(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-07
(54)【発明の名称】熱安定性充填ポリウレタン反応性ホットメルト
(51)【国際特許分類】
C09J 175/06 20060101AFI20240131BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20240131BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20240131BHJP
C09J 175/08 20060101ALI20240131BHJP
C08G 18/42 20060101ALI20240131BHJP
C08G 18/76 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
C09J175/06
C09J11/04
C09J11/06
C09J175/08
C08G18/42
C08G18/76 057
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547162
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(85)【翻訳文提出日】2023-10-02
(86)【国際出願番号】 US2022014201
(87)【国際公開番号】W WO2022169680
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】リ、 インジー
(72)【発明者】
【氏名】キン、 シュフイ
【テーマコード(参考)】
4J034
4J040
【Fターム(参考)】
4J034BA03
4J034CA04
4J034DA01
4J034DC50
4J034DF01
4J034DF15
4J034DG03
4J034HA01
4J034HA07
4J034HC12
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4J034RA08
4J040EF111
4J040EF131
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4J040MA02
4J040MA10
4J040MB09
4J040NA12
4J040NA15
(57)【要約】
ポリイソシアネート、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、熱可塑性ポリマー、無機充填剤、任意にMA-SCA酸および任意に1つ以上の添加剤を含む混合物から調製される水分反応性ポリウレタンホットメルト接着剤組成物が開示され、ここで、ポリエステルポリオールは二酸とジオールから重合され、ここで、二酸の構造はHOOC-(CH2)m-COOHであり、ジオールの構造はHO-(CH2)n-OHであり、(m+n)の合計が8以下であり、ポリエステルポリオールの酸価が0.9未満である。開示された反応性ホットメルト接着剤組成物は、望ましい特性を維持しながら、従来の水分反応性ポリウレタンホットメルト接着剤組成物と比較して熱安定性が改善されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸とジオールから調製されたポリエステルポリオール、ここで、二酸の構造は、HOOC-(CH
2)
m-COOHであり、ジオールの構造は、HO-(CH
2)
n-OHであり、(m+n)の合計が8以下であり、ポリエステルポリオールの酸価が0.9未満であるポリエステルポリオール、ポリイソシアネート、および任意にポリエーテルポリオールを含む混合物の反応生成物、
無機充填剤、
熱可塑性ポリマー、
任意にMA-SCA酸、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、および任意に1つ以上の添加剤
を含む混合物の生成物である、水分反応性ポリウレタンホットメルト接着剤組成物。
【請求項2】
ポリエステルポリオールの酸価が、0.8未満、好ましくは0.7未満、より好ましくは0.6未満である、請求項1に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項3】
ポリエステルポリオールが、約2,000~11,000、好ましくは3,000~9,000、より好ましくは3,500~約5,000の数平均分子量を有し、接着剤の総重量に基づいて、10~35重量%の量で存在する、請求項1または2に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項4】
ポリエステルポリオールが、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンサクシネートジオール、ポリブチレンサクシネートジオール、ポリエチレンアジペートジオール、およびポリエチレンサクシネートジオールからなる群から選択される、請求項1または2に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項5】
ポリエーテルポリオールがポリエーテルグリコールを含む、請求項1または2に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項6】
熱可塑性ポリマーが、20,000~250,000の重量平均分子量を有するアクリルポリマーであり、接着剤の総重量に基づいて、約10~40重量%の量で存在する、請求項1または2に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項7】
熱可塑性ポリマーが、それぞれ20,000~250,000の範囲の異なる重量平均分子量を有する2種以上のアクリルポリマーを含む、請求項1または2に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項8】
熱可塑性ポリマーが、35~85℃のガラス転移温度および8未満のヒドロキシル価を有するアクリルポリマーである、請求項1または2に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項9】
ポリイソシアネートが、接着剤の総重量に基づいて約5~40重量%の量で存在し、および/またはポリイソシアネートが、4,4’-メチレンビスフェニルジイソシアネート(MDI)を含む、請求項1または2に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項10】
充填剤が、接着剤の総重量に基づいて、約10~約70%、好ましくは約10~約50%、より好ましくは約15~約40重量%の量で存在する、請求項1または2に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項11】
充填剤が、炭酸カルシウムを含む、請求項1または2に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項12】
触媒、オルガノシラン、溶媒、接着促進剤、追加の充填剤、可塑剤、着色剤、レオロジー調整剤、難燃剤、UV顔料、ナノファイバー、消泡剤、相溶性粘着付与剤、硬化触媒、酸化防止剤、安定剤、ヒュームドシリカなどのチキソトロピー剤、接着促進剤、およびそれらの混合物から選択される添加剤をさらに含む、請求項1または2に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項13】
MA-SCA酸が、1000ppm未満の量で存在するか、または700ppm未満の量で存在するか、または400ppm未満の量で存在するか、または200ppm未満の量で存在する、請求項1または2に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項14】
MA-SCA酸が組成物中に存在し、リン酸である、請求項1または2に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項15】
