(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】ICT高圧電源の高電圧抵抗器ストリングに沿った電圧分布を最適化するシステム
(51)【国際特許分類】
H02M 7/04 20060101AFI20240206BHJP
【FI】
H02M7/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023545917
(86)(22)【出願日】2022-01-12
(85)【翻訳文提出日】2023-09-26
(86)【国際出願番号】 US2022012110
(87)【国際公開番号】W WO2022169570
(87)【国際公開日】2022-08-11
(32)【優先日】2021-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】モガヴィーラ, ヴァス
(72)【発明者】
【氏名】リビキ, ピョートル アール.
【テーマコード(参考)】
5H006
【Fターム(参考)】
5H006CA07
5H006CB03
5H006CC01
5H006CC02
5H006DA04
5H006DB01
5H006HA08
5H006HA09
(57)【要約】
絶縁コア変圧器(ICT)高電圧DC電源が開示される。電源は複数のプリント回路基板を含み、各プリント回路基板は二次巻線と電圧ダブラー回路を含む。これらの電圧ダブラー回路は直列に配列される。積層されたプリント回路基板は、複数のグレーディングリングによって取り囲まれる。最後のグレーディングリングは出力電圧に電気的に接続される。次に、隣接するグレーディングリングの間に高電圧抵抗器を配置して分圧器を形成する。第1のグレーディングリングの電圧は、AC電源の出力を調整するためのフィードバックシステムの一部として使用され得る。高電圧抵抗器をグレーディングリング上に配置することにより、より均一な電圧勾配を生成することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
DC電圧を生成するための高電圧DC電源であって、
一次巻線と、
最初のプリント回路基板と最後のプリント回路基板とを含む、複数の積層されたプリント回路基板であって、各プリント回路基板は、
第1の端と第2の端とを有する二次巻線、及び
前記二次巻線と通信し、高電圧出力と低電圧を有する電圧増倍回路であって、第1のプリント回路基板の前記高電圧出力は、隣接する第2のプリント回路基板の前記低電圧と通信し、前記最後のプリント回路基板の前記高電圧出力は前記DC電圧を含む、前記電圧増倍回路を含む、前記複数の積層されたプリント回路基板と、
前記複数の積層されたプリント回路基板を取り囲む複数のグレーディングリングであって、前記複数のグレーディングリングの最後のものはDC電圧と通信する、前記複数のグレーディングリングと、
隣接するグレーディングリングの間に配置されて分圧器を形成する高電圧抵抗器であって、前記複数のグレーディングリングのうちの最初のものは、低電圧抵抗器の1つの端子に接続され、前記低電圧抵抗器の第2の端子は接地され、前記低電圧抵抗器の両端の電圧は前記DC電圧を示す、前記高電圧抵抗器と
を含む、DC電圧を生成するための高電圧DC電源。
【請求項2】
前記最初のプリント回路基板と前記最後のプリント回路基板との間に配置された少なくとも1つの追加のプリント回路基板を含む、請求項1に記載の高電圧DC電源。
【請求項3】
前記複数のグレーディングリングの前記最初のものと、前記複数のグレーディングリングの前記最後のものとの間に配置された少なくとも1つの追加のグレーディングリングを含む、請求項1に記載の高電圧DC電源。
【請求項4】
各電圧倍増回路によって生成される電圧が同じである、請求項1に記載の高電圧DC電源。
【請求項5】
前記一次巻線と通信するAC電源と、前記AC電源と通信するフィードバックシステムとをさらに含む、請求項1に記載の高電圧DC電源。
【請求項6】
前記低電圧抵抗器の両端間の電圧が、前記フィードバックシステムによって前記AC電源の出力を制御するために使用される、請求項5に記載の高電圧DC電源。
【請求項7】
前記低電圧抵抗器の両端の電圧に関連する測定誤差が、前記複数のグレーディングリングが使用されない実施形態と比較して、少なくとも3分の1に低減される、請求項6に記載の高電圧DC電源。
【請求項8】
前記複数の積層されたプリント回路基板のうちの少なくとも1つが、複数の電圧増倍回路を含む、請求項1に記載の高電圧DC電源。
【請求項9】
前記電圧増倍回路が電圧ダブラー回路を含む、請求項1に記載の高電圧DC電源。
【請求項10】
前記電圧ダブラー回路が、
直列に配列された複数のキャパシタを含むキャパシタストリングであって、前記キャパシタストリングの最初のキャパシタの負端は低電圧であり、前記キャパシタストリングの最後のキャパシタの正端は高電圧出力である、前記キャパシタストリングと、
