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特表2024-503802ポリカーボネートおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-29
(54)【発明の名称】ポリカーボネートおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 64/00 20060101AFI20240122BHJP
【FI】
C08G64/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539183
(86)(22)【出願日】2022-01-07
(85)【翻訳文提出日】2023-06-26
(86)【国際出願番号】 KR2022000318
(87)【国際公開番号】W WO2022164074
(87)【国際公開日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】10-2021-0012478
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】チョン、チェミョン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ホヨン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、チョル‐チュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ピチ
(72)【発明者】
【氏名】イム、ソヨン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ハンビット
【テーマコード(参考)】
4J029
【Fターム(参考)】
4J029AA09
4J029AB01
4J029AB04
4J029AC02
4J029AD01
4J029AE01
4J029BF16
4J029BF19
4J029BF30
4J029HA01
4J029HC03
4J029HC05A
4J029JB183
4J029JB193
4J029JC333
4J029JC553
4J029KD02
4J029KD07
4J029KE02
4J029KE05
(57)【要約】
本出願は、化学式1aで表される単位;および化学式1bで表される単位を含むポリカーボネート、これを含む組成物、および前記組成物から製造される成形品に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1aで表される単位;および下記化学式1bで表される単位を含むポリカーボネート:
【化40】
【化41】
前記化学式1aおよび前記化学式1bにおいて、
Aは、置換または非置換のフェニレン;あるいは置換もしくは非置換の2以上のベンゼン環が単一結合で連結されるかまたは縮合されてなるアリーレンであり、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレンであり、
L3およびL4は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン、置換または非置換のシクロアルキレンおよび置換または非置換のアリーレンの中から選択された1つであるか、あるいはこれらの中から2以上が単一結合によって連結された2価基であり、
L5およびL6は、互いに同一または異なり、それぞれ単一結合;あるいは置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン、置換または非置換のシクロアルキレンおよび置換または非置換のアリーレンの中から選択された1つであるか、あるいはこれらの中から2以上が単一結合によって連結された2価基であり、
ポリカーボネート内に含まれる化学式1aの単位は、それぞれ互いに同一または異なり、
ポリカーボネート内に含まれる化学式1bの単位は、それぞれ互いに同一または異なり、
*は、ポリカーボネートの主鎖に連結される部位を意味する。
【請求項2】
前記ポリカーボネートは、前記化学式1aで表される単位をポリカーボネート総重量に対して10重量%~50重量%の量で含むものである、請求項1に記載のポリカーボネート。
【請求項3】
前記ポリカーボネートの重量平均分子量は、30,000g/mol~60,000g/molである、請求項1に記載のポリカーボネート。
【請求項4】
前記化学式1aは、下記化学式1a-1で表されるものである、請求項1に記載のポリカーボネート:
【化42】
前記化学式1a-1において、
nおよびmは、互いに同一または異なり、それぞれ1~20の整数であり、
その他の置換基の定義は、化学式1aで定義したとおりである。
【請求項5】
前記化学式1a-1は、下記化学式1a-2で表されるものである、請求項4に記載のポリカーボネート:
【化43】
前記化学式1a-2において、
L7およびL8は、互いに同一または異なり、それぞれ直鎖または分岐鎖のアルキレンであり、
A、nおよびmの定義は、化学式1aおよび化学式1a-1で定義したとおりである。
【請求項6】
前記化学式1aのAは、下記構造式の中から選択されるものである、請求項1に記載のポリカーボネート。
【化44】
【請求項7】
前記ポリカーボネートは、下記化学式2の単位をさらに含むものである、請求項1に記載のポリカーボネート:
【化45】
前記化学式2において、
X1およびX3は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の2価脂肪族炭化水素基、置換または非置換の2価イソソルビド基、置換または非置換のアリーレン、あるいは置換または非置換のヘテロアリーレンであり、
X2は、置換または非置換の2価脂肪族炭化水素基、置換または非置換の2価イソソルビド基、置換または非置換のアリーレン、置換または非置換のヘテロアリーレン、O、S、SO、SO2あるいはCOであり、
k1は0または1であり、ただし、X1と直接結合するX2がO、S、SO、SO2またはCOである場合、k1は1であり、
lは1~5の整数であり、lが2以上である場合、X2は互いに同一または異なり、
k2は0または1であり、ただし、X3と直接結合するX2がO、S、SO、SO2またはCOである場合、k2は1であり、
ポリカーボネート内に含まれる化学式2の単位は、互いに同一または異なり、
*は、ポリカーボネートの主鎖に連結される部位を意味する。
【請求項8】
前記化学式2は、下記化学式3~6のいずれか1つで表されるものである、請求項7に記載のポリカーボネート:
【化46】
【化47】
【化48】
【化49】
前記化学式3~6において、
Y1およびY2は、それぞれ置換または非置換の2価脂肪族炭化水素基、置換または非置換の2価イソソルビド基、置換または非置換のアリーレン、あるいは置換または非置換のヘテロアリーレンであり、
Y3およびY4は、それぞれ置換または非置換の直鎖または分岐鎖のアルキレン、置換または非置換のシクロアルキレン、置換または非置換のアリーレン、O、S、SO、SO2あるいはCOであり、
R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ水素、ハロゲン、置換または非置換のアルキル、あるいは置換または非置換のアルコキシであり、
aおよびbは、それぞれ0~4の整数であり、
c、d、eおよびfは、それぞれ1~4の整数であり、
g、h、iおよびjは、それぞれ0~4の整数であり、
g、h、iおよびjがそれぞれ2以上である場合、各R1~R4は、互いに同一または異なり、
ポリカーボネート内に含まれる化学式3~6の単位は、それぞれ互いに同一または異なり、
*は、ポリカーボネートの主鎖に連結される部位を意味する。
【請求項9】
下記化学式11aの化合物、下記化学式11bの化合物およびカーボネート前駆体を含む組成物を重合する段階を含む請求項1に記載のポリカーボネートの製造方法:
【化50】
【化51】
前記化学式11aおよび前記化学式11bにおいて、
Aは、置換または非置換のフェニレン;あるいは置換もしくは非置換の2以上のベンゼン環が単一結合で連結されるかまたは縮合されてなるアリーレンであり、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレンであり、
L3およびL4は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン、置換または非置換のシクロアルキレンおよび置換または非置換のアリーレンの中から選択された1つであるか、あるいはこれらの中から2以上が単一結合によって連結された2価基であり、
L5およびL6は、互いに同一または異なり、それぞれ単一結合;あるいは置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン、置換または非置換のシクロアルキレンおよび置換または非置換のアリーレンの中から選択された1つであるか、あるいはこれらの中から2以上が単一結合によって連結された2価基である。
【請求項10】
前記カーボネート前駆体は、下記化学式12で表されるものである、請求項9に記載のポリカーボネートの製造方法:
【化52】
前記化学式12において、
R5およびR6は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のアリール、あるいは置換または非置換のヘテロアリールである。
【請求項11】
前記組成物は、下記化学式21の化合物をさらに含むものである、請求項9に記載のポリカーボネートの製造方法:
【化53】
前記化学式21において、
X1およびX3は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の2価脂肪族炭化水素基、置換または非置換の2価イソソルビド基、置換または非置換のアリーレン、あるいは置換または非置換のヘテロアリーレンであり、
X2は、置換または非置換の2価脂肪族炭化水素基、置換または非置換の2価イソソルビド基、置換または非置換のアリーレン、置換または非置換のヘテロアリーレン、O、S、SO、SO2あるいはCOであり、
k1は0または1であり、ただし、X1と直接結合するX2がO、S、SO、SO2またはCOである場合、k1は1であり、
lは1~5の整数であり、lが2以上である場合、X2は互いに同一または異なり、
k2は0または1であり、ただし、X3と直接結合するX2がO、S、SO、SO2またはCOである場合、k2は1である。
【請求項12】
前記化学式21は、下記化学式31、41、51または61で表されるものである、請求項11に記載のポリカーボネートの製造方法:
【化54】
【化55】
【化56】
【化57】
前記化学式31、41、51および61において、
