(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-14
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20240206BHJP
C09K 11/70 20060101ALI20240206BHJP
C09K 11/08 20060101ALI20240206BHJP
C08K 5/00 20060101ALI20240206BHJP
C08L 33/04 20060101ALI20240206BHJP
C08L 101/02 20060101ALI20240206BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20240206BHJP
【FI】
C08L101/00
C09K11/70
C09K11/08 G
C08K5/00
C08L33/04
C08L101/02
G02B5/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550018
(86)(22)【出願日】2022-02-16
(85)【翻訳文提出日】2023-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2022053719
(87)【国際公開番号】W WO2022175290
(87)【国際公開日】2022-08-25
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平山 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】岸本 匡史
(72)【発明者】
【氏名】後藤 智久
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 博茂
(72)【発明者】
【氏名】グライネルト,ニルス
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 照晃
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 成嘉
【テーマコード(参考)】
2H148
4H001
4J002
【Fターム(参考)】
2H148AA19
4H001CA02
4H001CC13
4H001XA15
4H001XA49
4J002AA001
4J002AA032
4J002BC033
4J002BG021
4J002BG063
4J002DC006
4J002DE078
4J002DE098
4J002DE106
4J002DE108
4J002DE118
4J002DE136
4J002DE138
4J002DE148
4J002DG026
4J002DG028
4J002DG066
4J002DH006
4J002DJ018
4J002DM006
4J002EF057
4J002FA108
4J002FB086
4J002FB226
4J002FB236
4J002FD203
4J002FD206
4J002FD207
4J002FD208
4J002GB01
4J002GP00
4J002GQ00
4J002GT00
4J002HA01
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1の発光部を含む組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも;
i)反応性モノマー;
ii)発光部;および
iii)少なくとも1の、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基、または炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシル基を含む、化学化合物
を含む組成物、好ましくはこれが光硬化性組成物から成る、前記組成物。
【請求項2】
少なくとも;
L)反応性モノマー;
L2)少なくとも1の、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基、または直鎖もしくは炭素原子1~45個を有する分枝鎖のアルコキシル基を含む、少なくとも1の配位子を含有する、発光部;および
L3)少なくとも1の、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基、または炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシル基を含む、化学化合物
を含む組成物、好ましくはこれが光硬化性組成物から成る、前記組成物。
【請求項3】
化学化合物のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭素原子数に対する、配位子のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭素原子数が、以下の式(Q)を満足する、請求項1または2に記載の組成物。
配位子のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭素原子数<化学化合物のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭素原子数 - (Q)
【請求項4】
該化学化合物が、ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸、ヒドロキシル基、ホスホン酸からなる群のメンバーの1以上から選択される少なくとも1の基をさらに含み、好ましくは該基が、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、カルボキシル基、またはこれらのいずれかの組み合わせであり、より好ましくはそれが、カルボキシル基である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
化学化合物が、以下の化学式(X
A)
Z-Y - (X
A)
によって表され、式中
Zは、*-R
x1または
【化1】
であるが、ここで「*」は、式の記号Yへの接続点を表し、R
x1は、ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸、ヒドロキシル基、ホスホン酸からなる群の1以上のメンバーから選択される基であり、好ましくは該基は、ホスホナート基、チオール基、カルボキシル基、またはこれらのいずれかの組み合わせであり、より好ましくはそれは、カルボキシル基である;および
R
x2は、ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸、ヒドロキシル基、ホスホン酸からなる群のメンバーの1以上から選択される基である;
Yは、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝のアルキル基、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝のアルケニル基、または炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝のアルコキシル基であり、該アルキル基、アルケニル基、および/またはアルコキシ基は、置換されていてもまたは非置換であってもよく、より好ましくは該アルキル基、アルケニル基、および/またはアルコキシ基は、1以上のラジカルR
aによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH
2基は、R
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO2、NR
a、OS、またはCONR
aによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよい;
R
aは、出現毎に、まったく同じにまたは異なるように、H、D、または1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状アルキルもしくはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有する複素芳香環系であり、ここでH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよい;2以上の隣接置換基R
aはここでまた、相互に、単-もしくは多環式の、脂肪族の、芳香族の、または複素芳香環の系も形成していてもよく、
式中Yは、少なくとも1の炭素-炭素二重結合を含有する、
請求項1または4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
化学化合物の総重量:発光部の総重量の比率が、0.6:40~1:3の範囲にある、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
反応性モノマーが、モノ-(メタ)アクリラートモノマー、ジ-(メタ)アクリラートモノマー、またはトリ-(メタ)アクリラートモノマーから選択される(メタ)アクリラートモノマーである、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
以下の化学式(I)によって表される(メタ)アクリラートモノマーおよび/または化学式(III)によって表される(メタ)アクリラートモノマーをさらに含む;
【化2】
式中
X
1は、非置換もしくは置換のアルキル基、アリール基であるか、あるいはアルコキシ基またはエステル基である;
X
2は、非置換もしくは置換のアルキル基、アリール基であるか、あるいはアルコキシ基またはエステル基である;
R
1は、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基である;
R
2は、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基である;
R
3は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖もしくはアルコキシレン鎖、3~25個の炭素原子を有するシクロアルカン、または3~25個の炭素原子を有するアリール基である;
【化3】
式中
R
9は、水素原子、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基、または化学式(IV)
【化4】
によって表される(メタ)アクリル基である;
R
10は、水素原子、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基、または化学式(V)
【化5】
によって表される(メタ)アクリル基である;
R
11は、水素原子、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基、または化学式(VI)
【化6】
によって表される(メタ)アクリル基である;
式中R
8、R
8a、R
8b、およびR
8cは、出現毎に各々独立してまたは互いに依存して、HまたはCH
3である;
ここでR
9、R
10、およびR
11のうち少なくとも1つは、(メタ)アクリル基であり、好ましくはR
9、R
10、およびR
11のうち2つは、(メタ)アクリル基であり、かつその他の1つは、水素原子または1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基である、
請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーが、組成物中にあり、および
化学式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマー:化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーの混合比が、1:99から99:1(式(I):式(II))までの範囲内にある、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
化学式(I)および/または化学式(II)で表される該(メタ)アクリラートモノマーの沸点(B.P.)が、250℃以上である、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
組成物の粘度が、室温にて35cP以下である、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物が、以下;
iii)請求項1~11のいずれか一項に記載の発光部とは異なる、別の発光部;
iv)別の(メタ)アクリラートモノマー;
v)散乱粒子、ならびに
vi)光学的に透明のポリマー、抗酸化剤、ラジカルクエンチャー、光開始剤、および/または界面活性剤
からなる群の1以上のメンバーから選択される別の材料を含む、前記組成物。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物が、
v)散乱粒子;および
vii)少なくとも1のポリマーであって、該ポリマーが散乱粒子を組成物中に分散できるように構成されている、該ポリマー;
ここでポリマーが、少なくとも、ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸、ヒドロキシル基、ホスホン酸、またはそれらの組み合わせを含み、好ましくはポリマーが、三級アミン、ホスフィンオキシド基、ホスホン酸、またはホスファート基を含む、
を含む、前記組成物。
【請求項14】
組成物が、組成物の総量に基づき溶媒を10wt%以下含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物の反応性モノマーの1以上に由来するかまたは由来し得るポリマーを含む、組成物。
【請求項16】
少なくとも;
I)(メタ)アクリラートポリマー;
II)発光部;および
III)少なくとも1の、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基、または炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシル基を含む、化学化合物
を含有する、層。
【請求項17】
少なくとも発光部(110)を含有するマトリックス材料(120)を含む請求項16に記載の層で一部または全部が満たされている第1画素(161)と、少なくともポリマー材料を含むバンク(150)とを少なくとも含む、色変換デバイス(100)。
【請求項18】
光を調節するように構成されているか、または光を発するように構成されている、少なくとも1の機能媒体(320、420、520)と、請求項17のいずれか一項に記載の色変換デバイス(100)とを含有する、光学デバイス(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、少なくとも1の発光部を含む光反応性組成物、層、色変換デバイス、色変換デバイスを製作するためのプロセス、少なくとも1の色変換デバイスを含有する光学デバイス、色変換デバイスを製作するための方法、および組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
WO 2017/054898 A1には、赤色放射型ナノ結晶、湿潤剤・分散剤、溶媒としてのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、酸基を包含するアクリル単位およびシラン修飾アクリル単位を包含するアクリルポリマー混合物を含む組成物が記載されている。
WO 2019/002239 A1には、半電導性発光ナノ粒子、ポリマー、およびほぼ90cpの高粘度を有する1.4.シクロヘキサンジメタノール-モノアクリラートなどの(メタ)アクリラートを含む組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許文献
1.WO 2017/054898 A1
2.WO 2019/002239 A1
【発明の概要】
【0004】
本発明の概要
しかしながら、本発明者らは、下に挙げられるとおりの、改善が所望される相当な問題が、依然として1つ以上存在することを新たに発見した。
【0005】
組成物中の発光部の改善された均一な分散体、組成物中の散乱粒子の改善された均一な分散体、好ましくは発光粒子と散乱粒子との両方の改善された均一な分散体、より好ましくは発光部および/または散乱粒子の溶媒なしの改善された均一な分散体;インクジェット印刷に好適なより低い粘度を有する組成物、好ましくは、高ロード(high loading)の発光部および/または散乱粒子で混合された場合であっても、なおもより好ましくは溶媒なしで、より低い粘度を保ち得る組成物;大面積に一様な印刷をするためにより小さい蒸気圧を有する組成物;インクジェット印刷の間中/その後に、インクジェット印刷ノズル周囲に残渣がないことを実現する、新しい組成物、組成物中の発光部の改善されたQYおよび/またはEQE、印刷後の発光部の改善されたQYおよび/またはEQE;改善された熱安定性;印刷ノズルにて目詰まりのない印刷の容易性;組成物の取扱い容易性、改善された印刷特性;単純な製作プロセス;青色光の改善された吸光度;インクジェット印刷後の組成物から作られる層の改善された固体性。
【0006】
本発明者らは、上述の問題の1つ以上を解決することを目的とした。
そこで、少なくとも;
i)反応性モノマー、好ましくは官能基を1以上を有する該モノマー、より好ましくは(メタ)アクリラートモノマー;
ii)発光部;および
iii)少なくとも1の、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基、または炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシル基、を含む化学化合物であって、好ましくはアルキル基、アルケニル基、および/またはアルコキシ基の該炭素原子は、10個から35個まで、より好ましくは14個から30個まで、なおもより好ましくは16個から28個まで、さらにより好ましくは19個から26個までの範囲にあり、好ましくは該アルキル基、アルケニル基、および/またはアルコキシ基は、置換されていてもまたは非置換であってもよく、好ましくは化学化合物は、少なくとも1の直鎖もしくは分枝のアルキル基を含み、ここで該鎖は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有し、好ましくは該鎖は、1~5つの炭素-炭素二重結合、より好ましくは1~3つの炭素-炭素二重結合、なおもより好ましくは1~2つの炭素-炭素二重結合を含有する、前記化学化合物
を含む新規組成物が見出され、好ましくはそれは光硬化性組成物から成る(preferably it is being of a photocurable composition)。
【0007】
別の側面において、本発明は、少なくとも;