2,2’-ジモルホリニルジエチルエーテル(DMDEE)をさらに含む、請求項1または2に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物。
【請求項16】
請求項1または2に記載の反応性ホットメルト接着剤組成物を含む製品。
【請求項17】
請求項1または2に記載の反応性ホットメルト接着剤を溶融状態で第1の基材に塗布し、次いで第2の基材を第1の基材上の接着剤と接触させ、接着剤を冷却して硬化し、不可逆的な固体にすることを含む、2つの基材を接合する方法。
【請求項18】
請求項1または2に記載のホットメルト接着剤組成物の硬化反応生成物。
【請求項19】
水分反応性ポリウレタンホットメルト接着剤組成物を形成するための二酸とジオールから重合されたポリエステルポリオールの使用であって、二酸の構造はHOOC-(CH
2)
m-COOHであり、ジオールの構造はHO-(CH
2)
n-OHであり、(m+n)の合計が8以下であり、ポリエステルポリオールの酸価が0.9未満、好ましくは0.7未満、より好ましくは0.6未満である使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、反応性ホットメルト接着剤に関し、より詳細には、長いオープンタイム、高いグリーン強度、および改善された熱安定性を有するポリウレタンホットメルト接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
この節は、本開示に関連する発明概念に対する必ずしも先行技術ではない背景情報を提供する。
【0003】
ホットメルト接着剤は、室温では固体であるが、熱を加えると溶けて液体又は流体の状態になり、その状態で基材に塗布される。接着剤は、冷却すると固体に戻る。ホットメルト接着剤の1つの種類は、熱可塑性ホットメルト接着剤である。熱可塑性ホットメルト接着剤は、一般に熱可塑性であり、繰り返し加熱して流体状態にし、冷却して固体状態にすることができる。熱可塑性ホットメルト接着剤は、架橋又は硬化しない。熱可塑性ホットメルト接着剤の冷却時に形成される硬質相は、最終接着剤に凝集力、靭性、クリープ及び耐熱性の全てを付与する。当然のことながら、熱可塑性により、こうした接着剤を使用できる上限温度は制限される。
【0004】
別の種類のホットメルト接着剤は、硬化性または反応性ホットメルト接着剤である。反応性ホットメルト接着剤は、繰り返し加熱して溶融状態にし、冷却して固体状態にすることができる熱可塑性材料として出発する。しかし、湿気などの適切な条件にさらされると、反応性ホットメルト接着剤は架橋し、不可逆的な固体の形に硬化する。反応性ホットメルト接着剤には、水分反応性ポリウレタン接着剤、水分反応性オルガノシラン接着剤、水分反応性ポリシロキサン接着剤および水分反応性シランポリオレフィン接着剤が含まれる。 ポリウレタンホットメルト接着剤は、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを含む。イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーは、従来、ポリオールとモル過剰のポリイソシアネートを反応させることによって得られる。イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーは、プレポリマーの末端イソシアネート基と大気中の水分または基材上の水分との反応によって硬化する。この反応により、主に尿素基とウレタン基を介して重合した架橋材料が生成される。
【0005】
反応性ホットメルト接着剤は、使用中は溶融温度に維持する必要がある。しかしながら、反応性ホットメルト接着剤は、一般に無水条件下に保管した場合でも、溶融状態にある間に粘度が増加する。最終的には、接着剤の粘度が塗布装置で扱えないほど高くなり、ホットメルト接着剤塗布装置を停止し、高粘度のホットメルト接着剤を除去するために洗浄する必要がある。非常に望ましくない場合には、使用中に塗布装置内で溶融した反応性ホットメルト接着剤がゲル化したり、相分離したりする可能性がある。この状況では、計画外の機器の停止、分解、洗浄、および場合によってはゲル化したホットメルト接着剤の洗浄ができない部品の交換が必要になる。当然のことながら、反応性ホットメルト接着剤の過剰な粘度の増加や相分離は望ましくなく、商業的に受け入れられないと考えられている。ゲル化した材料は反応装置または塗布装置から除去するのが非常に困難であるため、ゲル化はさらに許容できない。
【0006】
未充填のポリウレタン反応性ホットメルト接着剤は熱的に安定であることが知られており、溶融状態で長期間使用することができる。しかし、未充填ポリウレタン反応性ホットメルト接着剤は、充填ポリウレタン反応性ホットメルト接着剤の性能、持続可能性、および経済的特性を欠いている。
【0007】
充填剤は、ポリウレタン反応性ホットメルト接着剤のいくつかの性能パラメータ、持続性、および経済性を改善し、一般にそのような組成物に含まれる。しかし、反応性ホットメルト接着剤に大量の充填剤を添加すると、溶融状態でのその組成物の粘度上昇速度が大幅に増加し、接着剤の耐用年数が大幅に短くなる。最悪の場合、水分反応性接着剤は使用中または準備中にゲル化したり、相分離したりする可能性がある。
【0008】
反応性ポリウレタンホットメルト接着剤は、パネルの積層工程で広く使用されている。さまざまな材料に優れた接着力を発揮し、硬化後の接着強度も優れている。溶剤が不要で、グリーン強度があり、熱、寒さ、さまざまな化学物質に対する優れた耐性があるため、建築産業で使用するのに理想的な選択肢となる。特に、レクリエーション車両のパネル積層やドアなど、長いオープンタイムと高いグリーン強度が求められる用途に使用される。オープンタイムとは、溶融したホットメルト接着剤を塗布した後、部品を接着剤に接着できる時間の長さを指す。この用途では、複雑な複合構造内の部品を追加または再配置する時間を確保するために、長いオープンタイムが望ましい。グリーン強度は硬化前の接着強度を指す。グリーン強度が高いのは、これは、クランプや留め具を追加することなく、接着された部品を接着剤によって一緒に保持できるため、この用途に望ましいものである。構造が組み立てられると、結合した構造を次の作業に移せるように、高いグリーン強度が得られることが望ましい。
【0009】
安定性のために最適化されたポリエステルポリオールを使用して調製された高充填ポリウレタン反応性ホットメルト接着剤は、最高のグリーン強度またはオープンタイムを提供しない。オープンタイムとグリーン強度が最適化されたポリエステルポリオールを使用して調製された高充填ポリウレタン反応性ホットメルト接着剤は、最高の熱安定性を提供しない。熱安定性、長いオープンタイム、および高いグリーン(初期)強度をすべて備えた高充填ポリウレタン反応性ホットメルトを配合することは困難である。長いオープンタイムと高いグリーン(初期)強度を有する、熱的に安定で高充填のポリウレタン反応性ホットメルト接着剤を提供することが望ましい。このような接着剤は、性能、持続可能性、および経済性において望ましい改善をもたらすであろう。従来のポリウレタンホットメルト接着剤は、これらの利点の一部を実現していたが、すべてではなかった。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
この節は、本開示の一般的な概要を提供するものであり、その全範囲、すべての特徴、態様、目的を包括的に開示するものではない。
【0011】
一実施形態では、本開示は、熱可塑性ポリマー、ポリイソシアネート、無機充填剤、好ましいポリエステルポリオール、任意にポリエーテルポリオール、任意に他のポリエステルポリオール、任意に添加されたMA-SCA酸および任意に1つ以上の添加剤を含む組み合わせから調製される水分反応性ホットメルト接着剤組成物を提供する。好ましくは、好ましいポリエステルポリオールは二酸とジオールから重合され、二酸の構造は、HOOC-(CH2)m-COOHであり、ジオールの構造はHO-(CH2)n-OHであり、(m+n)の合計が8以下であり、ポリエステルポリオールの酸価が0.9未満である。
【0012】
一実施形態では、ポリエステルポリオールは、0.8以下、または0.7以下、または0.6以下の酸価を有する。
