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特表2024-503907リチウム二次電池用電解液およびこれを含むリチウム二次電池
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  • 特表-リチウム二次電池用電解液およびこれを含むリチウム二次電池 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-29
(54)【発明の名称】リチウム二次電池用電解液およびこれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0567 20100101AFI20240122BHJP
【FI】
H01M10/0567
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544378
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2023-07-21
(86)【国際出願番号】 KR2021019360
(87)【国際公開番号】W WO2022158728
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】10-2021-0009661
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】テ・ジン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ミンソ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ミュンフイ・ウ
(72)【発明者】
【氏名】サンフン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ダヒュン・キム
【テーマコード(参考)】
5H029
【Fターム(参考)】
5H029AJ12
5H029AK03
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL12
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM05
5H029AM07
5H029HJ01
5H029HJ02
(57)【要約】
非水性有機溶媒、リチウム塩、および添加剤を含み、前記添加剤は化学式1で表される第1化合物、および化学式2で表される第2化合物を含む組成物であり、前記第1化合物および前記第2化合物はそれぞれ0.1~10重量%で含まれるリチウム二次電池用電解液およびこれを含むリチウム二次電池を提供する。
前記化学式1および2に関する詳細内容は明細書に記載の通りである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非水性有機溶媒、
リチウム塩、および
添加剤を含み、
前記添加剤は下記化学式1で表される第1化合物、および下記化学式2で表される第2化合物を含む組成物であり、
前記第1化合物および前記第2化合物はそれぞれ0.1~10重量%で含まれる、リチウム二次電池用電解液:
【化1】
上記化学式1および化学式2中、
~Rはそれぞれ独立して置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数1~10のアルキル基、少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数2~10のアルケニル基、少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数2~10のアルキニル基、少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数1~10のアルコキシ基、少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数3~10のシクロアルキル基、少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数3~10のシクロアルケニル基、少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数3~10のシクロアルキニル基であり、または少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数6~20のアリール基であり、
およびXはそれぞれ独立してハロゲン基、または-O-L-Rであり、
およびXのうちの少なくとも一つは-O-L-Rであり、
は単一結合または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
はそれぞれ独立してシアノ基(-CN)、ジフルオロホスファート基(-OPF)、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキニル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
およびXが同時に-O-L-Rである場合、
はそれぞれ独立して存在するか、または
2つのRが連結されて置換もしくは非置換の単環または多環の脂肪族ヘテロ環、または置換もしくは非置換の単環または多環の芳香族ヘテロ環を形成する。
【請求項2】
前記組成物は、前記第1化合物および前記第2化合物を0.01:1~100:1の重量比で含む、請求項1に記載のリチウム二次電池用電解液。
【請求項3】
前記化学式1のR~Rはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基、少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数1~10のアルキル基、少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数2~10のアルケニル基、または少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数2~10のアルキニル基である、請求項1に記載のリチウム二次電池用電解液。
【請求項4】
前記化学式1のR~Rはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~5のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~5のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~5のアルキニル基、少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数1~5のアルキル基、少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数2~5のアルケニル基、または少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数2~5のアルキニル基である、請求項1に記載のリチウム二次電池用電解液。
【請求項5】
前記第1化合物は、下記グループ1に羅列された化合物の中から選択されるいずれか一つである、請求項1に記載のリチウム二次電池用電解液:
【化2】
【請求項6】
前記化学式2のXおよびXのうちのいずれか一つはフルオロ基であり、他の一つは-O-L-Rであり、
は単一結合または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
はシアノ基(-CN)またはジフルオロホスファート基(-OPF)である、請求項1に記載のリチウム二次電池用電解液。
【請求項7】
前記第2化合物は前記化学式2で表され、
前記化学式2は下記化学式2-1で表される、請求項6に記載のリチウム二次電池用電解液:
【化3】
上記化学式2-1中、
mは1~5の整数のうちの一つであり、
はシアノ基(-CN)またはジフルオロホスファート基(-OPF)である。
【請求項8】
前記第2化合物は前記化学式2で表され、
前記化学式2中、
は-O-L-Rであり、Xは-O-L-Rであり、
およびLはそれぞれ独立して単一結合または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
およびRはそれぞれ独立して置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基であり、RおよびRは連結されて置換もしくは非置換の単環の脂肪族ヘテロ環または多環の脂肪族ヘテロ環を形成する、請求項1に記載のリチウム二次電池用電解液。
