(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-02
(54)【発明の名称】RF四重極粒子加速器
(51)【国際特許分類】
H05H 7/22 20060101AFI20240126BHJP
H01J 37/30 20060101ALI20240126BHJP
H01J 37/04 20060101ALI20240126BHJP
H05H 9/04 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
H05H7/22
H01J37/30 A
H01J37/04 Z
H05H9/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545229
(86)(22)【出願日】2021-12-15
(85)【翻訳文提出日】2023-09-22
(86)【国際出願番号】 US2021063611
(87)【国際公開番号】W WO2022164525
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シンクレア, フランク
(72)【発明者】
【氏名】タム, ワイ-ミン
(72)【発明者】
【氏名】ビロイウ, コステル
(72)【発明者】
【氏名】リー, ウィリアム デイヴィス
【テーマコード(参考)】
2G085
5C101
【Fターム(参考)】
2G085AA06
2G085BA05
2G085BB13
5C101AA25
5C101BB06
5C101EE28
5C101EE47
5C101EE67
5C101EE68
5C101EE75
(57)【要約】
装置が、ドリフトチューブアセンブリを含んでよく、ドリフトチューブアセンブリは、三重間隙構成を規定し、ビーム経路に沿ってイオンビームを加速し、伝送するように配置される。該装置は、ドリフトチューブアセンブリにRF信号を出力するための共振器、及び、ドリフトチューブアセンブリに接続され、ビーム経路の周りで周方向に配置されたRF四重極トリプレットを含んでよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三重間隙構成を規定し、ビーム経路に沿ってイオンビームを加速し、伝送するように配置された複数のドリフトチューブを備えるドリフトチューブアセンブリ、
前記ドリフトチューブアセンブリにRF信号を出力するための共振器、及び
前記ドリフトチューブアセンブリに接続され、前記ビーム経路の周りで周方向に配置されたRF四重極トリプレットを備える、装置。
【請求項2】
前記ドリフトチューブアセンブリは、複数のドリフトチューブを備え、前記RF四重極トリプレットは、前記複数のドリフトチューブ内に一体的に形成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記RF四重極トリプレットは、
第1の接地されたドリフトチューブの下流部分、且つ、第1の電力供給されるドリフトチューブの上流部分に形成された第1の四重極、
前記第1の電力供給されるドリフトチューブの下流部分、且つ、第2の電力供給されるドリフトチューブの上流部分に形成された第2の四重極、及び
前記第2の電力供給されるドリフトチューブの下流部分、且つ、第2の接地されたドリフトチューブの上流部分に形成された第3の四重極を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の接地されたドリフトチューブの下流面が、前記第1の電力供給されるドリフトチューブの上流面に対する相補的な適合を形成し、前記第1の電力供給されるドリフトチューブの下流面が、前記第2の電力供給されるドリフトチューブの上流面に対する相補的な適合を形成し、前記第2の電力供給されるドリフトチューブの下流面が、前記第2の接地されたドリフトチューブの上流面に対する相補的な適合を形成する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の四重極、前記第2の四重極、及び前記第3の四重極は、楕円形状を画定する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の四重極、前記第2の四重極、及び前記第3の四重極は、正弦波形状を画定する、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記ドリフトチューブアセンブリは、第1の電力供給されるドリフトチューブカップル及び第2の電力供給されるドリフトチューブカップルを備え、前記三重間隙構成は、前記第1の接地されたドリフトチューブと前記第1の電力供給されるドリフトチューブカップルとの間の第1の間隙、前記第1の電力供給されるドリフトチューブカップルと前記第2の電力供給されるドリフトチューブカップルとの間の第2の間隙、及び前記第2の電力供給されるドリフトチューブカップルと前記第2の接地されたドリフトチューブとの間の第3の間隙を含み、前記第1の電力供給されるドリフトチューブの第1の長さが調整可能であり、前記第2の電力供給されるドリフトチューブの第2の長さが調整可能である、請求項3に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の電力供給されるドリフトチューブカップルの第1の部分及び前記第1の接地されたドリフトチューブは、互いに協働して移動可能であり、前記第2の電力供給されるドリフトチューブカップルの第2の部分及び前記第2の接地されたドリフトチューブは、互いに協働して移動可能であり、前記第1の間隙、前記第2の間隙、及び前記第3の間隙は、前記第1の電力供給されるドリフトチューブの長さ又は前記第2の電力供給されるドリフトチューブの長さが変化しても変化しない、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