Y1およびY2は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の2価脂肪族炭化水素基、置換または非置換の2価イソソルビド基、置換または非置換のアリーレン、あるいは置換または非置換のヘテロアリーレンであり、
Y3およびY4は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン、置換または非置換のシクロアルキレン、置換または非置換のアリーレン、O、S、SO、SO2あるいはCOであり、
R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ水素、ハロゲン、置換または非置換のアルキル、あるいは置換または非置換のアルコキシであり、
aおよびbは、それぞれ0~4の整数であり、
c、d、eおよびfは、それぞれ1~4の整数であり、
g、h、iおよびjは、それぞれ0~4の整数であり、
g、h、iおよびjがそれぞれ2以上である場合、各R1~R4は、互いに同一または異なる。
【請求項13】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載のポリカーボネートを含む組成物。
【請求項14】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載のポリカーボネートを含む組成物から製造される成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカーボネートおよびその製造方法に関する。より具体的には、本発明は、高い硬度および/または耐熱性を有するポリカーボネートおよびその製造方法に関する。
【0002】
本発明は、2021年1月28日付にて韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2021-0012478号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本発明に含まれる。
【背景技術】
【0003】
ポリカーボネート樹脂は、電気電子製品の外装材、自動車部品、建築素材、光学部品などの分野に多様に使用されている高分子素材である。
【0004】
ポリカーボネートは、ビスフェノールA石油から抽出された物質であって、硬度を高めるためには、ハードコートのような追加工程および費用が必要であり、耐久性が低下する問題がある。
【0005】
それで、ポリカーボネートそのものの優れた物性を維持しながらも、耐久性が改善されたポリカーボネートの開発が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一実施態様は、新規な構造のポリカーボネートおよびその製造方法を提供しようとする。
【0007】
本発明の他の一実施態様は、新規な構造のポリカーボネートを含む組成物、およびこの組成物から製造される成形品を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施態様は、下記化学式1aで表される単位;および下記化学式1bで表される単位を含むポリカーボネートを提供する。
【0009】
【化1】
【0010】
【化2】
【0011】
前記化学式1aおよび1bにおいて、
Aは、置換または非置換のフェニレン;あるいは置換もしくは非置換の2以上のベンゼン環が単一結合で連結されるかまたは縮合されてなるアリーレンであり、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレンであり、
L3およびL4は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン、置換または非置換のシクロアルキレンおよび置換または非置換のアリーレンの中から選択された1つであるか、あるいはこれらの中から2以上が単一結合によって連結された2価基であり、
L5およびL6は、互いに同一または異なり、それぞれ単一結合;あるいは置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン、置換または非置換のシクロアルキレンおよび置換または非置換のアリーレンの中から選択された1つであるか、あるいはこれらの中から2以上が単一結合によって連結された2価基であり、
ポリカーボネート内に含まれる化学式1aの単位は、それぞれ互いに同一または異なり、
ポリカーボネート内に含まれる化学式1bの単位は、それぞれ互いに同一または異なり、
*は、ポリカーボネートの主鎖に連結される部位を意味する。
【0012】
本発明の一実施態様は、下記化学式11aの化合物、下記化学式11bの化合物およびカーボネート前駆体を含む組成物を重合する段階を含む、前述した実施態様によるポリカーボネートの製造方法を提供する。
【0013】
【化3】
【0014】
【化4】
【0015】
前記化学式11aおよび11bにおいて、
Aは、置換または非置換のフェニレン;あるいは置換もしくは非置換の2以上のベンゼン環が単一結合で連結されるかまたは縮合されてなるアリーレンであり、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレンであり、
L3およびL4は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の直鎖または分岐鎖のアルキレン、置換または非置換のシクロアルキレンおよび置換または非置換のアリーレンの中から選択された1つであるか、あるいはこれらの中から2以上が単一結合によって連結された2価基であり、
L5およびL6は、互いに同一または異なり、それぞれ単一結合;あるいは置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン、置換または非置換のシクロアルキレンおよび置換または非置換のアリーレンの中から選択された1つであるか、あるいはこれらの中から2以上が単一結合によって連結された2価基である。
【0016】
本発明の他の一実施態様は、前述した実施態様によるポリカーボネートを含む組成物を提供する。
【0017】
本発明の他の一実施態様は、前述した実施態様によるポリカーボネートを含む組成物から製造される成形品を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明のいくつかの実施態様によるポリカーボネートは、高い硬度を有する。 本発明のいくつかの実施態様によるポリカーボネートは、優れた耐熱性を有する。
【0019】
よって、高い硬度または優れた耐熱性を有するポリカーボネートを使用することによって、優れた機械的強度または耐熱性が必要なレンズ、ガラス、光学用部品、車両用部品などの幅広い分野で活用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、具体的な実施態様についてより詳しく説明する。
【0021】
本明細書において、シクロアルキレンは、単環式または多環式シクロアルキレンであってもよい。具体的に、シクロアルキレンは、炭素数3~20のシクロアルキレン;炭素数6~18の単環式または多環式シクロアルキレン;または炭素数6~12の単環式または多環式シクロアルキレンであってもよい。さらに具体的に、シクロアルキレンは、単環式シクロアルキレンとして、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、またはシクロへプチレンなどの脂環族炭化水素由来の2価基などであってもよく、多環式シクロアルキレンとして、アダマンタン-ジイル、ノルボルナン-ジイルなどであってもよい。ただし、これらに限定されるものではない。また、前記シクロアルキレンは、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ、またはハロゲンで1以上置換されるかまたは置換されなくてもよい。
【0022】
本明細書において、シクロアルキルは、2価基ではなく、1価基であることを除いて、シクロアルキレンに関する説明が適用されてもよい。
【0023】
本明細書において、ヘテロシクロアルキレンは、ヘテロ原子としてO、S、SeまたはNを含む単環式または多環式ヘテロシクロアルキレン基であってもよい。具体的に、ヘテロシクロアルキレンは、炭素数1~20のヘテロシクロアルキレン;炭素数2~18の単環式または多環式ヘテロシクロアルキレン;または炭素数2~12の単環式または多環式ヘテロシクロアルキレンであってもよい。さらに具体的に、ヘテロシクロアルキレンは、ジオキサニレン、ジチアニレンなどがある。
【0024】
本明細書において、ヘテロシクロアルキルは、2価基ではなく、1価基であることを除いて、ヘテロシクロアルキレンに関する説明が適用されてもよい。
【0025】
本明細書において、直鎖または分岐鎖のアルキレンは、炭素数1~10、または炭素数1~5の脂肪族炭化水素由来の2価基であって、直鎖または分岐鎖のアルキレンであってもよい。アルキレンの具体例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、n-プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、n-ブチレン、イソブチレン、tert-ブチレン、sec-ブチレン、1-メチル-ブチレン、1-エチル-ブチレン、ペンチレン、n-ペンチレン、イソペンチレン、ネオペンチレン、tert-ペンチレン、へキシレン、n-へキシレン、1-メチルペンチレン、2-メチルペンチレン、4-メチル-2-ペンチレン、3,3-ジメチルブチレン、2-エチルブチレン、へプチレン、n-へプチレン、1-メチルへキシレン、オクチレン、n-オクチレン、tert-オクチレン、1-メチルへプチレン、2-エチルへキシレン、2-プロピルペンチレン、n-ノニレン、2,2-ジメチルへプチレン、1-エチル-プロピレン、1,1-ジメチル-プロピレン、イソへキシレン、2-メチルペンチレン、4-メチルへキシレン、5-メチルへキシレンなどがあるが、これらに限定されない。
【0026】
本明細書において、直鎖または分岐鎖のアルキルは、2価基ではなく、1価基であることを除いて、直鎖または分岐鎖のアルキレンに関する説明が適用されてもよい。
【0027】
本明細書において、特に限定がない限り、アルキルは、直鎖アルキルおよび分岐鎖アルキルを含む。
【0028】
本明細書において、アリーレンは、単環式または多環式アリーレンであってもよく、炭素数は特に限定されないが、炭素数6~30であることが好ましく、炭素数6~20であってもよい。具体的に、単環式アリーレンとしては、フェニレン、ビフェニリレン、ターフェニリレンなどであってもよいが、これらに限定されるものではない。前記アリーレンが多環式アリーレンである場合、炭素数は特に限定されないが、炭素数10~30であることが好ましく、炭素数10~20であってもよい。具体的に、多環式アリーレンとしては、ナフチレン、アントラセニレン、フェナントレニレン、トリフェニレニレン、ピレニレン、フェナレニレン、ぺリレニレン、クリセニレン、フルオレニレンなどであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0029】
