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特表2024-5051772-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを調製するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-05
(54)【発明の名称】2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを調製するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 417/12 20060101AFI20240129BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240129BHJP
【FI】
C07D417/12 CSP
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023543337
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(85)【翻訳文提出日】2023-07-19
(86)【国際出願番号】 EP2022051369
(87)【国際公開番号】W WO2022157324
(87)【国際公開日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】21153040.7
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コラディン,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】マクラフリン,マルティン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ゲッツ,ローランド
(72)【発明者】
【氏名】カドゥスカール,ラフール
(72)【発明者】
【氏名】シンデ,ハリシュ
(72)【発明者】
【氏名】ガリベット,ギュイラーム マイケル ジャックス
【テーマコード(参考)】
4C063
4H039
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB08
4C063CC62
4C063DD29
4C063EE03
4H039CA42
4H039CH10
(57)【要約】
本発明は、2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン又はその互変異性体を調製するための方法に、2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン又はその互変異性体に、並びに2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジニウム化合物の、特に3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレート及びその鏡像異性体が豊富な形態の調製における中間体としてのその使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
の2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン又はその互変異性体を調製するための方法であって、
(a)塩基の存在下で前記式1のN-メチルチオ尿素を式2の2-フェニルマロネートと反応させて
【化2】
(式中、R及びRは、互いに独立して、C~C-アルキルである)、
式3のピリミジノン化合物及び/又はその互変異性体を含む反応混合物を得る工程
【化3】
(式中、Mは、カチオン同等物である)と、
(b)任意選択的に、前記式3の前記ピリミジノン化合物又はその互変異性体を、工程(a)で得られた前記反応混合物から、その塩の形態で又はチオールの形態で単離する工程と、
(c)工程(a)で得られた前記反応混合物(3又はその互変異性体の単離なし)又は工程(b)で得られた前記化合物のいずれかを式4の1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノンと反応させて
【化4】
(式中、Xは、脱離基である)、
前記式(I)の化合物又はその互変異性体を得る工程と、を含む方法。
【請求項2】
及びRは、互いに独立して、メチル又はエチルであり、特に、R及びRは、両方ともメチルである、又は両方ともエチルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(a)で使用される前記塩基は、アルカリ金属C~C-アルカノレート、アルカリ金属カーボネート、アルカリ土類金属カーボネート、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属ホスフェート、非求核性有機塩基及びそれらの混合物からなる群、好ましくは、アルカリ金属C~C-アルカノレート、アルカリ金属カーボネート及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程(a)で使用される前記塩基は、ナトリウムメタノレート、ナトリウムエタノレート、ナトリウムイソプロパノレート、ナトリウムtert-ブタノレート、カリウムメタノレート、カリウムエタノレート、カリウムtert-ブタノレート、リチウムメタノレート、及びそれらの混合物からなる群、好ましくは、ナトリウムメタノレート、カリウムメタノレート、ナトリウムエタノレート、カリウムエタノレート及びそれらの混合物からなる群から選択され、特に、ナトリウムメタノレート又はカリウムメタノレートである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程(a)において、前記2-フェニルマロネート2は、N-メチルチオ尿素1のモル当たり0.8~2.0モルの量、好ましくはN-メチルチオ尿素1のモル当たり1.0~1.3モルの量で使用される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程(a)において、前記塩基は、N-メチルチオ尿素1のモル当たり0.8~1.5モルの量、好ましくはN-メチルチオ尿素1のモル当たり1.0~1.5モルの量で使用される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
工程(a)及び(c)における前記反応は、溶媒中で行われ、前記溶媒は、好ましくは、極性プロトン性溶媒、極性非プロトン性溶媒、C~C-アルキルアセテート、ジアルキルエーテル、芳香族溶媒、複素環式溶媒及びそれらの混合物からなる群、特に、C~C-アルカノール、グリコール、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、C~C-アルキルアセテート、ジ-n-プロピルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、N-メチルピロリドン及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記溶媒は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、tert-ブタノール、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、トルエン、クロロベンゼン、N-メチルピロリドン及びそれらの混合物からなる群、好ましくは、メタノール、エタノール、ジメチルアセトアミド、トルエン、クロロベンゼン及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程(a)は、メタノール、エタノール、メタノールとエタノールの混合物、並びにメタノール及び/又はエタノールの、ジメチルアセトアミド、トルエン及びクロロベンゼンからなる群から選択される少なくとも1つの更なる溶媒との混合物からなる群から選択される溶媒中で行われ、工程(c)は、メタノール、エタノール、ジメチルアセトアミド、トルエン、クロロベンゼン及び前述の溶媒の少なくとも2つの混合物からなる群から選択される溶媒中で行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
工程(c)において、工程(a)で得られた前記反応混合物が、式4の前記化合物と反応させられる、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
式4の前記化合物のXは、ハロゲン、トリフレート、メシレート、トシレート及びノナフレートからなる群、好ましくはCl及びBrから選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
式4の前記化合物のXは、Clである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
工程(c)において、前記1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノン4は、N-メチルチオ尿素1のモル当たり0.8~1.5モルの量、好ましくは、工程(a)で使用されるN-メチルチオ尿素1のモル当たり1.0~1.5モルの量で使用される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
