(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-31
(54)【発明の名称】エナンチオマー濃縮形態の2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを調製する方法
(51)【国際特許分類】
C07D 417/12 20060101AFI20240124BHJP
【FI】
C07D417/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544046
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(85)【翻訳文提出日】2023-07-20
(86)【国際出願番号】 EP2022051354
(87)【国際公開番号】W WO2022157316
(87)【国際公開日】2022-07-28
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マクラフリン,マルティン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】コラディン,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】カドゥスカール,ラフール
(72)【発明者】
【氏名】シンデ,ハリシュ
(72)【発明者】
【氏名】ゲッツ,ローランド
(72)【発明者】
【氏名】ガリベット,ギュイラーム マイケル ジャックス
【テーマコード(参考)】
4C063
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB08
4C063CC62
4C063DD29
4C063EE05
(57)【要約】
本発明は、2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン又はその互変異性体若しくはそのエナンチオマー濃縮形態を調製する方法、2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン又はその互変異性体若しくはそのエナンチオマー濃縮形態並びに2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジニウム化合物、特に3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレート及びそのエナンチオマー濃縮形態の調製における中間体としてのその使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エナンチオマー濃縮形態の、式(I):
【化1】
(式中、アスタリスク*は、立体中心を示す)
の2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン又はその互変異性体を調製する方法であって、式1
【化2】
の2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン又はその互変異性体を、キラル遷移金属触媒及び任意選択で塩基の存在下において、ギ酸HC(=O)OH、式HC(=O)O
-M
+のホルマート及びギ酸HC(=O)OHと前記式HC(=O)O
-M
+の1つ以上のホルマートとの混合物(式中、M
+は、カチオン当量である)からなる群から選択される還元剤で還元することであって、還元剤としてギ酸が使用される場合、前記反応は、塩基の存在下で行われる、還元することを行って、エナンチオマー濃縮形態の前記式(I)のピリミジノン又はその互変異性体を得ることを含む方法。
【請求項2】
M
+は、アルカリ金属カチオン、式[NHR
1R
2R
3]
+(式中、R
1、R
2及びR
3は、互いに独立して、水素、C
1~C
6-アルキル、C
3~C
6-シクロアルキル、C
1~C
4-アルコキシ及びC
1~C
4-アルコキシ-C
1~C
4-アルキルからなる群から選択される)のアンモニウムカチオン、式NR
1R
2-A-NR
3R
4(式中、R
1、R
2、R
3及びR
4は、互いに独立して、水素、C
1~C
6-アルキル、C
3~C
6-シクロアルキル、C
1~C
4-アルコキシ及びC
1~C
4-アルコキシ-C
1~C
4-アルキルからなる群から選択され、及びAは、(CH
2)
2又は(CH
2)
3である)のプロトン化ジアミン並びに1つの窒素原子を環員として含み、且つ任意選択でN及びOから選択される1つの更なるヘテロ原子を環員として含むプロトン化5又は6員飽和複素環であって、1~6つのC
1~C
4-アルキル基及び/又は1若しくは2つのOH基を有し得るプロトン化5又は6員飽和複素環からなる群から選択され、
M
+は、好ましくは、Li
+、Na
+、K
+、Cs
+、NH
4
+、[NH
2(C
2H
5)
2]
+、[NH(C
2H
5)
3]
+、[NH(CH
2CH
2CH
2CH
3)
3]
+、[NH(C
2H
5)(CH(CH
3)
2]
+、[NH(CH
3)
2(CH(CH
3)]
+、[NH
2(C
2H
5)(C(CH
3)
3]
+、[NH
2(CH(CH
3)
2)(C(CH
3)
3]
+、[NH
2(C
2H
4OCH
3)(CH
3)]
+、[NH(シクロヘキシル)
2(CH
3)]
+、[NH(シクロヘキシル)(CH
3)
2]
+、プロトン化N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、プロトン化N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレン-1,3-ジアミン、プロトン化ピペリジン、プロトン化N-メチルピペリジン、プロトン化2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、プロトン化N-メチル-2,6,6-テトラメチルピペリジン、プロトン化N-メチル-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、プロトン化モルホリン及びプロトン化N-メチルモルホリンからなる群、特にNa
+、K
+、[NH(C
2H
5)
3]
+、[NH(CH
2CH
2CH
2CH
3)
3]
+及び[NH(C
2H
5)(CH(CH
3)
2]
+から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記塩基は、アルカリ金属水酸化物、式NR
1R
2R
3(式中、R
1、R
2及びR
3は、互いに独立して、水素、C
1~C
6-アルキル、C
3~C
6-シクロアルキル、C
1~C
4-アルコキシ及びC
1~C
4-アルコキシ-C
1~C
4-アルキルからなる群から選択され、R
1、R
2及びR
3の少なくとも1つは、水素ではない)のアミン、式NR
1R
2-A-NR
3R
4(式中、R
1、R
2、R
3及びR
4は、互いに独立して、水素、C
1~C
6-アルキル、C
3~C
6-シクロアルキル、C
1~C
4-アルコキシ及びC
1~C
4-アルコキシ-C
1~C
4-アルキルからなる群から選択され、及びAは、(CH
2)
2又は(CH
2)
3である)のジアミン並びに1つの窒素原子を環員として含み、且つ任意選択でN及びOから選択される1つの更なるヘテロ原子を環員として含む5又は6員飽和複素環であって、1~6つのC
1~C
4-アルキル基及び/又は1若しくは2つのOH基を有し得る5又は6員飽和複素環からなる群から選択され、前記塩基は、支持された形態で使用され得、
前記塩基は、好ましくは、LiOH、NaOH、KOH、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、エチル-tert-ブチルアミン、イソプロピル-tert-ブチルアミン、(2-メトキシエチル)メチルアミン、N,N-ジシクロヘキシルメチルアミン、N-シクロヘキシルジメチルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレン-1,3-ジアミン、ピペリジン、N-メチルピペリジン、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、N-メチル-2,6,6-テトラメチルピペリジン、N-メチル-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、モルホリン及びN-メチルモルホリンからなる群、特にNaOH、KOH、トリエチルアミン、トリブチルアミン及びジイソプロピルエチルアミンから選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ギ酸は、還元剤として使用され、ギ酸及び前記塩基は、100:1~1:10、好ましくは10:1~1:5、特に10:1~1:2、具体的には5:1~1:1のモル比で使用される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記キラル遷移金属触媒は、第VIII族金属触媒、好ましくは第8族又は第9族金属触媒から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記キラル遷移金属触媒は、Ru、Rh及びIr触媒、特にRh及びIr触媒から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記キラル遷移金属触媒は、遷移金属含有量に基づいて計算されて、前記化合物1の1モルに対して0.01~10モル%、好ましくは0.05~5モル%の量で使用される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記キラル遷移金属触媒は、前記遷移金属含有量に基づいて計算されて、前記化合物1の1モルに対して0.1~5モル%、特に0.1~2モル%の量で使用される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記キラル遷移金属触媒は、予め形成され、且つ遷移金属に配位された1つ以上のキラル配位子を含むか、又は遷移金属前駆体化合物と1つ以上のキラル配位子との反応によってインサイチューで形成されるかのいずれかである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記キラル遷移金属触媒は、遷移金属に配位された1つ以上のキラル配位子を含み、前記キラル配位子は、二座アミン系キラル配位子からなる群から選択され、前記キラル配位子は、特にキラル1,2-ジフェニル-エチレン-1,2-ジアミン、1,2-シクロヘキサンジアミン及び1,2-ビス(メチルアミノ)シクロヘキサンからなる群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記キラル遷移金属触媒は、遷移金属に配位された1つ以上のキラル配位子を含み、前記キラル配位子は、キラル形態の、式(II)
【化3】
(式中、
アスタリスクは、立体中心を示し、
R
5及びR
6は、互いに独立して、OH、ハロゲン、C
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択され、
R
7及びR
8は、互いに独立して、水素、C
1~C
4-アルキル、-L-フェニルからなる群から選択され、前記フェニル環は、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシ並びにSO
2R
9からなる群から選択される1、2、3、4又は5つの置換基を有し得、
Lは、C
2~C
6-アルキレン、C
1~C
3-アルキレン-O-(CH
2)
p(式中、pは、0、1又は2である)及びC
1~C
3-アルキレン-(1,2-フェニレン)-(CH
2)
r(式中、rは、0、1又は2である)からなる群から選択されるリンカーであり、
R
9は、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル、フェニル、フェニル-C
1~C
3-アルキル(式中、前記2つの前述された基中のフェニルは、ハロゲン、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2、3、4又は5つの置換基を有し得る)、ナフチル及びNR
10R
11からなる群から選択され、
R
10は、水素又はC
1~C
4-アルキルであり、
R
11は、フェニル-C
1~C
3-アルキルであり、前記フェニル環は、ハロゲン、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2、3、4又は5つの置換基を有し得、及び
m及びnは、互いに独立して、0、1、2、3、4又は5である)
の1,2-ジフェニル-エチレン-1,2-ジアミンからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記キラル遷移金属触媒は、遷移金属に配位された1つ以上のキラル配位子を含み、前記キラル配位子は、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のDPEN、TsDPEN、CF
3TsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、FsDPEN、TripsMesitylDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN、TsDiOMeDPEN又は前記式(II)(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、前記2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択され、
前記キラル遷移金属触媒は、特に、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のDPEN、TsDPEN、CF
3TsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、FsDPEN、TripsMesitylDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN、TsDiOMeDPEN又は前記式(II)、(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、前記2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択される少なくとも1つのキラル配位子とを含む触媒から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記キラル遷移金属触媒は、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のDPEN、TsDPEN、CF
3TsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、FsDPEN、TripsMesitylDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN及びTsDiOMeDPENからなる群から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒並びに中心金属としてのRuと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態の前記式(II)(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、前記2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0であり)の前記化合物から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒から選択され、
前記キラル遷移金属触媒は、好ましくは、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のTsDPEN、CF
3TsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN及びTsDiOMeDPENからなる群から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒並びに中心金属としてのRuと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態の前記式(II)(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、且つm及びnは、0である)の前記化合物から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
R
7及びR
8のいずれも-L-フェニル又はSO
2R
9ではなく、R
9がフェニル-C
1~C
3-アルキル又はNR
10R
11である場合、前記触媒は、芳香環、好ましくはCp、Cp*、ベンゼン、p-シメン、メシチレン及びヘキサメチルベンゼン、特にCp*、ベンゼン、p-シメン、メシチレン及びヘキサメチルベンゼン、具体的にはCp*、p-シメン及びメシチレンから選択される配位子を追加的に含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
式(I-S)
【化4】
の2-[(2S)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン又はその互変異性体を少なくとも55%ee、好ましくは少なくとも60%ee、より好ましくは少なくとも70%ee、特に少なくとも80%ee、具体的には少なくとも90%eeのエナンチオマー過剰率で調製することであって、好ましくは、(1S,2S)-DPEN、(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-CF
3TsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN、(1S,2S)-MeMsDPEN、(1S,2S)-MeTsDPEN、(1S,2S)-FsDPEN、(1S,2S)-TripsMesitylDPEN、(1S,2S)-CsDPEN、(1S,2S)-MesitylDPEN、(1S,2S)-RsDPEN、(1S,2S)-TsDiOMeDPEN及び(1S,2S)形態の前記式(II)(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、前記2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択されるキラル配位子を含むキラル遷移金属触媒が使用され、
好ましくは、前記キラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1S,2S)-DPEN、(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-CF
3TsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN、(1S,2S)-MeMsDPEN、(1S,2S)-MeTsDPEN、(1S,2S)-FsDPEN、(1S,2S)-TripsMesitylDPEN、(1S,2S)-CsDPEN、(1S,2S)-MesitylDPEN、(1S,2S)-RsDPEN、(1S,2S)-TsDiOMeDPEN及び(1S,2S)形態の前記式(II)(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、前記2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択されるキラル配位子を含む、調製すること、又は
式(I-R)
【化5】
の2-[(2R)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン又はその互変異性体を少なくとも55%ee、好ましくは少なくとも60%ee、より好ましくは少なくとも70%ee、特に少なくとも80%ee、具体的には少なくとも90%eeのエナンチオマー過剰率で調製することであって、好ましくは、(1R,2R)-DPEN、(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-CF
3TsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN、(1R,2R)-MeMsDPEN、(1R,2R)-MeTsDPEN、(1R,2R)-FsDPEN、(1R,2R)-TripsMesitylDPEN、(1R,2R)-CsDPEN、(1R,2R)-MesitylDPEN、(1R,2R)-RsDPEN、(1R,2R)-TsDiOMeDPEN及び(1R,2R)形態の前記式(II)(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、前記2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択されるキラル配位子を含むキラル遷移金属触媒が使用され、
好ましくは、前記キラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1R,2R)-DPEN、(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-CF
3TsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN、(1R,2R)-MeMsDPEN、(1R,2R)-MeTsDPEN、(1R,2R)-FsDPEN、(1R,2R)-TripsMesitylDPEN、(1R,2R)-CsDPEN、(1R,2R)-MesitylDPEN、(1R,2R)-RsDPEN、(1R,2R)-TsDiOMeDPEN及び(1R,2R)形態の前記式(II)(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、前記2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択されるキラル配位子を含む、調製すること
