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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-29
(54)【発明の名称】ドープされた酸化ケイ素の熱堆積
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20240122BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240122BHJP
   C23C 16/42 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
H01L21/316 X
H01L21/31 B
C23C16/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543330
(86)(22)【出願日】2022-01-19
(85)【翻訳文提出日】2023-09-12
(86)【国際出願番号】 US2022012872
(87)【国際公開番号】W WO2022159426
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】17/157,313
(32)【優先日】2021-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シェン, ツェシン
(72)【発明者】
【氏名】チー, ポー
(72)【発明者】
【氏名】マリック, アブヒジット バス
(72)【発明者】
【氏名】イングル, ニティン ケー.
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA03
4K030AA04
4K030AA06
4K030AA09
4K030AA14
4K030BA44
4K030DA09
4K030JA06
4K030JA10
5F045AA06
5F045AB31
5F045AC01
5F045AC03
5F045AC05
5F045AC07
5F045AC11
5F045AD07
5F045AD08
5F045AD09
5F045AD10
5F045BB19
5F045DP03
5F045EF05
5F045EK07
5F045HA16
5F058BA09
5F058BC04
5F058BF04
5F058BF23
5F058BF24
5F058BF26
5F058BF29
5F058BH01
(57)【要約】
半導体処理の例示的な方法は、ケイ素含有前駆体及び酸素含有前駆体を半導体処理チャンバの処理領域に供給することを含みうる。基板は、半導体処理チャンバの処理領域内に配置されうる。本方法は、炭素含有前駆体を半導体処理チャンバの処理領域に供給することを含みうる。炭素含有前駆体は、炭素・炭素二重結合又は炭素・炭素三重結合によって特徴付けられうる。本方法は、ケイ素含有前駆体、酸素含有前駆体、及び炭素含有前駆体を約650℃未満の温度で熱反応させることを含みうる。本方法は、基板上にケイ素・酸素・炭素含有層を形成することを含みうる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケイ素含有前駆体及び酸素含有前駆体を、基板が配置される半導体処理チャンバの処理領域に供給することと、
炭素含有前駆体を前記半導体処理チャンバの前記処理領域に供給することであって、前記炭素含有前駆体は、炭素・炭素二重結合又は炭素・炭素三重結合によって特徴付けられる、炭素含有前駆体を供給することと、
前記ケイ素含有前駆体、前記酸素含有前駆体、及び前記炭素含有前駆体を、約650℃未満の温度で熱反応させることと、
前記基板上にケイ素・酸素・炭素含有層を形成することと
を含む、半導体処理方法。
【請求項2】
前記基板上に前記ケイ素・酸素・炭素含有層を形成している間、前記半導体処理チャンバの前記処理領域がプラズマの無い状態に維持される、請求項1に記載の半導体処理方法。
【請求項3】
前記ケイ素・酸素・炭素含有層は、基本的にケイ素、酸素、炭素及び水素からなる、請求項1に記載の半導体処理方法。
【請求項4】
前記基板は、1つ又は複数のフィーチャによって特徴付けられ、前記ケイ素・酸素・炭素含有層は、約90%以上の共形性で、前記1つ又は複数のフィーチャの周囲に形成される、請求項1に記載の半導体処理方法。
【請求項5】
前記ケイ素含有前駆体、前記酸素含有前駆体、及び前記炭素含有前駆体を熱反応させることは、約500℃以下の温度で実行される、請求項1に記載の半導体処理方法。
【請求項6】
前記ケイ素・酸素・炭素含有層は、約20%以上の炭素濃度によって特徴付けられ、前記ケイ素・酸素・炭素含有層は、約0.4nm以下の二乗平均平方根粗さによって特徴付けられる、請求項1に記載の半導体処理方法。
【請求項7】
前記ケイ素・酸素・炭素含有層は、2MV/cmで約5E-9A/cm以下の漏れ電流によって特徴付けられる、請求項6に記載の半導体処理方法。
【請求項8】
前記ケイ素・酸素・炭素含有膜を約750℃以上の温度でアニールにさらすこと
を更に含む、請求項1に記載の半導体処理方法。
【請求項9】
前記アニールの後に、前記ケイ素・酸素・炭素含有層が約4.2以下の誘電率を維持する、請求項8に記載の半導体処理法。
【請求項10】
前記炭素含有前駆体は、前記ケイ素含有前駆体に対して約2:1以上の流量比で供給される、請求項1に記載の半導体処理方法。
【請求項11】
前記酸素含有前駆体は、前記炭素含有前駆体に対して約10:1以上の流量比で供給される、請求項10に記載の半導体処理方法。
【請求項12】
ケイ素含有前駆体及び酸素含有前駆体を、基板が配置される半導体処理チャンバの処理領域に供給することと、
炭化水素を前記半導体処理チャンバの前記処理領域に供給することであって、前記炭化水素は、炭素・炭素二重結合又は炭素・炭素三重結合によって特徴付けられる、炭化水素を供給することと、
前記ケイ素含有前駆体、前記酸素含有前駆体、及び前記炭化水素を、約400℃と約600℃との間の温度で熱反応させることと、
前記基板上にケイ素・酸素・炭素含有層を形成することと
を含む、半導体処理方法。
【請求項13】