連続的なイオンビームを生成するためのイオン源、
前記イオン源の下流に配置され、前記連続的なイオンビームを束ねられたイオンビームに変換するように配置されたバンチャ、並びに
前記バンチャの下流にあり、複数の加速段を備える線形加速器を備える、イオン注入装置であって、
前記複数の加速段の所与の加速段は、
複数のドリフトチューブを備え、三重間隙構成を規定し、ビーム経路に沿って前記束ねられたイオンビームを加速するように配置されたドリフトチューブアセンブリ、
前記ドリフトチューブアセンブリにRF信号を出力するための共振器、及び
前記ドリフトチューブアセンブリに接続され、前記ビーム経路の周りで周方向に配置されたRF四重極トリプレットを備える、イオン注入装置。
【請求項10】
前記RF四重極トリプレットは、前記複数のドリフトチューブ内に一体的に形成されている、請求項9に記載のイオン注入装置。
【請求項11】
前記RF四重極トリプレットは、
第1の接地されたドリフトチューブの下流部分、且つ、第1の電力供給されるドリフトチューブの上流部分に形成された第1の四重極、
前記第1の電力供給されるドリフトチューブの下流部分、且つ、第2の電力供給されるドリフトチューブの上流部分に形成された第2の四重極、及び
前記第2の電力供給されるドリフトチューブの下流部分、且つ、第2の接地されたドリフトチューブの上流部分に形成された第3の四重極を備える、請求項9に記載のイオン注入装置。
【請求項12】
前記第1の接地されたドリフトチューブの下流面が、前記第1の電力供給されるドリフトチューブの上流面に対する相補的な適合を形成し、前記第1の電力供給されるドリフトチューブの下流面が、前記第2の電力供給されるドリフトチューブの上流面に対する相補的な適合を形成し、前記第2の電力供給されるドリフトチューブの下流面が、前記第2の接地されたドリフトチューブの上流面に対する相補的な適合を形成する、請求項11に記載のイオン注入装置。
【請求項13】
前記第1の四重極、前記第2の四重極、及び前記第3の四重極は、楕円形状を画定する、請求項12に記載のイオン注入装置。
【請求項14】
前記第1の四重極、前記第2の四重極、及び前記第3の四重極は、正弦波形状を画定する、請求項12に記載のイオン注入装置。
【請求項15】
前記ドリフトチューブアセンブリは、第1の電力供給されるドリフトチューブカップル及び第2の電力供給されるドリフトチューブカップルを備え、前記三重間隙構成は、前記第1の接地されたドリフトチューブと前記第1の電力供給されるドリフトチューブカップルとの間の第1の間隙、前記第1の電力供給されるドリフトチューブカップルと前記第2の電力供給されるドリフトチューブカップルとの間の第2の間隙、及び前記第2の電力供給されるドリフトチューブカップルと前記第2の接地されたドリフトチューブとの間の第3の間隙を含み、前記第1の電力供給されるドリフトチューブの第1の長さが調整可能であり、前記第2の電力供給されるドリフトチューブの第2の長さが調整可能である、請求項11に記載のイオン注入装置。
【請求項16】
前記第1の電力供給されるドリフトチューブカップルの第1の部分及び前記第1の接地されたドリフトチューブは、互いに協働して移動可能であり、前記第2の電力供給されるドリフトチューブカップルの第2の部分及び前記第2の接地されたドリフトチューブは、互いに協働して移動可能であり、前記第1の間隙、前記第2の間隙、及び前記第3の間隙は、前記第1の電力供給されるドリフトチューブの長さ又は前記第2の電力供給されるドリフトチューブの長さが変化しても変化しない、請求項15に記載のイオン注入装置。
【請求項17】
ビーム経路に沿ってイオンビームを加速し、伝送するように配置された複数のドリフトチューブを備えるドリフトチューブアセンブリ、
前記ドリフトチューブアセンブリにRF信号を出力するための共振器、及び
前記ビーム経路の周りで周方向に配置された四重極配置であって、前記ドリフトチューブアセンブリの前記複数のドリフトチューブの表面に一体化され、正弦波形状又は楕円形状を画定する四重極配置を備える、装置。
【請求項18】
前記ドリフトチューブアセンブリは、三重間隙構成を規定し、前記四重極配置は、RF四重極トリプレットを規定する、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記ドリフトチューブアセンブリは、二重間隙構成を規定する、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記ドリフトチューブアセンブリは、第1の電力供給されるドリフトチューブカップル及び第2の電力供給されるドリフトチューブカップルを備え、前記三重間隙構成は、第1の接地されたドリフトチューブと前記第1の電力供給されるドリフトチューブカップルとの間の第1の間隙、前記第1の電力供給されるドリフトチューブカップルと前記第2の電力供給されるドリフトチューブカップルとの間の第2の間隙、及び前記第2の電力供給されるドリフトチューブカップルと第2の接地されたドリフトチューブとの間の第3の間隙を含み、前記第1の電力供給されるドリフトチューブの第1の長さが調整可能であり、前記第2の電力供給されるドリフトチューブの第2の長さが調整可能である、請求項18に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示は、広くは、イオン注入装置に関し、特に、高エネルギービームラインイオン注入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] イオン注入は、衝突を介してドーパント又は不純物を基板の中に導入する工程である。