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特表2024-503608マスクを重ね合わせて製造する高解像度OLED
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-26
(54)【発明の名称】マスクを重ね合わせて製造する高解像度OLED
(51)【国際特許分類】
   H10K 71/16 20230101AFI20240119BHJP
   H10K 59/35 20230101ALI20240119BHJP
   H10K 59/121 20230101ALI20240119BHJP
   C23C 14/04 20060101ALI20240119BHJP
   C23C 14/24 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
H10K71/16
H10K59/35
H10K59/121
C23C14/04 A
C23C14/24 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540470
(86)(22)【出願日】2021-11-12
(85)【翻訳文提出日】2023-08-25
(86)【国際出願番号】 US2021059154
(87)【国際公開番号】W WO2022150100
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】17/142,853
(32)【優先日】2021-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チェン, チャン-チア
(72)【発明者】
【氏名】クワク, ビョン スン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィッサー, ロバート ジェイ.
【テーマコード(参考)】
3K107
4K029
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107CC04
3K107CC35
3K107DD50
3K107DD71
3K107DD74
3K107EE21
3K107FF00
3K107FF15
3K107GG04
3K107GG33
4K029HA03
(57)【要約】
本開示の実施形態は、エレクトロルミネッセンス(EL)素子のアレイを形成するため及び重なり合ったマスクプレートを用いてEL素子を形成するための装置及び方法に関する。該方法は、第1のマスクプレートの第1の開孔と第2のマスクプレートの第2の開孔とが重なり合って1つ以上の開口領域を形成するマスク配置が形成されるように、第1のマスクプレートと前記第2のマスクプレートとを重ね合わせることを利用する。EL素子の素子領域に材料の層が形成されるように、マスク配置を通して材料が蒸着される。EL素子の各々の素子領域は、第1のマスクプレート及び第2のマスクプレートのマスク配置の開口領域に対応する。本明細書に記載される方法は、より高密度のEL素子を可能にし、マスク配置の開口領域により、より小さい堆積領域を生成する。
【選択図】図2E
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のエレクトロルミネッセンス(EL)素子の1つ以上の第1の群を含むアレイを有する基板に隣接して、第1のマスクプレート及び第2のマスクプレートを配置することであって、前記第1のマスクプレートの第1の開孔と前記第2のマスクプレートの第2の開孔とが重なり合って1つ以上の開口領域を形成するマスク配置が形成されるように、前記第1のマスクプレートと前記第2のマスクプレートとが重ね合わされる、配置すること、並びに
前記1つ以上の開口領域を通して材料を蒸着させて、前記第1のEL素子の各々の素子領域上に前記材料の1つ以上の第1の層を堆積することであって、前記第1のEL素子の各々の前記素子領域が前記第1のマスクプレート及び前記第2のマスクプレートの前記マスク配置の前記開口領域に対応する、堆積すること
を含む、方法。
【請求項2】
前記1つ以上の第1の群が、前記第1のEL素子に隣接する第2のEL素子をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上の開口領域を通して前記材料を蒸着させて、前記第2のEL素子の各々の素子領域上に前記材料の1つ以上の第2の層を堆積することをさらに含み、前記第2のEL素子の各々の前記素子領域が前記第1のマスクプレート及び前記第2のマスクプレートの前記マスク配置の前記1つ以上の開口領域に対応する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アレイが、前記第1のEL素子及び前記第2のEL素子の1つ以上の第2の群及び1つ以上の第3の群をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上の第2の群の前記第1のEL素子の素子領域上に前記材料の前記1つ以上の第1の層を堆積すること、及び前記1つ以上の第2の群の前記第2のEL素子の素子領域上に前記材料の前記1つ以上の第2の層を堆積することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上の第3の群の前記第1のEL素子の素子領域上に前記材料の前記1つ以上の第1の層を堆積すること、及び前記1つ以上の第3の群の前記第2のEL素子の素子領域上に前記材料の前記1つ以上の第2の層を堆積することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記材料がキャッピング層又は有機層であり、前記有機層が、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、発光層(EML)、電子輸送層(ETL)、又は電子注入層(EIL)のうちの1つ以上を含む複数の有機副層を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上の第1の群に堆積された前記材料が第1の光を放射し、前記1つ以上の第2の群に堆積された前記材料が第2の光を放射し、前記1つ以上の第3の群に堆積された前記材料が第3の光を放射する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上の開口領域を通して前記材料を蒸着させて前記第1のEL素子の各々の前記素子領域上に前記材料の前記1つ以上の第1の層を堆積することが、第1の熱蒸着チャンバ内で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上の開口領域を通して前記材料を蒸着させて前記第2のEL素子の各々の前記素子領域上に前記材料の前記1つ以上の第2の層を堆積することが、第2の熱蒸着チャンバ内で行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上の開口領域が約20μm未満の幅及び約20μm未満の長さを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のマスクプレート及び前記第2のマスクプレートが1つ以上のフレームに連結される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記アレイが少なくとも約400のピクセル/インチ(PPI)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記アレイが、前記第1のEL素子と前記第1のEL素子に隣接する第2のEL素子の2つ以上の群をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