【請求項9】
前記第2化合物は、下記化学式2-2で表される、請求項8に記載のリチウム二次電池用電解液:
【化4】
上記化学式2-2中、
は置換もしくは非置換の炭素数2~5のアルキレン基である。
【請求項10】
前記第2化合物は前記化学式2-2で表され、前記化学式2-2は下記化学式2-2aまたは化学式2-2bで示される、請求項9に記載のリチウム二次電池用電解液:
【化5】
上記化学式2-2aおよび化学式2-2b中、
~R17はそれぞれ独立して水素、ハロゲン基または置換もしくは非置換の炭素数1~5のアルキル基である。
【請求項11】
前記第2化合物は、下記グループ2に羅列された化合物の中から選択されるいずれか一つである、請求項1に記載のリチウム二次電池用電解液:
【化6】
【請求項12】
前記第1化合物は、リチウム二次電池用電解液の全体重量に対して0.1~5.0重量%で含まれる、請求項1に記載のリチウム二次電池用電解液。
【請求項13】
前記第2化合物は、リチウム二次電池用電解液の全体重量に対して0.1~5.0重量%で含まれる、請求項1に記載のリチウム二次電池用電解液。
【請求項14】
前記組成物は、リチウム二次電池用電解液の全体重量に対して0.2~20重量%で含まれる、請求項1に記載のリチウム二次電池用電解液。
【請求項15】
正極活物質を含む正極;
負極活物質を含む負極;および
請求項1~14のうちのいずれか一項によるリチウム二次電池用電解液を含むリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、リチウム二次電池用電解液およびこれを含むリチウム二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池は再充電が可能であり、従来の鉛蓄電池、ニッケル-カドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などと比較して単位重量当りエネルギー密度が3倍以上高く高速充電が可能であるため、ノートパソコンや携帯電話機、電動工具、電気自転車用に商品化されており、追加的なエネルギー密度向上のための研究開発が活発に行われている。
【0003】
このようなリチウム二次電池は、リチウムをインターカレーション(intercalation)およびデインターカレーション(deintercalation)することができる正極活物質を含む正極と、リチウムをインターカレーションおよびデインターカレーションすることができる負極活物質を含む負極を含む電池セルに電解質を注入して使用される。
【0004】
特に、電解液はリチウム塩が溶解された有機溶媒を使用しており、このような電解液はリチウム二次電池の安定性および性能を決定するのに重要である。
【0005】
電解液のリチウム塩として最も多く使用されているLiPFは、電解液の有機溶媒と反応して溶媒の枯渇を促進させ多量のガスを発生させる問題を有している。LiPFが分解されるとLiFとPFを生成し、これは電池において電解液枯渇を引き起こし高温性能劣化および安全性にぜい弱な結果を招く。
【0006】
よって、高温条件でも性能低下なく安全性が向上した電解液が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一実施形態は、熱的安定性が改善されたリチウム二次電池用電解液を提供するためのものである。
【0008】
他の一実施形態は、前記電解液を適用することによって寿命特性、高温安全性、および高温信頼性を向上させ、特に高温保存時または内部短絡条件に露出された時にガス発生量および抵抗増加率を減少させることによって高温保存特性および内部短絡安全性が改善されたリチウム二次電池を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態は、非水性有機溶媒、リチウム塩、および添加剤を含み、前記添加剤は下記化学式1で表される第1化合物、および下記化学式2で表される第2化合物を含む組成物であり、前記第1化合物および前記第2化合物はそれぞれ0.1~10重量%で含まれる、リチウム二次電池用電解液を提供する。
【0010】
【化1】
【0011】
上記化学式1および化学式2中、
~Rはそれぞれ独立して置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数1~10のアルキル基、少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数2~10のアルケニル基、少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数2~10のアルキニル基、少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数1~10のアルコキシ基、少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数3~10のシクロアルキル基、少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数3~10のシクロアルケニル基、少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数3~10のシクロアルキニル基であり、または少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数6~20のアリール基であり、
およびXはそれぞれ独立してハロゲン基、または-O-L-Rであり、
およびXのうちの少なくとも一つは-O-L-Rであり、
は単一結合または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
はそれぞれ独立してシアノ基(-CN)、ジフルオロホスファート基(-OPF)、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキニル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
およびXが同時に-O-L-Rである場合、
はそれぞれ独立して存在するか、または
2つのRが連結されて置換もしくは非置換の単環または多環の脂肪族ヘテロ環、または置換もしくは非置換の単環または多環の芳香族ヘテロ環を形成する。
【0012】
前記組成物は、前記第1化合物および前記第2化合物を0.01:1~100:1の重量比で含むことができる。
【0013】
前記化学式1のR~Rはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基、少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数1~10のアルキル基、少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数2~10のアルケニル基、または少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数2~10のアルキニル基であってもよい。
【0014】
前記化学式1のR~Rはそれぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~5のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~5のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~5のアルキニル基、少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数1~5のアルキル基、少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数2~5のアルケニル基、または少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数2~5のアルキニル基であってもよい。
【0015】
前記第1化合物は、下記グループ1に羅列された化合物の中から選択できる。
【0016】
【化2】
【0017】
前記化学式2のXおよびXのうちのいずれか一つはフルオロ基であり、他の一つは-O-L-Rであり、Lは単一結合または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、Rはシアノ基(-CN)またはジフルオロホスファート基(-OPF)であってもよい。
