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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-09
(54)【発明の名称】デュアル真空シール
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/10 20060101AFI20240202BHJP
【FI】
F16J15/10 C
F16J15/10 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545919
(86)(22)【出願日】2022-02-07
(85)【翻訳文提出日】2023-08-23
(86)【国際出願番号】 US2022015540
(87)【国際公開番号】W WO2022173708
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】63/148,625
(32)【優先日】2021-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/567,071
(32)【優先日】2021-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チレス フランク
(72)【発明者】
【氏名】ヒル シャノン
【テーマコード(参考)】
3J040
【Fターム(参考)】
3J040AA11
3J040BA02
3J040CA01
3J040EA16
3J040EA22
3J040FA07
3J040HA21
(57)【要約】
真空システムであって、真空チャンバの壁と、真空チャンバのフランジと、それら壁・フランジ間に配設された外シールと、それら壁・フランジ間に配設された内シールとを有する。外シールは第1素材を含有し、内シールは、第1素材とは異なる第2素材を含有している。内シールは、外シールよりも真空チャンバの内部に近いところにあり且つ間隙により外シールから隔てられている。外シールを、内シールよりも、タイトな壁・フランジ間真空封止をもたらせるものとすることができる。内シールを、外シールよりも、真空チャンバの内部を清掃するのに用いられるガスに対し高耐性なものとすることができる。本真空システムは、間隙を排気すべくその間隙を第1真空ポンプに結合させる経路をも有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空システムであって、
真空チャンバの壁と、
前記真空チャンバのフランジと、
前記壁・前記フランジ間に配設されており、第1素材を含有している外シールと、
前記壁・前記フランジ間に配設されており、前記第1素材とは異なる第2素材を含有している内シールと、
を備え、
前記内シールが前記外シールよりも前記真空チャンバの内部に近いところにあり、
前記外シールが間隙により前記内シールから隔てられており、且つ
前記外シールが、前記内シールよりも、タイトな前記壁・前記フランジ間真空封止をもたらせる真空システムであり、且つ
前記間隙を排気すべくその間隙を第1真空ポンプに結合させる経路を備える真空システム。
【請求項2】
請求項1に記載の真空システムであって、前記内シールが、前記外シールよりも、前記真空チャンバの内部を清掃するのに用いられるガスに対し高耐性である真空システム。
【請求項3】
請求項2に記載の真空システムであって、前記ガスがオゾンを含有している真空システム。
【請求項4】
請求項2に記載の真空システムであって、前記ガスが原子状酸素を含有している真空システム。
【請求項5】
請求項1に記載の真空システムであって、前記内シールが前記外シールよりも硬く、前記第2素材が前記第1素材よりも硬い真空システム。
【請求項6】
請求項1に記載の真空システムであって、前記内シール及び前記外シールがエラストマ性シールであり、前記第1素材及び前記第2素材が個別のエラストマである真空システム。
【請求項7】
請求項6に記載の真空システムであって、前記内シール及び前記外シールがOリングである真空システム。
【請求項8】
請求項6に記載の真空システムであって、
前記第1素材がフルオロエラストマであり、且つ
前記第2素材がパーフルオロエラストマである真空システム。
【請求項9】