第1のエレクトロルミネッセンス(EL)素子の1つ以上の第1の群を含むアレイを有する基板に隣接して、第1のマスクプレート及び第2のマスクプレートを配置することであって、前記第1のマスクプレートの第1の開孔と前記第2のマスクプレートの第2の開孔とが重なり合って1つ以上の開口領域を形成するマスク配置が形成されるように、前記第1のマスクプレートと前記第2のマスクプレートとが重ね合わされる、配置すること、及び
前記1つ以上の開口領域を通して有機層の材料を蒸着させて、前記第1のEL素子の各々の素子領域上に前記有機層の前記材料の1つ以上の第1の層を堆積することであって、前記第1のEL素子の各々の前記素子領域が前記第1のマスクプレート及び前記第2のマスクプレートの前記マスク配置の前記1つ以上の開口領域に対応する、堆積すること
を含む、方法。
【請求項16】
前記1つ以上の第1の群が、前記第1のEL素子に隣接する第2のEL素子をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記アレイが、前記第1のEL素子及び前記第2のEL素子の2つ以上の群をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記材料がキャッピング層又は有機層であり、前記有機層が、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、発光層(EML)、電子輸送層(ETL)、又は電子注入層(EIL)のうちの1つ以上を含む複数の有機副層を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
第1のマスクプレートと第2のマスクプレートとに連結されたフレームであって、前記第1のマスクプレートが第1の開孔を含み、前記第2のマスクプレートが第2の開孔を含む、フレーム、及び
前記第1のマスクプレートの前記第1の開孔を前記第2のマスクプレートの前記第2の開孔と重ねることによって形成される1つ以上の開口領域を含むマスク配置であって、前記開口領域が、パターン化されるエレクトロルミネッセンス素子の素子領域を画成する、マスク配置
を含む、装置。
【請求項20】
前記1つ以上の開口領域が約20μm未満の幅及び約20μm未満の長さを含む、請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、エレクトロルミネッセンス(EL)素子に関する。より詳細には、本明細書に記載される実施形態は、EL素子のアレイを形成するため及び重なり合ったマスクプレートを用いてEL素子を形成するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
EL素子の形成に用いられる有機発光ダイオード(OLED)技術は、多くの利点(例えば、高効率、広い視野角、高速応答、及び潜在的に低コスト)を提供する、重要な次世代ディスプレイ技術となっている。加えて、効率の向上の結果として、OLEDは一部の照明用途についても実用化されてきている。今日の電子機器製造者は、ほんの数年前よりも高い解像度を提供しつつ、これらのデバイスのサイズを縮小することを推進している。
【0003】
これらのEL素子のアレイの形成は、個別のEL素子をパターン化するために用いられるマスクによって制限される。現在、小さい堆積領域での高密度EL素子のパターン化は高価であり、またマスクの物理的制限はEL素子の性能の低下につながる。
【0004】
したがって、EL素子のアレイを形成してEL素子の密度を高め、かつ素子の性能の向上をもたらす、改良された方法が当技術分野で必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態では、方法が提供される。該方法は、第1のエレクトロルミネッセンス(EL)素子の1つ以上の第1の群を含むアレイを有する基板に隣接して、第1のマスクプレート及び第2のマスクプレートを配置することを含む。第1のマスクプレートの第1の開孔と第2のマスクプレートの第2の開孔とが重なり合って1つ以上の開口領域を形成するマスク配置が形成されるように、第1のマスクプレートと第2のマスクプレートとが重ね合わされる。該方法は、1つ以上の開口領域を通して材料を蒸着させて、第1のEL素子の各々の素子領域上に材料の1つ以上の第1の層を堆積することをさらに含む。第1のEL素子の各々の素子領域は、第1のマスクプレート及び第2のマスクプレートのマスク配置の開口領域に対応する。
【0006】
別の実施形態では、方法が提供される。該方法は、第1のEL素子の1つ以上の第1の群を含むアレイを有する基板に隣接して、第1のマスクプレート及び第2のマスクプレートを配置することを含む。第1のマスクプレートの第1の開孔と第2のマスクプレートの第2の開孔とが重なり合って1つ以上の開口領域を形成するマスク配置が形成されるように、第1のマスクプレートと第2のマスクプレートとが重ね合わされる。該方法は、1つ以上の開口領域を通して有機層の材料を蒸着させて、第1のEL素子の各々の素子領域上に有機層の材料の1つ以上の第1の層を堆積することをさらに含む。第1のEL素子の各々の素子領域は、第1のマスクプレート及び第2のマスクプレートのマスク配置の1つ以上の開口領域に対応する。
【0007】
別の実施形態では、装置が提供される。装置はフレームを含む。フレームは、第1のマスクプレート及び第2のマスクプレートに連結される。第1のマスクプレートは第1の開孔を含み、第2のマスクプレートは第2の開孔を含む。装置はマスク配置をさらに含む。マスク配置は、第1のマスクプレートの第1の開孔を第2のマスクプレートの第2の開孔と重ねることによって形成される1つ以上の開口領域を含む。開口領域は、パターン化されるエレクトロルミネッセンス素子の素子領域を画成する。
【0008】
本開示の上記特徴を詳細に理解することができるように、その一部が添付の図面に示されている実施形態を参照することにより、上に簡単に要約されている本開示のより詳細な説明を得ることができる。しかしながら、添付の図面は例示的な実施形態を示しているにすぎず、したがって、その範囲を限定するとみなすべきではなく、他の等しく有効な実施形態も許容されうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本明細書に記載される実施形態による、エレクトロルミネッセンス(EL)素子のアレイの概略的な上面図
図1B】本明細書に記載される実施形態による、EL素子の概略的な断面図
図2A】本明細書に記載される実施形態による、熱蒸着チャンバの概略的な断面図
図2B】本明細書に記載される実施形態による、熱蒸着チャンバの概略的な断面図