前記半導体処理チャンバの前記処理領域は、前記半導体処理方法の間、プラズマの無い状態に維持される、請求項12に記載の半導体処理方法。
【請求項14】
前記ケイ素・酸素・炭素含有膜を約750℃以上の温度でアニールにさらすこと
を更に含む、請求項12に記載の半導体処理方法。
【請求項15】
前記アニールの後に、前記ケイ素・酸素・炭素含有層が約4.2以下の誘電率を維持する、請求項14に記載の半導体処理法。
【請求項16】
前記炭化水素は、前記ケイ素含有前駆体に対して約2:1以上の流量比で供給される、請求項12に記載の半導体処理方法。
【請求項17】
前記基板は、1つ又は複数のフィーチャによって特徴付けられ、前記ケイ素・酸素・炭素含有層は、約90%以上の共形性で、前記1つ又は複数のフィーチャの周囲に形成される、請求項12に記載の半導体処理方法。
【請求項18】
ケイ素含有前駆体及び酸素含有前駆体を半導体処理チャンバの処理領域に供給することであって、前記半導体処理チャンバの前記処理領域内に基板が配置され、前記酸素含有前駆体は、前記ケイ素含有前駆体に対して約10:1以上の流量比で供給される、ケイ素含有前駆体及び酸素含有前駆体を供給することと、
炭素含有前駆体を前記半導体処理チャンバの前記処理領域に供給することであって、前記炭素含有前駆体は、炭素・炭素二重結合又は炭素・炭素三重結合によって特徴付けられる、炭素含有前駆体を供給することと、
前記ケイ素含有前駆体、前記酸素含有前駆体、及び前記炭素含有前駆体を、約600℃未満の温度で熱反応させることと、
前記基板上にケイ素・酸素・炭素含有層を形成することであって、前記ケイ素・酸素・炭素含有層は基本的にケイ素、酸素、炭素、及び水素からなる、ケイ素・酸素・炭素含有層を形成することと
を含む、半導体処理方法。
【請求項19】
前記基板上に前記ケイ素・酸素・炭素含有層を形成している間、前記半導体処理チャンバの前記処理領域がプラズマの無い状態に維持される、請求項18に記載の半導体処理方法。
【請求項20】
前記ケイ素・酸素・炭素含有層は、約90%以上の厚さ共形性によって特徴付けられる、請求項18に記載の半導体処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2021年1月25日に出願された「ドープされた酸化ケイ素の熱堆積(THERMAL DEPOSITION OF DOPED SILICON OXIDE)」と題する米国特許出願第17/157,313号の利益及び優先権を主張するものであり、その全体を参照することにより、本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本技術は、半導体処理のための方法及び構成要素に関する。より具体的には、本技術は、半導体構造のための誘電体膜を製造するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]集積回路は、基板表面に複雑にパターニングされた材料層を生成するプロセスによって可能になる。基板上にパターニングされた材料を製造するには、材料を形成及び除去するための制御された方法が必要である。デバイスの小型化が進むにつれて、構造のアスペクト比が大きくなり、処理工程中にこれらの構造の寸法を維持することが困難になりうる。フィーチャにわたって十分な共形性を有する誘電体材料を開発することは、困難でありうる。更に、処理中にパターニングされる材料層の数が増えるにつれて、材料特性の維持とともに、露出した他の材料に対する除去選択性が改善された材料を製造することがより大きな課題となっている。
【0004】
[0004]したがって、高品質のデバイス及び構造を製造するために使用することができる改善されたシステム及び方法が必要とされる。本技術は、これら必要性及びその他の必要性に対処する。
【発明の概要】
【0005】
[0005]半導体処理の例示的な方法は、ケイ素含有前駆体及び酸素含有前駆体を半導体処理チャンバの処理領域に供給することを含みうる。基板は、半導体処理チャンバの処理領域内に配置されうる。本方法は、炭素含有前駆体を半導体処理チャンバの処理領域に供給することを含みうる。炭素含有前駆体は、炭素・炭素二重結合又は炭素・炭素三重結合によって特徴付けられうる。本方法は、ケイ素含有前駆体、酸素含有前駆体、及び炭素含有前駆体を約650℃未満の温度で熱反応させることを含みうる。本方法は、基板上にケイ素・酸素・炭素含有層を形成することを含みうる。
【0006】
[0006]いくつかの実施形態では、基板上にケイ素・酸素・炭素含有層を形成している間、半導体処理チャンバの処理領域はプラズマの無い状態(plasma-free)に維持されうる。ケイ素・酸素・炭素含有層は、ケイ素、酸素、炭素、及び水素を含みうるか又は基本的に(essentially)これらからなりうる。基板は、1つ又は複数のフィーチャによって特徴付けられうる。ケイ素・酸素・炭素含有層は、約90%以上の共形性で、1つ又は複数のフィーチャ周囲に形成されうる。ケイ素含有前駆体、酸素含有前駆体及び炭素含有前駆体を熱反応させることは、約500℃以下の温度で実行されうる。ケイ素・酸素・炭素含有層は、約20%以上の炭素濃度によって特徴付けられうる。ケイ素・酸素・炭素含有層は、約0.4nm以下の二乗平均平方根粗さによって特徴付けられうる。ケイ素・酸素・炭素含有層は、2MV/cmで約5E-9A/cm以下の漏れ電流によって特徴付けられうる。本方法は、ケイ素・酸素・炭素含有膜を約750℃以上の温度でアニールにさらすことを含みうる。アニールの後に、ケイ素・酸素・炭素含有層が約4.2以下の誘電率を維持しうる。炭素含有前駆体は、ケイ素含有前駆体に対して約2:1以上の流量比で供給されうる。酸素含有前駆体は、炭素含有前駆体に対して約10:1以上の流量比で供給されうる。
【0007】
[0007]本技術のいくつかの実施形態は、半導体処理方法を包含しうる。本方法は、ケイ素含有前駆体及び酸素含有前駆体を半導体処理チャンバの処理領域に供給することを含みうる。基板は、半導体処理チャンバの処理領域内に配置されうる。本方法は、炭化水素を半導体処理チャンバの処理領域に供給することを含みうる。炭化水素は、、炭素・炭素二重結合又は炭素・炭素三重結合によって特徴付けられうる。本方法は、ケイ素含有前駆体、酸素含有前駆体、及び炭化水素を、約400℃と約600℃との間の温度で熱反応させることを含みうる。本方法は、基板上にケイ素・酸素・炭素含有層を形成することを含みうる。
