(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-06
(54)【発明の名称】プラズマエッチング技法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240130BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L29/78 301X
H01L29/78 301Y
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545747
(86)(22)【出願日】2022-01-24
(85)【翻訳文提出日】2023-09-12
(86)【国際出願番号】 US2022013558
(87)【国際公開番号】W WO2022164759
(87)【国際公開日】2022-08-04
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514028776
【氏名又は名称】トーキョー エレクトロン ユーエス ホールディングス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ルアン,ピンシャン
(72)【発明者】
【氏名】モスデン,アエラン
【テーマコード(参考)】
5F004
5F140
【Fターム(参考)】
5F004AA05
5F004BA04
5F004BA20
5F004BB14
5F004BB25
5F004BB26
5F004BD03
5F004CA04
5F004CB05
5F004CB09
5F004DA01
5F004DA17
5F004DA18
5F004DA23
5F004DA24
5F004DA25
5F004DB00
5F004DB01
5F004DB07
5F004EA07
5F140BA03
5F140BA05
5F140BB05
5F140BB06
5F140BC15
5F140BF04
5F140CB04
(57)【要約】
特定の実施形態において、半導体基板を処理するための方法が、積層膜を含む半導体基板を受け取ることを含む。積層膜は、第1のゲルマニウム含有層及び第2のゲルマニウム含有層と、第1のゲルマニウム含有層と第2のゲルマニウム含有層との間に配置された第1のシリコン層とを含む。本方法は、フッ素剤及び窒素剤を含むプラズマに積層膜を暴露することによって、第1のシリコン層を選択的にエッチングすることを含む。プラズマは、第1のシリコン層をエッチングし、第1のゲルマニウム含有層及び第2のゲルマニウム含有層の露出面上に不動態化層を形成させて、プラズマへの積層膜の暴露の際に第1のゲルマニウム含有層及び第2のゲルマニウム含有層のエッチングを抑制する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板を処理するための方法であって、前記方法が、
積層膜を含む半導体基板を受け取ることであって、前記積層膜が、第1のゲルマニウム含有層と、第2のゲルマニウム含有層と、前記第1のゲルマニウム含有層と前記第2のゲルマニウム含有層との間に配置された第1のシリコン層とを含む、ことと、
フッ素剤及び窒素剤を含むプラズマに前記積層膜を暴露することによって、前記第1のシリコン層を選択的にエッチングすることであって、前記プラズマが、前記第1のシリコン層をエッチングし、前記第1のゲルマニウム含有層及び前記第2のゲルマニウム含有層の露出面上に不動態化層を形成させて、前記プラズマへの前記積層膜の暴露の際に前記第1のゲルマニウム含有層及び前記第2のゲルマニウム含有層のエッチングを抑制する、ことと
を含む、方法。
【請求項2】
前記プラズマが水素剤を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プラズマが三フッ化窒素(NF
3)ガスを含むガスから発生され、前記フッ素剤が前記NF
3ガスから解離したフッ素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記プラズマがN
2ガスを含むガスから発生され、前記窒素剤が窒素である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記プラズマが、
三フッ化窒素(NF
3)及びアンモニア(NH
3)、
NF
3、NH
3、及び窒素(N
2)、
NF
3、NH
3、及びアルゴン(Ar)、
NF
3及び水素(H
2)、
NF
3、H
2、及びN
2、又は
NF
3、H
2、NH
3、及びN
2
を含む複合ガスから発生される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のゲルマニウム含有層及び前記第2のゲルマニウム含有層の前記露出面上に形成された前記不動態化層が、窒化ゲルマニウム(Ge
3N
4)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のゲルマニウム含有層及び前記第2のゲルマニウム含有層が、両方ともゲルマニウム層である又は両方ともシリコン・ゲルマニウム層である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のゲルマニウム含有層及び前記第2のゲルマニウム含有層の一方がゲルマニウム層であり、前記第1のゲルマニウム含有層及び前記第2のゲルマニウム含有層の他方がシリコン・ゲルマニウム層である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のシリコン層を選択的にエッチングすることが、前記第1のシリコン層の端部部分を選択的にエッチングして、前記第1のゲルマニウム含有層と前記第2のゲルマニウム含有層との間において前記積層膜に窪みを形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のシリコン層が選択的にエッチングされると、前記第1のゲルマニウム含有層及び前記第2のゲルマニウム含有層の追加の表面が露出され、前記プラズマが前記追加の表面上に前記不動態化層を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のシリコン層を選択的にエッチングすることが、前記第1のゲルマニウム含有層と前記第2のゲルマニウム含有層との間において前記第1のシリコン層の実質的にすべてを選択的に除去することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のシリコン層を選択的にエッチングすることの前に、
自然酸化層が前記積層膜の表面上に存在し、
前記方法が前記自然酸化層をエッチングすることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記積層膜が、第2のシリコン層と第3のゲルマニウム含有層とを更に含み、前記第2のシリコン層が前記第2のゲルマニウム含有層と前記第3のゲルマニウム含有層との間に配置され、
前記方法が、前記プラズマに前記積層膜を暴露することによって前記第2のシリコン層を選択的にエッチングすることであって、前記プラズマが、前記第3のゲルマニウム含有層の露出面上に前記不動態化層を形成して、前記プラズマへの前記積層膜の暴露の際に前記第3のゲルマニウム含有層のエッチングを抑制する、ことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
半導体基板を処理するための方法であって、前記方法が、
プラズマツールのプラズマチャンバに半導体基板を配置することであって、前記半導体基板が、少なくとも2層のシリコン層及び少なくとも2層のゲルマニウム含有層がある状態で、シリコン層とゲルマニウム含有層とを交互に積み重ねた配置で含む積層膜を含む、ことと、
前記プラズマツールの前記プラズマチャンバにおいて、フッ素剤、窒素剤、及び水素剤を含むプラズマを発生させることであって、前記プラズマが、前記プラズマチャンバ内に酸素含有ガスを意図的に導入することなしに発生される、ことと、
前記プラズマツールの前記プラズマチャンバにおいて、前記プラズマに前記積層膜を暴露することであって、前記プラズマが、前記ゲルマニウム含有層の露出面上に窒化物不動態化層を形成させ、前記シリコン層の両方の露出端を選択的にエッチングして、前記ゲルマニウム含有層の両方の露出端に対して前記シリコン層に窪みを形成し、前記窒化物不動態化層が、前記プラズマによる前記ゲルマニウム含有層のエッチングを抑制する、ことと
