(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-30
(54)【発明の名称】三次元印刷用の熱可塑性粉末組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20240123BHJP
C08K 9/06 20060101ALI20240123BHJP
B33Y 70/10 20200101ALI20240123BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20240123BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240123BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20240123BHJP
B29C 64/165 20170101ALI20240123BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20240123BHJP
C08K 5/5415 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K9/06
B33Y70/10
B33Y80/00
B33Y10/00
B29C64/153
B29C64/165
C08K3/36
C08K5/5415
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539996
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(85)【翻訳文提出日】2023-08-28
(86)【国際出願番号】 EP2021085229
(87)【国際公開番号】W WO2022144160
(87)【国際公開日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/140780
(32)【優先日】2020-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ウェイチョン
(72)【発明者】
【氏名】カイ,チー チョン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ヤン ション
【テーマコード(参考)】
4F213
4J002
【Fターム(参考)】
4F213AA03
4F213AA23
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4J002AA011
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4J002GN01
(57)【要約】
本開示は、(a)アルコキシシランで処理された少なくとも1種のシリカ粒子;及び(b)少なくとも1種の熱可塑性ポリマーを含む熱可塑性粉末組成物に関する。本開示はまた、この熱可塑性粉末組成物から形成される3D印刷物体、及び3D印刷物体を形成する方法にも関する。熱可塑性粉末組成物は良好な粉末流動性を示し、前記熱可塑性粉末組成物から得られる印刷物体は、驚くべきことに、高い破断伸び、高い衝撃強度、良好な靭性、及び低い表面粗さを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)アルコキシシランで処理された少なくとも1種のシリカ粒子;及び
(b)少なくとも1種の熱可塑性ポリマー
を含む、熱可塑性粉末組成物。
【請求項2】
アルコキシシランで処理された前記シリカ粒子が、15~600m
2/g、又は20~400m
2/g、又は20~200m
2/gのBET表面積を有する、請求項1に記載の熱可塑性粉末組成物。
【請求項3】
アルコキシシランで処理された前記シリカ粒子の平均一次粒径が、5~500nm、好ましくは7~400nm、又は10~250nmの範囲である、請求項2に記載の熱可塑性粉末組成物。
【請求項4】
アルコキシシランで処理された前記シリカ粒子の量が、熱可塑性粉末組成物の総質量に基づいて、0.01~10質量%、好ましくは0.01~5質量%、より好ましくは0.04~3質量%、特に0.08~2質量%の範囲である、請求項1から3のいずれか一項に記載の熱可塑性粉末組成物。
【請求項5】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリオレフィン、炭化水素樹脂、ビニル芳香族モノマーに由来する芳香族ホモポリマー及びコポリマー、ハロゲン含有ポリマー、α,β-不飽和酸及びその誘導体に由来するポリマー、不飽和アルコール及びアミン又はそれらのアシル誘導体又はアセタールに由来するポリマー、環状エーテルのホモポリマー及びコポリマー、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド及びスルフィド、ポリアミド及びコポリアミド、ポリウレア、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリヒダントイン、ポリベンズイミダゾール、ポリエステル、ポリケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリウレタン、及び前述のポリマーのブレンド又は混合物からなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の熱可塑性粉末組成物。
【請求項6】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリアミド及びコポリアミド、ポリオレフィン、ポリエステル及びポリウレタン、及び前述のポリマーのブレンド又は混合物からなる群から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の熱可塑性粉末組成物。
【請求項7】
前記熱可塑性ポリマーの平均粒径(D
50)が、0.1~1000μm、又は0.1~500μm、又は0.1~300μm、又は0.1~200μmの範囲である、請求項1から6のいずれか一項に記載の熱可塑性粉末組成物。
【請求項8】
前記熱可塑性ポリマーの量が、熱可塑性粉末組成物の総質量に基づいて、30~99.99質量%、好ましくは50~99.96質量%、より好ましくは70~99.92質量%の範囲である、請求項1から7のいずれか一項に記載の熱可塑性粉末組成物。
【請求項9】
熱可塑性粉末組成物の総質量に基づいて、0~69質量%、好ましくは0~49質量%又は0~29質量%の量の少なくとも1種の助剤を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の熱可塑性粉末組成物。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の熱可塑性粉末組成物から形成された3D印刷物体。
【請求項11】
前記3D印刷物体が、靴底、アウターウェア、布、履物、玩具、マット、タイヤ、ホース、手袋、及びシールを含む、請求項10に記載の3D印刷物体。
【請求項12】
請求項1から9のいずれか一項に記載の熱可塑性粉末組成物を使用することを含む、3D印刷物体を形成する方法。
【請求項13】
