(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-07
(54)【発明の名称】硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 75/04 20060101AFI20240131BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20240131BHJP
C08G 18/42 20060101ALI20240131BHJP
C08G 18/70 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
C08L75/04
C08K3/013
C08G18/42 069
C08G18/42
C08G18/70
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547130
(86)(22)【出願日】2022-09-20
(85)【翻訳文提出日】2023-08-02
(86)【国際出願番号】 KR2022014010
(87)【国際公開番号】W WO2023054961
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0129972
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0117998
(32)【優先日】2022-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ド・ヨン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ホ・ヨン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・グ・カン
(72)【発明者】
【氏名】シン・ヒ・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ハ・ナ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ヒョン・イ
【テーマコード(参考)】
4J002
4J034
【Fターム(参考)】
4J002CK021
4J002CK031
4J002DA077
4J002DA087
4J002DA117
4J002DE076
4J002DE097
4J002DE137
4J002DE146
4J002DE147
4J002DF017
4J002DJ007
4J002FD016
4J002FD017
4J002FD020
4J002FD206
4J002FD207
4J002GQ00
4J034BA03
4J034DA01
4J034DB04
4J034DB05
4J034DC50
4J034DF01
4J034DF12
4J034DF14
4J034HA07
4J034HC03
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC54
4J034HC61
4J034HC71
4J034HC73
4J034RA14
(57)【要約】
本出願は、低い密度を有し、高い熱伝導度を示しながらも、所定の被着体に対して低い接着力を示す硬化性組成物または熱界面材料などを提供し、ハロゲン難燃剤およびリン系難燃剤を使用しないか、または使用してもその使用比率を最小化した状態で優れた難燃性を確保し、工程に適した吐出性と揺変性を示す硬化性組成物または熱界面材料などを提供することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール成分;および
フィラー成分を含み、
比重が3以下であり、熱伝導度が2W/mK以上であり、ハロゲンおよびリン元素の合算含有量が0.3重量%以下であり、かつ、V-0等級以上の難燃性を示す硬化物を形成する硬化性組成物。
【請求項2】
アルミニウムに対する接着力が0.1N/mm
2以下であり、ポリエステルに対する接着力が100gf/cm以下である硬化物を形成する、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
2.4s
-1のせん断速度の条件で測定した粘度が、25℃で400kcP以下である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
ポリオール成分は、二官能ポリオールである第1ポリオールと三官能以上のポリオールである第2ポリオールを含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
第1ポリオールまたは第2ポリオールは、炭素原子数が3個以上の分岐鎖状炭化水素鎖を末端に含む、請求項4に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
第1ポリオールまたは第2ポリオールは、ポリカプロラクトンポリオール単位またはアルカンジオール単位;ポリオール単位およびジカルボン酸単位を有するポリオールであり、
前記ポリオール単位は、3個~10個のヒドロキシ基で置換された炭素数1~20のアルカンであるポリオールに由来する単位である、請求項4に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
第1ポリオールおよび第2ポリオールは、ポリエステルポリオールである、請求項4に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
ポリオール成分は、第1ポリオールを前記ポリオール成分の全重量に対して80重量%超過で含む、請求項4に記載の硬化性組成物。
【請求項9】
第1ポリオール(P
A)および第2ポリオール(P
B)の重量比(P
A/P
B)が5以上である、請求項4に記載の硬化性組成物。
【請求項10】
第1ポリオールは、100g/mol~2,000g/molの重量平均分子量を有し、第2ポリオールは、500g/mol~5,000g/molの重量平均分子量を有する、請求項4に記載の硬化性組成物。
【請求項11】
フィラー成分を全重量に対して70重量%以上で含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項12】
フィラー成分は、比重が3以下の第1フィラーおよび比重が3超過の第2フィラーを含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項13】
第1フィラーは、金属水酸化物である、請求項12に記載の硬化性組成物。
【請求項14】
第1フィラーを全重量に対して10重量%以上で含む、請求項12に記載の硬化性組成物。
【請求項15】
第2フィラーは、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、銅、銀、鉄およびチタンからなる群から選択された1つ以上を含む、請求項12に記載の硬化性組成物。
【請求項16】
フィラー成分は、第2フィラーを第1フィラーの100重量部に対して50~800重量部の範囲内に含む、請求項12に記載の硬化性組成物。
【請求項17】
ポリオール成分および第1フィラー成分を含む主剤パーツ;および
イソシアネート成分および第2フィラー成分を含む硬化剤パーツを含み、
ハロゲンおよびリンの合算含有量が0.3重量%以下であり、かつ、V-0等級以上の難燃性を示し、アルミニウムに対する接着力が0.1N/mm
2以下である硬化物を形成する2液型硬化性組成物。
【請求項18】
第1フィラー成分および第2フィラー成分からなる群から選択された1つ以上は、比重が3以下の第1フィラーを含み、
前記第1フィラーを全重量に対して5重量%以上で含む、請求項17に記載の硬化性組成物。
【請求項19】
イソシアネート成分は、非芳香族イソシアネート化合物である、請求項17に記載の硬化性組成物。
【請求項20】
発熱性素子と、該発熱性素子と熱的接触する熱伝達体と、を含み、
前記熱伝達体は、請求項1に記載の硬化性組成物の硬化物および請求項17に記載の2液型硬化性組成物の硬化物からなる群から選択された1つ以上を含む装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は、2021年9月30日付けの韓国特許出願第10-2021-0129972号および2022年9月19日付けの韓国特許出願第10-2022-0117998号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
技術分野
本出願は、硬化性組成物、熱界面材料(TIM:Thermal Interface Material)およびその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリーなどのように熱の管理が必要な電気または電子機器が増加するに伴い、TIM(Thermal Interface Material)などのような放熱素材の重要性が高まっている。放熱素材として様々な種類が知られている。従来の放熱素材の1つとして、樹脂バインダーに放熱性フィラーを充填した素材が知られている(例えば、特許文献1)。
上記のような放熱素材において樹脂バインダーとしては、通常シリコーン樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂またはエポキシ樹脂などが使用される。
【0003】
放熱素材は、基本的に熱伝導度に優れていることが要求され、用途に応じてさらなる機能も要求される。例えば、用途によっては、放熱素材は、高い熱伝導度とともに、特定の被着体に対して低い接着力を示すことが要求される。
例えば、製品内で放熱素材と接する部品の交換が必要である場合、または工程中に放熱素材の位置などを変更する必要がある場合に、前記放熱素材は、低い接着力を示すことを必要とする。
【0004】
公知の放熱素材のうちで低い接着力を示す素材は、樹脂バインダーとしてシリコーン樹脂を適用した素材がある。しかしながら、シリコーン樹脂は、相対的に高価である。また、シリコーン樹脂は、電子/電気製品に適用された際に、接点不良などを誘発する成分を含んでいるので、用途が制限される。
【0005】
特許文献1でも適用したポリウレタン素材は、高い熱伝導度を有する放熱素材を形成することができ、その他様々な長所を有しているが、大部分の被着体に対して高い接着力を示す素材である。
【0006】
高い接着力を示す素材の接着力を低減する方法としては、いわゆる可塑剤として知られている成分を配合する方法がある。しかしながら、接着力の制御のために多量配合された可塑剤は、素材自体の固有な長所を損なったり、使用過程で溶出するなどの問題を有している。
【0007】
なお、放熱素材は、電気製品、電子製品またはバッテリーなどで発生する火災に対して安全性を確保するために難燃性が要求される場合がある。難燃性を確保する方法としては、いわゆる難燃剤として知られている成分を配合する方法がある。
【0008】
前記難燃剤は、原材料とさらに添加される添加物に対して良好な混合性を有さなければならず、最終製品の機械的性質に影響を及ばず、使用環境を考慮すると、毒性ガスの発生を最小限に抑えるべきである。
【0009】
前記難燃剤としてハロゲン元素が含有された難燃剤(いわゆる、ハロゲン難燃剤であり、例えば、臭素系難燃剤)を使用する場合がある。前記ハロゲン元素が含有された難燃剤により優れた難燃性を確保することができるが、焼却時に環境有害物質であるダイオキシンはもちろん、腐食性を有していて、最終製品の機械的性質に影響を及ぼし、人体に有害であるという問題がある。
【0010】
また、前記難燃剤としてリン(P)元素が含有された難燃剤(いわゆる、リン系難燃剤)を使用する場合がある。前記リン元素が含有された難燃剤は、前記ハロゲン元素が含有された難燃剤に比べて低毒性であり、優れた難燃性を確保することができるが、高価であり、放熱性を弱める問題があると知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】韓国特許公開第10-2016-0105354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本出願は、硬化性組成物、熱界面材料(TIM:Thermal Interface Material)およびその用途を提供することを目的とする。前記熱界面材料は、前記硬化性組成物が硬化して形成されたものであってもよい。本出願の1つの目的は、前記硬化性組成物または熱界面材料などが低い密度を有し、高い熱伝導度を示しながらも、所定の被着体に対して低い接着力を示すことにある。
【0013】
本出願は、また、ハロゲン難燃剤およびリン系難燃剤を使用しないか、またはその使用比率を最小化した状態で優れた難燃性を確保し、工程に適した吐出性と揺変性を示すことを目的とする。
【0014】
本出願は、また、前記硬化性組成物、前記硬化性組成物の硬化物または熱界面材料を含む製品を提供することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本出願において言及する物性のうちで測定温度が物性に影響を及ぼす場合には、特段の定めがない限り、当該物性は、常温で測定した物性である。
【0016】
本出願において使用する用語である常温は、加熱または冷却しない自然そのままの温度であり、例えば、10℃~30℃の範囲内のいずれか1つの温度、例えば、約15℃以上、約18℃以上、約20℃以上、約23℃以上、約27℃以下であるか、または25℃である温度を意味し得る。本出願において特段の定めがない限り、温度の単位は、摂氏(℃)である。
【0017】
本出願において言及する物性のうちで測定圧力が物性に影響を及ぼす場合には、特段の定めがない限り、当該物性は、常圧で測定した物性である。
本出願において使用する用語である常圧は、加圧および減圧されない自然そのままの圧力であり、通常約700mmHg~800mmHgの範囲内の気圧を常圧と称する。
【0018】
本出願において使用する用語であるa~bは、aおよびbを含み、aとbの間の範囲内を意味する。例えば、a~b重量部で含むというのは、a~b重量部の範囲内に含むという意味と同一である。
【0019】
本出願において使用する用語である相対湿度(relative humidity)は、単位体積の空気が最大で含有できる飽和水蒸気圧に対して単位体積の現在空気が含有する水蒸気量の割合を百分率(%)で表示したものであり、RH%で表記することができる。
【0020】
本出願において使用される用語である重量平均分子量(Mw)は、GPC(Gel permeation chromatography)を使用して測定することができ、具体的には、下記の物性測定方法によって測定することができる。また、本出願において使用される用語である多分散指数PDI(polydispersity index)は、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で割った値(Mw/Mn)であり、重合体の分子量の分布を意味する。前記数平均分子量(Mn)も、必要に応じてGPC(Gel permeation chromatography)を使用して測定することができる。
【0021】
本出願において使用する用語である優れた熱伝導性というのは、硬化性組成物が、直径が2cm以上および厚さが5mmの硬化物(サンプル)で製作された状態で、前記サンプルの厚さ方向に沿ってASTM D5470規格またはISO22007-2規格によって測定したとき、測定された熱伝導度が約2.0W/mK以上、2.1W/mK以上、2.2W/mK以上、2.3W/mK以上、2.4W/mK以上、2.5W/mK以上、2.6W/mK以上、2.7W/mK以上、2.8W/mK以上、2.9W/mK以上または3.0W/mK以上程度である場合を意味し得る。
【0022】
本出願において使用する用語である低い比重または低比重は、硬化性組成物、前記硬化性組成物の硬化物やフィラーなどに対して、常温で測定された比重が3以下である場合を意味し得る。
【0023】
本出願において使用する用語である高い比重または高比重は、硬化性組成物、前記硬化性組成物の硬化物やフィラーなどに対して、常温で測定された比重が3超過である場合を意味し得る。
【0024】
本出願において使用する用語である優れた難燃性は、下記の物性測定方式(UL94V)によって評価された結果がV-0等級以上である場合を意味し得る。
【0025】
本出願において使用する用語である粘度は、別途の言及がない限り、25℃で測定した値であってもよく、具体的には、下記の物性測定方式によって測定することができる。
【0026】
本出願において使用する用語である特定物質を実質的に含まないという意味は、意図的に前記特定物質を含ませないという意味である。ただし、自然的に前記特定物質を含んでいる場合、特に規定されない限り、全重量に対して0.1重量%以下、0.05重量%以下または0.01重量%以下で含むと、実質的に含まないといえる。
【0027】
本出願において使用する用語である置換は、化合物の炭素原子に結合した水素原子が他の置換基に変わることを意味し、置換される位置は、水素原子が置換される位置、すなわち置換基が置換可能な位置であれば、特に限定されず、2個以上置換される場合には、前記置換基が互いに同じでも異なっていてもよい。
【0028】
本出願において使用する用語であるハロゲンまたはハロゲン元素は、周期律表の17族元素を意味し、本出願では、具体的には、17族元素のうち、塩素(Cl)、ヨウ素(I)、臭素(Br)およびフッ素(F)からなる群を意味し得る。
【0029】
本出願において使用する用語である置換基(substituent)は、炭化水素の親鎖上の1個以上の水素原子を代替する原子または原子団を意味する。また、置換基は、下記で説明するが、これに限定されるものではなく、前記置換基は、本出願において特段の記載がない限り、下記で説明する置換基でさらに置換されてもよく、または、いかなる置換基でも置換されなくてもよい。
【0030】
本出願において使用する用語であるアルキル基またはアルキレン基は、他の記載がない限り、炭素数1~20、または炭素数1~16、または炭素数1~12、または炭素数1~8、または炭素数1~6の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアルキレン基であってもよく、炭素数3~20、または炭素数3~16、または炭素数3~12、または炭素数3~8、または炭素数3~6の環状アルキル基またはアルキレン基であってもよい。ここで、環状アルキル基またはアルキレン基は、環構造のみからなるアルキル基またはアルキレン基および環構造を含むアルキル基またはアルキレン基をも含む。例えば、シクロヘキシル基とメチルシクロヘキシル基は、いずれも、環状アルキル基に該当する。また、例えば、 アルキル基またはアルキレン基は、具体的には、メチル(レン)、エチル(レン)、n-プロピル(レン)、イソプロピル(レン)、n-ブチル(レン)、イソブチル(レン)、tert-ブチル(レン)、sec-ブチル(レン)、1-メチル-ブチル(レン)、1-エチル-ブチル(レン)、n-ペンチル(レン)、イソペンチル(レン)、ネオペンチル(レン)、tert-ペンチル(レン)、n-ヘキシル(レン)、1-メチルペンチル(レン)、2-メチルペンチル(レン)、4-メチル-2-ペンチル(レン)、3、3-ジメチルブチル(レン)、2-エチルブチル(レン)、n-ヘプチル(レン)、1-メチルヘキシル(レン)、n-オクチル(レン)、tert-オクチル(レン)、1-メチルヘプチル(レン)、2-エチルヘキシル(レン)、2-プロピルペンチル(レン)、n-ノニル(レン)、2、2-ジメチルヘプチル(レン)、1-エチルプロピル(レン)、1、1-ジメチルプロピル(レン)、イソヘキシル(レン)、2-メチルペンチル(レン)、4-メチルヘキシル(レン)、5-メチルヘキシル(レン)などが例示できるが、これらに限定されない。また、シクロアルキル基またはシクロアルキレン基は、具体的には、シクロプロピル(レン)、シクロブチル(レン)、シクロペンチル(レン)、3-メチルシクロペンチル(レン)、2、3-ジメチルシクロペンチル(レン)、シクロヘキシル(レン)、3-メチルシクロヘキシル(レン)、4-メチルシクロヘキシル(レン)、2,3-ジメチルシクロヘキシル(レン)、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル(レン)、4-tert-ブチルシクロヘキシル(レン)、シクロヘプチル(レン)、シクロオクチル(レン)などが例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
本出願において使用する用語であるアルケニル基またはアルケニレン基は、他の記載がない限り、炭素数2~20、または炭素数2~16、または炭素数2~12、または炭素数2~8、または炭素数2~6の直鎖または分岐鎖の非環状アルケニル基またはアルケニレン基;炭素数3~20、または炭素数3~16、または炭素数3~12、または炭素数3~8、または炭素数3~6の環状アルケニル基またはアルケニレン基であってもよい。ここで、環構造のアルケニル基またはアルケニレン基を含むと、環状アルケニル基またはアルケニレン基に該当する。また、例えば、エテニル(レン)、n-プロペニル(レン)、イソプロペニル(レン)、n-ブテニル(レン)、イソブテニル(レン)、tert-ブテニル(レン)、sec-ブテニル(レン)、1-メチル-ブテニル(レン)、1-エチル-ブテニル(レン)、n-ペンテニル(レン)、イソペンテニル(レン)、ネオペンテニル(レン)、tert-ペンテニル(レン)、n-ヘキセニル(レン)、1-メチルペンテニル(レン)、2-メチルペンテニル(レン)、4-メチル-2-ペンテニル(レン)、3、3-ジメチルブテニル(レン)、2-エチルブテニル(レン)、n-ヘプテニル(レン)、1-メチルヘキセニル(レン)、n-オクテニル(レン)、tert-オクテニル(レン)、1-メチルヘプテニル(レン)、2-エチルヘキセニル(レン)、2-プロピルペンテニル(レン)、n-ノニレニル(レン)、2、2-ジメチルヘプテニル(レン)、1-エチルプロペニル(レン)、1、1-ジメチルプロペニル(レン)、イソヘキセニル(レン)、2-メチルペンテニル(レン)、4-メチルヘキセニル(レン)、5-メチルヘキセニル(レン)などが例示できるが、これらに限定されない。また、シクロアルケニル基またはシクロアルケニレン基は、具体的には、シクロプロペニル(レン)、シクロブテニル(レン)、シクロペンテニル(レン)、3-メチルシクロペンテニル(レン)、2,3-ジメチルシクロペンテニル(レン)、シクロヘキセニル(レン)、3-メチルシクロヘキセニル(レン)、4-メチルシクロヘキセニル(レン)、2,3-ジメチルシクロヘキセニル(レン)、3,4,5-トリメチルシクロヘキセニル(レン)、4-tert-ブチルシクロヘキセニル(レン)、シクロヘプテニル(レン)、シクロオクテニル(レン)などが例示できるが、これらに限定されない。
【0032】
本出願において使用する用語であるアルキニル基またはアルキニレン基は、他の記載がない限り、炭素数2~20、または炭素数2~16、または炭素数2~12、または炭素数2~8、または炭素数2~6の直鎖または分岐鎖の非環状のアルキニル基またはアルキニレン基であってもよく、炭素数3~20、または炭素数3~16、または炭素数3~12、または炭素数3~8、または炭素数3~6の環状のアルキニル基またはアルキニレン基であってもよい。ここで、環構造のアルキニル基またはアルキニレン基を含むと、環状アルキニル基またはアルキニレン基に該当する。また、例えば、エチニル(レン)、n-プロピニル(レン)、イソプロピニル(レン)、n-ブチニル(レン)、イソブチニル(レン)、tert-ブチニル(レン)、sec-ブチニル(レン)、1-メチル-ブチニル(レン)、1-エチル-ブチニル(レン)、n-ペンチニル(レン)、イソペンチニル(レン)、ネオペンチニル(レン)、tert-ペンチニル(レン)、n-ヘクシニル(レン)、1-メチルペンチニル(レン)、2-メチルペンチニル(レン)、4-メチル-2-ペンチニル(レン)、3、3-ジメチルブチニル(レン)、2-エチルブチニル(レン)、n-ヘプチニル(レン)、1-メチルヘキシニル(レン)、n-オクチニル(レン)、tert-オクチニル(レン)、1-メチルヘプチニル(レン)、2-エチルヘキチニル(レン)、2-プロピルペンチニル(レン)、n-ノニニル(レン)、2、2-ジメチルヘプチニル(レン)、1-エチルプロピニル(レン)、1、1-ジメチルプロピニル(レン)、イソヘキシニル(レン)、2-メチルペンチニル(レン)、4-メチルヘキシニル(レン)、5-メチルヘキシニル(レン)などが例示できるが、これらに限定されない。また、シクロアルキニル基またはシクロアルキニレン基は、具体的には、シクロプロピニル(レン)、シクロブチニル(レン)、シクロペンチニル(レン)、3-メチルシクロペンチニル(レン)、2,3-ジメチルシクロペンチニル(レン)、シクロヘキシニル(レン)、3-メチルシクロヘキシニル(レン)、4-メチルシクロヘキシニル(レン)、2,3-ジメチルシクロヘキシニル(レン)、3,4,5-トリメチルシクロヘキシニル(レン)、4-tert-ブチルシクロヘキシニル(レン)、シクロヘプチニル(レン)、シクロオクチニル(レン)などが例示できるが、これらに限定されない。
【0033】
前記アルキル基、アルキレン基、アルケニル基、アルケニレン基、アルキニル基またはアルキニレン基は、任意に1つ以上の置換基により置換されていてもよい。この場合、置換基としては、ハロゲン(塩素(Cl)、ヨウ素(I)、臭素(Br)、フッ素(F))、アリール基、ヘテロアリール基、エポキシ基、アルコキシ基、シアノ基、カルボキシル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、カルボニル基およびヒドロキシ基からなる群から選択される1つ以上であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0034】
本出願において使用する用語であるアリール基は、芳香族炭化水素環から1つの水素が除去された芳香族環を意味し、前記芳香族炭化水素環は、単環式または多環式環を含んでもよい。前記アリール基は、炭素数を特に限定しないが、他の記載がない限り、炭素数6~30、または炭素数6~26、または炭素数6~22、または炭素数6~20、または炭素数6~18、または炭素数6~15のアリール基であってもよい。また、本出願において使用される用語であるアリレン基は、アリール基に結合位置が2個あるもの、すなわち2価の基を意味する。これらは、それぞれ2価の基であることを除いて、前述したアリール基の説明が適用され得る。前記アリール基は、例えば、フェニル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基(xylyl group)またはナフチル基などが例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