請求項6に記載の真空システムであって、前記内シールが前記外シールよりも硬く、前記第2素材が前記第1素材よりも硬い真空システム。
【請求項10】
請求項1に記載の真空システムであって、更に、
前記経路を介し前記間隙に結合された前記第1真空ポンプと、
前記真空チャンバの内部に超高真空をもたらす第2真空ポンプと、
を備え、前記第1真空ポンプが、前記間隙内に真空をもたらすがその間隙内に超高真空をもたらせないものである真空システム。
【請求項11】
請求項10に記載の真空システムであって、前記第2真空ポンプを排気すべく前記第1真空ポンプがその第2真空ポンプに結合されている真空システム。
【請求項12】
請求項1に記載の真空システムであって、
前記フランジが、前記真空チャンバの動作中に前記壁に対し動かせるよう構成されており、且つ
前記外シール及び前記内シールが、前記壁・前記フランジ間真空封止を共同で保ちつつその壁に対するそのフランジの動きを収容する真空システム。
【請求項13】
請求項1に記載の真空システムであって、前記フランジがドアである真空システム。
【請求項14】
請求項1に記載の真空システムであって、前記フランジ及び前記壁のうち少なくとも一方が、前記外シールが着座する第1溝と、前記内シールが着座する第2溝と、を有する真空システム。
【請求項15】
方法であって、
真空チャンバの壁とその真空チャンバのフランジとの間に外シール及び内シールを配設し、但し
前記外シールが第1素材を含有しており、
前記内シールが前記第1素材とは異なる第2素材を含有しており、
前記内シールが前記外シールよりも前記真空チャンバの内部に近く、
前記外シールが間隙により前記内シールから隔てられていて、且つ
前記外シールが前記内シールよりもタイトな前記壁・前記フランジ間真空封止をもたらせるものであることとし、
第1真空ポンプを用い前記間隙を排気し、且つ
前記第1真空ポンプを用い前記間隙を排気している間に、第2真空ポンプを用い前記真空チャンバの内部を排気する方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、更に、
前記真空チャンバの内部の排気を中止し、
前記真空チャンバの内部の排気を中止した後に、ガスを用い前記真空チャンバの内部を清掃し、但し前記内シールを前記外シールよりもそのガスに対し高耐性なものとし、且つ
前記真空チャンバの内部を清掃した後に、前記第2真空ポンプを用いた前記真空チャンバの内部の排気を再開する方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法であって、前記ガスがオゾン又は原子状酸素を含有している方法。
【請求項18】
請求項15に記載の方法であって、前記内シールが前記外シールよりも硬く、前記第2素材が前記第1素材よりも硬い方法。
【請求項19】
請求項15に記載の方法であって、前記内シール及び前記外シールがエラストマ性シールであり、前記第1素材及び前記第2素材が個別のエラストマである方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、前記内シール及び前記外シールがOリングである方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法であって、
前記第1素材がフルオロエラストマであり、且つ
前記第2素材がパーフルオロエラストマである方法。
【請求項22】
請求項19に記載の方法であって、前記内シールが前記外シールよりも硬く、前記第2素材が前記第1素材よりも硬い方法。
【請求項23】
請求項15に記載の方法であって、
前記第2真空ポンプを用い前記真空チャンバの内部を排気する際に、前記真空チャンバの内部に超高真空をもたらし、且つ
前記第1真空ポンプを用い前記間隙を排気する際に、超高真空よりも高い圧力を有する真空をその間隙内にもたらす方法。
【請求項24】
請求項15に記載の方法であって、更に、前記第1真空ポンプを用い前記間隙を排気し前記第2真空ポンプを用い前記真空チャンバの内部を排気している間に、
前記外シール及び前記内シールを用い、前記壁・前記フランジ間真空封止を保ちつつその壁に対するそのフランジの動きを収容する方法。
【請求項25】
真空システムであって、
真空チャンバの壁と、
前記真空チャンバのフランジと、