a)請求項1から9のいずれか一項に記載の熱可塑性粉末組成物を成形混合物に添加する工程、及び
b)粉末を選択的に結合させることによって成形品を製造する工程
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
工程b)において製造される成形品が、粉末の一部を別の部分と選択的に結合させることによって三次元物体を層ごとに構築するためのプロセスによって製造される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
選択的に結合させることが、選択的レーザー焼結、粉末の接合の選択的阻害、3D印刷、又はマイクロ波プロセスを含む、請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元印刷用の熱可塑性粉末組成物に関し、さらに、この熱可塑性粉末組成物から形成される3D印刷物体、及び3D印刷物体を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性粉末を使用する3D印刷技術、例えば選択的レーザー焼結(SLS)、マルチジェット融合(MJF)、選択的熱焼結(SHS)は、高速プロトタイピングプロセス及び高速製造プロセスに使用されてきた。これらの技術で3D印刷部品を得るには、熱可塑性粉末を熱で焼結する。3D印刷部品の破断伸び及び靭性は常に劣り、これが3D印刷プロセスの主な欠点となる。さらに、熱可塑性粉末の良好な流動性も印刷プロセスには必要であり、これは粉末が層ごとに良好に広がることにつながる。したがって、SLS、MJF又はSHSでの3D印刷プロセスを成功させるためには、良好な粉末流動性を有し、同時に良好な破断伸び及びを有する熱可塑性粉末が強く求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、アルコキシシランで処理されたシリカ粒子及び熱可塑性ポリマーを含む熱可塑性粉末組成物を提供することであり、ここで、この熱可塑性粉末組成物が良好な粉末流動性を示し、この熱可塑性粉体組成物から得られる印刷物体が高い破断伸び、高い衝撃強度、良好な靭性及び低い表面粗さを示す。
【0004】
本発明の別の目的は、本発明の熱可塑性粉末組成物から形成された3D印刷物体を提供することである。
【0005】
本発明のさらなる目的は、本発明の熱可塑性粉末組成物を使用して3D印刷物体を形成する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
驚くべきことに、上記の目的は以下の実施形態によって達成できることが見出された。
【0007】
1.(a)アルコキシシランで処理された少なくとも1種のシリカ粒子;及び
(b)少なくとも1種の熱可塑性ポリマー
を含む、熱可塑性粉末組成物。
【0008】
2.アルコキシシランで処理された前記シリカ粒子が、15~600m2/g、又は20~400m2/g、又は20~200m2/gのBET表面積を有する、項目1に記載の熱可塑性粉末組成物。
【0009】
3.アルコキシシランで処理された前記シリカ粒子の平均一次粒径が、5~500nm、好ましくは7~400nm、又は10~250nmの範囲である、項目2に記載の熱可塑性粉末組成物。
【0010】
4.アルコキシシランで処理された前記シリカ粒子の量が、熱可塑性粉末組成物の総質量に基づいて、0.01~10質量%、好ましくは0.01~5質量%、より好ましくは0.04~3質量%、特に0.08~2質量%の範囲である、項目1から3のいずれか一項に記載の熱可塑性粉末組成物。
【0011】
5.前記熱可塑性ポリマーが、ポリオレフィン、炭化水素樹脂、ビニル芳香族モノマーに由来する芳香族ホモポリマー及びコポリマー、ハロゲン含有ポリマー、α,β-不飽和酸及びその誘導体に由来するポリマー、不飽和アルコール及びアミン又はそれらのアシル誘導体又はアセタールに由来するポリマー、環状エーテルのホモポリマー及びコポリマー、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド及びスルフィド、ポリアミド及びコポリアミド、ポリウレア、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリヒダントイン、ポリベンズイミダゾール、ポリエステル、ポリケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリウレタン、及び前述のポリマーのブレンド又は混合物からなる群から選択される、項目1から4のいずれか一項に記載の熱可塑性粉末組成物。
【0012】
6.前記熱可塑性ポリマーが、ポリアミド及びコポリアミド、ポリオレフィン、ポリエステル及びポリウレタン、及び前述のポリマーのブレンド又は混合物からなる群から選択される、項目1から5のいずれか一項に記載の熱可塑性粉末組成物。
【0013】
7.前記熱可塑性ポリマーの平均粒径(D50)が、0.1~1000μm、又は0.1~500μm、又は0.1~300μm、又は0.1~200μmの範囲である、項目1から6のいずれか一項に記載の熱可塑性粉末組成物。
【0014】
8.前記熱可塑性ポリマーの量が、熱可塑性粉末組成物の総質量に基づいて、30~99.99質量%、好ましくは50~99.96質量%、より好ましくは70~99.92質量%の範囲である、項目1から7のいずれか一項に記載の熱可塑性粉末組成物。
【0015】
9.熱可塑性粉末組成物の総質量に基づいて、0~69質量%、好ましくは0~49質量%又は0~29質量%の量の少なくとも1種の助剤を含む、項目1から8のいずれか一項に記載の熱可塑性粉末組成物。
【0016】
10.項目1から9のいずれか一項に記載の熱可塑性粉末組成物から形成された3D印刷物体。
【0017】
11.前記3D印刷物体が、靴底、アウターウェア、布、履物、玩具、マット、タイヤ、ホース、手袋、及びシールを含む、項目10に記載の3D印刷物体。
【0018】
12.項目1から9のいずれか一項に記載の熱可塑性粉末組成物を使用することを含む、3D印刷物体を形成する方法。
【0019】
13.a)項目1から9のいずれか一項に記載の熱可塑性粉末組成物を成形混合物に添加する工程、及び
b)粉末を選択的に結合させることによって成形品を製造する工程
を含む、項目12に記載の方法。
【0020】
14.工程b)において製造される成形品が、粉末の一部を別の部分と選択的に結合させることによって三次元物体を層ごとに構築するためのプロセスによって製造される、項目13に記載の方法。
【0021】
15.選択的に結合させることが、選択的レーザー焼結、粉末の接合の選択的阻害、3D印刷、又はマイクロ波プロセスを含む、項目13又は14に記載の方法。
【0022】
本発明の熱可塑性粉末組成物は良好な粉末流動性を示し、この熱可塑性粉末組成物から得られる印刷物体は、驚くべきことに、高い破断伸び、高い衝撃強度、良好な靭性及び低い表面粗さを示す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、実施例1aの熱可塑性粉末組成物から調製した印刷サンプルの写真である。
【
図2】
図2は、実施例1bの熱可塑性粉末組成物から調製した印刷サンプルの写真である。
【
図3】
図3は、実施例2bの熱可塑性粉末組成物から調製した印刷サンプルの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
