メタン改質用触媒の製造
上記実施例12で製造したペロブスカイト触媒粒子及びペロブスカイト触媒ゾルを混合してスラリーを製造し、多孔性金属支持体としてNiCrAl(平均気孔サイズ:3,000μm)を適用したこと以外には、上記比較例1の3)と同様に行った。
【0098】
<比較例2>
ペロブスカイト触媒ゾルの代わりに無機バインダーであるSiO2(Ludox)を適用し、多孔性金属支持体としてNiCrAl(平均気孔サイズ:1,200μm)を適用したこと以外には、上記実施例8と同様に行って触媒を製造した。
【0099】
<比較例3>
ペロブスカイト触媒粒子を適用せず、ペロブスカイト触媒ゾルを単独で適用し、多孔性金属支持体としてNiFeCrAl(平均気孔サイズ:1,200μm)を適用したこと以外には、上記実施例2と同様に行って触媒を製造した。
【0100】
<比較例4>
ペロブスカイト触媒ゾルを適用せず、ペロブスカイト触媒粒子を単独で適用し、多孔性金属支持体としてNiFeCrAl(平均気孔サイズ:3,000μm)を適用したこと以外には、上記実施例9と同様に行って触媒を製造した。
【0101】
<比較例5>
多孔性金属支持体及びペロブスカイト触媒ゾルを適用せず、ペロブスカイト触媒粒子を単独で適用したこと以外には、上記実施例8と同様に行って触媒を製造した。
【0102】
<比較例6>
ペロブスカイト触媒粒子を適用せず、ペロブスカイト触媒ゾルを単独で適用し、多孔性金属支持体としてNiCrAl(平均気孔サイズ:3,000μm)を適用したこと以外には、上記比較例1と同様に行って触媒を製造した。
【0103】
上記実施例及び比較例の多孔性金属支持体、触媒粒子及びバインダーの構成を下記表1に示す。
【表1】
【0104】
<実験例1>メタン改質用触媒の評価
本出願の実施例1に係るメタン改質用触媒の表面の電子顕微鏡写真を下記
図1に示す。
【0105】
上記実施例及び比較例のメタン改質用触媒の製造のとき、1回コーティング時に多孔性金属支持体に担持されたペロブスカイト系触媒の含量を測定して、下記表2に示す。また、上記実施例及び比較例のメタン改質用触媒で、多孔性金属支持体にコーティングされた触媒粒子の表面に突起形状の有無を確認して、下記表2に示す。
【0106】
上記触媒担持量は、下記数式1で計算されることができ、突起形状の有無は、SEMを通じて表面イメージを観察して確認することができる。
[数式1]
触媒担持量(重量%)=(触媒総重量-多孔性金属支持体重量)/(触媒総重量) ×100
【0107】
【0108】
上記結果のように、比較例1~3は、1回コーティング時に担持される触媒含量が小さくてコーティング回数を増加させなければならないので、工程コストが上昇するという問題点があり、比較例4では、触媒が全然付着されなかった。また、比較例5では、触媒粒子を単独で適用して多孔性金属支持体に担持された含量を測定することができなかったし、比較例6では、触媒の役割を果たすことができる活性金属の含量が測定されなかった。
【0109】
<実験例2>メタンの改質反応評価
メタンの乾式改質反応を行うために、固定層反応システムを導入した。石英管(Quartz tube)反応器(内部直径=1/2inch、長さ=50cm)を使用して、実施例及び比較例のそれぞれの触媒(約2.5g)を充填した。まず10%H2/N2の条件下で800℃において2時間の間還元過程を経た後、100時間の間触媒反応を進行した。
【0110】
ガス組成:CH4:CO2:N2=1:1.2:0.96
流量:WHSV(Weight Hour Space Velocity)=3,000cc/g・hr~
100,000cc/g・hr
反応温度:800℃
反応圧力:1bar
【0111】
ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて生成ガス組成を分析して、100時間反応後の反応転換率を計算し、下記表3に示す。
転換率(Xi,%)=[(Fiin-Fiout)/Fiin]×100
(Fi=iの流量)
【0112】
<GC分析条件>
1)GCモデル:Agilent 6890
2)オーブン温度:40℃/7分-90℃/5分-180℃/6分
3)検出器:TCD, 250℃
4)サンプルループ:0.25mL
5)バルブボックス温度:150℃
【0113】
【0114】
上記結果のように、本出願の一実施態様に係るメタン改質用触媒は、メタンの改質反応時にメタン転換率及びCO2転換率がいずれも優れていることを確認することができる。
【0115】
本出願の一実施態様に係るメタン改質用触媒は、触媒粒子と同一又は類似の系列の触媒ゾルを無機バインダーとして混合したスラリーを製造して、熱伝導度の高い金属支持体上にコーティングして製造することで、一度に担持される触媒含量を増加させることができ、バインダーによる副反応を抑制することができるという特徴がある。
【0116】
また、本出願の一実施態様に係るメタン改質用触媒は、熱伝導度の高い多孔性金属支持体に触媒粒子及びバインダーを担持させるので、従来のペレット状又は粉末状の触媒に比べて反応熱の制御が容易であるという特徴がある。
【国際調査報告】