のための、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記式(I-S)の2-[(2S)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン又はその互変異性体を少なくとも70%ee、好ましくは少なくとも80%ee、特に少なくとも90%eeのエナンチオマー過剰率で調製することであって、前記キラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1S,2S)-DPEN、(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-CF
3TsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN、(1S,2S)-MeMsDPEN、(1S,2S)-MeTsDPEN、(1S,2S)-FsDPEN、(1S,2S)-TripsMesitylDPEN、(1S,2S)-CsDPEN、(1S,2S)-MesitylDPEN、(1S,2S)-RsDPEN、(1S,2S)-TsDiOMeDPENからなる群から選択されるキラル配位子を含むか、又は中心金属としてのRuと、(1S,2S)形態の前記式(II)(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、前記2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の前記化合物から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒であり、
好ましくは、前記キラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-CF
3TsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN、(1S,2S)-MeMsDPEN、(1S,2S)-MeTsDPEN、(1S,2S)-CsDPEN、(1S,2S)-MesitylDPEN、(1S,2S)-RsDPEN及び(1S,2S)-TsDiOMeDPENからなる群から選択されるキラル配位子を含むか、又は中心金属としてのRuと、(1S,2S)形態の前記式(II)(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、且つm及びnは、0である)の前記化合物から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒である、調製すること、又は
前記式(I-R)の2-[(2R)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン又はその互変異性体を少なくとも70%ee、好ましくは少なくとも80%ee、特に少なくとも90%eeのエナンチオマー過剰率で調製することであって、前記キラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1R,2R)-DPEN、(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-CF
3TsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN、(1R,2R)-MeMsDPEN、(1R,2R)-MeTsDPEN、(1R,2R)-FsDPEN、(1R,2R)-TripsMesitylDPEN、(1R,2R)-CsDPEN、(1R,2R)-MesitylDPEN、(1R,2R)-RsDPEN及び(1R,2R)-TsDiOMeDPENからなる群から選択されるキラル配位子を含むか、又は中心金属としてのRuと、(1R,2R)形態の前記式(II)(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1-C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、前記2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の前記化合物から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒であり、
好ましくは、前記キラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-CF
3TsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN、(1R,2R)-MeMsDPEN、(1R,2R)-MeTsDPEN、(1R,2R)-CsDPEN、(1R,2R)-MesitylDPEN、(1R,2R)-RsDPEN及び(1R,2R)-TsDiOMeDPENからなる群から選択されるキラル配位子を含むか、又は中心金属としてのRuと、(1R,2R)形態の前記式(II)(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、且つm及びnは、0である)の前記化合物から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒である、調製すること
のための、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記反応中、CO
2と異なり、且つ好ましくはアルゴン、窒素及び酸素と窒素との混合物であって、前記酸素/窒素混合物の総量に対して1~8体積%の酸素を含む混合物からなる群から選択されるガスは、反応混合物を通してスパージングされるか、又は代替的若しくは追加的に、前記反応は、減圧下で行われる、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記反応は、ジエチルホスファイト、ホウ酸エステル及び亜鉛塩からなる群から選択される添加剤の存在下、特にジエチルホスファイト又は亜鉛塩の存在下で行われ、好ましくは、前記添加剤は、添加剤と前記化合物1とのモル比が1:10000~10:1、特に1:10000~1:50の範囲であるような量で使用される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
式(I)
【化6】
(式中、アスタリスク*は、立体中心を示す)
の2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン又はそのエナンチオマー濃縮形態若しくはその互変異性体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、以下に示される式(I)の2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン又はその互変異性体若しくはそのエナンチオマー濃縮形態を調製する方法、以下に示される式(I)の2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン又はその互変異性体若しくはそのエナンチオマー濃縮形態並びに2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジニウム化合物、特に3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレート及びそのエナンチオマー濃縮形態の調製における中間体としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン(I)(又はその互変異性体)は、2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジニウム化合物、より具体的には3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレート及びそのエナンチオマー濃縮形態の調製において、2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンがエナンチオマー濃縮形態で使用される場合、価値のある中間体であることが見出された。前記ピリミニジウム化合物は、殺虫特性を有し、例えば国際公開第2018/177970号パンフレット又は国際公開第2014/167084号パンフレットから公知である。
【0003】
これらのピリミニジウム化合物を調製するためのこれまでに知られている方法は、面倒であり、依然として満足のいくものではない。
【0004】
国際公開第2018/177970号パンフレット、国際公開第2018/197541号パンフレット及び国際公開第2018/202654号パンフレットでは、非ラセミ2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジニウム化合物は、非ラセミ4-ヘテロアリール置換チアゾリジン-2-イミンと2-置換マロン酸誘導体との反応によって調製される。
【0005】
国際公開第2018/177970号パンフレット及び国際公開第2018/197541号パンフレットでは、非ラセミ4-ヘテロアリール置換チアゾリジン-2-イミンは、2位に脱離基を有する1-ヘテロアリール置換エタンイミンの触媒不斉水素化によって調製される。次いで、得られたアミンをイソチオシアナートと反応させてチアゾリジン-2-イミンを得る。反応順序は、国際公開第2018/197541号パンフレットに以下のように記載されている。
【化1】
R
Aは、スルファニル基又はスルフィニル基、ホスホロキシ基、アルコキシ基又はベンジル基であり、Hetは、任意選択で置換されているピリジン-3-イル、チアゾール-5-イル又はピリミジン-5-イルであり、W及びLGは、脱離基であり、R
1は、(シクロ)脂肪族基であり、R
2は、5又は6員炭素又は複素環である。
【0006】
国際公開第2018/177970号パンフレットでは、アミンVIIは、対応するスルフィニルイミンから別の反応経路を介して得られる。国際公開第2018/177970号パンフレット及び国際公開第2018/202654号パンフレットは、非ラセミ4-ヘテロアリール置換チアゾリジン-2-イミンへの更なるアクセスを記載している。これは、本明細書では、ヘテロアリールメチルケトンから開始して調製され、ここで、メチル基は、脱離基を有し、この脱離基のアルキルカルボニルオキシ基への変換、後者のヒドロキシル基への加水分解、得られたヘテロアリールヒドロキシメチルケトンとスルファモイルハライドとの4-ヘテロアリール-5H-オキサチアゾール2,2-ジオキシドへの反応、後者を接触不斉水素化に供して非ラセミ4-ヘテロアリールオキサチアゾリジン2,2-ジオキシドを得ること及びそのイソチオシアナートとのチアゾリジン-2-イミンへの反応である。反応順序は、国際公開第2018/202654号パンフレットに以下のように記載されている。
【化2】
【0007】
Hetは、任意選択で置換されているピリジン-3-イル、チアゾール-5-イル又はピリミジン-5-イルであり、W及びLGは、脱離基であり、M2は、Li、Na、K、Al、Ba、Cs、Ca又はMgであり、RACは、アルキルカルボニルであり、X1は、ハロゲンであり、R1は、(シクロ)脂肪族基であり、R2は、5又は6員炭素又は複素環である。
【0008】
しかしながら、これらの方法は、あまり経済的ではない。一部の試薬は、高価であり、消費されないか又は完全に消費されない一部の試薬のリサイクルは、困難であり、全体的な収率は、満足のいくものではなく、多すぎる反応工程が関与する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを調製するための経済的なプロセス、特に高い選択性でS又はRエナンチオマーを生じるそのエナンチオマー濃縮形態を調製するためのプロセスを提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この問題は、エナンチオマー濃縮形態の、式(I):
【化3】
(式中、アスタリスク*は、立体中心を示す)
の2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン又はその互変異性体を調製する方法によって解決され、方法は、式1
【化4】
の2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン又はその互変異性体を、キラル遷移金属触媒及び任意選択で塩基の存在下において、ギ酸HC(=O)OH、式HC(=O)O
-M
+のホルマート及びギ酸HC(=O)OHと式HC(=O)O
-M
+の1つ以上のホルマートとの混合物(式中、M
+は、カチオン当量である)からなる群から選択される還元剤で還元することであって、還元剤としてギ酸が使用される場合、反応は、塩基の存在下で行われる、還元することを行って、エナンチオマー濃縮形態の式(I)のピリミジノン又はその互変異性体を得ることを含む。
【0011】
本発明は、2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン(I)
【化5】
又はその互変異性体及びそのエナンチオマー濃縮形態に更に関する。この式(I)及び本発明の方法との関連において上に示した式(I)は、均等であり、本発明の方法との関連において示される式(I)は、しかしながら、分子の立体中心をより明確に示す。
【0012】
本発明は、2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジニウム化合物、特に3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレート及びそのエナンチオマー濃縮形態の調製における中間体としての、2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン(I)又はその互変異性体若しくはそのエナンチオマー濃縮形態の使用にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
定義
式(I)の2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン又はエナンチオマー濃縮形態の化合物(I)の「エナンチオマー濃縮形態」及び同様の用語は、Sエナンチオマー若しくはRエナンチオマーのいずれかが優勢であるか、又は単なる立体異性体として存在する非ラセミ化合物(I)を示す。化合物(I)は、OH基を有する脂肪族炭素原子にあり、アスタリスクでマークされた単一の立体中心を有する。
【0014】
M+は、カチオン当量である。これは、金属カチオン又はアンモニウムカチオンを表す(この場合、アンモニウムは、適切な意味でアンモニウムカチオンNH4
+を表すが、置換アンモニウムカチオンも表す)。二重又は三重電荷を有するカチオンの場合、カチオン当量は(Mn+)1/nとして表すことができ、ここでnは電荷数である。
【0015】
本発明に関連して、ホルマートは、ギ酸の塩(HC(=O)O-M+(式中、M+は、カチオン当量である))である。この用語は、ギ酸のアニオン(HC(=O)O-)を表すこともできる。しかしながら、本発明に関連して、この用語は、特に明記しない限り、エステルを意味しない。
【0016】
以下で言及される有機部分は、ハロゲンという用語と同様に、個々の群メンバーの個々の列挙に対する総称である。接頭辞Cn~Cmは、各場合において、その基に可能な炭素原子数を表している。
【0017】
ハロゲンという用語は、それぞれの場合にフッ素、臭素、塩素又はヨウ素を指し、特にフッ素、塩素又は臭素を指す。
【0018】
本明細書及びアルコキシのアルキル部分で使用される「アルキル」という用語は、1~3つ(「C1~C3アルキル」、1~4つ(「C1~C4アルキル」又は1~6つ(「C1~C6アルキル」)の炭素原子を有する飽和直鎖(直鎖)又は分岐炭化水素基を指す。C1~C3-アルキルは、1~3つの炭素原子を有する飽和直鎖又は分岐鎖脂肪族基を表す。例は、メチル、エチル、n-プロピル又はイソプロピルである。C1~C4アルキルは、1~4つの炭素原子を有する飽和直鎖又は分岐鎖脂肪族基を示す。例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル及びtert-ブチルである。C1~C6アルキルは、1~6つの炭素原子を有する飽和直鎖又は分岐鎖脂肪族基を表す。例は、C1~C4アルキル、ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1-メチルプロピル又は1-エチル-2-メチルプロピルについて述べたものに加えてである。
【0019】
「部分的又は完全にハロゲン化されたアルキル」としても表すことができる、本明細書で使用される「C1~C4ハロアルキル」という用語は、1~4つの炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル基(上記の通り)を指し、これらの基の水素原子の一部又は全部は、上記の通りハロゲン原子で置き換えられている。例は、クロロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロフルオロメチル、ジクロロフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、1-クロロエチル、1-ブロモエチル、1-フルオロエチル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2-クロロ-2-フルオロエチル、2-クロロ-2,2-ジフルオロエチル、2,2-ジクロロ-2-フルオロエチル、2,2,2-トリクロロエチル又はペンタフルオロエチルである。C1~C3ハロアルキルは、更に、例えば1-フルオロプロピル、2-フルオロプロピル、3-フルオロプロピル、1,1-ジフルオロプロピル、2,2-ジフルオロプロピル、1,2-ジフルオロプロピル、3,3-ジフルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、ヘプタフルオロプロピル、1,1,1-トリフルオロプロパ-2-イル、3-クロロプロピル、4-クロロブチルなどである。
【0020】
本明細書で使用される「C3~C6シクロアルキル」という用語は、(唯一の)環員として3~6つの炭素原子を有する単環式飽和炭化水素基を指す。例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルである。
【0021】
C6~C10ビシクロアルキルという用語は、(唯一の)環員として6~10個の炭素原子を含む二環式架橋飽和炭化水素基を指す。例は、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[3.1.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.2.1]オクチルなどである。
【0022】
アルキル及び/又はオキソで置換されたC6~C10ビシクロアルキルの例は、7,7-ジメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-1-イル及び7,7-ジメチル-2-オキソ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-1-イルである。
【0023】
C6~C10ビシクロアルキル-C1~C3アルキルという用語は、1つの水素原子が上に定義されるC6~C10ビシクロアルキル基で置き換えられている、上に定義される1~3つの炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル基を指す。
【0024】
「C1~C4アルコキシ」という用語は、酸素原子を介して分子の残部に結合した、上で定義したC1~C4アルキル基を指す。例は、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、1-メチルエトキシ(イソプロポキシ)、n-ブトキシ、1-メチルプロポキシ(sec-ブトキシ)、2-メチルプロポキシ(イソブトキシ)又は1,1-ジメチルエトキシ(tert-ブトキシ)である。
【0025】
「C1~C4-アルコキシ-C1~C4-アルキル」という用語は、1つの水素原子が上に定義されるC1~C4-アルコキシ基で置き換えられている、上に定義される1~4つの炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル基を指す。例としては、メトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、イソプロポキシメチル、n-ブトキシメチル、sec-ブトキシメチル、イソブトキシメチル、tert-ブトキシメチル、1-メトキシエチル、1-エトキシエチル、1-プロポキシエチル、1-イソプロポキシエチル、1-n-ブトキシエチル、1-sec-ブトキシエチル、1-イソブトキシエチル、1-tert-ブトキシエチル、2-メトキシエチル、2-エトキシエチル、2-プロポキシエチル、2-イソプロポキシエチル、2-n-ブトキシエチル、2-sec-ブトキシエチル、2-イソブトキシエチル、2-tert-ブトキシエチル、1-メトキシプロピル、1-エトキシプロピル、1-プロポキシプロピル、1-イソプロポキシプロピル、1-n-ブトキシプロピル、1-sec-ブトキシプロピル、1-イソブトキシプロピル、1-tert-ブトキシプロピル、2-メトキシプロピル、2-エトキシプロピル、2-プロポキシプロピル、2-イソプロポキシプロピル、2-n-ブトキシプロピル、2-sec-ブトキシプロピル、2-イソブトキシプロピル、2-tert-ブトキシプロピル、3-メトキシプロピル、3-エトキシプロピル、3-プロポキシプロピル、3-イソプロポキシプロピル、3-n-ブトキシプロピル、3-sec-ブトキシプロピル、3-イソブトキシプロピル、3-tert-ブトキシプロピル等である。
