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特表2024-505344包装用途のための、コーティングされたフレキシブル基材処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-06
(54)【発明の名称】包装用途のための、コーティングされたフレキシブル基材処理方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20240130BHJP
   C08J 7/00 20060101ALI20240130BHJP
   B65D 65/42 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
B65D65/40 D
C08J7/00 302
B65D65/42 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023538698
(86)(22)【出願日】2020-12-23
(85)【翻訳文提出日】2023-08-18
(86)【国際出願番号】 EP2020087823
(87)【国際公開番号】W WO2022135724
(87)【国際公開日】2022-06-30
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ティエン, チョン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーギーズ, ラジャン
(72)【発明者】
【氏名】デムス, ライナー
(72)【発明者】
【氏名】リウ, シャーシャー
【テーマコード(参考)】
3E086
4F073
【Fターム(参考)】
3E086AB01
3E086BA15
3E086BA24
3E086BA25
3E086BB02
3E086BB05
3E086CA01
3E086CA28
3E086CA40
3E086DA08
4F073AA17
4F073BA07
4F073BA08
4F073BA10
4F073BA11
4F073BA14
4F073BA16
4F073BA24
4F073BA29
4F073BB06
4F073CA42
(57)【要約】
コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法が記載される。コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法は、第1の表面と、当該第1の表面とは反対側の第2の表面とを有するフレキシブル基材、及び当該フレキシブル基材の第1の表面上の少なくとも1つのバリア層を含む、コーティングされたフレキシブル基材を提供すること、並びに荷電粒子のビームを、コーティングされたフレキシブル基材の少なくとも1つのバリア層及びフレキシブル基材に、実質的に酸素を含まない雰囲気中で同時に提供すること、を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装用途のための、コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法であって、
・第1の表面、及び当該第1の表面とは反対側の第2の表面を有するフレキシブル基材、並びに
・前記フレキシブル基材の前記第1の表面上の少なくとも1つのバリア層、
を含む、コーティングされたフレキシブル基材を提供すること、
荷電粒子のビームを、前記コーティングされたフレキシブル基材の前記少なくとも1つのバリア層及び前記フレキシブル基材に、実質的に酸素を含まない雰囲気中で同時に提供すること
を含む、方法。
【請求項2】
前記荷電粒子のビームが、前記少なくとも1つのバリア層に位置づけられた荷電粒子源から提供される、請求項1に記載の、コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法。
【請求項3】
荷電粒子のビームを、前記コーティングされたフレキシブル基材の前記少なくとも1つのバリア層及び前記フレキシブル基材に、実質的に酸素を含まない雰囲気中で同時に提供することが、前記荷電粒子のビームの前記荷電粒子の荷電粒子エネルギーE、及び前記荷電粒子のビームの荷電粒子線量のうち少なくとも1つを調整することをさらに含む、請求項1又は2に記載の、コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法。
【請求項4】
前記荷電粒子のビームの前記荷電粒子の荷電粒子エネルギーEが、5keV≦E≦250keV、特に30keV≦E≦220keV、とりわけ50keV≦E≦220keVである、請求項1から3のいずれか一項に記載の、コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法。
【請求項5】
前記荷電粒子のビームの荷電粒子線量が、1000~1×10グレイ、特に3000~1×10グレイ、とりわけ3000~8000グレイである、請求項1から4のいずれか一項に記載の、コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法。
【請求項6】
前記フレキシブル基材における、前記第1の表面からの前記荷電粒子のビームの前記荷電粒子の平均侵入深さが、前記フレキシブル基材の基材厚さTの少なくとも10%、特に前記フレキシブル基材の基材厚さTの少なくとも40%、とりわけ前記フレキシブル基材の基材厚さTの少なくとも70%に等しい、請求項1から5のいずれか一項に記載の、コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法。
【請求項7】
前記フレキシブル基材の基材厚さTが、≦250μm、特に≦5μm≦T≦150μm、とりわけ5μm≦T≦100μmである、請求項1から6のいずれか一項に記載の、コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法。
【請求項8】