未定義の冠詞「a」、「an」、「the」は、当該冠詞に続く用語で指定される種の1つ以上を意味する。
【0025】
本開示の文脈では、特徴について言及された任意の具体的な値(エンドポイントとしての範囲に言及された具体的な値を含む)を再結合して、新たな範囲を形成することができる。
【0026】
本発明の一態様は、
(a)アルコキシシランで処理された少なくとも1種のシリカ粒子;及び
(b)少なくとも1種の熱可塑性ポリマー
を含む、熱可塑性粉末組成物に関する。
【0027】
本発明によれば、熱可塑性粉末組成物は、成分(a)としてアルコキシシランで処理された少なくとも1種のシリカ粒子を含む。
【0028】
本発明に従ってアルコキシシランで処理されたシリカ粒子を提供するために処理されるシリカ粒子は、シリカ、ヒュームドシリカ、沈殿シリカ、コロイダルシリカ及びそれらの混合物から選択することができる。
【0029】
好ましい実施形態において、シリカ粒子はコロイダルシリカ粒子である。コロイダルシリカ粒子は、一般に、非凝集の、個々に離散した粒子であり、一般に、球形又はほぼ球形であるが、他の形状(例えば、楕円形、正方形、又は長方形の断面を有する形状)を有することができる。コロイダルシリカ粒子の構造は、凝集した一次粒子の鎖状構造であるヒュームドシリカ粒子とは異なる。
【0030】
本発明に従ってアルコキシシランで処理されたシリカ粒子を提供するために処理されるシリカ粒子は、一般に市販されているか、又は種々の出発材料から公知の方法によって調製することができる(例えば、湿式プロセス型シリカ)。典型的には、コロイダルシリカの出発材料は、好適な溶媒、多くの場合、水のみ、又は共溶媒及び/又は安定化剤を有する溶媒中のコロイダルシリカの分散液であるゾルとして入手可能である。
【0031】
本発明によれば、シリカ粒子はアルコキシシランで処理される。アルコキシシランで処理されたシリカ粒子は、シリカ粒子をアルコキシシランと反応させることにより得ることができる。
【0032】
アルコキシシランは、モノアルコキシシラン、ジアルコキシシラン、又はトリアルコキシシランから選択することができる。通常、アルコキシシランは、以下の式の構造を有することができる:
R1
nSi(OR2)4-n
(式中、R1は、C1~C30(好ましくはC1~C18、又はC1~C12、又はC1~C6又はC1~C4)アルキル、アミノC1~C30(好ましくは、C1~C18、又はC1~C12、又はC1~C6又はC1~C4)アルキル、C2~C30(好ましくはC2~C18、又はC2~C12、又はC2~C6又はC2~C4)アルケニル、及びアミノC2~C30(好ましくはC2~C18、又はC2~C12、又はC2~C6又はC2~C4)アルケニル、C3~C10シクロアルキル、及びC6~C10アリールから選択することができ;R2は、C1~C18アルキル(好ましくはC1~C15、C1~C10、C1~C8、C1~C6又はC1~C4アルキル)から選択することができ;nは1~3の整数である)。アルコキシシランの具体例には、例えば、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等を含むことができる。
【0033】
実施形態において、アルコキシシランはトリアルコキシシランである。トリアルコキシシランは、以下の式の構造を有することができる:
R1Si(OR2)3
(式中、R1は、C1~C30(好ましくはC1~C18、又はC1~C12、又はC1~C6又はC1~C4)アルキル、アミノC1~C30(好ましくは、C1~C18、又はC1~C12、又はC1~C6又はC1~C4)アルキル、C2~C30(好ましくはC2~C18、又はC2~C12、又はC2~C6又はC2~C4)アルケニル、及びアミノC2~C30(好ましくはC2~C18、又はC2~C12、又はC2~C6又はC2~C4)アルケニル、及びC3~C10シクロアルキルから選択することができ;R2は、C1~C10アルキル(好ましくはC1~C8、又はC1~C6又はC1~C4アルキル)から選択することができる)。
【0034】
本開示の文脈で言及されるアルキル及びアルケニルは、直鎖又は分岐状であり得る。
【0035】
トリアルコキシシランの具体例は、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、ステアリルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ウンデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ステアリルトリエトキシシラン、及びこれらの組み合わせから選択することができる。実施形態において、トリアルコキシシランは、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、ステアリルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ウンデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ステアリルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノブチルトリエトキシシラン、3-アミノブチルトリエトキシシラン、及びこれらの組み合わせから選択することができる。
【0036】
本発明によれば、アルコキシシランで処理されたシリカ粒子は、15~600m2/g、例えば15m2/g、20m2/g、25m2/g、30m2/g、35m2/g、40m2/g、45m2/g、50m2/g、60m2/g、80m2/g、100m2/g、150m2/g、200m2/g、250m2/g、300m2/g、400m2/g、450m2/g、500m2/g又は550m2/g、好ましくは20~400m2/g、又は20~200m2/g、又は20~100m2/gのBET比表面積を有することができる。
【0037】
アルコキシシランで処理されたシリカ粒子は、0.1~250μm、例えば0.2μm、0.3μm、0.4μm、0.5μm、0.8μm、1μm、1.5μm、2μm、5μm、10μm、15μm、20μm、30μm、50μm、80μm、100μm、150μm、200μm又は250μm、好ましくは0.1~200μm又は1~150μmの平均粒径(D50)を有することができる。
【0038】
アルコキシシランで処理されたシリカ粒子は、通常、ナノスケールの一次粒子から構成される。アルコキシシランで処理されたシリカ粒子の平均一次粒子径は一般に、5~500nの範囲、例えば7nm、10nm、15nm、20nm、50nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、400nm、又は500nm、好ましくは7~400nm、又は10~250nmである。一次粒子はより大きな凝集体を形成することができる。凝集した粒子(凝集体)は、通常ファンデルワールス力によって互いにゆるく結合した複数の一次粒子から構成される。その結果、凝集体の脱凝集は容易に達成できる。例えば、アルコキシシランで処理されたシリカ粒子をポリマー粒子で分散(乾式分散)させることで、凝集を逆転させるさせることができる。
【0039】