前記壁・前記フランジ間に配設されており、第1素材を含有している外シールと、
前記壁・前記フランジ間に配設されており、前記第1素材とは異なる第2素材を含有している内シールと、
を備え、
前記内シールが前記外シールよりも前記真空チャンバの内部に近いところにあり、
前記外シールが間隙により前記内シールから隔てられており、且つ
前記内シールが、前記外シールよりも、前記真空チャンバの内部を清掃するのに用いられるガスに対し高耐性な真空システムであり、且つ
前記間隙を排気すべくその間隙を第1真空ポンプに結合させる経路を備える真空システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件開示は真空システム、より具体的には真空シールに関する。
【背景技術】
【0002】
[関連出願]
本願では、2021年2月12日付米国仮特許出願第63/148625号に基づく優先権を主張し、あらゆる目的でその全容を参照により繰り入れる。
【0003】
ある種の真空システムでは、真空チャンバのフランジ(例.ドア)・壁間に真空封止を確立すべく、同一素材から作成されたOリングがそのフランジ向けの内溝及び外溝内に配置される。それらOリング各々のことをシールと呼ぶことができる。それらOリングを隔てる間隙を排気することで、内Oリングに対する圧力を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-099924号公報
【特許文献2】特開平9-263944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
真空チャンバにて高真空を保てるようにするには、Oリングを、些少な漏れ及び浸透しかもたらさないものとすべきである。しかし、Oリングは、例えば、真空チャンバの内部を清掃するのに用いられるガスに対し耐性を呈するよう、安定なものともすべきである。そのガスに対する耐性が欠如していると、そのガスに対する露出を原因とする内Oリングの劣化が引き起こされ、その内Oリングから真空チャンバ内への粒子の放出及び漏れがもたらされかねない。これらの要請が対立することがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ある種の実施形態では、真空システムが、真空チャンバの壁と、真空チャンバのフランジと、それら壁・フランジ間に配設された外シールと、それら壁・フランジ間に配設された内シールとを有する。外シールが第1素材を含有し、内シールが第1素材とは異なる第2素材を含有する。内シールが、外シールよりも、真空チャンバの内部に近いところにある。外シールが間隙により内シールから隔てられる。外シールが、内シールよりも、タイトな壁・フランジ間真空封止をもたらせるものとされる。本真空システムは、その間隙を排気すべくその間隙を第1真空ポンプに結合させる経路をも有する。
【0007】
ある種の実施形態に係る方法では、真空チャンバの壁とその真空チャンバのフランジとの間に外シール及び内シールが配設される。外シールが第1素材を含有し、内シールが第1素材とは異なる第2素材を含有する。内シールが、外シールよりも、真空チャンバの内部に近いところにある。外シールが間隙により内シールから隔てられる。外シールが、内シールよりも、タイトな壁・フランジ間真空封止をもたらせるものとされる。本方法では、また、第1真空ポンプを用いその間隙が排気され、且つ、その第1真空ポンプを用いその間隙を排気している間に第2真空ポンプを用い真空チャンバの内部が排気される。
【0008】
ある種の実施形態では、真空システムが、真空チャンバの壁と、真空チャンバのフランジと、それら壁・フランジ間に配設された外シールと、それら壁・フランジ間に配設された内シールとを有する。外シールが第1素材を含有し、内シールが第1素材とは異なる第2素材を含有する。内シールが、外シールよりも、真空チャンバの内部に近いところにある。外シールが間隙により内シールから隔てられる。内シールが、外シールよりも、真空チャンバの内部を清掃するのに用いられるガスに対し高耐性である。本真空システムは、その間隙を排気すべくその間隙を第1真空ポンプに結合させる経路をも有する。
【0009】
様々な記載実施形態のより良好な理解のため、後掲の詳細記述と併せ以下の図面を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ある種の実施形態に係る真空チャンバの一部分の断面図である。