【0013】
一実施形態では、ポリエステルポリオールは、約2,000~約11,000の数平均分子量を有し、接着剤の総重量に基づいて10~35重量%の量で存在する。
【0014】
一実施形態では、ポリエステルポリオールは、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンサクシネートジオール、ポリブチレンサクシネートジオール、ポリエチレンアジペートジオール、およびポリエチレンサクシネートジオールから選択される。
【0015】
一実施形態において、この組み合わせは、1,500~6,000の数平均分子量を有するポリエーテルポリオールを含み、ポリエーテルポリオールは、接着剤の総重量に基づいて15~40重量%の量で存在する。
【0016】
一実施形態では、ポリエーテルポリオールはポリプロピレングリコールである。
【0017】
一実施形態では、この組み合わせは、20,000~250,000の重量平均分子量を有するアクリルポリマーである熱可塑性ポリマーを含み、および/またはアクリルポリマーが接着剤の総重量に基づいて10~40重量%の量で存在する。
【0018】
一実施形態では、この組み合わせは、35~85℃のガラス転移温度(Tg)および8未満のヒドロキシル価を有するアクリルポリマーである熱可塑性ポリマーを含む。
【0019】
一実施形態では、接着剤は、接着剤の総重量に基づいて約10~約70重量%、または約10~約50重量%を構成し、および/または無機充填剤は炭酸カルシウムを含む。
【0020】
一実施形態では、ホットメルト接着剤組成物は、1つ以上の添加剤をさらに含む。
【0021】
一実施形態では、MA-SCA酸は、ホットメルト接着剤組成物の重量に基づいて、1000ppm未満、700ppm未満、400ppm未満、200ppm未満の量で存在し、および/またはリン酸などの無機酸である。
【0022】
一実施形態では、ホットメルト接着剤組成物は、3分を超える、好ましくは4~10分、より好ましくは6~8分の長いオープンタイム、および/または基材への適用後30分以内に60ポンド/平方インチ(psi)を超える高いグリーン強度、および/または300psi以上の降伏強度および/または800psi以上の引張強度のうちの少なくとも1つの高い最終硬化機械強度を有する。
【0023】
開示された化合物は、あらゆる異性体及び立体異性体を包含する。一般に、特に明記しない限り、開示された材料及び方法は、本明細書に開示された任意の適切な構成要素、部分又は工程を含むか、それらから成るか、又は本質的にそれらから成るように交互に処方されてよい。開示された材料及び方法は、先行技術の組成物で使用された、又はそうでなければ本開示の機能及び/又は目的の達成に必要ではない任意の構成要素、材料、成分、アジュバント、部分、種及び工程を欠くか、又は実質的に含まないように追加的に又は代替的に配合されてよい。
【0024】
本開示のこれら及び他の特徴及び利点は、好ましい実施形態の詳細な説明から当業者にはより明らかになるであろう。以下、詳細な説明に付随する図面について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、酸安定剤とポリエステルポリオールの酸価との間の相互作用、より詳細には、ゲル化および相分離に対するMA-SCA酸およびポリエステルポリオールの酸価の影響を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明確に別の指示をしない限り、複数の指示対象を包含する。
【0027】
数値に関して本明細書で使用される「約」又は「およそ」は、数値±10%、好ましくは±5%、より好ましくは±1%以下を指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、「少なくとも1つの」は、1以上、すなわち1、2、3、4、5、6、7、8、9、又はそれ以上を意味する。成分に関しては、分子の絶対数ではなく、成分の種類を示している。したがって、「少なくとも1つのポリマー」は、例えば、少なくとも1つの種類のポリマー、すなわち、1つの種類のポリマー又はいくつかの異なるポリマーの混合物を使用してよいことを意味する。
【0029】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」、「含む(comprises)」及び「から構成される(comprised of)」という用語は、「包含する(including)」、「包含する(includes)」、「含有する(containing)」又は「含有する(contains)」と同義であり、包括的又は無制限であり、追加の列挙されていない部材、要素、又は方法工程を除外するものではない。
【0030】
この文脈で使用される「含まない」とは、反応混合物中の対応する物質の量が、反応混合物の総重量に基づいて、0.05重量%未満、好ましくは0.01重量%未満、より好ましくは0.001重量%未満であることを意味する。
【0031】
本明細書で使用される「好ましいポリエステルポリオール」という用語は、HO[-(CH
2)
nOOC(CH
2)
mCOO-]
a-(CH
2)
n-OHの構造を有するポリエステルポリオールを指し、そのようなポリエステルポリオールは以下の化学反応によって製造される。
【化1】
式中、aは整数であり、(m+n)の合計が8以下である。
【0032】
本明細書で使用される「酸価」という用語は、ポリエステルポリオールなどの化合物中のカルボン酸基(-COOH基)の数を指す。酸価は、カルボン酸基を中和するのに必要な塩基の量によって決まる。本発明のポリエステルポリオールの酸価を決定するための1つの有用な試験は、ASTM D4662、ポリウレタン原料の標準試験方法:ポリオールの酸価およびアルカリ価の決定である。
【0033】
本明細書における「グリーン強度」という用語は、一般に、ホットメルト接着剤を基材に塗布した後、最初の30分以内に発現する強度を指す。
【0034】
量、濃度、寸法及びその他のパラメータが、範囲、好ましい範囲、上限値、下限値又は好ましい上限値及び下限値の形で表される場合、任意の上限又は好ましい値を任意の下限又は好ましい値と組み合わせることによって得られる任意の範囲もまた、得られた範囲が文脈において明確に言及されているかどうかに関係なく、具体的に開示されていることを理解すべきである。
【0035】
好ましい(preferred)及び好ましくは(preferably)、特定の状況下で特定の利益をもたらす可能性がある本開示の実施形態を指すために、本明細書で頻繁に使用される。しかしながら、1つ又は複数の好ましい(preferable)又は好ましい(preferred)実施形態の列挙は、他の実施形態が有用でないことを意味せず、それらの他の実施形態を開示の範囲から除外することを意図しない。
【0036】
特に断りのない限り、本明細書及び特許請求の範囲全体を通して、ポリマーに言及する場合の分子量という用語は、ポリマーの数平均分子量(Mn)を指す。数平均分子量Mnは、末端基分析(DIN EN ISO4629によるOH値、EN ISO11909による遊離NCO含有量)に基づいて計算することができ、又は溶離剤としてTHFを使用するDIN55672によるゲル浸透クロマトグラフィーによって決定することができる。特に断りのない限り、与えられた全ての分子量は、ゲル透過クロマトグラフィーによって測定されたものである。
【0037】
「室温」は23℃プラスマイナス10℃である。
【0038】
用語「オープンタイム」は、接着剤が材料に結合できる時間を指す。
【0039】
ガラス転移温度(Tg)は、既知の示差走査熱量測定(DSC)法を使用して決定することができる。例えば、10℃/分の走査速度でDSCを使用するASTM E-1356を参照されたい。
【0040】
一実施形態では、本開示は、ポリイソシアネート、好ましいポリエステルポリオール、熱可塑性ポリマー、および無機充填剤を含む組み合わせから調製される水分反応性ポリウレタンホットメルト接着剤組成物を提供する。この組み合わせには、任意に1つ以上のMA-SCA酸、1つ以上のポリエーテルポリオール、好ましいポリエステルポリオールであり得るが、必ずしもそうである必要はない1つ以上の異なるポリエステルポリオールおよび1つ以上の添加物が含まれてもよい。開示された充填ポリウレタンホットメルト接着剤は、熱的に安定であり、望ましい長いオープンタイムおよびグリーン強度を有し、改善された性能、持続可能性および経済性を有する。