L)反応性モノマー、好ましくは官能基を1以上を有する該モノマー、より好ましくは(メタ)アクリラートモノマー;
L2)少なくとも1の、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基、または炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシル基を含む、少なくとも1の配位子を含有する、発光部;および
L3)少なくとも1の、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基、または炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシル基、を含む化学化合物であって、好ましくはアルキル基、アルケニル基、および/またはアルコキシ基の該炭素原子は、10個から35個まで、より好ましくは14個から30個まで、なおもより好ましくは16個から28個まで、さらにより好ましくは19個から26個までの範囲にあり、好ましくは該アルキル基、アルケニル基および/またはアルコキシ基は、置換されていてもまたは非置換であってもよく、好ましくは化学化合物は、少なくとも1の直鎖もしくは分枝のアルキル基を含む、前記化学化合物
を含む組成物に関し、好ましくはそれは光硬化性組成物から成る。
【0008】
別の側面において、本発明は、本発明の組成物の反応性モノマーの1以上に由来するか、またはこれに由来し得るポリマーを含む組成物に関する。
【0009】
別の側面において、本発明は、少なくとも、以下のステップY1およびY2を、好ましくはこの順で、またはY3を含む;本質的にこれらからなるか、またはこれらからなる、本発明の組成物を製作するプロセスに関する;
Y1)少なくとも1の発光部と反応性モノマーとを混合することで、第1組成物を形成すること;
Y2)第1組成物を、少なくとも1の、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基、または炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシル基を含む化学化合物と混合することで(好ましくはアルキル基、アルケニル基、および/またはアルコキシ基の該炭素原子は、10個から35個まで、より好ましくは14個から30個まで、なおもより好ましくは16個から28個まで、さらにより好ましくは19個から26個までの範囲にあり、好ましくは該アルキル基、アルケニル基および/またはアルコキシ基は、置換されていてもまたは非置換であってもよく、好ましくは化学化合物は、少なくとも1の直鎖もしくは分枝のアルキル基を含み、ここで該鎖は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有し、好ましくは該鎖は、1~5つの炭素-炭素二重結合、より好ましくは1~3つの炭素-炭素二重結合、なおもより好ましくは1~2つの炭素-炭素二重結合を含有する)、組成物を形成すること;または
Y3)少なくとも1の発光部および反応性モノマーを、少なくとも1の、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基、または炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシル基を含む化学化合物とを混合することで(好ましくはアルキル基、アルケニル基、および/またはアルコキシ基の該炭素原子は、10個から35個まで、より好ましくは14個から30個まで、なおもより好ましくは16個から28個まで、さらにより好ましくは19個から26個までの範囲にあり、好ましくは該アルキル基、アルケニル基および/またはアルコキシ基は、置換されていてもまたは非置換であってもよく、好ましくは化学化合物は、少なくとも1の直鎖もしくは分枝のアルキル基を含み、ここで該鎖は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有し、好ましくは該鎖は、1~5つの炭素-炭素二重結合、より好ましくは1~3つの炭素-炭素二重結合、なおもより好ましくは1~2つの炭素-炭素二重結合を含有する)、組成物を形成すること。
【0010】
別の側面において、本発明は、電子デバイス、光学デバイス、検知(sensing)デバイスにおける、または生物医学デバイス(biomedical device)における、または電子デバイス、検知デバイス、光学デバイス、もしくは生物医学デバイスを製作するための、本発明の組成物の使用に関する。
別の側面において、本発明は、本発明の組成物を含有する層に関する。
【0011】
別の側面において、本発明は、少なくとも;
I)(メタ)アクリラートモノマー(好ましくは、それは、本発明の組成物中の(メタ)アクリラートモノマーから得られるかまたは得ることができる);
II)発光部;および
III)組成物を形成するための、少なくとも1の、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基、または炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシル基、を含む化学化合物であって、好ましくはアルキル基、アルケニル基、および/またはアルコキシ基の該炭素原子は、10個から35個まで、より好ましくは14個から30個まで、なおもより好ましくは16個から28個まで、さらにより好ましくは19個から26個までの範囲にあり、好ましくは該アルキル基、アルケニル基および/またはアルコキシ基は、置換されていてもまたは非置換であってもよく、好ましくは化学化合物は、少なくとも1の直鎖もしくは分枝のアルキル基を含み、ここで該鎖は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有し、好ましくは該鎖は、1~5つの炭素-炭素二重結合、より好ましくは1~3つの炭素-炭素二重結合、なおもより好ましくは1~2つの炭素-炭素二重結合を含有する、前記化学化合物
を含有するか、本質的にこれらからなるか、またはこれらからなる層に関する。
【0012】
別の側面において、本発明は、本発明の層を製作するプロセスに関し、ここでプロセスは、少なくとも、以下のステップを含むか、本質的に前記ステップからなるか、または前記ステップからなる;
I)本発明の組成物を基体上へ提供すること、好ましくは、
II)組成物を硬化すること、好ましくは、該硬化は、光照射および/または熱処理によって実施される。
別の側面において、本発明は、プロセスから得られるかまたは得ることができる層に関する。
【0013】
別の側面において、本発明はさらに、発光部(110)を含有するマトリックス材料(120)を少なくとも含む本発明の層で一部または全部が満たされている第1画素(161)と、ポリマー材料を少なくとも含むバンク(150)とを、少なくとも含むか、本質的にこれらからなるか、またはこれらからなる色変換デバイス(100)に関し、好ましくは、色変換デバイス(100)はさらに、支持媒体(170)を含有する。
別の側面において、本発明はさらに、本発明の層または本発明のデバイス(100)を製作するための本発明の組成物の使用に関する。
【0014】
別の側面において、本発明は、本発明の色変換デバイス(100)を製作するための方法に関し、少なくとも以下のステップを、好ましくはこの順で含有するか、本質的に前記ステップからなるか、または前記ステップからなる;
Xi)バンク組成物を支持媒体の表面上へ提供すること、
Xii)バンク組成物を硬化すること、
Xiii)光パターニングを硬化した該組成物へ適用することで、バンクおよびパターン化画素領域を製作すること、
Xiv)本発明の組成物を、好ましくはインク噴射によって、少なくとも1の画素領域へ提供すること、
Xv)組成物を硬化すること、好ましくは、該色変換デバイス(100)はさらに、支持媒体(170)を含有する。
【0015】
別の側面において、本発明はさらに、本発明の方法から得ることができるかまたは得られる色変換デバイス(100)に関する。
別の側面において、本発明はまた、光を調節するように構成されているかまたは光を発するように構成されている少なくとも1の機能媒体(320、420、520)を含有する光学デバイス(300)における本発明の色変換デバイス(100)の使用にも関する。
【0016】
別の側面において、本発明は、光を調節するように構成されているかまたは光を発するように構成されている少なくとも1の機能媒体(320、420、520)と、本発明の色変換デバイス(100)とを含有する光学デバイス(300)に関する。
本発明のさらなる利点は、以下の詳細な記載から明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図面の記載
【
図1】
図1:は、色変換フィルム(100)の一態様の概略の横断面図を示す。
【
図2】
図2:は、本発明の色変換フィルム(100)の別の態様の概略の上面図を示す。
【
図3】
図3:は、本発明の光学デバイス(300)の一態様の概略の横断面図を示す。
【
図4】
図4:は、本発明の光学デバイス(300)の別の態様の概略の横断面図を示す。
【
図5】
図5:は、本発明の光学デバイス(300)の別の態様の概略の横断面図を示す。
【0018】
図1中の引用符号のリスト
100. 色変換デバイス
110. 発光部
110R.発光部(赤色)
110G.発光部(緑色)
120. マトリックス材料
130. 光散乱粒子(任意)
140. 着色剤(任意)
140R.着色剤(赤色)(任意)
140G.着色剤(緑色)(任意)
140B.着色剤(青色)(任意)
150. バンク
161. 第1画素
162. 第2画素
163. 第3画素
170. 支持媒体(基体)(任意)
【0019】
図2中の引用符号のリスト
200. 色変換フィルム
210R.画素(赤色)
210G.画素(緑色)
210B.画素(青色)
220. バンク
【0020】
図3中の引用符号のリスト
300. 光学デバイス
100. 色変換デバイス
110. 発光部
110R.発光部(赤色)
110G.発光部(緑色)
120. マトリックス材料
130. 光散乱粒子(任意)
140. 着色剤(任意)
140R.着色剤(赤色)(任意)
140G.着色剤(緑色)(任意)
140B.着色剤(青色)(任意)
150. バンク
320. 光モジュレーター
321. 偏光子
322. 電極
323. 液晶層
330. 光源
331. LED光源
332. 導光プレート(任意)
333. 光源(330)からの光放射
【0021】
図4中の引用符号のリスト
400. 光学デバイス
100. 色変換デバイス
110. 発光部
110R.発光部(赤色)
110G.発光部(緑色)
120. マトリックス材料
130. 光散乱粒子(任意)
140. 着色剤(任意)
140R.着色剤(赤色)(任意)
140G.着色剤(緑色)(任意)
140B.着色剤(青色)(任意)
150. バンク
420. 光モジュレーター
421. 偏光子
422. 電極
423. 液晶層
430. 光源
431. LED光源
432. 導光プレート(任意)
440. 色フィルター
433. 光源(330)からの光放射
【0022】
図5中の引用符号のリスト
500. 光学デバイス
100. 色変換デバイス
110. 発光部
110R.発光部(赤色)
110G.発光部(緑色)
120. マトリックス材料
130. 光散乱粒子(任意)
140. 着色剤(任意)
140R.着色剤(赤色)(任意)
140G.着色剤(緑色)(任意)
140B.着色剤(青色)(任意)
150. バンク
520. 発光デバイス(例として、OLED)
521. TFT
522. 電極(アノード)
523. 基体
524. 電極(カソード)
525. 発光層(例として、OLED層(単数または複数))
526. 発光デバイス(520)からの光放射
530. 光学層(例として、偏光子)(任意)
540. 色フィルター
【発明を実施するための形態】
【0023】
用語の定義
本明細書において、記号、単位、略語、および用語は、別様に特定されない限り、以下の意味を有する。
【0024】
本明細書において、特に断りのない限り、単数形は、複数形を包含し、「1つ(one)」または「その(that)」は、「少なくとも1つの」を意味する。本明細書において、特に断りのない限り、概念の要素は、複数種によって表現され得、量(例えば、重量%またはmol%)が記載されているとき複数種の和を意味する。「および/または」は、すべての要素の組み合わせを包含し、また要素の単一使用も包含する。
【0025】
本明細書において、数字で表した範囲が、「まで(to)」または「~」を使用して指し示されているとき、両端点を包含し、その単位は共通している。例えば、5~25mol%は、5mol%以上かつ25mol%以下を意味する。
【0026】
本明細書において、炭化水素は、炭素および水素を包含し、任意に酸素または窒素も包含するものを意味する。ヒドロカルビル基は、一価もしくは二価の、またはより高い価数の炭化水素を意味する。本明細書において、脂肪族炭化水素は、線状の、分枝状の、または環状の脂肪族炭化水素を意味し、脂肪族炭化水素基は、一価もしくは二価の、またはより高い価数の脂肪族炭化水素を意味する。芳香族炭化水素は、任意に置換基として脂肪族炭化水素基を含むのみならず脂環と縮合されていてもよい芳香環を含む炭化水素を意味する。芳香族炭化水素基は、一価もしくは二価の、またはより高い価数の芳香族炭化水素を意味する。さらに、芳香環は、共役不飽和環構造を含む炭化水素を意味し、脂環は、環構造を有するが共役不飽和環構造を含まない炭化水素を意味する。
【0027】
本明細書において、アルキルは、線状または分枝状の飽和炭化水素からいずれか1個の水素を除去することによって得られる基を意味し、線状アルキルおよび分枝状アルキルを包含しており、シクロアルキルは、環状構造を含む飽和の炭化水素からいずれか1個の水素を除去することによって得られる基を意味し、任意に環状構造において側鎖として線状または分枝状のアルキルを包含する。
【0028】
本明細書において、アリールは、芳香族炭化水素からいずれか1個の水素を除去することによって得られる基を意味する。アルキレンは、線状または分枝状の飽和炭化水素からいずれか2個の水素を除去することによって得られる基を意味する。アリーレンは、芳香族炭化水素からいずれか2個の水素を除去することによって得られる炭化水素基を意味する。
【0029】
本明細書において、ポリマーが複数のタイプの繰り返し単位を有するとき、これらの繰り返し単位は共重合する。これらの共重合は、交互共重合、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合のいずれか、またはこれらいずれの混合物である。
【0030】
本発明に従うと、用語「(メタ)アクリラートポリマー」は、メタクリラートポリマー、アクリラートポリマー、またはメタクリラートポリマーとアクリラートポリマーとの組み合わせを意味する。
【0031】
用語「放射」は、原子および分子中の電子遷移による電磁波の放射を意味する。
本明細書において、セ氏は、温度単位として使用される。例えば、20度は、セ氏20度を意味する。
【0032】
本発明の詳細な記載
本発明に従うと、一側面において、組成物は、少なくとも、以下;
i)反応性モノマー、好ましくは官能基を1以上を有する該モノマー、より好ましくは(メタ)アクリラートモノマー;
ii)発光部;および
iii)少なくとも1の、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基、または炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシル基、を含む化学化合物であって、好ましくはアルキル基、アルケニル基、および/またはアルコキシ基の該炭素原子は、10個から35個まで、より好ましくは14個から30個まで、なおもより好ましくは16個から28個まで、さらにより好ましくは19個から26個までの範囲にあり、好ましくは該アルキル基、アルケニル基および/またはアルコキシ基は、置換されていてもまたは非置換であってもよく、好ましくは化学化合物は、少なくとも1の直鎖もしくは分枝のアルキル基を含み、ここで該鎖は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有し、好ましくは該鎖は、1~5つの炭素-炭素二重結合、より好ましくは1~3つの炭素-炭素二重結合、なおもより好ましくは1~2つの炭素-炭素二重結合を含有する、前記化学化合物
を含むか、本質的にこれらからなるか、またはこれらからなる。
【0033】
別の側面において、本発明は、少なくとも;
L)反応性モノマー、好ましくは官能基を1以上を有する該モノマー、より好ましくは(メタ)アクリラートモノマー;
L2)少なくとも1の、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基、または炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシル基を含む、少なくとも1の配位子を含有する、発光部;および
L3)少なくとも1の、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基、または炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシル基、を含む化学化合物であって、好ましくはアルキル基、アルケニル基、および/またはアルコキシ基の該炭素原子は、10個から35個まで、より好ましくは14個から30個まで、なおもより好ましくは16個から28個まで、さらにより好ましくは19個から26個までの範囲にあり、好ましくは該アルキル基、アルケニル基および/またはアルコキシ基は、置換されていてもまたは非置換であってもよく、好ましくは化学化合物は、少なくとも1の直鎖もしくは分枝のアルキル基を含む、前記化学化合物
を含む組成物に関し、好ましくはそれは光硬化性組成物から成る。
【0034】
本発明の好ましい態様において、化学化合物のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭素原子数に対する、配位子のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭素原子数は、以下の式(Q)を満足し、好ましくは該鎖は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有し、より好ましくは該鎖は、1~5つの炭素-炭素二重結合、より好ましくは1~3つの炭素-炭素二重結合、なおもより好ましくは1~2つの炭素-炭素二重結合を含有する。
配位子のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭素原子数<化学化合物のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭素原子数 - (Q)
【0035】