工程(c)は、臭化アルカリ金属、ヨウ化アルカリ金属、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウム及びそれらの混合物からなる群から選択される添加剤の存在下で行われ、前記添加剤は、好ましくは、NaBr、KBr、NaI、KI、臭化テトラブチルアンモニウム及びそれらの混合物からなる群から選択され、添加剤と2-クロロ-1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノン4のモル比が、好ましくは1:100~10:1、より好ましくは1:20~2:1、特に1:2~2:1の範囲である量で前記添加剤が使用される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記式(I):
【化5】
の2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン
又はその互変異性体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン又はその互変異性体を調製するための方法に、2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン又はその互変異性体に、並びに2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジニウム化合物の、特に3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレート及びその鏡像異性体が豊富な形態の調製における中間体としてのその使用に関する。この方法は又、2-ヒドロキシ-4-メチル-5-フェニル-2-スルファニル-ピリミジノンに、チオレート塩に、及びそれらの互変異性体に、並びに2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジニウム化合物の、特に3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレート及びその鏡像異性体が豊富な形態の調製における中間体としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン(又はその互変異性体)、及びその前駆体である、そのチオール又はチオレートの形態(又はその互変異性体)での2-ヒドロキシ-4-メチル-5-フェニル-2-スルファニル-ピリミジノンは、2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジニウム化合物の、より具体的には3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレート及びその鏡像異性体が豊富な形態の調製における貴重な中間体であることが判明した。これらのピリミニジウム化合物は、殺虫特性を有し、例えば、国際公開第2018/177970号パンフレット又は国際公開第2014/167084号パンフレットより知られている。
【0003】
これらのピリミジウム化合物の調製に関してこれまで知られている方法は、煩雑であり、まだ満足のいくものではない。
【0004】
国際公開第2018/177970号パンフレット、国際公開第2018/197541号パンフレット、及び国際公開第2018/202654号パンフレットでは、非ラセミ体2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジニウム化合物は、2-置換マロン酸誘導体との非ラセミ体4-ヘテロアリール置換チアゾリジン-2-イミンの反応によって調製される。国際公開第2018/177970号パンフレット及び国際公開第2018/197541号パンフレットでは、次いで、非ラセミ体4-ヘテロアリール置換チアゾリジン-2-イミンは、2位に脱離基を有する1-ヘテロアリール置換エタンイミンの接触不斉水素化によって調製される。次いで、得られたアミンをイソチオシアネートと反応させてチアゾリジン-2-イミンを生成する。反応順序は、国際公開第2018/197541号パンフレットに次の通り記載されている:
【化1】
は、スルファニル基又はスルフィニル基、ホスホロキシ基、アルコキシ基又はベンジル基であり、Hetは、任意選択的に置換されたピリジン-3-イル、チアゾール-5-イル又はピリミジン-5-イルであり、W及びLGは、脱離基であり、Rは、(環状)脂肪族基であり、Rは、5員又は6員の炭素環又は複素環である。国際公開第2018/177970号パンフレットでは、アミンVIIは、対応するスルフィニルイミンから別の反応経路を介して得られる。
【0005】
国際公開第2018/177970号パンフレット及び国際公開第2018/202654号パンフレットには、非ラセミ体4-ヘテロアリール置換チアゾリジン-2-イミンへの更なる経路が記載されている。これは、ここでは、メチル基が脱離基を有するヘテロアリールメチルケトンから出発し、この脱離基をアルキルカルボニルオキシ基に変換し、後者をヒドロキシル基に加水分解し、得られたヘテロアリールヒドロキシメチルケトンとハロゲン化スルファモイルとの反応により4-ヘテロアリール-5H-オキサチアゾール2,2-ジオキシドを生成し、後者を接触不斉水素化にかけて非ラセミ体4-ヘテロアリールオキサチアゾリジン2,2-ジオキシドを生成し、それをイソチオシアネートと反応させてチアゾリジン-2-イミンを生成することにより調製される。反応順序は、国際公開第2018/202654号パンフレットに次の通り記載されている:
【化2】
Hetは、任意選択的に置換されたピリジン-3-イル、チアゾール-5-イル又はピリミジン-5-イルであり、W及びLGは、脱離基であり、Mは、Li、Na、K、Al、Ba、Cs、Ca又はMgであり、RACは、アルキルカルボニルであり、Xは、ハロゲンであり、Rは、(環状)脂肪族基であり、Rは、5員又は6員の炭素環又は複素環である。
【0006】
しかしながら、これらの方法は、あまり経済的でない。一部の試薬は、高価であり、消費されない又は完全に消費されない一部の試薬の再利用は、困難であり、全体の収率は、満足のいくものではなく、伴われる反応工程が多すぎる。
【0007】
国際公開第2015/200619号パンフレットには、N-メチルチオ尿素とジメチル2-フェニルマロネートを反応させて、6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-2-スルファニル-ピリミジン-4-オンを生成することによる2-[2-フェニル-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンの調製が記載されており、単離後、後者と2-ブロモ-1-フェニル-エタノンを反応させる。同様の反応順序が、フェニル環に置換基を有する2-[2-フェニル-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンの合成に適用される。しかしながら、この参考文献は、これらの化合物の複素芳香族類似体を調製することも、エタノン反応物におけるハロゲン原子を変更することも教示も示唆もしていない。更に、収量は、かなり中程度である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、従来技術の方法の欠点を回避する2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンの調製のためのより経済的なプロセスを提供することである。
【0009】
この問題は、式(I):
【化3】
の2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン又はその互変異性体を調製するための方法によって解決され、
この方法は、
(a)塩基の存在下で式1のN-メチルチオ尿素を式2の2-フェニルマロネートと反応させて
【化4】
(式中、R及びRは、互いに独立して、C~C-アルキルである)、
式3のピリミジノン化合物又はその互変異性体を含む反応混合物を得る工程
【化5】
(式中、Mは、カチオン同等物(equivalent)である)と、
(b)任意選択的に、式3のピリミジノン化合物(又はその互変異性体)を、工程(a)で得られた反応混合物から、その塩の形態(即ち、上記に示される化合物3として)で又はチオールの形態(即ち、下記に示される化合物3-SHとして)で単離する工程と、
(c)工程(a)で得られた反応混合物(3又はその互変異性体の単離なし)又は工程(b)で得られた化合物のいずれかを式4の1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノンと反応させて
【化6】
(式中、Xは、脱離基である)、
式(I)の化合物又はその互変異性体を得る工程と、を含む。
【0010】
本発明は更に、上記の式(I)の2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン又はその互変異性体に関する。前述したように、この化合物は、殺虫性2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジニウム化合物の、より具体的には3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレート及びその鏡像異性体が豊富な形態の調製における有用な中間体である。従って、本発明は又、2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジニウム化合物の、特に3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレート及びその鏡像異性体が豊富な形態の調製における中間体としての前述の化合物(又はその互変異性体)の使用に関する。
【0011】
