(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-30
(54)【発明の名称】高電圧ダブラストリングに沿って電圧分布を最適化するシステム
(51)【国際特許分類】
H02M 7/10 20060101AFI20240123BHJP
H02M 7/04 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
H02M7/10 Z
H02M7/04 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544500
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(85)【翻訳文提出日】2023-09-19
(86)【国際出願番号】 US2021063809
(87)【国際公開番号】W WO2022164528
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】モガヴィーラ, ヴァス
【テーマコード(参考)】
5H006
【Fターム(参考)】
5H006CA07
5H006CB04
5H006CC01
5H006HA06
5H006HA83
5H006HA84
(57)【要約】
高電圧電源が開示される。高電圧電源は、一次巻線、及び1つ又は複数の二次巻線を備えている。一実施形態では、単一の二次巻線が使用され、高電圧ダブラ回路は、キャパシタストリング及びダイオードストリングを備えている。別の実施形態では、複数の二次巻線が使用され、高電圧ダブラ回路は、直列に配置された複数の低電圧ダブラ回路を備えている。高電圧ダブラ回路におけるキャパシタにわたってより均一な電圧の分配をするために、1つ又は複数のシールドが、プリント基板上に配置されている。特定の実施形態では、高電圧シールドが、高電圧出力に配置され、低電圧シールドが、高電圧ダブラ回路のより低電圧端に配置されている。1つ又は複数の中間シールドが、高電圧ダブラ回路において配置され得る。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧電源であって、
一次巻線、
第1の端部及び第2の端部を有する二次巻線、並びに
プリント基板であって、
直列に配置された複数のキャパシタを備えたキャパシタストリングであって、当該キャパシタストリングにおける第1のキャパシタの負端がより低い電圧にあり、当該キャパシタストリングにおける最後のキャパシタの正端が高電圧出力にある、キャパシタストリングと、
直列に配置された複数のダイオードを備えたダイオードストリングであって、当該ダイオードストリングにおける第1のダイオードのアノードが、前記より低い電圧に接続され、前記ダイオードストリングにおける最後のダイオードのカソードが、前記高電圧出力に接続され、前記第1の端部が、前記キャパシタストリングの中間点に電気的に接続され、前記第2の端部が、前記ダイオードストリングの中間点に電気的に接続される、ダイオードストリングと、
前記最後のキャパシタの前記正端に配置され、かつ、前記高電圧出力に電気的に接続された高電圧シールドと
を備えたプリント基板
を備え、シールドが、前記プリント基板の1つ又は複数の層に配置されたワイドトレースを含む、高電圧電源。
【請求項2】
前記第1のキャパシタの前記負端に配置され、かつ、前記より低い電圧に電気的に接続された低電圧シールドをさらに備えている、請求項1に記載の高電圧電源。
【請求項3】
前記高電圧シールド及び前記低電圧シールドが、それぞれ、40mmと100mmとの間の長さ及び3mmと10mmとの間の幅を有する信号トレースを備えている、請求項2に記載の高電圧電源。
【請求項4】
前記高電圧シールド及び前記低電圧シールドが、前記プリント基板において前記キャパシタストリングと同じ側に配置されている、請求項2に記載の高電圧電源。
【請求項5】
前記高電圧シールド及び前記低電圧シールドが、前記プリント基板において前記キャパシタストリングの反対側に配置されている、請求項2に記載の高電圧電源。
【請求項6】
前記キャパシタストリングにおける2つの隣接するキャパシタ間に配置され、かつ、前記2つの隣接するキャパシタを接続するトレースに電気的に接続された中間シールドをさらに備えている、請求項1に記載の高電圧電源。
【請求項7】
前記中間シールドが、前記キャパシタストリングの前記中間点に配置されている、請求項6に記載の高電圧電源。
【請求項8】
前記キャパシタストリングにおいて2つの異なる隣接するキャパシタの間に配置された第2の中間シールドをさらに備えている、請求項6に記載の高電圧電源。
【請求項9】
前記第1のキャパシタにわたる電圧が、前記最後のキャパシタにわたる電圧の10%以内である、請求項1に記載の高電圧電源。
【請求項10】
高電圧電源であって、
一次巻線、
複数の二次巻線であって、それぞれ第1の端部及び第2の端部を有する複数の二次巻線、並びに
プリント基板であって、