直列に配列された複数のダイオードを含むダイオードストリングであって、前記ダイオードストリングの最初のダイオードのアノードは前記低電圧に接続され、前記ダイオードストリングの最後のダイオードのカソードは前記高電圧出力に接続され、前記二次巻線の前記第1の端は前記キャパシタストリングの中点に電気的に接続され、前記二次巻線の前記第2の端は前記ダイオードストリングの中点に電気的に接続される、前記ダイオードストリングと
を含む、請求項9に記載の高電圧DC電源。
【請求項11】
各プリント回路基板が、第1の端と第2の端を有する少なくとも1つの追加の二次巻線を含み、
前記電圧増倍回路は、
第1の端に前記低電圧を、第2の端に前記高電圧出力を有する前記電圧増倍回路を形成するように直列に配列された複数の低電圧ダブラー回路であって、各低電圧ダブラー回路は、正端と負端を含み、直列に配列された第1のキャパシタ及び第2のキャパシタ、並びに直列に配列された第1のダイオード及び第2のダイオードを含み、前記第1のキャパシタの正端は、前記第1のダイオードのカソードに電気的に接続され、前記低電圧ダブラー回路の正端を含み、第2のキャパシタの負端は、前記第2のダイオードのアノードに電気的に接続され、前記低電圧ダブラー回路の前記負端を含み、それぞれの二次巻線の第1の端は、前記第1のキャパシタと前記第2のキャパシタを接続するトレースに電気的に接続され、前記それぞれの二次巻線の前記第2の端は、前記第1のダイオードと前記第2のダイオードを接続するトレースに電気的に接続される、前記複数の低電圧ダブラー回路を含む、請求項1に記載の高圧DC電源。
【請求項12】
DC電圧を生成するための高電圧DC電源であって、
一次巻線と、
最初のプリント回路基板と最後のプリント回路基板とを含む、複数の積層されたプリント回路基板であって、各プリント回路基板は、
第1の端と第2の端とを有する二次巻線、及び
前記二次巻線と通信し、高電圧出力と低電圧を有する電圧増倍回路であって、第1のプリント回路基板の前記高電圧出力は、隣接する第2のプリント回路基板の前記低電圧と通信し、前記最後のプリント回路基板の前記高電圧出力は前記DC電圧を含む前記電圧増倍回路を含む、前記複数の積層されたプリント回路基板と、
前記複数の積層されたプリント回路基板を取り囲む複数のグレーディングリングであって、前記複数のグレーディングリングの最後のリングは前記DC電圧と通信し、高電圧抵抗器は、隣接するグレーディングリングの間に配置されて分圧器を形成し、前記複数のグレーディングリングのうちの最初のものは接地される、前記複数のグレーディングリングと
を含む、高電圧DC電源。
【請求項13】
前記最初のプリント回路基板と前記最後のプリント回路基板との間に配置された少なくとも1つの追加のプリント回路基板を含む、請求項12に記載の高電圧DC電源。
【請求項14】
前記複数のグレーディングリングのうちの前記最初のものと前記複数のグレーディングリングのうちの前記最後のものとの間に配置された少なくとも1つの追加のグレーディングリングを含む、請求項12に記載の高電圧DC電源。
【請求項15】
各電圧倍増回路によって生成される電圧が同じである、請求項12に記載の高電圧DC電源。
【請求項16】
前記複数の積層されたプリント回路基板のうちの少なくとも1つが、複数の電圧増倍回路を含む、請求項12に記載の高電圧DC電源。
【請求項17】
前記電圧増倍回路が電圧ダブラー回路を含む、請求項12に記載の高電圧DC電源。
【請求項18】
前記電圧ダブラー回路が、
直列に配列された複数のキャパシタを含むキャパシタストリングであって、前記キャパシタストリングの最初のキャパシタの負端は前記低電圧であり、前記キャパシタストリングの最後のキャパシタの正端は前記高電圧出力である、前記キャパシタストリングと、
直列に配列された複数のダイオードを含むダイオードストリングであって、前記ダイオードストリングの最初のダイオードのアノードは前記低電圧に接続され、前記ダイオードストリングの最後のダイオードのカソードは前記高電圧出力に接続され、前記二次巻線の前記第1の端は前記キャパシタストリングの中点に電気的に接続され、前記二次巻線の前記第2の端は前記ダイオードストリングの中点に電気的に接続される、前記ダイオードストリングと
を含む、請求項17に記載の高電圧DC電源。
【請求項19】
各プリント回路基板が、第1の端と第2の端を有する少なくとも1つの追加の二次巻線を含み、
前記電圧増倍回路は、
第1の端に前記低電圧を、第2の端に前記高電圧出力を有する前記電圧増倍回路を形成するように直列に配列された複数の低電圧ダブラー回路であって、各低電圧ダブラー回路は、正端と負端を含み、直列に配列された第1のキャパシタ及び第2のキャパシタ、並びに直列に配列された第1のダイオード及び第2のダイオードを含み、前記第1のキャパシタの正端は、前記第1のダイオードのカソードに電気的に接続され、前記低電圧ダブラー回路の正端を含み、第2のキャパシタの負端は、前記第2のダイオードのアノードに電気的に接続され、前記低電圧ダブラー回路の前記負端を含み、それぞれの二次巻線の第1の端は、前記第1のキャパシタと前記第2のキャパシタを接続するトレースに電気的に接続され、前記それぞれの二次巻線の前記第2の端は、前記第1のダイオードと前記第2のダイオードを接続するトレースに電気的に接続される、前記複数の低電圧ダブラー回路を含む、請求項12に記載の高圧DC電源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年2月3日に出願された米国特許出願第17/166,413号の優先権を主張し、その開示全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
