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<図1A>
  • 特表-プラズマエッチング技術 図1A
  • 特表-プラズマエッチング技術 図1B
  • 特表-プラズマエッチング技術 図1C
  • 特表-プラズマエッチング技術 図1D
  • 特表-プラズマエッチング技術 図2
  • 特表-プラズマエッチング技術 図3
  • 特表-プラズマエッチング技術 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】プラズマエッチング技術
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240206BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L21/302 301Z
H01L29/78 301Y
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023547796
(86)(22)【出願日】2022-02-02
(85)【翻訳文提出日】2023-09-28
(86)【国際出願番号】 US2022014996
(87)【国際公開番号】W WO2022173633
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】17/171,742
(32)【優先日】2021-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514028776
【氏名又は名称】トーキョー エレクトロン ユーエス ホールディングス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ルアン,ピンシャン
(72)【発明者】
【氏名】モスデン,アエラン
【テーマコード(参考)】
5F004
5F140
【Fターム(参考)】
5F004AA05
5F004BA04
5F004BA20
5F004BB14
5F004BB18
5F004BB25
5F004BB26
5F004BD03
5F004CA02
5F004CA03
5F004CA04
5F004DA00
5F004DA01
5F004DA17
5F004DA18
5F004DA23
5F004DA24
5F004DA25
5F004DB01
5F004DB19
5F004EA07
5F140AA39
5F140BA01
5F140BA05
5F140BB05
5F140BC12
5F140BC15
5F140BC19
5F140BF04
5F140CB04
(57)【要約】
ある特定の実施形態では、半導体基板を処理する方法が、薄膜スタックを含む半導体基板を受け取ることを含む。薄膜スタックは、第1のシリコン層、第2のシリコン層、及び第1のシリコン層と第2のシリコン層との間に配置された第1のゲルマニウム含有層を含む。方法は、薄膜スタックを、フッ素剤、窒素剤、及び水素剤を含むプラズマに曝露させることにより、第1のゲルマニウム含有層を選択的にエッチングすることを更に含む。プラズマは、第1のゲルマニウム含有層をエッチングし、第1のシリコン層及び第2のシリコン層の露出表面上にパッシベーション層を形成して、薄膜スタックがプラズマに曝露されている間に第1のシリコン層及び第2のシリコン層のエッチングを阻止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板を処理する方法であって、当該方法は、
薄膜スタックを含む半導体基板を受容するステップであって、前記薄膜スタックは、第1のシリコン層、第2のシリコン層、および前記第1のシリコン層と前記第2のシリコン層の間に配置された第1のゲルマニウム含有層を含む、ステップと、
前記薄膜スタックを、フッ素剤、窒素剤、および水素剤を含むプラズマに曝露させることにより、前記第1のゲルマニウム含有層を選択的にエッチングするステップであって、前記プラズマは、前記第1のゲルマニウム含有層をエッチングし、前記第1のシリコン層および前記第2のシリコン層の露出された表面にパッシベーション層を形成し、前記薄膜スタックが前記プラズマに曝露されている間、前記第1のシリコン層および前記第2のシリコン層のエッチングを抑制する、ステップと、
を有する、方法。
【請求項2】
前記プラズマは、貴ガスを含むガスから生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プラズマは、三フッ化窒素(NF)ガスを含むガスから生成され、
前記フッ素剤は、前記NFガスから解離したフッ素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記プラズマは、Hガスを含むガスから生成され、前記水素剤は、水素である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記プラズマは、
三フッ化窒素(NF)、アンモニア(NH)およびアルゴン(Ar);
NF、NH、窒素(N)およびAr;
NF、水素(H)およびAr;または、
NF、H、ArおよびN
を含むガスの組み合わせから生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のシリコン層および前記第2のシリコン層の前記露出された表面に形成される前記パッシベーション層は、窒化ケイ素(Si)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のゲルマニウム含有層は、約50パーセントまたはそれ以下のゲルマニウムを含むシリコン-ゲルマニウム(SiGe)層である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のゲルマニウム含有層は、約15パーセントまたはそれ以下のゲルマニウムを含み、
前記第1のシリコン層および前記第2のシリコン層に対する前記第1のゲルマニウム含有層の選択比は、約70:1、またはそれ以上である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のゲルマニウム含有層を選択的にエッチングするステップは、前記第1のゲルマニウム含有層の端部を選択的にエッチングして、前記第1のシリコン層と前記第2のシリコン層の間で、前記薄膜スタックに窪み(indent)を形成するステップを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のゲルマニウム含有層が選択的にエッチングされるにつれ、前記第1のシリコン層および前記第2のシリコン層の追加表面が露出され、前記プラズマは、前記追加表面上に前記パッシベーション層を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のゲルマニウム含有層を選択的にエッチングするステップは、前記第1のシリコン層と前記第2のシリコン層の間の前記第1のゲルマニウム含有層の実質的に全てを選択的に除去するステップを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のゲルマニウム含有層を選択的にエッチングするステップの前に、
前記薄膜スタックの表面に自然酸化物層が存在し、
当該方法は、さらに、前記自然酸化物層をエッチングするステップを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記薄膜スタックは、さらに、第2のゲルマニウム含有層および第3のシリコン層を有し、前記第2のゲルマニウム含有層は、前記第2のシリコン層と前記第3のシリコン層の間に配置され、
当該方法は、前記薄膜スタックを前記プラズマに曝露させることにより、前記第2のゲルマニウム含有層を選択的にエッチングするステップを有し、
前記プラズマは、前記第3のシリコン層の露出された表面に前記パッシベーション層を形成し、前記薄膜スタックが前記プラズマに曝露されている間、前記第3のシリコン層のエッチングを抑制する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
半導体基板を処理する方法であって、当該方法は、
プラズマツールのプラズマチャンバ内に半導体基板を配置するステップであって、前記半導体基板は、薄膜スタックを有し、該薄膜スタックは、交互積層配置のシリコン層およびゲルマニウム含有層を有し、少なくとも2層のシリコン層および少なくとも2層のゲルマニウム含有層を有する、ステップと、
前記プラズマツールの前記プラズマチャンバにおいて、フッ素剤、窒素剤、および水素剤を含むプラズマを生成するステップであって、前記プラズマは、フッ素含有ガス、窒素含有ガス、水素含有ガス、および貴ガスを含むガスから生成される、ステップと、
前記プラズマツールの前記プラズマチャンバにおいて、前記プラズマに前記薄膜スタックを曝露させるステップであって、前記プラズマは、前記シリコン層の露出された表面に窒化物パッシベーション層を形成させ、前記ゲルマニウム含有層の対向する露出された両端部を、前記シリコン層の対向する露出された両端部に対して選択的にエッチングして、前記ゲルマニウム含有層中に窪みを形成し、前記窒化物パッシベーション層は、前記プラズマによる前記シリコン層のエッチングを抑制する、ステップと、
を有する、方法。
【請求項15】
前記フッ素含有ガスは、三フッ化窒素(NF)、六フッ化硫黄(SF)、または四フッ化炭素(CF)を含み、
前記フッ素剤は、前記フッ素含有ガスから解離したフッ素を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記水素含有ガスは、Hまたはアンモニア(NH)を含み、
