(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-26
(54)【発明の名称】ゲートオールアラウンドFETアーキテクチャ用の閾値電圧調節
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20240119BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20240119BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240119BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240119BHJP
H01L 21/8238 20060101ALI20240119BHJP
【FI】
H01L29/78 301G
H01L21/316 X
H01L21/31 C
H01L29/78 301Y
H01L29/78 301X
H01L27/088 C
H01L27/092 D
H01L27/092 A
H01L27/088 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023542923
(86)(22)【出願日】2021-11-17
(85)【翻訳文提出日】2023-09-07
(86)【国際出願番号】 US2021059779
(87)【国際公開番号】W WO2022159165
(87)【国際公開日】2022-07-28
(32)【優先日】2021-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ハン, スティーヴン シー.エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】コロンボー, ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ミョンソン
(72)【発明者】
【氏名】ガンディコッタ, シュリーニヴァース
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, イーシオン
(72)【発明者】
【氏名】レンチ, ジャックリーン サマンサ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, ヨン
【テーマコード(参考)】
5F045
5F048
5F058
5F140
【Fターム(参考)】
5F045AA06
5F045AA08
5F045AA15
5F045AB31
5F045AC07
5F045AC11
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5F140BE16
5F140BE17
5F140BE18
5F140BF05
5F140BF07
(57)【要約】
ゲートスタック構造を形成する方法が、基板上に形成された半導体構造上の高誘電率ゲート誘電体層上に双極子金属層を形成すること、双極子金属層をアニーリングすること、及び双極子金属層を除去することを含む。双極子金属層は、高誘電率ゲート誘電体層内のドーパントを含む。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲートスタック構造を形成する方法であって、
基板上に形成された半導体構造上の高誘電率ゲート誘電体層上に双極子金属層を形成すること、
前記双極子金属層をアニーリングすること、及び
前記双極子金属層を除去することを含み、
前記双極子金属層は、前記高誘電率ゲート誘電体層内のドーパントを含む、方法。
【請求項2】
前記双極子金属層を形成することは、
前記半導体構造上に前記双極子金属層をブランケット堆積させること、及び
前記双極子金属層をパターニングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記高誘電率ゲート誘電体層は、酸化ハフニウム(HfO
2)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記双極子金属層は、ランタン(La)含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記双極子金属層は、アルミニウム(Al)を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記双極子金属層は、ニオブ(Nb)含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記双極子金属層は、3Åと20Åとの間の厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ゲートスタック構造を形成する方法であって、
基板上に形成された半導体構造上の高誘電率ゲート誘電体層上にp型仕事関数調整層を形成すること、
前記p型仕事関数調整層上にn型仕事関数調整層を形成すること、
前記n型仕事関数調整層上に高誘電率ゲート誘電体キャップ層を形成すること、及び
前記高誘電率ゲート誘電体キャップ層上に金属ゲート電極を形成することを含み、
前記p型仕事関数調整層は、p型ドープされた導電性材料を含み、
前記n型仕事関数調整層は、n型ドープされた導電性材料を含む、方法。
【請求項9】
前記金属ゲート電極は、タングステン(W)を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記p型仕事関数調整層は、p型ドープされた導電性材料を含み、5Åと30Åとの間の厚さを有する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記n型仕事関数調整層は、n型ドープされた導電性材料を含み、5Åと30Åとの間の厚さを有する、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
半導体構造上にゲートスタック構造を形成する方法であって、
半導体構造上に界面層を形成すること、
前記界面層上に高誘電率ゲート誘電体層を形成すること、
前記高誘電率ゲート誘電体層上に、前記高誘電率ゲート誘電体層内のドーパントを含む双極子金属層を形成すること、
前記双極子金属層をアニーリングすること、
前記双極子金属層を除去すること、
前記高誘電率ゲート誘電体層上に第1の高誘電率誘電体キャップ層を形成すること、
前記高誘電率ゲート誘電体層上にp型仕事関数調整層を形成すること、
前記高誘電率ゲート誘電体層上にn型仕事関数調整層を形成すること、
前記p型仕事関数調整層及び前記n型仕事関数調整層上に第2の高誘電率誘電体キャップ層を形成すること、並びに
前記第2の高誘電率誘電体キャップ層上に金属ゲート電極を形成することを含み、
前記p型仕事関数調整層は、p型ドープされた導電性材料を含み、
前記n型仕事関数調整層は、n型ドープされた導電性材料を含む、方法。