本発明は又、2-ヒドロキシ-4-メチル-5-フェニル-2-スルファニル-ピリミジノン及びそのチオレート塩と互変異性体に関する。チオレート塩は、上記で式3として示される。これらのチオール及びチオレート化合物は、2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン(I)の調製における貴重な中間体であり、従って又、下流の殺虫性2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジニウム化合物の、より具体的には3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレート及びその鏡像異性体が豊富な形態の調製における貴重な中間体である。従って又、本発明は、式(I)の2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンの調製における中間体としての前述のチオール又はチオレート化合物(又はその互変異性体)の使用、並びに、2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジニウム化合物の、特に3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレート及びその鏡像異性体が豊富な形態の調製における中間体としてのそれらの使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
定義
本発明に関して使用されるハロゲンは、F、Cl、Br又はIである。
【0013】
用語C~C-アルキルは、1~4の炭素原子を有する飽和の直鎖状又は分岐状の脂肪族ラジカルを意味する。例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル及びtert-ブチルである。
【0014】
~C-アルカノールは、飽和脂肪族モノアルコール、即ち、上記で定義された、C~C-アルキル基であり、この場合、水素原子の1つがヒドロキシル基で置換されている。例としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、イソブタノール及びtert-ブタノールである。
【0015】
~C-アルカノレートは、C~C-アルカノールの塩である、即ち、この場合、ヒドロキシル基の水素原子は、カチオン同等物、例えば、金属カチオンで置き換えられる。例としては、メタノレート、エタノレート、n-プロパノレート、イソプロパノレート、n-ブタノレート、sec-ブタノレート、イソブタノレート及びtert-ブタノレートである。
【0016】
グリコールは、飽和脂肪族ジオールである。例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールである。
【0017】
~C-アルキルアセテートは、酢酸のC~C-アルキルエステルである。例としては、メチルアセテート、エチルアセテート、n-プロピルアセテート、イソプロピルアセテート、n-ブチルアセテート、sec-ブチルアセテート、イソブチルアセテート及びtert-ブチルアセテートである。
【0018】
は、カチオン同等物である。これは、金属カチオン又はアンモニウムカチオンを表す(この場合のアンモニウムは、正しい意味でのアンモニウムカチオンNH だけでなく、置換アンモニウムカチオンもともに表す)。二重又は三重電荷を持つカチオンの場合、カチオン同等物は、(Mn+1/nとして表すことができ、この場合、nは電荷数である。化合物3では、Mは、一般的に、工程(a)で使用される塩基に由来する。従って、例えば、アルカリ金属アルカノレート、アルカリ金属カーボネート、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ金属ホスフェートが工程(a)で塩基として使用される場合、化合物3におけるMは、一般的に、アルカリ金属カチオンであり、アルカリ土類金属カーボネート又はアルカリ土類金属水酸化物が塩基として使用される場合、化合物3におけるMは、一般的に、アルカリ土類金属カチオン[(M2+1/2]であり、非求核性有機塩基が工程(a)で使用される場合、化合物3におけるMは、一般的に、この塩基のプロトン化形態である。しかしながら、Mは、単離工程(b)における工程(a)の反応混合物の後処理で使用される塩基に由来することもできる。
【0019】
化合物(I)は、その互変異性体として、又は異なる互変異性形態の混合物として存在することができる。上記の式(I)の化合物の互変異性形態の例は、以下の式である:
【化7】
【0020】
異なる互変異性形態の混合物は、例えば、この互変異性体、式(I)として上に示された互変異性体の混合物である。
【0021】
又、式3の化合物及びその中性チオール形態3-Hは、それらの互変異性体として、又は異なる互変異性形態の混合物として存在することができる。上に示された式3の化合物の互変異性形態の例は、以下の式である:
【化8】
【0022】
チオレートでは、以下に示されるように、酸素原子に負の電荷が存在することもできる:
【化9】
しかし一般的に、それは主に硫黄原子に存在する。
【0023】
チオール形態3-Hの互変異性形態の例は、以下の通りである:
【化10】
【0024】
簡易にするために、以下では、化合物(I)、3及び3-Hのみについて言及する。それにもかかわらず、全ての実施形態は又、それらの互変異性体及びそれらの異なる互変異性形態の混合物に関する。
【0025】
本発明の実施形態(E.x)
一般的で好ましい実施形態E.xは、以下の非網羅的なリストに要約されている。更に好ましい実施形態は、このリストに従う段落から明らかになる。
【0026】
E.1.式(I)の2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンを調製するための方法:
【化11】
この方法は、
(a)塩基の存在下で式1のN-メチルチオ尿素を式2の2-フェニルマロネートと反応させて
【化12】
(式中、R及びRは、互いに独立して、C~C-アルキルである)、
式3のピリミジノン化合物を含む反応混合物を得る工程
【化13】
(式中、Mはカチオン同等物である)と、
(b)任意選択的に、工程(a)で得られた反応混合物から式3のピリミジノン化合物をその塩の形態で又はチオールの形態で単離する工程と、
(c)工程(a)で得られた反応混合物(3の単離なし)又は工程(b)で得られた化合物のいずれかを式4の1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノンと反応させて
【化14】
(式中、Xは脱離基である)、
式(I)の化合物を得る工程と、を含む。
【0027】
E.2.R及びRは、互いに独立して、メチル又はエチルである、実施形態E.1に記載の方法。
【0028】
E.3.R及びRは、両方ともメチルである、又は両方ともエチルである、実施形態E.2に記載の方法。
【0029】
E.4.工程(a)で使用される塩基は、アルカリ金属C~C-アルカノレート、アルカリ金属カーボネート、アルカリ土類金属カーボネート、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属ホスフェート、非求核性有機塩基及びそれらの混合物からなる群から選択される、実施形態E.1~E.3のいずれかに記載の方法。
【0030】
E.5.工程(a)で使用される塩基は、アルカリ金属C~C-アルカノレート、アルカリ金属カーボネート及びそれらの混合物からなる群から、特にアルカリ金属C~C-アルカノレートから選択される、実施形態E.4に記載の方法。
【0031】
E.6.工程(a)で使用される塩基は、ナトリウムメタノレート、ナトリウムエタノレート、ナトリウムイソプロパノレート、ナトリウムtert-ブタノレート、カリウムメタノレート、カリウムエタノレート、カリウムtert-ブタノレート、リチウムメタノレート、及びそれらの混合物からなる群から選択される、実施形態E.5に記載の方法。
【0032】
E.7.工程(a)で使用される塩基は、ナトリウムメタノレート、カリウムメタノレート、ナトリウムエタノレート、カリウムエタノレート及びそれらの混合物からなる群から選択される、具体的には、ナトリウムメタノレート又はカリウムメタノレートである実施形態E.6に記載の方法。
【0033】
E.8.工程(a)において、2-フェニルマロネート2は、N-メチルチオ尿素1のモル当たり0.8~2.0モルの量で使用される、実施形態E.1~E.7のいずれかに記載の方法。
【0034】
E.9.工程(a)において、2-フェニルマロネート2は、N-メチルチオ尿素1のモル当たり1.0~1.3モルの量で使用される、実施形態E.8に記載の方法。
【0035】
E.10.工程(a)において、塩基は、N-メチルチオ尿素1のモル当たり0.8~1.5モルの量で使用される、実施形態E.1~E.9のいずれかに記載の方法。
【0036】
E.11.工程(a)において、塩基は、N-メチルチオ尿素1のモル当たり1.0~1.5モルの量で使用される、実施形態E.10に記載の方法。
【0037】
E.12.工程(a)及び(c)における反応は、溶媒中で行われる、実施形態E.1~E.11のいずれかに記載の方法。
【0038】
E.13.溶媒は、極性プロトン性溶媒、極性非プロトン性溶媒、C~C-アルキルアセテート、ジアルキルエーテル、芳香族溶媒、複素環式溶媒及びそれらの混合物からなる群から選択される、実施形態E.12に記載の方法。
【0039】
E.14.溶媒は、C~C-アルカノール、グリコール、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、C~C-アルキルアセテート、ジ-n-プロピルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、N-メチルピロリドン及びそれらの混合物からなる群から選択される、実施形態E.13に記載の方法。
【0040】