好ましくは化学化合物のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭素原子数は、配位子のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭素原子数より1~20個大きく、より好ましくは3~15個大きく、より好ましくは5~12個大きく、なおもより好ましくは該基は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有し、さらにより好ましくは化学化合物の基において該少なくとも1つの炭素-炭素二重結合の位置は、配位子のch3末端より外側(基の-CH3末端側)に位置する。換言すれば、化学化合物の基の長さは、配位子の基の長さより長く、好ましくは化学化合物の基において該少なくとも1つの炭素-炭素二重結合の位置は、配位子の基の端の外側(より遠く)にある。
【0036】
化学化合物のより長い長さは、発光部および/または散乱粒子の改善された分散性を導くと考えられる。
炭素-炭素二重結合が、配位子の端から外側(より遠い側)に置かれ、化学化合物の立体効果が生じている場合、そのとき化学化合物のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基は、分散され得る(同じ方向にアラインされ得ない)。ひいては、反応性モノマーとの良好な相溶性/相互作用が導かれることもある。
【0037】
- 化学化合物
結果的に、化学化合物は、組成物の粘度/可溶性を制御することが好ましいと考えられる。組成物の粘度の増大を防止すること、および/または長期保管における組成物中の光ルミネセンス部分の良好な可溶性を保つことが、より好ましい。
さらに、鎖中の炭素-炭素二重結合の1以上は、組成物中の発光部および/または散乱粒子のより低い粘度および改善された分散性を導くこともあると考えられる。
【0038】
本発明の好ましい態様において、該化学化合物は、ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸、ヒドロキシル基、ホスホン酸からなる群のメンバーの1以上から選択される少なくとも1の基をさらに含み、好ましくは該基は、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、カルボキシル基またはこれらのいずれかの組み合わせであり、より好ましくはそれは、カルボキシル基である。
【0039】
ホスホナート基、チオール基、カルボキシル基、またはこれらのいずれかの組み合わせも、より好ましいと考えられ、それは、無機部分の発光部の最外表面(無機部分の量子材料の表面など)へのより良好な付着能を有するからである。
【0040】
より好ましくは、化学化合物は、以下の化学式(X
A)によって表される。
Z-Y - (X
A)
式中
Zは、*-R
x1または
【化1】
であるが、ここで「*」は、式の記号Yへの接続点を表し、R
x1は、ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸、ヒドロキシル基、ホスホン酸からなる群のメンバーの1以上から選択される基であり、好ましくは該基は、ホスホナート基、チオール基、カルボキシル基、またはこれらのいずれかの組み合わせであり、より好ましくはそれは、カルボキシル基である;および
R
x2は、ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸、ヒドロキシル基、ホスホン酸からなる群のメンバーの1以上から選択される基であり、好ましくは該基は、ホスホナート基、チオール基、カルボキシル基、またはこれらのいずれかの組み合わせであり、より好ましくは、それは、カルボキシル基である;
Yは、1~45個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状のアルキル基、1~45個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状のアルケニル基、または1~45個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状のアルコキシル基であり、好ましくはアルキル基、アルケニル基、および/またはアルコキシ基の該炭素原子は、5個から35個まで、より好ましくは10個から25個まで、なおもより好ましくは12個から24個まで、さらにより好ましくは14個から20個までの範囲にあり、ならびに好ましくは該アルキル基は、1以上のラジカルR
aによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH
2基は、R
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、OS、またはCONR
aによって置き換えられていてもよく、かつここで1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNまたはNO
2によって置き換えられていてもよく、
R
aは、出現毎に、まったく同じにまたは異なるように、H、D、または1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状アルキルもしくはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有する複素芳香環系であり、ここでH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよい;また、2以上の隣接する置換基R
aはここで、相互に、単-もしくは多環式の、脂肪族の、芳香族の、または複素芳香族の環系も形成していてもよい。
ここでYは、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有し、好ましくは該鎖は、鎖中に1~5つの炭素-炭素二重結合、より好ましくは1~3つの炭素-炭素二重結合、なおもより好ましくは1~2つの炭素-炭素二重結合を含有し、好ましくは化学化合物は、7-ドコセン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、a-リノレン酸、ミード酸、エルカ酸、またはネルボン酸からなる群から選択され、より好ましくはそれは、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、a-リノレン酸、ミード酸、エルカ酸、またはネルボン酸から選択され、さらにより好ましくはそれは、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、a-リノレン酸、ミード酸、エルカ酸、またはネルボン酸から選択される。
【0041】
本発明の好ましい態様において、化学化合物の総重量:発光部の総重量の比率は、0.6:40~1:3、好ましくは1:40から1:2まで、より好ましくは1.5:40から1:1までの範囲にある;該発光部が無機発光材料のケースにおいて、化学化合物の重量:無機部分の無機光ルミネセンス材料の重量の比率は、0.003から3.2まで、好ましくは0.006から2.8まで、より好ましくは0.015から1.3までの範囲にある。
【0042】
結果的に、該化学化合物の重量比は、組成物の粘度/可溶性を制御することが極めて好ましいと考えられる。そして、組成物の粘度の増大を防止すること、および/または長期保管における組成物中の光ルミネセンス部分の良好な可溶性を保つことが、極めて好ましい。
【0043】
- 反応性モノマー
より低い粘度は、インクジェット印刷に好適な低粘度組成物を作製するのに重要であると考えられる。したがって、上述のパラメータ範囲内の粘度値を有する(メタ)アクリラートモノマーは、インクジェット印刷用組成物を作製するのにとくに好適である。組成物においてこれらの(メタ)アクリラートモノマーを使用することによって、これを半電導性発光ナノ粒子などの別の材料と高ロード(high loading)で混合したとき、組成物は、インクジェット印刷に好適な範囲内のより低い粘度を依然として保ち得る。
【0044】
本発明の好ましい態様において、該反応性モノマーの沸点(B.P.)は、大面積に一様な(large area uniform)インクジェット印刷のために、250℃以上、好ましくは250℃から350℃まで、なおもより好ましくは280℃から350℃まで、さらにより好ましくは300℃から348℃までの範囲にある。
【0045】
該高沸点はまた、より小さい蒸気圧(好ましくは、0.001mmHg未満)を有する、大面積に一様な印刷のための組成物を作製するのにも重要であって、大面積に一様なインクジェット印刷に好適な組成物を作製するために、高ロードの別の材料(高ロードの半電導性発光ナノ粒子など)と混合する場合であっても、25℃にて25cP以下の粘度値かつ少なくとも250℃以上の(好ましくは250℃から350℃まで、より好ましくは300℃から348℃までの範囲にある)沸点を有する反応性モノマー、好ましくは(メタ)アクリラートモノマー、より好ましくは式(I)、(II)、および/または(III)で表される(メタ)アクリラートモノマーを使用するのが好ましいと考えられる。
【0046】
ここで、用語「(メタ)アクリラート」は、アクリラートおよびメタクリラートの総称である。したがって、本発明に従うと、用語「(メタ)アクリラートモノマー」は、メタクリラートモノマーおよび/またはアクリラートモノマーを意味する。
【0047】
本発明に従うと、該B.P.は、Science of Petroleum, Vol.II. p.1281 (1398)などに記載された方法といった、知られている方法によって見積もられ得る。
本発明に従うと、化学式(I)または(II)によって表される、公的に入手可能なアクリラートおよび/またはメタクリラートのいずれのタイプも、好ましく使用され得る。
【0048】
とくに第1の側面では、化学式(I)、(II)、および/または(III)によって表される、25℃にて25cP以下の粘度値を有する公的に入手可能なアクリラートおよび/またはメタクリラートのいずれのタイプも、使用され得る。
【0049】
よって、本発明に従うと、組成物の反応性モノマーは、好ましくは、モノ-(メタ)アクリラートモノマー、ジ-(メタ)アクリラートモノマー、またはトリ-(メタ)アクリラートモノマーから選択される(メタ)アクリラートモノマーであり、より好ましくはそれは、ジ-メタクリラートモノマーまたはジ-アクリラートモノマー、トリ-メタクリラートモノマー、トリ-アクリラートモノマーであり、なおもより好ましくはそれは、以下の化学式(II);
【化2】
X
3は、非置換もしくは置換のアルキル基、アリール基であるか、またはアルコキシ基である;
好ましくは、記号X
3は、
【化3】
であり、ここで式の左側にある「*」は、式(I)の末端基C=CR
5への接続点を表す;
lは、0または1である;
R
5は、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基である;
R
6は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖、好ましくはR
6は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であって、
これらは、1以上のラジカルR
aによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH
2基は、R
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、OS、またはCONR
aによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよい;
R
7は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であり、好ましくはR
7は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であって、
これらは、1以上のラジカルR
aによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH
2基は、R
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、OS、またはCONR
aによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよい;
R
aは、出現毎に、まったく同じにまたは異なるように、H、D、または1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状のアルキル基もしくはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有する複素芳香環系であり、ここでH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよい;2以上の隣接置換基R
aはここでまた、単-もしくは多環式の、脂肪族の、芳香族の、または複素芳香族の環系を相互に形成していてもよい、
によって表される。
【0050】
好ましい態様において、組成物は、以下の化学式(I)によって表される(メタ)アクリラートモノマーおよび/または以下の化学式(III)によって表される(メタ)アクリラートモノマーをさらに含む;
【化4】
式中
X
1は、非置換もしくは置換のアルキル基、アリール基であるか、あるいはアルコキシ基またはエステル基である;
X
2は、非置換もしくは置換のアルキル基、アリール基であるか、あるいはアルコキシ基またはエステル基である;
R
1は、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基である;
R
2は、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基である;
好ましくは、記号X
1は、
【化5】
であり、ここで式の左側にある「*」は、式(I)の末端基C=CR
1の炭素原子への接続点を表し、および右側にある「*」は、式(I)の記号X
2への接続点を表す;
nは、0または1である;
好ましくは、記号X
2は、
【化6】
であり、ここで式の左側にある「*」は、式(I)の記号X
1の炭素原子への接続点を表し、および右側にある「*」は、式(I)の末端基C=CR
2への接続点を表す;
mは、0または1である;
好ましくは、少なくともmまたはnは、1である;
R
3は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖もしくはアルコキシレン鎖、3~25個の炭素原子を有するシクロアルカン、または3~25個の炭素原子を有するアリール基であり、好ましくはR
3は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であって、
これらは1以上のラジカルR
aによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH
2基は、R
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、OS、またはCONR
aによって置き換えられていてもよく、およびここで1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよい;
R
4は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖もしくはアルコキシレン鎖、3~25個の炭素原子を有するシクロアルカン、または3~25個の炭素原子を有するアリール基であり、好ましくはR
4は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する、直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であって、
これらは1以上のラジカルR
aによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH
2基は、R
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、OS、またはCONR
aによって置き換えられていてもよく、およびここで1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよい;
R
aは、出現毎に、まったく同じにまたは異なるように、D、または1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状アルキルもしくはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有する複素芳香環系であり、ここでH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよい;2以上の隣接置換基R
aはここでまた、相互に、単-もしくは多環式の、脂肪族の、芳香族の、または複素芳香族の環系を形成していてもよい;
【化7】
式中R
9は、水素原子、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基、または化学式(IV)
【化8】
によって表される(メタ)アクリル基である;
R
10は、水素原子、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基、または化学式(V)
【化9】
によって表される(メタ)アクリル基である;
R
11は、水素原子、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基、または化学式(VI)
【化10】
によって表される(メタ)アクリル基である;
式中R
8、R
8a、R
8b、およびR
8cは、出現毎に各々独立してまたは互いに依存して、HまたはCH
3である;
式中R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、(メタ)アクリル基であり、好ましくはR
9、R
10、およびR
11の2つは、(メタ)アクリル基であり、かつ他の1つは、水素原子または1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基であり、好ましくは式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマーの電気伝導率(S/cm)は、1.0*10
-10以下、好ましくは5.0*10
-11以下、より好ましくは5.0*10
-11から1.0*10
-15までの範囲にあり、なおもより好ましくは5.0*10
-12から1.0*10
-15までの範囲にある。
【0051】
