(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】改善されたシールド構成を使用した基板の処理方法及び装置
(51)【国際特許分類】
C23C 14/34 20060101AFI20240124BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240124BHJP
【FI】
C23C14/34 C
H01L21/31 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539776
(86)(22)【出願日】2021-01-05
(85)【翻訳文提出日】2023-08-23
(86)【国際出願番号】 CN2021070332
(87)【国際公開番号】W WO2022147654
(87)【国際公開日】2022-07-14
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】パイ, ウダイ
(72)【発明者】
【氏名】シュエ, ユアン
(72)【発明者】
【氏名】サングル, アビジート ラクスマン
(72)【発明者】
【氏名】シャルマ, ビジャイ バーン
(72)【発明者】
【氏名】セス, スレッシュ チャンド
(72)【発明者】
【氏名】ラマクリシュナン, バーラドワジ
(72)【発明者】
【氏名】ジャンブリンガム, サウンダラジャン
(72)【発明者】
【氏名】チャンナラーヤパトナ プッタナ, ナヴィーン
(72)【発明者】
【氏名】カダム, アンクル
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, イー
【テーマコード(参考)】
4K029
5F045
【Fターム(参考)】
4K029CA05
4K029DC03
4K029DC04
4K029DC05
4K029DC20
4K029DC21
4K029DC34
4K029DC35
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4K029JA01
5F045AA19
5F045DP02
5F045DQ10
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5F045EC05
5F045EH20
5F045EJ05
5F045EM05
5F045EM10
(57)【要約】
改善されたシールド構成を使用した基板の処理方法及び装置が本明細書で提供される。例えば、物理的気相堆積チャンバで使用するためのプロセスキットは、物理的気相堆積チャンバに配置されたときにターゲットを取り囲むように構成された最内径を有する内壁を含むシールドであって、内径の平面積に対するシールドの表面積の比率は約3から約10であるシールドを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理的気相堆積チャンバで使用するためのプロセスキットであって、
前記物理的気相堆積チャンバに配置されたときにターゲットを取り囲むように構成された最内径を有する内壁を含むシールドであって、内径の平面積に対する前記シールドの表面積の比率は約3から約10である、シールド
を備える、プロセスキット。
【請求項2】
前記シールドは、アルミニウム合金及びステンレス鋼のうちの少なくとも1つでできている、請求項1に記載のプロセスキット。
【請求項3】
前記内壁は、最上部から下方、外向き、下方、内向き、そして下方へと概ね90°のインクリメントで延在する複数の交互の湾曲部を含み、前記交互の湾曲部間で全体として概ねC字形状を形成する、請求項1に記載のプロセスキット。
【請求項4】
前記複数の交互の湾曲部は、2つの連続する湾曲部の断面に沿って見たときに丸い遷移部を有する垂直矩形波を形成する、請求項1から3のいずれか一項に記載のプロセスキット。
【請求項5】
前記複数の交互の湾曲部は、互いに対称である、請求項1から3のいずれか一項に記載のプロセスキット。
【請求項6】
前記複数の交互の湾曲部は、互いに非対称である、請求項1から3のいずれか一項に記載のプロセスキット。
【請求項7】
前記内壁は、複数の同心垂直フィンが配置された底部領域を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のプロセスキット。
【請求項8】
複数の同心垂直フィンは、約0.150インチから約0.2インチの間隔を置いて配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載のプロセスキット。
【請求項9】
複数の同心垂直フィンは、交互の湾曲部間のC字形状全体にほぼ等しい高さを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のプロセスキット。
【請求項10】
前記内壁は、前記シールドの底部から上向きに延在して複数の垂直ウェルを画定する複数の間隔を空けて配置された同心壁を含む、請求項1に記載のプロセスキット。
【請求項11】
前記複数の間隔を空けて配置された同心壁の各々の高さは、最外壁から最内壁に向かって漸減する、請求項1から3及び10のいずれか一項に記載のプロセスキット。
【請求項12】
基板処理装置であって
その中に配置された基板支持体を有するチャンバ本体と、
前記基板支持体に対向して前記チャンバ本体に結合されたターゲットと、
前記チャンバ本体内にプラズマを形成するためのRF電源と、
物理的気相堆積チャンバに配置されたときに前記ターゲットを取り囲むように構成された最内径を有する内壁を含むシールドであって、内径の平面積に対する前記シールドの表面積の比率は約3から約10である、シールドと
を備える、基板処理装置。
【請求項13】
前記シールドは、アルミニウム合金及びステンレス鋼のうちの少なくとも1つでできている、請求項12に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記内壁は、最上部から下方、外向き、下方、内向き、そして下方へと概ね90°のインクリメントで延在する複数の交互の湾曲部を含み、前記交互の湾曲部間で全体として概ねC字形状を形成する、請求項12又は13に記載の基板処理装置。
【請求項15】
複数の交互の湾曲部は、2つの連続する湾曲部の断面に沿って見たときに丸い遷移部を有する垂直矩形波を形成する、請求項12又は13に記載の基板処理装置。
【請求項16】