本出願において使用する用語であるヘテロアリール基は、炭素でない異種原子を1個以上含む芳香族環であり、具体的には、前記異種原子は、窒素(N)、酸素(O)、硫黄(S)、セレニウム(Se)およびテルル(Te)よりなる群から選択される原子を1個以上含んでもよい。この際、ヘテロアリール基の環構造を構成する原子を環原子といえる。また、ヘテロアリール基は、単環式または多環式環を含んでもよい。前記ヘテロアリール基は、炭素数を特に限定しないが、他の記載がない限り、炭素数2~30、または炭素数2~26、または炭素数2~22、または炭素数2~20、または炭素数2~18、または炭素数2~15のヘテロアリール基であってもよい。他の例示において、ヘテロアリール基は、環原子数を特に限定しないが、環原子数が5~30、5~25、5~20、5~15、5~10または5~8のヘテロアリール基であってもよい。前記ヘテロアリール基は、例えば、チオフェン基、フラン基、ピロール基、イミダゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、ピリジル基、ビピリジル基、ピリミジル基、トリアジニル基、アクリジル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、キノリニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、ピリドピリミジニル基、ピリドピラジニル基、ピラジノピラジニル基、イソキノリニル基、インドール基、カルバゾリル基、ベンズオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、べンゾカルバゾリル基、ジべンゾカルバゾリル基、ベンゾチオフェン基、ジべンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、ジべンゾフラン基、ベンゾシロール基、ジベンゾシロール基、フェナントロリニル基(phenanthrolinyl group)、イソオキサゾリル基、チアジアゾリル基、フェノチアジニル基、フェノキサジン基およびこれらの縮合構造などが例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
また、本出願において使用する用語であるヘテロアリレン基は、ヘテロアリール基に結合位置が2個あるもの、すなわち2価の基を意味する。これらは、それぞれ2価の基であることを除いて、前述したヘテロアリール基の説明が適用され得る。
【0037】
前記アリール基またはヘテロアリール基は、任意に1つ以上の置換基により置換されていてもよい。この場合、置換基としては、ハロゲン(塩素(Cl)、ヨウ素(I)、臭素(Br)、フッ素(F))、アリール基、ヘテロアリール基、エポキシ基、アルコキシ基、シアノ基、カルボキシル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、カルボニル基およびヒドロキシ基からなる群から選択される1つ以上であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0038】
本出願は、硬化性組成物に関する。本出願において使用する用語である硬化性組成物は、硬化反応により硬化する組成物を意味する。本出願において前記硬化反応により硬化が適切に完了したか否かは、FT-IR(Fourier Transform Infrared)、DSC(Differential Thermal Analysis)およびDMA(Dynamic Mechanical Analysis)測定により確認することができる。例えば、主剤樹脂がポリオール樹脂であり、硬化剤がイソシアネート化合物である場合、FT-IR分析により確認される2250cm-1付近のNCOピーク基準転換率(conversion)が80%以上であることから確認することができる。また、具体的には、主剤樹脂がポリオール樹脂であり、硬化剤がイソシアネート化合物である場合、常温および常湿条件で24時間硬化を基準として、FT-IR分析により確認される2250cm-1付近のNCOピーク基準転換率(conversion)が80%以上であることから確認することができる。本出願において硬化させるというのは、硬化反応が行われるように試みるだけでなく、上記のように硬化を適切に完了させたという意味と同一である。
【0039】
本出願の一例による硬化性組成物は、樹脂組成物であってもよい。本出願において使用する用語である樹脂組成物は、当業界で樹脂と知られた成分を含む組成物または樹脂を含んでいないが、硬化反応などにより樹脂を形成できる成分を含む組成物を意味する。したがって、本出願において用語樹脂または樹脂成分の範囲には、一般的に樹脂と知られた成分はもちろん、硬化および/または重合反応を経て樹脂を形成できる成分をも含まれる。
【0040】
本出願の一例による硬化性組成物は、硬化して熱界面材料(TIM)を形成することができる。したがって、本出願において硬化性組成物の硬化物と熱界面材料は、同じ対象を称することができる。
【0041】
本出願の一例による硬化性組成物は、1液型または2液型組成物であってもよい。本出願において使用する用語である1液型組成物は、硬化に参加する成分が物理的に互いに接触している状態で含まれている硬化性組成物を意味する。また、本出願において使用する用語である2液型組成物は、硬化に参加する成分のうち少なくとも一部が物理的に分離して分けられて含まれている硬化性組成物を意味し得る。
【0042】
本出願の一例による硬化性組成物は、常温硬化型、加熱硬化型、エネルギー線硬化型および/または湿気硬化型であってもよい。本出願において使用する用語である常温硬化型は、硬化反応が常温で開始および/または進行され得る硬化性組成物を称する。また、本出願において使用する用語である加熱硬化型は、硬化反応が熱の付加により開始および/または進行され得る硬化性組成物を称する。また、本出願において使用する用語であるエネルギー線硬化型は、硬化反応がエネルギー線(例えば、紫外線や電子線など)の照射により開始および/または進行され得る硬化性組成物を称する。また、本出願において使用する用語である湿気硬化型は、硬化反応が水分の存在下で開始および/または進行され得る硬化性組成物を称する。
【0043】
本出願の一例による硬化性組成物は、溶剤型あるいは無溶剤型であってもよい。適用効率の観点や環境への負荷などを考慮するとき、無溶剤型であることが適切である。
【0044】
本出願の一例による硬化性組成物は、ポリウレタン組成物であってもよい。このような場合に、前記硬化性組成物は、ポリウレタンを含んでも、ポリウレタンを形成できる成分を含んでもよい。例えば、前記硬化性組成物の硬化物である熱界面材料は、前記ポリウレタンを含んでもよい。前記ポリウレタンは、1つの例示において後述する主剤パーツと硬化剤パーツ内成分の反応により形成されてもよい。
【0045】
本出願の一例による硬化性組成物またはその硬化物は、下記のような物性のうち少なくとも1つ以上の物性を有してもよい。下記の各物性は、独立したものであり、いずれか1つの物性が他の物性を優先せず、下記の物性のうち少なくとも1つまたは2つ以上を満たすことができる。下記の物性は、前記硬化性組成物またはその硬化物に含まれた各構成要素の組み合わせに起因する。
【0046】
本出願の一例による硬化性組成物またはその硬化物は、特定の被着体に対して低い接着力を示すか、あるいは、低い接着力を示すことができる硬化物を形成することができる。このような硬化性組成物は、前記ポリウレタン組成物であってもよい。ポリウレタンは、様々な被着体に対して優れた接着性を示すことができる接着素材と知られている。したがって、ポリウレタン組成物が被着体に対して低い接着力を示す方法としては、通常可塑剤などの接着力を低下させる成分を導入する方法が使用される。このような可塑剤などの成分を適用すると、ポリウレタン素材の接着力を低減することができるが、当該成分がポリウレタンで確保できた他の物性を低下させたり、ポリウレタン素材の使用過程で素材の外部に溶出するなどの問題が発生することがある。しかしながら、本出願では、可塑剤などの接着力低下成分の使用量を最小化しながらも、前記低い接着力をポリウレタン素材に対して達成することができる。したがって、本出願では、ポリウレタン素材の長所を取りながらも、用途に応じて要求されない高い接着力の問題を解決した素材を提供することができる。
【0047】
本出願の一例による硬化性組成物またはその硬化物は、アルミニウムに対する接着力が1N/mm2以下であってもよい。前記硬化性組成物またはその硬化物のアルミニウムに対する接着力の上限は、他の例示において、0.1N/mm2、0.099N/mm2、0.098N/mm2、0.097N/mm2、0.096N/mm2、0.095N/mm2、0.094N/mm2、0.093N/mm2、0.092N/mm2、0.091N/mm2または0.09N/mm2であってもよい。前記硬化性組成物またはその硬化物のアルミニウムに対する接着力は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下であってもよい。本出願において前記アルミニウムに対する接着力の下限は、特に制限されない。一例示において前記アルミニウムに対する接着力は、0N/mm2以上または0N/mm2超過であってもよい。前記硬化性組成物は、アルミニウムに対して接着力が実質的に測定されない硬化性組成物であってもよく、実質的に測定されない硬化物を形成できる硬化性組成物であってもよい。したがって、前記アルミニウムに対する接着力は、0N/mm2以上または0N/mm2超過であり、かつ、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下であってもよい。硬化性組成物またはその硬化物のアルミニウムに対する接着力は、本明細書の実施例に記載された方式で測定することができる。
【0048】
本出願の一例による硬化性組成物またはその硬化物は、ポリエステルに対する接着力が100gf/cm以下であってもよい。前記硬化性組成物またはその硬化物のポリエステルに対する接着力の上限は、他の例示において99.9gf/cm、99.8gf/cm、99.7gf/cm、99.6gf/cm、99.5gf/cm、99.4gf/cm、99.3gf/cm、99.2gf/cm、99.1gf/cmまたは99gf/cmであってもよい。前記硬化性組成物またはその硬化物のポリエステルに対する接着力は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下であってもよい。本出願において前記ポリエステルに対する接着力の下限は、特に制限されない。一例示において前記硬化性組成物またはその硬化物の前記ポリエステルに対する接着力の下限は、0gf/cm、2gf/cm、4gf/cm、6gf/cm、8gf/cm、10gf/cm、12gf/cm、14gf/cm、16gf/cm、18gf/cmまたは20gf/cm程度であってもよい。前記硬化性組成物またはその硬化物は、ポリエステルに対して接着力を実質的に示さなくてもよい。前記硬化性組成物またはその硬化物は、ポリエステルに対して接着力は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲であってもよい。硬化性組成物またはその硬化物のポリエステルに対する接着力は、本明細書の実施例に記載された方式で測定することができる。
【0049】
本出願の一例による硬化性組成物またはその硬化物は、優れた熱伝導特性を示すことができる。例えば、前記硬化性組成物またはその硬化物の熱伝導度の下限は、2.0W/mK、2.1W/mK、2.2W/mK、2.3W/mK、2.4W/mK、2.5W/mK、2.6W/mK、2.7W/mK、2.8W/mK、2.9W/mK、3W/mK程度であってもよい。前記熱伝導度は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上であってもよい。前記熱伝導度の上限には特別な制限はない。例えば、前記硬化性組成物またはその硬化物は、熱伝導度の上限は、10W/mK、9W/mK、8W/mK、7W/mK、6W/mK、5W/mKまたは4W/mK程度であってもよい。前記熱伝導度は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲であってもよい。このような硬化性組成物またはその硬化物の熱伝導度は、後述する実施例に開示された方法で測定することができる。
【0050】
本出願の一例による硬化性組成物またはその硬化物は、また、適切な硬度を示すことができる。例えば、硬化性組成物またはその硬化物の硬度が高すぎると、著しくブリトル(brittle)になって、問題が発生することがある。また、硬化性組成物またはその硬化物の硬度の調節を通じて、適用用途に応じて、耐衝撃性および耐振動性を確保し、製品の耐久性を確保することができる。硬化性組成物またはその硬化物のショア(shore)OOタイプにおける硬度の上限は、100、98、96、94、92または90であってもよい。前記ショアOOタイプ硬度は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下であってもよい。前記ショアOOタイプ硬度の下限は、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75または80であってもよい。前記ショアOOタイプ硬度は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上であってもよい。前記ショアOOタイプ硬度は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限と上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限の間の範囲内であってもよい。このような硬化性組成物またはその硬化物の硬度は、後述する実施例に開示された方法で測定することができる。
【0051】
本出願の一例による硬化性組成物またはその硬化物は、また、適切な柔軟性を示すことができる。例えば、硬化性組成物またはその硬化物の柔軟性を所望のレベルに調節することによって、適用用途を大きく拡大することができる。例えば、硬化性組成物またはその硬化物の曲率半径の上限は、20mm、19mm、18mm、17mm、16mm、15mm、14mm、13mm、12mm、11mm、10mmまたは9mm程度であってもよい。前記曲率半径は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下であってもよい。前記曲率半径の下限は、例えば、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mmまたは7mm程度であってもよい。前記曲率半径は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上であってもよい。前記曲率半径は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限と上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限の間の範囲内であってもよい。このような硬化性組成物またはその硬化物の曲率半径は、後述する実施例に開示された方法で測定することができる。
【0052】
本出願の一例による硬化性組成物またはその硬化物は、絶縁性であってもよい。すなわち硬化性組成物は、絶縁性を有するか、および/または絶縁性を有する硬化物を形成することができる。例えば、硬化性組成物またはその硬化物は、ASTM D149に準拠して測定した絶縁破壊電圧の下限は、3kV/mm、5kV/mm、7kV/mm、10kV/mm、15kV/mmまたは20kV/mm程度であってもよい。前記絶縁破壊電圧は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上であってもよい。前記絶縁破壊電圧は、その数値が高いほど優れた絶縁性を有することを示すものであり、上限は、特に制限されるものではないが、硬化性組成物の組成などを考慮すると、前記絶縁破壊電圧の上限は、50kV/mm、45kV/mm、40kV/mm、35kV/mmまたは30kV/mm程度であってもよい。前記絶縁破壊電圧は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下であってもよい。上記のような絶縁破壊電圧は、硬化性組成物の絶縁性を調節して制御することができ、例えば、前記組成物内に絶縁性フィラーを適用することによって達成することができる。一般的に、フィラーのうち、セラミックフィラーは、絶縁性を確保することができる成分と知られている。また、前記硬化性組成物の硬化物が上記のような電気絶縁性を確保できると、様々な素材、例えばバッテリーモジュールに含まれるケースやバッテリーセルなどに対して性能を維持しつつ安定性を確保することができる。
【0053】
本出願の一例による硬化性組成物またはその硬化物は、難燃性を有していてもよい。前記硬化性組成物またはその硬化物は、UL 94 V Test(Vertical Burning Test)でV-0等級を示すことができる。これによって、硬化性組成物の適用用途に応じて憂慮される火災およびその他事故に対する安定性を確保することができる。また、従来、前記難燃性を確保するために、一般的にハロゲン元素が含有された難燃剤、リン元素が含有された難燃剤およびこれらの組み合わせを通じて確保した。ただし、前記硬化性組成物またはその硬化物は、後述するポリオール成分とフィラー成分の適切な組み合わせを通じてハロゲン元素が含有された難燃剤およびリン(P)元素が含有された難燃剤を実質的に含まずに、UL 94 V Testにより測定された結果がV-0等級であってもよい。
【0054】
本出願の一例による硬化性組成物またはその硬化物は、ハロゲンおよびリン元素の合算含有量は、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して0.3重量%以下であってもよい。前記ハロゲンおよびリン元素の合算含有量の上限は、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して0.29重量%、0.28重量%、0.27重量%、0.26重量%、0.25重量%、0.24重量%、0.23重量%、0.22重量%、0.21重量%または0.2重量%であってもよい。前記ハロゲンおよびリン元素の合算含有量は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下であってもよい。前記ハロゲンおよびリン元素の合算含有量の下限は、特に制限されるものではないが、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して0重量%(含まず)または0重量%超過であってもよい。前記硬化性組成物またはその硬化物は、ハロゲンおよびリン元素の合算含有量を通じてハロゲン元素が含有された難燃剤およびリン元素が含有された難燃剤を実質的に含まないという点を確認することができる。前記ハロゲンおよびリン元素の合算含有量は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上であってもよい。前記ハロゲンおよびリン元素の合算含有量は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限と上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限の間の範囲内であってもよい。
【0055】
本出願の一例による硬化性組成物またはその硬化物の前記ハロゲン元素の含有量、リン元素の含有量およびハロゲン元素とリン元素の合算含有量は、ICP分析方法を通じて測定することができる。本出願において使用する前記ICP分析方法は、ICP-OES(Inductively Coupled Plasma-Optical Emission Spectrometer)、ICP-AES(Inductively Coupled Plasma-Atomic Emission Spectrometer)、ICP-MS(Inductively Coupled Plasma Mass spectrometer)またはICP-AAS(Inductively Coupled Plasma-Atomic Absorption Spectrometer)などを適切な状況によって利用することができ、測定対象を考慮すると、好ましくは、ICP-OESを利用して分析することができ、具体的には、本明細書の実施例に記載された方式で測定することができる。前記ハロゲン元素の含有量、リン元素の含有量およびハロゲン元素とリン元素の合算含有量は、後述する実施例に開示された方法で測定することができる。
【0056】
本出願の一例による硬化性組成物またはその硬化物は、ハロゲン元素の含有量は、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して0.3重量%以下であってもよい。前記ハロゲン元素の含有量の上限は、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して0.29重量%、0.28重量%、0.27重量%、0.26重量%、0.25重量%、0.24重量%、0.23重量%、0.22重量%、0.21重量%または0.2重量%であってもよい。前記ハロゲン元素の含有量は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下であってもよい。前記ハロゲン元素の含有量の下限は、特に制限されるものではないが、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して0重量%(含まず)または0重量%超過であってもよい。前記硬化性組成物またはその硬化物は、ハロゲン元素の含有量を通じてハロゲン元素が含有された難燃剤を実質的に含まないという点を確認することができる。前記ハロゲンの含有量は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上であってもよい。前記ハロゲンの含有量は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限と上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限の間の範囲内であってもよい。
【0057】
本出願の一例による硬化性組成物またはその硬化物は、リン元素の含有量は、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して0.3重量%以下であってもよい。前記リン元素の含有量の上限は、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して0.29重量%、0.28重量%、0.27重量%、0.26重量%、0.25重量%、0.24重量%、0.23重量%、0.22重量%、0.21重量%または0.2重量%であってもよい。前記リン元素の含有量は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下であってもよい。前記リン元素の含有量の下限は、特に制限されるものではないが、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して0重量%(含まず)または0重量%超過であってもよい。前記硬化性組成物またはその硬化物は、リン元素の含有量を通じてリン元素が含有された難燃剤を実質的に含まないという点を確認することができる。前記リンの含有量は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上であってもよい。前記リンの含有量は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限と上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限の間の範囲内であってもよい。
【0058】
本出願の一例による硬化性組成物またはその硬化物は、ハロゲン元素を含有する難燃剤およびリン元素を含有する難燃剤の合算含有量は、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して1重量%以下であってもよい。前記ハロゲン元素を含有する難燃剤およびリン元素を含有する難燃剤の合算含有量の上限は、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して0.9重量%、0.8重量%、0.7重量%、0.6重量%、0.5重量%、0.4重量%、0.3重量%、0.2重量%、0.1重量%、0.01重量%または0.001重量%であってもよい。前記ハロゲン元素を含有する難燃剤およびリン元素を含有する難燃剤の合算含有量は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下であってもよい。前記ハロゲン元素を含有する難燃剤およびリン元素を含有する難燃剤の合算含有量の下限は、特に制限されるものではないが、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して0重量%(含まず)または0重量%超過であってもよい。前記ハロゲン元素を含有する難燃剤およびリン元素を含有する難燃剤の合算含有量は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上であってもよい。前記ハロゲン元素を含有する難燃剤およびリン元素を含有する難燃剤の合算含有量は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限と上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限の間の範囲内であってもよい。
【0059】