【0026】
「フェニル-C1~C3-アルキル」は、1つの水素原子がフェニル環(換言すればC1~C3-アルキレンリンカーを介して分子の残りの部分に結合したフェニル基)で置き換えられている、(上記のように)1~3つの炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル基を指す。
【0027】
アルキレンは、直鎖又は分岐鎖の二価アルカンジイル基である。C1~C3-アルキレンは、1、2又は3つの炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖の二価アルキル基である。例としては、以下のものが挙げられる:-CH2-、-CH2CH2-、-CH(CH3)-、-CH2CH2CH2-、-CH(CH3)CH2-、-CH2CH(CH3)-及び-C(CH3)2-。C2~C6-アルキレンは、2、3、4、5又は6つの炭素原子を有する直鎖又は分岐二価アルキル基である。例は、-CH2CH2-、-CH(CH3)-、-CH2CH2CH2-、-CH(CH3)CH2-、-CH2CH(CH3)-、-C(CH3)2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH(CH3)CH2CH2-、-CH2CH2CH(CH3)-、-C(CH3)2CH2-、-CH2C(CH3)2-、-(CH2)5-、-(CH2)6-及びそれらの位置異性体である。
【0028】
直鎖C3-C6-アルキレンは、-(CH2)3-、-(CH2)4-、-(CH2)5-又は-(CH2)6-である。
【0029】
環員として1つの窒素原子を含み、任意選択で、環員としてN及びOから選択される1つの更なるヘテロ原子を含む5又は6員飽和複素環は、例えばピロリジン、ピラゾリジン、イミダゾリジン、オキサゾリジン、イソオキサゾリジン、ピペリジン、ピペラジン又はモルホリンである。
【0030】
オキソは、=Oであり、すなわち、置換基「オキソ」は、CH2基をC(=O)基で置き換える。
【0031】
第VIII族金属触媒は、中心金属として元素周期系の第VIII族からの金属を有する触媒を指す。第VIII族は、1985より前に有効なIUPACグループ定義に関し、現在のIUPACグループ指定の第8、9及び10に対応する。
【0032】
化合物(I)は、その互変異性体又は異なる互変異性形態の混合物として存在し得る。上記の式(I)の化合物の互変異性体の例は、以下の式である。
【化6】
【0033】
異なる互変異性形態の混合物は、例えば、この互変異性体、式(I)として上に示した互変異性体の混合物である。
【0034】
化合物1は、その互変異性体又は異なる互変異性形態の混合物としても存在し得る。上記の式1の化合物の互変異性体の例は、以下の式である。
【化7】
【0035】
異なる互変異性形態の混合物は、例えば、この互変異性体、式1として上に示した互変異性体の混合物である。
【0036】
簡単にするために、以下では化合物(I)及び1のみが言及される。それにもかかわらず、全ての実施形態は、それらの互変異性体及びそれらの異なる互変異性形態の混合物にも関する。
【0037】
発明の実施形態(E.x)
一般的及び好ましい実施形態E.xを以下の非網羅的なリストに要約する。更なる好ましい実施形態は、このリストに続く段落から明らかになる。
E.1.エナンチオマー濃縮形態の、式(I):
【化8】
(式中、アスタリスク*は、立体中心を示す)
の2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを調製する方法であって、式1
【化9】
の2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを、キラル遷移金属触媒及び任意選択で塩基の存在下において、ギ酸HC(=O)OH、式HC(=O)O
-M
+のホルマート及びギ酸HC(=O)OHと式HC(=O)O
-M
+の1つ以上のホルマートとの混合物(式中、M
+は、カチオン当量である)からなる群から選択される還元剤で還元することであって、還元剤としてギ酸が使用される場合、反応は、塩基の存在下で行われる、還元することを行って、エナンチオマー濃縮形態の式(I)のピリミジノンを得ることを含む方法。
E.2.M
+は、アルカリ金属カチオン、式[NHR
1R
2R
3]
+(式中、R
1、R
2及びR
3は、互いに独立して、水素、C
1~C
6-アルキル、C
3~C
6-シクロアルキル、C
1~C
4-アルコキシ及びC
1~C
4-アルコキシ-C
1~C
4-アルキルからなる群から選択される)のアンモニウムカチオン、式NR
1R
2-A-NR
3R
4(式中、R
1、R
2、R
3及びR
4は、互いに独立して、水素、C
1~C
6-アルキル、C
3~C
6-シクロアルキル、C
1~C
4-アルコキシ及びC
1~C
4-アルコキシ-C
1~C
4-アルキルからなる群から選択され、及びAは、(CH
2)
2又は(CH
2)
3である)のプロトン化ジアミン並びに1つの窒素原子を環員として含み、且つ任意選択でN及びOから選択される1つの更なるヘテロ原子を環員として含むプロトン化5又は6員飽和複素環であって、1~6つのC
1~C
4-アルキル基及び/又は1若しくは2つのOH基を有し得るプロトン化5又は6員飽和複素環からなる群から選択される、実施形態E.1に記載の方法。
E.3.M
+は、Li
+、Na
+、K
+、Cs
+、NH
4
+、[NH
2(C
2H
5)
2]
+、[NH(C
2H
5)
3]
+、[NH(CH
2CH
2CH
2CH
3)
3]
+、[NH(C
2H
5)(CH(CH
3)
2]
+、[NH(CH
3)
2(CH(CH
3)]
+、[NH
2(C
2H
5)(C(CH
3)
3]
+、[NH
2(CH(CH
3)
2)(C(CH
3)
3]
+、[NH
2(C
2H
4OCH
3)(CH
3)]
+、[NH(シクロヘキシル)
2(CH
3)]
+、[NH(シクロヘキシル)(CH
3)
2]
+、プロトン化N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、プロトン化N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレン-1,3-ジアミン、プロトン化ピペリジン、プロトン化N-メチルピペリジン、プロトン化2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、プロトン化N-メチル-2,6,6-テトラメチルピペリジン、プロトン化N-メチル-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、プロトン化モルホリン及びプロトン化N-メチルモルホリンからなる群から選択される、実施形態E.2に記載の方法。
E.4.M
+は、式[NHR
1R
2R
3]
+(式中、R
1、R
2及びR
3は、互いに独立して、水素及びC
1~C
6-アルキルからなる群から選択され、好ましくは、R
1、R
2及びR
3の少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つは、C
1~C
6-アルキルである)のアルカリ金属カチオン及びアンモニウムカチオンからなる群から選択される、実施形態E.2に記載の方法。
E.5.M
+は、Na
+、K
+[NH(C
2H
5)
3]
+、[NH(CH
2CH
2CH
2CH
3)
3]
+及び[NH(C
2H
5)(CH(CH
3)
2]
+からなる群から選択される、実施形態E.3又はE.4のいずれかに記載の方法。
E.6.M
+は、[NH(C
2H
5)
3]
+、[NH(CH
2CH
2CH
2CH
3)
3]
+及び[NH(C
2H
5)(CH(CH
3)
2]
+からなる群から選択される、実施形態E.3~E.5のいずれかに記載の方法。
E.7.M
+は、Na
+又はK
+である、実施形態E.3~E.5のいずれかに記載の方法。
E.8.塩基は、アルカリ金属水酸化物、式NR
1R
2R
3(式中、R
1、R
2及びR
3は、互いに独立して、水素、C
1~C
6-アルキル、C
3~C
6-シクロアルキル、C
1~C
4-アルコキシ及びC
1~C
4-アルコキシ-C
1~C
4-アルキルからなる群から選択され、R
1、R
2及びR
3の少なくとも1つは、水素ではない)のアミン、式NR
1R
2-A-NR
3R
4(式中、R
1、R
2、R
3及びR
4は、互いに独立して、水素、C
1~C
6-アルキル、C
3~C
6-シクロアルキル、C
1~C
4-アルコキシ及びC
1~C
4-アルコキシ-C
1~C
4-アルキルからなる群から選択され、及びAは、(CH
2)
2又は(CH
2)
3である)のジアミン、1つの窒素原子を環員として含み、且つ任意選択でN及びOから選択される1つの更なるヘテロ原子を環員として含む5又は6員飽和複素環であって、1~6つのC
1~C
4-アルキル基及び/又は1若しくは2つのOH基を有し得る5又は6員飽和複素環からなる群から選択される、実施形態E.1~E.7のいずれかに記載の方法。
E.9.塩基は、LiOH、NaOH、KOH、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、エチル-tert-ブチルアミン、イソプロピル-tert-ブチルアミン、(2-メトキシエチル)メチルアミン、N,N-ジシクロヘキシルメチルアミン、N-シクロヘキシルジメチルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレン-1,3-ジアミン、ピペリジン、N-メチルピペリジン、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、N-メチル-2,6,6-テトラメチルピペリジン、N-メチル-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、モルホリン及びN-メチルモルホリンからなる群から選択され、塩基は、支持された形態(すなわち支持材料上)で使用され得る、実施形態E.8に記載の方法。
E.10.塩基は、式NR
1R
2R
3(式中、R
1、R
2及びR
3は、互いに独立して、水素及びC
1~C
6-アルキルからなる群から選択され、R
1、R
2及びR
3の少なくとも1つは、C
1~C
6-アルキルである)のアミンからなる群から選択される、実施形態E.8に記載の方法。
E.11.塩基は、トリエチルアミン、トリブチルアミン及びジイソプロピルエチルアミンからなる群から選択される、実施形態E.9又はE.10のいずれかに記載の方法。
E.12.塩基は、NaOH及びKOHからなる群から選択される、実施形態E.9に記載の方法。
E.13.ギ酸は、還元剤として使用され、ギ酸及び塩基は、100:1~1:10のモル比で使用される、実施形態E1.~E.12のいずれかに記載の方法。
E.14.ギ酸及び塩基は、10:1~1:5のモル比で使用される、実施形態E.13に記載の方法。
E.15.ギ酸及び塩基は、10:1~1:2のモル比で使用される、実施形態E.14に記載の方法。
E.16.ギ酸及び塩基は、5:1~1:5のモル比で使用される、実施形態E.15に記載の方法。
E.17.ギ酸及び塩基は、5:1~1:1のモル比で使用される、実施形態E.16に記載の方法。
E.18.化合物1及び還元剤は、1:1~1:10のモル比で使用される、実施形態E.1~E.17のいずれかに記載の方法。
E.19.化合物1及び還元剤は、1:1~1:5のモル比で使用される、実施形態E.18に記載の方法。
E.20.キラル遷移金属触媒において、1つ以上のキラル配位子は、中心遷移金属に配位結合されている、実施形態E.1~E.19のいずれかに記載の方法。
E.21.キラル遷移金属触媒は、第VIII族金属触媒から選択される、実施形態E.1~E.20のいずれかに記載の方法。
E.22.キラル遷移金属触媒は、第8族及び第9族金属触媒から選択される、実施形態E.21に記載の方法。
E.23.キラル遷移金属触媒は、Ru触媒、Rh触媒及びIr触媒から選択される、実施形態E.22に記載の方法。
E.24.キラル遷移金属触媒は、Rh触媒及びIr触媒から選択される実施形態E.23に記載の方法。
E.25.キラル遷移金属触媒は、遷移金属含有量に基づいて計算されて、化合物1の1モルに対して0.01~10モル%の量で使用される、実施形態E.1~E.24のいずれかに記載の方法。
E.26.キラル遷移金属触媒は、遷移金属含有量に基づいて計算されて、化合物1の1モルに対して0.05~5モル%の量で使用される、実施形態E.25に記載の方法。
E.27.キラル遷移金属触媒は、遷移金属含有量に基づいて計算されて、化合物1の1モルに対して0.1~5モル%の量で使用される、実施形態E.26に記載の方法。
E.28.キラル遷移金属触媒は、遷移金属含有量に基づいて計算されて、化合物1の1モルに対して0.1~2モル%の量で使用される、実施形態E.27に記載の方法。
E.29.キラル遷移金属触媒は、予め形成され、且つ遷移金属に配位された1つ以上のキラル配位子を含むか、又は遷移金属前駆体化合物と1つ以上のキラル配位子との反応によってインサイチューで形成されるかのいずれかである、実施形態E.1~E.28に記載の方法。
E.30.キラル配位子は、二座アミン系キラル配位子からなる群から選択される、実施形態E.29に記載の方法。
E.31キラル配位子は、キラル1,2-ジフェニル-エチレン-1,2-ジアミン、1,2-シクロヘキサンジアミン及び1,2-ビス(メチルアミノ)シクロヘキサンからなる群から選択される、実施形態E.30に記載の方法。
E.32.キラル配位子は、キラル1,2-ジフェニル-エチレン-1,2-ジアミンからなる群から選択される、実施形態E.31に記載の方法。
E.33.キラル配位子は、キラル形態の、式(II)
【化10】
(式中、
アスタリスクは、立体中心を示し、
R
5及びR
6は、互いに独立して、OH、ハロゲン、C
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択され、
R
7及びR
8は、互いに独立して、水素、C
1~C
4-アルキル、-L-フェニルからなる群から選択され、フェニル環は、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシ並びにSO
2R
9からなる群から選択される1、2、3、4又は5つの置換基を有し得、
Lは、C
2~C
6-アルキレン、C
1~C
3-アルキレン-O-(CH
2)
p(式中、pは、0、1又は2である)及びC
1~C
3-アルキレン-(1,2-フェニレン)-(CH
2)
r(式中、rは、0、1又は2である)からなる群から選択されるリンカーであり、
R
9は、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル、フェニル、フェニル-C
1~C
3-アルキル(式中、2つの前述された基中のフェニルは、ハロゲン、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2、3、4又は5つの置換基を有し得る)、ナフチル、C
6~C
10-ビシクロアルキル-C
1~C
3-アルキル(ここで、ビシクロアルキル環は、C
1~C
4-アルキル及びオキソからなる群から選択される1、2、3、4又は5つの置換基で置換され得る)及びNR
10R
11からなる群から選択され、
R
10は、水素又はC
1~C
4-アルキルであり、
R
11は、フェニル-C
1~C
3-アルキルであり、フェニル環は、ハロゲン、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2、3、4又は5つの置換基を有し得、及び
m及びnは、互いに独立して、0、1、2、3、4又は5である)
の1,2-ジフェニル-エチレン-1,2-ジアミンからなる群から選択される、実施形態E.32に記載の方法。
E.34.化合物(II)において、
R
5及びR
6は、C
1~C
4-アルコキシであり、
R
7及びR
8の一方は、水素、C
1~C
4-アルキル及び-L-フェニルからなる群から選択され、フェニルは、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2、3、4又は5つの置換基を有し得、R
7及びR
8の他方は、水素及びSO
2R
9からなる群から選択され、
Lは、直鎖C
3-C
6-アルキレン、(CH
2)
o-O-(CH
2)
p(式中、p及びoは、独立して、1又は2である)及び(CH
2)
q-(1,2-フェニレン)-(CH
2)
r(式中、q及びrは、独立して、0、1又は2であり、q及びrの少なくとも一方は、0ではない)からなる群から選択されるリンカーであり、
R
9は、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル、ハロゲン、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2、3、4又は5つの置換基を有し得るフェニル、C
7-ビシクロアルキル-メチル(ここで、ビシクロアルキル環は、C
1~C
4-アルキル及びオキソからなる群から選択される1、2又は3つの置換基によって置換され得る)及びNR
10R
11からなる群から選択され、
R
10は、水素又はC
1~C
4-アルキルであり、
R
11は、フェニル-(CH
2)
s-アルキルであり、sは、2又は3であり、フェニル環は、ハロゲン、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2、3、4又は5つの置換基を有し得、
m及びnは、両方とも0又は両方とも1であり、好ましくは両方とも0である、実施形態E.33に記載の方法。
E.35.キラル配位子は、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のDPEN、TsDPEN、CF
3TsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、FsDPEN、TripsMesitylDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN、TsDiOMeDPEN及び式(II)(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択される、実施形態E.33又はE.34のいずれかに記載の方法。
E.36.キラル配位子は、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のTsDPEN、CF
3TsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN、TsDiOMeDPEN及び式(II)(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択される、実施形態35に記載の方法。
E.37.キラル配位子は、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のTsDPEN、CF
3TsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN、TsDiOMeDPEN及び式(II)(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択される、実施形態36に記載の方法。
E.38.キラル遷移金属触媒は、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のDPEN、TsDPEN、CF
3TsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、FsDPEN、TripsMesitylDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN、TsDiOMeDPEN及び式(II)(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒である、実施形態E.35に記載の方法。
E.39.キラル遷移金属触媒は、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のTsDPEN、CF
3TsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN、TsDiOMeDPEN及び式(II)(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒である、実施形態E.38に記載の方法。
E.40.キラル遷移金属触媒は、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のTsDPEN、CF
3TsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN、TsDiOMeDPEN及び式(II)(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒である、実施形態E.39に記載の方法。
E.41.キラル遷移金属触媒は、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のDPEN、TsDPEN、CF
3TsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、FsDPEN、TripsMesitylDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN及びTsDiOMeDPENからなる群から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒並びに中心金属としてのRuと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態の式(II)(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒である、実施形態E.38に記載の方法。