図2C】本明細書に記載される実施形態による、マスク配置の概略的な上面図
図2D】本明細書に記載される実施形態による、マスク配置の概略的な上面図
図2E】本明細書に記載される実施形態による、マスク配置の概略的な上面図
図3A】本明細書に記載される実施形態による、処理システムの概略図
図3B】本明細書に記載される実施形態による、処理システムの概略図
図4】本明細書に記載される実施形態による、EL素子のアレイを形成する方法のフロー図
図5A】本明細書に記載される実施形態による、EL素子のアレイの概略的な上面図
図5B】本明細書に記載される実施形態による、EL素子のアレイの概略的な上面図
図5C】本明細書に記載される実施形態による、EL素子のアレイの概略的な上面図
図5D】本明細書に記載される実施形態による、EL素子のアレイの概略的な上面図
図5E】本明細書に記載される実施形態による、EL素子のアレイの概略的な上面図
図5F】本明細書に記載される実施形態による、EL素子のアレイの概略的な上面図
図5G】本明細書に記載される実施形態による、EL素子のアレイの概略的な上面図
図5H】本明細書に記載される実施形態による、EL素子のアレイの概略的な上面図
図5I】本明細書に記載される実施形態による、EL素子のアレイの概略的な上面図
図6】本明細書に記載される実施形態による、EL素子のアレイを形成する方法のフロー図
図7A】本明細書に記載される実施形態による、EL素子のアレイの概略的な上面図
図7B】本明細書に記載される実施形態による、EL素子のアレイの概略的な上面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を容易にするため、可能な場合には、図面に共通する同一の要素を示すために同一の参照番号が用いられる。一実施形態の要素及び特徴は、さらなる記載がなくとも、他の実施形態に有益に組み込むことができることが想定されている。
【0011】
本開示の実施形態は、概して、エレクトロルミネッセンス(EL)素子に関する。より詳細には、本明細書に記載される実施形態は、EL素子のアレイを形成するため及び重なり合ったマスクプレートを用いてEL素子を形成するための装置及び方法に関する。本明細書に記載される方法から形成されるEL素子は、マスクの重なりにより、改善されたピクセル密度を有する。一実施形態では、方法が提供される。該方法は、第1のEL素子の1つ以上の第1の群を含むアレイを有する基板に隣接して、第1のマスクプレート及び第2のマスクプレートを配置することを含む。第1のマスクプレートの第1の開孔と第2のマスクプレートの第2の開孔とが重なり合って1つ以上の開口領域を形成するマスク配置が形成されるように、第1のマスクプレートと第2のマスクプレートとが重ね合わされる。該方法は、1つ以上の開口領域を通して材料を蒸着させて、第1のEL素子の各々の素子領域上に材料の1つ以上の第1の層を堆積することをさらに含む。第1のEL素子の各々の素子領域は、第1のマスクプレート及び第2のマスクプレートのマスク配置の開口領域に対応する。
【0012】
図1Aは、エレクトロルミネッセンス(EL)素子100のアレイ10の概略的な上面図である。EL素子100及びアレイ10は、本明細書に記載される方法400及び600によって製造することができる。アレイ10は基板110上に形成される。ある特定の実施形態では、EL素子100は、OLEDディスプレイのピクセル又はサブピクセルでありうる。アレイ10の例には、上面発光型アクティブマトリクスOLEDディスプレイ(上面発光型AMOLED)又は下面発光型アクティブマトリクスOLEDディスプレイ(下面発光型AMOLED)が含まれうる。アレイ10は、他のOLEDディスプレイに適用することができる。幾つかの例では、EL素子100の幅104及び長さ106は20μm以下でありうる。例えば、幅104及び長さ106は10μm未満である。別の例では、幅104及び長さ106は1μmから5μmの間である。EL素子100の素子領域108は400μm以下でありうる。図1AのEL素子100は正方形の形状を有するように示されているが、EL素子100は、円形、三角形、又は長方形などの任意の形状を有することができる。アレイ10は、該アレイ10の1インチの線内に、ピクセル又はサブピクセル(例えば、EL素子100)の数に関連する、ピクセル/インチ(PPI)を有する。
【0013】
本明細書に記載される実施形態では、群102は、通電されたときに白色、赤色、緑色、青色、又は他の色の光を放射するように構成されたEL素子100を含む。群102は、EL素子100の行、列、パンタイル、又は他の配置に対応しうる。例えば、群102Aは、第1の光(例えば、赤色光)を放射するように構成された第1のEL素子100Aを含み、群102Bは、第2の光(例えば、緑色光)を放射するように構成された第2のEL素子100Bを含み、群102Cは、第3の光(例えば、青色光)を放射するように構成された第3のEL素子100Cを含む。本明細書に記載される方法400によって製造される図5A~5Iのアレイ10、並びに本明細書に記載される方法600によって製造される図7A及び7Bのアレイ10は、複数の群102A、102B、及び102Cを含む。図1A図5A~5I、並びに図7A及び7Bのアレイ10には3つの群102A、102B、及び102Cだけが示されているが、アレイ10は、3つより多いEL素子100の群を含むことができる。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、第4のEL素子を含む第4の群は、第4の光(例えば、白色光)を放射するように構成される。EL素子100は、各群内で特定の光を放射することに限定されない。EL素子100の各群102は、任意の色の光を放射するように動作可能である。
【0014】
図1Bは、EL素子100の概略的な断面図である。EL素子100は、少なくとも基板110、ピクセル画定層(PDL)120、底部電極層130、有機層140、上部電極層150、及びキャッピング層160を含む。カプセル化層170(図示せず)をキャッピング層及び上部電極層150の上に堆積することもできる。有機層140は、通電されたときに白色、赤色、緑色、青色、又は他の色の光を放射するように構成される。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、有機層140は複数の有機副層を含む。複数の有機副層は、正孔注入層(HIL)141、正孔輸送層(HTL)142、発光層(EML)143、電子輸送層(ETL)144、又は電子注入層(EIL)145のうちの1つ以上を含む。有機層140は、図示された形態に特に限定されない。例えば、本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、1つ以上の有機副層が有機層140から省略されてもよい。さらに別の実施形態では、1つ以上の追加の有機副層が有機層140に追加されてもよい。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができるさらに別の実施形態では、有機層140は、複数の有機副層が反転されるように反転されてもよい。
【0015】