【請求項13】
前記双極子金属層を形成することは、
前記高誘電率ゲート誘電体層上に前記双極子金属層をブランケット堆積させること、及び
前記双極子金属層をパターニングすることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記高誘電率ゲート誘電体層は、酸化ハフニウム(HfO
2)を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記双極子金属層は、ランタン(La)含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記双極子金属層は、アルミニウム(Al)又はニオブ(Nb)含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記金属ゲート電極は、タングステン(W)を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記p型仕事関数調整層は、p型ドープされた導電性材料を含み、5Åと30Åとの間の厚さを有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記n型仕事関数調整層は、n型ドープされた導電性材料を含み、5Åと30Åとの間の厚さを有する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の高誘電率誘電体キャップ層と前記第2の高誘電率誘電体キャップ層は、各々、窒化チタン(TiN)を含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本明細書で説明される実施形態は、広くは、半導体デバイス製造に関し、特に、ゲートオールアラウンド電界効果トランジスタ(FET)内にゲートスタックを形成するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)における電力、タイミング、及び面積の制約について最適化を行うために、複数の閾値電圧Vt(マルチVt)技法が一般に採用されている。低閾値電圧Vt(低Vt)モジュールは、入力信号に応じて迅速にスイッチングするが、より多くの漏れ電力を消費する。高閾値電圧Vt(高Vt)モジュールは、スイッチング速度が遅いが、漏れ電力の消費は少ない。典型的な電力最適化設計では、最も少ない電力損失で速度及び面積の制約を満たすために、低Vtモジュールと高Vtモジュールが混在する。
【0003】
[0003] MOSFETにおける閾値電圧Vtは、従来、高誘電率(high-k)/金属ゲートスタック内に界面双極子層を挿入するか、又はゲート電極に仕事関数調整層を追加することによって調節されている。しかし、従来のVt調節方法は、ゲートがチャネルの4辺全てに置かれるゲートオールアラウンドFET(GAA FET)などの、10~15nm以下の技術ノード向けのアーキテクチャとは相容れない可能性がある。
【0004】
[0004] したがって、調節された閾値電圧Vtを持つ、より新規でより小さいFETデバイスを製造し得るシステム及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 本開示の複数の実施形態は、ゲートスタック構造を形成する方法を提供する。該方法は、基板上に形成された半導体構造上の高誘電率ゲート誘電体層上に双極子金属層(dipole metal layer)を形成すること、双極子金属層をアニーリングすること、及び双極子金属層を除去することを含む。双極子金属層は、高誘電率ゲート誘電体層内のドーパントを含む。
【0006】
[0006] 本開示の複数の実施形態は、ゲートスタック構造を形成する方法も提供する。該方法は、基板上に形成された半導体構造上の高誘電率ゲート誘電体層上にp型仕事関数調整層を形成すること、高誘電率ゲート誘電体層上にn型仕事関数調整層を形成すること、並びにp型仕事関数調整層及びn型仕事関数調整層上に金属ゲート電極を形成することを含む。p型仕事関数調整層は、p型ドープされた導電性材料を含み、n型仕事関数調整層は、n型ドープされた導電性材料を含む。
【0007】
[0007] 本開示の複数の実施形態は、半導体構造上にゲートスタック構造を形成する方法を更に提供する。該方法は、半導体構造上に界面層を形成すること、界面層上に高誘電率ゲート誘電体層を形成すること、高誘電率ゲート誘電体層上に高誘電率ゲート誘電体層内のドーパントを含む双極子金属層を形成すること、双極子金属層をアニーリングすること、双極子金属層除去すること、高誘電率ゲート誘電体層上に第1の高誘電率誘電体キャップ層を形成すること、高誘電率ゲート誘電体層上にp型仕事関数調整層を形成すること、高誘電率ゲート誘電体層上にn型仕事関数調整層を形成すること、p型仕事関数調整層及びn型仕事関数調整層上に第2の高誘電率誘電体キャップ層を形成すること、並びに第2の高誘電率誘電体キャップ層上に金属ゲート電極を形成することを含む。p型仕事関数調整層は、p型ドープされた導電性材料を含み、n型仕事関数調整層は、n型ドープされた導電性材料を含む。
【0008】
[0008] 上述の本開示の特徴を詳細に理解し得るように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明が、実施形態を参照することによって得られ、一部の実施形態は、付随する図面に例示されている。しかし、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを例示しており、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容し得るので、添付の図面は、本開示の範囲を限定すると見なすべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】[0009] 一実施形態よる例示的なマルチチャンバ処理システムの上面概略図である。
【
図2A】[0010]
図2A及び
図2Bは、一実施形態による半導体構造を形成する方法のプロセスフロー図を描く。
【
図2B】
図2A及び
図2Bは、一実施形態による半導体構造を形成する方法のプロセスフロー図を描く。
【
図3A】[0011] 一実施形態による半導体構造の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0013] 理解を容易にするために、可能な場合には、図面に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号が使用された。一実施形態の要素及び特徴は、追加の記述がなくても、他の複数の実施形態に有益に組み込むことができると考えられている。
【0011】