本発明の熱可塑性粉末組成物において、アルコキシシランで処理されたシリカ粒子の量は、熱可塑性粉末組成物の総質量に基づいて、0.01~10質量%の範囲、例えば、0.02質量%、0.03質量%、0.04質量%、0.05質量%、0.06質量%、0.08質量%、0.1質量%、0.15質量%、0.2質量%、0.25質量%、0.3質量%、0.4質量%、0.5質量%、0.6質量%、0.7質量%、0.8質量%、0.9質量%、1質量%、1.5質量%、2質量%、2.5質量%、3質量%、3.5質量%、4質量%、4.5質量%、5質量%、6質量%、7質量%、8質量%又は9質量%、好ましくは0.01~8質量%、0.01~5質量%、0.04~8質量%、0.04~5質量%、0.04~4質量%、0.04~3質量%、0.04~2質量%、又は0.04~1質量%、より好ましくは0.08~4質量%、0.08~3質量%、0.08~2質量%、又は0.08~1質量%、又は0.1~4質量%、0.1~3質量%、0.1~2質量%、0.1~1質量%、又は0.15~4質量%、0.15~3質量%、0.15~2質量%、又は0.15~1質量%であり得る。
【0040】
本発明によれば、熱可塑性粉末組成物は、成分(b)として少なくとも1種の熱可塑性ポリマーを含む。
【0041】
好適な熱可塑性ポリマーのリストを以下に示す。
【0042】
1.ポリオレフィン、例えばモノオレフィン及びジオレフィンのポリマー、例えば、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、例えばポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブ-1-エン、ポリ-4-メチルペント-1-エン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリイソプレン又はポリブタジエン、及びシクロオレフィンのポリマー、例えばシクロペンテン又はノルボルネン、ポリエチレン(任意に架橋することができる)、例えば高密度ポリメチレン(HDPE)、高密度・高分子量ポリエチレン(HDPE-HMW)、高密度・超高分子量ポリエチレン(HDPE-UHMW)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、(VLDPE)及び(ULDPE)。
【0043】
ポリオレフィン、すなわち前の段落で例示したモノオレフィンのポリマー、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンは、異なる、特に以下の方法で調製することができる:
a)ラジカル重合(通常、高圧及び高温で);
b)周期表の第IVb族、Vb族、VIb族又はVIII族の1種以上金属を一般に含有する触媒を用いる触媒重合。これらの金属は、通常、1つ以上の配位子、典型的には、α-又はπ-結合で配位していてもよい酸化物、ハロゲン化物、アルコラート、エステル、エーテル、アミン、アルキル、アルケニル及び/又はアリールを有する。これらの金属錯体は、遊離の形態でもよく、又は基材、典型的に活性化された塩化マグネシウム、塩化チタン(III)、アルミナ又は酸化ケイ素上に固定されてもよい。これらの触媒は重合媒体に可溶性でも不溶性でもよい。触媒は、重合においてそれ自体使用することができるか、又はさらなる活性化剤、典型的に金属アルキル、金属水素化物、金属アルキルハライド、金属アルキルオキシド又は金属アルキルオキサンを使用することができ、前記金属が、周期表の第Ia族、IIa族及び/又はIIIa族の元素である。活性化剤は、さらにエステル基、エーテル基、アミン基又はシリルエーテル基で都合よく修飾されてもよい。これらの触媒システムは通常、Phillips,Standard Oil Indiana,Ziegler-Natta)、TNZ(DuPont)、メタロセン又はシングルサイト触媒(SSC)と呼ばれている。
【0044】
ポリオレフィンの混合物、例えばポリプロピレンとポリイソブチレンの混合物、ポリプロピレンとポリエチレンの混合物(例えばPP/HDPE、PP/LDPE)、及び異なるタイプのポリエチレンの混合物(例えばLDPE/HDPE)。
【0045】
モノオレフィン及びジオレフィンと他のビニルモノマーとのコポリマー、例えば、エチレン/プロピレンコポリマー、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及びそれらの低密度ポリエチレン(LDPE)との混合物、プロピレン/ブト-1-エンコポリマー、プロピレン/イソブチレンコポリマー、エチレン/ブト-1-エンコポリマー、エチレン/ヘキセンコポリマー、エチレン/メチルペンテンコポリマー、エチレン/ヘプテンコポリマー、エチレン/オクテンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキサンコポリマー、エチレン/シクロオレフィンコポリマー(例えば、COCのようなエチレン/ノルボルネン)、エチレン/1-オレフィンコポリマー(ここで、1-オレフィンがその場で生成される);プロピレン/ブタジエンコポリマー、イソブチレン/イソプレンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキセンコポリマー、エチレン/アルキルアクリレートコポリマー、例えばエチレン-n-ブチルアクリレート又はメタクリレート、エチレン/アルキルメタクリレートコポリマー、エチレン/ビニルアセテートコポリマー又はエチレン/アクリル酸コポリマー及びそれらの塩(イオノマー)、及びエチレンとプロピレン及びヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネンなどのジエンとのターポリマー;及びこのようなコポリマー同士の混合物、及び上記1)に記載のポリマーとの混合物、例えばポリプロピレン/エチレン-プロピレンコポリマー、LDPE/エチレン-ビニルアセテートコポリマー(EVA)、LDPE/エチレン-アクリル酸コポリマー(EAA)、LLDPE/EVA、LLDPE/EAA及び交互又はランダムポリアルキレン/一酸化炭素コポリマー、及びこれらと他のポリマー、例えばポリアミドとの混合物。
【0046】
2.その水素化修飾物(例えばタッキファイヤ)、及びポリアルキレンとデンプンの混合物を含む、炭化水素樹脂(例えばC5~C9);
上記のホモポリマー及びコポリマーは、シンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミアイソタクチック又はアタクチックを含む立体構造を有してもよく、ここで、アタクチックポリマーが好ましい。立体ブロックポリマーも含まれる。
【0047】
3.スチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエンの全ての異性体、特にp-ビニルトルエン、エチルスチレンの全ての異性体、プロピルスチレン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、及びこれらの混合物を含むビニル芳香族モノマーに由来する芳香族ホモポリマー及びコポリマー(グラフトコポリマーを含む)。ホモポリマー及びコポリマーは、シンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミアイソタクチック又はアタクチックを含む立体構造を有してもよく、アタクチックポリマーが好ましい。立体ブロックポリマーも含まれる;
