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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-08
(54)【発明の名称】検査室データ管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 9/44 20180101AFI20240201BHJP
【FI】
G06F9/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548320
(86)(22)【出願日】2022-02-08
(85)【翻訳文提出日】2023-09-21
(86)【国際出願番号】 EP2022053015
(87)【国際公開番号】W WO2022171629
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】21156011.5
(32)【優先日】2021-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501196013
【氏名又は名称】エフ・ホフマン・ラ・ロッシュ・アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN LA ROCHE AG
【住所又は居所原語表記】GRENZACHERSTRASSE 124, CH‐4070 BASEL, SWITZERLAND
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】オールウィン,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】セイファート,サーシャ
(72)【発明者】
【氏名】ヒューザー,ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】ビッツァー,アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァイクハウザー,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】小泉 信宏
(72)【発明者】
【氏名】関 善裕
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376AA32
5B376AA35
(57)【要約】
本開示は、データソースとして少なくとも1つの検査室装置(11,12,13,14,15)を備えるデータソース層(10)と、少なくとも1つのデータソースからデータを取得し、データをデータソースフォーマットからデータソース非依存フォーマットに変換するように構成された少なくとも1つのデータソースエージェント(21,22,23,24,25)を備えるデータアダプタ層(20)と、コンシューマアプリケーションソフトウェア(31,32,33,34)のインストールおよび/または実行のために構成されたコンシューマ層(30)と、データアダプタ層(20)とコンシューマ層(30)との間のデータ管理層(40)と、を備える検査室データ管理システム(100)に関する。データ管理層(40)は、少なくとも1つのデータソースエージェント(21,22,23,24,25)によって変換されたデータ1~nを記憶するように構成されたデータ記憶装置(50)と、コンシューマアプリケーションソフトウェア(31,32,33,34)からの命令を実行するようにプログラムされた少なくとも1つのデータマネージャ(41,42,43,44)であって、命令は実行されると、少なくとも1つのデータマネージャ(41,42,43,44)に、データ記憶装置(50)内のアプリケーション固有データを選択させ、それらをコンシューマフォーマットでコンシューマアプリケーションソフトウェア(31,32,33,34)を介してコンシューマにアクセス可能にさせる、少なくとも1つのデータマネージャと、を備える。データアダプタ層(20)およびデータ管理層(40)は、データソース層(10)およびコンシューマ層(30)に接続された検査室ゲートウェイ(60)内に配置されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査室データ管理システム(100)であって、
データソースとして少なくとも1つの検査室装置(11,12,13,14,15)を備えるデータソース層(10)と、
前記少なくとも1つのデータソースからデータを取得し、前記データをデータソースフォーマットからデータソース非依存フォーマットに変換するように構成された少なくとも1つのデータソースエージェント(21,22,23,24,25)を備えるデータアダプタ層(20)と、
コンシューマアプリケーションソフトウェア(31,32,33,34)のインストールおよび/または実行のために構成されたコンシューマ層(30)と、
前記データアダプタ層(20)と前記コンシューマ層(30)との間のデータ管理層(40)であって、
前記少なくとも1つのデータソースエージェント(21,22,23,24,25)によって変換されたデータ(1~n)を記憶するように構成されたデータ記憶装置(50)と、
前記コンシューマアプリケーションソフトウェア(31,32,33,34)からの命令を実行するようにプログラムされた少なくとも1つのデータマネージャ(41,42,43,44)であって、前記命令が実行されると、前記少なくとも1つのデータマネージャ(41,42,43,44)に、前記データ記憶装置(50)内のアプリケーション固有データを選択させ、それらをコンシューマフォーマットで前記コンシューマアプリケーションソフトウェア(31,32,33,34)を介してコンシューマにアクセス可能にさせる、少なくとも1つのデータマネージャと、を備える、データ管理層(40)と、を備え、
前記データアダプタ層(20)および前記データ管理層(40)が、前記データソース層(10)および前記コンシューマ層(30)に接続された検査室ゲートウェイ(60)内に配置されている、検査室データ管理システム(100)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのデータソースエージェント(21,22,23,24,25)が、前記少なくとも1つのデータソース(11,12,13,14,15)から直接メッセージとしてデータを受信するようにプログラムされ、または特定の1つもしくは複数のデータソースイベント(1~n)に応答してもしくは一定の時間間隔で特定のデータについて前記少なくとも1つのデータソース(11,12,13,14,15)をクエリし、クエリ間のデータ変更を決定するようにプログラムされる、請求項1に記載の検査室データ管理システム(100)。
【請求項3】
前記コンシューマ層(10)が、前記コンシューマアプリケーションソフトウェア(31、32、33、34)の前記インストールおよび/または前記実行のために構成されたインターフェース装置としての少なくとも1つのコンシューマ装置(35)を備える、請求項1または2に記載の検査室データ管理システム(100)。
【請求項4】
前記コンシューマアプリケーションソフトウェア(31、32、33、34)および前記コンシューマアプリケーションソフトウェア(31、32、33、34)によってアクセス可能にされた前記アプリケーション固有データが、サブスクリプションベースである、請求項3に記載の検査室データ管理システム(100)。
