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特表2024-503523高熱伝導・ネットサイズ窒化珪素セラミックス基板の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-25
(54)【発明の名称】高熱伝導・ネットサイズ窒化珪素セラミックス基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/593 20060101AFI20240118BHJP
   C04B 35/591 20060101ALI20240118BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
C04B35/593 500
C04B35/591
H05K1/03 610D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544057
(86)(22)【出願日】2022-01-17
(85)【翻訳文提出日】2023-08-31
(86)【国際出願番号】 CN2022072352
(87)【国際公開番号】W WO2022156636
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】202110074294.2
(32)【優先日】2021-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510087966
【氏名又は名称】中国科学院上海硅酸塩研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】張 輝
(72)【発明者】
【氏名】劉 学建
(72)【発明者】
【氏名】蒋 金弟
(72)【発明者】
【氏名】姚 秀敏
(72)【発明者】
【氏名】黄 政仁
(72)【発明者】
【氏名】陳 忠明
(57)【要約】
本発明は高熱伝導、ネットサイズ窒化珪素セラミックス基板の製造方法に関し、以下を含む:(1)窒化珪粉末及びシリコン粉末から選択される少なくとも1種の原始粉体、焼結助剤、分散剤、消泡剤、結合剤及び可塑剤を保護雰囲気中で混合した後、真空脱気して混合スラリーを得、(2)窒素雰囲気中でテープキャスティングと乾燥を行い、第1のビスケットを得、(3)得られた第1のビスケットに対して、整形前処理を行い、第2のビスケットを得、(4)得られた第2のビスケットを微正圧の窒素雰囲気中、500~900℃でデボンディングし、第3のビスケットを得、(5)得得られた第3のビスケットを窒素雰囲気中に放置し、1800~2000℃でガス圧焼結し、前記高熱伝導・ネットサイズ窒化珪素セラミックス基板を得ることを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高熱伝導性・ネットサイズの窒化珪素セラミックス基板の製造方法であって、
(1)窒化珪粉末及びシリコン粉末から選択される少なくとも1種の原始粉体、焼結助剤、分散剤、消泡剤、結合剤及び可塑剤を保護雰囲気中で混合した後、真空脱気して混合スラリーを得、前記真空脱気の真空度は-0.1~-10kPa、時間は6~24時間であり、
(2)窒素雰囲気中でテープキャスティングと温度が逓増した流動的かつ熱のN雰囲気を使用する乾燥を行い、第1のビスケットを得、
(3)得られた第1のビスケットに対して、冷間等方圧を用いて第1のビスケットを処理するための整形前処理を行い、第2のビスケットを得、
(4)得られた第2のビスケットを微正圧の窒素雰囲気中、500~900℃でデボンディングし、第3のビスケットを得、前記微正圧の窒素雰囲気の雰囲気圧力は0.12~0.2MPaであり、前記デボンディングの時間は1~3時間であり、
(5)得られた第3のビスケットを窒素雰囲気中に放置し、1800~2000℃でガス圧焼結し、前記高熱伝導・ネットサイズ窒化珪素セラミックス基板を得、前記ガス圧焼結に用いるるつぼは、高純度BNるつぼ、又は表面に高純度BNスペーサ層が付着した黒鉛るつぼであることを含む
ことを特徴とする高熱伝導性・ネットサイズの窒化珪素セラミックス基板の製造方法。
【請求項2】
ステップ(1)において、前記焼結助剤は希土類酸化物及びアルカリ土類金属酸化物であり、添加量は窒化珪粉末、シリコン粉末が完全に窒化して形成された窒化珪素及び焼結助剤の全質量の4.0~5.0wt%であり、
前記分散剤は、ポリエチレングリコール(PEG)、リン酸トリエチル(TEP)から選択される少なくとも1種であり、添加量は、窒化珪粉末、シリコン粉末が完全に窒化して形成された窒化珪素及び焼結助剤の全質量の0.2~1.0wt%であり、
前記消泡剤はオレイン酸であり、添加量は窒化珪粉末、シリコン粉末が完全に窒化して形成された窒化珪素及び焼結助剤の全質量の0.2~1.0wt%であり、
前記結合剤はポリビニルブチラール(PVB)であり、添加量は窒化珪粉末、シリコン粉末が完全に窒化して形成された窒化珪素及び焼結助剤の全質量の5~9wt%であり、
前記可塑剤は、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)及びポリエチレングリコール(PEG)から選択される少なくとも1種であり、添加量は窒化珪粉末、シリコン粉末が完全に窒化して形成された窒化珪素及び焼結助剤の全質量の2~6wt%であることを特徴とする