第1の端部でより低い電圧を有し、第2の端部で高電圧出力を有する高電圧ダブラ回路を形成するために直列に配置された複数の低電圧ダブラ回路であって、各低電圧ダブラ回路が、正端及び負端を有し、直列に配置された第1のキャパシタ及び第2のキャパシタと、直列に配置された第1のダイオード及び第2のダイオードとを備え、前記第1のキャパシタの正端が、前記第1のダイオードのカソードに電気的に接続され、当該低電圧ダブラ回路の前記正端を備え、前記第2のキャパシタの負端が、前記第2のダイオードのアノードに電気的に接続され、当該低電圧ダブラ回路の前記負端を備え、それぞれの二次巻線の第1の端部が、前記第1のキャパシタと前記第2のキャパシタとを接続するトレースに電気的に接続され、前記二次巻線の前記第2の端部が、前記第1のダイオードと前記第2のダイオードとを接続するトレースに電気的に接続されている、複数の低電圧ダブラ回路と、
前記高電圧ダブラ回路の前記第2の端部に配置され、かつ、前記高電圧出力に電気的に接続された高電圧シールドと
を備えたプリント基板
を備え、シールドが、前記プリント基板の1つ又は複数の層に配置されたワイドトレースを含む、高電圧電源。
【請求項11】
前記高電圧ダブラ回路の前記第1の端部に配置され、かつ、前記より低い電圧に電気的に接続された低電圧シールドをさら備えている、請求項10に記載の高電圧電源。
【請求項12】
前記高電圧シールド及び前記低電圧シールドが、それぞれ、40mmと100mmとの間の長さ及び3mmと10mmとの間の幅を有する信号トレースを備えている、請求項11に記載の高電圧電源。
【請求項13】
前記高電圧シールド及び前記低電圧シールドが、前記プリント基板において前記高電圧ダブラ回路と同じ側に配置されている、請求項11に記載の高電圧電源。
【請求項14】
前記高電圧シールド及び前記低電圧シールドが、前記プリント基板において前記高電圧ダブラ回路の反対側に配置されている、請求項11に記載の高電圧電源。
【請求項15】
2つの隣接する低電圧ダブラ回路の間に配置された中間シールドをさらに備えている、請求項10に記載の高電圧電源。
【請求項16】
前記中間シールドが、前記高電圧ダブラ回路の中間点に配置されている、請求項15に記載の高電圧電源。
【請求項17】
2つの異なる隣接する低電圧ダブラ回路の間に配置された第2の中間シールドをさらに備えている、請求項15に記載の高電圧電源。
【請求項18】
前記第1の端部に最も近く配置された第1の低電圧ダブラ回路の電圧が、前記第2の端部に最も近く配置された最後の低電圧ダブラ回路にわたる電圧の10%以内である、請求項10に記載の高電圧電源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年1月27日に出願された米国特許出願第17/159,658号の優先権を主張し、その開示全体が本明細書中での参照により援用される。
【0002】
本開示の実施形態は、プリント基板の2次巻線における高電圧ダブラストリングに沿って電圧を均一に分配するシステムを対象としている。
【背景技術】
【0003】
絶縁鉄心変圧器(ICT)高圧電源は、AC電圧から高圧DC出力を生成する一般的な方法である。入力AC電圧は、一次巻線と通じている。
【0004】
特定の実施形態では、単一の二次巻線がある。この二次巻線は、一次巻線の巻数に対する二次巻線の巻数の比に等しい係数を入力電圧に乗算する。電圧の整流と倍増は、ダイオードとキャパシタを備えた電圧ダブラ回路(voltage doubler circuit)を使って行われる。典型的に、電圧ダブラ器は、電圧を蓄える2つのキャパシタ、及びそれぞれ電流を一方向にしか流さない2つのダイオードを備える。キャパシタは直列に配置され、結果的に電圧は倍になる。コスト及び高電圧定格のため、2つのダイオードと2つのキャパシタを使用するよりも、多数の低電圧定格のダイオードとキャパシタが直列に配置される場合がある。例えば、定格1000Vのキャパシタを2つ使うより、定格100Vのキャパシタが20個直列に配置され得る。ダイオードも同様に構成され得る。
【0005】
他の実施形態では、複数の二次巻線があり、それぞれが専用の電圧ダブラ回路を備えている。電圧ダブラ回路は直列に配置され、所望のより高い直流電圧を生成する。
【0006】
各実施形態では、理想的には、同じ電圧がシステム内の各キャパシタによって蓄えられる。つまり、望ましい出力電圧が2000Vであり、20個のキャパシタがある場合、理想的には、これらのキャパシタの各々に100Vの電位があることになる。しかし、実際には、浮遊キャパシタンスが各キャパシタに影響するため、あるキャパシタは理想的な電圧よりも低い電圧を蓄え、他のキャパシタは理想的な電圧よりも高い電圧を蓄えざるを得ない。同様に、幾つかのダイオードにかかる電圧は、他のダイオードにかかる電圧よりも大きい場合がある。
【0007】
キャパシタとダイオードにわたってこのように不均一な電圧分布が生じることにより、これらの構成要素に電圧ストレスがかかり、結果的に構成要素の早期損傷が引き起こされる可能性がある。