分野
本開示の実施形態は、絶縁コア変圧器高電圧電源内の高電圧抵抗ストリングに沿って電圧を均一に分配するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
絶縁コア変圧器(ICT)高電圧電源は、AC電圧から高電圧DC出力を生成する方法である。入力AC電圧は一次巻線と通信する。
【0004】
特定の実施形態では、入力電圧を、一次巻線の巻数に対する二次巻線の巻数の比に等しい係数で乗算する単一の二次巻線が存在する。電圧の整流と倍加は、ダイオードとキャパシタで構成される電圧回路を使用して行われる。通常、電圧器は、電圧を蓄積するための2つのキャパシタと2つのダイオードで構成され、それぞれが一方向にのみ電流が流れるようにする。キャパシタは直列に配列されているため、電圧が2倍になる。
【0005】
他の実施形態では、複数の二次巻線があり、それぞれが専用の電圧ダブラー回路を備えている。電圧ダブラー回路は直列に配列され、必要なより高いDC電圧を生成する。
【0006】
ICT高電圧電源は、複数の積層されたプリント回路基板を含み、各プリント回路基板は高電圧電源の1つの段を含む。例えば、所望の高電圧出力が125kVであることが意図されている場合、それぞれが12.5kVを生成する10枚のプリント回路基板が積層される可能性がある。これらのプリント回路基板は直列に接続され、高電圧出力を生成する。
【0007】
さらに、いくつかの実施形態では、AC電圧は閉ループ制御を介して制御される。実際の出力電圧が希望の出力電圧と比較され、それに応じてAC電圧が調整される。これは、分圧器を利用して、出力電圧の所定の割合である低い直流電圧を生成することによって達成され得る。例えば、分圧器を使用して125kVの出力電圧から10Vの出力を生成することができる。この10V出力は、AC電圧を制御するためのフィードバックの一部として使用される。
【0008】
高電圧出力の大きさのため、分圧器は通常、複数の高電圧抵抗器と1つ又は複数の低電圧抵抗器を使用して作成される。例えば、10V出力を生成するには、5つの400MΩ抵抗を直列に配列して高電圧抵抗器ストリングを形成する。高電圧抵抗器ストリングの一端は出力電圧に接続され、高電圧抵抗器ストリングの第2の端は160kΩ抵抗などの低電圧抵抗器に接続され得る。低電圧抵抗器の他端は接地されてもよい。出力電圧が実際に125kVである場合、低電圧抵抗器の両端の電圧は10Vになる可能性がある。出力電圧が目的の出力と異なる場合、低電圧抵抗器の両端の電圧はこの電圧とは異なる。
【0009】
しかしながら、特定の実施形態では、浮遊容量により、複数の高電圧抵抗器にかかる電圧は等しくない場合があり、その結果、一部の抵抗器は理想電圧よりも少ない電力を消費する一方、他の抵抗器は理想電圧よりも多く電力を消費することになる。
【0010】
抵抗器にわたるこの不均一な電圧分布は、これらの構成要素に電圧応力を引き起こす可能性があり、その結果、構成要素が早期に故障する可能性がある。電圧応力に加えて、分圧器の各抵抗器に出入りする電流が浮遊容量により同じでない可能性があるため、電圧測定誤差も発生する。これにより、実際の出力電圧と測定された出力電圧の間に差が生ずる。
【0011】
したがって、これらの構成要素間の電圧均一性を改善するシステム及び方法があれば有利である。さらに、このアプローチが低コストで実装が簡単であれば有益である。
【発明の概要】
【0012】
絶縁コア変圧器(ICT)高電圧DC電源が開示される。電源は複数のプリント回路基板を含み、各プリント回路基板は二次巻線と電圧ダブラー回路を含む。これらの電圧ダブラー回路は直列に配列される。積層されたプリント回路基板は、複数のグレーディングリングによって取り囲まれる。最後のグレーディングリングは高電圧出力に電気的に接続される。次に、隣接するグレーディングリングの間に高電圧抵抗器を配置して分圧器を形成する。第1のグレーディングリングの電圧は、AC電源の出力を調整するためのフィードバックシステムの一部として使用され得る。高電圧抵抗器をグレーディングリング上に配置することにより、より均一な電圧勾配を生成することができる。
【0013】
一実施形態によれば、DC電圧を生成するための高電圧DC電源が開示される。高電圧DC電源は、一次巻線と、最初のプリント回路基板と最後のプリント回路基板を含む、複数の積層されたプリント回路基板とを含み、各プリント回路基板は、第1の端と第2の端を有する二次巻線、及び二次巻線と通信し、高電圧出力と低電圧を有する電圧増倍回路を含み、第1のプリント回路基板の高電圧出力は、隣接する第2のプリント回路基板の低電圧と通信し、最後のプリント回路基板の高電圧出力はDC電圧を含み、複数のグレーディングリングは、複数の積層されたプリント回路基板を取り囲み、複数のグレーディングリングの最後のものが直流電圧と通信し、隣接するグレーディングリングの間に高電圧抵抗を配置して分圧器を形成し、複数のグレーディングリングのうちの第1の端子は低電圧抵抗器の一端子に接続され、低電圧抵抗器の第2の端子は接地され、低電圧抵抗器の両端の電圧はDC電圧を示す。