請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記希土類酸化物はYを含み、前記アルカリ土類金属酸化物はMgOを含むことを特徴とする
請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
ステップ(1)において、前記保護雰囲気は窒素雰囲気または不活性雰囲気であり、保護雰囲気の圧力は0.1MPaであり、前記混合の方式はボールミル混合であり、前記ボールミル混合の回転数は30~100回転/分、総時間は6~24時間であることを特徴とする
請求項1又は請求項2に記載の製造方法。
【請求項5】
窒化珪粉末とシリコン粉末のうちの少なくとも1種、焼結助剤、分散剤と消泡剤を3~12時間ボールミル混合した後、接着剤と可塑剤を加えてボールミル混合を3~12時間続けて、前記混合スラリーを得ることを特徴とする
請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
ステップ(2)において、テープキャスティング時の前記窒素雰囲気の圧力は0.1~0.2MPaであり、
乾燥を行う場合、前記窒素ガス雰囲気は流動する窒素ガスであり、圧力は0.1~0.2MPaであり、温度は40~85℃であり、乾燥の総時間は15~60分であることを特徴とする
請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
少なくとも2段階の方法で乾燥を行い、後の段階の窒素温度>前の段階の窒素温度であることを特徴とする
請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
温度が40~60℃であり、乾燥時間が5~20分である第1段階、温度が55~70℃であり、乾燥時間が5~20分である第2段階、温度が65~85℃であり、乾燥時間が5~20分である第3段階を含む3つの段階であり、第1段階の温度<第2段階の温度<第3段階の温度であることを特徴とする
請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
ステップ(3)において、前記冷間等方圧は、圧力が40~200MPaであり、時間が2~10分であることを特徴とする
請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
原始粉体にシリコン粉末が含まれる場合、シリコン粉末の質量は窒化珪粉体とシリコン粉末が完全に窒化した後に生成される窒化珪の質量の総和である原始粉体の質量の75%以上であることを特徴とする
請求項1に記載の製造方法。
【請求項11】
ガス圧焼結の前に、第3のビスケットを窒化処理し、前記窒化処理のパラメータは、窒素雰囲気が5vol%以下の水素含有量の水素/窒素混合雰囲気であり、ガスの圧力が0.1~0.2MPaであり、窒化処理温度が1350~1450℃であり、窒化処理時間が3~6時間であることを特徴とする
請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
ステップ(5)において、前記ガス圧焼結における窒素ガス雰囲気の圧力は0.5~10MPaであり、前記ガス圧焼結の保温時間は4~12時間であることを特徴とする
請求項1に記載の製造方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の製造方法により製造された高熱伝導・ネットサイズ窒化珪素セラミックス基板であって、
前記高熱伝導・ネットサイズ窒化珪素セラミックス基板の厚みが0.2~1.0mmであり、厚み均一性が±0.04mm、平面度が0~0.002mm/mm、表面粗さが0.3~0.8μmであり、前記窒化珪素セラミックス基板の熱伝導率は80W・m-1・K-1より大きいことを特徴とする
高熱伝導・ネットサイズ窒化珪素セラミックス基板。
【請求項14】
前記窒化珪素セラミックス基板の寸法が少なくとも90mm×90mmであることを特徴とする
請求項13に記載の高熱伝導・ネットサイズ窒化珪素セラミックス基板。
【請求項15】
前記窒化珪素セラミックス基板の寸法が少なくとも(114~140)mm×(114~190)mmであることを特徴とする
請求項14に記載の高熱伝導・ネットサイズ窒化珪素セラミックス基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高熱伝導・ネットサイズ窒化珪素セラミックス基板の製造方法に関し、セラミックス材料の製造分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置は大電力化、高周波化、集積化の方向に沿って急速に発展している。半導体装置の動作によって発生する熱は半導体装置の故障を引き起こす重要な要素であり、絶縁基板の熱伝導性は全体の半導体装置の放熱に影響する重要な要素である。また、電気自動車、高速鉄道などの分野では、半導体デバイスの使用中に揺れ、振動などの複雑な力学環境に直面することが多く、使用する材料の力学的信頼性に厳しい要求が出されている。
【0003】