【0008】
したがって、これらの構成要素間の電圧均一性を改善するシステムと方法があれば有利であろう。さらに、このアプローチが低コストで実施しやすいものであれば有益である。
【発明の概要】
【0009】
高電圧電源が開示される。高電圧電源は、一次巻線、及び1つ又は複数の二次巻線を備えている。一実施形態では、単一の二次巻線が使用され、高電圧ダブラ回路は、キャパシタストリング及びダイオードストリングを備えている。別の実施形態では、複数の二次巻線が使用され、高電圧ダブラ回路は、直列に配置された複数の低電圧ダブラ回路を備えている。高電圧ダブラ回路におけるキャパシタにわたってより均一な電圧の分配をするために、1つ又は複数のシールドが、プリント基板上に配置されている。特定の実施形態では、高電圧シールドが、高電圧出力に配置され、低電圧シールドが、高電圧ダブラ回路のより低い電圧端に配置されている。1つ又は複数の中間シールドが、高電圧ダブラ回路において配置され得る。
【0010】
一実施形態によれば、高電圧電源が開示される。高電圧電源は、一次巻線、第1の端部及び第2の端部を有する二次巻線、並びにプリント基板を備えており、プリント基板は、直列に配置された複数のキャパシタを備えたキャパシタストリングであって、キャパシタストリングにおける第1のキャパシタの負端がより低い電圧にあり、キャパシタストリングにおける最後のキャパシタの正端が高電圧出力にある、キャパシタストリングと、直列に配置された複数のダイオードを備えたダイオードストリングであって、ダイオードストリングにおける第1のダイオードのアノードが、より低い電圧に接続され、ダイオードストリングにおける最後のダイオードのカソードが、高電圧出力に接続され、第1の端部が、キャパシタストリングの中間点に電気的に接続され、第2の端部が、ダイオードストリングの中間点に電気的に接続される、ダイオードストリングと、最後のキャパシタの正端に配置され、かつ、高電圧出力に電気的に接続された高電圧シールドとを備え、シールドが、プリント基板の1つ又は複数の層に配置されたワイドトレースを含む。特定の実施形態では、高電圧電源は、第1のキャパシタの負端に配置され、かつ、より低い電圧に電気的に接続された低電圧シールドを備えている。特定の実施形態では、高電圧シールド及び低電圧シールドは、それぞれ、40mmと100mmとの間の長さ及び3mmと10mmとの間の幅を有する信号トレースを備えている。特定の実施形態では、高電圧シールド及び低電圧シールドは、プリント基板においてキャパシタストリングと同じ側に配置されている。特定の実施形態では、高電圧シールド及び低電圧シールドは、プリント基板においてキャパシタストリングの反対側に配置されている。特定の実施形態では、高電圧電源は、キャパシタストリングにおける2つの隣接するキャパシタ間に配置され、かつ、2つの隣接するキャパシタを接続するトレースに電気的に接続された中間シールドを備えている。特定の実施形態では、中間シールドは、キャパシタストリングの中間点に配置されている。特定の実施形態では、高電圧電源は、キャパシタストリングにおいて2つの異なる隣接するキャパシタの間に配置された第2の中間シールドを備えている。特定の実施形態では、第1のキャパシタにわたる電圧は、最後のキャパシタにわたる電圧の10%以内である。
【0011】
別の実施形態によれば、高電圧電源が開示される。高電圧電源は、一次巻線、複数の二次巻線であって、それぞれ第1の端部及び第2の端部を有する複数の二次巻線、並びに
プリント基板を備えており、プリント基板は、第1の端部でより低い電圧を有し、第2の端部で高電圧出力を有する高電圧ダブラ回路を形成するために直列に配置された複数の低電圧ダブラ回路であって、各低電圧ダブラ回路が、正端及び負端を有し、直列に配置された第1のキャパシタ及び第2のキャパシタと、直列に配置された第1のダイオード及び第2のダイオードとを備え、第1のキャパシタの正端が、第1のダイオードのカソードに電気的に接続され、低電圧ダブラ回路の正端を備え、第2のキャパシタの負端が、第2のダイオードのアノードに電気的に接続され、低電圧ダブラ回路の負端を備え、それぞれの二次巻線の第1の端部が、第1のキャパシタと第2のキャパシタとを接続するトレースに電気的に接続され、二次巻線の第2の端部が、第1のダイオードと第2のダイオードとを接続するトレースに電気的に接続されている、複数の低電圧ダブラ回路と、高電圧ダブラ回路の第2の端部に配置され、かつ、高電圧出力に電気的に接続された高電圧シールドとを備え、シールドが、プリント基板の1つ又は複数の層に配置されたワイドトレースを含む。特定の実施形態では、高電圧電源は、高電圧ダブラ回路の第1の端部に配置され、かつ、より低い電圧に電気的に接続された低電圧シールドを備えている。幾つかの実施形態では、高電圧シールド及び低電圧シールドは、それぞれ、40mmと100mmとの間の長さ及び3mmと10mmとの間の幅を有する信号トレースを備えている。