E.15.溶媒は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、tert-ブタノール、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、トルエン、クロロベンゼン、N-メチルピロリドン及びそれらの混合物からなる群、好ましくは、メタノール、エタノール、ジメチルアセトアミド、トルエン、クロロベンゼン及びそれらの混合物からなる群から選択される実施形態E.14に記載の方法。
【0041】
E.16.工程(a)は、メタノール、エタノール、メタノールとエタノールの混合物、並びにメタノール及び/又はエタノールの、ジメチルアセトアミド、トルエン及びクロロベンゼンからなる群から選択される少なくとも1つの更なる溶媒との混合物からなる群から選択される溶媒中で行われ、工程(c)は、メタノール、エタノール、ジメチルアセトアミド、トルエン、クロロベンゼン、及び前述の溶媒のうちの少なくとも2つの混合物からなる群から選択される溶媒中で行われる、実施形態E.15に記載の方法。
【0042】
E.17.工程(a)は、10℃から反応混合物の還流温度までの温度で行われる、実施形態E.1~E.16のいずれかに記載の方法。
【0043】
E.18.工程(a)は、20℃から反応混合物の還流温度までの温度で行われる、実施形態E.17に記載の方法。
【0044】
E.19.工程(a)は、45~75℃の温度で行われる、実施形態E.18に記載の方法。
【0045】
E.20.工程(a)の反応時間は、1時間~60時間である、実施形態E.1~E.19のいずれかに記載の方法。
【0046】
E.21.工程(a)の反応時間は、4時間~18時間である、実施形態E.20に記載の方法。
【0047】
E.22.実施形態E.1~E.21のいずれかに記載の方法であって、工程(a)において、
(a.1)2-フェニルマロネート2が、溶媒におけるメチルチオ尿素1及び塩基の任意選択的に加熱された溶液に添加され、又は
(a.2)任意選択的に溶媒中で、塩基が、メチルチオ尿素1、2-フェニルマロネート2、及び任意選択的に溶媒の任意選択的に加熱された混合物に添加され、又は
(a.3)メチルチオ尿素1、2-フェニルマロネート2、塩基及び任意選択的に溶媒の混合物が、任意選択的に加熱下で、調製され反応させられ、又は
(a.4)任意選択的に溶媒中で、メチルチオ尿素1が、2-フェニルマロネート2、塩基及び任意選択的に溶媒の任意選択的に加熱された混合物に添加され、
(a.1)又は(a.2)による手順が好ましい方法。
【0048】
E.23.工程(c)において、工程(a)で得られた反応混合物が、式4の化合物と反応させられる、実施形態E.1~E.22のいずれかに記載の方法。
【0049】
E.24.式4の化合物のXは、ハロゲン、トリフレート、メシレート、トシレート及びノナフレートからなる群から選択される、実施形態E.1~E.23のいずれかに記載の方法。
【0050】
E.25.式4の化合物のXは、Cl、Br及びIからなる群から選択される、実施形態24に記載の方法。
【0051】
E.26.式4の化合物のXは、Cl及びBrからなる群から選択される、実施形態25に記載の方法。
【0052】
E.27.式4の化合物のXは、Clである、実施形態26に記載の方法。
【0053】
E.28.工程(c)において、1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノン4は、工程(a)で使用されるN-メチルチオ尿素1のモル当たり0.8~1.5モルの量で使用される、実施形態E.1~E.27のいずれかに記載の方法。
【0054】
E.29.工程(c)において、1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノン4は、工程(a)で使用されるN-メチルチオ尿素1のモル当たり1.0~1.5モルの量で使用される、実施形態E.28に記載の方法。
【0055】
E.30.工程(c)は、-20~120℃の温度で行われる、実施形態E.1~E.29のいずれかに記載の方法。
【0056】
E.31.工程(c)は、25~80℃の温度で行われる、実施形態E.30に記載の方法。
【0057】
E.32.工程(c)は、40~80℃の温度で行われる、実施形態E.31に記載の方法。
【0058】
E.33.工程(c)は、臭化アルカリ金属、ヨウ化アルカリ金属、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウム及びそれらの混合物からなる群から選択される添加剤の存在下で行われる、実施形態E.1~E.32のいずれかに記載の方法。
【0059】
E.34.添加剤は、NaBr、KBr、NaI、KI、臭化テトラブチルアンモニウム及びそれらの混合物からなる群から選択される、実施形態E.33に記載の方法。
【0060】
E.35.添加剤と1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノン4のモル比が、好ましくは1:100~10:1、より好ましくは1:20~2:1、特に1:2~2:1の範囲である量で添加剤が使用される、実施形態E.33又はE.34のいずれかに記載の方法。
【0061】
E.36.実施形態E.1~E.35のいずれかに記載の方法であって、工程(c)において、
(c.1)工程(a)で得られた反応混合物又は工程(b)で得られた生成物が、1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノン4の溶液に添加される、又は
(c.2)1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノン4の溶液又は溶融物が、工程(a)で得られた反応混合物に又は工程(b)で得られた生成物の溶液に添加される方法。
【0062】
E.37.工程(c)は、手順(c.2)に従って行われる、実施形態E.36に記載の方法。
【0063】
E.38.(c.2)による手順の場合、1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノン4の溶液又は溶融物が、工程(a)で得られた反応混合物に又は工程(b)で得られた生成物の溶液に、15分~12時間以内に添加される、実施形態E.36又はE.37のいずれかに記載の方法。
【0064】
E.39.1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノン4の溶液又は溶融物が、工程(a)で得られた反応混合物に、又は工程(b)で得られた生成物の溶液に0.5時間~6時間以内に添加される、実施形態E.38に記載の方法。
【0065】
E.40.工程(a)で得られた反応混合物又は工程(b)で得られた生成物及び1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノン4の全量を混合した後、反応混合物が、0~60時間反応させられる、実施形態E.1~E.39のいずれかに記載の方法。
【0066】
E.41.反応混合物が、1時間~40時間反応させられる、実施形態E.40に記載の方法。
【0067】
E.42.反応混合物が、1~18時間反応させられる、実施形態E.41に記載の方法。
【0068】
E.43.式(I)の2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン:
【化15】
【0069】
E.44.式3のピリミジノン化合物
【化16】
(式中、Mは、カチオン同等物、好ましくはアルカリ金属カチオン、特にNa又はKである、
或いはその対応するチオール(即ち、-Sの代わりに-SH)である)。
【0070】
本発明の方法の反応順序は、以下の通り表すことができる:
【化17】
【0071】
化合物3を囲む括弧は、化合物3を単離してもしなくても反応が行われることができることを示す。
【0072】
式2の2-フェニルマロネートにおいて、R及びRは、互いに独立して、好ましくはメチル又はエチルである。特に、R及びRは、両方ともメチルである、又は両方ともエチルである。
【0073】
工程(a)で使用される塩基は、好ましくは、アルカリ金属C~C-アルカノレート、アルカリ金属カーボネート、アルカリ土類金属カーボネート、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属ホスフェート、非求核性有機塩基及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0074】
アルカノレート、カーボネート、水酸化物及びホスフェートにおける対カチオンとして適したアルカリ金属カチオンは、例えば、Li、Na、K、及びCsである。これらの中でも、Na及びKが好ましい。アルカノレート、カーボネート及び水酸化物における対カチオンとして適したアルカリ土類金属は、例えば、Mg2+及びCa2+である。
【0075】
適切なアルカリ金属C~C-アルカノレートの例は、リチウム、ナトリウム、カリウム、又はセシウムメタノレート、リチウム、ナトリウム、カリウム、又はセシウムエタノレート、リチウム、ナトリウム、カリウム、又はセシウムn-プロパノレート、リチウム、ナトリウム、カリウム、又はセシウムイソプロパノレート、リチウム、ナトリウム、カリウム、又はセシウムn-ブタノレート、リチウム、ナトリウム、カリウム、又はセシウムsec-ブタノレート、リチウム、ナトリウム、カリウム、又はセシウムイソブタノレート、及びリチウム、ナトリウム、カリウム又はセシウムtert-ブタノレートである。
【0076】
適切なアルカリ金属カーボネートの例は、リチウムカーボネート、ナトリウムカーボネート、カリウムカーボネート、又はセシウムカーボネートである。
【0077】