前記水素剤は、前記水素含有ガスから解離した水素を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記窒素含有ガスは、N、三フッ化窒素(NF)またはアンモニア(NH)を含み、
前記窒素剤は、前記窒素含有ガスから解離した窒素を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記窒素含有ガスおよび前記フッ素含有ガスは、同じガス化合物の一部であり、または
前記窒素含有ガスおよび前記水素含有ガスは、同じガス化合物の一部である、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記貴ガスの流量は、前記フッ素含有ガスの流量よりも大きく、
前記フッ素含有ガスの前記流量は、前記水素含有ガスの流量よりも大きい、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記貴ガスはアルゴン(Ar)である、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記プラズマが生成される前記ガスは、
三フッ化窒素(NF)、アンモニア(NH)およびアルゴン(Ar);
NF、NH、窒素(N)およびAr;
NF、水素(H)およびAr;または
NF、H、ArおよびN
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記シリコン層の前記露出された表面上に形成される前記窒化物パッシベーション層は、窒化ケイ素(Si)を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
半導体基板を処理する方法であって、当該方法は、
半導体基板をプラズマツールのプラズマチャンバ内に配置するステップであって、前記半導体基板は、薄膜スタックを有し、該薄膜スタックは、交互積層配置において、第1の材料の第1の層および第2の材料の第2の層を有し、前記第1の材料は、約10から約50パーセントの濃度のゲルマニウムを含むゲルマニウム含有材料である、ステップと、
前記第1の材料の前記第1の層を選択的にエッチングするためのプラズマを生成するステップであって、該プラズマを生成するステップは、フッ素、窒素、水素および貴ガスを含むガスを前記プラズマチャンバ内に導入し、前記プラズマチャンバの圧力を約50ミリトール未満に維持するステップを有する、ステップと、
前記プラズマチャンバにおいて、一定期間にわたって、前記薄膜スタックを前記プラズマに曝露させるステップであって、前記プラズマは、前記第1の材料の前記第1の層の対向する露出された両端部を、前記第2の材料の前記第2の層の対向する露出された両端部に対して選択的にエッチングして、前記第1の材料の前記第1の層に窪みを形成する、ステップと、
を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年2月9日に出願された米国特許出願第17/171,742号明細書の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して半導体製造に関し、特定の実施形態では、プラズマエッチング技術に関する。
【背景技術】
【0003】
集積回路(IC)製造産業は、速度、性能、及びコストを改善するために、デバイス密度を増加させようと努力している。より小さいノードサイズへの連続的なスケーリングのために、デバイスアーキテクチャが、2次元(2D)平面構造から、ナノワイヤ又は垂直配向トランジスタなどの3次元(3D)垂直構造まで進化した。ゲート電位による導電チャネルの不十分な制御が、この変化に対する要望を加速している。ゲート寸法が縮小するにつれて、ショートチャネル効果(SCE)が非常に顕著になる場合がありゲートに電圧が印加されていないときに、電流伝導を増加させる場合がある(Ioff)。デバイスアーキテクチャの変化により、ゲートの静電的制御がより良好になり、SCE及び電力損失が減少する場合がある。ナノワイヤデバイスを製作することは、非常に高い選択性を有する等方性エッチングプロセスが有益な場合に、3Dエッチングの課題を提示する場合がある。例えば、露出した材料の層を互いに対してエッチングして、薄膜スタックに窪みを形成する必要があり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
特定の実施形態では、半導体基板を処理する方法が、薄膜スタックを含む半導体基板を受け取ることを含む。薄膜スタックは、第1のシリコン層、第2のシリコン層、及び第1のシリコン層と第2のシリコン層との間に配置された第1のゲルマニウム含有層を含む。方法は、薄膜スタックを、フッ素剤、窒素剤、及び水素剤を含むプラズマに曝露させることにより、第1のゲルマニウム含有層を選択的にエッチングすることを更に含む。プラズマは、第1のゲルマニウム含有層をエッチングし、第1のシリコン層及び第2のシリコン層の露出表面上にパッシベーション層を形成して、薄膜スタックがプラズマに曝露されている間に第1のシリコン層及び第2のシリコン層のエッチングを阻止する。
【0005】
特定の実施形態では、半導体基板を処理する方法が、半導体基板をプラズマツールのプラズマチャンバ内に配置することを含む。半導体基板は、少なくとも2層のシリコン層と少なくとも2層のゲルマニウム含有層とを交互に積層した構成で有するシリコン層及びゲルマニウム含有層を有する薄膜スタックを含む。本方法は、プラズマツールのプラズマチャンバ内で、フッ素剤、窒素剤、及び水素剤を含むプラズマを生成することを更に含む。プラズマは、フッ素含有ガス、窒素含有ガス、水素含有ガス、及び貴ガスを含むガスから生成される。本方法は、プラズマツールのプラズマチャンバ内で、薄膜スタックをプラズマに曝露させることを更に含む。プラズマは、シリコン層の露出表面上に窒化物パッシベーション層を形成させ、ゲルマニウム含有層の反対側の露出端部を選択的にエッチングして、シリコン層の反対側の露出端部に対してゲルマニウム含有層の窪みを形成する。窒化物パッシベーション層は、プラズマによるシリコン層のエッチングを阻止する。
【0006】
特定の実施形態では、半導体基板を処理する方法が、半導体基板をプラズマツールのプラズマチャンバ内に配置することを含む。半導体基板は、第1の材料の第1の層と第2の材料の第2の層とを交互に積層した構成で有する薄膜スタックを含む。第1の材料は、約10~約50パーセントの濃度のゲルマニウムを含むゲルマニウム含有材料である。方法は、第1の材料の第1の層に選択的にエッチングするためのプラズマを生成することを更に含む。プラズマを生成することは、フッ素、窒素、水素、及び貴ガスを含有するガスをプラズマチャンバ内に導入し、プラズマチャンバ内の圧力を約50ミリトール未満に維持することを含む。本方法は、プラズマチャンバ内で、一定期間にわたって薄膜スタックをプラズマに曝露させることを更に含む。プラズマは、第1の材料の第1の層の反対側の露出端部を選択的にエッチングして、第2の材料の第2の層の反対側の露出端部に対して、第1の材料の第1の層に窪みを形成する。
【0007】
本開示及びその利点のより完全な理解のために、以下の記載を添付図面と併せて参照する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】本開示の特定の実施形態による、半導体基板を処理する例示的なプロセス中の例示的な半導体基板の断面図を示す。
図1B】本開示の特定の実施形態による、半導体基板を処理する例示的なプロセス中の例示的な半導体基板の断面図を示す。
図1C】本開示の特定の実施形態による、半導体基板を処理する例示的なプロセス中の例示的な半導体基板の断面図を示す。
図1D】本開示の特定の実施形態による、半導体基板を処理する例示的なプロセス中の例示的な半導体基板の断面図を示す。
図2】本開示の特定の実施形態による、半導体基板を処理する例示的な方法を示す。
図3】本開示の特定の実施形態による、半導体基板を処理する例示的な方法を示す。
図4】本開示の特定の実施形態による、凹状の交互になった薄膜スタックを有する基板を含む例示的なデバイスを示す。
図5】本開示の特定の実施形態による、例示的なプラズマツールのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ある材料を別の材料に対して選択的にエッチングすることを試みるための様々な技術が存在する。場合によっては、2つの材料の化学的性質が十分に異なっていて、一方の材料を選択的にエッチングするプラズマを、他方の材料をエッチングする懸念なしで使用することが可能である。他の場合には、選択性エッチングのための適切なエッチング領域を決定することはより困難である。なぜなら、材料の化学的性質が類似している場合があるから、又は利用可能なエッチングプロセスが他の要因により限定される場合があるからである。別の材料を殆ど又は全くエッチングすることなく、ある材料をエッチングすることが望ましい特定の材料が、選択性に関して困難な課題を提示する。このタイプの選択性エッチング用の従来のプロセスは、ある材料を別の材料に対して選択的にエッチングすることを実現することができない場合がある、又は、選択性、エッチングプロファイル(例えば、局所的均一性及び/又は表面粗さ)等のプロセス要件には及ばない場合がある。
【0010】