本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、複数の有機副層の他の層がブランケット層として堆積されている間に、複数の有機副層の層がパターン化される。例えば、EML143は、ファインメタルマスク(FMM)を使用してEL素子100上にパターン化される。EML143は隣接するPDL120間に堆積される。EIL145、ETL144、HIL141、及びHTL142は、オープンマスクを使用して堆積されたブランケット層であり、したがって、以前に堆積された層と共形となる。
【0016】
本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、底部電極層130は基板110の上に配置される。基板110は、ケイ素、ガラス、石英、プラスチック、又は金属箔材料のうちの1つ以上から形成することができる。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、底部電極層130は、該底部電極層130が隣接するPDL120の側壁と接触するように、隣接するPDL120間にパターン化される(図1Bに示される)。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができるさらに別の実施形態では、底部電極層130はアノードである。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、底部電極層130は単層でありうる。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、底部電極層130は多層スタックでありうる。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができるさらに別の実施形態では、底部電極層130は反射性でありうる。
【0017】
有機層140は、底部電極層130及びPDL120の上に配置される。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、有機層140は底部電極層130及びPDL120に対して共形でありうる。上部電極層150は有機層140及びPDL120の上に配置される。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、上部電極層150はカソードである。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、上部電極層150は有機層140に対して共形でありうる。
【0018】
キャッピング層160は上部電極層150の上に配置される。キャッピング層160は、EL素子100の保護を提供しつつ、光抽出特性を変更する。キャッピング層160は、限定はしないが、有機材料(例えば、N,N’-ビス(ナフタレン(napthalen)-1-イル)-N,N’-ビス(フェニル)ベンジジン、又はNPB)、無機材料、樹脂、又はそれらの組合せなど、OLED製造に組み込むことができる任意の適切な材料を含みうる。一実施形態では、カプセル化層(図示せず)が、キャッピング層160及び上部電極150層の上に配置される。カプセル化層は、有機材料と誘電体材料の層を交互に重ねることによって形成される。誘電体材料は、窒化ケイ素(SiNx)、酸化ケイ素(SiOx)、又は酸窒化ケイ素(SiON)などの無機材料を含むが、これらに限定されない。
【0019】
図2A及び図2Bは、熱蒸着チャンバ200A、200Bの概略的な断面図である。熱蒸着チャンバ200A、200Bは蒸着源202を含む。図2A及び2Bには点状源で示されているが、線状源又は面状源などの異なるタイプの蒸着源を採用することもできる。蒸着源202は、熱蒸着チャンバ200A、200B内の材料203を蒸着させるように動作可能である。熱蒸着チャンバ200Aは、基板110と蒸着源202との間に配置されたフレーム205を含む。フレーム205は、第2のマスクプレート208の下に配置された第1のマスクプレート206を含む。第1のマスクプレート206及び第2のマスクプレート208は、フレーム205に連結(例えば、溶接)される。熱蒸着チャンバ200Bは、基板110と蒸着源202との間に配置された、第1のフレーム207及び第2のフレーム209を含む。第1のフレーム207は、第2のフレーム209の下に配置される。第1のマスクプレート206と第2のマスクプレート208は、1つ以上のマスク配置201において互いに重なり合って配置される。
【0020】
有機層140(HIL141、HTL142、EML143、ETL144、又はEIL145のうちの1つ以上を含む)、上部電極層150、又はキャッピング層160のうちの1つ以上は、熱蒸着プロセスによって堆積させることができる。熱蒸着プロセスは、蒸着のために(図2A及び2Bに示されるように)材料203が内部に配置された蒸着源202を利用する。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、材料203は昇華材料又は溶融材料である。蒸着源202が加熱され、材料203がガス化温度に達する。材料203のガス化温度に達した後、材料203は気体となり、共通のマスクを通過して材料のブランケット堆積を形成するか、又はマスクプレート(マスク配置201など)の開孔を通過してEL素子100の群102を形成する。気体分子は基板110上に配置され、温度が下がるにつれて固体状の分子になる。材料の固体状の分子は蓄積し、ゆっくりと基板110上に層を形成する。材料203は、有機層140、上部電極層150、又はキャッピング層160の材料のうちの1つを含む。材料203がブランケット堆積となる実施形態では、共通のマスクが用いられてもよい。例えば、上部電極層150は、共通のマスクを通して堆積される。
【0021】
材料203がパターン化される実施形態では、上述のマスク配置201が用いられる。第1のマスクプレート206及び第2のマスクプレート208の機能は、アレイのEL素子100の各々に対応する素子領域108上に材料を蒸着させることである。マスク配置201は、素子領域108をEL素子100の各々に制限する開口領域216(図2C~2Eに示される)を含む。したがって、マスク配置201は、20μm未満の幅104及び長さ106を有するEL素子100を形成するために利用される。マスク配置201は、第1のマスクプレート206と第2のマスクプレート208とを重ねることによって形成される。マスク配置201は、20μm未満の幅218及び長さ220を有する開口領域216を含む。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、本明細書に記載される方法400及び600は、EL素子100が400より高いPPIを有する、材料203の1つ以上の層を堆積する。
【0022】