複数の交互の湾曲部は、互いに対称である、請求項12又は13に記載の基板処理装置。
【請求項17】
複数の交互の湾曲部は、互いに非対称である、請求項12に記載の基板処理装置。
【請求項18】
内壁は、複数の同心垂直フィンが配置された底部領域を有する、請求項17に記載の基板処理装置。
【請求項19】
前記複数の同心垂直フィンは、約0.150インチから約0.2インチの間隔を空けて配置されている、請求項12、13、及び18のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項20】
物理的気相堆積チャンバで使用するためのプロセスキットであって、
前記物理的気相堆積チャンバに配置されたときにターゲットを取り囲むように構成された最内径を有する内壁を含むシールドであって、前記内壁は、最上部から下方、外向き、下方、内向き、そして下方へと概ね90°のインクリメントで延在する複数の交互の湾曲部であって、前記交互の湾曲部間で全体として概ねC字形状を形成する複数の交互の湾曲部、及び前記シールドの底部から上向きに延在して複数の垂直ウェルを画定する複数の間隔を空けて配置された同心壁のうちの1つを含む、シールド
を備え、
内径の平面積に対する前記シールドの表面積の比率は約3から約10である、プロセスキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、概して、基板の処理方法及び装置に関し、より詳細には、改善されたシールド構成を使用した基板の処理方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]ターゲットの自己バイアスの大きさは、ターゲット及びアノード(シールド、ウエハ等)材料のスパッタリング速度に影響を与える。一般的に、ターゲットの負の自己バイアスを大きくするには、極端に広いチャンバ本体を使用してアノード面積を大きくする必要がある。しかし、このようなアプローチは、PVDチャンバの設置面積を増加させることにつながり得る。
【発明の概要】
【0003】
[0003]改善されたシールド構成を使用した基板の処理方法及び装置が本明細書で提供される。幾つかの実施形態では、物理的気相堆積チャンバで使用するためのプロセスキットは、物理的気相堆積チャンバに配置されたときにターゲットを取り囲むように構成された最内径を有する内壁を含むシールドであって、内径の平面積に対するシールドの表面積の比率は約3から約10であるシールドを含む。
【0004】
[0004]少なくとも幾つかの実施形態によれば、基板処理装置は、その中に配置された基板支持体を有するチャンバ本体と、基板支持体に対向してチャンバ本体に結合されたターゲットと、チャンバ本体内にプラズマを形成するためのRF電源と、物理的気相堆積チャンバに配置されたときにターゲットを取り囲むように構成された最内径を有する内壁を含むシールドとを含み、内径の平面積に対するシールドの表面積の比率は約3から約10である。
【0005】
[0005]少なくとも幾つかの実施形態によれば、物理的気相堆積チャンバで使用するためのプロセスキットは、物理的気相堆積チャンバに配置されたときにターゲットを取り囲むように構成された最内径を有する内壁を含むシールドであって、内壁は、最上部から下方、外向き、下方、内向き、そして下方へと概ね90°のインクリメントで延在する複数の交互の湾曲部であって、交互の湾曲部間で全体として概ねC字形状を形成する複数の交互の湾曲部、及びシールドの底部から上向きに延在して複数の垂直ウェルを画定する複数の間隔を空けて配置された同心壁のうちの1つを含む、シールドを含み、内径の平面積に対するシールドの表面積の比率は約3から約10である。
【0006】
[0006]本開示の他のさらなる実施形態を以下に説明する。
【0007】
[0007]添付の図面に示す本開示の例示的な実施形態を参照することによって、上記に要約し、以下により詳細に説明する本開示の実施形態を理解することができる。しかし、添付の図面は本開示の典型的な実施形態を単に示すものであり、したがって、範囲を限定するものと見なすべきではなく、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の幾つかの実施形態に係るプロセスチャンバの概略断面図である。
【
図2】本開示の幾つかの実施形態に係るシールド及びその周辺構造の断面図である。
【
図3】本開示の幾つかの実施形態に係るシールド及びその周辺構造の断面図である。
【
図4】本開示の幾つかの実施形態に係る
図3のエリアの詳細を示す拡大図である。
【
図5】本開示の幾つかの実施形態に係るシールド及びその周辺構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0013]理解を容易にするために、可能な限り、図面共通の同一要素を示すのに同一の参照番号を使用している。図面は縮尺どおりには描かれておらず、わかりやすくするために簡略化されている場合がある。一実施形態の要素及び特徴は、更に詳述することなく、他の実施形態に有益に組み込まれ得ることが企図される。
【0010】
[0014]物理的気相堆積(PVD)処理機器の改善のための方法及び装置が本明細書において提供される。PVDプロセスは、有利には、以下に説明するような高密度プラズマPVDプロセスであってよい。本開示の少なくとも幾つかの実施形態では、改善された方法及び装置は、ターゲットから基板までの間隔を維持しながら接地シールドへの電位差を有利に低下させ、それによって接地シールドの再スパッタリングを低減又は排除してPVD処理を容易にし得る、PVD処理装置用の接地シールドを提供する。例えば、シールドは、PVDチャンバに配置されたときにターゲットを取り囲むように構成された最内径を有する内壁を含み得る。内径の平面積に対するシールドの表面積の比率は約3から約10である。
【0011】
[0015]
図1は、本開示の幾つかの実施形態に係るプロセスチャンバ100(例えば、基板処理装置)の概略断面図である。PVDチャンバの特定の構成は例示であり、他の構成を有するPVDチャンバも、本明細書で提供される教示に従った修正の恩恵を受け得る。好適なPVDチャンバの例としては、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社から市販されているPVD処理チャンバのラインのいずれかが挙げられる。アプライドマテリアルズ社又は他のメーカーの他の処理チャンバも、本明細書に開示される本発明の装置から利益を得ることができる。
【0012】
