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特表2024-506456原子層エッチングにおけるエッチング選択性の制御
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】原子層エッチングにおけるエッチング選択性の制御
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240206BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240206BHJP
   C23C 16/40 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
H01L21/302 101B
H01L21/31 C
C23C16/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540552
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(85)【翻訳文提出日】2023-06-30
(86)【国際出願番号】 US2021062793
(87)【国際公開番号】W WO2022169509
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】63/199,932
(32)【優先日】2021-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー・アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】リル・トールステン・ベルンド
【テーマコード(参考)】
4K030
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA03
4K030AA14
4K030BA22
4K030BA42
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA03
4K030FA01
4K030FA10
4K030LA15
5F004AA05
5F004BA03
5F004BA04
5F004BA20
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB25
5F004BB26
5F004BC06
5F004CA03
5F004CA04
5F004DA00
5F004DA04
5F004DA20
5F004DA22
5F004DA23
5F004DA25
5F004DB13
5F004EA03
5F004EA04
5F004EA13
5F004EA14
5F004EA28
5F045AA08
5F045AA15
5F045AD04
5F045AD05
5F045AD06
5F045AD07
5F045AD08
5F045AD09
5F045DP03
5F045DP28
5F045EE17
5F045EH05
5F045EH11
5F045EH12
5F045EH18
5F045EJ04
5F045EM05
(57)【要約】
【課題】
【解決手段】装置および方法が提供される。いくつかの方法は、基板を処理チャンバに設けることであって、基板は、第2の材料の表面に隣接して第2の材料の表面を覆う第1の材料を有することと、第1のプロセスガスを基板上に流し、それによって第1の材料の改質層を形成することによって第1の材料の層を改質することと、第2のプロセスガスを基板上に流すことによって第1の材料の改質層を除去することと、第2の材料の表面が改質層の除去を介して解放されると、第3のプロセスガスを基板上に流すことによって表面を第2の材料の変換層に変換することであって、第1のプロセスガスおよび第2のプロセスガスは、第1の材料および第2の材料よりも変換層との反応性が低いこととを含むことができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
基板を処理チャンバに設けることであって、前記基板は、第2の材料の表面に隣接して前記第2の材料の前記表面を覆う第1の材料を有することと、
第1のプロセスガスを前記基板上に流し、それによって前記第1の材料の改質層を形成することによって前記第1の材料の層を改質することと、
第2のプロセスガスを前記基板上に流すことによって前記第1の材料の前記改質層を除去することと、
前記第2の材料の前記表面が前記改質層の除去を介して解放されると、第3のプロセスガスを前記基板上に流すことによって前記表面を前記第2の材料の変換層に変換することであって、前記第1のプロセスガスおよび前記第2のプロセスガスは、前記第1の材料および前記第2の材料よりも前記変換層との反応性が低いことと
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記変換後、第4のプロセスガスを前記基板上に流すことによって前記変換層を材料の改質変換層に改質することと、
第5のプロセスガスを前記基板上に流すことによって前記改質変換層を除去することと
をさらに含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記第3のプロセスガスを流すことは、前記改質の前に行われる、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記第3のプロセスガスを流すことは、前記改質の後に行われる、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記第3のプロセスガスを流すことは、前記除去の前に行われる、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記第3のプロセスガスを流した後、および前記除去の前にパージガスを流すことをさらに含む、方法。
【請求項7】
請求項4に記載の方法であって、
前記第3のプロセスガスを流すことは、前記除去の後に行われる、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記第3のプロセスガスを前記基板上に流すことは、前記第1のプロセスガスを前記基板上に流すことと少なくとも部分的に重なる、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記第3のプロセスガスを前記基板上に流すことは、前記第2のプロセスガスを前記基板上に流すことと少なくとも部分的に重なる、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
前記第3のプロセスガスを前記基板上に流すことは、前記第1のプロセスガスを前記基板上に流すこと、および前記第2のプロセスガスを前記基板上に流すことと少なくとも部分的に重なる、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
前記変換は、前記第2の材料の前記表面が前記第1の材料の前記除去中または前記除去後に解放されるときに行われる、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、
前記除去中、前記第2のプロセスガスは、第1のエッチング速度で前記第1の材料の前記改質層を除去し、
前記除去中、前記第2のプロセスガスは、前記第1のエッチング速度の約50%以下の第2のエッチング速度で前記変換層を除去する、
方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
前記第2のエッチング速度は、前記第1のエッチング速度の約15%以下である、方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法であって、
前記除去中、前記第2のプロセスガスは、前記第1のエッチング速度よりも高い第3のエッチング速度で前記第2の材料を除去することが可能である、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1のプロセスガスは、改質分子を含み、
前記第2のプロセスガスは、除去分子を含み、
前記第3のプロセスガスは、変換分子を含む、
方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法であって、
前記第3のプロセスガスは、前駆体を含む、方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法であって、
前記変換層は、前記第2の材料の単原子層である、方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の材料および前記第2の材料は、酸化物である、方法。
【請求項19】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の材料および/または前記第2の材料は、半導体酸化物である、方法。
【請求項20】
請求項1に記載の方法であって、
前記変換層は、前記第2のプロセスガスに対して不活性である、方法。
【請求項21】
請求項1に記載の方法であって、
前記変換層と前記第2のプロセスガスとの間の反応は、副生成物を生成しない、方法。
【請求項22】
請求項1に記載の方法であって、
前記変換の前に、前記改質および前記除去を繰り返してある量の前記第1の材料を除去すること
をさらに含む、方法。
【請求項23】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の材料は、酸化アルミニウムを含み、
前記第2の材料は、酸化亜鉛を含み、
前記第1のプロセスガスは、フッ化水素を含み、
前記第2のプロセスガスは、トリメチルアルミニウムを含み、
前記第3のプロセスガスは、四塩化ジルコニウムを含み、
前記変換層は、酸化ジルコニウムを含む、
方法。
【請求項24】
請求項1に記載の方法であって、
第4のプロセスガスを前記基板上に流すことによって前記変換層を除去することであって、前記第4のプロセスガスは、塩化ジメチルアルミニウムを含む
ことをさらに含む、方法。
【請求項25】
請求項1に記載の方法であって、
前記変換は、前記第3のプロセスガス中の元素と前記第2の材料との間のカチオン交換を含む、方法。
【請求項26】
請求項1に記載の方法であって、
前記改質および前記除去は、前記基板が同じ、または実質的に同じ温度に維持されている間に行われる、方法。
【請求項27】
請求項1に記載の方法であって、
前記改質は、前記基板が第1の温度に維持されている間に行われ、
前記除去は、前記基板が前記第1の温度とは異なる第2の温度に維持されている間に行われる、
方法。
【請求項28】
請求項1に記載の方法であって、
前記変換中、水蒸気が前記基板に供給されない、方法。
【請求項29】
方法であって、
基板を処理チャンバに設けることであって、前記基板は、第2の材料の表面に隣接して前記第2の材料の前記表面を覆う第1の材料を有することと、
第1のプロセスガスを基板上に流し、それによって前記第1の材料の改質層を形成することによって前記第1の材料の層を改質することと、
第2のプロセスガスを前記基板上に流すことによって前記第1の材料の前記改質層を除去することと、
前記第2の材料の前記表面が前記改質層の除去を介して解放されると、前記第2の材料の前記表面をエッチング停止材料の層に選択的に変換することであって、前記エッチング停止材料の層は、前記第2の材料の上にのみ位置決めされ、それにより前記除去中、前記第1の材料の前記改質層および前記エッチング停止材料の層が前記第2のプロセスガスに曝露されるようになり、前記第2のプロセスガスは、前記第1の材料の前記改質層および前記第2の材料よりも前記エッチング停止材料の層との反応性が低いことと
を含む、方法。
【請求項30】
半導体処理用の装置であって、
内部、および前記内部で基板を支持するように構成された基板支持体を含む処理チャンバと、
改質分子を含む第1のプロセスガスを前記処理チャンバ内の前記基板上に流し、除去分子を含む第2のプロセスガスを前記処理チャンバ内の前記基板上に流し、変換分子を含む第3のプロセスガスを前記処理チャンバ内の前記基板上に流すように構成されたプロセスガスユニットと、
前記第1のプロセスガスを前記基板上に流し、それによって前記基板上に第1の材料の改質層を形成し、前記基板は、第2の材料の表面に隣接して前記第2の材料の前記表面を覆う前記第1の材料を有し、
前記第2のプロセスガスを前記基板上に流し、それによって前記第1の材料の前記改質層を除去し、
前記第3のプロセスガスを前記基板上に流し、前記第2の材料の前記表面が解放されると、前記表面を前記第2の材料の変換層に変換し、前記第1のプロセスガスおよび前記第2のプロセスガスは、前記第1の材料および前記第2の材料よりも前記変換層との反応性が低い
ように構成された命令を有するコントローラと
を備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
参照による援用:
本出願の一部として、本明細書と同時にPCT出願願書が提出される。この同時出願されたPCT出願願書に明記され、本出願が利益または優先権を主張する各出願は、参照によりその全体があらゆる目的で本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体製作は、多くの場合、一部の材料が基板の他の露出面のエッチングを防止するために選択的にエッチングされるパターニングスキームおよび他のプロセスを伴う。デバイスの幾何学的形状がますます小さくなるにつれて、他の材料をエッチングすることなく所望の材料を効果的にエッチングするために、エッチング選択性が高いプロセスが望まれている。
【0003】
ここで提供される背景の説明は、本開示の内容を概ね提示することを目的とする。この背景技術のセクションで説明されている範囲内における、現時点で名前を挙げられている発明者らによる研究、ならびに出願の時点で先行技術として別途みなされ得ない説明の態様は、明示または暗示を問わず、本開示に対抗する先行技術として認められない。
【発明の概要】
【0004】
本開示のシステム、方法、およびデバイスは各々、いくつかの革新的な側面を有し、それらの態様は、1つとして、本明細書に開示される望ましい属性を単独で担うものではない。これらの態様には少なくとも以下の実施態様が含まれるが、さらなる実施態様が詳細な説明に記載されるか、または本明細書で提供される議論から明らかになる可能性がある。
【0005】
いくつかの実施形態では、方法を提供することができる。方法は、基板を処理チャンバに設けることであって、基板は、第2の材料の表面に隣接して第2の材料の表面を覆う第1の材料を有することと、第1のプロセスガスを基板上に流し、それによって第1の材料の改質層を形成することによって第1の材料の層を改質することと、第2のプロセスガスを基板上に流すことによって第1の材料の改質層を除去することと、第2の材料の表面が改質層の除去を介して解放されると、第3のプロセスガスを基板上に流すことによって表面を第2の材料の変換層に変換することであって、第1および第2のプロセスガスは、第1の材料および第2の材料よりも変換層との反応性が低いこととを含むことができる。
【0006】
いくつかの実施形態では、方法は、変換後、第4のプロセスガスを基板上に流すことによって変換層を材料の改質変換層に改質することと、第5のプロセスガスを基板上に流すことによって改質変換層を除去することとをさらに含んでもよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、第3のプロセスガスを流すことは、改質の前に行われてもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、第3のプロセスガスを流すことは、改質の後に行われてもよい。
【0009】
いくつかのそのような実施形態では、第3のプロセスガスを流すことは、除去の前に行われてもよい。
【0010】
いくつかのさらなるそのような実施形態では、方法は、第3のプロセスガスを流した後、および除去の前にパージガスを流すことをさらに含んでもよい。
【0011】
いくつかのそのような実施形態では、第3のプロセスガスを流すことは、除去の後に行われてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、第3のプロセスガスを基板上に流すことは、第1のプロセスガスを基板上に流すことと少なくとも部分的に重なってもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、第3のプロセスガスを基板上に流すことは、第2のプロセスガスを基板上に流すことと少なくとも部分的に重なってもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、第3のプロセスガスを基板上に流すことは、第1のプロセスガスを基板上に流すこと、および第2のプロセスガスを基板上に流すことと少なくとも部分的に重なってもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、変換は、第2の材料の表面が第1の材料の除去中または除去後に解放されるときに行われてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、除去中、第2のプロセスガスは、第1のエッチング速度で第1の材料の改質層を除去してもよく、除去中、第2のプロセスガスは、第1のエッチング速度の約50%以下の第2のエッチング速度で変換層を除去してもよい。
【0017】
いくつかのそのような実施形態では、第2のエッチング速度は、第1のエッチング速度の約15%以下であってもよい。
【0018】
