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特表2024-506337哺乳類細胞を凍結及び解凍するための方法及び組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-13
(54)【発明の名称】哺乳類細胞を凍結及び解凍するための方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/0783 20100101AFI20240205BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240205BHJP
   C12N 1/04 20060101ALI20240205BHJP
   C12N 1/06 20060101ALI20240205BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240205BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240205BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20240205BHJP
   A61K 35/51 20150101ALI20240205BHJP
   A61K 35/14 20150101ALI20240205BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20240205BHJP
   A61K 35/545 20150101ALI20240205BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240205BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240205BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240205BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240205BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20240205BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20240205BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20240205BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20240205BHJP
   A61K 38/20 20060101ALN20240205BHJP
【FI】
C12N5/0783 ZNA
C12N5/10
C12N1/04
C12N1/06
A61P35/00
A61P37/04
A61P7/00
A61K35/51
A61K35/14
A61K35/17
A61K35/545
A61K39/395 E
A61K39/395 T
A61K47/02
A61K47/26
A61K47/12
A61K47/20
A61K47/42
A61K9/10
C12N15/13
A61K38/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548177
(86)(22)【出願日】2022-02-09
(85)【翻訳文提出日】2023-08-08
(86)【国際出願番号】 US2022015870
(87)【国際公開番号】W WO2022173867
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】63/147,737
(32)【優先日】2021-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US22/15627
(32)【優先日】2022-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】ジョー、シュシア
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ、ラン
(72)【発明者】
【氏名】ガオ、ダヨン
(72)【発明者】
【氏名】シュエ、チョン
(72)【発明者】
【氏名】サン、ジウソン
(72)【発明者】
【氏名】チュー、フアン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065BB11
4B065BB16
4B065BB19
4B065BD09
4B065BD12
4B065CA24
4B065CA44
4C076AA22
4C076BB11
4C076CC07
4C076CC14
4C076CC27
4C076DD23
4C076DD41
4C076DD55
4C076DD67
4C076EE41
4C076FF36
4C084CA18
4C084DA12
4C084MA66
4C084NA20
4C084ZA51
4C084ZB09
4C084ZB26
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB31
4C085CC03
4C085CC12
4C085CC22
4C085CC23
4C085EE01
4C085GG01
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB34
4C087BB37
4C087BB59
4C087BB61
4C087BB64
4C087BB65
4C087MA66
4C087NA20
4C087ZA51
4C087ZB09
4C087ZB26
(57)【要約】
本開示は、特に、高い細胞生存率及び解凍後の機能性を有する解凍細胞が得られる、細胞の凍結保存及び解凍方法を提供する。いくつかの実施形態では、大規模での細胞の凍結保存方法を提供し、その方法は、(a)細胞を凍結保存培地と接触させ、(b)融解潜熱を最小化するために、細胞を制御速度で-80℃まで冷却し、(c)細胞を液体窒素気相中で保存し、それにより免疫細胞を凍結保存することを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大規模での免疫細胞の凍結保存方法であって、前記方法が、
(a)凍結保存培地中に懸濁された免疫細胞を含む試料を含む容器を提供し、前記試料の容積が、前記容器の全容量より少なくとも5パーセント少なく、前記試料の容積が少なくとも10mlであり、
(b)融解潜熱を最小化するために、前記容器を前記試料の氷点以上の温度から約-80℃以下の温度まで、多段階プロセスで制御速度にて冷却し、
(c)前記細胞を液体窒素気相中で保存し、それによって前記免疫細胞を凍結保存する、前記凍結保存方法。
【請求項2】
融解潜熱を最小化するための前記制御速度が、0.75℃/分~30℃/分の速度で、-80℃以下の最終温度まで温度を低下させる2つ以上のステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記免疫細胞の凍結保存を達成するための合計時間が、120分未満、110分未満、100分未満、90分未満、80分未満、70分未満、または60分未満である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記免疫細胞が、新鮮に単離されているか、または少なくとも一度凍結及び解凍されている、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記免疫細胞が、天然または改変されたナチュラルキラー(NK)細胞、αβT細胞、γδT細胞、人工多能性幹細胞(iPSC)、iPSC由来のT細胞もしくはNK細胞、制御性T細胞(Treg)、造血幹細胞(HSC)、間葉系間質細胞(MSC)、樹状細胞、マクロファージ、またはB細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記免疫細胞が、キメラ抗原受容体(CAR)で改変された臍帯血由来のNK細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
容器の全容量が約50mlである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
容器の全容量が約50mlであり、前記試料の容積が40ml未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記試料の容積が、約10ml、約15ml、約20ml、約25ml、約30ml、約31ml、約32ml、約33ml、約34ml、約35ml、約36ml、約37ml、約38ml、約39ml、約40ml、約41ml、約42ml、約43ml、約44ml、または約45mlである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記容器が、クライオバイアルまたはクライオバッグである、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記容器がクライオバイアルである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記クライオバイアルの内寸が10mm~18mmである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記クライオバイアルが、約13.5mmの外形寸法を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記クライオバイアルが、約40mm~50mmの高さを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記クライオバイアルが、約48.3mmの高さを有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記容器が、DMSO耐性を有する、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記免疫細胞が、1mLあたり約600万~1億2000万細胞の濃度で存在する、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記凍結保存培地が、凍結保護剤、アルブミン、二糖類、及び非発熱性かつ等張性晶質溶液を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記凍結保存培地が、ヒト血清アルブミン(HSA)、塩化ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム三水和物、塩化カリウム、塩化マグネシウム、ジメチルスルホキシド(DMSO)、及びトレハロースを含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
大規模での凍結保存された免疫細胞の解凍方法であって、前記方法が、
(a)水浴を37℃~70℃の範囲の温度に加熱し、
(b)請求項1に記載の凍結保存された免疫細胞を含む容器を、前記予熱した水浴に移し、
(c)前記容器を約100~約250RPMの速度で適切な時間撹拌し、それによって解凍された免疫細胞を取得することを含む、前記解凍方法。
【請求項21】
前記適切な時間が、5~15分間である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記適切な時間が約10分間である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記撹拌を、オービタルシェーカー水浴中で行う、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記オービタルシェーカー水浴中での前記細胞の撹拌が、約120~150RPMの速度である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記オービタルシェーカー水浴の温度が、約50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、または75℃である、23に記載の方法。
【請求項26】
前記オービタルシェーカー水浴の温度が約60℃である、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記容器が、約50mLの全容量、及び約8mL~45mLの試料容積を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記免疫細胞が、天然または改変されたナチュラルキラー(NK)細胞、αβT細胞、γδT細胞、人工多能性幹細胞(iPSC)由来のNK細胞もしくはT細胞、制御性T細胞(Treg)、マクロファージ、樹状細胞、造血幹細胞(HSC)、間葉系間質細胞(MSC)、またはB細胞である、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記凍結保存された免疫細胞が、キメラ抗原受容体(CAR)を含むように改変されたNK細胞またはT細胞である、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
前記解凍された免疫細胞が、90%、95%、97%、またはそれ以上の解凍後の生存率を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項31】
前記解凍された免疫細胞が、新鮮に単離された免疫細胞と同様のin vitro及び/またはin vivo機能を保持している、請求項20に記載の方法。
【請求項32】
前記解凍した免疫細胞を、それを必要とする対象に投与するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項33】
免疫細胞を含有する試料の温度を、前記試料の凍結温度を上回る第1の温度から-80℃以下の最終温度まで変化させることによる、前記最終温度での前記試料の凍結保存方法であって、前記方法が、
(a)前記試料を前記試料の凝固温度より高い第1の温度に置き、
(b)前記第1の温度を第1の制御速度で第2の温度まで低下させ、その場合、前記第2の温度が前記第1の温度より少なくとも2℃低く、
(c)前記第2の温度を第2の制御速度で第3の温度まで低下させ、その場合、前記第3の温度が前記第2の温度より少なくとも40℃低く、
(d)前記第3の温度を第3の制御速度で第4の温度まで上昇させ、その場合、前記第4の温度が前記第3の温度より少なくとも20℃高く、
(e)前記第4の温度を第4の制御速度で第5の温度まで低下させ、その場合、前記第5の温度が前記第4の温度より少なくとも10℃低く、
(f)前記第5の温度を第5の制御速度で最終温度まで低下させるステップを含み、その場合、前記最終温度が-80℃以下である、前記凍結保存方法。
【請求項34】
前記第1の温度が約4℃~1℃である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記第1の制御速度が、毎分約0.75℃~1.25℃である、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記第2の温度が約-2℃である、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記第2の制御速度が、毎分約20℃~30℃である、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記第3の温度が約-60℃である、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記第3の制御速度が、毎分約5℃~15℃である、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記第4の温度が約-25℃である、請求項33に記載の方法。
【請求項41】
前記第4の制御速度が、毎分0.75℃~1.25℃である、請求項33に記載の方法。
【請求項42】
前記第5の温度が約-40℃である、請求項33に記載の方法。
【請求項43】
前記第5の制御速度が、毎分7℃~15℃である、請求項33に記載の方法。
【請求項44】
前記最終温度が-80℃以下である、請求項33に記載の方法。
【請求項45】
細胞療法に適した改変された免疫細胞を凍結保存することを含む方法であって、前記方法が、(1)凍結保存培地中に懸濁された免疫細胞を含む試料を含む容器を提供し、試料の容積が前記容器の全容量より少なくとも5パーセント少なく、前記試料の容積が少なくとも10mLであり、(2)融合潜熱の影響を最小化するために、改変された免疫細胞の集団を制御速度で段階的に凍結することを含み、前記段階的凍結が、毎分0.75℃~毎分30℃の速度で前記細胞を最終温度-80℃以下まで冷却し、それによって前記細胞を凍結保存することを含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年2月9日に出願された米国特許仮出願番号第63/147,737号、及び2022年2月8日に出願されたPCT/US2022/015627の優先権を主張するものであり、それらの内容は、全ての目的のために、全体が参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
例えば、細胞、組織、器官、血液製剤、胚、精子、幹細胞、魚卵などの生体物質の凍結保存には、生体物質を十分に低い温度まで凍結することが必然的に伴い、これにより、物質に損傷を与え得る化学プロセスが停止され、それによって物質が保存される。
【0003】
凍結保存の分野は、多くの場合、生体物質を凍結するだけでなく、その生存能力、すなわち、解凍後に正常な生物学的機能を回復する能力を保持させることも目的とする。生体物質を凍結すると、一般に内部の流体が相転移を起こし、その間に氷晶が形成され得る。氷晶の形成は生体物質に損傷を与え得るため、解凍後には生存可能でない可能性がある。
【0004】
したがって、様々な用途、例えば、細胞治療、再生医療、組織工学、及び他の多くの生物医学用途で使用するために輸送が必要とされ得る細胞の生存性を確保するために、特に治療に使用する細胞を凍結保存する場合、凍結保存条件を最適化することが望ましい。
【0005】
最適ではない凍結保存は、細胞の生存率及び機能におけるバッチ間のばらつき、細胞収率の低下、さらには元の細胞とは異なる遺伝的またはエピジェネティックな特徴を有する部分集団が選択される可能性を引き起こし得る。規制条件は、製品の凍結、保管、解凍に対するロバストで再現可能なアプローチを要求するため、凍結保存にも影響を与える。
【発明の概要】
【0006】
本出願は、少なくとも部分的に、哺乳類細胞の効果的な凍結及び解凍のための方法及び組成物に基づいている。本発明は、部分的には、哺乳類細胞、例えば免疫細胞、特に細胞治療に適した改変された免疫細胞に一般に適用可能な大規模凍結保存/解凍方法の開発に基づく。本出願は、解凍後に高い生存率及び機能を有する細胞の凍結保存を可能にする、様々な冷却、加熱、及び保持ステップを含む凍結方法を開示する。さらに、本明細書に記載の凍結/解凍方法は、本明細書に記載されるように、大規模(例えば容積10mL超)の細胞含有試料の一貫した凍結を約60分以下で可能にし、また、その後解凍した細胞試料を、必要とする対象に直接投与することを可能にする。
【0007】
例えば、以下でより詳細に説明するように、本明細書に記載の方法は、in vitro及びin vivoで、新たに単離した細胞と少なくとも同等の免疫細胞機能を保持させることができる。さらに、本明細書で提供される方法及び組成物を使用して、大量の免疫細胞、特に細胞療法に適した同種異系の改変された免疫細胞を保存するために、例えば、細胞バンクまたは病院へ保管し、輸送することができ、その場合、細胞をさらなる培養及び分析に使用することができ、またはそれを必要とする患者に直接注射することができる。したがって、本出願は、大量の哺乳類細胞、特に細胞治療に適した改変された免疫細胞の保存において非常に効果的であり得る凍結方法及び解凍方法を提供する。
【0008】
いくつかの態様では、免疫細胞の大規模での凍結保存方法を提供し、方法は、(a)凍結保存培地中に懸濁された免疫細胞を含む試料を含む容器を提供し、試料の容量は、容器の全容量より少なくとも5%少なく、試料の容量は少なくとも10mlであり、(b)融解潜熱を最小限に抑えるために、制御速度で複数段階のプロセスで容器を試料の凍結温度を上回る温度から約-80℃以下の温度まで冷却し、(c)細胞を液体窒素気相中で保存し、それにより免疫細胞を凍結保存することを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、融解潜熱を最小限に抑えるための制御速度は、0.75℃/分~30℃/分の速度で最終温度-80℃またはそれ未満まで温度を低下させる2つ以上のステップを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、免疫細胞の凍結保存を達成するための合計時間は、120分未満、110分未満、100分未満、90分未満、80分未満、70分未満、または60分未満である。したがって、いくつかの実施形態では、免疫細胞の凍結保存を達成するための合計時間は120分未満である。いくつかの実施形態では、免疫細胞の凍結保存を達成するための合計時間は110分未満である。いくつかの実施形態では、免疫細胞の凍結保存を達成するための合計時間は100分未満である。いくつかの実施形態では、免疫細胞の凍結保存を達成するための合計時間は90分未満である。いくつかの実施形態では、免疫細胞の凍結保存を達成するための合計時間は80分未満である。いくつかの実施形態では、免疫細胞の凍結保存を達成するための合計時間は70分未満である。いくつかの実施形態では、免疫細胞の凍結保存を達成するための合計時間は60分未満である。
【0011】
いくつかの実施形態では、免疫細胞を、新たに単離するか、または少なくとも一度凍結及び解凍する。
【0012】
いくつかの実施形態では、免疫細胞は、天然または改変されたナチュラルキラー(NK)細胞、αβT細胞、γδT細胞、制御性T細胞(Treg)、人工多能性幹細胞(iPSC)、iPSC由来のT細胞またはNK細胞、造血幹細胞(HSC)、間葉系間質細胞(MSC)、樹状細胞、マクロファージ、またはB細胞である。したがって、いくつかの実施形態では、免疫細胞は、天然または改変されたNK細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、改変されたNK細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞はαβT細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞はγδT細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞はTregである。いくつかの実施形態では、免疫細胞はiPSCである。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、iPSC由来のT細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、iPSC由来のNK細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞はHSCである。いくつかの実施形態では、免疫細胞はMSCである。いくつかの実施形態では、免疫細胞は樹状細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞はマクロファージである。いくつかの実施形態では、免疫細胞はB細胞である。