[0016]本開示の幾つかの実施形態では、プロセスチャンバ100は、チャンバ本体104の上に配置され、チャンバ本体104から取り外し可能なチャンバリッド101を含む。チャンバリッド101は概して、ターゲットアセンブリ102と接地アセンブリ103とを含む。チャンバ本体104は、その上に基板108を受け入れるための基板支持体106を含む。基板支持体106は、基板の中心がプロセスチャンバ100の中心軸186にアライメントされるように基板を支持するように構成される。基板支持体106は、チャンバ本体104の壁であってよい下部接地エンクロージャ壁110内に位置し得る。下部接地エンクロージャ壁110は、RFリターン経路がチャンバリッド101の上方に配置されたRF電源182に提供されるように、チャンバリッド101の接地アセンブリ103に電気的に結合され得る。あるいは、基板支持体106からプロセスキットシールド(例えば、接地シールド(例えば、アノード))を経由し、最終的にチャンバリッド101の接地アセンブリ103に戻る等の、他のRFリターン経路も可能である。RF電源182は、以下に説明するように、ターゲットアセンブリ102にRFエネルギーを供給し得る。
【0013】
[0017]基板支持体106は、ターゲット114(例えば、基板支持体に対向するカソード)の主面に面する材料受容面を有し、ターゲット114の主面に対向する平面位置で、ターゲット114から射出された材料でスパッタコーティングされる基板108を支持する。基板支持体106は、その上に基板108を支持するための基板処理面109を有する誘電体部材105を含み得る。幾つかの実施形態では、基板支持体106は、誘電体部材105の下方に配置された1又は複数の導電性部材107を含み得る。例えば、誘電体部材105及び1又は複数の導電性部材107は、基板支持体106にチャッキング又はRF電力を供給するために使用され得る静電チャック、RF電極等の一部であってよい。
【0014】
[0018]基板支持体106は、チャンバ本体104の第1の領域120で基板108を支持し得る。第1の領域120は、基板108の処理に使用されるチャンバ本体104の内部領域の一部であり、基板108の処理中に(例えば、シールド138を介して)内部領域の他の部分(例えば、非処理領域)から分離され得る。第1の領域120は、処理中の基板支持体106の上方(例えば、処理位置にあるときのターゲット114と基板支持体106との間)の領域として定義される。
【0015】
[0019]幾つかの実施形態では、基板支持体106は、基板108をチャンバ本体104の下部の開口部(図示しないスリットバルブ等)を通して基板支持体106上に移送し、その後処理位置まで上昇させることができるように、垂直方向に移動可能であってよい。チャンバ本体104の内部領域とチャンバ本体104の外部の大気との分離を維持するために、底部チャンバ壁124に接続されたベローズ122を設けることができる。ガス源126からマスフローコントローラ128を通してチャンバ本体104の下部内に1又は複数のガスを供給することができる。チャンバ本体104の内部を排気し、チャンバ本体104の内部を所望の圧力に維持しやすくするために、排気ポート130を設け、バルブ132を介してポンプ(図示せず)に結合させることができる。
【0016】
[0020]基板108に負のDCバイアスを誘導するために、RFバイアス電源134を基板支持体106に結合させることができる。更に、幾つかの実施形態では、処理中に負のDC自己バイアスが基板108上に形成され得る。幾つかの実施形態では、RFバイアス電源134によって供給されるRFエネルギーは、約2MHzから約60MHzの範囲の周波数であってよく、例えば、2MHz、13.56MHz、又は60MHz等の非限定的な周波数を使用することができる。他の用途では、基板支持体106は接地され得る、又は電気的に浮遊したままであってよい。代替的又は追加的に、RFバイアス電力が望ましくない用途において、基板108上の電圧を調整するために、キャパシタンス調節器136を基板支持体106に結合され得る。
【0017】
[0021]シールド138(例えば、接地されたプロセスキットシールド)は、アルミニウム合金及びステンレス鋼のうちの少なくとも1つでできていてよく、チャンバ本体104の処理領域、すなわち第1の領域を取り囲んで、他のチャンバ構成要素を処理による損傷及び/又は汚染から保護する。幾つかの実施形態では、シールド138は、チャンバ本体104の上部接地エンクロージャ壁116のレッジ140に結合され得る。他の実施形態では、また
図1に示すように、シールド138は、例えば保持リング(図示せず)を介してチャンバリッド101に結合され得る。
【0018】
[0022]シールド138は、ターゲット114と基板支持体106との間に配置された内壁143を備える。少なくとも幾つかの実施形態では、内壁143は、プロセスチャンバ100に配置されたときにターゲット114を取り囲むように構成された最内径を有する。少なくとも幾つかの実施形態では、内径の平面積に対するシールド138の表面積の比率は、以下により詳細に説明するように、約3から約10である。シールド138の高さは、ターゲット114と基板108との間の基板距離185に依存する。ターゲット114と基板108との間の基板距離185、及びそれに対応するシールド138の高さは、基板108の直径に基づいてスケーリングされる。幾つかの実施形態では、基板の直径に対するターゲット114の直径の比率は約1.4である。例えば、300mmの基板を処理するためのプロセスチャンバは、約419mmの直径を有するターゲット114を有し得る、又は幾つかの実施形態では、450mmの基板を処理するためのプロセスチャンバは、約625mmの直径を有するターゲット114を有し得る。幾つかの実施形態では、シールド138の高さに対するターゲット114の直径の比は、約4.1から約4.3である、又は幾つかの実施形態では、約4.2である。例えば、300mmの基板を処理するためのプロセスチャンバの幾つかの実施形態では、ターゲット114は約419mmの直径を有していてよく、シールド138は約100mmの高さを有していてよい、又は450mmの基板を処理するためのプロセスチャンバの幾つかの実施形態では、ターゲット114は約625mmの直径を有していてよく、シールド138は約150mmの高さを有していてよい。所望の比率を得るために、他の直径及び高さを使用することも可能である。上記の比率を有するプロセスチャンバでは、ターゲット114と基板108との間の基板距離185は、300mm基板では約50.8mmから約152.4mm、あるいは450mm基板では約101.6mmから約203.2mmである。上記の構成を有するプロセスチャンバを、本明細書では「短焦点(ショートスロー)」プロセスチャンバと称する。