高熱伝導性窒化珪素(Si)セラミックスは優れた力学と熱学性能を有し、優れた機械の性能と良好な高熱伝導性潜在力により窒化珪素セラミックスは既存のアルミナ、窒化アルミニウムなどの基板材料の不足を補うことが期待され、ハイエンド半導体装置、特に、高出力半導体装置の応用面では市場の見通しが高い。
【0004】
現在、窒化珪素セラミックス基板の厚さに対する商業応用の要求は0.2~0.8mm程度に集中しており、このような薄いサンプルでは成型が非常に難しい。そのため、基板の成型はそのバッチ定量化と後続応用を実現する核心技術である。現在、セラミックス基板の成型方法は主にテープキャスティング、ドライプレス成型、プレス成型などがある。その中で、ドライプレス成型の基板は粉体流動の不均一性と機械プレスのプロセス特性のため、厚さ0.5mm以下のセラミックス基板を直接製造することが困難で、厚さの正確な制御と厚さの不均一などの難題があり、そのため、後続の機械加工が必要である。プレス成型プロセスは複雑で、プロセス自体の限界性による厚さの不均一と原料の結団による塊を除去するために圧延膜を繰り返す必要があり、製造された基板は泡立ちと表面の凹凸が現れやすく、後続の銅被覆のプロセス要件を満たすために、同様に機械加工が必要となる。
【0005】
対照的に、テープキャスティングプロセスの生産効率が高く、コストが低く、全自動化を実現でき、連続のバッチ量化生産に便利で、セラミックス基板成型の最も発展の見込みと潜在力のあるプロセス技術であるが、同様に製造されたキャスティングフィルムは泡立ちやすく、割れやすく、変形し、厚さが均一ではないなどの現象があり、歩留まりの低下、平面度が低く、厚さが均一ではなく、後続の機械加工が必要であるなどの難題を招いた。一方、セラミック基板は高い平面度、均一な厚さ、表面平滑性などの特性を有することは、その後続の銅被覆技術に対する必要な条件である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中国特許出願公開第105884376号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのために、高熱伝導・ネットサイズ窒化珪素セラミックス基板の製造方法を提供し、以下を含む。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)窒化珪粉末及びシリコン粉末から選択される少なくとも1種の原始粉体、焼結助剤、分散剤、消泡剤、結合剤及び可塑剤を保護雰囲気中で混合した後、真空脱気して混合スラリーを得、前記真空脱気の真空度は-0.1~-10kPa、時間は6~24時間であり、
(2)窒素雰囲気中でテープキャスティングと温度が逓増した流動的かつ熱のN雰囲気を使用する乾燥を行い、第1のビスケットを得、
(3)得られた第1のビスケットに対して、冷間等方圧を用いて第1のビスケットを処理するための整形前処理を行い、第2のビスケットを得、
(4)得られた第2のビスケットを微正圧の窒素雰囲気中、500~900℃でデボンディングし、第3のビスケットを得、前記微正圧の窒素雰囲気の雰囲気圧力は0.12~0.2MPaであり、前記デボンディングの時間は1~3時間であり、
(5)得られた第3のビスケットを窒素雰囲気中に放置し、1800~2000℃でガス圧焼結し、前記高熱伝導・ネットサイズ窒化珪素セラミックス基板を得、前記ガス圧焼結に用いるるつぼは、高純度BNるつぼ、又は表面に高純度BNスペーサ層が付着した黒鉛るつぼであることを含む高熱伝導性・ネットサイズの窒化珪素セラミックス基板の製造方法を提供する。
【0009】
本開示では、テープキャスティングによる製造工程中のスラリー調製、真空脱気、テープキャスティング、ビスケット乾燥、ビスケット整形、デボンディングと焼結のプロセスの設計と制御を行い、キャスティング基板の発泡、割れ、変形、厚さ不均一などの難題を解決し、高熱伝導窒化珪素セラミックス基板のネットサイズ成型を実現した。
【0010】
具体的には、キャスティングスラリーの製造過程における保護雰囲気下で十分にボールミル混合し、そして低真空長時間脱気処理を結合することにより、スラリー中の気泡を減少または除去し、スラリーの凝集を減少させる目的を達成する。テープキャスティング過程における円筒形スクレーパ及びその高度の精密制御、及び温度逓増の連続的かつ熱のN雰囲気によりキャスティング膜のビスケットに対して乾燥処理措置を行って、高品質、無欠陥キャスティング膜の製造及びその厚さ均一性の精密制御を実現する。
【0011】
ボールミル混合とテープキャスティングにおけるN保護雰囲気などの措置により、窒化珪粉体原料の二次酸化を抑制し、調製した窒化珪素セラミックス基板が高い熱伝導率特性を有することを保証する。
【0012】
等方圧整形前処理により、調製したキャスティング膜の密度、厚さ均一性と平坦度をさらに高める。微正圧デボンディング技術を採用し、デボンディングにおける有機物分解によるガスの脱出速度を精密に制御することにより、ビスケットデボンディングにおける割れ、表面剥離と気泡の発生を抑制し、基板ビスケットの表面欠陥の発生を回避する。焼結における高窒素圧力焼結により、焼結過程における基板ビスケットの歪みを制御し、窒化珪素の分解を抑制し、さらに窒化珪素基板の表面粗さを精密に調整する。
【0013】