【0014】
特定の実施形態では、最初のプリント回路基板と最後のプリント回路基板との間に少なくとも1つの追加のプリント回路基板が配置される。いくつかの実施形態では、複数のグレーディングリングの最初のものと複数のグレーディングリングの最後のものとの間に、少なくとも1つの追加のグレーディングリングが配置される。いくつかの実施形態では、各電圧増倍回路によって生成される電圧は同じである。いくつかの実施形態では、高電圧DC電源は、一次巻線と通信するAC電源と、AC電源と通信するフィードバックシステムとを含む。特定の実施形態では、低電圧抵抗器の両端の電圧は、AC電源の出力を制御するためにフィードバックシステムによって使用される。特定の実施形態では、低電圧抵抗器の両端間の電圧に関連する測定誤差は、グレーディングリングが使用されない実施形態と比較して、少なくとも3分の1に減少する。いくつかの実施形態では、複数の積層されたプリント回路基板のうちの少なくとも1つは、複数の電圧増倍回路を含む。特定の実施形態では、電圧増倍回路は電圧ダブラー回路を含む。特定のさらなる実施形態では、電圧ダブラー回路は、直列に配列された複数のキャパシタを含むキャパシタストリングであって、キャパシタストリングの最初のキャパシタの負端はより低電圧にあり、キャパシタストリングの最後のキャパシタの正端は高電圧出力にある、キャパシタストリングと、直列に配列された複数のダイオードを含むダイオードストリングであって、ダイオードストリングの最初のダイオードのアノードは低電圧に接続され、ダイオードストリングの最後のダイオードのカソードは高電圧出力に接続される、ダイオードストリングとを含み、二次巻線の第1の端はキャパシタストリングの中点に電気的に接続され、二次巻線の第2の端はダイオードストリングの中点に電気的に接続される。いくつかの実施形態では、各プリント回路基板は、第1の端と第2の端を有する少なくとも1つの追加の二次巻線を含み、電圧増倍回路は、第1の端に低電圧を、第2の端に高電圧出力を有する電圧増倍回路を形成するように直列に配列された複数の低電圧ダブラー回路を含み、各低電圧ダブラー回路は、正端と負端を含み、直列に配置された第1のキャパシタ及び第2のキャパシタ、並びに直列に配置された第1のダイオード及び第2のダイオードを含み、第1のキャパシタの正端は、第1のダイオードのカソードに電気的に接続され、低電圧ダブラー回路の正端を含み、第2のキャパシタの負端は、第2のダイオードのアノードに電気的に接続され、低電圧ダブラー回路の負端を含み、それぞれの二次巻線の第1の端は、第1のキャパシタと第2のキャパシタを接続するトレースに電気的に接続され、それぞれの二次巻線の第2の端は、第1のダイオードと第2のダイオードを接続するトレースに電気的に接続される。
【0015】
他の実施形態によれば、DC電圧を生成するための高電圧DC電源が開示される。高電圧DC電源は、一次巻線と、最初のプリント回路基板と最後のプリント回路基板を含む、複数の積層されたプリント回路基板とを含み、各プリント回路基板は、第1の端と第2の端を有する二次巻線、及び二次巻線と通信し、高電圧出力と低電圧を有する電圧増倍回路を含み、第1のプリント回路基板の高電圧出力は、隣接する第2のプリント回路基板の低電圧と通信し、最後のプリント回路基板の高電圧出力はDC電圧を含み、複数のグレーディングリングは複数の積層されたプリント回路基板を取り囲み、複数のグレーディングリングの最後のものはDC電圧と通信し、高電圧抵抗器が隣接するグレーディングリングの間に配置されて分圧器を形成し、グレーディングリングの最初のものは接地される。特定の実施形態では、最初のプリント回路基板と最後のプリント回路基板との間に少なくとも1つの追加のプリント回路基板が配置される。いくつかの実施形態では、複数のグレーディングリングの最初のものと複数のグレーディングリングの最後のものとの間に、少なくとも1つの追加のグレーディングリングが配置される。いくつかの実施形態では、各電圧増倍回路によって生成される電圧は同じである。いくつかの実施形態では、複数の積層されたプリント回路基板のうちの少なくとも1つは、複数の電圧増倍回路を含む。特定の実施形態では、電圧増倍回路は電圧ダブラー回路を含む。特定のさらなる実施形態では、電圧ダブラー回路は、直列に配列された複数のキャパシタを含むキャパシタストリングであって、キャパシタストリングの最初のキャパシタの負端はより低い電圧にあり、キャパシタストリングの最後のキャパシタの正端は高電圧出力にある、キャパシタストリングと、直列に配列された複数のダイオードを含むダイオードストリングであって、ダイオードストリングの最初のダイオードのアノードは低電圧に接続され、ダイオードストリングの最後のダイオードのカソードは高電圧出力に接続される、ダイオードストリングとを含み、二次巻線の第1の端はキャパシタストリングの中点に電気的に接続され、二次巻線の第2の端はダイオードストリングの中点に電気的に接続される。