【0008】
[0008]いくつかの実施形態では、半導体処理チャンバの処理領域は、半導体処理方法の間、プラズマの無い状態に維持されうる。本方法は、ケイ素・酸素・炭素含有膜を約750℃以上の温度でアニールにさらすことを含みうる。アニールの後に、ケイ素・酸素・炭素含有層が約4.2以下の誘電率を維持しうる。炭化水素は、ケイ素含有前駆体に対して約2:1以上の流量比で供給されうる。基板は、1つ又は複数のフィーチャによって特徴付けられうる。ケイ素・酸素・炭素含有層は、約90%以上の共形性で、1つ又は複数のフィーチャ周囲に形成されうる。
【0009】
[0009]本技術のいくつかの実施形態は、半導体処理方法を包含しうる。本方法は、ケイ素含有前駆体及び酸素含有前駆体を半導体処理チャンバの処理領域に供給することを含みうる。基板は、半導体処理チャンバの処理領域内に配置されうる。酸素含有前駆体は、ケイ素含有前駆体に対して約10:1以上の流量比で供給されうる。本方法は、炭素含有前駆体を半導体処理チャンバの処理領域に供給することを含みうる。炭素含有前駆体は、炭素・炭素二重結合又は炭素・炭素三重結合によって特徴付けられうる。本方法は、ケイ素含有前駆体、酸素含有前駆体、及び炭素含有前駆体を約600℃未満の温度で熱反応させることを含みうる。本方法は、基板上にケイ素・酸素・炭素含有層を形成することを含みうる。ケイ素・酸素・炭素含有層は、ケイ素、酸素、炭素、及び水素を含みうるか又は基本的にこれらからなりうる。
【0010】
[0010]いくつかの実施形態では、基板上にケイ素・酸素・炭素含有層を形成している間、半導体処理チャンバの処理領域はプラズマの無い状態(plasma-free)に維持されうる。ケイ素・酸素・炭素含有層は、約90%以上の厚さ共形性によって特徴付けられうる。
【0011】
[0011]このような技術は、従来のシステム及び技法よりも多数の利点を提供しうる。例えば、本技術の実施形態は、多数の基板フィーチャに適用可能な共形性のある材料(conformal material)を製造しうる。更に、本技術は、膜特性を高度に調整可能な炭素がドープされた酸化ケイ素膜を製造しうる。これらの実施形態及びその他の実施形態は、その利点や特徴の多くと共に、後述の説明及び添付図面と併せて、より詳細に説明される。
【0012】
[0012]開示された技術の性質及び利点は、本明細書の残りの部分と図面を参照することによって更に理解を深めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】[0013]本技術のいくつかの実施形態による例示的なプラズマシステムの概略断面図を示す。
図2】[0014]本技術のいくつかの実施形態による半導体処理方法における工程を示す。
図3】[0015]本技術のいくつかの実施形態に従って製造された例示的な材料層を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0016]概略図として、いくつかの図面が含まれている。図面は例示を目的としており、縮尺どおりであると明記されていない限り、縮尺どおりであるとみなしてはならないことを理解するべきである。更に、概略図として、図面は、理解を助けるために提供されており、現実的な描写に比べてすべての態様又は情報を含まない場合があり、例示を目的として強調された素材を含むことがある。
【0015】
[0017]添付の図面では、類似の構成要素及び/又は特徴は、同じ参照符号を有しうる。更に、同種の様々な構成要素は、類似した構成要素同士を区別する文字により、参照符号に従って区別されうる。本明細書において第1の参照符号のみが使用されている場合、その説明は、文字に関わりなく、同じ第1の参照符号を有する類似した構成要素のうちのいずれにも適用可能である。
【0016】
[0018]デバイスのサイズが縮小し続けると、デバイスを調整するために、多くの材料層の厚さとサイズが縮小されうる。デバイス内で構造が互いに接近すると、誘電体材料はクロストークやその他の電気的問題を制限する上で重要な役割を果たしうる。現在の材料は、膜の材料特性又は電気特性を犠牲にすることなく、誘電率を十分に低下させることができない場合がある。例えば、材料によっては膜の特性を調整して誘電率を下げることで、材料の漏れ特性が上昇し、膜の破壊特性が低下して、デバイスの故障につながる可能性がある。更に、これらの膜を半導体集積化に組み込むために、処理には、600℃を超える温度に構造をさらすバックエンドオブラインアニールプロセス(back-end-of-line anneal process)が含まれうる。このアニールによって多くの膜が影響を受け、ガス放出が引き起こされ、誘電率の増加につながる可能性がある。
【0017】
[0019]従来技術は、構造的要求及び電気的要求も維持しつつ、誘電率が十分に低い膜を製造するのに苦労してきた。例えば、炭素がドープされた酸化物を製造するための従来の技法の多くは、ケイ素、酸素、炭素がすでに組み込まれた単一の前駆体を利用し、これにより形成が容易になりうる。しかし、これらの膜は、前駆体が材料内での水素の取り込みを増加させていることが多いため、堆積時に共形性が悪化する可能性がある。また、膜は後の処理工程、特にアニール工程でより収縮しやすくなりうる。いくつかの技術はまた、原子層堆積型の形成を実行しうるが、これらのプロセスは、膜内に取り込まれる窒素を含む前駆体を利用することが多く、誘電率の増加を引き起こす可能性がある。
【0018】
[0020]本技術は、堆積プロセス中にプラズマ発生を利用しない、熱ベースの材料堆積を実行することにより、これらの問題を克服する。特定の炭素含有前駆体とケイ素/酸素含有前駆体との間で熱反応を実行することにより、本技術は、より低温の化学気相堆積を実行可能にし、これにより、任意の数の半導体構造に対して共形性のある成長を提供しうる。実行されるプロセスにより、製造される膜の調整を向上させ、様々な用途のための多様な材料特性によって特徴付けられる膜が得られうる。
【0019】