E.42.キラル遷移金属触媒は、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のTsDPEN、CF
3TsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN及びTsDiOMeDPENからなる群から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒であるか、又は以下の式
【化11】
の触媒である、実施形態E.41に記載の方法。
E.43.R
7及びR
8のいずれも-L-フェニル又はSO
2R
9ではなく、R
9がフェニル-C
1~C
3-アルキル又はNR
10R
11である場合、触媒は、芳香環から選択される配位子を追加的に含む、実施形態E.33~E.42のいずれかに記載の方法。
E.44.芳香環は、Cp、Cp*、ベンゼン、p-シメン、メシチレン及びヘキサメチルベンゼンからなる群から選択される、実施形態E.43に記載の方法。
E.45.芳香環は、Cp*、ベンゼン、p-シメン、メシチレン及びヘキサメチルベンゼンからなる群から選択される、実施形態E.44に記載の方法。
E.46.芳香環は、Cp*、p-シメン及びメシチレンからなる群から選択される、実施形態E.45に記載の方法。
E.47.中心金属は、Rh若しくはIrであり、芳香環は、Cp*であるか、又は中心金属は、Ruであり、芳香環は、p-シメン又はメシチレンである、実施形態E.46に記載の方法。
E.48.キラル遷移金属触媒は、1つ又は2つのハロゲン又はスルホナート配位子を追加的に含む、実施形態E.1~E.47のいずれかに記載の方法。
E.49.キラル遷移金属触媒は、1つ又は2つのハロゲン配位子を追加的に含む、実施形態E.48に記載の方法。
E.50.キラル遷移金属触媒は、1つ又は2つ、好ましくは1つのCl配位子を追加的に含む、実施形態E.49に記載の方法。
E.51.式(I-S)
【化12】
の2-[(2S)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを少なくとも55%eeのエナンチオマー過剰率で調製するための、実施形態E.1~E.50のいずれかに記載の方法。
E.52.式(I-S)の2-[(2S)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを少なくとも60%eeのエナンチオマー過剰率で調製するための、実施形態E.51に記載の方法。
E.53.式(I-S)の2-[(2S)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを少なくとも70%eeのエナンチオマー過剰率で調製するための、実施形態E.52に記載の方法。
E.54.式(I-S)の2-[(2S)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを少なくとも80%eeのエナンチオマー過剰率で調製するための、実施形態E.53に記載の方法。
E.55.式(I-S)の2-[(2S)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを少なくとも90%eeのエナンチオマー過剰率で調製するための、実施形態E.54に記載の方法。
E.56.キラル遷移金属触媒は、(1S,2S)-DPEN、(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-CF
3TsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN、(1S,2S)-MeMsDPEN、(1S,2S)-MeTsDPEN、(1S,2S)-FsDPEN、(1S,2S)-TripsMesitylDPEN、(1S,2S)-CsDPEN、(1S,2S)-MesitylDPEN、(1S,2S)-RsDPEN、(1S,2S)-TsDiOMeDPEN及び(1S,2S)形態の式(II)(R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択されるキラル配位子を含む、実施形態E.51~E.55のいずれかに記載の方法。
E.57.キラル遷移金属触媒は、(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-CF
3TsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN、(1S,2S)-MeMsDPEN、(1S,2S)-MeTsDPEN、(1S,2S)-CsDPEN、(1S,2S)-MesitylDPEN、(1S,2S)-RsDPEN、(1S,2S)-TsDiOMeDPEN及び(1S,2S)形態の式(II)(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択されるキラル配位子を含む、実施形態E.56に記載の方法。
E.58.キラル遷移金属触媒は、(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-CF
3TsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN、(1S,2S)-MeMsDPEN、(1S,2S)-MeTsDPEN、(1S,2S)-CsDPEN、(1S,2S)-MesitylDPEN、(1S,2S)-RsDPEN、(1S,2S)-TsDiOMeDPEN及び(1S,2S)形態の式(II)(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択されるキラル配位子を含む、実施形態E.57に記載の方法。
E.59.キラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1S,2S)-DPEN、(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-CF
3TsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN、(1S,2S)-MeMsDPEN、(1S,2S)-MeTsDPEN、(1S,2S)-FsDPEN、(1S,2S)-TripsMesitylDPEN、(1S,2S)-CsDPEN、(1S,2S)-MesitylDPEN、(1S,2S)-RsDPEN、(1S,2S)-TsDiOMeDPENからなる群から選択されるキラル配位子及び(1S,2S)形態の式(II)(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物を含む、実施形態E.51~E.56に記載の方法。
E.60.キラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-CF
3TsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN、(1S,2S)-MeMsDPEN、(1S,2S)-MeTsDPEN、(1S,2S)-CsDPEN、(1S,2S)-MesitylDPEN、(1S,2S)-RsDPEN、(1S,2S)-TsDiOMeDPEN及び(1S,2S)形態の式(II)(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択されるキラル配位子を含む、実施形態E.59に記載の方法。
E.61.キラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-CF
3TsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN、(1S,2S)-MeMsDPEN、(1S,2S)-MeTsDPEN、(1S,2S)-CsDPEN、(1S,2S)-MesitylDPEN、(1S,2S)-RsDPEN、(1S,2S)-TsDiOMeDPEN及び(1S,2S)形態の式(II)(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択されるキラル配位子を含む、実施形態E.60に記載の方法。
E.62.キラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1S,2S)-DPEN、(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-CF
3TsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN、(1S,2S)-MeMsDPEN、(1S,2S)-MeTsDPEN、(1S,2S)-FsDPEN、(1S,2S)-TripsMesitylDPEN、(1S,2S)-CsDPEN、(1S,2S)-MesitylDPEN、(1S,2S)-RsDPEN及び(1S,2S)-TsDiOMeDPENからなる群から選択されるキラル配位子を含むか、又は中心金属としてのRuと、(1S,2S)形態の式(II)(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1-C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒である、実施形態E.51~59のいずれかに記載の方法。
E.63.キラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-CF
3TsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN、(1S,2S)-MeMsDPEN、(1S,2S)-MeTsDPEN、(1S,2S)-CsDPEN、(1S,2S)-MesitylDPEN、(1S,2S)-RsDPEN及び(1S,2S)-TsDiOMeDPENからなる群から選択されるキラル配位子を含むか、又は以下の式
【化13】
の触媒である、実施形態E.62に記載の方法。
E.64.式(I-R)
【化14】
の2-[(2R)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを少なくとも55%eeのエナンチオマー過剰率で調製するための、実施形態E.1~E.50のいずれかに記載の方法。
E.65.式(I-R)の2-[(2R)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを少なくとも60%eeのエナンチオマー過剰率で調製するための、実施形態E.64に記載の方法。
E.66.式(I-R)の2-[(2R)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを少なくとも70%eeのエナンチオマー過剰率で調製するための、実施形態E.65に記載の方法。
E.67.式(I-R)の2-[(2R)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを少なくとも80%eeのエナンチオマー過剰率で調製するための、実施形態E.66に記載の方法。
E.68.式(I-R)の2-[(2R)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを少なくとも90%eeのエナンチオマー過剰率で調製するための、実施形態E.67に記載の方法。
E.69.キラル遷移金属触媒は、(1R,2R)-DPEN、(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-CF
3TsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN、(1R,2R)-MeMsDPEN、(1R,2R)-MeTsDPEN、(1R,2R)-FsDPEN、(1R,2R)-TripsMesitylDPEN、(1R,2R)-CsDPEN、(1R,2R)-MesitylDPEN、(1R,2R)-RsDPEN、(1R,2R)-TsDiOMeDPEN及び(1R,2R)形態の式(II)(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択されるキラル配位子を含む、実施形態E.64~E.68のいずれかに記載の方法。
E.70.キラル遷移金属触媒は、(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-CF
3TsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN、(1R,2R)-MeMsDPEN、(1R,2R)-MeTsDPEN、(1R,2R)-CsDPEN、(1R,2R)-MesitylDPEN、(1R,2R)-RsDPEN、(1R,2R)-TsDiOMeDPEN及び(1R,2R)形態の式(II)(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択されるキラル配位子を含む、実施形態E.69に記載の方法。
E.71.キラル遷移金属触媒は、(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-CF
3TsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN、(1R,2R)-MeMsDPEN、(1R,2R)-MeTsDPEN、(1R,2R)-CsDPEN、(1R,2R)-MesitylDPEN、(1R,2R)-RsDPEN、(1R,2R)-TsDiOMeDPEN及び(1R,2R)形態の式(II)(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択されるキラル配位子を含む、実施形態E.70に記載の方法。
E.72.キラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1R,2R)-DPEN、(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-CF
3TsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN、(1R,2R)-MeMsDPEN、(1R,2R)-MeTsDPEN、(1R,2R)-FsDPEN、(1R,2R)-TripsMesitylDPEN、(1R,2R)-CsDPEN、(1R,2R)-MesitylDPEN、(1R,2R)-RsDPEN、(1R,2R)-TsDiOMeDPEN及び(1R,2R)形態の式(II)(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択されるキラル配位子を含む、実施形態E.64~E.69のいずれかに記載の方法。
E.73.キラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-CF
3TsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN、(1R,2R)-MeMsDPEN、(1R,2R)-MeTsDPEN、(1R,2R)-CsDPEN、(1R,2R)-MesitylDPEN、(1R,2R)-RsDPEN、(1R,2R)-TsDiOMeDPEN及び(1R,2R)形態の式(II)(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択されるキラル配位子を含む、実施形態E.72に記載の方法。
E.74.キラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-CF
3TsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN、(1R,2R)-MeMsDPEN、(1R,2R)-MeTsDPEN、(1R,2R)-CsDPEN、(1R,2R)-MesitylDPEN、(1R,2R)-RsDPEN、(1R,2R)-TsDiOMeDPEN及び(1R,2R)形態の式(II)(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択されるキラル配位子を含む、実施形態E.73に記載の方法。
E.75.キラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1R,2R)-DPEN、(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-CF
3TsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN、(1R,2R)-MeMsDPEN、(1R,2R)-MeTsDPEN、(1R,2R)-FsDPEN、(1R,2R)-TripsMesitylDPEN、(1R,2R)-CsDPEN、(1R,2R)-MesitylDPEN、(1R,2R)-RsDPEN、(1R,2R)-TsDiOMeDPENからなる群から選択されるキラル配位子を含むか、又は中心金属としてのRuと、(1R,2R)形態の式(II)(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1-C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒である、実施形態E.64~E.72のいずれかに記載の方法。
E.76.キラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-CF
3TsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN、(1R,2R)-MeMsDPEN、(1R,2R)-MeTsDPEN、(1R,2R)-CsDPEN、(1R,2R)-MesitylDPEN、(1R,2R)-RsDPEN及び(1R,2R)-TsDiOMeDPENからなる群から選択されるキラル配位子を含むか、又は以下の式
【化15】
の触媒である、実施形態75に記載の方法。
E.77.反応は、-20~120℃の温度で行われる、実施形態E.1~E.76のいずれかに記載の方法。
E.78.反応は、-15~25℃の温度で行われる、実施形態E.77に記載の方法。
E.79.反応は、30~100℃の温度で行われる、実施形態E.77に記載の方法。
E.80.反応は、50~90℃の温度で行われる、実施形態E.79に記載の方法。
E.81.反応は、溶媒の存在下で行われる、実施形態E.1~E.80のいずれかに記載の方法。
E.82.溶媒は、極性プロトン性溶媒、極性非プロトン性溶媒、C
1~C
4-アルキルアセテート、塩素化アルカン、芳香族溶媒、複素環式溶媒、前述の溶媒の混合物及び前述の溶媒と水との混合物からなる群から選択され、反応温度で液体であるギ酸及び/又は塩基が使用される場合、代わりに無希釈で反応が行われ得る、実施形態E.81に記載の方法。
E.83.溶媒は、C
1~C
4-アルカノール、グリコール、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジブチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N-メチルピロリドン、N-(n-ブチル)-ピロリドン、N-(tert-ブチル)-ピロリドン、スルホラン、ジメチルカルボナート、ジエチルカルボナート、プロピレンカルボナート、γ-バレロラクトン、N,N,N’,N’-テトラブチル尿素、1,3-ジメチル-2-イミダゾリノン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジクロロメタン、トリクロロメタン、ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、α,α,α-トリフルオロトルエン(ベンゾトリフルオリド)、キシレン、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール(メトキシベンゼン)、4-ホルミルモルホリン、ジヒドロレボグルコセノン(cyrene(登録商標))、前述の溶媒の混合物及び前述の溶媒と、溶媒の全重量に対して最大15重量%、好ましくは最大10重量%、特に最大5重量%、具体的に最大3重量%の水との混合物からなる群から選択される、実施形態E.82に記載の方法。
E.84.溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、酢酸エチル、エタノール、ジクロロメタン、トリクロロメタン、ジクロロエタン、α,α,α-トリフルオロトルエン(ベンゾトリフルオリド)、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール(メトキシベンゼン)及びそれらの混合物からなる群から選択される、実施形態E.83に記載の方法。
E.85.溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びそれらの混合物からなる群から選択される、実施形態E.84に記載の方法。
E.86.反応中、CO
2と異なる不活性ガスは、反応混合物を通してスパージングされるか、又は代替的若しくは追加的に、反応は、減圧下で行われる、実施形態E.1~E.85のいずれかに記載の方法。
E.87.CO
2と異なるガスは、アルゴン、窒素及び酸素と窒素との混合物であって、酸素/窒素混合物の総量に対して1~8体積%の酸素を含む混合物からなる群から選択される、実施形態E.86に記載の方法。
E.88.CO
2と異なるガスは、窒素である、実施形態E.87に記載の方法。