適切なアルカリ土類金属カーボネートの例は、マグネシウムカーボネート及びカルシウムカーボネートである。
【0078】
適切なアルカリ金属ホスフェートの例は、リチウム、ナトリウム、カリウム、又はセシウムホスフェートである。
【0079】
非求核性有機塩基は、一般的に、プロトンが塩基の中心(basic center)に結合できるが、アルキル化及び錯体形成は阻害されるように、立体障害のある有機塩基である。例としては、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)及び1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン(DBN)である。
【0080】
工程(a)で使用される塩基は、好ましくは、アルカリ金属C~C-アルカノレート、例えば上に挙げたものなど、アルカリ金属カーボネート、例えば、上に挙げたものなど、及びそれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、塩基は、アルカリ金属C~C-アルカノレートから選択される。
【0081】
特に、工程(a)で使用される塩基は、ナトリウムメタノレート、ナトリウムエタノレート、ナトリウムイソプロパノレート、ナトリウムtert-ブタノレート、カリウムメタノレート、カリウムエタノレート、カリウムtert-ブタノレート、リチウムメタノレート、及びそれらの混合物からなる群から選択され、より具体的には、ナトリウムメタノレート、カリウムメタノレート、ナトリウムエタノレート、カリウムエタノレート及びそれらの混合物からなる群から選択され、特に、ナトリウムメタノレート又はカリウムメタノレートである。
【0082】
2-フェニルマロネート2は、工程(a)において、好ましくはN-メチルチオ尿素1のモル当たり0.8~2.0モルの量、特にN-メチルチオ尿素1のモル当たり1.0~1.3モルの量で使用される。
【0083】
塩基は、工程(a)において、好ましくはN-メチルチオ尿素1のモル当たり0.8~1.5モルの量、特にN-メチルチオ尿素1のモル当たり1.0~1.5モルの量で使用される。
【0084】
工程(a)及び(c)の反応は、好ましくは溶媒中で行われる。
【0085】
溶媒は、好ましくは、極性プロトン性溶媒、極性非プロトン性溶媒、C~C-アルキルアセテート、ジアルキルエーテル、芳香族溶媒、複素環式溶媒及びそれらの混合物からなる群から選択される。極性プロトン性溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、イソブタノール及びtert-ブタノールなどのアルカノール、並びにエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールなどのグリコールである。極性非プロトン性溶媒は、例えば、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン及びジオキサン(即ち、1,3-及び1,4-ジオキサン)などの環状エーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド又はアセトニトリルである。C~C-アルキルアセテートは、例えば、メチルアセテート、エチルアセテート、n-プロピルアセテート、イソプロピルアセテート、n-ブチルアセテート、sec-ブチルアセテート、イソブチルアセテート及びtert-ブチルアセテートである。ジアルキルエーテルは、例えば、ジエチルエーテル、ジ-n-プロピルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル又はメチル-tert-ブチルエーテルである。芳香族溶媒は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン又はジクロロベンゼンである。適切な複素環式溶媒は、例えば、メチルピロリドンである。
【0086】
より好ましくは、溶媒は、C~C-アルカノール、グリコール、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、C~C-アルキルアセテート、ジ-n-プロピルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、N-メチルピロリドン及びそれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、溶媒は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、tert-ブタノール、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、トルエン、クロロベンゼン、N-メチルピロリドン及びそれらの混合物からなる群、特に、メタノール、エタノール、ジメチルアセトアミド、トルエン、クロロベンゼン及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0087】
特定の実施形態では、工程(a)は、メタノール、エタノール、メタノールとエタノールの混合物、並びにメタノール及び/又はエタノールの、ジメチルアセトアミド、トルエン及びクロロベンゼンからなる群から選択される少なくとも1つの更なる溶媒との混合物からなる群から選択される溶媒中で行われ、工程(c)は、メタノール、エタノール、ジメチルアセトアミド、トルエン、クロロベンゼン及び前述の溶媒の少なくとも2つの混合物からなる群から選択される溶媒中で行われる。より具体的には、工程(a)は、メタノール、エタノール、及びメタノールとエタノールの混合物からなる群から選択される溶媒中で行われ、工程(c)は、メタノール、エタノール、ジメチルアセトアミド、トルエン、クロロベンゼン、及び前述の溶媒の少なくとも2つの混合物からなる群から選択される溶媒中で行われる。
【0088】
工程(a)は、好ましくは10℃から反応混合物の還流温度、より好ましくは20℃から反応混合物の還流温度、特に45~75℃の温度で行われる。
【0089】
工程(a)の反応時間は、反応温度、反応混合物中の反応物の濃度などの様々な要因に依存する。典型的には、それは、約1時間~60時間、好ましくは4時間~18時間の範囲である。
【0090】
工程(a)における反応物、溶媒、存在する場合、及び塩基の添加順序は、重要ではない。例えば、
(a.1)2-フェニルマロネート2が、溶媒におけるメチルチオ尿素1及び塩基の任意選択的に加熱された溶液に添加されることができる、又は
(a.2)任意選択的に溶媒中で、塩基が、メチルチオ尿素1、2-フェニルマロネート2、及び任意選択的に溶媒の任意選択的に加熱された混合物に添加されることができる、又は
(a.3)全ての成分の混合物、即ち、メチルチオ尿素1、2-フェニルマロネート2、塩基及び任意選択的に溶媒の混合物が、任意選択的に加熱下で、調製され反応させられる、又は
(a.4)任意選択的に溶媒中で、メチルチオ尿素1が、2-フェニルマロネート2、塩基及び任意選択的に溶媒の任意選択的に加熱された混合物に添加されることができる。
【0091】
しかしながら、(a.1)又は(a.2)による手順が好ましい。
【0092】
任意選択の工程(b)において、式3のピリミジノン化合物は、工程(a)で得られた反応混合物から、通常の方法によって、例えば、任意選択的に減圧下で、溶媒を部分的又は完全に除去することによって、或いは任意選択的に反応混合物を濃縮した後に、3の溶解度がない又は溶解度が低い反応混合物に溶媒を添加することによって単離されることができる。適切な溶媒は、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族及び脂環式炭化水素、ジエチルエーテル、ジ-n-プロピルエーテル、ジ-n-ブチルエーテル及びメチルtert-ブチルエーテルなどの非環式エーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン又はジクロロベンゼンなどの芳香族溶媒、並びにジクロロメタン、トリクロロメタン及びジクロロエタンなどのハロゲン化アルカンである。工程(a)の反応条件、特に、使用される反応温度及び溶媒に応じて、反応混合物を冷却するだけで化合物3が沈殿する場合もある。次いで、沈殿物は、濾過などの通常の手段によって単離されることができる。単離された生成物の更なる精製は、必要に応じて、粉砕又は再結晶などの通常の方法によって行われることができる。しかしながら一般的に、生成物は、更に精製することなく工程(c)で使用されることができる。
【0093】
式3-SH
【化18】
の化合物である対応するチオールを得るために、化合物3は、酸性化されることができ、これは一般的に溶液中で行われる。又、酸性化は、原則として、工程(a)で得られた反応混合物から化合物3を単離する前に行われることができる。適切な酸は、無機(例えば、HCl、HSO、HPOなど)又は有機(例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸など)であり得る。
【0094】
工程(c)において、工程(a)で得られた反応混合物(3の単離なし)又は工程(b)で得られた化合物3又は対応するチオール3-SHが、式4の化合物と反応させられる。チオール3-SHが出発材料として使用される場合、最初にそれをチオレート3に変換する、又は塩基の存在下で工程(c)を行うことが好都合である。適切な塩基は、工程(a)に関連して上に挙げたものである。
【0095】
しかしながら、工程(a)で得られた反応混合物を4と反応させる、即ち単離工程(b)を省略することが好ましい。
【0096】