[0021]残りの開示では、開示された技術を利用する特定の堆積プロセスをルーチン的に識別し、1つのタイプの半導体処理チャンバを説明することになるが、説明されるプロセスは、任意の数の半導体処理チャンバで実行されうることが容易に理解されよう。したがって、本技術は、これらの特定の堆積プロセス又はチャンバだけで使用するように限定されたものであると見なされるべきではない。本開示では、本技術による半導体処理の方法を説明する前に、本技術の実施形態に従ってプロセスを実行するために使用されうる1つの可能なチャンバについて説明することになる。
【0020】
[0022]図1は、本技術のいくつかの実施形態による例示的な処理チャンバ100の断面図を示す。本図は、本技術の1つ又は複数の態様を組み込み、及び/又は、本技術の実施形態による1つ又は複数の工程を実行するように具体的に構成されうる、システムの概要を示しうる。チャンバ100又は実行される方法の追加の詳細にが、以下で更に説明されうる。チャンバ100は、本技術のいくつかの実施形態に従って膜層を形成するために利用されうるが、本方法は、膜形成が起こりうる任意のチャンバで同様に実行されてよいことが理解されよう。処理チャンバ100は、チャンバ本体102と、チャンバ本体102の内部に配置された基板支持体104と、チャンバ本体102と接続され、処理空間120の基板支持体104を囲むリッドアセンブリ106とを含みうる。基板103は、開口部126を通して処理空間120に提供されてもよく、この開口部は、スリットバルブ又はドアを用いて処理のために従来通りに封止されていてもよい。基板103は、処理中に基板支持体の表面105に載置されうる。基板支持体104は、矢印145で示すように、基板支持体104のシャフト144が位置しうる軸147に沿って、回転可能でありうる。あるいは、基板支持体104は、堆積プロセス中に必要に応じて回転するように持ち上げられてもよい。
【0021】
[0023]プラズマプロファイル変調器111は、基板支持体104上に配置された基板103にわたったプラズマ分布を制御するために、処理チャンバ100内に配置されうる。プラズマプロファイル変調器111は、チャンバ本体102に隣接して配置され、チャンバ本体102をリッドアセンブリ106の他の構成要素から分離することができる第1の電極108を含みうる。第1の電極108は、リッドアセンブリ106の一部であってもよく、又は別個の側壁電極であってもよい。第1の電極108は、環状又はリング状の部材であり、リング電極でありうる。第1の電極108は、処理空間120を囲む処理チャンバ100の外周周囲の連続的なループであってもよく、所望の場合、選択された位置において不連続であってもよい。また、第1の電極108は、例えば、穿孔リング又はメッシュ電極などの穿孔電極であってもよく、又は、例えば、2次ガス分配器などの平板電極であってもよい。
【0022】
[0024]例えば酸化アルミニウム及び/又は窒化アルミニウムといった、セラミック又は金属酸化物のような誘電体材料でありうる、1つ又は複数のアイソレータ110a、110bは、第1の電極108と接触して、第1の電極108をガス分配器112及びチャンバ本体102から電気的及び熱的に分離しうる。ガス分配器112は、プロセス前駆体を処理空間120に分配するための開孔118を画定しうる。ガス分配器112は、RF発生器、RF電源、DC電源、パルス状DC電源、パルス状RF電源、又は処理チャンバと接続されうる任意の他の電源などの、第1の電力源142と接続されうる。いくつかの実施形態では、第1の電力源142は、RF電源でありうる。
【0023】
[0025]ガス分配器112は、導電性ガス分配器又は非導電性ガス分配器でありうる。また、ガス分配器112は、導電性及び非導電性の構成要素から形成されうる。例えば、ガス分配器112の本体が導電性である一方で、ガス分配器112の面板は非導電性であってもよい。ガス分配器112は、図1に示されるような第1の電力源142などによって、電力供給されてもよく、又はいくつかの実施形態では、ガス分配器112は、接地に接続されてもよい。
【0024】
[0026]第1の電極108は、処理チャンバ100の接地経路を制御しうる第1の同調回路128と接続されうる。第1の同調回路128は、第1の電子センサ130と、第1の電子コントローラ134とを含みうる。第1の電子コントローラ134は、可変キャパシタ又は他の回路素子であってもよく、又はそれを含んでいてもよい。第1の同調回路128は、1つ又は複数のインダクタ132であってもよく、又はそれを含んでいてもよい。第1の同調回路128は、処理中に処理空間120内に存在するプラズマ条件下で可変又は制御可能なインピーダンスを可能にする任意の回路でありうる。図示されるようないくつかの実施形態では、第1の同調回路128は、接地と第1の電子センサ130との間で平行に接続された第1の回路脚及び第2の回路脚を含みうる。第1の回路脚は、第1のインダクタ132Aを含みうる。第2の回路脚は、第1の電子コントローラ134と直列に接続された第2のインダクタ132Bを含みうる。第2のインダクタ132Bは、第1の電子コントローラ134と、第1及び第2の回路脚の両方を第1の電子センサ130に結合するノードとの間に配置されうる。第1の電子センサ130は、電圧又は電流センサであり、第1の電子コントローラ134と接続され、処理空間120の内部のプラズマ条件のある程度の閉ループ制御を許容しうる。
【0025】
[0027]第2の電極122は、基板支持体104と接続されうる。第2の電極122は、基板支持体104内に埋め込まれてもよく、又は基板支持体104の表面と接続されてもよい。第2の電極122は、板、穿孔板、メッシュ、ワイヤスクリーン、又は導電性要素の他の分散配置物(distributed arrangement)でありうる。第2の電極122は同調電極であってもよく、例えば、基板支持体104のシャフト144内に配置された、50オームなどの選択された抵抗を有するケーブルなどの導管146によって、第2の同調回路136と接続されうる。第2の同調回路136は、第2の電子センサ138と、第2の電子コントローラ140とを有しうるが、この第2の電子コントローラ140は、第2の可変キャパシタであってもよい。第2の電子センサ138は、電圧又は電流センサであり、第2の電子コントローラ140と接続され、処理空間120内のプラズマ条件に対する更なる制御を提供しうる。
【0026】