上記プロセス技術の共同作用により、最終的には高熱伝導、高平面度、高厚さ均一性、表面粗さ制御可能、表面品質にの一致の均一性の高性能窒化珪素セラミックス基板のネットサイズ製造を実現し、後続の機械加工を必要とせずに後続の銅被覆技術に直接使用することができる。
【0014】
好ましくは、ステップ(1)において、前記焼結助剤は希土類酸化物及びアルカリ土類金属酸化物であり、添加量は窒化珪粉末、シリコン粉末が完全に窒化して形成された窒化珪素及び焼結助剤の全質量の4.0~5.0wt%である。好ましくは、前記希土類酸化物はYを含み、前記アルカリ土類金属酸化物はMgOを含む。
【0015】
好ましくは、ステップ(1)において、前記分散剤は、ポリエチレングリコール(PEG)、リン酸トリエチル(TEP)から選択される少なくとも1種であり、添加量は、窒化珪粉末、シリコン粉末が完全に窒化して形成された窒化珪素及び焼結助剤の全質量の0.2~1.0wt%である。
【0016】
好ましくは、ステップ(1)において、前記消泡剤はオレイン酸であってもよく、添加量は窒化珪粉末、シリコン粉末が完全に窒化して形成された窒化珪素及び焼結助剤の全質量の0.2~1.0wt%である。
【0017】
好ましくは、ステップ(1)において、前記結合剤はポリビニルブチラール(PVB)であってもよく、添加量は窒化珪粉末、シリコン粉末が完全に窒化して形成された窒化珪素及び焼結助剤の全質量の5~9wt%である。
【0018】
好ましくは、ステップ(1)において、前記可塑剤は、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)及びポリエチレングリコール(PEG)から選択される少なくとも1種であり、添加量は窒化珪粉末、シリコン粉末が完全に窒化して形成された窒化珪素及び焼結助剤の全質量の2~6wt%である。
【0019】
好ましくは、ステップ(1)において、前記保護雰囲気は窒素雰囲気または不活性雰囲気であり、保護雰囲気の圧力は0.1MPaである。
【0020】
好ましくは、ステップ(1)において、前記混合の方式はボールミル混合であり、前記ボールミル混合の回転数は30~100回転/分、総時間は6~24時間であり、前記真空脱気の真空度は-0.1~-10kPaであり、時間は6~24時間である。
【0021】
また、好ましくは、ステップ(1)において、窒化珪粉末とシリコン粉末のうちの少なくとも1種、焼結助剤、分散剤と消泡剤を3~12時間ボールミル混合した後、接着剤と可塑剤を加えてボールミル混合を3~12時間続けて、前記混合スラリーを得る。
【0022】
好ましくは、ステップ(2)において、テープキャスティング時の窒素雰囲気の圧力は0.1~0.2MPaである。好ましくは、ステップ(2)において、テープキャスティング時の前記窒素雰囲気の圧力は0.1~0.2MPaである。
【0023】
好ましくは、ステップ(2)において、乾燥を行う場合、前記窒素ガス雰囲気は流動する窒素ガスであり、圧力は0.1~0.2MPaであり、温度は40~85℃であり、乾燥の総時間は15~60分である。
【0024】
好ましくは、少なくとも2段階の方法で乾燥を行い、後の段階の窒素温度>前の段階の窒素温度であり、より好ましくは、温度が40~60℃であり、乾燥時間が5~20分である第1段階、温度が55~70℃であり、乾燥時間が5~20分である第2段階、温度が65~85℃であり、乾燥時間が5~20分である第3段階を含む3つの段階であり、第1段階の温度<第2段階の温度<第3段階の温度である。
【0025】
好ましくは、ステップ(3)において、前記整形前処理は、冷間等方圧を用いて第1のビスケットを処理し、前記冷間等方圧は、圧力が40~200MPaであり、時間が2~10分である。
【0026】
好ましくは、ステップ(4)において、前記微正圧の窒素雰囲気の雰囲気圧力は0.1~0.2MPaであり、前記デボンディングの時間は1~3時間である。
【0027】
好ましくは、原始粉体にシリコン粉末が含まれる場合、シリコン粉末の質量は窒化珪粉体とシリコン粉末が完全に窒化した後に生成される窒化珪の質量の総和である原始粉体の質量の75%以上であり、好ましくは、ガス圧焼結の前に、第3のビスケットを窒化処理し、前記窒化処理のパラメータは、窒素雰囲気が5vol%以下の水素含有量の水素/窒素混合雰囲気であり、ガスの圧力が0.1~0.2MPaであり、窒化処理温度が1350~1450℃であり、窒化処理時間が3~6時間である。
【0028】
好ましくは、ステップ(5)において、前記ガス圧焼結における窒素ガス雰囲気の圧力は0.5~10MPaであり、前記ガス圧焼結の保温時間は4~12時間である。また、好ましくは、前記ガス圧焼結に用いられるるつぼは、高純度BNるつぼ又は表面に高純度BNスペーサ層が付着した黒鉛るつぼである。そのうち、高純度BNるつぼの純度は>99%である。高純度BNスペーサ層の純度は>99%である。
【0029】
さらに別の形態において、本発明は上述の製造方法に基づいて製造された高熱伝導・ネットサイズ窒化珪素セラミックス基板を提供し、前記高熱伝導・ネットサイズ窒化珪素セラミックス基板の厚さは0.2~1.0mm、厚さ均一性は±0.04mm、平面度は0~0.002mm/mm、表面粗さは0.3~0.8μmであり、前記窒化珪素セラミックス基板の熱伝導率は80W・m-1・K-1より大きい。基板の平面度、厚さ均一性及びその表面粗さをそれぞれ0.002mm/mm、±0.04mm及び0.3~0.8μm範囲時には、機械加工を必要とせず、後続の銅被覆技術に直接使用することができる。