【0013】
いくつかの実施形態では、免疫細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)で改変された臍帯血由来NK細胞である。
【0014】
いくつかの実施形態では、NK細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)を含む。NK細胞は、例えば、CD19 CAR、B細胞成熟抗原(BCMA)CAR、グリピカン-3(GPC3)CAR、CD22 CAR、メソセリンCAR、MUC1 CAR、上皮細胞接着分子(EpCAM)CAR、上皮成長因子受容体(EGFR)CAR、CD123 CAR、CD20 CAR、HER2 CAR、GD2 CAR、CD133 CAR、EphA2 CAR、及び前立腺特異的膜抗原(PSMA)CARのうちの1つ以上を含む、任意のCARを含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、NK細胞は、CD19 CARを含む。いくつかの実施形態では、NK細胞は、BCMA CARを含む。いくつかの実施形態では、NK細胞は、GPC3 CARを含む。いくつかの実施形態では、NK細胞は、CD22 CARを含む。いくつかの実施形態では、NK細胞は、メソテリンCARを含む。いくつかの実施形態では、NK細胞は、MUC1 CARを含む。いくつかの実施形態では、NK細胞は、EpCAM CARを含む。いくつかの実施形態では、NK細胞は、EGFR CARを含む。いくつかの実施形態では、NK細胞は、CD123 CARを含む。いくつかの実施形態では、NK細胞は、CD20 CARを含む。いくつかの実施形態では、NK細胞は、HER2 CARを含む。いくつかの実施形態では、NK細胞は、GD2 CARを含む。いくつかの実施形態では、NK細胞は、CD133 CARを含む。いくつかの実施形態では、NK細胞は、EphA2 CARを含む。いくつかの実施形態では、NK細胞は、PSMA CARを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、NK細胞を、1つ以上のサイトカインを発現するように改変する。いくつかの実施形態では、NK細胞を、IL-15、IL-15とIL-15Rαの複合体、IL-18、IL-12、IL-7、CCL19のうちの1つ以上を発現するように改変する。したがって、いくつかの実施形態では、NK細胞を、IL-15を発現するように改変する。いくつかの実施形態では、NK細胞を、IL-15とIL-15Rαの複合体を発現するように改変する。いくつかの実施形態では、NK細胞を、IL-18を発現するように改変する。いくつかの実施形態では、NK細胞を、IL-12を発現するように改変する。いくつかの実施形態では、NK細胞を、IL-7を発現するように改変する。いくつかの実施形態では、NK細胞を、CCL19を発現するように改変する。
【0016】
いくつかの実施形態では、NK細胞を、1つ以上の自殺遺伝子を発現するように改変する。例えば、いくつかの例では、NK細胞を、iCaspase9、非分泌性TNFα、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV-TK)、ウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ(UPRTase)、シトシンデアミナーゼ(CD)のうちの1つ以上を発現するように改変する。したがって、いくつかの実施形態では、NK細胞を、1つ以上のiCaspase9を発現するように改変する。いくつかの実施形態では、NK細胞を、非分泌性TNFαを発現するように改変する。いくつかの実施形態では、NK細胞を、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV-TK)を発現するように改変する。いくつかの実施形態では、NK細胞を、ウラシルホスホリボシルトランスフェラーゼ(UPRTase)を発現するように改変する。いくつかの実施形態では、NK細胞を、シトシンデアミナーゼ(CD)を発現するように改変する。
【0017】
いくつかの実施形態では、NK細胞を、CD19 CAR、IL-15、及びiCaspase9を発現するように改変する。
【0018】
いくつかの実施形態では、NK細胞は、抗CD19結合ドメイン、膜貫通ドメイン、例えば、T細胞受容体のα鎖、β鎖、またはζ鎖、CD28、CD3ε、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、ならびに細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、細胞内シグナル伝達ドメインFcRγ、FcRβ、CD3γ、CD3δ、CD3ζ、CD3ε、CD5、CD22、CD79a、CD79b、及びCD66dを含むCD19-CARを含む遺伝子改変された臍帯血NK細胞である。CD-19結合ドメインは、scFvなどの単鎖抗体または単鎖抗体断片であり得る。一実施形態では、抗CD19結合ドメインは、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び/または配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。別の実施形態では、CD-19 CARは、抗CD19結合ドメイン、CD28膜貫通ドメイン(例示的なCD28膜貫通配列を配列番号3に示す)、CD3zシグナル伝達ドメイン(例示的なCD3z配列を配列番号4に示す)を含み得、さらにiCaspase9などの自殺スイッチ及び/またはIL-15を含み得る。
【0019】
一実施形態では、遺伝子操作された臍帯血NK細胞は、抗CD19結合ドメインの重鎖可変領域をコードする核酸分子、及び/または抗CD19結合ドメインの軽鎖可変領域をコードする核酸分子を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、容器の全容量は約50mlである。
【0021】
いくつかの実施形態では、容器の全容量は約50mlであり、試料容積は40ml未満である。
【0022】
いくつかの実施形態では、試料の容積は、約10ml、約15ml、約20ml、約25ml、約30ml、約31ml、約32ml、約33ml、約34ml、約35ml、約36ml、約37ml、約38ml、約39ml、約40ml、約41ml、約42ml、約43ml、約44ml、または約45mlである。したがって、いくつかの実施形態では、試料の容積は約10mLである。いくつかの実施形態では、試料の容積は約15mLである。いくつかの実施形態では、試料の容積は約20mLである。いくつかの実施形態では、試料の容積は約15mLである。いくつかの実施形態では、試料の容積は約25mLである。いくつかの実施形態では、試料の容積は約30mLである。いくつかの実施形態では、試料の容積は約35mLである。いくつかの実施形態では、試料の容積は約40mLである。いくつかの実施形態では、試料の容積は約45mLである。
【0023】
いくつかの実施形態では、容器は、クライオバイアルまたはクライオバッグである。したがって、いくつかの実施形態では、容器はクライオバイアルである。いくつかの実施形態では、容器はクライオバッグである。
【0024】
いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、10mm~18mmの内寸を有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、15mm~40mmの外形寸法を有する。
【0025】
いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、約13.5mmの内寸を有する。
【0026】
いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、約40mm~50mmの高さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、約30mm~90mmの高さを有する。
【0027】
いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、約48.3mmの高さを有する。
【0028】
いくつかの実施形態では、容器は、DMSOに対して耐性がある。
【0029】
いくつかの実施形態では、免疫細胞は、1mLあたり約600万~1億2000万細胞の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、1mLあたり約600万~2500万細胞の濃度で存在する。
【0030】
いくつかの実施形態では、凍結保存媒体は、凍結保護剤、アルブミン、二糖類、及び非発熱性かつ等張性晶質溶液を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、ヒト血清アルブミン(HSA)、塩化ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム三水和物、塩化カリウム、塩化マグネシウム、ジメチルスルホキシド(DMSO)、及びトレハロースを含む。
【0032】
いくつかの態様では、大規模での凍結保存された免疫細胞の解凍方法を提供し、方法は、(a)水浴を37℃~70℃の範囲の温度に加熱し、(b)凍結保存された免疫細胞を含む容器を予熱した水浴に移し、(c)容器を約100~約250RPMの速度で適切な時間撹拌し、それにより解凍された免疫細胞を取得することを含む。いくつかの実施形態では、水浴の温度は55℃~65℃である。いくつかの実施形態では、容器の撹拌を、約100~150RPMの速度で実施する。
【0033】
いくつかの実施形態では、適切な時間は5~15分間である。
【0034】
いくつかの実施形態では、適切な時間は約10分間である。
【0035】
いくつかの実施形態では、撹拌をオービタルシェーカー水浴中で実施する。
【0036】
いくつかの実施形態では、オービタルシェーカー水浴中での細胞の撹拌は、約120~150RPMの速度である。
【0037】
一実施形態では、細胞を60℃の水浴中で125RPMにて約10分間撹拌する。
【0038】
いくつかの実施形態では、オービタルシェーカー水浴の温度は、約50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、または75℃である。したがって、いくつかの実施形態では、オービタルシェーカー水浴の温度は約50℃である。いくつかの実施形態では、オービタルシェーカー水浴の温度は約55℃である。いくつかの実施形態では、オービタルシェーカー水浴の温度は約60℃である。いくつかの実施形態では、オービタルシェーカー水浴の温度は約65℃である。いくつかの実施形態では、オービタルシェーカー水浴の温度は約70℃である。いくつかの実施形態では、オービタルシェーカー水浴の温度は約75℃である。
【0039】
いくつかの実施形態では、容器は、約50mLの全容量、及び約8mL~45mLの試料容積を有する。
【0040】
いくつかの実施形態では、解凍された免疫細胞は、90%、95%、97%、またはそれ以上の解凍後の生存率を有する。したがって、いくつかの実施形態では、解凍された免疫細胞は、90%の解凍後の生存率を有する。いくつかの実施形態では、解凍された免疫細胞は、95%の解凍後の生存率を有する。いくつかの実施形態では、解凍された免疫細胞は、97%の解凍後の生存率を有する。いくつかの実施形態では、解凍された免疫細胞は、97%超の解凍後の生存率を有する。
【0041】
いくつかの実施形態では、解凍された免疫細胞は、新たに単離された免疫細胞と同様のin vitro及び/またはin vivo機能を保持する。
【0042】
いくつかの実施形態では、方法は、解凍した免疫細胞を、それを必要とする対象に投与するステップをさらに含む。
【0043】
いくつかの態様では、免疫細胞を含む試料の温度を、試料の凍結温度を上回る第1の温度から-80℃以下の最終温度まで変化させ、それによって試料を最終温度において凍結保存する方法を提供し、方法は、以下のステップを含む。(a)試料を試料の凝固温度より高い第1の温度に置き、(b)第1の温度を第1の制御速度で第2の温度まで低下させ、第2の温度は、第1の温度より少なくとも2℃低く、(c)第2の温度を第2の制御速度で第3の温度まで低下させ、第3の温度は第2の温度より少なくとも40℃低く、(d)第3の温度を第3の制御速度で第4の温度まで上昇させ、第4の温度は第3の温度より少なくとも20℃高く、(e)第4の温度を第4の制御速度で第5の温度まで低下させ、第5の温度は第4の温度より少なくとも10℃低く、(f)第5の温度を第5の制御速度で最終温度まで低下させるステップを含み、最終温度は-80℃以下である。
【0044】
いくつかの実施形態では、第1の温度は約4℃~1℃である。いくつかの実施形態では、第1の温度は約4℃である。いくつかの実施形態では、第1の温度は約3℃である。いくつかの実施形態では、第1の温度は約2℃である。いくつかの実施形態では、第1の温度は約1℃である。
【0045】
いくつかの実施形態では、第1の制御速度は、毎分約0.75℃~1.25℃である。
【0046】
いくつかの実施形態では、第2の温度は約-2℃である。
【0047】
いくつかの実施形態では、第2の制御速度は、毎分約20℃~30℃である。
【0048】
いくつかの実施形態では、第3の温度は約-60℃である。
【0049】
いくつかの実施形態では、第3の制御速度は、毎分約5℃~15℃である。
【0050】
いくつかの実施形態では、第4の温度は約-25℃である。
【0051】
いくつかの実施形態では、第4の制御速度は、毎分0.75℃~1.25℃である。
【0052】
いくつかの実施形態では、第5の温度は約-40℃である。
【0053】
いくつかの実施形態では、第5の制御速度は、毎分7℃~15℃である。
【0054】
いくつかの実施形態では、最終温度は-80℃以下である。
【0055】
いくつかの態様では、細胞治療に適した改変された免疫細胞を凍結保存することを含む方法を提供し、この方法は、(1)凍結保存培地中に懸濁された免疫細胞を含む試料を含む容器を提供し(試料の容積は、容器の全容量より少なくとも5%少なく、試料の容積は少なくとも10mLである)、(2)融合潜熱の影響を最小限に抑えるために、制御速度で改変された免疫細胞の集団を段階的に凍結することを含み、段階的凍結は、毎分0.75℃~毎分30℃の速度で細胞を-80℃以下の最終温度へ冷却することを含み、それにより、細胞は凍結保存される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1】Aは、調整可能な回転速度及び温度を備えた例示的なオービタルシェーカー水浴を示す図である。Bは、凍結保存された細胞を急速に解凍するための凍結容器またはバイアルを保持するためのホルダーを備えたオービタルシェーカーの例示的な試料チャンバーを示す図である。
図2】実施例1に記載されるような、大容量の凍結プロトコルを使用した、細胞を含まない45mlのプラセボ製剤溶液の凍結特性を示すグラフである。
図3】本明細書、特に実施例2に記載される60分間の凍結プロトコルを用いた36mlのCAR-NK細胞の凍結特性を示すグラフである。CAR-NK細胞を、制御速度の凍結装置内で凍結させた。
図4】それぞれ16mL、30mL、及び45mLのiCART細胞(本明細書では時々iCARTと呼ばれる)を含む5つの50mLのATバイアルの凍結特性を示すグラフである。左下隅の図は、冷凍装置内の50mlバイアルの配置を示す。USBの指定は、凍結装置内のバイアルの配置を指す。
図5】Aは、60℃のオービタルシェーカー水浴中での、1mlあたり8000万細胞の濃度での45ml及び30mlの凍結iCARTの解凍特性を示すグラフであり、オービタルシェーカーの回転速度は、150rpmに設定される。Bは、60℃のオービタルシェーカー水浴中での、1mlあたり1億2000万細胞の濃度での45ml、30ml、及び16mlの凍結iCARTの解凍特性を示すグラフであり、オービタルシェーカーの回転速度は、150rpmに設定される。
図6】本明細書に記載の凍結及び解凍手順を使用して凍結させたiCART細胞の生存率を示すグラフである。
図7A】新鮮な細胞、ならびに2mLクライオバイアル及び2mL ATバイアルを用いた場合と比較した、本明細書に記載の凍結及び解凍手順による、1mLあたり8000万及び1億2000万の両方の異なる充填容量における、50mLのATバイアル中の凍結CAR-NK細胞のE:T(エフェクター:標的細胞)比の関数として同等のin vitro殺傷効力を示すグラフを示す。
図7B】凍結し、その後解凍したCAR-NK細胞の表現型を示す表である。
図8A】凍結及び解凍手順を用いた、1mLあたり600万細胞及び8000万細胞のCAR-NK細胞が、E:T比の関数として、参照細胞としての2mLのクライオバイアル内の凍結細胞と同等のin vitro死滅効果を示す一連のグラフを示す。
図8B】大容量の50mLバイアルが、高く(≧96%)、かつ2mLクライオバイアル中の参照細胞と同等の生存率、死滅効果、及び表現型解析結果を示しているデータをまとめたものである。
図8C】大容量の50mLバイアルが、高く(≧96%)、かつ2mLクライオバイアル中の参照細胞と同等の生存率、死滅効果、及び表現型解析結果を示しているデータをまとめたものである。
図9A】一度凍結し、その後解凍したCAR-NK細胞を投与した腫瘍マウスモデルのin vivo生存率を示す一連のグラフである。グラフは、一度凍結し、その後解凍したCAR-NK細胞(細胞懸濁液#1~#3)を投与した後の腫瘍マウスモデル動物の生存率を、ビヒクル(細胞を含まない凍結培地)、及びレスキューされた新鮮なCAR-NK細胞と比較して示す。CAR-NK細胞(「細胞懸濁液#1」)の投与後の動物生存率を示す。
図9B】一度凍結し、その後解凍したCAR-NK細胞を投与した腫瘍マウスモデルのin vivo生存率を示す一連のグラフである。グラフは、一度凍結し、その後解凍したCAR-NK細胞(細胞懸濁液#1~#3)を投与した後の腫瘍マウスモデル動物の生存率を、ビヒクル(細胞を含まない凍結培地)、及びレスキューされた新鮮なCAR-NK細胞と比較して示す。腫瘍マウスモデルへのCAR-NK細胞の投与後の動物生存率を示す。
図9C】一度凍結し、その後解凍したCAR-NK細胞を投与した腫瘍マウスモデルのin vivo生存率を示す一連のグラフである。グラフは、一度凍結し、その後解凍したCAR-NK細胞(細胞懸濁液#1~#3)を投与した後の腫瘍マウスモデル動物の生存率を、ビヒクル(細胞を含まない凍結培地)、及びレスキューされた新鮮なCAR-NK細胞と比較して示す。腫瘍マウスモデルへのCAR-NK細胞の投与後の動物生存率を示す。
図9D】一度凍結し、その後解凍したCAR-NK細胞(細胞懸濁液#1~3)を注射した腫瘍マウスモデルのルシフェラーゼ蛍光のin vivo全光束を、ビヒクル(細胞を含まない凍結培地)及びレスキューされた新鮮なCAR-NK細胞と比較して示す一連のグラフである。
図9E】一度凍結し、その後解凍したCAR-NK細胞(細胞懸濁液#1~3)を注射した腫瘍マウスモデルのルシフェラーゼ蛍光のin vivo全光束を、ビヒクル(細胞を含まない凍結培地)及びレスキューされた新鮮なCAR-NK細胞と比較して示す一連のグラフである。
図9F】一度凍結し、その後解凍したCAR-NK細胞(細胞懸濁液#1~3)を注射した腫瘍マウスモデルのルシフェラーゼ蛍光のin vivo全光束を、ビヒクル(細胞を含まない凍結培地)及びレスキューされた新鮮なCAR-NK細胞と比較して示す一連のグラフである。
図9G】一度凍結させ、その後解凍したNK細胞(細胞懸濁液#1~3)を注射したマウスにおけるルシフェラーゼ活性を、ビヒクル(細胞を含まない凍結培地)、及びレスキューされた新鮮なCAR-NK細胞と比較して示す一連の画像である。
図9H】一度凍結させ、その後解凍したNK細胞(細胞懸濁液#1~3)を注射したマウスにおけるルシフェラーゼ活性を、ビヒクル(細胞を含まない凍結培地)、及びレスキューされた新鮮なCAR-NK細胞と比較して示す一連の画像である。
図9I】一度凍結させ、その後解凍したNK細胞(細胞懸濁液#1~3)を注射したマウスにおけるルシフェラーゼ活性を、ビヒクル(細胞を含まない凍結培地)、及びレスキューされた新鮮なCAR-NK細胞と比較して示す一連の画像である。
【0057】
定義
同種異系:本明細書で使用される場合、同種異系とは、任意の物質が導入される個体と同じ種ではあるが、その個体とは異なる動物に由来する該物質を指す。1つ以上の遺伝子座の遺伝子が同一でない場合、2つ以上の個体は、互いに同種異系であると言われる。いくつかの態様では、同じ種の個体による同種異系物質は、抗原的に相互作用するよう、遺伝的に十分に異なるものであり得る。
【0058】
およそまたは約:本明細書で使用される場合、用語「およそ」または「約」は、1つ以上の目的の値に適用される際、言及された目的の値だけでなく、言及された基準値に類似する値も指す。特定の実施形態では、用語「およそ」または「約」は、別途記載のない限り、または別途文脈から明白でない限り、言及された目的の値、及び言及された基準値のいずれかの方向(上回るかまたは下回る)の25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、もしくはそれ未満に納まる値の範囲を指す(かかる数があり得る値の100%を超える場合を除く)。
【0059】
生体試料:本明細書で使用される用語「生体試料」とは、細胞(真核生物及び原核生物の両方)、細胞からなる器官及び組織、ウイルスが含まれ、これらはすべて天然のもの、または遺伝子改変もしくは他の方法で改変されたものであり、生物学的に活性な分子、例えば、細胞、核酸、タンパク質、糖タンパク質、脂質、リポタンパク質などの高分子であり得る。本発明は、ヒト及び他の哺乳類の免疫細胞の凍結保護に特に応用することができる。
【0060】
新鮮な細胞またはレスキューされた新鮮な細胞:本明細書で使用される場合、用語「新鮮」、「新鮮な細胞」、または「レスキューされた新鮮な細胞」とは、一度も凍結されていない、及び/または一度は凍結されたがその後に再刺激され、培養液内で培養され、次いで、新鮮な細胞として回収された、哺乳類細胞を指す。
【0061】
容器:本明細書で使用される用語「容器」とは、その通常の意味が与えられるものとし、凍結保存された細胞及び関連化合物などの物質を収容、保持、投与、送達、または輸送するためのキャリア、ホルダー、筐体、及び導管が含まれる。したがって、一実施形態では、容器はDMSOと反応しない。別の実施形態では、本明細書で使用される容器(例えば、無菌クライオバイアル)は、DEHPフリーであり、かつDMSO耐性を有する。例示的な適切な容器には、冷凍バイアル、冷凍バッグなどが含まれる。様々な種類のクライオバイアルが知られており、例えば、AT(登録商標)クライオバイアル、Nunc(商標)バイアル、ガラスバイアルなどが挙げられる。
【0062】