図2C~2Eは、マスク配置201の概略的な上面図である。マスク配置201は、第2のマスクプレート208と重なる第1のマスクプレート206を含む。第1のマスクプレート206は、第2のマスクプレート208の第2の開孔212と重なる第1の開孔210を含み、開口領域216を形成する。開口領域216は幅218及び長さ220を含む。第1の開孔210及び第2の開孔212の各々は、開孔幅222及び開孔長さ224を有する。幅218及び長さ220はそれぞれ20μm未満である。幅218及び長さ220は、開孔幅222及び開孔長さ224よりも小さい。図2C~2Eに示されるように、第1の開孔210の開孔幅222及び開孔長さ224は、第2の開孔212の開孔幅222及び開孔長さ224に等しい。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、第1の開孔210の開孔幅222は第2の開孔212の開孔幅222とは異なる。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、第1の開孔210の開孔長さ224は第2の開孔212の開孔長さ224とは異なる。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができるさらに別の実施形態では、第1の開孔210の隣接する第1の開孔210同士の開孔幅222及び開孔長さ224は等しくない。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができるさらに別の実施形態では、第2の開孔212の隣接する第2の開孔212同士の開孔幅222及び開孔長さ224は等しくない。
【0023】
開口領域216は、EL素子100の各々の素子領域108に対応する。蒸着源によって加熱された材料203は、ガス化温度に達して気体となり、昇華し、第1のマスクプレート206及び第2のマスクプレート208のマスク配置201の開口領域216を通過する。材料203は、本明細書に記載される方法400及び600によるアレイ10の1つ以上の群102A、102B、及び102CのEL素子100の層を形成する。材料203の層は、有機層140又はキャッピング層160のうちの1つに対応する。図2C~2Eの開口領域216は正方形又は長方形の形状を有するように示されているが、開口領域216は、円形、三角形、又は多角形などの任意の形状を有することができる。
【0024】
第1のマスクプレート206の第1の開孔210と第2のマスクプレート208の第2の開孔212は、異なるマスク配置201を生成するように重ね合わせることができる。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、図2C~2Eに示されるように、第1の開孔210が第2の開孔212と重なる数の比は1:Nであり、Nは任意の整数である。例えば、図2C及び2Dに示されるように、第1の開孔210が第2の開孔212と重なる比率は1:1である。図2Eに示されるように、第1の開孔210が第2の開孔212と重なる比率は1:4である。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、第1の開孔210が第2の開孔212と重なる数の比率はN:1であり、Nは任意の整数である。Nが1より大きい実施形態では、マスク配置201を通して蒸着される材料203は、方法600の利用を可能にするPPIをもたらしうる。単一の堆積ステップで400より高いPPIなどの所望のPPIを達成するために複数の堆積ステップは必要とされないことから、方法600は、熱蒸着チャンバ306R、306G、306B(図3Bに示される)内での単一の堆積ステップを提供する。
【0025】
図3Aは、本明細書に記載される、処理システム300Aの概略図である。処理システム300Aは、EL素子100のアレイ10を形成することができるマルチチャンバシステムである。処理システム300Aは、本明細書に記載される方法400において利用される。処理システム300Aは、1つ以上のチャンバ301を含む。1つ以上のチャンバ301は、1つ以上の初期層を堆積するように構成される。1つ以上の初期層は、有機層140(HIL141又はHTL142のうちの1つ以上を含む)を含みうる。1つ以上のチャンバ301は、1つ以上の初期層を連続的に堆積するように動作可能である。1つ以上のチャンバ301は、真空条件下での熱蒸着、インクジェット印刷、蒸気ジェット印刷、又は任意の他の適切な技法、又はそれらの組合せ用に構成されたチャンバを含むが、それらに限定されない。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、1つ以上の初期層は、真空条件下で熱蒸着を使用して堆積される。
【0026】
処理システム300Aは、熱蒸着チャンバ302R及び304Rを含む。熱蒸着チャンバ302R、304Rは、図2Aの熱蒸着チャンバ200A又は図2Bの熱蒸着チャンバ200Bのうちの一方である。熱蒸着チャンバ302R、304Rは、有機層140(HIL141、HTL142、EML143、ETL144、又はEIL145のうちの1つ以上を含む)又はキャッピング層160のうちの1つ以上に対応する材料203を堆積するように動作可能である。熱蒸着チャンバ302R、304Rは、EL素子100上に材料203を堆積する。熱蒸着チャンバ302R、304Rのうちの一方におけるマスク配置201は、第1の開孔210及び第2の開孔212の長さ及び幅より小さい長さ220及び幅218を有する開口領域216を含む。マスク配置201を使用して、EL素子100上に材料203を堆積することができる。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、有機層140は、熱蒸着チャンバ302R、304R内でEL素子100上に堆積される。有機層140は第1の光(例えば、赤色光)を放射する。
【0027】
処理システム300Aは、熱蒸着チャンバ302G及び304Gを含む。熱蒸着チャンバ302G、304Gは、図2Aの熱蒸着チャンバ200A又は図2Bの熱蒸着チャンバ200Bのうちの一方である。熱蒸着チャンバ302G、304Gは、有機層140(HIL141、HTL142、EML143、ETL144、又はEIL145のうちの1つ以上を含む)又はキャッピング層160のうちの1つ以上に対応する材料203を堆積するように動作可能である。熱蒸着チャンバ302G、304Gは、EL素子100上に材料203を堆積する。熱蒸着チャンバ302G、304Gのうちの一方におけるマスク配置201は、第1の開孔210及び第2の開孔212の長さ及び幅より小さい長さ220及び幅218を有する開口領域216を含む。マスク配置201を使用して、EL素子100上に材料203を堆積することができる。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、有機層140は、熱蒸着チャンバ302G、304G内でEL素子100上に堆積される。有機層140は第2の光(例えば、緑色光)を放射する。
【0028】
処理システム300Aは熱蒸着チャンバ302B、304Bを含む。熱蒸着チャンバ302B、304Bは、図2Aの熱蒸着チャンバ200A又は図2Bの熱蒸着チャンバ200Bのうちの一方である。熱蒸着チャンバ302B、304Bは、有機層140(HIL141、HTL142、EML143、ETL144、又はEIL145のうちの1つ以上を含む)又はキャッピング層160のうちの1つ以上に対応する材料203を堆積するように動作可能である。熱蒸着チャンバ302B、304Bは、EL素子100上に材料203を堆積する。熱蒸着チャンバ302B、304Bのうちの一方におけるマスク配置201は、第1の開孔210及び第2の開孔212の長さ及び幅より小さい長さ220及び幅218を有する開口領域216を含む。マスク配置201を使用して、EL素子100上に材料203を堆積することができる。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、有機層140は、熱蒸着チャンバ302B、304B内でEL素子100上に堆積される。有機層140は第3の光(例えば、青色光)を放射する。