【請求項5】
前記コンシューマアプリケーションソフトウェア(31、32、33、34)が、クラウド(70)からダウンロード可能であり、前記少なくとも1つのコンシューマ装置(35)にインストールされ、または、前記コンシューマアプリケーションソフトウェア(31、32、33、34)が、前記少なくとも1つのコンシューマ装置(35)を介して実行可能なクラウドベースのプログレッシブウェブアプリケーション(PWA)である、請求項3または4に記載の検査室データ管理システム(100)。
【請求項6】
前記アプリケーション固有データ(1~n)が、検査室装置の使用中または保守中に発生したイベント(1~n)、イベントトリガされた警告またはメッセージ、使用および/または消耗データ、検査室装置の状態または構成データ、検査室装置の動作パラメータ、QCデータ、検査室装置の試験結果データのいずれか1つまたは複数を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の検査室データ管理システム(100)。
【請求項7】
前記コンシューマフォーマットが、アプリケーション固有データ自体、および/または統計データ、分析データ、もしくは予測データに詳述された後のレポートまたは表示を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の検査室データ管理システム(100)。
【請求項8】
前記少なくとも1つのデータマネージャ(41)または前記コンシューマアプリケーションソフトウェア(31)が、前記アプリケーション固有データ(1、3)を所定の基準値または閾値と比較するための比較機能と、前記アプリケーション固有データ(1、3)が前記基準値または閾値から逸脱したことに応答した警告機能またはアクショントリガ機能(36)とを含む、請求項7に記載の検査室データ管理システム(100)。
【請求項9】
前記データソース層(10)が、少なくとも1つの分析装置(12、13、14、15)と、前記少なくとも1つの分析装置(12、13、14、15)と相互作用するように構成された少なくとも1つのロボット装置(11)とを含む、データソースとしての複数の検査室装置(11、12、13、14、15)を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の検査室データ管理システム(100)。
【請求項10】
前記少なくとも1つのデータマネージャ(41)が、前記少なくとも1つの分析装置(12、13、14、15)からのデータを処理し、処理された前記データに応答して、直接的にまたは前記それぞれのデータソースエージェント(21)を介して前記少なくとも1つのロボット装置(11)に、前記少なくとも1つの分析装置(12、13、14、15)と相互作用するよう命令するようにプログラムされる、請求項9に記載の検査室データ管理システム(100)。
【請求項11】
前記ゲートウェイ(60)が、データソースエージェント(25)および/またはデータマネージャ(44)および/またはサービスをローカルまたはリモートで追加/削除/更新することによって規模が拡大縮小可能である、請求項1から10のいずれか一項に記載の検査室データ管理システム(100)。
【請求項12】
新たなサービスを追加することが、少なくとも1つの新たなデータマネージャ(44)を前もって追加することを含み、前記少なくとも1つの新たなデータマネージャ(44)はその後、前記少なくとも1つの以前に追加されたデータマネージャ(44)と通信する新たなコンシューマアプリケーションソフトウェア(34)をインストールおよび/またはサブスクライブすることによっていつでも起動させることができ、これにより、前記データ記憶装置(50)内のさらなるアプリケーション固有データ(7、n)への前記コンシューマのアクセスを許可する、請求項11に記載の検査室データ管理システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つのコンシューマ装置(35)が、モバイルハンドヘルド装置である、請求項3から12のいずれか一項に記載の検査室データ管理システム(100)。
【請求項14】
前記データ管理層(40)が、前記少なくとも1つのデータソースエージェント(21、22、23、24、25)によって変換されたデータをフィルタリングおよび検証するように構成された1つまたは複数のゲートキーパ(61、62、63、64、65)を備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の検査室データ管理システム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、データソースとして検査室装置を備える多層検査室データ管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
ヘルスケア産業において、自動化されたインビトロ診断検査室用のデータ管理システムは、分析機器または他の器具などの検査室装置による集中管理および標準化された検査手順のためのソリューションを提供する。
【0003】
特に、ユーザが有線接続を介して、またはハンドヘルドもしくはモバイル無線装置を介して検査室装置にわたって患者および器具データを集中的に管理することを可能にするミドルウェアソリューションが知られている。
【0004】
例えば、管理される検査室装置および/または処理されるデータの数が増加するなど、検査室構成の複雑さが増すにつれて、データ管理は、より困難になることがある。
【0005】
典型的な課題は、特に検査室装置が互いに異なる場合に異なる通信フォーマットを扱うことを含み、場合によっては異なる制御ソフトウェア、異なるソフトウェアバージョン、異なるデータフォーマットおよび異なるデータセットを使用する、場合によっては異なる製造業者からの検査室装置を含む。他の課題は、例えば、検査室ワークフロー、トラブルシューティング、有用性および保守を改善するために、収集された検査室装置データを効率的に利用することを含む。他の課題は、例えば、新たな検査室装置および/または新たな機能を追加するとき、ならびに/あるいはハードウェアおよび/またはソフトウェアレベルで既存の検査室装置を更新するときの、検査室装置の拡張性を含む。他の課題は、例えば、追加のデータおよび/または同じデータの異なる方法または異なる組み合わせでの使用を必要とする追加のまたは新たなデータ管理機能が望まれる場合のカスタマイズを含む。他の課題は、データセキュリティ、データプライバシーおよびデータアクセス可能性を含む。
【発明の概要】
【0006】
一般的な説明
上記の背景を考慮して、本明細書では、フォーマットに依存せず、規模が拡大縮小可能で、カスタマイズ可能であり、検査室ワークフロー、トラブルシューティング、有用性、および保守を改善することを可能にし、これによって収集された検査室装置データをより効率的に使用する検査室データ管理システムが開示される。他の利点は、説明を通して明らかになるであろう。
【0007】