[0028]バイアス電極及び/又は静電チャック電極でありうる第3の電極124は、基板支持体104と接続されうる。第3の電極は、フィルタ148を通して第2の電力源150と連結され、ここでフィルタ148は、インピーダンス整合回路でありうる。第2の電力源150は、DC電力、パルス状DC電力、RFバイアス電力、パルス状RF源若しくはバイアス電力、又はこれら又は他の電源の組み合わせでありうる。いくつかの実施形態では、第2の電力源150は、RFバイアス電力でありうる。基板支持体104はまた、基板を約25℃と約800℃との間又はそれ以上でありうる処理温度まで加熱するように構成された1つ又は複数の加熱要素を含みうる。
【0027】
[0029]図1のリッドアセンブリ106及び基板支持体104は、プラズマ処理又は熱処理のための任意の処理チャンバと共に使用されうる。動作において、処理チャンバ100は、処理空間120内のプラズマ条件のリアルタイム制御を許容しうる。基板103は基板支持体104上に配置され、プロセスガスは、任意の所望のフロー計画に従って、入口114を使用してリッドアセンブリ106を通して流されうる。気体は、出口152を通して処理チャンバ100を出ることができる。電力は、処理空間120内にプラズマを確立するために、ガス分配器112と接続されうる。基板は、いくつかの実施形態において、第3の電極124を使用して電気バイアスを受けうる。
【0028】
[0030]処理空間120内のプラズマを励起すると、プラズマと第1の電極108との間に電位差が確立されうる。また、プラズマと第2の電極122との間に電位差が確立されうる。次に、電子コントローラ134、140が、2つの同調回路128、136によって表される接地経路の流れ特性を調整するために使用されうる。堆積速度の独立した制御と、中心からエッジまでのプラズマ密度の均一性の独立した制御を行うために、第1の同調回路128と第2の同調回路136に設定点がもたらされうる。電子コントローラが両方とも可変キャパシタでありうる実施形態では、電子センサは、独立して、堆積速度を最大化し、厚さ不均一性を最小化するように、可変キャパシタを調整しうる。
【0029】
[0031]同調回路128、136の各々は、それぞれの電子コントローラ134、140を使用して調整されうる可変インピーダンスを有しうる。電子コントローラ134、140が可変キャパシタである場合、可変キャパシタの各々の容量範囲、及び第1インダクタ132A及び第2インダクタ132Bのインダクタンスは、インピーダンス範囲を提供するように選択されうる。この範囲は、プラズマの周波数特性や電圧特性に依存し、各可変キャパシタの容量範囲に最小値が存在しうる。それゆえ、第1の電子コントローラ134の容量が最小又は最大であるとき、第1の同調回路128のインピーダンスは高くなり、基板支持体上の空中又は側方の被覆率(lateral coverage)が最小であるプラズマ形状がもたらされうる。第1の電子コントローラ134の容量が第1の同調回路128のインピーダンスを最小化する値に近づくと、プラズマの空中被覆率は最大まで成長し、基板支持体104の全作業領域を効果的に覆うことになりうる。第1の電子コントローラ134の容量が最小インピーダンス設定から外れると、プラズマ形状がチャンバ壁から収縮し、基板支持体の空中被覆率が低下することがある。第2の電子コントローラ140は、同様の効果を有し、第2の電子コントローラ140の容量が変更されうるので、基板支持体上のプラズマの空中被覆率を増減させうる。
【0030】
[0032]電子センサ130、138は、閉ループでそれぞれの回路128、136を調整するために使用されうる。使用されるセンサの種類に応じて、電流又は電圧の設定点が各センサに設置され、各それぞれの電子コントローラ134、140への調整を決定して、設定点からの偏差を最小化する制御ソフトウェアが、センサに提供されうる。その結果、処理中に、プラズマ形状が選択され、動的に制御されうる。前述の議論は、可変キャパシタでありうる電子コントローラ134、140に基づいているが、調整可能なインピーダンスを有する同調回路128、136を提供するために、調整可能な特性を有する任意の電子構成要素が使用されうることが理解されよう。
【0031】
[0033]前述したように、プラズマ処理チャンバは、膜処理の1つ又は複数の態様のために使用されうるが、いくつかの実施形態では、ケイ素、酸素、及び炭素の膜の形成にプラズマ強化プロセスを利用しないことがあり、これにより、前駆体から炭素を更に放出することによって生成される膜の共形性が限定され、生成される膜における炭素の組み込みが制限されうる。本技術は、いくつかの実施形態において、少なくともプラズマを発生させずに膜を形成しうる。図2は、本技術のいくつかの実施形態による処理方法200における例示的な工程を示す。本方法は、上述の処理チャンバ100を含む様々な処理チャンバ、並びに非プラズマチャンバを含む他の任意のチャンバにおいて実行され、これらのチャンバ内で工程が実行されうる。方法200は、本技術による方法のいくつかの実施形態に特に関連してもしなくてもよい、多数のオプション工程を含みうる。例えば、工程のうちの多くは、構造形成のより広い範囲を提供するために記載されているが、本技術にとって重要ではなく、又は容易に理解されるであろう代替の方法論によって実行されてもよい。方法200は、ケイ素・酸素含有膜を現像するための多数の工程を含みうる処理方法を含み、これには、膜内の炭素の調整可能な比率が含まれうる。以下で更に説明するように、ケイ素、酸素、炭素の比率を変更すること、並びに材料が膜内でどのように統合されるかを変更することで、多くの構造のデバイス処理を容易にする多くの特性が得られる可能性がある。
【0032】
[0034]工程205において、本方法は、基板が収容されうる半導体処理チャンバの処理領域に、ケイ素含有前駆体及び酸素含有前駆体を提供することを含みうる。工程205と同時に、並びに工程205の前又は後に、発生しうる工程210において、炭素含有前駆体が半導体処理チャンバの処理領域に供給されうる。工程215において、ケイ素含有前駆体、酸素含有前駆体、及び炭素含有前駆体は、半導体処理チャンバの処理領域内で熱反応させることができ、これにより、工程220において、基板上にケイ素・酸素・炭素含有層を形成することができる。いくつかの実施形態では反応が行われるため、半導体処理チャンバ、ペデスタル、又は基板は、約650℃以下の温度に維持され、いくつかの実施形態では、約600℃以下、約590℃以下、約580℃以下、約570℃以下、約560℃以下、約550℃以下、約540℃以下、約530℃以下、約520℃以下、約510℃以下、約500℃以下、約490℃以下、約480℃以下、約470℃以下、約460℃以下、約450℃以下、約440℃以下、約430℃以下、約420℃以下、約410℃以下、約400℃以下、又はこれを下回る温度に維持されうる。