【0018】
前記第2化合物は前記化学式2で表され、前記化学式2は下記化学式2-1で表すことができる。
【0019】
【化3】
【0020】
上記化学式2-1中、
mは1~5の整数のうちの一つであり、
はシアノ基(-CN)またはジフルオロホスファート基(-OPF)である。
【0021】
前記第2化合物は前記化学式2で表され、
前記化学式2中、
は-O-L-Rであり、Xは-O-L-Rであり、
およびLはそれぞれ独立して単一結合または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
およびRはそれぞれ独立して置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基であり、RおよびRは連結されて置換もしくは非置換の単環の脂肪族ヘテロ環または多環の脂肪族ヘテロ環を形成することができる。
【0022】
前記第2化合物は、下記化学式2-2で表すことができる。
【0023】
【化4】
【0024】
上記化学式2-2中、
は置換もしくは非置換の炭素数2~5のアルキレン基である。
【0025】
前記第2化合物は前記化学式2-2で表され、前記化学式2-2は下記化学式2-2aまたは化学式2-2bで表すことができる。
【0026】
【化5】
【0027】
上記化学式2-2aおよび化学式2-2b中、
~R17はそれぞれ独立して水素、ハロゲン基または置換もしくは非置換の炭素数1~5のアルキル基である。
【0028】
前記第2化合物は、下記グループ2に羅列された化合物の中から選択されるいずれか一つであってもよい。
【0029】
【化6】
【0030】
前記第1化合物は、リチウム二次電池用電解液の全体重量に対して0.1~5.0重量%で含まれてもよい。
【0031】
前記第2化合物は、リチウム二次電池用電解液の全体重量に対して0.1~5.0重量%で含まれてもよい。
【0032】
前記組成物は、リチウム二次電池用電解液の全体重量に対して0.2~20重量%で含まれてもよい。
【0033】
本発明の他の一実施形態は、正極活物質を含む正極、負極活物質を含む負極、および前述のリチウム二次電池用電解液を含むリチウム二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0034】
熱的安全性が改善された添加剤を適用することによって高温放置後電池の内部抵抗上昇およびガス発生を抑制し、電圧降下を抑制して高温特性および内部短絡安全性が改善されたリチウム二次電池を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の一実施形態によるリチウム二次電池を示した概略図である。
図2】実施例1~6、および比較例1~6によるリチウム二次電池に対して140℃熱露出による温度および電圧変化を示したグラフである。
図3】実施例1~6、および比較例1~6によるリチウム二次電池に対して142℃熱露出による温度および電圧変化を示したグラフである。
図4】実施例1~6、および比較例1~6によるリチウム二次電池の90℃高温放置時CID(Current Interrupt Device)作動時点を測定したグラフである。
図5】実施例1~6、および比較例1~6によるリチウム二次電池の常温充放電サイクル特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の一実施形態によるリチウム二次電池について添付の図面を参照して詳しく説明する。但し、これは例示として提示されるものであって、これによって本発明が制限されず、本発明は後述の請求項の範疇によってのみ定義されるだけである。
【0037】
本明細書で“置換”とは、別途の定義がない限り、置換基または化合物中の少なくとも一つの水素が重水素、ハロゲン基、ヒドロキシル基、アミノ基、置換もしくは非置換の炭素数1~30のアミン基、ニトロ基、置換もしくは非置換の炭素数1~40のシリル基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~10のアルキルシリル基、炭素数6~30のアリールシリル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数2~30のヘテロアリール基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数1~10のフルオロアルキル基、シアノ基、またはこれらの組み合わせで置換されたことを意味する。
【0038】
本発明の一例で、“置換”は、置換基または化合物中の少なくとも一つの水素が重水素、ハロゲン基、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~10のアルキルシリル基、炭素数6~30のアリールシリル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数3~30のヘテロシクロアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数2~30のヘテロアリール基、炭素数1~10のフルオロアルキル基またはシアノ基で置換されたことを意味する。また、本発明の具体的な一例で、“置換”は、置換基または化合物中の少なくとも一つの水素が重水素、ハロゲン基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数1~10のフルオロアルキル基またはシアノ基で置換されたことを意味する。また、本発明の具体的な一例で、“置換”は、置換基または化合物中の少なくとも一つの水素が重水素、ハロゲン基、炭素数1~5のアルキル基、炭素数6~18のアリール基、炭素数1~5のフルオロアルキル基またはシアノ基で置換されたことを意味する。また、本発明の具体的な一例で、“置換”は、置換基または化合物中の少なくとも一つの水素が重水素、シアノ基、ハロゲン基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、トリフルオロメチル基またはナフチル基で置換されたことを意味する。
【0039】
リチウム二次電池は使用する分離膜と電解液の種類によってリチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、およびリチウムポリマー電池などに分類することができ、形態によって円筒型、角型、コイン型、パウチ型などに分類することができ、サイズによってバルクタイプと薄膜タイプに分けることができる。これら電池の構造と製造方法はこの分野に広く知られているので、詳細な説明は省略する。
【0040】
ここではリチウム二次電池の一例として円筒形リチウム二次電池を例示的に説明する。図1は、一実施形態によるリチウム二次電池の構造を概略的に示したものである。図1を参照すれば、一実施形態によるリチウム二次電池100は、正極114、正極114と対向して位置する負極112、正極114と負極112の間に配置されているセパレータ113、および正極114、負極112およびセパレータ113を含浸する電解液(図示せず)を含む電池セルと、前記電池セルが入っている電池容器120および前記電池容器120を密封する封入部材140を含む。
【0041】
以下、本発明の一実施形態によるリチウム二次電池100のより詳細な構成について説明する。
【0042】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池は、電解液、正極、および負極を含む。
【0043】
前記電解液は非水性有機溶媒、リチウム塩、および添加剤を含み、前記添加剤は下記化学式1で表される第1化合物、および下記化学式2で表される第2化合物を含む組成物であり、前記第1化合物および前記第2化合物はそれぞれ0.1~10重量%で含まれる。
【0044】
【化7】
【0045】
上記化学式1および化学式2中、