特に、本開示の検査室データ管理システムは、データソースとして少なくとも1つの検査室装置を備えるデータソース層と、少なくとも1つのデータソースからデータを取得し、データをデータソースフォーマットからデータソース非依存フォーマットに変換するように構成された少なくとも1つのデータソースエージェントを備えるデータアダプタ層と、コンシューマアプリケーションソフトウェアのインストールおよび/または実行のために構成されたコンシューマ層と、データアダプタ層とコンシューマ層との間のデータ管理層と、を備える。データ管理層は、少なくとも1つのデータソースエージェントによって変換されたデータを記憶するように構成されたデータ記憶装置と、コンシューマアプリケーションソフトウェアからの命令を実行するようにプログラムされた少なくとも1つのデータマネージャであって、命令が実行されると、少なくとも1つのデータマネージャに、データ記憶装置内のアプリケーション固有データを選択させ、それらをコンシューマフォーマットでコンシューマアプリケーションソフトウェアを介してコンシューマにアクセス可能にさせる、少なくとも1つのデータマネージャと、を備える。また、データアダプタ層およびデータ管理層は、データソース層およびコンシューマ層に接続された検査室ゲートウェイ内に配置されている。
【0008】
略して「検査室装置(laboratory device)」または「検査室装置(lab device)」は、典型的にはインビトロ診断のための試料処理に関与するより大きな接続されたシステム内の任意のスタンドアロン装置またはモジュールとすることができる。「試料処理」とは、診断目的のための試料の検出、例えば定性的評価および/または定量的評価、および/または検出前の試料の選別および/または調製、または検出後の試料の保管および/または廃棄のいずれかを意味する。特に、検査室装置は、分析および/または分析前および/または分析後の試料処理ステップに関連し得る。検査室装置は、互いに接続され、少なくとも部分的に互いに依存してもよく、例えば、それぞれが試料処理ワークフローの専用タスクを実行し、これは次の検査室装置に進む前の前提条件であり得る。あるいは、検査室装置は、互いに独立して動作してもよく、例えば、それぞれが別個のタスク、例えば、同じ試料または異なる試料に対する異なる種類の分析を実行する。
【0009】
「分析検査室装置」は、検出、例えば診断目的のための試料の定性的評価および/または定量的評価のために構成されたより大きな接続されたシステム内のスタンドアロン装置またはモジュールのいずれかである。それは、検出システムを備えてもよく、特定の種類の分析に最適化されたワークフローを実行するように構成されてもよい。そのような分析検査室装置の例は、典型的には試料を試薬によって処理することを含む化学的反応または生物学的反応の結果として、試料中の分析物または他の試料パラメータを検出するために使用される臨床化学分析機器、凝固化学分析機器、免疫化学分析機器、尿分析機器、血液学分析機器、分子診断分析機器、質量分析機器など(リストは網羅的ではない)である。分析検査室装置は、試料および/または試薬および/またはシステム流体のピペッティングおよび/またはポンピングおよび/または混合用の液体処理ユニットなどの機能ユニットと、分類、保管、移送、識別、分離、検出用の機能ユニットとを備えることができる。分析検査室装置は、分析を実行するための試薬を保持するための試薬保持ユニットを備え得る。試薬は、例えば、個々の試薬または試薬のグループを含む容器またはカセットの形態で配置されてもよく、貯蔵区画またはコンベヤ、例えばロータ内の適切な容器または位置に配置されてもよい。それは、反応容器またはキュベット供給ユニットを備え得る。特に、試料および/または試薬を反応容器に送達するために、ピペッティングユニットなどの1つまたは複数の液体処理ユニットを備えてもよい。ピペッティングユニットは、再使用可能な洗浄可能な針、例えば鋼針、または使い捨てピペットチップを備えてもよい。検査室装置は、例えば、液体を含むキュベットを振盪するためのシェーカー、またはキュベットもしくは試薬容器内の液体を混合するための混合パドルもしくは撹拌器を含む1つまたは複数の混合ユニットをさらに備え得る。
【0010】
「分析前検査室装置」は、場合によっては再フォーマット、アリコートなどのプロセスステップを含む、分析検査室装置によって処理される前の試料の質および/または調製を選別および/またはチェックするように通常構成されたより大きな接続されたシステム内のスタンドアロン装置またはモジュールのいずれかとすることができる。それは、例えば、分析の種類および/または分析の優先順位にしたがって試料を分類するための再利用ユニット、試料チューブを遠心分離するための遠心分離機、試料チューブから試料を分注するためにピペッティングユニットが使用される分注ユニット、試料を特定の温度にさらすための熱処理ユニット、試料成分を分離するための分離ユニットなどのうちの1つまたは複数を備え得る。
【0011】
「分析後検査室装置」は、分析作業セルによって処理された後に試料を保存および/または廃棄するように通常構成されたより大きな接続されたシステム内のスタンドアロン装置またはモジュールのいずれかである。それは、例えば、試料チューブを、例えば異なる保管ラックおよび/または冷蔵室に送るための再利用または再フォーマットユニットを備えてもよい。
【0012】
「検査室装置」という用語は、他の検査室装置間で試料を搬送するように構成された試料搬送装置またはモジュール、例えば機械的または誘導などの他の原理に基づいたコンベヤを備え、試料、典型的には試料チューブ内の試料を単一チューブキャリアまたはラックなどの複数チューブキャリア上で移動させるように構成された試料搬送装置またはモジュールをさらに含み得る。
【0013】
「検査室装置」という用語は、1つまたは複数の他の検査室装置と相互作用するように、例えば、自動化された方法で消耗品を分析検査室装置に供給するか、または保守タスクを実行するようにプログラムされたロボット装置をさらに含み得る。
【0014】
検査室装置は、必要に応じて、および/または所望の検査室ワークフローにしたがって、異なる構成を有してもよい。追加の構成は、複数の装置および/またはモジュールを互いに結合することによって取得され得て、各モジュールは、専用の機能を有し得る。したがって、各検査室は、ユーザの要求およびニーズに応じて、例えば、試料処理スループット、分析の種類、試料の種類などに関して、異なる方法で構成され得る。
【0015】
本明細書で使用される「データソース層」という用語は、その生成されたデータが検査室管理システムによるデータ管理の対象となり得る検査室データ作成者のグループを指す。特に、データソース層は、検査室装置データを生成するデータソースとして少なくとも1つの検査室装置と、典型的には複数の検査室装置とを備える。データソース層はまた、データおよび命令、例えば分析検査オーダーを1つまたは複数の検査室装置に配信するなどの可能な他の機能を有することに加えて、1つまたは複数の検査室装置、例えば検査室装置のサブグループからデータを収集および管理するデータソースとしてのミドルウェア層を備えてもよい。
【0016】