を含む、方法。
【請求項15】
前記プラズマが、フッ素含有ガスを含むガスから発生され、前記フッ素含有ガスが、三フッ化窒素(NF
3)、六フッ化硫黄(SF
6)、又は四フッ化炭素(CF
4)を含み、
前記フッ素剤が、前記フッ素含有ガスから解離したフッ素を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記プラズマが、窒素含有ガスを含むガスから発生され、前記窒素含有ガスが、N
2、NF
3、又はNH
3を含み、
前記窒素剤が、前記窒素含有ガスから解離した窒素を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記プラズマが、窒素(N
2)ガス及び水素(H
2)ガスを含むガスから発生され、
前記窒素剤が窒素を含み、
前記水素剤が水素を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記プラズマが、
三フッ化窒素(NF
3)及びアンモニア(NH
3)、
NF
3、NH
3、及び窒素(N
2)、
NF
3、NH
3、及びアルゴン(Ar)、
NF
3及び水素(H
2)、
NF
3、H
2、及びN
2、又は
NF
3、H
2、NH
3、及びN
2
を含む複合ガスから発生される、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記ゲルマニウム含有層の前記露出面上に形成された前記窒化物不動態化層が、窒化ゲルマニウム(Ge
3N
4)を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
半導体基板を処理するための方法であって、前記方法が、
プラズマツールのプラズマチャンバに半導体基板を配置することであって、前記半導体基板が、第1の材料の第1の層と第2の材料の第2の層とを交互に積み重ねた配置で含む積層膜を含み、前記第1の材料がシリコンである、ことと、
前記第1の材料の前記第1の層を選択的にエッチングするためのプラズマを発生させることであって、前記プラズマを発生させることが、前記プラズマチャンバ内にフッ素及び窒素を含むガスを導入することと、前記半導体基板の温度を約-40℃~約40℃に維持することとを含む、ことと、
前記プラズマチャンバにおいて、前記プラズマに前記積層膜を一定時間暴露することであって、前記プラズマが、前記第1の材料の前記第1の層の両方の露出端を選択的にエッチングして、前記第2の材料の前記第2の層の両方の露出端に対して前記第1の材料の前記第1の層に窪みを形成する、ことと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本開示は、2021年1月28日に出願された「PLASMA ETCHING TECHNIQUES」と題する米国特許出願第17/161,199号明細書の利益を主張するものであり、同米国特許出願の内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に半導体製造に関し、特定の実施形態ではプラズマエッチング技法に関する。
【背景技術】
【0003】
集積回路(IC)製造産業は、速度、性能、及びコストを改善するために素子密度を上げることを目指している。より小さなノードサイズへのスケーリングを続けるために、デバイスアーキテクチャは、2次元(2D)平面構造から、ナノワイヤ又は縦型トランジスタなどによる3次元(3D)垂直構造へと進化してきた。ゲート電位による伝導チャネルの制御が不十分であることにより、このような変化が望まれるようになっている。短チャネル効果(SCE)は、ゲート寸法のスケールダウンにつれて無視できなくなり、ゲートに電圧が印加されていないときの電流伝導(Ioff)を増加させ得る。デバイスアーキテクチャを変更することにより、ゲートのより良好な静電的制御が可能になって、SCE及び電力損失が低減され得る。ナノワイヤデバイスの製造は、高度に選択的な等方性エッチングプロセスが有益である場合に、3Dエッチングの課題を呈し得る。例えば、露出した材料の層を互いに対してエッチングして、積層膜に窪みを作成することが必要になり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
特定の実施形態において、半導体基板を処理するための方法が、積層膜を含む半導体基板を受け取ることを含む。積層膜は、第1のゲルマニウム(Ge)含有層及び第2のGe含有層と、第1のGe含有層と第2のGe含有層との間に配置された第1のシリコン(Si)層とを含む。本方法は、フッ素剤及び窒素剤を含むプラズマに積層膜を暴露することによって、第1のSi層を選択的にエッチングすることを含む。プラズマは、第1のSi層をエッチングし、第1のGe含有層及び第2のGe含有層の露出面上に不動態化層を形成させて、プラズマへの積層膜の暴露の際に第1のGe含有層及び第2のGe含有層のエッチングを抑制する。
【0005】
特定の実施形態において、半導体基板を処理するための方法が、プラズマツールのプラズマチャンバに半導体基板を配置することを含む。半導体基板は、少なくとも2層のSi層及び少なくとも2層のGe含有層がある状態で、Si層とGe含有層とを交互に積み重ねた配置で含む積層膜を含む。本方法は、プラズマツールのプラズマチャンバにおいて、フッ素剤、窒素剤、及び水素剤を含むプラズマを発生させることを含む。プラズマは、プラズマチャンバ内に酸素含有ガスを意図的に導入することなしに発生される。本方法は、プラズマツールのプラズマチャンバにおいて、プラズマに積層膜を暴露することを含む。プラズマは、Ge含有層の露出面上に窒化物不動態化層を形成させ、Si層の両方の露出端を選択的にエッチングして、Ge含有層の両方の露出端に対してSi層に窪みを形成する。窒化物不動態化層は、プラズマによるGe含有層のエッチングを抑制する。
【0006】
半導体基板を処理するための方法が、プラズマツールのプラズマチャンバに半導体基板を配置することを含む。半導体基板は、第1の材料の第1の層と第2の材料の第2の層とを交互に積み重ねた配置で含む積層膜を含む。第1の材料はSiである。本方法は、第1の材料の第1の層を選択的にエッチングするためのプラズマを発生させることを含む。プラズマを発生させることは、プラズマチャンバ内にフッ素及び窒素を含むガスを導入することと、半導体基板の温度を約-40℃~約40℃に維持することとを含む。本方法は、プラズマチャンバにおいて、プラズマに積層膜を一定時間暴露することを含む。プラズマは、第1の材料の第1の層の両方の露出端を選択的にエッチングして、第2の材料の第2の層の両方の露出端に対して第1の材料の第1の層に窪みを形成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示及びその利点についてより完全に理解するために、添付の図面と併せて読まれるべき以下の説明を参照する。
【0008】
【
図1A】本開示の特定の実施形態による、半導体基板を処理するための例示的なプロセスにおける例示的な半導体基板の断面図を示す。
【
図1B】本開示の特定の実施形態による、半導体基板を処理するための例示的なプロセスにおける例示的な半導体基板の断面図を示す。
【
図1C】本開示の特定の実施形態による、半導体基板を処理するための例示的なプロセスにおける例示的な半導体基板の断面図を示す。
【
図1D】本開示の特定の実施形態による、半導体基板を処理するための例示的なプロセスにおける例示的な半導体基板の断面図を示す。
【
図2】本開示の特定の実施形態による、半導体基板を処理するための例示的な方法を示す。
【
図3】本開示の特定の実施形態による、半導体基板を処理するための例示的な方法を示す。
【
図4】本開示の特定の実施形態による、凹んだ交互積層膜を有する基板を含む例示的なデバイスを示す。
【