いくつかの実施形態では、各プリント回路基板は、第1の端と第2の端を有する少なくとも1つの追加の二次巻線を含み、電圧倍増回路は、直列に配列された複数の低電圧ダブラー回路を含み、第1の端に低電圧を有し、第2の端に高電圧出力を有する電圧倍増回路を形成し、各低電圧ダブラー回路は、正端と負端とを含み、直列に配列された第1のキャパシタ及び第2のキャパシタ、並びに直列に配列された第1のダイオード及び第2のダイオードを含み、第1のキャパシタの正端は、第1のダイオードのカソードに電気的に接続され、低電圧ダブラー回路の正端を含み、第2のキャパシタの負端は、第2のダイオードのアノードに電気的に接続され、低電圧ダブラー回路の負端を含み、それぞれの二次巻線の第1の端は、第1のキャパシタと第2のキャパシタを接続するトレースに電気的に接続され、それぞれの二次巻線の第2の端は、第1のダイオードと第2のダイオードを接続するトレースに電気的に接続される。
【0016】
本開示をよりよく理解するために、添付の図面を参照する。これらの図面は参照により本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態に従って電圧不均一性が補償された高電圧電源を示す代表的な概略図である。
【
図2】一実施形態による、
図1の高電圧電源内のプリント回路基板のそれぞれに配置された電圧器のレイアウトを示す図である。
【
図3】別の実施形態による、
図1の高電圧電源内のプリント回路基板の各々上に配置された電圧器のレイアウトを示す図である。
【
図4】一実施形態による、
図1の高電圧電源とともに使用される抵抗器ストリングの拡大図を示す。
【
図5】一実施形態による、グレーディングリング上に配置された抵抗分圧器を示す図である。
【
図6】別の実施形態による、グレーディングリング上に配置された抵抗分圧器を示す図である。
【
図7】
図7は、従来技術と比較した、高電圧電源における抵抗分圧器にわたる電圧分布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示は、分圧器にわたるより均一な電圧分布を生成し、ICT高電圧DC電源における電圧測定誤差を低減するためのシステム及び方法について説明する。さらに、本開示は、ICT高電圧DC電源を取り囲む複数のグレーディングリングにわたってより均一な電圧分布を生成するためのシステムについて説明する。
【0019】
図1は、ICT高電圧DC電源1の第1の実施形態を示す。ICT高電圧DC電源1は、一次巻線20を含む。一次巻線20は、AC電圧電源10に接続され得る。一次巻線20は、積層された複数のプリント回路基板30の各々の1つ又は複数の開口部を通過する。例えば、
図1に示すように、一次巻線20はフェライトの底部バー上に載っている。プリント回路基板30(PCB)のそれぞれは、磁束を結合するフェライト底部バーに近接して1つ又は複数の二次巻線31を含む。各PCB上の二次巻線31は、以下により詳細に説明するように、そのプリント回路基板30上に配置された電圧増倍回路と通信する。さらに、特定の実施形態では、各プリント回路基板30は、それぞれが1つ又は複数の二次巻線31と通信する2つの電圧増倍回路を有してもよい。さらに、1つのPCB上の電圧増倍回路の出力は、隣接するPCB上に配置された電圧増倍回路への入力電圧として機能することができる。換言すれば、1つのプリント回路基板30上の電圧増倍回路の出力は、高電圧出力を形成するためにスタックに形成された他のプリント回路基板上の電圧増倍回路と直列にカスケード接続される。各プリント基板は独立した電圧を生成し、直列にカスケード接続されて高電圧出力を生成する。特定の実施形態では、電圧増倍回路は電圧ダブラー回路を含む。
【0020】
図2は、各プリント回路基板30上に配置され得る電圧ダブラー回路32の第1の実施形態を示す。プリント回路基板30は、複数の層を有する従来のプリント回路基板であってもよく、導電層はFR4などの絶縁材料によって互いに分離されている。特定の実施形態では、プリント回路基板30は2つの導電層、頂面と底面とを含むことができる。電気トレースは、プリント回路基板のこれらの層上に配置され得る。ビアは、頂面のトレースを低面のトレースに接続するために使用できる。これらの電気トレースは、プリント回路基板上に配置された様々な構成要素を電気的に接続するために使用される。他の実施形態では、3つ以上の導電層があってもよい。
【0021】