「検査室装置データ」という用語は、これらに限定されないが、検査室装置の使用中または保守中に発生したイベント、イベントトリガされた警告またはメッセージ、使用および/または消耗データ、検査室装置の状態または構成データ、検査室装置の動作パラメータ、品質管理(QC)データ、検査室装置の試験結果データのいずれか1つまたは複数を含む検査室装置によって生成された任意のデータを指し得る。「動作パラメータ」という用語は、これらに限定されないが、電流、電圧、電気抵抗、電気容量、磁場、時間、距離、サイズ、形状、面積、体積、高さ、速度、位置、温度、圧力、粘度、光強度、波長、周波数、ノイズなどの、検査室装置の動作中に検出および定量化され得る任意の種類の区別可能な物理的信号および/または化学的信号を含む、任意の測定可能なパラメータ、または生データから導出可能な特性を包含し得る。「生データ」という用語は、使用のために処理されていないが、選択的な抽出、編成、ならびに時には分析および提示のためのフォーマットによって情報になる可能性があるデータを指す。処理されると、データは、動作パラメータになることができる。特に、いくつかの動作パラメータが使用されて、検査室装置の個々のモジュール、さらには検査室装置の個々の機能(動作)構成要素の動作状態、例えば検査室装置の性能状態を決定することができる。処理されると、「使用データ」は、データ分析、例えば、有効利用に関する統計データ、スループット、ダウンタイム、特定のイベントの頻度、統計的または実際のワークロードなどを含み得る。処理されると、「消耗データ」は、試薬、システム流体、容器、ピペッティングチップなどの任意の消耗品の統計的または実際の消耗を指し得る。
【0017】
「動作」または「動作可能」という用語は、データの生成および収集を行うことができる限り、検査室装置が試料の処理に占有されているか、品質もしくは保守手順に占有されているか、またはアイドルもしくは待機状態にある任意の時間を含む。
【0018】
本明細書で使用される「データアダプタ層」という用語は、データ管理層によるさらなる処理のために不均一データを均一データに変換することによって、その主な機能がプロトコル変換器の機能であるハードウェアおよびソフトウェア層を指す。特に、データアダプタ層は、少なくとも1つのデータソースからデータを取得し、データをデータソースフォーマットからデータソース非依存フォーマット、例えば独自フォーマットまたは標準フォーマットに変換するように構成された少なくとも1つのデータソースエージェント、すなわち論理コントローラを備える。通常、データアダプタ層は、各データソース用のデータソースエージェント、例えば各検査室装置用の検査室装置エージェントを備える。
【0019】
検査室装置産業において使用されるデータソースフォーマットは、典型的にはヘルスレベル7またはHL7のような規格に基づいているが、異なる検査室装置製造業者間で、さらには同じ検査室装置製造業者の異なる検査室装置間でも異なる独自の方法でカスタマイズされ得る。特に、異なる検査室装置は、異なる制御ソフトウェア、異なるソフトウェアバージョン、異なるデータフォーマットおよび異なるデータセット、ならびに異なる通信プロトコルを使用してもよい。したがって、コンシューマは、異なるデータソースからのデータを、可能な異なるデータソースフォーマットからデータソース非依存フォーマットに集中的に変換し、その結果、それらが同じ方法で結合、比較、および/または処理され得ることが有利である。
【0020】
実施形態によれば、少なくとも1つのデータソースエージェントは、少なくとも1つのデータソースから直接メッセージとしてデータを受信するようにプログラムされ、または特定の1つもしくは複数のデータソースイベントに応答してもしくは一定の時間間隔で特定のデータについて少なくとも1つのデータソースをクエリし、クエリ間のデータ変更を決定するようにプログラムされる。
【0021】
本明細書で使用される「コンシューマ層」という用語は、ユーザが検査室データ管理システムと相互作用することを可能にするユーザインターフェースを提供するハードウェアおよびソフトウェア層を指す。ユーザインターフェースは、グラフィカルユーザインターフェース、コマンドラインインターフェース、メニュー駆動ユーザインターフェース、タッチユーザインターフェース、音声ユーザインターフェース、フォームベースのユーザインターフェース、仮想現実ユーザインターフェースなどの任意の種類のユーザインターフェースであってもよく、ディスプレイ画面、キーボード、マウス、デスクトップ、ラップトップ、タブレット、スマートフォンなどのコンピューティング装置、またはスマートウォッチのようなウェアラブル装置、または例えばユーザ体験を促進および強化するように構成された眼鏡などの仮想現実装置の使用を含むことができる。特に、コンシューマ層は、コンシューマアプリケーションソフトウェアのインストールおよび/または実行のために構成されたインターフェース装置としての少なくとも1つ、典型的には複数のコンシューマ装置を備え得る。実施形態によれば、少なくとも1つのコンシューマ装置は、タブレット装置などのモバイルハンドヘルド装置である。
【0022】
実施形態によれば、コンシューマアプリケーションソフトウェアは、クラウドからダウンロード可能であり、少なくとも1つのコンシューマ装置にインストールされる。
【0023】
実施形態によれば、コンシューマアプリケーションソフトウェアは、少なくとも1つのコンシューマ装置を介して実行可能なクラウドベースのプログレッシブウェブアプリケーション(PWA)である。
【0024】
しかしながら、一般に、ローカルまたはリモートで実行可能な任意の形態のネイティブアプリケーションソフトウェアが使用され得る。
【0025】
「データ管理層」は、データアダプタ層とコンシューマ層との間のハードウェアおよびソフトウェア層であり、少なくとも1つのデータソースエージェントによって変換されたデータを記憶するように構成されたデータ記憶装置と、コンシューマアプリケーションソフトウェアからの命令を実行するようにプログラムされた少なくとも1つのデータマネージャと、を備え、命令は実行されると、少なくとも1つのデータマネージャに、データ記憶装置内のアプリケーション固有データを選択させ、それらをコンシューマフォーマットのコンシューマアプリケーションソフトウェアを介してコンシューマにアクセス可能にさせる。
【0026】
実施形態によれば、データ管理層は、少なくとも1つのデータソースエージェントによって変換されたデータをフィルタリングおよび検証するように構成されたゲートキーパを備える。
【0027】
「データ記憶装置」という用語は、非一時的コンピュータ可読媒体または非一時的コンピュータ可読メモリなどの任意の適切なメモリ装置または媒体を指し、不揮発性コンピュータ可読媒体として構成されてもよい。メモリは、RAM、ROM、フラッシュメモリ、ハードドライブ、または少なくとも1つのデータマネージャによってアクセスされ、最終的に詳述され得る方法で変換されたデータを記憶することができる任意の装置を含み得る。データ記憶装置は、機械可読命令の形態の他のデータ、例えば、少なくとも1つのデータマネージャによって直接的に実行され得る機械言語、またはアセンブリ言語、オブジェクト指向プログラミング(OOP)、スクリプト言語、マイクロコードなどのプログラミング言語で書かれたロジックまたはアルゴリズムを含み得て、それらは、機械可読命令にコンパイルまたはアセンブルされ、メモリに記憶され得る。あるいは、機械可読命令は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)構成または特定用途向け集積回路(ASIC)のいずれかを介して実装されたロジックなどのハードウェア記述言語(HDL)、またはそれらの同等物で書かれてもよい。データ記憶装置は、ローカルまたはリモートであってもよく、または例えばクラウドストレージを含む、部分的にローカルおよび部分的にリモートで分散されてもよい。