いくつかのそのような実施形態では、除去中、第2のプロセスガスは、第1のエッチング速度よりも高い第3のエッチング速度で第2の材料を除去することが可能であってもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1のプロセスガスは、改質分子を含んでもよく、第2のプロセスガスは、除去分子を含んでもよく、第3のプロセスガスは、変換分子を含んでもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、第3のプロセスガスは、前駆体を含んでもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、変換層は、第2の材料の単原子層であってもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1の材料および第2の材料は、酸化物であってもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、第1の材料および/または第2の材料は、半導体酸化物であってもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、変換層は、第2のプロセスガスに対して不活性であってもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、変換層と第2のプロセスガスとの間の反応は、副生成物を生成しなくてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、方法は、変換の前に、改質および除去を繰り返してある量の第1の材料を除去することをさらに含んでもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、第1の材料は、酸化アルミニウムを含んでもよく、第2の材料は、酸化亜鉛を含んでもよく、第1のプロセスガスは、フッ化水素を含んでもよく、第2のプロセスガスは、トリメチルアルミニウムを含んでもよく、第3のプロセスガスは、四塩化ジルコニウムを含んでもよく、変換層は、酸化ジルコニウムを含んでもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、方法は、第4のプロセスガスを基板上に流すことによって変換層を除去することであって、第4のプロセスガスは、塩化ジメチルアルミニウムを含むことをさらに含んでもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、変換は、第3のプロセスガス中の元素と第2の材料との間のカチオン交換を含んでもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、改質および除去は、基板が同じ、または実質的に同じ温度に維持されている間に行われてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、改質は、基板が第1の温度に維持されている間に行われてもよく、除去は、基板が第1の温度とは異なる第2の温度に維持されている間に行われてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、変換中、水蒸気が基板に供給されなくてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、方法を提供することができる。方法は、基板を処理チャンバに設けることであって、基板は、第2の材料の表面に隣接して第2の材料の表面を覆う第1の材料を有することと、第1のプロセスガスを基板上に流し、それによって第1の材料の改質層を形成することによって第1の材料の層を改質することと、第2のプロセスガスを基板上に流すことによって第1の材料の改質層を除去することと、第2の材料の表面が改質層の除去を介して解放されると、第2の材料の表面をエッチング停止材料の層に選択的に変換することとを含むことができ、エッチング停止材料の層は、第2の材料の上にのみ位置決めされ、それにより除去中、第1の材料の改質層およびエッチング停止材料の層が第2のプロセスガスに曝露されるようになり、第2のプロセスガスは、第1の材料の改質層および第2の材料よりもエッチング停止材料の層との反応性が低い。
【0034】
いくつかの実施形態では、半導体処理用の装置を提供することができる。装置は、内部、および内部で基板を支持するように構成された基板支持体を含む処理チャンバと、改質分子を含む第1のプロセスガスを処理チャンバ内の基板上に流し、除去分子を含む第2のプロセスガスを処理チャンバ内の基板上に流し、変換分子を含む第3のプロセスガスを処理チャンバ内の基板上に流すように構成されたプロセスガスユニットと、第1のプロセスガスを基板上に流し、それによって基板上に第1の材料の改質層を形成し、基板は、第2の材料の表面に隣接して第2の材料の表面を覆う第1の材料を有し、第2のプロセスガスを基板上に流し、それによって第1の材料の改質層を除去し、第3のプロセスガスを基板上に流し、第2の材料の表面が解放されると、表面を第2の材料の変換層に変換し、第1および第2のプロセスガスは、第1の材料および第2の材料よりも変換層との反応性が低いように構成された命令を有するコントローラとを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1図1は、開示された実施形態による動作を実施するための例示的なプロセスフロー図である。
【0036】
図2図2は、開示された実施形態による原子層エッチングの例示的な概略図である。
【0037】
図3図3は、開示された実施形態による動作を実施するための別の例示的なプロセスフロー図である。
【0038】
図4A図4Aは、開示された実施形態による動作を実施するためのさらに別の例示的なプロセスフロー図である。
【0039】
図4B図4Bは、開示された実施形態による動作を実施するための別の例示的なプロセスフロー図である。
【0040】
図5図5は、開示された実施形態による動作を実施するための別の例示的なプロセスフロー図である。
【0041】
図6A図6Aは、ウエハ上への第3のプロセスガスの様々な流れをさらに示す図である。
図6B図6Bは、ウエハ上への第3のプロセスガスの様々な流れをさらに示す図である。
図6C図6Cは、ウエハ上への第3のプロセスガスの様々な流れをさらに示す図である。
図6D図6Dは、ウエハ上への第3のプロセスガスの様々な流れをさらに示す図である。
【0042】
図7図7は、熱原子層エッチングを含む、開示された実施形態による半導体処理のための例示的な装置を図示する図である。
【0043】
図8A図8Aは、本明細書に記載のエッチング動作を実施するために使用することができる、ギャップを調整可能な容量結合閉じ込めRFプラズマリアクタの一実施形態を示す図である。
図8B図8Bは、本明細書に記載のエッチング動作を実施するために使用することができる、ギャップを調整可能な容量結合閉じ込めRFプラズマリアクタの一実施形態を示す図である。
図8C図8Cは、本明細書に記載のエッチング動作を実施するために使用することができる、ギャップを調整可能な容量結合閉じ込めRFプラズマリアクタの一実施形態を示す図である。
【0044】
図9図9は、真空移送モジュールとインターフェースする様々なモジュールを有する半導体プロセスクラスタアーキテクチャを図示する図である。
【0045】
図10図10は、材料を堆積するために使用することができるプロセスステーションの概略図である。
【0046】
図11図11は、マルチステーション処理ツールの概略図である。
【0047】
図12図12は、特定の実施形態による薄膜堆積プロセスを行うのに適した処理システムのブロック図である。
【0048】
図13図13は、マルチステーション処理ツールの概略図である。
【0049】
図14図14は、マルチステーション処理ツールの別の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下の説明では、提示された実施形態の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が記載されている。開示された実施形態は、これらの具体的な詳細の一部または全部なしで実践することができる。他の例では、開示された実施形態を不必要に曖昧にしないように、周知のプロセス動作は詳細に説明されていない。開示された実施形態は、特定の実施形態と併せて説明されるが、開示された実施形態を限定することを意図するものではないことが理解されるであろう。
【0051】
本出願では、「半導体ウエハ」、「ウエハ」、「基板」、「ウエハ基板」、および「部分的に製作された集積回路」という用語は、互換的に使用される。当業者は、「部分的に製作された集積回路」という用語が、集積回路製作の多くの段階のいずれかにあるケイ素ウエハを指すことができることを理解するであろう。半導体デバイス業界で使用されるウエハまたは基板は、典型的には、200mm、または300mm、または450mmの直径を有する。以下の詳細な説明は、本発明がウエハ上で実施されることを想定している。しかし、本発明はそのように限定されない。ワークピースは、様々な形状、サイズ、および材料のものであり得る。半導体ウエハに加えて、本発明を利用することができる他のワークピースには、プリント回路基板、磁気記録媒体、磁気記録センサ、ミラー、光学素子、マイクロメカニカルデバイスなどの様々な物品が挙げられる。
【0052】
序論および背景
半導体製作プロセスは、多くの場合、導体、半導体、および誘電体を含む様々な材料のパターニングおよびエッチングを伴う。いくつかの例には、金属または炭素などの導体、ケイ素またはゲルマニウムなどの半導体、および酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化ジルコニウム、二酸化ハフニウム、窒化ケイ素、および窒化チタンなどの誘電体が挙げられる。原子層エッチング(「ALE」)プロセスは、連続する自己制限反応を使用して材料の薄層を除去する。一般に、ALEサイクルは、単層のエッチングなどのエッチングプロセスを1回実施するために使用される最小セットの動作である。1回のALEサイクルによって、基板表面上の膜層の少なくとも一部がエッチングされる。典型的には、ALEサイクルは、反応層を形成する改質動作と、続いてこの反応層のみを除去またはエッチングする除去動作とを含む。サイクルは、反応剤または副生成物の1つを除去するなどの特定の補助動作、ならびに処理チャンバの表面上に蓄積した残留物を除去する洗浄動作を含む場合がある。一般に、サイクルには、固有の動作シーケンスの1つのインスタンスが含まれる。
【0053】
一例として、ALEサイクルは、以下の動作を含むことができる:(i)反応剤ガスである第1のプロセスガスの送給、(ii)チャンバからの反応剤ガスのパージ、(iii)除去ガスおよび任意選択のプラズマである第2のプロセスガスの送給、ならびに(iv)チャンバのパージ。いくつかの実施形態では、エッチングは、非共形的に実施され得る。場合によっては、処理チャンバの表面上に蓄積した残留物を除去するために、1つまたは複数のサイクルの後に洗浄動作が実施されてもよい。改質動作は、一般に、非改質材料よりも薄い、例えば1つ、2つ、もしくは3つの原子層の厚さ、または1サイクルにおいて原子層全体よりも薄い厚さを有する、薄い反応性表面層を形成する。
【0054】
本明細書に記載のALEプロセスのいくつかの実施態様は、「熱ALE」とみなされ得る改質および/または除去動作において化学反応を駆動するために、特定の温度または温度範囲に基板を維持することと併せて化学反応に依存する場合がある。いくつかの実施形態では、この熱ALEは、等方性エッチングとみなされてもよい。いくつかの実施形態では、基板の1つまたは複数の層は、基板が第1の温度に維持されている間、プラズマではなく化学吸着(chemical adsorption)(以下、「化学吸着(chemisorption)」)により改質されてもよく、その後、基板の1つまたは複数の改質層は、基板が第2の温度にある間、プラズマではなく脱離により除去することができる。いくつかの実施形態では、第1および第2の温度は同じであってもよいが、他のいくつかの実施形態では、互いに異なっていてもよい。化学吸着および脱離は、別々の温度レジームで起こるか、部分的に重複する温度レジームで起こるか、または同じ温度レジームで起こり得る、温度依存性の化学反応である。このため、本明細書に記載の熱ALE技法のいくつかは、改質および除去動作中に同じ、または実質的に同じ温度に基板の温度を維持する。いくつかの他の実施形態は、改質動作のためにある温度で生じる化学吸着を可能にして利用し、かつ除去動作のために異なる温度で生じる脱離を可能にして利用するために、改質動作と除去動作との間で基板の温度を調節する。
【0055】
熱ALEのいくつかの実施形態では、プラズマは除去動作中ではなく改質動作中に使用され得るが、いくつかの他の実施形態では、プラズマが改質動作と除去動作の両方の間に使用されてもよく、これらの動作中の温度が変化する。
【0056】
一部の熱ALEプロセスでは、材料の1つまたは複数の表面層が、基板が第1の温度に維持されている間に化学吸着によって改質され、これにより基板の1つまたは複数の改質表面層が形成され得る。基板は、材料の層と、材料の均一な層であってもよいし、異なる分子および元素を含む不均一な層であってもよい露出面とを含む。改質分子を有する第1のプロセスガスは、第1の温度に維持された基板上に流すことができる。いくつかの実施形態では、改質分子は、基板上の露出分子をハロゲン化するためにフッ素などのハロゲンを含むことができる一方、いくつかの実施形態では、基板上の露出分子を酸化するために酸素を含むことができる。第1のプロセスガスはまた、N2、Ar、He、およびNeなどのキャリアガスを含んでもよい。この第1の温度は、改質分子と材料の露出面における分子の少なくとも一部との間の化学吸着を可能にする。
【0057】
「第1の温度」という用語が使用されるが、本明細書で論じられる温度は、特定の温度、または図2および図3で強調されているような温度範囲の両方であるとみなされ得る。いくつかの実施形態では、第1の温度は、例えば、約20℃~500℃、約20℃~150℃、約20℃~100℃、約20℃~80℃、約200℃~600℃、約200℃~500℃、約200℃~350℃、または約350℃~500℃であってもよい。加えて、基板は、改質動作のすべて、または実質的にすべて(例えば、少なくとも80%、90%、または95%)の間、その温度に維持され得る。改質動作の持続時間は、基板上の所望の露出分子の実質的にすべて(例えば、少なくとも80%、90%、または95%)の改質が起こる持続時間であり得る。これは、例えば、約0.5秒~約10秒、0.5秒~約5秒、約1秒~約5秒、または約30秒~2分の範囲であってもよい。
【0058】
改質動作の後、任意選択のパージ動作を実施することができる。改質および除去動作が異なる温度で実施される実施形態のいくつかでは、改質動作の後、基板の温度を第2の温度にすることができ、任意選択のパージ動作を実施することができる。この第2の温度は、1つまたは複数の改質表面層に対する脱離が起こる温度であり得る。いくつかの実施形態では、第2の温度は第1の温度よりも高くてもよく、基板の温度は第1の温度から第2の温度に上昇させてもよい。いくつかの他の実施形態では、第2の温度は第1の温度よりも低くてもよく、これらの実施形態では、基板の温度は第1の温度から第2の温度に能動的に冷却されてもよい。基板は、輻射加熱、対流加熱、固体間熱伝達を使用して、またはプラズマを用いて加熱することができる。加えて、基板の上部、底部、またはその両方を加熱してもよい。いくつかの実施形態では、基板の加熱は非線形的に行われてもよく、基板は様々な方式で能動的に冷却されてもよい。上記のように、いくつかの実施形態では、第2の温度は、改質および除去動作が同じ、または実質的に同じ温度で実施されるように第1の温度と同じ、または実質的に同じであってもよい。
【0059】
1つまたは複数の改質表面層は、基板が第2の温度に維持されている間に除去され得る。いくつかの実施形態では、第2の温度のみが基板からの改質された分子の脱離を可能にされるため、脱離を引き起こすことによって基板から改質された分子を除去することができる。いくつかの他の実施形態では、除去分子を有する第2のプロセスガスが、基板上(基板の露出面上を含む)に流され得る。第2のプロセスガスはまた、上述のようにキャリアガスを含んでもよい。これらの除去分子は改質された分子と反応し、揮発した分子とみなされ得る異なる揮発性分子を形成する可能性がある。次にこの揮発した分子は、基板が第2の温度にあるとき、脱離によって基板から除去され得る。いくつかの実施形態では、この第2のプロセスガスの流れは、除去動作の一部であってもよいし、基板の加熱前、加熱後、または加熱中に行われる別々の動作であってもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、第2の温度は、第1の温度と同じであっても異なっていてもよく、例えば、約20℃~500℃、約20℃~150℃、約20℃~100℃、約20℃~80℃、約200℃~600℃、約200℃~500℃、約200℃~350℃、または約350℃~500℃の範囲であってもよい。加えて、基板は、除去動作のすべて、または実質的にすべて(例えば、少なくとも80%、90%、または95%)の間、その温度に維持され得る。除去動作の持続時間は、基板上の所望の分子の実質的にすべて(例えば、少なくとも80%、90%、または95%)の脱離が起こる持続時間であり得る。これは、約0.5秒~約10秒、約0.5秒~約5秒、約1秒~約5秒、約0.5秒~2分、または約30秒~2分の範囲であってもよい。
【0061】
いくつかの他のALEプロセスでは、プラズマなどからのイオンエネルギーを使用して、改質および/または除去動作を駆動することができる。例示的な改質動作では、塩素をチャンバ内に導入することによって基板を塩素化することができる。塩素が例示的なエッチャント種またはエッチングガスとして使用されるが、異なるエッチングガスがチャンバ内に導入されてもよいことが理解されるであろう。エッチングガスは、エッチングされる基板のタイプおよび化学的性質に応じて選択することが可能である。プラズマが点火されると、塩素がエッチングプロセスのために基板と反応することができ、塩素は基板と反応するか、または基板の表面上に吸着され得る。プラズマから生成される種は、基板を収容するプロセスチャンバ内でプラズマを形成することによって直接生成することもできるし、または基板を収容しないプロセスチャンバ内で遠隔的に生成し、そして基板を収容するプロセスチャンバ内に供給することもできる。
【0062】
場合によっては、パージは、改質および/または除去動作後を含む、本明細書に記載の動作のいずれかの後に実施されてもよい。パージ動作では、塩素またはハロゲン種などの非表面結合活性改質分子をプロセスチャンバから除去することができる。これは、吸着層を除去することなく、プロセスチャンバをパージおよび/または排気して活性種を除去することによって行うことができる。プラズマを使用するいくつかの実施態様では、プラズマ内で生成された種は、プラズマを停止し、残りの種を減衰させることによって除去することができ、任意選択でチャンバのパージおよび/または排気と組み合わせることができる。パージは、N2、Ar、Ne、He、およびそれらの組み合わせなどの任意の不活性ガスを使用して行うことができる。
【0063】
プラズマを利用する除去動作では、基板をエネルギー源に曝露することで、指向性スパッタリング(これは活性化ガスもしくはスパッタリングガス、または除去を誘発する化学反応種を含み得る)によって基板をエッチングすることができる。いくつかの実施形態では、除去動作は、アルゴンイオンまたはヘリウムイオンを使用するイオン衝撃によって実施され得る。除去中、バイアスを任意選択でオンにして、指向性スパッタリングを容易にすることができる。いくつかの実施形態では、ALEは等方性であってもよいが、いくつかの他の実施形態では、指向性イオンが除去プロセスで使用される場合、ALEは等方性ではない。
【0064】
様々な例において、熱ALEおよびプラズマ支援ALEの改質および除去動作は、約1~約30サイクル、または約1~約20サイクルなどのサイクルで繰り返され得る。所望の量の膜をエッチングするために、任意の適切な数のALEサイクルを含めることが可能である。いくつかの実施形態では、ALEは、基板上の層の表面の約1オングストローム(Å)~約50Åをエッチングするサイクルで実施される。いくつかの実施形態では、ALEのサイクルは、基板上の層の表面の約2Å~約50Åをエッチングする。いくつかの実施形態では、各ALEサイクルは、少なくとも約0.1Å、0.5Å、1Å、2Å、または3Åをエッチングすることができる。
【0065】