好ましい態様において、化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーに対する化学式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマーの混合比は、1:99から99:1まで(式(III):式(II))、好ましくは5:95から50:50まで、より好ましくは10:90から40:60までの範囲にあり、なおもより好ましくは、それは15:85から35:65までであり、好ましくは、化学式(III)、(II)によって表される、少なくとも精製された(メタ)アクリラートモノマーは、組成物中で使用され、より好ましくは化学式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマーおよび化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーはともに、精製方法によって得られるかまたは得ることができる。
【0052】
好ましい態様において、化学式(I)および/または化学式(II)で表される該(メタ)アクリラートモノマーの沸点(B.P.)は、250℃以上であり、好ましくは化学式(I)および化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーはともに、250℃以上、より好ましくは250℃から350℃まで、なおもより好ましくは280℃から350℃まで、さらにより好ましくは300℃から348℃までの範囲にある。
【0053】
本発明に従うと、好ましい態様において、組成物の粘度は、室温にて35cP以下、好ましくは1から35cPまで、より好ましくは2から30cPまで、なおもより好ましくは2から25cPまでの範囲にある。
【0054】
本発明に従うと、該粘度は、振動型粘度計VM-10A(SEKONIC)によって室温にて測定され得る。https://www.sekonic.co.jp/english/product/viscometer/vm/vm_series.html
【0055】
- マトリックス材料としての、化学式(I)によって表される(メタ)アクリラートモノマー
さらにより好ましくは、式(I)の該R
3および式(I)のR
4は各々、互いに独立して、以下の基から選択されるが、ここで基はR
aで置換され得、好ましくはR
aによって置換されていない。
【表1-1】
【表1-2】
【0056】
殊更好ましくは、式(I)の該R
3およびR
4は、出現毎に、独立してまたは異なって、以下の基から選択される。
【表2】
式中「*」はR
3の場合、式の酸素原子への接続点または式のX
2への接続点を表し、および式中「*」はR
4の場合、式の酸素原子への接続点または式のX
1への接続点を表す。
【0057】
さらにより好ましくは、該式(I)は、NDDA(ノナンジオールジアクリラート;BP:342℃)、HDDMA(ヘキサンジオールジメタクリラート;BP:307)、HDDA(ヘキサンジオールジアクリラート;BP:295℃)、またはDPGDA(BP:314℃)である。
【化11】
【0058】
- 化学式(II)によって表される(メタ)アクリラートモノマー
以下の化学式(II)によって表される(メタ)アクリラートモノマーは、式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマーの粘度よりはるかに小さい粘度値を示すと考えられる。よって、化学式(II)によって表される(メタ)アクリラートモノマーを化学式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマーと組み合わせて使用することによって、滑らかなインクジェット印刷に所望されるはるかにより小さい粘度を有する組成物が、好ましくは外部量子効率(EQE)値を減少させずに、実現され得る。
【0059】
該組み合わせは、多量の別の材料(高ロードの半電導性発光ナノ粒子など)を含む低粘度組成物を実現し得ると考えられる。よって、これは組成物が別の材料を含むとき、インクジェット印刷にとくに好適である。
【0060】
本発明の好ましい態様において、該化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーの沸点(B.P.)は、大面積に一様なインクジェット印刷のために、250℃以上であり、好ましくは化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーは、250℃以上、より好ましくは250℃から350℃まで、なおもより好ましくは280℃から350℃まで、さらにより好ましくは300℃から348℃までの範囲にある。
【0061】
本発明のさらに好ましい態様において、化学式(I)で表される該(メタ)アクリラートモノマーの沸点(B.P.)、および/または該化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーの沸点(B.P.)は、大面積に一様なインクジェット印刷のために、250℃以上であり、好ましくは化学式(I)および化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーはともに、250℃以上であり、より好ましくは250℃から350℃まで、なおもより好ましくは280℃から350℃まで、さらにより好ましくは300℃から348℃までの範囲にある。
【0062】
さらにより好ましくは、式(II)の該R
7は、出現毎に、独立してまたは異なって、以下の基から選択されるが、ここで基は、R
aで置換され得、好ましくはR
aによって置換されていない。
【表3】
式中「*」はlが1である場合、X
3のR
6への接続点を表し、およびそれはnが0である場合、式(II)のX
3の酸素原子への接続点を表す。
【0063】
さらにより好ましくは、該式(II)は、ラウリルメタクリラート(LM、粘度6cP、BP:142℃)またはラウリルアクリラート(LA、粘度:4.0cP、BP:313.2℃)である。
【0064】
化学式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマーの総量に対する、より多い量の化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーは、組成物の改善されたEQEに繋がり、化学式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマーの総量に対する化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーの、50wt.%未満の混合重量比が、組成物の粘度、組成物のより良好なインク噴射特性の観点から好ましいと考えられる。
【0065】
好ましくは、シリカカラムを使用することによって精製された(メタ)アクリラートモノマーが使用される。
(メタ)アクリラートモノマーからのシリカカラム精製による不純物除去は、組成物中の半電導性発光ナノ粒子の改善されたQYに繋がると考えられる。
【0066】
- 化学式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマー
化学式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマーは、インクジェット印刷後の組成物から後に作られるその固体性(solidity)を改善するのに有用であると考えられる。
本発明に従うと、以下の化学式(III)によって表される、公的に知られている(メタ)アクリラートモノマーは、インクジェット印刷および架橋後の層の固体性を改善するのに使用され得る。
【0067】
極めて好ましくは、トリメチロールプロパントリアクリラート(TMPTA)は、化学式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマーとして使用される。
本発明の好ましい態様において、化学式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマーの量は、組成物中の(メタ)アクリラートモノマーの総量に基づき、0.001wt.%から25wt.%までの範囲にあり、より好ましくは0.1wt.%から15wt.%まで、なおもより好ましくは1wt.%から10wt.%まで、さらにより好ましくは3から7wt%までの範囲にある。
【0068】
好ましくは、シリカカラムを使用することによって精製された(メタ)アクリラートモノマーが使用される。
(メタ)アクリラートモノマーからのシリカカラム精製による不純物除去は、組成物中の半電導性発光ナノ粒子の改善されたQYに繋がると考えられる。
【0069】
本発明に従うと、好ましくは組成物は、23%以上、好ましくは24%以上および95%未満のEQE値を示すように構成されている。
【0070】
本発明に従うと、該EQEは、室温にて以下のEQE測定プロセスによって測定されるが、前記プロセスは、光ファイバーおよび分光計(C9920, Hamamatsu photonics)を介して連結された450nm励起光源を備えた積分球を使用することに基づいており、かつ参照として空気を使用して励起光の入射光子を検出する第1測定と、試料を通過した励起光源からの入射光子および試料もしくは試験セルから発せられた光子を検出する、積分球前に積分球の開口と光ファイバーの出口との間に置かれた試料または試験セルでの第2測定とからなるが、両ケースともに積分球を出た光子は分光計によって計数され、EQEおよびBLの算出は以下の方程式でなされ、かつ励起光および放射光の光子数は、以下の波長範囲にわたる積分によって算出される;
EQE=光子[放射光]/光子[試料なしで適所にて測定された励起光];
BL=光子[試料なしで適所にて測定]/光子[試料なしで適所にて測定された励起光];
緑色発光部が使用された場合の放射光:480nm~600nm、
赤色発光部が使用された場合の放射光:560nm~680nm
励起光:430nm~470nm。
【0071】
本発明に従うと、好ましい態様において、組成物の粘度は、室温にて35cP以下、好ましくは1から35cPまで、より好ましくは2から30cPまで、なおもより好ましくは2から25cPまでの範囲にある。
【0072】
本発明の好ましい態様において、組成物は、組成物の総量に基づき、溶媒を10wt%以下、より好ましくは5wt%以下含み、より好ましくは、組成物は、無溶媒の組成物であり、好ましくは、組成物は、以下からなる群の1以上のメンバーから選択される以下の溶媒のいずれか1つを含まない:エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、およびエチレングリコールモノブチルエーテルなどの、エチレングリコールモノアルキルエーテル;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、およびジエチレングリコールジブチルエーテルなどの、ジエチレングリコールジアルキルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、およびプロピレングリコールモノプロピルエーテルなどの、プロピレングリコールモノアルキルエーテル;酢酸メチルセロソルブおよび酢酸エチルセロソルブなどの、エチレングリコールアルキルエーテルアセタート;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセタート、およびプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセタートなどの、プロピレングリコールアルキルエーテルアセタート;メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、およびシクロヘキサノンなどの、ケトン;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、トリエチエングリコール、およびグリセリンなどの、アルコール;エチル3-エトキシプロピオナート、メチル3-メトキシプロピオナート、および乳酸エチルなどの、エステル;ならびにガンマ-ブチロ-ラクトンなどの環状エステル;クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン、トリメチルベンゼン、たとえば、1,3,5-トリメチルベンゼン、1,2,4-トリメチルベンゼン、1,2,3-トリメチルベンゼン、ドデシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、1,2,3,4-テトラメチルベンゼン、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、3-イソプロピルビフェニル、3-メチルビフェニル、4-メチルビフェニル、およびジクロロベンゼンなどの、塩素化炭化水素、好ましくは、該溶媒は、プロピレングリコールアルキルエーテルアセタート、アルキルアセタート、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコール、およびプロピレングリコールモノアルキルエーテルである。
【0073】
組成物中10wt%未満の溶媒は、改善されたインク噴射に繋がり、溶媒の蒸発後の同じ画素上への2回以上のインク噴射を回避し得ると考えられる。
本発明に従うと、ノズルにていずれの目詰まりも引き起こすことなく、および/または半電導性発光ナノ粒子の分散性が良好であり、および/または散乱粒子の分散性が良好である、一様性が改善された大面積のインクジェット印刷を実現するために、いずれの溶媒も加えないことが望ましい。
【0074】
本発明に従うと、好ましくは組成物は、以下;
iii)請求項1に記載の発光部とは異なる、別の発光部(好ましくは該発光部は、配位子を含み、より好ましくは該発光部は、炭素原子2~25個を有するアルキルタイプの配位子を含む);
iv)別の(メタ)アクリラートモノマー;
v)散乱粒子、ならびに
vi)光学的に透明のポリマー、抗酸化剤、ラジカルクエンチャー、光開始剤、および/または界面活性剤
からなる群の1以上のメンバーから選択される別の材料をさらに含む。
【0075】
本発明のいくつかの態様において、好ましくは本発明の組成物は、
v)散乱粒子;および
vii)少なくとも1のポリマーであって、該ポリマーが散乱粒子を組成物中に分散できるように構成されている該ポリマー
を含む;ここでポリマーは、少なくとも、ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸、ヒドロキシル基、ホスホン酸、またはそれらの組み合わせを含み、好ましくはポリマーは、三級アミン、ホスフィンオキシド基、ホスホン酸、またはホスファート基を含む。
【0076】
本発明に従うと、ポリマーであって、該ポリマーが散乱粒子を組成物中に分散できるように構成されている該ポリマーは、ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸、ヒドロキシル基、ホスホン酸、またはそれらの組み合わせをを含む少なくとも繰り返し単位A含み、好ましくは繰り返し単位Aは、三級アミン、ホスフィンオキシド基、ホスホン酸、またはホスファート基を含む。
本発明のいくつかの態様において、繰り返し単位Aおよび繰り返し単位Bは、構成繰り返し単位である。
【0077】
なおもより好ましくは、繰り返し単位Aは、以下の化学式(VII)、
NR12R13R14- - (VII)
によって表される三級アミンを含み、式中R12は、水素原子、1~30個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状のアルキル基、または1~30個の炭素原子を有するアリール基である;R13は、水素原子、1~30個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状のアルキル基、または1~30個の炭素原子を有するアリール基である;R12およびR13は、互いに同じかまたは異なり得る;R14は、単結合、1~30個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状のアルキレン基、1~30個の炭素原子を有するアルケニレン基、1~30個の炭素原子を有する(ポリ)オキサアルキレン基である。
【0078】
なおもより好ましくは、R12は、1~30個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状のアルキル基である;R13は、1~30個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状のアルキル基である;R12およびR13は、互いに同じかまたは異なり得る。
さらにより好ましくは、R12は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、またはn-ブチル基である;R13は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、またはn-ブチル基である。
本発明に従うと、好ましい態様において、繰り返し単位Aは、塩を含有しない。
【0079】
本発明の好ましい態様において、ポリマーは、グラフトコポリマー、ブロックコポリマー、交互コポリマー、およびランダムコポリマーからなる群から選択されるコポリマーであり、好ましくは該コポリマーは、繰り返し単位Aと、いずれのホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸、ヒドロキシル基、ホスホン酸、およびそれらの組み合わせも包含しない繰り返し単位Bとを含み、より好ましくはコポリマーは、以下の化学式(VIII)または(IX)、
An - Bm -(VIII)
Bo - An - Bm -(IX)
によって表されるブロックコポリマーであり、式中記号「A」は、繰り返し単位Aを表す;記号「B」は、繰り返し単位Bを意味するものと解釈される;記号「n」、「m」、および「o」は、出現毎に、独立してまたは互いに独立して、整数1~100、好ましくは5~75、より好ましくは7~50である;なおもより好ましくは、繰り返し単位Bは、(ポリ)エチレン、(ポリ)フェニレン、ポリジビニルベンゼン、(ポリ)エーテル、(ポリ)エステル、(ポリ)アミド、(ポリ)ウレタン、(ポリ)カーボナート、ポリ乳酸、(ポリ)ビニルエステル、(ポリ)ビニルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロース、およびこれらのいずれの誘導体からなる群から選択されるポリマー鎖を含む。
【0080】
本発明の好ましい態様において、繰り返し単位Bのポリマー鎖は、ポリエチレングリコールである。
より好ましくは、繰り返し単位Bは、以下の化学式(X)、
【化12】
によって表される化学構造を含み、化学式(X)中R
15は、水素原子またはメチル基である;R
16は、1~10個の炭素原子を有するアルキル基である;ならびにnは、整数1~5であり、「*」は、別のポリマー繰り返し単位またはポリマーの末端への接続点を表す。
【0081】
なおもより好ましくは、R15は、水素原子またはメチル基であり得、R16は、エチル基であり得、およびnは、整数1~5である。