[0014] 本明細書で説明される複数の実施形態は、調節された閾値電圧Vtを持つゲートオールアラウンド(GAA)FETなどの、極めて微細化されたプロセスノード用のトランジスタデバイスを形成するためのシステム及び方法を提供する。このようなデバイスでは、従来の二酸化ケイ素(SiO2)ゲート誘電体の代わりに、高誘電率誘電材料(例えば、酸化ハフニウム(HfO2))が、ゲート誘電体として使用され、従来の多結晶シリコン(ポリシリコン)ゲートの代わりに、金属層(例えば、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W))、又は導電性化合物層(例えば、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN))が、ゲート電極として使用される。閾値電圧Vtは、高誘電率ゲート誘電体内に双極子層を誘起すること、ゲート電極に仕事関数調整層を追加すること、及びそれらの厚さを調節すること、又はこれらの組み合わせによって調節される。
【0012】
[0015]
図1は、本開示の幾つかの実施例によるマルチチャンバ処理システム100の一実施例の概略上面図である。処理システム100は、概して、ファクトリインターフェース102、ロードロックチャンバ104、106、それぞれの移送ロボット112、114を有する移送チャンバ108、110、保持チャンバ116、118、及び処理チャンバ120、122、124、126、128、130を含む。本明細書で詳述されるように、処理システム100内のウエハは、処理システム100の外部の周囲環境(例えば、製造工場内などに存在してよい大気周囲環境)にウエハを曝露することなしに、様々なチャンバ内で処理され、様々なチャンバの間で移送され得る。例えば、ウエハは、処理システム100内でウエハに対して実行される様々なプロセスの間に低圧又は減圧環境を壊すことなしに、低圧(例えば、約300Torr以下)又は減圧環境において、様々なチャンバ内で処理され、様々なチャンバの間で移送され得る。したがって、処理システム100は、ウエハの幾つかの処理向けに統合された解決策を提供してよい。
【0013】
[0016] 本明細書で提供される教示に従って適切に改変されてよい処理システムの例には、カリフォルニア州サンタクララに所在するアプライドマテリアルズ社(Applied Materials, Inc.)から入手可能なEndura(登録商標)、Producer(登録商標)、若しくはCentura(登録商標)集積処理システム、又は他の適切な処理システムが含まれる。他の処理システム(他の製造業者からのものを含む)が、本明細書で説明される複数の態様から利益を受けるように適合されてよいことも考慮されている。
【0014】
[0017]
図1で示されている一実施例では、ファクトリインターフェース102が、ウエハの移送を容易にするために、ドッキングステーション140及びファクトリインターフェースロボット142を含む。ドッキングステーション140は、1以上の前方開口型統一ポッド(FOUP)144を受容するように構成されている。幾つかの実施例では、各ファクトリインターフェースロボット142が、概して、ファクトリインターフェース102からロードロックチャンバ104、106へウエハを移送するように構成されたそれぞれのファクトリインターフェースロボット142の一端に配置されたブレード148を備える。
【0015】
[0018] ロードロックチャンバ104、106は、ファクトリインターフェース102に結合されたそれぞれのポート150、152、及び移送チャンバ108に結合されたそれぞれのポート154、156を有する。移送チャンバ108は、保持チャンバ116、118に結合されたそれぞれのポート158、160、及び処理チャンバ120、122に結合されたそれぞれのポート162、164を更に有する。同様に、移送チャンバ110は、保持チャンバ116、118に結合されたそれぞれのポート166、168、及び処理チャンバ124、126、128、130に結合されたそれぞれのポート170、172、174、176を有する。ポート154、156、158、160、162、164、166、168、170、172、174、176は、例えば、移送ロボット112、114によってそこを貫通してウエハを移送するための、及び、それぞれのチャンバの間でガスが通過することを防止するためにそれぞれのチャンバの間に密封を提供するための、スリットバルブを有するスリットバルブ開口部であり得る。概して、任意のポートは、そこを貫通してウエハを移送するために開かれる。そうでなければ、ポートは閉じられる。
【0016】
[0019] ロードロックチャンバ104、106、移送チャンバ108、110、保持チャンバ116、118、及び処理チャンバ120、122、124、126、128、130は、ガス及び圧力制御システム(特に図示せず)に流体結合されてよい。ガス及び圧力制御システムは、1以上のガスポンプ(例えば、ターボポンプ、クライオポンプ、ラフィングポンプ)、ガス源、様々なバルブ、及び様々なチャンバに流体結合された導管を含み得る。動作では、ファクトリインターフェースロボット142が、ウエハをFOUP144からポート150又は152を貫通してロードロックチャンバ104又は106に移送する。次いで、ガス及び圧力制御システムは、ロードロックチャンバ104又は106をポンプダウンする。ガス及び圧力制御システムは、移送チャンバ108、110及び保持チャンバ116、118を、内部低圧又は減圧環境(不活性ガスを含んでよい)で更に維持する。したがって、ロードロックチャンバ104又は106のポンプダウンは、例えば、ファクトリインターフェース102の大気環境と移送チャンバ108の低圧又は減圧環境との間で、ウエハを通過させることを容易にする。
【0017】
[0020] ウエハがポンプダウンされたロードロックチャンバ104又は106内にある状態で、移送ロボット112は、ウエハをロードロックチャンバ104又は106からポート154又は156を貫通して移送チャンバ108の中に移送する。次いで、移送ロボット112は、処理のためにそれぞれのポート162、164を貫通して処理チャンバ120、122、及び、更なる移送を待つように保持するためにそれぞれのポート158、160を貫通して保持チャンバ116、118のいずれかに、並びに/又は、それらの間でウエハを移送することができる。同様に、移送ロボット114は、ポート166又は168を貫通して保持チャンバ116又は118内のウエハにアクセスすることができ、処理のためにそれぞれのポート170、172、174、176を貫通して処理チャンバ124、126、128、130、及び、更なる移送を待つように保持するためにそれぞれのポート166、168を貫通して保持チャンバ116、118のいずれかに、並びに/又は、それらの間でウエハを移送することができる。様々なチャンバ内で及び様々なチャンバの間でウエハを移送及び保持することは、ガス及び圧力制御システムによって提供される低圧又は減圧環境内で行われ得る。
【0018】