図5】本開示の特定の実施形態による、例示的なプラズマツールのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ある材料を他の材料よりも選択的にエッチングすることを試みる様々な技法が存在する。場合によっては、2つの材料の化学的性質が十分に異なることにより、材料の一方をエッチングすることに選択的であるプラズマを、他方の材料をエッチングすることを気にせずに使用できる。他の場合では、材料の化学的性質が類似していることもあれば、利用可能なエッチングプロセスが他の要因によって制限されていることもあるため、選択的エッチングにとって適切なエッチング状態を決定することがより難しい。特定の材料は、ある材料を、別の材料をほとんど又はまったくエッチングすることなくエッチングすることが望ましい場合に、より難しい選択性の課題を呈する。このタイプの選択的エッチングのための従来のプロセスは、ある材料を別の材料よりも選択的にエッチングすることを実現できないこともあれば、選択性、エッチングプロファイル(例えば、局所的な均一性及び/又は表面粗さ)などのプロセス要件を達成できないこともある。
【0010】
ゲート・オール・アラウンド(GAA)デバイスなどの半導体デバイスの3D垂直構造においてチャネル領域として機能するナノワイヤ又はナノシートを形成する際に、選択性の課題が生じ得る。このようなナノワイヤを形成することは、ベース層上に積層膜を形成することを含み、積層膜が、Siの層とGe又はSi-Ge(SiGe)合金の層とを交互に積み重ねた配置で含む。このプロセスの一部は、Ge含有層のエッチングを最小限に抑えながら、Si層の両方の端部において積層膜に窪みをエッチングして、後に伝導デバイスとして使用するためにGe含有層の端部部分を露出させることを含み得る。自然酸化層(NOL)及び/又は積層膜の表面上に存在する他の残留物(例えば、反応性イオンエッチング(RIE)残留物)を部分的に含む様々な課題に起因して、従来のエッチング技法は十分ではない場合がある。
【0011】
例えば、いくつかの従来技法は、三フッ化窒素(NF3)(又は別のエッチャント)及び酸素(O2)のプラズマを使用した単一のエッチング工程を採用している。このプラズマにおけるフッ素ラジカルがSi層をエッチングし、酸素がGe含有層におけるGeと反応して、Ge含有層上に酸化Ge(例えば、GeO2)保護層が形成され得る。しかしながら、エッチング後の構造体は、一般に、Si層及びGe含有層の露出面に沿って許容できないレベルの表面粗さを示し、その原因の一部はNOLのエッチングにある。更に、GeO2保護層はSi層を選択的にエッチングすることを助け得るが、GeO2層はGe含有層のかなりの部分を消費する。
【0012】
別の例として、積層膜に窪みを形成するプラズマエッチングを行う前に、いくつかの従来技法は、NOLを除去するためにウェットプロセス又はドライプロセスを用いる。積層膜は、希フッ化水素(HF)酸又は化学的酸化物除去プロセスを使用して処理され得る。しかしながら、Si層及びGe含有層の両方の表面上のNOLを除去することは、その後の(例えば、NF3及びO2を使用する)Ge含有層のエッチングが最小又はまったく無い状態でSi層をエッチングする窪みプラズマエッチングプロセスの選択性を低下させ得る。
【0013】
以下に示す実施形態は、選択的エッチングの様々な方法を説明する。例えば、実施形態は、基板の積層膜(例えば、Si層とGe含有層とを交互に積み重ねた配置で含む積層膜)の部分を選択的にエッチングするために使用され得る。Ge含有層のナノワイヤを形成するために、Si層のエッジ部分に窪みを選択的にエッチングする(又は場合により完全に除去する)ことが望ましい場合がある。
【0014】
特定の実施形態は、無酸素プラズマを使用して、Si層とGe含有層とを交互に積み重ねた配置で含む積層膜に窪んだ領域、すなわち凹部を形成する。無酸素プラズマは、Ge含有層の露出面上に不動態化層(例えば、窒化Ge不動態化層)を形成させ得る。無酸素プラズマに基板を暴露する前に、適切なドライエッチングプロセス又はウェットエッチングプロセスを用いて、積層膜の露出面からバリア層(例えば、NOL)が実質的に除去され得る。
【0015】
図1A~
図1Dは、本開示の特定の実施形態による、基板102を処理するための例示的なプロセス100における例示的な基板102の断面図を示している。特定の実施形態において、プロセス100は、基板102の積層膜の特定の層の部分をエッチングするために、無酸素プラズマエッチングプロセスを組み込み、その結果、プロセス100の実行後に窪んだ積層膜を有する基板102が得られる。無酸素とは、必ずしもすべての酸素がプロセス100から排除されることを意味するものではなく、O
2及びCO
2などの酸素含有ガスがプラズマエッチングプロセスの一部として意図的に導入されないことを反映するものであることを理解されたい。
【0016】
図1Aに示すように、基板102は、ベース層106上に配置された積層膜104を含む半導体基板である。積層膜104は、Si層108とGe含有層110とを交互に積み重ねた配置で含む。積層膜104は、任意の適切な形状を有し、任意の適切な数の層を含むことができる。例として、Si層108及びGe含有層110の垂直方向の厚さは、それぞれ約10nm~約25nmであり得、特定の例としては、約10nm又は約20nmであり得る。加えて、Si層108は、同じ厚さを有してもよいし互いに厚さが異なってもよく、Ge含有層110は、同じ厚さを有してもよいし互いに厚さが異なってもよく、Si層108及びGe含有層110は、同じ厚さを有してもよいし互いに厚さが異なってもよい。特定の例では、Si層108及びGe含有層110はすべて実質的に同じ厚さを有する。
【0017】
Si層108の材料は、例えば、純粋なSi又は窒化Si(SiN)であり得る。特定の実施形態において、すべてのSi層108は同じ材料を含むが、Si層108は、所望により異なる材料を含むことができる。
【0018】
Ge含有層110の材料は、例えば、純粋なGe又はSiGe合金であり得る。特定の例として、Ge含有層110は、所与の用途の所望のエッチング特性又はプロセス100を部分的に使用して形成された結果として得られる半導体デバイスの所望の性能のために、適切な比率(例えば、Si0.7Ge0.3、Si0.75Ge0.25など)のSiGe合金(混合物)を含み得る。特定の実施形態において、すべてのGe含有層110は同じ材料を含むが、Ge含有層110は、所望により異なる材料を含むことができる。
【0019】
ベース層106は、任意の適切な材料であってよく、一例では、Ge又はSiGe合金を含む。特定の例では、積層膜104は、ベース層106の上にSi(例えば、Si層108)とGe又はSiGe(例えば、Ge含有層110)とのヘテロエピタキシャル層を交互に成長させることによって形成される。
【0020】
任意選択のハードマスク112が積層膜104の上に含まれることもある。ハードマスク112は、例えば以前のエッチングプロセスにおいて、積層膜104の構造体を形成するために使用されたものであり得る。特定の実施形態において、ハードマスク112はSiNであるが、任意の適切な材料を含むことができる。
【0021】
バリア層114が、(ハードマスク112を含む)積層膜104、及びこの例ではベース層106上に形成される。バリア層114は、基板102に適用された以前の製造工程(例えば、RIE)、又は基板102の他の処理(例えば、処理ツール間を移動する際の周囲空気への暴露)から得られることがある。特定の例として、バリア層114は、NOL、RIE残留物、又はその両方を含み得る。NOLは、基板102がO2及びH2Oを含む周囲空気に暴露された場合などに、基板102の表面上に形成される、例えば約1nm~約2.0nmの厚さのSiO2(又は他の適切な材料)の薄層であり得る。例えば、ベース層106、Si層108、Ge含有層110、及びハードマスク112の表面が、周囲空気と相互作用することがあり、その結果、それらの表面にバリア層114が形成され得る。別の例として、ベース層106、Si層108、Ge含有層110、及びハードマスク112の表面は、以前のRIE工程の結果として得られた残留物を含み得る。
【0022】
バリア層114は、バリア層114の下にある層とは異なるエッチング特性を有し得る。バリア層114は、(ハードマスク112を含む)積層膜104及びベース層106の上を略均一に被覆するものとして示されているが、均一に被覆するのであってもしないのであってもよい。
【0023】
積層膜104における層のそれぞれが、図示のように断面の視点から見ると、一対の両端にある露出面を有する。つまり、Si層108のそれぞれが(両端にある)露出面116を有し、Ge含有層110のそれぞれが(両端にある)露出面118を有する。加えて、