本発明のいくつかの態様において、半電導性発光ナノ粒子のコアの表面、または1以上のシェル層の最外表面は、ポリマーによって一部または全部が上から覆われ得る。
例えばThomas Nann, Chem. Commun.,2005,1735-1736,DOI:10.1039/b-414807jに記載の、配位子交換方法を使用することによって、ポリマーは、半電導性発光ナノ粒子のコア表面またはコアの最外表面上へ導入され得る。
【0082】
本発明に従うと、いくつかの態様において、該ポリマーの含量は、半電導性発光ナノ粒子の総重量に関し、1%から500重量%までの範囲にあり、より好ましくは20%から350重量%まで、なおもより好ましくは50%から200重量%までの範囲にある。
本発明の好ましい態様において、ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、200g/molから30,000g/molまで、好ましくは250g/molから2,000g/molまで、より好ましくは400g/molから1,000g/molまでの範囲にある。
分子量Mwは、内部ポリスチレン標準に対しGPC(=ゲル浸透クロマトグラフィー)を用いて決定される。
【0083】
ポリマーとして、非極性および/または低極性の有機溶媒に溶解され得る市販の湿潤・分散添加剤が、好ましく使用され得る。たとえば、BYK-111、BYK-LPN6919、BYK-103、BYK-P104、BYK-163([商標]、BYK com.から)、TERPLUS MD1000シリーズ、例えば、MD1000、MD1100([商標]、Otsuka Chemicalから)、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアミン(Sigma-Ald 767565[商標]、Sigma Aldrichから)、ポリエステルビス-MPAデンドロン、32ヒドロキシル、1チオール、(Sigma-Ald 767115[商標]、Sigma Aldrichから)、LIPONOL DA-T/25(Lion Specialty Chemicals Co.から)、カルボキシメチルセルロース(Polyscience等々から)、「Marc Thiry et.al.,ACSNANO,American Chemical society,Vol.5,No.6,pp4965-4973,2011」、「Kimihiro Susumu,et.al.,J.Am.Chem.Soc.2011,133,pp9480-9496」に開示された別の湿潤・分散添加剤である。
【0084】
よって、本発明のいくつかの態様において、組成物は、化学式(I)で表される少なくとも(メタ)アクリラートモノマーと、化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーと、ポリマーであって該ポリマーが散乱粒子を組成物中に分散できるように構成されている該ポリマーとを含み、ここで化学式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマー:化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマー:ポリマーの混合比は、10:89:1~50:40:10、好ましくは15:82:3から30:60:10までの範囲にある。
【0085】
本発明のいくつかの態様において、組成物は少なくとも、化学式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマー、化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマー、およびポリマーであって該ポリマーが散乱粒子を組成物中に分散できるように構成されている該ポリマーを含み、ここで化学式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマー:化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマー:ポリマーの混合比は、10:89:1~50:40:10、好ましくは15:82:3から30:60:10までの範囲にある。
【0086】
本発明のいくつかの態様において、組成物は、本発明の組成物の(メタ)アクリラートモノマーに由来するかもしくは由来し得るポリマーを少なくとも含むか、本質的にこれらからなるか、またはこれらからなる。
本発明の好ましい態様において、該ポリマーは、組成物中のすべての(メタ)アクリラートモノマー、例えば、化学式(I)で表される少なくとも(メタ)アクリラートモノマーおよび/または化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーに由来するかあるいは由来し得る。
【0087】
v)散乱粒子
本発明に従うと、散乱粒子として、SiO2、SnO2、CuO、CoO、Al2O3 TiO2、Fe2O3、Y2O3、ZnO、ZnS、MgOなどの、公的に知られている小粒子の無機オキシド;重合ポリスチレン、重合PMMAなどの、有機粒子;中空シリカなどの無機中空オキシド、またはこれらいずれの組み合わせ;も使用され得る。散乱粒子の量は、層の固体含量の総量に基づき、好ましくは4wt%以下、好ましくは4から0wt%までの範囲にあり、より好ましくは1から0wt%までの範囲にあり、より好ましくは、層および/または組成物はいずれの散乱粒子も含有しない。
【0088】
本発明のいくつかの態様において、組成物は、
iii)第1半電導性ナノ粒子を含む少なくとも1つの半電導性発光ナノ粒子、任意に少なくとも一部の第1半電導性ナノ粒子を覆う1以上のシェル層を含み、好ましくは、組成物はEQE値を23%以上、好ましくは24%以上かつ95%未満有する。
本発明に従うと、透明のポリマーとして、例えばWO 2016/134820Aに記載の、光学デバイスに好適な多種多様の公的に知られている透明のポリマーが、好ましく使用され得る。
【0089】
本発明に従うと、用語「透明の」は、光学媒体に使用される厚さにて、かつ光学媒体の操作最中に使用される波長または波長の範囲にて、少なくともほぼ60%の入射光の透過を意味する。好ましくは、それは70%超、より好ましくは75%超、最も好ましくは80%超である。
本発明に従うと、用語「ポリマー」は、繰り返し単位を有し、かつ重量平均分子量(Mw)1000g/mol以上を有する材料を意味する。
【0090】
分子量Mwは、内部ポリスチレン標準に対してGPC(=ゲル浸透クロマトグラフィー)を用いて決定される。
本発明のいくつかの態様において、透明のポリマーのガラス転移温度(Tg)は、70℃以上っかつ250℃以下である。
【0091】
Tgは、Rickey J Seyler, Assignment of the Glass Transition, ASTM publication code number (PCN) 04-012490-50に記載されるように、示唆走査熱量測定において観察される熱容量の変化に基づき測定される。
例えば、透明のマトリックス材料用の透明のポリマーとして、ポリ(メタ)アクリラート、エポキシ、ポリウレタン、ポリシロキサンが、好ましく使用され得る。
【0092】
本発明の好ましい態様において、透明のマトリックス材料としてのポリマーの重量平均分子量(Mw)は、1,000から300,000g/molまで、より好ましくは10,000から250,000g/molまでの範囲にある。
本発明に従うと、公的に知られている抗酸化剤、ラジカルクエンチャー、光開始剤、および/または界面活性剤が、WO 2016/134820Aに記載のように、好ましく使用され得る。
【0093】
- 発光部(110)
本発明の好ましい態様において、該発光部(110)は、有機および/または無機の発光材料であり、好ましくは、有機色素、無機リン光体(inorganic phosphor)、および/または量子材料などの半電導性発光ナノ粒子である。
【0094】
本発明のいくつかの態様において、発光部(110)の総量は、第1画素(161)の総量に基づき、0.1wt.%から90wt.%まで、好ましくは10wt.%から70wt.%まで、より好ましくは30wt.%から50wt.%までの範囲にある。
【0095】
- iii)半電導性発光ナノ粒子
本発明に従うと、用語「半導体」は、室温にて伝導体(銅など)の電気伝導率と絶縁体(ガラスなど)の電気伝導率との間の程度の電気伝導率を有する材料を意味する。好ましくは、半導体は、電気伝導率が温度とともに増加する材料である。
用語「ナノサイズ(の)」は、0.1nm~150nm、より好ましくは3nm~50nmの間にあるサイズを意味する。
【0096】
よって、本発明に従うと、「半電導性発光ナノ粒子」は、そのサイズが、0.1nm~150nm、より好ましくは3nm~50nmの間にあり、室温にて伝導体(銅など)の電気伝導率と絶縁体(ガラスなど)の電気伝導率との間の程度の電気伝導率を有する発光材料を意味するものと解釈され、好ましくは半導体は、電気伝導率が温度とともに増加し、かつサイズが0.1nmと150nmとの間、好ましくは0.5nm~150nm、より好ましくは1nm~50nmにある材料である。
【0097】
本発明に従うと、用語「サイズ」は、半電導性ナノサイズ発光粒子の最長軸の平均直径を意味する。
半電導性ナノサイズ発光粒子の平均直径は、Tecnai G2 Spirit Twin T-12 Transmission Electron Microscopeによって創作されたTEM画像中の100半電導性発光ナノ粒子に基づき算出される。
本発明の好ましい態様において、本発明の半電導性発光ナノ粒子は、量子サイズの材料である。
【0098】
本発明に従うと、用語「量子サイズ(の)」は、例えばISBN:978-3-662-44822-9に記載されるように量子閉じ込め効果を示し得る、配位子も別の表面修飾もない半電導性材料自体のサイズを意味する。
例えば、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnSeS、ZnTe、ZnO、GaAs、GaP、GaSb、HgS、HgSe、HgSe、HgTe、InAs、InP、InPZn、InPZnS、InPZnSe、InPZnSeS、InPZnGa、InPGaS、InPGaSe、InPGaSeS、InPZnGaSeSおよびInPGa、InCdP、InPCdS、InPCdSe、InSb、AlAs、AlP、AlSb、Cu2S、Cu2Se、CuInS2、CuInSe2、Cu2(ZnSn)S4、Cu2(InGa)S4、TiO2の合金、ならびにこれらのいずれの組み合わせも使用され得る。
【0099】
本発明の好ましい態様において、第1の半電導性材料は、周期表の第13族の少なくとも1つの元素と周期表の第15族の1つの元素とを含み、好ましくは、第13族の元素はInであり、かつ第15族の元素はPであり、より好ましくは、第1の半電導性材料は、InP、InPZn、InPZnS、InPZnSe、InPZnSeS、InPZnGa、InPGaS、InPGaSe、InPGaSeS、InPZnGaSeS、およびInPGaからなる群から選択される。
【0100】
本発明に従うと、半電導性発光ナノ粒子のコアの形状のタイプ、および合成された半電導性発光ナノ粒子の形状は、具体的に限定されない。
例えば、球状に成形された、細長く成形された、星状に成形された、多面体状に成形された、ピラミッド状に成形された、四脚に成形された、4面体状に成形された、血小板状に成形された、円錐状に成形された、および不規則に成形されたコアおよび-または半電導性発光ナノ粒子が、合成され得る。
【0101】
本発明のいくつかの態様において、コアの平均直径は、1.5nmから3.5nmまでの範囲にある。
コアの平均直径は、各単一粒子の最長軸を測定することによりTecnai G2 Spirit Twin T-12 Transmission Electron Microscopeによって創作されたTEM画像中の100半電導性発光ナノ粒子に基づき算出される。
【0102】
本発明のいくつかの態様において、少なくとも1つのシェル層は、周期表の第12族の第1元素と周期表の第16族の第2元素とを含むかまたはこれらからなり、好ましくは、第1元素はZnであり、かつ第2元素はS、Se、またはTeである;好ましくは、該コア上を直接覆う第1シェル層は、周期表の第12族の第1元素と周期表の第16族の第2元素とを含むかまたはこれらからなり、好ましくは、第1元素はZnであり、かつ第2元素はS、Se、またはTeである。
【0103】
本発明の好ましい態様において、少なくとも1つのシェル層(第1シェル層)は、以下の式(XI)によって表され、好ましくは、コアを直接覆うシェル層は、化学式(XI)によって表される;
ZnSxSeyTez - (XI)
式中0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、およびx+y+z=1、好ましくは、0≦x≦1、0≦y≦1、z=0、およびx+y=1、好ましくは、シェル層は、ZnSe、ZnSxSey、ZnSeyTez、またはZnSxTezである。
【0104】
本発明のいくつかの態様において、該シェル層は、合金のシェル層または勾配のある(graded)シェル層であり、好ましくは、該勾配のあるシェル層は、ZnSxSey、ZnSeyTez、またはZnSxTez、より好ましくはZnSxSeyである。
【0105】
本発明のいくつかの態様において、半電導性発光ナノ粒子はさらに、該シェル層上の第2のシェル層を含み、好ましくは、第2のシェル層は、周期表の第12族の第3元素と周期表の第16族の第4元素とを含むかまたはこれらからなり、より好ましくは、第3元素はZnであり、かつ第4元素はS、Se、またはTeであるが、ただし第4元素と第2元素とは、同じではない。
【0106】
本発明の好ましい態様において、第2のシェル層は、以下の式(XI')、
ZnSxSeyTez - (XI')
によって表され、式中0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、およびx+y+z=1、好ましくは、シェル層は、ZnSe、ZnSxSey、ZnSeyTez、またはZnSxTezであるが、ただしシェル層と第2のシェル層とは、同じではない。
【0107】
本発明のいくつかの態様において、該第2のシェル層は、合金のシェル層であり得る。
本発明のいくつかの態様において、半電導性発光ナノ粒子はさらに、マルチシェル(multishell)として、第2のシェル層上へ1以上の追加のシェル層を含み得る。
本発明に従うと、用語「マルチシェル」は、3以上のシェル層からなる積み重ねシェル層を表す。
【0108】
例えば、CdSe/CdS、CdSeS/CdZnS、CdSeS/CdS/ZnS、ZnSe/CdS、CdSe/ZnS、InP/ZnS、InP/ZnSe、InP/ZnSe/ZnS、InZnP/ZnS、InZnP/ZnSe、InZnP/ZnSe/ZnS、InGaP/ZnS、InGaP/ZnSe、InGaP/ZnSe/ZnS、InZnPS/ZnS、InZnPS ZnSe、InZnPS/ZnSe/ZnS、ZnSe/CdS、ZnSe/ZnS、またはこれらいずれかの組み合わせが、使用され得る。好ましくは、InP/ZnS、InP/ZnSe、InP/ZnSe/ZnS、InZnP/ZnS、InZnP/ZnSe、InZnP/ZnSe/ZnS、InGaP/ZnS、InGaP/ZnSe、InGaP/ZnSe/ZnSである。
【0109】
かかる半電導性発光ナノ粒子は、公的に入手可能であるか(例えば、Sigma Aldrichから)、および/または例えば、US 7,588,828 B、US 8,679,543 B、およびChem.Mater.2015,27,pp4893-4898に記載される方法で合成され得る。
本発明のいくつかの態様において、組成物は、2以上の半電導性発光ナノ粒子を含む。
本発明のいくつかの態様において、組成物は、複数の半電導性発光ナノ粒子を含む。
【0110】
本発明のいくつかの態様において、半電導性発光ナノ粒子の総量は、組成物の総量に基づき、0.1wt.%から90wt.%まで、好ましくは10wt.%から70wt.%まで、より好ましくは30wt.%から50wt.%までの範囲にある。
【0111】
- 配位子
本発明のいくつかの態様において、任意に、発光部は、1以上の配位子によって直接上から覆われ得るか、または半電導性発光ナノ粒子の無機部分の最外表面が、配位子によって直接覆われ得る。選択肢として、配位子に覆われた半電導性発光ナノ粒子は、該半電導性発光ナノ粒子(単数または複数)を内部に有するポリマービーズを形成するポリマーによって上から覆われ(overcoated)得る。
【0112】
配位子として、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)、トリオクチルホスフィン(TOP)、およびトリブチルホスフィン(TBP)などの、ホスフィンならびにホスフィンオキシド;ドデシルホスホン酸(DDPA)、トリデシルホスホン酸(TDPA)、オクタデシルホスホン酸(ODPA)、およびヘキシルホスホン酸(HPA)などの、ホスホン酸;アミン、たとえば、オレイルアミン、ドデシルアミン(DDA)、テトラデシルアミン(TDA)、ヘキサデシルアミン(HDA)、およびオクタデシルアミン(ODA)、オレイルアミン(OLA)、1-オクタデセン(ODE)、ヘキサデカンチオールおよびヘキサンチオールなどのチオール;メルカプトプロピオン酸およびメルカプトウンデカン酸などの、メルカプトカルボン酸;オレイン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸などの、カルボン酸;酢酸、ポリエチレンイミン(PEI)、単官能PEGチオール(mPEG-チオール)またはmPEGチオールの誘導体、およびこれらのいずれかの組み合わせも使用され得る。
【0113】
かかる配位子の例は、例えば、国際特許出願公開第WO 2012/059931A号に記載されている。
【0114】
- 組成物の使用
別の側面において、本発明は、電子デバイス、光学デバイス、検知デバイスにおける、または生物医学デバイスにおける、または電子デバイス、検知デバイス、光学デバイス、もしくは生物医学デバイスを製作するための、本発明の組成物の使用に関する。
【0115】
- 組成物を含有する層および層を製作するプロセス
別の側面において、本発明は、本発明の組成物を含有する層に関する。
【0116】
別の側面において、本発明は、少なくとも、以下;
I)(メタ)アクリラートポリマー(好ましくはそれは、本発明の組成物中の反応性モノマーから得られるかまたは得ることができる);
II)発光部;および