イオン注入システムは、イオン源と、一連のビームライン構成要素とを備え得る。イオン源は、イオンが生成されるチャンバを備え得る。イオン源は、チャンバの近くに配置された電源及び抽出電極アセンブリも備え得る。ビームライン構成要素は、例えば、質量分析器、第1の加速又は減速段、コリメータ、及び第2の加速又は減速段を含み得る。光線を操作するための一連の光学レンズのように、ビームライン構成要素は、特定の種、形状、エネルギー、及び/又は他の性質を有するイオン若しくはイオンビームをフィルタし、集束させ、及び操作することができる。イオンビームは、ビームライン構成要素を通過し、プラテン又はクランプ上に取り付けられた基板又はウエハに向けて誘導され得る。
【0003】
[0003] 約1MeV以上のイオンエネルギーを生成することができる注入装置は、高エネルギーイオン注入装置又は高エネルギーイオン注入システムと呼ばれることが多い。あるタイプの高エネルギーイオン注入装置は、線形加速器、すなわちリニアック(LINAC)と呼ばれ、チューブとして配置された一連の電極がイオンビームを導き、一連のチューブに沿ってますます高いエネルギーにまで加速する。その場合、それらの電極は、電力電圧信号を受信する。既知のリニアックは、13.56MHz~120MHzの範囲の周波数のRF電圧によって駆動される。
【0004】
[0004] RFリニアックイオン注入装置の動作に関する1つの問題は、イオンビームの加速中に、イオンビームが、伝搬方向(Z方向)に沿ってイオン束に分割され、イオン束の自然な傾向として、両方の横方向(X方向とY方向)、ならびに縦方向(Z方向、又は等価的に時間において)広がることである。イオンを集束させるための既知の方法は一般に複雑であり、加速するイオン束を集束させるために、不当に長い加速段を必要とする場合がある。
【0005】
[0005] 幾つかの手法では、イオンの横方向集束が、DC四重極を加えて行われ得る。これらのDC四重極は、リニアックに沿った様々な段に追加されることがあり、その段には、イオン束を加速するために使用されるドリフトチューブ電極が含まれる。このようなDC四重極は、通過するイオンビームにDC四重極場を印加する静電又は磁気構成要素として製造され得る。リニアックにこれらのDC四重極を追加すると、ビームライン及び関連する制御システムに、費用、サイズ、及び複雑さが必然的に加わる。
【0006】
[0006] 本開示は上記の考察及びその他の考察に関連して提示されるものである。
【発明の概要】
【0007】
[0007] 一実施形態では、装置が提供される。該装置は、ドリフトチューブアセンブリを含んでよく、ドリフトチューブアセンブリは、三重間隙構成を規定し、ビーム経路に沿ってイオンビームを加速し、伝送するように配置される。該装置は、ドリフトチューブアセンブリにRF信号を出力するための共振器、及び、ドリフトチューブアセンブリに接続され、ビーム経路の周りで周方向に配置されたRF四重極トリプレット(RF quadrupole triplet)を含んでよい。
【0008】
[0008] 別の一実施形態では、イオン注入装置が、連続的なイオンビームを生成するためのイオン源、及び、イオン源の下流に配置され、連続的なイオンビームを束ねられたイオンビームに変換するように配置されたバンチャを含んでよい。イオン注入装置は、線形加速器を含んでよく、線形加速器は、バンチャの下流にあり、複数の加速段を備える。複数の加速段の所与の加速段は、ドリフトチューブアセンブリを含んでよく、ドリフトチューブアセンブリは、複数のドリフトチューブを備え、三重間隙構成を規定し、ビーム経路に沿って束ねられたイオンビームを加速するように配置される。所与の加速段は、ドリフトチューブアセンブリにRF信号を出力するための共振器、及び、ドリフトチューブアセンブリに接続され、ビーム経路の周りで周方向に配置されたRF四重極トリプレットを含んでよい。
【0009】
[0009] 更なる一実施形態では、装置が、ドリフトチューブアセンブリを含んでよく、ドリフトチューブアセンブリは、ビーム経路に沿ってイオンビームを加速し、伝送するように配置された複数のドリフトチューブを含む。該装置は、ドリフトチューブアセンブリにRF信号を出力するための共振器、及び、ビーム経路の周りで周方向に配置された四重極配置を含んでよい。四重極配置は、ドリフトチューブアセンブリの複数のドリフトチューブの表面に一体化されてもよく、その場合、四重極配置は、正弦波形状又は楕円形状を画定する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】[0010] 本開示の実施形態による例示的な装置を示す。
【
図2】[0011] 本開示の実施形態による別の例示的な装置を示す。
【
図3】[0012] 本開示の実施形態による更なる例示的な装置を示す。
【
図4】[0013] 本開示の実施形態による更に別の例示的な装置を示す。
【
図5】[0014] 本開示の実施形態による装置の形状寸法の詳細を示す。