【0041】
ポリイソシアネート
使用できる有機ポリイソシアネートとしては、アルキレンジイソシアネート、シクロアルキレンジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート及び脂肪族-芳香族ジイソシアネートが挙げられる。本開示で使用するためのイソシアネートの例としては、限定ではなく一例として、メチレンビスフェニルジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素化メチレンビスフェニルジイソシアネート(HMDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、エチレンジイソシアネート、エチリデンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロペンチレン-1,3-ジイソシアネート、シクロ-へキシレン-1,4-ジイソシアネート、シクロヘキシレン-1,2-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2-ジフェニルプロパン-4,4’-ジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、1,4-ナフチレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、アゾベンゼン-4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルスルホン-4,4’-ジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、ジクロロヘキサ-メチレンジイソシアネート、フルフリリデンジイソシアネート、1-クロロベンゼン-2,4-ジイソシアネート、4,4’,4”-トリイソシアナトトリフェニルメタン、1,3,5-トリイソシアネート-ベンゼン、2,4,6-トリイソシアネート-トルエン、4,4’-ジメチルジフェニル-メタン-2,2’,5,5-テトライソシアネート等が挙げられる。そのような化合物は市販されているが、そのような化合物を合成する方法は当技術分野で周知である。好ましいイソシアネート含有化合物は、メチレンビスフェニルジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素化MDI(HMDI)及びトルエンジイソシアネート(TDI)の異性体である。
【0042】
ポリエステルポリオール
ポリエステルポリオールの酸価は、メーカーがポリエステルポリオールを製造する際の品質管理の考慮事項の1つであり得、最大酸価限度は通常、かなり高いレベルに設定されている。さまざまなメーカーのポリエステルポリオールでは、酸価の上限が1.0、2.0、さらには3.0以上であることが判明している。さらに、ポリエステルポリオールのほとんどの輸送業者、取扱い業者、および使用者は酸価の検査をしておらず、ポリイソシアネートと反応する前の輸送、保管、溶融、加工などの製造後プロセスに関連するポリエステルポリオールの酸価の潜在的な増加を考慮していない。これらの製造後プロセスにより、ポリエステルポリオールの酸価が製造限界をさらに超える可能性がある。
【0043】
驚くべきことに、本発明者らは、低い酸価(ASTM D4662を使用して0.9未満)を有する好ましいポリエステルポリオールが、前述の望ましくない問題の多くを改善し、熱的に安定な系を提供することを見出した。本発明者らは、
図1のグラフに示すように、MA-SCA酸安定剤と好ましいポリエステルポリオールの酸価との間に驚くべき相互作用があることも見出した。
【0044】
好ましいポリエステルポリオールは、(m+n)の合計が8以下のHOOC-(CH2)m-COOHの二酸と、ジオールHO-(CH2)n-OHとの反応生成物である。本明細書で使用される場合、(m+n)の合計は、4、6、または8などの偶数の整数であり、mおよびnのそれぞれは偶数の整数である。このようなポリエステルポリオールの例としては、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンサクシネートジオール、ポリブチレンサクシネートジオール、ポリエチレンアジペートジオール、およびポリエチレンサクシネートジオールが挙げられる。(m+n)の合計が8以下の好ましいポリエステルポリオールについては、ポリエステルポリオールの酸価が0.9未満、好ましくは0.7未満、最も望ましくは0.6未満であれば、非常に望ましい熱安定性が得られる。好ましいポリエステルポリオールは、好ましくは、(m+n)の合計が8に等しいHOOC-(CH2)m-COOHの二酸と、ジオールHO-(CH2)n-OHとの反応生成物である。驚くべきことに、(m+n)の合計が8を超えると、酸価が0.9よりも大幅に大きいポリエステルポリオールを使用すると、熱安定性の変動はなくなり、システムは熱的に安定する。(比較例15および19を参照)。
【0045】
好ましいポリエステルポリオールに入らない、好ましくないポリエステルポリオールを、好ましいポリエステルポリオールに加えて使用することができる。異なる好ましいポリエステルポリオール、または好ましくないポリエステルポリオール、または好ましいポリエステルポリオールと好ましくないポリエステルポリオールの組み合わせも使用することができる。
【0046】
ポリエーテルポリオール
使用できる有用なポリエーテルポリオールとしては、ヒドロキシル基を有する直鎖状及び分枝状ポリエーテルが挙げられる。ポリエーテルポリオールの例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリオキシアルキレンポリオールが挙げられる。また、ポリオキシアルキレンポリオールのホモポリマー及びコポリマーも使用してよい。ポリオキシアルキレンポリオールの特に好ましいコポリマーは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、2-エチルヘキサンジオール-1,3、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリス(ヒドロキシフェニル)プロパン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン及びエタノールアミンから成る群から選択される少なくとも1つの化合物の付加物を包含してよい。最も好ましくは、ポリエーテルポリオールはポリプロピレングリコールを含む。好ましくは、ポリエーテルポリオールは、1,500~6,000の数平均分子量を有し、より好ましい範囲は2,000~4,000ダルトンである。ポリエーテルポリオールは、ポリエーテルポリオールの混合物を含んでもよい。
【0047】
熱可塑性ポリマー