III)組成物を形成するための、少なくとも1の、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基、または炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシル基、を含む化学化合物であって、好ましくはアルキル基、アルケニル基、および/またはアルコキシ基の該炭素原子は、10個から35個まで、より好ましくは14個から30個まで、なおもより好ましくは16個から28個まで、さらにより好ましくは19個から26個までの範囲にあり、好ましくは該アルキル基、アルケニル基および/またはアルコキシ基は、置換されていてもまたは非置換であってもよく、好ましくは化学化合物は、少なくとも1の直鎖もしくは分枝のアルキル基を含み、ここで該鎖は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有し、好ましくは該鎖は、1~5つの炭素-炭素二重結合、より好ましくは1~3つの炭素-炭素二重結合、なおもより好ましくは1~2つの炭素-炭素二重結合を含有する、前記化学化合物
を含有する層、本質的にこれらからなる層、またはこれらからなる層に関する。
【0117】
好ましい態様において、層の層厚は、1から50umまで、好ましくは5から30まで、より好ましくは8から20まで、さらにより好ましくは10から15umまでの範囲にある。
【0118】
別の側面において、本発明は、本発明の層を製作するプロセスに関し、ここでプロセスは、少なくとも、以下のステップを含むか、本質的に前記ステップからなるか、または前記ステップからなる;
I)本発明の組成物を基体上へ提供すること、好ましくは、
II)組成物を硬化すること、好ましくは、該硬化は、光照射および/または熱処理によって実施される。
別の側面において、本発明は、プロセスから得られるかまたは得ることができる層に関する。
【0119】
- 色変換デバイス(100)
発光部(110)を含有するマトリックス材料(120)を少なくとも含む請求項20~22および24のいずれか一項に記載の層で一部または全部が満たされている第1画素(161)と、ポリマー材料を少なくとも含むバンク(150)とを少なくとも含む色変換デバイス(100)であって、好ましくは、色変換デバイス(100)はさらに、支持媒体(170)を含有する。
【0120】
- 第1画素(161)
本発明に従うと、該第1画素(161)は、少なくとも発光部(110)を含有するマトリックス材料(120)を含む。好ましい態様において、第1画素(161)は、少なくとも1のアクリラートモノマーを少なくとも1の発光部(110)とともに含有する本発明の組成物を硬化することによって得られるかまたは得ることができる固体層であり、好ましくは、該硬化は、光照射による光硬化、熱硬化、または光硬化と熱硬化との組み合わせである。
【0121】
本発明のいくつかの態様において、画素(161)の層厚は、0.1から100μmまで、好ましくは1から50μmまで、より好ましくは5から25μmまでの範囲にある。
【0122】
本発明のいくつかの態様において、色変換デバイス(100)はさらに、第2画素(162)を含有し、好ましくは、デバイス(100)は、少なくとも該第1画素(161)、第2画素(162)、および第3画素(163)を含有し、より好ましくは、該第1画素(161)は赤色画素であり、第2画素(162)は緑色画素であり、および第3画素(163)は青色画素であり、なおもより好ましくは、第1画素(161)は赤色発光部(110R)を含有し、第2の色画素(162)は緑色発光部(110G)を含有し、および第3画素(163)はいずれの発光部も含有しない。
【0123】
いくつかの態様において、少なくとも1の画素(160)は加えて、マトリックス材料(120)中に少なくとも1の光散乱粒子(130)を含み、好ましくは、画素(160)は、複数の光散乱粒子(130)を含有する。
本発明のいくつかの態様において、該第1画素(161)は、励起光によって照射されたときに赤色を発するように構成されている1の画素または2以上のサブ画素(sub-pixels)からなり、より好ましくは、該サブ画素は、同じ発光部(110)を含有する。
【0124】
- マトリックス材料(120)
好ましい態様において、マトリックス材料(120)は、(メタ)アクリラートポリマー、好ましくはメタクリラートポリマー、アクリラートポリマー、またはこれらの組み合わせ、より好ましくはアクリラートポリマーを含有し、なおもより好ましくは、該マトリックス材料(120)は、少なくとも1のアクリラートモノマーを含有する本発明の組成物から得られるかまたは得ることができ、さらにより好ましくは、該マトリックス材料(120)は、少なくとも1のジ-アクリラートモノマーを含有する本発明の組成物から得られるかまたは得ることができ、殊更好ましくは、該マトリックス材料(120)は、少なくとも1のジ-アクリラートモノマーおよびモノ-アクリラートモノマーを含有する本発明の組成物から得られるかまたは得ることができ、好ましくは、該組成物は、感光性組成物である。
【0125】
- バンク(150)
本発明のいくつかの態様において、バンク(150)の高さは、0.1から100μmまで、好ましくは1から50μmまで、より好ましくは1から25μmまで、さらにより好ましくは5から20μmまでの範囲にある。
【0126】
本発明の好ましい態様において、バンク(150)は、該第1画素(161)の面積を決定するように構成されており、少なくとも一部のバンク(150)は、少なくとも一部の第1画素(161)へ直接接触しており、好ましくは、バンク(150)の該第2ポリマーは、第1画素(161)の少なくとも一部の第1ポリマーへ直接接触している。
【0127】
より好ましくは、該バンク(150)は、フォトリソグラフィによりパターン化されており、該第1画素(161)は、バンク(150)によって囲まれており、好ましくは、該第1画素(161)、第2画素(162)、および第3画素(163)はすべて、フォトリソグラフィによりパターン化されたバンク(150)によって囲まれている。
【0128】
- プロセス
別の側面において、本発明はまた、少なくとも、以下のステップY1およびY2を、好ましくはこの順で、もしくはY3を含むか、本質的にこれらからなるか、またはこれらからなる、本発明の組成物を製作するプロセスにも関する;
Y1)少なくとも1の発光部および反応性モノマーを混合することで、第1組成物を形成すること;
Y2)第1組成物を、少なくとも1の、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基、または炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシル基を含む、化学化合物と混合することで(好ましくはアルキル基、アルケニル基、および/またはアルコキシ基の該炭素原子は、10個から35個まで、より好ましくは14個から30個まで、なおもより好ましくは16個から28個まで、さらにより好ましくは19個から26個までの範囲にあり、好ましくは該アルキル基、アルケニル基および/またはアルコキシ基は、置換されていてもまたは非置換であってもよく、好ましくは化学化合物は、少なくとも1の直鎖もしくは分枝のアルキル基を含み、ここで該鎖は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有し、好ましくは該鎖は、1~5つの炭素-炭素二重結合、より好ましくは1~3つの炭素-炭素二重結合、なおもより好ましくは1~2つの炭素-炭素二重結合を含有する)、組成物を形成すること;または
Y3)少なくとも1の発光部および反応性モノマーを、少なくとも1の、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基、または炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシル基を含む、化学化合物とを混合することで(好ましくはアルキル基、アルケニル基、および/またはアルコキシ基の該炭素原子は、10個から35個まで、より好ましくは14個から30個まで、なおもより好ましくは16個から28個まで、さらにより好ましくは19個から26個までの範囲にあり、好ましくは該アルキル基、アルケニル基および/またはアルコキシ基は、置換されていてもまたは非置換であってもよく、好ましくは化学化合物は、少なくとも1の直鎖もしくは分枝のアルキル基を含み、ここで該鎖は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有し、好ましくは該鎖は、1~5つの炭素-炭素二重結合、より好ましくは1~3つの炭素-炭素二重結合、なおもより好ましくは1~2つの炭素-炭素二重結合を含有する)、組成物を形成すること。
【0129】
本発明の好ましい態様において、方法は、反応性モノマーの精製ステップを含む。より好ましくは、該精製ステップは、ステップY1)および/またはY0)の前に行われる。
「反応性モノマー」、「発光部」、および「化学化合物」などの組成の詳細は、「反応性モノマー」、「発光部」、および「化学化合物」の節など上に記載されている。
「追加材料」の節に記載のとおりの追加の添加剤が混合され得る。
【0130】
別の側面において、本発明はまた、本発明の色変換デバイス(100)を製作するための方法にも関し、少なくとも以下のステップを、好ましくはこの順で含有する;
Xi)バンク組成物を支持媒体の表面上へ提供すること、
Xii)を硬化することバンク組成物、
Xiii)光パターニングを硬化した該組成物へ適用することで、バンクおよびパターン化画素領域を製作すること、
Xiv)本発明の組成物を、好ましくはインク噴射によって、少なくとも1の画素領域へ提供すること、
Xv)組成物を硬化すること、好ましくは、該色変換デバイス(100)はさらに、支持媒体(170)を含有する。
【0131】
別の側面において、本発明はさらに、本発明の方法から得ることができるかまたは得られる色変換デバイス(100)に関する。
別の側面において、本発明はさらに、光を調節するように構成されているかまたは光を発するように構成されている少なくとも1の少なくとも1の機能媒体(320、420、520)を含有する光学デバイス(300)における、本発明の色変換デバイス(100)の使用に関する。
【0132】
さらに、別の側面において、本発明はさらに、光を調節するように構成されているかまたは光を発するように構成されている少なくとも1の少なくとも1の機能媒体(320、420、520)と、本発明の色変換デバイス(100)とを含有する光学デバイス(300)に関する。
【0133】
好ましい態様
1.少なくとも;
i)反応性モノマー、好ましくは官能基を1以上を有する該モノマー、より好ましくは(メタ)アクリラートモノマー;
ii)発光部;および
iii)少なくとも1の、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基、または炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシル基、を含む化学化合物であって、好ましくはアルキル基、アルケニル基、および/またはアルコキシ基の該炭素原子は、10個から35個まで、より好ましくは14個から30個まで、なおもより好ましくは16個から28個まで、さらにより好ましくは19個から26個までの範囲にあり、好ましくは該アルキル基、アルケニル基および/またはアルコキシ基は、置換されていてもまたは非置換であってもよく、好ましくは化学化合物は、少なくとも1の直鎖もしくは分枝のアルキル基を含み、ここで該鎖は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有し、好ましくは該鎖は、1~5つの炭素-炭素二重結合、より好ましくは1~3つの炭素-炭素二重結合、なおもより好ましくは1~2つの炭素-炭素二重結合を含有する、前記化学化合物
を含む組成物、好ましくはそれは光硬化性組成物から成る。
【0134】
2.少なくとも;
L)反応性モノマー、好ましくは官能基を1以上を有する該モノマー、より好ましくは(メタ)アクリラートモノマー;
L2)少なくとも1の、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基、または炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシル基を含む、少なくとも1の配位子を含有する、発光部;および
L3)少なくとも1の、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基、または炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシル基、を含む化学化合物であって、好ましくはアルキル基、アルケニル基、および/またはアルコキシ基の該炭素原子は、10個から35個まで、より好ましくは14個から30個まで、なおもより好ましくは16個から28個まで、さらにより好ましくは19個から26個までの範囲にあり、好ましくは該アルキル基、アルケニル基および/またはアルコキシ基は、置換されていてもまたは非置換であってもよく、好ましくは化学化合物は、少なくとも1の直鎖もしくは分枝のアルキル基を含む、前記化学化合物
を含む組成物、好ましくはそれは光硬化性組成物から成る。
【0135】
3.化学化合物のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭素原子数に対する、配位子のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭素原子数は、以下の式(Q)を満足し、好ましくは該鎖は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有し、より好ましくは該鎖は、1~5つの炭素-炭素二重結合、より好ましくは1~3つの炭素-炭素二重結合、なおもより好ましくは1~2つの炭素-炭素二重結合を含有する、態様2の組成物。
配位子のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭素原子数<化学化合物のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭素原子数 - (Q)
【0136】
好ましくは化学化合物のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭素原子数は、配位子のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭素原子数より1~20個大きく、より好ましくは3~15個大きく、より好ましくは5~12個大きく、なおもより好ましくは該基は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有し、さらにより好ましくは化学化合物の基において該少なくとも1つの炭素-炭素二重結合の位置は、配位子のch3末端より外側(基の-CH3末端側)に位置する。換言すれば、化学化合物の基の長さは、配位子の基の長さより長く、好ましくは化学化合物の基において該少なくとも1つの炭素-炭素二重結合の位置は、配位子の基の外側(より遠く)にある。
【0137】
4.該化学化合物は、ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸、ヒドロキシル基、ホスホン酸からなる群のメンバーの1以上から選択される少なくとも1の基をさらに含み、好ましくは該基は、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、カルボキシル基またはこれらのいずれかの組み合わせであり、より好ましくはそれは、カルボキシル基である、態様1~3のいずれか1つの組成物。
【0138】
5.化学化合物は、以下の化学式(X
A)によって表される、態様1または4のいずれか1つの組成物。
Z-Y - (X
A)
式中
Zは、*-R
x1または
【化13】
であるが、ここで「*」は、式の記号Yへの接続点を表し、R
x1は、ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸、ヒドロキシル基、ホスホン酸からなる群の1以上のメンバーから選択される基であり、好ましくは、該基は、ホスホナート基、チオール基、カルボキシル基、またはこれらのいずれの組み合わせであり、より好ましくは、それは、カルボキシル基である;および
R
x2は、ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸、ヒドロキシル基、ホスホン酸からなる群のメンバーの1以上から選択される基であり、好ましくは該基は、ホスホナート基、チオール基、カルボキシル基、またはこれらのいずれかの組み合わせであり、より好ましくはそれは、カルボキシル基である;
Yは、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝のアルキル基、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝のアルケニル基、または炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝のアルコキシル基であり、好ましくはアルキル基、アルケニル基、および/またはアルコキシ基の該炭素原子は、10個から35個まで、より好ましくは14個から30個まで、なおもより好ましくは16個から28個まで、さらにより好ましくは19個から26個までの範囲にあり、好ましくは該アルキル基、アルケニル基および/またはアルコキシ基は、置換されていてもまたは非置換であってもよく、より好ましくは該アルキル基、アルケニル基および/またはアルコキシ基は、1以上のラジカルR
aによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH
2基は、R
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO2、NR
a、OS、またはCONR
aによって置き換えられていてもよく、およびここで1個以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよく、好ましくはYは、直鎖もしくは分枝のアルキル基であり、
R
aは、出現毎に、まったく同じにまたは異なるように、H、D、または1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状アルキルもしくはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有する複素芳香環系であり、ここでH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよい;また、2以上の隣接する置換基R
aはここで、相互に、単-もしくは多環式の、脂肪族の、芳香族の、または複素芳香族の環系も形成していてもよい。