【
図6A】[0015]
図6A及び
図6Bは、本開示の実施形態によるイオンビーム集束の形状寸法を描く。
【
図7A】[0016] 本開示の更なる実施形態による別の例示的な装置を示す。
【
図7B】[0017]
図7B及び
図7Cは、本開示の実施形態に従って配置された装置内の間隙寸法に応じたイオンビーム集束を示すシミュレーション結果を提示する。
【
図7C】
図7B及び
図7Cは、本開示の実施形態に従って配置された装置内の間隙寸法に応じたイオンビーム集束を示すシミュレーション結果を提示する。
【
図8】[0018] 本開示の実施形態による例示的なイオン注入装置を描く。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0019] 図面は、必ずしも縮尺どおりではない。図面は、単なる表現であり、本開示の特定のパラメータを表すことを意図しない。図面は、本開示の例示的な実施形態を示すことを意図しており、したがって、範囲を限定するものと見なされるべきではない。図面では、同様の番号が同様の要素を表す。
【0012】
[0020] 次に、本開示による装置、システム、及び方法を、システム及び方法の実施形態が示された添付の図面を参照しながら、以下でより完全に説明する。該システム及び方法は、多くの異なる形態で具現化されてよく、本明細書で説明される実施形態に限定されるものと見做されない。その代わりに、これらの実施形態は、本開示が一貫しており且つ完全となるように提供され、当業者にシステム及び方法の範囲を完全に伝えることになる。
【0013】
[0021] 図面に現れるような半導体製造デバイスの構成要素の形状寸法及び配向に関して、これらの構成要素及びそれらの構成部分の相対的な配置及び配向を記述するために、本明細書では「上部(top)」、「底部(bottom)」、「上部(upper)」、「下部(lower)」、「垂直(vertical)」、「水平(horizontal)」、「横方向(lateral)」、及び「縦方向(longitudinal)」などの用語が使用され得る。専門用語には、具体的に言及された単語、その派生語、及び同様の意味の単語が含まれる。
【0014】
[0022] 本明細書で使用されるように、単数形で列挙され、単語「1つ(a)」又は「1つ(an)」が前に付いた要素又は操作は、複数の要素又は操作を含む可能性があると理解される。更に、本開示の「一実施形態」への言及は、列挙された特徴も組み込んだ追加の実施形態の存在を排除するものとして解釈されることを意図するものではない。
【0015】
[0023] ベースラインアーキテクチャに基づく改良された高エネルギーイオン注入システム及び構成要素(特に、線形加速器に基づくイオン注入装置)のための手法が本明細書で提供される。簡潔さのために、イオン注入システムは、本明細書で「イオン注入装置」とも称されてよい。様々な実施形態は、線形加速器の加速段を貫通する加速中のイオンビームの改善された制御、及び特に改善されたイオンビーム集束の能力を提供する、新規な手法を伴う。
【0016】
[0024]
図1は、本開示の実施形態による例示的な装置を示している。装置100は、
図8に関して以下で説明されるように、イオン注入装置内に配置された線形加速器などの、線形加速器の加速段を表してよい。装置100は、線形加速器の加速段においてイオンビームを加速するためのドリフトチューブアセンブリ104及び関連する構成要素を含む。特に、装置100は、三重間隙構成を規定する。その場合、イオンビームは、装置100内の3つの加速間隙を貫通して導かれる。したがって、装置100は、装置100の中央領域に沿って延在するビーム経路140に沿って、イオンビーム130として図示されている束ねられたイオンビームを伝送し、加速するように配置される。
【0017】
[0025] ドリフトチューブアセンブリ104は、第1の接地されたドリフトチューブ112、第2の接地されたドリフトチューブ118、第1の接地されたドリフトチューブ112の下流に配置された第1の電力供給されるドリフトチューブ114、及び第1の電力供給されるドリフトチューブ114の下流に配置された第2の電力供給されるドリフトチューブ116を含む、複数のドリフトチューブで形成される。ドリフトチューブアセンブリ104は、RF信号を出力するように配置された共振器102に結合されている。
図1の構成では、共振器102の両端が、第1の電力供給されるドリフトチューブ114と第2の電力供給されるドリフトチューブ116に接続されている。したがって、RF発電機120が共振器102にRF電力を供給するときに、第1の極性のRF電圧が、第1の電力供給されるドリフトチューブ114において生成され、一方で、第2の反対の極性のRF電圧が、第2の電力供給されるドリフトチューブ116において生成される。生成されるRF電圧は、正弦波状の時間変化を有し、位相差は180度である。この変化は、第1の電力供給されるドリフトチューブ114における電圧が、第2の電力供給されるドリフトチューブ116における電圧と等しいが逆の極性であることを意味する。したがって、RF電圧信号の瞬間値の2倍に比例し、印加されたRF電圧信号の周波数に従って変化する、時間変化電界が間隙2にわたり発達する。同様に、同じ周波数の異なる振幅を有する時間変化電界が、第1の接地されたドリフトチューブ112と第1の電力供給されるドリフトチューブ114との間で、間隙1にわたり発達し、第2の電力供給されるドリフトチューブ116と第2の接地されたドリフトチューブ118との間で、間隙3にわたり発達する。