本出願の一例による硬化性組成物またはその硬化物は、ハロゲン元素を含有する難燃剤の含有量は、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して1重量%以下であってもよい。前記ハロゲン元素を含有する難燃剤の含有量の上限は、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して0.9重量%、0.8重量%、0.7重量%、0.6重量%、0.5重量%、0.4重量%、0.3重量%、0.2重量%、0.1重量%、0.01重量%または0.001重量%であってもよい。前記ハロゲン元素を含有する難燃剤の含有量は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下であってもよい。前記ハロゲン元素を含有する難燃剤の含有量の下限は、特に制限されるものではないが、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して0重量%(含まず)または0重量%超過であってもよい。前記ハロゲン元素を含有する難燃剤の含有量は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上であってもよい。前記ハロゲン元素を含有する難燃剤の含有量は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限と上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限の間の範囲内であってもよい。
【0060】
本出願の一例による硬化性組成物またはその硬化物は、リン元素を含有する難燃剤の含有量は、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して1重量%以下であってもよい。前記リン元素を含有する難燃剤の含有量の上限は、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して0.9重量%、0.8重量%、0.7重量%、0.6重量%、0.5重量%、0.4重量%、0.3重量%、0.2重量%、0.1重量%、0.01重量%または0.001重量%であってもよい。前記リン元素を含有する難燃剤の含有量は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下であってもよい。前記リン元素を含有する難燃剤の含有量の下限は、特に制限されるものではないが、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して0重量%(含まず)または0重量%超過であってもよい。前記リン元素を含有する難燃剤の含有量は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上であってもよい。前記リン元素を含有する難燃剤の含有量は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限と上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限の間の範囲内であってもよい。
【0061】
本出願の一例による硬化性組成物またはその硬化物は、比重が3以下であってもよい。前記比重の上限は、2.99、2.98、2.97または2.96であってもよい。前記比重の上限は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下であってもよい。上記のような比重は、比重が低いフィラーを適用および/または表面処理されたフィラーを適用することによって達成することができる。また、前記比重は、その数値が低いほど応用製品の軽量化に有利になるので、その下限は、特に制限されない。例えば、前記比重は、約1.5以上または2以上であってもよい。前記比重は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上であってもよい。前記比重は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限と上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限の間の範囲内であってもよい。
【0062】
本出願の一例による硬化性組成物またはその硬化物は、前述したように、熱界面材料などに使用でき、例えばバッテリーを急速充電するときに発生する熱を迅速に放熱して火災などの危険を減少させることができる。しかしながら、放熱性能を具現するために、一般的に高比重の熱伝導性のフィラーを過量適用することになるが、この場合、バッテリーの重さが増加し、結局、前記バッテリーを適用した製品の重さも増加する。特に、電気自動車に適用される場合には、自動車の燃費などに不利になる。したがって、前記硬化性組成物またはその硬化物が低い比重を有するためには、前述した高比重のフィラーの含有量を減少させなければならない。しかしながら、高比重のフィラーを減少させる場合、放熱性能が低くなるので、蓄積された熱による火災などの防止が困難になる。すなわち、低い比重と高い熱伝導度は、互いにトレードオフ(trade-off)関係にある。
【0063】
本出願の一例による硬化性組成物またはその硬化物は、後述するフィラー成分の適切な組み合わせを通じて前記トレードオフ関係でも低比重特性と放熱性を同時に確保することができる。
【0064】
本出願の一例による硬化性組成物は、硬化過程または硬化した後に低い収縮率を有していてもよい。これを通じて、適用過程で発生しうる剥離や空隙の発生などを防止することができる。前記収縮率は、前述した効果を示すことができる範囲で適切に調節することができ、例えば、5%未満、3%未満または約1%未満であってもよい。前記収縮率は、その数値が低いほど有利になるので、その下限は、特に制限されない。
【0065】
本出願の一例による硬化性組成物またはその硬化物は、低い熱膨張係数(CTE)を有していてもよい。これを通じて、適用や使用過程で発生しうる剥離や空隙の発生などを防止することができる。前記熱膨張係数は、前述した効果を示すことができる範囲で適切に調節することができ、例えば、300ppm/K未満、250ppm/K未満、200ppm/K未満、150ppm/K未満または約100ppm/K未満であってもよい。前記熱膨張係数は、その数値が低いほど有利になるので、その下限は、特に制限されない。
【0066】
本出願の一例による硬化性組成物またはその硬化物は、また、熱重量分析(TGA)における5%重量減少(5% weight loss)温度が400℃以上であってもよく、800℃残量が70重量%以上であってもよい。このような特性によって高温安定性をさらに改善することができる。前記800℃残量は、他の例示において約75重量%以上、約80重量%以上、約85重量%以上または約90重量%以上であってもよい。前記800℃残量は、他の例示において約99重量%以下であってもよい。前記熱重量分析(TGA)は、60cm3/分の窒素(N2)雰囲気下で20℃分の昇温速度で25℃~800℃の範囲内で測定することができる。前記熱重量分析(TGA)結果も、硬化性組成物の組成の調節を通じて達成することができる。例えば、800℃残量は、通常当該硬化性組成物に含まれるフィラーの種類や割合によって左右され、過量のフィラーを含むと、前記残量は増加する。
【0067】
本出願の一例による硬化性組成物は、ポリオール成分を含んでもよい。前記ポリオール成分は、全重量に対してポリオールを55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、99重量%以上または100重量%で含んでもよい。
【0068】
本出願において使用する用語であるポリオールは、ヒドロキシ基の個数の下限が1分子当たり2個または3個程度である化合物を意味し得る。また、前記ポリオールの前記ヒドロキシ基の個数の上限は、特に制限されないが、1分子当たり10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個または3個程度であってもよい。前記ポリオールが有するヒドロキシ基の個数は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下であってもよい。また、前記ポリオールが含むヒドロキシ基の個数は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の範囲内にあり得る。ポリオールが含むヒドロキシ基の個数は、1H NMRにより確認できるが、1H NMRで3~4ppmの領域に存在するピーク(peak)に基づいて前記ヒドロキシ基の数を確認することができる。また、前記ポリオールは、ヒドロキシ基の個数によって呼称することができ、例えば二官能ポリオール(2個のヒドロキシ基を有する)などと呼称することができる。
本出願の一例による硬化性組成物は、ポリオール成分を後述するフィラー成分100重量部に対して1重量部以上~80重量部以下の範囲内に含んでもよい。前記ポリオール成分の含有量の上限は、フィラー成分100重量部に対して60重量部、50重量部、40重量部、30重量部、20重量部または15重量部程度であってもよく、前記前記ポリオール成分の含有量の下限は、フィラー成分100重量部に対して2重量部、3重量部、4重量部、5重量部、6重量部、7重量部、8重量部、9重量部または10重量部程度であってもよい。前記ポリオール成分の含有量は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。前記ポリオール成分とフィラー成分の含有量の割合を上記のように制御することによって、優れた配合性を有し、工程に適した粘度と揺変性を確保することができ、優れた熱伝導度を有する硬化物を形成することができる。
【0069】
本出願の一例による硬化性組成物において、ポリオール成分は、二官能ポリオールである第1ポリオールと三官能以上の第2ポリオールを含んでもよい。前記硬化性組成物は、ポリオール成分として第1および第2ポリオールを同時に含むことによって、工程に適した粘度と揺変性を確保することができ、硬化時にさらに緻密に硬化し、優れた硬化性を確保することができ、特定の被着体に対して低い接着力を示すか、あるいは、低い接着力を示すことができる硬化物を形成することができる。
【0070】
本出願の一例による硬化性組成物において、ポリオール成分は、当業界で使用するものであれば、特に制限されないが、例えば、含んでいる骨格構造によってポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、共役ジエン重合体系ポリオール、ひまし油系ポリオール、シリコーン系ポリオール、ビニル重合体系ポリオールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0071】
本出願の一例による硬化性組成物において、ポリオール成分の第1または第2ポリオールは、後述するオイル変性ポリオールであるか、あるいは、非オイル変性ポリオールであってもよい。
【0072】
本出願において使用する用語であるオイル変性ポリオールは、炭素原子の数が3個以上の直鎖または分岐鎖炭化水素基を末端に含むポリオールを意味する。これによって、前記炭素原子の数が3個以上の直鎖または分岐鎖炭化水素基を末端に含まないポリオールは、本出願において非オイル変性ポリオールと呼ばれることができる。すなわち、前記ポリオール成分の第1または第2ポリオールは、炭素原子数が3個以上の分岐鎖状炭化水素鎖を末端に含んでもよい。前記第1または第2ポリオールが前記炭化水素基を含むものであるか否かは、1H NMRにより確認できるが、1H NMRで4~5ppmの領域に存在するピーク(peak)に基づいて前記炭化水素基の存在の有無および数を確認することができる。前記オイル変性ポリオールを適用することによって、ポリウレタン素材で形成され、また、可塑剤など接着力低下成分の使用量を最小化しながらも、特定の素材に対して低い接着力を確保することができ、優れた配合性を有することができる。
【0073】
前記オイル変性ポリオールの末端に含まれる直鎖または分岐鎖炭化水素基の炭素原子の数の下限は、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個または17個程度であってもよい。前記炭素原子の数は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上であってもよい。前記炭素原子の数の上限は、50個、49個、48個、47個、46個、45個、44個、43個、42個、41個、40個、39個、38個、37個、36個、35個、34個、33個、32個、31個、30個、29個、28個、27個、26個、25個、24個、23個、22個、21個、20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、9個または8個程度であってもよい。前記炭素原子の数は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下であってもよい。前記炭素原子の数は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。
【0074】
前記直鎖または分岐鎖炭化水素基は、二重結合を含んでも含まなくてもよい。二重結合を含む場合に、該二重結合は、共役型二重結合であるか、cis二重結合であってもよい。
【0075】
前記炭化水素基の具体的な種類としては、アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基が例示できる。一例示において前記炭化水素基は、カルボニル基またはカルボニルオキシ基を介してポリオール化合物に連結されていてもよく、この場合、前記炭化水素基は、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、アルキニルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルケニルカルボニルオキシ基またはアルキニルカルボニルオキシ基であってもよい。上記においてアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基の炭素原子の数は、上述した直鎖または分岐鎖炭化水素基の炭素原子の数の下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した直鎖または分岐鎖炭化水素基の炭素原子の数の上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した直鎖または分岐鎖炭化水素基の炭素原子の数の下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した直鎖または分岐鎖炭化水素基の炭素原子の数の上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。
【0076】
前記アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基は、直鎖または分岐鎖であってもよく、任意に1つの置換基で置換されていてもよい。置換基が存在する場合に、置換基の種類には特別な制限はなく、例えば、フッ素(F)などのハロゲン原子が置換基として例示できる。
【0077】
1つの例示において前記炭化水素基は、下記化学式1の置換基に含まれていてもよい。
【0078】
【0079】
化学式1中、Rは、直鎖または分岐鎖の炭化水素基である。
化学式1中、*表示は、当該部分がポリオールに連結されることを意味する。したがって、前記化学式1の置換基において酸素原子がポリオールに連結されていてもよい。
化学式1中、Rである炭化水素基の具体的な種類は、前述の通りである。したがって、上述した炭化水素基の炭素原子の数、種類、形態および置換基などに関する内容は、前記と同一に適用され得る。
【0080】
前記オイル変性ポリオールが含む前記炭化水素基の数は、特に制限されない。例えば、前記オイル変性ポリオールに含まれる前記炭化水素基の数の下限は、化合物1分子当たり1個または2個であってもよい。前記オイル変性ポリオールに含まれる前記炭化水素基の数の上限は、化合物1分子当たり10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個または2個程度であってもよい。前記炭化水素基の数は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。
【0081】
前記オイル変性ポリオールは、前記ヒドロキシ基および炭化水素基を含む限り、様々な形態を有していてもよい。
【0082】
一例示において前記オイル変性ポリオールは、アルカン、アルケンまたはアルキンのような炭化水素化合物の水素原子の少なくとも一部が前記ヒドロキシ基および/または炭化水素基で置換された形態の化合物であってもよい。前記アルカン、アルケンまたはアルキンのような炭化水素化合物の炭素原子の数は、例えば、1個~20個、1個~16個、1個~8個または4個~6個であってもよい。このようなアルカン、アルケンまたはアルキンのような炭化水素化合物は、直鎖状、分岐鎖状または環状であってもよい。また、前記ヒドロキシ基および/または炭化水素基は、前記アルカン、アルケンまたはアルキンにおいて同じ炭素原子に置換されていてもよく、あるいは、他の炭素原子に置換されていてもよい。
【0083】
他の例示において前記オイル変性ポリオールは、ポリエステル骨格またはポリエーテル骨格を有していてもよい。このような場合に、前記オイル変性ポリオールは、オリゴマー性化合物であっても、高分子性化合物であってもよい。
【0084】
一例示において前記ポリエステル骨格を有するオイル変性ポリオールは、いわゆるポリエステルポリオールであり、このようなポリエステルポリオールに前記炭化水素基が連結された構造を有するポリオールであってもよい。
【0085】
また、前記ポリエーテル骨格を有するオイル変性ポリオールは、いわゆるポリエーテルポリオールであり、このようなポリエーテルポリオールに前記炭化水素基が連結された構造を有するポリオールであってもよい。
【0086】
1つの例示において前記ポリエステル骨格は、いわゆるポリカプロラクトン骨格であり、前記ポリエーテル骨格は、いわゆるポリアルキレン骨格であってもよい。
【0087】
前記ポリエステル骨格は、一例示において下記化学式2で表される反復単位を有する骨格であってもよい。
【0088】
【0089】
化学式2中、X1およびX2は、それぞれ独立して、単一結合または酸素原子であり、L1は、アルキレン基またはアルキリデン基であってもよく、nは、任意の数である。
本出願において用語単一結合は、当該部位に原子が存在しない場合を意味する。
化学式2中、アルキレン基は、一例示において炭素数2~20、炭素数4~20、炭素数4~16、炭素数4~12または炭素数4~8のアルキレン基であってもよく、これは、直鎖状または分岐鎖状であってもよい。
化学式2中、アルキリデン基は、一例示において炭素数1~20、炭素数4~20、炭素数4~16、炭素数4~12または炭素数4~8のアルキリデン基であってもよく、これは、直鎖状または分岐鎖状であってもよい。
【0090】
本出願においてアルキレン基とアルキリデン基は、いずれも、アルカンから2個の水素原子が離脱して形成された2価の置換基を意味する。アルキレン基は、前記2個の水素原子が前記アルカンの他の炭素原子からそれぞれ離脱して形成された2価の置換基であり、アルキリデン基は、前記2個の水素原子が前記アルカンの1つ炭素原子から離脱して形成された2価の置換基という点から互いに区別される。
【0091】
一例示において前記ポリエステル骨格は、ポリカプロラクトン骨格であってもよいが、この場合に、前記化学式2のL1は、炭素数5の直鎖状アルキレン基または炭素数5の直鎖状アルキリデン基であってもよい。
【0092】
化学式2中、nは、反復単位の数を示す任意の数である。前記nの下限は、例えば、1、2、3、4または4.5程度であってもよく、上限は、25、20、15、10または5程度であってもよい。前記nは、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。
【0093】
化学式2の骨格は、いわゆるカルボン酸ポリオールの骨格またはカプロラクトンポリオールの骨格であってもよい。このような骨格は、公知の方式で形成することができ、例えば、前記カルボン酸ポリオールの骨格は、カルボン酸とポリオール(ex.ジオールまたはトリオール)を含む成分を反応させて形成することができ、カプロラクトンポリオールの骨格は、カプロラクトンとポリオール(ex.ジオールまたはトリオール)を含む成分を反応させて形成することができる。前記カルボン酸は、ジカルボン酸であってもよい。
【0094】
化学式2の骨格を有するオイル変性ポリオールにおいてヒドロキシ基または前述した炭化水素基は、前記化学式2の骨格の末端に存在してもよい。
このような場合に、前記化学式2の骨格は、下記化学式3で表され得る。
【0095】
【0096】
化学式3中、X1、X2、L1およびnは、化学式2で定義された通りであり、R1は、ヒドロキシ基または下記化学式4の置換基であってもよい。
【0097】
【0098】
化学式4中、X3は、単一結合または酸素原子であり、Rは、前記化学式1のRと同じである。
【0099】
化学式3中、R1がヒドロキシ基である場合に、X1は、単一結合であり、X2は、酸素原子であってもよく、R1が前記化学式4の置換基である場合に、X1およびX3のうちいずれか1つは、単一結合であり、他の1つは、酸素原子であってもよい。
【0100】
前記オイル変性ポリオールにおいて前記化学式2または3の骨格の数の下限は、1個または2個程度であってもよく、その上限は、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個または2個程度であってもよい。前記骨格の数は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。
【0101】
前記ポリエステル骨格を有するオイル変性ポリオールは、直鎖または分岐鎖構造を有してもよい。
【0102】
上記において直鎖構造は、前記化学式2または3の骨格を含む主鎖が存在し、前記主鎖に他の高分子鎖が連結されていない構造であり、分岐鎖構造は、前記化学式2または3の骨格を含む主鎖に側鎖として、また、前記化学式2または3の骨格を含む鎖が結合している形態であってもよい。上記において分岐鎖構造において側鎖として連結される前記化学式2または3の骨格を含む鎖の数は、例えば1個~5個、1個~4個、1個~3個、1個~2個または1個であってもよい。
【0103】
一例示において前記ポリエステル骨格を有するオイル変性ポリオールは、アルカン、アルケンまたはアルキンのような炭化水素化合物の水素原子の少なくとも一部が前記ヒドロキシ基および/または前記化学式3の骨格で置換された形態の化合物であってもよい。前記アルカン、アルケンまたはアルキンのような炭化水素化合物の炭素原子の数は、例えば、1個~20個、1個~16個、1個~8個または4個~6個であってもよい。
【0104】
このようなアルカン、アルケンまたはアルキンのような炭化水素化合物は、直鎖状、分岐鎖状または環状であってもよい。また、前記ヒドロキシ基および/または化学式3の骨格は、前記アルカン、アルケンまたはアルキンにおいて同じ炭素原子に置換されていてもよく、あるいは、他の炭素原子に置換されていてもよい。
【0105】
前記ポリエーテル骨格は、一例示において下記化学式5で表される反復単位を有する骨格であってもよい。
【0106】
【0107】
化学式5中、X4およびX5は、それぞれ独立して、単一結合または酸素原子であり、L2は、アルキレン基またはアルキリデン基であってもよく、mは、任意の数である。
化学式5中、アルキレン基は、一例示において炭素数2~20、炭素数2~16、炭素数2~12、炭素数2~8または炭素数2~4のアルキレン基であってもよく、これは、直鎖状または分岐鎖状であってもよい。
化学式5中、アルキリデン基は、一例示において炭素数1~20、炭素数1~16、炭素数1~12、炭素数1~8または炭素数1~4のアルキリデン基であってもよく、これは、直鎖状または分岐鎖状であってもよい。
【0108】
前記アルキレン基とアルキリデン基の意味は、上述した通りである。
化学式5中、mは、反復単位の数を示す任意の数であり、例えば、1~25の範囲内の数であってもよい。
化学式5の骨格を有するオイル変性ポリオールにおいてヒドロキシ基または前述した炭化水素基は、前記化学式5の骨格の末端に存在してもよい。
このような場合に、前記化学式5の骨格は、下記化学式6で表され得る。
【0109】
【0110】
化学式6中、X4、X5、L2およびmは、化学式5で定義された通りであり、R2は、ヒドロキシ基または下記化学式7の置換基であってもよい。
【0111】
【0112】
化学式7中、X6は、単一結合または酸素原子であり、Rは、前記化学式1のRと同じである。
【0113】
化学式6中、R2がヒドロキシ基である場合に、X4は、単一結合であり、R2が前記化学式7の置換基である場合に、X4およびX6のうちいずれか1つは、単一結合であり、他の1つは、酸素原子である。
【0114】
オイル変性ポリオールは、前記化学式5または6の骨格を1個以上または2個以上含んでもよい。前記化学式5または6の骨格は、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、6個以下、5個以下、4個以下、3個以下または2個以下で前記ポリオール化合物に含まれてもよい。
【0115】
前記ポリエーテル骨格を有するオイル変性ポリオールは、直鎖または分岐鎖構造を有してもよい。
【0116】
上記において直鎖構造は、前記化学式5または6の骨格を含む主鎖が存在し、前記主鎖に他の高分子鎖が連結されていない構造であり、分岐鎖構造は、前記化学式5または6の骨格を含む主鎖に側鎖として、また、前記化学式5または6の骨格を含む鎖が結合している形態であってもよい。上記において分岐鎖構造において側鎖として連結される前記化学式5または6の骨格を含む鎖の数は、例えば1個~5個、1個~4個、1個~3個、1個~2個または1個であってもよい。
【0117】
一例示において前記ポリエーテル骨格を有するオイル変性ポリオールは、アルカン、アルケンまたはアルキンのような炭化水素化合物の水素原子の少なくとも一部がヒドロキシ基および/または前記化学式5の骨格で置換された形態の化合物であってもよい。前記アルカン、アルケンまたはアルキンのような炭化水素化合物の炭素原子の数は、例えば、1個~20個、1個~16個、1個~8個または4個~6個であってもよい。
【0118】