【0019】
[0023]短焦点プロセスチャンバは、ターゲットから基板までの距離185が長いプロセスチャンバよりも堆積速度を有利に向上させる。例えば、幾つかのプロセスにおいて、ターゲットから基板までの距離185が長い従来のプロセスチャンバは、約1から約2オングストローム/秒の堆積速度を提供する。比較すると、短焦点プロセスチャンバにおける同様のプロセスにおいては、高いイオン化レベルを維持しながら、約5から約10オングストローム/秒の堆積速度が得られる。幾つかの実施形態では、本開示の実施形態に係るプロセスチャンバは、約10オングストローム/秒の堆積速度を提供し得る。このような短い間隔での高いイオン化レベルは、例えば約60ミリトールから約140ミリトールの高い圧力、及び例えば約27MHzから約162MHzの非常に高い駆動周波数、例えば27.12、40.68、60、81.36、100、122、又は162.72MHzの容易に利用可能な周波数を提供することによって得ることができる。
【0020】
[0024]更に、電子はイオンよりも移動度が高く、それぞれの半サイクルの間、電極(例えば、カソード又は電源電極及びアノード又は接地電極)の両方は、蓄積した電子からの反発によって電極がもはや電子を引き寄せることができなくなるまで、迅速に電子を獲得する。負の半サイクルの間、両方の電極は正のイオンを引き寄せるが、イオンの移動度が低いため、電極は全ての電子を中和せず、プラズマに対して正味の負のバイアスを獲得する。
【0021】
[0025]本発明者らは、両電極(カソード(ターゲット)及びアノード(シールド、ウエハ、堆積リング、カバーリング等))の面積が同程度であれば、プラズマ中に生成されたイオンは、それぞれの負の半サイクルの間に等しい割合で両電極に向かって引き寄せられ、その結果、両電極から同程度の割合で材料がスパッタリングされることになることを見出した。しかし、RFスパッタ堆積では、通常、ターゲットの面積は、アノード(シールド、ウエハ、堆積リング、カバーリング等)の面積よりも小さい方が好ましく(例えば、アノード側での堆積量を多くし、エッチングを少なくするのに役立つ)、その結果、負のバイアスの大きさが大きくなり、ターゲットに向かってイオンを加速する電場が大きくなる。したがって、シールド(アノード)に対するターゲット(カソード)の面積に応じて、ターゲットからの堆積(スパッタ堆積)又はアノード(ウエハ、シールド、堆積リング等)のエッチング(再スパッタリング)が行われる。
【0022】
[0026]シールド138の再スパッタリングは、プロセスチャンバ100内の望ましくない汚染を引き起こす。シールド138の再スパッタリングは、シールド138上の高電圧の結果である。ターゲット114(例えば、カソード又は電源電極)及び接地されたシールド138(例えば、アノード又は接地電極)上に生じる電圧の量は、より小さい電極により大きい電圧が生じるため、ターゲット114の表面積に対するシールド138の表面積の比率に依存する。時には、ターゲット114の表面積がシールド138の表面積よりも大きい場合があり、その結果、シールド138により大きい電圧がかかり、ひいてはシールド138の望ましくない再スパッタリングが起こる。例えば、300mmの基板を処理するためのプロセスチャンバの幾つかの実施形態では、ターゲットは、約419mmの直径と約138mm2の対応する表面積を有していてよく、シールド138は、約100mmの高さと約132mm2の対応する表面積を有していてよい、又は450mmの基板を処理するためのプロセスチャンバの幾つかの実施形態では、ターゲットは、約625mmの直径と約307mm2の対応する表面積を有していてよく、シールド138は、約150mmの高さと約295mm2の対応する表面積を有していてよい。本発明者らは、ターゲット114の表面積に対するシールド138の表面積の比率が1未満であるプロセスチャンバの幾つかの実施形態では、より大きい電圧がシールド138にかかり、その結果、シールド138の望ましくない再スパッタリングが起こることを観察した。したがって、シールド138の再スパッタリングを有利に最小限に抑える又は防止するために、本発明者らは、シールド138の表面積をターゲット114の表面積よりも大きくする必要があることを観察した。例えば、本発明者らは、ターゲット114の表面積に対するシールド138の表面積の比率が約3から約10であることが、シールド138の再スパッタリングを有利に最小限に抑える又は防止することを観察した。
【0023】
[0027]更に、本発明者らは、ターゲット114の表面積に対するシールド138の表面積の比率が約3から約10であることで、ターゲット114において比較的高い負の自己バイアスが有利に得られることを観察した。例えば、ターゲット114における比較的高い負の自己バイアスは、動作中にターゲット114に向かってより多くの正のプラズマイオン(例えば、アルゴンイオン)を引き付け、その結果、ターゲットのスパッタリングを増加させ、シールド138、堆積リング(図示せず)、基板108、又は他の構成要素の再スパッタリング(例えば、エッチング)を減少させる。
【0024】
[0028]しかし、シールド138の表面積は、上述したように、シールド138の高さに対するターゲット114の直径の所望の比率に起因して、シールド138の高さを単に増加させることによって増加させることはできない。本発明者らは、上述した処理条件(例えば、使用されるプロセス圧力及びRF周波数)を有するプロセスチャンバの幾つかの実施形態において、シールド138の再スパッタリングを有利に最小限に抑える又は防止するためには、シールド138の高さに対するシールド138の表面積の比率が約2から約3でなければならないことを観察した。更に、プロセスチャンバのサイズにおける物理的制約のために、シールド138の直径を十分に増加させてシールド138の表面積を増加させ、シールド138の再スパッタリングを防止することはできない。例えば、シールド138の直径を25.4mm増加させても、表面積の増加はわずか6%であり、シールド138の再スパッタリングを防止するには不十分である。
【0025】