【0018】
[0026] 装置100は、束ねられたイオンビームとしてイオンビーム130を受け入れるように配置されることに留意されたい。その場合、イオンビーム130は、装置100の上流で、連続的なイオンビームであってよく、既知のリニアックに従って配置されたバンチャ(図示せず)によって束ねられてよい。したがって、間隙1、間隙2、間隙3におけるイオンビーム130のイオンの束の到達するタイミングを適切に配置することによって、電力供給される電極において生成されるRF電圧が最大値に達し、正の極性を有するときに、すなわち、間隙にわたり降下する電圧が、間隙1及び間隙3については電圧の振幅のマイナス1倍、間隙2については電圧の振幅のマイナス2倍に等しいときに生成される電界によって、イオンビームが加速されてよい。このやり方で、所与の束が、概して図示されているデカルト座標系のZ軸に沿って加速されてよい。同時に、束ねられたイオンは、X方向及びY方向にデフォーカス(defocus)する傾向があり得る。この傾向に対抗するため、装置100には、四重極配置108が装備される。四重極配置108は、ドリフトチューブアセンブリ104に接続され、ビーム経路140の周りで周方向に配置される。
【0019】
[0027] 図示されているように、四重極配置108は、トリプレット(triplet)として配置される。トリプレットは、第1の四重極108Aを含む。第1の四重極108Aは、第1の接地されたドリフトチューブ112の下流部分、且つ、第1の電力供給されるドリフトチューブ114の上流部分に形成される。四重極配置108はまた、第1の電力供給されるドリフトチューブ114の下流部分、且つ、第2の電力供給されるドリフトチューブ116の上流部分に形成された、第2の四重極108Bも含む。四重極配置108は更に、第2の電力供給されるドリフトチューブ116の下流部分、且つ、第2の接地されたドリフトチューブ118の上流部分に形成された、第3の四重極108Cを含む。
【0020】
[0028] 四重極配置108の所与の四重極は、2対の突出部を含む。その場合、所与の対の突出部は、ビーム経路140の両側に配置され、所与のドリフトチューブに接続される。四重極の形状寸法を規定するために、突出部は、以下のやり方で配置されてよい。すなわち、第1の突出部の対を貫通して延在する第1のライン(ライン152を参照)は、第2の突出部の対を貫通して延在するライン(ライン154を参照)に対して、ビーム経路140によって概して規定される軸の周りで90度回転される。円柱として図示されているが、突出部は、他の実施形態による任意の適切な形状のものであってよい。
【0021】
[0029] 四重極配置108は、ドリフトチューブアセンブリ104に電気的に接続された導電性材料で形成されてよいことに留意されたい。それによって、第1の四重極108A、第2の四重極108B、又は第3の四重極108Cは、所与の四重極の構成要素に接続されたドリフトチューブの電位と同じ電位に維持される。したがって、四重極配置108は、RF四重極トリプレットを形成する。RF四重極トリプレットは、間隙1、間隙2、及び間隙3にわたりZ方向に沿って延在する加速電界と同じ周波数で、時間変化する交番極性の四重極電界を生成する。
【0022】
[0030] 動作中、イオンビーム130が装置100を貫通して加速され、RF電圧信号がドリフトチューブアセンブリ104に印加され、四重極配置108が、第1の四重極108A、第2の四重極108B、及び第3の四重極108Cを介して、間隙1、間隙2、及び間隙3の各々の中に四重極モーメントを導入することになる。これらの四重極は、古典的な平衡四重極トリプレットを生成するように作用してよい。本開示の幾つかの実施形態によれば、間隙1、間隙2、及び間隙3の相対的な長さ(Z方向に沿った)、ならびに間隙の四重極強度は、イオンビーム130の適正な集束を実現するために、互いに独立して調整されてよい。このやり方では、
図1の矢印で示されているように、全体的にX方向とY方向で同じ集束強度が実現されてよく、交互方向に同様な四重極強度場を有する。この結果は特に、間隙1、間隙2、及び間隙3の各側でそれぞれの四重極を形成する突出部のサイズを最適化することによって実現されてよい。
【0023】
[0031]
図1の一実施形態では、それぞれの四重極を形成する突出部の円柱形状が理想的ではないことに留意されたい。というのも、それらの円柱は鋭い角を示すからである。これらの鋭い角は、比較的高い電界が間隙1、間隙2、又は間隙3にわたり生成されるような高電界環境においては安定性に適さない可能性がある。このような鋭い角は、減圧環境であっても電界を強め、静電破壊を引き起こす可能性がある。したがって、更なる実施形態では、四重極がより滑らかで丸められたフィーチャを使用して形成されてよい。
【0024】
[0032]
図2は、概して
図1に関して説明されたように、イオンビームを加速し、成形するために、ドリフトチューブアセンブリ104の場合などに使用されてよい、ドリフトチューブアセンブリ204を示している一実施形態を提示する。ドリフトチューブアセンブリ204は、第1の接地されたドリフトチューブ212、第2の接地されたドリフトチューブ218、第1の接地されたドリフトチューブ212の下流に配置された第1の電力供給されるドリフトチューブ214、及び第1の電力供給されるドリフトチューブ214の下流に配置された第2の電力供給されるドリフトチューブ216を含む、複数のドリフトチューブで形成される。この実施形態では、四重極配置208が、ドリフトチューブアセンブリ204と一体的に形成される。その場合、四重極配置208は、ドリフトチューブアセンブリ204の様々なドリフトチューブの部分を成形することによって具体的に形成される。