図1Aに示す状態では、基板102がバリア層114を含むことから、Si層108の露出面116及びGe含有層110の露出面118がバリア層114を含む。
【0024】
図1Bに示すように、バリア層114がエッチングされて、Si層108の露出面116から、Ge含有層110の露出面118から、並びにベース層106及びハードマスク112の露出面から、バリア層114の一部又は全部が除去される。バリア層114は、任意の適切なウェットエッチングプロセス又はドライエッチングプロセスを含む任意の適切なプロセスを用いて除去され得る。特定の実施形態において、基板102が希HF酸又は化学的酸化物除去プロセスを用いて処理されて、バリア層114の一部又は全部が除去される。バリア層114をエッチングするために使用されるプロセスは、ハードマスク112の一部又は全部を除去してもしなくてもよいが、この例の目的のために、ハードマスク112は除去又はエッチングされないことが示されている。しかしながら、Si層108の露出面116から、及びGe含有層110の露出面118からバリア層114を除去することは、Ge含有層110のエッチングが最小又はまったく無い状態でSi層108をエッチングすることを試みる、その後の従来の酸素ベースの窪みプラズマエッチングプロセス(例えば、NF
3及びO
2を使用する)の選択性を低下させ得る。
【0025】
図1Cに示すように、プロセス100のプラズマ工程120において、基板102がプラズマ122に暴露されて、Si層108が選択的にエッチングされる。例えば、基板102が無酸素プラズマであるプラズマ122に暴露されて、Si層108の露出面116が選択的にエッチングされて、Si層108の両方の端部部分が除去/エッチングの中間状態にある状態で、隣接するGe含有層110に対して積層膜104に窪み136を形成し得る。特定の実施形態において、プラズマ工程120は等方性エッチングプロセスである。
【0026】
プラズマ工程120は、プラズマツールのプラズマチャンバ123で行われ得る。プラズマツールは、誘導結合プラズマ(ICP)ツール、容量結合プラズマ(CCP)ツール、表面波プラズマ(SWP)ツールなどを含む任意の適切なタイプのプラズマツールであってよい。1つの例示的なプラズマツールについては
図5を参照して後述する。
【0027】
特定の実施形態において、プラズマ工程120は、基板102の積層膜の特定の層の部分をエッチングする無酸素プラズマエッチングプロセスであり、その結果、プロセス100の実行後に窪んだ、すなわち凹んだ積層膜を有する基板102が得られる。無酸素とは、必ずしもすべての酸素がプラズマ工程120から排除されることを意味するものではなく、酸素含有ガスがプラズマ工程120の一部として意図的に導入されないことを反映するものであることを理解されたい。プラズマチャンバ123からすべての酸素を除去することは困難又は不可能であり得るため、以下に説明する特定の工程においては、いくらかの酸素が依然として存在し得る。
【0028】
プラズマ122に基板102を暴露する際、またSi層108の選択的エッチングを助けるために、プラズマ122は、Ge含有層110の露出面118上に不動態化層124を形成させ得る。プラズマ122は、Ge含有層110の露出面118においてGe含有層110の部分を除去し、置き換える、又は他の仕方で変更することによって、Ge含有層110の露出面118上に不動態化層124を形成させ得る。特定の実施形態において、不動態化層124はまた、ベース層106が純粋なGeである、又はGeを含む場合(例えば、SiGeベース層106)など、ベース層106の露出面上に形成され得る。
【0029】
プラズマ122に基板102を暴露する際、Ge含有層110の露出面118上(及び、図示の例では、ベース層106の露出面上)の不動態化層124が、Ge含有層110(及び、図示の例では、ベース層106)のエッチングを抑制する。換言すれば、プラズマ122は、Ge含有層110の露出面118上(及びベース層106の露出面上)の不動態化層124の形成及び存在に少なくとも部分的に起因して、Si層108を選択的にエッチングする。
【0030】
不動態化層124は任意の適切な厚さを有し得るが、特定の実施形態において、不動態化層は、2nm以下など、比較的薄い。不動態化層124は、例えば、単層であり得る。特定の実施形態において、不動態化層124は、窒化Ge(例えば、Ge3N4)などの窒化物である。
【0031】
プラズマ122がSi層108をエッチングすると、Ge含有層110の追加の表面138が露出する。つまり、Si層108の選択的エッチングに起因して、積層膜104に窪み136、すなわち凹部が形成され、Ge含有層110の追加の表面138が露出する。プラズマ122は、追加の表面138上に不動態化層124を形成することに進み得る。追加の表面138上に形成された不動態化層124はまた、窒化Ge(例えば、Ge3N4)などの窒化物であり得る。換言すれば、Si層108がGe含有層110の上、下、及び/又は間でエッチングされるため、不動態化層124が、Ge含有層110の新たな露出面(例えば、追加の表面138)の上に更に形成される。追加の表面138上の不動態化層124は追加の表面138におけるGe含有層110のエッチングを抑制し、Ge含有層110の露出面118における不動態化層124は露出面118におけるGe含有層110のエッチングを抑制する。
【0032】
プラズマ122は、フッ素剤126、水素剤128、及び窒素剤130を含み得る。フッ素剤126は、Si層108の露出面116においてSi層108をエッチングするためのエッチャントとして主に機能し得る。水素剤128は還元剤として機能し、フッ素剤126の存在下で、Si層108の露出面116におけるSi層108のエッチングを助け得る。更に、該当する場合には、プラズマ122を発生させるために使用されるガスに応じて、水素剤128はフッ素及び窒素の特定の化合物を更に分解して、フッ素剤126及び窒素剤130を生成し得る。窒素剤130は、Ge含有層110の露出面118においてGeと反応して、露出面118において窒化物層(例えば、Ge3N4などの窒化Ge層)を形成する。例えば、プラズマ122において発生された原子状窒素(N)は、Ge含有層110の露出面118(及びベース層106の露出面)においてGe分子と反応して、Ge含有層110の露出面118上(及びベース層106の露出面上)に不動態化層124(例えば、窒化物層)を形成し得る。
【0033】
特定の実施形態において、プラズマ122は、フッ素ガス、窒素ガス、及び水素ガスを含むガスから発生され得る。いくつかの例として、プラズマ122を発生させるために使用されるフッ素含有ガスは、NF3、六フッ化硫黄(SF6)、又は四フッ化炭素(CF4)を含み得る。更に、フッ素が記載されているが、他のハロゲンがエッチングプロセスを助けるために使用されてもよい。
【0034】
特定の実施形態において、いかなる酸素含有ガスも、プラズマ122を発生させるガスの一部として意図的に導入されない。特定の例として、プラズマ122を発生させるために使用されるガスは、NF3、N2、及びH2の適切な組み合わせを含み得る。別の特定の例として、ガスは、NF3、アンモニア(NH3)、及びN2を含み得る。特定の実施形態において、N2は、アルゴン(Ar)若しくはクリプトン(Kr)などの希ガスで置き換えられ得る、又はそのような希ガスがN2と組み合わせて使用され得る。特定の例として、プラズマ122を発生させるために使用されるガス/複合ガスは、N2/H2/NF3、N2/NH3/NF3、Ar/NH3/NF3、N2/H2/Ar/NF3、NF3/NH3、NF3/H2、又はN2/H2/NH3/NF3を含み得る。
【0035】