制御冷却または制御速度での冷却:本明細書で使用される場合、用語「制御冷却」または「制御速度での冷却」及び類似の用語は、例えば、0.1℃/分~50℃/分の速度で冷却される生体試料の温度低下をもたらす、外部冷却レジームを適用するプロセスである。いくつかの実施形態では、制御冷却は、速度制御フリーザーなど、市販のフリーザーを使用して達成され得る。速度制御フリーザーの様々な例としては、例えば、CryoMed(商標)Model 5474、Strex CytoSensei SB02-0920、Custom BioGenic Systems Model 2101が挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
凍結保護物質:本明細書で使用される場合、用語「凍結保護物質」とは、生物学的組織を凍結損傷から保護するために使用される物質を指す。例示的な凍結保護物質としては、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、エチレングリコール及びプロパンジオールが挙げられる。
【0064】
凍結保存:本明細書で使用される場合、用語「凍結保存」または「凍結」は、一般に、細胞の生存能力が維持されるように細胞を凍結させる方法を指す。凍結保存された細胞は、凍結保存状態での1年、5年、10年、またはそれ以上等、凍結状態での長期間、生存能力を維持する。凍結保存された細胞は、一度解凍されると、in vitroとin vivoの両方の用途に向けて増殖することができる。
【0065】
免疫細胞:本明細書で使用される用語「免疫細胞」とは、例えば、T細胞、B細胞、NK細胞、マクロファージ、好中球、好酸球、好塩基球、CD4+T細胞、CD8+T細胞、CD4+CD8+T細胞、CD4+CD8dim T細胞、CD4+制御性T細胞、CD56+CD8+及びCD56-CD57+CD8+NKT、CAR-T細胞、ならびにCD16+CD56+NK細胞などの、ヘルパー特性、細胞溶解特性、または調節特性を有するリンパ球を指す。しかしながら、本明細書で使用される用語「免疫細胞」とは、培地中でin vitroで保持され増殖された免疫細胞だけを意味するのではなく、健康な献血者、患者または動物から採取された免疫細胞集団、及びそれぞれ精製された免疫細胞も意味する。いくつかの実施形態では、「免疫細胞」は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現することによって修飾されたT細胞を定義するために使用することができる。いくつかの実施形態では、「免疫細胞」は、CARを発現することによって改変されたNK細胞を定義するために使用され得る。いくつかの実施形態では、「免疫細胞」はHSC細胞である。いくつかの実施形態では、「免疫細胞」はMSC細胞である。いくつかの実施形態では、「免疫細胞」は臍帯血由来の免疫細胞である。いくつかの実施形態では、「免疫細胞」は、iPS細胞由来の免疫細胞である。いくつかの実施形態では、「免疫細胞」は制御性T細胞である。いくつかの実施形態では、「免疫細胞」はγδT細胞である。いくつかの実施形態では、NK細胞は、抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)、IL-15、及びiCaspase9を含む。したがって、いくつかの実施形態では、NK細胞は、自殺遺伝子、抗CD19 CAR遺伝子及びIL-15遺伝子を発現するように改変される(例えば、ウイルス形質導入または非ウイルス法を使用する)。CD19 IL-15及びiCaspase9を含む例示的なCAR-NK細胞は、Leukemia 32(2018)520-531に記載されており、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0066】
特定の実施形態では、例示的なCAR-NK細胞は、配列番号1に記載のアミノ酸配列もしくはそれに対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む軽鎖可変領域、及び/または配列番号2に記載のアミノ酸配列もしくはそれに対して少なくとも95%の同一性を有する配列を含む重鎖可変領域を含む抗CD19結合ドメインを含むCD19-CARを含む。いくつかの実施形態では、遺伝子改変された臍帯血NK細胞は、抗CD19結合ドメインの重鎖可変領域をコードする核酸分子、及び/または抗CD19結合ドメインの軽鎖可変領域をコードする核酸分子を含む。
【0067】
潜熱または融解熱:用語「融解熱」または「潜熱」は、最も広い意味で使用される場合、物質が溶融する過程において、実質的に均一な速度で熱が物質に加えられるとき、物質の分子構造及び内部エネルギーの変容のために熱が吸収されている間に、物質の温度が一時的に上昇しなくなる点に到達する、任意の物質または現象を示す。凍結時には、液体状態から固体状態への相変化を通じた潜熱の放出により、周囲温度が上昇し、ガラス化が停止する。いくつかの実施形態では、融解潜熱は、氷の融解を引き起こし得る。いくつかの実施形態では、氷の融解は、糖、塩、及び凍結保護物質(例えば、DMSOまたはグリセロール)の濃度を上昇させ、結果的に、未凍結画分の浸透圧も急速に上昇させる。いくつかの実施形態では、浸透圧の強度が高まることにより、細胞から水が流出する。いくつかの実施形態では、冷却が続けられるにつれて、これらのプロセスは、未凍結画分の粘度が高くなりすぎて、それ以上結晶化しなくなるまで続く。
【0068】
融解潜熱の影響を最小化する:用語「融解潜熱の効果を最小化する」または「融解潜熱の影響を最小化する」とは、生体試料中の細胞の外側での氷晶形成または氷核生成の誘導を伴うプロセスを指す。いくつかの実施形態では、融解潜熱の影響は、制御冷却による連続的な滑らかな温度低下によって最小化され、細胞内水が浸透によって移動する間に細胞外で徐々に氷形成させることができる。いくつかの実施形態では、氷核形成は、細胞外で氷が徐々に成長することをサポートし、過冷却を制限する。いくつかの実施形態では、細胞外氷の増加は、細胞からの水分の脱水につながる。いくつかの実施形態では、形成される氷晶の量は、溶液の初期組成に依存する。いくつかの実施形態では、凍結保護剤は、凝固点を下げることによって細胞内の凍結を遅らせる。いくつかの実施形態では、細胞内の凍結を遅らせるために、凍結保護剤は細胞に浸透することができる。
【0069】
氷核生成:用語「氷核生成」とは、溶液から氷晶を形成する際に起こるプロセスを指し、熱力学的に溶液中に存在する水からより多くの氷晶が形成されやすくなる。核生成は確率論的なプロセスであり、系内の表面上の特定の部位で生じる。核生成は、温度を下げるか、液体または溶液が結晶よりも熱力学的に有意に不安定になる条件まで水を濃縮することによって誘発され得る。核生成は、好ましい温度で既存の氷晶を導入することによってさらに誘発され得る。いくつかの実施形態では、銅線を使用して容器内に氷晶を導入することによって氷核生成を誘発することができる。いくつかの実施形態では、温度を下げることによって氷核生成を誘発することができる。
【0070】
オービタルシェーカー水浴:本明細書で使用する用語「オービタルシェーカー水浴」とは、臨床アッセイなどでビーカー、フラスコ、試験管などにおいて撹拌される物品を支持するための可動トレイを備え、所定の時間にわたって設定速度で軌道運動または周期運動を確実に生成する水浴装置を指す。
【0071】
哺乳類:本明細書で使用される用語「哺乳類」とは、限定されないが、ヒト、及び非ヒト霊長類、例えば、チンパンジー、ならびに他の類人猿及びサル種、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、及びウマなどの家畜動物、イヌ及びネコなどの飼育哺乳動物、マウス、ラット、及びモルモットなどのげっ歯類を含む実験動物などを含む、哺乳綱の任意のメンバーを指す。この用語は特定の年齢や性別を指すものではない。したがって、オスかメスかを問わず、成人及び新生児の対象、ならびに胎児もこの用語の範囲内に含まれることが意図されている。
【0072】
保管温度:本明細書で使用される場合、用語「保管温度」は、細胞が保管される温度を指す。いくつかの実施形態では、細胞は、液体窒素蒸気相中で保管される。いくつかの実施形態では、細胞は、-60℃を下回る温度で保管される。別の実施形態では、細胞は、-60℃~-140℃の範囲の温度で保管される。別の実施形態では、細胞は、-60℃~-196℃の範囲の温度で保管される。いくつかの実施形態では、細胞は、-140℃以下の温度で保管される。いくつかの実施形態では、細胞は、-196℃を下回る温度で保管される。
【0073】
輸送温度:本明細書で使用される場合、用語「輸送温度」は、例えば、細胞が製造及び/または凍結保存され得る第1の場所から、細胞が解凍され、その後、それを必要とする対象に投与され得る第2の場所へ細胞が輸送または運搬される際の温度を指す。いくつかの実施形態では、細胞は、液体窒素蒸気相中で輸送される。いくつかの実施形態では、細胞は、-140℃または-140℃を下回る温度で輸送される。いくつかの実施形態では、細胞は、-140℃または-140℃を下回る温度で保管及び/または輸送される。
【0074】
ガラス化:ガラス化という用語は、試料、好ましくは生体試料を急速凍結するプロセスとして定義される。いくつかの実施形態では、ガラス化により氷の形成が妨げられる。いくつかの実施形態では、ガラス化プロセスは、凍結保護剤の存在を必要とする。いくつかの実施形態では、ガラス化プロセスは、温度を急速に冷却する手段を必要とする。
【0075】
本明細書における終点による数値範囲の詳説には、その範囲内に包括される全ての数値及び小数部が含まれる(例えば、1~5には、1、1.5、2、2.75、3、3.9、4及び5が含まれる)。全ての数値及びその小数部は、用語「約」によって修飾されると推定されることも理解されたい。
【0076】
本発明の様々な態様を、以下の節で詳細に記載する。節の使用は、本発明を限定することを意図したものではない。各節は、本発明の任意の態様に適用することができる。本出願において、「または」の使用は、別途記載のない限り、「及び/または」を意味する。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈により別途明示されない限り、単数の指示対象と複数の指示対象の両方を含む。
【発明を実施するための形態】
【0077】
凍結保護のプロセスは、細胞の生存にとって致命的となり得る。細胞、例えば免疫細胞を保存するために細胞の周囲の培地を低速で冷却する場合、培地の凝固点で細胞の凍結が起こることはほとんどない。試料は-21℃の温度まで過冷却され得る。過度の過冷却は、氷の形成後に同じ容器内で冷却を継続したまま放置される場合、一部の生体試料の生存に悪影響を及ぼす。
【0078】
理論に束縛されることを望むものではないが、この悪影響(低い生存率)の理由は次のように考えられる。氷の形成時には、融解潜熱により試料温度が媒体の融点近くまで上昇する。同時に、浴槽(または他の環境)の温度は一定の速度で下がり続け、したがって、過冷却の程度が大きいほど、氷形成直後の冷却容器と試料の間に存在する温度差が大きくなる。これにより、周囲との熱平衡が再確立されるまで、試料の冷却速度が試料の生存に最適な通常の速度を超えて増加する(特に免疫細胞の場合)。
【0079】
凍結保存中の細胞に対する課題は、超低温(-120℃未満)での保存に耐えられる細胞の能力ではなく、むしろ、冷却-凍結及び加温-解凍プロセスの致死性である。細胞がおよそ-5℃に冷却されると、細胞と周囲の培地の両方が凍結せず、過冷却された状態になる。-5℃からおよそ-15℃の間で、外部媒体中に氷が形成され(自然発生的に、または人工的に氷晶を導入した結果、すなわち溶液に種晶を加えた結果として)、ただし、おそらくは原形質膜が細胞質への氷晶の成長を遮断しているため、細胞の内容物は凍結せず過冷却されたままである。細胞内の過冷却された水は、定義上、部分的に凍結した細胞外溶液中の水よりも大きな化学ポテンシャルを有しており、したがって、水は浸透圧で細胞から流出し、外部で凍結する。
【0080】
細胞内でのその後の物理的事象は、冷却速度に依存する。細胞が急速に冷却されすぎると、細胞内の水は平衡を維持するのに十分な速さで細胞から細胞外へ移動せず、細胞はますます過冷却され、細胞内氷形成(IIF)が起こり、細胞が死滅する。しかしながら、細胞の冷却が遅すぎると、共晶温度(溶液中のすべての成分が凝固する時点)に達する前に、体積収縮を伴う重度の脱水状態が発生し、高濃度の溶質(主に電解質からなる)に長期間さらされることになる。細胞の収縮と高濃度の電解質への長時間の曝露の両方が、細胞損傷(いわゆる「浸透圧障害」)を引き起こし得る。その結果、細胞は脱水され、細胞内で凍結しない。したがって、細胞損傷の根底にあるメカニズムは異なるものの、冷却速度が高すぎても低すぎても細胞に損傷を与え得る。
【0081】
細胞の重度の脱水状態を防ぐ一方で、過冷却を排除するのに十分なほど細胞内溶質を濃縮するのに十分な速度で細胞が水分を失うことを可能にする最適な速度で冷却を制御する場合にのみ、細胞の機能は維持される。細胞の機能を維持するための最適な冷却速度は、IIFを回避するのに十分なほど遅く、しかし重度の細胞脱水を最小化するのに十分なほど速い必要がある。
【0082】
さらに、細胞が低温までの冷却-凍結に耐えたとしても、致死的な氷の再結晶化(LIR)、すなわち、加温-解凍プロセス中に細胞内の小さな氷晶が有害な大きな氷晶に成長することに起因した、加温-解凍プロセス中の大きな課題に依然として直面している。細胞の低温生存に関するLIRを防ぐには、冷却速度/プログラムと組み合わせた最適な急速加温速度またはプログラムが絶対に必要である。
【0083】
少量の試料(<5mL)に対する冷却速度及び急速加温速度の制御は、研究実験室での達成は容易である。しかしながら、現代の大規模な治療用細胞の工業的製造においては、大きな既存の課題、すなわち、大量の試料(>25mL)を凍結保存するための細胞の最適な冷却速度と急速加温速度をどのように達成して制御するかという問題に直面しており、これは治療用細胞製品の大量生産における凍結保存及び商品化、ならびにその出荷、及び診療における重大な技術的ボトルネックになりつつある。
【0084】
本明細書に開示される本方法は、(1)免疫細胞(例えば、自然免疫細胞及び開発したCAR-T細胞及びCAR-NK細胞)を含む哺乳類細胞の凍結保存のための、最適な冷却(過冷却を防ぐための特定の氷核形成シーディングプログラムを伴う)ならびに急速加温速度条件及びプログラムの組み合わせ、(2)液体窒素制御冷凍庫を使用して、大きなバイアル試料(例えば、10mL以上の容器に入った大量の細胞懸濁液)に対して上記の最適な冷却速度を達成するための方法及びプログラム、(3)バイアル中の充填量が8~45mLで、1mLあたり600万~1億2,000万細胞の細胞濃度の細胞懸濁液について、50℃超の温度にてオービタルシェーカー水浴を使用して、大きなバイアル試料(例えば、50mLのAT密閉バイアル内の大量の細胞懸濁液)に対して上記の最適な急速加温速度を達成するための方法及びプログラムを含む。いくつかの実施形態では、細胞濃度は、1mLあたり約600万~2500万細胞である。
【0085】
凍結保存方法
一般に、液体の水を冷やすと、臨界温度で液体から固体への相転移が生じることが知られている。この相転移は一次転移であり、このことは、水が体積あたりのエネルギー量を吸収するかまたは放出すること(潜熱として知られている)を意味する。相転移の間、水の温度は、熱を加えるかまたは除去しながら一定のままとなり、この間、水は、一部が液体状態であり、一部が固体状態であるという、混合状態にある。相転移が起こる温度は、相転移の臨界温度と呼ばれ得る。水が冷却される場合、水の温度は、臨界温度に達するまで低下する。引き続き冷却されている間、水から潜熱が取り除かれるまでは、水の温度は一定のままであり、その後、固体状態になっている水の温度は、再度低下する。このことは、水から潜熱が取り除かれている間の時間は持続することを意味する。凍結プロセスで潜熱が取り除かれている間の時間は、氷晶が形成され得る時間であり、細胞などの生体物質を含有する試料を凍結保存する際には好ましくないものである。
【0086】
本明細書に記載の凍結保存方法で使用される、本明細書に記載の凍結保存培地は、凍結保存中の潜熱の影響(すなわち、氷形成の影響)を最小限に抑え、それによって、凍結されている細胞試料の生存率が高くなる。
【0087】
本明細書に記載の凍結保存方法は、哺乳類免疫細胞の細胞懸濁液に対して行われる。いくつかの実施形態では、段階的超低温凍結手順は、最大30個以上のバイアルまで拡張可能であり、各バイアルは10~40mL以上の細胞試料容積を有する。いくつかの実施形態では、凍結手順は、30個のバイアル、50個のバイアル、または75個のバイアルまで拡張可能である。いくつかの実施形態では、現行の凍結保存方法を、クライオバイアル、クライオバッグ、AT(登録商標)バイアル、またはNunc(商標)バイアル、またはガラスバイアル中の哺乳類免疫細胞懸濁液に対して実施する。いくつかの実施形態では、現行の凍結保存方法を、クライオバイアル、またはAT(登録商標)バイアル、または任意の他の適切な容器内の哺乳類免疫細胞懸濁液に対して実施する。いくつかの実施形態では、適切な容器は、DMSOと反応しない容器である。いくつかの実施形態では、凍結保存に使用するクライオバイアル、クライオバッグ、AT(登録商標)バイアル、またはNunc(商標)バイアル、ガラスバイアル及び他の容器は、DMSOとの使用に適合する。いくつかの実施形態では、凍結保存に使用するクライオバイアル、クライオバッグ、AT(登録商標)バイアル、またはNunc(商標)バイアル、ガラスバイアル及び他の容器は、両方ともDEHPフリーであり、かつDMSO耐性である。
【0088】
凍結保存方法に使用され得る各種容器としては、例えば、クライオバイアルまたはクライオバッグが挙げられる。例示的なクライオバイアルとしては、例えば、AT(登録商標)バイアルもしくはNunc(商標)バイアルまたはガラスバイアルが挙げられる。いくつかの実施形態では、本凍結保存方法は、クライオバイアルもしくはAT(登録商標)バイアルまたは任意の他の適切な容器内の哺乳類免疫細胞懸濁液に対して実施される。いくつかの実施形態では、好適な容器は、DMSOに対して耐性があるものである。いくつかの実施形態では、クライオバイアル、クライオバッグ、AT(登録商標)バイアルまたはNunc(商標)バイアル、ガラスバイアル、及び凍結保存に使用される他の容器は、DMSOを伴う使用に適合している。いくつかの実施形態では、クライオバイアル、クライオバッグ、AT(登録商標)バイアルまたはNunc(商標)バイアル、ガラスバイアル、及び凍結保存に使用される他の容器は、DMSOと化学的に反応しないものである。いくつかの実施形態では、凍結保存に使用される容器は、DEHPフリーとDMSO耐性の両方である(例えば、AT(登録商標)バイアル)。各種実施形態では、本明細書で使用される容器(例えば、AT(登録商標)バイアル)は、バイアルアダプターを介して細胞を必要とする対象へ、細胞を直接的に無菌で移入することを容易にするものである。
【0089】
本明細書で使用される容器は、本明細書で述べる寸法を含む、様々な寸法を有し得る。いくつかの実施形態では、本明細書で述べるクライオバイアルでの使用に適した寸法は、AT(登録商標)バイアルまたはNunc(商標)バイアル等の他の容器での使用にも適している。
【0090】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の凍結/解凍方法は、例えば容積10mL以上などの大規模な細胞含有試料の一貫した凍結及び解凍を可能にする。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の凍結/解凍方法を、10mL以上の容積を有する試料に対して使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の凍結/解凍方法を、225mm/インチ超の直径を有する試料に対して使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の凍結/解凍方法を、225mm/インチ超の溶液高さを有する試料に対して使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の凍結/解凍方法を、225mm/インチ超の溶液厚さを有する試料に対して使用することができる。
【0091】
いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、約5mmの外径と100mmの高さとの間の寸法を有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、約10mmの外径及び75mmの高さの寸法を有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、10mmの外径及び50mmの高さの寸法を有する。
【0092】
いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、10mmの外径及び48.3mmの高さの寸法を有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、10.5mmの外径及び48.3mmの高さの寸法を有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、11.0mmの外径及び48.3mmの高さの寸法を有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、11.5mmの外径と48.3mmの高さとの間の寸法を有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、12.0mmの外径及び48.3mmの高さの寸法を有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、12.5mmの外径及び48.3mmの高さの寸法を有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、13.0mmの外径及び48.3mmの高さの寸法を有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、13.5mmの外径及び48.3mmの高さの寸法を有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、14.0mmの外径及び48.3mmの高さの寸法を有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、14.5mmの外径及び48.3mmの高さの外面を有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、15.0mmの外径及び48.3mmの高さの寸法を有する。
【0093】
いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、約30mm~約85mmの高さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、約15mm~約40mmの外径を有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、約1mL~55mLの最大容量を有する。多種多様のクライオバイアルが、本明細書に記載の組成物及び方法に適している。クライオバイアルの寸法についての説明を含む例示的なクライオバイアルは、http://www.aseptictech.com/sites/default/files/brochure_vialslines_v3.0.pdf(その内容が全体として参照により本明細書に組み込まれる)で見出すことができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、約45mm~100mmの高さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、45.3mmの高さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、45.6mmの高さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、46mmの高さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、46.3mmの高さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、46.6mmの高さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、47mmの高さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、47.3mmの高さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、47.6mmの高さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、48mmの高さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、48.3mmの高さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、48.6mmの高さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、49mmの高さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、49.3mmの高さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、50mmの高さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、50mmの高さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、50mmの高さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、55mmの高さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、60mmの高さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、55mmの高さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、65mmの高さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、55mmの高さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、70mmの高さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、75mmの高さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、80mmの高さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、85mmの高さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、90mmの高さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、95mmの高さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、100mmの高さを有する。
【0095】
いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、10mmの外径を有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、10.5mmの外径を有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、11mmの外径を有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、11.5mmの外径を有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、12mmの外径を有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、12.5mmの外径を有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、13mmの外径を有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、13.5mmの外径を有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、14mmの外径を有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、14.5mmの外径を有する。いくつかの実施形態では、クライオバイアルは、15mmの外径を有する。
【0096】
いくつかの実施形態では、クライオバッグは、11cmの幅を有する。いくつかの実施形態では、クライオバッグは、11.3cmの幅を有する。いくつかの実施形態では、クライオバッグは、11.5cmの幅を有する。いくつかの実施形態では、クライオバッグは、11.7cmの幅を有する。いくつかの実施形態では、クライオバッグは、11.9cmの幅を有する。いくつかの実施形態では、クライオバッグは、12.1cmの幅を有する。いくつかの実施形態では、クライオバッグは、12.3cmの幅を有する。いくつかの実施形態では、クライオバッグは、12.5cmの幅を有する。いくつかの実施形態では、クライオバッグは、12.7cmの幅を有する。いくつかの実施形態では、クライオバッグは、12.9cmの幅を有する。いくつかの実施形態では、クライオバッグは、13.1cmの幅を有する。いくつかの実施形態では、クライオバッグは、13.3cmの幅を有する。いくつかの実施形態では、クライオバッグは、13.5cmの幅を有する。いくつかの実施形態では、クライオバッグは、13.7cmの幅を有する。
【0097】
いくつかの実施形態では、クライオバッグは、14.1cmの長さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバッグは、14.3cmの長さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバッグは、14.5cmの長さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバッグは、14.7cmの長さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバッグは、14.9cmの長さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバッグは、15.1cmの長さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバッグは、15.3cmの長さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバッグは、15.5cmの長さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバッグは、15.7cmの長さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバッグは、15.9cmの長さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバッグは、16.1cmの長さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバッグは、16.3cmの長さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバッグは、16.5cmの長さを有する。いくつかの実施形態では、クライオバッグは、16.7cmの長さを有する。
【0098】
いくつかの実施形態では、クライオバイアルの容積(すなわち、最大容量)は、2ml~50ml、例えば、2ml、3ml、4ml、5ml、6ml、7ml、8ml、9ml、10ml、11ml、12ml、13ml、14ml、15ml、16ml、17ml、18ml、19ml、20ml、21ml、22ml、23ml、24ml、25ml、26ml、27ml、28ml、29ml、30ml、31ml、32ml、33ml、34ml、35ml、36ml、37ml、38ml、39ml、40ml、41ml、42ml、43ml、44ml、45ml、46ml、47ml、48ml、49ml、50ml、51ml、52ml、53ml、54ml、55ml、56ml、57ml、58ml、59ml、60ml、61ml、62ml、63ml、64ml、65ml、66ml、67ml、68ml、69ml、70ml、71ml、72ml、73ml、74ml、75ml、76ml、77ml、78ml、79ml、80ml、81ml、82ml、83ml、84ml、85ml、86ml、87ml、88ml、89ml、90ml、91ml、92ml、93ml、94ml、95ml、96ml、97ml、98ml、99ml、または100mlであり得る。
【0099】
本明細書で使用される場合、「充填量」は、容器内の細胞を含む試料の容積を指す。いくつかの実施形態では、充填量は、容器の最大容量未満である。いくつかの実施形態では、バイアル内の充填量は、バイアルの最大容量の15%~90%の間であり得る。例えば、バイアル内の充填量は、最大容量の15%、最大容量の20%、最大容量の25%、最大容量の30%、最大容量の35%、最大容量の40%、最大容量の45%、最大容量の50%、最大容量の55%、最大容量の60%、最大容量の65%、最大容量の70%、最大容量の75%、最大容量の80%、最大容量の85%または最大容量の90%であり得る。いくつかの実施形態では、2mlのクライオバイアルは、1mlの充填量を有する。いくつかの実施形態では、50mlのクライオバイアルは、8ml~45mlの充填量を有する。いくつかの実施形態では、50mlのクライオバイアルは、8mlの充填量を有する。いくつかの実施形態では、50mlのクライオバイアルは、10mlの充填量を有する。いくつかの実施形態では、50mlのクライオバイアルは、12mlの充填量を有する。いくつかの実施形態では、50mlのクライオバイアルは、14mlの充填量を有する。いくつかの実施形態では、50mlのクライオバイアルは、16mlの充填量を有する。いくつかの実施形態では、50mlのクライオバイアルは、18mlの充填量を有する。いくつかの実施形態では、50mlのクライオバイアルは、20mlの充填量を有する。いくつかの実施形態では、50mlのクライオバイアルは、22mlの充填量を有する。いくつかの実施形態では、50mlのクライオバイアルは、24mlの充填量を有する。いくつかの実施形態では、50mlのクライオバイアルは、26mlの充填量を有する。いくつかの実施形態では、50mlのクライオバイアルは、28mlの充填量を有する。いくつかの実施形態では、50mlのクライオバイアルは、30mlの充填量を有する。いくつかの実施形態では、50mlのクライオバイアルは、32mlの充填量を有する。いくつかの実施形態では、50mlのクライオバイアルは、34mlの充填量を有する。いくつかの実施形態では、50mlのクライオバイアルは、36mlの充填量を有する。いくつかの実施形態では、50mlのクライオバイアルは、38mlの充填量を有する。いくつかの実施形態では、50mlのATバイアルは、40mlの充填量を有する。いくつかの実施形態では、50mlのクライオバイアルは、42mlの充填量を有する。いくつかの実施形態では、50mlのクライオバイアルは、44mlの充填量を有する。いくつかの実施形態では、50mlのクライオバイアルは、45mlの充填量を有する。いくつかの実施形態では、低温保存用容器は、約50ml、約75ml、約100ml、約250ml、約500ml、約750ml、約1L、または約1L超の容積を有し得る。
【0100】
いくつかの実施形態では、哺乳類免疫細胞は、約6M/ml~約120M/mlの間の濃度で凍結保存され得る。例えば、いくつかの実施形態では、免疫細胞は、6M/mlの濃度で凍結保存され得る。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、10M/mlの濃度で凍結保存され得る。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、15M/mlの濃度で凍結保存され得る。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、20M/mlの濃度で凍結保存され得る。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、25M/mlの濃度で凍結保存され得る。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、30M/mlの濃度で凍結保存され得る。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、35M/mlの濃度で凍結保存され得る。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、40M/mlの濃度で凍結保存され得る。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、45M/mlの濃度で凍結保存され得る。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、50M/mlの濃度で凍結保存され得る。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、55M/mlの濃度で凍結保存され得る。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、60M/mlの濃度で凍結保存され得る。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、65M/mlの濃度で凍結保存され得る。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、70M/mlの濃度で凍結保存され得る。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、75M/mlの濃度で凍結保存され得る。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、80M/mlの濃度で凍結保存され得る。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、85M/mlの濃度で凍結保存され得る。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、90M/mlの濃度で凍結保存され得る。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、100M/mlの濃度で凍結保存され得る。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、105M/mlの濃度で凍結保存され得る。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、110M/mlの濃度で凍結保存され得る。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、115M/mlの濃度で凍結保存され得る。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、120M/mlの濃度で凍結保存され得る。
【0101】
いくつかの実施形態では、CAR NK細胞を、50mLクライオバイアル内の約36mLの容積における、約1×10~1×10細胞の間の用量で提供する。いくつかの実施形態では、CAR NK細胞を、50mLクライオバイアルにおける、約200×10~800×10細胞の間の用量で提供する。いくつかの実施形態では、CAR NK細胞を、本明細書に記載の凍結保存培地に懸濁し、続いて、本明細書に開示されるように凍結保存する。そのような凍結保存されたNK細胞を、次いで、本明細書に記載のように保管することができる。NK凍結保存されたNK細胞を含む試料を、次いで、本明細書に記載のように解凍する。解凍された細胞を、その後、それを必要とする患者に投与する。いくつかの実施形態では、約33mL、34mL、35mL、または36mLの容積の解凍された細胞を、無菌投与用のバイアルアダプターを使用して、それを必要とする患者に投与する。いくつかの実施形態では、約33mLの容積の解凍された細胞を、無菌投与用のバイアルアダプターを使用して、それを必要とする患者に投与する。いくつかの実施形態では、約34mLの容積の解凍された細胞を、無菌投与用のバイアルアダプターを使用して、それを必要とする患者に投与する。いくつかの実施形態では、約35mLの容積の解凍された細胞を、無菌投与用のバイアルアダプターを使用して、それを必要とする患者に投与する。いくつかの実施形態では、約36mLの容積の解凍された細胞を、無菌投与用のバイアルアダプターを使用して、それを必要とする患者に投与する。
【0102】
いくつかの態様では、細胞を凍結保存するのに適した培地(すなわち、凍結保存培地)は、凍結保護物質、アルブミン、二糖類、ならびに非発熱性及び等張性晶質液を含む。様々な実施形態では、記載された培地中で一度凍結保存した細胞を、別の培地または溶液中に細胞を再配合または再懸濁する必要なく、解凍し、その後、患者に投与することができる。
【0103】
いくつかの実施形態では、哺乳類免疫細胞を、1つ以上の凍結保護剤を含有する培地中で凍結保存する。様々な凍結保護剤が当技術分野で公知であり、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、及びプロパンジオールが特に挙げられる。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、凍結保護剤としてDMSOを含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、哺乳類免疫細胞の凍結保存には、最大9段階の超低温凍結手順が含まれる。いくつかの実施形態では、段階的な凍結により、凍結される生体試料の融解潜熱が低減される。いくつかの実施形態では、選択された温度低下率を有する温度降下段階で細胞を冷却する。いくつかの実施形態では、温度降下段階における温度低下の速度は、毎分約10℃である。いくつかの実施形態では、他の変化率、例えば、約1℃/分、約2℃/分、約5℃/分、約7℃/分、約12℃/分、約15℃/分、約17℃/分、約20℃/分、約25℃/分、または上記の値内の変化率を使用する。いくつかの実施形態では、温度降下段階は、急速冷凍(例えば、最大の温度低下)ステップを含み得る。例えば、急速凍結ステップは、温度降下速度を高めた急速な凍結温度変化速度を含んでいてもよく、この速度は、細胞の完全性または細胞生存率を有利に向上させるように選択される。対照的に、いくつかの実施形態では、従来の通念に反して、急速凍結ステップは使用しない。出願人らは、特定の実施形態では、温度低下の最大速度は、特定のより遅い低下速度と同様に有害であり、一方、特定の中間速度は、予想外に凍結保存品質の向上及び/または細胞生存率の向上を提供することを発見した。いくつかの実施形態では、温度降下段階は、およそ10秒あたり約10℃、20秒あたり10℃、30秒あたり10℃、40秒あたり10℃、50秒あたり10℃、60秒あたり10℃、70秒あたり10℃、80秒あたり10℃、90秒あたり10℃、100秒あたり10℃、110秒あたり10℃、120秒あたり10℃、130秒あたり10℃、140秒あたり10℃、150秒あたり10℃、160秒あたり10℃、170秒あたり10℃、180秒あたり10℃、190秒あたり10℃、または200秒あたり10℃の速度で基板に接着した細胞を冷却することを含み得る。いくつかの実施形態では、温度を、所定の時間、所定の温度に維持する。温度降下段階での冷却速度は、細胞の生存率を向上させるように設定する。例えば、温度降下段階での特定の冷却速度は、凍結保存後の細胞の機能を向上させる。いくつかの実施形態では、温度降下段階における冷却速度は、細胞の完全性または安定性を向上させるように構成される。いくつかの実施形態では、凍結保存された細胞は、凍結保存後に、治療効果を実質的に維持する。例えば、細胞は、凍結保存された細胞の解凍後に患者の標的部位に直接移植するのに適しており、凍結保存されていない細胞とほぼ同等(またはそれ以上)の治療効果が得られる。
【0105】
いくつかの実施形態では、凍結保存方法は、約1分~約10分間持続する1つ以上の保持ステップを含む。いくつかの実施形態では、保持ステップは約1分間である。いくつかの実施形態では、保持ステップは約3分間である。いくつかの実施形態では、保持ステップは約5分間である。いくつかの実施形態では、保持ステップは約10分間である。保持ステップは、様々な温度で実行することができる。例えば、いくつかの実施形態では、保持ステップを約-2.0℃の温度で行う。いくつかの実施形態では、保持ステップを約-25℃の温度で行う。いくつかの実施形態では、保持ステップを約-40℃の温度で行う。いくつかの実施形態では、保持ステップを約-60℃の温度で行う。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される凍結保存方法は、1、2、3、4、5またはそれ以上の保持ステップを含む。いくつかの実施形態では、この方法は1つの保持ステップを含む。いくつかの実施形態では、この方法は2つの保持ステップを含む。いくつかの実施形態では、この方法は3つの保持ステップを含む。いくつかの実施形態では、この方法は4つの保持ステップを含む。いくつかの実施形態では、この方法は5つの保持ステップを含む。いくつかの実施形態では、この方法は5つを上回る保持ステップを含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、凍結保護プロセスの合計時間は120分未満である。いくつかの実施形態では、凍結保護プロセスの合計時間は100分未満である。いくつかの実施形態では、凍結保護プロセスの合計時間は90分未満である。いくつかの実施形態では、凍結保護プロセスの合計時間は約60分である。
