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特表2024-504688エナンチオマー濃縮形態の3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-A]ピリミジン-4-イウム-5-オレートを調製する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-01
(54)【発明の名称】エナンチオマー濃縮形態の3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-A]ピリミジン-4-イウム-5-オレートを調製する方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 513/04 20060101AFI20240125BHJP
   B01J 31/22 20060101ALI20240125BHJP
   C07B 53/00 20060101ALN20240125BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240125BHJP
【FI】
C07D513/04 301
B01J31/22 Z
C07B53/00 B
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544051
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(85)【翻訳文提出日】2023-07-20
(86)【国際出願番号】 EP2022051362
(87)【国際公開番号】W WO2022157321
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】21153036.5
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コラディン,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】マクラフリン,マルティン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】シンデ,ハリシュ
(72)【発明者】
【氏名】カドゥスカール,ラフール
(72)【発明者】
【氏名】ゲッツ,ローランド
(72)【発明者】
【氏名】ガリベット,ギュイラーム マイケル ジャックス
【テーマコード(参考)】
4C072
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4C072AA01
4C072BB02
4C072CC02
4C072CC16
4C072EE13
4C072FF08
4C072GG07
4C072HH02
4C072HH07
4C072JJ02
4C072UU02
4G169AA06
4G169BA27A
4G169BA27B
4G169BC29A
4G169BC69A
4G169BC70A
4G169BC70B
4G169BC71A
4G169BC71B
4G169BC74A
4G169BC74B
4G169BE01A
4G169BE01B
4G169BE04A
4G169BE04B
4G169BE06A
4G169BE07A
4G169BE07B
4G169BE13A
4G169BE13B
4G169BE22A
4G169BE22B
4G169BE33A
4G169BE36A
4G169BE37A
4G169BE37B
4G169BE46A
4G169BE46B
4G169CB02
4H006AA02
4H006AC81
4H039CA60
4H039CB20
(57)【要約】
本発明は、エナンチオマー濃縮形態の3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートを調製する方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エナンチオマー濃縮形態の、式(I):
【化1】
(式中、アスタリスク*は、立体中心を示す)
の3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートを調製する方法であって、
(a)式1
【化2】
の2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン又はその互変異性体若しくはその異なる互変異性体の混合物を、キラル遷移金属触媒及び任意選択で塩基の存在下において、ギ酸HC(=O)OH、式HC(=O)Oのホルマート及びギ酸HC(=O)OHと前記式HC(=O)Oの1つ以上のホルマートとの混合物(式中、Mは、カチオン当量である)からなる群から選択される還元剤で還元することであって、還元剤としてギ酸が使用される場合、前記反応は、塩基の存在下で行われる、還元することを行って、エナンチオマー濃縮形態の、式2
【化3】
の2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン又はその互変異性体若しくはその異なる互変異性体の混合物を含む反応混合物を得ることと、
(b)工程(a)で得られた前記反応混合物を、前記式1の前記化合物中の前記アスタリスクが付された炭素原子の求電子性を、前記炭素原子においてラセミ化を促進することなく向上させる活性化剤と反応させて、エナンチオマー濃縮形態の前記式(I)の前記化合物を得ることと
を含む方法。
【請求項2】
は、アルカリ金属カチオン、式[NHR(式中、R、R及びRは、互いに独立して、水素、C~C-アルキル、C~C-シクロアルキル、C~C-アルコキシ及びC~C-アルコキシ-C~C-アルキルからなる群から選択される)のアンモニウムカチオン、式NR-A-NR(式中、R、R、R及びRは、互いに独立して、水素、C~C-アルキル、C~C-シクロアルキル、C~C-アルコキシ及びC~C-アルコキシ-C~C-アルキルからなる群から選択され、及びAは、(CH又は(CHである)のプロトン化ジアミン並びに1つの窒素原子を環員として含み、且つ任意選択でN及びOから選択される1つの更なるヘテロ原子を環員として含むプロトン化5又は6員飽和複素環であって、1~6つのC~C-アルキル基及び/又は1若しくは2つのOH基を有し得るプロトン化5又は6員飽和複素環からなる群から選択され、
は、好ましくは、Li、Na、K、Cs、NH 、[NH(C、[NH(C、[NH(CHCHCHCH、[NH(C)(CH(CH、[NH(CH(CH(CH)]、[NH(C)(C(CH、[NH(CH(CH)(C(CH、[NH(COCH)(CH)]、[NH(シクロヘキシル)(CH)]、[NH(シクロヘキシル)(CH、プロトン化N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、プロトン化N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレン-1,3-ジアミン、プロトン化ピペリジン、プロトン化N-メチルピペリジン、プロトン化2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、プロトン化N-メチル-2,6,6-テトラメチルピペリジン、プロトン化N-メチル-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、プロトン化モルホリン及びプロトン化N-メチルモルホリンからなる群、特に[NH(C、[NH(CHCHCHCH及び[NH(C)(CH(CHから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(a)において任意選択で使用される前記塩基は、アルカリ金属水酸化物、式NR(式中、R、R及びRは、互いに独立して、水素、C~C-アルキル、C~C-シクロアルキル、C~C-アルコキシ及びC~C-アルコキシ-C~C-アルキルからなる群から選択され、R、R及びRの少なくとも1つは、水素ではない)のアミン、式NR-A-NR(式中、R、R、R及びRは、互いに独立して、水素、C~C-アルキル、C~C-シクロアルキル、C~C-アルコキシ及びC~C-アルコキシ-C~C-アルキルからなる群から選択され、及びAは、(CH又は(CHである)のジアミン並びに1つの窒素原子を環員として含み、且つ任意選択でN及びOから選択される1つの更なるヘテロ原子を環員として含む5又は6員飽和複素環であって、1~6つのC~C-アルキル基及び/又は1若しくは2つのOH基を有し得る5又は6員飽和複素環からなる群から選択され、前記塩基は、支持された形態で使用され得、
前記塩基は、好ましくは、LiOH、NaOH、KOH、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、エチル-tert-ブチルアミン、イソプロピル-tert-ブチルアミン、(2-メトキシエチル)メチルアミン、N,N-ジシクロヘキシルメチルアミン、N-シクロヘキシルジメチルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレン-1,3-ジアミン、ピペリジン、N-メチルピペリジン、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、N-メチル-2,6,6-テトラメチルピペリジン、N-メチル-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、モルホリン及びN-メチルモルホリンからなる群、特にトリエチルアミン、トリブチルアミン及びジイソプロピルエチルアミンから選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程(a)において、ギ酸は、還元剤として使用され、ギ酸及び前記塩基は、100:1~1:10、好ましくは10:1~1:5、特に10:1~1:2、具体的には5:1~1:1のモル比で使用される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程(a)で使用される前記キラル遷移金属触媒は、第VIII族金属触媒、好ましくは第8族又は第9族金属触媒から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程(a)で使用される前記キラル遷移金属触媒は、Ru、Rh及びIr触媒から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
工程(a)で使用される前記キラル遷移金属触媒は、遷移金属含有量に基づいて計算されて、前記化合物1の1モルに対して0.01~10モル%、好ましくは0.05~5モル%、特に0.1~5モル%、具体的には0.1~2モル%の量で使用される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記キラル遷移金属触媒は、遷移金属に配位された1つ以上のキラル配位子を含み、前記キラル配位子は、二座アミン系キラル配位子からなる群から選択され、前記キラル配位子は、特にキラル1,2-ジフェニル-エチレン-1,2-ジアミン、1,2-シクロヘキサンジアミン及び1,2-ビス(メチルアミノ)シクロヘキサンからなる群から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記キラル遷移金属触媒は、遷移金属に配位された1つ以上のキラル配位子を含み、前記キラル配位子は、キラル形態の、式(II)
【化4】
(式中、
アスタリスクは、立体中心を示し、
及びRは、互いに独立して、OH、ハロゲン、C~C-アルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択され、
及びRは、互いに独立して、水素、C~C-アルキル、-L-フェニル(ここで、前記フェニル環は、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2、3、4又は5つの置換基を有し得る)及びSOからなる群から選択され、
Lは、C~C-アルキレン、C~C-アルキレン-O-(CH(式中、pは、0、1又は2である)及びC~C-アルキレン-(1,2-フェニレン)-(CH(式中、rは、0、1又は2である)からなる群から選択されるリンカーであり、
は、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル、フェニル、フェニル-C~C-アルキル(ここで、前記2つの前述された基中のフェニルは、ハロゲン、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2、3、4又は5つの置換基を有し得る)、ナフチル及びNR1011からなる群から選択され、
10は、水素又はC~C-アルキルであり、
11は、フェニル-C~C-アルキルであり、前記フェニル環は、ハロゲン、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2、3、4又は5つの置換基を有し得、及び
m及びnは、互いに独立して、0、1、2、3、4又は5である)
の1,2-ジフェニル-エチレン-1,2-ジアミンからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記キラル配位子は、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のDPEN、TsDPEN、CFTsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、FsDPEN、TripsMesitylDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN、TsDiOMeDPEN又は前記式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~C-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、前記2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択され、
前記キラル遷移金属触媒は、好ましくは、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のDPEN、TsDPEN、CFTsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、FsDPEN、TripsMesitylDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN、TsDiOMeDPEN又は前記式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~C-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、前記2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択される少なくとも1つのキラル配位子とを含む触媒から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記キラル遷移金属触媒は、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のDPEN、TsDPEN、CFTsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、FsDPEN、TripsMesitylDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN及びTsDiOMeDPENからなる群から選択される少なくとも1つのキラル配位子とを含む触媒並びに中心金属としてのRuと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態の前記式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~C-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、前記2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の前記化合物から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒から選択され、
前記キラル遷移金属触媒は、好ましくは、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のTsDPEN、CFTsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN及びTsDiOMeDPENからなる群から選択される少なくとも1つのキラル配位子とを含む触媒並びに中心金属としてのRuと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態の前記式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~C-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、且つm及びnは、0である)の前記化合物から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記キラル遷移金属触媒は、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のTsDPEN、MsDPEN及びCsDPENからなる群から選択されるキラル配位子とを含む触媒から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
及びRのいずれも-L-フェニル又はSOではなく、Rがフェニル-C~C-アルキル又はNR1011である場合、前記触媒は、芳香環、好ましくはCp、Cp*、ベンゼン、p-シメン、メシチレン及びヘキサメチルベンゼン、特にCp*、ベンゼン、p-シメン、メシチレン及びヘキサメチルベンゼン、具体的にはCp*、p-シメン及びメシチレンから選択される配位子を追加的に含む、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記キラル遷移金属触媒は、ハロゲン及びスルホナート配位子から選択される配位子を追加的に含む、請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記キラル遷移金属触媒は、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のTsDPEN、MsDPEN及びCsDPENからなる群から選択されるキラル配位子と、ハロゲン配位子から選択される配位子と、Cp*、p-シメン及びメシチレンから選択される更なる配位子とを含む触媒から選択される、請求項9~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
工程(a)において、式2-S
【化5】
の2-[(2S)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン又はその互変異性体若しくはその異なる互変異性体の混合物は、少なくとも55%ee、好ましくは少なくとも60%ee、より好ましくは少なくとも70%ee、特に少なくとも80%ee、具体的には少なくとも90%eeのエナンチオマー過剰率で調製され、
この目的のために、工程(a)において、請求項9~12のいずれか一項に記載の(1S,2S)形態のキラル配位子を含むキラル遷移金属触媒が使用され、好ましくは、請求項9~12のいずれか一項に記載の(1S,2S)形態のキラル配位子を含む、請求項9~15のいずれか一項に記載のキラル遷移金属触媒が使用される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
工程(a)において、式2-R
【化6】
の2-[(2R)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン又はその互変異性体若しくはその異なる互変異性体の混合物は、少なくとも55%ee、好ましくは少なくとも60%ee、より好ましくは少なくとも70%ee、特に少なくとも80%ee、具体的には少なくとも90%eeのエナンチオマー過剰率で調製され、
この目的のために、工程(a)において、請求項9~12のいずれか一項に記載の(1R,2R)形態のキラル配位子を含むキラル遷移金属触媒が使用され、好ましくは、請求項9~12のいずれか一項に記載の(1R,2R)形態のキラル配位子を含む、請求項9~15のいずれか一項に記載のキラル遷移金属触媒が使用される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
工程(b)で使用される前記活性化剤は、P(ORCl、P(OR)Cl、P(=O)(ORCl、P(=O)(OR)Cl(ここで、前記4つの前述された化合物中の各Rは、独立して、C~C-アルキルである)、PCl、P(=O)Cl、ポリリン酸、P10、光延型試薬、ハロゲン化剤と組み合わせたトリフェニルホスフィン、アミン、カルボキサミド及び1、2又は3つの塩基性窒素環原子を含む複素芳香族化合物から選択されるルイス塩基とのSO錯体、S(O)Cl、CHS(O)Cl、カルボニルジイミダゾール(CDI)、ビルスマイヤー試薬、N,N-ジメチルホルムアミド及び/又はN,N-ジメチルアセトアミドとルイス酸との錯体並びに前記活性化剤の2種以上の混合物からなる群から選択される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
工程(b)で使用される前記活性化剤は、P(ORCl、P(OR)Cl、P(=O)(ORCl(ここで、前記3つの前述された化合物中の各Rは、独立して、C~C-アルキルである)、PCl、P(O)Cl、SO/ジメチルホルムアミド錯体、SOCl、CHS(=O)Cl、CDI及び光延型試薬からなる群、
好ましくはジメチルクロロホスファイト(P(OCHCl)、ジエチルクロロホスファイト(P(OCHCHCl)、メチルジクロロホスファイト(P(OCH)Cl)、エチルジクロロホスファイト(P(OCHCH)Cl)、PCl、P(O)Cl、SO/ジメチルホルムアミド錯体、SOCl、CHS(=O)Cl、CDI及び光延型試薬、
より好ましくはジメチルクロロホスファイト(P(OCHCl)、ジエチルクロロホスファイト(P(OCHCHCl)、メチルジクロロホスファイト(P(OCH)Cl)、エチルジクロロホスファイト(P(OCHCH)Cl)、PCl及びP(O)Clから選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
工程(b)で使用される前記活性化剤は、ジメチルクロロホスファイト(P(OCHCl)及びジエチルクロロホスファイト(P(OCHCHCl)からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記活性化剤は、前記式1の前記化合物と前記活性化剤とのモル比が10:1~1:10、好ましくは2:1~1:5、特に1:1~1:3、具体的には1:1~1:2の範囲であるような量で使用される、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
式(I-R)
【化7】
の(3R)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートを少なくとも55%ee、好ましくは少なくとも60%ee、より好ましくは少なくとも70%ee、特に少なくとも80%ee、具体的には少なくとも90%eeのエナンチオマー過剰率で調製するためのものであり、
(a.1)少なくとも55%ee、好ましくは少なくとも60%ee、より好ましくは少なくとも70%ee、特に少なくとも80%ee、具体的には少なくとも90%eeのエナンチオマー過剰率における、前記式2-S
【化8】
の2-[(2S)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン又はその互変異性体若しくはその異なる互変異性体の混合物を含む反応混合物又はその互変異性体が形成されるように、前記式1の化合物又はその互変異性体若しくはその異なる互変異性体の混合物を還元することと、
(b.1)工程(a.1)で得られた前記反応混合物を、請求項1又は18~21のいずれか一項に記載の活性化剤と反応させることと
を含むか、又は
式(I-S)
【化9】
の(3S)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートを少なくとも55%ee、好ましくは少なくとも60%ee、より好ましくは少なくとも70%ee、特に少なくとも80%ee、具体的には少なくとも90%eeのエナンチオマー過剰率で調製するためのものであり、
(a.2)少なくとも55%ee、好ましくは少なくとも60%ee、より好ましくは少なくとも70%ee、特に少なくとも80%ee、具体的には少なくとも90%eeのエナンチオマー過剰率における、前記式2-R
【化10】
の2-[(2R)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン又はその互変異性体若しくはその異なる互変異性体の混合物を含む反応混合物又はその互変異性体若しくはその異なる互変異性体の混合物が形成されるように、前記式1の化合物又はその互変異性体若しくはその異なる互変異性体の混合物を還元することと、
(b.2)工程(a.1)で得られた前記反応混合物を、請求項1又は18~21のいずれか一項に記載の活性化剤と反応させることと