E.89.反応は、ジエチルホスファイト、ホウ酸エステル及び亜鉛塩からなる群から選択される添加剤の存在下で行われる、実施形態E.1~E.88のいずれかに記載の方法。
E.90.添加剤は、ジエチルホスファイト及び亜鉛塩からなる群から選択される、実施形態E.89に記載の方法。
E.91.添加剤は、ジエチルホスファイトである、実施形態E.90に記載の方法。
E.92.亜鉛塩は、ハロゲン化亜鉛、酢酸亜鉛及びトリフルオロメタンスルホン酸亜鉛からなる群から選択される、実施形態E.889~E.91のいずれかに記載の方法。
E.93.添加剤は、酢酸亜鉛である、実施形態E.92に記載の方法。
E.94.添加剤は、添加剤と化合物1とのモル比が1:10000~10:1の範囲内であるような量で使用される、実施形態E.89~E.93のいずれかに記載の方法。
E.95.添加剤と化合物1とのモル比は、1:10000~5:1の範囲である、実施形態E.94に記載の方法。
E.96.添加剤と化合物1とのモル比は、1:10000~2:1、例えば1:10000~1:2又は1:10000~1:10の範囲である、実施形態E.95に記載の方法。
E.97.反応の完了後、エナンチオマー濃縮形態の式(I)のピリミジノンが反応混合物から単離され、単離は、水を反応混合物に添加し、水の添加時に沈殿した式(I)のピリミジノンを単離し、任意選択で精製することを含むか、又は単離は、反応混合物のpHを酸性に設定し、濃縮物を得るために、存在する場合、溶媒の少なくとも一部を除去し、水及び水との混和性が低いか若しくは混和性がない溶媒を濃縮物に添加し、式(I)のピリミジノンを、水との混和性が低いか若しくは水との混和性がない溶媒中に抽出し、抽出物から式(I)のピリミジノンを単離することを含む、実施形態E.1~E.96のいずれかに記載の方法。
E.98.水との混和性が低いか又は混和性がない溶媒は、2-メチルテトラヒドロフラン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、メチルイソプロピルケトン及びクロロベンゼンからなる群から選択される、実施形態E.97に記載の方法。
E.99.式(I):
【化16】
(式中、アスタリスク*は、立体中心を示す)
の2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン又はそのエナンチオマー濃縮形態。
【0038】
本発明の方法の反応順序は、以下のように示すことができる。
【化17】
【0039】
ここで、還元剤としてホルマートのみを示すが、ギ酸(塩基の存在下)又はギ酸とホルマートとの混合物(任意選択で塩基の存在下において)を代替的に使用することができる。
【0040】
この反応は、不斉移動水素化として分類することができる。
【0041】
M+は、好ましくは、アルカリ金属カチオン、式[NHR1R2R3]+(式中、R1、R2及びR3は、互いに独立して、水素、C1~C6-アルキル、C3~C6-シクロアルキル、C1~C4-アルコキシ及びC1~C4-アルコキシ-C1~C4-アルキルからなる群から選択される)のアンモニウムカチオン、式NR1R2-A-NR3R4(式中、R1、R2、R3及びR4は、互いに独立して、水素、C1~C6-アルキル、C3~C6-シクロアルキル、C1~C4-アルコキシ及びC1~C4-アルコキシ-C1~C4-アルキルからなる群から選択され、及びAは、(CH2)2又は(CH2)3からなる群から選択される)のプロトン化ジアミン並びに1つの窒素原子を環員として含み、且つ任意選択でN及びOから選択される1つの更なるヘテロ原子を環員として含むプロトン化5又は6員飽和複素環であって、1~6つのC1~C4-アルキル基及び/又は1又は2つのOH基を有し得るプロトン化5又は6員飽和複素環からなる群から選択される。
【0042】
モノアミンから誘導される式[NHR1R2R3]+のアンモニウムカチオンでは、好ましくは、R1、R2及びR3の最大1つは水素であり、他の2つ又は3つ全ては、互いに独立して、水素、C1~C6-アルキル、C3~C6-シクロアルキル及びC1~C4-アルコキシ-C1~C4-アルキルからなる群から選択される。このようなアンモニウムカチオンは、対応するアミンNR1R2R3のプロトン化形態である。ジアミンNR1R2-A-NR3R4において、R1、R2、R3及びR4の少なくとも1つは水素ではないことが好ましい。より好ましくは、R1、R2、R3及びR4のいずれも水素ではない。好ましくは、R1、R2、R3及びR4は互いに独立してC1~C4-アルキルである。
【0043】
プロトン化ジアミンNR1R2-A-NR3R4は、モノプロトン化([NHR1R2-A-NR3R4]+)又はビスプロトン化([NHR1R2-A-NHR3R4]2+)することができる。後者の場合、M+は、(M2+)1/2又は([NHR1R2-A-NHR3R4]2+)1/2としてより正確に示される。
【0044】
プロトン化された5員又は6員飽和複素環は、好ましくはピロリジン、ピラゾリジン、イミダゾリジン、オキサゾリジン、イソオキサゾリジン、ピペリジン、ピペラジン又はモルホリンに由来する。ピラゾリジン、イミダゾリジン又はピペラジンのような2つの窒素環原子の場合、環はまた、ビスプロトン化され得る。プロトン化5又は6員飽和複素環は、窒素及び/又は炭素環原子上に1~6つのC1~C4-アルキル及び/又は1又は2つのヒドロキシル基を有することができる。特に、プロトン化飽和複素環式環は6員であり、したがって好ましくは、窒素及び/又は炭素環原子上に1~6つのC1~C4-アルキル及び/又は1又は2つのヒドロキシル基を有し得るピペリジン、ピペラジン又はモルホリンに由来する。
【0045】
特に、M+は、Li+、Na+、K+、Cs+、NH4
+、[NH2(C2H5)2]+、[NH(C2H5)3]+、[NH(CH2CH2CH2CH3)3]+、[NH(C2H5)(CH(CH3)2]+、[NH(CH3)2(CH(CH3)]+、[NH2(C2H5)(C(CH3)3]+、[NH2(CH(CH3)2)(C(CH3)3]+、[NH2(C2H4OCH3)(CH3)]+、[NH(シクロヘキシル)2(CH3)]+、[NH(シクロヘキシル)(CH3)2]+、プロトン化N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、プロトン化N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレン-1,3-ジアミン、プロトン化ピペリジン、プロトン化N-メチルピペリジン、プロトン化2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、プロトン化N-メチル-2,6,6-テトラメチルピペリジン、プロトン化N-メチル-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、プロトン化モルホリン及びプロトン化N-メチルモルホリンからなる群から選択される。より詳細には、M+は、アルカリ金属カチオン(例えば、Li+、Na+、K+又はCs+)及び式[NHR1R2R3]+のアンモニウムカチオンからなる群から選択され、式中、R1、R2及びR3は、互いに独立して、水素及びC1~C6-アルキルからなる群から選択され、好ましくは、R1、R2及びR3の少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つは、C1~C6-アルキル(例えば、NH2(C2H5)2]+、[NH(C2H5)3]+、[NH(CH2CH2CH2CH3)3]+、[NH(C2H5)(CH(CH3)2]+、[NH(CH3)2(CH(CH3)]+、[NH2(C2H5)(C(CH3)3]+又は[NH2(CH(CH3)2)(C(CH3)3]+)である。具体的には、M+は、Na+、K+、[NH(C2H5)3]+、[NH(CH2CH2CH2CH3)3]+及び[NH(C2H5)(CH(CH3)2]+からなる群から選択され、より具体的には、Na+、K+、[NH(C2H5)3]+、[NH(CH2CH2CH2CH3)3]+及び[NH(C2H5)(CH(CH3)2]+から選択され、非常に具体的には、[NH(C2H5)3]+、[NH(CH2CH2CH2CH3)3]+及び[NH(C2H5)(CH(CH3)2]+から選択される。
【0046】
還元剤は、ギ酸HC(=O)OH、式HC(=O)O-M+のホルマート及びギ酸HC(=O)OHと式HC(=O)O-M+の1つ又は複数のホルマートとの混合物からなる群から選択され、式中、M+は、カチオン当量である。還元剤としてギ酸を使用する場合、反応は塩基の存在下で強制的に行われる。塩基の量に応じて、ギ酸をインサイチューで対応するホルマートに部分的又は完全に変換することができる。
【0047】
式HC(=O)O-M+のホルマート及びギ酸HC(=O)OHと式HC(=O)O-M+の1つ以上のホルマートの混合物は、予備成形された形態で反応に使用することができるか、又はギ酸を適切なモル比で対応する塩基と混合することによってインサイチューで形成することができる。M+が金属カチオン、例えばアルカリ金属カチオンであるホルマート又はホルマートとの混合物を得るために、ギ酸は、例えば、金属水酸化物、例えばアルカリ金属水酸化物又は金属カルボナート、例えばアルカリ金属カルボナートと混合される。上記のように、M+がアンモニウムカチオン又はプロトン化ジアミン又はプロトン化複素環であるホルマート又はホルマートとホルマートの混合物を得るために、ギ酸は、上で定義した対応するモノアミンNR1R2R3、ジアミンNR1R2-A-NR3R4又は5若しくは6員飽和複素環と適切に混合される。
【0048】
本発明に関連して、任意選択で又は強制的に使用される塩基は、ホルマートHC(=O)O-M+と異なるものである。
【0049】
還元剤に応じて、任意選択で又は強制的に使用される塩基は、好ましくはアルカリ金属水酸化物、式NR1R2R3のアミン(式中、R1、R2及びR3は、互いに独立して、水素、C1~C6-アルキル、C3~C6-シクロアルキル、C1~C4-アルコキシ及びC1~C4-アルコキシ-C1~C4-アルキル(式中、R1、R2及びR3の少なくとも1つは水素ではない)、式NR1R2-A-NR3R4(式中、R1、R2、R3及びR4は、互いに独立して、水素、C1~C6-アルキル、C3~C6-シクロアルキル、C1~C4-アルコキシ及びC1~C4-アルコキシ-C1~C4-アルキルからなる群から選択され、Aは(CH2)2又は(CH2)3である)のジアミン、1つの窒素原子を環員として含み、且つ任意選択でN及びOから選択される1つの更なるヘテロ原子を環員として含む5又は6員飽和複素環であって、1~6つのC1~C4-アルキル基及び/又は1又は2つのOH基を有し得る又は6員飽和複素環からなる群から選択される。
【0050】
ホルマート又はギ酸とホルマートの混合物が還元剤として使用される場合、特に、M+がモノアミンNR1R2R3、ジアミンNR1R2-A-NR3R4又は前記5若しくは6員飽和複素環式環に由来する場合、塩基は、好ましくは、ホルマート中のカチオンM+に対応する。
【0051】
より好ましくは、塩基は、LiOH、NaOH、KOH、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、エチル-tert-ブチルアミン、イソプロピル-tert-ブチルアミン、(2-メトキシエチル)メチルアミン、N,N-ジシクロヘキシルメチルアミン、N-シクロヘキシルジメチルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレン-1,3-ジアミン、ピペリジン、N-メチルピペリジン、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、N-メチル-2,6,6-テトラメチルピペリジン、N-メチル-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、モルホリン及びN-メチルモルホリンからなる群から選択され、ここで、塩基は、支持された形態(すなわち支持材料上)で使用され得る。これらの中でも、アミンNR1R2R3(式中、R1、R2及びR3は、互いに独立して、水素及びC1~C6-アルキルからなる群から選択され、R1、R2及びR3の少なくとも1つは、C1~C6-アルキル、例えば、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、エチル-tert-ブチルアミン又はイソプロピル-tert-ブチルアミンである)が好ましい。具体的には、塩基は、トリエチルアミン、トリブチルアミン及びジイソプロピルエチルアミンから選択される。NaOH及びKOHも好ましい。
【0052】
塩基/担持塩基に適した支持体材料は、例えば、シリカ(SiO2)及び有機ポリマー、例えばポリスチレン又はアクリル酸エステル系支持体、例えばイオン交換樹脂に典型的に使用されるポリマー、例えばスルホン酸基を含むスチレン(コ)ポリマー、特にスルホン酸基を含むスチレン-ジビニルベンゼンコポリマーである。このようなイオン交換体支持体の市販例は、Lewatit(登録商標)(Lanxess)、Purolite(登録商標)(The Purolite Company)、Dowex(登録商標)(Dow Chemical Company)、Amberlite(登録商標)(Rohm and Haas Company)又はAmberlyst(登録商標)(Rohm and Haas Company)のブランドで市販されている材料である。
【0053】
ホルマートHC(=O)O-M+が還元剤としてのみ使用される場合、これを水と混合して使用することが好都合である。
【0054】
ギ酸HC(=O)OHと式HC(=O)O-M+の1つ以上のホルマートとの混合物を還元剤として使用する場合、ギ酸及びホルマートを任意の混合比で使用することができる。しかし、ギ酸が混合物中で実質的に優勢である(すなわち少なくとも90モル%の量で存在する)場合、塩基の存在下で反応を行うことが好都合である。逆に、ホルマートは実質的に混合物中で優勢であり(すなわち少なくとも90モル%の量で存在する)、水の存在下で反応を行うことが好都合である。
【0055】
好ましくは、還元剤としてギ酸が使用される。したがって、塩基の存在下で反応を行うことが必須である。
【0056】
ギ酸及び塩基は、好ましくは、100:1~1:10、好ましくは10:1~1:5、特に5:1~1:5、特に5:1~1:1のモル比で使用される。
【0057】
化合物1及び還元剤は、好ましくは、1:1~1:10、より好ましくは1:1~1:5のモル比で使用される。
【0058】
キラル遷移金属触媒は、好ましくは、第VIII族金属触媒から選択される。第VIII族金属触媒は、中心金属として元素周期系の第VIII族からの金属を有する触媒を指す。第VIII族は、1985より前に有効なIUPACグループ定義に関し、現在のIUPACグループ指定の第8、9及び10に対応する。第8族はFe、Ru及びOs、第9族はCo、Rh及びIr、第10族はNi、Pd及びPtを含む。第8族及び第9族金属触媒が好ましい。これらの中でも、Ru、Rh及びIr触媒が好ましい。具体的には、キラル遷移金属触媒は、Rh又はIrを中心原子とするものである。
【0059】
好ましくは、キラル遷移金属触媒は、遷移金属含有量に基づいて計算して、化合物1の1モルに対して0.01~10モル%、より好ましくは0.05~5モル%、更により好ましくは0.1~5モル%、特に0.1~2モル%の量で使用される。
【0060】
キラル遷移金属触媒のキラリティは、好ましくは、中心遷移金属に配位結合した1つ以上のキラル配位子の存在に基づく。
【0061】
キラル遷移金属触媒は、予備成形された形態で使用することができる。予め形成された触媒では、中心金属は1つ以上のキラル配位子に配位結合している。代わりに、キラル遷移金属触媒は、遷移金属前駆体化合物と1つ以上のキラル配位子との反応によってインサイチューで形成される。
【0062】
キラル配位子は、好ましくは、二座アミン系キラル配位子から選択される。適切な二座アミン系キラル配位子は、アミノ基を有する炭素原子の少なくとも1つが非対称であるように置換された1,2-エチレンジアミンに基づき、すなわち立体中心である。好ましくは、1,2-エチレンジアミン配位子の炭素原子の一方又は両方は、フェニル、ナフチル又はシクロヘキシル環を有するか、又は2つの炭素原子は、キラリティを付与する環系の一部である。より好ましくは、キラル配位子は、キラル1,2-ジフェニル-エチレン-1,2-ジアミン、1,2-シクロヘキサンジアミン及び1,2-ビス(メチルアミノ)シクロヘキサンからなる群から選択される。
【0063】
更により好ましくは、キラル配位子は、キラル1,2-ジフェニル-エチレン-1,2-ジアミンからなる群から選択され、特に式(II)
【化18】
の1,2-ジフェニル-エチレン-1,2-ジアミンのキラル形態から選択され、式中、
アスタリスクは、立体中心を示し、
R
5及びR
6は、互いに独立して、OH、ハロゲン、C
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択され、
R
7及びR
8は、互いに独立して、水素、C
1~C
4-アルキル、-L-フェニルからなる群から選択され、フェニル環は、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシ及びSO
2R
9からなる群から選択される1、2、3、4又は5つの置換基を有し得、
Lは、C
2~C
6-アルキレン、C
1~C
3-アルキレン-O-(CH
2)
p(式中、pは、0、1又は2である)及びC
1~C
3-アルキレン-(1,2-フェニレン)-(CH
2)
r(式中、rは、0、1又は2である)からなる群から選択されるリンカーであり、
R
9は、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル、フェニル、フェニル-C
1~C
3-アルキル(式中、2つの前述された基中のフェニルは、ハロゲン、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2、3、4又は5つの置換基を有し得る)、ナフチル、C
6~C
10-ビシクロアルキル-C
1~C
3-アルキル(ここで、ビシクロアルキル環は、C
1~C
4-アルキル及びオキソからなる群から選択される1、2、3、4又は5つの置換基で置換され得る)及びNR
10R
11からなる群から選択され、
R
10は、水素又はC
1~C
4-アルキルであり、
R
11がフェニル-C
1~C
3-アルキルであり、フェニル環は、ハロゲン、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2、3、4又は5つの置換基を有し得、及び
m及びnは、互いに独立して、0、1、2、3、4又は5である。
【0064】
好ましくは、化合物(II)において、
R5及びR6は、C1~C4-アルコキシであり、
R7及びR8の一方は、水素、C1~C4-アルキル及び-L-フェニルからなる群から選択され、ここで、フェニルは、C1~C4-アルキル、C1~C4-ハロアルキル及びC1~C4-アルコキシからなる群から選択される1、2、3、4又は5つの置換基を有し得、R7及びR8の他方は、水素及びSO2R9からなる群から選択され、
Lは、直鎖C3-C6-アルキレン、(CH2)o-O-(CH2)p(式中、p及びoは独立して1又は2である)及び(CH2)q-(1,2-フェニレン)-(CH2)r(式中、q及びrは独立して0、1又は2であり、q及びrの少なくとも一方は0ではない)からなる群から選択されるリンカーであり、
R9は、C1~C4-アルキル、C1~C4-ハロアルキル、ハロゲン、C1~C4-アルキル、C1~C4-ハロアルキル及びC1~C4-アルコキシからなる群から選択される1、2、3、4又は5つの置換基を有し得るフェニル、C7-ビシクロアルキル-メチル(ここで、ビシクロアルキル環は、C1~C4-アルキル及びオキソからなる群から選択される1、2又は3つの置換基によって置換され得る)及びNR10R11からなる群から選択され、
R10は、水素又はC1~C4-アルキルであり、
R11はフェニル-(CH2)s-アルキルであり、sは、2又は3であり、フェニル環は、ハロゲン、C1~C4-アルキル、C1~C4-ハロアルキル及びC1~C4-アルコキシからなる群から選択される1、2、3、4又は5つの置換基を有し得、
m及びnは、両方とも0又は両方とも1であり、好ましくは両方とも0である。
【0065】
キラルであるためには、両方の立体中心(すなわち式IIにおいてアスタリスクで示される炭素原子)がR配置でなければならないか、又は両方がS配置でなければならない。一方がSであり、他方がRである場合、アキラルメソ系が生じる。
【0066】
このような配位子は、ノヨリ型不斉移動水素化から知られており、一般に市販されている。式(II)の好ましい配位子は、DPEN、TsDPEN、CF
3TsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、FsDPEN、TripsMesitylDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN、TsDiOMeDPEN及び式(II)の化合物のキラル形態(すなわち(1S,2S)又は(1R,2R)形態;1位及び2位は、フェニル環及びアミノ基を有するアスタリスクを有する式II(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)で示される2つの炭素原子に関する)である。頭字語は、以下の式に対応する。
【化19】
【0067】