特定の実施形態では、高電圧シールド及び低電圧シールドは、高電圧ダブラ回路においてプリント基板と同じ側に配置されている。特定の実施形態では、高電圧シールド及び低電圧シールドは、高電圧ダブラ回路においてプリント基板の反対側に配置されている。特定の実施形態では、高電圧電源は、2つの隣接する低電圧ダブラ回路の間に配置された中間シールドをさらに備えている。特定の実施形態では、中間シールドが、高電圧ダブラ回路の中間点に配置されている。特定の実施形態では、高電圧電源は、2つの異なる隣接する低電圧ダブラ回路の間に配置された第2の中間シールドを備えている。特定の実施形態では、第1の端部に最も近く配置された第1の低電圧ダブラ回路にわたる電圧が、第2の端部に最も近く配置された最後の低電圧ダブラ回路にわたる電圧の10%以内である。
【0012】
本開示をより良く理解するために、添付の図面を参照する。これらの図面は、参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態に係る、電圧の不均一性が補正された高電圧電源を示す代表的な概略図である。
【
図2】一実施形態に係る、
図1の高電圧電源のレイアウトを示す。
【
図3】一実施形態に係る、電圧の不均一性が補正された高電圧電源を示す代表的な概略図である。
【
図4】一実施形態に係る、
図3の高電圧電源のレイアウトを示す。
【
図5】一実施形態に係る、シールドの配置、寸法、及び数を決定するプロセスを示す。
【
図6】先行技術と比較した高電圧電源における素子の電圧分布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、ICT高電圧DC電力電源における複数のキャパシタ及びダイオードにわたって、より均一な電圧分布を形成するためのシステム及び方法を説明する。
【0015】
図1は、電圧ダブラ回路1の第1の実施形態を示し、外部電源10、一次巻線20、及び単一の二次巻線30がある。電圧ダブラ回路1の構成要素は、プリント基板上に配置される。プリント基板は、複数の層を有する従来のプリント基板であってもよく、導電層がFR4などの絶縁材料によって互いから分離されている。特定の実施形態では、プリント基板は、2つの導電層、すなわち、上面及び底面を含み得る。電気トレースが、プリント基板のこれらの層に配置され得る。ビアが、上面のトレースと底面のトレースを接続するように使用され得る。これらの電気トレースは、プリント基板上に配置された様々な構成要素を電気的に接続するために使用される。他の実施形態では、2つ以上の導電層があってもよい。
【0016】
電圧ダブラ回路1は、キャパシタストリングを更に備えている。ストリングは、直列に配置されたキャパシタ100a、100b、100c、100dなどの複数のキャパシタ100を備えている。キャパシタは、それぞれ同じキャパシタンスと電圧定格を有し得る。キャパシタストリングの第1の端部は、接地され得るより低い電圧に接続され、キャパシタストリングの第2の端部は、高電圧出力150である。電圧ダブラ回路1は、ダイオードのストリングをさらに備えている。ダイオードストリングは、さらに直列に配置されたダイオード110a、110b、110c、110dなどの複数のダイオード110を備えている。ダイオードストリングの第1の端部は、より低い電圧に接続され、ダイオードストリングの第2の端部は、高電圧出力150である。あるダイオードのカソードは、ダイオードストリングにおける隣接するダイオードのアノードに接続されている。したがって、第1のダイオードのアノードは、より低い電圧に接続され、ダイオードストリングにおける最後のダイオードのカソードは、高電圧出力150に接続されている。ACサイクルの正側部分では、ダイオード110a、110bが、中間点と高電圧出力150の間に配置されたキャパシタ100a、100bを導通させ、荷電する。ACサイクルの負側部分の間、ダイオード110c、110dが、中間点と低電圧との間に配置されたキャパシタ100c、100dを導通させ、荷電する。したがって、各ダイオードのカソードは、そのダイオードのアノードよりも高い電圧にある。さらに、ダイオード110aは、ダイオード110bよりも高電圧である。同様に、ダイオード110cは、ダイオード110dよりも高電圧にある。
【0017】
特定の実施形態では、ダイオード110とキャパシタ100の数は等しい。他の実施形態では、ダイオード110とキャパシタ100の数は異なっていてもよい。中間点の両側のダイオードとキャパシタが同数であるように、キャパシタ100とダイオード110の数は偶数であってもよい。二次巻線30の第1の端部は、キャパシタストリングの中間点に電気的に接続されている。二次巻線30の第2の端部は、ダイオードストリングの中間点に電気的に接続されている。中間点は、中間点と第2の端部との間に配置されているのと同数のキャパシタ100(及びダイオード110)が、第1の端部と中間点との間に配置されていることを示す。
【0018】