【0030】
好ましくは、窒化珪素セラミックス基板の寸法は少なくとも90mm×90mmであり、好ましくは(114~140)mm×(114~190)mm。
【発明の効果】
【0031】
有益効果:本発明の顕著な特徴は、製造された窒化珪素セラミックス基板は焼結寸法と表面品質の精密制御を実現でき、後続の加工を必要とせずに直接使用でき、製造技術が簡単で、経済的で実用の特徴を有することである。本発明のもう一つの顕著な特徴は、製造プロセス中の酸化と不純物導入を制御することにより、窒化珪素セラミックス基板の高熱伝導性能を実現することである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】実施例1で製造された窒化珪素セラミックス基板を示す図である。
図2】実施例1で製造された窒化珪素セラミックス基板の微細構造である。
図3】比較例3で製造された窒化珪素セラミックス基板である。
図4】比較例5で製造された窒化珪素セラミックス基板である。
図5】表1が本発明により製造された窒化珪セラミック基板のプロセスパラメータである。
図6】表2が本発明により製造された窒化珪素セラミックス基板の性能パラメータである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明を以下の実施形態によりさらに説明するが、以下の実施形態は本発明を説明するためだけのものであり、本発明を限定するものではないことを理解すべきである。
【0034】
本開示では、テープキャスティング製造プロセス中のスラリー製造、真空脱気、テープキャスティング、ビスケット乾燥、ビスケット成型、デボンディングと焼結プロセスの設計と制御を通じて、窒化珪素セラミックス基板の発泡、割れ、変形、厚さ不均一などの難題を解決し、厚さ均一、表面気孔と色むらがなく、後続の機械加工が不要であり、後続の銅被覆プロセスの窒化珪素セラミック基板の製造に直接使用することができる。以下に、高熱伝導性・ネットサイズ窒化珪素セラミックス基板の製造方法を例示的に説明する。
【0035】
無凝集、無気泡スラリーの調製である。窒化珪粉末及びシリコン粉末の少なくとも1種、焼結助剤、分散剤、消泡剤、結合剤及び可塑剤保護雰囲気(例えばN雰囲気、圧力は0.1MPaとすることができる)下でのボールミル混合後、真空脱気を行い、凝集がなく、気泡がない混合スラリーを製造する。
【0036】
ボールミルでは、窒化珪素セラミックスを用いてボールミルを行う。ここで、焼結助剤は希土類酸化物及びアルカリ土類金属酸化物であってもよい。前記希土類酸化物は少なくともYを含み、前記アルカリ土類金属酸化物は少なくともMgOを含む。前記希土類酸化物とアルカリ土類金属酸化物とのモル比は(1.0~1.4):(2.5~2.9)であってもよい。
【0037】
前記シリコン粉末を含有する場合、前記シリコン粉末の含有量は75~100wt%であることができる。調製したスラリーを真空引き脱泡・脱気処理し、真空度は-0.1~-10kPa、脱気時間は6~24hであることができる。
【0038】
厚さが均一で、表面に気泡のないキャスティング膜ビスケットを調製した。N雰囲気(0.1~0.2MPa)下でテープキャスティングする。流動的かつ熱のN雰囲気(流速は10~1000リットル/分)で乾燥を行い、厚みが均一で表面に気泡のないキャスティング膜ビスケットの製造を実現した。
【0039】
一例として、N雰囲気下で円筒形スクレーパを用いてテープキャスティングし、スクレーパ高さを制御することによりキャスティング膜ビスケット厚さに対する調整を実現した。温度が逓増した流動的かつ熱のN雰囲気を用いてキャスティング膜ビスケットを乾燥し、熱のN雰囲気の温度範囲は40~85℃であり、雰囲気圧力は0.1~0.2MPaであることができる。
【0040】
例えば、温度段階数は2つであり、第1段階の温度は40~65℃、乾燥時間は15~30分であり、第2段階の温度範囲は60~85℃、乾燥時間は15~30分であり、且つ第1段階の温度<第2段階の温度である。例えば、温度段階数は3つであり、第1段階の温度は40~60℃、乾燥時間は5~20分、第2段階の温度範囲は55~70℃、乾燥時間は5~20分であり、第3段階の温度範囲は65~85℃、乾燥時間は5~20分であり、且つ第1段階の温度<第2段階の温度<第3段階の温度である。
【0041】
キャスティング膜ビスケットの整形前処理である。一定圧力(40~200MPa)条件下で、切断後のキャスティング膜のビスケット(基板ビスケット)に冷間等方圧整形前処理を行い、キャスティング膜の厚さに均一性と平坦度を保証する。ただし、整形前処理の時間は2~10分であってもよい。
【0042】
基板ビスケットのデボンディングである。基板ビスケットを微正圧、一定温度条件下で熱処理する。一例として、N雰囲気を通気して微小正圧を発生させることにより、雰囲気圧力は0.1~0.2MPa、処理温度は500~900℃、処理時間は1~3hとすることができる。
【0043】
基板ビスケットの窒化である。原始粉体にシリコン粉末が含まれる場合、シリコン粉末の品質は原始粉体の質量の75%以上であり、ここで、原始粉体の質量は窒化珪粉体とシリコン粉体が完全に窒化した後に生成される窒化珪素の質量の総和である。