~Rはそれぞれ独立して置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルコキシ基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基、少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数1~10のアルキル基、少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数2~10のアルケニル基、少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数2~10のアルキニル基、少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数1~10のアルコキシ基、少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数3~10のシクロアルキル基、少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数3~10のシクロアルケニル基、少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数3~10のシクロアルキニル基であり、または少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数6~20のアリール基であり、
およびXはそれぞれ独立してハロゲン基、または-O-L-Rであり、
およびXのうちの少なくとも一つは-O-L-Rであり、
は単一結合または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
はそれぞれ独立してシアノ基(-CN)、ジフルオロホスファート基(-OPF)、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~10のシクロアルキニル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
およびXが同時に-O-L-Rである場合、
はそれぞれ独立して存在するか、または
2つのRが連結されて置換もしくは非置換の単環または多環の脂肪族ヘテロ環、または置換もしくは非置換の単環または多環の芳香族ヘテロ環を形成する。
【0046】
前記第1化合物はホスフェート系化合物であって、バッテリーが高温に露出される時、絶縁特性の固相炭化膜(char)を形成して電極表面での電解質とガス成分の燃焼反応を抑制させることができる。また、バッテリー内部の電解質またはガス成分の燃焼反応時に発生するラジカル生成物を捕らえてラジカル連鎖反応を終結させることができる。
【0047】
また、第2化合物で表されるフルオロホスファート系化合物を共に含むことによって、難燃特性はもちろん高温分解時に発生する電解液内のリチウム塩分解産物の悪影響を制御する。
【0048】
一般にヘキサフルオロホスフェート陰イオンのようなリチウム塩陰イオンが分解されると、フッ化リチウム(LiF)と強いルイス酸である五フッ化リン(PF)のような副産物が生成される。フッ化リチウムは電極表面で抵抗を上昇させ、五フッ化リンは既形成されている安定な電極被膜成分をエッチングしながら崩壊させる。
【0049】
しかし、前記第2化合物が五フッ化リンに結合して安定化させることによって、五フッ化リンの強い酸性特性を抑制することができるだけでなく、正極構造崩壊で発生する酸素ガスを捕らえて、高温での電解質燃焼反応を抑制させることができる。
【0050】
即ち、前記組成物は前記化学式1で表される第1化合物と前記化学式2で表される第2化合物を同時に含むことによって電池の高温安全性と難燃特性が全て改善できる。
【0051】
一例として、前記組成物は、前記第1化合物および前記第2化合物を0.01:1~100:1の重量比で含むことができる。
【0052】
具体的な一例として、前記組成物は、前記第1化合物および前記第2化合物を0.02:1~100:1、0.03:1~100:1、0.04:1~100:1、0.05:1~100:1の重量比で含むことができる。
【0053】
具体的な他の一例として、前記組成物は、前記第1化合物および前記第2化合物を0.01:1~80:1、0.01:1~60:1、0.01:1~40:1、0.01:1~20:1の重量比で含むことができる。
【0054】
一実施形態で、前記組成物は、前記第1化合物および前記第2化合物を0.01:1、0.05:1、0.1:1、0.2:1、0.3:1、0.4:1、0.5:1、0.6:1、0.7:1、0.8:1、0.9:1、1:1、10:1、20:1、30:1、40:1、50:1、または100:1の重量比で含むことができる。
【0055】
第1化合物および第2化合物の混合比率が前記のような場合、効果改善程度が極大化できる。
【0056】
一例として、前記化学式1のR~Rはそれぞれ独立して置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~10のアルキニル基、少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数1~10のアルキル基、少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数2~10のアルケニル基、または少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数2~10のアルキニル基であってもよい。
【0057】
具体的な一例として、前記化学式1のR~Rはそれぞれ独立して置換もしくは非置換の炭素数1~5のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~5のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~5のアルキニル基、少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数1~5のアルキル基、少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数2~5のアルケニル基、または少なくとも一つのフルオロ基で置換された炭素数2~5のアルキニル基であってもよい。
【0058】
例えば、前記第1化合物は、下記グループ1に羅列された化合物の中から選択できる。
【0059】
【化8】
【0060】
一例として、前記化学式2のXおよびXのうちのいずれか一つはフルオロ基であり、他の一つは-O-L-Rであり、
は単一結合または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、
はシアノ基(-CN)またはジフルオロホスファート基(-OPF)であってもよい。
【0061】
具体的な一例として、前記第2化合物は前記化学式2で表され、前記化学式2は下記化学式2-1で表すことができる。
【0062】
【化9】
【0063】
上記化学式2-1中、
mは1~5の整数のうちの一つであり、
はシアノ基(-CN)またはジフルオロホスファート基(-OPF)である。
【0064】
一例として、前記第2化合物は前記化学式2で表され、前記化学式2中、Xは-O-L-Rであり、Xは-O-L-Rであり、LおよびLはそれぞれ独立して単一結合または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であり、RおよびRはそれぞれ独立して置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキル基であり、RおよびRは連結されて置換もしくは非置換の単環の脂肪族ヘテロ環または多環の脂肪族ヘテロ環を形成することができる。
【0065】
具体的な一例として、前記第2化合物は、下記化学式2-2で表すことができる。
【0066】
【化10】
【0067】
上記化学式2-2中、
は置換もしくは非置換の炭素数2~5のアルキレン基である。
【0068】
さらに具体的な一例として、前記第2化合物は前記化学式2-2で表され、前記化学式2-2は下記化学式2-2aまたは化学式2-2bで表すことができる。
【0069】
【化11】
【0070】
上記化学式2-2aおよび化学式2-2b中、
~R17はそれぞれ独立して水素、ハロゲン基または置換もしくは非置換の炭素数1~5のアルキル基である。
【0071】
例えば、前記第2化合物は、下記グループ2に羅列された化合物の中から選択されるいずれか一つであってもよい。
【0072】
【化12】
【0073】
最も具体的な一実施形態によれば、本発明によるリチウム二次電池用電解液に含まれる添加剤は、第1化合物として前記グループ1に羅列された化合物のうちの少なくとも一つおよび第2化合物として前記グループ2に羅列された化合物のうちの少なくとも一つを含む組成物であってもよい。
【0074】
例えば、本発明によるリチウム二次電池用電解液に含まれる添加剤は、第1化合物として前記グループ1の化合物1-a、化合物1-b、化合物1-cのうちのいずれか一つ、そして第2化合物として前記グループ2の化合物2-aまたは化合物2-dを含む組成物であってもよい。
【0075】