図1には、4つのキャパシタ100a、100b、100c、100dと、4つのダイオード110a、110b、110c、110dとが示されているが、本開示は、この実施形態に限定されるものではない。むしろ、キャパシタ100及びダイオード110の数は、本開示によって限定されない。さらに、キャパシタ100とダイオード110の数は同じである必要はない。
【0019】
電圧ダブラ回路1がプリント基板上に配置されているため、電圧ダブラ回路1の各トレースと異なる電圧の他のトレースとの間には固有のキャパシタンスが存在し得る。これらの浮遊キャパシタンスは、
図1に浮遊キャパシタ120a、120b、120cとして図示されている。これらの浮遊キャパシタ120a、120b、120cは、物理的な構成要素ではないことに留意されたい。むしろ、
図1は、主題をよりよく説明するために、浮遊キャパシタンスを実際の構成要素として表現している。図示していないが、各ダイオード110に、関連付けられた浮遊キャパシタンスがある。
【0020】
現実において、浮遊キャパシタ120a、120b、120cは、各キャパシタ100a、100b、100c、100dに蓄積される電圧に影響を与える。実際に、電流がキャパシタストリングを流れる際、少量の電流が各トレースから分流し、対応する浮遊キャパシタを通過する。したがって、キャパシタ100aには、キャパシタ100bを流れる電流よりも、わずかに多くの電流が流れる場合がある。このため、より多くの電圧がキャパシタ100bよりもキャパシタ100aの方に蓄積され得る。同様に、より多くの電流がキャパシタ100cよりもキャパシタ100bを流れる場合がある。
【0021】
この浮遊キャパシタンスを補正するために、現システムは、1つ又は複数のシールド130を利用する。シールド130は、プリント基板の1つ又は複数の層に堆積されたワイドトレース(wide trace)である。シールドは、典型的なトレースより大きな幅及び/又は長さを有し得る。例えば、シールドは、電圧に接続された長方形のトレースであってもよい。例えば、特定の実施形態では、シールド130が、プリント基板の上面又は底面に配置され得る。特定の実施形態では、シールド130は、上面又は底面の両方に配置されてもよい。シールド130は、電圧に電気的に接続されている。例えば、
図1では、3つのシールド130がある。高電圧シールド130aが、キャパシタストリングの上部に配置され、高電圧出力150に電気的に接続されている。
【0022】
高電圧シールド130aの大きさに起因して、電圧ダブラ回路1の他のトレースとの容量結合が生じる。例えば、高電圧シールド130aとキャパシタ100aのより低い電圧端との間に容量結合がある。このキャパシタンスは、シールドキャパシタ140aとして表される。高電圧シールド130aとキャパシタストリングにおける他のトレースの幾つかとの間に同様の容量結合が存在する。かような1つの結合は、シールドキャパシタ140bとして表される。これらのシールドキャパシタ140a、140b、140cは、物理的な構成要素ではないことに留意されたい。むしろ、
図1は、主題をよりよく説明するために、シールドキャパシタンスを実際の構成要素として表現している。
【0023】
シールドキャパシタは、そのシールドの電圧より低い電位にあるトレースに電流を供給するように機能する。このように、浮遊キャパシタは、キャパシタストリングから電流をそらす傾向があるが、シールドキャパシタは、キャパシタストリングに電流を注入する傾向がある。
【0024】
図1は、高電圧出力150に配置された高電圧シールド130aが示されている。しかし、他のシールドも存在し得る。例えば、本図では、低電圧シールド130bが、より低い電圧に配置されており、これは接地であり得る。他の実施形態では、複数のプリント基板が直列に接続されてもよく、より低い電圧は、直列の中の前のプリント基板の出力であってもよく、したがって、次のステージの入力電圧である。両方の場合において、低電圧シールド130bは、浮遊キャパシタンスの効果を減らすように機能する。中間シールド130cが、キャパシタストリングの中間点に配置される。容量結合が、中間シールド130cと電圧ダブラ回路1における他のトレースのいくつかとの間に存在し得る。例えば、このような容量結合のうちの1つが、シールドキャパシタ140cとして表される。
【0025】
例えば、キャパシタストリングが20個のキャパシタを含み、各キャパシタが、より低い電圧から高電圧出力まで順次番号が付けられていると仮定する。一実施形態では、中間シールド130cが、10番目のキャパシタ(すなわち、中間点)の正端に配置され得る。
【0026】
もちろん、他の実施形態も可能である。例えば、望まれれば、中間シールド130cが、より近い間隔で配置されてもよい。中間シールド130cが、5番目、10番目、及び15番目のキャパシタの正端に配置されてもよい。あるいは、中間シールド130cは、キャパシタの4番目、8番目、12番目、及び16番目の正端に配置されてもよい。特定の実施形態では、複数の中間シールド130cが等しく離隔しているが、他の実施形態では、複数の中間シールド130cが等しく離隔しなくてもよい。したがって、中間シールド130cは、キャパシタストリングにおいて任意の2つの隣接するキャパシタの間に配置されてもよい。他の実施形態では、中間シールド130cが省略されてもよい。