[0021] 処理チャンバ120、122、124、126、128、130は、ウエハを処理するための任意の適切なチャンバであり得る。幾つかの実施例では、処理チャンバ122が、洗浄プロセスを実行することができ、処理チャンバ120が、エッチングプロセスを実行することができ、処理チャンバ124、126、128、130が、それぞれのエピタキシャル成長プロセスを実行することができる。処理チャンバ122は、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から入手可能なSiCoNi(商標)Precleanチャンバであってよい。処理チャンバ120は、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から入手可能なSelectra(商標)Etchチャンバであってよい。
【0019】
[0022] システムコントローラ190が、処理システム100又はその構成要素を制御するために処理システム100に結合されている。例えば、システムコントローラ190は、処理システム100のチャンバ104、106、108、116、118、110、120、122、124、126、128、130の直接制御を使用して、又はチャンバ104、106、108、116、118、110、120、122、124、126、128、130に関連付けられたコントローラを制御することによって、処理システム100の動作を制御してよい。動作では、システムコントローラ190が、処理システム100の性能を調整するために、それぞれのチャンバからのデータ収集及びフィードバックを可能にする。
【0020】
[0023] システムコントローラ190は、概して、中央処理装置(CPU)192、メモリ194、及びサポート回路196を含む。CPU192は、産業用設定で使用できる任意の形態の汎用プロセッサのうちの1つであってよい。メモリ194又は非一時的なコンピュータ可読媒体は、CPU192によってアクセス可能であり、ローカル若しくはリモートの、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、フロッピーディスク、ハードディスク、又は任意の他の形態のディジタルストレージなどの、1以上のメモリであってよい。サポート回路196は、CPU192に結合され、キャッシュ、クロック回路、入/出力サブシステム、電源などを備えてよい。本明細書で開示される様々な方法は、概して、CPU192が、例えば、ソフトウェアルーチンとしてメモリ194内(又は特定のプロセスチャンバのメモリ内)に記憶されたコンピュータ指示命令コードを実行することによって、CPU192の制御の下で実施されてよい。コンピュータ指示命令コードがCPU192によって実行されると、CPU192は、様々な方法に従ってプロセスを実行するようにチャンバを制御する。
【0021】
[0024] 他の処理システムは、他の構成を採り得る。例えば、より多くの又はより少ない処理チャンバが、移送装置に結合されてよい。図示されている一実施例では、移送装置が、移送チャンバ108、110及び保持チャンバ116、118を含む。他の複数の実施例では、より多くの又はより少ない移送チャンバ(例えば、1つの移送チャンバ)及び/又はより多くの又はより少ない保持チャンバ(例えば、保持チャンバなし)が、処理システム内の移送装置として実装されてよい。
【0022】
[0025]
図2A及び
図2Bは、本開示の1以上の実施態様による、半導体構造300内にゲートスタック構造を形成する方法200のプロセスフロー図を描いている。
図3Aは、半導体構造300の等角図である。
図3B及び
図3Cは、それぞれ、
図3Aの線B‐B’及び線C‐C’に沿って切り取られた、半導体構造300の一部分の断面図である。
図3Dは、
図3Bの線D‐D’に沿って切り取られた半導体構造300の一部分の拡大された断面図である。
図4A、
図4B、
図4C、
図4D、
図4E、
図4F、
図4G、及び
図4Hは、方法200の様々な段階に対応する半導体構造300内に形成されたゲートスタック構造の一部分の断面図である。
図3A、
図3B、及び
図3Cは、半導体構造300の部分的な概略図のみを示しており、半導体構造300は、図面において示されているような複数の態様を有する任意の数のトランジスタセクション及び更なる材料を含んでよいことが理解されるべきである。
図2A及び
図2Bで示されている方法ステップは、順次説明されるが、省略された及び/若しくは追加された並びに/又は別の所望の順序に再配置された1以上の方法ステップを含む他のプロセスシーケンスが、本明細書で提供される本開示の複数の実施形態の範囲内に入ることも留意されるべきである。
【0023】
[0026]
図3Aを参照すると、半導体構造300は、第1の領域R1及び第2の領域R2を有する基板302を含んでよい。R1では、第1のゲートオールアラウンド電界効果トランジスタ(GAA FET)モジュールTR1が形成され、R2では、第2のGAA FETモジュールTR2が形成される。GAA FETモジュールTR1とGAA FETモジュールTR2は、モジュール間絶縁層304によって、互いに、及び
図3Aで示されていない半導体構造300内の他のGAA FETモジュールから電気的に絶縁されている。
【0024】
[0027] 本明細書で使用される「基板」という用語は、後続の処理動作の土台として働く材料の層であって、洗浄されるべき表面を含む材料の層のことを指す。基板302は、必要に応じて、シリコン系材料又は任意の適切な絶縁材料若しくは導電性材料であってよい。基板302は、結晶シリコン(例えば、Si<100>又はSi<111>)、酸化ケイ素、ストレインドシリコン、シリコンゲルマニウム、ドープされた若しくはドープされていないポリシリコン、ドープされた若しくはドープされていないシリコンウエハ及びパターニングされた若しくはパターニングされていないウエハ、シリコンオンインシュレータ(SOI)、炭素がドープされた酸化ケイ素、窒化ケイ素、ドープされたシリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、又はサファイアといった材料を含んでよい。モジュール間の絶縁層304は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、又は酸窒化ケイ素などの、シリコン含有誘電材料で形成されてよい。
【0025】
[0028] 一実施例では、第1の領域R1が高電圧領域であり、第2の領域R2が低電圧領域である。別の一実施例では、第1の領域R1がp型MOSFET(p-MOSFET)領域であり、第2の領域R2がn型MOSFET(n-MOSFET)領域である。GAA FETモジュールTR1とTR2の各々は、チャネル領域CHと、チャネル領域CHによってX方向に分離されたソース/ドレイン領域SDとを含んでよい。ソース/ドレイン領域SDは、チャネル領域CHよりもY方向に広くてよい。
【0026】
[0029]
図3A、
図3B、及び