【0033】
[0035]前述のように、形成工程の一部又は全部は、基板処理領域がプラズマの無い状態に維持されている間に実施されうる。熱化学気相堆積を実行することによって、より共形性のある材料形成が行われうる。本技術のいくつかの実施形態による処理中に使用されうるケイ素含有前駆体の非限定的な例は、シラン、ジシラン、四フッ化ケイ素、四塩化ケイ素、ジクロロシラン、テトラエチルオルソシリケート、並びにケイ素含有膜形成において使用されうる任意の他のケイ素含有前駆体を含みうる。本技術全体を通して記載されるような任意の工程において使用される酸素含有前駆体は、二原子酸素、亜酸化窒素、二酸化窒素、オゾン、並びに酸化ケイ素膜形成において使用されうる任意の他の酸素含有前駆体を含みうるが、いくつかの実施形態では、酸素含有前駆体はヒドロキシル部分を含まないことがある。
【0034】
[0036]炭素含有前駆体は、任意の数の炭素含有前駆体であってもよく、又はそれを含んでもよい。例えば、炭素含有前駆体は、任意の炭化水素、又は炭素及び水素を含むか、これらからなる任意の材料でありうるか、又は任意の材料を含みうる。いくつかの実施形態では、炭素前駆体とケイ素又は酸素前駆体との間の反応を促進するために、炭素含有前駆体は、1つ又は複数の炭素・炭素二重結合及び/又は1つ又は複数の炭素・炭素三重結合によって特徴付けられうる。従って、いくつかの実施形態において、炭素含有前駆体は、アセチレン、エチレン、プロペン、又は任意の他の炭素含有材料などのアルケン又はアルキンでありうるか、又はこれを含みうる。前駆体は、炭素・水素含有前駆体を含み、炭素・水素含有前駆体は、任意の他の元素結合と共に、任意の量の炭素及び水素結合を含みうるが、いくつかの実施形態では、炭素含有前駆体は、炭素・炭素及び炭素-水素結合からなりうる。
【0035】
[0037]膜内のケイ素、酸素、及び炭素濃度に、多くの要因が影響を与えうる。例えば、いくつかの実施形態では、生成される膜は、例えば、不純物を占めうる任意の微量物質とともに、ケイ素、酸素、炭素、及び水素に限定されうるか、又は基本的にこれらから成りうる。いくつかの実施形態では、膜内のケイ素濃度は約40%以下に維持され、これは、ケイ素リッチな(silicon-rich)膜がより高い漏れに特徴付けられうるため、製造された膜の漏れ電流を制限するのに役立ちうる。したがって、いくつかの実施形態では、後述するようなアニール前又はアニール後の製造された材料は、約38%以下のケイ素濃度によって特徴付けられ、約36%以下、約35%以下、約34%以下、約33%以下、約32%以下、約31%以下、約30%以下、約29%以下、約28%以下、約27%以下、約26%以下、約25%以下、又はこれを下回って維持されうる。
【0036】
[0038]膜内の酸素濃度は、約55%以下に維持され、これは、アニール後に膜内に残る炭素及び水素の量を示しうる。ここで、酸素含有量が低いことは、より多くの炭素及び水素が保持されていることを示しうる。したがって、いくつかの実施形態では、後述するアニール前又はアニール後の製造材料は、約54%以下の酸素濃度によって特徴付けられ、約53%以下、約52%以下、約約51%以下、約50%以下、約49%以下、約48%以下、約47%以下、約46%以下、約45%以下、約44%以下、約43%以下、約42%以下、約41%以下、約40%以下、約39%以下、約38%以下、約37%以下、約36%以下、約35%以下、約34%以下、約33%以下、約32%以下、約31%以下、約30%以下、又はこれ未満に維持されうる。
【0037】
[0039]本技術は、後述するように、流量に基づいて膜内の炭素含有量を調整可能でありうる。本技術の実施形態において、炭素濃度は、約0%と約30%との間で含まれ、約5%以上、約10%以上、約12%以上、約14%以上、約16%以上、約18%以上、約20%以上、約22%以上、約24%以上、約26%以上、又はこれより高い、後述のアニール前又はアニール後の生成材料内の炭素濃度によって特徴付けられうる。
【0038】
[0040]膜中に水素を組み込むことは、製造される膜の品質だけではなく、1つ又は複数の材料特性にも影響を与える可能性がある。炭素含有前駆体及び/又はケイ素含有前駆体は水素を含みうるが、いくつかの実施形態では、追加の水素源が設けられなくてもよい。ケイ素含有前駆体及び炭素含有前駆体に、不活性前駆体又はキャリアガスが供給されうるが、いくつかの実施形態では、前駆体に他の化学反応性前駆体が供給されなくてもよい。チャンバに供給される水素を、炭素含有前駆体及びケイ素含有前駆体に含まれる水素に限定することにより、製造される膜内の水素の原子比は、水素ガスが追加的に供給される場合よりも低くなりうる。
【0039】
[0041]膜の粗さはまた、膜の組成によっても影響される場合があり、炭素含有前駆体が粗さを増加させることがある。例えば、より長い鎖の炭化水素は、いくつかの実施形態において、膜の粗さの増加に寄与する可能性がある。粗さは、生成される膜厚さによって影響され、いくつかの実施形態では、粗さ特性は、約1,000nm以下の堆積厚さを含む任意の膜厚さに対するものであり、約500nm以下、約250nm以下、約100nm以下、約50nm以下、約20nm以下、約10nm以下、約5nm以下、又はこれ未満の厚さに堆積された膜の特性でありうる。例えば、堆積された膜の二乗平均平方根粗さは、約3.0nm以下であり、約2.5nm以下、約2.0nm以下、約1.5nm以下、約1.0nm以下、約0.9nm以下、約0.8nm以下、約0.7nm以下、約0.6nm以下、約0.5nm以下、約0.4nm以下、約0.3nm以下、約0.2nm以下、約0.1nm以下、又はこれ未満でありうる。
【0040】