このようなアルカン、アルケンまたはアルキンのような炭化水素化合物は、直鎖状、分岐鎖状または環状であってもよい。また、前記ヒドロキシ基および/または化学式5の骨格は、前記アルカン、アルケンまたはアルキンにおいて同じ炭素原子に置換されていてもよく、あるいは、他の炭素原子に置換されていてもよい。
【0119】
上述したオイル変性ポリオールがオリゴマー性または高分子性化合物である場合に、当該化合物は、適正レベルの分子量を有してもよい。
【0120】
例えば、オリゴマー性または高分子性オイル変性ポリオールの重量平均分子量の下限は、100g/mol、200g/mol、300g/mol、400g/mol、500g/mol、600g/molまたは700g/mol程度であってもよく、上限は、5,000g/mol、4,500g/mol、4,000g/mol、3,500g/mol、3,000g/mol、2,500g/mol、2,000g/mol、1,500g/mol、1,000g/molまたは900g/mol程度であってもよい。前記重量平均分子量は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。
【0121】
以上記述したようなオイル変性ポリオールを適用することによって、目的とする物性をより効果的に確保することができる。また、前記第1ポリオールに前述したオイル変性ポリオールを適用することがさらに目的とする物性を効果的に確保することができる。
【0122】
前記オイル変性ポリオールは、公知の合成方法によって合成することができる。すなわち、前記ポリオールは、前記オイル変性部分に該当する前記炭化水素基を導入できる化合物を公知のポリオールまたはアルコール化合物と反応させて製造することができる。ここで、前記ポリオールは、本出願における定義と同じであり、アルコール化合物は、1分子当たりヒドロキシ基を1個含有する化合物を意味する。上記において炭化水素基を導入できる化合物としては、飽和または不飽和脂肪酸が例示でき、具体的には、酪酸(butyric acid)、カプロン酸(caproic acid)、2-エチルヘキサン酸(2-ethyl hexanoic acid)、カプリル酸(caprylic acid)、イソノナン酸(isononanoic acid)、カプリン酸(capric acid)、ラウリン酸(lauric acid)、ミリスチン酸(myristic acid)、パルミチン酸(palmitic acid)、ステアリン酸(stearic acid)、リノール酸(linoleic acid)またはオレイン酸(oleic acid)などが例示できるが、これらに制限されるものではない。
【0123】
また、前記飽和または不飽和脂肪酸と反応するポリオールまたはアルコール化合物の種類にも特別な制限はなく、例えば、後述する一般ポリオールのうち適正な種類を適用できるが、これらに制限されるものではない。
前記非オイル変性ポリオールは、様々な形態を有していてもよい。
【0124】
1つの例示において前記非オイル変性ポリオールは、ポリエステルポリオールであってもよい。ポリエステルポリオールとしては、例えば、いわゆるカルボン酸ポリオールまたはカプロラクトンポリオールが使用できる。
【0125】
1つの例示において前記ポリエステルポリオールは、下記化学式8で表される反復単位を有する骨格であってもよい。
【化8】
【0126】
化学式8中、X7およびX8は、それぞれ独立して、単一結合または酸素原子であり、L3は、アルキレン基またはアルキリデン基であってもよく、pは、任意の数である。
化学式8中、アルキリデン基は、一例示において炭素数1~20、炭素数4~20、炭素数4~16、炭素数4~12または炭素数4~8のアルキリデン基であってもよく、これは、直鎖状または分岐鎖状であってもよい。
化学式8中、アルキレン基は、一例示において炭素数2~20、炭素数4~20、炭素数4~16、炭素数4~12または炭素数4~8のアルキレン基であってもよく、これは、直鎖状または分岐鎖状であってもよい。
【0127】
前記ポリエステルポリオールが、ポリカプロラクトンポリオールである場合に、前記化学式8のL3は、炭素数5の直鎖状アルキレン基であってもよい。
【0128】
また、前記化学式8中、pは、反復単位の数を示す任意の数であり、例えば、1~25の範囲内の数であってもよい。
【0129】
前記化学式8の骨格を有するポリエステルポリオールは、いわゆるカルボン酸ポリオールまたはカプロラクトンポリオールであってもよい。このようなポリオール化合物は、公知の方式で形成することができ、例えば、前記カルボン酸ポリオールは、カルボン酸とポリオール(ex.ジオールまたはトリオール)を含む成分を反応させて形成することができ、カプロラクトンポリオールは、カプロラクトンとポリオール(ex.ジオールまたはトリオール)を含む成分を反応させて形成することができる。前記カルボン酸は、ジカルボン酸であってもよい。
【0130】
前記化学式8の骨格を有するポリオール化合物においてヒドロキシ基は、前記化学式8の骨格の末端に存在したり、あるいは、ポリエステルポリオールの他の部位に存在してもよい。
【0131】
非オイル変性ポリオールが前記化学式8の骨格を含む場合に、当該骨格の数の下限は、1個または2個程度であってもよく、上限は、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個程度であってもよい。前記骨格の数は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。
【0132】
前記ポリエステル骨格を有する非オイル変性ポリオールは、直鎖または分岐鎖構造を有してもよい。
【0133】
上記において直鎖構造は、前記化学式8の骨格を含む主鎖が存在し、前記主鎖に他の高分子鎖が連結されていない構造であり、分岐鎖構造は、前記化学式8の骨格を含む主鎖に側鎖として、また、前記化学式8の骨格を含む鎖が結合している形態であってもよい。上記において分岐鎖構造において側鎖として連結される前記化学式8の骨格を含む鎖の数は、例えば1個~5個、1個~4個、1個~3個、1個~2個または1個であってもよい。
【0134】
前記非オイル変性ポリオールとしては、他の例示においてポリカプロラクトンポリオール単位またはアルカンジオール単位;ポリオール単位およびジカルボン酸単位を有するポリオールを使用することもできる。このようなポリオールは、前記ポリカプロラクトンポリオールまたはアルカンジオール;ポリオールおよびジカルボン酸の混合物であってもよく、あるいは、それらの反応物であってもよい。すなわち、前記ポリカプロラクトンポリオール単位、アルカンジオール単位、ポリオール単位およびジカルボン酸単位は、それぞれポリカプロラクトンポリオール、アルカンジオールポリオールおよびジカルボン酸に由来する単位であってもよい。この際、前記アルカンジオールとしては、3-メチル-1,5-ペンタンジオール(3-methyl-1,5-pentanediol)、1,9-ノナンジオール(1,9-nonanediol)または1,6-ヘキサンジオール(1,6-hexanediol)などの炭素数1~20、炭素数4~20、炭素数4~16または炭素数4~12のジオール化合物が例示できる。また、前記ポリオール単位としては、トリメチロールプロパンのように3個~10個、3個~9個、3個~8個、3個~7個、3個~6個、3個~5個または3個~4個のヒドロキシ基で置換された炭素数1~20、炭素数4~20、炭素数4~16または炭素数4~12のアルカンが例示できる。また、前記ジカルボン酸としては、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸またはセバシン酸などが例示できる。このような種類のポリオール化合物は、例えば、Kuraray社のP-510、P-1010、P-2010、P-3010、P-4010、P-5010、P-6010、F-510、F-1010、F-2010、F-3010、P-2011、P-520、P-2020、P-1012、P-2012、P-630、P-2030、P-2050またはN-2010などの製品名で知られている。
【0135】
上述した非オイル変性ポリオールがオリゴマー性または高分子性化合物である場合に、当該化合物は、適正レベルの分子量を有してもよい。
【0136】
例えば、オリゴマー性または高分子性非オイル変性ポリオールの重量平均分子量の下限は、100g/mol、200g/mol、300g/mol、400g/mol、500g/mol、600g/molまたは700g/mol程度であってもよく、上限は、5,000g/mol、4,500g/mol、4,000g/mol、3,500g/mol、3,000g/mol、2,500g/mol、2,000g/mol、1,500g/mol、1,000g/molまたは900g/mol程度であってもよい。前記重量平均分子量は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。
【0137】
以上記述したような非オイル変性ポリオールを適用することによって、目的とする物性をさらに効果的に確保することができる。また、前記第1ポリオールに前述したオイル変性ポリオールを適用し、第2ポリオールに前述した非オイル変性ポリオールを適用することがさらに目的とする物性を効果的に確保することができる。
【0138】
本出願の一例による硬化性組成物において、ポリオール成分の第1または第2ポリオールは、ポリエステル骨格を有するポリエステルポリオールであってもよい。前記ポリエステルポリオールは、前述したオイル変性ポリオールまたは非オイル変性ポリオールであってもよい。前記ポリオール成分は、ポリエステル骨格を有するポリエステルオイル変性ポリオールである第1ポリオールおよびポリエステル骨格を有するポリエステル非オイル変性ポリオールである第2ポリオールを含むことによって、さらに目的とする物性を効果的に確保することができる。
【0139】
本出願の一例による硬化性組成物において、ポリオール成分の第1ポリオールは、オリゴマー性または高分子性化合物であってもよく、適正レベルの分子量を有してもよい。前記第1ポリオールの重量平均分子量の下限は、100g/mol、200g/mol、300g/mol、400g/mol、500g/mol、600g/molまたは700g/mol程度であってもよく、上限は、2,000g/mol、1,500g/mol、1,000g/molまたは900g/mol程度であってもよい。前記重量平均分子量は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。
【0140】
本出願の一例による硬化性組成物において、ポリオール成分の第2ポリオールは、オリゴマー性または高分子性化合物であってもよく、適正レベルの分子量を有してもよい。前記第2ポリオールの重量平均分子量の下限は、500g/mol、600g/molまたは700g/mol程度であってもよく、上限は、5,000g/mol、4,500g/mol、4,000g/mol、3,500g/mol、3,000g/mol、2,500g/mol、2,000g/mol、1,500g/mol、1,000g/molまたは900g/mol程度であってもよい。前記重量平均分子量は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。
【0141】
本出願の一例による硬化性組成物において、ポリオール成分の第1ポリオールと第2ポリオールの重量平均分子量を前記範囲に制御することによって、工程に適した粘度と揺変性を確保することができる。
【0142】
本出願の一例による硬化性組成物において、ポリオール成分は、第1ポリオールを前記ポリオール成分の全重量に対して80重量%超過で含んでもよい。前記ポリオール成分において第1ポリオールの含有量の下限は、前記ポリオール成分の全重量に対して81重量%、82重量%、83重量%、84重量%、85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%または90重量%程度であってもよく、上限は、97重量%、96重量%、95重量%、94重量%、93重量%、92重量%または91重量%程度であってもよい。前記ポリオール成分において第1ポリオールの含有量は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。
【0143】
前記第1ポリオールの含有量を上記のように制御することによって、後述するフィラー成分と組み合わせて優れた配合性を有し、工程に適した粘度と揺変性を確保することができ、硬化時にさらに緻密に硬化し、優れた硬化性を確保することができ、特定の被着体に対して低い接着力を示すか、あるいは、低い接着力を示すことができる硬化物を形成することができる。
【0144】
本出願の一例による硬化性組成物において、第1ポリオール(PA)および第2ポリオール(PB)の重量比(PA/PB)が5以上であってもよい。前記重量比(PA/PB)の下限は、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5または9程度であってもよく、上限は、20、18、16、14、12または10程度であってもよい。前記重量比(PA/PB)は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。
【0145】
前記第1ポリオール(PA)および第2ポリオール(PB)の重量比(PA/PB)を上記のように制御することによって、後述するフィラー成分と組み合わせて優れた配合性を有して、工程に適した粘度と揺変性を確保することができ、硬化時にさらに緻密に硬化し、優れた硬化性を確保することができ、特定の被着体に対して低い接着力を示すか、あるいは、低い接着力を示すことができる硬化物を形成することができる。特に、前記硬化性組成物のポリオール成分が第1ポリオール(PA)および第2ポリオール(PB)の重量比(PA/PB)を上記のように制御することによって、PETおよびアルミニウムの両方に低い接着力を示すか、あるいは、低い接着力を示すことができる硬化物を形成することができる。
【0146】
本出願の一例による硬化性組成物において、第1ポリオールは、OH%が3以上~20以下の範囲内であってもよい。前記第1ポリオールのOH%の下限は、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7または7.5であってもよく、上限は、18、16、14、12または10であってもよい。第1ポリオールのOH%は、前記上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。また、前記第1ポリオールのOH%が前記範囲を満たす場合には、ブリトル(brittle)にならず、適切な硬度を有する硬化性組成物の硬化物を確保することができる。
【0147】
本出願において使用する用語であるポリオールのOH%は、1molに該当する前記ポリオールの重量に対して前記1molに該当するポリオールに含まれたヒドロキシ基(-OH)の重量の百分率を意味し得る。
【0148】
本出願の一例による硬化性組成物において、第2ポリオールは、OH%が0.5以上~5以下の範囲内であってもよい。前記第2ポリオールのOH%の下限は、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1、1.25、1.5、1.75、2、2.25または2.5であってもよく、上限は、4.5、4、3.5または3であってもよい。第2ポリオールのOH%は、前記上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。また、前記第1ポリオールのOH%が前記範囲を満たす場合には、ブリトル(brittle)にならず、適切な硬度を有する硬化性組成物の硬化物を確保することができる。
【0149】
本出願の一例による硬化性組成物において、ポリオール成分は、前記第1ポリオールおよび第2ポリオールと異なる他のポリオールをさらに含んでもよい。前記他のポリオールは、前述したオイル変性ポリオールまたは非オイル変性ポリオールであっても、これらの混合物であってもよい。
【0150】
本出願の一例による硬化性組成物は、フィラー成分を含んでもよい。前記硬化性組成物は、前述したポリオール成分と前記フィラー成分の組み合わせを通じて工程に適した粘度と揺変性を確保することができる。
【0151】
本出願の一例による硬化性組成物は、2.4s-1のせん断速度の条件で測定した粘度が25℃で400kcP以下であってもよい。前記硬化性組成物の粘度の上限は、390kcP、380kcP、370kcP、360kcP、350kcP、340kcP、330kcP、320kcP、310kcPまたは300kcP程度であってもよく、下限は、100kcP、105kcP、110kcP、115kcP、120kcP、125kcP、130kcPまたは135kcP程度であってもよい。前記硬化性組成物の粘度は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。
【0152】
本出願の一例による硬化性組成物は、下記一般式1によるチクソ性指数(thixotropic index、T.I.)が5以下であってもよい。前記硬化性組成物のチクソ性指数の上限は、4.9、4.8、4.7、4.6、4.5、4.4、4.3、4.2、4.1または4程度であってもよく、下限は、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6または2.7程度であってもよい。前記硬化性組成物のチクソ性指数は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。
【0153】
[一般式1]
チクソ性指数(T.I.)=V1/V2
一般式1中、V1は、25℃および0.24s-1の条件で測定した前記硬化性組成物の粘度であり、V2は、25℃および2.4s-1の条件で測定した前記硬化性組成物の粘度である。
【0154】
本出願の一例による硬化性組成物は、フィラー成分を全重量に対して70重量%以上~98重量%以下の範囲内に含んでもよい。前記フィラー成分の含有量の下限は、前記硬化性組成物の全重量に対して72重量%、74重量%、76重量%、78重量%、80重量%、82重量%、84重量%または86重量%程度であってもよく、前記フィラー成分の含有量の上限は、前記硬化性組成物の全重量に対して97重量%、96重量%、95重量%、94重量%、93重量%、92重量%または91重量%であってもよい。前記フィラー成分の含有量は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。前記フィラー成分の含有量を上記のように制御することによって、工程に適した粘度と揺変性を有し、優れた熱伝導度を有する硬化物を形成することができる。
【0155】
本出願の一例による硬化性組成物において、フィラー成分は、フィラーを含んでもよい。前記フィラーは、その種類、形態およびサイズなどは、当業界で使用されるものであれば、特に制限されるものではない。また、前記フィラー成分は、1種または2種以上のフィラーを含んでもよい。また、前記フィラー成分は、同一種類のフィラーを使用しても、形態または球形度などが異なるものが混合されたものであってもよく、粒子平均粒径が異なるものが混合されたものであってもよい。例えば、前記フィラー成分は、水酸化アルミニウムおよび酸化アルミニウム(アルミナ)が混合されたものであってもよく、前記水酸化アルミニウムと酸化アルミニウム形態と平均粒径は、互いに異なっていてもよい。
【0156】
本出願においてフィラーの粒子平均粒径は、フィラーのD50粒径であり、これは、ISO-13320規格に準拠してMarvern社のMASTERSIZER3000装備で測定した粒径である。測定時に溶媒としては、蒸留水を使用した。溶媒内分散したフィラーにより入射したレーザーが散乱し、前記散乱するレーザーの強度と方向性の値は、フィラーのサイズによって変わり、これをMie理論を利用して分析することによって、D50粒径を求めることができる。前記分析を通じて分散したフィラーと同じ体積を有する球の直径への換算を通じて分布を求め、これを通じて、分布の中間値であるD50値を求めて粒径を評価することができる。
【0157】
本出願においてフィラーの形態が球形というのは、球形度が約0.9以上であることを意味し得、非球形というのは、球形度が約0.9未満であることを意味し得る。前記球形度は、フィラーの粒子径分析を通じて確認することができる。具体的には、3次元粒子であるフィラーの球形度(sphericity)は、粒子の表面積(S)と当該粒子の同じ体積を有する球の表面積(S′)の割合(S′/S)と定義することができる。実際粒子については、一般的に円形度(circularity)を使用する。前記円形度は、実際粒子の2次元画像を求めて、イメージの境界(P)と同一のイメージと同じ面積(A)を有する円の境界の比で示し、下記数式で求める。
【0158】
<円形度数式>
円形度=4πA/P2
前記円形度は、0から1までの値で示し、完ぺきな円は、1の値を有し、不規則な形態の粒子であるほど1より低い値を有する。本出願における球形度の値は、Marvern社の粒子径分析装備(FPIA-3000)で測定された円形度の平均値で測定することができる。
【0159】
本出願の一例による硬化性組成物において、フィラー成分は、比重が3以下の第1フィラーおよび比重が3超過の第2フィラーを含んでもよい。本出願において前記フィラーの比重は、JIS Z2512(2012)の密度測定方法によって測定された値を基準とすることができる。前記硬化性組成物は、第1フィラーおよび第2フィラーを含むことによって、低比重特性と放熱性を同時に確保することができる。前記第1フィラーの比重の下限は、特に制限されるものではないが、0.5、0.6または0.7程度であってもよく、前記第1フィラーの比重は、3以下~上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限の間の範囲内であってもよい。また、前記第2フィラーの比重の上限は、特に制限されるものではないが、30、28、26、24、22または20程度であってもよく、前記第2フィラーの比重は、3超過~上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。また、前記第2フィラーの比重は、3.1以上~上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。
【0160】
本出願の一例による硬化性組成物において、フィラー成分は、第1フィラーを前記硬化性組成物の全重量に対して10重量%以上~80重量%の範囲内に含んでもよい。前記第1フィラーの含有量の上限は、前記硬化性組成物の全重量に対して75重量%、70重量%、65重量%、60重量%、55重量%または50重量%程度であってもよく、前記第1フィラーの含有量の下限は、前記硬化性組成物の全重量に対して11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%または16重量%程度であってもよい。前記第1フィラーの含有量は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。前記第1フィラーの含有量を上記のように制御することによって、低比重特性と放熱性を同時に確保することができ、Mil-Std-883 Method 1010またはJEDEC JESD22-A104による熱衝撃試験にも接着力の急激な上昇を防止することができる。また、前記第1フィラーの含有量を上記のように制御することによって、ハロゲン元素が含有された難燃剤およびリン(P)元素が含有された難燃剤を実質的に含まなくても、UL 94 V Testにより測定された結果がV-0等級を確保することができる。
【0161】
本出願の一例による硬化性組成物において、第1フィラーは、金属水酸化物であってもよい。前記金属水酸化物は、その種類が特に制限されるものではないが、水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウムからなる群から選択された1つ以上を含んでもよい。
【0162】
本出願の一例による硬化性組成物において、例えば、第1フィラーは、金属水酸化物であり、粒子平均粒径が60μm以下であってもよい。前記第1フィラーの粒子平均粒径の下限は、特に制限されないが、0.1μm、0.5μmまたは1μmであってもよい。前記第1フィラーの粒子平均粒径は、60μm以下~上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限の間の範囲内であってもよい。前記第1フィラーの粒子平均粒径を前記範囲とともに制御することによって、低比重特性と放熱性を同時に確保することができ、工程に適した吐出性と揺変性を示すことができる。
【0163】
本出願の一例による硬化性組成物において、第1フィラーは、粒子平均粒径が60μm以下のフィラーを1つまたは2つ以上含んでもよい。例えば、前記第1フィラーは、粒子平均粒径が1μm程度の金属水酸化物を含んでよいし、粒子平均粒径が1μm程度のフィラーと粒子平均粒径が50μm程度の金属水酸化物を含んでもよい。
【0164】
本出願の一例による硬化性組成物において、第1フィラーは、粒子平均粒径が前記第1フィラーの粒子平均粒径の下限のうち任意のいずれか1つの下限と10μm以下の範囲婦人第1金属水酸化物(O1)および粒子平均粒径が60μm以下~10μm超過である第2金属水酸化物(O2)を含んでもよい。前記第1フィラーは、第1金属水酸化物と第2金属水酸化物を含むことによって、低比重特性と放熱性を同時に確保することができ、工程に適した吐出性と揺変性を示すことができる。
【0165】
本出願の一例による硬化性組成物において、第1金属水酸化物(O1)および第2金属水酸化物(O2)の重量比(O1/O2)は、0.1~2の範囲内であってもよい。前記重量比(O1/O2)の上限は、1.8、1.6、1.4、1.2または1程度であってもよく、前記重量比(O1/O2)の下限は、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7または0.8程度であってもよい。前記重量比(O1/O2)は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。前記第1フィラーが第1金属水酸化物(O1)および第2金属水酸化物(O2)の重量比(O1/O2)を前述の範囲内に満たす場合には、低比重特性と放熱性を同時に確保することができ、工程に適した吐出性と揺変性を示すことができる。
【0166】