図3Cを参照すると、ソース/ドレイン領域SDは、基板302上で交互に且つ繰り返し積み重ねられた第1の半導体層306と第2の半導体層308を含んでよい。第1の半導体層306は、第2の半導体層308が形成される第2の材料に対するエッチング選択性を有する第1の材料で形成される(すなわち、第1の材料のエッチング速度は、第2の材料のエッチング速度よりも高い)。エッチング選択性(すなわち、第2の材料のエッチング速度に対する第1の材料のエッチング速度)は、約10:1から200:1の間である。第1の材料と第2の材料の例示的な組み合わせには、シリコンゲルマニウム(SiGe)/シリコン(Si)、シリコンゲルマニウム(SiGe)/ゲルマニウム(Ge)、及びゲルマニウムスズ(GeSn)/シリコン(Si)が含まれる。ソース/ドレイン領域SDの第1の半導体層306の部分は、ゲート電極GEによってX方向において分離されてよい。GEの各々は、チャネル領域CH内に形成されたゲートスタック310によって囲まれている。チャネル領域CHの第2の半導体層308は、数ナノメートルと数百ナノメートルとの間の幅を有するナノワイヤ又はナノチューブとして働いてよい。
【0027】
[0030] 第1及び第2の半導体層306及び308は、化学気相堆積(CVD)、原子層堆積(ALD)、又は物理的気相堆積(PVD)などの任意の適切な堆積技法、並びにリソグラフィ及びエッチングプロセスなどのパターニング技法を使用して形成されてよい。
【0028】
[0031] 第1及び第2の半導体層306及び308は、各々、約6nmから約14nm、例えば約10nmの厚さを有してよい。
【0029】
[0032]
図3Dを参照すると、ゲートスタック310は、第2の半導体層308上に順次形成された、界面層312、高誘電率ゲート誘電体層314、第1の高誘電率誘電体キャップ層316、p型仕事関数調整層318、n型仕事関数調整層320、及び第2の高誘電率誘電体キャップ層322を含む。ゲート電極GEが、第2の高誘電率誘電体キャップ層322上に形成される。
【0030】
[0033] 方法200は、ブロック205において界面形成プロセスで開始し、
図4Aで示されているように、第2の半導体層308上に界面層312を形成する。界面形成プロセスは、亜酸化窒素(N
2O)ガスを利用する改良されたインシトゥ(その場)蒸気発生(eISSG)プロセスなどの、適切な熱酸化プロセスを含んでよい。ブロック205において形成される界面層312は、酸化ケイ素の1以上の単層に対応する、約3Åと約10Åとの間(例えば、約5Å)の厚さを有する、薄い非晶質(アモルファス:amorphous)の酸化ケイ素(SiO
2)層である。幾つかの実施形態では、界面層312が、H
2及びO
2ガスを利用するインシトゥ蒸気生成(ISSG)プロセス、又はNH
3及びO
2ガスを利用する急速熱酸化(RTO)プロセスによって形成されてよい。界面層312は、その上に堆積される高誘電率ゲート誘電体層314の核形性層として作用してよく、第2の半導体層308と高誘電率ゲート誘電体層314との間の界面の品質(例えば、界面状態密度、蓄積容量、周波数分散、及び漏れ電流など)を改善する。界面形成プロセスは、
図1で示されている処理チャンバ120、122、124、126、128、又は130などの、処理チャンバ内で実行されてよい。
【0031】
[0034] 幾つかの実施形態では、ブロック205における界面形成プロセスが省略され、第2の半導体層308上への高誘電率ゲート誘電体層314の堆積前に、界面層312が形成されない。その場合、界面層312は、第2の半導体層308上に堆積された高誘電率ゲート誘電体層314を介して第2の半導体層308を熱的に酸化する後続の熱酸化プロセスによって形成される。後続の熱酸化プロセスによって形成される界面層312は、信頼性の高いデバイス特性(例えば、界面状態密度、蓄積容量、周波数分散、及び漏れ電流など)を確保し、高誘電率ゲート誘電体層314から第2の半導体層308への原子拡散を低減させるのに十分な厚さであってよく、約0.3nmと約1nmとの間、例えば0.5nmの厚さ有する。
【0032】
[0035] ブロック210では、
図4Bで示されているように、高誘電率ゲート誘電体層314を界面層312上に堆積させるために、堆積プロセスが実行される。高誘電率ゲート誘電体層314は、二酸化ハフニウム(HfO
2)、二酸化ジルコニウム(ZrO
2)、酸化イッテルビウム(Y
2O
3)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)などの高誘電率誘電材料、HfZrO、HfLaO
x、HfTiOなどの既存の金属酸化物の高誘電率誘電体ホスト材料の中にドープされた第三元素を有する三元の高誘電率誘電体膜で形成されてよい。堆積プロセスは、原子層堆積(ALD)プロセスを含んでよい。ALDプロセスでは、金属含有前駆体と酸素含有前駆体とが、交互に界面層312に供給される。幾つかの実施形態では、金属含有前駆体が、酸素含有前駆体を供給する前にパージされる。金属は、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、若しくはチタン(Ti)などの遷移金属、ランタン(La)、イッテルビウム(Yb)、若しくはイットリウム(Y)などの希土類金属、ストロンチウム(Sr)などのアルカリ土類金属、又はアルミニウム(Al)などの他の金属であってよい。酸化剤については、金属と反応してよい任意の酸素含有前駆体が使用されてよい。例えば、酸素含有前駆体は、水、二原子酸素、オゾン、ヒドロキシル含有前駆体若しくはアルコール、窒素及び酸素含有前駆体、局所的又は遠隔的に強化された酸素を含むプラズマ強化酸素、又は界面層312の上の金属の酸化物の層を生成するために金属に組み込まれてよい酸素を含む任意の他の材料であってよく或いはこれらを含んでよい。一実施例では、金属含有前駆体が四塩化ハフニウム(HfCl
4)であり、酸化剤が水(H
2O)であり、二酸化ハフニウム(HfO
2)層を形成する。ALDプロセスは、200℃と約400℃との間、例えば約270℃の温度で実行されてよい。ALDプロセスによって堆積される高誘電率ゲート誘電体層314は、非晶質であってよく、約10Åと約30Åとの間の厚さを有してよい。堆積プロセスは、
図1で示されている処理チャンバ120、122、124、126、128、又は130などの、処理チャンバ内で実行されてよい。
【0033】
[0036] ブロック215では、堆積されたままの高誘電率ゲート誘電体層314を硬化させ及び高密度化するために、任意選択的な堆積後アニールプロセスが実行される。堆積されたままの非晶質の高誘電率ゲート誘電体層314の結晶化が生じてよい。堆積後アニールプロセスは、カリフォルニア州サンタクララに所在するアプライドマテリアルズ社から入手可能なRADOX(商標)チャンバなどの急速熱処理(RTP)チャンバ内で実行される、窒素(N
2)及びアルゴン(Ar)雰囲気などの不活性雰囲気中での熱アニールプロセスを含んでよい。RTPチャンバは、