[0029]したがって、アノードのより大きい面積は、波状の構成(フィン付き又はフィンなし)を有するシールドを提供することによって達成され、したがって、ターゲット上の負の自己バイアスを増加させることによって高絶縁性の誘電体ターゲットの堆積を可能にする形状寸法が得られる。したがって、幾つかの実施形態では、
図2に示すように、ターゲットの表面積に対するシールドの表面積の所望の比率を得るために、プロセスチャンバ100と共に使用するように構成されたシールド200は、物理的気相堆積チャンバに配置されたときにターゲットを取り囲むように構成された最内径D1を有する内壁203を含む。例えば、最内径D1を、ターゲットの直径よりも大きくすることができる。少なくとも幾つかの実施形態では、内径の平面積に対するシールドの表面積の比率は、約3から約10(例えば、アノード対カソード比)である。
【0026】
[0030]例えば、少なくとも幾つかの実施形態では、内壁203は、最上部から下方、外向き、下方、内向き、そして下方へと概ね90°のインクリメントで延在する複数の交互の湾曲部208を含み、従って、交互の湾曲部208間で全体として概ねC字形状を形成する。複数の交互の湾曲部208は、2つの連続する湾曲部の断面に沿って見たときに丸い遷移部を有する垂直矩形波を形成する。少なくとも幾つかの実施形態では、複数の交互の湾曲部208は、互いに対称である。すなわち、全体として概ねC字形状は各々、同一の寸法を有する。あるいは、少なくとも幾つかの実施形態では、複数の交互の湾曲部208は、互いに非対称である。すなわち、全体として概ねC字形状は各々、異なる寸法を有し、例えば、内向きのC字形状は、外向きのC字形状が外側に延在するよりも更に内側に延在していてよく、その逆もまた同様である。
【0027】
[0031]内壁203は底部領域210を含む。底部領域210はシールド200の全体面積に寄与し得る。例えば、底部領域210は、シールド200の全体面積に約50in
2を追加し得る。少なくとも幾つかの実施形態では、複数の同心垂直フィン300が底部領域210上又はその近傍に支持されている(
図3及び
図4)。複数の同心垂直フィン300は、2つの連続する同心垂直フィンの断面に沿って見たときに、連続する同心垂直フィンが概ね形状を形成するように互いに接続されている(
図4)。複数の同心垂直フィン300は、シールド200の全体面積を増加させるように構成される。少なくとも幾つかの実施形態では、複数の同心垂直フィン300は、互いに約0.15インチから約0.2インチの間隔を空けて配置され、少なくとも幾つかの実施形態では、複数の同心垂直フィン300は、互いに約0.175インチの間隔を空けて配置される。
【0028】
[0032]複数の同心垂直フィン300は、例えば、シールドの所望の全体面積に応じて、様々な寸法を有していてよい。例えば、複数の同心垂直フィン300は、
図4に示すように、交互の湾曲部間のC字形状全体にほぼ等しい高さ(例えば、0.50インチから約1.10インチ)を有していてよい。少なくとも幾つかの実施形態では、例えば、複数の同心垂直フィン300は各々、約0.70インチから約1.10インチの高さを有していてよい。例えば、最も内側の同心垂直フィン302は、約1.05インチの高さを有する凹部314(例えば、基板処理面109に近い部分)と、約1.00インチの高さを有する凸部316(例えば、基板処理面109から遠い部分)とを有していてよい。凹部314の高さは凸部316の高さよりわずかに高く、これは凹部314が垂直フィンの外側を画定し、凸部316が垂直フィンの内側を画定するからである。内側部分316は、同心垂直フィン304の同じく約1.00インチの高さを有する外側部分に対向して配置され、したがって、約1.00インチの深さを有するウェル318を形成する(例えば、ウェルの深さは、ウェルを画定する凹部/凸部によって画定される)。残りの同心垂直フィンの凹部/凸部は、その間に同様のウェルを形成していてよい。例えば、同心垂直フィン304の凸部は、各々が約1.00インチの高さを有する同心垂直フィン306の凹部に対向して配置され、約1.00インチの深さを有するウェル318を形成していてよい。
【0029】
[0033]実施形態では、同心垂直フィン300の各々の間に形成されるウェルは、同じ深さ又は異なる深さを有していてよい。例えば、少なくとも幾つかの実施形態では、同心垂直フィン308の凹状の外側部分に対向して配置された同心垂直フィン306の凸部は各々、約0.70インチの高さを有し、したがって、約0.70インチの深さを有するウェル318(例えば、中間ウェル)を形成していてよい。図示の実施形態では、同心垂直フィン310の凸部及び同心垂直フィン308の凹部は、同心垂直フィン304の凸部316と凹部との間に形成されたウェルと同様のウェルを形成していてよい。更に、最も外側の同心垂直フィン312の凹部は、同心垂直フィン310の凸部の間に、同心垂直フィン304の凸部316と凹部との間に形成されるウェルと同様のウェルを形成していてよい。
【0030】
[0034]複数の同心垂直フィン300は各々、約0.04インチから約0.06インチの厚さを有していてよく、複数の同心垂直フィン300は各々、同じ厚さ又は異なる厚さを有していてよい。例えば、少なくとも幾つかの実施形態では、最も内側の同心垂直フィン302及び最も外側の同心垂直フィン312は、約0.04インチの厚さを有していてよく、最も内側の同心垂直フィン302と最も外側の同心垂直フィン312との間に配置された同心垂直フィン304から~310は、約0.06インチの厚さを有していてよい。
【0031】
[0035]複数の同心垂直フィン300は、1又は複数の適切な結合装置、例えば、ねじ、ボルト、ナット等を使用して、基板支持体106の外周に載っている側面(例えば、カバーリング)に結合するように構成され得る。代替的又は追加的に、複数の同心垂直フィン300は、1又は複数の適切な結合装置、例えば、ねじ、ボルト、ナット等を使用して、底部領域210に結合する(又はその上に載る)ように構成され得る。
【0032】
[0036]少なくとも幾つかの実施形態によれば、アノード対カソード比は、
図2~
図4のシールド200の構成に基づいて変化し得る。例えば、
図2に関して、シールド200は、約370in
2から約470in
2の有効アノード面積(例えば、平面積)を有していてよく、ターゲット114は、約132in
2から約135in
2の有効カソード面積(例えば、平面積)を有していてよい(例えば、約2.74から約3.56のアノード対カソード比)。例えば、少なくとも幾つかの実施形態では、シールド200は約370in