【0027】
シールド130の数とその位置の選択は、数々の要因に基づき得る。シールド130の大きさは、望まれる電圧補償の量に基づき得る。さらに、浮遊キャパシタンスの量は、プリント基板の形状及び材料特性と、プリント基板上の信号トレースの配置との関数であり得る。したがって、シールド130のサイズと数は、プリント基板の形状及び材料特性と、キャパシタストリングに沿った所望の電圧均一性に基づき得る。
【0028】
図2は、プリント基板2上に配置された電圧ダブラ回路1の代表的なレイアウトを示している。この実施形態では、キャパシタストリングとダイオードストリングには12のステージ200がある。各ステージ200は、ダイオード110及びキャパシタ100を備えている。シールド130a、130b、130cが、キャパシタストリングに沿って配置される。高電圧シールド130が、高電圧出力に電気的に接続された12番目のキャパシタの正端に配置され得る。低電圧シールド130bが、より低い電圧である1番目のキャパシタの負側に配置され得、接地され得る。さらに、低電圧シールド130bが、1番目のキャパシタの負側に電気的に接続されている。中間シールド130cが、キャパシタストリングの中間点に配置され、二次巻線30の第1端部に電気的に接続され得る。したがって、中間シールド130cの電圧は、低電圧出力と高電圧出力との平均値であり得る。
【0029】
この実施形態では、シールド130は、幅及び長さを有する厚みのあるトレースとして示されている。シールドの長さは、ステージ200が占めるスペースより長い場合がある。例えば、一実施形態では、シールド130は、40mmと100mmとの間の長さ、3mmと10mmとの間の幅、及び75μmと150μmとの間の厚さを有し得る。ある特定の実施形態では、シールド130は、60mmの長さ、5mmの幅、110μmの厚さを有し得る。このようにして、中間シールド130cは、その両側の2つのステージ200を効果的に隔離する。高電圧シールド130a、低電圧シールド130b、及び中間シールド130cの幅は変動し得る。さらに、シールドの幅を制限する、各トレースの電圧に基づいた間隔のガイドラインがあってもよい。さらに、上述したように、シールド寸法は、所望の電圧補償と、プリント基板の形状寸法及び材料特性とに依存する可能性がある。
【0030】
したがって、この実施形態では、高電圧電源は、単一の二次巻線30を備え、その2つの端部が電圧ダブラ回路1と通じている。電圧ダブラ回路1は、プリント基板2上に配置されている。電圧ダブラ回路1は、直列に配置された複数のキャパシタを備えたキャパシタストリングを備えている。キャパシタストリングの第1の端部は、接地され得るより低い電圧に接続され、キャパシタストリングの第2の端部は、高電圧出力である。電圧ダブラ回路1は、直列に配置された複数のダイオードを備えたダイオードストリングをさらに備えている。ダイオードストリングの第1の端部は、接地され得るより低い電圧に接続され、ダイオードストリングの第2の端部は、高電圧出力に接続されている。二次巻線30の第1の端部は、キャパシタストリングの中間点に接続され、二次巻線の第2の端部は、ダイオードストリングの中間点に接続されている。1つ又は複数のシールド130は、キャパシタストリングに沿って配置されている。特定の実施形態では、高電圧出力に接続されたキャパシタストリングにおける最後のキャパシタの正端に接続された高電圧シールド130aと、接地され得るより低い電圧に接続されたキャパシタストリングにおける1番目のキャパシタの負端に接続された低電圧シールド130bとがある。1つ又は複数の追加の中間シールド130cが、高電圧シールド130aと低電圧シールド130bとの間でキャパシタストリングに沿って配置されてもよい。これらの追加の中間シールド130cは、キャパシタストリングに沿って、あるキャパシタの正端と隣接するキャパシタの負端を接続するトレースに接続され、接地と高電圧出力との間の電圧でバイアスされる。したがって、中間シールド130cは、キャパシタストリングに沿って配置され、2つの隣接するキャパシタの間に配置され、2つの隣接するキャパシタを接続するトレースに電気的に接続されている。
【0031】
特定の実施形態では、隣接する中間シールド間の電圧が等しくなるか、又はほぼ等しくなるように、追加の中間シールド130cが等間隔に配置される。別の言い方をすれば、隣接する任意の2つのシールド間には、一定の数のキャパシタが配置されてもよい。
【0032】
シールドが、プリント基板においてトレース及び構成要素と同じ側に配置され得る。他の実施形態では、シールドは、プリント基板の両側に配置されてもよく、又は、プリント基板においてトレース及び構成要素の反対側に配置されてもよい。シールド130の配置は、浮遊キャパシタンスを補正し、所望の電圧への接続を可能にするように選択される。