図1で示されている処理チャンバ120、122、124、126、128、及び130のいずれかであってよい。堆積後アニールプロセスは、界面層312及び高誘電率誘電体層314を熱的に硬化させ及び高密度化してよい。
【0034】
[0037] 堆積後アニールプロセスは、約1秒と約60秒との間、約500℃と約800℃との間の温度、及び約0.01Torrと100Torrとの間の圧力で実行されてよい。
【0035】
[0038] ブロック220では、高誘電率ゲート誘電体層314内の空孔及び欠陥の中に窒素原子を挿入するために、プラズマ窒化プロセスが実行される。プラズマ窒化プロセスは、カリフォルニア州サンタクララに所在するアプライドマテリアルズ社から入手可能なCENTURA(登録商標)DPNチャンバなどのDPNチャンバ内で実行されるデカップルドプラズマ窒化(DPN)プロセスであってよい。DPNチャンバは、
図1で示されている処理チャンバ120、122、124、126、128、及び130のいずれかであってよい。プラズマ窒化プロセスは、高誘電率ゲート誘電体層314を窒素プラズマに曝露する。これは、窒素ラジカル又は窒素原子が、高誘電率ゲート誘電体層314の厚さ全体を通して高誘電率ゲート誘電体層314内に取り込まれることを可能にしてよい。プラズマ窒化プロセス中に、窒素原子が、酸素(O)との準安定結合を形成してよい。プラズマプロセスにおいて使用されてよいガスには、窒素(N
2)、アンモニア(NH
3)、又はそれらの混合物などの窒素含有ガスが含まれる。一実施例では、窒素ガスが、約3%から約8%の窒素(N
2)と混合されたアンモニア(NH
3)である。プラズマ窒化プロセスは、堆積されたままの高誘電率ゲート誘電体層314内の空孔及び欠陥に窒素が取り込まれた結果として、高誘電率ゲート誘電体層314の厚さを変化させない場合がある。
【0036】
[0039] 窒化プロセスは、約10秒と約300秒との間、約0℃と約500℃との間の温度で実行されてよい。
【0037】
[0040] ブロック225では、プラズマ窒化された高誘電率ゲート誘電体層314内の空孔及び欠陥の中に窒素原子を更に挿入するために、任意選択的な熱窒化プロセスが実行される。熱窒化プロセスは、カリフォルニア州サンタクララに所在するアプライドマテリアルズ社から入手可能なRADOX(商標)チャンバなどの急速熱処理(RTP)チャンバ内で実行される、アンモニア(NH
3)雰囲気中での熱アニールプロセスを含んでよい。RTPチャンバは、
図1で示されている処理チャンバ120、122、124、126、128、及び130のいずれかであってよい。
【0038】
[0041] 熱窒化プロセスは、約10秒と約300秒との間、約700℃と約900℃との間の温度、及び約10Torrと740Torrとの間の圧力で実行されてよい。
【0039】
[0042] ブロック230では、プラズマ窒化された高誘電率ゲート誘電体層314内の残っている化学結合を不動態化するために、窒化後アニールプロセスが実行される。窒化後アニールプロセスは、カリフォルニア州サンタクララに所在するアプライドマテリアルズ社から入手可能なRADOX(商標)チャンバなどの急速熱処理(RTP)チャンバ内で実行される、窒素(N
2)及びアルゴン(Ar)雰囲気中でのスパイク熱アニールプロセスを含んでよい。RTPチャンバは、
図1で示されている処理チャンバ120、122、124、126、128、及び130のいずれかであってよい。窒化後アニールプロセスは、ブロック220においてプラズマ窒化プロセスで形成された準安定窒素結合を不動態化してよく、非晶質の高誘電率ゲート誘電体層314の結晶化が生じてよい。
【0040】
[0043] スパイク熱アニールプロセスは、約1秒と約30秒との間、約700℃と約850℃との間の温度、及び約10Torrと740Torrとの間の圧力で実行されてよい。
【0041】
[0044] ブロック235では、
図4Cで示されているように、高誘電率ゲート誘電体層314上に双極子金属層402を形成するために、双極子形成プロセスが実行される。ブロック235における双極子形成プロセスは、半導体構造300内の高誘電率ゲート誘電体層314の露出表面全体にわたる双極子金属層402のブランケット堆積、並びに、双極子金属層402をパターニングするための後続のリソグラフィ及びエッチングプロセスを含む(すなわち、半導体構造300の一部の領域では双極子金属層402を形成し、半導体構造300の他の一部の領域では双極子金属層402を形成しないように)。
【0042】
[0045] 幾つかの実施形態では、双極子金属層402が、二酸化ハフニウム(HfO2)などの高誘電率誘電材料内のn型ドーパントを含有する材料で形成される。適切なn型ドーパントには、ランタン(La)、イットリウム(Y)、及びイッテルビウム(Yb)などの希土類金属、又はマグネシウム(Mg)などのハフニウム(Hf)よりも高いフェルミ準位を有する任意の金属物質が含まれる。適切なランタン(La)含有材料には、酸化ランタン(La2O3)、窒化ランタン(LaN)、ランタン(La)、及び窒化チタンランタン(TiLaN)が含まれる。後続のアニールプロセスでは、双極子金属層402からのn型ドーパント種が、下層の高誘電率ゲート誘電体層314の中に拡散し、取り込まれる。これは、n‐MOSFETの閾値電圧Vtを低下させる。n型ドーパント種の量は、閾値電圧Vtの変化を決定する。例えば、高誘電率ゲート誘電体層314内への約1原子%と約5原子%との間のランタン(La)種の取り込みは、閾値電圧Vtを約10eVだけ変化させる。
【0043】
[0046] 幾つかの実施形態では、双極子金属層402が、二酸化ハフニウム(HfO2)などの高誘電率誘電材料内のp型ドーパントを含有する材料で形成される。適切なp型ドーパントには、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、又はハフニウム(Hf)よりも低いフェルミ準位を有する任意の金属物質が含まれる。適切なアルミニウム(Al)含有材料には、酸化アルミニウム(Al2O3)が含まれる。適切なニオブ(Nb)含有材料には、窒化ニオブ(NbN)、酸化ニオブ(NbOx)、及び窒化チタンニオブ(TiNbN)が含まれる。後続のアニールプロセスでは、p型ドーパント種が、下層の高誘電率ゲート誘電体層314の中に拡散し、取り込まれる。これは、p‐MOSFETの閾値電圧Vtを低下させる。p型ドーパント種の量は、閾値電圧Vtの変化を決定する。例えば、高誘電率ゲート誘電体層314内への約1原子%と約5原子%との間のアルミニウム(Al)種の取り込みは、閾値電圧Vtを約80eVだけ変化させる。例えば、高誘電率ゲート誘電体層314内への約1原子%と約5原子%との間のニオブ(Nb)種の取り込みは、閾値電圧Vtを約120eVだけ変化させる。
【0044】