混合物には、1つ以上の熱可塑性ポリマーが含まれる。好ましい熱可塑性ポリマーとしては、アクリルポリマーが挙げられる。アクリルポリマーは、アクリルホモポリマーまたはアクリルコポリマーであり得る。アクリルコポリマーは、アクリレートモノマー、メタクリレートモノマー、およびそれらの混合物の反応生成物であり得る。アクリルポリマーはまた、非アクリルモノマーとアクリレートモノマー、メタクリレートモノマーおよびそれらの混合物との反応生成物であり得る。いくつかの実施形態では、メタクリル酸メチルモノマーおよびメタクリル酸n-ブチルモノマーのうちの少なくとも1つから調製されるアクリルポリマーが好ましい。いくつかの好ましいアクリルコポリマーの例としては、重量平均分子量が34,000のメタクリル酸メチルとメタクリル酸n-ブチルのコポリマーであるElvacite(登録商標)2013、60,000の重量平均分子量を有するメタクリル酸メチルとメタクリル酸n-ブチルのコポリマーであるElvacite(登録商標)2016、60,000の重量平均分子量を有するメタクリル酸メチル、メタクリル酸n-ブチルおよびメタクリル酸ヒドロキシエチルのコポリマーであるElvacite(登録商標)4014が挙げられる。Elvacite(登録商標)ポリマーは、Lucite Internationalから入手可能である。アクリルポリマーの他の例は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,465,104号および第5,021,507号に見ることができる。アクリルポリマーは活性水素を含んでいても含んでいなくてもよい。いくつかの実施形態では、アクリルポリマーは、20,000~250,000、好ましくは25,000~200,000、より好ましくは30,000~100,000の重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、アクリルポリマーは、8未満、より好ましくは5未満のOH価を有する。いくつかの実施形態では、アクリルポリマーは、約35~約85℃、好ましくは45~75℃のガラス転移温度Tgを有する。異なる特性(官能性、Tg、分子量、OH価など)を有する異なる熱可塑性ポリマーまたはアクリルポリマーの組み合わせを使用することができる。
【0048】
無機充填剤
使用できる充填剤としては、炭酸カルシウム、カオリンおよびドロマイトなどの無機材料が挙げられる。炭酸カルシウムは、非化石燃料ベースの持続可能で再生可能な材料と呼ばれている。適切な充填剤の他の例は、George Wypych著の充填剤ハンドブック、第3版、2009年およびHarry KatzおよびJohn Milewski著、1978年のプラスチック用充填剤および補強材のハンドブックに記載されている。無機充填剤は、接着剤の総重量に基づいて、好ましくは10%を超える量で存在し、より好ましくは20%を超える量で存在する。この量のこのような充填剤を利用する従来の試みでは、ホットメルト接着剤のオープンタイムが短くなり、使用中の溶融ホットメルト接着剤の望ましくない増加などの問題が生じた。
【0049】
MA-SCA酸
MA-SCA酸は、最終的に単一の中心原子に結合した酸性基を有する多塩基酸のサブセットである。MA-SCA酸の例としては、硫酸、ホスホン酸、リン酸、二リン酸(ピロリン酸)が挙げられる。MA-SCA酸ではない酸は、開示された組成物に使用されるべきではない。MA-SCA酸ではない他の酸の例としては、塩酸、硝酸、ホスフィン酸、p-トルエンスルホン酸、エタンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、エタン二酸、アジピン酸が挙げられる。好ましくは、組成物はMA-SCA酸を含む。MA-SCA酸ではない酸は、MA-SCA酸の有益な効果をもたらさず、実際、単独またはMA-SCA酸と組み合わせて使用すると接着剤の熱安定性を低下させる可能性があるため、使用すべきではない。
【0050】
本発明者らは、MA-SCA酸と好ましいポリエステルポリオールの酸価との間に相互作用があることを見出した。MA-SCA酸を添加すると、溶融状態での使用中または反応器内での接着剤の形成中の粘度上昇および/またはゲル化挙動を遅らせることができるが、そのような添加はポリエステルポリオールと相互作用して、特定の点で相分離を引き起こす可能性もある。酸の添加量を変えると系がゲルと相分離の間で急速に変化する可能性があるため、相分離を避けるために添加する酸を適切な量で添加することが重要である。
【0051】
添加剤
接着剤配合物は、必要に応じて、触媒、オルガノシラン、溶媒、接着促進剤、追加の充填剤、可塑剤、着色剤、レオロジー調整剤、難燃剤、UV顔料、ナノファイバー、消泡剤、相溶性粘着付与剤、硬化触媒、酸化防止剤、安定剤、ヒュームドシリカなどのチキソトロピー剤、接着促進剤などの従来の様々なホットメルト接着剤添加剤の1つ以上を含むことも、含まないこともできる。開示された組成物と適合する従来の添加剤は、潜在的な添加剤を組成物と組み合わせ、それらが適合するかどうかを決定することによって簡単に決定することができる。添加剤は、室温および使用温度で製品内で均一であれば適合する。従来の添加剤は知られているが、いくつかの有用な実施形態を以下に示す。
【0052】
任意に使用できる触媒としては、例えば、2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル、トリエチレンジアミン、ジブチル錫ジラウレートおよびオクタン酸第一スズが挙げられる。好ましい触媒は、2,2’-ジモルホリノジエチルエーテルである。
【0053】
使用できるオルガノシランとしては、第二級アミノシラン等のアミノシランが挙げられる。1つの魅力的なシランは、少なくとも2つのシリル基を包含し、3つのメトキシ基が各シランヒンダード2級アミノ基又はそれらの任意の組合せに結合する。こうした市販のアミノシランの例は、ビス-(トリメトキシシリルプロピル)-アミン、例えばSilquestA-1170である。有用なオルガノシランの他の例としては、ヒドロキシ官能基、メルカプト官能基、又はその両方を有するシランが挙げられ、例えば3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリスメトキシ-エトキシエトキシシラン、3-アミノプロピル 1-メチル1-ジエトキシシラン、N-メチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-ブチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピル1-メチル-ジメトキシシラン、(N-シクロヘキシルアミノメチル)メチルジエトキシシラン、(N-シクロヘキシルアミノメチル)トリエトキシシラン、(N-フェニルアミノメチル)メチルジメトキシシラン、(N-フェニルアミノメチル)トリ-メトキシシラン、N-エチル-アミノイソブチルトリメトキシシラン、4-アミノ-3,3-ジメチルブチルトリメトキシシラン、N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(n-ブチル)-3-アミノプロピルアルコキシジエトキシ-シラン、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミン及びこれらの任意の組合せが挙げられる。
【0054】
オルガノシランは、多くの供給元、例えばMomentive Performance Materials(Silquest)及びEvonik(Dynasylan)から市販されている。いくつかの有用な例としては、Silquest Alink15(N-エチル-3-トリメトキシシリル-2-メチルプロパンアミン)、Silquest Alink35(ガンマ-イソシアナートプロピルトリメトキシシラン)、Silquest A174NT(ガンマ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)、Silquest A187(ガンマ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、Silquest A189(ガンマ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、Silquest A597(トリス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)イソシアヌレート)、SilquestA1110(ガンマ-アミノプロピルトリメトキシシラン)、Silquest A1170(ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン)、Dynasylan1189(N-ブチル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、Silquest A1289(ビス-(トリエトキシシリルプロピルテトラスルフィド)、及びSilquest Y9669(N-フェニル-ガンマ-アミノプロピルトリメトキシシラン)が挙げられる。
【0055】