場合によっては、エッチングの前に、基板は、ケイ素またはゲルマニウムなどの材料のブランケット層を含んでもよい。基板は、基板上に予め堆積およびパターニングされたパターニングマスク層を含むことができる。例えば、マスク層は、ブランケットアモルファスケイ素層を含む基板上に堆積およびパターニングすることができる。基板上の層もまた、パターニングすることができる。基板は、ビアまたはコンタクトホールなどの「フィーチャ」を有することができ、フィーチャは、幅狭および/またはリエントラント型の開口部、フィーチャ内の狭窄部、ならびに高アスペクト比の1つまたは複数によって特徴付けられ得る。フィーチャの一例は、半導体基板または基板上の層内の穴またはビアである。別の例は、基板または層内のトレンチである。様々な例において、フィーチャは、バリア層または接着層などの下層を有し得る。下層の非限定的な例には、誘電体層および導電層、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、および金属層が挙げられる。別の例示的なフィーチャは、指向性イオンがアクセスすることができない場所でのエッチングを必要とし得るオーバーハングまたは棚部を含む場合がある。
【0066】
一部の熱ALEおよび/またはプラズマ支援ALEプロセスでは、ターゲット材料によって覆われた別の材料をエッチングせずにターゲット材料をエッチングすることが望ましく、これは、ターゲット材料を他の材料に対して選択的にエッチングすると表現される場合がある。一部の材料およびエッチング化学物質では、典型的なALE処理および化学物質によりこの選択性を達成することができない。これらの典型的なALEプロセスの一部では、エッチングフロントがターゲット材料を除去して下にある他の材料に達すると、望ましくないことにこの他の材料のエッチングおよび除去が継続される場合がある。この望ましくないエッチングは、例えば、high-k誘電体、high-k酸化物、半導体、金属、または他のhigh-k誘電体、high-k酸化物、半導体、金属を覆っている他の酸化物をエッチングするときに発生する可能性がある。したがって、これらの従来のALEプロセスの一部は、あるhigh-k酸化物を別のhigh-k酸化物または半導体に対して選択的に除去する能力を有さない。
【0067】
高い選択性を有するエッチング技法
本明細書では、材料間のエッチング選択性を高めるための技法および装置が提供される。これは、ターゲット材料と呼ばれる、別の材料を覆うある材料をエッチングすることと、この他の材料のエッチングを低減および/または制限することとを含む。いくつかの実施形態は、下地材料のエッチングを防止および/または低減するエッチング停止層を形成する第3のプロセスガスを導入することを含んでもよい。この第3のプロセスガスは、ターゲット材料のエッチングを制限するか、またはエッチングをしないことも可能である。いくつかの実施形態では、第3のプロセスガスは、その成分の実質的にすべて(例えば、少なくとも99%以上)が気相にあるガスと、その成分が浮遊液滴として気相と液相の両方にあり得る蒸気の両方とみなすことができる。いくつかの実施態様では、エッチング停止層は、下地材料上に選択的に堆積される材料の堆積層であってもよい。エッチング停止層は、変換層であっても堆積層であっても、材料の第2の層および材料の改質層よりもエッチング化学物質との反応性が低いとみなされ得、材料の第2の層および材料の改質層と比較してこのエッチング停止材料のエッチングを制限および低減する。
【0068】
いくつかの実施態様では、エッチング停止層は、下地材料の露出面を、ターゲット材料を除去するために使用されるエッチング化学物質に耐えることが可能な変換層に変換することによって形成され得る。このエッチング停止層、または変換層は、下地材料の層の変換によって形成され、場合によっては、ターゲット材料の組成を変えることなく、またはターゲット材料をエッチングするために使用される主要なエッチング化学物質を干渉することなく、第3のプロセスガスと下地材料との間のカチオン交換によって達成され得る。これは、その材料の少なくとも1つの単原子層の変換であり得る。いくつかの実施態様では、エッチング停止層は、表面が露出したとき、蒸気状化合物を使用した下地材料の表面の変換を介して形成される。第3のプロセスは、この変換のために蒸気相中にカチオン成分を供給し、この変換の残りの要素は、下地材料の表面によって提供される。いくつかの実施形態では、下地材料のカチオン成分は、基板の表面から離れる、または基板から脱離する揮発性分子に変換される。第3のプロセスガス、例えば、流入する蒸気中のカチオンは、その配位子(例えば、塩素)を表面上の配位子(例えば、酸素)と交換し、それによって固体または不揮発性になる。
【0069】
加えて、いくつかの実施態様では、エッチング化学物質、第3のプロセスガス、および結果として得られるエッチング停止層が互いに適合することが望ましく、それにより例えば、変換層が形成されて材料の下地層を保護している間、第1の材料のエッチングを継続することができ、および/またはエッチング化学物質が第3のプロセスガスと反応せず、またはエッチング停止層をエッチングしないようになる。例えば、第1の材料は、ウエハ全体上および/またはウエハ全体にわたる様々な場所で同時におよび/または同じ速度でエッチングされない場合がある。様々な理由により、一部のエッチングプロセスはウエハの中心で始まり、半径方向外側に継続し、それによって縁部領域の前に中心領域をエッチングする。これにより中心領域における所望の量の材料が縁部領域よりも速く除去される場合があり、これには所望の材料がウエハの一部から除去された後もエッチング化学物質がウエハ上に流れ続けることが必要となり得る。
【0070】
別の例では、第1の材料は、穴(またはビア、またはトレンチ)の側面および底部に堆積され、同様に穴内にある第2の材料を覆うことができ、水平面のエッチング速度が垂直面のエッチング速度よりも低い場合があるため、穴の側面にある第1の材料が除去される前に、穴、ビア、またはトレンチの穴の底部および/または上部をエッチングして第2の材料を露出させることができる。これは、第2の材料が穴の底部および/または上部で露出される一方、穴の側面にある第1の材料を除去するために穴内でエッチングを続ける必要があり得る。したがって、いくつかの実施態様では、エッチングにより下地材料が露出したウエハ上に変換層を形成すると同時に、ウエハ上で第1の材料のエッチングを継続させることが望ましい。したがって、本明細書で提供されるいくつかの実施態様は、互いに悪影響を及ぼさない変換分子およびエッチング化学物質を使用し、それにより第1の材料のエッチングがウエハ上で継続することができる一方、下地材料がそのエッチングによって露出されるときに変換層も形成される。
【0071】
ターゲット材料をエッチングするために使用される化学物質は、ターゲット材料および/または他の材料のエッチング速度よりも低いエッチング速度、例えばターゲット材料および/または他の材料の50%、25%、15%、10%、5%、1%、0.1%、または0.05%以下のエッチング速度でエッチング停止層をエッチングすることができる。
【0072】
以下でより詳細に論じられるように、第3のプロセスガスは、処理の様々な側面の間に導入され得る。これは、1つまたは複数のALEサイクルの間、改質もしくは除去などのALEプロセスステップ中に第3のプロセスガスを並流させること、および/または除去動作と改質動作との間など、他のプロセスガスが流されていない間に第3のプロセスガスを流すことを含んでもよい。例示的なプロセスは、改質動作を実施し、続いてパージを実施し、次に第3のプロセスガスを流し、続いて別のパージを実施し、その後に除去動作を実施することを含むことができる。任意選択で、変換層は、異なる改質分子を用いた別々の改質動作および異なる除去分子を用いた別々の除去動作によって除去されてもよい。
【0073】
図1は、開示された実施形態による動作を実施するための例示的なプロセスフロー図を図示する。ブロック101では、ウエハが、ウエハのエッチングを実施するように構成された処理チャンバに設けられる。ウエハは、その上に堆積された少なくとも2つの材料を有することができ、第1の材料は、第2の材料の表面に隣接して第2の材料の表面を覆う。この被覆は、ウエハがその底面に位置決めされたとき、第1および第2の材料が垂直に配置され、第1の材料が第2の材料の上にあり第2の材料を覆うように、垂直被覆であってもよい。この被覆は、代替的または追加的に、ウエハがその底面に位置決めされたとき、第1および第2の材料が互いに対して水平に配置され、第1の材料が第2の材料を覆うように、水平被覆であってもよい。いくつかの実施形態では、両方の被覆が、垂直被覆と水平被覆の両方であってもよい。上述したように、これは、穴、ビア、またはトレンチの側壁に沿って第2の材料を覆う第1の材料を含む場合があり、水平面上のエッチング速度が垂直面上のエッチング速度を超える可能性があるため、さらなる課題が生じる。1つの単一の穴またはビアでは、変換層が水平面上に形成されその上で形成されている間、垂直面のエッチングを継続しなければならない。
【0074】
ブロック103では、ターゲット材料ともみなされる第1の材料の改質動作が実施され得る。改質動作は、改質分子を含む第1のプロセスガスをウエハ上に流し、その後の除去動作において未改質材料よりも容易に除去される薄い反応性表面層を形成することを含むことができる。これらの改質分子には、例えば、塩素またはフッ素などのハロゲン種が挙げられ得る。フッ素が開示された実施形態では例示的なエッチャント種として使用され、フッ化水素(HF)として基板上に流されてもよいが、いくつかの実施形態では、異なるエッチングガスがチャンバ内に導入されることが理解されるであろう。エッチングガスは、エッチングされる基板のタイプおよび化学的性質に応じて選択することが可能である。
【0075】
いくつかの実施形態では、改質分子が半導体上に吸着するための活性化障壁を克服するのを支援する活性化エネルギーを提供することができる。この活性化エネルギーは、基板の加熱および/またはプラズマもしくは光子の生成を含み得る、熱エネルギー、ラジカルエネルギー、またはその両方によって提供されてもよい。第1の材料上への改質分子のこの吸着は、エネルギー依存性(例えば、温度依存性)の化学反応である化学吸着(chemical adsorption)または「化学吸着(chemisorption)」とみなすことができる。一部の熱ALE技法では、改質動作中のこの化学吸着は、材料の層内の分子および流入する改質分子の活性化障壁の克服を可能にする特定の温度範囲でのみ発生し得、これにより、これらの分子と改質分子内の吸着質との間の解離および化学結合が可能になる。この温度範囲外では、化学吸着は発生しないか、または望ましくない(例えば、遅い)速度で発生する可能性がある。
【0076】
したがって、ブロック103のいくつかの実施態様は、材料の1つまたは複数の表面層が、基板が第1の温度に維持されている間に化学吸着によって改質されることを含み、これにより基板の1つまたは複数の改質表面層が形成され得る。基板は、材料の層と、材料の均一な層であってもよいし、異なる分子および元素を含む不均一な層であってもよい露出面とを含む。改質分子を有する第1のプロセスガスは、第1の温度に維持された基板上に流すことができる。いくつかの実施形態では、改質分子は、基板上の露出分子をハロゲン化するためにフッ素などのハロゲンを含むことができる一方、いくつかの実施形態では、基板上の露出分子を酸化するために酸素を含むことができる。様々な実施形態において、改質分子は、気体形態または蒸気形態(例えば、両方のガス液体形態を含む)でチャンバ内に導入され、任意選択で、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、またはネオンなどのキャリアガスを伴ってもよい。この第1の温度は、改質分子と材料の露出面における分子の少なくとも一部との間の化学吸着を可能にする。
【0077】
「第1の温度」という用語が使用されるが、本明細書で論じられる温度は、特定の温度、または図2および図3で強調されているような温度範囲の両方であるとみなされ得る。いくつかの実施形態では、第1の温度は、例えば、約20℃~500℃、約20℃~150℃、約20℃~100℃、約20℃~80℃、約200℃~600℃、約200℃~500℃、約200℃~350℃、または約350℃~500℃であってもよい。加えて、基板は、改質動作のすべて、または実質的にすべて(例えば、少なくとも80%、90%、または95%)の間、その温度に維持され得る。改質動作の持続時間は、基板上の所望の露出分子の実質的にすべて(例えば、少なくとも80%、90%、または95%)の改質が起こる持続時間であり得る。これは、例えば、約0.5秒~約10秒、0.5秒~約5秒、または約1秒~約5秒の範囲であってもよい。
【0078】
プラズマ支援改質を利用するいくつかの実施態様では、プラズマから生成される種は、例えば、基板を収容するプロセスチャンバ内でプラズマを形成することによって直接生成することもできるし、または基板を収容しないプロセスチャンバ内で遠隔的に生成し、そして基板を収容するプロセスチャンバ内に供給することもできる。
【0079】
図1には示されていないが、任意選択のパージ動作がブロック103の後に実施されてもよい。パージ動作では、フッ素または塩素種などの非表面結合活性改質分子が、プロセスチャンバ、チャンバ壁、チャンバガス容積、および/または基板から除去され得る。これは、吸着層を除去することなく、プロセスチャンバをパージおよび/または排気して活性種を除去することによって行うことができる。プラズマ内で生成された種は、プラズマを停止し、残りの種を減衰させることによって除去することができ、任意選択でチャンバのパージおよび/または排気と組み合わせることができる。パージは、N2、Ar、Ne、He、およびそれらの組み合わせなどの任意の不活性ガスを使用して行うことができる。
【0080】
ブロック105では、第1の材料の改質層の除去動作が実施される。これは、除去分子を含む第2のプロセスガスを基板上に流すことと、ウエハを熱エネルギー、プラズマ、または活性化ガスもしくはスパッタリングガスなどのエネルギー源、あるいはアルゴンまたはヘリウムなどの除去を誘発する化学反応種に曝露し、指向性スパッタリングによって基板をエッチングすることとを含むことができる。いくつかの熱ALEの実施態様では、除去動作は、除去動作と同じ温度、または実質的に同じ温度(すなわち、第1の温度)で行われてもよい。いくつかの他の熱ALEの実施態様では、除去動作は、ブロック103の改質動作の第1の温度範囲とは異なる第2の温度または温度範囲で行われてもよい。
【0081】
脱離の場合、特定の温度範囲により、改質された分子の活性化障壁を克服することが可能になり、基板の表面から改質層を解放することができる。いくつかの例では、化学吸着および脱離が起こる温度範囲は重複しないが、他の例では部分的または完全に重複する場合がある。したがって、化学吸着および脱離を使用して基板から分子を除去するために、いくつかの実施態様は、除去および改質動作中に同じ、または実質的に同じ温度に基板を維持することができる。異なる温度レジームで起こる化学吸着および脱離を使用して基板から分子を除去するために、ブロック103の改質動作は第1の温度範囲で起こり得、ブロック105の除去動作は第1の温度よりも高いまたは低い第2の異なる温度範囲で起こり得る。いくつかのそのような実施形態は、除去および改質動作中に同じ、または実質的に同じ温度に基板を維持することによって複数のサイクルを実施して材料の複数の層を除去することができるが、他の実施形態は、化学吸着および脱離のための2つの温度レジームの間で基板を繰り返し加熱および冷却することができる。
【0082】
異なる温度レジームを使用する実施形態のいくつかでは、ブロック105の間または前に、基板の温度を第1の温度とは異なる第2の温度にすることができる。いくつかの他の実施形態では、第2の温度は、第1の温度と同じ、または実質的に同じ温度である。この第2の温度は、1つまたは複数の改質表面層に対する脱離が起こる温度であり得る。いくつかの実施形態では、第2の温度は第1の温度よりも高くてもよく、これらの実施形態では、ブロック105は基板を第1の温度から第2の温度に加熱することを含んでもよい。いくつかの他の実施形態では、第2の温度は第1の温度よりも低くてもよく、これらの実施形態では、基板は第1の温度から第2の温度に能動的に冷却されてもよい。基板は、輻射加熱、対流加熱、固体間熱伝達を使用して、またはプラズマを用いて加熱することができる。加えて、基板の上部、底部、またはその両方を加熱してもよい。基板の加熱は、いくつかの実施形態では、以下でさらに論じられるように非線形的に行われてもよい。以下でも説明するように、基板は、様々な方式で能動的に冷却することができる。
【0083】
ブロック105では、1つまたは複数の改質表面層は、基板が第2の温度に維持されている間に除去され得る。いくつかの実施形態では、第2の温度のみが基板からの改質された分子の脱離を可能にされるため、脱離を引き起こすことによって基板から改質された分子を除去することができる。いくつかの他の実施形態では、除去分子を有する第2のプロセスガスが、基板上(基板の露出面上を含む)に流され得る。第2のプロセスガスはまた、上述のようにキャリアガスを含んでもよい。これらの除去分子は改質された分子と反応し、異なる揮発性分子、例えば、揮発した分子を形成する可能性がある。次にこの揮発した分子は、基板が第2の温度にあるとき、脱離によって基板から除去され得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、第2の温度は、例えば、約20℃~500℃、約20℃~150℃、約20℃~100℃、約20℃~80℃、約200℃~600℃、約200℃~500℃、約200℃~350℃、または約350℃~500℃であってもよい。加えて、基板は、除去動作のすべて、または実質的にすべて(例えば、少なくとも80%、90%、または95%)の間、その温度に維持され得る。除去動作の持続時間は、基板上の所望の分子の実質的にすべて(例えば、少なくとも80%、90%、または95%)の脱離が起こる持続時間であり得る。これは、約0.5秒~約10秒、約0.5秒~約5秒、約1秒~約5、約0.5秒~2分、または約30秒~2分の範囲であってもよい。
【0085】
ブロック103および105の実施は、単一のALEサイクルとみなすことができる。いくつかの実施態様では、これらのブロック103および105は、複数のサイクルを実施し、第1の材料の原子単層ならびに複数の層を除去するために繰り返され得る。
【0086】
ブロック107では、第2の材料の表面は、第1の材料を除去するために使用されるエッチング化学物質に耐えることが可能な、または耐えるように構成された変換層、すなわち、エッチング停止層に変換される。この変換は、第2の材料の表面が解放または露出しているとき(例えば、第1の材料の改質層の除去を含む第1の材料の除去を介して)、およびウエハ上に流された、または流されている第3のプロセスガスの変換分子の存在下で起こる。この変換は、第2の材料がまだ覆われていて変換分子に曝露されていない場合には起こらない。いくつかの実施態様では、したがってエッチングフロントは、第2の材料の変換が起こる前または起こるときに第2の材料の表面に達して露出させるために、上述のような改質および除去によって第1の材料を除去しなければならない。ブロック107はブロック105の後に図示されているが、ブロック107はブロック105と同時に、またはブロック105の後に行われてもよい。加えて、以下でより詳細に論じられるように、変換分子を含む第3のプロセスガスは、ブロック105の除去動作の前および/または間など、様々な方法で基板上に流されてもよい。様々な実施形態において、変換分子は、蒸気形態または気体形態でチャンバ内に導入され、任意選択で、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、またはネオンなどのキャリアガスを伴ってもよい。