ここでYは、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有し、好ましくは該鎖は、鎖中に1~5つの炭素-炭素二重結合、より好ましくは1~3つの炭素-炭素二重結合、なおもより好ましくは1~2つの炭素-炭素二重結合を含有し、好ましくは化学化合物は、7-ドコセン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、a-リノレン酸、ミード酸、エルカ酸、またはネルボン酸からなる群から選択され、より好ましくはそれは、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、a-リノレン酸、ミード酸、エルカ酸、またはネルボン酸から選択され、さらにより好ましくはそれは、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、a-リノレン酸、ミード酸、エルカ酸、またはネルボン酸から選択される。
【0139】
6.化学化合物の総重量:発光部の総重量の比率は、0.6:40~1:3、好ましくは1:40から1:2まで、より好ましくは1.5:40から1:1までの範囲にある;該発光部が無機発光材料のケースにおいて、化学化合物の重量:無機部分の無機光ルミネセンス材料の重量の比率は、0.003から3.2まで、好ましくは0.006から2.8まで、より好ましくは0.015から1.3までの範囲にある、態様1~5のいずれか1つの組成物。
【0140】
7.反応性モノマーは、モノ-(メタ)アクリラートモノマー、ジ-(メタ)アクリラートモノマー、またはトリ-(メタ)アクリラートモノマーから選択される(メタ)アクリラートモノマーであり、より好ましくはそれは、ジ-メタクリラートモノマーまたはジ-アクリラートモノマー、トリ-メタクリラートモノマー、トリ-アクリラートモノマーであり、なおもより好ましくはそれは、以下の化学式(II);
【化14】
によって表される;
X
3は、非置換もしくは置換のアルキル基、アリール基であるか、またはアルコキシ基である;
好ましくは、記号X
3は、
【化15】
であり、ここで式の左側にある「*」は、式(I)の末端基C=CR
5への接続点を表す;
lは、0または1である;
R
5は、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基である;
R
6は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖、好ましくはR
6は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であって、
これらは、1以上のラジカルR
aによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH
2基は、R
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、OS、またはCONR
aによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよい;
R
7は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であり、好ましくはR
7は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であって、
これらは、1以上のラジカルR
aによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH
2基は、R
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、OS、またはCONR
aによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよい;
R
aは、出現毎に、まったく同じにまたは異なるように、H、D、または1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状のアルキル基もしくはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有する複素芳香環系であり、ここでH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよい;2以上の隣接置換基R
aはここでまた、単-もしくは多環式の、脂肪族の、芳香族の、または複素芳香族の環系を相互に形成していてもよい、態様1~6のいずれか1つの組成物。
【0141】
8.以下の化学式(I)によって表される(メタ)アクリラートモノマーおよび/または化学式(III)によって表される(メタ)アクリラートモノマーをさらに含む、態様1~7のいずれか1つの組成物;
【化16】
式中
X
1は、非置換もしくは置換のアルキル基、アリール基であるか、あるいはアルコキシ基またはエステル基である;
X
2は、非置換もしくは置換のアルキル基、アリール基であるか、あるいはアルコキシ基またはエステル基である;
R
1は、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基である;
R
2は、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基である;
好ましくは、記号X
1は、
【化17】
であり、ここで式の左側にある「*」は、式(I)の末端基C=CR
1の炭素原子への接続点を表し、および右側にある「*」は、式(I)の記号X
2への接続点を表す;
nは、0または1である;
好ましくは、記号X
2は、
【化18】
であり、ここで式の左側にある「*」は、式(I)の記号X
1の炭素原子への接続点を表し、および右側にある「*」は、式(I)の末端基C=CR
2への接続点を表す;
mは、0または1である;
好ましくは、少なくともmまたはnは、1である;
R
3は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖もしくはアルコキシレン鎖、3~25個の炭素原子を有するシクロアルカン、または3~25個の炭素原子を有するアリール基であり、好ましくは、R
3は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であって、
これらは1以上のラジカルR
aによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH
2基は、R
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、OS、またはCONR
aによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよい;
R
4は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖もしくはアルコキシレン鎖、3~25個の炭素原子を有するシクロアルカン、または3~25個の炭素原子を有するアリール基であり、好ましくは、R
4は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する、直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であって、
これらは1以上のラジカルR
aによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH
2基は、R
aC=CR
a、C≡C、Si(R
a)
2、Ge(R
a)
2、Sn(R
a)
2、C=O、C=S、C=Se、C=NR
a、P(=O)(R
a)、SO、SO
2、NR
a、OS、またはCONR
aによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO
2によって置き換えられていてもよい;
R
aは、出現毎に、まったく同じにまたは異なるように、H、D、または1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状のアルキル基もしくはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有する複素芳香環系であり、ここでH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよい;2以上の隣接置換基R
aはここでまた、相互に、単-もしくは多環式の、脂肪族の、芳香族の、または複素芳香族の環系を形成していてもよい;
【化19】
式中
R
9は、水素原子、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基、または化学式(IV)
【化20】
によって表される(メタ)アクリル基である;
R
10は、水素原子、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基、または化学式(V)
【化21】
によって表される(メタ)アクリル基である;
R
11は、水素原子、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基、または化学式(VI)
【化22】
によって表される(メタ)アクリル基である;
式中R
8、R
8a、R
8b、およびR
8cは、出現毎に各々独立してまたは互いに依存して、HまたはCH
3である;
式中R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、(メタ)アクリル基であり、好ましくはR
9、R
10、およびR
11の2つは、(メタ)アクリル基であり、かつ他の1つは、水素原子または1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基であり、好ましくは式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマーの電気伝導率(S/cm)は、1.0*10
-10以下、好ましくは5.0*10
-11以下、より好ましくは5.0*10
-11から1.0*10
-15までの範囲にあり、なおもより好ましくは5.0*10
-12から1.0*10
-15までの範囲にある。
【0142】
9.化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーは組成物中にあり、かつ化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーに対する化学式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマーの混合比は、1:99から99:1まで(式(I):式(II))、好ましくは5:95から50:50まで、より好ましくは10:90から40:60までの範囲にあり、なおもより好ましくは、それは15:85から35:65までであり、好ましくは、化学式(I)、(II)によって表される、少なくとも精製された(メタ)アクリラートモノマーは、組成物中で使用され、より好ましくは化学式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマーおよび化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーはともに、精製方法によって得られるかまたは得ることができる、態様1~8のいずれか1つの組成物。
【0143】
10.化学式(I)および/または化学式(II)で表される該(メタ)アクリラートモノマーの沸点(B.P.)は、250℃以上であり、好ましくは、化学式(I)および化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーはともに、250℃以上であり、より好ましくはそれは250℃から350℃まで、なおもより好ましくは280℃から350℃まで、さらにより好ましくは300℃から348℃までの範囲にある、態様1~9のいずれか1つの組成物。
【0144】
11.該発光部は、有機発光材料および/または無機発光材料であり、好ましくはそれは無機発光部であり、より好ましくはそれは、無機リン光体または量子材料である無機発光部である、態様1~10のいずれか1つの組成物。好ましくは該発光部は、発光部の最外表面上へ付着された配位子を含有し、より好ましくは該配位子は、少なくとも1の、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基、または炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシル基を含み、ならびに化学化合物のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭素原子数に対する、配位子のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭素原子数は、以下の式(Q)を満たす。
配位子のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭素原子数<化学化合物のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基の炭素原子数 - (Q)
【0145】
12.発光部の総量は、組成物の総量に基づき、0.1wt.%から90wt.%まで、好ましくは10wt.%から70wt.%まで、より好ましくは15wt.%から50wt.%までの範囲にある、態様1~11のいずれか1つの組成物。
【0146】
13.組成物の粘度は、室温にて35cP以下、好ましくは1から35cPまで、より好ましくは2から30cPまで、なおもより好ましくは2から25cPまでの範囲にある、態様1~12のいずれか1つの組成物。
【0147】
14.態様1~13のいずれか1つの組成物であって、
iii)請求項1に記載の発光部とは異なる別の発光部(好ましくは、該発光部は、配位子を含み、より好ましくは、該発光部は、2~25個の炭素原子を有するアルキルタイプの配位子を含む);
iv)別の(メタ)アクリラートモノマー;
v)散乱粒子、および
vi)光学的に透明のポリマー、抗酸化剤、ラジカルクエンチャー、光開始剤、および/または界面活性剤
からなる群の1以上のメンバーから選択される別の材料を含む。
【0148】
15.態様1~14のいずれか1つの組成物であって、
v)散乱粒子;および
vii)少なくとも1のポリマーであって、該ポリマーが散乱粒子を組成物中に分散できるように構成される該ポリマー
を含む;ここでポリマーは、少なくとも、ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸、ヒドロキシル基、ホスホン酸、またはそれらの組み合わせを含み、好ましくはポリマーは、三級アミン、ホスフィンオキシド基、ホスホン酸、またはホスファート基を含む。
【0149】
16.組成物は、23%以上、好ましくは24%以上および95%未満のEQE値を示すように構成されている、態様1~15のいずれか1つの組成物。
【0150】
17.組成物の総量に基づき、溶媒を10wt%以下、より好ましくは5wt%以下含み、より好ましくは、組成物は、無溶媒の組成物であり、好ましくは、組成物は、以下からなる群の1以上のメンバーから選択される以下の溶媒のいずれか1つを含まない:エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、およびエチレングリコールモノブチルエーテルなどの、エチレングリコールモノアルキルエーテル;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、およびジエチレングリコールジブチルエーテルなどの、ジエチレングリコールジアルキルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、およびプロピレングリコールモノプロピルエーテルなどの、プロピレングリコールモノアルキルエーテル;酢酸メチルセロソルブおよび酢酸エチルセロソルブなどの、エチレングリコールアルキルエーテルアセタート;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセタート、およびプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセタートなどの、プロピレングリコールアルキルエーテルアセタート;メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、およびシクロヘキサノンなどの、ケトン;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、トリエチエングリコール、およびグリセリンなどの、アルコール;エチル3-エトキシプロピオナート、メチル3-メトキシプロピオナート、および乳酸エチルなどの、エステル;ならびにガンマ-ブチロ-ラクトンなどの環状エステル;クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン、トリメチルベンゼン、たとえば、1,3,5-トリメチルベンゼン、1,2,4-トリメチルベンゼン、1,2,3-トリメチルベンゼン、ドデシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、1,2,3,4-テトラメチルベンゼン、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、3-イソプロピルビフェニル、3-メチルビフェニル、4-メチルビフェニル、およびジクロロベンゼンなどの、塩素化炭化水素、好ましくは、該溶媒は、プロピレングリコールアルキルエーテルアセタート、アルキルアセタート、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコール、およびプロピレングリコールモノアルキルエーテルである、態様1~16のいずれか1つの組成物。
【0151】
18.少なくとも、化学式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマーと、化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーと、およびポリマーであって、該ポリマーが散乱粒子を組成物中に分散できるように構成される該ポリマーとを含み、ここで化学式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマー:化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマー:ポリマーの混合比は、10:89:1~50:40:10、好ましくは15:82:3から30:60:10までの範囲にある、態様1~17のいずれか1つの組成物。
【0152】
19.少なくとも、化学式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマーと、化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーと、およびポリマーであって、該ポリマーが散乱粒子を組成物中に分散できるように構成される該ポリマーとを含み、ここで化学式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマー:化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマー:ポリマーの混合比は、10:89:1~50:40:10、好ましくは15:82:3から30:60:10までの範囲にある、態様1~17のいずれか1つの組成物。
