(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】導波管ディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20240201BHJP
G02B 5/32 20060101ALI20240201BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20240201BHJP
B60K 35/23 20240101ALI20240201BHJP
【FI】
G02B27/01
G02B5/32
G02B27/02 Z
B60K35/23
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023546329
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2023-07-31
(86)【国際出願番号】 KR2022014720
(87)【国際公開番号】W WO2023055157
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0129963
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ジン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ボ・ラ・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ヘ・ウォン・ファン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ジェ・ユ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ユン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ブ・ゴン・シン
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ス・ソン
【テーマコード(参考)】
2H199
2H249
3D344
【Fターム(参考)】
2H199CA23
2H199CA25
2H199CA27
2H199CA46
2H199CA66
2H199CA68
2H199CA83
2H199DA13
2H199DA26
2H199DA44
2H249CA01
2H249CA04
2H249CA05
2H249CA08
2H249CA09
2H249CA15
2H249CA22
3D344AA21
3D344AB01
3D344AC01
3D344AC25
(57)【要約】
本発明の導波管ディスプレイ装置は、曲面反射歪みを補正する導波管(waveguide)ディスプレイ装置であって、外部から入力された光をガイドするための導波管と、前記導波管に配置され、前記外部から入力された光を前記導波管の内側に回折させる第1回折光学素子と、前記導波管に配置され、前記導波管によってガイドされた光を回折させて外部に位置した曲面反射体方向に複数の回折光を出力する第2回折光学素子とを含み、前記第2回折光学素子は、前記回折光が前記曲面反射体の互いに異なる位置で互いに平行な方向に反射するように、前記曲面反射体の曲率に対応する回折格子の構造を有することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲面反射歪みを補正する導波管(waveguide)ディスプレイ装置であって、
外部から入力された光をガイドするための導波管と、
前記導波管に配置され、前記外部から入力された光を前記導波管の内側に回折させる第1回折光学素子と、
前記導波管に配置され、前記導波管によってガイドされた光を回折させて外部に位置した曲面反射体の方向に複数の回折光を出力する第2回折光学素子とを含み、
前記第2回折光学素子は、
前記回折光が前記曲面反射体の互いに異なる位置で互いに平行な方向に反射するように、前記曲面反射体の曲率に対応する回折格子の構造を有することを特徴とする導波管ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記回折格子の構造は、
前記回折格子のピッチ(pitch)および前記回折格子の傾斜角度(slanted angle)のうちの、1つ以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の導波管ディスプレイ装置。
【請求項3】
前記第1回折光学素子および前記第2回折光学素子は、
ホログラフィック光学素子(holographic optical element)であることを特徴とする請求項1または2に記載の導波管ディスプレイ装置。
【請求項4】
前記導波管は、
平板で形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の導波管ディスプレイ装置。
【請求項5】
前記曲面反射体は、前記導波管と離隔して外部に位置する、請求項1または2に記載の導波管ディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2021年9月30日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2021-0129963号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本発明に組み込まれる。
【0002】
本発明は、導波管ディスプレイ装置に関する。具体的には、本発明は、曲面反射歪みを補正する導波管ディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0003】
図1Aには、従来の導波管ディスプレイに関する一例が示されている。
【0004】
従来の導波管ディスプレイでは、回折素子1を通して光導波路に入射した光が、内部反射により回折素子2の方向に進行する。内部反射により進行した光は、回折素子2から出射されて観察者の眼に認識される。回折素子2から出射される光は、入射角度と同じ角度を有し、このために、回折素子1および回折素子2の回折格子は、互いに対称構造からなる。
【0005】
図1Bに示されるように、従来の導波管ディスプレイをヘッドアップディスプレイ(head-up display)に適用する場合、回折素子2を通して出射された光(映像)が車両用ウインドシールドのような曲面体(曲面反射体)に反射し、観察者は曲面反射体で反射した映像を眼で認識できるようになる。
【0006】