本明細書において、アリールは、2価基ではなく、1価基であることを除いて、アリーレンに関する説明が適用されてもよい。
【0030】
本明細書において、ヘテロアリーレンは、炭素ではない原子、異種原子を1以上含むものであって、具体的に、前記異種原子は、O、N、SeおよびSなどからなる群から選択される原子を1以上含む。前記ヘテロアリーレンの炭素数は特に限定されないが、炭素数1~30であることが好ましく、炭素数1~20であってもよい。前記ヘテロアリーレンは、単環式または多環式であってもよい。ヘテロアリーレンの例としては、2価チオフェン基、2価フラン基、2価ピロール基、2価イミダゾール基、2価チアゾール基、2価オキサゾール基、2価オキサジアゾール基、2価ピリジン基、2価ビピリジン基、2価ピリミジン基、2価トリアジン基、2価トリアゾール基、2価アクリジン基、2価ピリダジン基、2価ピラジン基、2価キノリン基、2価キナゾリン基、2価キノキサリン基、2価フタラジン基、2価ピリドピリミジン基、2価ピリドピラジン基、2価ピラジノピラジン基、2価イソキノリン基、2価インドール基、2価カルバゾール基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
本明細書において、ヘテロアリールは、2価基ではなく、1価基であることを除いて、ヘテロアリーレンに関する説明が適用されてもよい。
【0032】
本明細書において、2価脂肪族炭化水素基は、前述した直鎖または分岐鎖のアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレンなどを意味する。
【0033】
本明細書において、アルコキシは、炭素数1~10、または炭素数1~5のアルコキシ基であってもよい。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、1-メチル-ブトキシ、1-エチル-ブトキシ、またはペントキシなどがあるが、これらに限定されない。
【0034】
本明細書において、ハロゲンは、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨード基である。
【0035】
本明細書において、脂肪族環は、前述したシクロアルキレンまたはヘテロシクロアルキレンに関する説明が適用されてもよく、芳香族環は、アリーレンまたはヘテロアリーレンに関する説明が適用されてもよい。
【0036】
前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合された水素原子が他の置換基に変わることを意味し、置換される位置は、水素原子が置換される位置、すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定されず、2以上置換される場合、2以上の置換基は互いに同一または異なってもよい。
【0037】
本明細書において、「置換または非置換の」という用語は、重水素;ハロゲン;ニトロ(NO2);ニトリル(CN);ハロアルキル;COOR;アルキル;シクロアルキル;ヘテロシクロアルキル;アルコキシ;アリール;およびヘテロアリールからなる群から選択される1以上の置換基で置換されるか、前記例示した置換基の中から2以上の置換基が連結された置換基で置換されるか、またはいかなる置換基も有しないことを意味する。ここにおいて、Rは、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルコキシ、アリールまたはヘテロアリールである。
【0038】
本明細書において、*は、他の構造との結合部位を意味する。
【0039】
本発明の一実施態様は、下記化学式1aで表される単位;および下記化学式1bで表される単位を含むポリカーボネートを提供する。
【0040】
【化5】
【0041】
【化6】
【0042】
前記化学式1aおよび1bにおいて、各置換基の定義は前述したとおりである。
【0043】
従来のイソソルビド(Isosorbide)基からなるポリカーボネートは、高耐熱性、高スクラッチ性および透明性などの長所がある。しかしながら、モノマーそのものの強直性のため、常用化されたポリカーボネートに比べて、衝撃強度が低い短所がある。本発明者らは、これを解決するために、イソソルビド基以外にフレキシブルな性質を有するモノマーを共重合して、ポリカーボネートの衝撃強度を向上させる方法を工夫した。
【0044】
本発明の化学式1aおよび1bで表される単位を含むことによって、ポリカーボネート鎖の自由体積(free volume)が減少され、ポリカーボネートの耐熱性が向上されることができる。また、イソソルビド基のsegment rotationが制限され、ポリカーボネートの硬度が向上する効果を表すことができる。
【0045】
本発明の一実施態様によれば、前記ポリカーボネートが前記化学式1aの単位を2以上含む場合、複数の化学式1aの単位は、互いに同一または異なる。
【0046】
本発明の一実施態様によれば、前記ポリカーボネートが前記化学式1bの単位を2以上含む場合、複数の化学式1bの単位は、互いに同一または異なる。
【0047】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1aのAは、フェニレン、ビフェニレン、またはナフチレンであってもよい。
【0048】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1aのAは、下記構造式の中から選択されてもよい。
【0049】
【化7】
【0050】
前記構造式において、*は、結合位置を意味する。
【0051】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1aのAは、下記構造式の中から選択されてもよい。
【0052】
【化8】
【0053】
前記構造式において、*は、結合位置を意味する。
【0054】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1aのL1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ直鎖または分岐鎖のアルキレンである。
【0055】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1aのL1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ直鎖または分岐鎖のC1~C20のアルキレンである。
【0056】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1aのL1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ直鎖のC1~C10のアルキレン、好ましくは直鎖のC1~C5のアルキレンである。
【0057】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1aのL1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれメチレンまたはエチレンである。
【0058】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1aのL1およびL2は、互いに同一で、メチレンまたはエチレンである。
【0059】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1aは、下記化学式1a-1で表されることができる。
【0060】
【化9】
【0061】
前記化学式1a-1において、
nおよびmは、互いに同一または異なり、それぞれ1~20の整数であり、
その他の置換基の定義は、化学式1aで定義したとおりである。
【0062】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1a-1のnおよびmは、互いに同一または異なり、それぞれ1~10の整数、1~5の整数、1~3の整数であってもよい。
【0063】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1aのL3およびL4は、互いに同一または異なり、それぞれ直鎖または分岐鎖のアルキレン、シクロアルキレン、アリーレン、直鎖または分岐鎖のアルキレン-シクロアルキレン、シクロアルキレン-直鎖または分岐鎖のアルキレン、直鎖または分岐鎖のアルキレン-シクロアルキレン-直鎖または分岐鎖のアルキレン、直鎖または分岐鎖のアルキレン-アリーレン、アリーレン-直鎖または分岐鎖のアルキレン、あるいは直鎖または分岐鎖のアルキレン-アリーレン-直鎖または分岐鎖のアルキレンであり、ここにおいて、前記直鎖または分岐鎖のアルキレン、シクロアルキレンおよびアリーレンは、それぞれアルコキシ、COOR、アルキルもしくはアリールによって置換または非置換され、Rは水素、アルキルまたはアリールである。
【0064】
例えば、シクロアルキレン-直鎖または分岐鎖のアルキレンとは、シクロアルキレンと直鎖または分岐鎖のアルキレンが単一結合で連結された2価基を意味する。
【0065】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1aのL3およびL4は、互いに同一または異なり、それぞれアリーレン、直鎖または分岐鎖のアルキレン-アリーレン、アリーレン-直鎖または分岐鎖のアルキレン、あるいは直鎖または分岐鎖のアルキレン-アリーレン-直鎖または分岐鎖のアルキレンである。
【0066】
例えば、直鎖または分岐鎖のアルキレン-アリーレン-直鎖または分岐鎖のアルキレンとは、直鎖または分岐鎖のアルキレン、アリーレンおよび直鎖または分岐鎖のアルキレンの順に単一結合によって連結された2価基を意味する。
【0067】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1aのL3およびL4は、互いに同一または異なり、それぞれアリーレン、直鎖または分岐鎖のアルキレン-アリーレン、アリーレン-直鎖または分岐鎖のアルキレン、あるいは直鎖または分岐鎖のアルキレン-アリーレン-直鎖または分岐鎖のアルキレンであり、ここにおいて、アリーレンはC6~C20であり、直鎖または分岐鎖のアルキレンはC1~C6である。
【0068】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1aのL3およびL4は、互いに同一または異なり、それぞれC6~C20のアリーレン、C1~C6のアルキレン-C6~C20のアリーレン、あるいはC6~C20のアリーレン-C1~C6のアルキレンである。