【0028】
本明細書で使用される「データマネージャ」という用語は、動作計画にしたがって動作を実行するための命令を備えたコンピュータ可読プログラムを実行する任意の物理または仮想処理装置、特にプログラマブルロジックコントローラを指し得る。これは、プロセッサ、コントローラ、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、縮小命令回路(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、論理回路、または本明細書に記載された機能/方法の1つまたは複数を実行するように構成された他の回路またはプロセッサを含み得る。特に、複数のデータマネージャ、例えば各アプリケーションのデータマネージャ、例えば複数の特定用途向け集積回路があってもよい。
【0029】
1つまたは複数のデータマネージャは、データ記憶装置と同じハードウェア装置に統合されてもよく、またはネットワークインターフェース装置を介して、直接接続、有線もしくは無線を介して、または有線もしくは無線の通信ネットワーク、例えばインターネットもしくはヘルスケアプロバイダのローカルエリアネットワークもしくはイントラネットを介した有線もしくは無線を介して間接的に、データ記憶装置と通信する別個の論理エンティティとして少なくとも部分的に具現化されてもよい。特に、データマネージャおよび/またはデータ記憶装置は、例えば、デスクトップコンピュータ、ラップトップ、スマートフォン、タブレットなどのコンピューティング装置上に実装されたデータ管理ユニットと一体であってもよく、サーバコンピュータによって構成されてもよく、および/または複数の装置にわたって/複数の装置間で分散/共有されてもよい。さらに、データ管理層は、有線または無線(例えば、赤外線、セルラー、Bluetooth(登録商標))を介して通信するリモート装置、サーバおよびクラウドベースの要素、またはリモートPC/サーバまたはクラウドベースのシステムを含むことができる。
【0030】
本明細書で使用される「リモートシステム」または「サーバ」という用語は、物理プロセッサまたは仮想プロセッサを備え、データの受信、処理および送信が可能な任意の物理マシンまたは仮想マシンを包含する。サーバは、しばしば個別に「サーバ」または仮想サーバなどの共有リソースとも呼ばれる専用コンピュータを含む、任意のコンピュータで実行することができる。多くの場合、コンピュータは、複数の保守サービスを提供し、複数のサーバ実行を有することができる。したがって、サーバという用語は、1つまたはそれ以上のクライアントプロセスとリソースを共有する全てのコンピュータ化された装置を含む。さらにまた、「リモートシステム」または「サーバ」という用語は、データネットワーク(クラウド環境など)を介して分散されたデータ伝送および処理システムを包含する。
【0031】
本明細書で使用される「通信ネットワーク」という用語は、WiFi(商標)、GSM(商標)、UMTS、LTE、5Gもしくは他の無線デジタルネットワークまたはイーサネット(商標)などのケーブルベースのネットワークなどの任意の種類の無線ネットワークを包含する。特に、通信ネットワークは、インターネットプロトコル(IP)を実装することができる。例えば、通信ネットワークは、ケーブルベースのネットワークと無線ネットワークとの組み合わせを含む。
【0032】
少なくとも1つのデータソースエージェントは、データを収集して変換し得て、データ記憶装置は、コンシューマが利用可能なアプリケーションソフトウェアから独立して変換されたデータを記憶し得る。しかしながら、記憶されたデータの一部のみが、データ固有のコンシューマアプリケーションソフトウェアを介して、サービスとしてコンシューマにアクセス可能にされてもよい。特に、共通の検査室データ記憶装置は、新たなデータ/特定用途向けサービスを追加することによって後でアクセスされ得る、任意の検査室装置から収集/変換されたデータのレコードを、例えば時系列順に記憶するために使用され得る。
【0033】
実施形態によれば、コンシューマアプリケーションソフトウェアおよびコンシューマアプリケーションソフトウェアによってアクセス可能にされたアプリケーション固有データは、サブスクリプションベースである。
【0034】
実施形態によれば、アプリケーション固有データは、検査室装置の使用中または保守中に発生したイベント、イベントトリガされた警告またはメッセージ、使用および/または消耗データ、検査室装置の状態または構成データ、検査室装置の動作パラメータ、QCデータ、検査室装置の試験結果データのいずれか1つまたは複数を含む。
【0035】
実施形態によれば、コンシューマフォーマットは、例えば少なくとも1つのデータマネージャによって、アプリケーション固有データ自体、および/または統計データ、分析データ、もしくは予測データに詳述された後のレポートまたは表示を含む。
【0036】
実施形態によれば、少なくとも1つのデータマネージャまたはコンシューマアプリケーションソフトウェアは、アプリケーション固有データを所定の基準値または閾値と比較するための比較機能と、アプリケーション固有データが基準値または閾値から逸脱したことに応答した警告機能またはアクショントリガ機能とを含む。
【0037】
実施形態によれば、データソース層は、少なくとも1つの分析装置と、少なくとも1つの分析装置と相互作用するように構成された少なくとも1つのロボット装置とを含む、データソースとしての複数の検査室装置を含む。
【0038】
実施形態によれば、少なくとも1つのデータマネージャは、少なくとも1つの分析装置からのデータを処理し、処理されたデータに応答して、直接的にまたはそれぞれのデータソースエージェントを介して少なくとも1つのロボット装置に、少なくとも1つの分析装置と相互作用するよう命令するようにプログラムされる。相互作用は、例えば、試薬容器、システム流体容器、ピペッティングチップ、反応容器などの消耗品を、そのような消耗品のいずれかの不足を示す処理済みデータに応答して、少なくとも1つの分析装置に供給することを含み得る。相互作用はまた、例えば部品の清掃または交換、監視およびレポートなどの自動化された方法で保守タスクを実行することを含み得る。相互作用はまた、緊急の場合に、例えば、警報に応答して検査室装置をオフにするかまたはジャムなどを解決することによって、またはトリガイベントに基づいてQCまたは他の保守手順を開始することによって自動的に介入することを含み得る。ロボット装置は、例えば、他の感覚ツールおよび論理処理機能と組み合わされた把持ツールによって、他の検査室装置と物理的に相互作用するために、検査室内で他の検査室装置との間を移動することができる人型ロボットとして構成されてもよい。
【0039】
データアダプタ層およびデータ管理層は、少なくとも部分的に、データソース層およびコンシューマ層に接続された検査室ゲートウェイ内に配置されている。データ記憶装置は、ゲートウェイに完全に含まれてもよく、またはゲートウェイと別個の装置との間に分散されてもよく、例えばリモートサーバまたはクラウドなどのリモート位置を含んでもよい。しかしながら、データ記憶装置は、完全にリモートであってもよく、ゲートウェイに接続されてもよい。
【0040】