a)前述のビニル芳香族モノマーと、エチレン、プロピレン、ジエン、ニトリル、酸、無水マレイン酸、マレイミド、ビニルアセテート、ビニルクロリド又はアクリル誘導体及びそれらの混合物から選択されるコモノマーとを含むコポリマー、例えば、スチレン/ブタジエン、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/エチレン(インターポリマー)、スチレン/アルキルメタクリレート、スチレン/ブタジエン/アルキルアクリレート、スチレン/ブタジエン/アルキルメタクリレート、スチレン/無水マレイン酸、スチレン/アクリロニトリル/メチルアクリレート;高衝撃強度のスチレンコポリマーと他のポリマー、例えばポリアクリレート、ジエンポリマー又はエチレン/プロピレン/ジエンターポリマーとの混合物;及びスチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレン、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン又はスチレン/エチレン/プロピレン/スチレンなどのスチレンのブロックコポリマー。
【0048】
b)特にアタクチックポリスチレンの水素化によって調製されるポリシクロヘキシルエチレン(PCHE)を含み、しばしばポリビニルシクロヘキサン(PVCH)と呼ばれる、3)に記載のポリマーの水素化に由来する水素化芳香族ポリマー。
【0049】
c) 3a)に記載のポリマーの水素化に由来する水素化芳香族ポリマー。ホモポリマー及びコポリマーは、シンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミアイソタクチック又はアタクチックを含む立体構造を有することができ、アタクチックポリマーが好ましい。立体ブロックポリマーも含まれる。
【0050】
ビニル芳香族モノマー、例えばスチレン又はα-メチルスチレンのグラフトコポリマー、例えばポリブタジエン上のスチレン、ポリブタジエン-スチレン上のスチレン又はポリブタジエン-アクリロニトリルコポリマー;ポリブタジエン上のスチレン及びアクリロニトリル(又はメタクリロニトリル);ポリブタジエン上のスチレン、アクリロニトリル及びメチルメタクリレート;ポリブタジエン上のスチレン及び無水マレイン酸;ポリブタジエン上のスチレン、アクリロニトリル及び無水マレイン酸又はマレイミド;ポリブタジエン上のスチレン及びマレイミド;ポリブタジエン上のスチレン及びアルキルアクリレート又はメタクリレート;エチレン/プロピレン/ジエンターポリマー上のスチレン及びアクリロニトリル;ポリアルキルアクリレート又はポリアルキルメタクリレート上のスチレン及びアクリロニトリル、アクリレート/ブタジエンコポリマー上のスチレン及びアクリロニトリル、及びこれらと3)に挙げたコポリマーとの混合物、例えばABS、MBS、ASAまたはAESポリマーとして知られるコポリマー混合物。
【0051】
4.ハロゲン含有ポリマー、例えばポリクロロプレン、塩素化ゴム、イソブチレン-イソプレンの塩素化及び臭素化コポリマー(ハロブチルゴム)、塩素化又はスルホ塩素化ポリエチレン、エチレンと塩素化エチレンのコポリマー、エピクロロヒドリンのホモ及びコポリマー、特にハロゲン含有ビニル化合物のポリマー、例えばポリビニルクロリド、ポリビニリデンクロリド、ポリビニルフルオリド、ポリビニリデンフルオリド、及びこれらのコポリマー、例えばビニルクロリド/ビニリデンクロリド、ビニルクロリド/ビニルアセテート、又はビニリデンクロリド/ビニルアセテートコポリマー。
【0052】
5.α,β-不飽和酸及びその誘導体に由来するポリマー、例えばポリアクリレート及びポリメタクリレート;ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド及びポリアクリロニトリル、ブチルアクリレートで衝撃修飾したもの。
【0053】
5)で記載のモノマー同士又は他の不飽和モノマーとのコポリマー、例えばアクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル/アルキルアクリレートコポリマー、アクリロニトリル/アルコキシアルキルアクリレート又はアクリロニトリル/ビニルハライドコポリマー又はアクリロニトリル/アルキルメタクリレート/ブタジエンターポリマー。
【0054】
6.不飽和アルコールとアミン又はそのアシル誘導体又はアセタールに由来するポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルステアレート、ポリビニルベンゾエート、ポリビニルマレアート、ポリビニルブチラール、ポリアリルフタレート又はポリアリルメラミン;及び上記1で記載のオレフィンとのそれらのコポリマー。
【0055】
7.環状エーテルのホモポリマー及びコポリマー、例えばポリアルキレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、又はそれらとビスグリシジルエーテルとのコポリマー。
【0056】
8.ポリアセタール、例えばポリオキシメチレン、及びコモノマーとしてエチレンオキシドを含有する;ポリオキシメチレン;熱可塑性ポリウレタン、アクリレート又はMBSで修飾されたポリアセタール。
【0057】
9.ポリフェニレンオキシド及びスルフィド、及びポリフェニレンオキシドとスチレンポリマー又はポリアミドとの混合物。
【0058】
10.ポリアミド及びコポリアミド、例えば、ジアミン及びジカルボン酸に由来するもの、及び/又はアミノカルボン酸又は対応するラクタムに由来するもの、例えばポリアミド4、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド6/6、6/10、6/9、6/12、4/6、12/12、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド12(PA12)、m-キシリレンジアミン及びアジピン酸から出発する芳香族ポリアミド;ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸又は/及びテレフタル酸から調製され、改質剤としてエラストマーを含む又は含まないポリアミド、例えばポリ-2,4,4,-トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド又はポリ-m-フェニレンイソフタルアミド;及びまた、前述のポリアミドとポリオレフィン、オレフィンコポリマー、アイオノマー又は化学結合した又はグラフト化したエラストマーとのブロックコポリマー;又はポリエーテル、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラメチレングリコールとのブロックコポリマー;EPDM又はABSで修飾されたポリアミド又はコポリアミド;及び加工中に縮合したポリアミド(RIMポリアミドシステム)。
【0059】
11.ポリウレア、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリヒダントイン、ポリベンズイミダゾール。
【0060】