【0069】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1aのL3およびL4は、互いに同一または異なり、それぞれフェニレン、アルキレン-フェニレン、またはフェニレン-アルキレンであり、ここにおいて、アルキレンは、メチレンまたはエチレンである。
【0070】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1aのL3は、アルキレン-フェニレンであり、L4は、フェニレン-アルキレンであり、ここにおいて、アルキレンは、メチレンまたはエチレンである。
【0071】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1aは、下記化学式1a-2で表されることができる。
【0072】
【化10】
【0073】
前記化学式1a-2において、
L7およびL8は、互いに同一または異なり、それぞれ直鎖または分岐鎖のアルキレンであり、
A、nおよびmの定義は、化学式1aおよび化学式1a-1で定義したとおりである。
【0074】
一例によれば、L7およびL8は、C1~C20の直鎖または分岐鎖のアルキレンであり、具体的に、C1~C6の直鎖のアルキレンであり、例えば、メチレンまたはエチレンである。
【0075】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1bのL5およびL6は、互いに同一または異なり、それぞれ単一結合、あるいは直鎖または分岐鎖のアルキレンである。
【0076】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1bのL5およびL6は、互いに同一または異なり、それぞれ単一結合、あるいは直鎖または分岐鎖のC1~C6のアルキレンである。
【0077】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1bのL5およびL6は、互いに同一または異なり、それぞれ単一結合、メチレン、エチレン、プロピレン、またはブチレンである。
【0078】
本発明の一実施態様によれば、前記ポリカーボネートは、前記化学式1aで表される単位をポリカーボネート総重量に対して10重量%以上、好ましくは15重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上含み、50重量%以下、45重量%以下、または40重量%以下で含んでもよい。
【0079】
本発明の一実施態様によれば、前記ポリカーボネートは、前記化学式1bで表される単位をポリカーボネート総重量に対して40重量%以上、好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは60重量%の量で含み、90重量%以下、例えば85重量%以下、または70重量%以下で含んでもよい。
【0080】
本発明において、ポリカーボネート内に含まれた構造の含有量は、ポリカーボネートに対する核磁気共鳴(NMR)分析後、その結果から通常の方法によって計算することができる。
【0081】
本発明の一実施態様によるポリカーボネートは、目的と用途に合わせて重量平均分子量(Mw)を適宜に調節することができ、透明性および衝撃強度などポリカーボネートそのものの優れた特性を維持しながらも、改善された耐候性を示すことができることを考慮すると、前記ポリカーボネートの重量平均分子量は、30,000g/mol以上、または40,000g/molであり、60,000g/mol以下、または55,000g/mol以下、または50,000g/mol以下であってもよい。
【0082】
一方、本発明において、ポリカーボネートおよびその製造に用いられるオリゴマーの重量平均分子量(Mw)は、Agilent 1200 seriesを使用して、ポリスチレン標準(PS standard)を利用したゲル透過クロマトグラフィー(gel permeatiоn chromatograph;GPC)で測定することができる。具体的には、Polymer Laboratories PLgel MIX-B 300mm長さのカラムを使用してAgilent 1200 series機器を使用して測定することができ、この際、測定温度は160℃であり、使用溶媒は1,2,4-トリクロロベンゼンであり、流速は1mL/minである。ポリカーボネートまたはオリゴマーのサンプルは、それぞれ10mg/10mLの濃度で調製した後、200μLの量で供給し、ポリスチレン標準を利用して形成された検定曲線を利用してMw値を導く。この際、ポリスチレン標準品の分子量(g/mol)は、2,000/10,000/30,000/70,000/200,000/700,000/2,000,000/4,000,000/10,000,000の9種を使用する。
【0083】
本発明の一実施態様によれば、前記ポリカーボネートは、下記化学式2の単位をさらに含む。
【0084】
【化11】
【0085】
前記化学式2において、
X1およびX3は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の2価脂肪族炭化水素基、置換または非置換の2価イソソルビド基、置換または非置換のアリーレン、あるいは置換または非置換のヘテロアリーレンであり、
X2は、置換または非置換の2価脂肪族炭化水素基、置換または非置換の2価イソソルビド基、置換または非置換のアリーレン、置換または非置換のヘテロアリーレン、O、S、SO、SO2あるいはCOであり、
k1は0または1であり、ただし、X1と直接結合するX2がO、S、SO、SO2またはCOである場合、k1は1であり、
lは1~5の整数であり、lが2以上である場合、X2は互いに同一または異なり、
k2は0または1であり、ただし、X3と直接結合するX2がO、S、SO、SO2またはCOである場合、k2は1であり、
ポリカーボネート内に含まれる化学式2の単位は、互いに同一または異なり、
*は、ポリカーボネートの主鎖に連結される部位を意味する。
【0086】
本発明の一実施態様によれば、前記ポリカーボネートが前記化学式2の単位を2以上含む場合、複数の化学式2の単位は、互いに同一または異なる。
【0087】
本発明の一実施態様によれば、前記ポリカーボネートは、前記化学式2で表される単位をポリカーボネート総重量に対して30重量%以上、好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70重量%の量で含む。前記化学式2で表される単位を70重量%以下、例えば50重量%以下で含んでもよい。
【0088】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式2は、下記化学式3~6のいずれか1つで表されることができる。
【0089】
【化12】
【0090】
【化13】
【0091】
【化14】
【0092】
【化15】
【0093】
前記化学式3~6において、
Y1およびY2は、それぞれ置換または非置換の2価脂肪族炭化水素基、置換または非置換の2価イソソルビド基、置換または非置換のアリーレン、あるいは置換または非置換のヘテロアリーレンであり、
Y3およびY4は、それぞれ置換または非置換の直鎖または分岐鎖のアルキレン、置換または非置換のシクロアルキレン、置換または非置換のアリーレン、O、S、SO、SO2あるいはCOであり、
R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ水素、ハロゲン、置換または非置換のアルキル、あるいは置換または非置換のアルコキシであり、
aおよびbは、それぞれ0~4の整数であり、
c、d、eおよびfは、それぞれ1~4の整数であり、
g、h、iおよびjは、それぞれ0~4の整数であり、
g、h、iおよびjがそれぞれ2以上である場合、各R1~R4は、互いに同一または異なり、
ポリカーボネート内に含まれる化学式3~6の単位は、それぞれ互いに同一または異なり、
*は、ポリカーボネートの主鎖に連結される部位を意味する。
【0094】
本発明の一実施態様によれば、前記ポリカーボネートが前記化学式3~6の単位をそれぞれ2以上含む場合、複数の化学式3~6の単位は、それぞれ互いに同一または異なる。
【0095】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式3のY1は、置換または非置換のシクロアルキレン、置換または非置換のヘテロシクロアルキレン、置換または非置換のアリーレン、あるいは置換または非置換のヘテロアリーレンであってもよい。
【0096】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式3のY1は、置換または非置換の炭素数3~30のシクロアルキレン、置換または非置換の炭素数2~30のヘテロシクロアルキレン、置換または非置換の炭素数6~30のアリーレン、あるいは置換または非置換の炭素数2~30のヘテロアリーレンであってもよい。
【0097】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式3のY1は、置換または非置換の炭素数3~15のシクロアルキレン、置換または非置換の炭素数2~15のヘテロシクロアルキレン、置換または非置換の炭素数6~15のアリーレン、あるいは置換または非置換の炭素数2~15のヘテロアリーレンであってもよい。
【0098】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式3のY1は、置換または非置換のシクロブチレン、置換または非置換のシクロペンチレン、置換または非置換のシクロへキシレン、置換または非置換の2価テトラヒドロフラン、置換または非置換のビフェニレン、あるいは置換または非置換の2価フランであってもよい。
【0099】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式4のY2は、置換または非置換のシクロアルキレン、あるいは置換または非置換のアリーレンであってもよい。
【0100】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式4のY2は、置換または非置換の炭素数3~30のシクロアルキレン、あるいは置換または非置換の炭素数6~30のアリーレンであってもよい。
【0101】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式4のY2は、置換または非置換の炭素数3~15のシクロアルキレン、あるいは置換または非置換の炭素数6~15のアリーレンであってもよい。
【0102】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式4のY2は、置換または非置換のシクロブチレン、置換または非置換のシクロペンチレン、置換または非置換のシクロへキシレン、あるいは置換または非置換のビフェニレンであってもよい。