【0087】
図2は、開示された実施形態による原子層エッチングの例示的な概略図を図示する。図解202a~202eでは、材料の単一の層がウエハからエッチングされる。202aでは、ウエハが設けられ、影付きの円で示され、2つの層を有する第1の材料と、白丸で示され、第1の材料に隣接して第1の材料によって覆われ、3つの層を有する第2の材料とを有する。第1の材料の分子は、204としてラベル付けされ、第2の材料の分子は、206としてラベル付けされ、第1の材料の上部層は、第1の材料の表面層208とみなすことができる。202bでは、改質分子210(黒丸、その一部が識別子210で識別される)を有する第1のプロセスガスが基板に導入され、基板の表面層208を改質する。202bの概略図は、改質分子210の一部が基板の表面層208の分子204に吸着され、それによって改質された分子214を含む改質表面層212を形成することを示す(1つの改質された分子214が202bの点線の楕円の内側で識別される)。一部の熱ALE技法では、この図解202bは、基板が上述の第1の温度、例えば、第1の材料の表面上での改質分子の化学吸着を可能にする温度に維持されている間に生じ得る。いくつかの他の実施態様では、この改質動作は、プラズマ支援されてもよい。この図は改質される単一の層を示しているが、いくつかの実施形態では、第1の材料の複数の層が改質されてもよい。
【0088】
202cでは、改質された分子214および改質表面層212が202bで形成された後、第1のプロセスガスは、任意選択でチャンバからパージされてもよい。202dでは、除去分子216がプロセスチャンバ内に導入され、いくつかの実施形態では、これは除去分子216を含む第2のプロセスガスを基板上に流すことによって起こり得る。いくつかの熱ALEの実施形態では、この除去動作は、基板からの改質表面層212の改質された分子214の脱離が起こる第2の温度で実施することができ、これらの除去動作の一部ではプラズマを利用しなくてもよい。いくつかの実施形態では、第2の温度は第1の温度と同じ、または実質的に同じである。他の実施形態では、第1および第2の温度は互いに異なっていてもよく、これらの実施形態では、基板を加熱または冷却することによって温度を第1温度から第2温度に変化させることができる。いくつかの他の実施形態では、第2のプロセスガスはプラズマまたは指向性プラズマと共に導入され、イオン衝撃が実施されて基板の改質面を除去することができる。プラズマ支援動作中、バイアスを基板に印加してイオンを基板に引き寄せることが可能である。この図は除去される単一の層を示しているが、いくつかの実施形態では、第1の材料の複数の層が、事前に改質されている場合には除去されてもよい。202eでは、改質された分子214、したがって改質表面層212が基板から除去されており、第1の材料の第2の層218は第2の材料を覆ったままである。202eに図示される例では、改質分子210は存在しないが、いくつかの実施形態では、これらの改質分子210は、例えば、202bに示すように存在してもよい。いくつかのそのような実施形態では、これらの改質分子210は、図解202fおよび202gなどの後続のプロセスステップで導入され得る。
【0089】
図解202fおよび202gは、除去動作の間および/または後のウエハを示し、第2の材料の表面の例示的な変換を示している。図解202a~202eの動作中、第2の材料は第1の材料によって覆われたままであり、第2の材料の表面はこれらの動作では露出しない。図解202fでは、除去分子216は、第2の材料206を覆っているものから第1の材料の一部、すなわち、第1の材料の改質層218の一部を除去またはエッチングしており、それによって第2の材料の表面を露出させ、すなわち、第1の材料の改質層218の除去を介してこの表面を解放する。第2の材料206のこの露出面は、点線の長方形220内に第2の材料206の3つの分子を有する図解202fに示されている。材料の第1の層を除去するために使用される化学物質により、この第2の材料は、例えば、第1の材料よりも高いエッチング速度でのエッチングを含むエッチングに対して脆弱である。ここで図解202fでは、変換分子222(影付きの菱形として示されている)を含む第3のプロセスガスがウエハ上に流されているか、またはウエハ上に第2のプロセスガスと同時に流れており、これらの変換分子222は、第2の材料の露出面220を材料の変換層に変換する。図解202gでは、第2の材料の露出面220の3つの分子は、暗い陰影を有するこれらの3つの分子または変換された分子によって示されるように、変換分子222によって材料の変換層224に変換されている。この変換層224は、エッチング化学物質に耐えることが可能なエッチング停止層である。
【0090】
図解202hでは、第1の材料の第2の層218が除去され、第2の材料の図示の表面が材料の変換層224、すなわち、変換された分子に変換されている。いくつかの実施形態では、図解202iに示されるように、材料の変換層は除去されてもよい。この除去は2つの動作、すなわち、他の改質分子を有する第4のプロセスガスを流し、これらの変換された分子を異なる揮発した分子に改質することを伴う改質動作と、他の除去分子(図解202iの分子226などを有する第5のプロセスガスを流すことを伴う除去動作とを含むことができる。他のプロセスガスと同様に、第4および第5のプロセスガスは、上に挙げたキャリアガスを含むことができる。加えて、変換層224のこれらの改質および除去ステップは、第4および第5のプロセスガスの交互の流れ、重複する流れ、または並流を使用することによって順次、重複して、または同時に行うことができる。
【0091】
場合によっては、図解202fおよび202gの例示は、「オンザフライ」エッチング停止層の形成とみなされてもよい。材料の第2の層が露出されて変換分子の存在下にあるとき、材料の変換層が「オンザフライ」で形成される。これにより、露出した下にある第2の材料が変換層、すなわち、エッチング停止層で保護されている間、第1の材料のエッチングを継続することが可能になる。
【0092】
上記のように、いくつかの実施形態では、材料の第2の層の変換は、材料の第2の層と変換分子との間のカチオン交換を通じて行われ得る。いくつかのそのような実施態様では、第3のプロセスガスは、材料の層内のカチオン化合物またはカチオン成分と交換されるカチオン成分を蒸気相で供給する。第2の材料のカチオン成分は塩化物に変換され、それによって第3のプロセスガス中のカチオン成分との交換の結果として揮発し得る。
【0093】
例えば、第2の材料は酸化亜鉛であってもよく、変換分子はジルコニウム化合物であってもよく、第2の材料の表面の変換は、材料の酸化ジルコニウム変換層を形成するための亜鉛とジルコニウムの陽イオン交換であってもよい。さらなる例では、亜鉛を含む第2の材料の表面での変換反応は、以下の通りであり得る:例1、第2の材料はZnO(固体)を含み、第3のプロセスガスはZrCl4(ガス)を含み、したがって第2の材料をZrO2(固体)およびZnCl2(ガス)の変換層に変換し、それによって亜鉛を交換および除去する;例2、第2の材料はIn23(固体)を含み、第3のプロセスガスはZrCl4(ガス)を含み、したがって第2の材料をZrO2(固体)およびInCl3(ガス)の変換層に変換し、それによってインジウムを交換および除去する;例3、第2の材料はGa23(固体)を含み、第3のプロセスガスはZrCl4(ガス)を含み、したがって第2の材料をZrO2(固体)およびGaCl3(ガス)の変換層に変換し、それによってガリウムを交換および除去する。
【0094】
これらの例では、第1の材料は、HFおよびトリメチルアルミニウム(TMA)などの一次化学物質によってエッチングすることができるAl23(固体)であってもよい。これらの例に見られるように、第2の材料のカチオン成分、亜鉛、インジウム、およびガリウムは、揮発するため除去可能である塩化物に変換される。
【0095】
本明細書で提供される技法は、同様の性質を有する第1および第2の材料を有するウエハに適用可能であり得る。これには、例えば、酸化物、high-k酸化物、ならびに/または第1の材料のエッチングに使用される化学物質によって両方ともエッチングされ得る酸化物および半導体酸化物である両方の材料が挙げられ得る。いくつかの例には、第1の材料として酸化アルミニウム、および第2の材料として酸化亜鉛が挙げられ得る。
【0096】
本明細書で提供される技法は、例えば、材料の第2の層および改質層よりもエッチング化学物質に対する反応性が低い材料の変換層によって、第1の材料をエッチングするために使用される化学物質に耐えることが可能な、かつ耐えるように構成された材料の変換層を形成する。この反応性は、エッチング速度、結合エネルギー、および反応などの様々な化学的および物理的性質に従って定量化することができる。いくつかの実施形態では、第1の材料、第1の材料の改質層、第2の材料、および/または材料の変換層の間の関係は、エッチング速度により定量化され得る。例えば、第1の材料をエッチングするために使用される化学物質は、第1のエッチング速度で第1の材料をエッチングし(改質層のエッチングを含む)、また、許容できない第2のエッチング速度で第2の材料をエッチングする可能性がある。場合によっては、この第2のエッチング速度は、第1のエッチング速度以上、例えば第1のエッチング速度の少なくとも50%、100%、または200%以上であり得る。改質層を含む第1の材料を除去するために化学物質に曝露されると、変換層は、第1のエッチング速度の50%、25%、15%、10%、5%、2.5%、または1%以下を含む、第1のエッチング速度よりも低いエッチング速度を有し得る。一例では、第1の材料をエッチングするための化学物質は、第1のエッチング速度の約2倍の第2のエッチング速度で第2の材料をエッチングし、第1のエッチング速度の15%未満の第3のエッチング速度で変換材料をエッチングしてもよい。これらの実施態様では、材料の変換層は、第1の材料をエッチングするために使用される化学物質に耐えることが可能であり、かつ耐えるように構成されるとみなされる。
【0097】
いくつかの実施形態では、第1の材料、材料の改質層、第2の材料、および/または材料の変換層の間の関係は、反応副生成物によって定量化され得る。場合によっては、第1の材料を除去するために使用される化学物質は第2の材料と反応して副生成物を生成する場合があり、これらの副生成物は第2の材料を除去するか、場合によっては第2の材料に悪影響を及ぼす可能性がある。しかし、材料の変換層は、いくつかのそのような実施態様では、副生成物を全く生成することなく、または限られた量の副生成物を生成するだけで除去化学物質と反応する可能性がある。いくつかの実施態様では、材料の変換層は、除去化学物質と反応しないか、または除去化学物質との反応が限られている場合がある。これにより、第2の材料の除去を防止または低減し得る。場合によっては、材料の変換層は、除去化学物質に関して受動的であるとみなされることもある。
【0098】
本明細書で提供される様々な技法に戻ると、第2の材料の露出面を変換層に変換するための第3のプロセスガスは、様々な方式で基板上に流すことができる。いくつかの実施形態では、第3のプロセスガスは、エッチングプロセスおよび/またはALEサイクルの様々な時点および/または側面の間に流されてもよい。これは、改質動作の前、改質動作の間、改質動作の後および除去動作の前、除去動作の間、ならびに/または除去動作の後に第3のプロセスガスを流すことを含んでもよい。いくつかのそのような実施形態では、第3のプロセスガスを流した後、かつ別のプロセスガスを流す前に、パージガスをチャンバ内に流すこともできる。
【0099】
いくつかの実施態様では、第3のプロセスガスの流れは、これらの記載された期間の間に開始し、記載された期間または動作のいずれかの間に停止することができる。これは、エッチングプロセスまたはALEサイクル中に流れを1回以上開始および停止することを含んでもよい。例えば、単一のALEサイクルにおいて、第3のプロセスガスの流れは、改質動作の前に開始され、除去動作の終了まで流れ続けることができる。別の例では、第3のプロセスガスの流れは、改質動作の前または開始時に開始され、改質動作の終了時に停止し、その後、除去動作の開始時に再び開始され、除去動作の終了時または終了後に停止することができる。さらに別の例では、第3のプロセスガスの流れは、改質動作の後または除去動作の開始時にのみ開始され、除去動作全体を通して継続し、除去動作の終了時または終了後に停止することができる。別の例では、第3のプロセスガスの流れは改質動作中に開始されるが、この改質動作の開始後、除去動作の終了までまたは終了後まで継続することができる。さらに別の例では、第3のプロセスガスは、第1および第2のプロセスガスが流れていない間、例えば改質動作の前、改質動作と除去動作との間、および/または除去動作の後などに流されてもよい。
【0100】
いくつかの実施形態では、第3のプロセスガスの流れと第2の材料の露出面の変換が同時に行われない場合があることに留意されたい。本明細書で述べたように、変換は、第2の材料の表面が露出したときに起こり、第3のプロセスガスは、この表面が除去動作中に露出する前および/または露出したときに基板上に流され得る。例えば、第3のプロセスガスは、除去動作の前にのみ基板上に流れ、除去動作の間、例えば改質動作の間または後などには基板上に流れないが、第2の材料の表面が解放されて露出したときに変換分子が第2の材料の表面と反応することができるように、第3のプロセスガスが除去動作中に依然として存在していてもよい。これについては、図6A図6Dを含めて、以下でより詳細に論じられる。
【0101】
図3は、開示された実施形態による動作を実施するための別の例示的なプロセスフロー図を図示する。図3では、ブロック301、303、および305は、図1のブロック101、103、および105と同じであり、ここで第3のプロセスガスは、ブロック303の改質動作の一部またはすべての間、ブロック309においてウエハ上に並流されるかまたは同時に流される。ブロック309は、ブロック303の変更動作の開始と同時に、またはその後に開始することができ、いくつかの実施形態では、ブロック309は、ブロック303の改質動作の開始前に開始することができる。ブロック307では、第2の材料の表面は、露出されて第3のプロセスガスの存在下にあるときに変換層に変換される。いくつかの実施形態では、第3のプロセスガスは、ブロック305の除去動作中に並流することができる。いくつかの他の実施形態では、第3のプロセスガスはブロック305の除去動作中に流れていないが、第2の材料の表面が解放されて露出することで変換層に変換されるように、第3のプロセスガスがウエハの周囲に依然として存在する。任意選択のパージが、ブロック303および/または309の後に実施されてもよい。
【0102】
図4Aは、開示された実施形態による動作を実施するためのさらに別の例示的なプロセスフロー図を図示する。図4Aでは、ブロック401、403、および405は、図1のブロック101、103、および105と同じであり、ここで第3のプロセスガスは、ブロック405の除去動作の一部またはすべての間、ブロック407においてウエハ上に並流されるかまたは同時に流される。また、ブロック407では、第2の材料の表面は、露出されて第3のプロセスガスの存在下にあるときに変換層に変換される。いくつかの実施形態では、ブロック407は、ブロック405の除去動作の開始と同時に、またはその後に開始することができ、いくつかの実施形態では、ブロック407は、ブロック405の除去動作の開始前に開始することができる。
【0103】
図4Bは、開示された実施形態による動作を実施するための別の例示的なプロセスフロー図を図示する。図4Bでは、ブロック401、403、および405は図4Aと同じであり、ここで第3のプロセスガスは、ブロック403の改質動作とブロック405の除去動作との間に流され、それによりいくつかの実施形態では、第3のプロセスガスは、ブロック403および405の間に基板上に流れない。ブロック405の除去動作中、図3のブロック307と同様に、ブロック411は、第2の材料の表面が露出されて第3のプロセスガスの存在下にあるとき、その表面が変換層に変換されることを示す。いくつかの実施形態では、任意選択のパージ動作が、ブロック409の後、およびブロック405および411の前に実施されてもよい。
【0104】
代替的または追加的に、第3のプロセスガスは、ウエハ上で実施される全エッチングの一部の間にのみ流されてもよい。これは、例えば、ALEサイクルの総数がN+X ALEサイクルである場合、ウエハ上でN回のALEサイクルを実施した後に第3のプロセスガスを流すことを含み得る。これはまた、ALEサイクルの一部を実施した後、例えば全ALEサイクルの少なくとも10%、50%、80%、または95%を実施した後などに第3のプロセスガスを流すことを含み得る。図5は、開示された実施形態による動作を実施するための別の例示的なプロセスフロー図を図示する。図5のブロック501、503、および505は図1と同じであり、ここでブロック503および505は、N ALEサイクルまたはエッチングサイクルにわたって繰り返される。判定ステップ511が、N ALEサイクルが実施されたと決定すると、ブロック507が実施され、その間に第3のプロセスガスがウエハ上に流され、第2の材料の表面が露出されて第3のプロセスガスの存在下にあるとき、その表面が変換層に変換される。このブロック507は、Nサイクルが実施された後、1つまたは複数のエッチングサイクルにわたって実施され得る。ブロック507はまた、例えば、図4Bに示されるように改質動作および/もしくは除去動作の間、または改質動作と除去動作との間に第3のプロセスガスを流すなど、本明細書に記載の任意の方式で実施されてもよい。
【0105】
いくつかのエッチング動作中に第3のプロセスガスを流すための追加の図が、開示された実施形態によるALEサイクルの概略図を図示する図6A~6Dに示される。これらの図6A図6Dでは、図解602a~602fは、単一のALEサイクル中のウエハを図示する。602aは、改質動作の前のウエハを示しており、図2の動作202eに対応する。例えば、影付きの円は材料の第1の層を表し、白丸は材料の第2の層を表す。図解602bは、図解202bと同様に、改質動作中のウエハを示しており、その間に改質分子610を含む第1のプロセスガスがウエハ上に流され、改質された分子614および第1の材料の改質層618を形成する。いくつかの熱ALEの実施態様では、図解602bの改質は、基板が第1の温度または第1の温度範囲に維持されている間に実施されてもよい。602cは、図解602bの改質動作の後、および除去動作の前の、改質層618を有するウエハを示している。
【0106】
図6A図6Dの図解602dおよび602eは、除去動作中のウエハを示しており、図2の図解202fおよび202gに対応し得る。図解602dでは、除去分子616を含む第2のプロセスガスがウエハ上に流され、第2の材料の表面820を解放して露出させる改質された分子614の除去を引き起こす。また、図解602dでは、変換分子622はウエハの周囲に存在し、図解602eに示されるように、変換分子622の存在下では、第2の材料の露出面622が変換層624に変換される。図解602fでは、改質層624が除去され、変換層が残ったままであり、これは図2の図解202hに対応し得る。ここには示されていないが、任意選択の別々の改質および除去動作を実施し、変換層を除去することができる。