前記フレキシブル基材が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリビニリデンクロリド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド、ポチエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリエチレンビニルアルコール、ポリエチレンビニルアセテート、ポリエチレンメタクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される基材材料を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の、コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法。
【請求項9】
前記荷電粒子が電子である、請求項1から8のいずれか一項に記載の、コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのバリア層が酸素バリアである、請求項1から9のいずれか一項に記載の、コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つのバリア層の厚さTが、0.05μm≦T≦5μm、特に0.1μm≦T≦2μm、とりわけ0.1μm≦T≦1μmである、請求項1から10のいずれか一項に記載の、コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのバリア層が、アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ケイ素、二酸化ケイ素、有機材料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の、コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法。
【請求項13】
コーティングされたフレキシブル基材を提供することが、コーティング組成物を、前記少なくとも1つのバリア層上に提供することをさらに含み、
荷電粒子のビームを提供することが、荷電粒子のビームを前記コーティング組成物に、実質的に酸素を含まない雰囲気中で同時に提供することをさらに含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の、コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法。
【請求項14】
前記コーティング組成物が、アクリレートモノマー、メタクリレートモノマー、アクリレートオリゴマー、メタクリレートオリゴマー、及びこれらの組み合わせを含む、請求項13に記載の、コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法。
【請求項15】
前記荷電粒子のビームを提供することにより重合させた後、前記コーティング組成物が、前記少なくとも1つのバリア層上に最上層を形成する、請求項13又は14に記載の、コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示の実施形態は、包装用途のための、コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]ポリマー製フレキシブル基材と、その上に堆積されたバリア層とから構成される、コーティングされたフレキシブル基材は、食品、化学品、医薬品又は農産物を包装するため、またこれらの被包装物品を有害な湿気及び/又は酸素から保護するために、包装産業で知られている。
【0003】
[0003]最も一般的に使用される、コーティングされたフレキシブル基材は、少なくとも1つのバリア層が堆積されるポリマー製フレキシブル基材を備える。現在、ほとんどの場合、金属(例えばアルミニウム及びブリキ)、ポリマー(例えばEVOH又はPVDC)、薄い金属層又は酸化物層でコーティングされたポリマーが、バリア材料として使用されている。このようなコーティングされたフレキシブル基材を製造するために、1又は複数のバリア層が、蒸発プロセスによってポリマー製フレキシブル基材の表面に堆積され得る。場合によっては、ポリマー製の最上層が、(1又は複数の)バリア層上に追加的に設けられる。
【0004】
[0004]このような一般的に使用されるバリア層により、湿気及び/又は酸素に対する良好な保護がもたらされるものの、一定期間後にはそのバリア特性が低下することが観察されている。さらに、バリア層が損傷した場合、例えば、コーティングされたフレキシブル基材により保護された物品の輸送中には、コーティングされたフレキシブル基材のバリア特性も低下する。また、電子機器などの非常に敏感な物品を湿気及び/又は酸素から保護するためには、酸素透過率が非常に低い、コーティングされたフレキシブル基材が必要となる。
【0005】
[0005]よって、包装用途のための、コーティングされたフレキシブル基材のバリア特性を一般的に改善する方法に対する継続的なニーズがある。
【発明の概要】
【0006】
[0006]上記に鑑み、包装用途のための、コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法が提供される。本開示は、包装用途のための、コーティングされたフレキシブル基材の酸素バリア特性を改善する方法を提供することを目的とする。さらに本開示は、追加のバリア材料又は複雑な製造システムを必要とせずに、コーティングされたフレキシブル基材の酸素バリア特性を高めることを目的とする。よって本方法は、低い製造コスト及び高い生産効率で行われる。さらに本開示は、物品に対する追加の保護を、コーティングされたフレキシブル基材にもたらすことを目的としており、当該保護は、フレキシブル基材上に配置されたバリア層が損傷した場合、又は酸素がフレキシブル基材上に配置されたバリア層を通って拡散した後にフレキシブル基材に到達したときに、作用し得る。加えて本開示は、コーティングされたフレキシブル基材の既存フレキシブル基材において酸素捕捉剤として作用する新たな機能を作り出すことを目的としており、これにより、追加の酸素バリア特性がもたらされる。
【0007】
[0007]本開示のさらなる態様、利点及び特徴は、特許請求の範囲、明細書及び添付図面から明らかである。
【0008】