1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノン4では、Xは脱離基である。適切な脱離基は、例えば、ハロゲン原子、特に、Cl、Br又はI、及びトリフレート、メシレート、トシレート又はノナフレートなどのスルホネートである。Xは、ハロゲン原子、好ましくはCl、Br又はI、より好ましくはCl又はBr、特にClであることが好ましい。
【0097】
工程(c)において、1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノン4は、N-メチルチオ尿素1のモル当たり、好ましくは0.8~1.5モルの量、特に、工程(a)で使用されるN-メチルチオ尿素1のモル当たり1.0~1.5モルの量で使用される。
【0098】
工程(c)において、工程(b)で得られた化合物3又は対応するチオール3-SHが、式4の化合物と反応する場合、1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノン4は、N-メチルチオ尿素1のモル当たり、好ましくは0.8~1.5モル、特に、化合物3又は3-SHのモル当たり1.0~1.5モルの量で使用される。
【0099】
工程(c)は、好ましくは-20~120℃、より好ましくは25~80℃、特に40~80℃の温度で行われる。
【0100】
特定の実施形態では、工程(c)は、添加剤の存在下で行われる(特にXがClである場合、以下の説明を参照されたい)。このような添加剤は、4におけるX置換脂肪族炭素原子において、3におけるチオール又はチオレート基の求核攻撃を緩和するためのものである。このような添加剤の効果は、XがClである場合に特に関連する。適切な添加剤は、臭化アルカリ金属、ヨウ化アルカリ金属、臭化アンモニウム、ヨウ化アンモニウム及びそれらの混合物からなる群から選択され、添加剤は、好ましくは、NaBr、KBr、NaI、KI、臭化テトラブチルアンモニウム及びそれらの混合物からなる群から選択される。理論に束縛されるつもりはないが、XがClである場合、臭化物又はヨウ化物が、4におけるCH結合Clの一部を置換すると考えられる。1つの態様は、臭化物とヨウ化物は、一般的に塩化物よりも反応性が高く、これにより反応が促進されるということである。別の態様は、C-BrとC-Iは、C-Clに比べより柔らかい(softer)反応中心であることである。HSABの概念によれば、こうして柔らかい(soft)チオール又はチオレート求核試薬3との反応が促進される。
【0101】
添加剤は、添加剤と1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノン4とのモル比が、好ましくは1:100~10:1、より好ましくは1:20~2:1、特に1:2~2:1の範囲である量で使用される。
【0102】
工程(c)における反応物の添加順序は重要ではない。例えば、
(c.1)工程(a)で得られた反応混合物又は工程(b)で得られた生成物が、1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノン4の溶液に添加されることができる、又は
(c.2)1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノン4の溶液又は溶融物が、工程(a)で得られた反応混合物又は工程(b)で得られた生成物に添加されることができる。
【0103】
(c.1)において、工程(b)で得られた生成物が、そのままで(一般的に固体として得られる)、或いは溶液又は分散液において添加されることができる。生成物が溶解又は分散した形態で添加される場合、この目的に使用される溶媒は、工程(c)が行われる溶媒であることが適切である。
【0104】
(c.2)において、1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノン4の溶液又は溶融物が、工程(b)で得られた生成物に添加される場合、生成物は、便宜上、溶解又は分散した形態で存在し、この目的に使用される溶媒は、再度、工程(c)が行われる溶媒であることが適切である。
【0105】
(c.2)に従った手順が好ましい。
【0106】
工程(c)が(c.2)の手順に従って行われる場合、1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノン4の溶液又は溶融物は、好ましくは15分~12時間以内に添加され、特に0.5時間~6時間以内に、工程(a)で得られた反応混合物又は工程(b)で得られた生成物に、適切にはその溶液又は分散液に添加される。
【0107】
工程(a)で得られた反応混合物又は工程(b)で得られた生成物と1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノン4の全量を混合した後、反応混合物は、好ましくは0~60時間、より好ましくは1時間~40時間、特に1時間~18時間反応させられる。この文脈における「0時間」の反応は、反応物の添加が完了した後、反応が十分に完了して所望の化合物(I)の単離を続行できることを意味する。これは、例えば、反応物の添加がかなり長時間続いた場合、又は未反応の出発材料を再利用することを目的としている場合に当てはまり得る。
【0108】
化合物(I)は、公知の手段により反応混合物から単離されることができる。工程(c)で好ましく使用されるほとんどの溶媒において、特により極性の溶媒において、室温で溶解度が低いことを考慮すると、例えば、沈殿によって単離されることができる。特に反応がかなり低い温度で、例えば30℃未満で行われる場合、及び、反応混合物が希釈されすぎていない場合、部分的には、反応中に生成物が沈殿する。温度を下げること、溶媒の一部を除去すること、及び/又は水を反応混合物に添加することによって、沈殿を更に促進することができる。
【0109】
沈殿物は、濾過、遠心分離、沈降及び上清の除去などの通常の方法によって単離されることができるが、濾過が好ましい。濾過ケーキは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、トルエン、ジメチルアセトアミド、水、塩基性水溶液、例えば、水性NaHCO、NaCO、KCO、NaOH、KOH又はNH溶液、或いはそれらの混合物などの適切な溶媒で洗浄することによって更に精製されることができる。水又は水溶液による洗浄は、0~100℃、好ましくは25~80℃などの広い温度範囲に渡って行われることができる。有機溶媒による洗浄も、0~100℃などの広い温度範囲に渡って行われることができるが、好ましくは0~35℃、特に10~25℃の温度を有する溶媒を用いて行われる。
【0110】
化合物1及び2は、市販されている、又は標準的な方法によって調製されることができる。
【0111】
化合物4は、例えば、国際公開第2018/197541号パンフレット又は国際公開第2018/202654号パンフレットに記載されているように、2-クロロチアゾールとグリニャール試薬との反応により対応するクロロ-(2-クロロチアゾール-5-イル)マグネシウム種を生成し、2-ハロゲノ-N-メトキシ-N-メチル-アセトアミドを用いたこれとの反応により調製することができる。或いは、化合物4は、T.Chalopin et al.in Org.Biomol.Chem.,2016,14,3913-3925によって記載された方法に従ってチオ尿素から調製することができる。
【0112】
本方法は、高収率及び高純度で化合物(I)をもたらし、容易に入手可能な出発材料から出発してほんの数工程のみを必要とする。国際公開第2015/200619号パンフレットに記載の方法とは対照的に、出発材料としてかなり高価な有機臭素化合物の使用を必要としない。それにもかかわらず、臭素又は更にヨウ素化合物、即ちXがBr又はIである化合物4を使用することももちろん可能であるが、Xが別の脱離基、特にClである化合物4が優れた収率をもたらすことを考えると、XがBr又はIである化合物4の使用は、必須ではなく、代替オプションにすぎない。
【0113】
本発明は更に、式(I)の2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン、又はその互変異性体又はその互変異性の形態の混合物に関し、これは、殺虫性2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジニウム化合物の、より具体的には3-(2-クロロチアゾール-5)-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレート及びその鏡像異性体が豊富な形態の調製における貴重な中間体である。本発明は又、2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジニウム化合物の、具体的には3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレート及びその鏡像異性体が豊富な形態の調製における中間体としての、化合物(I)、又はその互変異性体又はその互変異性の形態の混合物の使用に関する。
【0114】
化合物(I)(又はその互変異性体又はその互変異性の形態の混合物)は、更にわずか2工程で3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレート、特にその鏡像異性体が豊富な形態に変換されることができる。鏡像異性体が豊富な形態を得るために、化合物(I)(又はその互変異性体又はその互変異性の形態の混合物)は、鏡像異性体が豊富な形態におけるそれぞれのアルコールへのケト基の不斉水素化に供され、前述のアルコールは、脂肪族OH基を有する炭素原子におけるピリミジン環の非置換窒素原子の求核攻撃による内部環化に供される。当然のことながら、3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレートのラセミ体形態を得るために、(I)(又はその互変異性体又はその互変異性の形態の混合物)の水素化は、非キラル条件下で行われることができる。反応順序は次の通り表すことができる:
【化19】
【0115】
これらの反応は、欧州特許出願公開第21153034.0号明細書、欧州特許出願公開第21153036.5号明細書、及び欧州特許出願公開第21153038.1号明細書に更に詳細に記載されている。
【0116】
本発明は又、上記で定義された式3のピリミジノン化合物又はその互変異性体又はその互変異性の形態の混合物に、及び対応するチオール3-SH又はその互変異性体又はその互変異性の形態の混合物に、及び式(I)の2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オン、又はその互変異性体又はその互変異性の形態の混合物の調製における中間体としてのその使用に、並びに2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジニウム化合物の、特に3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレート及びその鏡像異性体が豊富な形態の調製における中間体としてのその使用に関する。
【0117】
3のチオールは、以下の式3-SHを有する:
【化20】
【0118】
上記から理解されるように、化合物3又は3-SH(又はその互変異性体又はその互変異性の形態の混合物)は、更に3つの工程で3-(2-クロロチアゾール-5-イル)-8-メチル-7-オキソ-6-フェニル-2,3-ジヒドロチアゾロ[3,2-a]ピリミジン-4-イウム-5-オレート、特にその鏡像異性体が豊富な形態に変換されることができ、第1の工程は、3又は3-SHと4との反応で化合物(I)(又はその互変異性体又はその互変異性の形態の混合物)を生成することである。
【0119】
本発明を以下の実施例によって更に例示する。
【実施例
【0120】
方法
化合物は、双層(coupled)高速液体クロマトグラフィー/質量分析法(HPLC/MS)、NMR、又は融点によって特性評価できる。
【0121】
HPLC法:Agilent Eclipse XDB-C18、150mm×4.6mm ID×5μm
グラジエントA=0.5%HSO水溶液、B=アセトニトリル。
流量=1.1mL/分
カラムオーブン温度=30℃
グラジエントプログラム=20%B-100%B-15分
実行時間=15分
LCMS法1:C18カラム(50mm×2.1mm×1.7μm)
グラジエントA=0.1%TFA水溶液、B=アセトニトリル
流量=1.5分で0.8mL/分から1.0mL/分
カラムオーブン温度=60℃
グラジエントプログラム=15分間で10%Bから100%B、100%Bで1分間保持、1分間-10%B
実行時間:1.75分
【0122】
H-NMR:シグナルは、テトラメチルシランに対する化学シフト(ppm)、その多重度、及びその積分(与えられた水素原子の相対数)によって特性化される。次の略語は、シグナルの多重度を特性化するために使用される:m=マルチプレット、q=カルテット、t=トリプレット、d=ダブレット、及びs=シングレット。
【0123】
使用される略語は次の通りである:hは時間、minは分、rtは保持時間、r.t.は室温(20~25℃)、TFAはトリフルオロ酢酸である。
【0124】
実施例1:2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンの調製
20Lのジャケット付き反応器において、N-メチルチオ尿素(778g、8.38モル)及びNaOCH(1584g、8.79モル、30重量%メタノール溶液)及びメタノール(384g、12モル)の溶液をN下にて内部温度65℃まで温めた。次いで、ジエチル2-フェニルマロネート(2121g、8.79モル)を30分かけて添加し、ポンプをメタノール(384g、12モル)で洗浄した。次いで、反応を内部温度65℃で4時間、次いで50℃で18時間撹拌した。この間に懸濁液が形成した。次いで、エタノール(8.050g、175モル)における2-クロロ-1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノン(1859g、9.00モル)の溶液を30分かけて添加した。反応を50℃で75分間撹拌し、固体が大量に沈殿した。この時点で、エタノール(2.300g、50モル)を添加し、撹拌速度を上げた。反応を50℃で更に36時間撹拌し、次いで反応を16時間かけて20℃に冷却した。次いで、形成した固体を、3つの4Lフリット漏斗(fritted funnel)にて濾過することによって単離した。各濾過ケーキを500mLのエタノールで洗浄した。次いで、濾過ケーキを20Lの反応器に戻し、15Lの水で75℃にて1時間スラリー化した。次いでスラリーを2つの4Lフリット漏斗にて濾過し、各濾過ケーキを500mLの室温の水で3回洗浄し、次いで、真空乾燥オーブン中で、80℃、5ミリバールで乾燥させた。乾燥後、純度99重量%の茶色の固体の形態の3040g(91%)の表題化合物を単離した。
H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ=8.75(s,1H),7.15-7.45(m,5H),4.9(s,2H),3.46(s,3H).
【0125】
実施例2:2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンの調製
20Lのジャケット付き反応器において、N-メチルチオ尿素(778g、8.38モル)及びNaOCH(1584g、8.79モル、30重量%メタノール溶液)及びメタノール(384g、12モル)の溶液をN下にて内部温度65℃まで温めた。次いで、ジエチル2-フェニルマロネート(2121g、8.79モル)を30分かけて添加し、ポンプをメタノール(384g、12モル)で洗浄した。次いで、反応を内部温度65℃で4時間、次いで50℃で18時間撹拌した。この間に懸濁液が形成した。次いで、エタノール(10,000g、217モル)における2-クロロ-1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノン(1859g、9.00モル)の溶液を6時間かけて添加した。ポンプをエタノール(350g、7.61モル)で洗浄した。添加の完了後、反応を50℃で36時間撹拌し、次いで、反応を16時間かけて20℃に冷却した。2-クロロ-1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノンの添加を開始してから2時間後、反応器にてベージュ色の懸濁液が形成した。形成した固体を、3つの4Lフリット漏斗にて濾過することによって単離した。各濾過ケーキを500mLのエタノールで3回洗浄した。次いで、濾過ケーキを20Lの反応器に戻し、15Lの水で75℃にて1時間スラリー化した。次いで、スラリーを2つの4Lフリット漏斗にて濾過し、各濾過ケーキを500mLの室温の水で3回洗浄し、次いで真空乾燥オーブン中で、80℃、5ミリバールで乾燥させた。乾燥後、純度99重量%の薄茶色の固体の形態の3055g(91%)の表題化合物を単離した。
【0126】
実施例3:2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンの調製
オーバーヘッドスターラー及び還流冷却器を備えた500mLの丸底フラスコにおいて、35℃でN下にてN-メチルチオ尿素(15.56g、167.4ミリモル)及びジエチル2-フェニルマロネート(42.38g、175.8ミリモル)の溶液を調製した。次いで、この溶液に、NaOCH(31.56g、175.8モル、30重量%メタノール溶液)を2時間かけて添加し、その間に懸濁液が形成した。反応を35℃で更に24時間撹拌し、次いでエタノール(204g、444モル)における2-クロロ-1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノン(35.8g、180.0ミリモル)の溶液を、2時間かけて添加した。添加の完了後、反応を50℃で36時間撹拌し、次いで20℃に冷却した。形成した固体をフリット漏斗にて濾過により単離した。濾過ケーキを、濾液が無色になるまで、100mLのエタノールで3回洗浄した。次いで、濾過ケーキを反応器に戻し、400gの水で70℃にて1時間スラリー化した。スラリーをフリット漏斗で濾過し、濾過ケーキを室温の水40mLで3回洗浄し、真空乾燥オーブン中で、80℃、5ミリバールで乾燥させて、クリーム色の固体の形態の59.1g(90%収率)の表題化合物を得た。
【0127】
実施例4:2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンの調製
オーバーヘッドスターラー及び還流冷却器を備えた500mLの丸底フラスコにおいて、20℃でN下にてN-メチルチオ尿素(15.56g、167.4ミリモル)及びジエチル2-フェニルマロネート(42.38g、175.8ミリモル)の溶液を調製した。次いで、この溶液に、NaOCH(31.56g、175.8モル、30重量%メタノール溶液)を2時間かけて添加し、その間に懸濁液が形成した。反応を20℃で更に48時間撹拌し、次いでエタノール(204g、444モル)における2-クロロ-1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノン(35.8g、180.0ミリモル)の溶液を2時間かけて添加した。添加の完了後、反応を20℃で48時間撹拌し、次いで20℃に冷却した。形成した固体をフリット漏斗にて濾過により単離した。濾過ケーキを、濾液が無色になるまで、100mLのエタノールで3回洗浄した。次いで、濾過ケーキを反応器に戻し、400gの水で70℃にて1時間スラリー化した。次いで、スラリーをフリット漏斗で濾過し、濾過ケーキを室温の水40mLで3回洗浄し、次いで真空乾燥オーブン中で、80℃、5ミリバールで乾燥させて、クリーム色の固体の形態の43.3g(65%収率)の表題化合物を得た。