【0044】
また、原始粉体中にシリコン粉末が含まれる場合には、水素含有量が5vol%以下の水素/窒素混合雰囲気下、一定温度条件下で基板ビスケットを窒化処理する。一例として、水素含有量が5vol%以下の水素/窒素混合雰囲気では、雰囲気圧力は0.1~0.2MPa、窒化処理温度は1350~1450℃、窒化処理時間は3~6時間であることができる。
【0045】
基板ビスケットの焼結である。高圧N雰囲気条件下でガス圧焼結を行う。一例として、基板ビスケットの焼結は、BNるつぼの中に入れて、高圧N雰囲気条件下でガス圧焼結を行い、その中でN雰囲気圧力は好ましくは0.5~10MPaであり、この範囲内で材料の力学/熱/電気特性の向上、基材表面の粗さの低減に有利である。焼結温度は1800~2000℃、保温時間は4~12時間であることができる。
【0046】
以上より、本発明における高熱伝導・ネットサイズ窒化珪素セラミックス基板の製造はすべて窒素雰囲気中で行われる。マイクロメータ試験により得られた窒化珪素セラミックス基板の厚さ均一性が0.04mmである。得られた窒化珪素セラミック基板の平面度は、プロファイル測定器により0~0.002mm/mmとすることができる。
【0047】
得られた窒化珪素セラミックス基板の表面粗さは、プロファイル測定器を用いて測定すると、0.3~0.8μmである。得られた窒化珪素セラミックス基板の前記窒化珪素セラミックス基板の熱伝導率は、レーザ熱伝導計により、測定して、80W・m-1・K-1より大きい。
【0048】
以下、さらに実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。同様に、以下の実施例は本発明をさらに説明するためだけに使用され、本発明の保護範囲の制限と理解することはできず、当業者本発明の上述の内容に基づいてなされたいくつかの非本質の改良及び調整は、いずれも本発明の保護範囲に属する。以下の具体例のプロセスパラメータなども、以下の例の具体の数値に限定するのではなく、当業者が本明細書の説明を通じて適切な範囲内で選択することができる適切な範囲の一例にすぎない。
【0049】
実施例1
まず、出発セラミック粉体(窒化珪素95g)、焼結助剤(5g、Y:MgO=1.2:2.5、モル比)、消泡剤(オレイン酸、0.5g)、分散剤(PEG、0.5g)、研磨ボール(窒化珪素ボール、200g)、有機溶剤(無水エタノール、80g)をシールされたナイロン製ボールミルタンクに入れ、真空引き後にN雰囲気保護を通気し、100rpmで4hボールミル混合し、上記スラリーにさらに結合剤(PVB、7g)と可塑剤(DBP、4g)を添加し、引き続きN雰囲気の保護でボールミルを8hした後、均一に分散し、凝集していないスラリーを得た。
【0050】
次に、調製したスラリーを真空引き脱泡・脱気処理12hを行い、真空度は-0.5kPaであった。その後、N雰囲気保護下で円筒形スクレーパを用いて上記気泡除去後のスラリーをテープキャスティングし、スクレーパの高さを制御することによりキャスティング膜ビスケットの厚さを0.4±0.04mmに正確に制御した。温度が逓増した流動的かつ熱のN雰囲気(流速100リットル/分)を用いてキャスティング膜ビスケットを乾燥し、N雰囲気圧力は0.1MPaで、温度が逓増した熱N雰囲気はそれぞれ45℃(8分)、65℃(8分)、80℃(8分)などの前、中、後の3段からなる。
【0051】
自動スライサーを用いて143.0mm×143.0mmの角板に切断し、100MPaで5分間冷間等方圧整形処理を行った。整形後の基板ビスケットを0.15MPaのN雰囲気下で、700℃で温度保持し2hデボンディングした。デボンディング後の基板ビスケットを高純度BNるつぼ(純度>99%)に入れてからガス圧焼結炉に入れ、5MPaのN雰囲気下で1900℃で保温し10h焼結した後、炉に従って室温まで冷却した。
【0052】
本実施例1で製造した窒化珪素セラミックス基板は図1を参照し、寸法は114.4mm×114.4mm、寸法偏差±0.1mm、厚さ0.32±0.02mm、平面度0.2mm、表面粗さ0.4μmであった。材料の熱伝導率は95W/(m・K)、曲げ強度は780MPaである。この基板は後続の機械加工を必要とせず、後続の銅被覆プロセスに直接使用することができる。その断面微細構造は図2を見て、微細構造は均一で、緻密である。
【0053】
実施例2~5
原料配合比と組成、プロセスは実施例1を参照し、スラリー調製、真空脱気、テープキャスティング、ビスケット成型、デボンディング及び焼成接合プロセスなどの具体のパラメータを図5中の表1に示し、製造した基板材料の特性を図6中の表2に示す。
【0054】
実施例6
まず、出発セラミック粉体(窒化珪素3g、シリコン粉末55g)、焼結助剤(4.5g、Y:MgO=1.1:2.9、モル比)、消泡剤(オレイン酸、0.3g)、分散剤(PEG、0.3g)、研磨ボール(窒化珪素ボール、120g)、有機溶媒(無水エタノール、50g)をシールされたナイロン製ボールミルタンクに入れ、真空引き後N雰囲気保護に通し、100rpmで4hボールミル混合し、上記スラリーにさらに結合剤(PVB、5g)と可塑剤(DBP、3g)を加え、引き続きN雰囲気保護下で8hボールミルした後、均一に分散し、凝集していないスラリーを得た。