フッ素剤126及び窒素剤130(及び場合により水素剤128)を含むプラズマ(例えば、プラズマ122)にSi層108及びGe含有層110を暴露する場合、フッ素剤126が、水素剤128又は窒素剤130がSiと反応するよりも速くSiと(例えば、Si層108の露出面116において)反応し、その結果、Si層108がエッチングされ得る。更に、フッ素剤126は、水素剤128又は窒素剤130よりも反応性が高いと一般に考えられるが、フッ素剤126及び窒素剤130(及び場合により水素剤128)を含むプラズマ122にGe含有層110を暴露する場合、水素剤128及び/又は窒素剤130は、フッ素剤126がGeと反応するよりも早くGeと(例えば、Ge含有層110の露出面118及び追加の表面138において)反応し、不動態化層124(例えば、窒化Ge)を形成し得る。更に、水素剤128及び/又は窒素剤130のGeとの反応が、Ge含有層110の露出面118及び追加の表面138上での不動態化層124の形成に大いに関与するため、Ge含有層110におけるGe濃度が高くなると、Ge含有層110の露出面118及び追加の表面138上で不動態化層124が形成される可能性が高くなり得る。
【0036】
プラズマ122を発生させるために使用されるガスがNF3及びN2を含む例では、NF3のN2に対する比率が適切に検討され得る。特定の実施形態において、プラズマ122は、フッ素によるGe含有層110のエッチングを低減又は排除するために、且つプラズマ122においてフッ素がより反応性の高い化学物質であることから、不動態化層124が十分に迅速に形成されることを確保するためにフッ素よりも窒素を多く含む。適切な比率(又は比率の範囲)は、他のプロセスパラメータ及びGe含有層110におけるGe濃度を含む、様々な要因に依存し得る。特定の実施形態において、Ge含有層110におけるGeの割合が高いほど、不動態化層124がより迅速に形成されることになり、より良い結果につながり得る。H2は、Si層108のエッチング、並びにGe含有層110の露出面118及び追加の表面138上での不動態化層124の形成を含む、プラズマチャンバ123において行われる反応の促進を助けるために添加され得る。NF3のH2に対する比率の例示的な範囲としては、NF3:H2=1:1.5~NF3:H2=1:3が挙げられる。NF3のN2に対する比率の例示的な範囲としては、NF3:N2=1:2.5~NF3:N2=1:10が挙げられる。
【0037】
プラズマ122を発生させるための他のプロセスパラメータは、ガス流量、圧力、プラズマソース電力、プラズマバイアス電力、時間、及び温度を含む。プラズマ122を形成するためのガスは、任意の適切な流量で供給され得る。特定の実施形態において、エッチャントソースガス流量はNF3=20~50sccm、H2=30~150sccm、N2=50~500sccmである。特定の実施形態において、プラズマ工程120は、中間圧力(例えば、約100mTorr~約500mTorr、一例では約300mTorr~約350mTorr)及び中間ソース電力(例えば、約100W~約400W、一例では約200W~約300W)で実行され得る。プラズマ工程120の暴露時間は任意の適切な時間とすることができる。特定の実施形態において、暴露時間は、わずか約5秒以下、10秒以下、15秒以下、又は20秒以下とすることができる。特定の実施形態では、暴露時間は約15秒である。特定の実施形態において、プラズマ工程120は約-40℃~約20℃の温度、一例では約0℃の温度で行われる。本明細書で提供される特定の値及び範囲は、例示目的に過ぎないことを理解されたい。
【0038】
無酸素エッチングプロセス120の1つの例示的なレシピは、圧力350mtorr、ソース電力(誘導結合プラズマ)300W、バイアス電力0W、ウェーハ処理温度0℃、NF3、H2、及びN2の流量としてそれぞれ30sccm、55sccm、及び250sccmを含む。別の例示的なレシピは、圧力300mtorr、ソース電力(誘導結合プラズマ)300W、バイアス電力0W、ウェーハ処理温度0℃、NF3、H2、及びN2の流量としてそれぞれ20sccm、36sccm、及び250sccmを含み得る。
【0039】
図1Dは、プラズマ工程120後の基板102を示している。
図1Dに示す状態では、積層膜104は窪み136(そのうちの2つの例がラベル付与されている)を含む。更に、窪み136の形成に起因して、Ge含有層110の露出端141(そのうちの1つの例がラベル付与されている)が形成され得る。
【0040】
図1Dは、露出端の間隔142及びエッチング幅144など、結果として得られる基板102の特定の測定値を示している。例えば、露出端の間隔142は、積層膜104の第1の側にある第1の露出面116から積層膜104の第2の側にある反対側の第2の露出面116までの各Si層108を測定することによる、Si層108の(この断面における)残りの幅を示している。露出端の間隔142は、特定の実施形態において20nm未満、一実施形態では2nm~20nmであり得る。露出端の間隔はまた、エッチング前の露出端の間隔を指す場合もある。エッチング幅144は、特定のSi層108の特定の端部から、どれくらいの特定のSi層108が除去されたかを測定し得る。換言すれば、エッチング幅144は、Si層108の窪み136の量を測定し得る。特定の実施形態において、エッチング幅144は約5nm~約15nmである。しかしながら、露出端の間隔142及びエッチング幅144は、所与の用途によっては、これらの範囲外になり得る。
【0041】
次いで、その後の処理が基板102上で行われ得る。例えば、プラズマ工程120が、GAAデバイスなどの半導体デバイスのチャネル領域のための対応するナノワイヤにGe含有層110を形成するためのプロセスに統合されてもよい。このようなデバイスでは、その後の処理は、窪み136を絶縁体で充填すること、Si層108の残りの部分を除去すること、Ge含有層110の周囲にゲート酸化物を設けること、及び他の関連する工程を含み得る(これらはすべて例示目的のみで提示したものである)。このようなデバイスでは、Ge含有層110の露出端141は、積層膜104の領域に形成されたチャネル領域への導電性接点として機能し得る。
【0042】
プロセス100は、1つ以上の技術的利点をもたらし得る。Ge含有層よりもSi層を選択的にエッチングするための従来技法は、エッチャント(例えば、フッ素)及び酸素(例えば、NF3/O2又はCF4/O2)を含むプラズマ化学物質(略称F/Oベースのプラズマ)を使用する。このようなF/Oベースのプラズマは、Ge含有層の表面を酸化させて、Ge含有層上に二酸化Ge(GeO2)又はGe酸窒化物(GeOxNy)エッチストップ層を形成し得る。このエッチストップ層は、エッチャントがGe含有層をエッチングする能力を抑制するが、このエッチストップ層は厚く、それによりGe含有層のかなりの部分が置き換えられ、Ge含有層の厚さが望ましくない量減少し得る。デバイスサイズが小さくなるにつれて、この損失はチャネル領域のGe含有層(及び最終的にはナノワイヤ/ナノシート)の大きな割合になり得る。加えて、このエッチストップ層が形成されるまでの時間において、エッチャントはエッチストップ層がまだ形成されていない領域を攻撃することができる。更に、酸化物エッチストップ層は水溶性であってもよい。
【0043】
加えて、F/Oベースのプラズマは、半導体基板上の二酸化Si(SiO2)、窒化Si(Si3N4)、酸化物、及び低誘電率材料などの他の材料をエッチングすることがあり、このことは望ましくない場合がある。換言すれば、このような酸素含有プラズマ(例えば、F/Oベースのプラズマ)は、SiO2、Si3N4、酸化物、及び低誘電率材料に対して選択的ではない。
【0044】
プロセス100の実施形態によれば、Ge含有層110上に形成される不動態化層124は、従来技法によりGe含有層を酸化することにより形成されるエッチストップ層よりも薄い窒化物(例えば、窒化Ge)を含み得る。特定の実施形態において、プラズマ122に(積層膜104を含む)基板102を暴露することによってSi層108を選択的にエッチングすることは、Ge含有層110の厚さを約2.0nm未満減少させる。よって、プロセス100は、Si層108の選択的エッチングにおけるGe含有層110の損失を、従来技法を使用した場合よりも低減し得る。
【0045】
加えて、Ge含有層110に対するプラズマ122の高い選択性に少なくとも部分的に起因して(このこと自体は、Ge含有層118の露出面118及び追加の表面138上での不動態化層124の迅速な形成に少なくとも部分的に起因する)、積層膜104は、改善されたエッチングプロファイルを有し得る。改善されたエッチングプロファイルは、(Si層108が完全に除去されない範囲で)Si層108の表面116に沿って、特に、プラズマ工程120後のGe含有層の露出面118及び残りの表面138に沿って、低減された表面粗さを含み得る。追加的又は代替的に、改善されたエッチングプロファイルは、プラズマ工程120後のGe含有層の露出端141のシャープな縁部及び正方形の形状のプロファイルを含み得る。特定の実施形態において、プラズマ122の使用を含むプラズマ工程120は、(Si層108が完全に除去されない範囲で)Si層108の表面116に沿って比較的直線的なSiエッチフロントを提供し、且つ積層膜104の各Si層108から除去されるSiの量に関して良好な局所的な均一性を提供する。