図2】ある種の実施形態に係り図1の真空チャンバ、第1真空ポンプ及び第2真空ポンプを有する真空システムの一部分の断面図である。
図3】ある種の実施形態に係り図2の真空システムの一例たる真空システムの一部分の断面図である。
図4】ある種の実施形態に係る真空システム動作方法が描かれているフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面及び明細書を通じ、類似する参照番号により対応する部分を参照する。
【0012】
以下、添付図面にその例が描かれている様々な実施形態を詳細に参照する。後掲の詳細記述にて、多数の具体的細部が説明されているのは、様々な記載実施形態の一貫理解を図るためである。しかしながら、本件技術分野に習熟した者(いわゆる当業者)には察せられる通り、それら具体的な詳細細部無しでそれら様々な記載実施形態を実施することもできる。別の諸例にて、周知な方法、手順、部材、回路及びネットワークが詳述されていないのは、諸実施形態の態様が不必要に曖昧化されないようにするためである。
【0013】
図1はある種の実施形態に係る真空チャンバ100の一部分の断面図である。真空チャンバ100は壁102及びフランジ104を有している(単純性に鑑み図1には壁102及びフランジ104の一部分のみを示してある)。フランジの語は、本願での用法によれば、真空チャンバ100の開口用のカバーのことを指している。例えばフランジ104をドアとし、その開閉により、真空チャンバ100内に物質を配置すること及びそこから除去することができるようにしてもよい。また例えば、フランジ104を、壁102に固定装着されてはいるが取り外せるものとすることで、真空チャンバ100に対するメンテナンスを実行できるようにしてもよい。真空チャンバ100の壁102、フランジ104及び/又はその他の構成部材(例.他の壁及び/又はフランジを含むそれ)は、その真空チャンバ100の内部106を囲んでいる。真空チャンバ100内は真空(例.超高真空(UHV))に保たれる(UHVは10-9torr以下のオーダの圧力を呈する真空のことを指す標準的で周知な技術用語である)。真空チャンバ100の外部は大気108(即ち大気圧のそれ)とすることができる。
【0014】
図1の例に示されている通り、フランジ104の一部分が壁102と隣り合っている。真空封止をもたらすべく、外シール110及び内シール112(例.外ガスケット及び内ガスケット)が壁102・フランジ104間(即ち壁102とフランジ104のうちその壁102に隣り合う部分との間)に配設されている。ある種の実施形態では、図1に示されている通り、外シール110及び/又は内シール112が、壁102の表面内にありフランジ104に隣り合う個別の溝内に配設される。別の諸実施形態では、外シール110及び/又は内シール112が、フランジ104の表面内にあり壁102に隣り合う個別の溝内に配設される。更に別の諸実施形態では、壁102及びフランジ104の双方が溝を有していてそこに外シール110及び/又は内シール112が着座することとなるよう、外シール110及び/又は内シール112が、壁102及びフランジ104にあり個別対をなす溝内に配設される。このように、壁102及びフランジ104のうち少なくとも一方を、外シール110が着座する第1溝、並びに内シール112が着座する第2溝が、備わるものとすることができる。内シール112は、外シール110よりも、真空チャンバ100の内部106に近いところにある。例えば、外シール110及び内シール112は、壁102・フランジ104間に配設されていて(例.それらの個別溝内に配設されていて)同心状であり、外シール110が内シール112よりも大きな等価直径(即ち全長)を有している。外シール110及び内シール112は、壁102・フランジ104間に配設されていて、圧縮されている。
【0015】