を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エナンチオマー濃縮形態の3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートを調製する方法に関する。本発明は、以下に示される式2の2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン又はそのエナンチオマー濃縮形態並びに2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジニウム化合物、特に3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレート及びそのエナンチオマー濃縮形態の調製における中間体としてのその使用に更に関する。
【背景技術】
【0002】
3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレート及びそのエナンチオマー濃縮形態は、殺虫特性を有し、例えば国際公開第2018/177970号パンフレット又は国際公開第2014/167084号パンフレットから知られている。
【0003】
このピリミニジウム化合物を調製するためのこれまでに知られている方法は、面倒であり、依然として満足のいくものではない。
【0004】
国際公開第2018/177970号パンフレット、国際公開第2018/197541号パンフレット及び国際公開第2018/202654号パンフレットでは、非ラセミ2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジニウム化合物は、非ラセミ4-ヘテロアリール置換チアゾリジン-2-イミンと2-置換マロン酸誘導体との反応によって調製される。国際公開第2018/177970号パンフレット及び国際公開第2018/197541号パンフレットでは、非ラセミ4-ヘテロアリール置換チアゾリジン-2-イミンは、2位に脱離基を有する1-ヘテロアリール置換エタンイミンの触媒不斉水素化によって調製される。次いで、得られたアミンをイソチオシアナートと反応させてチアゾリジン-2-イミンを得る。反応順序は、国際公開第2018/197541号パンフレットに以下のように記載されている。
【化1】
は、スルファニル基又はスルフィニル基、ホスホロキシ基、アルコキシ基又はベンジル基であり、Hetは、任意選択で置換されたピリジン-3-イル、チアゾール-5-イル又はピリミジン-5-イルであり、W及びLGは、脱離基であり、Rは、(シクロ)脂肪族基であり、Rは、5又は6員の炭素又は複素環である。国際公開第2018/177970号パンフレットでは、アミンVIIは、対応するスルフィニルイミンから別の反応経路を介して得られる。
【0005】
国際公開第2018/177970号パンフレット及び国際公開第2018/202654号パンフレットは、非ラセミ4-ヘテロアリール置換チアゾリジン-2-イミンへの更なるアクセスを記載している。これは、本明細書では、ヘテロアリールメチルケトンから開始して調製され、メチル基は、脱離基を有し、この脱離基のアルキルカルボニルオキシ基への変換、後者のヒドロキシル基への加水分解、得られたヘテロアリールヒドロキシメチルケトンとスルファモイルハライドとの4-ヘテロアリール-5H-オキサチアゾール2,2-ジオキシドへの反応、後者を接触不斉水素化に供して非ラセミ4-ヘテロアリールオキサチアゾリジン2,2-ジオキシドを得ること及びそのイソチオシアナートとのチアゾリジン-2-イミンへの反応である。反応順序は、国際公開第2018/202654号パンフレットに以下のように記載されている。
【化2】
【0006】
Hetは、任意選択で置換されたピリジン-3-イル、チアゾール-5-イル又はピリミジン-5-イルであり、W及びLGは、脱離基であり、Mは、Li、Na、K、Al、Ba、Cs、Ca又はMgであり、RACは、アルキルカルボニルであり、Xは、ハロゲンであり、Rは、(シクロ)脂肪族基であり、Rは、5又は6員の炭素又は複素環である。
【0007】
しかしながら、これらの方法は、あまり経済的ではない。一部の試薬は、高価であり、消費されないか又は完全に消費されない一部の試薬のリサイクルは、困難であり、全体的な収率は、満足のいくものではなく、多すぎる反応工程が関与する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートの調製のための経済的なプロセス、特に高い選択性でS又はRエナンチオマーを生じるそのエナンチオマー濃縮形態の調製のためのプロセスを提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この問題は、エナンチオマー濃縮形態の、式(I):
【化3】
(式中、アスタリスク*は、立体中心を示す)
の3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートを調製する方法によって解決され、方法は、
(a)式1
【化4】
の2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン又はその互変異性体若しくはその異なる互変異性体の混合物を、キラル遷移金属触媒及び任意選択で塩基の存在下において、ギ酸HC(=O)OH、式HC(=O)Oのホルマート及びギ酸HC(=O)OHと式HC(=O)Oの1つ以上のホルマートとの混合物(式中、Mは、カチオン当量である)からなる群から選択される還元剤で還元することであって、還元剤としてギ酸が使用される場合、反応は、塩基の存在下で行われる、還元することを行って、エナンチオマー濃縮形態の、式2
【化5】
の2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン又はその互変異性体若しくはその異なる互変異性体の混合物を含む反応混合物を得ることと、
(b)工程(a)で得られた反応混合物を、式1の化合物中のアスタリスクが付された炭素原子の求電子性を、前記炭素原子においてラセミ化を促進することなく向上させる活性化剤と反応させて、エナンチオマー濃縮形態の式(I)の化合物を得ることと
を含む。
【0010】
本発明は、2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン2又はその互変異性体若しくはその異なる互変異性体の混合物及びそのエナンチオマー濃縮形態に更に関する。
【0011】
本発明は、2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジニウム化合物、特に3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレート(I)及びそのエナンチオマー濃縮形態の調製における中間体としての、2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン2又はその互変異性体若しくはその異なる互変異性体の混合物或いはそのエナンチオマー濃縮形態の使用にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
定義
式(I)の3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレート又はエナンチオマー濃縮形態の化合物(I)の「エナンチオマー濃縮形態」及び類似の用語は、Sエナンチオマー又はRエナンチオマーのいずれかが優勢であるか、又は単なる立体異性体として存在する非ラセミ化合物(I)を示す。化合物(I)は、チアゾール環を有する環炭素原子にあり、アスタリスクでマークされた単一の立体中心を有する。
【0013】
式2の2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン又はエナンチオマー濃縮形態の化合物2の「エナンチオマー濃縮形態」及び同様の用語は、Sエナンチオマー又はRエナンチオマーのいずれかが優勢であるか、又は単なる立体異性体として存在する非ラセミ化合物2を示す。化合物2は、OH基を有する脂肪族炭素原子にあり、アスタリスクでマークされた単一の立体中心を有する。
【0014】
は、カチオン当量である。これは、金属カチオン又はアンモニウムカチオンを表す(この場合、アンモニウムは、適切な意味でアンモニウムカチオンNH を表すが、置換アンモニウムカチオンも表す)。二重又は三重電荷を有するカチオンの場合、カチオン当量は(Mn+1/nとして表すことができ、ここでnは電荷数である。
【0015】
本発明に関連して、ホルマートは、ギ酸の塩(HC(=O)O(式中、Mは、カチオン当量である))である。この用語は、ギ酸のアニオン(HC(=O)O)を表すこともできる。しかしながら、本発明に関連して、この用語は、特に明記しない限り、エステルを意味しない。
【0016】
以下で言及される有機部分は、ハロゲンという用語と同様に、個々の群メンバーの個々の列挙に対する総称である。接頭辞C~Cは、各場合において、その基に可能な炭素原子数を表している。
【0017】
ハロゲンという用語は、それぞれの場合にフッ素、臭素、塩素又はヨウ素を指し、特にフッ素、塩素又は臭素を指す。
【0018】
本明細書及びアルコキシのアルキル部分で使用される「アルキル」という用語は、1~3つ(「C~Cアルキル」)、1~4つ(「C~Cアルキル」)又は1~6つ(「C~Cアルキル」)の炭素原子を有する飽和直鎖(直鎖)又は分岐炭化水素基を指す。C~C-アルキルは、1~3つの炭素原子を有する飽和直鎖又は分岐鎖脂肪族基を表す。例は、メチル、エチル、n-プロピル又はイソプロピルである。C~Cアルキルは、1~4つの炭素原子を有する飽和直鎖又は分岐鎖脂肪族基を示す。例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル及びtert-ブチルである。C~Cアルキルは、1~6つの炭素原子を有する飽和直鎖又は分岐鎖脂肪族基を表す。例は、C~Cアルキル、ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1-メチルプロピル又は1-エチル-2-メチルプロピルについて述べたものに加えてである。
【0019】
「部分的又は完全にハロゲン化されたアルキル」としても表すことができる、本明細書で使用される「C~Cハロアルキル」という用語は、1~4つの炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル基(上記の通り)を指し、これらの基の水素原子の一部又は全部は、上記の通りハロゲン原子で置き換えられている。例は、クロロメチル、ブロモメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロフルオロメチル、ジクロロフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、1-クロロエチル、1-ブロモエチル、1-フルオロエチル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2-クロロ-2-フルオロエチル、2-クロロ-2,2-ジフルオロエチル、2,2-ジクロロ-2-フルオロエチル、2,2,2-トリクロロエチル又はペンタフルオロエチルである。C~Cハロアルキルは、更に、例えば1-フルオロプロピル、2-フルオロプロピル、3-フルオロプロピル、1,1-ジフルオロプロピル、2,2-ジフルオロプロピル、1,2-ジフルオロプロピル、3,3-ジフルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、ヘプタフルオロプロピル、1,1,1-トリフルオロプロパ-2-イル、3-クロロプロピル、4-クロロブチルなどである。
【0020】
本明細書で使用される「C~Cシクロアルキル」という用語は、(唯一の)環員として3~6つの炭素原子を有する単環式飽和炭化水素基を指す。例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルである。
【0021】
~C10ビシクロアルキルという用語は、(唯一の)環員として6~10個の炭素原子を含む二環式架橋飽和炭化水素基を指す。例は、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[3.1.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.2.1]オクチルなどである。アルキル及び/又はオキソで置換されたC~C10ビシクロアルキルの例は、7,7-ジメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-1-イル及び7,7-ジメチル-2-オキソ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-1-イルである。
【0022】
~C10ビシクロアルキル-C~Cアルキルという用語は、1つの水素原子が上に定義されるC~C10ビシクロアルキル基で置き換えられている、上に定義される1~3つの炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル基を指す。
【0023】
「C~Cアルコキシ」という用語は、酸素原子を介して分子の残部に結合した、上で定義したC~Cアルキル基を指す。例は、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、1-メチルエトキシ(イソプロポキシ)、n-ブトキシ、1-メチルプロポキシ(sec-ブトキシ)、2-メチルプロポキシ(イソブトキシ)又は1,1-ジメチルエトキシ(tert-ブトキシ)である。
【0024】
「C~C-アルコキシ-C~C-アルキル」という用語は、1つの水素原子が上に定義されるC~C-アルコキシ基で置き換えられている、上に定義される1~4つの炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル基を指す。例としては、メトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、イソプロポキシメチル、n-ブトキシメチル、sec-ブトキシメチル、イソブトキシメチル、tert-ブトキシメチル、1-メトキシエチル、1-エトキシエチル、1-プロポキシエチル、1-イソプロポキシエチル、1-n-ブトキシエチル、1-sec-ブトキシエチル、1-イソブトキシエチル、1-tert-ブトキシエチル、2-メトキシエチル、2-エトキシエチル、2-プロポキシエチル、2-イソプロポキシエチル、2-n-ブトキシエチル、2-sec-ブトキシエチル、2-イソブトキシエチル、2-tert-ブトキシエチル、1-メトキシプロピル、1-エトキシプロピル、1-プロポキシプロピル、1-イソプロポキシプロピル、1-n-ブトキシプロピル、1-sec-ブトキシプロピル、1-イソブトキシプロピル、1-tert-ブトキシプロピル、2-メトキシプロピル、2-エトキシプロピル、2-プロポキシプロピル、2-イソプロポキシプロピル、2-n-ブトキシプロピル、2-sec-ブトキシプロピル、2-イソブトキシプロピル、2-tert-ブトキシプロピル、3-メトキシプロピル、3-エトキシプロピル、3-プロポキシプロピル、3-イソプロポキシプロピル、3-n-ブトキシプロピル、3-sec-ブトキシプロピル、3-イソブトキシプロピル、3-tert-ブトキシプロピル等である。
【0025】
「フェニル-C~C-アルキル」は、1つの水素原子がフェニル環(換言すればC~C-アルキレンリンカーを介して分子の残りの部分に結合したフェニル基)で置き換えられている、(上記のように)1~3つの炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル基を指す。
【0026】
アルキレンは、直鎖又は分岐鎖の二価アルカンジイル基である。C~C-アルキレンは、1、2又は3つの炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖の二価アルキル基である。例としては、以下のものが挙げられる:-CH-、-CHCH-、-CH(CH)-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、-CHCH(CH)-及び-C(CH-。C~C-アルキレンは、2、3、4、5又は6つの炭素原子を有する直鎖又は分岐二価アルキル基である。例は、-CHCH-、-CH(CH)-、-CHCHCH-、-CH(CH)CH-、-CHCH(CH)-、-C(CH-、-CHCHCHCH-、-CH(CH)CHCH-、-CHCHCH(CH)-、-C(CHCH-、-CHC(CH-、-(CH-、-(CH-及びそれらの位置異性体である。
【0027】
直鎖C~C-アルキレンは、-(CH-、-(CH-、-(CH-又は-(CH-である。
【0028】
環員として1つの窒素原子を含み、且つ任意選択で環員としてN及びOから選択される1つの更なるヘテロ原子を含む5又は6員飽和複素環は、例えば、ピロリジン、ピラゾリジン、イミダゾリジン、オキサゾリジン、イソオキサゾリジン、ピペリジン、ピペラジン又はモルホリンである。
【0029】
オキソは、=Oであり、すなわち、置換基「オキソ」は、CH基をC(=O)基で置き換える。
【0030】
第VIII族金属触媒は、中心金属として元素周期系の第VIII族からの金属を有する触媒を指す。第VIII族は、1985より前に有効なIUPACグループ定義に関し、現在のIUPACグループ指定の第8、9及び10に対応する。
【0031】
化合物1は、その互変異性体又は異なる互変異性形態の混合物として存在することができる。上記の式1の化合物の互変異性体の例は、以下の式である。
【化6】
【0032】
異なる互変異性形態の混合物は、例えば、この互変異性体、式1として上に示した互変異性体の混合物である。
【0033】
化合物2は、その互変異性体又は異なる互変異性形態の混合物としても存在し得る。上記の式2の化合物の互変異性体の例は、以下の式である。
【化7】
【0034】
異なる互変異性形態の混合物は、例えば、この互変異性体、式2として上に示した互変異性体の混合物である。
【0035】
簡単にするために、以下では化合物1及び2のみが言及される。それにもかかわらず、全ての実施形態は、それらの互変異性体及びそれらの異なる互変異性形態の混合物にも関する。
【0036】
式(I)の化合物の縮合双性イオン環は、メソメリー的に安定化される。縮合環のメソメリー形態は、例えば、以下に示すように、正及び負の電荷が異なる原子に分布した異なる等電子式で表すことができる。
【化8】
【0037】
発明の実施形態(E.x)
一般的及び好ましい実施形態E.xを以下の非網羅的なリストに要約する。更なる好ましい実施形態は、このリストに続く段落から明らかになる。
E.1.エナンチオマー濃縮形態の、式(I):
【化9】
(式中、アスタリスク*は、立体中心を示す)
の3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートを調製する方法であって、
(a)式1
【化10】
の2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを、キラル遷移金属触媒及び任意選択で塩基の存在下において、ギ酸HC(=O)OH、式HC(=O)Oのホルマート及びギ酸HC(=O)OHと式HC(=O)Oの1つ以上のホルマートとの混合物(式中、Mは、カチオン当量である)からなる群から選択される還元剤で還元することであって、還元剤としてギ酸が使用される場合、反応は、塩基の存在下で行われる、還元することを行って、エナンチオマー濃縮形態の、式2
【化11】
の2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを含む反応混合物を得ることと、
(b)工程(a)で得られた反応混合物を、(化合物2から単離せずに)式1の化合物中のアスタリスクが付された炭素原子の求電子性を、前記炭素原子においてラセミ化を促進することなく向上させる活性化剤と反応させて、エナンチオマー濃縮形態の式(I)の化合物を得ることと
を含む方法。
E.2.Mは、アルカリ金属カチオン、式[NHR(式中、R、R及びRは、互いに独立して、水素、C~C-アルキル、C~C-シクロアルキル、C~C-アルコキシ及びC~C-アルコキシ-C~C-アルキルからなる群から選択される)のアンモニウムカチオン、式NR-A-NR(式中、R、R、R及びRは、互いに独立して、水素、C~C-アルキル、C~C-シクロアルキル、C~C-アルコキシ及びC~C-アルコキシ-C~C4-アルキルからなる群から選択され、及びAは、(CH又は(CHである)のプロトン化ジアミン並びに1つの窒素原子を環員として含み、且つ任意選択でN及びOから選択される1つの更なるヘテロ原子を環員として含むプロトン化5又は6員飽和複素環であって、1~6つのC~C-アルキル基及び/又は1若しくは2つのOH基を有し得るプロトン化5又は6員飽和複素環からなる群から選択される、実施形態E.1に記載の方法。
E.3.Mは、Li、Na、K、Cs、NH 、[NH(C、[NH(C、[NH(CHCHCHCH、[NH(C)(CH(CH、[NH(CH(CH(CH)]、[NH(C)(C(CH、[NH(CH(CH)(C(CH、[NH(COCH)(CH)]、[NH(シクロヘキシル)(CH)]、[NH(シクロヘキシル)(CH、プロトン化N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、プロトン化N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレン-1,3-ジアミン、プロトン化ピペリジン、プロトン化N-メチルピペリジン、プロトン化2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、プロトン化N-メチル-2,6,6-テトラメチルピペリジン、プロトン化N-メチル-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、プロトン化モルホリン及びプロトン化N-メチルモルホリンからなる群から選択される、実施形態E.2に記載の方法。
E.4.Mは、式[NHR(式中、R、R及びRは、互いに独立して、水素及びC~C-アルキルからなる群から選択され、好ましくは、R、R及びRの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つは、C~C-アルキルである)のアルカリ金属カチオン及びアンモニウムカチオンからなる群から選択される、実施形態E.2に記載の方法。
E.5.Mは、[NH(C、[NH(CHCHCHCH及び[NH(C)(CH(CHからなる群から選択される、実施形態E.3又はE.4のいずれかに記載の方法。
E.6.工程(a)において任意選択で又は必須で使用される塩基は、アルカリ金属水酸化物、式NR(式中、R、R及びRは、互いに独立して、水素、C~C-アルキル、C~C-シクロアルキル、C~C-アルコキシ及びC~C-アルコキシ-C~C-アルキルからなる群から選択され、R、R及びRの少なくとも1つは、水素ではない)のアミン、式NR-A-NR(式中、R、R、R及びRは、互いに独立して、水素、C~C-アルキル、C~C-シクロアルキル、C~C-アルコキシ及びC~C-アルコキシ-C~C-アルキルからなる群から選択され、及びAは、(CH又は(CHである)のジアミン並びに1つの窒素原子を環員として含み、且つ任意選択でN及びOから選択される1つの更なるヘテロ原子を環員として含む5又は6員飽和複素環であって、1~6つのC~C-アルキル基及び/又は1若しくは2つのOH基を有し得る5又は6員飽和複素環からなる群から選択される、実施形態E.1~E.5のいずれかに記載の方法。
E.7.塩基は、LiOH、NaOH、KOH、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、エチル-tert-ブチルアミン、イソプロピル-tert-ブチルアミン、(2-メトキシエチル)メチルアミン、N,N-ジシクロヘキシルメチルアミン、N-シクロヘキシルジメチルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレン-1,3-ジアミン、ピペリジン、N-メチルピペリジン、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、N-メチル-2,6,6-テトラメチルピペリジン、N-メチル-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、モルホリン及びN-メチルモルホリンからなる群から選択され、塩基は、支持された形態(すなわち支持材料上)で使用され得る、実施形態E.6に記載の方法。
E.8.塩基は、式NR(式中、R、R及びRは、互いに独立して、水素及びC~C-アルキルからなる群から選択され、R、R及びRの少なくとも1つは、C~C-アルキルである)のアミンからなる群から選択される、実施形態E.6に記載の方法。
E.9.塩基は、トリエチルアミン、トリブチルアミン及びジイソプロピルエチルアミンからなる群から選択される、実施形態E.7又はE.8のいずれかに記載の方法。
E.10.ギ酸は、還元剤工程(a)として使用され、ギ酸及び塩基は、100:1~1:10のモル比で使用される、実施形態E.1~E.9のいずれかに記載の方法。
E.11.ギ酸及び塩基は、10:1~1:5のモル比で使用される、実施形態E.10に記載の方法。
E.12.ギ酸及び塩基は、10:1~1:2のモル比で使用される、実施形態E.11に記載の方法。
E.13.ギ酸及び塩基は、5:1~1:1のモル比で使用される、実施形態E.12に記載の方法。
E.14.化合物1及び還元剤は、1:1~1:10のモル比で使用される、実施形態E.1~E.13のいずれかに記載の方法。
E.15.化合物1及び還元剤は、1:1~1:5のモル比で使用される、実施形態E.14に記載の方法。
E.16.キラル遷移金属触媒において、1つ以上のキラル配位子は、中心遷移金属に配位結合されている、実施形態E.1~E.15のいずれかに記載の方法。
E.17.工程(a)で使用されるキラル遷移金属触媒は、第VIII族金属触媒から選択される、実施形態E.1~E.16のいずれかに記載の方法。
E.18.キラル遷移金属触媒は、第8族及び第9族金属触媒から選択される、実施形態E.17に記載の方法。
E.19.キラル遷移金属触媒は、Ru触媒、Rh触媒及びIr触媒から選択される、実施形態E.18に記載の方法。