[0008]本開示の態様によれば、包装用途のための、コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法がもたらされる。コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法は、第1の表面、及び当該第1の表面とは反対側の第2の表面を有するフレキシブル基材と、当該フレキシブル基材の第1の表面上の少なくとも1つのバリア層とを含む、コーティングされたフレキシブル基材を提供することを含む。本方法はさらに、荷電粒子のビームを、コーティングされたフレキシブル基材の少なくとも1つのバリア層及びフレキシブル基材に、実質的に酸素を含まない雰囲気中で同時に提供することを含む。本方法はさらに、荷電粒子のビームを、コーティングされたフレキシブル基材の少なくとも1つのバリア層及びフレキシブル基材に、実質的に酸素を含まない雰囲気中で同時に提供することを含む。
【0009】
[0009]本開示について前掲の特徴が詳細に理解可能なように、先に簡潔に要約した本開示のより具体的な説明については、実施形態を参照することができる。添付図面は実施形態に関連し、以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本明細書に記載の実施形態による、包装用途のための、コーティングされたフレキシブル基材の処理方法を示すフローチャートである。
図2】本明細書に記載の実施形態による、包装用途のための、コーティングされたフレキシブル基材の処理方法を示すための概略図(コーティングされたフレキシブル基材の顕微鏡図を含む)を示す。
図3A-C】本明細書に記載の実施形態による、包装用途のための、コーティングされたフレキシブル基材の概略的な断面図を示す。
図4】本明細書に記載の実施形態による、包装用途のための、コーティングされたフレキシブル基材を処理するための装置の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0010]以下、様々な実施形態について詳細な言及がなされるが、そのうち1又は複数の例を図面に示す。以下の図面の説明において、同一の参照番号は、同一の構成要素を指す。一般に、個々の実施形態に関する相違点のみを説明する。各実施例は説明のために提供され、開示の制限を意味するものではない。さらに、1つの実施形態の一部として図示又は説明される特徴を、他の実施形態で、又は他の実施形態と組み合わせて使用して、さらに別の実施形態をもたらすことができる。説明にはそのような修正及び変更が含まれることが意図されている。
【0012】
[0011]コーティングされたフレキシブル基材は例えば、水分及び/又は酸素が、コーティングされたフレキシブル基材を拡散又は通過するのを防ぐために、ポリマー製フレキシブル基材と、その上に堆積されたバリア層とから構成され、包装産業では、食品、化学品、及び医薬品、並びに技術製品又は他の農産物を包装するために知られている。しかしながら一定期間経過後には、コーティングされたフレキシブル基材のバリア特性が低下することが観察されている。例えば、フレキシブル基材上に堆積されたバリア層が、コーティングされたフレキシブル基材により保護された物品の輸送中に損傷した場合、コーティングされたフレキシブル基材のバリア特性が損なわれる。さらに、一定時間が経過すると、酸素がフレキシブル基材上に配置されたバリア層を通って拡散し、例えば酸素に対する物品の保護も低下する。さらに、特定の物品、例えば電子機器を酸素から保護するためには、酸素透過率が非常に低い、コーティングされたフレキシブル基材が必要となる。
【0013】
[0012]さらに本開示は、包装用途のための、コーティングされたフレキシブル基材の酸素バリア特性を改善する方法の提供を目的とする。包装用途の例には、改質雰囲気包装(modified atmosphere packaging)が含まれ得る。特に、荷電粒子のビームを、少なくとも1つのバリア層及びフレキシブル基材を含むコーティングされたフレキシブル基材に、実質的に酸素を含まない雰囲気中で提供することは、コーティングされたフレキシブル基材の既存フレキシブル基材において酸素捕捉剤として作用する新たな機能を作り出すのに役立つ。新たに作り出された機能により、コーティングされたフレキシブル基材に追加の酸素バリア特性がもたらされる。
【0014】
[0013]さらに、荷電粒子のビームを、少なくとも1つのバリア層及びフレキシブル基材を含むコーティングされたフレキシブル基材に、実質的に酸素を含まない雰囲気中で提供することにより、フレキシブル基材の一部のポリマー鎖が切断され、これにより、コーティングされたフレキシブル基材に、追加の酸素バリア特性が付与される。換言すれば、フリーラジカルは、荷電粒子のビームをコーティングされたフレキシブル基材に提供すること、及びこれに対応してフレキシブル基材の一部のポリマー鎖が切断されたことの結果として、コーティングされたフレキシブル基材のフレキシブル基材において生成される。フリーラジカルは、酸素が少なくとも1つのバリア層を通って拡散した後にフレキシブル基材に到達すると、例えば、保護すべき物品の輸送中に少なくとも1つのバリア層が損傷すると、酸素捕捉剤として作用する。
【0015】
[0014]本開示は、追加のバリア材料又は複雑な生産システムを必要とせずに、コーティングされたフレキシブル基材の酸素バリア特性を改善することを目的とする。よって本開示の方法は、低い製造コスト、及び高い生産効率で行われる。
【0016】
[0015]図1を例示的に参照しながら、本開示による、包装用途のための、コーティングされたフレキシブル基材の処理方法100を記載する。方法100は、開始110から開始して、第1の表面、及び第1の表面とは反対側の第2の表面を有するフレキシブル基材と、フレキシブル基材の第1の表面上に少なくとも1つのバリア層とを含む、コーティングされたフレキシブル基材を提供することを含み得る(ステージ120)。さらに、包装用途のための、コーティングされたフレキシブル基材の処理方法100は、荷電粒子のビームを、コーティングされたフレキシブル基材の少なくとも1つのバリア層及びフレキシブル基材に、実質的に酸素を含まない雰囲気中で同時に提供することを含み得る(ステージ130)。方法100は、終了140で終わり得る。
【0017】
[0016]本開示のさらなる様々な実施形態をより詳細に説明する前に、本明細書で使用されるいくつかの用語との関連でいくつかの態様を説明する。
【0018】