【0153】
20.態様1~19のいずれか1つの組成物の反応性モノマーの1以上に由来するか、またはこれに由来し得るポリマーを含む組成物、好ましくはそれは組成物を硬化することによって得られるかまたは得ることができる。
【0154】
21.少なくとも以下のステップY1およびY2を、好ましくはこの順でまたはY3含む、態様1~19のいずれか1つの組成物を製作するためのプロセス;
Y1)少なくとも1の発光部および反応性モノマーを混合することで、第1組成物を形成すること;
Y2)第1組成物を、少なくとも1の、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基、または炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシル基を含む、化学化合物と混合することで(好ましくはアルキル基、アルケニル基、および/またはアルコキシ基の該炭素原子は、10個から35個まで、より好ましくは14個から30個まで、なおもより好ましくは16個から28個まで、さらにより好ましくは19個から26個までの範囲にあり、好ましくは該アルキル基、アルケニル基および/またはアルコキシ基は、置換されていてもまたは非置換であってもよく、好ましくは化学化合物は、少なくとも1の直鎖もしくは分枝のアルキル基を含み、ここで該鎖は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有し、好ましくは該鎖は、1~5つの炭素-炭素二重結合、より好ましくは1~3つの炭素-炭素二重結合、なおもより好ましくは1~2つの炭素-炭素二重結合を含有する)、組成物を形成すること;または
Y3)少なくとも1の発光部および反応性モノマーを、少なくとも1の、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基、または炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシル基を含む、化学化合物とを混合することで(好ましくはアルキル基、アルケニル基、および/またはアルコキシ基の該炭素原子は、10個から35個まで、より好ましくは14個から30個まで、なおもより好ましくは16個から28個まで、さらにより好ましくは19個から26個までの範囲にあり、好ましくは該アルキル基、アルケニル基および/またはアルコキシ基は、置換されていてもまたは非置換であってもよく、好ましくは化学化合物は、少なくとも1の直鎖もしくは分枝のアルキル基を含み、ここで該鎖は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有し、好ましくは該鎖は、1~5つの炭素-炭素二重結合、より好ましくは1~3つの炭素-炭素二重結合、なおもより好ましくは1~2つの炭素-炭素二重結合を含有する)、組成物を形成すること。
【0155】
22.電子デバイス、光学デバイス、検知デバイスにおける、または生物医学デバイスにおける、または電子デバイス、検知デバイス、光学デバイス、もしくは生物医学デバイスを製作するための、先行する態様のいずれか1つの組成物の使用。
【0156】
23.態様20の組成物を含有する、層。
【0157】
24.少なくとも;
I)(メタ)アクリラートモノマー(好ましくは、それは、態様1~19のいずれか1つの組成物中の反応性モノマーから得られるかまたは得ることができる);
II)発光部;および
III)組成物を形成するための、少なくとも1の、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルケニル基、または炭素原子1~45個を有する直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシル基、を含む化学化合物であって、好ましくはアルキル基、アルケニル基、および/またはアルコキシ基の該炭素原子は、10個から35個まで、より好ましくは14個から30個まで、なおもより好ましくは16個から28個まで、さらにより好ましくは19個から26個までの範囲にあり、好ましくは該アルキル基、アルケニル基および/またはアルコキシ基は、置換されていてもまたは非置換であってもよく、好ましくは化学化合物は、少なくとも1の直鎖もしくは分枝のアルキル基を含み、ここで該鎖は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有し、好ましくは該鎖は、1~5つの炭素-炭素二重結合、より好ましくは1~3つの炭素-炭素二重結合、なおもより好ましくは1~2つの炭素-炭素二重結合を含有する、前記化学化合物
を含有する、層。
【0158】
25.層の層厚は、1から50umまで、好ましくは5~15、より好ましくは8~15、さらにより好ましくは8~12umの範囲にある、態様23または24の層。
【0159】
26.プロセスは、少なくとも以下のステップ;
I)態様1~19のいずれか1つの組成物を基体上へ提供すること、
II)組成物を硬化すること(好ましくは、該硬化は、光照射および/または熱処理によって実施される)
を含む、態様23~25のいずれか1つの層を製作するプロセス。
【0160】
27.態様26のプロセスから得られるかまたは得ることができる、層。
【0161】
28.発光部(110)を含有するマトリックス材料(120)を少なくとも含む請求項23~25および27のいずれか一項に記載の層で一部または全部が満たされている第1画素(161)と、ポリマー材料を少なくとも含むバンク(150)とを少なくとも含む色変換デバイス(100)であって、好ましくは、色変換デバイス(100)はさらに、支持媒体(170)を含有する。
【0162】
29.バンク(150)の高さは、0.1から100μmまで、好ましくは1から50μmまで、より好ましくは1から25μmまで、さらにより好ましくは5から20μmまでの範囲にある、態様28のデバイス(100)。
【0163】
30.画素(161)の層厚は、0.1から100μmまで、好ましくは1から50μmまで、より好ましくは5から25μmまでの範囲にある、態様28または29のデバイス(100)。
【0164】
31.第2画素(162)をさらに含有する、態様28~30のいずれか1つのデバイス(100)であって、好ましくは、デバイス(100)は、少なくとも該第1画素(161)、第2画素(162)、および第3画素(163)を含有し、より好ましくは、該第1画素(161)は赤色画素であり、第2画素(162)は緑色画素であり、および第3画素(163)は青色画素であり、なおもより好ましくは、第1画素(161)は赤色発光部(110R)を含有し、第2の色画素(162)は緑色発光部(110G)を含有し、および第3画素(163)はいずれの発光部も含有しない。
【0165】
32.少なくとも1の画素(160)は加えて、マトリックス材料(120)中に少なくとも1の光散乱粒子(130)を含み、好ましくは、画素(160)は、複数の光散乱粒子(130)を含有する、態様28~31のいずれか1つのデバイス(100)。
【0166】
33.該第1画素(161)は、励起光によって照射されたときに赤色を発するように構成されている1の画素または2以上のサブ画素からなり、より好ましくは、該サブ画素は、同じ発光部(110)を含有する、態様28~32のいずれか1つのデバイス(100)。
【0167】
34.バンク(150)は、該第1画素(161)の面積を決定するように構成されており、少なくとも一部のバンク(150)は、少なくとも一部の第1画素(161)と直接接触しており、好ましくは、バンク(150)の該第2ポリマーは、第1画素(161)の少なくとも一部の第1ポリマーと直接接触している、態様28~33のいずれか1つのデバイス(100)。
【0168】
35.該バンク(150)は、フォトリソグラフィによりパターン化されており、該第1画素(161)は、バンク(150)によって囲まれており、好ましくは、該第1画素(161)、第2画素(162)、および第3画素(163)はすべて、フォトリソグラフィによりパターン化されたバンク(150)によって囲まれている、態様28~34のいずれか1つのデバイス(100)。
【0169】
36.態様23~25、27のいずれか1つの層または態様28~35のいずれか1つのデバイス(100)を製作するための、態様1~19のいずれか1つの組成物の使用。
【0170】
37.少なくとも以下のステップを、好ましくはこの順で含有する、態様28~35のいずれか1つの色変換デバイス(100)を製作するための方法;
Xi)バンク組成物を支持媒体の表面上へ提供すること、
Xii)バンク組成物を硬化すること、
Xiii)光パターニングを硬化した該組成物へ適用することで、バンクおよびパターン化画素領域を製作すること、
Xiv)態様1~19のいずれか一項に記載の組成物を、好ましくはインク噴射によって、少なくとも1の画素領域へ提供すること、
Xv)組成物を硬化すること、好ましくは、該色変換デバイス(100)はさらに、支持媒体(170)を含有する。
【0171】
38.態様37の方法から得ることができるかまたは得られる、色変換デバイス(100)。
【0172】
39.光を調節するように構成されているかまたは光を発するように構成されている少なくとも1の機能媒体(320、420、520)、および態様28~35のいずれか1つの色変換デバイス(100)を含有する、光学デバイス(300)。
【0173】
本発明の技術的効果
組成物中の発光部の改善された均一な分散体、組成物中の散乱粒子の改善された均一な分散体、好ましくは発光粒子と散乱粒子との両方の改善された均一な分散体、より好ましくは発光部および/または散乱粒子の溶媒なしの改善された均一な分散体;インクジェット印刷に好適なより低い粘度を有する組成物、好ましくは、高ロードの発光部および/または散乱粒子で混合された場合であっても、なおもより好ましくは溶媒なしで、より低い粘度を保ち得る組成物;大面積に一様な印刷をするためにより小さい蒸気圧を有する組成物;インクジェット印刷の間中/その後に、インクジェット印刷ノズル周囲に残渣がないことを実現する、新しい組成物、組成物中の発光部の改善されたQYおよび/またはEQE、印刷後の発光部の改善されたQYおよび/またはEQE;改善された熱安定性;印刷ノズルにて目詰まりのない印刷の容易性;組成物の取扱い容易性、改善された印刷特性;単純な製作プロセス;青色光の改善された吸光度;インクジェット印刷後の組成物から作られる層の改善された固体性。
【0174】
下の実施例1~7は、本発明の記載、ならびにそれらの製作の詳細な記載を提供する。
【0175】
実施例
実施例1: ラウリルアクリラート(LA)中のTiO
2
ストックの調製
n-オクタン中の15.79gのTiO2を、ガラスフラスコ中38.00gのLAと混合し、混合物中のn-オクタンを、ロータリーエバポレーターによって真空下40度Cにて蒸発させる。よってLA中20wt.%TiO2ストックが得られる。
【0176】
実施例2:
エルカ酸との赤色QDインクの調製(エルカ酸/QD
inorg.
重量比=0.14)
1,6-ヘキサンジオールジアクリラート(HDDA)およびラウリルアクリラート(LA)は、使用に先立ちモレキュラーシーブ上で保管する。
実施例1からのLA 中の1.500gのTiO
2ストック、1.956gのLA、0.774gのHDDA、n-ヘプタン中の5.000gのInPベースの赤色QD、および0.180gのエルカ酸を、ガラスフラスコ中で混合する。混合物をN
2雰囲気下40度Cにて2時間撹拌し、次いで混合物中のn-オクタンを、ロータリーエバポレーターによって真空下40度Cにて蒸発させる。この混合物へ、0.060gのOmnirad(商標)819および0.030gのIrganox(商標)1010を加えて、混合物を、インクが均一になるまで室温にて撹拌し、よって下の表に示される組成の赤色QDインクが得られる。
【表4-1】
【表4-2】
【0177】
実施例3:
ネルボン酸との赤色QDインクの調製(ネルボン酸/QD
inorg.
重量比=0.14)
実施例1からのLA中の1.500gのTiO
2ストック、1.956gのLA、0.774gのHDDA、n-ヘプタン中の5.000gのInPベースの赤色QD、および0.180gのネルボン酸を、ガラスフラスコ中で混合する。混合物をN
2雰囲気下40度Cにて2時間撹拌し、次いで混合物中のn-オクタンを、ロータリーエバポレーターによって真空下40度Cにて蒸発させる。この混合物へ、0.060gのOmnirad(商標)819および0.030gのIrganox(商標)1010を加え、混合物を、インクが均一になるまで室温にて撹拌し、よって下の表に示される組成の赤色QDインクが得られる。
【表5-1】
【表5-2】
【0178】
実施例4:
エルカ酸との赤色QDインクの調製(エルカ酸/QD
inorg.
重量比=0.14、QD 30%、TiO
2
7%)
n-ヘプタン中の4.886gのInPベースの赤色QDおよび0.180gのエルカ酸を、ガラスフラスコ中で混合し、混合物をN
2雰囲気下40度Cにて2時間撹拌する。混合物へ、例1において得られたLA中の1.750gのTiO
2ストック、0.930gのLA、0.565gのHDDAを加え、次いで混合物中の溶媒をロータリーエバポレーターによって真空下40度Cにて蒸発させる。この混合物へ、0.050gのOmnirad819および0.025gのIrganox1010を加え、混合物を、インクが均一になるまで室温にて撹拌し、よって下の表に示される組成の赤色QDインクが得られる。
【表6-1】
【表6-2】
【0179】
実施例5: ノズルプレートの濡れ試験(wetting test)
ノズルプレートの濡れ試験を下に記載のとおりに実施する。
実施例2において得られたQDインクを、印字ヘッドのノズルプレート(Dimatix DMP-2831 material printer,Fuji film)上へ垂らし、次いで垂らされたインクを、清浄パッドに吸い込ませることによって除去する。ノズルプレート上の表面の清浄さを目視によって観察する。
【0180】
結果
QDインクは、ノズルプレート上で十分にはじかれる。ノズルプレートの表面は、パッドによる清浄後、極めてきれいである。インクジェット印刷の最中、本発明のインク組成物は、目詰まりを引き起こすこともなく、インクジェット機のノズル周囲に残存することもなく、ノズル表面上またはその周囲に残存することもなく、基体上へなだらかにインク噴射され得ることが指し示される。
【0181】
参考例1: ラウリルアクリラート(LA)中のTiO
2
ストックの調製
n-オクタン中の15.79gのTiO2を、ガラスフラスコ中の38.00gのLAと混合し、混合物中のn-オクタンをロータリーエバポレーターによって真空下40度Cにて蒸発させる。よってLA中の20wt.% TiO2ストックが得られる。
【0182】
参考例2: 赤色QDインクのオレイン酸との配位子交換
ヘプタン中の6.0gのInPベースの赤色QDをガラスフラスコに入れ、次いでヘプタンをロータリーエバポレーターによって真空下40度Cにて蒸発させる。乾燥したQDを12.6mlの無水THFに溶解し、溶液へ0.4mlのオレイン酸を加える。混合物をN2雰囲気下で還流まで2時間加熱する。溶液を冷却後、赤色QDを、60mlの乾燥アセトンを加えることによって析出させる。次いで混濁した溶液を6,000Gにて5min.遠心分離し、上清を静かに移す。真空下でのペレットの完全な乾燥によって、1.23gの精製赤色QD粉末が得られる。この精製赤色QD粉末を3.51gの乾燥n-オクタンに溶解して、n-オクタン中の26wt.%ストック溶液を調製する。
【0183】
参考例3: オレイン酸との赤色QDインクの調製(OA/QD
inorg.
重量比=0.07、QD 25%、TiO
2
5%)
参考例1-1において得られたLA中の0.910gのTiO
2ストック、1.274gのLA、0.491gのHDDA、参考例1-2において得られたn-オクタン中の3.500gの赤色QDを、ガラスフラスコ中で混合し、混合物中のn-オクタンをロータリーエバポレーターによって真空下40度Cにて蒸発させる。この混合物へ、0.036gのOmnirad819および0.018gのIrganox1010を加え、混合物を、インクが均一になるまで室温にて撹拌し、よって下の表に示される組成の赤色QDインクが得られる。
【表7-1】
【表7-2】
【0184】
参考例2: ノズルプレートの濡れ試験
ノズルプレートの濡れ試験を下に記載のとおりに実施する。
参考例3において得られたQDインクを、印字ヘッドのノズルプレート(Dimatix DMP-2831 material printer,Fuji film)上へ垂らし、次いで垂らされたインクを、清浄パッドに吸い込ませることによって除去する。ノズルプレート上の表面の清浄さを目視によって観察する。
【0185】
結果
QDインクの残渣が、清浄後ノズルプレートの表面上に残存している。
【0186】
実施例6: 試験セルの製作およびEQE測定
実施例2において得られたQDインクを、ギャップが10mmの試験セル中へ注入する。
次いでQDインクAを含有する、得られた6つの試験セルを、互いに種々の硬化時間条件でUV光を照射することによって光硬化し、試験セル中に硬化したインクを作製した。
【0187】
●UV強度: 300mW/cm2
●光源: 395nm LED(ピーク光波長: 395nm)
●N2条件(O2: 0.1%)下
●硬化時間: 10秒。
【0188】
EQE測定は、励起光を備えた積分球を使用し、光ファイバー(CWL:450nm)および分光計(USB4000,Ocean Optics)によって実行する。励起光の光子を検出するため、室温にて空気を参照として使用する。
セルから積分球への光放射の光子数を、室温にて分光計によって計数する。
EQEは、以下の算出方法によって算出する。
EQE=光子[放射光]/光子[励起光]
【0189】
算出用の波長範囲
励起: 430nm~470nm
放射: [赤色]560nm~680nm
結果としてEQE値32.7%が得られる。
【0190】
実施例7: 分散性試験
実施例2において得られた赤色QDインクおよび参考例3において得られた赤色QDインクを、大気条件において室温にて保管する。
実施例2の赤色QDインク(エルカ酸でのQD)は、オレイン酸との赤色QDまたはいずれの添加配位子もない赤色QDと比較して、優れた分散性を示す。
【0191】
エルカ酸との赤色QDインクにおいて、QDは、TiO2粒子が存在するモノマー混合物中、少なくとも1カ月間、理想的に分散している。他方、参考例3のオレイン酸との赤色QDインクは、1週間後にいくつかの沈殿物を産生し、添加配位子のない赤色QDは、TiO2粒子がないとしても、アクリラートモノマー混合物中、完全には分散しない。
【国際調査報告】