【0029】
処理システム300Aは1つ以上のチャンバ303を含む。1つ以上のチャンバ303は、1つ以上の連続層を堆積するように構成される。1つ以上の連続層は、有機層140(ETL144又はEIL145のうちの1つ以上を含む)、上部電極層150、又はキャッピング層160を含みうる。1つ以上のチャンバ303は、1つ以上の連続層を連続的に堆積するように動作可能である。1つ以上のチャンバ303は、真空下での熱蒸着、インクジェット印刷、蒸気ジェット印刷、スパッタリング、又は任意の他の適切な技法、又はそれらの組合せ用に構成されたチャンバを含むが、それらに限定されない。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、1つ以上の連続層は、真空条件下で熱蒸着を使用して堆積される。
【0030】
図3Bは、本明細書に記載される処理システム300Bの概略図である。処理システム300Bは、EL素子100のアレイ10を形成することができるマルチチャンバシステムである。処理システム300Bは、本明細書に記載される方法600において利用される。処理システム300Bは1つ以上のチャンバ301を含む。1つ以上のチャンバ301は、1つ以上の初期層を堆積するように構成される。1つ以上の初期層は、有機層140(HIL141又はHTL142のうちの1つ以上を含む)を含みうる。1つ以上のチャンバ301は、1つ以上の初期層を連続的に堆積するように動作可能である。1つ以上のチャンバ301は、真空下での熱蒸着、インクジェット印刷、蒸気ジェット印刷、又は任意の他の適切な技法、又はそれらの組合せ用に構成されたチャンバを含むが、それらに限定されない。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、1つ以上の初期層は、真空条件下で熱蒸着を使用して堆積される。
【0031】
処理システム300Bは熱蒸着チャンバ306Rを含む。熱蒸着チャンバ306Rは、図2Aの熱蒸着チャンバ200A又は図2Bの熱蒸着チャンバ200Bのうちの1つである。熱蒸着チャンバ306Rは、有機層140(HIL141、HTL142、EML143、ETL144、又はEIL145のうちの1つ以上を含む)又はキャッピング層160のうちの1つ以上に対応する材料203を堆積するように動作可能である。熱蒸着チャンバ306Rは、EL素子100上に材料203を堆積する。熱蒸着チャンバ306R内のマスク配置201は、第1の開孔210及び第2の開孔212の長さ及び幅より小さい長さ220及び幅218を有する開口領域216を含む。マスク配置201を使用して、EL素子100上に材料203を堆積することができる。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、有機層140は熱蒸着チャンバ306R内でEL素子100上に堆積される。有機層140は第1の光(例えば、赤色光)を放射する。
【0032】
処理システム300Bは熱蒸着チャンバ306Gを含む。熱蒸着チャンバ306Gは、図2Aの熱蒸着チャンバ200A又は図2Bの熱蒸着チャンバ200Bのうちの一方である。熱蒸着チャンバ306Gは、有機層140(HIL141、HTL142、EML143、ETL144、又はEIL145のうちの1つ以上を含む)又はキャッピング層160のうちの1つ以上に対応する材料203を堆積するように動作可能である。熱蒸着チャンバ306GはEL素子100上に材料203を堆積する。熱蒸着チャンバ306G内のマスク配置201は、第1の開孔210及び第2の開孔212の長さ及び幅より小さい長さ220及び幅218を有する開口領域216を含む。マスク配置201を使用して、EL素子100上に材料203を堆積することができる。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、有機層140は、熱蒸着チャンバ306G内でEL素子100上に堆積される。有機層140は第2の光(例えば、緑色光)を放射する。
【0033】
処理システム300Bは熱蒸着チャンバ306Bを含む。熱蒸着チャンバ306Bは、図2Aの熱蒸着チャンバ200A又は図2Bの熱蒸着チャンバ200Bのうちの一方である。熱蒸着チャンバ306Bは、有機層140(HIL141、HTL142、EML143、ETL144、又はEIL145のうちの1つ以上を含む)又はキャッピング層160のうちの1つ以上に対応する材料203を堆積するように動作可能である。熱蒸着チャンバ306Bは、EL素子100上に材料203を堆積する。熱蒸着チャンバ306Bにおけるマスク配置201は、第1の開孔210及び第2の開孔212の長さ及び幅より小さい長さ220及び幅218を有する開口領域216を含む。マスク配置201を使用して、EL素子100上に材料203を堆積することができる。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、有機層140は、熱蒸着チャンバ306B内でEL素子100上に堆積される。有機層140は第3の光(例えば、青色光)を放射する。
【0034】
処理システム300Bは1つ以上のチャンバ303を含む。1つ以上のチャンバ303は、1つ以上の連続層を堆積するように構成される。1つ以上の連続層は、有機層140(ETL144又はEIL145のうちの1つ以上を含む)、上部電極層150、又はキャッピング層160を含みうる。1つ以上のチャンバ303は、1つ以上の連続層を連続的に堆積するように動作可能である。1つ以上のチャンバ303は、真空下での熱蒸着、インクジェット印刷、蒸気ジェット印刷、スパッタリング、又は任意の他の適切な技法、又はそれらの組合せ用に構成されたチャンバを含むが、それらに限定されない。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、1つ以上の連続層は、真空条件下で熱蒸着を使用して堆積される。
【0035】
図4は、EL素子100のアレイ10を形成する方法400のフロー図である。図5A~5Iは、本明細書に記載される実施形態による、EL素子100のアレイ10の概略的な上面図である。説明を容易にするため、方法400は、図3Aの処理システム300Aを参照して説明される。しかしながら、処理システム300A以外の処理システムを方法400と組み合わせて利用することができることに留意されたい。
【0036】
動作401では、図5A、5D、及び5Gに示されるように、材料203の1つ以上の第1の層504が堆積される。1つ以上の第1の層504は、アレイ10の群102Aの第1のEL素子501上に堆積される。第1のEL素子501はEL素子100に対応する。材料203は、有機層140(HIL141、HTL142、EML143、ETL144、又はEIL145のうちの1つ以上を含む)又はキャッピング層160のうちの1つ以上を含む。材料203の1つ以上の第1の層504は、処理システム300Aの熱蒸着チャンバ302R内で第1のEL素子501上に堆積される。熱蒸着チャンバ302Rは、図2Aの熱蒸着チャンバ200A又は図2Bの熱蒸着チャンバ200Bのうちの一方である。