電圧ダブラー回路32はキャパシタストリングも含む。ストリングは、直列に配列された複数のキャパシタ100を含む。キャパシタは各々、同じ静電容量及び電圧定格を有することができる。キャパシタストリングの第1の端はより低お電圧34に接続され、キャパシタストリングの第2の端はより高い電圧35に接続される。電圧ダブラー回路32はまた、ダイオードのストリングを備える。ダイオードストリングは、同様に直列に配列された複数のダイオード110を含む。ダイオードストリングの第1の端はより低い電圧34に接続され、ダイオードストリングの第2の端はより高い電圧35に接続される。1つのダイオードのカソードは、ダイオードストリング内の隣接するダイオードのアノードに接続される。したがって、最初のダイオードのアノードはより低い電圧34に接続され、ダイオードストリングの最後のダイオードのカソードはより高い電圧35に接続される。ACサイクルの正の部分では、中間点とより高い電圧35の間に配置されたダイオードが電流を流し、中間点とより高い電圧35の間に配置されたキャパシタを充電する。ACサイクルの負の部分の間、中点とより低い電圧34との間に配置されたダイオードが電流を流し、中点とより低い電圧34との間に配置されたキャパシタを充電する。したがって、各ダイオードのカソードは、そのダイオードのアノードよりも高い電圧になる。
【0022】
特定の実施形態では、ダイオード110とキャパシタ100の数は等しい。他の実施形態では、ダイオード110とキャパシタ100の数は異なっていてもよい。キャパシタ100及びダイオード110の数は、中点の両側に等しい数のダイオード及びキャパシタが存在するように偶数であってもよい。二次巻線31の第1の端は、キャパシタストリングの中点に電気的に接続されている。二次巻線31の第2の端は、ダイオードストリングの中点に電気的に接続されている。中点とは、第1の端と中点との間に配置されるキャパシタ100(及びダイオード110)の数と、中点と第2の端との間に配置される数と同じ数のキャパシタ100(及びダイオード110)が配置されることを意味する。
【0023】
図2は12個のキャパシタ100及び12個のダイオード110を示しているが、本開示はこの実施形態に限定されない。むしろ、キャパシタ100及びダイオード110の数は、本開示によって限定されない。さらに、キャパシタ100とダイオード110の数は同じである必要はない。
【0024】
図3は、各プリント回路基板30上に配置され得る高電圧ダブラー回路301の第2の実施形態を示す。この実施形態では、複数の二次巻線31がある。各二次巻線31は、関連する低電圧ダブラー回路350と通信している。各低電圧ダブラー回路350は、直列に配列された2つのキャパシタ360a、360bと、直列に配列された2つのダイオード370a、370bを含む。二次巻線31の第1の端は、2つのキャパシタ360a、360bを接続するトレースと電気的に接触している。二次巻線31の第2の端は、ダイオード370aのアノードをダイオード370bのカソードに接続するトレースと電気的に接触している。キャパシタ360aの正端は、ダイオード370aのカソードに電気的に接続される。キャパシタ360bの負端は、ダイオード370bのアノードに電気的に接続される。
【0025】
低電圧ダブラー回路350は直列に接続されて高電圧ダブラー回路301を形成する。換言すれば、1つの低電圧ダブラー回路350のダイオード370aのカソードは、隣接する低電圧ダブラー回路350のダイオード370bのアノードと電気的に接触している。各低電圧ダブラー回路350は、少なくとも1つの他の低電圧ダブラー回路350に電気的に直列に接続され、高電圧ダブラー回路301を形成する。
【0026】
第1の低電圧ダブラー回路350への入力は低電圧34と電気的に接続されており、一方、最後の低電圧ダブラー回路350の出力は高電圧35と電気的に接続されている。
【0027】
どの電圧ダブラー回路が使用されるかに関係なく、1つのプリント回路基板30のより高い電圧35は、スタック内の隣接するプリント回路基板のより低い電圧34に電気的に接続される。いくつかの実施形態では、各プリント回路基板上の電圧ダブラー回路によって生成される電圧は同じである。
【0028】
したがって、各PCBの電圧ダブラー回路の出力は、隣接するPCBの電圧ダブラー回路と直列になり、電圧ダブラー回路をカスケード接続する。例えば、10個のPCBが積層されている場合、各PCB上の電圧ダブラー回路が12.5kVを生成すると、出力電圧は125kVになり得る。当然ながら、異なる数のPCBが使用されてもよく、各電圧ダブラー回路によって生成される電圧が上記の例とは異なっていてもよい。出力電圧を生成するPCBは、最後のプリント回路基板と呼ぶことができる。この最後のプリント基板は、直列の最後のPCBである。直列の最初のプリント回路基板は、第1のプリント回路基板と呼ぶことができる。
図1に示すように、プリント回路基板が垂直に積層されている場合、最初のPCBが最下位のプリント回路基板となり、最後のPCBが最上層のプリント回路基板となり得る。当然ながら、最後のPCBが最下位のプリント回路基板になるようにスタックを反転することもできる。
【0029】
上記の説明は電圧ダブラー回路に言及しているが、これらの電圧ダブラー回路は電圧を倍増しなくてもよいことは理解される。例えば、3倍電圧回路、4倍電圧回路、又は整流回路を用いてもよい。
【0030】
再び
図1を参照すると、積層されたプリント回路基板30を取り囲んでいるのは、複数のグレーディングリング40である。グレーディングリング40は、ICT高電圧DC電源1によって放出されるコロナ効果を低減するために使用される。グレーディングリング40は、積層されたプリント回路基板30に沿ってより均一な電位を生成する役割も果たす。グレーディングリング40は、金属などの導電性材料で作られている。グレーディングリングは円形リングであってもよく、プリント回路基板30の寸法よりも大きい内径を有していてもよい。