一実施形態で、前記第1化合物および前記第2化合物はそれぞれ0.1~5.0重量%で含まれてもよい。
【0076】
前記組成物は、リチウム二次電池用電解液の全体重量に対して0.2~20重量%で含まれてもよい。
【0077】
一例として、前記組成物は、リチウム二次電池用電解液の全体重量に対して0.2~10重量%で含まれてもよい。
【0078】
組成物の含量、そして前記組成物内で各成分、即ち、第1化合物、および第2化合物の含量が前記範囲である場合、熱安全性、内部短絡安全性などの電池の安全性が向上し、電池内部のガス発生が抑制されて常温および高温での電池特性が向上したリチウム二次電池を実現することができる。
【0079】
前記非水性有機溶媒は、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動できる媒質役割を果たす。
【0080】
前記非水性有機溶媒としては、カーボネート系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系、または非プロトン性溶媒を使用することができる。
【0081】
前記カーボネート系溶媒としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)などを使用することができる。前記エステル系溶媒としては、メチルアセテート、エチルアセテート、n-プロピルアセテート、t-ブチルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、デカノリド(decanolide)、メバロノラクトン(mevalonolactone)、カプロラクトン(caprolactone)などを使用することができる。前記エーテル系溶媒としてはジブチルエーテル、テトラグライム、ジグライム、ジメトキシエタン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランなどを使用することができる。また、前記ケトン系溶媒としてはシクロヘキサノンなどを使用することができる。また、前記アルコール系溶媒としてはエチルアルコール、イソプロピルアルコールなどを使用することができ、前記非プロトン性溶媒としてはR18-CN(R18は炭素数2~20の直鎖状、分枝状、または環構造の炭化水素基であり、二重結合芳香環またはエーテル結合を含むことができる)などのニトリル類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、1,3-ジオキソランなどのジオキソラン類、スルホラン(sulfolane)類などを使用することができる。
【0082】
前記非水性有機溶媒は単独でまたは一つ以上を混合して使用することができ、一つ以上を混合して使用する場合の混合比率は目的とする電池性能によって適切に調節することができ、これは当該分野に従事する者には広く理解されるはずである。
【0083】
また、前記カーボネート系溶媒の場合、環状(cyclic)カーボネートと鎖状(chain)カーボネートを混合して使用することが良い。この場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートは1:1~1:9の体積比で混合して使用するときに電解液の性能に優れるように示される。
【0084】
特に、本発明の一実施形態では、前記非水性有機溶媒は前記環状カーボネートと前記鎖状カーボネートが2:8~5:5の体積比で含まれたものであってもよく、具体的な一例として前記環状カーボネートと前記鎖状カーボネートは2:8~4:6の体積比で含まれたものであってもよい。
【0085】
さらに具体的な一例として、前記環状カーボネートと前記鎖状カーボネートは2:8~3:7の体積比で含まれたものであってもよい。
【0086】
前記非水性有機溶媒は、前記カーボネート系溶媒に芳香族炭化水素系有機溶媒をさらに含むこともできる。この時、前記カーボネート系溶媒と芳香族炭化水素系溶媒は1:1~30:1の体積比で混合できる。
【0087】
前記芳香族炭化水素系溶媒としては、下記化学式3の芳香族炭化水素系化合物を使用することができる。
【0088】
【化13】
【0089】
上記化学式3中、R19~R24は互いに同一であるか異なり、水素、ハロゲン、炭素数1~10のアルキル基、ハロアルキル基およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものである。
【0090】
前記芳香族炭化水素系溶媒の具体的な例としては、ベンゼン、フルオロベンゼン、1,2-ジフルオロベンゼン、1,3-ジフルオロベンゼン、1,4-ジフルオロベンゼン、1,2,3-トリフルオロベンゼン、1,2,4-トリフルオロベンゼン、クロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、1,3-ジクロロベンゼン、1,4-ジクロロベンゼン、1,2,3-トリクロロベンゼン、1,2,4-トリクロロベンゼン、ヨードベンゼン、1,2-ジヨードベンゼン、1,3-ジヨードベンゼン、1,4-ジヨードベンゼン、1,2,3-トリヨードベンゼン、1,2,4-トリヨードベンゼン、トルエン、フルオロトルエン、2,3-ジフルオロトルエン、2,4-ジフルオロトルエン、2,5-ジフルオロトルエン、2,3,4-トリフルオロトルエン、2,3,5-トリフルオロトルエン、クロロトルエン、2,3-ジクロロトルエン、2,4-ジクロロトルエン、2,5-ジクロロトルエン、2,3,4-トリクロロトルエン、2,3,5-トリクロロトルエン、ヨードトルエン、2,3-ジヨードトルエン、2,4-ジヨードトルエン、2,5-ジヨードトルエン、2,3,4-トリヨードトルエン、2,3,5-トリヨードトルエン、キシレン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものである。
【0091】
前記電解液は、電池寿命を向上させるためにビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートまたは下記化学式4のエチレン系カーボネート系化合物を寿命向上添加剤としてさらに含むこともできる。
【0092】
【化14】
【0093】
上記記化学式4中、R25およびR26は互いに同一であるか異なり、水素、ハロゲン基、シアノ基(CN)、ニトロ基(NO)およびフッ素化された炭素数1~5のアルキル基からなる群より選択され、前記R25およびR26のうちの少なくとも一つはハロゲン基、シアノ基(CN)、ニトロ基(NO)およびフッ素化された炭素数1~5のアルキル基からなる群より選択されるが、但しR25およびR26が全て水素ではない。
【0094】
前記エチレン系カーボネート系化合物の代表的な例としては、ジフルオロエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ジクロロエチレンカーボネート、ブロモエチレンカーボネート、ジブロモエチレンカーボネート、ニトロエチレンカーボネート、シアノエチレンカーボネートまたはフルオロエチレンカーボネートなどが挙げられる。このような寿命向上添加剤をさらに使用する場合、その使用量は適切に調節することができる。
【0095】
前記リチウム塩は非水性有機溶媒に溶解されて、電池内でリチウムイオンの供給源として作用して基本的なリチウム二次電池の作動を可能にし、正極と負極の間のリチウムイオンの移動を促進する役割を果たす物質である。このようなリチウム塩の代表的な例としては、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiN(SO、Li(CFSON、LiN(SO、Li(FSON(リチウムビスフルオロスルホニルイミド(lithium bis(fluorosulfonyl)imide:LiFSI)、LiCSO、LiClO、LiAlO、LiAlCl、LiPO2、LiN(C2x+1SO)(C2y+1SO)(ここで、xおよびyは自然数であり、例えば、1~20の整数である)、LiCl、LiI、LiB(C(リチウムビス(オキサレート)ボレート(lithium bis(oxalato)borate):LiBOB)、LiDFOB(リチウムジフルオロ(オキサレート)ボレート)、およびLi[PF(C](リチウムジフルオロ(ビスオキサレート)ホスフェート(lithium difluoro(bis oxalato)phosphate)からなる群より選択される一つまたは二つ以上が挙げられる。リチウム塩の濃度は0.1M~2.0Mの範囲内で使用することがよい。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれれば、電解質が適切な伝導度および粘度を有するので優れた電解質性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動できる。