E.20.キラル遷移金属触媒は、Rh触媒及びIr触媒から選択される実施形態E.19に記載の方法。
E.21.キラル遷移金属触媒は、遷移金属含有量に基づいて計算されて、化合物1の1モルに対して0.01~10モル%の量で使用される、実施形態E.1~E.20のいずれかに記載の方法。
E.22.キラル遷移金属触媒は、遷移金属含有量に基づいて計算されて、化合物1の1モルに対して0.05~5モル%の量で使用される、実施形態E.21に記載の方法。
E.23.キラル遷移金属触媒は、遷移金属含有量に基づいて計算されて、化合物1の1モルに対して0.1~5モル%、例えば0.1~2モル%の量で使用される、実施形態E.22に記載の方法。
E.24.キラル遷移金属触媒は、予め形成され、且つ遷移金属に配位された1つ以上のキラル配位子を含むか、又は遷移金属前駆体化合物と1つ以上のキラル配位子との反応によってインサイチューで形成される、実施形態E.1~E.23に記載の方法。
E.25.キラル配位子は、二座アミン系キラル配位子からなる群から選択される、実施形態E.24に記載の方法。
E.26.キラル配位子は、キラル1,2-ジフェニル-エチレン-1,2-ジアミン、1,2-シクロヘキサンジアミン及び1,2-ビス(メチルアミノ)シクロヘキサンからなる群から選択される、実施形態E.25に記載の方法。
E.27.キラル配位子は、キラル1,2-ジフェニル-エチレン-1,2-ジアミンからなる群から選択される、実施形態E.26に記載の方法。
E.28.キラル配位子は、キラル形態の、式(II)
【化12】
(式中、
アスタリスクは、立体中心を示し、
及びRは、互いに独立して、OH、ハロゲン、C~C-アルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択され、
及びRは、互いに独立して、水素、C~C-アルキル、-L-フェニル(ここで、フェニル環は、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2、3、4又は5つの置換基を有し得る)及びSOからなる群から選択され、
Lは、C~C-アルキレン、C~C-アルキレン-O-(CH(式中、pは、0、1又は2である)及びC~C-アルキレン-(1,2-フェニレン)-(CH(式中、rは、0、1又は2である)からなる群から選択されるリンカーであり、
は、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル、フェニル、フェニル-C~C-アルキル(ここで、2つの前述された基中のフェニルは、ハロゲン、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2、3、4又は5つの置換基を有し得る)、ナフチル、C~C10-ビシクロアルキル-C~C-アルキル(ここで、ビシクロアルキル環は、C~C-アルキル及びオキソからなる群から選択される1、2、3、4又は5つの置換基で置換され得る)及びNR1011からなる群から選択され、
10は、水素又はC~C-アルキルであり、
11は、フェニル-C~C-アルキルであり、フェニル環は、ハロゲン、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2、3、4又は5つの置換基を有し得、及び
m及びnは、互いに独立して、0、1、2、3、4又は5である)
の1,2-ジフェニル-エチレン-1,2-ジアミンからなる群から選択される、実施形態E.27に記載の方法。
E.29.化合物(II)において、
及びRは、C~C-アルコキシであり、
及びRの一方は、水素、C~C-アルキル及び-L-フェニルからなる群から選択され、フェニルは、C~C4-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2、3、4又は5つの置換基を有し得、R及びRの他方は、水素及びSOからなる群から選択され、
Lは、直鎖C~C-アルキレン、(CH-O-(CH(式中、p及びoは、独立して、1又は2である)及び(CH-(1,2-フェニレン)-(CH(式中、q及びrは、独立して、0、1又は2であり、q及びrの少なくとも一方は、0ではない)からなる群から選択されるリンカーであり、
は、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル、ハロゲン、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2、3、4又は5つの置換基を有し得るフェニル、C-ビシクロアルキル-メチル(ここで、ビシクロアルキル環は、C~C-アルキル及びオキソからなる群から選択される1、2又は3つの置換基によって置換され得る)及びNR1011からなる群から選択され、
10は、水素又はC~C-アルキルであり、
11は、フェニル-(CH-アルキルであり、sは、2又は3であり、フェニル環は、ハロゲン、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2、3、4又は5つの置換基を有し得、及び
m及びnは、両方とも0又は両方とも1であり、好ましくは両方とも0である、実施形態E.28に記載の方法。
E.30.キラル配位子は、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のDPEN、TsDPEN、CFTsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、FsDPEN、TripsMesitylDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN、TsDiOMeDPEN及び式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~C-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択される、実施形態E.28又はE.29のいずれかに記載の方法。
E.31.キラル配位子は、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のTsDPEN、CFTsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN、TsDiOMeDPEN及び式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~C-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択される、実施形態E.30に記載の方法。
E.32.キラル配位子は、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のTsDPEN、MsDPEN及びCsDPENからなる群から選択される、実施形態E.31に記載の方法。
E.33.キラル遷移金属触媒は、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のDPEN、TsDPEN、CFTsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、FsDPEN、TripsMesitylDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN、TsDiOMeDPEN及び式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~C-ハロアルキルからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得るフェニルであり、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒である、実施形態E.30に記載の方法。
E.34.キラル遷移金属触媒は、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のTsDPEN、CFTsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN、TsDiOMeDPEN及び式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~C-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒である、実施形態E.31及びE.33に記載の方法。
E.35.キラル遷移金属触媒は、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のDPEN、TsDPEN、CFTsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、FsDPEN、TripsMesitylDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN及びTsDiOMeDPENからなる群から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒並びに中心金属としてのRuと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態の式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~C-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒である、実施形態E.33に記載の方法。
E.36.キラル遷移金属触媒は、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のTsDPEN、CFTsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN及びTsDiOMeDPENからなる群から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒並びに中心金属としてのRuと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態の式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~C-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、且つm及びnは、0である)の化合物から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒である、実施形態E.35に記載の方法。
E.37.キラル遷移金属触媒は、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のTsDPEN、CFTsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN及びTsDiOMeDPENからなる群から選択される少なくとも1つのキラル配位子とを含む触媒であるか、又は以下の式
【化13】
の触媒である、実施形態E.36に記載の方法。
E.38.キラル遷移金属触媒は、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のTsDPEN、MeMsDPEN及びCsDPENからなる群から選択されるキラル配位子とを含む触媒である、実施形態E.37に記載の方法。
E.39.R及びRのいずれも-L-フェニル又はSOではなく、Rがフェニル-C~C-アルキル又はNR1011である場合、触媒は、芳香環から選択される配位子を追加的に含む、実施形態E.28~E.31及びE.33~E.37のいずれかに記載の方法。
E.40.芳香環は、Cp、Cp*、ベンゼン、p-シメン、メシチレン及びヘキサメチルベンゼンからなる群から選択される、実施形態E.39に記載の方法。
E.41.芳香環は、Cp*、ベンゼン、p-シメン、メシチレン及びヘキサメチルベンゼンからなる群から選択される、実施形態E.40に記載の方法。
E.42.芳香環は、Cp*、p-シメン及びメシチレンからなる群から選択される、実施形態E.41に記載の方法。
E.43.中心金属は、Rh若しくはIrであり、芳香環は、Cp*であるか、又はは中心金属は、Ruであり、芳香環は、p-シメン若しくはメシチレンである、実施形態E.42に記載の方法。
E.44.キラル遷移金属触媒は、1つ又は2つのハロゲン又はスルホナート配位子を追加的に含む、実施形態E.1~E.43のいずれかに記載の方法。
E.45.キラル遷移金属触媒は、1つ又は2つのハロゲン配位子を追加的に含む、実施形態E.44に記載の方法。
E.46.キラル遷移金属触媒は、1つ又は2つ、好ましくは1つのCl配位子を追加的に含む、実施形態E.45に記載の方法。
E.47.キラル遷移金属触媒は、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のTsDPEN、MeMsDPEN及びCsDPENからなる群から選択されるキラル配位子と、Cp*、p-シメン及びメシチレンからなる群から選択される配位子と、ハロゲン又はスルホナート配位子、好ましくはCl配位子とを含む触媒である、実施形態E.38~E.46のいずれかに記載の方法。
E.48.工程(a)において、式2-S
【化14】
の2-[(2S)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを少なくとも55%eeのエナンチオマー過剰率で調製するための、実施形態E.1~E.47のいずれかに記載の方法。
E.49.式2-Sの2-[(2S)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを少なくとも60%eeのエナンチオマー過剰率で調製するための、実施形態E.48に記載の方法。
E.50.式2-Sの2-[(2S)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを少なくとも70%eeのエナンチオマー過剰率で調製するための、実施形態E.49に記載の方法。
E.51.式2-Sの2-[(2S)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを少なくとも80%eeのエナンチオマー過剰率で調製するための、実施形態E.50に記載の方法。
E.52.式2-Sの2-[(2S)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを少なくとも90%eeのエナンチオマー過剰率で調製するための、実施形態E.51に記載の方法。
E.53.キラル遷移金属触媒は、(1S,2S)-DPEN、(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-CFTsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN、(1S,2S)-MeMsDPEN、(1S,2S)-MeTsDPEN、(1S,2S)-FsDPEN、(1S,2S)-TripsMesitylDPEN、(1S,2S)-CsDPEN、(1S,2S)-MesitylDPEN、(1S,2S)-RsDPEN、(1S,2S)-TsDiOMeDPEN及び(1S,2S)形態の式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~Cハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択されるキラル配位子を含み、キラル配位子は、好ましくは、(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-CFTsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN、(1S,2S)-MeMsDPEN、(1S,2S)-MeTsDPEN、(1S,2S)-CsDPEN、(1S,2S)-MesitylDPEN、(1S,2S)-RsDPEN、(1S,2S)-TsDiOMeDPEN及び(1S,2S)形態の式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~C-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択される、実施形態E.48~E.52のいずれかに記載の方法。
E.54.キラル配位子は、(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN及び(1S,2S)-CsDPENからなる群から選択される、実施形態E.53に記載の方法。
E.55.キラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1S,2S)-DPEN、(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-CFTsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN、(1S,2S)-MeMsDPEN、(1S,2S)-MeTsDPEN、(1S,2S)-FsDPEN、(1S,2S)-TripsMesitylDPEN、(1S,2S)-CsDPEN、(1S,2S)-MesitylDPEN、(1S,2S)-RsDPEN、(1S,2S)-TsDiOMeDPENからなる群から選択されるキラル配位子及び(1S,2S)形態の式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~C-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニル(ここで、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得る)であり、且つm及びnは、0である)の化合物を含むか、好ましくは、触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-CFTsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN、(1S,2S)-MeMsDPEN、(1S,2S)-MeTsDPEN、(1S,2S)-CsDPEN、(1S,2S)-MesitylDPEN、(1S,2S)-RsDPEN、(1S,2S)-TsDiOMeDPEN及び(1S,2S)形態の式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~C-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択されるキラル配位子を含む、実施形態E.48~E.54のいずれかに記載の方法。
E.56.キラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1S,2S)-DPEN、(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-CFTsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN、(1S,2S)-MeMsDPEN、(1S,2S)-MeTsDPEN、(1S,2S)-FsDPEN、(1S,2S)-TripsMesitylDPEN、(1S,2S)-CsDPEN、(1S,2S)-MesitylDPEN、(1S,2S)-RsDPEN、(1S,2S)-TsDiOMeDPENからなる群から選択されるキラル配位子を含む触媒であるか、又は中心金属としてのRuと、(1S,2S)形態の式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~Cハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒であり、キラル配位子は、好ましくは、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-CFTsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN、(1S,2S)-MeMsDPEN、(1S,2S)-MeTsDPEN、(1S,2S)-CsDPEN、(1S,2S)-MesitylDPEN、(1S,2S)-RsDPEN、(1S,2S)-TsDiOMeDPENからなる群から選択されるキラル配位子を含む触媒であるか、又は中心金属としてのRuと、(1S,2S)形態の式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~C-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、且つm及びnは、0である)の化合物から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒である、実施形態E.48~E.55のいずれかに記載の方法。
E.57.キラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-CFTsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN、(1S,2S)-MeMsDPEN、(1S,2S)-MeTsDPEN、(1S,2S)-CsDPEN、(1S,2S)-MesitylDPEN、(1S,2S)-RsDPEN及び(1S,2S)-TsDiOMeDPENからなる群から選択されるキラル配位子を含むか、又は以下の式
【化15】
の触媒である、実施形態E.56に記載の方法。
E.58.触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN及び(1S,2S)-CsDPENからなる群から選択されるキラル配位子を含む、実施形態E.57に記載の方法。
E.59.工程(a)において、式2-R
【化16】
の2-[(2R)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを少なくとも55%eeのエナンチオマー過剰率で調製するための、実施形態E.1~E.47のいずれかに記載の方法。
E.60.式2-Rの2-[(2R)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを少なくとも60%eeのエナンチオマー過剰率で調製するための、実施形態E.59に記載の方法。
E.61.式2-Rの2-[(2R)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを少なくとも70%eeのエナンチオマー過剰率で調製するための、実施形態E.60に記載の方法。
E.62.式2-Rの2-[(2R)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを少なくとも80%eeのエナンチオマー過剰率で調製するための、実施形態E.61に記載の方法。
E.63.式2-Rの2-[(2R)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを少なくとも90%eeのエナンチオマー過剰率で調製するための、実施形態E.62に記載の方法。
E.64.キラル遷移金属触媒は、(1R,2R)-DPEN、(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-CFTsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN、(1R,2R)-MeMsDPEN、(1R,2R)-MeTsDPEN、(1R,2R)-FsDPEN、(1R,2R)-TripsMesitylDPEN、(1R,2R)-CsDPEN、(1R,2R)-MesitylDPEN、(1R,2R)-RsDPEN、(1R,2R)-TsDiOMeDPEN及び(1R,2R)形態の式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~Cハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択されるキラル配位子を含み、キラル配位子は、好ましくは、(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-CFTsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN、(1R,2R)-MeMsDPEN、(1R,2R)-MeTsDPEN、(1R,2R)-CsDPEN、(1R,2R)-MesitylDPEN、(1R,2R)-RsDPEN、(1R,2R)-TsDiOMeDPEN及び(1R,2R)形態の式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~C-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択される、実施形態E.59~E.63のいずれかに記載の方法。
E.65.キラル配位子は、(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN及び(1R,2R)-CsDPENからなる群から選択される、実施形態E.64に記載の方法。