【0055】
次に、調製したスラリーを真空引き脱泡・脱気処理を12h行い、真空度は-0.5kPaであった。その後、N保雰囲気保護下で円筒形スクレーパを用いて上記気泡除去後のスラリーをテープキャスティングし、スクレーパ高さを制御することによりキャスティング膜ビスケット厚さを0.5±0.05mmに正確に制御した。温度が逓増した流動的かつ熱のN雰囲気(流速50リットル/分)を用いてキャスティング膜ビスケットを乾燥し、N雰囲気圧力は0.2MPaで、温度が逓増した熱N雰囲気はそれぞれ45℃(6分)、65℃(6分)、80℃(6分)などの前、中、後の3段からなる。
【0056】
自動スライサーで142.6mm×194.4mmの角板に切断し、150MPaで3分間冷間等方圧整形処理を行った。整形後の基板ビスケットを0.15MPaのN雰囲気下で、700℃で温度保持し2hデボンディングした。デボンディング後の基板ビスケットを0.2MPaN(5%H含有)雰囲気下で1450℃で6h窒化処理した。窒化処理後の基板ビスケットを高純度BNるつぼ(純度>99%)に入れた後、ガス圧焼結炉に入れ、5MPaのN雰囲気下で、1900℃で10h保温焼結した後、炉に従って室温まで冷却した。調製した基板材料の特性を表2に示す。
【0057】
実施例7~9
原料配合比と組成、プロセスは実施例6を参照し、スラリー製造、真空脱気、テープキャスティング、ビスケット成型、デボンディング、窒化処理と焼結プロセスなどの具体のパラメータは表1に示し、製造した基板材料の特性は表2に示した通りである。
【0058】
実施例10
本実施例10における窒化珪素セラミックス基板の製造は実施例1を参照し、違いは、自動スライサーを用いて200mm×200mmの角板に切断し、100MPaで冷間等方圧整形したことであった。
【0059】
実施例11
本実施例11における窒化珪素セラミックス基板の製造過程は実施例6を参照し、違いは、自動スライサーを用いて200mm×200mmの角板に切断し、100MPaで冷間等方圧整形したことであった。
【0060】
比較例1
原料の配合比と組成、スラリーの調製、真空脱気、テープキャスティング、デボンディングと焼結プロセスなどの具体のパラメータを表1に示し、プロセスプロセスは実施例1を参照し、違いは、ビスケット整形前処理を行っていないことである。調製した基板材料の特性を表2に示す。テープキャスティング基板ビスケットに対して等方圧整形前処理を行っていないため、調製基板の厚さ均一性と平面度は明らかに低下し、熱伝導率もわずかに低下した。
【0061】
比較例2
原料の配合比と組成、スラリーの調製、真空脱気、テープキャスティング、ビスケット成型、デボンディングと焼結プロセスなどの具体のパラメータを表1に示し、プロセスは実施例1を参照し、違いは、高窒素ガス圧力を用いて高温焼結を行わず、0.1MPaのN保護雰囲気のみを採用することであった。調製した基板材料の特性を表2に示す。調製基板の表面粗さは、高窒素雰囲気のガス圧焼結を用いないため明らかに増大し、後続の銅被覆プロセスによる基板表面粗さの要求を満たすことができなかった。
【0062】
比較例3
原料配合比と組成、スラリー調製、真空脱気、テープキャスティング、ビスケット成型、デボンディングと焼結プロセスなどの具体のパラメータは表1に示し、プロセスは実施例1を参照して、違いは、微正圧デボンディングを採用していない(真空条件デボンディングを採用する)ことである。調製した基板材料の特性を表2に示す。真空デボンディングを採用するため、有機物がデボンディング過程で分解してガスを発生する脱出速度は制御できない(速すぎ)、調製した基板表面に局所的にマイクロクラックの欠陥が存在する(図3参照)。
【0063】
比較例4
原料配合比と組成、スラリー製造、テープキャスティング、ビスケット成型、デボンディングと焼結プロセスなどの具体のパラメータを表1に示し、プロセスは実施例1を参照し、違いは、真空脱気措置を採用していないことである。調製した基板材料の特性を表2に示す。真空脱気措置を採用していないため、スラリー中に少量の気泡が存在し、調製した基板表面には小さな気泡欠陥が局所的に存在する。
【0064】
比較例5
原料配合比と組成、スラリー調製、真空脱気、テープキャスティング、ビスケット成型、デボンディングと焼結プロセスなどの具体のパラメータは表1に示す通りで、プロセスは実施例1を参照して、違いは、高純度BN坩堝を窒化珪基板ビスケット高温焼結用容器として採用していないで、直接黒鉛坩堝中に置くことである。調製した基板材料の特性を表2に示す。高純度BNるつぼを採用していないため、黒鉛るつぼは基板を汚染しやすく、製造された基板の表面均一性が悪く、局所の色むら欠陥が存在する(図4参照)。
【0065】
比較例6
原料配合比と組成、スラリー調製、真空脱気、テープキャスティング、ビスケット成型、デボンディングと焼結プロセスなどの具体のパラメータを表1に示し、プロセスプロセスは実施例1を参照し、違いは、スラリーのボールミルプロセスに空気雰囲気を採用することである。窒素ガス雰囲気保護を採用していないため、窒化珪粉体原料はボールミル加工中にある程度の酸化し、製造された窒化珪素セラミックス基板の熱伝導率が低い。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-08-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高熱伝導性・ネットサイズの窒化珪素セラミックス基板の製造方法であって、