【0096】
前記正極は、正極集電体および前記正極集電体上に位置する正極活物質層を含み、前記正極活物質層は正極活物質を含む。
【0097】
前記正極活物質としては、リチウムの可逆的なインターカレーションおよびデインターカレーションの可能な化合物(リチエイテッドインターカレーション化合物)を使用することができる。
【0098】
具体的には、コバルト、マンガン、ニッケル、およびこれらの組み合わせから選択される金属とリチウムとの複合酸化物のうちの少なくとも1種を使用することができる。
【0099】
もちろん、前記複合酸化物の表面にコーティング層を有するものも使用することができ、または、前記複合酸化物とコーティング層を有する複合酸化物を混合して使用することもできる。このコーティング層は、コーティング元素のオキシド、コーティング元素のヒドロキシド、コーティング元素のオキシヒドロキシド、コーティング元素のオキシカーボネートおよびコーティング元素のヒドロキシカーボネートからなる群より選択される少なくとも一つのコーティング元素化合物を含むことができる。これらコーティング層を成す化合物は非晶質または結晶質であってもよい。前記コーティング層に含まれるコーティング元素としてはMg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、As、Zrまたはこれらの混合物を使用することができる。コーティング層形成工程は、前記化合物にこのような元素を使用して正極活物質の物性に悪影響を与えない方法(例えば、スプレーコーティング、浸漬法など)でコーティングすることができれば、いかなるコーティング方法を使用してもよく、これについては当該分野に従事する者によく理解できる内容であるので、詳しい説明は省略する。
【0100】
正極活物質は、例えば、下記化学式5で表されるリチウム複合酸化物のうちの1種以上であってもよい。
[化学式5]
Li 1-y-z
上記化学式5中、
0.5≦x≦1.8、0≦y<1、0≦z<1、0≦y+z<1、M、MおよびMはそれぞれ独立してNi、Co、Mn、Al、Sr、MgまたはLaなどの金属およびこれらの組み合わせから選択されるいずれか一つであってもよい。
【0101】
一実施形態で、前記MはCo、Mn、Al、Sr、MgまたはLaなどの金属であってもよく、前記MおよびMはそれぞれ独立してNiまたはCoであってもよい。
【0102】
具体的な一実施形態で、前記MはMnまたはAlであってもよく、前記MおよびMはそれぞれ独立してNiまたはCoであってもよいが、これに限定されるのではない。
【0103】
さらに具体的な一実施形態で、前記正極活物質は下記化学式5-1または化学式5-2で表されるリチウム複合酸化物であってもよい。
[化学式5-1]
Lix1Niy1Coz1Al1-y1-z1
上記化学式5-1中、1≦x1≦1.2、0<y1<1、そして0<z1<1である。
[化学式5-2]
Lix2Niy2Coz2Mn1-y2-z2
上記化学式5-2中、
1≦x2≦1.2、0<y2<1、そして0<z2<1である。
【0104】
一例として、前記化学式5-1で、1≦x1≦1.2、0.5≦y1<1、そして0<z1≦0.5であってもよい。
【0105】
具体的な一例として、前記化学式5-1で、1≦x1≦1.2、0.6≦y1<1、そして0<z1≦0.5であってもよい。
【0106】
さらに具体的な一例として、前記化学式5-1で、1≦x1≦1.2、0.7≦y1<1、そして0<z1≦0.5であってもよい。
【0107】
例えば、前記化学式5-1で、1≦x1≦1.2、0.8≦y1<1、そして0<z1≦0.5であってもよい。
【0108】
一例として、前記化学式5-2で、1≦x2≦1.2、0.3≦y2<1、そして0.3≦z2<1であってもよい。
【0109】
具体的な一例として、前記化学式5-2で、1≦x2≦1.2、0.6≦y2<1、そして0.3≦z2<1であってもよい。
【0110】
さらに具体的な一例として、前記化学式5-2で、1≦x2≦1.2、0.7≦y2<1、そして0.3≦z2<1であってもよい。
【0111】
例えば、前記化学式5-2で、1≦x2≦1.2、0.8≦y2<1、そして0.3≦z2<1であってもよい。
【0112】
前記正極活物質の含量は、正極活物質層全体重量に対して90重量%~98重量%であってもよい。
【0113】
本発明の一実施形態において、前記正極活物質層は選択的に導電材およびバインダーを含むことができる。この時、前記導電材およびバインダーの含量は、正極活物質層全体重量に対してそれぞれ1重量%~5重量%であってもよい。
【0114】
前記導電材は正極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を引き起こさず電子伝導性材料であればいずれのものでも使用可能であり、その例として、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維などの金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;またはこれらの混合物を含む導電性材料を使用することができる。
【0115】
前記バインダーは正極活物質粒子を互いによく付着させ、また正極活物質を電流集電体によく付着させる役割を果たし、その代表的な例としてはポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリビニルクロリド、カルボキシル化されたポリビニルクロリド、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン-ブタジエンゴム、アクリレーテッドスチレン-ブタジエンゴム、エポキシ樹脂、ナイロンなどを使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0116】
前記正極集電体としてはAlを使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0117】
前記負極は、負極集電体およびこの負極集電体の上に形成される負極活物質を含む負極活物質層を含む。
【0118】
前記負極活物質は、リチウムイオンを可逆的にインターカレーション/デインターカレーションすることができる物質、リチウム金属、リチウム金属の合金、リチウムにドープおよび脱ドープ可能な物質または遷移金属酸化物を含む。
【0119】
前記リチウムイオンを可逆的にインターカレーション/デインターカレーションすることができる物質としては炭素物質であって、リチウム二次電池で一般に使用される炭素系負極活物質はいずれのものでも使用することができ、その代表的な例としては結晶質炭素、非晶質炭素またはこれらを共に使用することができる。前記結晶質炭素の例としては無定形、板状、鱗片状(flake)、球状または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛のような黒鉛が挙げられ、前記非晶質炭素の例としてはソフトカーボン(soft carbon)またはハードカーボン(hard carbon)、メソフェーズピッチ炭化物、焼成されたコークスなどが挙げられる。
【0120】
前記リチウム金属の合金としては、リチウムとNa、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Si、Sb、Pb、In、Zn、Ba、Ra、Ge、AlおよびSnからなる群より選択される金属の合金を使用することができる。
【0121】
前記リチウムにドープおよび脱ドープ可能な物質としてはSi、Si-C複合体、SiO(0<x<2)、Si-Q合金(前記Qはアルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、15族元素、16族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素であり、Siではない)、Sn、SnO、Sn-R22(前記R22はアルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、15族元素、16族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素であり、Snではない)などが挙げられ、またこれらのうちの少なくとも一つとSiOを混合して使用することもできる。
【0122】