【0046】
窒化物(例えば、窒化Ge)不動態化層124は水に不溶性であってもよく、不動態化層124がO2及びH2O拡散バリアとして機能することを可能にし、これによりGe含有層110から形成されるナノワイヤの安定性を改善する。プラズマ122(例えば、フッ素含有プラズマ、水素含有プラズマ、及び窒素含有プラズマ)はまた、Ge及びSiGeに選択的であることに加えて、プラズマ122が従来のF/Oベースのプラズマがこれらの材料をエッチングする原因となる酸素を含まないため、SiO2、Si3N4、酸化物、及び低誘電率材料にも選択的であり得る。更に、窪みエッチングの前にバリア層114を除去することは、表面粗さを減少させ得るが、加えて、プラズマ122はまた、酸化物エッチストップ層に対して不動態化層124が形成される速度が増加することに起因して、Ge含有層110に対してSi層108をエッチングする選択性も改善される。
【0047】
図2は、本開示の特定の実施形態による、基板102を処理するための例示的な方法200を示している。方法200は工程202において開始する。工程204において、基板102が受け取られる。基板102は、Si層108とGe含有層110とを交互に積み重ねた配置で含む積層膜104を有する。つまり、積層膜104は、(例えば、
図1Aに示すように)交互に配置されたSi層108とGe含有層110と含み得る。バリア層114(例えば、NOL)は、Si層108の露出面116上、Ge含有層110の露出面118上、並びにベース層106及びハードマスク112の露出面上など、積層膜104の表面上に存在し得る。
【0048】
工程206において、積層膜104の表面上のバリア層114がエッチングされて、例えば、Si層108の露出面116から、Ge含有層110の露出面118から、並びにベース層106及びハードマスク112の露出面から、バリア層114が除去される。バリア層114は、任意の適切なプロセス(例えば、ウェットエッチングプロセス又はドライエッチングプロセス)を用いて除去され得る。
【0049】
工程208において、Si層108は、プラズマ122に(積層膜104を含む)基板102を暴露することによって選択的にエッチングされる。プラズマ122は、フッ素剤126及び窒素剤130を含み得る。特定の実施形態において、プラズマ122は水素剤128を更に含む。プラズマ122は、Si層108をエッチングし、Ge含有層110の露出面118上に不動態化層124を形成させて、プラズマ122への(積層膜104を含む)半導体デバイス102の暴露の際にGe含有層110のエッチングを抑制する。特定の実施形態において、工程208は等方性エッチングプロセスである。
【0050】
特定の実施形態において、プラズマ122はNF3ガスを含むガスから発生され、フッ素剤126はNF3ガスから解離したフッ素を含む。特定の実施形態において、プラズマ122はN2ガスを含むガスから発生され、窒素剤130は窒素を含む。特定の例として、プラズマ122は、NF3及びNH3、NF3、NH3、及びN2、NF3、NH3、及びAr、NF3及びH2、NF3、H2、及びN2、又はNF3、H2、NH3、及びN2を含む複合ガスから発生される。特定の実施形態において、Ge含有層110の露出面118上に形成された不動態化層124は、窒化Ge(Ge3N4)を含む。
【0051】
Si層108を選択的にエッチングすることは、Si層108の端部部分を選択的にエッチングして、Ge含有層110の上、下、又は間で積層膜104に窪み136を形成することを含み得る。Si層108が選択的にエッチングされると、Ge含有層110の追加の表面138が露出され、プラズマ122は追加の表面138上に不動態化層124を形成する。特定の実施形態において、Si層108を選択的にエッチングすることは、Ge含有層110が解放されるようにSi層108の実質的にすべてを選択的に除去することを含む。特定の実施形態において、プラズマ122に(積層膜104を含む)基板102を暴露することによってSi層108を選択的にエッチングすることは、Ge含有層110の厚さを約2.0nm未満減少させる。
【0052】
工程210において、追加の製造工程が実行される。
図1Dを参照して上述した潜在的な追加の処理工程の議論は、参照により組み込まれる。例えば、特定の実施形態において、工程208は、GAAデバイスなどの半導体デバイスのチャネル領域のための対応するナノワイヤにGe含有層110を形成するためのプロセスに統合される。工程212において、本方法は終了する。
【0053】
図3は、本開示の特定の実施形態による、基板102を処理するための例示的な方法300を示している。方法300は工程302において開始する。工程304において、基板102がプラズマツールのプラズマチャンバ123に配置される。基板102は、(例えば、
図1Aに示すように)Si層108とGe含有層110とを交互に積み重ねた配置で含む積層膜104を有する。
【0054】
工程306において、プラズマ122がプラズマツールのプラズマチャンバ123において発生される。プラズマ122は、フッ素剤126、窒素剤130、及び水素剤128を含む。プラズマ122は、プラズマチャンバ123内に酸素含有ガスを意図的に導入することなしに発生され得る。プラズマ122は、NF3、SF6、又はCF4などのフッ素含有ガスを含むガスから発生され得る。フッ素剤126は、フッ素含有ガスから解離したフッ素を含み得る。特定の実施形態において、プラズマ122は窒素含有ガスを含むガスから発生され、窒素含有ガスはNH、NH2、又はNH3を含み、窒素剤130は窒素含有ガスから解離した窒素を含む。
【0055】
特定の実施形態において、プラズマ122はN2ガス及びH2ガスを含むガスから発生され、窒素剤130は窒素を含み、水素剤128は水素を含む。特定の例として、プラズマ122は、NF3及びNH3、NF3、NH3、及びN2、NF3、NH3、及びAr、NF3及びH2、NF3、H2、及びN2、又はNF3、H2、NH3、及びN2を含む複合ガスから発生され得る。
【0056】
工程308において、(積層膜104を含む)基板102は、プラズマチャンバ123においてプラズマ122に暴露される。プラズマ122は、Ge含有層110の露出面118及び追加の表面138上に、窒化物層であり得る不動態化層124を形成させる。特定の実施形態において、不動態化層124は、窒化Ge(例えば、Ge3N4)を含む。プラズマ122はまた、Si層108の露出面116(例えば、両方の露出端)を選択的にエッチングして、Ge含有層110の露出面118(例えば、両方の露出端)に対してSi層108に窪み136を形成する。不動態化層124は、プラズマ122によるGe含有層110のエッチングを抑制する。特定の実施形態において、工程308は等方性エッチングプロセスである。
【0057】
工程310において、追加の製造工程が実行される。
図2の工程210を参照して上述した潜在的な追加の処理工程の議論は、参照により組み込まれる。工程312において、本方法は終了する。
【0058】
図4は、本開示の特定の実施形態による、凹んだ交互積層膜を有する基板を含む例示的なデバイス400を示している。デバイス400の少なくとも一部が、本明細書で説明されるプロセス及び方法のいずれかを用いて形成され得る。
【0059】
デバイス400は、チャネル材料404(例えば、Ge又はSiGe)とゲート材料406(例えば、SiGe又はSi)とを含む基板402を含む。チャネル材料404は、プロセス100の後のある時点での基板102のGe含有層110に対応し得る。デバイス400は、本明細書に示すようなGAAデバイスであってもよいし、フィン電界効果トランジスタ(FinFET)などの他の任意のデバイスであってもよい。デバイス400はまた、分離領域408を含み得る。特定の実施形態において、分離領域408はシャロートレンチアイソレーション(STI)である。