[0017]本開示において「フレキシブル基材」とは、基材が屈曲可能であることによって特徴づけされ得る。例えば、フレキシブル基材は、箔又はウェブであり得る。特に、本明細書に記載される実施形態は、包装用途のための、あらゆる種類のコーティングされたフレキシブル基材を処理するために利用可能なことが、理解されるべきである。本明細書に記載されたフレキシブル基材は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリビニリデンクロリド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド、ポチエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリエチレンビニルアルコール、ポリエチレンビニルアセテート、ポリエチレンメタクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される基材材料を含み得る。フレキシブル基材は特に、ポリマー製フレキシブル基材である。フレキシブル基材は基材厚さTが、T≦250μm、特に5μm≦T≦150μm、とりわけ5μm≦T≦100μmであってよく、例えば、T=50μm±1μmである。本明細書で特定される厚さTを有するフレキシブル基材を選択することにより、フレキシブル基材の一部のポリマー鎖を切断するのに有利になることがあり、このため、フリーラジカルがフレキシブル基材の機械的特性を悪化させることなく酸素捕捉剤として作用することが理解される。
【0019】
[0018]本開示において「荷電粒子」という用語は、電荷を有する粒子として理解され得る。例えば、荷電粒子はイオン又は電子であり得る。ある実施形態によれば、荷電粒子は電子である。
【0020】
[0019]本開示において「バリア層」という用語は、コーティングされたフレキシブル基材に酸素バリア特性、特に酸素及び水分バリア特性をもたらすコーティング、層又はフィルムとして理解され得る。バリア層及び/又は少なくとも1つのバリア層は、酸素バリア特性、特に酸素及び水分バリア特性を有し得る。
【0021】
[0020]一例として、「上に(on)」という用語に言及すると、例えば、フレキシブル基材の第1の表面上の少なくとも1つのバリア層は、フレキシブル基材から出発して、少なくとも1つのバリア層がフレキシブル層上に位置づけられると理解される。換言すれば、「上に」という用語は、少なくとも1つのバリア層、当該バリア層のうち複数、及び/又はフレキシブル基材の順序を規定するために使用され、ここで出発点は、フレキシブル基材である。これは、コーティングされたフレキシブル基材が上下逆に描かれているかどうかとは、関係がない。
【0022】
[0021]図2は、本明細書に記載された実施形態による、包装用途のための、コーティングされたフレキシブル基材の処理方法100を説明するための概略図(コーティングされたフレキシブル基材の顕微鏡図を含む)を示す。コーティングされたフレキシブル基材は特に、第1の表面、及び当該第1の表面とは反対側の第2の表面を有するフレキシブル基材210、並びにフレキシブル基材210の第1の表面上に少なくとも1つのバリア層220を含み得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのバリア層220が、フレキシブル基材210の第1の表面上に直接、存在し得る。
【0023】
[0022]いくつかの実施形態(他の実施形態と組み合わせ可能)によれば、コーティングされたフレキシブル基材を提供することはさらに、フレキシブル基材210の第1の表面、特にフレキシブル基材210の第1の表面に直接、少なくとも1つのバリア層220を提供することを含み得る。
【0024】
[0023]いくつかの実施形態では、コーティングされたフレキシブル基材を提供することは、少なくとも1つのバリア層220上に、例えば実質的に酸素を含まない雰囲気中で、特に少なくとも1つのバリア層220上に直接、コーティング組成物を提供することも含み得る。このような場合、コーティングされたフレキシブル基材は、コーティング組成物をさらに含み得る。さらに、荷電粒子のビーム240を、コーティングされたフレキシブル基材の少なくとも1つのバリア層220及びフレキシブル基材210に、実質的に酸素を含まない雰囲気中で同時に提供することはまた、荷電粒子のビーム240をコーティング組成物に、実質的に酸素を含まない雰囲気中で同時に提供することを含み得る。いくつかの実施形態において、コーティング組成物は、アクリレートモノマー、メタクリレートモノマー、アクリレートオリゴマー、メタクリレートオリゴマー、及びこれらの組み合わせを含み得る。
【0025】
[0024]コーティング組成物は、例えば荷電粒子のビームを提供することにより硬化又は重合させた後、少なくとも1つのバリア層220上に最上層を形成し得る。最上層は、少なくとも1つのバリア層に、例えば機械的損傷に対する、機械的な保護を提供し得る。最上層はまた、酸素バリア特性、特に水分及び酸素バリア特性を有し得る。コーティング組成物は、コーティング法を用いて、特に溶液コーティング法により、特にグラビアコーティング、フローコーティング、カーテンコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、印刷コーティング、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるコーティング法により、少なくとも1つのバリア層220上に提供することができる。いくつかの実施形態において、最上層の厚さTは、0.1μm≦T≦1.5μm、特に0.1μm≦T≦0.7μm、とりわけ0.1μm≦T≦0.5μmであり得る。
【0026】
[0025]図2に例示されるように、本明細書に記載された他の実施形態と組み合わせ可能な実施形態によれば、荷電粒子のビーム240を、少なくとも1つのバリア層220上又はコーティング組成物上に位置する荷電粒子源230から提供することができる。荷電粒子源230がこのような位置にあると、有利であり得る。少なくとも1つのバリア層220上のコーティング組成物の硬化又は重合を、本開示による、包装用途のための、コーティングされたフレキシブル基材の処理中に、追加的に行うことが可能だからである。よって、少なくとも1つのバリア層220上にコーティング組成物を有する実施形態では、荷電粒子のビーム240を当該コーティング組成物に、コーティングされたフレキシブル基材の少なくとも1つのバリア層220及びフレキシブル基材210に、実質的に酸素を含まない雰囲気中で同時に提供することがさらに、例えば荷電粒子のビーム240を採用することによって、少なくとも1つのバリア層220上のコーティング組成物を硬化又は重合させることを含み得る。少なくとも1つのバリア層220上のコーティング組成物の硬化又は重合と、本開示による、包装用途のための、コーティングされたフレキシブル基材の処理は、同時に行ってもよい。