前記元素QおよびR22としては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Tl、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを使用することができる。
【0123】
前記遷移金属酸化物としては、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物またはリチウムチタン酸化物などが挙げられる。
【0124】
具体的な一実施形態で、前記負極活物質は、Si系活物質および炭素系活物質を含むSi-C複合体であってもよい。
【0125】
前記Si-C複合体で、Si系活物質の平均粒径は50nm~200nmであってもよい。
【0126】
前記Si系活物質の平均粒径が前記範囲に含まれる場合、充放電時発生する体積膨張を抑制することができ、充放電時の粒子破砕による伝導性経路(conductive path)の断絶を防止することができる。
【0127】
前記Si系活物質は前記Si-C複合体の全体重量に対して1~60重量%で含まれてもよく、例えば3~60重量%で含まれてもよい。
【0128】
具体的な他の一実施形態で、前記負極活物質は前述のSi-C複合体と共に結晶質炭素をさらに含むことができる。
【0129】
前記負極活物質がSi-C複合体および結晶質炭素を共に含む場合、前記Si-C複合体および結晶質炭素は混合物の形態で含まれてもよく、この場合、前記Si-C複合体および結晶質炭素は1:99~50:50の重量比で含まれてもよい。さらに具体的には、前記Si-C複合体および結晶質炭素は5:95~20:80の重量比で含まれてもよい。
【0130】
前記結晶質炭素は例えば黒鉛を含むことができ、さらに具体的には、天然黒鉛、人造黒鉛またはこれらの混合物を含むことができる。
【0131】
前記結晶質炭素の平均粒径は5μm~30μmであってもよい。
【0132】
本明細書で、平均粒径は累積分布曲線(cumulative size-distribution curve)で体積比として50%での粒子大きさ(D50)であってもよい。
【0133】
前記Si-C複合体はSi-C複合体の表面を囲むシェルをさらに含むことができ、前記シェルは非晶質炭素を含むことができる。
【0134】
前記非晶質炭素は、ソフトカーボン、ハードカーボン、メソフェーズピッチ炭化物、焼成されたコークスまたはこれらの混合物を含むことができる。
【0135】
前記非晶質炭素は、炭素系活物質100重量部に対して1~50重量部、例えば5~50重量部、または10~50重量部で含まれてもよい。
【0136】
前記負極活物質層で、負極活物質の含量は負極活物質層全体重量に対して95重量%~99重量%であってもよい。
【0137】
本発明の一実施形態において、前記負極活物質層はバインダーを含み、選択的に導電材をさらに含んでもよい。前記負極活物質層で、バインダーの含量は負極活物質層全体重量に対して1重量%~5重量%であってもよい。また導電材をさらに含む場合には、負極活物質を90重量%~98重量%、バインダーを1重量%~5重量%、導電材を1重量%~5重量%使用することができる。
【0138】
前記バインダーは負極活物質粒子を互いによく付着させ、また負極活物質を電流集電体によく付着させる役割を果たす。前記バインダーとしては非水溶性バインダー、水溶性バインダーまたはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0139】
前記非水溶性バインダーとしては、ポリビニルクロリド、カルボキシル化されたポリビニルクロリド、ポリビニルフルオライド、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドイミド、ポリイミドまたはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0140】
前記水溶性バインダーとしては、ゴム系バインダーまたは高分子樹脂バインダーが挙げられる。前記ゴム系バインダーはスチレンブタジエンゴム、アクリレーテッドスチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、およびこれらの組み合わせから選択されるものであってもよい。前記高分子樹脂バインダーは、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンプロピレン共重合体、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリエピクロロヒドリン、ポリホスファゼン、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、エチレンプロピレンジエン共重合体、ポリビニルピリジン、クロロスルホン化ポリエチレン、ラテックス、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、およびこれらの組み合わせから選択されるものであってもよい。
【0141】
前記負極バインダーとして水溶性バインダーを使用する場合、粘性を付与することができるセルロース系列化合物を増粘剤としてさらに含むことができる。このセルロース系列化合物としてはカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、またはこれらのアルカリ金属塩などを1種以上混合して使用することができる。前記アルカリ金属としてはNa、KまたはLiを使用することができる。このような増粘剤の使用含量は負極活物質100重量部に対して0.1重量部~3重量部であってもよい。
【0142】
前記導電材は電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を引き起こさず電子伝導性材料であればいずれのものでも使用可能であり、その例として天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維などの金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;またはこれらの混合物を含む導電性材料を使用することができる。
【0143】
前記負極集電体としては、銅箔、ニッケル箔、ステンレス鋼箔、チタン箔、ニッケル発泡体(foam)、銅発泡体、伝導性金属がコーティングされたポリマー基材、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを使用することができる。
【0144】
リチウム二次電池の種類によって正極と負極の間にセパレータが存在することもある。このようなセパレータは多孔性基材であるか;または複合多孔性基材であってもよい。
【0145】
多孔性基材は空隙を含む基材であって、前記空隙を通じてリチウムイオンが移動できる。前記多孔性基材は例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニリデンフルオライドまたはこれらの2層以上の多層膜を使用することができ、ポリエチレン/ポリプロピレン2層セパレータ、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレン3層セパレータ、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン3層セパレータなどのような混合多層膜を使用することができるのはもちろんである。
【0146】
前記複合多孔性基材は、多孔性基材および前記多孔性基材上に位置する機能層を含む形態であってもよい。前記機能層は追加的な機能付加が可能になる観点から、例えば耐熱層、および接着層のうちの少なくとも一つであってもよく、例えば前記耐熱層は耐熱性樹脂および選択的にフィラーを含むことができる。
【0147】
また、前記接着層は、接着性樹脂および選択的にフィラーを含むことができる。
【0148】
前記フィラーは、有機フィラーであるか無機フィラーであってもよい。
【0149】
以下、本発明の実施例および比較例を記載する。しかし、下記の実施例は本発明の一実施形態に過ぎず、本発明が下記の実施例に限定されるものではない。
【実施例
【0150】
リチウム二次電池の製作
比較例1
正極活物質としてLiNi0.88Co0.07Al0.05、バインダーとしてポリビニリデンフルオライド、および導電材としてケッチェンブラックをそれぞれ97:2:1の重量比で混合して、N-メチルピロリドンに分散させて正極活物質スラリーを製造した。
【0151】