選択性の課題は、ゲートオールアラウンド(GAA)デバイスなどの半導体デバイスの3D垂直構造におけるチャネル領域として機能するナノワイヤ又はナノシートを形成する際に生じる場合がある。そのようなナノワイヤの形成は、ベース層上に薄膜スタックを形成することを伴ってもよく、薄膜スタックは、交互の積層体で構成された、Siと、Ge又はSi-Ge(SiGe)合金との層を含む。このプロセスの一部は、シリコン(Si)層のエッチングを最小限に抑えながら、Ge又はGe含有層の反対側の端部における薄膜スタックに窪みをエッチングして、Si層の端部を露出させ、その後に導電性デバイスとして使用することを含み得る。薄膜スタックの表面上に存在する自然酸化物層(NOL)及び/又は他の残留物(例えば、反応性イオンエッチング(RIE)残留物)を部分的によって含む様々な課題に起因して、従来のエッチング技術は不満足な場合がある。
【0011】
Si層のエッチングを最小限に抑えながらGe含有層をエッチングすることは、Ge含有層が比較的低い濃度のGe、例えば約30%以下のGe、及び特定の実施例では約15%以下のGe、を含む場合に特に課題であり得る。この課題は、Ge含有層(例えば、SiGe層)の化学的組成に、及び、低濃度のGeを有するGe含有層が使われる場合にSi層がより類似するようになることに、少なくとも部分的に起因する場合がある。
【0012】
プラズマエッチングを実施して薄膜スタック中に窪みを形成する前に、いくつかの従来技術は、ウェットプロセス又はドライプロセスを使用してNOLを除去する。薄膜スタックは、希釈フッ化水素(HF)酸を使用して、又はケイフッ化アンモニウムの形成を伴う化学的酸化物除去プロセスを使用して処理できる。しかしながら、Si層及びGe含有層の両方の表面上のNOLを除去することにより、Si層のエッチングを最小限に抑えて又はSi層をエッチングすることなくGe含有層をエッチングするための(例えば、後述するような、従来のフッ素ベースのエッチングプロセスを使用する)その後の窪みプラズマエッチングプロセスの選択性が低下し得る。
【0013】
いくつかの従来技術は、(例えば、薄膜スタックの側壁に沿った)Si層及びGe含有層の両方の表面を、フッ素含有化学物質(例えば、フッ素(F)、三弗化塩素(ClF)、三フッ化臭素(BrF)、又は五フッ化ヨウ素(IF))に、又はプラズマによって生成されるフッ素含有ラジカルに曝露させる。そのような従来のプラズマは、四フッ化炭素(CF)及びアルゴン(Ar)を含むガスから、又は三フッ化窒素(NF)及び窒素(N)を含むガスから生成できる。フッ素含有エッチャントは(フッ素含有化学物質中にあろうと、又はプラズマ中のフッ素ラジカル中にあろうと)、Si層よりも、より急速にGe含有層と反応することができ、それにより、Siに対して、あるレベルの選択性を実現できる(Si層よりも、より急速に、Ge含有層をエッチングする)。Si層は、これらの従来技術に関連するフッ素含有エッチャントに対して反応性は劣るものの、望ましくない量のSi層のエッチングが依然として生じる。例えば、Si層のエッチングがSi層の角で生じる場合、Si層のエッチングの結果、角は丸くなる可能性がある。加えて、Ge含有層中のGeの濃度が比較的低い場合(例えば、≦約30%、及び特定の実施例では、≦約15%)、フッ素含有エッチャントに対するSi層及びGe含有層の反応性の差が大幅に低下する場合があり、それにより選択性が劣る場合がある(例えば、特定の実施例では、Geが15%の場合、約20:1未満(Si層のエッチング速度に対するGe含有層のエッチング速度))。
【0014】
後述する実施形態は、選択性エッチングの様々な技術を提供する。例えば、基板の(例えば、Si層及びGe含有層を交互に積層した構成で含む)薄膜スタックの一部分を選択的にエッチングするために、実施形態を用いることができる。Ge含有層の縁部にある窪みを選択的にエッチングして(又は場合によっては、完全に除去して)Siナノワイヤ層のための接触ハンドルを形成することが望ましい場合があり、Ge含有層におけるGeの濃度が低くても(例えば、約50%未満のGe、約30%未満のGe、約25%未満のGe、及び特定の実施形態では約15%未満のGe)、Si層に対する選択性を改善することができる。
【0015】
特定の実施形態では、プラズマを使用して、Si層及びGe含有層を交互に積層した構成で含む薄膜スタックに窪んだ領域又は凹部が形成される。プラズマは、フッ素含有ガス、水素含有ガス、及びキャリアガス(例えば、Ar及びHeなどの貴ガス)を含むガスから生成されてもよく、プラズマは、フッ素剤、水素剤、及び窒素剤を含んでもよい。プラズマは、Si層の露出表面の上にパッシベーション層(例えば、Si窒化物パッシベーション層などの窒化物パッシベーション層)を形成させることができ、パッシベーション層は、プラズマ中のエッチャント(例えば、フッ素剤)がGe含有層をエッチングしている間に、Si層の露出表面上のエッチストップ層として機能することができる。基板をプラズマに曝露させる前に、バリア層(例えば、NOL)が、好適なドライ又はウェットエッチングプロセスを用いて、薄膜スタックの露出表面から実質的に除去されてもよい。
【0016】
図1A図1Dは、本開示の実施形態による、基板102を処理するための例示的なプロセス100中の例示的な基板102の断面図を示す。特定の実施形態では、プロセス100は、基板102の薄膜スタックの特定の層(例えば、Ge含有層)の部分をエッチングするのに好適なプラズマを使用しながら、薄膜スタックの他の層(例えば、Si層)の露出部分上に保護パッシベーション層を形成することを含み、その結果、プロセス100の実行後に、窪んだ薄膜スタックを有する基板102が得られる。
【0017】
図1Aに示すように、基板102は、ベース層106上に配置された薄膜スタック104を含む半導体基板である。薄膜スタック104は、Ge含有層108及びSi層110を交互に積層した構成で含む。薄膜スタック104は、任意の好適な形を有してもよく、任意の好適な数の層を含んでもよい。例として、個々のGe含有層108及びSi層110の垂直厚さは、それぞれ、約5nm~約25nmであってもよく、特定の例として、約10nm又は約20nmであってもよい。加えて、Ge含有層108は、同じ厚さを有してもよく又は互いに厚さが変化してもよく、Si層110は、同じ厚さを有してもよく又は互いに厚さが変化してもよく、Ge含有層108及びSi層110は、同じ厚さを有してもよく又は互いに厚さが変化してもよい。特定の例では、Ge含有層108及びSi層110は全てが実質的に同じ厚さを有する。
【0018】
例えば、Ge含有層108の材料は、高純度のGe又はSiGe合金であってもよい。特定の例として、Ge含有層108は、所与の用途の所望のエッチング特性のため、又は部分的にプロセス100を使用して形成される、結果として生じる半導体デバイスにおける所望の性能のため、SiGe合金(混合物)を適切な割合(例えば、Si0.7Ge0.3、Si0.85Ge0.15など)で含んでもよい。本開示は、別の材料(例えば、Si)に対して任意の好適な濃度のGe(100%のGeを含む)を含むGe含有層108を意図しているが、特定の実施形態では、Ge含有層108は、約50%以下のGe、約30%以下のGe、約25%以下のGe、約15%以下のGe、又は約10%以下のGeを含む。単なる1つの特定の例示的範囲として、Ge含有層108は、別の1種以上の材料(例えば、Si)に対して、約10%~約50%のGeを含んでもよい。特定の実施形態では、全てのGe含有層108が同一の材料を含むが、Ge含有層108は、必要に応じて異なる材料を含んでもよい。
【0019】
例えば、Si層110の材料は、高純度Siであってもよい。特定の実施形態では、全てのSi層110が同一の材料を含むが、Si層110は、必要に応じて異なる材料を含んでもよい。この特定の実施例では、Si層110が主に高純度Siであるとして説明されているが、特定の実施形態では、Ge含有層(例えば、Ge含有層108)がエッチングされている際に選択性を有する材料は、Si窒化物(SiN)などの別の好適な材料を含んでもよいことを理解すべきである。
【0020】
ベース層106は、任意の好適な材料であってもよく、一実施例では、Siである又はSiを含む。特定の実施例では、薄膜スタック104は、ベース層106の上にGe又はSiGe(例えば、Ge含有層108)とSi(例えば、Si層110)とが交互になったヘテロエピタキシャル層を成長させることより形成される。
【0021】
薄膜スタック104の上部に、任意選択のハードマスク112が含まれてもよい。ハードマスク112は、例えば以前のエッチングプロセスにおいて、薄膜スタック104の構造を形成するために使用されている場合がある。特定の実施形態では、ハードマスク112は、SiN(例えば、Si窒化物(Si))であるが、任意の好適な材料を含んでもよい。
【0022】
バリア層114が、(ハードマスク112を含む)薄膜スタック104上に、及び本実施例では、ベース層106上に形成される。バリア層114は、基板102に適用される以前の製作ステップ(例えば、RIE)に、又は基板102の他の取り扱い(例えば、処理ツール間を移送するときの周囲空気への曝露)に起因して生じる場合がある。特定の実施例として、バリア層114は、NOL、RIE残留物、又はこれら両方を含む場合がある。NOLは、例えば約1.0nm~約2.0nmの厚さの、SiO(又は他の好適な材料)の薄層である場合があり、基板102がO及びHOを含む周囲空気に曝露されたときなどに基板102の表面上に形成される。例えば、ベース層106、Ge含有層108、Si層110、及びハードマスク112の表面が周囲空気と相互作用する場合があり、その結果、それら表面にバリア層114が生じる場合がある。別の実施例として、ベース層106、Ge含有層108、Si層110、及びハードマスク112の表面が、以前のRIEステップから生じた残留物を含む場合がある。
【0023】