【0107】
いくつかの実施形態では、最終温度は約-80℃である。いくつかの実施形態では、最終温度は-80℃未満である。いくつかの実施形態では、最終温度は-90℃である。いくつかの実施形態では、最終温度は-96℃である。いくつかの実施形態では、最終温度は-120℃である。いくつかの実施形態では、最終温度は-196℃である。
【0108】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される凍結方法は、制御された温度変化をもたらす一連のステップを包含する。いくつかの実施形態では、この方法は、温度を低下させることを含む一連のステップを含み得る。いくつかの実施形態では、この方法は、温度を上昇させることを含む一連のステップを含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、細胞を含有する試料の温度を、第1の温度から-80℃以下の最終温度まで変化させ、それにより試料を最終温度で凍結保存する方法であり、この方法は、(a)試料を、試料の凍結温度を上回る第1の温度に置き、(b)第1の温度を、第1の制御速度で第2の温度まで低下させ(第2の温度は、第1の温度より少なくとも2℃低い)、(c)第2の温度を、第2の制御速度で第3の温度まで低下させ(第3の温度は、第2の温度より少なくとも40℃低い)、(d)第3の温度を、第3の制御速度で第4の温度まで上昇させ(第4の温度は、第3の温度より少なくとも20℃高い)、(e)第4の温度を、第4の制御速度で第5の温度まで低下させ(第5の温度は、第4の温度より少なくとも10℃低い)、(f)第5の温度を、第5の制御速度で最終温度まで低下させるステップを含み、最終温度は-80℃以下である。
【0110】
いくつかの実施形態では、第1の温度は、約4℃~0℃である。
【0111】
いくつかの実施形態では、第1の制御速度は、毎分約0.75℃~1.25℃の間である。
【0112】
いくつかの実施形態では、第2の温度は、約-2℃である。
【0113】
いくつかの実施形態では、第2の制御速度は、毎分約20℃~30℃の間である。
【0114】
いくつかの実施形態では、第3の温度は、約-60℃である。
【0115】
いくつかの実施形態では、第3の制御速度は、毎分約5℃~15℃の間である。
【0116】
いくつかの実施形態では、第4の温度は、約-25℃である。
【0117】
いくつかの実施形態では、第4の制御速度は、毎分0.5℃~1.25℃の間である。
【0118】
いくつかの実施形態では、第5の温度は、約-40℃である。
【0119】
いくつかの実施形態では、第5の制御速度は、毎分7℃~15℃の間である。
【0120】
いくつかの実施形態では、最終温度は、-80℃以下である。
【0121】
いくつかの態様では、細胞治療に適した改変された免疫細胞を凍結保存することを含む方法を提供し、この方法は、融解潜熱を最小化するために、改変された免疫細胞の集団を制御速度で段階的に凍結することを含み、段階的凍結は、毎分0.5℃~毎分30℃の速度で細胞を最終温度-80℃以下まで冷却し、それによって細胞を凍結保存することを含む。
【0122】
いくつかの態様では、凍結保存された、改変された免疫細胞の解凍方法を提供し、この方法は、凍結保存された、改変された免疫細胞を含む容器を、37℃~70℃の温度まで加熱し、細胞が解凍されるまで、約100~約250RPMの速度で、好適な時間、細胞を撹拌することを含む。
【0123】
いくつかの態様では、本明細書に記載の凍結保存培地を使用して細胞治療に適した改変された免疫細胞を凍結保存することを含む方法を提供し、この方法は、融解潜熱を最小化するために改変された免疫細胞の集団を制御速度で段階的に凍結することを含み、段階的凍結は、毎分0.5℃~毎分30℃の速度で細胞を最終温度-80℃以下まで冷却し、それによって細胞を凍結保存することを含む。
【0124】
いくつかの態様では、凍結保存された、改変された免疫細胞の解凍方法を提供し、この方法は、凍結保存された、改変された免疫細胞を含む容器を37℃~70℃の温度に加熱し、細胞が解凍されるまで、適切な時間、約100~約250RPMの速度で細胞を撹拌することを含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、細胞を、約100RPM~約250RPMの速度で撹拌する。いくつかの実施形態では、細胞を、約100RPM~約150RPMの速度で撹拌する。いくつかの実施形態では、細胞を、約100RPM~約125RPMの速度で撹拌する。いくつかの実施形態では、細胞を、約100RPMの速度で撹拌する。いくつかの実施形態では、細胞を、約125RPMの速度で撹拌する。いくつかの実施形態では、細胞を、約150RPMの速度で撹拌する。いくつかの実施形態では、細胞を、約200RPMの速度で撹拌する。いくつかの実施形態では、細胞を、約250RPMの速度で撹拌する。
【0126】
いくつかの実施形態では、総解凍時間は、約5分~20分の間である。したがって、いくつかの実施形態では、総解凍時間は、約5分である。いくつかの実施形態では、総解凍時間は、約10分である。いくつかの実施形態では、総解凍時間は、約15分である。いくつかの実施形態では、総解凍時間は、約20分である。
【0127】
特定の実施形態では、凍結保存細胞は、CD-19 CAR、IL-15、及びiCaspase9を発現するように改変された臍帯血由来NK細胞などのCAR-NK細胞であり、これらを本明細書に記載の方法を使用して凍結保存し、その後、オービタルシェーカー水浴中で60℃及び約125rpmにて約10分間解凍する。解凍した後、細胞を、必要とする対象に投与してもよい。
【0128】
いくつかの実施形態では、解凍された細胞は、約1~6時間の間、安定である。したがって、いくつかの実施形態では、解凍された細胞は、約2~4時間の間、安定である。いくつかの実施形態では、解凍された細胞は、約1~2時間の間、安定である。いくつかの実施形態では、解凍された細胞は、約1時間、安定である。いくつかの実施形態では、解凍された細胞は、約2時間、安定である。いくつかの実施形態では、解凍された細胞は、約3時間、安定である。いくつかの実施形態では、解凍された細胞は、約4時間、安定である。いくつかの実施形態では、解凍された細胞は、約5時間、安定である。いくつかの実施形態では、解凍された細胞は、5時間超、安定である。
【0129】
いくつかの実施形態では、解凍された細胞は、解凍された細胞が安定している期間中、それを必要とする対象に投与することができる。例えば、いくつかの実施形態では、解凍された細胞を、解凍後約30分~5時間以内に、それを必要とする患者に投与する。いくつかの実施形態では、解凍された細胞を、解凍後約30分~2時間以内に、それを必要とする患者に投与する。いくつかの実施形態では、解凍された細胞を、解凍直後に、それを必要とする患者に投与する。
【0130】
いくつかの実施形態では、哺乳類免疫細胞を、およそ1~5時間、5~12時間、12~24時間、24~48時間、48時間~1週間、1週間~2週間、2~3週間、3~4週間またはそれ以上、及びそれらの重複する範囲の間凍結させることができる。いくつかの実施形態では、細胞を、1か月超、1年超、5年超、10年超、またはそれ以上凍結保存する。
【0131】
いくつかの実施形態では、免疫細胞を新たに単離することができる。いくつかの実施形態では、免疫細胞を、少なくとも一度、凍結及び解凍する。
【0132】
いくつかの実施形態では、凍結保存細胞を含むクライオバイアルを体温付近の温度、例えば約37℃の温度、または任意の他の適切な温度を有する水浴に移すことによって、凍結保存細胞を使用(例えば、移植)のために解凍する。他の実施形態では、ステップアップ加熱速度を有する「ステップアップ」解凍プロセスを使用する。例えば、いくつかの実施形態では、クライオバイアルを、体温付近の温度に移す前に、温度上昇を伴う連続的保管環境、例えば50℃もしくはそれ以上の温度、または本明細書に記載の他の任意の適切な温度を有する水浴に配置してもよい。
【0133】
いくつかの実施形態では、細胞を患者のベッドサイドで解凍し、解凍したばかりの細胞を直ちに使用できるようにする。いくつかの実施形態では、解凍後、免疫細胞を培養皿に移し、所望の場所(例えば、患者に送達するための手術室)に輸送する前に、約30分、1時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、86時間、110時間、1週間、2週間、または3週間以上の期間、適切な条件下で培養してもよい。あるいは、いくつかの実施形態では、解凍した細胞を播種した基材を患者に直接注射する。
【0134】
解凍方法
凍結保存された細胞を解凍する現行の方法を、哺乳類の免疫細胞の細胞懸濁液に対して実施する。いくつかの実施形態では、解凍プロセスは迅速なものであり、最大5バイアルまで拡張可能である。いくつかの実施形態では、解凍プロセスは迅速なものであり、最大10バイアル、15バイアル、20バイアル、25バイアル、30バイアルまたはそれ以上まで拡張可能である。前述のように、解凍が遅いと氷晶が形成されるため、細胞に物理的損傷を与える傾向がある。現行の解凍方法には、オービタルシェーカー水浴などにおいて免疫細胞を解凍することが包含される。いくつかの実施形態では、解凍は、凍結保存された試料全体にわたって均一に熱を分配して試料を解凍することが可能な乾式解凍装置によって達成され得る。いくつかの実施形態では、解凍は、水浴の温度を40℃に調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、水浴の温度を45℃に調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、水浴の温度を50℃に調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、水浴の温度を55℃に調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、水浴の温度を60℃に調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、水浴の温度を65℃に調整することによって達成される。
【0135】
いくつかの実施形態では、解凍は、オービタルシェーカー水浴の回転速度を、100rpm~250rpmの間に調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、オービタルシェーカー水浴の回転速度を、120rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、オービタルシェーカー水浴の回転速度を、125rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、オービタルシェーカー水浴の回転速度を、130rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、オービタルシェーカー水浴の回転速度を、135rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、オービタルシェーカー水浴の回転速度を、140rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、オービタルシェーカー水浴の回転速度を、145rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、オービタルシェーカー水浴の回転速度を、150rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、オービタルシェーカー水浴の回転速度を、150rpm超に調整することによって達成される。
【0136】
いくつかの実施形態では、撹拌速度により、解凍される細胞は剪断されない。
【0137】
いくつかの実施形態では、解凍は、オービタルシェーカー水浴の温度を37℃に、回転速度を100rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、オービタルシェーカー水浴の温度を37℃に、回転速度を125rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、オービタルシェーカー水浴の温度を37℃に、回転速度を150rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、オービタルシェーカー水浴の温度を37℃に、回転速度を175rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、オービタルシェーカー水浴の温度を37℃に、回転速度を200rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、オービタルシェーカー水浴の温度を45℃に、回転速度を100rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、オービタルシェーカー水浴の温度を45℃に、回転速度を125rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、オービタルシェーカー水浴の温度を45℃に、回転速度を150rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、オービタルシェーカー水浴の温度を45℃に、回転速度を175rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、オービタルシェーカー水浴の温度を45℃に、回転速度を200rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、オービタルシェーカー水浴の温度を50℃に、回転速度を100rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、オービタルシェーカー水浴の温度を50℃に、回転速度を125rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、オービタルシェーカー水浴の温度を50℃に、回転速度を150rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、オービタルシェーカー水浴の温度を50℃に、回転速度を175rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、オービタルシェーカー水浴の温度を50℃に、回転速度を200rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、オービタルシェーカー水浴の温度を60℃に、回転速度を100rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、オービタルシェーカー水浴の温度を60℃に、回転速度を125rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、オービタルシェーカー水浴の温度を60℃に、回転速度を150rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、オービタルシェーカー水浴の温度を60℃に、回転速度を175rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、オービタルシェーカー水浴の温度を60℃に、回転速度を200rpmに調整することによって達成される。例示的なオービタルシェーカーを図1A~1Bに示す。
【0138】
いくつかの実施形態では、解凍は、乾式加熱装置の温度を37℃に、回転速度を100rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、乾式加熱装置の温度を37℃に、回転速度を125rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、乾式加熱装置の温度を37℃に、回転速度を150rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、乾式加熱装置の温度を37℃に、回転速度を175rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、乾式加熱装置の温度を37℃に、回転速度を200rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、乾式加熱装置の温度を45℃に、回転速度を100rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、乾式加熱装置の温度を45℃に、回転速度を125rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、乾式加熱装置の温度を45℃に、回転速度を150rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、乾式加熱装置の温度を45℃に、回転速度を175rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、乾式加熱装置の温度を45℃に、回転速度を200rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、乾式加熱装置の温度を50℃に、回転速度を100rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、乾式加熱装置の温度を50℃に、回転速度を125rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、乾式加熱装置の温度を50℃に、回転速度を150rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、乾式加熱装置の温度を50℃に、回転速度を175rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、乾式加熱装置の温度を50℃に、回転速度を200rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、乾式加熱装置の温度を60℃に、回転速度を100rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、乾式加熱装置の温度を60℃に、回転速度を125rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、乾式加熱装置の温度を60℃に、回転速度を150rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、乾式加熱装置の温度を60℃に、回転速度を175rpmに調整することによって達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、乾式加熱装置の温度を60℃に、回転速度を200rpmに調整することによって達成される。
【0139】
いくつかの実施形態では、解凍は、凍結保存された細胞懸濁液を、オービタルシェーカー水浴中で、約5分間インキュベートすることにより達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、凍結保存された細胞懸濁液を、オービタルシェーカー水浴中で、約6分間インキュベートすることにより達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、凍結保存された細胞懸濁液を、オービタルシェーカー水浴中で、約7分間インキュベートすることにより達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、凍結保存された細胞懸濁液を、オービタルシェーカー水浴中で、約8分間インキュベートすることにより達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、凍結保存された細胞懸濁液を、オービタルシェーカー水浴中で、約9分間インキュベートすることにより達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、凍結保存された細胞懸濁液を、オービタルシェーカー水浴中で、約10分間インキュベートすることにより達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、凍結保存された細胞懸濁液を、オービタルシェーカー水浴中で、約11分間インキュベートすることにより達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、凍結保存された細胞懸濁液を、オービタルシェーカー水浴中で、約12分間インキュベートすることにより達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、凍結保存された細胞懸濁液を、オービタルシェーカー水浴中で、約13分間インキュベートすることにより達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、凍結保存された細胞懸濁液を、オービタルシェーカー水浴中で、約14分間インキュベートすることにより達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、凍結保存された細胞懸濁液を、オービタルシェーカー水浴中で、約15分間インキュベートすることにより達成される。
【0140】
いくつかの実施形態では、解凍は、凍結保存された細胞懸濁液を、乾式加熱装置中で、約5分間インキュベートすることにより達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、凍結保存された細胞懸濁液を、乾式加熱装置中で、約6分間インキュベートすることにより達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、凍結保存された細胞懸濁液を、乾式加熱装置中で、約7分間インキュベートすることにより達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、凍結保存された細胞懸濁液を、乾式加熱装置中で、約8分間インキュベートすることにより達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、凍結保存された細胞懸濁液を、乾式加熱装置中で、約9分間インキュベートすることにより達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、凍結保存された細胞懸濁液を、乾式加熱装置中で、約10分間インキュベートすることにより達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、凍結保存された細胞懸濁液を、乾式加熱装置中で、約11分間インキュベートすることにより達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、凍結保存された細胞懸濁液を、乾式加熱装置中で、約12分間インキュベートすることにより達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、凍結保存された細胞懸濁液を、乾式加熱装置中で、約13分間インキュベートすることにより達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、凍結保存された細胞懸濁液を、乾式加熱装置中で、約14分間インキュベートすることにより達成される。いくつかの実施形態では、解凍は、凍結保存された細胞懸濁液を、乾式加熱装置中で、約15分間インキュベートすることにより達成される。