【0060】
デバイス400は、最初に凹んだ交互積層膜410(これは、場合により追加の後続プロセスを伴うプロセス100後の積層膜104に対応し得る)を形成することと、次に凹んだ交互積層膜410上に追加のゲート材料406を堆積させることとによって製造され得る。具体的には、デバイス400は、Si層とGe層又はSiGe層とを交互にヘテロエピタキシャル成長させることによって形成され得、Ge層又はSiGe層は、その後、Ge層又はSiGe層を横方向に露出させるように垂直方向にパターン化されて凹まされる。
【0061】
本明細書で説明される実施形態の適用は、好都合なことに、5nmノード、3nmノード、又はそれ以下に最適なソリューションであり得る。例えば、GAAデバイスアーキテクチャは、7nmノードの先のスケーリングに適し得る。GAAデバイスアーキテクチャは、ゲートを3つの側面だけではなくチャネル全体に巻き付けることにより、一部のFinFETアーキテクチャで見られる短チャネル効果に対処し得る。これにより、FinFETのゲートの下で発生する電流リークを低減又は除去できるため、非能動電力損失を低減し得る。
【0062】
図5は、本開示の特定の実施形態による、例示的なプラズマツール500のブロック図を示している。特定のプラズマツール500が図示及び説明されているが、任意の適切なタイプのプラズマツールを使用することができる。プラズマツール500は、
図1A~
図1D及び
図2~
図4に関して説明したプラズマ工程120を実行するために使用され得る。
【0063】
プラズマツール500は、プラズマ(例えば、プラズマ122)を使用して半導体基板(例えば、基板102)を処理するプラズマチャンバ123を備える。プラズマチャンバ123は、処理の際に基板102を支持するように構成された基板テーブル502を備える。特定の実施形態において、基板102は、プラズマ122を使用してプラズマ工程120を実行するために、例えばバリア層114の除去後に、
図1Bに示す状態で基板テーブル502上に配置される。基板102の積層膜104のSi層108(例えば、
図1A~
図1Dを参照して上述したもの)の材料は、プラズマツール500のシャワーヘッド504を通してプラズマ(例えば、プラズマ122)を注入することにより、プラズマチャンバ123内で選択的にエッチングされる。シャワーヘッド504は、プラズマ122を形成するように混合される前駆体ガス、混合ガス、及びキャリアガスで満たされる単一の混合反応キャビティと、基板102に向かってプラズマ122を供給するための一式の出口孔とを備え得る。
【0064】
プラズマチャンバ123は、プラズマチャンバ123から残留前駆体ガスをパージするために真空ライン508に結合された真空ポンプ506を備える、及び/又は真空ポンプ506に他の仕方で結合され、また、特定の実施形態において、ターゲット圧力を維持する圧力システムを備え得る、及び/又は圧力システムに他の仕方で結合され得る。プラズマチャンバ123は、基板102を加熱し、プラズマチャンバ123内及び/又は基板102の温度を制御するために使用されるヒータ510及び温度センサ512などの機械ツールを更に備え得る。
【0065】
プラズマツール500は、シャワーヘッド504に結合された前駆体ガスライン514、混合ガスライン516、及びキャリアガスライン518を備える。特定の実施形態において、前駆体ガスライン514を通して供給される前駆体ガスは、フッ素又はNF3などのフッ素ベースの前駆体を含むことができ、混合ガスライン516を通して供給される混合ガスは水素を含むことができ、キャリアガスライン518を通して供給されるキャリアガスは、窒素又はアルゴン若しくはクリプトンなどの不活性ガスを含むことができる。
【0066】
特定の実施形態において、プラズマツール500は、ガス流量(例えば、質量流量)を制御するために質量流量コントローラとセンサとのシステムを備え得る。したがって、プラズマツール500は、第1の流量コントローラ520、第2の流量コントローラ522、第3の流量コントローラ524、真空ポンプ506、ヒータ510、温度センサ512、電圧-電流(V-I)センサ526、並びに基板センサ528、530、532、及び534(528~534)を備え得る。前駆体ガスライン514、混合ガスライン516、及びキャリアガスライン518は、それぞれ第1の流量コントローラ520、第2の流量コントローラ522、及び第3の流量コントローラ524に結合され、これらによって制御される。
【0067】
プラズマツール500は、プラズマ工程120の態様を制御するコントローラ536を備え得る。コントローラ536は、任意の適切な仕方で実施され得る。例えば、コントローラ536はコンピュータであり得る。別の例では、コントローラ536は、本明細書で説明される機能を提供するようにプログラムされた1つ以上のプログラマブルICを含み得る。特定の例では、1つ以上のプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、中央処理装置など)、プログラマブルロジックデバイス(例えば、複合プログラマブルロジックデバイス)、フィールドプログラマブルゲートアレイなど)、及び/又は他のプログラマブルICをソフトウェア又は他のプログラミング命令でプログラムして、コントローラ536のために、本明細書で説明される機能を実装できる。ソフトウェア又は他のプログラミング命令は、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、メモリストレージデバイス、フラッシュメモリ、ダイナミックランダムアクセスメモリ、リプログラマブルストレージデバイス、ハードドライブ、フロッピーディスク、DVD、CD-ROMなど)に記憶されてもよく、ソフトウェア又は他のプログラミング命令は、プログラマブルICにより実行されると、本明細書で説明される動作をプログラマブルICに実行させる。
【0068】
プラズマチャンバ123のヒータ510及び温度センサ512、並びに流量コントローラ520、522、524、真空ポンプ506、及びプラズマチャンバ123の外部の他の構成要素などの機械コンポーネントは、コントローラ536に結合され、コントローラ536によって制御される。
【0069】
機器センサは、基板テーブル502の温度、ヒータ電流、真空ポンプの速度及び温度などの機器パラメータを測定し、機器が適切に動作していることを確保するための信号を提供する。様々なプロセスセンサが、プロセス温度、プロセス圧力、プラズマ密度、ガス流量、及びガス組成などのプロセスパラメータを測定し、プロセスが適切に動作していることを確保するための信号を提供する。機器及びプロセスセンサからのデータは、プラズマ工程120を通して連続的にコントローラ536にフィードバックを提供する。コントローラ536は、機器及びプロセスを仕様の中心近くに保つようにリアルタイムで調節し得る。
【0070】
コントローラ536は、センサからのデータを受信し、センサデータに基づいてプラズマチャンバ123のプロセスパラメータを制御する。コントローラ536は、センサによって収集されたデータを解析し、プラズマ工程120の1つ以上の工程を修正又は終了するタイミングを決定し、プラズマチャンバ123のコンポーネントのプロセスパラメータを制御するためのフィードバックを提供し得る。
【0071】
コントローラ536は、V-Iセンサ526及び基板センサ528~534に接続されて、基板102がプラズマ122に暴露されるときにプラズマ122を監視して、プラズマ122の状態、並びに任意選択で組成及び厚さデータをリアルタイムで提供し得る。このフィードバックデータは、プラズマ122を用いて基板102が選択的にエッチングされるときにプラズマ工程120を連続的に調節し、例えば、ターゲット窪み(例えば、エッチング幅144)に達したときにプラズマ工程120をオフにするために、コントローラ536によって使用され得る。
【0072】
具体的には、基板センサ528~534及び温度センサ512からの測定データは、コントローラ536によって受信され得る一方、コントローラ536は、第1の流量コントローラ520、第2の流量コントローラ522、第3の流量コントローラ524、真空ポンプ506、及びヒータ510に送信される制御信号を生成する。
【0073】