溶媒には有機溶媒が含まれる。水などの水性溶媒は硬化を開始するので、接着剤配合物には本質的に水を含まないことが好ましい。好ましくは、接着剤組成物は、配合のどの段階においても溶媒または水を本質的に含まない。
【0056】
水分反応性ポリウレタンホットメルト接着剤を調製するために特別な反応順序は必要ない。一実施形態では、開示されたホットメルト接着剤は、以下の手順を使用して調製することができる。ポリウレタンの反応から水分を排除する必要があることに注意すべきである。ポリオールを反応器に加え、加熱および真空下に置き、水分を除去する。乾燥したら、ポリイソシアネートを反応器に加え、反応器を熱と不活性ガスバリアに維持し、湿気を排除する。反応後、残りの成分を反応生成物に加えて混合することができる。あるいは、残りの成分は、ポリイソシアネートの前に、またはポリイソシアネートと同時にポリオールに添加することができる。最終製品は防湿容器に移され、直ちに密封される。
【0057】
一実施形態では、ホットメルト接着剤は、以下を含む混合物の反応生成物を含む。
【表1】
【0058】
開示されたホットメルト接着剤は、通常、固体の形態で流通および保管され、保管中の硬化を防ぐために湿気のない状態で保管される。ホットメルト接着剤は、使用中に加熱されて溶融流体の状態になり、121℃以上などの高温に維持される。水分が存在しない場合、機器の停止を避けるために、溶融したホットメルト接着剤は許容可能な粘度上昇を24時間以上維持する必要がある。いくつかの実施形態では、開示されたホットメルト接着剤は、使用中に1000%以下、より典型的には500%以下、好ましくは300%以下、より好ましくは100%以下の粘度増加(熱安定性)を有する。ホットメルト接着剤が溶融状態にある間にゲル化または相が分離することも好ましくなく、熱安定性の欠陥とみなされる。サンプルを商業条件下での熱安定性を近似するために、121℃で24時間密閉容器内(たとえば、空気と湿気を除く)に保持する。
【0059】
本発明はまた、反応性ホットメルト接着剤をほぼ室温で典型的には固体の形態で提供し、反応性ホットメルト接着剤を加熱して溶融形態にし、溶融した反応性ホットメルト接着剤組成物を溶融形態で約80℃~約145℃の範囲の温度で第1の物品に塗布し、第2の物品を、第1の物品に塗布された溶融組成物と接触させ、接着剤を冷却し固まらせ、塗布された組成物を、組成物が不可逆的な固体形態を有する組成物に完全に硬化することを可能にする条件にさらすことを含む物品を互いに接着するための方法を提供する。固化または硬化は、溶融液体が塗布温度から室温まで冷え始めるときに発生する。組成物の不可逆固体形態への硬化は、基材表面または大気から得られる周囲湿気の存在下で2~72時間かけて起こり、通常、接着剤の固化中および固化後に起こる。
【0060】
本開示によるホットメルト接着剤は、スプレー、ローラーコーティング、押出による、およびビーズとしてなどの様々な方法で塗布することができる。開示されたホットメルト接着剤は、ある範囲の粘度で調製することができ、水分が排除される限り貯蔵中に安定である。金属、木材、プラスチック、ガラス、繊維などのさまざまな基材に適用できる。
【0061】
したがって、本開示には、一般に貯蔵および流通される未硬化の固体形態、塗布直前に溶融した後の溶融形態、および硬化後の不可逆的な固体形態の両方の反応性ポリウレタンホットメルト接着剤組成物が含まれる。
【0062】
本発明を、以下の非限定的な実施例によってさらに説明する。
【実施例】
【0063】
表1の以下の成分を以下の実施例で使用した。
【表2】
【0064】
表2は、すべての例の一般的な配合を提供する。
【表3】
【0065】
初期強度またはグリーン強度は、クロスピーラー試験を使用して測定できる。0.8グラムの接着剤を121℃で硬質木材ストリップ上に塗布し、次に第2の硬質木材ストリップと合わせて、接着剤が被覆された1平方インチの断面を作成した。次に、指定された時点の後に、引張強度を測定および記録できる。上で議論したように、グリーン強度という用語は、ホットメルト接着剤を基材に塗布した後、最初の30分以内に発現する強度を指す。硬化引張強度は、接着サンプルを室温および周囲湿度に72時間暴露して硬化させた後、同じ試験手順を使用して測定できる。
【0066】
オープンタイムは次のように測定できる。接着剤0.8グラムを121℃で基材上に塗布し、次に木製の舌圧子を接着剤に押し付ける。接着剤が室温まで冷却する間に接着剤が舌圧子に移らない時間を記録する。8分のオープンタイムとは、塗布後8分間は接着剤を舌圧子に押し当てて接着剤を転写またはピックアップできるが、8分以降は接着剤を転写できないことを意味する。
【0067】
粘度は、サンプルカップを121℃に加熱し、サンプルカップ内でサンプルを121℃で30分間平衡化した後、#27スピンドルを使用してブルックフィールドDV-I+粘度計で測定できる。粘度の単位はセンチポアズ(cP)である。
【0068】
【0069】
図1は、表3の結果の一部をグラフで示す。250°Fでの24時間のベークは、溶融状態のホットメルト接着剤の商用時間と温度に近似する。
図1は、高充填ポリウレタンホットメルト接着剤の驚くべき複雑な相挙動を示す。X軸は接着剤に使用される好ましいポリエステルポリオール(ポリブチレンジアジペートジオール)の酸価であり、Y軸は接着剤中のMA-SCA酸(リン酸またはPA)の量である。
図1は、高充填ポリウレタンホットメルト接着剤にとって唯一望ましいゾーンが「1」セルで囲まれた左下隅にあることを示す。「2」のセルで囲まれたゾーンは、有用である可能性があるが、溶融状態での使用中に相分離のリスクが増加する組成物を示している。「3」のセルで囲まれたゾーンは、溶融状態での使用中に塗布装置内でゲル化する可能性がある組成物を示す。「4」セルを囲むゾーンは、成形中および使用準備が整う前にゲル化する可能性がある高充填ポリウレタンホットメルト接着剤を示す。「4」ゾーンは、反応器内での形成中にシステムがゲル化し、重大な経済的損失が生じる最も望ましくない状況を表す。
【0070】
実施例は以下に記載するように調製した。
【0071】
例1-本発明
278.5部のPPG2000を、真空接続を備えた加熱可能な撹拌タンク反応器に導入し、190部のElvasite2016、140部のポリエステルポリオールA(酸価=0.57)、250部のCalwhiteをその中でブレンドし、溶融した。次いで、水分を121℃で1.5時間かけて真空除去した。次いで、反応器を窒素でパージし、140部の4,4’-ジフェニルメタン-ジイソシアネート(MDI)を加え、反応器の内容物を121℃、窒素下で15分撹拌し、121℃、真空で3時間撹拌した。反応器を窒素でパージし、1.1部の2,2’-ジモルホリニルジエチルエーテル(DMDEE)を加え、窒素下で15分攪拌した。次いで、反応生成物を防湿容器に移し、後の試験のために直ちに密封した。
【0072】
例2-本発明
278.5部のPPG2000を、真空接続を備えた加熱可能な撹拌タンク反応器に導入し、190部のElvasite2016、140部のポリエステルポリオールA(酸価=0.57)、250部のCalwhiteをその中でブレンドし、溶融した。次いで、水分を121℃で1.5時間かけて真空除去した。次いで、反応器を窒素でパージし、140部の4,4’-ジフェニルメタン-ジイソシアネート(MDI)を加え、反応器の内容物を121℃、窒素下で15分撹拌し、121℃、真空で3時間撹拌した。反応器を窒素でパージし、1.1部の2,2’-ジモルホリニルジエチルエーテル(DMDEE)および0.3部のリン酸(85%)を加え、窒素下で15分間撹拌した。次いで、反応生成物を防湿容器に移し、後の試験のために直ちに密封した。
【0073】
例3-比較
278.5部のPPG2000を、真空接続を備えた加熱可能な撹拌タンク反応器に導入し、190部のElvasite2016、140部のポリエステルポリオールA(酸価=0.57)、250部のCalwhiteをその中でブレンドし、溶融した。次いで、水分を121℃で1.5時間かけて真空除去した。次いで、反応器を窒素でパージし、140部の4,4’-ジフェニルメタン-ジイソシアネート(MDI)を加え、反応器の内容物を121℃、窒素下で15分撹拌し、121℃、真空で3時間撹拌した。反応器を窒素でパージし、1.1部の2,2’-ジモルホリニルジエチルエーテル(DMDEE)および1.0部のリン酸(85%)を加え、窒素下で15分間、撹拌した。次いで、反応生成物を防湿容器に移し、後の試験のために直ちに密封した。