【0103】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式5のY3は、置換または非置換のアルキレン、置換または非置換のシクロアルキレン、置換または非置換のアリーレン、あるいはSO2であってもよい。
【0104】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式5のY3は、置換または非置換の炭素数1~30のアルキレン、置換または非置換の炭素数3~30のシクロアルキレン、置換または非置換の炭素数6~30のアリーレン、あるいはSO2であってもよい。
【0105】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式5のY3は、置換または非置換の炭素数1~10のアルキレン、置換または非置換の炭素数3~15のシクロアルキレン、置換または非置換の炭素数6~15のアリーレン、あるいはSO2であってもよい。
【0106】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式5のY3は、置換または非置換の炭素数1~5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン、置換または非置換のシクロへキシレン、置換または非置換のフェニレン、あるいはSO2であってもよい。
【0107】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式6のY4は、置換または非置換のアルキレン、置換または非置換のシクロアルキレン、置換または非置換のアリーレン、あるいはSO2であってもよい。
【0108】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式6のY4は、置換または非置換の炭素数1~30のアルキレン、置換または非置換の炭素数3~30のシクロアルキレン、置換または非置換の炭素数6~30のアリーレン、あるいはSO2であってもよい。
【0109】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式6のY4は、置換または非置換の炭素数1~10のアルキレン、置換または非置換の炭素数3~15のシクロアルキレン、置換または非置換の炭素数6~15のアリーレン、あるいはSO2であってもよい。
【0110】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式6のY4は、置換または非置換の炭素数1~5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン、置換または非置換のシクロへキシレン、置換または非置換のフェニレン、あるいはSO2であってもよい。
【0111】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式5および6のR1~R4は、水素、あるいは置換または非置換の炭素数1~10のアルキルであってもよい。
【0112】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式5および6のR1~R4は、水素、あるいは置換または非置換の炭素数1~5のアルキルであってもよい。
【0113】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式5および6のR1~R4は、水素、あるいは置換または非置換のメチルであってもよい。
【0114】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式5および6のR1~R4は、置換または非置換の炭素数1~10のアルキルであってもよい。
【0115】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式5および6のR1~R4は、置換または非置換の炭素数1~5のアルキルであってもよい。
【0116】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式5および6のR1~R4は、置換または非置換のメチルであってもよい。
【0117】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式3は、下記単位のいずれか1つで表されることができる。
【0118】
【化16】
【0119】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式4は、下記単位のいずれか1つで表されることができる。
【0120】
【化17】
【0121】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式5は、下記単位のいずれか1つで表されることができる。
【0122】
【化18】
【0123】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式6は、下記単位のいずれか1つで表されることができる。
【0124】
【化19】
【0125】
本発明の一実施態様によれば、前記ポリカーボネートは、末端基としてヒドロキシ基を有してもよいが、これに限定されるものではない。
【0126】
本発明の一実施態様によれば、温度23℃で、ASTM D256(1/8inch、Notched Izod)に基づき、前記ポリカーボネートの衝撃強度を測定した際、衝撃強度は、245J/m以上、250J/m以上、280J/m以上であってもよい。衝撃強度の上限は特に限定しないが、例えば、500J/m以下、450J/m以下であってもよい。
【0127】
具体的に、アイゾッド(Izod)衝撃強度測定法は、一定の重さの振り子(Pendulum)を用いる方法で、試片に振り子を打撃して回転時に戻る高さから得られる吸収エネルギーを試片のノッチ部の断面積に与えて衝撃強度を得る。
【0128】
本発明の一実施態様によれば、温度23℃で、鉛筆硬度計(Cometech)を用いて、ASTM D3363に基づき、50gの荷重で、45度の角度で、前記ポリカーボネートの鉛筆硬度を測定した際、鉛筆硬度はHB以上であってもよい。
【0129】
本発明の他の一実施態様は、下記化学式11aの化合物、下記化学式11bの化合物およびカーボネート前駆体を含む組成物を重合する段階を含む、前述した化学式1aで表される単位;および化学式1bで表される単位を含むポリカーボネートの製造方法を提供する。
【0130】
【化20】
【0131】
【化21】
【0132】
前記化学式11aおよび11bにおいて、
Aは、置換または非置換のフェニレン;あるいは置換もしくは非置換の2以上のベンゼン環が単一結合で連結されるかまたは縮合されてなるアリーレンであり、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレンであり、
L3およびL4は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン、置換または非置換のシクロアルキレンおよび置換または非置換のアリーレンの中から選択された1つであるか、あるいはこれらの中から2以上が単一結合によって連結された2価基であり、
L5およびL6は、互いに同一または異なり、それぞれ単一結合;あるいは置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン、置換または非置換のシクロアルキレンおよび置換または非置換のアリーレンの中から選択された1つであるか、あるいはこれらの中から2以上が単一結合によって連結された2価基である。
【0133】
前記化学式11aの置換基の好ましい例示は、前述した化学式1aに係る説明と同一である。
【0134】
前記化学式11bの置換基の好ましい例示は、前述した化学式1bに係る説明と同一である。
【0135】
本発明の他の一実施態様によれば、前記化学式11aは、下記化学式11a-1で表されることができる。
【0136】
【化22】
【0137】
前記化学式11a-1において、各置換基の定義は、化学式1a-1のとおりである。
【0138】
本発明の他の一実施態様によれば、前記化学式11a-1は、下記化学式11a-2で表されることができる。
【0139】
【化23】
【0140】
前記化学式11a-2において、置換基の定義は、化学式1a-2のとおりである。
【0141】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式11aの化合物は、下記の構造で表されることができる。
【0142】
【化24】
【0143】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式11aの化合物は、下記反応式によって製造されてもよい。
【0144】
【化25】
【0145】
前記反応式において、AおよびL1~L3の定義は、化学式11aでの定義のとおりである。
【0146】
1当量のジクロロ化合物、2.2当量のジオール化合物および炭酸カリウム(K2CO3)をジメチルホルムアミド(Dimethylformamide、DMF)溶媒に溶解後、80℃で攪拌する。反応が完了した後、エチルアセテート(Ethyl Acetate、EA)と水を用いて抽出を進行した後、分離された有機層は、無水硫酸マグネシウム(MgSO4)を用いて水を除去する。水が除去された有機層を減圧蒸留によって濃縮した後、カラムクロマトグラフィーによって化学式11aの化合物を合成する。
【0147】
前記化学式11bの化合物は、当技術分野において周知の方法で製造して用いるか、または市販されている製品を仕入れて用いてもよい。
【0148】
本発明の一実施態様によれば、前記カーボネート前駆体は、下記化学式12で表されることができる。
【0149】
【化26】
【0150】
前記化学式12において、
R5およびR6は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のアリール、あるいは置換または非置換のヘテロアリールである。
【0151】
前記カーボネート前駆体は、前記化学式11aの化合物および前記化学式11bの化合物 、または必要に応じて前記化学式21の化合物などの追加の共単量体を連結する役割を果たすものであり、その具体例としては、ホスゲン、トリホスゲン、ジホスゲン、ブロモホスゲン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m-クレシルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネートまたはビスハロホルメートが挙げられ、これらのいずれか1つまたは2つ以上の混合物を用いてもよい。