12.ポリエステル、例えば、ジカルボン酸及びジオールに由来するもの、及び/又はヒドロキシカルボン酸又は対応するラクトンに由来するもの、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ-1,4-ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレート(PAN)及びポリヒドロキシベンゾエート、及びヒドロキシル末端ポリエーテルに由来するブロックコポリエーテルエステル;及び」ポリカーボネート又はMBSで修飾されたポリエステル。
【0061】
13.ポリケトン。
【0062】
14.ポリスルホン、ポリエーテルスルホン及びポリエーテルケトン。
【0063】
15.一般式:
【化1】
に対応するポリカーボネート。
【0064】
このようなポリカーボネートは、界面プロセス又は溶融プロセス(触媒的エステル変換)によって得ることができる。ポリカーボネートは、分岐構造又は直鎖構造であり、任意の官能性置換基を含んでもよい。ポリカーボネートコポリマー及びポリカーボネートブレンドも本発明の範囲内である。ポリカーボネートという用語は、他の熱可塑性プラスチックとのコポリマー及びブレンドを含むものと解釈すべきである。ポリカーボネートの製造方法は、例えば、米国特許明細書第3,030,331号;第3,169,121号;第4,130,458号;第4,263,201号;第4,286,083号;第4,552,704号;第5,210,268号;及び第5,606,007号から公知である。分子量の異なる2種以上のポリカーボネートの組み合わせを使用してもよい。
【0065】
スフェノールAなどのジフェノールとカーボネート源との反応によって得られるポリカーボネートが好ましい。好適なジフェノールの例としては、以下が挙げられる:
ビスフェノールA:
【化2】
ビスフェノールAF:
【化3】
ビスフェノールAP:
【化4】
ビスフェノールB:
【化5】
ビスフェノールC:
【化6】
ビスフェノールE:
【化7】
ビスフェノールF:
【化8】
ビスフェノールM:
【化9】
ビスフェノールP:
【化10】
ビスフェノールS:
【化11】
ビスフェノールTMC:
【化12】
ビスフェノールZ:
【化13】
4,4’-(2-ノルボルニリデン)ビス(2,6-ジクロロフェノール)、又はフルオレン-9-ビスフェノール:
【化14】
【0066】
カーボネート源としては、ハロゲン化カルボニル、カーボネートエステル又はハロホルメートが挙げられる。好適なカーボネートハライドとしては、ホスゲン又はカルボニルブロミドである。好適なカーボネートエステルは、ジアルキルカーボネート、例えばジメチル-又はジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、フェニル-アルキル-フェニルカーボネート、例えばフェニル-トリルカーボネート、ジアルキルカーボネート、例えばジメチル-又はジエチルカーボネート、ジ-(ハロフェニル)カーボネート、例えばジ-(クロロフェニル)カーボネート、ジ-(ブロモフェニル)カーボネート、ジ-(トリクロロフェニル)カーボネート又はジ-(トリクロロフェニル)カーボネート、ジ-(アルキルフェニル)カーボネート、例えばジ-トリルカーボネート、ナフチルカーボネート、ジクロロナフチルカーボネートなどが挙げられる。
【0067】
16.ポリウレタン、例えば一方ではヒドロキシル末端ポリエーテル、ポリエステル又はポリブタジエン、他方では脂肪族又は芳香族ポリイソシアネートに由来するもの、及びそれらの前駆体。
【0068】
17.前述のポリマーのブレンド(ポリブレンド)、例えば、PP/EPDM、ポリアミド/EPDM又はABS、PVC/EVA、PVC/ABS、PVC/MBS、PC/ABS、PBTP/ABS、PC/ASA、PC/PBT、PVC/CPE、PVC/アクリレート、POM/熱可塑性PUR、PC/熱可塑性PUR、POM/アクリレート、POM/MBS、PPO/HIPS、PPO/PA 6.6及びコポリマー、PA/HDPE、PA/PP、PA/PPO、PBT/PC/ABS又はPBT/PET/PC。
【0069】
他のポリマーは、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリレート、熱可塑性ポリウレタン、ポリスルホン、ポリアセタール及びPVCを含む多種多様な合成ポリマーを、好適な相溶化剤を含む混和物として又はコポリマーとしての形態でさらに含有することができる。例えば、成分(b)は、ポリオレフィン、熱可塑性ポリウレタン、スチレンポリマー及びそれらのコポリマーからなる樹脂の群から選択される熱可塑性ポリマーをさらに含有してもよい。具体的な実施形態には、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール修飾ポリシクロヘキシレンメチレンテレフタレート(PCTG)、ポリスルホン(PSU)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、アクリロニトリル-スチレン-アクリル酸エステル(ASA)、アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-スチレン(AES)、スチレン-無水マレイン酸(SMA)、又は高衝撃強度ポリスチレン(HIPS)が含まれる。
【0070】
好ましい実施形態によれば、熱可塑性ポリマーは、ポリアミド及びコポリアミド、ポリオレフィン(例えばポリプロピレン)、ポリエステル及びポリウレタンからなる群から選択される。
【0071】
本発明によれば、熱可塑性ポリマーの平均粒径(D50)は、0.1~1000μm、例えば0.1~500μm、又は0.1~300μm、又は0.1~200μmの範囲であることができる。
【0072】
熱可塑性ポリマーの量は、熱可塑性粉末組成物の総質量に基づいて、30~99.99質量%の範囲、例えば30質量%、40質量%、50質量%、60質量%、70質量%、80質量%、85質量%、90質量%、92質量%、95質量%、96質量%、97質量%、98質量%、99質量%、99.1質量%、99.3質量%、99.5質量%、99.7質量%、99.9質量%、99.91質量%、99.92質量%、99.93質量%、99.94質量%、99.95質量%、99.96質量%、99.97質量%、又は99.98質量%、例えば30~99.96質量%又は30~99.92質量%、好ましくは50~99.96質量%又は50~99.92質量%、又は60~99.96質量%、より好ましくは70~99.92質量%又は80~99.92質量%又は90~99.92質量%又は70~99.9質量%又は80~99.9質量%又は90~99.9質量%の範囲である。
【0073】
熱可塑性粉末組成物は、任意に、成分(c)として少なくとも1種の助剤を含むことができる。助剤として、好ましい例としては、表面活性物質、核剤、潤滑ワックス、染料、顔料、触媒、UV吸収剤及び安定剤、例えば酸化、加水分解、光、熱又は変色に対する安定剤、無機及び/又は有機フィラー及び補強材が挙げられる。加水分解抑制剤としては、オリゴマー及び/又はポリマーの脂肪族又は芳香族カルボジイミドが好ましい。本発明の3D印刷物体を老化及び有害な環境影響に対して安定化させるために、好ましい実施形態では、安定剤がシステムに添加される。無機及び/又は有機フィラー及び補強材の例は、ガラスビーズ、ガラス繊維及び炭素繊維を含むことができる。