実施形態によれば、ゲートウェイは、例えばプラグインコンポーネントとして、および/またはローカルもしくはリモートシステム更新として、データソースエージェントおよび/またはデータマネージャおよび/またはサービスをローカルまたはリモートで追加/削除/更新することによって規模が拡大縮小可能である。
【0041】
実施形態によれば、新たなサービスを追加することは、例えばシステム更新の一部として、新たなサービスがサービスプロバイダによって利用可能になったときに、新たなデータマネージャを前もって追加することを含み、新たなデータマネージャはその後、少なくとも1つの以前に追加されたデータマネージャと通信する新たなコンシューマアプリケーションソフトウェアをインストールおよび/またはサブスクライブすることによっていつでも起動させることができ、これにより、データ記憶装置内のさらなるアプリケーション固有データへのコンシューマのアクセスを許可する。
【0042】
そのようなゲートウェイソリューションの利点は、(後に追加される追加の検査室装置からのデータを集中的に管理し、および/または後により多くのサービスを集中的に追加する)拡張性および相互運用性を可能にしながら、(1つまたは複数の)検査室装置および(1つまたは複数の)コンシューマ装置の双方のオペレーティングシステム/ソフトウェアバージョンへの依存を低減し、したがってそのような装置の管理労力およびそれらの保守コストを低減することを可能にする中央データ管理システムを有することである。また、例えば、後の時点で記憶されたデータのセットに固有の新たなサービス/新たなアプリケーションソフトウェアを追加することによって後の時点でもアクセスされ得る、複数の検査室装置から収集/変換されたデータ、例えばイベントベースのデータの時系列記録を記憶するための共通の検査室データ記憶装置を有することは、特に有利である。別の利点は、リモートアクセス/有用性、リモートストレージ、またはクラウドベースのサービスのためのより安全なクラウド接続性、ならびにより高いITセキュリティを、サイバーセキュリティおよびデータ保護/プライバシーの観点から提供する可能性である。全て同じデータソース非依存フォーマットに変換された、各検査室に中央データライブラリを有することの別の利点は、異なる検査室を相互接続すること、および/または検査室間の比較および検査室構成、トラブルシューティング、有用性および保守の改善のために異なる検査室からのデータを使用することが可能であることである。
【0043】
その他およびさらなる目的、特徴および利点は、原理をより詳細に説明する例示の実施形態の以下の説明おおび添付図面から明らかになるであろう。
【0044】
要約すると、さらに可能な実施形態を除外することなく、以下の実施形態が想定され得る:
実施形態1
検査室データ管理システムであって、
データソースとして少なくとも1つの検査室装置を備えるデータソース層と、
少なくとも1つのデータソースからデータを取得し、データをデータソースフォーマットからデータソース非依存フォーマットに変換するように構成された少なくとも1つのデータソースエージェントを備えるデータアダプタ層と、
コンシューマアプリケーションソフトウェアのインストールおよび/または実行のために構成されたコンシューマ層と、
データアダプタ層とコンシューマ層との間のデータ管理層であって、
少なくとも1つのデータソースエージェントによって変換されたデータを記憶するように構成されたデータ記憶装置と、
コンシューマアプリケーションソフトウェアからの命令を実行するようにプログラムされた少なくとも1つのデータマネージャであって、命令が実行されると、少なくとも1つのデータマネージャに、データ記憶装置内のアプリケーション固有データを選択させ、それらをコンシューマフォーマットでコンシューマアプリケーションソフトウェアを介してコンシューマにアクセス可能にさせる、少なくとも1つのデータマネージャと、を備える、データ管理層と、を備える、検査室データ管理システム。
【0045】
実施形態2
少なくとも1つのデータソースエージェントが、少なくとも1つのデータソースから直接メッセージとしてデータを受信するようにプログラムされ、または特定の1つもしくは複数のデータソースイベントに応答してもしくは一定の時間間隔で特定のデータについて少なくとも1つのデータソースをクエリし、クエリ間のデータ変更を決定するようにプログラムされる、実施形態1に記載の検査室データ管理システム。
【0046】
実施形態3
コンシューマ層が、コンシューマアプリケーションソフトウェアのインストールおよび/または実行のために構成されたインターフェース装置としての少なくとも1つのコンシューマ装置を備える、実施形態1または2に記載の検査室データ管理システム。
【0047】
実施形態4
コンシューマアプリケーションソフトウェアおよびコンシューマアプリケーションソフトウェアによってアクセス可能にされたアプリケーション固有データが、サブスクリプションベースである、実施形態3に記載の検査室データ管理システム。
【0048】
実施形態5
コンシューマアプリケーションソフトウェアが、クラウドからダウンロード可能であり、少なくとも1つのコンシューマ装置にインストールされ、または、コンシューマアプリケーションソフトウェアは、少なくとも1つのコンシューマ装置を介して実行可能なクラウドベースのプログレッシブウェブアプリケーション(PWA)である、実施形態3または4に記載の検査室データ管理システム。
【0049】
実施形態6
アプリケーション固有データが、検査室装置の使用中または保守中に発生したイベント、イベントトリガされた警告またはメッセージ、使用および/または消耗データ、検査室装置の状態または構成データ、検査室装置の動作パラメータ、QCデータ、検査室装置の試験結果データのいずれか1つまたは複数を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の検査室データ管理システム。
【0050】
実施形態7
コンシューマフォーマットが、アプリケーション固有データ自体、および/または統計データ、分析データ、もしくは予測データに詳述された後のレポートまたは表示を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の検査室データ管理システム。
【0051】
実施形態8
少なくとも1つのデータマネージャまたはコンシューマアプリケーションソフトウェアが、アプリケーション固有データを所定の基準値または閾値と比較するための比較機能と、アプリケーション固有データが基準値または閾値から逸脱したことに応答した警告機能またはアクショントリガ機能とを含む、実施形態7に記載の検査室データ管理システム。
【0052】
実施形態9
データソース層が、少なくとも1つの分析装置と、少なくとも1つの分析装置と相互作用するように構成された少なくとも1つのロボット装置とを含む、データソースとしての複数の検査室装置を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の検査室データ管理システム。
【0053】
実施形態10
少なくとも1つのデータマネージャが、少なくとも1つの分析装置からのデータを処理し、処理されたデータに応答して、直接的にまたはそれぞれのデータソースエージェントを介して少なくとも1つのロボット装置に、少なくとも1つの分析装置と相互作用するよう命令するようにプログラムされる、実施形態9に記載の検査室データ管理システム。
【0054】
実施形態11