本出願の一例による硬化性組成物において、第1金属水酸化物の粒子平均粒径(D1)および第2金属水酸化物の粒子平均粒径(D2)の割合(D1/D2)は、0.005~0.1の範囲内であってもよい。前記粒子平均粒径の割合(D1/D2)の上限は、0.09、0.08、0.07または0.06程度であり、前記粒子平均粒径の割合(D1/D2)の下限は、0.01、0.015または0.02程度であってもよい。前記粒子平均粒径の割合(D1/D2)は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。前記粒子平均粒径の割合(D1/D2)を前述の範囲内に満たす場合には、低比重特性と放熱性を同時に確保することができ、工程に適した吐出性と揺変性を示すことができる。
【0167】
本出願の一例による硬化性組成物において、場合によって第1フィラーは、金属水酸化物であり、粒子平均粒径が60μm超過~200μmのフィラーを一種または二種以上で含んでもよい。また、前記第1フィラーは、金属水酸化物であり、粒子平均粒径が0.1μm以上~60μm以下のフィラーを一種または二種以上で含んでもよい。また、前記第1フィラーは、金属水酸化物であり、粒子平均粒径が60μm超過~200μmのフィラーと粒子平均粒径が0.1μm以上~60μm以下のフィラーを適切な割合で混合して含んでもよい。
【0168】
本出願の一例による硬化性組成物において、フィラー成分は、第2フィラーを第1フィラーの100重量部に対して50~800重量部の範囲内に含んでもよい。前記第2フィラーの含有量の上限は、第1フィラーの100重量部に対して750重量部、700重量部、650重量部、600重量部、550重量部、または500重量部程度であってもよく、前記第2フィラーの含有量の下限は、第1フィラーの100重量部に対して55重量部、60重量部、65重量部、70重量部、75重量部または80重量部程度であってもよい。前記第2フィラーの含有量は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。前記第2フィラーの含有量を上記のように制御することによって、低比重特性と放熱性を同時に確保することができる。
【0169】
本出願の一例による硬化性組成物において、第2フィラーは、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、銅、銀、鉄およびチタンからなる群から選択された1つ以上を含んでもよい。
【0170】
本出願の一例による硬化性組成物において、第2フィラーは、前述した種類に限定され、かつ、粒子平均粒径が65μm以上の第2Aフィラーを含んでもよい。前記第2Aフィラーの粒子平均粒径の上限は、特に制限されるものではないが、200μm、180μm、160μm、140μm、120μm、100μmまたは80μm程度であってもよい。前記第2Aフィラーの粒子平均粒径は、65μm以上~上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。前記第2フィラーが前記範囲の粒子平均粒径を有する第2Aフィラーを含むことによって、低比重特性と放熱性を同時に確保することができ、工程に適した吐出性と揺変性を示すことができる。
【0171】
本出願の一例による硬化性組成物において、第1フィラーの粒子平均粒径が前述したように60μm以下であり、前記第2フィラーが第2Aフィラーを含むと、さらに優れた低比重特性と放熱性を同時に確保することができ、工程に適した吐出性と揺変性を示すことができる。
【0172】
本出願の一例による硬化性組成物において、第2フィラーは、粒子平均粒径が65μm未満~10μm以上の第2Bフィラーをさらに含んでもよい。前記第2フィラーは、第2Bフィラーをさらに含むことによって、優れた放熱性を確保することができる。
【0173】
本出願の一例による硬化性組成物において、第2フィラーが第2Aフィラーおよび第2Bフィラーを含み、前記第2Aフィラー(X2A)および第2Bフィラー(X2B)の重量比(X2A/X2B)は、1~10の範囲内であってもよい。前記重量比(X2A/X2B)の上限は、9、8、7または6程度であってもよく、前記重量比(X2A/X2B)の下限は、2、3、4または5程度であってもよい。前記重量比(X2A/X2B)は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。前記第2フィラーが第2Aフィラー(X2A)および第2Bフィラー(X2B)の重量比(X2A/X2B)を前述の範囲内に満たす場合には、低比重特性と放熱性を同時に確保することができ、工程に適した吐出性と揺変性を示すことができる。
【0174】
本出願の一例による硬化性組成物において、第2フィラーが第2Aフィラーおよび第2Bフィラーを含み、前記第2Aフィラーの粒子平均粒径(D2A)および第2Bフィラーの粒子平均粒径(D2B)の割合(D2A/D2B)は、1~10の範囲内であってもよい。前記粒子平均粒径の割合(D2A/D2B)の上限は、9、8、7、6、5または4程度であってもよく、前記粒子平均粒径の割合(D2A/D2B)の下限は、1.5、2、2.5または3程度であってもよい。前記粒子平均粒径の割合(D2A/D2B)を前述の範囲内に満たす場合には、低比重特性と放熱性を同時に確保することができ、工程に適した吐出性と揺変性を示すことができる。
【0175】
本出願の一例による硬化性組成物において、第2フィラーは、場合によって前述した種類に限定され、かつ、粒子平均粒径が10μm未満の第2Cフィラーを含んでもよい。前記第2Cフィラーの粒子平均粒径の下限は、特に制限されるものではないが、0.01μm、0.05μm、0.1μm、0.5μmまたは1μm程度であってもよい。前記第2Cフィラーの粒子平均粒径は、10μm未満~上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限の間の範囲内であってもよい。
【0176】
本出願の一例による硬化性組成物において、第1フィラーおよび第2フィラーからなる群において1つ以上は、熱伝導性フィラーであってもよい。前記熱伝導性フィラーというのは、自体熱伝導度の下限が0.1W/mK、0.5W/mK、1W/mK、5W/mK、10W/mKまたは15W/mK程度であるか、前記自体熱伝導度の上限が特に制限されないが、400W/mK、380W/mK、350W/mK、320W/mKまたは300W/mK程度であり、前記自体熱伝導度が上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であるフィラーを意味し得る。この際、前記フィラーの自体熱伝導度は、ASTM E1461により測定されることができる。
【0177】
前記第1フィラーの熱伝導度は、下限が0.1W/mK、0.5W/mK、1W/mK、5W/mK、10W/mKまたは15W/mK程度であるか、前記自体熱伝導度の上限が、特に制限されないが、400W/mK、380W/mK、350W/mK、320W/mKまたは300W/mK程度であってもよい。前記第1フィラーの熱伝導度は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。
【0178】
前記第2フィラーの熱伝導度は、下限が1W/mK、5W/mK、10W/mKまたは15W/mK程度であるか、前記自体熱伝導度の上限が、特に制限されないが、400W/mK、380W/mK、350W/mK、320W/mKまたは300W/mK程度であってもよい。前記第1フィラーの熱伝導度は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。
【0179】
本出願の一例による硬化性組成物において、フィラー成分は、前記第1フィラーおよび第2フィラーと異なる第3フィラーをさらに含んでもよい。前記第3フィラーは、熱伝導性フィラーであってもよい。また、前記第3フィラーの種類は、特に制限されるものではないが、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、酸化ベリリウムまたは酸化チタンなどの金属酸化物フィラー;水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物フィラー;窒化ホウ素、窒化ケイ素または窒化アルミニウムなどの窒化物フィラー;炭化ケイ素などの炭化物フィラー;銅、銀、鉄、アルミニウムまたはニッケルなどの金属フィラー;および金属合金フィラーからなる群から選択された1つ以上を含んでもよい。また、第3フィラーの形態およびサイズなどは、当業界で使用されるものであれば、特に制限されるものではない。
【0180】
本出願の一例による硬化性組成物は、さらなる物性を確保するために、必要に応じて下記に例示された1種または2種以上の添加剤をさらに含んでもよい。ただし、前記添加剤は、当業界で一般的に使用できるものであればよく、必ず下記例示された添加剤に制限されるものではない。
【0181】
本出願の一例による硬化性組成物は、可塑剤をさらに含んでもよい。前記可塑剤の種類は、特に制限されるものではないが、例えばフタル酸化合物、リン酸化合物、アジピン酸化合物、セバシン酸化合物、クエン酸化合物、グリコール酸化合物、トリメリット酸化合物、ポリエステル化合物、エポキシ化大豆油、塩素化パラフィン、塩素化脂肪酸エステル、脂肪酸化合物、フェニル基が結合したスルホン酸基で置換された飽和脂肪族鎖を有する化合物(例えば、LANXESS社のmesamoll)および植物油のうちから1つ以上を選択して使用することができる。
【0182】
前記フタル酸化合物は、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジ-n-オクチルフタレート、ジ-2-エチルヘキシルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジノニルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジベンジルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、オクチルデシルフタレート、ブチルオクチルフタレート、オクチルベンジルフタレート、n-ヘキシルn-デシルフタレート、n-オクチルフタレートおよびn-デシルフタレートのうちから1つ以上が使用できる。前記リン酸化合物は、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェートおよびトリクロロエチルホスフェートのうちから1つ以上が使用できる。前記アジピン酸化合物は、ジブトキシエトキシエチルアジペート(DBEEA)、ジオクチルアジペート、ジイソオクチルアジペート、ジ-n-オクチルアジペート、ジデシルアジペート、ジイソノニルアジペート(DINA)、ジイソデシルアジペート(DIDP)、n-オクチルn-デシルアジペート、n-ヘプチルアジペートおよびn-ノニルアジペートのうちから1つ以上が使用できる。前記セバシン酸化合物は、ジブチルセバケート、ジオクチルセバケート、ジイソオクチルセバケートおよびブチルベンジルのうちから1つ以上が使用できる。前記クエン酸化合物は、トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリブチルシトレートおよびアセチルトリオクチルシトレートのうちから1つ以上が使用できる。前記グリコール酸化合物は、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレートおよびブチルフタリルエチルグリコレートのうちから1つ以上が使用できる。前記トリメリット酸化合物は、トリオクチルトリメリテートおよびトリ-n-オクチルn-デシルトリメリテートのうちから1つ以上が使用できる。前記ポリエステル化合物は、ブタンジオール、エチレングリコール、プロパン1,2-ジオール、プロパン1,3ジオール、ポリエチレングリコール、グリセロール、二酸(diacid)(アジピン酸、コハク酸、無水コハク酸のうちから選択される)およびヒドロキシ酸(例えば、ヒドロキシステアリン酸)のうちから選択されたジオールの反応生成物であってもよい。
【0183】
本出願の一例による硬化性組成物は、可塑剤をフィラー成分100重量部に対して0.1重量部以上~2重量部以下で含んでもよい。前記可塑剤の含有量の上限は、フィラー成分100重量部に対して1.9重量部、1.8重量部、1.7重量部、1.6重量部または1.5重量部程度であってもよく、前記可塑剤の含有量の下限は、フィラー成分100重量部に対して0.2重量部、0.3重量部、0.4重量部、0.5重量部、0.6重量部または0.7重量部程度であってもよい。前記可塑剤の含有量は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。
【0184】
本出願の一例による硬化性組成物は、分散剤をさらに含んでもよい。前記分散剤は、例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンおよび顔料誘導体などが使用できるが、当業界で公知になった分散剤であれば、制限なしで使用することができる。
【0185】
また、本出願の一例による硬化性組成物は、必要に応じて、粘度の調節、例えば粘度を高めたり、あるいは、低減するために、またはせん断力による粘度調節のために、粘度調節剤、例えば、揺変性付与剤、希釈剤またはカップリング剤などをさらに含んでもよい。揺変性付与剤は、せん断力による粘度を調節することができる。使用できる揺変性付与剤としては、フュームドシリカなどが例示できる。希釈剤は、通常粘度を低減するために使用されるものであり、上記のような作用を示すことができるものであれば、当業界で公知になった様々な種類のものを制限なしで使用することができる。カップリング剤の場合は、例えば、フィラー成分(例えば、アルミナなど)の分散性を改善するために使用でき、上記のような作用を示すことができるものであれば、当業界で公知になった様々な種類のものを制限なしで使用することができる。
【0186】
本出願の一例による硬化性組成物は、ポリオールと反応する硬化剤パーツをさらに含んでもよい。下記では、前記硬化性組成物を主剤パーツとし、同時に硬化剤パーツを含む組成物を2液型硬化性組成物と呼んで説明することとする。
【0187】
本出願の一例による2液型硬化性組成物は、主剤パーツおよび硬化剤パーツを含んでもよい。前記主剤パーツは、ポリオール成分および第1フィラー成分を含み、前記硬化剤パーツは、イソシアネート成分および第2フィラー成分を含む。
【0188】
本出願の一例による2液型硬化性組成物において、前記主剤パーツに前述した本出願の一例による硬化性組成物を適用することができる。すなわち、前述した本出願の一例による硬化性組成物のポリオール成分の内容を参照することができ、前記硬化性組成物のフィラー成分の内容を前記2液型硬化性組成物の第1フィラー成分に参照することができる。
【0189】
本出願の一例による2液型硬化性組成物は、硬化に参加する成分のうち少なくとも一部が物理的に分離して分けられて含まれている。前記2液型硬化性組成物またはその硬化物は、下記のような物性のうち少なくとも1つ以上の物性を有してもよい。下記の各物性は、独立したものであり、いずれか1つの物性が他の物性を優先せず、下記の物性のうち少なくとも1つまたは2つ以上を満たすことができる。下記の物性は、前記硬化性組成物またはその硬化物に含まれた各構成要素の組み合わせに起因する。
【0190】
本出願の一例による2液型硬化性組成物またはその硬化物は、特定の被着体に対して低い接着力を示すか、あるいは、低い接着力を示すことができる硬化物を形成することができる。このような硬化性組成物は、前記ポリウレタン組成物であってもよい。ポリウレタンは、様々な被着体に対し、優れた接着性を示すことができる接着素材と知られている。したがって、ポリウレタン組成物が被着体に対して低い接着力を示す方法としては、通常可塑剤などの接着力を低下させる成分を導入する方法が使用される。このような可塑剤などの成分を適用すると、ポリウレタン素材の接着力を低減することができるが、当該成分がポリウレタンで確保できた他の物性を低下させたり、ポリウレタン素材の使用過程で素材の外部に溶出するなどの問題が発生することがある。しかしながら、本出願では、可塑剤などの接着力低下成分の使用量を最小化しながらも、前記低い接着力をポリウレタン素材に対して達成することができる。したがって、本出願では、ポリウレタン素材の長所を取りながらも、用途に応じて要求されない高い接着力の問題を解決した素材を提供することができる。
【0191】
本出願の一例による2液型硬化性組成物またはその硬化物は、アルミニウムに対する接着力が1N/mm2以下であってもよい。前記硬化性組成物またはその硬化物のアルミニウムに対する接着力の上限は、他の例示において、0.1N/mm2、0.099N/mm2、0.098N/mm2、0.097N/mm2、0.096N/mm2、0.095N/mm2、0.094N/mm2、0.093N/mm2、0.092N/mm2、0.091N/mm2または0.09N/mm2であってもよい。前記硬化性組成物またはその硬化物のアルミニウムに対する接着力は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下であってもよい。本出願において前記アルミニウムに対する接着力の下限は、特に制限されない。一例示において前記アルミニウムに対する接着力は、0N/mm2以上または0N/mm2超過であってもよい。前記硬化性組成物は、アルミニウムに対して接着力が実質的に測定されない硬化性組成物であってもよく、実質的に測定されない硬化物を形成できる硬化性組成物であってもよい。したがって、前記アルミニウムに対する接着力は、0N/mm2以上または0N/mm2超過であり、かつ、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下であってもよい。硬化性組成物またはその硬化物のアルミニウムに対する接着力は、本明細書の実施例に記載された方式で測定することができる。
【0192】
本出願の一例による2液型硬化性組成物またはその硬化物は、ポリエステルに対する接着力が100gf/cm以下であってもよい。前記硬化性組成物またはその硬化物のポリエステルに対する接着力の上限は、他の例示において99.9gf/cm、99.8gf/cm、99.7gf/cm、99.6gf/cm、99.5gf/cm、99.4gf/cm、99.3gf/cm、99.2gf/cm、99.1gf/cmまたは99gf/cmであってもよい。前記硬化性組成物またはその硬化物のポリエステルに対する接着力は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下であってもよい。本出願において前記ポリエステルに対する接着力の下限は、特に制限されない。一例示において前記硬化性組成物またはその硬化物の前記ポリエステルに対する接着力の下限は、0gf/cm、2gf/cm、4gf/cm、6gf/cm、8gf/cm、10gf/cm、12gf/cm、14gf/cm、16gf/cm、18gf/cmまたは20gf/cm程度であってもよい。前記硬化性組成物またはその硬化物は、ポリエステルに対して接着力を実質的に示さなくてもよい。前記硬化性組成物またはその硬化物は、ポリエステルに対して接着力は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲であってもよい。硬化性組成物またはその硬化物のポリエステルに対する接着力は、本明細書の実施例に記載された方式で測定することができる。
【0193】
本出願の一例による2液型硬化性組成物またはその硬化物は、優れた熱伝導特性を示すことができる。例えば、前記硬化性組成物またはその硬化物の熱伝導度の下限は、2.0W/mK、2.1W/mK、2.2W/mK、2.3W/mK、2.4W/mK、2.5W/mK、2.6W/mK、2.7W/mK、2.8W/mK、2.9W/mK、3W/mK程度であってもよい。前記熱伝導度は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上であってもよい。前記熱伝導度の上限には特別な制限はない。例えば、前記硬化性組成物またはその硬化物は、熱伝導度の上限は、10W/mK、9W/mK、8W/mK、7W/mK、6W/mK、5W/mKまたは4W/mK程度であってもよい。前記熱伝導度は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲であってもよい。このような硬化性組成物またはその硬化物の熱伝導度は、後述する実施例に開示された方法で測定することができる。
【0194】
本出願の一例による2液型硬化性組成物またはその硬化物は、また、適切な硬度を示すことができる。例えば、硬化性組成物またはその硬化物の硬度が高すぎると、著しくブリトル(brittle)になって、問題が発生することがある。また、硬化性組成物またはその硬化物の硬度の調節を通じて、適用用途に応じて、耐衝撃性および耐振動性を確保し、製品の耐久性を確保することができる。硬化性組成物またはその硬化物のショア(shore)OOタイプにおける硬度の100、98、96、94、92または90であってもよい。前記ショアOOタイプ硬度は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下であってもよい。前記ショアOOタイプ硬度の下限は、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75または80であってもよい。前記ショアOOタイプ硬度は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上であってもよい。前記ショアOOタイプ硬度は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限と上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限の間の範囲内であってもよい。このような硬化性組成物またはその硬化物の硬度は、後述する実施例に開示された方法で測定することができる。
【0195】
本出願の一例による2液型硬化性組成物またはその硬化物は、また、適切な柔軟性を示すことができる。例えば、硬化性組成物またはその硬化物の柔軟性を所望のレベルに調節することによって適用用途を大きく拡大することができる。例えば、硬化性組成物またはその硬化物の曲率半径の上限は、20mm、19mm、18mm、17mm、16mm、15mm、14mm、13mm、12mm、11mm、10mmまたは9mm程度であってもよい。前記曲率半径は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下であってもよい。前記曲率半径の下限は、例えば、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mmまたは7mm程度であってもよい。前記曲率半径は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上であってもよい。前記曲率半径は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限と上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限の間の範囲内であってもよい。このような硬化性組成物またはその硬化物の曲率半径は、後述する実施例に開示された方法で測定することができる。
【0196】
本出願の一例による2液型硬化性組成物またはその硬化物は、絶縁性であってもよい。すなわち硬化性組成物は、絶縁性を有するか、および/または絶縁性を有する硬化物を形成することができる。例えば、硬化性組成物またはその硬化物は、ASTM D149に準拠して測定した絶縁破壊電圧の下限は、3kV/mm、5kV/mm、7kV/mm、10kV/mm、15kV/mmまたは20kV/mm程度であってもよい。前記絶縁破壊電圧は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上であってもよい。前記絶縁破壊電圧は、その数値が高いほど優れた絶縁性を有することを示すものであり、上限は、特に制限されるものではないが、硬化性組成物の組成などを考慮すると、前記絶縁破壊電圧の上限は、50kV/mm、45kV/mm、40kV/mm、35kV/mmまたは30kV/mm程度であってもよい。前記絶縁破壊電圧は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下であってもよい。上記のような絶縁破壊電圧は、硬化性組成物の絶縁性を調節して制御でき、例えば、前記組成物内に絶縁性フィラーを適用することによって達成することができる。一般的に、フィラーのうち、セラミックフィラーは、絶縁性を確保することができる成分と知られている。また、前記硬化性組成物の硬化物が上記のような電気絶縁性を確保できると、様々な素材、例えばバッテリーモジュールに含まれるケースやバッテリーセルなどに対して性能を維持しつつ、安定性を確保することができる。
【0197】
本出願の一例による2液型硬化性組成物またはその硬化物は、難燃性を有していてもよい。前記硬化性組成物またはその硬化物は、UL 94 V Test(Vertical Burning Test)でV-0等級を示すことができる。これによって、硬化性組成物の適用用途に応じて憂慮される火災およびその他事故に対する安定性を確保することができる。また、従来、前記難燃性を確保するために、一般的にハロゲン元素が含有された難燃剤、リン元素が含有された難燃剤およびこれらの組み合わせを通じて確保した。
【0198】
ただし、前記硬化性組成物またはその硬化物は、後述するポリオール成分とフィラー成分の適切な組み合わせを通じてハロゲン元素が含有された難燃剤およびリン(P)元素が含有された難燃剤を実質的に含まずに、UL 94 V Testにより測定された結果がV-0等級であってもよい。
【0199】