E.66.キラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1R,2R)-DPEN、(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-CFTsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN、(1R,2R)-MeMsDPEN、(1R,2R)-MeTsDPEN、(1R,2R)-FsDPEN、(1R,2R)-TripsMesitylDPEN、(1R,2R)-CsDPEN、(1R,2R)-MesitylDPEN、(1R,2R)-RsDPEN。(1R,2R)-TsDiOMeDPENからなる群から選択されるキラル配位子及び(1R,2R)形態の式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~C-ハロアルキルからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得るフェニルであり、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、2つの最後に言及された基中のフェニルは、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物を含み、好ましくは、触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-CFTsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN、(1R,2R)-MeMsDPEN、(1R,2R)-MeTsDPEN、(1R,2R)-CsDPEN、(1R,2R)-MesitylDPEN、(1R,2R)-RsDPEN、(1R,2R)-TsDiOMeDPEN及び(1R,2R)形態の式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~C-ハロアルキルからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得るフェニルであり、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択されるキラル配位子を含む、実施形態E.59~E.64のいずれかに記載の方法。
E.67.キラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1R,2R)-DPEN、(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-CFTsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN、(1R,2R)-MeMsDPEN、(1R,2R)-MeTsDPEN、(1R,2R)-FsDPEN、(1R,2R)-TripsMesitylDPEN、(1R,2R)-CsDPEN、(1R,2R)-MesitylDPEN、(1R,2R)-RsDPEN、(1R,2R)-TsDiOMeDPENからなる群から選択されるキラル配位子を含む触媒であるか、又は中心金属としてのRuと、(1R,2R)形態の式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~Cハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒であり、キラル配位子は、好ましくは、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-CFTsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN、(1R,2R)-MeMsDPEN、(1R,2R)-MeTsDPEN、(1R,2R)-CsDPEN、(1R,2R)-MesitylDPEN、(1R,2R)-RsDPEN、(1R,2R)-TsDiOMeDPENからなる群から選択されるキラル配位子を含む触媒であるか、又は中心金属としてのRuと、(1R,2R)形態の式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~C-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、且つm及びnは、0である)の化合物から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒である、実施形態E.59~E.66のいずれかに記載の方法。
E.68.キラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-CFTsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN、(1R,2R)-MeMsDPEN、(1R,2R)-MeTsDPEN、(1R,2R)-CsDPEN、(1R,2R)-MesitylDPEN、(1R,2R)-RsDPEN及び(1R,2R)-TsDiOMeDPENからなる群から選択されるキラル配位子を含むか、又は以下の式
【化17】
の触媒である、実施形態E.67に記載の方法。
E.69.触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN及び(1R,2R)-CsDPENからなる群から選択されるキラル配位子を含む、実施形態E.68に記載の方法。
E.70.工程(a)の反応は、-20~120℃の温度で行われる、実施形態E.1~E69のいずれかに記載の方法。
E.71.工程(a)の反応は、-15~25℃の温度で行われる、実施形態E.70に記載の方法。
E.72.工程(a)の反応は、30~100℃の温度で行われる、実施形態E.70に記載の方法。
E.73.工程(a)の反応は、50~90℃の温度で行われる、実施形態E.72に記載の方法。
E.74.工程(a)及び(b)の反応は、溶媒の存在下で行われる、実施形態E.1~E73のいずれかに記載の方法。
E.75.溶媒は、極性非プロトン性溶媒、C~C-アルキルアセタート、塩素化アルカン、芳香族溶媒、複素環式溶媒、前述の溶媒の混合物及び前述の溶媒と水との混合物からなる群から選択され、
反応温度で液体であるギ酸及び/又は塩基が使用される場合、少なくとも工程(a)の反応は、代わりに無希釈で行うことができる、実施形態E.74に記載の方法。
E.76.溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジブチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N-メチルピロリドン、N-(n-ブチル)-ピロリドン、N-(tert-ブチル)-ピロリドン、スルホラン、ジメチルカルボナート、ジエチルカルボナート、プロピレンカルボナート、γ-バレロラクトン、N,N,N’,N’-テトラブチル尿素、1,3-ジメチル-2-イミダゾリノン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジクロロメタン、トリクロロメタン、ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、α,α,α-トリフルオロトルエン(ベンゾトリフルオリド)、キシレン、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール(メトキシベンゼン)、4-ホルミルモルホリン、ジヒドロレボグルコセノン(cyrene(登録商標))、前述の溶媒の混合物及び前述の溶媒と、溶媒の全重量に対して最大15重量%、好ましくは最大10重量%、特に最大5重量%、具体的に最大3重量%の水との混合物からなる群から選択される、実施形態E.75に記載の方法。
E.77.溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジクロロメタン、トリクロロメタン、ジクロロエタン、α,α,α-トリフルオロトルエン(ベンゾトリフルオリド)、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール(メトキシベンゼン)及びそれらの混合物からなる群、特にジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びそれらの混合物から選択される、実施形態E.76に記載の方法。
E.78.工程(a)における反応中、COと異なる不活性ガスは、反応混合物を通してスパージングされるか、又は代替的若しくは追加的に、反応は、減圧下で行われる、実施形態E.1~E.77のいずれかに記載の方法。
E.79.COと異なるガスは、アルゴン、窒素及び酸素と窒素との混合物であって、酸素/窒素混合物の総量に対して1~8体積%の酸素を含む混合物からなる群から選択される、実施形態E.78に記載の方法。
E.80.COと異なるガスは、窒素である、実施形態E.79に記載の方法。
E.81.工程(a)及び(b)の反応は、ジエチルホスファイト、ホウ酸エステル及び亜鉛塩からなる群から選択される添加剤の存在下で行われ、亜鉛塩は、好ましくはハロゲン化亜鉛、酢酸亜鉛及びトリフルオロメタンスルホン酸亜鉛からなる群から選択される、実施形態E.1~E.80のいずれかに記載の方法。
E.82.添加剤は、ジエチルホスファイト又は亜鉛塩である、実施形態E.81に記載の方法。
E.83.添加剤は、添加剤と化合物1とのモル比が1:10000~10:1の範囲であるような量で使用される、実施形態E.81又はE.82のいずれかに記載の方法。
E.84.添加剤と化合物1とのモル比は、1:10000~5:1の範囲である、実施形態E.83に記載の方法。
E.85.添加剤と化合物1とのモル比は、1:10000~2:1の範囲である、実施形態E.84に記載の方法。
E.86.工程(b)で使用される活性化剤は、P(ORCl、P(OR)Cl、P(=O)(ORCl、P(=O)(OR)Cl(ここで、4つの化合物中の各Rは、独立して、C~C-アルキルである)、PCl、P(=O)Cl、ポリリン酸、P10、光延型試薬、ハロゲン化剤と組み合わせたトリフェニルホスフィン、アミン、カルボキサミド及び1、2又は3つの塩基性窒素環原子を含む複素芳香族化合物から選択されるルイス塩基とのSO錯体、(O)Cl、CHS(O)Cl、カルボニルジイミダゾール(CDI)、ビルスマイヤー試薬、N,N-ジメチルホルムアミド及び/又はN,N-ジメチルアセトアミドとルイス酸との錯体並びに上記活性化剤の2種以上の混合物からなる群から選択される、実施形態E.1~E.85のいずれかに記載の方法。
E.87.工程(b)で使用される活性化剤は、P(ORCl、P(OR)Cl、P(=O)(ORCl(ここで、3つの化合物中の各Rは、独立して、C~C-アルキル、PCl、P(O)Cl、SO/ジメチルホルムアミド錯体、SOCl、CHS(=O)Cl、CDI及び光延型試薬からなる群から選択される)、特にP(ORCl(式中、各Rは、独立して、C~C-アルキル及びPClである)からなる群から選択される、実施形態E.86に記載の方法。
E.88.工程(b)で使用される活性化剤は、ジメチルクロロホスファイト(P(OCHCl)、ジエチルクロロホスファイト(P(OCHCHCl)、メチルジクロロホスファイト(P(OCH)Cl)、エチルジクロロホスファイト(P(OCHCH)Cl)、PCl、P(O)Cl、SOCl、CHS(=O)Cl、CDI及び光延型試薬、好ましくはジメチルクロロホスファイト(P(OCHCl)、ジエチルクロロホスファイト(P(OCHCHCl)、メチルジクロロホスファイト(P(OCH)Cl)、エチルジクロロホスファイト(P(OCHCH)Cl)、PCl、P(O)Cl、CHS(=O)Cl及びCDIからなる群から選択される、実施形態E.87に記載の方法。
E.89.工程(b)で使用される活性化剤は、ジメチルクロロホスファイト(P(OCHCl)、ジエチルクロロホスファイト(P(OCHCHCl)、メチルジクロロホスファイト(P(OCH)Cl)、エチルジクロロホスファイト(P(OCHCH)Cl)、PCl、P(O)Cl、特にジメチルクロロホスファイト(P(OCHCl)、ジエチルクロロホスファイト(P(OCHCHCl)及びPClからなる群から選択される、実施形態E.88に記載の方法。
E.90.工程(b)で使用される活性化剤は、ジメチルクロロホスファイト(P(OCHCl)及びジエチルクロロホスファイト(P(OCHCHCl)からなる群から選択される、実施形態E.89に記載の方法。
E.91.活性化剤は、式1の化合物と活性化剤とのモル比が10:1~1:10の範囲であるような量で使用される、実施形態E.1~E.90のいずれかに記載の方法。
E.92.活性化剤は、式1の化合物と活性化剤とのモル比が2:1~1:5、好ましくは1:1~1:4の範囲であるような量で使用される、実施形態E.91に記載の方法。
E.93.活性化剤は、式1の化合物と活性化剤とのモル比が1:1~1:3の範囲であるような量で使用される、実施形態E.92に記載の方法。
E.94.活性化剤は、式1の化合物と活性化剤とのモル比が1:1~1:2の範囲であるような量で使用される、実施形態E.93に記載の方法。
E.95.工程(b)の反応は、-80~120℃の温度で行われる、実施形態E.1~E.94のいずれかに記載の方法。
E.96.工程(b)の反応は、-20~100℃の温度で行われる、実施形態E.95に記載の方法。
E.97.工程(b)の反応は、-10~90℃の温度で行われる、実施形態E.96に記載の方法。
E.98.式(I-R)
【化18】
の(3R)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートを少なくとも55%eeのエナンチオマー過剰率で調製するためのものであり、
(a.1)少なくとも55%eeのエナンチオマー過剰率における、式2-S
【化19】
の2-[(2S)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを含む反応混合物が形成されるように、式1の化合物を還元することと、
(b.1)工程(a.1)で得られた反応混合物を、実施形態E.1又はE.86~E.94のいずれかで定義される活性化剤と反応させることと
を含む、実施形態E.1~E.97のいずれかに記載の方法。
E.99.式(I-R)の(3R)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートを少なくとも60%eeのエナンチオマー過剰率で調製するためのものであり、
(a.1)少なくとも60%eeのエナンチオマー過剰率における、式2-Sの2-[(2S)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを含む反応混合物が形成されるように式1の化合物を還元することと、
(b.1)工程(a.1)で得られた反応混合物を、実施形態E.86~E.94のいずれかで定義される活性化剤と反応させることと
を含む、実施形態E.98に記載の方法。
E.100.式(I-R)の(3R)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートを少なくとも70%eeのエナンチオマー過剰率で調製するためのものであり、
(a.1)少なくとも70%eeのエナンチオマー過剰率における、式2-Sの2-[(2S)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを含む反応混合物が形成されるように式1の化合物を還元することと、
(b.1)工程(a.1)で得られた反応混合物を、実施形態E.86~E.94のいずれかで定義される活性化剤と反応させることと
を含む、実施形態E.99に記載の方法。
E.101.式(I-R)の(3R)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートを少なくとも80%eeのエナンチオマー過剰率で調製するためのものであり、
(a.1)少なくとも80%eeのエナンチオマー過剰率における、式2-Sの2-[(2S)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを含む反応混合物が形成されるように式1の化合物を還元することと、
(b.1)工程(a.1)で得られた反応混合物を、実施形態E.86~E.94のいずれかで定義される活性化剤と反応させることと
を含む、実施形態E.100に記載の方法。
E.102.式(I-R)の(3R)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートを少なくとも90%eeのエナンチオマー過剰率で調製するためのものであり、
(a.1)少なくとも90%eeのエナンチオマー過剰率における、式2-Sの2-[(2S)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを含む反応混合物が形成されるように式1の化合物を還元することと、
(b.1)工程(a.1)で得られた反応混合物を、実施形態E.86~E.94のいずれかで定義される活性化剤と反応させることと
を含む、実施形態E.101に記載の方法。
E.103.式(I-S)
【化20】
の(3S)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートを少なくとも55%eeのエナンチオマー過剰率で調製するためのものであり、
(a.2)少なくとも55%eeのエナンチオマー過剰率における、式2-R
【化21】
の2-[(2R)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを含む反応混合物が形成されるように式1の化合物を還元することと、
(b.2)工程(a.1)で得られた反応混合物を、実施形態E.1又はE.86~E.94のいずれかで定義される活性化剤と反応させることと
を含む、実施形態E.1~E.97のいずれかに記載の方法。
E.104.式(I-S)の(3S)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートを少なくとも60%eeのエナンチオマー過剰率で調製するためのものであり、
(a.2)少なくとも60%eeのエナンチオマー過剰率における、式2-Rの2-[(2R)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを含む反応混合物が形成されるように式1の化合物を還元することと、
(b.2)工程(a.1)で得られた反応混合物を、実施形態E.86~E.94のいずれかで定義される活性化剤と反応させることと
を含む、実施形態E.103に記載の方法。
E.105.式(I-S)の(3S)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートを少なくとも70%eeのエナンチオマー過剰率で調製するためのものであり、
(a.2)少なくとも70%eeのエナンチオマー過剰率における、式2-Rの2-[(2R)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを含む反応混合物が形成されるように式1の化合物を還元することと、
(b.2)工程(a.1)で得られた反応混合物を、実施形態E.86~E.94のいずれかで定義される活性化剤と反応させることと
を含む、実施形態E.104に記載の方法。
E.106.式(I-S)の(3S)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートを少なくとも80%eeのエナンチオマー過剰率で調製するための方法であって、
(a.2)少なくとも80%eeのエナンチオマー過剰率における、式2-Rの2-[(2R)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを含む反応混合物が形成されるように式1の化合物を還元することと、
(b.2)工程(a.1)で得られた反応混合物を、実施形態E.86~E.94のいずれかで定義される活性化剤と反応させることと
を含む、実施形態E.105に記載の方法。
E.107.式(I-S)の(3S)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートを少なくとも90%eeのエナンチオマー過剰率で調製するための方法であって、
(a.2)少なくとも90%eeのエナンチオマー過剰率における、式2-Rの2-[(2R)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを含む反応混合物が形成されるように式1の化合物を還元することと、
(b.2)工程(a.1)で得られた反応混合物を、実施形態E.86~E.94のいずれかで定義される活性化剤と反応させることと
を含む、実施形態E.106に記載の方法。
【0038】
反応順序は、以下のように表すことができる。
【化22】
【0039】
ここで、還元剤としてホルマートのみを示すが、ギ酸(塩基の存在下)又はギ酸とホルマートとの混合物(任意選択で塩基の存在下において)を代替的に使用することができる。
【0040】
工程(a)における反応は、不斉移動水素化として分類することができる。工程(b)における反応は、分子内S反応に分類することができる。
【0041】
は、好ましくは、アルカリ金属カチオン、式[NHR(式中、R、R及びRは、互いに独立して、水素、C~C-アルキル、C~C-シクロアルキル、C~C-アルコキシ及びC~C-アルコキシ-C~C-アルキルからなる群から選択される)のアンモニウムカチオン、式NR-A-NR(式中、R、R、R及びRは、互いに独立して、水素、C~C-アルキル、C~C-シクロアルキル、C~C-アルコキシ及びC~C-アルコキシ-C~C-アルキルからなる群から選択され、及びAは、(CH又は(CHである)のプロトン化ジアミン並びに1つの窒素原子を環員として含み、且つ任意選択でN及びOから選択される1つの更なるヘテロ原子を環員として含むプロトン化5又は6員飽和複素環であって、1~6つのC~C-アルキル基及び/又は1若しくは2つのOH基を有し得るプロトン化5又は6員飽和複素環からなる群から選択される。
【0042】
モノアミンから誘導される式[NHRのアンモニウムカチオンでは、好ましくは、R、R及びRの最大1つは、水素であり、他の2つ又は3つ全ては、互いに独立して、水素、C~C-アルキル、C~C-シクロアルキル及びC~C-アルコキシ-C~C-アルキルからなる群から選択される。このようなアンモニウムカチオンは、対応するアミンNRのプロトン化形態である。ジアミンNR-A-NRにおいて、R、R、R及びRの少なくとも1つは、水素ではないことが好ましい。より好ましくは、R、R、R及びRのいずれも水素ではない。好ましくは、R、R、R及びRは、互いに独立して、C~C-アルキルである。
【0043】
プロトン化ジアミンNR-A-NRは、モノプロトン化([NHR-A-NR)又はビスプロトン化([NHR-A-NHR2+)することができる。後者の場合、Mは、(M2+1/2又は([NHR-A-NHR2+1/2としてより正確に示される。
【0044】
プロトン化された5員又は6員飽和複素環は、好ましくはピロリジン、ピラゾリジン、イミダゾリジン、オキサゾリジン、イソオキサゾリジン、ピペリジン、ピペラジン又はモルホリンに由来する。ピラゾリジン、イミダゾリジン又はピペラジンのような2つの窒素環原子の場合、環はまた、ビスプロトン化され得る。プロトン化5又は6員飽和複素環は、窒素及び/又は炭素環原子上に1~6つのC~C-アルキル及び/又は1若しくは2つのヒドロキシル基を有することができる。特に、プロトン化飽和複素環式環は、6員であり、したがって好ましくは窒素及び/又は炭素環原子上に1~6つのC~C-アルキル及び/又は1若しくは2つのヒドロキシル基を有し得るピペリジン、ピペラジン又はモルホリンに由来する。
【0045】
特に、Mは、Li、Na、K、Cs、NH 、[NH(C、[NH(C、[NH(CHCHCHCH、[NH(C)(CH(CH、[NH(CH(CH(CH)]、[NH(C)(C(CH、[NH(CH(CH)(C(CH、[NH(COCH)(CH)]、[NH(シクロヘキシル)(CH)]、[NH(シクロヘキシル)(CH、プロトン化N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、プロトン化N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレン-1,3-ジアミン、プロトン化ピペリジン、プロトン化N-メチルピペリジン、プロトン化2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、プロトン化N-メチル-2,6,6-テトラメチルピペリジン、プロトン化N-メチル-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、プロトン化モルホリン及びプロトン化N-メチルモルホリンからなる群から選択される。より詳細には、Mは、アルカリ金属カチオン(例えば、Li、Na、K又はCs)及び式[NHR(式中、R、R及びRは、互いに独立して、水素及びC~C-アルキルからなる群から選択され、好ましくは、R、R及びRの少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つは、C~C-アルキル(例えば、NH(C、[NH(C、[NH(CHCHCHCH、[NH(C)(CH(CH、[NH(CH(CH(CH)]、[NH(C)(C(CH又は[NH(CH(CH)(C(CH)である)のアンモニウムカチオンからなる群から選択される。具体的には、Mは、Na、K、[NH(C、[NH(CHCHCHCH及び[NH(C)(CH(CHからなる群から選択され、より具体的には、Na、K、[NH(C、[NH(CHCHCHCH及び[NH(C)(CH(CHから選択され、非常に具体的には、[NH(C、[NH(CHCHCHCH及び[NH(C)(CH(CHから選択される。
【0046】
還元剤は、ギ酸HC(=O)OH、式HC(=O)Oのホルマート及びギ酸HC(=O)OHと式HC(=O)Oの1つ又は複数のホルマートとの混合物(式中、Mは、カチオン当量である)からなる群から選択される。還元剤としてギ酸が使用される場合、反応は、塩基の存在下で強制的に行われる。塩基の量に応じて、ギ酸をインサイチューで対応するホルマートに部分的又は完全に変換することができる。
【0047】
式HC(=O)Oのホルマート及びギ酸HC(=O)OHと式HC(=O)Oの1つ以上のホルマートの混合物は、予備成形された形態で反応に使用することができるか、又はギ酸を適切なモル比で対応する塩基と混合することによってインサイチューで形成することができる。Mが金属カチオン、例えばアルカリ金属カチオンであるホルマート又はホルマートとの混合物を得るために、ギ酸は、例えば、金属水酸化物、例えばアルカリ金属水酸化物又は金属カルボナート、例えばアルカリ金属カルボナートと混合される。上記のように、Mがアンモニウムカチオン又はプロトン化ジアミン又はプロトン化複素環であるホルマート又はホルマートとホルマートの混合物を得るために、ギ酸は、上で定義した対応するモノアミンNR、ジアミンNR-A-NR又は5若しくは6員飽和複素環と適切に混合される。