【0037】
熱蒸着チャンバ200A、200Bのうちの一方は、材料203を気体になるまで加熱する。材料203は昇華し、マスク配置201の開口領域216を通過する。図5Aに示されるように、材料203の1つ以上の第1の層504は、図2Cのマスク配置201に対応する素子領域108上に堆積される。図5Dに示されるように、材料203の1つ以上の第1の層504は、図2Dのマスク配置201に対応する素子領域108上に堆積される。図5Gに示されるように、材料203の1つ以上の第1の層504は、図2Eのマスク配置201に対応する素子領域108上に堆積される。第1のEL素子501は、幅104及び長さ106を有し、20μm未満でありうる。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、材料203は有機層140に対応する。有機層140に対応する材料203はマスク配置201を通過し、第1のEL素子501の1つ以上の第1の層504を形成する。有機層140は第1の光(例えば、赤色光)を放射する。
【0038】
動作401の前に、1つ以上の初期層が堆積される。1つ以上の初期層は、有機層140(HIL141又はHTL142のうちの1つ以上を含む)を含みうる。1つ以上の初期層は、PDL120及び底部電極層130の上に堆積される。1つ以上の初期層は、処理システム300Aの1つ以上のチャンバ301によって堆積される。1つ以上の初期層は、連続して堆積される。チャンバ301は、真空下での熱蒸着、インクジェット印刷、蒸気ジェット印刷、又は任意の他の適切な技法、又はそれらの組合せ用に構成されたチャンバなど、1つ以上の初期層の堆積に適した任意のチャンバでありうる。
【0039】
動作402では、図5B、5E、及び5Hに示されるように、材料203の1つ以上の第2の層506が堆積される。1つ以上の第2の層506は、アレイ10の群102Aの第2のEL素子502上に堆積される。第2のEL素子502はEL素子100に対応する。材料203は、有機層140(HIL141、HTL142、EML143、ETL144、又はEIL145のうちの1つ以上を含む)又はキャッピング層160のうちの1つ以上を含む。材料203の1つ以上の第2の層506は、処理システム300Aの熱蒸着チャンバ304R内で第2のEL素子502上に堆積される。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、熱蒸着チャンバ304Rは、熱蒸着チャンバ200A、200Bのうちの一方に対応する。
【0040】
熱蒸着チャンバ200A、200Bのうちの一方は、材料203を気体になるまで加熱する。材料203は昇華し、マスク配置201の開口領域216を通過する。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、マスク配置201は、1つ以上の第2の層506が1つ以上の第1の層504に隣接して配置されるようにシフトされる。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、基板110は、1つ以上の第2の層506が1つ以上の第1の層504に隣接して配置されるようにシフトされる。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができるさらに別の実施形態では、マスク配置201の開口領域216は、1つ以上の第1の層504に隣接する1つ以上の第2の層506を堆積するためにシフトする必要がないように位置決めされる。図5Bに示されるように、材料203の1つ以上の第2の層506は、図2Cのマスク配置201に対応する素子領域108上に堆積される。図5Eに示されるように、材料203の1つ以上の第2の層506は、図2Dのマスク配置201に対応する素子領域108上に堆積される。図5Hに示されるように、材料203の1つ以上の第2の層506は、図2Eのマスク配置201に対応する素子領域108上に堆積される。第2のEL素子502は幅104及び長さ106を有し、20μm未満でありうる。
【0041】
本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、材料203は有機層140に対応する。有機層140に対応する材料203はマスク配置201を通過し、第2のEL素子502の1つ以上の第2の層506を形成する。有機層140は第1の光(例えば、赤色光)を放射する。図5A~5Iの第1のEL素子501及び第2のEL素子502は正方形又は長方形の形状を有するように示されているが、第1のEL素子501及び第2のEL素子502は、円形、三角形、又は多角形などの任意の形状を有することができる。
【0042】
動作403では、図5C、5F、及び5Iに示されるように、動作401及び402が繰り返される。動作401及び402は、繰り返されて、群102B及び102Cの材料203の1つ以上の第1の層504及び材料203の1つ以上の第2の層506を堆積する。1つ以上の第1の層504は第1のEL素子501上に堆積され、1つ以上の第2の層506は第2のEL素子502上に堆積される。群102Bの1つ以上の第1の層504は、処理システム300Aの熱蒸着チャンバ302G内で堆積される。群102Bの1つ以上の第2の層506は、処理システム300Aの熱蒸着チャンバ304G内で堆積される。群102Cの1つ以上の第1の層504は、処理システム300Aの熱蒸着チャンバ302B内で堆積される。群102Cの1つ以上の第2の層506は、処理システム300Aの熱蒸着チャンバ304B内で堆積される。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、マスク配置201は、1つ以上の群102B及び102Cが1つ以上の群102Aに隣接して配置されるようにシフトされる。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる別の実施形態では、基板110は、1つ以上の群102B及び102Cが1つ以上の群102Aに隣接して配置されるようにシフトされる。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができるさらに別の実施形態では、マスク配置201の開口領域216は、1つ以上の群102Aに隣接する1つ以上の群102B及び102Cを堆積するためにシフトする必要がないように位置決めされる。
【0043】