フェニル環及びアミノ基を有するアスタリスクを有する式IIでマークされた2つの炭素原子に加えて、CsDPENは、カンファー部分に(より正確にはノルボルナノン環に)、すなわち架橋点を形成する炭素原子に、2つの更なる立体中心を有する(位置1及び4;1位:-CH2-SO2-NH-...に結合した炭素環原子)。しかしながら、カンファー部分の立体化学は、水素化反応の立体選択性に有意な影響を及ぼさないため、ラセミのカンファー又は任意のカンファーエナンチオマー(1S,4R又は1R,4S)又はエナンチオマーの非ラセミ混合物に由来するCsDPENを使用することができる。しかしながら、特定の実施形態では、CsDPENは、1S,4Rエナンチオマー、すなわち具体的には、(1S,2S)-CsDPENとしてのN-[(1S,2S)-2-アミノ-1,2-ジフェニル-エチル]-1-[(1S,4R)-7,7-ジメチル-2-オキソ-ノルボルナン-1-イル]メタンスルホンアミド及び(1R,2R)-CsDPENとしてのN-[(1R,2R)-2-アミノ-1,2-ジフェニル-エチル]-1-[(1S,4R)-7,7-ジメチル-2-オキソ-ノルボルナン-1-イル]メタンスルホンアミドに由来する。
【0068】
キラル遷移金属触媒は、特に、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のDPEN、TsDPEN、CF3TsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、FsDPEN、TripsMesitylDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN、TsDiOMeDPEN及び式(II)(式中、R7は、SO2R9であり、R9は、C1~C4-アルキル又はC1~C4-アルキル及びC1~C4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R8は、-(CH2)3-フェニル又は-(CH2)4-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C1~C4-アルキル、C1~C4-ハロアルキル及びC1~C4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒から選択される。
【0069】
より特に、キラル遷移金属触媒は、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のTsDPEN、CF3TsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN、TsDiOMeDPEN及び式(II)(式中、R7は、SO2R9であり、R9は、C1~C4-アルキル又はC1~C4-アルキル及びC1~C4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R8は、-(CH2)3-フェニル又は-(CH2)4-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C1~C4-アルキル、C1~C4-ハロアルキル及びC1~C4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒から選択される。キラル遷移金属触媒は、更により具体的には、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のTsDPEN、CF3TsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN、TsDiOMeDPEN及び式(II)(式中、R7は、SO2R9であり、R9は、C1~C4-アルキル又はC1~C4-アルキル及びC1~C4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R8は、-(CH2)3-フェニル又は-(CH2)4-フェニルであり、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒から選択される。
【0070】
特に、キラル遷移金属触媒は、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のDPEN、TsDPEN、CF3TsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、FsDPEN、TripsMesitylDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN及びTsDiOMeDPENからなる群から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒並びに中心金属としてのRuと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態の式(II)(式中、R7は、SO2R9であり、R9は、C1~C4-アルキル又はC1~C4-アルキル及びC1~C4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R8は、-(CH2)3-フェニル又は-(CH2)4-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C1~C4-アルキル、C1~C4-ハロアルキル及びC1~C4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒から選択される。より特に、キラル遷移金属触媒は、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のTsDPEN、CF3TsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN及びTsDiOMeDPENからなる群から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒並びに中心金属としてのRuと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態の式(II)(式中、R7は、SO2R9であり、R9は、C1~C4-アルキル又はC1~C4-アルキル及びC1~C4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R8は、-(CH2)3-フェニル又は-(CH2)4-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C1~C4-アルキル、C1~C4-ハロアルキル及びC1~C4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒から選択される。
【0071】
非常に具体的には、キラル遷移金属触媒は、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のTsDPEN、CF
3TsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN及びTsDiOMeDPENからなる群から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒から選択され、以下の式の触媒である。
【化20】
【0072】
キラル遷移金属触媒は、一般に、上述の二座アミン配位子の1つのみを含む。
【0073】
R7又はR8の意味としての-L-フェニル中の任意選択で置換されたフェニル環、フェニル-C1~C3-アルキル中の任意選択で置換されたフェニル環は、R9の意味としてのものであり、R11の意味としてのフェニル-C1~C3-アルキル中の任意選択で置換されたフェニル環は、一般に、中心金属に対する追加の(テザリングされた)配位子として作用する。エチレンジアミン配位子につながれた芳香族配位子を含むこのような錯体は、一般にウィル触媒として知られている。
【0074】
R7及びR8のいずれも-L-フェニル又はSO2R9でなく、R9がフェニル-C1~C3-アルキル又はNR10R11である場合、触媒は、好ましくは芳香環から選択される配位子を追加的に含む。そのような配位子は、一般に、より高い触覚性を有し、すなわち、それらは、2つ以上の原子を介して、具体的には、途切れのない連続した一連の原子を介して金属中心に配位する。一般に、それらはη5又はη6個の配位子として作用する。典型的な芳香族η5及びη6配位子は、置換又は非置換ベンゼン及び置換又は非置換シクロペンタジエンである。芳香環は、好ましくは、Cp、Cp*、ベンゼン、p-シメン、メシチレン及びヘキサメチルベンゼンから、特にCp*、ベンゼン、p-シメン、メシチレン及びヘキサメチルベンゼンから、具体的にはCp*、p-シメン及びメシチレンから、より具体的にはCp*から選択される。傾向として、Cp及びCp*などの5員芳香族配位子は、中心金属としてのRh又はIrにより適しており、ベンゼン、p-シメン、メシチレン及びヘキサメチルベンゼンなどの6員芳香族配位子は、中心金属としてのRuにより適している。したがって、非常に具体的には、中心金属がRh又はIrである場合、芳香環はCp*であり、中心金属がRuである場合、芳香環はp-シメン又はメシチレンである。
【0075】
一般に、触媒は、塩基性条件下で還元剤からのヒドリド配位子によって反応中に少なくとも1つが置換される1つ又は2つの更なる配位子を含む。一般に、更なる配位子は、ハロゲン(例えば、Cl、Br又はI;これらの中でも、Clが好ましい)又はスルホナート(例えば、トリフラート、メシラート、トシラート又はノナフラート;これらの中でもトリフレートが好ましい)配位子、特にハロゲン配位子、特にClである。
【0076】
触媒前駆体は、一般に、中心金属の塩又は中心金属とキラル配位子と異なる配位子との錯体である。中心金属としてRu、Rh又はIrを有する好ましく使用される触媒の場合、触媒前駆体は、具体的には、芳香環配位子及び2つのハロゲン配位子を含む二核錯体である。非網羅的な例は、[Ru(パラ-シメン)Cl2]2、[Ru(メシチレン)Cl2]2、[Rh(III)Cl2Cp*]2又は[Ir(III)Cl2Cp*]2である。そのような錯体は、一般に市販されているか、又は標準的な方法によって調製することができる。
【0077】
予備形成された触媒は、一般に、触媒前駆体をキラル配位子と混合することによって調製される。反応は、通常、溶媒中で行われる。触媒前駆体に応じて、塩基の存在下で反応を行うことが有用であり得る。例えば、芳香環配位子及び2つのハロゲン配位子を含むRu、Rh又はIrの上述の二核錯体が前駆体化合物として使用される場合、塩基の存在は、反応、すなわち所望のキラル配位子を含む単核錯体への二核錯体の変換を容易にするか又は可能にするのに有用である。触媒前駆体及びキラル配位子は、一般に、2:1~1:5、好ましくは1.5:1~1:4、特に1.2:1~1:3のモル比で混合され、ここで、モル比は、触媒前駆体中の遷移金属(モル)の量に基づく。形成された触媒は、反応に使用する前に単離するか、又は得られた反応混合物を錯体の単離なしに使用することができる。
【0078】
触媒がインサイチューで形成される場合、触媒前駆体及びキラル配位子は、反応物、例えば出発化合物1、還元剤及び/又は塩基(使用される場合)の少なくとも1つの存在下で互いに接触する。触媒前駆体の性質に応じて、触媒の形成は、塩基が存在するときにのみ開始し得る。塩基は、HCOOHが還元剤として使用される場合に強制的に使用される上記の塩基であり得るか、又は還元剤がこの形態で使用される場合にはホルマートであり得る。好ましくは、触媒前駆体及びキラル配位子は、出発化合物1と接触させる前に、触媒前駆体及びキラル配位子が触媒錯体(中心金属がキラル配位子に結合している)を形成することができる条件下で互いに接触させる。したがって、好ましくは、触媒前駆体及びキラル配位子は、塩基(使用される場合)及び任意選択で還元剤の存在下又は追加の塩基が使用されない場合にはホルマートの存在下で接触され、任意選択でまた溶媒の存在下において、反応を無希釈で行わない場合、その後に初めて、得られた混合物を出発化合物1と接触させる。触媒前駆体及びキラル配位子は、一般に、2:1~1:5、好ましくは1.5:1~1:4、特に1.2:1~1:3のモル比で使用され、ここで、モル比は、触媒前駆体中の遷移金属(モル)の量に基づく。
【0079】
好ましい実施形態では、本発明の方法は、式(I-S)
【化21】
の2-[(2S)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンをエナンチオマー過剰で、より正確には少なくとも55%ee、好ましくは少なくとも60%ee、より好ましくは少なくとも70%ee、特に少なくとも80%ee、具体的には少なくとも90%eeのエナンチオマー過剰率で調製するのに役立つ。
【0080】
これは、適切なキラル触媒を使用することによって得られる。これは、好ましくは遷移金属触媒、好ましくは第VIII族遷移金属触媒、より好ましくは第8又は9族金属触媒、特に(1S,2S)-DPEN、(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-CF3TsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN、(1S,2S)-MeMsDPEN、(1S,2S)-MeTsDPEN、(1S,2S)-FsDPEN、(1S,2S)-TripsMesitylDPEN、(1S,2S)-CsDPEN、(1S,2S)-MesitylDPEN、(1S,2S)-RsDPEN、(1S,2S)-TsDiOMeDPEN及び(1S,2S)形態の式(II)の化合物からなる群から選択されるキラル配位子を含むRu、Rh又はIr触媒であり、R7は、SO2R9であり、R9は、C1~C4-アルキル又はC1~C4-アルキル及びC1~C4ハロアルキルからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得るフェニルであり、R8は、-(CH2)3-フェニル又は-(CH2)4-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C1~C4-アルキル、C1~C4-ハロアルキル及びC1~C4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0であり、好ましくは、(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-CF3TsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN、(1S,2S)-MeMsDPEN、(1S,2S)-MeTsDPEN、(1S,2S)-CsDPEN、(1S,2S)-MesitylDPEN、(1S,2S)-RsDPEN、(1S,2S)-TsDiOMeDPEN及び(1S,2S)形態の式(II)(式中、R7は、SO2R9であり、R9は、C1~C4-アルキル又はC1~C4-アルキル及びC1~C4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得、R8は、-(CH2)3-フェニル又は-(CH2)4-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C1~C4-アルキル、C1~C4-ハロアルキル及びC1~C4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択されるキラル配位子を含み、より好ましくは、(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-CF3TsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN、(1S,2S)-MeMsDPEN、(1S,2S)-MeTsDPEN、(1S,2S)-CsDPEN、(1S,2S)-MesitylDPEN、(1S,2S)-RsDPEN、(1S,2S)-TsDiOMeDPEN及び(1S,2S)形態の式(II)(式中、R7は、SO2R9であり、R9は、C1~C4-アルキル又はC1~C4-アルキル及びC1~C4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R8は、-(CH2)3-フェニル又は-(CH2)4-フェニルであり、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択されるキラル配位子を含む。
【0081】
特に、エナンチオマー過剰で(I-S)を得るために使用されるキラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、(1S,2S)-DPEN、(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-CF3TsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN、(1S,2S)-MeMsDPEN、(1S,2S)-MeTsDPEN、(1S,2S)-FsDPEN、(1S,2S)-TripsMesitylDPEN、(1S,2S)-CsDPEN、(1S,2S)-MesitylDPEN、(1S,2S)-RsDPEN及び(1S,2S)-TsDiOMeDPENからなる群から選択されるキラル配位子を含むか、又は中心金属としてのRuと、(1S,2S)形態の式(II)(式中、R7は、SO2R9であり、R9は、C1~C4-アルキル又はC1~C4-アルキル及びC1-C4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R8は、-(CH2)3-フェニル又は-(CH2)4-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C1~C4-アルキル、C1~C4-ハロアルキル及びC1~C4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒である。より特に、エナンチオマー過剰で(I-S)を得るために使用されるキラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-CF3TsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN、(1S,2S)-MeMsDPEN、(1S,2S)-MeTsDPEN、(1S,2S)-CsDPEN、(1S,2S)-MesitylDPEN、(1S,2S)-RsDPEN及び(1S,2S)-TsDiOMeDPENからなる群から選択されるキラル配位子を含むか、又は中心金属としてのRuと、(1S,2S)形態の式(II)(式中、R7は、SO2R9であり、R9は、C1~C4-アルキル又はC1~C4-アルキル及びC1-C4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R8は、-(CH2)3-フェニル又は-(CH2)4-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C1~C4-アルキル、C1~C4-ハロアルキル及びC1~C4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒である。
【0082】
より具体的には、キラル遷移金属触媒は、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-CF
3TsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN、(1S,2S)-MeMsDPEN、(1S,2S)-MeTsDPEN、(1S,2S)-CsDPEN、(1S,2S)-MesitylDPEN、(1S,2S)-RsDPEN及び(1S,2S)-TsDiOMeDPENからなる群から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒から選択されるか、又は以下の式の触媒である。
【化22】
【0083】
より具体的には、エナンチオマー過剰率で(I-S)を得るために使用されるキラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、(1S,2S)-DPEN、(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-CF3TsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN、(1S,2S)-MeMsDPEN、(1S,2S)-MeTsDPEN、(1S,2S)-FsDPEN、(1S,2S)-TripsMesitylDPEN、(1S,2S)-CsDPEN、(1S,2S)-MesitylDPEN、(1S,2S)-RsDPEN及び(1S,2S)-TsDiOMeDPENからなる群から選択されるキラル配位子を含み、更に、置換又は非置換ベンゼン及び置換又は非置換シクロペンタジエン、例えばCp、Cp*、ベンゼン、p-シメン、メシチレン又はヘキサメチルベンゼンなどの芳香環から選択される配位子を含む。既に上で説明したように、Cp及びCp*などの5員η5芳香族配位子は、中心金属としてのRh又はIrにより適しており、したがって、中心金属としてRh及びIrの場合、追加の芳香族配位子は、好ましくはCp及びCp*から選択され、特にCp*である。中心金属としてRuの場合、追加の芳香族配位子は、好ましくはシメン及びメシチレンから選択される。更により詳細には、エナンチオマー過剰で(I-S)を得るために使用されるキラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-CF3TsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN、(1S,2S)-MeMsDPEN、(1S,2S)-MeTsDPEN、(1S,2S)-CsDPEN、(1S,2S)-MesitylDPEN、(1S,2S)-RsDPEN及び(1S,2S)-TsDiOMeDPENからなる群から選択されるキラル配位子を含み、置換又は非置換ベンゼン及び置換又は非置換シクロペンタジエン、例えばCp、Cp*、ベンゼン、p-シメン、メシチレン又はヘキサメチルベンゼン;中心金属としてのRh及びIrの場合、具体的にはη5配位子Cp*;中心金属としてのRuの場合、具体的にはシメン又はメシチレンである。