バリア層114は、バリア層114の下にある層とは異なるエッチング特性を有する場合がある。バリア層114が、(ハードマスク112を含む)薄膜スタック104及びベース層106上で概ね均一なカバレッジを有するように示されているが、バリア層114は、均一なカバレッジを有する場合があり又は有しない場合がある。
【0024】
薄膜スタック104の各層は、図示するような断面の視野から見たときに、反対側の端部に一対の露出表面を有する。すなわち、Ge含有層108の各々が(反対側の)露出表面116を有し、Si層110の各々が(反対側の)露出表面118を有する。加えて、図1Aに示す状態では、基板102がバリア層114を含むので、Ge含有層108の露出表面116及びSi層110の露出表面118はバリア層114を含む。
【0025】
図1Bに示すように、バリア層114がエッチングされて、Ge含有層108の露出表面116から、Si層110の露出表面118から、並びにベース層106及びハードマスク112の露出表面から、バリア層114の一部又は全部が除去される。バリア層114は、任意の好適なウェットエッチング又はドライエッチングプロセスを含む任意の好適なプロセスを使用して除去されてもよい。特定の実施形態では、希釈HF酸又は化学的酸化物除去プロセスを使用して基板102が処理されて、バリア層114の一部又は全部が除去される。バリア層114をエッチングするために使用されるプロセスは、ハードマスク112の一部又は全部を除去する場合がある又は除去しない場合があるが、本実施例の目的のため、ハードマスク112は除去されないか又はエッチングされないように示される。しかしながら、Ge含有層108の露出表面116から及びSi層110の露出表面118からバリア層114を除去することにより、Ge含有層108を、最小限のSi層110のエッチングで、又はSi層110のエッチングなしで、その後の従来のフッ素ベースの窪みプラズマエッチングプロセスの選択性が減少する場合がある。
【0026】
図1Cに示すように、プロセス100のプラズマステップ120において、基板102はプラズマ122に曝露されて、Ge含有層108が選択的にエッチングされる。例えば、基板102は、プラズマ122に曝露されてGe含有層108の露出表面116が選択的にエッチングされ、Ge含有層108の反対側の端部が、隣接するSi層110に対して除去/エッチングされた中間状態にあって、薄膜スタック104に窪み136が形成されてもよい。特定の実施形態では、プラズマステップ120は等方性エッチングプロセスである。
【0027】
プラズマステップ120は、プラズマツールのプラズマチャンバ123内で実施されてもよい。プラズマツールは、誘導結合プラズマ(ICP)ツール、容量結合プラズマ(CCP)ツール、表面波プラズマ(SWP)ツールを含む、任意のタイプの好適なプラズマツールであってもよい。1つの例示的なプラズマツールが図5を参照して後述される。
【0028】
基板102がプラズマ122に曝露されている間に、Ge含有層108の選択性エッチングを促進するために、プラズマ122がSi層110の露出表面118上にパッシベーション層124を形成させることができる。プラズマ122は、Si層110の露出表面118におけるSi層110の一部分を除去し、置換するか又は改質することにより、Si層110の露出表面118上にパッシベーション層124に形成させることができる。特定の実施形態では、ベース層106が高純度Siであるか又はSi窒化物である場合などに、ベース層106の露出表面上にもパッシベーション層124が形成される場合がある。
【0029】
基板102がプラズマ122に曝露されている間に、Si層110の露出表面118上の(及び、図示する実施例では、ベース層106の露出表面上の)パッシベーション層124が、Si層110(及び、図示する実施例では、ベース層106)のエッチングを阻止する。換言すれば、Si層110上の露出表面118上の(及び、ベース層106の露出表面上の)パッシベーション層124の形成及び存在に少なくとも部分的に起因して、プラズマ122がGe含有層108を選択的にエッチングし、パッシベーション層124は、Si層110の露出表面118上で(及び、ベース層106の露出表面上で)エッチストップ層として機能する。特定の実施形態では、Si層110の(及び、図示する実施例では、ベース層106の)エッチングを阻止するパッシベーション層124が、Si層110の一部又は全部のエッチングを防止するパッシベーション層124、Si層110の一部又は全部のエッチングを減らすパッシベーション層124、Si層110の一部又は全部のエッチングを遅延させるパッシベーション層124、などのパッシベーション層124を含む。
【0030】
パッシベーション層124が任意の好適な厚さを有してもよいが、特定の実施形態では、パッシベーション層124は比較的薄く、例えば2nm以下である。パッシベーション層124は、例えば、単分子層であり得る。特定の実施形態では、パッシベーション層124は窒化物、例えばSi窒化物(例えば、Si)である。
【0031】
プラズマ122がGe含有層108をエッチングするにつれて、Si層110の追加表面138が露出される。すなわち、Ge含有層108の選択性エッチングに起因して薄膜スタック104に窪み136又は凹部が形成されるにつれて、Si層110の追加表面138が露出される。プラズマ122は、追加表面138上にパッシベーション層124を形成し続けることができる。追加表面138上に形成されるパッシベーション層124も、窒化物、例えばSi窒化物(例えば、Si)であってもよい。換言すれば、Ge含有層108が、Si層110の上方で、下方で、及び/又はSi層110の間でエッチングされるにつれて、Si層110の新たに露出した表面(例えば、追加表面138)上にパッシベーション層124が更に形成される。追加表面138上のパッシベーション層124が、追加表面138におけるSi層110のエッチングを阻止する一方で、Si層110の露出表面118におけるパッシベーション層124が、露出表面118におけるSi層110のエッチングを阻止する。
【0032】
プラズマ122は、フッ素剤126、水素剤128、及び窒素剤130を含んでもよい。Ge含有層108の露出表面116におけるGe含有層108をエッチングするためのエッチャントとして、フッ素剤126が主に機能し得る。水素剤128は還元剤として機能することができ、フッ素剤126の存在下で、Ge含有層108の露出表面116におけるGe含有層108のエッチングを促進する。更には、プラズマ122を生成するために用いるガスに応じて該当する場合、水素剤128がフッ素及び窒素の特定の化合物を更に分解して、フッ素剤126及び窒素剤130を生成し、Si層110の表面118上でのパッシベーション層124(例えば、Si窒化物などの窒化物)の形成、及び/又はGe含有層108のエッチングを促進させることができる。窒素剤130は、Si層110の露出表面118でSiと反応して、露出表面118に窒化物層(例えば、SiなどのSi窒化物層)を形成する。例えば、プラズマ122中で生成された原子状窒素(N)は、Si層110の露出表面118(及び、ベース層106の露出表面)でSi分子と反応して、Si層110の露出表面118上(及び、ベース層106の露出表面上)にパッシベーション層124(例えば、窒化物層)に形成することができる。
【0033】
フッ素剤126、水素剤128、及び窒素剤130が別個の要素として主に示され説明されているが、本開示は、フッ素剤126、水素剤128、及び窒素剤130が別個であること、又はフッ素剤126、水素剤128、及び窒素剤130の一部又は全部がプラズマ122中の1種以上の化合物の一部であることを意図している。例えば、プラズマ122は、NH種、HF種、NF種、又は他の好適な種のうちの1種以上を含んでもよい。本開示の全体にわたって、フッ素剤126、水素剤128、及び窒素剤130への参照は、これら薬剤を別個の要素として、及びこれら薬剤をプラズマ122の1種以上の化合物の一部として意図していることが理解されるであろう。
【0034】
特定の実施形態では、プラズマ122は、フッ素含有ガス、水素含有ガス、窒素含有ガス、及び貴ガスを含むガスから生成され得る。フッ素含有ガスはエッチャントとして機能することができ、水素含有ガスは還元ガスとして機能することができ、貴ガスはキャリアガスとして機能することができる。いくつかの実施例として、プラズマ122を生成するために用いるフッ素含有ガスは、NF、六フッ化硫黄(SF)、又は四フッ化炭素(CF)を含んでもよい。窒素を含まないフッ素含有ガスが用いられるいくつかの実施例などの特定の実施形態では、(又は更に、窒素を含むフッ素含有ガスが用いられるいくつかの実施例では)例えば、後述するように水素含有ガスとして使われる可能性もあるアンモニア(NH)、又は窒素ガス(N)、を導入することにより、窒素ガスを別の好適な方法で供給することが適切であり得る。水素含有ガスに関して、いくつかの実施例として、プラズマ122を生成するために用いる水素含有ガスは、H又はアンモニア(NH)を含むことができる。上述したように、水素ガスは、Si層110の表面118上でのパッシベーション層124(例えば、Si窒化物などの窒化物)の形成、及び/又はGe含有層108のエッチングを促進し得る。
【0035】