【0107】
いくつかの実施形態では、図6A図6Dの図解602dおよび602eの除去動作は、基板が図解602bの改質動作と同じ、または実質的に同じ温度に維持される熱ALEを用いて実施され得る。いくつかの他の実施形態では、図解602dおよび602eのこれらの除去動作は、基板が図解602bの改質動作の第1の温度または第1の温度範囲とは異なる第2の温度または第2の温度範囲に維持されている間に実施され得る。いくつかの実施態様は、基板温度を変化させるために、図解602bと602dおよび602eとの間で基板を加熱または能動的に冷却することを含むことができる。いくつかの他の実施形態では、図解602bの改質動作および/または図解602dおよび602eの除去動作は、プラズマ支援動作であってもよい。
【0108】
図6A図6Dは、ウエハ上への第3のプロセスガスの様々な流れをさらに示している。図6Aでは、変換分子622を有する第3のプロセスガスは、少なくとも図解602aにおいて602bの改質動作の前にウエハ上に流されている。示すように、図6Aの変換分子622は、図解602a~602eの間に存在し、いくつかの実施形態では、図6Aは、ALEサイクル全体の間に流れる第3のプロセスガスを示し得る。いくつかのそのような実施形態では、第3のプロセスガスは、602bの改質動作の前に図解602aでウエハ上に流れ始め、図解602cの改質動作の後、ならびに図解602dおよび602eの除去動作中の間にウエハ上に流れ続けてもよい。いくつかの実施形態では、第3のプロセスガスは、図解602aの間のみ(第1および第2のプロセスガスが流れていない間は流れているとみなされ得る)、図解602aおよび602bの間のみ、または図解602a、602b、および602cの間のみ流れてもよく、その後停止されるが、変換分子を有する第3のプロセスガスは、それでもなおALEサイクル全体と見なされ得る図解602a~602eに存在し続ける。例えば、第3のプロセスガスは、図解602aおよび602bの間のみ流れ、その後停止されるが、図解602c~602eの間は存在し続けることがある。
【0109】
図6Bでは、変換分子622を有する第3のプロセスガスが、図解602bの改質動作の少なくとも一部の間に基板上に流される。上記のように、第3のプロセスガス流は、改質動作の開始と同時に、またはその後に開始することができる。いくつかの実施形態では、第3のプロセスガスは、図解602cの改質動作の後、および図解602dおよび602eの除去動作の間にウエハ上に流れ続けてもよい。いくつかの実施形態では、第3のプロセスガスの流れは、改質動作の後に停止されてもよく、任意選択のパージが実施されてもよく、その後、図解602dおよび602eの除去動作の間など、その後に第3のプロセスガスは流さなくてもよいが、第3のプロセスガスはそれでもなお依然として存在する場合がある。いくつかの他の実施態様では、第3のプロセスガスの流れは、改質動作の後に停止されてもよく、任意選択のパージが実施されてもよく、その後、図解602dおよび602eの除去動作の前または間に第3のプロセスガスの流れが開始されてもよい。示されるように、変換分子622を有する第3のプロセスガスは、例えば、602dおよび602eの間に流れないなど、これらの図解の一部またはすべての間に流れていない場合であっても図解602b~602eの間に存在し続ける。この図6Bのいくつかの実施形態は、図3の技法に対応し得る。
【0110】
図6Cでは、変換分子622を有する第3のプロセスガスが、図解602cに存在する変換分子で示すように、図解602bの改質動作の後、および除去動作の前に基板上に流される。いくつかの実施形態では、第3のプロセスガスの流れは、図解602dおよび602eの除去動作の間は流れないが、これらの動作中は依然として存在するようにオフにされてもよく、これは、第1および第2のプロセスガスが流れていない間は流れているとみなすことができる。この図6Cのいくつかの実施形態は、図4Bの技法に対応し得る。いくつかの実施形態では、第3のプロセスガスは、図解602cの改質動作の後、ならびに図解602dおよび602eの除去動作の間にウエハ上に流れ続けてもよい。
【0111】
図6Dでは、第3のプロセスガスは、図解602dおよび602eの除去動作の間に基板上に流される。上記のように、第3のプロセスガス流は、除去動作の開始と同時に、またはその後に開始することができる。この図6Dのいくつかの実施形態は、図4Aの技法に対応し得る。
【0112】
ALE動作に伴われる化学物質に応じて、図6A図6Dに示されるものを含む様々な時点で第3のプロセスガスを流すことが有利な場合がある。例えば、第3のプロセスガスは、第1のプロセスガスおよび/または材料の第1の層と不適合であるか、または望ましくない反応を起こす可能性がある。したがって、例えば、図6Cおよび図6Dに示される改質動作の後および/または除去動作の間に第3のプロセスガスのみを流すことによって、これらの望ましくない影響を防止または低減することが有利であり得る。いくつかの他の実施形態では、ALEサイクル中に第3の処理ガスを流すことによる望ましくない影響は制限され、したがって、例えば、図6Aに示されるようにALEサイクル全体にわたって流すことができる。
【0113】
いくつかの実施形態では、第3のプロセスガスの流量は、一定のままであってもよい。他のいくつかの実施形態では、第3のプロセスガスの流量を変化させることが有利な場合がある。これは、例えば、除去動作が進行するにつれてより多くの変換分子を提供するために、除去動作中に第3のプロセスガスの流量を増加させることを含み得る。いくつかの例示的な流量は、約50sccm~1000sccmであってもよい。
【0114】
いくつかの実施態様では、エッチング停止層への材料の第2の層の変換は、第2の材料の表面が改質層の除去を介して解放されると、第2の材料の表面をエッチング停止材料の層に選択的に変換することとみなされてもよく、エッチング停止材料の層は、第2の材料の上にのみ位置決めされる。いくつかのそのような実施態様では、除去中、第1の材料の改質層およびエッチング停止材料の層は、第2のプロセスガスに曝露されてもよく、第2のプロセスガスは、第1の材料の改質層および第2の材料よりもエッチング停止材料の層との反応性が低くてもよい。
【0115】
いくつかの実施形態では、第2の材料の層を変換層に変換する代わりに、選択的堆積を実施し、エッチング停止層を第2の材料上に堆積することができる。この堆積は、場合によっては、除去動作の後、または除去動作と同時に実施されてもよい。いくつかの実施形態では、エッチング停止材料の層のこの選択的堆積は、第2の材料の第2の部分の表面が解放しているときに行われ得る。この選択性は、第2の解放された材料上にこのエッチング停止材料の層を堆積することも含み得るが、このエッチング停止材料の層の堆積がターゲットである第1の材料上に起こらないことに限定される。いくつかの実施形態では、これは、第2の材料の表面が改質層の除去を介して解放されると、第2の材料の表面をエッチング停止材料の層に選択的に変換することを含み得、エッチング停止材料の層は、第2の材料の上にのみ位置決めされ、それにより除去中、第1の材料の改質層およびエッチング停止材料の層が第2のプロセスガスに曝露されるようになり、第2のプロセスガスは、第1の材料の改質層および第2の材料よりもエッチング停止材料の層との反応性が低い。
【0116】
この堆積されたエッチング停止層は、上述の変換層と同じ特性および性質を有し得る。これには、第1の材料をエッチングするために使用される化学物質に耐えることが可能な、かつ耐えるように構成された堆積されたエッチング停止層が含まれる。これは、第1のエッチング速度の50%、25%、15%、10%、5%、2.5%、または1%以下を含む、第1のエッチング速度(すなわち、化学物質が改質層を含む第1の材料を除去するエッチング速度)よりも低いエッチング速度、改質層の結合エネルギーよりも大きい結合エネルギー、および/または除去に使用される化学種の結合エネルギー以上の結合エネルギー、および/または副生成物を全く生成することなく、または限られた量の副生成物を生成するだけで除去化学物質と反応する結合エネルギーを有することを含み得る。
【0117】
選択的堆積は、同じチャンバ内で行ってもよいし、異なるチャンバ内で行ってもよい。この選択的堆積は、化学気相堆積(CVD)または原子層堆積(ALD)などの様々な堆積プロセスを使用して達成することができる。一部のCVDプロセスは、膜前駆体および副生成物を形成する1つまたは複数のガス反応剤をリアクタ内に流すことによってウエハ表面上に膜を堆積する場合がある。前駆体はウエハ表面に搬送され、そこでウエハによって吸着され、ウエハ内に拡散され、PECVDにおけるプラズマの生成を含む化学反応によってウエハ上に堆積される。
【0118】
典型的なPECVD反応では、基板は動作温度に加熱され、反応および/または分解して基板表面上に所望の堆積物を生成する1つまたは複数の揮発性前駆体に曝露される。PECVDプロセスは、一般に、1つまたは複数の反応剤を反応チャンバ内に流すことによって始まる。反応剤の送給は、プラズマが生成され、基板表面をプラズマに曝露する間継続することができ、これにより堆積が基板表面上で行われる。このプロセスは、所望の膜厚に達するまで継続され、その後プラズマは一般に消滅し、反応剤の流れが停止される。次に、反応チャンバをパージし、堆積後のステップを実施することができる。
【0119】
いくつかの他の堆積プロセスは複数の膜堆積サイクルを伴い、各々が「個別の」膜厚を生成する。ALDはそのような膜堆積方法の1つであるが、膜の薄層を形成し、繰り返し連続して使用される技法は、複数の堆積サイクルを伴うものとみなすことができる。ALDは、ALDの単一サイクルが材料の単一の薄層のみを堆積するという事実により、共形膜の堆積によく適した膜形成技法であり、厚さは、膜形成化学反応自体の前に基板表面に吸着する(すなわち、吸着制限層を形成する)可能性がある1つまたは複数の膜前駆体反応剤の量によって制限される。その後、複数の「ALDサイクル」を使用して、所望の厚さの膜を構築することができ、各層は薄くて共形であるため、結果として得られる膜は、下にあるデバイス構造の形状に実質的に一致する。特定の実施形態では、各ALDサイクルは、以下のステップを含む:(1)第1の前駆体への基板表面の曝露、(2)基板が位置する反応チャンバのパージ、(3)典型的にはプラズマおよび/または第2の前駆体による基板表面の反応の活性化、ならびに(4)基板が位置する反応チャンバのパージ 。各ALDサイクルの持続時間は、典型的には、25秒未満、または10秒未満、または5秒未満であり得る。ALDサイクルのプラズマ曝露ステップ(または複数のステップ)は、例えば1秒以下の持続時間などの短い持続時間であってもよい。プラズマは、例えば、2秒、5秒、または10秒など、1秒よりも長い他の持続時間であってもよい。
【0120】
用途
本明細書で提供される技法および装置は、様々な化学物質に使用することができる。一例では、第1の材料は酸化アルミニウムであってもよく、第2の材料は酸化亜鉛であってもよい。酸化アルミニウムは、除去分子トリメチルアルミニウム(TMA)を含む処理ガスを使用してエッチングすることができ、このTMAは、下にある酸化亜鉛も除去し得る。TMAによるこの酸化亜鉛の除去を防止するために、ジルコニウム変換分子を含む第3のプロセスガスをウエハ上に流し、酸化亜鉛の層をTMAと反応しない酸化ジルコニウムの変換層に変換することができる。いくつかの実施形態では、ジルコニウム変換分子は、四塩化ジルコニウムを含み得る。いくつかの実施形態では、この酸化ジルコニウムの変換層は、塩化ジメチルアルミニウム(DMAC)を含む第4のプロセスガスをウエハ上に流すことによって除去することができる。場合によっては、この変換層またはエッチング停止層の除去は、改質動作としてフッ化水素(HF)を流すことと、その後に除去動作でDMACを流すこととを含む場合がある。
【0121】
また上記のように、別の例は、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)である第2の材料を覆う酸化アルミニウムを含んでもよい。この酸化アルミニウムをエッチングするために、フッ化水素(HF)を含む第1のプロセスガスを改質動作に使用することができ、除去分子は、下にあるIGZOを再び除去することができるTMAを含み得る。したがって、第3のプロセスガスは、露出したIGZOの表面をZrO2(固体)またはZrO2などの酸化ジルコニウムに変換するために、塩化ジルコニウム、例えば、ZrCl4もしくはZrCl4、またはテトラキス(エチルメチルアミノ)ジルコニウム(IV)(TEMAZ)などのジルコニウムを含んでもよい。この例および上記の例の間、酸化アルミニウム層のエッチングは、変換反応中に継続することができる。
【0122】
ALE装置
次に図7を参照すると、本開示による材料を選択的にエッチングするための基板処理チャンバ720の一例が示される。特定の基板処理チャンバが示され説明されているが、本明細書に記載の方法は、他のタイプの基板処理システム上で実施されてもよい。図7は、熱原子層エッチングを含む、開示された実施形態による半導体処理のための例示的な装置720を図示し、この装置720は、処理チャンバ722と、プロセスガスユニット724と、基板加熱ユニット726と、基板冷却ユニット728とを含む。処理チャンバ722は、チャンバ内部732(プレナム容積とみなすことができる)を少なくとも部分的に境界付けて画定するチャンバ壁730を有する。プロセスガスユニット724は、反応剤、改質分子、変換分子、または除去分子などの液体および/もしくはガスを含み得るプロセスガスを、チャンバ内部732における基板734上に流すように構成される。プロセスガスユニット724はまた、穴、ノズル(そのうちの2つが図示される)、またはシャワーヘッドなど、第1のプロセスガスを基板734上に流すように構成された1つまたは複数の流れフィーチャ742を含む。1つまたは複数の流れフィーチャ742は、例えば、処理チャンバの壁、上部、および底部など、チャンバ内部732内の上方、下方、側方、またはそれらの位置の組み合わせに位置決めすることができる。プロセスガスユニット724は、チャンバ内部732に送給するプロセスガスをブレンドおよび/または調整するための混合容器を含んでもよい。1つまたは複数の混合容器入口弁は、混合容器へのプロセスガスの導入を制御することができる。
【0123】
プロセスガスユニット724は、第1のプロセスガス源736と、第1のプロセス液体源738と、第1の液体をガスに気化させることができる気化ポイント(図示せず)と、キャリアガス源740とを含むことができる。いくつかの反応剤は、気化前、およびプロセスチャンバ722への送給後に液体形態で保存され得る。第1のプロセスガスは、いくつかの実施形態では、プラズマを使用せずに基板上の材料の1つまたは複数の層を改質するように構成された酸化ガス、ハロゲン化ガス、または別のガスを含んでもよい。いくつかの実施態様では、気化ポイントは、加熱された液体注入モジュールであってもよい。いくつかの他の実施態様では、気化ポイントは、加熱された気化器であってもよい。さらに他の実施態様では、気化ポイントは、プロセスステーションから排除することができる。いくつかの実施態様では、液体流コントローラ(LFC)を気化ポイントの上流に設け、気化されてチャンバ内部732に送給するための液体の質量流量を制御することができる。キャリアガス源740は、処理ガスと共に流すことができる1つまたは複数のキャリアガスまたは液体を含み、これらは、N2、Ar、Ne、Heのような不活性ガスであり得る。装置720はまた、チャンバ内部を、例えば、1mTorrまたは10Torrの圧力を有する真空などの低圧にポンピングするように構成された真空ポンプ733を含んでもよい。
【0124】
チャンバ内部732は、チャンバ内で基板734を支持し、熱的に浮上させるように構成された基板支持フィーチャ735を含む。基板支持フィーチャ735は、例えば、チャンバ内部732において基板734を支持するクランプ、水平ピンまたは支持体、垂直ピンまたは支持体、および半円形リングを含んでもよい。これらのフィーチャは、基板734の熱質量が基板のみの熱質量まで可能な限り低減されるように基板734を支持するように構成される。したがって、各基板支持フィーチャ735は、基板734との接触を最小限にすることができ、処理中に基板を適切に支持するために(例えば、基板の重量を支持し、基板の非弾性変形を防止するために)必要な最小数のフィーチャであってもよい。例えば、基板と接触する1つの基板支持フィーチャ735の表面積は、基板の裏側の全表面積の約1%、0.5%、0.1%、0.05%、または0.01%未満であり得、また、例えば、2、3、または4つのフィーチャを利用することもできる。
【0125】
一例では、支持フィーチャ735は、垂直の長手方向軸に沿って巻かれるか螺旋状である溝を有し、長手方向軸から様々な距離でオフセットされ、基板を支持するように構成される2つ以上の垂直ピンを含んでもよい。垂直ピンがその長手方向軸に沿って回転し、基板の縁部が溝内に位置決めされると、溝の縁部、したがって基板の縁部は長手方向軸からさらに離れるように移動する。複数の垂直ピンが基板を支持するために使用される場合、垂直ピンの回転により、溝が長手方向軸に垂直な方向に支持力を基板に加える。
【0126】
いくつかの実施形態では、チャンバ722は、基板リフトピンを含むウエハ支持台座を含んでもよい。熱ALE処理中、リフトピンは、台座と基板との間の熱エネルギーの伝達が実質的にないように(例えば、両者の間で伝達されるエネルギーが10%、5%、1%、0.5%、または0.1%未満)、台座から基板を支持して位置決めすることができる。他のいくつかの実施形態では、チャンバ722は、台座を有していなくてもよい。いくつかの実施形態では、約20℃~500℃など、基板を本明細書で提供される温度に加熱するように構成された基板加熱ユニット726を含む静電チャック(ESC)が使用され得る。
【0127】
基板加熱ユニット726は、基板を複数の温度に加熱し、そのような温度を、例えば、少なくとも1秒、5秒、10秒、30秒、1分、2分、または3分間維持するように構成される。いくつかの実施形態では、基板加熱ユニット726は、少なくとも2つの温度範囲の間で基板を加熱するように構成され(第1の範囲は約20℃~150℃であり、第2の範囲は約200℃~600℃である)、かつ基板をこれらの範囲内の温度に、例えば、少なくとも1秒、5秒、または10秒間維持するように構成される。加えて、いくつかの実施形態では、基板加熱ユニット726は、例えば、約250ミリ秒、150ミリ秒、100ミリ秒、または50ミリ秒未満で基板を第1の温度範囲から第2の温度範囲に加熱するように構成される。
【0128】