図5Cに示されるように、材料203の1つ以上の第1の層504と1つ以上の第2の層506は、図2Cのマスク配置201に対応する素子領域108上に堆積される。図5Fに示されるように、材料203の1つ以上の第1の層504と1つ以上の第2の層506は、図2Dのマスク配置201に対応する素子領域108上に堆積される。図5Iに示されるように、材料203の1つ以上の第1の層504と1つ以上の第2の層506は、図2Eのマスク配置201に対応する素子領域108上に堆積される。EL素子100のより小さい素子領域108及びより高い密度は、マスク配置201を備えたチャンバからの繰り返し堆積によって実現することができる。動作403の完了後、アレイ10は少なくとも400のPPIを有する。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、材料203は有機層140に対応する。群102Bの材料203は第2の光(例えば、緑色光)を放射する。群102Cの材料203は第3の光(例えば、青色光)を放射する。
【0044】
動作403の後に、1つ以上の連続層が堆積される。1つ以上の連続層は、有機層140(ETL144又はEIL145のうちの1つ以上を含む)、上部電極層150、又はキャッピング層160を含みうる。1つ以上の連続層は、処理システム300Aの1つ以上のチャンバ303によって堆積される。1つ以上の連続層は、連続して堆積される。チャンバ303は、真空下での熱蒸着、インクジェット印刷、蒸気ジェット印刷、スパッタリング、又は任意の他の適切な技法、又はそれらの組合せ用に構成されたチャンバなど、1つ以上の連続層の堆積に適した任意のチャンバでありうる。
【0045】
図6は、EL素子100のアレイ10を形成する方法600のフロー図である。図7A及び7Bは、本明細書に記載される実施形態による、EL素子100のアレイ10の概略的な上面図である。説明を容易にするため、方法600は、図3Bの処理システム300Bを参照して説明される。しかしながら、処理システム300B以外の処理システムを方法600と組み合わせて利用することができることに留意されたい。
【0046】
動作601では、図7Aに示されるように、材料203の1つ以上の層704が堆積される。1つ以上の層704は、アレイ10の群102AのEL素子100上に堆積される。材料203は、有機層140(HIL141、HTL142、EML143、ETL144、又はEIL145のうちの1つ以上を含む)又はキャッピング層160のうちの1つ以上を含む。材料203の1つ以上の層704は、処理システム300Bの熱蒸着チャンバ306R内でEL素子100上に堆積される。熱蒸着チャンバ306Rは、図2Aの熱蒸着チャンバ200A又は図2Bの熱蒸着チャンバ200Bのうちの一方である。
【0047】
熱蒸着チャンバ200A、200Bのうちの一方は、材料203を気体になるまで加熱する。材料203は昇華し、マスク配置201の開口領域216を通過する。図7Aに示されるように、材料203の1つ以上の層704は、図2Eのマスク配置201に対応する素子領域108上に堆積される。EL素子100は、幅104及び長さ106を有し、20μm未満でありうる。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、材料203は有機層140に対応する。有機層140に対応する材料203はマスク配置201を通過し、EL素子100の1つ以上の層704を形成する。有機層140は、第1の光(例えば、赤色光)を放射する。
【0048】
図2Eのマスク配置201は、アレイ10が第2の層堆積プロセスを必要としないPPIを有するように、EL素子100上に1つ以上の層704を堆積して、アレイ10を形成する。第1のマスクプレート206の第1の開孔210及び第2のマスクプレート208の第2の開孔212の適切な設計及び配置により、1つ以上の開口領域216を形成して、単一の熱蒸着チャンバ内で高いピクセル密度を達成することができる。アレイ10のPPIは少なくとも400である。したがって、群102Aの1つ以上の層704は、単一の熱堆積チャンバ306R内で堆積される。
【0049】
動作601の前に、1つ以上の初期層が堆積される。1つ以上の初期層は、有機層140(HIL141又はHTL142のうちの1つ以上を含む)を含みうる。1つ以上の初期層は、PDL120及び底部電極層130の上に堆積される。1つ以上の初期層は、処理システム300Bの1つ以上のチャンバ301によって堆積される。1つ以上の初期層は、連続して堆積される。チャンバ301は、真空下での熱蒸着、インクジェット印刷、蒸気ジェット印刷、又は任意の他の適切な技法、又はそれらの組合せ用に構成されたチャンバなど、1つ以上の初期層の堆積に適した任意のチャンバでありうる。
【0050】
動作602では、図7Bに示されるように、動作601が繰り返される。動作601は、繰り返されて、群102B及び102Cの材料203の1つ以上の層704を堆積する。1つ以上の層704は、EL素子100上に堆積される。群102Bの1つ以上の層704は、処理システム300Bの熱蒸着チャンバ306G内で堆積される。群102Cの1つ以上の層704は、処理システム300Bの熱蒸着チャンバ306B内で堆積される。図7Bに示されるように、材料203の1つ以上の層704は、図2Eのマスク配置201に対応する素子領域108上に堆積される。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態では、材料203は有機層140に対応する。群102Bの材料203は第2の光(例えば、緑色光)を放射する。群102Cの材料203は第3の光(例えば、青色光)を放射する。図7A及び7BのEL素子100は正方形又は長方形の形状を有するように示されているが、EL素子100は、円形、三角形、又は多角形などの任意の形状を有することができる。
【0051】
動作602の後に、1つ以上の連続層が堆積される。1つ以上の連続層は、有機層140(ETL144又はEIL145のうちの1つ以上を含む)、上部電極層150、又はキャッピング層160を含みうる。1つ以上の連続層は、処理システム300Bの1つ以上のチャンバ303によって堆積される。1つ以上の連続層は、連続して堆積される。チャンバ303は、真空下での熱蒸着、インクジェット印刷、蒸気ジェット印刷、スパッタリング、又は任意の他の適切な技法、又はそれらの組合せ用に構成されたチャンバなど、1つ以上の連続層の堆積に適した任意のチャンバでありうる。
【0052】
まとめると、本明細書に記載される実施形態は、EL素子のアレイを形成する方法、及び重なり合ったマスクプレートを用いてEL素子を形成する方法に関する。この方法は、第1のマスクプレートの第1の開孔と第2のマスクプレートの第2の開孔とが重なり合って1つ以上の開口領域を形成するマスク配置が形成されるように、第1のマスクプレートと第2のマスクプレートとを重ね合わせることを利用する。EL素子の素子領域に材料の層が形成されるように、マスク配置を通して材料が蒸着される。EL素子の各々の素子領域は、第1のマスクプレート及び第2のマスクプレートのマスク配置の開口領域に対応する。本明細書に記載される方法は、より高密度のEL素子を可能にし、マスク配置の開口領域に起因してより小さい堆積領域を生成する。
【0053】
以上の説明は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲を逸脱することなく、本開示の他の実施形態及びさらなる実施形態が考案されてよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図6
図7A
図7B
【国際調査報告】