【0031】
複数のグレーディングリング40の最後のグレーディングリングは、最後のプリント回路基板によって生成され得る出力電圧と通信する。したがって、最後のグレーディングリングに印加される電圧は、ICT高圧DC電源1の出力電圧と等しい。第1のグレーディングリングは、以下でより詳細に説明するように、最下位のプリント回路基板であり得る第1のプリント回路基板と通信することができる。特定の実施形態では、最後のグレーディングリングと最初のグレーディングリングとの間に少なくとも1つのグレーディングリングが配置される。いくつかの実施形態では、最後のグレーディングリングと最初のグレーディングリングとの間に複数のグレーディングリングが配置される。
【0032】
グレーディングリング40の数は、プリント回路基板30の数と異なっていてもよい。
【0033】
高電圧抵抗器50は、隣接するグレーディングリング40を電気的に接続するために使用される。例えば、6つのグレーディングリング40がある場合、直列に配列された5つの高電圧抵抗器50があり、これらはグレーディングリング40上に分圧器を形成するために使用される。各高電圧抵抗器50の抵抗値は同じであってもよい。これらの高電圧抵抗器50は高電圧抵抗器ストリングを形成する。
【0034】
これらの高電圧抵抗器50は、
図4に最も良く示されているように、グレーディングリング40に直接取り付けることができる。例えば、各高電圧抵抗器50の端子は、2つの隣接するグレーディングリング40にクランプ又は別の方法で固定されてもよい。グレーディングリング40及び高電圧抵抗器50は、浮遊容量を補償するシールド容量として機能する。高電圧抵抗器50は、浮遊容量からの漏れがグレーディングリング40によってほぼまたは完全に中和され、分圧器に沿った電圧差がほぼ均一になるようにグレーディングリング40上に配置される。
【0035】
図5は、10個の積層されたプリント回路基板30と6つのグレーディングリング40を示すブロック図を示す。最後のグレーディングリング40aは、最後のプリント回路基板30aによって生成される出力電圧と電気的に接続されている。高電圧抵抗器50は、隣接するグレーディングリング40の各対の間に高電圧抵抗器が存在するように、隣接するグレーディングリングを接続するために使用される。第1のグレーディングリング40bは、第1のプリント回路基板30bと電気的に接続されている。他のグレーディングリング40はいずれも、他のプリント回路基板によって生成された電圧と通信していないことに留意されたい。特定の実施形態では、最後のプリント回路基板30aと第1のプリント回路基板30bとの間に少なくとも1つのプリント回路基板が配置される。いくつかの実施形態では、最後のプリント回路基板30aと第1のプリント回路基板30bとの間に複数のプリント回路基板が配置される。
【0036】
第1のグレーディングリング40bは、第1のプリント回路基板30b上に配置され得る低電圧抵抗器38に電気的に接続される。例えば、第1のプリント回路基板30b上の低電圧抵抗器の一方の端子は第1のグレーディングリング40bと通信し、一方、低電圧抵抗器の第2の端子はアースと通信することができる。あるいはまた、低電圧抵抗器38の一方の端子を第1のグレーディングリング40b上又はその近くに配置し、一方、低電圧抵抗器の第2の端子を接地させてもよい。これらの実施形態では、第1のグレーディングリング40bは接地されていないが、グレーディングリング40上に配置された高電圧抵抗器50と、第1のグレーディングリング40bと通信する低電圧抵抗器38とを含む分圧器によって生成される電圧にある。例えば、グレーディングリング40上に配置された高電圧抵抗器50がそれぞれ400MΩであり、低電圧抵抗器38が160kΩである場合、第1のグレーディングリング40bの電圧は10.000Vであってもよい。
【0037】
この実施形態では、第1のグレーディングリング40bの電圧は、AC電圧電源10の大きさを制御するフィードバックシステム500の一部として使用され得る。フィードバックシステム500は、比例コントローラ、比例微分(PD)コントローラ、比例積分微分(PID)コントローラ、又は他のタイプのコントローラなどのコントローラを含むことができる。例えば、第1のグレーディングリング40bの電圧が期待値よりも低い場合、フィードバックシステム500は、AC電圧電源10からの電圧出力を増加させることができる。逆に、第1のグレーディングリング40bの電圧が期待値よりも大きい場合、フィードバックシステム500は、AC電圧電源10からの電圧出力を減少させることができる。
【0038】
図6に示す別の実施形態によれば、第1のグレーディングリング40bは電気的に接地される。これは、第1のプリント回路基板30bへの接続を介して行うことができる。このようにして、各グレーディングリング40の電圧は、N