[0047] ブランケット堆積プロセスは、原子層堆積(ALD)プロセスを含んでよい。ALDプロセスは、200℃と約400℃との間、例えば約300℃の温度で実行されてよい。ALDプロセスによって堆積される双極子金属層402は、約3Åと約20Åとの間、例えば10Åの厚さを有してよい。堆積プロセスは、
図1で示されている処理チャンバ120、122、124、126、128、又は130などの、処理チャンバ内で実行されてよい。
【0045】
[0048] ブロック240では、ドーパント種(ランタン(La)、アルミニウム(Al)、又はニオブ(Nb))を下層の高誘電率ゲート誘電体層314の中に拡散させるために、アニールプロセスが実行される。ブロック240におけるアニールプロセスは、カリフォルニア州サンタクララに所在するアプライドマテリアルズ社から入手可能なRADOX(商標)チャンバなどの急速熱処理(RTP)チャンバ内で実行される、窒素(N
2)及びアルゴン(Ar)雰囲気などの不活性雰囲気中での熱アニールプロセスを含んでよい。RTPチャンバは、
図1で示されている処理チャンバ120、122、124、126、128、及び130のいずれかであってよい。
【0046】
[0049] ブロック240におけるアニールプロセスは、約1秒と約30秒との間、約600℃と約1000℃との間、例えば約900℃の温度、及び約0.1Torrと100Torrとの間の圧力で実行されてよい。
【0047】
[0050] ブロック245では、双極子金属層402を剥離するために、除去プロセスが実行される。除去プロセスは、乾燥プラズマエッチングプロセスを含んでよい。
【0048】
[0051] ブロック250では、
図4Dで示されているように、半導体構造300のゲート誘電体層314上に第1の高誘電率誘電体キャップ層316を堆積させるために、堆積プロセスが実行される。第1の高誘電率誘電体キャップ層316は、TiN又はTaNなどのチタン(Ti)又はタンタル(Ta)を含む金属窒化物材料で形成されてよい。第1の高誘電率誘電体キャップ層316は、後続のパターニング及びエッチングプロセス中に高誘電率ゲート誘電体層314のための保護層として使用される。ブロック250における堆積プロセスは、原子層堆積(ALD)プロセスを含んでよい。ALDでは、チタン(Ti)又はタンタル(Ta)を含む金属含有前駆体、窒素含有前駆体、及びドーパント含有前駆体が、ゲート誘電体層314の表面に供給される。金属含有前駆体の例としては、チタン(Ti)又はタンタル(Ta)が含まれ、窒素含有前駆体の例は、アンモニア(NH
3)、ジアゼン(N
2H
2)、及びヒドラジン(N
2H
4)である。
【0049】
[0052] ブロック250におけるALDプロセスは、約200℃と約700℃との間、例えば約300℃と約600度との間の温度で実行されてよい。ブロック250においてALDプロセスによって堆積される第1の高誘電率誘電体キャップ層316は、非晶質であってよく、約2Åと約200Åとの間、例えば10Åと約15Åとの間の厚さを有してよい。堆積プロセスは、
図1で示されている処理チャンバ120、122、124、126、128、又は130などの、処理チャンバ内で実行されてよい。
【0050】
[0053] ブロック255では、堆積されたままの第1の高誘電率誘電体キャップ層316を硬化させ及び高密度化するために、任意選択的な金属キャップアニールプロセスが実行される。堆積されたままの第1の高誘電率誘電体キャップ層316の結晶化が生じてよい。ブロック255における任意選択的な金属キャップアニールプロセスは、カリフォルニア州サンタクララに所在するアプライドマテリアルズ社から入手可能なRADOX(商標)チャンバなどの急速熱処理(RTP)チャンバ内で実行される、窒素(N
2)及びアルゴン(Ar)雰囲気などの不活性雰囲気中での熱アニールプロセスを含んでよい。RTPチャンバは、
図1で示されている処理チャンバ120、122、124、126、128、及び130のいずれかであってよい。
【0051】
[0054] ブロック255における任意選択的な金属キャップアニールプロセスは、約1秒と約10秒との間、約700℃と約850℃との間の温度、及び約0.1Torrと100Torrとの間の圧力で実行されててよい。
【0052】
[0055] ブロック260では、
図4Eで示されているように、第1の高誘電率誘電体キャップ層316上に犠牲シリコンキャップ層404を堆積させるために、堆積プロセスが実行される。犠牲シリコンキャップ層404は、ブロック265における後続のアニールプロセス中に、下層の高誘電率ゲート誘電体層314及び第1の高誘電率誘電体キャップ層316を物理的及び化学的に保護してよい。犠牲シリコンキャップ層404は、水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)などのアモルファスシリコンで形成される。アモルファスシリコンは、粒界が拡散のための経路となる多結晶シリコンと比較して、原子の拡散が少ない場合がある。ブロック260における堆積プロセスは、原子層堆積(ALD)プロセス又は化学気相堆積(CVD)プロセスであってよい。その場合、その上に形成される第1の高誘電率誘電体キャップ層316を有する半導体構造300は、シリコン前駆体に曝露される。シリコン前駆体の例としては、ポリシラン(Si
xH
y)がある。例えば、ポリシランは、ジシラン(Si
2H
6)、トリシラン(Si
3H
8)、テトラシラン(Si
4H
10)、イソテトラシラン、ネオペンタシラン(Si
5H
12)、シクロペンタシラン(Si
5H
10)、ヘキサシラン(C
6H
14)、シクロヘキサシラン(Si
6H
12)、又は、一般的に、Si
xH
yであってx=2以上のSi
xH
y、及びそれらの組み合わせを含む。
【0053】
[0056] 犠牲シリコンキャップ層404は、約30Åと約50Åとの間の厚さを有してよい。ブロック260における堆積プロセスは、
図1で示されている処理チャンバ120、122、124、126、128、又は130などの、処理チャンバ内で実行されてよい。
【0054】
[0057] ブロック265では、第1の高誘電率誘電体キャップ層316を硬化させ及び高密度化するために、キャップアニール後(PCA)プロセスが実行される。堆積したままの第1の高誘電率誘電体キャップ層316及び堆積したままの犠牲シリコンキャップ層404の結晶化が生じてよい。ブロック265におけるPCAプロセスは、カリフォルニア州サンタクララに所在するアプライドマテリアルズ社から入手可能なRADOX(商標)チャンバなどの急速熱処理(RTP)チャンバ内で実行される、窒素(N
2)及びアルゴン(Ar)雰囲気などの不活性雰囲気中での熱アニールプロセスを含んでよい。RTPチャンバは、
図1で示されている処理チャンバ120、122、124、126、128、及び130のいずれかであってよい。
【0055】
[0058] ブロック265におけるPCAプロセスは、約1秒と約10秒との間、約900℃と約1000℃との間、例えば約900℃の温度、及び約0.1Torrと100Torrとの間の圧力で実行されてよい。