2から約380in
2の有効アノード面積を有していてよく、ターゲット114は約132in
2から約135in
2の有効アノード面積を有していてよい。
【0033】
[0037]更に、
図3及び
図4に関して、シールド200及び同心垂直フィン300の組み合わせは、約800in
2から約1350in
2の有効アノード面積を提供することができ、ターゲット114は、これもまた約132in
2から約135in
2の有効アノード面積(例えば、約5.90から約9.46のアノード対カソード比)を有していてよい。例えば、少なくとも幾つかの実施形態では、シールド200は、約320in
2から約420in
2の有効アノード面積を提供することができ、例えば、シールド200の底部領域210の一部が、約480in
2から約870in
2の有効アノード面積を有し得る同心垂直フィン300によって覆われているため、シールド200は、わずかに小さい有効アノード面積を有し、したがって、全体の有効アノード面積は、約800in
2から約1350in
2まで増加し得る。
【0034】
[0038]少なくとも幾つかの実施形態では、シールド500は、シールド500の底部から上方に延在して複数の垂直ウェル504を画定する複数の間隔を空けて配置された同心壁502を含む内壁を含み得る。少なくとも幾つかの実施形態では、複数の間隔を空けて配置された同心壁502の各々の高さは、最外壁506から最内壁508に向かって漸減する。例えば、最外壁506は、約3.75インチから約4.25インチの高さを有していてよく、少なくとも幾つかの実施形態では、約4.0インチの高さを有していてよい。壁510は、約3.25インチから約3.75インチの高さを有していてよく、少なくとも幾つかの実施形態では、約3.5インチの高さを有していてよい。壁512は、約2.75インチから約3.25インチの高さを有していてよく、少なくとも幾つかの実施形態では、約3.0インチの高さを有していてよい。壁514は、約2.25インチから約2.75インチの高さを有していてよく、少なくとも幾つかの実施形態では、約2.5インチの高さを有していてよい。最内壁508は、約1.75インチから約2.25インチの高さを有していてよく、少なくとも幾つかの実施形態では、約2.0インチの高さを有していてよい。
【0035】
[0039]同様に、最外壁506は、約14.55インチから約15.05インチの直径を有していてよく、少なくとも幾つかの実施形態では、約14.80インチの直径を有していてよい。壁510は、約13.35インチから約13.85インチの直径を有していてよく、少なくとも幾つかの実施形態では、約13.60インチの直径を有していてよい。壁512は、約12.35インチから約13.85インチの直径を有していてよく、少なくとも幾つかの実施形態では、約12.60インチの直径を有していてよい。壁514は、約11.55インチから約12.05インチの直径を有していてよく、少なくとも幾つかの実施形態では、約11.80インチの直径を有していてよい。最内壁508は、約10.75インチから約11.25インチの直径を有していてよく、少なくとも幾つかの実施形態では、約11.00インチの直径を有していてよい。
【0036】
[0040]更に、
図5に関して、シールド500及び間隔を空けて配置された同心壁502は、約1075in
2から約1200in
2の有効アノード面積を提供することができ、ターゲット114は、約132in
2から約135in
2の有効アノード面積(例えば、約8.00から約9.10のアノード対カソード比)を有していてよい。例えば、少なくとも幾つかの実施形態では、シールド500は、約1118in
2から約1190in
2の有効アノード面積を提供することができる。
【0037】
[0041]
図1に戻ると、チャンバリッド101は、上部接地エンクロージャ壁116のレッジ140上に載っている。下部接地エンクロージャ壁110と同様に、上部接地エンクロージャ壁116は、上部接地エンクロージャ壁116とチャンバリッド101の接地アセンブリ103との間のRFリターン経路の一部を提供し得る。しかしながら、接地シールド138を介する等の他のRFリターン経路も可能である。
【0038】
[0042]上述したように、シールド138は、下方に延在し、第1の領域120を取り囲むように構成された1又は複数の側壁を含み得る。シールド138は、上側接地エンクロージャ壁116及び下側接地エンクロージャ壁110の壁に沿ってはいるが、それらから間隔を空けて基板支持体106の上面の下まで下方に延在し、基板支持体106の上面に達するまで上方に戻る(例えば、シールド138の底部にU字形部分を形成する)。
【0039】
[0043]第1のリング148(例えば、カバーリング)は、基板支持体106がその下側のロード位置(図示せず)にあるときには、U字形部分の上部に載っている(例えば、第1のリング148の第1の位置)が、基板支持体106が(
図1に図示したように)その上側の堆積位置にあるときには、基板支持体106の外周上に載る(例えば、第1のリング148の第2の位置)ことにより、基板支持体106をスパッタ堆積から保護する。
【0040】
[0044]追加の誘電体リング111を使用して、基板108の周辺部を堆積から遮蔽することができる。例えば、追加の誘電体リング111は、
図1に示すように、基板支持体106の周縁部の周りに、基板処理面109に隣接して配置され得る。
【0041】
[0045]第1のリング148は、シールド138の底部の内側の上方に延在するU字形部分の両側に、第1のリング148の下面から延在する突出部を含み得る。最も内側の突出部は、基板支持体が処理位置に移動する際に第1のリング148が第2の位置に移動するときに、第1のリング148をシールド138に対してアライメントさせるために基板支持体106と接合するように構成され得る。例えば、最も内側の突出部の基板支持体に面している面は、第1のリング148が第2の位置にあるときに基板支持体106の対応する面内に/上に載るように、テーパ状、ノッチ状等にすることができる。
【0042】
[0046]幾つかの実施形態では、基板支持体106とターゲット114との間に選択的に磁場を提供するために、磁石152がチャンバ本体104の周りに配置され得る。例えば、