ただし、回折素子2を通して出射された映像が曲面反射体に反射すれば、曲面反射体における曲面反射歪みによって映像の歪みが発生し、これによって観察者が鮮明な映像を認識できない問題が発生する。
【0007】
例えば、曲面反射の歪みによって、回折素子2を通して出射された映像が回折素子1に入力された映像の角度とは異なる角度で観察者の眼に入射される。また、回折素子2を通して出射された映像が曲面反射体で反射する位置によって互いに異なる角度で反射するので、観察者は観察する位置によって互いに異なる角度で出力された(反射した)映像を観察するようになる。
【0008】
導波管ディスプレイの原理上、曲面反射の歪みは、観察者の観察時点と位置によって異なる形態で発生するので、単純に回折素子1に入力される映像を補正する方法では上記の問題を解決できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする技術的課題は、曲面反射歪みを補正できる導波管ディスプレイ装置を提供することである。
【0010】
ただし、本発明が解決しようとする課題は上述した課題に制限されず、言及されていないさらに他の課題は下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によれば、曲面反射歪みを補正する導波管(waveguide)ディスプレイ装置であって、外部から入力された光をガイドするための導波管と、前記導波管に配置され、前記外部から入力された光を前記導波管の内側に回折させる第1回折光学素子と、前記導波管に配置され、前記導波管によってガイドされた光を回折させて外部に位置した曲面反射体方向に複数の回折光を出力する第2回折光学素子とを含み、前記第2回折光学素子は、前記回折光が前記曲面反射体の互いに異なる位置で互いに平行な方向に反射するように、前記曲面反射体の曲率に対応する回折格子の構造を有することを特徴とする導波管ディスプレイ装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一実施形態に係る導波管ディスプレイ装置は、曲面反射歪みを補正し、これによりさらに鮮明な映像を提供できる効果がある。
【0013】
本発明の効果は上述した効果に限定されるものではなく、言及されていない効果は本願明細書および添付した図面から当業者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】従来の導波管ディスプレイに関する一例を説明するための図である。
【
図1B】従来の導波管ディスプレイが曲面体反射により映像を提供する場合に関する一例を説明するための図である。
【
図2】本発明による導波管ディスプレイ装置の構成を説明するための図である。
【
図3】本発明による回折素子の記録方法に関する例を説明するための図である。
【
図4】従来の導波管ディスプレイと、本発明による導波管ディスプレイ装置との間の映像の鮮明度を比較説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書においてある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0016】
本願明細書全体において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているとする時、これはある部材が他の部材に接している場合のみならず、2つの部材の間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0017】
本願明細書全体において、「Aおよび/またはB」は、「AおよびB、またはAまたはB」を意味する。
【0018】
本発明は、曲面反射歪みを補正する導波管ディスプレイ装置200である。本発明による導波管ディスプレイ装置200は、ウインドシールドでの反射により映像を観察者または使用者に認識させる車両用HUDシステムに活用できる。また、本発明による導波管ディスプレイ装置200は、車両用HUDシステムだけでなく、曲面体での反射により映像を認識させる多様なアプリケーションでも活用可能である。
【0019】
本発明による導波管ディスプレイ装置200の構成が
図2に示されている。
図2に示されるように、導波管ディスプレイ装置200は、導波管210と、導波管210に配置された第1回折光学素子220と、導波管210に配置された第2回折光学素子230とを含んで構成される。
【0020】
導波管210は、外部(光源)から入力された光を内部反射によりガイドする機能を果たすことができる。導波管210は、内部反射のために内部に反射面が備えられる。
【0021】
実施形態により、導波管210は、平板で形成される。導波管自体が曲率で形成された場合、導波管から外部に出力される光の曲面反射歪み現象を低減するためには、導波管に入力される光の角度および波長、導波管の曲率の変化および曲率反射体の曲率などをすべて考慮しなければならない問題が発生する。これに対し、本発明において、導波管210は、上下面が平面の板形状に形成されて導波管210から外部に出力される光の角度が一定であるので、曲面反射体の曲率に対応する角度だけを考慮できるという利点がある。
【0022】
光源から入力される光は、特定の映像であってもよいし、この場合、光源は、LCD(liquid crystal display)パネル、DMD(digital micromirror device)、OLED(organic light emitting diodes)パネルなどであってもよい。以下では、光源から入力される光を「入力映像」と称する。
【0023】
第1回折光学素子(diffractive optical element)220は、光源から入力される光すなわち、入力映像を導波管210の内部(内側)に回折させることができる。第1回折光学素子220は、回折格子構造を有し、この回折格子構造による回折現象により入力映像を導波管210の内部に回折させることができる。
【0024】
実施形態により、第1回折光学素子220は、ホログラフィック光学素子(holographic optical element)で実現できる。第1回折光学素子220がホログラフィック光学素子で実現されると、高い回折効率と狭帯域周波数特性を実現することができる。
【0025】
第1回折光学素子220によって導波管210の内部に回折された入力映像は、内部反射によって第2回折光学素子230側に進行することができる。すなわち、内部に回折された入力映像は、内部反射によって導波管210の内部で第2回折光学素子230方向にガイドされる。
【0026】
第2回折光学素子230は、ガイドされた入力映像を回折させて回折光を外部に出力することができる。第2回折光学素子230も、回折格子構造を有し、この回折格子構造による回折現象により回折光を外部に出力することができる。