外シール110及び内シール112は間隙114により互いに隔てられている。間隙114は、フランジ104・壁102間且つ内シール112・外シール110間に位置している。経路116が間隙114から導かれているので、その間隙114を第1真空ポンプに結合させ、そのポンプによりその間隙114(及び経路116)を排気することができる。経路116は、(例.図1に示されている通り)壁102内やフランジ104内を通るものとすることができる。ある種の実施形態では、間隙114内で達成される真空が、真空チャンバ100の内部106で達成される真空よりも高い圧力を有する(即ち低真空な)ものとなる。例えば、間隙114内で達成される真空が低真空(即ち10-3torr以上の圧力を呈する真空)となる一方、内部106での真空に係る圧力が10-3torr未満となる(例.UHVとなる)。間隙114を排気することで、間隙114と真空チャンバ100の内部106との間の圧力差が減るため、内シール112に対する圧力が低減される。
【0016】
外シール110は、内シール112よりも、タイトな壁102・フランジ104間真空封止(即ちそのシールを介した漏れが少ない良好な封止)をもたらせるものである。外シール110は第1素材を含有している(例.それで作成されている)。内シール112は、第1素材とは異なる第2素材を含有している(例.それで作成されている)。ある種の実施形態では、第2素材が第1素材よりも硬いため内シール112が外シール110よりも硬くなる。外シール110が内シール112ほど硬くないことで、外シール110にて内シール112よりもタイトなフィットを壁102及びフランジ104に対し形成することが可能となり、従って内シール112よりもタイトな壁102・フランジ104間真空封止をもたらすことが可能となる。
【0017】
ある種の実施形態では、外シール110及び内シール112の双方がエラストマ性シール(例.Oリング)とされ、第1素材及び第2素材が個別のエラストマとされる。即ち、内シール112を内エラストマ性シール(例.内Oリング)、外シール110を外エラストマ性シール(例.外Oリング)とすることができる。第2素材(即ち内シール112を構成しているエラストマ)を、第1素材(即ち外シール110を構成しているエラストマ)よりも硬いものとすることができる。例えば、第1素材をフルオロエラストマ(即ちFKM/FPM)(例.商標VITON(登録商標)の許で販売されているそれ)とすることや、第2素材をパーフルオロエラストマ(即ちFFKM)(例.商標PERFREZ(登録商標)の許で販売されているそれ)とすることができる。パーフルオロエラストマはフルオロエラストマよりも硬く、フルオロエラストマシールによってパーフルオロエラストマシールよりもタイトな真空封止がもたらされる。
【0018】
随時(例.定期的に)、真空チャンバ100の内部106を、内部106にガスを導入することにより清掃することができる。ある種の実施形態では、そのガスが還元性ガス(又はそれを含有するもの)とされる。例えば、そのガスがオゾン又は原子状酸素(又はそれを含有するもの)とされる。この清掃プロセス中は、真空チャンバ100の内部106は、そのガスに係る分圧が高いので、真空チャンバ100の動作中に内部106にて保たれる真空とはならない。清掃プロセス完了後は、内部106がポンピングされて動作時用の真空レベルに(例.UHVに)戻され、真空チャンバ100の動作が再開される。
【0019】
内シール112は、真空チャンバ100の内部106を清掃するのに用いられるガス(例.オゾン又は原子状酸素)に対し、外シール110よりも高耐性である(即ちそのガスにより引き起こされる化学的及び/又は物理的変化に対しより高耐性である)。この高耐性は、例えば、内シール112が外シール110よりも硬いことでもたらされている。ある種の実施形態では、内シール112が、そのガスに対し、これもエラストマ性シール(例.Oリング)である外シール110よりも高耐性なエラストマ性シール(例.Oリング)とされる。例えば、内シール112がパーフルオロエラストマとされ、外シール110がフルオロエラストマとされる;パーフルオロエラストマは、真空チャンバ清掃用ガスに対し、フルオロエラストマよりも高耐性である。内シール112のガス耐性が高めであることで、そのガスへの露出を原因とする内シール112の劣化が低減されることにより、内シール112の劣化により引き起こされ内シール112から真空チャンバ100の内部106に至る粒子放出とその内シール112を介した漏れとが低減される。そうした粒子は内部106(例.内部106に配設されている部材、例えば光学系)を汚染しかねない。従って、内シール112のガス耐性を高めとすることで、真空チャンバの内部106の汚染(例.内部106に配設されている部材の汚染)が低減される。