【0074】
本発明の組成物が使用中に熱酸化損傷に曝される場合、好ましい実施形態では酸化防止剤が添加される。フェノール酸化防止剤が好ましい。BASF SE社からのIrganox(登録商標)1010のようなフェノール酸化防止剤は、Plastics Additive Handbook,第5版,H.Zweifel編集,Hanser Publishers,Munich,2001年,98~107頁、116頁及び121頁に記載されている。
【0075】
本発明の組成物がUV光に曝される場合、好ましくはUV吸収剤でさらに安定化される。UV吸収剤は、一般に、高エネルギーのUV光を吸収してエネルギーを放散する分子として知られている。工業的に採用されている慣用のUV吸収剤は、例えば、桂皮酸エステル、ジフェニルシアンアクリレート、ホルムアミジン、ベンジリデンマロネート、ジアリールブタジエン、トリアジン及びベンゾトリアゾールの群に属する。市販のUV吸収剤の例は、Plastics Additive Handbook,第5版,H.Zweifel編集,Hanser Publishers,Munich,2001年,116~122頁に見出すことができる。
【0076】
上記の助剤に関する更なる詳細は、専門文献、例えばPlastics Additive Handbook,第5版,H.Zweifel編集,Hanser Publishers,Munich,2001年に見出すことができる。
【0077】
少なくとも1種の助剤の量は、熱可塑性粉末組成物の総質量に基づいて、0~69質量%、0~59質量%、好ましくは0~49質量%、0~39質量%、又は0~29質量%、又は0~19質量%の範囲であることができる。
【0078】
実施形態において、本発明の熱可塑性粉末組成物は、いずれの場合も熱可塑性粉末組成物の総質量に基づいて、
(a)0.01~10質量%のアルコキシシランで処理された少なくとも1種のシリカ粒子;
(b)30~99.99質量%の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー;及び
(c)0~69質量%の少なくとも1種の助剤
を含む。
【0079】
実施形態において、本発明の熱可塑性粉末組成物は、いずれの場合も熱可塑性粉末組成物の総質量に基づいて、
(a)0.01~8質量%のアルコキシシランで処理された少なくとも1種のシリカ粒子;
(b)30~99.99質量%の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー;及び
(c)0~69質量%の少なくとも1種の助剤
を含む。
【0080】
実施形態において、本発明の熱可塑性粉末組成物は、いずれの場合も熱可塑性粉末組成物の総質量に基づいて、
(a)0.04~8質量%のアルコキシシランで処理された少なくとも1種のシリカ粒子;
(b)30~99.96質量%の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー;及び
(c)0~69質量%の少なくとも1種の助剤
を含む。
【0081】
実施形態において、本発明の熱可塑性粉末組成物は、いずれの場合も熱可塑性粉末組成物の総質量に基づいて、
(a)0.01~5質量%のアルコキシシランで処理された少なくとも1種のシリカ粒子;
(b)30~99.99質量%の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー;及び
(c)0~69質量%の少なくとも1種の助剤
を含む。
【0082】
実施形態において、本発明の熱可塑性粉末組成物は、いずれの場合も熱可塑性粉末組成物の総質量に基づいて、
(a)0.01~5質量%のアルコキシシランで処理された少なくとも1種のシリカ粒子;
(b)50~99.96質量%の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー;及び
(c)0~49質量%の少なくとも1種の助剤
を含む。
【0083】
実施形態において、本発明の熱可塑性粉末組成物は、いずれの場合も熱可塑性粉末組成物の総質量に基づいて、
(a)0.01~5質量%のアルコキシシランで処理された少なくとも1種のシリカ粒子;
(b)70~99.92質量%の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー;及び
(c)0~29質量%の少なくとも1種の助剤
を含む。
【0084】
実施形態において、本発明の熱可塑性粉末組成物は、いずれの場合も熱可塑性粉末組成物の総質量に基づいて、
(a)0.04~3質量%のアルコキシシランで処理された少なくとも1種のシリカ粒子;
(b)30~99.96質量%の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー;及び
(c)0~69質量%の少なくとも1種の助剤
を含む。
【0085】
実施形態において、本発明の熱可塑性粉末組成物は、いずれの場合も熱可塑性粉末組成物の総質量に基づいて、
(a)0.04~3質量%のアルコキシシランで処理された少なくとも1種のシリカ粒子;
(b)50~99.96質量%の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー;及び
(c)0~49質量%の少なくとも1種の助剤
を含む。
【0086】
実施形態において、本発明の熱可塑性粉末組成物は、いずれの場合も熱可塑性粉末組成物の総質量に基づいて、
(a)0.04~3質量%のアルコキシシランで処理された少なくとも1種のシリカ粒子;
(b)70~99.92質量%の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー;及び
(c)0~29質量%の少なくとも1種の助剤
を含む。
【0087】
実施形態において、本発明の熱可塑性粉末組成物は、いずれの場合も熱可塑性粉末組成物の総質量に基づいて、
(a)0.08~2質量%のアルコキシシランで処理された少なくとも1種のシリカ粒子;
(b)30~99.92質量%の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー;及び
(c)0~69質量%の少なくとも1種の助剤
を含む。
【0088】
実施形態において、本発明の熱可塑性粉末組成物は、いずれの場合も熱可塑性粉末組成物の総質量に基づいて、
(a)0.08~2質量%のアルコキシシランで処理された少なくとも1種のシリカ粒子;
(b)50~99.92質量%の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー;及び
(c)0~49質量%の少なくとも1種の助剤
を含む。
【0089】
実施形態において、本発明の熱可塑性粉末組成物は、いずれの場合も熱可塑性粉末組成物の総質量に基づいて、
(a)0.08~2質量%のアルコキシシランで処理された少なくとも1種のシリカ粒子;
(b)70~99.92質量%の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー;及び
(c)0~29質量%の少なくとも1種の助剤
を含む。
【0090】
実施形態において、本発明の熱可塑性粉末組成物は、いずれの場合も熱可塑性粉末組成物の総質量に基づいて、