【0152】
本明細書の一実施態様において、前記カーボネート前駆体は、ジフェニルカーボネートであってもよい。
【0153】
前記化学式11aの化合物と前記化学式12のカーボネート前駆体を重合することによって、前述した化学式1aの単位を形成することができ、前記化学式11bの化合物と前記化学式12のカーボネート前駆体を重合することによって、前述した化学式1bの単位を形成することができる。
【0154】
言い換えれば、前記化学式11aの化合物、前記化学式11bの化合物および前記化学式12のカーボネート前駆体を重合することによって、化学式1aの単位と化学式1bの単位を含むポリカーボネートを製造することができる。
【0155】
前記化学式11aの化合物は、前記組成物の総重量に対して、5重量%~50重量%、10重量%~40重量%、15重量%~30重量%で含まれてもよい。
【0156】
前記化学式11bの化合物は、前記組成物の総重量に対して、20重量%~70重量%、30重量%~60重量%、35重量%~50重量%で含まれてもよい。
【0157】
前記化学式12のカーボネート前駆体は、前記組成物の総重量に対して、20重量%~70重量%、30重量%~60重量%、35重量%~50重量%で含まれてもよい。
【0158】
重合は、当技術分野において周知の方法を利用することができ、溶融重合によって行うことが好ましい。
【0159】
具体的に、前記化学式11aの化合物、化学式11bの化合物およびカーボネート前駆体を含む組成物を、窒素雰囲気下、700~800torrの圧力および120~170℃の温度条件下で溶かし、80~120torrの圧力条件下で180~200℃の温度に昇温させながら、反応中発生するフェノールを除去して、20~40torrの圧力条件下で200℃以上の温度に昇温させ、最終的に0.05~0.2torrの圧力、220℃以上の温度に昇温させた後、反応を終結して重合することができる。
【0160】
また、前記重合反応を促すために、水酸化リチウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、メトキシドナトリウムなどのような反応触媒をさらに用いてもよい。
【0161】
本発明の一実施態様によれば、前記重合段階で用いられる前記組成物は、下記化学式21の化合物をさらに含んでもよい。
【0162】
【化27】
【0163】
前記化学式21において、
X1およびX3は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の2価脂肪族炭化水素基、置換または非置換の2価イソソルビド基、置換または非置換のアリーレン、あるいは置換または非置換のヘテロアリーレンであり、
X2は、置換または非置換の2価脂肪族炭化水素基、置換または非置換の2価イソソルビド基、置換または非置換のアリーレン、置換または非置換のヘテロアリーレン、O、S、SO、SO2あるいはCOであり、
k1は0または1であり、ただし、X1と直接結合するX2がO、S、SO、SO2またはCOである場合、k1は1であり、
lは1~5の整数であり、lが2以上である場合、X2は互いに同一または異なり、
k2は0または1であり、ただし、X3と直接結合するX2がO、S、SO、SO2またはCOである場合、k2は1である。
【0164】
前記化学式21の化合物は、重合によって前述した化学式2の単位で形成されることができる。前記化学式21の化合物は、前記化学式12のカーボネート前駆体100モル部に対して30モル部以上、40モル部以上含まれ、90モル部以下、80モル部以下で含まれてもよい。
【0165】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式21は、下記化学式31、41、51または61で表されることができる。
【0166】
【化28】
【0167】
【化29】
【0168】
【化30】
【0169】
【化31】
【0170】
前記化学式31、41、51および61において、
Y1およびY2は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の2価脂肪族炭化水素基、置換または非置換の2価イソソルビド基、置換または非置換のアリーレン、あるいは置換または非置換のヘテロアリーレンであり、
Y3およびY4は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン、置換または非置換のシクロアルキレン、置換または非置換のアリーレン、O、S、SO、SO2あるいはCOであり、
R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ水素、ハロゲン、置換または非置換のアルキル、あるいは置換または非置換のアルコキシであり、
aおよびbは、それぞれ0~4の整数であり、
c、d、eおよびfは、それぞれ1~4の整数であり、
g、h、iおよびjは、それぞれ0~4の整数であり、
g、h、iおよびjがそれぞれ2以上である場合、各R1~R4は、互いに同一または異なる。
【0171】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式31、41、51および61のY1~Y4およびR1~R4は、前記化学式3~6に関する説明が適用されてもよい。
【0172】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式31は、下記構造のいずれか1つで表されることができる。
【0173】
【化32】
【0174】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式41は、下記構造のいずれか1つで表されることができる。
【0175】
【化33】
【0176】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式51は、下記構造のいずれか1つで表されることができる。
【0177】
【化34】
【0178】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式61は、下記構造のいずれか1つで表されることができる。
【0179】
【化35】
【0180】
本発明の他の一実施態様は、前述した実施態様によるポリカーボネートを含む組成物を提供する。
【0181】
一例によれば、前記ポリカーボネートを含む組成物は、樹脂成形品の分子量の低下や色相の悪化を防止するために、熱安定剤をさらに含んでもよい。
【0182】
前記熱安定剤の例としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステルなどが挙げられ、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルトキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4’-ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピルまたはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0183】
前記熱安定剤は、前記ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.0001重量部~1重量部、0.005重量部~0.5重量部、0.01重量部~0.2重量部の含有量で使用してもよい。前記含有量で安定剤を使用することによって、添加剤のブリードなどを起こすことなく樹脂の分子量低下や変色を防止することができる。
【0184】
他の一例によれば、前記ポリカーボネートを含む組成物は、一般的に知られている酸化防止剤をさらに含んでもよい。
【0185】
前記酸化防止剤の具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール-3-ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマイド)、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジルホスホネート-ジエチルエステル、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’-ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)、3,9-ビス{1,1-ジメチル-2-[β-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンまたはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0186】
前記酸化防止剤は、前記ポリカーボネート100重量部に対して0.0001重量部~1重量部、0.001重量部~0.5重量部、0.005重量部~0.1重量部の含有量で用いられてもよい。
【0187】
他の一例によれば、前記ポリカーボネートを含む組成物は、滑剤をさらに含んでもよく、例えば、ペンタエリスリトールテトラステアレートを含んでもよい。
【0188】
前記滑剤は、前記ポリカーボネート100重量部に対して0.0001重量部~1重量部、0.005重量部~0.5重量部、0.01重量部~0.2重量部の含有量で用いられてもよい。
【0189】
本発明の他の一実施態様は、前述した実施態様によるポリカーボネートを含む組成物から製造される成形品を提供する。先に説明したとおり、前記化学式1aで表される単位と前記化学式1bで表される単位を含むポリカーボネートは、硬度または耐熱性が優れているので、従来使用されていたポリカーボネートから製造される成形品に比べて応用分野が広い。また、前記ポリカーボネートが前記化学式2で表される繰り返し単位をさらに含む場合、前記化学式1a、前記化学式1bおよび前記化学式2で表される単位の重量比を調節することによって所望の物性を具現することができるので、応用分野がさらに広くなる。
【0190】
前記組成物または成形品は、前記のポリカーボネートの他に、必要に応じて、酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤、核剤、難燃剤、滑剤、衝撃補強剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、顔料および染料からなる群から選択された1種以上をさらに含んでもよい。
【0191】
前記成形品の製造方法の一例として、前記のポリカーボネートと他の添加剤とをミキサーを用いてよく混合した後、押出機で押出成形してペレットに製造し、前記ペレットを乾燥させた後、射出成形機にて射出する段階を含んでもよい。
【実施例
【0192】
(実験例1.ポリカーボネートの製造)
(実施例1.)