【0033】
図3は第2の実施形態を示す。この実施形態では、外部電源310、一次巻線320、及び複数の二次巻線330がある。各2次巻線330は、関連する低電圧ダブラ回路350と通信している。各低電圧ダブラ回路350は、直列に配置された2つのキャパシタ360a、360bと、直列に配置された2つのダイオード370a、370bとを備えている。二次巻線330の第1端部は、2つのキャパシタ360a、360bを接続するトレースと電気的に接触している。二次巻線330の第2の端部は、ダイオード370aのアノードとダイオード370bのカソードを接続するトレースと電気的に接触している。キャパシタ360aの正端は、ダイオード370aのカソードに電気的に接続されている。キャパシタ360bの負端は、ダイオード370bのアノードに電気的に接続されている。
【0034】
低電圧ダブラ回路350は直列に接続され、高電圧ダブラ回路301を構成する。言い換えれば、ある低電圧ダブラ回路350のダイオード370aのカソードは、隣接する低電圧ダブラ回路350のダイオード370bのアノードと電気的に接触している。
【0035】
図3には示されていないが、高電圧ダブラ回路301には、浮遊キャパシタンスが存在する。
図1に関連して説明したように、トレースと、より低い電圧にある第2のトレース又は構成要素との間には容量結合が存在する。この浮遊キャパシタンスは、各低電圧ダブラ回路350のコンデンサ360a、360bから電流を逸らす傾向がある。
【0036】
したがって、
図1の実施形態で示したように、シールド380が追加される。
図3では、複数のシールド380がある。高電圧シールド380aは、最も正の低電圧ダブラ回路350の正端に電気的に接続されている。この高電圧シールド380aは、高電圧出力でバイアスされ得る。低電圧シールド380bは、最も正ではない低電圧ダブラ回路350の負端に電気的に接続されている。この低電圧シールド380bは、接地などの低電圧にバイアスされ得る。高電圧シールド380aと低電圧シールド380bの間には、追加の中間シールド380cがさらに配置されてもよい。例えば、
図3では、低電圧ダブラ回路350が偶数個存在する。本実施形態では、中間シールド380cは、中間シールド380cと高電圧シールド380aとの間、及び、中間シールド380cと低電圧シールド380bとの間に同じ数の低電圧ダブラ回路350があるように、配置されている。したがって、仮に低電圧ダブラ回路350が20あった場合、中間シールド380cは、10番目の低電圧ダブラ回路350の正端と11番目の低電圧ダブラ回路350の負端とを接続するトレースに配置かつ接続され得る。
【0037】
しかしながら、本開示は、この実施形態に限定されない。追加の中間シールド380cもあり得る。例えば、低電圧ダブラ回路350が20あると仮定すると、追加の中間シールド380cは、5番目、10番目、15番目の低電圧ダブラ回路350の正端に配置かつ接続され得る。あるいは、追加の中間シールド380cは、4番目、8番目、12番目、16番目の低電圧ダブラ回路350の正端に配置かつ接続され得る。
【0038】
特定の実施形態では、追加の中間シールド380cは、等間隔で配置され得る。
【0039】
図4は、高電圧電源が配置されたプリント基板402を示している。高電圧電源は、複数の二次巻線330、及びそれに対応する数の低電圧ダブラ回路350を備えている。上述したように、各低電圧ダブラ回路350は、2つのキャパシタ360a、360bと、2つのダイオード370a、370bを備えている。各低電圧ダブラ回路350は、少なくとも1つの他の低電圧ダブラ回路350と電気的に直列に接続され、高電圧ダブラ回路301を形成する。高電圧シールド380a及び低電圧シールド380bは、高電圧ダブラ回路301の端部に配置されてもよい。追加の中間シールド380cが、互いに隣接する低電圧ダブラ回路350間、例えば、中間点に配置されてもよい。
【0040】
この実施形態では、シールド380は、幅及び長さを有する厚みのあるトレースとして示されている。シールドの長さは、低電圧ダブラ回路350が占めるスペースより長い場合がある。例えば、一実施形態では、シールド130は、40mmと100mmとの間の長さ、3mmと10mmとの間の幅、及び75μmと150μmとの間の厚さを有し得る。ある特定の実施形態では、シールド130は、60mmの長さ、5mmの幅、110μmの厚さを有し得る。このようにして、中間シールド380cは、その両側の2つの低電圧ダブラ回路350を効果的に隔離する。高電圧シールド380a、低電圧シールド380b、及び中間シールド380cの幅は、プリント基板上で利用可能なスペースに基づいて決定され得る。さらに、シールドの幅を制限する、各トレースの電圧に基づいた間隔のガイドラインがあってもよい。さらに、上述したように、シールド寸法は、所望の電圧補償と、プリント基板の形状寸法及び材料特性とに依存する可能性がある。