【0027】
実施形態により、第2回折光学素子230は、ホログラフィック光学素子で実現できる。第2回折光学素子230がホログラフィック光学素子で実現されると、高い回折効率と狭帯域周波数特性を実現することができる。
【0028】
第1回折光学素子220は、導波管210の面のうち、光源が位置する方向の面に配置される。第2回折光学素子230は、導波管210の面のうち、曲面反射体が位置する方向の面に配置される。したがって、光源と曲面反射体の位置によって、第1回折光学素子220と第2回折光学素子230は、互いに同一の面または互いに異なる面に配置されてもよい。
【0029】
複数の回折光は、第2回折光学素子230の多様な位置から外部に位置した曲面反射体方向に出力される。回折光は、曲面反射体の互いに異なる位置で反射できる。
【0030】
実施形態により、曲面反射体は、導波管210と離隔して外部に位置することができる。すなわち、曲面反射体は、導波管210と、第1回折光学素子220と、第2回折光学素子230とを含む本発明の導波管ディスプレイ装置とは別途に形成されて、既存に設けられた曲面反射体の曲率に対応する導波管ディスプレイ装置を任意に設けることができる。
【0031】
反射した回折光が進行する方向は、回折光が反射する(曲面反射体の)地点それぞれの曲率によって左右される。これに関連し、本発明による導波管ディスプレイ装置200は、曲面反射歪みを補正するための装置であるので、曲面反射体の各地点で反射する回折光は、互いに平行な方向に進行しなければならない。
【0032】
このために、第2回折光学素子230は、曲面反射体の曲率に対応する回折格子の構造を有することができる。ここで、曲面反射体の曲率に対応する回折格子の構造とは、曲面反射体で反射する回折光が互いに平行な方向に進行するようにする回折格子のピッチ(pitch)および回折格子の傾斜角度(slanted angle)のうちの、1つ以上を意味することができる。結局、第2回折光学素子230は、回折光が出射される位置ごとに互いに異なる回折格子構造を有することができ、この互いに異なる回折格子構造は、曲面反射体の曲率に対応する構造であってもよい。
【0033】
図1Aおよび
図1Bにより説明された従来の導波管ディスプレイは、回折素子1の入射角が回折素子2の出射角と一致し、回折素子1の出射角が回折素子2の入射角と一致するように構成される。これとは異なり、本発明による導波管ディスプレイ装置200は、第2回折光学素子230から出力される回折光が曲面反射体の曲率を反映して位置ごとに互いに異なる角度で回折されるように構成され、この互いに異なる角度は、曲面反射体で反射する回折光が互いに平行な方向に進行するようにする角度に相当する。
【0034】
例えば、
図2に示されるように、第2回折光学素子230の多様な位置から出射される回折光それぞれは、互いに異なる出射角を有することができ、第2回折光学素子230は、回折光それぞれが互いに異なる出射角を有するようにする回折格子構造を有することができる。
【0035】
このような構造的特徴によって、本発明による導光板ディスプレイ装置200は、曲面反射歪みを補正することができ、これによりさらに鮮明な映像を提供することができる。
【0036】
図3は、本発明による回折素子220、230の回折格子の記録方法に関する例を説明するための図である。
図3には、回折素子220、230がホログラフィック光学素子で実現される例を中心に説明する。
【0037】
曲面反射歪みが補正されるためには(反射する回折光が互いに平行な方向に進行するためには)、第2回折光学素子230から出力された回折光それぞれは、曲面反射体で反射する位置それぞれの高さが一定でなければならない。
【0038】
図3の(a)に示すように、「反射する位置それぞれの高さが一定である」とは、導波管ディスプレイ装置200を基準として反射する位置それぞれの相対的な高さを意味することができる。回折光それぞれが曲面反射体で反射する位置それぞれの高さを一定にするために、導波管ディスプレイ装置200を曲面反射体と水平に回転させる過程が行われる。
【0039】
図3の(b)に示すように、第1回折光学素子220に記録ビームを照射して入力映像を導波管210の内部に回折させることができる回折格子構造を第1回折光学素子220に形成する過程が行われる。
【0040】
また、
図3の(c)に示すように、第2回折光学素子230に記録ビームを照射して導波管210によってガイドされた回折光を外部(曲面反射体方向)に回折させることができる回折格子構造を第2回折光学素子230に形成する過程が行われる。
【0041】
第2回折光学素子230は、曲面反射体で反射する回折光が互いに平行な方向に進行するようにする回折格子構造を有しなければならないので、第2回折光学素子230の回折格子構造の生成のための記録ビームは、曲面反射体の曲率に対応する発散角度で照射される。
【0042】
図4は、従来の導波管ディスプレイと、本発明による導波管ディスプレイ装置200との間の映像の鮮明度を比較説明するための図である。
【0043】
図4の(a)は、従来の導波管ディスプレイから出力される回折光を曲面反射体に反射させて撮影された映像を示す。
図4の(a)に示すように、従来の導波管ディスプレイは、曲面反射歪みが補正されないので、映像の歪み、両眼観察時の二重像発生などの問題が現れる。
【0044】
図4の(b)は、本発明による導波管ディスプレイ装置200から出力される回折光を曲面反射体に反射させて撮影された映像を示す。
図4の(b)に示すように、本発明による導波管ディスプレイ装置200は、曲面反射歪みが補正されるので、映像の歪みや二重像の問題が発生せず、結果として、従来の導波管ディスプレイに比べてさらに鮮明な映像を提供することができる。
【0045】
以上、様々な実施例を挙げて本発明を詳細に説明した。ただし、本発明による実施例は種々の異なる形態に変形可能である。すなわち、本明細書の実施例は本発明の属する技術分野における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0046】
本発明は本明細書に記載の実施例に限定されず、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と以下に記載される特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正および変形が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0047】
200:導波管ディスプレイ装置
210:導波管
220:第1回折光学素子
230:第2回折光学素子
【国際調査報告】