【0025】
[0033] 特に、四重極配置208は、トリプレットとして配置される。トリプレットは、第1の四重極208Aを含む。第1の四重極208Aは、第1の接地されたドリフトチューブ212の下流部分、且つ、第1の電力供給されるドリフトチューブ214の上流部分に形成される。四重極配置208はまた、第1の電力供給されるドリフトチューブ214の下流部分、且つ、第2の電力供給されるドリフトチューブ216の上流部分に形成された、第2の四重極208Bも含む。四重極配置208は更に、第2の電力供給されるドリフトチューブ216の下流部分、且つ、第2の接地されたドリフトチューブ218の上流部分に形成された、第3の四重極208Cを含む。四重極配置108と同様に、四重極配置208は、イオンビーム(図示せず)をX方向及びY方向に集束させるように作用してよく、一方で、イオンビームは、ドリフトチューブアセンブリ204を貫通してZ方向に沿って導かれ、加速される。
【0026】
[0034]
図2の実施形態では、第1の四重極208A、第2の四重極208B、及び第3の四重極208Cが、示されているように、正弦波形状を画定する。幾つかの実施形態によれば、対向する様々なドリフトチューブの形状は、互いに相補的な適合を形成してよい。特に、第1の接地されたドリフトチューブ212の下流面は、第1の電力供給されるドリフトチューブ214の上流面に対する相補的な適合を形成してよい。同様に、第1の電力供給されるドリフトチューブ214の下流面は、第2の電力供給されるドリフトチューブ216の上流面に対する相補的な適合を形成してよく、一方で、第2の電力供給されるドリフトチューブ216の下流面は、第2の接地されたドリフトチューブ218の上流面に対する相補的な適合を形成する。別の言い方をすれば、各四重極を形成する対向面を合わせると、三次元のジグソーパズルのように互いにフィットする。
【0027】
[0035]
図3は、ドリフトチューブアセンブリ304を示している装置を提示する。ドリフトチューブアセンブリ304は、概して
図1及び
図2に関して説明されたように、イオンビームを加速し、成形するために、ドリフトチューブアセンブリ104又はドリフトチューブアセンブリ204の様態で使用されてよい。ドリフトチューブアセンブリ304は、第1の接地されたドリフトチューブ312、第2の接地されたドリフトチューブ318、第1の接地されたドリフトチューブ312の下流に配置された第1の電力供給されるドリフトチューブ314、及び第1の電力供給されるドリフトチューブ314の下流に配置された第2の電力供給されるドリフトチューブ316を含む、複数のドリフトチューブで形成される。この実施形態では、四重極配置308が、ドリフトチューブアセンブリ304と一体的に形成される。その場合、四重極配置308は、ドリフトチューブアセンブリ304の様々なドリフトチューブの部分を成形することから形成される。ドリフトチューブアセンブリ304は、四重極308A、四重極308B、及び四重極308Cの形状が楕円面によって画定されていることを除いて、ドリフトチューブアセンブリ204と同様に動作するように配置されてよい。
【0028】
[0036]
図4は、ドリフトチューブアセンブリ404を示している装置を提示する。ドリフトチューブアセンブリ404は、概して
図1及び
図2に関して説明されたように、イオンビームを加速し、成形するために、ドリフトチューブアセンブリ104、ドリフトチューブアセンブリ204、及びドリフトチューブアセンブリ304として使用されてよい。この実施形態と以前の実施形態における違いは、ドリフトチューブアセンブリ404が、間隙1及び間隙2として図示されているように、二重間隙構成を規定することである。ドリフトチューブアセンブリ404は、第1の接地されたドリフトチューブ412、第2の接地されたドリフトチューブ416、及び、第1の接地されたドリフトチューブ412と第2の接地されたドリフトチューブ416との間に配置された、電力供給されるドリフトチューブ414を含む、複数のドリフトチューブで形成される。このドリフトチューブアセンブリ404は、既知のリニアック二重間隙構成におけるように、共振器の一端からRF電力を受け取るように結合されてよい。有利なことに、四重極配置408は、様々なドリフトチューブ内に一体的に形成され、
図2の実施形態におけるように正弦波形状によって画定された、第1の四重極408A及び第2の四重極408Bによって画定されて、イオンビームのより良好なX及びY集束を提供する。
【0029】
[0037]
図5は、本開示の実施形態による、四重極配置が内部に一体的に形成されたドリフトチューブ装置の形状寸法の詳細を示している。特に、Z‐X平面を通る断面とZ‐Y平面を通る断面が図示されている。ドリフトチューブ装置は、ドリフトチューブアセンブリ500として図示されている。ドリフトチューブアセンブリ500は、概して上述されたような4つの電極、すなわち、第1の接地されたドリフトチューブ502、第1の電力供給されるドリフトチューブ504、第2の電力供給されるドリフトチューブ506、及び第2の接地されたドリフトチューブ508を含む。電極(ドリフトチューブ)は、厚さ2*aの円柱シェルとしてモデル化されている。厚さ2*aの値は、