【0074】
例4-本発明
278.5部のPPG2000を、真空接続を備えた加熱可能な撹拌タンク反応器に導入し、190部のElvacite2016、140部のポリエステルポリオールA(酸価=0.69)、250部のCalwhiteをその中でブレンドし、溶融した。次いで、水分を121℃で1.5時間かけて真空除去した。次いで、反応器を窒素でパージし、140部の4,4’-ジフェニルメタン-ジイソシアネート(MDI)を加え、反応器の内容物を121℃、窒素下で15分撹拌し、121℃、真空で3時間撹拌した。反応器を窒素でパージし、1.1部の2,2’-ジモルホリニルジエチルエーテル(DMDEE)を加え、窒素下で15分間撹拌した。次いで、反応生成物を防湿容器に移し、後の試験のために直ちに密封した。
【0075】
例5-比較
278.5部のPPG2000を、真空接続を備えた加熱可能な撹拌タンク反応器に導入し、190部のElvacite 2016、140部のポリエステルポリオールA(酸価=0.69)、250部のCalwhiteをその中でブレンドし、溶融した。次いで、水分を121℃で1.5時間かけて真空除去した。次いで、反応器を窒素でパージし、140部の4,4’-ジフェニルメタン-ジイソシアネート(MDI)を加え、反応器の内容物を121℃、窒素下で15分撹拌し、121℃、真空で3時間撹拌した。反応器を窒素でパージし、1.1部の2,2’-ジモルホリニルジエチルエーテル(DMDEE)および0.3部のリン酸(85%)を加え、窒素下で15分間撹拌した。次いで、反応生成物を防湿容器に移し、後の試験のために直ちに密封した。
【0076】
例6-比較
278.5部のPPG2000を、真空接続を備えた加熱可能な撹拌タンク反応器に導入し、190部のElvacite2016、140部のポリエステルポリオールA(酸価=0.99)、250部のCalwhiteをその中でブレンドし、溶融した。次いで、水分を121℃で1.5時間かけて真空除去した。次いで、反応器を窒素でパージし、140部の4,4’-ジフェニルメタン-ジイソシアネート(MDI)を加え、反応器の内容物を121℃、窒素下で15分撹拌し、121℃、真空で3時間撹拌した。反応器を窒素でパージし、1.1部の2,2’-ジモルホリニルジエチルエーテル(DMDEE)を加え、窒素下で15分間撹拌した。次いで、反応生成物を防湿容器に移し、後の試験のために直ちに密封した。
【0077】
例7-比較
278.5部のPPG2000を、真空接続を備えた加熱可能な撹拌タンク反応器に導入し、190部のElvacite2016、140部のポリエステルポリオールA(酸価=1.30)、250部のCalwhiteをその中でブレンドし、溶融した。次いで、水分を121℃で1.5時間かけて真空除去した。次いで、反応器を窒素でパージし、140部の4,4’-ジフェニルメタン-ジイソシアネート(MDI)を加え、反応器の内容物を121℃、窒素下15分間撹拌し、121℃真空下で3時間攪拌した。反応器を窒素でパージし、1.1部の2,2’-ジモルホリニルジエチルエーテル(DMDEE)を加え、窒素下で15分間撹拌した。次いで、反応生成物を防湿容器に移し、後の試験のために直ちに密封した。
【0078】
例8-比較
278.5部のPPG2000を、真空接続を備えた加熱可能な撹拌タンク反応器に導入し、190部のElvacite2016、140部のポリエステルポリオールA(酸価=1.30)、250部のCalwhiteをその中でブレンドし、溶融した。次いで、水分を121℃で1.5時間かけて真空除去した。次いで、反応器を窒素でパージし、140部の4,4’-ジフェニルメタン-ジイソシアネート(MDI)を加え、反応器の内容物を121℃、窒素下で15分撹拌し、121℃、真空で3時間撹拌した。反応器を窒素でパージし、1.1部の2,2’-ジモルホリニルジエチルエーテル(DMDEE)および0.3部のリン酸(85%)を加え、窒素下で15分間撹拌した。次いで、反応生成物を防湿容器に移し、後の試験のために直ちに密封した。
【0079】
例9-比較
278.5部のPPG2000を、真空接続を備えた加熱可能な撹拌タンク反応器に導入し、190部のElvacite2016、140部のポリエステルポリオールA(酸価=1.30)、250部のCalwhiteをその中でブレンドし、溶融した。次いで、水分を121℃で1.5時間かけて真空除去した。次いで、反応器を窒素でパージし、140部の4,4’-ジフェニルメタン-ジイソシアネート(MDI)を加え、反応器の内容物を121℃、窒素下で15分撹拌し、121℃、真空で3時間撹拌した。反応器を窒素でパージし、1.1部の2,2’-ジモルホリニルジエチルエーテル(DMDEE)および1.0部のリン酸(85%)を加え、窒素下で15分間撹拌した。次いで、反応生成物を防湿容器に移し、後の試験のために直ちに密封した。
【0080】
例10-比較
278.5部のPPG2000を、真空接続を備えた加熱可能な撹拌タンク反応器に導入し、190部のElvacite2016、140部のポリエステルポリオールA(酸価=3.39)、250部のCalwhiteをその中でブレンドし、溶融した。次いで、水分を、121℃で1.5時間かけて真空中で除去した。次いで、反応器を窒素でパージし、140部の4,4’-ジフェニルメタン-ジイソシアネート(MDI)を添加し、反応器の内容物を窒素下121℃で15分間撹拌し、次いで真空中で121℃で撹拌した。混合物は反応器内で約2時間でゲル化した。
【0081】
例11-比較
278.5部のPPG2000を、真空接続を備えた加熱可能な撹拌タンク反応器に導入し、190部のElvacite2016、140部のポリエステルポリオールA(酸価=3.39)、250部のCalwhiteをその中でブレンドし、溶融した。次いで、水分を121℃で1.5時間かけて真空中で除去した。次いで、反応器を窒素でパージし、140部の4,4’-ジフェニルメタン-ジイソシアネート(MDI)および0.3部のリン酸(85%)を添加した。反応器の内容物を窒素下121℃で15分間撹拌し、次いで真空下121℃で3時間撹拌した。反応器を窒素でパージし、1.1部の2,2’-ジモルホリニルジエチルエーテル(DMDEE)を加え、窒素下で15分間撹拌した。次いで、反応生成物を防湿容器に移し、後の試験のために直ちに密封した。
【0082】
例12-比較
278.5部のPPG2000を、真空接続を備えた加熱可能な撹拌タンク反応器に導入し、190部のElvacite2016、140部のポリエステルポリオールA(酸価=3.39)、250部のCalwhiteをその中でブレンドし、溶融した。次いで、水分を121℃で1.5時間かけて真空中で除去した。次いで、反応器を窒素でパージし、140部の4,4’-ジフェニルメタン-ジイソシアネート(MDI)および0.3部のリン酸(85%)を添加した。反応器の内容物を窒素下121℃で15分間撹拌し、次に真空下121℃で3時間撹拌した。反応器を窒素でパージし、1.1部の2,2’-ジモルホリニルジエチルエーテル(DMDEE)および0.7部のリン酸(85%)を加え、窒素下で15分間撹拌した。次いで、反応生成物を防湿容器に移し、後の試験のために直ちに密封した。
【0083】
例13-比較
278.5部のPPG2000を、真空接続を備えた加熱可能な撹拌タンク反応器に導入し、190部のElvacite2016、140部のポリエステルポリオールB(酸価=1.25)、250部のCalwhiteをその中でブレンドし、溶融した。次いで、水分を、121℃で1.5時間かけて真空中で除去した。次いで、反応器を窒素でパージし、140部の4,4’-ジフェニルメタン-ジイソシアネート(MDI)を添加し、反応器の内容物を窒素下、121℃で15分間撹拌し、次いで真空下、121℃で3時間撹拌した。反応器を窒素でパージし、1.1部の2,2’-ジモルホリニルジエチルエーテル(DMDEE)を加え、窒素下で15分間撹拌した。次いで、反応生成物を防湿容器に移し、後の試験のために直ちに密封した。
【0084】
例14-本発明