*(出力電圧)/M-1にほぼ等しく、Mはグレーディングリング40の数であり、Nは直列におけるグレーディングリングの位置である。具体的には、第1のグレーディングリング40bのNの値は0であり、最後のグレーディングリング40aのNの値はM-1である。再び、
図4に関して上述したように、最後のグレーディングリング40aのみがプリント回路基板30の出力電圧と通信している。残りのグレーディングリングは、同じく接地されている第1のグレーディングリング40bを除き、高電圧抵抗器50を介して隣接するグレーディングリングとのみ接続されている。
【0039】
一例として、出力電圧が125kVであり、6つのグレーディングリングがある場合、グレーディングリング40の電圧は、それぞれ、0、25kV、50kV、75kV、100kV、及び125kVであってもよい。この実施形態では、グレーディングリング40はAC電圧電源10にフィードバックを提供しない。むしろ、この実施形態では、高電圧抵抗器50は、積層されたプリント回路基板30にわたってより均一な電圧勾配を生成するように機能する。
【0040】
ここで説明するシステムには多くの利点がある。出力125kVの高圧電源についてシミュレーションを実行した。それぞれが電圧ダブラー回路を備えた10個のプリント回路基板が使用された。一実施形態では、グレーディングリング40は使用されず、上述の高電圧抵抗器50が1つ又は複数のプリント回路基板上に配置された。5つの高電圧抵抗器50があり、それぞれは400MΩの抵抗値を有する。さらに、160kΩの抵抗を有する低電圧抵抗器38もプリント回路基板の1つに配置された。上で説明したように、これら6つの抵抗器は分圧器を形成する。浮遊容量のため、高電圧抵抗器ストリング内の各高電圧抵抗器50の両端の電圧は均一ではない。むしろ、より多くの電流が高電圧出力に最も近い高電圧抵抗器50を通過するため、この高電圧抵抗器50の両端の電圧降下は最大となる。高電圧抵抗器ストリング内の各高電圧抵抗器50の両端の電圧は、高電圧出力から遠ざかるにつれて減少する可能性がある。例えば、各抵抗器でシミュレートされた電圧は次のとおりである。
125.0kV;85.21kV;57.34kV;32.10kV;14.837kV;及び9.394V。
【0041】
各高電圧抵抗器におけるこの電圧は、
図7の線700に示されている。これは、高電圧出力付近の高電圧抵抗器にかかる電圧ストレスが増大することを意味し、早期故障につながる可能性がある。
【0042】
さらに、この実施形態を使用すると、低電圧抵抗器38で測定される電圧は理論値よりも小さい。例えば、出力電圧が125kVである場合、低電圧抵抗器38で測定される電圧は理論的には10.000Vとなり得る。しかしながら、この実施形態では、上述したように、シミュレートされた電圧はわずか9.4Vであった。この電圧の差は、必要な高電圧出力を正確に生成する能力に影響を与える可能性がある。
【0043】
しかしながら、
図5に示すように、グレーディングリング40が導入され、高電圧抵抗器50がグレーディングリング40上に配置されると、電圧均一性は大幅に改善される。例えば、シミュレートされた分圧器の両端の電圧は次のようになる。
125.0kV;98.960kV;75.340kV;48.66kV;24.34kV;及び9.876V。
【0044】
高電圧抵抗器50の両端の電圧は、
図7の線710に示されている。具体的には、グレーディングリング40を使用した場合の測定誤差は、0.6Vの誤差ではなく、0.125V未満である。これは測定誤差が4分の1に減少することになる。他の実施形態では、測定誤差は少なくとも3分の1に低減され得る。
【0045】
さらに、各高電圧抵抗器50の両端の電圧はより均一になり、低電圧抵抗器38の電圧は理論値にはるかに近くなる。したがって、構成要素の信頼性が向上し、高電圧出力の制御がより正確になり得る。これは、グレーディングリング40によって生成されるシールド静電容量の効果によるものである。
【0046】
さらに、隣接するグレーディングリング40の間に高電圧抵抗器50を置くことにより、グレーディングリングに沿ってより均一な電位勾配も生成される。例えば、特定の実施形態では、各電圧ダブラー回路の電圧は、設計、負荷、又は他のパラメータに応じて異なり得る。高電圧出力のみを使用し、複数の高電圧抵抗器を使用してグレーディングリングを接続することによって、他の方法で可能であるよりも均一な電圧勾配をグレーディングリング40上に生成することができる。
【0047】
本開示は、本明細書に記載される特定の実施形態によって範囲が限定されるものではない。実際、本明細書に記載されたものに加えて、本開示の他の様々な実施形態および修正形態は、前述の説明及び添付の図面から当業者には明らかとなるであろう。したがって、そのような他の実施形態及び変形は、本開示の範囲内に含まれるものとする。さらに、本開示は、本明細書では、特定の目的のための特定の環境における特定の実装に関連して説明されているが、当業者は、その有用性がそれに限定されず、本開示が任意の数の目的のために任意の数の環境で有益に実装され得ることを認識するであろう。したがって、以下に記載される特許請求の範囲は、本明細書に記載される本開示の全範囲及び趣旨を考慮して解釈されるべきである。
【国際調査報告】