【0027】
[0026]さらに、荷電粒子源230の位置により、フレキシブル基材210の基材厚さTにわたって荷電粒子のビーム240を通過させることなく、少なくとも1つのバリア層220上のコーティング組成物を硬化又は重合させることが可能になり、このため、少なくとも1つのバリア層220のバリア層の硬化又は重合は、減少した荷電粒子エネルギーEで達成される。さらに、荷電粒子源230がこのような位置にあることは、有利であり得る。フレキシブル基材において生成されたフリーラジカルは、酸素が少なくとも1つのバリア層を通って拡散した後にフレキシブル基材に到達した場合、又は例えばコーティングされたフレキシブル基材により保護された商品の輸送中に、少なくとも1つのバリア層が損傷を受けた場合にのみ、酸素捕捉剤として作用し得るからである。しかしながら、荷電粒子源230の位置は、少なくとも1つのバリア層220上又はコーティング組成物上の位置に限られず、少なくとも1つのバリア層220上のコーティング組成物の硬化又は重合を可能にする任意の適切な位置を使用可能なことが、理解されるべきである。
【0028】
[0027]本開示の実施形態は、荷電粒子のビーム240を提供するための荷電粒子源230に限られないことが、理解されるべきである。本明細書に記載の実施形態は、包装用途のための、コーティングされたフレキシブル基材の処理方法の概念を説明するためのものである。よって、荷電粒子のビーム240を提供するための複数の荷電粒子源を実装可能なことが理解されるべきである。
【0029】
[0028]いくつかの実施形態では、荷電粒子のビーム240が、円錐状の形状を有し得る。例えば、円錐状の形状は、それぞれのビームの主方向に対して実質的に対称であり得る。図2には、主方向240Mが示されている。
【0030】
[0029]いくつかの実施形態(他の実施形態と組み合わせ可能)によれば、荷電粒子のビーム240の荷電粒子の荷電粒子エネルギーEは、5keV≦E≦250keV、特に30keV≦E≦220keV、とりわけ50keV≦E≦220keVであり得る。いくつかの実施形態では、荷電粒子のビーム240の荷電粒子線量が、1000~1×10グレイ、特に3000~1×10グレイ、とりわけ3000~8000グレイであり得る。荷電粒子のビーム240の荷電粒子の荷電粒子エネルギーEの値、及び荷電粒子のビームの荷電粒子線量の値は、少なくとも1つのバリア層及び/又はフレキシブル基材の1又は複数の材料及び/又は1又は複数の厚さに従って調整可能なことが、理解されるべきである。
【0031】
[0030]図2の双方向の矢印により例示されるように、フレキシブル基材は例えば、本開示の方法に従った、包装用途のための、コーティングされたフレキシブル基材を処理している間、搬送方向Tに移動させることができる。よって、包装用途用の、コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法はさらに、コーティングされたフレキシブル基材を搬送方向Tに移動させることを含み得る。例えば、コーティングされたフレキシブル基材を移動させることは、コーティングされたフレキシブル基材を、1m/s≦v≦15m/s、特に2m/s≦v≦10m/s、とりわけ3m/s≦v≦7m/s、例えばv=4.5m/s±0.5m/s、又はv=6.0m/s±0.5m/sで移動させることを含み得る。別の例によれば、コーティングされたフレキシブル基材が移動する速度vは、12m/s≦v≦15m/sであり得る。
【0032】
[0031]図2に例示されるように、コーティングされたフレキシブル基材の少なくとも1つのバリア層220及びフレキシブル基材210に、実質的に酸素を含まない雰囲気中で同時に提供された荷電粒子のビーム240は、コーティングされたフレキシブル基材の少なくとも1つのバリア層220及びフレキシブル基材210を同時に侵入し得る。少なくとも1つのバリア層220上にコーティング組成物を有する実施形態では、コーティング組成物に、コーティングされたフレキシブル基材の少なくとも1つのバリア層220及びフレキシブル基材210に、実質的に酸素を含まない雰囲気中で同時に提供された荷電粒子のビーム240は、コーティングされた組成物、コーティングされたフレキシブル基材の少なくとも1つのバリア層220及びフレキシブル基材210を同時に侵入し得る。
【0033】
[0032]いくつかの実施形態では、荷電粒子のビーム240を、コーティングされたフレキシブル基材の少なくとも1つのバリア層220及びフレキシブル基材210に、実質的に酸素を含まない雰囲気中で同時に提供することがさらに、荷電粒子のビーム240の荷電粒子の荷電粒子エネルギーE、及び荷電粒子のビーム240の荷電粒子線量のうちの少なくとも1つを調整することを含み得る。少なくとも1つのバリア層220上にコーティング組成物を有する実施形態では、荷電粒子のビーム240を、コーティング組成物に、コーティングされたフレキシブル基材の少なくとも1つのバリア層220及びフレキシブル基材210に、実質的に酸素を含まない雰囲気中で同時に提供することがさらに、荷電粒子のビーム240の荷電粒子の荷電粒子エネルギーE、及び荷電粒子のビーム240の荷電粒子線量のうちの少なくとも1つを調整することを含み得る。
【0034】
[0033]よって、荷電粒子のビーム240の荷電粒子の荷電粒子エネルギーEの変動により、フレキシブル基材210への荷電粒子のビーム240の平均侵入深さ210pが調整される。こうして、フレキシブル基材210への様々な侵入深さにおいて、フレキシブル基材210のポリマー鎖の切断を行うことができ、対応するフリーラジカルを作成することができる。さらに、荷電粒子のビーム240の荷電粒子線量の変動により、フレキシブル基材210内への平均浸入深さ210pにおける、フレキシブル基材210のポリマー鎖の切断数、及び対応するフリーラジカルが調整される。
【0035】
[0034]本開示において「侵入深さ」という用語は、荷電粒子のビーム240がフレキシブル基材210の第1の表面から出発してフレキシブル基材210に侵入する距離を指し、例えば、当該距離で、例えば厚さ方向に沿って、少なくとも1つのバリア層が位置決め又は堆積される。いくつかの実施形態では、フレキシブル基材210における、第1の表面からの荷電粒子のビーム240の荷電粒子の平均侵入深さ210pが、フレキシブル基材の基材厚さTの少なくとも10%、特にフレキシブル基材の基材厚さTの少なくとも40%、とりわけフレキシブル基材の基材厚さTの少なくとも70%に等しい。