データアダプタ層およびデータ管理層が、データソース層およびコンシューマ層に接続された検査室ゲートウェイ内に配置されている、先行する実施形態のいずれかに記載の検査室データ管理システム。
【0055】
実施形態12
ゲートウェイは、データソースエージェントおよび/またはデータマネージャおよび/またはサービスをローカルまたはリモートで追加/削除/更新することによって規模が拡大縮小可能である、実施形態11に記載の検査室データ管理システム。
【0056】
実施形態13
新たなサービスを追加することは、少なくとも1つの新たなデータマネージャを前もって追加することを含み、少なくとも1つの新たなデータマネージャはその後、少なくとも1つの以前に追加されたデータマネージャと通信する新たなコンシューマアプリケーションソフトウェアをインストールおよび/またはサブスクライブすることによっていつでも起動させることができ、これにより、データ記憶装置内のさらなるアプリケーション固有データへのコンシューマのアクセスを許可する、実施形態12に記載の検査室データ管理システム。
【0057】
実施形態14
少なくとも1つのコンシューマ装置が、モバイルハンドヘルド装置である、実施形態3から13のいずれかに記載の検査室データ管理システム。
【0058】
実施形態15
データ管理層が、少なくとも1つのデータソースエージェントによって変換されたデータをフィルタリングおよび検証するように構成された1つまたは複数のゲートキーパを備える、先行する実施形態のいずれかに記載の検査室データ管理システム。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】本開示にかかる多層検査室データ管理システムおよびその主要構成要素を概略的に示している。
図2】システム拡張性に関する図1の実施形態のさらなる態様を示している。
図3】ロボット装置の使用を含む図1図2の実施形態のさらなる態様を示している。
図4図1図3の検査室データ管理システムのさらなる構成要素を示している。
【0060】
当業者は、図中の要素が単純化および明瞭化のために示されており、必ずしも縮尺どおりに描かれていないことを理解している。例えば、図中の一部の要素の寸法は、他の要素に対して誇張されている場合がある一方で、他の要素は、明瞭性を高め、本開示の実施形態の理解を向上させるために、省かれているか、または数が減らされて表されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0061】
詳細な説明
図1は、データソースとして複数の検査室装置11,12,13,14を備えるデータソース層10と、それぞれの検査室装置11,12,13,14からデータを取得し、データをデータソースフォーマットからデータソース非依存フォーマットに変換するように構成された複数のデータソースエージェント21,22,23,24を備えるデータアダプタ層20と、コンシューマアプリケーションソフトウェア31,32,33のインストールおよび/または実行のために構成されたコンシューマ層30と、データアダプタ層20とコンシューマ層30との間のデータ管理層40と、を備える、検査室データ管理システム100を概略的に示している。データ管理層40は、データソースエージェント21,22,23,24によって変換されたデータ1~nを記憶するように構成されたデータ記憶装置50と、それぞれのコンシューマアプリケーションソフトウェア31,32,33からの命令を実行するようにプログラムされた複数のデータマネージャ41,42,43であって、命令が実行されると、それぞれのデータマネージャ41,42,43に、データ記憶装置50内のデータ1~nからアプリケーション固有データを選択させ、それらをコンシューマフォーマットでコンシューマアプリケーションソフトウェア31,32,33を介してコンシューマにアクセス可能にさせる、複数のデータマネージャと、を備える。この概略的な例では、データ1,3は、コンシューマアプリケーションソフトウェア31に固有であり、データ2,4,5は、コンシューマアプリケーションソフトウェア32に固有であり、データ6,8は、コンシューマアプリケーションソフトウェア33に固有である。
【0062】
データソースエージェント21,22,23,24は、特定の1つまたは複数のデータソースイベント1~nに応答してまたは一定の時間間隔で特定のデータについてそれぞれの検査室装置11,12,13,14をクエリし、クエリ間のデータ変更を決定するようにプログラムされる。しかしながら、検査室装置11,12,13,14は、変換のためにそれぞれのデータソースエージェント21,22,23,24に直接メッセージとしてデータを送信するように構成されてもよい。データ記憶装置50は、任意の検査室装置11,12,13,14から収集/変換された任意のデータ1~nを、例えば古いものから新しいものへと時系列順に記憶するための共通のデータ記憶装置として構成されている。
【0063】
コンシューマ層30は、コンシューマアプリケーションソフトウェア31,32,33のインストールおよび/または実行のために構成されたインターフェース装置としてのコンシューマ装置35を備える。この例では、コンシューマ装置35は、タブレット装置などのモバイルハンドヘルド装置である。また、図1には1つのコンシューマ装置35のみが示されているが、コンシューマ層は、互いに同期しているか否かにかかわらず、同じ種類の任意の数のコンシューマ装置または異なる種類の組み合わせを含んでもよいことは明らかである。特に、いくつかのアプリケーションソフトウェアおよび/または1つもしくは複数のコンシューマ装置へのアクセスは、コンシューマ固有であり得、および/または特定のアカウントまたはユーザ認証を必要とし得る。
【0064】
実施形態によれば、コンシューマアプリケーションソフトウェア、例えばコンシューマアプリケーションソフトウェア32、およびコンシューマアプリケーションソフトウェア32によってコンシューマにアクセス可能にされる記憶されたデータ1~nのうちのそれぞれのアプリケーション固有データ2,4,5の少なくとも一部は、サブスクリプションを必要とし得る。
【0065】
コンシューマアプリケーションソフトウェア31,32,33は、クラウド70からダウンロード可能であり、1つまたは複数のコンシューマ装置35にインストールされ得る。代替的にまたは組み合わせて、コンシューマアプリケーションソフトウェア31,32,33は、1つまたは複数のコンシューマ装置35を介して実行可能なクラウドベースのプログレッシブウェブアプリケーション(PWA)の形態、またはローカルまたはリモートで実行可能な任意の他の形態のネイティブアプリケーションであってもよい。
【0066】
アプリケーション固有データは、例えば、イベントトリガされた警告またはメッセージ、使用および/または消耗データ、検査室装置の状態または構成データ、検査室装置の動作パラメータ、QCデータ、検査室装置の試験結果データなどを含む、検査室装置11,12,13,14の使用中または保守中に発生したイベント1~nのいずれか1つまたは複数に関連し得る。
【0067】