【0056】
[0059] ブロック270では、犠牲シリコンキャップ層404を剥離するために、除去プロセスが実行される。除去プロセスは、乾燥プラズマエッチングプロセスを含んでよい。
【0057】
[0060] ブロック275では、
図4Fで示されているように、硬化及び高密度化された第1の高誘電率誘電体キャップ層316上にp型仕事関数調整層318を堆積させるために、堆積プロセスが実行される。p型仕事関数調整層318は、高誘電率ゲート誘電体層314と併せて、p型MOSFET領域内の有効なゲート電極として作用する。
【0058】
[0061] p型仕事関数調整層318は、p型ドープされた導電性材料、窒化チタン(TiN)、窒化チタンケイ素(TiSiN)、窒化タンタルケイ素(TaSiN)、窒化モリブデン(MoN)、窒化タングステン(W3N2)、窒化ニオブ(NbN)、窒化モリブデンニオブ(MoNbN)、及び窒化チタンニオブ(TiNbN)で形成されてよい。幾つかの実施形態では、p型仕事関数調整層318が、約1原子%と約20原子%との間、例えば約10原子%のドーピング量を有してよい。p型仕事関数調整層318の厚さは、閾値電圧Vtの変化を決定する。例えば、p型仕事関数調整層318の厚さの変化は、閾値電圧Vtを約80eVだけ変化させる。p型仕事関数調整層318の全体の厚さは、約5Åと約30Åの間、例えば約10Åであってよい。
【0059】
[0062] 堆積プロセスは、原子層堆積(ALD)プロセスを含んでよい。ALDプロセスでは、金属含有前駆体とアンモニア(NH
3)などの窒素含有前駆体とが、交互に半導体構造300の露出層に供給される。幾つかの実施形態では、金属含有前駆体が、窒素含有前駆体を供給する前にパージされる。このシーケンスは、所望の厚さが到達されるまで繰り返される。金属は、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、又はタングステン(W)であってよい。ALDプロセスは、約200℃から約400℃、例えば約300℃の温度で実行されてよい。堆積プロセスは、
図1で示されている処理チャンバ120、122、124、126、128、又は130などの、処理チャンバ内で実行されてよい。
【0060】
[0063] ブロック280では、
図4Gで示されているように、p型仕事関数調整層318上にn型仕事関数調整層320を堆積させるために、堆積プロセスが実行される。n型仕事関数調整層320は、高誘電率ゲート誘電体層314と併せて、n型MOSFET領域内の有効なゲート電極として作用する。
【0061】
[0064] n型仕事関数調整層320は、炭化チタンアルミニウム(Ti3AlC2)、窒化亜鉛(Zn3N2)、窒化バナジウム(VN)、窒化マグネシウム(Mg3N2)、窒化イットリウム(YN)、窒化ストロンチウム(Sr3N2)、又はシリコンの中間間隙よりも高い平均仕事関数を有する任意の金属種などの、n型ドープされた導電性材料で形成されてよい。幾つかの実施形態では、n型仕事関数調整層320が、約1原子%と約20原子%との間、例えば約10原子%のドーピング量を有してよい。n型仕事関数調整層320の厚さは、閾値電圧Vtの変化を決定する。例えば、n型仕事関数調整層320の厚さの変化は、閾値電圧Vtを約80eVだけ変化させる。n型仕事関数調整層320の全体の厚さは、約5Åと約30Åの間、例えば約10Åであってよい。
【0062】
[0065] 堆積プロセスは、原子層堆積(ALD)プロセスを含んでよい。ALDプロセスでは、金属含有前駆体とアンモニア(NH
3)などの窒素含有前駆体とが、交互に半導体構造300の露出層に供給される。幾つかの実施形態では、金属含有前駆体が、窒素含有前駆体を供給する前にパージされる。金属は、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、バナジウム(V)、マグネシウム(Mg)、イットリウム(Y)、又はストロンチウム(Sr)であってよい。ALDプロセスは、約200℃から約400℃、例えば約300℃の温度で実行されてよい。堆積プロセスは、
図1で示されている処理チャンバ120、122、124、126、128、又は130などの、処理チャンバ内で実行されてよい。
【0063】
[0066] ブロック285では、
図4Hで示されているように、n型仕事関数調整層320上に第2の高誘電率誘電体キャップ層322を形成するために、形成プロセスが実行される。ブロック285における形成プロセスは、ブロック250における堆積プロセス、ブロック255における金属キャップアニールプロセス、ブロック260における堆積プロセス、ブロック265におけるキャップアニール後(PCA)プロセス、及び270における除去プロセスと実質的に同じである。
【0064】
[0067] ブロック290では、
図3Dで示されているように、第2の高誘電率誘電体キャップ層322上にゲート電極GEを堆積させるために、堆積プロセスが実行される。ゲート電極GEは、タングステン(W)又はコバルト(Co)などの金属で形成されてよい。ゲート電極GEは、p型ドープ又はn型ドープされてよい。ブロック290における堆積プロセスは、WF
6などのタングステン含有前駆体又はコバルト含有前駆体などを使用する、化学気相堆積(CVD)プロセスを含んでよい。
【0065】
[0068] 本明細書で説明される複数の実施形態は、調節された閾値電圧Vtを持つゲートオールアラウンド(GAA)FET内にゲートスタック構造を形成するためのシステム及び方法を提供する。ゲートスタック構造は、高誘電率誘電材料(例えば、酸化ハフニウム(HfO2))で形成されたゲート電気層、及び金属層(例えば、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W))又は導電性化合物層(例えば、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN))で形成されたゲート電極を含む。閾値電圧Vtは、高誘電率ゲート誘電体内に双極子層を誘起すること、ゲート電極に仕事関数調整層を追加すること、及びそれらの厚さを調節すること、又はこれらの組み合わせによって制御可能に調節される。
【0066】
[0069] 本明細書で説明されるゲートスタック構造は、MOSFET、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、及びフラッシュメモリにおける任意の金属ゲート用途及び/又は任意のバリア用途において有利に使用され得る。
【0067】
[0070] 上記は、本開示の複数の実施形態を対象とするが、本開示の他の及び更なる実施形態が、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく考案されてよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって規定される。
【国際調査報告】