278.5部のPPG2000を、真空接続を備えた加熱可能な撹拌タンク反応器に導入し、190部のElvacite2016、140部のポリエステルポリオールB(酸価=0.29)、250部のCalwhiteをその中でブレンドし、溶融した。次いで、水分を121℃で1.5時間かけて真空除去した。次いで、反応器を窒素でパージし、140部の4,4’-ジフェニルメタン-ジイソシアネート(MDI)を加え、反応器の内容物を121℃、窒素下で15分撹拌し、121℃、真空で3時間撹拌した。反応器を窒素でパージし、1.1部の2,2’-ジモルホリニルジエチルエーテル(DMDEE)を加え、窒素下で15分間撹拌した。次いで、反応生成物を防湿容器に移し、後の試験のために直ちに密封した。
【0085】
例15-比較
278.5部のPPG2000を、真空接続を備えた加熱可能な撹拌タンク反応器に導入し、190部のElvacite2016、140部のポリエステルポリオールC、250部のCalwhiteをその中でブレンドし、溶融した。次いで、水分を真空中、121℃で1.5時間かけて除去した。次いで、反応器を窒素でパージし、140部の4,4’-ジフェニルメタン-ジイソシアネート(MDI)を加え、反応器の内容物を窒素下、121℃で15分間撹拌し、次いで真空下、121℃で3時間撹拌した。反応器を窒素でパージし、1.1部の2,2’-ジモルホリニルジエチルエーテル(DMDEE)を加え、窒素下で15分間撹拌した。次いで、反応生成物を防湿容器に移し、後の試験のために直ちに密封した。
【0086】
例16-比較
278.5部のPPG2000を、真空接続を備えた加熱可能な撹拌タンク反応器に導入し、190部のElvacite2016、140部のポリエステルポリオールE(酸価=3.87)、250部のCalwhiteをその中でブレンドし、溶融した。次いで、水分を真空中で除去した。次いで、反応器を窒素でパージし、140部の4,4’-ジフェニルメタン-ジイソシアネート(MDI)を添加し、反応器の内容物を窒素下、121℃で15分間撹拌し、次に真空中で121℃で攪拌した。混合物は反応器内で約1.5時間でゲル化した。
【0087】
例17-比較
278.5部のPPG2000を、真空接続を備えた加熱可能な撹拌タンク反応器に導入し、190部のElvacite2016、140部のポリエステルポリオールF(酸価=2.46)、250部のCalwhiteをその中でブレンドし、溶融した。次いで、水分を121℃で1.5時間かけて真空除去した。次いで、反応器を窒素でパージし、140部の4,4’-ジフェニルメタン-ジイソシアネート(MDI)を加え、反応器の内容物を窒素下、121℃で15分間、その後、真空中、121℃で攪拌した。混合物は反応器内で約2時間でゲル化した。
【0088】
例18-比較
278.5部のPPG2000を、真空接続を備えた加熱可能な撹拌タンク反応器に導入し、190部のElvacite2016、140部のポリエステルポリオールG(酸価=1.28)、250部のCalwhiteをその中でブレンドし、溶融した。次いで、水分を121℃で1.5時間かけて真空中で除去した。次いで、反応器を窒素でパージし、140部の4,4’-ジフェニルメタン-ジイソシアネート(MDI)を加え、反応器の内容物を窒素下、121℃で15分間撹拌し、次いで真空下、121℃で3時間撹拌した。反応器を窒素でパージし、1.1部の2,2’-ジモルホリニルジエチルエーテル(DMDEE)を加え、窒素下で15分間撹拌した。次いで、反応生成物を防湿容器に移し、後の試験のために直ちに密封した。
【0089】
例19-比較
278.5部のPPG2000を、真空接続を備えた加熱可能な撹拌タンク反応器に導入し、Elvacite2016、190部、ポリエステルポリオールH140部、Calwhite250部をその中でブレンドし、溶融した。次いで、水分を真空中で121℃で1.5時間かけて除去した。次いで、反応器を窒素でパージし、140部の4,4’-ジフェニルメタン-ジイソシアネート(MDI)を加え、反応器の内容物を窒素下、121℃で15分間撹拌し、次いで真空下、121℃で3時間撹拌した。反応器を窒素でパージし、1.1部の2,2’-ジモルホリニルジエチルエーテル(DMDEE)を加え、窒素下で15分間撹拌した。次いで、反応生成物を防湿容器に移し、後の試験のために直ちに密封した。
【0090】
例20-比較
278.5部のPPG2000を、真空接続を備えた加熱可能な撹拌タンク反応器に導入し、Elvacite2016、190部、ポリエステルポリオールA(酸価=1.44)140部をその中でブレンドし、溶融した。次いで、水分を真空中で121℃で1.5時間かけて除去した。次いで、反応器を窒素でパージし、100部の4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を加え、反応器の内容物を窒素下121℃で15分間撹拌し、次いで真空下121℃で3時間撹拌した。反応器を窒素でパージし、1.1部の2,2’-ジモルホリニルジエチルエーテル(DMDEE)を加え、窒素下で15分間撹拌した。次いで、反応生成物を防湿容器に移し、後の試験のために直ちに密封した。
【0091】
未充填のポリウレタン反応性ホットメルト接着剤が知られており、熱的に安定である。比較例20を参照。しかしながら、そのような系は熱的には安定であるものの、開示された組成物と同じ改善された性能、持続可能性、および経済性を提供しない。例15および19は、ポリヘキサメチレンアジペートジオールなど、好ましいポリエステルポリオール以外のポリエステルポリオール(m+nが8より大きい)を使用して配合された、熱安定性を有する充填ポリウレタン反応性ホットメルト接着剤を示す。これらのホットメルト接着剤は熱的に安定しているが、一部の用途ではオープンタイムやグリーン強度などの最適な物理的特性を提供しない。
【0092】
ポリウレタンホットメルト接着剤に充填剤を使用すると、望ましい性能、持続可能性、および経済的利点が得られる。また、熱的に不安定になるため、充填ポリウレタン反応性ホットメルトシステムを安定化する必要がある。
【0093】
約0.6未満の酸価を有する好ましいポリエステルポリオールを使用して製造された接着剤は、持続性および経済的特性、ならびに望ましい長いオープンタイム、高いグリーン強度、および熱安定性特性を有する充填ポリウレタン反応性ホットメルト接着剤を提供する。接着剤に使用される好ましいポリエステルポリオールの酸価が0.6を超えると、熱安定性が低下し始め、用途によっては望ましくない粘度上昇、分離、さらにはゲル化を引き起こす。酸価が0.9以下の好ましいポリエステルポリオールを使用して製造された接着剤に、少量のMA-SCA酸を添加すると、これらの接着剤の熱安定性を向上させる。驚くべきことに、この効果は、酸価の低い好ましいポリエステルポリオールを使用して製造された接着剤ではあまり顕著ではない。また、MA-SCA酸はある濃度ではその系の熱安定性に悪影響を与える可能性がある。より高い酸価を有する好ましいポリエステルポリオールを使用して製造された接着剤では、熱安定性の改善がより顕著であり、ゲル化現象を相分離現象に変えることができる。どちらの現象も望ましくないが、ゲル化した接着剤と比較して、相分離した接着剤を塗布装置から取り除くのははるかに簡単である。さらに、ポリエステルポリオールの酸価は、そのポリエステルポリオールの保管条件および取り扱いに基づいて増加する可能性がある。好ましいポリオールと一緒に少量のMA-SCA酸を使用すると、保管や取り扱いにより好ましいポリエステルポリオールの酸価が変化した場合でも、系の熱安定性が許容範囲内に保たれることがさらに保証される。
【0094】
実施形態の前述の説明は、例示及び説明を目的として提供されたものである。網羅的であること、又は本開示を制限することを意図したものではない。特定の実施形態の個々の要素又は特徴は、一般に、その特定の実施形態に限定されないが、適用可能な場合、交換可能であり、特に図示又は説明されていなくても、選択された実施形態で使用することができる。同じものも様々な方法で変更してよい。こうした変更は、本開示からの逸脱と見なされるべきではなく、そのような全ての修正は、本開示の範囲内に包含されることが意図されている。
【国際調査報告】