【0048】
本発明に関連して、任意選択で又は強制的に使用される塩基は、ホルマートHC(=O)Oと異なるものである。
【0049】
還元剤に応じて、任意選択で又は強制的に使用される塩基は、好ましくは、アルカリ金属水酸化物、式NR(式中、R、R及びRは、互いに独立して、水素、C~C-アルキル、C~C-シクロアルキル、C~C-アルコキシ及びC~C-アルコキシ-C~C-アルキルからなる群から選択され、R、R及びRの少なくとも1つは、水素ではない)のアミン、式NR-A-NR(式中、R、R、R及びRは、互いに独立して、水素、C~C-アルキル、C~C-シクロアルキル、C~C-アルコキシ及びC~C-アルコキシ-C~C-アルキルからなる群から選択され、及びAは、(CH又は(CHである)のジアミン並びに1つの窒素原子を環員として含み、且つ任意選択でN及びOから選択される1つの更なるヘテロ原子を環員として含む5又は6員飽和複素環であって、1~6つのC~C-アルキル基及び/又は1若しくは2つのOH基を有し得る5又は6員飽和複素環からなる群から選択される。
【0050】
ホルマート又はギ酸とホルマートの混合物が還元剤として使用される場合、特にMがモノアミンNR、ジアミンNR-A-NR又は前記5若しくは6員飽和複素環式環に由来する場合、塩基は好ましくはホルマート中のカチオンMに対応する。
【0051】
より好ましくは、塩基は、LiOH、NaOH、KOH、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、エチル-tert-ブチルアミン、イソプロピル-tert-ブチルアミン、(2-メトキシエチル)メチルアミン、N,N-ジシクロヘキシルメチルアミン、N-シクロヘキシルジメチルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレン-1,3-ジアミン、ピペリジン、N-メチルピペリジン、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、N-メチル-2,6,6-テトラメチルピペリジン、N-メチル-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、モルホリン及びN-メチルモルホリンからなる群から選択され、ここで、塩基は、支持された形態(すなわち支持材料上)で使用され得る。これらの中でも、アミンNR(式中、R、R及びRは、互いに独立して、水素及びC~C-アルキルからなる群から選択され、R、R及びRの少なくとも1つは、C~C-アルキル、例えば、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、エチル-tert-ブチルアミン又はイソプロピル-tert-ブチルアミンである)が好ましい。具体的には、塩基は、トリエチルアミン、トリブチルアミン及びジイソプロピルエチルアミンから選択される。
【0052】
塩基/担持塩基に適した支持体材料は、例えばシリカ(SiO)及び有機ポリマー、例えばポリスチレン又はアクリル酸エステル系支持体、例えばイオン交換樹脂に典型的に使用されるポリマー、例えばスルホン酸基を含むスチレン(コ)ポリマー、特にスルホン酸基を含むスチレン-ジビニルベンゼンコポリマーである。このようなイオン交換体支持体の市販例は、Lewatit(登録商標)(Lanxess)、Purolite(登録商標)(The Purolite Company)、Dowex(登録商標)(Dow Chemical Company)、Amberlite(登録商標)(Rohm and Haas Company)又はAmberlyst(登録商標)(Rohm and Haas Company)のブランドで市販されている材料である。
【0053】
ホルマートHC(=O)Oが還元剤としてのみ使用される場合、これを水と混合して使用することが好都合である。
【0054】
ギ酸HC(=O)OHと式HC(=O)Oの1つ以上のホルマートとの混合物を還元剤として使用する場合、ギ酸及びホルマートを任意の混合比で使用することができる。しかし、ギ酸が混合物中で実質的に優勢である(すなわち少なくとも90モル%の量で存在する)場合、塩基の存在下で反応を行うことが好都合である。逆に、ホルマートは実質的に混合物中で優勢であり(すなわち少なくとも90モル%の量で存在する)、水の存在下で反応を行うことが好都合である。
【0055】
好ましくは、還元剤としてギ酸が使用される。したがって、塩基の存在下で反応を行うことが必須である。
【0056】
ギ酸及び塩基は、好ましくは100:1~1:10、好ましくは10:1~1:5、特に10:1~1:2、特に5:1~1:1のモル比で使用される。
【0057】
化合物1及び還元剤は、好ましくは1:1~1:10、より好ましくは1:1~1:5のモル比で使用される。
【0058】
キラル遷移金属触媒は、好ましくは第VIII族金属触媒から選択される。第VIII族金属触媒は、中心金属として元素周期系の第VIII族からの金属を有する触媒を指す。第VIII族は、1985より前に有効なIUPACグループ定義に関し、現在のIUPACグループ指定の第8、9及び10に対応する。第8族はFe、Ru及びOs、第9族はCo、Rh及びIr、第10族はNi、Pd及びPtを含む。第8族及び第9族金属触媒が好ましい。これらの中でも、Ru、Rh及びIr触媒が好ましい。具体的には、キラル遷移金属触媒は、Rh又はIrを中心原子とするものである。
【0059】
好ましくは、キラル遷移金属触媒は、遷移金属含有量に基づいて計算されて、化合物1の1モルに対して0.01~10モル%、より好ましくは0.05~5モル%、特に0.1~5モル%、例えば0.1~2モル%の量で使用される。
【0060】
キラル遷移金属触媒のキラリティは、好ましくは、中心遷移金属に配位結合した1つ以上のキラル配位子の存在に基づく。
【0061】
キラル遷移金属触媒は、予備成形された形態で使用することができる。予め形成された触媒では、中心金属は1つ以上のキラル配位子に配位結合している。代わりに、キラル遷移金属触媒は、遷移金属前駆体化合物と1つ以上のキラル配位子との反応によってインサイチューで形成される。
【0062】
キラル配位子は、好ましくは、二座アミン系キラル配位子から選択される。適切な二座アミン系キラル配位子は、アミノ基を有する炭素原子の少なくとも1つが非対称であるように置換された1,2-エチレンジアミンに基づき、すなわち立体中心である。好ましくは、1,2-エチレンジアミン配位子の炭素原子の一方又は両方は、フェニル、ナフチル又はシクロヘキシル環を有するか、又は2つの炭素原子は、キラリティを付与する環系の一部である。より好ましくは、キラル配位子は、キラル1,2-ジフェニル-エチレン-1,2-ジアミン、1,2-シクロヘキサンジアミン及び1,2-ビス(メチルアミノ)シクロヘキサンからなる群から選択される。
【0063】
更により好ましくは、キラル配位子は、キラル1,2-ジフェニル-エチレン-1,2-ジアミンからなる群から選択され、特に式(II)
【化23】
(式中、
アスタリスクは、立体中心を示し、
及びRは、互いに独立して、OH、ハロゲン、C~C-アルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択され、
及びRは、互いに独立して、水素、C~C-アルキル、-L-フェニル(ここで、フェニル環は、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2、3、4又は5つの置換基を有し得る)及びSOからなる群から選択され、
Lは、C~C-アルキレン、C~C-アルキレン-O-(CH(式中、pは、0、1又は2である)及びC~C-アルキレン-(1,2-フェニレン)-(CH(式中、rは、0、1又は2である)からなる群から選択されるリンカーであり、
は、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル、フェニル、フェニル-C~C-アルキル(ここで、2つの前述された基中のフェニルは、ハロゲン、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2、3、4又は5つの置換基を有し得る)、ナフチル、C~C10-ビシクロアルキル-C~C-アルキル(ここで、ビシクロアルキル環は、C~C-アルキル及びオキソからなる群から選択される1、2、3、4又は5つの置換基で置換され得る)及びNR1011からなる群から選択され、
10は、水素又はC~C-アルキルであり、
11は、フェニル-C~C-アルキルであり、フェニル環は、ハロゲン、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2、3、4又は5つの置換基を有し得、
m及びnは、互いに独立して、0、1、2、3、4又は5である)
の1,2-ジフェニル-エチレン-1,2-ジアミンのキラル形態から選択される。
【0064】
好ましくは、化合物(II)において、
及びRは、C~C-アルコキシであり、
及びRの一方は、水素、C~C-アルキル及び-L-フェニルからなる群から選択され、ここで、フェニルは、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2、3、4又は5つの置換基を有し得、R及びRの他方は、水素及びSOからなる群から選択され、
Lは、直鎖C~C-アルキレン、(CH-O-(CH(式中、p及びoは、独立して、1又は2である)及び(CH-(1,2-フェニレン)-(CH(式中、q及びrは、独立して、0、1又は2であり、q及びrの少なくとも一方は、0ではない)からなる群から選択されるリンカーであり、
は、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル、ハロゲン、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2、3、4又は5つの置換基を有し得るフェニル、C-ビシクロアルキル-メチル(ここで、ビシクロアルキル環は、C~C-アルキル及びオキソからなる群から選択される1、2又は3つの置換基によって置換され得る)及びNR1011からなる群から選択され、
10は、水素又はC~C-アルキルであり、
11は、フェニル-(CH-アルキルであり、sは、2又は3であり、フェニル環は、ハロゲン、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2、3、4又は5つの置換基を有し得、
m及びnは、両方とも0又は両方とも1であり、好ましくは両方とも0である。
【0065】
キラルであるためには、両方の立体中心(すなわち式IIにおいてアスタリスクで示される炭素原子)がR配置でなければならないか、又は両方がS配置でなければならない。一方がSであり、他方がRである場合、アキラルメソ系が生じる。
【0066】
このような配位子は、ノヨリ型不斉移動水素化から知られており、一般に市販されている。式(II)の好ましい配位子は、DPEN、TsDPEN、CFTsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、FsDPEN、TripsMesitylDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN、TsDiOMeDPEN及び式(II)の化合物のキラル形態(すなわち(1S,2S)又は(1R,2R)形態;1位及び2位は、フェニル環及びアミノ基を有するアスタリスクを有する式II(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~C-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)で示される2つの炭素原子に関する)である。頭字語は、以下の式に対応する。
【化24】
【化25】
【0067】
フェニル環及びアミノ基を有するアスタリスクを有する式IIでマークされた2つの炭素原子に加えて、CsDPENは、カンファー部分に(より正確にはノルボルナノン環に)、すなわち架橋点を形成する炭素原子に、2つの更なる立体中心を有する(位置1及び4;1位:-CH-SO-NH-...に結合した炭素環原子)。しかしながら、カンファー部分の立体化学は、水素化反応の立体選択性に有意な影響を及ぼさないため、ラセミのカンファー又は任意のカンファーエナンチオマー(1S,4R又は1R,4S)又はエナンチオマーの非ラセミ混合物に由来するCsDPENを使用することができる。しかしながら、特定の実施形態では、CsDPENは、1S,4Rエナンチオマー、すなわち具体的には、(1S,2S)-CsDPENとしてのN-[(1S,2S)-2-アミノ-1,2-ジフェニル-エチル]-1-[(1S,4R)-7,7-ジメチル-2-オキソ-ノルボルナン-1-イル]メタンスルホンアミド及び(1R,2R)-CsDPENとしてのN-[(1R,2R)-2-アミノ-1,2-ジフェニル-エチル]-1-[(1S,4R)-7,7-ジメチル-2-オキソ-ノルボルナン-1-イル]メタンスルホンアミドに由来する。
【0068】
キラル遷移金属触媒は、特に中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のDPEN、TsDPEN、CFTsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、FsDPEN、TripsMesitylDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN、TsDiOMeDPEN及び式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~C-ハロアルキルからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得るフェニルであり、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒から選択される。より特に、キラル遷移金属触媒は、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のTsDPEN、CFTsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN、TsDiOMeDPEN及び式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~C-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒から選択される。
【0069】
具体的には、キラル遷移金属触媒は、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のDPEN、TsDPEN、CFTsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、FsDPEN、TripsMesitylDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN及びTsDiOMeDPENからなる群から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒及び中心金属としてのRuと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態の式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~C-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、Rは、-(CHフェニル又は-(CH-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒並びにより具体的には、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のTsDPEN、CFTsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN及びTsDiOMeDPENからなる群から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒並びに中心金属としてのRuと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態の式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-ハロアルキル及びC~C-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒から選択される。
【0070】
より具体的には、キラル遷移金属触媒は、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のTsDPEN、CFTsDPEN、MsDPEN、MeMsDPEN、MeTsDPEN、CsDPEN、MesitylDPEN、RsDPEN及びTsDiOMeDPENからなる群から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒並びに以下の式
【化26】
の触媒から選択される。
【0071】
非常に具体的には、キラル遷移金属触媒は、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のTsDPEN、MsDPEN及びCsDPENからなる群から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒から選択される。
【0072】
キラル遷移金属触媒は、一般に、上述の二座アミン配位子の1つのみを含む。
【0073】
又はRの意味としての-L-フェニル中の任意選択で置換されたフェニル環、フェニル-C~C-アルキル中の任意選択で置換されたフェニル環は、Rの意味としてのものであり、R11の意味としてのフェニル-C~C-アルキル中の任意選択で置換されたフェニル環は、一般に、中心金属に対する追加の(テザリングされた)配位子として作用する。エチレンジアミン配位子につながれた芳香族配位子を含むこのような錯体は、一般にウィル触媒として知られている。
【0074】
及びRのいずれも-L-フェニル又はSOではなく、Rがフェニル-C~C-アルキル又はNR1011である場合、触媒は、好ましくは、芳香環から選択される配位子を更に含む。そのような配位子は、一般に、より高い触覚性を有し、すなわち、それらは、2つ以上の原子を介して、具体的には、途切れのない連続した一連の原子を介して金属中心に配位する。一般に、それらはη又はη配位子として作用する。典型的な芳香族η及びη配位子は、置換又は非置換ベンゼン及び置換又は非置換シクロペンタジエンである。芳香環は、好ましくは、Cp、Cp*、ベンゼン、p-シメン、メシチレン及びヘキサメチルベンゼンから、特にCp*、ベンゼン、p-シメン、メシチレン及びヘキサメチルベンゼンから、具体的にはCp*、p-シメン及びメシチレンから、より具体的にはCp*から選択される。傾向として、Cp及びCp*などの5員芳香族配位子は、中心金属としてのRh又はIrにより適しており、ベンゼン、p-シメン、メシチレン及びヘキサメチルベンゼンなどの6員芳香族配位子は、中心金属としてのRuにより適している。したがって、非常に具体的には、中心金属がRh又はIrである場合、芳香環はCp*であり、中心金属がRuである場合、芳香環はp-シメン又はメシチレンである。
【0075】
一般に、触媒は、塩基性条件下で還元剤からのヒドリド配位子によって反応中に少なくとも1つが置換される1つ又は2つの更なる配位子を含む。一般に、更なる配位子は、ハロゲン(例えば、Cl、Br又はI、これらの中でもClが好ましい)又はスルホナート(例えば、トリフラート、メシラート、トシラート又はノナフラート、これらの中でもトリフレートが好ましい)配位子、特にハロゲン配位子、特にClである。
【0076】
具体的には、キラル遷移金属触媒は、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)又は(1S,2S)形態のTsDPEN、MsDPEN及びCsDPENからなる群から選択されるキラル配位子と、ハロゲン又はスルホナート配位子から選択される、好ましくはClから選択される配位子と、Cp*、p-シメン及びメシチレンから選択される更なる配位子とを含む触媒から選択される。
【0077】
上記の配位子及び触媒の多くは、市販されているか、又は適切な触媒前駆体及び配位子から出発する標準的な反応によって調製することができる。
【0078】
触媒前駆体は、一般に、中心金属の塩又は中心金属とキラル配位子と異なる配位子との錯体である。中心金属としてRu、Rh又はIrを有する好ましく使用される触媒の場合、触媒前駆体は、具体的には、芳香環配位子及び2つのハロゲン配位子を含む二核錯体である。非網羅的な例は、[Ru(パラ-シメン)Cl、[Ru(メシチレン)Cl、[Rh(III)ClCp*]又は[Ir(III)ClCp*]である。そのような錯体は、一般に市販されているか、又は標準的な方法によって調製することができる。
【0079】
予備形成された触媒は、一般に、触媒前駆体をキラル配位子と混合することによって調製される。反応は、通常、溶媒中で行われる。触媒前駆体に応じて、塩基の存在下で反応を行うことが有用であり得る。例えば、芳香環配位子及び2つのハロゲン配位子を含むRu、Rh又はIrの上述の二核錯体が前駆体化合物として使用される場合、塩基の存在は、反応、すなわち所望のキラル配位子を含む単核錯体への二核錯体の変換を容易にするか又は可能にするのに有用である。触媒前駆体及びキラル配位子は、一般に、2:1~1:5、好ましくは1.5:1~1:4、特に1.2:1~1:3のモル比で混合され、ここで、モル比は、触媒前駆体中の遷移金属(モル)の量に基づく。形成された触媒は、反応に使用する前に単離するか、又は得られた反応混合物を錯体の単離なしに使用することができる。
【0080】
触媒がインサイチューで形成される場合、触媒前駆体及びキラル配位子は、反応物、例えば出発化合物1、還元剤及び/又は塩基(使用される場合)の少なくとも1つの存在下で互いに接触する。触媒前駆体の性質に応じて、触媒の形成は、塩基が存在するときにのみ開始し得る。塩基は、HCOOHが還元剤として使用される場合に強制的に使用される上記の塩基であり得るか、又は還元剤がこの形態で使用される場合にはホルマートであり得る。好ましくは、触媒前駆体及びキラル配位子は、出発化合物1と接触させる前に、触媒前駆体及びキラル配位子が触媒錯体(中心金属がキラル配位子に結合している)を形成することができる条件下で互いに接触させる。したがって、好ましくは、触媒前駆体及びキラル配位子は、塩基(使用される場合)及び任意選択で還元剤の存在下又は追加の塩基が使用されない場合にはホルマートの存在下で接触され、任意選択でまた溶媒の存在下において、反応を無希釈で行わない場合、その後に初めて、得られた混合物を出発化合物1と接触させる。触媒前駆体及びキラル配位子は、一般に、2:1~1:5、好ましくは1.5:1~1:4、特に1.2:1~1:3のモル比で使用され、ここで、モル比は、触媒前駆体中の遷移金属(モル)の量に基づく。
【0081】
好ましい実施形態では、工程(a)で得られた化合物2において、S鏡像体が濃縮される(当然のことながら、R-エナンチオマーを犠牲にして)。したがって、好ましい実施形態では、工程(a)は、式2-S
【化27】
の2-[(2S)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンをエナンチオマー過剰で、より正確には少なくとも55%ee、好ましくは少なくとも60%ee、より好ましくは少なくとも70%ee、特に少なくとも80%ee、具体的には少なくとも90%eeのエナンチオマー過剰率で調製するのに役立つ。
【0082】
これは、適切なキラル触媒を使用することによって得られる。これは、好ましくは遷移金属触媒、好ましくは第VIII族遷移金属触媒、より好ましくは第8又は9族金属触媒、特に(1S,2S)-DPEN、(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-CFTsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN、(1S,2S)-MeMsDPEN、(1S,2S)-MeTsDPEN、(1S,2S)-FsDPEN、(1S,2S)-TripsMesitylDPEN、(1S,2S)-CsDPEN、(1S,2S)-MesitylDPEN、(1S,2S)-RsDPEN、(1S,2S)-TsDiOMeDPEN及び(1S,2S)形態の式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~Cハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択されるキラル配位子を含むRu、Rh又はIr触媒であり、好ましくは、(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-CFTsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN、(1S,2S)-MeMsDPEN、(1S,2S)-MeTsDPEN、(1S,2S)-CsDPEN、(1S,2S)-MesitylDPEN、(1S,2S)-RsDPEN、(1S,2S)-TsDiOMeDPEN及び(1S,2S)形態の式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~C-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択されるキラル配位子を含む。