(1)窒化珪粉末及びシリコン粉末から選択される少なくとも1種の原始粉体、焼結助剤、分散剤、消泡剤、結合剤及び可塑剤を保護雰囲気中で混合した後、真空脱気して混合スラリーを得、前記真空脱気の真空度は-0.1~-10kPa、時間は6~24時間であり、
(2)窒素雰囲気中でテープキャスティングと温度が逓増した流動的かつ熱のN雰囲気を使用する乾燥を行い、第1のビスケットを得、
(3)得られた第1のビスケットに対して、冷間等方圧を用いて第1のビスケットを処理するための整形前処理を行い、第2のビスケットを得、
(4)得られた第2のビスケットを微正圧の窒素雰囲気中、500~900℃でデボンディングし、第3のビスケットを得、前記微正圧の窒素雰囲気の雰囲気圧力は0.12~0.2MPaであり、前記デボンディングの時間は1~3時間であり、
(5)得られた第3のビスケットを窒素雰囲気中に放置し、1800~2000℃でガス圧焼結し、前記高熱伝導・ネットサイズ窒化珪素セラミックス基板を得、前記ガス圧焼結に用いるるつぼは、高純度BNるつぼ、又は表面に高純度BNスペーサ層が付着した黒鉛るつぼであることを含む
ことを特徴とする高熱伝導性・ネットサイズの窒化珪素セラミックス基板の製造方法。
【請求項2】
ステップ(1)において、前記焼結助剤は希土類酸化物及びアルカリ土類金属酸化物であり、添加量は窒化珪粉末、シリコン粉末が完全に窒化して形成された窒化珪素及び焼結助剤の全質量の4.0~5.0wt%であり、
前記分散剤は、ポリエチレングリコール(PEG)、リン酸トリエチル(TEP)から選択される少なくとも1種であり、添加量は、窒化珪粉末、シリコン粉末が完全に窒化して形成された窒化珪素及び焼結助剤の全質量の0.2~1.0wt%であり、
前記消泡剤はオレイン酸であり、添加量は窒化珪粉末、シリコン粉末が完全に窒化して形成された窒化珪素及び焼結助剤の全質量の0.2~1.0wt%であり、
前記結合剤はポリビニルブチラール(PVB)であり、添加量は窒化珪粉末、シリコン粉末が完全に窒化して形成された窒化珪素及び焼結助剤の全質量の5~9wt%であり、
前記可塑剤は、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)及びポリエチレングリコール(PEG)から選択される少なくとも1種であり、添加量は窒化珪粉末、シリコン粉末が完全に窒化して形成された窒化珪素及び焼結助剤の全質量の2~6wt%であることを特徴とする
請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記希土類酸化物はYを含み、前記アルカリ土類金属酸化物はMgOを含むことを特徴とする
請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
ステップ(1)において、前記保護雰囲気は窒素雰囲気または不活性雰囲気であり、保護雰囲気の圧力は0.1MPaであり、前記混合の方式はボールミル混合であり、前記ボールミル混合の回転数は30~100回転/分、総時間は6~24時間であることを特徴とする
請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
ステップ(2)において、テープキャスティング時の前記窒素雰囲気の圧力は0.1~0.2MPaであり、
乾燥を行う場合、前記窒素ガス雰囲気は流動する窒素ガスであり、圧力は0.1~0.2MPaであり、温度は40~85℃であり、乾燥の総時間は15~60分であることを特徴とする
請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
ステップ(3)において、前記冷間等方圧は、圧力が40~200MPaであり、時間が2~10分であることを特徴とする
請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
ステップ(5)において、前記ガス圧焼結における窒素ガス雰囲気の圧力は0.5~10MPaであり、前記ガス圧焼結の保温時間は4~12時間であることを特徴とする
請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の製造方法により製造された高熱伝導・ネットサイズ窒化珪素セラミックス基板であって、
前記高熱伝導・ネットサイズ窒化珪素セラミックス基板の厚みが0.2~1.0mmであり、厚み均一性が±0.04mm、平面度が0~0.002mm/mm、表面粗さが0.3~0.8μmであり、前記窒化珪素セラミックス基板の熱伝導率は80W・m -1 ・K -1 より大きいことを特徴とする
高熱伝導・ネットサイズ窒化珪素セラミックス基板
【請求項9】
前記窒化珪素セラミックス基板の寸法が少なくとも90mm×90mmであることを特徴とする
請求項8に記載の高熱伝導・ネットサイズ窒化珪素セラミックス基板
【請求項10】
前記窒化珪素セラミックス基板の寸法が少なくとも(114~140)mm×(114~190)mmであることを特徴とする
請求項9に記載の高熱伝導・ネットサイズ窒化珪素セラミックス基板
【国際調査報告】