【0036】
[0035]図3A図3Cは、本明細書に記載の実施形態による包装用途のための、コーティングされたフレキシブル基材の概略的な側方断面図を示す。図3A図3Cにおいて、本開示によるコーティングされたフレキシブル基材は、第1の表面、及び当該第1の表面とは反対側の第2の表面を有するフレキシブル基材310、並びにフレキシブル基材310の第1の表面上、特にフレキシブル基材310の第1の表面上に直接、少なくとも1つのバリア層320を含む。
【0037】
[0036]いくつかの実施形態では、図3Aに例示されるように、本開示によるコーティングされたフレキシブル基材は、第1の表面、及び当該第1の表面とは反対側の第2の表面を有するフレキシブル基材310、並びにフレキシブル基材310の第1の表面上に、特にフレキシブル基材310の第1の表面上に直接、少なくとも1つのバリア層320を含み得る。
【0038】
[0037]いくつかの実施形態では、図3Bに例示されるように、本開示によるコーティングされたフレキシブル基材は、第1の表面、及び当該第1の表面と反対側の第2の表面とを有するフレキシブル基材310、フレキシブル基材310の第1の表面上、特にフレキシブル基材310の第1の表面上に直接、第1のバリア層320a、並びに第1のバリア層320a上に、特に第1のバリア層320a上に直接、第2のバリア層320bを含み得る。よって、少なくとも1つのバリア層320は、第1のバリア層320a及び第2のバリア層320bを含み得る。一例として、第1のバリア層320aは、アルミニウム又は酸化アルミニウムを含み得る。さらに、第2のバリア層320bは、有機材料、例えばアクリレートモノマー、メタクリレートモノマー、アクリレートオリゴマー、メタクリレートオリゴマー、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、メラミン樹脂、及びこれらの組み合わせを含み得る。
【0039】
[0038]いくつかの実施形態では、図3Cに例示されるように、本開示によるコーティングされたフレキシブル基材が、第1の表面と、第1の表面とは反対側の第2の面とを有するフレキシブル基材310、フレキシブル基材310の第1の表面上、特にフレキシブル基材310の第1の表面上に直接、第1のバリア層320a、第1のバリア層320aの上、特に第1のバリア層320a上に直接、第2のバリア層320b、並びに第2のバリア層320b上、特に第2のバリア層320b上に直接、第3のバリア層320cを含み得る。よって、少なくとも1つのバリア層320は、第1のバリア層320a、第2のバリア層320b、及び第3のバリア層320cを含み得る。一例として、第1のバリア層320aは、アルミニウム又は酸化アルミニウムを含み得る。また、第2のバリア層320bは、二酸化ケイ素を含み得る。さらに、第3のバリア層320cは、有機材料、例えばアクリレートモノマー、メタクリレートモノマー、アクリレートオリゴマー、メタクリレートオリゴマー、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、メラミン樹脂、及びこれらの組み合わせを含み得る。さらなる例として、第1のバリア層320aは、ポリビニルアルコール及び/又はポリエチレンビニルアルコールを含み得る。さらに、第2のバリア層320bは、アルミニウム、酸化アルミニウム及び/又は二酸化ケイ素を含み得る。さらに、第3のバリア層320cは、有機材料、例えばアクリレートモノマー、メタクリレートモノマー、アクリレートオリゴマー、メタクリレートオリゴマー、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、メラミン樹脂、及びこれらの組み合わせを含み得る。
【0040】
[0039]少なくとも1つのバリア層320、又は少なくとも1つのバリア層320のうち少なくとも1つのバリア層、例えば、第1のバリア層320a、第2のバリア層320b、又は第3のバリア層320cは、アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ケイ素、二酸化ケイ素、有機材料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含み得る。有機材料の例は、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、ポリビニリデンジクロリド、アクリレートモノマー、メタクリレートモノマー、アクリレートオリゴマー、メタクリレートオリゴマー、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、メラミン樹脂、及びこれらの組み合わせである。しかしながら、少なくとも1つのバリア層320の材料、又は少なくとも1つのバリア層320のうち少なくとも1つのバリア層の材料は、アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ケイ素、二酸化ケイ素、有機材料、及びこれらの組み合わせに限られないこと、並びに酸素バリア特性、特に水分及び酸素バリア特性を有する任意の適切な材料を、少なくとも1つのバリア層320の材料として、又は少なくとも1つのバリア層320のうち少なくとも1つのバリア層の材料として使用可能なことが、理解されるべきである。
【0041】
[0040]いくつかの実施形態では、少なくとも1つのバリア層320、又は少なくとも1つのバリア層320のうち少なくとも1つのバリア層、例えば、第1のバリア層320a、第2のバリア層320b、又は第3のバリア層320cは、酸素バリアであり得る。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのバリア層320、又は少なくとも1つのバリア層320のうち少なくとも1つのバリア層、例えば、第1のバリア層320a、第2のバリア層320b、又は第3のバリア層320cは、水分及び酸素バリアであり得る。
【0042】