【0141】
例えば、CAR-NK細胞等の細胞をこのようにして解凍することにより、解凍された細胞は、CAR形質導入の後に続いて凍結保存されていない細胞と同様の高い生存率(例えば、70%超、75%、80%、85%、90%、95%、または95%超)及び機能性を保持することが可能になる。
【0142】
細胞の凍結融解の有効性の測定
いくつかの実施形態では、凍結融解の有効性は、例えば死細胞を染色して生細胞と区別することにより、細胞生存率を測定することによって測定される。いくつかの実施形態では、凍結融解の有効性は、代謝活性、ATP含有量、または細胞増殖を測定することによって測定される。細胞生存率を測定するための任意の適切なアッセイを使用して、細胞生存率を評価することができる。いくつかの実施形態では、細胞生存率が50%を超える場合、凍結融解は有効である。いくつかの実施形態では、細胞生存率が60%を超える場合、凍結融解は有効である。いくつかの実施形態では、細胞生存率が70%を超える場合、凍結融解が有効である。いくつかの実施形態では、細胞生存率が80%を超える場合、凍結融解は有効である。いくつかの実施形態では、細胞生存率が90%を超える場合、凍結融解は有効である。
【0143】
いくつかの実施形態では、凍結融解の有効性は、所与のエフェクター対標的(E:T)比での標的の死滅率を測定することによって測定される。E:T比は、標的細胞の量に対して用いられるT細胞(エフェクター細胞)の所与の量である。いくつかの実施形態では、標的の死滅率が、新たに単離された細胞試料のE:T比と比較して特定のE:T比にある場合、凍結融解は有効である。
【0144】
凍結保存の使用方法
いくつかの実施形態では、治療用細胞を使用目的地に輸送することに関連して、凍結保存手順を使用する。いくつかの実施形態では、失透を避けるために、凍結保存された細胞を、例えば-140℃~-196℃の範囲の温度で液体窒素乾燥輸送機に入れて輸送する。したがって、いくつかの実施形態では、凍結保存された細胞を、冷凍輸送コンテナに入れて輸送する。いくつかの実施形態では、ガラス化細胞を、無菌容器及び/または無菌環境で輸送する。いくつかの実施形態では、ガラス化細胞を、例えば病院または細胞バンクなどの場所に大規模に輸送する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の凍結保存技術は、「輸送条件」下での96時間の気相保存に適合し、加温後の生存率に悪影響を及ぼさない。いくつかの実施形態では、凍結保存された細胞を、患者のベッドサイドで解凍する。
【0145】
凍結保存培地
本明細書において、細胞を凍結保存するのに適した様々な凍結保存培地を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供する凍結保存培地は、免疫細胞の凍結保存に適している。様々な免疫細胞が知られており、例えば、NK細胞、αβT細胞、γδT細胞、及び制御性T細胞を含むT細胞、B細胞、HSC、ならびにMSCが挙げられる。一実施形態では、免疫細胞は、臍帯血由来のNK細胞、iPS細胞由来のNK細胞、及びiPS細胞由来のT細胞である。一実施形態では、細胞は、NK細胞、特にCARを発現する同種異系NK細胞(すなわち、CAR-NK細胞)である。
【0146】
いくつかの態様では、生存細胞の凍結保存及びその後の解凍に適した凍結保存培地は、凍結保護剤、アルブミン、及び非発熱性かつ等張性晶質溶液を含む。いくつかの態様では、生存細胞の凍結保存及びその後の解凍に適した凍結保存培地は、凍結保護剤、二糖類、アルブミン、及び非発熱性かつ等張性晶質溶液を含む。
【0147】
様々な凍結保護物質が当技術分野で公知であり、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、及びプロパンジオールが特に挙げられる。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、凍結保護物質としてDMSOを含む。いくつかの実施形態では、ヒト血清アルブミン(HSA)は、凍結保存培地中のアルブミンである。
【0148】
いくつかの実施形態では、好適な凍結保存培地は、糖類または糖も含む。別の態様では、本明細書に記載の好適な凍結保存培地は、HSA、ナトリウム、塩化ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム三水和物、塩化カリウム、塩化マグネシウム、ジメチルスルホキシド(DMSO)、及び二糖類を含む。
【0149】
いくつかの実施形態では、糖類には、単糖類、二糖類、三糖類、または多糖類が含まれる。いくつかの実施形態では、糖類は二糖類である。いくつかの実施形態では、二糖類は、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース、またはキトビオースである。いくつかの実施形態では、二糖類はトレハロースである。
【0150】
いくつかの実施形態では、好適な凍結保存培地は、グルコース、キシロース、アラビノース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、ミオイノシトール、トレハロース、スクロース、ラクトース、マルトース、セロビオース、ラクチトール、マルチトール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、グリコーゲン、アミロース、アミロペクチン、イヌリン、アルギン酸ナトリウム、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ラフィノース、スタキオース、キサンタンガム、グルコサミン、及びガラクトサミンのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、好適な凍結保存培地は、トレハロース、スクロース、マンニトール、及び/またはデキストランを含む。いくつかの実施形態では、好適な凍結保存培地は、トレハロース、スクロース及び/またはマンニトールから選択される1つ以上の糖を含む。
【0151】
様々な濃度の糖類または糖が、凍結保存培地に使用され得る。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、約0mM~500mMの間のトレハロース、スクロース、またはマンニトールを含む。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、約0mM~200mMの間のトレハロース、スクロース、またはマンニトールを含む。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、約0mM~100mMの間のトレハロース、スクロース、またはマンニトールを含む。
【0152】
いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、トレハロース、スクロース及び/またはマンニトールから選択される1つ以上の糖を、約0~100mMの間の濃度で含む。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、約0~100mMの間のマンニトールを含む。
【0153】
いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、約10mM~100mMの間のトレハロースを含む。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、30mMのトレハロースを含む。
【0154】
したがって、いくつかの実施形態では、トレハロース、スクロース、またはマンニトールは、約1mM、5mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、50mM、55mM、60mM、65mM、70mM、75mM、80mM、85mM、90mM、95mM、100mM、105mM、110mM、115mM、120mM、125mM、130mM、135mM、140mM、145mM、150mM、155mM、160mM、165mM、170mM、175mM、180mM、185mM、190mM、195mM、または200mMの最終濃度で凍結保存培地中に存在する。
【0155】
したがって、いくつかの実施形態では、トレハロース、スクロース、またはマンニトールは、1mM未満、10mM未満、20mM未満、30mM未満、40mM未満、50mM未満、60mM未満、70mM未満、80mM未満、90mM未満、100mM未満、110mM未満、120mM未満、130mM未満、140mM未満、150mM未満、160mM未満、170mM未満、180mM未満、190mM未満、または200mM未満の最終濃度で凍結保存培地中に存在する。
【0156】
いくつかの実施形態では、凍結保存培地はデキストランを含む。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、約0~20w/v%の間のデキストランを含む。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、約0~6w/v%の間のデキストランを含む。したがって、いくつかの実施形態では、デキストランは、約0.2w/v%、0.4w/v%、0.6w/v%、0.8w/v%、1.0w/v%、1.5w/v%、2.0w/v%、2.5w/v%、3.0w/v%、3.5w/v%、4.0w/v%、4.5w/v%、5.0w/v%、5.5w/v%、6.0w/v%、6.5w/v%、7.0w/v%、7.5w/v%、8.0w/v%、8.5w/v%、9.0w/v%、9.5w/v%、10.0w/v%、10.5w/v%、11.0w/v%、11.5w/v%、12.0w/v%、12.5w/v%、13.0w/v%、13.5w/v%、14.0w/v%、14.5w/v%、15.0w/v%、15.5w/v%、16.0w/v%、16.5w/v%、17.0w/v%、17.5w/v%、18.0w/v%、18.5w/v%、19.0w/v%、19.5w/v%、または20.0w/v%の最終濃度で凍結保存培地中に存在する。
【0157】
いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、非発熱性及び等張性晶質液を含む。様々な非発熱性及び等張性晶質液が、本明細書に記載の凍結保存培地において使用され得る。例えば、例示的な等張性晶質液を、本明細書に記載の凍結保存培地において使用することができ、これには、PLASMA-LYTE A、規定生理食塩水、乳酸緩衝液、酢酸緩衝液、酢酸及び乳酸緩衝液、ならびに水中デキストロース溶液が含まれる。一般に、非発熱性及び等張性晶質液は、以下、塩化ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム三水和物、塩化カリウム、及び塩化マグネシウムのうちの1つ以上を含む。したがって、いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、以下、塩化ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム三水和物、塩化カリウム、及び塩化マグネシウムのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、以下、塩化ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム三水和物、塩化カリウム、及び塩化マグネシウムである。市販の非発熱性及び等張性晶質液の例は、PLASMA-LYTE Aである。いくつかの実施形態では、非発熱性及び等張性晶質液は、PLASMA-LYTE Aである。いくつかの実施形態では、非発熱性及び等張性晶質液は、0.9%規定生理食塩水である。いくつかの実施形態では、非発熱性及び等張性晶質液は、乳酸緩衝液である。いくつかの実施形態では、非発熱性及び等張性晶質液は、水中デキストロース溶液である。
【0158】
PLASMA-LYTE Aは、塩化ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム三水和物、塩化カリウム、及び塩化マグネシウムを含む。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、約10%v/v~75%v/vのPlasma-LYTE Aを含む。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、約25%v/v~50%v/vのPLASMA-LYTE Aを含む。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、約40%v/vのPLASMA-LYTE Aを含む。したがって、いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、約10%v/v、15%v/v、20%v/v、25%v/v、30%v/v、35%v/v、40%v/v、45%v/v、50%v/v、55%v/v、60%v/v、65%v/v、70%v/v、または75%v/vのPLASMA-LYTE Aを含む。
【0159】
いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、約0.1mg/mL~約1mg/mLの塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、約0.4mg/mL~約0.6mg/mLの塩化ナトリウムを含む。したがって、いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、約0.1mg/mL、0.15mg/mL、0.2mg/mL、0.25mg/mL、0.3mg/mL、0.35mg/mL、0.4mg/mL、0.45mg/mL、0.5mg/mL、0.55mg/mL、0.6mg/mL、0.65mg/mL、0.7mg/mL、0.75mg/mL、0.8mg/mL、0.85mg/mL、0.9mg/mL、0.95mg/mL、1mg/mLの塩化ナトリウムを含む。
【0160】
いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、約0.1mg/mL~約1mg/mLのグルコン酸ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、約0.3mg/mL~約0.6mg/mLのグルコン酸ナトリウムを含む。したがって、いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、約0.1mg/mL、0.15mg/mL、0.2mg/mL、0.25mg/mL、0.3mg/mL、0.35mg/mL、0.4mg/mL、0.45mg/mL、0.5mg/mL、0.55mg/mL、0.6mg/mL、0.65mg/mL、0.7mg/mL、0.75mg/mL、0.8mg/mL、0.85mg/mL、0.9mg/mL、0.95mg/mL、1mg/mLのグルコン酸ナトリウムを含む。
【0161】
いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、約25%v/v~75%v/vのCS10を含む。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、約40%v/v~60%v/vのCS10を含む。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、約50%v/vのCS10を含む。したがって、いくつかの実施形態では、CS10は、約25%v/v、30%v/v、35%v/v、40%v/v、45%v/v、50%v/v、55%v/v、60%v/v、65%v/v、70%v/v、または75%v/vで凍結保存培地中に存在する。いくつかの実施形態では、CS10は、ジメチルスルホキシド(DMSO)を含む。
【0162】
いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、ヒト血清アルブミン(HSA)を含む。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、約0.5v/v%~25v/v%のHSAを含む。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、約5v/v%~20v/v%のHSAを含む。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、約10v/v%のHSAを含む。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、約1.25%v/v~5%v/vのHSAを含む。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、約2.5%v/vのHSAを含む。
【0163】
したがって、いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、約0.5v/v%、1.0v/v%、1.5v/v%、2.0v/v%、2.5v/v%、3.0v/v%、3.5v/v%、4.0v/v%、4.5v/v%、5.0v/v%、6.0v/v%、6.5v/v%、7.0v/v%、7.5v/v%、8.0v/v%、8.5v/v%、9.0v/v%、10.0v/v%、10.5v/v%、11.0v/v%、11.5v/v%、12.0v/v%、12.5v/v%、13.0v/v%、13.5v/v%、14.0v/v%、14.5v/v%、15.0v/v%、15.5v/v%、16.0v/v%、16.5v/v%、17.0v/v%、17.5v/v%、18.0v/v%、18.5v/v%、19.0v/v%、19.5v/v%、20.0v/v%、20.5v/v%、21.0v/v%、21.5v/v%、22.0v/v%、22.5v/v%、23.0v/v%、23.5v/v%、24.0v/v%、24.5v/v%、または25.0v/v%のHSAを含む。
【0164】
いくつかの態様において、凍結保存培地は、HSA、Ca2+、Na、K、Mg2+、HEPES、1つ以上の二糖類、糖アルコール、デキストラン、代謝産物、及び抗酸化剤のうちの1つ以上を含む。別の態様において、凍結保存培地は、HSA、Na、K、Mg2+、約0~55mMの濃度のHEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)、約0~100mMの濃度のトレハロース、スクロース及び/またはマンニトールから選択される1つ以上の糖、約0~6%のデキストラン、アデノシン、及びグルタチオンを含む。いくつかの実施形態では、代謝産物はアデノシンである。いくつかの実施形態では、抗酸化剤はグルタチオンである。
【0165】
したがって、いくつかの実施形態では、HEPESは、約0mM、0.5mM、1mM、5mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、50mM、または55mMで凍結保存培地中に存在する。
【0166】
いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、ヒト血清アルブミン(HSA)、PLASMA-LYTE A、及びCS10を含む。
【0167】
いくつかの態様において、凍結保存培地は、ナチュラルキラー(NK)細胞を凍結保存するのに適している。いくつかの実施形態では、NK細胞は、初代細胞分離株に由来する。いくつかの実施形態では、NK細胞は、臍帯血由来のNK細胞である。いくつかの実施形態では、NK細胞は、細胞株に由来する。いくつかの実施形態では、NK細胞は新鮮な細胞である。いくつかの実施形態では、NK細胞は、予め凍結及び解凍されており、例えば、NK細胞は予め凍結及び解凍された臍帯血由来のNK細胞である。いくつかの実施形態では、NK細胞は、例えばCD19 CARなどのキメラ抗原受容体(CAR)を含む。いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、6M/mL~120M/mLの濃度でNK細胞を含む。
【0168】
いくつかの実施形態では、CAR-NK細胞療法製品を、本明細書に記載の製剤を使用して凍結保存する。いくつかの実施形態では、CAR-NK細胞療法製品は、iCaspase9、CD-19 CAR、及びIL-15を発現するレトロウイルスベクターで形質導入されたヒト臍帯血由来のNK細胞で構成される同種異系細胞療法製品である。
【0169】
いくつかの実施形態では、CAR-NK細胞療法製品は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域及び/または配列番号2に記載の重鎖可変領域を含む抗CD19結合ドメインを含む。別の実施形態では、CD19 CARは、抗CD19結合ドメイン、CD28膜貫通ドメイン(例示的なCD28膜貫通配列は配列番号3に示されている)、CD3zシグナル伝達ドメイン(例示的なCD3z配列は配列番号4に示されている)を含み得、iCaspase9及び/またはIL-15などの自殺スイッチをさらに含み得る。
【0170】
一実施形態では、CAR-NK細胞療法製品には、抗CD19結合ドメインの重鎖可変領域をコードする核酸分子、及び/または抗CD19結合ドメインの軽鎖可変領域をコードする核酸分子が含まれる。
【0171】
したがって、いくつかの実施形態では、凍結保存培地は、約1M/mL、5M/mL、10M/mL、15M/mL、20M/mL、25M/mL、30M/mL、35M/mL、40M/mL、45M/mL、50M/mL、55M/mL、60M/mL、65M/mL、70M/mL、75M/mL、80M/mL、85M/mL、90M/mL、95M/mL、100M/mL、105M/mL、110M/mL、115M/mL、120M/mL、130M/mL、140M/mL、150M/mL、160M/mL、170M/mL、180M/mL、190M/mL、200M/mLの濃度でNK細胞を含む。
【0172】
いくつかの実施形態では、遺伝子改変された臍帯血NK細胞を、6M/mL~120M/mLの濃度で存在させる。いくつかの実施形態では、遺伝子改変された臍帯血NK細胞を、6M/mL~200M/mLの濃度で存在させる。いくつかの実施形態では、遺伝子改変された臍帯血NK細胞を、6M/mL~25M/mLの濃度で存在させる。いくつかの実施形態では、遺伝子改変された臍帯血NK細胞を、30~45mlの範囲の容積の培地中に6M/mL~120M/mLの濃度で存在させる。いくつかの実施形態では、遺伝子改変された臍帯血NK細胞を、30~45mlの範囲の容積の培地中に6M/mL~200M/mLの濃度で存在させる。いくつかの実施形態では、遺伝子改変された臍帯血NK細胞を、30~45mlの範囲の容積の培地中に6M/mL~25M/mLの濃度で存在させる。
【0173】