図5の非限定的な実施形態において20mmである。各セクションでは、円柱シェルの断面図が、2つの同一な組の構造を示している。
図5はまた、楕円又は正弦波の実施形態のための電極の表面を画定するための例示的な方程式も提供する。特に、この非限定的な実施形態では、滑らかな移行を保証するために、パラメータ「a」が、楕円の1つの半軸の値、ならびにドリフトチューブ電極の円柱シェルの厚さ(2a)の半分を表してよい。パラメータ「a」は、代替的に、正弦波表面の一実施形態における四分の一波長の値を表す。楕円表面の場合では、「b」の値が、半径「r」に依存せず、四重極構造を規定する小さい/中くらいの/大きい突出部を生成するために変化してよい。「b」の物理的限界は、ドリフトチューブアセンブリ内の所与の間隙に対する間隙長(gap length)である。
【0030】
[0038]
図6A及び
図6Bは、本開示の実施形態によるイオンビーム集束の形状寸法を描いている。特に、
図6A及び
図6Bは、それぞれ、X‐Z平面とY‐Z平面におけるイオンビームのビームエンベロープについてのプロットであり、P++イオンが四重極を有するドリフトチューブ構成600のデフォーカスフォーカスデフォーカス(DOFODO)構成の一実施例(
図5参照)の下で追跡される、シミュレーション研究から開発された。プロットは、空間電荷力がない場合、RF位相を注意深く選択することによって、円形ビームを2つの横方向の両方に集束させ得ることを示している(突出部がない場合のプロット)。突出部を含む場合、X方向では、ビームが、フォーカス、次いでデフォーカス、及び次いでフォーカス(FODOFO)を経験し、一方で、Y方向では、ビームが、デフォーカス、次いでフォーカス、及び次いでデフォーカス(DOFODO)を経験することが、明瞭に観察できる。トリプレットの最後では、全体的に平衡集束効果が出口に向かって実現される(Z=200mmにおける下側の曲線を参照)。
【0031】
[0039] 本開示の他の実施形態では、ドリフトチューブアセンブリが、少なくとも1つの間隙が調整可能であってよい四重極を有するように配置されてよい。四重極強度は、間隙の長さ、並びに四重極を形成する突出部の長さ及びサイズに依存するため、間隙の長さを調整できることにより、ドリフトチューブアセンブリの部品を取り外したり、又は再構成したりすることなく、四重極強度を調整することができる。
【0032】
[0040]
図7Aは、本開示の更なる実施形態による別の例示的な装置を示している。装置700では、先に説明された共振器102及びRF発電機120が図示されており、それらについては更に説明されることがない。この装置では、ドリフトチューブアセンブリ704が、g1、g2、及びg3として図示されている三重間隙構成を規定する。
【0033】
[0041] 装置700は、クロス構造730、並びに、クロス構造730に全部が機械的に結合されている、支持構造722、アーム728、アーム726、及び支持構造724を含む。支持構造722は、第1のアーム722A及び第2のアーム722Bを含む。第1のアーム722Aは、第1の接地ドリフトチューブ712に機械的に結合され、一方で、第2のアーム722Bは、第1の電力供給されるドリフトチューブカップル714の第1の部分714‐Aに機械的に結合されている。
【0034】
[0042] 支持構造724は、第1のアーム724A及び第2のアーム724Bを含む。第1のアーム724Aは、第2の電力供給されるドリフトチューブカップル716の第2の部分716‐Bに機械的に結合され、一方で、第2のアーム724Bは、第2の接地ドリフトチューブ718に機械的に結合されている。
【0035】
[0043] 固定されたアーム728は、第1の電力供給されるドリフトチューブカップル714の第2の部分714‐Bに接続されている。固定されたアーム726は、第2の電力供給されるドリフトチューブカップル716の第1の部分716‐Aに接続されている。
【0036】
[0044] それぞれ、間隙g1、g2、及びg3において形成された、四重極708A、四重極708B、及び四重極708Cを含む、四重極トリプレット708が形成されている。本開示の幾つかの実施形態によれば、アーム728、アーム726、第1のアーム722A、第2のアーム722B、第1のアーム724A、及び第2のアーム724Bは、互いに対してZ軸に沿って独立して移動可能であってよい。それらの移動は、g1、g2、及びg3の独立した変更を可能にする。このg1、g2、及びg3のサイズの調整は、ビームラインにおける減圧を壊したり、ドリフトチューブ構成要素を交換したりすることを不必要にしながら、外部の機械構成要素、モータ、又は他の構成要素(図示せず)などの、前述されたアームを移動させるための任意の適切な手段によって実現されてよい。
【0037】
[0045] 間隙g1、g2、及びg3のサイズが容易に変更されてよい配置を提供することによって、
図7Aの実施形態は、ビーム形状寸法を制御するための新規な手法を提供する。四重極用の突出部のサイズは、所与のドリフトチューブ/四重極アセンブリ(ドリフトチューブアセンブリ704など)を形成するハードウェアによって規定されるように、固定されていてよいが、本発明者らは、g1、g2、及びg3のサイズを変更することによって、所与の突出部によって提供される集束強度が調整されてよいことを発見した。言い換えると、間隙のうちの1以上のサイズ(Z方向に沿った)は、イオンビームの集束強度を調整するために、独立して調整されてよい。