別個に示されているが、窒素含有ガスは、(例えば、窒素ガス(N)として)別個に提供されてもよく、及び/又はプラズマ122を生成するために用いられる他のガスのうちの1種以上を有する化合物の一部として(例えば、フッ素含有ガスを有する化合物の一部として、及び/又は水素含有ガスを有する化合物の一部として)提供されてもよい。例えば、窒素キャリアガス(N)が添加されてもよく、及び/又は、(例えば、パッシベーション層124が窒化物層である実施形態では)パッシベーション層124を形成するための窒素剤130が、フッ素含有ガス用の窒素含有化合物又は水素含有ガス用の窒素含有化合物などの他のガスから提供されてもよい。換言すれば、プラズマ122中の窒素剤130の供給源は、窒素を含むエッチャントガス(例えば、フッ素含有ガス)(例えば、NF)、窒素を含む還元ガス(例えば、水素含有ガス)(例えば、NH)、窒素を含むキャリアガス(例えば、Nキャリアガス)、又は別の好適な窒素含有原料ガスであってもよく、窒素剤130は、原料ガスから解離された原子状窒素であってもよい。
【0036】
特定の実施例として、プラズマ122を生成するために用いるガスは、NF、Ar、及びHの好適な組合せを含んでもよい。特定の実施形態では、Arは、ヘリウム(He)又はクリプトン(Kr)などの他の貴ガスと置換することができる。特定の実施例として、プラズマ122を生成するために用いるガスの組合せは、NF/NH/Ar、NF/NH/N/Ar、NF/H/Ar、又はNF/H/Ar/Nを含んでもよい。
【0037】
Si層110の露出表面118及び追加表面138においてパッシベーション層124(例えば、Si窒化物などの窒化物パッシベーション層)を形成するために十分な水素剤128及び窒素剤130を生成させながら、Ge含有層108の効果的なエッチングのためのフッ素剤126の形成を促進するために、プラズマステップ120用の様々なプロセスパラメータを最適化することができる。プラズマ122を生成するために用いるガスがNF及びHを含む一実施例では、NFとHの比率を考慮することが適切であり得る。あるガスと別のガスとの比率は、それぞれの流量、例えば標準立方センチメートル毎分(sccm)の観点での測定値であり得る。特定の実施形態では、プラズマ122は、水素剤128よりも多くのフッ素剤126を含んで、Ge含有層108が依然としてエッチングされること、及び(特に、Ge含有層108中のGe濃度が低い場合に)パッシベーション層124に類似したパッシベーション層がGe含有層108の露出表面116上に形成する可能性がないことを確実にするが、十分な窒素剤130及び水素剤128を含んで、パッシベーション層124を十分に急速に形成することを促進して、一般に反応性がより高いフッ素剤126によるSi層110のエッチングを低減させる又は排除する。
【0038】
適切な比率(又は比率の範囲)は、他のプロセスパラメータ及びSi層110中のGeの濃度を含む、様々な要因に依存し得る。水素ガス(H)は、Ge含有層108のエッチングと、Si層110の露出表面118及び追加表面138上へのパッシベーション層124の形成とを含む、プラズマチャンバ123内で生じている反応を支援することを手助けできる。NF3とH2の比率についての例示的な範囲は、NF:H=約4:約1~NF:H=約10:約1を含んでもよく、特定の実施例では、NF:H=約5:約1であってもよい。特定の実施形態では、H lowが約30sccmを超え、Ge含有層108におけるGeの濃度が約15%以下である場合、フッ素剤126によるGe含有層108のエッチング速度は低下し得る。特定のエッチング速度は様々な要因に依存し得るので、これは、特定の実現形態については、該当する場合もあり該当しない場合もあることを理解すべきである。貴ガスに関しては、NFとArの比率についての例示的な範囲は、NF:Ar=約1:約2.5~NF:Ar=約1:約10を含み得る。
【0039】
プラズマ122を生成するための他のプロセスパラメータとしては、ガス流量、圧力、プラズマ源電力、プラズマバイアス電力、時間、及び温度が挙げられる。プラズマ122を形成するためのガスは、任意の好適な流量で供給されてもよい。特定の実施形態では、エッチャントソースガス流量は、フッ素含有ガス(例えば、NF)=20~80sccm(及び、特定の実施例では50sccm)、H=5~15sccm(及び、特定の実施例では10sccm)、Ar=500~1500sccm(及び、特定の実施例では1000sccm)である。これら実施例では、フッ素含有ガスの流量は比較的適度であり、水素含有ガスの流量は比較的低く、貴ガスの流量は比較的高い。
【0040】
特定の実施形態では、プラズマステップ120は、比較的低い圧力(例えば、約100mTorrより小さく、約50mTorrより小さく、一実施例では、約15mTorr~約25mTorr)にて、及び比較的低いソース電力(例えば、約400Wより小さく、約100Wより小さく、一実施例では、約100Wの高周波ソース電力及び約0Wの低周波バイアス電力)にて実施されてもよい。プラズマステップ120用の曝露時間は、任意の好適な時間であってもよい。特定の実施形態では、曝露時間は、僅か約5秒以下、15秒以下、25秒以下、30秒以下、又は45秒以下であり得る。適切な曝露時間は、選択性の所望のレベル(又は他の適切な目標)を実現するようにパラメータの最適な組合せが決定されるように、他のパラメータに依存する場合がある。特定の実施形態では、プラズマステップ120は、約-40℃~約20℃の温度で、そして一実施例では約0℃で実施される。
【0041】
プラズマステップ120用の1つの例示的レシピは以下を含む:約15~約25mTorrの圧力、100Wのソース電力(誘導結合プラズマ)、0Wのバイアス電力、0℃のウェハー処理温度、並びに、それぞれ50sccm、10sccm、及び1000sccmのNF、H、及びAr流量。
【0042】
本明細書に記載されている全てのパラメータに関して、特定の値及び範囲は、例示を目的としてのみ提供されていることを理解すべきである。
【0043】
特定の実施形態では、プラズマステップ120は、基板102の薄膜スタックの特定の層の一部分をエッチングする無酸素プラズマエッチングステップであり、その結果、プロセス100の実行後に、窪んだ又は凹状の薄膜スタックを有する基板102が得られる。無酸素は、プラズマステップ120から全ての酸素が排除されることを必ずしも意味せず、代わりに、酸素含有ガスがプラズマステップ120の一部として意図的に導入されたわけではないことを反映していると理解すべきである。プラズマチャンバ123から全ての酸素を除去することは困難又は不可能であり得るので、プラズマステップ120中に一部の酸素がプラズマチャンバ123内に依然として存在している場合がある。
【0044】
図1Dは、プラズマステップ120後の基板102を示す。図1Dに示す状態では、薄膜スタック104は、窪み136を含む(そのうち、2つの例にラベル付けされている)。更には、窪み136の形成に起因して、Si層110の露出端部141が形成され得る(そのうち、1つの例にラベル付けされている)。
【0045】
図1Dは、露出端部分離幅142及びエッチングされた幅144などの、結果として生じる基板102の特定の測定値を示す。例えば、露出端部分離幅142は、各Ge含有層108を、薄膜スタック104の第1の側面にある第1の露出表面116から、薄膜スタック104の第2の側面にある反対側の第2の露出表面116まで測定することによる、(この断面ごとの)Ge含有層108の残りの幅を示す。露出端部分離幅142は、特定の実施形態では、約20nm未満であってもよく、一実施形態では、約2nm~約20nmであってもよい。露出端部分離幅は、エッチング前の露出端部の分離幅を指すこともできる。エッチングされた幅144は、特定のGe含有層108の特定の端から、特定のGe含有層108がどれくらい除去されたかを測定できる。換言すれば、エッチングされた幅144は、Ge含有層108の窪み136の量を測定できる。特定の実施形態では、エッチングされた幅144は、約5nm~約50nmである。しかしながら、露出端部分離幅142及びエッチングされた幅144は、所与の用途に応じてこれらの範囲外にあり得る。
【0046】
次いで、その後の処理が基板102上に実施され得る。例えば、GAA又は他の3Dデバイスなどの半導体デバイスのチャネル領域用の対応するナノワイヤにSi層110を形成するためのプロセスに、プラズマステップ120を組み込むことができる。そのようなデバイスでは、その後の処理が、窪み136に絶縁体を充填すること、Ge含有層108の残った部分を除去すること、Si層110の周りにゲート酸化物を設けること、及び他の付随するステップ、を含んでもよく、これらは全てが例示を目的として提供されている。そのようなデバイスでは、Si層110の露出端部141が、薄膜スタック104の領域に形成されるチャネル領域への導電性コンタクトとして機能することができる。
【0047】
プロセス100は、1つ以上の技術的利点をもたらし得る。Ge含有層108をSi層110に対して選択的にエッチングすることを試みるいくつかの従来技術は、Si層110(例えば、露出表面118及び追加の表面138)、及びGe含有層108(例えば、露出表面116)の両方の表面を、(例えば、薄膜スタック104の側壁に沿って)、フッ素含有化学物質(例えば、F、ClF、BrF、又はIF)又はプラズマにより生成されたフッ素含有ラジカルに曝露させる。そのような従来のプラズマは、例えば、CF及びArを含むガスから、又はNF及びNを含むガスから生成され得る。フッ素含有エッチャントは(フッ素含有化学物質中にあろうが、プラズマ中のフッ素ラジカル中にあろうが)、Si層110よりもGe含有層108と、より急速に反応することができ、それにより、Siに対してあるレベルの選択性が実現できる(Si層110よりも、より急速にGe含有層108がエッチングされる)。しかしながら、Si層110の望ましくない量のエッチングが依然として生じる。
【0048】