基板加熱ユニット726は、輻射加熱、対流加熱、レーザ加熱、プラズマ加熱、固体間熱伝達、またはこれらの組み合わせを利用することができる。輻射加熱の場合、基板加熱ユニット726は、放出光加熱、赤外線加熱、紫外線加熱、マイクロ波加熱、高周波加熱、および誘導加熱に使用することができる。例えば、基板加熱ユニット726は、400ナノメートル(nm)~800nmに及ぶ範囲であり得る波長を有する可視光を放出する発光ダイオード(LED)を含んでもよい。別の例では、赤外線加熱は、例えば、780ナノメートル(nm)~1400nmの範囲の赤外線を放出する1つまたは複数の赤外線エミッタ(例えば、近赤外線ヒータ)、1400nm~3000nmの範囲の赤外線を放出する1つまたは複数の赤外線エミッタ(例えば、中赤外線ヒータ)、および3000nm以上の赤外線を放出する1つまたは複数の赤外線エミッタ(例えば、遠赤外線ヒータ)を使用することができる。これには、例えば、加熱ランプ、発光ダイオード(例えば、LED)、セラミックヒータ、石英ヒータ、または光エネルギー源に接続された複数の屈折率分布(GRIN)レンズも挙げられ得る。GRINレンズは、熱エネルギー(熱または光)を光エネルギー源から均一な方式で基板に送給するように構成され、光源は、光ファイバーケーブルなどの導管を通して熱エネルギーをGRINレンズに伝達するレーザまたは高強度光源であってもよい。基板加熱ユニット726によって利用される加熱要素は、基板734の上方、下方、側方、またはそれらの位置の組み合わせに位置決めされてもよく、かつチャンバ内部732の内側、外側、またはその両方に位置決めされてもよい。図7では、基板加熱ユニット726によって利用される加熱要素は、基板734の上方と下方の両方に位置決めされた複数のLED726Aを含み、下部加熱要素がチャンバ内部732の内側に位置決めされ、上部加熱要素がチャンバ内部732の外側に位置決めされる。いくつかの実施形態では、チャンバ722の外側に位置決めされる加熱要素の一部について、チャンバ722は、放射がチャンバ内部732内および基板734上に伝達されることを可能にする窓754を有してもよい。いくつかの実施形態では、この窓754は光学グレードの石英プレートであってもよいが、他の実施形態では、透明なインジウムスズ酸化物(ITO)窓であってもよい。いくつかの実施形態では、基板加熱ユニット726は、複数のLED726Aを含み、基板734の下にのみ位置決めされ得、この位置は、LEDによって放出された光が通過して基板の裏側に達し得る窓を含むこともできる台座またはESCの内部を含み得る。
【0129】
対流加熱の場合、基板加熱ユニット726は、基板を加熱するために加熱ガスをチャンバ内部732内に流すことができる。基板加熱ユニット726は、加熱ガス源と、加熱ガスを少なくとも20℃、100℃、250℃、350℃、500℃、および600℃などの所望の温度に加熱するように構成された加熱ユニットと、加熱ガスがチャンバ内部732内に流れて基板734上に流れることを可能にする、ノズルまたは穴などの加熱流フィーチャとを含むことができる。これらの加熱流フィーチャは、基板の上方、下方、側方、またはそれらの位置の組み合わせに位置決めすることができる。
【0130】
レーザ加熱の場合、基板加熱ユニット726は、チャンバ内部における基板を加熱するように構成された1つまたは複数のレーザを有することができる。これらのレーザは、静止していても、または移動するように構成されてもよく(例えば、走査レーザ)、基板の上方、下方、またはその両方に位置決めされていてもよく、レーザはまた、チャンバ内部の内側、外側、またはその両方に位置決めされてもよい。上述の輻射加熱と同様に、チャンバ内部の外側に位置決めされるレーザの場合、チャンバは、レーザの発光が基板に達することを可能にする窓を含み得る。
【0131】
プラズマ加熱の場合、基板加熱ユニット726は、基板を加熱するためにチャンバ内部にプラズマを生成および維持するように構成されたフィーチャを有することができる。プラズマを生成し得るフィーチャについては、以下でより詳細に論じられる。加えて、いくつかの実施形態では、チャンバ内部は、基板の下に位置決めされ、ウエハを支持するように構成された垂直ピンを含んでもよい。基板の加熱中、基板は垂直ピンのみによって支持され得、プラズマは、基板の底部と、チャンバの底部壁またはウエハ支持台座などの基板の下の表面との間に生成され得る。このプラズマは、基板の温度を加熱して所望の温度に維持することができる。
【0132】
固体間熱伝達の場合、基板加熱ユニット726は、チャンバ内部において基板に接触して基板を加熱するように構成された1つまたは複数の加熱面を有することができる。いくつかの実施形態では、基板加熱ユニット726は、基板の裏面に接触して基板を加熱するように構成された、平面または基板台座の表面などの加熱プラテンを有し得る。この加熱プラテンは、加熱プラテンの表面を加熱することができる、加熱コイル、加熱流体、または上述の輻射加熱などの加熱要素を有してもよい。基板は、基板の裏面が加熱プラテンと直接接触しているか、または加熱プラテンからオフセットしているが加熱プラテンから熱エネルギーを受け取るのに十分に近いときに加熱することができる。この固体間熱伝達を使用して基板を加熱する場合、基板は、冷却されるときに加熱プラテンから分離される。一部の従来のALE装置は加熱要素と冷却要素の両方を含む基板台座を有する場合があるが、これらの装置は、繰り返し加熱および冷却される台座の熱質量が大きいため、熱ALEの温度間を迅速に(例えば、250ミリ秒未満で)循環することができない。例えば、台座を第1の温度範囲(例えば、20℃~100℃)から第2の温度範囲(例えば、200℃~500℃)に加熱するのに数秒または数分かかる場合があり、かつ台座を第2の温度範囲から、基板を第1の温度範囲まで冷却することができるより低い温度に冷却するのに数秒または数分かかる場合がある。したがって、この固体間加熱技法を使用した後、加熱プラテンおよび基板は互いに分離され、これは、例えば、基板および/または加熱プラテンを互いに遠ざけることによって達成され得る。この分離がない場合、基板と加熱プラテンの両方の熱質量の冷却が発生し、冷却時間が増加し、基板のスループットが低下する。いくつかの実施形態では、基板加熱ユニットおよび冷却用ペルチェ素子を有するESCまたは台座により、高速の加熱および冷却時間(基板を所望の温度に冷却するのに約30秒など)を可能にすることができる。
【0133】
図7の基板冷却ユニット728は、基板を能動的に冷却するように構成される。いくつかの実施形態では、基板冷却ユニット728は、冷却ガスを基板734上に流し、基板734を能動的に冷却する。基板冷却ユニット728は、冷却流体(ガスまたは液体)を含むことができる冷却流体源748と、冷却流体を例えば、0℃、-50℃、-100℃、-150℃、-170℃、-200℃、および-250℃以下などの所望の温度に冷却するように構成された冷却器750とを含むことができる。基板冷却ユニット728は、冷却剤流体をチャンバ内部732内に流すように構成された配管および冷却剤流れフィーチャ752、例えば、ノズルまたは穴を含む。いくつかの実施形態では、流体は、チャンバ722に流れるときに液体状態であってもよく、例えばチャンバ内部732が、例えば、1Torrなどの低圧状態にある場合、チャンバ内部732に達すると蒸気状態に変化し得る。冷却流体は、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性元素であってもよい。いくつかの実施形態では、チャンバ内部732内への冷却流体の流量は、例えば、少なくとも10リットル/秒、50リットル/秒、100リットル/秒、150リットル/秒、200リットル/秒、250リットル/秒、および300リットル/秒であってもよい。
【0134】
様々な要因により、基板を冷却する冷却流体の能力が増大する可能性がある。冷却流体の流量が高くなるほど基板がより速く冷却されることが、様々な実験を通じて発見された。ある例示的な実験では、約-196℃の冷却ガスを1リットル/秒の流量で基板上に流すと、基板の温度が約5,000ミリ秒で約220℃から約215℃に低下し、同じ冷却ガスを10リットル/秒の流量で流すと、基板の温度が約5,000ミリ秒で約220℃から約195℃に低下することが判明した。また、基板とチャンバの上部との間のギャップ(図10の1052)も基板の冷却に影響を及ぼす可能性があることが発見され、ギャップが小さいほど冷却が速くなる。ある例では、約50マイクロメートルのギャップによってチャンバの上部から分離された基板は、約-196℃の冷却ガスを使用して約5,000ミリ秒で約220℃から約215℃に冷却され、約5ミリメートルのギャップによってチャンバの上部から分離された基板は、同じ冷却ガスを使用して約5,000ミリ秒で約220℃から約209℃に冷却されることが発見された。したがって、流量が高くギャップが小さいほど、基板がより速く冷却されることが発見された。
【0135】
いくつかの実施形態では、基板冷却ユニット728は、固体間熱伝達を利用して、基板734を能動的に冷却することができる。これらの実施形態のいくつかでは、平坦な冷却面などの冷却プラテンを使用して、基板の底部に接触して基板を冷却することができる。このプラテンは、プラテンの上、中、または下に冷却流体を流すことによって冷却され得る。この固体間冷却を使用する場合、上述の固体間加熱と同様に、基板は、基板の加熱中、例えば、リフトピンで基板を持ち上げることによって冷却プラテンから遠ざけることなどによって冷却プラテンから分離される。この分離がない場合、基板と冷却プラテンの両方の熱質量が冷却されるためにより多くの冷却が必要となり、その結果、プロセス時間が増加し、スループットが低下する。いくつかの実施形態では、基板の上部の輻射加熱または基板の底部のプラズマ加熱は、固体間冷却と併せて使用することができる。
【0136】
いくつかの実施形態では、基板冷却ユニット728は、基板を冷却するためにレーザ冷却を使用することができる。これにより、逆ナビエ-ストークス反応を利用することによって、基板の少なくとも露出面上にツリウム分子を含む基板の冷却が可能になり得る。例えば、基板の温度はフォノンとして現れ、レーザ冷却が光子を基板表面に放出することでツリウム内のフォノンと相互作用して捕捉し、その後、より高いエネルギーレベルでツリウムからのフォノンを基板に残す。これらのフォノンの除去により、基板の温度が低下する。このレーザ冷却を可能にするためにツリウムを基板の表面上にドープすることができ、このドープは、除去動作などの動作の後または前に行うなど、上に挙げた技法に組み込むことができる。
【0137】
上記のように、装置のいくつかの実施形態は、チャンバ内部内にプラズマを生成するように構成されたプラズマ源を含むことができる。これらのプラズマ源は、容量結合プラズマ(CCP)、誘導結合プラズマ(ICP)、上部遠隔プラズマ、および下部遠隔プラズマであってもよい。
【0138】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の装置は、本明細書に記載の技法を実施するために装置の様々な態様を制御するように構成されたコントローラを含み得る。例えば、図7では、装置720は、処理チャンバと通信可能に接続され、処理チャンバの動作の一部またはすべてを制御するコントローラ766(1つまたは複数の物理的または論理的コントローラを含み得る)を含む。システムコントローラ766は、1つまたは複数のメモリデバイス768と、1つまたは複数のプロセッサ770とを含むことができる。いくつかの実施形態では、装置は、例えば、開示された実施形態が実施される場合、流量および持続時間を制御するためのスイッチングシステム、基板加熱ユニット、基板冷却ユニット、チャンバ内の基板のロードおよびアンロード、基板の熱浮上、ならびにプロセスガスユニットを含む。いくつかの実施形態では、装置は、最大約500ms、または最大約750msのスイッチング時間を有することができる。スイッチング時間は、フローケミストリー、選択されたレシピ、リアクタ構造、および他の要因に依存し得る。
【0139】
いくつかの実施態様では、コントローラ766は装置またはシステムの一部であり、そのような装置またはシステムは上述した例の一部であってもよい。そのようなシステムまたは装置は、1つまたは複数の処理ツール、1つまたは複数のチャンバ、1つまたは複数の処理用プラットフォーム、および/または特定の処理構成要素(ガス流システム、基板加熱ユニット、基板冷却ユニットなど)を含む半導体処理機器を含むことができる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および処理後のシステム動作を制御するための電子機器と一体化されてもよい。そのような電子機器は「コントローラ」と呼ばれることがあり、1つまたは複数のシステムの様々な構成要素または副部品を制御してもよい。コントローラ766は、処理パラメータおよび/またはシステムのタイプに応じて、本明細書に開示されるプロセスのいずれかを制御するようにプログラムされてもよい。そのようなプロセスとしては、処理ガスの送給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、高周波(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体送給設定、位置および動作設定、特定のシステムに接続または連動するツールおよび他の移送ツールに対するウエハの搬入と搬出、および/またはロードロックに対するウエハの搬入と搬出が含まれる。
【0140】
広義には、コントローラ766は、命令を受信し、命令を発行し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどの様々な集積回路、論理、メモリ、および/またはソフトウェアを有する電子機器として定義されてもよい。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアの形式のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されたチップ、および/または1つまたは複数のマイクロプロセッサ、すなわちプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行するマイクロコントローラを含んでもよい。プログラム命令は、様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形式でコントローラに通信される命令であって、特定のプロセスを半導体ウエハ上で、または半導体ウエハ用に、またはシステムに対して実行するための動作パラメータを定義してもよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の層、材料、金属、酸化物、ケイ素、二酸化ケイ素、表面、回路、および/またはウエハダイの製作における1つまたは複数の処理動作を実現するためプロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってもよい。
【0141】
コントローラ766は、いくつかの実施態様では、システムと統合または結合されるか、他の方法でシステムにネットワーク接続されるコンピュータの一部であってもよく、またはそのようなコンピュータに結合されてもよく、またはそれらの組み合わせであってもよい。例えば、コントローラは、「クラウド」内にあってもよいし、ファブホストコンピュータシステムのすべてもしくは一部であってもよい。これにより、ウエハ処理のリモートアクセスが可能となる。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能にして、製作動作の現在の進捗状況を監視し、過去の製作動作の履歴を検討し、複数の製作動作から傾向または性能基準を検討し、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に続く処理動作を設定するか、または新しいプロセスを開始してもよい。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ネットワークを通じてプロセスレシピをシステムに提供することができる。そのようなネットワークは、ローカルネットワークまたはインターネットを含んでいてもよい。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定のエントリまたはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを含んでもよく、そのようなパラメータおよび/または設定は、その後リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例では、コントローラ766は命令をデータの形式で受信する。そのようなデータは、1つまたは複数の動作中に実施される各処理動作のためのパラメータを特定するものである。パラメータは、実施されるプロセスのタイプ、およびコントローラが連動または制御するように構成されるツールのタイプに特有のものであってもよいことを理解されたい。したがって、上述したように、コントローラ766は、例えば、互いにネットワーク接続され共通の目的(本明細書で説明されるプロセスおよび制御など)に向けて協働する1つまたは複数の個別のコントローラを備えることによって分散されてもよい。このような目的のための分散型コントローラの例として、チャンバ上の1つまたは複数の集積回路であって、(例えば、プラットフォームレベルで、またはリモートコンピュータの一部として)遠隔配置されておりチャンバにおけるプロセスを制御するよう組み合わせられる1つまたは複数の集積回路と通信するものが挙げられるであろう。
【0142】
上記のように、装置によって実施される1つまたは複数のプロセス動作に応じて、コントローラ766は、1つまたは複数の他の装置回路もしくはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近接するツール、工場全体に位置するツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または半導体製造工場内のツール場所および/もしくはロードポートに対してウエハの容器を搬入および搬出する材料搬送に使用されるツールと通信してもよい。
【0143】
また上で述べたように、コントローラは、上述の任意の技法を実施するように構成される。例えば、図7の装置720および図1の技法を参照すると、いくつかの実施形態では、コントローラ766は、基板加熱ユニット726が基板支持フィーチャ735上に位置決めされた基板734を第1の温度にし(すなわち、加熱するか能動的に冷却する)、プロセスガスユニット724が第1のプロセスガスを基板734に流すように構成される。上記のように、第1のプロセスガスは、基板が第1の温度に維持されている間、いくつかの実施形態ではプラズマを使用せずに、化学吸着によって基板734上の材料の1つまたは複数の表面層を改質するように構成される。コントローラ766は、改質後、基板加熱ユニット726が第2の温度に基板734を維持するようにさらに構成することができ、基板734上の1つまたは複数の改質表面層は、基板734が第2の温度に維持されている間に脱離によって除去され得る。コントローラ766は、本明細書に記載のように、プロセスガスユニット724が第3のプロセスガスを基板上に流し、第2の材料の露出面を材料の変換層、すなわち、エッチング停止層に変換するようにさらに構成され得る。
【0144】