[0042]漏れ電流及び誘電体破壊は、製造される材料内の原子濃度によって影響を受ける可能性がある。しかしながら、本技術の実施形態に従って材料を製造することにより、2MV/cmでの漏れ電流は、約9.0E-9A/cm以下に維持され、約8.0E-9A/cm以下、約7.0E-9A/cm以下、約6.0E-9A/cm以下、約5.0E-9A/cm以下、約4.0E-9A/cm以下、約3.0E-9A/cm以下、約2.0E-9A/cm以下、約1.0E-9A/cm以下、約9.0E-10A/cm以下、約8.0E-10A/cm以下、約7.0E-10A/cm以下、約6.0E-10A/cm以下、約5.0E-10A/cm以下、又はこれ未満に維持されうる。更に、0.001A/cmでの膜の破壊電圧は、約6.0MV/cm以上に維持され、約6.5MV/cm以上、約7.0MV/cm以上、約7.5MV/cm以上、約8.0MV/cm以上、約8.5MV/cm以上、約9.0MV/cm以上、約9.5MV/cm以上、約10.0MV/cm以上、約10.5MV/cm以上、約11.0MV/cm以上、約11.5MV/cm以上、約12.0MV/cm以上、又はこれより高く維持されうる。
【0041】
[0043]十分な漏れ性能と破壊性能を維持しつつ、低い誘電率によって特徴付けられる膜を製造するために、本技術は、原子の組み込みを制御するために前駆体を供給し、ケイ素と酸素との間、及びケイ素と炭素との間の結合を促進し、膜の品質と性能を高めうる。例えば、流量が高くなると、炭素と水素の結合が増加したままになったり、炭素が酸素の周りに結合したりして、膜からガス放出がされやすくなりうる。従って、ケイ素含有前駆体と炭素含有前駆体の流量は、炭素とケイ素との間に生じうる結合を確実にするために、低く維持されうる。例えば、いくつかの実施形態では、炭素含有前駆体の流量は、約250sccmに維持され、約200sccm以下、約150sccm以下、約100sccm以下、約90sccm以下、約80sccm以下、約70sccm以下、約60sccm以下、約50sccm以下、約40sccm以下、約30sccm以下、約20sccm以下、約10sccm以下、又はこれ未満に維持されうる。炭素含有前駆体の流量を十分に低く維持することにより、炭素のケイ素への結合が改善され、その後のアニール処理中の収縮及びガス放出が制限されうる。例えば、炭素含有前駆体の流量が約100sccm以上に増加すると、増加したダングリングボンドが膜内に組み込まれ、膜をアニーリングすることで炭素及び水素の取り込みが更に減少し、誘電率が上昇しうる。従って、炭素含有前駆体の流量を低く維持することにより、誘電率が更に低下しうる。これは、製造される膜のより高い破壊電圧を維持するのにも役立ちうる。
【0042】
[0044]同様に、ケイ素含有前駆体の流量を低く維持することは、ケイ素の取り込みを制御するのに役立ちうるが、そうでなければ、より多くのケイ素・ケイ素結合での膜の漏れが増加する可能性がある。したがって、本技術のいくつかの実施形態では、ケイ素含有前駆体の流量は、約100sccm以下に維持され、約95sccm以下、約90sccm以下、約85sccm以下、約80sccm以下、約75sccm以下、約70sccm以下、約65sccm以下、約60sccm以下、約55sccm以下、約50sccm以下、約45sccm以下、約40sccm以下、約35sccm以下、約30sccm以下、約25sccm以下、約20sccm以下、約15sccm以下、約10sccm以下、約5sccm以下、又はこれ未満に維持されうる。
【0043】
[0045]前駆体を互いに特定の比率で供給することにより、先に説明した特性及び特徴をもたらす膜形成の制御を容易にすることも可能である。例えば、いくつかの実施形態では、炭素含有前駆体の流量は、ケイ素含有前駆体よりも高く維持され、これにより誘電率及び漏れ特性を低減するのに役立ちうる。したがって、いくつかの実施形態において、炭素含有前駆体対ケイ素含有前駆体との流量比は、約1:1以上に維持され、約2:1以上、約3:1以上、約4:1以上、約5:1以上、約6:1以上、約7:1、又はこれを上回って維持されうる。更に、酸素含有前駆体の流量は、ケイ素含有前駆体又は炭素含有前駆体のいずれかよりも高く維持され、これにより、増加したケイ素・酸素及びケイ素・炭素の結合によって特徴付けられる材料の成長が促進されうる。いくつかの実施形態において、酸素含有前駆体対他の前駆体のいずれかの流量比は、約10:1以上に維持され、約25:1以上、約50:1以上、約75:1以上、約100:1以上、約125:1以上、約150:1以上、約175:1以上、約200:1以上、約300:1以上、約400:1以上、約500:1以上、約600:1以上、約700:1以上、約800:1以上、約900:1以上、約1000:1以上、又はこれ以上に維持されうる。
【0044】
[0046]本技術によって製造されるケイ素・酸素・炭素材料は、多くの構造で使用され、集積化に使用される材料として含まれ、後続の処理が実行された後に維持又は除去されうる。この処理は、オプションの工程225における下流のプロセスでアニールを含み、700℃の温度を超え、約750℃以上、約800℃以上、約850℃以上、又はこれより高い温度で実行されうる。本技術のいくつかの実施形態により改善された膜の結合と成長のため、低誘電率材料は、アニールプロセスによる損傷が少なく、低誘電率材料の集積化工程を追加することができる。例えば、多くのケイ素オキシカーバイド膜が形成される間に、炭素が酸素の周りに形成され、アニールで炭素と水素の損失が増加する可能性がある。ケイ素と炭素の結合改善が実行されうる本技術の実施形態に従って堆積を実行することにより、炭素はアニール中により良好に保持されうる。
【0045】
[0047]製造される材料はアニールによって影響を受けることがあるが、本技術は、アニールの前又は後に低い誘電率によって特徴付けられる膜を生成し、約4.2以下の誘電率によって特徴付けられる材料を生成し、
約4.1以下、約4.0以下、約3.9以下、約3.8以下、約3.7以下、約3.6以下、約3.5以下、約3.4以下、約3.3以下、約3.2以下、約3.1以下、約3.0以下、約2.9以下、約2.8以下、約2.7以下、又はこれより低い誘電率によって特徴付けられうる。加えて、本技術の実施形態に従って製造される材料は、上述のようにアニール後に誘電率が約1.0以下程度増加し、誘電率が約0.9以下、約0.8以下、約0.7以下、約0.6以下、約0.5以下、約0.4以下、約0.3以下、約0.2以下、約0.1以下程度増加し、又は誘電率は、アニール後に実質的に又は基本的に一貫したままでありうる。