【0020】
ある種の実施形態では、外シール110及び内シール112を、真空チャンバ100の動作中に壁102に対するフランジ104の位置が静止固定される静的条件下で、動作させる。これに代え、外シール110及び内シール112を、真空チャンバ100の動作中に壁102に対しフランジ104を動かせるよう動的条件下で動作させてもよい。例えば、自己整列のため壁102に対しフランジ104を動かし、真空チャンバ100に対するその整列状態を保つことができる。外シール110及び内シール112により、壁102・フランジ104間真空封止を共同で保ちつつ、壁102に対するフランジ104の動きを収容することができる:外シール110及び内シール112の協働により、フランジ104の動きによらず真空封止が保たれる。
【0021】
図2は、ある種の実施形態に係り真空チャンバ100(図1)、第1真空ポンプ118及び第2真空ポンプ122を有する真空システム200の一部分の断面図である。第1真空ポンプ118は経路116を介し間隙114に結合されていて、それを用い間隙114を排気すること、ひいてはその間隙114内に真空をもたらすことができる。例えば、チューブ120により第1真空ポンプ118を経路116に結合させることで、第1真空ポンプ118が経路116を介し間隙114に結合されている(同じく、チューブ120を経路116の一部と見なすこともできる)。ある種の実施形態では、第1真空ポンプ118が、間隙114内に低真空をもたらす粗引ポンプとされる。
【0022】
第2真空ポンプ122は、真空チャンバ100の内部106に真空をもたらすのに用いられている。第2真空ポンプ122が、その真空を単独でもたらすのでも、他の1個又は複数個の真空ポンプとの協働でもたらすのでもよい。別体の粗引ポンプを(例.第1真空ポンプ118を、図2には示されていない内部106との連結を通じ)初期的に用い、内部106を低真空に至るまでポンピングした後、単独で又は他の1個又は複数個の真空ポンプとの協働で、より高い真空に(例.UHVに)至るまで内部をポンピングしてもよい。第2真空ポンプ122の例には、限定ではないが、ターボポンプやクライオポンプがある。ある種の実施形態では、第2真空ポンプ122を用いることで、第1真空ポンプ118により間隙114内にもたらされ又はもたらすことが可能なそれより高い(即ちより低い圧力の)真空が、内部106にもたらされる。例えば、第2真空ポンプ122をUHVポンプとする一方、第1真空ポンプ118を、間隙114内に超高真空をもたらしえないものとしてもよい(例.第1真空ポンプ118を、間隙114内に低真空をもたらす粗引ポンプとしてもよい)。
【0023】
図3は、ある種の実施形態に係り真空システム200(図2)の一例たる真空システム300の一部分の断面図である。本真空システム300では、第1真空ポンプ118が第2真空ポンプ122に結合されており、それにより第2真空ポンプ122を排気することができる。例えば、チューブ124により第2真空ポンプ122の排出部が第1真空ポンプ118に結合される。チューブ124をチューブ120と連結することもできる。
【0024】
真空チャンバ100を有する真空システム(例.図2の真空システム200、例えば図3の真空システム300)は、多種多様な用途で用いることができる。ある種の実施形態では、真空チャンバ100が計量又は検査ツール(例.半導体計量又は検査ツール)にて用いられる。例えば、真空チャンバ100を、欠陥に関しレティクル(即ちフォトマスク)又は半導体ウェハを検査するツールにて用いることができる。真空チャンバ100は自身の内部106に光学系があるものにすることができ、ガスを用い内部106を清掃する際にその光学系が清掃されるものにすることができる。その光学系を極端紫外(EUV)光学系(例.13.5nm光学系)とすることができる。他にも多くの例が実現可能である。
【0025】