[0041]いくつかの実施形態では、本開示の方法に従って処理された、コーティングされたフレキシブル基材の水蒸気透過率(WVTR:単位はg/cm/日)及び/又は酸素透過率(OTR)が、10未満、特に1未満、とりわけ約0.5であり得る。酸素及び水蒸気透過率は、ASTM D3985-17及びASTM F1249-20に準拠して、酸素透過にはMocon Oxtran 2/22及びSystech Illinois 8001を使用し、水蒸気透過にはMocon Permatran-W 3/33及びSystech Ilinois 7001を使用して、決定できる。
【0043】
[0042]いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのバリア層320、又は少なくとも1つのバリア層320のうち少なくとも1つのバリア層、例えば、第1のバリア層320a、第2のバリア層320b、又は第3のバリア層320cは、化学蒸着又は物理蒸着、例えばスパッタリング又は蒸発により、製造することができる。物理蒸着の例は、電子ビーム物理蒸着及びスパッタ蒸着であり得る。いくつかの実施形態では、コーティングされたフレキシブル基材を提供することが、フレキシブル基材上に、特にフレキシブル基材上に直接、少なくとも1つのバリア層を堆積させることを含み得る。
【0044】
[0043]あるいは、少なくとも1つのバリア層320、又は少なくとも1つのバリア層320のうち少なくとも1つのバリア層、例えば、第1のバリア層320a、第2のバリア層320b、又は第3のバリア層320cは、コーティング法を用いて、特に溶液コーティング法により、特にグラビアコーティング、フローコーティング、カーテンコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるコーティング法により、少なくとも1つのバリア層310上に提供することができる(例えば、少なくとも1つのバリア層320のうち少なくとも1つのバリア層(例えば第1のバリア層320a、第2のバリア層320b、又は第3のバリア層320c)の前駆体が、液状であるとともに、有機材料、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、アクリレートモノマー、メタクリレートモノマー、アクリレートオリゴマー、メタクリレートオリゴマー、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、メラミン樹脂、及びこれらの組み合わせを含む場合)。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのバリア層320の厚さTが、0.05μm≦T≦5μm、特に0.1μm≦T≦2μm、とりわけ0.1μm≦Tb≦1μmであり得る。
【0045】
[0044]本開示の態様によれば、包装用途のための、コーティングされたフレキシブル基材が提供される。いくつかの実施形態において、コーティングされたフレキシブル基材は、本開示の方法によって処理された基材であり得る。コーティングされたフレキシブル基材は、第1の表面、及び第1の表面とは反対側の第2の表面を有するフレキシブル基材、並びにフレキシブル基材の第1の表面上に少なくとも1つのバリア層を含み得る。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのバリア層は、フレキシブル基材の第1の表面上に直接、存在し得る。フレキシブル基材の特性、及び包装用途のための、処理され、コーティングされたフレキシブル基材の少なくとも1つのバリア層の特性、例えば基材厚さT、基材材料、厚さT、及び少なくとも1つのバリア層の材料は、本開示に記載されたとおりである。いくつかの実施形態において、コーティングされたフレキシブル基材の水蒸気透過率(WVTR:単位はg/cm/日)及び/又は酸素透過率(OTR)は、例えば、本開示の方法に従って処理された後、10未満、特に1未満、とりわけ約0.5であり得る。酸素及び水蒸気透過率は、本開示に記載されるように決定可能である。
【0046】
[0045]図4を例示的に参照すると、本開示による、包装用途のための、コーティングされたフレキシブル基材440を処理するための装置400が記載されている。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせ可能な実施形態によれば、装置400は、コーティングされたフレキシブル基材440をガイドするための処理ドラム410を含む。さらに、装置400は、印刷のための印刷配置構成420、例えば、コーティングされたフレキシブル基材440の少なくとも1つのバリア層上のコーティング組成物を含む。一例として、少なくとも1つのバリア層は、アルミニウム又は酸化アルミニウムを含み得る。さらに、装置400は、コーティングされたフレキシブル基材440を処理するための荷電粒子源430を含む。
【0047】
[0046]図4を例示的に参照すると、印刷配置構成420は、コーティング組成物を供給するための供給装置421を含み得る。例えば、供給装置421は、モノマーリザーバであり得る。さらに、印刷配置構成420は、第1のローラ422(例えばアニロックスローラ)、及び第2のローラ424(例えば転写ローラ)を含み得る。特に、第1ローラ422は、処理ドラム410及び第2のローラ424と平行に配置され得る。転写ローラと処理ドラム410との間で、コーティングされたフレキシブル基材440は、処理中に、例えばコーティングされたフレキシブル基材440の少なくとも1つのバリア層上のコーティング組成物のコーティング又は印刷中に、搬送され得る。よって、第1のローラ422の表面がリザーバを通過する間、コーティング組成物が、リザーバから第1ローラ422の表面、例えばアニロックスローラの表面に塗布され得ることが理解されるべきである。また図4に例示されるように、印刷配置構成420は典型的には、第1のローラ422の回転軸に対して平行方向に延びる少なくとも1つの細長いドクターブレードを有する、ドクターブレードアセンブリ423を含む。
【0048】
[0047]この書面による説明では、最良の形態を含む開示を開示するため、また当業者が、記載された主題を実行すること(任意の装置を作製及び使用すること、並びに任意の組み込まれた方法を実行することを含む)を可能にするために、例が使用されている。前述のように様々な具体的な実施形態が開示されている一方で、上述の実施形態の相互に非排他的な特徴を、互いに組み合わせることができる。特許可能な範囲は、特許請求の範囲により規定され、他の例は、請求項の文言通りの言葉と異ならない構造要素を有する場合、又は請求項の文言通りの言葉と実質的に異ならない同等の構造要素を含む場合、請求項の範囲内にあることが意図されている。