【0083】
特に、エナンチオマー過剰で2-Sを得るために使用されるキラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1S,2S)-DPEN、(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-CFTsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN、(1S,2S)-MeMsDPEN、(1S,2S)-MeTsDPEN、(1S,2S)-FsDPEN、(1S,2S)-TripsMesitylDPEN、(1S,2S)-CsDPEN、(1S,2S)-MesitylDPEN、(1S,2S)-RsDPEN及び(1S,2S)-TsDiOMeDPENからなる群から選択されるキラル配位子を含むか、又は中心金属としてのRuと、(1S,2S)形態の式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~C-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒である。より特に、エナンチオマー過剰で2-Sを得るために使用されるキラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-CFTsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN、(1S,2S)-MeMsDPEN、(1S,2S)-MeTsDPEN、(1S,2S)-CsDPEN、(1S,2S)-MesitylDPEN、(1S,2S)-RsDPEN及び(1S,2S)-TsDiOMeDPENからなる群から選択されるキラル配位子を含むか、又は中心金属としてのRuと、(1S,2S)形態の式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~C-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒である。
【0084】
より具体的には、エナンチオマー過剰で2-Sを得るために使用されるキラル遷移金属触媒は、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-CFTsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN、(1S,2S)-MeMsDPEN、(1S,2S)-MeTsDPEN、(1S,2S)-CsDPEN、(1S,2S)-MesitylDPEN、(1S,2S)-RsDPEN及び(1S,2S)-TsDiOMeDPENからなる群から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒から選択されるか、又は以下の式の触媒である。
【化28】
【0085】
非常に具体的には、エナンチオマー過剰で2-Sを得るために使用されるキラル遷移金属触媒は、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN及び(1S,2S)-CsDPENからなる群から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒から選択される。
【0086】
より具体的には、エナンチオマー過剰率で2-Sを得るために使用されるキラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1S,2S)-DPEN、(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-CFTsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN、(1S,2S)-MeMsDPEN、(1S,2S)-MeTsDPEN、(1S,2S)-FsDPEN、(1S,2S)-TripsMesitylDPEN、(1S,2S)-CsDPEN、(1S,2S)-MesitylDPEN、(1S,2S)-RsDPEN及び(1S,2S)-TsDiOMeDPENからなる群から選択されるキラル配位子を含み、更に、置換又は非置換ベンゼン及び置換又は非置換シクロペンタジエン、例えばCp、Cp*、ベンゼン、p-シメン、メシチレン又はヘキサメチルベンゼンなどの芳香環から選択される配位子を含む。既に上で説明したように、Cp及びCp*などの5員η芳香族配位子は、中心金属としてのRh又はIrにより適しており、したがって、中心金属としてRh及びIrの場合、追加の芳香族配位子は、好ましくはCp及びCp*から選択され、特にCp*である。中心金属としてRuの場合、追加の芳香族配位子は、好ましくはシメン及びメシチレンから選択される。更により詳細には、エナンチオマー過剰で(2-S)を得るために使用されるキラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-CFTsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN、(1S,2S)-MeMsDPEN、(1S,2S)-MeTsDPEN、(1S,2S)-CsDPEN、(1S,2S)-MesitylDPEN、(1S,2S)-RsDPEN及び(1S,2S)-TsDiOMeDPENからなる群から選択されるキラル配位子を含み、置換又は非置換ベンゼン及び置換又は非置換シクロペンタジエン、例えばCp、Cp*、ベンゼン、p-シメン、メシチレン又はヘキサメチルベンゼン、中心金属としてのRh及びIrの場合、具体的にはη配位子Cp*、中心金属としてのRuの場合、具体的にはシメン又はメシチレンである。
【0087】
更に、触媒は、更なる配位子、一般にハロゲン化物又はスルホナート、好ましくはハロゲン化物、具体的にはClを含み、これは、還元剤からの水素化物で置き換えられる。
【0088】
代わりに、エナンチオマー過剰で2-Sを得るために使用される触媒は、中心金属としてのRuと、(1S,2S)形態の式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~C-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物から選択される少なくとも1つの配位子とを含む。一般に、このタイプの触媒も、更なる配位子、一般にハロゲン化物又はスルホナート、好ましくはハロゲン化物、具体的にはClを含み、これは、還元剤からの水素化物によって置き換えられる。このタイプの触媒は、具体的には、以下の式の化合物である。
【化29】
【0089】
具体的には、エナンチオマー過剰で2-Sを得るために使用されるキラル遷移金属触媒は、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1S,2S)-TsDPEN、(1S,2S)-MsDPEN及び(1S,2S)-CsDPENからなる群から選択されるキラル配位子と、ハロゲン配位子から選択される配位子、好ましくはCl配位子と、Cp*、p-シメン及びメシチレンから選択される更なる配位子とを含む触媒から選択される。
【0090】
別の好ましい実施形態では、工程(a)で得られた化合物2において、Rエナンチオマーが濃縮される(当然のことながら、S-エナンチオマーを犠牲にして)。したがって、好ましい実施形態では、工程(a)は、式2-R
【化30】
の2-[(2R)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンをエナンチオマー過剰で、より正確には少なくとも55%ee、好ましくは少なくとも60%ee、より好ましくは少なくとも70%ee、特に少なくとも80%ee、具体的には少なくとも90%eeのエナンチオマー過剰率で調製するのに役立つ。
【0091】
これは、適切なキラル触媒を使用することによって得られる。これは、好ましくは、遷移金属触媒、好ましくは第VIII族遷移金属触媒、より好ましくは第8又は9族金属触媒、特に(1R,2R)-DPEN、(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-CFTsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN、(1R,2R)-MeMsDPEN、(1R,2R)-MeTsDPEN、(1R,2R)-FsDPEN、(1R,2R)-TripsMesitylDPEN、(1R,2R)-CsDPEN、(1R,2R)-MesitylDPEN、(1R,2R)-RsDPEN、(1R,2R)-TsDiOMeDPEN及び(1R,2R)形態の式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~Cハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択されるキラル配位子を含むRu、Rh又はIr触媒であり、好ましくは、(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-CFTsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN、(1R,2R)-MeMsDPEN、(1R,2R)-MeTsDPEN、(1R,2R)-CsDPEN、(1R,2R)-MesitylDPEN、(1R,2R)-RsDPEN、(1R,2R)-TsDiOMeDPEN及び(1R,2R)形態の式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~C-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物からなる群から選択されるキラル配位子を含む。
【0092】
特に、エナンチオマー過剰で2-Rを得るために使用されるキラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1R,2R)-DPEN、(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-CFTsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN、(1R,2R)-MeMsDPEN、(1R,2R)-MeTsDPEN、(1R,2R)-FsDPEN、(1R,2R)-TripsMesitylDPEN、(1R,2R)-CsDPEN、(1R,2R)-MesitylDPEN、(1R,2R)-RsDPEN及び(1R,2R)-TsDiOMeDPENからなる群から選択されるキラル配位子を含むか、又は中心金属としてのRuと、(1R,2R)形態の式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~C-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒である。より特に、エナンチオマー過剰で2-Rを得るために使用されるキラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-CFTsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN、(1R,2R)-MeMsDPEN、(1R,2R)-MeTsDPEN、(1R,2R)-CsDPEN、(1R,2R)-MesitylDPEN、(1R,2R)-RsDPEN及び(1R,2R)-TsDiOMeDPENからなる群から選択されるキラル配位子を含むか、又は中心金属としてのRuと、(1R,2R)形態の式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~C-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒である。
【0093】
より具体的には、エナンチオマー過剰で2-Rを得るために使用されるキラル遷移金属触媒は、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-CFTsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN、(1R,2R)-MeMsDPEN、(1R,2R)-MeTsDPEN、(1R,2R)-CsDPEN、(1R,2R)-MesitylDPEN、(1R,2R)-RsDPEN及び(1R,2R)-TsDiOMeDPENからなる群から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒から選択されるか、又は以下の式の触媒である。
【化31】
【0094】
非常に具体的には、エナンチオマー過剰で2-Rを得るために使用されるキラル遷移金属触媒は、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN及び(1R,2R)-CsDPENからなる群から選択される少なくとも1つの配位子とを含む触媒から選択される。
【0095】
より具体的には、エナンチオマー過剰率で2-Rを得るために使用されるキラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1R,2R)-DPEN、(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-CFTsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN、(1R,2R)-MeMsDPEN、(1R,2R)-MeTsDPEN、(1R,2R)-FsDPEN、(1R,2R)-TripsMesitylDPEN、(1R,2R)-CsDPEN、(1R,2R)-MesitylDPEN、(1R,2R)-RsDPEN及び(1R,2R)-TsDiOMeDPENからなる群から選択されるキラル配位子を含み、更に、置換又は非置換ベンゼン及び置換又は非置換シクロペンタジエン、例えばCp、Cp*、ベンゼン、p-シメン、メシチレン又はヘキサメチルベンゼンなどの芳香環から選択される配位子を含む。既に上で説明したように、Cp及びCp*などの5員η芳香族配位子は、中心金属としてのRh又はIrにより適しており、したがって、中心金属としてRh及びIrの場合、追加の芳香族配位子は、好ましくはCp及びCp*から選択され、特にCp*である。中心金属としてRuの場合、追加の芳香族配位子は、好ましくはシメン及びメシチレンから選択される。更により詳細には、エナンチオマー過剰で(2-R)を得るために使用されるキラル遷移金属触媒は、中心金属としてRu、Rh又はIrを含み、且つ(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-CFTsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN、(1R,2R)-MeMsDPEN、(1R,2R)-MeTsDPEN、(1R,2R)-CsDPEN、(1R,2R)-MesitylDPEN、(1R,2R)-RsDPEN及び(1R,2R)-TsDiOMeDPENからなる群から選択されるキラル配位子を含み、置換又は非置換ベンゼン及び置換又は非置換シクロペンタジエン、例えばCp、Cp*、ベンゼン、p-シメン、メシチレン又はヘキサメチルベンゼン、中心金属としてのRh及びIrの場合、具体的にはη配位子Cp*、中心金属としてのRuの場合、具体的にはシメン又はメシチレンである。
【0096】
更に、触媒は、更なる配位子、一般にハロゲン化物又はスルホナート、好ましくはハロゲン化物、具体的にはClを含み、これは還元剤からの水素化物で置き換えられる。
【0097】
代わりに、エナンチオマー過剰で2-Rを得るために使用される触媒は、中心金属としてのRuと、(1R,2R)形態の式(II)(式中、Rは、SOであり、Rは、C~C-アルキル又はC~C-アルキル及びC~C-ハロアルキルからなる群から選択される1、2若しくは3つの置換基を有し得るフェニルであり、Rは、-(CH-フェニル又は-(CH-フェニルであり、2つの最後に述べられた基中のフェニルは、C~C-アルキル、C~C-ハロアルキル及びC~C-アルコキシからなる群から選択される1、2又は3つの置換基を有し得、且つm及びnは、0である)の化合物から選択される少なくとも1つの配位子とを含む。一般に、このタイプの触媒も、更なる配位子、一般にハロゲン化物又はスルホナート、好ましくはハロゲン化物、具体的にはClを含み、これは、還元剤からの水素化物によって置き換えられる。このタイプの触媒は、具体的には以下の式の化合物である。
【化32】
【0098】
具体的には、エナンチオマー過剰で2-Rを得るために使用されるキラル遷移金属触媒は、中心金属としてのRu、Rh又はIrと、(1R,2R)-TsDPEN、(1R,2R)-MsDPEN及び(1R,2R)-CsDPENからなる群から選択されるキラル配位子と、ハロゲン配位子から選択される配位子、好ましくはCl配位子と、Cp*、p-シメン及びメシチレンから選択される更なる配位子とを含む触媒から選択される。
【0099】
工程(a)及び(b)の両方における反応は、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒は、好ましくは、極性非プロトン性溶媒、塩素化アルカン、芳香族溶媒、複素環式溶媒及び前述の溶媒の混合物からなる群から選択される。場合により、例えばPClが活性化剤として使用される場合、前記有機溶媒と少量の水との混合物が有利であり得る。更に、ホルマートが還元剤としてのみ使用される場合又は還元剤として使用されるギ酸/ホルマート混合物中で優勢である場合、水の存在も必要である。
【0100】
極性非プロトン性溶媒は、プロトンが解離し得る官能基を有さない極性溶媒である。適切な極性非プロトン性溶媒の例は、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジエチルホルムアミド、ジブチルホルムアミド及びジメチルアセトアミドなどのアミド、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,3-ジオキサン及び1,4-ジオキサンなどの環状エーテル、ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド、アセトニトリル等のニトリル、N-メチルピロリドン(NMP)、N-(n-ブチル)-ピロリドン又はN-(tert-ブチル)-ピロリドンなどのラクタム、スルホランなどのスルホン、ジメチルカルボナート、エチレンカルボナート又はプロピレンカルボナート等の炭酸エステル、γ-ブチロラクトン又はγ-バレロラクトン等のラクトン、N,N,N’,N’-テトラメチル尿素、N,N,N’,N’-テトラブチル尿素、ジメチルプロピレン尿素(DMPU)又は1,3-ジメチル-2-イミダゾリノン(DMEU、DMI)などの尿素、ニトロメタンなどのニトロ化合物が挙げられる。
【0101】
適切なC~C-アルキルアセタートの例は、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル及び酢酸n-ブチルである。
【0102】
適切な塩素化アルカンの例は、ジクロロメタン、トリクロロメタン又はジクロロエタンである。
【0103】
適切な芳香族溶媒の例は、ベンゼン、トルエン、α,α,α-トリフルオロトルエン(ベンゾトリフルオリド)、キシレン(すなわち1,2-キシレン、1,3-キシレン又は1,4-キシレン)、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン又はアニソール(メトキシベンゼン)である。
【0104】
適切な複素環式溶媒の例は、4-ホルミルモルホリン又はジヒドロレボグルコセノン(cyrene(登録商標))である。
【0105】
列挙された有機溶媒と水との混合物が使用される場合、これらは一般に、溶媒(より正確には、有機溶媒と水との混合物)の全重量に対して、最大15重量%の水(例えば、0.5~15重量%)、好ましくは最大10重量%の水(例えば、1~10重量%)、特に最大5重量%の水(例えば、1~5重量%)、特に最大3重量%の水(例えば、1~3重量%)を含む。
【0106】
より好ましくは、溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジブチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン(すなわち1,3-及び1,4-ジオキサン)、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N-メチルピロリドン、N-(n-ブチル)-ピロリドン、N-(tert-ブチル)-ピロリドン、スルホラン、ジメチルカルボナート、ジエチルカルボナート、プロピレンカルボナート、γ-バレロラクトン、N,N,N’,N’-テトラブチル尿素、1,3-ジメチル-2-イミダゾリノン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジクロロメタン、トリクロロメタン、ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、α,α,α-トリフルオロトルエン、キシレン、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール、4-ホルミルモルホリン、ジヒドロレボグルコセノン(cyrene(登録商標))、前述の溶媒の混合物及び前述の溶媒と水との混合物、特にジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジクロロメタン、トリクロロメタン、ジクロロエタン及びそれらの混合物、具体的にはジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0107】
しかしながら、ギ酸が還元剤として使用されるか又は還元剤に含まれ、且つ/又は反応温度で液体である塩基が使用される場合、工程(a)の反応は、代わりに無希釈で行うことができる。
【0108】
ホルマートが唯一の還元剤として使用される場合、これを水と混合して使用することが好都合である。この場合、溶媒は好ましくは水も含む。
【0109】
工程(a)の反応中、ギ酸又はホルマートはCOに酸化される。COが多数の触媒の活性を阻害することを考えると、工程(a)における反応中にCOを除去することが好都合である。これは、例えば、反応混合物を通して反応に不活性なガスを吹き込むか、又は真空を適用することによって行うことができる。したがって、好ましい実施形態では、工程(a)の反応中、COと異なり、且つ好ましくはアルゴン、窒素及び酸素と窒素との混合物であって、酸素/窒素混合物の総量に対して1~8体積%の酸素を含む混合物からなる群から選択される不活性ガスが反応混合物を通して散布されるか、又は代替的に若しくは付加的に、反応が減圧下で行われる。具体的には、窒素を用いてCOを除去する。不活性ガスは、典型的には、1~200l/h、好ましくは1~80l/h、より好ましくは1~50l/h、特に1~20l/hの流量で使用される。工業規模では、流量は、当然のことながら、例えば最大5000l/hと明確に高くすることができる。
【0110】
工程(a)及び(b)における反応は、反応速度を加速する添加剤の存在下で行うことができる。典型的な添加剤は、ジエチルホスファイト、ホウ酸エステル及び亜鉛塩である。適切な亜鉛塩は、例えば、ハロゲン化亜鉛、酢酸亜鉛又はトリフルオロメタンスルホン酸亜鉛である。具体的には、ジエチルホスファイト又は亜鉛塩、特に酢酸亜鉛が使用される。添加剤は、好ましくは、添加剤と化合物1とのモル比が1:10000~10:1、特に1:10000~5:1、特に1:10000~2:1の範囲であるような量で使用される。
【0111】
工程(a)の反応は、好ましくは-20~120℃の温度で行われる。最適温度は、とりわけ、使用される触媒に依存する。例えば、いくつかのRu触媒では、この場合の反応温度が好ましくは30~100℃、例えば50~90℃の範囲であるように、より高い反応温度が有利であり得るが、Rh及びIrの場合、この場合の反応温度は好ましくは-20~30℃、特に-15~25℃の範囲であるように、より低い反応温度で十分である。しかし、Ru触媒は、この範囲の温度、特に10~30℃でも機能する。
【0112】
工程(a)の反応時間は、反応温度、反応混合物中の反応物の濃度などの様々な要因に依存する。典型的には、約0~48時間、好ましくは1~16時間の範囲である。これに関連して、「0h」の反応時間は、全ての成分の添加が完了した後、反応が工程(b)を続けるのに十分に完了し得ることを意味する。これは、例えば、反応物の添加がかなり長く続いた場合又は未反応の出発物質を再利用することが意図されている場合に起こり得る。
【0113】
工程(a)の反応は、一般に、所望の反応温度で、還元剤、任意選択で塩基(唯一の還元剤としてギ酸を使用する場合、塩基との混合が必須である)、キラル触媒(予備形成された形態又は触媒前駆体及びキラル配位子の形態のいずれか)、任意選択で溶媒及び任意選択で添加剤を混合するか、又は成分を混合し、次いで温度を所望の範囲にすることによって行われる。添加の順序は、特に重要ではない。例えば、
(i)還元剤及び任意選択で塩基(唯一の還元剤としてのギ酸の場合:塩基を必須とする)を、混合物として又は別々に添加して(別々の添加を同時に又は連続して行うことができる)、溶媒中で化合物1とキラル触媒との混合物に添加するか、又は
(ii)溶媒中のキラル触媒を、化合物1、還元剤、任意選択で塩基(唯一の還元剤としてのギ酸の場合:塩基を必須とする)及び任意選択で溶媒(ホルマートが唯一の還元剤として使用され、液体塩基が使用されない場合:溶媒を必須とする)の混合物に添加するか、又は
(iii)任意選択で溶媒中において、還元剤を、化合物1、キラル触媒、任意選択で塩基(唯一の還元剤としてのギ酸の場合:塩基を必須とする)及び任意選択で溶媒(液体塩基を使用しない場合:溶媒を必須とする)の混合物に添加するか、又は