図4は、ある種の実施形態に係る真空システム(例.図2の真空システム200、例えば図3の真空システム300)を動作させる方法400が描かれているフローチャートである。本方法400では、外シール(例.図1図3の外シール110)及び内シール(例.図1図3の内シール112)が、真空チャンバ(例.図103の真空チャンバ100)の壁(例.図1図3の壁102)と、その真空チャンバのフランジ(例.図1図3のフランジ104)との間に配設される(402)。外シールは第1素材である。内シールは、第1素材とは異なる第2素材である。内シール及び外シールは、内シールが外シールよりも真空チャンバの内部(例.図1図3の内部106)に近いところにあることとなるよう配設される。外シールは間隙(例.図1図3の間隙114)により内シールから隔てる。ある種の実施形態では、外シールが、内シールによりも、タイトな壁・フランジ間真空封止をもたらせるものとされる(404)。ある種の実施形態では、内シールが外シールよりも硬いものとされ、第2素材が第1素材よりも硬いものとされる(406)。例えば、外シールが内シールほど硬くないため壁及びフランジ相手により良好なフィットを形成できるので、外シールにより、内シールよりも、タイトな壁・フランジ間真空封止をもたらすことができる。
【0026】
ある種の実施形態では、内シール及び外シールがエラストマ性シール(例.Oリング)とされ、第1素材及び第2素材が個別のエラストマとされる(408)。第2素材(即ち内エラストマ性シールの素材)を第1素材(即ち外エラストマ性シールの素材)よりも硬くすることで、内エラストマ性シールを外エラストマ性シールよりも硬くすることができる。例えば第1素材がフルオロエラストマ、第2素材がパーフルオロエラストマとされる。
【0027】
間隙が、第1真空ポンプ(例.図2図3の第1真空ポンプ118)(例.ターボポンプ又はクライオポンプ)を用い排気される(410)。即ち、第1真空ポンプによりその間隙内に真空がもたらされる。第1真空ポンプを用い間隙が排気されている間に(即ちその間隙内に真空をもたらすべく第1真空ポンプが用いられている間に)、第2真空ポンプ(例.図2図3の第2真空ポンプ122)を用い真空チャンバの内部が排気される(414)。例えば、超高真空より高い圧力が間隙内にもたらされている間に(412)、超高真空が真空チャンバの内部にもたらされる(416)。第2真空ポンプは、それ自体により、或いはそれと他の1個又は複数個のポンプ(例.他の1個又は複数個のターボポンプ又はクライオポンプ)との協働により、真空チャンバの内部に真空をもたらせるものである。
【0028】
外シール及び内シールを用い、壁・フランジ間真空封止を保ちつつ壁に対するフランジの動きを収容することができる。その動きが生じることで、例えばフランジの自己整列が可能となる。その動きと外及び内シールによるその収容は、第1真空ポンプを用い間隙が排気されつつあり且つ第2真空ポンプを用い真空チャンバの内部が排気されつつある間に生じる。或いは、第1真空ポンプを用い間隙が排気されつつあり且つ第2真空ポンプを用い真空チャンバの内部が排気されつつある間、壁に対しフランジが静止保持される。
【0029】
真空チャンバには清掃(例.定期清掃)が必要とされうる。従って、本方法400にて更に、真空チャンバの内部の排気を中止させるようにしてもよい(418)。真空チャンバの内部の排気が中止された後に、ガス(例.還元性ガス)を用い真空チャンバの内部が清掃される(420)。ある種の実施形態では、そのガスがオゾン又は原子状酸素(或いはそれを含有するもの)とされる。内シールを、外シールよりも、そのガスに対し高耐性なものとすることができる(422)。真空チャンバの内部が清掃された後に、第2真空ポンプを用いた真空チャンバ内部の排気が再開され(424)、本方法400の実行がステップ410及び414に戻される。或いは、本方法400の実行がステップ424の後にステップ402へと戻される。こうすることで真空チャンバを反復的に清掃することができ、各回清掃を個別使用周期後に実行することができる。
【0030】
上掲の記述は説明を目的とするものであり、具体的な諸実施形態を参照して記述されている。しかしながら、上掲の例証的議論は、排他的たることや、諸請求項の技術的範囲を開示形態そのものに限定することを、意図するものではない。多くの修正及び改変を上掲の教示に鑑みなすことができる。それら実施形態は、諸請求項の下地をなす諸原理及びそれらの実際的応用を最良説明すべく選択されているので、他の当業者は、想定されている具体的用途に見合う様々な修正と併せ諸実施形態を最良使用することができる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】