図8A図8Cは、本明細書に記載のエッチング動作を実施するために使用することができる、ギャップを調整可能な容量結合閉じ込めRFプラズマリアクタ800の一実施形態を示している。図示のように、真空チャンバ802は、下部電極806を収容する内部空間を囲むチャンバハウジング804を含む。チャンバ802の上部において、上部電極808は、下部電極806から垂直方向に離間されている。上部電極および下部電極808、806の平面は、電極間の垂直方向に対して実質的に平行であり、かつ直交している。好ましくは、上部電極および下部電極808、806は、垂直軸に対して円形であり、かつ同軸である。上部電極808の下面は、下部電極806の上面に面している。離間されて面している電極面は、それらの間に調整可能なギャップ810を画定する。動作中、下部電極806は、RF電源(マッチ)820によってRF電力が供給される。RF電力は、RF供給導管822、RFストラップ824、およびRF電力部材826を通して下部電極806に供給される。接地シールド836が、RF電力部材826を囲み、より均一なRF場を下部電極806に提供することができる。その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、共有の米国特許第7,732,728号に記載されているように、ウエハは、ウエハポート882を通して挿入され、処理のために下部電極806上のギャップ810で支持され、プロセスガスがギャップ810に供給され、RF電力によってプラズマ状態に励起される。上部電極808は、通電または接地されてもよい。
【0145】
図8A図8Cに示す実施形態では、下部電極806は、下部電極支持プレート816上に支持される。下部電極806と下部電極支持プレート816との間に挿入された絶縁リング814は、支持プレート816から下部電極806を絶縁する。
【0146】
RFバイアスハウジング830が、RFバイアスハウジングボウル832上に下部電極806を支持する。ボウル832は、RFバイアスハウジング830のアーム834によって、チャンバ壁プレート818における開口部を通して導管支持プレート838に接続される。好ましい実施形態では、RFバイアスハウジングボウル832およびRFバイアスハウジングアーム834は1つの構成要素として一体的に形成されるが、アーム834およびボウル832はまた、互いにボルト締めまたは接合される2つの別々の構成要素であり得る。
【0147】
RFバイアスハウジングアーム834は、下部電極806の裏側の空間で、真空チャンバ802の外側から真空チャンバ802の内側にガス冷却剤、液体冷却剤、RFエネルギー、リフトピン制御用のケーブル、電気監視および作動信号など、RF電力および設備を通過させるための1つまたは複数の中空通路を含む。RF供給導管822は、RFバイアスハウジングアーム834から絶縁されており、RFバイアスハウジングアーム834は、RF電源820へのRF電力用の帰還経路を提供する。設備導管840は、設備構成要素用の通路を提供する。設備構成要素のさらなる詳細は、米国特許第5,948,704号および第7,732,728号に記載されており、説明を簡単にするためにここでは示されない。ギャップ810は、好ましくは、閉じ込めリングアセンブリまたはシュラウド(図示せず)によって囲まれ、その詳細は、参照により本明細書に組み込まれる共有の公開された米国特許第7,740,736号に見出すことができる。真空チャンバ802の内部は、真空ポータル880を通して真空ポンプに接続することによって低圧に維持される。
【0148】
導管支持プレート838は、作動機構842に取り付けられる。サーボ機械モータ、ステッピングモータなどの作動機構842は、例えば、ボールねじなどのねじギア846、およびボールねじを回転させるためのモータによって、垂直リニアベアリング844に取り付けられる。ギャップ810のサイズを調整するための動作中、作動機構842は、垂直リニアベアリング844に沿って移動する。図8Aは、作動機構842がリニアベアリング844上の高い位置にあり、結果として小さなギャップ810aをもたらすときの配置を示している。図8Bは、作動機構842がリニアベアリング844上の中間位置にあるときの配置を示している。示すように、下部電極806、RFバイアスハウジング830、導管支持プレート838、RF電源820はすべて、チャンバハウジング804および上部電極808に対して下に移動し、中程度のサイズのギャップ810bをもたらす。
【0149】
図8Cは、作動機構842がリニアベアリング上の低い位置にあるときの大きなギャップ810cを示している。好ましくは、上部電極および下部電極808、806は、ギャップ調整の間は同軸のままであり、ギャップにわたる上部電極および下部電極の対向する表面は、平行のままである。
【0150】
この実施形態は、例えば、300mmウエハまたはフラットパネルディスプレイなどの大径基板全体にわたって均一なエッチングを維持するために、多段階プロセスレシピ(BARC、HARC、およびSTRIPなど)中のCCPチャンバ802内の下部電極および上部電極806、808間のギャップ810を調整することを可能にする。特に、このチャンバは、下部電極および上部電極806、808の間に調整可能なギャップを提供するために必要な線形運動を可能にする機械的配置に関係する。
【0151】
図8Aは、近位端で導管支持プレート838に、および遠位端でチャンバ壁プレート818の段状フランジ828に封止された、横方向に偏向されたベローズ850を示している。段状フランジの内径は、RFバイアスハウジングアーム834が通過するチャンバ壁プレート818における開口部612を画定する。ベローズ850の遠位端は、クランプリング652によってクランプされる。
【0152】
横方向に偏向されたベローズ850は、RFバイアスハウジング830、導管支持プレート838、および作動機構842の垂直移動を可能にしながら、真空シールを提供する。RFバイアスハウジング830、導管支持プレート838、および作動機構842は、カンチレバーアセンブリと呼ぶことができる。好ましくは、RF電源820は、カンチレバーアセンブリと共に移動し、導管支持プレート838に取り付けることができる。図8Bは、カンチレバーアセンブリが中間位置にあるときに中立位置にあるベローズ850を示す。図8Cは、カンチレバーアセンブリが低い位置にあるときに横方向に偏向されたベローズ850を示す。
【0153】
ラビリンスシール848が、ベローズ850とプラズマ処理チャンバハウジング804の内部との間に粒子バリアを提供する。固定シールド856が、可動シールドプレート858がカンチレバーアセンブリの垂直移動に対応するために垂直方向に移動するラビリンス溝860(スロット)を提供するように、チャンバ壁プレート818でチャンバハウジング804の内壁に不動に取り付けられる。可動シールドプレート858の外側部分は、下部電極606のすべての垂直位置でスロット内に留まる。
【0154】
図示の実施形態では、ラビリンスシール848は、ラビリンス溝860を画定するチャンバ壁プレート818における開口部812の周囲でチャンバ壁プレート818の内面に取り付けられた固定シールド856を含む。可動シールドプレート858が取り付けられ、RFバイアスハウジングアーム834から半径方向に延び、アーム834は、チャンバ壁プレート818における開口部812を通過する。可動シールドプレート858は、ラビリンス溝860内に延び、第1のギャップによって固定シールド856から離間され、第2のギャップによってチャンバ壁プレート818の内面から離間され、カンチレバーアセンブリが垂直に移動することを可能にする。ラビリンスシール848は、ベローズ850から剥落された粒子が移動して真空チャンバ内部805に入るのをブロックし、プロセスガスプラズマからのラジカルがベローズ850に移動するのをブロックする。ベローズ850に入ったラジカルは堆積物を形成し、その後堆積物は剥落されるおそれがある。
【0155】
図8Aは、カンチレバーアセンブリが高い位置(小さなギャップ810a)にあるとき、RFバイアスハウジングアーム834の上のラビリンス溝860内でより高い位置にある可動シールドプレート858を示す。図8Cは、カンチレバーアセンブリが低い位置(大きなギャップ810c)にあるとき、RFバイアスハウジングアーム834の上のラビリンス溝860内でより低い位置にある可動シールドプレート858を示す。図8Bは、カンチレバーアセンブリが中間位置(中程度のギャップ810b)にあるときのラビリンス溝860内で中立または中間位置にある可動シールドプレート858を示す。ラビリンスシール848はRFバイアスハウジングアーム834に関して対称的なものとして示されているが、他の実施形態では、ラビリンスシール848は、RFバイアスアーム834に関して非対称であってもよい。
【0156】
図9は、真空移送モジュール938(VTM)とインターフェースする様々なモジュールを有する半導体プロセスクラスタアーキテクチャを図示する。複数の保管設備および処理モジュール間で基板を「移送」するための移送モジュールの配置は、「クラスタツールアーキテクチャ」システムと呼ばれることがある。ロードロックまたは移送モジュールとしても知られるエアロック930は、様々な製作プロセスを実施するために個々に最適化され得る4つの処理モジュール920a~920dを有するVTM938に示されている。例として、処理モジュール920a~920dは、基板エッチング、堆積、イオン注入、基板洗浄、スパッタリング、および/または他の半導体プロセス、ならびにレーザ計測および他の欠陥検出および欠陥識別方法を実施するために実装され得る。処理モジュールの1つまたは複数(920a~920dのいずれか)は、本明細書に開示されるように、すなわち、凹状フィーチャを基板にエッチングするために実装され得る。エアロック930およびプロセスモジュール920a~920dは、「ステーション」と呼ばれることがある。各ステーションは、ステーションをVTM938にインターフェースするファセット936を有する。ファセットの内側で、センサ1~18は、それぞれのステーション間を移動するときに基板926の通過を検出するために使用される。
【0157】
ロボット922は、ステーション間で基板を移送する。一実施態様では、ロボットは1つのアームを有し得、別の実施態様では、ロボットは2つのアームを有し得、各アームは、搬送用の基板を取り上げるためのエンドエフェクタ924を有する。大気移送モジュール(ATM)940内のフロントエンドロボット932を使用して、基板をカセットまたはロードポートモジュール(LPM)942内のフロントオープニングユニファイドポッド(FOUP)934からエアロック930に移送することができる。プロセスモジュール920a~920d内のモジュールセンタ928は、基板を載置するための1つの場所である。ATM940内のアライナ944を使用して、基板を位置合わせすることができる。
【0158】
例示的な処理方法では、基板は、LPM942内のFOUP934の1つに載置される。フロントエンドロボット932は、基板をFOUP934からアライナ944に移送し、これにより基板926は、エッチングされるか、堆積されるか、あるいは処理される前に、適切に中心に置かれることが可能になる。位置合わせされた後、基板は、フロントエンドロボット932によってエアロック930内に移動される。エアロックモジュールがATMとVTMとの間の環境を一致させる能力を有するので、基板は、損傷を受けることなく2つの圧力環境の間を移動することができる。エアロックモジュール930から、基板は、ロボット922によってVTM938を通してプロセスモジュール920a~920dの1つ、例えばプロセスモジュール920aに移動される。この基板の移動を達成するために、ロボット922は、そのアームの各々にあるエンドエフェクタ924を使用する。プロセスモジュール920aでは、基板は、上述のようにエッチングを受ける。次に、ロボット922は、基板を処理モジュール920aからその次の所望の位置に移動させる。
【0159】
基板の移動を制御するコンピュータは、クラスタアーキテクチャに対してローカルなものであってもよく、または製造フロア内でクラスタアーキテクチャの外部に、もしくは遠隔地に位置され、ネットワークを介してクラスタアーキテクチャに接続されてもよいことに留意されたい。
【0160】
堆積装置
図10は、そのいずれもプラズマ強化され得る、原子層堆積(ALD)および/または化学気相堆積(CVD)を使用して材料を堆積するために使用することができるプロセスステーション1000の一実施形態を概略的に示す。簡略化のために、プロセスステーション1000は、低圧環境を維持するためのプロセスチャンバ本体1002を有する独立型プロセスステーションとして図示されている。しかし、複数のプロセスステーション1000が共通のプロセスツール環境に含まれてもよいことが理解されよう。さらに、いくつかの実施形態では、プロセスステーション1000の1つまたは複数のハードウェアパラメータ(以下で詳細に説明されるものを含む)は、1つまたは複数のコンピュータコントローラによってプログラム的に調整することができることが理解されよう。
【0161】
プロセスステーション1000は、プロセスガスを分配シャワーヘッド1006に送給するための反応剤送給システム1001と流体連通する。反応剤送給システム1001は、シャワーヘッド1006に送給するプロセスガスをブレンドおよび/または調整するための混合容器1004を含む。1つまたは複数の混合容器入口弁1020は、混合容器1004へのプロセスガスの導入を制御することができる。同様に、シャワーヘッド入口弁1005は、シャワーヘッド1006へのプロセスガスの導入を制御することができる。
【0162】
BTBASのような一部の反応剤は、プロセスステーションでの気化前、およびその後のプロセスステーションへの送給前に液体形態で保存され得る。例えば、図10の実施形態は、混合容器1004に供給される液体反応剤を気化させるための気化ポイント1003を含む。いくつかの実施形態では、気化ポイント1003は、加熱された気化器であり得る。このような気化器から発生された反応剤蒸気は、下流の送給配管で凝縮する可能性がある。凝縮した反応剤に不適合なガスを曝露すると、小さな粒子が生成される場合がある。これらの小さな粒子は、配管を詰まらせたり、弁の動作を妨げたり、基板を汚染したりする可能性がある。これらの問題に対処するいくつかのアプローチは、送給配管を掃除および/または排気し、残留反応剤を除去することを伴う。しかし、送給配管を掃除すると、プロセスステーションのサイクル時間が増加し、プロセスステーションのスループットが低下する可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、気化ポイント1003の下流の送給配管は、ヒートトレースされ得る。いくつかの例では、混合容器1004もまた、ヒートトレースされ得る。1つの非限定的な例では、気化ポイント1003の下流の配管は、混合容器1004において約100℃~約150℃に及ぶ上昇温度プロファイルを有する。
【0163】
いくつかの実施形態では、反応剤液体は、液体注入器で気化され得る。例えば、液体注入器は、液体反応剤のパルスを混合容器の上流のキャリアガス流に注入することができる。1つのシナリオでは、液体注入器は、液体を高圧から低圧にフラッシュすることによって反応剤を気化させることができる。別のシナリオでは、液体注入器は、液体を分散微小液滴に霧化し、続いて加熱された送給パイプ内で気化することができる。小さな液滴は大きな液滴よりも速く気化することができ、液体注入と完全気化との間の遅延を減少させることが理解されよう。気化が速いほど、気化ポイント1003から下流の配管の長さを短くすることができる。1つのシナリオでは、液体注入器は、混合容器1004に直接取り付けられてもよい。別のシナリオでは、液体注入器は、シャワーヘッド1006に直接取り付けられてもよい。
【0164】
いくつかの実施形態では、気化されてプロセスステーション1000に送給される液体の質量流量を制御するために、液体流コントローラを気化ポイント1003の上流に設けることができる。例えば、液体流コントローラ(LFC)は、LFCの下流に位置する熱質量流量計(MFM)を含み得る。次に、LFCのプランジャ弁は、MFMと電気的に通信する比例積分微分(PID)コントローラによって提供されるフィードバック制御信号に応答して調整され得る。しかし、フィードバック制御を使用して液体の流れを安定化するには1秒以上かかる場合がある。これは、液体反応剤の投与時間を延長する可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、LFCは、フィードバック制御モードと直接制御モードとの間で動的に切り替えられてもよい。いくつかの実施形態では、LFCの感知管およびPIDコントローラを無効にすることによって、LFCをフィードバック制御モードから直接制御モードに動的に切り替えることができる。
【0165】
シャワーヘッド1006は、プロセスガスを基板1012に向かって分配する。図10に示す実施形態では、基板1012は、シャワーヘッド1006の下に位置し、台座1008上に静止した状態で示されている。シャワーヘッド1006は、任意の適切な形状を有してもよく、プロセスガスを基板1012に分配するための任意の適切な数および配置のポートを有してもよいことが理解されよう。
【0166】
いくつかの実施形態では、マイクロ体積1007がシャワーヘッド1006の下に位置する。プロセスステーションの全体積ではなくマイクロ体積でALDおよび/またはCVDプロセスを実施することは、反応剤への曝露および掃除時間を短縮することができ、プロセス条件(例えば、圧力、温度など)を変更するための時間を短縮することができ、プロセスガスへのプロセスステーションロボットの曝露を制限することなどが可能である。例示的なマイクロ体積サイズには、限定はしないが、0.1リットル~2リットルの体積が挙げられる。このマイクロ体積もまた、生産性スループットに影響を与える。サイクル当たりの堆積速度が低下する一方で、サイクル時間も同時に短縮される。場合によっては、後者の影響は、膜の所与の目標厚さに対するモジュールの全体的なスループットを改善するのに十分効果的である。
【0167】
いくつかの実施形態では、台座1008を上昇または下降させて基板1012をマイクロ体積1007に露出させ、かつ/またはマイクロ体積1007の体積を変化させることができる。例えば、基板移送段階では、台座1008を下降させ、基板1012が台座1008上にロードされることを可能にすることができる。堆積プロセス段階中、台座1008を上昇させ、マイクロ体積1007内に基板1012を位置決めすることができる。いくつかの実施形態では、マイクロ体積1007は、基板1012ならびに台座1008の一部を完全に包囲し、堆積プロセス中に流れインピーダンスの高い領域を形成することができる。
【0168】
任意選択で、台座1008は、マイクロ体積1007内のプロセス圧力、反応剤濃度などを調節するために、堆積プロセスの一部の間に下降および/または上昇されてもよい。プロセスチャンバ本体1002が堆積プロセス中にベース圧力のままである1つのシナリオでは、台座1008を下降させることにより、マイクロ体積1007を排気することができる。マイクロ体積対プロセスチャンバ体積の例示的な比には、限定はしないが、1:900~1:10の体積比が挙げられる。いくつかの実施形態では、台座の高さは、適切なコンピュータコントローラによってプログラム的に調整することができることが理解されよう。
【0169】
別のシナリオでは、台座1008の高さを調整することにより、堆積プロセスに含まれるプラズマ活性化サイクルおよび/またはプラズマ処理サイクル中にプラズマ密度を変化させることが可能になり得る。堆積プロセス段階の終わりに、別の基板の移送段階中に台座1008を下降させ、台座1008から基板1012を取り出し可能にすることができる。
【0170】
本明細書に記載の例示的なマイクロ体積変動は高さ調整可能な台座に言及しているが、いくつかの実施形態では、シャワーヘッド1006の位置を台座1008に対して調整し、マイクロ体積1007の体積を変化させることができることが理解されよう。さらに、台座1008および/またはシャワーヘッド1006の垂直位置は、本開示の範囲内の任意の適切な機構によって変化させてもよいことが理解されよう。いくつかの実施形態では、台座1008は、基板1012の配向を回転させるための回転軸を含んでもよい。いくつかの実施形態では、これらの例示的な調整の1つまたは複数は、1つまたは複数の適切なコンピュータコントローラによってプログラム的に実施することができることが理解されよう。