(iv)溶媒中の化合物1を、キラル触媒、還元剤、任意選択で塩基(唯一の還元剤としてのギ酸の場合:塩基を必須とする)及び任意選択で溶媒(ホルマートが唯一の還元剤として使用され、液体塩基が使用されない場合:溶媒を必須とする)の混合物に添加する。
【0114】
工程(a)で得られた反応混合物は、化合物2を単離することなく、次の工程(b)で反応させる。化合物2は、非常に感受性であり、貯蔵時又は通常の単離方法を適用した場合でもある程度分解し得る。化合物2を単離しないと、化合物2を工程(b)に供する前に単離する方法と比較して、化合物(I)がより高い収率で得られる傾向がある。
【0115】
一般に、化合物2を単離せずに工程(b)において工程(a)の反応混合物を反応させることは、単に、活性化化合物を工程(a)で得られた反応混合物と接触させることにより、すなわち活性化化合物を工程(a)で得られた反応混合物に添加することにより行われる。
【0116】
工程(b)で使用される活性化剤は、式2の化合物中のアスタリスクが付された炭素原子においてラセミ化を促進することなく、前記炭素原子の求電子性を高める化合物である。化合物(I)に対する2の反応は、ピリミジノン環の非置換窒素原子がアスタリスクを付した脂肪族炭素原子を攻撃し、OH基を置換し、縮合環系を形成する分子内求核置換である。化合物(I)中の2のキラル情報を最大限に保存するために、この反応の条件は、アスタリスクを付した炭素原子におけるラセミ化が抑制されるか又は少なくとも最小化されるように好都合である。これは、S2条件下で求核攻撃を確実にすることによって好都合に行われる。したがって、活性化剤は、式2の化合物中のアスタリスクで示された炭素原子における分子間S2攻撃を促進する化合物として代替的に定義される。
【0117】
適切な活性化剤は、種々のリン化合物などの好酸素性化合物であるが、ルイス酸特性を有する特定の化合物又は化合物の組成物でもある。
【0118】
好ましくは、活性化剤は、P(ORCl、P(OR)Cl、P(=O)(ORCl、P(=O)(OR)Cl(ここで、4つの化合物中の各Rは、独立して、C~C-アルキルである)、PCl、P(=O)Cl、ポリリン酸、P10、光延型試薬、ハロゲン化剤と組み合わせたトリフェニルホスフィン、アミン、カルボキサミド及び1、2又は3つの塩基性窒素環原子を含む複素芳香族化合物から選択されるルイス塩基とのSO錯体、(O)Cl、CHS(O)Cl、カルボニルジイミダゾール(CDI)、ビルスマイヤー試薬、N,N-ジメチルホルムアミド及び/又はN,N-ジメチルアセトアミドとルイス酸との錯体並びに上記活性化剤の2種以上の混合物からなる群から選択される。
【0119】
光延型試薬は、トリフェニルホスフィンとアゾジカルボキシレートとの組合わせ、例えばジエチルアゾジカルボキシレート(DEAD)若しくはジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD)又はトリフェニルホスフィンとアゾジカルボキサミドとの組合わせ、例えばテトラメチルアゾジカルボキサミド(TMAD)である。これらの組合わせは、混合物として使用されるか、又は反応中にインサイチューで混合される。好都合には、それらは市販の混合物として使用することができる。
【0120】
トリフェニルホスフィンと組み合わせて使用されるハロゲン化剤の例は、N-クロロスクシンイミド(NCS)、N-ブロモスクシンイミド(NBS)、元素塩素、元素臭素又は元素ヨウ素である。これらの組合わせは、混合物として使用されるか、又は反応中にインサイチューで混合される。
【0121】
1、2又は3つの塩基性窒素環原子を含むアミン、カルボキサミド及びヘテロ芳香族化合物から選択されるルイス塩基とのSO錯体の例は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジメチルホルムアミド、ピリジン又はポリビニルピリジンとのSO錯体である。これらの組合わせは、混合物として使用されるか、又は反応中にインサイチューで混合される。好都合には、それらは市販の混合物として使用することができる。
【0122】
ビルスマイヤー試薬は、塩化ホスホリル(P(O)Cl)、塩化オキサリル(ClC(O)-C(O)Cl)又は塩化チオニル(S(O)Cl)とホルムアミド(HC(O)NR(式中、各Rは、独立して、C~C-アルキルである))の反応の生成物であり、クロロイミニウムイオン(ClHC=NR )をもたらす。一般に、ジメチルホルムアミドが使用され、すなわち、両方のRは、メチルである。
【0123】
N,N-ジメチルホルムアミド及び/又はN,N-ジメチルアセトアミドとルイス酸との錯体におけるルイス酸の一例はBFである。
【0124】
活性化剤は、より好ましくはP(ORCl、P(OR)Cl、P(=O)(ORCl(3つの前述の化合物中の各Rは、独立して、C~光延C-アルキルである)、PCl、P(O)Cl、SO/ジメチルホルムアミド錯体、SOCl、CHS(=O)Cl、CDI及び型試薬、特にジメチルクロロホスファイト(P(OCHCl)、ジエチルクロロホスファイト(P(OCHCHCl)、メチルジクロロホスファイト(P(OCH)Cl、エチルジクロロホスファイト(P(OCHCH)Cl)、PCl、P(O)Cl、SOCl、CHS(=O)Cl、CDI及び光延型試薬からなる群から選択される。より詳細には、活性化剤は、ジメチルクロロホスファイト(P(OCHCl)、ジエチルクロロホスファイト(P(OCHCHCl)、メチルジクロロホスファイト(P(OCH)Cl)、エチルジクロロホスファイト(P(OCHCH)Cl)、PCl及びP(O)Clからなる群から選択される。更により詳細には、活性化剤は、P(ORCl、具体的には、ジメチルクロロホスファイト(P(OCHCl)及びジエチルクロロホスファイト(P(OCHCHCl)並びにPClからなる群から選択される。具体的には、活性化剤は、ジメチルクロロホスファイト(P(OCHCl)又はジエチルクロロホスファイト(P(OCHCHCl)である。
【0125】
式2の化合物及び活性化剤は、好ましくは、10:1~1:10、より好ましくは2:1~1:5、更により好ましくは1:1~1:4、特に1:1~1:3、具体的には1:1~1:2のモル比で使用される。
【0126】
工程(b)における反応は、好ましくは溶媒の存在下で行われる。工程(a)が、追加の典型的な溶媒なしで溶媒としてギ酸及び/又は液体塩基中で行われた場合、そのような溶媒を添加することが好都合である。適切な溶媒は、極性非プロトン性溶媒、極性非プロトン性溶媒と水との混合物、C~C-アルキルアセタート、塩素化アルカン、芳香族溶媒、複素環式溶媒及びそれらの混合物である。水性溶媒は一般にイオン性脱離基を可溶化するため、置換反応においてS1経路を促進すると一般に考えられているが、この場合、極性非プロトン性溶媒と水との混合物が、PClなどの特定の活性化剤と少なくとも組み合わせて、適切であることが見出されており、上記の認識を参照されたい。
【0127】
極性非プロトン性溶媒は、プロトンが解離し得る官能基を有さない極性溶媒である。適切な極性非プロトン性溶媒の例は、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジエチルホルムアミド、ジブチルホルムアミド及びジメチルアセトアミドなどのアミド、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,3-ジオキサン及び1,4-ジオキサンなどの環状エーテル、ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド、アセトニトリル等のニトリル、N-メチルピロリドン(NMP)、N-(n-ブチル)-ピロリドン又はN-(tert-ブチル)-ピロリドンなどのラクタム、スルホランなどのスルホン、ジメチルカルボナート、エチレンカルボナート又はプロピレンカルボナート等の炭酸エステル、γ-ブチロラクトン又はγ-バレロラクトン等のラクトン、N,N,N’,N’-テトラメチル尿素、N,N,N’,N’-テトラブチル尿素、ジメチルプロピレン尿素(DMPU)又は1,3-ジメチル-2-イミダゾリノン(DMEU、DMI)などの尿素、ニトロメタンなどのニトロ化合物が挙げられる。
【0128】
極性非プロトン性溶媒と水との混合物において、混合物は、混合物の総重量に基づいて、好ましくは0.5~15重量%、好ましくは1~10重量%、特に1~6重量%、特に1~4重量%の量の水を含む。
【0129】
適切なC~C-アルキルアセタートの例は、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル及び酢酸イソプロピルである。
【0130】
適切な塩素化アルカンの例は、ジクロロメタン、トリクロロメタン又はジクロロエタンである。
【0131】
適切な芳香族溶媒の例は、ベンゼン、トルエン、α,α,α-トリフルオロトルエン(ベンゾトリフルオリド)、キシレン(すなわち1,2-キシレン、1,3-キシレン又は1,4-キシレン)、フルオロベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン又はアニソール(メトキシベンゼン)である。
【0132】
適切な複素環式溶媒の例は、4-ホルミルモルホリン又はジヒドロレボグルコセノン(cyrene(登録商標))である。
【0133】
より好ましくは、溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジブチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフランと水との混合物(例えば、THF/水混合物の総重量に基づいて、0.5~15重量%、好ましくは1~10重量%、特に1~6重量%、特に1~4重量%の量の水を含む)、2-メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン(すなわち1,3-ジオキサン及び1,4-ジオキサン)、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N-メチルピロリドン、N-(n-ブチル)-ピロリドン、N-(tert-ブチル)-ピロリドン、スルホラン、ジメチルカルボナート、ジエチルカルボナート、プロピレンカルボナート、γ-バレロラクトン、N,N,N’,N’-テトラブチル尿素、1,3-ジメチル-2-イミダゾリノン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジクロロメタン、トリクロロメタン、ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、トリフルオロトルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、4-ホルミル-モルホリン、ジヒドロレボグルコセノン(cyrene(登録商標))及びこれらの混合物からなる群から選択される。特に、溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジブチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフランと水の混合物(例えば、THF/水混合物の総重量に基づいて、0.5~15重量%、好ましくは1~10重量%、特に1~6重量%、特に1~4重量%の量の水を含む)、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、アセトニトリル、酢酸エチル、ジクロロメタン、トルエン、クロロベンゼン及びそれらの混合物、特にジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジクロロメタン、トリクロロメタン及びそれらの混合物、具体的にはジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0134】
工程(a)が塩基(塩基は、ホルマートと異なる)の存在下で行われなかった場合、工程(b)において塩基を添加することが可能である。塩基は、好ましくは、アルカリ金属水酸化物、式NR(式中、R、R及びRは、互いに独立して、水素、C~C-アルキル、C~C-シクロアルキル、C~C-アルコキシ及びC~C-アルコキシ-C~C-アルキルからなる群から選択され、R、R及びRの少なくとも1つは、水素ではない)のアミン、式NR-A-NR(式中、R、R、R及びRは、互いに独立して、水素、C~C-アルキル、C~C-シクロアルキル、C~C-アルコキシ及びC~C-アルコキシ-C~C-アルキルからなる群から選択され、及びAは、(CH又は(CHである)のジアミン並びに1つの窒素原子を環員として含み、且つ任意選択でN及びOから選択される1つの更なるヘテロ原子を環員として含む5又は6員飽和複素環であって、1~6つのC~C-アルキル基及び/又は1若しくは2つのOH基を有し得る5又は6員飽和複素環からなる群から選択される。特に、塩基は、LiOH、NaOH、KOH、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、エチル-tert-ブチルアミン、イソプロピル-tert-ブチルアミン、(2-メトキシエチル)メチルアミン、N,N-ジシクロヘキシルメチルアミン、N-シクロヘキシルジメチルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレン-1,3-ジアミン、ピペリジン、N-メチルピペリジン、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、N-メチル-2,6,6-テトラメチルピペリジン、N-メチル-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、モルホリン及びN-メチルモルホリンからなる群から選択され、ここで、塩基は、支持された形態(すなわち支持材料上)で使用され得、具体的には、トリエチルアミン、トリブチルアミン及びジイソプロピルエチルアミンからなる群から選択される。
【0135】
適切な支持材料を上に列挙する。
【0136】
しかしながら、工程(b)における塩基の添加は必要ではない。これに関連して、塩基は、追加の塩基、すなわち必須反応物と異なる塩基を指す。例えば、工程(a)のホルマートは塩基性であり、いくつかの活性化剤は、ルイス塩基とのSO錯体中のアミン又はヘテロ芳香族化合物などの塩基性成分を含む。
【0137】
工程(b)の反応は、好ましくは、-80~120℃、より好ましくは-20~100℃、特に-10~90℃の温度で行われる。工程(b)が工程(a)とは別の温度で実施される場合、これは、活性化剤を添加する前に工程(a)で得られた反応混合物の温度を所望の温度に調整することによって好都合に実現される。
【0138】
工程(b)の反応時間は、反応温度、反応混合物中の反応物の濃度などの様々な要因に依存する。典型的には、約15分~48時間、好ましくは1~10時間の範囲である。
【0139】
工程(b)における反応は、通常、工程(a)で得られた反応混合物に活性化剤を添加することにより行われる。使用される活性化剤に応じて、-80~10℃、例えば-20~0℃に冷却した工程(a)で得られた反応混合物に薬剤を添加し、添加時の温度より高い反応温度が望まれる場合、添加完了後にのみ反応混合物を加温することが好都合であり得る。活性化剤の反応性に応じて、熱の発生を避けるために、活性化剤を徐々に(連続的又は分けて)添加することが好都合であり得る。反応性は、活性化剤の種類だけでなく、貯蔵後のその状態にも依存するため、予備試験が好都合である。
【0140】
代わりに、工程(b)は、工程(a)で得られた反応混合物を活性化剤に添加することによって実施される。この目的のために、活性化剤は溶媒中に適切に提供される。適切な溶媒は、工程(b)について上に列挙したものである。
【0141】
好ましい実施形態では、本発明の方法は、式(I-R)の(3R)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートを、少なくとも55%ee、好ましくは少なくとも60%ee、より好ましくは少なくとも70%ee、特に少なくとも80%ee、具体的には少なくとも90%eeのエナンチオマー過剰率で調製するのに役立つ。
【化33】
【0142】
この目的のために、化合物1は、化合物2のSエナンチオマーが優勢である反応混合物、すなわち式2-Sの2-[(2S)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを含む反応混合物が少なくとも55%ee、好ましくは少なくとも60%ee、より好ましくは少なくとも70%ee、特に少なくとも80%ee、具体的には少なくとも90%eeのエナンチオマー過剰率で得られるような水素化条件下にある。
【化34】
次いで、これを上記の活性化剤と反応させる。
【0143】
分子内求核攻撃は、主にOH脱離基の反対側から進行し、したがって不斉炭素原子での立体配置の反転を伴う(求核剤及び求核剤がCahn-Ingold-Prelog規則に従って同じ優先順位を有することを考えると、絶対配置もSからRに変化する)。
【0144】
化合物2のSエナンチオマーが優勢である反応混合物を生じる反応条件は、工程(a)との関連で上に記載されている。
【0145】
別の好ましい実施形態では、本発明の方法は、式(I-S)の(3S)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートを、少なくとも55%ee、好ましくは少なくとも60%ee、より好ましくは少なくとも70%ee、特に少なくとも80%ee、具体的には少なくとも90%eeのエナンチオマー過剰率で調製するのに役立つ。
【化35】
【0146】
この目的のために、化合物1は、化合物2のRエナンチオマーが優勢である反応混合物、すなわち式1-Rの2-[(2R)-2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-ヒドロキシ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを含む反応混合物が少なくとも55%ee、好ましくは少なくとも60%ee、より好ましくは少なくとも70%ee、特に少なくとも80%ee、具体的には少なくとも90%eeのエナンチオマー過剰率で得られるような水素化条件下にある。
【化36】
次いで、これを上記の活性化剤と反応させる。
【0147】
分子内求核攻撃は、主にOH脱離基の反対側から進行し、したがって不斉炭素原子での立体配置の反転を伴う(求核剤及び求核剤がCahn-Ingold-Prelog規則に従って同じ優先順位を有することを考えると、絶対配置もRからSに変化する)。
【0148】
化合物2のRエナンチオマーが優勢である反応混合物を生じる反応条件は、工程(a)との関連で上に記載されている。
【0149】
反応の完了後、エナンチオマー濃縮形態の式(I)のピリミジノンを一般に反応混合物から単離する。単離は、典型的には、化合物(I)を沈殿させるのに適した工程を含む。例えば、溶媒を任意選択で減圧下において部分的に除去することができ、その後、所望の化合物(I)が沈殿する。溶媒を部分的に除去するために適用される温度、除去される溶媒の量及び当然のことながら溶媒の性質に応じて、冷却が連続的又は段階的に起こり得る残留混合物を冷却することが好都合であり得る。代わりに又は加えて、化合物(I)が低い溶解度を有する更なる溶媒を、好都合には反応溶媒を部分的に除去した後に加えることができ、その上に化合物(I)が沈殿し、場合により冷却後(再び連続的又は段階的に)であり得る。化合物(I)が低い溶解度を有する適切な溶媒は、例えば、芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、トリフルオロトルエン、キシレン(すなわち1,2-キシレン、1,3-キシレン又は1,4-キシレン)、クロロベンゼン又はジクロロベンゼン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル及び酢酸イソプロピルなどのC~C-アルキルアセタート、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、イソブタノール及びtert-ブタノール等のC~C-アルカノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールなどのグリコール、グリセロール、水又は前述の溶媒の混合物である。
【0150】
沈殿物は、濾過、遠心分離、沈降及び上清の除去などの通常の方法によって単離することができ、濾過が好ましい。濾過ケークは、化合物(I)の溶解度が低い上記の溶媒などの適切な溶媒で洗浄することによって更に精製することができる。
【0151】
必要に応じて、触媒をリサイクルすることができる。この目的のために、触媒は、例えば、式(I)の化合物の沈殿物の母液、例えば、濾液、遠心分離液又は上清から回収され、必要に応じて精製し、次いで工程(a)で使用される。触媒をリサイクルする最も簡単な方法は、工程(a)における、任意選択で濃縮後の沈殿物(例えば、濾液、遠心分離物又は上清)の母液の使用である。代わりに、完全な触媒ではなく、遷移金属のみが回収される。金属は、例えば、木炭又は樹脂などの適切な吸着剤材料への吸着によって回収することができる。この目的のために、吸着材料は、前記母液に添加される。大規模では、母液は、代替的に、吸着剤が充填された1つ以上のカラムに1回又は数回通過させることができる。吸着剤からの金属の分離は、溶出によって行うことができるが(特に樹脂を使用する場合)、一般に、吸着剤材料は単純に燃焼される。次いで、金属を精製し、既知の方法によって所望の触媒又は触媒前駆体に変換し、工程(a)で再び使用することができる。代わりに、この相の溶媒を除去し、残りを燃焼させることにより、遷移金属を母液から(任意選択で中和後に)回収することができる。次いで、金属を精製し、既知の方法によって所望の触媒又は触媒前駆体に変換し、還元プロセスで再び使用することができる。触媒は、最初に母液から適切な有機溶媒(例えば、より低い沸点を有するものにすることができ、その除去はよりエネルギー消費がより少ない)に抽出することもでき、次いで任意選択で中和後に記載の処理に供する。
【0152】
化合物1は、例えば、N-メチルチオ尿素とアルキル2-フェニルマロナート~6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-2-スルファニル-ピリミジン-4-オン又は対応するチオレートとの反応及びそれらと2-クロロ-1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノンとの反応によって得ることができる。
【0153】
これらの反応は、EP出願第21153040.7号明細書に記載されている。
【0154】
N-メチルチオ尿素及びアルキル2-フェニルマロナートは市販されている。2-クロロ-1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノンは、例えば、国際公開第2018/197541号パンフレット又は国際公開第2018/202654号パンフレットに記載されているように、2-クロロチアゾールをグリニャール試薬との、対応するクロロ-(2-クロロチアゾール-5-イル)マグネシウム種への反応及びその2-クロロ-N-メトキシ-N-メチル-アセトアミドとの反応によって調製することができる。代わりに、化合物3は、T.Chalopin et al.in Org.Biomol.Chem.,2016,14,3913-3925によって記載の方法に従ってチオ尿素から調製され得る。
【0155】
本方法は、化合物(I)を高収率及び高立体選択性でもたらす。
【0156】
本発明を以下の実施例によって更に例示する。
【実施例
【0157】
略語:
DMAC N,N-ジメチルアセトアミド
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EtOAc 酢酸エチル
Me-THF 2-メチルテトラヒドロフラン
THF テトラヒドロフラン
TEA トリエチルアミン
r.t. 室温
t 時間
d 日
h 時間
min 分
rt 保持時間
【0158】
実施例1:(3R)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートの調製
1.1 2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンの調製
20Lのジャケット付き反応器内において、N下のN-メチルチオ尿素(778g、8.38モル)及びNaOCH(1584g、8.79モル、メタノール中30重量%溶液)及びメタノール(384g、12モル)の溶液を65℃の内部温度に加温した。次いで、2-フェニルマロン酸ジエチル(2121g、8.79モル)を30分かけて投入し、ポンプをメタノール(384g、12モル)で洗浄した。次いで、反応物を内部温度65℃で4時間、次いで50℃で18時間撹拌した。この時間にわたって、懸濁液が形成された。次いで、エタノール(8.050g、175モル)中の2-クロロ-1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノン(1859g、9.00モル)の溶液を30分間にわたって投入した。反応物を50℃で75分間撹拌し、固体の大きい沈殿が生じた。この時点で、エタノール(2.300g、50モル)を添加し、撹拌速度を増加させた。反応物を50℃で更に36時間撹拌し、次いで、反応物を16時間にわたって20℃に冷却した。次いで、形成された固体を3つの4Lフリット漏斗中で濾過によって単離した。各濾過ケークを500mLのエタノールで洗浄した。次いで、濾過ケークを20L反応器に戻し、15Lの水で75℃において1時間スラリー化した。次いで、スラリーを2つの4Lフリット漏斗で濾過し、各濾過ケークを500mLの室温水で3回洗浄し、次いで、真空乾燥オーブン内で80℃及び5mbarで乾燥させた。乾燥後、褐色固体の形態の標記化合物3040g(91%)を純度99重量%で単離した。
H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ=8.75(s,1H),7.15-7.45(m,5H),4.9(s,2H),3.46(s,3H).