前記正極活物質スラリーを14μm厚さのアルミニウム箔の上にコーティングし、110℃で乾燥した後、圧延(press)して正極を製造した。
【0152】
負極活物質として人造黒鉛とSi-C複合体が93:7の重量比で混合された混合物を使用し、負極活物質とバインダーとしてスチレン-ブタジエンゴムバインダーおよび増粘剤としてカルボキシメチルセルロースをそれぞれ97:1:2の重量比で混合して、蒸留水に分散させて負極活物質スラリーを製造した。
【0153】
前記Si-C複合体は、人造黒鉛およびシリコン粒子を含むコアおよび前記コアの表面に石炭系ピッチがコーティングされた形態である。
【0154】
前記負極活物質スラリーを10μm厚さの銅箔の上にコーティングし、100℃で乾燥した後、圧延(press)して負極を製造した。
【0155】
前記製造された正極および負極と厚さ25μmのポリエチレン材質のセパレータを組み立てて電極組立体を製造し、電解液を注入してリチウム二次電池を製作した。
【0156】
電解液組成は下記の通りである。
(電解液組成)
塩:LiPF 1.5M
溶媒:エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート:ジメチルカーボネート(EC:EMC:DMC=20:10:70の体積比)
【0157】
比較例2
下記化学式1-aの化合物2.0重量%を電解液に添加したことを除いては、前記比較例1と同様な方法でリチウム二次電池を製作した。
(但し、前記電解液組成で“重量%”は電解液全体(リチウム塩+非水性有機溶媒+添加剤)含量を基準にしたものである。)
【0158】
【化15】
【0159】
比較例3
下記化学式1-bの化合物2.0重量%を電解液に添加したことを除いては、前記比較例1と同様な方法でリチウム二次電池を製作した。
【0160】
【化16】
【0161】
比較例4
下記化学式1-cの化合物2.0重量%を電解液に添加したことを除いては、前記比較例1と同様な方法でリチウム二次電池を製作した。
【0162】
【化17】
【0163】
比較例5
下記化学式2-aの化合物2.0重量%を電解液に添加したことを除いては、前記比較例1と同様な方法でリチウム二次電池を製作した。
【0164】
【化18】
【0165】
比較例6
下記化学式2-dの化合物2.0重量%を電解液に添加したことを除いては、前記比較例1と同様な方法でリチウム二次電池を製作した。
【0166】
【化19】
【0167】
実施例1~42および比較例7~18
下記表1に記載された組成に変更したことを除いては、前記比較例1と同様な方法でリチウム二次電池を製作した。
【0168】
【表1A】
【表1B】
【0169】
評価1:熱露出評価
実施例1~42、および比較例1~18によるリチウム二次電池に対して3.0V放電状態で0.5C充電速度で4.2V/3hrカットオフ条件で充電した後、熱露出評価を実施した。
【0170】
実施例1~42、および比較例1~18によるリチウム二次電池をチャンバーに入れた後、温度を常温から140℃および142℃まで分当り5℃の上昇速度で温度を増加させ、前記温度で1時間程度維持させながらリチウム二次電池の変化を観察し、その結果をそれぞれ表2、図2および図3に示した。この時、点線は時間による電圧変化を示し、実線は時間による温度変化を示す。
【0171】
表2で、温度を維持したまま熱暴走が起こらない場合はOKと表し、高温に露出させる場合、急激な熱暴走が発生する場合はNGと表した。
【0172】
【表2A】
【表2B】
【0173】
表2を参照すれば、実施例1~42によるリチウム二次電池では高温露出時に温度を維持したまま熱暴走が起こらなかったのを確認することができる。反面、比較例1~18によるリチウム二次電池では急激な熱暴走が観察された。特に、比較例2~6によるリチウム二次電池の場合、140℃熱露出では熱暴走が起こらなかったが、142℃熱露出では結局熱暴走が観察された。
【0174】
特に、図2および図3に、これらのうちの一部実施例および比較例に対する温度および電圧変化プロファイルを示した。
【0175】
図2は、実施例1~6、および比較例1~6によるリチウム二次電池に対して140℃熱露出による温度および電圧変化を示したグラフである。
【0176】
図3は、実施例1~6、および比較例1~6によるリチウム二次電池に対して142℃熱露出による温度および電圧変化を示したグラフである。
【0177】
図2および図3を参照すれば、実施例1~6、および比較例1~6によるリチウム二次電池で電圧急降下が観察された。円筒型電池が高温に急激に露出されると、ガスが発生して内圧が増加し、これによってバッテリー保護回路(CID)が作動して、電圧が急降下するようになる。電圧急降下が発生したことから、実施例1~6、および比較例1~6によるリチウム二次電池は高温露出によるガス発生によって、保護回路が作動したことが分かる。
【0178】
しかし、実施例1~6によるリチウム二次電池は140℃の温度に露出させるとしても、140℃の温度を維持したまま熱暴走が起こらない反面、比較例1によるリチウム二次電池は140℃の温度に露出させる場合、140℃で温度が維持されるようであったが、240℃(78分時点)以上で急激な熱暴走が発生しているのを確認することができる。
【0179】
温度をもう少し高めて142℃の温度に露出させる場合には、比較例1だけでなく比較例2~6によるリチウム二次電池も200℃以上で熱暴走が発生するようになるのを確認することができる。これから比較例1~6によるリチウム二次電池は単純にガスのみ発生したのではなく、熱暴走まで起こって電池が爆発したことが分かる。
【0180】
したがって、実施例1~42によるリチウム二次電池が比較例1~18によるリチウム二次電池に比べて熱的安定性が高いことが分かる。
【0181】
評価2:高温放置特性評価
実施例1~6および比較例1~6のリチウム二次電池を0.5C充放電速度で4.35V CC/CV方式で3時間充電した後、90℃チャンバーで110時間放置してCID(Current Interrupt Device)作動時点を測定した。
【0182】
前記CID(Current Interrupt Device)は密閉された素子内圧力変化、即ち、圧力上昇を感知して一定圧力以上になる場合、それ自体が電流を遮断する素子であって、これは当業界に自明なことであるので、これに関する説明は省略する。
【0183】
CID作動時点を測定してリチウム二次電池の高温放置特性を評価することができ、測定結果は図4に示した。
【0184】
図4は、実施例1~6、比較例1~6によるリチウム二次電池のCID(Current Interrupt Device)作動時点を測定したグラフである。
【0185】
CID作動時点を測定してリチウム二次電池の高温保存特性を評価することができる。
【0186】
図4を参照すれば、比較例1~6は90℃高温保存時、約100時間前に急激な電圧降下を示すが、本発明の一実施形態による添加剤を含む実施例1~6は最少110時間までは電圧降下を示さなく、これにより電解液分解を遅延させることによって抵抗増加が減少してOCV dropが遅延される効果を示すことが分かる。即ち、本発明によるリチウム二次電池は、高温保存時ガス発生が抑制される効果が優れる。
【0187】
評価3:常温寿命特性評価
実施例1~6および比較例1~6によって製造されたリチウム二次電池を常温(25℃)で2.5V~4.2Vで0.5C C-rateで250サイクル充放電を実施しながら放電容量の変化を測定して1回放電容量に対する250サイクルでの容量比(容量維持率)を計算し、その結果を図5に示した。
【0188】
図5は、実施例1~6、および比較例1~6によるリチウム二次電池の常温充放電サイクル特性を示すグラフである。
【0189】
図5を参照すれば、実施例1~6の場合、比較例1~6に対比して寿命が大きく低下しないことが分かる。
【0190】
したがって、本実施形態による特定混合組み合わせの組成物を添加剤として使用するリチウム二次電池の場合、寿命を低下させずに、優れた熱的安全性を顕著に向上させることができる。
【0191】
以上を通じて本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるのではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属するのは当然である。
【符号の説明】
【0192】
100:リチウム二次電池
112:負極
113:セパレータ
114:正極
120:電池容器
140:封入部材
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】