【0171】
図10に示す実施形態に戻ると、シャワーヘッド1006および台座1008は、プラズマに電力を供給するために、RF電源1014および整合ネットワーク1016と電気的に通信する。いくつかの実施形態では、プラズマエネルギーは、プロセスステーション圧力、ガス濃度、RF源電力、RF源周波数、およびプラズマ電力パルスタイミングの1つまたは複数を制御することによって制御することができる。例えば、RF電源1014および整合ネットワーク1016は、任意の適切な電力で動作してラジカル種の所望の組成を有するプラズマを形成することができる。適切な電力の例は、上記に含まれている。同様に、RF電源1014は、任意の適切な周波数のRF電力を提供することができる。いくつかの実施形態では、RF電源1014は、互いに独立して高周波および低周波のRF電源を制御するように構成され得る。例示的な低周波RF周波数は、限定はしないが、50kHz~500kHzの周波数を含み得る。例示的な高周波RF周波数は、限定はしないが、1.8MHz~2.45GHzの周波数を含み得る。表面反応のためのプラズマエネルギーを提供するために、任意の適切なパラメータを離散的または連続的に調節することができることが理解されよう。1つの非限定的な例では、プラズマ電力を断続的にパルス化し、連続的に電力を供給されるプラズマと比較して基板表面でのイオン衝撃を低減することができる。
【0172】
いくつかの実施形態では、プラズマは、1つまたは複数のプラズマモニタによってin situで監視することができる。1つのシナリオでは、プラズマ電力は、1つまたは複数の電圧、電流センサ(例えば、VIプローブ)によって監視され得る。別のシナリオでは、プラズマ密度および/またはプロセスガス濃度は、1つまたは複数の発光分光センサ(OES)によって測定されてもよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のプラズマパラメータは、そのようなin situプラズマモニタからの測定値に基づいてプログラム的に調整することができる。例えば、OESセンサは、プラズマ電力のプログラム制御を提供するためのフィードバックループで使用され得る。いくつかの実施形態では、他のモニタを使用して、プラズマおよび他のプロセス特性を監視することができることが理解されよう。そのようなモニタには、限定はしないが、赤外線(IR)モニタ、音響モニタ、および圧力変換器が挙げられ得る。
【0173】
いくつかの実施形態では、プラズマは、入出力制御(IOC)シーケンス命令を介して制御され得る。一例では、プラズマプロセス段階に対するプラズマ条件を設定するための命令は、堆積プロセスレシピの対応するプラズマ活性化レシピ段階に含まれてもよい。場合によっては、プロセスレシピ段階は、堆積プロセス段階に対するすべての命令がそのプロセス段階と同時に実行されるように、順に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のプラズマパラメータを設定するための命令が、プラズマプロセス段階に先行するレシピ段階に含まれ得る。例えば、第1のレシピ段階は、不活性ガスおよび/または前駆体ガスの流量を設定するための命令、プラズマ発生器を電力設定点に設定するための命令、および第1のレシピ段階のための時間遅延命令を含んでもよい。第2の後続のレシピ段階は、プラズマ発生器を有効にするための命令、および第2のレシピ段階のための時間遅延命令を含んでもよい。第3のレシピ段階は、プラズマ発生器を無効にするための命令、および第3のレシピ段階のための時間遅延命令を含んでもよい。これらのレシピ段階は、本開示の範囲内で任意の適切な方法でさらに細分化および/または反復され得ることが理解されよう。
【0174】
いくつかの堆積プロセスでは、プラズマの衝突は、持続時間として数秒以上続く。特定の実施態様では、はるかに短いプラズマの衝突が使用されてもよい。これらは10ms~1秒程度、典型的には約20~80msであり得、具体例としては50msである。そのような非常に短いRFプラズマの衝突は、プラズマの非常に迅速な安定化を必要とする。これを達成するために、プラズマ発生器は、周波数が変動することを許容しながら、インピーダンス整合が特定の電圧に事前設定されるように構成され得る。従来、高周波プラズマは、約13.56MHzのRF周波数で生成される。本明細書に開示される様々な実施形態において、周波数は、この標準値とは異なる値に変動することが許容される。インピーダンス整合を所定の電圧に固定しながら周波数の変動を許容することによって、プラズマははるかに迅速に安定化することができ、この結果は、ある種の堆積サイクルに関連付けられた非常に短いプラズマの衝突を使用する場合に重要となり得る。
【0175】
いくつかの実施形態では、台座1008は、ヒータ1010を介して温度制御され得る。さらに、いくつかの実施形態では、堆積プロセスステーション1000についての圧力制御は、バタフライ弁1018によって提供され得る。図10の実施形態に示すように、バタフライ弁1018は、下流の真空ポンプ(図示せず)によって提供される真空を絞る。しかし、いくつかの実施形態では、プロセスステーション1000の圧力制御はまた、プロセスステーション1000に導入される1つまたは複数のガスの流量を変化させることによって調整することができる。
【0176】
図11は、インバウンドロードロック1102およびアウトバウンドロードロック1104を備え、これらのいずれかまたは両方がリモートプラズマ源を備え得るマルチステーション処理ツール1100の一実施形態の概略図を示す。ロボット1106は、大気圧において、ポッド1108を介してロードされたカセットから、大気圧ポート1110を介してインバウンドロードロック1102にウエハを移動させるように構成される。ウエハは、ロボット1106によって、インバウンドロードロック1102の台座1112上に載置され、大気圧ポート1110が閉じられ、ロードロックがポンプダウンされる。インバウンドロードロック1102がリモートプラズマ源を備える場合、ウエハは、処理チャンバ1114に導入される前にロードロック内でリモートプラズマ処理を受けてもよい。さらに、ウエハはまた、例えば、水分および吸収したガスを除去するためにインバウンドロードロック1102においても加熱されてもよい。次に、処理チャンバ1114へのチャンバ搬送ポート1116が開かれ、別のロボット(図示せず)が、ウエハをリアクタ内に移動させ、リアクタ内に示す第1のステーションの台座上に処理のために載置する。図11に図示される実施形態はロードロックを含んでいるが、いくつかの実施形態では、プロセスステーションにウエハを直接進入させてもよいことが理解されよう。
【0177】
図示の処理チャンバ1114は、図11に示す実施形態において1から4まで番号が付けられた4つのプロセスステーションを備える。各ステーションは、加熱台座(ステーション1に対して1118で示す)と、ガスライン入口とを有する。いくつかの実施形態では、各プロセスステーションは、異なる目的または複数の目的を有し得ることが理解されよう。図示の処理チャンバ1114は4つのステーションを備えるが、本開示による処理チャンバは、任意の適切な数のステーションを有してもよいことが理解される。例えば、いくつかの実施形態では、処理チャンバは、5つ以上のステーションを有してもよく、他の実施形態では、処理チャンバは、3つ以下のステーションを有してもよい。
【0178】
図11はまた、処理チャンバ1114内でウエハを移送するためのウエハハンドリングシステム1190の一実施形態を図示する。いくつかの実施形態では、ウエハハンドリングシステム1190は、様々なプロセスステーション間および/またはプロセスステーションとロードロックとの間でウエハを移送することができる。任意の適切なウエハハンドリングシステムが用いられてもよいことが理解されよう。非限定的な例として、ウエハカルーセルおよびウエハハンドリングロボットが挙げられる。図11はまた、プロセスツール1100のプロセス条件およびハードウェア状態を制御するために用いられるシステムコントローラ1150の一実施形態を図示する。システムコントローラ1150は、1つまたは複数のメモリデバイス1156と、1つまたは複数の大容量記憶デバイス1154と、1つまたは複数のプロセッサ1152とを含むことができる。プロセッサ1152は、CPUまたはコンピュータ、アナログおよび/またはデジタル入出力接続、ステッピングモータコントローラボードなどを含み得る。
【0179】
図12は、特定の実施形態による薄膜堆積プロセスを行うのに適した処理システムのブロック図である。システム1200は、移送モジュール1203を含む。移送モジュール1203は、処理中の基板が様々なリアクタモジュール間を移動するときの基板の汚染リスクを最小化するために、清潔な加圧環境を提供する。移送モジュール1203には、各々が特定の実施形態に従って原子層堆積(ALD)および/または化学気相堆積(CVD)を実施することが可能な、2つのマルチステーションリアクタ1209および1210が取り付けられている。リアクタ1209および1210は、開示された実施形態に従って動作を順次または非順次に実施することができる複数のステーション1211、1213、1215、および1217を含むことができる。ステーションは、加熱された台座もしくは基板支持体、1つまたは複数のガス入口またはシャワーヘッドもしくは分散プレートを含んでもよい。
【0180】
移送モジュール1203には、プラズマもしくは化学的(非プラズマ)前洗浄、または開示された方法に関連して説明された任意の他のプロセスを実施することが可能な、1つまたは複数のシングルまたはマルチステーションモジュール1207が取り付けられてもよい。モジュール1207は、場合によっては、例えば、堆積プロセスのための基板を準備する様々な処理に使用されてもよい。モジュール1207はまた、エッチングまたは研磨などの様々な他のプロセスを実施するように設計/構成することもできる。システム1200はまた、処理前および処理後のウエハを格納する1つまたは複数のウエハソースモジュール1201を含んでいる。大気移送チャンバ1219内の大気ロボット(図示せず)は、最初にウエハをソースモジュール1201から取り出してロードロック1221に移送することができる。移送モジュール1203内のウエハ移送デバイス(一般的には、ロボットアームユニット)は、ウエハをロードロック1221から移送モジュール1203に取り付けられたモジュールに移動させたり、モジュール間で移動させたりする。
【0181】
様々な実施形態において、システムコントローラ1229を用いて、本明細書に記載のように堆積中のプロセス条件を制御する。
【0182】
マルチステーション処理ツールの一実施形態の概略図を図示する図13に示すように、複数のプロセスステーションがマルチステーション処理ツール環境に含まれてもよいことが理解されよう。処理装置1300は、複数の製作プロセスステーションを含む集積回路製作チャンバ1363を採用し、その各々は、特定のプロセスステーションにおいて台座などのウエハホルダ内に保持された基板上で処理動作を実施するために使用され得る。図13の実施形態では、4つのプロセスステーション1351、1352、1353、および1354を有する集積回路製作チャンバ1363が示されている。他の同様のマルチステーション処理装置は、実施態様および、例えば、所望のレベルの並行ウエハ処理、サイズ/スペースの制約、コストの制約などに応じて、より多くのまたはより少ない数のプロセスステーションを有してもよい。図13にはシステムコントローラ1390の制御下で動作し得る基板ハンドラロボット1375も示されており、ウエハカセット(図13には図示せず)から、そしてローディングポート1380から集積回路製作チャンバ1363へ、そしてプロセスステーション1351、1352、1353、および1354のうちの1つに基板を移動させるように構成される。
【0183】
図13はまた、処理装置1300のプロセス条件およびハードウェア状態を制御するために用いられるシステムコントローラ1390の一実施形態を図示する。システムコントローラ1390は、本明細書に記載されるように、1つまたは複数のメモリデバイスと、1つまたは複数の大容量記憶デバイスと、1つまたは複数のプロセッサとを含むことができる。
【0184】
RFサブシステム1395は、RF電力を生成し、無線周波数入力ポート1367を介して集積回路製作チャンバ1363に伝達することができる。特定の実施形態では、集積回路製作チャンバ1363は、無線周波数入力ポート1367に加えて入力ポートを備えることができる(追加の入力ポートは図13には示されていない)。したがって、集積回路製作チャンバ1363は、8つのRF入力ポートを利用することができる。特定の実施形態では、集積回路製作チャンバ165のプロセスステーション1351~1354は各々、第1および第2の入力ポートを利用することができ、第1の入力ポートが第1の周波数を有する信号を伝達し得、第2の入力ポートが第2の周波数を有する信号を伝達し得る。二重周波数を使用することで、プラズマ特性の向上をもたらすことができる。
【0185】
上述したように、1つまたは複数のプロセスステーションがマルチステーション処理ツールに含まれてもよい。図14は、インバウンドロードロック1402およびアウトバウンドロードロック1404を備え、これらのいずれかまたは両方がリモートプラズマ源を備え得るマルチステーション処理ツール1400の一実施形態の概略図を示す。ロボット1406は、大気圧において、ポッド1408を介してロードされたカセットから、大気圧ポート1410を介してインバウンドロードロック1402に基板またはウエハを移動させるように構成される。基板は、ロボット1406によって、インバウンドロードロック1402の台座1412上に載置され、大気圧ポート1410が閉じられ、ロードロックがポンプダウンされる。インバウンドロードロック1402がリモートプラズマ源を備える場合、基板は、処理チャンバ1414に導入される前にロードロック内でリモートプラズマ処理を受けてもよい。さらに、基板はまた、例えば、水分および吸収したガスを除去するためにインバウンドロードロック1402においても加熱されてもよい。次に、処理チャンバ1414へのチャンバ搬送ポート1416が開かれ、別のロボット(図示せず)が、基板をリアクタ内に移動させ、リアクタ内に示す第1のステーションの台座上に処理のために載置する。図14に図示される実施形態はロードロックを含んでいるが、いくつかの実施形態では、プロセスステーションに基板を直接進入させてもよいことが理解されよう。様々な実施形態において、基板がロボット1406によって台座1412上に載置されるとき、浸漬ガスがステーションに導入される。
【0186】
図示の処理チャンバ1414は、図14に示す実施形態において1から4まで番号が付けられた4つのプロセスステーションを備える。各ステーションは、加熱台座(ステーション1に対して1418で示す)と、ガスライン入口とを有する。いくつかの実施形態では、各プロセスステーションは、異なる目的または複数の目的を有し得ることが理解されよう。例えば、いくつかの実施形態では、プロセスステーションは、ALDプロセスモードとPEALDプロセスモードとの間で切り替え可能であり得る。追加的または代替的に、いくつかの実施形態では、処理チャンバ1414は、ALDプロセスステーションおよびプラズマ強化ALDプロセスステーションの1つまたは複数の適合するペアを含んでもよい。図示の処理チャンバ1414は4つのステーションを含むが、本開示による処理チャンバは、任意の適切な数のステーションを有してもよいことが理解される。例えば、いくつかの実施形態では、処理チャンバは、5つ以上のステーションを有してもよく、他の実施形態では、処理チャンバは、3つ以下のステーションを有してもよい。
【0187】
図14は、処理チャンバ1414内で基板を移送するためのウエハハンドリングシステム1490の一実施形態を図示する。いくつかの実施形態では、ウエハハンドリングシステム1490は、様々なプロセスステーション間および/またはプロセスステーションとロードロックとの間で基板を移送することができる。任意の適切なウエハハンドリングシステムが用いられてもよいことが理解されよう。非限定的な例として、ウエハカルーセルおよびウエハハンドリングロボットが挙げられる。図14はまた、プロセスツール1400のプロセス条件およびハードウェア状態を制御するために用いられるシステムコントローラ1450の一実施形態を図示する。システムコントローラ1450は、1つまたは複数のメモリデバイス1456と、1つまたは複数の大容量記憶デバイス1454と、1つまたは複数のプロセッサ1452とを含むことができる。プロセッサ1452は、CPUまたはコンピュータ、アナログおよび/またはデジタル入出力接続、ステッピングモータコントローラボードなどを含み得る。いくつかの実施形態では、システムコントローラ1450は、本明細書に記載されるような動作を実施するための機械可読命令を含む。
【0188】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ1450は、プロセスツール1400の活動を制御する。システムコントローラ1450は、大容量記憶デバイス1454に記憶され、メモリデバイス1456にロードされ、プロセッサ1452で実行されるシステム制御ソフトウェア1458を実行する。あるいは、制御論理は、システムコントローラ1450にハードコード化されてもよい。特定用途向け集積回路、プログラマブル論理デバイス(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ、またはFPGA)などをこれらの目的のために使用することができる。以下の説明では、「ソフトウェア」または「コード」が使用される場合は常に、機能的に同等のハードコード化された論理をその代わりに使用することができる。システム制御ソフトウェア1458は、タイミング、ガスの混合、ガス流量、チャンバ圧力および/またはステーション圧力、チャンバ温度および/またはステーション温度、基板温度、目標電力レベル、RF電力レベル、基板台座、チャック位置および/またはサセプタ位置、ならびにプロセスツール1400によって実施される特定のプロセスの他のパラメータを制御するための命令を含み得る。システム制御ソフトウェア1458は、任意の適切な方法で構成され得る。例えば、様々なプロセスツール構成要素サブルーチンまたは制御オブジェクトは、様々なプロセスツールプロセスを実行するために使用されるプロセスツール構成要素の動作を制御するために書かれてもよい。システム制御ソフトウェア1458は、任意の適切なコンピュータ可読プログラミング言語でコード化され得る。
【0189】
本明細書に開示された主題は図示された実施形態に関して特に説明されてきたが、様々な変更、修正、および適応を本開示に基づいて行うことが可能であり、それらは本発明の範囲内にあることを意図していることが理解されよう。説明は開示された実施形態に限定されず、逆に、特許請求の範囲内に含まれる様々な修正および同等の構成を包含することを意図していることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】