いくつかの実施形態では、CAR-NK細胞を、本明細書に提供される凍結保存培地中に、1億細胞~9億細胞の範囲の濃度で、30~45mLの範囲の容積の培地中に存在させて製剤化する。特定の実施形態では、CAR-NK細胞を、約36mLの容積の培地中に約2億細胞の濃度で存在させる。別の実施形態では、CAR-NK細胞を、約36mLの培地中に約8億細胞の濃度で存在させる。いくつかの実施形態では、36mLの培地中の細胞を、無菌容器(例えば、ATバイアル)内に収容する。
【0174】
いくつかの実施形態では、NK細胞は、本明細書に記載の凍結保存培地中に製剤化された約100×10細胞~約900×10個の細胞集団を含むCAR-NK細胞療法製品を含む。いくつかの実施形態では、NK細胞は、本明細書に記載の凍結保存培地中に製剤化された200×10細胞~約800×10個の範囲の細胞集団を含むCAR-NK細胞療法製品を含む。いくつかの実施形態では、CAR-NK細胞療法製品は、iCaspase9、CD19 CAR、及びIL-15を発現するレトロウイルスベクターで形質導入されたヒト臍帯血由来のNK細胞で構成される同種異系細胞療法製品である。特定の実施形態では、CAR-NK細胞療法製品は、iCaspase9、CD19 CAR、及びIL-15を発現するレトロウイルスベクターで形質導入されたヒト臍帯血由来のNK細胞で構成される同種異系細胞療法製品であり、形質導入された細胞は、DMSO、トレハロース、HSA、及びPLASMA-LYTE Aを含む36mlの凍結保存培地中に6M~120M細胞/mLの濃度で製剤化される。別の実施形態では、CAR-NK細胞療法製品は、iCaspase9、CD19 CAR、及びIL-15を発現するレトロウイルスベクターで形質導入されたヒト臍帯血由来のNK細胞で構成される同種異系細胞療法製品であり、形質導入された細胞は、DMSO、トレハロース、HSA、及びPLASMA-LYTE Aを含む36mlの凍結保存培地中に800×10細胞の濃度で製剤化される。形質導入された細胞は、凍結保存培地に懸濁した後、本明細書に記載の方法を使用して凍結させる。次いで、凍結細胞を、本明細書に記載の方法を使用して細胞を解凍した後、ポイントオブケアの場所までクライオシッパーで(例えば、-140℃~-196℃の範囲の温度で)出荷または輸送され、それを必要とする対象(例えば、がん患者)に投与され得る。
【0175】
凍結保存細胞の使用
CAR-NK細胞組成物を含む、本明細書に記載の方法及び組成物は、養子細胞療法に適している。養子細胞療法は、例えば、がんを含む、様々な疾患を治療するために使用され得る。特定の実施形態では、凍結され、その後解凍された、本明細書に記載の凍結保存培地内に含有されるCAR-NK細胞組成物は、がんまたは腫瘍の治療に有用である。ある特定の実施形態では、がんには、乳房、心臓、肺、小腸、結腸、脾臓、腎臓、膀胱、頭部、頚部、卵巣、前立腺、脳、膵臓、皮膚、骨、骨髄、血液、胸腺、子宮、精巣、及び肝臓の腫瘍が含まれる。いくつかの実施形態では、がんは、血液癌である。いくつかの実施形態では、血液癌は、B細胞性悪性腫瘍(例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)である。
【0176】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の培地は、養子細胞療法に有用である。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の細胞を、本明細書に提供される説明に従って凍結保存及び解凍する。いくつかの実施形態では、細胞は、本明細書に記載のNKである。いくつかの実施形態では、NK細胞を、本明細書に記載されるように凍結保存培地中に懸濁する。
【0177】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の凍結保存培地中に懸濁したCAR-NK細胞組成物を、がんを有する対象を治療するために使用する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の凍結保存培地中にCAR-NK細胞を含む組成物を対象に投与する。いくつかの実施形態では、CAR-NK細胞は、抗CD19 CAR遺伝子及びIL-15遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、CAR-NK細胞は、抗CD19 CAR遺伝子、IL-15遺伝子、及びiCaspase9を含む。いくつかの実施形態では、CAR-NK細胞を、それを必要とする対象への投与に先立って洗浄しない。いくつかの実施形態では、CAR-NK細胞を、それを必要とする対象への投与に先立って、凍結保存培地から洗い落とす。
【0178】
いくつかの実施形態では、養子細胞療法を、例えば、リンパ球除去化学療法などの1つ以上の追加のがん治療と併用する。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の凍結保存培地中に製剤化されたCAR-NK細胞療法製品の投与前に、がんを有する対象は、リンパ球除去化学療法を受ける。
【0179】
いくつかの実施形態では、CAR-NK細胞療法製品を、本明細書に記載のように凍結保存し、その後、それを必要とする患者への投与に先立って解凍する。例えば、本明細書に記載のCAR-NK細胞療法製品を、本明細書に記載のように、凍結保存し、運搬し、解凍し、それを必要とする患者に投与する。したがって、いくつかの実施形態では、CAR-NK細胞療法製品を、本明細書に記載の製剤中で凍結保存し、その後、B細胞性悪性腫瘍を治療するための患者への投与に先立って解凍する。
【0180】
いくつかの実施形態では、凍結CAR-NK細胞療法製品は、本明細書に記載されるように凍結され、それを必要とする患者へ輸送される。例えば、いくつかの実施形態では、細胞療法製品の運搬方法は、(a)本明細書に記載されるように、CAR-NK細胞を凍結保存培地に接触させ、(b)CAR-NK細胞を-80℃の温度まで冷却し、それにより哺乳類細胞を凍結保存し、(c)約-20℃~約-190℃またはそれ以下の温度で、凍結保存した哺乳類細胞を異なる場所に運搬することを含む。いくつかの実施形態では、細胞を、約-190℃またはそれ以下、特定の実施形態では-140℃以下で保存及び輸送する。いくつかの実施形態では、輸送した細胞を、患者に投与するまでクライオシッパー内で保管してもよい。
【0181】
特定の実施形態では、養子細胞療法に使用する細胞を、36mlの容積の凍結保存培地中に2億~8億細胞の濃度でバイアル(例えば、50mlのATバイアル)内で凍結保存する。様々な実施形態では、細胞を凍結した後にバイアルにラベルを付け、ラベルを付けた状態でクライオシッパーに入れて治療現場に輸送してもよい。いくつかの実施形態では、細胞を凍結する前にバイアルにラベルを付けてもよい。
【0182】
いくつかの実施形態では、細胞療法製品は、IL-15及びiCaspase9をさらに含む、CD19-CAR NK細胞である。いくつかの実施形態では、細胞療法製品は、ミリリットルあたり約6百万~1億2千万細胞の間の濃度にて、容器内で凍結保存される。いくつかの実施形態では、細胞療法製品は、ミリリットルあたり約6百万~1億2千万細胞の間の濃度にて、50mL容器内で凍結保存される。いくつかの実施形態では、細胞療法製品は、ミリリットルあたり約3百万~1億5千万細胞の間の濃度にて、50mL容器内で凍結保存される。いくつかの実施形態では、細胞療法製品は、ミリリットルあたり約百万~2億5千万細胞の間の濃度にて、50mL容器内で凍結保存される。いくつかの実施形態では、細胞療法製品は、ミリリットルあたり約百万~3億5千万細胞の間の濃度にて、50mL容器内で凍結保存される。いくつかの実施形態では、細胞療法製品は、ミリリットルあたり約百万~5億細胞の間の濃度にて、50mL容器内で凍結保存される。
【0183】
いくつかの実施形態では、細胞療法製品は、50mL容器中に、約20×10~100×10個の細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞療法製品は、50mL容器中に、約100×10~900×10個の細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞療法製品は、50mL容器中に、約50×10個の細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞療法製品は、50mL容器中に、約100×10個の細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞療法製品は、50mL容器中に、約200×10個の細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞療法製品は、50mL容器中に、約100×10個の細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞療法製品は、50mL容器中に、約200×10個の細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞療法製品は、50mL容器中に、約300×10個の細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞療法製品は、50mL容器中に、約400×10個の細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞療法製品は、50mL容器中に、約500×10個の細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞療法製品は、50mL容器中に、約600×10個の細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞療法製品は、50mL容器中に、約700×10個の細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞療法製品は、50mL容器中に、約800×10個の細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞療法製品は、50mL容器中に、約900×10個の細胞を含む。いくつかの実施形態では、細胞療法製品は、50mL容器中に、約100×10個の細胞を含む。
【0184】
いくつかの実施形態では、細胞療法製品は、約20~45mLの間の充填量で50mL容器に含有される。いくつかの実施形態では、細胞療法製品は、約36mLの充填量で50mL容器に含有される。いくつかの実施形態では、細胞療法製品は、NK細胞、T細胞またはB細胞等の免疫細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、1つ以上の導入遺伝子(例えば、キメラ抗原受容体(CAR))を含むように操作される。いくつかの実施形態では、細胞は、CAR-NK+細胞である。いくつかの実施形態では、細胞療法製品は、CD19-CAR、IL-15導入遺伝子及びiCaspas9を含む。いくつかの実施形態では、細胞療法製品は、50ml容器中に、約100×10~900×10個のCAR-NK+細胞を含む。いくつかの実施形態では、存在する細胞療法製品の量は、50ml容器中に100×10個のCAR-NK+細胞である。いくつかの実施形態では、存在する細胞療法製品の量は、50ml容器中に、200×10個のCAR-NK+細胞である。いくつかの実施形態では、存在する細胞療法製品の量は、50ml容器中に、300×10個のCAR-NK+細胞である。いくつかの実施形態では、存在する細胞療法製品の量は、50ml容器中に、400×10個のCAR-NK+細胞である。いくつかの実施形態では、存在する細胞療法製品の量は、50ml容器中に、500×10個のCAR-NK+細胞である。いくつかの実施形態では、存在する細胞療法製品の量は、50ml容器中に、600×10個のCAR-NK+細胞である。いくつかの実施形態では、存在する細胞療法製品の量は、50ml容器中に、700×10個のCAR-NK+細胞である。いくつかの実施形態では、存在する細胞療法製品の量は、50ml容器中に、800×10個のCAR-NK+細胞である。いくつかの実施形態では、存在する細胞療法製品の量は、50ml容器中に、900×10個のCAR-NK+細胞である。いくつかの実施形態では、存在する細胞療法製品の量は、50ml容器中に、100×10個のCAR-NK+細胞である。
【0185】
運搬した細胞療法製品を、本明細書に記載のように解凍し、続いて、それを必要とする患者に投与することができる。いくつかの実施形態では、細胞療法製品を、患者のベッドサイドで解凍する。いくつかの実施形態では、細胞療法製品を、それを必要とする患者への投与に先立って洗浄しない。いくつかの実施形態では、解凍した細胞を、細胞の解凍から約30分~2時間以内に、それを必要とする患者に投与する。いくつかの実施形態では、対象への注入速度は約2~3分である。
【0186】
いくつかの実施形態では、運搬した細胞療法製品を、異なる場所でさらに保管するために凍結したままにする。いくつかの実施形態では、解凍した細胞を、細胞と凍結保存液を分離せずに、それを必要とする対象に導入する。したがって、いくつかの実施形態では、解凍された細胞を、使用に先立って洗浄しない。解凍された細胞及び付随する凍結保存液を、好ましくは、対象への導入に先立って、体温(すなわち、約37℃)まで加温する。そのような状況では、細胞の用量は、凍結前の細胞数に基づく。
【0187】
いくつかの実施形態では、解凍された細胞をさらに培養する。いくつかの実施形態では、培養は、細胞をインキュベーターに配置し、緩衝液を除去し、緩衝液を、細胞の増殖及び/または分化のために設計された培養液に置き換えることを含む。いくつかの実施形態では、細胞を、約6~7時間、インキュベーター内でインキュベートする。いくつかの実施形態では、細胞の増殖及び/または分化のために設計された培養液は、細胞の分化に向けたクボタ培地及び/またはホルモン合成培地(HDM)を含む。
【0188】
解凍された細胞の生存率は、当技術分野で公知の様々な方法を用いて、in vitro及びin vivoで評価することができる。いくつかの実施形態では、in vitro細胞生存率試験には、トリパンブルー排除アッセイが含まれる。いくつかの実施形態では、異なる凍結保存培地で凍結されていた解凍細胞の細胞生存率を評価するために、他の分析方法、例えば、RT-qPCRなどを用いた遺伝子発現を使用することができる。当業者であれば、解凍された細胞の生存率を評価するために、それ以外の新鮮な細胞の細胞生存率を評価するために適用され得る、任意の分析方法を選択することができる。
【0189】
in vivoでの細胞の生存率は、一般に、投与した細胞のin vivoでの機能的特徴を評価することによって評価することができる。いくつかの実施形態では、細胞のin vivo生存率を、必要とする対象に導入された細胞の細胞数を評価することによって評価することができる。細胞を追跡し、投与した細胞の生存率を決定するための様々な方法が当技術分野で公知である。
【0190】
本明細書に記載の凍結保存培地を用いて凍結保存及び解凍された細胞は、初代細胞または新たに単離された細胞が有し得るあらゆる用途に対して、その細胞を使用することを可能にするものである。凍結保存及び解凍された細胞は、高い生存率(例えば、70%超、75%、80%、85%、90%、95%、または95%超)を保持し、かつ、それらの天然状態の生理特性を保持していることにより、細胞の遺伝子操作などの多様な用途、及び、例えば、養子細胞療法への適用など、細胞療法目的に使用することができる。
本明細書に開示される配列:
抗CD19軽鎖可変断片、VL:
DIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCRASQDISKYLNWYQQKPDGTVKLLIYHTSRLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEQEDIATYFCQQGNTLPYTFGGGTKLELKR(配列番号1)
抗CD19重鎖可変断片、VH:
EVQLQQSGPGLVAPSQSLSVTCTVSGVSLPDYGVSWIRQPPRKGLEWLGVIWGSETTYYNSALKSRLTIIKDNSKSQVFLKMNSLQTDDTAIYYCAKHYYYGGSYAMDYWGQGTTVTVSSYVTVSSQDPA(配列番号2)
CD28:
FWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRS(配列番号3)
CD3ζ:
RVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGP(配列番号4)
【実施例
【0191】
本発明の他の特徴、目的、及び利点は、以下の実施例において明らかである。しかし、本発明の実施形態を示すとはいえ、実施例が、限定ではなく、実例としてのみ、与えられるものであることを理解されたい。実施例から、本発明の範囲内での様々な変更及び修正が、当業者に明らかになるであろう。
【0192】
これらの実施例で使用されるNK細胞は、抗CD19 CAR、IL-15、及びiCaspase9を含む。しかしながら、他の導入遺伝子を含むNK細胞もこれらの方法において使用することができることに留意されたい。
【0193】
これらの実施例で使用したCAR-NK細胞は、CD19-CARを標的とする腫瘍(iC9/CAR.19/IL15、Leukemia 32(2018)520-531として、その全体が参照により本明細書に援用される)をコードする遺伝子で形質導入された臍帯血ユニット由来のNK細胞、例えば、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む抗CD-19結合ドメイン軽鎖可変領域、及び/または配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む抗CD19結合ドメイン重鎖可変領域をコードする核酸分子で形質導入されたNK-CAR細胞であった。
【0194】
実施例1:50ml容器中の哺乳類細胞の凍結保存のスケールアップ。
本実施例は、120分間の凍結手順を使用した哺乳類細胞の凍結特性を示す。
【0195】
まず、細胞を含まない45mlの凍結保存培地(対照)を、NaCl中の50%RPMI、5%DMSO、20%の25%ヒト血清アルブミン、10%デキストランを含む50mlのATバイアルに充填した。CryoMed5474制御冷凍装置内でバイアルの温度を4℃に下げた。ATバイアルの内容物から放出される熱量を、溶液温度を測定することによって測定した。凍結保存のプロセスを開始するために、温度を1分あたり1℃の速度で-4℃まで下げた。次に、温度を毎分20℃の速度で-45℃まで急速に下げた。次に、温度を毎分10℃の速度で急速に-10℃まで上昇させた。次に、温度を1分あたり0.5℃の速度で-20℃まで急速に下げた。最後に、1分あたり1℃の速度で温度を下げることにより、温度を-80℃までゆっくりと下げた。
【0196】
溶液の内容物によって放出される熱量は、凍結手順により35分間超にわたって、-1℃に留まることが観察され、これは氷が溶ける機会が多く、氷の形成が遅いことを示唆している。さらに、バイアルの内容物の温度は周囲の温度と異なるため、不均一な氷が形成される可能性が高くなる。図2は、上記の凍結手順を使用して凍結させた凍結保存媒体の凍結特性を示す。
【0197】
実施例2:50ml容器内での哺乳類細胞の最適化された凍結保存。
本実施例は、融解潜熱の影響が最小化されるように、50mlのATバイアルなどの50mlの容器内で哺乳類細胞を凍結保存する方法を示す。
【0198】
まず、36mlのCAR-NK細胞を、40%PLASMA-LYTE A+10%HSA+50%CS10を含む培地中で1mLあたり1億1千万細胞の濃度で製剤化し、次いで50mlのATバイアルに充填した。速度制御された冷凍装置内でバイアルの温度を4℃まで下げた。これらの実験には、CryoMed5474制御速度冷凍装置を使用した。凍結保存のプロセスを開始するために、1分あたり1℃の速度で温度を-2℃まで下げた。バイアルと内容物の内部温度を-2℃で3分間平衡化させた。氷の核生成プロセスを、温度を毎分25℃の速度で急速に-60℃まで下げることによって誘発した。バイアルの内部とバイアルの内容物を-60℃で1分間平衡化し、氷形成の開始による融解潜熱を吸収させ、細胞懸濁液の温度を氷点下に維持して、氷の再融解を回避した。望ましくない細胞内氷形成を引き起こす細胞外氷形成の促進を避けるために、温度を毎分10℃の速度で-30℃まで上昇させ、連続的で滑らかな温度低下を可能にし、細胞内の水が浸透圧で移動し続けながら徐々に細胞外氷が形成され得るようにした。温度を-30℃に維持して、細胞を均一に凍結させた。最後に、温度を1分あたり1℃の速度で-40℃まで下げた。細胞の内容物を-40℃で5分間平衡化して、細胞外の氷形成を最大化した。毎分10℃の速度で温度を最終温度の-80℃まで下げて、残りの細胞外氷形成を可能にした。試料から放出される熱量、チャンバー温度、システム温度を時間の関数としてプロットした。図3は、CAR-NK細胞の凍結特性を示す。
【0199】
細胞の内容物によって放出された熱量は、凍結プロトコル全体を通じてほぼ一定のままであったことが観察されたが、これは融解潜熱の有意な減少を示唆している。さらに、解凍手順にかける時間は1時間未満であった。
【0200】
実施例3:複数の50ml容器での哺乳類細胞の凍結保存。
本実施例は、融解潜熱の影響が最小化されるように、四隅と中央に配置された5個の50ml容器、例えば50ml ATバイアル中で哺乳類細胞(例えば、細胞療法に適した細胞)を凍結保存する方法を示す。
【0201】
まず、50mlのATバイアル中に8000万細胞/mlの濃度で細胞を含有する、適切な凍結保存懸濁培地中に45mlのiCAR-T細胞を含む5つの容器を用意した。CryoMed5474制御冷凍装置内でバイアルの温度を4℃に下げた。凍結保存のプロセスを開始するために、1分あたり1℃の速度で温度を-2℃まで下げた。バイアルの内部と内容物の温度を-2℃で3分間平衡化した。氷の核生成プロセスを、毎分25℃の速度で温度を急速に-60℃まで下げることによって開始させた。バイアルの内部とバイアルの内容物を-60℃で1分間平衡化し、氷形成の開始による融解潜熱を吸収させ、細胞懸濁液の温度を氷点下に維持して、氷の再融解を回避した。望ましくない細胞内氷形成を引き起こす細胞外氷形成の促進を避けるために、温度を毎分10℃の速度で-30℃まで上昇させ、連続的で滑らかな温度低下を可能にし、細胞内の水が浸透圧で移動し続けながら徐々に細胞外氷が形成され得るようにした。温度を-30℃に維持して、細胞を均一に凍結させた。最後に、温度を1分あたり1℃の速度で-40℃まで下げた。細胞の内容物を-40℃で5分間平衡化して、細胞外の氷形成を最大化した。毎分10℃の速度で温度を最終温度の-80℃まで下げて、残りの細胞外氷形成を可能にした。試料から放出される熱量、チャンバー温度、システム温度を時間の関数としてプロットした。図4は、CAR-NK細胞の5つの45ml懸濁液の凍結特性を示す。
【0202】
5つの45ml細胞懸濁液すべての内容物から放出された熱量は、凍結プロトコル全体を通じてほぼ一定のままであったことが観察されたが、これは、細胞外の氷形成によって生じる融解潜熱の影響の有意な減少を示唆している。さらに、複数のチャンバーを使用すると、大量の哺乳類細胞懸濁液についての凍結プロトコルがスケールアップ可能であることが示唆された。