【0159】
1.2(3R)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートの調製
25.3g(99%、1.00当量)の2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを165gのジメチルアセトアミドに溶解し、-5℃に冷却し、窒素スパージを適用した。続いて、8.3g(99%、1.00当量)のジイソプロピルエチルアミン及び3.5g(100%、1.20当量)のギ酸を添加し、続いて0.13g(94%、0.003当量)の予め形成された触媒Rh(III)ClCp*・(1S,2S-TsDPEN)(1当量の[Rh(III)ClCp*]を2当量の1S,2S-TsDPENと4当量のトリエチルアミンの存在下で反応させることによって得られる)の10gのジメチルアセトアミド中の溶液を添加した。反応混合物を2時間撹拌し、ジエチルクロロホスファイト13.6g(95%、1.30当量)を添加した。反応混合物を3時間で30℃まで、次いで2.5時間で80℃まで加温した。圧力を45mbarに下げて溶媒(-154g)の蒸留を行った後、真空を破り、72gの酢酸エチルを投入した。温度を4時間で20℃に冷却した。沈殿物を濾過し、酢酸エチル(2×63g)及び水(2×63g)で洗浄し、最後に真空中(約100℃)で乾燥させた。20.6g(>99%ee、99%、収率83%)の(3R)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートがオフホワイト固体として得られた。
H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ=7.96(s,1H),7.6(d,J=7.5Hz,1H),7.21-7.26(m,2H),7.06-7.11(m,1H),6.48(d,J=8.1Hz,1H),4.25-4.32(m,1H),3.94(d,J=12Hz,1H),3.42,(s,3H).
m/z(M+H)=378
【0160】
実施例2:(3R)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートの調製
34.1g(99%、1.00当量)の2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを216gのジメチルアセトアミドに溶解し、-5℃に冷却し、窒素スパージを適用した。6.7gのギ酸(1.10当量)/トリエチルアミン(0.27当量)混合物(モル比4.1:1)を添加し、続いて0.47g(94%、0.003当量)の予め形成された触媒Rh(III)ClCp*・(1S,2S-TsDPEN)(1当量の[Rh(III)ClCp*]を2当量の1S,2S-TsDPENと4当量のトリエチルアミンの存在下で反応させることによって得られる)の20gのジメチルアセトアミド中溶液を添加した。反応混合物を1.5時間撹拌し、ジエチルクロロホスファイト15.5g(95%、1.10当量)を添加した。反応混合物を2.5時間で25℃まで、次いで2.5時間で80℃まで加温した。圧力を45mbarに下げて溶媒(-205g)の蒸留を行った後、真空を破り、87gの酢酸エチルを投入した。温度を4時間で20℃に冷却した。沈殿物を濾過し、酢酸エチル(2×85g)及び水(2×85g)で洗浄し、最後に真空中(約100℃)で乾燥させた。28.8g(>99%ee、99%、収率87%)の(3R)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートがオフホワイトからベージュ色の固体として得られた。
【0161】
実施例3:(3S)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートの調製
29.9g(99%、1.00当量)の2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを230gのジメチルアセトアミドに溶解し、-5℃に冷却し、窒素スパージを適用した。5.2gのギ酸(1.50当量)/3.5gのジイソプロピルエチルアミン(0.36当量)の混合物を添加し、続いて、0.17g(92%、0.003当量)の予め形成された触媒Ir(III)ClCp*・(1R,2R-MsDPEN)(1当量の[Ir(III)ClCp*]と2.1当量の1R,2R-MsDPENとを4当量のトリエチルアミンの存在下で反応させることによって得られた)の10gのジメチルアセトアミド中溶液を添加した。反応混合物を9時間撹拌し、ジエチルクロロホスファイト21.0g(95%、1.70当量)を添加した。反応混合物を3時間で30℃まで、次いで2.5時間で80℃まで加温した。圧力を45mbarに下げて溶媒(-207g)の蒸留を行った後、真空を破り、82gの酢酸エチルを投入した。温度を4時間で20℃に冷却し、一晩撹拌した。沈殿物を濾過し、酢酸エチル(2×75g)及び水(2×75g)で洗浄し、最後に真空中(約100℃)で乾燥させた。23.5g(>99%ee、>99%、収率83%)の(3S)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートがオフホワイト固体として得られた。
【0162】
実施例4:(3R)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートの調製
2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン(30g、75.48mmol、1当量)をジメチルアセトアミド(165g)及びジイソプロピルエチルアミン(11.83g、90.58mmol、1.20当量)の溶液に-5℃で添加し、窒素スパージを適用した。次いで、ギ酸(4.21g、90.58mmol、1.20当量)、引き続いて[(4S,5S)-2-クロロ-1-メチルスルホニル-4,5-ジフェニル-1,3-ジアザ-2Δ4-ロダシクロペンタ-2-イル]の溶液、ジメチルアセトアミド10g中の1,2,3,4,5-ペンタメチルシクロペンタジエニル([Rh(III)ClCp*]、1S,2S-MsDPEN及びヒューニッヒ塩基(ジイソプロピルエチルアミン)を1:3:7のモル比で使用して混合することによって前記溶液中においてインサイチューで形成された)(100%変換を仮定:0.084gの触媒、0.151mmol、0.002当量)を順次添加した。反応混合物を4時間撹拌し、次いで、ジエチルクロロホスファイト(15.7g、83.30mmol、1.1当量)を添加した。反応混合物を3時間かけて30℃に、次いで2.5時間かけて80℃に加温した。次いで、圧力を45mbarに下げ、ジメチルアセトアミド154gを蒸留により除去し、次いで、真空を破り、酢酸エチル72gを1時間にわたって添加した。次いで、温度を4時間にわたって20℃に下げ、その間に懸濁液が形成された。固体を濾過によって単離し、酢酸エチル(2×63g)及び水(2×63g)で洗浄し、最後に100℃において真空中で乾燥させると、(3R)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレート24.2g(>99%ee、収率85%)がオフホワイト固体として得られた。
【0163】
実施例5:(3R)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートの調製
2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン(5.0g、12.65mmol、1当量)をジメチルホルムアミド(36.3g)に溶解し、次いで、0℃に冷却し、窒素スパージを適用した。予備成形された触媒の溶液[(4S,5S)-2-クロロ-1-メチルスルホニル-4,5-ジフェニル-1,3-ジアザ-2Δ4-ロダシクロペンタ-2-イル]、1,2,3,4,5-ペンタメチルシクロペンタジエニル(0.051g、0.08mmol、0.006当量)の15mlのジメチルホルムアミド中溶液を添加し、続いて0.98gのギ酸(1.10当量)/トリエチルアミン(0.27当量)混合物(モル比4.1:1)を添加した。反応混合物を3時間撹拌し、次いで、ジエチルクロロホスファイト(3.5g、21.51mmol、1.7当量)を添加した。反応混合物を一晩室温に加温した。次いで、圧力を15mbar(50℃)に下げ、反応混合物16gが残るまでジメチルホルムアミドを留去した。16gの酢酸エチルを0.5時間にわたって添加した。次いで、温度を20℃に下げた。固体を濾過によって単離し、酢酸エチル(2×12.5g)及び水(2×12.5g)で洗浄し、最後に100℃において真空中で乾燥させると、(3R)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレート3.53g(>99%ee、>99%、収率76%)がオフホワイト固体として得られた。
【0164】
実施例6:(3R)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートの調製
2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン(30g、75.48mmol、1当量)をジメチルアセトアミド(120g)及びジイソプロピルエチルアミン(11.75g、90.58mmol、1.20当量)の溶液に-5℃で添加し、窒素スパージを適用した。次いで、ギ酸(0.70g、15.07mmol、0.20当量)、引き続いて[(4S,5S)-2-クロロ-1-メチルスルホニル-4,5-ジフェニル-1,3-ジアザ-2Δ4-ロダシクロペンタ-2-イル]の溶液、ジメチルアセトアミド10g中の1,2,3,4,5-ペンタメチルシクロペンタジエニル([Rh(III)ClCp*]、1S,2S-MsDPEN及びヒューニッヒ塩基を1:3:7のモル比で使用して混合することによって前記溶液中においてインサイチューで形成された)(100%変換を仮定:0.084gの触媒、0.151mmol、0.002当量)を順次添加した。次いで、ギ酸(3.51g、75.59mmol、1.00当量)を30分で投入した。反応混合物を4時間撹拌し、次いで、ジエチルクロロホスファイト(15.7g、83.30mmol、1.1当量)を添加した。反応混合物を3時間かけて30℃に、次いで2.5時間かけて80℃に加温した。次いで、圧力を45mbarに下げ、ジメチルアセトアミド113gを蒸留により除去し、次いで、真空を破り、次いで、温度を4時間かけて20℃に下げた。80gのエタノールを2時間にわたって添加した。固体を濾過によって単離し、エタノール(1×75g)で洗浄した。固体を96gのエタノール/水(1:1)に80℃で50時間再懸濁し、濾過し、水(2×50g)で洗浄し、最後に100℃において真空中で乾燥させると、22.8g(>99%ee、>99%、収率80%)の(3R)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートがオフホワイト固体として得られた。
【0165】
工程b)の更なる反応条件を試験し、同様の結果が得られた。
【0166】
【表1】
【0167】
【表2】
【0168】
10 AA=活性化剤
11 この場合、1当量は出発化合物の重量当量である。
【0169】
実施例7:(3R)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートの調製
実施例6と同様に、2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを、10.93mmol(1.1当量)のギ酸と、0℃で、70gのクロロホルム中、塩基としての9.94mmol(1当量)のジイソプロピルエチルアミン及び0.3mmol(3モル%)の触媒RuClmes(1S,2S-TsDPEN)([RuCl(mes)]を1S,2S-TsDPENと反応させて得られる)の存在下で反応させ、次いで1.8当量のジエチルクロロホスファイトと10℃で反応させた。標記化合物が収率77%及び>99%eeで得られた。
【0170】
実施例8:(3S)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートの調製
実施例6と同様に、2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを、14.9mmol(1.5当量)のギ酸と、20℃で、46gのDMAC中、塩基としての14.9mmol(1.5当量)のジイソプロピルエチルアミン及び0.4mmol(4モル%)の触媒RuClmes(1R,2R-CsDPEN)([RuCl(mes)]を1R,2R-CsDPENと反応させて得られる;より正確にN-[(1R,2R)-2-アミノ-1,2-ジフェニル-エチル]-1-[(1S,4R)-7,7-ジメチル-2-オキソ-ノルボルナン-1-イル]メタンスルホンアミドで)の存在下で反応させ、次いで1.8当量のジエチルクロロホスファイト(1.5及び0.3当量の2回に分けて添加される)標記化合物が収率80%及び83%eeで得られた。
【0171】
実施例9:(3S)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートの調製
実施例6と同様に、2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを、10.93mmol(1.1当量)のギ酸と、20℃で、46gのDMAC中、塩基としての9.94mmol(1当量)のジイソプロピルエチルアミン及び0.2mmol(2モル%)の触媒RuClmes(1R,2R-CsDPEN)([RuCl(mes)]を1R,2R-CsDPENと反応させて得られる;より正確にN-[(1R,2R)-2-アミノ-1,2-ジフェニル-エチル]-1-[(1S,4R)-7,7-ジメチル-2-オキソ-ノルボルナン-1-イル]メタンスルホンアミドで)の存在下で反応させ、次いで1.8当量のジエチルクロロホスファイト(1.5及び0.3当量の2回に分けて添加される)標記化合物が収率80%及び85%eeで得られた。
【0172】
実施例10:(3R)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレート(真空、ジエチルクロロホスファイトへの添加)の調製
2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン(30.5g、76.64mmol、1当量)を、ジメチルアセトアミド(165g)及びジイソプロピルエチルアミン(9.90g、76.64mmol、1.00当量)及びギ酸(3.88g、84.30mmol、1.10当量)の溶液に-5℃で添加した。次いで、真空を適用し(50mbar)、続いてRhClCp*(1S,2S-CsDPEN)([Rh(III)ClCp*]、1S,2S-CsDPEN(より正確には、N-[(1S,2S)-2-アミノ-1,2-ジフェニル-エチル]-1-[(1S,4R)-7,7-ジメチル-2-オキソ-ノルボルナン-1-イル]メタンスルホンアミド)と、1:3:7のモル比で使用されるジイソプロピルエチルアミンとを混合することにより、溶液中においてインサイチューで形成された)(100%変換を仮定:0.107gの触媒、0.153mmol、0.002当量)の10gのジメチルアセトアミド中溶液を添加した。反応混合物を3時間撹拌し、真空を破り、次いで、混合物を20℃でジエチルクロロホスファイト(15.60g、99.63mmol、1.3当量)のジメチルアセトアミド(36g)中溶液に添加した。反応混合物を5時間撹拌し、次いで、3時間にわたって80℃に加温し、3時間維持した。次いで、圧力を20mbarに下げ、ジメチルアセトアミド167gを蒸留により除去した。次いで、真空を破壊し、混合物を60℃に冷却し、メタノール86gを1時間にわたって添加した。次いで、温度を4時間にわたって0℃に下げ、その間に懸濁液が形成された。固体を濾過によって単離し、メタノール(1×74g)及び水(1×69g)で洗浄し、最後に100℃において真空中で乾燥させると、(3R)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレート24.0g(>99%ee、収率83%)がオフホワイト固体として得られた。
【0173】
実施例11:(3R)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートの調製
2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン(30.0g、75.18mmol、1当量)をジメチルアセトアミド(120g)の溶液に添加し、-5℃に冷却し、窒素スパージを適用した。次いで、ジイソプロピルエチルアミン(9.72g、75.18mmol、1.00当量)及びギ酸(3.85g、82.69mmol、1.10当量)を-5℃で連続的に添加し、続いてRhClCp*(1S,2S-CsDPEN)(DMAC中で[Rh(III)ClCp*]、1S,2S-CsDPEN(より正確には、N-[(1S,2S)-2-アミノ-1,2-ジフェニル-エチル]-1-[(1S,4R)-7,7-ジメチル-2-オキソ-ノルボルナン-1-イル]メタンスルホンアミド)と1:3:7のモル比で使用されるジイソプロピルエチルアミンを混合することによって溶液中においてインサイチューで形成された)の溶液(100%変換を仮定:0.105gの触媒、0.15mmol、0.002当量)を添加した。反応混合物を2時間撹拌した。ジエチルクロロホスファイト(16.78g、97.73mmol、1.3当量)を-5℃で添加し、反応混合物を25℃に加温し、5時間撹拌し、次いで、3時間かけて80℃に加温し、3時間保持した。次いで、圧力を35~45mbarに下げ、ジメチルアセトアミドを蒸留により除去した。次いで、真空を破壊し、混合物(71g)を60℃に冷却し、メタノール85gを1時間にわたって添加した。次いで、温度を3時間かけて20℃まで下げた。固体を濾過によって単離し、メタノール(1×71g)及び水(1×71g)で洗浄し、最後に100℃において真空中で乾燥させると、(3R)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレート24.74g(>99%ee、収率85%)がオフホワイト固体として得られた。
【0174】
実施例12:(3S)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートの調製に必要な2-Rの調製のための様々な反応条件
工程a)の更なる反応条件を試験した。反応は、上記実施例の最初の部分(すなわち活性化剤と反応する前に進行する)と同様に行ったが、溶媒として1gの出発化合物、DMF(2ml)を使用し、触媒及び条件を以下の表にまとめた。触媒は、示された触媒前駆体と不斉配位子との反応によって予め形成された形態で使用されるか、又は示された触媒前駆体と不斉配位子とを反応混合物に添加することによってインサイチューで生成された。0℃で実施した実施例13~17を除いて、反応は室温で実施した。
【0175】
【表3】
【0176】
cat.prec.=触媒前駆体
asym.lig.=不斉配位子
i.s.=触媒がインサイチューで形成される(示された触媒前駆体及び不斉配位子から);pre.=触媒が予め形成される(示された触媒前駆体及び不斉配位子から)
2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンの量(mol)に対する触媒の量(金属の量として計算される)(mol%)
ギ酸:アミンのモル比。ギ酸の代わりにホルマートが使用される場合、このことが示され、モル比は与えられない。6を参照。
使用される2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンの(モルでの)量に対する、使用されるHCOOHの量がモル当量で与えられる。
ギ酸/アミンの代わりに、ギ酸ナトリウム及び水を使用した
C-3-tethr-RuCl-1R,2R-TsDPEN=
【化37】
mes=メシチレン
cym=p-シメン
【0177】
実施例13:(3R)-3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートの調製に必要な2-Sの調製のための様々な反応条件
工程a)の更なる反応条件を試験した。反応は、上記実施例の最初の部分と同様に行った(すなわち活性化剤と反応する前に進行する)が、出発化合物400mg及び溶媒7mlを用い、溶媒、触媒及び条件は以下の表にまとめた通りであった。触媒は、示された触媒前駆体と不斉配位子との反応によって予め形成された形態で使用されるか、又は示された触媒前駆体と不斉配位子とを反応混合物に添加することによってインサイチューで生成された。実施例18及び19(-5℃)並びに実施例20、22、37、39、42、45及び47(0℃)を除いて、反応は室温で行った。
【0178】
【表4】
【0179】
12 触媒:
【0180】
触媒番号1:[Rh(III)ClCp*]を1S,2S-MsDPENと反応させることによって得られる以下の式の触媒Rh(III)ClCp*(1S,2S-MsDPEN):
【化38】
【0181】
触媒番号2:[RuCl(mes)]を1S,2S-TsDPENと反応させることによって得られる以下の式の触媒RuClMes・(1S,2S-TsDPEN):
【化39】
【0182】
触媒番号2*:2と同様であるが、インサイチューで形成される。
【0183】
触媒番号3:[RuCl(mes)]を1S,2S-MsDPENと反応させることによって得られる以下の式の触媒RuClMes・(1S,2S-MsDPEN):
【化40】
【0184】
触媒番号4:[RuCl(mes)]を1S,2S-CsDPEN(より正確にはN-[(1S,2S)-2-アミノ-1,2-ジフェニル-エチル]-1-[(1S,4R)-7,7-ジメチル-2-オキソ-ノルボルナン-1-イル]メタンスルホンアミドと反応させることによって得られる触媒RuClMes・(1S,2S-CsDPEN)
【0185】
触媒番号5:[RuCl(mes)]をN-[(1S,2S)-2-アミノ-1,2-ビス(4-メトキシフェニル)エチル]-4-メチル-ベンゼンスルホンアミドと反応させることによって得られる以下の式の触媒RuClMes・(1S,2S-TsDiOMeDPEN):
【化41】
【0186】
触媒番号6:[RuCl(mes)]を1S,2S-MesitylDPENと反応させることによって得られる以下の式の触媒RuClMes・(1S,2S-MesitylDPEN):
【化42】
【0187】
触媒番号7:[RuCl(mes)]を1S,2S-RsDPENと反応させることによって得られる以下の式の触媒RuClMes・(1S,2S-RsDPEN):
【化43】
【0188】
実施例14:水素化工程(a)における配位子としての(1R,2R)-CsDPENの様々な立体異性体の使用
CsDPEN配位子のカンファー部分の構成が式1の2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンの水素化及びしたがって最終生成物(I)における立体選択性に本質的に影響を及ぼさないことを示すために、工程(a)を2つの異なる(1R,2R)-CsDPEN立体異性体、すなわちN-[(1R,2R)-2-アミノ-1,2-ジフェニル-エチル]-1-[(1S,4R)-7,7-ジメチル-2-オキソ-ノルボルナン-1-イル]メタンスルホンアミドを用いて、且つN-[(1R,2R)-2-アミノ-1,2-ジフェニル-エチル]-1-[(1R,4S)-7,7-ジメチル-2-オキソ-ノルボルナン-1-イル]メタンスルホンアミドを用いて行った。反応は、上記実施例の第1部分と同様に(すなわち活性化剤と反応する前に進行する)、溶媒としてDMAC、1.2当量のギ酸、0.8当量の塩基としてのジイソプロピルエチルアミン及び0.2モル%の触媒RhClCp*(1R,2R-CsDPEN-1)([Rh(III)ClCp*]、N-[(1R,2R)-2-アミノ-1,2-ジフェニル-エチル]-1-[(1S,4R)-7,7-ジメチル-2-オキソ-ノルボルナン-1-イル]メタンスルホンアミド及び1:3:7のモル比で使用されるジイソプロピルエチルアミンを混合することによってインサイチューで形成される)又は0.2モル%の触媒RhClCp*(1R,2R-CsDPEN-2)([Rh(III)ClCp*]、N-[(1R,2R)-2-アミノ-1,2-ジフェニル-エチル]-1-[(1R,4S)-7,7-ジメチル-2-オキソ-ノルボルナン-1-イル]メタンスルホンアミド及び1:3:7のモル比で使用されるジイソプロピルエチルアミンを混合することによってインサイチューで形成される)を使用して行った。反応は-5℃で行った。
【0189】
RhClCp*・(1R,2R-CsDPEN-1)を触媒として使用した反応により、エナンチオマー純度97%eeの2-Rが得られ(転化率:95%)、RhClCp*・(1R,2R-CsDPEN-2)を触媒として使用した反応により、エナンチオマー純度98%eeの2-Rが得られた(転化率:98%)。
【国際調査報告】