本出願の一例による2液型硬化性組成物またはその硬化物は、ハロゲンおよびリン元素の合算含有量は、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して0.3重量%以下であってもよい。前記ハロゲンおよびリン元素の合算含有量の上限は、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して0.29重量%、0.28重量%、0.27重量%、0.26重量%、0.25重量%、0.24重量%、0.23重量%、0.22重量%、0.21重量%または0.2重量%であってもよい。前記ハロゲンおよびリン元素の合算含有量は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下であってもよい。前記ハロゲンおよびリン元素の合算含有量の下限は、特に制限されるものではないが、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して0重量%(含まず)または0重量%超過であってもよい。前記硬化性組成物またはその硬化物は、ハロゲンおよびリン元素の合算含有量を通じてハロゲン元素が含有された難燃剤およびリン元素が含有された難燃剤を実質的に含まないという点を確認することができる。前記ハロゲンおよびリン元素の合算含有量は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上であってもよい。前記ハロゲンおよびリン元素の合算含有量は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限と上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限の間の範囲内であってもよい。
【0200】
本出願の一例による2液型硬化性組成物またはその硬化物の前記ハロゲン元素の含有量、リン元素の含有量およびハロゲン元素とリン元素の合算含有量は、ICP分析方法を通じて測定することができる。本出願の一例による2液型硬化性組成物またはその硬化物は、ハロゲン元素の含有量は、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して0.3重量%以下であってもよい。前記ハロゲン元素の含有量の上限は、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して0.29重量%、0.28重量%、0.27重量%、0.26重量%、0.25重量%、0.24重量%、0.23重量%、0.22重量%、0.21重量%または0.2重量%であってもよい。前記ハロゲン元素の含有量は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下であってもよい。前記ハロゲン元素の含有量の下限は、特に制限されるものではないが、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して0重量%(含まず)または0重量%超過であってもよい。前記硬化性組成物またはその硬化物は、ハロゲン元素の含有量を通じてハロゲン元素が含有された難燃剤を実質的に含まないという点を確認することができる。前記ハロゲンの含有量は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上であってもよい。前記ハロゲンの含有量は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限と上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限の間の範囲内であってもよい。
【0201】
本出願の一例による2液型硬化性組成物またはその硬化物は、リン元素の含有量は、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して0.3重量%以下であってもよい。前記リン元素の含有量の上限は、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して0.29重量%、0.28重量%、0.27重量%、0.26重量%、0.25重量%、0.24重量%、0.23重量%、0.22重量%、0.21重量%または0.2重量%であってもよい。前記リン元素の含有量は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下であってもよい。前記リン元素の含有量の下限は、特に制限されるものではないが、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して0重量%(含まず)または0重量%超過であってもよい。前記硬化性組成物またはその硬化物は、リン元素の含有量を通じてリン元素が含有された難燃剤を実質的に含まないという点を確認することができる。前記リンの含有量は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上であってもよい。前記リンの含有量は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限と上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限の間の範囲内であってもよい。
【0202】
本出願の一例による2液型硬化性組成物またはその硬化物は、ハロゲン元素を含有する難燃剤およびリン元素を含有する難燃剤の合算含有量は、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して1重量%以下であってもよい。前記ハロゲン元素を含有する難燃剤およびリン元素を含有する難燃剤の合算含有量の上限は、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して0.9重量%、0.8重量%、0.7重量%、0.6重量%、0.5重量%、0.4重量%、0.3重量%、0.2重量%、0.1重量%、0.01重量%または0.001重量%であってもよい。前記ハロゲン元素を含有する難燃剤およびリン元素を含有する難燃剤の合算含有量は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下であってもよい。前記ハロゲン元素を含有する難燃剤およびリン元素を含有する難燃剤の合算含有量の下限は、特に制限されるものではないが、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して0重量%(含まず)または0重量%超過であってもよい。前記ハロゲン元素を含有する難燃剤およびリン元素を含有する難燃剤の合算含有量は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上であってもよい。前記ハロゲン元素を含有する難燃剤およびリン元素を含有する難燃剤の合算含有量は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限と上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限の間の範囲内であってもよい。
本出願の一例による2液型硬化性組成物またはその硬化物は、ハロゲン元素を含有する難燃剤の含有量は、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して1重量%以下であってもよい。前記ハロゲン元素を含有する難燃剤の含有量の上限は、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して0.9重量%、0.8重量%、0.7重量%、0.6重量%、0.5重量%、0.4重量%、0.3重量%、0.2重量%、0.1重量%、0.01重量%または0.001重量%であってもよい。前記ハロゲン元素を含有する難燃剤の含有量は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下であってもよい。前記ハロゲン元素を含有する難燃剤の含有量の下限は、特に制限されるものではないが、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して0重量%(含まず)または0重量%超過であってもよい。前記ハロゲン元素を含有する難燃剤の含有量は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上であってもよい。前記ハロゲン元素を含有する難燃剤の含有量は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限と上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限の間の範囲内であってもよい。
【0203】
本出願の一例による2液型硬化性組成物またはその硬化物は、リン元素を含有する難燃剤の含有量は、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して1重量%以下であってもよい。前記リン元素を含有する難燃剤の含有量の上限は、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して0.9重量%、0.8重量%、0.7重量%、0.6重量%、0.5重量%、0.4重量%、0.3重量%、0.2重量%、0.1重量%、0.01重量%または0.001重量%であってもよい。前記リン元素を含有する難燃剤の含有量は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下であってもよい。前記リン元素を含有する難燃剤の含有量の下限は、特に制限されるものではないが、前記硬化性組成物または硬化物の全含有量に対して0重量%(含まず)または0重量%超過であってもよい。前記リン元素を含有する難燃剤の含有量は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上であってもよい。前記リン元素を含有する難燃剤の含有量は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限と上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限の間の範囲内であってもよい。
【0204】
本出願の一例による2液型硬化性組成物またはその硬化物は、比重が3以下であってもよい。前記比重の上限は、2.99、2.98、2.97または2.96であってもよい。前記比重の上限は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下であってもよい。上記のような比重は、比重が低いフィラーを適用および/または表面処理されたフィラーを適用することによって達成することができる。また、前記比重は、その数値が低いほど応用製品の軽量化に有利になるので、その下限は、特に制限されない。例えば、前記比重は、約1.5以上または2以上であってもよい。前記比重は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上であってもよい。前記比重は、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限と上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限の間の範囲内であってもよい。
【0205】
本出願の一例による2液型硬化性組成物またはその硬化物は、前述したように、熱界面材料などに使用でき、例えばバッテリーを急速充電するときに発生する熱を迅速に放熱して火災などの危険を減少させることができる。しかしながら、放熱性能を具現するために、一般的に高比重の熱伝導性のフィラーを過量適用することになるが、この場合、バッテリーの重さが増加し、結局、前記バッテリーを適用した製品の重さも増加する。特に、電気自動車に適用される場合には、自動車の燃費などに不利になる。したがって、前記硬化性組成物またはその硬化物が低い比重を有するためには、前述した高比重のフィラーの含有量を減少させなければならない。しかしながら、高比重のフィラーを減少させる場合、放熱性能が低くなるので、蓄積された熱による火災などの防止が困難になる。すなわち、低い比重と高い熱伝導度は、互いにトレードオフ(trade-off)関係にある。
【0206】
本出願の一例による2液型硬化性組成物またはその硬化物は、後述するフィラー成分の適切な組み合わせを通じて前記トレードオフ関係でも低比重特性と放熱性を同時に確保することができる。
【0207】
本出願の一例による硬化性組成物は、硬化過程または硬化した後に低い収縮率を有していてもよい。これを通じて、適用過程で発生しうる剥離や空隙の発生などを防止することができる。前記収縮率は、前述した効果を示すことができる範囲で適切に調節することができ、例えば、5%未満、3%未満または約1%未満であってもよい。前記収縮率は、その数値が低いほど有利になるので、その下限は、特に制限されない。
【0208】
本出願の一例による2液型硬化性組成物またはその硬化物は、低い熱膨張係数(CTE)を有してもよい。これを通じて、適用や使用過程で発生しうる剥離や空隙の発生などを防止することができる。前記熱膨張係数は、前述した効果を示すことができる範囲で適切に調節することができ、例えば、300ppm/K未満、250ppm/K未満、200ppm/K未満、150ppm/K未満または約100ppm/K未満であってもよい。前記熱膨張係数は、その数値が低いほど有利になるので、その下限は、特に制限されない。
【0209】
本出願の一例による2液型硬化性組成物またはその硬化物は、また、熱重量分析(TGA)における5%重量減少(5% weight loss)温度が400℃以上であってもよく、800℃残量が70重量%以上であってもよい。このような特性によって高温安定性をさらに改善することができる。前記800℃残量は、他の例示において約75重量%以上、約80重量%以上、約85重量%以上または約90重量%以上であってもよい。前記800℃残量は、他の例示において約99重量%以下であってもよい。前記熱重量分析(TGA)は、60cm3/分の窒素(N2)雰囲気下で20℃分の昇温速度で25℃~800℃の範囲内で測定することができる。前記熱重量分析(TGA)結果も、硬化性組成物の組成の調節を通じて達成することができる。例えば、800℃残量は、通常当該硬化性組成物に含まれるフィラーの種類や割合によって左右され、過量のフィラーを含むと、前記残量は増加する。
【0210】
本出願の一例による2液型硬化性組成物において、硬化剤パーツに含まれるイソシアネート成分は、全重量に対してイソシアネート化合物を55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、99重量%以上または100重量%で含んでもよい。
【0211】
本出願において使用する用語であるイソシアネート化合物は、イソシアネート基の個数の下限が1分子当たり1個または2個程度の化合物を意味し得る。また、前記イソシアネートの前記イソシアネート個数の上限は、特に制限されないが、1分子当たり10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個または3個程度であってもよい。前記イソシアネート化合物が含むイソシアネート基の個数は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。本出願では、前記イソシアネート化合物のイソシアネート基が1分子当たり1個である場合、前記イソシアネート化合物は、単官能イソシアネート化合物といえる。また、前記イソシアネート化合物のイソシアネート基が1分子当たり2個以上である場合、前記イソシアネート化合物は、ポリイソシアネート化合物といえる。主剤パーツ内のポリオール成分と反応してポリウレタン樹脂を形成しようとする観点から、前記イソシアネート化合物は、ポリイソシアネート化合物であることが適切である。また、前記イソシアネート化合物は、イソシアネート基の個数によって呼称することができ、例えば二官能イソシアネート化合物あるいはジイソシアネート(diisocyanate)化合物(2個のイソシアネート基を有する)などと呼称することができる。
【0212】
本出願の一例による2液型硬化性組成物において、イソシアネート化合物の種類は、特に制限されないが、目的とする物性の確保のために芳香族基を含まない非芳香族ポリイソシアネートを使用することができる。また、本出願の一例による2液型硬化性組成物において、イソシアネート化合物は、主剤組成物に含まれたポリオール成分の組み合わせを考慮するとき、目的とする物性の確保のために、芳香族基を含まない非芳香族ポリイソシアネートのうちイソシアネート基が3個以上の非芳香族ポリイソシアネートを使用することがさらに適している。
【0213】
前記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルへキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートメチル、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネートまたはテトラメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート;トランスシクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンジイソシアネートまたはジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネート;または前記のうちいずれか1つ以上のカルボジイミド変性ポリイソシアネートやイソシアヌレート変性ポリイソシアネートなどが使用できる。また、ポリイソシアネートとしては、上述したジイソシアネートとポリオール(例えば、トリメチロールプロパンなど)との付加反応物を使用してもよい。また、前記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、上述したジイソシアネートのトリマー(trimer)などが使用できる。また、前記羅列された化合物のうち2以上の混合物が使用できる。
【0214】
本出願の一例による2液型硬化性組成物において、硬化剤パーツは、イソシアネート成分を前記硬化剤パーツ全重量に対して1重量%~10重量%の範囲内に含んでもよい。前記イソシアネート成分の含有量の上限は、前記硬化剤パーツ全重量に対して9重量%、8重量%、7重量%または6重量%程度であってもよく、前記イソシアネート成分の含有量の下限は、1.5重量%、2重量%、2.5重量%、3重量%または3.5重量%程度であってもよい。前記イソシアネート成分の含有量は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。
【0215】
本出願の一例による2液型硬化性組成物において、硬化剤パーツは、第2フィラー成分を含んでもよい。前記硬化剤パーツは、前述したイソシアネート成分と前記第2フィラー成分の組み合わせを通じて工程に適した粘度と揺変性を確保することができる。
【0216】
本出願の一例による2液型硬化性組成物において、硬化剤パーツは、2.4s-1のせん断速度の条件で測定した粘度が25℃で390kcP以下であってもよい。前記硬化剤パーツの粘度の上限は、380kcP、370kcP、360kcP、350kcP、340kcP、330kcP、320kcP、310kcPまたは300kcP程度であってもよく、下限は、90kcP、100kcP、105kcP、110kcP、115kcP、120kcP、125kcP、130kcPまたは135kcP程度であってもよい。前記硬化剤パーツの粘度は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。
【0217】
本出願の一例による2液型硬化性組成物において、硬化剤パーツは、下記一般式2によるチクソ性指数(thixotropic index、T.I.)が10以下であってもよい。前記硬化剤パーツのチクソ性指数の上限は、9、8または7程度であってもよく、前記硬化剤パーツのチクソ性指数の下限は、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7または2.8程度であってもよい。前記硬化剤パーツのチクソ性指数は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。
【0218】
[一般式2]
チクソ性指数(T.I.)=V3/V4
一般式2中、V3は、25℃および0.24s-1の条件で測定した前記硬化剤パーツの粘度であり、V4は、25℃および2.4s-1の条件で測定した前記硬化剤パーツの粘度である。
【0219】
本出願の一例による2液型硬化性組成物において、硬化剤パーツは、第2フィラー成分をイソシアネート成分100重量部に対して1,000重量部以上~3,000重量部以下の範囲内に含んでもよい。前記第2フィラー成分の含有量の下限は、前記イソシアネート成分100重量部に対して1,100重量部、1,200重量部、1,300重量部、1,400重量部、1,500重量部、1,600重量部または1,700重量部程度であってもよく、前記第2フィラー成分の含有量の上限は、前記イソシアネート成分100重量部に対して2,900重量部、2,800重量部、2,700重量部、2,600重量部、2,500重量部または2,400重量部程度であってもよい。前記第2フィラー成分の含有量は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。前記第2フィラー成分の含有量を上記のように制御することによって、工程に適した粘度と揺変性を有し、優れた熱伝導度を有する硬化物を形成することができる。
【0220】
本出願の一例による2液型硬化性組成物において、硬化剤パーツの第2フィラー成分は、フィラーを含んでもよい。前記フィラーは、その種類、形態およびサイズなどは、当業界で使用されるものであれば、特に制限されるものではない。また、前記フィラー成分は、1種または2種以上のフィラーを含んでもよい。また、前記フィラー成分は、同一種類のフィラーを使用しても、形態または球形度などが異なるものが混合されたものであってもよく、粒子平均粒径が異なるものが混合されたものであってもよい。
【0221】
本出願の一例による2液型硬化性組成物において、硬化剤パーツの第2フィラー成分は、比重が3超過の第2フィラーを含んでもよい。前記第2フィラーの比重の上限は、特に制限されるものではないが、30、28、26、24、22または20程度であってもよい。また、前記第2フィラーの比重は、3超過~上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。また、前記第2フィラーの比重は、3.1以上~上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。
【0222】
本出願の一例による2液型硬化性組成物において、硬化剤パーツの第2フィラー成分は、必要に応じて比重が3以下の第1フィラーを含んでもよい。前記第1フィラーの比重の下限は、特に制限されるものではないが、0.5、0.6または0.7程度であってもよく、前記第1フィラーの比重は、3以下~上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限の間の範囲内であってもよい。
【0223】
本出願の一例による2液型硬化性組成物において、硬化剤パーツの第2フィラー成分は、1つ以上の熱伝導性フィラーを含んでもよい。また、前記第2フィラー成分に含まれるフィラーの種類は、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、酸化ベリリウムまたは酸化チタンなどの金属酸化物フィラー;水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物フィラー;窒化ホウ素、窒化ケイ素または窒化アルミニウムなどの窒化物フィラー;炭化ケイ素などの炭化物フィラー;銅、銀、鉄、アルミニウムまたはニッケルなどの金属フィラー;および金属合金フィラーからなる群から選択された1つ以上を含んでもよい。また、第3フィラーの形態およびサイズなどは、当業界で使用されるものであれば、特に制限されるものではない。
【0224】
本出願の一例による2液型硬化性組成物において、硬化剤パーツは、さらなる物性を確保するために、必要に応じて下記に例示された1種または2種以上の添加剤をさらに含んでもよい。ただし、前記添加剤は、当業界で一般的に使用できるものであればよく、必ず下記例示された添加剤に制限されるものではない。
【0225】
本出願の一例による2液型硬化性組成物において、硬化剤パーツは、可塑剤をさらに含んでもよい。前記可塑剤の種類は、特に制限されるものではないが、例えばフタル酸化合物、リン酸化合物、アジピン酸化合物、セバシン酸化合物、クエン酸化合物、グリコール酸化合物、トリメリット酸化合物、ポリエステル化合物、エポキシ化大豆油、塩素化パラフィン、塩素化脂肪酸エステル、脂肪酸化合物、フェニル基が結合したスルホン酸基で置換された飽和脂肪族鎖を有する化合物(例えば、LANXESS社のmesamoll)および植物油のうちから1つ以上を選択して使用することができる。
【0226】
前記フタル酸化合物は、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジ-n-オクチルフタレート、ジ-2-エチルヘキシルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジノニルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジベンジルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、オクチルデシルフタレート、ブチルオクチルフタレート、オクチルベンジルフタレート、n-ヘキシルn-デシルフタレート、n-オクチルフタレートおよびn-デシルフタレートのうちから1つ以上が使用できる。前記リン酸化合物は、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェートおよびトリクロロエチルホスフェートのうちから1つ以上が使用できる。前記アジピン酸化合物は、ジブトキシエトキシエチルアジペート(DBEEA)、ジオクチルアジペート、ジイソオクチルアジペート、ジ-n-オクチルアジペート、ジデシルアジペート、ジイソノニルアジペート(DINA)、ジイソデシルアジペート(DIDP)、n-オクチルn-デシルアジペート、n-ヘプチルアジペートおよびn-ノニルアジペートのうちから1つ以上が使用できる。前記セバシン酸化合物は、ジブチルセバケート、ジオクチルセバケート、ジイソオクチルセバケートおよびブチルベンジルのうちから1つ以上が使用できる。前記クエン酸化合物は、トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリブチルシトレートおよびアセチルトリオクチルシトレートのうちから1つ以上が使用できる。前記グリコール酸化合物は、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレートおよびブチルフタリルエチルグリコレートのうちから1つ以上が使用できる。前記トリメリット酸化合物は、トリオクチルトリメリテートおよびトリ-n-オクチルn-デシルトリメリテートのうちから1つ以上が使用できる。前記ポリエステル化合物は、ブタンジオール、エチレングリコール、プロパン1,2-ジオール、プロパン1,3ジオール、ポリエチレングリコール、グリセロール、二酸(diacid)(アジピン酸、コハク酸、無水コハク酸のうちから選択される)およびヒドロキシ酸(例えば、ヒドロキシステアリン酸)うちから選択されたジオールの反応生成物であってもよい。