図1に示すように、磁石152は、処理位置にあるときの基板支持体106の真上の領域におけるエンクロージャ壁110の外側の周りに配置され得る。幾つかの実施形態では、磁石152は、追加的又は代替的に、上部接地エンクロージャ壁116に隣接する等の他の場所に配置され得る。磁石152は電磁石であってよく、電磁石によって生成される磁場の大きさを制御するための電源(図示せず)に結合され得る。
【0043】
[0047]チャンバリッド101は、概して、ターゲットアセンブリ102の周りに配置された接地アセンブリ103を含む。接地アセンブリ103は、ターゲットアセンブリ102の裏側に概ね平行し、対向していてよい第1の面157を有する接地プレート156を含み得る。接地シールド112は、接地プレート156の第1の面157から延在し、ターゲットアセンブリ102を取り囲んでいてよい。接地アセンブリ103は、接地アセンブリ103内でターゲットアセンブリ102を支持する支持部材175を含み得る。
【0044】
[0048]幾つかの実施形態では、支持部材175は、支持部材175の外周縁部に近接する接地シールド112の下方端部に結合されていてよく、半径方向内側に延在して、シールリング181、ターゲットアセンブリ102、及びオプションとして(例えば、シールド138とターゲットアセンブリ102との間に配置され得る、図示していない)暗部シールドを支持する。シールリング181は、ターゲットアセンブリ102及び支持部材175との接合を容易にするために、所望の断面を有するリング又は他の環形状であってよい。シールリング181は、セラミック等の誘電体材料でできていてよい。シールリング181は、ターゲットアセンブリ102を接地アセンブリ103から絶縁し得る。
【0045】
[0049]支持部材175は、シールド138及びターゲット114を収容するための中央開口部を有する概ね平面状の部材であってよい。幾つかの実施形態では、支持部材175の形状は、円形、又は円盤状であってよいが、その形状は、チャンバリッドの対応する形状及び/又はプロセスチャンバ100で処理される基板の形状に応じて変更可能である。使用中、チャンバリッド101が開閉されるとき、支持部材175はシールド138をターゲット114に対して適切なアライメントに維持し、それによりチャンバの組立又はチャンバリッド101の開閉によるミスアライメントの危険性を最小限に抑える。
【0046】
[0050]ターゲットアセンブリ102は、ターゲット114の裏側に対向し、ターゲット114の周縁部に沿ってターゲット114に電気的に結合されたソース分配プレート158を含み得る。ターゲット114は、金属、金属酸化物、金属合金、磁性材料等の、スパッタリング中に基板108等の基板上に堆積されるソース材料113を含み得る。幾つかの実施形態では、ターゲット114は、ソース材料113を支持するためのバッキングプレート162を含み得る。バッキングプレート162は、銅-亜鉛、銅-クロム、又はターゲットと同じ材料等の導電性材料を含むことができ、これにより、RF、及びオプションとしてDC電力が、バッキングプレート162を介してソース材料113に結合され得る。あるいは、バッキングプレート162は非導電性であってよく、電気フィードスルー等の導電性要素(図示せず)を含んでいてよい。
【0047】
[0051]導電性部材164は、RFエネルギーをソース分配プレートからターゲット114の周縁部まで伝播させるために、ソース分配プレートとターゲット114の裏側との間に配置され得る。導電性部材164は、円筒形及び管状であってよく、ソース分配プレート158の周縁部に近接したソース分配プレート158のターゲットに面する面に結合された第1の端部166と、ターゲット114の周縁部に近接したターゲット114のソース分配プレートに面する面に結合された第2の端部168とを有する。幾つかの実施形態では、第2の端部168は、バッキングプレート162の周縁部に近接したバッキングプレート162のソース分配プレートに面する面に結合される。
【0048】
[0052]ターゲットアセンブリ102は、ターゲット114の裏側とソース分配プレート158との間に配置されたキャビティ170を含み得る。キャビティ170は、マグネトロンアセンブリ196を少なくとも部分的に収納することができる。キャビティ170は、導電性部材164の内面、ソース分配プレート158のターゲットに面する面、及びターゲット114(又はバッキングプレート162)のソース分配プレートに面する面(例えば、裏側)によって少なくとも部分的に画定される。幾つかの実施形態では、キャビティ170は、水(H2O)等の冷却流体で少なくとも部分的に充填され得る。幾つかの実施形態では、仕切り(図示せず)を設けて、キャビティ170の所望の部分(図示した下部等)に冷却流体を封じ込め、冷却流体が仕切りの反対側に配置された構成要素に到達するのを防止することができる。
【0049】
[0053]接地プレート156と、ソース分配プレート158、導電性部材164、及びターゲット114(及び/又はバッキングプレート162)の外面との間には、絶縁間隙180が設けられている。絶縁間隙180は、空気、又はセラミック、プラスチック等の他の適切な誘電体材料で充填され得る。接地プレート156とソース分配プレート158との間の距離は、接地プレート156とソース分配プレート158との間の誘電体材料に依存する。誘電体材料が主に空気である場合、接地プレート156とソース分配プレート158との間の距離は約5から約40mmであることが好ましい。
【0050】
[0054]接地アセンブリ103及びターゲットアセンブリ102は、シールリング181によって、及び接地プレート156の第1の面157とターゲットアセンブリ102の裏側、例えばソース分配プレート158のターゲットに面していない側面との間に配置された絶縁体160のうちの1又は複数によって、電気的に分離され得る。
【0051】
[0055]ターゲットアセンブリ102は、電極154(例えば、RF供給構造)に接続されたRF電源182を有する。RF電源182は、RFジェネレータと、例えば動作中にRFジェネレータに反射して戻ってくる反射RFエネルギーを最小限に抑えるための整合回路とを含み得る。例えば、RF電源182によって供給されるRFエネルギーは、約13.56MHzから約162MHz又はそれ以上の周波数の範囲であってよい。例えば、13.56MHz、27.12MHz、60MHz、又は162MHz等の非限定的な周波数が使用され得る。
【0052】