例えば、Si層110のエッチングがSi層110の角で生じる場合、Si層110のエッチングの結果、角が丸くなる可能性がある。加えて、Ge含有層108の露出表面116が内向きにエッチングされて窪み136が形成されるにつれて、特に、最も長い時間にわたってエッチャントに曝露される露出表面118に向かって、Si層110の垂直厚さが望ましくない量だけ減少し得る。更には、Ge含有層108中のGeの濃度が比較的低い場合(例えば、≦約30%、及び特定の実施例では、≦約15%)、フッ素含有エッチャントに対するSi層110及びGe含有層108の反応性の差が大幅に低下する場合があり、それにより選択性が劣る場合がある(約20:1未満(Si層のエッチング速度に対するGe含有層のエッチング速度))。
【0049】
加えて、従来のフッ素ベースプラズマは、半導体基板上の他の材料、例えば、Si酸化物(SiO)、Si窒化物(Si)、酸化物、及び低k誘電体材料をエッチングする場合があり、これは望ましくない場合がある。換言すれば、そのような従来のフッ素ベースプラズマは、SiO、Si、酸化物、及び低k誘電体材料(例えば、Siオキシ炭窒化物(SiOCN)、Siホウ素炭窒化物(SiBCN)等)に対して選択性を有しない。
【0050】
プロセス100の実施形態によれば、プラズマステップ120は、パッシベーション層124(例えば、Si窒化物などの窒化物)をSi層110上に形成することを含んでもよい。パッシベーション層124は、プラズマ122のエッチャント(例えば、フッ素剤126)がGe含有層108をエッチングして薄膜スタック104中に窪み136を形成している間に、Si層110(例えば、露出表面118及び追加表面138)のエッチングを阻止する。特定の実施形態では、Ge含有層108中のGeの潜在的に低い濃度にも関わらず(例えば、特定の実施例では、約50%未満、約30%未満、約25%未満、及び約15%未満)、及びGe含有層108中のGeの濃度に部分的に依存して、Ge含有層108とSi層110の(それぞれのエッチング速度で測定した)選択比は、約50:約1に等しいか又はそれを超える、約70:約1に等しいか又はそれを超える、又は約100:約1に等しいか又はそれを超える。それぞれのエッチング速度は任意の好適な方法で決定できることを理解すべきである。
【0051】
加えて、Si層110の露出表面118及び追加表面138上でのパッシベーション層124の急速な形成に少なくとも部分的に起因し得る、Si層110に対するプラズマ122の高い選択性に少なくとも部分的に起因して、薄膜スタック104は、改善されたエッチングプロファイルを有することができる。改善されたエッチングプロファイルは、プラズマステップ120後に、(Ge含有層108が完全に除去されていない範囲における)Ge含有層108の表面116に沿って、特に、Si層110の露出表面118及び残りの表面138に沿って、減少した表面粗さを含むことができる。加えて又は代わりに、改善されたエッチングプロファイルは、プラズマステップ120後に、従来技術によって可能であった程度と比較して、Si層110の露出端部141の改善された鋭さを有する縁部及び比較的正方形のプロファイルを含み得る。特定の実施形態では、プラズマ122の使用を含むプラズマステップ120は、(Ge含有層108が完全に除去されていない範囲において)Ge含有層108の表面116に沿った比較的真っ直ぐなエッチングフロント、及び薄膜スタック104の各Ge含有層108から除去される材料の量に関する良好な局所均一性を提供する。
【0052】
窒化物(例えば、Si窒化物)パッシベーション層124は水不溶性である場合があり、パッシベーション層124がO及びHO拡散バリアとして機能し、それによりSi層110から形成されるナノワイヤの安定性を改善することが可能になり得る。Ge及びSiGeに対して選択性を有することに加えて、プラズマ122(例えば、フッ素、水素、及び窒素含有プラズマ)はまた、SiO、Si、酸化物、及び低k誘電体材料(例えば、SiOCN、SiBCN等)に対して選択性を有し得るが、これは、特定の実施形態では、これら化合物(例えば、SiO、Si、酸化物、及び低k誘電体材料(例えば、SiOCN、SiBCN等)における炭素及び窒素結合を除去するために典型的に存在する、化学物質中の酸素の欠如に起因する。
【0053】
更には、特定の実施形態は、GAAデバイス、3D NAND若しくは他のメモリデバイス、ロジックデバイス、又は任意の他の好適なタイプの半導体デバイスに好適であり得るような、3Dデバイスにおいて使用できる改善された構造を提供できる。
【0054】
図2は、本開示の特定の実施形態による、基板102を処理する例示的な方法200を示す。方法200は、ステップ202で始まる。ステップ204において、基板102が受け取られる。基板102は、Ge含有層108とSi層110とを交互に積層した構成で含む薄膜スタック104を有する。すなわち、薄膜スタック104は、(例えば、図1Aに図示するような)交互のGe含有層108及びSi層110を含んでもよい。バリア層114(例えば、NOL)が、薄膜スタック104の表面上に、例えば、Ge含有層108の露出表面116、Si層110の露出表面118、並びにベース層106及びハードマスク112の露出表面上に存在してもよい。
【0055】
ステップ206において、薄膜スタック104の表面上のバリア層114がエッチングされて、バリア層114が、例えば、Ge含有層108の露出表面116から、Si層110の露出表面118から、並びにベース層106及びハードマスク112の露出表面から除去される。バリア層114は、任意の好適なプロセス(ウェットエッチング又はドライエッチングプロセス)を使用して除去されてもよい。
【0056】
ステップ208において、(薄膜スタック104を含む)基板102をプラズマ122に曝露させることにより、Ge含有層108が選択的にエッチングされる。プラズマ122は、フッ素剤126、水素剤128、及び窒素剤130を含んでもよい。プラズマ122は、Ge含有層108をエッチングし、Si層110の露出表面118の上にパッシベーション層124を形成させて、(薄膜スタック104を含む)半導体デバイス102がプラズマ122に曝露されている間に、Si層110のエッチングを阻止する。特定の実施形態では、ステップ208は等方性エッチングプロセスである。
【0057】
特定の実施形態では、プラズマ122はNFガスを含むガスから生成され、フッ素剤126はNFガスから解離されたフッ素を含む。一実施例では、窒素剤130は、NFガスから解離された窒素を含む。特定の実施形態では、プラズマ122はHガスを含むガスから生成され、水素剤128は水素を含む。特定の実施形態では、プラズマ122は、Ar、He、又はKrなどの少なくとも1つの貴ガスを含むガスから生成される。特定の実施例として、プラズマ122は、NF、NH、及びAr;NF、NH、N、及びAr;NF、H、及びAr;又はNF、H、Ar、及びN、を含むガスの組合せから生成され得る。特定の実施形態では、Si層110の露出表面118上に形成されるパッシベーション層124は、Si窒化物(例えば、Si)を含む。
【0058】
Ge含有層108を選択的にエッチングすることは、Ge含有層108の端部を選択的にエッチングして、Si層110の上方で、下方で、又はSi層110間で、薄膜スタック104中に窪み136を形成することを含み得る。Ge含有層108が選択的にエッチングされるにつれて、Si層110の追加表面138は露出され、プラズマ122は追加表面138上にパッシベーション層124を形成する。特定の実施形態では、Ge含有層108を選択的にエッチングすることは、実質的に全てのGe含有層108を選択的に除去して、Si層110が開放されるようにすることを含む。
【0059】
特定の実施形態では、Ge含有層108のうちの1つ以上が、約50パーセント以下のGeを含むSiGe層である。更に特定の実施形態では、Ge含有層108のうちの1つ以上が、約15パーセント以下のGeを含み、1つ以上の15パーセントのGe含有層108とSi層110の(それぞれのエッチング速度で測定した)選択比は、約70:1に等しいか又はそれを超える。
【0060】
ステップ210において、追加の製作ステップが実行される。図1Dを参照して上述した、予想される追加処理ステップの議論が、参照により組み込まれる。例えば、特定の実施形態では、ステップ208が、GAAデバイスなどの半導体デバイスのチャネル領域用の対応するナノワイヤにSi層110を形成するためのプロセスに組み込まれる。ステップ212において、本方法は終了する。
【0061】
図3は、本開示の特定の実施形態による、基板102を処理する例示的な方法300を示す。方法300は、ステップ302で始まる。ステップ304において、プラズマツールのプラズマチャンバ123内に基板102が配置される。基板102は、Ge含有層108とSi層110とを交互に積層した構成で含む薄膜スタック104を有する(例えば、図1Aに示すように)。
【0062】
ステップ306において、プラズマツールのプラズマチャンバ123内でプラズマ122が生成される。プラズマ122は、フッ素剤126、水素剤128、及び窒素剤130を含む。プラズマ122は、NF、SF、又はCFなどのフッ素含有ガスを含むガスから生成され得る。フッ素剤126は、フッ素含有ガスから解離されたフッ素を含み得る。特定の実施形態では、窒素剤130は、NFから解離された窒素、又はエッチャント(例えば、フッ素)を導入するために用いられる化合物の一部であってもよい若しくはなくてもよい別の好適な窒素含有ガス、を含む。特定の実施形態では、プラズマ122は、水素含有ガス(例えば、H又はNH)を含むガスから生成され、水素剤128は、水素含有ガスから解離された水素を含む。
【0063】