【0227】
本出願の一例による2液型硬化性組成物において、硬化剤パーツは、可塑剤をイソシアネート成分100重量部に対して50重量部以上~200重量部以下で含んでもよい。前記可塑剤の含有量の上限は、イソシアネート成分100重量部に対して190重量部、180重量部、170重量部、160重量部、150重量部、140重量部、130重量部または120重量部程度であってもよく、前記可塑剤の含有量の下限は、イソシアネート成分60重量部に対して70重量部、80重量部または90重量部程度であってもよい。前記可塑剤の含有量は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。
【0228】
本出願の一例による2液型硬化性組成物において、硬化剤パーツは、分散剤をさらに含んでもよい。前記分散剤は、例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンおよび顔料誘導体などが使用できるが、当業界で公知になった分散剤であれば、制限なしで使用することができる。
【0229】
本出願の一例による2液型硬化性組成物において、硬化剤パーツは、必要に応じて粘度の調節、例えば粘度を高めたり、あるいは、低減するために、またはせん断力による粘度調節のために粘度調節剤、例えば、揺変性付与剤、希釈剤またはカップリング剤などをさらに含んでもよい。揺変性付与剤は、せん断力による粘度を調節することができる。使用できる揺変性付与剤としては、フュームドシリカなどが例示できる。希釈剤は、通常粘度を低減するために使用されるものであり、上記のような作用を示すことができるものであれば、当業界で公知になった様々な種類のものを制限なしで使用することができる。カップリング剤の場合は、例えば、フィラー成分(例えば、アルミナなど)の分散性を改善するために使用でき、上記のような作用を示すことができるものであれば、当業界で公知になった様々な種類のものを制限なしで使用することができる。
【0230】
本出願の一例による2液型硬化性組成物において、主剤パーツの第1フィラー成分および硬化剤パーツの第2フィラー成分の合算含有量は、前記2液型硬化性組成物の全重量に対して70重量%以上~98重量%以下の範囲内に含んでもよい。前記第1フィラー成分および第2フィラー成分の合算含有量の下限は、前記2液型硬化性組成物の全重量に対して72重量%、74重量%、76重量%、78重量%、80重量%、82重量%、84重量%または86重量%程度であってもよく、前記第1フィラー成分および第2フィラー成分の合算含有量の上限は、前記2液型硬化性組成物の全重量に対して97重量%、96重量%、95重量%、94重量%、93重量%、92重量%または91重量%であってもよい。前記第1フィラー成分および第2フィラー成分の合算含有量は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。前記第1フィラー成分および第2フィラー成分の合算含有量を上記のように制御することによって、工程に適した粘度と揺変性を有し、優れた熱伝導度を有する硬化物を形成することができる。
【0231】
本出願の一例による2液型硬化性組成物において、主剤パーツの第1フィラー成分および硬化剤パーツの第2フィラー成分からなる群から選択された1つ以上は、比重が3以下の第1フィラーを含んでもよい。前記第1フィラーの比重の下限は、特に制限されるものではないが、0.5、0.6または0.7程度であってもよく、前記第1フィラーの比重は、3以下~上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限の間の範囲内であってもよい。
【0232】
本出願の一例による2液型硬化性組成物において、前記第1フィラーを前記2液型硬化性組成物の全重量に対して5重量%以上~60重量%以下の範囲内に含んでもよい。前記第1フィラーの含有量の上限は、前記2液型硬化性組成物の全重量に対して59重量%、58重量%、57重量%、56重量%、55重量%、54重量%、53重量%、52重量%、51重量%、50重量%、49重量%、48重量%、47重量%、46重量%、45重量%または44重量%程度であってもよく、前記第1フィラーの含有量の下限は、5.2重量%、5.4重量%、5.6重量%、5.8重量%、6重量%、6.2重量%、6.4重量%、6.6重量%、6.8重量%、7重量%、7.2重量%または7.4重量%程度であってもよい。前記第1フィラーの含有量は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。前記第1フィラーの含有量を上記のように制御し、前述したポリオールおよびイソシアネート化合物などを組み合わせることによって、ハロゲン元素が含有された難燃剤およびリン(P)元素が含有された難燃剤を実質的に含まなくても、UL 94 V Testにより測定された結果がV-0等級を確保することができる。また、前記第1フィラーの含有量が前記範囲に満たない場合には、ハロゲン元素が含有された難燃剤およびリン(P)元素が含有された難燃剤の使用なしに難燃性の確保が難しい場合がある。また、第1フィラーの含有量を上記のように制御し、前述したポリオールおよびイソシアネート化合物などを組み合わせることによって、低比重特性と放熱性を同時に確保することができ、Mil-Std-883 Method 1010またはJEDEC JESD22-A104による熱衝撃試験にも接着力の急激な上昇を防止することができる。
【0233】
本出願の一例による2液型硬化性組成物において、主剤パーツの第1フィラー成分および硬化剤パーツの第2フィラー成分からなる群から選択された1つ以上は、比重が3超過の第2フィラーを含んでもよい。前記第2フィラーの比重の上限は、特に制限されるものではないが、30、28、26、24、22または20程度であってもよく、前記第2フィラーの比重は、3超過~上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。また、前記第2フィラーの比重は、3.1以上~上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。
【0234】
本出願の一例による2液型硬化性組成物は、第1フィラーおよび第2フィラーを含んでもよい。前記2液型硬化性組成物は、第2フィラーを第1フィラーの100重量部に対して100重量部~2,000重量部の範囲内に含んでもよい。前記第2フィラーの含有量の下限は、第1フィラーの100重量部に対して105重量部、110重量部、115重量部、120重量部または125重量部程度であってもよく、前記第2フィラーの含有量の上限は、1,900重量部、1,800重量部、1,700重量部、1,600重量部、1,500重量部、1,400重量部または1,300重量部程度であってもよい。前記第2フィラーの含有量は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。前記第2フィラーの含有量を上記のように制御することによって、低比重特性と放熱性を同時に確保することができる。
【0235】
本出願の一例による2液型硬化性組成物は、主剤パーツ(VA)と硬化剤パーツ(VB)の体積比(VA/VB)が0.5以上~2以下の範囲内であってもよい。前記体積比(VA/VB)の上限は、1.8、1.6、1.4または1.2程度であってもよく、前記体積比(VA/VB)の下限は、0.6、0.7、0.8、0.9または1程度であってもよい。前記体積比(VA/VB)は、上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限以上、上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限以下または上述した下限のうち任意のいずれか1つの下限と上述した上限のうち任意のいずれか1つの上限の間の範囲内であってもよい。
【0236】
本出願の一例による装置は、発熱性素子と、該発熱性素子と熱的接触する熱伝達体と、を含み、前記熱伝達体は、硬化性組成物の硬化物を含んでもよい。また、前記装置の熱伝達体は、主剤パーツおよび硬化剤パーツを含む2液型硬化性組成物の硬化物を含んでもよい。すなわち、前記装置の熱伝達体は、硬化性組成物の硬化物および伝達体は、主剤パーツおよび硬化剤パーツを含む2液型硬化性組成物からなる群から選択された1つ以上を含んでもよい。本出願において使用する用語である熱的接触は、前記硬化性組成物の硬化物が発熱性素子と物理的に直接接触して前記発熱性素子で発生した熱を放熱したり、前記硬化性組成物の硬化物が発熱性素子と直接接触しなくても(すなわち、硬化性組成物の硬化物と発熱性素子の間に別途の層が存在)、前記発熱性素子で発生した熱を放熱することを意味する。
【0237】
本出願の一例による装置は、例えばアイロン、洗濯機、乾燥機、衣類管理機、電気シェーバー、電子レンジ、電気オーブン、電気炊飯器、冷蔵庫、食洗機、エアコン、扇風機、加湿器、空気清浄機、携帯電話、無線機、テレビ、ラジオ、コンピュータ、ノートパソコンなど様々な電気製品および電子製品または二次電池などのバッテリーなどがあり、前記硬化性組成物の硬化物は、前記装置で発生する熱を放熱させることができる。特に、バッテリーセルが集まって1つのバッテリーモジュールを形成し、複数のバッテリーモジュールが集まって1つのバッテリーパックを形成して製造する電気自動車のバッテリーにおいて、バッテリーモジュールを連結する素材として本出願の硬化性組成物を用いることができる。バッテリーモジュールを連結する素材として本出願の硬化性組成物が用いられる場合、バッテリーセルで発生する熱を放熱し、外部衝撃と振動からバッテリーセルを固定させる役割をすることができる。
【0238】
本出願の一例による装置は、また、前記発熱性素子で発生した熱を、熱伝達体を介して放熱することができ、前記熱を冷却部位に伝達することができる。前記冷却部位は、熱伝達体と熱的接触していてもよく、発熱性素子に比べて温度が低くてもよい。前記冷却部位は、冷却水など媒体により発熱性素子の温度に比べて低い温度を有する部位を意味したり、前記発熱性素子の温度に比べて低い空気領域などを意味し得る。
【発明の効果】
【0239】
本出願は、低い密度を有し、高い熱伝導度を示しながらも、所定の被着体に対して低い接着力を示す硬化性組成物または熱界面材料を提供することができる。
【0240】
本出願は、また、ハロゲン難燃剤およびリン系難燃剤を使用しないか、または使用してもその使用比率を最小化した状態で優れた難燃性を確保し、工程に適した吐出性と揺変性を示す硬化性組成物または熱界面材料を提供することができる。
【0241】
本出願は、また、前記硬化性組成物、前記硬化性組成物の硬化物または熱界面材料を含む製品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0242】
以下、実施例および比較例に基づいて本発明を説明するが、本発明の範囲が下記提示された内容によって限定されるものではない。
【0243】
製造例1.
下記化学式Aのポリオール(A)は、下記のような方式で製造した。
【0244】
【0245】
化学式A中、nとmは、それぞれ0超過であり、その合計(n+m)は、約4.8である。
ポリカプロラクトンポリオール(Perstorp社、Capa 3031)と飽和脂肪酸であるイソノナン酸(isononanoic acid)を1:0.53の重量比(Capa 3031:イソノナン酸)で混合した。次に、触媒(Tin(II)2-ethylhexanoate(Sigma-Aldrich社))を前記混合物100重量部に対して0.1重量部で添加し、不活性気体パージ(purge)条件下、150℃で30分間撹拌しつつ維持した。次に、共沸溶液であるキシレン(xylene)を少量投入し、温度を200℃で昇温し、3時間以上反応させた後、80Torr以下に減圧し、キシレンおよび未反応物を除去した。反応物を冷却後、ろ過して、二官能ポリオールであり、重量平均分子量が約876g/molである目的物(化学式Aの化合物)を得た。
【0246】
下記実施例および比較例において、主剤パーツに含まれる第1フィラー成分は、フィラー成分(F1)で表され得、硬化剤パーツに含まれる第2フィラー成分は、フィラー成分(F2)で表され得る。また、主剤パーツと硬化剤パーツが混合されたものを最終硬化性組成物で表示し、前記最終硬化性組成物に含まれたフィラー成分(F1+F2)は、第1フィラー成分と第2フィラー成分が含まれたものである。
【0247】
実施例1.
主剤パーツの製造
ポリオール成分(P)、フィラー成分(F1)および可塑剤(Pc、愛敬油化社、diisononyl adipate)を9.8:89.1:1.1(P:F1:Pc)の重量比で混合して、主剤パーツ(VA)を製造した。
【0248】
前記ポリオール成分(P)は、前記製造例1のポリオール(A)と三官能ポリエステルポリオール(供給社:Kuraray社、製品名:F-2010、重量平均分子量:2,000g/mol)を9:1(A:F-2010)の重量比で混合したものである。
【0249】
前記フィラー成分(F1)は、粒子平均粒径が約70μmの球状アルミナ(F11)、粒子平均粒径が約20μmの球状アルミナ(F12)および粒子平均粒径が約1μmの水酸化アルミニウム(F13)を70:12:18(F11:F12:F13)の重量比で混合したものである。
【0250】
硬化剤パーツの製造
イソシアネート成分(H、Vencorex社、Tolonate HDT-LV2)、フィラー成分(F2)および可塑剤(Pc、愛敬油化社、diisononyl adipate)を3.9:91.7:4.4(H:F2:Pc)の重量比で混合して、硬化剤パーツ(VB)を製造した。前記Tolonate HDT-LV2は、ヘキサメチレンジイソシアネートトリマー(Hexamethylene diisocyanate Trimer)に該当する。
【0251】
前記フィラー成分(F2)は、粒子平均粒径が約70μmの球状アルミナ(F21)、粒子平均粒径が約20μmの球状アルミナ(F22)および粒子平均粒径が約1μmのアルミナ(F23)を60:10:30(F21:F22:F23)の重量比で混合したものである。
【0252】
最終硬化性組成物の製造
前記製造された主剤パーツ(VA)と硬化剤パーツ(VB)をスタティックミキサー(static mixer)に1:1(VA:VB)の体積比で添加し、混合して、最終硬化性組成物を製造した。前記硬化性組成物は、フィラー成分(F1+F2)を全重量に対して約89重量%程度含み、水酸化アルミニウムを硬化性組成物の全重量に対して約7.4重量%で含んでいた。また、前記硬化性組成物は、アルミナを水酸化アルミニウム100重量部に対して約1,107重量部で含んでいた。また、下記の物性測定方法によってICP(Inductively coupled plasma)で測定したハロゲンおよびリン(P)元素の合算含有量は、硬化性組成物の全重量に対して0.2重量%以下であることが示された。
【0253】
実施例2.
主剤パーツの製造
ポリオール成分(P)、フィラー成分(F1)および可塑剤(Pc、愛敬油化社、diisononyl adipate)を9.8:89.1:1.1(P:F1:Pc)の重量比で混合して、主剤パーツ(VA)を製造した。
【0254】
前記ポリオール成分(P)は、実施例1のポリオール成分(P)と同じものを使用した。
【0255】
前記フィラー成分(F1)は、粒子平均粒径が約70μmの球状アルミナ(F11)、粒子平均粒径が約20μmの球状アルミナ(F12)および粒子平均粒径が約1μmの水酸化アルミニウム(F13)を45:30:25(F11:F12:F13)の重量比で混合したものである。
【0256】
硬化剤パーツの製造
イソシアネート成分(H、Vencorex社、Tolonate HDT-LV2)、フィラー成分(F2)および可塑剤(Pc、愛敬油化社、diisononyl adipate)を3.9:91.7:4.4(H:F2:Pc)の重量比で混合して、硬化剤パーツ(VB)を製造した。
【0257】
前記フィラー成分(F2)は、粒子平均粒径が約70μmの球状アルミナ(F21)、粒子平均粒径が約20μmの球状アルミナ(F22)および粒子平均粒径が約1μmのアルミナ(F23)を40:30:30(F21:F22:F23)の重量比で混合したものである。
【0258】
最終硬化性組成物の製造
前記製造された主剤パーツ(VA)と硬化剤パーツ(VB)をスタティックミキサー(static mixer)に1:1(VA:VB)の体積比で添加し、混合して、最終硬化性組成物を製造した。前記硬化性組成物は、フィラー成分(F1+F2)を全重量に対して約89重量%程度含み、水酸化アルミニウムを硬化性組成物の全重量に対して約8.4重量%で含んでいた。また、前記硬化性組成物は、アルミナを水酸化アルミニウム100重量部に対して約977重量部で含んでいた。また、下記の物性測定方法によってICP(Inductivly coupled plasma)で測定したハロゲンおよびリン(P)元素の合算含有量は、硬化性組成物の全重量に対して0.2重量%以下であることが示された。
【0259】
実施例3.
主剤パーツの製造
ポリオール成分(P)、フィラー成分(F1)および可塑剤(Pc、愛敬油化社、diisononyl adipate)を11.6:87.5:0.9(P:F1:Pc)の重量比で混合して、主剤パーツ(VA)を製造した。
【0260】
前記ポリオール成分(P)は、実施例1のポリオール成分(P)と同じものを使用した。
【0261】
前記フィラー成分(F1)は、粒子平均粒径が約70μmの球状アルミナ(F11)、粒子平均粒径が約50μmの水酸化アルミニウム(F14)および粒子平均粒径が約1μmの水酸化アルミニウム(F13)を45:30:25(F11:F14:F13)の重量比で混合したものである。
【0262】
硬化剤パーツの製造
イソシアネート成分(H、Vencorex社、Tolonate HDT-LV2)、フィラー成分(F2)および可塑剤(Pc、愛敬油化社、diisononyl adipate)を4:91.7:4.3(H:F2:Pc)の重量比で混合して、硬化剤パーツ(VB)を製造した。
【0263】
前記フィラー成分(F2)は、粒子平均粒径が約70μmの球状アルミナ(F21)、粒子平均粒径が約20μmの球状アルミナ(F22)および粒子平均粒径が約1μmのアルミナ(F23)を40:30:30(F21:F22:F23)の重量比で混合したものである。
【0264】
最終硬化性組成物の製造
前記製造された主剤パーツ(VA)と硬化剤パーツ(VB)をスタティックミキサー(static mixer)に1:1(VA:VB)の体積比で添加し、混合して、最終硬化性組成物を製造した。前記硬化性組成物は、フィラー成分(F1+F2)を全重量に対して約89重量%程度含み、水酸化アルミニウムを硬化性組成物の全重量に対して約20.7重量%で含んでいた。また、前記硬化性組成物は、アルミナを水酸化アルミニウム100重量部に対して約332重量部で含んでいた。また、下記の物性測定方法によってICP(Inductivly coupled plasma)で測定したハロゲンおよびリン(P)元素の合算含有量は、硬化性組成物の全重量に対して0.2重量%以下であることが示された
【0265】
実施例4.
主剤パーツの製造
ポリオール成分(P)、フィラー成分(F1)および可塑剤(Pc、愛敬油化社、diisononyl adipate)を11.0:88.2:0.8(P:F1:Pc)の重量比で混合して、主剤パーツ(VA)を製造した。
【0266】
前記ポリオール成分(P)は、実施例1のポリオール成分(P)と同じものを使用した。
【0267】
前記フィラー成分(F1)は、粒子平均粒径が約70μmの球状アルミナ(F11)、粒子平均粒径が約17μmの水酸化アルミニウム(F15)および粒子平均粒径が約1μmの水酸化アルミニウム(F13)を60:20:20(F11:F15:F13)の重量比で混合したものである。
【0268】
硬化剤パーツの製造
イソシアネート成分(H、Vencorex社、Tolonate HDT-LV2)、フィラー成分(F2)および可塑剤(Pc、愛敬油化社、diisononyl adipate)を5.2:89.9:4.9(H:F2:Pc)の重量比で混合して、硬化剤パーツ(VB)を製造した。
【0269】
前記フィラー成分(F2)は、粒子平均粒径が約70μmの球状アルミナ(F21)、粒子平均粒径が約17μmの水酸化アルミニウム(F24)および粒子平均粒径が約1μmの水酸化アルミニウム(F25)を60:20:20(F21:F24:F25)の重量比で混合したものである。
【0270】
最終硬化性組成物の製造
前記製造された主剤パーツ(VA)と硬化剤パーツ(VB)をスタティックミキサー(static mixer)に1:1(VA:VB)の体積比で添加し、混合して、最終硬化性組成物を製造した。前記硬化性組成物は、フィラー成分(F1+F2)を全重量に対して約88重量%程度含み、水酸化アルミニウムを硬化性組成物の全重量に対して約35.4重量%で含んでいた。また、前記硬化性組成物は、アルミナを水酸化アルミニウム100重量部に対して約150重量部で含んでいた。また、下記の物性測定方法によってICP(Inductivly coupled plasma)で測定したハロゲンおよびリン(P)元素の合算含有量は、硬化性組成物の全重量に対して0.2重量%以下であることが示された。
【0271】
実施例5.
主剤パーツの製造
ポリオール成分(P)、フィラー成分(F1)および可塑剤(Pc、愛敬油化社、diisononyl adipate)を11.6:87.7:0.7(P:F1:Pc)の重量比で混合して、主剤パーツ(VA)を製造した。
【0272】
前記ポリオール成分(P)は、実施例1のポリオール成分(P)と同じものを使用した。
【0273】
前記フィラー成分(F1)は、粒子平均粒径が約70μmの球状アルミナ(F11)、粒子平均粒径が約17μmの水酸化アルミニウム(F15)および粒子平均粒径が約1μmの水酸化アルミニウム(F13)を50:30:20(F11:F15:F13)の重量比で混合したものである。
【0274】
硬化剤パーツの製造
イソシアネート成分(H、Vencorex社、Tolonate HDT-LV2)、フィラー成分(F2)および可塑剤(Pc、愛敬油化社、diisononyl adipate)を5.5:89.4:5.1(H:F2:Pc)の重量比で混合して、硬化剤パーツ(VB)を製造した。
【0275】
前記フィラー成分(F2)は、粒子平均粒径が約70μmの球状アルミナ(F21)、粒子平均粒径が約17μmの水酸化アルミニウム(F24)および粒子平均粒径が約1μmの水酸化アルミニウム(F25)を50:30:20(F21:F24:F25)の重量比で混合したものである。
【0276】
最終硬化性組成物の製造
前記製造された主剤パーツ(VA)と硬化剤パーツ(VB)をスタティックミキサー(static mixer)に1:1(VA:VB)の体積比で添加し、混合して、最終硬化性組成物を製造した。前記硬化性組成物は、フィラー成分(F1+F2)を全重量に対して約88重量%程度含み、水酸化アルミニウムを硬化性組成物の全重量に対して約43.9重量%で含んでいた。また、前記硬化性組成物は、アルミナを水酸化アルミニウム100重量部に対して約100重量部で含んでいた。また、下記の物性測定方法によってICP(Inductivly coupled plasma)で測定したハロゲンおよびリン(P)元素の合算含有量は、硬化性組成物の全重量に対して0.2重量%以下であることが示された。
【0277】
比較例1.
主剤パーツの製造
ポリオール成分(P)、フィラー成分(F1)、可塑剤(Pc、愛敬油化社、diisononyl adipate)およびリン(P)元素が含有された固状難燃剤(SF、CHEMPIA社、X-GUARD FR-119L)を8.5:88.9:1.2:1.4(P:F1:Pc:SF)の重量比で混合して、主剤パーツ(VA)を製造した。
【0278】
前記ポリオール成分(P)は、実施例1のポリオール成分(P)と同じものを使用した。
【0279】
前記フィラー成分(F1)は、粒子平均粒径が約70μmの球状アルミナ(F11)、粒子平均粒径が約20μmの球状アルミナ(F12)および粒子平均粒径が約1μmのアルミナ(F16)を60:20:20(F11:F12:F16)の重量比で混合したものである。
【0280】
硬化剤パーツの製造
イソシアネート成分(H、Vencorex社、Tolonate HDT-LV2)、フィラー成分(F2)、可塑剤(Pc、愛敬油化社、diisononyl adipate)およびリン(P)元素が含有された固状難燃剤(SF、CHEMPIA社、X-GUARD FR-119L)を3.8:90.2:4.4:1.6(H:F2:Pc:SF)の重量比で混合して、硬化剤パーツ(VB)を製造した。
【0281】
前記フィラー成分(F2)は、粒子平均粒径が約70μmの球状アルミナ(F21)、粒子平均粒径が約20μmの球状アルミナ(F22)および粒子平均粒径が約1μmのアルミナ(F23)を60:20:20(F21:F22:F23)の重量比で混合したものである。
【0282】
最終硬化性組成物の製造
前記製造された主剤パーツ(VA)と硬化剤パーツ(VB)をスタティックミキサー(static mixer)に1:1(VA:VB)の体積比で添加し、混合して、最終硬化性組成物を製造した。前記硬化性組成物は、フィラー成分(F1+F2)を全重量に対して約88重量%程度含んでいた。また、前記硬化性組成物は、リン(P)元素が含有された固状難燃剤を全重量に対して約1.52重量%で含んでいた。これに対して、下記の物性測定方法によってICP(Inductivly coupled plasma)で測定したハロゲンおよびリン(P)元素の合算含有量は、硬化性組成物の全重量に対して約0.35重量%以上であることが示された。
【0283】
比較例2.