【0128】
実施例5:2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンの調製
10gのN-メチルチオ尿素(97%、1.0当量)及び28.5gのジエチル2-フェニルマロネート(98%、1.1当量)を混合し、50℃に加熱した。21.3gのナトリウムメチレート(メタノールにおける30%、1.1当量)を添加し、反応混合物を還流しながら12時間撹拌した。90gのトルエンに溶解した26.4gの2-クロロ-1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノンを1時間で添加し、反応混合物を還流しながら10時間撹拌した。室温まで冷却した後、水150gを添加し、混合物を2時間撹拌した。沈殿物を濾過し、濾過ケーキをトルエン(2×50g)で洗浄した。固体を水(120g)に懸濁させ、3時間撹拌し、濾過し、水(100g)で洗浄した。生成物を真空中で一晩乾燥させて、40.0g(98%、92%収率)の表題化合物を得た。
【0129】
実施例6:2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンの調製
10gのN-メチルチオ尿素(97%、1.0当量)及び28.5gのジエチル2-フェニルマロネート(98%、1.1当量)を25gのメタノールに溶解し、50℃に加熱した。21.3gのナトリウムメチレート(メタノールにおける30%、1.1当量)を添加し、反応混合物を還流しながら12時間撹拌した。75gのジメチルアセトアミドに溶解した26.4gの2-クロロ-1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノンを添加し、反応混合物を70℃で15時間撹拌した。200gの水を添加し、混合物を20℃に冷却した。沈殿物を濾過し、濾過ケーキを水(400g)で洗浄した。生成物を真空中で一晩乾燥させて、44.0g(93%、96%収率)の表題化合物を得た。
【0130】
実施例7:2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンの調製
10gのN-メチルチオ尿素(97%、1.0当量)及び23.7gのジメチル2-フェニルマロネート(99%、1.05当量)を25℃で100gのメタノールに溶解した。21.3gのナトリウムメチレート(メタノールにおける30%、1.1当量)を添加し、反応混合物を経時に渡り加熱し還流した。70gのメタノールに溶解した28.9gの2-クロロ-1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノン(95%、1.3当量)を50℃で添加し、反応混合物を150gのメタノールで更に希釈し、15時間撹拌した。室温まで冷却した後、沈殿物を濾別し、2×50gの水で洗浄した。濾過ケーキをフラスコに移し、400gの水を添加した。懸濁液を1時間撹拌し、濾過し、濾過ケーキを水(2×50g)で洗浄した。生成物を真空中で一晩乾燥させて、36.5g(98%、85%収率)の表題化合物を得た。
【0131】
実施例8:中間体化合物3の単離を伴う2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンの調製
8.1 中間体3(MはNaである)の調製
メチルチオ尿素(20.0g、218.7ミリモル)及びナトリウムメチレート(42.6g、236.7ミリモル、30%メタノール溶液を使用)及びメタノール(20g)の溶液に、25℃で、ジエチル-2-フェニルプロパンジオエート(57.1g、236.7ミリモル)を添加した。次いで、反応を70℃で6時間加熱した。次いで、反応を25℃に冷却すると、沈殿が形成した。沈殿物を濾過により単離し、濾過ケーキをメチルtert-ブチルエーテル(100g)を用いて粉砕し、濾過し、次いで100℃で48時間乾燥して、薄茶色の固体として表題化合物を得た。
H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ=10.62(s,1H),7.70(dd,2H,J=1.33,8.37Hz),7.13(dd,2H,J=7.11,8.35Hz),6.98-6.90(m,1H),3.50-3.47(m,1H),3.50-3.47(s,3H),3.21-3.15(m,1H)
【0132】
8.2 2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンの調製
メタノール(50g)における工程8.1で得られた中間体3(MはNaである)(20.0g、69.45ミリモル)の懸濁液に、75℃でメタノール(50g)における2-クロロ-1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エテノン(16.2g、81.97ミリモル)の溶液を30分間かけて添加した。反応を50℃で3時間撹拌した。次いで、反応を50℃に冷却し、水(50g)を15分間かけて添加した。次いで、反応を50℃で2時間撹拌し、次いで25℃に冷却し、30分間撹拌し、懸濁液が形成した。水(100g)を添加し、形成した固体を濾過により単離した。濾過ケーキを水(100g)で洗浄し、80℃にて18時間真空中で乾燥させて、茶色の固体として表題化合物を得た(27.4g、95%収率)。
【0133】
実施例9:2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンの調製
オーバーヘッドスターラー及び還流冷却器を備えた500mLの丸底フラスコにおいて、60℃でN下にてN-メチルチオ尿素(47.5g、500ミリモル)及びジエチル2-フェニルマロネート(125.9g、525ミリモル)及びクロロベンゼン(60g)の溶液を調製した。この溶液に、NaOCH(99.1g、550ミリモル、30重量%メタノール溶液)を30分かけて添加した。反応を60℃で更に16時間撹拌し、その間に懸濁液が形成した。次いで、温度を70℃に上昇させ、クロロベンゼン(230g)における2-クロロ-1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノン(115.6g、560ミリモル)の溶液を2時間かけて添加した。添加の完了後、反応を70℃で2時間撹拌し、次いで20℃に冷却した。水(460g)を添加し、混合物を20℃で1時間撹拌すると、懸濁液が形成した。形成した固体をフリット漏斗にて濾過により単離した。濾液が無色になるまで、濾過ケーキを35gのクロロベンゼンで3回洗浄した。濾過ケーキを225gの水で2回洗浄し、次いで真空乾燥オーブン中で、80℃、5ミリバールで48時間乾燥させて、薄茶色の固体の形態の164g(83%収率)の表題化合物を得た。
【0134】
実施例10:2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンの調製
オーバーヘッドスターラー及び還流冷却器を備えた500mLの丸底フラスコにおいて、60~65℃でN下にてN-メチルチオ尿素(7.78g、83.7ミリモル)及びKOCH(24.7g、87.9ミリモル、25重量%メタノール溶液)及びメタノール(4g)の溶液を調製した。次いで、ジエチル2-フェニルマロネート(21.21g、87.9ミリモル)を30分間かけて添加した。反応を65℃で更に16時間撹拌し、その間に懸濁液が形成し、次いで、エタノール(100g)における2-クロロ-1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノン(18.6g、90.0ミリモル)の溶液を1時間かけて添加した。添加が完了した後、反応を50℃に冷却し、50℃で16時間撹拌した。次いで、反応を20℃に冷却し、形成した固体をフリット漏斗にて濾過により単離した。濾液が無色になるまで、濾過ケーキを50gのエタノールで3回洗浄した。次いで、濾過ケーキを反応器に戻し、150gの水で75℃にて1時間スラリー化した。次いでスラリーをフリット漏斗で濾過し、濾過ケーキを室温の水40mLで3回洗浄し、真空乾燥オーブン中で、90℃、5ミリバールで乾燥させて、クリーム色の固体の形態の29.4g(89%収率)の表題化合物を得た。
【0135】
実施例11:2-[2-(2-クロロチアゾール-5-イル)-2-オキソ-エチル]スルファニル-6-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニル-ピリミジン-4-オンの調製
オーバーヘッドスターラー及び還流冷却器を備えた500mLの丸底フラスコにおいて、60℃でN下にてN-メチルチオ尿素(15.56g、167.4ミリモル)とNaOCH(31.56g、175.8モル、30重量%メタノール溶液)の溶液を調製した。次いで、この溶液にジエチル2-フェニルマロネート(42.38g、175.8ミリモル)を30分間かけて添加し、その間に懸濁液が形成した。反応を60℃で更に10時間撹拌し、次いでエタノール(204g、444モル)における2-クロロ-1-(2-クロロチアゾール-5-イル)エタノン(35.8g、180.0ミリモル)の溶液を6時間かけて添加した。添加の完了後、反応を60℃で8時間撹拌し、次いで20℃に冷却した。形成した固体をフリット漏斗にて濾過により単離した。濾過ケーキを100mLのエタノールで1回洗浄し、続いて400gの水で70℃にて1時間2回洗浄し、次いで真空乾燥オーブン中で、100℃、5ミリバールで乾燥させて、クリーム色の固体の形態の60.4g(92%収率)の表題化合物を純度99重量%にて得た。
【国際調査報告】