【0038】
[0046]
図7B及び
図7Cは、g3を変更するなど、1つの加速間隙のサイズを変更することの効果が示されている一実施例を示している。この図示されているシミュレーションは、g3を変更することによって、ドリフトチューブ/四重極アセンブリによって生成される集束強度が変化し、ビームサイズの変更をもたらすことを示している。特に、
図7B及び
図7Cは、それぞれ、X‐Z平面とY‐Z平面におけるイオンビームのビームエンベロープについてのプロットであり、単純なドリフトチューブアセンブリ750が4つの異なるブロックによって概略的に表される(2つのブロックが間隙g3を規定する)、シミュレーション研究から開発された。この図示されているシミュレーションでは、間隙g3の相対的なサイズが調整される。一方で、他の間隙の寸法は一定のままである。図示されている特定のイオンビーム条件では、g3のサイズを低減させることが、X方向のビーム幅(200mmにおける)の減少をもたらす。他のイオンビーム条件では、質量電荷比が異なるため、通過時間や他の高次作用効果が異なる可能性があり、その後のビーム集束挙動は、
図6A及び
図6Bで示された結果と異なる可能性がある。注目すべきことに、上記の結果は、ただ1つの間隙のサイズを調整することによってビーム集束を変化させる能力を示しているが、一方で、更なる複数の実施形態では、2つ以上の間隙のサイズを独立して変えることができる能力が、更なるビーム集束制御を提供することになる。
【0039】
[0047]
図8は、本開示の実施形態によるイオン注入装置の概略図を描いている。イオン注入装置800は、線形加速器814として図示されている、リニアックの加速段814‐A、814‐Bを含む。イオン注入装置800は、ビームラインイオン注入装置を表してよく、幾つかの要素は、説明を明瞭にするために図示されていない。イオン注入装置800は、当該技術分野で知られているようなイオン源802及びガスボックス807を含んでよい。イオン源802は、第1のエネルギーでイオンビーム806を生成するための抽出構成要素及びフィルタ(図示せず)を含む抽出システムを含んでよい。第1のイオンエネルギーのための適切なイオンエネルギーの例は、5keV~100keVの範囲であるが、複数の実施形態は、この文脈に限定されない。高エネルギーイオンビームを生成するために、イオン注入装置800は、イオンビーム806を加速させるための様々な更なる構成要素を含む。
【0040】
[0048] イオン注入装置800は、図示されているように、イオンビーム806の軌道を変更することによって、知られている装置のようにイオンビーム806を分析するように機能する分析器810を含んでよい。イオン注入装置800はまた、バンチャ812と、バンチャ812の下流に配置された線形加速器814(破線で示されている)とを含んでよい。その場合、線形加速器814は、イオンビーム806を加速して、線形加速器814に入る前のイオンビーム806のイオンエネルギーよりも高い、高エネルギーイオンビーム815を生成するように配置される。バンチャ812は、イオンビーム806を連続的なイオンビームとして受け取ってよく、イオンビーム806を束ねたイオンビームとして線形加速器814に出力してよい。線形加速器814は、図示されているように、直列に配置された複数の加速段(814‐A、814‐B、…、814‐N(図示せず))を含んでよい。様々な実施形態では、高エネルギーイオンビーム815のイオンエネルギーが、イオンビーム806のための最終イオンエネルギー又は略最終イオンエネルギーを表してよい。様々な実施形態では、イオン注入装置800が、フィルタ磁石816、スキャナ818、コリメータ820などの更なる構成要素を含んでよい。その場合、スキャナ818及びコリメータ820の一般的な機能は周知であり、本明細書ではこれ以上詳細に説明しない。したがって、高エネルギーイオンビーム815によって表される高エネルギーイオンビームは、基板824を処理するための最終ステーション822に供給されてよい。高エネルギーイオンビーム815の非限定的なエネルギー範囲は、500keV~10MeVを含む。その場合、イオンビーム806のイオンエネルギーは、線形加速器814の様々な加速段を通して段階的に高められる。本開示の様々な実施形態によれば、線形加速器814の加速段のうちの1以上は、
図1~
図7の実施形態に関して詳述されたように、一体化された四重極配置を有するドリフトチューブアセンブリを含んでよい。イオン注入装置800によって提供される利点は、一体化された四重極構成の動作により、線形加速器814を貫通して導かれるイオンビーム815の集束が改善されてよいことである。
【0041】
[0049] 上記の観点から、本開示は、少なくとも以下の利点を提供する。第1の利点として、四重極トリプレットをドリフトチューブアセンブリの中に一体化することによって、イオンビーム束の集束を独立して制御する能力が提供される。第2の利点は、本開示の可変長ドリフトチューブの提供により、四重極強度を独立して制御する柔軟性が得られることである。
【0042】
[0050] 本開示の特定の実施形態が本明細書に記載されているが、本開示は、当該技術分野が許す限り広い範囲内にあり、本明細書を同様に読むことができるため、本開示はこれに限定されない。したがって、上記の説明は、限定として解釈されるべきではない。当業者は、本明細書に添付された特許請求の範囲及び精神の範囲内での他の修正を想定することになる。
【国際調査報告】