主剤パーツの製造
ポリオール成分(P)、フィラー成分(F1)および可塑剤(Pc、愛敬油化社、diisononyl adipate)を9.8:89.1:1.1(P:F1:Pc)の重量比で混合して、主剤パーツ(VA)を製造した。
【0284】
前記ポリオール成分(P)は、実施例1のポリオール成分(P)と同じものを使用した。
【0285】
前記フィラー成分(F1)は、粒子平均粒径が約70μmの球状アルミナ(F11)、粒子平均粒径が約20μmの球状アルミナ(F12)および粒子平均粒径が約1μmの水酸化アルミニウム(F13)を67:22:11(F11:F12:F13)の重量比で混合したものである。
【0286】
硬化剤パーツの製造
イソシアネート成分(H、Vencorex社、Tolonate HDT-LV2)、フィラー成分(F2)および可塑剤(Pc、愛敬油化社、diisononyl adipate)を3.9:91.7:4.4(H:F2:Pc)の重量比で混合して、硬化剤パーツ(VB)を製造した。
【0287】
前記フィラー成分(F2)は、粒子平均粒径が約70μmの球状アルミナ(F21)、粒子平均粒径が約20μmの球状アルミナ(F22)および粒子平均粒径が約1μmのアルミナ(F23)を60:20:20(F21:F22:F23)の重量比で混合したものである。
【0288】
最終硬化性組成物の製造
前記製造された主剤パーツ(VA)と硬化剤パーツ(VB)をスタティックミキサー(static mixer)に1:1(VA:VB)の体積比で添加し、混合して、最終硬化性組成物を製造した。前記硬化性組成物は、フィラー成分(F1+F2)を全重量に対して約89重量%程度含み、水酸化アルミニウムを硬化性組成物の全重量に対して約4.6重量%で含んでいた。また、前記硬化性組成物は、アルミナを水酸化アルミニウム100重量部に対して約1,848重量部で含んでいた。また、下記の物性測定方法によってICP(Inductivly coupled plasma)で測定したハロゲンおよびリン(P)元素の合算含有量は、硬化性組成物の全重量に対して0.2重量%以下であることが示された。
【0289】
比較例3.
主剤パーツの製造
ポリオール成分(P)、フィラー成分(F1)および可塑剤(Pc、愛敬油化社、diisononyl adipate)を11.7:87.1:1.2(P:F1:Pc)の重量比で混合して、主剤パーツ(VA)を製造した。
【0290】
前記ポリオール成分(P)は、前記製造例1のポリオール(A)を使用した。
前記フィラー成分(F1)は、粒子平均粒径が約70μmの球状アルミナ(F11)、粒子平均粒径が約50μmの水酸化アルミニウム(F14)および粒子平均粒径が約1μmの水酸化アルミニウム(F13)を45:30:25(F11:F14:F13)の重量比で混合したものである。
【0291】
硬化剤パーツの製造
イソシアネート成分(H、Vencorex社、Tolonate HDT-LV2)、フィラー成分(F2)および可塑剤(Pc、愛敬油化社、diisononyl adipate)を4.2:91.6:4.2(H:F2:Pc)の重量比で混合して、硬化剤パーツ(VB)を製造した。
【0292】
前記フィラー成分(F2)は、粒子平均粒径が約70μmの球状アルミナ(F21)、粒子平均粒径が約20μmの球状アルミナ(F22)および粒子平均粒径が約1μmのアルミナ(F23)を40:30:30(F21:F22:F23)の重量比で混合したものである。
【0293】
最終硬化性組成物の製造
前記製造された主剤パーツ(VA)と硬化剤パーツ(VB)をスタティックミキサー(static mixer)に1:1(VA:VB)の体積比で添加し、混合して、最終硬化性組成物を製造した。前記硬化性組成物は、フィラー成分(F1+F2)を全重量に対して約88重量%程度含み、水酸化アルミニウムを硬化性組成物の全重量に対して約20重量%で含んでいた。また、前記硬化性組成物は、アルミナを水酸化アルミニウム100重量部に対して約341重量部で含んでいた。また、下記の物性測定方法によってICP(Inductivly coupled plasma)で測定したハロゲンおよびリン(P)元素の合算含有量は、硬化性組成物の全重量に対して0.2重量%以下であることが示された。
【0294】
比較例4.
主剤パーツの製造
ポリオール成分(P)、フィラー成分(F1)および可塑剤(Pc、愛敬油化社、diisononyl adipate)を12.3:87.1:0.6(P:F1:Pc)の重量比で混合して、主剤パーツ(VA)を製造した。
【0295】
前記ポリオール成分(P)は、前記製造例1のポリオール(A)と三官能ポリエステルポリオール(供給社:Kuraray社、製品名:F-2010、重量平均分子量:2,000g/mol)を8:2(A:F-2010)の重量比で混合したものである。
【0296】
前記フィラー成分(F1)は、粒子平均粒径が約70μmの球状アルミナ(F11)、粒子平均粒径が約50μmの水酸化アルミニウム(F14)および粒子平均粒径が約1μmの水酸化アルミニウム(F13)を45:30:25(F11:F14:F13)の重量比で混合したものである。
【0297】
硬化剤パーツの製造
イソシアネート成分(H、Vencorex社、Tolonate HDT-LV2)、フィラー成分(F2)および可塑剤(Pc、愛敬油化社、diisononyl adipate)を3.8:91.7:4.5(H:F2:Pc)の重量比で混合して、硬化剤パーツ(VB)を製造した。
【0298】
前記フィラー成分(F2)は、粒子平均粒径が約70μmの球状アルミナ(F21)、粒子平均粒径が約20μmの球状アルミナ(F22)および粒子平均粒径が約1μmのアルミナ(F23)を40:30:30(F21:F22:F23)の重量比で混合したものである。
【0299】
最終硬化性組成物の製造
前記製造された主剤パーツ(VA)と硬化剤パーツ(VB)をスタティックミキサー(static mixer)に1:1(VA:VB)の体積比で添加し、混合して、最終硬化性組成物を製造した。前記硬化性組成物は、フィラー成分(F1+F2)を全重量に対して約88重量%程度含み、水酸化アルミニウムを硬化性組成物の全重量に対して約20重量%で含んでいた。また、前記硬化性組成物は、アルミナを水酸化アルミニウム100重量部に対して約341重量部で含んでいた。また、下記の物性測定方法によってICP(Inductivly coupled plasma)で測定したハロゲンおよびリン(P)元素の合算含有量は、硬化性組成物の全重量に対して0.2重量%以下であることが示された。
【0300】
比較例5.
主剤パーツの製造
ポリオール成分(P)、フィラー成分(F1)および可塑剤(Pc、愛敬油化社、diisononyl adipate)を11.6:87.5:0.9(P:F1:Pc)の重量比で混合して、主剤パーツ(VA)を製造した。
【0301】
前記ポリオール成分(P)は、三官能ポリエステルポリオール(供給社:Kuraray社、製品名:F-2010、重量平均分子量:2,000g/mol)を使用した。
【0302】
前記フィラー成分(F1)は、粒子平均粒径が約70μmの球状アルミナ(F11)、粒子平均粒径が約50μmの水酸化アルミニウム(F14)および粒子平均粒径が約1μmの水酸化アルミニウム(F13)を45:30:25(F11:F14:F13)の重量比で混合したものである。
【0303】
硬化剤パーツの製造
イソシアネート成分(H、Vencorex社、Tolonate HDT-LV2)、フィラー成分(F2)および可塑剤(Pc、愛敬油化社、diisononyl adipate)を4:91.7:4.3(H:F2:Pc)の重量比で混合して、硬化剤パーツ(VB)を製造した。
【0304】
前記フィラー成分(F2)は、粒子平均粒径が約70μmの球状アルミナ(F21)、粒子平均粒径が約20μmの球状アルミナ(F22)および粒子平均粒径が約1μmのアルミナ(F23)を40:30:30(F21:F22:F23)の重量比で混合したものである。
【0305】
最終硬化性組成物の製造
前記製造された主剤パーツ(VA)と硬化剤パーツ(VB)をスタティックミキサー(static mixer)に1:1(VA:VB)の体積比で添加し、混合して、最終硬化性組成物を製造した。前記硬化性組成物は、フィラー成分(F1+F2)を全重量に対して約88重量%程度含み、水酸化アルミニウムを硬化性組成物の全重量に対して約20重量%で含んでいた。また、前記硬化性組成物は、アルミナを水酸化アルミニウム100重量部に対して約341重量部で含んでいた。また、下記の物性測定方法によってICP(Inductivly coupled plasma)で測定したハロゲンおよびリン(P)元素の合算含有量は、硬化性組成物の全重量に対して0.2重量%以下であることが示された。
【0306】
本実施例および比較例において提示される物性は、下記の方式で評価した。
<物性測定方法>
1.粘度とチクソ性指数(T.I.)
[粘度測定方法]
実施例および比較例の主剤パーツおよび硬化剤パーツの粘度は、粘度測定装置(製造社:Brookfield社、モデル名:DV3THB-CP)とスピンドル(spindle)CPA-52Zを利用して、せん断速度(shear rate)を2.4s-1とし、180秒間回転させた後、最終粘度測定値として測定した。前記粘度は、25℃で測定した。
【0307】
具体的には、プレート(plate)を前記粘度測定装置のプレート連結部に装着し、調節レバーを用いて前記スピンドルとプレート間の一定の離隔空間(gap)が生じるように調節した。前記プレートを分離し、分離したプレートの中央に測定対象を0.5mL程度塗布した。測定対象が塗布されたプレートをさらに前記粘度計のプレート連結部に装着し、トルク(torque)値が0となるまで待機した後に、せん断速度(shear rate)を2.4s-1とし、180秒間回転させて粘度を測定し、最後粘度値を測定対象の粘度として測定した。ここで、測定対象は、主剤パーツまたは硬化剤パーツを意味する。
【0308】
[チクソ性指数の測定方法]
測定対象に対して前記粘度測定方法と同じ方式で粘度を測定し、せん断率を0.24s-1および2.4s-1としてそれぞれ粘度を測定した後、下記の式によってチクソ性指数(thixotropic index、T.I.)を測定した。
【0309】
[チクソ性指数の計算式]
チクソ性指数(T.I.)=V1/V2
前記計算式中、V1は、25℃および0.24s-1の条件で測定した測定対象の粘度であり、V2は、25℃および2.4s-1の条件で測定した前記測定対象の粘度である。
【0310】
2.比重
前記実施例および比較例で製造されたそれぞれの最終硬化性組成物を約25℃で約24時間硬化させて硬化物を形成し、これを断片化してサンプルを製造した後、前記サンプルを対象にピクノメーター(pycnometer)を利用して25℃で比重を測定した。比重は、1気圧および4℃で測定した水の密度(1g/cm3)を基準として測定されたものであり、無次元の単位を有する。
【0311】
3.熱伝導度
熱伝導度は、Hot disk方式を利用して測定した。具体的には、熱伝導度は、前記実施例および比較例で製造されたそれぞれの最終硬化性組成物を直径が約4cmおよび厚さが約5mmのディスク(disk)型モールドに約25℃で24時間硬化させた硬化物サンプルであり、前記サンプルの厚さ方向に沿ってISO22007-2規格によって熱分析装置(thermal constant analyzer)で測定した。前記規格(ISO22007-2)に規定されたように、Hot Disk装備は、ニッケル線が二重スパイラル構造となっているセンサーが加熱されることで、温度変化(電気抵抗変化)を測定して、熱伝導度を確認できる装備であり、このような規格によって熱伝導度を測定した。
【0312】
4.難燃性
前記実施例および比較例で製造されたそれぞれの最終硬化性組成物を約25℃で約24時間硬化させて、横13mm、縦125mmおよび厚さ2mmの硬化物で形成し、前記形成された硬化物をもってUL94V測定基準によって測定した。UL94V測定基準によって測定された結果がV-0等級である場合には、PASS、その他等級である場合には、NGと評価した。
【0313】
5.ポリエステルに対する接着力の測定
被着体としてPET(polyethylene terephthalate)フィルムとアルミニウム板を付着させて製造された試験片に対して評価した。前記PETフィルムとしては、幅が10mm程度であり、長さが200mm程度であるフィルムを使用し、アルミニウム板としては、幅および長さがそれぞれ100mm程度である板を使用した。前記試験片は、アルミニウム板の表面に全体的に実施例または比較例による最終硬化性組成物を塗布(硬化後の厚さが約2mm程度となるように塗布)し、前記硬化性組成物の層上に前記PETフィルムを密着させたまま、約25℃で約24時間維持して製造された。この際、前記PETフィルムの幅全体と長さ部分のうち100mm程度を前記硬化性組成物を介して前記アルミニウム板に付着させた。前記試験片においてアルミニウム板を固定した状態で前記アルミニウム板から前記PETフィルムを長さ方向に剥離しつつ、前記ポリエステルに対する接着力を測定した。前記剥離は、約0.5mm/min程度の剥離速度および180度程度の剥離角度でPETフィルムが完全に剥離するまで行った。
【0314】
6.アルミニウムに対する接着力の測定
横および縦の長さがそれぞれ2cmおよび7cmであるアルミニウム基板の中央に横2cmおよび縦2cm程度となるように実施例または比較例による各最終硬化性組成物をコートし、さらに前記コーティング層上に横および縦の長さがそれぞれ2cmおよび7cmであるアルミニウム基板を付着し、その状態を維持して前記硬化性組成物を硬化させた。前記硬化は、約25℃で約24時間維持して進行された。上記において2個のアルミニウム基板は、互いに90度の角度を成すように付着した。その後、上部のアルミニウム基板を固定した状態で下部のアルミニウム基板を0.5mm/minの速度で押圧して前記下部アルミニウム基板が分離される間の力を測定し、その過程で測定される最大値の力を試験片の面積で割ってアルミニウムに対する接着力を求めた。
【0315】
7.ショア(Shore)OO硬度
実施例または比較例による各最終硬化性組成物の硬化物に対するショア(Shore)OO硬度は、ASTM D 2240規格によって測定した。ASKER社、durometer hardness機器を使用して行い、フィルム形態の前記硬化物の表面に1 kg以上の荷重(約1.5kg)を加えて初期硬度を測定し、15秒後に安定化された測定値で確認して硬度を評価した。前記硬化物は、最終硬化性組成物を約25℃で約24時間維持することによって形成された。
【0316】
8.曲率半径
実施例または比較例による各最終硬化性組成物の硬化物に対する曲率半径は、横1cm、縦10cmおよび厚さ2mmである硬化物をもって評価した。前記曲率半径は、前記硬化体を様々な半径を有する円筒に付着させ、縦方向に沿って曲げたとき、前記硬化体にクラック(crack)が発生しない円筒の最小半径である。前記硬化物は、最終硬化性組成物を約25℃で約24時間維持することによって形成された。
【0317】
9.モジュール作業性
アルミニウム板に横8cmおよび縦8cmの正四角形の形状で厚さが約2mm程度となるように実施例または比較例による各最終硬化性組成物を塗布した。その後、前記塗布された硬化性組成物を約25℃で約24時間維持して硬化させた。次に、前記形成された硬化物をアルミニウム板から脱離しつつ、下記[モジュール作業性の評価基準]によってモジュール作業性を評価した。
[モジュール作業性の評価基準]
PASS:前記硬化物がアルミニウム板に残余物を残さずに、シート(sheet)形状に脱離する場合
NG:前記硬化物がアルミニウム板から脱離しないか、脱離しても残余物が残存する場合
【0318】
10.粒子平均粒径の測定
フィラーの粒子平均粒径は、フィラーのD50粒径であり、これは、ISO-13320規格に準拠してMarvern社のMASTERSIZER3000装備で測定した粒径である。測定時に、溶媒としては、蒸留水を使用した。溶媒内分散したフィラーにより入射したレーザーが散乱し、前記散乱するレーザーの強度と方向性の値は、フィラーのサイズによって変わり、これをMie理論を利用して分析することによってD50粒径を求めることができる。前記分析を通じて分散したフィラーと同じ体積を有する球の直径への換算を通じて分布を求め、これを通じて、分布の中間値であるD50値を求めて粒径を評価することができる。
【0319】
11.重量平均分子量の測定
重量平均分子量(Mw)は、GPC(Gel permeation chromatography)を使用して測定した。具体的には、重量平均分子量(Mw)は、5mLバイアル(vial)に分析対象試料を装入し、約1mg/mLの濃度となるようにTHF(tetrahydrofuran)溶剤で希釈した後、Calibration用標準試料と分析試料をsyringe filter(pore size:0.45μm)を通じてろ過させ、測定することができる。分析プログラムとしては、Agilent technologies社のChemStationを使用し、試料のelution timeをcalibration curveと比較して重量平均分子量(Mw)を求めることができる。
<GPC測定条件>
機器:Agilent technologies社の1200 series
カラム:Agilent technologies社のTL Mix.A&B使用
溶剤:THF(tetrahydrofuran)
カラム温度:35℃
サンプル濃度:1mg/mL、200μl注入
標準試料:ポリスチレン(MP:3900000、723000、316500、52200、31400、7200、3940、485)使用
【0320】
12.ハロゲンおよびリン元素の測定
前記実施例および比較例で製造されたそれぞれの最終硬化性組成物を0.1gで秤量したサンプルをバイアル(vial)瓶に装入し、硝酸1mLを加えた。その後、前記バイアル瓶に少量の過酸化水素水を添加し、ホットプレート(Hot plate)で加熱させて前記サンプルを溶解させた。前記サンプルが完全に溶解して透明な色を有することになると、全体体積が10mLとなるように3次超純水を加えて分析試料を製造した。前記分析試料は、ICP-OES(Inductively Coupled Plasma-Optical Emission Spectrometer)分析を通じてハロゲンおよびリン元素の含有量を測定し、分析条件は、下記の通りである。分析によって測定されたハロゲンおよびリン元素の含有量は、それぞれ測定することができ、これらを合算してハロゲンおよびリン元素の合算含有量を測定することができる。
【0321】
[ICP-OES分析条件]
RF power:1,300W
Torch Height:15.0mm
Plasma Gas Flow:15.00L/min
Sample Gas Flow:0.8L/min
Aux.Gas Flow:0.2L/min
Pump Speed:1.5mL/min
Internal Standard:イットリウム(Y)またはスカンジウム(Sc)
前記実施例および比較例で測定した試験データの結果は、下記表1および表2に整理した。
【0322】
【0323】
【0324】
前記表1を参照すると、実施例1~5は、主剤パーツおよび硬化剤パーツが適切な粘度とチクソ性指数を有していることが分かる。前記表2を参照すると、実施例1~5は、低比重特性と優れた熱伝導度を有することを確認することができ、リンまたはハロゲン系の難燃剤を添加することなく、優れた難燃性を確保することが分かる。また、実施例1~5では、ポリエステルに対する接着力とアルミニウムに対する接着力が本出願の目的に適した低接着力であることが分かる。さらに、実施例1~5は、本出願の目的に適した表面硬度を有しており、柔軟であり、作業性に優れていることを確認することができる。
【0325】
一方、前記表2を参照すると、比較例1は、比較的高い比重を有しており、不十分な難燃性を有することが示された。また、比較例1は、リン系難燃剤の使用によって放熱性が低下しており、過量のアルミナの使用にもあまり高くない熱伝導度を示した。
【0326】
また、表2を参照すると、比較例2は、全体組成物に対して水酸化アルミニウムの含有量が少ないので、UL94V測定基準によって測定するとき、クランプまで一部燃焼して、難燃性がないことが示された。実施例では、水酸化アルミニウムを本出願で規定した範囲内に含んでいるが、特に実施例1と比較例2を比較すると、難燃性の差異が目立つ。これは、水酸化アルミニウムの含有量に対する臨界的意味があることを示すと認められる。さらに、比較例2は、組成物内のフィラー成分とポリオールおよびイソシアネート成分間の組み合わせの不均衡に起因して、PETおよびアルミニウム板の間で本出願の目的に適しない接着力が発現したと認められる。
【0327】
表2を参照すると、比較例3と比較例4は、ポリオール成分を本出願に示されたように組み合わせていないので、アルミニウムまたはPETに対する接着力が本出願の目的に適していないことが分かる。また、表1を参照すると、比較例4は、ポリオール成分を本出願に示されたように組み合わせていないので、主剤パーツおよび硬化剤パーツの粘度が高いため、工程に適していなかった。
【0328】
表1および表2を参照すると、比較例5は、主剤パーツおよび硬化剤パーツの粘度が、配合が不可能となるほど高く、そのため、物性を測定することができなかった。
【国際調査報告】