[0056]幾つかの実施形態では、第2のエネルギー源183が、処理中にターゲット114に追加のエネルギーを提供するためにターゲットアセンブリ102に結合され得る。幾つかの実施形態では、第2のエネルギー源183は、例えば、ターゲット材料のスパッタリング速度(したがって、基板上の堆積速度)を高めるために、DCエネルギーを提供するためのDC電源であってよい。幾つかの実施形態では、第2のエネルギー源183は、例えば、RF電源182によって提供されるRFエネルギーの第1の周波数とは異なる第2の周波数のRFエネルギーを提供するための、RF電源182と同様の第2のRF電源であってよい。第2のエネルギー源183がDC電源である実施形態では、第2のエネルギー源は、電極154又は何らかの他の導電性部材等(ソース分配プレート158等)の、DCエネルギーをターゲット114に電気的に結合させるのに適した任意の位置で、ターゲットアセンブリ102に結合され得る。第2のエネルギー源183が第2のRF電源である実施形態では、第2のエネルギー源は、電極154を介してターゲットアセンブリ102に結合され得る。
【0053】
[0057]電極154は、円筒形であってよい、又はそうでなければ棒状であってよく、プロセスチャンバ100の中心軸186にアライメントされ得る(例えば、電極154は、中心軸186と一致するターゲットの中心軸と一致する点において、ターゲットアセンブリに結合され得る)。プロセスチャンバ100の中心軸186にアライメントされた電極154は、RF電源182からのRFエネルギーを非対称的にターゲット114に印加することを容易にする(例えば、電極154は、PVDチャンバの中心軸にアライメントされた「単一点」でRFエネルギーをターゲットに結合させ得る)。電極154の中心位置は、基板堆積プロセスにおける堆積の非対称性を排除又は低減するのに役立つ。電極154は任意の適切な直径を有していてよいが、電極154の直径が小さいほど、RFエネルギー印加は精密に単一点に近づく。例えば、他の直径が使用され得るが、幾つかの実施形態では、電極154の直径は約0.5から約2インチであってよい。電極154は、概ね、PVDチャンバの構成に応じて任意の適切な長さを有していてよい。幾つかの実施形態では、電極は、約0.5から約12インチの長さを有し得る。電極154は、アルミニウム、銅、銀等の任意の適切な導電性材料から作製され得る。
【0054】
[0058]電極154は、接地プレート156の開口部を通過して、ソース分配プレート158に結合され得る。接地プレート156は、アルミニウム、銅等の任意の適切な導電性材料を含み得る。1又は複数の絶縁体160間の空きスペースは、ソース分配プレート158の表面に沿ったRF波の伝播を可能にする。幾つかの実施形態では、1又は複数の絶縁体160が、プロセスチャンバ100の中心軸186に対して対称に位置決めされ得る。このような配置は、ソース分配プレート158の表面に沿って、ひいてはソース分配プレート158に結合されたターゲット114への対称的なRF波伝播を促進し得る。RFエネルギーは、少なくとも一部において電極154の中心位置に起因して、従来のPVDチャンバと比較して、より対称的かつ均一な方法で提供され得る。
【0055】
[0059]マグネトロンアセンブリ196の1又は複数の部分が、少なくとも部分的にキャビティ170内に配置され得る。マグネトロンアセンブリは、プロセスチャンバ104内のプラズマ処理を支援するために、ターゲットに近接して回転磁場を提供する。幾つかの実施形態では、マグネトロンアセンブリ196は、モータ176、モータシャフト174、ギアボックス178、ギアボックスシャフト184、及び回転可能な磁石(例えば、磁石支持部材172に結合された複数の磁石188)を含み得る。
【0056】
[0060]マグネトロンアセンブリ196は、キャビティ170内で回転する。例えば、幾つかの実施形態では、磁石支持部材172を回転させるために、モータ176、モータシャフト174、ギアボックス178、及びギアボックスシャフト184が設けられ得る。幾つかの実施形態(図示せず)では、マグネトロン駆動シャフトがチャンバの中心軸に沿って配置されていてよく、RFエネルギーは、異なる位置又は異なる方法でターゲットアセンブリに結合される。
図1に示すように、幾つかの実施形態では、マグネトロンのモータシャフト174は、接地プレート156の中心から外れた開口部を貫通して配置され得る。接地プレート156から突出するモータシャフト174の端部は、モータ176に結合される。モータシャフト174は、更に、ソース分配プレート158(例えば、第1の開口部146)を貫通する対応する中心から外れた開口部を通して配置され、ギアボックス178に結合される。幾つかの実施形態では、1又は複数の第2の開口部198が、ソース分配プレート158に沿って軸対称のRF分配を有利に維持するために、第1の開口部146に対して対称的な関係でソース分配プレート158を貫通して配置され得る。1又は複数の第2の開口部198はまた、センサ等のアイテムのキャビティ170へのアクセスを可能にするためにも使用され得る。
【0057】
[0061]ギアボックス178は、ソース分配プレート158の底面に結合される等、任意の適切な手段によって支持され得る。ギアボックス178は、ギアボックス178の少なくとも上面を誘電体材料で作製することによって、又はギアボックス178とソース分配プレート158との間に絶縁体層190を介在させること等によって、ソース分配プレート158から絶縁させることができる。ギアボックス178は更に、ギアボックスシャフト184を介して磁石支持部材172に結合され、モータ176によって提供される回転運動を磁石支持部材172(したがって、複数の磁石188)に伝達する。ギアボックスシャフト184は、有利には、プロセスチャンバ100の中心軸186と一致していてよい。
【0058】
[0062]磁石支持部材172は、複数の磁石188を堅く支持するのに十分な機械的強度を提供するのに適した任意の材料でできていてよい。複数の磁石188は、本明細書で説明するように、ターゲットのより均一な全面侵食を提供するために、所望の形状及び強度を有する磁場を提供する任意の方法で構成することができる。
【0059】
[0063]あるいは、磁石支持部材172は、例えば、キャビティ170に存在する場合には冷却流体によって、磁石支持部材172及び取り付けられた複数の磁石188に引き起こされた抗力に打ち勝つのに十分なトルクを有する他の任意の手段によって回転させることができる。
【0060】
[0064]上記は本開示の実施形態を対象としたものであるが、本開示の他の及び更なる実施形態を、その基本的範囲から逸脱することなく考案することが可能である。
【国際調査報告】