【0084】
更に、触媒は、更なる配位子、一般にハロゲン化物、具体的にはClを含み、これは還元剤からの水素化物で置き換えられる。
【0085】
代わりに、触媒は、中心金属としてのRuと、(1S,2S)形態の式(II)(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物から選択される少なくとも1つの配位子とを含む。一般に、このタイプの触媒も更なる配位子、一般にハロゲン化物又はスルホナート、好ましくはハロゲン化物、具体的にはClを含み、これは、還元剤からの水素化物によって置き換えられる。このタイプの触媒は、具体的には以下の式の化合物である。
【化23】
【0086】
別の好ましい実施形態では、本発明の方法は、式(I-R)
【化24】
の2-[(2R)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを、エナンチオマー過剰で、より正確には少なくとも55%ee、好ましくは少なくとも60%ee、より好ましくは少なくとも70%ee、特に少なくとも80%ee、具体的には少なくとも90%eeのエナンチオマー過剰率で調製するのに役立つ。
【0087】
これは、適切なキラル触媒を使用することによって得られる。これは、好ましくは遷移金属触媒、好ましくは第VIII族遷移金属触媒、より好ましくは第8又は9族金属触媒、特に(1R,2R)-DPEN、(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-CF3TsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN、(1R,2R)-MeMsDPEN、(1R,2R)-MeTsDPEN、(1R,2R)-FsDPEN、(1R,2R)-TripsMesitylDPEN、(1R,2R)-CsDPEN、(1R,2R)-MesitylDPEN、(1R,2R)-RsDPEN、(1R,2R)-TsDiOMeDPEN及び(1R,2R)形態の式(II)の化合物からなる群から選択されるキラル配位子を含むRu、Rh又はIr触媒であり、R7は、SO2R9であり、R9は、C1~C4-アルキル又はC1~C4-アルキル及びC1~C4ハロアルキルからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得るフェニルであり、R8は、-(CH2)3-フェニル又は-(CH2)4-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C1~C4-アルキル、C1~C4-ハロアルキル及びC1~C4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0であり、好ましくは、(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-CF3TsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN、(1R,2R)-MeMsDPEN、(1R,2R)-MeTsDPEN、(1R,2R)-CsDPEN、(1R,2R)-MesitylDPEN、(1R,2R)-RsDPEN、(1R,2R)-TsDiOMeDPEN及び(1R,2R)形態の式(II)(式中、R7は、SO2R9であり、R9は、C1~C4-アルキル又はC1~C4-アルキル及びC1~C4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得、R8は、-(CH2)3-フェニル又は-(CH2)4-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C1~C4-アルキル、C1~C4-ハロアルキル及びC1~C4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択されるキラル配位子を含み、より好ましくは、(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-CF3TsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN、(1R,2R)-MeMsDPEN、(1R,2R)-MeTsDPEN、(1R,2R)-CsDPEN、(1R,2R)-MesitylDPEN、(1R,2R)-RsDPEN、(1R,2R)-TsDiOMeDPEN及び(1R,2R)形態の式(II)(式中、R7は、SO2R9であり、R9は、C1~C4-アルキル又はC1~C4-アルキル及びC1~C4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R8は、-(CH2)3-フェニル又は-(CH2)4-フェニルであり、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択されるキラル配位子を含む。
【0088】
特に、エナンチオマー過剰で(I-R)を得るために使用されるキラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、(1R,2R)-DPEN、(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-CF3TsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN、(1R,2R)-MeMsDPEN、(1R,2R)-MeTsDPEN、(1R,2R)-FsDPEN、(1R,2R)-TripsMesitylDPEN、(1R,2R)-CsDPEN、(1R,2R)-MesitylDPEN、(1R,2R)-RsDPEN及び(1R,2R)-TsDiOMeDPENからなる群から選択されるキラル配位子を含むか、又は中心金属としてのRuと、(1R,2R)形態の式(II)(式中、R7は、SO2R9であり、R9は、C1~C4-アルキル又はC1~C4-アルキル及びC1-C4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R8は、-(CH2)3-フェニル又は-(CH2)4-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C1~C4-アルキル、C1~C4-ハロアルキル及びC1~C4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒である。より特に、エナンチオマー過剰で(I-R)を得るために使用されるキラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-CF3TsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN、(1R,2R)-MeMsDPEN、(1R,2R)-MeTsDPEN、(1R,2R)-CsDPEN、(1R,2R)-MesitylDPEN、(1R,2R)-RsDPEN及び(1R,2R)-TsDiOMeDPENからなる群から選択されるキラル配位子を含むか、又は中心金属としてのRuと、(1R,2R)形態の式(II)(式中、R7は、SO2R9であり、R9は、C1~C4-アルキル又はC1~C4-アルキル及びC1-C4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R8は、-(CH2)3-フェニル又は-(CH2)4-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C1~C4-アルキル、C1~C4-ハロアルキル及びC1~C4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒である。
【0089】
より具体的には、キラル遷移金属触媒は、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-CF
3TsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN、(1R,2R)-MeMsDPEN、(1R,2R)-MeTsDPEN、(1R,2R)-CsDPEN、(1R,2R)-MesitylDPEN、(1R,2R)-RsDPEN及び(1R,2R)-TsDiOMeDPENからなる群から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒から選択されるか、又は以下の式の触媒である。
【化25】
【0090】
より具体的には、エナンチオマー過剰で(I-R)を得るために使用されるキラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、(1R,2R)-DPEN、(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-CF3TsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN、(1R,2R)-MeMsDPEN、(1R,2R)-MeTsDPEN、(1R,2R)-FsDPEN、(1R,2R)-TripsMesitylDPEN、(1R,2R)-CsDPEN、(1R,2R)-MesitylDPEN、(1R,2R)-RsDPEN及び(1R,2R)-TsDiOMeDPENからなる群から選択されるキラル配位子を含み、更に、置換又は非置換ベンゼン及び置換又は非置換シクロペンタジエン、例えばCp、Cp*、ベンゼン、p-シメン、メシチレン又はヘキサメチルベンゼンなどの芳香環から選択される配位子を含む。既に上で説明したように、Cp及びCp*などの5員η5芳香族配位子は、中心金属としてのRh又はIrにより適しており、したがって、中心金属としてRh又はIrの場合、追加の芳香族配位子は、好ましくはCp及びCp*から選択され、特にCp*である。中心金属としてRuの場合、追加の芳香族配位子は、好ましくはシメン及びメシチレンから選択される。更により詳細には、エナンチオマー過剰で(I-S)を得るために使用されるキラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-CF3TsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN、(1R,2R)-MeMsDPEN、(1R,2R)-MeTsDPEN、(1R,2R)-CsDPEN、(1R,2R)-MesitylDPEN、(1R,2R)-RsDPEN及び(1R,2R)-TsDiOMeDPENからなる群から選択されるキラル配位子を含み、置換又は非置換ベンゼン及び置換又は非置換シクロペンタジエン、例えばCp、Cp*、ベンゼン、p-シメン、メシチレン又はヘキサメチルベンゼン;中心金属としてのRh又はIrの場合、具体的にはη5配位子Cp*;中心金属としてのRuの場合、具体的にはシメン又はメシチレンである。
【0091】
更に、触媒は、更なる配位子、一般にハロゲン化物、具体的にはClを含み、これは還元剤からの水素化物で置き換えられる。
【0092】
代わりに、触媒は、中心金属としてのRuと、(1R,2R)形態の式(II)(式中、R
7は、SO
2R
9であり、R
9は、C
1~C
4-アルキル又はC
1~C
4-アルキル及びC
1~C
4-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、R
8は、-(CH
2)
3-フェニル又は-(CH
2)
4-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-ハロアルキル及びC
1~C
4-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物から選択される少なくとも1つの配位子とを含む。一般に、このタイプの触媒も更なる配位子、一般にハロゲン化物又はスルホナート、好ましくはハロゲン化物、具体的にはClを含み、これは、還元剤からの水素化物によって置き換えられる。このタイプの触媒は、具体的には以下の式の化合物である。
【化26】
【0093】
反応は、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒は、好ましくは、極性プロトン性溶媒、極性非プロトン性溶媒、塩素化アルカン、芳香族溶媒、複素環式溶媒、前述の溶媒の混合物及び前述の溶媒と水との混合物からなる群から選択される。
【0094】
極性プロトン性溶媒は、プロトンが解離し得る官能基を有しない溶媒である。適切な極性プロトン性溶媒の例は、C1~C4-アルカノール、フッ素化C1~C4-アルカノール、グリコール、それらの混合物及びそれらの水との混合物である。C1~C4-アルカノールは、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、イソブタノール及びtert-ブタノールである。フッ素化C1~C4-アルカノールは、例えば、2-フルオロエタノール、3-フルオロプロパノール、1-フルオロプロパン-2-オール、4-フルオロブタノール、1,1-ジフルオロエタノール、2,2-ジフルオロエタノール、2,2-ジフルオロプロパノール、3,3-ジフルオロプロパノール、1,1-ジフルオロプロパン-2-オール、2,2,2-トリフルオロエタノール、3,3,3-トリフルオロプロパノール、4,4,4-トリフルオロブタノールなどである。グリコールの例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールである。
【0095】
極性非プロトン性溶媒は、プロトンが解離し得る官能基を有さない極性溶媒である。適切な極性非プロトン性溶媒の例は、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジエチルホルムアミド、ジブチルホルムアミド及びジメチルアセトアミドなどのアミド;テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,3-ジオキサン及び1,4-ジオキサンなどの環状エーテル;ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド;アセトニトリル等のニトリル;N-メチルピロリドン(NMP)、N-(n-ブチル)-ピロリドン又はN-(tert-ブチル)-ピロリドンなどのラクタム;スルホランなどのスルホン;ジメチルカルボナート、エチレンカルボナート又はプロピレンカルボナート等の炭酸エステル;γ-ブチロラクトン又はγ-バレロラクトン等のラクトン;N,N,N’,N’-テトラメチル尿素、N,N,N’,N’-テトラブチル尿素、ジメチルプロピレン尿素(DMPU)又は1,3-ジメチル-2-イミダゾリノン(DMEU;DMI)などの尿素;ニトロメタンなどのニトロ化合物が挙げられる。
【0096】
適切なC1~C4-アルキルアセタートの例は、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル及び酢酸n-ブチルである。
【0097】
適切な塩素化アルカンの例は、ジクロロメタン、トリクロロメタン又はジクロロエタンである。
【0098】
適切な芳香族溶媒の例は、ベンゼン、トルエン、α,α,α-トリフルオロトルエン(ベンゾトリフルオリド)、キシレン(すなわち1,2-キシレン、1,3-キシレン又は1,4-キシレン)、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン又はアニソール(メトキシベンゼン)である。
【0099】
適切な複素環式溶媒の例は、4-ホルミルモルホリン又はジヒドロレボグルコセノン(cyrene(登録商標))である。
【0100】
列挙された有機溶媒と水との混合物が使用される場合、これらは一般に、溶媒(より正確には、有機溶媒と水との混合物)の全重量に対して、最大15重量%の水(例えば、0.5~15重量%)、好ましくは最大10重量%の水(例えば、1~10重量%)、特に最大5重量%の水(例えば、1~5重量%)、特に最大3重量%の水(例えば、1~3重量%)を含む。
【0101】
より好ましくは、溶媒は、C1~C4-アルカノール、グリコール、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジブチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン(すなわち1,3-及び1,4-ジオキサン)、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N-メチルピロリドン、N-(n-ブチル)-ピロリドン、N-(tert-ブチル)-ピロリドン、スルホラン、ジメチルカルボナート、ジエチルカルボナート、プロピレンカルボナート、γ-バレロラクトン、N,N,N’,N’-テトラブチル尿素、1,3-ジメチル-2-イミダゾリノン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジクロロメタン、トリクロロメタン、ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、α,α,α-トリフルオロトルエン、キシレン、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール、4-ホルミルモルホリン、ジヒドロレボグルコセノン(cyrene(登録商標))、前述の溶媒の混合物及び前述の溶媒と水との混合物;特にジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、酢酸エチル、エタノール、ジクロロメタン、トリクロロメタン、ジクロロエタン、α,α,α-トリフルオロトルエン(ベンゾトリフルオリド)、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール(メトキシベンゼン)及びそれらの混合物;具体的には、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0102】
しかしながら、ギ酸が還元剤として使用されるか又は還元剤に含まれ、且つ/又は反応温度で液体である塩基が使用される場合、反応は、代わりに無希釈で行うことができる。
【0103】
ホルマートが唯一の還元剤として使用される場合、これを水と混合して使用することが好都合である。この場合、溶媒は好ましくは水も含む。
【0104】
反応中、ギ酸又はホルマートはCO2に酸化される。CO2が多数の触媒の活性を阻害することを考えると、反応中にCO2を除去することが好都合である。これは、例えば、反応混合物を通して反応に不活性な不活性ガスを吹き込むか、又は真空を適用することによって行うことができる。したがって、好ましい実施形態では、反応中、CO2と異なり、好ましくはアルゴン、窒素及び酸素と窒素との混合物であって、酸素/窒素混合物の総量に対して1~8体積%の酸素を含む混合物からなる群から選択されるガスが反応混合物を通して散布されるか、又は代替的に若しくは追加的に、反応が減圧下で行われる。具体的には、窒素を用いてCO2を除去する。不活性ガスは、典型的には、1~200l/h、好ましくは1~80l/h、より好ましくは1~50l/h、特に1~20l/hの流量で使用される。工業規模では、流量は、当然のことながら、例えば最大5000l/hと明確に高くすることができる。
【0105】
反応は、反応速度を加速する添加剤の存在下で行うことができる。典型的な添加剤は、ジエチルホスファイト、ホウ酸エステル及び亜鉛塩である。適切な亜鉛塩は、例えば、ハロゲン化亜鉛、酢酸亜鉛又はトリフルオロメタンスルホン酸亜鉛である。具体的には、ジエチルホスファイト又は亜鉛塩、特に酢酸亜鉛が使用される。添加剤は、好ましくは、添加剤と化合物1とのモル比が1:10000~10:1、特に1:10000~5:1、特に1:10000~2:1、例えば1:10000~1:2又は1:10000~1:10の範囲内であるような量で使用される。
【0106】
反応は、好ましくは-20~120℃の温度で行われる。最適温度は、とりわけ、使用される触媒に依存する。例えば、いくつかのRu触媒では、この場合の反応温度が30~100℃、例えば50~90℃の範囲内でもあり得るように、より高い反応温度が有利であり得るが、Rh及びIrの場合、この場合の反応温度は好ましくは-20~30℃、特に-15~25℃の範囲内であるように、より低い反応温度で十分である。しかし、Ru触媒は、この範囲の温度、特に10~30℃でも機能する。
【0107】
反応時間は、反応温度、反応混合物中の反応物の濃度などの様々な要因に依存する。典型的には、約0~48時間、好ましくは1~16時間の範囲である。これに関連して、「0h」の反応時間は、全ての成分の添加が完了した後、所望の化合物(I)の単離を継続するのに十分に反応が完了し得ることを意味する。これは、例えば、反応物の添加がかなり長く続いた場合又は未反応の出発物質を再利用することが意図されている場合に起こり得る。
【0108】
反応は、一般に、所望の反応温度で、還元剤、任意選択で塩基(唯一の還元剤としてギ酸を使用する場合、塩基との混合が必須である)、キラル触媒(予備形成された形態又は触媒前駆体及びキラル配位子の形態のいずれか)、任意選択で溶媒及び任意選択で添加剤を混合するか又は成分を混合し、次いで温度を所望の範囲にすることによって行われる。添加の順序は、特に重要ではない。例えば、
(i)還元剤及び任意選択で塩基(唯一の還元剤としてのギ酸の場合:塩基を必須とする)を混合物として又は別々に添加して(別々の添加を同時に又は連続して行うことができる)、溶媒中で化合物1とキラル触媒との混合物に添加するか、又は
(ii)溶媒中のキラル触媒を、化合物1、還元剤、任意選択で塩基(唯一の還元剤としてのギ酸の場合:塩基を必須とする)及び任意選択で溶媒(ホルマートが唯一の還元剤として使用され、液体塩基が使用されない場合:溶媒を必須とする)の混合物に添加するか、又は