特定の実施形態では、プラズマ122は、Ar、He、又はKrなどの少なくとも1つの貴ガスを含むガスから生成される。特定の実施例として、プラズマ122は、NF、NH、及びAr;NF、NH、N、及びAr;NF、H、及びAr;又はNF、H、Ar、及びN、を含むガスの組合せから生成され得る。特定の実施形態では、Si層110の露出表面118上に形成されるパッシベーション層124は、Si窒化物(例えば、Si)を含む。
【0064】
ステップ308において、プラズマチャンバ123内で(薄膜スタック104を含む)基板102がプラズマ122に曝露される。プラズマ122は、Si層110の露出表面118及び追加表面138上に、窒化物層であってもよいパッシベーション層124を形成させる。特定の実施形態では、パッシベーション層124は、Si窒化物(Si)を含む。プラズマ122はまた、Ge含有層108の露出表面116(例えば、反対側の露出端部)を選択的にエッチングして、Si層110の露出表面118(例えば、反対側の露出端部)に対してGe含有層108中に窪み136を形成する。パッシベーション層124は、プラズマ122によるSi層110のエッチングを阻止する。特定の実施形態では、ステップ308は等方性エッチングプロセスである。
【0065】
ステップ310において、追加の製作ステップが実行される。図2のステップ210を参照して上述した、予想される追加処理ステップの議論が、参照により組み込まれる。ステップ312において、本方法は終了する。
【0066】
図4は、本開示の特定の実施形態による凹状の交互になった薄膜スタックを有する基板を含む例示的なデバイス400を示す。デバイス400の少なくとも一部が、本明細書に記載されるプロセス及び方法のいずれかを用いて形成され得る。
【0067】
デバイス400は、チャネル材料404(例えば、Si又はSiGe)及びゲート材料406(例えばGe又はSiGe)を含む基板402を含む。チャネル材料404は、プロセス100の後のある時点での、基板102のSi層110に対応し得る。デバイス400は、ここに示すようなGAAデバイスであってもよく、又は他の任意のデバイス、例えばフィン型電界効果トランジスタ(FinFET)であってもよい。デバイス400はまた、分離領域408を含み得る。特定の実施形態では、分離領域408は、シャロートレンチアイソレーション(STI)である。
【0068】
デバイス400は、最初に、凹状の交互になった薄膜スタック410(プロセス100後の、場合によっては追加のその後のプロセスを経た、薄膜スタック104に対応し得る)を形成し、次いで凹状の交互になった薄膜スタック410上に追加のゲート材料406を堆積させることにより製作され得る。具体的には、デバイス400は、SiとGe又はSiGe層とを交互にヘテロエピタキシャル成長し、次いで、パターニングし、垂直に凹部を形成して、Si層を横方向に露出させることにより形成できる。
【0069】
本明細書に記載される実施形態の適用形態は、有利には、5nmノード、3nmノード、又はこれを下回るノードに対する最適ソリューションであり得る。例えば、GAAデバイスアーキテクチャは、7nmノードの先のスケーリングにとって好適であり得る。GAAデバイスアーキテクチャは、ゲートを、3つの側面だけでなく、チャネル全体の周囲に巻き付けることにより、一部のFinFETアーキテクチャで見られるショートチャネル効果に対処できる。GAAデバイスアーキテクチャは、FinFETのゲート下で生じる電流リークを低減又は排除し、したがって非活動時の電力損失を減らすことができる。
【0070】
図5は、本開示の特定の実施形態による、例示的なプラズマツール500のブロック図を示す。特定のプラズマツール500が示され記載されているが、任意の好適なタイプのプラズマツールが使用されてもよい。プラズマツール500は、図1A図1D及び図2図4を参照して説明されるプラズマステップ120を実行するために使用されてもよい。
【0071】
プラズマツール500はプラズマチャンバ123を含み、その中でプラズマ(例えば、プラズマ122)を使用して半導体基板(例えば、基板102)が処理される。プラズマチャンバ123は、処理中に基板102を支持するように構成された基板テーブル502を含む。特定の実施形態では、プラズマ122を用いたプラズマステップ120を実施するために、基板102は、例えばバリア層114の除去に続いて、図1Bに示す状態で基板テーブル502上に配置される。基板102の薄膜スタック104の(例えば、図1A図1Dを参照して上述した)Ge含有層108の材料は、プラズマツール500のシャワーヘッド504を通してプラズマ(例えば、プラズマ122)を注入することにより、プラズマチャンバ123内で選択的にエッチングされる。シャワーヘッド504は、混合されてプラズマ122を形成する、前駆体ガス、混合ガス、及びキャリアガスで充填された単一の混合反応キャビティと、基板102に向けてプラズマ122を分配するための出口孔のセットとを含んでもよい。
【0072】
プラズマチャンバ123は、特定の実施形態では、プラズマチャンバ123から残留した前駆体ガスをパージするための真空ライン508に連結された真空ポンプ506を含む及び/又はそれに連結されている、及び更に、目標圧力を維持するための圧力システムを含んでもよい及び/又はそれに連結されていてもよい。プラズマチャンバ123は、基板102を加熱し、プラズマチャンバ123内の及び/又は基板102の温度を制御するために使用する、ヒータ510及び温度センサ512などの機械ツールを更に含んでもよい。
【0073】
プラズマツール500は、シャワーヘッド504に連結された前駆体ガスライン514、混合物ガスライン516、及びキャリアガスライン518を含む。特定の実施形態では、前駆体ガスライン514を通して供給される前駆体ガスは、フッ素ベース前駆体、例えばNF及び/又はSFを含んでもよく、混合物ガスライン516を通して供給される混合物ガスは水素(例えば、H又はNH)を含んでもよく、キャリアガスライン518を通して供給されるキャリアガスは貴ガス、例えばAr、He、又はKrを含んでもよい。
【0074】
特定の実施形態では、プラズマツール500は、ガス流(例えば、マスフロー速度)の制御のための、マスフローコントローラ及びセンサのシステムを含んでもよい。したがって、プラズマツール500は、第1のフローコントローラ520、第2のフローコントローラ522、第3のフローコントローラ524、真空ポンプ506、ヒータ510、温度センサ512、電圧電流(V-I)センサ526、並びに基板センサ528、530、532及び534(528~534)を含んでもよい。前駆体ガスライン514、混合物ガスライン516、及びキャリアガスライン518は、それぞれ、第1のフローコントローラ520、第2のフローコントローラ522、及び第3のフローコントローラ524に連結され、それにより制御される。
【0075】
プラズマツール500は、プラズマステップ120の態様を制御するためのコントローラ536を含み得る。コントローラ536は、任意の好適な方式で実現され得る。例えば、コントローラ536は、コンピュータであり得る。別の実施例として、コントローラ536は、本明細書に記載される機能性を提供するようにプログラムされた1つ以上のプログラム可能ICを含み得る。特定の実施例では、1つ以上のプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、中央処理装置など)、プログラム可能ロジックデバイス(例えば、コンプレックスプログラム可能ロジックデバイス)、フィールドプログラム可能ゲートアレイなど)、及び/又は他のプログラム可能ICを、ソフトウェア又は他のプログラミング命令でプログラムして、コントローラ536のための、本明細書に記載される機能性が実現される。ソフトウェア又は他のプログラミング命令は、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、メモリストレージデバイス、フラッシュメモリ、ダイナミックランダムアクセスメモリ、リプログラマブルストレージデバイス、ハードドライブ、フロッピーディスク、DVD、CD-ROMなど)に記憶させることができ、ソフトウェア又は他のプログラミング命令は、プログラマブルICにより実行されると、本明細書に記載される動作をプログラム可能ICに実行させる。
【0076】
機械構成要素、例えば、プラズマチャンバ123のヒータ510及び温度センサ512、並びに、プラズマチャンバ123の外部にあるフローコントローラ520、522及び524、真空ポンプ506、及び他の構成要素は、コントローラ536に連結され、コントローラ536により制御される。
【0077】
機器センサは、機器が適切に作動していることを確実にするために、基板テーブル502の温度、ヒータ電流、真空ポンプ速度、及び温度などの機器パラメータを測定し、信号を提供する。様々なプロセスセンサは、プロセスが適切に作動していることを確実にするために、プロセス温度、プロセス圧力、プラズマ密度、ガス流量、及びガス組成などのプロセスパラメータを測定し、信号を提供する。機器センサ及びプロセスセンサからのデータは、プラズマステップ120全体にわたって連続的にフィードバックをコントローラ536に提供する。コントローラ536は、リアルタイムで調整を実施して、機器及びプロセスを仕様の中心近くに維持することができる。
【0078】
コントローラ536は、センサからデータを受信し、センサデータに基づいてプラズマチャンバ123のプロセスパラメータを制御する。コントローラ536は、センサによって収集されたデータを分析し、プラズマステップ120のうちの1つ以上のステップをいつ修正するか又は終了するかを決定し、プラズマチャンバ123の構成要素のプロセスパラメータを制御するためのフィードバック提供することができる。
【0079】