【0041】
したがって、
図1-2の実施形態と同様に、この実施形態は、高電圧ダブラ回路301を形成するために組み合わされた素子の間に配置された1つ又は複数の中間シールドを備え得る。
図1-2では、これらの素子はキャパシタであるが、
図3-4の実施形態では、これらの素子は低電圧ダブラ回路である。さらに、高電圧シールドが、電圧ダブラ回路の高電圧端に配置されてもよく、低電圧シールドが、ダブラ回路のより低い電圧に配置されてもよい。
【0042】
図5は、高電圧電源に含まれるシールドの配置、寸法、及び数を決定するために使用され得る方法の一例を示している。ボックス500に示すように、最初に、プリント基板の設計の形状と材料特性に基づいて浮遊キャパシタンスが計算される。これは理論的に行うこともできるし、静電気シミュレーションツールを使ってもよい。ボックス510に示すように、計算された浮遊キャパシタンスは、電気回路設計に組み込まれる。次に、ボックス520に示すように、キャパシタストリング(
図1-2参照)又は高電圧ダブラ回路(
図3-4参照)の各キャパシタにわたる電圧は、電気回路理論、又はPSPICEなどのシミュレーションツールを使用して計算することができる。この結果に基づいて、ボックス530に示すように、1つ又は複数のシールドが設計に組み込まれ得る。次いで、浮遊キャパシタンス及びシールドキャパシタンスは、ボックス540に示すように、理論的に、又は静電気シミュレーションツールを使って計算することができる。ボックス550に示すように、計算された浮遊キャパシタンス及びシールドキャパシタンスは、次いで電気回路設計に追加される。次に、ボックス560に示すように、キャパシタストリング(
図1-2参照)又は高電圧ダブラ回路(
図3-4参照)の各キャパシタにわたる電圧は、電気回路理論、又はPSPICEなどのシミュレーションツールを使用して計算することができる。結果として得られた電圧分布が許容可能であれば、プロセスが完了する。電圧分布が許容可能でない場合、許容可能な分布になるまでボックス530-560を繰り返して、シールドの配置、数、又は寸法を変更する。
【0043】
ここに記載されたシステムには多くの利点がある。16個の素子を用いて6.4kVの出力を有する高電圧電源に対してシミュレーションを行った。これらの素子は、
図1に示すようなキャパシタであってもよく、又は
図3に示すような低電圧ダブラ回路であってもよい。したがって、理想的には、各素子にわたる電圧は400Vであり得る。
図6のライン600に示すように、従来技術では、高電圧ダブラ回路の素子にわたる電圧分布は線形ではない。むしろ、高電圧出力に近い素子の方が、低電圧に近い素子よりも多くの電圧を蓄える。実際、このシミュレーションでは、高電圧出力に最も近い素子の電圧は、564.8Vと計算されたが、より低い電圧に最も近い素子の電圧は、わずか237.2Vと計算された。キャパシタの定格が400Vの場合、高電圧出力に最も近いキャパシタの電圧応力は1.412となる。その結果、高電圧出力の近くに配置された素子への応力が増大する可能性がある。これにより、構成要素への応力が増大し、早期損傷につながる恐れがある。これとは対照的に、ライン610は、3.2kVで配置された高電圧シールド、低電圧シールド、及び中間シールドを備えた高電圧電源の素子にわたる電圧の分布を示す。言い換えれば、シールドが、最小電圧、最大電圧、及び中間点に配置される。高電圧ダブラ回路の各素子によって蓄えられる電圧量はほぼ同一であり、その結果、グラフはほぼ線形となることに留意されたい。このシミュレーションでは、高電圧出力に最も近いキャパシタの電圧は、424.4Vと計算されたが、より低い電圧に最も近いキャパシタの電圧は、384.8Vと計算された。言い換えれば、最も高いキャパシタ電圧と最も低いキャパシタ電圧との差は、10%未満である。さらに、キャパシタの定格が400Vの場合、高電圧出力に最も近いキャパシタの電圧応力は、1.061まで減少し、これは25%近い減少である。この構成により、高電圧出力の近くの構成要素への応力が低減され、高電圧電源の寿命が延長され得る。
【0044】
本開示は、本明細書に記載の特定の実施形態によって範囲が限定されない。実際、本明細書に記載のものに加えて、本開示の他の様々な実施形態及び修正例が、当業者には、以上の記載及び添付図面から明らかであろう。したがって、このような他の実施形態及び修正例は、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。さらに、本明細書では、本開示が、特定の目的の特定の環境における特定の実装形態に関連して説明されたが、当業者であれば、本開示の有用性がそれに限定されず、本開示が、任意の数の目的のために任意の数の環境において有益に実施され得ることを認識するであろう。したがって、以下に記載される特許請求の範囲は、本明細書に記載される本開示の完全な範囲及び思想の観点から、解釈されるべきである。
【国際調査報告】