【0049】
[0048]前述のことはいくつかの実施形態に向けられている一方で、他の実施形態及びさらなる実施形態を、基本的な範囲から逸脱することなく考案することができ、その範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-09-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装用途のための、コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法であって、
・第1の表面、及び当該第1の表面とは反対側の第2の表面を有するフレキシブル基材、並びに
・前記フレキシブル基材の前記第1の表面上の少なくとも1つのバリア層、
を含む、コーティングされたフレキシブル基材を提供すること、
荷電粒子のビームを、前記コーティングされたフレキシブル基材の前記少なくとも1つのバリア層及び前記フレキシブル基材に、実質的に酸素を含まない雰囲気中で同時に提供すること
を含む、方法。
【請求項2】
前記荷電粒子のビームが、前記少なくとも1つのバリア層に位置づけられた荷電粒子源から提供される、請求項1に記載の、コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法。
【請求項3】
荷電粒子のビームを、前記コーティングされたフレキシブル基材の前記少なくとも1つのバリア層及び前記フレキシブル基材に、実質的に酸素を含まない雰囲気中で同時に提供することが、前記荷電粒子のビームの前記荷電粒子の荷電粒子エネルギーE、及び前記荷電粒子のビームの荷電粒子線量のうち少なくとも1つを調整することをさらに含む、請求項1又は2に記載の、コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法。
【請求項4】
前記荷電粒子のビームの前記荷電粒子の荷電粒子エネルギーEが、5keV≦E≦250keVである、請求項1から3のいずれか一項に記載の、コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法。
【請求項5】
前記荷電粒子のビームの荷電粒子線量が、1000~1×10グレイである、請求項1から4のいずれか一項に記載の、コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法。
【請求項6】
前記フレキシブル基材における、前記第1の表面からの前記荷電粒子のビームの前記荷電粒子の平均侵入深さが、前記フレキシブル基材の基材厚さTの少なくとも10%に等しい、請求項1から5のいずれか一項に記載の、コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法。
【請求項7】
前記フレキシブル基材の基材厚さTが、≦250μmである、請求項1から6のいずれか一項に記載の、コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法。
【請求項8】
前記フレキシブル基材が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリビニリデンクロリド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド、ポチエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリエチレンビニルアルコール、ポリエチレンビニルアセテート、ポリエチレンメタクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される基材材料を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の、コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法。
【請求項9】
前記荷電粒子が電子である、請求項1から8のいずれか一項に記載の、コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのバリア層が酸素バリアである、請求項1から9のいずれか一項に記載の、コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つのバリア層の厚さTが、0.05μm≦T≦5μmである、請求項1から10のいずれか一項に記載の、コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのバリア層が、アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ケイ素、二酸化ケイ素、有機材料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の、コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法。
【請求項13】
コーティングされたフレキシブル基材を提供することが、コーティング組成物を、前記少なくとも1つのバリア層上に提供することをさらに含み、
荷電粒子のビームを提供することが、荷電粒子のビームを前記コーティング組成物に、実質的に酸素を含まない雰囲気中で同時に提供することをさらに含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の、コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法。
【請求項14】
前記コーティング組成物が、アクリレートモノマー、メタクリレートモノマー、アクリレートオリゴマー、メタクリレートオリゴマー、及びこれらの組み合わせを含む、請求項13に記載の、コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法。
【請求項15】
前記荷電粒子のビームを提供することにより重合させた後、前記コーティング組成物が、前記少なくとも1つのバリア層上に最上層を形成する、請求項13又は14に記載の、コーティングされたフレキシブル基材を処理する方法。
【国際調査報告】