(a)0.1~2質量%のアルコキシシランで処理された少なくとも1種のシリカ粒子;
(b)70~99.9質量%の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー;及び
(c)0~29質量%の少なくとも1種の助剤
を含む。
【0091】
実施形態において、本発明の熱可塑性粉末組成物は、いずれの場合も熱可塑性粉末組成物の総質量に基づいて、
(a)0.1~2質量%のアルコキシシランで処理された少なくとも1種のシリカ粒子;
(b)80~99.9質量%の少なくとも1種の熱可塑性ポリマー;及び
(c)0~19質量%の少なくとも1種の助剤
を含む。
【0092】
本開示の一態様は、
(1)上記成分(a)、(b)及び任意成分(c)の粉末を提供する工程、及び
(2)撹拌下で粉末をドライブレンドする工程
を含む、熱可塑性粉末組成物を製造する方法に関する。
【0093】
本発明の実施形態によれば、ブレンドすることは室温で撹拌しながら行われる。全ての成分が均一に混合される限り、ブレンド時間及び攪拌速度は特に制限されない。具体的な実施形態において、混合は、800~3000RPM、好ましくは1000~2000RPMでのミキサーによって、30秒~15分間、より好ましくは45秒~5分間行われる。
【0094】
さらなる態様において、本発明は、本発明の熱可塑性粉末組成物から形成された3D印刷物体に関する。
【0095】
本発明の実施形態によれば、3D印刷物体の例には、例えば、靴底、アウターウェア、布、履物、玩具、マット、タイヤ、ホース、手袋、シールが含まれる。
【0096】
さらなる態様において、本発明は、3D印刷のための原料として上記熱可塑性粉末組成物を使用することを含む、3D印刷物体を形成する方法に関する。
【0097】
実施形態において、この方法は:
a)本発明による熱可塑性粉末組成物を成形混合物に添加する工程、及び
b)粉末を選択的に結合させることによって成形品を製造する工程
を含む。
【0098】
好ましい実施形態において、工程b)で製造される成形品は、粉末の一部を別の部分と選択的に結合させることによって三次元物体を層ごとに構築するためのプロセスによって製造される。
【0099】
本発明によれば、選択的に結合させることは、選択的レーザー焼結、粉末の接合の選択的阻害、3D印刷、又はマイクロ波プロセスを含む。
【実施例】
【0100】
材料
- 熱可塑性粉末:
PA11:BASF 3D Printing Solutions GmbH社からのAdsint PA 11 Nat.、平均粒径(D50)は49μm;
PA6:BASF社からのUltrasint PA 6 X028、平均粒径(D50)は70μm。
【0101】
- アルコキシシランで処理されたシリカ粒子
Cabot社からのTPX-5020、アルコキシシランで表面処理したコロイダルシリカ、平均一次粒径は65nm;BET表面積は50m2/g;
Cabot社からのTPX-5075、アルコキシシランで表面処理したコロイダルシリカ、平均一次粒径は115nm;BET表面積は30m2/g;
- Cabot社からのTPX-5110、メタクリルシランで表面処理したコロイダルシリカ、平均一次粒径は115nm;BET表面積は30m2/g;
- Cabot社からのTPX-5030、HMDZ(ヘキサメチルジシラザン)で表面処理したコロイダルシリカ、平均一次粒径は115nm;BET表面積は30m2/g。
【0102】
方法
- Farsoon HT251 SLS 3Dプリンターで、すべてのサンプルを印刷した。
【0103】
- 引張強度、ヤング率及び破断伸美は、Zwick Z050を用いて6mm/分の速度で(ISO527-21/A15 2012に従って)測定した。
【0104】
- Revolution Powder Analyzer(RPA)を用いて、動的密度、なだれ角及びレスト角を決定した;分析パラメーター:回転速度:0.6rpm、撮像レート:15FPS、準備時間:30秒、なだれ閾値:0.65%、なだれ発生後テスト停止:128。
【0105】
- ノッチなし衝撃強度:Izod ISO-180.95/2001。
【0106】
- 表面粗さ(ISO 16610-21):0.8mm。
【0107】
実施例1a、1b、2、2a、3及び4-熱可塑性粉末組成物の調製
表1に示す成分の粉末をブレンドすることにより、実施例1a、1b、2、2a、3及び4の熱可塑性粉末組成物を調製した。Dongguan Huanxin Machinery Co.,Ltd.社のHTS-5高速ミキサーで、ブレンド実験を行った。表1に示す量に従って、各成分を秤量した。1400rpmで粉末を60秒間混合して、熱可塑性粉末組成物を得た。
【0108】
【0109】
実施例1a、1b及び2aの熱可塑性粉末組成物は、アルコキシシランで処理されたシリカ粒子を含み、したがって本発明による実施例である。実施例2、3及び4は比較例である。実施例2の熱可塑性粉末組成物はシリカ粒子を含まない。実施例3で使用したTPX-5110は、メタクリルシランで表面処理したシリカである。実施例4で使用したTPX5030は、HMDZで表面処理したシリカである。
【0110】
実施例5-3D印刷
Farsoon社製のHT251選択的レーザー焼結3Dプリンターで、実施例1a、1b、2、2a、3及び4で調製した熱可塑性粉末組成物を印刷した。典型的な印刷プロセスでは、熱可塑性粉末組成物をプリンターの供給チャンバーに装填した。すべての印刷プロセスにおいて、異なるタイプの熱可塑性粉末組成物及び印刷プロセス中の割れ又は反り現象に応じて印刷パラメータを調整する必要があった。各熱可塑性粉末組成物の詳細な印刷パラメータを表2に示している。
【0111】
後処理プロセス:印刷プロセスが完了し、印刷した物体を冷却したら、ビルドチャンバーをプリンターから取り外し、洗浄ステーションに移し、印刷した物体を余分な粉末から分離し、最終的な3D印刷物体を得た。
【0112】
【0113】
実施例1a、実施例1b及び実施例2aの熱可塑性粉末組成物から調製した印刷サンプルの写真を、それぞれ
図1、
図2及び
図3に示した。見られるように、実施例1a、実施例1b及び実施例2aの熱可塑性粉末性組成物を首尾よく使用して、3D印刷物体を形成することができた。
【0114】
なだれ角、レスト角、熱可塑性粉末組成物の動的密度、RaとRz、ノッチなし衝撃強度、及びすべての印刷サンプルの機械的特性を試験し、結果を表3にまとめた。
【0115】
【0116】
実施例1a、1b及び2aのすべての熱可塑性粉末組成物は、3D印刷プロセスにおいて良好な粉体流動性(なだれ角及びレスト角によって示される)を示した。また、実施例1a及び1bに基づく印刷サンプルは、優れた衝撃強度を示した。メタクリルシランで表面処理したシリカ及びHMDZで表面処理したシリカをそれぞれ実施例3及び4に使用し、実施例3及び4に基づく印刷サンプルは、実施例1a及び1bのものと比較してはるかに低い破断伸びを示した。
【0117】
実施例2と比較すると、実施例2aの熱可塑性粉末組成物にアルコキシシランで処理したシリカを添加することにより、PA11の破断伸びを22.3%から35.8%に向上させることができる。実施例2aに基づくPA11印刷サンプルの表面粗さ(Ra及びRzによって示される)も向上した。
【国際調査報告】