コンシューマフォーマットは、アプリケーション固有データ自体、および/または統計データ、分析データ、もしくは予測データに詳述された後のレポートまたは表示を含み得る。一例として、消耗品の消耗データ、例えば、検査室装置11,12,13,14のいずれか1つまたは複数による試薬、システム流体、容器、ピペッティングチップなどのような任意の消耗品の実際の消耗の概要は、グラフィックおよび/またはテキスト/数値ディスプレイなどの任意のコンシューマフォーマットでレポートされ得る。また、例えば特定の分析試験の頻度および再発に基づく、例えば異なる検査室装置11,12,13,14にわたるおよび/またはある時間範囲における統計的消耗データがレポートされ得る。さらに、そのような統計データに基づいて消耗予測が提供されてもよい。
【0068】
任意の1つまたは複数のデータマネージャ41またはコンシューマアプリケーションソフトウェア31は、アプリケーション固有データ1,3を所定の基準値または閾値と比較するための比較機能と、例えば、利用可能な消耗品のいずれかが閾値を下回った場合に、アプリケーション固有データ1,3が基準値または閾値から逸脱したことに応答した警告機能またはアクショントリガ機能36とを含み得る。
【0069】
図1に示すように、データアダプタ層20およびデータ管理層40は、データソース層10およびコンシューマ層30に接続された検査室ゲートウェイ60内に配置されている。データ記憶装置50は、ゲートウェイに完全に含まれてもよく、またはゲートウェイ60と別個の装置との間に分散されてもよく、リモート位置を含んでもよく、例えば、リモートサーバまたはクラウド70上のリモートデータ記憶装置50’を含んでもよい。データ記憶装置50’は、完全にリモートであってもよく、ゲートウェイ60に接続されてもよい。
【0070】
図2は、図1の実施形態のさらなる態様、特に、例えば検査室装置15をデータソース層10に追加する場合にデータソースエージェント25を追加することによって、および/またはデータマネージャ44を追加することによって、ゲートウェイ60がどのように規模が拡大縮小可能であるかの例を示している。このアップグレードは、例えばハードウェア構成要素25,44を追加すること、および/または既存または新規の構成要素21,22,23,24,25,41,42,43,44のソフトウェア更新/インストールを実行することによってローカルに実行されてもよく、ソフトウェア更新のみの場合にはリモートでも実行され得る。特に、新たなサービスは、例えば、前もって新たなデータマネージャ44を追加することによって事前に準備され得、その後、以前に追加されたデータマネージャ44と通信する新たなコンシューマアプリケーションソフトウェア34をインストールおよび/またはサブスクライブすることによっていつでも起動させることができ、これにより、データ記憶装置50内のさらなる(アプリケーション固有の)データ7,nへのコンシューマのアクセスを許可する。
【0071】
図3は、図1図2の実施形態のさらなる態様を示し、データソース層10内の複数の検査室装置11,12,13,14,15は、分析装置12,13,14,15と、分析装置12,13,14,15と相互作用するように構成されたロボット装置11とを含む。特に、少なくとも1つのデータマネージャ41は、分析装置12,13,14,15のいずれかからのデータ1,3を処理し、処理されたデータに応答して、直接的にまたはそれぞれのデータソースエージェント21を介してロボット装置11に、応答をトリガした1つまたは複数の分析装置12,13,14,15と相互作用するよう命令するようにプログラムされる。このプロセスは、完全に自動化された方法でバックグラウンドで行われてもよく、または例えばコンシューマアプリケーションソフトウェア31の警告機能36を介して、少なくとも部分的にコンシューマを含むか、または少なくともコンシューマに通知してもよい。また、コンシューマアプリケーションソフトウェア31が使用されて、ロボット装置をプログラムし、および/または警告規則または閾値およびそれぞれのアクションを設定してもよい。ロボット装置11は、例えば、試薬容器、システム流体容器、ピペッティングチップ、反応容器などの消耗品を、そのような消耗品のいずれかの不足を示す処理データ1,3に応答して分析装置12,13,14,15に供給するように、またはコンシューマアプリケーションソフトウェア31を介した開始後に、自動化された方法で、または保守タスクを実行するようにプログラムされてもよい。
【0072】
図4は、図1図3の実施形態のさらなる態様を示している。特に、データ管理層40は、それぞれのデータソースエージェント21,22,23,24,25によって変換されたデータをフィルタリングおよび検証するように構成されたゲートキーパ61,62,63,64,65を備える。これは、インビトロ診断規制およびプライバシー保護環境において特に重要であり得る。
【0073】
上記の明細書では、本開示を十分に理解することができるように、多くの特定の詳細が記載されている。しかしながら、本教示を実施するために特定の詳細を使用する必要がないことが当業者にとって明らかになるであろう。他の例では、本開示を曖昧にすることを回避するために、周知の材料または方法は詳細に説明されていない。
【0074】
特に、開示された実施形態の変更および変形は、上記の説明に照らして確かに可能である。したがって、添付の特許請求の範囲内で、上記の例に具体的に記載されている以外の方法で本発明が実施され得ることを理解されたい。
【0075】
特に、データソース、データソースエージェント、データ、データマネージャ、コンシューマアプリケーションソフトウェア、コンシューマ装置、ゲートキーパ、および示されている任意の他の要素の数は、単に思い付きであり、単なる例として提供されていることを理解されたい。また、要素間の関係は、図示されたもの以外であってもよい。例えば、異なるデータソース間で共有されるデータソースエージェント、または同じデータソースと通信する冗長データソースエージェントが存在してもよいが、各データソースに対して1つのデータソースエージェントがより典型的である。同様に、例えば、異なるサービスごとに異なる組み合わせで、同じデータを少なくとも部分的に管理するように構成された、同じデータセットに関してより少数またはより多数のデータマネージャが存在してもよい。また、1つのコンシューマアプリケーションソフトウェアが2つ以上のデータマネージャと通信してもよく、またはその逆も可能であるため、コンシューマアプリケーションソフトウェアに関してより少数またはより多数のデータマネージャが存在してもよい。例えば、より多くのデータ管理者によって詳述されたデータが組み合わせられ、同じコンシューマアプリケーションソフトウェアを介してアクセス可能にされてもよい。
【0076】
以上の明細書の全体を通して、「一実施形態」、「実施形態」、「一例」、または「例」への言及は、その実施形態または例に関して説明される特定の特徴、構造、または特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。そのため、本明細書全体を通した種々の場所におけるフレーズ「一実施形態では」、「実施形態では」、「一例」、または「例」の出現は、必ずしも、全てが同じ実施形態または例を参照するわけではない。
【0077】
さらにまた、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態または例において、任意の適切な組み合わせおよび/またはサブ組み合わせで組み合わせられてもよい。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】