【0203】
実施例4:凍結保存された哺乳類細胞の解凍。
本実施例は、致死的な氷の再結晶化を低減するための、液体窒素温度(-196℃)で保存された哺乳類細胞の解凍方法を示す。解凍した細胞の生存率を測定した。
【0204】
50ml ATバイアル中に3つの異なる容積、16、30、及び45mLで採取された細胞密度8,000万細胞/ml、及び120細胞/mlのiCART細胞を、最初に融解潜熱を低減する方法を使用して凍結保存し、ATバイアルに50mLで充填して凍結させ、-196℃で保存した。ATバイアルを60℃に設定したオービタルシェーカー水浴(Benchmark SBL-12)に入れ、回転速度120rpmで最大600秒間解凍することにより、-196℃で保存された細胞を解凍した。細胞試料の温度を測定した。図5A及び図5Bは、16、30、及び45mlの細胞を含む50mlのATバイアルの解凍中の細胞試料の温度の経時的上昇を示す。
【0205】
解凍した細胞の生存率を評価した。図6は、記載のように解凍した1mlあたり8000万個の細胞、及び1mlあたり1億2000万個の細胞の生存率を示す。すべての細胞が95%超の生存率を有していたことが観察され、本方法が致死的な氷の再結晶化の誘発の防止に成功したことが示された。
【0206】
実施例5:CAR-NK細胞の凍結及び解凍のin vitro有効性。
本実施例では、融解潜熱を最小化する方法で哺乳類細胞を凍結した場合の、50mL ATバイアルでの哺乳類CAR-NK細胞の凍結及び解凍の有効性を、2mL ATバイアルまたは2mlクライオバイアルと比較して示す。
【0207】
まず、45mL、30mL、及び10mLのCAR-NK細胞を、1mLあたり8,000万細胞及び1億2,000万細胞の濃度で50mL ATバイアルに入れた。次に、1mLのCAR-NK細胞を、1mLあたり8,000万細胞及び1億2,000万細胞の濃度で2mL ATバイアルに入れるか、または対照として1mLあたり1,000万細胞の濃度で2mLクライオバイアルに入れた。すべての細胞を、40%のPLASMA-LYTE A、50%のCS10、10%のヒト血清アルブミンを含む凍結保存懸濁培地中に懸濁した。
【0208】
50mL及び2mL ATバイアルに充填したCAR-NK細胞を、以下のように凍結させた:CryoMed5474制御冷凍装置内で、バイアルの温度を4℃に下げた。凍結保存のプロセスを開始するために、1分あたり1℃の速度で温度を-2℃まで下げた。バイアルの内部と内容物の温度を-2℃で3分間平衡化した。氷の核生成プロセスを、毎分25℃の速度で温度を急速に-60℃まで下げることによって開始させた。バイアルの内部とバイアルの内容物を-60℃で1分間平衡化し、氷形成の開始による融解潜熱を吸収させ、細胞懸濁液の温度を氷点下に維持して、氷の再融解を回避した。望ましくない細胞内氷形成を引き起こす細胞外氷形成の促進を避けるために、温度を毎分10℃の速度で-30℃まで上昇させ、連続的で滑らかな温度低下を可能にし、細胞内の水が浸透圧で移動し続けながら徐々に細胞外氷が形成可能なようにした。温度を-30℃に維持して、細胞を均一に凍結させた。最後に、温度を1分あたり1℃の速度で-40℃まで下げた。細胞の内容物を-40℃で5分間平衡化して、細胞外の氷形成を最大化した。毎分10℃の速度で温度を最終温度の-80℃まで下げて、残りの細胞外氷形成を可能にした。2mLクライオバイアル内のCAR-NK細胞を2つの群に分け、1つの群は凍結対照としてベンチマークプログラムを使用して凍結させ、もう1つの群は新鮮対照として培地中で培養した。
【0209】
凍結した細胞は、解凍するまで液体窒素タンクの気相(≦-140℃)で保管した。50mL及び2mL ATバイアルを、60℃、回転速度150rpmに設定したオービタルシェーカー水浴(Benchmark SBL-12)にATバイアルを最大600秒間入れて解凍した。2mlクライオバイアル中で凍結させた細胞を、37℃に設定したオービタルシェーカー水浴(Benchmark SBL-12)内で37℃、回転速度150rpmで最大600秒間解凍した。
【0210】
細胞の生存率を測定した。細胞の機能を、様々なE:T比でのCAR-NK細胞の死滅率を測定することによって試験した。10:1のE:T比が、死滅機能の比較に最適な比率であると思われた。表1は、CAR-NK細胞の生存率及び機能アッセイを示す。染色された死細胞と生細胞の数を測定することにより測定した場合に、93%超の細胞が生存していることが観察された。さらに、本明細書に記載の凍結及び解凍手順を使用した50mLバイアル内の細胞は、新鮮な細胞及びその死滅機能においてベンチマーク凍結及び解凍方法を用いた細胞と同等の生存率を示したことが観察された(図7A)。さらに、本明細書に記載の凍結及び解凍手順を使用した50mLバイアル中のCAR-NK細胞は、同等の免疫表現型(表2)及び新鮮細胞を示した。図7Aは、CAR-NK細胞による死滅の割合をE:T比の関数として示す。表2は、凍結及び解凍したCAR-NK細胞における免疫表現型の保存を示している。
【0211】
【表1】
【0212】
【表2】
【0213】
実施例6:CAR-NK細胞の凍結及び解凍のin vivo有効性。
本実施例は、融解潜熱を最小化する方法で哺乳類細胞を凍結させた場合の、50mL ATバイアルでの哺乳類CAR-NK細胞の凍結及び解凍のin vivo有効性を、2mL ATバイアルまたは2ml汎用クライオバイアルと比較して示す。ATクライオバイアルは、特殊な容器密閉技術を備えた独自のクライオバイアルである。
【0214】
まず、35mlのCAR-NK細胞を50ml ATバイアル中で1mLあたり8,000万細胞の濃度で凍結させた。CryoMed5474制御冷凍装置内でバイアルの温度を4℃に下げた。凍結保存のプロセスを開始するために、1分あたり1℃の速度で温度を-2℃まで下げた。バイアルの内部と内容物の温度を-2℃で3分間平衡化した。氷の核生成プロセスを、毎分25℃の速度で温度を急速に-60℃まで下げることによって開始させた。バイアルの内部とバイアルの内容物を-60℃で1分間平衡化し、氷形成の開始による融解潜熱を吸収させ、細胞懸濁液の温度を氷点下に維持して、氷の再融解を回避した。望ましくない細胞内氷形成を引き起こす細胞外氷形成の促進を避けるために、温度を毎分10℃の速度で-30℃まで上昇させ、連続的で滑らかな温度低下を可能にし、細胞内の水が浸透圧で移動し続けながら徐々に細胞外氷が形成され得るようにした。温度を-30℃に維持して、細胞を均一に凍結させた。最後に、温度を1分あたり1℃の速度で-40℃まで下げた。細胞の内容物を-40℃で5分間平衡化して、細胞外の氷形成を最大化した。毎分10℃の速度で温度を最終温度の-80℃まで下げて、残りの細胞外氷形成を可能にした。凍結完了後、クライオバイアルを液体窒素タンクの気相中に保管した。表3に凍結保存培地の成分を示す。
【0215】
【表3】
【0216】
凍結保存した細胞は、ATバイアルを60℃、回転速度150rpmに設定したオービタルシェーカー水浴(Benchmark SBL-12)に最大600秒間入れて解凍した。
【0217】
凍結及び解凍したCAR-NKのin vitro生存率、死滅率、及び免疫表現型の両方を試験した。さらに、CAR-NK細胞を、ルシフェラーゼを発現するRajiヒトバーキットリンパ腫(Raji B.luc)異種移植片を有するメスのNOD SCIDγ(NSG)マウスに注射した。生後12週齢のメスのNSGマウスは、Jackson Laboratoryから入手した。CAR-NK細胞における凍結及び解凍プロトコルのin vivo有効性は、NOD/Shi-scid、IL-2Rγ null免疫不全マウス(「NSGマウス」)におけるそれらのin vivo死滅の有効性を評価することによって測定した。ナチュラルキリング(NK)細胞の活性化は、NK細胞の増殖とエフェクター細胞への持続性をもたらす抗原依存性のプロセスである。PBSを陰性対照として使用した。
【0218】
CAR-NK細胞のin vivo有効性を、ルシフェラーゼを発現するRaji ヒトバーキットリンパ腫(Raji B.luc)異種移植片を有するメスのNOD SCIDγ(NSG)マウスで試験した。処置の1日前(D-1)にメスのNSGマウスを、体重に応じて各群5匹ずつの群に無作為に分け、その後、1.5グレイ(1.5 Gy)の全身放射線照射を行った。0日目に、マウスに2×10個の生物発光性Raji B luc腫瘍細胞を同時投与し、尾静脈を介した静脈内注射による処置を行った。in vivoでは、ルシフェリンをマウスに投与し、基質注射の9分後に全身の腹部画像を撮影した。処置後にIVIS(登録商標)Spectrum CTイメージングシステム(PerkinElmer)を使用して、ルシフェラーゼ活性を生存マウスで測定した。画像化の日に、マウスにルシフェリン基質(合計150mg/kg、IP)注射を行い、麻酔導入チャンバー(酸素中2.5~3.5%のイソフルラン)に入れた。鎮静後、ルシフェリン基質注射の9分後に画像取得のためにマウスをイメージングチャンバー内に配置した。
【0219】
図8は、30mMトレハロースを含むか、または含まない2つの凍結保存培地、40% PLASMA-LYTE A、10%HSA、50%CS10中の600万個及び8000万個の細胞の両方について、50mL ATバイアル及び2mL ATバイアル中の解凍後の細胞の、異なるE:T比でのin vitro死滅率のグラフを示す。50mLのATバイアル中の凍結細胞が同等の死滅機能を示すことが観察された(図8)。表4は、E:T比10:1での死滅率、及び本明細書に記載の配列を使用して凍結及び解凍したCAR-NK細胞の生存率及び回収率をまとめたものである。50ml ATバイアル中のCAR-NK細胞は、2ml ATバイアル中で凍結させたCAR-NK細胞と同等の高い生存率(≧97.0%)を示したことが観察された。表5は、50mlバイアルと2mlバイアルで凍結させたCAR-NK細胞における表現型の保存をまとめたものである。免疫表現型は、2ml ATバイアルで凍結させたCAR-NK細胞と比較して、50ml ATバイアルで凍結させたCAR-NKにおいて同程度に保存されていたことが観察された。
【0220】
図9は、CAR-NK細胞の投与後36日目のCAR-NK細胞のin vivo有効性をさらに示す。3つの異なるCAR-NK細胞(例えば、異なるドナーから採取した細胞)のin vivo有効性を試験した。これらの試験では2つの異なる製剤:1)40%PLASMA-LYTE A,10%HSA,50%CS10(T6)、及び2)40% PLASMA-LYTE A,10%HSA,50%CS10,30mMトレハロース(T6T)を使用した。陰性対照マウスには、細胞を含む培地(ビヒクル)を注射した。NK-CAR細胞を注射したマウスは、13/14日目及び20/21日目にルシフェラーゼ発現の強度が低下したことが観察された(図9G図9I)。時間の関数としてのルシフェラーゼ蛍光の全光束を図9D図9Fに示す。図9A図9Bは、処置後の日数の関数としてマウスの生存率を示す。新鮮なCAR-NK細胞、ならびに本明細書に記載の手順に従って凍結及び解凍されたCAR-NK細胞を注射したマウスが、同等の生存率を示したことが観察された。
【0221】
【表4】
【0222】
【表5】
【0223】
実施例7:CAR-NK細胞による、必要とする対象の治療-バイアルでの凍結、輸送、解凍、投与
本実施例は、本明細書に記載の改変されたCAR-NK細胞の凍結、解凍、及び例示的な使用を説明する。本実施例に記載される例示的な使用は、がん患者、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の患者へのCAR NK細胞の凍結、解凍、及び投与である。
【0224】
CD19、IL-15、及びiCaspase9を含むCAR-NK細胞を、ヒト血清アルブミン(HSA)、PLASMA-LYTE A、トレハロース、及びCS10を含む凍結保存培地中に懸濁する。CAR-NK細胞を、50mLのクライオバイアル中で6M/mL~25M/mLの濃度で、約36mLの充填試料の充填容積で凍結させる。そのようなクライオバイアルには、必要な患者への2~4回分の用量が含まれ得る。CAR-NK細胞を、以下の凍結プログラムを使用して凍結させる:(a)試料を試料の凍結温度よりも高い第1の温度に置き、(b)第1の温度を第1の制御速度で第2の温度まで低下させ、その場合、第2の温度は第1の温度より少なくとも2℃低く、(c)第2の温度を第2の制御速度で第3の温度まで低下させ、その場合、第3の温度は第2の温度より少なくとも40℃低く、(d)第3の温度を第3の制御速度で第4の温度まで上昇させ、その場合、第4の温度は第3の温度より少なくとも20℃高く、(e)第4の温度を第4の制御速度で第5の温度まで低下させ、その場合、第5の温度は第4の温度より少なくとも10℃低く、(f)第5の温度を第5の制御速度で最終温度まで低下させ、その場合、最終温度は-80℃以下である。通常、凍結プロセス全体にかける時間は約1時間未満である。
【0225】
細胞が凍結したら、試料を-140℃以下の温度で保存する。そのような温度は、試料を液体窒素蒸気相に置くなど、様々な方法で達成することができる。凍結させた試料は、使用するまで-140℃以下の温度で保管したままにすることができる。細胞を保管したままにできる期間は、1週間、2週間、1か月、6か月、1年、2年、5年、10年、またはそれ以上である。
【0226】
細胞が、例えば同種異系細胞療法における使用などに必要になると、細胞は冷凍保管庫から病院または患者が細胞の移植を待つ他の場所にクライオシッパー内に入れて輸送される。輸送プロセス中、細胞は病院またはその他の場所(例えば、診療所)に到着するまで、-140℃以下の温度に維持される。その場所に到着すると、細胞は解凍される。細胞は、以下のように解凍することができる:凍結保存された改変された免疫細胞を含む容器を37℃~70℃の温度に加熱し、細胞が解凍されるまで、適切な時間、約100~約250RPMの速度で細胞を撹拌する。加熱は、例えば、細胞試料を100~125RPMの速度で撹拌しながら、60℃~65℃の温度で実施することができる。加熱は、水浴を使用して行うことも、乾式加熱装置を使用して行うこともできる。通常、細胞を解凍する合計時間は全体で約10分である。
【0227】
50mLクライオバイアルの解凍は、細胞を受け取る患者が容易にアクセスできるように、患者のベッドサイドまたは他の近くの場所で行うことができる。試料が解凍されると、試料の総量は約34~36mLになる。無菌投与用のバイアルアダプターを使用して、最大約34mLの解凍試料を患者に投与する。1つの解凍試料に複数回の用量を含ませてもよい。
【0228】
均等物及び範囲
当業者であれば、単に通常の実験を用いるだけで、本明細書に記載される発明の具体的な実施形態に対する多数の均等物を認識するかまたは確認できるであろう。本発明の範囲は、上記の発明を実施するための形態に限定されることを意図するものではなく、むしろ特許請求の範囲に記載される通りである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図9H
図9I
【手続補正書】
【提出日】2023-09-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PLASMA-LYTE A、トレハロース、CS10及びHSAを含む凍結保存培地中に製剤化された、CD19-CAR及びIL-15を発現するように遺伝子改変されたNK細胞を含むCAR-NK細胞集団を含む、細胞療法製品。
【請求項2】
抗CD19結合ドメインが、配列番号2に対して少なくとも95%の同一性を有する重鎖可変領域及び/又は配列番号1に対して少なくとも95%の同一性を有する軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の細胞療法製品。
【請求項3】
CD19-CARが、配列番号2の配列を有する重鎖可変領域及び/又は配列番号1の配列を有する軽鎖可変領域を含む、請求項1又は2に記載の細胞療法製品。
【請求項4】
膜貫通ドメインが、T細胞受容体のα鎖、β鎖もしくはζ鎖、CD28、CD3ε、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137及びCD154からなる群より選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の細胞療法製品。
【請求項5】
細胞内シグナル伝達ドメインが、FcRγ、FcRβ、CD3γ、CD3δ、CD3ζ、CD3ε、CD5、CD22、CD79a、CD79b及びCD66dからなる群より選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の細胞療法製品。
【請求項6】
CD19-CARが、配列番号3に対して少なくとも95%の同一性を有するCD28膜貫通ドメインを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の細胞療法製品。
【請求項7】
CD19-CARが、配列番号3のCD28膜貫通ドメインを含む、請求項6に記載の細胞療法製品。
【請求項8】
CD19-CARが、配列番号4に対して少なくとも95%の同一性を有するCD3zシグナル伝達ドメインを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の細胞療法製品。
【請求項9】
CD19-CARが、配列番号4のCD3zシグナル伝達ドメインを含む、請求項8に記載の細胞療法製品。
【請求項10】
細胞療法製品が自殺スイッチをさらに含み、該自殺スイッチがiCaspase9である、請求項1~9のいずれか一項に記載の細胞療法製品。
【請求項11】
NK細胞が、臍帯血、末梢血、T細胞又はiPS細胞由来である、請求項1~10のいずれか一項に記載の細胞療法製品。
【請求項12】
凍結保存培地が、25% v/v~50% v/vのPLASMA-LYTE Aを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の細胞療法製品。
【請求項13】
トレハロースが、約10mM~100mMの濃度である、請求項1~12のいずれか一項に記載の細胞療法製品。
【請求項14】
25% w/v HSAが、1.25% v/v~20% v/vの濃度である、請求項1~13のいずれか一項に記載の細胞療法製品。
【請求項15】
凍結保存培地が、40% v/v~60% v/vのCS10を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の細胞療法製品。
【請求項16】
凍結保護剤をさらに含み、該凍結保護剤がDMSOである、請求項1~15のいずれか一項に記載の細胞療法製品。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の細胞療法製品を含む組成物。
【請求項18】
請求項1~16のいずれか一項に記載の細胞療法製品又は請求項17に記載の組成物を含む、がん治療剤。
【請求項19】
がん治療用の医薬の製造における請求項1~16のいずれか一項に記載の細胞療法製品又は請求項17に記載の組成物の使用。
【請求項20】
PLASMA-LYTE A、トレハロース、CS10及びHSAを含む凍結保存培地中に製剤化された、CD19-CAR及びIL-15を発現するように遺伝子改変されたNK細胞を含むCAR-NK細胞集団を含む、細胞療法製品を含み、該CD19-CARは、配列番号2に対して少なくとも95%の同一性を有する重鎖可変領域及び/又は配列番号1に対して少なくとも95%の同一性を有する軽鎖可変領域を含む抗CD19結合ドメインを含む、がん治療剤。
【請求項21】
PLASMA-LYTE A、トレハロース、CS10及びHSAを含む凍結保存培地中に製剤化された、CD19-CAR及びIL-15を発現するように遺伝子改変されたNK細胞を含むCAR-NK細胞集団を含み、該CD19-CARは、配列番号2の配列を有する重鎖可変領域及び/又は配列番号1の配列を有する軽鎖可変領域を含む抗CD19結合ドメインを含む、細胞療法製品の、がん治療用の医薬の製造における使用。
【請求項22】
がんがB細胞リンパ腫である、請求項19又は21に記載の使用。
【請求項23】
大規模での免疫細胞の凍結保存方法であって、前記方法が、
(a)凍結保存培地中に懸濁された免疫細胞を含む試料を含む容器を提供し、前記試料の容積が、前記容器の全容量より少なくとも5パーセント少なく、前記試料の容積が少なくとも10mlであり、
(b)融解潜熱を最小化するために、前記容器を前記試料の氷点以上の温度から約-80℃以下の温度まで、多段階プロセスで制御速度にて冷却し、
(c)前記細胞を液体窒素気相中で保存し、それによって前記免疫細胞を凍結保存する、前記凍結保存方法。
【請求項24】
細胞を1週間、2週間、1ヶ月間、6カ月間、1年間、2年間、5年間又は10年間以上保存する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
結保存された細胞の解凍が
(a)水浴を37℃~75℃の範囲の温度に加熱し、
(b)凍結保存された細胞を含む容器を、前記予熱した水浴に移し、
(c)前記容器を約100~約250RPMの速度で適切な時間撹拌し、それによって細胞を解凍することを含む、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
解凍後の全生存細胞が約2億~約8億細胞である、請求項23~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
PLASMA-LYTE A、トレハロース、CS10及びHSAを含む凍結保存培地中に製剤化された、BCMA CAR及びIL-15を発現するように遺伝子改変されたNK細胞を含むCAR-NK細胞集団を含む、細胞療法製品。
【請求項28】
請求項27に記載の細胞療法製品を含む、がん治療剤。
【請求項29】
がん治療用の医薬の製造における請求項27に記載の細胞療法製品の使用。
【請求項30】
凍結保護剤、アルブミン、二糖類及び非発熱性かつ等張性晶質溶液を含む凍結保存培地。
【請求項31】
PLASMA-LYTE A、ヒト血清アルブミン(HSA)、トレハロース及び凍結保護剤を含む、請求項30に記載の凍結保存培地。
【請求項32】
免疫細胞を含有する試料の温度を、前記試料の凍結温度を上回る第1の温度から-80℃以下の最終温度まで変化させることを含みそれによって前記最終温度で前記試料凍結保存する、請求項23に記載の方法であって、前記方法が、
(a)前記試料を前記試料の凝固温度より高い第1の温度に置き、
(b)前記第1の温度を第1の制御速度で第2の温度まで低下させ、その場合、前記第2の温度が前記第1の温度より少なくとも2℃低く、
(c)前記第2の温度を第2の制御速度で第3の温度まで低下させ、その場合、前記第3の温度が前記第2の温度より少なくとも40℃低く、
(d)前記第3の温度を第3の制御速度で第4の温度まで上昇させ、その場合、前記第4の温度が前記第3の温度より少なくとも20℃高く、
(e)前記第4の温度を第4の制御速度で第5の温度まで低下させ、その場合、前記第5の温度が前記第4の温度より少なくとも10℃低く、
(f)前記第5の温度を第5の制御速度で最終温度まで低下させるステップを含み、その場合、前記最終温度が-80℃以下である、前記凍結保存方法。
【請求項33】
多段階プロセスが、0.75℃/分~30℃/分の制御速度で、-80℃以下の最終温度まで細胞を冷却し、それによって細胞を凍結保存することを含む、請求項23に記載の方法。
【国際調査報告】