【0046】
[0048]このように炭素を組み込むことで、熱酸化物を含む他の酸化物材料と比較して、材料のエッチング選択性を向上させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、ケイ素・酸素・炭素材料の形成及び後続の材料処理の後に、オプションの工程230で材料が除去されうる。いくつかの実施形態では、インシトゥ(その場)プラズマは、チャンバの処理領域内でハロゲン含有及び/又は酸素含有前駆体から形成されうる。加えて、いくつかの実施形態では、湿式エッチングが実行されうる。例えば、いくつかの実施形態では、希フッ化水素又は他の湿式エッチングが実行されうる。本技術のいくつかの実施形態に従って炭素が膜内に組み込まれるときに、材料は、対熱酸化物の比率が約1:1以下でエッチングされ、約0.8:1以下、約0.6:1以下、約0.4:1以下、約0.2:1以下、約0.1:1以下、約0.5:1以下、約0.1:1以下、約0.05:1以下、約0.01:1以下、又はこれを下回る比率でエッチングされうる。
【0047】
[0049]先に説明したように、いくつかの実施形態では、熱に基づく材料形成は、半導体処理中に使用されるライナ、スペーサ、又は他の材料として動作しうる、より共形性のある膜を提供しうる。図3は、本技術のいくつかの実施形態に従って製造される例示的な堆積を示す。例えば、基板305は、材料310が形成されていてもよいし、基板を通して多数のフィーチャが形成されていてもよく、これにより高アスペクト比の構造が製造されうる。本技術のいくつかの実施形態では、図示したように、ケイ素・酸素・炭素の膜315が構造上に形成されうる。本技術は任意の数の処理工程に利用されうるため、この例は限定されることを意図したものではないことを理解されたい。膜の形成は、先に述べた方法に基づいて行われうる。
【0048】
[0050]フィーチャのアスペクト比、すなわち、エッチングする中に形成されるフィーチャの深さ対フィーチャの幅又は直径の比は、約10:1以上であり、約15:1以上、約20:1以上、約25:1以上、約30:1以上、約35:1以上、約40:1以上、約45:1以上、約50:1以上、又はこれを上回りうる。プラズマ堆積層は、トレンチ内のより深部に到達できず、フィーチャの上部でピンチオフ(pinch off)が発生しうる。しかしながら、本技術によって製造されるケイ素・酸素・炭素膜は、図示されるような構造の全体を通る被覆率(coverage)によって特徴付けられうる。例えば、構造の上部に近い側壁に沿った膜の厚さと、構造の底部に近い側壁に沿った膜の厚さとは実質的に同一であり、製造される膜は実質的に共形性がある。従って、いくつかの実施形態では、堆積された膜は、約80%以上である、フィーチャの側壁又は基部に沿って、又は形成された膜に沿って、任意の2つの領域間に形成された厚さの共形性又は類似性によって特徴付けられうる。いくつかの実施形態では、共形性は、約85%以上、約90%以上、約92%以上、約94%以上、約96%以上、約98%以上、又はこれを上回りうる。従って、本技術は、多くの半導体プロセスに組み込まれうる低誘電率膜を製造し、共形性と改善された電気特性が達成されうる。
【0049】
[0051]上記の記載では、説明を目的として、本技術の様々な実施形態の理解を促すために、数々の詳細が提示されている。しかしながら、当業者には、これらの詳細のうちの一部がなくても、或いは、追加の詳細があっても、特定の実施形態を実施できることが明らかであろう。
【0050】
[0052]いくつかの実施形態を開示したが、実施形態の精神から逸脱することなく、様々な修正例、代替構造物、及び均等物を使用できることが当業者には認識されよう。更に、いくつかの周知のプロセス及び要素は、本技術を不必要に不明瞭にすることを避けるために説明されていない。したがって、上記の説明は、本技術の範囲を限定するものと解釈すべきでない。
【0051】
[0053]値の範囲が付与されているところでは、文脈上そうでないと明示されていない限り、その範囲の上限値と下限値との間の各介在値は、下限の単位の最小単位まで具体的に開示されていると理解される。記載された範囲の任意の記載値又は記載されていない介在値の間の任意のより狭い範囲、及びその記載範囲のその他の任意の記載された値又は介在する値も含まれる。このようなより狭い範囲の上限値及び下限値は、その範囲に個々に含まれるか、又はその範囲から除外される場合がある。この狭い範囲に限界値のいずれかが含まれるか、どちらも含まれないか、又は両方が含まれる場合の各範囲も、記載の範囲内に特に除外された限界値があることを条件として、本技術に包含される。記載された範囲が、限界値の一方又は両方を含む場合、これらの含められた限界値のいずれか又は両方を除外する範囲も含まれる。
【0052】
[0054]本明細書及び特許請求の範囲で使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が他のことを明らかに示していない限り、複数の参照対象を含む。したがって、例えば、「ある前駆体(a precursor)」への言及は、複数のそのような前駆体を含み、「その(前記)層(the layer)」への言及は、当業者に知られている1つ又は複数の層及びその均等物への言及を含み、その他の形にも同様のことが当てはまる。
【0053】
[0055]また、「備える(comprise(s))」、「備えている(comprising)」、「含有する(contain(s))」、「含有している(containing)」、「含む(include(s))」、及び「含んでいる(including)」という用語は、本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、記載された特徴、整数、構成要素、又は動作の存在を特定することを意図しているが、その他の1つ以上の特徴、整数、構成要素、動作、活動、又は群の存在又は追加を除外するものではない。
図1
図2
図3
【国際調査報告】