1)モノマー1(2,2’-(((1,4-phenylenebis(methylene))bis(oxy))bis(4,1-phenylene))bis(ethan-1-ol)monomer)の製造
【0193】
【化36】
【0194】
1当量の1,4-ビス(クロロメチル)ベンゼン(1,4-bis(chloromethyl)benzene)、2.2当量の4-(2-ヒドロキシエチル)フェノール(4-(2-hydroxyethyl)phenolおよび炭酸カリウム(K2CO3)を、ジメチルホルムアミド(Dimethylformamide、DMF)溶媒に溶解後、80℃で攪拌した。反応が完了した後、エチルアセテート(Ethyl Acetate、EA)と水を用いて抽出を進行した後、分離された有機層は無水硫酸マグネシウム(MgSO4)を用いて水を除去した。水が除去された有機層を減圧蒸留によって濃縮した後、カラムクロマトグラフィーによってモノマー1を得た。
【0195】
2)ポリカーボネート樹脂の製造
反応容器に水分がないようにクリーニングした後、窒素パージングを実施した。イソソルビド(Roquette社)100重量部に対して、ジフェニルカーボネート(Diphenyl Carbonate、DPC)105重量部、モノマー1(化学式11aの化合物)40重量部、触媒として水酸化リチウムを0.02wt%(イソソルビド重量基準)を1Lのガラス反応容器に投入して、窒素雰囲気下で、760torrの圧力、150℃の温度条件で、20分間攪拌して投入物質を溶かした。以後、圧力を100torrに変え、反応温度を60分かけて190℃に昇温させながら、反応中に発生するフェノールを除去した。次いで、圧力を30torrに変え、温度を40分かけて210℃に昇温させた。次いで、撹拌機のトルクが上昇して粘度が上昇するにつれて、最終的に圧力を0.1torrに変え、温度を230℃まで昇温させた。攪拌トルクに到達した後、反応を終結し、生成された溶融物をペレッタイジングして、ポリカーボネート樹脂を製造した。
【0196】
(実施例2.)
【0197】
【化37】
【0198】
実施例1において、1,4-ビス(クロロメチル)ベンゼンに代えて1,4-ビス(2-クロロエチル)ベンゼン(1,4-bis(2-chloroethyl)benzene)を用いたことを除いては、実施例1と同一の方法でモノマー2を製造し、モノマー1に代えてモノマー2を用いたことを除いては、実施例1と同一の方法でポリカーボネートを製造した。
【0199】
(実施例3.)
【0200】
【化38】
【0201】
実施例1において、1,4-ビス(クロロメチル)ベンゼンに代えて4,4’-ビス(クロロメチル)-1,1’-ビフェニル(4,4’-bis(chloromethyl)-1,1’-biphenyl)を用いたことを除いては、実施例1と同一の方法でモノマー3を製造し、モノマー1に代えてモノマー3を用いたことを除いては、実施例1と同一の方法でポリカーボネートを製造した。
【0202】
(実施例4.)
【0203】
【化39】
【0204】
実施例1において、4-(2-ヒドロキシエチル)フェノールに代えて4-(ヒドロキシメチル)フェノール(4-(hydroxymethyl)phenol)を用いたことを除いては、実施例1と同一の方法でモノマー4を製造し、モノマー1に代えてモノマー4を用いたことを除いては、実施例1と同一の方法でポリカーボネートを製造した。
【0205】
(比較例1.)