コントローラ536は、基板102にわたる複数の点で取得された基板センサ528~534からの測定データ又は計測データを受信して、プロセスの均一性、並びに(プラズマ122への基板102の暴露から形成される)不動態化層124の厚さ及び組成、露出端の間隔142、及び/又はターゲット窪み(例えば、エッチング幅144)をその場且つリアルタイムで測定し得る。例えば、複数基板プラズマツールにおける複数の基板を横断するセンサが、基板102の上部から下部までの(プラズマ122への基板102の暴露から形成される)不動態化層124の厚さ及び組成、露出端の間隔142、及び/又はターゲット窪み(例えば、エッチング幅144)を監視及び調節するために使用され得る。単一基板プラズマツールにおける複数の基板を横断するセンサが、基板102の中心から縁部までの(プラズマ122への基板102の暴露から形成される)不動態化層124の厚さ及び組成、露出端の間隔142、及び/又はターゲット窪み(例えば、エッチング幅144)を監視及び調節するために使用され得る。
【0074】
基板センサ528~534は、基板102、プラズマツール500、及び/又はプラズマ工程120の様々なパラメータを監視するために、プラズマチャンバ123に結合され得る、及び/又はプラズマチャンバ123内に配置され得る。基板センサ528~534は、限定されるものではないが、光学センサ(カメラ、レーザ、光、反射率計、分光計、エリプソメトリックなど)、容量性センサ、超音波センサ、ガスセンサ、又は基板102、プラズマ122、及び/若しくはプラズマツール500の状態を監視し得る他のセンサを含む様々なタイプのセンサを含み得る。特定の実施形態において、1つ以上の光学センサが、Ge含有層の表面118及びベース層106の表面(例えば、不動態化層124が形成される場所)、露出端の間隔142、並びに/又はエッチング幅144a(又は他の適切な測定値)において、材料の厚さ及び屈折率を(プラズマ工程120において)リアルタイムで測定するために使用され得る。別の例として、分光計が、Ge含有層の表面118及びベース層106の表面(例えば、不動態化層124が形成される場所)、露出端の間隔142、並びに/又はエッチング幅144a(又は他の適切な測定値)において、材料の膜厚を(プラズマ工程120において)リアルタイムで測定するために使用され得る。更に別の実施形態では、残留ガス分析器(RGA)が、リアルタイム化学反応完了検出のために前駆体の内訳を(プラズマ工程120において)リアルタイムで検出するために使用され得る。
【0075】
コントローラ536は、チャンバ圧力、チャンバ温度、RFソース電力、RFバイアス電力、RF波形(例えば、連続波RF、パルスRF、方形波パルス、のこぎり波パルスなど)、エッチング時間、及び様々なプロセスガス及びキャリアガスの組成及び流量などの標準的なプラズマエッチングパラメータに基づいて、例えば、エッチング速度、コンフォーマル性、プロファイル、及び堆積速度(例えば、不動態化層124の堆積速度)を含むユーザ入力プロセスパラメータを受信し得る。好都合なことに、ユーザがプラズマ122を調節して、ターゲットの局所的な限界寸法の均一性(LCDU)を満たすことができる。
【0076】
基板センサ528~534からのデータ及びユーザが入力したプロセスパラメータに基づいて、コントローラ536は、温度センサ512及びヒータ510に対して制御信号を生成して、プラズマチャンバ123内の熱を調節する。ヒータ510がプラズマチャンバ123を加熱すると、コントローラ536は、温度センサ512を常時又は定期的に監視してプラズマチャンバ123の温度を追跡して、プラズマチャンバ123の温度を維持するための制御信号をヒータ510に送信する。
【0077】
コントローラ536が、温度センサ512によって提供されたデータに基づいて、プラズマチャンバ123のターゲット温度に到達したと判定すると、コントローラ536は、制御信号及びデータ信号を生成して、第1の流量コントローラ520、第2の流量コントローラ522、及び第3の流量コントローラ524を作動させ、ユーザが入力したプロセスパラメータに基づいて、第1の流量コントローラ520に前駆体ガスのターゲット流量、第2の流量コントローラ522に混合ガスのターゲット流量、第3の流量コントローラ524にキャリアガスのターゲット流量を提供する。対応する流量が確立されたとコントローラ536が判定すると、コントローラ536は、バイアス電極及びソース電極を介してプラズマ122に電力を供給するために、プラズマチャンバ123に電力を供給する。V-Iセンサ526からの測定値に基づいて、バイアス電極及びソース電極に供給される電力が調節され得る。第1の流量コントローラ520、第2の流量コントローラ522、及び第3の流量コントローラ524はそれぞれ、流量センサと調節可能な比例弁とに接続された閉ループ制御システムであってもよく、これにより各流量コントローラは、流量センサ及び調節可能な比例弁を介して各ガスのターゲット流量を常時又は定期的に監視し、内部に維持し得る。
【0078】
特定の実施形態において、コントローラ536が、ユーザが入力したデータに基づいて、エッチングプロセス時間が満たされたと判定すると、コントローラ536は、第1の流量コントローラ520、第2の流量コントローラ522、及び第3の流量コントローラ524を停止させるための制御信号を生成し、これらは、適宜、同じ時間又は異なる時間で停止され得る。
【0079】
コントローラ536は、プラズマ工程120をいつ終了させるかを判定するために、基板センサデータを使用又は分析し得る。例えば、コントローラ536は、プラズマ工程120のエンドポイントを検出するために、残留ガス分析器からのデータを受信し得る。別の例では、コントローラ536は、分光エリプソメトリを使用して、プラズマ工程120における不動態化層124の平均膜厚、Ge含有層110の露出端141、及び/又は露出端の間隔142を検出し、プラズマ工程120における変化を示し得る。別の例では、コントローラ536は、分光エリプソメトリを使用して、プラズマ工程120におけるGe含有層の表面118及びベース層106の表面(例えば、不動態化層124が形成されている場所)における材料の屈折率を検出し、プラズマ工程120における膜組成変化を示し得る。コントローラ536は、露出端の間隔142及び/又はエッチング幅144a(又は別の適切な測定値)の目標が達成されたときに、プラズマ工程120を自動的に終了し得る。特定の実施形態において、コントローラ536は、積層膜104の所望のエッチングプロファイルを達成するために、例えば、プラズマ工程120の間に、NF3のH2に対する比率及び/又はNF3のN2に対する比率などの1つ以上のパラメータを自動的に調整し得る。コントローラ536及び基板センサ528~534からのデータもまた、所望の半導体基板のスループット目標を達成するために使用され得る。更に、コントローラ536及び基板センサ528~534からのデータは、所望の半導体基板スループットと共に積層膜104及び組成物の所望のエッチングプロファイルを達成する、又は代替的に組み合わせを目標とするために使用され得る。
【0080】
GAAデバイスのためのナノワイヤ/ナノシートを形成する特定の用途について説明したが、本開示は、Ge含有層よりも選択的であるSiの任意のタイプの等方性エッチングに使用され得る。更に、行われるエッチングは、主に、Si層108の両方の端部の部分を除去することによって積層膜104に窪みを形成するためのものであると説明されているが、プロセス100及び400は、Si層108の実質的にすべての部分を除去するために使用されてもよく、このことは、Ge含有層110を解放することと呼ばれ得る。
【0081】
本開示は、特定のプロセス/方法ステップを特定の順序で行われるものとして記載しているが、本開示は、プロセスステップが任意の適切な順序で行われることを企図している。本開示について、例示的実施形態を参照しながら説明してきたが、この説明は、限定的な意味に解釈されることを意図したものではない。例示的実施形態の様々な修正及び組み合わせ、並びに本開示の他の実施形態は、説明を参照すれば当業者には明らかなはずである。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようなあらゆる修正形態又は実施形態を包含することが意図されている。
【国際調査報告】