(iii)任意選択で溶媒中において、還元剤を、化合物1、キラル触媒、任意選択で塩基(唯一の還元剤としてのギ酸の場合:塩基を必須とする)及び任意選択で溶媒(液体塩基を使用しない場合:溶媒を必須とする)の混合物に添加するか、又は
(iv)溶媒中の化合物1を、キラル触媒、還元剤、任意選択で塩基(唯一の還元剤としてのギ酸の場合:塩基を必須とする)及び任意選択で溶媒(ホルマートが唯一の還元剤として使用され、液体塩基が使用されない場合:溶媒を必須とする)の混合物に添加する。
【0109】
反応の完了後、エナンチオマー濃縮形態の式(I)のピリミジノンを一般に反応混合物から単離する。単離は、典型的には、反応混合物に水を添加し、水の添加時に沈殿した式(I)のピリミジノンを単離し、任意選択で精製することを含む。代わりに、好ましくは、単離は、反応混合物のpHを酸性に設定することと、濃縮物を得るために、存在する場合、溶媒の少なくとも一部を除去することと、水及び水との混和性が低いか又は混和性がない溶媒を濃縮物に添加することと、式(I)のピリミジノンを、水との混和性が低いか、又は水との混和性がない溶媒中に抽出することと、抽出物から式(I)のピリミジノンを単離することとを含む。水との混和性が低いか又は混和性がない溶媒は、好ましくは、2-メチルテトラヒドロフラン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、メチルイソプロピルケトン及びクロロベンゼンからなる群から選択される。
【0110】
必要に応じて、触媒をリサイクルすることができる。この目的のために、触媒は、例えば、還元後に得られた反応混合物又は式(I)のピリミジノンの単離後の後処理過程で得られた1つ以上の液相から回収される(反応及び後処理に使用される溶媒に応じて、触媒は水相、有機相又はその両方に見出すことができる)。一実施形態では、完全な触媒ではなく、遷移金属のみが回収される。金属は、例えば、木炭又は樹脂などの適切な吸着剤材料への吸着によって回収することができる。この目的のために、吸着材料は、還元後に得られた反応混合物又は後処理で得られた1つ以上の液相に添加される。より大規模には、還元後に得られた反応混合物又は後処理で得られた1つ以上の液相は、代替的に、吸着剤を充填した1つ以上のカラムに1回又は数回通過させることができる。吸着剤からの金属の分離は、溶出によって行うことができるが(特に樹脂を使用する場合)、一般に、吸着剤材料は単純に燃焼される。次いで、金属を精製し、既知の方法によって所望の触媒又は触媒前駆体に変換し、還元プロセスで再び使用することができる。代わりに、この相の溶媒を除去し、残りを燃焼させることにより、化合物(I)を含まない後処理で得られた液相から遷移金属を回収することができる。次いで、金属を精製し、既知の方法によって所望の触媒又は触媒前駆体に変換し、還元プロセスで再び使用することができる。液相が水性である場合、触媒は、これから適切な有機相に抽出され、次いで記載された処理に供される。
【0111】
化合物1は、N-メチルチオ尿素とアルキル2-フェニルマロナートと6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-2-スルファニル-ピリミジン-4-オン又は対応するチオレートとの反応及びそれらと2-クロロ-1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノンと化合物1との反応によって得ることができる。これらの反応は、欧州特許出願第21153040.7号に更に詳細に記載されている。
【0112】
N-メチルチオ尿素及びアルキル2-フェニルマロナートは市販されている。2-クロロ-1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノンは、例えば、国際公開第2018/197541号又は国際公開第2018/202654号に記載されているように、2-クロロチアゾールをグリニャール試薬との、対応するクロロ-(2-クロロチアゾール-5-イル)マグネシウム種への反応及びその2-クロロ-N-メトキシ-N-メチル-アセトアミドとの反応によって調製することができる。代わりに、化合物3は、T.Chalopin et al.in Org.Biomol.Chem.,2016,14,3913-3925によって記載の方法に従ってチオ尿素から調製され得る。
【0113】
本方法は、化合物(I)を高収率及び高立体選択性でもたらす。
【0114】
本発明は、2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン(I)
【化27】
、その互変異性体及びそのエナンチオマー濃縮形態に更に関する。この式(I)及び本発明の方法との関連において示した式(I)は、均等であり、本発明の方法との関連において示される式(I)は、しかしながら、分子の立体中心をより明確に示す。
【0115】
特に、本発明は、エナンチオマー過剰、好ましくは少なくとも55%ee、より好ましくは少なくとも60%ee、更により好ましくは少なくとも70%ee、特に少なくとも80%ee、具体的には少なくとも90%eeのエナンチオマー過剰率における、式(I-S)
【化28】
の2-[(2S)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン及びその互変異性体に関する。
【0116】
別の特定の実施形態では、本発明は、エナンチオマー過剰、好ましくは少なくとも55%ee、より好ましくは少なくとも60%ee、更により好ましくは少なくとも70%ee、特に少なくとも80%ee、具体的には少なくとも90%eeのエナンチオマー過剰率における、式(I-R)
【化29】
の2-[(2R)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン及びその互変異性体に関する。
【0117】
化合物(I)は、1つの更なる工程で、3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレート、特にそのエナンチオマー濃縮形態に変換することができる。この目的のために、化合物(I)は、脂肪族OH基を有する炭素原子に対するピリミジン環の非置換窒素原子の求核攻撃によって内部環化を受ける。この反応は、欧州特許出願第21153038.1号に記載されている。
【0118】
したがって、本発明は、2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジニウム化合物、特に3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレート及びそのエナンチオマー濃縮形態の調製における中間体としての2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン(I)又はその互変異性体又はそのエナンチオマー濃縮形態の使用にも関する。
【0119】
化合物(I)は、わずか1工程で3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレート及びそのエナンチオマー濃縮形態に変換することができるが、3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレート以外の2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジニウム化合物の形成を可能にするために、最初にピリミジン環上のヒドロキシル基のエーテル化、チアゾール環上のCl原子の置換又はフェニル環上の置換基の導入などのいくつかの修飾を受けることもできる。
【0120】
本発明を以下の実施例によって更に例示する。
【実施例】
【0121】
略語:
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DMAC N,N-ジメチルアセトアミド
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EtOAc 酢酸エチル
Me-THF 2-メチルテトラヒドロフラン
THF テトラヒドロフラン
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
r.t. 室温
t 時間
h 時間
min 分
rt 保持時間
【0122】
方法
化合物を、組み合わせた高速液体クロマトグラフィー/質量分析(HPLC/MS)、NMR又は融点によって特性決定した。
HPLC方法:Agilent Eclipse XDB-C18、150mmx4.6mmxIDx5μm
勾配A=水中0.5%H2SO4、B=アセトニトリル。
流量=1.1mL/分、カラムオーブン温度=30℃
勾配プログラム=20%B-100%B-15分
実行時間=15分
【0123】
キラルHPLC法:Agilentシリーズ1260、Chiralpak AD-RH 5μm 150*4.6mm
勾配A=水中0.1%H3PO4、B=アセトニトリル/2-プロパノール(1:1)。
流量=1.2mL/分、カラムオーブン温度=50℃
勾配プログラム
【0124】
【0125】
実行時間=25分
【0126】
LCMS方法1:C18カラム(50mmx2.1mmx1.7μm)
勾配A=水中0.1%TFA、B=アセトニトリル
流量=0.8mL/分~1.0mL/分(1.5分)、カラムオーブン温度=60℃
勾配プログラム=15分で10%Bから100%B、1分保持100%B、1分-10%B
実行時間:1.75分
【0127】
1H-NMR:シグナルは、テトラメチルシランに対する化学シフト(ppm)、それらの多重度及びそれらの積分(与えられた水素原子の相対数)によって特性決定される。以下の略語は、シグナルの多重度を特性決定するために使用される。m=多重項、q=四重項、t=三重項、d=二重項、s=一重項、dd=二重項の二重項。
【0128】
実施例1:2-[(2S)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンの調製
1.1 2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンの調製
20Lのジャケット付き反応器内で、N2下のN-メチルチオ尿素(778g、8.38モル)及びNaOCH3(1584g、8.79モル、メタノール中30重量%溶液)及びメタノール(384g、12モル)の溶液を65℃の内部温度に加温した。次いで、2-フェニルマロン酸ジエチル(2121g、8.79モル)を30分かけて投入し、ポンプをメタノール(384g、12モル)で洗浄した。次いで、反応物を内部温度65℃で4時間、次いで50℃で18時間撹拌した。この時間にわたって、懸濁液が形成された。次いで、エタノール(8.050g、175モル)中の2-クロロ-1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノン(1859g、9.00モル)の溶液を30分間にわたって投入した。反応物を50℃で75分間撹拌し、固体の大きい沈殿が生じた。この時点で、エタノール(2.300g、50モル)を添加し、撹拌速度を増加させた。反応物を50℃で更に36時間撹拌し、次いで反応物を16時間にわたって20℃に冷却した。次いで、形成された固体を3つの4Lフリット漏斗中で濾過によって単離した。各濾過ケークを500mLのエタノールで洗浄した。次いで、濾過ケークを20L反応器に戻し、15Lの水で75℃において1時間スラリー化した。次いで、スラリーを2つの4Lフリット漏斗で濾過し、各濾過ケークを500mLの室温水で3回洗浄し、次いで真空乾燥オーブン内で80℃及び5mbarで乾燥させた。乾燥後、褐色固体の形態の標記化合物3040g(91%)を純度99重量%で単離した。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ=8.75(s,1H),7.15-7.45(m,5H),4.9(s,2H),3.46(s,3H).
【0129】
1.2 2-[(2S)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン(I-S)の調製
2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン(20.0g、50.4mmol、純度99%、1.00当量)及び158.3gのジメチルアセトアミドの溶液を-5℃に冷却し、窒素のスパージをオンにした(浸漬管、13Nl/h)。6.0gのギ酸(1.54当量)/ジイソプロピルエチルアミン(0.375当量)混合物(モル比4.1:1)を添加し、続いて、10gのジメチルアセトアミド中の予め形成された触媒Rh(III)ClCp*(1S,2S-TsDPEN)([Rh(III)Cl2Cp*]2を1S,2S-TsDPENと反応させて得られる)(0.340g、0.501mmol、純度94%)の溶液を添加した。反応混合物を2時間撹拌し、次いで内部温度を<0℃に維持しながらH2SO4(10g、100mmol、純度98%)を2時間かけて投入した。反応器の圧力を5mbarに下げ、マントルの温度を57℃に上げて、117gのジメチルアセトアミドを蒸留により除去した。次いで、178gの2-メチルテトラヒドロフラン及び100gの水を反応器に添加した。形成された二相を15分間均質化し、次いで分離させた。底部水相を反応器から除去した。100gの水及び2gのH2SO4を反応器に添加した。二相を15分間均質化し、次いで分離させた。底部水相及び有機相を反応器から別々に除去した。合わせた水相を反応器に戻し、170gの2-メチルテトラヒドロフランを添加した。二相を15分間均質化し、次いで分離させた。底部水相を反応器から除去した。次いで、2-メチルテトラヒドロフラン相を反応器に戻し、圧力を350mbarに下げ、マントルを59℃に設定して、2-メチルテトラヒドロフラン相中に<200ppmの水が残存するまで、Dean-Starkトラップを介して共沸的に水を除去した。2-メチルテトラヒドロフラン相を除去すると、標記生成物が収率87%及び95%eeで得られた。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ=11.15(s,1H),7.7(s,1H),7.18-7.47(m,5H),6.5(s,1H),5.2(m,1H),3.72(dd,1H),3.54(dd,1H),3.4(s,3H).
【0130】
実施例2:様々な反応条件を使用する2-[(2R)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン(I-R)の調製
実施例1.2と同様に手順を行ったが、以下の表にまとめた、溶媒として1gの出発化合物、DMF(2ml)、触媒及び条件を使用し、室温で反応を行い、反応混合物をエタノールでクエンチした。触媒は、示された触媒前駆体と不斉配位子との反応によって予め形成された形態で使用されるか、又は示された触媒前駆体と不斉配位子とを反応混合物に添加することによってインサイチューで生成された。
【0131】
【0132】
【0133】
実施例3:様々な反応条件を使用する2-[(2R)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンの調製
手順は、実施例1.2と同様に行ったが、以下の表にまとめた触媒及び条件を使用し、0℃で反応を行った。
【0134】
【0135】
実施例4:様々な反応条件を使用する2-[(2S)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン(I-S)の調製
手順は、実施例1.2と同様に行ったが、以下の表にまとめた溶媒を使用した。
【0136】
【0137】
実施例5:様々な反応条件を使用する2-[(2S)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン(I-S)の調製
手順は、実施例1.2と同様に行ったが、以下の表にまとめた通り、出発化合物400mg及び溶媒7ml、溶媒、触媒及び条件を使用した。触媒は、示された触媒前駆体と不斉配位子との反応によって予め形成された形態で使用されるか、又は示された触媒前駆体と不斉配位子とを反応混合物に添加することによってインサイチューで生成された。実施例21及び22(-5℃)並びに実施例23、25、40、42、45、48及び50(0℃)を除いて、反応は、室温で行った。
【0138】
【0139】
【0140】
触媒番号1:[Rh(III)Cl
2Cp*]
2を1S,2S-MsDPENと反応させることによって得られる以下の式の触媒Rh(III)ClCp*(1S,2S-MsDPEN):
【化30】
【0141】
触媒番号2:[RuCl
2(mes
8)]
2を1S,2S-TsDPENと反応させることによって予備形成され、得られる以下の式の触媒RuClMes(1S,2S-TsDPEN):
【化31】
【0142】
触媒番号2*:2と同様であるが、インサイチューで形成される。
【0143】
触媒番号3:[RuCl
2(mes
8)]
2を1S,2S-MsDPENと反応させることによって得られる以下の式の触媒RuClMes(1S,2S-MsDPEN):
【化32】
【0144】
触媒番号4:[RuCl2(mes8)]2を1S,2S-CsDPEN(より正確にはN-[(1S,2S)-2-アミノ-1,2-ジフェニル-エチル]-1-[(1S,4R)-7,7-ジメチル-2-オキソ-ノルボルナン-1-イル]メタンスルホンアミドと反応させることによって得られる触媒RuClMes(1S,2S-CsDPEN)
【0145】
触媒番号5:[RuCl
2(mes
8)]
2をN-[(1S,2S)-2-アミノ-1,2-ビス(4-メトキシフェニル)エチル]-4-メチル-ベンゼンスルホンアミドと反応させることによって得られる以下の式の触媒RuClMes・(1S,2S-TsDiOMeDPEN):
【化33】
【0146】
触媒番号6:[RuCl
2(mes
8)]
2を1S,2S-MesitylDPENと反応させることによって得られる以下の式の触媒RuClMes(1S,2S-MesitylDPEN):
【化34】
【0147】
触媒番号7:[RuCl
2(mes
8)]
2を1S,2S-RsDPENと反応させることによって得られる以下の式の触媒RuClMes・(1S,2S-RsDPEN):
【化35】
【0148】
実施例6:2-[(2R)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン(IーR)の調製
手順は、実施例1.2と同様に行ったが、4g(9.93mmol)の出発化合物、溶媒としてエタノール(46g)、塩基としてトリエチルアミン(5.98mmol;0.6当量)、27.09mmol(2.73当量)のギ酸(ギ酸:塩基=4.5:1)及び触媒として以下の式のC-3-tethr-RuCl-1R,2R-TsDPEN(4モル%)を使用した。
【化36】
【0149】
表題生成物を収率86%及び87%eeで得た。
【0150】
実施例7:様々な反応条件を使用する2-[(2S)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン(I-S)の調製
手順は、実施例1.2と同様に行ったが、以下の表にまとめた反応条件を用い、-5℃~2℃で反応を行った。DMFを使用した実施例51及び67並びにDMSOを使用した実施例70を除いて、溶媒は、DMACであった。触媒は、示された触媒前駆体と不斉配位子との反応によって予め形成された形態で使用されるか、又は示された触媒前駆体と不斉配位子とを反応混合物に添加することによってインサイチューで生成された。実験を通して、(I-S)は94~98%eeで得られた。
【0151】
【0152】
【0153】
実施例8:2-[(2R)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン(I-R)の調製における配位子としての(1R,2R)-CsDPENの様々な立体異性体の使用
CsDPEN配位子のカンファー部分の構成が生成物(I)の2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン1の反応における立体選択性に本質的に影響を及ぼさないことを示すために、水素化を、2つの異なる(1R,2R)-CsDPEN立体異性体、すなわちN-[(1R,2R)-2-アミノ-1,2-ジフェニル-エチル]-1-[(1S,4R)-7,7-ジメチル-2-オキソ-ノルボルナン-1-イル]メタンスルホンアミドを用いて、且つN-[(1R,2R)-2-アミノ-1,2-ジフェニル-エチル]-1-[(1R,4S)-7,7-ジメチル-2-オキソ-ノルボルナン-1-イル]メタンスルホンアミドを用いて行った。反応は、溶媒としてDMAC、1.2当量のギ酸、0.8当量の塩基としてのジイソプロピルエチルアミン及び0.2モル%の触媒RhClCp*(1R,2R-CsDPEN-1)([Rh(III)Cl2Cp*]2、N-[(1R,2R)-2-アミノ-1,2-ジフェニル-エチル]-1-[(1S,4R)-7,7-ジメチル-2-オキソ-ノルボルナン-1-イル]メタンスルホンアミド及び1:3:7のモル比で使用されるジイソプロピルエチルアミンを混合することによってインサイチューで形成される)又は0.2モル%の触媒RhClCp*(1R,2R-CsDPEN-2)([Rh(III)Cl2Cp*]2、N-[(1R,2R)-2-アミノ-1,2-ジフェニル-エチル]-1-[(1R,4S)-7,7-ジメチル-2-オキソ-ノルボルナン-1-イル]メタンスルホンアミド及び1:3:7のモル比で使用されるジイソプロピルエチルアミンを混合することによってインサイチューで形成される)を使用して、実施例1.2と同様に行った。反応は-5℃で行った。
【0154】
RhClCp*(1R,2R-CsDPEN-1)を触媒として使用した反応により、エナンチオマー純度97%eeの(I-R)が得られ(転化率:95%)、RhClCp*・(1R,2R-CsDPEN-2)を触媒として使用した反応により、エナンチオマー純度98%eeの(I-R)が得られた(転化率:98%)。
【国際調査報告】