実施例1において、モノマー1を除き、イソソルビドのみを用いて重合をし、実施例1と同一の方法でポリカーボネートを製造した。
【0206】
(実験例2.ポリカーボネートの物性評価)
前記実施例および比較例で製造したそれぞれのポリカーボネート樹脂100重量部に対して、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト0.050重量部、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.010重量部、ペンタエリスリトールテトラステアレート0.030重量部を添加し、ベント付きHAAKE Mini CTWを用いてペレット化した後、HAAKE Minijet射出成形機を使用してシリンダー温度300℃、金型温度120℃で射出成形して試片を製造した。
【0207】
このような射出試片またはポリカーボネートの特性を下記の方法で測定し、その結果を表1に示した。
【0208】
-重量平均分子量(g/mol):Agilent 1200 seriesを用いて、PC standardで検量して測定した。
【0209】
-流動性(MI):ASTM D1238(300℃、1.2kg条件)に基づいて測定した。
【0210】
-Izod常温衝撃強度(J/m):ASTM D256(1/8inch、Notched Izod)に基づいて23℃で測定した。
【0211】
-鉛筆硬度:23℃で、鉛筆硬度計(Cometech)を用いて、ASTM D3363に基づき、50gの荷重で、45度の角度で、2B、B、HB強度の鉛筆で測定した。
【0212】
【表1】
【0213】
表1を参考すると、実施例の化合物は、比較例に比べて高い衝撃強度と高硬度を示すことを確認した。
【0214】
具体的に、本発明の化学式1aの単位を含まず、化学式1bの単位のみを含む比較例1と比べたところ、実施例が250J/m以上の高い衝撃強度を有しながら、HBの鉛筆硬度を有することが分かった。
【0215】
よって、本発明の化学式1aの単位と化学式1bの単位をともに含むポリカーボネートは、向上された耐衝撃性および高硬度がともに達成できることを確認することができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1aで表される単位;および下記化学式1bで表される単位を含むポリカーボネート:
【化40】
【化41】
前記化学式1aおよび前記化学式1bにおいて、
Aは、置換または非置換のフェニレン;あるいは置換もしくは非置換の2以上のベンゼン環が単一結合で連結されるかまたは縮合されてなるアリーレンであり、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレンであり、
L3およびL4は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン、置換または非置換のシクロアルキレンおよび置換または非置換のアリーレンの中から選択された1つであるか、あるいはこれらの中から2以上が単一結合によって連結された2価基であり、
L5およびL6は、互いに同一または異なり、それぞれ単一結合;あるいは置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン、置換または非置換のシクロアルキレンおよび置換または非置換のアリーレンの中から選択された1つであるか、あるいはこれらの中から2以上が単一結合によって連結された2価基であり、
ポリカーボネート内に含まれる化学式1aの単位は、それぞれ互いに同一または異なり、
ポリカーボネート内に含まれる化学式1bの単位は、それぞれ互いに同一または異なり、
*は、ポリカーボネートの主鎖に連結される部位を意味する。
【請求項2】
前記ポリカーボネートは、前記化学式1aで表される単位をポリカーボネート総重量に対して10重量%~50重量%の量で含むものである、請求項1に記載のポリカーボネート。
【請求項3】
前記ポリカーボネートの重量平均分子量は、30,000g/mol~60,000g/molである、請求項1または2に記載のポリカーボネート。
【請求項4】
前記化学式1aは、下記化学式1a-1で表されるものである、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のポリカーボネート:
【化42】
前記化学式1a-1において、
nおよびmは、互いに同一または異なり、それぞれ1~20の整数であり、
その他の置換基の定義は、化学式1aで定義したとおりである。
【請求項5】
前記化学式1a-1は、下記化学式1a-2で表されるものである、請求項4に記載のポリカーボネート:
【化43】
前記化学式1a-2において、
L7およびL8は、互いに同一または異なり、それぞれ直鎖または分岐鎖のアルキレンであり、
A、nおよびmの定義は、化学式1aおよび化学式1a-1で定義したとおりである。
【請求項6】
前記化学式1aのAは、下記構造式の中から選択されるものである、請求項1ないし5のいずれか一項に記載のポリカーボネート。
【化44】
【請求項7】
前記ポリカーボネートは、下記化学式2の単位をさらに含むものである、請求項1ないし6のいずれか一項に記載のポリカーボネート:
【化45】
前記化学式2において、
X1およびX3は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の2価脂肪族炭化水素基、置換または非置換の2価イソソルビド基、置換または非置換のアリーレン、あるいは置換または非置換のヘテロアリーレンであり、
X2は、置換または非置換の2価脂肪族炭化水素基、置換または非置換の2価イソソルビド基、置換または非置換のアリーレン、置換または非置換のヘテロアリーレン、O、S、SO、SO2あるいはCOであり、
k1は0または1であり、ただし、X1と直接結合するX2がO、S、SO、SO2またはCOである場合、k1は1であり、
lは1~5の整数であり、lが2以上である場合、X2は互いに同一または異なり、
k2は0または1であり、ただし、X3と直接結合するX2がO、S、SO、SO2またはCOである場合、k2は1であり、
ポリカーボネート内に含まれる化学式2の単位は、互いに同一または異なり、
*は、ポリカーボネートの主鎖に連結される部位を意味する。
【請求項8】
前記化学式2は、下記化学式3~6のいずれか1つで表されるものである、請求項7に記載のポリカーボネート:
【化46】
【化47】
【化48】
【化49】
前記化学式3~6において、
Y1およびY2は、それぞれ置換または非置換の2価脂肪族炭化水素基、置換または非置換の2価イソソルビド基、置換または非置換のアリーレン、あるいは置換または非置換のヘテロアリーレンであり、
Y3およびY4は、それぞれ置換または非置換の直鎖または分岐鎖のアルキレン、置換または非置換のシクロアルキレン、置換または非置換のアリーレン、O、S、SO、SO2あるいはCOであり、
R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ水素、ハロゲン、置換または非置換のアルキル、あるいは置換または非置換のアルコキシであり、
aおよびbは、それぞれ0~4の整数であり、
c、d、eおよびfは、それぞれ1~4の整数であり、
g、h、iおよびjは、それぞれ0~4の整数であり、
g、h、iおよびjがそれぞれ2以上である場合、各R1~R4は、互いに同一または異なり、
ポリカーボネート内に含まれる化学式3~6の単位は、それぞれ互いに同一または異なり、
*は、ポリカーボネートの主鎖に連結される部位を意味する。
【請求項9】
下記化学式11aの化合物、下記化学式11bの化合物およびカーボネート前駆体を含む組成物を重合する段階を含む請求項1ないし8のいずれか一項に記載のポリカーボネートの製造方法:
【化50】
【化51】
前記化学式11aおよび前記化学式11bにおいて、
Aは、置換または非置換のフェニレン;あるいは置換もしくは非置換の2以上のベンゼン環が単一結合で連結されるかまたは縮合されてなるアリーレンであり、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレンであり、
L3およびL4は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン、置換または非置換のシクロアルキレンおよび置換または非置換のアリーレンの中から選択された1つであるか、あるいはこれらの中から2以上が単一結合によって連結された2価基であり、
L5およびL6は、互いに同一または異なり、それぞれ単一結合;あるいは置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン、置換または非置換のシクロアルキレンおよび置換または非置換のアリーレンの中から選択された1つであるか、あるいはこれらの中から2以上が単一結合によって連結された2価基である。
【請求項10】
前記カーボネート前駆体は、下記化学式12で表されるものである、請求項9に記載のポリカーボネートの製造方法:
【化52】
前記化学式12において、
R5およびR6は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のアリール、あるいは置換または非置換のヘテロアリールである。
【請求項11】
前記組成物は、下記化学式21の化合物をさらに含むものである、請求項9または10に記載のポリカーボネートの製造方法:
【化53】
前記化学式21において、
X1およびX3は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の2価脂肪族炭化水素基、置換または非置換の2価イソソルビド基、置換または非置換のアリーレン、あるいは置換または非置換のヘテロアリーレンであり、
X2は、置換または非置換の2価脂肪族炭化水素基、置換または非置換の2価イソソルビド基、置換または非置換のアリーレン、置換または非置換のヘテロアリーレン、O、S、SO、SO2あるいはCOであり、
k1は0または1であり、ただし、X1と直接結合するX2がO、S、SO、SO2またはCOである場合、k1は1であり、
lは1~5の整数であり、lが2以上である場合、X2は互いに同一または異なり、
k2は0または1であり、ただし、X3と直接結合するX2がO、S、SO、SO2またはCOである場合、k2は1である。
【請求項12】
前記化学式21は、下記化学式31、41、51または61で表されるものである、請求項11に記載のポリカーボネートの製造方法:
【化54】
【化55】
【化56】
【化57】
前記化学式31、41、51および61において、
Y1およびY2は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の2価脂肪族炭化水素基、置換または非置換の2価イソソルビド基、置換または非置換のアリーレン、あるいは置換または非置換のヘテロアリーレンであり、
Y3およびY4は、互いに同一または異なり、それぞれ置換または非置換の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン、置換または非置換のシクロアルキレン、置換または非置換のアリーレン、O、S、SO、SO2あるいはCOであり、
R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ水素、ハロゲン、置換または非置換のアルキル、あるいは置換または非置換のアルコキシであり、
aおよびbは、それぞれ0~4の整数であり、
c、d、eおよびfは、それぞれ1~4の整数であり、
g、h、iおよびjは、それぞれ0~4の整数であり、
g、h、iおよびjがそれぞれ2以上である場合、各R1~R4は、互いに同一または異なる。
【請求項13】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載のポリカーボネートを含む組成物。
【請求項14】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載のポリカーボネートを含む組成物から製造される成形品。
【国際調査報告】