コントローラ536はV-Iセンサ526及び基板センサ528~534に接続されて、基板102がプラズマ122に曝露されながらプラズマ122を監視して、プラズマ122の状態、並びに任意選択で組成及び厚さのデータをリアルタイムで提供することができる。このフィードバックデータはコントローラ536により使用されて、基板102がプラズマ122を用いて選択的にエッチングされるにつれて、プラズマステップ120を連続的に調整し、例えば目標の窪み(例えば、エッチングされた幅144)に達したときに、プラズマステップ120をオフにすることができる。
【0080】
具体的には、基板センサ528~534及び温度センサ512からの測定データがコントローラ536により受信されてもよく、その一方で、コントローラ536が制御信号を生成し、制御信号は、第1のフローコントローラ520、第2のフローコントローラ522、第3のフローコントローラ524、真空ポンプ506、及びヒータ510に送信される。
【0081】
コントローラ536は、(基板102をプラズマ122に曝露させることで形成される)パッシベーション層124のプロセス不均一性及び厚さ及び組成、露出端部分離幅142、及び/又は目標の厚さ(例えば、エッチング幅144)を、インサイチュ及びリアルタイムで測定するために、基板102全体にわたって複数の点で取られた、基板センサ528~534からの測定又は計測データを受信してもよい。例えば、複数基板プラズマツールにおける、基板にわたる複数のセンサを使用して、(基板102をプラズマ122に曝露させることで形成される)パッシベーション層124の厚さ及び組成、露出端部分離幅142、及び/又は基板102の上部から底部までの目標の窪み(例えば、エッチング幅144)を監視及び調整することができる。単一基板プラズマツールにおける、基板にわたる複数のセンサを使用して、(基板102をプラズマ122に曝露させることで形成される)パッシベーション層124の厚さ及び組成、露出端部分離幅142、及び/又は基板102の中心から基板102の縁部までの目標の窪み(例えば、エッチング幅144)を監視及び調整することができる。
【0082】
基板102、プラズマツール500、及び/又はプラズマステップ120の様々なパラメータを監視するために、基板センサ528~534が、プラズマチャンバ123に連結されてもよい、及び/又はプラズマチャンバ123内に位置してもよい。基板センサ528~534は、光学センサ(例えばカメラ、レーザー、光、反射率計、分光計等、エリプソメータなど)、容量センサ、超音波センサ、ガスセンサ、又は基板102、プラズマ122及び/又はプラズマツール500の状態を監視することができる他のセンサ、を含む様々なタイプのセンサを含んでもよいが、これらに限定されない。特定の実施形態では、1つ以上の光学センサを使用して、Si層110の表面118及びベース層106の表面における(例えば、パッシベーション層124が形成されている場所での)材料の厚さ及び屈折率、露出端部分離幅142、及び/又はエッチングされた幅144a(又は他の好適な測定値)をリアルタイムで(プラズマステップ120中に)測定してもよい。別の例として、分光計を使用して、Si層110の表面118及びベース層106の表面における(例えば、パッシベーション層124が形成されている場所での)材料の膜厚、露出端部分離幅142、及び/又はエッチングされた幅144a(又は他の好適な測定値)をリアルタイムで(プラズマステップ120中に)測定してもよい。更に別の実施形態では、残留ガス分析器(RGA)を使用して、リアルタイム化学反応完了検出のために前駆体破壊をリアルタイムで(プラズマステップ120中に)検出してもよい。
【0083】
コントローラ536は、チャンバ圧、チャンバ温度、RFソース電力、RFバイアス電力、RF波形(例えば、連続波RF、パルス状RF、方形パルス、鋸歯状パルスなど)、エッチング時間、並びに様々なプロセス及びキャリアガスの組成及び流量、などの標準プラズマエッチングパラメータに基づいて、例えば、(例えば、パッシベーション層124の)エッチング速度、コンフォーマリティ、プロファイル、及び堆積速度を含む、ユーザ入力のプロセスパラメータを受信してもよい。目標の局所的限界寸法均一性(LCDU)を満たすようにユーザがプラズマ122を調整することが可能であることが好都合である。
【0084】
基板センサ528~534からのデータ及びユーザが入力したプロセスパラメータに基づいて、コントローラ536は制御信号を生成して温度センサ512及びヒータ510に送り、プラズマチャンバ123内の加熱を調整する。ヒータ510がプラズマチャンバ123を加熱しながら、コントローラ536は、温度センサ512を定期的に又は周期的に監視してプラズマチャンバ123の温度を追跡し、ヒータ510に制御信号を送信して、プラズマチャンバ123内の温度を維持する。
【0085】
コントローラ536が、温度センサ512により提供されるデータに基づいて、プラズマチャンバ123の目標温度に達したと判定すると、コントローラ536は、第1のフローコントローラ520、第2のフローコントローラ522、及び第3のフローコントローラ524を起動させる制御信号及びデータ信号を生成し、ユーザが入力したプロセスパラメータに基づいて、前駆体ガスの目標流量を第1のフローコントローラ520に、対混合ガスの目標流量を第2のフローコントローラ522に、そして、キャリアガスの目標流量を第3のフローコントローラ524に提供する。対応する流量が確立されたとコントローラ536が判定すると、コントローラ536は、バイアス電極及びソース電極を通して、プラズマチャンバ123に電力を供給して、プラズマ122に給電する。V-Iセンサ526からの測定値に基づいて、バイアス電極及びソース電極に供給される電力が調整されてもよい。第1のフローコントローラ520、第2のフローコントローラ522、及び第3のフローコントローラ524は各々が、流量センサ及び調整可能比例弁に接続された閉ループ制御システムであってもよく、この閉ループ制御システムは、各フローコントローラが、流量センサ及び調整可能比例弁を介して、各ガスの目標流量を定期的又は周期的に監視し内部的に維持することを可能にする。
【0086】
特定の実施形態では、ユーザ入力のデータに基づいて、コントローラ536が、エッチングプロセス時間が満たされたと判定すると、コントローラ536は、第1のフローコントローラ520、第2のフローコントローラ522、及び第3のフローコントローラ524を停止させるための制御信号を生成する。コントローラは、適宜、同時に又は異なる時間に停止されてもよい。
【0087】
コントローラ536は、基板センサデータを使用又は分析して、プラズマステップ120をいつ終了するかを決定してもよい。例えば、コントローラ536は、残留ガス分析器からデータを受信して、プラズマステップ120のエンドポイントを検出することができる。別の例では、コントローラ536は、分光偏光解析法を使用して、プラズマステップ120中に、パッシベーション層124の平均膜厚、Si層110の露出端部141、及び/又は露出端部分離幅142を検出して、プラズマステップ120中の変化を示すことができる。別の例では、コントローラ536は、分光器偏光解析法を使用して、プラズマステップ120中に、(例えば、パッシベーション層124が形成されている)Si層110の表面118及びベース層106の表面における材料の屈折率を検出し、プラズマステップ120中の膜組成変化を示すことができる。コントローラ536は、露出端部分離幅142及び/又はエッチングされた幅144a(又は他の好適な測定値)の目的が達成されたとき、プラズマステップ120を自動的に終了させてもよい。特定の実施形態では、コントローラ536は、プラズマステップ120中に、例えば、NFとH(又はNH)の比率及び/又はNFとArの比率などの1つ以上のパラメータを自動的に調整して、薄膜スタック104の所望のエッチングプロファイルを達成してもよい。所望の半導体基板のスループットの目的を達成するために、コントローラ536、及び基板センサ528~534からのデータも使用されてもよい。更に、所望の半導体基板スループットと共に、薄膜スタック104の所望のエッチングプロファイル、及び組成を実現するために、又は代わりに組合せを目標とするために、コントローラ536、及び基板センサ528~534からのデータが使用されてもよい。
【0088】
GAAデバイス用のナノワイヤ/ナノシートを形成する特定の用途形態について説明されているが、本開示は、Ge含有層に対して選択性を有するSiのいかなるタイプの等方性エッチングにおいても使用することができる。更には、実施されるエッチングは、主に、Ge含有層108の反対側の端部の一部分を除去することにより薄膜スタック104中に窪みを形成するものであると説明されているが、プロセス100及び400を使用して、Ge含有層108の実質的に全ての部分を除去してもよく、これは、Si層110を開放することと称される場合がある。
【0089】
本開示は、特定のプロセス/方法ステップが特定の順序で生じると説明しているが、本開示は、プロセスステップが任意の好適な順序で生じることを意図している。本開示について、例示的実施形態を参照しながら説明してきたが、この説明は、限定的な意味に解釈されることを意図したものではない。例示的実施形態の様々な修正及び組合せ、並びに本開示の他の実施形態が、本明細書を参照すれば当業者には明らかであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようないかなる修正形態又は実施形態をも包含することが意図される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】